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特表2022-511344エラストマー物品製造のシステムと方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-31
(54)【発明の名称】エラストマー物品製造のシステムと方法
(51)【国際特許分類】
   A41D 19/04 20060101AFI20220124BHJP
【FI】
A41D19/04 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021516627
(86)(22)【出願日】2019-09-30
(85)【翻訳文提出日】2021-04-05
(86)【国際出願番号】 US2019053812
(87)【国際公開番号】W WO2020069503
(87)【国際公開日】2020-04-02
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397037834
【氏名又は名称】アレジアンス、コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】クア、 フイ グァン
(72)【発明者】
【氏名】ケド、 ファン ファト
(72)【発明者】
【氏名】リム、 スィー ファ
【テーマコード(参考)】
3B033
【Fターム(参考)】
3B033AC03
3B033BA00
3B033BA01
(57)【要約】
エラストマー物品処理システムが、原動機により駆動されるコンベアチェーンと、エラストマー物品を受容及び支持するべく構成される取り付けマンドレルとを含む。取り付けマンドレルはコンベアチェーンに結合される。取り付けマンドレルは、エラストマー物品を支持するべく構成されるアームと、エラストマー物品の印刷エリアを露出させるべくエラストマー物品の一部分に係合する可動係合部材と、印刷エリアを支持するべくエラストマー物品に係合するアンビルとを含む。エラストマー物品処理システムはまた、印刷エリアにマーキングを適用するべく構成されるプリンタと、エラストマー物品が取り付けマンドレルにおいて支持されている間にエラストマー物品を裏返すべく構成される手袋裏返しデバイスとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エラストマー物品を処理するシステムであって、
前記物品は、
第1面及び第2面と、
前記第1面の少なくとも一部分が第1内部空間を画定して前記第2面の少なくとも一部分が前記第1内部空間から外方を向く第1構成と、
前記第2面の少なくとも一部分が第2内部空間を画定して前記第1面の少なくとも一部分が前記第2内部空間から外方を向く第2構成と
を有し、
前記エラストマー物品処理システムは、
コンベアチェーンと、
前記コンベアチェーンに結合される取り付けマンドレルであって、前記第1構成及び前記第2構成において前記エラストマー物品を支持するべく構成されるアームを含む取り付けマンドレルと、
前記物品が前記アームによって支持されている間に前記第1構成から前記第2構成へと前記エラストマー物品の少なくとも一部分を裏返すべく構成される裏返しデバイスと
を含む、システム。
【請求項2】
前記アームは、前記物品が前記第1構成にあるときに前記エラストマー物品の第1面に係合して前記物品を支持するべく構成される、請求項1のシステム。
【請求項3】
前記アームは、前記物品が前記第1構成及び前記第2構成にあるときに前記エラストマー物品の第1面に係合するべく構成される、請求項2のシステム。
【請求項4】
前記取り付けマンドレルの前記アームは第1アームであり、
前記取り付けマンドレルは第2アームを含み、
前記第1アーム及び前記第2アームは、前記エラストマー物品を受容する係合解除位置と、前記エラストマー物品に係合する係合位置とを有する、請求項1のシステム。
【請求項5】
前記第1アームと前記第2アームとは、前記係合解除位置において第1長さだけ離れ、前記係合位置において前記第1長さよりも長い第2長さだけ離れる、請求項4のシステム。
【請求項6】
前記第1アーム及び前記第2アームは、前記係合位置において前記エラストマー物品の開口を拡大するように構成される、請求項5のシステム。
【請求項7】
前記エラストマー物品は、前記裏返しデバイスが前記エラストマー物品の少なくとも一部分を前記第1構成から前記第2構成へと裏返すときに前記エラストマー物品の少なくとも一部分が通り抜ける開口を画定する、請求項1のシステム。
【請求項8】
前記裏返しデバイスが前記エラストマー物品の少なくとも一部分を前記第1構成から前記第2構成へと裏返すときに前記エラストマー物品の一部分に係合して前記物品の開口を拡大するように構成される可動係合部材をさらに含む、請求項1のシステム。
【請求項9】
前記裏返しデバイスは、前記エラストマー物品に加圧エアを向けるエアジェットを含む、請求項1のシステム。
【請求項10】
前記エラストマー物品は手袋であり、
前記第1アーム及び前記第2アームは前記手袋の手首部分に係合する、請求項1のシステム。
【請求項11】
エラストマー物品を処理する方法であって、
第1構成にある前記エラストマー物品を取り付けマンドレルに取り付けることと、
前記エラストマー物品の一部分を前記取り付けマンドレルのアームに係合させることと、
前記アームが前記エラストマー物品に係合している間に前記エラストマー物品の少なくとも一部分に、前記エラストマー物品の開口を通り抜けさせて、前記エラストマー物品を少なくとも部分的に第2構成に裏返すことと、
前記エラストマー物品を少なくとも部分的に裏返した後に前記アームを前記エラストマー物品から係合解除することと
を含む、方法。
【請求項12】
前記エラストマー物品の開口を拡大させるべく可動係合部材を動作させることにより、前記エラストマー物品の少なくとも一部分が前記開口を通り抜ける間に前記開口が拡大されることをさらに含む、請求項11の方法。
【請求項13】
前記可動係合部材を動作させることは、前記アームにより画定される軸に平行な方向に沿って前記可動係合部材を直線的に変位させることにより、前記エラストマー物品の一部分を前記マンドレルから離れるように変位させることを含む、請求項12の方法。
【請求項14】
前記エラストマー物品は第1面及び第2面を含み、
前記第2面は、前記エラストマー物品が前記第1構成にあるときに外方を向き、
前記第1面は、前記エラストマー物品が前記第2構成にあるときに外方を向く、請求項11の方法。
【請求項15】
前記エラストマー物品の少なくとも一部分を裏返すことは、エアジェットからの加圧エアを前記エラストマー物品に適用することを含む、請求項11の方法。
【請求項16】
前記エラストマー物品は手袋であり、
前記エラストマー物品を裏返すことは、前記手袋に折り返しを形成することを含む、請求項11の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、全体が参照によりここに組み入れられる2018年9月25日に出願された米国特許出願第16/141,346号の利益を主張する。
【0002】
本開示のシステム及び方法は製造プロセス及びシステムに関し、詳しくは、エラストマー物品のための製造プロセス及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
現在のところ、特定のエラストマー物品及びポリマーラテックス物品(例えば病院及び他の医療施設で使用される手術用又は検査用手袋、作業用手袋、コンドーム、カテーテル、バルーン等)の製造は典型的に2つの主要プロセス、すなわち(一次製造プロセスとしても知られる)オンラインディッピング又は形成プラットフォームプロセス及び(二次製造プロセスとしても知られる)オフライン処理を含む。これらのプロセスは最終処理及び梱包の前に行われる。
【0004】
主要製造プロセスにおいて、エラストマー物品は複数のモールドを使用して形成され、これらのモールドは、例えば、クリーニング、ディッピング及び硬化プロセスを受ける。これらのプロセスが完了した後、エラストマー物品は、人間のオペレータによってモールドからストリップされる(すなわち除去される)。人間のオペレータは手動で(機械の補助あり又はなしで)エラストマー物品をストリップし、又は所定の場合においては自動化されたストリップ機械を使用する。エラストマー物品がモールドからストリップされた後、エラストマー物品は、一以上のオフライン表面処置プロセス(すなわち二次処理)を受ける。例えば、エラストマー物品は、オフライン塩素処理プロセスを受け得る。このプロセスは、塩素処理、潤滑化、及び回転ドラム乾燥を含み得る。付加的なプロセスには、品質及び完全性試験、並びに、例えばロット番号、日付等を示すためのインクマーキングが含まれ得る。いくつかの場合においてエラストマー物品は、梱包を容易にするべく裏返され及び/又は平坦化され、いくつかの場合においてエラストマー物品は、梱包の前に折り返される。例えば、手術用手袋は、手袋の手首部分及び/又は手のひら部分のすべて又は一部が裏返されてから当該手袋の手のひら部分が、又は手のひら部分及び指部分の双方が、折り畳まれるように操作され、当該手袋の無菌着用が容易にされる。その後、完成したエラストマー物品は、流通を目的として梱包される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願第2016/0374416(A1)号明細書
【発明の概要】
【0006】
本発明は、一側面において、原動機により駆動されるコンベアチェーン又はベルトと、エラストマー物品を受容して支持するべく構成される取り付けマンドレルとを含むエラストマー物品処理システムを与える。取り付けマンドレルはコンベアチェーンに結合される。取り付けマンドレルは、エラストマー物品を支持するべく構成される一以上のアームと、当該エラストマー物品の印刷エリアを露出させるべく当該エラストマー物品の一部分に係合して当該第1部分を操作する第1可動係合部材と、当該印刷面を支持するべく当該エラストマー物品に係合するアンビルとを含む。システムは、印刷面にマーキングを適用するべく構成されるプリンタと、エラストマー物品が取り付けマンドレルに支持される間に当該エラストマー物品の少なくとも一部分を裏返し又は折り返すべく構成される裏返しデバイス及び/又は折り返しデバイスとを含んでよい。システムはまた、裏返しプロセス及び/又は折り返しプロセスの間にエラストマー物品の開口を拡大するべく当該エラストマー物品の一部分に係合して当該一部分を操作する第2可動係合部材も含んでよい。システムはまた、空気又は他の気体若しくは液体をエラストマー物品に適用するべく構成されるデバイスを含んでよい。これにより、裏返しプロセス及び/又は折り返しプロセス中にエラストマー物品が取り付けマンドレルに支持されている間に、当該エラストマー物品のすべて又は一部分が裏返しになって当該エラストマー物品の開口を通過することが引き起こされる。システムはまた、梱包装置に受容可能となるようにエラストマー物品を配置するべく構成される。
【0007】
他側面において、本開示は、アーム及び第1可動係合部材を有する取り付けマンドレルを使用してエラストマー物品を製造する方法を与える。方法は、取り付けマンドレルにおいてエラストマー物品を裏返された位置に取り付けることを含んでよい。方法はまた、印刷面を露出させるべくエラストマー物品の一部分を変位させるように第1可動係合部材を動作させることを含んでよい。方法はさらに、印刷面を支持するようにエラストマー物品をアンビルに係合させることを含んでよい。方法はまた、係合部材によって印刷面が露出されている間に当該印刷面にマーキングを、プリンタを介して印刷することを含んでよい。方法はまた、エラストマー物品が取り付けマンドレルに支持されている間、印刷の後に当該エラストマー物品を裏返す及び/又は折り返すことを含んでよい。方法はまた、裏返しプロセス及び/又は折り返しプロセス中にエラストマー物品が取り付けマンドレルに支持されている間、エラストマー物品の開口を拡大させるべく、当該エラストマー物品の一部分を変位させるように第2可動係合部材を動作させることも含んでよい。方法はまた、裏返しプロセス及び/又は折り返しプロセス中にエラストマー物品が取り付けマンドレルに支持されている間、当該エラストマー物品のすべて又は一部分が当該エラストマー物品の開口を通過することにより裏返るようにするべく、強制される空気若しくは他の気体又は液体の当該エラストマー物品への適用を引き起こすことを含んでよい。方法はまた、梱包装置により受容可能となるようにエラストマー物品を位置決めすることを含んでよい。
【0008】
本発明は、他側面において、エラストマー物品処理システムのコンベアチェーンにおいてエラストマー物品を支持する取り付けマンドレルを与える。取り付けマンドレルは、コンベアチェーンに結合されるべく構成されるポストと、当該ポストに結合されるフレームとを含んでよく、当該ポストに結合されるアンビルアセンブリを含んでよい。フレームは、エラストマー物品の第1部分に係合して当該第1部分を操作するべく構成される第1アームと、当該第1アームから離間されて当該エラストマー物品の第2部分に係合するべく構成される第2アームと、当該エラストマー物品の第3部分の変位をもたらすべく構成される第1係合部材とを含む。アンビルアセンブリは、エラストマー物品の第4部分に係合して当該第4部分を操作するべく構成されるアンビルを含んでよい。フレームはまた、折り返しプロセス中に手袋の手受容開口を拡大させるべく当該手袋の第5部分に係合して当該第5部分を操作する第2係合部材も含んでよい。取り付けマンドレルはまた、梱包装置に受容可能となるようにエラストマー物品を配置するべく構成される。
【0009】
本発明の他の特徴及び側面が、以下の詳細な説明及び添付図面を考慮することにより明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示に係るエラストマー物品処理システムの一実施形態の斜視図である。
図2】エラストマー物品処理システムの取り付けマンドレルの斜視図である。
図3図2の取り付けマンドレルの上面図である。
図4図2の取り付けマンドレルの正面図である。
図5図2の取り付けマンドレルの側面図である。
図6】一の暴露構成にある間のエラストマー物品処理システムの取り付けマンドレルの斜視図である。
図7】他の暴露構成にある間のエラストマー物品処理システムの取り付けマンドレルの斜視図である。
図8】印刷構成にある間のエラストマー物品処理システムの取り付けマンドレルの斜視図である。
図9A】係合解除位置にある取り付けマンドレルの一部分の底面図である。
図9B】係合位置にある取り付けマンドレルの一部分の底面図である。
図10A-C】様々な処理位置にあるエラストマー手袋の斜視図である。
図11】エラストマー物品処理システムの模式的上面図である。
図12】取り付けマンドレルが取り付けエリアにあるエラストマー物品処理システムの斜視図である。
図13】取り付けマンドレルが第1遷移エリアにあるエラストマー物品処理システムの斜視図である。
図14】取り付けマンドレルが把持エリアにあるエラストマー物品処理システムの斜視図である。
図15】取り付けマンドレルが第2遷移エリアにあるエラストマー物品処理システムの斜視図である。
図16】取り付けマンドレルが暴露エリアにあるエラストマー物品処理システムの斜視図である。
図17】取り付けマンドレルが第3遷移エリアにあるエラストマー物品処理システムの斜視図である。
図18】取り付けマンドレルが印刷エリアにあるエラストマー物品処理システムの斜視図である。
図19】取り付けマンドレルが検査エリアにあるエラストマー物品処理システムの斜視図である。
図20】取り付けマンドレルが第4遷移エリアにあるエラストマー物品処理システムの斜視図である。
図21】取り付けマンドレルが裏返しエリアにあるエラストマー物品処理システムの斜視図である。
図22】取り付けマンドレルが第5遷移エリアにあるエラストマー物品処理システムの斜視図である。
図23】取り付けマンドレルが装填解除エリアにあるエラストマー物品処理システムの斜視図である。
図24図1のエラストマー物品処理システムを使用してエラストマー物品を製造する方法のフローチャートである。
【0011】
理解すべきことだが、図面は本開示のシステム及び方法の典型実施形態の、図式的かつ模式的な表現であり、限定的ではなく、必ずしも縮尺通りに描かれているわけでもない。
【発明を実施するための形態】
【0012】
添付図面に関連して以下に記載される詳細な説明は、様々な構成の記載として意図されており、ここに記載される概念を実施することができる唯一の構成を表すことは意図されていない。詳細な説明は、様々な概念の完全な理解を与える目的のための特定の詳細を含む。しかしながら、これらの概念が、これらの特定の詳細なしで実施できることは当業者にとって明らかである。
【0013】
ここに開示されるシステム及びデバイスの様々な側面が、一緒に接続され、結合され、取り付けられ、接着され、及び/又は接合されるコンポーネントを記載することによって示され得る。ここで使用されるように、「接続」、「結合」、「取り付け」、「接着」、及び/又は「接合」との用語は、2つのコンポーネント間の直接的な接続、又は、適切な場合に、介在若しくは中間コンポーネントを介した互いの間接的な接続のいずれかを示すべく、交換可能に使用される。加えて、特に指定されない限り、これらの用語は、2つのコンポーネント間に一以上の自由度が剛体的に拘束されない接続(例えば枢動接続、並進接続、枢動かつ並進接続、弾性接続、可撓性接続等)、又は2つのコンポーネント間ですべての自由度が拘束され若しくは実質的に拘束される剛体的な若しくは実質的に剛体的な接続を示すべく、交換可能に使用される。
【0014】
図面に示される一の要素の他の要素との関係を記載するべく、ここでは「下側」又は「下」、「上側」又は「上」、及び「垂直」又は「水平」のような相対的な用語が使用され得る。理解されることだが、相対的な用語は、図面に描かれる配向に加えてシステム及びデバイスの異なる配向も包括することを意図する。一例として、図面に示されるコネクタの側面がひっくり返される場合、他の要素の「下」側にあると記載される要素は、関連する図面に示される他の要素の「上」側に配向される。したがって、用語「下」は、図面の特定の配向に応じて「下」及び「上」の双方の配向を包括し得る。ここで、同じ構造物が同じ参照指定により与えられる図を参照する。
【0015】
本開示に係るエラストマー物品処理システム一実施形態が図1に示される。エラストマー物品処理システム100は、エラストマー物品(例えばエラストマー手袋、コンドーム、バルーンカテーテル等)のための製造プロセスの一部分を達成するべく構成される。エラストマー物品処理システム100はコンベアデバイス104を含む。コンベアデバイス104は、エラストマー物品を受容、支持及び操作する複数の取り付けマンドレル108を含む。以下に詳述されるが、エラストマー物品処理システム100の一例が、手袋370のための処理システムを与える。ここでは、手袋370がマーキングされ、裏返され、及び折り返される。
【0016】
図1を参照すると、エラストマー物品処理システム100は、一対の離間されたコンベアチェーン112、116(例えばループ状コンベアチェーン)を有するコンベアデバイス104を含む。図示される実施形態において、コンベアチェーン112、116は、上側コンベアチェーン及び下側コンベアチェーンである。コンベアチェーン112、116は、コンベアチェーン112、116の経路に沿って延びる溝付き支承面に沿って動くローラベアリング上のコンベア本体120に沿って駆動される。電気モータのような少なくとも一つの原動機又は駆動ユニット124が、コンベアチェーン112、116の動きを制御するトランスミッションを介してコンベアチェーン112、116に動作可能に結合される。手袋370を受容、支持及び操作する複数の取り付けマンドレル108が、規則的な間隔でコンベアチェーン112、116に結合され、それとともに動く。
【0017】
続いて図1を参照すると、コンベアデバイス104はまた、アーム作動カム面128、第1係合部材作動カム面132、第2係合部材作動カム面134、及びアンビル作動カム面136も含む。これらは、コンベア本体120に、外面まわりの離散したロケーションで固定的に結合される。アーム作動カム面128、第1係合部材作動カム面132、第2係合部材作動カム面134、及びアンビル作動カム面136はそれぞれが、複数のマンドレル108それぞれの部分に動作可能に係合する。
【0018】
アーム作動カム面128は、コンベア本体120の少なくとも一部分まわりにおいて、コンベアチェーン112、116それぞれに一般に平行だが離間する方向に延びる。アーム作動カム面128は、ローラベアリングのようなカムフォロワに係合して当該カムフォロワを支持するサイズ及び形状とされる。図12図23に示されるように、アーム作動カム面128は、一般に滑らかな表面であり、第1直線部分140、第1傾斜部分144、第2直線部分148、第2傾斜部分152及び第3直線部分156を含む。第1直線部分140はコンベア本体120から第1距離に設けられ、第2直線部分148はコンベア本体120から、第1距離よりも遠い第2距離に設けられ、第3直線部分156はコンベア本体120から、実質的に第1距離と等しい第3距離に設けられる。第1傾斜部分144は第1直線部分140及び第2直線部分148と滑らかに相互接続し、第2傾斜部分152は、アーム作動カム面128が連続面となるように第2直線部分148及び第3直線部分156と相互接続する。アーム作動カム面128は、第1直線部分140及び第3直線部分156が連続するように完全にコンベア本体120のまわりに延びてよい。
【0019】
第1係合部材作動カム面132及び第2係合部材作動カム面134はそれぞれが、コンベア本体120の少なくとも一部分まわりに、コンベアチェーン112、116及びアーム作動カム面128に平行だが離間する方向に延びる。図示される実施形態において、係合部材作動カム面132、134は、コンベアチェーン112、116の一方(例えば上側コンベアチェーン112)とアーム作動カム面128との間に設けられるが、この実施形態において、第1係合部材作動カム面132はアーム作動カム面128の上方に配置され、第2係合部材作動カム面134はアーム作動カム面128の下方に配置される。係合部材作動カム面132、134は、図示されるローラベアリング340、342のようなローラベアリングに係合してこれを支持するサイズ及び形状とされる。続いて図12図23を参照すると、図示される第1係合部材作動カム面132は一般に滑らかな表面であり、第1直線部分160、第1傾斜部分164、第2直線部分168、第2傾斜部分172及び第3直線部分176を含む。第1直線部分160はコンベア本体120から第1距離に設けられ、第2直線部分168はコンベア本体120から、第1距離よりも遠い第2距離に設けられ、第3直線部分176はコンベア本体120から、実質的に第1距離と等しい第3距離に設けられる。第1傾斜部分164は第1直線部分160及び第2直線部分168と滑らかに相互接続し、第2傾斜部分172は、第1係合部材作動カム面132が連続面となるように第2直線部分168及び第3直線部分176と相互接続する。図示される第2係合部材作動カム面134は一般に滑らかな表面であり、第1直線部分162、第1傾斜部分166、第2直線部分170、第2傾斜部分174及び第3直線部分178を含む。第1直線部分162はコンベア本体120から第1距離に設けられ、第2直線部分170はコンベア本体120から、第1距離よりも遠い第2距離に設けられ、第3直線部分178はコンベア本体120から、実質的に第1距離と等しい第3距離に設けられる。第1傾斜部分166は第1直線部分162及び第2直線部分170と滑らかに相互接続し、第2傾斜部分174は、第2係合部材作動カム面134が連続面となるように第2直線部分170及び第3直線部分178と相互接続する。第1係合部材作動カム面132及び第2係合部材作動カム面134は、第1直線部分160、162及び第3直線部分176、178が連続するように完全にコンベア本体120のまわりに延びてよい。
【0020】
アンビル作動カム面136は、コンベア本体120の少なくとも一部分まわりに、コンベアチェーン112、116、アーム作動カム面128及び係合部材作動カム面132、134のそれぞれに平行だが離間する方向に延びる。図示される実施形態において、アンビル作動カム面136は、コンベアチェーン112、116の一方(例えば下側コンベアチェーン116)とアーム作動カム面128との間に設けられる。アンビル作動カム面136は、ローラベアリングに係合してこれを支持するサイズ及び形状とされた一般に滑らかな表面である。アンビル作動カム面136のカム面は、アーム作動カム面128及び係合部材作動カム面132、134のカム面に対して一般に垂直に設けられる。続いて図12図23を参照すると、図示されるアンビル作動カム面136は、第1直線部分180、第1傾斜部分184、第2直線部分188、第2傾斜部分192及び第3直線部分196を含む。第1直線部分180は基準平面(例えば地面)から第1距離に設けられ、第2直線部分188は基準平面から、第1距離よりも遠い第2距離に設けられ、第3直線部分196は基準平面から、実質的に第1距離と等しい第3距離に設けられる。第1傾斜部分184は第1直線部分180及び第2直線部分188と滑らかに相互接続し、第2傾斜部分192は、アンビル作動カム面136が連続面となるように第2直線部分188及び第3直線部分196と相互接続する。アンビル作動カム面132、134は、第1直線部分180と第3直線部分196とが連続するように完全にコンベア本体120のまわりに延びてよい。
【0021】
図1に戻ると、エラストマー物品処理システム100は、複数の製造ステーション又は処理ステーションを通る移動のためにコンベアチェーン112、116に結合される取り付けマンドレル108を含む。処理ステーションは、取り付けエリア200、手袋370にマーキングを適用するプリンタ208を有するマーキングエリア204、検査エリア212、手袋裏返しデバイス220を有する裏返し又は折り返しエリア216、及び装填解除エリア224を含む。プリンタ208及び手袋裏返しデバイス220はそれぞれが、コンベアデバイス104に直接支持され、又はコンベアデバイス104から独立してよい。
【0022】
取り付けエリア200は、一般にコンベア本体120の一セクションに沿うように画定される。このセクションでは、アーム作動カム面128の第1直線部分140の少なくとも一部、アンビル作動カム面136の第1直線部分180、第1係合部材作動カム面132の第1直線部分160、及び第2係合部材作動カム面134の第1直線部分162が重なる(図12参照)。取り付けエリア200は、手袋370が(例えば手動で又は自動化されたデバイスを介してのいずれにより)マンドレル108に取り付けられるエリアである。
【0023】
マーキングエリア204は、取り付けエリア200からの下りラインであり、一般にコンベア本体120の一セクションに沿うように画定される。このセクションでは、アーム作動カム面128の第2直線部分148の少なくとも一部、第1係合部材作動カム面132の第2直線部分168、第2係合部材作動カム面134の第1直線部分162、及びアンビル作動カム面136の第2直線部分188が重なる(図18参照)。マーキングエリア204は、手袋370が、例えばサイズ、ロット番号又は他のマーキング若しくはマーキングセットをプリンタ208によってマーキングされるエリアである。
【0024】
マーキングエリア212は、マーキングエリア204からの下りラインであり、一般にコンベア本体120の一セクションに沿うように画定される。このセクションは、アーム作動カム面128の第2直線部分148の少なくとも他の一部を含み、第1係合部材作動カム面132の第2直線部分168、第2係合部材作動カム面134の第1直線部分162、及びアンビル作動カム面136の第2直線部分188が重なる(図19参照)。検査エリア212は、プリンタ208によりなされたマーキングを、(例えば手動で、又は自動化された視覚検査若しくはスキャニングのデバイス210を介して)品質及び精度を求めて検査することができる場所である。
【0025】
裏返し又は折り返しエリア216は、検査エリア212からの下りラインであり、一般にコンベア本体120の一セクションに沿うように画定される。このセクションでは、アーム作動カム面128の第2直線部分148、第1係合部材作動カム面132の第3直線部分176、第2係合部材作動カム面134の第2直線部分162、アンビル作動カム面136の第3直線部分196が重なる(図21参照)。裏返しエリア216は、手袋370が、手袋裏返しデバイス220によって少なくとも部分的に裏返されるのと同時に当該手袋に折り返しが形成される場所である。
【0026】
装填解除エリア224は、裏返しエリア216からの下りラインであり、一般にコンベア本体120の一セクションに沿うように画定される。このセクションでは、アーム作動カム面128の第3直線部分156、第1係合部材作動カム面132の第3直線部分176、第2係合部材作動カム面134の第3直線部分162、アンビル作動カム面136の第3直線部分196が重なる(図23参照)。装填解除エリア224は、手袋370が、(例えば手動で又は自動化されたデバイスを介して)マンドレル108から除去又は取り外される場所である。
【0027】
複数の取り付けマンドレル108のうちの一つの一典型実施形態が図2図8に示される。複数の取り付けマンドレル108のうち一つのみが図示及び記載されるが、システム100に接続される各取り付けマンドレルは同様に構成されてよい。示される取り付けマンドレル108は、コンベアチェーン112、116に結合されるポスト228を含む。ポスト228は、フレーム232及びアンビルアセンブリ236を支持する。フレーム232は、ベース部材244から離れるように延びてU字形状を画定する2つの平行な支持部材240を含む。レール248が、当該2つの平行な支持部材240の間でベース部材244に沿って延びて第1アーム252及び第2アーム256を摺動可能に支持する。第1アーム252及び第2アーム256はそれぞれが、レール248に結合される支承部材270を有する第1端と、自由な第2端とを含む。自由な第2端はそれぞれが、互いに向かい合う関係の内面274と、第1アーム252及び第2アーム256それぞれの反対側にある外面又は把持面278とを含む。これらの外面278は、側方外側を向く(すなわち、フレーム232の複数の支持部材240のうちの一つの方を向く)。アーム252、256の少なくとも一部分が、手袋370をマンドレル108上で支持するべく手袋370に係合する。
【0028】
第1アーム252及び第2アーム256はそれぞれが、図9A及び図9Bに示される拡張アセンブリ282のような拡張アセンブリに結合されてよい。拡張アセンブリ282は、支持部材288によって支持される直線的に可動な入力シャフト286を含む。支持部材288は取り付けマンドレル108に結合される。入力シャフト286は、第1端のローラベアリング290と、第2端に結合された一対のブラケット294、298とを含む。ブラケット294、298はそれぞれが、支持部材288に接続される枢動ピンまわりに枢動可能である。ブラケット294、298それぞれの第1端が入力シャフト286に結合され、ブラケット294、298それぞれの第2端が第1アーム252及び第2アーム256それぞれに結合される。このようにして、フレーム232に対する入力シャフト286の直線的な変位により、ブラケット294、298の枢動が引き起こされる。これにより、入力シャフト286の動きに対して垂直な方向に、第1アーム252及び第2アーム256の摺動レール248に沿った直線的な変位がもたらされ、第1アーム252と第2アーム256とが互いから離れるように動く。すなわち、ローラベアリング290がアーム作動カム面128の第1直線部分140(図12参照)又は第3直線部分156(図23参照)に係合すると、入力シャフト286の直線的な変位により、第1アーム252と第2アーム256とが互いに近付くように動いて係合解除位置(図9A)になる。これとは逆に、ローラベアリング290がアーム作動カム面128の第2直線部分148(図14参照)に係合すると、第1アーム252と第2アーム256とが互いから離れるように動いて係合位置(図9B)になる。
【0029】
なお、図9A及び図9Bは、第1アーム252及び第2アーム256の第2端の代替実施形態を示しており、これらの第2端は、可動の第1アーム252と第2アーム256とを相互接続させる一方でこれらのアーム252、256を互いに対して動くことを許容する嵌め合いL字形状ブラケット302を含む。しかしながら、図2図8に示される取り付けマンドレル108の実施形態におけるアーム252、256の動きも、図9A及び図9Bを参照して上述したアーム252、256の動きと一般に同じである。
【0030】
様々な代替実施形態において、これらのアームの一方のみがフレームに対して可動であり、当該アームの他方はフレームに対して静止する。これにより、可動アームのフレームに対する動きによって当該アームの互いにに対する動きが達成される。様々な実施形態において、取り付けマンドレルは、2つを超えるアームを含み、これらのアームの任意の一以上が他のアームに対して可動となる。様々な実施形態において、取り付けマンドレルは、例えば、エラストマー物品の内面に係合するべく拡張するように構成される膨張可能空気袋のような、拡張可能アームを含む。
【0031】
入力シャフト286のローラベアリング290は、アーム作動カム面128に沿ったローラベアリング290の動きが、係合解除位置と係合位置との間の入力シャフト286の直線的な変位をもたらすように、アーム作動カム面128に動作可能に係合する。一実施形態において、入力シャフト286が、ローラベアリング290とアーム作動カム面128との係合を維持するべく、(例えば、ばねによって)アーム作動カム面128に向かうように付勢される。一代替実施形態において、ローラベアリング290は、ローラベアリング290とアーム作動カム面128との係合を維持するべく、アーム作動カム面128に画定されるトラック又は溝の中に受容されてよい。他代替実施形態において、入力シャフト286は、入力シャフト286の動きをもたらすべくアクチュエータ(例えばリニアアクチュエータ、ソレノイド等)に結合されてよい。
【0032】
図2図8を再び参照すると、フレーム232はまた、第1アーム252及び第2アーム256の第1側(例えば上側)に設けられる第1係合部材306と、第1アーム252及び第2アーム256の第2側(例えば下側)に設けられる第2係合部材310とを支持する。第1係合部材306及び第2係合部材310はそれぞれが、フレーム232のベース部材244の開口を貫通する一対の棒314、318を含む。これらの棒314、318はフレーム232によって支持され、当該開口を通るように自由に動くことができる。様々な実施形態において、フレーム232に対する棒314、318の並進を容易にするべく、線形ベアリングを実装してよい。係合要素322、324が、第1係合部材306及び第2係合部材310双方の棒314、318それぞれの第1端に結合される。係合要素322、324はそれぞれが、3つの離間した延長部330、334、338が直線部分326に垂直な方向に垂れ下がる直線部分326によって画定される実質的に「E」字形状の要素である。中央の延長部334が、一次手袋係合セクションを画定する。図2図8に見られるように、係合要素322、324は互いに向かい合う関係にあるので、第1アーム252及び第2アーム256は、延長部の対の間に画定される間隙を貫通し得る。様々な実施形態において、これらの係合要素は、当該係合要素がマンドレル108の他のコンポーネントの機能に干渉することなくエラストマー物品の一部分に係合してこれを操作することが許容される任意の適切な形状又は構成を有してよい。様々な実施形態において、マンドレル108は、単一の係合部材のみを含んでよく(すなわち、係合部材306、310の一方が省略されてよく)、この単一の係合部材は、手袋370の印刷エリア400を露出させることと手受容開口382を拡大させることとのいずれか又は双方を行うべく、手袋370の一以上の部分に係合してこれを操作するように構成されてよい。
【0033】
ローラベアリング340、342は、第1係合部材306及び第2係合部材310双方の棒314、318の第2端に結合される。ローラベアリング340、342は、係合部材作動カム面132、134に沿ったローラベアリング340、342の動きにより、ローラベアリング340、342が係合部材作動カム面132、134の第1直線部分160、162(図12参照)又は第3直線部分176、178(図23参照)に係合される後退位置(図2図5)と、ローラベアリング340、342が係合部材作動カム面132、134の第2直線部分168、170(図15図16参照)に係合される拡張位置(図6図8)との間での係合部材306、310の直線的な変位がもたらされるように、係合部材作動カム面132、134に動作可能に係合される。一実施形態において、係合部材306、310は、ローラベアリング340、342と係合部材作動カム面132、134との係合を維持するべく、(例えば一以上のばねによって)係合部材作動カム面132、134に向かうように付勢される。一代替実施形態において、ローラベアリング340、342のうちの一以上が、ローラベアリング340、342と係合部材作動カム面132、134との係合を維持するべく、係合部材作動カム面132、134に画定されるトラック又は溝の中に受容されてよい。他代替実施形態において、棒314、318又は係合部材306、310が、入力シャフト棒314、318及び/又は係合部材306、310の動きをもたらすべく、一以上のアクチュエータ(例えばリニアアクチュエータ、ソレノイド等)に結合されてよい。
【0034】
続いて図2図8を参照すると、アンビルアセンブリ236が、ポスト228に固定的に結合される支持構造物344を含む。この支持構造物は、アンビル356が第1端に固定されてローラベアリング360が第2端に固定されるロッド352を摺動可能に支持する押し出しレール348を含む。アンビル356は、例えば印刷中に手袋370の一部分を支持するべく、選択的に手袋370に係合する一般に平坦な又は滑らかな表面366を含む。
【0035】
ローラベアリング360は、アンビル作動カム面136に沿ったローラベアリング360の動きにより、ローラベアリング360がアンビル作動カム面136の第1直線部分180(図12参照)又は第3直線部分196(図23参照)に係合する係合解除位置(図2図7)と、ローラベアリング360がアンビル作動カム面136の第2直線部分188(図18参照)に係合する係合位置(図8)との間でのアンビル356の直線的な変位がもたらされるように、アンビル作動カム面136に動作可能に係合される。一実施形態において、アンビル356は、ローラベアリング360とアンビル作動カム面136との係合を維持するべく、(例えば、ばねによって)アンビル作動カム面136に向かうように付勢される。一代替実施形態において、ローラベアリング360は、ローラベアリング360とアンビル作動カム面136との係合を維持するべく、アンビル作動カム面136に画定されるトラック又は溝の中に受容されてよい。他代替実施形態において、ロッド352は、ロッド352の動きをもたらすべくアクチュエータ(例えばリニアアクチュエータ、ソレノイド等)に結合されてよい。さらなる他実施形態において、ロッド352及びアンビル356の重量を、ローラベアリング360とアンビル作動カム面136との係合を維持するのに十分としてよい。
【0036】
図10A図10Cは、エラストマー物品処理システム100によって処理される手袋370を詳細に示す。手袋370は、内側374(すなわち着用側)、外側378及び手受容開口382を含む。手袋370はまた、折り返し又は手首部分386、手のひら部分390、及び指部分394に分割される。マーキング(例えば製品マーキング、ブランドマーキング及び/又はシリアル番号等)を受容する印刷エリア400が、手首部分386に画定される。
【0037】
続いて図10A図10Cを参照すると、手袋370は、内側374が外方を向く裏返し又は装填位置(図10A)と、外側378が外方を向いて手首部分386が手のひら位置390及び指位置394に向かって折られ、折り返しを形成する内側374の一部分が露出される標準又は梱包位置(図10C)との間で、エラストマー物品処理システム100によって(例えば取り付けマンドレル108によって)可動である。裏返し装填位置と標準位置との間で、手袋370は、中間又は印刷位置(図10B)へと操作される。中間又は印刷位置において、手袋370は裏返されているが、手首位置386の一セクションが(例えば取り付けマンドレル108によって)手のひら部分390及び指部分394に向けて変位され、(この裏返し配向において手袋370の「内側」にある)印刷エリア400が露出される。
【0038】
図11を参照すると、エラストマー物品処理システム100は、取り付けエリア200、第1遷移エリア398、把持エリア402、第2遷移エリア406、暴露エリア410、第3遷移エリア414、マーキングエリア204、検査エリア212、第4遷移エリア418、裏返しエリア216、第5遷移エリア422及び装填解除エリア224を含む。マンドレル108を支持するコンベアチェーン112、116の連続的な性質ゆえに、いずれかの所与の時刻において多数のマンドレル108が、取り付けエリア200、把持エリア402、暴露エリア410、マーキングエリア204、検査エリア212、裏返しエリア216及び装填解除エリア224のそれぞれを占める。しかしながら、取り付けエリア200、第1遷移エリア398、把持エリア402、第2遷移エリア406、暴露エリア410、第3遷移エリア414、マーキングエリア204、検査エリア212、第4遷移エリア418、裏返しエリア216、第5遷移エリア422及び装填解除エリア224のそれぞれにおけるマンドレル108の構成は、各取り付けマンドレルのロケーションに応じて変化してよい。すなわち、アーム252、256、係合部材306、310、及びアンビル356の一以上を、取り付けエリア200、第1遷移エリア398、把持エリア402、第2遷移エリア406、暴露エリア410、第3遷移エリア414、マーキングエリア204、検査エリア212、第4遷移エリア418、裏返しエリア216、第5遷移エリア422及び装填解除エリア224のそれぞれにおいて、様々な異なる位置まで動かしてよい。
【0039】
図12を参照すると、取り付けエリア200において、マンドレル108が装填構成にある。装填構成において、アンビル356は係合解除位置にあり、係合部材306、310は後退位置にあり、第1アーム252及び第2アーム256は係合解除位置にある。第1アーム252及び第2アーム256の係合解除位置は、手袋370を第1及び第2アーム256に配置すること(すなわち第1アーム252及び第2アーム256が手袋370の手受容開口382の中に挿入可能となること)により、手袋370のマンドレル108への装填を容易にする。
【0040】
図13を参照すると、第1遷移エリア398において、マンドレル108は第1遷移構成にある。第1遷移構成において、アンビル356は係合解除位置にあり、係合部材306、310は後退位置にあり、第1アーム252及び第2アーム256は、ローラベアリング390とアーム作動カム面128の第1傾斜部分144との係合を介して係合解除位置から係合位置への遷移中である。
【0041】
図14を参照すると、把持エリア402において、マンドレル108は把持構成にある。把持構成において、アンビル356は係合解除位置にあり、係合部材306、310は後退位置にあり、第1アーム252及び第2アーム256は係合位置にある。第1アーム252及び第2アーム256の係合位置は、第1アーム252と第2アーム256とを互いから離間するように広げて手袋370を把持させることにより、マンドレル108における手袋370の保持を容易にする。
【0042】
図15を参照すると、第2遷移エリア406において、マンドレル108は第2遷移構成にある。第2遷移構成において、アンビル356は係合解除位置にあり、係合部材306は、ローラベアリング340と第1係合部材作動カム面132の第1傾斜部分164との係合を介して後退位置から拡張位置への遷移中であり、第2係合部材310は後退位置にあり、第1アーム252及び第2アーム256は係合位置にある。第1係合部材306が後退位置から拡張位置まで動くことにより、第1係合要素322が手袋370の手首部分386に接触するようになり、手首部分386の第1(例えば上側)セクションを、手のひら部分及び指部分へと動かし(例えば引っ張り又は押し)始めるので、印刷エリア400が露出され始める。
【0043】
図16を参照すると、暴露エリア410において、マンドレル108は暴露構成にある。暴露構成において、アンビル356は係合解除位置にあり、第1係合部材306は拡張位置にあり、第2係合部材310は後退位置にあり、第1アーム252及び第2アーム256は係合位置にある。第1係合部材306の拡張位置は、手首部分386の一セクションが、手のひら部分及び指部分に向かって変位された位置に保持されることによって、印刷エリア400を露出させる。
【0044】
図17を参照すると、第3遷移エリア414において、マンドレル108は第3遷移構成にある。第3遷移構成において、アンビル356は、ローラベアリング360と第アンビル作動カム面136の第1傾斜部分184との係合を介して係合解除位置から係合位置への遷移中であり、第1係合部材306は拡張位置にあり、第2係合部材310は後退位置にあり、第1アーム252及び第2アーム256は係合位置にある。アンビル356が係合解除位置から係合位置まで動くことにより、アンビル356は、印刷エリア400の反対側となる外側(例えば手袋370が裏返されている場合の手袋370の内側374)にある手袋370の一セクションと接触するようになる。
【0045】
図18を参照すると、マーキングエリア204において、マンドレル108はマーキング構成にある。マーキング構成において、アンビル356は係合位置にあり、第1係合部材306は拡張位置にあり、第2係合部材310は後退位置にあり、第1アーム252及び第2アーム256は係合位置にある。アンビル356の係合位置により、プリンタ208がマーキングをすることができる良質の平面的な印刷エリア400を保証するべく、アンビル356の平坦な又は滑らかな表面が印刷エリア400を支持することが許容される。プリンタ208、若しくはプリンタ208の一部分が、印刷中に手袋と協調して動くように構成されてよく、又は、プリンタ208が、手袋が通過するときに静止して印刷するように構成されてよい。いずれの場合も、一以上のセンサ及びコントローラが、印刷中に手袋370の速度と協調して並進速度及び/又は印刷速度を調整してよい。
【0046】
図19を参照すると、検査エリア212において、マンドレル108が検査構成にある。検査構成において、アンビル356は係合位置にあり、第1係合部材306は拡張位置にあり、第2係合部材310は後退位置にあり、第1アーム252及び第2アーム256は係合位置にある。アンビル356の係合位置はまた、マーキングの品質を保証するための、印刷されたマーキングの視覚検査又は自動化された検査も許容する。
【0047】
図20を参照すると、第4遷移エリア418において、マンドレル108は第4遷移構成にある。第4遷移構成において、アンビル356は、ローラベアリング360とアンビル作動カム面136の第2傾斜部分192との係合を介して係合位置から係合解除位置への遷移中であり、第1係合部材306は、ローラベアリング340と第1係合部材作動カム面132の第2傾斜部分172との係合を介して拡張位置から後退位置への遷移中であり、第2係合部材310は後退位置にあり、第1アーム252及び第2アーム256は係合位置にある。
【0048】
図21を参照すると、裏返しエリア216において、マンドレル108は裏返し構成にある。裏返し構成において、アンビル356は係合解除位置にあり、第1係合部材306は後退位置にあり、第2係合部材310は拡張位置にあり、第1アーム252及び第2アーム256は係合位置にある。第2係合部材310は、後退位置におけるローラベアリング342と第2係合部材作動カム面134の第1直線部分162との係合を介して後退位置から拡張位置まで遷移し、第1傾斜部分166まで遷移し、及び拡張位置において第2直線部分170まで遷移した後の拡張位置にある。第1アーム252及び第2アーム256の係合位置は、裏返しデバイス220が手袋370を駆動して裏返すときのマンドレル108における手袋370の保持を容易にする。図示される実施形態において、手袋370の裏返しデバイス220は、エアジェットを手袋370に向けるエアノズルを含む。これにより、指部分394及び随意的に手のひら部分390の少なくとも一部分が手受容開口382を通り抜けて手袋370が部分的に裏返される一方、手首部分386の少なくとも一部分が、手袋390の裏返された部分の上に折り返されたままとなる。
【0049】
図22を参照すると、第5遷移エリア422において、マンドレル108は第5遷移構成にある。第5遷移構成において、アンビル356は係合解除位置にあり、第1係合部材306は後退位置にあり、第2係合部材310は、拡張位置におけるローラベアリング342と第2係合部材作動カム面134の第2直線部分170との係合を介して拡張位置から後退位置まで遷移し、第2傾斜部分174まで遷移し、及び後退位置において第3直線部分178まで遷移した後の後退位置にあり、第1アーム252及び第2アーム256は、ローラベアリング290とアーム作動カム面128の第2傾斜部分152との係合を介して係合位置から係合解除位置への遷移中である。
【0050】
図23を参照すると、装填解除エリア224において、マンドレル108は装填解除構成にある。装填解除構成において、アンビル356は係合解除位置にあり、係合部材306、310は後退位置にあり、第1アーム252及び第2アーム256は係合解除位置にある。第1アーム252及び第2アーム256の係合解除位置は、アーム252、256を互いに向かうように動かして手袋370の把持を解放することによるマンドレル108からの手袋370の装填解除を容易にするので、手袋370をマンドレル108から引き抜くことができる。
【0051】
動作中、コンベアチェーン112、116は原動機124により駆動され、コンベアチェーン112、116に結合されたマンドレル108の動きをもたらす。これにより、マンドレル108はコンベア本体120のまわりを連続的に動く。マンドレル108のこの動きにより、マンドレル108は、上述した取り付けエリア200、第1遷移エリア398、把持エリア402、第2遷移エリア406、暴露エリア410、第3遷移エリア414、マーキングエリア204、検査エリア212、第4遷移エリア418、裏返しエリア216、第5遷移エリア422及び装填解除エリア224それぞれに関連付けられる構成によって系統的に進行する。
【0052】
図24は、上述した処理システム100を使用してエラストマー物品(例えば手袋370)製造又は処理する方法を描く。この方法の第1ステップ500は、取り付けエリア200において、裏返された手袋370をマンドレル108の第1アーム252及び第2アーム256に、手首部分386の所定部分が第1アーム252及び第2アーム256により受容されるように第1アーム252及び第2アーム256を手受容開口382に挿入することによって、(手動で又は自動化されたデバイスを介して)取り付けることを含む。手袋370はその後、マンドレル108を取り付けエリア200における取り付け構成から把持エリア402における把持構成へと動かすことによって把持され、手袋370の取り付けが完了する。
【0053】
方法の第2ステップ504は、マンドレル108を把持構成から暴露構成へと動かすことにより、手袋370の一部分を変位させて印刷エリア400を露出させるように第1係合部材306を動作させることを含み得る。
【0054】
方法の第3ステップ508は、マンドレル108を暴露構成からマーキング構成へと動かすことによって手袋370をアンビル356に係合させて印刷エリア400を支持することを含み得る。
【0055】
方法の第4ステップ512は、印刷エリア400が第1係合部材306によって露出されている一方でマンドレル108がマーキング構成にある間に、プリンタ208を介してマーキングを印刷エリア400に印刷することを含み得る。第4ステップ512はまた、印刷されたマーキングを手動又は自動で検査して当該マーキングの品質を保証することも含み得る。
【0056】
方法の第5ステップ516は、手袋370が取り付けマンドレル108に支持されている間に、印刷後の手袋370を裏返し及び/又は折り返すことを含み得る。この裏返しは、マンドレル108がマーキング構成から裏返し構成まで動いた後に裏返しデバイス220によって達成され得る。第5ステップは、当該裏返しの前に又は当該裏返し中に、例えば、第2係合部材310を手袋370の一部分に係合させて当該一部分を、手受容開口382を伸ばすように変位させることによって、手受容開口382を拡大することを含み得る。手受容開口382を拡大することにより、裏返し中に指部分及び/又は手のひら部分が手受容開口382を通り抜けることが容易となり、手袋の裏返し部分がさらに完全に膨らむことが許容され、手袋の裏返し部分のさらに一貫した位置決めが容易となる。裏返し位置から標準位置への手袋370の裏返しにより、第1アーム252及び第2アーム256により把持されていた手首部分386の所定部分が、手袋370の折り返しを形成する。
【0057】
最後に、方法は第6ステップ520を含み得る。第6ステップ520は、マンドレル108が裏返し構成から装填解除構成まで動かされた後に手袋370をマンドレル108から(手動で又は自動化されたデバイスを介して)装填解除することを含む。ここに記載されるコンベアデバイス104は連続ループコンベアであり、マンドレル108の取り付け構成と装填解除構成とが同じであることから、マンドレル108は、構成変更不要のまま装填解除エリア224から取り付けエリア200まで進行させることができる。
【0058】
様々な実施形態において、一以上のマンドレル108がコンベア本体120に固定的に結合される。この実施形態において、原動機124は、アーム作動カム面128、係合部材作動カム面132、134、及びアンビル作動カム面136のそれぞれに、例えば、マンドレル108に対するアーム作動カム面128、係合部材作動カム面132及びアンビル作動カム面136の動きを駆動するトランスミッションを介して結合される。このようにして、アーム252、256、係合部材306、310、及びアンビル356は、取り付けエリア200、第1遷移エリア398、把持エリア402、第2遷移エリア406、暴露エリア410、第3遷移エリア414、マーキングエリア204、検査エリア212、第4遷移エリア418、裏返しエリア216、第5遷移エリア422及び装填解除エリア224に対応する位置を、上述したのと同じ態様及び順序で通過するように循環される。ただし、マンドレル108は、カム面128、132、134、136が駆動されて動く間、静止したままである。
【0059】
様々な実施形態において、アーム252、256、係合部材306、310、及びアンビル356は、ローラベアリング290、340、342、360の代わりに一以上のアクチュエータ(例えばリニアアクチュエータ、ソレノイド)に結合される。アクチュエータは、アーム252、256、係合部材306、310、及びアンビル356を、取り付けエリア200、第1遷移エリア398、把持エリア402、第2遷移エリア406、暴露エリア410、第3遷移エリア414、マーキングエリア204、検査エリア212、第4遷移エリア418、裏返しエリア216、第5遷移エリア422及び装填解除エリア224に対応する位置を、上述したのと同じ順序で通過するように、(例えば原動機214から入力される動力を介して)循環させるべく動作される。この構成において、マンドレル108は、マンドレル108が原動機124により駆動されてコンベア本体120に対して動くようにコンベアチェーン112、116に結合されてよい。代替的に、マンドレル108は、コンベア本体120に固定的に結合されてよい。
【0060】
様々な実施形態において、アンビル356及びアンビル作動カム面136は省略してよく、プリンタ208は、アンビル356の支持なしで手袋370への印刷を行ってよい。他実施形態において、マーキングは、手袋370の内側374に、当該手袋が裏返し状態で(すなわち内側374が外方を向いている状態で)取り付けマンドレルに取り付けられている間に行われてよく、このマーキングは、少なくとも部分的に透明な手袋を通して可視となる。このマーキングは、外側378を通して手袋を見たときに適切に配向されて見えるように反転され得る。これらの実施形態において、第1係合部材306及び第1係合作動カム面を省略してよい。取り付けマンドレルに取り付けられた手袋の印刷エリアは、印刷エリアを露出させるように手袋の一部分を変位させる必要なく露出されるからである。
【0061】
上述したエラストマー物品処理システム100は、先行技術に対していくつかの利点を有する。手袋370は裏返し位置においてマンドレル108に取り付けられるので、手袋370の外側378に配置される印刷エリア400への印刷を当該裏返し位置において行うことができ、裏返しが折り返しをもたらすので、エラストマー物品処理システム100によって処理効率が改善される。すなわち、手袋370を標準位置へと裏返し、印刷エリア400へマーキングを印刷し、その後に手袋370を折り返すという従来型の手順を用いる代わりに、エラストマー物品処理システム100は、手袋370が裏返されている間に印刷を行うので、裏返し及び折り返しを一回のステップで行うことができる。これは、とりわけ、マンドレル108の設計によって達成される。さらに、手袋370の二次処理全体を、手袋370が同じマンドレル108にある間に行うことができ、手袋370を手動で動かし又は操作する必要はない。
【0062】
本発明が所定の好ましい実施形態を参照して詳述されたにもかかわらず、変形例及び修正例も本発明の一以上の独立した側面の範囲内及び要旨内に存在する。本発明の様々な特徴が、以下の請求項に記載される。
図1
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【国際調査報告】