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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-31
(54)【発明の名称】蠕動注入ポンプのためのプラテン
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/142 20060101AFI20220124BHJP
   A61M 5/168 20060101ALI20220124BHJP
【FI】
A61M5/142 504
A61M5/142 520
A61M5/168 550
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021531907
(86)(22)【出願日】2019-08-30
(85)【翻訳文提出日】2021-07-30
(86)【国際出願番号】 US2019048947
(87)【国際公開番号】W WO2020117339
(87)【国際公開日】2020-06-11
(31)【優先権主張番号】16/211,536
(32)【優先日】2018-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510180692
【氏名又は名称】カーリン・メディカル・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100211236
【弁理士】
【氏名又は名称】道下 浩治
(72)【発明者】
【氏名】アザパジック,アズール
(72)【発明者】
【氏名】マーテル,ダニエル
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD17
4C066EE10
4C066FF01
4C066QQ58
4C066QQ77
4C066QQ82
4C066QQ85
(57)【要約】
注入ポンプの圧送機構に対向するように配置可能であるプラテン組立体が、第1のヒンジ軸を中心に枢動するようにポンプに回転可能に結合される第1のプラテン部材、および第1のヒンジ軸とは異なる第2のヒンジ軸を中心に枢動するように第1のプラテン部材に回転可能に結合される第2のプラテン部材を有する。プラテン組立体がポンプ動作位置にあるとき、プラテン部材のそれぞれのプラテン表面が単一の表面プロフィールに従い、例えば曲線蠕動ポンプの場合には弓形表面プロフィールに従う。プラテン組立体が、ポンプ上の対応するアライメント構造部と対合するように構成される複数の逆側のアライメント構造部を有する耐損傷性のデザインを有することができ、ポンプが落とされたりまたはダメージを受けたりする後、その結果生じるプラテン組立体の変形が安全な圧送のための許容公差の範囲にある場合にのみ、プラテン組立体が依然として閉じられ得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
注入ポンプであって、
圧送機構を有するポンプボディと、
第1のヒンジ軸を中心に前記ポンプボディを基準として枢動するための、前記ポンプボディに回転可能に結合される第1のプラテン部材、および第2のヒンジ軸を中心に前記第1のプラテン部材を基準として枢動するための、前記第1のプラテン部材に回転可能に結合される第2のプラテン部材を有するプラテン組立体と
を備え、
前記プラテン組立体が前記第1のヒンジ軸を中心に開位置まで枢動可能であり、前記開位置において前記第2のプラテン部材および前記第1のプラテン部材が前記圧送機構から離れるように配置され、
前記プラテン組立体が前記第1のヒンジ軸を中心に閉位置まで枢動可能であり、前記閉位置において前記第2のプラテン部材および前記第1のプラテン部材が前記圧送機構に対向する形でその近傍に配置される、
注入ポンプ。
【請求項2】
前記第1のプラテン部材が前記第1のヒンジ軸と前記第2のヒンジ軸との間に湾曲部分またはカーブ部分を有する、請求項1に記載の注入ポンプ。
【請求項3】
前記ポンプボディが第1のアライメント構造部および第2のアライメント構造部を有し、前記プラテン組立体が第1の逆側のアライメント構造部および第2の逆側のアライメント構造部を有し、前記プラテン組立体が前記閉位置にあるとき、前記第1のアライメント構造部および前記第2のアライメント構造部がそれぞれ前記第1の逆側のアライメント構造部および前記第2の逆側のアライメント構造部と対合する、請求項1に記載の注入ポンプ。
【請求項4】
前記第1のアライメント構造部および前記第2の逆側のアライメント構造部が前記第2のプラテン部材上に含まれる、請求項3に記載の注入ポンプ。
【請求項5】
前記第2のプラテン部材がプラテン表面を有し、前記第1の逆側のアライメント構造部および前記第2の逆側のアライメント構造部がそれぞれ前記プラテン表面の両端部に隣接して位置する、請求項4に記載の注入ポンプ。
【請求項6】
前記第1のアライメント構造部が第1のピンを有し、前記第1の逆側のアライメント構造部が第1のスロットを有する、請求項3に記載の注入ポンプ。
【請求項7】
前記第2のアライメント構造部が第2のピンを有し、前記第2の逆側のアライメント構造部が第2のスロットを有する、請求項6に記載の注入ポンプ。
【請求項8】
前記第1のプラテン部材が、前記第1のヒンジ軸を中心に回転させるように前記ポンプボディ上に前記第1のプラテン部材を回転可能に設置するように構成される設置部分と、前記設置部分から延在する枝路とを有し、前記設置部分が前記第1のヒンジ軸の方向において前記枝路より厚く、前記枝路が前記設置部分の両軸方向端部の間にそれらから離間されて位置する、請求項1に記載の注入ポンプ。
【請求項9】
前記枝路が前記設置部分の前記両軸方向端部の間の中央に位置する、請求項8に記載の注入ポンプ。
【請求項10】
前記第1のプラテン部材が第1のプラテン表面を有し、前記第2のプラテン部材が第2のプラテン表面を有し、前記第1のプラテン表面および前記第2のプラテン表面が、前記プラテン組立体が前記閉位置にあるときに前記注入ポンプによって受けられる投与セットのチューブを係合する、請求項1に記載の注入ポンプ。
【請求項11】
前記第1のプラテン表面が第1の弓形プラテン表面を有し、前記第2の表面が第2の弓形プラテン表面を有し、前記第1の弓形プラテン表面および前記第2の弓形プラテン表面が、前記プラテン組立体が前記閉位置にあるときに単一の弓形プロフィールに従う、請求項10に記載の注入ポンプ。
【請求項12】
上流圧力センサおよび下流圧力センサをさらに備え、前記上流圧力センサが、前記注入ポンプによって受けられる投与セットのチューブ内の、前記第1のプラテン表面に対向する場所で圧力を検出するように構成され、前記下流圧力センサが、前記投与セットの前記チューブ内の、前記第2のプラテン表面に対向する場所で圧力を検出するように構成される、請求項10に記載の注入ポンプ。
【請求項13】
注入ポンプのためのプラテン組立体であって、前記プラテン組立体が、
第1のプラテン表面を有する第1のプラテン部材であり、前記第1のプラテン部材が第1のヒンジ軸を中心に前記注入ポンプを基準として枢動するように前記注入ポンプに回転可能に結合される、第1のプラテン部材と、
第2のプラテン表面を有する第2のプラテン部材であり、前記第2のプラテン部材が前記第1のヒンジ軸とは異なる第2のヒンジ軸を中心に前記第1のプラテン部材を基準として枢動するように前記第1のプラテン部材に回転可能に結合される、第2のプラテン部材と
を備え、
前記第2のプラテン部材が前記第1のプラテン部材を基準としてポンプ動作位置まで枢動可能であり、前記ポンプ動作位置において前記第1のプラテン表面および前記第2のプラテン表面が単一の表面プロフィールに従う、
プラテン組立体。
【請求項14】
前記単一の表面プロフィールが弓形表面プロフィールである、請求項13に記載のプラテン組立体。
【請求項15】
前記第1のプラテン部材が、前記第1のプラテン部材を通る前記第2のヒンジ軸から前記第1のヒンジ軸までの荷重経路を非線形にするように構成される、請求項13に記載のプラテン組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、蠕動注入ポンプのためのプラテン組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]プログラム可能な注入ポンプは、疼痛処理などの種々の目的のための経腸栄養法および薬物療法のための、液状食品の制御下での供給を実行するのに使用される。一般的な構成では、注入ポンプが、注入ポンプの圧送機構によって係合されるように設計される弾性変形可能なチューブセグメントを有する可撓性チューブを備える使い捨て可能な投与セットを受ける。例えば、圧送機構が、チューブを通して患者の方に液体を強制的に移動させることを目的として蠕動的にチューブセグメントを局所的に変形させるためにチューブセグメントに対して連続的に動かされる複数のフィンガーを有することができる。圧送中、注入ポンプのプラテン部材が、圧送機構とは反対のチューブセグメントの側において固定位置で保持され、それにより、圧送機構の圧力に逆らってチューブセグメントを定位置で維持するためにプラテン表面をチューブセグメントに沿うように提供する。従来技術の注入ポンプでは、ポンプのプラテン部材がポンプのボディの上に回転可能に設置される単一部片の部材であり、それにより、プラテン部材が開位置と閉位置との間でヒンジ軸を中心に枢動させられ得る。開位置で、プラテン部材がポンプボディから離れるように枢動させられ、それにより、チューブセグメントを圧送機構に隣接させた状態で、注入ポンプの中に投与セットを装填するのを可能にする。閉位置で、プラテン部材がポンプボディの方に枢動させられ、ポンプボディに対して係止またはロックされ、その結果、プラテン表面が圧送機構の反対側においてチューブセグメントに隣接する動作位置で保持される。上述の構成の例がMoubayedらの米国特許第6,164,921号に開示されている。
【0003】
[0003]注入ポンプが圧送性能および患者の安全に影響する可能性があるダメージを受けることが認識されよう。注入ポンプ、特に日常使用のために患者によって担持されるように設計されるいわゆる「歩行用」注入ポンプは時折落とされる可能性があり、それによりプラテン部材が変形する可能性がある。変形の程度によっては、検出され得ない自由流れ、および/または制御不可あるいは不正確な流体流れが発生する可能性があり、それにより、規定量を基準として過度に多いまたは過度に少ない注入液を患者が受ける可能性があるという安全性のリスクが生じる。従来技術の注入ポンプはプラテンのダメージを検出および評価することができず、またはこのダメージにより注入ポンプを使用することが危険であるかどうかを決定することができない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0004]本開示は、注入ポンプのための損傷抵抗性および耐損傷性を有するプラテン組立体を提供する。プラテン組立体が、第1のヒンジ軸を中心にポンプボディを基準として枢動するための、注入ポンプのボディに回転可能に結合される第1のプラテン部材、および第2のヒンジ軸を中心に第1のプラテン部材を基準として枢動するための、第1のプラテン部材に回転可能に結合される第2のプラテン部材を有する。プラテン組立体が第1のヒンジ軸を中心に開位置から閉位置まで枢動可能であり、開位置において第2のプラテン部材および第1のプラテン部材がポンプボディ内の圧送機構から離れるように配置され、閉位置では、第2のプラテン部材および第1のプラテン部材が、ポンプの動作のために圧送機構に対向する形でその近傍に配置される。
【0005】
[0005]第1のプラテン部材が第1のヒンジ軸と第2のヒンジ軸との間に湾曲部分またはカーブ部分を有することができ、その結果、第1のプラテン部材を通る第2のヒンジ軸から第1のヒンジ軸までの荷重経路が非線形であり、それにより、ポンプが落とされる場合、プラテン組立体のダメージに抵抗するための第1のヒンジ軸を中心としたモーメントを発生させる。
【0006】
[0006]プラテン組立体が、ポンプ上の対応するアライメント構造部と対合するように構成される複数の逆側のアライメント構造部を有する耐損傷性のデザインを有することができ、ポンプが落とされたりまたはダメージを受けたりする後、その結果生じるプラテン組立体の変形が安全な圧送のための許容公差の範囲にある場合にのみ、プラテン組立体が依然として閉じられ得る。
【0007】
[0007]第1のプラテン部材が第1のプラテン表面を有することができ、第2のプラテン部材が第2のプラテン表面を有することができ、プラテン組立体が閉位置にあるとき、第1のプラテン表面および第2のプラテン表面が注入ポンプによって受けられる投与セットのチューブに係合される。プラテン組立体の閉位置で、第1および第2のプラテン表面が単一の表面プロフィールに従うことができ、例えば曲線蠕動ポンプの場合には弓形表面プロフィールに従うことができる。
【0008】
[0008]第1のプラテン部材が、第1のヒンジ軸を中心に回転させるようにポンプボディ上に第1のプラテン部材を回転可能に設置するように構成される設置部分と、設置部分から延在する枝路とを有することができる。設置部分が第1のヒンジ軸の方向において枝路より厚くてよく、枝路が設置部分の両軸方向端部の間でそれらから離間されて位置することができ、その結果、投与セットのチューブが、第1のプラテン部材のすぐ手前の隙間または開口部を通ってまたは第1のプラテン部材のすぐ後方にある隙間または開口部を通ってポンプに入ることができる。
【0009】
[0009]次に、添付図面の図と併せて本発明の以下の詳細な説明で、本発明の性質および動作形態をより完全に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】[0010]注入ポンプのプラテン組立体がその開位置で示されている、本発明の実施形態に従って形成される注入ポンプを示す斜視図である。
図2】[0011]プラテン組立体がその閉位置で示されており、投与セットが注入ポンプの中に装填されている、注入ポンプの内部構造を示すために部分破断である、図1に示される注入ポンプを示す正面図である。
図3A】[0012]プラテン組立体が閉位置で示されており、投与セットが注入ポンプの中に装填されている、図1および2に示される注入ポンプを示す側面図である。
図3B】[0013]装填された投与セットの代替の構成を示している、図3Aの注入ポンプと同様の注入ポンプを示す側面図である。
図4】[0014]プラテン組立体を示す分解斜視図である。
図5】[0015]図1および2に示される注入ポンプの電子回路を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0016]図1および2が開示される実施形態に従って形成される注入ポンプ10を示す。図1では注入ポンプ10が単独で示され、対して図2では注入ポンプ10がポンプの中に装填された使い捨て可能な投与セット12と共に示され、投与セット12が注入ポンプ10によって取り外し可能に受けられるように設計される。投与セット12が、供給源リザーバ(図示せず)から患者(図示せず)まで注入液の流れを運ぶようにポンプ10の作用を受ける可撓性チューブを有する。
【0012】
[0017]注入ポンプ10が、圧送機構16を有するポンプボディ14を備える。ポンプ10が、第1のヒンジ軸HA1を中心にポンプボディ14を基準として枢動するようにポンプボディ14に回転可能に結合される第1のプラテン部材20と、第2のヒンジ軸HA2を中心に第1のプラテン部材20を基準として枢動するように第1のプラテン部材20に回転可能に結合される第2のプラテン部材22とを有するプラテン組立体18をさらに備える。第1のヒンジ軸HA1および第2のヒンジ軸HA2が互いに平行であってよい。図1に示されるように、プラテン組立体18が第1のヒンジ軸HA1を中心に開位置まで枢動可能であり、開位置では、第2のプラテン部材22および第1のプラテン部材20が圧送機構16から離れて配置される。プラテン組立体18が図1に描かれる開位置にあるとき、圧送機構16が露出され、それにより使い捨て可能な投与セット12を注入ポンプ10の中に装填するのを可能にし、その結果、投与セットのチューブセグメント12Aが圧送機構16に隣接する。図2から理解することができるように、プラテン組立体18が第1のヒンジ軸HA1を中心に閉位置まで枢動可能であり、閉位置では、第2のプラテン部材22および第1のプラテン部材20が圧送機構16に対向する形でその近傍に配置される。
【0013】
[0018]圧送機構16が、チューブセグメント12Aに係合されてチューブセグメント12Aを一時的に変形させるために連続的な蠕動の形で動かされる複数の延伸可能および後退可能な圧送フィンガー24を有する蠕動圧送機構であってよく、その結果、液体が投与セット12のチューブを通して患者の方向に圧送される。示される実施形態では、圧送機構16が曲線構成を有し、圧送フィンガー24がモータ駆動の偏心カム26の回転により概して径方向に移動させられる。圧送機構16が、回転シャフト上に設置されるそれぞれのカムによって移動させられる軸方向に離間されたフィンガーを有する線形の蠕動圧送機構、またはロータ上の圧送要素に係合させるようにチューブセグメント12Aをその周りに部分的に巻き付けられるモータ駆動のロータを有する回転圧送機構などの他の形態をとることもできる。
【0014】
[0019]図1および2に加えて図3および4を参照してプラテン組立体18をさらに説明する。
【0015】
[0020]第1のプラテン部材20が第1のヒンジ軸HA1と第2のヒンジ軸HA2との間に湾曲部分またはカーブ部分28を有することができ、それにより、第2のヒンジ軸HA2と第1のヒンジ軸HA1との間の直接的な線形荷重経路が回避される。第1のプラテン部材20のこのような構成は有利である。その理由は、ポンプ10を落としてしまう場合に第2のプラテン部材20に加えられる衝撃力により第1のヒンジ軸HA1を中心としたモーメントを発生させ、それによりプラテン部材20、22に対してのダメージに抵抗するのを補助するからである。第1のプラテン部材20が第1のプラテン表面30を有することができ、第1のプラテン表面30が湾曲部分またはカーブ部分28と第2のヒンジ軸HA2との間に位置することができ、プラテン組立体18が閉位置にあるとき、第1のプラテン表面30が投与セット12のチューブセグメント12Aに係合される。第1のプラテン部材20が、第1のヒンジ軸HA1を中心に回転させるように第1のプラテン部材20をポンプボディ14上に回転可能に設置するように構成される設置部分32と、設置部分32から延在する枝路33とを有することができる。設置部分32が第1のヒンジ軸HA1の方向において枝路33より厚くてよく、枝路33が設置部分32の両軸方向端部の間にそれらから離間されて位置することができ、それにより、投与セット12のチューブをポンプ10に入れるための、枝路33の前方にある前方開口部34Fおよび枝路33の後方にある後方開口部34Rの両方を提供する。結果として、使用者が、図3Aに示されるように前方開口部34Fを通してまたは図3Bに示されるように後方開口部34Rを通してチューブを延在させるようにチューブを装填することができる。その理由は、これらの構成の両方が目的を有し、それに適するものであるからである。枝路33が設置部分32の両軸方向端部の間の中央に位置していてよく、それにより2つの等しい開口部34Fおよび34Rを画定する。第1のプラテン部材20が、第2のプラテン部材22を回転可能に結合するように構成される遠位端38を有することができる。
【0016】
[0021]第2のプラテン部材22が、プラテン組立体18が閉位置にあるとき、圧送機構16の圧送フィンガー24の上を延在するように構成およびサイズ決定され得、その結果、第2のプラテン部材22上に設けられる第2のプラテン表面40がチューブセグメント12Aを係合する。第2のプラテン部材22が、第1のプラテン部材20の遠位端38を受けるためのU字リンク形状の端部42を有するように構成され得る。
【0017】
[0022]プラテン組立体18が、ポンプボディ14上に設けられる複数のアライメント構造部15、17とそれぞれ対合するための複数の逆側のアライメント構造部42、44を有することができ、それにより、例えばポンプ10を誤って落とす場合に起こる可能性があるが、プラテン組立体18が所定の許容公差を超えて変形する場合、プラテン組立体18の閉位置への移動が防止されことになる。示される例示の実施形態では、逆側のアライメント構造部42、44が第2のプラテン部材22上に設けられる。第1の逆側のアライメント構造部42が第2のプラテン表面40の近位端に隣接して位置することができ、第2の逆側のアライメント構造部44が第2のプラテン表面40の反対側の遠位端に隣接して位置することができる。プラテン組立体18が第1のヒンジ軸HA1を中心にその閉位置まで枢動させられるとき、第1の逆側のアライメント構造部42に対しての第1のアライメント構造部15の対合および第2の逆側のアライメント構造部44に対しての第2のアライメント構造部17の対合が行われる。ポンプボディ14の上にある複数のアライメント構造部15、17および第2のプラテン部材22の上にある対応する逆側の構造部42、44を提供することにより、ならびに第2のプラテン表面40の各々の反対側の端部に隣接してアライメント構造部および対応する逆側のアライメント構造部を配置することにより、プラテン組立体18を閉じるときにチューブセグメント12Aに対する第2のプラテン表面40の安全を重要視する位置決めが確立される。図面の図に従って、アライメント構造部15、17がピンとして具現化され得、逆側のアライメント構造部42、44がスロットとして具現化され得る。別法として、アライメント構造部15、17がスロットとして具現化され得、逆側のアライメント構造部42、44がピンとして具現化され得るか、またはアライメント構造部15、17が少なくとも1つのピンおよび少なくとも1つのスロットを有することができ、逆側の構造部42、44が少なくとも1つのスロットおよび少なくとも1つのピンを有することができる。
【0018】
[0023]第1のプラテン部材20をポンプボディ14に対して回転可能に結合するのを可能にするための手法は多様であってよい。一実施例で、第1のプラテン部材20が、第1のプラテン部材20の設置部分32内に設けられる円筒形ブッシュ48を通って延在するように構成される、ポンプボディ14上に設置される枢動ピン46により、ポンプボディ14に回転可能に結合され得る。同様に、第2のプラテン部材22を第1のプラテン部材20に回転可能に結合するのを可能にするための手法が変更され得る。例えば、第2のプラテン部材22のU形リング形状の端部42のところに設けられる枢動ピン50が、第1のプラテン部材20の対合する遠位端38の中にある孔52を通って延在するように構成される。もちろん、第1のプラテン部材20をポンプボディ14に回転可能に結合するための、および第2のプラテン部材22を第1のプラテン部材20に回転可能に結合するための、他の構成も使用され得る。
【0019】
[0024]上述したように、圧送機構16が曲線構成を有することができ、圧送フィンガー24が概して径方向に移動させられる。この事例では、第1のプラテン部材20に付随する第1のプラテン表面30および第2のプラテン部材22に付随する第2のプラテン表面40が、図2で見ることができるように、プラテン組立体18が閉位置にあるときに単一の弓形プロフィールに従うように構成される弓形プラテン表面であってよい。閉位置では、第2のプラテン表面40がすべての圧送フィンガー24に対向していてよく、第1のプラテン表面30が後述するように上流圧力センサに対向していてよい。圧送フィンガー24のうちの一部の圧送フィンガーを第1のプラテン表面30に対向させるようにプラテン組立体18を再構成することも可能である。
【0020】
[0025]注入ポンプ10が、圧送機構16からそれぞれ上流のおよび下流の場所で投与セット12のチューブセグメント12A内の流体圧力を検出するように構成される上流圧力センサ54および下流圧力センサ56を備えることができる。上流圧力センサ54が第1のプラテン表面30に対向する場所で流体圧力を検出するように構成され得、下流圧力センサ56が第2のプラテン表面40に対向する場所で流体圧力を検出するように構成され得る。この構成は、許容公差を超えて第1のプラテン部材20が変形する場合に圧力ドリフト(pressure drift)を検出するのに上流圧力センサ54を使用することができ、許容公差を超えて第2のプラテン部材22が変形する場合に圧力ドリフトを別個に検出するのに下流圧力センサ56を使用することができる、という利点を有する。例えば、圧力センサ54、56の各々が、チューブセグメント12Aの外側表面に係合されるように構成される一方の端部およびひずみビームトランスデューサ(strain beam transducer)に係合されるように構成される反対側の端部を有するプランジャを有することができ、流体圧力の変化によるチューブセグメントの膨張および収縮がひずみビームトランスデューサに伝達され、それによりチューブセグメントに対してプランジャが接触している場所での流体圧力を表す対応する圧力信号を発生させる。
【0021】
[0026]投与セット12をポンプの中に装填した後の圧送動作のためにプラテン組立体18をその閉位置で固定するために、プラテン組立体18が、ポンプボディ14上の係止構造部58に係合されるためのラッチ部材60を有することができる。ラッチ部材60が枢動ピン62により第2のプラテン部材22に回転可能に結合され得る。枢動ピン62が、第2のプラテン部材22を通って横方向に延びるわずかに細長い通路64を通って延在するように構成され得、ばね66が通路64の上側端部に向かって枢動ピン62を付勢するように構成され得る。ラッチ部材60が、プラテン組立体18が閉位置にあるときに、ラッチ部材60を図1および2で見られるように時計回り方向に枢動させるときに逆側の係止構造部68をカムのように係止構造部58に係合させることになるように、配置および構成される逆側の係止構造部68を装備し、それにより、逆側の係止構造部68の内側端部領域において係止構造部58が受けられるまで、ばね66の付勢力に逆らって第2のプラテン部材22の端部をラッチ部材60に対して下方に漸進的に引き、この時点で、ばねにより付勢される形で逆側の係止構造部68に係合される形で係止構造部58を堅固に保持するためにばね66により第2のプラテン部材22がラッチ部材60に対して上方向に強制的に移動させられ、それにより圧送機構16に対向するその適切な静止位置でプラテン組立体18をロックする。ラッチ部材60が、ポンプボディ14の中にまたはその上で収容されるラッチセンサ72(図5を参照)によって検出可能である磁石70を有することができ、それにより、プラテン組立体18が適切に係止されているか否かを示す係止信号を発生させる。例えば、ラッチセンサ72がホール効果センサであってよい。
【0022】
[0027]プラテン組立体18が適切に閉じられて係止されると、第2のプラテン部材22の第2のプラテン表面40が圧送フィンガー24と相互作用することができ、それによりチューブセグメント12Aを通しての流体の蠕動圧送を実現する。第2のプラテン表面40を有する第2のプラテン部材22が特定の静止位置に位置してロックされ、それにより流体の制御下での正確な供給を保証する。上述したように、第2のプラテン表面40が圧送フィンガー24の周りで湾曲していてよく、チューブセグメント12Aが第2のプラテン表面40と圧送フィンガー24との間に位置することができる。アライメント構造部15、17および逆側のアライメント構造部42、44が、プラテン組立体18がダメージを受けるかまたは変形する場合でもプラテン組立体18のダメージまたは変形が流体の制御下での正確な供給を維持するための許容公差の範囲内にある限りにおいては、対合するように構成および配置され得る。プラテン組立体18が許容公差を超えてダメージを受けるかまたは変形する場合、アライメント構造部15、17が逆側のアライメント構造部42、44と適切には対合せず、ポンプ10が使用不可となることができ、それにより危険な状態で使用者がポンプを使用するのを防止する。
【0023】
[0028]示される実施形態では、第1のプラテン部材20が、ポンプ10を落としてしまう場合の衝撃エネルギーを吸収および/または転用するように構成および配置され、それにより第2のプラテン部材22の構造的完全性を保護する。衝撃エネルギーが第2のヒンジ軸HA2のところの結合部を介して第2のプラテン部材22から第1のプラテン部材20まで伝達され得るが、衝撃エネルギーの一部が第2のヒンジ軸HA2を中心とした第1のプラテン部材20と第2のプラテン部材22と間での回転変位および第1のヒンジ軸HA1を中心とした第1のプラテン部材20とポンプボディ14との間での回転変位を引き起こすのに転用されることになる。回転変位を引き起こすのに転用されない衝撃エネルギーは変形を介して第1のプラテン部材20によって吸収され得る。理解されるであろうが、衝撃時の圧縮力による第1のプラテン部材20の回転変位および/または変形は枢動ピン46および50の間の距離を短縮することにしかなり得ない(この距離を大きくするためには、ポンプ10を落とす場合では不可能である高い引張応力を加えることが必要となる)。ポンプ10を落とすことによる第2のプラテン部材22の位置のいかなる変化も、圧送機構16から離れる上向きの成分ではなく圧送機構16の方に向かう下向きの成分を常に有することになる。圧送機構16から離れる方向の第2のプラテン部材22および第2のプラテン表面40の上向きの変位は危険な自由流れ状態を引き起こす可能性があることから、開示されるプラテン組立体18はポンプ10を落とすことに付随する安全性のリスクを低減する。
【0024】
[0029]次に図5を参照する。本開示の別の態様で、上流圧力センサ54、下流圧力センサ56、およびラッチセンサ72によって発生される信号が、圧送機構16の駆動モータ82を制御するポンプ制御装置80に提供され得る。それぞれの信号が、ポンプ制御装置80に付随するメモリにプログラムされる制御論理によって評価され、予想されるように上流圧力センサ54からの上流圧力信号が所定の限界値の範囲内にない場合に、予想されるように下流圧力センサ56からの下流圧力信号が所定の限界値の範囲内にない場合に、またはラッチセンサ72からの係止信号がプラテン組立体18が適切に係止されていないことを示す場合に、圧送機構16のモータ82を使用不可にして、それによりポンプの動作を防止し得る。したがって、ポンプ10を落とした後でもプラテン組立体18が依然として物理的に係止され得るがプラテン組立体がいくらかの程度で変形してそれにより圧送機構16に対して第1のプラテン表面30および/または第2のプラテン表面40の場所を乱して圧力ドリフトを引き起こす場合、圧送の前にこの状態が感知され、修正措置が行われ得る。
【0025】
[0030]本開示は例示の実施形態を説明するが、本詳細な説明は本発明の範囲を記載される特定の形態のみに限定することを意図しない。本発明は、特許請求の範囲に含まれ得る、説明される実施形態の代替形態、修正形態、および均等物を包含することを意図する。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
【国際調査報告】