(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-28
(54)【発明の名称】蒸気/CO2改質による水素及びFT生成物の製造
(51)【国際特許分類】
C10G 2/00 20060101AFI20220121BHJP
C10J 3/72 20060101ALI20220121BHJP
C10J 3/00 20060101ALI20220121BHJP
C07C 1/04 20060101ALI20220121BHJP
C01B 3/02 20060101ALI20220121BHJP
C01B 3/36 20060101ALI20220121BHJP
C01B 3/56 20060101ALI20220121BHJP
【FI】
C10G2/00
C10J3/72 J
C10J3/00 A
C07C1/04
C01B3/02 Z
C01B3/36
C01B3/56 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021532423
(86)(22)【出願日】2019-12-06
(85)【翻訳文提出日】2021-08-03
(86)【国際出願番号】 US2019065043
(87)【国際公開番号】W WO2020118236
(87)【国際公開日】2020-06-11
(32)【優先日】2018-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521246312
【氏名又は名称】ラヴェン・エスアール・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】テリー・アール・ギャロウェイ
【テーマコード(参考)】
4G140
4H006
4H129
【Fターム(参考)】
4G140BA02
4G140BB03
4G140EA03
4G140EA05
4G140EA06
4G140EB37
4G140FA02
4G140FB02
4G140FB05
4G140FC08
4G140FE03
4H006AA02
4H006AC29
4H006BE20
4H006BE40
4H129AA01
4H129BA12
4H129BB07
4H129BC45
4H129KA15
4H129NA21
4H129NA43
(57)【要約】
蒸気/CO2改質による水素及びFT生成物の製造用のプロセス制御パラメータとしては、蒸気改質器温度の制御、並びに蒸気、CO及び必要に応じてバイオガスの添加の制御を挙げることができる。パラメータを最適化した結果、H2の生成が増加し、硫黄汚染物質及びハロゲン汚染物質が除去され、フィッシャー・トロプシュ生成物を効率的に生成するためのH2/CO比が制御された。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
H
2及びフィッシャー・トロプシュ液体の少なくとも1つを生成する方法であって、
原料を第1の改質器に受け入れる工程と、
第1の改質器において、原料の少なくとも一部を蒸気で改質して、投入ガスを生成する工程であって、ある量の投入ガスは合成ガスである、工程と、
第1の改質器から主改質器へ投入ガスを移動させる工程と、
主改質器において、蒸気で投入ガスを改質して、合成ガスの量を増加させる工程と、
合成ガスを主改質器からフィッシャー・トロプシュモジュールへ移動させる工程と、
フィッシャー・トロプシュ反応において合成ガスを使用する工程と、
フィッシャー・トロプシュモジュールから、H
2Oと、フィッシャー・トロプシュ反応によって生成したフィッシャー・トロプシュ液体のうちの少なくとも1つと、フィッシャー・トロプシュ反応によって生成したH
2と、を抽出する工程
とを含む、方法。
【請求項2】
フィッシャー・トロプシュ反応によって生成したCO、H
2及びCO
2を主改質器へ移動させる工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
フィッシャー・トロプシュ反応によって生成した少なくとも5個の炭素原子を含む炭化水素を主改質器へ移動させる工程を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
合成ガスを主改質器からフィッシャー・トロプシュモジュールへ移動させる工程が、合成ガスがフィッシャー・トロプシュモジュールに入る前に、合成ガスからH
2Oを凝縮させる工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
合成ガスは、フィッシャー・トロプシュモジュールへと移動した時に、1.5~3.5のH
2/CO比を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記H
2/CO比が約2.16である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記H
2/CO比が約2.3である、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
合成ガスを、125psig以下の圧力でフィッシャー・トロプシュモジュールへ移動させる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
第1の改質器が回転式改質器である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
回転式改質器が回転式改質器動作温度を有し、主改質器が、回転式改質器動作温度よりも高い主改質器動作温度を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
投入ガスを石灰と接触させることによって投入ガスから硫黄を抽出する工程を更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
回転式改質器を使用して、石灰を除去する工程を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
原料が、都市固形廃棄物、医療廃棄物、発酵残渣、及び天然ガスの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
原料が、バイオガスを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
発酵残渣が、24質量%から70質量%の水分含有量を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
第1の改質器が、サイクロン分離器である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
サイクロン分離器が、サイクロン分離器動作温度を有し、主改質器が、サイクロン分離器動作温度よりも高い主改質器動作温度を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
主改質器が、1600°F(871℃)以下の主改質器動作温度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
第1の改質器内及び主改質器内で燃焼が起こらない、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
第1の改質器内及び主改質器内の圧力が約1気圧に維持されている、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年12月6日付で出願された米国特許仮出願第62/776,203号、ECONOMIC PRODUCTION OF HYDROGEN AND FT PRODUCTS BY STEAM/CO2 REFORMINGに基づく利益を主張するものであり、該出願は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明の様々な実施形態は、水素及びフィッシャー・トロプシュ(FT)法の生成物の形成における蒸気及び二酸化炭素の使用に関する。
【0003】
本発明の様々な実施形態は、水素及びフィッシャー・トロプシュ(FT)法の生成物の形成における蒸気及び二酸化炭素の使用に関する。本発明の様々な実施形態は、水素及びフィッシャー・トロプシュ(FT)法の生成物の形成における蒸気及び二酸化炭素の使用に関する。
【背景技術】
【0004】
世界中で発生する広範囲にわたる廃棄物の流れを消滅させると同時に、この炭素質廃棄物を有用な水素に富む合成ガスに転化して、以下の1つ又は複数を達成することが非常に求められている:(1)再生可能なH2燃料を製造すること、(2)フィッシャー・トロプシュモジュール等の発熱性炭化水素合成反応器に供給して再生可能燃料を生成すること、又は(3)この合成ガスの一部を使用して燃料電池を駆動し、それによってプラントに電力を供給すること。
【0005】
蒸気/CO2改質は、ガス化技術としばしば混同される。どちらのプロセスも吸熱化学反応を引き起こすために熱を必要とするが、その熱源は大幅に異なり、結果はかなり異なっている。重要な違いは、ガス化は燃焼を使用するが、蒸気/CO2改質は燃焼を使用しない点にある。ガス化では、原料の一部が燃焼すると熱が発生し、このことは、効率、品質、プロセスの清浄度、及びメンテナンスにいくつかの影響を与える。原料の一部を燃焼させるとCO2が発生し、これは、生成されるH2の量を減少させることにより合成ガスを希釈することになる。その燃焼はまた、合成ガスの一部を消費し、更にH2の量を減少させる。ほとんどの場合、この燃焼は空気を加えることにより引き起こされ、窒素の存在によってH2を更に希釈する。
【0006】
ガス化とは対照的に、蒸気/CO2改質器(SR)で用いられる蒸気/CO2改質化学は、燃焼を伴わず、酸素を利用せず、システムに空気を追加する必要が無い。化学還元と見なすことができる理想的な主な化学反応は、炭化水素、CO2、H2O及び熱を組み合わせてCO及びH2を生成する。しかし、改質プロセス中には多数の他の反応も起こる。特に、廃棄物の流れを蒸気改質して合成ガスを生成すると、所望の炭化水素とは別の極めて多量の生成物が生じる。硫黄含有生成物及びハロゲン含有生成物は通常、汚染物質と見なされ、合成ガスによって駆動される高温燃料電池の電気化学触媒に損傷を与える可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
SRを効率的に使用するには、水素とフィッシャー・トロプシュ生成物(つまり、金属触媒の存在下で一酸化炭素と水素を組み合わせて生じる様々な炭化水素)の生成を最大化するために、最適化されたプロセス制御パラメータ及び反応生成物のリサイクルが必要である。これらのプロセス制御パラメータとしては、限定されるものではないが、SR温度の制御、並びに、蒸気、CO、及び必要に応じてバイオガスの添加の制御が挙げられる。パラメータの最適化により、H2の生成が増加し、硫黄汚染物質及びハロゲン汚染物質が除去され、H2/CO比が制御されてフィッシャー・トロプシュ生成物が効率的に生成される。このようなパラメータの最適化により、50%から57.3%の記録的なH2生成、硫黄汚染物質及びハロゲン汚染物質の除去、並びにフィッシャー・トロプシュのH2/CO比の制御がもたらされた。原料の一部が約15質量%のバイオ炭素生成物の製造に使用されるため、合成ガスは通常、MSW/Med廃棄物に対して約15%少ないことになる。多くの廃棄物原料の場合、原料はすでに湿っているため(つまり、約50%の水分)、蒸気を添加する必要がない。SR温度をただ100°Fから1600°Fに上げるだけで、最大のH2生成が達成されたことは予想外の結果であった。テストしたすべての原料について、バイオガスを添加すると、すべての場合で予想せぬことにH2生成が増加した。また、予期せぬことに、すべての原料について、蒸気とCO2の両方が最適に添加され、2.0から3.0の範囲のH2/CO比が得られ、FTについては2.3が最適であった。
【0008】
この概要の項に記載の様々なシステム及び方法は、本願中のいずれに記載されるものと同様に、数々の様々な組み合わせ及び部分的組み合わせとして表現できることが理解されよう。このようなすべての有用な、新規性及び進歩性を有する組み合わせ及び部分的組み合わせが本明細書において企図されており、これらの組み合わせの各々の明示的な表現は不要であることが認識される。
【0009】
添付図面と併せて、以下の説明を参照すれば、本発明のより良い理解が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】本発明の一実施形態による回転式改質器の概略図である。
【
図1B】
図1Aのシステムに関する回転式改質器の温度分布の図である。
【
図3】湿潤乳製品発酵残渣+バイオガスのプロセスフロー図である。
【
図4】50:50留分を使用するH
2S、COS及びCS
2の石灰還元の図である。
【
図5A】スケールアップした7トン/日の都市固形廃棄物(MSW)/医療廃棄物(MedWaste)プラントの図である。
【
図5C】SR温度の関数としてのH
2パーセントを示すグラフである。
【
図6】触媒転化器の熱回収を伴うMSWのフロー図である。
【
図7】スケールアップした7トン/日のMSW/Med廃棄物プラントの図である。
【
図8】SOFC燃料電池の熱回収を伴う7トン/日のMSWからFT液体へのフロー図である。
【
図9】H
2/CO及び添加したCO
2を示す図である。
【
図10】D2W(登録商標)のシミュレーションプロセスを示す図である。
【
図11A】本発明の別の実施形態による縮尺1/10のデモンストレータの概略図である。
【
図12A】本発明の別の実施形態による縮尺1/10のフィッシャー・トロプシュのデモンストレータの断面図である。
【
図13】安定した50%のH
2レベルの記録である。
【
図14】本発明の別の実施形態による蒸気及び二酸化炭素改質のシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の原理の理解を促す目的で、図面に示されている実施形態を参照し、その説明のために特有の用語を用いる。しかし、これによって本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、例証された装置における改変及び更なる修正並びにここに例証される本発明の原理の更なる応用は、本発明に関連する技術分野における当業者には通常想起されるはずのものであることが理解されよう。本発明の少なくとも1つの実施形態が説明され、示され、その応用により、本発明の他の実施形態を示し且つ/又は説明することができ、更に、当業者によって理解されるはずの更に他の実施形態について合理的かつ論理的な推論をすることが可能になる。
【0012】
「本発明」への言及は、発明群の中の実施形態への言及であり、特記されない限りはすべての実施形態に含まれていなければならない装置、プロセス又は組成物を含む単一の実施形態はないことを理解されたい。更に、本発明のいくつかの実施形態において「利点」についての記載があるが、他の実施形態では同一の利点を有さない場合や別の利点を有する場合があることを理解されたい。本明細書に記載される利点は、請求項を何ら制限するものではない。好ましさを示す表現の使用、例えば「種々の実施形態」又は「好ましくは」は、少なくとも1つの実施形態に存在するが、いくつかの実施形態では任意である特徴や様態を示し、したがって、「好ましくは」という言葉は「任意選択で」という語を伴うことを理解されたい。
【0013】
様々な具体的な量(空間次元、温度、圧力、時間、力、抵抗、電流、電圧、濃度、波長、周波数、熱伝達係数、無次元パラメータ等)を本明細書に記載するが、これらの具体的な量は単に例として提示されているだけであり、特記しない限りはおおよその値であり、各値の前に「約」という言葉が付くと捉えるべきである。更に、具体的な組成物に関連する記載においては、その記載は単に例示であり、その組成物の他の種の適用を制限するものではなく、引用された組成物と関連していない他の適用をも制限することはない。「約」という言葉は、特に明記されていない限り、記載された値の最も正確な桁の10%以内の値の範囲を指すと解釈されるべきである(例えば、「約1」は0.90から1.1の範囲を指し、「約1.1」は1.09から1.11の範囲を指す)。
【0014】
本発明の様々な実施形態と共に本明細書において示され説明されるのは、実行された1つ又は複数の試験又はシミュレーションについての考察である。そのような例は、単に例にすぎず、本発明の任意の実施形態に対する限定としても解釈されるものではないことを理解されたい。更に、本発明の実施形態が、必ずしも、本明細書において提示する数学的分析に限定されず又はそのような分析によって説明されないことを理解されたい。
【0015】
1つ又は複数のプロセス、アルゴリズム、運転方法又は論理について、特定の順序で編成されたものを示す図を伴って、様々な参照を行うことができる。そのような配列の順序は単なる例であり、本発明の任意の実施形態を限定することを意図するものではないことを理解されたい。
【0016】
本明細書で示し説明するものは、変数間の1つ又は複数の関数関係である。変数には特有の用語が付される場合があるが、いくつかの関係は、それらの意味に関して当業者によって理解される変数を含み得る。例えば、「t」は、使用法からすぐに分かるように、温度又は時間を表すことができる。しかし、そのような関数関係は、数学的分析の標準的な技術を使用して、様々な等価物で表現できることが更に認識される(例えば、関係F=maは、関係F/a=mと等しい)。更に、関数関係がアルゴリズム又はコンピュータソフトウェアにおいて実装されるこれらの実施形態では、アルゴリズムされた変数は、本明細書において示す変数に対応することができ、このときこの対応は、スケーリング因子、制御システム利得、ノイズフィルタ等を含むことを理解されたい。
【0017】
本明細書に示す本発明の様々な実施形態は、プロセス制御パラメータを使用して、記録的なH2生成、硫黄汚染物質及びハロゲン汚染物質の除去、及びフィッシャー・トロプシュ(FT)のH2/CO比の制御を示すプロセスに焦点を当てている。本明細書に示される改質器は、回転改質器、主改質器又はサイクロン分離器のいずれであっても、好ましくは、嫌気性条件で1気圧又はその付近で運転する。
【0018】
【0019】
多くの廃棄物原料の場合、原料はすでに湿っているので(つまり、約50%の水分)、高温の蒸気を添加する必要はない。SRをただ100°Fから1600°Fに上げるだけで、最大のH2生成が達成された。すべての原料について、バイオガスの添加は通常、H2生成を増加させた。すべての原料について、蒸気とCO2の両方が最適に添加され、2.0から3.0の範囲のH2/CO比が得られ、FTについては2.3が最適であった。
【0020】
最近の市場データは次のことを示している。
マイル当たりのコスト(ガソリンと比較して)
ガソリン1.00
合成燃料(C8)8.20
合成燃料(C10)3.83
水素0.84
電力網からの電気0.69
【0021】
いくつかの実施形態では、CO2除去床がシステムに追加されて、触媒転化器からの排出CO2を除去して、炭素隔離容量を提供する。
【0022】
(1)バイオマス供給
乳製品の嫌気性発酵残渣
一実施形態では、24質量%から70質量%の水分含有量を有し、約700ppmの総S、4.1%の有機N
2、0.13%のP、及び0.17%のKを含む発酵残渣を、1時間に5ガロンの速度でホッパーに充填した。発酵残渣の密度は、0.133g/ccと測定された。発酵残渣は、54rpmで実行するホッパーと、2分ごとに循環するダブルロックホッパーの両方を介して、より低い水分レベルで非常に良好に供給された。回転(RR)温度分布は、
図1A及び
図1B上の右側にあるロックホッパー入口から、合成ガスを急冷するフライオーバーHXシミュレーターを通って左までである。残留物が陥るE20ポットは372°Fであった。様々な実行のために様々な量の蒸気を添加した。これらの実行データを、上記のTable 1(表1)にまとめて示す。
【0023】
70%の水に達するように水分を追加した発酵残渣を使用した。多少の困難を伴いながら、発酵残渣を54rpmより低いオーガー速度でスクリューボトムホッパーとロックホッパーを通して供給した。約50%の低水分レベルのものは、より良好に供給された。
【0024】
更なる実行により、4つのゾーンのそれぞれのRR温度、添加する蒸気、及び合成ガスの急冷温度を最適化した。1つの実行では、以前のより50°F高い温度及び900°F超の過熱蒸気を使用した。
【0025】
実行の最後に、残留物E20ポットが冷却され、空気中で安全に開放された後(翌日)、その塊は、1100グラムと測定され、黒色で低密度の水分が無く、自由に流動する小さなサイズの粒子固体であった。乾燥ベースで5ガロンの体積又は3000グラムの質量で供給と比較して、質量減少は63.3%であり、体積減少は1.5/5、すなわち70%の減少であった。次の最適化された実行は、84%の質量減少及び75%の体積減少を示した。
【0026】
NPKと全炭素についての残留物(「バイオ炭素」)分析を、
図2Aに示す。生成した合成ガスをALS/SimiValleyによって分析し、H
2からCH
4までのすべての軽質ガスとC1からC6の軽質炭化水素が示された。これらの結果は、次の実行で添加することができる蒸気の量も示している。これは、回転計を介して25から100cc/分の範囲になる可能性がある。これは、発酵残渣の原料が15~25%の水分含有量と、予想よりもはるかに乾燥していたためである。55%の水分の発酵残渣では、蒸気は不要である。
【0027】
合成ガスをモレキュラーシーブGC/TCDによって分析したところ、
図2Aの左から右の順序で、H
2、O
2、N
2、CH
4及びCOの結果を与えた。
図2Aは、左側に274の面積の小さなH
2ピークを示している。すべてのO
2及びN
2を除去すると、H
2は約43%になり、空気を除去すると、H
2は35%になり、有機窒素の改質化学反応から生成される可能性のある8%のN
2が残る。O
2とN
2の補正を使用すると、(43%/38%)H
2/CO比は約1.13であり、前回の実行の比1.23に匹敵する。空気の侵入が減少したのは、サンプル容器のパージが長くなったためである。30秒超のより長いパージを使用すれば、空気の侵入を更に減少させることができる。このカラムは、CO
2ピークを与えない。また、それは検出可能なレベルのN
2Oを示さない。
【0028】
安定した水素生成
1回の実行について、回転改質器の熱性能と、酸素残留量(下の線)とH
2センサーの生の読み取り値(上の線)を
図2Bに示す。
図2Bは、対照から生じる供給速度の変化からのいくらかの変動を伴った約50%でのH
2生成を示している。約1500°F(
図6では1484°F)から約1600°FまでSRを増加させることにより、H
2生成は45%から57%に増加した。この変化は、フィードホッパーの運転に関する貴重な洞察を与えることが判明し、フィードホッパーの運転ガイドとして役立つことが分かった。ロックホッパーバルブが45秒に1回循環するので、実行の供給速度は50%速くなった。
【0029】
合成ガスは、テドラーバッグ(登録商標)を使用してサンプリングされ、翌日FedExによって商業ラボALS/Kelsoに送られたが、これらのプラスチック袋は拡散によって少しH2を失うため、補正が必要である。これらは、酸素除去を補正した結果であり、残りのN2の部分は残部として示され、H2/CO比2.00、2.65及び3.00を使用したH2損失補正の結果である。1つのサンプルでは、炭化水素ガスは、C2=2.4、C3=0.13、C4=0.043、C5=0.0041、C6=0.0020、C6+=0.011体積%に及び、過去の実行と一致していた。別のサンプルでは、炭化水素ガスはC2=2.9、C3=0.023、C4=0.018、C5=0.0043、C6=0.0089、C6+=0.057体積%に及び、MSW廃棄物及びMed廃棄物を用いた過去の実行と一致していた。0.057%のC6+は、ほとんど低蒸気に起因するベンゼンであることが予測される。
【0030】
したがって、この分析では、H2の結果が32.62%及び35.41%になる。これらのALSデータは、O2の結果が示すように、発酵残渣の有機窒素からのN2の生成が大きく、空気漏れによって60%増加することを示している。
【0031】
図3は、受け取ったままの80%水分の発酵残渣を供給するためのプロセスフロー図を示している(
図3は、湿った発酵残渣の乾燥質量に関してポンド/時での流量を載せている)。次いで、最大限の1500ポンド/時のバイオガスが添加され、主SRは
図2Aとよく一致して54.9%のH
2を生成した。そして、凝縮水が除去されると、H
2レベルは64.9%Hに増加した。このスキームは、FTと同様にプロセスレイアウトが実行可能であることを示している。添加された水によってはるかに大きな流量が発生するため、525kWeのコンプレッサーの運転費用を利用することが有用である。水分が少ないと、必要電力が減少する。
【0032】
浄化前の合成ガス硫黄レベル
シミュレートされた坑口ガス、つまり、硫黄が非常に少ない天然ガス井に由来する天然ガスを処理すると、71ppbのCOS、12ppbのCS2、及び130ppbのチオフェンしか生成されなかった。坑口ガスを、PG&E社パイプラインの天然ガスを使用してシミュレートした。浄化には、高温のZnO床の使用が含まれていた。
【0033】
以下のTable 2(表2)に、ALSラボが8/7発酵残渣合成ガスで検出した硫黄化合物の範囲を示す。これらの結果は、同様のバイオマスで行われた以前のテストで見られた合成ガス硫黄化合物と一致している。
【0034】
【0035】
これらの結果は、Sasol Lurgi石炭ガス化装置で観察された結果、すなわち、H2S=15,300,000ppb、メルカプタン=600,000ppb、COS=180,000ppb、CS=100,000ppb、及びチオフェン=5,000ppb、よりも低い。
【0036】
乳製品発酵残渣の実験式はC3.414H4.938O1.858N0.100S0.022である。
【0037】
図4から分かるように、700℃で10分のベッド滞留時間で98%の硫黄除去が期待される。発酵残渣中の700ppmのSと反応するための石灰(例えば、CaCO
3)の添加は、供給速度の約3.5%(約75グラム)であると予想される。したがって、90%の回転式改質器における石灰除去と組み合わせると、99%の全体的な硫黄除去が期待される。1つのテストでは、5ポンドの石灰ペレットを添加した。
【0038】
次のステップは、これらの化合物のすべてではないにしても、回転式改質器への石灰添加によってどのくらい除去されるかを決定することであった。最初の結果をTable 4(表4)に示す。検出不能(ND)の数が大幅に増加し、このことは、石灰が低濃度種に対して一般的な削減効果を有したことを意味する。大幅に削減された主な硫黄種は次のとおりであった。
Table 4(表4): 回転式改質器に石灰を添加した場合の硫黄化学物質の削減
メチルメルカプタン(93%削減)
ジメチルスルフィド(97%削減)
n-プロピルメルカプタン(79%削減)
エチルメチルスルフィド(98%削減)
ジメチルスルフィド(99.76%削減)
3-メチルチオフェン(97%削減)
テトラヒドロチオフェン(77%削減)
【0039】
大幅に削減されなかった主な化学種は、硫化水素、硫化カルボニル及び二硫化炭素であった。これらの結果は、第4工程の1000°F(810°K)の回転式改質器で実施された。より高い温度により硫黄化合物の石灰除去が改善されるものと予想される。また、H2S、COS及びCS2を低下させるために700°FのZnO充填床を追加することにより、硫黄の更なる削減が達成された。
【0040】
MSW廃棄物及びMED廃棄物のプロセスシミュレーション
MSWで縮尺1/10のパイロット装置を実行するための準備として、D2Wプロセスシミュレーションを完了させて、主要なプロセス流れと動作条件の推定値を得た(
図5A参照)。
【0041】
原料を1/4インチ以下のサイズに細断し、8.33ポンド/時で供給した。原料には、1時間あたり、水分2.38ポンド、ガラス及び金属等の無機物17%、塩素を含有するPVCプラスチック2%、及びアンモニア8.1%が含まれ、主SR反応器はR-7を1500°Fで実行する。リサイクル流れは毎時27.4ポンドである。D2Wシミュレーションによると、主反応器は、25.7%の一酸化炭素、54.4%の水素、11.3%の水、1.34%のCH4、6.87%のCO2、0.32%のNH3、及び0.075%のHClを生成する。1500°Fと1600°Fで観察された最大H2=64%であった。しかし、44-2以降の最新の実行は50%のH2で実行された。
【0042】
過去4回のGCテストで平均したFTのH2/CO比は2.11±0.5であった。水凝縮液は3.1%のNH3及び0.725%のHCIを含むはずであり、したがって、ほとんど中和されている。化学反応に必要な主反応器の吸熱性の熱は4.3kW、又は反応器容量の約52%であり、回転式改質器は、8.75kWを必要とするが、4基の熱回収熱交換器で23.6kWを回収できた。また、SOFCが追加されている場合、その熱は最大79kWtを提供し得る。リサイクルブロワーは0.6kWeしか必要としない。したがって、プロセス全体の水蒸気改質のフロントエンドは、主反応器に必要な4.3kW及びブロワーに必要な0.6kWのみと均衡している。
【0043】
図5Bでは、H
2のみを製造するプラントの第2の部分を示している。このプロセス構成の鍵は、PSA、S-21、続いてWGSユニット、R-17の運転である。PSAは5%のCOに耐えることができるため、WGSユニットに添加される蒸気の量は、COを5%未満に下げるのに十分な量である必要がある。PSAは通常、85%のH
2回収を達成することができる。PSAテールガスは、H
2及びCoに十分に富んでいるため、高レベルの実績が得られ、又は、テールガスをCCU、R-25で熱を発生させるために使用することができる。
【0044】
図6は、これらすべてのプロセスブロックがどのように組み合わされて、H
2を精製するためのPSAのニーズと、触媒転化器においてPSAテールガスを使用して回収された(取り出された)大量の熱とに対処するかについての詳細を示している。
【0045】
商業規模、例えば、1日あたり(tpd)7トンでは、MSW原料を2インチ未満のサイズに細断し、583ポンド/時で供給する。原料には通常、1時間あたり、水分約2.38ポンド、ガラス及び金属等の無機物17%、塩素を含むPVCプラスチック2%及びアンモニア8.1%が含まれ、主反応器は約1500°F(
図6では1484°F)で実行される。リサイクル流れは1時間あたり1165ポンドである。商業規模では、すべての流動流組成物は上記と同様になる。化学反応に必要な主反応器の吸熱性の熱は最大300kWで、反応器容量の約52%であり、回転式改質器は300kWを必要としたが、4基の熱回収熱交換器で634kWを回収できた。リサイクルブロワーは40kWしか必要としない。全体的な蒸気改質器のフロントエンドの商業プロセスは、運転するのに300kWしか必要としない。このエネルギーは、H
2を生成する非常に発熱性のFT又はPSAによって供給される。
【0046】
これらのプロセスシミュレーションの結果により、プラスチック、有機物、紙等をハンドカットサイズ(細断されていない)で含む医療廃棄物についてこれとまったく同じ機器の再構成で実証するために別のプロジェクトの結果を確認した。そのプロジェクトは、現在のプロセスシミュレーションとほぼ同じ55%の水素レベルを生成した。いくつかの実施形態では、上記のこのプロセスは、番号の付いた有用なプラスチックを回収するために、細断され、赤外線によって自動的に分類されるごみを処理するために、7トン/日までスケールアップすることができる。
【0047】
図8の図は、231.4ガロン/乾燥トンのMSW供給速度でFT液体が生成されることを示している
図7の詳細なフロー図を簡略化したものである。MSWは、乾燥ベースに加えて、MSWの分析に存在するあらゆる水として示されており、これは40%のような実質的な含水量を有し、394ポンド/時の蒸気として含水量と共に示されている。回転式改質器の底部からは、ガラスや土壌(SiO
2等)、金属、HClとしての塩素、アンモニアに相当するもの等の無機固形物が出てくる。合成ガスは、894.1ポンド/時の合成ガスの流れ8として1056°Fで運転する回転式改質器を離れ、1850°Fで運転する主改質器への供給原料としての機能を果たす。また、主改質器に添加されているのは、リサイクル流れとしてのFTモジュールからの軽質末端と、C5+リサイクル成分並びに481ポンド/時の過熱蒸気である。フロー図のプロセス全体で約777ポンド/時又は1.55gpmの過剰な水があるため、この蒸気は内部で生成される。固体酸化物燃料電池(SOFC)はCOを受け入れるが、一般的なPEM燃料電池は、COがその触媒に対する毒であるため、受け入れない。SOFCは、蒸留水に非常によく似た優れた品質の水を電気化学的に生成する。
【0048】
図8の「合成ガス浄化」モジュールに示されるように、水は凝縮され、一部は高発熱のFTモジュールを冷却するために使用される。したがって、最終的に浄化された合成ガスは、H
2(63.8%)、及びCO(36.2%)が豊富であるが、FT合成化学での使用に機能的なCH
4とCO
2は理想的ではないが少ない。H
2/CO比は1.76であり、これは好適な比2.16よりも少し低い。
【0049】
FTモジュールは、ナフサ、ジェットA、ディーゼル、一部のパラフィンワックスを含むFT液体生成物のFT合成を引き起こす。ナフサとワックス(生成した場合)は、示されるようにプロセスで再利用するために主改質器に戻されるようにリサイクルすることもできる。また、37トレイ蒸留塔T-37からのオーバーヘッドガス(つまり、少量の138ポンド/時)は、生成物を分離するために、FTモジュールへの供給流れと同様に使用される。以前に行われたFTプロセスシミュレーションが約125ガロン/乾燥トンになることと比較して、収量は231ガロン/乾燥トンの供給量である。これらの2つのリサイクル流れをうまく利用できると便利である。
【0050】
強力な利点は、これら2つのプロセス構成を組み合わせて、H2及びFT液体の混合物の相対的な部分を、市場に合わせて変更できることである。そして、このような7tpdプラントの経済性には、再生可能なH2を10ドル/kgで販売し、現在のティッピングフィー100ドル/トンを節約し、FT液体を市場価格よりも低くするという9年間の素晴らしい見返りがある。
【0051】
坑口ガス-水素生成
サイクロン分離器は、業界における安全上の問題、特に爆発や火災のリスクを引き起こす天然ガス液(NGL)を、加圧されたNGLを搭載した鉄道タンク車から隔てるために使用される。エキゾチック合金が必要ではないので、SR温度がより低いことも経済的な利点である。
【0052】
水素/一酸化炭素比
回転式改質器と、それに続くH2/CO比の制御を支配する高温蒸気改質器での、2つの反応は次のとおりである。
CaHbOc+dCO2+(a-c-d)H2O→(a+d)CO+(a+0.5b-c-d)H2...(7-1)
電気、熱
H2O+CO⇔H2+CO2...(7-2)
【0053】
第1の反応(7-1)である蒸気/CO2改質は、熱によって右に反応が進み、第2の反応(7-2)である水性ガスシフト又は「WGS」反応は部分的にのみ右に進む平衡反応であり、WGS平衡範囲Eで表される。乳製品発酵残渣の式は、C3.414H4.938O1.858N0.100S0.022である。この実験式を、C1(つまりa=1)に正規化する。これらを組み合わせると、全体的な反応は次のようになる。
CaHbOc+(d+E)CO2+(a-c-d-E)H2O→(a+d-E)CO+(a+0.5b-c-d+E)H2...(7-3)
また、H2/CO比は次のとおりである。
H2/CO=(a+0.5b-c-d+E)/(a+d-E)...(7-4)
【0054】
有機バイオマス/廃棄物原料の化学分析は、安価でルーティンな最終近似分析法で行われ、供給原料の実験式はCaHbOcである。
【0055】
図9は、分子の下付き字a、b及びcを示している。処理方法用に選択されるプロセス変数は、CO
2リサイクルの量dと、E≒0.5を設定する高温改質器の温度である。したがって、H
2/CO比はCO
2添加量を調整することによって調整されることが分かる。例えば、FTは通常H
2/CO=2.16を使用するが、他の比率は、FT液体を、ディーゼル、ジェット燃料、ナフサ等に分かれる液体に変更する。
【0056】
プロセスシミュレーション
WinSim D2W(登録商標)シミュレーションプロセスと、QEP/パインデール(Pinedale)天然ガスサンプルのガス分析(91.6%のCH
4、5.3%のC
2H
6、1.49%のC
3H
8、0.35%のC
4H
10、残部がC5~C9パラフィン及び0.43%のCO
2)とに基づいて、
図10は、155bbl/d及び261ガロン/tの供給FT液体(GTL-パインデールブロックダイアグラム171112)を示す。
【0057】
縮尺1/10の油井ガスからディーゼル及びジェットAへの転化
1. 1,100MCF/日の天然ガスは、5,400ガロンの燃料(ディーゼル#2又はジェットA)(つまり4.93ガロン/MCF、又は乾燥トンあたり約217ガロン)に転化される。
【0058】
2. ほぼエネルギー中立である。すなわち、1,135kWeが消費され、その一方で948kWeが蒸気タービンによって製造される。
【0059】
3. 質量効率が良好である。すなわち、質量2,083ポンドのガスが入り、1,516ポンドのFT生成物が出て(つまり効率73%)、炭素効率(供給原料で入る炭素(carbon-in)対生成物で出る炭素(carbon-out))は52.6%である。
【0060】
このガス井プロジェクトのフェーズ1は、1/10のエンジニアリングデモンストレータの左側部分のみを使用し(
図11A;
図11B及び
図11Cは、それぞれ、
図11Aの左側及び右側の拡大図である)、ガス井からのシミュレートされた原料を、以下の
図11Aの中央のすぐ左から始まる高温サイクロンフェーズから出発させる。
【0061】
フェーズ1の流れは、CO2、過熱蒸気、及び天然ガス(94%のメタン及び6%のエタン)の投入ガスでサイクロン分離器(中央の左側に表示)から始まり、右から左に移動する。この流れは無酸素である。サイクロンのすぐ左にある大型の蒸気/CO2改質器反応器は、1,200~1,800°Fの高温で実行し、供給ガスの混合物を高品質の合成ガスに転化する。H2/CO比が約2.1の合成ガス生成物は、フィッシャー・トロプシュに供給される。触媒を使用した自動熱ガス化装置を使用せずに坑口ガスのFT生成物への転化を実現することは、まれなことである。開示された発明は、H2S、CS2、COS、チオフェン等の複雑な種類の硫黄化合物を含む油井ガスに固有の触媒毒があるという理由で、触媒の使用を回避する。開示された発明において、これらの硫黄汚染物質は、ZnO及びCuO等の硫黄ゲッターを含む、蒸気/CO2改質反応器のすぐ左の次の装置によって、H2Sに転化され、乾式でスクラブ(scrub)される。その乾式スクラバーの左側には、転化を維持するためにこの合成ガスを急冷する空冷水熱交換凝縮器がある。そして最後に、合成ガスはFT合成システムに移動する前にろ過及びスクラブされる(FT合成システムには、プラントに電力を供給するために使用される電気を作るための小さな固体酸化物燃料電池(SOFC)も含まれる)。
【0062】
次に
図12A(
図12B及び
図12Cは、それぞれ
図12Aの左側及び右側を拡大したものである)を参照して、フィッシャー・トロプシュ法のブロックを図の左側に示す。合成ガスは、125重量ポンド/平方インチ(psig)以下、一部の実施形態では約125psigで稼働する小型のコンプレッサーを介して左下から入る。流入する合成ガスのH
2/CO比は、所望のFT生成物のタイプに応じて、ある値の範囲で制御されるが、一般に、1.5から3.5の範囲であり、いくつかの実施形態では約2.16である。2つの大型のFT反応器は、転化時に2つの段階を達成するために、間の水凝縮器と直列になっている。反応器は、冷却のために、内部水流部及び蒸気形成部を有する垂直のフィン付きチューブを使用する。
【0063】
次に、合成ガスをサンプリングし、熱伝導度検出器を備えたガスクロマトグラフ(GC-TCD)で、このガスを次の図で示されるその成分であるH2、CO、O2、N2、CO2、CH4、C2H4及びC2H2に分けるためのカラムを使用して分析する。このガスクロマトグラフは、アルゴンキャリアガスを使用して、高H2感度のモードに簡単に切り替えることができる。
【0064】
縮尺1/10のデモンストレータからのプロジェクトフェーズ1のテスト結果
ガス原料は、パイプラインの天然ガス(96%のCH4及び4%のC2H6)、並びに過熱蒸気で構成されていた。起動のために、400°Fの空気で加熱し、システムの酸素含有量が2%を下回るまで様々な量のCO2に切り替えてから、1500°FのSRで様々な量の過熱蒸気を添加した。1,500°FにおいてSRで空冷凝縮器のスイッチを入れた。
【0065】
試験プロトコルは、供給ガスの天然ガス含有量をより豊富に増加させるために運転する、以下の連続的な工程を含んでいた。
【0066】
D2Wシミュレーションからの生成物:この例は、WinSimのD2Wソフトウェアを使用したプロセスシミュレーションにより計算された、H2及びFT炭化水素の製造の生産量を示している。
【0067】
【0068】
反応器のセラミック及び合金の寿命を最大化するために、昇温は、約400°F/時の傾斜で慎重に、又は約900°F/時の傾斜で積極的に行い、したがって、1500°F前後の良好な温度に到達するのに約2~5時間かかる。
【0069】
改質器温度
フルサイズユニットの運転及び保守コストに関連する1つの運転パラメータは、1,200~1,600°Fの範囲において適切なH2/CO比の高品質の合成ガスを得るために必要な、蒸気/CO2改質器(SR)の動作温度である。
【0070】
900°Fを超えると、
図5Cは、H
2%と改質器反応器の平均温度とのほぼ直線的な関係を示している。上部に平坦化は見られないが、これは、約1,300°Fが27%のH
2に到達するための最低温度であり、1,600°Fは、H
2/CO=2.16の要求されるFT関係をもたらす目標の54%のH
2に到達するための最低温度であることを示している。GCにモレキュラーシーブカラムを設置することにより、FTに必要なこの比率を得るためのH
2及びCOのデータが示された。
【0071】
図3、
図8、及び
図10に示すように、いくつかの実施形態では、SRは、1850°Fで運転されている。しかし、2.15±0.5のH
2/CO比で1600°FでSRが運転される場合、
図13は、50%を超えるH
2含有量を示している。
図5Cに示すように、過去の商業1tpd単位~商業2tpd単位の典型的な動作温度及びH
2収率は、2050°Fで55%のH
2であった。坑口ガスを供給すると、64%のH
2ピークに達し、H
2/CO比を約2.1に保ちながら、平均52%が1日あたり0.5%しか変動しなかった。これらは非常に安定していた。しかし、
図5Cに示すように、1600°FでのSRの運転は、SR温度対H
2パーセントの傾向線によって予想されるよりも大幅に高いH
2パーセントを提供した。
【0072】
本発明は、約1600°F又は1600°F以下の蒸気/CO2改質器温度で運転することから経済的利益を提供し、改質器の建設において非エキゾチック合金及びより多くの316Lステンレス鋼の使用を可能にし、一方で、必要なFTのH2/CO比を達成するための過熱蒸気添加の量を最少限にする。
【0073】
図14は、本明細書で論じる装置及び方法の組み合わせの別の実施形態を示す。このシステムは、二重回転式改質器、合成ガスを処理する低BTUガスタービン、固体酸化物燃料電池、及び炭素を隔離する炭素又は炭素生成物を製造する電解槽、を示している。このシステムにより、ゼロカーボン生産が達成される。
【0074】
本開示の様々な実施形態の様々な態様を、以下のとおり段落X1又はX2に表す。
【0075】
X1:本開示の一実施形態は、H2及びフィッシャー・トロプシュ液体の少なくとも1つを生成する方法を含み、本方法は、原料を第1の改質器に受け入れる工程と、第1の改質器において、原料の少なくとも一部を蒸気で改質して、投入ガスを生成する工程であり、ある量の投入ガスは合成ガスである、工程と、第1の改質器から主改質器へ投入ガスを移動させる工程と、主改質器において、蒸気で投入ガスを改質して、合成ガスの量を増加させる工程と、合成ガスを主改質器からフィッシャー・トロプシュモジュールへ移動させる工程と、フィッシャー・トロプシュ反応で合成ガスを使用する工程と、フィッシャー・トロプシュモジュールから、H2Oと、フィッシャー・トロプシュ反応によって生成したフィッシャー・トロプシュ液体のうちの少なくとも1つと、フィッシャー・トロプシュ反応によって生成したH2と、を抽出する工程と、を含む。
【0076】
X2:本開示の別の実施形態は、H2と、フィッシャー・トロプシュ液体のうちの少なくとも1つとを生成する方法を含み、本方法は、投入ガスを主改質器に受け入れる工程と、主改質器において、投入ガスを蒸気で改質して合成ガスを生成する工程と、合成ガスを主改質器からフィッシャー・トロプシュモジュールへ移動させる工程と、フィッシャー・トロプシュ反応で合成ガスを使用する工程と、フィッシャー・トロプシュモジュールから、H2Oと、フィッシャー・トロプシュ反応によって生成したフィッシャー・トロプシュ液体のうちの少なくとも1つと、フィッシャー・トロプシュ反応によって生成したH2と、を抽出する工程と、を含む。
【0077】
更に他の実施形態は、以下の態様の1つ又は複数と組み合わせて、上述の段落X1又はX2のいずれかに記載された特徴を含む。
【0078】
本方法は、フィッシャー・トロプシュ反応によって生成したCO及びH2及びCO2を主改質器へ移動させる工程を更に含む。
【0079】
本方法は、フィッシャー・トロプシュ反応によって生成した少なくとも5個の炭素原子を含む炭化水素を主改質器へ移動させる工程を更に含む。
【0080】
合成ガスを主改質器からフィッシャー・トロプシュモジュールへ移動させる工程は、合成ガスがフィッシャー・トロプシュモジュールに入る前に、合成ガスからH2Oを凝縮させることを更に含む。
【0081】
合成ガスは、フィッシャー・トロプシュモジュールへ移動された時、1.5~3.5のH2/CO比を有する。
【0082】
そのH2/CO比は、約2.1である。
【0083】
そのH2/CO比は、約2.16である。
【0084】
そのH2/CO比は、2.16である。
【0085】
そのH2/CO比は、約2.3である。
【0086】
そのH2/CO比は、2.3である。
【0087】
合成ガスを、125psig以下の圧力でフィッシャー・トロプシュモジュールへ移動させる。
【0088】
合成ガスを、約125psigの圧力でフィッシャー・トロプシュモジュールへ移動させる。
【0089】
第1の改質器は回転式改質器である。
【0090】
本方法は、回転式改質器において廃棄物の流れ及び蒸気を受け入れる工程と、回転式改質器において投入ガスを生成する工程と、投入ガスを回転式改質器から主改質器へ移動させる工程と、を更に含む。
【0091】
回転式改質器は回転式改質器動作温度を有し、主改質器は回転式改質器動作温度よりも高い主改質器動作温度を有する。
【0092】
本方法は、投入ガスを石灰と接触させることによって投入ガスから硫黄を抽出する工程を更に含む。
【0093】
本方法は、投入ガスをZnO吸着剤床に沿って通過させることによって、投入ガスから硫黄を抽出する工程を更に含む。
【0094】
本方法は、回転式改質器を使用して、石灰を除去する工程を更に含む。
【0095】
原料は、都市固形廃棄物、医療廃棄物、発酵残渣、及び天然ガスの少なくとも1つを含む。
【0096】
廃棄物の流れは、都市固形廃棄物、医療廃棄物、及び発酵残渣のうちの少なくとも1つを含む。
【0097】
廃棄物の流れは、バイオガスを更に含む。
【0098】
原料はバイオガスを更に含む。
【0099】
発酵残渣は、24質量%から70質量%の水分含有量を有する。
【0100】
発酵残渣は、約50質量%の水分含有量を有する。
【0101】
第1の改質器は、サイクロン分離器である。
【0102】
本方法は、サイクロン分離器において天然ガス及び蒸気を受け入れる工程と、サイクロン分離器において、天然ガス及び蒸気から液体を分離する工程と、サイクロン分離器から天然ガス及び蒸気を投入ガスとして主改質器へ移動させる工程と、を更に含む。
【0103】
ここで、サイクロン分離器は、サイクロン分離器動作温度を有し、主改質器は、サイクロン分離器動作温度よりも高い、主改質器動作温度を有する。
【0104】
主改質器は、1300°Fから1600°Fの主改質器動作温度を有する。
【0105】
主改質器は、1600°F以下の主改質器動作温度を有する。
【0106】
主改質器は、1300°Fから1600°Fの主改質器動作温度を有する。
【0107】
主改質器は、約1600°Fの主改質器動作温度を有する。
【0108】
蒸気は主改質器に供給される。
【0109】
水が主改質器に添加され、蒸気が主改質器内で生成される。
【0110】
蒸気は、廃棄物の流れに存在する水を使用して主改質器内で生成する。
【0111】
第1の改質器内及び主改質器内で燃焼が起こらない。
【0112】
第1の改質器内及び主改質器内の圧力は約1気圧に維持されている。
【0113】
以上の詳細な説明の第一の目的は、本発明の理解を明確にするものであり、様々な修正は本開示を読めば当業者によって行うことができ、本発明の精神から逸脱することなく行えるので、そこから本発明を制限するものではない。主に肺癌の検出に関連して本発明を論じたが、肺に原発性ではない癌又は肺に転移していない癌も検出され得ることを理解されたい。更に、異なるバイオマーカー又は他のデータを使用して、初期分類確率を生成できることを理解しておく必要がある。
【国際調査報告】