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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-31
(54)【発明の名称】燃料電池の制御システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04858 20160101AFI20220124BHJP
   H01M 8/249 20160101ALI20220124BHJP
   H01M 8/04313 20160101ALI20220124BHJP
   H01M 8/04746 20160101ALI20220124BHJP
   H01M 8/04701 20160101ALI20220124BHJP
   H01M 8/04537 20160101ALI20220124BHJP
   H01M 8/0432 20160101ALI20220124BHJP
   H01M 8/04955 20160101ALI20220124BHJP
   H01M 8/04228 20160101ALI20220124BHJP
   H01M 8/04303 20160101ALI20220124BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20220124BHJP
【FI】
H01M8/04858
H01M8/249
H01M8/04313
H01M8/04746
H01M8/04701
H01M8/04537
H01M8/0432
H01M8/04955
H01M8/04228
H01M8/04303
H01M8/12 101
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021531378
(86)(22)【出願日】2019-11-04
(85)【翻訳文提出日】2021-06-14
(86)【国際出願番号】 KR2019014845
(87)【国際公開番号】W WO2020122419
(87)【国際公開日】2020-06-18
(31)【優先権主張番号】10-2018-0161666
(32)【優先日】2018-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521234939
【氏名又は名称】エフシーアイ カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】チャン,イン ガブ
(72)【発明者】
【氏名】リ,テ ウォン
【テーマコード(参考)】
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H126BB06
5H127AA07
5H127AB02
5H127AB14
5H127AC17
5H127BA02
5H127BA12
5H127BA13
5H127BA59
5H127BB02
5H127BB39
5H127DA11
5H127DB47
5H127DB49
5H127DB66
5H127DC02
5H127DC04
5H127DC06
5H127DC22
5H127DC24
5H127DC26
5H127DC42
5H127DC46
5H127DC56
5H127DC57
(57)【要約】
少なくとも一つの個別燃料電池が並列に連結された燃料電池グループを少なくとも二つ含む燃料電池システムの制御システムが提供される。燃料電池制御システムは、前記個別燃料電池の出力を制御する単位レベル制御器;前記燃料電池グループ内の個別燃料電池の性能低下率に基づいて前記燃料電池グループ内の個別燃料電池の出力配分を決定するグループレベル制御器;及び、グリッドの電力需要に応じて燃料電池システムの総出力を決定し、前記総出力に対応して個別の前記燃料電池グループの出力配分を決定する総括レベル制御器を含むことができる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの個別燃料電池が並列に連結された燃料電池グループを少なくとも二つ含む燃料電池システムの制御システムであって、
前記個別燃料電池の出力を制御する単位レベル制御器;
前記燃料電池グループ内の個別燃料電池の性能低下率に基づいて前記燃料電池グループ内の個別燃料電池の出力配分を決定するグループレベル制御器;及び
グリッドの電力需要に応じて燃料電池システムの総出力を決定し、前記総出力に対応して個別の前記燃料電池グループの出力配分を決定する総括レベル制御器を含む、燃料電池制御システム。
【請求項2】
前記単位レベル制御器は、燃料、空気、水のうち少なくとも一つの制御変数によって個別燃料電池の出力を制御し、
前記個別燃料電池の温度、圧力、流量のうち少なくとも一つの監視変数を維持することを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池制御システム。
【請求項3】
前記グループレベル制御器は、前記単位レベル制御器から前記制御変数及び前記監視変数を収集し、
収集された前記制御変数及び前記監視変数を性能低下率、出力変化率及び温度変化率のうち少なくとも一つのデータとして加工し、
加工された前記データに基づいて前記個別燃料電池の出力配分を決定することを特徴とする、請求項2に記載の燃料電池制御システム。
【請求項4】
前記単位レベル制御器に誤りが発生すると、前記グループレベル制御器は、該当の単位レベル制御器で制御される個別燃料電池の出力を停止させることを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池制御システム。
【請求項5】
前記グループレベル制御器に誤りが発生すると、前記単位レベル制御器は、前記個別燃料電池の出力を最終設定値に設定して前記燃料電池の出力を維持させることを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池制御システム。
【請求項6】
前記総括レベル制御器に誤りが発生すると、前記グループレベル制御器は、前記燃料電池グループの出力を最終設定値に設定して前記燃料電池グループの出力を維持させることを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池制御システム。
【請求項7】
少なくとも一つの個別燃料電池が並列に連結された燃料電池グループを少なくとも二つ含む燃料電池システムの制御方法であって、
グリッドの電力需要に応じて燃料電池システムの総出力を決定し、前記総出力に対応して個別の前記燃料電池グループの出力配分を決定する段階;
前記燃料電池グループ内の個別燃料電池の性能低下率に基づいて前記燃料電池グループ内の個別燃料電池の出力配分を決定する段階;及び
前記個別燃料電池の出力を制御する段階を含み、
前記個別燃料電池の出力配分を決定する段階は、
前記個別燃料電池に対する制御変数及び監視変数を性能低下率、出力変化率及び温度変化率のうち少なくとも一つのデータに加工し、加工された前記データによって前記個別燃料電池の出力配分を決定することを特徴とする、燃料電池制御方法。
【請求項8】
前記燃料電池システムは、個別燃料電池の出力を制御する単位レベル制御器、前記燃料電池グループの出力を制御するグループレベル制御器、及び前記燃料電池システムの総出力を制御する総括レベル制御器を含み、
前記単位レベル制御器に誤りが発生すると、前記グループレベル制御器は、誤りの発生した単位レベル制御器で制御される個別燃料電池の出力を停止させることを特徴とする、請求項7に記載の燃料電池制御方法。
【請求項9】
前記グループレベル制御器に誤りが発生すると、
前記単位レベル制御器は、前記個別燃料電池の出力を最終設定値に設定して前記燃料電池の出力を維持させることを特徴とする、請求項8に記載の燃料電池制御方法。
【請求項10】
前記総括レベル制御器に誤りが発生すると、
前記グループレベル制御器は、前記燃料電池グループの出力を最終設定値に設定して前記燃料電池グループの出力を維持させることを特徴とする、請求項8に記載の燃料電池制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池の制御システムに関し、特に、並列に連結された複数の燃料電池を階層的に制御することによってシステムを安定して運営するためのシステム及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、燃料電池は、燃料が持つエネルギーを電気的エネルギーに直接変換させる装置であり、通常、電解質を挟んで正極(anode)及び負極(cathode)からなる一対の電極を配置するとともに、イオン化された燃料ガスの電気化学的反応によって電気と熱を共に得るシステムである。
【0003】
高分子電解質燃料電池は、電流密度が高く、運転温度が低く、腐食及び電解質損失が少ないという長所から、軍事用や宇宙船の動力源として開発し始めたが、現在は、出力密度が高く、装置が簡単なためモジュール化が可能であるという点から、自動車の動力源として応用するための研究が活発に進行中である。
【0004】
最近では、電力難に備えるための分散電源として燃料電池の必要性が台頭している。このような燃料電池は、従来の内燃機関に比べて効率が高く、大気汚染の原因となる窒素酸化物と亜硫酸化物の排出量が少なく、二酸化炭素の排出を大幅に減少させることができ、環境保全において効果が大きいというメリットがある。
【0005】
したがって、電力当局は、需要資源管理(demand response:DR)市場開設し、分散電源事業者の電力市場への参加を活性化させており、新再生エネルギー義務割当制(renewable portfolio standard:RPS)の施行によって建物などに燃料電池を設置する事例が増加している。
【0006】
最近では、需要資源管理市場の拡大及び新再生エネルギー義務割当制の増加に伴って燃料電池の設置事例が増加しているところ、高容量の燃料電池が要求されている。このように、高容量の燃料電池が要求されることにより、多数の燃料電池を連結してユーザの電力要求量に対応するシステムが必要である。
【0007】
しかしながら、多数の燃料電池を連結させてユーザのそれぞれの電力要求量に対応する場合、コントローラの異常発生時に多数の燃料電池駆動が停止するなど、効率的な電力管理がし難いため、これを統合して管理するシステムが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、分散型燃料電池コントローラに異常が発生した場合にも個別の燃料電池を駆動できる燃料電池制御システムを提供することである。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、分散適用された制御器をグループ化し、各制御器別に担当役割を分配することにより、制御器の負担を減らし、運転信頼性を上げることができる燃料電池制御システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施例に係る少なくとも一つの個別燃料電池が並列に連結された燃料電池グループを少なくとも二つ含む燃料電池システムの制御システムは、前記個別燃料電池の出力を制御する単位レベル制御器;前記燃料電池グループ内の個別燃料電池の性能低下率に基づいて前記燃料電池グループ内の個別燃料電池の出力配分を決定するグループレベル制御器;及び、グリッドの電力需要に応じて燃料電池システムの総出力を決定し、前記総出力に対応して個別の前記燃料電池グループの出力配分を決定する総括レベル制御器を含むことができる。
【0011】
前記単位レベル制御器は、燃料、空気、水のうち少なくとも一つの制御変数によって個別燃料電池の出力を制御し、前記個別燃料電池の温度、圧力、流量のうち少なくとも一つの監視変数を維持することができる。
【0012】
前記グループレベル制御器は、前記単位レベル制御器から前記制御変数及び前記監視変数を収集し、収集された前記制御変数及び前記監視変数を性能低下率、出力変化率及び温度変化率のうち少なくとも一つのデータとして加工し、加工された前記データに基づいて前記個別燃料電池の出力配分を決定することができる。
【0013】
前記グループレベル制御器は、前記単位レベル制御器に誤りが発生すると、該当の単位レベル制御器で制御される個別燃料電池の出力を停止させることができる。
【0014】
仮に、前記グループレベル制御器に誤りが発生すると、前記単位レベル制御器は、前記個別燃料電池の出力を最終設定値に設定して前記燃料電池の出力を維持させることができる。
【0015】
または、前記総括レベル制御器に誤りが発生すると、前記グループレベル制御器は、前記燃料電池グループの出力を最終設定値に設定して前記燃料電池グループの出力を維持させることができる。
【0016】
本発明の他の実施例に係る少なくとも一つの個別燃料電池が並列に連結された燃料電池グループを少なくとも二つ含む燃料電池システムの制御方法は、グリッドの電力需要に応じて燃料電池システムの総出力を決定し、前記総出力に対応して個別の前記燃料電池グループの出力配分を決定する段階と;前記燃料電池グループ内の個別燃料電池の性能低下率に基づいて前記燃料電池グループ内の個別燃料電池の出力配分を決定する段階と;前記個別燃料電池の出力を制御する段階を含むことができる。
【0017】
前記個別燃料電池の出力配分を決定する段階は、前記個別燃料電池に対する制御変数及び監視変数を性能低下率、出力変化率及び温度変化率のうち少なくとも一つのデータに加工し、加工された前記データによって前記個別燃料電池の出力配分を決定することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の実施例によれば、分散型燃料電池コントローラに異常が発生した場合にも個別の燃料電池を駆動できる燃料電池制御システムが提供される。
【0019】
本発明の実施例によれば、分散適用された制御器をグループ化し、各制御器別に担当役割を分配することにより、制御器の負担を減らし、運転信頼性を上げることができる燃料電池制御システムが提供される。
【0020】
これによれば、多重並列連結された燃料電池に分散剤御システムを適用し、制御器の運転が不可能な時にも全体発電システムの安定した運転を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施例に係る燃料電池制御システムの制御ブロック図である。
図2】本発明の一実施例に係る燃料電池制御方法を説明するための制御流れ図である。
図3】本発明の他の実施例に係る燃料電池制御方法を説明するための制御流れ図である。
図4】本発明のさらに他の実施例に係る燃料電池制御方法を説明するための制御流れ図である。
図5】本発明のさらに他の実施例に係る燃料電池制御方法を説明するための制御流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施例について、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。ただし、これは本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物又は代替物を含むものとして理解されるべきである。
【0023】
ある構成要素が他の構成要素に“連結されて”いるか又は“接続されて”いると言及されたときは、その他の構成要素に直接連結されているか又は接続されていてもよいが、中間にさらに他の構成要素が存在してもよいと理解されるべきである。
【0024】
一方、ある構成要素が他の構成要素に“直接連結されて”いるか或いは“直接接続されて”いると言及されたときは、中間にさらに他の構成要素が存在しないと理解されるべきである。
【0025】
本明細書で使われる用語は単に特定の実施例を説明するために使われるもので、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈において別に断りのない限り、複数の表現も含む。本出願において、“含む”又は“有する”などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、工程、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、一つ又はそれ以上の他の特徴、数字、工程、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものの存在又は付加の可能性をあらかじめ排除しないものと理解されるべきである。
【0026】
別に断らない限り、技術的又は科学的な用語を含めてここで使われる全ての用語は、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者に一般に理解されるのと同じ意味を有する。一般に使われる辞典に定義されているような用語は、関連技術の文脈において有する意味と一致する意味があると解釈されるべきであり、本出願で明白に定義しない限り、理想的又は過度に形式的な意味として解釈されない。
【0027】
本明細書に記載のモジュール(MODULE)という用語は、特定の機能や動作を処理する一つの単位を意味し、これはハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェア及びソフトウェアの結合を意味できる。
【0028】
本明細書及び特許請求の範囲に使われる用語や単語は、通常的又は辞典的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は自分の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適宜定義できるという原則に立って、本発明の技術的思想に符合する意味及び概念として解釈されるべきである。また、使われる技術用語及び科学用語において別の定義がなければ、この発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が通常理解している意味を有し、下記の説明及び添付の図面において本発明の要旨を却って曖昧にさせ得るような公知機能及び構成に関する説明は省略する。次に紹介される図面は、当業者に本発明の思想が十分に伝達され得るように例として提供されるものである。したがって、本発明は以下に提示される図面に限定されず、他の形態に具体化されてもよい。また、明細書全般において同一の参照番号は同一の構成要素を示す。図面中、同一の構成要素は可能なかぎり、いずれの箇所においても同一の符号で示していることに留意されたい。
【0029】
図1は、本発明の一実施例に係る燃料電池制御システムの制御ブロック図である。
【0030】
図示のように、本実施例に係る分散剤御が適用された多重並列連結燃料電池制御システムは、燃料電池(Solid oxide fuel cell,SOFC)100が多重に連結されグループ化されている燃料電池システムAと、燃料電池システムAを制御するための燃料電池制御システムBを含むことができる。説明の便宜のために、燃料電池及びこれを制御する制御部を2つのシステムに区分して示すが、通常、燃料電池及びこれを制御する制御部を含めて燃料電池制御システムと命名することができる。
【0031】
燃料電池システムAはM個のグループに分けられている燃料電池グループ(1~Mグループ)を含み、一つのグループにはN個の燃料電池(#1~#N)10が並列に連結されている。すなわち、本発明に係る燃料電池10は、N*M個に多重分割されており、各燃料電池10は個別に又はグルーピングされて又は総括的に電力出力が制御されてよい。
【0032】
燃料電池システムAは、建物又は特定の施設物に設置され、ユーザに供給するための電力を生産する燃料電池10で構成され、このような燃料電池システムAは、ユーザによって要請される電力使用量を受信し、受信した電力使用量に合わせてユーザに電力を供給する。
【0033】
このような燃料電池10はそれぞれ、燃料電池スタック、改質器、電力変換器などを含むことができ、バルブ又は遮断器のような産業ユーティリティを含むことができる。燃料電池スタックは、水素の酸化反応及び酸素の還元反応が同時に起こる電気化学反応によって電気エネルギー、すなわち、直流電源を生成する。改質器は、燃料電池スタックに供給される燃料を改質する役割を担う。そして、電力変換器は、燃料電池スタックから生成された直流電源を交流電源に変換させる役割を担う。そのために、電力変換器は、燃料電池スタックから出力される直流電源を電力系統で使用可能な交流電源に変換するDC-ACインバータ(図示せず)を含むことができる。
【0034】
一方、本実施例に係る燃料電池制御システムBは、個別燃料電池10に連結されて燃料電池10の出力を制御する単位レベル制御器(Unit Controller,UC)100、N個の個別燃料電池10を含む一つの燃料電池グループ(1~M)を制御するグループレベル制御器(Group Controller,GC)200、及び単位レベル制御器100とグループレベル制御器200を総括的に制御する総括レベル制御器(Master Controller,MC)300を含むことができる。
【0035】
単位レベル制御器100は、個別燃料電池10と直列に、すなわち、個別的且つ直接的に連結され、グループレベル制御器200から要請された電力発電量に応じて個別燃料電池10の発電量をそれぞれ調節する役割を担う。
【0036】
そのために、単位レベル制御器100は、燃料、空気、水のうち少なくとも一つの制御変数によって個別燃料電池10の出力を制御し、個別燃料電池10の温度、圧力、流量のうち少なくとも一つの監視変数を維持する。
【0037】
一方、一つのグループレベル制御器200には、N個の単位レベル制御器(UC-11~UC-1N … UC-M1~UC-MN)100が並列に連結されており、本実施例によれば、M個のグループレベル制御器(GC-1~GC-M)200が単位レベル制御器100と総括レベル制御器300との間に連結されている。すなわち、M個のグループレベル制御器200がN*M個の単位レベル制御器100と総括レベル制御器300との間のインターフェースとして働く。
【0038】
グループレベル制御器200は、燃料電池グループのバルブ、遮断器などを含むユーティリティを制御し、燃料電池グループ内の個別燃料電池10の性能低下率に基づいて燃料電池グループ内の個別燃料電池10の出力配分を決定することができる。個別燃料電池10の出力を決定するために、グループレベル制御器200は、単位レベル制御器100から制御変数及び監視変数を受信して収集する。グループレベル制御器200は、このように収集された制御変数と監視変数を性能低下率、出力変化率及び温度変化率のうち少なくとも一つのデータに加工することができる。加工されたデータに基づいて個別の燃料電池10の出力配分を決定及び調節することができる。
【0039】
グループレベル制御器200に並列に連結された一つの個別燃料電池10の初期発電量は、総要求発電量/個別燃料電池10の個数(N*M)で表示されてよい。グループレベル制御器200は、総括レベル制御器300の要請に応じて個別燃料電池10の発電を開始する時に、周期的に個別燃料電池10の状態をチェックする。このような個別燃料電池10の発電量は、経時によって外部的な状況、又は単位レベル制御器100又はグループレベル制御器200の誤りの有無によって変更されたり或いは最終設定値に固定されてよい。
【0040】
総括レベル制御器300は、電力グリッドの電力需要に応じて燃料電池システムAの総出力を決定し、総出力に対応して個別の燃料電池グループの出力配分を決定することができる。
【0041】
総出力を決定するために、総括レベル制御器300は、燃料電池システムA以外の他の新再生エネルギー発電現況を参考することができ、新再生エネルギーから出力される電力量に対応して燃料電池発電システム総出力を決定することができる。
【0042】
このような総括レベル制御器300は、燃料電池システムAのメインバルブ、遮断器などを含むユーティリティを制御することができる。
【0043】
また、本発明に係る燃料電池制御システムBは、ユーザが燃料電池を制御できるインターフェースとしてディスプレイ部及び操作部を含むことができ、各構成要素、燃料電池システムA及び燃料電池制御システムB間の通信を制御するための通信部をさらに含むことができる。
【0044】
ユーザは、ユーザインターフェースを介して燃料電池制御システムBに接続し、燃料電池10の出力変化をモニターすることができる。ユーザインターフェースは、燃料電池制御システムBに並列に連結される燃料電池10の出力変化を実時間でディスプレイし、燃料電池制御システムBの稼動を制御することができる。このようなユーザインターフェースは、総括制御システム300にマージ(merge)されてよい。
【0045】
また、通信部は、ユーザインターフェース及び燃料電池制御システムBとの間に連結されてよく、燃料電池10の出力変化による燃料電池10の動作異常の有無をユーザインターフェースに送信することができる。
【0046】
図2は、本発明の一実施例に係る燃料電池制御方法を説明するための制御流れ図である。
【0047】
まず、本発明に係る燃料電池制御方法の核心は、並列に連結されている個別燃料電池10をグループ化し、個別燃料電池10及びグループ化された燃料電池をそれぞれ制御できる制御モジュールをそれぞれ備え、それらを独立的ながらも有機的にそして弾力的に運営することである。
【0048】
そのために、総括レベル制御器300は、グリッドの電力需要に応じて燃料電池システムの総出力を決定し、総出力に対応して個別の燃料電池グループの出力配分を決定する(2010)。上述したように、燃料電池システムAの総出力には新再生エネルギーの電力生産量が参考されてよい。
【0049】
ユーザから電力需要がないか或いは総電力出力量が決まっていない状態では、総括レベル制御器300は、燃料電池システムA及び燃料電池制御システムBを運行待機モードで駆動させ、節電モードを維持できる。
【0050】
しかる後に、グループレベル制御器200による電力分配がなされる。
【0051】
グループレベル制御器200は、個別燃料電池10に対する制御変数及び監視変数を収集できる(2020)。
【0052】
本実施例に係る個別燃料電池10に対する制御変数は、燃料、空気、水のうち少なくとも一つを含むことができ、監視変数は、温度、圧力、流量のうち少なくとも一つを含むことができ、制御変数と監視変数は単位レベル制御器100によってグループレベル制御器200に提供されてよい。
【0053】
グループレベル制御器200は、このように収集された制御変数及び監視変数を、性能低下率、出力変化率及び温度変化率のうち少なくとも一つのデータに加工できる(2030)。
【0054】
このように加工されたデータに基づいて個別燃料電池10の出力配分が決定される(2040)。
【0055】
個別燃料電池10の出力配分が決定されると、単位レベル制御器100は、燃料、空気、水のうち少なくとも一つによって個別燃料電池の出力を制御し、個別燃料電池10の温度、圧力、流量のうち少なくとも一つの変数を維持しながら個別燃料電池10の発電をモニターする(2050)。
【0056】
燃料電池グループ及び個別燃料電池10の出力は、均一に分配されてもよく、様々な状況によって又はユーザ設定によって特定燃料電池グループ又は個別燃料電池10の出力が高くなったり低くなってもよい。
【0057】
また、燃料電池グループの出力はグループレベル制御器200で、個別燃料電池10の出力は単位レベル制御器100で周期的に又は連続的にモニターされてよい。
【0058】
また、本実施例に係る燃料電池制御システムBにおいて、単位レベル制御器100の故障又は異常の有無はグループレベル制御器200又は総括レベル制御器300でセンシングしてモニターされてよく、グループレベル制御器200の故障又は異常の有無は総括レベル制御器300でモニターされてよい。総括レベル制御器300で異常が発生すると、既に設定された方式で燃料電池システムA及び燃料電池制御システムBが運営されるか或いはシステムの稼動が中断されてもよい。このように制御器100,200,300で異常が発生する場合、分散型制御方式によって様々な方法で制御でき、それに対応して個別燃料電池10の出力が調節されてよい。
【0059】
図3は、本発明の他の実施例に係る燃料電池制御方法を説明するための制御流れ図である。図3を参照して各制御器に異常が発生した時の制御方法を説明すると、次の通りである。
【0060】
まず、グループレベル制御器200又は総括レベル制御器300は、周期的に、単位レベル制御器100に誤りが発生したか否か判断できる(3010)。
【0061】
判断の結果、単位レベル制御器100に誤りが発生した場合、グループレベル制御器200は、誤りの発生した単位レベル制御器100で制御される個別燃料電池100の出力を停止させることができる(3020)。
【0062】
既存の並列構造の燃料電池システムでは、燃料電池を制御するコントローラに誤りが発生すると、並列に連結されている全体の燃料電池の出力が停止した。これに対し、本実施例によれば、特定コントローラに異常が発生しても個別の燃料電池10の出力が停止し、他の燃料電池は電力出力ができるように弾力的にシステムが運営され得る。
【0063】
一方、単位レベル制御器100に誤りが発生していない場合或いは個別燃料電池10の出力が制御された後に、総括レベル制御器300は、グループレベル制御器200に誤りが発生したか否か判断できる(3030)。
【0064】
判断の結果、特定グループレベル制御器200に誤りが発生すると、誤りの発生したグループレベル制御器200に連結されている単位レベル制御器100は、個別燃料電池10の出力を最終設定値に設定して燃料電池の出力を維持させる(3040)。
【0065】
言い換えると、特定グループレベル制御器200に誤りが発生してその機能が果たせなくても、グループレベル制御器200によって制御されていた個別燃料電池10は、正常に駆動することができる。一例として、上述したように、個別燃料電池10の出力は、最終的に設定された最終設定値に設定されてもよく、誤りの発生時に駆動するための特定出力値に設定されてもよい。
【0066】
一方、グループレベル制御器200に誤りが発生していない場合或いはグループレベル制御器200の誤りによる個別燃料電池10の出力が制御された後に、総括レベル制御器300に誤りが発生したか否か判断されてよい(3050)。
【0067】
総括レベル制御器300に誤りが発生すると、ユーザインターフェースから燃料電池制御システムBの誤りアラームが発生し、自体の誤りモードで制御システムが運営され得る。
【0068】
判断の結果、総括レベル制御器300に誤りが発生した場合、グループレベル制御器200は、連結されている燃料電池グループの出力を最終設定値に設定して燃料電池グループの出力を維持させる(3060)。
【0069】
総括レベル制御器300に誤りが発生しても最終設定値に燃料電池グループの出力が維持され得るので、個別燃料電池10の駆動も持続され得る。すなわち、燃料電池を制御する特定制御器が故障しても、燃料電池システムA及び燃料電池制御システムBの全体がシャットダウンすることが防止でき、誤りの発生した制御器の復旧のための時間を確保することができる。
【0070】
特定レベルの制御器に誤りが発生したか否かを判断する段階(3010,3030,3050)は、図示のように順次に行われてもよく、それぞれに対する判断段階が互いに独立して一定の周期で行われてもよい。
【0071】
図4は、本発明のさらに他の実施例に係る燃料電池制御方法を説明するための制御流れ図である。図4を参照して単位レベル制御器に異常が発生した時の制御方法を説明すると、次の通りである。
【0072】
図示のように、単位レベル制御器100に誤りが発生したか否か判断できる(4010)。
【0073】
仮に、単位レベル制御器100に誤りが発生していないと、燃料電池システムA及び燃料電池制御システムBは正常に駆動する(4060)。
【0074】
一方、単位レベル制御器100に誤りが発生したと判断されると、誤りの発生した単位レベル制御器100の個数が許容個数内か否かさらに判断されてよい(4020)。
【0075】
許容個数内で単位レベル制御器100の誤りが発生した場合、図3を参照して説明した実施例と類似に、グループレベル制御器200は、誤りの発生した該当の単位レベル制御器100で制御される個別燃料電池10の出力を停止させることができる(4030)。
【0076】
又は、他の例として、グループレベル制御器200は、該当の単位レベル制御器100で制御される個別燃料電池10の出力を最終設定値に維持させてもよい。
【0077】
しかし、許容個数範囲を外れた個数の単位レベル制御器100で誤りが発生した場合には、ユーザによって復旧される過程を伴うことができ、所定の復旧時間後にも誤りが感知されるか否か判断されてよい(4040)。
【0078】
ユーザによって復旧される間に、個別燃料電池10の出力は停止したり或いは最終設定値に維持されてよい。
【0079】
しかし、所定時間が経過しても単位レベル制御器100の誤りが復旧されないと、個別燃料電池10の出力が停止し、燃料電池システムAから出力される電力量が不足することもあり、個別燃料電池10の最終設定値に出力が維持されても電力量不足が発生することがある。
【0080】
これを補完するために、本実施例によれば、所定の復旧時間後にも単位レベル制御器100に誤りが感知されると、グループレベル制御器200は、正常の単位レベル制御器100で制御される個別燃料電池10の出力を調節、例えば増加させることができる(4050)。すなわち、誤りの発生した単位レベル制御器100で制御されていた個別燃料電池10の電力量を補充するために、残りの個別燃料電池10の出力電力量を増加させることができる。
【0081】
仮に、誤りの発生した単位レベル制御器100が臨界値に設定された復旧時間内に復旧されて誤りが感知されないと、個別燃料電池10は正常に駆動できる(4060)。
【0082】
図5は、本発明のさらに他の実施例に係る燃料電池制御方法を説明するための制御流れ図である。図5を参照してグループレベル制御器に異常が発生した時の制御方法を説明すれると、次の通りである。
【0083】
図5の場合、図4を参照して説明した単位レベル制御器の誤り発生時に行われる制御過程に類似している。
【0084】
まず、グループレベル制御器200に誤りが発生したか否かが判断できる(5010)。
【0085】
この過程は、図4の単位レベル制御器100に誤りが発生したか否かに関係なくモニターされてもよく、単位レベル制御器100の誤り判断に後続して行われてもよい。
【0086】
仮に、グループレベル制御器200に誤りが発生していないと、燃料電池システムA及び燃料電池制御システムBは正常に駆動する(5060)。
【0087】
一方、グループレベル制御器200に誤りが発生したと判断されると、誤りの発生したグループレベル制御器200の個数が許容個数内か否かがさらに判断されてよい(5020)。
【0088】
許容個数内でグループレベル制御器200の誤りが発生した場合、誤りが発生したグループレベル制御器200に連結されている単位レベル制御器100で制御される個別燃料電池10の出力は最終設定値に維持されてよい(5030)。
【0089】
又は、他の例として、誤りの発生したグループレベル制御器200に連結されていた単位レベル制御器100で制御される個別燃料電池10の出力が停止してもよい。
【0090】
しかし、許容個数範囲を外れた個数のグループレベル制御器200で誤りが発生した場合には、ユーザによって復旧される過程を伴うことができ、所定の複数時間後にも誤りが感知されるか否か判断されてよい(5040)。
【0091】
ユーザによって復旧される間に、個別燃料電池10の出力は停止したり或いは最終設定値に維持されてよい。
【0092】
しかし、所定時間が経過してもグループレベル制御器200の誤りが復旧されないと、個別燃料電池10の出力が停止して燃料電池システムAから出力される電力量が不足することもあり、個別燃料電池10の最終設定値に出力が維持されても電力量不足が発生することがある。
【0093】
これを補完するために、本実施例によれば、所定の復旧時間後にもグループレベル制御器200に誤りが感知されると、総括レベル制御器300は、正常のグループレベル制御器200で制御される燃料電池グループの出力を調節、例えば増加させることができる(5050)。すなわち、誤りの発生したグループレベル制御器200で制御されていた燃料電池グループの電力量を補充するために、残りの燃料電池グループの出力電力量を増加させることができる。
【0094】
仮に、誤りの発生したグループレベル制御器200が所定の復旧時間内に復旧されて誤りが感知されないと、燃料電池グループ、すなわち個別燃料電池10は正常に駆動できる(5060)。
【0095】
上述した通り、本発明によれば、出力を自由に調整できる小型固体酸化物燃料電池(SOFC)を複数個組み合わせて一つのシステムとして構成した燃料電池発電システムにおいて、一つ以上のコントローラ異常の発生時にも、全体システムに影響を及ぼさないで安定した出力を確保することができるシステム運営方法が提供される。
【0096】
上述した燃料電池制御システムの部分的機能は、それを具現するための命令語のプログラムが有形的に具現されることにより、コンピュータ可読記録媒体に含まれて提供されてもよいことが当業者には容易に理解できよう。前記コンピュータ可読記録媒体は、プログラム命令、データファイル、データ構造などを単独で又は組み合わせて含むことができる。前記コンピュータ可読記録媒体に記録されるプログラム命令は、本発明のために特に設計され構成されたものであってもよく、コンピュータソフトウェア当業者に公知され使用可能なものであってもよい。前記コンピュータ可読記録媒体の例には、ハードディスク、フロッピーディスク及び磁気テープのような磁気媒体(magnetic media)、CD-ROM、DVDのような光記録媒体(optical media)、フロプティカルディスク(floptical disk)のような磁気-光媒体(magneto-optical media)、及びロム(ROM)、ラム(RAM)、フラッシュメモリー、USBメモリーなどのようなプログラム命令を記憶し実行するように特に構成されたハードウェア装置が含まれる。前記コンピュータ可読記録媒体は、プログラム命令、データ構造などを指定する信号を伝送する搬送波を含む光又は金属線、導波管などの伝送媒体であってもよい。プログラム命令の例には、コンパイラーによって作られるような機械語コードの他に、インタープリターなどを用いてコンピュータによって実行できる高級言語コードも含む。前記ハードウェア装置は、本発明の動作を実行するために一つ以上のソフトウェアモジュールとして作動するように構成されてもよく、その逆も同様である。
【0097】
本発明は、上記の実施例に限定されず、適用範囲が多様であることはもとより、特許請求の範囲で請求する本発明の要旨を逸脱することなく様々な変形実施が可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0098】
A 燃料電池システム
B 燃料電池制御システム
10 個別燃料電池
100 単位レベル制御器
200 グループレベル制御器
400 総括レベル制御器
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】