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特表2022-511510認知的健康及び精神的健康のためのプロバイオティクス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-31
(54)【発明の名称】認知的健康及び精神的健康のためのプロバイオティクス
(51)【国際特許分類】
   C12N 1/20 20060101AFI20220124BHJP
   A61K 35/747 20150101ALI20220124BHJP
   A61P 25/22 20060101ALI20220124BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20220124BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20220124BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20220124BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20220124BHJP
   A61K 9/19 20060101ALI20220124BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20220124BHJP
   A23L 33/135 20160101ALI20220124BHJP
【FI】
C12N1/20 E
A61K35/747
A61P25/22
A61P25/24
A61P25/00 101
A61P1/00
A61K9/14
A61K9/19
A61K47/36
A23L33/135
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021531949
(86)(22)【出願日】2019-12-05
(85)【翻訳文提出日】2021-07-28
(86)【国際出願番号】 EP2019083816
(87)【国際公開番号】W WO2020115206
(87)【国際公開日】2020-06-11
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2018/119485
(32)【優先日】2018-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397060588
【氏名又は名称】デュポン ニュートリション バイオサイエンシーズ エーピーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】マルクス・レフティネン
(72)【発明者】
【氏名】ユエジィェン・マオ
(72)【発明者】
【氏名】ロッタ・ステンマン
【テーマコード(参考)】
4B018
4B065
4C076
4C087
【Fターム(参考)】
4B018MD86
4B018ME14
4B018MF06
4B065AA30X
4B065CA41
4B065CA44
4C076AA29
4C076BB01
4C076CC01
4C076EE30
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC56
4C087MA52
4C087NA14
4C087ZA02
4C087ZA12
(57)【要約】
本発明は、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)を含む組成物、並びに哺乳動物において、精神疾患、精神的健康に影響を及ぼす病徴、及び/又は慢性ストレスと関連する症状を予防且つ/又は処置するための方法及び前記組成物の使用に関する。本発明は、精神的(認知を含む)健康を回復させる、維持する、且つ/又は促進する際に用いることができ、とりわけ、栄養補給食品及び食品補助剤、薬剤、並びに医薬の領域における潜在的用途がある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)種の細菌株であって、前記細菌株は、DSMZに2018年1月9日にDSM 32721の受託番号で寄託された株LP12151である、細菌株。
【請求項2】
哺乳動物において、精神疾患、精神的健康に影響を及ぼす病徴、及び/又は慢性ストレスと関連する症状を予防且つ/又は処置するのに使用されるラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)種の細菌、又はその混合物であって、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)種の前記細菌は、DSMZに2018年1月9日にDSM 32721の受託番号で寄託された株LP12151である、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)種の細菌、又はその混合物。
【請求項3】
前記精神疾患は、気分障害、不安障害、及び/又は抑うつである、請求項2に記載の使用される細菌。
【請求項4】
精神的健康に影響を及ぼす前記病徴は、不安、気分変動、及び/又は抑うつである、請求項2に記載の使用される細菌。
【請求項5】
慢性ストレスと関連する前記症状は、消化管障害、例えば過敏性腸症候群である、請求項2に記載の使用される細菌。
【請求項6】
ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)種の前記細菌は、プロバイオティックラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、又はその混合物である、請求項2に記載の細菌。
【請求項7】
ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)種の細菌株を含む組成物であって、前記細菌株は、DSMZに2018年1月9日にDSM 32721の受託番号で寄託された株LP12151である、組成物。
【請求項8】
哺乳動物において、精神疾患、精神的健康に影響を及ぼす病徴、及び/又は慢性ストレスと関連する症状を予防且つ/又は処置するのに用いられるラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)種の細菌を含む組成物であって、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)の株は、DSMZに2018年1月9日にDSM 32721の受託番号で寄託された株LP12151である、組成物。
【請求項9】
前記組成物はさらに、別の細菌株を含む、請求項7又は8に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物はさらに、プレバイオティクスを含む、請求項7~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記プレバイオティクスは、ポリデキストロースである、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物は、食品、飲料、栄養補助食品、又は薬学的に許容される製剤若しくは組成物の形態である、請求項7~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物は、スプレー乾燥させた、又は凍結乾燥させた組成物である、請求項7~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記組成物は、凍結防止剤を含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物は、単位剤形であり、前記ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)株は、前記組成物中に、単位用量あたり10~1012CFU、例えば10~1012CFU、場合によっては1010CFUの量で存在する、請求項7~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記精神疾患は、気分障害、不安障害、及び/又は抑うつである、請求項8に記載の組成物。
【請求項17】
精神的健康に影響を及ぼす前記病徴は、不安、気分変動、及び/又は抑うつである、請求項8に記載の組成物。
【請求項18】
慢性ストレスと関連する前記症状は、消化管障害、例えば過敏性腸症候群である、請求項8に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)種の細菌株、特に、以下に限らないが、細菌株LP12151に関する。また、本発明は、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、特に、以下に限らないが、細菌株LP12151を含む組成物に関する。また、本発明は、哺乳動物において、精神疾患、精神的健康に影響を及ぼす病徴、及び/又は慢性ストレスと関連する症状を予防且つ/又は処置するのに用いられる、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、特に、以下に限らないが、細菌株LP12151を含む組成物に関する。また、本発明は、食品、飲料、栄養補助食品、及び薬学的に許容される製剤又は組成物が挙げられる、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)種の細菌株、及びラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)を含む組成物の方法及び使用に関する。
【背景技術】
【0002】
精神的健康は、感情的、生理学的、身体的、そして社会的福利と関連している。我々の精神的健康状態が、我々のストレスの対処方法を決定する。精神疾患は、個人の思考、感情、又は行動(又は3つ全て)を変化させ、且つ社会的活動、作業活動、又は家族活動において機能する個人の苦悩及び問題を引き起こす健康状態と定義され得る。精神疾患は、不安、気分、精神病、摂食行動、衝動制御及び嗜癖、人格、社交性、解離、強迫性、並びに外傷後ストレスと関連する広範囲の障害を包含する。それぞれの疾患は、個人の思考、感情、及び/又は行動を、独特の方法で変化させる。パーキンソン病、てんかん、及び多発性硬化症等の障害は、脳の障害であるが、精神疾患ではなくむしろ神経学的疾患であると考えられている。興味深いことに、精神疾患と、軽度認知障害、認知症、及びアルツハイマー病等の記憶障害を含む神経学的疾患との境界線は、明確には定義されていないが、エビデンスの増大により、現在、精神疾患には、神経学的障害の発症の基礎となり得る脳の構造、化学、及び機能の変化が関連していることが示唆されている。例えば、神経認知障害と気分障害との関連は、大うつ病においては、認知障害が、認知症において観察される認知障害を模倣し得るように、明確に確立されている(非特許文献1)。
【0003】
さらに、未処置の慢性ストレスは、不安、筋肉痛、高血圧、及び免疫系の弱体化等の深刻な健康状態を生じさせる虞がある。研究は、ストレスが、心疾患、うつ病、及び肥満等の主要な疾患が発症する原因となる虞があることを示している。急性ストレス及び慢性ストレスの症状は、消化管において発現する虞があり、消化管の機能に及ぶ短期的作用及び長期的作用をそれぞれ引き起こす。ストレスに曝されると、腸脳軸内の変化が生じ、最終的には、炎症性腸疾患(IBD)、過敏性腸症候群(IBS)、及び他の機能性胃腸疾患、食品抗原関連性有害反応、消化性潰瘍、並びに胃食道逆流症(GERD)が挙げられる一連の広範な消化管障害の発症に至る。ストレスが腸生理学に及ぼす主要な作用としては:1)胃腸の運動性の変化;2)臓器感覚の高まり;3)消化管分泌の変化;4)腸透過性の増大;5)胃腸粘膜及び粘膜血流の再生能に及ぼす有害作用;並びに6)腸内微生物組成の変化(非特許文献2)が挙げられる。
【0004】
精神疾患、並びに関連する神経認知の低下及び神経学的障害に関して、現在では、充実した健康的な生活のための積極的な精神的健康及び認知的健康を達成するための戦略が明確に強調されている。有害作用を伴わずに積極的な精神的健康を達成するために、栄養療法の需要が高まっている。精神的健康に影響を及ぼす精神疾患の症状を処置するための現行の医薬品は、悪心、食欲増進及び体重増加、疲労、並びに胃腸症状等の多数の不都合な副作用がある。栄養補助食品は、積極的な精神的健康を達成し、且つ精神疾患の病徴及び関連する症状が進行するのを妨げる魅力的な手段を表し得る。
【0005】
腸脳軸は、脳と腸との間に存在する双方向連絡を説明し、微生物叢-腸脳軸は、この連絡機構において、腸内マイクロバイオームが果たす役割を支持する。先で略述したように、精神的健康に影響を及ぼす精神疾患及び症状は、消化管障害と併発することによって、情動的且つルーチンの日常生活のストレスが、消化機能を混乱させる虞があり、そしてその逆もあり得る。増えつつあるエビデンスは、腸微生物叢が、脳生理学、心理学的応答、そして最終的には行動に深遠な影響を発揮することを指摘している(非特許文献3)。新進のエビデンスは、プロバイオティクスが、中枢神経系の機能に影響を及ぼして、気分、心理学的症状、例えば不安及び抑うつ、並びに生理学、行動、及び脳機能のストレス関連性変化を調節し得ることを示唆している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Rabins et al.Br J Psychiatry 1984;144:488-92
【非特許文献2】Konturek et al.J.Physiol Pharmacol.2011;62(6):591-9
【非特許文献3】Dinan et al.J.Psychiatr Res.2015;63:1-9
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、精神疾患、精神的健康に影響を及ぼす病徴、及び/又は慢性ストレスと関連する症状を予防且つ/又は処置するための手段を提供することである。したがって、本発明の目的は、個人の精神的健康を促進し、維持し、且つ/又は回復させ得る手段を提供することである。
【0008】
本発明は、本明細書中に記載した研究に基づいており、驚くべきことに、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)が、行動的(不安及び抑うつ)転帰、生化学的転帰、及び機能的転帰に及ぼすストレスの作用に有意に拮抗し得ることを証明する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様において、本発明は、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)種の細菌株を提供し、細菌株は、DSMZに2018年1月9日にDSM 32721の受託番号で寄託された株LP12151である。
【0010】
別の態様において、本発明は、哺乳動物において、精神疾患、精神的健康に影響を及ぼす病徴、及び/又は慢性ストレスと関連する症状を予防且つ/又は処置するのに用いられるラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)種の細菌、又はその混合物を提供する。
【0011】
別の態様において、本発明は、哺乳動物において、精神疾患、精神的健康に影響を及ぼす病徴、及び/又は慢性ストレスと関連する症状を予防且つ/又は処置するのに用いられるラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)種の細菌、又はその混合物を提供し、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)種の細菌は、DSMZに2018年1月9日にDSM 32721の受託番号で寄託された株LP12151である。
【0012】
さらに他の態様において、本発明は、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)種の細菌株を含む組成物を提供し、細菌株は、DSMZに2018年1月9日にDSM 32721の受託番号で寄託された株LP12151である。
【0013】
別の態様において、本発明は、哺乳動物において、精神疾患、精神的健康に影響を及ぼす病徴、及び/又は慢性ストレスと関連する症状を予防且つ/又は処置するのに用いられるラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)種の細菌を含む組成物を提供する。
【0014】
別の態様において、本発明は、哺乳動物において、精神疾患、精神的健康に影響を及ぼす病徴、及び/又は慢性ストレスと関連する症状を予防且つ/又は処置するのに用いられるラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)種の細菌を含む組成物を提供し、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)の株は、DSMZに2018年1月9日にDSM 32721の受託番号で寄託された株LP12151である。
【0015】
別の態様において、本発明は、哺乳動物において、精神疾患、精神的健康に影響を及ぼす病徴、及び/又は慢性ストレスと関連する症状を予防且つ/又は処置するための、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)種の細菌、又はその混合物の使用を提供する。
【0016】
更なる態様において、本発明は、哺乳動物において、精神疾患、精神的健康に影響を及ぼす病徴、及び/又は慢性ストレスと関連する症状を予防且つ/又は処置するための、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)種の細菌を含む組成物の使用を提供する。
【0017】
さらに他の態様において、本発明は、哺乳動物において、精神疾患、精神的健康に影響を及ぼす病徴、及び/又は慢性ストレスと関連する症状を予防且つ/又は処置する方法であって、哺乳動物に、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)種の細菌、又はその混合物を投与することを含み、細菌の投与は、哺乳動物において、精神疾患、精神的健康に影響を及ぼす病徴、及び/又は慢性ストレスと関連する症状を予防且つ/又は処置する、方法を提供する。
【0018】
さらに他の態様において、本発明は、哺乳動物において、精神疾患、精神的健康に影響を及ぼす病徴、及び/又は慢性ストレスと関連する症状を予防且つ/又は処置する方法であって、哺乳動物に、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)種の細菌を含む組成物を投与することを含み、組成物の投与は、哺乳動物において、精神疾患、精神的健康に影響を及ぼす病徴、及び/又は慢性ストレスと関連する症状を予防且つ/又は処置する、方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】ビヒクル単独又は選択した細菌株で処置した群における、マウスの体重に及ぼす3週間の慢性ストレスの作用を示す図である。N=11であるストレス/ビヒクル群、及びN=11であるストレス/LP12418群を除いて、全ての群についてN=12であった。統計的分析:二元配置ANOVA;体重(時間):F(12,636)=30.38、p<0.0001;体重(処置):F(4,636)=6.54、p<0.0001
図2】オープンフィールド実験手順において、マウスの慢性ストレスによって誘導された不安に及ぼす、選択した細菌株による処置の作用を示す図である。3つのパラメータ;自発運動(A)、領域の中心での自発運動(B)、及び立上り/グルーミング行動(常同行動C)を測定した。常同行動について、データを、10分のオープンフィールド実験手順中の立上り回数+グルーミング回数に対応する任意単位(A.U.)として表した。N=11であるストレス/ビヒクル群、及びN=11であるストレス/LP12418群を除いて、全ての群についてN=12であった。統計的分析:一元配置ANOVA;自発運動:F(4,57)=0.4278、p>35 0.05;中心での自発運動:F(4,57)=58.20、p<0.0001;常同行動:F(4,57)=0.3330、p>0.05;ペアワイズ比較:***p<0.001(ストレス無し/ビヒクル群に対して)、###p<0.001(慢性ストレス/ビヒクル群に対して)(ダネット検定)。
図3】強制水泳試験において測定した、マウスにおいて慢性ストレスによって誘導された行動的絶望に及ぼす、選択した細菌株による処置の作用を示す図である。3つのパラメータ;水泳時間(A)、もがき時間(B)、及び静止時間(C)を測定した。全ての群についてN=12。統計的分析:一元配置ANOVA;水泳時間:F(4,57)=7.596、p<0.0001;もがき時間:F(4,57)=0.8225、p>0.05;静止時間:F(4,57)=28.10、p<0.0001;ペアワイズ比較:**p<0.01、***p<0.001(ストレス無し/ビヒクル群に対して)、##p<0.01、###p<0.001(慢性ストレス/ビヒクル群に対して)(ダネット検定)。
【発明を実施するための形態】
【0020】
細菌及び寄託
本発明の態様に用いられる細菌は、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)種の細菌である。本発明の新規のラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)株は、株LP12151である。
【0021】
ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)株LP12151(DGCC12151)は、DSMZ(Leibniz-Institut DSMZ-Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH、Inhoffenstrasse 7B、D-38124 Braunschweig、Germany)に2018年1月9日にDSM 32721の受託番号で寄託された。
【0022】
本発明の態様に用いられる他の細菌は、以下の通りである:
【0023】
ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)株LP12418(DGCC12418)が、DSMZ(Leibniz-Institut DSMZ-Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH、Inhoffenstrasse 7B、D-38124 Braunschweig、Germany)に2017年9月27日にDSM 32655の受託番号で寄託された。
【0024】
ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)株LP12407(DGCC12407)が、DSMZ(Leibniz-Institut DSMZ-Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH、Inhoffenstrasse 7B、D-38124 Braunschweig、Germany)に2017年9月27日にDSM 32654の受託番号で寄託された。
【0025】
ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)株Lpc-37(DGCC4981)が、DSMZ(Leibniz-Institut DSMZ-Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH、Inhoffenstrasse 7B、D-38124 Braunschweig、Germany)に2017年10月5日にDSM 32661の受託番号で寄託された。
【0026】
一態様において、本発明は、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)種の細菌株に関する。より詳細には、本発明は、2018年1月9日にDSMZにDSM 32721の受託番号で寄託された細菌株LP12151に関する。
【0027】
別の態様において、本発明は、哺乳動物において、精神疾患、精神的健康に影響を及ぼす病徴、及び/又は慢性ストレスと関連する症状を予防且つ/又は処置するのに用いられる、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)種の細菌、又はその混合物に関する。
【0028】
更なる態様において、本発明は、哺乳動物において、精神疾患、精神的健康に影響を及ぼす病徴、及び/又は慢性ストレスと関連する症状を予防且つ/又は処置するための、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)種の細菌、又はその混合物の使用に関する。
【0029】
さらに他の態様において、本発明は、哺乳動物において、精神疾患、精神的健康に影響を及ぼす病徴、及び/又は慢性ストレスと関連する症状を予防且つ/又は処置する方法であって、哺乳動物に、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)種の細菌、又はその混合物を投与することを含み、細菌の投与は、哺乳動物において、精神疾患、精神的健康に影響を及ぼす病徴、及び/又は慢性ストレスと関連する症状を予防且つ/又は処置する、方法に関する。
【0030】
別の態様において、本発明は、哺乳動物において、精神疾患、精神的健康に影響を及ぼす病徴、及び/又は慢性ストレスと関連する症状を予防且つ/又は処置する方法であって、哺乳動物に、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)種の細菌を含む組成物を投与することを含み、組成物の投与は、哺乳動物において、精神疾患、精神的健康に影響を及ぼす病徴、及び/又は慢性ストレスと関連する症状を予防且つ/又は処置する、方法に関する。
【0031】
本発明の一態様に従えば、精神疾患は、気分障害、不安障害、及び/又は抑うつである。
【0032】
本発明の別の態様に従えば、精神的健康に影響を及ぼす病徴は、不安、気分変動障害、及び/又は抑うつである。
【0033】
本発明の別の態様に従えば、慢性ストレスと関連する症状は、消化管障害、例えば過敏性腸症候群である。
【0034】
本発明の更なる態様において、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)種の細菌は、プロバイオティックラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、又はその混合物である。
【0035】
用語「プロバイオティック細菌」は、生きたまま、適切な量で宿主に投与された場合に、その宿主に健康上の利益を与えるあらゆる非病原性細菌を包含するものと定義される。「プロバイオティック」として分類されるためには、細菌は、宿主の消化管の上部の通過を生き残らなければならない。細菌は、非病原性、非毒性であり、一方では消化管中の常在細菌叢との生態学的相互作用を介して、そして他方では宿主の生理学及び免疫系に積極的な方法で影響を及ぼす能力を介して、健康に対して有益な作用を及ぼす。プロバイオティック細菌は、宿主に十分な数で投与された場合に、生存性を維持し、宿主の消化管の内腔及び/又は壁内で主要な作用を発揮しながら、腸管を通過する能力を有する。次いでプロバイオティック細菌は、常在細菌叢の一部を一過性に形成し、そしてこのコロニー形成(又は一過性コロニー形成)により、プロバイオティック細菌は、例えば微生物叢中に存在する潜在的病原性微生物の抑制、及び免疫系を含む宿主との腸内での相互作用等の有益な作用を及ぼすことが可能となる。
【0036】
本発明の一態様において、哺乳動物において、精神疾患、精神的健康に影響を及ぼす病徴、及び/又は慢性ストレスと関連する症状を予防且つ/又は処置するのに用いられるラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)種の細菌、又はその混合物は、DSMZに2018年1月9日にDSM 32721の受託番号で寄託された株LP12151である。
【0037】
本発明の別の態様において、哺乳動物において、精神疾患、精神的健康に影響を及ぼす病徴、及び/又は慢性ストレスと関連する症状を予防且つ/又は処置するのに用いられるラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)種の細菌、又はその混合物は、DSMZに2018年1月9日にDSM 32721の受託番号で寄託された株LP12151である。
【0038】
本発明の更なる態様において、哺乳動物において、精神疾患、精神的健康に影響を及ぼす病徴、及び/又は慢性ストレスと関連する症状を予防且つ/又は処置する方法に用いられる細菌は、DSMZに2018年1月9日にDSM 32721の受託番号で寄託された株LP12151である。
【0039】
ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)株LP12151は、投与される宿主に対して積極的な健康上の利点を発揮する能力を有する、1種以上の他の細菌種と組み合わせて用いられてもよい。
【0040】
場合によっては、本発明のラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LP12151株は、他のプロバイオティック細菌、例えばラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)株Lpc-37と組み合わせて用いられる。
【0041】
ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)株LP12151は、当該細菌が、本明細書中に記載される作用を発揮し得るままであることを前提に、あらゆる形態(例えば、生菌、休眠細菌、不活化細菌、又は死細菌)で用いられてよい。好ましくは、本発明の態様に用いられるラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)株LP12151は、生菌である。
【0042】
ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)株LP12151は、本発明の態様に用いられる場合、ヒト及び/又は動物の摂取に適している。当業者であれば、食品産業及び/又は農産業において用いられ、且つ、ヒト及び/又は動物の摂取に適していると一般に考えられているラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)の特定の株を容易に思い付くであろう。
【0043】
本発明はさらに、寄託された細菌株の変異体、バリアント、及び/又は後代を提供する。
【0044】
本明細書中で用いられる用語「変異体」は、親(すなわち寄託された)株の修飾から生じるあらゆる微生物を指す。例えば、変異体は、寄託された株の遺伝的修飾から生じる微生物であり得る。
【0045】
本明細書中で用いられる用語「バリアント」は、親株(すなわち寄託された株)に由来する、天然に存在する微生物を指す。例えば、バリアントは、特定の細胞培養条件への順応から生じる微生物であり得る。
【0046】
本明細書中で用いられる用語「後代」は、寄託された株のいずれか1つの生殖又は増殖から生じるあらゆる微生物を意味する。したがって、「後代」は、寄託された株のいずれか1つの直系のあらゆる子孫を意味する。したがって、後代株はそれ自体、親(すなわち寄託された)株と同じ株であると識別され得る。当業者であれば、無性生殖のプロセスに起因して、後代株が親株と遺伝的に実質的に同一となることは明らかであろう。したがって、一実施形態において、後代は、親株と遺伝的に同一であり得るし、親株の「クローン」であると考えられ得る。これ以外にも、後代は、親株と実質的に遺伝的に同一であり得る。
【0047】
変異体、バリアント、又は後代は、それらの親株と、細菌ゲノムの全長にわたって少なくとも90、95、98、99、99.5、又は99.9%の配列同一性を有し得る。さらに、変異体、バリアント、又は後代は、寄託された親株と同じ表現型を保持することとなる。
【0048】
組成物
用語「組成物」は、広い意味で、何かが構成される様式、すなわちその一般的な構造(makeup)を意味するのに用いられる。
【0049】
本発明の一態様において、組成物は、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)細菌の単一株(例えばLP12151/DGCC12151/DSM 32721)から本質的になってもよい。
【0050】
一態様において、本発明は、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)種の細菌株を含む組成物に関し、細菌株は、DSMZに2018年1月9日にDSM 32721の受託番号で寄託された株LP12151である。
【0051】
別の態様において、本発明は、哺乳動物において、精神疾患、精神的健康に影響を及ぼす病徴、及び/又は慢性ストレスと関連する症状を予防且つ/又は処置するのに用いられるラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)種の細菌を含む組成物に関する。
【0052】
また、本発明は、哺乳動物において、精神疾患、精神的健康に影響を及ぼす病徴、及び/又は慢性ストレスと関連する症状を予防且つ/又は処置するための、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)種の細菌を含む組成物の使用に関する。
【0053】
本発明はさらに、哺乳動物において、精神疾患、精神的健康に影響を及ぼす病徴、及び/又は慢性ストレスと関連する症状を予防且つ/又は処置する方法であって、哺乳動物に、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)種の細菌を含む組成物を投与することを含み、組成物の投与は、哺乳動物において、精神疾患、精神的健康に影響を及ぼす病徴、及び/又は慢性ストレスと関連する症状を予防且つ/又は処置する、方法に関する。
【0054】
哺乳動物において、精神疾患、精神的健康に影響を及ぼす病徴、及び/又は慢性ストレスと関連する症状を予防且つ/又は処置する方法に用いられる組成物に含まれるラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)種の細菌は、DSMZに2018年1月9日にDSM 32721の受託番号で寄託された株LP12151である。
【0055】
これ以外にも、本発明の組成物は加えて、他の構成要素、例えば、他の細菌株(例えば、DSMZにDSM 32661の受託番号で登録されたラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)株Lpc-37)、生物学的構成要素及び化学的構成要素、活性成分、代謝物質、栄養素、繊維、プレバイオティクスその他を含んでもよい。本発明の組成物は、何らかの支持体、希釈剤、又は賦形剤を含むことは必要条件ではないが、そのような支持体、希釈剤、又は賦形剤は、当業者に精通する様式で加えられても用いられてもよい。適切な賦形剤の例として、微結晶セルロース、イネマルトデキストリン、二酸化ケイ素、及びステアリン酸マグネシウムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0056】
したがって、本発明はまた、別の細菌株をさらに含む組成物に関する。
【0057】
また、本発明は、プレバイオティクスを含む組成物に関する。プレバイオティクスの特定の例が、ポリデキストロースである。
【0058】
別の態様において、本発明は、スプレー乾燥させた、又は凍結乾燥させた組成物である組成物に関する。
【0059】
また、本発明の組成物は、凍結防止成分、例えば、グルコース、スクロース、ラクトース、トレハロース、アスコルビン酸ナトリウム、及び/又は他の適切な凍結防止剤を含んでもよい。
【0060】
本発明の一態様に従えば、予防且つ/又は処置されることとなる精神疾患は、気分障害、不安障害、及び/又は抑うつである。
【0061】
本発明の別の態様において、精神的健康に影響を及ぼす病徴は、不安、気分変動障害、及び/又は抑うつである。
【0062】
本発明の更なる態様において、慢性ストレスと関連する症状は、消化管障害、例えば過敏性腸症候群である。
【0063】
本発明において、用語「組成物」及び「製剤」は、互換的に用いられる場合がある。
【0064】
本発明の態様に用いられる組成物は、固体調製物、溶液調製物、又は懸濁液調製物の形態を取り得る。固体調製物の例として、以下に限定されないが:湿潤性があってもよいし、噴霧乾燥されていてもよいし、凍結乾燥されていてもよい、錠剤、ピル、カプセル、顆粒、及び粉末が挙げられる。組成物は、賦香剤を含有しても、着色剤を含有してもよい。組成物は、即効型、遅延放出型、放出調節型、持続放出型、パルス放出型、又は制御放出型用途用に調製されてもよい。
【0065】
一例として、本発明の組成物が錠剤形態で用いられるならば、錠剤は、以下の1つ以上を含有してもよい:賦形剤、例えば、微結晶セルロース、ラクトース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、及びグリシン;崩壊剤、例えばデンプン(好ましくは、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、又はタピオカデンプン)、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、及び特定の複合シリケート);顆粒形成バインダ、例えば、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、スクロース、ゼラチン、及びアラビアゴム;潤滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ベヘン酸グリセリル、及びタルクが挙げられ得る。
【0066】
組成物の調製に用いられる他の許容される担体の例として、水、塩溶液、アルコール、シリコーン、ワックス、ワセリン、植物油、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、リポソーム、糖、ゼラチン、ラクトース、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、界面活性剤、ケイ酸、粘性パラフィン、香油、脂肪酸モノグリセリド及びジグリセリド、ヒドロキシメチルセルロース、並びにポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
【0067】
水性懸濁液及び/又はエリキシル用に、本発明の組成物は、種々の甘味剤又は賦香剤、着色物質又は染料と、乳化剤及び/又は懸濁化剤と、そして水、プロピレングリコール及びグリセリン等の希釈剤と、そしてこれらの組合せと組み合わされ得る。
【0068】
本発明の態様に用いることができる組成物の特定の非限定的な例が、例示する目的で以下に記載される。これらとして、以下に限定されないが、食品、機能性食品、栄養補助食品、医薬組成物、及び薬剤が挙げられる。
【0069】
栄養補助食品
ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)種の細菌、例えば株LP12151、及び本発明の組成物は、栄養補助食品の形態をとってもよいし、それら自体、栄養補助食品(本明細書中で栄養補助食とも称される)と組み合わせて用いられてもよい。
【0070】
本明細書中で用いられる用語「栄養補助食品」は、食事に栄養価又は健康上の利点を加える(補給する)ことを意図した「食物成分」を含有する、摂取を意図した製品を指す。「食物成分」は、(以下に限定されないが)以下の物質の1つ又はいずれかの組合せを含んでもよい:細菌、プロバイオティック(例えばプロバイオティック細菌)、ビタミン、ミネラル、ハーブ若しくは他の植物性薬品、アミノ酸、総食事摂取量を増大させることによって食事を補給するように人々に用いられる食事物質、濃縮物、代謝物質、構成成分、又は抽出物。
【0071】
栄養補助食品は、錠剤、カプセル、軟質ゲル、ゲルキャップ、液体、又は粉末等の多くの形態で見出され得る。栄養補助食品の中には、必須栄養素の食事からの十分な摂取を確実にするのに役立つものもあれば、疾患のリスクを低減させるのに役立つものもあり得る。
【0072】
一態様において、本発明は、食品、飲料、栄養補助食品、又は薬学的に許容される製剤若しくは組成物の形態の組成物に関する。
【0073】
食品
ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)種の細菌、例えば株LP12151、及び/又は本発明の組成物は、食品の形態をとってもよい。ここで、用語「食品」は、広い意味で使用され、ヒト用の食品及び飲料、並びに動物用の食品及び飲料(すなわち飼料)を包含する。好ましくは、食品は、ヒトが摂取するのに適しており、且つヒトが摂取するように設計されている。
【0074】
食品は、使用及び/又は使用モード及び/又は投与モードに応じて、液体、固体、又は懸濁液の形態であってよい。
【0075】
食品の形態である場合、組成物は、以下の1つ以上を含んでもよいし、以下の1つ以上と併せて用いられてもよい:栄養学的に許容される担体、栄養学的に許容される希釈剤、栄養学的に許容される賦形剤、栄養学的に許容されるアジュバント、栄養学的に有効な成分。
【0076】
一例として、本発明の組成物は、以下の1つの形態をとってもよい;
果汁;ホエイプロテインを含む飲料:健康茶若しくはハーブティー、ココア飲料、乳飲料、乳酸菌飲料、ヨーグルト、及び/又はドリンクヨーグルト、チーズ、アイスクリーム、水氷、デザート、菓子類、ビスケット、ケーキ、ケーキミックス若しくはケーキフィリング、スナック食品、フルーツフィリング、ケーキ若しくはドーナツアイシング、インスタントのパン用フィリングクリーム、クッキー用フィリング、既製のパン用フィリング、低カロリーフィリング、成人用栄養飲料、酸性化大豆/果汁飲料、栄養バー若しくはヘルスバー、飲料粉末、カルシウム強化豆乳、又はカルシウム強化珈琲飲料。
【0077】
場合によっては、製品が食品である場合、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、例えば株LP12151は、食品が小売業者によって販売用に提供される通常の「販売期限」又は「賞味期限」日まで有効なままでなければならない。好ましくは、有効期間は、このような期日を越えて、食物の損傷が明らかになる、通常の鮮度保持期間の終わりまで、延びるはずである。所望の期間の長さ及び通常の保存可能期間は、食材によって変わることとなり、当業者であれば、保存可能時間が食材の種類、食材のサイズ、貯蔵温度、加工条件、包装材料、及び包装設備によって変わることとなることを認識しているであろう。
【0078】
食品成分
ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)種の細菌、例えば株LP12151、及び/又は本発明の組成物は、食物成分及び/又は飼料成分の形態をとってもよい。
【0079】
本明細書中で用いられる用語「食品成分」又は「飼料成分」は、ヒト及び動物のための栄養補給剤及び/又は健康補給剤としての機能性の食品若しくは食材である、又は当該食品若しくは食材に添加され得る組成物を含む。
【0080】
食品成分は、使用及び/又は使用モード及び/又は投与モードに応じて、液体、懸濁液、又は固体の形態であってよい。
【0081】
機能性食品
ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)種の細菌、例えば株LP12151、及び/又は本発明の組成物は、機能性食品の形態をとってもよい。
【0082】
本明細書中で用いられる用語「機能性食品」は、栄養学的作用をもたらすことができるだけではなく、消費者に更なる有益な作用を届けることもできる食品を意味する。
【0083】
したがって、機能性食品は、純粋な栄養学的作用以外の特定の機能的作用、例えば医学的又は生理学的利益を食品に与える構成成分又は成分(本明細書中で述べたもの等)が組み込まれている、普通の食品である。
【0084】
機能性食品の法的な定義は存在しないが、この分野に利害関係のある団体の大部分は、機能性食品が基本的な栄養学的作用以上の特定の健康作用を有するものとして市販されている食品であることに同意している。
【0085】
一部の機能性食品は、栄養補給食品である。ここで、用語「栄養補給食品」は、栄養学的作用及び/又は味覚の満足感をもたらすことができるだけではなく、消費者に治療上の(又は他の有益な)作用を届けることもできる食品を意味する。栄養補給食品は、食品と医薬品との間の伝統的な境界線を越える。
【0086】
医療食品
ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)種の細菌、例えば株LP12151、及び/又は本発明の組成物は、医療食品の形態をとってもよい。
【0087】
「医療食品」とは、医師の監督の有無に拘わらず消費又は投与されるように処方され、且つ、認識された科学的原理に基づく特徴的な栄養要求が医学的評価によって確立される、特定の食事の管理又は状態を意図した食品を意味する。
【0088】
医薬組成物
ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)種の細菌、例えば株LP12151、及び/又は本発明の組成物は、医薬として、又は医薬の調製に用いられてもよい。ここで、用語「医薬」は、広い意味で用いられ、そしてヒト用医薬、及び動物(すなわち、獣医学的用途)用医薬を包含する。好ましい態様において、医薬は、ヒトに用いられる。
【0089】
医薬は、治療目的のものであり得、事実上、治癒的、対症的、又は予防的であり得る。
【0090】
医薬は、圧縮錠剤、錠剤、カプセル剤、軟膏剤、坐剤、又は飲用溶液の形態であってよい。
【0091】
医薬として、又は医薬の調製に用いられる場合、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)種の細菌、例えば株LP12151、及び/又は本発明の組成物は:薬学的に許容される担体、薬学的に許容される希釈剤、薬学的に許容される賦形剤、薬学的に許容されるアジュバント、薬学的に活性な成分の1つ以上と併せて使用されてもよい。
【0092】
医薬は、使用及び/又は使用モード及び/又は投与モードに応じて、液体の形態であっても、固体としてであってもよい。
【0093】
本発明に用いられるラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)株は、薬学的に活性のある成分を構成し得る。一実施形態において、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LP12151は、唯一の活性成分を構成する。これ以外にも、LP12151は、薬学的に活性のある成分のいくつかの少なくとも1つ(すなわち2つ以上)であり得る。
【0094】
薬剤
ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)種の細菌、例えば株LP12151、及び/又は本発明の組成物は、薬剤の形態をとってもよい。
【0095】
本明細書中で用いられる用語「薬剤」は、人間医学及び獣医学においてヒト及び動物の双方に利用される薬剤を包含する。また、本明細書中で用いられる用語「薬剤」は、治療的、予防的、且つ/又は有益な作用をもたらすあらゆる物質を意味する。本明細書中で用いられる用語「薬剤」は、販売承認を必要とする物質に必ずしも限定されず、化粧品、栄養補給食品、食品(例えば、飼料及び飲料が挙げられる)、プロバイオティック培養物、及び生薬に用いることができる物質を含んでもよい。また、本明細書中で用いられる用語「薬剤」は、動物飼料、例えば家畜飼料及び/又はペットフードに組み込まれるように設計された製品を包含する。
【0096】
投薬量
本発明の組成物は、組成物の用量あたり、単位用量あたり、又はグラムあたり10~1012コロニー形成単位(CFU)のラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)細菌、より詳細には組成物の用量あたり、単位用量あたり、又はグラムあたり10~1012CFUを含んでもよい。場合によっては、組成物は、組成物の用量あたり、単位用量あたり、又はグラムあたり約1010CFUのラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)を含む。
【0097】
本発明のラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LP12151株は、単位用量あたり約10~約1012CFUの細菌、好ましくは用量あたり約10~約1012CFUの細菌の投薬量にて投与されてもよい。用語「用量あたり」とは、この量の細菌が、1日あたり、又は1回の摂取量あたりのいずれか、好ましくは1日あたりで対象に与えられることを意味する。例えば、細菌が食品中、例えば、ヨーグルト中に入れられて投与されることとなるならば、そのヨーグルトは、約10~約1012CFUのLP12151を含有してもよい。しかしながら、これ以外にも、細菌のこの量は、特定のあらゆる時間、例えば各24時間の期間中に対象が受けるラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)の全体量が、約10~約1012CFUの細菌、場合によっては10~約1012CFUの細菌である限り、それぞれがより少量の微生物負荷からなる複数回投与に分割されてもよい。
【0098】
本発明に従えば、LP12151の有効量は、少なくとも10CFUの細菌/用量、場合によっては約10~約1012CFUの細菌/用量、例えば約1010CFUの細菌/用量であってもよい。
【0099】
一実施形態において、LP12151は、約10~約1012CFUの細菌/日、場合によっては約10~約1012CFUの細菌/日の投薬量にて投与されてもよい。ゆえに、この実施形態における有効量は、約10~約1012CFUの細菌/日、場合によっては約10~約1012CFUの細菌/日であってもよい。
【0100】
作用/対象/医学的適応
本発明の組成物は、例えば、家畜(ウシ、ウマ、ブタ、及びヒツジが挙げられる)及びヒトが挙げられる哺乳動物に投与するのに用いることができる。本発明の一部の実施形態において、哺乳動物は、例えば、イヌ又はネコ等の伴侶動物(ペットが挙げられる)である。好ましい実施形態において、組成物は、ヒトに用いられる。
【0101】
本発明の組成物は、精神疾患、精神的健康に影響を及ぼす病徴、及び/又は慢性ストレスと関連する症状、例えば神経学的障害及び消化管障害の予防及び/又は処置に用いることができる。
【0102】
用語「精神疾患」は、個人の思考、感情、又は行動(又は3つ全て)を変化させ、且つ社会的活動、作業活動、又は家族活動において機能する個人の苦悩及び問題を引き起こす健康状態と定義され得る。精神疾患は、不安、気分、精神病、摂食行動、衝動制御及び嗜癖、人格、社交性、解離、強迫性、並びに外傷後ストレスと関連する広範囲の障害を包含する。それぞれの疾患は、個人の思考、感情、及び/又は行動を、独特の方法で変化させる。また、本明細書中で用いられる精神疾患として、精神疾患の原因若しくは症状であり得る、又はヒトが発生する機会を増大させ得る症状であり得る神経学的障害及び精神疾患に関連する症状が挙げられる。
【0103】
不安と関連する障害は、「精神疾患」の下に分類される。用語「不安障害」は、極度の恐怖又は心配を包含し、且つ全身性不安障害(GAD)、パニック障害及びパニック発作、広場恐怖症、社会不安障害、場面緘黙、分離不安、並びに特定恐怖症が挙げられる特定の精神疾患を指す。強迫性障害(OCD)及び外傷後ストレス障害(PTSD)は、同時に抑うつとして経験する場合がある不安障害と密接に関連する。GADは、日毎に個人が経験する通常レベル以上の不安を表し、慢性的不安及び緊張を特徴とする。本発明の組成物は、認識される不安障害、そしてより一般的には不安の症状を処置且つ/又は予防するのに用いられ得る。
【0104】
また、本明細書中で用いられる精神疾患として、関連する神経学的障害が挙げられ、記憶障害、軽度認知障害、認知症、及びアルツハイマー病が挙げられる。認知は、思考、記憶、知覚、動機、巧みな運動、及び言語が挙げられる特定の情報の比較的高いレベルの処理を意味する。認知障害は、“a significant impairment of cognition or memory that represents a marked deterioration from a previous level of function”(Guerrero,Anthony(2008)、“Problem-Based Behavioral Science of Medicine”New York: Springer.pp.367-79)の認知障害と定義される。認知障害は、3つの主要領域:(1)状況認識及び新しい情報の処理に影響を及ぼす障害であるせん妄;(2)個人の記憶の全て又は一部を抹消し得る障害である認知症;及び(3)罹患した個人が長期記憶を維持する不具合がある障害である記憶喪失に分類することができる。
【0105】
本発明の組成物は、個人の精神的健康を促進し、回復させ、且つ/又は維持するために、例えば、精神疾患若しくは関連するあらゆる障害、及び/又は個人の精神的健康に影響を及ぼす病徴を予防するために用いることができる。
【0106】
精神的健康に影響を及ぼす病徴として;悲しくなる、若しくは落ち込む、混乱した思考若しくは集中する能力の低下、過度の恐怖若しくは心配、又は極度の罪悪感、高かったり低かったりの極端な情緒の変化、友人及び活動からの離脱、現実逃避、パラノイア若しくは幻覚、日々の問題若しくはストレスに立ち向かう力がないこと、トラブルについての理解並びに状況及び人々との関連、アルコール若しくは薬物の乱用、食習慣における大きな変化、性衝動変化、過度の怒り、敵意若しくは暴力、並びに自殺の考えが挙げられる。
【0107】
本発明のために、精神疾患、及び精神的健康に影響を及ぼす病徴は、個人の認識機能に影響を及ぼす症状も包含する。そのような症状は、種々の認知障害を含み得る、又は様々な認知障害と重複し得る。例として、失認、記憶喪失、認知症、アルツハイマー病、パーキンソン病、及び脳の機能に悪影響を及ぼすことが示されている慢性ストレスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0108】
極度の急性ストレス及び慢性ストレスは、身体的健康及び精神的健康の双方に悪影響を及ぼして、精神疾患を発症するリスクを増大させる虞がある。例えば、慢性ストレスは、気分障害、不安障害、及び抑うつの発症と関連付けられてきた。本発明の組成物は、慢性ストレス又は急性ストレスに由来する、精神疾患、又は精神的健康に影響を及ぼす症状を予防且つ/又は処置するのに用いることができる。
【0109】
本発明の組成物は、慢性ストレス若しくは急性ストレスと関連する他の(身体的なものが挙げられる)症状を処置且つ/又は予防するのに用いることもできる。例えば、一実施形態において、本発明の組成物は、慢性ストレス又は急性ストレスと関連する消化管障害、例えばIBSを処置且つ/又は予防するのに用いられる。消化管障害と関連する精神疾患の病徴に対処することによって、そのような処置は、消化管障害自体に有益な作用を及ぼし得ることが考えられる。
【0110】
より一般的には、本発明の組成物は、精神疾患、精神的健康に影響を及ぼす病徴、及び/又は先に記載した慢性ストレス若しくは強度の急性ストレスと関連する症状の1つ以上の予防及び/又は処置に用いることができる。
【0111】
特定の実施形態において、本発明の組成物は、不安、抑うつ、及び/又は認知機能の低下を予防且つ/又は処置するのに用いることができる。
【0112】
本発明の組成物は、精神疾患、又は精神的健康に影響を及ぼす症状の予防に用いられる場合、既に健常な個人において、正常レベルの精神的健康を維持するのに用いることができる。これ以外にも、本発明の組成物は、精神疾患、又は精神的健康に影響を及ぼす病徴を処置するのに用いられる場合、問題の精神疾患又は病徴に罹患している個人において、正常レベルの精神的健康を回復させる、又は部分的に回復させるのに用いることができる。
【0113】
本発明の方法及び他の実施形態
先に記載したように、本発明の一態様は、哺乳動物において、精神疾患、精神的健康に影響を及ぼす病徴、又は慢性ストレスと関連する症状を予防且つ/又は処置する方法であって、哺乳動物に、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、又はラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)を含む組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0114】
さらに別の態様において、本発明は、哺乳動物において、精神疾患、精神的健康に影響を及ぼす病徴、及び/又は慢性ストレスと関連する症状を予防且つ/又は処置するための薬剤の製造のための、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、又はラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)を含む組成物の使用を提供する。
【0115】
誤解を避けるために、本明細書中に記載し、そして先に記載した細菌、及び組成物のいずれかを、本発明の方法に利用することができる。更なる実施形態として、以下に記載した実施形態が挙げられるが、これらに限定されない:
【0116】
実施形態1.ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)種の細菌株であって、DSMZに2018年1月9日にDSM 32721の受託番号で寄託された株LP12151である細菌株。
【0117】
実施形態2.哺乳動物において、精神疾患、精神的健康に影響を及ぼす病徴、及び/又は慢性ストレスと関連する症状を予防且つ/又は処置するのに使用される、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)種の細菌、又はその混合物。
【0118】
実施形態3.精神疾患は、気分障害、不安障害、及び/又は抑うつである、実施形態2に従う使用される細菌。
【0119】
実施形態4.精神的健康に影響を及ぼす病徴は、不安、気分変動、及び/又は抑うつである、実施形態2に従う使用される細菌。
【0120】
実施形態5.慢性ストレスと関連する症状は、消化管障害、例えば過敏性腸症候群である、実施形態2に従う使用される細菌。
【0121】
実施形態6.ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)種の細菌は、プロバイオティックラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、又はその混合物である、実施形態2に従う細菌。
【0122】
実施形態7.ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)種の細菌は、DSMZに2018年1月9日にDSM 32721の受託番号で寄託された株LP12151である、実施形態2~6のいずれか1つに従う細菌。
【0123】
実施形態8.ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)種の細菌株を含む組成物であって、細菌株は、DSMZに2018年1月9日にDSM 32721の受託番号で寄託された株LP12151である、組成物。
【0124】
実施形態9.哺乳動物において、精神疾患、精神的健康に影響を及ぼす病徴、及び/又は慢性ストレスと関連する症状を予防且つ/又は処置するのに使用される、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)種の細菌を含む組成物。
【0125】
実施形態10.ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)の株は、DSMZに2018年1月9日にDSM 32721の受託番号で寄託された株LP12151である、実施形態9に従う使用される組成物。
【0126】
実施形態11.組成物はさらに、別の細菌株を含む、実施形態8~10のいずれか1つに従う組成物。
【0127】
実施形態12.前記組成物はさらに、プレバイオティクスを含む、実施形態8~12のいずれか1つに従う組成物。
【0128】
実施形態13.プレバイオティクスは、ポリデキストロースである、実施形態12に従う組成物。
【0129】
実施形態14.組成物は、食品、飲料、栄養補助食品、又は薬学的に許容される製剤若しくは組成物の形態である、実施形態8~13のいずれか1つに従う組成物。
【0130】
実施形態15.組成物は、スプレー乾燥させた、又は凍結乾燥させた組成物である、実施形態8~14のいずれか1つに従う組成物。
【0131】
実施形態16.組成物は、凍結防止剤を含む、実施形態15に従う組成物。
【0132】
実施形態17.組成物は、単位剤形であり、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)株は、組成物中に、単位用量あたり10~1012CFU、例えば10~1012CFU、場合によっては1010CFUの量で存在する、実施形態8~16のいずれか1つに従う組成物。
【0133】
実施形態18.精神疾患は、気分障害、不安障害、及び/又は抑うつである、実施形態9に従う組成物。
【0134】
実施形態19.精神的健康に影響を及ぼす病徴は、不安、気分変動、及び/又は抑うつである、実施形態9に従う組成物。
【0135】
実施形態20.慢性ストレスと関連する症状は、消化管障害、例えば過敏性腸症候群である、実施形態9に従う組成物。
【0136】
実施形態21.哺乳動物において、精神疾患、精神的健康に影響を及ぼす病徴、及び/又は慢性ストレスと関連する症状を予防且つ/又は処置するための、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)種の細菌、又はその混合物の使用。
【0137】
実施形態22.精神疾患は、気分障害、不安障害、及び/又は抑うつである、実施形態21に従う使用。
【0138】
実施形態23.精神的健康に影響を及ぼす病徴は、不安、気分変動、及び/又は抑うつである、実施形態21に従う使用。
【0139】
実施形態24.慢性ストレスと関連する症状は、消化管障害、例えば過敏性腸症候群である、実施形態21に従う使用。
【0140】
実施形態25.ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)種の細菌は、プロバイオティックラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、又はその混合物である、実施形態21に従う使用。
【0141】
実施形態26.ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)種の細菌は、DSMZに2018年1月9日にDSM 32721の受託番号で寄託された株LP12151である、実施形態21~25のいずれか1つに従う使用。
【0142】
実施形態27.哺乳動物において、精神疾患、精神的健康に影響を及ぼす病徴、及び/又は慢性ストレスと関連する症状を予防且つ/又は処置するための、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)種の細菌を含む組成物の使用。
【0143】
実施形態28.ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)の株は、DSMZに2018年1月9日にDSM 32721の受託番号で寄託された株LP12151である、実施形態27に従う使用。
【0144】
実施形態29.組成物はさらに、別の細菌株を含む、実施形態27又は28に従う使用。
【0145】
実施形態30.前記組成物はさらに、プレバイオティクスを含む、実施形態27~29のいずれか1つに従う使用。
【0146】
実施形態31.プレバイオティクスは、ポリデキストロースである、実施形態30に従う使用。
【0147】
実施形態32.組成物は、食品、飲料、栄養補助食品、又は薬学的に許容される製剤若しくは組成物の形態である、実施形態27~31のいずれか1つに従う使用。
【0148】
実施形態33.組成物は、スプレー乾燥させた、又は凍結乾燥させた組成物である、実施形態27~32のいずれか1つに従う使用。
【0149】
実施形態34.組成物は、凍結防止剤を含む、実施形態33に従う使用。
【0150】
実施形態35.組成物は、単位剤形であり、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)株は、組成物中に、単位用量あたり10~1012CFU、例えば10~1012CFU、場合によっては1010CFUの量で存在する、実施形態27~34のいずれか1つに従う使用。
【0151】
実施形態36.精神疾患は、気分障害、不安障害、及び/又は抑うつである、実施形態27に従う使用。
【0152】
実施形態37.精神的健康に影響を及ぼす病徴は、不安、気分変動、及び/又は抑うつである、実施形態27に従う使用。
【0153】
実施形態38.慢性ストレスと関連する症状は、消化管障害、例えば過敏性腸症候群である、実施形態27に従う使用。
【0154】
実施形態39.哺乳動物において、精神疾患、精神的健康に影響を及ぼす病徴、及び/又は慢性ストレスと関連する症状を予防且つ/又は処置する方法であって、哺乳動物に、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)種の細菌、又はその混合物を投与することを含み、細菌の投与は、哺乳動物において、精神疾患、精神的健康に影響を及ぼす病徴、及び/又は慢性ストレスと関連する症状を予防且つ/又は処置する、方法。
【0155】
実施形態40.精神疾患は、気分障害、不安障害、及び/又は抑うつである、実施形態39に従う方法。
【0156】
実施形態41.精神的健康に影響を及ぼす病徴は、不安、気分変動、及び/又は抑うつである、実施形態39に従う方法。
【0157】
実施形態42.慢性ストレスと関連する症状は、消化管障害、例えば過敏性腸症候群である、実施形態39に従う使用。
【0158】
実施形態43.ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)種の細菌は、プロバイオティックラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、又はその混合物である、実施形態39に従う方法。
【0159】
実施形態44.ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)種の細菌は、DSMZに2018年1月9日にDSM 32721の受託番号で寄託された株LP12151である、実施形態39~43のいずれか1つに従う方法。
【0160】
実施形態45.哺乳動物において、精神疾患、精神的健康に影響を及ぼす病徴、及び/又は慢性ストレスと関連する症状を予防且つ/又は処置する方法であって、哺乳動物に、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)種の細菌を含む組成物を投与することを含み、組成物の投与は、哺乳動物において、精神疾患、精神的健康に影響を及ぼす病徴、及び/又は慢性ストレスと関連する症状を予防且つ/又は処置する、方法。
【0161】
実施形態46.ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)の株は、DSMZに2018年1月9日にDSM 32721の受託番号で寄託された株LP12151である、実施形態45に従う方法。
【0162】
実施形態47.組成物はさらに、別の細菌株を含む、実施形態45又は46に従う方法。
【0163】
実施形態48.前記組成物はさらに、プレバイオティクスを含む、実施形態45~47のいずれか1つに従う方法。
【0164】
実施形態49.プレバイオティクスは、ポリデキストロースである、実施形態48に従う方法。
【0165】
実施形態50.組成物は、食品、飲料、栄養補助食品、又は薬学的に許容される製剤若しくは組成物の形態である、実施形態45~49のいずれか1つに従う方法。
【0166】
実施形態51.組成物は、スプレー乾燥させた、又は凍結乾燥させた組成物である、実施形態45~50のいずれか1つに従う方法。
【0167】
実施形態52.組成物は、凍結防止剤を含む、実施形態51に従う方法。
【0168】
実施形態53.組成物は、単位剤形であり、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)株は、組成物中に、単位用量あたり10~1012CFU、例えば10~1012CFU、場合によっては1010CFUの量で存在する、実施形態45~52のいずれか1つに従う方法。
【0169】
実施形態54.精神疾患は、気分障害、不安障害、及び/又は抑うつである、実施形態45に従う方法。
【0170】
実施形態55.精神的健康に影響を及ぼす病徴は、不安、気分変動、及び/又は抑うつである、実施形態45に従う方法。
【0171】
実施形態56.慢性ストレスと関連する症状は、消化管障害、例えば過敏性腸症候群である、実施形態45に従う方法。
【実施例
【0172】
以下の例は、本発明の具体的な実施形態及び態様を実証し、さらに詳しく例示するために提供されるものであり、その範囲を限定すると解釈されるべきではない。
【0173】
実施例1;候補株の初期スクリーニング。
多数のプロバイオティック候補を最初に、プロバイオティックの特徴、安全性、及び製造性能に関してスクリーニングした。これらの候補の大部分を、性能が不良であることに起因して、廃棄した。残っている候補について有効性試験を実施し、そしてこれらから、以下の例において報告するように、3株を更なる詳細な実験的試験のために選択した。
【0174】
実施例2;材料及び方法-全般
動物
JANVIER(Saint Berthevin、France)由来の5週齢及び体重30~35gの雄Swissマウスを用い、そして実験を、Amylgen(Direction Regionale de l’Alimentation,de l’Agriculture et de la Foret du Languedoc-Roussillon)にて実施した。動物を、6頭のマウスを1群にして収容して、行動実験中を除いて飼料及び水を自由に摂取させた。各ケージは、単一の処置群由来のマウスを含有していた。動物を、温度及び湿度を調節した動物飼育施設内で12時間明/暗周期(午後7時に消灯)で維持した。全動物の実験手順は、2010年9月22日の欧州連合(European Union)指令(2010/63/UE)を厳密に遵守して実施した。
【0175】
細菌株の製剤化及び投与
細菌株を、0.9%NaCl中に溶解させて、強制飼養によって、毎朝午前9時に経口投与した(マウス1頭あたり100μL)(マウス1頭あたり10CFU/日の用量に相当)。ビヒクル群マウスは、細菌株を含まない0.9%NaClを摂取した。処置の期間は、計33日であった。
【0176】
慢性ストレス実験手順
慢性ストレス実験手順を、以前に記載されたように実施した(Espallergues et al.,Psychoneuroendocrinology,2009)。マウスを、3週にわたって、1週あたり連続5日間、1日あたり180分間(午前11時~午後2時)、明るい光の下でプレキシガラス製透明拘束チューブ(長さ12cm、直径3cm)内に繰り返し配置した。対照群の動物(ストレス無しのマウス/ビヒクル群)は、一度も拘束チューブ内に配置せずに、ストレスが発生する部屋とは別の部屋において、ストレス実験手順中、影響を受けないままにした。
【0177】
動物の無作為化
各ケージ(N=6)内で、動物は同じ処置を受けた。処置及びストレス実験手順を、無作為に、行動実験及び生化学実験に関わっていない実験者によって実施した。行動実験手順を、第2の異なる実験者によって実施した。
【0178】
実験手順のスケジュール
・ 1日目に、動物を実験群に無作為に割り付けて、計量して、適切な菌株又はビヒクルで処置した。
・ 1日目~33日目に、動物を適切な菌株又はビヒクルで処置した。
・ 8日目~28日目に、先に記載した慢性ストレス実験手順を遵守して、動物に1日あたり3時間、1週あたり月曜日~金曜日までの5日間、慢性ストレスを受けさせた。
・ 29日目に、動物に高架式十字迷路試験手順を実施した。
・ 30日目に、動物にオープンフィールド実験手順を実施した。これは、31~32日目の課題への馴化でもあった。
・ 30日目~32日目に、動物に物体認識記憶課題を実施した。
・ 33日目に、動物に強制水泳試験を実施した。
・ 36日目に、動物を安楽死させた。処置期間中、急性死又は遅延性死を毎日チェックした。
【0179】
エンドポイント測定
高架式十字迷路:29日目に、マウスの不安状態を、高架式十字迷路のオープンアーム及びクローズドアームを探索する能力を評価することによって測定した。透明なプレキシガラス製装置を、中心のプラットフォームから延ばして床の上方50cmに配置した2本のオープンアーム(23.5×8cm)及び2本のクローズドアーム(23.5×8×20cm(高さ))から構成した。各マウスを、クローズドアームに面する高架式十字迷路の中心に配置して、その探査行動をEthovision(登録商標)XT 9.0(Noldus Information Technology)によって10分間記録した。結果を、自発運動、オープンアーム内で過ごす時間、及びオープンアーム内への進入回数として表した。高架式十字迷路内の動物の位置を算出するために、Ethovision(登録商標)XT 9.0ソフトウェアによって、動物の重心を考えた。
【0180】
オープンフィールド:30日目に、マウスを、赤外線発光ダイオードを装備した床を備える白色プレキシガラス製の四角形のオープンフィールド(50cm×50cm×50cm(高さ))内に個々に配置した。マウスを、オープンフィールドに10分間馴化させ、そして自発運動を、IR高感度カメラによりキャプチャして、Ethovision(登録商標)XT 9.0ソフトウェア(Noldus Information Technology)を用いて分析した。行動を、自発運動(移動距離、cm)(ソフトウェアによって定義した25×25cmの中心領域内での自発運動)、及びマウスが提示した常同行動の回数(立上りエピソード及びグルーミングエピソードの回数の合計)として分析した。
【0181】
新規な物体認識:31日目に、2つの同一の物体(キャップ付の50mLプラスチック製バイアル)を、オープンフィールドのプレキシガラス製アリーナの規定位置(中心領域の2つの相対する端部の位置#1及び位置#2)に配置した。各マウスを、オープンフィールド内に配置して、10分間のセッション中に、探索活性を記録した。この活性は、物体との接触回数及び接触期間に関して、ノーズトラッキングプロトコールを用いて分析した。結果を、物体相互作用のパーセンテージ、及び位置#2内の物体との総相互作用期間のパーセンテージとして表す。
【0182】
32日目に、位置#2内の物体を、見慣れた物体から、色の形状及び質感が異なる新規な物体と取り換えた。各マウスを、オープンフィールド内に再度配置して、10分間のセッション中、探索活性を記録した。活性も同様に分析した。優先探索指数を、2つの物体との接触の総回数及び持続期間と比較した、位置#2内の物体との接触回数(若しくは持続期間)の比率として算出した。セッション中に物体との接触が10回未満であった動物は、試験から排除した。
【0183】
強制水泳試験:強制水泳試験を用いて、抑うつへの感受性の尺度である行動的絶望を評価した。各マウスを、高さ12cmまで水を充填したガラス製シリンダー(直径12cm、高さ24cm)内に個別に配置した。水温を22~23℃に維持した。動物を強制的に6分間水泳させた。このセッションを、コンピュータに接続したCCDカメラによって記録し、そしてEthovision(登録商標)XT 9.0ソフトウェア(Noldus Information Technology)を用いて、運動を分析した。2つのレベルのピクセル変化を分析して、静止、もがき、そして水泳を識別した。分析を、実験手順の最終5分間に毎分実施した。
【0184】
強制水泳試験:強制水泳試験を用いて、抑うつへの感受性の尺度である行動的絶望を評価した。各マウスを、高さ12cmまで水を充填したガラス製シリンダー(直径12cm、高さ24cm)内に個別に配置した。水温を22~23℃に維持した。動物を強制的に6分間水泳させた。このセッションを、コンピュータに接続したCCDカメラによって記録し、そしてEthovision(登録商標)XT 9.0ソフトウェア(Noldus Information Technology)を用いて、運動を分析した。2つのレベルのピクセル変化を分析して、静止、もがき、そして水泳を識別した。分析を、実験手順の最終5分間に毎分実施した。
【0185】
統計的分析:数値を、平均値±標準誤差(SEM)として表した。統計的分析は、シャピロ・ウィルク正規性検定由来の結果に応じた様々な条件で、Prism 5.0a(GraphPad Software,Inc.)を用いて実施した。
・ データがガウス分布に従っていれば、一元配置ANOVA(F値)に続いて、個々の群を相互に比較するためにダネットの事後多重比較試験を実施した。
・ データがガウス分布に従っていなければ、クラスカル・ワリス・ノンパラメトリックANOVA(H値)に続いて、ダンの多重比較検定を実施した。
【0186】
p<0.05を、統計的に有意であるとみなした。
【0187】
実施例3:研究-マウスにおいて繰り返したストレスに及ぼすLP12151対LP12407及びLP12418の作用の特性評価
研究プロトコール
本研究において、60頭のSwissマウス(30~35g)を用いた。以下の表1に従って、以下のように、5つの動物群を構成した。
【0188】
【表1】
【0189】
動物を、先の実施例2において記載した方法に従って、実験群に無作為に割り付けて、計量して、適切な株/ビヒクルで処置した。1日目~33日目に、動物を、先の実施例2において記載した処置スケジュールに従って処置した。
【0190】
結果及び論評
動物の体重:図1は、マウスの体重に及ぼす慢性ストレスの作用を示す。慢性ストレスは、ストレス無し/ビヒクル処置群と比較して、本研究の18日目~32日目の体重の有意ではない差を誘導した。LP12151株は、体重の損失を、慢性的にストレスを受けたマウスと比較して、有意ではないが減少させた。
【0191】
オープンフィールド実験手順における不安:図2は、マウスにおいて慢性ストレスによって誘導された不安に及ぼす様々な処置の作用を示す。図2Aに示すように、ストレス単独も何れの処置も、自発運動に及ぼす観察可能な影響はなかった。しかしながら、慢性ストレスは、アリーナの中心での自発運動の極めて有意な減少を誘導した;これは、慢性ストレスが不安様行動を誘導したという兆候であった(図2B)。さらに、LP12151による処置は、部分的にではあるが極めて有意に、この欠陥を軽減した。慢性ストレス単独も何れの処置も、常同行動に関連する立上り/グルーミング行動には何の影響も示さなかった(図2C)。
【0192】
強制水泳試験:図3は、マウスにおける、慢性ストレスによって誘導された行動的絶望に及ぼす慢性ストレス及び種々の処置の作用を示す。強制水泳試験を用いて、3つの異なるパラメータ;静止時間(パラメータA)、もがき時間(パラメータB)、及び水泳時間(パラメータC)を測定した。慢性ストレスは、強制水泳試験における静止の増大を誘導した(図3A)。また、慢性ストレスは、ストレス無し/ビヒクル群と比較して、水泳時間を減少させた(図3C)。LP12151処置は完全に、これらの欠陥を軽減した。もがき時間に関して、慢性ストレスも種々の何れの処置も、ストレス無し/ビヒクル群と比較して、このパラメータに影響を及ぼすようには思われなかった(図3B)。
【0193】
上述した結果から以下の結論を引き出すことができる。
慢性ストレスによって誘導された行動的欠陥:
・ ストレス無しマウスと比較して、体重減少を誘導した。
・ オープンフィールド試験において、マウスにおいて不安様状態を誘導した。
・ 強制水泳試験において、行動的絶望によって観察される有意な抑うつ様状態を示した。
【0194】
L.プランタルム(L.plantarum)LP12151による処置:
・ 体重の損失を、慢性的にストレスを受けたマウスと比較して、有意ではないが減少させた。
・ オープンフィールド試験において、マウスの不安様状態を、部分的にではあるが極めて有意に軽減した。
・ 慢性的にストレスを受けたマウスと比較して、強制水泳試験における行動的絶望として観察される極めて有意な抗抑うつ様作用を示した。
図1
図2
図3
【国際調査報告】