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特表2022-511057エネルギーの経皮的送達のためのセラミックアプリケータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-28
(54)【発明の名称】エネルギーの経皮的送達のためのセラミックアプリケータ
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20220121BHJP
【FI】
A61B18/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021531990
(86)(22)【出願日】2019-12-05
(85)【翻訳文提出日】2021-07-19
(86)【国際出願番号】 EP2019083788
(87)【国際公開番号】W WO2020120274
(87)【国際公開日】2020-06-18
(31)【優先権主張番号】62/777,540
(32)【優先日】2018-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519363845
【氏名又は名称】ボシュ ヘルス アイルランド リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ベネット, フレデリック ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ボッケンステッド, クレイグ ロバート
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK36
(57)【要約】
高周波数エネルギーを用いて組織を治療するエネルギー送達デバイスおよび方法。エネルギー送達デバイスは、電極および基板を有するアプリケータを含み得る。基板は、セラミック材料から構成され得、凹状表面等の可変厚によって特徴付けられる表面を有し得る。基板は、第1の表面と、第1の表面の反対にある第2の表面と、第1の表面と第2の表面との間に配列される外側縁とを含む。加えて、基板は、外側縁に対する位置の関数として変動する第1の表面と第2の表面との間の厚さを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギー送達デバイスであって、
電極と、セラミック材料から構成される基板とを含むアプリケータであって、前記基板は、第1の表面と、前記第1の表面と反対にある第2の表面と、前記第1の表面と前記第2の表面との間の1つ以上の外側縁とを有し、前記基板は、前記複数の外側縁に対する位置の関数として変動する前記第1の表面と前記第2の表面との間の厚さを有する、アプリケータを備える、エネルギー送達デバイス。
【請求項2】
前記基板の第1の表面は、ある曲率半径を有する凹面形状を有する、請求項1に記載のエネルギー送達デバイス。
【請求項3】
前記基板の前記第2の表面は、平面である、請求項2に記載のエネルギー送達デバイス。
【請求項4】
前記電極は、前記基板の前記第2の表面上に配列される、請求項3に記載のエネルギー送達デバイス。
【請求項5】
前記電極は、前記基板の前記第1の表面上に配列される、請求項2に記載のエネルギー送達デバイス。
【請求項6】
前記基板は、中心線を有し、前記基板の前記厚さは、前記中心線からの距離の増加に伴って増加する、請求項1に記載のエネルギー送達デバイス。
【請求項7】
前記基板は、中心線を有し、前記基板の前記厚さは、前記中心線を中心として回転対称である、請求項1に記載のエネルギー送達デバイス。
【請求項8】
前記基板は、中心線を有し、前記電極は、前記基板の前記中心線を中心として配置される、請求項1に記載のエネルギー送達デバイス。
【請求項9】
筐体を有する治療先端をさらに備え、
前記アプリケータは、前記筐体の内側に配列される、請求項1に記載のエネルギー送達デバイス。
【請求項10】
ハンドピースをさらに備え、
前記治療先端は、前記ハンドピースに解放可能に取り付けられるように構成される、請求項9に記載のエネルギー送達デバイス。
【請求項11】
前記セラミック材料は、アルミナである、請求項1に記載のエネルギー送達デバイス。
【請求項12】
前記セラミック材料は、窒化アルミニウム、アルミナ、イットリア安定化ジルコニア、またはそれらの組み合わせである、請求項1に記載のエネルギー送達デバイス。
【請求項13】
前記セラミック材料は、ポリイミドの熱伝導性を上回る熱伝導性を有する、請求項1に記載のエネルギー送達デバイス。
【請求項14】
前記セラミック材料は、20ワット/メートル-ケルビンを上回る熱伝導性を有する、請求項1に記載のエネルギー送達デバイス。
【請求項15】
前記セラミック材料は、1メガヘルツ~20メガヘルツの周波数範囲内で8を上回る誘電定数を有する、請求項1に記載のエネルギー送達デバイス。
【請求項16】
前記セラミック材料は、1メガヘルツ~20メガヘルツの周波数範囲内で1×10-4未満である誘電正接を有する、請求項1に記載のエネルギー送達デバイス。
【請求項17】
前記基板の前記厚さは、前記中心線を中心とした回転対称ではない、請求項1に記載のエネルギー送達デバイス。
【請求項18】
前記基板は、中心線を有し、前記電極は、前記基板の前記中心線からオフセットされる、請求項1に記載のエネルギー送達デバイス。
【請求項19】
前記基板は、中心線を有し、前記基板は、前記中心線からの距離の増加に伴って非線形的に変動する厚さを有する、請求項1に記載のエネルギー送達デバイス。
【請求項20】
前記基板の前記厚さは、前記中心線を中心として回転対称である、請求項19に記載のエネルギー送達デバイス。
【請求項21】
高周波数エネルギーを送達する方法であって、
前記高周波数エネルギーを電極から基板を通して伝達し、前記電極の外側縁の近傍において前記外側縁の内側より小さい電流密度を用いて、前記電極に近接する組織を治療することを含み、
前記基板は、前記基板の複数の外側縁に対する位置の関数として変動する厚さを有し、前記基板の前記厚さは、前記外側縁の近傍において最大である、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、エネルギー送達デバイス、および高周波数エネルギーを用いて組織を治療する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
あるタイプのエネルギー送達デバイスは、電磁エネルギーを用いて患者の組織を治療することが可能である。組織治療のために電磁スペクトルの異なる領域内の電磁エネルギーを放出するこれらのエネルギー送達デバイスは、多数の多様な皮膚状態を治療するために使用され得る。例えば、エネルギー送達デバイスは、皮膚状態または他のタイプの組織状態を非切除的かつ非侵襲性に治療し得る。
【0003】
これらのエネルギー送達デバイスのうちの1つ変形物は、電磁スペクトルの無線周波数(RF)帯内の高周波数電磁エネルギーを放出する。高周波数エネルギーは、高周波数エネルギーを皮膚の表面に通過させる一方、皮膚表面により近い皮膚の表皮層への損傷を防止するために皮膚を能動的に冷却することによって、皮膚組織を治療するために使用され得る。高周波数エネルギーは、コラーゲンを変性させるために十分な温度まで表皮の下の組織を加熱し、これは、コラーゲンを収縮および萎縮させ、それによって、組織を引き締める。高周波数エネルギーを用いた治療はまた、軽度の炎症を引き起こす。組織の炎症性応答は、新しいコラーゲンを経時的(治療に続いて3日~6ヶ月)に発生させ、これは、さらなる組織収縮をもたらす。
【0004】
典型的には、エネルギー送達デバイスは、治療先端を含み、治療先端は、患者の皮膚表面と接触して設置されるかまたは近接して設置され、皮膚表面を通して皮膚表面の下の組織の中に穿通する電磁エネルギーを放出する。エネルギー送達デバイスの非患者側は、高周波数エネルギーを患者の組織に供給するための電極を含むアプリケータ等の構成要素を含み得る。従来のアプリケータは、可撓性ポリマーフィルムを含み、その上に、電極が堆積される。しかしながら、ポリマーフィルムは、多くの場合他の用途のための広範な採用を享受しないため、材料劣化の問題点に悩まされる。
【0005】
したがって、高周波数エネルギーを送達するための従来のアプリケータは、それらの意図される目的のために適当であることが証明されているが、高周波数エネルギーを送達するための向上させられたエネルギー送達デバイスおよび向上させられた高周波数エネルギーを送達する方法が、必要とされる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
ある実施形態では、エネルギー送達デバイスは、電極と、セラミック材料の基板とを有するアプリケータを含む。基板は、第1の表面と、第1の表面の反対にある第2の表面と、第1の表面と第2の表面との間に配列される外側縁とを含む。加えて、基板は、外側縁に対する位置の関数として変動する第1の表面と第2の表面との間の厚さを有する。
【0007】
別の実施形態では、エネルギー送達デバイスは、電極と、セラミック材料の基板とを有するアプリケータを含む。基板は、第1の表面と、第1の表面の反対にある第2の表面と、第1の表面と第2の表面との間に配列される外側縁とを含む。加えて、基板は、第1の表面および第2の表面の主寸法に対して垂直に延在する想像中心線を中心として対称的に変動する第1の表面と第2の表面との間の厚さを有する。
【0008】
別の実施形態では、高周波数エネルギーを送達する方法が提供される。方法は、高周波数エネルギーを電極から基板を通して伝達し、電極の外側縁の近傍において、外側縁から内側より小さい電流密度を用いて、電極に近接する組織を治療することを含む。基板は、基板の複数の外側縁に対する位置の関数として変動する厚さを有し、基板の厚さは、外側縁の近傍で最大である。
【0009】
この概要は、下記の詳細な説明においてさらに説明される概念の選択物を簡略化された形態で紹介するために提供される。この概要は、請求される主題の重要な特徴または不可欠な特徴を識別するように意図されるものではなく、また、請求される主題の範囲を判定することの補助として分離して使用されるように意図されるものでもない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
付随の図面は、本明細書内に組み込まれ、その一部を構成し、同様の参照番号が同様の特徴を指し、付随の図面は、本発明の実施形態を例証し、上記に与えられる概略的説明および下記に与えられる実施形態の詳細な説明とともに、本発明の原理を解説する役割を果たす。
【0011】
図1図1は、本明細書において説明される本発明の側面を実装するために好適である例示的エネルギーベースの療法用デバイスのブロック図である。
【0012】
図2図2は、本発明の実施形態によるアプリケータの正面図である。
【0013】
図3図3は、図2のアプリケータの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1図3を参照すると、本発明の実施形態によると、エネルギーベースの療法用デバイス200は、システムコントローラ210と、ヒトと機械とのインターフェース(「HMI」)220と、高周波数発生器230と、電力供給源240と、ハンドピース250と、治療先端260とを含む。システムコントローラ210は、概して、高周波数発生器230および電力供給源240等のデバイス200の他の構成要素を制御することによって、デバイス200の動作および機能を制御するように構成される。システムコントローラ210は、例えば、経皮的皮膚科治療における使用のために、患者の治療領域への高周波数エネルギー(例えば、無線周波数(RF)エネルギー)の印加を可能にする高レベルハードウェアコントローラである。デバイス200の他の構成要素内に位置するより低いレベルのハードウェアコントローラは、システムコントローラ210の指示および連携の下、構成要素レベル動作を管理し得る。
【0015】
他の構成要素の動作を制御し連動させることにおいて、システムコントローラ210はまた、より低いレベルハードウェアコントローラから受信されるステータスメッセージと、高周波数エネルギーを治療領域に印加する手技の間の種々の動作パラメータとを監視し得る。そのような動作パラメータの例は、治療先端260から放出されるピーク/平均出力電力、治療先端260における温度、患者が印加する機械的力、治療先端のための使用電流値データ、および同等物を含む。システムコントローラ210は、動作パラメータまたはより低いレベルハードウェアコントローラからのステータスメッセージが障害条件を示す場合、治療領域への高周波数エネルギーの印加を無効にし得る。例えば、治療先端260のための使用電流値データが、閾値を超える場合、システムコントローラ210は、治療領域への高周波数エネルギーの印加を無効にする。
【0016】
HMI220は、コマンド、要求、情報、データ、および同等物を交換するためのオペレータ(例えば、臨床医)とデバイス200との間のインターフェースを提供し、これは、オペレータが、デバイス200によって提供される機能と相互作用することを可能にする。ある実施形態では、HMI220は、オペレータとデバイス200との間の入力インターフェースおよび出力インターフェースの両方を提供するタッチセンサ式タッチスクリーンを含み得る。ある実施形態では、HMI220は、マイクロホンおよび/またはスピーカ等のオーディオインターフェースを含み得る。ある実施形態では、HMI220は、ボタン(例えば、プッシュボタン、ロッカーボタン、または当技術分野において公知の他のボタン)、ダイヤル、スライダスイッチ、ジョイスティック、クリックホイール、キーボード、ポインタデバイス(例えば、マウス)、および同等物等の物理的入力デバイスを含み得る。高周波数発生器230は、システムコントローラ210によって有効にされると、HMI220を介してオペレータから受信されるコマンドに従って、治療先端260内の電極12を駆動するために、高周波数エネルギー(例えば、RFエネルギー)を発生させるように構成される。ある実施形態では、高周波数エネルギーは、1メガヘルツ(MHz)~20メガヘルツの範囲内の無線周波数エネルギーであり得る。
【0017】
電力供給源240は、電力を外部電源(例えば、交流電流(「AC」)コンセント)からデバイス200の種々の構成要素に送達するように構成される。ある実施形態では、電力供給源240は、種々の構成要素への送達のために、外部電源から取得されるAC電力を直流(「DC」)電力に変換するように構成される。ある実施形態では、電力供給源240は、外部電源とデバイス200の他の構成要素との間の電気的絶縁を提供するように構成され得る。
【0018】
ハンドピース250は、高周波数エネルギー伝搬経路に沿って、治療先端260をデバイス200の他の構成要素に結合するように構成される。ハンドピース250は、ハンドピース250を他の構成要素に電気的に結合する導体を封入する可撓性導管を介して、デバイス200に接続される。ハンドピース250は、オペレータとしての役割を果たす臨床医による把持および取扱のための平滑に輪郭が付けられた把持部であり得、これは、ハンドピース250が、ハンドピース250および治療先端260の場所を操作するために、臨床医の少なくとも1つの手によって握持されることを可能にする。療法用手技の間、オペレータは、ハンドピース250(および、それによって、治療先端260およびそのアプリケータ10)を、患者の治療領域に近接して、かつ治療領域と接触して位置付ける。治療領域と治療先端260の一部との接触後、続いて説明されるように、オペレータは、ハンドピース250の外向き表面上に配置される制御部および/またはコンソールにおける制御部と相互作用することによって、デバイス200に、高周波数エネルギーをアプリケータ10から治療領域に送達するように命令し得る。例えば、ハンドピース250は、制御部を含み、制御部は、オペレータが、治療領域への高周波数エネルギー送達を開始/終了し、および/または治療領域に印加される高周波数エネルギーの量を調節することを可能にし得る。
【0019】
治療先端260は、ハンドピース250と結合し、療法目的のために、高周波数発生器230によって発生させられた高周波数エネルギーを患者に送達する。治療先端260は、療法手技の間特定の密度での高周波数エネルギーを患者に送達するように設計されたアプリケータ10を含む。治療先端260は、アプリケータ10が含有された筐体を含み得、ハンドピース250に解放可能に取り付けられるように構成され得る。治療先端260における温度を示すセンサデータが、治療先端260内に含まれる温度センサ(例えば、サーミスタ)を使用して取得され得る。
【0020】
ある実施形態では、デバイス200を形成する構成要素の少なくともあるサブセットが、コンソール(または機械的エンクロージャ)内に含有される。例えば、コンソールは、システムコントローラ210と、高周波数発生器230と、電力供給源240とを含有し得る。ある実施形態では、ハンドピース250は、ハンドピース250をデバイス200の他の構成要素に電気的に結合する導体を封入する可撓性導管を介して、コンソールに物理的に結合される。HMI220の全部または一部は、コンソールの外向きの表面上に配置され得る。
【0021】
流体送達部材270が、ハンドピース250および/または治療先端260の内側に配列され得る。冷却剤の供給源(例えば、冷却剤キャニスタ)が、デバイス200のコンソールに位置し、管類によって流体送達部材270と結合され得る。流体送達部材270は、治療手技と併せて、冷却剤の噴霧または流れをアプリケータ10に制御可能に送達するように構成され得る。冷却剤は、システムコントローラ210の制御の下、アプリケータ10から患者の組織への高周波数エネルギーの送達前、その間、および/またはその後に、冷却剤噴霧または流れを送達するようにトリガされ得る。
【0022】
振動デバイス280が、ハンドピース250および/または治療先端260の内側に配列され得る。振動デバイス280は、ハンドピース250および治療領域に対して、比較的に低周波で、治療先端260およびアプリケータ10を発振しまたは振動させるように構成される。特に、振動デバイス280は、治療先端260の少なくとも一部が治療領域と接触している状態で、治療領域に対して垂直または略垂直である軸に沿った経路で治療先端260を発振しまたは振動させ、振動を治療領域に伝達させる。任意の特定の理論によって拘束されることを意図するわけではないが、そのような振動は、治療手技の間、患者のための疼痛制御機構を提供し得ると考えられる。
【0023】
図2および3を参照すると、アプリケータ10は、電極12と、電極12のための機械的支持を提供する基板14とを含む。基板14は、表面16と、表面16と反対の表面18と、外側縁20とを含み、外側縁20は、表面16と表面18との間に配列され、基板14の周縁部を中心として延在する。電極12はまた、外側縁13を含み、外側縁13は、基板14の表面16が部分的にのみ電極12によって被覆されるように、基板14の外側縁20内に嵌め込まれる。
【0024】
基板14は、基板14の領域を囲繞するフレーム22を含み、フレーム22上に電極12が位置付けられる。電極12およびフレーム22は、個々の構成要素であってもよいし、または単一材料から成型もしくは機械加工することによって形作られてもよい。したがって、フレーム22および電極12は、同一材料か、または少なくとも2つの異なる材料から構成され得る。電極12は、フレーム22の内側に嵌め込まれ、フレーム22上の表面16の一部は、電極12が位置付けられる領域とは対照的に、フレーム22が均一厚を有するように、電極12によって被覆される表面16の部分に対して、表面18の平面と平行な平面において凹ませられ得る。
【0025】
基板14は、表面16、18間の分離によって与えられる厚さを有する。表面16と表面18との間の厚さは、基板14の外側縁20に対する位置の関数として変動する。特に、図3に最も良く示されるように、基板14は、表面16、18に対して垂直に延在する、想像中心線26からの距離の増加に伴って増加する厚さを有し得る。そのような厚さ増加は、中心線26から均一である必要はないが、中心線26の両側の厚さの増加は、中心線26を中心として対称であるべきである。例示的非線形外形は、円環外形、または、最初に中心線26からの半径方向距離の増加に伴って厚さが増加し、変曲点を画定する所与の半径において、中心線26からの半径方向距離の増加に伴って厚さが減少し始める外形を含む。ある実施形態では、基板14の表面16は、位置依存厚さ変動を提供する曲率半径を伴う凹面であり得る。ある実施形態では、基板14の厚さは、中心線26を中心として回転対称であり得、それによって、位置依存厚さ変動は、同様に、中心線26を中心として回転対称である。ある実施形態では、基板14の厚さは、中心線26を中心とした回転対称ではないこともあり、それによって、位置依存厚さ変動は、同様に、中心線26を中心とした回転対称ではない。基板14の表面18は、略平面であり、意図的に形成される凹面または凸面ではないこともある。表面18は、基板14の厚さの変動を測定するための参照平面を提供し得る。
【0026】
アプリケータ10は、高周波数エネルギーを用いて治療されるように基板14が電極12と組織との間に配列されるように、治療先端260内に位置付けられ得る。代表的実施形態では、電極12は、基板14の表面16上に位置付けられ得、表面18は、治療先端260から外向きに面するように配向され得、患者の組織と直接接触して設置され得る。代替実施形態では、電極12は、表面18上に位置付けられ得、表面16は、治療先端260から外向きに面するように配向され得、患者の組織と直接接触して設置され得る。電極12の形状は、図2に示される代表的形状と異なってもよい。
【0027】
電極12もまた、基板14の中心線26を中心に配置され得る。代替として、電極12の中心は、基板14の中心線26からオフセットされ得る。接続点24は、電極12を含む表面16上に設置された付加的金属被覆物として含まれ得る。例えば、接続点24は、サーミスタパッケージ等の温度センサまたは他のタイプのセンサを取り付けるために使用されるパッドであり得る。
【0028】
治療手技の間の使用時、高周波数エネルギーは、電極12から基板14の厚さを通して伝達され、治療先端260に近接する組織を治療する。基板14の厚さの変動は、電極12の縁13の近傍の送達される高周波数エネルギーの電流密度を低減させることにおいて効果的であり得、これは、典型的には、電極12の縁からの内向きの電流密度を上回る。基板12の縁13の近傍の電流密度の低減は、患者の組織への高周波数エネルギーの送達の均一性を向上させ、かつ、その理由から、組織の加熱および治療の均一性を向上させ得る。
【0029】
基板14は、厚さの変動を提供するように機械加工されたセラミック材料から構成され得る。例示的セラミック材料は、限定ではないが、窒化アルミニウム、アルミナ、イットリア安定化ジルコニア(「YTZP」または「YSZ」)、またはそれらの組み合わせを含む。ある実施形態では、セラミック材料は、アルミナであり得る。
【0030】
実施形態では、基板14は、ポリイミド等の従来的に採用されるポリマー基板の熱伝導性を上回る熱伝導性を有するセラミック材料から構成され得、これは、従来的に採用されるポリマー基板と比較して、熱を伝導する能力を向上させる。いくつかの実施形態では、基板14は、20ワット/メートル-ケルビンを上回る熱伝導性を有するセラミック材料から構成され得る。例えば、アルミナは、30ワット/メートル-ケルビンの熱伝導性を有し、窒化アルミニウムは、60ワット/メートル-ケルビンの熱伝導性を有する一方、ポリイミドは、0.46ワット/メートル-ケルビンの熱伝導性を有する。
【0031】
熱伝導性に直接的に関連する熱を効率的に伝達する基板14の能力は、表在組織を保護し、下層組織を療法温度まで加熱するための組織冷却に依拠するアプリケータ10を使用する治療手技において有益であり得る。より高い熱伝導性は、従来のポリイミド基板を使用するときに多くの場合見出されるより局在化された高温スポットとは対照的に、向上させられた冷却分布および/またはより一貫した表面温度を提供し得る。そのために、アプリケータ10は、ハンドピース250および/または治療先端260の内側に配列される流体送達部材270(図1)から送達される冷却剤を受け取り得る。冷却剤の供給源(例えば、冷却剤キャニスタ)が、デバイス200のコンソールに位置し得る。流体送達部材270は、治療手技と関連付けて冷却剤の噴霧または流れをアプリケータ10に制御可能に送達するように構成され得る。冷却剤は、システムコントローラ210の制御の下、電極12から患者の組織への高周波数エネルギーの送達前、その間、およびその後に、冷却剤の流れまたは噴霧を送達するようにトリガされ得る。冷却されたアプリケータ10と送達される高周波数エネルギーによって加熱される接触された組織との間に存在する温度差に起因して、熱は、接触された組織から基板14の厚さを通って伝導され、それによって、接触された組織から抽出される。ハンドピース150および/または治療先端260の一部は、抽出された熱を周囲環境に消散させるヒートシンクを提供し得る。熱除去は、接触された組織を組織表面から内向きに冷却し、これは、組織表面に近接する加熱を補償し、それによって、組織表面から所与の深度まで組織の中に延在する逆熱勾配を発生させ得る。冷却およびエネルギー送達は、治療が所望される組織深度にわたって生じる組織加熱に有意に干渉しない一方、並行して、これらの組織深度と治療温度までの加熱が所望されない組織表面との間の組織を冷却するように、平衡させられ得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、基板14は、1メガヘルツ(MHz)~20メガヘルツの周波数範囲内で8を上回る誘電定数(すなわち、誘電率)を有する、セラミック材料から構成され得る。例えば、アルミナは、1メガヘルツ~20メガヘルツの周波数範囲内で約10の誘電定数を有し、窒化アルミニウムは、1メガヘルツ~20メガヘルツの周波数範囲内で約9の誘電定数を有する一方、ポリイミドは、同一周波数範囲内で約4.2のより低い誘電定数を有する。いくつかの実施形態では、基板14は、1メガヘルツ~20メガヘルツの周波数範囲内で1×10-4未満の誘電正接を有するセラミック材料から構成され得る一方、ポリイミドは、この周波数範囲内で5×10-3未満の誘電正接を有する。いくつかの実施形態では、基板14のセラミック材料は、熱伝導性、誘電定数、および誘電正接のこれらの指定される性質のうちの複数または全てを保有し得る。
【0033】
電極12は、銅またはアルミニウム等の導体から構成され得る。電極12は、例えば、ラミネート、蒸着、スパッタ堆積、または当技術分野において公知の他の方法によって、基板14に付与され得、付与に続いて、光リソグラフィおよびエッチングプロセスによってパターン化され、電極12の外側縁13および電極12の外側縁13を中心として配列される接続点24を画定し得る。電極12は、治療先端260がハンドピース250と結合されると、例えば、ハンドピース250または治療先端260内のポゴピンによって接触され得る。
【0034】
本明細書における「鉛直」、「水平」、および同等のもの等の用語の言及は、限定ではなく、一例として、基準系を確立するためになされる。種々の他の基準系も、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本発明を説明するために採用され得ることを理解されたい。また、本発明の特徴は、図面では、必ずしも、正確な縮尺で示されていないことを理解されたい。さらに、用語「composed of(~から構成される)」、「includes(~を含む)」、「having(~を有する)」、「has(~を有する)」、「with(~を伴う)」、またはその変形が、詳細な説明または請求項において使用される限り、そのような用語は、用語「comprising(~を備える)」と同様の様式で、包含的および非制限的であるように意図される。
【0035】
本明細書における「約」、「およそ」、および「実質的に」等の近似の用語によって修飾される用語の言及は、規定された精密な値に限定されるべきではない。近似の言葉は、値を測定するために使用される器具の精度に対応し得、器具の精度に別様に依存しない限り、述べられた値(単数または複数)の+/-10%を示し得る。
【0036】
別の特徴にまたはそれと「connected(接続される)」または「coupled(結合される)」特徴は、直接、他の特徴にまたはそれと接続もしくは結合され得、または代わりに、1つ以上の介在特徴が存在し得る。特徴は、介在特徴がない場合、別の特徴にまたはそれと「直接接続」または「直接結合」され得る。特徴は、少なくとも1つの介在特徴が存在する場合、別の特徴にまたはそれと「間接的に接続」または「間接的に結合」され得る。別の特徴「上に」ある、またはそれに「接触」する特徴は、直接他の特徴上に直接あり、もしくはそれに直接接触し得、または代わりに、1つ以上の介在特徴が存在し得る。特徴は、介在特徴がない場合、別の特徴「上に直接」あるか、またはそれと「直接接触」し得る。特徴は、少なくとも1つの介在特徴が存在する場合、別の特徴「上に間接的に」あるか、またはそれと「間接的に接触」し得る。
【0037】
本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を説明する目的のみのためのものであって、本発明を限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明確にそうでないことを示さない限り、複数形形態も同様に含むように意図される。さらに、用語「comprises(~を備える)」および/または「comprising(~を備える)」は、本明細書において使用されるとき、述べられる特徴、完全体、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を規定するが、1つ以上の他の特徴、完全体、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらの群の存在または追加を除外しないことを理解されたい。
【0038】
本発明は、種々の実施形態の説明によって例証されており、これらの実施形態は、かなり詳細に説明されているが、添付の請求項の範囲をそのような詳細に制限し、またはいかようにも限定することは、本出願人の意図ではない。付加的利点および修正が、当業者に容易に想起されるであろう。したがって、そのより広範な側面における本発明は、したがって、示されかつ説明される特定の詳細、代表的な装置および方法、ならびに例証的例に限定されない。故に、本出願人の概略的な本発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、そのような詳細からの逸脱がなされ得る。
図1
図2
図3
【国際調査報告】