(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-31
(54)【発明の名称】拡張現実デバイスにおける高効率接眼レンズのための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20220124BHJP
G02B 5/18 20060101ALI20220124BHJP
G02B 5/00 20060101ALI20220124BHJP
H04N 5/64 20060101ALI20220124BHJP
G02B 5/124 20060101ALI20220124BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02B5/18
G02B5/00 C
H04N5/64 511A
G02B5/124
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021530892
(86)(22)【出願日】2019-11-26
(85)【翻訳文提出日】2021-05-28
(86)【国際出願番号】 US2019063340
(87)【国際公開番号】W WO2020112836
(87)【国際公開日】2020-06-04
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514108838
【氏名又は名称】マジック リープ, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Magic Leap,Inc.
【住所又は居所原語表記】7500 W SUNRISE BLVD,PLANTATION,FL 33322 USA
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】チェン, フイ-チュアン
【テーマコード(参考)】
2H042
2H199
2H249
【Fターム(参考)】
2H042AA02
2H042AA05
2H042AA17
2H042AA26
2H042EA04
2H199CA29
2H199CA30
2H199CA42
2H199CA45
2H199CA53
2H199CA66
2H199CA67
2H199CA68
2H199CA69
2H249AA02
2H249AA12
2H249AA50
2H249AA60
2H249AA62
2H249AA64
(57)【要約】
ディスプレイシステムは、第1の方向に光のビームを投影するように構成された投影オプティクスと、第1の横平面に配置された第1の導波路層を含む接眼レンズユニットであって、接眼レンズユニットは、入射光表面と、入射光表面と反対の反対表面とを含む、接眼レンズユニットと、入射光表面上に配置された内部結合回折光学素子とを含む。内部結合回折光学素子は、光のビームの第1の部分を内部結合することと、光のビームの第1の部分を第2の方向に全内部反射によって伝播させることと、第1の方向に沿って光のビームの第2の部分を透過させることとを行うように構成される。接眼レンズは、反対表面に隣接して配置された再帰反射器も含む。再帰反射器は、第1の方向と反対の反射された方向に沿って光のビームの第2の部分を再帰反射するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイシステムであって、前記ディスプレイシステムは、
光のビームを第1の方向に投影するように構成される投影オプティクスと、
接眼レンズユニットと
を備え、
前記接眼レンズユニットは、
第1の横平面内に配置される第1の導波路層であって、前記第1の導波路層は、入射光表面と、前記入射光表面の反対にある反対表面とを含む、第1の導波路層と、
前記入射光表面上に配置される内部結合回折光学素子であって、前記内部結合回折光学素子は、
前記光のビームの第1の部分を内部結合し、前記光のビームの前記第1の部分を全内部反射によって第2の方向へ伝播させることと、
前記光のビームの第2の部分を前記第1の方向に沿って透過させることと
を行うように構成される、内部結合回折光学素子と、
前記反対表面に隣接して配置される再帰反射器であって、前記再帰反射器は、前記第1の方向と反対の反射された方向に沿って、前記光のビームの前記第2の部分を再帰反射するように構成される、再帰反射器と
を含む、ディスプレイシステム。
【請求項2】
前記接眼レンズユニットは、
前記内部結合回折光学素子から横にずらされた直交瞳エクスパンダ領域と、
前記内部結合回折光学素子から横にずらされた射出瞳エクスパンダ(EPE)領域と
をさらに備える、請求項1のディスプレイシステム。
【請求項3】
前記光のビームを前記投影オプティクスに向けるように構成される投影ディスプレイをさらに備える、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項4】
前記光のビームは、連続して投影される複数の色を備える、請求項1のディスプレイシステム。
【請求項5】
前記第2の方向は、前記第1の横平面に平行である、請求項1のディスプレイシステム。
【請求項6】
前記再帰反射器は、前記反対表面上に配置される、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項7】
前記再帰反射器は、前記反対表面から所定距離で前記反対表面に平行に配置される、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項8】
前記内部結合回折光学素子は、
前記光のビームの前記第2の部分の第3の部分を内部結合し、前記第3の部分を全内部反射によって前記第2の方向へ伝播させることと、
前記光のビームの第4の部分を前記反射された方向に沿って透過させることと
を行うようにさらに構成される、請求項1のディスプレイシステム。
【請求項9】
前記第1の横平面に隣接する第2の横平面内に配置される第2の導波路層であって、前記第2の導波路層は、第2の横位置に配置される第2の内部結合回折光学素子と、前記第2の内部結合回折光学素子に光学的に結合される第2の導波路と、前記第2の導波路に光学的に結合される第2の外部結合回折光学素子とを含む、第2の導波路層と、
第3の横平面内に配置される第3の導波路層であって、前記第3の導波路層は、第3の横位置に配置される第3の内部結合回折光学素子と、前記第3の内部結合回折光学素子に光学的に結合される第3の導波路と、前記第3の導波路に光学的に結合される第3の外部結合回折光学素子とを含む、第3の導波路層と
をさらに備える、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項10】
前記内部結合回折光学素子は、第1の横位置に配置され、前記第1の横位置および前記第2の横位置は、同一の横位置である、請求項9に記載のディスプレイシステム。
【請求項11】
接眼レンズユニットであって、前記接眼レンズユニットは、
横平面内に配置される導波路層であって、前記導波路層は、入射光表面と、前記入射光表面の反対にある反対表面とを含む、導波路層と、
前記入射光表面上に配置される第1の内部結合回折光学素子であって、前記第1の内部結合回折光学素子は、
第1の方向に伝播する光のビームの第1の部分を内部結合し、前記光のビームの前記第1の部分を全内部反射によって第2の方向へ伝播させることと、
前記光のビームの第2の部分を前記第1の方向に沿って透過させることと
を行うように構成される、第1の内部結合回折光学素子と、
前記反対表面上に配置される第2の内部結合回折光学素子であって、前記第2の内部結合回折光学素子は、
前記第1の方向に沿った前記光のビームの前記第2の部分を受け取ることと、
前記光のビームの第3の部分を内部結合し、前記光のビームの前記第3の部分を全内部反射によって第3の方向へ伝播させることと、
前記光のビームの第4の部分を前記第1の方向に沿って透過させることと
を行うように構成される、第2の内部結合回折光学素子と、
前記反対表面に隣接して配置される再帰反射器であって、前記再帰反射器は、前記第1の方向と反対の反射された方向に沿って、前記光のビームの前記第4の部分を再帰反射するように構成される、再帰反射器と
を備える、接眼レンズユニット。
【請求項12】
前記第2の内部結合回折光学素子は、メタライズ再帰反射器を備える、請求項11に記載の接眼レンズユニット。
【請求項13】
前記第1の内部結合回折光学素子は、第1のスペクトル帯にある光を内部結合するように構成される、請求項11に記載の接眼レンズユニット。
【請求項14】
前記第2の内部結合回折光学素子は、第2のスペクトル帯にある光を内部結合するように構成される、請求項13に記載の接眼レンズユニット。
【請求項15】
前記第1のスペクトル帯は、赤色波長を含み、前記第2のスペクトル帯は、緑色波長を含む、請求項14に記載の接眼レンズユニット。
【請求項16】
ディスプレイシステムを動作させる方法であって、前記方法は、
光のビームを第1の方向に向けることと、
導波路層の入射光表面において前記光のビームを受け取ることであって、前記導波路層は、前記入射光表面の反対にある反対表面を有する、ことと、
第1の回折光学素子において、前記光のビームの第1の部分を第2の方向へ前記導波路層内に伝播させることと、
前記第1の回折光学素子において、前記光のビームの第2の部分を前記反対表面に向かって透過させることと、
前記光のビームの前記第2の部分を前記第1の方向と反対の反射された方向に沿って再帰反射することと
を含む、方法。
【請求項17】
前記第1の回折光学素子において、前記光のビームの前記第2の部分の第1の小部分を前記第2の方向へ前記導波路層内に伝播させることと、
前記第1の回折光学素子において、前記光のビームの前記第2の部分の第2の小部分を前記反射された方向に沿って透過させることと
をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第2の小部分の少なくとも一部分を前記導波路層に向かって前記第1の方向へ反射することと、
前記導波路層の前記入射光表面において、前記反射された部分を受け取ることと、
前記第1の回折光学素子において、前記反射された部分の一部分を前記第2の方向へ前記導波路層内に伝播させることと
をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の回折光学素子は、前記入射光表面に配置される、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記光のビームの前記第2の部分を再帰反射することは、前記第1の方向と反対の反射された方向に沿って光を再帰反射することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記光のビームを前記第1の方向に向けることは、ディスプレイ素子から時系列色ビームを反射することを含む、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、「Methods and Systems for High Efficiency Eyepiece in Augmented Reality Devices」と題され2018年11月30日に出願された米国仮特許出願第62/773,821号への優先権を主張し、その開示は、全ての目的のためにその全体が参照によって本明細書中に援用される。
【0002】
本発明の背景
現代のコンピューティングテクノロジおよびディスプレイテクノロジは、いわゆる「仮想現実」または「拡張現実」体験のためのシステムの開発を促進しており、デジタル方式で生み出された画像またはそれらの一部は、それらが現実であるように見える(すなわち、現実として知覚され得る)態様で、ウェアラブルデバイスにおいてユーザに提示される。仮想現実(すなわち「VR」)シナリオは、典型的に、他の実際の現実世界の視覚的入力に対する透明性のないデジタルまたは仮想画像情報の提示を伴い、拡張現実(すなわち「AR」)シナリオは、典型的に、ユーザの周りの実世界の視覚化への拡張としてのデジタルまたは仮想画像情報の提示を伴う。
【0003】
これらのディスプレイテクノロジにおいてなされた進歩にもかかわらず、拡張現実システム(特に、ディスプレイシステム)に関する向上された方法およびシステムに対するニーズが当技術分野において存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、概して、ウェアラブルディスプレイを含む投影ディスプレイシステムに関する方法およびシステムに関する。より具体的には、本開示の実施形態は、システムの輝度および性能を向上させる再帰反射器を含む接眼レンズユニットのための方法およびシステムを提供する。特定の実施形態では、再帰反射器は、接眼レンズの導波路層に組み込まれ、光をリサイクルし、導波路層内への投影された光の有効内部結合効率を増加させる。本開示は、コンピュータビジョンおよび画像ディスプレイシステムにおける種々の用途に適用可能である。
【0005】
本発明のある実施形態によると、ディスプレイシステムが提供される。ディスプレイシステムは、光のビームを第1の方向に投影するように構成される投影オプティクスと、接眼レンズユニットとを含み、接眼レンズユニットは、第1の横平面内に配置される第1の導波路層であって、第1の導波路層は、入射光表面と、入射光表面の反対にある反対表面とを含む、第1の導波路層と、入射光表面上に配置される内部結合回折光学素子とを含む。内部結合回折光学素子は、光のビームの第1の部分を内部結合し、光のビームの第1の部分を全内部反射によって第2の方向へ伝播させることと、光のビームの第2の部分を第1の方向に沿って透過させることとを行うように構成される。接眼レンズは、反対表面に隣接して配置される再帰反射器も含む。再帰反射器は、第1の方向と反対の反射された方向に沿って、光のビームの第2の部分を再帰反射するように構成される。
【0006】
本発明の別の実施形態によると、接眼レンズユニットが提供される。接眼レンズユニットは、横平面内に配置される導波路層であって、導波路層は、入射光表面と、入射光表面の反対にある反対表面とを含む、導波路層と、入射光表面上に配置される第1の内部結合回折光学素子とを含む。第1の内部結合回折光学素子は、第1の方向に伝播する光のビームの第1の部分を内部結合し、光のビームの第1の部分を全内部反射によって第2の方向へ伝播させることと、光のビームの第2の部分を第1の方向に沿って透過させることとを行うように構成される。接眼レンズユニットは、反対表面上に配置される第2の内部結合回折光学素子も含む。第2の内部結合回折光学素子は、第1の方向に沿った光のビームの第2の部分を受け取ることと、光のビームの第3の部分を内部結合し、光のビームの第3の部分を全内部反射によって第3の方向へ伝播させることと、光のビームの第4の部分を第1の方向に沿って透過させることとを行うように構成される。接眼レンズユニットは、反対表面に隣接して配置される再帰反射器をさらに含む。再帰反射器は、第1の方向と反対の反射された方向に沿って、光のビームの第4の部分を再帰反射するように構成される。
【0007】
本発明の特定の実施形態によると、ディスプレイシステムを動作させる方法が提供される。方法は、光のビームを第1の方向に向けることと、導波路層の入射光表面において光のビームを受け取ることであって、導波路層は、入射光表面の反対にある反対表面を有する、ことと、第1の回折光学素子において、光のビームの第1の部分を第2の方向へ導波路層内に伝播させることとを含む。方法は、第1の回折光学素子において、光のビームの第2の部分を反対表面に向かって透過させることと、光のビームの第2の部分を第1の方向と反対の反射された方向に沿って再帰反射することとも含む。
【0008】
本発明によって、従来技術を上回る数多くの利点が達成される。例えば、本発明の実施形態は、より高い効率をもたらすことができ、再帰反射器を用いることによってさもなければ失われ得る光をリサイクルすることができる方法およびシステムを提供する。本発明のこれらの実施形態および他の実施形態が、その多くの利点および特徴と共に、以下の文章および添付の図面と併せてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明のある実施形態による、視認者にデジタル画像または仮想画像を提示するために用いられ得る視認光学アセンブリ(VOA)の一部における光路を概略的に例証している。
【0010】
【
図2】
図2は、本発明のある実施形態による、仮想画像を視認するための接眼レンズにおける色分離の方法を概略的に例証している。
【0011】
【
図3】
図3は、本発明のある実施形態による、接眼レンズの平面図を概略的に例証している。
【0012】
【
図4】
図4は、本発明のある実施形態による、複数の深度平面のための色の時系列エンコーディングを例証している概略図である。
【0013】
【
図5】
図5は、本発明のある実施形態による、位置合わせされた回折光学素子と組み込み型再帰反射器とを有する接眼レンズの断面図である。
【0014】
【
図6】
図6は、本発明のある実施形態による、プロジェクタ、接眼レンズ、および再帰反射器の素子の断面図である。
【0015】
【
図7】
図7は、本発明のある実施形態による、接眼レンズの平面導波路および組み込み型再帰反射器の断面図である。
【0016】
【
図8】
図8は、本発明のある実施形態による、複数の回折光学素子および組み込み型再帰反射器を有する平面導波路の断面図である。
【0017】
【
図9】
図9は、本発明のある実施形態による、接眼レンズにおけるアーチファクトを低減させる方法を例証する簡略化されたフローチャートである。
【0018】
【
図10A】
図10Aは、本発明のある実施形態による、複数瞳システムにおいて活用される平面導波路の簡略化された断面図である。
【0019】
【0020】
【
図11】
図11は、本発明のある実施形態による、再帰反射器の素子を例証する簡略化された概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態は、ウェアラブルディスプレイを含む投影ディスプレイシステムを活用する方法およびシステムに関する。より具体的には、本開示の実施形態は、再帰反射器に適合する接眼レンズユニットのための方法およびシステムを提供する。本開示は、コンピュータビジョンおよび画像ディスプレイシステムにおける種々の用途に適用可能である。
【0022】
図1は、いくつかの実施形態による、視認者にデジタル画像または仮想画像を提示するために用いられ得る視認光学アセンブリ(VOA)における光路を概略的に例証している。VOAは、プロジェクタ101と、視認者の眼102の周りに着用され得る接眼レンズ100とを含む。いくつかの実施形態では、プロジェクタ101は、赤色LEDの群と、緑色LEDの群と、青色LEDの群とを含み得る。例えば、プロジェクタ101は、2つの赤色LEDと、2つの緑色LEDと、2つの青色LEDとを含み得る。接眼レンズ100は、1つ以上の接眼レンズ層を含み得る。いくつかの実施形態では、接眼レンズ100は、3つの接眼レンズ層を含み、3つの色(赤色、緑色、および青色)の各々のために1つの接眼レンズ層を含む。いくつかの実施形態では、接眼レンズ100は、6つの接眼レンズ層(すなわち、1つの深度平面における仮想画像を形成するために構成された3つの色の各々のための接眼レンズ層の1つの組、および、別の深度平面における仮想画像を形成するために構成された3つの色の各々のための接眼レンズ層の別の組)を含み得る。いくつかの実施形態では、接眼レンズ100は、3つ以上の異なる深度平面のための3つの色の各々のための3つ以上の接眼レンズ層を含み得る。各接眼レンズ層は、平面導波路を含み、各接眼レンズ層は、内部結合回折格子107と、直交瞳エクスパンダ(OPE)領域108と、射出瞳エクスパンダ(EPE)領域109とを含み得る。接眼レンズ層は、本明細書中で平面導波路層と称されるが、回折構造および/または反射構造が接眼レンズ層の1つ以上の表面と一緒に統合され、概して平面であるが光が回折および/または反射させられることができる非平面領域によって特徴付けられる導波路層をもたらし得ることが認識されるであろう。
【0023】
引き続き
図1を参照すると、プロジェクタ101は、接眼レンズ層100における内部結合回折格子107上に画像光を投影する。内部結合回折格子107は、OPE領域108に向かう方向に画像光を伝播させる平面導波路内に、プロジェクタ101からの画像光を結合する。平面導波路は、全内部反射(TIR)によって水平方向に画像光を伝播させる。接眼レンズ層のOPE領域108は、回折素子を含み、回折素子は、導波路内を伝播する画像光の部分を結合し、EPE領域109に向かうように画像光の部分の向きを変える。EPE領域109は、回折素子を含み、回折素子は、平面導波路内を伝播する画像光の部分を結合し、視認者の眼102に向かって接眼レンズ層の平面に略垂直な方向に画像光の部分を方向付ける。この様式において、プロジェクタ101によって投影された画像は、視認者の眼102によって視認され得る。
図1に例証されるVOAの一部は、視認者の1つの眼のための「単眼レンズ」を構成し得る。全体的なVOAは、2つのそのような単眼レンズ(視認者の各眼のために1つ)を含み得る。
【0024】
上で説明されるように、プロジェクタによって生成された画像光は、3つの色(青色(B)、緑色(G)、赤色(R))の光を含み得る。そのような画像光は、構成色に分離させられ得、それによって、各構成色の画像光が、接眼レンズ内のそれぞれの導波路に結合され得る。
【0025】
図2は、本発明のある実施形態による、「インライン」手法を用いた色分離の方法を概略的に例証している。この例において、接眼レンズ230も、青色導波路240と、緑色導波路250と、赤色導波路260とを含み得る。各導波路240、250、または260は、ICG242、252、または262と、OPE領域244、254、または264と、EPE領域246、256、または266とを含み得る。ここで、プロジェクタサブシステム210によって生成される青色、緑色、および赤色の光は、互いに空間的に分離されず、青色導波路240内のICG242、緑色導波路250内のICG252、および赤色導波路260内のICG262は、互いに対して横方向に位置合わせされる。したがって、画像光は、「直列」様式で連続して各導波路を通過する。接眼レンズ230は、青色導波路240内のICG242と緑色導波路250内のICG252との間に位置付けられる第1の波長選択光学素子292と、緑色導波路250内のICG252と赤色導波路260内のICG262との間に位置付けられる第2の波長選択光学素子294とをさらに含み得る。第1の波長選択光学素子292および第2の波長選択光学素子294は、例えば、波長選択光学フィルタ(すなわち、特定の範囲の波長の光を選択的に透過させる光学素子)、および/または、波長選択光学反射器(すなわち、特定の範囲の波長の光を選択的に反射するミラーまたは他の光学素子)を表し得る。ダイクロイックフィルタが、波長に基づいて、光を透過させることと光を反射することとの両方を選択的に行うように構成される光学素子の一例である。以下において、第1の波長選択光学素子292は、「光学フィルタ292」とも称され得、第2の波長選択光学素子294は、「光学フィルタ294」とも称され得る。同様に、
図3-
図9のいずれかを参照して説明される他の波長選択光学素子は、本明細書中で、「光学フィルタ」とも称され得る。
【0026】
図2に例証されるように、3色全ての画像光が、青色導波路240内のICG242に入射する。青色導波路240内のICG242は、主に青色波長範囲内にある画像光の部分を、OPE領域244に向かって導かれるように青色導波路240内に結合し得る。青色導波路240内のICG242は、さらに議論されるように、少量の緑色画像光を、またより少量の赤色光さえも、青色導波路240内に結合し得る。青色導波路240内に結合されない画像光は、青色導波路240を通って透過させられ、第1の光学フィルタ292に入射する。第1の光学フィルタ292は、緑色波長範囲および赤色波長範囲において高い透過値を有し、青色波長範囲において低い透過値を有するように構成され得る。したがって、第1の光学フィルタ292によって透過させられ、緑色導波路250内のICG252に入射する画像光は、主に緑色画像光と赤色画像光とを含み得、青色画像光をほとんど含まないまたは含まない。
【0027】
引き続き
図2を参照すると、緑色導波路250内のICG252は、主に緑色波長範囲内の画像光の部分を、OPE領域254に向かって導かれるように緑色導波路250内に結合し得る。緑色導波路250内のICG252は、後にさらに議論されるように、少量の赤色画像光も緑色導波路250内に結合し得る。緑色導波路250内に結合されない画像光は、緑色導波路250を通って透過させられ、第2の光学フィルタ294に入射し得る。第2の光学フィルタ294は、赤色波長範囲において高い透過値を有し、緑色波長範囲および青色波長範囲において低い透過値を有するように構成され得る。したがって、第2の光学フィルタ294によって透過させられ、赤色導波路260内のICG262に入射する画像光は、主に赤色画像光を含み得、緑色画像光および青色画像光をほとんど含まないまたは含まない。赤色導波路260内のICG262は、主に赤色波長範囲内の画像光の部分を、OPE領域264に向かって導かれるように赤色導波路260内に結合し得る。
【0028】
図3は、本発明のある実施形態による接眼レンズ300の平面図を概略的に例証している。接眼レンズ300は、隣接した横平面でスタックされた青色導波路340と緑色導波路350と赤色導波路360とを含み得る。各導波路340、350、または360は、ICG領域310と、OPE領域320と、EPE領域330とを含み得る。3つの導波路340、350、および360のためのICG領域310は、同一の横位置に配置され、従って、同一の光路に沿ってスタックされ得る。第1の光学フィルタ392は、青色導波路340のICG310と緑色導波路350のICG310との間に位置付けられ得る。第2の光学フィルタ392は、緑色導波路350のICG310と赤色導波路360のICG310との間に位置付けられ得る。
【0029】
図4は、いくつかの実施形態による複数の深度平面のための色の時系列エンコーディングを例証する概略図である。
図4に例証されるように、(この例証では3つの)深度平面は、シェーダを介してピクセルごとに最下位ビット(LSB)にエンコードされる。本明細書中で議論されるプロジェクタアセンブリは、所望の深度平面における各色のためのピクセルの精密な配置を提供する。3つの色は、各深度平面((平面0のためのR0、G0、B0)402、(平面1のためのR1、G1、B1)404、および(平面2のためのR2、G2、B2)406)のために連続してエンコードされる。1.39msの間の各色の照射は、(全ての色および平面をリフレッシュするための12.5msに基づいて)720Hzの照射フレームレート408と、3つ全ての色および3つの深度平面のための80Hzのフレームレート410とを提供する。いくつかの実施形態では、フレーム毎の単一の深度平面のための信号の色は、その特定の深度平面のためのその特定の色と関連付けられる光源を用いることによってのみ、用いられ得る。
【0030】
いくつかの実施形態では、複数の深度平面は、連続して符号化された色を受け取る可変フォーカスレンズの使用を通して実装されることができる。これらの実施形態では、3つの接眼レンズ層が存在し得、内部結合回折格子は、内部結合回折格子が光軸のまわりで互いに直接的に向かい合って位置付けられないようにさらに離間され得る。当業者は、多くの変更物、変形物、および代替物を認識する。
【0031】
図5は、本発明のある実施形態による、位置合わせされた回折光学素子と、組み込み型再帰反射器とを有する接眼レンズの断面図である。視認者の眼に画像を投影するために用いられることができる接眼レンズ500は、第1の平面導波路510を含み、第1の平面導波路は、第1の導波路とも称され、第1の横平面内に位置付けられる(すなわち、第1のx-y平面内で第1の長手方向(z軸)位置に位置付けられる)。第1の平面導波路510は、第1の横位置(すなわち、第1のx-y座標位置)に配置された第1の回折光学素子(DOE)512を含む。第1のDOE512は、内部結合回折格子(ICG)を含み得、内部結合回折格子は、第1の平面導波路510の(入射光表面とも称されることができる)第1の表面513上、または、第1の表面の反対にある第1の導波路510の(反対表面と称されることができる)第2の表面514上のいずれかに形成され得る。いくつかの実施形態では、第1のDOE512は、第1の平面導波路510の第1の表面513、および第1の表面の反対にある第1の導波路510の第2の表面514のうちの一方または両方に形成されたICGを含み得る。第1のDOE512は、透過回折格子であり得、透過回折格子は、第1の波長範囲内の画像光(例えば、青色画像光)を、第1の導波路510の第2の横領域に向けて導かれるように第1の平面導波路510内に回折させるように構成される。第2の横領域は、ICGとOPEとの間の領域であり得る。第1の導波路510内に結合されない画像光の部分は、第1の導波路510を通って透過させられ得る。
【0032】
接眼レンズ500は、第1の横平面に隣接する第2の横平面(すなわち、第2の長手方向位置)に位置付けられた(第2の導波路とも称される)第2の平面導波路520も含む。第2の平面導波路520は、第1のDOE512の下で第1の横位置に配置された第2のDOE522を含む。第2のDOE522は、内部結合回折格子(ICG)を含み得、内部結合回折格子(ICG)は、第2の導波路520の第1の平面523上、第1の表面の反対にある第2の導波路520の第2の表面524上、または、第1の表面523および第1の表面の反対にある第2の表面524の両方の上に形成され得る。第2のDOE522は、透過回折格子を含み得、透過回折格子は、第2の波長範囲内の画像光(例えば、緑色画像光)を、第2の導波路520の第2の横領域に向かって導かれるように第2の導波路520内に回折させるように構成される。第2の横領域は、ICGとOPEとの間の領域であり得る。第2の導波路520内に結合されない画像光の部分は、第2の平面導波路520を通して透過させられ得る。
【0033】
接眼レンズ500は、第2の横平面に隣接する第3の横平面(すなわち、第3の長手方向位置)に位置付けられた(第3の導波路とも称される)第3の平面導波路530も含む。第3の平面導波路530は、第3のDOE532を含み、第3のDOEは、第1のDOE512および第2のDOE522の下で第1の横位置に配置され、長手方向に沿って位置合わせされる(すなわち、z軸について位置合わせされる)。第3のDOE532は、内部結合回折格子(ICG)を含み得、内部結合回折格子(ICG)は、第3の平面導波路530の第1の表面533上、または、第1の表面の反対にある第3の平面導波路530の第2の表面534上のいずれかに形成され得る。第3のDOE532は、透過回折格子であり得、透過回折格子は、第3の波長範囲内の画像光(例えば、赤色画像光)を、第3の平面導波路530の第2の横領域に向かって導かれるように第3の平面導波路530内に回折させるように構成される。第2の横領域は、ICGとOPEとの間の領域であり得る。第3の平面導波路530内に結合されない画像光の部分は、第3の平面導波路530を通して透過させられ得る。
【0034】
図5に例証される実施形態では、3つ全てのDOE(例えば、第1のDOE512、第2のDOE522、および第3のDOE532)が位置合わせされるが、これは、本開示によって要求されず、DOEは、異なる横位置に離間されることができる。例として、(例えば、緑色光を回折させるための)第1のDOE512は、第2のDOE522および第3のDOE532から離間されることができ、第2のDOE522および第3のDOE533は、位置合わせされることができる。この例では、緑色光が可視スペクトルの中間にあるので、緑色光は、他の色のためのDOEにおいて強くは回折させられない青色光および赤色光から離間され、このことは、青色DOEおよび赤色DOE(例えば、第2のDOE522および第3のDOE532)が空間的に位置合わせされることを可能にする。当業者は、多くの変更物、変形物、および代替物を認識するであろう。
【0035】
図5を参照すると、第1の入力ビーム502(例えば、青色入力ビーム)が、内部結合DOE512を介して第1の平面導波路510内に結合される。同様の態様で、第2の入力ビーム504(例えば、緑色入力ビーム)が、内部結合DOE522を介して第2の平面導波路520内に結合され、第3の入力ビーム506(例えば、赤色入力ビーム)が、内部結合DOE532を介して第3の平面導波路530内に結合される。導波路を通過した後、導波路内に回折させられない光は、以下でより完全に説明されるように、再帰反射器550によって再帰反射される。
図5に例証されるように、再帰反射器550は、第1の横位置に位置付けられ、内部結合DOEと位置合わせされる。再帰反射器は、第3の平面導波路を通って透過させられた画像光を反射し、プロジェクタ(図示されず)に向かって戻すように構成され得る。以下で説明されるように、再帰反射された光は、プロジェクタに向かって伝播するときに導波路内に結合されることができ、それによって、視認者に出力されるライトフィールドの輝度およびコントラストを増加させる。
【0036】
いくつかの他の実施形態によると、平面導波路510、520、および530の順序は、
図5に例証されるものと異なり得る。さらに、いくつかの実施形態によると、接眼レンズ500は、3つより少ない導波路(例えば、2つの導波路)、または3つより多い導波路(例えば、各色のために3つずつ、9つの導波路)を含み得る。いくつかの実施形態では、接眼レンズ500は、赤色、緑色、および青色以外の色のための導波路を含み得る。例えば、接眼レンズ500は、赤色、緑色、および青色の代わりに、またはそれらに加えて、マゼンタおよびシアンのための導波路を含み得る。
【0037】
図6は、本発明のある実施形態による、プロジェクタ、接眼レンズ、および再帰反射器の素子の断面図である、
図6に例証されるように、接眼レンズの平面導波路620によって生み出される仮想画像を生成するために用いられる光は、ディスプレイ素子610(例えば、反射型液晶(LCOS)ディスプレイ)から反射される。例証の目的のために、ディスプレイ素子のピクセル611は、入射光を反射するものとして例証される。反射された光は、
図6において単一のレンズとして例証される投影オプティクス612を通過する。単一のレンズとしての投影オプティクスの例証が単に明確性の目的のためであり、実践では、レンズ、ストップ等を含む複数の光学素子が投影オプティクス612において活用されることが、当業者によって認識される。発光ディスプレイ素子が活用される場合、ディスプレイ素子によって発される光は、同様の態様で投影オプティクス612を通過する。実施形態は、LCOSディスプレイに限定されず、反射性ディスプレイおよび発光ディスプレイの両方を含む他のディスプレイテクノロジが、本発明の範囲内に含まれる。
【0038】
投影オプティクス612を通過した後、光線601によって例証される光が、内部結合DOE622に衝突する。入射光の第1の部分は、内部結合DOE622によって回折させられ、光線602によって例証されるように、TIRに基づいて、接眼レンズの平面導波路620のOPEおよびEPEに向かって伝播する。光が概して複数の次数に回折させられ、OPEに向かって回折させられた次数のみが明確性の目的のために
図6に例証されることが、認識される。複数の次数への回折の結果として、光吸収器(示されず)が、平面導波路内に組み込まれ、OPEから遠くに向けられる次数に回折させられた光を吸収し得る。入射光の第2の部分は、光線601によって例証されるように、内部結合DOE622を通過し、再帰反射器624によって再帰反射される。
【0039】
再帰反射器624は、入射光を反射し、反射された光は、入射光の元の方向と平行であるが入射光の元の方向とは反対の方向に沿って、光線603によって例証される。
図6における光線601は、光線603から横にオフセットされているが、実際の実装において、再帰反射された光の横のオフセットは、例証における明確性を提供するために、
図6において活用される場合のビーム径および横のオフセットと比較して小さいことが認識される。いくつかの実施形態では、再帰反射器の横寸法またはサイズは、内部結合回折光学素子の横寸法にほぼ等しいが、これは要求されず、再帰反射器の横寸法は、内部結合回折光学素子の横寸法より大きいことも、より小さいこともあり得る。当業者は、多くの変更物、変形物、および代替物を認識する。
【0040】
コーナーキューブプリズムフィルム、コーナーキューブアレイ(コーナーキューブ寸法は、数十ミクロンから数百ミクロンのオーダーである)、メタライズマイクロプリズム構造等を含む数多くの異なる再帰反射器設計が、本発明の実施形態に従って活用されることができる。ナノインプリント、(マスクレスリゾグラフィを含む)半導体加工技術、付加製造技術等を用いて、横方向の延在を有する(例えば、内部結合回折光学素子の横方向の延在に実質的に一致させられた)組み込み型再帰反射器が、平面導波路層の遠位表面上に製作されることができる。したがって、x軸およびy軸に沿って測定される0.5~3.0mmの横寸法と、長手方向のz方向に沿って測定される20~600μm(例えば、数十ミクロン~数百ミクロンの範囲内)の高さとを有する再帰反射器が、本発明の種々の実施形態で活用され得る。これらの実施形態では、再帰反射器を構成する特徴の寸法は、再帰反射器の横寸法の小部分(例えば、数ミリの寸法の再帰反射器を提供するように配列された100μm未満の寸法のコーナーキューブ)であり得る。当業者に明らかであるように、再帰反射器の構造は、コーナーキューブに限定されず、球面反射器、ピラミッド型反射器等を含む他の再帰反射器構造を含み得る。
【0041】
図6において光円錐605によって例証されるように、再帰反射された光は、投影オプティクス612を通過して戻り、光が初めに反射たされたピクセル場所でディスプレイ素子に衝突する。接眼レンズ素子からの鏡面反射と対照的に、再帰反射された光は、上で説明されるように入射光と同一の角度であって、入射角と等しい反対の角度でない角度で伝播する。その結果、同一の角度で伝播する光は、平面導波路において同一の角度で回折させられ、それによって、光線602によって表される初めに回折させられた光と重複し、同一のピクセルをユーザに表示する。そのうえ、ディスプレイ素子の鏡画像ピクセルに衝突する鏡面反射された光をもたらす鏡面反射と対照的に、再帰反射器624から再帰反射された光は、ディスプレイ素子の元のピクセルに衝突する。その結果、アーチファクト(例えば、ゴースト画像)が、本発明の実施形態によって低減させられるまたは防止される。
【0042】
したがって、本発明の実施形態によるアーチファクトの防止または低減は、鏡面が平面導波路620に隣接して位置付けられて単に鏡面反射をもたらすことができるシステムと対照的である。
図6に例証されるように、光線601が鏡面(示されず)に入射した場合、鏡面による反射は、反射された光線650をもたらし得、反射された光線650は、光線601の入射角と等しい反対の反射角で反射し得る。反射された光線650は、鏡面を活用する手法との比較のためにのみ例証され、
図6に例証されるシステムには物理的に存在しないことが留意されるべきである。そして、反射された光線650は、投影オプティクス612によって結像され、ピクセル611に対する鏡画像位置613でディスプレイ素子610に衝突し得る。したがって、ピクセル611に関連付けられた光は、鏡画像位置613においてアーチファクトとして出現する。鏡画像位置613におけるピクセルが反射性である場合、反射された光線650は、反射され、ユーザへの最終的な投影のために投影オプティクス612に向かって戻ることができる。したがって、本明細書中で説明されるように、再帰反射された光は、鏡画像位置613に結像されず、ピクセル611に関連付けられた元の位置に結像されるので、再帰反射器の使用は、アーチファクトの生成を防止する。単一のピクセルが
図6に関するアーチファクト生成に関して議論されるが、単一のピクセルの例は、例として、明確性のために単に提供され、単一のピクセルに関する議論は、適切にディスプレイにおける他のピクセルに適用可能であることが認識される。
【0043】
図7は、本発明のある実施形態による接眼レンズの平面導波路と統合された再帰反射器との断面図である。
図7を参照すると、光線701によって表される画像光は、平面導波路層710の近位表面721(すなわち、プロジェクタに隣接する)に入射する。平面導波路層710は、内部結合DOE712と、組み込み型再帰反射器714と、直交瞳エクスパンダ(OPE)および射出瞳エクスパンダ(EPE)とを含み、直交瞳エクスパンダ(OPE)は、回折素子716によって例証され、射出瞳エクスパンダ(EPE)は、回折素子718によって例証される。
【0044】
光線701によって表される画像光の第1の部分は、光線703によって例証されるように、内部結合回折光学素子712によって回折させられる。光線701によって表される画像光の残りの部分は、平面導波路層710を通過し、再帰反射器714によって再帰反射される。
図7に例証される実施形態では、再帰反射器714は、平面導波路710の遠位表面723上に(例えば、ナノインプリントを用いて)インプリントされる。しかしながら、平面導波路層710の遠位表面723から所定距離に位置付けられる再帰反射器を含む他の光学的配列が、本発明の範囲内に含まれる。したがって、再帰反射器は、平面導波路層の表面内に組み込まれ、平面導波路層の非平面領域をもたらすか、平面導波路層の平らな表面に接合された(例えば、接着された)別個の構造であるか、または、光学的に結合されるが平面導波路層から空間的に分離された別個の構造であり得る。当業者は、多くの変更物、変形物、および代替物を認識する。
【0045】
再帰反射された光705の第1の部分は、光線707によって例証されるように、内部結合DOE712によって回折させられる。概して光が複数の次数に沿って回折させられ、OPEに向かって方向付けられる回折させられる次数のみが明確性の目的のために
図7に例証されることが、認識される。この回折させられた光は、光線703によって表される最初に回折させられた光に沿って、視認者への最終的な送達のために、OPEおよびEPEに向かって方向付けられる。光線703および光線707の両方がディスプレイ素子の同一のピクセルと関連付けられるので、このピクセルと関連付けられる輝度が増加させられる。したがって、組み込み型再帰反射器714の使用は、内部結合回折光学素子によって回折させられる光についての二重の経路を効果的に提供し、内部結合効率を増加させ、内部結合回折光学素子の回折効率を効果的に増加させる。
【0046】
再帰反射された光705の残りは、投影オプティクスを通過して戻り、光が初めに反射されたピクセル場所でディスプレイ素子に衝突する。ディスプレイ素子に到達する光は、光線731によって例証されるように、ディスプレイ素子から二度目(および、さらに続く回数)の反射をすることができる。ディスプレイ素子から二度目の反射をさせられた光は、リサイクルされた画像光と称され得る。光線731によって表されるこのリサイクルされた画像光は、回折させられた光線733および光線737を生み出すために用いられることができ、回折させられた光線733および光線737は、内部結合回折光学素子712を通るリサイクルされた画像光の第1の経路上の内部結合回折光学素子712による回折と関連付けられ(すなわち、光線731と関連付けられ)、再帰反射器714からの二度目の再帰反射後の内部結合回折光学素子712を通るリサイクルされた画像光の第2の経路上の内部結合回折光学素子712による回折と関連付けられる(すなわち、光線735と関連付けられる)。
図7に例証されるように、光線701および731は、同一のピクセルから反射されるので、それらは平行である。
【0047】
当業者に明らかであるように、再帰反射器から後方に伝播する光が、元のピクセルから初めに反射された光と同一の円錐角でディスプレイ素子の元のピクセルを照射するので、ディスプレイ素子からの後続の反射は、各色および各深度平面と関連付けられたフレーム時間の残りの間に発生する。したがって、元のピクセルを表す反射は、ディスプレイ素子からの反射によって生成され、接眼レンズ効率を増加させることができる。実際の実装では、フレーム時間は、ディスプレイ素子から再帰反射器への往復伝播時間より遥かに長いので、画像光のリサイクルは、ディスプレイ素子における反射された光の強度が無視できるまでの平面導波路内への画像光の回折をもたらすことができる。その結果、ディスプレイ素子からの複数の反射によって生み出される光のリサイクルは、ユーザのための増加させられた画像輝度および増加させられたシステム効率をもたらす。当業者は、多くの変更物、変形物、および代替物を認識する。
【0048】
図7に例証されるように、内部結合回折光学素子712によって回折させられた光が、組み込み型再帰反射器714の左の遠位表面723に衝突すると、回折させられた光は、全内部反射され、回折素子716および回折素子718に向かって伝播する。回折させられた光が、組み込み型再帰反射器714に衝突する場合、回折させられた光は、再帰反射されて内部結合回折光学素子712に向かって戻り得、内部結合回折光学素子712で回折させられて投影オプティクスに向かって戻り得、平面導波路層710内への光結合をもたらすことはない。回折させられた光の所望されない再帰反射を防止するために、平面導波路層710の厚さは、遠位表面723に到達する前の回折させられた光の横方向への付加的な伝播を可能にするように増加させられることができる。加えて、または、代替として、ICGの横寸法が減少させられることができる。したがって、いくつかの実施形態では、内部結合DOEから回折させられた光が、回折後に導波路内で全内部反射することが可能であり、回折後に再帰反射器に衝突せず、内部結合DOEに向かって戻るように再帰反射されないことが可能であるように、再帰反射器の横寸法(例えば、面積)は、選択され、それによって、光が平面導波路のEPE/OPE部分に到達することを防止する。さらに、
図8に関してさらに詳細に議論されるように、空隙が再帰反射器と平面導波路層との間に導入される場合、回折させられた光の再帰反射の防止が達成されることができる。
【0049】
回折素子716および回折素子718が、組み合わせられたOPE/EPE(組み合わせられた瞳エクスパンダ(CPE)と称されることができる)として実装されることができることも留意されるべきである。CPEは、
図7に例証されるような両面構成で、または、片面構成で実装されることができる。例えば、CPEは、回折素子716によって表されるOPEコンポーネントと、回折素子718によって表されるEPEコンポーネントとを含むことができる。したがって、(例えば、OPE回折格子を含む)OPEコンポーネントは、基板710の一方の側面に位置することができ、(例えば、EPE回折格子を含む)EPEコンポーネントは、基板710の他方の側面に位置することができる。OPEコンポーネントおよび/またはEPEコンポーネントは、特定の用途に適切に2D回折格子または1D回折格子として実装されることができる。CPEの製作に関する付加的な説明が、本願の出願人に譲渡された米国特許第10,481,317号において提供され、その開示は、全ての目的のために、その全体が参照によって本明細書に援用される。
【0050】
図8は、本発明のある実施形態による複数の回折光学素子と組み込み型再帰反射器とを有する平面導波路の断面図である。
図8を参照すると、内部結合回折光学素子は、平面導波路層の近位表面および平面導波路層の遠位表面の両方に組み込まれている。光線801によって表される画像光は、平面導波路層810の近位表面821(すなわち、プロジェクタに隣接する)に入射する。平面導波路層810は、第1の内部結合DOE812と、第2の内部結合回折光学素子814と、組み込み型再帰反射器816と、直交瞳エクスパンダ(OPE)および射出瞳エクスパンダ(EPE)とを含み、直交瞳エクスパンダは、回折素子818によって例証され、射出瞳エクスパンダは、回折素子819によって例証される。
【0051】
光線801によって表される画像光の第1の部分は、光線803によって例証されるように、第1の内部結合回折光学素子812によって回折させられる。光線801によって表される画像光の残りの部分は、平面導波路層810を通過し、残りの部分の第2の部分は、光線805によって例証されるように、第2の内部結合回折光学素子814によって回折させられる。したがって、平面導波路層の近位表面および遠位表面の両方における内部結合回折光学素子の使用は、OPEに向けた画像光の回折効率を増加させる。
【0052】
第2の内部結合回折光学素子を通過する光は、再帰反射器816によって再帰反射される。いくつかの実施形態では、再帰反射器816は、平面導波路層810の遠位表面822に(例えば、ナノインプリントを用いて)インプリントされる。しかしながら、平面導波路層810の遠位表面822から所定距離Dで位置付けられる再帰反射器を含む他の光学的配列が、本発明の範囲内に含まれる。したがって、再帰反射器は、平面導波路層の表面に組み込まれて平面導波路層の非平面領域をもたらすか、平面導波路層の平らな表面に接合された(例えば、接着された)別個の構造であるか、または、光学的に結合されるが平面導波路層から空間的に分離された別個の構造であり得る。当業者は、多くの変更物、変形物、および代替物を認識する。
【0053】
図8に例証されるように、いくつかの実施形態では、内部結合DOEは、平面導波路810の前面821および背面822の両方に位置付けられる。これらの実施形態では、再帰反射器は、平面導波路の背面から所定距離に位置付けられ、その結果、背面から所定距離だけ空間的に分離されることができる。これらの実施形態では、再帰反射器は、平面導波路とは別個の構造として製作され得、平面導波路、または、平面導波路および再帰反射器構造の両方を支持する支持構造に機械的に搭載され得る。空間的分離は、周囲環境(例えば、空隙)、スペーサ材料等で充填されることができる。スペーサ材料が活用される場合、平面導波路の屈折率、平面導波路810の背面822上の内部結合DOE814、スペーサ材料、および/または再帰反射器は、スペーサ材料と内部結合DOE814との間で屈折率が一致することを避けるように考慮されるべきであり、これは、内部結合DOEとスペーサ材料との間の屈折率の差異がDOEを効果的に駄目にする(wash out)ので、内部結合DOEの効率を潜在的に低減させることができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、内部結合DOEは、ポリマ材料を用いて製作される。内部結合DOE814が金属材料を活用して回折効果を提供する場合、回折効率の減少は、スペーサ材料に一致させられたより近い屈折率である材料と比較して小さい可能性がある。いくつかの実施形態では、再帰反射器は、付加製造プロセスを用いて内部結合DOE814に接触して形成されることができる。これらの実施形態では、内部結合DOE(例えば、金属)およびスペーサ材料(例えば、ポリマ)および/または再帰反射器(例えば、ポリマ)のための異なる屈折率を有する材料の使用は、所望のDOE効率の低レベルの屈折率一致および維持をもたらすことができる。
【0055】
図7に関して議論される態様と同様の態様で、再帰反射された光の第1の部分は、光線807によって例証されるように、内部結合DOE814によって回折させられ、第2の部分は、平面導波路層を通過した後、光線809によって例証されるように、内部結合DOE812によって回折させられる。再帰反射された光817は、元の画像光と同一の方向に沿って(すなわち、元の画像光の伝播の方向と反対に)伝播するので、再帰反射された光の回折は、平面導波路層を通る第1の経路中の回折と関連付けられる光線803および光線805と重複する。当業者に明らかであるように、回折次数は、DOEが反射または透過のいずれとして動作するかに依存して異なる(すなわち、正の次数または負の次数)。例えば、光線803は、透過として動作する内部結合DOE812によって生み出された正の回折次数であり得、光線805は、反射として動作する内部結合DOE814によって生み出された正の回折次数であり得る。光線807は、透過として動作する内部結合DOE814によって生み出された負の回折次数であり得、光線809は、反射として動作する内部結合DOE812によって生み出された負の回折次数であり得る。
【0056】
図7に例証される実施形態と比較すると、2つの内部結合回折光学素子の使用は、光が、光線803、805、807、および809によって例証されるような内部結合回折光学素子を通る往復経路の間、4回回折させられることを可能にする。視認者への最終的な送達のためにOPEおよびEPEに向けられる屈折させられた光が、ディスプレイ素子の同一のピクセルと関連付けられているので、このピクセルと関連付けられる輝度は、光線803、805、807および809によって例証されるように、増加させられる。
図8に例証される実施形態において、2つの内部結合回折光学素子および組み込み型再帰反射器816の使用は、内部結合回折光学素子の各々によって回折させられた光についての二重の経路を効果的に提供し、内部結合効率を増加させ、内部結合回折光学素子の回折効率を効果的に増加させる。
【0057】
再帰反射させられた光の残りは、投影オプティクスを通過して戻り、光が最初に反射されたピクセル場所でディスプレイ素子に衝突する。ディスプレイ素子に到達する光は、ディスプレイ素子から二度目(および、さらに続く回数)の反射をさせられ、導波路層810に衝突することができる。
図7に関して議論された態様と同様の態様で、ディスプレイ素子から二度目の反射をさせられた光は、リサイクルされた画像光と称されることができる。このリサイクルされた画像光(図示されず)は、回折させられた光線を生み出すために用いられることができ、回折させられた光線は、平面導波路層を通るリサイクルされた画像光の第1の経路上の第1の内部結合回折光学素子812および第2の内部結合回折光学素子814による回折と、平面導波路層を通るリサイクルされた画像光の第2の経路上の第1の内部結合回折光学素子812および第2の内部結合回折光学素子814による回折とにそれぞれ関連付けられる。
【0058】
図9は、本発明のある実施形態による接眼レンズにおけるアーチファクトを低減させる方法を例証する簡略化されたフローチャートである。方法は、ステップ905において、光のビームを第1の方向に向けることを含む。方法は、ステップ910において、入射光表面の反対にある反対表面を有する導波路層の入射光表面において、光のビームを受け取ることをさらに含む。
【0059】
方法は、ステップ915において、第1の回折光学素子において、光のビームの第1の部分を第2の方向へ導波路層内に伝播させることをさらに含む。方法は、ステップ920において、第1の回折光学素子によって、光のビームの第2の部分を反対表面に向けて透過させることをさらに含む。方法は、ステップ925において、第1の方向と反対の反射された方向に沿って光のビームの第2の部分を再帰反射することをさらに含む。
【0060】
いくつかの実施形態では、方法は、第1の回折光学素子において、光のビームの第2の部分の第1の小部分を第2の方向へ導波路層内に伝播させることをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、第1の回折光学素子において、光のビームの第2の部分の第2の小部分を、反射された方向に沿って透過させることをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、第2の小部分の少なくとも一部分を、第1の方向へ、または導波路層に向かって反射することをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、導波路層の入射光表面において、反射された部分を受け取ることをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、第1の回折光学素子において、反射された部分の一部分を第2の方向へ導波路層内に伝播させることをさらに含む。
【0061】
いくつかの実施形態では、第1の回折光学素子は、入射光表面に配置される。いくつかの実施形態では、光のビームの第2の部分を再帰反射することは、第1の方向と反対の反射された方向に沿って第2の部分を再帰反射することを含む。いくつかの実施形態では、光のビームを第1の方向へ向けることは、ディスプレイ素子から時系列色ビームを反射することを含む。
【0062】
図10Aは、本発明のある実施形態による複数瞳システムで活用される平面導波路の
簡略化された断面図である。
図10Aを参照すると、ディスプレイ素子1010(例えば、LCOSディスプレイパネル)は、複数瞳ピクセルレイアウトを用いて照射される。
図10Bは、
図10Aに例証される平面導波路のための複数瞳レイアウトの簡略化された平面図である。
図10Bに例証されるように、各ピクセルは、5つの配列された光源を含み、5つの光源は、5つの対応する内部結合DOE R1、R2、G1、B1、およびB2に位置合わせされる。特定のアレイパターンが
図10Bに例証されるが、本発明は、この特定のアレイパターンに限定されず、他のアレイパターンが本発明の範囲内に含まれる。加えて、2つの原色(赤色および青色)と関連付けられた光源に対応する2つの内部結合DOEが、第3の原色(緑色)と関連付けられた光源に対応する単一の内部結合DOEと共に活用されるが、これも要求されず、異なる色の組み合わせが、特定の用途に適切に活用されることができる。
図10Aにおいて、例証される断面図は、
図10Bに例証される二等分線1080に対応する。したがって、例証される実施形態において、内部結合DOE B1は、図の平面の前方の場所に配置され、内部結合DOE B2は、図の平面の後方の場所に配置される。
【0063】
図10Aを参照すると、内部結合DOE R1に対応する第1の光源(例えば、赤色の源)からの光は、ディスプレイ素子1010から反射され、光円錐1020を形成する。光円錐1020に含まれる例示的光線が、光線1022によって例証され、光線1022は、投影オプティクス1015を用いて結像され、3つの平面導波路1032、1034、および1036(各導波路が原色と関連付けられる)を含む接眼レンズ1030に衝突する。ある実施形態では、平面導波路1032は、緑色波長と関連付けられ、平面導波路1034は、青色波長と関連付けられ、平面導波路1036は、赤色波長と関連付けられる。光線1022は、平面導波路1032および1034を通過し、内部結合DOE R1に衝突する。入射光の小部分が、回折させられた光線1024によって例証されるように、平面導波路の平面内を伝播するように回折させられる。入射光の小部分は、内部結合DOE R1も通過し、再帰反射器1040に衝突する。再帰反射された光線1026によって表される再帰反射された光は、伝播してディスプレイ素子1010に戻るように、光線1022の方向と反対の方向に伝播する。再帰反射後に距離Dだけ横方向にシフトされた再帰反射された光線1026を含む再帰反射された光は、ディスプレイ素子1010に戻る伝播の間、光円錐1020によって特徴付けられる。
【0064】
光円錐1020内の(再帰反射された光線1026によって表される)再帰反射された光がディスプレイ素子に衝突すると、再帰反射された光の鏡面反射が発生し、それは、反射された光円錐1060をもたらし、光円錐1060は、投影オプティクス1015によって結像され、反射された光線1062によって表されるように接眼レンズに衝突する。光円錐1020は、ディスプレイ素子1010に垂直でない中心光線を有し、中心光線は、軸から外れた光源から生じるので、光円錐1060も、光円錐1020の中心光線に等しく反対の中心光線を有する。ディスプレイ素子1010から反射された光円錐1060内の光は、平面導波路1032および1034を通過し、内部結合DOE R2に衝突する。よって、入射光の小部分は、平面導波路の平面内を伝播するように回折させられる(明確性の目的のために、回折させられた光線は示されていない)。入射光の小部分は、内部結合DOE R2も通過し、再帰反射器1040に衝突し、これは、伝播してディスプレイ素子に戻る再帰反射された光をもたらす。ディスプレイ素子からの鏡面反射後、光線1022、再帰反射された光線1026および光線1062によって表される光路の引き返しが、各色および各深度平面と関連付けられたフレーム時間の残りの間に発生する。したがって、内部結合DOE R1およびR2を通る複数の経路は、平面導波路1036の増加させられた内部結合効率をもたらす。
【0065】
図10Aをもう一度参照すると、内部結合DOE G1に対応する第2の光源(例えば、緑色の源)からの光は、ディスプレイ素子1010から反射され、光円錐1070を形成する。光円錐1070内に含まれる例示的光線が、光線1072によって例証され、光線1072は、投影オプティクス1015を用いて結像され、接眼レンズ1030に衝突する。光線1072は、内部結合DOE G1に衝突する。入射光の小部分は、平面導波路の平面内を伝播するように回折させられる(明確性の目的のために、回折させられた光線は示されていない)。入射光の小部分は、内部結合DOE G1も通過し、再帰反射器1040に衝突する。再帰反射された光線(明確性の目的のために示されず)によって表される再帰反射された光は、伝播してディスプレイ素子1010に戻るように、光線1072の方向と反対の方向に伝播する。
【0066】
再帰反射された光線によって表されることができる光円錐1070内の再帰反射された光がディスプレイ素子1010に衝突すると、再帰反射された光の鏡面反射が発生する。光円錐1070はディスプレイ素子1010に垂直である中心光線を有するので、ディスプレイ素子から接眼レンズへ伝播する光と関連付けられる光円錐は、再帰反射器1040からディスプレイ素子へ伝播する再帰反射された光と関連付けられる光円錐と重複する。ディスプレイ素子からの鏡面反射後、光線1072および再帰反射された光線によって表される光路の引き返しは、各色および各深度平面と関連付けられるフレーム時間の残りの間に発生する。したがって、内部結合DOE G1を通る複数の経路は、平面導波路1032の増加させられた内部結合効率をもたらす。
【0067】
平面導波路1036のための第2の内部結合DOE R2を活用しない別の実施形態では、第2の内部結合DOE R2が取り除かれることができる。したがって、内部結合DOE R2および内部結合DOE B2は、いくつかの実施形態において随意である。この場合、再帰反射された光の鏡面反射後、光は、3つ全ての平面導波路を通過し、2度目の再帰反射をされ、光円錐1020において鏡面反射して戻り、続いて内部結合DOE R1に衝突する。
【0068】
図11は、本発明のある実施形態による再帰反射器の素子を例証する簡略化された概略図である。本明細書中で例証されるように、再帰反射された光は、再帰反射後に横にシフトされる。したがって、再帰反射器前後の伝播の方向は平行であるが、横シフトが存在する。本発明の実施形態は、再帰反射器および内部結合DOEの寸法を設計することにおいてこの横シフトを考慮する。
図11を参照すると、再帰反射器の素子は、コーナーキューブ1110として例証される。光線1120によって表される入射光は、コーナーキューブ1110に衝突し、再帰反射された光線1122として再帰反射される。再帰反射後、横シフトDが、入射光線と再帰反射された光線との間に存在する。この横シフトに起因して、再帰反射された光が、隣接する瞳(すなわち、内部結合DOE)内に結合し、クロストークをもたらすことがあり得る。よって、このクロストークは、隣接するコーナーキューブ1110および1130によって例証される再帰反射器の隣接する素子間の小さいピッチサイズPを活用することによって防止されることができる。いくつかの実施形態では、ピッチサイズPは、100μm未満である一方で、他の実施形態では、ピッチサイズは、約10μmから約500μmの範囲に及ぶ。
【0069】
本発明の実施形態によって活用される小さいピッチサイズに起因して、隣接する瞳の間の分離が典型的に数百ミクロンのオーダーであるので、再帰反射器から生じる横シフトは、典型的に、クロストークをもたらさない。
図10Bを参照すると、内部結合DOE間(例えば、例証されるように、内部結合DOE R1および内部結合DOE G1、ならびに/または、内部結合DOE G1および内部結合DOE B2を含む)の分離Sは、いくつかの実施形態において、100μmのオーダーである。したがって、100μm未満のピッチサイズについては、横シフトは、内部結合DOE R1と内部結合DOE G1との間のクロストークをもたらさない。したがって、本発明の実施形態は、さもなければ再帰反射中に発生し得る横シフトから生じ得る隣接する内部結合DOE間のクロストークを防止するために十分小さい再帰反射器(特に、再帰反射器素子)のための製作プロセスを活用する。説明されるように、いくつかの実施形態は、100μmより大きな横平面内において隣接する内部結合DOE間の間隔または分離を活用し、100μm未満(例えば、数十ミクロンの範囲内)の(横平面において測定される)ピッチサイズで再帰反射器素子に結合される隣接する内部結合DOE間の間隔または分離は、クロストークを防止する。当業者に明らかであるように、非常に小さい(例えば、光の波長のオーダーの)再帰反射器素子のためのピッチサイズは、所望されない回折効果をもたらし得る。当業者は、多くの変更物、変形物、および代替物を認識する。
【0070】
本明細書中で説明される例および実施形態が例証の目的のみのためであること、ならびに、例および実施形態において種々の変形または変更が、当業者に示唆され、本願の精神および範囲内ならびに添付される請求項の範囲内に含まれるべきであることも理解される。
【国際調査報告】