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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-28
(54)【発明の名称】薄膜SAWデバイス
(51)【国際特許分類】
   H03H 9/25 20060101AFI20220121BHJP
【FI】
H03H9/25 C
H03H9/25 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021532034
(86)(22)【出願日】2019-11-29
(85)【翻訳文提出日】2021-06-04
(86)【国際出願番号】 EP2019083119
(87)【国際公開番号】W WO2020120175
(87)【国際公開日】2020-06-18
(31)【優先権主張番号】102018131946.0
(32)【優先日】2018-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520142767
【氏名又は名称】アールエフ360・ヨーロップ・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(72)【発明者】
【氏名】クナップ、マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ブライル、インゴ
(72)【発明者】
【氏名】ハウザー、マルクス
【テーマコード(参考)】
5J097
【Fターム(参考)】
5J097AA05
5J097AA14
5J097EE08
5J097EE10
5J097GG03
5J097GG04
5J097KK03
5J097KK05
(57)【要約】
薄膜SAWデバイスは、キャリア基板(CA)と、TCF補償層(CL)と、圧電層(PL)と、圧電層の上部のIDT電極(EL)とを備える。機能層(FL)が、TCFを更に低減するために、圧電層とTCF補償層との間に配置される。機能層の材料特性は、音響速度、密度、及び剛性の観点から、それらが圧電効果を有することなく10%を超えて互いにずれないように圧電層の材料特性と一致する。機能層は、有用な圧電層と同じ結晶構成であり得るが、圧電特性を有さないことがある。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄膜SAWデバイスであって、
-キャリア基板(CA)と、
-TCF補償層(CL)と、
-圧電層(PL)と、
-前記圧電層の上部のIDT電極(EL)と
を備え、機能層(FL)が、圧電層とTCF補償層との間に配置され、
前記機能層の材料特性は、音響速度、密度、及び剛性の観点から、圧電効果を有することなく、それらが10%を超えて互いにずれないように前記圧電層の材料特性と一致する、薄膜SAWデバイス。
【請求項2】
前記機能層は、
-前記圧電層のような同じ材料を備え、
-いかなる圧電効果も提供しない、
請求項1に記載の薄膜SAWデバイス。
【請求項3】
前記圧電層は、厚さdPを有するLT又はLNの単結晶層であり、
-前記機能層は、同じ材料であるが圧電効果を有することのない結晶層であり、
-前記機能層の厚さdFについて、以下が有効である:
0.005dP≦dF≦0.50dP、
請求項1又は2に記載の薄膜SAWデバイス。
【請求項4】
前記TCF補償層(CL)よりも高い音速を有する1つ以上の追加層が、前記キャリア基板(CA)と前記TCF補償層(CL)との間に追加される、請求項1~3のうちのいずれか一項に記載の薄膜SAWデバイス。
【請求項5】
前記圧電層は、400~700nmの厚さdPのタンタル酸リチウムLTの単結晶層であり、
-前記機能層は、同じ材料であるが圧電効果を有することのない結晶LT層であり、前記機能層の厚さdFは、
2nm≦dF≦350nmに一致する、
請求項1~4のうちのいずれか一項に記載の薄膜SAWデバイス。
【請求項6】
前記TCF補償層(CL)は、
50nm≦dC≦500nm
による厚さdCを有するSiO層を備える、請求項1~5のうちのいずれか一項に記載の薄膜SAWデバイス。
【請求項7】
薄膜SAWデバイスを製造する方法であって、
-キャリア基板(CA)と、
-TCF補償層(CL)と、
-機能層(FL)と、
-圧電層(PL)と、
-前記圧電層の上部のIDT電極(EL)と
を備え、前記方法は、その上面に一体的に形成された機能層FLを有する圧電ウェハの、前記キャリア基板上に配置された下にある前記TCF補償層CLに対するウェハ接合を備え、
前記機能層(FL)は、イオン注入(ion implantation)、温度処理(temperature treatment)、又はレーザ処理によって、ウェハ接合より前に形成される、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
次世代のモバイル通信デバイス(mobile communication device)は、高い電気機械結合係数(electromechanical coupling factor)k及び低い周波数温度係数TCF(temperature coefficient of frequency)のような優れた性能及び特性を必要とする。
【0002】
サンドイッチ基板系上に具現化されたSAWフィルタデバイスは、サジタル導波効果(sagittal wave guiding effect)を提供するので、それ自体高い結合係数(coupling coefficient)を提供する。一般的な多層基板系の層のうちの1つは、TCFの低減を提供するSiO層である。故に、そのようなSiO層は、TCF補償層(compensating layer)として使用され、その厚さ(thickness)は、所望のTCF低減を達成するために調整されることができる。しかしながら、その補償効果(compensating effect)は、小さすぎることが多い。その上、貧弱な音響特性のみを有するSiO層のより高い厚さは、より多くのスプリアスモード(spurious mode)、例えば、より高い周波数にある近隣する周波数帯域において妨害共振(disturbing resonance)を生成するには望ましくないバルク音響モード(bulk acoustic mode)をもたらす。更に、サンドイッチ基板系における高結合(high coupling)は、より小さい帯域幅を必要とするある帯域にとって不利であり得る。これらの狭帯域では、帯域幅を再低減するためにキャパシタ(capacitor)のような外部回路が必要とされる。これは次に、一般的な小型化要件に反するより高い面積消費(higher area consumption)をもたらす。
【0003】
故に、SiO層の層厚さを高めることなく補償されたTCFを有するSAWデバイスが必要とされている。
【技術分野】
【0004】
この目的及び他の目的は、独立請求項に記載の薄膜SAWデバイス(thin film SAW device)及び製造方法によって解決される。特定の特徴及び有利な実施形態は、従属請求項の主題である。
【0005】
一般的な考えは、追加の機能層(functional layer)を備える薄膜SAWデバイスを提供することである。これは、薄膜SAWデバイスの圧電層(piezoelectric layer)の近く又は隣にあり、圧電層の機械的特性(mechanical property)に非常に類似した機械的特性を有する追加層(additional layer)であり得る。しかしながら、この機能層は、圧電性(piezoelectric)ではない。
【0006】
そのような層は、次いで、優れた音響特性(acoustic property)を有し、音波(acoustic wave)は、この機能層において少なくとも部分的に伝搬する。故に、圧電効果(piezoelectric effect)がないことにより、結合(coupling)、及び故に電気機械結合係数kが低減される。これは、狭帯域幅を有する帯域中で、それぞれ狭帯域で動作するように設計されたSAWフィルタにとって有利である。さもなければ、帯域幅は、追加の空間及び/又はチップ面積を必要とするであろう外部キャパシタのような回路素子の助けを借りて低減されなければならなかった。その上、そのような外部素子は、それらの低い品質係数(quality factor)Qを原因として、デバイス全体の品質係数Qを低減する。提案された機能層、及びこのことから、低減された結合係数により、そのような回路は、狭帯域SAWフィルタを設計するときに必要とされない。
【0007】
圧電性の温度依存性(temperature dependence)は、デバイスの負(negative)のTCFの主な要因のうちの1つである。追加の機能層の圧電性の欠如は、組み合わされた層スタックのTCFの改善をもたらす。このことから、かつては非常に負であったTCFは、これまで一般的に使用されてきた層系(layer system)と比較してより正(positive)の値にシフトされる。故に、不十分なTCF補償を有する層系であっても、この機能層は、非常に低い結果として生じるTCFを提供するためにTCF補償を改善することを可能にする。その上、機能層は、SiO層である通常のTCF補償層の厚さを低減することを可能にする。機能層を挿入することによって、悪い音響特性を有するSiO層の厚さを低減することは、薄膜SAWデバイスの層系全体の音響特性を改善する。追加の利点として、スプリアスモードの発生が、全体的な層厚さがより低いことにより低減されることができる。
【0008】
所望であれば、結合係数kの低減は、圧電層の厚さを低減することによって補償されることができる。結果として、スプリアスプレート及びバルクモード(spurious plate and bulk modes)の発生が更に低減される。
【0009】
そのような新しい薄膜SAWデバイスは、キャリア基板(carrier substrate)と、TCF補償層と、圧電層と、圧電層の上部の電極構造(electrode structure)とを備える。機能層が、圧電層とTCF補償層との間に配置される。一般的な薄膜SAWデバイスと比較して、圧電層及びTCF補償層の厚さは、低減されることができ、それによって少なくとも同じTCF補償を達成する。
【0010】
機能層の材料特性(material property)が、音響速度(acoustic velocity)、密度(density)、及び剛性(stiffness)の観点から圧電層の材料特性と10%未満の偏差で一致すれば有利である。
【0011】
より好ましくは、機能層は、圧電層などと同じ材料(material)を備えるが、例えば特別な熱的、機械的、電気的処理、又はイオン衝撃(ion bombardment)により圧電効果を示さない。
【0012】
そのような機能層は、構造を損傷すること、及び故に単結晶圧電層(mono-crystalline piezoelectric layer)の損傷ゾーン(damage zone)中での圧電効果によって、形成されることができる。圧電層の上部から所望の深さまでイオン(ion)を注入(implant)することによって損傷ゾーンを形成することが可能である。しかしながら、圧電ウェハ(piezoelectric wafer)を多層基板系の表面に接合する前に、圧電ウェハ中に損傷ゾーンを形成することが好ましい。損傷ゾーンは、基板系に接合される表面の隣にあることが好ましい。
【発明の概要】
【0013】
実施形態によると、圧電層は、LT又はLNの単結晶層(mono-crystalline layer)であり、厚さdPを有する。機能層は、同じ材料であるが圧電効果を有さない結晶層(crystalline layer)である。損傷層(damage layer)の厚さdDについて、以下の関係が有効である:
0.005dP≦dD≦0.5dP。
【0014】
特定の実施形態では、圧電層は、400nm~700nmの厚さdPのタンタル酸リチウムLT(lithium tantalate)の単結晶層である。次いで、機能層は、同じ材料であるがもう少しも圧電効果を有さない結晶LT層(crystalline LT layer)である。上述の関係によると、損傷層の厚さdDは次いで、
2nm≦dD≦350nmに一致する。
【0015】
機能層のTCF低減特性により、TCF補償層の厚さは、通常SiOから作られるそのような層を有する既知の薄膜SAWデバイスと比較して低減されることができる。TCF補償層/SiO層の例証的な厚さdCは、以下の関係に従う:
50nm≦dC≦500nm。
【0016】
以下では、薄膜SAWデバイスは、特定の実施形態及び添付の図面を参照してより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】薄膜SAWデバイスの概略断面図(schematic cross section)を示す。
図2】機能層の厚さに依存する薄膜SAWデバイスのTCFの経過を示す。
図3】機能層の厚さに依存する薄膜SAWデバイスの結合係数(coupling factor)kの経過を示す。
図4】薄膜SAWデバイスのアドミタンス(admittance)の実部(real part)を示す。
図5】薄膜SAWデバイスのアドミタンスの大きさ(magnitude)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、薄膜SAWデバイスを断面図で示す。図は、概略的なものでしかなく、原寸通りに描かれていない。より良い理解のために、いくつかの詳細は、図から絶対的な寸法も相対的な寸法も取ることができないように拡大された形式で図示されている。
【0019】
キャリア基板CAは、好ましくは、機械的に安定した剛性材料から作られたウェハ(wafer)である。シリコンが、そのための好ましい材料である。キャリア基板CAの上部に、音速(sound velocity)がSiO2よりも高いオプションの層が配置され得る。オプションの層は、例えば、AlN、多結晶又はアモルファスシリコンのような硬い材料から作られる。
【0020】
このオプションの層HVの上に、又はキャリア基板CA上に直接、例えばSiOのTCF補償層CL(compensating layer)が適用される。これは、一般的なPVD又はCVDプロセスによって行われ得る。しかし、任意の他の堆積方法も可能である。その上に次の層として、機能層FL及び圧電層PLが配置される。好ましい実施形態によると、これらの2つの層を配置することは、その上面に一体的に形成された機能層FLを有する圧電ウェハの、下にあるTCF補償層CLに対するウェハ接合(wafer bonding)を備える。
【0021】
圧電層PLの厚さを所望の値dPまで低減した後、圧電層PLの上部に電極EL(electrode)が形成される。電極構造ELは、薄膜SAWデバイスの機能を有効にし、インターデジタルトランスデューサ-IDT(interdigital transducer)-反射器(reflector)、共振器(resonator)、又はフィルタ機能(filter function)のような電気音響SAWデバイス動作(electro-acoustic SAW device operation)に必要な任意の他の構造を備え得る。
【0022】
図2は、上述した構造を有する薄膜SAWデバイスのTCFの計算された経過を示す。TCFは、機能層FLの様々な厚さdFに依存して図示される。第1の値は、0の厚さdFを有する機能層FLのないデバイスに一致する。ここで、SAWデバイスは、SAWデバイスのTCFに対する強い負のTCFを有する圧電層PLの影響によるものである負のTCFを依然として示している。20nmの厚さdDで既に、TCFの大幅な低減が認められる。約50nmの厚さdFを有する機能層は、デバイスの元の負のTCFを完全に補償する。厚さdFがより高くなると、TCFは正になる。総経過は、ほぼ線形であり、TCF補償効果は、SAWデバイスの他の層の全ての他の幾何学的パラメータが一定に保たれる場合、機能層の厚さに比例することを示す。完全性のためにのみ、実際の値が層系及び層の厚さに依存することに留意されたい。しかしながら、機能層の厚さdFに対するTCFの依存性は同じままである。
【0023】
音響挙動(acoustic behavior)を制御する機械的特性が機能層FLと圧電層とで同じであるという事実により、かなりの量の波エネルギーが、圧電効果を有さない機能層に集中される。故に、機能層FLのないSAWデバイスと比較して、結合係数が低減される。
【0024】
図3は、機能層FLの厚さdFに依存する薄膜SAWデバイスの結合係数kの経過を示す。0の厚さで最も高い値が観測されることは明らかである。厚さdFのより高い値では、観察されたk値は低減する。この依存性も線形依存性であるので、それは、より小さい帯域幅、及び故により低いkを必要とするデバイスに対して所望のkを設定するために使用されることができる。図示されたグラフに従って、高すぎる結合係数kを引き起こす機能層FLの厚さdFで所望のTCFが得られる場合、SAWデバイスの他の構造パラメータを変化させる必要がある。次いで、所望のkを最初に設定するために、機能層FLの厚さdFを増加させなければならない。正すぎるTCFは、次いで、TCF補償SiO層CLの厚さdCの低減によって補償されることができ、逆もまた同様である。
【0025】
提案されたSAWデバイスは、所望の低い又は補償されたTCFを見る必要なく、所望のパラメータを考慮して基板層系を最適化することを可能にする。まず、そのような最適化の後、TCFは、機能層に対して適切な厚さdFを選択することによって補償されることができる。それにより、全ての他の設計特徴及びそれに依存するそれぞれの物理的パラメータは一定に保たれることができ、それらが最適化の結果として残る。例えば、形状パラメータは、製造プロセスにおいて不可避である公差により敏感でない値に設定されることができる。既知の薄膜SAWデバイスでは、低いTCFを達成するために、SiO層の高い層厚さdCが結果として必要とされるであろう。しかしながら、これは、かなりの量の音響バルク及びプレートモードを励起し、望ましくない共振を発生させるであろう。
【0026】
以下では、共振器として具現化された、提案された薄膜SAWデバイスの正の効果を示すために、3つのデバイスのアドミタンスが比較される。図4は、薄膜SAWデバイスのアドミタンスの実部を示す(一方、図5は、そのそれぞれの大きさを示す。第1のグラフ1は、完全なTCF補償を有していない技術による参照SAWデバイスに割り当てられている。第2のグラフ2は、完全なTCF補償を達成するように設計された提案されたSAWデバイスに一致する。最後に、グラフ3は、TCF補償SiO層の厚さdCを相応に増大させることによって完全なTCF補償を達成するように設計された機能層FLのないSAWデバイスに一致する。
【0027】
この例の場合、以下を備える層系が選ばれる:
-Siキャリア基板
-200nmのSiO
-非圧電(non-piezoelectric)LTの基部上の50nmの損傷層
-600nmの圧電(piezoelectric)LT
-Al電極
【0028】
グラフ3は、損傷層が存在せず、SiO層の厚さdCが上記の例よりも200nm大きい400nmまで増大していることを除いて、上述のものに従う層系に一致する。故に、50nmの損傷層は、200nmのSiO層などとほぼ同じTCF補償効果を有する。
【0029】
本発明によるグラフ2と従来のTCF補償を有するSAWデバイスによるグラフ3とを比較すると、最も顕著な効果が見られる。選択された例は、1900MHzの共振周波数用に設計された薄膜SAW共振器である。3つのグラフは全て、この周波数での最大値を示す。グラフ3は、約2150MHzにおける望ましくないスプリアスモードによる更なる共振ピークと、2210MHzにおけるより低い共振ピークとを示す。スプリアスモードは、波の局所的なエネルギー分布による相対的な厚いSiO層を有する基板の層構造から生じ、このことから、主にバルクモードであるスプリアスモードの発生を可能にする。グラフ2は、図5で最もよく見られるように、これらのピークを示さない。
【0030】
約2800MHzの周波数では、更なるポジティブな効果が見られる。ここでも、グラフ1及び3は、一致する従来のデバイスにおける更なるスプリアスモードによる共振を示す。しかしながら、グラフ2は、グラフ1及び3と比較して大幅に低減されたピークを示す。
【0031】
図5のグラフ1及び2の共振ピーク及び反共振ピークを比較すると、極零点距離(pole zero distance)PZD、及びこのことから結合係数は、新しい設計によるグラフ2では約10MHzだけ低減されることが分かる。
【0032】
故に、新しい薄膜SAWデバイスは、より高いQ係数、完全なTCF補償、及びスプリアスモードの大幅な低減を提供する。更に、結合は、低減されるか又は低減されることができる。
【0033】
本発明は、実施形態によって限定されず、特許請求の範囲によってのみ定義される。故に、示された例の更なる変形は、それらが特許請求の範囲によってカバーされる限り、本発明の範囲内であると見なされる。
【参照符号のリスト】
【0034】
1,2,3 例及び参照のアドミタンス曲線
CA キャリア基板(Siウェハ)
CL TCF補償層(SiO層)
dC TCF補償層の厚さ
dF 機能層の厚さ
dP 圧電層の厚さ
EL IDT電極
FL 機能層
PL 圧電層
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】