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特表2022-511168マイクロ流体デバイスを備える分析システムとマイクロ流体デバイスと関連方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-31
(54)【発明の名称】マイクロ流体デバイスを備える分析システムとマイクロ流体デバイスと関連方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/08 20060101AFI20220124BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20220124BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20220124BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20220124BHJP
【FI】
G01N35/08 A
G01N37/00 101
C12M1/00 A
C12M1/34 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2020557996
(86)(22)【出願日】2019-11-05
(85)【翻訳文提出日】2020-12-01
(86)【国際出願番号】 US2019059773
(87)【国際公開番号】W WO2020162996
(87)【国際公開日】2020-08-13
(31)【優先権主張番号】62/760,604
(32)【優先日】2018-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/825,523
(32)【優先日】2019-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.UNIX
2.JAVA
3.JAVASCRIPT
(71)【出願人】
【識別番号】501345323
【氏名又は名称】ザ ユニバーシティ オブ ノース カロライナ アット チャペル ヒル
【氏名又は名称原語表記】THE UNIVERSITY OF NORTH CAROLINA AT CHAPEL HILL
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリー,ウィリアム ハンプトン
(72)【発明者】
【氏名】プフェファール アダム ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ラムセイ,ジョン マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ペルコウスキー,エレン フット
【テーマコード(参考)】
2G058
4B029
【Fターム(参考)】
2G058DA07
2G058GA06
4B029AA07
4B029BB20
4B029CC01
4B029DG08
4B029FA12
4B029FA15
4B029GA03
4B029GB02
4B029GB06
4B029HA05
(57)【要約】
少なくとも一つのマイクロ流体デバイスを受容するサイズ及び構成を持つ室を有するハウジングを備える分析システム。システムは、少なくとも一つのマイクロ流体デバイスとの光通信状態でハウジングに結合される光学システムと、光学システムに結合されるコントローラと、光学システムに結合されるとともに、ハウジングに固定された少なくとも一つのマイクロ流体デバイスに熱結合される熱源と、コントローラとの通信状態にあるサブアレイ選択モジュールも含む。サブアレイ選択モジュールは、検査中の反応ステップ(例えば一つの熱サイクル)の後で光学システムによる撮像の為にマイクロ流体デバイスの少なくとも一つの流体通路のマイクロウェルセットのサブセットを選択する構成を持つ。
【選択図】 図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析システムであって、
少なくとも一つのマイクロ流体デバイスを受容するサイズ及び構成を持つ室を包含するハウジングと、
前記少なくとも一つのマイクロ流体デバイスとの光通信状態で前記ハウジングに結合される光学システムと、
前記光学システムに結合されるコントローラと、
前記光学システムに結合されるとともに、前記ハウジングに固定される前記少なくとも一つのマイクロ流体デバイスに熱結合される熱源と、
前記コントローラとの通信状態にあるサブアレイ選択モジュールであって、検査中の反応ステップ(例えば一つの熱サイクル)の後で前記光学システムによる撮像の為に前記マイクロ流体デバイスの少なくとも一つの流体通路のマイクロウェルセットのサブセットを選択する構成を持つサブアレイ選択モジュールと、
を包含する分析システム。
【請求項2】
少なくとも一つのマイクロ流体デバイスに隣接して前記ハウジングに固定される磁石をさらに包含し、少なくとも一つの流体通路上で平行移動してビーズの装填作業中にビーズに磁気結合され、前記流体通路上で前記マイクロウェルのビーズ保持セグメントへ移動するようにビーズを誘導する構成を前記磁石が持つ、請求項1のシステム。
【請求項3】
試料投入ポートと反対の第2ポートとの間の方向に関連する長さ寸法に沿って配置される複数のマイクロウェルセットを各々が備える複数の流体通路を前記マイクロ流体デバイスが包含し、前記マイクロウェルセットの選択対象サブセットが、複数の前記流体通路のうち横に整列した第1マイクロウェルサブセットによる単一の横列、任意で前記複数の流体通路の各通路による一つの整列マイクロウェルサブセットと関連する、請求項1のシステム。
【請求項4】
光励起に先行して、前記サブアレイ選択モジュールが、前記マイクロ流体デバイスの他の前記マイクロウェルセットの位置を規定する前記マイクロウェルセットのサブセットを特定する、請求項1のシステム。
【請求項5】
前記サブアレイ選択モジュールが、前記検査の異なる反応ステップ(例えば前記検査の異なる熱サイクル)で前記マイクロ流体デバイスの前記マイクロウェルセットの異なるサブセットを選択し、前記異なる流体通路の前記マイクロウェルセットのうち現在選択対象サブセットのみを励起するように前記光学システムに指示し、そして現在選択対象サブセットの前記マイクロウェルセットの異なるサブセットの画像を逐次的または並行的に捕捉するように前記光学システムのカメラに指示する、請求項1のシステム。
【請求項6】
前記サブアレイ選択モジュールが、前記検査の少なくとも幾つかの異なる連続反応ステップ(例えば前記検査の異なる熱サイクル)で同じ前記マイクロウェルサブセットを選択し、前記マイクロウェルセットのうち現在選択対象サブセットのみに光を伝送するように前記光学システムに指示し、そして前記マイクロウェルセットの異なるサブセット、任意で同時選択された前記マイクロウェルサブセットのうち隣接マイクロウェルセットのペアの画像を逐次的又は並行的に捕捉するように前記光学システムのカメラに指示する、請求項1のシステム。
【請求項7】
前記光学システムが、前記マイクロ流体デバイスの少なくとも一つの流体通路の前記マイクロウェルセットのうち一つ以上に保持されるビーズセットを解読する為の第1および第2標的コード化ビーズに対応する励起光の第1及び/又は第2波長を規定する少なくとも第1及び/又は第2フィルタを包含する、請求項1のシステム。
【請求項8】
前記コントローラに一体化及び/又は結合されるシグナル分析モジュールをさらに包含して、前記シグナル分析モジュールが、前記マイクロウェルセットの前記選択対象サブセットの各マイクロウェルの為のアナログシグナルを取得する構成を持ち、前記アナログシグナルが前記検査のサイクルの振幅変化としてPCRデータを提供し、規定のビーズタイプと関連する反応についての標的分子の濃度が前記アナログシグナルにより判定される、請求項1のシステム。
【請求項9】
前記シグナル分析モジュールがさらに、前記マイクロウェルセットのデジタルPCRシグナルを取得する構成を持つ、請求項8のシステム。
【請求項10】
前記アナログシグナルが、前記流体通路の前記マイクロウェルセットのうち一つ以上の投入物質についてのPCRサイクル数における振幅変化としてリアルタイムPCRデータを提供し、規定ビーズタイプの分子濃度が1マイクロウェル当たり約1分子であるか1分子に等しいか1分子より大きく、前記アナログシグナルが、蛍光シグナル強度(Si)が閾値より大きい時に陽性としてのマイクロウェル反応と、標的種及び/又は分子タイプについての標的分子数/標的分子濃度とを特定するか、蛍光シグナル強度(Si)が所与のPCRサイクル数についての閾値より常に低い場合に陰性と特定する閾値サイクル又はサイクル閾値Ctを規定する、請求項8のシステム。
【請求項11】
前記CtがSi>>Bsのサイクル数であって、>>が、Bsより少なくとも5~10%、任意で2倍、及び/又は、Bsの標準偏差の5~10倍大きく、Bsが、任意でPCR陰性反応で測定される背景蛍光シグナルである、請求項10のシステム。
【請求項12】
前記検査の複数の異なる反応ステップ(例えば前記検査の異なる熱サイクル)の一つおき又は各々の後で各流体通路の前記マイクロウェルセットの単一サブセットのみについて前記アナログシグナルが取得される、請求項8のシステム。
【請求項13】
前記アナログシグナルが、各規定ビーズタイプに対応する前記アナログシグナルとしてのSiの平均値(任意で外れ値データを除外)、中央値、最頻値、加重値を包含し、前記マイクロ流体デバイスの当該流体通路の為の他のマイクロウェルセットのマイクロウェルでの同様の反応についてのリアルタイムPCR曲線の推定値として提供されることにより、異なる反応サイクル又は各反応サイクルの後で各流体通路の全てのマイクロウェルセットが撮像されなくても単一サイクル解像度を可能にする、請求項8のシステム。
【請求項14】
前記光学システムが、前記マイクロ流体デバイスのマイクロウェルサブセットのみをカバーする視野(FOV)を持つカメラを包含し、前記サブセットが、前記マイクロ流体デバイスの少なくとも二つ、任意で全て(例えば横列全体)の隣接流体通路に所在する、請求項1のシステム。
【請求項15】
前記コントローラ及び/又は前記シグナル分析モジュールが、任意で、前記検査の異なる反応ステップでのマイクロウェルセットの前記選択対象サブセットを使用して取得されるアナログデータとともに、プレ及びポストPCR画像を取得してその間のシグナル強度を比較するように前記光学システムに指示して、陽性及び陰性のPCR反応を判定し、任意で前記流体通路に提供される元試料での標的種の濃度及び/または分子濃度を判定する構成を持つ、請求項1のシステム。
【請求項16】
複数のマイクロ流体デバイスを前記ハウジングの整列グリッドに固定する構成を持つホルダをさらに包含する、請求項1のシステム。
【請求項17】
前記ホルダが、隣接するマイクロ流体デバイスの間に熱バリアを設ける断熱材を包含し、任意で、前記流体通路への投入ポートが外向きの状態で前記ホルダが前記複数のマイクロ流体デバイスを固定する、請求項1のシステム。
【請求項18】
前記マイクロ流体デバイスが色素均一剤をさらに包含し、任意で、前記色素均一剤がオリゴヌクレオチド、任意で非拡張性オリゴヌクレオチド及び/又は部分的二本鎖DNA(例えばビオチン及び/又はC1-120炭化水素鎖を包含する部分的二本鎖の標準DNA)を包含する、請求項1のシステム。
【請求項19】
前記色素均一剤が前記マイクロ流体デバイスに存在するマスターミックスに存在し、前記マイクロ流体デバイスに存在するビーズに前記色素均一剤が付着する、請求項18のシステム。
【請求項20】
標的種及び/又は標的分子を特定する方法であって、
第1流体通路上に配置される複数のマイクロウェルセットを含む第1流体通路を流体分析デバイスに設けることと、
前記複数のマイクロウェルセットの規定サブセットのみからシグナル強度データを取得することと、
取得された前記シグナル強度データの少なくとも一部に基づいてビーズタイプ及び/又は標的分子と関連する標的種及び/又は分子タイプについて陽性であるPCR反応を特定することと、
を包含する方法。
【請求項21】
密閉後に各マイクロウェルセットが互いに流体隔離状態であるように、前記取得ステップの前に前記第1流体通路上の前記複数のマイクロウェルセットを装填及び密閉することをさらに包含し、前記第1流体通路上の前記複数のマイクロウェルセットが前記密閉ステップに先行する前記装填中にのみ流体連通状態にある、請求項20の方法。
【請求項22】
検査の複数の連続反応ステップの各々の後で(例えば検査の複数の連続熱サイクルの各々の後で)前記複数のマイクロウェルセットの前記規定サブセットを異なる規定サブセットに変更することにより幾つかのマイクロウェルサブセットが各反応ステップの後で撮像されないことをさらに包含する、請求項20の方法。
【請求項23】
検査の複数の連続反応ステップにわたって(例えば前記検査の複数の連続熱サイクルの各々の後で)前記規定サブセットが同じままであることにより各反応ステップの後で幾つかのマイクロウェルセットが撮像されない、請求項20の方法。
【請求項24】
前記流体分析デバイスがさらに、
前記第2流体通路上で離間している複数のマイクロウェルセットを含む第2流体通路と、
前記第3流体通路上で離間している複数のマイクロウェルセットを含む第3流体通路と、
前記第4流体通路上で離間している複数のマイクロウェルセットを含む第4第2流体通路と、
のうち一つ以上を限定的にではなく含む多数の流体通路を包含し、
前記第1、第2、第3及び第4流体通路の各々の前記複数のマイクロウェルセットのうちの第1マイクロウェルセットが第1横列として整列され、前記第1、第2、第3及び第4流体通路の各々の前記複数のマイクロウェルセットのうちの第2マイクロウェルセットが第2横列として整列され、前記第1、第2、第3及び第4流体通路の各々の前記複数のマイクロウェルセットのうちの第3マイクロウェルセットが第3横列として整列され、前記第1、第2、第3及び第4流体通路の各々の前記複数のマイクロウェルセットのうちの第4マイクロウェルセットが第4横列として整列され、
前記規定サブセットが前記第1、第2、第3及び第4横列のうちの単一横列である、
請求項20の方法。
【請求項25】
前記第1、第2、第3及び第4流体通路が、実質的に互いに平行であって前記第1、第2、第3及び第4マイクロウェルセットとなる直線状又は円弧状のセグメントを包含する、請求項24の方法。
【請求項26】
さらに、
前記取得ステップの前に前記規定サブセットのみに光励起シグナルを伝送して、前記光励起シグナルの伝送を受けて前記シグナルを取得することと、
前記伝送及び取得ステップの後、前、又は前後に前記複数のマイクロウェルセットの前記規定サブセットをデジタル走査して、デジタルPCRと関連する陽性及び陰性のPCR反応を特定する為の前記マイクロウェルセットの画像を取得することと、
前記マイクロウェルが撮像温度にある状態で一つ以上の標的分析物分子について陽性である前記マイクロウェルセットのマイクロウェルを電子的に特定することと、
を包含する、請求項20の方法。
【請求項27】
検査の複数の連続反応ステップ(例えば熱サイクル)の各々の後で前記マイクロウェルセットのうち一つのみの規定サブセットを撮像するように前記励起及び取得が行われ、前記一つのみの規定サブセットが連続したものが互いに異なっている、請求項20の方法。
【請求項28】
異なる規定マイクロウェルセットの画像を連続的又は並行的に取得することにより前記流体通路のうち少なくとも二つの隣接通路の一つのみのマイクロウェルセット又は前記マイクロウェルセットのサブセットのみをカバーする視野(FOV)を持つ少なくとも一つのカメラを使用して、前記規定サブセットのみからの前記シグナル強度の取得が行われる、請求項20の方法。
【請求項29】
前記マイクロウェルセットの各々が1,000及び100万個の範囲の当該マイクロウェのマイクロウェルアレイを包含し、前記流体分析デバイスが、前記マイクロウェルアレイを含む前記マイクロウェルセットを各々が備える複数の離間した流体通路を包含し、前記流体通路が流体隔離状態にあり、前記マイクロウェルアレイの前記マイクロウェルの少なくとも幾つかが単一のビーズを収容し、任意で、前記マイクロウェルの幾つか又は全てがビーズを含まないか一つ以上のビーズを収容する、請求項20の方法。
【請求項30】
前記伝送及び取得ステップの前に前記マイクロ流体デバイスの一つ以上の位置に所在する一つ以上のマイクロウェルセットの部位を電子的に特定することと、特定された前記部位の前記部位に少なくとも部分的に基づいて他の前記マイクロウェルセットの位置を規定することとを包含する、請求項20の方法。
【請求項31】
さらに、前記取得ステップの前に前記規定サブセットのみに光励起シグナルを伝送することと、前記伝送の前に、前記伝送ステップにコード化波長を提供するフィルタを選択することとを包含する、請求項20の方法。
【請求項32】
さらに前記シグナル強度の取得が、前記マイクロウェルセットの投入物質についての振幅変化対PCRサイクル数としてリアルタイムPCRデータを提供できるアナログシグナルを取得することを包含し、規定のビーズタイプの分子濃度が、1マイクロウェル当たり約1分子であるか1分子に等しいか1分子より大きく、前記アナログシグナルが、蛍光シグナル強度(Si)が閾値より高い時に陽性としてのマイクロウェル反応と、標的種及び/又は分子タイプについての標的分子数/標的分子濃度とを特定して、前記蛍光シグナル強度(Si)が所与のPCRサイクル数についての前記閾値より常に低い場合に陰性を特定する閾値サイクル又はサイクル閾値Ctを規定する、請求項20の方法。
【請求項33】
前記CtがSi>>Bsのサイクル数であり、>>が、Bsより少なくとも5~10%、任意で2倍大きい、及び/又は、Bsの標準偏差の5~10倍であり、Bsは、任意でPCR陰性反応で測定される背景蛍光シグナルである、請求項32の方法。
【請求項34】
前記検査の複数の異なる反応ステップ(例えば前記検査の異なる熱サイクル)の一つ置き又は各々の後に、一つ以上の流体通路での前記マイクロウェルセットの単一サブセットのみについて前記アナログシグナルが取得される、請求項32の方法。
【請求項35】
前記アナログシグナルが、各規定ビーズタイプに対応する前記アナログシグナルとしてSi(任意で外れ値データが廃棄される)の平均値、中央値、最頻値、又は加重値を包含し、前記マイクロ流体デバイスの当該流体通路について、他のマイクロウェルセットのマイクロウェルでの同様の反応についてのリアルタイムPCR曲線の推定値として提供されることにより、各流体通路のマイクロウェルセットの全てが異なる反応ステップの後で撮像されなくても単一サイクル解像度を可能にする、請求項32の方法。
【請求項36】
前記マイクロ流体デバイスの前記マイクロウェルセットのサブセットのみをカバーし前記マイクロ流体デバイスの少なくとも二つ、任意で全ての隣接流体通路に存在するカバーする視野(FOV)を持つカメラを使用することにより、前記シグナル強度の取得が行われる、請求項20の方法。
【請求項37】
前記検査の複数の異なる反応ステップ(例えば前記検査の異なる熱サイクル)の後で各流体通路の前記マイクロウェルセットの単一セットのみについて前記アナログシグナルが取得され、前記アナログシグナルが、各規定ビーズタイプに対応する前記アナログシグナルとしてのSiの平均値、中央値、最頻値、又は加重値を包含し、前記マイクロ流体デバイスの当該流体通路について、他のマイクロウェルセットのうちのマイクロウェルの同様の反応についてのリアルタイムPCR曲線の推定値として提供されることにより、異なる反応ステップの後で各流体通路の全てのマイクロウェルセットが撮像されなくても単一サイクル解像度を可能にする、請求項32の方法。
【請求項38】
前記第1流体通路上で離間した前記複数のマイクロウェルセットを含む前記第1流体通路を備える前記流体分析デバイスが、当該の長さにおいて離間している当該の複数のマイクロウェルセットを各々が包含する複数の追加流体通路を包含し、前記流体分析デバイスがさらに、前記第1流体通路及び前記複数の追加流体通路の各々について別々の物質投入ポートを包含し、前記流体通路の少なくとも幾つかが反対の共通第2ポートを共有して、
さらに前記取得ステップの前に、
分析の為の当該試料に予備露出されたビーズスラリを当該の投入ポートへ流体により装填することと、
前記流体通路上の異なるマイクロウェルセットへ流入するように前記ビーズスラリを磁気的に誘導することと、
色素を包含する流体マスターミックスを前記第2ポートから前記流体通路を経て前記第1ポートへ流動させることであって、前記マスターミックスが任意で色素均一剤を包含し、任意で、前記色素均一剤が、オリゴヌクレオチド(例えば非拡張性オリゴヌクレオチド及び/又は部分的二本鎖DNA(例えばビオチン及び/又はC1-C20炭化水素鎖を包含する部分的二本鎖DNA))であるかこれを包含することと、そして、
前記第2ポートから前記流体通路を経て前記第1ポートへ密閉オイルを流動させることにより前記マイクロウェルセットと前記流体通路とを互いから密閉することと、
を包含する方法である、
請求項20の方法。
【請求項39】
前記流体分析チップに隣接して磁石を載置することと、前記流体マスターミックス及び密閉オイルを流動させる前に前記第2ポートへ前記磁石を平行移動させることとをさらに包含する、請求項38の方法。
【請求項40】
前記流体分析デバイス(任意で前記第1流体通路及び/又は前記複数のマイクロウェルセット)は色素均一剤を包含し、任意で前記色素均一剤は、オリゴヌクレオチド(例えば非拡張性オリゴヌクレオチド及び/又は部分的二本鎖DNA(例えばビオチン及び/又はC1-C20炭化水素鎖を包含する部分的二本鎖DNA))を包含する、請求項20の方法。
【請求項41】
前記色素均一剤が、(例えば前記第1流体通路及び/又は前記複数のマイクロウェルセットに存在する)前記流体分析デバイスに存在するマスターミックスに存在する、及び/又は、(例えば前記第1流体通路及び/又は前記複数のマイクロウェルセットに存在する)前記流体分析デバイスに存在するビーズに前記色素均一剤が付着される、請求項40のシステム。
【請求項42】
分析の為のマイクロ流体デバイスであって、
複数の流体通路であり、第1ポートと反対の第2ポートとの間の方向に対応する長さ寸法を各々が有する複数の流体通路であって、前記長さ寸法の少なくとも一部分が直線状又は円弧状の長さセグメントとして構成され、前記長さ寸法の前記直線状または前記円弧状の長さセグメントに配置される複数のマイクロウェルセットを各々が包含する流体通路、
を包含する、分析の為のマイクロ流体デバイス。
【請求項43】
前記複数の流体通路の前記複数のマイクロウェルセットが横列、縦列、又は横列及び縦列に配設され、前記横列又は縦列が前記直線状又は円弧状の長さセグメントに対応する、請求項42のマイクロ流体デバイス。
【請求項44】
前記複数の流体通路の少なくとも幾つかが前記直線状又は円弧状の長さセグメントにおいて実質的に平行である、請求項42のマイクロ流体デバイス。
【請求項45】
前記複数の流体通路の少なくとも幾つかが円弧状で実質的に平行な通路であって前記円弧状長さセグメントを包含する、請求項42のマイクロ流体デバイス。
【請求項46】
前記複数の流体通路の少なくとも幾つかが実質的に平行であってデバイスの外周部分とデバイスの中心との間で径方向に延在する、請求項42のマイクロ流体デバイス。
【請求項47】
前記複数の流体通路が、第1流体通路セットと、前記第1セットから離間している第2流体通路セットとを包含し、前記第1流体通路セットが前記第2ポートとしての第1マスターミックスポートを終端とし、前記第2流体通路セットが前記第2ポートとしての第2マスターミックスポートを終端とする、請求項42のマイクロ流体デバイス。
【請求項48】
前記第1及び第2流体通路セットが周方向に離間している、請求項42のマイクロ流体デバイス。
【請求項49】
前記複数の流体通路が、第1近傍セットを画定する少なくとも二つの流体通路と、前記第1近傍セットに隣接する第2近傍セットを画定する少なくとも二つの通路とを包含し、空間的に整列されたマイクロウェルセットを各々が備える、請求項42のマイクロ流体デバイス。
【請求項50】
前記第1近傍セット及び前記第2近傍セットの第1及び第2流体通路の各々の間の第1間隙空間をさらに包含するデバイスであって、前記第1近傍セットと前記第2近傍セットとの間の第2間隙空間をさらに包含するデバイスであり、前記第2間隙空間が前記第1間隙空間より大きい横範囲を有する、請求項49のマイクロ流体デバイス。
【請求項51】
前記複数の流体通路の各々の前記複数のマイクロウェルセットが共通の構成を有し、前記流体通路の各々の前記複数のマイクロウェルセットが横列及び/又は縦列として互いに整列され、前記複数の流体通路が当該の投入物質を互いからの流体隔離状態で保持する、請求項42のデバイス。
【請求項52】
当該の流体通路の為の少なくとも複数のマイクロウェルセットの各々が、1,000~1,000,000個の範囲の量のマイクロウェルを包含し、前記マイクロウェルセットの前記マイクロウェルが単一のビーズを固定及び保持するサイズ及び構成を持つことによりマイクロ流体デバイスにおいて1,000~10億回の反応を可能にする、請求項42のマイクロ流体デバイス。
【請求項53】
少なくとも第1及び第2流体通路からの第1及び第2マイクロウェルのセット、任意でペアが隣接のマイクロウェルサブセットによる第1セットを画定し、前記流体通路の前記複数のマイクロウェルセットにわたって延在する透明の基材を包含するデバイスである、請求項42のマイクロ流体デバイス。
【請求項54】
前記複数の流体通路の各流体通路が、第1端部の別々の第1ポートを前記第1ポートとして包含し、交互する前記第1ポートの一方がデバイスの第1縦位置に所在して、交互する他方が前記第1縦位置から前記長さ寸法において離間しているデバイスの第2縦位置に所在する、請求項42のマイクロ流体デバイス。
【請求項55】
前記第1ポートが物質投入ポートであって当該の流体通路の第1端部に所在し、前記流体通路の少なくとも幾つかの反対第2端部を前記第2ポートと接続する流体マニホルドをさらに包含するデバイスである、請求項42のマイクロ流体デバイス。
【請求項56】
前記流体通路がデバイスにおいて径方向に延在し、当該の流体通路の前記投入ポートがデバイスの外周部分に所在し、前記第2ポートが、前記流体通路の各々に接続されるデバイスの中心に所在する単一の第2ポートである、請求項42のマイクロ流体デバイス。
【請求項57】
前記流体通路の少なくとも幾つかが、前記円弧状長さセグメントを各々が有する同心の流体通路セットとして設けられる、請求項42のマイクロ流体デバイス。
【請求項58】
前記円弧状長さセグメントを有する同心の流体通路セットが、周方向に離間する複数の同心の流体通路セットとして設けられる、請求項42のマイクロ流体デバイス。
【請求項59】
マイクロ流体デバイスがさらに色素均一剤を包含し、任意で、前記色素均一剤がオリゴヌクレオチド(例えば非拡張性オリゴヌクレオチド及び/又は部分的二本鎖DNA(例えばビオチン及び/又はC1-C20炭化水素鎖を包含する部分的二本鎖DNA))を包含する、請求項42のマイクロ流体デバイス。
【請求項60】
前記色素均一剤がマイクロ流体デバイスに存在するマスターミックスに存在する、及び/又は、前記色素均一剤がマイクロ流体デバイスに存在するビーズに付着される、請求項59のマイクロ流体デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2018年11月13日に出願された米国仮特許出願番号第62/760,604号と、2019年3月28日に出願された米国仮特許出願番号第62/825,523号との利益及び優先権を主張し、参照により両出願の内容は完全に記載されたかのように本願に取り入れられる。
【0002】
(連邦政府支援の記載)
本発明は、米国国防省(DARPA)から付与された認可第HR0011-12-2-0001による政府支援により行われた。米国政府は本発明に一定の権利を有する。
【0003】
(配列表の電子出願に関する記載)
特許法施行規則§1.821に基づいて提出され、5470-860WO_ST25.txtの名称で、817バイトのサイズであり、2019年10月29日に作成されてEFS-Webを介して提出されたASCIIテキストフォーマットの配列表は、紙コピーの代わりに提示されたものである。この配列表は、その開示の為に参照により明細書に取り入れられる。
【0004】
(著作権の留保)
本特許文献の開示の一部分は、著作権保護の対象である物質を含む。著作権者であるノースカロライナ州チャペルヒル(Chapel Hill)のノースカロライナ大学(The University of North Carolina)は、米国特許商標庁特許ファイルまたは記録に記されているので、いずれかの者による特許文献又は特許開示の再現に異議を唱えないが、その他の点ではいかなるものであれ全ての著作権を留保する。
【0005】
本発明は、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)データをコード化ビーズマイクロウェルアレイから取得するのに適しているようなシステム、流体デバイス(例えば高処理量マイクロ流体デバイス)と、その使用方法に関する。
【背景技術】
【0006】
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)はゲノムDNA(gDNA)又は相補的DNA(cDNA)のセグメントの増幅の為の高感度方法である。PCRは、多くの用途、例えば、病原性有機体の存在を判定する核酸の痕跡量の検出、遺伝子発現、遺伝子型決定、遺伝子操作又は改変、そして法科学の用途を有する。PCR増幅では、広範囲の分析物濃度にわたって顕著な標的特定及び定量化が行われる。しかしながら、PCRによる多くの分析物の同時的定量分析は、極めて困難であることが判明している。挿入色素蛍光性に基づく検出は、dsDNA全体の濃度を判定することのみが可能であり、それゆえこの検出方法を使用した単一の反応槽での多数のテンプレートの同時分析は可能でない。シグナリングレポーターとしての異なる色の蛍光プローブを使用して各標的が増幅されるので、反応の低レベルマルチプレックス化には、蛍光プローブ技術(つまりタックマン(TaqMan)、分子ビーコン、又は他の化学的構造)が使用されうる。プローブは配列特異的でもあって、プライマーダイマー形成又は非特異的増幅による偽陽性を減少させる。従来のマイクロタイタープレート又はマイクロ流体リアルタイムPCR(rt-PCR)のいずれかによる一般的なマルチプレックス化方法は、三つの異なるカラープローブを各々が収容する少数の反応ウェルを使用するものである。しかしながら、マルチプレックス化プライマー及びプローブセットの設計は、互いとの適合性を保証するのに慎重な設計及び最適化レベルの追加を必要とするので、概ね困難であると考えられる。少なくとも6個の色素によるマルチプレックス化は実証されているが、この方法によるマルチプレックス化は最終的に器具類及び色素間のスペクトル重複により約4個のカラーの検出に限定され、一般的に内側の基準色素に一つのカラーが用意される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態は、任意でリアルタイムPCRデータを取得する間にコード化ビーズアレイでの光退色を制限する方法を提供する。
【0008】
本発明の実施形態は、コード化ビーズアレイとの使用に特に適しているPCRマスターミックス及び磁性粒子の化学的構造の処方を提供する。
【0009】
本発明は、検査の為の試料分析デバイスと、流体デバイスのマイクロウェルのアレイからの信号を分析する為のシステムと、検査方法とに関する。
【0010】
本発明の実施形態は分析システムに関する。システムは、少なくとも一つのマイクロ流体デバイスを受容するサイズ及び構成を持つ室を包含するハウジングと、少なくとも一つのマイクロ流体デバイスとの光通信状態でハウジングに結合される光学システムと、光学システムに結合されるコントローラと、光学システムに結合されて、ハウジングに固定された少なくとも一つのマイクロ流体デバイスに熱結合される熱源と、コントローラとの通信状態にあるサブアレイ選択モジュールとを含む。サブアレイ選択モジュールは、検査中に反応ステップ(例えば一つの熱サイクル)の後で光学システムによる撮像の為にマイクロ流体デバイスの少なくとも一つの流体通路のマイクロウェルセットのサブセットを選択する構成を持つ。
【0011】
システムは、少なくとも一つのマイクロ流体デバイスに隣接してハウジングに固定される少なくとも一つの磁石を含みうる。磁石は、ビーズの装填作業中に少なくとも一つの流体通路上で平行移動してビーズに磁気結合され、流体通路上でマイクロウェルのビーズ保持セグメントへ移動するようにビーズを誘導する構成を持ちうる。
【0012】
マイクロ流体デバイスは複数の流体通路を含み、試料投入ポートと反対の第2ポートとの間の方向と関連する長さ寸法に沿って配置される複数のマイクロウェルセットを各々が備える。マイクロウェルセットの選択対象サブセットは、複数の流体通路の横整列の第1マイクロウェルサブセット、任意で複数の流体通路の各流体通路からの整列マイクロウェルの一つのサブセットによる単一の横列と関連しうる。
【0013】
初期画像捕捉及び/又は光励起に先行して、サブアレイ選択モジュールは、マイクロウェルセットのサブセットを特定してマイクロ流体デバイスの他のマイクロウェルセットの位置を規定する。
【0014】
サブアレイ選択モジュールは、検査の異なる反応ステップ(例えば検査の異なる熱サイクル)においてマイクロ流体デバイスのマイクロウェルセットの異なるサブセットを選択し、異なる流体通路のマイクロウェルセットのうち現在選択対象のサブセットのみを励起するように光学システムに指示し、そして現在選択対象のサブセットでのマイクロウェルセットの異なるサブセットの画像を逐次的又は並行的に捕捉するように光学システムのカメラに指示する。
【0015】
サブアレイ選択モジュールは、検査の少なくとも幾つかの異なる連続反応ステップ(例えば検査の異なる熱サイクル)で同じマイクロウェルサブセットを選択し、マイクロウェルセットの現在選択対象サブセットのみに光を伝送するように光学システムに指示し、そして現在選択対象のマイクロウェルサブセットでのマイクロウェルセットの異なるサブセット、任意で隣接マイクロウェルセットによるペアの画像を逐次的又は並行的に捕捉するように光学システムのカメラに指示する。
【0016】
光学システムは、マイクロ流体デバイスの少なくとも一つの流体通路の一つ以上のマイクロウェルセットに保持されるビーズセットを解読する為に第1及び第2標的コード化ビーズに対応する当該の第1及び/又は第2励起光波長を規定する少なくとも第1及び/又は第2フィルタ(任意で3~100など二つより多い)を有しうる。
【0017】
システムは、コントローラに一体化及び/又は結合されるシグナル分析モジュールを有しうる。シグナル分析モジュールは、マイクロウェルセットの選択対象サブセットの各マイクロウェルの為のアナログシグナルを取得する構成を持ちうる。アナログシグナルは検査のサイクルによる振幅変化としてPCRデータを提供することができ、規定のビーズタイプと関連する反応についての標的分子の濃度は、アナログシグナルにより判定される。
【0018】
シグナル分析モジュールはさらに、マイクロウェルセットのデジタルPCRシグナルを取得する構成を持ちうる。
【0019】
アナログシグナルは、流体通路の一つ以上のマイクロウェルセットでの投入物質のPCRサイクル数に対する振幅変化としてリアルタイムPCRデータを提供し、規定のビーズタイプの分子濃度は1マイクロウェル当たり約1分子である、1分子に等しい、又は1分子より大きい。アナログシグナルは、蛍光シグナル強度(Si)が閾値より高い時に陽性としてのマイクロウェル反応と標的種及び/又は分子タイプについての標的分子数/標的分子濃度とを特定するか、蛍光シグナル強度(Si)が所与のPCRサイクル数について閾値より常に低い場合に陰性と特定する閾値サイクル又はサイクル閾値Ctを規定できる。CtはSi>>Bsのサイクル数であり、>>はBsよりも少なくとも5~10%、任意で2倍より大きい、及び/又はBsの標準偏差の5~10倍であり、Bsは任意でPCR陰性反応において測定される背景蛍光シグナルである。
【0020】
検査の複数の異なる反応ステップ(例えば検査の異なる熱サイクル)の一つおき又は各々の後に各流体通路のマイクロウェルセットの単一のサブセットのみについてアナログシグナルが取得されうる。
【0021】
アナログシグナルは、各規定ビーズタイプに対応するアナログシグナルとしてのSiの平均値(任意で外れ値データを除外)、中央値、最頻値、又は加重値であり、マイクロ流体デバイスの当該の流体通路の他のマイクロウェルセットのマイクロウェルにおける同様の反応についてのリアルタイムPCR曲線の推定値として提供されることにより、異なる反応サイクル又は各反応サイクルの後で各流体通路の全てのマイクロウェルセットが撮像されなくても単一サイクル解像度を可能にする。
【0022】
光学システムは、マイクロ流体デバイスの少なくとも二つ、任意で全ての隣接流体通路のマイクロウェルサブセットのみをカバーする視野(FOV)を持つカメラを有しうる。
【0023】
幾つかの特定実施形態において、規定のFOVは、2~10本以上の間の隣接流体通路、及び/又は、マイクロ流体デバイスの流体通路の総数の10~15%の間を任意でカバーする。
【0024】
コントローラ及び/又はシグナル分析モジュールは、プレ及びポストPCR画像を取得するように光学システムに指示して、任意で、検査の異なる反応ステップのマイクロウェルセットの選択対象サブセットを使用して取得されるアナログデータとともに、間のシグナル強度を比較し、陽性及び陰性のPCR反応を判定して、流体通路に提供される元試料の標的種の濃度及び/又は分子濃度を任意で判定する構成を持ちうる。
【0025】
システムはさらに、複数のマイクロ流体デバイスをハウジングの整列グリッドに固定する構成を持つホルダを含みうる。
【0026】
ホルダは、隣接マイクロ流体デバイスの間に熱バリアを提供する断熱材で形成され、任意でホルダは、流体通路への(試料/ビーズ)投入ポートが外向きの状態で複数のマイクロ流体デバイスを固定できる。
【0027】
マイクロ流体デバイスはさらに色素均一剤を含み、任意で色素均一剤はオリゴヌクレオチドを包含する。
【0028】
色素均一剤は、非拡張性オリゴヌクレオチド及び/又は部分的二本鎖DNAを含みうる。
【0029】
色素均一剤は、ビオチン及び/又はC1-C20炭化水素鎖を包含する部分的二本鎖DNAを含みうる。
【0030】
色素均一剤は、マイクロ流体デバイスに存在するマスターミックスに存在しうる、及び/又は、色素均一剤は、マイクロ流体デバイスに存在するビーズに付着されうる。
【0031】
他の実施形態は、標的種及び/又は標的分子を特定する為など、試料を分析する方法に関する。この方法は、第1流体通路上に配置される複数のマイクロウェルセットを含む第1流体通路を備える流体分析デバイスを用意することと、(任意で光励起シグナルの伝送を受けて)複数のマイクロウェルセットの規定サブセットのみからシグナル強度データを取得することと、取得されたシグナル強度データに少なくとも部分的に基づいてビーズタイプ及び/又は標的分子と関連する標的種及び/又は分子タイプについて陽性であるPCR反応を特定することとを含む。
【0032】
この方法は、(試料で前処理されたビーズスラリを)装填することと、それから密閉後に各マイクロウェルセットが互いに流体隔離状態になるように取得ステップの前に第1流体通路上の複数のマイクロウェルセットを密閉することとを含みうる。第1流体通路上の複数のマイクロウェルセットは、密閉ステップに先行する装填の間のみ流体連通状態にありうる。
【0033】
この方法は、検査の複数の連続反応ステップの各々の後で(例えば検査の複数の連続熱サイクルの各々の後で)複数のマイクロウェルセットの規定サブセットを異なる規定サブセットに変更することにより幾つかのマイクロウェルセットが各反応ステップの後で撮像されないことを含みうる。
【0034】
規定サブセットは、検査の複数の連続反応にわたって(例えば、検査の複数の連続熱サイクルの各々の後で)同じままであることにより、幾つかのマイクロウェルセットは各反応ステップ後に撮像されない。
【0035】
流体分析デバイスは、第2流体通路上で離間している複数のマイクロウェルセットを備える第2流体通路と、第3流体通路上で離間している複数のマイクロウェルセットを備える第3流体通路と、第4流体通路上で離間している複数のマイクロウェルセットを備える第4第2流体通路とを限定を伴わずに含む、任意で2~100個の間の当該のマイクロウェルを備える多数の流体通路を含みうる。第1、第2、第3、第4流体通路の各々の複数のマイクロウェルセットのうち第1マイクロウェルセットは、第1横列として整列されうる。第1、第2、第3、第4流体通路の各々の複数のマイクロウェルセットのうち第2マイクロウェルセットは、第2横列として整列されうる。第1、第2、第3、第4流体通路の各々の複数のマイクロウェルセットのうち第3マイクロウェルセットは、第3横列として整列されうる。第1、第2、第3、第4流体通路の各々の複数のマイクロウェルセットのうち第4マイクロウェルセットは、第4横列として整列されうる。規定のサブセットは、第1、第2、第3、第4横列のうち単一の横列(の一部又は全体)でありうる。
【0036】
第1、第2、第3、第4流体通路は、互いに実質的に平行であって第1、第2、第3、第4マイクロウェルセットとなる直線状又は円弧状セグメントを有しうる。
【0037】
この方法はさらに、取得ステップの前に規定のサブセットのみに光励起シグナルを伝送することと、伝送及び取得ステップの後、前、又は前後に複数のマイクロウェルセットの規定サブセットをデジタル走査してデジタルPCRと関連する陽性及び陰性PCR反応を特定する為のマイクロウェルセットの画像を取得することと、マイクロウェルが撮像温度にある間に一つ以上の標的分析物分子について陽性であるマイクロウェルセットのマイクロウェルを電子的に特定することとを含みうる。
【0038】
励起及び取得ステップは、検査の複数の連続反応ステップ(例えば熱サイクル)の各々の後でマイクロウェルセットの規定サブセットを一つのみ走査するように行われ、連続する一つ一つの規定サブセットは互いに異なりうる。
【0039】
規定のサブセットのみからのシグナル強度の取得は、マイクロウェルセットの規定サブセットの異なる流体通路の異なる規定の隣接マイクロウェルセットの画像を連続的又は並行的に取得することにより流体通路のうち隣接する流体通路の全て又はサブセットにおける一つのマイクロウェルセットのみ又はマイクロウェルセットのサブセットのみをカバーする視野(FOV)を持つカメラを使用して行われうる。
【0040】
マイクロウェルセットの各々は、1,000及び100万個の範囲のマイクロウェルを含むマイクロウェルアレイを有しうる。
【0041】
流体分析デバイスは、マイクロウェルアレイを含むマクロウェルセットを各々が備える複数の離間した流体通路を有しうる。流体通路は検査中に流体隔離状態にありうる。マイクロウェルアレイの少なくとも幾つかのマイクロウェルは単一のビーズを収容し、任意でマイクロウェルの幾つか又は全てはビーズを含まないか一つ以上のビーズを収容しうる。
【0042】
この方法は、伝送及び取得ステップの前にマイクロ流体デバイスの一つ以上の位置に所在する一つ以上のマイクロウェルセットの部位を電子的に特定することと、特定部位の少なくとも一部に基づいて他のマイクロウェルセットの位置を規定することとを含みうる。
【0043】
請求項20の方法はさらに、取得ステップの前に規定のサブセットのみに光励起シグナルを伝送することと、伝送の前に伝送ステップの為のコード化波長を提供するフィルタを選択することとを包含する。
【0044】
シグナル強度の取得は、マイクロウェルセットの投入物質についての振幅変化対PCRサイクル数としてリアルタイムPCRデータを提供できるアナログシグナルを取得することを含み、規定のビーズタイプの分子濃度は1マイクロウェル当たり約1分子である、1分子に等しい、又は1分子より大きい。アナログシグナルは、蛍光シグナル強度(Si)が閾値より高い時に陽性としてのマイクロウェル反応と標的種及び/又は分子タイプの標的分子数/標的分子濃度とを特定するか、蛍光シグナル強度(Si)が所与のPCRサイクル数についての閾値より常に低い場合に陰性と特定する閾値サイクル又はサイクル閾値Ctを規定できる。
【0045】
CtはSi>>Bsのサイクル数であり、>>はBsよりも少なくとも5~10%大きい、任意で2倍大きい、及び/又は、Bsの標準偏差の5~10倍であり、Bsは任意でPCR陰性反応において測定される背景蛍光シグナルである。
【0046】
検査の複数の異なる反応ステップ(例えば検査の異なる熱サイクル)の一つおき又は各々の後で一つ以上の流体通路のマイクロウェルセットの単一サブセットのみについてアナログシグナルが取得されうる。
【0047】
アナログシグナルは、各規定ビーズタイプに対応するアナログシグナルとしてのSi(任意で外れ値データが削除)の平均値、中央値、最頻値、または加重値であり、マイクロ流体デバイスの当該の流体通路における他のマイクロウェルセットのマイクロウェルでの同様の反応についてのリアルタイプPCR曲線の推定値として提供されうることにより、異なる反応ステップの後で各流体通路の全てのマイクロウェルサブセットが撮像されなくても単一のサイクル解像度を可能にする。
【0048】
マイクロ流体デバイスの少なくとも二つ、任意で全ての隣接流体通路のマイクロウェルセットのサブセットのみをカバーする視野(FOV)を持つカメラを使用することにより、シグナル強度の取得が行われうる。
【0049】
検査の複数の異なる反応ステップ(例えば検査の異なる熱サイクル)の後で各流体通路のマイクロウェルセットの単一セットのみについてアナログシグナルが取得され、アナログシグナルは、各規定ビーズタイプに対応するアナログシグナルとしてのSiの平均値、中央値、最頻値、又は加重値を包含し、マイクロ流体デバイスの当該の流体通路における他のマイクロウェルセットのマイクロウェルの同様の反応についてのリアルタイムPCR曲線の推定値として提供されることにより、異なる反応ステップの後で各流体通路の全てのマイクロウェルセットが撮像されなくても、単一のサイクル解像度を可能にする。
【0050】
第1流体通路上で離間している複数のマイクロウェルセットを含む第1流体通路を備える流体分析デバイスは、当該の長さに沿って離間している当該の複数のマイクロウェルセットを各々が備える複数の追加流体通路を含みうる。流体分析デバイスは、第1流体通路と複数の追加流体通路の各々の為に別々の物質投入ポートを有し、少なくとも幾つかの流体通路は共通の反対第2ポートを共有する。この方法はさらに、取得ステップの前に、分析の為、当該の試料に事前露出されたビーズスラリを当該の投入ポートに流体により装填すること、流体通路上の異なるマイクロウェルセットへ流入するようにビーズスラリを磁気的に誘導することと、色素を包含する流体マスターミックスを第2ポートから流体通路を経て第1ポートへ流入させることと、そして第2ポートから流体通路を経て第1ポートへ密閉オイルを流動させることによりマイクロウェルセットと流体通路とを互いに密閉することとを含む。
【0051】
マスターミックスは色素均一剤を任意で含みうる。色素均一剤は任意で、オリゴヌクレオチド(例えば非拡張性オリゴヌクレオチド及び/又は部分的二本鎖DNA(例えばビオチン及び/又はC1-C20炭化水素鎖を包含する部分的二本鎖DNA)であるか、これを包含しうる。
【0052】
この方法は、流体分析チップに隣接して磁石を載置することと、流体マスターミックス及び密閉オイルの流動の前に磁石を第2ポートへ平行移動させることとを含みうる。
【0053】
流体分析デバイス(任意で第1流体通路及び/又は複数のマイクロウェルセット)は色素均一剤を含み、任意で色素均一剤はオリゴヌクレオチド(例えば非拡張性オリゴヌクレオチド及び/又は部分的二本鎖DNA(例えばビオチン及び/又はC1-C20炭化水素鎖を包含する部分的二本鎖DNA))を包含する。
【0054】
色素均一剤は、流体分析デバイスに存在するマスターミックスに存在しうる(例えば第1流体通路及び/又は複数のマイクロウェルセットに存在しうる)、及び/又は、色素均一剤は流体分析デバイスに存在(例えば第1流体通路及び/又は複数のマイクロウェルセットに存在)するビーズに付着されうる。
【0055】
また他の実施形態はマイクロ流体デバイスに関する。デバイスは複数の流体通路を含む。複数の流体通路の各々は、第1ポートと反対の第2ポートとの間の方向に対応する長さ寸法を有し、長さ寸法の少なくとも一部分は直線状または円弧状の長さセグメントとして構成される。流体通路の各々は、長さ寸法の直線状又は円弧状の長さセグメントに沿って配置される複数のマイクロウェルセットを含む。
【0056】
複数の流体通路の複数のマイクロウェルセットは、横列、縦列、又は横列及び縦列に配設されうる。横列又は縦列は直線状又は円弧状の長さセグメントに対応する。
【0057】
複数の流体通路の少なくとも幾つかは、直線状又は円弧状の長さセグメントにわたって実質的に平行でありうる。
【0058】
複数の流体通路の少なくとも幾つかは、円弧状で実質的に平行な通路であって、円弧状長さセグメントを提供しうる。
【0059】
複数の流体通路の少なくとも幾つかは実質的に平行であって、デバイスの外周部分とデバイスの中心との間に径方向に延在しうる。
【0060】
複数の流体通路は、第1流体通路セットと、第1セットから離間している第2流体通路セットとを有しうる。第1流体通路セットは第2ポートとしての第1マスターミックスポートを終端とし、第2流体通路セットは第2ポートとしての第2マスターミックスポートを終端としうる。
【0061】
第1及び第2流体通路セットは周方向に離間しうる。
【0062】
複数の流体通路は、第1近傍セットを画定する少なくとも二つの流体通路と、第1近傍セットに隣接する第2近傍セットを画定する少なくとも二つの通路とを含み、各々が空間的に整列されたマイクロウェルセットを含む。
【0063】
デバイスは、第1近傍セット及び第2近傍セットの第1及び第2流体通路の各々の間に第1間隙空間を含みうる。デバイスはさらに、第1近傍セットと第2近傍セットとの間に第2間隙空間を包含し、第2間隙空間は第1間隙空間よりも大きい横範囲を有しうる。
【0064】
複数の流体通路の各々の複数のマイクロウェルセットは共通の構成を有しうる。流体通路の各々の複数のマイクロウェルセットは、横列及び/又は縦列として互いに整列されうる。複数の流体通路は、当該の投入物質を互いとの流体隔離状態で保持しうる。
【0065】
当該の流体通路の為の少なくとも複数のマイクロウェルセットの各々は、1,000~1,000,000個の範囲の量のマイクロウェルを包含しうる。マイクロウェルセットのマイクロウェルは、単一ビーズを固定及び保持するサイズ及び構成を持つことにより、マイクロ流体デバイスでの1,000~10億回の反応を可能にする。
【0066】
少なくとも第1及び第2流体通路からの第1及び第2マイクロウェルセットのセット、任意でペアは、隣接マイクロウェルサブセットによる第1セットを規定する。デバイスは、流体通路の複数のマイクロウェルセットにわたって延在する透明基材を含みうる。
【0067】
複数の流体通路の各流体通路は、第1ポートとしての第1端部に別の第1ポートを有し、交互する第1ポートの一方はデバイスの第1縦位置に所在し、交互する他方は、第1縦位置から長さ寸法において離間しているデバイスの第2縦位置に所在しうる。
【0068】
第1ポートは物質投入ポートであり、当該の流体通路の第1端部に所在しうる。デバイスはさらに、少なくとも幾つかの流体通路の反対第2端部を第2ポートと接続する流体マニホルドを含む。
【0069】
流体通路は、デバイスにおいて径方向に延在しうる。当該の流体通路の入口ポートはデバイスの外周部分に所在しうる。第2ポートは流体通路の各々に接続されたデバイスの中心に所在する単一の第2ポートでありうる。
【0070】
流体通路のうち少なくとも幾つかは、円弧状長さセグメントを各々が有する流体通路の同心セットとして設けられうる。
【0071】
円弧状長さセグメントを有する同心の流体通路セットは、周方向に離間している複数の同心流体通路セットとして設けられうる。
【0072】
マイクロ流体デバイスはさらに色素均一剤を含みうる。
【0073】
色素均一剤は任意でオリゴヌクレオチドを含みうる。
【0074】
色素均一剤は、オリゴヌクレオチド(例えば非拡張性オリゴヌクレオチド及び/又は部分的二本鎖DNA(例えばビオチン及び/又はC1-C20炭化水素鎖を包含する部分的二本鎖DNA))を含みうる。
【0075】
色素均一剤はマイクロ流体デバイスに存在するマスターミックスに存在しうる、及び/又は、色素均一剤はマイクロ流体デバイスに存在するビーズに付着されうる。
【0076】
他の実施形態は、ビーズ装填戦略と、図示及び/又は記載される隔離ビーズ投入部と共通の試薬リザーバ/投入部との使用に関する。
【0077】
他の実施形態は、生(生体)試料の投入、試料調製及び処理、その後にマイクロウェルアレイへの(当該の試料で予備飽和された)ビーズの装填が行われる完全一体的な流体分析チップと、関連のキットと、図示及び/又は記載されたような予備装填試薬を含むマイクロ流体チップとに関する。
【0078】
一実施形態に関して記載された一つ以上の態様又は特徴は、この実施形態ほど明確に記載されてはいなくても異なる実施形態に取り入れられうることに言及しておく。すなわち、全ての実施形態及び/又はいずれかの実施形態の特徴は、何らかの手法及び/又は組み合わせで組み合わされうる。出願人は、このように原出願で請求されていなくても他の請求項の特徴に従属する及び/又はこれを取り入れるように原出願の請求項を補正できる権利を含めて、原出願の請求項を変更するか新たな請求項を適宜提出する権利を保有する。本発明の以上及び他の目的及び/又は態様は、下記の明細書で詳しく説明される。
【図面の簡単な説明】
【0079】
特許又は出願ファイルはカラーで描かれた少なくとも一つの図面を含む。本特許又は特許出願公報のコピーはカラー図面とともに、請求に応じて、また必要な料金の納付により、特許庁により提供されるだろう。
明細書に取り入れられてその一部を成す添付図面は発明の実施形態を図示しており、記載内容とともに発明の原理を説明する役割を果たす。
図1A】本発明の実施形態による流体デバイス例の概略図である。
図1B】本発明の実施形態による別の流体デバイス例の概略図である。
図2A図1Aに示されている流体デバイスの上面斜視図である。
図2B図2Aに対応する流体デバイスのプロトタイプの上面斜視図デジタル写真である。
図3A】本発明の実施形態による非円筒形マイクロウェルを含む流体デバイス例である。
図3B】本発明の実施形態による、図3Aに示された流体デバイスの一部分によるわずかなマイクロウェルの超拡大図である。
図3C】本発明の実施形態による、図3Aに示されている流体デバイスの非円筒形マイクロウェルにより発生される検査シグナル例であり、ビーズ背景シグナルとは別の検査シグナルを示している。
図4A】陰性及び陽性ビーズについての蛍光性対サイクルの未加工のグラフである。
図4B】本発明の実施形態によるマイクロウェルの陽性及び陰性スリットについての蛍光性対サイクルのグラフである。
図5A】乃至
図5H】本発明の実施形態によるPCR中に異なる流体通路の異なるマイクロウェルサブセットからのリアルタイムPCRデータを組み合わせることにより取得されたサイクル中の生データのグラフである。
図6A】乃至
図6H】本発明の実施形態による図5A乃至5Hに示されたデータの正規化データのグラフである。
図7A】乃至
図7H】本発明の実施形態による異なる流体通路のビーズウェルセットによる一つの横列から収集されたリアルタイムPCRデータのグラフである。
図8】本発明の実施形態による分析システム例である。
図9】乃至
図16】本発明の実施形態による異なる構成の流体通路を有する異なるデバイス例の概略上面図である。
図17】本発明の実施形態による分析方法例のフローチャートである。
図18】本発明の実施形態によるデータ処理システムである。
図19】本発明の実施形態による、流体デバイスへのビーズの装填と装填後の熱サイクルの為に行われうる動作のフローチャートである。
図20A】乃至
図20D】本発明の実施形態による、磁石を使用したマイクロチップの装填作業例の拡大側面斜視図である。
図21】本発明の実施形態による断熱ホルダにより保持される複数のマイクロチップの上面図である。
図22】本発明の実施形態による、2個の8通路マイクロチップによる1本のレーンから成る5個のアレイにおける各ビーズの初期ビーズ蛍光性についてのボックスプロットであり、一方のマイクロチップは10X SYBRを含むマスターミックスで処理され、他方のマイクロチップは20X SYBRと5μMの非拡張性オリゴとを含むマスターミックスで処理される。
図23】12プレックス呼吸器パネル検査でのマイコプラズマについての1ビーズ当たり平均分子(デジタル陽性シグナル)のグラフである(デジタル陽性シグナルと関連しているが、デジタルとアナログの組み合わせでもよい)。各点は、本発明の実施形態による、8通路マイクロチップの単一レーンの5個のアレイの一つからの結果を表し、同じ試料からのビーズが各アレイに装填されている。
図24】本発明の実施形態による、SYBR又は+NE Oligo及びSYBRで処理されたマイクロチップの5個のアレイの各ビーズと関連する12プレックス呼吸器パネルのマイコプラズマ母集団からのコード化色素蛍光シグナルのボックスプロットである。
図25】本発明の実施形態によるビーズのpdsDNAの一例の概略である。
【発明を実施するための形態】
【0080】
本発明の実施形態が示されている添付図面を参照して、これから本発明が以下でより詳しく記載される。しかしながら本発明は、多くの異なる形で具現化され、ここに提示される実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろこれらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全であって発明の範囲を当業者に充分に伝えるように提供される。
【0081】
同様の数字は全体を通して同様の要素を指す。図において、ある線、層、構成要素、要素、又は特徴の厚さは明瞭性の為に誇張されうる。“Figure”の語を表す略語“FIG.”及び“Fig.”は本文及び図において互換的に使用されうる。
【0082】
ここで使用される用語は特定の実施形態を記載することのみを目的とし、発明を限定することは意図されていない。ここで使用される際に、単数形“a”,“an”,“the”は、そうではないことを文脈が明示していない限り複数形も同じく含むことが意図されている。さらに、“comprises”(包含する)及び/又は“comprising”は、本明細書で使用される時に、記載の特徴、ステップ、作業、要素、及び/又は構成要素の存在を明示しているが、一つ以上の他の特徴、ステップ、作業、要素、構成要素、及び/又はこれらのグループの存在又は追加を除外しないことはさらに言うまでもない。ここで使用される際に、“and/or”(及び/又は)は、一つ以上の関連リスト項目のいずれか及び全ての組み合わせを含む。ここで使用される際に、“between X and Y”(XとYの間)及び“between about X and Y”(約XとYの間)のような語句は、X及びYを含むと解釈されるべきである。ここで使用される際に、“between about X and Y”(約XとYの間)は“between about X and about Y”(約Xと約Yの間)を意味する。ここで使用される際に、“from about X to Y”(約XからY)のような語句は、“from about X to about Y”(約Xから約Y)を意味する。
【0083】
他に定義されない限り、ここで使用される全ての語(技術的及び科学的な語を含む)は、本発明が属する分野の当業者に一般に理解されるものと同じ意味を有する。さらに、一般に使用される辞書に定義されているような語は、本出願及び関連技術の文脈での意味と一貫した意味を有するものとして解釈されるべきであり、そのように明白に定義されない限り理想的又は過度に形式的な意味で解釈されるべきではない。ここで発明の記載に使用される用語は、特定の実施形態を記載することのみを目的とし、発明を限定することは意図されていない。ここで言及される全ての公報、特許出願、特許、及び他の引例は、参照によりその全体が本願に取り入れられる。用語の矛盾が見られる場合には、本明細書が優先される。
【0084】
また、ここで使用される際に、“and/or”(及び/又は)は、関連リスト項目のうち一つ以上のいずれか又はすべての可能な組み合わせとともに、代替的な(“or”)で解釈される時には組み合わせの欠如も指し、これを内含する。
【0085】
文脈がそうではないことを記していない限り、ここに記載される発明の様々な特徴はいかなる組み合わせでも使用されることが明白に意図されている。また、発明の幾つかの実施形態において、ここに提示される特徴または特徴組み合わせが除外又は省略されうることも、本発明では考えられる。例示の為、複合体が構成要素A,B,Cを包含することが明細書に記されている場合には、A,B,Cのいずれか又はその組み合わせが省略及び放棄されうることが明白に意図されている。
【0086】
ここで使用される際に、移行句“consisting essentially of”(本質的に~から成る)(及び文法的変形)は、請求発明に記載の物質又はステップである「基本的かつ新規の性質に実質的な影響を与えないもの」を内含すると解釈されるものとする。In re Herzケース:537 F.2d 549,551-52,190 U.S.P.Q. 461,463(CCPA 1976年)を参照していただきたい(強調は原文より)。またMPEP(特許審査便覧)§2111.03を参照すること。ゆえに、ここで使用される際に“consisting essentially of”(本質的に~から成る)の語は、“comprising”(を包含する)と同等のものとして解釈されるべきではない。
【0087】
ここで使用される際に、“example”(例),“exemplary”(例示的な)の語とその文法的変形は、ここに記される非限定的な例及び/又は変形実施形態を指すことが意図されており、一つ以上の他の実施形態と比較するとここに記される一つ以上の実施形態が好ましいことを指摘する意図はない。
【0088】
量又は濃度その他のような測定可能な値に言及する時にここで使用される“”about“”(約)の語は、指定値とともに、指定値の±20%,±10%,±5%,±1%,±0.5%,またはさらに±0.1%の変形を内含することを意味している。例えば、Xが測定可能な値である際の“about X”(約)は、Xとともに、Xの±20%,±10%,±5%,±1%,±0.5%,またはさらに±0.1%の変形を含むことを意味している。測定可能値についてここで提示される範囲は他の値及び/又はその中の個々の値を含みうる。
【0089】
ここで使用される際に、“increae”(増加する),“increases”,“increased”,“increasing”,“enhance”(強化する)と類似の語は、そうではないことが本文内で明記されない限り、少なくとも約2%,5%,10%,15%,20%,25%,30%,35%,40%,45%,50%,55%,60%,65%,70%,75%,80%,85%,90%,95%,100%,150%,200%,300%,400%,500%以上の指定パラメータの上昇を指す。
【0090】
ここで使用される際に、“reduce”(減少する),“reduces”,“reduced”,“reduction”(減少),“inhibit“(抑止する)及び類似の語は、そうではないことが本文内で明記されない限り、少なくとも約2%,5%,10%,15%,20%,25%,30%,35%,40%,45%,50%,55%,60%,65%,70%,75%,80%,85%,90%,95%,97%,100%の指定パラメータの減少を指す。
【0091】
ある要素が別の要素“on”(の上にある)、“attached”(に付着される)、“connected”(に接続される)、“coupled”(と結合される)、“contacting”(と接触する)等と言及される時には、他の要素の直接上にある、に付着される、に接続される、と結合される、と接触する、あるいは介在要素も存在しうる。対照的に、ある要素が例えば、別の要素“directly on”(の直接上にある)、“directly attached”(に直接付着される)、“directly connected”(に直接接続される)、“directly coupled”(に直接結合される)、“directly contacting”(と直接接触する)と言及される時には、介在要素は存在しない。別の特徴に“adjacent”(隣接して)設置される構造または特徴への言及は、隣接の特徴の上又は下にある部分を有しうることも当業者に認識されるだろう。
【0092】
“under”(下に),“below”(下の方に),“lower”(下方の),“over”(上の方に),“upper”(上方の)、その他のような空間的相対語は、図に示されている一つの要素又は特徴と別の要素又は特徴との関係を記す説明を容易にする為に使用されうる。空間的相対語は図に描かれる配向に加えて使用又は作動時におけるデバイスの多様な配向を内含することが意図されていることが理解されるだろう。例えば、図のデバイスが逆転した場合には、他の要素又は特徴の“under”又は“beneath”(真下に)と記載される要素は、他の要素又は特徴の“over”(上の方に)の配向を持つだろう。ゆえに、“under”(下に)という例示的な語は、“over”(上の方に)と“under”(下に)の両方の配向を内含しうる。デバイスは他の配向を持ち(90度回転されるか他の配向)、ここで使用される空間的相対記述子はこれに従って解釈される。同様に、“upwardly”(上向きに),“downwardly”(下向きに),“vertical”(垂直の)、“horizontal”(水平の)、その他は、他に明示されない限り説明のみを目的としてここで使用される。
【0093】
“first”(第1)及び“second”(第2)等の語は様々な要素を記載するのにここで使用されるが、これらの要素はこれらの語に限定されるべきではないことが理解されるだろう。これらの語は一つの特徴を別の要素から区別することにのみ使用されうる。ゆえに、本発明の教示を逸脱することなく、下記の“first”(第1)要素が“second”(第2)要素と称されてもよい。作業(又はステップ)のシーケンスは、他に明記されない限り、請求項又は図に提示される順序に限定されない。
【0094】
概して、本発明の実施形態は、分析システム、流体デバイス、そしてこれを使用する方法に関する。幾つかの実施形態において、流体デバイスは高処理量の流体デバイスを含みうる。本発明の流体デバイス10は、コード化ビーズマイクロウェルアレイ120a(図3B)及び/又は異なる流体通路15のマイクロウェル20のセット又はサブセットからリアルタイム及びデジタルポリメラーゼ連鎖反応(PCR)データを取得するのに使用されうる。幾つかの実施形態において、本発明の流体デバイス10、方法、及び/又は分析システムは、例えば非PCR反応、ループ媒介等温増幅法(LAMP)、及び/又は、タンパク質検査の為の酵素反応のような用途に使用されうる。当業者にはよく知られているように、リアルタイムPCRは、アンプリコン濃度に関係するシグナルがPCRの各サイクル後に収集されるポリメラーゼ連鎖反応として規定され、PCRのサイクルは一般的に、テンプレートDNAの変性、一本鎖DNAテンプレートへのプライマーのアニーリング、ポリメラーゼによるプライマーの拡張を含む完全なステップセットを指す。アーヤその他(Arya et al.)による分子診断に関する専門家レビュー(Expert Rev. Mol. Diagn.)5(2),(2005年)209~219ページ、0.1586/14737159.5.2.2を参照していただきたく、その内容は、完全に記載されているかのように参照により本願に取り入れられる。
【0095】
幾つかの実施形態において、ここに記載される設計及び方法は、大型アレイ(例えば約30,000個以上のマイクロウェルを任意で含むコード化ビーズアレイ)のデータ収集時間を短縮できる一方で、光退色の作用も軽減できる。ここに記載の方法は、様々な時点で変化シグナルが収集される他の用途にも適用可能である。
【0096】
幾つかの実施形態において、本発明は、「基材の表面特性を向上させる為の組成物とデバイスと方法」の名称の米国仮出願第62/673,343号、「検査を改良する為の化合物と組成物と方法」の名称の米国仮出願第62/736,525号に記載の、及び/又は、米国特許第9,617,589号、米国出願公開第2015/0211048号、国際公報第WO2017/112025号、国際出願第PCT/US2016/042913号、国際出願第PCT/US2016/043463号、及び/又は、国際出願第PCT/US2016/055407号に記載の基材、デバイス、設計、固体支持体(例えばコード化固体支持体)、ステップ、及び/又は方法を含むがこれらに限定されず、その各々の内容は参照によりその全体が本願に取り入れられる。
【0097】
幾つかの実施形態において、本発明の方法は、例えば米国出願公開第2015/0211048号と国際出願第PCT/US2016/042913号に記載されているような、ビーズ(例えば超常磁性ビーズ)を使用して試薬及び/又は標的を反応ウェルへ送達する方法を包含し、その各々の内容は参照によりその全体が本願に取り入れられる。
【0098】
「マイクロチップ」及び「マイクロ流体チップ」の語は互換的に使用され、実質的に平面状の薄いデバイスを指す。マイクロ流体チップは剛性、半剛性、又は可撓性でありうる。「薄い」の語は10mmと0.1mmの間のように10mm以下である厚さ寸法を指し、約3mm、約2.5mm、約2mm、約1.5mm、約1mm、又は約0.5mmでありうる。マイクロチップは一般的に約6インチより小さく、より一般的には約1インチと6インチとの間の幅および長さを有する。しかしながら、幾つかの実施形態において、マイクロチップは長さ及び/又は幅において1フィート以上のようにこれより大きくてもよい。マイクロチップは、多角形、矩形、又は円形や他の所望の形状である外周部を有しうる。マイクロチップは任意で、長さ寸法より小さい幅寸法を有しうる。幾つかの実施形態において、マイクロ流体チップは約2.13インチ(54mm)である直径又は幅寸法、及び/又は、約3.4インチ(85.5mm)である直径又は幅寸法を有しうる。マイクロチップは、ミリメートルサイズ、マイクロサイズ、及び/又は、ナノサイズの流体通路を含みうる。
【0099】
「一次寸法」の語は、流体通路の幅及び/又は奥行寸法を指す。
【0100】
流体通路に関する「マイクロサイズ」及び「マイクロ流体」の語は、ミリメートル、サブミリメートル、又はより小さいサイズの幅及び/又は奥行を有する流体流路を指す(例えば、この語は、通路に設けられるセグメント又は室を含むミリメートル、マイクロメートル、及びナノメートルサイズの通路を含む)。通路は、10ミリメートル以下、一般的には900ミクロンより小さく1nmより大きいサイズ範囲の幅及び/又は奥行を有するセグメントを少なくとも有しうる。
【0101】
「マイクロウェル」の語は、約100マイクロリットル以下の小さい反応容積を有するサイズ及び構成を持つ反応ウェルを指し、幾つかの実施形態では、さらに以下で記すように単一のビーズを任意で保持できる。
【0102】
「ビーズ」の語は、反応ウェルでの使用に適したポリマー、フォトレジスト、プラスチック、ガラス、二酸化ケイ素、金属又は半金属酸化物(酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、又は他の酸化物を含むがこれらに限定されない)、量子ドット、金属粒子その他のような多孔性、表面多孔性、又は非多孔性の物質でありうる粒子、細粒、又は小球体、一般的には磁性又は超常磁性の小球体のような固相部材を指す。
【0103】
「回路」の語は、完全なハードウェア実施形態あるいはソフトウェアとハードウェアとを組み合わせた実施形態を指す。「モジュール」の語は、ソフトウェア及びハードウェア又はファームウェアを包含する実施形態を指す。
【0104】
「デジタル走査」の語及びその派生語は、一般的にはカメラを介してマイクロ流体デバイスの一部または全てのデジタル画像を取得することを指す。
【0105】
さて図1A,1B,2を参照すると、流体デバイス10の例が示されている。流体デバイス10は、当該の長形流体通路15の長さに沿って所在する複数の離間したマイクロウェルセット20を備える少なくとも一つの長形流体通路15を包含する。当該の流体通路15上の各近傍マイクロウェルセット20は、マイクロウェルを含まない間隙空間21により分離されうるが、必ずしもそうである必要ではない。図1Bは、当該の流体通路15上で連続的であるように配設されたマイクロウェルセット20を図示している。図1Bは、第1ポート16の近傍ポートが図1Aに示されているような(図の配向での)縦方向のオフセット以外で整列されうることも図示している。
【0106】
当該の流体通路15上の一つ以上のマイクロウェルセット20は異なる幾何学的設置範囲を有しうる。図1Aに示されているような離間したマイクロウェル20が使用される際に、間隙空間21は近傍マイクロウェルセット20の設置範囲の長さLより小さい長さを有しうる。
【0107】
図1Aおよび2に示されているように、少なくとも一つの長形流体通路15は8本の隣接する流体通路15,15,15,15,15,15,15,15を包含する。しかしながら、より多数又は少数の通路15が設けられてもよく、また流体通路15の全てまたはいずれか一つについてより多数又は少数のマイクロウェルセット20が設けられてもよい。例えば、幾つかの特定実施形態において、流体デバイス10は2~2000本の間の流体通路15、より一般的には10~200本の流体通路15を有しうる。
【0108】
図1Aに示されているように、流体通路15の各々又は幾つかは、第1マイクロウェルセット20、第2マイクロウェルセット20、第3マイクロウェルセット20、第4マイクロウェルセット20、第5マイクロウェルセット20を含むように複数のマイクロウェルセット20を構成できる。しかしながら、より多数又は少数のマイクロウェルセット20が設けられてもよい。図1Bは、流体通路15の各々が三つのマイクロウェルセット20を有しうることを示している。幾つかの実施形態において、流体デバイス10の流体通路15は2~100、より一般的には3~25個のマイクロウェルセット20を有しうる。
【0109】
当該の流体通路15上の隣接マイクロウェルセット20の間の間隙21は、連続マイクロウェル20の物理的間隙又は中断部により設けられる必要はなく、撮像システムの視野及び/又は照射源の照明窓により定められうる。図1Bに示されているように、当該の流体通路15の長さにわたるマイクロウェル20の連続アレイとしてマイクロウェルセット20が設けられてもよい。
【0110】
流体通路15には、ビーズを整列させる為のバブル又はコンストリクションが設けられうる。流体通路15においてマイクロウェル120の当該のアレイ120aとなるマイクロウェル20の近傍セットの間のバブル又はコンストリクションは、流体動作/密閉の制御とビーズ装填の促進または制御のいずれかの為に設けられうる。
【0111】
図1A及び2を再び参照すると、流体通路15の複数のマイクロウェルセット20は、横列R~Rについて文字表示A~Eと示されているように横列の文字数字表示のような部位表示が付けられた実質的に平行に整列された横列として、またデバイス10のマイクロウェルアレイ10aを画定するC~Cと付けられた任意で縦列の整列平行通路15として配設されうる。しかしながら、他の表示形式が使用されてもよく、デバイス10は人間可読形式の表示を必要としない。より多数又は少数の横列とより多数又は少数の縦列とが使用されうる。通路15のペア15pとして示されている近傍通路15nはわずかに離間して所在し、近傍通路15nの他の隣接セット、つまりデバイス10の基材により設けられる間隙空間19により分離された通路15の別のペア15pから分離されている。近傍通路15nは、隣接する他の近傍通路15nの間隙空間19よりも小さい距離で分離されうる。近傍通路15nは通路ペア15pとして設けられたものとして示されているが、例えば横列全体を含む3本、4本、5本、又はそれ以上の隣接通路が近傍通路セット15nを画定しうる。
【0112】
マイクロウェルセット20は、単一ビーズマイクロウェル120(図3B)の当該のセット又はアレイ120aを包囲する矩形の外周部20rを持つ設置範囲を有しうる。しかしながら、他の幾何学形状が使用されてもよい。
【0113】
各流体通路15は、任意で試料を包含する所望の投入物質を導入する為の入力ポートでありうる独立した専用の流体第1ポート16を包含する。図2A,2Bを参照すると、流体ポート16は、リザーバ16rから流体通路15の投入ポート16へ投入物質を誘導するカバー基材10uのビア16vを備えるリザーバ16rを包含しうる。
【0114】
各流体通路15は、投入ポート16と反対の端部で、マスターミックス/オイルポート18でありうる第2ポート18に合流しうる。第2ポート18はビア18vを通してリザーバ18rにも接続されうる。第2ポート18は一つ以上の流体通路15との流体連通状態にある。デバイス10は、流体通路15の全て又は幾つかとの流体連通状態にある流体マニホルド18mを包含しうる。ゆえに、流体通路15の幾つか又は全ては、マニホルド18mを介して、又は流体通路延出部15e(図14,15)から直接、共通の第2ポート18に合流しうるので、各流体通路15の為の独立した投入ポート16と、投入ポート16より少数の第2ポート18とが設けられてもよい。
【0115】
図示されていないが、各流体通路15は独自の独立第2ポート18を有しうる。異なる流体通路15によるセットは、当該の異なるマスターミックス/オイルポート18(図16)との流体連通状態にありうる。以下でさらに記すように、ビーズが装填及び密閉されると、当該の流体通路15の各マイクロウェルセット20は互いに流体隔離状態にあり、各流体通路15は他の流体通路15との流体隔離状態にある。
【0116】
図1A,1B,2に示されているように、当該の通路アレイ10aについて、流体通路15は、複数の離間したマイクロウェルセット20を含む直線長さセグメントにわたって実質的に平行でありうる。「平行」に言及する際の「実質的に」の語は、そのアレイ10aの流体通路15が、図1,2,9,10~15には直線状の長さセグメントとして示され、図16には円弧状の長さセグメントとして示されている長さセグメントの少なくとも一部分にわたって平行であるか名目上は平行である(つまり、流体通路15の当該の縦方向延在中心を通る隣接の中心線C/Lからわずか10%以下だけ角度変化しうる)ことを意味している。
【0117】
図3A~3Cを参照すると、マイクロウェルセット20の各々又は幾つかは、ビーズ保持セグメント120wと検査シグナルセグメント120sとを含む複数のマイクロウェル120を包含しうる。検査シグナルセグメント120sはビーズ保持セグメント120wと並置され、デバイス10の上部又はカバー基材10u(図2A)の一次表面に対して平行及び/又は直列でありうる。検査シグナルセグメント120sは、当該のマイクロウェル120のビーズ保持セグメント120wとの流体連通状態にある。検査シグナルセグメント120sは、ウェル保持セグメント120wでのビーズ背景シグナルの分離を可能にする先細の検査シグナル122を発生させる。幾つかの実施形態において、検査シグナルセグメント120sは、ビーズが物理的に進入できない幾何学形状を有しうる。セグメント120wに保持されたビーズから放出された試料及び/又は分析物がウェル120wの共通の溶液容積全体に拡散するか他の形で混合するように、セグメント120w、120sは流体接続されている。ビーズを検出領域120sから空間的に分離することにより、シグナルへのビーズ蛍光性の影響が軽減または解消されてシグナルノイズ比を向上させる。ウェル120の幾何学形状は、一般的に単一ビーズが占有する反応ウェルへの高度な装填を可能にする一方で、当該の反応容積を増加させて、反応効率を向上させる可能性がある。
【0118】
図9~11,16は、デバイス10は複数の離間した流体通路アレイ10a1,10a2,10a3,10a4を包含しうることを図示している(そして図11は流体通路15の第5アレイ10a5も示す)。図16は、12個のアレイセットについての周方向延在の4個のアレイ10a1,10a2,10a3,10a4による3個の同心セットを図示している。
【0119】
流体通路10の各アレイ10aは、装填緩衝液、密閉オイル、及び/又はマスターミックスを導入する為の単一の共通第2ポート18を有しうる。
【0120】
「マスターミックス」の語はPCRマスターミックスを指し、ウェル120(図3B)を互いに密閉する前に各マイクロウェルセット20に達するように流体通路15に追加され、各マイクロウェルセットは、幾つかの実施形態では密閉オイルとしての非混和性オイルを使用して密閉されうる。本発明のマスターミックスはプライマーを含有しなくてもよい。すなわち、本発明のPCRマスターミックスは例えばSiRCAプラットフォームのような幾つかの特定実施形態の為のプライマーを除外しうる。
【0121】
代替的又は付加的に、上部基材10u(図2A)は、シリコーンのような可撓性基材(例えばポリジメチルシロキサン(PDMS))を包含し、可撓性基材をアレイ10aに平坦に押圧することによりシールが達成されうる
【0122】
図16は、流体通路15が円弧状の流体通路15aであって、円形の幾何学構成の直径の少なくとも一部分に周方向に延在していることを図示している。異なる流体通路アレイ10a1~10a4は周方向に離間しており、各アレイ10aは共通する単一の第2ポート18を有しうる。
【0123】
図11は、第2ポート18の位置を画定する中心に向かって延在する流体通路15を示し、マニホルド18mの少なくとも内側脚部18iは第2ポートに向かって径方向に延在して、当該アレイAの中心線C/Lは第2ポート18に向かって装置10で径方向に延在する。
【0124】
図12~15は、径方向内向きに延在する通路15rとして構成される流体通路15を示す。通路15rは、第1ポート16を備えるデバイス10の外周部分からデバイスの中心に向かって第2ポート18まで径方向内向きに延在する。図14及び15は、デバイス10の中心に向かって第2ポート18まで長さに沿ってサイズが減少する流体通路15を示し、マイクロウェルセット20は、第2ポート18に接近するにつれて第1マイクロウェルセット20から別のセット20,20,20までサイズが減少する。このケースで、同時的に(一緒に)撮像されるマイクロウェルサブセット20は、他の構成(平行の矩形以外等)とは異なるように配設されてもよい。
【0125】
マイクロチップアレイ10aは、横列及び縦列アドレスのような位置アドレスに対応する各流体通路15の各マイクロウェルセット20についてのアレイ部位を画定しうる。例えば、1A(又はA1)、2A(又はA2)、7E(又はE7)、及び8E(又はE8)のように、横列とこの列の関連の位置。アレイ10aは、幾つかのマイクロウェルセット20を角部マイクロウェル20cとして設けるように構成されうる。図1A及び2に示されている実施形態において、アレイ部位A1,A2,A7,A8,E1,E2,E7,E8のマイクロウェルセット20はマイクロウェルセット20の近傍角部(サブ)セット20cである。やはり、マイクロウェル20の角部セット20cを画定する隣接のマイクロウェルセットを設けるように二つ以上の流体通路15が構成されてもよい。
【0126】
図1A及び2に示されているデバイス10は、幅寸法(「W」)より大きい長さ寸法を持つ矩形外周部10pを有し、任意で幅寸法は15~30mmの間の幅である。長さ寸法は幅寸法の2×~4×でありうる。流体通路15の幅寸法は、デバイス10の幅寸法Wの方向に対応しうる。通路15は、デバイス10の長さ寸法に沿って延在するように配設されるものとして示されている。しかしながら、流体通路15は代替的に、デバイス10の幅寸法の少なくとも一部分に延在するように配向されうる。幾つかの実施形態において、幾つかの流体通路15は長さ寸法に沿って、幾つかは幅寸法に沿って(図9,10)延在しうる。幾つかの実施形態において、流体通路15は径方向に延在する(図11~14)。幾つかの実施形態において、流体通路15は周方向に延在する(図16)。
【0127】
各通路15の当該のマイクロウェルセット20は、例えば図1Aに示されているように同じ縦及び横の範囲及び位置を有するように整列されるか、交互に配置されて、別の流体通路15(不図示)の、隣接して少なくとも部分的に横に整列されるマイクロウェルセットの隣接の第1端部の上又は下にマイクロウェルセット20の第1端部が設けられてもよい。
【0128】
当該の流体通路15のマイクロウェルセット20の幾つか又は各々のマイクロウェル120(図3A)は、1000~1,000,000個以上、あるいはより一般的には1,000~100,000個又は1,000~50,000個のマイクロウェル120による稠密アレイとして設けられうる。
【0129】
幾つかの実施形態で、マイクロ流体デバイス10の通路15は、1,000から1,000,000個以上、任意で10,000~200,000個の範囲でありうるマイクロウェル120のアレイ120aを各々が備えるマイクロウェルセット20で当該の試料を分析できる。マイクロ流体デバイス10は、一般的には10~100本の間の複数の流体通路15を包含し、デバイス10には累計で2,000万個迄のマイクロウェル120が設けられる。
【0130】
実施形態例において、各通路15は密閉後の流体隔離状態で2~10(以上)のマイクロウェルセット20をその長さに沿って有しうる。マクロウェルセット20は適当な数のマイクロウェル120を有しうる。幾つかの実施形態で、各マイクロウェルセット20は同数のマイクロウェル120を有する。幾つかの実施形態で、一つ以上のマイクロウェルセット20(幾つかの実施形態では各セット)は、12,000個未満のマイクロウェル120(例えば1,000,2,000,5,000,8,000,10,000,12,000個のマイクロウェル120)を包含しうる。幾つかの実施形態で、一つ以上のマイクロウェルセット20(幾つかの実施形態では各セット)は少なくとも1,000個のマイクロウェル120(例えば、1,000,10,000以上、例えば12,000~50,000,100,000,200,000,300,000,400,000,500,000,600,000,700,000,800,000,900,000,1,000,000,1,000,000,000個以上のマイクロウェル120)を有する。各マイクロウェル120(図3B)は一般的に、単一ビーズを保持する(幾つかは装填されず、幾つかは、幾つかの用途では望ましくない二つの装填ビーズを有しうる)。
【0131】
幾つかの実施形態において、マイクロチップ10は、マイクロウェル120に一つ以上のビーズを含む検査を実施するように構成されうる。例えば、第9,617,589号及び第PCT/US2016/042913号(US2019/0054470も)に記載のマルチビーズ検査の例を参照すること。その内容はここに充分に記載されているかのように引用により本願に取り入れられる。
【0132】
当該の通路15の異なるマイクロウェルセット20は、同じか異なる数のマイクロウェル120を有しうる(図3B)。各通路15の異なるマイクロウェルセット20は同じか異なる数のマイクロウェル120を有しうる(図3B)。
【0133】
図1Aの部位A1,A2での単一の視野(FOV)25を表す仮想フレームにより示されるように、通路15の近傍セット15n、任意でペア15pとして示されているマイクロウェルアレイ10a全体のサブセット又はサブアレイ10sがカメラのような光学シグナル検出器(220、図8)の単一FOV全体をカバーするように、デバイス10が構成されうる。こうして、少なくとも一つのカメラのような光学シグナル検出器220(図8)が、FOV25にカバーされる複数の異なる試料通路15の単一のマイクロウェルアレイ120aのようなマイクロウェルセット20の異なるサブセット10sを、いずれか一つの時点で撮像することが可能になる。近傍セット15nは、当該のマイクロウェルセット20(例えば横列の一部又は全体)を含むサブセット又は全ての通路15として配設されうる。
【0134】
さらに後述するように、光励起源225(図8)は、マイクロウェルセット20のサブセットであるとともに、試料通路15の複数の隣接通路のうちの少なくとも一つのマイクロウェルセット20を含むがマイクロチップ10の全てのマイクロウェルセット20ではないデバイス10(図1A,1B)のマイクロウェルセット20のアレイ10a全体の規定サブアレイ10sへ、規定の波長範囲の励起光を伝送するように構成されうる。規定の波長範囲は、例えば検査シグナルの為の光及び/又はコード化フルオロフォアと関連しうる。
【0135】
図1Aに示されているように、規定のサブアレイ10sは、デバイス10のマイクロウェルアレイ10a全体の単一横列全体のような単一の連続部位と関連しうる。規定のサブアレイ10sは、一般的には第1検査サイクルの後で単一の部位において通路15の当該の近傍通路15nのマイクロウェルセット20のサブセットを逐次的に撮像することにより、撮像されるか光学的に分析されうる。すなわち、検査は、熱サイクルと関連する複数の検査サイクルを包含する。励起及び撮像される規定のサブアレイ10sは、各検査サイクルの後で、つまり第1検査サイクルの終わりに変化しうる。幾つかの実施形態において、分析システム200(図8)は、第1検査サイクルの終わりに第1横列R1のマイクロウェルのサブセット20と関連するアレイ10aのサブセット10sの励起及び撮像のみを行い、第2検査サイクルの終わりに、分析システム200は第2横列R2のマイクロウェルサブセット20のみを励起及び撮像する。
【0136】
デバイス10は、一緒に付着される上方及び下方の基材10u,10b(図2A,2B)を包含しうる。上方基材10uは下方基材10bと同じか異なりうる。基材10u,10bのいずれか又は両方は剛性であって、例えばガラス、石英、又は適当な金属を包含しうる。カバー基材10uは視覚的に透過性、一般的に透明でありうる。基材10u,10bのいずれか又は両方は、シリコーン又はポリマー物質(PMMA,COC,COP,PDMS,PP,PE,PTFE,Kapton(ポリアミド)、その他多数)のようなポリマーであり、一つ以上のマイクロウェルアレイ10aとなる。幾つかの実施形態において基材10u,10bのいずれか又は両方はシリコンを包含する(例えばシリコンウェハである)、及び/又は、例えばアルキルシラン及び/又はアルキルチオールのような疎水性化合物により機能化(例えばシラン処理)されうる。幾つかの実施形態において、基材10u,10bのいずれか又は両方は、アルキルシランでシラン処理されたシリコンを包含する。
【0137】
当該のマイクロウェルアレイ120aとなる各マイクロウェルセット20を含む複数の離間したマイクロウェルセット20を備える流体通路15は、開口上面と閉止底面とを有して間に側壁が延在するように一つ以上の基材10u,10bに形成される側壁と床部とを有する。一つ以上のスペーサ、上部基材、膜、又はカバーが使用されうる。上部基材、膜、又はカバーは、流体通路の上面及び/又は反応ウェルのアレイを密閉、被覆、又は他の形で閉止できる。幾つかの実施形態において、通路15は、上部基材10uにエッチングされ、底部はマイクロウェルセット20となり、通路15の閉止面を形成できる。
【0138】
物質投入部の分析物は、例えば、合成及び生体高分子、ナノ粒子、小分子、DNA、核酸/ポリ核酸、ペプチド、タンパク質、その他を含む様々な混合物を含めて、対象のいかなる分析物でもよい。分析物は一つ以上の分析物分子でありうる。
【0139】
投入物質は試料又は試料の分析物を包含し、アミノ酸、荷電分子、分子、ペプチド、及びタンパク質のような一つ以上の極性代謝物を含みうる。試料及び/又は分析物はまた、あるいは代替的に、生物流体、血液、血清、尿、乾燥血液、細胞成長培地、溶解細胞、飲料、又は食料から抽出された分子を含みうる。試料はまた、あるいは代替的に、水、空気、土のような環境試料を含みうる。
【0140】
「オリゴヌクレオチド」の語は、少なくとも約5個のヌクレオチドから約500個のヌクレオチドの核酸配列を指す(例えば5,6,7,8,9,10,12,15,18,20,21,22,25,30,35,40,45,50,55,60,65,70,75,80,85,90,100,125,150,175,200,250,300,350,400,450,500個のヌクレオチド)。幾つかの実施形態において、例えばオリゴヌクレオチドは、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅検査のプライマーとして、及び/又は、交雑検査のプローブ又はマイクロアレイとして使用されうる約15ヌクレオチドから約50ヌクレオチド、又は約20ヌクレオチドから約25ヌクレオチドでありうる。本発明のオリゴヌクレオチドは天然又は合成の例えばDNA,RNA,PNA,LNA、変性主鎖等、又は当該技術で周知の何らかの組み合わせでありうる。本発明のオリゴヌクレオチドは、一本鎖、二本鎖、又は部分的二本鎖でありうる。幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは(例えばPCRにより)非拡張性である。
【0141】
増幅及び/又は検出のいずれかの為のものを含むプローブ及びプライマーは、適当な長さのオリゴヌクレオチド(DNAと合成及び/又は変性オリゴヌクレオチドのような自然発生オリゴヌクレオチド)であるが、一般的に5,6,8ヌクレオチドの長さから40,50,60ヌクレオチドの長さかそれ以上でありうる。このようなプローブ又はプライマーは、ビーズ、チップ、ピン、又はマイクロタイタープレートウェルのような固体支持体に不動化又は結合されうる、及び/又は、蛍光性化合物、化学発光化合物、放射性元素、又は酵素のような検出可能な塩基と結合されるかこれでラベリングされうる。
【0142】
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、周知の技術に従って行われうる。例えば、米国特許第4,683,195号、第4,683,202号、4,800,159号、第4,965,188号を参照すること。概して、PCRは、最初に、各核酸ストランドに相補的である各プライマーの拡張生成物が合成されるように交雑条件下で検出される特異配列の各ストランドの為の一つのオリゴヌクレオチドプライマーにより(例えば熱安定DNAポリメラーゼの存在下で)核酸試料を処理することであって、各プライマーから合成される拡張生成物が相補体から分離された時に他のプライマーの拡張生成物の合成の為のテンプレートとして機能するように、交雑される特異配列の各ストランドに対してプライマーが充分に相補的であることと、それから、変性条件下で試料を処理して、検出される単数又は複数の配列が存在する場合にはプライマー拡張生成物をそのテンプレートから分離することとを必要とする。所望の程度の増幅が得られるまで、これらのステップが周期的に反復される。反応生成物への交雑が可能なオリゴヌクレオチドプローブ(例えば本発明のオリゴヌクレオチドプローブ)であって検出可能ラベルが付けられたプローブを反応生成物に追加してから周知の技術に従ってラベルを検出することにより、又はゲルでの直接可視化により、増幅配列の検出が行われうる。増幅配列は、反応混合物に挿入色素を追加して二本鎖DNAの総質量に比例する蛍光シグナル強度を監視することによっても検出されうる。非挿入性であるがdsDNAの存在下で高い蛍光シグナルを生じる他の色素も使用されうる。本発明による実施形態がPCR反応に関して記載されたが、ローリングサークル増幅法又はループ媒介等温増幅法(LAMP)のような等温増幅技術を含む逆転写PCR(RT-PCR)など他の核酸増幅方法が使用され、核酸配列方法も使用されうることが理解されるべきである。付加的に、酵素結合免疫吸着検査(ELISA)のような酵素増幅反応など他のプロセスが使用されうる。このようなケースでは、増幅反応を制御してマイクロウェルアレイの撮像を最適化するのにマイクロウェル温度制御が使用され、幾つかのエリアは完全な反応画像(デジタルシグナル)の使用の前後のみに撮像されるのに対して、他のエリア又はサブアレイはアナログシグナルを取得する為に反応中に撮像されうる。
【0143】
前述のようなDNA増幅技術は、一つのプローブ、3,4,5,6個以上のプローブによるペア又はセット、あるいは対象の多型又は突然変異体を含有するDNAに特異結合されるが、同じ交雑条件下で対象の多型を含有しないDNAには強く結合されず、また増幅反応においてDNA又はその一部分の増幅の為の単数又は複数のプライマーとして機能する二つのプローブペアの使用を必要とする。このようなプローブはここでは増幅プローブ又はプライマーと時に称される。幾つかの実施形態では、例えば一塩基多型(SNPs)及び/又は他の突然変異体及び/又はインデルのような希少対立遺伝子の検出の為の自由競争によるプロセスにおいてなど、二つ以上のプローブが使用されうる。
【0144】
「試薬」の語は、化学反応を引き起こす為にシステムに追加されるか反応が発生しているかどうかを確認する為に追加されるプライマー、核酸テンプレート、そして増幅酵素を含む物質又は化合物を指す。単数又は複数の増幅試薬は、プライマー、核酸テンプレート、そして増幅酵素を除いて、概して増幅に使用されるこれらの試薬(デオキシリボヌクレオチド三リン酸、緩衝液等)を指す。一般的に、増幅試薬は他の反応構成要素とともに、反応槽(試験管、マイクロウェル等)に載置及び収容される。
【0145】
ここで使用される「磁性」の語は、強磁性、常磁性、そして超常磁性の特性を含む。
【0146】
概して、対象の多型又は突然変異体を含有するDNAを検出するのに使用されるオリゴヌクレオチドプローブは、この突然変異体又は多型をコード化するDNAに結合するが、同じ交雑条件下では突然変異体又は多型を含有しないDNAには結合しないオリゴヌクレオチドプローブである。オリゴヌクレオチドプローブは、以下に挙げるような適当な検出可能塩基でラベリングされる。このようなプローブは時に、検出プローブ又はプライマーとここで呼ばれる。
【0147】
発明の実施形態は、コンパクトアレイにおけるシングルプレックス反応(SiRCA)、高感度高マルチプレックス核酸(NA)のプラットフォーム、そしてタンパク質定量化に使用されうる。SiRCAは、超並列の高マルチプレックス形式で試料調製をデジタルPCR精度と組み合わせる。NA-SiRCAは、蛍光色素で固有コード化されたマイクロビーズセットから検査パネルが製作される磁気ビーズに基づくPCR変形例である。各セットは、セットが組み合わされる前に特異的標的NAの為の異なるプライマーペアで機能化される。検査中に、ビーズのプライマーはNA標的に交雑されて、これらを試料マトリックスから捕捉、濃縮、精製することができる。ビーズが洗浄され、数千個のマイクロウェル120を収容するアレイ120aを各々が包含するマイクロウェルセット20に装填され、一般的に一つのビーズが一つのビードウェル120wを占有する。マイクロウェル120は適当な容積を有しうる。幾つかの実施形態において、マイクロウェル120は、10フェムトリットルから約10マイクロリットル未満、あるいは約10,50,100フェムトリットルから約200,500,1,000フェムトリットルのように、約10マイクロリットル以下の範囲の容積を有する。幾つかの実施形態において、マイクロウェル120は約100フェムトリットルの容積を有する。
【0148】
(プライマーを除く全ての試薬を含有する)PCRマスターミックスは、非混和性オイルを使用してウェルを互いに密閉する前に追加される。加熱時に、ビーズはプライマーセットと捕捉された標的とを放出して、各マイクロウェル120にシングルプレックスPCRを形成する。数千個の空間的マルチプレックスPCRが、プライマーセット間の干渉を伴わずに急速に生成される。dsDNA挿入色素からのシグナルは標的増幅を示し、標的IDはビーズのコード化から判定される。低濃度では、単一分子カウント(デジタルシグナル)により精密な分析物定量化が可能である。高濃度では、同じ反応タイプの全てのウェルからの蛍光シグナルの平均値として測定されるリアルタイムPCR(アナログシグナル)は、デジタルシグナル飽和点より上の定量範囲を拡張する。
【0149】
非円筒形のマイクロウェル幾何学形状の使用は、マイクロビーズアレイに基づく技術での検出を改良できる。ウェルの一つのエリアが磁気装填及びビーズ保持の為に最適化されてウェルの別の領域がシグナルの検出に使用されるように、これらのウェル幾何学形状が考案される。ウェルのビーズ領域にビーズを装填した後に、非混和性流体の密閉のような方法を使用して少量の試薬流体がウェル内で隔離される。マイクロウェル120を示す挿入図を含む単一アレイチップの例が、図3Aに示されている。他の実施形態は設計の変形例を含みうる。特定の実施形態では、一つのエリアは、ビーズ直径の約100から約150%の直径とビーズ直径の約50%から約185%の奥行とを含むポケット又は収容部120w(図3B)と、細いポケット又はスリット120s(図3B)又は標準的なビーズが物理的に嵌着しない他の幾何学形状から成る流体接続領域とを含む。ビーズから放出された試薬又は分析物が共通の溶液容積内で拡散するか他の形で混合するように両方の領域が流体接続される。ビーズを検出領域から空間的に分離することにより、シグナルへのビーズ背景蛍光の影響が軽減又は解消され、シグナルノイズ比を向上させる(図4B)。付加的に、これらの幾何学形状は反応ウェルへの高度な単一占有装填を可能にする一方でその反応容積を増加させ、反応効率を潜在的に向上させる。
【0150】
NA-SiRCAは、チップ10上のマイクロチューブフォーマット及び/又はマイクロウェルアレイ120aを含むビーズを使用して行われ、約10億回もの反応など、約35,000回以上の反応を可能にする。
【0151】
我々は、合成標的を使用した12プレックス呼吸器パネルを開発した。10コピー/μLから10,000,000コピー/μLの範囲全体にわたるデジタル及びアナログの合成シグナルを使用して、優れた直線性が観察された。低濃度(50~150コピー/μL)のデジタル定量化は、高精度かつ低変動で表示され、わずかなコピー数変形例の間の判別を可能にする。RNAは逆転写を使用して検査されうることを我々は証明した。開発中の追加検査は、pg/mL LODsの低い免疫PCRを使用するマルチプレックスタンパク質検査(サイトカイン)を含む。
【0152】
一般的に、デジタル検査は、各増幅サイクル後の検査シグナルの撮像を必要としない。しかしながら、アナログ検査は、どれほどの数のNA分子が最初にビーズに結合されるかを判定するのに閾値サイクル(Ct)の検出に依存する。Ctは一般的に、シグナルが背景シグナルのかなり上(5~10%又はそれ以上)である第1サイクルと判定される。Ctの差は試料の初期濃度を判定するのに使用されうる。PCR反応の100%の増幅効率を
【数1】
と推定して、標的試料の濃度を判定するように、標的試料からのCt(CtS)が、周知の初期濃度の基準反応(CtR)と比較される。当業者であればどのようにして効率を100%未満に調節するかを理解するだろう。
【0153】
濃度測定の解像度(つまり濃度が判定される精度)は、蛍光性が測定される頻度に依存する。各増幅サイクルの後に撮像する(つまり各々がアンプリコン濃度の2倍にほぼ等しい)ことにより最大の解像度が得られる。しかしながら、頻繁な撮像の結果、励起源への色素の露出に依存する形で色素の光退色が生じる。これは、SiRCAに使用される少量のPCR反応には特に重要である。図4Aは、ベースラインシグナルの負勾配により光退色の作用が明白であるリアルタイムPCRプロットのトレースを示す。
【0154】
本発明のマイクロ流体デバイスは、任意で高処理量の用途及び/又は手法で試験を受ける一つ以上(例えば1,2,3,4又はそれ以上)の試料を提供しうる。本発明のマイクロ流体デバイスは、関連のマイクロウェルアレイ120a(例えば1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20またはそれ以上)を含む複数のマイクロウェルセット20を備える一つ以上のアレイ10aを含む単一の基材を有しうる。幾つかの実施形態において、単一のアレイ10a又は複数のアレイ10a(後者は図9~11,16に図示)として任意で設けられる二つ以上の流体通路15が基材に組み込まれて、高処理量用途の為の集約型多試料デバイス10を形成する。幾つかの実施形態において、マイクロ流体デバイス10の一つ以上のアレイ10aの複数の流体通路15での一つ以上のマイクロウェルセット20が同時的に熱サイクルを受ける。
【0155】
デジタルPCRデータを取得する為にPCR前に1回とPCR後に1回、アレイが撮像されるので、このような形式のデジタルPCRが達成されうる。幾つかの実施形態において、一つのウェルからの光が少なくとも一つの画素により収集されるように充分に高い画素密度のセンサにより、アレイ(例えば約40,000ウェルを含むアレイ)が撮像される。幾つかの実施形態において、本発明のデバイスの各マイクロウェル120は、約4個から約20個の画素、又は約4個から約100,150,200個の画素により撮像されうる。幾つかの実施形態において、本発明のシステム、デバイス、及び/又は方法により、カスタム光学素子及び/又は高精度の整列を伴わずに、単一のセンサを使用して撮像される二つ以上の隣接の流体通路15において一つ以上の整列又は部分的整列マイクロウェルセット20が得られる。
【0156】
カスタム光学素子の代替例は、各PCRサイクルの拡張ステップの後にアレイが逐次的に撮像されうるようにカメラ及び/又はマイクロ流体チップのいずれかを水平、垂直、及び/又は回転移動させる高精度配置ステージの使用である。このアプローチは、長い検査時間を犠牲にして多くのアレイの撮像を可能にする。試料通路15当たり62.5kのマイクロウェル120のように、30,000から40,000個以上ものマイクロウェルセット20を備える通路15については、平行移動及び撮像により一般的に、追加される各アレイの各サイクルに約1秒から約10秒を追加できるが、高性能ハードウェアは費用が高いがこの時間を短縮できる。撮像時間の増加は、PCRサイクルの拡張時間を効果的に増加させる。PCR反応速度はサイクル依存性であって時間依存性ではないが、活性ポリメラーゼはダイマー及び非特異的生成物の書き込みを行う充分な時間が与えられた場合にこれを行う傾向があるので、多数のアレイの撮像に必要な熱サイクルが長時間遅延することは問題である。これは背景シグナルの増加と検査特異性の低下につながる。
【0157】
本発明の幾つかの実施形態は、例えば本発明の実施形態によるコード化マイクロビーズマイクロウェルアレイ120a(図3B)に独自の特徴を利用すること等により、これらの撮像及び/又はデータ収集の問題に対する解決策を提供する。
【0158】
コード化ビーズアレイの性質は、アナログPCRデータ収集及び分析についての独自の方法を可能にする。標的分子の濃度がアナログ領域にある場合に、各ビーズタイプの平均分子数はほぼ同じである。それゆえ、各ビーズセットのCtはアレイでのビーズ位置に無関係であり、アレイの異なるエリアが異なるPCRサイクルで撮像されるが、それでも単一サイクル解像度を達成する。すなわち、各PCRサイクルの後にアレイ全体を撮像する必要はなく、アレイの代表的部分のみが撮像される必要がある。幾つかの実施形態では、一般的なほぼ方形のアレイを使用する代わりに、各試料からのアレイが高い近接度で配置されるように長形アレイが使用されてもよい。こうして、長い距離にわたって複雑な経路で平行移動する必要なく、カメラが二つ以上の試料アレイを一度に、多くのアレイを短時間で撮像することができる。
【0159】
図1Aに示されているデバイス10のレイアウトを使用して、この方法の一実行例が以下の例により例示されうる。この設計において、二つ以上の流体通路15(任意で二つ以上の異なる試料)からの当該ウェル120(図3B)を各々が備えるマイクロウェルセット20のアレイ10sのサブセットが単一フレームでカメラにより撮像されるように、流体通路15がセット(ペア15pとして図示)にグループ分けされる(図1A,1Bでは、1A,2Aのフレームボックス25でカメラの視野が記されている)。この例では、一つの横列Rの各マイクロウェルセット20からのウェル120wの代表的部分がデバイスの幅にわたってわずか4回の捕捉で撮像され(A1(互換的に「1A」とも呼ばれる)、A2(互換的に「2A」とも呼ばれる)、そしてA3(互換的に「3A」とも呼ばれる)、A4(互換的に「4A」とも呼ばれる)、そしてA5(互換的に「5A」とも呼ばれる)、A6(互換的に「1A」とも呼ばれる)、そしてA7(互換的に「7A」とも呼ばれる)、A8(互換的に「8A」とも呼ばれる)の連続的捕捉)、フレーム間では短い横平行移動のみが行われる。従って、幾つかの実施形態において、本発明の方法は、異なるマイクロウェルセット20のアレイ10a全体を撮像せずにアナログデータを収集することを含む。
【0160】
図17は、標的種及び/又は標的分子を特定する方法例を示すフローチャートである。第1流体通路上で離間した複数のマイクロウェルセットを含む第1流体通路を備える流体分析デバイスが用意される(ブロック600)。光励起シグナルが(任意で)複数のマイクロウェルセットの規定のサブセットのみに伝送される(ブロック610)。(任意で)光励起シグナルの伝送を受けて複数のマイクロウェルセットの規定のサブセットのみからシグナル強度データが取得される(ブロック620)。シグナル強度データに少なくとも部分的に基づいて、標的種及び/又は標的分子について陽性であるビーズタイプが特定される(ブロック630)。しかしながら、幾つかの実施形態において、シグナルを取得するのに光励起は必要ない。例えば、幾つかの実施形態において、検査(例えばタンパク質検査)は、光励起を伴わずに検出及び/又は撮像されうる化学発光シグナルを発生できる。
【0161】
この方法は任意で、密閉後に各マイクロウェルセットが互いに流体隔離状態になるように、伝送ステップの前に第1流体通路上の複数のマイクロウェルセットを装填及び密閉することを含みうる。第1流体通路上の複数のマイクロウェルセットは、密閉ステップに先行して、装填中のみに流体連通状態にある(ブロック602)。
【0162】
任意で、この方法は、検査の複数の連続反応ステップの各々の後で(例えば検査の複数の連続熱サイクルの各々の後で)複数のマイクロウェルセットの規定のサブセットを異なる規定のサブセットに変更することにより、各反応ステップの後に幾つかのマイクロウェルセットが撮像されないこと(ブロック612)を含みうる。
【0163】
任意で、規定のサブセットは、検査の複数の連続反応ステップにわたって(例えば、検査の複数の連続熱サイクルの各々の後で)同じままあり、それゆえ各反応ステップ後に幾つかのマイクロウェルセットが撮像されない(ブロック614)。
【0164】
任意で、この方法は、伝送及び取得ステップの後、前、又は前後に複数のマイクロウェルセットの規定のサブセットをデジタル走査することと、ウェルのアレイが撮像温度にある間に一つ以上の標的分析物分子について陽性であるウェルを電子的に特定すること(ブロック624)を含む。
【0165】
任意で、マイクロチップ10の単一の物理的部位を占有するサブセットの画像を連続的に取得する、例えば第1、第2、第3、第4又はそれ以上の当該の横列のうち異なる単一の横列からのデータを連続的に取得することにより、当該の試料通路15のマイクロウェルセット20のサブセットのみと、一つ以上の近傍の隣接流体通路15のサブセットのみ、例としては、第1、第2、第3、第4、又はそれ以上の流体通路のうち2から10本以上の隣接流体通路をカバーする視野(FOV)を持つカメラを使用して、規定のサブセットのみからのシグナル強度の取得が行われうる(ブロック622)。
【0166】
任意で、シグナル強度の取得は、アナログシグナルを取得することを包含する。アナログシグナルは、流体通路のマイクロウェルセットにおける投入物質の振幅変化対PCRサイクル数としてのリアルタイムPCRデータを提供することができ、一つ以上の規定のビーズタイプの標的分子の濃度は、1マイクロウェル当たり約1分子である、1分子に等しい、又は1分子より大きく、アナログシグナルは、蛍光シグナルが閾値より大きい時に陽性、又は蛍光シグナルが所与のPCRサイクル数についての閾値より常に小さい場合に陰性としてマイクロウェル反応を特定する閾値サイクル又はサイクル閾値Ctを規定し、Ctは、Si>>Bsであるサイクル数であって、>>はBsより少なくとも5~10%大きく、任意で2倍大きい、及び/又は、Bsの標準偏差の5~10倍であり、Siは蛍光シグナル強度であり、BsはPCR陰性反応で測定される背景蛍光シグナルである(ブロック626)。PCR反応の始めに分子数を判定するようにCtが基準反応と比較されうる。
【0167】
任意で、シグナル強度の取得は、流体通路のマイクロウェルセットでの投入物質検査のPCRサイクル数での振幅変化としてリアルタイムPCRデータを提供して、Si>>BsがBsの少なくとも10%より大きく、任意で2倍大きい、及び/又はBsの標準偏差の5~10倍である時に標的分子についてPCR反応が陽性であるかどうかを判定できるアナログシグナルを取得することを包含する。Siは、各規定のビーズタイプに対応するアナログシグナルの平均値、中央値、最頻値、加重値として計算されうる。幾つかの実施形態では、(一般的には初期PCRサイクルで)外れ値を除外してから平均値又は中央値を判定することにより、Siが計算されうる。
【0168】
幾つかの実施形態では、図19及び20A~20Dを参照すると、デバイス10へのビーズの装填は以下のように行われうる。デバイス10は装填緩衝液で湿潤され、線形磁石又は磁石800のアレイに結合されるかこれと協働するホルダ900(図21)に配置される(ブロック700)。通路間汚染のリスクが最小であるビーズ装填を可能にするように、投入ポート16のビア16vは、任意で二つの近傍の隣接横列で位置的にオフセットしうる(ブロック702)。磁石800が奇数の通路の下に固定された状態で(図20A)、物質投入部からのビーズスラリがビア16vへピペットで移される(ブロック710)。そして磁石800が移動するので、偶数ビアの下に位置し(図20B)、ビーズを奇数通路へ引き寄せる(ブロック720)。言うまでもなく、図2A及び20Bに示されているステップは逆の順序で行われうる。偶数ビアにビーズスラリを追加した後に、マイクロウェル(アレイ室)へビーズを引き寄せるのに磁石800が使用される(図20C)(ブロック730)。各アレイセット20の下の磁石を流体通路15に沿ってマニホルド通路及び/又はマスターミックスポート18へ摺動することにより、マイクロウェルセット(アレイセグメント)にビーズが装填され、任意で硬質の停止デバイス810(図20C)により動作が制御されるので、(試料間でのビーズの混合を可能にする)共通のマニホルド通路にビーズが進入しない(ブロック740)。
【0169】
各通路15には、各物質投入部又は流体通路15について合計数千又は数百万個のマイクロウェル120、任意で約62.5kのマイクロウェル120を収容する5個のマイクロウェルセット20~20(各々が12.5kのウェル)として図1Aに示されている、任意で物理的に離間したマイクロウェル20のセグメントセットが設けられる(ブロック704)。
【0170】
流体通路15の各マイクロウェルセット20のマイクロウェル120(図3B)にビーズが装填された後に、ビア16v、投入ポート(図20D)の方へ磁石800を平行移動させることにより残りのビーズがビア16vの方へ磁気で引き戻される(ブロック750)。マスターミックスは、通路15を満たすまで共通のリザーバ18に印可される圧力の下で流動する(ブロック760)。そして密閉オイルがマイクロウェルセット20を密閉して、余分なマスターミックスを通路15から排出するまで、圧力下でポンプ供給される(ブロック770)。
【0171】
任意で、デバイス10から排出される際に水溶液を収集するようにリザーバ16r及び/又はビア16vの上に吸収パッドが載置されうるか、ビア16v及び/又はリザーバ16r(図2A)から漏出する際に液体を除去するのに部分的真空が使用されうる(ブロック772)。
【0172】
任意で、ビアから漏出させる代わりに廃液を蓄積するように第2マイクロ流体通路、通路ネットワーク、又はリザーバが使用されうる。マイクロ流体と、任意で装着される別のリザーバ又はリザーバセットのいずれかとしてのこのような排出物リザーバは、マスターミックス追加及び/又は密閉ステップの前の充填を防止するような手法でワックス又はパラフィンバルブ又は疎水性コンストリクションにより通路及び/又はビアに流体接続されうる。幾つかの実施形態では、膜が水及び/又はオイルの流れを阻止して任意で膜からの空気の放出を許容するように、ビーズ追加の後にビアが膜で密閉されうる。幾つかの実施形態において、膜は他のビア又はポートを被覆して、マイクロ流体通路、室、又はビアから空気が放出する経路として作用しうる。
【0173】
そして、熱サイクル、PCR及び撮像の為の検査システム200h(図8)の熱サイクル顕微鏡ステージにデバイス10が載置される(ブロック780)。
【0174】
流体通路15のマイクロウェルセット20のアレイ10aは、ここでは横列と流体通路番号で言及されるサブアレイつまりA~Eに分割される(つまりA1はデバイスの左上角部のマイクロウェル20のサブセットであり、E8はデバイスの右下角部に見られるマイクロウェル20のサブセットである)。A1-A2は単一の画像捕捉により撮像されうる。
【0175】
データ収集処理方法例1(「方法1」)
カメラ(222,図8)は、最初にA1-A2,A7-A8,E7-E8、それからE1-E2の位置でマイクロウェルセット20のサブセットに整列されて焦点が合わされる。X,Y,Z(焦点高さ)でのマイクロウェル20のサブセットのこれらの角部20cの部位は、内側のマイクロウェルセット20すべての位置を計算するのに使用されうる。アレイ10aが撮像温度(一般的には約60℃から約72℃の拡張温度)に保持されたままで焦点が合わされて、熱膨張による寸法変化を解消する。それから、PCR熱サイクリングの前に各通路のあらゆるマイクロウェルセット20が撮像温度で撮像されてベースライン「プレPCR」画像が得られる。
【0176】
第1PCRサイクルの後に、第1横列のマイクロウェルセット20のサブセット(A1-A2,A3-A4,A5-A6,A7-A8)は、合計四つのフレームで順次撮像される。第2PCRサイクルの後に、第2横列が撮像される(B1-B2,B3-B4,B5-B6,B7-B8)。第5PCRサイクルの後で横列Eを撮像した後に一連の動作が反復され、横列Aは第6PCRサイクルの後で撮像される。このプロセスが30回のPCRサイクルにわたって継続される場合に、各横列は6回撮像されるだろう。ステージ平行移動に必要な時間を短縮する為に、次のアニーリング/拡張/撮像ステップが実施される前に変性ステップが実施される間に、ステージは次の横列の部位まで移動するだろう。
【0177】
熱サイクルが完了した後に、「ポストPCR」画像が撮像温度でアレイ10a全体について撮影される。アレイ10aが(一般的に約20℃から約25℃まで)冷却され、別のポストPCR画像セットが撮影される(密閉技術の不具合により水性マスターミックスが二つ以上のウェルを接続してしまうチップの問題エリアを明確にする)。所望であれば、アレイ10aが一連の温度で撮像されてPCRサイクリングの後で検出されるアンプリコンの融点及び/又は範囲を判定する。フィルタセット(F,F図8)はコード化波長に合わせて交換され、第1コード化画像セットがマイクロウェルセット20の各サブセットについて取得されてから、必要であれば第2フィルタセットを使用して第2コード化画像セットが続き、そしてビーズセットの解読の為に必要に応じて反復される。
【0178】
撮像データの処理は二つの領域、つまりデジタルとアナログに分割されうる。プレPCR及びポストPCR画像を比較して挿入色素シグナルの増加が各ウェルの設定閾値を超えたかどうかを判定することにより、デジタルPCRシグナルが判定されうる。幾つかの実施形態において、デジタル陽性又は陰性を判定するにはポストPCR画像のみが必要である。代替的に、正確なアンプリコンのPCR増幅と一致する手法で蛍光シグナルが撮像過程で変化したかどうかを判定するのに、プレPCR及びポストPCR画像が任意で6個の熱サイクル画像とともに使用されてもよい。例えば、標的のPCR反応の母集団の幾つかの部分が陰性である低濃度の標的では、後のサイクルでシグナルの増加が予想され、サイクリングの初期に強力なシグナルを示す外れ値は、非特異的な増幅生成物又は特定ミスのビーズと考えられうる。
【0179】
PCR反応の大部分又は全てが陽性である高濃度の標的では、リアルタイムのアナログシグナルが使用される。アレイ10aのマイクロウェル20の各サブセットからのシグナルが5サイクルの解像度(各サブアレイは5回のPCRサイクルごとに1回撮像される)を有するが、各試料のアレイ10aの通路15のマイクロウェル20の少なくとも一つのサブセットは各PCRサイクルの後で撮像された。標的分子は所与のビーズ母集団にわたって等しく分散されるべきであるので、あらゆるサイクルの後で同じウェルが撮像されなくても、画像からのデータを組み合わせて単一サイクル解像度のCt曲線を再構築することが可能である。各画像の各試料について各ビーズセットからのシグナル強度を平均化することにより、これが達成される。そして図5A-5Hに示されているように、各ビーズタイプの平均シグナルがリアルタイムPCR曲線として表示されうる。図5Aに見られるように、サイクル1で使用されるリアルタイムシグナルは位置1Aでのマイクロウェル20の第1画像から得られ、一方でサイクル2,3,4,5のデータはサブアレイ1B,1C,1D,1Eの第1画像から得られる。サイクル6では、サブアレイ1Aの第2画像からのデータが使用され、サイクル11ではサブアレイ1Aの第3画像からのデータが使用される。このプロセスが各チップ10の8本の流体通路15すべてについて使用されて(各通路が同じ試料又は異なる試料つまり8個の試料を有して)、リアルタイムPCR曲線を構築する。
【0180】
図5A-5Hに見られるように、蛍光強度ベースラインは所与の流体通路15及び/又は試料のサブアレイ(マイクロウェル20のサブセット)について完全に均一ではない。これは、挿入色素の有効濃度、画像の焦点、及び/又はデバイスに対する異なるレベルのシラン処理の作用を含む幾つかの要因による。プレPCR画像シグナル(図6A-6H)により分割することによってPCR画像シグナルが正規化される場合には、ベースラインはより直線的であり、サイクル閾値の呼び出しはより反復的でありうる。最大PCRシグナルの不規則性は標的の定量化に対して弱い影響を与えるべきである。すべてのアレイにおける色素濃度とゆえに蛍光シグナルの強度との制御を助けるプロトコルについて、これから論じる。
【0181】
データ収集処理方法例2(「方法2」)
幾つかの実施形態において、全てのPCRサイクル、この非限定的な例では30回のサイクルについてサブアレイのセット(マイクロウェルセット20のサブセット)のみを撮像することにより、データ収集が実施されうる。このアプローチでは、上の方法例1で記載したように角部サブアレイの部位を使用してカメラが整列されて焦点が合わされる。そしてあらゆるマイクロウェルセット20(つまりあらゆるサブアレイ)がPCR熱サイクルの前に撮像温度で撮像されて、ベースライン「プレPCR」画像が取得される。
【0182】
第1PCRサイクルの後に、マイクロウェルセット20(サブアレイ)の一つの横列、例えば横列Cの異なるマイクロウェルセット20が撮像される。位置C1-C2,C3-C4,C5-C6,C7-C8のマイクロウェルセット20は、合計4個のフレームで順次撮像される。第2PCRサイクルの後で、同じ横列が再び撮像される。このプロセスは30回のPCRサイクルにわたって継続され、この例では、図7A-7Hに見られるように30回のPCRサイクルについて同じ横列が30回撮像されるだろう。
【0183】
熱サイクルの後で、アレイ全体について「ポストPCR」画像が撮像温度で取得される。アレイが(一般的に約20℃から約25℃まで)冷却され、別のポストPCR画像セットが取得される。所望であれば、PCRサイクリング後に検出されるアンプリコンの融点又は範囲を判定するように、一連の温度でアレイが撮像されうる。フィルタセット(F,F図8)が交換され、各サブアレイについて第1コード化画像セット、続いて第2フィルタセットを使用して第2コード化画像セットが取得される。
【0184】
方法例1と同じように、画像データの処理は二つの領域、つまりデジタルとリアルタイム(アナログ)に分割されうる。この方法について、プレPCR及びポストPCR画像を比較して挿入色素シグナルの増加が各ウェルの設定閾値を超えたかどうかを判定することのみにより、デジタルPCRシグナルが判断されうる(表1)。幾つかの実施形態では、ポストPCRシグナルのみからデジタルシグナルが取得されうる。
【表1】
表1:方法2に記載されたリアルタイム及びデジタル処理の組み合わせを使用してデータが収集された。具体的には、横列Cはリアルタイムトレースとして収集され、他の領域はデジタル分析された。各試料は、異なる試料通路にスパイクされた5,000コピー/μLのライノウイルスとインフルエンザA型合成DNA配列とを含有していた。表の値は、対応するコード化ビーズセットについての陽性パーセントを表す。
【0185】
PCR中に撮像されなかったマイクロウェルセット20(つまりサブアレイ)は非常にわずかな光退色を有するのに対して、撮像されたサブアレイは著しい光退色を示しうる。こうして幾つかの実施形態ではデジタル陽性をデジタル陰性から区別するのに異なる閾値が必要である。
【0186】
撮像されたサブアレイのアナログシグナル処理は、旧来の全アレイ撮像方法と類似している。シグナルは各ビーズ母集団について平均化され、PCRサイクル数に対して表示される(図7A-7H)。標的分子が1ビーズ当たり1コピーを超えるアナログシグナルについては、正確かつ精密なCt判定には数百個のビーズからの平均シグナルで充分であるはずである。
【0187】
例えば上述の方法例1及び方法2のような本発明の方法は、アレイの全てのウェルがPCRサイクルごとに撮像される一般的なデータ収集プロトコルを超える利点を有しうる。幾つかの実施形態において、本発明の方法は、アナログ定量化の為に単一サイクルのリアルタイムPCR解像度を発生させながらデータ収集時間を短縮する。小型で細い設計のウェルアレイは多数の試料からの流体分離アレイを単一画像で撮像しうる。
【0188】
(方法例1に関して記載したように)多数のサブアレイにわたってアナログデータを収集することの利点は、光退色の低減を含みうる。例えば、標準的な収集プロトコルに使用される照射の20%にのみ各サブアレイが露出されるので、方法例1では著しい光退色の低減が得られる。低いサイクル解像度であっても幾つかのサイクルで収集されたデータは、プレPCR及びポストPCR画像のみの比較よりもデジタル定量化の為の偽陽性ビーズの特定については信頼性が高い。付加的に、光退色の程度が低いと、30回のサイクル全てを撮像するのに必要なものより低い濃度の挿入色素(例えばSYBRグリーンI)で適正なシグナルが得られる。挿入色素はPCRを阻害しうるので、低濃度は幾つかの標的についてPCR効率又は融点の判定を向上させうる。
【0189】
マイクロウェルセット20(つまり方法例2に関して記載したようにマイクロウェルのサブアレイ又はサブセット)の単一横列からアナログデータを収集することの利点は、Ct判定の為のデータの正規化への依存が低下して分析をより簡単にすることを含みうる。付加的に、アナログリアルタイムPCR分析に最適なビーズ装填が行われたのはどの横列であるかを判定するのにプレPCR画像が使用されうる。これは、アナログ分析に充分なビーズが一つ又はわずかなサブアレイに装填されていない場合に発生しうる問題を改善するのに役立ちうる(この問題は、アレイサイズ、幾何学形状、部位、ビーズ母集団サイズ、ビーズサイズに対する厳密な制御のような他の手段により対処されうるが)。
【0190】
方法例1及び2は本発明のデバイス設計及びデータ収集方法についての例示的な例に過ぎず、様々な組み合わせ及び/又は調整が使用されうる。例えば、異なる流体通路15のマイクロウェルセット20の単一横列は、様々な異なる間隔の他のサブアレイの撮像との組み合わせでサイクル毎に、又は一つおきのサイクルで撮像されうる。幾つかの組み合わせはより多くの補足時間を必要とするが、幾つかの実施形態では、デジタルデータ又はアナログデータの品質改良はこのようなトレードオフに値しうる。幾つかの実施形態において、マイクロウェルセット20の全て又は大部分が幾つかのPCRサイクルで撮像されうる(一般的にはあらゆる及び/又は各PCRサイクルでは撮像されない)。
【0191】
図のデバイス10は設計概念(つまり有利な手法で撮像されうるような間隔及び配置を持つ一連のサブアレイへのビーズ/反応ウェルアレイの分割)の実例に過ぎず、発明の実践では他の設計が使用されてもよい。幾つかの実施形態において、本発明のデバイス10は、当該のマイクロウェルセット20を含む16,32,64,96,384本等かそれ以上の流体通路15をデバイス10毎に含む9~1000本の流体通路15など8本以上の流体通路15について一つ以上の流体通路15のアレイ10aを含みうる。幾つかの実施形態において、本発明のデバイス10は、シリコン、ガラス、又はポリマー(例えば射出成形及び/又はホットエンボス加工によるプラスチック)及び/又は金属フィルムで製作されうる。幾つかの実施形態において、本発明のデバイス10は複合構造でありうる。幾つかの実施形態において、本発明のデバイス10はビーズ/反応ウェルアレイとアレイ室のみを収容するか、検査を実施するのに必要な試料処理マイクロ流体回路及び/又はラベリング又は増幅試薬のような他の構造を含みうる。
【0192】
任意で検査の性能及び/又は読み取りの為に、電気及び/又は機械回路、アクチュエータ、及び/又はセンサが、デバイス10の中及び/又は上に、一体化、装着、及び/又は組み込まれうる。
【0193】
ポリスチレンビーズは、疎水性と荷電の両方の分子を水溶液から吸収できる。マイクロアレイ20の長く細い幾何学形状は、通路15を流れる際に挿入色素などある種の構成要素をマスターミックスから減少させる結果を生じる。マスターミックスと合流する第1サブアレイのビーズは大量の構成要素(例えば挿入色素)を吸収し、最後のアレイが部分的に減少した溶液から吸収する量は少ない。構成要素が色素である時には、通路のアレイ(図20)と比較するとチップでの色素濃度、それゆえ初期ビーズ蛍光性に勾配を生じる結果となりうる。色素が多過ぎるとPCRを阻止して色素が少な過ぎると結果的に増幅シグナルが弱くなるので、色素吸収のこれらの差は検査について幾らかの複雑化を招く。付加的に、挿入色素濃度の変動は、アレイの解読をより困難にしうるコード化色素の見かけの蛍光強度について望ましくない変動を引き起こす。この作用は、図5,6で観察される幾つかのサブアレイにおける低強度シグナルの原因の一つでありうる。
【0194】
アレイ全体でより均一な色素(例えばSYBR)の吸収/分配を生じる様々な試薬を含める(例えば追加する)ことにより、ビーズによる色素吸収が調整されうる。これらの試薬(「色素均一剤」とも呼ばれる)は、一本鎖DNA、RNA、(任意で、試薬が通路への追加及びウェルの密閉中には二本鎖であるがPCRの撮像ステップ中には一本鎖であって挿入色素と関連しないように低い溶融温度を持つ)二本鎖DNA、部分的二本鎖DNAのように様々な長さのオリゴヌクレオチド、デキストラン硫酸又はポリアミンのようなイオン又は非イオンポリマー、界面活性剤、洗浄剤、相間移動触媒、デキストラン、シクロデキストラン、シリコーン、ポリシリコーン、フルオロカーボン、ポリフルオロカーボン、フルオロシリコーン、炭化水素、アルコール、ハイドロフルオロカーボン、そしてペプチド、タンパク質、脂質、炭水化物、グリカン、複合分子、核酸のような生体分子、及び/又は修飾核酸を限定的にではなく含みうる。周知のPCR適合性を持つ試薬及び/又は化合物と、挿入色素と関連する低蛍光シグナルとは、この目的に特に適している。色素均一剤はマスターミックスとの混和性を持ちうる。幾つかの実施形態では、色素均一剤がマスターミックスに存在する、及び/又は、追加される。色素均一剤(例えば部分的二本鎖DNA)は、約100nMから約100μMの範囲、又はその中のいずれかの範囲及び/又は値(例えば約1,5,10μMから約15,25,50,100μM)の濃度でマスターミックスに存在しうる。幾つかの実施形態において、色素均一剤は(例えば共有結合及び/又は非共有結合により)ビーズの一部分に付着されうる。幾つかの実施形態において、ビーズは、約300pM、1nM、又は3nMから約300μM又は3mMの範囲の量の色素均一剤を包含しうる。
【0195】
例えば、任意でビオチンを包含する(例えば3’末端にビオチンを包含する)非拡張性オリゴ(NEオリゴ)のようなオリゴヌクレオチド(オリゴ)は、マスターミックス追加中に色素(例えばSYBR)結合を調整(例えば減少)させうる。幾つかの実施形態において、色素均一剤は、6炭素鎖により連結されるビオチンの3’付着部を含むssDNA分子を包含しうるが、他の修飾部及び/又は結合部(例えば、C1-C20アルキル分岐又は非分岐鎖のようなC1-C20炭化水素鎖)も機能しうる。幾つかの実施形態では、ダイマーの形成が可能な追加プライマーよりもPCRに負の影響を与える可能性が低いので、非拡張性オリゴが色素均一剤として使用されうる。図22に示されているように、SYBRグリーンI含有のマスターミックスへのNEオリゴの追加は、SYBR単独(CV 4.8%)と比較すると平均初期ビーズ蛍光性(CV 0.7%)の変動を減少させる。SYBR吸収(ゆえにPCR反応におけるSYBR濃度)の変化は標的増幅及び蛍光シグナルを調整しうるので、アレイ間のSYBR吸収の変動は陽性反応(つまりデジタルPCRシグナル)の数の変動という結果を生じる。図23において、マイコプラズマ標的配列についての1ビーズ当たりの平均標的分子数は、チップの通路の5個のサブアレイの間で、マスターミックスのSYBR(CV 23%)のみとSYBRプラスNEオリゴ(CV 4%)のいずれかと比較された。変動の減少は、1ビーズ当たり平均分子のより正確な判定と、ゆえにマイコプラズマのより正確な濃度判定とを結果的に生じる。付加的に、アレイ全体での挿入色素濃度の制御は、dsDNA溶融温度の変動減少を招き、ゆえにアンプリコン融点のより正確な判定を可能にする。
【0196】
幾つかの実施形態において、コード化色素からの蛍光シグナルは挿入色素の濃度に影響を受け、ビーズによる色素吸収に大きな差がある時には、アレイの解読が困難になりうる(例えばコード化分析中にビーズをクラスタにする)。図24で、マスターミックスにSYBRのみを含む試料は、異なるサブアレイの間のコード化色素蛍光通路(CV 14%)で観察される蛍光シグナルのシフトを示す。非拡張性オリゴが溶液(CV 5%)に追加された時に見かけのコード化色素蛍光シグナルの分散は少なかった。
【0197】
代替的又は付加的に、アレイへのマスターミックスの装填中の色素吸収の差は、他の手段により対処されてもよい。例えば、幾つかの実施形態では、マイクロウェルアレイへビーズを装填する前に、挿入色素を含有する緩衝液にビーズが浸漬されうる。試料とのインキュベーションの前、間、及び/又は後に、ビーズが浸漬されうる。代替的又は付加的に、色素の吸収を調整するようにビーズの表面が機能化されてもよい。例えば、ビーズの表面により多くのプライマーが結合されると、少ないプライマーが結合される時と比較して色素の吸収が増加する。dsDNAはssDNAよりも挿入色素と強力に結び付くので、IDTから入手可能なビオチン-TEG結合化学的構造を介して任意でビーズに連結される部分的二本鎖オリゴヌクレオチド(pdsDNA)が使用されうる。幾つかの実施形態において、pdsDNAオリゴを含むビーズは検査前に挿入色素含有緩衝液に浸漬される。それからビーズが交雑緩衝液で試料とインキュベーションされ、洗浄されて、マイクロウェルアレイに装填される。幾つかの実施形態において、プライマー及び挿入色素を除いてPCRに必要な試薬すべてを含有して色素均一剤を任意で含むマスターミックスは、任意で混和性密閉オイルにより反応ウェルを互いに密閉する前に、マイクロウェルアレイの通路へ導入されうる。pdsDNAの一例が図25に示されている。
【0198】
図25は、IDTからの5’ビオチンTEG結合を示す(上図)。部分的二本鎖DNAプライマーの一例が示されている(下図)。示されているDNAプライマーは、SEQ ID NO:1の配列を持つ第1ストランドと、SEQ ID NO:2の配列を有する第2ストランドとを有する。
【0199】
色素の吸収を調整するのに使用されうるpdsDNAの融点は、保管及び/又は交雑条件下でpdsDNAが部分的二本鎖のままであるように最適化されうる。しかしながら、PCR中にpdsDNAは解離して、挿入色素と強力に結び付いていないので背景蛍光性の低いssDNAプライマーが得られる。幾つかの実施形態において、プライマーをビオチン官能基に付着する結合部(例えば炭素鎖、任意でC1-C20炭化水素)は、その疎水性及び/又はイオン電荷と、ゆえに色素又は他の試薬に関する吸収特性を調和させるように調整されうる。
【0200】
幾つかの実施形態において、任意で図21に示されているグリッド900gとして構成される複数のマイクロチップ10又はデバイスを固定するホルダ900を使用して本発明のデバイス10が製作されうる。ホルダ900は、グリッド900gを包囲する外周部910を包含して、隣接のデバイス10の両側および端部の間に横及び縦の断熱バリア領域920,930を画定できる。マスターミックスポート18は、バリアセグメント930を挟んで互いに対向位置にある。投入ポート16は、ホルダ900の外周部910に対向する位置にある。幾つかの実施形態において、ホルダ900は断熱材料から製作され、チップ10は熱伝導基材を包含しうる。グリッド900gの小型マイクロアレイチップ/デバイス10の各々は単独で熱サイクルを受けうる。グリッド900gのマイクロアレイチップ/デバイス10の熱サイクリング及び/又は撮像は、各マイクロアレイチップ/デバイス10が規定のシーケンスで撮像されるように試験システム200により同期化されうる。
【0201】
幾つかの実施形態において、本発明のデバイス10は、例えばプラスチックのような断熱材である基材から製造され、任意で同じ基材の異なるゾーン、エリア、又は部位には規定のシーケンスで熱サイクル及び/又は撮像が行われる。
【0202】
本発明のデバイス10は、市販の自動化試料調製法(例えば、テカン(Tecan)、ハミルトン(Hamilton)、ベックマン(Beckman)、又は他の自動システムのようなピペットロボット及び/又はビーズ洗浄ロボット)とともに使用されるか、カスタム化された専用のリーダ装置又はプラットフォームを使用して操作されうる。本発明で使用されるリーダは、高容積の試験管内試験に適した大型設計、臨床検査室又は診療所に適した卓上型、生産フロアや消費者又は法医学試験に最適な携帯型、あるいは他のシステムに組み込まれる型を含みうる。
【0203】
利用されうる光学システム220(図8)は、デバイス10のアレイ部分全体(又はその大部分)が低解像度で、マイクロウェルのサブセット20のうち選択されたものの小部分が高解像度で撮像されるデュアル又はマルチ光学撮像システム、あるいはズームレンズのように急速な視野変化を可能にするレンズシステムを含むが、これらに限定されるわけではない。代替的に、電気化学、吸収、及び/又は化学発光検出を含む他の検出システムが使用されうる。
【0204】
本発明のデバイス及び/又は方法は、免疫PCR、逆転写PCR,コンパクトアレイにおけるタンパク質シングルプレックス反応(タンパク質-SiRCA)とともに、PCR又は核酸増幅の他の多くの変形に使用されうる。アンプリコンを検出する異なる手段、例えば分子ビーコン又は加水分解プローブ(例えばタックマン(TaqMan)プローブ)、又は当該技術で周知のこのような手段が使用されうる。各ビーズの性質を判定するのに使用される解読画像は、熱サイクリング画像の前、間、及び/又は後に取得されうる。
【0205】
幾つかの実施形態によれば、高解像度リアルタイムPCRを取得する為の方法は、コンパクトアレイにおけるシングルプレックス反応(SiRCA)で検査シグナルに対する光退色の作用を軽減しながら行われうる。本発明のデバイス10は、任意で一つ以上の試料の為の、マイクロウェルセット20を各々が備える二つ以上の流体通路15を包含し、アレイ10はマイクロウェルセット20のサブセットを使用して撮像されうる。異なるマイクロウェルセット20のサブセットは、各増幅サイクルの後で一つのセグメントが撮像されるというシーケンスで撮像されうる。各画像について、各反応タイプの為の平均シグナルが各試料について計算されうる。各増幅サイクルについての各反応タイプからの平均シグナルを表示することにより、あらゆるPCRサイクルの後でアレイ全体を撮像する時間を必要とせずに単一サイクル解像度で各反応タイプについてサイクル閾値が判定されうる。例えば、通路15を含む長さ14mm幅1.25mmの流体デバイス10は、5個の(横列)セグメントA,B,C,D,Eに分割されうる。PCRのサイクル1の後に、セグメントAが撮像される。セグメントBは、PCRのサイクル2の後で撮像される等々。各横列/セグメントは、30回のPCRサイクルの後で6回撮像されうる。各ビーズタイプからのシグナルがあらゆるPCRサイクルについて取得されうるが、蛍光性データを記録するのに使用される励起エネルギーの線量の1/5のみを各横列/セグメント(ゆえに各反応)が受容する。それゆえこのアプローチは、シグナルサイクルリアルタイムPCR解像度を維持しながら光退色の影響を軽減する。付加的に、当該の試料流体通路15のマイクロウェルセット20を一次元まで細くすることにより、マイクロウェル20の当該のサブセットを含む2本以上の通路15が、高速で撮像される(例えば一つのフレームが一つ以上のアレイを含有する)のに充分な近接度で載置されて、妥当な撮像時間でリアルタイムPCRデータを多数試料の単一サイクル解像度で収集する能力を促進する。
【0206】
本発明の方法は、反応の性質が一般的にリアルタイムで判定されうるようにコード化されたいかなる反応アレイにも適用されうる。
【0207】
幾つかの実施形態において、本発明のデバイスは、マルチプレックスPCR又は免疫検査パネルの代わりに使用されうる。本発明の実施形態の適用は、生物医学又は生物学研究、核酸又はタンパク質バイオマーカーによる(感染症及び/又は腫瘍を含む)疾患の診断、獣医学応用、法医学分析又は遺伝子型決定、環境監視、偽造品検出、及び/又はバイオ医薬品生産や品質制御応用を含むが、これらに限定されるわけではない。
【0208】
図8は、分析システム例200の概略図である。システム200は、カメラ又は他の撮像デバイス又はシグナル検出デバイスを包含する光学検出器のような電子シグナル検出器222を含む光学システム220との通信状態にある(一般的に少なくとも一つのプロセッサを包含する)少なくとも一つのコントローラを含みうる。システム200はまた、ハウジング200hと、検査サイクル中に一つ以上の流体デバイス10に熱を印可する為の熱源240とを含みうる。
【0209】
光学システム220は任意で、励起源225と、例として2~100個のフィルタのように、異なるフィルタ(又はフィルタセット)F,F又はそれ以上を包含して、その各々又は幾つかが一つ以上のマイクロウェルセット20に保持されるビーズを励起する為の異なるコード化波長を提供することが可能な一つ以上のフィルタとを含みうる。光学システム220は、(任意で選択的に単数又は複数のサブセットのみに対する光学システムの指示を受けて)信号を検出する、及び/又は、当該の流体デバイス10のマイクロウェルアレイ10aのサブセット又はサブアレイ10sを撮像するサブアレイ選択モジュール250を含みうる。撮像及び/又は励起は、規定のサブセットについて逐次的に、又は並行的に行われうる。幾つかの実施形態において、光励起は必要ない。例えば、幾つかの実施形態において、検査(例えばタンパク質検査)は、光励起を伴わずに検出及び/又は撮像されうる化学発光シグナルを発出できる。
【0210】
システム200はシグナル分析モジュール260も含みうる。シグナル分析モジュール260は、異なるマイクロウェルセットからの検査シグナルデータを分析できる。
【0211】
システム200は、標的種及び/又は分子タイプについてのPCR反応を、蛍光シグナルが閾値より大きい時に陽性、又は蛍光シグナルが閾値よりも上昇しない時に陰性と特定する閾値サイクル又はサイクル閾値「Ct」を規定するアナログシグナルを取得できる。すなわち、CtはSi>>Bsのサイクルであり、>>はBsより少なくとも5~10%、任意で2倍大きく、Siは蛍光シグナル強度であってBsは背景蛍光シグナルである。未知の濃度の試料のCtが周知の濃度の試料のCtと比較されて初期標的濃度が計算されうる。
【0212】
コントローラ210は、異なる検査サイクル中に異なるマイクロウェルセットを選択する構成を持つサブアレイ選択モジュール250との通信状態にある(つまりコンピュータプログラムコードを包含する)。モジュール250及び/又は260は、全体的又は部分的に搭載されるか、コントローラ及び/又は光学システム220から遠隔位置にある。分析システム200は少なくとも一つのプロセッサ(つまりデジタルシグナルプロセッサ)を含み、トランシーバ214を含みうる。
【0213】
サブアレイ選択モジュール250は、2,3,4,5本またはそれ以上の隣接の流体試料通路の(整列)マイクロウェルのサブセットを特定して部位データを提供する構成を持ち、任意で、特定されたサブセットは2本以上の隣接流体通路の隣接マイクロウェルセット(つまり角部セット)を包含する。モジュール250は、周知の間隔寸法及びアレイ構成とともにこの情報を使用して、他のマイクロウェルセット20の部位を規定する。デバイス10の一つ以上の部位の整列目印27(図1)は代替的又は付加的にこの部位データに使用されうる。
【0214】
モジュール250,260は分析システム200に搭載されるか、一つ以上のサーバ300内で分散されうる。サーバ300は独立サーバとして具現化されうるか、他のコンピューティングインフラストラクチャの一部として収容されうる。サーバ300は、独立しているか、公共及び/又は民間、リアル及び/又はバーチャル、有線及び/又はインターネットを含む無線のネットワークにより相互接続されうる一つ以上の企業、アプリケーション、個人用、普及型、及び/又は組み込みコンピュータシステムとして具現化され、様々なタイプの有形の非一時的コンピュータ可読媒体を含みうる。サーバ300はまた、有線又は無線の接続を介してネットワークと通信することもでき、様々なタイプの有形の非一時的コンピュータ可読媒体を含みうる。
【0215】
サーバ300は、使用の際に、コンピュータネットワークを介した要求に応じた計算資源の提供を含むクラウドコンピューティングを使用して提供されうる。資源は、様々なインフラストラクチャサービス(例えば計算、記憶等)とともにアプリケーション、データベース、ファイルサービス、Eメール等として具現化されうる。旧来のコンピューティングモデルでは、データとソフトウェアの両方は一般的にユーザのコンピュータに一般的に完全に収容される。クラウドコンピューティングでは、ユーザのコンピュータはほとんどソフトウェア又はデータ(おそらくはオペレーティングシステム及び/又はウェブブラウザ)を収容して、外部コンピュータのネットワークで発生するプロセスの為のディスプレイ端末のみとして機能しうる。クラウドコンピューティングサービス(又は多数のクラウドリソースの集合体)は概して「クラウド」と呼ばれうる。クラウド記憶部は、ネットワーク接続されたコンピュータデータ記憶部のモデルを含み、データは、一つ以上の専用サーバに格納されるのではなく多数のバーチャルサーバに記憶される。
【0216】
コントローラ210は、トランシーバ214及び/又はコンピュータネットワークやセルラーネットワークを介してサーバ410又はコンピュータと通信できる。コンピュータネットワークについて、これは、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)のうち一つ以上を包含し、プライベートイントラネット及び/又は(ワールドワイドウェブ又は「ウェブ」又は「インターネット」としても知られる)公共インターネットを含みうる。
【0217】
図18に図示されているように、本発明の実施形態は、(一つ以上の)プロセッサ500とメモリ536と入出力回路546とを含みうるデータ処理システム1116としての構成を持つ。一つ以上のプロセッサ500は画像処理回路500cの一部でありうる。データ処理システムは、例えばパーソナルコンピュータ、データベース、ワークステーションW、サーバ、ルータ、その他のうち一つ以上に組み込まれうる。システム1116は一つのマシンに所在するか、複数のマシン内で分散されうる。プロセッサ500はアドレス/データバス548を介してメモリ536と通信し、アドレス/データバス549を介して入出力回路546と通信する。入出力回路546は、例えばインターネットプロトコル(IP)接続を使用して、メモリ(メモリ及び/又は記憶媒体)537と別のコンピュータシステム又はネットワークとの間で情報を伝達するのに使用されうる。これらの構成要素は、ここに説明されるように機能する構成を持つ多くの従来データ処理システムで使用されるもののような従来の構成要素でありうる。
【0218】
特に、(図8のコントローラ210に組み込まれうる)プロセッサ500は、市販又はカスタムのマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタルシグナルプロセッサ、その他でありうる。メモリ536は、本発明の実施形態により使用される機能回路又はモジュールを実行するのに使用されるソフトウェア及びデータを収容するメモリデバイス及び/又は記憶媒体を含みうる。メモリ536は、以下のタイプのデバイス、つまりROM、PROM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ、SRAM、DRAM及び磁気ディスクを含むがこれらに限定されない。本発明の幾つかの実施形態において、メモリ536はコンテンツアドレス可能メモリ(CAM)でありうる。
【0219】
さらに図18に図示されているように、メモリ(及び/又は記憶媒体)536は、データ処理システム、オペレーティングシステム552、アプリケーションプログラム554、入出力デバイスドライバ558、データ556に使用されるソフトウェア及びデータの幾つかのカテゴリを含みうる。当業者には認識されるように、オペレーティングシステム552は、IBM(登録商標)、OS/2(登録商標)、AIX(登録商標)、zOS(登録商標)オペレーティングシステム、マイクロソフト(登録商標)ウィンドウズ(登録商標)95、ウィンドウズ98、ウィンドウズ2000、又はウィンドウズXPオペレーティングシステムのように、データ処理システムとの使用に適した何らかのオペレーティングシステムであり、Unix又はLinux(登録商標)、IBM、OS/2、AIX、zOSは、米国又は他の国々又はその両方でのIBM(International Business Machines Corporation)の商標であり、一方でLinuxは米国又は他の国々又はその両方でのリーナス・トーバルズ(Linus Torvalds)の商標である。マイクロソフトとウィンドウズは、米国又は他の国又はその両方でのマイクロソフトコーポレーション(Microsoft Corporation)の商標である。入出力デバイスドライバ558は一般的に、入出力回路546とある種のメモリ536構成要素のようなデバイスと通信するようにアプリケーションプログラム554によりオペレーティングシステム552を通してアクセスされるソフトウェアルーチンを含む。アプリケーションプログラム554は、本発明の幾つかの実施形態による回路及びモジュールの様々な特徴を実行するプログラムの例である。最後に、データ556は、アプリケーションプログラム554、オペレーティングシステム552、入出力デバイスドライバ558、そしてメモリ536に所在しうる他のソフトウェアプログラムに使用される静的又は動的データを表す。
【0220】
データ556は、(保管又は保存された)デジタル画像データセット522を含みうる。図18にさらに図示されているように、本発明の幾つかの実施形態によれば、アプリケーションプログラム554はマイクロウェルサブセット選択モジュール250とシグナル分析モジュール260とを含む。アプリケーションプログラム554は、ローカルサーバ(又はプロセッサ)及び/又はデータベース又はリモートサーバ(又はプロセッサ)及び/又はデータベース、あるいはローカル及びリモートデータベース及び/又はサーバの組み合わせに配置されうる。
【0221】
図18のアプリケーションプログラム554とモジュール250,260を参照して本発明が例示されたが、当業者には認識されるように、他の構成も本発明の範囲に含まれる。例えば、アプリケーションプログラム554ではなく、これらの回路及びモジュールがオペレーティングシステム552又はデータ処理システムの他のこのようなロジック部に組み込まれてもよい。さらに、アプリケーションプログラム又はモジュール250,260は単一のデータ処理システムに図示されているが、当業者には認識されるように、例えば上述したタイプのクライアント/サーバ構成の一つ以上のデータ処理システムにこのような機能が分散されうる。ゆえに、本発明は図18に図示されている構成に限定されると解釈されるべきではなく、データ処理システムの間の他の構成及び/又は機能部により設けられてもよい。例えば、図18は様々な回路及びモジュールを有するものとして図示されているが、本発明の範囲を逸脱することなくこれらの回路又はモジュールのうち一つ以上が組み合わせられるか分離されうる。
【0222】
ここに記したデータ処理システム、方法ステップ又は動作、モジュール又は回路(又はその一部分)の操作を行う為のコンピュータプログラムコードは、開発利便性の為にPython、Java、AJAX(非同期JavaScript)、C、及び/又はC++のような高レベルのプログラミング言語で書かれうる。加えて、例示的実施形態の操作を行う為のコンピュータプログラムコードは、限定ではないがインタプリタ型言語のような他のプログラミング言語で書かれてもよい。幾つかのモジュール又はルーチンは、性能及び/又はメモリ使用を向上させるようにアセンブリ言語又はマイクロコードでも書かれうる。幾つかのモジュール又はルーチンは、オープンソースのスクリプト言語を含むスクリプト言語で書かれてもよい。しかしながら、実施形態は特定のプログラミング言語に限定されない。上記のように、プログラムモジュールのいずれか又は全ての機能は、個別ハードウェアコンポーネント、一つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)、あるいはプログラミングされたデジタルシグナルプロセッサ又はマイクロプロセッサを使用して実行されてもよい。プログラムコードは、一つの(例えばワークステーション)コンピュータで全体が、独立ソフトウェアパッケージとしての一つのコンピュータで一部が、ワークステーションのコンピュータで一部、そしてローカル及び/又はリモートの別のコンピュータで一部が、あるいは他のローカル又はリモートコンピュータで全体が実行されうる。後者のシナリオでは、他のローカル又はリモートコンピュータがローカルエリアネットワーク(LAN)又はワイドエリアネットワーク(WAN)を通してユーザのコンピュータに接続されるか、(例えば、インターネットサービスプロバイダを使用しインターネットを通して)外部コンピュータへの接続が設けられてもよい。
【0223】
本発明の実施形態による方法、装置(システム)及びコンピュータプログラム製品についてのフローチャート図及び/又はブロック図を一部参照して、本発明が記載されている。フローチャート図及び/又はブロック図の各ブロックと、フローチャート図及び/又はブロック図のブロック組み合わせがコンピュータプログラム命令により実行されうることは理解されるだろう。コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサを介して実行される命令が、フローチャート及び/又はブロック図の単数又は複数のブロックに指定された機能/動作を実行する為の手段を設けるように、これらのコンピュータプログラム命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又はマシンを生産する他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサに提供されうる。
【0224】
特定の手法で機能するようにコンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置に指示できるコンピュータプログラム命令はコンピュータ可読メモリにも記憶されうるので、コンピュータ可読メモリに記憶される命令により、フローチャート及び/又はブロック図の単数又は複数のブロックで指定されている機能/動作を実行する命令手段を含む製品が生産される。
【0225】
コンピュータ又は他のプログラマブル装置で実行される命令により、フローチャート及び/又はブロック図の単数又は複数のブロックに指定された機能/動作の幾つか又は全てを実行する為のステップが設けられるように、コンピュータプログラム命令がコンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置にロードされて、コンピュータ又は他のプログラマブル装置で実施される一連の操作ステップによりコンピュータ実行プロセスが設けられる。
【0226】
本願のある図のフローチャート及びブロック図は、本発明の実施形態の可能な実行例の例示的なアーキテクチャ、機能、及び操作を示している。これに関して、フローチャート又はブロック図の各ブロックは、指定のロジック機能を実行する為の一つ以上の実行可能命令を包含するモジュール、セグメント、又はコード部分を表す。幾つかの代替的実行例において、ブロックに記載の機能が図に記載の順序以外で行われうることにも注意すべきである。例えば、必要とされる機能に応じて、連続して示された二つのブロックが実際には実質的に同時的に実行されるか、ブロックが時には逆の順序で実行されるか、二つ以上のブロックが組み合わされうる。
【0227】
特に、コントローラ210(図8)及び/又はプロセッサ500(図18)は、市販またはカスタムのマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタルシグナルプロセッサその他を含みうる。メモリは、本発明の実施形態により使用される機能回路又はモジュールを実行するのに使用されるソフトウェア及びデータを収容するメモリデバイス及び/又は記憶媒体を含みうる。メモリは、以下のタイプのデバイス、つまりROM、PROM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ、SRAM、DRAM、磁気ディスクを限定ではなく含みうる。本発明の幾つかの実施形態において、メモリはコンテンツアドレス可能メモリ(CAM)でありうる。
【0228】
上記は本発明の例であってその限定であると解釈されてはならない。本発明は以下の請求項により規定され、請求項の同等物が本願に含まれる。本願に引用される全ての出版物、特許出願、特許、特許公報、他の引例は、参照が提示される文及び/又は段落に関連する教示については、参照によりその全体が取り入れられる。
【符号の説明】
【0229】
10 流体デバイス
10a アレイ
10b 下方基材
10p 外周部
10s サブアレイ
10u 上方基材
15,15,15,15,15,15,15,15,15 流体通路
15 近傍通路
16 投入ポート
16r リザーバ
16v ビア
18 マスターミックス/オイルポート
18m 流体マニホルド
18r リザーバ
18v ビア
19 間隙空間
20,20,20,20,20,20 マイクロウェル
20c 角部マイクロウェル
20r 外周部
21 間隙空間
25 フレームボックス
27 整列目印
120 マイクロウェル
120a マイクロウェルアレイ
120s 検査シグナル要素
120w ビーズ保持セグメント
122 先細検査シグナル
200 分析システム
200h 試験システム
210 コントローラ
214 トランシーバ
220 光学シグナル検出器
222 カメラ
225 光励起源
240 熱源
250 サブアレイセレクタモジュール
260 シグナル分析モジュール
300 サーバ
548,549 アドレス/データバス
800 磁石
810 硬質停止デバイス
900 ホルダ
900g グリッド
910 外周部
920,930 バリアセグメント
1116 データ処理システム
,C,C,C,C,C,C,C 縦列
,R,R,R,R 横列
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A-3C】
図4
図5-1】
図5-2】
図6-1】
図6-2】
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20A
図20B
図20C
図20D
図21
図22
図23
図24
図25
【国際調査報告】