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特表2022-511176コンクリート部材の内部水分透過を監視するためのECTセンサー,システム及びプロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-31
(54)【発明の名称】コンクリート部材の内部水分透過を監視するためのECTセンサー,システム及びプロセス
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/22 20060101AFI20220124BHJP
【FI】
G01N27/22 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2020564117
(86)(22)【出願日】2020-02-18
(85)【翻訳文提出日】2020-11-12
(86)【国際出願番号】 CN2020075746
(87)【国際公開番号】W WO2021056953
(87)【国際公開日】2021-04-01
(31)【優先権主張番号】2019109042591
(32)【優先日】2019-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】519380222
【氏名又は名称】青島理工大学
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO UNIVERSITY OF TECHNOLOGY
【住所又は居所原語表記】No.777 Jialingjiang Road, Economic and Technological Development Zone, Qingdao, Shandong 266555 China
(74)【代理人】
【識別番号】110002398
【氏名又は名称】特許業務法人小倉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】張 鵬
(72)【発明者】
【氏名】王 文涛
(72)【発明者】
【氏名】鮑 玖文
(72)【発明者】
【氏名】田 玉鵬
(72)【発明者】
【氏名】趙 鉄軍
【テーマコード(参考)】
2G060
【Fターム(参考)】
2G060AA14
2G060AD01
2G060AE01
2G060AF10
2G060AG11
2G060EA06
2G060EB04
2G060EB06
2G060KA11
(57)【要約】
【課題】コンクリート部材の内部水分透過を監視するためのECTセンサー,システム及びプロセスを開示する。
【解決手段】円形設計を採用して,電極板,クランプ,及び貯水管の構造を最適化し,パイプラインの二相流測定に適した従来のセンサー構造設計を放棄し,垂直配置と非閉鎖設計を採用し,銅箔電極板は,PVC絶縁管の外壁に取り付けられており,電極板のサイズ及び数により,ハードウェア構造が簡素化され,金属製の外部シールドケースが封止に使用され,貯水管と貯水タンクは,水がさまざまな角度から注入されたときのコンクリート供試体内部の水分透過プロセスの研究を容易にする。その高感度,低コスト,非放射性,シンプルでポータブル,非破壊監視を実現でき,イメージング結果は,撮影した供試体の写真と比較でき,従来のセンサーのイメージング結果の検証方法の欠如という不足を補い,コンクリート内部の水分透過の法則を把握してコンクリートの耐久性の研究のために科学的根拠を提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート部材の内部水分透過を監視するECTセンサーであって,それは,貯水管,絶縁管,電極板,ラジアルシールド電極,絶縁層,クランプ,天板,底板,スペーサー,電極リード,固定穴及びバットレスを含み,
前記貯水管は,コンクリート供試体の側面に取り付けられ,前記コンクリート供試体の,貯水管が取り付けられていない側面に絶縁管が嵌着され,前記絶縁管の外面に電極板が周方向に等間隔で取り付けられ,ラジアルシールド電極は隣接する電極板の間に配置され,電極板とラジアルシールド電極の外周は絶縁層で覆われ,絶縁層の外周をクランプで挟み込んで,装置全体の固定を実現し,コンクリート供試体の上面に天板が設置され,コンクリート供試体の底面に底板が設置されることを特徴とするECTセンサー。
【請求項2】
前記コンクリート供試体は円柱形で,貯水管の軸は,コンクリート供試体の軸に垂直であることを特徴とする請求項1記載のコンクリート部材の内部水分透過を監視するECTセンサー。
【請求項3】
前記貯水管には目盛りがあることを特徴とする請求項1記載のコンクリート部材の内部水分透過を監視するECTセンサー。
【請求項4】
前記電極板は銅プラチナ電極板であることを特徴とする請求項1記載のコンクリート部材の内部水分透過を監視するECTセンサー。
【請求項5】
前記クランプには開口部が設置され,開口部が外側に伸び,開口部はねじ付きロッドとナットにより接続及び固定されることとなり,開口部に接続部材が設置され,クランプの左右,下部にスルーホール付きの連続板が溶接されることを特徴とする請求項1記載のコンクリート部材の内部水分透過を監視するECTセンサー。
【請求項6】
前記絶縁層の材質は発泡プラスチックであることを特徴とする請求項1記載のコンクリート部材の内部水分透過を監視するECTセンサー。
【請求項7】
前記クランプの材質は,電磁干渉を低減できるステンレス鋼であることを特徴とする請求項1記載のコンクリート部材の内部水分透過を監視するECTセンサー。
【請求項8】
コンクリート部材の内部水分透過を監視するためのシステムであって,請求項1-7いずれか一項記載の,コンクリート部材の内部水分透過を監視するためのECTセンサーを含むことを特徴とするシステム。
【請求項9】
さらにデータ収集装置及びイメージングコンピューターを含み,電極板のリードはデータ収集装置のポートに接続され,データ収集装置はイメージングコンピューターに接続されていることを特徴とする請求項8記載のコンクリート部材の内部水分透過を監視するシステム。
【請求項10】
請求項9記載のシステムに基づいてひび割れコンクリート内部の2次元不飽和水分透過をイメージングするプロセスであって,
コンクリート部材の内部水分透過を監視するためのシステムに基づき,励起,接地,測定との3つの測定モードと線形逆投影アルゴリズム
を使用して,画像再構成を行い,ここで,
は正規化された静電容量ベクトル,
は正規化された敏感なフィールド行列,
は正規化された誘電率ベクトルであることと,
コンクリート供試体なしでコンクリート部材内部の水分透過を監視するECTセンサーの静電容量値を測定して最小静電容量値として,同時に,コンクリート部材内部の水分透過を監視するECTセンサーの静電容量と結合容量を測定してデータ収集装置に保存することと,
乾燥したコンクリート供試体を取り,ステップ2でコンクリート部材の内部水分透過を監視するECTセンサーの内部に固定し,貯水管を貯水タンクに接続し,毎回一定量の水を貯水管に追加し,テストの最小静電容量値と最大静電容量値を順番に測定し,校正することと,
校正されたコンクリート供試体を取り出し,異なる水セメント比のコンクリート供試体を順番に入れて測定し,測定中,データ収集装置は,校正によって測定された誤差静電容量を自動的に除去し,最終的なイメージング結果をイメージングコンピューターに提示することと,
コンクリート部材の内部水分透過を監視するECTセンサーを180度回転させ,貯水管,貯水タンクの水位をコンクリート供試体の上面と一致させて,測定プロセス中に水とコンクリート供試体が接触していることを確認し,さまざまな角度で水注入中のコンクリート供試体における水分の透過プロセスを観察することと,
測定が完了後,データをエクスポートしてデータ処理を実行し,異なる水セメント比コンクリート供試体の水分透過変化曲線を描き,時間とともにコンクリート供試体に入る水分の誘電率の変化曲線を描き,相誘電率と吸水体積の間の関数関係に従って,水分の進入の定量的情報を取得し,コンクリート供試体の2次元水分透過イメージング画像をコンクリート供試体の正面から撮影した写真と比較して,イメージングの精度を確認すること,
とを含むことを特徴とするプロセス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,コンクリート部材の耐久性監視装置の技術分野に属し,コンクリート部材の内部水分透過の視覚的監視を実現することができる,コンクリート部材の内部水分透過を監視するためのECTセンサー,及び監視システム並びに監視プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリートの耐久性が不十分であることに起因する安全と経済の問題は益々深刻になり,早急に解決する必要がある。コンクリートの耐久性に影響を与える主な原因は水分である。水分の視覚的監視とその分布の定量化は,コンクリートの耐久性を研究するための要である。1980年代に開発されたECT技術は,特定の画像再構成アルゴリズムで,アレイセンサーによって測定された静電容量パラメータの変化に対して反転することで材料内部の誘電率の分布を得る方法である。ECT技術は,材料内部の水分分布状態の非破壊的な可視化を実現できる。ECTシステムは,主に静電容量センサー,データ収集及び情報処理システム,及びイメージングコンピューターで構成され,静電容量センサーはECTシステムのコア部分であり,センサーの製造は,セメント系材料内部の2次元不飽和水分透過イメージングを実現するための重要な前提条件で,センサーは,コンクリート構造物の耐久性設計と評価メカニズムを改善するための実験的及び理論的サポートを提供する。
【0003】
現在,センサーの研究は主に2つの側面に焦点を当てている。一方ではセンサーの容量プレートの長さと配置箇所を改善し,電極ペアの数を増やすことによってセンサーの精度が向上し,例えば,特許文献1は,主構造部と静電容量測定部を含み2層回転電極を備えた静電容量断層撮影センサーを開示し,主構造部は,自由回転可能な2層の円管,つまり外層回転管と内層回転管で構成され,同2層の間に一定の隙間があり,前記外層回転管の外周にシールド電極が設置され,前記本体の下部に固定台が設置される。前記静電容量測定部は,電圧励起信号源,静電容量測定回路によって形成される静電容量測定システム,及び機器のグランドを含み,少なくとも1つの励起電極が前記内層回転管の内壁に接着され,少なくとも1つの測定電極と保護電極が前記外層回転管の内壁に接着されている。静電容量測定システムが機能しているとき,励起電極は電圧励起信号源に接続されている。測定電極は静電容量測定回路に接続され,測定は,静電容量測定システムを介して実行され,励起電極が静電容量測定回路に接続され,測定電極が電圧励起信号源に接続されている場合,測定は静電容量測定システムを介して実行され,仮想接地電位状態になる。保護電極とシールド電極は機器のグランドに接続され,接地電位にある。アレイ静電容量センサーによって提供される測定データが限られているために再構成画像の解像度が不十分であるという問題のために,任意の角度から電極間の静電容量を測定でき,2層回転電極を備えた静電容量断層撮影センサーを提供し,再構成された画像の解像度を向上させるために,電極ペア間の静電容量測定値を増加する。
【0004】
特許文献2は,測定管と電極グループを含む,油-ガス-水三相循環パラメータを測定するための静電容量式撮像センサーを開示している。前記電極グループは少なくとも2つのグループであり,相対的な位置関係で前記測定管の外壁に取り付けられ,各電極グループは内部電極と外部電極を含み,前記外部電極は前記内部電極の周りに周設され,前記内部電極と外部電極は「回」字形の構造を形成する。三相環状流液の油水比パラメータを測定する場合,内部電極が励起電極として使用され,外部電極が測定電極として使用される。三相環状流液の気液比パラメータを測定する場合,測定には,少なくとも1対の対向電極グループを使用し,そのうち,一方の電極グループの内部電極を励起電極,それと対向配置された他方の電極グループの内部電極を測定電極,2つの電極グループの外部電極をそれぞれ接地する。それは,ECTセンサーの電極構造の設計を最適化し,測定の敏感なフィールド間隔を制御することにより,容量値のみを使用して,油-ガス-水三相流の含水量と気液比を計算できる。
【0005】
一方,センサー構造を改良することにより,高温,高圧,腐食などの複雑な条件に耐えるセンサーの性能を向上させ,例えば,特許文献3は,測定流体パイプラインの内管壁に配置され,同じ構造の複数の敏感なコンデンサプレートと同じ構造の複数の信号処理回路基板を含む高精度ECTスマートセンサーを開示し,前記複数の敏感なコンデンサプレートは,測定流体パイプラインの同じ断面の内側に円周均等分布方式で分布し,各敏感なコンデンサプレートの片側は,スタッドの一端に固定電気接続され,スタッドは,測定流体パイプラインの管壁を半径方向外側に通過し,スタッドは,測定流体パイプラインの外端で信号処理回路基板に固定電気接続され,敏感なコンデンサプレートの他側にはコーティングで塗布されている。信号処理回路基板は,ワンチップマイクロコンピュータのフラッシュメモリによって個別にアドレス指定され,各信号処理回路基板はCANバスを介して接続され,同時に,該CANバスは,CAN-USBコンバーターを介してイメージングコンピューターのUSBインターフェイスに接続され,各信号処理回路基板は,CANバスを介してイメージングコンピューターからのコマンドを受信して実行し,収集されたアナログ信号は,信号処理回路基板を通じてイメージングに必要なデジタル信号に変換され,CANバス経由でリモートイメージングコンピューターに送信される。前記スマートセンサーの外部はシールド層で囲まれており,CANバスはシールド層の内部から引き出されてイメージングコンピューターと通信するために用いられる。テフロンで処理された防食電極は,測定された流体に直接接触することができ,イメージング効果に対する管壁の静電容量の影響を低減し,測定結果をより安定させる。
【0006】
特許文献4は,静電容量断層撮影に基づいてポリマーメルトの温度場を測定する方法とシステムを開示し,これは,校正済み容量性ポリマーメルト温度場センサーを測定することでコンデンサプレート間の静電容量値を確定する。静電容量断層画像に基づいてアルゴリズムを再構成する。測定された静電容量値を,ポリマーメルトの誘電率分布に再構築し,ポリマーメルトの誘電率と温度との間の関係モデルを確立する。関係モデルに従ってポリマーメルトの誘電率分布を,対応するポリマーメルトの温度場に変換する。
【0007】
特許文献5は,300℃の高温環境に適用される静電容量断層撮影センサーを開示し,前記センサーには,300℃の高温に耐えるアレイ分散測定電極,軸端シールド電極,絶縁分離層,外部シールドケース,及び信号伝送ラインが含まれ,ここで前記アレイ分散測定電極にはN個の測定電極が含まれ,ここでNの値は8から16までの整数である。前記信号伝送ラインは,ケーブルコア,絶縁層,シールド金網で構成され,常温部と300℃に耐える高温部を含む。且つここで前記軸端シールド電極は,前記外部シールドケースに接続され,且つ前記信号伝送ラインのシールド金網から引き出し,次に静電容量断層撮影システムの信号取得デバイスの接地線を通して接地する。前記絶縁分離層は,前記アレイ分散測定電極と前記軸端シールド電極を前記外部シールドケースから絶縁し,センサー全体を固定する。前記信号伝送ラインの高温部のケーブルコアの一端は前記アレイ分散測定電極に接続され,他端は前記信号伝送ラインの常温部を介して前記静電容量断層撮影システムの信号取得デバイスに接続され,前記信号取得デバイスは,収集されたデータを画像再構成のためにコンピューターに送信し,前記アレイ分散測定電極は,厚さ0.01mm~0.1mmの黄銅板を腐食・くり抜き加工したものであり,且つ前記アレイ分散測定電極は,中空の一体型粘着の配置方法で流動層断熱パイプの外壁に固定されている。それは従来の静電容量断層撮影センサーが高温に耐性がないという欠点を改善した。
【0008】
30年以上の開発の後,ECT技術は成熟しつつあり,特定の研究結果を達成した。しかしながら,従来技術のECTセンサーは主に固相濃度測定,フローパターン認識測定及び関連速度測定に使用されており,セメント系材料の分野でのECTセンサーに関する関連特許の報告はほとんどなく,特定の技術的及び理論的なギャップがあり,さらに改善する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】中国特許201310420106.2
【特許文献2】中国特許201610362533.3
【特許文献3】中国特許201010261469.2
【特許文献4】中国特許201210089479.1
【特許文献5】中国特許201510623768.9
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は,従来技術における,複雑な構造,コンクリートの内部水分含有量を定量的に監視できないこと,及びコンクリートの内部水分透過を視覚的に監視できないことという欠点を克服し,コンクリート部品の内部水分透過を監視するECTセンサーの設計を始め,ひび割れコンクリートの2次元不飽和水分透過イメージングを実現し,コンクリートの水分透過プロセスをリアルタイムに追跡することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために,本発明によって採用される技術的解決手段は以下のとおりである。
【0012】
第1の態様では,本発明は,コンクリート部材内部の水分透過を監視するためのECTセンサーを提供し,それは,貯水管,絶縁管,電極板,ラジアルシールド電極,絶縁層,クランプ,天板,底板,スペーサー,リード穴,電極リード,固定穴,バットレスを含む。
【0013】
前記貯水管は,コンクリート供試体の周側面に取り付けられ,コンクリート供試体の,貯水管が取り付けられていない周面に絶縁管が嵌着され,絶縁管の外面に電極板が周方向に等間隔で取り付けられ,ラジアルシールド電極は隣接する電極板の間に配置され,電極板とラジアルシールド電極の外周は絶縁層で覆われ,絶縁層の外周をクランプで挟み込んで,装置全体の固定を実現する。
【0014】
コンクリート供試体の上面に天板が設置され,コンクリート供試体の底面に底板が設置され,コンクリート供試体と底板との間にスペーサーが設置され,底板の中央にリード穴が開き,電極板に接続された電極リードをリード穴から引き出し,底板に固定穴が開けられ,底板の角部は,バットレスに接続される。
【0015】
さらなる技術的解決手段として,前記コンクリート供試体は円柱形で,貯水管の軸は,コンクリート供試体の軸に垂直である。
【0016】
さらなる技術的解決手段として,前記貯水管には目盛りがある。
【0017】
さらなる技術的解決手段として,前記電極板は銅プラチナ電極板であり,コンクリート供試体と電極リード間の直接接触によるコンクリート供試体を汚染したり,回路を短絡させたりすることを防止できる。
【0018】
さらなる技術的解決手段として,前記クランプには開口部が設置され,開口部が外側に伸び,開口部はねじ付きロッドによりナットと接続及び固定され,開口部に接続部材が設置され,クランプの左右,下部にスルーホール付きの鉄板が溶接される。
【0019】
さらなる技術的解決手段として,前記絶縁層の材質は発泡プラスチックである。
【0020】
さらなる技術的解決手段として,前記クランプの材質は,電磁干渉を低減できるステンレス鋼である。
【0021】
第2の態様では,本発明はまた,コンクリート部材の内部水分透過を監視するためのシステムを提供し,前述のコンクリート部材の内部水分透過を監視するためのECTセンサー,データ収集装置及びイメージングコンピューターを含み,電極板のリードはデータ収集装置のポートに接続され,データ収集装置はイメージングコンピューターに接続されている。
【0022】
第3の態様では,本発明の,コンクリート部品の内部水分透過を監視する上記ECTセンサーシステムに基づいて,ひび割れコンクリート内部の2次元不飽和水分透過をイメージングするプロセスは,電極リードをデータ収集装置のポートに接続し,データ収集装置をイメージングコンピューターに接続し,コンクリート部材の内部水分透過を監視するためのECTセンサー,データ収集装置及びイメージングコンピューターでECTシステムを構成し,励起,接地,測定との3つの測定モードと線形逆投影アルゴリズム
を使用して,画像再構成を行い,ここで,
は正規化された静電容量ベクトル,
は正規化された敏感なフィールド行列,
は正規化された誘電率ベクトルであることと,
コンクリート供試体なしでコンクリート部材内部の水分透過を監視するECTセンサーの静電容量値を測定して最小静電容量値として,同時に,コンクリート部材内部の水分透過を監視するECTセンサーの静電容量と結合容量を測定し,データ収集装置に保存することと,
乾燥したコンクリート供試体を取り,ステップ2でコンクリート部材の内部水分透過を監視するECTセンサーの内部に固定し,貯水管を貯水タンクに接続し,毎回一定量の水を貯水管に追加し,テストの最小静電容量値と最大静電容量値を順番に測定して校正することと,
校正されたコンクリート供試体を取り出し,異なる水セメント比のコンクリート供試体を順番に入れて測定し,測定中,データ収集装置は,校正によって測定された誤差静電容量を自動的に除去し,最終的なイメージング結果をイメージングコンピューターに提示することと,
コンクリート部材の内部水分透過を監視するECTセンサーを180度回転させ,貯水管,貯水池の水位をコンクリート供試体の上面と一致させて,測定プロセス中に水とコンクリート供試体が接触していることを確認し,さまざまな角度で水注入中のコンクリート供試体における水分の透過プロセスを観察することと,
測定が完了したら,データをエクスポートしてデータ処理を実行し,異なる水セメント比コンクリート供試体の水分透過変化曲線を描き,時間とともにコンクリート供試体に入る水分の誘電率の変化曲線を描き,相誘電率と吸水体積の間の関数関係に従って,水分の進入の定量的情報を取得し,コンクリート供試体の2次元水分透過イメージング画像をコンクリート供試体の正面から撮影した写真と比較して,イメージングの精度を確認することとを含む。
【発明の効果】
【0023】
従来技術と比較して,本発明は以下の効果を有する。
1.本発明は,電極板,クランプ及び貯水管の構造を最適化するために円形設計を採用し,ひび割れたコンクリートの二次元不飽和水分透過イメージングの非破壊監視を実現し,コンクリート内の水分透過プロセスをリアルタイムに追跡する。
2.本発明は,パイプライン二相流測定に適した従来のセンサー構造設計を放棄し,垂直配置と非閉鎖設計を採用し,これは,ひび割れたコンクリート供試体の内部静電容量信号の変化をリアルタイムで監視するのに役立つ。
3.本発明の銅箔電極板は,PVC絶縁管の外壁に取り付けられており,電極板がコンクリート供試体に直接接触することを防止し,コンクリート供試体への汚染や回路短絡を回避することができる。
4.電極板の設計により,ハードウェア構造が簡素化され,データ収集速度が向上し,電極板間のエッジ効果が低減される。金属製の外部シールドケースが封止に使用され,測定プロセス中の電磁干渉やノイズ干渉を効果的に抑制する。
5.貯水管と貯水タンクは,水がさまざまな角度から注入されたときのコンクリート供試体内部の水分透過プロセスの研究を容易にし,実際の環境におけるコンクリート内部の水分の透過をより現実的にシミュレートする。その高感度,低コスト,非放射性,シンプルでポータブル,非破壊監視を実現でき,イメージング結果は,撮影した供試体の写真と比較すると,従来のセンサーのイメージング結果の検証方法の欠如という不足を補い,コンクリート内部の水分透過の法則を把握してコンクリートの耐久性の研究のために科学的根拠を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本出願の一部を形成する明細書の図面は,本出願のさらなる理解を提供するために使用され,本出願の例示的な実施形態及びその説明は,本出願を説明するために使用され,本出願の不適切な制限的事項を構成しない。
【0025】
図1】本発明の主な構造の原理的な模式図。
図2】本発明の主な構造の断面模式図。
図3】本発明の垂直方向の模式図。
図4】本発明の水平方向の模式図。
図5】本発明に係る底板の構造の模式図。
図6】本発明の実施例1のステップ1に係るECTシステムの構成図である。
図7】本発明の実施例1のステップ5に係る反転配置測定状態の模式図である。
【0026】
図中,1コンクリート供試体,2貯水管,3絶縁管,4電極板,5ラジアルシールド電極,6絶縁層,7クランプ,8ねじ付きロッド,9ナット,10接続部材,11スルーホール,12鉄板,13天板,14底板,15スペーサー,16リード穴,17電極リード,18固定穴,19バットレス,20貯水タンク
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下の詳細な説明はすべて例示的なものであり,本発明のさらなる説明を提供することを意図していることに留意されたい。特に明記しない限り,本発明で使用されるすべての技術用語及び科学用語は,当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【0028】
ここで使用される用語は,特定の実施形態を説明するためだけのものであり,本発明による例示的な実施形態を限定することは意図されていないことに留意されたい。本明細書で使用されるように,本発明が他に明確に示さない限り,単数形は複数形を含むことも意図され,さらに,本明細書で「備える」及び/又は「含む」という用語が使用される場合,それらは,特徴,ステップ,動作,デバイス,コンポーネント,及び/又はそれらの組み合わせがあることを示すことも理解されたい。
【0029】
以下,実施例及び図面を参照しながら本発明をさらに説明する。
【0030】
実施例1:
本実施例に係るコンクリート部材内部の水分透過を監視するECTセンサーの主要構造は,コンクリート供試体1,貯水管2,絶縁管3,電極板4,ラジアルシールド電極5,絶縁層6,クランプ7,ねじ付きロッド8,ナット9,接続部材10,スルーホール11,鉄板12,天板13,底板14,スペーサー15,リード穴16,電極リード17,固定穴18及びバットレス19を含む。
【0031】
本実施例において,コンクリート供試体1は,円柱形構造であり,コンクリート供試体1の周側面に貯水管が取り付けられ,貯水管2の軸は,コンクリート供試体1の軸に垂直である。コンクリート供試体1の,貯水管2が取り付けられていない周側面に絶縁管3が嵌設され,絶縁管3の外面に複数の電極板4が周方向に等間隔で取り付けられ,ラジアルシールド電極5は隣接する電極板4の間に配置され,電極板4とラジアルシールド電極5の外周は絶縁層6で覆われ,絶縁層6の外周をクランプ7で挟み込んで,クランプ7には開口部が設置され,開口部が外側に伸び,開口部はねじ付きロッド8によりナット9と接続及び固定され,開口部に接続部材10が設置され,クランプ7の左右,下部にスルーホール11付きの鉄板12が溶接され,コンクリート供試体1の上面に天板13が設置され,コンクリート供試体1の底面に底板14が設置され,コンクリート供試体1と底板14との間にスペーサー15が設置され,底板14の中央にリード穴16が開き,電極板4に接続された電極リード17が,リード穴16から引き出され,底板14に固定穴18が開けられ,底板14の角部は,バットレス19に接続されている。
【0032】
本実施例に係るコンクリート供試体1と貯水管2との間にはシリコーン接着剤を介して取り付け,連結され,コンクリート供試体1は,直径15cm,高さ5cmの円柱体で,貯水管2は,長さ25cm,幅7cm,高さ5cmのプラスチック槽であり,シリコーン接着剤で隙間が充填されており,貯水管2には目盛りが印刷されている。もちろん,他の実施例では,コンクリート供試体1と貯水管2とを他の接着剤で貼着することもできることを理解することは容易である。また,貯水管2の大きさは,本実施例で開示したものに限定されず,貯水管2の大きさは,円柱体の大きさに合わせて設計することができる。
【0033】
本実施例に係る絶縁管3は,直径15.5cm,高さ5cm,厚さ0.5cmのPVC絶縁管である。その直径はコンクリート供試体1の直径よりわずかに大きく,ちょうどコンクリート供試体1の外側にフィットすることができる。
【0034】
本実施例に係る電極板4は,銅プラチナ電極板であり,これにより,コンクリート供試体1と電極リード17との直接接触がコンクリート供試体1を汚染したり,回路を短絡させたりするのを防止することができ,電極板4の枚数が10枚,長さ5cm,幅4cm,高さ0.1cmの場合,構造を簡単にし,データ収集速度を上げ,電極板4間のエッジ効果を低減できる。もちろん,他の実施例において,他の材料の電極板を使用することもでき,電極板の数及びサイズは,コンクリート供試体1のサイズに応じて変更できることを理解することは容易である。
【0035】
本実施例に係る絶縁層6は,既存の材料で作られたプラスチック発泡体で形成され,クランプ7が静電容量測定に干渉するのを防止することができる。
【0036】
本実施例に係るクランプ7は,電磁干渉を低減できるステンレス鋼製であり,直径16cm,高さ8cm,厚さ0.1cm,開口の長さ8cm,外方に延びる長さ6cmである。ねじ付きロッド8,ナット9は六角ナットである。もちろん,他の実施例では,クランプ7は,電磁干渉を低減する他の金属材料で作ることもでき,その特定のサイズは,本実施例で開示されたサイズに限定されず,そのサイズは,コンクリート供試体1のサイズに従って設計されることを理解することは容易である。
【0037】
本実施例に係る接続部材10は,あぶみ構造であり,接続部材10は,クランプ7を底板14に連結する。天板13は,直径15cm,厚さ0.5cmの円柱状のプラスチック板で,測定時の水分の蒸発やノイズの干渉を防止でき,観察を容易にする。底板14は,長さ50cm,幅30cm,厚さ0.5cmのプラスチック板である。天板13及び底板14の具体的なサイズは,本実施例で開示したサイズに限定されず,コンクリート供試体1のサイズに合わせて設計される。
【0038】
本実施例に係るリード穴16の数は10であり,直径は1cmであり,電極リード17の数は10である。一般に,リード穴16及び電極リード17の数は,電極の数に関係し,1つのリード穴及び1つの電極リードが各電極に提供される。
【0039】
本実施例に係る固定穴18は,5つであり,直径は1cmであり,それぞれ接続部材10と鉄板12のスルーホール11の位置に対応し,コンクリート供試体1とクランプ7の固定に用いられる。
【0040】
本実施例に係るバットレス19は,長さ30cm,幅7cm,高さ5cmのプラスチックブロックであるため,測定中にコンクリート供試体1を回転して,異なる角度で水を注いだときのコンクリート供試体1内部の水分の透過を観察することができる。その具体的なサイズは,本実施例で開示したサイズに限定されるものではなく,コンクリート供試体1のサイズに合わせて設計される。
【0041】
実施例2:
本実施例は,実施例1のECTセンサーに基づいて,コンクリート部材の内部水分透過を監視するためのシステムを提供し,それは実施例1のECTセンサーを含み,データ収集装置とイメージングコンピューターも含み,ECTセンサーの電極リードはデータ収集装置のポートに接続され,データ収集装置はイメージングコンピューターに接続されている。
【0042】
データ収集装置は,PTL300Eデータ収集ボックスを用いることができる。データ収集装置は,RS232ポート,RS485ポート,又はCANバスインタフェースを介してイメージングコンピューターに接続されているため,コンクリート部材の内部水分透過を監視するECTセンサー,PTL300Eデータ収集装置,及びイメージングコンピューターがECTシステムを構成する。
【0043】
実施例3:
本実施例は,実施例1で開示された構造に基づき,コンクリート部材内部の水分の透過を監視するECTセンサーを使用して,ひび割れたコンクリート内部の2次元不飽和水分の透過をイメージングするプロセスを提供し,
1, 電極リード17をPTL300Eデータ収集装置のポートに接続し,データ収集装置を,RS232ポートを介してイメージングコンピューターに接続し,コンクリート部材の内部水分透過を監視するためのECTセンサー,PTL300Eデータ収集装置及びイメージングコンピューターでECTシステムを構成し,励起,接地,測定との3つの測定モードと線形逆投影アルゴリズム
を使用して,画像再構成を行い,ここで,
は正規化された静電容量ベクトル,
は正規化された敏感なフィールド行列,
は正規化された誘電率ベクトルである。
なお,上記のPTL300Eデータ収集装置は,他の種類のデータ収集装置を採用することもでき,データ収集装置とイメージングコンピューターとの通信方式は,上記RS232ポートに限定されず,RS485ポート,CANバスインタフェースなどの他のポートを介して通信することもできる,又,
2, コンクリート供試体1なしでコンクリート部材内部の水分透過を監視するECTセンサーの静電容量値を測定して最小静電容量値として,同時に,コンクリート部材内部の水分透過を監視するECTセンサーの静電容量と結合容量を測定してデータ収集装置に保存することと,
3,直径15cm,高さ5cmの乾燥したコンクリート供試体1を,ステップ2でコンクリート部材の内部水分透過を監視するECTセンサー内に固定し,貯水管2を貯水タンク20に接続し,毎回25ml水を貯水管2に追加し,テストの最小静電容量値と最大静電容量値を順番に測定し,校正することと,
4,ステップ3で校正されたコンクリート供試体1を取り出し,異なる水セメント比のコンクリート供試体1を順番に入れて測定し,測定中,データ収集装置は,校正によって測定された誤差静電容量を自動的に除去し,最終的なイメージング結果をイメージングコンピューターに提示することと,
5,ステップ4のコンクリート部材の内部水分透過を監視するECTセンサーを180度回転させ,貯水管2,貯水タンク20の水位をコンクリート供試体1の上面と一致させて,測定プロセス中に水とコンクリート供試体1が接触していることを確認し,さまざまな角度で水注入中のコンクリート供試体1における水分の透過プロセスを観察することと,
6,測定が完了した後,データをエクスポートしてデータ処理を実行し,異なる水セメント比コンクリート供試体1の水分透過変化曲線を描き,時間とともにコンクリート供試体に入る水分の誘電率の変化曲線を描き,相誘電率と吸水体積の間の関数関係に従って,水分の進入の定量的情報を取得し,コンクリート供試体の2次元水分透過イメージング画像をコンクリート供試体1の正面から撮影した写真と比較して,イメージングの精度を確認すること,
とを含む。
【0044】
本実施例に係るコンクリート部材内部の水分透過を監視する水分透過イメージング用のECTセンサーの原理は,以下である。物質によって誘電率が異なり,水の比誘電率は約80で,乾燥コンクリートの比誘電率(約6~8)よりもかなり大きいため,水が乾燥コンクリートに入ると,その比誘電率が大幅に変化し,これにより,静電容量が変化し,測定された静電容量値の変化は,乾燥コンクリート内の水分の分布を反映し,多電極アレイセンサーによってさまざまな位置で測定された静電容量信号は,投影データとして使用され,画像再構成アルゴリズムにより,乾燥コンクリート内の水分分布を反映した画像を再構成できる。
図1
図2
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図5
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図7
【国際調査報告】