(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-28
(54)【発明の名称】利用データを評価する方法
(51)【国際特許分類】
G16H 10/60 20180101AFI20220121BHJP
【FI】
G16H10/60
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021532036
(86)(22)【出願日】2019-12-19
(85)【翻訳文提出日】2021-07-09
(86)【国際出願番号】 EP2019086267
(87)【国際公開番号】W WO2020127701
(87)【国際公開日】2020-06-25
(31)【優先権主張番号】102018133078.2
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506153712
【氏名又は名称】オットー・ボック・ヘルスケア・プロダクツ・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】アルブレヒト-ラーチェ、エリック
(72)【発明者】
【氏名】パッペ、アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ザイフェルト、ディルク
(72)【発明者】
【氏名】グリア、アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】カンパス、フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ホファー、クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】コッペ、マリオ
(72)【発明者】
【氏名】バルテルス-セラリンク、クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ドリーセベルク、イェンス
(72)【発明者】
【氏名】シュミット、マルティン
(72)【発明者】
【氏名】カイタン、ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】シャヒンガー、マルクス
(72)【発明者】
【氏名】メイア・ニノ、ユアン・パブロ
(72)【発明者】
【氏名】ファウルハーベル、スベン
(72)【発明者】
【氏名】クルケンベルク、イェルク
(72)【発明者】
【氏名】オルツェ、カタリナ
(72)【発明者】
【氏名】アイヒラー、アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ギシャマー、フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】プロチャスカ、ベルンハルト
(72)【発明者】
【氏名】コバーチ、クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】フィンク、エファ-マリア
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー、グレゴリー・ライル
(72)【発明者】
【氏名】アムスース、セバスティアン
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA22
(57)【要約】
本発明は、特性、状態、又は特性若しくは状態の変化を検出するためのセンサ(9)を装備した少なくとも1つの整形外科技術装置(100)の利用データを評価する方法であって、センサ(9)が送信器(11)と直接、又は記憶装置(12)を介して接続され、送信器(11)が、センサ(9)によって提供されたセンサデータをコンピュータネットワーク(200)における評価ユニット(20)に伝送し、コンピュータネットワークにおいてセンサデータが処理される、方法に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特性、状態、又は特性若しくは状態の変化を検出するためのセンサ(9)が装備される少なくとも1つの整形外科技術装置(100)の利用データを評価する方法であって、前記センサ(9)が送信器(11)と直接、又は記憶装置(12)を介して接続され、前記送信器(11)が、前記センサ(9)によって提供されたセンサデータをコンピュータネットワーク(200)における評価ユニット(20)に伝送し、前記コンピュータネットワークにおいて前記センサデータが処理される、方法。
【請求項2】
前記センサ(9)によって、前記整形外科技術装置(100)の運動データ、動作データ、及び/又は負荷、又は前記整形外科技術装置(100)の利用者に関するセンサデータが検出され、前記評価ユニット(20)に伝送されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記センサデータは、時間制限して、又は前記少なくとも1つの整形外科技術装置(100)の全利用時間若しくは複数の利用時間にわたって検出及び評価されることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記センサデータに、前記整形外科技術装置(100)の利用者及び/又は第三者の評価が付加されることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記評価は、用意された質問を用いて行われることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記センサデータは、リアルタイムで、利用中断中に、定められた時点において、前記評価ユニット(20)の要求に応じて、及び/又は利用者による送信によって前記評価ユニット(20)に伝送されることを特徴とする、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記センサデータは、パーソナライズされる、及び/又は装置別に符号化されることを特徴とする、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
同じ種類の又は同等のいくつかの整形外科技術装置(100)のセンサデータが統合され、かつ前記評価ユニット(20)において評価されることを特徴とする、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
同等の利用者のセンサデータ、又は一群に統合された複数の利用者のセンサデータが検出され、かつ前記評価ユニット(20)において評価されることを特徴とする、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記センサデータにもとづいてリスク分析が行われ、前記リスク分析の結果にもとづいて、利用者、費用負担者、整形外科技術者、及び/又は前記整形外科技術装置(100)の製造業者に推奨が発出されることを特徴とする、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記評価にもとづいて、利用者に利用上の注意、警告メッセージ、及び/又は要求が通知されることを特徴とする、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記整形外科技術装置(100)に、受信器(13)と結合された制御装置(8)が割り当てられ、前記受信器を介して制御データ、アクセス権、センサ較正、並びに/又は前記制御データ、前記アクセス権、前記センサ較正の変更、及び/若しくは変更に関する記録が伝送されることを特徴とする、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記コンピュータネットワーク(200)において、設定、設定の変更、較正、センサデータへのアクセス、及びアクセス権が記憶され、呼び出し可能に保持されることを特徴とする、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
複数の整形外科技術装置(100)が前記コンピュータネットワーク(200)を介して互いに結合され、かつデータを交換することを特徴とする、請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
データは、移動端末機器(30)を介して前記コンピュータネットワーク(200)から、及び前記コンピュータネットワークへ伝送されることを特徴とする、請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記整形外科技術装置(100)の利用者、費用負担者、整形外科技術者、及び/又は前記整形外科技術装置(100)の製造業者に、前記センサ(9)によって検出される、又は前記センサデータから導出可能である選定されたパラメータの統合が伝送されることを特徴とする、請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
パラメータプロファイルが検知及び表示されることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
各利用者及び/又は各整形外科技術装置(100)に対して固有のデータ構造が作成され、前記固有のデータ構造を用いて前記センサデータが選定され、かつ前記評価ユニット(20)に伝送されることを特徴とする、請求項1から請求項17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記評価を用いて、複数の代替的整形外科技術装置(100)から選定され、かつ利用者、整形外科技術者、及び/又は費用負担者に提案されることを特徴とする、請求項1から請求項18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記評価ユニット(20)は、前記整形外科技術装置(100)の利用者及び/又は前記整形外科技術装置(100)及び/又は同等の整形外科技術装置(100)に関するデータを互いに関係づけ、そこから誤動作又は不利な効果に関する確率を導出し、前記確率を前記利用者、整形外科技術者、費用負担者、及び/又は製造業者に伝送することを特徴とする、請求項1から請求項19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記センサデータ及び/又は評価されたセンサデータがデータベース(25)に格納されることを特徴とする、請求項1から請求項20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記評価ユニット(20)及び/又は前記コンピュータネットワーク(200)へのアクセスが制限されることを特徴とする、請求項1から請求項21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
整形外科技術装置(100)として、装具、外骨格、又は義肢が用いられ、前記センサデータは、前記装具、前記外骨格、又は義肢の使用中に検出されることを特徴とする、請求項1から請求項22のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、整形外科技術装置又は整形外科技術装置の利用者の特性、状態、又は特性若しくは状態の変化を検出するためのセンサが装備される、又は装備されている少なくとも1つの整形外科技術装置の利用データを評価する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
装具、義肢、又はさらにカフ、車椅子、外骨格などの整形外科技術装置は、個人個人に利用される。整形外科技術装置は、相応の制御装置により作動又は作動停止される駆動装置、ロック、ブレーキ、及び/又はダンパを有し得る。制御装置は、センサデータにもとづいて整形外科技術装置における挙動を変化させるために1つ又は複数のセンサと接続され得る。
【0003】
米国特許第6,679,920号明細書から、電子制御可能な義肢を遠隔保守する装置及び方法が知られている。義肢は、義肢ソケット、義肢膝継手、下腿部、及び義肢足を有する義肢脚として形成されている。義肢ソケットと下腿部との間に液圧ダンパが配置され、液圧ダンパは、例えば力又は加速度にもとづいて液圧ダンパの減衰を調節する。別個の保守装置又はドッキングステーションを義肢の制御装置と接続することができる。保守装置は、義肢の制御データ及び運動データを収集し、これを査定(bewerten)し、これを処理し、義肢の制御装置に場合によっては更新されたデータセットを供給する。データ転送はデータネットワーク又は電話回線を介してワイヤレスで行うことができる。
【0004】
米国特許第10,015,840号明細書は、別個の携帯可能なユニットのセンサデータが収集され、運動モデルと比較される装置及び方法に関する。モデルがセンサデータと一致しない場合、補正命令が伝送される。十分な補正が行われると直ちに補正が終了する。
【0005】
現在、整形外科技術装置の利用者、療法士又は整形外科技術者、例えば健康保険組合又は援助団体などの費用負担者、あるいは整形外科技術装置の製造業者は、整形外科技術装置の利用者が整形外科技術装置を完全に、かつ正しく利用しているのかどうか、及び整形外科技術装置が正しく機能しているのかどうかを承知していない。義肢学の分野において、標準化された質問票が送付され、患者によって記入され、臨床的に検証される。この種のデータ調査法の欠点は、義肢の利用者の個人的な評価に照準が合わせられることである。義肢が正しく納まっているかどうか、快適に着用されているかどうか、並びに期待及び要望にかなっているかどうかの感じ方は患者によってそれぞれ異なり、それにより客観的判定のための比較可能なデータ状況が存在しない。例えばレンタル機器での短期間利用の場合も利用者のフィードバックはどちらかといえば当てにならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,679,920号明細書
【特許文献2】米国特許第10,015,840号明細書
【発明の概要】
【0007】
本発明の課題は、整形外科技術装置の利用データを検出する、及び客観化可能に評価できる方法を提供することである。
【0008】
本発明によれば、上記課題は、独立請求項の特徴を有する方法により解決され、本発明の有利な実施形態及び発展形態は、従属請求項、以下の説明、及び図に開示されている。
【0009】
特性、状態、又は特性及び状態の変化を検出するためのセンサが装備される少なくとも1つの整形外科技術装置の利用データを評価する方法であって、センサが送信器と直接、又は記憶装置を介して接続される方法は、送信器が、センサによって提供されたセンサデータをコンピュータネットワークにおける評価ユニットに伝送し、コンピュータネットワークにおいてセンサデータが処理及び評価されることを企図する。
【0010】
整形外科技術装置は、特に上肢又は下肢の義肢又は装具として、あるいはメカトロニクスシステムとして、例えば外骨格、又は利用者若しくは患者と一緒に動かされる類似の装置として形成されている。センサは、整形外科技術装置に位置することが好ましく、整形外科技術装置及び/又は整形外科技術装置の利用者に関して特性、状態、又は特性及び状態の変化を検出する。1つ又は複数のセンサは、センサからのデータを整形外科技術装置の外部の装置に伝送するために、送信器と直接接続されているか、又は記憶装置を介して送信器と接続されている。データの伝送は、有線で、メモリカードトランスファなどのデータキャリア交換により、又は直接的な接触接続により行うことができる。好ましくは、データの伝送は、ワイヤレスで、例えばブルートゥース(登録商標)接続を介して移動端末機器に、例えば移動電話、スマートウォッチ、タブレット、モバイルコンピュータに、あるいは整形外科技術装置と接続されているか、又は接続され得る類似のデータ転送装置に行われる。整形外科技術装置自体も同様に、いわゆるSIMカード及び/又は移動電話モジュールを有することができ、それにより整形外科技術装置からコンピュータネットワークにデータを直接伝送することが可能である。コンピュータネットワークは、いわゆるクラウドとして形成することができ、分散型構造を有している。それによってコンピュータネットワークへの分散アクセスを可能にすることが可能である。さらにハードウェアリソース及びソフトウェアリソースがより良く利用される。評価ユニットが、例えばコンピュータネットワークにおけるデータベースと結合されている分析プログラムの形態でコンピュータネットワークに実装され、そこで利用データ及び利用者データが記憶及び評価される。
【0011】
センサによって、有利には整形外科技術装置の運動データ、動作データ、及び/若しくは負荷、又は整形外科技術装置の利用者に関するセンサデータが検出され、評価ユニットに伝送される。運動データ及び動作データは、例えば運動の速度、継続時間、運動の頻度、運動パターン、反復運動パターン、力、モーメント、加速度、空間における向き、及び整形外科技術装置の複数のコンポーネントが1つのセンサ又は複数のセンサと結合されている場合には相対する向きである。同様に、例えば体重、身長、体温、脈、呼吸数、又はそれに類するものなど利用者に関するデータが関連する。これらのデータは、例えば利用者自身、整形外科技術者若しくは療法士、医師、製造業者、又は、例えば健康保険組合若しくはそれに類するものなどの扶養機関の要求に応じて呼び出されて伝送される。例えば照会機能が装備され得る評価ユニットを介して伝送するよう利用者に要請することができる。これに代えて、及びこれに加えて、データは使用中に常時リアルタイムで転送される。要請に応じたデータ転送は、例えば時間限界値、負荷限界値などの特定の限界値に達した後、特定の繰返し数に達した後、あるいは、例えば予め定められた限界負荷を超えたピーク負荷又は事故の検出など特定の事象の発生後に行うことができる。さらに、負荷がどのように生じたのかということも、非連続的なデータ転送における重要な検査である。唯一の最大負荷により、又は複数の閾値未満の負荷により限界値に達する可能性がある。数日間の集中的な利用、又は長期にわたる規則的な利用によりそれぞれの値に達し得る。それに関連するパラメータは、例えば脚義肢などの整形外科技術装置の、例えば着用の頻度、実施された歩数、どのような運動及び/又はエクササイズが行われたか、療法士によって利用者に課せられたエクササイズ目標が果たされたかどうか等々である。これらのデータを検知するために、スマートウォッチ又はそれに類するものといったスマートデバイスのデータと組み合わせることも考えられる。
【0012】
センサデータは、1つの整形外科技術装置又は複数の整形外科技術装置の全利用時間にわたって検出及び評価されることが好ましく、それによって、利用の完全な時間的経過を検出すること、全利用時間にわたる利用データを評価することが可能である。これに代えて、1つ又は複数の整形外科技術装置のセンサデータが時間制限して検出及び評価される。それぞれのデータ検出及び評価の継続時間、並びに開始及び終了と、いつどの整形外科技術装置がデータ検出の対象であるのかという識別がドキュメント化され、それぞれのデータセットに割り当てられる。それによって、だれがいつ整形外科技術装置をどのように利用したのかをドキュメント化することができる。患者の体に装着可能な整形外科技術装置の場合、一種のログブックをデジタル形式で装着することができ、ログブックに整形外科技術装置のすべてのデータ及び設定、並びに利用に関して格納される。同様に、整形外科技術装置の利用者に関するデータを検出及び評価し、記憶することができる。有利には、センサデータの評価中、及び評価後に、整形外科技術装置と利用者が互いに最適に同調されているかどうか、又はその利用者には他の整形外科技術装置のほうがより適するのかどうか、又は整形外科技術装置を適合若しくは変化させる必要があるのかどうかについて述べることができるようにするために、整形外科技術装置のデータがパーソナライズされ、それぞれの利用者に割り当てられる。
【0013】
データベースに記憶され、かつ評価装置において評価されるセンサデータに、整形外科技術装置の利用者及び/又は第三者の査定を付加することができる。査定は、例えば利用者又は他の人に伝送され受け取られる質問票を用いて行うことができる。質問は、例えば利用者又は第三者がコンピュータネットワークと接触し、接続されるそれぞれの端末機器を介してオンラインで行われ、オンラインで回答され得る。例えば、利用者及び/又は第三者、例えば整形外科技術者、療法士、機械修理工、又は整形外科技術装置の利用者の周辺の他の人に、利用及び整形外科技術装置についてそれぞれの人がどのような印象をもっているのか規則的な間隔で質問され得る。それにより客観的なセンサデータに主観的データが付加され、それによって受け取られたデータを主観的な感じ方と関係付けることが可能である。それにより整形外科技術装置が改善されることが可能であり、特に、評価されたデータへのアクセス及び査定を有する整形外科技術装置の製造業者が整形外科技術装置の個々の措置及び特徴のアクセプタンスを逆推論することができる。提供される質問を用いた査定に代えて、これらの査定を自由に提出することもできる。評価ユニットは、整形外科技術装置に関する査定又はコメントをテキスト分析の範囲で評価し、それぞれの整形外科技術装置の査定を特定の挙動、特定のコンポーネント、及び/又は整形外科技術装置の制御を担当するフトウェアに割り当てる。
【0014】
すでに述べたように、センサデータの伝送をリアルタイムで行うことができ、これを全利用時間にわたって行うこともできる。その際、毎回すべてのデータを伝送する必要はなく、むしろ予想される挙動の変化又は偏差のみをデータとして転送することもできる。整形外科技術装置に、又は整形外科技術装置内に記憶装置が設けられている場合、転送は、特に整形外科技術装置の利用の停止中、例えば晩に、義肢又は装具が脱着された後に行うことができるが、あるいは整形外科技術装置の運動又は利用が行われないことが検出される場合に行うことができる。これに代えて、又はこれに加えて、定められた時間に、すなわち規則的な間隔で、評価ユニット若しくは第三者の要請に応じて、又は利用者による能動的送信によってデータ伝送を行うことができる。
【0015】
データの悪用を阻止するために、センサデータをパーソナライズ、及び/又は装置別に符号化することができる。さらにデータの暗号化を行うことができ、それにより限定的な範囲の人のみがデータにアクセスすることができる。医学研究の範囲内で、又は整形外科技術装置の発展のために第三者に知見及び成果へのアクセスを認めることができるようにデータを匿名化することもできる。
【0016】
特に整形外科技術装置の複数の利用者、例えば特定のタイプ又は特定のモデルの整形外科技術装置のすべての利用者が評価装置と接続されている場合、整形外科技術装置の利用挙動並びに性質及び機能性に関して説得力のある分析を作成し、根拠のある知見を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一発展形態は、同じ種類又は同等のいくつかの整形外科技術装置のセンサデータが統合され、かつ評価ユニットにおいて評価されることを企図する。センサデータの統合若しくはクラスタ化、及び/又は特定のモデル、モデルのバージョン、ソフトウェアバージョン、若しくは装備変種に対する利用者若しくは第三者による査定によって、幅広いデータ基盤にもとづいて改善又は問題を迅速に、かつ高い信頼性で認識することができる。同様に、それによって使用クラスタ内の利用者又は使用者のベンチマーキングを行うことができ、そのこともまた競争的思考の鼓舞又は動機付けとして用いることができ、治療成果の加速に寄与することができる。
【0018】
本発明の一発展形態は、センサデータにもとづいてリスク分析が行われることを企図し、リスク分析の結果にもとづいて利用者、費用負担者、整形外科技術者、療法士、及び/又は整形外科技術装置の製造業者に推奨が発出される。リスク分析は、例えば整形外科技術装置を制御するためのソフトウェアの作成時にはまだ知られていなかった予想外の事象が重なったことにもとづいた、考えられる故障発生確率に関するステートメント、考えられる摩耗状態、誤動作に関するステートメントを内容とする。それによって利用者又は第三者を故障又は誤操作の結果から守るために、装置を早期に回収すること、利用者又は第三者に警告すること、安全予防措置を講じること、例えば新プログラムの遠隔伝送によって自動アップデート及び保安措置を行うこと、又はそれに類することをさせることが可能である。
【0019】
本発明の一発展形態は、評価にもとづいて、利用挙動を改善するために、利用者に利用上の注意、警告メッセージ、及び/又は要請が自動的に通知されることを企図する。例えば、整形外科技術装置をどのようにより良く利用できるのか、及び/又は体の調子をどのように改善できるのかについての注意が、例えば伝送されるトレーニングプログラムによって、又は整形外科技術装置をどのように設定、適合、若しくは他の仕方で操作若しくは利用できるのか、若しくはすべきであるのかについての説明によって、利用者に提供され得る。さらに、誤使用の可能性、検出された誤使用、又は遵守すべき若しくは遵守されていない保守インターバルに関する警告メッセージが通知され得る。通知は、コンピュータネットワーク及び受信装置を介して行われ、受信装置は、例えばスマートウォッチ、移動電話、タブレット、又は類似の受信装置及び再生装置などの送信装置又は移動端末機器に配置されている。
【0020】
整形外科技術装置は、これもまた制御データ、アクセス権、センサ較正、並びに/又は変更、及び/若しくは変更に関する記録が伝送される受信器と結合されている制御装置を備えることができ、又は制御装置に割り当てることができる。さらに、遠隔警告を実行すること、要請に応じて、又は自動的に、特定の利用挙動にもとづいて変更を検知すること、及び摩耗現象を検出し、センサ較正を行うか、又はダンパ挙動を変えることにより補償することが可能である。
【0021】
本発明の一発展形態は、センサからの収集データ、及び査定又はコメントによる利用者又は第三者からの収集データを利用継続時間にわたってドキュメント化及びアーカイブ化できるようにするために、コンピュータネットワークに設定、設定の変更、較正、センサデータへのアクセス、及びアクセス権が記憶され、呼び出し可能に保持されることを企図する。それによって、いつ、及び場合によってはだれがどの設定を行ったのか、変化させたのか、若しくは利用したのか、整形外科技術装置がどのように使用されたのか、どのような問題が生じたのか、又はどの設定及び適合が特に有利又は不利であったのかを追跡することができる一種のタイムマシーンが提供される。これは、例えばブロックチェーン技術を用いて実現することができる。データ履歴から、開発又は進化を認識すること、場合によっては必要な保守インターバル、修理、制御の変化、又はアップデートの必要性に関する予想を行うことができることが可能である。その場合、相応に有利であることが明らかになった整形外科技術装置の設定値へのリセットを実行することもできる。
【0022】
方法の一発展形態は、複数の整形外科技術装置がコンピュータネットワークを介して互いに結合され、データを交換することを企図する。データは、ソフトウェアにおける変化、センサ較正、又はさらに利用データであり得る。データ交換は、評価装置及び/又はコンピュータネットワークを介して提供され、それにより整形外科技術装置のすべてのデータが他の整形外科技術装置に伝送される必要がなく、特定の目的に関連するデータのみが伝送される。同じ整形外科技術装置は基本的に同じタスクを有し、かつ同じ関連データを必要とするか、又は交換することができると考えられるので、同じか又は同じ種類の整形外科技術装置のみがコンピュータネットワークを介して互いに結合されることが有利である。しかし、データを交換する、かつ相互にネットワークを構築するために、同等の、又は技術的に類似の特性を有する異なった整形外科技術装置を互いに結合することも可能である。
【0023】
コンピュータネットワークからの、及びコンピュータネットワークへのデータは、移動端末機器を介して伝送されることが好ましく、データは、センサデータと、査定及び/又は質問、並びに指示、ソフトウェア更新、センサ較正などを含むことができる。コンピュータネットワークとの結合箇所としての移動端末機器は、それぞれ適切な仕方で、例えばいわゆるブルートゥース接続又は他の種類の機器間データ転送により無線技術により短距離で整形外科技術装置と接続される。基本的に、移動端末機器から整形外科技術装置への、及び移動端末機器に戻る、接続なしの、及び接続による転送が可能である。無線接続は、機器間のケーブル接続に代わるものであるが、基本的にケーブルを介した結合も可能であり、かつ予定されている。
【0024】
本発明の発展形態は、予め定められた時点に、整形外科技術装置の利用者、費用負担者、整形外科技術者若しくは療法士、及び/又は整形外科技術装置の製造業者に、センサによって検出される、又はセンサデータから導出可能である選定されたパラメータの統合が伝送されることを企図する。このレポートサービスにより、転送されるべきデータ量を低減すること、及び転送されるべきデータの予備選定をすでに実行することが可能である。例えば整形外科技術装置がちょうど使用されていないときに、整形外科技術装置にあるコンピュータ容量を利用するために、センサデータからのパラメータの選定、及び場合によっては算出又は導出をそれぞれの整形外科技術装置において行うことができる。特にパラメータプロファイル、すなわち時間上のパラメータの推移は、このプロファイルから利用挙動、整形外科技術装置の技術的変化、及びパラメータ又は整形外科技術装置を適合又は変化させる必要性に関する逆推論を導出することができることから、相応の人のグループ又は組織にとって特に重要であり得る。パラメータプロファイルのみが検知及び表示され、特に伝送もされる場合、転送されるべきデータ量も同様に減少する。
【0025】
本発明の一発展形態は、各利用者及び/又は各整形外科技術装置に固有のデータ構造が作成され、この固有データ構造を用いてセンサデータが選定され、かつ評価ユニットに伝送されることを企図する。取り込まれるべきデータ又は査定のデータ構造は、センサデータから最大の説得性を得るため、及びその一方で整形外科技術装置の利用者の世話をするため、又は整形外科技術装置の最適な使用のために必要なセンサデータのみを検出しなければならないために個別化される。利用者が、特定の運動を行うこと、又は整形外科技術装置を特定の仕方で利用することができない場合、例えばそのような利用を表すか、又はそれを逆推論させるセンサ値は評価プロフィールに取り込まれず、データ構造の対応するフィールドは埋められない。例えばハードウェアコンフィギュレーション及び/又はソフトウェアコンフィギュレーションの変化を伴う整形外科技術装置のそれぞれの利用者への個々の適合についても同じことが当てはまる。したがって、固有のデータ構造によって、それぞれの整形外科技術装置及び/又は利用者に関連するか、又はそれぞれの整形外科技術装置及び/又は利用者によって実現可能なデータのみが照会される。
【0026】
本発明の一発展形態は、センサデータの評価、及び/若しくは査定、並びに/又は他の利用者のデータ及び/若しくは査定を用いて、複数の代替的整形外科技術装置から選定されることを企図し、この選定が整形外科技術装置の利用者、整形外科技術者、及び/又は費用負担者に提案される。選定は、例えば製造業者又は中央評価エージェント及び/又は費用負担者によって行うことができ、代替的整形外科技術装置又は代替的供給についての提案は、運動データ、利用データ、運動の動特性の利用の程度、運動継続時間及び利用継続時間並びに/又は他のパラメータにもとづいて行うことができる。例えば、慎重な取り扱い及び定期的な保守も、患者により高価値の整形外科技術装置を供給するための局面として提案され得る。現在の整形外科技術装置の供給が利用者によって必要とされず、すなわち利用者が整形外科技術装置の可能性を完全に利用していないか、又は完全に利用できないか、又は利用挙動における変化にもとづいてあまり費用のかからない供給で十分であることが判明した場合、相応にそれぞれの利用者に代替的供給又は代替的整形外科技術装置が提案され、用いられ得る。すでに述べたように、代替的整形外科技術装置に代えて、又は加えて、現在存在し、かつ用いられている整形外科技術装置を最適に利用する、及び患者にとって最大限役に立つようにするために、トレーニングプログラム、訓練プログラム、又は他の指示若しくは励ましを利用者又は療法士に伝送することができる。
【0027】
本発明の一発展形態は、評価ユニットが整形外科技術装置の利用者及び/又は整形外科技術装置及び/又は同等の整形外科技術装置に関するデータを互いに関係づけ、そこから誤動作又は不利な効果に関する確率を導出し、これらの確率を利用者、整形外科技術者、費用負担者、及び/又は製造業者に伝送することを企図する。このことは、誤動作が起こってしまうことなく、可能な誤動作について適時に警告することを可能にする。幅広いデータ基盤によって、高精度の予測及び確率が可能にされる。幅広いデータ基盤は、コンピュータネットワークを介して複数の整形外科技術装置を評価ユニットと接続することによって保証される。
【0028】
センサデータ及び/又は評価されたセンサデータは、場合によっては保護され、それにより権限が与えられた人又は装置しかデータにアクセスできないデータベースに格納されることが好ましい。このデータベースにおけるデータは、整形外科技術装置をさらに発展させるため、及びそれぞれの患者による利用を改善するための貴重な基礎である。評価ユニット及び/又はコンピュータネットワークへのアクセスは、データ保護ガイドラインを遵守するため、及びデータの悪用を回避するために制限することができる。
【0029】
整形外科技術装置が義肢又は装具として用いられることが好ましく、センサデータは、装具又は義肢の使用中に検出される。
【0030】
例えばスマートウォッチ、移動電話、タブレット、又はそれに類するものといった移動端末機器にアプリケーション又はアプリをインストールすることができ、アプリケーション又はアプリによって整形外科技術装置と移動端末機器との間、及びさらに整形外科技術装置と評価ユニットを有するコンピュータネットワークとの間で接続が作成される。それによって、整形外科技術装置とデータ転送の取り扱いが簡単になる。アプリを起動することによって、データを抽出する、又は整形外科技術装置若しくは移動端末機器に転送するために整形外科技術者又は他の人が介在しなくても、評価ユニットとコンピュータネットワークとの間で整形外科技術装置との直接通信を作成することができる。整形外科技術者により手間のかかる設定を行わなくても、アプリ及び移動端末機器を介してアップデートを整形外科技術装置に転送することができる。さらに種々の整形外科技術コンポーネント間、装具、義肢、又は外骨格の種々の部品又はアセンブリ間、あるいは整形外科技術コンポーネントと、脈や体温などの身体データを検出するスマートデバイスとの間で通信を行うことができる。スマートデバイスは、GPSシステムを介して位置データを検出することもでき、及び/又はカメラにより周辺情報を記録すること、及びセンサデータとリンクすることもでき、それにより環境の影響及び周辺条件を利用の判定に一緒に含めることができる。
【0031】
センサデータを処理する、及びCPUに格納され得る制御プログラムに従って整形外科技術装置を処理するために、整形外科技術装置にCPU又はコンピュータを有する制御装置が組み込まれている。このコンピュータユニット又はCPUは、例えばアキュムレータの充電中、又は清掃中、例えば夜間などに整形外科技術装置が使用されない間に、オートアダプティブアルゴリズムを実行するため、アップデートをインストールするため、変更をドキュメント化するため、又はセンサデータをコンピュータネットワーク及び評価装置に伝送するために利用されることが有利である。
【0032】
データを転送することによって整形外科技術装置の動作を制限しないため、又はコンピュータユニット若しくはCPUに過度な負荷をかけないために、1つのセンサ又はすべてのセンサのすべてのデータが常に転送されるのではなく、そのときに使用されるデータ又はデータフラグメントのみが転送される選択的又はアトミックデータ転送を行うことができる。整形外科技術装置内で、例えば義肢継手又は装具継手などにおいて、そこに存在するコンピュータユニットによってすでにデータの前処理を行うことができ、それにより変更又は変更サービスしか転送されない。
【0033】
同様に、義肢が実際に利用される場合にのみ、例えば活動監視の範囲内でデータ転送を行うこともできる。活動データは、質的特性を有する個々の事象又はイベントとして検出され得る。個々の事象又はイベントは、例えば2つのセンサ量が同時に特定の限界値に達した場合に決定され、それによりそこから特定の状態を推論することができる。データプロファイルについても同じことが当てはまる。例えば義手の場合に、開いた手から、運動の終わりに義肢親指、義肢人差し指、及び義肢中指が互いに当接する閉じた手へのプロファイルを検出(diktieren)できる場合、これはいわゆるピンセットグリップ(Pinzettengriff)として分類及び記憶され得る。次いで、全データプロファイルがピンセットグリップとして定義され、事象値又は事象数と関係付けられる。その場合、ピンセットグリップの数を伝送しさえすればよく、義手の運動のプロファイルに関するすべてのデータを伝送する必要がなく、評価装置又は利用者又は他の装置の情報内容が変化することはない。義足における力プロファイルの確認についても同じことが当てはまり、義足では、まず前足部に荷重がかかり、下腿部の後方への旋回が検出され、次いでかかとの荷重の増加が認識される。この種のシナリオは、後退歩行として識別することができ、個々の事象又はイベントとして相応に記憶され得る。
【0034】
それぞれの事象又はイベントには時刻スタンプ及び日付スタンプが付されて一緒に記憶され、送信器を介して転送され得る。
【0035】
データは、コンピュータネットワーク又はクラウドにおいて、関係のあるデータベース又は多次元に格納することができる。データは、いわゆるキューブ、キューブ構造、又はいわゆるOLAPキューブ又はOLAPデータキューブの形式で格納される。データをキューブ構造で記憶することによって、Online Analytical Processinng(OLAP)が可能であり、それによって種々の次元でのデータの格納にもとづいて異なった観点から、及び異なった詳細レベルで分析及び照会を行うことができる。特定の観点又は特定の詳細レベルを選定することによって、異なった説得力、及び異なった計算複雑性で評価することが可能である。これに加えて、データが評価され、互いに比較される基準を略任意に互いに組み合わせることができる。複雑なキューブ構造で記憶するにもかかわらず、特に使い勝手がよく、データにアクセスし易く、かつデータ同士のリンクを容易にできるようにする操作ポータルが、データの評価のために設けられることが好ましい。この種のフロントエンドを用いることで、種々の利用者が、プログラミングの知識なしにデータを使用することができ、例えば研究及び開発、サービス、プロダクトデザイン、療法士、及び他の利用者に、コンピュータネットワークにおけるデータにアクセスできるようにすることができる。
【0036】
データベース及びコンピュータネットワークに記憶されたデータは、例えばそれぞれの利用者への適合のための整形外科技術装置の設定過程中に移動端末機器に伝送される設定補助を提供することができる。設定値は、典型的な設定値、又は類似の傾向(Disposition)の患者の設定値と比較され、推奨が付され、それによりそれぞれの使用者は、設定範囲内、特に典型的な設定範囲内に入っているのか、又は、普通ではあり得ず、そのため検査する必要のある極端な設定が選択されているのかを認識できる。検査及び調整は、設定過程中に行うことができる。例えば、異なった整形外科技術者、利用者、又は扶養者によって行われたすべての設定過程がデータベースに格納され、場合によっては準備処理された形式で、コンピュータネットワークのすべての参加者又は利用者がアクセスできるようにすることができる。取得され、分析され、及び記憶された複数のデータから、相応のコンポーネント、又は相応のパラメータの典型的な設定範囲が明らかになり、この設定範囲を、例えば設定する人の移動端末機器に表示することができる。その設定範囲が予め定められたか、又は予め提案された範囲内であるのか範囲外であるのかに関係なく実際の設定領域が見つけ出された場合、行われた設定が記憶され、送信器又は移動端末機器を介してコンピュータネットワーク又はクラウドに伝送される。
【0037】
コンピュータネットワークに格納されたデータは、整形外科技術装置の製造時、特に、患者に装着可能な例えば義肢又は装具などの個人個人の整形外科技術装置の製造時にも利用することができる。これらのデータは、例えば四肢又は四肢の断端をスキャン装置、例えば高分解能の光学スキャン装置により検出され得る。コンピュータ又はコンピュータネットワークにおいて画像データから断端又は四肢のデジタルモデルが生成される。四肢又は四肢断端のデータは、すでに存在する他の利用者の四肢又は四肢断端のデータと比較され、共通点又は相違について検査され、かつ義肢又は装具のどの実施形態がそれぞれの利用者に特に良く適するのか、又はあまり良く適さないのかについて検査される。コンピュータネットワークからのデータ、すなわち他の装具利用者若しくは義肢利用者、又はすでに存在する複数の装具若しくは義肢の評価されたデータのデジタル経験データが製造プロセスに流れ込む。装具又は義肢を最適に形成するために、例えば、特定の材料補強部、あるいは個々のコンポーネント又は材料がいくつかの領域において特に厚く、又は薄く使用され得る。こうして適合させた製造データは、例えば3Dプリンタ又は類似の付加製造プロセスに供給され、それにより利用データの経験値が個人個人の、又は個別化された装具又は義肢の製造プロセスに直接流れ込む。
【0038】
整形外科技術装置において、状態機械又はステートマシンにもとづいて制御が行われる場合、コンピュータネットワークに格納されたデータと比較することによって、センサデータの査定を行うことができる。特定の利用者における個々のデータ又は個々の状態の遷移が全く生じない場合、特定の遷移を引き起こす、又は遮断するために満たされなければならない条件が照会されなくなるまで制御を変更することができる。一度も生じないか、一度も照会されない条件は、これらの条件が安全関連の状態に該当しない限りで省略することができる。それによって、制御がより迅速、又はより正確になるか、あるいはリソースをあまり消費しない。遷移又は条件の省略は、背景でソフトウェアアップデートによって、又は変更サービスによって自動的に行うことができる。
【0039】
患者による利用中に記憶されたデータから、それぞれの制御又はプログラムのバージョン履歴、及び識別されたハードウェアコンポーネント、及び利用者プロフィールと一緒に、最適化、及びそれぞれの利用者に適合させた制御を行うことができるようにするために、整形外科技術装置の設定をどのように変化させるのかの提案が作成される。同様に、トレーニングプログラム又は他の訓練情報を具体的な利用データ及び利用者プロフィールにもとづいて作成することができ、利用者、療法士若しくは整形外科技術者、又は製造業者に伝送することができる。
【0040】
整形外科技術装置が利用されないか、あるいは掃除又はアキュムレータの充電のために充電ステーションにある場合、データ交換及び自己分析を自動的に行うことができる。例えば、部品が故障していること、摩耗限界値に略達したこと、又は保守期限が迫っていることが検出された場合、相応の情報を利用者及び/又は技術者若しくは療法士に発出することができ、それによりエラーの発生とは無関係に、かつ利用者によるアクションなしに修理の依頼、又は保守、又はさらにソフトウェアアップデートが開始され得る。相応の依頼がなされたか、又は相応の保守若しくは修理が必要であるという情報を利用者に付与することができる。
【0041】
同様に、利用者が整形外科技術装置を利用したという、又はどのように利用したのかという情報を利用者に発出することが可能である。誤使用の場合には、他の利用の仕方についての注意事項又は過負荷の回避についての注意事項が、例えば移動端末機器に伝送され得る。整形外科技術装置の状態に関する自動情報をクラウド又はコンピュータネットワークを介して製造業者に伝送することもできる。
【0042】
他の監視機能は、整形外科技術装置をコンピュータネットワークに登録及び結合した場合に、データが分析のためにアプリ及び移動端末機器を介して提供されることによって行われる。評価ユニットにおける分析は、他の整形外科技術装置のデータからのデータプールを特定の整形外科技術装置のデータとリンクし、情報を整形外科技術者、扶養者、及び/又は製造業者に伝送し、それにより整形外科技術者、扶養者、及び/又は製造業者がそれぞれ整形外科技術装置のステータスレポートを有する。すべての同等の整形外科技術装置及び製造業者の経験値の分析及びデータ評価にもとづいて、エラーを回避するためのステップを開始すること、送信器により端末機器及びアプリを介して利用者に利用可能にすること、並びに整形外科技術装置に転送することが可能である。それに伴い、整形外科技術装置全体及びそのコンポーネントのための可変の保守インターバルを決定することも可能である。さらに、利用者が義肢又は装具又は外骨格のなにかがおかしいと考える場合、利用者はアプリを介して製造業者及び/又は整形外科医及び/又は整形外科技術者に直接問い合わせることもできる。その場合、利用者は、写真、動画、音声通信又はそれに類するものを一緒に送信することができ、これらは問題の理解を助けるとともに容易にする。
【0043】
機械的コンポーネントと電子的コンポーネント及びソフトウェアとを、利用の仕方、利用継続時間、及び利用度合いに依存して適合させることができ、それによりよけいな保守が回避されるか、又は負荷が高まった場合、保守を要するであろう状態での整形外科技術装置の利用が回避される。すなわち整形外科技術装置は、整備又は保守が必要なときを認識し、必要に即して整備又は保守をさせ、それにより利用者、整形外科技術者、又は製造業者の出費の減少がはかられる。
【0044】
リハビリテーションプロセスの支援として、又は身体能力維持のために、伝送されるデータにもとづいて、実行されるべきエクササイズのルールセット又は措置カタログをそれぞれの利用者に作成又は適合させることができる。身体機能の維持又は再生のための先行エクササイズも考慮に入れることができる。先行エクササイズの判定及び整形外科技術装置内の設定の変更を、各トレーニング後に達成された結果にもとづいて適合させることができる。判定は、整形外科技術装置内でアプリ、又はサーバ上で、例えばコンピュータネットワーク内で行うことができる。それに伴いトレーニングを使用者の個別の可能性に合わせて調整し、かつ実際のトレーニング努力及びトレーニングの進歩に依存して変化させる。その場合、トレーニングの上達又はトレーニング状態と組み合わせて装具又は義肢又は他の整形外科技術装置の設定を変化させることができ、例えば、人工膝関節では、トレーニングの上達が達成されたか、身体能力が衰え逆に減衰が上昇した場合、腰を下ろすときの屈曲の減衰値を低減することができる。
【0045】
センサデータを検出するためのセンサは、特に整形外科技術装置の機能を制御するためにすでに設けられている、及び必要なセンサである。これらのセンサのデータだけではまだ状態、又は変化、又は他の望ましいパラメータの逆推論が可能でない場合、追加のセンサ又は、制御器内で追加の状態及びルールセットを定義することが必要であり得る。それにより整形外科技術装置の機能のためにどうしても必要なセンサのセンサデータが相応のコンテキストにセットされ、データから所望の情報内容が取り出され得る。
【0046】
整形外科技術装置に格納された、若しくは割り当てられた制御、又は制御プログラムに、センサ値の特定の状態又は特定の組合せの発生時に特定の危険な状況が推測されるリスク推定が存在する限り、複数のこの種の又は同等の整形外科技術装置において、利用データの評価にもとづいてリスク査定の適合を行うことができる。当初の制御における特定の状況でのセンサ値の推測される組合せにおいて、転倒のリスクが推測され、相応の安全ルーチンが起動され、そのような状況の数が非常に多い場合、又はすべての状況である場合に、実際には利用者に危険がないことが明らかになる場合、リスク推定が変更され、場合によっては制御を自動的に、又は整形外科技術者若しくは整形外科技術装置の製造業者によって、検査後に変化させることができる。その場合、安全照会を取り消すか、又は改変することができ、それによって制御が全体として簡易化され、応答挙動が改善され、制御労力を低減することができる。
【0047】
本発明の別の態様は、所望の情報を得るために、異なったセンサのデータが一緒に、及び場合によっては重み付けして利用されることを企図する。例えば、特定の運動パターンを認識するために、空間位置、力、及び筋電計信号のデータが整形外科技術装置に配置され得る。異なったセンサは異なった量を取り込み、かつそれぞれの状況に関して異なった逆推論を異なった精度で可能にする。したがってこれらの運動状況又は負荷状況が実際に生じているのか否かを評価するために、所望の特性量を検出するため、又は例えば運動パターンを検出するために複数又はすべての利用可能なセンサデータが利用されるならば有利であり得る。種々のセンサ値は、種々の状況について異なった重み係数を備え得る。
【0048】
力センサによる生じる力の分析は、非常に高い確率で正しいと推測することができる。生じる力の筋電計センサデータにもとづいた逆推論は、どちらかというとあまり正確でない。そのため得られる情報に依存した個々のセンサ値の相応の重み付け又は係数化、及び信頼確率での割り当てが有意義である。さらに、それぞれの特性量を検出するために関連し得るすべてのセンサ値を互いに組み合わせることができ、かつ共通の信頼係数が割り当てられ、それにより融合されたセンサデータにもとづいてパラメータ又は情報の正確な認識の確率が生じる。その場合、それぞれ関連する重み付けとともに個々の及び融合されたセンサデータにもとづいて、ある状況が存在するのか、特定量が存在するのかどうか、又は情報を正しいと判断できるのかについて最終的な決定を下すことができる。
【0049】
整形外科技術装置の患者又は利用者に直接当接する、又は整形外科技術装置の利用者に関する情報を検出することができるセンサでは、特定の利用継続時間又は利用の仕方が検出された身体的性質とともに結びつけられるように評価を行うことができる。例えば、義肢における断端又は装具における四肢の皮膚科的な監視を行うことができる。義肢がライナを装備する場合、皮膚の状態、例えば湿度、汗中の塩分量、脂肪分又はそれに類するものをライナにおけるセンサによって監視することができる。センサは、送信器及びコンピュータネットワークにおける評価装置と接続されている。過負荷が検出されるか、又は皮膚科的過負荷が検出される場合、利用制限が推奨され得るか、又は利用者における皮膚科的障害若しくは他の障害に対する処置若しくは予防のための医療製品若しくは医薬品が伝送され得る。同様に、幻肢痛若しくは幻影感覚、又はそれに類するものの例えば電気鍼療法又は処置の治療推奨が発出され得る。
【0050】
例えば義肢の設定を変化させるために、センサデータにもとづいて整形外科技術装置が設定されるべき限り、変化したパラメータが自動化して作成され伝送され得る。基本的に、変更されたパラメータが自動化して伝送及び実装されることが可能であり、安全性を高めるために、整形外科技術者又は他のエキスパートのもとで動画分析の範囲内で、又は現場で、整形外科技術装置の利用中に調節を行うことができる。現場にエキスパート又は整形外科技術者が不在の場合、例えばビデオ電話又は電話による遠隔処置中に、エキスパート又は整形外科技術者による設定を開始する必要がある。使用者は、整形外科技術装置又は端末機器におけるボタンを押すことによって整形外科技術装置の保守を許可することができ、それにより整形外科技術者又はエキスパートによる許可とともに利用者が許可した場合にのみ遠隔更新を行うことができる。
【0051】
この方法をもってすれば、動画分析、電話相談、及びシステムからのデータによって、エキスパートでなくてもよい現地のスタッフを現場でサポートするために、及び/又は整形外科技術装置の利用者を訓練するために、エキスパート又は療法士がインターネット及びコンピュータネットワークを介して遠くで整形外科的診療を構築することが可能である。電話による音響情報、及び動画伝送による視覚的情報と関連するデータから、コンピュータネットワークからのデータの支援により運動プロファイルを分析するため、ソフトウェアにおける変更の自動化した提案を与えるため、及び/又はハードウェアの適合を行うためのアルゴリズムを作成する、場所に左右されない整形外科的診療を構築することが可能である。アルゴリズムをエキスパートに伝送することができ、次いでエキスパートはアルゴリズムをそれぞれの患者個人個人に送り、適合させ、現場のスタッフをサポートする。
【0052】
整形外科技術装置をコンピュータネットワークと結合することによって、緊急事態発生状況、例えば転倒又はそれに類するものを検出した場合に自動的に非常呼び出しを発することが可能である。整形外科技術装置は、非常呼び出しと一緒に位置データを送信するために、例えばGPSモジュールなどの位置測定モジュールを備えることができる。端末機器又は整形外科技術装置がSIMカードを装備している場合、SIMカードの位置特定により同時に利用者の位置決定と、それに伴い緊急事態発生の場所の対応付けも行うことができる。緊急事態発生状況の自動認識の他に、整形外科技術装置及び/又は移動端末機器が非常ボタンを装備してもよく、非常ボタンは、適切な機関、例えば救急隊、整形外科技術者、製造業者、又はそれに類するものに問題発生に関して知らせることができる。転倒の他に、技術的問題も自動的に通報することができ、それにより例えばバッテリ容量が少なくなった場合に早期に交換用バッテリが注文され、交換のために納入されるか、又はオファーされる。
【0053】
緊急事態発生状況の他に、位置測定機能のデータにもとづいて、例えば信号の音量の変更/建物から出たときのフィードバック、又は周辺に依存した運動モードの変更などの整形外科技術装置の特性も変化させることができる。
【0054】
整形外科技術装置の利用者がこれを所望する限り、これらを統合して集団化し、相互にコンタクトデータを装備することができ、それにより例えば情報交換を行うため、又は共同アクティビティを計画し実行するために、コンピュータネットワークを介して社会集団を形成することができる。
【0055】
基本的に、コンピュータネットワークを介して、ソフトウェア及び情報の基本供給の他に、場合によっては費用負担を伴って追加サービスを別々に提供すること、及びそれぞれの利用者又は整形外科技術者ごとに個人個人に有効にすることが可能である。
【0056】
本発明の一発展形態は、装具又は義肢又は他の整形外科技術装置の利用者が移動するルートを追跡することにより追加情報が提供されることを企図する。GPSシステムを介して行うことができるルート認識により、現在コース又はルートが検出され、保存された周辺データに合わせて調整される。周辺データは、例えば、進んだ、又はさらに進むことが予想されるコース、又はルートの表面形状を含むことができ、それにより保存された情報及びとられるルートの推定にもとづいて整形外科技術装置の変更を行うことができる。例えば、特定の区間を通過できないか、又は高いリスクを伴ってしか通過できないということを予見できる場合、ギアを変更すること、減衰を変化させること、アクチュエータの違った制御をすること、又は場合によってはルート推奨を提供することができる。整形外科技術装置を現在の、場合によっては予想される地形に適合させることができる。エネルギー・マネージメント・システムを相応に適合させることができる。整形外科技術装置に運動エネルギーを電気エネルギーに変換する装置が設けられ、それによりこの変換が可能である場合、エネルギー・マネージメント・システムは、例えば下り坂を歩行又は移動することによって変換が予想される場合に、相応に変更されるエネルギーレジーム(Energie-Regime)を操縦することができ、例えば利用可能なエネルギーリザーバの違った査定をすることができる。
【0057】
本発明の一発展形態は、利用データが整形外科技術装置によって収集され、整形外科技術装置の利用者が頻繁に出入りする場所が認識され、特に観察されることを企図する。整形外科技術装置の利用者の運動パターンの分析によって、それぞれの利用形態に適合させた提案がそれぞれの利用者に提出される。したがって表示装置を介して、任意の及び関心のある目的地、例えば名所などを推奨することができ、他の整形外科技術装置の認識された運動パターンを利用して、最適な経路の推奨を提供することができる。本発明の一発展形態は、位置データと一緒に、整形外科技術装置の利用の種々の制御状況及び運動状況が認識されることを企図する。特定の地域又は特定の場所においてつまずき過程がたびたび認識された場合、これらの場所又は地域がGPSデータと一緒にそれぞれの制御器に伝送され得る。警告メッセージは、整形外科技術装置の利用者が高い危険にさらされることと結びつけられる箇所に到達又は接近した場合に発出される。その一方で、予期せぬ出来事又は正常な運動の経過の妨害が通報されない場所は特に望ましい、及びそれぞれの整形外科技術装置の利用者に適すると示され、かつ推奨されることも可能である。
【0058】
本発明の一発展形態は、GPSモジュールを含めた異なったモビリティグレードのためのマップアプリを整形外科技術装置に割り当てることを企図する。したがって道の性質を考慮してルートを見つけ出すことが可能であり、例えば階段のない道又は平坦な勾配の道をルート選択時に考慮することができる。モビリティグレードによって、それぞれの利用者に適合させた別のルート推奨を発出することができる。進んだ距離を、同時に運動パターンとして検出及び保存することができ、それによりそれぞれの利用者のアクティビティグレードが検知される。フィットネスアプリと類似に、整形外科技術装置のそれぞれの利用者が移動するかどうか、及びどのように移動するのかを検知することができる。それにもとづいて運動推奨を提供することができる。さらに、予測された運動継続時間又はコースの継続時間を個人個人の運動データに依存してそれぞれの利用者のモビリティグレードに適合させることが可能である。特定の道を進むための予測又は推定される時間をそれぞれの使用者の個人的な平均速度に適合させることができ、場合によっては、路上の種々の障害物を考慮することができ、それにより予測される区間が予想される障害物に依存して変化する。
【0059】
マップに、例えば階段、障害物、勾配、円頭石舗装、砂利道、又はアスファルトなどの道の性質を記入することができる。さらに、利用者自身により記入すること、例えば障害物を識別すること、及び代替的ルートを提案することが可能である。本発明の一発展形態は、公共旅客近距離交通のためのアプリがそれぞれ存在するモビリティグレードに関する査定とともに設定されることを企図する。公共交通手段によるルート計画又は行程計画は、装具又は義肢、又は選択された他の整形外科技術装置のモビリティグレードによる等級付けにより行うことができる。その際、バス、路面電車、列車、駅、停留所などを査定することができ、同様にこれらに到達することができ、それぞれの異なったモビリティグレード又は他の整形外科技術装置で利用することができる。関連する局面は、例えば平らな乗り口、幅広い乗り口、つかまる手すり、又はエレベータ、エスカレータ若しくはそれに類するものの存在であろう。
【0060】
本発明の一発展形態は、例えば相応のセンサ系による周辺認識が設定されていることを企図する。超音波及び/又はレーダセンサは周辺を走査することができ、場合によって存在するアクチュエータが危険な状況が生じる前に制御の変化を引き起こす。装具及び/又は義肢では、踝継手及び膝継手を一緒に制御することができ、それにより発生する危険又は差し迫った危険を認識した場合に同調した減衰挙動を行うことができる。超音波センサ、レーダセンサ、カメラ、又はソナーを用いることができる。センサは、整形外科技術装置の利用者がどの周辺を移動するのかを検知することができる周辺マップを生成する。周辺にどのような障害物があるのか、又は利用者がどのような運動状況と直面することが予測されるのか推定される。例えば階段が認識された場合、変化した減衰挙動又は駆動挙動をアクティブ化することができる。画像データ又は他のセンサデータから、地面の性質を認識することができ、それによって例えば背屈を大きくするためにアクチュエータを作動させることができる。センサは、整形外科技術装置のあらゆる箇所に、例えば義肢装置の場合、それぞれの膝継手に配置することができ、収容に問題がある場合、センサは、膝踝カップリングを介して、足要素、例えば義肢足部又は装具の足プレートのためのデータも生じることができる。
【0061】
本発明の一発展形態は、整形外科技術装置、例えば装具、義肢、又は車椅子が個別化され、データネットワークを介してデザイン提案が提出され、デザイン提案は整形外科技術装置の、特に同等の整形外科技術装置の他の利用者によって査定され、場合によっては選定され得ることを企図する。一定の時間内に、特定数の提案及びデザインを提出、又はアップロードすることができ、投票に付され得る。同様に種々の基準、例えばモットーを与えることができ、このモットーをもとにして新デザイン提案を提出することができる。このモットーは、季節に応じて、又は特別な機会に変化させることができる。整形外科技術装置の複数の利用者のネットワーク化によって、問題が発生した場合にそれぞれの利用者が互いに注意し合うことが可能であり、それにより、例えばエネルギー貯蔵器が空の場合、又は充電装置がない場合に、類似又は同等の整形外科技術装置の他の利用者に助けを求めるために、整形外科技術装置の利用者がクラウド又はデータネットワークに非常呼び出しを設定することが可能である。アプリは、近傍の類似の整形外科技術装置の利用者に表示することができ、場合によっては匿名化することができる。同様に、整形外科技術装置の利用者がこれを望む場合には、整形外科技術装置の他の利用者を探すことができることが可能である。
【0062】
本発明の一発展形態は、まずデータ及びデータサービスの基本モデルが提供されることを企図し、例えばリリースされたデータ又は利用者プロフィールへの対応として追加サービス又は機能を取得又は解放することができる。
【0063】
運動、例えば歩行、又は下り走行によるエネルギーの回生によって、電流がエネルギー貯蔵器に貯蔵され、それによってバッテリ持続時間を長くすることができる。
【0064】
サービスの品質向上のために新無線技術、例えばLTE(登録商標)又は5Gを組み込むことができる。後から評価及び自動学習をし易くするために、データをサーバに直接送るシステムを整形外科技術装置に組み込むことができる。
【0065】
整形外科技術装置のコンフィギュレーションは、例えばバーチャルリアリティ眼鏡、中空レンズ、拡張現実眼鏡、又はそれに類するものなどの拡張現実の支援により行うことができる。必要なデータは、直接フェードインすることができ、それぞれの周辺を検出することができ、同様に、眼鏡又はそれに類するものといった検出装置を介して測量及び物体認識を行うことができ、それにより眼鏡のカメラによるデータの直接評価で評価及び測定を行うことができる。銀行ATM、病院、インターネット又は他のアクセスコントロールなどのインターフェースにおいて、義手が触れるか、又は接近するだけで自動認証を行うことができるようにするために、義肢手に例えば大容量記憶装置、RFID、チップカード、ブルートゥースコネクタ、又はそれに類するものといった認証要素を組み込むことができる。例えば義肢膝、義肢足部、義肢腕、又は他の整形外科技術補助手段などの他の整形外科技術装置に相応の認証装置を組み込むことによっても同じことが行われる。相応の支払い機能を組み込むこともできる。
【0066】
スポーツエクササイズ及びリハビリエクササイズを検出することができる。整形外科技術装置と同様に、スポーツマット又はスポーツ器具がセンサを装備することができ、それにより運動が検出される。だれがどのエクササイズをどのように行うのかを検出するために、センサデータが組み合わせられて評価される。改善提案、代替的エクササイズ、エクササイズ推奨、及び状態の改善又は場合によっては悪化の検出を行うことができる。
【0067】
整形外科技術装置を、追加システム又はソフトウェアのためのIOTハブ可能なプラットフォームとして用いることができ、それにより義肢、装具、又は他の整形外科技術装置を簡単に拡張することができる。場合によっては整形外科技術装置自体とはなんの関係もない新たな機能を組み込むことができる。
【0068】
以下本発明の実施例を添付の図をもとにして説明する。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【
図2】装具を備えた本発明の一変形形態の図である。
【
図3】保管システムにおける本発明の一変形形態の図である。
【実施例】
【0070】
図1は、患者の大腿の断端を収容するための大腿ソケット10が取り付けられた上部1を有する義肢膝継手を具備する脚義肢の形態の整形外科技術装置100の模式図を示す。上部1には下腿部の形態の下部2が旋回軸線4を中心として旋回可能に支承されている。下部2は下腿パイプ5を有し、下腿パイプの遠位端に義肢足3が取り付けられ、義肢足3を旋回可能に下腿パイプ5に支承することができる。
【0071】
整形外科技術装置100には、整形外科技術装置100の利用又は状態に関するセンサデータを収取するための複数のセンサ9が配置されている。図示される実施例では、踝モーメントMAを検出するために足部3に、例えばセンサ9が配置されている。有効軸方向力FAを検出するために下腿パイプ5にセンサ9が配置され、整形外科技術装置100の利用中に下部2の空間位置を検出するために、例えば角度センサ9が、場合によっては慣性角度センサと組み合わせて下部2に取り付けられている。大腿ソケット10には慣性センサ9、モーメントセンサ、角度センサ、温度センサ、及び他のセンサを配置又は組み込むことができる。
【0072】
さらに、下部2にはダンパ又はアクチュエータの形態の抵抗装置6が配置され、抵抗装置は、特に抵抗装置6が受動ダンパとして形成されている場合に、設定可能な伸展抵抗及び屈曲抵抗を提供するために上部1と下部2との間に支持される。抵抗装置6内のそれぞれの抵抗を変化させることができる、例えばモータ若しくは他の駆動装置、磁石、又はそれに類するものといった調節装置7が抵抗装置6に割り当てられている。抵抗装置6が液圧ダンパ又は空気圧ダンパとして形成されている場合、調節装置7は、伸展チャンバと屈曲チャンバとの間のオーバーフローチャネルのそれぞれの流れ断面を拡大するか、若しくは縮小するか、又は別の仕方で流れ抵抗を変化させることができる。同様に、調節装置7が抵抗装置6内に入っている流体の粘性を、例えば磁界を変化させることによって、及び磁気レオロジ流体に作用を及ぼすことによって変化させることが可能である。抵抗装置6が電気モータとして形成されている場合、電気モータが発電機モードで運転され、それによって下部2に対する上部1の屈曲又は伸展に対する機械的抵抗を変化させることができる。抵抗装置6がモータとして形成され、モータモードで運転される限り、プロテーゼ装置の屈曲及び/又は伸展の能動的補助が可能である。
【0073】
屈曲及び/又は伸展に影響を及ぼすため、及び場合によっては継手をブロックするために、調節装置7の作動又は作動停止を行うことができるように、調節装置7が制御装置8と結合されている。制御装置8によって、調節装置7への対応する作動信号又は作動停止信号を介して整形外科技術装置100の所望の挙動が設定される。調節装置7は、センサ9から制御装置8へ伝送されるセンサデータにもとづいて制御装置8により作動又は作動停止される。例えば角度データから角速度又は加速度を算出するために、センサ9からのセンサデータが前処理されるか、又は制御装置8自体で処理され得る。所望のデータが、例えば角度センサ、加速度センサ、又はそれに類するものといったセンサにより直接検知される限り、相応の準備処理を省略することができる。制御装置8は、データを電気的又は電子的に評価するため、及びこの評価にもとづいて調節装置7の相応の作動又は作動停止を行うために、コンピュータ若しくはプロセッサを装備するか、又はコンピュータ若しくはプロセッサと結合されている。
【0074】
センサ9は、制御装置とワイヤレスで、又はケーブルで、あるいは他の伝導線装置によって接続されている。センサ9と制御装置8との間でワイヤレス通信が行われる限り、相応の送信装置及び受信装置が制御装置8及びセンサ9内に設けられるか、又は制御装置及びセンサに割り当てられている。
【0075】
制御装置8は、記憶装置12も有することができ、あるいは後の時点にさらに使用されるか、又は送信されるようにするためにセンサデータ及びセンサデータプロファイル、又はセンサデータとセンサデータプロファイルの評価を記録する記憶装置12と結合され得る。
【0076】
センサデータ、プログラム、アクセス権、設定、設定の変更、ソフトウェアアップデートなどを外部装置から整形外科技術装置へ転送するために、制御装置8には送信器11及び受信器13も割り当てられている。
【0077】
整形外科技術装置100の利用中にセンサ9によりデータ検出が行われ、データ検出時に、力、モーメント、加速度、向き、温度、変形、運動時間、利用時間などのすべての関連データが検出され、かつ制御装置8に伝送され、場合によっては記憶される。制御装置8及び記憶装置12により、センサデータ及びこれに類するものは、コンピュータネットワーク200又は評価ユニット20と直接通信するように送信器11が整えられている場合には、送信器11を介してコンピュータネットワーク200における評価装置20に直接伝送される。そのために、通信接続、あるいは送信ネットワーク又はそれに類するものとの接続を作成するための他の通信インターフェースを確立するためのSIMカードを整形外科技術装置100に設けることができる。これに代えて、又はこれに加えて、送信器11は、移動端末機器30、例えばスマートウォッチ、タブレット、移動電話、又はラップトップを介してデータを伝送することができ、データはそこからコンピュータネットワーク200に伝送される。コンピュータネットワーク200において、評価ユニット20が集中又は分散して配置又は形成され、場合によっては、センサデータ又はセンサデータの評価、及び整形外科技術装置100の利用と関連する他のデータを記憶するためにデータベース25と結合されている。
【0078】
センサデータ及び他のデータにもとづいて、評価ユニット20、又はコンピュータネットワーク200において評価、場合によってはリスク分析が推奨、ソフトウェアアップデートなどとともに行われる。
【0079】
整形外科技術装置100の挙動の主観的判定に関する質問を移動端末機器30に記憶することもでき、あるいは利用挙動に適合させて質問し、整形外科技術者の介在なしにそれぞれの利用者のフィードバックを得るようにコンピュータネットワーク200によって伝送することができる。整形外科技術装置100とモバイル端末機器30とに、位置特定のための装置を組み込むことができ、例えばGPSモジュール、又は例えば移動無線システムの送信セルを介して相応の位置測定を実行する他の現在位置特定装置を組み込むことができる。位置データにもとづいて状態データ、又はセンサ9によって検出される変更のより良好な評価を行うことができる。
【0080】
図2において、調節可能な大腿レールを有する上部1、設定可能な下腿レールを有する下部2、及び踝継手軸線23を中心として関節的に旋回可能に支承されている足部3を備える膝踝装具の形態の代替的整形外科技術装置100が示される。上部1は、継手軸線4を中心として旋回可能に下部2と結合されている。上部1と下部2とにセンサ9が示され、これらのセンサは、
図1による整形外科技術装置100と同様に形成され得る。制御装置8が膝継手軸線4の領域に配置されるが、他の位置決めも同様に可能である。
図1の整形外科技術装置100の全部の装置が
図2による整形外科技術装置100に示され、そこに相応に配置されているか、又は配置され得る。この場合も図示されない送信器11を介したコンピュータネットワーク200へのセンサデータの伝送が評価ユニット20における評価のために行われる。
【0081】
図3において、整形外科技術装置100が装着されない状態で図示される本発明の一変形形態が示される。大腿ソケット10が上部1から取り外され、
図1の個々のコンポーネントの一部のみが示されている。
図1によるコンポーネントに加えて、整形外科技術装置100の下部2に供給端子16が配置され、この供給端子は、整形外科技術装置100が静止状態にあるときにエネルギーをワイヤレスで伝送するためのワイヤレス供給端子16として形成されている。供給端子16は、例えばコイルを有し、コイルは、脱着状態の整形外科技術コンポーネント100を保管するためのホルダ50の外壁に設置され得る対応する供給装置60を介して励起され、誘導エネルギーを伝達する。したがって整形外科技術装置100は、電気供給を確保するために、保守の目的でホルダ50に収納することができる。ホルダ50には、滅菌又は類似の清掃を行うことができるようにするための清掃アセンブリ70を配置することができる。同様に、ホルダ50に識別装置65を配置することができ、識別装置を介して、整形外科技術装置を識別するためにコード、例えば光学コード、又は電磁コードを読み取ることができる。これに加えて、ホルダ50に送信器と受信器とを含む転送モジュール30’が配置されている。転送モジュール30’は、整形外科技術装置100の送信器11からデータを受信し、受信器13に伝送することができる。同時に、転送モジュール30’は、送信器及び受信器を装備するコンピュータネットワーク200の図示されない評価ユニット20からデータを受信するか、又はこの種のコンピュータネットワーク200に送信することができる。したがって転送モジュール30’への送信器11の送信電力がわずかしか必要とされず、それによりエネルギーを節約することができる。データ転送は、例えば夜間など、整形外科技術装置100が脱着状態にあるときに、伸展及び屈曲又は他の機能を制御するためのセンサ信号を処理するためのコンピュータ能力が必要とされない場合に行われることが好ましい。これに加えて、ホルダ50への配置、及びエネルギー供給を伴う脱着状態において、評価及びデータ転送のために使用されるエネルギーが少ないことから整形外科技術装置100の使用継続時間を長くすることが可能である。
【国際調査報告】