(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-31
(54)【発明の名称】可視の印刷不能な情報を含むフレキソ印刷法用の感光性印刷版およびそのような印刷版を準備するための方法
(51)【国際特許分類】
B41N 1/00 20060101AFI20220124BHJP
B41C 1/00 20060101ALI20220124BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20220124BHJP
【FI】
B41N1/00
B41C1/00
G03F7/20 511
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2020569899
(86)(22)【出願日】2019-08-30
(85)【翻訳文提出日】2020-12-09
(86)【国際出願番号】 EP2019073200
(87)【国際公開番号】W WO2020043875
(87)【国際公開日】2020-03-05
(32)【優先日】2018-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518146050
【氏名又は名称】エスコ-グラフィックス イメージング ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】バルビエ オリヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】シュミット ジョナサン
【テーマコード(参考)】
2H084
2H114
2H197
【Fターム(参考)】
2H084AA30
2H084BB13
2H084CC01
2H114AA01
2H114AA23
2H197HA01
(57)【要約】
本発明は、フレキソ印刷法用の感光性印刷版(5)に関する。この印刷版は、ベース(5a)と、ベース(5a)の画像領域(5c)に配置された第1の一連のレリーフパターン(5b)であって、ベース(5a)に対して第1の高度(e1)を有する、第1の一連のレリーフパターン(5b)と、ベース(5a)の画像領域(5c)の外部に配置された第2の一連のレリーフパターン(5b’)とを備えており、第2の一連のパターンのうちのパターン(5b’)は、ベース(5a)に対して第2の高度(e2)を有し、第2の高度(e2)は第1の高度(e1)よりも低い。本発明は、そのような印刷版を製造する方法にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキソ印刷法用の感光性印刷版(5)であって、前記印刷版(5)が、
ベース(5a)と、
前記ベース(5a)の画像領域(5c)に配置された第1の一連のレリーフパターン(5b)であって、前記第1の一連のレリーフパターン(5b)が前記ベース(5a)に対して第1の高度(e1)を有する、第1の一連のレリーフパターン(5b)と、
前記ベース(5a)の前記画像領域(5c)の外部に配置された第2の一連のレリーフパターン(5b’)であって、前記第2の一連のパターンのうちの前記パターン(5b’)が、前記ベース(5a)に対して第2の高度(e2)を有し、前記第2の高度(e2)が前記第1の高度(e1)よりも低い、第2の一連のレリーフパターン(5b’)とを備える、感光性印刷版(5)。
【請求項2】
前記第2の一連のレリーフパターン(5b’)が、前記ブロック(5)の識別情報を形成するなどのために、前記ベース(5a)に配置される、請求項1に記載の感光性印刷版(5)。
【請求項3】
前記第2の一連のレリーフパターン(5b’)が、切断基準点を形成するなどのために、前記ベース(5a)に配置される、請求項1または2に記載の感光性印刷版(5)。
【請求項4】
フレキソ印刷法用の感光性印刷版(5)の製造方法であって、前記製造方法が、
再現されるグラフィックコンテンツおよび/またはテキストコンテンツ(2)の少なくとも1つのファイルからラスター化されたファイル(3)を準備するステップと、
前記ブロック(5)の画像領域(5c)内でベース(5a)によって支えられる第1の一連のレリーフパターン(5b)を形成するために、前記ラスター化されたファイル(3)を使用して、フレキソ印刷版(1)を処理するステップであって、前記第1の一連のレリーフパターン(5b)が、再現される前記グラフィックコンテンツおよび/またはテキストコンテンツを表し、前記ベース(5a)に対して第1の高度(e1)を有する、ステップとを含み、
前記方法が、前記ラスター化されたファイル(3)の前記準備が、第2の一連のパターン(5b’)の定義も含み、前記第2の一連のパターン(5b’)が、前記画像領域(5c)の外部に配置され、前記パターン(5b’)の特徴が、前記フレキソ印刷版(1)の前記処理後に、前記フレキソ印刷版(1)が、第2の一連のレリーフパターン(5b’)を有し、前記第2の一連のパターン(5b’)のうちの前記パターンが、前記ベース(5a)に対して、前記第1の高度(e1)よりも低い高度(e2)を有するようになることであることを特徴とする、製造方法。
【請求項5】
前記フレキソ印刷版(1)の前記処理が、前記フレキソ印刷版(1)のレーザーエッチング、前記フレキソ印刷版(1)の露光、および前記フレキソ印刷版(1)の現像を含む、請求項4に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷版の準備に関する。本発明は、より詳細には、フレキソ印刷法用の感光性印刷版を準備することに関し、この印刷版は、可視の印刷不能な情報を含む。
【背景技術】
【0002】
印刷の分野では、印刷媒体上に再現されるグラフィックコンテンツまたはテキストコンテンツの作成、構成、印刷の作業は、「設計および印刷プロセス」という表現によって指定される。
【0003】
このプロセスは、レイアウト、印刷前工程、および印刷という3つのステップを主に含む。レイアウトは、印刷媒体上に再現されるテキストコンテンツまたはグラフィックコンテンツを準備することを目的とし、印刷前工程は、レイアウトステップから得られたドキュメントを使用して、印刷版を製造することを目的とする。印刷ステップは、印刷版を使用して、テキストコンテンツおよび/またはグラフィックコンテンツを印刷媒体上に再現する。
【0004】
印刷前工程は、設計および印刷プロセスの重要な要素である。印刷前工程は、コンテンツを再現するための制御ステップを特に含む。このコンテンツは、通常、コンピュータファイルとして提供される。制御ステップの間に、コンピュータワークステーション上でグラフィックエディタを使用して、コンテンツがワークフローの残りの部分に実際に適合するかどうか、すなわち、コンテンツが不規則性または印刷との不適合を引き起こす可能性があるかどうかがチェックされる。このチェックは、例えば、テキストが、最終的な媒体上でのテキストの印刷およびテキストの読み取りを可能にするほど十分なサイズの範囲内に実際にあることをチェックするという問題になることがある。
【0005】
印刷前工程は、面付けステップも含む。同じコンピュータワークステーション上で同じグラフィックエディタを使用して、制御ステップとして実行できるこのステップは、特に、さまざまなコンテンツをアマルガムで同じ媒体上にまとめてグループ化し、複数の印刷版を単一のステップで製造できるようにし、消耗品の使用を制限しながら、これらの印刷版を製造するための機器の能力を最大限に利用できるようにすることなどを目的とする。
【0006】
印刷前工程は、コンピュータワークステーション上のラスター化ステップも含み、ラスター化ステップは、印刷されるコンテンツを表すファイルの分離および選別によって、例えばインスクリプションレーザーまたは切断テーブルなどの、印刷版を製造するための機器によって理解され得る形式で一次コンピュータファイルを提供することを目的とする。カラー印刷の場合、通常、原色の各々に関して、または直接の陰影に関して、印刷されるコンテンツに対応する複数の一次ファイルが生成される。これらのファイルに含まれる画像は、ハーフトーンまたはフルトーンで配置されたドットから形成される。媒体の性質に応じて、このステップは、ハーフトーンのドットの特徴および分布、ならびに特に、スクリーン線数(1インチ当たりのスクリーンの線の数であり、各線がハーフトーンのドットで構成される)、各ドットの形状およびスクリーンの方位角を定める。このステップは、印刷版の製造の制約を考慮するために、これらの特徴の一部の調整も含むことができる。複数の印刷版が同じ媒体から製造される場合、それらの印刷版が単一の媒体上で集合的に製造された後に、個々の印刷版の切断を可能にする情報が、製造機器に送信されるよう意図されたコンピュータファイルに挿入される。この切断が自動切断テーブル上で実行される場合、この情報は、機械によって理解され得る形式で、媒体に対して切断を実行するための座標を提供する。切断が、例えば裁断機を使用する手動である場合、切断情報は、個々の印刷版のサイズの境界を定める正方形などの、媒体上に生成されたレリーフパターンに対応することができる。
【0007】
フレキソ法を使用して印刷が実施される場合、印刷版はブロックまたはスリーブの形態をとる。ブロックまたはスリーブは、例えば、再現されるグラフィックコンテンツおよび/またはテキストコンテンツに従って表面に配置されたハーフトーンのドットまたはフルトーンを表すレリーフパターンを有する。これらのレリーフパターンは、印刷媒体上でグラフィックコンテンツおよび/またはテキストコンテンツを再現する目的で、印刷用インクを受け取るよう意図されている。ブロックは、通常、前述したインスクリプションレーザーおよび切断テーブルを使用して製造され、印刷機に機能的に収まることなどができるように、画像運搬装置に取り付けられる。代替として、印刷版は、スリーブとして直接製造され得る。いずれの場合でも、この製造は、例えばエッチングステップおよび露光ステップを用いて、感光性物質を使用して実行される。本説明の残りの部分では、「感光性印刷版」とは、フレキソ印刷法において使用できる任意の印刷版のことを指す。
【0008】
感光性印刷版の製造の後に、感光性印刷版の識別のために感光性印刷版にマーク付けするステップを提供することがよくある。このマーク付けは、インクが付着して印刷媒体にマーク付けする可能性のあるレリーフの形成を引き起こしてはならない。したがって、既知の方法では、ブロックまたはスリーブは、マーカーもしくはマジックペンを用いてブロックもしくはスリーブの裏面に記入されるか、またはCO2レーザーを使用して前面にエッチングされるか、あるいは任意のその他のエッチングの機械的手段または化学的手段によって、識別子をマーク付けされる。この手動または追加のステップは、設計および印刷プロセスのワークフローに統合されておらず、追跡可能性および品質の観点から、不利益となっている。このステップは、追加のツールまたは機器の使用を必要とし、工業的に有利ではない。例えば、ブロックの製造後の、マジックペンによるブロックへの手動のマーク付けは、間違っていたり、時間と共に劣化する可能性がある。
【0009】
したがって、本発明の目的は、少なくとも部分的にこの問題を解決することである。通常、本発明は、設計および印刷プロセスのワークフローの上流で、例えば感光性印刷版を識別するため、またはそのような版の寸法を示すための情報を統合することを目的とする。この情報は、ラスター化ステップから得られたコンピュータファイルに包含され、感光性印刷版の製造時に、印刷媒体上のコンテンツの再現に影響を与えることなく、感光性印刷版に統合される。
【発明の概要】
【0010】
この目的を達成するために、本発明の対象は、フレキソ印刷法用の感光性印刷版を提案し、この印刷版は以下を備えている。
- ベース。
- ベースの画像領域に配置された第1の一連のレリーフパターン。この第1の一連のパターンは、ベースに対して第1の高度を有する。
- ベースの画像領域の外部に配置された第2の一連のレリーフパターン。第2の一連のパターンのうちのパターンは、ベースに対して第2の高度を有し、第2の高度は第1の高度よりも低い。
【0011】
個別に、または任意の技術的に実現可能な組み合わせにおいて得られる本発明のその他の有利な非限定的特徴によれば、
・ 第2の一連のレリーフパターンは、ブロックの識別情報を形成するなどのために、ベースに配置される。
・ 第2の一連のレリーフパターンは、切断基準点を形成するなどのために、ベースに配置される。
【0012】
別の態様によれば、本発明の対象は、フレキソ印刷法用の感光性印刷版を製造する方法を提案し、この製造方法は以下のステップを含んでいる。
・ 再現されるグラフィックコンテンツおよび/またはテキストコンテンツの少なくとも1つのファイルからラスター化されたファイルを準備するステップ。
・ ブロックの画像領域内でベースによって支えられる第1の一連のレリーフパターンを形成するために、ラスター化されたファイルを使用して、フレキソ印刷版を処理するステップ。第1の一連のレリーフパターンは、再現されるグラフィックコンテンツおよび/またはテキストコンテンツを表し、ベースに対して第1の高度(e1)を有する。
【0013】
本発明によれば、ラスター化されたファイルの準備は、第2の一連のパターンの定義も含み、第2の一連のパターンは、画像領域の外部に配置され、これらのパターンの特徴は、フレキソ印刷版の処理後に、フレキソ印刷版が、第2の一連のレリーフパターンを有し、第2の一連のパターンのうちのパターンが、ベースに対して、第1の高度よりも低い高度を有するようになることである。
【0014】
フレキソ印刷版の処理は、フレキソ印刷版のレーザーエッチング、フレキソ印刷版の露光、およびフレキソ印刷版の現像を有利に含む。
【0015】
本発明のその他の特徴および利点は、添付の図面を参照して、本発明の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】従来技術に従ってフレキソ印刷ブロックを製造する方法を表す図である。
【
図3】本発明に従ってフレキソ印刷ブロックを製造する方法を表す図である。
【
図4】本発明に従って複数のブロックを含んでいるフレキソ印刷版を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1および
図2を参照すると、フレキソ印刷ブロックを製造するための主要なステップが最初に再現されている。そのようなブロックは、通常は感光性ポリマー層1bで構成されているフレキソ印刷版1の処理から得られる。この層は、通常はポリエステルで作られているUV透過媒体1a上に配置され得る。感光性ポリマー層は、黒色層1c(通常は、下にあるポリマー層1bとの接着を促進するために結合剤と結合されたカーボンブラック)で覆われている。この刷版は、例えば、レリーフパターンを有するブロックの製造を促進できるようにする、非常に平面的な上面を持つ追加の層などの、説明された層または特徴以外の層または特徴を備えることができる。
【0018】
フレキソ印刷版1は、大きくすることができ、例えば、長方形の形状にすることができ、その幅および/または長さは、数メートルになることができる。しかし、本発明は、そのような形状またはそのような寸法を有する刷版の使用に全く限定されない。
【0019】
印刷されるコンテンツは、コンピュータファイル2として、例えば、PDF形式で提供される。印刷されるコンテンツは、本出願の導入部で説明されたように、印刷前工程ワークフロー中に処理される。したがって、ブロックを製造するための機器によって理解され得るラスター化されたファイル3が、ラスター化ステップ4aの間に準備される。本出願の導入部ですでに述べたように、ラスター化されたファイルは、複数のブロックの定義を包含することができる。
【0020】
ラスター化されたファイル3は、印刷されるコンテンツを、いわゆる「1ビット」の画像として表す。この1ビットの画像は、通常はハーフトーンのドットまたはフルトーンである複数のパターン3aで構成され、各パターン3a自体は、
図2の挿入において明らかにされるように、複数の1ビットのピクセル3bによって定義される。画像のこれらの1ビットのピクセル3bは、ラスター化されたファイル3を構成し、ラスター化されたファイル3は、元のファイル2のコンテンツを印刷媒体上で再現できるようにするブロックを形成するために、製造チェーンに送信される。このラスター化されたファイル3は、自動切断機器によって理解され得る切断情報などの、他の情報を含むことができる。
【0021】
より詳細には、エッチングステップ4bの間に、フレキソ印刷版1が、黒色層1cをレーザーエッチングするための機器に配置される。ラスター化されたファイル3の各1ビットのピクセル3bは、レーザーを使用して黒色層のピクセルに対応する領域を粉砕することによって、刷版の表面で再現される。感光性ポリマー層1bは、このようにしてこのピクセルで暴露される。
【0022】
感光性ポリマー層1bの後面部分を架橋結合することによって、媒体1aを作成または強化し、ブロックのベースを形成するために、このステップの前または後に、刷版1の後面のUV露光を提供することが可能である。
【0023】
エッチングステップ4bの後の、露光ステップ4cの間に、感光性ポリマー層1bの暴露された領域にUV光を当てるなどのために、刷版1が露光フレーム上に配置される。このようにして、暴露された領域内のポリマー層1bのUV露光によって、コンテンツ2の潜像が刷版1上に形成される。
【0024】
次のステップ4dで、ポリマー刷版がエッチング機器上に配置される。例えば、このエッチングは、熱エッチング、溶食、または水エッチングなどであることができる。したがって、UVに暴露されないポリマー層1bの一部が除去されて、ハーフトーンのドットまたはフルトーンであることができるレリーフパターンが出現し、このレリーフパターンの上面は、印刷用インクを受け取るように設計されている。
【0025】
例えば、現像された刷版の乾燥、レリーフパターンの架橋結合を完了するための刷版1の露光、レリーフパターンが印刷用インクの保持を促進するように、刷版の表面のタックを除去し、レリーフパターンの上面を準備するための仕上げ処理、およびブロックを個別化するための刷版の切断などの、追加ステップが提供され得る。
【0026】
ブロックを形成するために使用される正確なステップのシーケンスに関わらず、製造シーケンスの終了時に、少なくとも1つのブロック5が存在しており、このブロック5を利用して、元のファイル2のテキストコンテンツまたはグラフィックコンテンツを印刷媒体上で再現することができる。
【0027】
このブロック5は、通常、長方形の形式を有し、その寸法は、ブロック5が統合される印刷デバイスの寸法に合わせて調整される。ブロック5は、フレキソ印刷版の透明な媒体1を含むことができるベース5aと、刷版1の後面のUV露光が実行されている場合に、おそらくは、架橋結合された感光性層1bの一部とで、構成されている。
【0028】
ベース5a上で、一連のレリーフパターン5bが、いわゆる「画像」領域上に配置される。これらのパターン(例えば、ハーフトーンのドット)は、浮き彫りにされている。すなわち、これらのパターンは、ベース5aによって定められた平面に対して高くされた上面5cを有する。これらのパターンは、コンテンツ2を表すなどのために、ベース5aの表面に配置される。すでに述べたように、各パターンの上面5cは、コンテンツ2を印刷媒体上で再現するなどのために、印刷用インクを受け取ることができる。
【0029】
フレキソ印刷版1からそのようなブロック5を製造するための方法は、完全に制御されなければならない方法である。
【0030】
ポリマー材料の性質1bに応じて、コンテンツが印刷されると予想される媒体の性質に応じたポリマー材料の相対硬度を選択することができ、この層の厚さ、エッチングステップの間に使用される液体の性質および濃度に応じて、レリーフパターン5bを完全に現像するなどのために、露光およびエッチングの期間が、完全に選択されなければならない。これらのパラメータのうちの1つの間違った制御は、パターン5bの不十分なレリーフまたはオーバーエッチングを引き起こす可能性があり、いずれの場合も、コンテンツ2の忠実な再現を実現するために使用できないブロックが形成される。
【0031】
ブロック5の最終的な品質は、コンテンツ2の形状、または印刷前工程のパラメータにも依存する。このコンテンツの特定のパラメータ(フォント、フォントサイズ、スクリーン線数、スクリーン角、ドットの形状など)は、既定の範囲外で選択された場合、不完全なレリーフパターンの形成をもたらす可能性があり、そのようなパターンの欠如をもたらす可能性さえある。
【0032】
したがって、ラスター化されたファイルの準備は、1ビットの画像がレリーフの「規則的」パターン(すなわち、製造機器の事前に確立された利用方式で期待される高度を有する)として実際に再現されることを保証する制御ステップおよび/または調整ステップを含む。
【0033】
したがって、ブロック5のレリーフパターン5bがコンテンツを印刷媒体上で正確に再現することを可能にするように、これらのステップの間にあらゆる試みが行われる。レリーフパターン5bの各高度が互いに同一であるか、または非常に近いということ、およびこれらのパターンのすべてまたは大多数が実際に存在し、ブロック5の製造中に変更されていないということが、特に重要である。
【0034】
これに当てはまらないということが観察された場合、忠実なレリーフパターン5bに正確に変換できないファイルまたはコンテンツの部分を除去するために、ラスター化されたファイルをもう一度準備するか、またはコンテンツを再生する必要さえある。
【0035】
これらの完全化ステップの間に、本出願の発明者らは、特定の場合に、コンテンツ2を表すラスター化されたファイルが、期待される高度よりも低い、期待通りでない高度を有するレリーフパターンの形成をもたらすことがあるということを認識した。したがって、過剰にエッチングおよび/または現像されたこれらのレリーフパターンは、インクが付着することができず、印刷媒体上でのコンテンツの再現に寄与することができない。
【0036】
これらの不正確さの観察は、使用不能なブロックをもたらすこれらの特徴を有するラスター化ファイルの形成を避けるなどのために、当然ながら、印刷前工程の制御ルールの強化につながった。
【0037】
しかし、本出願の発明者らは、情報をブロック内に配置するために、これらの観察を活用することができ、この情報が、再現されるよう意図されたコンテンツ2への追加であり、この追加情報が、印刷媒体上で再現されるグラフィックコンテンツおよび/またはテキストコンテンツを修正する危険を冒すことがないということも理解した。
【0038】
設計および印刷プロセスの上流で、ラスター化されたファイル3に統合され得るこの情報は、例えば、ブロックの識別情報、ロゴ、またはブロックの切断を可能にするためにフレキソ印刷版1上のブロックのサイズを視覚的に特定できるようにする切断する正方形などの、ブロックを製造するための方法の間に使用できる情報を、形成することができる。
【0039】
この情報の性質に関わらず、この情報は、肉眼で確認できるレリーフパターンによって表され得る。
【0040】
当然ながら、再現されるコンテンツと干渉しないようにするために、この情報は、忠実な高度を有するレリーフパターン5bで構成されている画像領域の外部で、ブロック5の表面に配置される。
【0041】
本出願の発明者らは、印刷不能な視覚情報を含むフレキソ印刷ブロック5を製造する方法を提案するために、求められていない結果を示す観察結果を賢明に利用した。この方法が、
図3に示されている。
【0042】
この方法は、コンテンツファイル2からラスター化されたファイル3を準備するための準備ステップ4aを含む。このファイル2は、ブロックの画像領域に、例えばブロックの中心に、配置されるよう意図された再現されるコンテンツ2aを含む。ブロックの画像領域に対応するラスター化されたファイル3の部分3cは、1ビットの規則的なピクセルで構成されており、すなわち、この部分の配置および全体的特徴は、フレキソ印刷版のレーザーエッチングのステップ4b、露光のステップ4c、および現像のステップ4dの後の結果が、コンテンツ2を印刷媒体上で再現できる第1の規則的な高度e1を有する一連のレリーフパターン5bになるようになっている。
【0043】
ファイルを準備するこのステップは、本発明によれば、印刷不能な可視の情報のうちの少なくとも1つ(例えば、ブロック3aまたは切断基準点3bを識別するための情報のうちの1つ)を、画像領域3cの外部で、ラスター化されたファイル3の少なくとも1つの他の部分3a、3bに含めるための追加の処理によって完了する。
【0044】
ファイル3a、3bのこの他の部分は、1ビットのピクセルで構成されており、この部分の配置および全体的特徴は、レーザーエッチングのステップ4b、露光のステップ4c、および現像のステップ4dの後の結果が、刷版のベース5aに対して、第1の画像を形成する規則的な高度を有するレリーフパターン5bの第1の高度e1よりも低い第2の高度e2を有する、第2の一連のレリーフパターン5b’になるようにすることである。第2の一連のパターン5b’のすべてのレリーフパターンが第2の同一の高度を有する必要はない。したがって、これらのパターンは、これらの異なる高度が、その大部分で「規則的」パターンの第1の高度よりも低い限り、異なる高度を有することができる。
【0045】
第1の高度よりも低いこの第2の高度e2は、最終的な媒体での印刷中に、これらのパターンの露出した表面がインクを受け取るには不十分であるため、第2の一連のレリーフパターンのパターン5b’は、この媒体上に印刷され得ない。それにもかかわらず、これらのレリーフパターンは、ブロックの表面またはブロック5の製造に使用されるフレキソ印刷版の表面で、はっきりと見えるままであり、したがって、その場所で識別情報および/または切断5bマークの位置を確認できるようにする。
【0046】
より低い高度e2を有するレリーフパターンの形成をもたらす第2の一連のピクセル5b’の全体的特徴およびこれらのピクセル5b’の配置は、フレキソ印刷版1の性質、およびブロック5を製造するための機器によって利用される方式の性質に依存することがある。
【0047】
しかし、これらの全体的特徴およびこの配置は、極めて単純な経験に基づくシーケンスを使用して非常に簡単に決定され得る。このシーケンスの間に、ピクセルのさまざまな全体的特徴およびさまざまな配置を含むラスター化された較正ファイルが形成される。較正ファイルによって定義されたラスター化された1ビットの較正画像を刷版上で再現するために、フレキソ印刷版が処理される。次に、例えば単純な顕微鏡を使用して、現像されたフレキソ印刷版上で、形成されたレリーフパターンが観察される。したがって、刷版のベースに対してレリーフパターンの規則的な高度よりも低い高度を有するにもかかわらず、肉眼で十分に確認できるレリーフパターンを識別することができる。また、これらの特定のレリーフパターン5b’の形成をもたらした1ビットのピクセルの全体的特徴およびその配置が識別される。
【0048】
したがって、本出願の発明者らは、製造機器上で、「Helvetica Bold」タイプ、18~24の活字の大きさ、0.9%未満のパーセンテージ、170lpiより大きいスクリーン線数のテキストから形成された、補償も調整も行われないコンテンツが、印刷不能な可視のレリーフパターンを形成することを可能にしたということを、識別した。
【0049】
これは、0.3mm未満の厚さの寸法、1辺当たり数ミリメートルの寸法、0.9%未満のパーセンテージ、および170lpiより大きいスクリーン線数を有する、補償も調整も行われない切断角の場合にも当てはまる。
【0050】
本発明に従う方法が実施された場合、
図3および
図4に示されたようなフレキソ印刷版1を取得することを可能にし、このフレキソ印刷版1は、ベース5aと、ベース5aの画像領域5cに配置された第1の一連のレリーフパターン5bであって、ベース5aに対して第1の高度e1を有する、第1の一連のレリーフパターン5bと、画像領域5cの外部に配置された第2の一連のレリーフパターン5b’とを備えているフレキソ印刷ブロック5を製造するために使用することができ、第2の一連のパターンのうちのパターン5b’は、ベースに対して第2の高度e2を有し、第2の高度e2は第1の高度e1よりも低い。
【0051】
示されたように、より低い高度を有するこれらのレリーフパターン5b’は、フレキソ印刷版1上のブロック5のサイズおよび位置を特定することを可能にし、ブロック5の切断を可能にする、ブロックまたは基準点の識別情報を形成するために、ベース上に配置され得る。
【0052】
これによって、設計および印刷プロセスの上流で、再現されるグラフィックコンテンツおよび/またはテキストコンテンツに影響を与えることなく、フレキソ印刷ブロックに直接統合され得る情報を統合することを可能にする方法を実現する。
【0053】
当然ながら、本発明は、説明された実施方法に限定されず、特許請求の範囲によって定められる本発明の範囲から逸脱することなく、代替の実施形態が含まれ得る。
【0054】
したがって、説明された実施形態はフレキソ印刷ブロックの製造に関するが、本発明はそのようなブロックの製造に全く限定されず、フレキソ印刷法用の任意の感光性印刷版の製造に、極めて広く一般に使用される。例えば、これはフレキソ印刷スリーブであることができ、その場合、フレキソ印刷版は円筒の形態をとる。
【0055】
ラスター化のステップ4a、レーザーエッチングのステップ4b、露光のステップ4c、および現像のステップ4dに加えて、この方法は、例えば切断、洗浄、および/または表面の準備などの、その他のステップを含むことができる。
【0056】
ラスター化されたファイル3を準備するステップは、この方法のステップの少なくとも各々を実施するための適切な命令で構成されているコンピュータプログラムを用いて、コンピュータによって実施されるよう設計される。
【国際調査報告】