(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-31
(54)【発明の名称】評価要素を含む溶液採取装置
(51)【国際特許分類】
G01N 33/49 20060101AFI20220124BHJP
G01N 33/52 20060101ALI20220124BHJP
G01N 33/48 20060101ALI20220124BHJP
G01N 21/27 20060101ALN20220124BHJP
【FI】
G01N33/49 K
G01N33/52 A
G01N33/48 H
G01N21/27 A
G01N21/27 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021531951
(86)(22)【出願日】2019-12-05
(85)【翻訳文提出日】2021-07-02
(86)【国際出願番号】 US2019064623
(87)【国際公開番号】W WO2020118018
(87)【国際公開日】2020-06-11
(32)【優先日】2018-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508147326
【氏名又は名称】シーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティックス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ジェニファー・サンプローニ
(72)【発明者】
【氏名】マニッシュ・デシュパンド
【テーマコード(参考)】
2G045
2G059
【Fターム(参考)】
2G045AA01
2G045BA20
2G045BB03
2G045CA25
2G045FA13
2G045GC10
2G059AA01
2G059AA05
2G059AA06
2G059BB13
2G059CC18
2G059DD02
2G059EE02
2G059EE11
2G059FF01
2G059KK01
2G059KK04
2G059MM05
2G059NN01
(57)【要約】
血液試料の溶血を検出するための血液検査装置について述べる。血液検査装置は、血液試料を収容するハウジングを含む。ハウジングは、処理窓と、それに形成された光学ゾーンを有する。血液検査装置は、ハウジングの処理窓内へと誘導される音響力を選択的に生成するように位置する音響トランスデューサと、血液試料中の血漿の比色分析を可能にするために音響トランスデューサを選択的に作動および作動停止させる制御ユニットとをさらに含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液検査アセンブリであって:
血液検査装置とリーダとを含み、該血液検査装置は:
流体不透過性材料から構成されたハウジングと;
該ハウジングに形成され、音響力を該ハウジング内へと通すことができる材料から構成された処理窓と;
ハウジングの該処理窓に形成された光学ゾーンであって、ハウジング内に位置し光学ゾーン近くにある血液試料の比色分析を可能にする材料から構成された、光学ゾーンと;
を含み
リーダは:
ハウジングの処理窓を通って血液試料内へと誘導される音響力を選択的に生成するように位置する音響トランスデューサと;
該音響トランスデューサの選択的な作動および作動停止のための制御ユニットと
を含む、前記血液検査アセンブリ。
【請求項2】
方法であって:
血液試料中の血漿から血球を、血漿と血球を含む第1のゾーンと、血漿を含み実質的に血球がない第2のゾーンに分離することと;
血液試料の溶血度を判定するために第2のゾーンの血漿を比色分析することと
を含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件出願は、2018年12月7日出願の米国仮出願第62/776,825号の35USC§119(e)に基づく利益を主張する。上記で参照した特許出願の内容全体は、参照によって本明細書に明示的に組み入れる。
【0002】
連邦政府の資金援助を受けた研究または開発に関する申告
該当なし
【背景技術】
【0003】
ポイントオブケア検査は、一般に、救命救急室などの患者ケアの現場でまたはその近くにおける医療検査を指す。そのような検査の所望の成果は、患者ケアにおける次の行動の道筋を決定するための迅速で精確な分析結果である。いくつかのそのようなポイントオブケア検査は、患者からの血液試料の分析を伴う。理想的な血液試料は、全血試料源から分離された純粋血漿である。しかし、そのような血漿試料であっても、多くの場合、対象からの試料の採取、分析前血液試料の取り扱い、および全血分離過程における不備による溶血の結果として、壊れた血球が残留する。場合によっては、これらの溶血した細胞が分析検査結果の完全性を妨げるおそれがある。
【0004】
たとえば、溶血していると、それによって生じる試料中の遊離ヘモグロビンがいくつかの検査を妨害し、それによって信号低減、測定の正確度および精度の低下、またはその対極として、虚偽の肯定的な結果に至ることがある。一例として、カリウムレベルの診断検査において、対応する試料中のカリウム濃度が著しく上がることがあり、それによって誤診の危険性が高くなるおそれがあることが分かっている。
【0005】
溶血が生じているかどうかを判定するため、血液試料中のヘモグロビン(Hb)レベルを判定するいくつかの検査が開発されている。血液試料中のHbレベルまたは溶血を判定するのに使用される1つの一般的な試薬は、Drabkin試薬と称される。Drabkin試薬は、赤血球を溶解し試料中のすべてのHbを、後で単波長を用いて分光計で測定できる1つの形態のシアンメトヘモグロビンへと定量的に変換する働きをする混合物を含む。したがって、Drabkin試薬は、細胞内ヘモグロビンならびに遊離ヘモグロビンを測定する。少なくともこの理由のため、Drabkin試薬は、溶血を示す、特定時点で試料中に存在する遊離Hbの程度の実態は提供しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、現在の検査様式の欠点を克服する、溶血が生じているかどうかを判定する血液試料の迅速なポイントオブケア検査が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に組み入れられその一部を構成する添付の図面は、本明細書に記載の1つまたはそれ以上の実施態様を示し、説明とあわせてこれらの実施態様を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】血液試料を含む、本開示の一実施形態に従って構成された血液検査装置の一部分の断面図である。
【
図2】血液試料中の血球および血漿が、血漿および血球を含む第1のゾーンと、血漿を含み実質的に血球のない第2のゾーンに分離されている、本開示の一実施形態による、音響処理された血液試料を示す
図1の血液検査装置の一部分の断面図である。
【
図3】本開示に従って構成された一体になった血液検査装置を有する流体採取装置の直交図である。
【
図4A】本開示に従って構成された流体採取装置の他の変形例の一部分の図である。
【
図4B】本開示に従って構成された流体採取装置の他の変形例の一部分の図である。
【
図4C】本開示に従って構成された流体採取装置の他の変形例の一部分の図である。
【
図5A】本開示の一実施形態による、音響処理および比色分析のためのリーダのスロットに挿入されている
図4の流体ハウジングの図である。
【
図5B】本開示の一実施形態による音響処理および比色分析のための他の変形例のリーダのポートに挿入される
図4の流体ハウジングの図である。
【
図6】本開示の一実施形態に従って構成された、シリンジのような流体ハウジングに着脱可能に取り付け可能な血液検査装置の分解斜視図である。
【
図7】本開示の一実施形態に従って構成された血液検査装置の他の変形例の斜視図である。
【
図8】本開示の一実施形態に従って構成された血液検査装置の上面図である。
【
図9】本開示の一実施形態に従って構成された、シリンジのような流体ハウジングに着脱可能に取り付け可能な血液検査装置の分解斜視図である。
【
図10】本開示の一実施形態に従って構成された血液検査装置の他の変形例の斜視図である。
【
図11】本発明の一実施形態に従って構成された、閉鎖可能ゲートを有する血液検査装置の斜視図である。
【
図12】本開示による、第1の位置に閉鎖可能ゲートがある、リーダのスロット内に位置する
図11の血液検査装置の断面図である。
【
図13】本開示による、第2の位置に閉鎖可能ゲートがある、リーダのスロット内に位置する
図11の血液検査装置の他の断面図である。
【
図14】本開示の一実施形態に従って構成された、可動ゲートを有する血液検査装置の他の変形例の斜視図である。
【
図15】本開示による、第1の位置に可動ゲートがある、リーダのスロット内に位置する
図14の血液検査装置の断面図である。
【
図16】本開示による、第2の位置に可動ゲートがある、リーダのスロット内に位置する
図14の血液検査装置の他の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の詳細な説明は、添付の図面を参照する。異なる図面における同じ参照数字は、同じまたは類似の要素を同定することができる。
【0010】
本明細書で使用されるような、「備える」、「備えている」、「含む」、「含んでいる」、「有する」、「有している」またはこれらの任意の他の変形は、非排他的な包含を含むように意図される。たとえば、列挙した要素を含むプロセス、方法、物品または装置は、必ずしもそれら要素だけに限定されるわけではなく、明示されていないか、そうしたプロセス、方法、物品、または装置に本来備わっている、他の要素を含むこともできる。さらに、そうでないと明確に記載されない限り、「または」は、包括的論理和を指し、排他的論理和を指さない。たとえば、条件AまたはBは、次のいずれか1つを満足する:Aが真(または存在)かつBが偽(または不在)、Aが偽(または不在)かつBが真(または存在)、およびAとBの両方が真(または存在)。
【0011】
さらに、「1つの(a)」または「1つの(an)」の使用は、本明細書にある実施形態の要素および構成要素を説明するために使用される。これは、単に便宜上および発明の概念の一般的な意味を与えるためになされる。この説明は、1つまたはそれ以上を含むように読まれるべきであり、他の意味であることが明確でない限り、単数形は複数形も含む。
【0012】
さらに、用語「複数の」の使用は、そうでないと明確に記載されない限り、「1つよりも多い」ことを伝える意味である。
【0013】
本明細書で使用される場合、「一(one)実施形態」または「一(an)実施形態」へのいかなる言及も、実施形態に関連して説明された特定の要素、機能、構造、または特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。本明細書の様々な場所での「一実施形態では」という句の出現は、必ずしもすべて同じ実施形態を指しているわけではない。
【0014】
回路とは、本明細書で使用される場合、アナログおよび/またはデジタル構成要素、または1つ以上の適切にプログラムされたマイクロプロセッサならびに関連のハードウェアおよびソフトウェア、または配線論理であってよい。また、「構成要素」は1つ以上の機能を実施することができる。用語「構成要素」は、プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、もしくはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)等のハードウェア、またはハードウェアとソフトウェアとの組み合わせを含むことができる。ソフトウェアは、1つ以上の構成要素によって実行されると、その構成要素に指定された機能を実施させる1つ以上のコンピュータ実行可能命令を含む。本明細書に記載されるアルゴリズムは1つ以上の非一時的メモリに記憶されることを理解されたい。例示的な非一時的メモリとしては、ランダムアクセスメモリ、リードオンリーメモリ、フラッシュメモリ等が挙げられる。こうした非一時的メモリは、電気系または光学系であってよい。
【0015】
本明細書で使用される場合、用語「実質的に」は、後で説明するパラメータ、事象もしくは状況が完全に発生すること、または後で説明するパラメータ、事象もしくは状況がかなりの範囲もしくは程度まで発生することを意味する。たとえば、用語「実質的に」は、後で説明するパラメータ、事象または状況が、少なくとも90%の時間、もしくは少なくとも91%の時間、もしくは少なくとも92%の時間、もしくは少なくとも93%の時間、もしくは少なくとも94%の時間、もしくは少なくとも95%の時間、もしくは少なくとも96%の時間、もしくは少なくとも97%の時間、もしくは少なくとも98%の時間、もしくは少なくとも99%の時間に発生すること、または、寸法もしくは測定値が、基準の寸法もしくは測定値の少なくとも90%内、もしくは少なくとも91%内、もしくは少なくとも92%内、もしくは少なくとも93%内、もしくは少なくとも94%内、もしくは少なくとも95%内、もしくは少なくとも96%内、もしくは少なくとも97%内、もしくは少なくとも98%内、もしくは少なくとも99%内にあることを意味する。
【0016】
一態様によれば、試料における溶血の存在を判定するための装置、システムおよび方法が提供される。有利には、本明細書に記載の装置、システムおよび方法は、試料の一部分の比色評価に基づいて試料に溶血が生じているかを判定する。
【0017】
他の態様によれば、溶血を示す機能を有する血液採取容器のための装置、システムおよび方法が提供される。
【0018】
他の態様によれば、血漿分離機能を有する血液採取装置、システム、付属品および方法が提供される。
【0019】
他の態様によれば、溶血を示す機能を有する血液採取装置、システム、付属品および方法が提供される。
【0020】
次に、図面、具体的には
図1を参照すると、
図1は、本開示に従って構成された血液検査装置10の略図である。一般に、血液検査装置10は、ハウジング12、音響トランスデューサ16、リーダ18、およびトランスデューサ16とリーダ18に接続されている制御ユニット20を含む。ハウジング12は、血漿中に懸濁した血球を含む血液試料を保持し収容することができるように流体不透過性材料から構成される。ハウジング12は、たとえば検査の目的で血液を採取し輸送するために使用することができるシリンジまたはバキュテイナとすることができる。血液は、ヒトまたはヒト以外(たとえば、ネコ、イヌ、ウシ、ウマ、魚等)などの動物から採取することができる。音響トランスデューサ16、リーダ18および制御ユニット20は、
図1に示されるようにハウジング12の外に、またはハウジング12内(図示せず)に配置することができる。音響トランスデューサ16は、ハウジング12に向ける音響力を選択的に生成する。いくつかの実施形態では、音響トランスデューサ16は、損傷していない血球と血漿および損傷した血球の分離を促進するような音響力の大きさおよび/または周波数をもたらすように調整することができる。音響トランスデューサ16によって生成される音響力の大きさおよび/または周波数は、ハウジング12のサイズおよび/もしくは構造、またはハウジング12内の血液試料の組成に応じて選択することができる。一実施形態では、音響トランスデューサ16は、圧電素子とすることができる。少なくともハウジング12のトランスデューサ16に隣接する部分は、音響トランスデューサ16によって生成される音響力をハウジング12に収容される試料内へと通す働きをする材料から構成される。ハウジング12の形成に使用することができる例示的な材料としては、ガラス、水晶等が挙げられる。ハウジング12のトランスデューサ16から離れた部材は、プラスチックなどの他の材料から作ることができる。音響トランスデューサ16によって音響力を試料に適用することによって、血液中の血球が血漿中で動かされ、第1のゾーン22であって、音響力の適用前に含まれている血液より増加した血球密度または濃度の第1のゾーン22と、少なくとも1つの第2のゾーン24であって、実質的に血漿だけ、すなわち任意の損傷していない血球がない少なくとも1つの第2のゾーン24が形成される。リーダ18は、第2のゾーン24近くに位置し、血漿の少なくとも1つのパラメータを読み取る機能を果たす。一実施形態では、リーダ18は、カメラまたは分光光度計などの光学リーダであり、第2のゾーンの血漿がリーダ18に見えるようなハウジング12にオーバーラップする視野を有する。光学リーダ18は、第2のゾーン24が視野に入るような位置にある。制御ユニット20は、血球および血漿を第1のゾーン22と第2のゾーン24に分離するように音響トランスデューサ16を選択的に作動/作動停止させる。次いで、いくつかの実施形態では、制御ユニット20が、血漿の少なくとも1つのパラメータを示す情報を取得するようにリーダ18を作動させる。次いで、リーダ18によって取得された情報が、血液試料の溶血度の判定のために制御ユニット20に転送される。制御ユニット20は、回路および/または回路とソフトウェアの組み合わせから構成することができる。
【0021】
リーダ18が光学リーダである場合、制御ユニット20によって試料の比色分析に基づいて溶血度を判定することができる。すなわち、試料に溶血がない場合、その試料を白色光で照明すると血漿は実質的に無色であり、すなわち試料は透明である。試料で溶血が生じていると、血漿は、白色光で照明されるとピンク色になる。血漿の色と、他の試料に生じている溶血の程度を示す所定の色を互いに関連付けることによって、試料の溶血の程度を判定することができる。背景の色および/または血漿の照明の色に応じて、リーダ18によって検出される溶血の程度を示す色は異なり得る。
【0022】
試料の溶血の程度を示す情報は、血液が溶血しているかどうかを判定することに使用することができる。
【0023】
図3は、本開示の一実施形態に従って構成された血液検査装置40を示している。血液検査装置40は、血液を収容する流体リザーバ44を有するシリンジ42またはバキュテイナなどの流体容器を備える。血液検査装置40は、音響トランスデューサ46、光学ゾーン48、およびシリンジ42の内容物を識別し特定の患者に相関させることができるバーコード50をさらに備えることができる。音響トランスデューサ46は、たとえば平坦または弧状等の任意の適当な形状に設けることができる。いくつかの実施形態では、音響トランスデューサ46は、光学ゾーン48の形状、または音響トランスデューサ46によって励起される血液検査装置40の他のセクションの形状に適合する形状に設けることができる。そのような一実施形態では、血液検査装置40は、音響トランスデューサ46を用いて血液を音響処理することができ、その後、その血液は光学ゾーン48を介して光学リーダを用いてまたは人間の目で分析することができる。血液試料の溶血度の判定後、その血液試料のさらなる検査を続けるか否かを決定することができる。
【0024】
次に
図4A~
図4Cを参照すると、血液検査装置70およびリーダ71の一実施形態が図示されている。血液検査装置70は、流体ハウジング72、流体リザーバ74、流体処理領域75、光学ゾーン76、処理窓78および流通口82を有する。リーダ71は、読取装置80、流路82および分析ユニット84を有する。血液検査装置70のこの実施形態では、血液試料は、流体ハウジング72に収容され、流路82に沿って流体処理領域75に誘導され、そこで処理窓78のところを流れるように誘導される。処理窓78は、音響トランスデューサによって生成される音響力を流体ハウジング72に収容されている液体試料内へと通す働きをする材料から構成される。
【0025】
読取装置80は、分析ユニット84の一部であり、上述したように血液試料を音響処理するように動作する音響トランスデューサ(図示せず)と光学リーダ(図示せず)を備える。音響トランスデューサは、血液検査装置70の処理窓78と嵌合するような平坦な形状に設けることができる。読取装置80の光学リーダは、光学ゾーン76の方に向く視野を有する。光学ゾーン76では、音響処理された血液試料が読み取られる。分析ユニット84は、音響トランスデューサを作動させ、血液試料を音響処理し、血球を光学ゾーン76から遠ざけて血漿だけが光学ゾーン76で見えるようにする。次いで、光学リーダは、血漿と任意の背景の画像を取得し、それを上述したような比色分析のために分析ユニット84に送る。分析ユニット84は、流路82を通過した後の血液試料をさらに分析することができる血液ガス分析などのさらなる血液分析機能(図示せず)を備えることができる。リーダ71は、持ち運び可能とすることができ、光学ゾーン76が光学リーダの視野内にあり処理窓が音響トランスデューサにオーバーラップするように血液検査装置70を受けるようなサイズおよび寸法に設定されたスロット90を含むハウジング88を有することができる。ハウジング88は、たとえばホットドック用バンの形のような、様々な形状で提供することができる。分析ユニット84は、ハウジング88内で支持される、またはそれとは別個であってもよい。たとえば、読取装置80は、分析ユニット84との通信のための無線送受信機を備えることができる。分析ユニット84は、上述の制御ユニット20と同じように構成され、機能することができる。
【0026】
図5は、上述のように血液試料の音響処理および読取装置80による読み取りができるように
図4の流体ハウジング72をハウジング88に挿入できる、リーダ71の他の変形形態を示している。
【0027】
次に
図6を参照すると、流体ハウジング102、第1の流体リザーバ104および流体処理モジュール106を有する、本開示に従って構成された側方流動血液検査装置100が図示されている。側方流動血液検査装置100の流体処理モジュール106は、下側部分108、上側部分110、第2の流体リザーバ111、側方流動ストリップ112、流体チャネル114、第1の流体ポート116、第2の流体ポート118、光学ゾーン120およびバーコード122を備える。
【0028】
流体処理モジュール106の下側部分108と上側部分110は、第2の流体リザーバ111を形成するように封止可能に連結される。流体処理モジュール106が流体ハウジング102に連結されると、血液試料が第1の流体リザーバ104から第2の流体リザーバ111へ移ることができるようになる。第2の流体リザーバ111に入った後、血液試料の一部分は、第2の流体ポート118を通って流体チャネル114に誘導され、そこで血液試料は側方流動ストリップ112を通過する。参照により本明細書にその全体を組み入れる米国特許出願第15/317,748号により十分に述べられるように、側方流動ストリップ112は、毛細管作用(毛細管流と称されることもある)により、血液試料中の損傷していない血球と血漿を分離する。次いで、側方流動ストリップ112を通過した血漿は、光学ゾーン120で、上述のような光学リーダを用いてまたは人間の目で溶血度を判定するために分析される。
【0029】
血液試料を第2の流体ポート118に誘導しやすくするため、第1の流体ポート116は、たとえば血液試料が第1の流体ポート116を通過することを一時的に阻止する着脱可能なキャップ(図示せず)を用いて一時的に封止することができる。側方流動血液検査装置100を用いて血液試料の分析が済んだとき、キャップは取り外され、血液試料は、たとえば所望通りにさらなる検査で使用されるように、第1の流体ポート116を通過できるようになる。
【0030】
上述のように、バーコード122は、血液試料、血液試料が属する患者、および実施予定の検査等を識別することに使用することができる。
【0031】
図7は、流体ハウジング142、流体処理モジュール144、第1の流体リザーバ146および第2の流体リザーバ148を有する側方流動血液検査装置140を示している。側方流動血液検査装置140は、上述の側方流動血液検査装置100と類似しており、したがって簡略にするため、相違点のみを本明細書で述べることにする。
図7に示される実施形態では、流体処理モジュール144と流体ハウジング142は、一体化されて側方流動血液検査装置140を形成する。
【0032】
図8は、流体処理モジュール106および144と類似の流体処理モジュール160の上面図である。この実施形態では、流体処理モジュール160は、上述のように血液試料を少なくとも2つの成分部分に分離するために血液試料の流れを流体チャネル168に誘導するように第1の流体ポート164と第2の流体ポート166を連結する流体チャネル162を備える。流体チャネル168は、血漿および損傷した血球によって生じる任意の色が光学ゾーン120において見えるように、血漿から損傷していない血球を分離する役割を果たす側方流動ストリップ112を収容する。
【0033】
次に
図9を参照すると、流体ハウジング182、流体リザーバ184および流体処理モジュール186を有する側方流動血液検査装置180の他の実施形態が図示されている。側方流動血液検査装置180の流体処理モジュール186は、下側部分188、上側部分190、第2の流体リザーバ192および側方流動膜194を備える。
【0034】
流体処理モジュール186の下側部分188と上側部分190は、第2の流体リザーバ192を形成するように封止可能に連結される。流体処理モジュール186が流体ハウジング182に連結されると、血液試料が第1の流体リザーバ184から第2の流体リザーバ192に移ることができるようになる。血液試料が第1の流体リザーバ184から第2の流体リザーバ192に移るとき、血液試料は側方流動膜194を通過して少なくとも2つの成分部分に分離される。すなわち、損傷していない血球は第1の流体リザーバ184に残り、任意の損傷した血球を含む血漿は側方流動膜194を通過して第2の流体リザーバ192に入る。
【0035】
流体処理モジュール186の少なくとも下側部分188は、光学的に透明な材料から構成され、したがって側方流動膜194を通過した血漿は第2の流体リザーバ192で上述のような光学リーダを用いてまたは人間の目で比色分析することができる。
【0036】
図9には、血液ガス分析装置のような血液分析機(図示せず)に取り付けられるまたはその一部であってもよいプローブ196も図示されている。分析に全血が必要な場合、プローブ196は、流体処理モジュール186の流体ポート198から第2の流体リザーバ192さらに側方流動膜194を通って、血液試料が分離されていない第1の流体リザーバ184へと入ることができる。
【0037】
図10は、流体ハウジング202、流体処理モジュール204、第1の流体リザーバ206、第2の流体リザーバ208、側方流動膜210および流体ポート214を有する側方流動血液検査装置200の他の変形例を示している。側方流動血液検査装置200は、上述の側方流動血液検査装置180と類似しており、したがって簡略にするため、相違点のみを本明細書で述べることにする。
図10に示される実施形態では、流体処理モジュール204および流体ハウジング202は、着脱可能に連結されるのではなく、側方流動血液検査装置200を形成するように単一構造に一体化される。
【0038】
血液ガス分析装置などの血液分析機(図示せず)に取り付けられるまたはその一部であってもよいプローブ212も図示されている。分析に全血(非分離血)が必要な場合、プローブ212は、流体処理モジュール204の第1のポート214から第2の流体リザーバ208さらに側方流動膜210を通って、血液試料が分離されていない第1の流体リザーバ206に入ることができる。
【0039】
次に
図11~
図13を参照すると、リーダ71によって読み取ることができる、
図4に示される血液検査装置70と類似の血液検査装置240のさらに別の変形例が図示されている。簡潔にするため、相違点だけを本明細書に詳細に述べることにする。血液検査装置240は、流体ハウジング242、流体リザーバ244、流体処理領域245、光学ゾーン246、処理窓248、流路252、ポート256を有するゲート254およびゲート案内チャネル258を備える。
【0040】
ゲート254が第1の位置(
図12に示される)にあるとき、流路252は、流路252内の血液試料が光学ゾーン246で止まるように制限され、光学ゾーン246で、試料は、光学ゾーン246近くの血漿から損傷していない血球を遠ざけるように音響処理され、上述のようにリーダ71で読み取られる。
【0041】
血液試料の分析後、ゲート254は第2の位置(
図13に示される)まで動かされ、それによってポート256が流路252内へと動かされて血液試料が通過可能になる。
【0042】
次に
図14~
図16を参照すると、リーダ71によって読み取ることができる、
図4および
図11~
図13にそれぞれ示される血液検査装置70および240と類似の血液検査装置280のさらに別の変形例が図示されている。簡潔にするため、相違点のみ本明細書に詳細に述べることにする。血液検査装置280は、流体ハウジング282、流体リザーバ284、流体処理領域285、光学ゾーン286、処理窓288、第1の流路292、第2の流路294、ポート298を有するゲート296、およびゲート案内チャネル300を備える。
【0043】
ゲート296が第1の位置(
図15に示される)にあるとき、血液試料は、第1の流路292に誘導され、光学ゾーン286で止まりそこで上述のように音響処理されて読取装置80で読み取られる。
【0044】
血液試料の分析後、ゲート296は第2の位置(
図16に示される)まで動かされ、それによってポート298が第2の流路294内へと動かされて血液試料が第2の流路294を通過可能になる。
【0045】
上記の説明から、この目的を実行するため、および、本明細書に開示される発明の概念に固有の利点と同様に本明細書に記載の利点を達成するために、本明細書に開示の発明の概念が良好に適用されることは明確である。本明細書に開示される発明の概念の現在好ましい実施形態を本開示のために記載したが、当業者に容易に示唆される多数の変更を加えることができ、それらは本明細書に開示され特許請求される発明の概念の範囲および適用範囲内で行うことができることを理解されよう。
【国際調査報告】