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特表2022-511435補強構造体の成形方法及び補強構造体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-31
(54)【発明の名称】補強構造体の成形方法及び補強構造体
(51)【国際特許分類】
   B21D 53/88 20060101AFI20220124BHJP
   B21D 22/26 20060101ALI20220124BHJP
【FI】
B21D53/88 Z
B21D22/26 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021529391
(86)(22)【出願日】2019-11-19
(85)【翻訳文提出日】2021-05-25
(86)【国際出願番号】 KR2019015840
(87)【国際公開番号】W WO2020111627
(87)【国際公開日】2020-06-04
(31)【優先権主張番号】10-2018-0153093
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592000691
【氏名又は名称】ポスコ
【氏名又は名称原語表記】POSCO
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】イ、 ヒュン-ヤン
(72)【発明者】
【氏名】パク、 ジョン-ユン
【テーマコード(参考)】
4E137
【Fターム(参考)】
4E137AA01
4E137BA01
4E137BB01
4E137CA09
4E137CA25
4E137EA01
4E137GA03
4E137GB03
(57)【要約】
本発明は、補強構造体の成形方法及び補強構造体に関するものである。
本発明による補強構造体の成形方法は、鋼板の縁を第1方向に折り上げて上記鋼板の底面とフランジ角度を形成するサイドフランジを形成する第1成形段階と、上記鋼板を第2方向に折って一対の側壁フランジを成形するとともに、上記サイドフランジの少なくとも一部を上記第1方向と反対方向に曲げる第2成形段階と、上記サイドフランジを上記第1方向に折り上げる第3成形段階と、を含むことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼板の縁を第1方向に折り上げて前記鋼板の底面とフランジ角度を形成するサイドフランジを形成する第1成形段階と、
前記鋼板を第2方向に折って一対の側壁フランジを成形するとともに、前記サイドフランジの少なくとも一部を前記第1方向と反対方向に曲げる第2成形段階と、
前記サイドフランジを前記第1方向に折り上げる第3成形段階と、
を含む、補強構造体の成形方法。
【請求項2】
前記第1成形段階は、
前記鋼板の一つの辺に形成された前記サイドフランジが屈曲するように前記鋼板を折り上げ、且つ前記鋼板の底面と前記サイドフランジが互いに異なる角度を形成するように前記鋼板の縁を折り上げることにより、前記サイドフランジを屈曲させることを特徴とする、請求項1に記載の補強構造体の成形方法。
【請求項3】
前記第2成形段階は、
前記鋼板の底面を前記第2方向に折って一対の角を形成することにより、相互に相対する前記一対の側壁フランジを形成することを特徴とする、請求項2に記載の補強構造体の成形方法。
【請求項4】
前記第2成形段階は、
前記一対の側壁フランジの間に前記鋼板の底面の一部領域である上部フランジが存在し、前記上部フランジによって前記一対の側壁フランジが相互に離隔するように前記鋼板を折ることを特徴とする、請求項3に記載の補強構造体の成形方法。
【請求項5】
前記第2成形段階は、
前記上部フランジと同じ高さ及び前記上部フランジよりも高い高さを有する前記サイドフランジを前記第1方向以外の方向に折って前記上部フランジと前記サイドフランジの少なくとも一部が同じ高さにあるように成形することを特徴とする、請求項4に記載の補強構造体の成形方法。
【請求項6】
前記第3成形段階は、
前記上部フランジと同じ高さを有する前記サイドフランジの少なくとも一部を前記第1方向に折り上げることを特徴とする、請求項5に記載の補強構造体の成形方法。
【請求項7】
前記第3成形段階は、
前記サイドフランジの少なくとも一部を前記第1成形段階での位置に復帰させるように前記サイドフランジの少なくとも一部を前記第1方向に折り上げることを特徴とする、請求項6に記載の補強構造体の成形方法。
【請求項8】
前記第1成形段階は、
前記鋼板の底面の延長線と前記サイドフランジが第1角度、第2角度及び第3角度を形成し、且つ
前記第1角度は、0°超過90°以下の値であり、
前記第2角度は、0°超過60°以下の値であり、
前記第3角度は、0°を超えながら前記フランジ角度以下の値であることを特徴とする、請求項4乃至7のいずれか一項に記載の補強構造体の成形方法。
【請求項9】
前記第2成形段階は、
前記一対の角の延長線が前記第2角度を形成する前記サイドフランジと同一線上にあるように前記鋼板を折って前記一対の側壁フランジを形成することを特徴とする、請求項8に記載の補強構造体の成形方法。
【請求項10】
一体型鋼板からなる本体プレートと、
前記本体プレートの縁を一方向に折って形成されたサイドフランジ部と、
前記本体プレートを前記サイドフランジとは異なる方向に折って形成された一対の側壁フランジ部と、を含み、
前記一対の側壁フランジ部及び前記本体プレートの角に前記サイドフランジ部が連結されたことを特徴とする、補強構造体。
【請求項11】
前記サイドフランジ部は、
前記側壁フランジ部の一方から前記側壁フランジ部の他方まで連続して存在することを特徴とする、請求項10に記載の補強構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補強構造体の成形方法及び補強構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車を形成する多数の部品は、関連部品同士の結合のために、様々なフランジ構造を有することができる。
【0003】
図1は、通常の自動車構造部材10を概略的に示したものであって、鋼板を成形して形成された自動車構造部材10は、「コ」字状に折り曲げられた側壁フランジ10b及び下部フランジ10aが連結される構造を有することができる。
【0004】
ところで、このような構造部材10をプレス成形する過程では、図2で示すように、側壁フランジ10b及び下部フランジ10aが接するフランジコーナー部11に変形が集中するようになる。
【0005】
変形が集中したフランジコーナー部11は、変形又は破断に脆弱であるため、通常は、図3に示すように構造部材10のフランジコーナー部を切り出して切欠部12を形成してきた。
【0006】
ところが、このような切欠部12は、自動車部品間において隙間を誘発する原因となり、部品の連結剛性を低下させるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】KR10-1914822B1(2018.10.29)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、自動車の補強構造体自体の剛性を向上させ、自動車部品間の連結剛性及び荷重伝達特性を向上させることを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、補強構造体の成形方法及び補強構造体に関するものである。
本発明による補強構造体の成形方法は、鋼板の縁を第1方向に折り上げて上記鋼板の底面とフランジ角度を形成するサイドフランジを形成する第1成形段階と、上記鋼板を第2方向に折って一対の側壁フランジを成形するとともに、上記サイドフランジの少なくとも一部を上記第1方向と反対方向に曲げる第2成形段階と、上記サイドフランジを上記第1方向に折り上げる第3成形段階と、を含むことができる。
【0010】
また、上記第1成形段階は、上記鋼板の一つの辺に形成された上記サイドフランジが屈曲するように、上記鋼板を折り上げ、且つ上記鋼板の底面と上記サイドフランジが互いに異なる角度を形成するように上記鋼板の縁を折り上げることにより、上記サイドフランジを屈曲させることができる。
【0011】
また、上記第2成形段階は、上記鋼板の底面を上記第2方向に折って一対の角を形成することにより、相互に相対する上記一対の側壁フランジを形成することができる。
【0012】
また、上記第2成形段階は、上記一対の側壁フランジの間に上記鋼板の底面の一部領域である上部フランジが存在し、上記上部フランジによって上記一対の側壁フランジが相互に離隔するように上記鋼板を折ることができる。
【0013】
また、上記第2成形段階は、上記上部フランジと同じ高さ及び上記上部フランジよりも高い高さを有する上記サイドフランジを上記第1方向以外の方向に折って上記上部フランジと上記サイドフランジの少なくとも一部が同じ高さにあるように成形することができる。
【0014】
また、上記第3成形段階は、上記上部フランジと同じ高さを有する上記サイドフランジの少なくとも一部を上記第1方向に折り上げることができる。
【0015】
また、上記第3成形段階は、上記サイドフランジの少なくとも一部を上記第1成形段階での位置に復帰させるように、上記サイドフランジの少なくとも一部を上記第1方向に折り上げることができる。
【0016】
また、上記第1成形段階は、上記鋼板の底面の延長線と上記サイドフランジが第1角度、第2角度及び第3角度を形成し、且つ上記第1角度は0°超過90°以下の値であり、上記第2角度は0°超過60°以下の値であり、上記第3角度は0°を超えながら、上記フランジ角度以下の値であってもよい。
【0017】
また、上記第2成形段階は、上記一対の角の延長線が上記第2角度を形成する上記サイドフランジと同一線上にあるように、上記鋼板を折って上記一対の側壁フランジを形成することができる。
【0018】
一方、本発明による補強構造体は、一体型鋼板からなる本体プレートと、上記本体プレートの縁を一方向に折って形成されたサイドフランジ部と、上記本体プレートを上記サイドフランジとは異なる方向に折って形成された一対の側壁フランジ部と、を含み、且つ上記一対の側壁フランジ部及び上記本体プレートの角に上記サイドフランジ部が連結されることができる。
【0019】
また、上記サイドフランジ部は、上記側壁フランジ部の一方から上記側壁フランジ部の他方まで連続して存在することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によると、自動車の補強構造体の成形性及び剛性が向上し、自動車部品間の連結剛性及び荷重伝達特性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】通常の補強構造体を概略的に示したものである。
図2】通常の補強構造体の成形解析結果を概略的に示したものである。
図3】通常の補強構造体の切欠部を概略的に示したものである。
図4】本発明の補強構造体の成形方法を示したものである。
図5】本発明の補強構造体の斜視図である。
図6】本発明の補強構造体の斜視図である。
図7】本発明の補強構造体の斜視図である。
図8図7のA-A’である。
図9】本発明の補強構造体の斜視図である。
図10図9のB-B’である。
図11】本発明の補強構造体の斜視図である。
図12図11のC-C’である。
図13】本発明の補強構造体の斜視図である。
図14】本発明の補強構造体の斜視図である。
図15】本発明の補強構造体の斜視図である。
図16】本発明の補強構造体の斜視図である。
図17】通常の補強構造体の成形限界曲線である。
図18】本発明の補強構造体の成形限界曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施例に関する説明の理解を助けるために添付された図面において、同一の符号で記載された要素は同一の要素であり、各実施例において同じ作用をする構成要素のうち、関連する構成要素は同一又は延長線上の数字で表した。
【0023】
また、本発明の要旨を明確にするために、従来の技術により周知された要素及び技術に対する説明は省略し、以下では、添付の図面を参考にして、本発明について詳細に説明する。
【0024】
但し、本発明の思想は、提示される実施例に限定されず、当業者によって特定の構成要素が追加、変更、削除された他の形態としても提供されることができるが、これも本発明と同一の思想の範囲内に含まれることを明らかにしておく。
【0025】
添付の図面に示されたX軸及びY軸は鋼板の幅方向及び長さ方向であり、Z軸方向は厚さ方向である。但し、この方向は、鋼板及び成形工程の特性上、変更することができる。
【0026】
図4に示すように、本発明による補強構造体の成形方法は、鋼板の縁を第1方向に折り上げて上記鋼板の底面とフランジ角度を形成するサイドフランジを形成する第1成形段階(S101)、上記鋼板を第2方向に折って一対の側壁フランジを成形するとともに、上記サイドフランジの少なくとも一部を上記第1方向と反対方向に曲げる第2成形段階(S102)、及び上記サイドフランジを上記第1方向に折り上げる第3成形段階(S103)を含むことができる。この時、上記第2成形段階(S102)は、上記サイドフランジの少なくとも一部を上記第1方向と反対方向に曲げるか、折り下げて平らにすることができ、上記第3成形段階(S103)は、上記第2成形段階(S102)で平らに折り下げた上記サイドフランジを上記第1方向に折り上げることができる。
【0027】
このような成形方法によると、鋼板のフランジに加えられる変形を均一に分散させ、いずれか一つの点、特に、フランジのコーナー部に変形が集中して鋼板が破れたり破断したりすることを防止することができる。
【0028】
また、鋼板のフランジに変形が均一に分散されることで、フランジのコーナー部を切断して切欠部を形成する必要がないため、切欠部なしで連続したフランジを有する補強構造体を形成することができ、補強構造体自体の剛性を向上させることができる。
【0029】
また、連続したフランジによって自動車部品間の連結性及び結合性を向上させることができ、気密性及び水密性も向上し、自動車の騒音を遮断することができ、安全性も向上させることができる。
【0030】
まず、第1成形段階は、図5に示された鋼板110の一つの辺に形成されたサイドフランジ120が屈曲するように、上記鋼板を折り上げて鋼板110の辺が屈曲するように素材の肉を集める工程を含むことができる。
【0031】
サイドフランジ120は、鋼板110の縁を一方向に折り上げて形成することができるが、このように形成されたサイドフランジ120は、Z軸方向に少なくとも平行に置かれることができ、底面112とは一定の角度を形成するように折り曲げられた形で置かれることができる。
【0032】
四角形の鋼板110は4つの辺を含み、サイドフランジ120は4つの辺にそれぞれ形成されることができる。
【0033】
また、4つのサイドフランジのうち、本発明では、フランジのコーナー部が形成される領域に存在する一対のサイドフランジ120を屈曲するように形成し、そのために、鋼板の縁111を折り上げてサイドフランジ120を形成することができる。
【0034】
このようにサイドフランジ120が形成された鋼板110の変形領域は、図6に示されており、図6で示すように、鋼板の変形領域Eは、サイドフランジ120全体に渡って均一に発生するようになる。
【0035】
図7で示すように、サイドフランジ120に屈曲を形成するためには、鋼板110の底面112とサイドフランジ120が形成する角度がX軸方向に互いに異なるように上記鋼板110の縁111を折り上げることができる。
【0036】
まず、図8で示すように、鋼板110の底面112の延長線と上記サイドフランジ120が第1角度(θ)を形成するように鋼板110の縁111を折り上げることができる。
【0037】
また、図9及び図10に示すように、鋼板110の底面112の延長線と上記サイドフランジ120が第2角度(θ)を形成するように鋼板110の縁111を折り上げることができ、また、図11及び図12に示すように、鋼板110の底面112の延長線と上記サイドフランジ120が第3角度(θ)を形成するように鋼板110の縁111を折り上げることができる。
【0038】
すなわち、鋼板の底面112の延長線とサイドフランジ120が第1、2、3角度(θ、θ、θ)を形成するように縁111をX軸方向に折り上げていくことができる。
【0039】
この時、鋼板110の底面112とサイドフランジ120は、フランジ角度(図8のθ)を形成するようになるが、この段階で上記フランジ角度(図8のθ)は図7のX軸方向に互いに異なる値を有することができる。
【0040】
本発明の好ましい一実施例において、第1角度(図8のθ)は0°超過90°以下のいずれか一つの値であってもよく、第2角度(図10のθ)は0°超過60°以下のいずれか一つの値であってもよく、第3角度(図12のθ)は0°を超えながら、上記フランジ角度(図8のθ)以下のいずれか一つの値になってもよい。
【0041】
この時、フランジ角度(図8のθ)はX軸方向に変化するか、同じ角度になってもよく、鋼板120のまた別の辺に形成される屈曲していないサイドフランジ(図11の120)が底面112と形成する角度になってもよい。
【0042】
また、上記第1、2、3角度(θ、θ、θ)はプレス金型の1回の移動により一度に成形完了することができる。
【0043】
但し、これは、鋼板の特性、工程の特性などを考慮し、当業者によって適切に選択されて適用することができる事項である。
【0044】
上記のような第1成形段階に続いて、第2成形段階は図13で示すように、まず、鋼板110の底面112を第1方向、すなわち、鋼板の縁(図12の111)を折り上げてサイドフランジ120を形成していた方向ではなく、第2方向に折って一対の角131を形成することにより、相互に相対する一対の側壁フランジ130を形成する工程を含むことができる。
【0045】
この時、上記工程は上記一対の側壁フランジ130の間に、上記鋼板の底面112の一部領域である上部フランジ140が存在し、上記上部フランジ140によって上記一対の側壁フランジ130が相互に離隔するように上記鋼板を折ることができる。
【0046】
また、上記第2成形段階は、上記のように上部フランジ140を形成するとともに、上記上部フランジ140とZ軸方向に同じ高さ及び上記上部フランジよりZ軸方向に高い高さを有する上記サイドフランジ120を形成するために鋼板の縁(図12の111)を折り上げていた第1方向ではない方向D1に折って、上記上部フランジ140と上記サイドフランジ120の少なくとも一部がZ軸において同じ高さ上にあるようにする工程を含む。
【0047】
すなわち、サイドフランジ120の少なくとも一部を折り下げて平らにすることにより、サイドフランジ120、側壁フランジ130及び上部フランジ140が接するコーナー部に変形を与え、コーナー部にストレッチングが発生しないようにするものであるが、鋼板110は、図14で示すような変形領域Eを有するようになる。
【0048】
側壁フランジ130を形成し、平坦部121を形成する過程で素材の肉を集めておいたサイドフランジ(図11の120)の領域は延伸されるが、この時、平坦部121が平らに形成されているため、フランジのコーナー部が破れたりクラックが発生したりすることなく、側壁フランジ130を形成することができるようになる。
【0049】
好ましくは、上記第2成形段階は、一対の角131の延長線が第1成形段階で第2角度(図10のθ)を形成するサイドフランジ120の領域と同一線上、すなわち、Z軸において同じ高さ上にあるように鋼板110を折って一対の角131及び側壁フランジ130を形成することができる。
【0050】
側壁フランジ130を形成する際に加わる変形を考慮して、最も小さい角度で折っていた第2角度(図10のθ)に該当する領域に変形を加えて側壁フランジ130を形成することにより、鋼板110の領域に変形を均一に分割して加えることができるようになる。
【0051】
このように側壁フランジ130及び平坦部121を形成する過程もプレス金型の1回の移動により一度に行うことができる。
【0052】
次いで、第3成形段階は、図15で示すように、上記上部フランジと同じ高さを有する上記サイドフランジの少なくとも一部、すなわち、平坦部(図14の12)を、サイドフランジ120を形成するときに縁を折り上げていた方向と同じ方向D2、つまり、上記第1方向に折り上げる工程を含むことができる。
【0053】
すると、また別の変形領域Eが生じるようになるが、第2成形段階で形成されていた変形領域(図14のE)とは異なる場所に生じたことが分かり、これにより、変形集中による破断及びクラックを防止することができる効果があり、変形が集中したフランジのコーナー部を切り出して切欠部を形成する必要もなくなる。
【0054】
また、本発明は、第1、2、3成形段階での変形領域Eは、フランジのコーナー部又はいずれか一つの領域に集中するものではなく、サイドフランジ120、上部フランジ140及び側壁フランジ130の全般的な領域に分散して形成されることが分かる。
【0055】
したがって、本発明の補強構造体の成形方法によると、切欠部なしで連続したサイドフランジ120を鋼板110の破断及びクラックなく成形することができるようになる。
【0056】
一方、他の側面としての本発明は、補強構造体を提供する。
本発明の一実施例による補強構造体は、図16で示すように、一体型鋼板からなる本体プレート210及び上記本体プレートの縁を一方向に折って形成されたサイドフランジ部220及び上記本体プレートを上記サイドフランジとは異なる方向に折って形成された一対の側壁フランジ部230を含むことができる。
【0057】
この時、上記一対の側壁フランジ部230及び上記本体プレート210の角212には上記サイドフランジ部220が連結される。そして、上記サイドフランジ部は本体プレート210の縁に沿って連続して存在する。
【0058】
すなわち、本発明による補強構造体は、サイドフランジ部220がX軸、Y軸、Z軸に連続して存在し、非連続の切欠部を含まない。
【0059】
このような本発明は、図17に示される従来の補強構造体の成形限界曲線で発生する変形区間Aに比べて、図18で示すように、限界線を越えた変形区間Aが著しく少なく、その分、破断及び変形の可能性が少ないことが分かる。
【0060】
したがって、フランジのコーナー部を切欠部として形成すべき理由がなく、連続したサイドフランジ部を形成することができるため、従来の補強構造体に比べて自動車部品間の連結性及び結合性が向上することができ、気密性及び水密性も向上して自動車の騒音を遮断することができ、安全性も向上させることができる効果がある。
【0061】
以上で説明した事項は、本発明の一実施例について説明したものであり、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるは、当該技術分野における通常の知識を有する者には自明である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【国際調査報告】