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特表2022-511482車両シート用前後方向アジャスタ及び車両シート
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  • 特表-車両シート用前後方向アジャスタ及び車両シート 図1
  • 特表-車両シート用前後方向アジャスタ及び車両シート 図2
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  • 特表-車両シート用前後方向アジャスタ及び車両シート 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-31
(54)【発明の名称】車両シート用前後方向アジャスタ及び車両シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/06 20060101AFI20220124BHJP
【FI】
B60N2/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021531583
(86)(22)【出願日】2019-12-02
(85)【翻訳文提出日】2021-07-13
(86)【国際出願番号】 EP2019083257
(87)【国際公開番号】W WO2020114946
(87)【国際公開日】2020-06-11
(31)【優先権主張番号】102018131445.0
(32)【優先日】2018-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102019103476.0
(32)【優先日】2019-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521353920
【氏名又は名称】カイパー シーティング メカニズムス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】シュプレンガー、 エリック
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087AA02
3B087BA02
3B087BB03
(57)【要約】
本発明は、車両シートに接続可能なシートレールと、車両フロアに接続可能であり、シートレールが前後方向に沿って移動可能に案内されるフロアレールとを有するレール対を備え、シートレールをフロアレールに対して前後方向に沿って調節する駆動装置を有し、駆動装置は、フロアレール又はシートレールに固定されたスピンドルと、スピンドルにねじ係合によって取り付けられた回転可能なスピンドルナットと、スピンドルナットを駆動するためにスピンドルナットに動作可能に接続された電気モータとを有し、電気モータの駆動側の出力軸がスピンドルに平行に配向され、シートレール又はフロアレールは切り欠きを有し、電気モータは、シートレールとフロアレールとの間に形成された中空空間に切り欠きを通して少なくとも部分的に配置される車両シート1用の前後方向アジャスタに関する。本発明はさらに、本発明による前後方向アジャスタを有する車両シートに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両シート(1)、特に自動車シート用の前後方向アジャスタ(6)であって、前記車両シート(1)に接続可能なシートレール(14)と、車両フロアに接続可能でありかつその上で前記シートレール(14)が前後方向(x)に沿って移動可能に案内されるフロアレール(12)とを有する少なくとも1つのレール対(10)を有し、前記シートレール(14)を前記フロアレール(12)に対して前後方向(x)に沿って調節するための駆動装置を有し、前記駆動装置は、前記フロアレール(12)に対して又は前記シートレール(14)に対して固定されたスピンドル(20)と、ねじ係合によって前記スピンドル(20)に取り付けられた回転可能なスピンドルナット(24)と、前記スピンドルナット(24)の駆動のために前記スピンドルナット(24)に動作可能に接続された電気モータ(40)とを有し、前記電気モータ(40)の出力側の出力軸(42)が前記スピンドル(20)に平行に配向され、
前記シートレール(14)又は前記フロアレール(12)は切り欠き(16)を有し、前記電気モータ(40)は、前記シートレール(14)と前記フロアレール(12)との間に形成されたキャビティ(18)内に少なくとも部分的に前記切り欠き(16)を介して配置される、前後方向アジャスタ(6)。
【請求項2】
前記電気モータ(40)は、前記スピンドル(20)からの距離(a)を維持したまま、前記キャビティ(18)内に配置される、請求項1に記載の前後方向アジャスタ(6)。
【請求項3】
前記距離(a)は0.1mmから10mmの範囲内にある、請求項2に記載の前後方向アジャスタ(6)。
【請求項4】
前記距離(a)は0.2mmから5mmの範囲内にある、請求項3に記載の前後方向アジャスタ(6)。
【請求項5】
前記電気モータ(40)の長手方向の長さが、前記前後方向(x)に平行に配向される、請求項1から4のいずれか一項に記載の前後方向アジャスタ(6)。
【請求項6】
前記電気モータ(40)の長手方向の長さが、前記スピンドル(20)に平行に配向される、請求項1から5のいずれか一項に記載の前後方向アジャスタ(6)。
【請求項7】
前記電気モータ(40)は、歯付きホイール(44)を用いて前記スピンドルナット(24)を駆動する、請求項1から6のいずれか一項に記載の前後方向アジャスタ(6)。
【請求項8】
前記歯付きホイール(44)は、前記出力軸(42)上に配置され、前記スピンドルナット(24)の外歯と噛み合い係合する、請求項7に記載の前後方向アジャスタ(6)。
【請求項9】
前記電気モータ(40)は、歯付ベルト(46)を用いて前記スピンドルナット(24)を駆動する、請求項1から6のいずれか一項に記載の前後方向アジャスタ(6)。
【請求項10】
前記出力軸(42)上に配置された歯付きホイール(44)が、前記歯付ベルト(46)を介して前記スピンドルナット(24)の外歯に接続される、請求項9に記載の前後方向アジャスタ(6)。
【請求項11】
前記歯付きホイール(44)及び前記スピンドルナット(24)の外歯は、らせん状の歯の配置を有する、請求項9又は10に記載の前後方向アジャスタ(6)。
【請求項12】
前記スピンドル(20)は、その反対側の端部(22a、22b)の2つのうちの少なくとも一方を第1のスピンドルホルダ(26、28)によって保持される、請求項1から11のいずれか一項に記載の前後方向アジャスタ(6)。
【請求項13】
前記第1のスピンドルホルダ(26、28)は、上下方向(z)において前記スピンドル(20)を越えて突出しないように設計される、請求項12に記載の前後方向アジャスタ(6)。
【請求項14】
前記第1のスピンドルホルダ(26)は、前記スピンドル(20)の第1の端部(22a)に配置され、前記第1の端部は、前記スピンドルナット(24)から見て前記電気モータ(40)の方向に位置する、請求項12又は13に記載の前後方向アジャスタ(6)。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の前後方向アジャスタ(6)を有する車両シート(1)、特に自動車用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両シート、特に自動車シート用の前後方向アジャスタであって、車両シートに接続可能なシートレールと、車両フロアに接続可能でありかつその上でシートレールが前後方向に沿って移動可能に案内されるフロアレールとを有する少なくとも1つのレール対を有し、シートレールをフロアレールに対して前後方向に沿って調節するための駆動装置を有し、駆動装置は、フロアレール又はシートレールに対して固定されたスピンドルと、ねじ係合によってスピンドルに取り付けられた回転可能なスピンドルナットと、スピンドルナットの駆動のためにスピンドルナットに動作可能に接続された電気モータとを有し、電気モータの出力側の出力軸が、スピンドルに平行に配向される、前後方向アジャスタに関する。本発明はまた、車両シートに関する。
【背景技術】
【0002】
車両シート用の例示的な前後方向調節装置は、特許文献1及び特許文献2から知られている。前記前後方向調節装置の場合、共通のモータの駆動トルクが、2つのレール対に対して横方向に延びるシャフトを介して2つの駆動装置に供給される。この場合、モータは通常、2つのレール対の間に配置される。シャフトは、車両シートの中心より下の領域に位置し、前記シャフトは、2つのレール対に対して横方向に延びる。シャフトはこの場合、シャフトとモータがシートフレームに対して位置を変更しないが、フロアレールに対して位置を変更するように、2つのシートレールに割り当てられる。このような車両シート用の前後方向調節装置は、特許文献3からも知られている。
【0003】
このような構造は、座部の下に十分な量の設置スペースを必要とする。この設置スペースは、車両シート又は車両自体の今後の更なる開発に必要となる可能性がある。例えば、将来、電動自動車では、この設置スペースがバッテリー及び/又はアキュムレータを収容するために必要とされる可能性がある。
【0004】
従来技術において、特許文献4は、車両シートの前後方向アジャスタ用の駆動装置を開示しており、その場合、前後方向アジャスタは、それぞれが駆動モータを備えた2つのレール対を有し、2つの駆動モータはそれぞれ、対応するレール対の間の中間スペースに突出するように配置される。
【0005】
シートフレームと少なくとも1つのレール対とを備え、レール対がシートフレームに接続されたシートレールと車両フロアに接続されかつその上でシートレールが前後方向に沿って移動可能に案内されるフロアレールとを有する車両シート装置が、特許文献5から知られている。駆動装置は、フロアレールに対して前後方向に沿ってシートレールを調節するために使用され、スピンドルと、スピンドルにねじ係合によって取り付けられた回転可能なスピンドルナットと、スピンドルナットに動作可能に接続されたギアユニットと、ギアユニットを介してスピンドルナットを駆動するための電気モータとを有する。この場合、シートレールに配置されるスピンドルと、フロアレールに配置されるスピンドルナット及びギアユニットとが設けられる。ここで、駆動モータは、完全にフロアレールの下に配置され、車両フロアに設けられる切り欠きに受け入れることができる。
【0006】
スピンドルに同軸に取り付けられ、シートレールとフロアレールとの間に形成されたキャビティ内に完全に配置された駆動モータを有する前後方向アジャスタが、特許文献6から知られている。
【0007】
その駆動モータがシートレール内に取り付けられたスピンドルと整列するようにシートレールの前の領域に配置された前後方向アジャスタが、特許文献7から知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】独国特許出願公開第102017101996号明細書
【特許文献2】独国実用新案出願公開第29814626号明細書
【特許文献3】米国特許第5273242号明細書
【特許文献4】独国特許第19860910号明細書
【特許文献5】独国特許出願公開第102016224512号明細書
【特許文献6】独国特許出願公開第102016224514号明細書
【特許文献7】独国特許出願公開第10056443号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が対処する課題は、最初に述べたタイプの前後方向アジャスタを改良すること、特に、第1のレール対と第2のレール対との間に遮るもののない中間スペースを備えた前後方向アジャスタを容易にすること、及び対応する車両シートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、本発明によれば、車両シート、特に自動車シート用の前後方向アジャスタであって、車両シートに接続可能なシートレールと、車両フロアに接続可能でありかつその上でシートレールが前後方向に沿って移動可能に案内されるフロアレールとを有する少なくとも1つのレール対を有し、シートレールをフロアレールに対して前後方向に沿って調節するための駆動装置を有し、駆動装置は、フロアレールに対して又は前記シートレールに対して固定されたスピンドルと、ねじ係合によってスピンドルに取り付けられた回転可能なスピンドルナットと、スピンドルナットの駆動のためにスピンドルナットに動作可能に接続された電気モータとを有し、電気モータの出力側の出力軸が、スピンドルに平行に配向され、シートレール又はフロアレールは切り欠きを有し、電気モータは、シートレールとフロアレールとの間に形成されたキャビティ内に少なくとも部分的に切り欠きを通して配置される前後方向アジャスタによって解決することができる。
【0011】
シートレール又はフロアレールが切り欠きを有し、電気モータがシートレールとフロアレールとの間に形成されたキャビティ内に少なくとも部分的に切り欠きを通って配置されることの結果として、電気モータは、電気モータの反対側のフロアレールの下縁と電気モータの上縁及び/又はギアハウジングの上縁から、又は電気モータの反対側のシートレールの上縁と電気モータの下縁及び/又はギアハウジングの下縁から測定される、可能な限り最も低い全高が達成可能であるように、切り欠きを通してキャビティ内に部分的に配置することができる。
【0012】
従属請求項は、個別に又は互いに組み合わせて使用することができる有利な実施形態に関する。
【0013】
電気モータは、スピンドルからの距離を維持しながらキャビティ内に配置することができる。距離は、0.1mmから10mmの範囲内にある。距離は、好ましい0.2から5mmの範囲内にある。
【0014】
電気モータの出力側の出力軸は、前後方向に平行に配向することができる。電気モータの長手方向の長さは、前後方向に平行に配向することができる。電気モータの長手方向の長さは、特にスピンドルに平行に配向することができる。
【0015】
電気モータは、歯付きホイールを用いてスピンドルナットを駆動することができる。ここで、出力軸に配置された歯付きホイールは、スピンドルナットの外歯と噛み合い係合することができる。対応する伝達比又は減速比は、歯付きホイール及びスピンドルナットの適切な寸法決定によって実現することができる。
【0016】
電気モータは、歯付きベルトを用いてスピンドルナットを駆動することができる。ここで、出力軸に配置された歯付きホイールは、歯付きベルトを介してスピンドルナットの外歯に接続することができる。最適な噛み合い係合は、らせん状の歯の配置を用いて達成可能であり、それによって、駆動装置の効率、ノイズ挙動、及び耐用年数が有利に増加する。歯付きホイールの対応する構成により、より安価な材料を使用することもでき、これにより製造コストも削減される。
【0017】
スピンドルは、その反対側の端部の2つのうちの少なくとも一方を第1のスピンドルホルダによって保持することができる。スピンドルは、第1のスピンドルホルダによって第1の端部を保持することができる。スピンドルは、第2のスピンドルホルダによって第2の端部を保持することができる。第1のスピンドルホルダと第2のスピンドルホルダは、異なるように設計することができる。
【0018】
第1のスピンドルホルダは、スピンドルを形状嵌めの方法で横方向に保持することができる。第1のスピンドルホルダは、上下方向においてスピンドルを越えて突出しないように設計することができる。第1のスピンドルホルダは、スピンドルの第1の端部に配置することができ、前記第1の端部は、スピンドルナットから見て電気モータの方向に位置する。第1のスピンドルホルダの可能な一実施形態は、例えば、国際公開第2016/150791号に記載されており、その開示は、この点に関して明示的に組み込まれているものとする。
【0019】
前後方向アジャスタは、2つのレール対を有することができ、レール対のそれぞれに別個の駆動装置が割り当てられる。各レール対がこのように専用の駆動装置を有するので、レール対は、(空間的に)離れた駆動装置を用いて駆動可能である。駆動装置を制御するために制御装置を設けることができるので、レール対に対して同期の調節動作を行うことができる。制御装置による駆動装置の対応する作動は、レール対に対して非同期の調節動作を行うことも可能にする。レール対の非同期の調節動作は、例えば、前後方向アジャスタに取り付け可能な車両シートを旋回又は回転させるために使用することができる。前後方向アジャスタの回転可能な車両シートへの1つの可能な適合が、例えば、独国特許出願公開第102009033494号明細書に記載されており、その開示は、この点に関して明示的に組み込まれているものとする。
【0020】
上記課題は、本発明によれば、上述の前後方向アジャスタを備えた車両シート、特に自動車用シートを用いて解決することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図面を参照して本発明の実施形態を以下でより詳細に説明する前に、本発明は説明した構成要素に限定されないことを最初に述べなければならない。さらに、使用される用語も制限を構成するものではなく、むしろ本質的に単なる例示的なものにすぎない。以下で明細書及び特許請求の範囲において単数形が使用される場合、これは、文脈によって明示的に除外されない限り、それぞれの場合において複数形も含む。
【0022】
本発明は、図面に示される有利な例示的な実施形態に基づいて、以下でより詳細に説明される。しかしながら、本発明は、これらの例示的な実施形態に限定されるものではない。
図1】第1の例示的な実施形態による前後方向アジャスタを備えた本発明による車両シートを概略的に示す。
図2】第1の例示的な実施形態による前後方向アジャスタの1つのレール対の斜視図を示す。
図3図2のレール対の背面図を示す。
図4図2のレール対の側面図を示す。
図5図3に示す断面線V-Vに沿った図2のレール対の縦断面を示す。
図6】第2の例示的な実施形態による前後方向アジャスタの1つのレール対の、図5の図に対応する縦断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1に概略的に示されている車両シート1を、互いに垂直に延びる3つの空間方向を用いて以下で説明する。車両に設置された車両シート1の場合、前後方向xは、概ね水平に、車両の通常の走行方向に対応する車両の前後方向に平行に延びる。前後方向xに対して垂直に延びる横方向も、車両内で水平に配向され、車両横方向に平行に延びる。上下方向zは、前後方向xに対して垂直であり、横方向に対して垂直である。車両に設置された車両シート1の場合、上下方向zは、車両の垂直軸に平行に延びる。
【0024】
例えば、前、後、上及び下などの使用される位置及び方向の表示は、通常の座席の位置で車両シート1に着座した乗員の視線方向に関連し、車両シート1は、乗客輸送に適した使用位置で直立した背もたれ4と共に車両内に設置され、従来の方法で進行方向に配向される。しかしながら、本発明による車両シート1は、異なる向きで、例えば走行方向に対して横方向に設置することもできる。
【0025】
車両シート1は、座部2と、座部2に対する傾きが調節可能であり、座部2の方向に前方に旋回することができる背もたれ4とを有する。車両内の車両シート1の前後方向に移動可能かつ前後方向に調節可能な取り付けのために、車両シート1は前後方向アジャスタ6を有する。
【0026】
前後方向アジャスタ6は、車両シート1の前後方向の調節、すなわちシートの前後方向位置の調節に使用される。このために、前後方向アジャスタ6は、車両シートのそれぞれの側にそれぞれの1つのレール対10を有する。一方のレール対10がトンネル側に配置さえ、他方のレール対10がシル側に配置される。前後方向アジャスタ6の2つのレール対10は、互いに平行に延びる。各レール対10は、車両フロアに接続可能なフロアレール12と、これに案内される車両シート1に接続可能なシートレール14とを有する。シートレール14は、フロアレール12に対して前後方向xに沿って移動可能に案内される。本例では、第1の実施の形態による前後方向アジャスタ6が示されている。代わりに、車両シート1は、図6に示すように、第2の実施形態による前後方向アジャスタ6に取り付けることもできる。
【0027】
図2から図5は、第1の例示的な実施形態による前後方向アジャスタ6の1つのレール対10の異なるイラスト及び図を示し、以下で共に説明する。
【0028】
それぞれのシートレール14とそれぞれのフロアレール12は、相互に互いの周りに係合してレール形状を形成し、前後方向xにおいて互いに対して移動可能であり、特にボールケージ64内のボールの形態の複数の転動体が、摩擦を低減するためにシートレール14と関連するフロアレール12との間に配置される。
【0029】
前後方向アジャスタ6を調節するために、シートレール14をフロアレール12に対して前後方向xに沿って調節するための駆動装置が提供される。駆動装置は、シートレール14とフロアレール12との間に形成されたキャビティ18内に配置されかつフロアレール12に対して固定されたスピンドル20を有する。スピンドル20は固定的に配置され、そのためにスピンドル20は、スピンドルホルダ26、28によってその反対側の端部22a、22bが保持される。スピンドルホルダ26、28は、フロアレール12に強固に接続され、場合によっては、形状嵌めの方法で車両構造体に直接接続される。ここで、後方の第1の端部22aは第1のスピンドルホルダ26を用いて保持され、前方の第2の端部22bは第2のスピンドルホルダ28を用いて保持される。第1のスピンドルホルダ26は、スピンドル20を形状嵌めの方法で横方向に保持し、第1のスピンドルホルダ26は、上下方向zにおいてスピンドル20を越えて突出しない。本例では、第1のスピンドルホルダ26は、スピンドル20の後方の第1の端部22aに配置され、前記第1の端部は、スピンドルナット24から見て電気モータ40の方向に位置する。
【0030】
車両シート1は、電気モータにより前後方向に調節することができ、このために、電気モータ40が2つのレール対10の少なくとも一方に設けられ、好ましくは、それぞれの電気モータ40が2つのレール対10の各々に設けられる。さらに、駆動装置は、ねじ係合によってスピンドル20に取り付けられた回転可能なスピンドルナット24を有する。電気モータ40は、スピンドルナット24の駆動のためにスピンドルナット24に動作可能に接続される。
【0031】
シートレール14は、電気モータ40を受け入れるための切り欠き16を有する。電気モータ40は、切り欠き16を通して、シートレール14とフロアレール12との間に形成されたキャビティ18内に少なくとも部分的に導入される。電気モータ40は、スピンドル20からの距離bを維持したまま、シートレール14の切り欠き16に保持される。好ましくは、切り欠き16は、横方向yから見て、シートレール14の中央に配置される。好ましくは、電気モータ40は、横方向yから見て、シートレール14の中央上方に配置される。
【0032】
電気モータ40は、2つのモータホルダ60によりシートレール14に固定される。電気モータ40は、前後方向xに平行に、特にスピンドル20に平行に配向された出力側の出力軸42を有する。電気モータ40の長手方向の長さも、前後方向xに平行に、特にスピンドル20に平行に配向される。好ましくは、出力軸42は、上下方向zにおいてスピンドル20の上方に配置される。好ましくは、出力軸42は、横方向yから見てスピンドル20の中央上方に配置される。出力軸42は、少なくともギアハウジング62内に軸方向に突出する。本例では、ギアハウジング62は、前後方向xにおいて電気モータ40の前方に配置されている。
【0033】
スピンドルナット24は、歯付きホイール44を用いて直接的に、又は歯付きベルト46と共に歯付きホイール44を用いて間接的に、電気モータ40によって駆動可能である。歯付きホイール44は、上下方向zにおいてスピンドルナット24の上方で、ギアハウジング62内に回転可能に取り付けられる。歯付きホイール44は、電気モータ40の出力軸42に回転に関し固定された方法で接続されている。本例では、歯付きホイール44とスピンドルナット24は、互いに直接噛み合い係合していない。本例では、歯付きホイール44の回転運動をスピンドルナット24に伝達するために歯付ベルト46が設けられる。
【0034】
本発明による前後方向アジャスタの図示しない変形例によれば、歯付きホイール44及びスピンドルナット24の適切な寸法設定により、直接噛み合い係合を可能にすることができ、対応する伝達比又は減速比もここで実現することができる。
【0035】
電気モータ40は、フロアレール12の下縁と電気モータ40の上縁及び/又はギアハウジング62の上縁から測定される、可能な限り最も低い全高が達成されるように、キャビティ18内に可能な限り深く配置される。
【0036】
図6は、第2の例示的な実施形態による前後方向アジャスタ6の1つのレール対10の、図5の図に対応する縦断面を示す。特に明記しない限り、第2の実施形態の前後方向アジャスタ6は、第1の実施形態の前後方向アジャスタ6に対応する。
【0037】
それぞれのシートレール14とそれぞれのフロアレール12は、相互に互いの周りに係合してレール形状を形成し、前後方向xにおいて互いに対して移動可能であり、特にボールケージ64内のボールの形態の複数の転動体が、摩擦を低減するためにシートレール14と関連するフロアレール12との間に配置される。
【0038】
前後方向アジャスタ6を調節するために、シートレール14をフロアレール12に対して前後方向xに沿って調節するための駆動装置が提供される。駆動装置は、シートレール14とフロアレール12との間に形成されたキャビティ18内に配置されかつシートレール14に対して固定されたスピンドル20を有する。スピンドル20は固定的に配置され、そのためにスピンドル20は、スピンドルホルダ26、28によってその反対側の端部少なくとも22a、22bが保持される。スピンドルホルダ26、28はシートレール14に強固に接続されている。ここで、後方の第1の端部22aは第1のスピンドルホルダ26を用いて保持され、前方の第2の端部22bは第2のスピンドルホルダ28を用いて保持される。第1のスピンドルホルダ26は、スピンドル20を形状嵌めの方法で横方向に保持し、第1のスピンドルホルダ26は、上下方向zにおいてスピンドル20を越えて突出しない。本例では、第1のスピンドルホルダ26は、スピンドル20の後方の第1の端部22aに配置され、前記第1の端部は、スピンドルナット24から見て電気モータ40の方向に位置する。
【0039】
駆動装置は、2つのレール対10の少なくとも一方に電気モータ40を有し、好ましくは2つのレール対10の各々にそれぞれ電気モータ40を有する。さらに、駆動装置は、ねじ係合によってスピンドル20に取り付けられた回転可能なスピンドルナット24を有する。電気モータ40は、スピンドルナット24の駆動のためにスピンドルナット24に動作可能に接続される。
【0040】
フロアレール12は、電気モータ40を部分的に受け入れるための切り欠き16を有する。電気モータ40は、切り欠き16を通して、シートレール14とフロアレール12との間に形成されたキャビティ18内に少なくとも部分的に導入される。電気モータ40は、スピンドル20からの距離bを維持したまま、フロアレール12の切り欠き16に保持される。好ましくは、切り欠き16は、横方向yから見て、シートレール14の中央に配置される。好ましくは、電気モータ40は、横方向yから見て、シートレール14の中央上方に配置される。
【0041】
上記の説明、特許請求の範囲及び図面に開示された特徴は、本発明のその様々な実施形態での実現のために、個別に及び組み合わせての両方で重要であり得る。
【0042】
本発明は、図面及び上記の図で詳細に説明されているが、図は、説明的かつ例示的であり、非限定的であると理解されるべきである。特に、図面に示されている個々の要素の比率の選択は、必要又は制限的であると解釈されるべきではない。さらに、本発明は特に、説明した例示的な実施形態に限定されない。本発明及びその実施形態のさらなる変形例は、先行する開示、図面及び特許請求の範囲から当業者に明らかになる。
【0043】
特許請求の範囲で使用される「備える」、「有する」、「含む」、「包含する」などの表現は、さらなる要素又はステップを除外するものではない。不定冠詞の使用は、複数を排除しない。単一のデバイスが、請求項に記載されたユニット又はデバイスのいくつかの機能を実行することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 車両シート
2 座部
4 背もたれ
6 前後方向アジャスタ
10 レール対
12 フロアレール
14 シートレール
16 切り欠き
18 キャビティ
20 スピンドル
22a 第1の端部
22b 第2の端部
24 スピンドルナット
26 スピンドルホルダ
28 スピンドルホルダ
40 電気モータ
42 出力軸
44 歯付きホイール
46 歯付ベルト
60 モータホルダ
62 ギアハウジング
64 ボールケージ
a 距離
x 前後方向
y 横方向
z 上下方向
図1
図2
図3
図4-5】
図6
【国際調査報告】