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特表2022-511234新規なp62リガンド化合物、これを含むタンパク質異常疾患の予防、改善または治療用組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-31
(54)【発明の名称】新規なp62リガンド化合物、これを含むタンパク質異常疾患の予防、改善または治療用組成物
(51)【国際特許分類】
   C07C 217/58 20060101AFI20220124BHJP
   C07C 279/12 20060101ALI20220124BHJP
   C07C 229/20 20060101ALI20220124BHJP
   C07C 237/06 20060101ALI20220124BHJP
   C07C 275/24 20060101ALI20220124BHJP
   C07C 235/08 20060101ALI20220124BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20220124BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20220124BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20220124BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220124BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20220124BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20220124BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20220124BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20220124BHJP
   A61P 25/02 20060101ALI20220124BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20220124BHJP
   A61K 31/137 20060101ALI20220124BHJP
   A61K 31/155 20060101ALI20220124BHJP
   A61K 31/17 20060101ALI20220124BHJP
   A61K 31/165 20060101ALI20220124BHJP
   A61K 31/198 20060101ALI20220124BHJP
   A61K 31/16 20060101ALI20220124BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20220124BHJP
【FI】
C07C217/58 CSP
C07C279/12
C07C229/20
C07C237/06
C07C275/24
C07C235/08
A61P25/28
A61P27/02
A61P3/10
A61P43/00 105
A61P25/08
A61P25/16
A61P9/10
A61P25/14
A61P25/02
A61P21/00
A61K31/137
A61K31/155
A61K31/17
A61K31/165
A61K31/198
A61K31/16
A23L33/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021503886
(86)(22)【出願日】2019-07-24
(85)【翻訳文提出日】2021-01-22
(86)【国際出願番号】 KR2019009204
(87)【国際公開番号】W WO2020022784
(87)【国際公開日】2020-01-30
(31)【優先権主張番号】62/702,473
(32)【優先日】2018-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】520373796
【氏名又は名称】プロテック・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PROTECH INC.
【住所又は居所原語表記】#408, 103, DAEHAK‐RO, JONGNO‐GU, SEOUL 03080, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】クォン,ヨン・テ
(72)【発明者】
【氏名】ジ,チャン・フン
(72)【発明者】
【氏名】ガニピセッティ,スリニヴァスラオ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヒ・イオン
(72)【発明者】
【氏名】ムン,ス・ラン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,チャン・フン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ウィ・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ギ・ウン
【テーマコード(参考)】
4B018
4C206
4H006
【Fターム(参考)】
4B018LB01
4B018LB02
4B018LB06
4B018LB07
4B018LB08
4B018LB10
4B018MD08
4B018MD18
4B018ME14
4B018MF10
4B018MF14
4C206AA01
4C206AA02
4C206AA03
4C206FA11
4C206FA53
4C206GA04
4C206GA07
4C206GA22
4C206GA28
4C206HA29
4C206HA31
4C206KA01
4C206KA17
4C206MA01
4C206MA04
4C206NA14
4C206ZA06
4C206ZA15
4C206ZA16
4C206ZA22
4C206ZA33
4C206ZA94
4C206ZB21
4C206ZC35
4H006AA01
4H006AB20
4H006BJ50
4H006BM30
4H006BM71
4H006BM72
4H006BP30
4H006BU38
4H006RA10
(57)【要約】
本発明は、新規なp62リガンド化合物、その立体異性体、溶媒和物、水和物またはプロドラッグ、これを有効性分として含む変形タンパク疾患の予防または治療用薬学的または食品組成物に関し、本発明によるp62リガンド化合物は、細胞内選択的オートファジーを活性化して体内タンパク質、小器官および凝集体を選択的に除去することによって、多様なタンパク質異常疾患の予防、改善または治療用薬学的組成物として有用に使用できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表されるp62リガンド化合物、その薬学的に許容可能な塩、立体異性体、溶媒和物、水和物またはプロドラッグ。
【化1】
上記化学式1中、
Wは炭素数6~10のアリールであり、
mは0~2の整数であり、
はRまたは-ORであり、
この時、Rは水素、または-(CHn1-R’であり、
R’は非置換;またはヒドロキシ、ハロゲン、炭素数1~4のアルキル、炭素数1~4のアルコキシ、ニトロ、アミノ、(炭素数1~4のアルキル)アミノ、またはジ(炭素数1~4のアルキル)アミノで置換されたフェニルであり、
n1は1~6の整数であり、
は-ORであり、
この時、Rは水素、または-(CHn2-R’であり、
R’は非置換;またはヒドロキシ、ハロゲン、炭素数1~4のアルキル、炭素数1~4のアルコキシ、ニトロ、アミノ、(炭素数1~4のアルキル)アミノ、またはジ(炭素数1~4のアルキル)アミノで置換されたフェニルであり、
n2は1~6の整数であり、
は-(CHn3-OH、-(CHn3-NH-C(=NH)NH、-C(=NH)NH、炭素数1~6のアルキル、-CH(R)-COO-R、または-CH(COO-R)-CHCHCH-NH-C(=NH)NH、-(CHn3-O-(CHn3-OR、-CONH(CHn3-OR、-CO(CHn4-OR、-(CHn4-CH(NH)-COOR、-(CHn4-CONHRであり、
n3は2~4の整数であり、
n4は1~4の整数であり、
は水素、または炭素数1~4のアルキルであり、
は水素、または炭素数1~4のアルキルであり、
は水素、ハロゲン、炭素数1~4のアルコキシまたは炭素数1~4のアルキルであり、
この時、前記化学式1の化合物は、下記化合物からなる群の中から選択される化合物でない。
1)2-((3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジル)アミノ)エタン-1-オール(YTK-1105)
2)2-(3,4-ジフェネトキシベンジルアミノ)エタノール(YTK-2205)
3)2-(3,4-ビス(3-フェニルプロポキシ)ベンジルアミノ)エタノール(YTK-3305)
4)2-(3,4-ビス(4-フェニルブトキシ)ベンジルアミノ)エタノール(YTK-4405)
5)2-(ベンジルオキシ)-5-((2-ヒドロキシエチルアミノ)メチル)フェノール(YTK-1005)
6)2-(4-(ベンジルオキシ)-3-フェネトキシベンジルアミノ)エタノール(YTK-1205)
7)2-(4-(ベンジルオキシ)-3-(3-フェニルプロポキシ)ベンジルアミノ)エタノール(YTK-1305)
8)2-(4-(ベンジルオキシ)-3-(4-フェニルブトキシ)ベンジルアミノ)エタノール(YTK-1405)
9)2-((3-(フェネトキシ)ベンジル)アミノ)エタン-1-オール(YTK-205)
10)2-((3-(3-フェニルプロポキシ)ベンジル)アミノ)エタン-1-オール(YTK-305)
11)2-(3,4-ビス((4-クロロフェニル)メトキシ)ベンジルアミノ)エタノール(YT-5-1)
12)2-(3,4-ビス((4-フルオロフェニル)メトキシ)ベンジルアミノ)エタノール(YT-5-2)
13)2-(3,4-ビス((4-ジメチルアミノフェニル)メトキシ)ベンジルアミノ)エタノール(YT-5-3)
14)2-(3,4-ビス(4-ニトロフェニル)メトキシ)ベンジルアミノ)エタノール(YT-5-4)
15)2-(3,4-ビス(4-メトキシフェニル)メトキシ)ベンジルアミノ)エタノール(YT-5-5)
16)2-(3,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)メトキシ)ベンジルアミノ)エタノール(YT-5-6)
17)2-((3-((4-クロロベンジル)オキシ)ベンジル)アミノ)エタン-1-オール(YT-5-7)
18)2-((3-((4-フルオロベンジル)オキシ)ベンジル)アミノ)エタン-1-オール(YT-5-8)
19)2-((3-((4-ニトロベンジル)オキシ)ベンジル)アミノ)エタン-1-オール(YT-5-10)
20)2-(3,4-ジベンジルオキシ)ベンジルアミノ)プロパノール(YtK-11-A54)
21)2-((2-((3-(ベンジルオキシ)ベンジル)アミノ)エチル)アミノ)エタン-1-オール(YTK-108)
22)2-((2-((3-((4-クロロベンジル)オキシ)ベンジル)アミノ)エチル)アミノ)エタン-1-オール(YT-8-7);および
23)2-((2-((3-((4-フルオロベンジル)オキシ)ベンジル)アミノ)エチル)アミノ)エタン-1-オール(YT-8-8)。
【請求項2】
前記Wはフェニルである、請求項1に記載の化合物、その薬学的に許容可能な塩、立体異性体、溶媒和物、水和物またはプロドラッグ。
【請求項3】
前記Rは水素、または-O-(CHn1-R’であり、R’は非置換;またはヒドロキシ、フルオロ、クロロ、ブロモ、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、ニトロ、アミノまたはジメチルアミノで置換されたフェニルであり、n1は1~4の整数である、請求項1に記載の化合物、その薬学的に許容可能な塩、立体異性体、溶媒和物、水和物またはプロドラッグ。
【請求項4】
前記Rはヒドロキシ、または-O-(CHn2-R’であり、R’は非置換;またはヒドロキシ、フルオロ、クロロ、ブロモ、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、ニトロ、アミノまたはジメチルアミノで置換されたフェニルであり、n2は1~4の整数である、請求項1に記載の化合物、その薬学的に許容可能な塩、立体異性体、溶媒和物、水和物またはプロドラッグ。
【請求項5】
前記Rは-(CH-OH、-(CH-NH-C(=NH)NH、-C(=NH)NH、メチル、エチル、イソプロピル、-(CHn3-O-(CHn3-OR、-CONH(CHn3-OR、-CO(CHn4-OR、-(CHn4-CH(NH)-COOR、または-(CHn4-CONHRであり、n3は2~3の整数であり、n4は1~2の整数であり、Rは水素または炭素数1~2のアルキルであり、Rは水素、ハロゲン、炭素数1~2のアルコキシまたは炭素数1~2のアルキルである、請求項1に記載の化合物、その薬学的に許容可能な塩、立体異性体、溶媒和物、水和物またはプロドラッグ。
【請求項6】
前記化学式1の化合物が下記化合物からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物、その薬学的に許容可能な塩、立体異性体、溶媒和物、水和物またはプロドラッグ。
1)2-((3-(ベンジルオキシ)ベンジル)アミノ)エタン-1-オール(YTK-105);
2)2-((2-((3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジル)アミノ)エチル)アミノ)エタン-1-オール(YTK-1108);
3)1-(2-((3-(ベンジルオキシ)ベンジル)アミノ)エチル)グアニジン(YtK-107);
4)1-(2-((3-(フェネトキシベンジル)アミノ)エチル)グアニジン(YtK-207);
5)2-(2-((3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジル)アミノ)エトキシ)エタン-1-オール(YtK-11-A76);
6)1-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジル)-3-(2-ヒドロキシエチル)ウレア(ATB10041);
7)N-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジル)-2-ヒドロキシアセトアミド(ATB10042);
8)(R)-2-アミノ-3-((3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジル)アミノ)プロパン酸(ATB10043);
9)2-((3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジル)アミノ)アセトアミド(ATB10044);
10)2-((3,4-ビス(ベンジルオキシ)-5-メトキシベンジル)アミノ)エタン-1-オール(ATB10045);および
11)2-((3,4-ビス(ベンジルオキシ)-5-クロロベンジル)アミノ)エタン-1-オール(ATB10046)。
【請求項7】
下記化学式1aの化合物、その薬学的に許容可能な塩、立体異性体、溶媒和物、水和物またはプロドラッグを含む、タンパク質異常疾患の予防、改善または治療用薬学的組成物。
【化2】
上記化学式1a中、
Wは炭素数6~10のアリールであり、
mは0~2の整数であり、
はRまたは-ORであり、
この時、Rは水素、または-(CHn1-R’であり、
R’は非置換、またはヒドロキシ、ハロゲン、炭素数1~4のアルキル、炭素数1~4のアルコキシ、ニトロ、アミノ、(炭素数1~4のアルキル)アミノ、またはジ(炭素数1~4のアルキル)アミノで置換されたフェニルであり、
n1は1~6の整数であり、
は-ORであり、
この時、Rは水素、または-(CHn2-R’であり、
R’は非置換;またはヒドロキシ、ハロゲン、炭素数1~4のアルキル、炭素数1~4のアルコキシ、ニトロ、アミノ、(炭素数1~4のアルキル)アミノ、またはジ(炭素数1~4のアルキル)アミノで置換されたフェニルであり、
n2は1~6の整数であり、
は-(CHn3-OH、-(CHn3-NH-C(=NH)NH、-C(=NH)NH、炭素数1~6のアルキル、-CH(R)-COO-R、または-CH(COO-R)-CHCHCH-NH-C(=NH)NH、-(CHn3-O-(CHn3-OR、-CONH(CHn3-OR、-CO(CHn4-OR、-(CHn4-CH(NH)-COOR、-(CHn4-CONHRであり、
n3は2~4の整数であり、
n4は1~4の整数であり、
は水素、または炭素数1~4のアルキルであり、
は水素、または炭素数1~4のアルキルであり、
は水素、ハロゲン、炭素数1~4のアルコキシまたは炭素数1~4のアルキルである。
【請求項8】
前記タンパク質異常疾患は、神経変性疾患、アルファ1-アンチトリプシン欠乏症、角膜症、色素性網膜症、2型糖尿病および嚢胞性線維症である、請求項7に記載の薬学的組成物。
【請求項9】
前記神経変性疾患は、ライム病(Lyme borreliosis)、致死性家族性不眠症(Fatal familial insomnia)、クロイツフェルト-ヤコブ病(Creutzfeldt-Jakob Disease;CJD)、多発性硬化症(multiple sclerosis;MS)、認知症(dementia)、アルツハイマー病(Alzheimer’s disease)、てんかん(epilepsy)、パーキンソン病(Parkinson’s disease)、脳卒中(stroke)、ハンチントン病(huntington’s disease)、ピック病(Picks disease)、筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis、ALS)脊髄小脳失調症、その他ポリ-Q疾患、遺伝性脳アミロイド血管病症、家族性アミロイド多発神経病症、1次全身アミロイド症(ALアミロイド症)、反応性全身アミロイド症(AAアミロイド症)、アルファ1-アンチトリプシン欠乏症、アレキサンダー病、角膜症、色素性網膜症、2型糖尿病、嚢胞性線維症、注射-局所化アミロイド症、ベータ-2マイクログロブリンアミロイド症、遺伝性非-神経病アミロイド症、およびフィンランド遺伝性全身アミロイド症からなる群から選択される1種以上である、請求項8に記載の薬学的組成物。
【請求項10】
下記化学式1aの化合物、その薬学的に許容可能な塩、立体異性体、溶媒和物、水和物またはプロドラッグを含む、変性タンパク質のオートファジー活性増加用の薬学的組成物。
【化3】
上記化学式1a中、
Wは炭素数6~10のアリールであり、
mは0~2の整数であり、
はRまたは-ORであり、
この時、Rは水素、または-(CHn1-R’であり、
R’は非置換;またはヒドロキシ、ハロゲン、炭素数1~4のアルキル、炭素数1~4のアルコキシ、ニトロ、アミノ、(炭素数1~4のアルキル)アミノ、またはジ(炭素数1~4のアルキル)アミノで置換されたフェニルであり、
n1は1~6の整数であり、
は-ORであり、
この時、Rは水素、または-(CHn2-R’であり、
R’は非置換;またはヒドロキシ、ハロゲン、炭素数1~4のアルキル、炭素数1~4のアルコキシ、ニトロ、アミノ、(炭素数1~4のアルキル)アミノ、またはジ(炭素数1~4のアルキル)アミノで置換されたフェニルであり、
n2は1~6の整数であり、
は-(CHn3-OH、-(CHn3-NH-C(=NH)NH、-C(=NH)NH、炭素数1~6のアルキル、-CH(R)-COO-R、または-CH(COO-R)-CHCHCH-NH-C(=NH)NH、-(CHn3-O-(CHn3-OR、-CONH(CHn3-OR、-CO(CHn4-OR、-(CHn4-CH(NH)-COOR、-(CHn4-CONHRであり、
n3は2~4の整数であり、
n4は1~4の整数であり、
は水素、または炭素数1~4のアルキルであり、
は水素、または炭素数1~4のアルキルであり、
は水素、ハロゲン、炭素数1~4のアルコキシまたは炭素数1~4のアルキルである。
【請求項11】
前記タンパク質は、癌誘発タンパク質、プリオンタンパク質、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、アルファ-シヌクレイン、スーパーオキシドディスムターゼ、タウ、免疫グロブリン、アミロイド-A、トランスサイレチン、ベータ2-マイクログロブリン、シスタチンC、アポリポタンパク質(Apolipoproteine)A1、TDP-43、島アミロイドポリペプチド(islet amyloid polypeptide)、ANF、ゲルゾリン(gelsolin)、インスリン、リゾチーム、フィブリノゲン、ハンチンチン(huntingtin)アルファ-1-アンチトリプシンZ、クリスタリン(crystallin)、c9オープンリーディングフレーム72(c9orf72)、グリア細胞繊維性酸性タンパク質(glial fibrillary acidic protein)、嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子タンパク質(cystic fibrosis transmembrane conductance regulator protein)、ロドプシン(rhodopsin)およびアタキシンと、Poly-Q延伸を有するその他タンパク質からなる群から選択される1種以上である、請求項10に記載の薬学的組成物。
【請求項12】
下記化学式1aの化合物、その薬学的に許容可能な塩、立体異性体、溶媒和物、水和物またはプロドラッグを含む、タンパク質異常疾患の予防または改善用食品組成物。
【化4】
上記化学式1a中、
Wは炭素数6~10のアリールであり、
mは0~2の整数であり、
はRまたは-ORであり、
この時、Rは水素、または-(CHn1-R’であり、
R’は非置換;またはヒドロキシ、ハロゲン、炭素数1~4のアルキル、炭素数1~4のアルコキシ、ニトロ、アミノ、(炭素数1~4のアルキル)アミノ、またはジ(炭素数1~4のアルキル)アミノで置換されたフェニルであり、
n1は1~6の整数であり、
は-ORであり、
この時、Rは水素、または-(CHn2-R’であり、
R’は非置換、またはヒドロキシ、ハロゲン、炭素数1~4のアルキル、炭素数1~4のアルコキシ、ニトロ、アミノ、(炭素数1~4のアルキル)アミノ、またはジ(炭素数1~4のアルキル)アミノで置換されたフェニルであり、
n2は1~6の整数であり、
は-(CHn3-OH、-(CHn3-NH-C(=NH)NH、-C(=NH)NH、炭素数1~6のアルキル、-CH(R)-COO-R、または-CH(COO-R)-CHCHCH-NH-C(=NH)NH、-(CHn3-O-(CHn3-OR、-CONH(CHn3-OR、-CO(CHn4-OR、-(CHn4-CH(NH)-COOR、-(CHn4-CONHRであり、
n3は2~4の整数であり、
n4は1~4の整数であり、
は水素、または炭素数1~4のアルキルであり、
は水素、または炭素数1~4のアルキルであり、
は水素、ハロゲン、炭素数1~4のアルコキシまたは炭素数1~4のアルキルである。
【請求項13】
前記タンパク質異常疾患は、神経変性疾患、アルファ1-アンチトリプシン欠乏症、角膜症、色素性網膜症、2型糖尿病および嚢胞性線維症である、請求項12に記載の食品組成物。
【請求項14】
前記神経変性疾患は、ライム病(Lyme borreliosis)、致死性家族性不眠症(Fatal familial insomnia)、クロイツフェルト-ヤコブ病(Creutzfeldt-Jakob Disease;CJD)、多発性硬化症(multiple sclerosis;MS)、認知症(dementia)、アルツハイマー病(Alzheimer’s disease)、てんかん(epilepsy)、パーキンソン病(Parkinson’s disease)、脳卒中(stroke)、ハンチントン病(huntington’s disease)、ピック病(Picks disease)、筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis、ALS)脊髄小脳失調症、その他、ポリ-Q疾患、遺伝性脳アミロイド血管病症、家族性アミロイド多発神経病症、1次全身アミロイド症(ALアミロイド症)、反応性全身アミロイド症(AAアミロイド症)、アルファ1-アンチトリプシン欠乏症、アレキサンダー病、角膜症、色素性網膜症、2型糖尿病、嚢胞性線維症、注射-局所化アミロイド症、ベータ-2マイクログロブリンアミロイド症、遺伝性非-神経病アミロイド症、およびフィンランド遺伝性全身アミロイド症からなる群から選択される1種以上である、請求項13に記載の食品組成物。
【請求項15】
請求項1~6のいずれか一項に記載のp62リガンド化合物を細胞またはp62タンパク質に処理する段階を含む、タンパク質凝集体の分解を増大させる方法。
【請求項16】
請求項1~6のいずれか一項に記載のp62リガンド化合物を細胞またはp62タンパク質に処理する段階を含む、選択的オートファジーの活性化方法。
【請求項17】
請求項1~6のいずれか一項に記載のp62リガンド化合物を個体に投与する段階を含む、細胞またはp62タンパク質に処理する段階を含む、タンパク質異常疾患を予防、改善または治療する方法。
【請求項18】
前記タンパク質異常疾患は、神経変性疾患、アルファ1-アンチトリプシン欠乏症、角膜症、色素性網膜塩、2型糖尿病および嚢胞性線維症である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記神経変性疾患は、ライム病(Lyme borreliosis)、致死性家族性不眠症(Fatal familial insomnia)、クロイツフェルト-ヤコブ病(Creutzfeldt-Jakob Disease;CJD)、多発性硬化症(multiple sclerosis;MS)、認知症(dementia)、アルツハイマー病(Alzheimer’s disease)、てんかん(epilepsy)、パーキンソン病(Parkinson’s disease)、脳卒中(stroke)、ハンチントン病(huntington’s disease)、ピック病(Picks disease)、筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis、ALS)脊髄小脳失調症、その他、ポリ-Q疾患、遺伝性脳アミロイド血管病症、家族性アミロイド多発神経病症、1次全身アミロイド症(ALアミロイド症)、反応性全身アミロイド症(AAアミロイド症)、アルファ1-アンチトリプシン欠乏症、アレキサンダー病、角膜症、色素性網膜症、2型糖尿病、嚢胞性線維症、注射-局所化アミロイド症、ベータ-2マイクログロブリンアミロイド症、遺伝性非-神経病アミロイド症およびフィンランド遺伝性全身アミロイド症からなる群から選択される1種以上である、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なp62リガンド化合物、これを含むタンパク質異常疾患の予防または治療用薬学的または食品組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
N-末端則(N-end rule)経路は特定のタンパク質のN-末端を分解信号として用いるタンパク質分解システムである(図1)。N-末端則分解信号には、タイプ1であるN-末端アルギニン(Nt-Arg)、リシン(Nt-Lys)およびヒスチジン(Nt-His)を有する塩基残基と、タイプ2であるフェニルアラニン(Nt-Phe)、ロイシン(Nt-Leu)、トリプトファン(Nt-Trp)、チロシン(Nt-Tyr)およびイソロイシン(Nt-Ile)の疎水性残基とがある。これらのN-末端残基は特定の認識要素(N-recognins;N-レコグニン)のリガンド(N-リガンドと名付ける)に結合する。
【0003】
本発明者らは、かつて知られているN-レコグニン、すなわち、UBR1、UBR2、UBR4、およびUBR5を最初に発見またはクローニングし、これらが基質認識ドメインとしてUBR boxを有していることを究明した(Tasaki,T.et al.,Mol Cell Biol25,7120-36(2005):非特許文献1)。また、UBR boxがN-末端Arg残基などのtype-1 N-末端則リガンド(Nt-Arg、Nt-Lys、Nt-His)を結合して基質を認識し、基質にユビキチン鎖を付加したことを究明した。UBR1とUBR2がさらにN-ドメインを有しており、N-ドメインはtype-2 N-末端則リガンド(Nt-Trp、Nt-Phe、Nt-Tyr、Nt-Leu、Nt-Ile)と結合するのに重要な役割を果たすとの事実も究明した(Sriram,S.M.,Kim,B.Y.& Kwon,Y.T.,Nat Rev Mol Cell Biol 12,735-47(2011):非特許文献2)。N-レコグニンがN-末端則リガンドと結合することによって作られたユビキチン化された基質は、プロテアソームに伝達されて短いペプチドに分解される。この過程で、特定のN-末端残基(Nt-Arg、Nt-His、Nt-Lys、Nt-Trp、Nt-Phe、Nt-Tyr、Nt-Leu、Nt-Leu)は、N-レコグニンがN-末端則基質をターゲッティングする時に必要な水素結合(hydrogen bond)を大部分提供するため、結合に必ず必要な決定因子である(Sriram,S.M.& Kwon,Y.T.,Nat Struct Mol Biol 17,1164-5(2010):非特許文献3)。
【0004】
細胞内にミスフォールド(misfolded)タンパク質が長時間放置されると、凝集して(aggregated)プロテアソームを阻害するか、または他の細胞機能を低下するなど細胞毒性物質になるため、ユビキチンリガーゼ(ubiquitin ligase)がユビキチン化させることでプロテアソームに伝達させて分解される(Ji,C.H.& Kwon,Y.T.,Mol Cells 40,441-449(2017):非特許文献4)。正常な細胞ではこのような過程が円滑で変性タンパク質による被害を最小化するのに対し、老人の神経細胞は当該過程が遅くなってユビキチン化された変性タンパク質が累積され、これらの余剰タンパク質ゴミは再び凝集体に転換される(Ciechanover,A.& Kwon,Y.T.,Exp Mol Med 47,e147(2015):非特許文献5)。また、タンパク質異常疾患の中でも、ハンチントン病、パーキンソン病、ヒト狂牛病、ルーゲーリック病などの退行性脳疾患を病んでいる患者の神経細胞には特定の突然変異タンパク質が凝集体に変形する性質が強くて、前記説明したプロテアソームで分解されない。なぜなら、プロテアソームは内径が13オングストローム(angstrom)程度と狭いため、変性タンパク質がほどけなければならない(unfolding)が、タンパク質が凝集するとほどけないからである。
【0005】
一方、オートファジー(autophagy)は、ユビキチン-プロテアソームシステム(ubiquitin-proteasome system)とともに細胞内の主要タンパク質分解システムである。オートファジーは、老化したり本来の機能を果たせなくなった細胞小器官、および損傷するか、またはミスフォールドタンパク質を分解することによって、細胞の恒常性と遺伝的な安定性を維持するために欠かせないタンパク質分解過程である(Ji,C.H.& Kwon,Y.T.,Mol Cells 40,441-449(2017):非特許文献4)。特に、細胞質に変性タンパク質凝集体が累積される場合は細胞毒性物質になるため、これらをオートファジーが受け入れて分解しなければならない。オートファジーの機序は、大きく、マクロオートファジー(macroautophagy)、マイクロオートファジー(microautophagy)とシャペロン媒介オートファジー(chaperone-mediated autophagy)に分けられ、どのような目的のために細胞内基質を分解するかによって、非選択的オートファジー(bulk autophagy)と選択的オートファジー(selective autophagy)に分けられる(Dikic,I.&Elazar,Z.,Nat Rev Mol Cell Biol 19,349-364(2018):非特許文献6)。このうち、選択的オートファジーとシャペロン媒介オートファジーは、細胞内機能異常小器官や不要なタンパク質の選択的分解を起こす。選択的オートファジーを誘導することで、悪性病因タンパク質の蓄積および機能不能小器官ベースの疾患に対する新規治療法の開発が、現在新たなパラダイムを構築している状況である。p62/SQSTM1/Sequestosome-1タンパク質は、選択的オートファジー機序において媒介物のオートファゴソームの形成開始と内容物の伝達に重要である。この時、p62/SQRSM1/Sequestosome-1が変性タンパク質およびその凝集体と結合して、これらをオートファゴソーム(autophagosome)に伝達する。変性タンパク質をオートファゴソームに伝達する時、核心的な過程としてp62が自己オリゴマー化(self-oligomerization)を経る(Ji,C.H.& Kwon,Y.T.,Mol Cells 40,441-449(2017):非特許文献4)。この時、変性タンパク質は一緒に濃縮されて体積が減少し、オートファジーによる分解が容易になる。p62が自己オリゴマー化を媒介するのはPB1ドメインであるが、その調節メカニズムはよく知られていない。オートファゴソームに伝達された変性タンパク質-p62結合体は、オートファゴソームがリソソームと結合するにつれ、リソソームの酵素によって分解される。このようなメカニズムにより、オートファジーは損傷したタンパク質および細胞小器官の細胞内変動による細胞恒常性の維持のために重要であるが、オートファジーが低下する場合、変性タンパク質(misfolded protein)の蓄積と凝集がもたらされ、これによってタンパク質異常疾患(proteinopathy)が発生したりもする(Ciechanover,A.& Kwon,Y.T.,Exp Mol Med 47,e147(2015):非特許文献5)。本発明の核心的な技術は、タンパク質異常疾患の原因になる変性タンパク質やその凝集体を効果的に除去する方法を提供することである。このために、多様な生物学的経路に広範囲な影響を及ぼす非選択的オートファジーは活性化せず、選択的オートファジーのみ活性化することが必要である。
【0006】
タンパク質異常疾患を治療するためにオートファジーを活性化する研究が活発に進められてきている。非選択的オートファジーを平常時に抑制する調節因子がmTORであるが、mTOR阻害剤を用いてオートファジーを活性化する方法が最も広範囲に使用される(Jung,C.H.,Ro,S.H.,Cao,J.,Otto,N.M.&Kim,D.H.,FEBS Lett 584,1287-95(2010):非特許文献7)。具体的には、ラパマイシンを用いてAPPを過剰発現するAD動物モデルでアミロイドベータ(Ab)およびタウ(tau)を除去すると同時に認知力を増進させ(Caccamo,A.,Majumder,S.,Richardson,A.,Strong,R.&Oddo,S.,J Biol Chem 285,13107-20(2010):非特許文献8)、tauを過剰発現するAD動物モデルでtauを除去し(Rodriguez-Navarro,J.A.et al.,Neurobiol Dis 39,423-38(2010):非特許文献9)、PDマウスモデルで過剰発現した突然変異アルファ-シヌクレイン(α-synuclein)タンパク質凝集体を除去した(Webb,J.L.,Ravikumar,B.,Atkins,J.,Skepper,J.N.&Rubinsztein,D.C.,J Biol Chem 278,25009-13(2003):非特許文献10)。ラパマイシン類似物質のCCI-779を用いて前記HDマウスにおいてハンチンチン凝集体を効果的に除去し、動物の行動や認知力も改善させることを確認した(Ravikumar,B.,Duden,R.&Rubinsztein,D.C.,Hum Mol Genet 11,1107-17(2002):非特許文献11)。しかし、mTORがNF-kBなどの非常に多様な細胞内経路において非常に重要な役割を果たし、よって、タンパク質異常疾患の変性タンパク質凝集体を除去する優れた活性を示しているにもかかわらず、非選択的オートファジーを調節するmTORを薬物ターゲットとすることが知られたこれらのオートファジー活性剤を治療剤として使用するには限界があった。
【0007】
以上のように、現在、大部分のタンパク質異常疾患に対する治療剤は皆無であり、主な原因となる変性タンパク質の除去のためのユビキチンリガーゼリガンドの場合、変性タンパク質が凝集する場合は除去が困難であり、また、非選択的オートファジー活性剤として最も多く使用される化合物であるmTOR阻害剤は、オートファジーの調節以外にも、多様な外部環境からの刺激に対して細胞内の全般的な遺伝子発現を調節する広範囲な役割を果たすため、治療剤としては不適であるという不都合があった。したがって、非選択的オートファジーの調節因子であるmTORの活性を低下することなく、選択的オートファジーの核心調節因子であるp62を活性化して変性タンパク質凝集体を除去する方法の開発が必要である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Tasaki,T.et al.,Mol Cell Biol25,7120-36(2005)
【非特許文献2】Sriram,S.M.,Kim,B.Y.& Kwon,Y.T.,Nat Rev Mol Cell Biol 12,735-47(2011)
【非特許文献3】Sriram,S.M.& Kwon,Y.T.,Nat Struct Mol Biol 17,1164-5(2010)
【非特許文献4】Ji,C.H.& Kwon,Y.T.,Mol Cells 40,441-449(2017)
【非特許文献5】Ciechanover,A.& Kwon,Y.T.,Exp Mol Med 47,e147(2015)
【非特許文献6】Dikic,I.&Elazar,Z.,Nat Rev Mol Cell Biol 19,349-364(2018)
【非特許文献7】Jung,C.H.,Ro,S.H.,Cao,J.,Otto,N.M.&Kim,D.H.,FEBS Lett 584,1287-95(2010)
【非特許文献8】Caccamo,A.,Majumder,S.,Richardson,A.,Strong,R.&Oddo,S.,J Biol Chem 285,13107-20(2010)
【非特許文献9】Rodriguez-Navarro,J.A.et al.,Neurobiol Dis 39,423-38(2010):非特許文献11
【非特許文献10】Webb,J.L.,Ravikumar,B.,Atkins,J.,Skepper,J.N.&Rubinsztein,D.C.,J Biol Chem 278,25009-13(2003)
【非特許文献11】Ravikumar,B.,Duden,R.&Rubinsztein,D.C.,Hum Mol Genet 11,1107-17(2002)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の背景の下、本発明者らは、mTOR非依存的にオートファジーを活性化する物質を用いてタンパク質異常疾患(proteinopathy)に対する予防および治療剤を開発するために重ねて努力した結果、p62、より詳しくは、p62のZZドメインと結合するリガンドがLC3と結合し、オートファジーを活性化させて突然変異ハンチンチンやアルファ-シヌクレインなどのタンパク質の悪性凝集体(pathological aggregates)などを効果的に除去することによって、多様なタンパク質異常疾患の予防、改善または治療に使用できることを確認して、本発明を完成した。
【0010】
本発明の目的は、p62タンパク質の活性化およびオリゴマー化を誘発する新規なp62リガンド化合物を提供することである。
【0011】
また、本発明の目的は、前記新規化合物を用いてp62およびp62が結合した変性タンパク質をオートファゴソームに伝達し、最終的にリソソームに伝達して除去する方法を提供することである。
【0012】
本発明の他の目的は、前記新規化合物を用いてp62タンパク質によるマクロオートファジー活性を増大させる方法を提供することである。
【0013】
また、本発明の目的は、前記新規化合物を有効成分として含む変性タンパク質凝集体除去用薬学的または食品組成物を提供することである。
【0014】
本発明のさらに他の目的は、前記新規化合物を有効成分として含むタンパク質異常疾患の予防、改善または治療用薬学的または食品組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を解決するために、本発明は、p62タンパク質のリガンドとして作用する新規な化合物を提供する。好ましくは、本発明による新規なp62リガンドは、p62タンパク質のZZドメインと結合する。
【0016】
また、本発明は、p62タンパク質のZZドメインと結合するリガンドを有効成分として含有する、神経変性疾患などのタンパク質異常疾患の予防または治療用薬学的組成物、またはタンパク質異常疾患の予防または改善用健康機能食品を提供する。
【0017】
また、本発明は、p62のZZドメインと結合するリガンドを細胞またはp62タンパク質に処理する段階を含む、(1)p62オリゴマー化および構造的活性化を誘導する方法、(2)p62のLC3との結合を増大させる方法、(3)p62のオートファゴソーム(autophagosome)への伝達を増大させる方法、(4)オートファジーを活性化する方法、および(5)変性タンパク質凝集体を除去する方法を提供する。
【0018】
本発明では、変性タンパク質凝集体を直接オートファゴソームに伝達するp62を活性化することによって、退行性脳疾患の原因因子である変性タンパク質凝集体を除去する技術を提供する。
【0019】
本発明において、核心的な技術は、p62とオートファジーを同時に活性化することによって、退行性脳疾患の原因となる変性タンパク質凝集体を効果的に除去することである。
【0020】
本発明の薬物作用機序および核心的な技術は図1にまとめられている。
【0021】
具体的には、図1に示すように、突然変異ハンチンチンやアルファ-シヌクレインなどのタンパク質異常疾患の主な病因タンパク質は、水に溶けない変性体(misfolded)に変換された後、互いに凝り固まってオリゴマー形態の凝集体に成長する。これらの変性体は、神経細胞において細胞毒性物質として作用しながらさらに成長して、大きなオリゴマーや繊維質(fibrillar)凝集体に成長した後、窮極的にインクルージョン(inclusion)ボディが形成される。前記過程で、BiPなどの小胞体シャペロン(1)がATE1 R-トランスフェラーゼ(R-transferase)によるN-末端アルギニン化(2)によりNt-Argを多量作り出し、以降、アルギニン化されたBiP(R-BiP)は細胞質に出て変性したハンチンチンやアルファ-シヌクレインと結合する(3)。R-BiPのNt-Argは、リガンドとしてp62のZZドメインに結合する。前記結合によって、平常時には閉じられている不活性形態のp62が開かれた形態に変わり構造的な活性化が誘導されることによって(4)、PB1およびLC3-結合ドメインが露出する。この活性化によって、p62のジスルフィドボンド(disulfide bond)によるオリゴマーおよび高分子量凝集体が形成され(5)、オートファゴソーム標識子であるLC3との結合が増加することによって、最終的にオートリソソームに伝達される(6)。追加的に、N-末端アルギニンと結合したp62は小胞体膜に移動して、PI3Pで媒介されるオートファゴソーム形成(autophagosome biogenesis)を活性化(7)させることによって、細胞内オートファジーを増加させる(8)。
【0022】
p62は、本発明者らが提案したオートファジー活性剤の革新的な新薬(first-in-class)ターゲットである(図1、8)。また、p62をオートファジー活性剤の開発や退行性脳疾患などの変形蛋白疾患に凝集体除去のための薬物ターゲットとして研究した例は皆無である。
【0023】
オートファジーは、細胞内に不要であったり機能を全うした細胞構成成分を分解したり再利用するのに作用するメカニズムであって、栄養素やエネルギー欠乏などの状態では、エネルギーあるいは生合成過程に用いる代謝産物の生産のために作用できる。オートファジーの機序は、大きく、マクロオートファジー(macroautophagy)、マイクロオートファジー(microautophagy)とシャペロン媒介オートファジー(chaperone-mediated autophagy)に分けられ、どのような目的のために細胞内基質を分解するかによって、非選択的オートファジー(bulk autophagy)と選択的オートファジー(selective autophagy)に分けられる。このうち、選択的オートファジーとシャペロン媒介オートファジーは、細胞内機能異常小器官や不要なタンパク質の選択的分解を起こす。選択的オートファジーを誘導することで、悪性タンパク質の蓄積および機能不能小器官ベースの疾患に対する新規治療法の開発が、現在、新たなパラダイムを構築している状況である。
【0024】
p62タンパク質は、選択的オートファジー機序において媒介物であるオートファゴソームの形成開始と内容物の伝達に重要である。本発明による新規p62リガンドの有意なp62活性化は、p62の自己オリゴマー化を誘発することが観察された。また、このような自己オリゴマー化によるp62のオートファゴソームターゲッティングが増加することからみて、本発明による新規p62リガンドがp62タンパク質を細胞内オートファジーによるターゲッティングおよび分解を誘導できるとの証拠である。このような結果は、本発明による新規p62リガンド化合物が既存の抗蛋白体疾患薬物に対するより効果的または補充的な代案として活用できることを意味する。
【0025】
プロタック(PROTAC-PROteolysis Targeting Chimera)は、ターゲットタンパク質を認識するリガンドとE3ユビキチン酵素を認識するリガンドとの化合物キメラである。現存する疾患治療剤のパラダイムはタンパク質酵素の抑制であるので、治療剤のターゲットが不可能なタンパク質に対する新規治療剤の開発が非常に重要な状況である。その観点から、プロタックは、既存の酵素抑制方式でターゲッティングが不可能なタンパク質のユビキチン-プロテアソームシステム下での選択的な分解を可能にすることで魅力的な新規治療剤の開発方法である。しかし、今のところ、プロタックに関する研究は、E3ユビキチン酵素を認識するリガンドだけを活用することでユビキチン-プロテアソームシステムのみに制限されており、よって、先に言及したプロテアソームシステムにおける変性タンパク質のフォールディングに関する問題点を有している。しかし、本発明による新規p62リガンドは、細胞内オートファジーを誘発できるだけでなく、p62と相互作用するカーゴ基質(cargo substrate)タンパク質のオートファゴソーム標的化(targeting)を誘導可能で、既存の酵素抑制方式で標的化が不可能なタンパク質のオートファジー機序下での選択的な分解を可能にする新規治療剤を提供することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明による新規化合物は、p62タンパク質のZZドメインと結合するリガンドとして作用して、p62のオートファゴソームへの伝達を増大させ、オートファジーを活性化させて変性タンパク質凝集体を除去するため、多様なタンパク質異常疾患の予防、改善および治療剤としての有用性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】N-末端法則によってアルギニン化されたタンパク質がp62のZZドメインに結合して、細胞内オートファジー活性によりタンパク質などの細胞内物質を分解することを示す模式図である。
図2】免疫ブロッティング法を利用して、本発明によるp62リガンド化合物(YT5-1、YT5-2、YT5-7、YT5-8、YT9-1、YT9-2、YT8-2、YT8-1、YTK-107、YTK-207、ATB10041、ATB10042、ATB10043、ATB10044、ATB10045、ATB10046)がp62タンパク質のオリゴマー化活性を増加させる効果を示す結果である。
図3】免疫ブロッティング法を利用して、本発明によるp62リガンド化合物(YTK-HCl-1005、YTK-1105、YTK-1205、YTK-1305、YTK-2205、YTK-3305、YTK-105、YTK-205、YTK-1108、YT5-7、YT5-8)がオートファジー活性を増大させる効能を示す結果である。
図4】免疫ブロッティング法を利用して、本発明によるp62リガンド化合物(YTK-HCl-1005、YTK-HCl-1205、YTK-HCl-1305、YTK-HCl-2205、YTK-HCl-3305、YTK-HCl-1108、YTK-105、YTK-205、YT-5-1、YT-5-2、YT-8-1、YT-8-2、YT-9-2、YTK-107、YTK-207、ATB10041、ATB10042、ATB10043、ATB10044、ATB10045、ATB10046)がオートファジー活性を増大させる効能を示す結果である。
図5】免疫ブロッティング法を利用して、対照群化合物(1101、1102、1103、1201、1202、1203、1301、1302、YTK-1105-1、4402、1401、1402、2201、2202)がオートファジー活性を増大させないことを示す結果である。
図6a】免疫蛍光染色法を利用して、本発明によるp62リガンド化合物(YTK-1205、YTK-1305、YTK-2205、YTK-3305、YTK-105、YTK-205、YT-5-1、YT-5-2、YT-8-1、YT-8-2、YT-9-1、YTK-107、YTK-207)がp62タンパク質を活性化およびオリゴマー化させた後、オートファゴソームに伝達させ、同時にオートファジー活性を増大させる効能を奏するかを確認した結果である。
図6b】免疫蛍光染色法を利用して、本発明によるp62リガンド化合物(YTK-1205、YTK-1305、YTK-2205、YTK-3305、YTK-105、YTK-205、YT-5-1、YT-5-2、YT-8-1、YT-8-2、YT-9-1、YTK-107、YTK-207)がp62タンパク質を活性化およびオリゴマー化させた後、オートファゴソームに伝達させ、同時にオートファジー活性を増大させる効能を奏するかを確認した結果である。
図7】免疫蛍光染色法を利用して、対照群化合物(YOK ALA-1104、YOK R-Gly-1104、YTK HCl-1005、YTK HCl-1105-1)がp62タンパク質を活性化およびオリゴマー化させた後、オートファゴソームに伝達させ、同時にオートファジー活性を増大させる効能を奏するかを確認した結果である。
図8】免疫蛍光染色法を利用して、ターゲットタンパク質のオートファジー伝達効能を示す結果である。化合物を処理した後、漸増的にターゲットタンパク質のマーカーであるFK2(図8)やHuntingtinQ103-GFP(図9)がp62タンパク質と細胞内斑点と共存性増加することを示す結果である。
図9】免疫蛍光染色法を利用して、ターゲットタンパク質のオートファジー伝達効能を示す結果である。化合物を処理した後、漸増的にターゲットタンパク質のマーカーであるFK2(図8)やHuntingtinQ103-GFP(図9)がp62タンパク質と細胞内斑点と共存性増加することを示す結果である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0029】
本明細書で使用される各基の定義について詳しく説明する。明示しない限り、各基は下記の定義を有する。
【0030】
本明細書において、「ハロゲン」の例は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを含む。
【0031】
本明細書において、「アルキル」は、直鎖または分枝鎖の脂肪族飽和炭化水素基を意味し、好ましくは、炭素数1~6のアルキル、さらに好ましくは、炭素数1~4のアルキルであり得る。このようなアルキルの例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1-エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチルおよび2-エチルブチルを含む。
【0032】
一つの態様として、本発明は、下記化学式1で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩、立体異性体、溶媒和物、水和物またはプロドラッグに関する:
【化1】
上記化学式1中、
Wは炭素数6~10のアリールであり;
mは0~2の整数であり;
はRまたは-ORであり、
この時、Rは水素、または-(CHn1-R’であり、
R’は非置換;またはヒドロキシ、ハロゲン、炭素数1~4のアルキル、炭素数1~4のアルコキシ、ニトロ、アミノ、(炭素数1~4のアルキル)アミノ、またはジ(炭素数1~4のアルキル)アミノで置換されたフェニルであり、
n1は1~6の整数であり;
は-ORであり、
この時、Rは水素、または-(CHn2-R’であり、
R’は非置換;またはヒドロキシ、ハロゲン、炭素数1~4のアルキル、炭素数1~4のアルコキシ、ニトロ、アミノ、(炭素数1~4のアルキル)アミノ、またはジ(炭素数1~4のアルキル)アミノで置換されたフェニルであり、
n2は1~6の整数であり;
は-(CHn3-OH、-(CHn3-NH-C(=NH)NH、-C(=NH)NH、炭素数1~6のアルキル、-CH(R)-COO-R、または-CH(COO-R)-CHCHCH-NH-C(=NH)NH、-(CHn3-O-(CHn3-OR、-CONH(CHn3-OR、-CO(CHn4-OR、-(CHn4-CH(NH)-COOR、-(CHn4-CONHRであり、
n3は2~4の整数であり、
n4は1~4の整数であり、
は水素、または炭素数1~4のアルキルであり、
は水素、または炭素数1~4のアルキルであり、
は水素、ハロゲン、炭素数1~4のアルコキシまたは炭素数1~4のアルキルであり、
この時、前記化学式1の化合物は、また好ましくは、下記化合物からなる群の中から選択される化合物でない:
1)2-((3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジル)アミノ)エタン-1-オール(YTK-1105)
2)2-(3,4-ジフェネトキシベンジルアミノ)エタノール(YTK-2205)
3)2-(3,4-ビス(3-フェニルプロポキシ)ベンジルアミノ)エタノール(YTK-3305)
4)2-(3,4-ビス(4-フェニルブトキシ)ベンジルアミノ)エタノール(YTK-4405)
5)2-(ベンジルオキシ)-5-((2-ヒドロキシエチルアミノ)メチル)フェノール(YTK-1005)
6)2-(4-(ベンジルオキシ)-3-フェネトキシベンジルアミノ)エタノール(YTK-1205)
7)2-(4-(ベンジルオキシ)-3-(3-フェニルプロポキシ)ベンジルアミノ)エタノール(YTK-1305)
8)2-(4-(ベンジルオキシ)-3-(4-フェニルブトキシ)ベンジルアミノ)エタノール(YTK-1405)
9)2-((3-(フェネトキシ)ベンジル)アミノ)エタン-1-オール(YTK-205)
10)2-((3-(3-フェニルプロポキシ)ベンジル)アミノ)エタン-1-オール(YTK-305)
11)2-(3,4-ビス((4-クロロフェニル)メトキシ)ベンジルアミノ)エタノール(YT-5-1)
12)2-(3,4-ビス((4-フルオロフェニル)メトキシ)ベンジルアミノ)エタノール(YT-5-2)
13)2-(3,4-ビス((4-ジメチルアミノフェニル)メトキシ)ベンジルアミノ)エタノール(YT-5-3)
14)2-(3,4-ビス(4-ニトロフェニル)メトキシ)ベンジルアミノ)エタノール(YT-5-4)
15)2-(3,4-ビス(4-メトキシフェニル)メトキシ)ベンジルアミノ)エタノール(YT-5-5)
16)2-(3,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)メトキシ)ベンジルアミノ)エタノール(YT-5-6)
17)2-((3-((4-クロロベンジル)オキシ)ベンジル)アミノ)エタン-1-オール(YT-5-7)
18)2-((3-((4-フルオロベンジル)オキシ)ベンジル)アミノ)エタン-1-オール(YT-5-8)
19)2-((3-((4-ニトロベンジル)オキシ)ベンジル)アミノ)エタン-1-オール(YT-5-10)
20)2-(3,4-ジベンジルオキシ)ベンジルアミノ)プロパノール(YtK-11-A54)
21)2-((2-((3-(ベンジルオキシ)ベンジル)アミノ)エチル)アミノ)エタン-1-オール(YTK-108)
22)2-((2-((3-((4-クロロベンジル)オキシ)ベンジル)アミノ)エチル)アミノ)エタン-1-オール(YT-8-7);および
23)2-((2-((3-((4-フルオロベンジル)オキシ)ベンジル)アミノ)エチル)アミノ)エタン-1-オール(YT-8-8)。
【0033】
好ましくは、前記Wはフェニルであり得る。
【0034】
好ましくは、前記n1は1または2であり得る。
【0035】
好ましくは、前記Rは水素、または-O-(CHn1-R’であり得る。
【0036】
好ましくは、前記R’は非置換;またはヒドロキシ、フルオロ、クロロ、ブロモ、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、ニトロ、アミノまたはジメチルアミノで置換されたフェニルであり得る。
【0037】
好ましくは、前記n1は1~4の整数である。
【0038】
好ましくは、前記Rはヒドロキシ、または-O-(CHn2-R’であり得る。
【0039】
好ましくは、前記R’は非置換;またはヒドロキシ、フルオロ、クロロ、ブロモ、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、ニトロ、アミノまたはジメチルアミノで置換されたフェニルであり得る。
【0040】
好ましくは、前記n2は1~4の整数である。
【0041】
好ましくは、前記Rは-(CH-OH、-(CH-NH-C(=NH)NH、-C(=NH)NH、メチル、エチル、イソプロピル、-(CHn3-O-(CHn3-OR、-CONH(CHn3-OR、-CO(CHn4-OR、-(CHn4-CH(NH)-COOR、または-(CHn4-CONHRであり得る。
【0042】
好ましくは、前記n3は2~3の整数である。
【0043】
好ましくは、前記n4は1~2の整数である。
【0044】
好ましくは、前記Rは水素、または炭素数1~2のアルキルであり得る。
【0045】
好ましくは、前記Rは水素、または炭素数1~2のアルキルであり得る。
【0046】
好ましくは、前記Rは水素、ハロゲン、炭素数1~2のアルコキシまたは炭素数1~2のアルキルであり得る。
【0047】
具体的には、前記化学式1で表される化合物の代表的な例は下記の通りである:
1)2-((3-(ベンジルオキシ)ベンジル)アミノ)エタン-1-オール(YTK-105);
2)2-((2-((3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジル)アミノ)エチル)アミノ)エタン-1-オール(YTK-1108);
3)1-(2-((3-(ベンジルオキシ)ベンジル)アミノ)エチル)グアニジン(YtK-107);
4)1-(2-((3-(フェネトキシベンジル)アミノ)エチル)グアニジン(YtK-207);
5)2-(2-((3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジル)アミノ)エトキシ)エタン-1-オール(YtK-11-A76);
6)1-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジル)-3-(2-ヒドロキシエチル)ウレア(ATB10041);
7)N-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジル)-2-ヒドロキシアセトアミド(ATB10042);
8)(R)-2-アミノ-3-((3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジル)アミノ)プロパン酸(ATB10043);
9)2-((3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジル)アミノ)アセトアミド(ATB10044);
10)2-((3,4-ビス(ベンジルオキシ)-5-メトキシベンジル)アミノ)エタン-1-オール(ATB10045);および
11)2-((3,4-ビス(ベンジルオキシ)-5-クロロベンジル)アミノ)エタン-1-オール(ATB10046)。
【0048】
一方、本発明の化合物は、薬学的に許容可能な塩の形態で存在し得る。前記塩としては、薬学的に許容可能な遊離酸(free acid)によって形成された酸付加塩が有用である。本発明の用語「薬学的に許容可能な塩」とは、患者に比較的非毒性であり無害な有効作用を有する濃度として、この塩に起因した副作用が化学式1で表される化合物の有利な効能を低下させない前記化合物の任意のすべての有機または無機付加塩を意味する。
【0049】
酸付加塩は、通常の方法、例えば、化合物を過剰の酸水溶液に溶解させ、この塩を水混和性有機溶媒、例えば、メタノール、エタノール、アセトンまたはアセトニトリルを用いて沈殿させて製造する。同モル量の化合物および水中の酸またはアルコール(例、グリコールモノメチルエーテル)を加熱し、次いで、前記混合物を蒸発させて乾燥させるか、または析出した塩を吸引ろ過させることができる。
【0050】
この時、遊離酸としては、有機酸と無機酸を使用することができ、無機酸としては、塩酸、リン酸、硫酸、硝酸、酒石酸などを使用することができ、有機酸としては、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、マレイン酸(maleic acid)、コハク酸、シュウ酸、安息香酸、酒石酸、フマル酸(fumaric acid)、マンデル酸、プロピオン酸(propionic acid)、クエン酸(citric acid)、乳酸(lactic acid)、グリコール酸(glycollic acid)、グルコン酸(gluconic acid)、ガラクツロン酸、グルタミン酸、グルタル酸(glutaric acid)、グルクロン酸(glucuronic acid)、アスパラギン酸、アスコルビン酸、カルボン酸、バニリン酸、ヨウ化水素酸(hydroiodic acid)などを使用することができ、これらに限定されない。
【0051】
また、塩基を用いて薬学的に許容可能な金属塩を作ることができる。アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩は、例えば、化合物を過剰のアルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物溶液中に溶解させ、非溶解化合物塩をろ過した後、ろ液を蒸発、乾燥させて得る。この時、金属塩としては、特に、ナトリウム、カリウム、またはカルシウム塩を製造することが製薬上適合するが、これらに限定されるものではない。また、これに対応する銀塩は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩を適当な銀塩(例、硝酸銀)と反応させて得ることができる。
【0052】
本発明の化合物の薬学的に許容可能な塩は、別途に指示されない限り、前記化学式1の化合物に存在し得る酸性または塩基性基の塩を含む。例えば、薬学的に許容可能な塩としては、ヒドロキシ基のナトリウム、カルシウムおよびカリウム塩などが含まれ、アミノ基のその他薬学的に許容可能な塩としては、ヒドロ臭化物、硫酸塩、水素硫酸塩、リン酸塩、水素リン酸塩、二水素リン酸塩、アセテート、スクシネート、シトレート、タートレート、ラクテート、マンデレート、メタンスルホネート(メシレート)およびp-トルエンスルホネート(トシレート)塩などがあり、当業界で知られた塩の製造方法により製造できる。
【0053】
本発明の化学式1の化合物の塩としては、薬学的に許容可能な塩として、化学式1の化合物と同等の薬理活性を示す、例えば、p62のリガンドで細胞内神経変性疾患および腫瘍関連タンパク質のオートファジーによる分解を誘導し、神経変性疾患を予防または治療できる化学式1の化合物の塩であれば制限なくすべて使用可能である。
【0054】
また、本発明による前記化学式1で表される化合物は、その薬学的に許容可能な塩のみならず、これから製造できる可能な水和物などの溶媒和物および可能なすべての立体異性体を制限なく含む。鏡像異性体形態および部分立体異性体形態を含む、本発明のすべての立体異性体(例えば、多様な置換体において非対称炭素に起因して存在し得るもの)が本発明の範囲に含まれる。本発明の化合物の個別的な立体異性体は、例えば、実質的に異なる異性体がなかったり(例えば、特定の活性を有する純粋または実質的に純粋な光学異性体として)、あるいは例えば、ラセミ体としてまたはすべての他の、または他の選択された立体異性体と混合され得る。本発明の化合物のキラル中心は、IUPAC1974勧告によって定義されているSまたはR構造を有することができる。ラセミ形態は、キラルカラムクロマトグラフィーによる分離または部分立体異性体誘導体の分離または結晶化、分別形状結晶化のような物理的方法によって分析できる。個別的な光学異性体は、これに限定されるものではないが、光学的に活性である酸との塩形成に続いて、結晶化を含む任意の適した方法によってラセミ体から得ることができる。
【0055】
前記化学式1で表される化合物の溶媒和物および立体異性体は、当業界で公知の方法を用いて化学式1で表される化合物から製造することができる。
【0056】
さらに、本発明による前記化学式1で表される化合物は、結晶形態または非結晶形態に製造可能であり、結晶形態に製造される場合、任意に水和または溶媒和されてもよい。本発明では、前記化学式1で表される化合物の化学量論的水和物のみならず、多様な量の水を含有する化合物が含まれる。本発明による前記化学式1で表される化合物の溶媒和物は、化学量論的溶媒和物および非化学量論的溶媒和物のすべてを含む。
【0057】
本発明による化学式1の化合物は、下記の例示的な方法で製造可能であり、具体的な一例は、以下、実施例に記載された反応式1、3、3-1、6および7の通りである。
【0058】
【化2】
【0059】
【化3】
【0060】
【化4】
【0061】
【化5】
【0062】
【化6】
【0063】
本発明の製造方法は、前記反応式に使用される反応物として、市販の化合物を購入してそのまま使用するか、または当業界で公知の1つ以上の反応をそのまままたは適切に変更して行うことによって合成して使用することができる。例えば、骨格構造に含まれている反応性官能基および/またはヘテロ元素の存在、種類および/または位置を考慮して1つ以上の反応を一連の順序で行って合成することができるが、これに限定されない。
【0064】
本発明による化学式1の化合物は、p62のZZドメインと結合するリガンドとして作用して、p62の機能を活性化させることを特徴とする。このようなp62の機能を活性化することによって、本発明による化学式1の化合物はオートファジーを活性化させることができる。
【0065】
したがって、他の態様として、本発明は、化学式1の化合物、その薬学的に許容可能な塩、立体異性体、水和物、溶媒和物またはプロドラッグを含むオートファジー活性用薬学的組成物を提供する。
【0066】
本発明による化学式1の化合物は、オートファジーの活性化作用によって変性タンパク質の凝集に関連づけられた疾患に関連する凝集タンパク質を除去することができる。同時に、前記化学式1の化合物は、p62リガンドとしてp62のZZドメインに結合して、p62タンパク質のPB1ドメインおよびLIRドメインを活性化させてp62のオリゴ化および凝集体を誘導し、p62凝集体の誘導によるオートファゴソーム(autophagosome)形成を増大させることを特徴とする。上記過程により変性タンパク質凝集体が円滑に除去される(図1参照)。このようなタンパク質は、タンパク質異常疾患の主要タンパク質であってもよく、より好ましくは、プリオンタンパク質、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、アルファ-シヌクレイン(alpha-synuclein)、スーパーオキシドディスムターゼ(superoxide dismutase 1)、タウ(tau)、免疫グロブリン、アミロイド-A、トランスサイレチン、ベータ2-マイクログロブリン、シスタチンC、アポリポタンパク質(Apolipoproteine)A1、TDP-43、島アミロイドポリペプチド(islet amyloid polypeptide)、ANF、ゲルゾリン(gelsolin)、インスリン、リゾチーム、フィブリノゲン、ハンチンチン(huntingtin)、アルファ-1-アンチトリプシンZ、クリスタリン(crystallin)、c9オープンリーディングフレーム72(c9orf72)、グリア原線維性酸性タンパク質(glial fibrillary acidic protein)、嚢胞性線維症膜通過伝導率制御タンパク質(cystic fibrosis transmembrane conductance regulator protein)、ロドプシン(rhodopsin)およびアタキシンと、Poly-Q延伸を有するその他タンパク質からなる群から選択される1種以上のものであってもよい。
したがって、さらに他の態様として、本発明は、下記化学式1aのp62リガンド化合物、その薬学的に許容可能な塩、立体異性体、水和物、溶媒和物またはプロドラッグを含む変形蛋白疾患の予防または治療用薬学的組成物を提供する。
【0067】
【化7】
上記化学式1a中、
Wは炭素数6~10のアリールであり;
mは0~2の整数であり;
はRまたは-ORであり、
この時、Rは水素、または-(CHn1-R’であり、
R’は非置換;またはヒドロキシ、ハロゲン、炭素数1~4のアルキル、炭素数1~4のアルコキシ、ニトロ、アミノ、(炭素数1~4のアルキル)アミノ、またはジ(炭素数1~4のアルキル)アミノで置換されたフェニルであり
n1は1~6の整数であり;
は-ORであり、
この時、Rは水素、または-(CHn2-R’であり、
R’は非置換;またはヒドロキシ、ハロゲン、炭素数1~4のアルキル、炭素数1~4のアルコキシ、ニトロ、アミノ、(炭素数1~4のアルキル)アミノ、またはジ(炭素数1~4のアルキル)アミノで置換されたフェニルであり、
n2は1~6の整数であり;
は-(CHn3-OH、-(CHn3-NH-C(=NH)NH、-C(=NH)NH、炭素数1~6のアルキル、-CH(R)-COO-R、-CH(COO-R)-CHCHCH-NH-C(=NH)NH、-(CHn3-O-(CHn3-OR、-CONH(CHn3-OR、-CO(CHn4-OR、-(CHn4-CH(NH)-COOR、または-(CHn4-CONHRであり、
n3は2~4の整数であり、
n4は1~4の整数であり、
は水素、または炭素数1~4のアルキルであり、
は水素、または炭素数1~4のアルキルであり、
は水素、ハロゲン、炭素数1~4のアルコキシまたは炭素数1~4のアルキルである。
【0068】
本発明により、用語「凝集(aggregation)」は、複合体内に炭水化物、核酸および脂質などの追加的な生体分子の統合と伴うことができる、典型的に1つ以上のタンパク質のオリゴマーまたは多量体複合体の形成を示す。当該凝集されたタンパク質は、特定の組織、より好ましくは、神経組織または脳組織に沈着物を形成し得る。凝集の程度は当該疾患に依存する。
【0069】
ここで使用された用語「タンパク質異常疾患」または「タンパク質の凝集に関連する疾患」は、凝集されたタンパク質の存在を特徴とする疾患を意味し、例えば、神経変性疾患、アルファ1-アンチトリプシン欠乏症、角膜症、色素性網膜症、2型糖尿病、嚢胞性線維症などを意味するが、これらに限定されるものではない。
【0070】
前記神経変性疾患は、ライム病(Lyme borreliosis)、致死性家族性不眠症(Fatal familial insomnia)、クロイツフェルト-ヤコブ病(Creutzfeldt-Jakob Disease;CJD)、多発性硬化症(multiple sclerosis;MS)、認知症(dementia)、アルツハイマー病(Alzheimer’s disease)、てんかん(epilepsy)、パーキンソン病(Parkinson’s disease)、脳卒中(stroke)、ハンチントン病(huntington’s disease)、ピック病(Picks disease)、筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis、ALS)脊髄小脳失調症、その他ポリ-Q疾患、遺伝性脳アミロイド血管病症、家族性アミロイド多発神経病症、1次全身アミロイド症(ALアミロイド症)、反応性全身アミロイド症(AAアミロイド症)、注射-局所化アミロイド症、ベータ-2マイクログロブリンアミロイド症、遺伝性非-神経病アミロイド症、アレキサンダー症およびフィンランド遺伝性全身アミロイド症からなる群から選択されることが好ましい。
【0071】
本発明の薬学的組成物の投与量は、患者の体重、年齢、性別、健康状態、食事、投与時間、投与方法、排泄率および疾患の重症度などによってその範囲が多様であり得るが、有効投与量は、通常、成人(60kg)の場合、約1ng~10mg/日、特に約1g~1mg/日である。投与量は様々な条件に応じて変動可能なため、前記投与量に加減があり得ることは当業者にとって自明であり、よって、前記投与量はいかなる面でも本発明の範囲を限定するものではない。投与回数は、所望の範囲内で1日に1回、または数回に分けて投与可能であり、投与期間も特に限定されない。
【0072】
本発明の用語「治療」とは、本発明の薬学的組成物の投与で変性タンパク質の凝集に関連する多様な疾患、例えば、癌または神経変性疾患が好転または有利に変化するすべての行為を意味する。
【0073】
上記したように、本発明の化合物は、(1)p62オリゴマー化および構造的活性化を誘導して、(2)p62のLC3との結合を増大させ、(3)p62のオートファゴソーム(autophagosome)への伝達を増大させて、(4)オートファジーを活性化し、最終的に(5)変性タンパク質凝集体を除去する効果を奏するので、これを有効成分として含む薬学的組成物は、多様な変性タンパク質の凝集に関連する疾患の予防、改善または治療に使用できる。
【0074】
例えば、本発明の組成物は、薬学的に許容可能な担体、希釈剤または賦形剤をさらに含むことができ、それぞれの使用目的に合わせて、通常の方法により、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁剤、エマルジョン、シロップ、エアゾールなどの経口剤形、滅菌注射溶液の注射剤などの多様な形態で剤形化して使用することができ、経口投与、または静脈内、腹腔内、皮下、直腸、局所投与などを含む多様な経路により投与可能である。このような組成物に含まれる好適な担体、賦形剤または希釈剤の例としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、デンプン、アカシアガム、アルギネート、ゼラチン、カルシウムホスフェート、カルシウムシリケート、セルロース、メチルセルロース、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、マグネシウムステアレートおよび鉱物油などが挙げられる。また、本発明の組成物は、充填剤、抗凝集剤、潤滑剤、湿潤剤、香料、乳化剤、防腐剤などをさらに含むことができる。
【0075】
経口投与のための固形製剤では、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などが含まれ、このような固形製剤は、前記組成物に少なくとも1つ以上の賦形剤、例えば、デンプン、炭酸カルシウム、スクロース、ラクトース、ゼラチンなどを混合して剤形化する。また、単純な賦形剤のほか、マグネシウムステアレート、タルクなどの潤滑剤が使用できる。
【0076】
経口用液状製剤としては、懸濁剤、内用液剤、乳剤、シロップ剤などが例示され、よく使用される単純希釈剤である水、液体パラフィンのほか、様々な賦形剤、例えば、湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などが含まれる。
【0077】
非経口投与のための製剤では、滅菌された水溶液剤、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥剤、坐剤が含まれる。非水性溶剤、懸濁剤としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブオイルなどの植物性油、エチルオレートなどの注射可能なエステルなどが使用できる。坐剤の基剤としては、ウィテップゾール、マクロゴール、トゥイーン61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロゼラチンなどが使用できる。一方、注射剤には、溶解剤、等張化剤、懸濁化剤、乳化剤、安定化剤、防腐剤などの従来の添加剤が含まれる。
【0078】
前記剤形は、通常の混合、顆粒化またはコーティング方法によって製造可能であり、活性成分を医学的治療、具体的には、変性タンパク質の凝集に関連する疾患の予防、改善または治療に有効な量で含む。
【0079】
この時、本発明の組成物は、薬学的に有効な量で投与する。本発明の用語「薬学的に有効な量」は、医学的治療に適用可能な合理的な恩恵/危険の比率で、疾患を治療するのに十分で副作用を起こさない程度の量を意味し、有効用量の水準は、患者の健康状態、疾患の種類、重症度、薬物の活性、薬物に対する敏感度、投与方法、投与時間、投与経路および排出比率、治療期間、配合または同時使用される薬物を含む要素およびその他医学分野でよく知られた要素に応じて決定可能である。本発明の組成物は、個別治療剤として投与するか、または他の治療剤と併用して投与され、従来の治療剤と順次いで、または同時に投与されてもよいし、単一または多重投与されてもよい。前記要素をすべて考慮して副作用なしに最小限の量で最大効果が得られる量を投与することが重要であり、これは当業者によって容易に決定可能である。
【0080】
例えば、投与経路、疾病の重症度、性別、体重、年齢などに応じて増減できるため、前記投与量がいかなる方法でも本発明の範囲を限定するものではない。
【0081】
本発明の化合物の好ましい投与量は、患者の状態および体重、疾病の程度、薬物の形態、投与経路および期間に応じて異なるが、当業者によって適宜選択可能である。
【0082】
さらに他の態様として、本発明は、化学式1aのp62リガンド化合物、またはこれを含む薬学的組成物を、これを必要とする個体に投与する段階を含む、変性タンパク質凝集体の分解を増大させる方法、オートファジーの活性化の方法、タンパク質異常疾患を予防、改善または治療する方法を提供する。
【0083】
本発明の用語「個体」とは、癌の転移および浸潤の可能性があるか、あるいは転移および浸潤するか、変性タンパク質の凝集に関連する疾患が発病したヒトを含むサル、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ニワトリ、シチメンチョウ、ウズラ、ネコ、イヌ、マウス、ネズミ、ウサギまたはギニアピッグを含むすべての動物を意味し、本発明の薬学的組成物を個体に投与することによって、変性タンパク質の凝集に関連する疾患を効果的に予防、改善または治療することができる。また、本発明の薬学的組成物は、p62リガンドとして作用してオートファジーを活性化し、このようなオートファジーの活性化によって癌誘発タンパク質または変性タンパク質の凝集体を除去して当該凝集タンパク質と関連する疾患の予防または治療効果を奏するため、既存の治療剤と並行して投与することによってシナジー効果を奏することができる。
【0084】
本発明の用語「投与」とは、任意の適切な方法で患者に所定の物質を提供することを意味し、本発明の組成物の投与経路は、目的の組織に到達できる限り、いかなる一般的な経路を通して投与可能である。腹腔内投与、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、皮内投与、経口投与、局所投与、鼻内投与、肺内投与、直腸内投与できるが、これらに限定されない。また、本発明の薬学的組成物は、活性物質が標的細胞に移動できる任意の装置によって投与されてもよい。好ましい投与方式および製剤は、静脈注射剤、皮下注射剤、皮内注射剤、筋肉注射剤、点滴注射剤などである。注射剤は、生理食塩液、リンゲル液などの水性溶剤、植物油、高級脂肪酸エステル(例、オレイン酸エチルなど)、アルコール類(例、エタノール、ベンジルアルコール、プロピレングリコール、グリセリンなど)などの非水性溶剤などを用いて製造することができ、変質防止のための安定化剤(例、アスコルビン酸、亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、BHA、トコフェロール、EDTAなど)、乳化剤、pH調節のための緩衝剤、微生物の発育を阻止するための保存剤(例、硝酸フェニル水銀、チメロサール、塩化ベンザルコニウム、フェノール、クレゾール、ベンジルアルコールなど)などの薬学的担体を含むことができる。
【0085】
さらに他の態様として、本発明は、化学式1aのp62リガンド化合物、その薬学的に許容可能な塩、立体異性体、水和物、溶媒和物またはプロドラッグを含むタンパク質異常疾患の予防または改善用食品組成物を提供する。前記食品用組成物は、健康機能食品としてそれ自体で剤形化を経て使用されるか、または健康機能食品の添加物として他の健康機能食品に含まれる。健康機能食品とは、疾病の予防または改善、生体防御、免疫、病後の回復、老化抑制などの生体調節機能を有する食品をいうもので、長期的に服用した時、人体に無害でなければならない。有効成分の混合量は、使用目的(予防、健康または治療的処置)に応じて適宜決定可能である。
【0086】
前記食品の種類には特に制限はない。前記物質を添加可能な食品の例としては、肉類、ソーセージ、パン、チョコレート、キャンディー類、スナック類、菓子類、ピザ、ラーメン、その他麺類、ガム類、アイスクリーム類を含む酪農製品、各種スープ、飲料水、お茶、ドリンク剤、アルコール飲料およびビタミン複合剤などがあり、通常の意味での健康機能食品をすべて含む。
【0087】
本発明の食品用組成物は、食品または食品添加物の製造に使用される通常の成分、具体的には、香味剤;天然炭水化物として、ブドウ糖、果糖などのモノサッカライド、マルトース、スクロースなどのジサッカライド、およびデキストリン、シクロデキストリンなどの天然甘味剤や、サッカリン、アスパルテームなどの合成甘味剤;栄養剤;ビタミン;電解質;着色剤;有機酸;保護性コロイド増粘剤;pH調整剤;安定化剤;防腐剤;グリセリン;アルコール;炭酸飲料に使用される炭酸化剤などを含むことができる。
【0088】
本発明の具体的な実施例では、化学式1で表される新規なp62リガンドの実施例1~25の化合物を新たに合成した。また、本発明による新規なp62リガンド化合物が培養された細胞内に自食現象が増加するかどうかを評価するために、免疫ブロッティング法により、子宮頸癌患者由来の細胞株であるHela細胞株に、本発明による新規なp62リガンド化合物を処理して培養した後、培養細胞内でのオートファジー活性を確認した。その結果、本発明によるp62リガンド化合物を処理した時間に応じて漸増的にオートファジー活性の標識子であるLC3の水準が増加することを確認して、本発明によるp62リガンド化合物は、p62タンパク質を活性化およびオリゴマー化させてオートファゴソームに伝達させると同時に、オートファジー活性を増大させて変性タンパク質の凝集体を効果的に除去することを確認した。
【実施例
【0089】
以下、実施例を通じて本発明をより詳しく説明する。これらの実施例は本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるものではない。
【0090】
下記表1の化合物を以下の実施例1~実施例25による方法により製造した。
【0091】
【表1】
【0092】
本発明の化合物を合成するための出発物質の場合、多様な合成法が知られており、前記出発物質が市販されている場合は供給先から購入して使用可能である。試薬供給先としては、Aldrich、Sigma、TCI、Wako、Kanto、Fluorchem、Acros、Alfa、Flukaなどの会社があるが、これらに限定されるものではない。
【0093】
本発明の化合物は、下記の一般的な方法および過程を用いて容易に利用可能な出発物質から製造できる。典型的なまたは好ましい工程条件(すなわち、反応温度、時間、反応物のモル比、溶媒、圧力)などとしては、別途に言及しない限り、他の工程条件も使用可能である。最適な反応状態は、使用された特定の反応物または溶媒に応じて変化できるが、その状態は通常の最適化過程によって本技術分野における熟練者によって決定可能である。
【0094】
以下、前記実施例1~実施例25の製造方法について記述する。
【0095】
(製造例1)
下記反応式1に開示された方法により、実施例1、2、3、4、10、11、14および19の化合物を合成した。
【0096】
【化8】
【0097】
実施例1:2-((3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジル)アミノ)エタン-1-オール(YTK-1105)の製造
(段階1)3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンズアルデヒド(1101)の製造
3,4-ジヒドロキシベンズアルデヒド(0.50g、3.62mmol)を無水DMF(5ml)に溶解した後、KCO(1.50g、10.86mmol)を入れて、次いで、ベンジルブロミド(0.92mL、7.96mmol)を反応物に徐々に添加し60℃で4時間攪拌した。反応が終了すると、反応物を室温で冷却した後、精製水で希釈してジエチルエーテル(50ml)で2回抽出した。有機層を精製水(50ml)で2回洗浄した後、飽和塩化ナトリウム水溶液(50ml)でもう一度洗浄した。次いで、有機層に無水硫酸ナトリウムを入れて攪拌した後、減圧ろ過した。ろ過した溶液を濃縮した後、カラムクロマトグラフィーにより精製して、3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンズアルデヒド(1101、1.04g、収率90%)を得た。
【0098】
H NMR(CDCl、300MHz)δ9.81(s、1H)、7.49-7.31(m、12H)、7.04(d、J=8.3Hz、1H)、5.27(s、2H)、5.22(s、2H);ESIMSm/z:319.33[M+H]
【0099】
(段階2)2-((3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジル)アミノ)エタン-1-オール(YTK-1105)の製造
3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンズアルデヒド(1101、33mg、0.1mmol)に無水エタノール(5ml)を入れて希釈した後、エタノールアミン(30μL、0.5mmol)を入れて、60~70℃で4時間攪拌した。反応物を室温で冷却してイミンが生成されたことをTLCで確認した後、NaBH(7.6mg、0.2mmol)を徐々に反応物に入れて、さらに4時間攪拌した。反応溶媒を減圧して濃縮した後、水と酢酸エチルで抽出した。抽出した有機層を塩水で1回洗浄した後、有機層を取り、無水硫酸ナトリウムで脱水および減圧ろ過した。ろ過された有機層を濃縮した後、カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=19:1)で精製して、純粋な白い固体の2-((3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジル)アミノ)エタン-1-オール(YTK-1105、32mg、収率85%)を得た。
【0100】
H NMR(400MHz、DMSO-d)δ(ppm)2.52(m、2H)、3.00(q、J=6.4Hz、4H)、3.44(m、2H)、3.58(s、2H)、4.11(q、J=6.4Hz、4H)、4.42(m、1H)、6.78(d、J=8Hz、1H)、6.86(d、J=8Hz、1H)、6.93(s、1H)、7.26(m、10H)。
【0101】
実施例2:2-((3,4-ジフェネトキシベンジル)アミノ)エタン-1-オール(YTK-2205)の製造
段階1でベンジルブロミドの代わりに(2-ブロモエチル)ベンゼンを使用して実施例1と同様の方法で製造した。
【0102】
(段階1)2201の分析データ:H NMR(CDCl、300MHz):δ9.84(s、1H)、7.26-7.43(m、7H)、6.96(d、1H、J=9.0Hz)、5.62(s、1H)、4.36(t、2H、J=6.0Hz)、3.17(t、2H、J=6.0Hz)。
【0103】
(段階2)実施例2(YTK-2205)の分析データ:H NMR(400MHz、DMSO-d)δ(ppm)2.52(m、2H)、3.00(q、J=6.4Hz、4H)、3.44(m、2H)、3.58(s、2H)、4.11(q、J=6.4Hz、4H)、4.42(m、1H)、6.78(d、J=8Hz、1H)、6.86(d、J=8Hz、1H)、6.93(s、1H)、7.26(m、10H);ESI-MS Calcd m/z for C2529NO[M+H]392.10 Found 391.51。
【0104】
実施例3:2-((3,4-ビス(3-フェニルプロポキシ)ベンジル)アミノ)エタン-1-オール(YTK-3305)の製造
段階1でベンジルブロミドの代わりに(3-ブロモプロピル)ベンゼンを使用して実施例1と同様の方法で製造した。
【0105】
(段階1)3301の分析データ:H NMR(CDCl、300MHz):δ9.86(s、1H)、7.45(dd、1H、J=3.0 and 9.0Hz)、7.41(d、1H、J=3.0Hz)、7.22-7.34(m、10H)6.95(d、1H、J=9.0Hz)、4.12(td、4H、J=3.0 and 9.0Hz)、2.87(td、4H、J=3.0 and 9.0Hz)、2.17-2.28(m、4H)。
【0106】
(段階2)実施例3(YTK-3305)の分析データ:H NMR:(300MHz、CDCl)δ(ppm)2.45(m、3H)、3.25(m、4H)、3.65(m、4H)、4.05(t、J=3Hz、1H)、4.25(s、1H)、4.75(m、3H)、5.30(s、3H)、5.65(s、2H)、7.25(m、2H)、7.70(m、8H)。
【0107】
実施例4:2-((3,4-ビス(4-フェニルブトキシ)ベンジル)アミノ)エタン-1-オール(YTK-4405)の製造
段階1でベンジルブロミドの代わりに(4-ブロモブチル)ベンゼンを使用して実施例1と同様の方法で製造した。
【0108】
(段階1)4401の分析データ:H NMR(DMSO-d、300MHz):δ9.85(s、1H)、7.56(d、1H)、7.35(s、1H)、7.24-7.17(m、11H)、4.06(t、4H)、2.64(t、4H)、1.75(m、4H)、1.59(m、4H)。
【0109】
(段階2)実施例4(YTK-4405)の分析データ:H NMR(300MHz、CDCl)δ(ppm)1.59-1.75(m、8H)、2.64(m、4H)、2.74(m、2H)、3.48-3.76(m、4H)、4.05(m、4H)、4.25(s、1H)、5.30(s、1H)、6.80-6.87(m、2H)、6.98(s、1H)、7.19-7.25(m、10H)。
【0110】
実施例10:2-((3,4-ビス(4-クロロベンジル)オキシ)ベンジル)アミノ)エタン-1-オール(YT-5-1)の製造
段階1でベンジルブロミドの代わりに1-(ブロモメチル)-4-クロロベンゼンを使用し、実施例1と同様の方法で製造した。
【0111】
(段階1)1101-1の分析データ:H NMR(DMSO-d、400MHz)δ9.82(s、1H)、7.51-7.29(m、11H)、5.27(s、2H)、5.21(s、2H)。
【0112】
(段階2)実施例10(YT-5-1)の分析データ:H NMR(400MHz、DMSO-d)δ(ppm)3.40(m、4H)、3.59(s、2H)、5.10(d、J=4.8Hz、4H)、6.82(dd、J=8Hz and 1.2Hz、1H)、6.96(d、J=8Hz、1H)、7.05(d、J=1.2Hz、1H)、7.46(m、8H)。
【0113】
実施例11:2-((3,4-ビス(4-クロロベンジル)オキシ)ベンジル)アミノ)エタン-1-オール(YT-5-2)の製造
段階1でベンジルブロミドの代わりに1-(ブロモメチル)-4-フルオロベンゼンを使用し、実施例1と同様の方法で製造した。
【0114】
(段階1)1101-2の分析データ:H NMR(DMSO-d、400MHz)δ9.82(s、1H)、7.51-7.49(m、6H)、7.24-7.22(m、5H)、5.25(s、2H)、5.19(s、2H)。
【0115】
(段階2)実施例11(YT-5-2)の分析データ:H NMR(400MHz、CDCl)δ(ppm)1.99(b、2H)、2.77(t、J=5.2Hz、2H)、3.64(t、J=5.2Hz、2H)、3.72(s、2H)、5.08(d、J=8Hz、4H)、6.85(m、2H)、6.94(d、J=1.6Hz、1H)、7.04(m、4H)、7.38(m、4H)。
【0116】
実施例14:2-((2-((3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジル)アミノ)エチル)アミノ)エタン-1-オール(YTK-1108)の製造
3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンズアルデヒド(1101、33mg、0.1mmol)を無水エタノール(5ml)に溶解した後、2-((2-アミノエチル)アミノ)エタン-1-オール(50μL、0.5mmol)を入れて、4時間還流攪拌した。室温で冷却した後、TLCでイミンが生成されたことを確認した後、NaBH(7.6mg、0.2mmol)を入れて、さらに4時間攪拌した。反応溶媒を減圧して濃縮した後、水を入れて酢酸エチルで抽出した。分離された有機層を塩水でもう一度洗浄した後、分液して無水硫酸ナトリウムで脱水した後、ろ過して濾液を減圧濃縮した。濃縮された混合物をカラムクロマトグラフィーにより精製して、白い固体の2-((2-((3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジル)アミノ)エチル)アミノ)エタン-1-オール(YTK-1108、収率84%)を得た。
【0117】
H NMR(CDCl、300MHz):δ7.47-7.43(m、4H)、7.38-7.26(m、6H)、6.94(d、1H、J=2.0Hz)、6.88(d、1H、J=8.4Hz)、6.80(dd、1H、J=2.0 and 8.4Hz)、5.16(d、4H、J=6.9Hz)、3.67(s、2H)、3.62(t、2H、J=5.1Hz)、2.74(t、2H、J=5.4Hz)、2.69(dq、4H、J=2.1 and 5.4Hz)、2.93(br s、3H);ESIMS m/z:407.51[M+H]
【0118】
実施例19:2-(2-((3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジル)アミノ)エトキシ)エタン-1-オール(YTK-11-A76)の製造
前記実施例14の製造方法で、2-((2-アミノエチル)アミノ)エタン-1-オールの代わりに2-(2-アミノエトキシ)エタン-1-オールを使用し、同様の製造方法で合成して、2-(2-((3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジル)アミノ)エトキシ)エタン-1-オール(YTK-11-A76、収率78%)を得た。
【0119】
H NMR(400MHz、CDCl)δ(ppm)2.72(m、2H)、3.52-3.55(m、4H)、3.70(m、2H)、3.76(d、2H)、5.16(s、4H)、5.4(br s、1H)、6.36(br s、1H)、6.80-6.87(m、2H)、6.98(d、1H)、7.32-7.48(m、10H)
【0120】
(製造例2)下記反応式2に開示された方法で実施例5、6および7の化合物を合成した。
【0121】
【化9】
【0122】
実施例5:2-(ベンジルオキシ)5-(((2-ヒドロキシエチル)アミノ)メチル)フェノール(YTK-1005)の製造
(段階1)3,4-ジヒドロキシベンズアルデヒド(2.5g、18.1mmol)を無水アセトニトリル(30ml)に溶解した後、KCO(2.5g、18.1mmol)を添加し、次いで、ベンジルブロミド(3.44mL、29.0mmol)を徐々に添加した。反応物を2時間還流攪拌した後、反応溶媒を減圧濃縮した。冷たい10%NaOH水溶液を添加して10分間攪拌した後、酢酸エチル(100ml)で抽出した。水層を4N HClで酸性化した後、ジクロロメタン(300ml)で3回抽出した。有機層を塩水でもう一度洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで脱水およびろ過した。ろ過された有機層を減圧濃縮した後、酢酸エチルで結晶化して精製することにより、白い粉末の4-ベンジルオキシ-3-ヒドロキシベンズアルデヒド(1001、2.90g、収率70%)を製造した。
【0123】
H NMR(300MHz、CDCl):δ9.83(s、1H、CHO)、7.39-7.46(m、7H、ArH)、7.03(d、1H、J=9.0Hz、ArH)、5.88(s、1H、OH)、5.20(s、2H、OCHPh);ESIMS:m/z 229.25[M+H]
【0124】
(段階2)4-ベンジルオキシ-3-ヒドロキシベンズアルデヒド(1001、200mg、0.88mmol)をエタノール(5ml)に溶解した後、2-アミノエタノール(81mg、1.32mmol)を添加し、60℃で12時間攪拌した後、室温で冷却した。反応物にNaBH(50mg、1.32mmol)を徐々に添加し、さらに12時間攪拌した。反応物を減圧濃縮した後、再び水で希釈して酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水しろ過した後、ろ過物を減圧濃縮した。濃縮された混合物をカラムクロマトグラフィーで精製して、2-(ベンジルオキシ)-5-(((2-ヒドロキシエチル)アミノ)メチル)フェノール(YTK-1005、0.22g、収率92%)を合成した。
【0125】
H NMR(300MHz、CDCl)δ(ppm)2.74(m、2H)、3.48-3.76(m、4H)、4.81(br s、1h)、5.16(s、2H)、6.36(br s、1H)、6.68-6.70(m、2H)、6.82(s、1H)、7.32-7.48(m、5H)、9.48(br s、1H);ESI-MS Calcd m/z for C1619NO[M+H]274.75 Found 273.33。
【0126】
実施例6:2-((4-(ベンジルオキシ)-3-フェネトキシベンジル)アミノ)エタン-1-オール(YTK-1205)の製造
(段階1)4-ベンジルオキシ-3-ヒドロキシベンズアルデヒド(1001、0.50g、2.19mmol)をDMF(10ml)で希釈し、無水KCO(604mg、4.38mmol)および(2-ブロモエチル)ベンゼン(0.36mL、2.63mmol)を順次に徐々に添加した。混合物を70℃で2時間加熱した後、室温で冷却した。混合物を水で希釈した後、エーテルで抽出して有機層を分離し、水層を再びエーテルで3回抽出した。抽出された有機層を水(2×20mL)で洗浄し、NaCl水溶液(20mL)でもう一度洗浄した。薄い淡黄色の抽出物を無水硫酸ナトリウムで脱水しろ過した後、減圧して濃縮した。濃縮液をエタノールアセテート:ヘキサン(1:9)を用いてカラムクロマトグラフィーで精製して、クリーム色固体の4-(ベンジルオキシ)-3-フェネトキシベンズアルデヒド(1201、0.66g、収率90%)を製造した。
【0127】
H NMR(CDCl、300MHz):δ9.80(s、1H)、7.21-7.39(m、12H)、6.98(d、1H、J=6.0Hz)、5.17(s、2H)、4.27(t、2H、J=6.0Hz)、3.14(t、2H、J=6.0Hz)。
【0128】
(段階2)4-(ベンジルオキシ)-3-フェネトキシベンズアルデヒド(1201、100mg、0.30mmol)をエタノール(5ml)に溶かした後、2-アミノエタノール(22mg(22μL)、0.36mmol)を添加した。反応混合物を60℃で12時間攪拌し、室温で冷却させた後、NaBH(17.1mg、0.45mmol)を徐々に反応物に添加し、さらに12時間攪拌した。反応溶媒を減圧して除去した後、濃縮物を水に溶解させて酢酸エチルで抽出した。NaSOで有機層を脱水しろ過した後、減圧して濃縮した。濃縮物をカラムクロマトグラフィーで精製して、2-((4-(ベンジルオキシ)-3-フェネトキシベンジル)アミノ)エタン-1-オール(YTK-1205、0.10g、収率90%)を製造した。
【0129】
H NMR(300MHz、CDCl)δ(ppm)2.71(t、J=6Hz、2H)、3.07(t、J=6Hz、2H)、3.30(t、J=3Hz、3H)、3.66(t、J=6Hz、2H)、3.71(s、2H)、4.24(t、J=6Hz、2H)、5.00(d、J=15Hz、6H)、6.83(dd、J=6Hz and 3Hz、1H)、6.95(d、J=9Hz、1H)、7.00(d、J=3Hz、1H)、7.27(m、10H);ESI-MS Calcd m/z for C2427NO[M+H]378.92 Found 377.48。
【0130】
実施例7:2-((4-(ベンジルオキシ)-3-(3-フェニルプロポキシ)ベンジル)アミノ)エタン-1-オール(YTK-1305)の製造
(段階1)1301の製造:(2-ブロモエチル)ベンゼンの代わりに(3-ブロモプロピル)ベンゼンを使用して実施例6の段階1と同様の製造方法で合成した。
【0131】
H NMR(CDCl、300MHz):δ9.81(s、1H)、7.18-7.38(m、12H)、7.00(d、1H、J=9.0Hz)、5.23(s、2H)、4.09(t、2H、J=6.0Hz)、3.14(t、2H、J=6.0Hz)、2.12-2.22(m、2H)。
【0132】
(段階2)YTK-1305の製造:1301を反応物質として使用して実施例6の段階2と同様の製造方法で製造した。
【0133】
H NMR(300MHz、CDCl)δ(ppm)2.40(m、2H)、3.10(t、J=3Hz、2H)、3.30(t、J=6Hz、2H)、3.65(t、J=3Hz、7H)、4.05(m、4H)、4.38(t、J=3Hz、2H)、5.35(s、6H)、5.45(s、2H)、7.28(dd、J=6Hz and 3Hz、1H)、7.35(m、2H)、7.60(m、8H)、7.75(d、J=3Hz、2H);ESI MS:m/z 392.92[M+H]
【0134】
(製造例3)下記反応式3に開示された方法で実施例8、9、12、13、15、16、17および18の化合物を合成した。
【0135】
【化10】
【0136】
実施例8:2-((3-(ベンジルオキシ)ベンジル)アミノ)エタン-1-オール(YTK-105)の製造
(段階1)3-ヒドロキシベンズアルデヒド(0.44g、3.62mmol)を無水DMF(5ml)に溶かした後、KCOを入れて、次いで、ベンジルブロミド(0.50ml、4.34mmol)を添加した後、60℃で4時間攪拌した。反応が終了すると、室温で冷却した後、水を添加した後、ジエチルエーテルで抽出した。水層をジエチルエーテルで2回さらで抽出した後、有機層を水と塩水でもう一度洗浄した。有機層に無水硫酸ナトリウムを入れて脱水した後、減圧ろ過した。ろ過された有機層を減圧濃縮した後、カラムクロマトグラフィーで精製(ヘキサン:酢酸エチル=9:1)して、純粋な3-(ベンジルオキシ)ベンズアルデヒド(101、0.70g、収率92%)を得た。
【0137】
(段階2)3-(ベンジルオキシ)ベンズアルデヒド(101、10.6mg、50nmol)を無水エタノール(1ml)に溶解した後、エタノールアミン(15μL、250nmol)を入れて、4時間還流攪拌した。室温で冷却した後、NaBH(7.6mg、0.2mmol)を反応物に徐々に添加した後、4時間攪拌した。反応溶媒を減圧して除去した後、再び水で希釈して酢酸エチルで抽出した。抽出した有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水した後、減圧ろ過した。ろ過された有機層を減圧濃縮した後、カラムクロマトグラフィーで精製(ヘキサン:酢酸エチル=9:1)して、純粋な2-((3-(ベンジルオキシ)ベンジル)アミノ)エタン-1-オール(YTK-105、収率81%)を合成した。
【0138】
H NMR(500MHz、CDCl)δ(ppm)2.95(br s、2H)、3.89(br s、2H)、4.13(s、2H)、5.06(s、2H)、5.45(d、J=8Hz、1H)、7.11(m、1H)、7.33-7.23(m、5H)、7.40-7.38(m、2H)。
【0139】
実施例9:2-((3-(フェネトキシ)ベンジル)アミノ)エタン-1-オール(YTK-205)の製造
ベンジルブロミドの代わりにフェネチルブロミドを使用して実施例8の段階1と同様の製造方法により3-フェネトキシベンズアルデヒド(201)を製造し、これを出発物質として使用して実施例8の段階2と同様の製造方法により、純粋な2-((3-(フェネトキシ)ベンジル)アミノ)エタン-1-オール(YTK-205、収率80%)を合成した。
【0140】
H NMR(500MHz、CDCl)δ(ppm)2.95(br s、2H)、3.05(s、2H)、3.90(br s、2H)、4.09(s、2H)、4.19(s、2H)、6.87(d、J=8Hz、1H)、7.09(s、1H)、7.29-7.17(m、8H)、9.38(br s、1H)。
【0141】
実施例12:2-((3-((4-クロロベンジル)オキシ)ベンジル)アミノ)エタン-1-オール(YT-5-7)の製造
ベンジルブロミドの代わりに1-(ブロモメチル)-4-クロロベンゼンを使用して実施例8の段階1と同様の製造方法により3-((4-クロロベンジル)オキシ)ベンズアルデヒド(101-1)を製造し、これを出発物質として使用して実施例8の段階2と同様の製造方法により、純粋な2-((3-((4-クロロベンジル)オキシ)ベンジル)アミノ)エタン-1-オール(YT-5-7)を合成した。
【0142】
H NMR(400MHz、CDCl)δ(ppm)2.74(m、2H)、3.46-3.75(m、4H)、4.80(br s、1H)、5.16(s、2H)、6.91(d、1H)、6.97-6.99(m、2H)、7.22-7.38(m、5H)。
【0143】
実施例13:2-((3-((4-フルオロベンジル)オキシ)ベンジル)アミノ)エタン-1-オール(YT-5-8)の製造
ベンジルブロミドの代わりに1-(ブロモメチル)-4-フルオロベンゼンを使用して実施例8の段階1と同様の製造方法により3-((4-フルオロベンジル)オキシ)ベンズアルデヒド(101-2)を製造し、これを出発物質として使用して実施例8の段階2と同様の製造方法により、純粋な2-((3-((4-フルオロベンジル)オキシ)ベンジル)アミノ)エタン-1-オール(YT-5-8)を合成した。
【0144】
H NMR(400MHz、CDCl)δ(ppm)2.74(m、2H)、3.48-3.76(m、4H)、4.81(br s、1H)、5.14(s、2H)、6.36(br s、1H)、6.91(d、1H)、6.97-7.19(4H)、7.25-7.27(m、3H)。
【0145】
実施例15:2-((2-((3,4-ビス(4-クロロベンジル)オキシ)ベンジル)アミノ)エチル)アミノ)エタン-1-オール(YT-8-7)の製造
3-((4-クロロベンジル)オキシ)ベンズアルデヒド(101-1、300mg、1.2mmol)をメタノール(5ml)に溶解した後、2-(2-アミノエチルアミノ)エタノール(133mg、1.3mmol)を添加し、65℃で6時間攪拌した。イミンが生成されると反応物を0℃に冷却した後、NaBHを添加し、1時間室温でさらに攪拌した。反応後、反応溶媒を減圧して除去した後、再び水で希釈して酢酸エチルで抽出した。抽出した有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水した後、減圧ろ過した。ろ過された有機層を減圧濃縮した後、高分解能液体クロマトグラフィーにより精製して、白い固体の2-((2-((3,4-ビス(4-クロロベンジル)オキシ)ベンジル)アミノ)エチル)アミノ)エタン-1-オール(YT-8-7、25mg)を合成した。
【0146】
H NMR(400MHz、DMSO-d+DO)δ(ppm)3.07(t、J=5.2Hz、2H)、3.31(s、4H)、3.65(s、2H)、4.18(s、2H)、5.12(s、2H)、7.09(t、J=8Hz、2H)、7.17(s、1H)、7.40(t、J=8Hz、1H)、7.47(s、4H);ESI-MS Calcd m/z for C1823ClN[M+H]335.10 Found 334.84。
【0147】
実施例16:2-((2-((3,4-ビス(4-フルオロベンジル)オキシ)ベンジル)アミノ)エチル)アミノ)エタン-1-オール(YT-8-8)の製造
3-((4-クロロベンジル)オキシ)ベンズアルデヒドの代わりに3-((4-フルオロベンジル)オキシ)ベンズアルデヒド(101-2)を出発物質として使用して実施例15の製造方法と同様の方法で製造した。
【0148】
H NMR(400MHz、DMSO d+DO)δ(ppm)3.07(t、J=4.8Hz、2H)、3.33(s、4H)、3.66(t、J=5.2Hz、2H)、4.19(s、2H)、5.10(s、2H)、7.09(m、2H)、7.21(m、3H)、7.39(t、J=8Hz、1H)、7.50(m、2H);ESI-MS Calcd m/z for C1823FN[M+H]319.10 Found 318.39
【0149】
(製造例4)実施例17および実施例18は、さらに下記反応式3-1の製造工程に従う。
【0150】
【化11】
【0151】
実施例17:1-(2-((3-(ベンジルオキシ)ベンジル)アミノ)エチル)グアニジン(YTK-107)の製造
(段階1)3-(ベンジルオキシ)ベンズアルデヒド(101、1.0g、4.7mmol)をメタノール(20ml)に溶解した後、tert-ブチル-2-アミノエチルカルバメート(0.79g、4.9mmol)を反応物に入れて、65℃で6時間攪拌した。0℃に冷却した後、NaBHを反応物に徐々に入れた後、1時間さらに室温で攪拌した。反応溶媒を減圧して除去した後、再び水で希釈して酢酸エチルで抽出した。抽出した有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水した後、減圧ろ過した。ろ過された有機層を減圧濃縮した後、高分解能液体クロマトグラフィーにより精製して、明るい黄色の固体(111、1.3g)を得た。
【0152】
(段階2)111(300mg、0.84mmol)を酢酸エチル(10ml)に溶解した後、1N塩酸/アセテート(2ml)を入れて室温で2時間攪拌した。反応物を減圧濃縮した後、精製せず次の反応の出発物質(113)として用いた。
【0153】
(段階3)113(270mg、0.8mmol)をDMF(6ml)に溶解した後、ジイソプロピルエチルアミン(529mg、4.1mmol)を添加した後、次いで、1H-ピラゾール-1-カルボキサミジン塩酸塩(185mg、1.2mmol)を添加した。反応物を室温で16時間攪拌した後、反応溶媒を水で希釈して酢酸エチルで抽出した。抽出した有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水した後、減圧ろ過した。ろ過された有機層を減圧濃縮した後、高分解能液体クロマトグラフィーにより精製して、白い固体の1-(2-((3-(ベンジルオキシ)ベンジル)アミノ)エチル)グアニジン(YTK-107、25mg)を合成した。
【0154】
H NMR(400MHz、DMSO-d+DO)δ(ppm)3.09(t、J=6Hz、2H)、3.46(t、J=6Hz、2H)、4.16(s、2H)、5.12(s、2H)、7.09(m、2H)、7.18(s、1H)、7.40(m、6H);ESI-MS Calcd m/z for C1722O[M+H]299.10 Found 298.39。
【0155】
実施例18:1-(2-((3-(フェネトキシベンジル)アミノ)エチル)グアニジン(YTK-207)の製造
3-(ベンジルオキシ)ベンズアルデヒド(101)の代わりに3-フェネトキシベンズアルデヒド(201)を出発物質として使用して実施例17の製造方法と同様の方法で、1-(2-((3-(フェネトキシベンジル)アミノ)エチル)グアニジン(YTK-207、22mg)を合成した。
【0156】
H NMR(400MHz、DMSO-d+DO)δ(ppm)3.07(m、4H)、3.46(t、J=6Hz、2H)、4.14(s、2H)、4.21(t、J=6.4Hz、2H)、7.05(m、3H)、7.24(m、1H)、7.34(m、5H);ESI-MS Calcd m/z for C1824O[M+H]313.10 Found 312.42。
【0157】
(製造例5)下記反応式4に開示された方法で実施例20および21の化合物を合成した。
【0158】
【化12】
【0159】
実施例20:1-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジル)-3-(2-ヒドロキシエチル)ウレア(ATB10041)の製造
(段階1)3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンズアルデヒド(1101、4g、12.5mmol)をテトラヒドロフラン(THF、40ml)に溶解した後、チタンイソプロポキシド((Ti(OiPr)、7.15g、25.1mmol)を20℃で添加した。約5分間20℃で攪拌した後、2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド(3.71g、30.7mmol)を徐々に反応物に添加した。反応物を20℃で5時間攪拌した後、aq.NHCl(100ml)を反応物に徐々に添加した。反応溶液を酢酸エチル(50ml)で3回抽出した後、有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水および減圧した。ろ過された液を減圧濃縮して、N-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジリデン)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド(1108、4g)を得た。ESIMS m/z:422.5[M+H]
【0160】
(段階2)N-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジリデン)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド(1108、4g、9.5mmol)をメタノール(20ml)に溶解した後、NaBH(0.4g、10.4mmol)を0℃で徐々に添加した後、室温で5時間攪拌した。反応物に精製水(50ml)を入れて、ジクロロメタン(20ml)で3回抽出した後、抽出した有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水および減圧した。ろ過液を減圧濃縮して、N-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジル-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド(1109、3g)を得た。ESIMS m/z:424.7[M+H]
【0161】
(段階3)N-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジル-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド(1109、3g、7.1mmol)を酢酸エチルに溶解した後、酢酸エチル/塩酸水溶液(1:1、10ml)を10℃で10分間徐々に添加した。室温に加温した後、5時間攪拌した。固体が析出すると、反応物を減圧ろ過した後、白い固体の(3,4-ビス(ベンジルオキシ)フェニル)メタンアミン(1110、1.5g)を得た。
【0162】
H NMR(400MHz、DMSO-d)δ(ppm)8.26(br s、1H)、7.43-7.30(m、11H)、7.09-6.97(m、2H)、5.15(s、2H)、5.12(s、2H)、3.92(m、2H)。
【0163】
(段階4)(3,4-ビス(ベンジルオキシ)フェニル)メタンアミン(1110、200mg、0.6mmol)をDMF(5ml)に溶解した後、DSC(172mg、0.6mmol)とジイソプロピルエチルアミン(DIEA、220mg、1.7mmol)を順次に添加し室温で1時間攪拌した。2-アミノエタノール(70mg、1.1mmol)を室温で反応物に添加した後、100℃で2時間攪拌した後、室温で冷却して減圧および濃縮した。濃縮液を高分解能液体クロマトグラフィーを用いて精製して、白い固体の1-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジル)-3-(2-ヒドロキシエチル)ウレア(ATB10041、15mg)を製造した。
【0164】
H NMR(400MHz、DMSO-d)δ(ppm)3.07(q、J=5.6Hz、2H)、3.38(q、J=5.6Hz、2H)、4.10(d、J=4Hz、2H)、4.65(t、J=4Hz、1H)、5.09(d、J=5.2Hz、4H)、5.92(m、1H)、6.32(m、1H)、6.75(dd、J=8Hz and 1.2Hz、1H)、6.98(d、J=8Hz、2H)、7.38(m、10H);ESI-MS Calcd m/z for C2426[M+H]407.00 Found 406.48。
【0165】
実施例21:N-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジル)-2-ヒドロキシアセトアミド(ATB10042)の製造
(3,4-ビス(ベンジルオキシ)フェニル)メタンアミン(1110、250mg、0.8mmol)をジクロロメタン(5ml)に溶解した後、反応容器を0℃に冷却した後、ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT、160mg、1.1mmol)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDCI、225mg、1.1mmol)、トリエチルアミン(TEA、240mg、2.3mmol)および2-ヒドロキシ酢酸(72mg、0.9mmol)を順次に添加した。室温に加温した後、12時間攪拌した。反応物に精製水(20ml)を入れて、酢酸エチル(20ml)で2回抽出した後、抽出した有機層を再び水と塩水で順次に洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで脱水および減圧した。ろ過液を減圧濃縮して高分解能液体クロマトグラフィーで精製して、白い固体のN-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジル)-2-ヒドロキシアセトアミド(ATB10042、14mg)を製造した。
【0166】
H NMR(400MHz、DMSO-d)δ(ppm)3.83(d、J=5.6Hz、2H)、4.21(d、J=6Hz、2H)、5.09(d、J=8Hz、4H)、5.47(t、J=5.6Hz、1H)、6.78(d、J=8Hz、1H)、6.98(d、J=8Hz、1H)、7.04(s、1H)、7.38(m、10H)、8.14(m、1H);ESI-MS Calcd m/z for C2323NO[M+H]378.00 Found 377.44。
【0167】
(製造例6)下記反応式5に開示された方法で実施例22、23の化合物を合成した。
【0168】
【化13】
【0169】
実施例22:(R)-2-アミノ-3-((3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジル)アミノ)プロパン酸(ATB10043)の製造
3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンズアルデヒド(1101、0.5g、1.5mmol)をメタノール(5ml)に溶解した後、(R)-3-アミノ-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)プロパン酸(384mg、1.8mmol)を添加した後、65℃で6時間攪拌した。室温で冷却した後、NaBH(60mg、1.6mmol)を反応物に徐々に添加した後、30℃で12時間攪拌した。反応物に精製水(50ml)を入れて、ジクロロメタン(20ml)で3回抽出した後、抽出した有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水および減圧した。ろ過液を減圧濃縮した。濃縮された反応生成物を酢酸エチル(5ml)に溶解した後、酢酸エチル/塩酸溶液(3ml、2N)を添加した後、室温で5時間攪拌した後、溶媒を減圧濃縮して高分解能液体クロマトグラフィーで精製して、明るい灰色固体の(R)-2-アミノ-3-((3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジル)アミノ)プロパン酸(ATB10043,40mg)を製造した。
【0170】
H NMR(400MHz、DMSO+DO)δ(ppm)2.67(m、1H)、2.80(dd、J=8Hz and 5.6Hz、1H)、3.25(m、1H)、3.60(s、2H)、5.10(d、J=5.6Hz、4H)、6.84(dd、J=9.2Hz and 1.2Hz、1H)、6.97(m、1H)、7.12(d、J=1.6Hz、1H)、7.38(m、10H);ESI-MS Calcd m/z for C2426[M+H]407.10 Found 406.48。
【0171】
実施例23:(R)-2-アミノ-3-((3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジル)アミノ)プロパン酸(ATB10044)の製造
3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンズアルデヒド(1101、0.5g、1.5mmol)をメタノール(5ml)に溶解した後、グリシンアミド(207mg、1.8mmol)およびトリエチルアミン(TEA、30mg、3.0mmol)を順次に反応物に添加した。反応物を65℃で2時間攪拌した後、室温で冷却した。室温でNaBH(60mg、1.6mmol)を反応物に添加した後、30℃で12時間攪拌した。反応が終了すると、反応物に精製水(50ml)を入れて、ジクロロメタン(20ml)で3回抽出した後、抽出した有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水および減圧した。ろ過液を減圧濃縮して高分解能液体クロマトグラフィーで精製して、白い固体の(R)-2-アミノ-3-((3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジル)アミノ)プロパン酸(ATB10044、14mg)を製造した。
【0172】
H NMR(400MHz、DMSO+DO)δ(ppm)3.00(s、2H)、3.56(s、2H)、5.10(d、J=4.8Hz、4H)、6.83(d、J=1.6Hz、1H)、6.98(m、1H)、7.09(d、J=2Hz、1H)、7.39(m、10H);ESI-MS Calcd m/z for C2324[M+H]378.10 Found 376.46。
【0173】
(製造例7)実施例24は、下記反応式6の製造工程により合成した。
【0174】
【化14】
【0175】
実施例24:2-((3,4-ビス(ベンジルオキシ)-5-メトキシベンジル)アミノ)エタン-1-オール(ATB10045)の製造
(段階1)3,4-ジヒドロキシ-5-メトキシベンズアルデヒド(0.5mg、2.9mmol)をアセトニトリル(ACN、50ml)に溶解した後、KCO(1.6g、11.8mmol)およびベンジルブロミド(1.09g、6.4mmol)を添加した。反応物を60℃で12時間攪拌した後、室温で冷却した。反応物に精製水(50ml)を入れて酢酸エチル(100ml)で抽出した後、抽出した有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水および減圧ろ過した。ろ過された液を減圧濃縮して、黄色液体の3,4-ビス(ベンジルオキシ)-5-メトキシベンズアルデヒド(1111、0.5g)を得た。ESIMS m/z:349.2[M+H]
【0176】
(段階2)3,4-ビス(ベンジルオキシ)-5-メトキシベンズアルデヒド(1111、500mg、1.4mmol)をメタノール(5ml)に溶解した後、2-アミノエタノール(110mg、1.8mmol)を入れて、65℃で2時間攪拌した。室温で冷却した後、NaBH(60mg、1.6mmol)を添加した後、30℃で12時間攪拌した。反応が終了すると、反応物に精製水(50ml)を入れて、ジクロロメタン(20ml)で3回抽出した後、抽出した有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水および減圧した。ろ過液を減圧濃縮して高分解能液体クロマトグラフィーで精製して、黄色液体の2-((3,4-ビス(ベンジルオキシ)-5-メトキシベンジル)アミノ)エタン-1-オール(ATB10045、16mg)を製造した。
【0177】
H NMR(400MHz、DMSO+DO)δ(ppm)2.55(m、2H)、3.47(s、2H)、3.63(s、2H)、3.77(s、3H)、4.88(s、2H)、5.08(s、2H)、6.68(s、1H)、6.77(s、1H)、7.37(m、10H);ESI-MS Calcd m/z for C2427NO[M+H]394.10 Found 393.48。
【0178】
(製造例8)実施例25は、下記反応式7の製造工程により合成した。
【0179】
【化15】
【0180】
実施例25:2-((3,4-ビス(ベンジルオキシ)-5-クロロベンジル)アミノ)エタン-1-オール(ATB10046)の製造
(段階1)3-(ベンジルオキシ)-4-ヒドロキシベンズアルデヒド(0.5g、2.1mmol)をTHF(5ml)に溶解した後、NaH(0.1g、2.6mmol)を0℃で添加して30分間攪拌した。N-クロロコハク酸イミド(NCS、0.3g、2.3mmol)を反応物に0℃で添加した後、室温で12時間攪拌した。反応液を酢酸エチル(15ml)で希釈した後、アンモニウムクロリド水溶液(10ml)で洗浄した。分液した有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水およびろ過した後、濾液を減圧濃縮して、3-(ベンジルオキシ)-5-クロロ-4-ヒドロキシベンズアルデヒド(1112、0.2g)を得た。ESIMS m/z:263.5[M+H]
【0181】
(段階2)3-(ベンジルオキシ)-5-クロロ-4-ヒドロキシベンズアルデヒド(1112、0.2g、0.7mmol)をアセトニトリル(ACN、5ml)に溶解した後、KCO(0.16g、11.8mmol)およびベンジルブロミド(0.12g、1mol)を入れて、60℃で12時間攪拌した。室温で冷却した後、反応物に精製水(20ml)を入れて、酢酸エチル(50ml)で抽出した後、抽出した有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水および減圧ろ過した。ろ過された液を減圧濃縮して、黄色固体の3,4-ビス(ベンジルオキシ)-5-クロロベンズアルデヒド(1113、0.2g)を得た。ESIMS m/z:353.7[M+H]
【0182】
(段階3)3,4-ビス(ベンジルオキシ)-5-クロロベンズアルデヒド(1113、200mg、0.5mmol)を出発物質として使用して実施例45の段階2と同様の方法で製造して、白い固体の2-((3,4-ビス(ベンジルオキシ)-5-クロロベンジル)アミノ)エタン-1-オール(ATB10046、17mg)を合成した。
【0183】
H NMR(400MHz、DMSO+DO)δ(ppm)3.45(t、J=6Hz、2H)、3.53(s、2H)、3.64(s、2H)、4.95(s、2H)、5.17(s、2H)、7.01(s、1H)、7.16(d、J=1.2Hz、1H)、7.36(m、8H)、7.50(d、J=6.8Hz、2H);ESI-MS Calcd m/z for C2324ClNO[M]398.00 Found 397.90。
【0184】
(製造例9)下記反応式8に開示された方法で比較例1および2の化合物を合成した。
【0185】
【化16】
【0186】
比較例1:メチル(R)-(3-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)フェノキシ)-2-ヒドロキシプロピル)グリシネート(YOK-G-1104)の製造
実施例19の製造方法で、段階3で2-アミノエタン-1-オールの代わりにグリシンメチルエステルを使用したことを除いては、実施例19の製造方法と同様の方法で、メチル(R)-(3-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)フェノキシ)-2-ヒドロキシプロピル)グリシネート(YOK-G-1104)を合成した。
【0187】
H NMR(300MHz、DMSO-d)δ(ppm)2.55(m、1H)、2.81(m、1H)、3.51(s、2H)、3.66(s、3H)、4.05(m、1H)、4.20(m、2H)、5.16(s、2H)、5.18(s、2H)、5.37(br s、1H)、5.52(br s、1H)、6.57(s、1H)、6.67(d、1H)、6.96(d、1H)、7.32-7.48(m、10H)。
【0188】
比較例2:エチル(R)-(3-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)フェノキシ)-2-ヒドロキシプロピル)アラニネート(YOK-A-1104)の製造
実施例19の製造方法で、段階3で2-アミノエタン-1-オールの代わりにアラニンエチルエステルを使用したことを除いては、実施例19の製造方法と同様の方法で、エチル(R)-(3-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)フェノキシ)-2-ヒドロキシプロピル)アラニネート(YOK-A-1104)を合成した。
【0189】
H NMR(300MHz、DMSO-d)δ(ppm)1.21(t、3H)、1.27(m、3H)、2.56-2.81(m、2H)、3.56(m、1H)、4.05(m、1H)、3.95-4.20(m、4H)、5.16(s、2H)、5.18(s、2H)、5.37(br s、1H)、6.57(s、1H)、6.67(d、1H)、6.96(d、1H)、7.32-7.48(m、10H)。
【0190】
実験例1.免疫ブロッティングによる培養細胞内p62タンパク質のオリゴマーと活性評価
前記化合物(実施例1-25)のp62タンパク質のオリゴマー化活性効能を評価するために、ヒト胚腎臓由来細胞のHEK293細胞株を収集した。本化合物中の代表化合物として実施例1、2、3、5、6、7、8、9、12および13の化合物(実施例10(YT-5-1)、実施例11(YT-5-2)、実施例12(YT5-7)、実施例13(YT5-8)、実施例15(YT-8-7)、実施例16(YT-8-8)、実施例17(YTK-107)、実施例18(YTK-107)、実施例20(ATB10041)、実施例21(ATB10042)、実施例22(ATB10043)、実施例23(ATB10044)、実施例24(ATB10045)、実施例25(ATB10046)を選択し、これらの選択された代表化合物の処理による細胞内p62タンパク質の活性化およびオリゴマー化を測定するために、100パイのディッシュにそれぞれの細胞を分注した。細胞がプレートの表面に完全に付着するように24時間さらに培養した後、細胞を収集し、各サンプルに100ulの溶解バッファー(20mM Tris(pH7.4)、150mM NaCl、1% Triton X-100、2mM NaF、2mM EDTA、2mM beta-glycerophosphate、5mM sodium orthovanadate、1mM PMSF、leupeptin、aproteinin)を注入し、細胞を溶解させた。測定された総タンパク質の濃度に基づいて各サンプルに常温で2時間試験化合物を処理した後、サンプルバッファーを追加して、95℃で10分間反応させた。反応済みのサンプルから25ulを取ってアクリルアミドゲルの各ウェルに分注した後、免疫ブロッティング法を実施した。免疫ブロッティング法は、3回以上の独立した実験から代表的なものを図式化した。結果は図2に示す。
図2から確認できるように、本発明によるp62リガンド化合物を処理した場合、化合物の処理により、p62タンパク質の単位体(monomer)の減少とともに、オリゴマー(oligomer)と高分子量凝集体(high-molecular aggregates)の増加を確認することができた。
【0191】
実験例2.免疫ブロッティングによる培養細胞内オートファジー活性評価
前記化合物(実施例1-25)のオートファジー活性効能を評価するために、子宮頸癌患者由来細胞のHela細胞株を5%二酸化炭素が維持される培養器内で10%FBSと1%ストレプトマイシン/ペニシリンを含むDMEM培地を用いて培養した。本化合物中の代表化合物として実施例1、2、3、5、6、7、8、9、12および13の化合物(実施例5(YTK-1005)、実施例1(YTK-1105)、実施例6(YTK-1205)、実施例7(YTK-1305)、実施例2(YTK-2205)、実施例3(YTK-3305)、実施例8(YTK-105)、実施例9(YTK-205)、実施例14(YTK-1108)、実施例12(YT5-7)、実施例13(YT5-8))、実施例20(ATB10041)、実施例21(ATB10042)、実施例22(ATB10043)、実施例23(ATB10044)、実施例24(ATB10045)、実施例25(ATB10046)を選択し、これらの選択された代表化合物の処理によるオートファジー活性度を測定するために、6ウェルプレートにそれぞれの細胞を分注した。細胞がプレートの表面に完全に付着するように24時間さらに培養した。それぞれの化合物がオートファジー現象を増加させることができる濃度を見出すために、試験化合物を1、2、5、10、20μMに希釈して処理した。各化合物の処理後、細胞を再び細胞培養器で24時間培養した後、細胞を収集した。収集された細胞からタンパク質を抽出するために、各サンプルに100ulの溶解バッファー(20mM Tris(pH7.4)、150mM NaCl、1% Triton X-100、2mM NaF、2mM EDTA、2mM beta-glycerophosphate、5mM sodium orthovanadate、1mM PMSF、leupeptin、aproteinin)を注入して細胞を溶解させた。測定された総タンパク質の濃度に基づいて各サンプルにサンプルバッファーを追加して、100℃で5分間反応させた。反応済みのサンプルから5ulを取ってアクリルアミドゲルの各ウェルに分注した後、免疫ブロッティング法を実施した。免疫ブロッティング法は、3回以上の独立した実験から代表的なものを図式化した。結果は図2に示す。
【0192】
図3から確認できるように、本発明によるp62リガンド化合物を処理した場合、化合物の濃度に応じて漸増的にマクロオートファジー活性の標識子であるLC3の水準が増加することを確認することができた。
【0193】
実験例3.免疫ブロッティングによる培養細胞内オートファジー活性評価
前記化合物(実施例1-25)のオートファジー活性効能を調べるために、LC3をマーカーとして用いて実験例2と同様の方法で免疫ブロッティング法を行った。相違点としては、活性化に要求される処理時間および活性維持時間を評価するために、1、3、6、12、24、48時間、5μMの本化合物の中から選択された代表化合物(実施例5(YTK-1005)、実施例6(YTK-1205)、実施例7(YTK-1305)、実施例2(YTK-2205)、実施例3(YTK-3305)、実施例14(YTK-1108)、実施例8(YTK-105)、実施例9(YTK-205))を処理した。他方では、24時間、10μMの本化合物の中から選択された代表化合物(実施例10(YT5-1)、実施例11(YT5-2)、実施例16(YT8-8)、実施例15(YT8-7)、実施例17(YTK-107)、実施例18(YTK-207)、実施例20(ATB10041)、実施例21(ATB10042)、実施例22(ATB10043)、実施例23(ATB10044)、実施例24(ATB10045)、実施例25(ATB10046)を処理した。免疫ブロッティング法は、3回以上の独立した実験から代表的なものを図式化し、その結果は図3に示す。図4から分かるように、本発明によるp62リガンド化合物を処理した場合、化合物の処理によって漸増的にマクロオートファジー活性の標識子であるLC3の水準が増加することを確認することができた。
【0194】
実験例4.免疫ブロッティングによる培養細胞内オートファジー活性評価
対照群化合物のオートファジー活性効能を調べるために、LC3をマーカーとして用いて実験例2と同様の方法で免疫ブロッティングを行った。対照群化合物としては、下記の構造を有する化合物を用いた。
【0195】
【表2】
【0196】
前記化合物を時間別または濃度別に処理して確認し、免疫ブロッティング法は、3回以上の独立した実験から代表的なものを図式化した。その結果を図5に示す。図5に示すように、前記対照群化合物は、処理した時間または濃度と関係なく、マクロオートファジー活性の標識子であるLC3の水準が増加しないことを確認することができた。
【0197】
実験例5.免疫蛍光染色法および共焦点顕微鏡による培養細胞内オートファジー活性評価
前記化合物(実施例1-25)のp62タンパク質活性およびオートファジー現象の活性程度を把握するために、p62とLC3をマーカーとして用いて免疫蛍光染色法を行った。培養された細胞内で新規p62リガンドとその異性体によるp62活性およびオートファジー現象の活性程度を把握するために、子宮頸癌患者由来細胞株のHela細胞株に新規p62リガンド化合物(YTK-1205、YTK-1305、YTK-2205、YTK-3305、YTK-105、YTK-205、YT5-1、YT9-1、YT5-2、YT9-2、YT8-2、YT8-1、YTK-107、YTK-207)を処理して培養した後、オートファジー現象の標識子としてLC3の斑点の発現程度と位置およびp62との斑点位置の共存性を観察した。
【0198】
免疫蛍光染色のために、24-ウェルプレートにカバーガラスを位置させ、細胞を分注して24時間培養した後、5uMの本発明による新規p62リガンドを処理した。化合物の作用のために24時間さらに培養した後、培地を除去し、常温でホルムアルデヒドを用いて細胞を固定した。非特異的染色を防止するために、細胞を遮断溶液に常温で1時間反応させた後、遮断溶液を用いて一定比率で希釈したLC3抗体を処理した後、常温で1時間反応させた。抗体処理済みの細胞はPBSで3回洗浄し、遮断溶液を用いてヤギ由来二次抗体を一定比率で希釈した後、常温で30分反応させた。再びPBSで3回洗浄し、細胞内核染色のために、DAPI染色後、共焦点顕微鏡によりp62もLC3の発現程度、細胞内斑点形成および細胞内共存の程度を観察した。結果は図5に示す。免疫蛍光染色法は、3回以上の独立した実験から代表的なものを図式化した。
【0199】
図6から確認できるように、本発明によるp62リガンド化合物を処理した後、p62タンパク質の細胞内斑点形成、オートファゴソーム標識子であるLC3の細胞内斑点と位置共存性の増加およびLC3の細胞内斑点形成の増加を示していることを確認することができた。
【0200】
実験例6.免疫蛍光染色法および共焦点顕微鏡による培養細胞内オートファジー活性評価
対照群化合物(YOK-A-1104、YOK-G-1104、YTK-1005、YTK-1105-1)のp62タンパク質の活性およびオートファジー現象の活性程度を把握するために、p62とLC3をマーカーとして用いて実験例4と同様の方法で免疫蛍光染色法を行った。YOK-A-1104、YOK-G-1104は、以下の化学式を有する化合物である。
【0201】
【表3】
【0202】
化合物を濃度別に処理してp62またはLC3の細胞内斑点、すなわち、オートファゴソームが形成され、p62が伝達される程度を共焦点顕微鏡で観察した。結果は図7に示す。免疫蛍光染色法は、3回以上の独立した実験から代表的なものを図式化した。
【0203】
図7から確認できるように、対照群化合物を処理した濃度と関係なく、p62タンパク質の細胞内斑点形成、オートファゴソーム標識子であるLC3の細胞内斑点と位置共存性の増加およびLC3の細胞内斑点形成が増加しないことを確認することができた。
【0204】
実験例7.免疫蛍光染色法および共焦点顕微鏡による培養細胞内ユビキチン化されたタンパク質がp62媒介オートファジーへの伝達活性評価
前記化合物(実施例1-25)のユビキチン化されたタンパク質のp62媒介オートファジー伝達活性程度を把握するために、p62とFK2をマーカーとして用いて実験例4と同様の方法で免疫蛍光染色法を行った。化合物は実施例15(YT-8-7)、実施例16(YT-8-8)、実施例17(YTK-107)および実施例18(YTK-207)を処理した。化合物を処理した後、p62またはFK2の細胞内斑点、すなわち、p62とユビキチン化されたタンパク質がオートファゴソームに伝達される程度を共焦点顕微鏡で観察した。結果は図8に示す。免疫蛍光染色法は、3回以上の独立した実験から代表的なものを図式化した。
【0205】
図8から確認できるように、本発明によるp62リガンド化合物を処理した後、p62タンパク質とユビキチン化されたタンパク質の標識子であるFK2の細胞内斑点形成およびこれら斑点の位置共存性の増加を確認することができた。
【0206】
実験例8.免疫蛍光染色法および共焦点顕微鏡による培養細胞内変性ハンチンチンタンパク質がp62媒介オートファジーへの伝達活性評価
前記化合物(実施例1-25)の退行性脳疾患ハンチントン病の主要タンパク質である変性ハンチンチン(Htt-Q103)がp62媒介オートファジー伝達活性程度を把握するために、p62とHtt-Q103-GFPをマーカーとして用いて実験例4と同様の方法で免疫蛍光染色法を行った。化合物は実施例10(YT-5-1)、実施例15(YT-8-7)、実施例16(YT-8-8)、実施例17(YTK-105)、実施例18(YTK-207)および実施例2(YTK-2205)を用いた。化合物を処理した後、p62またはHtt-Q103-GFPの細胞内斑点、すなわち、p62と変性ハンチンチンタンパク質がオートファゴソームに伝達される程度を共焦点顕微鏡で観察した。結果は図9に示す。免疫蛍光染色法は、3回以上の独立した実験から代表的なものを図式化した。
【0207】
図9から確認できるように、本発明によるp62リガンド化合物を処理した後、p62タンパク質とユビキチン化されたタンパク質の標識子であるFK2の細胞内斑点形成およびこれら斑点の位置共存性の増加を確認することができた。
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図7
図8
図9
【国際調査報告】