(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-31
(54)【発明の名称】放射性免疫複合体とDNAの損傷および修復阻害剤の併用療法
(51)【国際特許分類】
A61K 51/10 20060101AFI20220124BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20220124BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20220124BHJP
A61K 31/395 20060101ALI20220124BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220124BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220124BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20220124BHJP
A61K 31/454 20060101ALI20220124BHJP
A61K 31/502 20060101ALI20220124BHJP
A61K 31/5025 20060101ALI20220124BHJP
A61K 31/551 20060101ALI20220124BHJP
A61K 31/55 20060101ALI20220124BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20220124BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20220124BHJP
A61P 35/04 20060101ALI20220124BHJP
【FI】
A61K51/10 100
A61K39/395 C
A61K39/395 L
A61K47/68
A61K31/395
A61P35/00
A61P43/00 111
A61K45/00
A61P43/00 121
A61P43/00 107
A61K31/454
A61K31/502
A61K31/5025
A61K31/551
A61K31/55
A61K31/5377
A61P35/02
A61P35/04 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021531486
(86)(22)【出願日】2019-12-03
(85)【翻訳文提出日】2021-07-30
(86)【国際出願番号】 IB2019001292
(87)【国際公開番号】W WO2020115548
(87)【国際公開日】2020-06-11
(32)【優先日】2018-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519210572
【氏名又は名称】フュージョン ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Fusion Pharmaceuticals Inc.
【住所又は居所原語表記】270 Longwood Road South Hamilton,Ontario L8P 0A6,Canada
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ブラク, エリック スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】フォーブズ, ジョン リチャード
(72)【発明者】
【氏名】フー, メイドゥオ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァリアント, ジョン フィツモーリス
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076CC27
4C076CC41
4C076EE59
4C084AA12
4C084AA19
4C084NA14
4C084ZB261
4C084ZB271
4C084ZC202
4C084ZC751
4C085AA13
4C085BB11
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC37
4C086BC50
4C086BC58
4C086CB09
4C086CB11
4C086GA07
4C086GA16
4C086HA03
4C086HA06
4C086HA07
4C086HA09
4C086HA28
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC75
(57)【要約】
放射性免疫複合体と、DNA損傷応答阻害剤を投与することを含む併用療法。本開示は、DNA損傷修復機構の阻害を、がん細胞にDNA切断を標的化させる治療と組み合わせると、有効性が改善された、より毒性の低い治療法を提供できる可能性があるという洞察を包含する。放射性崩壊は、細胞を構成する生体分子に直接的な物理的損傷(一本鎖または二本鎖DNAの切断など)または間接的な損傷(バイスタンダー効果またはクロスファイア効果など)を引き起こす可能性がある。本開示は、がん細胞を標的とする放射性免疫複合体と、DNA損傷修復阻害を組み合わせてがんを処置するまたは好転させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
がんを処置するまたは好転させるための方法であって、前記方法は、
(i)哺乳動物に放射性免疫複合体を投与するステップであって、前記哺乳動物はDNA損傷応答阻害剤(DDRi)を投与済みであるかまたは投与中である、ステップ;
(ii)哺乳動物にDDRiを投与するステップであって、前記哺乳動物は放射性免疫複合体を投与済みであるかまたは投与中である、ステップ;または
(iii)前記哺乳動物に放射性免疫複合体を投与するのと同時に前記哺乳動物にDDRiを投与するステップ
を含む、方法。
【請求項2】
前記方法が、哺乳動物にDDRiを投与するステップを含み、前記哺乳動物が放射性免疫複合体を投与済みであるかまたは投与中である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記DDRiが、より低い有効用量で投与される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記放射性免疫複合体が、より低い有効用量で投与される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記放射性免疫複合体が、(i)標的化部分、(ii)リンカー、および(iii)キレート部分またはキレート部分の金属錯体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記標的化部分が腫瘍関連抗原に結合できる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記腫瘍関連抗原が腫瘍特異的抗原である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記標的化部分が、抗体またはその抗原結合フラグメントである、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記抗体またはその抗原結合フラグメントが、IGF1-R抗体またはその抗原結合フラグメントである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記抗体またはその抗原結合フラグメントが、エンドシアリン(TEM-1)抗体またはその抗原結合フラグメントである、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記放射性免疫複合体がキレート部分の金属錯体を含む、請求項5から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記金属錯体が放射性核種を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記放射性核種がα放射体である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記放射性核種が、アスタチン-211(
211At)、ビスマス-212(
212Bi)、ビスマス-213(
213Bi)、アクチニウム-225(
225Ac)、ラジウム-223(
223Ra)、鉛-212(
212Pb)、トリウム-227(
227Th)、およびテルビウム-149(
149Tb)からなる群より選択されるα放射体である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記放射性核種が
225Acである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記放射性免疫複合体が、以下の構造:
【化4】
を含み、式中、Bは前記標的化部分である、
請求項5から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記DDRiがPARP阻害剤である、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記PARP阻害剤が小分子PARP阻害剤である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記小分子PARP阻害剤が、ニパリブ、ニラパリブ、オラパリブ、タラゾパリブ、パミパリブ、ルカパリブ(カンシラート)、およびベリパリブ、またはそれらの類似体からなる群より選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記小分子PARP阻害剤がオラパリブまたはその類似体である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記DDRiがATR阻害剤である、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記ATR阻害剤が小分子ATR阻害剤である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記小分子ATR阻害剤が、AZ20、AZD0156、AZD1390、AZD6738、BAY-1895344、EPT-46464、M3541、M4344、M6620(以前は、VE-922またはVX-970として公知)、NU6027、VE-821、またはそれらの類似体からなる群より選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記ATR阻害剤がBAY-1895344またはその類似体である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記DDRiが、WEE1阻害剤、Chk1阻害剤、またはChk2阻害剤である、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記DDRiが、DNAプロテインキナーゼ(DNA-PK)阻害剤である、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記哺乳動物がヒトである、請求項1から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記哺乳動物ががんと診断されている、請求項1から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記がんが、乳がん、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、膵臓がん、頭頸部がん、前立腺がん、結腸直腸がん、肉腫、副腎皮質癌、神経内分泌がん、ユーイング肉腫、多発性骨髄腫、または急性骨髄性白血病からなる群より選択される、請求項1から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記哺乳動物が、少なくとも1つの固形腫瘍を有する、請求項1から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記投与により治療効果がもたらされる、請求項1から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記治療効果が、腫瘍体積の減少、安定した腫瘍体積、または腫瘍体積の増大速度の低下を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記治療効果が、再発または転移の発生率の低下を含む、請求項31または32に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2018年12月3日付で出願された米国特許仮出願第62/774,847号に対する優先権を主張し、その全内容はあらゆる目的において参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
DNAの一本鎖の切断および二本鎖の切断は、BRCA、PTENおよびATRタンパク質を含む経路に変異が存在する場合をはじめとする、さまざまな理由で発生する。そのようなDNAの切断は複数の経路によって修復される。PARP阻害(PARPi)は、一本鎖および/または二本鎖切断の蓄積をもたらす。既存のPARP阻害剤は、PARP酵素阻害活性の阻害剤と、クロマチンの内部のPARPタンパク質のトラッピング(「DNAトラッピング」)の両方によって作用する。BRCAおよび/またはPTENの変異を有する腫瘍細胞はPARPiに感受性が高いが、ATR阻害(ATRi)は二本鎖切断の修復の失敗をもたらし、したがって二本鎖切断の蓄積をもたらす。一本鎖または二本鎖DNA切断が増加すると、細胞死が増加する。
【0003】
DNA損傷修復阻害剤(DDRi)は、がん治療薬として調査されてきた。しかし、DNA鎖切断の修復を阻害すると、正常な組織毒性が増強されることが観察されており、多くのDDRiがインビボで中程度の有効性しか示していない。がんの処置の改善が必要とされている。特に、患者における毒性を増強しない有効性の向上が求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、DNA損傷修復機構の阻害を、がん細胞にDNA切断を標的化させる治療と組み合わせると、有効性が改善された、より毒性の低い治療法を提供できる可能性があるという洞察を包含する。放射性崩壊は、細胞を構成する生体分子に直接的な物理的損傷(一本鎖または二本鎖DNAの切断など)または間接的な損傷(バイスタンダー効果またはクロスファイア効果など)を引き起こす可能性がある。本開示は、がん細胞を標的とする放射性免疫複合体と、DNA損傷修復阻害を組み合わせてがんを処置するまたは好転させる(ameliorate)。
【0005】
一態様では、がんを処置するまたは好転させるための方法が提供され、前記方法は、(i)哺乳動物に放射性免疫複合体を投与するステップであって、該哺乳動物はDNA損傷応答阻害剤(DDRi)を投与済みであるかまたは投与中である、ステップ;(ii)哺乳動物にDDRiを投与するステップであって、該哺乳動物は放射性免疫複合体を投与済みであるかまたは投与中である、ステップ;または(iii)哺乳動物に放射性免疫複合体を投与するのと同時に哺乳動物にDDRiを投与するステップを含む。
【0006】
一部の実施形態では、前記方法は、哺乳動物にDDRiを投与するステップを含み、該哺乳動物が放射性免疫複合体を投与済みであるかまたは投与中である。
【0007】
一部の実施形態では、DDRiは、より低い有効用量で投与される。一部の実施形態では、放射性免疫複合体は、より低い有効用量で投与される。一部の実施形態では、DDRiと放射性免疫複合体は両方とも、より低い有効用量で投与される。
【0008】
一部の実施形態では、放射性免疫複合体は、(i)標的化部分、(ii)リンカー、および(iii)キレート部分またはキレート部分の金属錯体を含む。
【0009】
一部の実施形態では、標的化部分は、腫瘍関連抗原に結合できる。一部の実施形態では、腫瘍関連抗原は、腫瘍特異的抗原である。
【0010】
一部の実施形態では、標的化部分は、抗体またはその抗原結合フラグメントである。
【0011】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、IGF1-R抗体またはその抗原結合フラグメントである。
【0012】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、エンドシアリン(TEM-1)抗体またはその抗原結合フラグメントである。
【0013】
一部の実施形態では、放射性免疫複合体は、キレート部分の金属錯体を含む。一部の実施形態では、金属錯体は、放射性核種を含む。一部の実施形態では、放射性核種は、α放射体、例えば、アスタチン-211(211At)、ビスマス-212(212Bi)、ビスマス-213(213Bi)、アクチニウム-225(225Ac)、ラジウム-223(223Ra)、鉛-212(212Pb)、トリウム-227(227Th)、およびテルビウム-149(149Tb)からなる群より選択されるα放射体である。一部の実施形態では、放射性核種は、225Acである。
【0014】
一部の実施形態では、放射性免疫複合体は、次の構造:
【化1】
(式中、Bは標的化部分である)
を含む。
【0015】
一部の実施形態では、DDRiは、PARP阻害剤である。一部の実施形態では、PARP阻害剤は、小分子PARP阻害剤、例えば、ニパリブ(niparib)、ニラパリブ、オラパリブ、タラゾパリブ、パミパリブ、ルカパリブ(カンシラート)、およびベリパリブ、またはそれらの類似体からなる群より選択されるPARP阻害剤である。一部の実施形態では、小分子PARP阻害剤はオラパリブまたはその類似体である。
【0016】
一部の実施形態では、DDRiは、ATR阻害剤である。一部の実施形態では、ATR阻害剤は、小分子ATR阻害剤である、例えば、ATR阻害剤は、AZ20、AZD0156、AZD1390、AZD6738、BAY-1895344、EPT-46464、M3541、M4344、M6620(以前は、VE-922またはVX-970として公知)、NU6027、VE-821、またはそれらの類似体からなる群より選択される。一部の実施形態では、ATR阻害剤は、BAY-1895344またはその類似体である。
【0017】
一部の実施形態では、DDRiは、WEE1阻害剤、Chk1阻害剤、またはChk2阻害剤である。
【0018】
一部の実施形態では、DDRiは、DNAプロテインキナーゼ(DNA-PK)阻害剤である。
【0019】
一部の実施形態では、哺乳動物はヒトである。
【0020】
一部の実施形態では、哺乳動物はがんと診断されている。
【0021】
一部の実施形態では、がんは、乳がん、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、膵臓がん、頭頸部がん、前立腺がん、結腸直腸がん、肉腫、副腎皮質癌、神経内分泌がん、ユーイング肉腫、多発性骨髄腫、または急性骨髄性白血病からなる群より選択される。
【0022】
一部の実施形態では、哺乳動物は、少なくとも1つの固形腫瘍を有する。
【0023】
一部の実施形態では、前記投与により治療効果がもたらされる。一部の実施形態では、前記治療効果は、腫瘍体積の減少、安定した腫瘍体積、または腫瘍体積の増大速度の低下を含む。一部の実施形態では、前記治療効果は、再発または転移の発生率の低下を含む。
【0024】
定義
化学用語:
本明細書において使用される「アシル」という用語は、本明細書において定義されるようにカルボニル基を通じて親分子基に結合されている、本明細書において定義される水素またはアルキル基(例えば、ハロアルキル基)を表し、ホルミル(すなわち、カルボキシアルデヒド基)、アセチル、トリフルオロアセチル、プロピオニル、ブタノイルなどに例示される。例示的な非置換アシル基は、1~7、1~11、または1~21個の炭素を含む。一部の実施形態では、アルキル基は、本明細書に記載される1、2、3または4つの置換基でさらに置換される。
【0025】
本明細書において使用される「アルキル」という用語は、特に記載のない限り、1~20個の炭素(例えば、1~10個または1~6個)の直鎖および分枝鎖飽和基の両方を含む。アルキル基は、メチル、エチル、n-およびiso-プロピル、n-、sec-、iso-およびtert-ブチル、ネオペンチルなどにより例示され、必要に応じて1個、2個、3個、または、炭素数2またはそれを超えるアルキル基の場合には4個の、以下からなる群より独立に選択される置換基で置換されていてよい:(1)C1-6アルコキシ;(2)C1-6アルキルスルフィニル;(3)本明細書において定義されるアミノ(例えば、非置換アミノ(すなわち、-NH2)または置換アミノ(すなわち、-N(RN1)2、ここでRN1はアミノについて定義される通り);(4)C6-10アリール-C1-6アルコキシ;(5)アジド;(6)ハロ;(7)(C2-9ヘテロシクリル)オキシ;(8)必要に応じてO-保護基で置換されているヒドロキシ;(9)ニトロ;(10)オキソ(例えば、カルボキシアルデヒドまたはアシル);(11)C1-7スピロシクリル;(12)チオアルコキシ;(13)チオール;(14)必要に応じてO-保護基で置換されている-CO2RA’、ここでRA’は、(a)C1-20アルキル(例えば、C1-6アルキル)、(b)C2-20アルケニル(例えば、C2-6アルケニル)、(c)C6-10アリール、(d)水素、(e)C1-6 alk-C6-10アリール、(f)アミノ-C1-20アルキル、(g)-(CH2)s2(OCH2CH2)s1(CH2)s3OR’のポリエチレングリコール(ここでs1は1~10の整数(例えば、1~6または1~4)であり、s2およびs3の各々は、独立に、0~10の整数(例えば、0~4、0~6、1~4、1~6、または1~10)であり、R’は、HまたはC1-20アルキルである)、および(h)-NRN1(CH2)s2(CH2CH2O)s1(CH2)s3NRN1のアミノ-ポリエチレングリコール(ここでs1は1~10の整数(例えば、1~6または1~4)であり、s2およびs3の各々は、独立に、0~10の整数(例えば、0~4、0~6、1~4、1~6、または1~10)であり、各RN1は、独立に、水素または必要に応じて置換されているC1-6アルキルである)からなる群より選択される;(15)-C(O)NRB’RC’、ここで、RB’とRC’の各々は、独立に、(a)水素、(b)C1-6アルキル、(c)C6-10アリール、および(d)C1-6 alk-C6-10アリールからなる群より選択される;(16)-SO2RD’、ここでRD’は、(a)C1-6アルキル、(b)C6-10アリール、(c)C1-6 alk-C6-10アリール、および(d)ヒドロキシからなる群より選択される;(17)-SO2NRE’RF’、ここでRE’およびRF’の各々は、独立に、(a)水素、(b)C1-6アルキル、(c)C6-10アリールおよび(d)C1-6 alk-C6-10アリールからなる群より選択される;(18)-C(O)RG’、ここでRG’は、(a)C1-20アルキル(例えば、C1-6アルキル)、(b)C2-20アルケニル(例えば、C2-6アルケニル)、(c)C6-10アリール、(d)水素、(e)C1-6 alk-C6-10アリール、(f)アミノ-C1-20アルキル、(g)-(CH2)s2(OCH2CH2)s1(CH2)s3OR’のポリエチレングリコール(ここでs1は1~10の整数(例えば、1~6または1~4)であり、s2とs3の各々は、独立に、0~10の整数(例えば、0~4、0~6、1~4、1~6、または1~10)であり、R’はHまたはC1-20アルキルである)、および(h)-NRN1(CH2)s2(CH2CH2O)s1(CH2)s3NRN1のアミノ-ポリエチレングリコール(ここでs1は1~10の整数(例えば、1~6または1~4)であり、s2とs3の各々は、独立に、0~10の整数(例えば、0~4、0~6、1~4、1~6、または1~10)であり、各RN1は、独立に、水素または必要に応じて置換されているC1-6アルキルである)からなる群より選択される;(19)-NRH’C(O)RI’、ここでRH’は、(a1)水素および(b1)C1-6アルキルからなる群より選択され、RI’は、(a2)C1-20アルキル(例えば、C1-6アルキル)、(b2)C2-20アルケニル(例えば、C2-6アルケニル)、(c2)C6-10アリール、(d2)水素、(e2)C1-6 alk-C6-10アリール、(f2)アミノ-C1-20アルキル、(g2)-(CH2)s2(OCH2CH2)s1(CH2)s3OR’のポリエチレングリコール(ここでs1は1~10の整数(例えば、1~6または1~4)であり、s2とs3の各々は、独立に、0~10の整数(例えば、0~4、0~6、1~4、1~6、または1~10)であり、R’は、HまたはC1-20アルキルである)、および(h2)-NRN1(CH2)s2(CH2CH2O)s1(CH2)s3NRN1のアミノ-ポリエチレングリコール(ここでs1は1~10の整数(例えば、1~6または1~4)であり、s2とs3の各々は、独立に、0~10の整数(例えば、0~4、0~6、1~4、1~6、または1~10)であり、各RN1は、独立に、水素または必要に応じて置換されているC1-6アルキルである)からなる群より選択される;(20)-NRJ’C(O)ORK’、ここでRJ’は、(a1)水素および(b1)C1-6アルキルからなる群より選択され、RK’は、(a2)C1-20アルキル(例えば、C1-6アルキル)、(b2)C2-20アルケニル(例えば、C2-6アルケニル)、(c2)C6-10アリール、(d2)水素、(e2)C1-6 alk-C6-10アリール、(f2)アミノ-C1-20アルキル、(g2)-(CH2)s2(OCH2CH2)s1(CH2)s3OR’のポリエチレングリコール(ここでs1は1~10の整数(例えば、1~6または1~4)であり、s2とs3の各々は、独立に、0~10の整数(例えば、0~4、0~6、1~4、1~6、または1~10)であり、R’はHまたはC1-20アルキルである)、および(h2)-NRN1(CH2)s2(CH2CH2O)s1(CH2)s3NRN1のアミノ-ポリエチレングリコール(ここでs1は1~10の整数(例えば、1~6または1~4)であり、s2とs3の各々は、独立に、0~10の整数(例えば、0~4、0~6、1~4、1~6、または1~10)であり、各RN1は、独立に、水素または必要に応じて置換されているC1-6アルキルである)からなる群より選択される;ならびに(21)アミジン。一部の実施形態では、これらの基の各々は、本明細書に記載されるようにさらに置換することができる。例えば、C1-アルカリルのアルキレン基は、オキソ基でさらに置換されて、それぞれのアリーロイル置換基を得ることができる。
【0026】
本明細書において使用される「アルキレン」および接頭辞「alk-」という用語は、2つの水素原子の除去により直鎖または分枝鎖の飽和炭化水素から誘導された飽和二価炭化水素基を表し、メチレン、エチレン、イソプロピレンなどに例示される。「Cx-yアルキレン」および接頭辞「Cx-y alk-」は、x~y個の炭素を有するアルキレン基を表す。xの例示的な値は、1、2、3、4、5、および6であり、yの例示的な値は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、または20(例えば、C1-6、C1-10、C2-20、C2-6、C2-10、またはC2-20アルキレン)である。一部の実施形態では、アルキレンは、アルキル基について本明細書において定義される1、2、3、または4個の置換基でさらに置換することができる。
【0027】
「アルケニル」という用語は、特に記載のない限り、1またはそれを超える炭素-炭素二重結合を含む2~20炭素(例えば、2~6または2~10炭素)の一価の直鎖または分枝鎖基を表し、エテニル、1-プロペニル、2-プロペニル、2-メチル-1-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニルなどに例示される。アルケニルにはシス異性体とトランス異性体の両方が含まれる。アルケニル基は、必要に応じて、本明細書において定義されるアミノ、アリール、シクロアルキル、またはヘテロシクリル(例えば、ヘテロアリール)から独立に選択される1、2、3、または4個の置換基、あるいは、本明細書に記載される例示的なアルキル置換基のいずれかで置換されていてもよい。
【0028】
本明細書において使用される「アルキニル」という用語は、炭素-炭素三重結合を含む2~20炭素原子(例えば、2~4、2~6、または2~10炭素)の一価の直鎖または分枝鎖基を表し、エチニル、1-プロピニルなどに例示される。アルキニル基は、必要に応じて、本明細書において定義されるアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクリル(例えば、ヘテロアリール)から独立に選択される1、2、3、または4個の置換基、あるいは、本明細書に記載される例示的なアルキル置換基のいずれかで置換されていてもよい。
【0029】
本明細書において使用される「アミノ」という用語は、-N(RN1)2を表し、式中、各RN1は、独立に、H、OH、NO2、N(RN2)2、SO2ORN2、SO2RN2、SORN2、N-保護基、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール、アルカリル、シクロアルキル、アルクシクロアルキル(alkcycloalkyl)、カルボキシアルキル(例えば、必要に応じてO-保護基で置換されている、例えばアリールアルコキシカルボニル基または本明細書に記載されるいずれかで必要に応じて置換されている)、スルホアルキル、アシル(例えば、アセチル、トリフルオロアセチル、または本明細書に記載される他のもの)、アルコキシカルボニルアルキル(例えば、必要に応じてO-保護基で置換されている、例えばアリールアルコキシカルボニル基または本明細書に記載されるいずれかで必要に応じて置換されている)、ヘテロシクリル(例えば、ヘテロアリール)、またはアルクヘテロシクリル(例えば、アルクヘテロアリール)であり、ここで、これらの列挙されるRN1基の各々は、各基について、本明細書において定義されるように必要に応じて置換され得るか;または2つのRN1が結合してヘテロシクリルまたはN-保護基を形成し得、各RN2は、独立に、H、アルキル、またはアリールである。アミノ基は、非置換アミノ(すなわち、-NH2)基または置換アミノ(すなわち、-N(RN1)2)基であってよい。好ましい実施形態では、アミノは-NH2または-NHRN1であり、ここでRN1は、独立に、OH、NO2、NH2、NRN2
2、SO2ORN2、SO2RN2、SORN2、アルキル、カルボキシアルキル、スルホアルキル、アシル(例えば、アセチル、トリフルオロアセチル、または本明細書に記載される他のもの)、アルコキシカルボニルアルキル(例えば、t-ブトキシカルボニルアルキル)またはアリールであり、各RN2は、H、C1-20アルキル(例えば、C1-6アルキル)、またはC6-10アリールであり得る。
【0030】
本明細書に記載される「アミノ酸」は、側鎖を有する分子、アミノ基、および酸基(例えば、-CO2Hのカルボキシ基または-SO3Hのスルホ基)を指し、アミノ酸は側鎖、アミノ基、または酸基(例えば、側鎖)によって親分子基に結合している。一部の実施形態では、アミノ酸は、カルボニル基によって親分子基に結合しており、側鎖またはアミノ基がカルボニル基に結合している。例示的な側鎖としては、必要に応じて置換されているアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アルカリル、アルクヘテロシクリル、アミノアルキル、カルバモイルアルキル、およびカルボキシアルキルが挙げられる。例示的なアミノ酸としては、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、ヒドロキシノルバリン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、ノルバリン、オルニチン、フェニルアラニン、プロリン、ピロリシン、セレノシステイン、セリン、タウリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、およびバリンが挙げられる。アミノ酸基は、必要に応じて、1、2、3個、または、炭素数2またはそれを超えるアミノ酸基の場合には4個の、以下からなる群より独立に選択される置換基で置換されていてよい:(1)C1-6アルコキシ;(2)C1-6アルキルスルフィニル;(3)本明細書において定義されるアミノ(例えば、非置換アミノ(すなわち、-NH2)または置換アミノ(すなわち、-N(RN1)2、ここでRN1はアミノについて定義される通り);(4)C6-10アリール-C1-6アルコキシ;(5)アジド;(6)ハロ;(7)(C2-9ヘテロシクリル)オキシ;(8)ヒドロキシ;(9)ニトロ;(10)オキソ(例えば、カルボキシアルデヒドまたはアシル);(11)C1-7スピロシクリル;(12)チオアルコキシ;(13)チオール;(14)-CO2RA’、ここでRA’は、(a)C1-20アルキル(例えば、C1-6アルキル)、(b)C2-20アルケニル(例えば、C2-6アルケニル)、(c)C6-10アリール、(d)水素、(e)C1-6 alk-C6-10アリール、(f)アミノ-C1-20アルキル、(g)-(CH2)s2(OCH2CH2)s1(CH2)s3OR’のポリエチレングリコール(ここでs1は1~10の整数(例えば、1~6または1~4)であり、s2およびs3の各々は、独立に、0~10の整数(例えば、0~4、0~6、1~4、1~6、または1~10)であり、R’は、HまたはC1-20アルキルである)、および(h)-NRN1(CH2)s2(CH2CH2O)s1(CH2)s3NRN1のアミノ-ポリエチレングリコール(ここでs1は1~10の整数(例えば、1~6または1~4)であり、s2およびs3の各々は、独立に、0~10の整数(例えば、0~4、0~6、1~4、1~6、または1~10)であり、各RN1は、独立に、水素または必要に応じて置換されているC1-6アルキルである)からなる群より選択される;(15)-C(O)NRB’RC’、ここで、RB’とRC’の各々は、独立に、(a)水素、(b)C1-6アルキル、(c)C6-10アリール、および(d)C1-6 alk-C6-10アリールからなる群より選択される;(16)-SO2RD’、ここでRD’は、(a)C1-6アルキル、(b)C6-10アリール、(c)C1-6 alk-C6-10アリール、および(d)ヒドロキシからなる群より選択される;(17)-SO2NRE’RF’、ここでRE’およびRF’の各々は、独立に、(a)水素、(b)C1-6アルキル、(c)C6-10アリールおよび(d)C1-6 alk-C6-10アリールからなる群より選択される;(18)-C(O)RG’、ここでRG’は、(a)C1-20アルキル(例えば、C1-6アルキル)、(b)C2-20アルケニル(例えば、C2-6アルケニル)、(c)C6-10アリール、(d)水素、(e)C1-6 alk-C6-10アリール、(f)アミノ-C1-20アルキル、(g)-(CH2)s2(OCH2CH2)s1(CH2)s3OR’のポリエチレングリコール(ここでs1は1~10の整数(例えば、1~6または1~4)であり、s2とs3の各々は、独立に、0~10の整数(例えば、0~4、0~6、1~4、1~6、または1~10)であり、R’はHまたはC1-20アルキルである)、および(h)-NRN1(CH2)s2(CH2CH2O)s1(CH2)s3NRN1のアミノ-ポリエチレングリコール(ここでs1は1~10の整数(例えば、1~6または1~4)であり、s2とs3の各々は、独立に、0~10の整数(例えば、0~4、0~6、1~4、1~6、または1~10)であり、各RN1は、独立に、水素または必要に応じて置換されているC1-6アルキルである)からなる群より選択される;(19)-NRH’C(O)RI’、ここでRH’は、(a1)水素および(b1)C1-6アルキルからなる群より選択され、RI’は、(a2)C1-20アルキル(例えば、C1-6アルキル)、(b2)C2-20アルケニル(例えば、C2-6アルケニル)、(c2)C6-10アリール、(d2)水素、(e2)C1-6 alk-C6-10アリール、(f2)アミノ-C1-20アルキル、(g2)-(CH2)s2(OCH2CH2)s1(CH2)s3OR’のポリエチレングリコール(ここでs1は1~10の整数(例えば、1~6または1~4)であり、s2とs3の各々は、独立に、0~10の整数(例えば、0~4、0~6、1~4、1~6、または1~10)であり、R’は、HまたはC1-20アルキルである)、および(h2)-NRN1(CH2)s2(CH2CH2O)s1(CH2)s3NRN1のアミノ-ポリエチレングリコール(ここでs1は1~10の整数(例えば、1~6または1~4)であり、s2とs3の各々は、独立に、0~10の整数(例えば、0~4、0~6、1~4、1~6、または1~10)であり、各RN1は、独立に、水素または必要に応じて置換されているC1-6アルキルである)からなる群より選択される;(20)-NRJ’C(O)ORK’、ここでRJ’は、(a1)水素および(b1)C1-6アルキルからなる群より選択され、RK’は、(a2)C1-20アルキル(例えば、C1-6アルキル)、(b2)C2-20アルケニル(例えば、C2-6アルケニル)、(c2)C6-10アリール、(d2)水素、(e2)C1-6 alk-C6-10アリール、(f2)アミノ-C1-20アルキル、(g2)-(CH2)s2(OCH2CH2)s1(CH2)s3OR’のポリエチレングリコール(ここでs1は1~10の整数(例えば、1~6または1~4)であり、s2とs3の各々は、独立に、0~10の整数(例えば、0~4、0~6、1~4、1~6、または1~10)であり、R’はHまたはC1-20アルキルである)、および(h2)-NRN1(CH2)s2(CH2CH2O)s1(CH2)s3NRN1のアミノ-ポリエチレングリコール(ここでs1は1~10の整数(例えば、1~6または1~4)であり、s2とs3の各々は、独立に、0~10の整数(例えば、0~4、0~6、1~4、1~6、または1~10)であり、各RN1は、独立に、水素または必要に応じて置換されているC1-6アルキルである)からなる群より選択される;ならびに(21)アミジン。一部の実施形態では、これらの基の各々は、本明細書に記載されるようにさらに置換することができる。
【0031】
「アリール」という用語は、本明細書で使用される場合、1個または2個の芳香環を有する単環式、二環式または多環式炭素環式環系を表し、フェニル、ナフチル、1,2-ジヒドロナフチル、1,2,3,4-テトラヒドロナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、フルオレニル、インダニル、インデニルなどに例示され、以下からなる群より独立に選択される1、2、3、4、または5個の置換基で必要に応じて置換されていてもよい:(1)C1-7アシル(例えば、カルボキシアルデヒド);(2)C1-20アルキル(例えば、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ-C1-6アルキル、C1-6アルキルスルフィニル-C1-6アルキル、アミノ-C1-6アルキル、アジド-C1-6アルキル、(カルボキシアルデヒド)-C1-6アルキル、ハロ-C1-6アルキル(例えば、パーフルオロアルキル)、ヒドロキシ-C1-6アルキル、ニトロ-C1-6アルキル、またはC1-6チオアルコキシ-C1-6アルキル);(3)C1-20アルコキシ(例えば、C1-6アルコキシ、例えばパーフルオロアルコキシなど);(4)C1-6アルキルスルフィニル;(5)C6-10アリール;(6)アミノ;(7)C1-6 alk-C6-10アリール;(8)アジド;(9)C3-8シクロアルキル;(10)C1-6 alk-C3-8シクロアルキル;(11)ハロ;(12)C1-12ヘテロシクリル(例えば、C1-12ヘテロアリール);(13)(C1-12ヘテロシクリル)オキシ;(14)ヒドロキシ;(15)ニトロ;(16)C1-20チオアルコキシ(例えば、C1-6チオアルコキシ);(17)-(CH2)qCO2RA’(ここでqは0~4の整数であり、RA’は、(a)C1-6アルキル、(b)C6-10アリール、(c)水素、および(d)C1-6 alk-C6-10アリールからなる群より選択される);(18)-(CH2)qCONRB’RC’、ここで、qは0~4の整数であり、RB’およびRC’は独立に、(a)水素、(b)C1-6アルキル、(c)C6-10アリール、および(d)C1-6 alk-C6-10アリールからなる群より選択される);(19)-(CH2)qSO2RD’(ここで、qは0~4の整数であり、RD’は、(a)アルキル、(b)C6-10アリール、および(c)alk-C6-10アリールからなる群より選択される);(20)-(CH2)qSO2NRE’RF’(ここで、qは0~4の整数であり、RE’とRF’の各々は、独立に、(a)水素、(b)C1-6アルキル、(c)C6-10アリール、および(d)C1-6 alk-C6-10アリールからなる群より選択される);(21)チオール;(22)C6-10アリールオキシ;(23)C3-8シクロアルコキシ;(24)C6-10アリール-C1-6アルコキシ;(25)C1-6 alk-C1-12ヘテロシクリル(例えば、C1-6 alk-C1-12ヘテロアリール);(26)C2-20アルケニル;および(27)C2-20アルキニル。一部の実施形態では、これらの基の各々は、本明細書に記載されるようにさらに置換することができる。例えば、C1-アルカリルまたはC1-アルクヘテロシクリルのアルキレン基は、さらにオキソ基で置換されて、それぞれのアリーロイルおよび(ヘテロシクリル)オイル置換基を得ることができる。
【0032】
本明細書において使用される「アリールアルキル」という用語は、本明細書において定義されるアルキレン基を通じて親分子基に結合している、本明細書において定義されるアリール基を表す。例示的な非置換アリールアルキル基は、7~30炭素(例えば、7~16または7~20炭素、例えばC1-6 alk-C6-10アリール、C1-10 alk-C6-10アリール、またはC1-20 alk-C6-10アリール)である。一部の実施形態では、アルキレンとアリールは各々、それぞれの基について本明細書において定義される1、2、3、または4個の置換基でさらに置換することができる。接頭辞「alk-」に先行されるその他の基も同様に定義され、「alk」は、特に記載のない限り、C1-6アルキレンを指し、結合した化学構造は本明細書において定義される通りである。
【0033】
本明細書において使用される「カルボニル」という用語は、C(O)基を表し、これはC=Oとしても表され得る。
【0034】
本明細書において使用される「カルボキシ」という用語は、-CO2Hを意味する。
【0035】
本明細書において使用される「シアノ」という用語は、-CN基を表す。
【0036】
本明細書において使用される「シクロアルキル」は、特に記載のない限り、3~8個の炭素の一価の飽和または不飽和非芳香族環式炭化水素基を表し、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、ビシクロヘプチル(bicycle heptyl)などに例示される。シクロアルキル基が1つの炭素-炭素二重結合または1つの炭素-炭素三重結合を含む場合、そのシクロアルキル基は、それぞれ「シクロアルケニル」または「シクロアルキニル」基と呼ぶことができる。例示的なシクロアルケニルおよびシクロアルキニル基としては、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘキシニルなどが挙げられる。シクロアルキル基は、必要に応じて以下で置換され得る:(1)C1-7アシル(例えば、カルボキシアルデヒド);(2)C1-20アルキル(例えば、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ-C1-6アルキル、C1-6アルキルスルフィニル-C1-6アルキル、アミノ-C1-6アルキル、アジド-C1-6アルキル、(カルボキシアルデヒド)-C1-6アルキル、ハロ-C1-6アルキル(例えば、パーフルオロアルキル)、ヒドロキシ-C1-6アルキル、ニトロ-C1-6アルキル、またはC1-6チオアルコキシ-C1-6アルキル);(3)C1-20アルコキシ(例えば、C1-6アルコキシ、例えばパーフルオロアルコキシなど);(4)C1-6アルキルスルフィニル;(5)C6-10アリール;(6)アミノ;(7)C1-6 alk-C6-10アリール;(8)アジド;(9)C3-8シクロアルキル;(10)C1-6 alk-C3-8シクロアルキル;(11)ハロ;(12)C1-12ヘテロシクリル(例えば、C1-12ヘテロアリール);(13)(C1-12ヘテロシクリル)オキシ;(14)ヒドロキシ;(15)ニトロ;(16)C1-20チオアルコキシ(例えば、C1-6チオアルコキシ);(17)-(CH2)qCO2RA’(ここでqは0~4の整数であり、RA’は、(a)C1-6アルキル、(b)C6-10アリール、(c)水素、および(d)C1-6 alk-C6-10アリールからなる群より選択される);(18)-(CH2)qCONRB’RC’、ここで、qは0~4の整数であり、RB’およびRC’は独立に、(a)水素、(b)C6-10アルキル、(c)C6-10アリール、および(d)C1-6 alk-C6-10アリールからなる群より選択される);(19)-(CH2)qSO2RD’(ここで、qは0~4の整数であり、RD’は、(a)C6-10アルキル、(b)C6-10アリール、および(c)C1-6 alk-C6-10アリールからなる群より選択される);(20)-(CH2)qSO2NRE’RF’(ここで、qは0~4の整数であり、RE’とRF’の各々は、独立に、(a)水素、(b)C6-10アルキル、(c)C6-10アリール、および(d)C1-6 alk-C6-10アリールからなる群より選択される);(21)チオール;(22)C6-10アリールオキシ;(23)C3-8シクロアルコキシ;(24)C6-10アリール-C1-6アルコキシ;(25)C1-6 alk-C1-12ヘテロシクリル(例えば、C1-6 alk-C1-12ヘテロアリール);(26)オキソ;(27)C2-20アルケニル;および(28)C2-20アルキニル。一部の実施形態では、これらの基の各々は、本明細書に記載されるようにさらに置換することができる。例えば、C1-アルカリルまたはC1-アルクヘテロシクリルのアルキレン基は、さらにオキソ基で置換されて、それぞれのアリーロイルおよび(ヘテロシクリル)オイル置換基を得ることができる。
【0037】
本明細書において使用される「ジアステレオマー」という用語は、互いに鏡像でなく、互いに重ね合わせることのできない立体異性体を意味する。
【0038】
本明細書において使用される「鏡像異性体」という用語は、光学純度または鏡像体過剰率(当技術分野で標準的な方法で測定)が少なくとも80%(すなわち、1つの鏡像異性体が少なくとも90%、他方鏡像異性体が最大10%)、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも98%である化合物のそれぞれの個々の光学活性形態を意味する。
【0039】
本明細書において使用される「ハロゲン」という用語は、臭素、塩素、ヨウ素、またはフッ素から選択されるハロゲンを表す。
【0040】
本明細書において使用される「ヘテロアルキル」という用語は、構成炭素原子のうちの1個または2個がそれぞれ窒素、酸素、または硫黄で置き換えられている、本明細書において定義されるアルキル基を指す。一部の実施形態では、ヘテロアルキル基は、アルキル基について本明細書において記載される1、2、3、または4個の置換基でさらに置換することができる。本明細書において使用される「ヘテロアルケニル」および「ヘテロアルキニル」という用語は、それぞれ、構成炭素原子のうちの1個または2個がそれぞれ窒素、酸素、または硫黄で置き換えられている、本明細書において定義されるアルケニル基およびアルキニル基を指す。一部の実施形態では、ヘテロアルケニル基およびヘテロアルキニル基は、アルキル基について本明細書において記載される1、2、3、または4個の置換基でさらに置換することができる。
【0041】
本明細書において使用される「ヘテロアリール」という用語は、芳香族である、本明細書で定義されるヘテロシクリルの部分集合を表す、すなわち、それらは単環式または多環式環系内に4n+2個のπ電子を含む。例示的な非置換ヘテロアリール基は、1~12(例えば、1~11、1~10、1~9、2~12、2~11、2~10、または2~9)炭素のものである。一部の実施形態では、ヘテロアリールは、ヘテロシクリル基について定義される1、2、3、または4個の置換基で置換されている。
【0042】
本明細書において定義される「ヘテロアリールアルキル」とは、本明細書において定義されるアルキレン基を通じて親分子基に結合している、本明細書において定義されるヘテロアリール基を指す。例示的な非置換ヘテロアリールアルキル基は、2~32炭素(例えば、2~22、2~18、2~17、2~16、3~15、2~14、2~13、または2~12炭素、例えばC1-6 alk-C1-12ヘテロアリール、C1-10 alk-C1-12ヘテロアリール、またはC1-20 alk-C1-12ヘテロアリール)である。一部の実施形態では、アルキレンとヘテロアリールは各々、それぞれの基について本明細書において定義される1、2、3、または4個の置換基でさらに置換することができる。ヘテロアリールアルキル基は、ヘテロシクリルアルキル基の部分集合である。
【0043】
本明細書において使用される「ヘテロシクリル」という用語は、特に記載のない限り、窒素、酸素、および硫黄からなる群より独立に選択される1、2、3、または4個のヘテロ原子を含有する5、6または7員環を表す。5員環は、0~2個の二重結合を有し、6および7員環は、0~3個の二重結合を有する。例示的な非置換ヘテロシクリル基は、1~12(例えば、1~11、1~10、1~9、2~12、2~11、2~10、または2~9)炭素のものである。「ヘテロシクリル」という用語はまた、1またはそれを超える炭素および/またはヘテロ原子が単環式環の2つの隣接しないメンバーを架橋している架橋多環式構造、例えば、キヌクリジニル基を有する複素環化合物も表す。「ヘテロシクリル」という用語には、上記の複素環のいずれかが1、2、または3つの炭素環に縮合している二環式、三環式、および四環式基が含まれ、例えば、アリール環、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、シクロペンタン環、シクロペンテン環、または別の単環式複素環、例えばインドリル、キノリル、イソキノリル、テトラヒドロキノリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニルなどが含まれる。縮合ヘテロシクリルの例としては、トロパンおよび1,2,3,5,8,8a-ヘキサヒドロインドリジンが挙げられる。複素環には、ピロリル、ピロリニル、ピロリジニル、ピラゾリル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピリジル、ピペリジニル、ホモピペリジニル、ピラジニル、ピペラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、イソキサゾリル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チアゾリル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、インドリル、インダゾリル、キノリル、イソキノリル、キノキサリニル、ジヒドロキノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、フタラジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンゾチアジアゾリル、フリル、チエニル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサジアゾリル(例えば、1,2,3-オキサジアゾリル)、プリニル、チアジアゾリル(例えば、1,2,3-チアジアゾリル)、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロインドリル、ジヒドロキノリル、テトラヒドロキノリル、テトラヒドロイソキノリル、ジヒドロイソキノリル、ピラニル、ジヒドロピラニル、ジチアゾリル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチエニルなどが含まれ、それには、1またはそれを超える二重結合が還元され、水素で置換された、それらのジヒドロおよびテトラヒドロ形態が含まれる。さらに他の例示的なヘテロシクリルには、以下が挙げられる:2,3,4,5-テトラヒドロ-2-オキソ-オキサゾリル;2,3-ジヒドロ-2-オキソ-1H-イミダゾリル;2,3,4,5-テトラヒドロ-5-オキソ-1H-ピラゾリル(例えば、2,3,4,5-テトラヒドロ-2-フェニル-5-オキソ-1H-ピラゾリル);2,3,4,5-テトラヒドロ-2,4-ジオキソ-1H-イミダゾリル(例えば、2,3,4,5-テトラヒドロ-2,4-ジオキソ-5-メチル-5-フェニル-1H-イミダゾリル);2,3-ジヒドロ-2-チオキソ-1,3,4-オキサジアゾリル(例えば、2,3-ジヒドロ-2-チオキソ-5-フェニル-1,3,4-オキサジアゾリル);4,5-ジヒドロ-5-オキソ-1H-トリアゾリル(例えば、4,5-ジヒドロ-3-メチル-4-アミノ5-オキソ-1H-トリアゾリル);1,2,3,4-テトラヒドロ-2,4-ジオキソピリジニル(例えば、1,2,3,4-テトラヒドロ-2,4-ジオキソ-3,3-ジエチルピリジニル);2,6-ジオキソ-ピペリジニル(例えば、2,6-ジオキソ-3-エチル-3-フェニルピペリジニル);1,6-ジヒドロ-6-オキソピリミジニル(oxopyridiminyl);1,6-ジヒドロ-4-オキソピリミジニル(例えば、2-(メチルチオ)-1,6-ジヒドロ-4-オキソ-5-メチルピリミジン-1-イル);1,2,3,4-テトラヒドロ-2,4-ジオキソピリミジニル(例えば、1,2,3,4-テトラヒドロ-2,4-ジオキソ-3-エチルピリミジニル);1,6-ジヒドロ-6-オキソ-ピリダジニル(例えば、1,6-ジヒドロ-6-オキソ-3-エチルピリダジニル);1,6-ジヒドロ-6-オキソ-1,2,4-トリアジニル(例えば、1,6-ジヒドロ-5-イソプロピル-6-オキソ-1,2,4-トリアジニル);2,3-ジヒドロ-2-オキソ-1H-インドリル(例えば、3,3-ジメチル-2,3-ジヒドロ-2-オキソ-1H-インドリルおよび2,3-ジヒドロ-2-オキソ-3,3’-スピロプロパン-1H-インドール-1-イル);1,3-ジヒドロ-1-オキソ-2H-iso-インドリル;1,3-ジヒドロ-1,3-ジオキソ-2H-iso-インドリル;1H-ベンゾピラゾリル(例えば、1-(エトキシカルボニル)-1H-ベンゾピラゾリル);2,3-ジヒドロ-2-オキソ-1H-ベンズイミダゾリル(例えば、3-エチル-2,3-ジヒドロ-2-オキソ-1H-ベンズイミダゾリル);2,3-ジヒドロ-2-オキソ-ベンゾキサゾリル(例えば、5-クロロ-2,3-ジヒドロ-2-オキソ-ベンゾキサゾリル);2,3-ジヒドロ-2-オキソ-ベンゾキサゾリル;2-オキソ-2H-ベンゾピラニル;1,4-ベンゾジオキサニル;1,3-ベンゾジオキサニル;2,3-ジヒドロ-3-オキソ,4H-1,3-ベンゾチアジニル;3,4-ジヒドロ-4-オキソ-3H-キナゾリニル(例えば、2-メチル-3,4-ジヒドロ-4-オキソ-3H-キナゾリニル);1,2,3,4-テトラヒドロ-2,4-ジオキソ-3H-キナゾリル(例えば、1-エチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,4-ジオキソ-3H-キナゾリル);1,2,3,6-テトラヒドロ-2,6-ジオキソ-7H-プリニル(例えば、1,2,3,6-テトラヒドロ-1,3-ジメチル-2,6-ジオキソ-7H-プリニル);1,2,3,6-テトラヒドロ-2,6-ジオキソ-1H-プリニル(例えば、1,2,3,6-テトラヒドロ-3,7-ジメチル-2,6-ジオキソ-1H-プリニル);2-オキソベンゾ[c,d]インドリル;1,1-ジオキソ-2H-ナフト[1,8-c,d]イソチアゾリル;および1,8-ナフチレンジカルボキサミド。さらなる複素環には、3,3a,4,5,6,6a-ヘキサヒドロ-ピロロ[3,4-b]ピロール-(2H)-イル、および2,5-ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル、ホモピペラジニル(またはジアゼパニル)、テトラヒドロピラニル、ジチアゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、オキセパニル、チエパニル、アゾカニル、オキセカニル、およびチオカニルが含まれる。複素環基には、次式の基も含まれる
【化2】
ここで、
E’は、-N-および-CH-からなる群より選択され;F’は、-N=CH-、-NH-CH
2-、-NH-C(O)-、-NH-、-CH=N-、-CH
2-NH-、-C(O)-NH-、-CH=CH-、-CH
2-、-CH
2CH
2-、-CH
2O-、-OCH
2-、-O-、および-S-からなる群より選択される;G’は、-CH-および-N-からなる群より選択される。本明細書で言及されるヘテロシクリル基はいずれも、必要に応じて、以下からなる群より独立に選択される1、2、3、4、または5個の置換基で置換されていてもよい:(1)C
1-7アシル(例えば、カルボキシアルデヒド);(2)C
1-20アルキル(例えば、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ-C
1-6アルキル、C
1-6アルキルスルフィニル-C
1-6アルキル、アミノ-C
1-6アルキル、アジド-C
1-6アルキル、(カルボキシアルデヒド)-C
1-6アルキル、ハロ-C
1-6アルキル(例えば、パーフルオロアルキル)、ヒドロキシ-C
1-6アルキル、ニトロ-C
1-6アルキル、またはC
1-6チオアルコキシ-C
1-6アルキル);(3)C
1-20アルコキシ(例えば、C
1-6アルコキシ、例えばパーフルオロアルコキシなど);(4)C
1-6アルキルスルフィニル;(5)C
6-10アリール;(6)アミノ;(7)C
1-6 alk-C
6-10アリール;(8)アジド;(9)C
3-8シクロアルキル;(10)C
1-6 alk-C
3-8シクロアルキル;(11)ハロ;(12)C
1-12ヘテロシクリル(例えば、C
2-12ヘテロアリール);(13)(C
1-12ヘテロシクリル)オキシ;(14)ヒドロキシ;(15)ニトロ;(16)C
1-20チオアルコキシ(例えば、C
1-6チオアルコキシ);(17)-(CH
2)
qCO
2R
A’(ここでqは0~4の整数であり、R
A’は、(a)C
1-6アルキル、(b)C
6-10アリール、(c)水素、および(d)C
1-6 alk-C
6-10アリールからなる群より選択される);(18)-(CH
2)
qCONR
B’R
C’(ここで、qは0~4の整数であり、R
B’およびR
C’は独立に、(a)水素、(b)C
1-6アルキル、(c)C
6-10アリール、および(d)C
1-6 alk-C
6-10アリールからなる群より選択される);(19)-(CH
2)
qSO
2R
D’(ここで、qは0~4の整数であり、R
D’は、(a)C
1-6アルキル、(b)C
6-10アリール、および(c)C
1-6 alk-C
6-10アリールからなる群より選択される);(20)-(CH
2)
qSO
2NR
E’R
F’(ここで、qは0~4の整数であり、R
E’とR
F’の各々は、独立に、(a)水素、(b)C
1-6アルキル、(c)C
6-10アリール、および(d)C
1-6 alk-C
6-10アリールからなる群より選択される);(21)チオール;(22)C
6-10アリールオキシ;(23)C
3-8シクロアルコキシ;(24)アリールアルコキシ;(25)C
1-6 alk-C
1-12ヘテロシクリル(例えば、C
1-6 alk-C
1-12ヘテロアリール);(26)オキソ;(27)(C
1-12ヘテロシクリル)イミノ;(28)C
2-20アルケニル;および(29)C
2-20アルキニル。一部の実施形態では、これらの基の各々は、本明細書に記載されるようにさらに置換することができる。例えば、C
1-アルカリルまたはC
1-アルクヘテロシクリルのアルキレン基は、さらにオキソ基で置換されて、それぞれのアリーロイルおよび(ヘテロシクリル)オイル置換基を得ることができる。
【0044】
本明細書において使用される「炭化水素」という用語は、炭素と水素原子のみからなる基を表す。
【0045】
本明細書において使用される「ヒドロキシル」という用語は、-OH基を表す。一部の実施形態では、ヒドロキシル基は、アルキルについて本明細書において定義される1、2、3、または4個の置換基(例えば、O-保護基)で置換することができる。
【0046】
本明細書において使用される「異性体」という用語は、任意の化合物のあらゆる互変異性体、立体異性体、鏡像異性体、またはジアステレオマーを意味する。化合物は、1またはそれを超えるキラル中心および/または二重結合を有することができ、したがって、立体異性体、例えば二重結合異性体(すなわち、幾何E/Z異性体)またはジアステレオマー(例えば、鏡像異性体(すなわち、(+)または(-))またはシス/トランス異性体)として存在することができることが認識されている。特に記載のない限り、本明細書に示される化学構造は、対応するすべての立体異性体、すなわち、立体異性体的に純粋な形態(例えば、幾何学的に純粋、鏡像異性的に純粋、またはジアステレオ異性的に純粋)と、鏡像異性体と立体異性体の混合物、例えば、ラセミ化合物の両方を包含する。化合物の鏡像異性体と立体異性体の混合物は、一般に、周知の方法、例えばキラル相ガスクロマトグラフィー、キラル相高速液体クロマトグラフィー、キラル塩錯体としての化合物の結晶化、またはキラル溶媒中の化合物の結晶化などによってその成分の鏡像異性体または立体異性体に分割することができる。鏡像異性体および立体異性体は、立体異性的(stereomerically)または鏡像異性的に純粋な中間体、試薬、および触媒から周知の不斉合成方法によって得ることもできる。
【0047】
本明細書において使用される「N-保護アミノ」という用語は、本明細書において定義される1または2個のN-保護基が結合している、本明細書において定義されるアミノ基をさす。
【0048】
本明細書において使用される「N-保護基」という用語は、合成手順中の望ましくない反応からアミノ基を保護することを意図する基を表す。一般的に使用されるN-保護基は、Greene、「Protective Groups in Organic Synthesis」3rd Edition(John Wiley&Sons、New York、1999)に開示され、これは参照により本明細書に援用される。N-保護基には、アシル基、アリーロイル基またはカルバミル基、例えばホルミル、アセチル、プロピオニル、ピバロイル、t-ブチルアセチル、2-クロロアセチル、2-ブロモアセチル、トリフルオロアセチル、トリクロロアセチル、フタリル、o-ニトロフェノキシアセチル、α-クロロブチリル、ベンゾイル、4-クロロベンゾイル、4-ブロモベンゾイル、4-ニトロベンゾイルなど、およびキラル補助剤、例えばアラニン、ロイシン、フェニルアラニンなどの保護または非保護D、LまたはD、L-アミノ酸;ベンゼンスルホニル、p-トルエンスルホニルなどのスルホニル含有基;カルバメート形成基、例えばベンジルオキシカルボニル、p-クロロベンジルオキシカルボニル、p-メトキシベンジルオキシカルボニル、p-ニトロベンジルオキシカルボニル、2-ニトロベンジルオキシカルボニル、p-ブロモベンジルオキシカルボニル、3,4-ジメトキシベンジルオキシカルボニル、3,5-ジメトキシベンジルオキシカルボニル、2,4-ジメトキシベンジルオキシカルボニル、4-メトキシベンジルオキシカルボニル、2-ニトロ-4,5-ジメトキシベンジルオキシカルボニル、3,4,5-トリメトキシベンジルオキシカルボニル、1-(p-ビフェニリル)-1-メチルエトキシカルボニル、α,α-ジメチル-3,5-ジメトキシベンジルオキシカルボニル、ベンズヒドリルオキシカルボニル、t-ブチルオキシカルボニル、ジイソプロピルメトキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、エトキシカルボニル、メトキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、2,2,2,-トリクロロエトキシカルボニル、フェノキシカルボニル、4-ニトロフェノキシカルボニル、フルオレニル-9-メトキシカルボニル、シクロペンチルオキシカルボニル、アダマンチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、フェニルチオカルボニルなど、アルカリル基、例えばベンジル、トリフェニルメチル、ベンジルオキシメチルなど、およびシリル基、例えばトリメチルシリルなどが含まれる。好ましいN-保護基は、ホルミル、アセチル、ベンゾイル、ピバロイル、t-ブチルアセチル、アラニル、フェニルスルホニル、ベンジル、t-ブチルオキシカルボニル(Boc)、およびベンジルオキシカルボニル(Cbz)である。
【0049】
本明細書において使用される「O-保護基」という用語は、合成手順中の望ましくない反応から酸素含有(例えば、フェノール、ヒドロキシル、またはカルボニル)基を保護することを意図する基を表す。一般的に使用されるO-保護基は、Greene、「Protective Groups in Organic Synthesis」3rd Edition(John Wiley&Sons、New York、1999)に開示され、これは参照により本明細書に援用される。例示的なO-保護基としては、アシル基、アリーロイル基またはカルバミル基、例えばホルミル、アセチル、プロピオニル、ピバロイル、t-ブチルアセチル、2-クロロアセチル、2-ブロモアセチル、トリフルオロアセチル、トリクロロアセチル、フタリル、o-ニトロフェノキシアセチル、α-クロロブチリル、ベンゾイル、4-クロロベンゾイル、4-ブロモベンゾイル、t-ブチルジメチルシリル、トリ-iso-プロピルシリルオキシメチル、4,4’-ジメトキシトリチル、イソブチリル、フェノキシアセチル、4-イソプロピルフェノキシアセチル(isopropylpehenoxyacetyl)、ジメチルホルムアミジノ、および4-ニトロベンゾイル;アルキルカルボニル基、例えばアシル、アセチル、プロピオニル、ピバロイルなど;必要に応じて置換されているアリールカルボニル基、例えばベンゾイルなど;シリル基、例えばトリメチルシリル(TMS)、tert-ブチルジメチルシリル(TBDMS)、トリ-iso-プロピルシリルオキシメチル(TOM)、トリイソプロピルシリル(TIPS)など;メチル、メトキシメチル、テトラヒドロピラニル、ベンジル、p-メトキシベンジル、トリチルなどのヒドロキシルを含むエーテル形成基;アルコキシカルボニル、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、n-イソプロポキシカルボニル、n-ブチルオキシカルボニル、イソブチルオキシカルボニル、sec-ブチルオキシカルボニル、t-ブチルオキシカルボニル、2-エチルヘキシルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、メチルオキシカルボニルなど;アルコキシアルコキシカルボニル基、例えばメトキシメトキシカルボニル、エトキシメトキシカルボニル、2-メトキシエトキシカルボニル、2-エトキシエトキシカルボニル、2-ブトキシエトキシカルボニル、2-メトキシエトキシメトキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、プロパルギルオキシカルボニル、2-ブテノキシカルボニル、3-メチル-2-ブテノキシカルボニルなど;ハロアルコキシカルボニル、例えば2-クロロエトキシカルボニル、2-クロロエトキシカルボニル、2,2,2-トリクロロエトキシカルボニルなど;必要に応じて置換されているアリールアルコキシカルボニル基、例えばベンジルオキシカルボニル、p-メチルベンジルオキシカルボニル、p-メトキシベンジルオキシカルボニル、p-ニトロベンジルオキシカルボニル、2,4-ジニトロベンジルオキシカルボニル、3,5-ジメチルベンジルオキシカルボニル、p-クロロベンジルオキシカルボニル、p-ブロモベンジルオキシ-カルボニル、フルオレニルメチルオキシカルボニルなど;および必要に応じて置換されているアリールオキシカルボニル基、例えばフェノキシカルボニル、p-ニトロフェノキシカルボニル、o-ニトロフェノキシカルボニル、2,4-ジニトロフェノキシカルボニル、p-メチル-フェノキシカルボニル、m-メチルフェノキシカルボニル、o-ブロモフェノキシカルボニル、3,5-ジメチルフェノキシカルボニル、p-クロロフェノキシカルボニル、2-クロロ-4-ニトロフェノキシ-カルボニルなど);置換アルキル、アリール、およびアルカリルエーテル(例えば、トリチル;メチルチオメチル;メトキシメチル;ベンジルオキシメチル;シロキシメチル;2,2,2,-トリクロロエトキシメチル;テトラヒドロピラニル;テトラヒドロフラニル;エトキシエチル;1-[2-(トリメチルシリル)エトキシ]エチル;2-トリメチルシリルエチル;t-ブチルエーテル;p-クロロフェニル、p-メトキシフェニル、p-ニトロフェニル、ベンジル、p-メトキシベンジル、およびニトロベンジル);シリルエーテル(例えば、トリメチルシリル;トリエチルシリル;トリイソプロピルシリル;ジメチルイソプロピルシリル;t-ブチルジメチルシリル;t-ブチルジフェニルシリル;トリベンジルシリル;トリフェニルシリル;およびジフェニルメチルシリル(diphenymethylsilyl));炭酸塩(例えば、メチル、メトキシメチル、9-フルオレニルメチル;エチル;2,2,2-トリクロロエチル;2-(トリメチルシリル)エチル;ビニル、アリル、ニトロフェニル;ベンジル;メトキシベンジル;3,4-ジメトキシベンジル;およびニトロベンジル);カルボニル保護基(例えば、アセタール基およびケタール基、例えばジメチルアセタール、1,3-ジオキソランなど;アシラール基;およびジチアン基、例えば1,3-ジチアン、1,3-ジチオランなど);カルボン酸保護基(例えば、エステル基、例えばメチルエステル、ベンジルエステル、t-ブチルエステル、オルトエステルなど;およびオキサゾリン基が挙げられる。
【0050】
本明細書において使用される「オキソ」という用語は、=Oを表す。
【0051】
本明細書において使用される「ポリエチレングリコール」という用語は、1またはそれを超えるモノマー単位からなるアルコキシ鎖を表し、各モノマー単位は-OCH2CH2-からなる。ポリエチレン(Polyethyelene)グリコール(PEG)は、時にはポリエチレンオキシド(PEO)またはポリオキシエチレン(POE)とも呼ばれるため、これらの用語は本開示の目的のために置き換え可能と見なされる。例えば、ポリエチレングリコールは、-(CH2)s2(OCH2CH2)s1(CH2)s3O-という構造(ここで、s1は1~10の整数(例えば、1~6または1~4)であり、s2とs3の各々は、独立に、0~10の整数である(例えば、0~4、0~6、1~4、1~6、または1~10)を有することがある。また、ポリエチレングリコールは、-NRN1(CH2)s2(CH2CH2O)s1(CH2)s3NRN1-のアミノ-ポリエチレングリコール、(ここで、s1は1~10の整数(例えば、1~6または1~4)であり、s2とs3の各々は、独立に、0~10の整数(例えば、0~4、0~6、1~4、1~6、または1~10)であり、各RN1は、独立に、水素または必要に応じて置換されているC1-6アルキルである)を含むとも考えられ得る。
【0052】
本明細書において使用される「立体異性体」という用語は、化合物(例えば、本明細書に記載される任意の式の化合物)が有する可能性のある、すべての可能な異なる異性体形態ならびにコンフォメーション形態、特にすべての立体化学的およびコンフォメーション的に可能な異性体、基本的な分子構造の全てのジアステレオマー、鏡像異性体および/または配座異性体を指す。一部の化合物は、異なる互変異性形態で存在することがあり、互変異性形態はすべて本開示の範囲内に含まれる。
【0053】
本明細書において使用される「スルホニル」という用語は、-S(O)2-基を表す。
【0054】
本明細書において使用される「チオール」という用語は、-SH基を表す。
【0055】
その他の用語
本明細書で使用される、「組合せ投与」、「併用投与」または「同時投与」という用語は、2またはそれを超える薬剤が同時に、または患者に対する各薬剤の効果が重複する可能性があるような間隔で被験体に投与されることを意味する。したがって、組合せて投与される2またはそれを超える薬剤は一緒に投与する必要はない。一部の実施形態では、これらは互いに90日以内(例えば、80、70、60、50、40、30、20、10、5、4、3、2、または1日以内)に投与される、28日以内(例えば、14、7、6、5、4、3、2、または1日以内)、24時間以内(例えば、12、6、5、4、3、2、または1時間以内)、または約60、30、15、10、5、または1分以内に投与される。一部の実施形態では、薬剤の投与は、組合せの効果が達成されるように十分に接近した間隔で行われる。
【0056】
本明細書において、薬剤を被験体に「投与する」ことは、前記被験体の細胞を薬剤と接触させることを含む。
【0057】
本明細書において、「抗体」とは、指定された抗原に特異的に結合する免疫グロブリンおよびそのフラグメントを含むアミノ酸配列を含むポリペプチド、またはそのフラグメントを指す。抗体は、任意のタイプのもの(例えば、IgA、IgD、IgE、IgG、またはIgM)またはサブタイプのもの(例えば、IgA1、IgA2、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4)であってよい。当業者であれば、抗体の特徴的な配列または部分には、抗体の1またはそれを超える領域(例えば、可変領域、超可変領域、定常領域、重鎖、軽鎖、およびそれらの組合せ)に見出されるアミノ酸配列が含まれることがあることを理解するであろう。さらに、当業者は、抗体の特徴的な配列または部分が、1またはそれを超えるポリペプチド鎖を含み得ること、および同じポリペプチド鎖または異なるポリペプチド鎖に見出される配列要素を含み得ることを理解するであろう。
【0058】
本明細書において、「抗原結合フラグメント」とは、親抗体の結合特性を保持する抗体の部分を指す。
【0059】
本明細書において同義的に使用される「二官能性キレート」または「二官能性複合体」という用語は、キレート基またはその金属錯体、リンカー基、および治療用部分、標的化部分、または架橋基を含む化合物を指す。
【0060】
「がん」という用語は、悪性新生物細胞の増殖によって引き起こされるあらゆるがん、例えば腫瘍、新生物、癌腫、肉腫、白血病、およびリンパ腫などを指す。「固形腫瘍がん」は、異常な組織塊を含むがん、例えば肉腫、癌腫、およびリンパ腫である。本明細書において同義的に使用される「血液がん」または「液体がん」は、体液中に存在するがん、例えば、リンパ腫および白血病である。
【0061】
「キレート」という用語は、中心金属または放射性金属原子に2またはそれを超える点で結合することができる、有機化合物またはその部分を指す。
【0062】
本明細書において使用される「複合体」という用語は、キレート基またはその金属錯体、リンカー基を含み、必要に応じて治療部分、標的化部分、または架橋基を含む分子を指す。
【0063】
本明細書において使用される「化合物」という用語は、示される構造のすべての立体異性体、幾何異性体、および互変異性体を含むことを意味する。
【0064】
本明細書に記載される化合物は、非対称であり得る(例えば、1またはそれを超える立体中心を有する)。特に明記されない限り、すべての立体異性体、例えば鏡像異性体およびジアステレオマーが意図される。非対称に置換された炭素原子を含む本開示の化合物は、光学活性またはラセミ体で単離することができる。光学活性出発物質から光学活性形態を調製する方法は、例えば、ラセミ混合物の分割または立体選択的合成によるなど、当技術分野で公知である。オレフィン、C=N二重結合などの多くの幾何異性体も本明細書に記載の化合物中に存在し得、そのような安定な異性体はすべて本開示において検討されている。本開示の化合物のシスおよびトランス幾何異性体が記載され、それらは異性体の混合物として、または別々の異性体形態として単離され得る。
【0065】
本開示の化合物には、互変異性形態も含まれる。互変異性形態は、隣接する二重結合との単結合の交換、および付随するプロトンの移動から生じる。互変異性形態には、同じ経験式および全電荷を有する異性体のプロトン化状態であるプロトトロピック互変異性体が含まれる プロトトロピック互変異性体の例には、ケトン-エノール対、アミド-イミド酸対、ラクタム-ラクチム対、アミド-イミド酸対、エナミン-イミン対、およびプロトンが複素環系の2またはそれを超える位置を占有し得る環状形態、例えば、1H-および3H-イミダゾール、1H-、2H-および4H-1,2,4-トリアゾール、1H-および2H-イソインドール、ならびに1H-および2H-ピラゾールが含まれる。互変異性形態は、適切な置換によって平衡状態になるか、または立体的に1つの形に固定され得る。
【0066】
本明細書のさまざまな箇所で、本開示の化合物の置換基は、グループまたは範囲で開示されている。本開示は、そのようなグループまたは範囲のメンバーの各々、およびあらゆる個々の下位組み合わせ(subcombination)を含むことが特に意図される。例えば、「C1-6アルキル」という用語は、メチル、エチル、C3アルキル、C4アルキル、C5アルキル、およびC6アルキルを個別に開示することが特に意図される。本明細書において、「必要に応じて置換されているX」(例えば、必要に応じて置換されているアルキル)という形の語句は、「Xが必要に応じて置換されているX」(例えば、「アルキル、前記アルキルは必要に応じて置換されている」)と同等であることが意図される。これは、特徴「X」(例えば、アルキル)自体が任意であることを意味するものではない。
【0067】
本明細書において使用される「架橋基」とは、2またはそれを超える分子を共有結合によって連結できる任意の反応性基を指す。一部の実施形態では、架橋基は、アミノ反応性またはチオール反応性架橋基である。一部の実施形態では、アミノ反応性またはチオール反応性架橋基は、活性化エステル、例えばヒドロキシスクシンイミドエステル、2,3,5,6-テトラフルオロフェノールエステル、4-ニトロフェノールエステルなど、またはイミダート、無水物、チオール、ジスルフィド、マレイミド、アジド、アルキン、歪んだアルキン、歪んだアルケン、ハロゲン、スルホネート、ハロアセチル、アミン、ヒドラジド、ジアジリン、ホスフィン、テトラジン、イソチオシアネートを含む。一部の実施形態では、架橋基は、グリシン-グリシン-グリシンおよび/またはロイシン-プロリン-(任意のアミノ酸)-トレオニン-グリシンであってよい。これらはソルターゼに媒介されるカップリング反応を使用して標的化剤とリンカーをカップリングするための認識配列である。当業者は、架橋基の使用が本明細書に開示される特定の構築物に限定されず、むしろ他の既知の架橋基が含まれてよいことを理解するであろう。
【0068】
本明細書において使用される(例えば、治療転帰または効果に関連して)「減少」「減少した」、「増加」「増加した」、または「減少」「減少した」という用語は、基準レベルと比較した意味を有する。一部の実施形態では、基準レベルは、実験動物モデルまたは臨床試験において前記方法を対照とともに使用することによって決定されるレベルである。一部の実施形態では、基準レベルは、同じ被験体での処置の開始前または開始時のレベルである。一部の実施形態では、基準レベルは、前記処置方法によって処置されていない集団における平均レベルである。
【0069】
本明細書において、「検出剤」とは、抗原を含む細胞の位置を特定することによって疾患を診断する際に有用な分子または原子を指す。ポリペプチドを検出剤で標識する多様な方法が当技術分野で公知である。検出剤の例としては、限定されるものではないが、放射性同位元素および放射性核種、色素(例えばビオチン-ストレプトアビジン複合体によるなど)、造影剤、発光剤(例えば、FITC、ローダミン、ランタニド蛍光体、シアニン、および近赤外色素)、およびガドリニウムキレートなどの磁性剤が挙げられる。
【0070】
「DNA損傷・修復阻害剤」(DDRi)という用語は、内因性または外因性の染色体傷害に起因する細胞DNA損傷の修復を防ぐ薬剤であり、細胞の生存能力の維持に必要な、通常存在するDNA修復機構および関連プロセスの阻害を通じて作用する薬剤を指す。
【0071】
本明細書において使用される薬剤(例えば、前述の複合体のいずれか)の「有効量」という用語は、臨床結果などの有益または望ましい結果をもたらすために十分な量であり、したがって、「有効量」は、適用される文脈によって異なる。
【0072】
本明細書で使用される「免疫複合体」という用語は、抗体、ナノボディ、アフィボディ、またはフィブロネクチンIII型ドメインのコンセンサス配列などの標的化部分を含む複合体を指す。一部の実施形態では、免疫複合体は、標的化部分あたり少なくとも平均0.10の複合体(例えば、標的化部分あたり少なくとも平均0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、4、5、または8の複合体)を含む。
【0073】
本明細書において使用される「より低い有効用量」は、薬剤(例えば、治療剤)とともに使用される場合に本発明の併用療法において治療上有効であり、この薬剤が参照実験でまたは他の治療的指針のために単剤療法として使用される場合に治療上有効であると決定された用量よりも低い、薬剤の投薬量を指す。
【0074】
「薬学的組成物」という用語は、薬学的に許容され得る賦形剤とともに製剤化される本明細書に記載される化合物を含有する組成物を表す。一部の実施形態では、薬学的組成物は、哺乳動物における疾患の処置のための治療レジメンの一部として政府の規制機関の承認を得て製造または販売される。薬学的組成物は、例えば、経口投与用の単位剤形で(例えば、錠剤、カプセル剤、カプレット、ジェルキャップ、またはシロップ剤);局所投与用に(例えば、クリーム、ゲル、ローション、または軟膏として);静脈内投与用に(例えば、粒子状塞栓を含まない滅菌溶液として、そして静脈内使用に適した溶媒系で);または本明細書に記載される任意のその他の製剤に製剤化することができる。
【0075】
本明細書において使用される「薬学的に許容され得る賦形剤」とは、本明細書に記載される化合物以外の構成成分(例えば、活性化合物を懸濁または溶解できるビヒクル)であり、患者において無毒で非炎症性であるという特性を有する構成成分を指す。賦形剤としては、例えば、付着防止剤(antiadherent)、抗酸化剤、結合剤、コーティング剤、圧縮助剤、崩壊剤、色素(顔料)、皮膚軟化薬、乳化剤、フィラー(希釈剤)、膜形成剤またはコーティング剤、矯味矯臭薬、芳香剤、流動促進剤(流動増強剤)、滑沢剤、防腐剤、印刷用インク、放射線防護剤、吸着剤、懸濁剤または分散剤、甘味料、または水分補給用の水(water of hydration)を挙げることができる。例示的な賦形剤としては、限定されるものではないが、アスコルビン酸、ヒスチジン、リン酸緩衝液、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム(二塩基性)、ステアリン酸カルシウム、クロスカルメロース、架橋ポリビニルピロリドン、クエン酸、クロスポビドン、システイン、エチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、マルチトール、マンニトール、メチオニン、メチルセルロース、メチルパラベン、微結晶性セルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポビドン、アルファ化デンプン、プロピルパラベン、パルミチン酸レチニル、セラック、二酸化ケイ素、カルボキシメチルセルロースナトリウム、クエン酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ソルビトール、デンプン(トウモロコシ)、ステアリン酸、ステアリン酸、スクロース、タルク、二酸化チタン、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンC、およびキシリトールが挙げられる。
【0076】
本明細書において使用される「薬学的に許容され得る塩」は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激作用、またはアレルギー応答がなく、ヒトおよび動物の組織と接触して使用するのに適している、本明細書に記載される化合物の塩を表す。薬学的に許容され得る塩は、当技術分野で周知である。例えば、薬学的に許容され得る塩は、Bergeら,J.Pharmaceutical Sciences 66:1-19,1977およびPharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use,(Eds.P.H.Stahl and C.G.Wermuth),Wiley-VCH,2008に記載されている。塩は、本明細書に記載される化合物の最終単離および精製中にその場で、または遊離塩基基を適した有機酸と反応させることによって別々に調製することができる。
【0077】
化合物は、薬学的に許容され得る塩として調製できるようにイオン化可能な基を有していてよい。これらの塩は、無機酸または有機酸を含む酸付加塩であってもよいし、化合物の酸性形態の場合には、塩は無機塩基または有機塩基から調製されてもよい。多くの場合、化合物は、薬学的に許容され得る酸または塩基の付加生成物として調製される薬学的に許容され得る塩として調製または使用される。適した薬学的に許容され得る酸および塩基は当技術分野で周知であり、例えば、酸付加塩を形成する塩酸、硫酸、臭化水素酸、酢酸、乳酸、クエン酸、または酒石酸、および塩基性塩を形成する水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、カフェイン、様々なアミンなどである。適切な塩の調製のための方法は、当技術分野で十分に確立されている。
【0078】
代表的な酸付加塩としては、数ある中でも、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプトン酸塩、ヘキサン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩が挙げられる。代表的なアルカリまたはアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、およびマグネシウム、ならびに無毒のアンモニウム、第四級アンモニウム、およびアミンカチオンが挙げられ、これには、限定されるものではないが、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、およびエチルアミンが挙げられる。
【0079】
本明細書において使用される「ポリペプチド」という用語は、ペプチド結合によって互いに結合している一連の少なくとも2つのアミノ酸を指す。一部の実施形態では、ポリペプチドは、少なくとも3~5個のアミノ酸を含むことができ、その各々は少なくとも1つのペプチド結合によって他のアミノ酸に結合している。当業者は、ポリペプチドが、1またはそれを超える「非天然」アミノ酸、またはそれにもかかわらずポリペプチド鎖に組み込むことができる他の実体を含み得ることを理解するであろう。一部の実施形態では、ポリペプチドはグリコシル化されていてよい、例えば、ポリペプチドは、1またはそれを超える共有結合された糖部分を含んでいてよい。一部の実施形態では、単一の「ポリペプチド」(例えば、抗体ポリペプチド)は、2またはそれを超える個別のポリペプチド鎖を含んでよく、それは、場合によって、例えば1またはそれを超えるジスルフィド結合または他の手段によって互いに連結されてよい。
【0080】
本明細書において使用される「放射性複合体」という用語は、本明細書に記載される放射性同位体または放射性核種のいずれかなどの、放射性同位体または放射性核種を含む任意の複合体を指す。
【0081】
本明細書において使用される「放射性免疫複合体」という用語は、本明細書に記載される放射性同位体または放射性核種のいずれかなどの、放射性同位体または放射性核種を含む任意の免疫複合体を指す。
【0082】
本明細書において使用される「放射免疫療法」という用語は、治療効果を生じるために放射性免疫複合体を使用する方法を指す。一部の実施形態では、放射免疫療法には、放射性免疫複合体を、それを必要とする被験体に投与することが含まれ得、放射性免疫複合体の投与により被験体において治療効果がもたらされる。一部の実施形態では、放射免疫療法には、放射性免疫複合体を細胞に投与することが含まれ得、放射性免疫複合体の投与により細胞が殺傷される。放射免疫療法が細胞の選択的殺傷を伴う場合、一部の実施形態では、この細胞は、がんを有する被験体のがん細胞である。
【0083】
本明細書において使用される「放射性核種」という用語は、放射性崩壊を受けることができる原子を指す(例えば、3H、14C、15N、18F、35S、47Sc、55Co、60Cu、61Cu、62Cu、64Cu、67Cu、75Br、76Br、77Br、89Zr、86Y、87Y、90Y、97Ru、99Tc、99mTc 105Rh、109Pd、111In、123I、124I、125I、131I、149Pm、149Tb、153Sm、166Ho、177Lu、186Re、188Re、198Au、199Au、203Pb、211At、212Pb、212Bi、213Bi、223Ra、225Ac、227Th、229Th、66Ga、67Ga、68Ga、82Rb、117mSn、201Tl)。放射性核種、放射性同位体、または放射性同位元素という用語は、放射性核種を説明するためにも使用され得る。上記のように、放射性核種は検出剤として使用することができる。一部の実施形態では、放射性核種は、α線を放出する放射性核種である。
【0084】
「被験体」とは、ヒトまたは非ヒト動物(例えば、哺乳動物)を意味する。
【0085】
「実質的な同一性」または「実質的に同一」とは、基準配列とそれぞれ同じポリペプチド配列を有するか、または、2つの配列を最適に整列させた場合に基準配列内の対応する位置に、それぞれ指定された割合の同じアミノ酸残基を有するポリペプチド配列を意味する。例えば、基準配列と「実質的に同一」なアミノ酸配列は、基準アミノ酸配列に対して少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有する。ポリペプチドの場合、比較配列の長さは、通常、少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、50、75、90、100、150、200、250、300、または350の連続したアミノ酸(例えば、全長配列)となるであろう。配列同一性は、配列分析ソフトウェアを使用して、例えばデフォルト設定で測定されてよい(例えば、ウィスコンシン大学バイオテクノロジーセンター、ウィスコンシン大学バイオテクノロジーセンター(1710 University Avenue、Madison、WI 53705)のGenetics Computer Groupの配列分析ソフトウェアパッケージ)。このようなソフトウェアは、相同性の程度をさまざまな置換、欠失、およびその他の修飾に割り当てることにより、類似した配列を一致させることができる。
【0086】
本明細書において使用される「標的化部分」という用語は、所与の標的に結合する分子または分子の任意の部分を指す。一部の実施形態では、標的化部分は、抗体またはその抗原結合フラグメント、ナノボディ、アフィボディ、またはフィブロネクチンIII型ドメインのコンセンサス配列などのタンパク質またはポリペプチドである。
【0087】
本明細書において使用される「治療部分」という用語は、治療上の利益を与える分子または分子の任意の部分を指す。一部の実施形態では、治療部分は、タンパク質またはポリペプチド、例えば、抗体、その抗原結合フラグメントである。一部の実施形態では、治療部分は小分子である。
【0088】
本明細書で使用され、当技術分野でよく理解されているように、状態を「処置する」または状態(例えば、がんなどの本明細書に記載される状態)の「処置」は、臨床結果などの有益または望ましい結果を得るためのアプローチである。有益または望ましい結果には、限定されるものではないが、1またはそれを超える症状または状態の軽減または好転;疾患、障害、または状態の程度の減少;疾患、障害、または状態の安定した(すなわち、悪化していない)状態;疾患、障害、または状態の拡散の防止;疾患、障害、または状態の進行の遅延または緩徐化;疾患、障害、または状態の好転または緩和;および検出可能か検出不能かにかかわらず、寛解(部分的または完全)、が含まれ得る。がん処置の文脈において、「好転させること」には、例えば、転移の発生率の低下、腫瘍体積の縮小、腫瘍血管新生の減少、および/または腫瘍増殖速度の低下が含まれ得る。疾患、障害、または状態を「緩和すること」とは、処置がない場合の程度または時間経過と比較して、疾患、障害、または状態の程度および/または望ましくない臨床的症状発現が軽減されること、および/または進行の時間経過が遅くなるかまたは長くなることを意味する。
【0089】
本明細書において、「腫瘍関連抗原」という用語は、正常細胞よりも有意に多い量で腫瘍細胞に存在している抗原を意味する。
【0090】
本明細書において、「腫瘍特異的抗原」という用語は、腫瘍細胞にのみ内因的に存在する抗原を指す。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【
図1】
図1は、2つの異種移植モデル:Colo-205およびA549における[
225Ac]-FPI-1434およびBAY-1895344(ATR阻害剤)の投与スケジュールを示す模式図である。実施例1を参照されたい。
【0092】
【
図2】
図2A~2Bは、BAY-1895344単独および[
225Ac]-FPI-1434単独での処置またはこれらを組み合わせての処置後の、Colo-205(
図2A)およびA549(
図2B)の相対的腫瘍体積を示す。実施例1を参照されたい。
【0093】
【
図3】
図3は、Colo-205(結腸直腸がん)異種移植モデルにおける[
225Ac]-FPI-1434およびBAY-1895344の投与スケジュールを示す模式図である。実施例2を参照されたい。
【0094】
【
図4】
図4は、BAY-1895344単独および[
225Ac]-FPI-1434単独での処置またはこれらを組み合わせての処置後の、Colo-205の相対的腫瘍体積を示す。実施例2を参照されたい。
【0095】
【
図5】
図5は、2つの異種移植モデル:Colo-205およびA549における処置のためのオラパリブの投与スケジュールを示す模式図である。実施例3を参照されたい。
【0096】
【
図6】
図6A~6Bは、オラパリブでの処置後の、Colo-205(
図6A)およびA549(
図6B)の相対的腫瘍体積を示す。実施例3を参照されたい。
【0097】
【
図7】
図7は、2つの異種移植モデル:Colo-205およびA549における処置のための[
225Ac]-FPI-1434とオラパリブの投与スケジュールを示す模式図である。実施例4を参照されたい。
【0098】
【
図8】
図8A~8Bは、オラパリブ単独および[
225Ac]-FPI-1434単独での処置またはこれらを組み合わせての処置後の、Colo-205(
図8A)およびA549(
図8B)の相対的腫瘍体積を示す。実施例4を参照されたい。
【0099】
【
図9】
図9は、Colo-205異種移植モデルにおける処置のための[
225Ac]-FPI-1434とオラパリブの投与スケジュールを示す模式図である。実施例5を参照されたい。
【0100】
【
図10】
図10は、オラパリブ単独および[
225Ac]-FPI-1434単独での処置またはこれらを組み合わせての処置後の、Colo-205の相対的腫瘍体積を示す。実施例5を参照されたい。
【0101】
【
図11】
図11は、実施例6に記載される複数回用量のインビボ実験で使用される[
2
25Ac]-FPI-1434とオラパリブの投与スケジュールを示す模式図である。
【0102】
【
図12】
図12は、実施例6に記載の実験において、より低い有効用量の[
225Ac]-FPI-1434(20nCi)およびオラパリブ(25mg/kg)を投与された動物の相対的腫瘍体積を示す。
【0103】
【
図13-1】
図13A~13Cは、20nCi(
図13A)、50nCi(
図13B)、または100nCi(
図13C)の[
225Ac]-FPI-1434とオラパリブ(25mg/kgまたは50mg/kg)を投与された動物の相対的腫瘍体積を示す。
【
図13-2】
図13A~13Cは、20nCi(
図13A)、50nCi(
図13B)、または100nCi(
図13C)の[
225Ac]-FPI-1434とオラパリブ(25mg/kgまたは50mg/kg)を投与された動物の相対的腫瘍体積を示す。
【発明を実施するための形態】
【0104】
図面は必ずしも一定の拡大縮小比で描かれているわけではなく、図面内のオブジェクトが必ずしも互いの関係において一定の拡大縮小比で描かれているわけでもないことを理解されたい。図面は、本明細書に開示される装置、システム、および方法のさまざまな実施形態を明確にし、理解することを意図する描写である。可能な限り、同じまたは類似の部品を指すために、同じ参照番号が図面全体にわたって使用される。さらに、図面は、いかなる方法によっても、本教示の範囲を限定することを意図していないことを理解されたい。
【0105】
本開示は、放射性免疫複合体およびDNA損傷・修復阻害剤(DDRi)を使用してがんを処置するまたは好転させるための併用療法に関する。一部の実施形態では、放射性免疫複合体および/またはDDRiは、より低い有効用量で使用される。
【0106】
放射性標識された標的化部分(放射性免疫複合体としても公知)は、疾患状態で上方制御されているタンパク質または受容体および/または罹患細胞(例えば、腫瘍細胞)に特異的なタンパク質または受容体を標的として、目的の細胞を損傷および死滅させるために放射性ペイロードを送達するように設計されている。「放射免疫療法」とは、標的化部分が抗体、一般にモノクローナル抗体を含む場合のこの療法を指す。ペイロードの放射性崩壊は、α、β、またはγ粒子またはオージェ電子を生成し、これらは、DNAへの直接的な影響(例えば一本鎖または二本鎖DNAの切断など)あるいはバイスタンダー効果またはクロスファイア効果などの間接的な影響を引き起こす可能性がある。
【0107】
放射性免疫複合体は、一般に、生物学的標的化部分(例えば、腫瘍上または腫瘍によって発現される分子に特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメント、例えば、IGF-1RまたはTEm-1/エンドシアリン)、キレート部分またはキレート部分の金属錯体(例えば、放射性同位元素を含む)、およびリンカーを含む。複合体は、標的親和性を維持しながら構造変化が最小限になるように、生物学的標的分子に二官能性キレートを付加することによって形成されてよい。放射性免疫複合体は、そのような複合体を放射性標識することによって形成されてよい。
【0108】
二官能性キレートは、キレート、リンカー、および架橋基を構造的に含んでいる。新しい二官能性キレートを開発する場合、ほとんどの努力は分子のキレート部分に集中する。二官能性キレートのいくつかの例が、標的化された部分にコンジュゲ―ションされた様々な環状および非環状構造を有することが記載されている[Bioconjugate Chem.2000,11,510-519,Bioconjugate Chem.2012,23,1029-1039,Mol Imaging Biol(2011)13:215-221,Bioconjugate Chem.2002,13,110-115]。
【0109】
放射性免疫複合体
本開示に従う使用に適した放射性免疫複合体は、一般に、式I-aの構造を有する:
A-L-B
式I-a
式中、Aはキレート部分またはその金属錯体であり)、
式中、Bは標的化部分であり、
式中、Lはリンカーである。
【0110】
一部の実施形態では、放射性免疫複合体は、次の構造:
【化3】
(式中、Bは標的化部分である)
を含む。
【0111】
標的化部分
標的化部分には、所与標識に結合できる分子または分子の任意の部分が含まれる。一部の実施形態では、標的化部分は、タンパク質またはポリペプチドを含む。一部の実施形態では、標的化部分は、抗体またはその抗原結合フラグメント、ナノボディ、アフィボディ、およびフィブロネクチンIII型ドメイン(例えば、センチリンまたはアドネクチン)のコンセンサス配列からなる群より選択される。一部の実施形態では、部分は、標的化部分と治療部分の両方である。すなわち、部分は、所与標的に結合でき、治療上の利益も与える。
【0112】
抗体
抗体は一般にジスルフィド結合によって互いに連結された2つの同一のポリペプチド軽鎖と2つの同一のポリペプチド重鎖を含む。各鎖のアミノ末端に位置する第1のドメインはアミノ酸配列が可変であり、個々の抗体の抗体結合特異性を提供する。これらは、可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域として公知である。各鎖の他のドメインは、アミノ酸配列が比較的不変であり、定常重(CH)領域および定常軽(CL)領域として公知である。軽鎖は一般に、1つの可変領域(VL)と1つの定常領域(CL)を含む。IgG重鎖には、可変領域(VH)、第1定常領域(CH1)、ヒンジ領域、第2定常領域(CH2)、および第3定常領域(CH3)が含まれる。IgEおよびIgM抗体では、重鎖には、さらなる定常領域(CH4)が含まれる。
【0113】
本明細書に記載される抗体には、例えば、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、ラクダ科抗体、キメラ抗体、一本鎖Fv(scFv)、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、および抗イディオタイプ(抗Id)抗体、および上記のいずれかの抗原結合フラグメントが含まれ得る。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントはヒト化されている。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントはキメラである。抗体は、任意の種類(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)またはサブクラスであってよい。
【0114】
抗体の「抗原結合フラグメント」という用語は、本明細書において、抗原と特異的に結合する能力を保持する抗体の1またはそれを超えるフラグメントを指す。抗体の「抗原結合フラグメント」という用語に含まれる結合フラグメントの例には、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、Fdフラグメント、Fvフラグメント、scFvフラグメント、dAbフラグメント(Wardら、(1989)Nature 341:544-546)、および単離された相補性決定領域(CDR)が含まれる。一部の実施形態では、「抗原結合フラグメント」は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む。これらの抗体フラグメントは、当業者に公知の従来の技術を使用して得ることができ、フラグメントは、インタクトな抗体と同じ方法で有用性についてスクリーニングすることができる。
【0115】
本明細書に記載される抗体またはフラグメントは、抗体の合成について当技術分野で公知のあらゆる方法によって生成することができる(例えば、Harlowら、Antibodies:A Laboratory Manual、(Cold Spring Harbor Laboratory Press,2nd ed.1988);Brinkmanら、1995,J.Immunol.Methods 182:41-50;国際公開第92/22324号;国際公開第98/46645号)。キメラ抗体は、例えば、Morrison,1985,Science 229:1202に記載される方法を使用して生成することができ、ヒト化抗体は、例えば、米国特許第6,180,370号に記載される方法によって生成することができる。
【0116】
本明細書に記載されるさらなる抗体は、例えば、Segalら、J.Immunol.Methods 248:1-6(2001);およびTuttら、J.Immunol.147:60(1991)に記載される二重特異性抗体および多価抗体である。
【0117】
インスリン様成長因子1(IGF-1R)抗体
インスリン様成長因子1受容体は、インスリン様成長因子1(IGF-1)および2(IGF-2)によって活性化されたヒト細胞の表面に見出される膜貫通タンパク質である。一部の実施形態では、放射性免疫複合体は、インスリン様成長因子-1受容体(IGF-1R)に対する抗体を含む。典型的ながん遺伝子ではないが、IGF-1Rは、がんの開始および進行を促進し、分裂促進性の形質転換および形質転換された表現型の維持において重要な役割を果たす。IGF-1Rは、乳がん、肺がん(例えば、非小肺がん)、肝臓がん、前立腺がん、膵臓がん、卵巣がん、結腸がん、黒色腫、副腎皮質癌、およびさまざまな種類の肉腫を含む、複数の一般的ながんの発症に関連している。IGF-1Rシグナル伝達は、腫瘍細胞の増殖と代謝を刺激し、血管新生を支援し、アポトーシスからの保護を付与する。それは、転移因子(例えば、HIF-1依存性低酸素シグナル伝達)、足場非依存性増殖、ならびに血管外漏出後の腫瘍転移の増殖および生存に影響を与える。IGF-1Rは、治療抵抗性のがん幹細胞集団の発生、維持、および濃縮にも関与している。
【0118】
がんにおけるIGF-1Rの役割を意味づけるデータが豊富にあるにもかかわらず、IGF-1Rを標的とする治療薬は、疾患への重要な影響をまだ示していない。この有効性の欠如については、患者の同定、IGF-1/IRシグナル伝達経路の複雑性および相互依存性、ならびにその他の成長ホルモン代償機構の開発のための適切なバイオマーカーを特定できないことを含めて、多くの推測があった[Beckwith and Yee,Mol Endocrinol,November 2015,29(11):1549-1557]。しかし、放射免疫療法は、IGF-1Rが抗体により誘発される内部移行とリソソーム分解を受けて、がん細胞内に標的放射性同位元素を送達する能力を利用することにより、IGF-1受容体を過剰発現するがんを処置するための実行可能な機構を提供することができる。IGF-1Rを標的とした放射性免疫複合体の内部移行とリソソーム分解は、がん細胞内に送達された放射性同位元素の滞留時間を延長し、それにより細胞死放出が起こる可能性が最大化する。崩壊系列あたり4つのアルファ粒子を生成するアクチニウム225の場合、細胞死は、細胞あたりに送達されるわずか1原子の放射性核種によって達成することができる[Sgourosら、J Nucl Med.2010,51:311-2]。アルファ粒子による直接的なDNAの衝撃および破壊による細胞死は、所与のアルファ粒子の崩壊に対して、標的化された細胞で、あるいは2つまたは3つの標的化されていない細胞の半径で発生する可能性がある。非常に高い潜在的な抗腫瘍効力を有することに加えて、IGF-1R標的化放射性免疫複合体は、治療用抗体で必要とされるように、腫瘍学的プロセスを阻害するのに受容体と結合するリガンドを遮断することに依存しないため、機械的抵抗性が生じない可能性がある。
【0119】
フィギツムマブ、シズツムマブ、ガニツマブ、AVE1642(ヒト化EM164およびhuEM164としても公知)、BIIB002、ロバツムマブ、およびテプロツムマブをはじめとする、いくつかのIGF-1R抗体が開発され、さまざまな種類のがんの処置について調査されている。IGF-1Rに結合した後、これらの抗体は細胞内に内部移行され、リソソーム酵素によって分解される。腫瘍細胞での過剰発現と内部移行の組合せは、正常組織の毒性作用物質への曝露を制限しながら、検出剤を腫瘍部位に直接送達する可能性をもたらす。
AVE1642の軽鎖可変領域のCDRは、次の配列を有する:
配列番号1(CDR-L1)RSSQSIVHSNVNTYLE
配列番号2(CDR-L2)KVSNRFS
配列番号3(CDR-L3)FQGSHVPPT
AVE1642の軽鎖可変領域は、次の配列を有する:
配列番号4
DVVMTQTPLSLPVSLGDPASISCRSSQSIVHSNVNTYLEWYLQKPGQSPRLLIYKVSNRF
SGVPDRFSGSGAGTDFTLRISRVEAEDLGIYYCFQGSHVPPTFGGGTKLEIKRTVAAPSV
FIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAK
AVE1642の重鎖可変領域のCDRは、次の配列を有する:
配列番号5(CDR-H1)SYWMH
配列番号6(CDR-H2)GEINPSNGRTNY NQKFQG
配列番号7(CDR-H3)GRPDYYGSSKWY FDV
AVE1642の重鎖可変領域は、次の配列を有する:
配列番号8
QVQLVQSGAEVVKPGASVKLSCKASGYTFTSYWMHWVKQRPGQGLEWIGEINPSNGRTNY
NQKFQGKATLTVDKSSSTAYMQLSSLTSEDSAVYYFARGRPDYYGSSKWYFDVWGQGTTV
TVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALG
【0120】
エンドシアリン(TEM-1)抗体
TEM-1またはCD-248としても公知であるエンドシアリンは、腫瘍関連内皮細胞、間質細胞、および周皮細胞によって発現される抗原である。
【0121】
エンドシアリン抗体の例としては、hMP-E-8.3(国際公開第2017/134234号に開示、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる)およびオンツキシズマブ(MORAb-004)が挙げられる。
【0122】
一部の実施形態では、エンドシアリン抗体またはその抗原結合フラグメントは、SRDHQIPVIAAN(配列番号9)のアミノ酸配列を有するエピトープを認識する。
【0123】
一部の実施形態では、エンドシアリン抗体またはその抗体-結合フラグメントの重鎖可変領域は、次の配列を有する相補性決定領域(CDR)を含む:
CDR-H1:GYGVN(配列番号10)またはGFSLTGYGVN(配列番号11)
CDR-H2:MIWVDGSTDYNSALKS(配列番号12)
CDR-H3:GGYGAMDY(配列番号13)
【0124】
一部の実施形態では、エンドシアリン抗体またはその抗体-結合フラグメントの軽鎖可変領域は、次の配列を有する相補性決定領域(CDR)を含む:
CDR-L1:HASQNINVWLT(配列番号14)
CDR-L2:KASNLHT(配列番号15)
CDR-L3:QQGQSYPWT(配列番号16)
【0125】
一部の実施形態では、エンドシアリン抗体またはその抗原結合フラグメントはヒト化抗体である。
【0126】
一部の実施形態では、エンドシアリン抗体またはその抗原結合フラグメントの重鎖可変領域は、配列番号17、18、19、または20からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む:
ヒト化VH1:
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGFSLTGYGVNWIRQPPGKGLEWIGMIWVDGSTDYN
SALKSRVTISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARGGYGAMDYWGQGTLVTVSS
(配列番号17)
ヒト化VH2:
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGFSLTGYGVNWIRQPPEKGLEWIGMIWVDGSTDYN
SALKSRVNISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARGGYGAMDYWGQGTLVTVSS
(配列番号18)
ヒト化VH3:
QLQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGFSLTGYGVNWIRQPPGKGLEWIGMIWVDGSTDYN
SALKSRVTISVDKSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARGGYGAMDYWGQGTLVTVSS
(配列番号19)
ヒト化VH4:
QLQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGFSLTGYGVNWIRQPPEKGLEWIGMIWVDGSTDYN
SALKSRVNISVDKSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARGGYGAMDYWGQGTLVTVSS
(配列番号20)
【0127】
一部の実施形態では、エンドシアリン抗体またはその抗原結合フラグメントの軽鎖可変領域は、配列番号21、22、23、または24からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む:
ヒト化VL1:
DIQMTQSPSSVSASVGDRVTITCHASQNINVWLTWYQQKPGKAPKLLIYKASNLHTGVPS
RFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQGQSYPWTFGGGTKLEIK
(配列番号21)
ヒト化VL2:
DIQMTQSPSTLSASVGDRVTITCHASQNINVWLTWYQQKPGKAPKLLIYKASNLHTGVPS
RFSGSGSGTEFTLTISSLQPDDFATYYCQQGQSYPWTFGGGTKLEIK
(配列番号22)
ヒト化VL3:
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCHASQNINVWLTWYQQKPGKAPKLLIYKASNLHTGVPS
RFSGSGSGTDFTFTISSLQPEDIATYYCQQGQSYPWTFGGGTKLEIK
(配列番号23)
ヒト化VL4:
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCHASQNINVWLTWYQQKPEKAPKSLIYKASNLHTGVPS
RFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQGQSYPWTFGGGTKLEIK
(配列番号24)
【0128】
ナノボディ(nanobody)
ナノボディは、単一の単量体可変抗体ドメインからなる抗体フラグメントである。ナノボディは、単一ドメイン抗体と呼ばれることもある。抗体と同様に、ナノボディは特定の抗原に選択的に結合する。ナノボディは、重鎖可変ドメインまたは軽鎖ドメインであり得る。ナノボディは、天然に存在するものであってもよいし、生物工学による産物であってもよい。ナノボディは、部位特異的変異誘発または変異原性スクリーニング(例えば、ファージディスプレイ、酵母ディスプレイ、細菌ディスプレイ、mRNAディスプレイ、リボソームディスプレイ)によって生物学的に操作される場合がある。
【0129】
アフィボディ(affibody)
アフィボディは、特定の抗原に結合するように操作されたポリペプチドまたはタンパク質である。したがって、アフィボディは抗体のある機能を模倣していると考えられ得る。アフィボディは、ブドウ球菌プロテインAの免疫グロブリン結合領域内のBドメインの操作された改変体であってよい。アフィボディは、Fab領域に対する親和性が低いBドメインであるZドメインの操作された改変体であってよい。アフィボディは、部位特異的変異誘発または変異原性スクリーニング(例えば、ファージディスプレイ、酵母ディスプレイ、細菌ディスプレイ、mRNAディスプレイ、リボソームディスプレイ)によって生物学的に操作される場合がある。
【0130】
多様な異なるタンパク質(例えば、インスリン、フィブリノゲン、トランスフェリン、腫瘍壊死因子-α、IL-8、gp120、CD28、ヒト血清アルブミン、IgA、IgE、IgM、HER2およびEGFR)への特異的結合を示すアフィボディ分子が生成されており、μMからpMの範囲の親和性(Kd)を示している。
【0131】
フィブロネクチンIII型ドメイン
フィブロネクチンIII型ドメインは、多様な細胞外タンパク質に見られる進化的に保存されたタンパク質ドメインである。フィブロネクチンIII型ドメインは、特定の抗原に選択的に結合できる分子を生成するための分子足場として使用されてきた。選択的結合のために操作されたフィブロネクチンIII型ドメイン(FN3)の改変体は、モノボディと呼ばれることもある。FN3ドメインは、部位特異的変異誘発または変異原性スクリーニング(例えば、CIS-ディスプレイ、ファージディスプレイ、酵母ディスプレイ、細菌ディスプレイ、mRNAディスプレイ、リボソームディスプレイ)によって生物学的に操作される場合がある。
【0132】
修飾されたポリペプチド
本開示に従って使用されるポリペプチドは、修飾されたアミノ酸配列を有し得る。修飾されたポリペプチドは、対応する参照ポリペプチドと実質的に同一であり得る(例えば、修飾されたポリペプチドのアミノ酸配列は、参照ポリペプチドのアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有し得る)。特定の実施形態では、修飾は、望ましい生物活性(例えば、IGF-1Rまたはエンドシアリンとの結合)を著しく破壊しない。修飾は、元のポリペプチドの生物活性を(例えば、少なくとも5%、10%、20%、25%、35%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、または95%)低下させることもあり、影響がないこともあり、(例えば、少なくとも5%、10%、25%、50%、100%、200%、500%、または1000%)増加させることもある。修飾されたポリペプチドは、インビボ安定性、生物学的利用能、毒性、免疫学的活性、免疫学的同一性、およびコンジュゲーション特性などのポリペプチドの特徴を有するかまたは最適化することがある。
【0133】
修飾には、翻訳後プロセシングなどの自然なプロセスによるもの、または当技術分野で公知の化学修飾技術によるものが含まれる。修飾は、ポリペプチド骨格、アミノ酸側鎖、およびアミノ末端またはカルボキシ末端を含むポリペプチドのどこでも起こり得る。同じ種類の修飾が、所与ポリペプチドのいくつかの部位に同じ程度または異なる程度で存在することがあり、ポリペプチドが、1を超える種類の修飾を含むことがある。ポリペプチドは、ユビキチン化の結果として分岐していてよく、分岐の有無にかかわらず、環状であってよい。環状、分岐状、および分岐環状ポリペプチドは、翻訳後の自然なプロセスから生じることもあれば、または合成によって作製されることもある。その他の修飾には、ペグ化、アセチル化、アシル化、アセトアミドメチル(acetomidomethyl)(Acm)基の付加、ADP-リボシル化、アルキル化、アミド化、ビオチン化、カルバモイル化、カルボキシエチル化、エステル化、フラビンへの共有結合、ヘム部分への共有結合、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の共有結合、薬物の共有結合、マーカー(例えば、蛍光または放射性)の共有結合、脂質または脂質誘導体の共有結合、ホスファチジルイノシトールの共有結合、架橋、環化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有結合架橋の形成、シスチンの形成、ピログルタメートの形成、ホルミル化、ガンマ-カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、水酸化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、タンパク質分解プロセシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、転移-RNAに媒介されるタンパク質へのアミノ酸の付加、例えばアルギニル化およびユビキチン化などが含まれる。
【0134】
修飾されたポリペプチドには、ポリペプチド配列におけるアミノ酸の挿入、欠失、あるいは保存的または非保存的置換(例えば、D-アミノ酸、デスアミノ酸)も含まれ得る(例えば、そのような変更がポリペプチドの生物学的活性を実質的に変えない場合)。特に、ポリペプチドのアミノ末端またはカルボキシ末端への1またはそれを超えるシステイン残基の付加は、例えば、ジスルフィド結合によるこれらのポリペプチドのコンジュゲーションを容易にすることができる。例えば、ポリペプチドは、アミノ末端に単一のシステイン残基またはカルボキシ末端に単一のシステイン残基を含むように修飾することができる。アミノ酸置換は、保存的(すなわち、残基が同じ一般的な種類または群の別のものによって置き換えられる)であっても、非保存的(すなわち、残基が別の種類のアミノ酸によって置き換えられる)であってもよい。さらに、天然に存在するアミノ酸を、天然に存在しないアミノ酸の代わりに使用することができる(すなわち、天然に存在しない保存的アミノ酸置換または天然に存在しない非保存的アミノ酸置換)。
【0135】
合成によって作製されたポリペプチドは、DNAに天然にコードされていないアミノ酸(例えば、天然に存在しないまたは非天然のアミノ酸)の置換を含むことができる。天然に存在しないアミノ酸の例としては、D-アミノ酸、N-保護アミノ酸、システインの硫黄原子にアセチルアミノメチル基が結合しているアミノ酸、ペグ化アミノ酸、式NH2(CH2)nCOOHのオメガアミノ酸(式中、nは2-6である)、中性非極性アミノ酸、例えばサルコシン、t-ブチルアラニン、t-ブチルグリシン、n-メチルイソロイシン、およびノルロイシンなどが挙げられる。フェニルグリシンは、Trp、Tyr、またはPheを置換し得る。シトルリンおよびメチオニンスルホキシドは中性の非極性であり、システイン酸は酸性であり、オルニチンは塩基性である。プロリンはヒドロキシプロリンで置換されてよく、コンフォメーションを与える特性を保持し得る。
【0136】
類似体は、置換変異誘発によって生成されることがあり、元のポリペプチドの生物活性を保持し得る。「保存的置換」として識別された置換の例を表1に示す。そのような置換により所望されない変化が得られた場合は、表1で「例示的置換」と呼ばれる、またはアミノ酸クラスに関連して本明細書でさらに説明される他の種類の置換を導入し、生成物をスクリーニングする。
【表1】
【0137】
機能または免疫学的同一性の実質的な修飾は、(a)置換領域におけるポリペプチド骨格の構造の例えばシートまたはらせんコンフォメーションとしての維持、(b)標的部位での分子の電荷または疎水性の維持、または(c)側鎖のかさの維持に対する影響が有意に異なる置換を選択することによって達成される。
【0138】
キレート部分およびその金属錯体
キレート部分
適したキレート部分の例としては、限定されるものではないが、DOTA(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸)、DOTMA(1R,4R,7R,10R)-α、α’、α’’、α’’’-テトラメチル-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸、DOTAM(1,4,7,10-テトラキス(カルバモイルメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン)、DOTPA(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラプロピオン酸)、DO3AM-酢酸(2-(4,7,10-トリス(2-アミノ-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル)酢酸)、DOTA-GA無水物(2,2’,2”-(10-(2,6-ジオキソテトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリイル)三酢酸、DOTP(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラ(メチレンホスホン酸))、DOTMP(1,4,6,10-テトラアザシクロデカン-1,4,7,10-テトラメチレンホスホン酸、DOTA-4AMP(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラキス(アセトアミド-メチレンホスホン酸)、CB-TE2A(1,4,8,11-テトラアザビシクロ[6.6.2]ヘキサデカン-4,11-二酢酸)、NOTA(1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4,7-三酢酸)、NOTP(1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4,7-トリ(メチレンホスホン酸)、TETPA(1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン-1,4,8,11-テトラプロピオン酸)、TETA(1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン-1,4,8,11-四酢酸)、HEHA(1,4,7,10,13,16-ヘキサアザシクロヘキサデカン-1,4,7,10,13,16-六酢酸)、PEPA(1,4,7,10,13-ペンタアザシクロペンタデカン-N,N’,N’’,N’’’,N’’’’-五酢酸)、H4オクタパ(H4octapa)(N,N’-ビス(6-カルボキシ-2-ピリジルメチル)-エチレンジアミン-N,N’-二酢酸)、H2デドパ(H2dedpa)(1,2-[[6-(カルボキシ)-ピリジン-2-イル]-メチルアミノ]エタン)、H6ホスパ(H6phospa)(N,N’-(メチレンホスホネート)-N,N’-[6-(メトキシカルボニル)ピリジン-2-イル]-メチル-1,2-ジアミノエタン)、TTHA(トリエチレンテトラミン-N,N,N’,N’’,N’’’,N’’’’-六酢酸)、DO2P(テトラアザシクロドデカンジメタンホスホン酸)、HP-DO3A(ヒドロキシプロピルテトラアザシクロドデカン三酢酸)、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、デフェロキサミン、DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)、DTPA-BMA(ジエチレントリアミン五酢酸-ビスメチルアミド)、HOPO(八座ヒドロキシピリジノン)、またはポルフィリンが挙げられる。
【0139】
一部の実施形態では、放射性免疫複合体は、キレート部分の金属錯体を含む。例えば、キレート基は、金属、例えばマンガン、鉄、およびガドリニウムなどの金属および同位体(例えば、60~4000keVの一般的なエネルギー範囲の同位体)、例えば、本明細書において考察される放射性同位体および放射性核種のいずれかなどとの金属キレートの組合せで使用されてよい。2、2.2、
【0140】
一部の実施形態では、キレート部分は、検出剤として有用であり、そのような検出可能なキレート部分を含む放射性免疫複合体は、したがって診断剤またはセラノスティック剤として使用することができる。
【0141】
放射性同位体および放射性核種
一部の実施形態では、金属錯体は、放射性核種を含む。適した放射性同位元素および放射性核種の例としては、限定されるものではないが、3H、14C、15N、18F、35S、47Sc、55Co、60Cu、61Cu、62Cu、64Cu、66Ga、67Ga、67Cu、68Ga、75Br、76Br、77Br、82Rb、89Zr、86Y、87Y、90Y、97Ru、99Tc、99mTc、105Rh、109Pd、111In、123I、124I、125I、131I、149Pm、149Tb、153Sm、166Ho、177Lu、117mSn、186Re、188Re、198Au、199Au、201Tl、203Pb、211At、212Pb、212Bi、213Bi、223Ra、225Ac、227Th、および229Thが挙げられる。
【0142】
一部の実施形態では、放射性核種は、α放射体、例えば、アスタチン-211(211At)、ビスマス-212(212Bi)、ビスマス-213(213Bi)、アクチニウム-225(225Ac)、ラジウム-223(223Ra)、鉛-212(212Pb)、トリウム-227(227Th)、またはテルビウム-149(149Tb)である。
【0143】
リンカー
一部の実施形態では、リンカーは、式I-bの構造内に示されるように、式I-bのAおよびBを含まない部分である:
A-L1-(L2)n-B
式I-b
(AおよびBは、式I-aに定義される通りである)。
したがって、一部の実施形態では、リンカーは、-L1-(L2)n-であり、
式中、L1は、必要に応じて置換されたC1-C6アルキル、置換されたC1-C6ヘテロアルキル、置換されたアリールまたはヘテロアリールであり;
nは、1~5であり;
各L2は、独立に、次の構造を有する:
(-X1-L3-Z1-)
式II
式中、X1は、C=O(NR1)、C=S(NR1)、OC=O(NR1)、NR1C=O(O)、NR1C=O(NR1)、-CH2PhC=O(NR1)、-CH2Ph(NH)C=S(NR1)、O、またはNR1であり;各R1は、独立に、Hまたは必要に応じて置換されたC1-C6アルキルまたは必要に応じて置換されたC1-C6ヘテロアルキル、置換されたアリールまたはヘテロアリールであり、ここで、C1-C6アルキルは、オキソ(=O)、ヘテロアリール、またはそれらの組合せで置換されていてよい;
L3は、必要に応じて置換されたC1-C50アルキルまたは必要に応じて置換されたC1-C50ヘテロアルキルまたはC5-C20ポリエチレングリコールであり;Z1は、CH2、C=O、C=S、OC=O、NR1C=O、NR1であり、R1は、水素または必要に応じて置換されたC1-C6アルキル、ピロリジン-2,5-ジオンである。
【0144】
架橋基
一部の実施形態では、放射性免疫複合体は、標的化部分または治療部分の代わりに、またはそれらに加えて、架橋基を含む(例えば、式IのBは、架橋基を含む)。
【0145】
「架橋基」は、2またはそれを超える分子を共有結合によって連結できる反応性基である。架橋基を使用して、リンカーおよびキレート部分を治療または標的化部分に結合させることができる。架橋基を使用して、リンカーおよびキレート部分をインビボで標的に結合させることもできる。一部の実施形態では、架橋基は、アミノ反応性、メチオニン反応性またはチオール反応性の架橋基、またはソルターゼ媒介カップリングである。一部の実施形態では、アミノ反応性またはチオール反応性架橋基は、活性化エステル、例えばヒドロキシスクシンイミドエステル、2,3,5,6-テトラフルオロフェノールエステル、4-ニトロフェノールエステルなど、またはイミダート、無水物、チオール、ジスルフィド、マレイミド、アジド、アルキン、歪んだアルキン、歪んだアルケン、ハロゲン、スルホネート、ハロアセチル、アミン、ヒドラジド、ジアジリン、ホスフィン、テトラジン、イソチオシアネート、またはオキサジリジンを含む。一部の実施形態では、ソルターゼ認識配列は、末端のグリシン-グリシン-グリシン(GGG)および/または、Xが任意のアミノ酸であるLPTXGアミノ酸配列を含むことがある。当業者は、架橋基の使用が本明細書に開示される特定の構築物に限定されず、むしろ他の既知の架橋基が含まれてよいことを理解するであろう。
【0146】
DNA損傷・修復阻害剤(DDRi)
さまざまな実施形態では、DNA損傷・修復阻害剤(DDRi)は、放射性免疫複合体と同時投与される。DNA修復には、DNAの一本鎖切断(例えば、PARP経路)と二本鎖切断(例えば、BRCAおよびATR/ATMなどの他の遺伝子)を修復する複数の分子経路が含まれる。PARP阻害(PARPi)は、一本鎖切断修復の失敗をもたらし、さらに二本鎖切断をもたらす。利用可能なPARP阻害剤は、PARP酵素阻害とDNAトラッピングの両方によって作用する。BRCAおよび/またはPTEN変異を有する腫瘍細胞は、PARPiに感受性がある。ATR阻害(ATRi)は二本鎖切断の修復の失敗をもたらし、二本鎖切断の蓄積は、細胞死をもたらす。これらの阻害剤は、相同組換えおよび非相同端末結合機構を防止することによって作用する。
【0147】
本開示は、放射性免疫複合体およびDNA損傷・修復阻害剤での併用療法に関する。この種類の併用療法は、特にDDRiに応答性であるとは予想されないがんにおいて、がんの処置に予期せぬ改善をもたらすことがわかっている。一部の実施形態では、DDRiは、PARP阻害剤(PARPi)である。一部の実施形態では、PARPiは、ニパリブ(niparib)、ニラパリブ、オラパリブ、パミパリブ、ルカパリブ(カンシラート)、タラゾパリブ、ベリパリブ、またはそれらの類似体を含む群から選択される。一部の実施形態では、DDRiは、ATM/ATR阻害剤である。一部の実施形態では、ATM/ATR阻害剤は、AZ20、AZD0156、AZD1390、AZD6738、BAY-1895344、EPT-46464、M3541、M4344、M6620(以前は、VE-922またはVX-970として公知)、NU6027、VE-821、またはそれらの類似体を含む群から選択される、一部の実施形態では、PARPiは、アダボセルチブ、AZD2811、またはそれらの類似体である。一部の実施形態では、DDRiは、WEE1阻害剤、Chk1阻害剤、またはChk2阻害剤である。一部の実施形態では、DDRiは、DNA依存性プロテインキナーゼ(DNA-PK)阻害剤である。DNA-PK阻害剤の限定されない例としては、AZD7648、KU-0060648、NU7026、NU7441(KU-57788)、PI-103、PIK-75 HCI、PP121、SF2523、およびそれらの類似体が挙げられる。
【0148】
被験体
一部の開示される方法では、治療(例えば、治療剤を含む)が被験体に投与される。一部の実施形態では、被験体は哺乳動物、例えば、ヒトである。
【0149】
一部の実施形態では、被験体は別の治療を投与済みであるかまたは投与中である。例えば、一部の実施形態では、被験体は、放射性免疫複合体を投与済みであるかまたは投与中である。一部の実施形態では、被験体はDNA損傷・修復阻害剤(DDRi)を投与済みであるかまたは投与中である。
【0150】
一部の実施形態では、被験体はがんを有するか、がんを発症するリスクがある。例えば、被験体はがんと診断されている。がんは、原発性がんであっても転移性がんであってもよい。被験体は、リンパ節併発の有無にかかわらず、および転移の有無にかかわらず、ステージI、ステージII、ステージIII、またはステージIVなど、どのステージのがんを有していてもよい。提供される組成物は、がんのさらなる増殖を予防または低減し、かつ/または別の場合にはがんを好転させる(例えば、転移を予防または低減する)ことができる。一部の実施形態では、被験体はがんを有さないが、例えば、環境曝露、1またはそれを超える遺伝子変異または改変体の存在、家族歴などの1またはそれを超えるリスク因子の存在のために、がんを発症するリスクがあると決定されている。一部の実施形態では、被験体はがんと診断されていない。
【0151】
一部の実施形態では、がんは固形腫瘍である。
【0152】
一部の実施形態では、固形腫瘍がんは、乳がん、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、膵臓がん、頭頸部がん、前立腺がん、結腸直腸がん、肉腫、副腎皮質癌、神経内分泌がん、ユーイング肉腫、多発性骨髄腫、または急性骨髄性白血病である。
【0153】
一部の実施形態では、がんは非固形(例えば、液体(例えば、血液))のがんである。
【0154】
投与および投薬量
有効用量およびより低い有効用量
本開示は、各治療薬の量がそれ自体で治療上有効であってもなくてもよい併用療法を提供する。例えば、第1の治療および第2の治療を、障害、例えば、がんを処置するかまたは好転させるのに有効な量で一緒に投与することを含む方法が提供される。一部の実施形態では、第1および第2の治療の少なくとも1つは、より低い有効用量で被験体に投与される。一部の実施形態では、第1および第2の治療は両方とも、より低い有効用量で投与される。
【0155】
一部の実施形態では、第1の治療は放射性免疫複合体を含み、第2の治療はDNA損傷応答阻害剤(DDRi)を含む。
【0156】
一部の実施形態では、第1の治療はDDRiを含み、第2の治療は放射性免疫複合体を含む。
【0157】
一部の実施形態では、本明細書に開示される治療の組合せは、障害およびその合併症の症状を治癒するか、または少なくとも部分的に抑止するのに十分な方式(例えば、投薬量およびタイミング)で被験体に投与される。単一の治療(「単剤療法」)の文脈において、この目的を達成するために十分な量は、「治療上有効な量」、すなわち疾患に関連する少なくとも1つの症状または医学的状態を実質的に改善するのに十分な化合物の量として定義される。「治療上有効な量」は、通常、治療薬によって異なる。既知の治療剤の場合、関連する治療上有効な量は、当業者に公知であるか、または容易に決定され得る。
【0158】
例えば、がんの処置において、疾患または状態の任意の症状を低減、予防、遅延、抑制、または抑止する薬剤または化合物は、治療上有効となる。治療上有効な量の薬剤または化合物は、疾患または状態を治癒するために必要ではないが、疾患または状態の発症が遅延、妨害、または予防されるか、あるいは疾患または状態の症状が好転させるか、あるいは疾患または状態の期間が変更されるかまたは、例えば、個体においてより重篤でなくなるかまたは回復を加速させるような、疾患または状態の処置を提供する。例えば、処置は、それががんを退縮させるかまたはがんの増殖を遅らせる場合には、治療上有効となり得る。
【0159】
これらの使用に有効な投薬計画(例えば、各治療薬の量、治療の相対的なタイミングなど)は、疾患または状態の重症度、ならびに被験体の体重および全身状態に依存し得る。例えば、哺乳動物(例えば、ヒト)に適用される治療薬を含む特定の組成物の治療上有効な量は、哺乳動物の年齢、体重、および状態の個体差を考慮して、当業者によって決定され得る。本開示の特定の複合体は、がん細胞を標的として残留し得る能力が強化されているため、これらの化合物の投薬量は、コンジュゲ―ションされていない薬剤の治療効果に必要とされる同等の用量よりも低くなり得る(例えば、約90%、75%、50%、40%、30%、20%、15%、12%、10%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、または0.1%未満またはそれと同等)。治療上有効および/または最適な量は、当業者によって経験的に決定することもできる。したがって、より低い有効用量も、当業者によって決定され得る。
【0160】
組成物(例えば、治療剤を含む薬学的組成物)の単回または複数回の投与は、処置している医師が選択する用量レベルおよびパターンを用いて行うことができる。用量および投与スケジュールは、被験体の疾患または状態の重症度に基づいて決定および調整することができ、これらは、臨床医によって一般的に実施される方法または本明細書に記載される方法に従う処置の過程を通して監視されてよい。
【0161】
開示される併用療法の方法では、第1および第2の治療は、順次にまたは同時に被験体に投与されてよい。例えば、第1の治療剤を含む第1の組成物および第2の治療剤を含む第2の組成物は、順次にまたは同時に被験体に投与されてよい。あるいは、またはさらに、第1の治療剤と第2の治療剤の組合せを含む組成物が被験体に投与されてもよい。
【0162】
一部の実施形態では、放射性免疫複合体は、単回用量で投与される。一部の実施形態では、放射性免疫複合体は、複数回投与される。放射性免疫複合体が複数回投与される場合、各投与の用量は、同じであっても異なっていてもよい。
【0163】
一部の実施形態では、DDRiは、単回用量で投与される。一部の実施形態では、DDRiは、複数回投与される(例えば、少なくとも2回、少なくとも3回など)。一部の実施形態では、DDRiは、定期的または半定期的なスケジュールに従って複数回、例えば、約2週間に1回、週1回、週2回、週3回、または週3回より多く投与される。DDRiが複数回投与される場合、各投与の用量は、同じであっても異なっていてもよい。例えば、DDRiは、初回用量で投与されてよく、その後のDDRiの投薬量は、初回用量よりも多くても少なくてもよい。
【0164】
一部の実施形態では、DDRiの第1の用量は、放射性免疫複合体の第1の用量と同時に投与される。一部の実施形態では、DDRiの第1の用量は、放射性免疫複合体の第1の用量の前に投与される。一部の実施形態では、DDRiの第1の用量は、放射性免疫複合体の第1の用量の後に投与される。一部の実施形態では、DDRiのその後の用量が投与される。
【0165】
一部の実施形態では、放射性免疫複合体(またはその組成物)およびDDRi(またはその組成物)は、互いに28日以内(例えば、14、7、6、5、4、3、2、または1日以内)に投与される。
【0166】
一部の実施形態では、放射性免疫複合体(またはその組成物)およびDDRi(またはその組成物)は、互いに90日以内(例えば、80、70、60、50、40、30、20、10、5、4、3、2、または1日以内)に投与される。さまざまな実施形態では、DDRiは、放射性免疫複合体と同時に投与される。さまざまな実施形態では、DDRiは、放射性免疫複合体の第1の投与の後に複数回投与される。
【0167】
一部の実施形態では、組成物(例えば放射性免疫複合体を含む組成物など)は、放射線処置計画または診断目的で投与される。放射線処置計画または診断目的で投与される場合、組成物は、診断上有効な用量および/または治療有効用量を決定するために有効な量で被験体に投与され得る。一部の実施形態では、開示される複合体またはその組成物(例えば、薬学的組成物)の第1の用量が、放射線処置計画に有効な量で投与され、それに続いて、本明細書に開示される複合体および別の治療薬を含む併用療法が投与される。
【0168】
1またはそれを超える薬剤(例えば、放射性免疫複合体および/またはDDRi)を含む薬学的組成物は、多様な薬物送達システムにおいて開示される方法およびシステムに従って使用するために製剤化することができる。1またはそれを超える生理学的に許容され得る賦形剤または担体も、適切な製剤のために組成物に含めることができる。適した製剤の例は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Company,Philadelphia,PA,17th ed.,1985に見出される。薬物送達のための方法の簡単な概説には、例えば、Langer(Science 249:1527-1533,1990)を参照されたい。
【0169】
製剤
薬学的組成物は、予防的および/または治療的処置のために、非経口、鼻腔内、局所、経口、または経皮的手段などによる局所投与のために製剤化され得る。薬学的組成物は、非経口的に(例えば、静脈内、筋肉内、または皮下注射によって)、あるいは経口摂取によって、あるいは、血管またはがんの状態によって影響を受ける領域への局所適用または関節内注射によって投与することができる。さらなる投与経路の例としては、血管内、動脈内、腫瘍内、腹腔内、脳室内、上皮内、ならびに鼻、眼、強膜内、眼窩内、直腸、局所、またはエアロゾル吸入投与が挙げられる。また、デポー注射または侵食性のインプラントまたは成分などの手段による持続放出投与も特に企図されている。適した組成物には、例えば非経口投与用の、許容され得る担体、好ましくは水性担体、例えば、数ある中でも、水、緩衝化水、食塩水、またはPBSなどに溶解または懸濁させた薬剤(例えば、本明細書に開示される化合物)を含む組成物が含まれる。組成物は、生理学的条件を近似させるために、薬学的に許容され得る補助物質、例えば、数ある中でも、pH調整剤および緩衝化剤、張度調整剤、湿潤剤、または洗剤などを含んでいてよい。一部の実施形態では、組成物は経口送達用に製剤化される;例えば、組成物は、錠剤またはカプセル剤などの単位剤形の製剤のための結合剤またはフィラーなどの不活性成分を含んでよい。一部の実施形態では、組成物は、局所投与用に製剤化される;例えば、組成物は、クリーム、軟膏、ゲル、ペースト、または点眼薬の製剤のための溶媒または乳化剤などの不活性成分を含んでよい。
【0170】
組成物は、例えば、従来の滅菌技術によって滅菌するか、または滅菌濾過されてよい。水溶液は、そのまま使用できるように包装してもよいし、凍結乾燥させてもよく、凍結乾燥した調製物は、投与前に滅菌した水性担体と組み合わされる。調製物のpHは、一般に、3~11、より好ましくは5~9または6~8、最も好ましくは6~7、例えば6~6.5であろう。一部の実施形態では、固体形態の組成物は、錠剤またはカプセル剤の密封されたパッケージのように、それぞれが一定量の上記1または複数の薬剤を含有する、複数の単回用量単位に包装される。一部の実施形態では、固体形態の組成物は、局所適用可能なクリームまたは軟膏用に設計された圧搾可能なチューブなどのように柔軟な量の容器に包装される。
その他の薬剤
【0171】
一部の実施形態では、開示される方法は、抗増殖剤、放射線増感剤、または免疫制御剤または免疫調節剤の投与をさらに含む。
【0172】
「抗増殖性」または「抗増殖剤」は、本明細書において同義的に使用され、表2に収載される抗増殖剤をはじめとする抗がん剤を意味し、これらはいずれも、状態または障害を処置するために放射性免疫複合体と組み合わせて使用することができる。抗増殖剤には、有機白金誘導体、ナフトキノンおよびベンゾキノン誘導体、クリソファン酸およびそれらのアントラキノン誘導体も含まれる。
【0173】
「免疫制御剤」または「免疫調節剤」は、本明細書において同義的に使用され、表2に収載されるものをはじめとする免疫調節因子を意味し、これらはいずれも、放射性免疫複合体と組み合わせて使用することができる。
【0174】
本明細書において、「放射線増感剤」には、放射線治療に対するがん細胞の感受性を高めるあらゆる薬剤が含まれる。放射線増感剤には、限定されるものではないが、5-フルオロウラシル、白金の類似体(例えば、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン)、ゲムシタビン、EGFRアンタゴニスト(例えば、セツキシマブ、ゲフィチニブ)、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、COX-2阻害剤、bFGFアンタゴニスト、およびVEGFアンタゴニストが含まれ得る。
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【表2-5】
【表2-6】
【表2-7】
【表2-8】
【表2-9】
【表2-10】
【実施例】
【0175】
実施例1.インビボでの相乗効果試験:[
225Ac]-FPI-1434+BAY-1895344-投与スケジュール1
インビボでの相乗効果試験を、[
225Ac]-FPI-1434およびBAY-1895344を用いて実施した。[
225Ac]-FPI-1434を、単剤として腫瘍退縮に最適でない線量でColo-205(結腸直腸がん)異種移植モデル(50nCi)およびA549(NSCLC)異種移植モデル(200nCi)に投与した。併用群(n=5)に、BAY-1895344を20mg/kgの用量を用いて28日間、2日間投薬、5日間休薬で(腹腔内)投与した。BAY-1895344の第1の用量は、[
225Ac]-FPI-1434投与の24時間後に投与された。
図1を参照されたい。
【0176】
相対的腫瘍体積を、投与の28日後まで評価した。Colo-205異種移植モデルとA549異種移植モデルの両方で、BAY-1895344単独では、ビヒクル対照と比較して、経時的な腫瘍体積の減少においていかなる低減も示されなかった。どちらのモデルでも、[
225Ac]-FPI-1434単独による処置は、ビヒクル対照およびBAY-1895344単独による処置と比較して、腫瘍体積の大幅な減少を示した。[
225Ac]-FPI-1434とBAY-1895344を
図1の投与スケジュールを用いて併用療法として投与した場合、いずれかの処置を単独で投与した場合と比較して、追加の利点は見られなかった。
図2aおよび2bを参照されたい。
【0177】
実施例2.インビボでの相乗効果試験:FPI-1434+BAY-1895344-投与スケジュール2
インビボでの相乗効果試験を、第2の投与スケジュールを用いて[
225Ac]-FPI-1434およびBAY-1895344で実施した。FPI-1434を、単剤として腫瘍退縮に最適でない線量(50nCi)でColo-205(結腸直腸がん)異種移植モデルに投与した。併用群(n=5)に、BAY-1895344を40mg/kgの用量から開始して週3回投与した。高用量では一過性の動物の傾眠が見られたため、用量は徐々に20mg/kgに減量した。BAY-1895344の第1の用量は、FPI-1434投与の24時間後に投与された。
図3を参照されたい。
【0178】
相対的腫瘍体積を、投与の28日後まで評価した。[
225Ac]-FPI-1434とBAY-1895344単独は両方とも経時的に腫瘍体積にある程度の減少を示し、[
225Ac]-FPI-1434はBAY-1895344単独と比較して腫瘍体積の減少においてより有効であった。[
225Ac]-FPI-1434とBAY-1895344を
図3の投与スケジュールを用いて併用療法として投与した場合、動物は、いずれかの処置単独と比較して、有意に低い腫瘍体積を示した。
図4を参照されたい。
【0179】
実施例3.オラパリブの単剤としてのインビボ有効性
オラパリブのみを単剤として用いてインビボ有効性試験を実施した。オラパリブを、Colo-205(結腸直腸がん)異種移植モデルおよびA549(NSCLC)異種移植モデルに単剤として異なる用量で投与した。動物群(n=5)に、オラパリブを10~100mg/kgの用量を用いて、5日間投薬、2日間休薬で(腹腔内)投与した。
図5を参照されたい。
【0180】
オラパリブは、両方のモデルで単剤として中程度の有効性を示した(
図6Aおよび6B)。どちらのモデルにも用量応答は見られず、y-H2AX病巣の免疫組織化学的分析は、オラパリブ処置後にDSB形成の増加を示さなかった。
【0181】
実施例4.インビボでの相乗効果試験:FPI-1434+オラパリブ-投与スケジュール1
インビボでの相乗効果試験を、[
225Ac]-FPI-1434およびオラパリブを用いて実施した。[
225Ac]-FPI-1434を、単剤として腫瘍退縮に最適でない線量でColo-205(結腸直腸がん)異種移植モデル(50nCi)およびA549(NSCLC)異種移植モデル(200nCi)に投与した。併用群(n=5)に、オラパリブを50mg/kgの用量を用いて28日間、5日間投薬、2日間休薬で(腹腔内)投与した。[
225Ac]-FPI-1434投与の前に、動物にオラパリブを3回前投与した。
図7を参照されたい。
【0182】
相対的腫瘍体積を、投与の28日後まで評価した。Colo-205異種移植モデルでは、[
225Ac]-FPI-1434とオラパリブ単独は両方とも経時的に腫瘍体積にある程度の減少を示し、[
225Ac]-FPI-1434はオラパリブ単独と比較して腫瘍体積の減少においてより有効であった。[
225Ac]-FPI-1434とオラパリブを
図7の投与スケジュールを用いて併用療法として投与した場合、いずれかの処置を単独で投与した場合と比較して、追加の利点は見られなかった。
図8aを参照されたい。
【0183】
A549異種移植モデルでは、処置を受けていない動物と比較して、オラパリブ単独の処置による経時的な腫瘍体積の明らかな違いは見られなかった。[
225Ac]-FPI-1434は、ビヒクルで処置した動物およびオラパリブで処置した動物と比較して、腫瘍体積を大幅に減少させた。[
225Ac]-FPI-1434とオラパリブを
図7の投与スケジュールを用いて併用療法として投与した場合、いずれかの処置を単独で投与した場合と比較して、追加の利点は見られなかった。
図8bを参照されたい。
【0184】
実施例5.インビボでの相乗効果試験:FPI-1434+オラパリブ-投与スケジュール2
インビボでの相乗効果試験を、第2の投与スケジュールを用いて[
225Ac]-FPI-1434およびオラパリブで実施した。FPI-1434を、単剤として腫瘍退縮に最適でない線量(50nCi)でColo-205(結腸直腸がん)異種移植モデルに投与した。併用群(n=5)に、オラパリブを50mg/kgの用量を用いて28日間、5日間投薬、2日間休薬で(腹腔内)投与した。オラパリブの第1の用量は、FPI-1434投与の24時間後に投与された。
図9を参照されたい。
【0185】
相対的腫瘍体積を、投与の28日後まで評価した。[
225Ac]-FPI-1434とオラパリブ単独は両方とも経時的に腫瘍体積の大幅な減少を示し、[
225Ac]-FPI-1434はオラパリブ単独と比較して腫瘍体積の減少においてより有効であった。[
225Ac]-FPI-1434とオラパリブを
図9の投与スケジュールを用いて併用療法として投与した場合、動物は、いずれかの処置単独と比較して、有意に低い腫瘍体積を示した。
図10を参照されたい。
【0186】
実施例6.インビボでの相乗効果試験:複数回用量レベルでのFPI-1434+オラパリブ併用療法
[
225Ac]-FPI-1434およびオラパリブを用いてColo-205(結腸直腸がん)異種移植モデルでインビボ試験を実施し、[
225Ac]-FPI-1434は20nCi、50nCi、または100nCiの線量で投与された。併用群(n=5)では、動物に[
225Ac]-FPI-1434投与の24時間後にオラパリブの(腹腔内)投与を開始し、[
225Ac]-FPI-1434投与(「0日目」)から30日目まで、25または50mg/kgの用量を使用して5日投薬、2日休薬のスケジュールに従って投与した。
図11を参照されたい。
【0187】
相対的腫瘍体積を、投与のさまざまな時点で評価した。
図12は、より低い有効用量の[
225Ac]-FPI-1434(20nCi)およびオラパリブ(25mg/kg)を使用した結果を示す。[
225Ac]-FPI-1434またはオラパリブ単独のいずれでも治療効果は認められなかったかまたは限られていたのに対し、併用療法を受けた動物は、いずれかの処置を単独で受けた動物と比較して、有意に低い腫瘍体積を示した。
図13A~13Cは、20nCi(
図13A)、50nCi(
図13B)、または100nCi(
図13C)の[
225Ac]-FPI-1434とオラパリブ(25mg/kgまたは50mg/kg)を使用した結果を示す。最も強い併用効果は、単剤の最低用量で観察された。
図13Aを参照されたい。
【0188】
したがって、本実施例は、[225Ac]-FPI-1434とオラパリブの併用が、それぞれより低い有効用量で相乗効果をもたらしたことを実証する。
【0189】
均等物/他の実施形態
当業者は、本明細書に記載される特定の実施形態に対する多くの均等物を認識するか、または日常的な実験のみを使用して確認できるであろう。そのような均等物は、以下の特許請求の範囲に含まれることが意図される。
【配列表】
【国際調査報告】