(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-31
(54)【発明の名称】直接コア間結合を実現するためのマルチコア光ファイバを備える光学系
(51)【国際特許分類】
G02B 6/02 20060101AFI20220124BHJP
G02B 6/26 20060101ALI20220124BHJP
G02F 1/11 20060101ALN20220124BHJP
【FI】
G02B6/02 461
G02B6/26
G02B6/02 416
G02B6/02 481
G02F1/11 505
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021528402
(86)(22)【出願日】2019-11-07
(85)【翻訳文提出日】2021-07-13
(86)【国際出願番号】 US2019060247
(87)【国際公開番号】W WO2020106463
(87)【国際公開日】2020-05-28
(32)【優先日】2018-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】クラプコ,ロスティスラフ ラディエヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】モダヴィス,ロバート アダム
(72)【発明者】
【氏名】ノーラン,ダニエル アロイシウス
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ジュン
(72)【発明者】
【氏名】コカバス,シュクリュ イーキン
【テーマコード(参考)】
2H137
2H250
2K102
【Fターム(参考)】
2H137AB01
2H137AB05
2H137AB06
2H137BA18
2H137BB02
2H137BB12
2H137BC24
2H137BC26
2H137EA04
2H250AC66
2H250AC70
2H250AC84
2H250AC93
2H250AC94
2H250AC95
2H250AC96
2H250AG03
2H250AG61
2K102AA30
2K102BA01
2K102BB04
2K102BC07
2K102DA06
2K102DD07
2K102EA04
2K102EB16
(57)【要約】
被覆材内に配置された複数のコアを含むマルチコア光ファイバ。前記複数のコアは第1コアと第2コアを含み、前記第1コアは第1伝搬定数β1を有し、前記第2コアは第2伝搬定数β2を有し、前記被覆材は被覆材伝搬定数β0を有し、(|β1-β2|/|β2-β0|)<1/2が成立する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチコア光ファイバであって、
被覆材内に配置された複数のコアを備え、
前記複数のコアは第1コアと第2コアを含み、
前記第1コアは第1伝搬定数β
1を有し、前記第2コアは第2伝搬定数β
2を有し、前記被覆材は被覆材伝搬定数β
0を有し、次の関係式が成立する、
【数1】
マルチコア光ファイバ。
【請求項2】
前記第1コア及び前記第2コアはモード不整合M
12を有し、次の式で表される
【数2】
ここでC
12は前記第1コアから前記第2コアへ結合するための結合係数であり、M
12は10より大きい、請求項1記載のマルチコア光ファイバ。
【請求項3】
前記複数のコアのそれぞれは異なる伝搬定数を有する、請求項1又は2記載のマルチコア光ファイバ。
【請求項4】
光学系であって、
請求項1~3のいずれかに記載のマルチコア光ファイバと、
前記マルチコア光ファイバと係合可能な変調器と
を備え、
前記変調器を前記マルチコア光ファイバと係合させることは、格子周期Ωを持つ長周期ファイバ格子を前記マルチコア光ファイバ内に生成し、2π/(|β
1-β
2|)=Ωである時、前記第1コアは前記第2コアと結合される、光学系。
【請求項5】
前記変調器は、前記マルチコア光ファイバと物理的に係合可能で前記マルチコア光ファイバの外面に圧力を印加する機械的変調器から成る、請求項4記載の光学系。
【請求項6】
前記変調器は音響光学変調器から成り、
前記音響光学変調器は圧電変換器を含み、
前記マルチコア光ファイバを前記音響光学変調器と係合させることは、前記圧電変換器を使って前記マルチコア光ファイバ内に音波を生成することを含む、請求項4記載の光学系。
【請求項7】
格子周期Ωを持ち2π/(|β
1-β
2|)=Ωである長周期ファイバ格子を更に備えた請求項1~3のいずれかに記載のマルチコア光ファイバ。
【請求項8】
前記複数のコアは少なくとも3つのコアを含み、
前記少なくとも3つのコアは、前記第1伝搬定数β
1を有する1つ以上の第1コアと前記第2伝搬定数β
2を有する1つ以上の第2コアとを含む、請求項1~3又は7のいずれかに記載のマルチコア光ファイバ。
【請求項9】
前記少なくとも3つのコアは、第3伝搬定数β
3を有する1つ以上の第3コアを含み、
前記第3伝搬定数β
3は前記第1伝搬定数β
1及び前記第2伝搬定数β
2両方と異なる、請求項8記載のマルチコア光ファイバ。
【請求項10】
前記少なくとも3つのコアは、各個別コアの最も近い隣接するコアはその個別コアと異なる伝搬定数を有するように当該マルチコア光ファイバの被覆材内に配置される、請求項8記載のマルチコア光ファイバ。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2018年11月21日に出願された米国仮特許出願第62/770249号の米国特許法第119条の下の優先権の利益を主張するものであり、その内容全体を本明細書に援用する。
【技術分野】
【0002】
本開示は、マルチコア光ファイバを備える光学系に関し、より具体的には異なる伝搬定数を持つ少なくとも2つのコアを有するマルチコア光ファイバを備える光学系であって、長周期ファイバ格子との組み合わせで直接コア間結合を可能にする光学系に関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示の主題によれば、マルチコア光ファイバは被覆材内に配置された複数のコアを含む。複数のコアは第1コアと第2コアを含む。第1コアは第1伝搬定数β1を有し、第2コアは第2伝搬定数β2を有し、被覆材は被覆材伝搬定数β0を有し、次の関係式が成立する。
【0004】
【0005】
本開示の1つの実施形態によれば、マルチコア光ファイバは被覆材内に配置された複数のコアを含む。複数のコアは第1コア、第2コア、及び第3コアを含む。第1コアは第1伝搬定数β1を有し、第2コアは第2伝搬定数β2を有し、第3コアは第3伝搬定数β3を有し、被覆材は被覆材伝搬定数β0を有し、次の関係式が成立する。
【0006】
【0007】
第1コア及び第2コアはモード不整合M12も有し、次の式で表される。
【0008】
【0009】
ここでC12は第1コアから第2コアへ結合するための結合係数であり、M12は10より大きい。
【0010】
本開示の別の実施形態によれば、マルチコア光ファイバの第1コアからそのマルチコア光ファイバの第2コアへ光を結合する方法は、被覆材内に配置された複数のコアを含むマルチコア光ファイバの入力端に光学的に結合された光子生成器により生成された複数の光子を複数のコアのうち第1コア内に向けることを含む。複数のコアは第1コアと第2コアを含む。第1コアは第1伝搬定数β1を有し、第2コアは第2伝搬定数β2を有し、被覆材は被覆材伝搬定数β0を有し、次の関係式が成立する。
【0011】
【0012】
この方法はまた、マルチコア光ファイバを変調器と係合させることで、2π/(|β1-β2|)=Ωで与えられる格子周期Ωを持つ長周期ファイバ格子をマルチコア光ファイバ内に生成して、第1コアを第2コアと結合させることを含む。
【0013】
本開示の着想は主に量子通信に関して本明細書に説明されるが、光通信のどんな方法にも適用されうることは熟慮されている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本開示の具体的な実施形態の以下の詳細な説明は下記の図面と併せて読むことで最も良く理解されうる。図面では同様の構造は同様の符号で示される。
【
図1】本書に示され説明される1つ以上の実施形態に係る、光子生成器、マルチコア光ファイバ、変調器、及び光子検出器を含む光学系を概略的に描く。
【
図2A】本書に示され説明される1つ以上の実施形態に係る、
図1の切断A‐Aに沿ったマルチコア光ファイバのXY断面を概略的に描く。
【
図2B】本書に示され説明される1つ以上の実施形態に係る、第1格子周期を持つ第1長周期ファイバ格子と第2格子周期を持つ第2長周期ファイバ格子とを有する
図1のマルチコア光ファイバの切断B‐Bに沿ったYZ断面を概略的に描く。
【
図3】本書に示され説明される1つ以上の実施形態に係る、機械的変調器から成る
図1の変調器の実施形態を概略的に描く。
【
図4】本書に示され説明される1つ以上の実施形態に係る、音響光学変調器から成る
図1の変調器の実施形態を概略的に描く。
【
図5A】本書に示され説明される1つ以上の実施形態に係る、光子生成器、1つ以上の固定長周期ファイバ格子を有するマルチコア光ファイバ、及び光子検出器を含む光学系を概略的に描く。
【
図5B】本書に示され説明される1つ以上の実施形態に係る、
図5Aの切断C‐Cに沿ったマルチコア光ファイバのXY断面を概略的に描く。
【
図5C】本書に示され説明される1つ以上の実施形態に係る、第1格子周期を持つ第1固定長周期ファイバ格子と第2格子周期を持つ第2固定長周期ファイバ格子とを有する
図5Aのマルチコア光ファイバの切断D‐Dに沿ったYZ断面を概略的に描く。
【
図6A】本書に示され説明される1つ以上の実施形態に係る、第1コア配列を有するマルチコア光ファイバのXY断面を概略的に描く。
【
図6B】本書に示され説明される1つ以上の実施形態に係る、第2コア配列を有するマルチコア光ファイバのXY断面を概略的に描く。
【
図6C】本書に示され説明される1つ以上の実施形態に係る、第3コア配列を有するマルチコア光ファイバのXY断面を概略的に描く。
【
図6D】本書に示され説明される1つ以上の実施形態に係る、第4コア配列を有するマルチコア光ファイバのXY断面を概略的に描く。
【
図7】本書に示され説明される1つ以上の実施形態に係る、第1コア及び第2コアを有する一例のマルチコア光ファイバを概略的に描く。
【
図8】本書に示され説明される1つ以上の実施形態に係る、単一波長の場合の
図7のマルチコア光ファイバのコア間の透過を格子周期の数に沿って描いたグラフである。
【
図9】本書に示され説明される1つ以上の実施形態に係る、単一格子周期の場合の
図7のマルチコア光ファイバのコア間の透過をある波長範囲に沿って描いたグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
多くの空間モード(例えば、数千の空間モード)を有する光ネットワークにおける光の制御された結合は、光スイッチング網、光計算、及び量子通信、例えば、量子ランダム・ウォークに重要な用途を有する。量子用途では、低伝搬損失及び低デコヒーレンスの光の制御された結合は、量子アルゴリズム及び量子シミュレーションの開発及び実行に極めて重要である。光の制御された結合のための現在の媒体は、シリコン光回路及びガラス導波路を含む。しかし、これらの媒体は、媒体の屈折率の入力及び出力経路(例えば、光ファイバ)の屈折率との不整合による高い結合損失に加えて、製造時に生じる表面粗さによる高伝搬損失などの重大な問題に直面している。マルチコア光ファイバは低伝搬損失及び僅かな結合損失を持った代替の媒体である。しかし、以前の実施形態では、マルチコア光ファイバは余りにも硬い媒体であり、異なるコア間の制御された結合が困難であった。従って、改善されたマルチコア光ファイバ及び制御された結合のための光学系が望まれている。
【0016】
被覆材内に配置された複数のコアを有するマルチコア光ファイバを含む光学系の実施形態について詳細に記述する。マルチコア光ファイバは複数のコアのうち2つの間の直接で選択的なコア間結合を可能にするように構成される。光学系は、長周期ファイバ格子をマルチコア光ファイバ内に生成するように構成された変調器を更に含んでもよい。長周期ファイバ格子は、マルチコア光ファイバの複数の断面の屈折率の周期的変化から成り選択的なコア間結合を可能にする。例えば、複数のコアは第1伝搬定数を有する第1コア、第2伝搬定数を有する第2コア(及び幾つかの実施形態では第1伝搬定数、第2伝搬定数、他の伝搬定数、及びそれらの組合せを有してもよい追加の複数のコア)、及び被覆材伝搬定数を有する被覆材を含む。第1伝搬定数、第2伝搬定数、及び被覆材伝搬定数は、長周期ファイバ格子がない時、第1コアと第2コアの間で最小直接コア間結合が生じ、特定の周期の長周期ファイバ格子がマルチコア光ファイバ内で生成される時、直接コア間結合及び最小直接コア・被覆材間結合が生じるように構成される。
【0017】
理論により限定されることを意図しないが、第1及び第2伝搬定数間の差は、長周期ファイバ格子がない時、位相不整合により第1コアと第2コアを分離する。これは環境摂動(例えば、ファイバの長さに沿ったコア直径変動及びコア相対位置)の効果を低減し、望まれないコア間やコア・被覆材間結合なしにマルチコア光ファイバ内のぎっしり詰まったコアを可能にする。また、例えば、要求に応じて変調器を使用してマルチコア光ファイバ内に長周期ファイバ格子を生成することは、例えば第1コアと第2コアの間で選択的な直接コア間結合を可能にする。本書に記載された光学系は、総合的に光スイッチング網、光計算、及び量子ランダム・ウォークなどの様々な用途のための光プラットフォームを最小損失で任意の光結合(即ち、スイッチング)を達成しながら提供する。
【0018】
図1を参照すると、複数のコア120(
図2A)を有するマルチコア光ファイバ110、光子生成器180、光子検出器190、及び変調器150を備える光学系100が概略的に描かれている。マルチコア光ファイバ110は光子生成器180に光学的に結合された入力端112と光子検出器190に光学的に結合された出力端114とを備える。動作時、光子生成器180は光子を複数のコア120のうちどの個別のコア内に選択的に向けてもよい。例えば、光子生成器180、マルチコア光ファイバ110の入力端112、又は両方は、光子生成器180を複数のコア120のうち任意の個別コアと位置合わせされるように構成された自動3軸台などの平行移動可能な台に結合される。例えば、光子生成器180は第1コア120a(
図2A)と位置合わせされ、第1コア120a内に複数の光子を向けてもよい。マルチコア光ファイバ110はまた、外面116を有し、変調器150はマルチコア光ファイバ110、例えばマルチコア光ファイバ110の外面116と係合可能である。下記により詳細に説明するように、変調器150をマルチコア光ファイバ110と係合させることは、1つ以上の長周期ファイバ格子130(
図2B)をマルチコア光ファイバ110内に生成する。
【0019】
図1の切断A‐Aに沿ったマルチコア光ファイバ110のXY断面を描く
図2Aを参照すると、マルチコア光ファイバ110は被覆材125内に配置された複数のコア120を備える。複数のコア120の各コアは単一モードファイバ、例えば単一モード・ステップ型ファイバからなる。また、複数のコア120の各コアは伝搬定数を有する。理論により限定されることを意図しないが、コア(又は他の導波路)の伝搬定数はコア内を伝搬する特定の周波数の光の振幅及び位相が伝搬方向に沿ってどのように変化するかを決める。伝搬定数は、コアの屈折率、コアの直径、及びコア内を伝搬する光の波長などの複数の要因に依存する。
図2Aに描かれた実施形態では、各コア120は異なる伝搬定数βを有する。例えば、第1コア120aは第1伝搬定数β
1を有し、第2コア120bは第2伝搬定数β
2を有し、第3コア120cは第3伝搬定数β
3を有し、第4コア120dは第4伝搬定数β
4を有し、第5コア120eは第5伝搬定数β
5を有し、第6コア120fは第6伝搬定数β
6を有し、第7コア120gは第7伝搬定数β
7を有する。
【0020】
図2Aに描かれた実施形態は7つのコア(即ち、コア120a~120g)を備えるが、マルチコア光ファイバ110は、少なくとも2つのコアは異なる伝搬定数を有する任意の数のコアを備えてもよい。また、
図2Aに描かれた各コア120a~120gは異なる伝搬定数を有するが、同じ伝搬定数の少なくとも2つのコアを有し、複数のコア120は3つ以上のコアを含むマルチコア光ファイバ110の実施形態が熟慮されていることは理解されるべきである。例えば、
図6A~6Dは、1つ以上の第1コア120a(第1伝搬定数を有する)、1つ以上の第2コア120b(第2伝搬定数を有する)、及び幾つかの実施形態では、1つ以上の第3コア120c(第3伝搬定数を有する)を含むコアの様々な配置を描く。
【0021】
依然
図2Aを参照すると、被覆材125及び複数のコア120の様々な特性がより詳細に説明される。幾つかの特性は「個別のコア」に関して説明され、複数のコア120のどの個別のコア(コア120a~120g)にも当てはまる。説明される他の特性は少なくとも2つのコア間の関係を特徴付ける。説明と理解のし易さのために、これらの説明では第1コア120aと第2コア120bを使用する。しかし、これらの特性は複数のコア120のどの2つのコアにも当てはまりうることは理解されるべきである。
【0022】
理論により限定されることを意図しないが、複数のコア120のうちの個別のコアとマルチコア光ファイバ110の被覆材125間の屈折率コントラストΔは次式で表される。
【0023】
【0024】
ここでncoreは個別コアの屈折率、ncladは被覆材125の屈折率である。個別コアの正規化周波数パラメータVはV=ρk0(n2
core-n2
clad)1/2と定義される。ρは個別コアの半径、k0は個別コアの波数である。各個別コアはまた、正規化周波数パラメータVと相関関係U2+W2=V2によって関係づけられる無次元モードパラメータU及びWを有する。ここでU=ρ(n2
corek0
2-β2)1/2、W=ρ(β2-n2
cladk0
2)1/2であり、βは個別コアの伝搬定数であり、相関関係U2+W2=V2から得られうる。また、個別コアのHE11モード(例えば、基本モード)式は次式で表される。
【0025】
【0026】
ここでJ0はゼロ次ベッセルJ関数、J1は一次ベッセルJ関数、K0はゼロ次ベッセルK関数、K1は一次ベッセルK関数である。
【0027】
正規化周波数パラメータV及び無次元モードパラメータU及びWにより数学的に示されるように、異なる屈折率、異なる直径、又は両方を有する2つのコアは、異なる伝搬定数βを有しうる。例えば、第1コア120aは第1直径と第1屈折率を有し、第2コア120bは第2直径と第2屈折率を有する。異なる伝搬定数β(即ち、第1伝搬定数β1と第2伝搬定数β2)を実現するために、第1直径は第2直径と異なるか、第1屈折率は第2屈折率と異なるか、又は第1コア120と第2コア120bの直径及び屈折率両方が異なってもよい。また、被覆材125は被覆材伝搬定数β0を有し、β0=nclad・2π/λであり、λはマルチコア光ファイバ110内を伝搬する光の自由空間波長である。
【0028】
理論により限定されることを意図しないが、マルチコア光ファイバ110内を伝搬する複数の波動場(例えば、複数の光波)はある条件が満たされると結合、例えば選択的に結合されうる。例えば、マルチコア光ファイバ110の複数のコア120は複数の結合係数(即ち、第1コア120aなどの1つの個別コアから第2コア120bなどの別の個別コアへ結合するための様々な結合係数)により特徴付けられてよい。理論により限定されることを意図しないが、結合係数は第1コア120a及び第2コア120bなどの2つのコアのモード場間の重ね合わせ量を決める。コアのモード場は様々なパラメータ、例えばコアの半径、コアの屈折率、コアの材料、被覆材の材料、及び動作波長(λ)(即ち、コア内を伝搬する光の波長)に依存する。
【0029】
例えば、結合モード方程式を使用し、全ての波動場が2つのコア(例えば、第1コア120aと第2コア120b)の基本モード内に集中されると仮定すると、次の条件が満たされる。
【0030】
【0031】
ここでE(x,y,z)はマルチコア光ファイバ110の接線方向電場、b1はビーム伝搬方向のビームの位置Zの関数としての第1コア120a内を伝搬するビームの振幅、b2はビーム伝搬方向のビームの位置Zの関数としての第2コア120b内を伝搬するビームの振幅、e1は第1コア120aの固有振動モード、e2は第2コア120bの固有振動モード、N1は第1コア120aの正規化因子、N2は第2コア120bの正規化因子である。マルチコア光ファイバ110の個別コアの正規化因子Niは次式で定義される。
【0032】
【0033】
ここでncoは個別コアの屈折率、ε0は真空誘電率、μ0は真空透磁率、eiは個別コアの固有振動モード、Aはマルチコア光ファイバ110の面積である。また、理論により限定されることを意図しないが、幾つかの実施形態では、固有振動モードe1及びe2は第1コア120及び第2コア120bの接線方向固有振動モードである。
【0034】
また、摂動論の下で次の2式が成立する。
【0035】
【0036】
【0037】
ここでC-
11は第1コア120aの自己結合係数、C-
12は第1コア120aから第2コア120bへ光を結合するための結合係数(相互結合係数とも呼ばれる)、C-
22は第2コア120bの自己結合係数、C-
21は第2コア120bから第1コア120aへ光を結合するための結合係数である。自己結合係数C-
11及びC-
22は相互結合係数C-
12及びC-
21に比べて無視できる。また、個別コアを別の個別コアと結合するための結合係数は次式で表される。
【0038】
【0039】
ほぼ同一のコア(例えば、同じ伝搬定数を持つコア)の場合、C12≒C21≡Cである。また、条件C12≒C21≡Cが満たされた時の1つのコアから別のコアへ(例えば、第1コア120aから第2コア120bへ)伝えられる最大出力は次式で表される。
【0040】
【0041】
ここでF2は1つのコアから別のコアへ伝えられる最大出力である。結合係数Cijの上記説明は、長周期ファイバ格子130がマルチコア光ファイバ110内に生成されない場合、マルチコア光ファイバ110のどの2つのコアにも当てはまることは理解されるべきである。例えば、長周期ファイバ格子130なしで第1コア120aから第2コア120bへ光を結合するための結合係数C-
12は次式で表される。
【0042】
【0043】
図1~2Bを参照すると、光学系100の変調器150はマルチコア光ファイバ110と係合可能で長周期ファイバ格子130をマルチコア光ファイバ110内に生成し、第1コア120aと第2コア120bなどの間の直接コア間結合を可能にする。理論により限定されることを意図しないが、「長周期ファイバ格子」はマルチコア光ファイバ110などの光ファイバの屈折率の周期的断面摂動を指す。従来の単一モード光ファイバでは、長周期ファイバ格子は個別コアのコアモードを被覆材の被覆モードに結合し、直接コア・被覆材間結合を可能にする。本書で使用されるように、「直接コア・被覆材間結合」は屈折率の摂動による被覆モードのコアモードへの直接結合を指す。しかし、本書に記載された実施形態では、マルチコア光ファイバ110と変調器150は、マルチコア光ファイバ110に生成される長周期ファイバ格子130が異なる伝搬定数を有する2つのコアの直接コア間結合を可能にするように構成される。本書で使用されるように、「直接コア間結合」は屈折率の摂動による1つのコアのコアモードの別のコアのコアモードへの直接結合を指す。
【0044】
上述したように、複数のコア120のうち少なくとも2つ(例えば、第1コア120aと第2コア120b)は異なる伝搬定数βを有し、異なる伝搬定数は位相不整合によりそれらのコアを分離し、従来のマルチコアファイバと比べて環境摂動(コア直径変動、コア相対位置など)の効果を低減する。また、異なる伝搬定数βは、好ましくない結合なしで複数のコア120を被覆材125内にぎっしり詰めるのを許す(即ち、個別コアの中心から最も近い隣接するコアへの距離が小さい、例えば約30μm以下、25μm以下、20μm以下、15μm以下、10μm以下、5μm以下、例えば1μmから30μm、1μmから20μm、5μmから15μmなど)。
【0045】
また、第1コア120aと第2コア120bなど2つのコア間のモード不整合Mは次式で表される。
【0046】
【0047】
この式は複数のコア120のどの2つのコアにも当てはまることは理解されるべきである。2つのコア間のモード不整合Mが大きいほど、長周期ファイバ格子130がないとこれらのコア間により低い度合の直接コア間結合が発生する。幾つかの実施形態では、マルチコア光ファイバ110の複数のコア120のうち少なくとも2つ(例えば、第1コア120aと第2コア120b)の間のモード不整合Mは5より大きいことがある(即ち、M>5)。例えば、幾つかの実施形態では、M>5、M>8、M>10、M>12、M>15、M>20、M>50などである。
【0048】
依然
図1~2Bを参照すると、変調器150をマルチコア光ファイバ110と係合させることは長周期ファイバ格子130を生成する。長周期ファイバ格子130は複数の変更された屈折率領域132と格子周期Ωを有する。複数の変更された屈折率領域132はマルチコア光ファイバ110の断面領域であり、複数のコア120の屈折率及び被覆材125の屈折率が変更される領域である。また、各格子周期Ωは屈折率の変更のない1つの領域に隣接する1つの変更された屈折率領域132を含むとして
図2Bに描かれているが、幾つかの実施形態では、各格子周期Ωは2つの隣接する変更された屈折率領域を含んでもよく、1つの変更された屈折率領域は屈折率が増加し、他の変更された屈折率領域は屈折率が減少し、屈折率の増加と屈折率の減少は同じ絶対値を有する。この実施形態の例を
図7~9に関して下記に説明する。動作時、2π/(|β
i-β
j|)=Ωである場合、伝搬定数β
iを有する個別コアは、伝搬定数β
jを有する個別コアに直接コア間結合を介して結合される。例えば、2π/(|β
1-β
2|)=Ωである場合、第1コア120aは第2コア120bと直接コア間結合を介して結合される。幾つかの実施形態では、格子周期Ωは1つの変更された屈折率領域132を含み、この領域でマルチコア光ファイバのコア120及び被覆材125の屈折率が変更されている。
【0049】
例示の例として、
図2Bは
図2Aの切断B‐Bに沿ったマルチコア光ファイバ110のYZ断面であり、第1長周期ファイバ格子130aと第2長周期ファイバ格子130bを概略的に描く。第1長周期ファイバ格子130aは複数の第1変更された屈折率領域132aと第1格子周期Ω
aを有し、第2長周期ファイバ格子130bは複数の第2変更された屈折率領域132bと第2格子周期Ω
bを有する。第1長周期ファイバ格子130aは第1コア120aを第2コア120bに直接コア間結合を介して結合するように構成される。特に、第1格子周期Ω
a=2π/(|β
1-β
2|)である。また、第2長周期ファイバ格子130bは第2コア120bを第3コア120cに直接コア間結合を介して結合するように構成される。特に、第2格子周期Ω
b=2π/(|β
2-β
3|)である。長周期ファイバ格子130は、変調器150を使って格子周期Ωを生成して複数のコア120のうち任意の個別コアを任意の別の個別コアと直接コア間結合を介して結合するように選択的に構成されうることは理解されるべきである。
【0050】
幾つかの実施形態では、マルチコア光ファイバ110は直接コア・被覆材間結合を最小にするように構成される。マルチコア光ファイバ110の伝搬定数βiを持つ個別コア、伝搬定数βjを持つ個別コア、及び被覆材125(即ち、β0)の伝搬定数間の関係が次式で表され、
【0051】
【0052】
これを最小化する場合、マルチコア光ファイバ110内に長周期ファイバ格子130を生成する時、直接コア・被覆材間結合は最小になる。幾つかの実施形態では、複数のコア120のうち少なくとも2つのコアと被覆材125(マルチコア光ファイバ110の伝搬定数βiを有する個別コア、伝搬定数βjを有する個別コア、及び被覆材125(即ち、β0))は次の関係式などを満たしてもよい。
【0053】
【0054】
1つの例として、第1コア120aと第2コア120bは次の関係式などを満たしてもよい。
【0055】
【0056】
別の例として、第2コア120bと第3コア120cは次の関係式などを満たしてもよい。
【0057】
【0058】
更に別の例として、第1コア120aと第3コア120cは次の関係式などを満たす。
【0059】
【0060】
また、長周期ファイバ格子130がある場合とない場合のマルチコア光ファイバ110のコア間の光出力伝送の差は消滅比により特徴付けられることがある。本書で使用されるように、「消滅比」は、長周期ファイバ格子130がマルチコア光ファイバ110内に存在する(即ち、生成される)場合と長周期ファイバ格子130がマルチコア光ファイバ110内に存在しない場合との2つのコア(例えば、第1コア120aと第2コア120b)間で伝送される光出力の比を指す。幾つかの実施形態では、消滅比は約10dB以上、例えば15dB以上、20dB以上、25dB以上、30dB以上などであってもよい。2つのコア(例えば、伝搬定数βiを有する個別コアと伝搬定数βjを有する個別コア)についての消滅比は、M>10で(|βi-βj|/|βj-β0|)<1/2である場合、20dB以上である。例えば、第1コア120aと第2コア120bについての消滅比は、M12>10で(|β1-β2|/|β2-β0|)<1/2である場合、20dB以上である。
【0061】
理論により限定されることを意図しないが、2つのコア(例えば、第1コア120aと第2コア120b)が非常に不整合である場合(例えば、2つのコアが10より大きいモード不整合Mを有する場合)、次の条件が満たされる。
【0062】
【0063】
ここでe1は第1コア120aの固有振動モード、e2は第2コア120bの固有振動モード、eAは固有振動モードe1及びe2の重ね合わせであり、大部分は第1コア120a内に集中し、eBは固有振動モードe1及びe2の重ね合わせであり、大部分は第2コア120b内に集中する。これらの重ね合わせeA及びeBは「スーパーモード」と呼ばれることがある。任意の周期的摂動を仮定すると、長周期ファイバ格子130により生じる屈折率の変化は次式で定義される。
【0064】
【0065】
また、摂動論に従って計算し、スーパーモードeA及びeBを基底モードとして使用すると、次式が成立する。
【0066】
【0067】
ここでスーパーモード間の結合強度は結合係数CABで定義され、次式で表される。
【0068】
【0069】
回転波近似に従い、bA(0)=1、bB(0)=0と仮定すると、次の条件が満たされる。
【0070】
【0071】
ここでβ-は複数のコア120の平均伝搬定数であり、β-=(βA+βB)/2であり、Δω=βA-βB-Ωは同調ずれ、ΩRはラビ振動数でΩR=(1/2)(C2
AB+Δω2)1/2であり、tanθ=Δω/CABである。また、コアAからコアBへの最大出力伝送はF2=cos2θであり、cosθ=(1+(Δω/CAB)2)-1/2である。
【0072】
また、マルチコア光ファイバ110の2つのコア(即ち、コアAとコアB)は全体デバイス寸法Lにより特徴付けられてもよい。本書で使用されるように、「全体デバイス寸法」は格子結合領域の全長を指す。全体デバイス寸法は数学的にL=π/CABで定義される。例えば、結合係数CABを大きくすることで全体デバイス寸法を低減することは、長周期ファイバ格子130が存在しない場合、直接コア間結合を最小にし、長周期ファイバ格子130が存在する場合、直接コア・被覆材間結合を最小にすることがある。例えば、全体デバイス寸法Lは50cm未満、40cm未満、30cm未満、20cm未満、10cm未満などであってもよい。例えば、全体デバイス寸法Lは約1cm~約50cm、約1cm~約40cm、約1cm~約30cmなどであってもよい。
【0073】
図3を参照すると、幾つかの実施形態では、変調器150はマルチコア光ファイバ110と物理的に係合可能な機械的変調器152から成る。機械的変調器152は機械的圧力をマルチコア光ファイバ110に(即ち、マルチコア光ファイバ110の外面116に)加えてマルチコア光ファイバ110内に周期的屈折率変化を一時的に生成するように構造的に構成されている。一時的とは、機械的圧力がマルチコア光ファイバ110の外面116に加えられた時に屈折率変化は発生し、機械的圧力がマルチコア光ファイバ110の外面116から取り除かれた時に屈折率変化が取り除かれると理解されるべきである。
【0074】
幾つかの実施形態、例えば
図3に示した実施形態では、機械的変調器152は第1プレート部154及び第2プレート部156を備える。第1プレート部154、第2プレート部156、又は両方は周期的な間隔があけられた1つ以上の歯155を備え、歯155がマルチコア光ファイバ110の外面116と係合する時、歯155が機械的圧力をマルチコア光ファイバ110に加えて一時的な屈折率変化をこれらの周期的な間隔があけられた位置でマルチコア光ファイバ110内に生成する。幾つかの実施形態では、第1プレート部154、第2プレート部156、又は両方は互いに向かって内側に平行移動可能であり、マルチコア光ファイバ110の外面116に圧力を加える。幾つかの実施形態では、歯155は、第1プレート部154、第2プレート部156、又は両方の動きに依らず、マルチコア光ファイバ110の外面116と接触し離れるよう平行移動可能である。1つの実施形態では、機械的変調器152は周期的な力をマルチコア光ファイバ110に加えるように構成された垂直歯車ラックを備える。幾つかの実施形態では、第1プレート部154、第2プレート部156、及び歯155は垂直歯車ラックの部品である。垂直歯車ラックの動き(例えば、マルチコア光ファイバ110と接触し離れる動き)は直線電動台により制御されてもよい。また、機械的変調器152は、機械的変調器152よりマルチコア光ファイバ110に加えられた力を測定するための1つ以上のロードセルを更に備えてもよい。
【0075】
理論により限定されることを意図しないが、印加された機械的圧力により生成された一時的な屈折率変化はマルチコア光ファイバ110のガラスの光弾性応答によるものである。例えば、機械的変調器152の歯155はマルチコア光ファイバ110内に微小曲げ及び周期的圧点を引き起こし複数のコア120のうち1つ以上の屈折率を変調する。幾つかの実施形態では、歯155は矩形接触面を備え、幾つかの実施形態では、歯155は丸い接触面を備える。しかし、任意の形状を持つ歯155が考慮されていることは理解されるべきである。また、
図3の機械的変調器152の第1プレート部154及び第2プレート部156はそれぞれ歯155を備えるが、機械的変調器152は、マルチコア光ファイバ110に機械的に応力を周期的に掛けるように構成された任意の機械的組立体を備えてもよいことは理解されるべきである。
【0076】
図4を参照すると、幾つかの実施形態では、変調器150は音響光学変調器160から成る。音響光学変調器160は圧電変換器162及び吸収体164を備える。圧電変換器162及び吸収体164両方が
図4に描かれているが、幾つかの実施形態は、吸収体164なしで圧電変換器162を備えてもよいことは理解されるべきである。
図4に描かれているように、音響光学変調器160は、圧電変換器162及び吸収体164両方がマルチコア光ファイバ110の外面118に結合されるように、マルチコア光ファイバ110に結合されてもよい。動作時、圧電変換器162は振動しマルチコア光ファイバ110の材料内に音波を生成するように構成されている。理論により限定されることを意図しないが、光ファイバ(例えば、マルチコア光ファイバ110)内の音波速度は約3.5km/sであり、従って変調周波数は約3MHzである。また、吸収体164を含む実施形態では、吸収体164は圧電変換器162により生成された音波を、音波がマルチコア光ファイバ110の断面を横切った後吸収し、望まれていない屈折率変化を引き起こしうる反射を制限する。
【0077】
理論により限定されることを意図しないが、音響光学変調器160は音響光学効果に基づいて長周期ファイバ格子130をマルチコア光ファイバ110内に生成してもよい。音響光学効果は、音響光学変調器160(例えば、音響光学変調器160の圧電変換器162)により生成された音波により透明な材料に印加された振動する機械的圧力による透明な材料(例えば、マルチコア光ファイバ110の材料)の屈折率の変化である。理論により限定されることを意図しないが、音響光学変調器160により生成された音波は動く周期的膨張及び圧縮平面として働き、マルチコア光ファイバ110の屈折率を一時的に変える。また、音響光学変調器160によりマルチコア光ファイバ110内に生成される音波の振幅と周波数を調整できるように音響光学変調器160は調整可能である。その調整はマルチコア光ファイバ110内に生成される長周期ファイバ格子130、例えば長周期ファイバ格子130の格子周期Ω、音波の偏波(即ち、振動方向)などを調整することがある。この調整能力が、ユーザーがどのコア120を結合するかを制御し変更するのを可能にする。
【0078】
図5A~5Cを参照すると、マルチコア光ファイバ110’内に固定された固定長周期ファイバ格子130’を有するマルチコア光ファイバ110’を備える光学系100’が描かれている。
図1~4に関して上記で説明した実施形態では、長周期ファイバ格子130は変調器150により生成される選択的で取除き可能な一時的な長周期ファイバ格子である。一方、マルチコア光ファイバ110’の固定長周期ファイバ格子130’はマルチコア光ファイバ110’ 内に固定されている。例えば、固定長周期ファイバ格子130’は任意の既知の又はまだ開発されていないファイバ格子製造技術、例えば化学エッチング、レーザ照射(例えば、UVレーザ照射)などにより形成され、マルチコア光ファイバ110’の屈折率を選択的に変えマルチコア光ファイバ110’内に固定長周期ファイバ格子130’を形成してもよい。
図5Bは
図5Aの切断C‐Cに沿ったマルチコア光ファイバ110’のXY断面を描き、
図1~4のマルチコア光ファイバ110と同様、被覆材125内に配置された複数のコア120a~120fを備える。
【0079】
図5Cを参照すると、
図5Bの切断D‐Dに沿ったマルチコア光ファイバ110’のYZ断面が概略的に描かれている。
図5Cは第1固定長周期ファイバ格子130a’及び第2固定長周期ファイバ格子130b’を含む。第1固定長周期ファイバ格子130a’は複数の第1固定変調屈折率領域132a’及び第1格子周期Ω
aを有し、第2固定長周期ファイバ格子130b’は複数の第2固定変調屈折率領域132b’及び第2格子周期Ω
bを有する。第1固定長周期ファイバ格子130a’は第1コア120aを第2コア120bに直接コア間結合を介して結合するように構成されている。特に、第1格子周期Ω
a=2π/(|β
1-β
2|)である。また第2固定長周期ファイバ格子130b’は第2コア120bを第3コア120cに直接コア間結合を介して結合するように構成されている。特に、第2格子周期Ω
b=2π/(|β
2-β
3|)である。固定長周期ファイバ格子130’は複数のコア120のうち任意の個別コアを複数のコア120のうち任意の別の個別コアと任意の格子周期Ωで直接コア間結合を介して結合するように構成されてよいことは理解されるべきである。
【0080】
図6A~6Dを参照すると、外面216と被覆材225内にコア配列221を成すように配置された複数のコア220とを備えるマルチコア光ファイバ220が概略的に描かれている。
図6A~6Dのそれぞれは、第1伝搬定数β
1を持つ1つ以上の第1コア220aと、第2伝搬定数β
2を持つ1つ以上の第2コア220bと、幾つかの実施形態(
図6B~6D)では第3伝搬定数β
3を持つ1つ以上の第3コア220cとを有する異なるコア配列221の例を描く。各コア配列221は少なくとも3つのコア220を備える。また、各コア配列221のコア220は、各個別コアの最も近い隣接するコアがその個別コアと異なる伝搬定数を有するように、マルチコア光ファイバ210の被覆材225内に配置される。個別コアが複数の最も近い隣接するコアを有する(即ち、最も近い隣接するコアはその個別コアから同じ間隔距離だけ離されている)実施形態では、複数の最も近い隣接するコアのそれぞれは、その個別コアと異なる伝搬定数を有する。
【0081】
図6Aは1つ以上の第1コア220a及び1つ以上の第2コア220bを有する第1コア配列221aを描く。第1コア配列221aはコア220の複数の行222及びコア220の複数の列223を有する。第1コア配列221aの各行222は個別第1コア220aと個別第2コア220bが交互する。第1コア配列221aの各列223は個別第1コア220aと個別第2コア220bが交互する。また、第1コア配列221aの各行222のコア220はX軸に沿って整列し、第1コア配列221aの各列223のコア220はY軸に沿って整列する。理論により限定されることを意図しないが、第1コア配列221aは全てのコアの制御された同時の直接コア間結合を可能にすることがあり(例えば、各第1コア220aは少なくとも1つの第2コア220に結合され、及び/又は各第2コア220bは少なくとも1つの第1コア220aに結合されうる)、制御された2次元量子ウォークを実行するために使用されてもよい。
【0082】
図6Bは1つ以上の第1コア220a、1つ以上の第2コア220b、及び1つ以上の第3コア220cを有する第2コア配列221bを描く。第2コア配列221bは複数の行222を有し、各行は隣接する行から横方向(即ち、X方向)にずれている。また、各行222のコア220は第1コア220aと第2コア220bと第3コア220cとが交互し、どの個別の行でも少なくとも2つのコアが同じ伝搬定数を持つコア間に位置する。理論により限定されることを意図しないが、第2コア配列221bは2次元3角形格子及びグラフェン格子のシミュレーションを可能にする。
【0083】
図6Cは1つ以上の第1コア220a、1つ以上の第2コア220b、及び1つ以上の第3コア220cを有する第3コア配列221cを描く。第3コア配列221cは複数の行222を有し、各行は隣接する行から横方向(即ち、X方向)にずれている。また、第3コア配列221cは中心コア226と中心コア226の外側に同心円状に配置されたコア220の複数のリング224とを備える。第3コア配列221cの各リング224のコア220は同じ伝搬定数を有し、同心円状に隣接するリング224のコア220同士は異なる伝搬定数を有する。例えば、各リング224のコア220は第1コア220aと第2コア220bと第3コア220cとが交互し、どの個別のリング224に対しても少なくとも2つのリング224が同じ伝搬定数のコア220を持つリング224間に同心円状に配置される。理論により限定されることを意図しないが、第3コア配列221cは半径方向の制御された直接コア間結合を可能にし、バンドギャップファイバのシミュレーションを可能にする。
【0084】
図6Dは単一のリング224に配置された1つ以上の第1コア220a、1つ以上の第2コア220b、及び1つ以上の第3コア220cを有する第4コア配列221dを描く。第4コア配列221dはコア220の1つのリング224から成る。第4コア配列221dのリング224のコア220は第1コア220aと第2コア220bと第3コア220cとが交互し、少なくとも2つのコアが同じ伝搬定数を持つコア間に配置される。理論により限定されることを意図しないが、第4コア配列221dは環状の1次元コア配列の一方向の直接コア間結合のシミュレーションを可能にする。
【0085】
再び
図1~6Dを参照すると、動作時、本書に記載した光学系100、100’はマルチコア光ファイバ110のコア間で光を結合するために使用されうる。例えば、マルチコア光ファイバ110の第1コア120aからマルチコア光ファイバ110の第2コア120bへ光を結合する方法は、光子生成器180により生成された複数の光子をマルチコア光ファイバ110の入力端112内に、例えばマルチコア光ファイバ110の入力端112において第1コア120a内に向けることを含む。この方法はまた、マルチコア光ファイバ110を変調器150と係合させ、マルチコア光ファイバ110内に長周期ファイバ格子130を生成することを含む。長周期ファイバ格子130は格子周期Ωを有し、第1コア120aが第2コア120bと結合されるように2π/(|β
1-β
2|)=Ωである。従って、第1コア120a内を伝搬する複数の光子が長周期ファイバ格子130に到達すると、複数の光子の少なくとも一部は第1コア120aから第2コア120bへ移り、マルチコア光ファイバ110の出力端114において第2コア120bから出る。次に、この方法は複数の光子を光子検出器190で受信し光子検出器190で測定することを含む。また、変調器150により生成された長周期ファイバ格子130は、複数のコア120の任意の2つのコアの結合を、例えば長周期ファイバ格子130の格子周期Ωを調整することで可能にするように調整可能である。一例の動作では、複数のコア120のうち2つのコアの結合強度が測定されてもよい。結合強度を測定する場合、光子生成器180は狭帯域レーザ又はスーパー発光ダイオードを備え、光子検出器190は光スペクトル分析器を備えてもよい。別の例の動作では、量子ウォークが実行され量子アルゴリズムの開発及び量子シミュレーションに使用されてもよい。
実施例
図7~9を参照すると、一例では、固有振動モード展開手法が、一例のマルチコア光ファイバ310の異なる伝搬定数を有する2つの個別コア(第1コア320aは第2コア320b)の間の結合を数値的に特徴付けるために使用される。この例では、第1コア320aは5.88968μm
-1の伝搬定数β
1を有し、第2コア320bは5.88472μm
-1の伝搬定数β
2を有し、第1コア320aの中心と第2コア320bの中心の距離は20μmである。この例では、±δ
nの屈折率変化が第1コア320aと第2コア320b内に1278.263μmの格子周期Ω
exに亘って引き起こされる。
図7に描かれているように、格子周期Ω
exは正屈折率変化+δ
n及び負屈折率変化-δ
nの2つの等しい半分に分割される。固有振動モード展開法は第1コア320a及び第2コア320bの各屈折率断面(即ち、格子周期Ω
exの±δ
n断面)について誘導モードと非誘導モードの両方を見つけるために使用されてよい。特に、固有振動モード展開法は、第1コア320a及び第2コア320bの各屈折率断面内の接線方向E及びH場の連続性を使って格子周期Ω
ex内(即ち、単一の格子周期Ω
ex内)に生じる反射係数及び透過係数を決定し、格子周期Ω
exに対する散乱行列を決定する。単一の周期に対する散乱行列が得られると、反射係数及び透過係数及び散乱行列が複数の格子周期(例えば、格子周期Ω
exの複数の繰り返し)に対して決定されうる。
【0086】
図8は第1コア320aと第2コア320bの間の透過を示すグラフ50を描く。グラフ50の線52は第2コア320bから第1コア320aへの透過を描き、グラフ50の線54は第1コア320aから第2コア320bへの透過を描く。特に、グラフ50は、波長1550nmの複数の光子(即ち、光)が第1コア320a内に向けられると、線55により示されるように、その光が156個の格子周期Ω
exを通って伝搬した後、第1コア320aから第2コア320bへの出力の最大結合が達成されることを示す。この例では、156周期の長さは約20cmの結合長さに相当する。この例の結合長さ及び格子寸法は波長1550nmの光に対して働くように設計された。
【0087】
図9は1540nm~1560nmの波長範囲に沿って156格子周期Ω
exにおける結合の波長応答を示すグラフ60を描く。グラフ60の線62は、156格子周期Ω
exにおける第2コア320bから第1コア320aへの透過を1540nm~1560nmの波長範囲に沿って(0.5nmおきに測定)描く。グラフ60の線64は、156格子周期Ω
exにおける第1コア320aから第2コア320bへの透過を1540nm~1560nmの波長範囲に沿って(0.5nmおきに測定)描く。また、グラフ60の線65は最大結合が1550nmで達成されることを示し、
図8のグラフ50に描かれた測定値及び結合モード方程式の予測と一致する。
【0088】
本独創的技術を記載し定義する目的のために、本書における変量の記述がパラメータ又は別の変量の関数であることはその変量が排他的にそのパラメータ又は変量の関数であることを示すように意図されていないことに注意されたい。むしろ、記述されたパラメータの関数である変量の記述は、その変量は1つだけのパラメータ又は複数のパラメータの関数である場合があるようにオープンエンドであることが意図されている。
【0089】
なおまた、本書で「少なくとも1つの」部品、要素などの記載は、英語の「a」又は「an」の代替使用は1つだけの部品、要素などに限定されるべきという推量をするのに使用されるべきでない。
【0090】
なお、本開示の部品が特定のやり方で「構成」され特定の特性又は機能を特定のやり方で実現しているとの本書の記載は、構造的記載であり、意図された使用の記載と対照的である。より具体的には、部品が「構成」されるやり方の本書の記述は、その部品の存在する物理的状態を表す、即ち、その部品の構造的特徴の明確な記述と理解されるべきである。
【0091】
本独創的技術を記載し定義する目的のために、用語「実質的に」及び「約」は、任意の定量的比較、値、測定値、又は他の表現が有しうる本質的な不確定度を表すために本書で使用されることに注意されたい。用語「実質的に」及び「約」はまた、説明されている主題の基本機能は変わることなく定量的表現が記述された基準から変わりうる度合を表すために本書で使用される。
【0092】
本開示の主題を詳細にかつ具体的な実施形態を参照して説明したが、本書に開示した様々な詳細は、特定の要素が添付の各図面で例示されている場合でも、これらの詳細は本書に記載された様々な実施形態の本質的部品である要素に関係することを示唆すると理解されるべきでないことに注意されたい。また、これらに限定されないが添付の請求項に規定された実施形態を含む本開示の範囲から逸脱することなく、部分変更及び変形が可能であることは明らかであろう。より具体的には、本開示の幾つかの態様は本書で好ましい又は特に有利であると特定されているが、本開示はこれらの態様に必ずしも限定されないことは考慮されている。
【0093】
なお、添付の請求項の1つ以上は、用語「wherein」を移行句として使用する。本独創的技術を定義する目的のために、この用語は構造の一連の特性の記述を導入するために使用されるオープンエンドの移行句として請求項内で使用され、より多く使用されるオープンエンドの前段用語「comprising」と同様に解釈されるべきであることに注意されたい。
【0094】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0095】
実施形態1
マルチコア光ファイバであって、
被覆材内に配置された複数のコアを備え、
前記複数のコアは第1コアと第2コアを含み、
前記第1コアは第1伝搬定数β1を有し、前記第2コアは第2伝搬定数β2を有し、前記被覆材は被覆材伝搬定数β0を有し、次の関係式が成立する、
【0096】
【0097】
マルチコア光ファイバ。
【0098】
実施形態2
前記第1コア及び前記第2コアはモード不整合M12を有し、次の式で表される
【0099】
【0100】
ここでC12は前記第1コアから前記第2コアへ結合するための結合係数であり、M12は10より大きい、実施形態1記載のマルチコア光ファイバ。
【0101】
実施形態3
前記複数のコアのそれぞれは単一モードコアである、実施形態1又は2記載のマルチコア光ファイバ。
【0102】
実施形態4
前記複数のコアのそれぞれは異なる伝搬定数を有する、実施形態1~3のいずれかに記載のマルチコア光ファイバ。
【0103】
実施形態5
光学系であって、
実施形態1~4のいずれかに記載のマルチコア光ファイバと、
前記マルチコア光ファイバと係合可能な変調器と
を備え、
前記変調器を前記マルチコア光ファイバと係合させることは、格子周期Ωを持つ長周期ファイバ格子を前記マルチコア光ファイバ内に生成し、2π/(|β1-β2|)=Ωである時、前記第1コアは前記第2コアと結合される、光学系。
【0104】
実施形態6
前記変調器は、前記マルチコア光ファイバと物理的に係合可能で前記マルチコア光ファイバの外面に圧力を印加する機械的変調器から成る、実施形態5記載の光学系。
【0105】
実施形態7
前記機械的変調器は第1プレート部及び第2プレート部を有し、
前記第1プレート部、前記第2プレート部、又は両方は複数の周期的に間隔を空けた複数の歯を備え、
前記第1プレート部、前記第2プレート部、又は両方は互いに向かって平行移動可能であり、
前記マルチコア光ファイバを前記機械的変調器と係合させることは、前記第1プレート部と前記第2プレート部を使って前記マルチコア光ファイバに物理的圧力を印加することを含む、実施形態6記載の光学系。
【0106】
実施形態8
前記変調器は音響光学変調器から成り、
前記音響光学変調器は圧電変換器を含み、
前記マルチコア光ファイバを前記音響光学変調器と係合させることは、前記圧電変換器を使って前記マルチコア光ファイバ内に音波を生成することを含む、実施形態5記載の光学系。
【0107】
実施形態9
前記マルチコア光ファイバの入力端に光学的に結合された光子生成器と、前記マルチコア光ファイバの出力端に光学的に結合された光子検出器とを更に備えた実施形態5~7のいずれかに記載の光学系。
【0108】
実施形態10
格子周期Ωを持ち2π/(|β1-β2|)=Ωである長周期ファイバ格子を更に備えた実施形態1~4のいずれかに記載のマルチコア光ファイバ。
【0109】
実施形態11
前記第1コアと前記第2コアの間の消滅比は20dB以上である、実施形態1~4又は10のいずれかに記載のマルチコア光ファイバ。
【0110】
実施形態12
当該マルチコア光ファイバの全体デバイス寸法は30cm未満である、実施形態1~4、10、又は11のいずれかに記載のマルチコア光ファイバ。
【0111】
実施形態13
前記複数のコアは少なくとも3つのコアを含み、
前記少なくとも3つのコアは、前記第1伝搬定数β1を有する1つ以上の第1コアと前記第2伝搬定数β2を有する1つ以上の第2コアとを含む、実施形態1~4のいずれかに記載のマルチコア光ファイバ。
【0112】
実施形態14
前記少なくとも3つのコアは、第3伝搬定数β3を有する1つ以上の第3コアを含み、
前記第3伝搬定数β3は前記第1伝搬定数β1及び前記第2伝搬定数β2両方と異なる、実施形態13記載のマルチコア光ファイバ。
【0113】
実施形態15
前記少なくとも3つのコアは、各個別コアの最も近い隣接するコアはその個別コアと異なる伝搬定数を有するように当該マルチコア光ファイバの被覆材内に配置される、実施形態13又は14記載のマルチコア光ファイバ。
【0114】
実施形態16
マルチコア光ファイバであって、
被覆材内に配置された複数のコアを備え、
前記複数のコアは第1コア、第2コア、及び第3コアを含み、
前記第1コアは第1伝搬定数β1を有し、前記第2コアは第2伝搬定数β2を有し、前記第3コアは第3伝搬定数β3を有し、前記被覆材は被覆材伝搬定数β0を有し、次の関係式が成立する、
【0115】
【0116】
前記第1コア及び前記第2コアはモード不整合M12を有し、次の式で表される
【0117】
【0118】
ここでC12は前記第1コアから前記第2コアへ結合するための結合係数であり、M12は10より大きい、マルチコア光ファイバ。
【0119】
実施形態17
次の関係式が成立し
【0120】
【0121】
前記第1コア及び前記第3コアはモード不整合M13を有し、次の式で表される
【0122】
【0123】
ここでC13は前記第1コアから前記第3コアへ結合するための結合係数であり、
前記第2コア及び前記第3コアはモード不整合M23を有し、次の式で表される
【0124】
【0125】
ここでC23は前記第2コアから前記第3コアへ結合するための結合係数であり、
M13及びM23両方が10より大きい、実施形態16記載のマルチコア光ファイバ。
【0126】
実施形態18
前記複数のコアのそれぞれは単一モードコアである、実施形態16又は17記載のマルチコア光ファイバ。
【0127】
実施形態19
光をマルチコア光ファイバの第1コアから前記マルチコア光ファイバの第2コアへ結合する方法であって、
被覆材内に配置された複数のコアを備える前記マルチコア光ファイバの入力端に光学的に結合された光子生成器により生成された複数の光子を前記複数のコアのうち前記第1コア内に向けることと、
ここで前記複数のコアは前記第1コア及び前記第2コアを含み、前記第1コアは第1伝搬定数β1を有し、前記第2コアは第2伝搬定数β2を有し、前記被覆材は被覆材伝搬定数β0を有し、次の関係式が成立する、
【0128】
【0129】
前記マルチコア光ファイバを変調器と係合させることで、2π/(|β1-β2|)=Ωで与えられる格子周期Ωを持つ長周期ファイバ格子を前記マルチコア光ファイバ内に生成し、前記第1コアを前記第2コアと結合させることとを含む方法。
【0130】
実施形態20
前記第1コア及び前記第2コアはモード不整合M12を有し、次の式で表される
【0131】
【0132】
ここでC12は前記第1コアから前記第2コアへ結合するための結合係数であり、M12は10より大きい、実施形態19記載の方法。
【0133】
実施形態21
前記変調器は機械的変調器から成り、前記マルチコア光ファイバを前記機械的変調器と係合することは、前記機械的変調器で前記マルチコア光ファイバの外面に物理的圧力を印加することを含む、実施形態19又は20記載の方法。
【0134】
実施形態22
前記変調器は圧電変換器を含む音響光学変調器から成り、前記マルチコア光ファイバを前記音響光学変調器と係合させることは、前記圧電変換器を使って前記マルチコア光ファイバ内に音波を生成することを含む、実施形態19又は20記載の方法。
【0135】
実施形態23
前記複数のコアは少なくとも3つのコアを含み、
前記少なくとも3つのコアは、前記第1伝搬定数β1を有する1つ以上の第1コアと前記第2伝搬定数β2を有する1つ以上の第2コアと第3伝搬定数β3を有する1つ以上の第3コアを含み、
前記第3伝搬定数β3は前記第1伝搬定数β1及び前記第2伝搬定数β2両方と異なり、
前記少なくとも3つのコアは、各個別コアの最も近い隣接するコアはその個別コアと異なる伝搬定数を有するように当該マルチコア光ファイバの前記被覆材内に配置される、実施形態19~22のいずれかに記載の方法。
【符号の説明】
【0136】
100 光学系
110 マルチコア光ファイバ
112 入力端
114 出力端
116 外面
120 コア
125 被覆材
130 長周期ファイバ格子
132 変更された屈折率領域
150 変調器
152 機械的変調器
154 第1プレート部
155 歯
156 第2プレート部
180 光子生成器
190 光子検出器
216 外面
220 コア
225 被覆材
【国際調査報告】