(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-31
(54)【発明の名称】シロリムス含有組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/27 20060101AFI20220124BHJP
A61K 38/13 20060101ALI20220124BHJP
A61K 31/439 20060101ALI20220124BHJP
A61K 31/275 20060101ALI20220124BHJP
A61K 31/4704 20060101ALI20220124BHJP
A61K 31/4745 20060101ALI20220124BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20220124BHJP
A61K 9/12 20060101ALI20220124BHJP
A61K 9/02 20060101ALI20220124BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20220124BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20220124BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220124BHJP
【FI】
A61K31/27
A61K38/13
A61K31/439
A61K31/275
A61K31/4704
A61K31/4745
A61K9/08
A61K9/12
A61K9/02
A61P17/00
A61P9/00
A61P35/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021510008
(86)(22)【出願日】2019-08-30
(85)【翻訳文提出日】2021-03-02
(86)【国際出願番号】 US2019048951
(87)【国際公開番号】W WO2020047342
(87)【国際公開日】2020-03-05
(32)【優先日】2018-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】520476606
【氏名又は名称】ケミストリーアールエックス.
【氏名又は名称原語表記】CHEMISTRYRX.
【住所又は居所原語表記】829 Spruce Street,Suite 100,Philadelphia,PA 19107(US)
(71)【出願人】
【識別番号】520476617
【氏名又は名称】ブリヒタ,ラース
【氏名又は名称原語表記】BRICHTA,Lars
【住所又は居所原語表記】355 Humboldt St.#1,Brooklyn,NY 11211(US)
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブリヒタ,ラース
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA01
4C076AA12
4C076AA27
4C076BB29
4C076BB31
4C076CC18
4C076DD34A
4C076DD35
4C076DD37
4C076DD37S
4C076DD38
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4C076DD41
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4C076DD48
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4C084AA02
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4C086MA17
4C086MA31
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4C086ZA36
4C086ZA89
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4C206AA02
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4C206MA03
4C206MA05
4C206MA33
4C206MA37
4C206MA51
4C206MA54
4C206MA80
4C206MA83
4C206NA14
4C206ZA36
4C206ZA89
4C206ZB26
(57)【要約】
シクロスポリン、タクロリムス、トレスペリムス、ピメクロリムス、シロリムス(ラパマイシン)、エベロリムス、ラフルニムス、ラキニモド、イミキモド誘導体、エステル、塩及びその組み合わせを含む環状ペプチド等の局所投与される抗真菌薬を使用した皮膚病変の治療のための組成物及び方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療を必要とする対象に、最大約5%(w/w)の環状ペプチド及び基剤を含む組成物を局所投与することを含む、皮膚病態を治療する方法。
【請求項2】
前記組成物は、ローション、泡、塗布薬、バーム、石鹸、シャンプー、坐薬等及びその組み合わせの形態である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記環状ペプチドは、シクロスポリン、タクロリムス、トレスペリムス、ピメクロリムス、シロリムス(ラパマイシン)、エベロリムス、ラフルニムス、ラキニモド、イミキモド誘導体、エステル、塩及びその組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
環状ペプチドはシロリムスである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記基剤は、白色ワセリン、白色ワセリンUSP、ワセリン(mineral jelly)、ワセリン(petroleum jelly)、黄色ワセリン(yellow petrolatum)、黄色ワセリン(yellow soft paraffin)、白色ワセリン(white soft paraffin)、脂肪、ワックス、ステロール、脂肪可溶性ビタミン、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、リン脂質、PCCA可塑化基剤、versabase及びその組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記基剤は、合計の組成物の約45%(w/w)~約99.75%(w/w)の濃度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記皮膚病態は、単純性表皮水疱症、先天性皮膚欠損症、新生児天疱瘡、新生児妊娠疱疹、ブドウ球菌性皮膚剥脱症候群、色素失調症、表皮融解性魚鱗癬、線状IgA水疱性皮膚症、水疱性類天疱瘡、水疱性膿痂疹、結節性硬化症関連血管線維腫、血管線維腫、毛包上皮腫、顔の皮膚のバート・ホッグ・デューベ症候群に関連する皮膚病変、ランゲルハンス細胞組織球症に関連する皮膚病変、血管奇形及び腫瘍、ポートワイン母斑、カポジ肉腫、表皮母斑、治療抵抗性血管腫、敏感肌、脆弱な皮膚、又はその組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記患者は新生児又は乳児である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記患者は青年である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記組成物は溶媒、抗酸化剤、乳化剤、保水剤、鎮痛薬、局所創傷清拭薬、局所皮膚軟化薬等及びその組み合わせをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記組成物は溶媒をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記溶媒は、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、ジプロピレングリコール、メチル-エーテル、ブチル化ヒドロキシトルエンジプロピレングリコールモノメチル-エーテル、1-メトキシ2-プロパノール(グリソルブPM/イシノールPM)、エチレングリコールモノブチルエテル(ブチルglyxolv/ブチルイシノール)、ブチルジグリソルブ(ブチル-イシノール)、Transcutol、プロピレングリコール(PG)、N-メチル-2ピロリドン(NMP)、メチレンクロリド、ジエチルエーテル、エタノール、アセトニトリル、酢酸エチル、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジメチルポリシロキサン(DMPX)、オレイン酸、カプリル酸、1-オクタノール、エタノール(変性又は無水)、及びその組み合わせからなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記溶媒は、約5.0%(w/w)~約15.0%(w/w)の濃度を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記組成物は、ブチル化ヒドロキシトルエン、アスコルビン酸、アスコルビン酸パルミチン酸塩、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,4,5-トリヒドロキシブチロフェノン、4-ヒドロキシメチル-2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、エリトルビン酸、グアーガム、没食子酸プロピル、チオジプロピオン酸、チオジプロピオン酸ジラウリル、tert-ブチルヒドロキノン、トコフェロール、及びその薬学的に許容される塩及びそのエステル並びにその組み合わせからなる群から選択される抗酸化剤をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記抗酸化剤は、約0.01%(w/w)~約1%(w/w)の濃度を有する、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、「Sirolimus Containing Compositions」という題の2018年8月30日に出願された米国仮特許出願第62/724,642号及び「Sirolimus Containing Compositions」という題の2019年1月9日に出願された米国仮特許出願第62/790,149号の優先権を主張し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
政府の権利:該当なし
共同研究契約の関係者:該当なし
コンパクトディスクへの材料の組み込み:該当なし
背景:該当なし
【背景技術】
【0002】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
【課題を解決するための手段】
【0004】
様々な実施形態が皮膚疾患、病態又は障害又はその症状を治療する方法に関し、治療を必要とする対象に、最大約5%(w/w)の環状ペプチド及び基剤を含む組成物を局所的に投与するステップを含む。いくつかの実施形態において、環状ペプチドは、例えば、シクロスポリン、タクロリムス、トレスペリムス、ピメクロリムス、シロリムス(ラパマイシン)、エベロリムス、ラフルニムス、ラキニモド、イミキモド誘導体、エステル、塩及びその組み合わせであってもよく、特定の実施形態において、環状ペプチドはシロリムスであってもよい。
【0005】
いくつかの実施形態において、基剤は、クリーム基剤であってもよく、皮膚疾患、病態又は障害又はその症状は、結節性硬化症関連血管線維腫、血管線維腫、毛包上皮腫、顔の皮膚のバート・ホッグ・デューベ症候群に関連する皮膚病変、ランゲルハンス細胞組織球症に関連する皮膚病変、及びその組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、基剤は、リポソーム基剤であってもよく、皮膚疾患、病態又は障害又はその症状は、血管奇形及び腫瘍、ポートワイン母斑、カポジ肉腫、表皮母斑、治療抵抗性血管腫、及びその組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、基剤は、無水軟膏であってもよく、皮膚病変は、表皮水疱症である。いくつかの実施形態において、基剤は、無水軟膏であってもよく、患者は、敏感肌、脆弱な皮膚等又はその組み合わせを示す。いくつかの実施形態において、基剤は、保湿クリーム基剤であってもよく、患者は、敏感肌を示し、特定の実施形態において、基剤は、保湿クリーム基剤であってもよく、患者は新生児又は乳児である。
図面の記載:該当なし
【発明を実施するための形態】
【0006】
以降に様々な態様をより充分に記載する。このような態様は、しかしながら、多くの異なる形態で実施されてもよく、本明細書に記載の実施形態に限定するものとして解釈されるべきでなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が完全であり、当業者にその範囲を充分に伝えるように提供される。
【0007】
値の範囲を提供する場合、この範囲の上限及び下限の間の値のそれぞれ、及び記載の範囲における任意のその他の記載又は間の値は、本開示に含まれることを意図している。例えば、1ml~8mlの範囲を記載する場合、2ml、3ml、4ml、5ml、6ml及び7ml、並びに1ml以上の値の範囲及び8ml以下の値の範囲も明示的に開示されていることを意図する。
【0008】
全てのパーセント、部及び比は、局所組成物の総重量に基づき、全ての測定は、他に断りの無い限り、約25℃で行われる。
【0009】
単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈が明示的にそうではないことを記載してしない限り、複数の指示物を含む。したがって、例えば、「ポリマー」に対する参照は、1つのポリマー及び同じ又は異なるポリマーの2つ以上を含み、「賦形剤」に対する参照は、1つの賦形剤及び同じ又は異なる賦形剤の2つ以上等を含む。
【0010】
「約」という用語は、数値の直前にある場合、その値の±10%の範囲を意味し、本開示の文脈がそうではないことを示していない限り、又はこのような解釈と矛盾していない限り、例えば、「約50」は45~55を意味し、「約25,000」は、22,500~27,500を意味する。例えば、約49、約50、約55のような数値のリストにおいて、「約50」は、先立つ値と続く値との間の値(複数可)の半分未満にまで広がっている範囲、例えば、49.5超~52.5未満を意味する。さらに、「約値未満」又は「約値超」は、本明細書に提供する「約」という用語の定義を考慮して理解されるべきである。
【0011】
本明細書で使用される「投与する」、「投与すること」又は「投与」という用語は、化合物(目的の薬剤としても示される)又は化合物(目的の薬剤)若しくは組成物の薬学的に許容される塩いずれかを対象に直接的に投与することを指す。
【0012】
本明細書で使用される「担体」という用語は、担体、賦形剤、及び希釈剤を含み、角質層又は有棘層のような組織層を横切って、医薬、化粧品又はその他の薬剤を運ぶ又は輸送することを伴う液体又は固形充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒又はカプセル封じ材料等の物質、組成物、又はビヒクルを意味する。
【0013】
「障害」という用語は、本開示において、他に示されない限り、疾患、病態又は病気という用語と同義に使用する。
【0014】
「有効量」及び「治療有効量」という用語は、本開示において同義に使用され、対象に投与する場合、対象における障害の症状を軽減することができ、又は意図する組織の治療領域の成長、質感、外観、色、感覚又は水和を向上させ、減少させ、正常にし、若しくは調節する化合物の量を指す。「有効量」又は「治療有効量」を含む実際量は、限定されないが、障害の重症度、患者の大きさ及び健康、並びに投与経路を含むいくつかの条件に依存して変化する。専門医師は、医術において周知の方法を使用して適切な量を容易に決定することができる。
【0015】
「薬学的に許容される」又は「美容的に許容される」というフレーズは、安全な医学的判断の範囲において、合理的なベネフィット/リスク比に釣り合った、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、又はその他の問題若しくは合併症のない状態で、ヒト及び/又はその他の哺乳動物の組織に接触させて使用するのに適した目的の薬剤/化合物、塩、組成物、剤形等を指すために使用される。いくつかの態様において、薬学的に許容されるは、哺乳動物(例えば、動物)及びより詳細にはヒトに使用するために、連邦政府若しくは州政府の規制当局によって承認された、又は米国薬局方又はその他の一般的に認識されている薬局方に列挙されていることを意味する。
【0016】
「塩」という用語は、本明細書で使用する場合、遊離酸のアルカリ金属塩を形成し、遊離塩基の付加塩を形成するために一般に使用される薬学的に許容される塩を含む。薬学的に許容されていれば、塩の性質は重要ではない。「塩」という用語は、付加塩の水和物及び多形のような付加塩の溶媒和化合物も含む。適切に薬学的に許容される酸付加塩は、無機酸又は有機酸から調製することができる。このような無機酸の非限定な例は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、炭酸、硫酸及びリン酸である。適切な有機酸は、脂肪酸、脂環式、芳香族、アリール脂肪酸、並びにカルボン酸及びスルホン酸を含有するヘテロシクリル、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルクロン酸、マレイン酸、フマル酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、メシル酸、ステアリン酸、サリチル酸、p-ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸(パモ酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パントテン酸、トルエンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、スルファニル酸、シクロヘキシルアミノスルホン酸、アルギン酸、3-ヒドロキシ酪酸、ガラクタル酸及びガラクツロン酸から選択することができる。
【0017】
「患者」及び「対象」という用語は、同義であり、本発明の化合物で治療することができる任意の生物を意味するために使用することができる。このように、「患者」及び「対象」という用語は、限定されないが、任意の非ヒト哺乳動物、霊長類又はヒトを含むことができる。いくつかの実施形態において、「患者」又は「対象」は、マウス、ラット、その他のげっ歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、霊長類又はヒト等の哺乳動物である。いくつかの実施形態において、患者又は対象は、成人、子ども又は乳児である。いくつかの実施形態において、患者又は対象は、成人又は子どものヒトである。
【0018】
「治療すること」という用語は、例えば、障害又は病態を治療する方法に関して本明細書で使用され、概して、化合物又は組成物を投与していない対象に比べて、病状の症状の発症頻度を減少させ、遅らせ、又は対象における組織表面の意図する組織治療領域の成長、質感、外観、色、感覚又は水和を向上させ、減少させ、正常にする化合物又は組成物の投与を含む。これは、対象の病態を改善し又は安定にするように、症状、臨床的徴候及び根底にある病因を逆転させ、減少させ、又は停止させることを含むことができる。例えば、細菌、微生物、真菌又は原生動物の感染の文脈において、「治療すること」は、細菌、微生物、真菌又は原生動物の負荷の減少、及び/又は感染に関係する症状の改善を指す。
【0019】
「治療的」という用語は、本明細書で使用する場合、対象の不必要な病態又は疾患を治療する、戦う、緩解する、予防する又は改善するために使用される薬剤を意味する。部分的に、本明細書に記載の実施形態は、様々な皮膚疾患、病態又は障害又はその症状に関することができ、限定されないが、良性増殖、腫瘍、表面的血管異常(腫瘍及び形成異常)、表皮水疱症、創傷及び爛れ、ランゲルハンス細胞組織球症、結節性硬化症、皮膚の前悪性腫瘍若しくは悪性腫瘍、並びに皮膚の免疫細胞の富化を含む。皮膚病態は、ウイルス性誘発又は非ウイルス性誘発皮膚増殖又は増殖であってもよい。皮膚病態は、炎症性病態であってもよい。皮膚病態は、過剰増殖病態であってもよい。皮膚病態は、遺伝的に決定された病態であってもよい。皮膚病態は、内因及び外因変化(例えば、光老化(紫外線誘発変化))、色素変化、細線及びしわを含む加齢であってもよい。いくつかの実施形態において、皮膚病態は、ヒトパピローマウイルス誘発性病変、例えば、いぼ、一般的ないぼ、掌蹠いぼ、扁平疣贅、再発性いぼ、不応性いぼ、治療未経験のいぼ、疣贅状表皮発育異常症に関係するいぼ、肛門生殖器のいぼ、尖圭コンジローマ、子宮頸部異形成又は腫瘍、例えば、子宮頸部上皮内腫瘍(CIN);HHV-1(HSV-1)、HHV-2(HSV-2)、HHV-3(水痘帯状疱疹ウイルス)によって誘発される病変を含むヘルペスウイルスに関係する病変、例えば、水疱、帯状疱疹(Herpes zoster)、帯状疱疹(shingles);ポックスウイルス誘発性病変、例えば、伝染性軟属腫、ヒツジ鵞口瘡;カルス、皮角、魚の目、アクロコルドン、線維上皮性ポリープ、結節性痒疹、日光性角化症、扁平上皮癌、正常所在扁平上皮癌、ケラトアカントーマ、基底細胞癌、皮膚リンパ腫及び皮膚の良性リンパ球性浸潤及び過形成、透明細胞棘細胞腫、大細胞棘細胞腫、表皮溶解性棘細胞腫、汗孔角化症、角化症、毛孔性角化症、苔癬様角化症、アカントーシス、黒色表皮腫、コンフルエント及び網状乳頭腫、例えば、真皮母斑、表皮母斑、複合母斑、ILVEN(ヤダゾーン脂腺母斑(inflammatory linear verrucous epidermal nevi)),脂腺母斑、コメド母斑等を含む母斑;ざ瘡、例えば、面皰性ざ瘡、炎症性ざ瘡、丘疹ざ瘡、膿疱性ざ瘡、嚢胞性ざ瘡;嚢胞、例えば、類表皮嚢胞、稗粒腫、外毛根鞘嚢腫、濾胞性嚢胞、増殖性嚢胞、類皮嚢胞、毛巣嚢胞、アポクリン嚢胞、エクリン嚢胞、皮脂嚢胞、粘液嚢胞、粘液様嚢胞、神経節嚢胞、滑液嚢胞、毳毛嚢胞、脂腺嚢腫、汗嚢腫;付属器の腫瘍、例えば、毛包腫、線維毛包腫、毛包周囲の線維腫、毛盤腫、脂腺母斑、軟骨様汗管腫、毛包上皮腫、毛芽腫、線維増生毛包上皮腫、毛母腫、毛母癌(pilomatrical carcinoma)、毛根鞘腫、外毛根鞘癌(trichelemmal carcinoma)、毛包漏斗の腫瘍、毛包腺腫(tricoadenoma)、増殖性毛嚢胞、脂腺過形成、皮脂腺腫、脂腺上皮腫、脂腺癌、汗管腫、炎症性硬結、汗腺腫、アポクリン汗腺腫、汗腺腫、円柱腫、エクリン母斑(エクリン過誤腫(eccrine hamartoma))、乳頭状腺腫、乳頭状腺癌;良性メラニン細胞の増殖又は腫瘍、例えば、雀卵斑、カフェオレ斑、ベッカー黒色素沈着症、黒子、日光黒子、単純性ほくろ、粘膜のメラニン細胞病変、蒙古斑、太田母斑、青色母斑、一般的な後天性色素性母斑(母斑細胞母斑、「奇胎」)、先天性母斑、扁平母斑、再発性母斑;血管及び血管周囲の腫瘍及び反応性過形成、例えば、血管腫、老年性血管腫、ホブネイル血管腫(標的様外観を呈しヘモジデリン沈着を伴う血管腫(targeted hemosiderotic hemangiomas))、房状血管腫、血管内皮腫、好酸球性血管リンパ球増殖症(ALHE)、グロムス腫瘍(グロムス血管腫)、血管外皮腫;皮膚神経及び神経内分泌腫瘍、例えば、神経腫、シュワン腫、神経線維腫、神経鞘腫、神経鞘粘液腫、神経莢腫、顆粒細胞腫;線維性及び線維組織球性増殖、例えば、アクロコルドン、線維上皮性ポリープ、線維腫、線維性丘疹、血管線維腫、真珠状陰茎丘疹、爪周囲線維腫、皮膚線維腫、線維角化腫、硬化性又は多形性線維腫、結合組織母斑;皮膚の傷跡、過形成、ケロイド、酒さ、皮膚真菌、皮膚糸状菌及びカビ感染症、爪真菌症、色素増加症、しわ、乾癬、悪性黒色腫、脂漏性角化症、例えば、黒色丘疹性皮膚病症、反転性毛包角化症/角化腫いぼ状角化異常症/いぼ状ジスケラトーマ、肬贅状肢端角化症、スタッコ角化症を含む脂漏性角化症変種;又はその組み合わせから選択することができる。
【0020】
任意の部分範囲又は群内の部分範囲の組み合わせを含む任意の群の任意の個別の員を但し書き又は除外する権利を保持することによって、ある範囲に従って、又は任意の類似した方法で請求することができ、いかなる理由でも本開示を充分に請求することはできない。さらに、任意の個別の置換基、類似体、化合物、リガンド、構造又はその群、又は請求される群の任意の員を但し書き又は除外する権利を保持することによって、いかなる理由でも本開示を充分に請求することはできない。本開示にわたって、様々な特許、特許出願及び刊行物が参照される。これらの特許、特許出願及び刊行物の開示は、本開示の出願日において当業者に周知の最新技術をより充分に記載するために、参照により本開示に組み込まれる。本開示は、記載の特許、特許出願及び刊行物と本開示との間に何らかの矛盾がある場合、本開示が決定する。
【0021】
便宜上、明細書、実施例及び請求項において使用される特定の用語はここに集約される。他に断りの無い限り、本開示において使用される技術用語及び科学用語は全て、本開示が属する技術の当業者によって共通に理解される意味と同じ意味を有する。
【0022】
ラパマイシンとしても知られるシロリムスは、ストレプトミセス・ハイグロスコピクス(Streptomices hygroscopicus)に由来する親油性マクロライドである。ラパマイシンは、FKBP相互作用を媒介する結合ラパマイシン及びTOR酵素と相互作用するもう1つ別のラパマイシンの2つのドメインを有する。ラパマイシン-FKBP複合体は、伝達シグナルに介入するTORタンパク質に作用し、その分裂がG1期からS期に進展するために必要な細胞の栄養要素と協調する。これらの栄養素のラパマイシン処理又は欠乏が、伝達の開始の急速な減少、グルカゴンの蓄積及び液胞のサイズの増加を生じさせる。
【0023】
様々な実施形態は、皮膚病変を治療するために、1つ以上の抗生物質、抗真菌薬、又はその組み合わせを含有する局所組成物に関する。特定の実施形態において、抗生物質又は抗真菌薬は環状ペプチドであってもよい。その他の実施形態は、治療を必要とする対象に、1つ以上の抗生物質、抗真菌薬、又はその組み合わせを含有する局所組成物を投与することを含む皮膚病変の治療方法に関し、方法は、治療を必要とする対象に、1つ以上の環状ペプチドを含有する局所組成物を投与するステップを含んでもよい。このような実施形態の組成物は、局所組成物として製剤化してもよく、皮膚病変の治癒、皮膚病変に関連する変色の減少及び皮膚病変に関連する症状の緩和を提供することができる。
【0024】
いくつかの実施形態において、組成物は、抗真菌薬を含有してもよい。本発明に含まれる抗真菌薬は、限定されず、例えば、シクロスポリン、タクロリムス、トレスペリムス、ピメクロリムス、シロリムス(ラパマイシン)、エベロリムス、ラフルニムス、ラキニモド、イミキモド誘導体、エステル、塩及びその組み合わせ等の環状ペプチドを含む。特定の実施形態において、抗真菌薬はシロリムスであってもよい。
【0025】
このような抗真菌薬は、治療を提供することができる任意の量で提供することができる。例えば、このような実施形態の組成物における抗生物質の濃度は、最大約30%(w/w)であることができ、いくつかの実施形態において、抗生物質の濃度は、最大約20%(w/w)であってもよい。例えば、いくつかの実施形態において、組成物は、約0.1%(w/w)~約30%(w/w)、約0.25%(w/w)~約20%(w/w)、約0.5%(w/w)~約15%(w/w)、約1%(w/w)~約15%(w/w)、約1%(w/w)~約10%(w/w)、又は任意の範囲又はこれらの例の範囲に含まれる抗生物質の個別の濃度を含んでもよい。特定の実施形態において、組成物は、約0.25%(w/w)~約15%(w/w)、約0.5%(w/w)~約10%(w/w)、約0.75%(w/w)~約7.5%(w/w)、約1%(w/w)~約5%(w/w)、約1%(w/w)~約3%(w/w)、又は任意の範囲又はこれらの例の範囲に含まれる個別の濃度を含んでもよい。
【0026】
特定の実施形態において、組成物は、例えば、白色ワセリン、白色ワセリンUSP、ワセリン(mineral jelly)、ワセリン(petroleum jelly)、黄色ワセリン(yellow petrolatum)、黄色ワセリン(yellow soft paraffin)、白色ワセリン(white soft paraffin)、脂肪、ワックス、ステロール、脂肪可溶性ビタミン、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、リン脂質、PCCA可塑化基剤等及びその組み合わせのような基剤を含んでもよい。
【0027】
いくつかの実施形態において、基剤は、リポソーム基剤であってもよい。リポソーム基剤は、親油性成分、及びローション、クリーム、ゲル又はペーストの形態であり得る水性成分を含む乳液である。適切なリポソーム基剤の例として、PCCA Lipoderm(登録商標)、Lipoderm ActiveMax(商標)、Anhydrous Lipoderm、及びLipoderm High Molecular Weight(商標)PCCAが挙げられる。このようなリポソーム基剤製剤として、例えば、グリセリンと合わされた約60~80%wt/wtの水、C12-15アルキル安息香酸塩、グリセリルステアリン酸塩、ジメチコン、セテアリルアルコール、セテアリルグルコシド、ポリアクリルアミド、セチルアルコール、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、キサンタンガム、アロエベラ(aloe barbadensis)、トコフェロール酢酸エステル(ビタミンE酢酸塩)、prunus amygadalus amara(クヘントウ)核油、vitis vinifera(ブドウ)種子抽出物、triticum vulgare(コムギ)はい芽油、レチニルパルミチン酸エステル(ビタミンAパルミチン酸エステル)、パルミチン酸アスコルビル(ビタミンCパルミチン酸エステル)、Pro-Lipo Multi-emulsion Liposomic System、テトラナトリウムEDTA、フェノキシエタノール、ヒドロキシメチルグリシナートナトリウム等及びその組み合わせを挙げることができる。
【0028】
いくつかの実施形態において、基剤は、クリーム基剤であってもよい。クリーム基剤は、油及び水の半固体乳液である。クリーム基剤は、連続水相に分散される油の小滴から構成される水中油(O/W)クリーム、及び連続油相に分散される水の小滴から構成される油中水(W/O)クリームの2種類に分けられる。水中油クリームは、粘り気が少なく、水を使用してより容易に洗い流されるため、より快適で、美容的に許容される。油中水クリームは、扱いがより難しいが、クリームに組み込まれる多くの薬剤は疎水性であり、水中油クリームよりも油中水クリームから容易に放出される。油中水クリームは、皮膚の表層である角質層からの水分喪失を減少させる油状バリアを提供するため、より保湿性でもある。クリーム基剤は、通常、以下に検討するように、水、油、乳化剤、及び増粘剤を含む。
【0029】
いくつかの実施形態において、基剤は、保湿クリーム基剤であってもよい。保湿クリーム基剤は、皮膚軟化薬又は保水剤の追加で、前述のクリーム基剤と同じ成分から構成され、皮膚の表層である角質層からの水分喪失を減少させる油状バリアを提供することができる。保湿クリーム基剤における皮膚軟化薬又は保水剤は、セチルエステルワックス、ステアリルアルコール、セチルアルコール、及びグリセリン又はその組み合わせであってもよい。
【0030】
クリーム基剤及び保湿クリーム基剤の例として、VersaBase(PCCA);エモリエントクリーム、バニシングクリーム、CeraVe、Vanicream、ビタミンE;Cliniderm;Dermabase(精製水、ワセリン、鉱油、セトステアリルアルコール);Eucerin(水、ワセリン、鉱油、セレシン、ラノリンアルコール、メチルクロロイソチオゾリノン、メチルイソチアゾリノン);Glaxal(WellSpring Pharmaceutical Corp.社、Sarasota、Fla.);ステアリン酸クリーム又は当業者に周知の局所製剤に使用される任意のその他の薬学的クリーム基剤が挙げられる。
【0031】
いくつかの実施形態において、基剤は軟膏基剤であってもよい。軟膏は、油及び水が7:1~2:1、5:1~3:1又は4:1の比で提供される組成物であり、いくつかの実施形態において、軟膏は、Aquaphor、Pracasil及び可塑化基剤等の水を含んでも、含んでいなくてもよい。軟膏は、概して、油、ワックス、水、アルコール、ワセリン産物、シリコーン、水及びその他の薬剤を使用して製剤化されて、様々な粘度及び溶媒特性を有する製剤を調製する。多く使用される製剤として、油性基剤(白色軟膏)、吸収基剤、W/O乳液基剤(コールドクリームタイプの基剤)、O/W乳液基剤(親水性軟膏)、水溶性基剤、その他が挙げられる。これらの調製物は、医学的又は美容的価値を有する物質又は産物を溶解し、又は懸濁するために使用される。
【0032】
実施形態の組成物における基剤の量は、変化し得、その他の成分の量に依存する。より多くの基剤を添加して、所望の局所医薬製剤における少量のその他の成分を補うことができる。いくつかの実施形態において、基剤は、合計の組成物の約45%(w/w)~約99.75%(w/w)の濃度、又は当該技術分野で周知の任意の範囲若しくは個別の濃度で存在してもよい。
【0033】
様々な実施形態の組成物は、前述の様々な皮膚疾患の治療に効果を与える。しかしながら、特定の製剤が特定の皮膚疾患の治療により効果的である。例えば、皮膚によって容易に吸収される非コメドジェニック、低アレルギー性、無香、美容クリーム基剤中に、最大約2%、最大約4%、又は最大約5%のシロリムス等の環状ペプチドを含有する組成物が、結節性硬化症関連血管線維腫、血管線維腫、毛包上皮腫、バート・ホッグ・デューベ症候群に関連する皮膚病変、顔の皮膚に関係するその他の過剰増殖、ランゲルハンス細胞組織球症に関連する皮膚病変、皮膚エリテマトーデス、魚鱗癬、神経線維症等の治療に良好に適することができる。その他の実施形態において、リポソームクリーム基剤中の最大約2%、最大約4%、又は最大約5%のシロリムス等の環状ペプチドを含有する組成物が、血管形成異常(奇形及び腫瘍)、ポートワイン母斑、カポジ肉腫、表皮母斑、治療抵抗性血管腫、皮膚平滑筋腫、黒色表皮腫、コンフルエント及び網状乳頭腫、神経線維症、神経線維腫症に関連する神経線維症等のより深い病変の治療に良好に適することができる。さらなる実施形態において、無水軟膏基剤中の最大約2%、最大約4%、又は最大約5%のシロリムス等の環状ペプチドを含有する組成物が、表皮水疱症等又は過剰に過敏で脆弱な皮膚を有する患者の任意の病態の治療に良好に適することができる。さらにその他の実施形態において、保湿クリーム基剤中の最大約2%、最大約4%、又は最大約5%のシロリムス等の環状ペプチドを含有する組成物が、新生児及び乳児を含む敏感肌を有する患者における前に認識された任意の病態の治療に使用することができる。
【0034】
様々な実施形態の組成物は、局所製剤を含むその他の形態にあってもよい。実施形態は、例えば、ローション、泡、塗布薬、バーム、石鹸、シャンプー等を含有する1つ以上の抗生物質を含む。
【0035】
いくつかの実施形態において、局所製剤は、ローションの形態であってもよい。ローションは、低~中の粘性の局所調製物である。多くのローションは、セチルアルコールのような乳化剤を含有する水中油乳液であって、これらの2つの相の分離を防ぐ。ローションは、フレグランス、グリセロール、ワセリン、染料、保存剤、タンパク質及び安定化剤を含んでもよい。
【0036】
いくつかの実施形態において、局所製剤は、泡の形態であってもよい。薬学的泡は、1つ以上の有効成分を含有する加圧された剤形であり、作動弁で、気体媒質中の液体及び/又は固体物質の微細分散を放出する。泡製剤は、概して、その他の局所剤形よりも、適用がより容易であり、密度がより低く、より容易に拡散する。泡は様々な方法で製剤化されて、製剤の構成要素に依存して、皮膚に皮膚軟化薬又は乾燥機能を提供する。したがって、この送達技術は、局所使用に使用可能な製剤のスペクトルへの有用な追加である。
【0037】
いくつかの実施形態において、局所製剤は、塗布薬の形態であってもよい。塗布薬又はバームは、ローションと同様の粘性であり、軟膏又はクリームよりも粘性が低い局所製剤である。塗布薬が、通常、皮膚に塗布薬を刷り込むことによって摩擦で適用される。塗布薬は、通常、アルコール、アセトン又は同様の素早く蒸発する溶媒から製剤化され、サリシル酸メチル、ベンゾイン樹脂、又はカプサイシン等の反対刺激剤芳香族化学化合物を含有してもよい。
【0038】
いくつかの実施形態において、製剤は、石鹸の形態であってもよく、脂肪酸の塩を含む製剤である。石鹸は、洗浄、浸す、及び清掃のための界面活性剤として主に使用されるが、紡績にも使用され、潤滑剤の重要な要素である。クレンジングのための石鹸は、通常、植物又は動物油を強アルカリ溶液で処理することによって得られる。脂肪及び油は、トリグリセリドから構成され、脂肪酸の3つの分子がグリセロールの1つの分子に付着する。アルカリ溶液は、灰汁(「ライソープ」という用語は、水酸化ナトリウムで作製された石鹸をほぼ排他的に指す)と呼ばれることが多く、けん化として知られる化学反応を促進すると考えられる。けん化において、脂肪が最初に遊離脂肪酸に加水分解され、その後、アルカリと合わせて、粗石鹸を形成する。グリセロール(グリセリン)は、通常、遊離しており、使用する工程に依存して、有用な副産物として、残るか、洗い流されるか、回収されるかのいずれかである。
【0039】
いくつかの実施形態において、局所製剤は、シャンプーの形態であってもよく、油、汚れ、皮膚粒子、フケ、環境汚染物質、及び髪の毛に徐々に蓄積されるその他の汚染粒子の除去に使用されるヘアケア製品である。目的は、髪の毛を取り扱いにくくするほど多くの皮脂を除去することなく、望ましくない蓄積物を除去することであってもよい。
【0040】
いくつかの実施形態において、局所製剤は、坐薬の形態であってもよい。坐薬製剤は、前に検討した治療有効量の抗生物質を坐薬基剤と混合し、坐薬を作製する方法として認識されている任意の技術によって、混合物から坐薬を形成することによって調製することができる。坐薬基剤は、通常は、親油性であり、いくつかの実施形態において、トリグリセリド親油性基剤のような非プロトン親油性基剤、又は炭化水素の混合物を含むパラフィン系基剤であってもよい。坐薬基剤は、約32℃~36℃の融解温度を有してもよく、又は約32℃~36℃の融点範囲を有する脂肪酸のトリグリセリド混合物を有してもよい。炭化水素の混合物は、固形パラフィン(約50~60%)及び約32℃~36℃の融点範囲を有する液体パラフィン(約40~50%)の混合物であることが好ましい場合がある。
【0041】
特定の実施形態において、坐薬基剤は、水溶性の約80~約90重量%である固体アジュバントであってもよく、いくつかの実施形態において、坐薬基剤は、固体ポリエチレングリコール、固体ポリエチレングリコールに可溶性である液体ポリエチレングリコール、固体油溶性界面活性剤、水溶性界面活性剤及び鯨蝋を含んでもよい。様々な個別の成分の物理特性は、相互作用によって製剤化された組成物の特性に寄与し、その特徴は、押出性、水懸濁性及び貯蔵安定性を保証する。基剤の様々な成分の量及び比率は、そこに組み込まれる薬効成分の量で変化する。いくつかの実施形態において、固体ポリエチレングリコールは、合計の組成物の約23~約35重量%であってもよく、液体ポリエチレングリコールは、合計の組成物の約10~約13重量%であってもよい。固体ポリエチレングリコールは、約4000~約6000の分子量を有してもよく、液体ポリエチレングリコールは、約200~約600の分子量を有してもよい。固体油溶性界面活性剤は、合計の組成物の約9~約11重量%であってもよく、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(Tween61)又はポリオキシエチレンソルビタントリステアレート(Tween65)であってもよい。水溶性界面活性剤は、合計の組成物の約4~約12重量%であってもよく、エチレンオキシド-ポリプロプリエンギルコール濃縮産物であってもよい。鯨蝋は、合計の組成物の約26~約40重量%であってもよい。固体アジュバントは、ベータラクトース、ショ糖、ブドウ糖、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム等及びその組み合わせであってもよく、いくつかの実施形態において、坐薬製剤は、コーンスターチ等のデンプンを含んでもよく、少量のメチルセルロース、グアーガム又は精製木材セルロースと混合することができる。
【0042】
例示的な組成物は、様々な周知の成分を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態において、組成物は、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、ジプロピレングリコールメチル-エーテル、ブチル化ヒドロキシトルエンジプロピレングリコールモノメチル-エーテル、1-メトキシ2-プロパノール(グリソルブPM/イシノールPM)、エチレングリコールモノブチルエテル(ブチルglyxolv/ブチルイシノール)、ブチルジグリソルブ(ブチル-イシノール)、Transcutol、プロピレングリコール(PG)、N-メチル-2ピロリドン(NMP)、メチレンクロリド、ジエチルエーテル、エタノール、アセトニトリル、酢酸エチル、天然油の組み合わせ等の溶媒;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジメチルポリシロキサン(DMPX)、オレイン酸、カプリル酸、1-オクタノール、エタノール(変性又は無水)、リポソーマル組成物、アロエベラ誘導体又は胡麻油又はその誘導体等の適切な植物油、アクリルポリマー、ゴム系ポリマー、ポリシロキサン系ポリマー、ポリビニルピロリドン系ポリマー、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、ヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPA)、レシチン、Transfersomes(登録商標)(二成分小胞凝集物)、エソソーム(ethosomes)、アゾン、エトキシル化ヒマシ油等のヒマシ油誘導体、ホホバ油誘導体、トウモロコシ油誘導体、エミュー油誘導体及びその組み合わせを含んでもよい。溶媒は、約5.0%(w/w)~約15.0%(w/w)、約6.0%(w/w)~約10.0%(w/w)、約7.5%(w/w)~約10.5%(w/w)、約8.0%(w/w)~約10.0%(w/w)、又はこれらの例の範囲に含まれる溶媒の任意の範囲若しくは個別の濃度で存在することができる。
【0043】
いくつかの実施形態において、組成物は、抗酸化剤を含んでよい。このような抗酸化剤は、例えば、ブチル化ヒドロキシトルエン、アスコルビン酸、アスコルビン酸パルミチン酸塩、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,4,5-トリヒドロキシブチロフェノン、4-ヒドロキシメチル-2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、エリトルビン酸、グアーガム、没食子酸プロピル、チオジプロピオン酸、チオジプロピオン酸ジラウリル、tert-ブチルヒドロキノン、トコフェロール等及びその薬学的に許容される塩又はそのエステル又はその組み合わせであってもよい。抗酸化剤は、合計の組成物の約0.01%(w/w)~約1%(w/w)又はこの例の範囲に含まれる任意の個別の濃度で存在することができる。
【0044】
いくつかの実施形態において、組成物は、例えば、合計の組成物の約3%(w/w)~約10%(w/w)の濃度で、様々なモノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド及びその混合物を含む乳化剤を含んでもよい。
【0045】
いくつかの実施形態において、組成物は、皮膚に鎮静、滑らかさ、保湿を提供し、又は皮膚を保護する保水剤をさらに含んでもよい。保水剤は、限定されないが、例えば、カラミン、ドデシル硫酸塩、ドデシル硫酸ナトリウム(SLS)、モノオレート、モノラウレート、モノラウレート、モノパルミテート等のポリソルビタンのポリオキシエチレンエステル、ソルビタンのエステル、ポリオキシエチレンエーテル、ジオクチルスルホコハク酸(the sodium dioctylsulphosuccinate)(DOSS)、レシチン、及びドキュセートナトリウムであってもよい。このような組成物中の保水剤の量は、合計の組成物の約0.01%(w/w)~5%(w/w)であってもよい。
【0046】
いくつかの実施形態において、組成物は、例えば、サリチル酸メチル、コデイン、モルフィン、メサドン、ペチジン、ブプレノルフィン、ヒドロモルヒネ、レボルファノール、オキシコドン、フェンタニル、非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)等の鎮痛薬をさらに含んでもよい。このような組成物中の鎮痛薬の量は、合計の組成物の約0.01%(w/w)~5%(w/w)であってもよい。
【0047】
いくつかの実施形態において、組成物は、例えば、パパイン/尿素、ペルーバルサム/ヒマシ油/トリプシン、銅クロロフィリン複合体/パパイン/尿素、コラゲナーゼ等及びその組み合わせ等の局所創傷清拭薬をさらに含んでもよい。このような組成物中の創傷清拭薬の量は、合計の組成物の約0.01%(w/w)~5%(w/w)であってもよい。
【0048】
いくつかの実施形態において、組成物は、例えば、尿素、乳酸アンモニウム、サリチル酸/尿素、ビタミンA、D及びE、乳酸アンモニウム/プラモキシン、ビタミンA及びD、デクスパンテノール、乳酸アンモニウム/尿素、サリチル酸/尿素、アロエベラ、ラノリン等及びその組み合わせをさらに含んでもよい。このような組成物中の皮膚軟化薬の量は、合計の組成物の約0.01%(w/w)~5%(w/w)であってもよい。
【0049】
クリーム基剤は、当業者に周知の通常の技術によって調製することができる。一般的に、適切な工程は、都合のよい任意の順序で適切な相対量のクリームの様々な成分を混合し、その後、必要であれば、pHを最終の所望の値に調整することを含む。例えば、基剤の成分は、乳液が形成されるまで、約65℃~約75℃の温度で一緒に混合してもよく、治療薬は、乳化したクリーム基剤を冷却した後、又は混合の間に追加してもよい。
【0050】
本発明のその他の実施形態は、前述の組成物を投与することによって、皮膚疾患及び皮膚病変を治療する方法を含む。様々な実施形態の方法は、前述の様々な実施形態の組成物を、治療を必要とする対象の皮膚疾患又は皮膚病変の場所に投与するステップを含んでもよい。例えば、投与ステップは、実施形態の組成物を、治療を必要とする患者の皮膚に適用することを含むことができる。投与ステップは、様々な手段によって実行することができる。例えば、投与は、感染した対象の皮膚に組成物を適用することによって達成することができ、いくつかの実施形態において、皮膚をマッサージし、又は擦って、患部の接触を促進してもよい。いくつかの実施形態において、投与ステップは、1日に1回、2回、3回、4回以上実行することができ、1週間~6か月間、又は症状が治まるまで、1日に所定の回数で投与することができる。いくつかの実施形態において、治療の約7日以内に1つ以上の症状の改善を観察することができ、特定の実施形態において、初回の治療から約1日、約2日、約3日、約4日、約5日又は約6日以内に1つ以上の症状の改善を観察することができる。
【0051】
当該技術分野で周知のように、特定の投与手段は、製剤の特性の成分の使用を必要とすることがある。このような成分は前述されており、組成物に適切に組み込むことができる。
【実施例】
【0052】
本発明は、その特定の好ましい実施形態を参照して、かなり詳細に記載されているが、その他の説明も可能である。したがって、添付の請求項の趣旨及び範囲は、本明細書に含まれる記載及び好ましい説明に限定されるべきではない。本発明の様々な態様を以下の非限定な例を参照して説明する。
実施例1
【0053】
【0054】
実施例2
錠剤からのシロリムスの調製
必要な数の錠剤を容器から取り出し、エタノールを使用して外側の腸溶コーティング層を除去する。錠剤を精製水でビーカーに移し、攪拌して錠剤上の糖コーティングを除去する。篩を使用して核を回収し、ペーパータオルに移す。核を粉砕して、微粉末を調製する。プロピレングリコール又はベンジルアルコールを、混合しながら粉末になった核に少しずつ加えて、シロリムスクリームを製造する。軟膏ミルをその後使用して、最終調製物のザラザラ感を無くす。
【0055】
実施例3
先天性弁膜異常のためのシロリムスの局所使用
青年女性は、誕生以来、大腿に比例的に成長した先天性弁膜異常を示した。この異常は、硬いが、不連続な赤から紫色のプラークを焦点の厚い出血性外被で覆われた、圧縮性の皮下の約9.5cm×8.0cmの濃紺の塊であった。磁気共鳴画像法及び静脈造影は、筋肉内拡張のない、視覚化できる流れる静脈のない5.3cm×1.6cm×5.3cmの皮下の低流量の静脈のリンパの奇形を明らかにした。患者は、リポソーム基剤中の局所1%のシロリムス化合物を患部に1日2回適用することで治療を受けた。塗布から2か月後に症状及び痛みを伴うエピソードが著しく減少した。副作用が報告されないまま、色が明るくなり、病変が薄くなり、出血及び全体の外被が減少した。
【0056】
実施例4
毛包上皮腫の管理のためのシロリムスの局所使用
毛包上皮腫の再発歴を有する8歳の少女は、副鼻から始まり、両側の頬及び内眼角にまで拡がった2~4mmの大きさの皮膚の色の丘疹を示した。昔からあるCO2フラクショナルレーザーアブレーションを使用した全体的な顔のアブレーションを繰り返していたが、効果はなかった。レーザーアブレーション療法を繰り返した後、患者は、局所シロリムス1%クリームを患部に1日2回適用することで治療を受けた。治療から1年後、副作用が報告されないまま、非常に限定的な再増殖を観察した。
【0057】
この少女の6歳の弟も毛包上皮腫を発症し、レーザー治療の前病歴のない患部に局所シロリムス1%クリームを適用することで治療を受けた。治療の7か月後に、副作用が報告されないまま、非常に限定的な再増殖及び疾患の進行を観察した。
【0058】
これらの研究は、局所シロリムス単独又はレーザーアブレーションとの組み合わせが多発性毛包上皮腫の急速な進行を防ぐことができることを示唆している。
【国際調査報告】