(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-31
(54)【発明の名称】発泡性の、貯蔵安定なポリマービーズ
(51)【国際特許分類】
C08J 9/16 20060101AFI20220124BHJP
C08J 3/20 20060101ALI20220124BHJP
B29B 9/06 20060101ALI20220124BHJP
C08L 23/04 20060101ALI20220124BHJP
C08L 23/10 20060101ALI20220124BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20220124BHJP
【FI】
C08J9/16 CES
C08J3/20
B29B9/06
C08L23/04
C08L23/10
C08L101/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021532101
(86)(22)【出願日】2019-11-20
(85)【翻訳文提出日】2021-06-04
(86)【国際出願番号】 EP2019081999
(87)【国際公開番号】W WO2020114784
(87)【国際公開日】2020-06-11
(32)【優先日】2018-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508171804
【氏名又は名称】サビック グローバル テクノロジーズ ベスローテン フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】100139723
【氏名又は名称】樋口 洋
(72)【発明者】
【氏名】アハメド,サイイド マムード
(72)【発明者】
【氏名】オーガー,ジェイムズ アーサー
(72)【発明者】
【氏名】アラファート,アブドゥル ラヒム アハメド
(72)【発明者】
【氏名】アル-コーライイフ,アリ カリード
【テーマコード(参考)】
4F070
4F074
4F201
4J002
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
本発明は、a)ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、およびそれらの混合物から選択されるポリオレフィンと、b)発泡剤をカプセル封入した熱可塑性ミクロスフェアとを含む、発泡性ビーズに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡性ビーズであって、
a)ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、およびそれらの混合物から選択されるポリオレフィンと、
b)発泡剤をカプセル封入した熱可塑性ミクロスフェアと、
を含み、
最大直径D1の最小直径D2に対する割合として定義される、前記ビーズの直径のアスペクト比が、≧1.0から≦1.40の範囲内、好ましくは≧1.0から≦1.20の範囲内であり、前記ビーズの最小直径D2が、≧0.5から≦2.5mmの範囲内である、
発泡性ビーズ。
【請求項2】
前記発泡性ビーズが、≧70重量%から≦98重量%、
好ましくは>75重量%から≦98重量%、
より好ましくは≧80重量%から≦98重量%、
より好ましくは≧85重量%から≦98重量%の範囲内の前記ポリオレフィンを含み、
前記ポリオレフィンと前記熱可塑性ミクロスフェアとの総量が100重量%である、
請求項1に記載の発泡性ビーズ。
【請求項3】
前記ポリプロピレンのメルトフローインデックス(MFI)が、ISO1133によって230℃および2.16kgの負荷で測定したときに、≧5から≦60g/10分の範囲、
好ましくは≧6.0から≦50g/10分、
より好ましくは≧8から≦50g/10分の範囲である、
請求項1または2に記載の発泡性ビーズ。
【請求項4】
前記ポリプロピレンが、ホモポリマーPPおよびランダムPPコポリマーから選択され、好ましくは前記ポリプロピレンがランダムPPコポリマーである、請求項1~3のいずれか一項に記載の発泡性ビーズ。
【請求項5】
前記ポリエチレンが、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)および/または高密度ポリエチレン(HDPE)であり、前記直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)が、ISO1133によって190℃および2.16kgで測定したときに≧5から≦70g/10分、
好ましくは≧6.0から≦60g/10分、
より好ましくは≧8から≦55g/10分の範囲内のMFIを有し、かつ/または
ISO1183によって測定したときに≧910から≦940kg/m
3の範囲内、
より好ましくは≧920から≦930kg/m
3の範囲内の密度を有し;
前記高密度ポリエチレン(HDPE)が、ISO1133によって190℃および2.16kgの負荷で測定したときに≧5から≦70g/10分の範囲内、
好ましくは≧6.0から≦60g/10分、
より好ましくは≧8から≦55g/10分の範囲内のMFIを有し、かつ/または
ISO1183によって測定したときに≧940から≦970kg/m
3、
より好ましくは≧940から≦960kg/m
3の範囲内の密度を有する、
請求項1~4のいずれか一項に記載の発泡性ビーズ。
【請求項6】
≧0.8から≦2.0mmの範囲内の直径D2を有し、かつ/または
≧430から≦600kg/m
3の範囲内、
好ましくは≧440から≦600kg/m
3の範囲内、
好ましくは≧440から≦560kg/m
3の範囲内のかさ密度を有し、かつ/または
少なくとも6ヵ月、好ましくは少なくとも1.0年、より好ましくは少なくとも1.5年、より好ましくは少なくとも2.0年の貯蔵安定性を有する、
請求項1~5のいずれか一項に記載の発泡性ビーズ。
【請求項7】
前記発泡性ビーズの発泡後に、≧20から≦350kg/m
3の範囲内、
好ましくは≧20から≦200kg/m
3の範囲内、
好ましくは≧20から≦150kg/m
3の範囲内、
好ましくは≧20から≦100kg/m
3の範囲内のかさ密度を有する、
請求項1~6のいずれか一項に記載の発泡性ビーズ。
【請求項8】
前記熱可塑性ミクロスフェアが、≧0.5μmから≦50μmの範囲内、
好ましくは≧0.5μmから≦40μmの範囲内、
好ましくは≧5μmから≦40μmの範囲内のサイズを有する、
請求項1~7のいずれか一項に記載の発泡性ビーズ。
【請求項9】
前記ビーズが核剤を含み、前記核剤が、好ましくは炭酸カルシウムである、請求項1~8のいずれか一項に記載の発泡性ビーズ。
【請求項10】
(a)1種または複数のポリオレフィンを溶融混合デバイス内に供給するステップであって、前記ポリオレフィンが、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、およびそれらの混合物から選択されるステップと;
(b)前記1種または複数のポリオレフィンを加熱して溶融させるステップと;
(c)ミクロスフェアを前記溶融混合デバイスに投入して、前記溶融混合デバイス内で前記1種または複数のポリオレフィンとの混合物を形成するステップと;
(d)ポッドにグループ化された複数の穴を面上に含む加熱されたダイに前記混合物を供給するステップと;
(e)任意選択により加圧流体系を利用し得る水中ペレタイザーに、前記穴を通して前記混合物を押し出すステップと;
(f)前記混合物を切断してビーズを形成するステップと;
(g)前記ビーズを水から取り出すステップと;
(h)前記ビーズを乾燥させるステップと;
を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の発泡性ビーズを製造するプロセス。
【請求項11】
発泡ビーズまたは物品、好ましくは蒸気箱成形品を製造するための、請求項1~9のいずれか一項に記載の発泡性ビーズの使用。
【請求項12】
請求項1~9のいずれか一項に記載の発泡性ビーズの使用であって、
成形品、好ましくは前記ビーズの融着によって作製される成形品、より好ましくは
i)自動車部品、好ましくは、バンパー、ステアリングコラムパッド、日よけ板、アームレスト、ヘッドレスト、シート、ホイールハウスライナー、側面衝撃プロテクター、およびバッテリーカバー、ならびに/または
ii)梱包材、好ましくは、輸送の熱および健全な管理の間の温度制御、無菌および損傷保護を必要とする、ダンネージトレイ(dunnage tray)、輸送コンテナ、医療用および食品用コンテナ、ならびに/または
iii)備品、ならびに安全および娯楽用品
のための蒸気箱成形品を製造するための、発泡性ビーズの使用。
【請求項13】
発泡性ビーズを製造するための、熱可塑性ミクロスフェアの使用。
【請求項14】
請求項1~9のいずれか一項に記載の発泡性ビーズまたは請求項10に記載のプロセスによって得られたもしくは得ることができる発泡性ビーズを成形することによって、物品、好ましくは成形品、より好ましくは自動車部品ならびに/または備品ならびに/または安全および娯楽用品を作製するプロセス。
【請求項15】
請求項1~9に記載の発泡性ビーズから作製された、または請求項10に記載のプロセスによって得られたもしくは得ることができる発泡性ビーズから作製された、物品、好ましくは成形品。
【請求項16】
発泡性ビーズを成形することによって、物品、好ましくは成形品、好ましくは蒸気箱成形品、より好ましくは自動車部品ならびに/または備品ならびに/または安全および娯楽用品を作製するプロセスであって、前記発泡性ビーズが、
a)ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、およびそれらの混合物から選択されるポリオレフィンと、
b)発泡剤をカプセル封入した熱可塑性ミクロスフェアと、
を含む、プロセス。
【請求項17】
発泡性ビーズから作製された物品、好ましくは成形品、好ましくは蒸気箱成形品であって、前記発泡性ビーズが、
a)ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、およびそれらの混合物から選択されるポリオレフィンと、
b)発泡剤をカプセル封入した熱可塑性ミクロスフェアと、
を含む、発泡性ビーズから作製された物品、好ましくは成形品、好ましくは蒸気箱成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡性ポリマービーズおよびその調製に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマービーズをベースにした発泡体は、極めて低い密度および複雑な形状を有する大きな三次元構造の製造に利点をもたらす。それらは、様々な用途に広く使用されている。典型的な例は、梱包材ならびに自動車用途の部品、例えば、バンパーコア、バッテリーカバー、アームレスト、ステアリングコラムパッド、およびフロアスペーサなどである。そのようなビーズ発泡体は、発泡剤または発泡剤の組み合わせを含有する高分子ビーズで作製されている。
【0003】
特別なクラスのビーズは、ポリオレフィン系ビーズである。これは、高い寸法安定性、耐薬品性、および良好な機械的特性を有する起泡構造をもたらす。これは、例えば、押出およびオートクレーブプロセスによって製造することができる。いずれのプロセスも、ビーズに高圧下でガスを含浸させ、発泡ポリオレフィンビーズをもたらすことを含む。それに関して、ガスはビーズを発泡させる発泡剤としての役割を果たす。
【0004】
押出プロセスは、ポリオレフィン樹脂ペレットを押出機内で溶融させることと、発泡剤をポリオレフィン溶融物中に注入することと、押出機から出てきた発泡ポリオレフィンストランドを切断して発泡ビーズにすることと、を包含する。
【0005】
オートクレーブプロセスは、2つのステップを包含する。最初に、押出および水中ペレット製造プロセスによってポリオレフィン樹脂ペレットを所望の直径のポリオレフィンビーズに変換する。このプロセスの第2のステップは、懸濁助剤を使用してオートクレーブ内でポリオレフィンビーズを水中に分散させること、続いてオートクレーブの内容物を樹脂の軟化点を上回る温度に加熱すること、次いで発泡剤をオートクレーブに注入してビーズを発泡剤に含浸させることを含む。高圧で熱含浸されたポリオレフィンビーズは、次いで大気圧で維持される大きなフラッシング容器内に排出される。得られた発泡ポリオレフィンビーズは、水から分離され、乾燥され、出荷用に詰められる。
【0006】
現在製造されるポリオレフィンビーズの主な不利点は、それが発泡形態でしか製造されないことである。発泡剤としての役割を果たすガスがビーズから出て拡散するため、ビーズを非発泡形態で製造して貯蔵することができず、ビーズを形状成形するためのコンバータに発泡ビーズとして輸送する必要がある。これによって輸送および貯蔵が複雑で高価になる。別の不利点は、成形業者が自身の要件に応じた任意の所望の密度にビーズを製造して発泡させることができないことである。これによってまた、成形業者が供給された密度以外でビーズを使用する選択肢が制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、貯蔵安定な、発泡性ポリオレフィンビーズを提供することである。これは、ビーズが、発泡剤を喪失することなくまたは相当に喪失することなく、非発泡形態で貯蔵するおよび/または輸送することができることを意味する。これによって、輸送コストが節約され、成形業者には、自身の用途に応じた広範な所望の密度で製品を使用する選択肢が与えられる。別の目的は、ビーズを製造するプロセスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による発泡性ビーズは、
a)ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、およびそれらの混合物から選択されるポリオレフィンと、
b)発泡剤をカプセル封入した熱可塑性ミクロスフェアと、
を含む。
【0009】
それによって、ポリオレフィンは、基材を構成することができ、熱可塑性ミクロスフェアは、基材内で分散することができる。
【0010】
本発明を適用することによって、上述の目的は、少なくとも部分的に満たされる。本発明の利点は、本発明の発泡性ビーズが、発泡剤を喪失することなくまたは相当に喪失することなく非発泡形態で貯蔵するおよび/または輸送することができることである。さらに、本発明による発泡性ビーズは、製品の用途に応じて広範な所望の密度にわたって起泡させることができる。所望の密度は、起泡プロセスの条件によって制御することができる。これによって、コンバータは、最終製品の特性を用途に合わせる自由が得られる。
【0011】
好ましくは、発泡性ビーズは、≧70重量%から≦98重量%、好ましくは>75重量%から≦98重量%、より好ましくは≧80重量%から≦98重量%、より好ましくは≧85重量%から≦98重量%の範囲内のポリオレフィンを含み、ポリオレフィンと熱可塑性ミクロスフェアとの総量は100重量%である。
【0012】
さらに、発泡性ビーズは、
a)ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、およびそれらの混合物から選択されるポリオレフィンと、
b)発泡剤をカプセル封入した熱可塑性ミクロスフェアと、
を含み、
発泡性ビーズは、≧70重量%から≦98重量%、より好ましくは≧85重量%から≦98重量%の範囲内のポリオレフィンを含むことが好ましく、ポリオレフィンと熱可塑性ミクロスフェアとの総量は100重量%である。
【0013】
ポリオレフィンの二成分混合物を含むビーズは、蒸気箱成形プロセスなどの融着による物品の製造に利点を有することができる。そのような混合物は通常2つの融点を有しており、それによって、2つの融点の間の温度で成形したときに機械的安定性を維持しながらビーズが確実に容易に互いに融着することができる。
【0014】
ポリプロピレン(PP)
好ましくは、発泡性ビーズはポリプロピレンとポリエチレンとの混合物を含み、重量によるポリプロピレンの量はポリエチレンの量より多い。
【0015】
好ましくは、発泡性ビーズ中のポリプロピレンの量は、ビーズ中のポリプロピレンとポリエチレンとの総量に基づいて60重量%超、好ましくは70重量%超、より好ましくは80重量%超である。
【0016】
より好ましくは、発泡性ビーズはポリオレフィンを含み、ポリオレフィンはポリプロピレンから選択される。
【0017】
好ましくは、発泡性ビーズは、≧50重量%から≦98重量%、好ましくは>75重量%から≦98重量%、より好ましくは≧80重量%から≦98重量%、より好ましくは≧85重量%から≦98重量%の範囲内のポリプロピレンを含み、ポリオレフィンと熱可塑性ミクロスフェアとの総量は100重量%である。
【0018】
好ましくは、ポリプロピレンのメルトフローインデックス(MFI)は、ISO1133によって230℃および2.16kgの負荷で測定したときに、>0.3かつ<100g/10分の範囲、好ましくは≧2から≦60g/10分の範囲、好ましくは≧5.0から≦50g/10分、より好ましくは≧8から≦50g/10分の範囲である。
【0019】
発泡性ビーズは、
a)ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、およびそれらの混合物から選択されるポリオレフィンと、
b)発泡剤をカプセル封入した熱可塑性ミクロスフェアと、
を含み、
発泡性ビーズは、≧50重量%から≦98重量%、好ましくは≧80重量%から≦98重量%の範囲内のポリプロピレンを含み、ポリオレフィンと熱可塑性ミクロスフェアとの総量は100重量%であり、ポリプロピレンのメルトフローインデックス(MFI)は、ISO1133によって230℃および2.16kgの負荷で測定したときに、>0.3かつ<100g/10分の範囲であることが好ましい。
【0020】
発泡性ビーズは、
a)ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、およびそれらの混合物から選択されるポリオレフィンと、
b)発泡剤をカプセル封入した熱可塑性ミクロスフェアと、
を含み、
発泡性ビーズは、≧50重量%から≦98重量%、好ましくは≧80重量%から≦98重量%の範囲内のポリプロピレンを含み、ポリオレフィンと熱可塑性ミクロスフェアとの総量は100重量%であり、ポリプロピレンのメルトフローインデックス(MFI)は、ISO1133によって230℃および2.16kgの負荷で測定したときに、≧8から≦50g/10分の範囲であることがさらに好ましい。
【0021】
ポリプロピレンは、ランダムPPコポリマーもしくはPPホモポリマーもしくはPP-UMS、またはそれらの混合物であってもよい。好ましくは、ポリプロピレンはランダムPPコポリマーである。
【0022】
好ましくは、発泡性ビーズは、
a)ポリエチレン(PE)、ランダムポリプロピレンコポリマー、およびそれらの混合物から選択されるポリオレフィンと、
b)発泡剤をカプセル封入した熱可塑性ミクロスフェアと、
を含み、
発泡性ビーズは、≧50重量%から≦98重量%、好ましくは≧80重量%から≦98重量%の範囲内のランダムポリプロピレンコポリマーを含み、ポリオレフィンと熱可塑性ミクロスフェアとの総量は100重量%であり、
ランダムポリプロピレンコポリマーのメルトフローインデックス(MFI)は、ISO1133によって230℃および2.16kgの負荷で測定したときに、>0.3かつ<100g/10分の範囲である。
【0023】
より好ましくは、発泡性ビーズは、
a)ポリエチレン(PE)、ランダムポリプロピレンコポリマー、およびそれらの混合物から選択されるポリオレフィンと、
b)発泡剤をカプセル封入した熱可塑性ミクロスフェアと、
を含み、
発泡性ビーズは、≧50重量%から≦98重量%、好ましくは≧80重量%から≦98重量%の範囲内のランダムポリプロピレンコポリマーを含み、ポリオレフィンと熱可塑性ミクロスフェアとの総量は100重量%であり、ランダムポリプロピレンコポリマーのメルトフローインデックス(MFI)は、ISO1133によって230℃および2.16kgの負荷で測定したときに、≧8から≦50g/10分の範囲である。
【0024】
ランダムPPコポリマー
プロピレンコポリマーからなるポリプロピレン組成物は公知である。プロピレンコポリマーは、プロピレンと1つまたは複数の他のオレフィン、好ましくはエチレンとを、適切な重合条件下で共重合させることによって得られる。プロピレンコポリマーの調製は、例えば、Moore,E.P.(1996)Polypropylene Handbook.Polymerization,Characterization,Properties,Processing,Applications、Hanser Publishers:New Yorkに記載されている。
【0025】
好ましくは、PPコポリマーは、プロピレンとα-オレフィン、例えば、2個または4個から10個のC原子を有するα-オレフィンの群から選択されるα-オレフィンとのコポリマーであり、例えば、α-オレフィンの量は、総プロピレンコポリマーに基づいて10wt%未満の量である。
【0026】
プロピレンとα-オレフィンとのコポリマーは、任意の公知の重合技法によって、および任意の公知の重合触媒系を用いて作製することができる。技法に関しては、スラリー、溶液、または気相重合に言及することができ、触媒系に関しては、チーグラー・ナッタ、メタロセン、またはシングルサイト触媒系に言及することができる。すべては、それら自体で当技術分野で公知である。
【0027】
ホモポリマーPP
プロピレンホモポリマーからなるポリプロピレン組成物は公知である。プロピレンホモポリマーは、プロピレンを適切な重合条件下で重合することによって得ることができる。
【0028】
プロピレンホモポリマーの調製は、例えば、Moore,E.P.(1996)Polypropylene Handbook.Polymerization,Characterization,Properties,Processing,Applications、Hanser Publishers:New Yorkに記載されている。
【0029】
ホモポリマーポリプロピレンは、任意の公知の重合技法によって、および任意の公知の重合触媒系を用いて作製することができる。技法に関しては、スラリー、溶液、または気相重合に言及することができ、触媒系に関しては、チーグラー・ナッタ、メタロセン、またはシングルサイト触媒系に言及することができる。
【0030】
低密度ポリエチレン(LDPE)
LDPEの製造プロセスは、Andrew PeacockによるHandbook of Polyethylene(2000;Dekker;ISBN 0824795466)の43~66頁に要約されている。
【0031】
本明細書ではLDPEという用語は、LDPEホモポリマーとLDPEコポリマーの両方を含むことが理解される。LDPEコポリマーは、エチレンと当業者に周知の適切なコモノマー、例えば、アルケン、シクロアルケン、およびジエンとのコポリマーである。適切なコモノマーとして、3~12個のC原子を有するα-オレフィン、エチレン系不飽和カルボン酸、エチレン系不飽和C4~15カルボン酸エステルまたはそれらの無水物が挙げられる。コモノマーとして適用するのに適したα-オレフィンの例は、プロピレンおよび/またはブテンである。適切なエチレン系不飽和カルボン酸の例は、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸、および/またはクロトン酸である。エチレン系不飽和C4~15カルボン酸エステルまたはそれらの無水物の例は、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチルメタクリレート、酢酸ビニル、メタクリル酸無水物、マレイン酸無水物、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、1,3-ブチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ドデカンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメタクリレートエステル、および/またはイタコン酸無水物である。また、二官能性アルカジエン、例えば、1,5-ヘキサジエン、1,7-オクタジエン、1,9-デカジエン、および1,13-テトラデカジエンが適用されてもよい。ポリマー中のコモノマーの分量は、所望の用途に依存する。
【0032】
好ましくは、LDPEは、ISO1183による915から935kg/m3の密度、ならびにISO1133:2011によって190℃および2.16kgで測定した0.10g/10分から80g/10分のメルトフローレートを有する。そのようなLDPEは、オートクレーブまたは管型反応器内でのエチレンまたはエチレンと1種もしくは複数のコモノマーの高圧ラジカル重合を介して得ることができる。
【0033】
好ましくは、LDPEは、サイズ排除クロマトグラフィーによる少なくとも5.0kg/モルのMn、およびサイズ排除クロマトグラフィーによる少なくとも50kg/モルのMwを有する。LDPEは、サイズ排除クロマトグラフィーによる多くとも25.0kg/モル、例えば多くとも20.0kg/モル、例えば多くとも17.5kg/モルのMnを有することができる。LDPEは、サイズ排除クロマトグラフィーによる多くとも350kg/モル、例えば多くとも330kg/モル、例えば多くとも300kg/モル、例えば多くとも250kg/モルのMwを有することができる。LDPEは、サイズ排除クロマトグラフィーによる5.0~10.0kg/モルのMn、およびサイズ排除クロマトグラフィーによる50~200または50~150kg/モルのMwを有することができる。他の実施形態では、LDPEは、サイズ排除クロマトグラフィーによる10.0~20.0kg/モルのMn、および150~250または150~200kg/モルのMwを有することができる。
【0034】
サイズ排除クロマトグラフィーでは、ポリマー試料を1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)中に溶解させ(0.9mg/ml)、それを使用前に150℃で4時間蒸留し、1mg/mlの濃度のブチルヒドロキシトルエン(BHT)で安定化する。150℃で操作するHereous LUT炉内に配置したmilliporeろ過装置(1.2mm)を使用して、溶液を高温(150℃)でろ過する。モル質量によるポリマーの分離は、Polymer Laboratories PL GPC210で行ってもよい。このSECシステムは、高温(160℃のカラム槽、160℃の注入槽、および35℃の溶媒貯留槽)で、0.5ml/分の流量で操作する。溶出液は、1,2,4-トリクロロベンゼンである。高モル質量のポリマー鎖のせん断劣化を最低限に抑えるには、直列にした大きな粒子径を有する2つのPolymer Laboratories SECカラム(PLGel mixed A-LS 20mmカラム)を使用する。光散乱検出器(WYATT DAWN EOS多角度レーザ光散乱検出器)をSECと屈折率検出器との間にインラインで配置する。dn/dc=0.097ml/gを使用する。
【0035】
好ましくは、LDPEは、≧200かつ≦280MPaの圧力でおよび≧220℃かつ≦300℃の平均反応ピーク温度で操作される管型反応器内で製造される。
【0036】
LDPEは、コモノマーのうち1種または複数を含んでもよく、それは、前記管型反応器の1つまたは複数の供給口で反応器に供給される。そして各コモノマーは、好ましくは総供給組成物に対して≦2.0モル%の分量で管型反応器に供給され、得られたエチレンコポリマーは、エチレンと1種または複数のコモノマーとの総モル%対して少なくとも≧0.2モル%かつ多くとも≦6モル%のコモノマー含有量を有する。
【0037】
直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)
本発明によるLLDPEは、エチレンの少なくとも1種のα-オレフィンとのコポリマーである。
【0038】
直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)は、例えば、エチレンを、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、および/または1-オクテンから選択することができる少なくとも1種のα-オレフィン、好ましくは1-ブテンと重合させることによって得ることができる。
【0039】
直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)は、例えば、少なくとも1種もしくは正確に1種のメタロセン触媒、または少なくとも1種もしくは正確に1種のチーグラー・ナッタ触媒を使用して製造されてもよい。
【0040】
好ましくは、本発明によって使用される直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)は、例えば、MgおよびTi、Hf、またはZrのうち少なくとも1種もしくは1種を含む少なくとも1種のチーグラー・ナッタ触媒を使用して製造されてもよい。
【0041】
エチレンと少なくとも1種のα-オレフィンとのコポリマーは、例えば、ISO1183-1:2012、方法Aによって決定したときに、≧850kg/m3かつ≦950kg/m3、好ましくは≧910kg/m3かつ≦940kg/m3、さらに好ましくは920kg/m3から930kg/m3の間の密度を有することができる。
【0042】
LLDPEは、例えば、ISO1131-1:2011によって190℃および2.16kgの負荷で測定したときに、≧0.1g/10分から≦100g/10分、好ましくは≧0.5g/10分から≦80g/10分、さらに好ましくは≧5g/10分から≦70g/10分、さらにまた好ましくは≧6g/10分から≦60g/10分、さらに好ましくは≧8g/10分から≦55g/10分の範囲内のMFIを有することができる。
【0043】
LLDPEは、好ましくは、気相またはスラリープロセスを使用して製造されてもよい。ポリエチレンの製造プロセスは、Andrew Peacockによる「Handbook of Polyethylene」(2000;Dekker;ISBN 0824795466)の43~66頁に要約されている。
【0044】
好ましくは、発泡性ビーズはポリエチレンを含み、ポリエチレンは、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)から選択される。
【0045】
好ましくは、発泡性ビーズはポリエチレンを含み、ポリエチレンは、ISO1133によって190℃および2.16kgで測定したときに≧5から≦70g/10分、好ましくは≧6.0から≦60g/10分、より好ましくは≧8から≦55g/10分の範囲内のMFIを有するLLDPEから選択される。
【0046】
好ましくは、発泡性ビーズはポリエチレンを含み、ポリエチレンは、ISO1183によって測定したときに≧910から≦940kg/m3の範囲内、より好ましくは≧920から≦930kg/m3の範囲内の密度を有するLLDPEから選択される。
【0047】
好ましくは、発泡性ビーズはポリエチレンを含み、ポリエチレンは、ISO1133によって190℃および2.16kgで測定したときに≧5から≦70g/10分、好ましくは≧6.0から≦60g/10分、より好ましくは≧8から≦55g/10分の範囲内のMFIを有し、ISO1183によって測定したときに≧910から≦940kg/m3の範囲内、より好ましくは≧920から≦930kg/m3の範囲内の密度を有するLLDPEから選択される。
【0048】
最も好ましくは、発泡性ビーズはポリエチレンを含み、ポリエチレンは、ISO1133によって190℃および2.16kgで測定したときに≧5から≦70g/10分の範囲内のMFIを有し、ISO1183によって測定したときに≧910から≦940kg/m3の範囲内の密度を有するLLDPEから選択される。
【0049】
発泡性ビーズは、
a)LLDPEおよびPPからなるポリオレフィン混合物と、
b)発泡剤をカプセル封入した熱可塑性ミクロスフェアと、
を含んでもよい。
【0050】
発泡性ビーズは、
a)LLDPEおよびPPからなるポリオレフィン混合物と、
b)発泡剤をカプセル封入した熱可塑性ミクロスフェアと、
を含んでもよく、
LLDPEの量は、ポリオレフィンの総量に基づいて≧0.5から≦25重量%の範囲内である。
【0051】
発泡性ビーズは、
a)LLDPEおよびPPからなるポリオレフィン混合物と、
b)発泡剤をカプセル封入した熱可塑性ミクロスフェアと、
を含んでもよく、
LLDPEの量は、ポリオレフィンの総量に基づいて≧0.5から≦25重量%の範囲内であり、LLDPEのMFIは、ISO1133によって190℃および2.16kgで測定したときに≧5から≦70g/10分の範囲内であり、LLDPEの密度は、ISO1183によって測定したときに≧910から≦940kg/m3の範囲内である。
【0052】
好ましくは、発泡性ビーズは、
a)LLDPEおよびPPからなるポリオレフィン混合物と、
b)発泡剤をカプセル封入した熱可塑性ミクロスフェアと、
を含み、
発泡性ビーズは、ポリオレフィンの総量に基づいて≧60重量%から≦98重量%、より好ましくは≧80重量%から≦98重量%の範囲内のポリプロピレン、および≧2重量%から≦40重量%、より好ましくは≧2重量%から≦25重量%の範囲内のLLDPEを含む。
【0053】
好ましくは、発泡性ビーズは、≧70重量%から≦98重量%、
好ましくは>75重量%から≦98重量%、
より好ましくは≧80重量%から≦98重量%、
より好ましくは≧85重量%から≦98重量%の範囲内の、LLDPEおよびPPからなるポリオレフィン混合物を含み、
ポリオレフィン混合物と熱可塑性ミクロスフェアとの量は100重量%である。
【0054】
好ましくは、発泡性ビーズは、
a)LLDPEおよびランダムPPからなるポリオレフィン混合物と、
b)発泡剤をカプセル封入した熱可塑性ミクロスフェアと、
を含む。
【0055】
高密度ポリエチレン(HDPE)
発泡性ビーズは、HDPEを含んでもよい。HDPEのMFIは、≧0.1から≦100g/10分の範囲内であり得る。好ましくは、MFIは、≧0.6から≦80g/10分、より好ましくは≧5かつ≦80g/10分、より好ましくは≧10から≦70g/10分、より好ましくは≧10から≦60g/10分の範囲である。
【0056】
MFIは、ISO1133-1:2011によって190℃および2.16kgで測定される。
【0057】
高密度ポリエチレンの密度は、≧940かつ≦960kg/m3、より好ましくは≧945から≦955kg/m3の範囲内であり得る。
【0058】
密度は、ISO1183-1:2012によって測定されるによって測定される。
【0059】
HDPEは、単峰性HDPEであっても多峰性HDPEであってもよく、例えば、二峰性HDPEまたは三峰性HDPEであってもよい。好ましくは、HDPEは二峰性HDPEである。
【0060】
HDPEの製造プロセスは、Andrew Peacockによる「Handbook of Polyethylene」(2000;Dekker;ISBN 0824795466)の43~66頁に要約されている。ポリエチレンの製造に適した触媒として、チーグラー・ナッタ触媒、クロム系触媒、およびシングルサイトメタロセン触媒が挙げられる。
【0061】
単峰性ポリエチレンは、例えば、シリカ担持クロム含有触媒および/またはアルキルホウ素化合物の存在下でスラリー中でエチレンと任意選択により少なくとも1種のオレフィンコモノマーとを重合させることによって得ることができる。適切なコモノマーとして、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、および/または1-オクテンが挙げられる。
【0062】
単峰性ポリエチレンは、例えば、気相重合またはスラリー重合プロセスで、エチレンと任意選択により少なくとも1種のオレフィンコモノマーとを重合させることによって得ることができる。
【0063】
二峰性高密度ポリエチレン(HDPE)の製造プロセスは、「PE 100 Pipe systems」(Bromstrup編;第2版、ISBN 3-8027-2728-2)の16~20頁に要約されている。低圧スラリープロセスを介する二峰性高密度ポリエチレン(HDPE)の製造は、Altらによる「Bimodal polyethylene-Interplay of catalyst and process」(Macromol.Symp.2001、163、135~143)に記載されている。このポリエチレンの特性は、とりわけ、触媒系、ならびに触媒、コモノマー、および水素の濃度によって決定される。低圧スラリープロセスを介する二峰性高密度ポリエチレン(HDPE)の製造は、三段階プロセスを介して行うこともできる。二段階カスケードプロセスの概念は、Altらによる「Bimodal polyethylene-Interplay of catalyst and process」(Macromol.Symp.2001、163)の137~138頁に説明されている。
【0064】
発泡性ビーズは、
a)HDPEおよびPPからなるポリオレフィン混合物と、
b)発泡剤をカプセル封入した熱可塑性ミクロスフェアと、
を含んでもよい。
【0065】
発泡性ビーズは、
a)HDPEおよびPPからなるポリオレフィン混合物と、
b)発泡剤をカプセル封入した熱可塑性ミクロスフェアと、
を含んでもよく、
HDPEの量は、ポリオレフィンの総量に基づいて≧0.5から≦25重量%の範囲内である。
【0066】
発泡性ビーズは、
a)HDPEおよびPPからなるポリオレフィン混合物と、
b)発泡剤をカプセル封入した熱可塑性ミクロスフェアと、
を含んでもよく、
HDPEの量は、ポリオレフィンの総量に基づいて≧0.5から≦25重量%の範囲内であり、HDPEのMFIは、ISO1133によって190℃および2.16kgで測定したときに≧5から≦70g/10分の範囲内であり、HDPEの密度は、ISO1183によって測定したときに≧940から≦960kg/m3の範囲内である。
【0067】
好ましくは、発泡性ビーズは、
a)HDPEおよびPPからなるポリオレフィン混合物と、
b)発泡剤をカプセル封入した熱可塑性ミクロスフェアと、
を含み、
発泡性ビーズは、ポリオレフィンの総量に基づいて≧60重量%から≦98重量%、より好ましくは≧80重量%から≦98重量%の範囲内のポリプロピレン、および≧2重量%から≦40重量%、より好ましくは≧2重量%から≦25重量%の範囲内のHDPEを含む。
【0068】
発泡性ビーズは、≧70重量%から≦98重量%、
好ましくは>75重量%から≦98重量%、
より好ましくは≧80重量%から≦98重量%、
より好ましくは≧85重量%から≦98重量%の範囲内の、HDPEおよびPPからなるポリオレフィン混合物を含んでもよく、
ポリオレフィン混合物と熱可塑性ミクロスフェアとの量は100重量%である。
【0069】
発泡性ビーズは、
a)HDPEおよびランダムPPからなるポリオレフィン混合物と、
b)発泡剤をカプセル封入した熱可塑性ミクロスフェアと、
を含んでもよい。
【0070】
PP-UMS
PP-UMSとは、少なくとも10cN、好ましくは少なくとも20cN、好ましくは少なくとも30cN、好ましくは少なくとも40cN、好ましくは少なくとも50cN、好ましくは少なくとも60cN、最も好ましくは少なくとも65cNの溶融強度を有する、ポリプロピレン系高溶融強度樹脂(ultra melt strength resin)を指す。
【0071】
溶融強度は、例えばRheotens(登録商標)測定中に、溶融糸が切れる前にそれを引っ張ることができる最大(ドローダウン)力(単位:cN)として定義される。Rheotens(登録商標)測定は、200℃の温度で行われる。長さ20mmおよび幅2mmの毛細管が使用される。開始速度v0は、9.8mm/秒に設定される。加速は6mm/秒2である。
【0072】
PP-UMSは、ISO1133-1:2011によって230℃および2.16kgの負荷で測定したときに、1.5から3.5g/10分の範囲内、好ましくは2.0から3.0g/10分の範囲内、さらにより好ましくは2.2から2.8g/10分の範囲内のメルトフローレート(MFR)を有することができる。
【0073】
DMS測定は、ARES G2レオメータを200℃で用いて、0.01ラジアン/秒から100ラジアン/秒の周波数、5%の線形粘弾性歪みで、ISO1872-2:2007によって製造した厚さ0.5mmのプレートを使用して測定して行う。
【0074】
a)ゼロせん断粘度
PP-UMSは、DMS(この場合、Crossモデルを使用して粘度データをフィットさせる)によって決定したときに、≧7000パスカル秒、より好ましくは≧10000パスカル秒、より好ましくは≧15000パスカル秒、より好ましくは≧20000パスカル秒、さらにより好ましくは≧23000パスカル秒のゼロせん断粘度を有することができる。
【0075】
b)粘度比(VR)
VRは、所与の周波数での複素粘度ηを0.01ラジアン/秒の周波数での複素粘度(η0.01)で割った比であり、複素粘度は上記の通りのDMSによって決定される。
【0076】
PP-UMSは、≦0.03、より好ましくは≦0.025の粘度比、VR100を有することができ、VR100は、100ラジアン/秒の周波数での複素粘度(η100)を0.01ラジアン/秒の周波数での複素粘度(η0.01)で割った比として定義される。
【0077】
PP-UMSは、≦0.08、より好ましくは≦0.07の粘度比、VR10を有することができ、VR10は、10ラジアン/秒の周波数での複素粘度(η10)を0.01ラジアン/秒の周波数での複素粘度(η0.01)で割った比として定義される。
【0078】
PP-UMSは、≦0.22、より好ましくは≦0.20の粘度比、VR1を有することができ、VR1は、1ラジアン/秒の周波数での複素粘度(η1)を0.01ラジアン/秒の周波数での複素粘度(η0.01)で割った比として定義される。
【0079】
PP-UMSは、≦0.50、より好ましくは≦0.46の粘度比、VR0.1を有することができ、VR0.1は、0.1ラジアン/秒の周波数での複素粘度(η0.1)を0.01ラジアン/秒の周波数での複素粘度(η0.01)で割った比として定義される。
【0080】
PP-UMSグレードは市販されている。一例は、SABIC製のPP-UMS HEX17112である。
【0081】
発泡剤をカプセル封入した熱可塑性ミクロスフェア
熱可塑性ミクロスフェアという用語は、発泡剤がカプセル封入された高分子粒子と理解されるものとする。
【0082】
熱可塑性ミクロスフェアは当技術分野で公知であり、例えば、EP1981630A1、US3615972、US3945956、EP486080、US5536756、US6235800、US6235394、US6509384、EP1054034、EP1288272、およびEP1408097、ならびにWO2004/072160に詳細に記載されている。熱可塑性ミクロスフェアは、例えばAkzoNobelからExpancelという商標名で市販されている。
【0083】
そのようなミクロスフェアでは、カプセル封入された発泡剤は通常、熱可塑性ポリマーシェルの軟化温度以下の沸騰温度を有する液体である。加熱すると発泡剤が気化し、それによって内圧が増加することによりミクロスフェアが一般にその直径の約2~約5倍に発泡する。発泡は、高分子ミクロスフェアシェルのガラス転移温度(Tg)を上回る温度に到達したとき、そして内圧がシェルの弾性率を越えるのに十分なほど高いときに生じる。
【0084】
ミクロスフェアは、球状を有してもよい。ミクロスフェアは、発泡剤に対して不透過性であってもよい。発泡剤は、5~95体積パーセントの範囲の量で存在してもよい。
【0085】
ミクロスフェアの直径は、発泡前に≧0.5μmから≦0.5センチメートルの範囲であり得る。好ましくは、直径は、発泡前に≧0.5μmから≦50μmの範囲である。より好ましくは、直径は、発泡前に≧0.5から≦40μmの範囲である。さらにより好ましくは、直径は、発泡前に≧5から約≦40μmの範囲である。
【0086】
熱発泡性ミクロスフェアは、ラジカル重合を使用する懸濁重合によって合成することができる。一般に、エチレン系不飽和モノマーを、発泡剤の存在下で重合させる。多種多様なモノマーを用いて、そのホモポリマーまたはコポリマーを含むミクロスフェアを調製することができる。
【0087】
典型的な例は、アルケニル芳香族モノマー、例えば、スチレン、メチルスチレン、およびエチルスチレン、塩化ビニルベンジルおよび他のビニル化合物、例えば、酢酸ビニル;プロピオン酸ビニル;酪酸ブチル;ビニルエーテル、塩化ビニリデン;アリールブチルエーテル;アリールグリシジルエーテル;不飽和カルボキシル酸、例えば、(メタ)アクリル酸またはマレイン酸;アルキル(メタ)アクリルアミドなど、ならびにそれらの組み合わせである。
【0088】
他の例は、アクリレート系モノマー、例えば、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸エチル、アクリル酸イソ-ブチル、アクリル酸t-ブチル、アクリル酸n-オクチル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸ポリエチレングリコール、アクリル酸メトキシポリエチレングリコール、アクリル酸グリシジル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチルなど、塩化ビニリデン、ブタジエンである。
【0089】
重合性モノマーのさらなる例として、不飽和ニトリルモノマー、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなど;(メタ)アクリル酸アルキルエステルを挙げてもよい。架橋剤が添加されてもよい。
【0090】
上述のモノマーはすべて、別個に使用してもよいし、またはそれらの2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0091】
ミクロスフェアは、多種多様な発泡剤を含んでもよい。それらは、揮発性流体形成剤(fluid-forming agent)、例えば、脂肪族炭化水素、例えば、エタン、エチレン、プロパン、プロペン、n-ブタン、イソブタン、n-ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、n-ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン(2,2,4-トリメチルペンタン)および石油エーテル;テトラアルキルシラン、例えば、テトラメチルシラン、トリメチルエチルシラン、トリメチルイソプロピルシラン、およびトリメチル-n-プロピルシラン、ならびにそれらの混合物であり得る。これらの中で望ましいものは、イソブタン、石油エーテル、およびそれらの混合物である。これらの発泡剤は、別個に使用してもよいし、またはそれらの2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0092】
本発明はまた、発泡性ビーズを製造するためのそのような熱可塑性ミクロスフェアの使用に関する。
【0093】
発泡性ビーズの特性
発泡性ビーズは、球状、棒状、虫状、不規則な形状、または任意の他の形状を有していてもよい。好ましくは、ビーズは球状を有する。
【0094】
すべての形状で、ビーズのアスペクト比(D1/D2)は、≧1.0から≦1.40、好ましくは≧1.0から≦1.30、好ましくは≧1.0から≦1.20、好ましくは≧1.0から≦1.18の範囲内であってもよい。
【0095】
D1およびD2は、ビーズの平均した直径として理解する必要がある。代表的なビーズの試料から、少なくとも50個のビーズの最小および最大直径を測定し、得られた平均値がD1およびD2である。D2は、非球状粒子の場合のビーズの最小直径に関連し、D1は最大直径に関連する。直径は、例えばISO13322-1(2014)およびISO13322-2(2006)に記載されている方法など、周知の方法によって測定することができる。アスペクト比は、ビーズの最大直径D1の最小直径D2に対する比として理解する必要がある。
【0096】
好ましくは、発泡性ビーズは、≧0.5から≦2.5mmの範囲内の直径D2を有し、好ましくは、発泡性ビーズは、≧0.5から≦2.0mmの範囲内、好ましくは≧0.8から≦2.0mmの範囲内、好ましくは≧0.8から≦1.8mmの範囲内、好ましくは≧0.8から≦1.5mmの範囲内、好ましくは≧0.8から≦1.20mmの範囲内の直径D2を有する。
【0097】
ビーズの直径およびアスペクト比は、起泡性および用途にとって重要である。直径およびアスペクト比が小さいと、例えば蒸気箱成形において金型への密な充填が確実に行われ、それによって、ビーズが稠密に詰められ、ビーズ発泡体の境界面が効率的に接合された物品がもたらされる。優れたビーズ間接合は、物品の機械的特性にとって重要である。何故なら、割れ目は通常、ビーズ間接合で形成され、進行するからである。
【0098】
ビーズの小さい直径およびアスペクト比は、5~20mmの範囲内の物品の断面の厚さを有する薄肉の物品にとって、物品の滑らかな表面を得るために特に重要である。
【0099】
より詳細には、本発明は発泡性ビーズに関し、発泡性ビーズは、
a)ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、およびそれらの混合物から選択されるポリオレフィンと、
b)発泡剤をカプセル封入した熱可塑性ミクロスフェアと、
を含み、
最大直径D1の最小直径D2に対する割合として定義される、ビーズの直径のアスペクト比は、≧1.0から≦1.40、より好ましくは≧1.0から≦1.20の範囲内であり、ビーズの最小直径D2は、≧0.5から≦2.5mmの範囲内である。
【0100】
好ましくは、発泡性ビーズは、
a)ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、およびそれらの混合物から選択されるポリオレフィンと、
b)発泡剤をカプセル封入した熱可塑性ミクロスフェアと、
を含み、
最大直径D1の最小直径D2に対する割合として定義される、ビーズの直径のアスペクト比は、≧1.0から≦1.40の範囲内であり、ビーズの最小直径D2は、≧0.5から≦2.0mmの範囲内、好ましくは≧0.8から≦2.0mmの範囲内、好ましくは≧0.8から≦1.8mmの範囲内、好ましくは≧0.8から≦1.5mmの範囲内、好ましくは≧0.8から≦1.20mmの範囲内である。
【0101】
好ましくは、発泡性ビーズは、
a)ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、およびそれらの混合物から選択されるポリオレフィンと、
b)発泡剤をカプセル封入した熱可塑性ミクロスフェアと、
を含み、
最大直径D1の最小直径D2に対する割合として定義される、ビーズの直径のアスペクト比は、≧1.0から≦1.20mmの範囲内であり、ビーズの最小直径D2は、≧0.5から≦2.0mmの範囲内、好ましくは≧0.8から≦2.0mmの範囲内、好ましくは≧0.8から≦1.8mmの範囲内、好ましくは≧0.8から≦1.5mmの範囲内、好ましくは≧0.8から≦1.20mmの範囲内である。
【0102】
好ましくは、発泡性ビーズは、
a)ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、およびそれらの混合物から選択されるポリオレフィンと、
b)発泡剤をカプセル封入した熱可塑性ミクロスフェアと、
を含み、
最大直径D1の最小直径D2に対する割合として定義される、ビーズの直径のアスペクト比は、≧1.0から≦1.40の範囲内であり、ビーズの最小直径D2は、≧0.5から≦2.5mmの範囲内であり、発泡性ビーズは、≧70重量%から≦98重量%、
好ましくは>75重量%から≦98重量%、
より好ましくは≧80重量%から≦98重量%、
より好ましくは≧85重量%から≦98重量%の範囲内のポリオレフィンを含み、
ポリオレフィンと熱可塑性ミクロスフェアとの総量は100重量%である。
【0103】
より好ましくは、発泡性ビーズは、
a)ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、およびそれらの混合物から選択されるポリオレフィンと、
b)発泡剤をカプセル封入した熱可塑性ミクロスフェアと、
を含み、
最大直径D1の最小直径D2に対する割合として定義される、ビーズの直径のアスペクト比は、≧1.0から≦1.20の範囲内であり、ビーズの最小直径D2は、≧0.5から≦2.5mmの範囲内であり、発泡性ビーズは、≧70重量%から≦98重量%、
好ましくは>75重量%から≦98重量%、
より好ましくは≧80重量%から≦98重量%、
より好ましくは≧85重量%から≦98重量%の範囲内のポリオレフィンを含み、
ポリオレフィンと熱可塑性ミクロスフェアとの総量は100重量%である。
【0104】
ビーズの直径D1および/またはD2の標準偏差(StD)も、できるだけ小さくてもよい。何故なら、それによって金型への均質で密な充填が確実に行われ、物品の表面が滑らかになるからである。好ましくは、直径D1および/またはD2の標準偏差は、0.08から0.50mm、より好ましくは0.1から0.40mm、さらにより好ましくは0.1から0.30mm、さらにより好ましくは0.1~0.25mmの範囲内である。
【0105】
さらに、発泡性ビーズは、≧430から≦600kg/m3の範囲内、好ましくは≧440から≦600kg/m3の範囲内、好ましくは≧440から≦560kg/m3の範囲内のかさ密度を有することができる。かさ密度は、ISO60(1977)によって測定される。
【0106】
本発明によるビーズの利点は、その貯蔵安定性である。これは、ビーズを発泡させるために同じ条件が使用されるならば、ある特定の貯蔵期間の後に、ビーズの調製直後の発泡プロセスと比較して同じかさ密度を実現してビーズを発泡させることができることを意味している。
【0107】
よって、ビーズは安定であり、ある特定の期間にわたってその発泡能力を喪失しない。結果として、例えば、それらを容器内で圧力をかけて貯蔵する必要がない。したがって、得られた発泡性ビーズは、調製されたままの状態で貯蔵または輸送することができる。例えば、大気圧での貯蔵後にビーズを蒸気で予備発泡させると、十分な発泡および低密度を有する起泡ビーズを得ることができる。
【0108】
ビーズは、少なくとも6ヵ月、好ましくは少なくとも1.0年、より好ましくは少なくとも1.5年、より好ましくは少なくとも2.0年の貯蔵安定性を有することができる。
【0109】
発泡性ビーズは、≧0.5から≦2.5mmの範囲内、好ましくは≧0.8から≦2.0mmの範囲内の直径、および≧430から≦600kg/m3の範囲内、好ましくは≧440から≦600kg/m3の範囲内、好ましくは≧440から≦560kg/m3の範囲内のかさ密度、および少なくとも6ヵ月、好ましくは少なくとも1.0年、より好ましくは少なくとも1.5年、より好ましくは少なくとも2.0年の貯蔵安定性を有することができる。
【0110】
好ましくは、発泡性ビーズは、≧0.5から≦2.5mmの範囲内の直径、および≧430から≦600kg/m3の範囲内のかさ密度、および少なくとも6ヵ月の貯蔵安定性を有する。
【0111】
ビーズを十分に高い温度に加熱して塑性流動を可能にし、発泡剤の少なくとも一部分を気化または揮発させる場合、ビーズは発泡する。ビーズを冷却すると、ポリオレフィンはもう流動および発泡しなくなり、その増加した寸法を保持する。この体積増加は冷却時に保持され、密度を約600kg/m3から約20kg/m3に低減させることができると思われる。この独特な発泡性によって、ビーズの密度は極めて大きく低減し、それらは多くの用途に優れたものとなる。
【0112】
発泡性ビーズは、その発泡後に≧20から≦350kg/m3の範囲内、好ましくは≧20から≦200kg/m3の範囲内、好ましくは≧20から≦150kg/m3の範囲内、好ましくは≧20から≦100kg/m3の範囲内のかさ密度を有することができる。かさ密度は、ISO60(1977)によって測定される。
【0113】
ビーズの発泡倍率ERは、その発泡前のかさ密度と発泡後のかさ密度の比として定義される(ER=発泡前のかさ密度/発泡後のかさ密度)。
【0114】
ビーズの発泡倍率ERは、≧1.4から≦45、好ましくは≧2.0から≦45、好ましくは≧3.0から≦45、好ましくは≧5.0から≦45の範囲内、好ましくは≧5.0から≦15、より好ましくは≧5.0から≦12の範囲内である。
【0115】
好ましくは、発泡性ビーズは、≧0.5から≦2.5mmの範囲内の直径、および≧430から≦600kg/m3の範囲内のかさ密度、少なくとも6ヵ月の貯蔵安定性、およびその発泡後に≧20から≦350kg/m3の範囲内、好ましくは≧20から≦200kg/m3の範囲内、好ましくは≧20から≦150kg/m3の範囲内、好ましくは≧20から≦100kg/m3の範囲内のかさ密度を有する。
【0116】
発泡性ビーズを製造するプロセス
本発明はまた、発泡性ビーズを製造するプロセスに関する。
【0117】
1種または複数のポリオレフィンを、1つまたは複数の投入開口部から押出機内に供給し、そこで溶融させ、混合することができる。1種または複数のポリオレフィンは、ブレンド、ドライブレンドとして押出機に供給されても、または単一の成分として異なる投入開口部から供給されても、いずれであってもよい。押出機の投入開口部から下流であり出口開口部の前の地点で、投入開口部を介して熱可塑性ミクロスフェアを押出機に供給することができる。熱可塑性ミクロスフェアを添加するための投入開口部は、好ましくは投入開口部から出口開口部までの通路の約2/3にある。投入開口部によってミクロスフェアが溶融物に投入されて、1種または複数のポリオレフィンと熱可塑性ミクロスフェアとの混合物を形成することができる。
【0118】
成分を混合するプロセスは、特に限定されない。任意の混合または混練デバイスが使用されてもよい。好ましくは、成分は、一軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、または多軸スクリュー押出機内で混合される。
【0119】
混合ステップ中に、1種もしくは複数の添加剤および/または1種もしくは複数の核剤が添加されてもよい。好ましくは、1種もしくは複数の添加剤および/または1種もしくは複数の核剤は、1種または複数のポリオレフィンが1つまたは複数の投入開口部から押出機内に供給された後に添加される。1種もしくは複数の添加剤および/または1種もしくは複数の核剤は、1つまたは複数の投入開口部から供給されて、ポリオレフィン混合物に投入されてもよい。好ましくは、添加剤は、ミクロスフェアが押出機に供給される前に押出機に供給される。1つもしくは複数の添加剤および/または1つもしくは複数の核剤として、以降に述べるものを挙げることができる。これらの各々を、起泡製品の所望される必要な最終特性に応じて多かれ少なかれ利用することができる。
【0120】
混合後、溶融混合物は、水中ペレット製造用ダイを通して、移動する水または任意の他の適切な流体と接触するようにその中に押し出すことができ、それによって溶融物が冷却され、混合物の発泡が阻害される。好ましい流体は水である。水は、任意選択により加圧されてもよい。他の適切な流体として、1種または複数のポリオレフィンと非反応性かつ不混和性の流体、例えば、窒素、ヘリウム、アルコール、ポリオール、またはグリコールを挙げることができる。混合物がダイから出て液体、好ましくは水によって冷却されるときに、ダイの面に接触する切断室内の切刃を回転させることによって、混合物をビーズに切断することができる。移動する水は、ペレットを乾燥エリアまで運ぶことができ、そこでビーズを水から取り出し、乾燥させることができる。
【0121】
混合物が通過するダイ開口部は、得られるビーズの全体的な形状を画定する。ダイ開口部は、ビーズを製造するための任意の形状であってもよく、それらには、長方形、正方形、円形、楕円形、または非対称の形状さえも含まれる。ダイは、発泡性ビーズがビーズとしてダイから出るように、複数の開口部を有することができる。
【0122】
【0123】
本発明によれば、発泡性ビーズを製造するプロセスは、
(a)1種または複数のポリオレフィンを溶融混合デバイス内に供給するステップであって、ポリオレフィンが、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、およびそれらの混合物から選択されるステップと;
(b)前記1種または複数のポリオレフィンを加熱して溶融させるステップと;
(c)ミクロスフェアを前記溶融混合デバイスに投入して、溶融混合デバイス内で1種または複数のポリオレフィンとの混合物を形成するステップと;
(d)ポッドにグループ化された複数の穴を面上に含む加熱されたダイに前記混合物を供給するステップと;
(e)任意選択により加圧流体系を利用し得る水中ペレタイザーに、前記穴を通して前記混合物を押し出すステップと;
(f)前記混合物を切断してビーズを形成するステップと;
(g)前記ビーズを水から取り出すステップと;
(h)前記ビーズを乾燥させるステップと;
を含む。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【
図1】発泡性ビーズを製造するプロセスのためのワンステップ押出装置の模式図である。該装置は、次の要素を含む:1-ポリマーの入口2-発泡剤を含有する熱可塑性ミクロスフェアの入口3-押出機4-溶融ポンプ5-ポリマーダイバータ6-ダイプレート7-切断室8-カッターモータ9-水槽10-水ポンプ11-ペレット乾燥機12-収集容器
【発明を実施するための形態】
【0125】
添加剤
本発明による樹脂組成物中のポリマーおよび樹脂組成物は、添加剤、例えば、核剤および清澄剤、安定剤、離型剤、充填剤、可塑剤、抗酸化剤、潤滑剤、帯電防止剤、耐スクラッチ剤、熱伝導性改質剤、高性能充填剤、顔料および/または着色剤、衝撃改質剤、発泡剤、酸掃去剤、再生用添加剤、カップリング剤、抗菌剤、防曇添加剤、滑剤、粘着防止添加剤、難燃剤、粘土、ならびにポリマー加工助剤を含有してもよい。これらの添加剤は、当技術分野で周知である。当業者であれば、添加剤が組成物の目的の特性に悪影響を及ぼさないように、その種類および量を選択するであろう。
【0126】
核剤
核剤は、数多くの核形成サイトを提供し、その各々が、発泡中に気泡の形成を誘導することができる。核剤は、熱可塑性発泡体における気泡の形態(すなわち、気泡の数、気泡のサイズ、およびその分布)を制御する。
【0127】
核剤の例は、タルク、ケイ酸マグネシウム、カーボンブラック、グラファイト、二酸化チタン、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、アゾジカルボンアミド、および炭酸水素ナトリウムである。ナイロンおよびPPOなどの高分子材料も、核剤として使用されてもよい。すべての核剤は、およそ1マイクロメートル以下の粒子径を有する。
【0128】
好ましくは、発泡性ビーズは核剤を含む。好ましい核剤は、炭酸カルシウムである。
【0129】
発泡性ビーズの発泡および成形プロセス
発泡性ビーズは、2ステッププロセス、すなわち予備発泡および成形で所望の物品に変換することができる。各ビーズは、熱可塑性ポリマー基材と、基材中に分散した、発泡剤をカプセル封入した熱可塑性ミクロスフェアとを含む起泡性ポリマー組成物を構成する。
【0130】
ビーズ予備発泡プロセスは、本発明の高分子ビーズの予備発泡に使用することができる。予備発泡プロセスは、発泡剤を活用して、より大きい体積およびより小さい密度を有する気泡構造の球にビーズの形状を変換することとして要約することができる。
【0131】
そのような予備発泡プロセスは、例えば、蒸気予備発泡、赤外炉および熱風炉発泡を含む。
【0132】
極めて一般的なのは蒸気予備発泡プロセスであり、これは、バッチプロセスであっても連続プロセスであってもよい。蒸気予備発泡プロセスは、当技術分野で周知である。当業者であれば、下流の成形作業および起泡ビーズの意図される用途に基づいてプロセスおよびプロセス条件を選択するであろう。予備発泡中に発泡するビーズを撹拌してビーズの凝集を排除することが不可欠である。したがって、予備発泡の容器には、通常、中央に配置された回転撹拌機と、容器の内側に取り付けられた固定式ブレーカバーとが装着されている。さらに、高圧蒸気を使用して、ビーズが軟化する温度に到達させる、すなわち温度をポリマーの融点付近に上げる必要がある。湿った予備発泡ビーズは流動床に排出され、そこで湿ったビーズは熱風によって乾燥され、その後成形作業のためにサイロに移送される。
【0133】
蒸気箱成形プロセスは一般に、予備発泡ビーズを所望の物品に成形するために使用される。発泡性ポリスチレン(EPS)および発泡PPビーズのための蒸気箱成形プロセスも、当技術分野で周知である。
【0134】
簡単に述べると、蒸気を使用することによりビーズを融着させることによって、ビーズは物品に加工される。粒子は、金型中に供給され、圧縮され、次いで蒸気で灌流される。それによって、ビーズの表面部分が温められ、互いに融着する。融着した物品は金型中で冷却され、次いでそれから取り出される。
【0135】
EPSとは異なり、既存の市販される発泡PPビーズは、発泡剤を全く含有しておらず、成形プロセス中に機械的手段で補償しなければならない。本発明の発泡性ビーズは、この問題を克服することができる。何故なら、これらのビーズは残留する発泡剤を含有して、金型中でさらに発泡することによってビーズの焼結を支援するからである。ビーズは、例えば蒸気を用いない他の融着プロセスによる成形にも適している。
【0136】
所望の形状の物品は、密閉した空隙に圧力下で予備発泡ビーズを充填し、軟化点を上回る温度に加熱することによって作製することができる。この結果として、ビーズのさらなる発泡が起こって自由体積を満たし、結合界面に沿ってビーズを融着させる。冷却期間(圧力の低減)後、成形品は寸法的に安定であり、金型から外される。
【0137】
物品
さらに、本発明は、発泡ビーズまたは物品、好ましくは成形品、好ましくは、
i)自動車部品、好ましくは、バンパー、ステアリングコラムパッド、日よけ板、アームレスト、ヘッドレスト、シート、ホイールハウスライナー、側面衝撃プロテクター、およびバッテリーカバー、ならびに/または
ii)梱包材、好ましくは、輸送の熱および健全な管理の間の温度制御、無菌および損傷保護を必要とする、ダンネージトレイ(dunnage tray)、輸送コンテナ、医療用および食品用コンテナ、ならびに/または
iii)備品、ならびに安全および娯楽用品
のための成形品を製造するための、そのような発泡性ビーズの使用に関する。
【0138】
本発明はまた、蒸気箱成形による物品の製造のための、そのような発泡性ビーズの使用に関することもできる。好ましくは、ビーズは、金型中でさらに発泡することによって焼結する。好ましくは、ビーズは、成形プロセス中に補償される必要がない。
【0139】
さらに、本発明は、発泡性ビーズを成形することによって、物品、好ましくは成形品、好ましくはビーズの融着によって作製される成形品、より好ましくは蒸気箱成形品、より好ましくは自動車部品ならびに/または備品ならびに/または安全および娯楽用品を作製するプロセスに関する。
【0140】
さらに、本発明は、発泡性ビーズを成形することによって、物品、好ましくは成形品、好ましくはビーズの融着によって作製される成形品、より好ましくは蒸気箱成形品、より好ましくは自動車部品ならびに/または備品ならびに/または安全および娯楽用品を作製するプロセスに関し、発泡性ビーズは、
a)ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、およびそれらの混合物から選択されるポリオレフィンと、
b)発泡剤をカプセル封入した熱可塑性ミクロスフェアと、
を含む。
【0141】
好ましくは、プロセスにおいて、バンパー、ステアリングコラムパッド、日よけ板、アームレスト、ヘッドレスト、シート、ホイールハウスライナー、側面衝撃プロテクター、およびバッテリーカバー、ならびに/または梱包材、好ましくは輸送の熱および健全な管理の間の温度制御、無菌および損傷保護を必要とする、ダンネージトレイ、輸送コンテナ、医療用および食品用コンテナが製造される。
【0142】
さらに、本発明は、例えば蒸気箱成形によって物品を作製するプロセスに関し、好ましくは密閉した空隙に予備発泡ビーズを圧力下で充填し、軟化点を上回る温度に加熱し、それによってビーズが結合界面に沿って融着されることによって、所望の形状の物品が作製される。
【0143】
さらに、本発明は、本発明による発泡性ビーズを含む、または本発明によるプロセスによって得ることができる、物品、好ましくは成形品、より好ましくはビーズの融着によって作製される成形品、より好ましくは蒸気箱成形品に関する。
【0144】
本発明はまた、本発明による発泡性ビーズから作製された、または本発明によるプロセスによって得られたもしくは得ることができる発泡性ビーズから作製された、物品、好ましくは成形品、好ましくは蒸気箱成形品に関する。
【0145】
本発明はまた、発泡性ビーズから作製された物品、好ましくは成形品、好ましくはビーズの融着によって作製された成形品、好ましくは蒸気箱成形品に関し、発泡性ビーズは、
a)ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、およびそれらの混合物から選択されるポリオレフィンと、
b)発泡剤をカプセル封入した熱可塑性ミクロスフェアと、
を含む。
【0146】
好ましくは、物品は、本発明による発泡性ビーズから作製された、または本発明によるプロセスによって得られたもしくは得ることができる発泡性ビーズから作製された、自動車用途の部品、例えば、バンパー、ステアリングコラムパッド、日よけ板、アームレスト、ヘッドレスト、シート、ホイールハウスライナー、側面衝撃プロテクター、およびバッテリーカバー、ならびに/または梱包材、例えば、輸送の熱および健全な管理の間の温度制御、無菌および損傷保護を必要とする、ダンネージトレイ、輸送コンテナ、医療用および食品用コンテナである。
【0147】
本発明の発泡性ポリマービーズから作製された起泡ビーズおよび起泡物品は、1立方メートル当たり10から400キログラム(kg/m3)、好ましくは100kg/m3以下、より一層好ましくは50kg/m3以下の範囲内の密度を有することができる。
【0148】
典型的には、本発明の発泡性ポリマービーズから作製された起泡ビーズおよび起泡物品は、取り扱い中の機械的完全性を確保するために、10kg/m3以上、好ましくは20kg/m3以上、好ましくは30kg/m3以上の密度を有する。最も好ましくは、密度は、30から50kg/m3の範囲内である。起泡ビーズおよび起泡物品の密度を低くすると、製造および輸送のコストを削減するだけでなく、取り扱いを容易にするためにも望ましい。発泡体密度は、ISO845-95の方法によって決定される。
【0149】
本発明の発泡性ビーズから作製された起泡ビーズおよび起泡物品の連続気泡含有量は、30%以下、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下、さらにより好ましくは2%以下であり得る。連続気泡含有量は、1%以下、または0%でさえあってもよい。連続気泡含有量は、ASTM D6226-05の方法によって決定される。
【0150】
本発明を、これから以下の非限定的な実施例によって説明する。
【0151】
実施例
材料
表1に挙げる材料を使用した。
【表1】
【0152】
測定方法
ビーズの直径は、ISO13322-1(2014)によって顕微鏡写真から直接測定する。ビーズを標準的なスライドに付し、Olympus 510デジタル光学顕微鏡によって見る。少なくとも50個のビーズの画像を反射光モードで記録する。ビーズの直径D1とD2を両方、画像解析ソフトウェアImage Jを使用して測定する。
【0153】
未処理ビーズのかさ密度は、1または2リットルのシリンダーを使用し、ビーズをシリンダー内に全容量になるまで収集して測定する。その表面をシリンダーに対して水平に合わせ、ビーズの重量を計る。
【0154】
発泡ビーズのかさ密度も、1または2リットルのシリンダーを使用し、発泡ビーズをシリンダー内に全容量になるまで収集して測定する。その表面をシリンダーに対して水平に合わせ、発泡ビーズの重量を計る(これらのビーズには、凝集粒子または塊があってはならない)。
【0155】
ビーズの調製
発泡性ビーズは、Berstorff製の二軸スクリュー押出機、およびNordson BKG製の水中ペレット製造システムを使用して調製した。表2の条件を適用した。
【表2】
【0156】
ビーズの発泡
下の表に報告する発泡データは、熱風炉を使用して生成する。炉を180℃に予熱し、既知の分量のビーズを開口したアルミニウム皿に入れて、炉に入れた。所定の時間の後、試料を炉から取り出し、定量の容器を使用してビーズのかさ密度を測定した。
【表3a】
【表3b】
【表4】
【表5】
【表6a】
【表6b】
【0157】
ビーズの貯蔵寿命は、製品を室温で様々な時間間隔で貯蔵した後にビーズを予備発泡(または成形)することによって実証した。予備発泡(または成形)実験は、新鮮なビーズを使用した実験と同一の条件で実施した。これらの結果を表7に示す。
【表7】
【0158】
上に提示した結果から、PPおよびミクロスフェアの組成物、またはPPと他のポリオレフィンとのブレンドおよびミクロスフェアの組成物を使用して発泡性ビーズを作製するプロセスの実現可能性が明白に実証される。
【0159】
表7の結果から、ビーズが貯蔵安定であることが示される。この状況における貯蔵安定とは、ビーズをある特定の期間その特性を喪失させることなく貯蔵することができることを意味する。特にこれが意味するのは、ビーズは起泡して発泡し得、そして同じプロセス条件が使用される限り、ビーズが製造された直後に起泡したときと同じ結果を有することである。
【0160】
ビーズの調製直後と未発泡のビーズを少なくとも6ヵ月間貯蔵した後とで、発泡によって同じ低いかさ密度を実現することが可能であった。これは、ビーズを発泡させる前にそれを未発泡の状態で貯蔵および輸送できることを意味する。これは極めて大きな利点であり、これによって輸送コストが節約される。
【国際調査報告】