(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-31
(54)【発明の名称】3Dバイオプリンタ用のプリントヘッドアセンブリ
(51)【国際特許分類】
C12M 1/00 20060101AFI20220124BHJP
C12M 3/00 20060101ALI20220124BHJP
【FI】
C12M1/00 A
C12M3/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021532110
(86)(22)【出願日】2019-12-06
(85)【翻訳文提出日】2021-06-25
(86)【国際出願番号】 AU2019051336
(87)【国際公開番号】W WO2020113280
(87)【国際公開日】2020-06-11
(32)【優先日】2018-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518022570
【氏名又は名称】インベンティア ライフ サイエンス プロプライアタリー リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100170852
【氏名又は名称】白樫 依子
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー セクストン
(72)【発明者】
【氏名】エイデン オーマホニー
(72)【発明者】
【氏名】ザカリー アーティスト
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム リム
(72)【発明者】
【氏名】サミュエル マイヤーズ
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA27
4B029BB11
4B029CC03
4B029DG10
4B029GB01
4B029GB02
4B029GB10
(57)【要約】
3Dバイオプリンタに適するプリントヘッドアセンブリ(100)であって、少なくとも一つのリザーバ(106)、少なくとも一つのリザーバ(106)と流体連通し、流体を少なくとも一つのリザーバ(106)に誘導するように構成されたサンプルローディングシステム(102)、及び、少なくとも一つのリザーバ(106)と流体連通し、少なくとも一つのリザーバ(106)から流体を分配するように構成された少なくとも一つの分配口(126)を有する分配システム(103)、を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3Dバイオプリンタに適するプリントヘッドアセンブリであって、
リザーバ、
前記リザーバと流体連通し、流体を前記リザーバに誘導するように構成されたサンプルローディングシステム、及び
前記リザーバと流体連通し、前記リザーバから流体を分配するように構成された分配口を有する分配システム、を含む、プリントヘッドアセンブリ。
【請求項2】
前記リザーバは複数のリザーバの一つであり、
前記サンプルローディングシステムは、各リザーバと流体連通し、流体を前記複数のリザーバのいずれか一つに誘導するように構成され、
前記分配口は、複数の分配口の一つであり、
各分配口は、前記複数のリザーバの一つと流体連通し、各リザーバから流体を分配するように構成される、請求項1に記載のプリントヘッドアセンブリ。
【請求項3】
前記サンプルローディングシステムは、容器から流体を引き出し、前記流体で前記複数のリザーバのいずれか一つをプライミングするように構成される、請求項2に記載のプリントヘッドアセンブリ。
【請求項4】
前記サンプルローディングシステムは、前記複数のリザーバと流体連通するマニホールドを含み、前記マニホールドは、流体を前記複数のリザーバのいずれか一つに誘導するように構成される、請求項2又は3に記載のプリントヘッドアセンブリ。
【請求項5】
前記サンプルローディングシステムは、複数のプライミング流体ラインを更に含み、各プライミング流体ラインは、流体連通している一つのリザーバを前記マニホールドに結合する、請求項4に記載のプリントヘッドアセンブリ。
【請求項6】
各リザーバは、リザーバ出口とリザーバ入口とを有し、
各分配口は、前記複数のリザーバの一つにおける前記リザーバ出口と流体連通し、
各プライミング流体ラインは、前記マニホールド、及び前記複数のリザーバの一つにおける前記リザーバ入口と流体連通している、
請求項5に記載のプリントヘッドアセンブリ。
【請求項7】
前記各分配口は、分配流体ラインにより前記複数のリザーバの一つにおける前記リザーバ出口に流体連通で結合される、請求項6に記載のプリントヘッドアセンブリ。
【請求項8】
前記各分配流体ラインは、粒子が前記各分配口に沈降することを低減するように構成された粒子トラップを含む、請求項7に記載のプリントヘッドアセンブリ。
【請求項9】
前記粒子トラップは、前記分配流体ラインにおける一つ以上のループである、請求項8に記載のプリントヘッドアセンブリ。
【請求項10】
前記各プライミング流体ラインは、流体が前記マニホールドから前記各リザーバに流れることを可能にする開放構成と、流体が前記マニホールドから前記各リザーバに流れるのを防ぐ閉鎖構成と、を有する弁を含む、請求項5~9のいずれか1項に記載のプリントヘッドアセンブリ。
【請求項11】
前記サンプルローディングシステムは、前記マニホールドの入口と流体連通で結合され、流体を前記サンプルローディングシステムに引き込み、流体を前記サンプルローディングシステムから前記リザーバのいずれか一つにポンプで送り込むように構成されたポンプを含む、請求項3~10のいずれか1項に記載のプリントヘッドアセンブリ。
【請求項12】
前記サンプルローディングシステムは、前記マニホールドの前記入口と流体連通し、容器から流体を引き出すために前記容器に挿入されるように構成されるニードルを更に含む、請求項11に記載のプリントヘッドアセンブリ。
【請求項13】
前記サンプルローディングシステムは、前記ニードルを前記容器に挿入して前記容器から流体を引き出し、前記ニードルを前記容器から引き抜くように構成されたアクチュエータを更に含む、請求項12に記載のプリントヘッドアセンブリ。
【請求項14】
前記各リザーバは、加圧ガス源に流体連通で結合され、前記各リザーバを加圧するように構成される、請求項1~13のいずれか1項に記載のプリントヘッドアセンブリ。
【請求項15】
前記各リザーバは、圧力調整器に結合され、各リザーバ内の圧力を調整するように構成される、請求項14に記載のプリントヘッドアセンブリ。
【請求項16】
前記各分配口は、各リザーバから流体を分配することを可能にする開放構成と、流体が各リザーバから分配されるのを防ぐ閉鎖構成と、を有するノズルである、請求項2~15のいずれか1項に記載のプリントヘッドアセンブリ。
【請求項17】
細胞を印刷する3Dバイオプリンタであって、
請求項1~16のいずれか1項に記載のプリントヘッドアセンブリ、
3D細胞構造を制作できる基板を配置する印刷ステージ、及び
カートリッジレセプタクル、を含む、バイオプリンタ。
【請求項18】
前記プリントヘッドアセンブリ、前記印刷ステージ、及び前記カートリッジレセプタクルが配置されるハウジングを更に含む、請求項17に記載のバイオプリンタ。
【請求項19】
前記ハウジングは、前記バイオプリンタの内部へのアクセスを可能にする開放位置と、前記バイオプリンタの内部へのアクセスを防止する閉鎖位置とを有するアクセスドアを含む、請求項18に記載のバイオプリンタ。
【請求項20】
各リザーバ内の圧力を調整するために各リザーバに流体連通で結合され、各リザーバを加圧するための加圧ガス源に流体連通で結合されるように構成された圧力調整システムを更に含む、請求項17~19のいずれか1項に記載のバイオプリンタ。
【請求項21】
前記ハウジング内に配置され、前記ハウジング内に気流を引導するように構成された気流システムを更に含む、請求項18~20のいずれか1項に記載のバイオプリンタ。
【請求項22】
前記カートリッジレセプタクルと前記印刷ステージとが配置されるホルダを更に含む、請求項17~21のいずれか1項に記載のバイオプリンタ。
【請求項23】
軌道を有する第1位置決め部を更に含み、前記第1位置決め部は、前記ホルダに結合され、その軌道に沿って前記ホルダの位置決めを行うように構成される、請求項22に記載のバイオプリンタ。
【請求項24】
軌道を有する第2位置決め部を更に含み、前記第2位置決め部は、前記プリントヘッドアセンブリに結合され、その軌道に沿って前記プリントヘッドアセンブリの位置決めを行うように構成される、請求項17~23のいずれか1項に記載のバイオプリンタ。
【請求項25】
請求項1~17のいずれか1項に記載のプリントヘッドの分配システムから複数の流体液滴を分配することにより三次元(3D)細胞構造を印刷する方法。
【請求項26】
請求項17~24のいずれか1項に記載のバイオプリンタの分配システムから複数の流体液滴を基板上に分配することにより三次元(3D)細胞構造を制作する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2018年12月6日に出願され、本願に援用されているオーストラリア仮特許出願第2018904641号に対して優先権を主張するものである。
【0002】
この技術は、細胞や試薬の印刷に適する3Dプリンタ用のプリントヘッドアセンブリに関連している。
【背景技術】
【0003】
体外細胞生物学の主力は、初代細胞又は不死化細胞をプラスチックやガラスの表面に単純に播種する細胞培養である。細胞増殖、分化、外部刺激に対する応答など、多くの細胞特性は、体内の2D環境における細胞と3D環境における細胞とでは根本的に異なる。特に医薬品開発や精密医療プログラムの場合、3D動物環境をより良く反映し、動物実験の失敗を低減し得る細胞培養条件が非常に有利となる。
【0004】
例えば、癌細胞生物学において、3Dモデルは、2D細胞培養モデルと比べて、低酸素領域、化学的因子と生物学的因子の勾配分布、血管新生促進、多剤耐性タンパク質の発現など、より多くの体内腫瘍様の特徴を示す。
【0005】
このため、3D多細胞モデルは一般的に、より多く使われる2D細胞培養よりも優れた体内システムのモデルと見なされている。また、多細胞生物学におけるほとんどの細胞構造は、三次元的に組織化されている。
【0006】
多くの3Dバイオプリンタが市販されており、例えば、EnvisionTECの3D-Bioplotter(登録商標)、GeSiMのBioScaffolder、CellinkのBio X、RegenHUのBioFactory(登録商標)、BioBotsのBioBot 2などが挙げられる。市販の3Dバイオプリンタは、最も一般的には、マイクロ押出、サーマルインクジェット、又は圧電インクジェット技術に基づいている。市販の3Dバイオプリンタに最も一般的に採用される構成は、カートリッジ(例えばNordson Optimum(登録商標)Syringe Barrelsなど)を使用して物質をプリンタにロードする構成である。このようなカートリッジは、多くの場合、単一のプリントヘッドに結合される。よって、カートリッジの充填、取り扱い、取り付け、及び取り外しの際には、無菌状態を維持し難い。
【0007】
3Dバイオ印刷アプリケーション用の臓器又は組織アーキテクチャの3Dモデルの設計は、主に、
(a)データ収集のための非侵襲的医用画像技術(例:コンピュータ断層撮影(CT)や磁気共鳴画像(MRI))、並びに
(b)情報のデジタル化、3Dレンダリングされたモデルの生成、2D断面画像の生成に用いられるコンピュータ支援設計・コンピュータ支援製造(CAD-CAM)ツール及び数学的モデリング、に基づいている。
【0008】
3D細胞培養モデルを、調整性、再現性、高い費用効果を有する方法で創薬、個別化医療、一般細胞生物学に適用できるツールと技術が必要である。
【0009】
本発明者らは、細胞及び試薬の印刷に適する3Dバイオプリンタ用プリントヘッドアセンブリを開発した。
【発明の概要】
【0010】
第1の態様では、3Dバイオプリンタに適するプリントヘッドアセンブリであって、
リザーバ、
リザーバと流体連通し、流体をリザーバに誘導するように構成されたサンプルローディングシステム、及び
リザーバと流体連通し、リザーバから流体を分配するように構成された分配口を有する分配システム、を含む、プリントヘッドアセンブリを提供する。
【0011】
一実施形態において、
リザーバは複数のリザーバの一つである。
サンプルローディングシステムは、各リザーバと流体連通し、流体を複数のリザーバのいずれか一つに誘導するように構成される。
分配口は、複数の分配口の一つである。
各分配口は、前記複数のリザーバの一つと流体連通し、各リザーバから流体を分配するように構成される。
【0012】
一実施形態において、サンプルローディングシステムは、容器から流体を引き出し、当該流体で複数のリザーバのいずれか一つをプライミングするように構成される。
【0013】
一実施形態において、サンプルローディングシステムは、複数のリザーバと流体連通するマニホールドを含み、当該マニホールドは、流体を複数のリザーバのいずれか一つに誘導するように構成されている。
【0014】
一実施形態において、サンプルローディングシステムは、複数のプライミング流体ラインを更に含み、各プライミング流体ラインは、流体連通している一つのリザーバをマニホールドに結合する。
【0015】
一実施形態において、
各リザーバは、リザーバ出口とリザーバ入口とを有し、
各分配口は、複数のリザーバの一つにおけるリザーバ出口と流体連通し、
各プライミング流体ラインは、マニホールド、及び複数のリザーバの一つにおけるリザーバ入口と流体連通している。
【0016】
一実施形態において、各分配口は、分配流体ラインにより複数のリザーバの一つにおけるリザーバ出口に流体連通で結合される。
【0017】
一実施形態において、各分配流体ラインは、粒子が各分配口に沈降することを低減するように構成された粒子トラップを含む。
【0018】
一実施形態において、粒子トラップは、分配ラインにおける一つ以上のループにより形成される。
【0019】
一実施形態において、各プライミング流体ラインは、
流体がマニホールドから各リザーバに流れることを可能にする開放構成と、
流体がマニホールドから各リザーバに流れるのを防ぐ閉鎖構成と、を有する弁を含む。
【0020】
一実施形態において、サンプルローディングシステムは、マニホールドの入口と流体連通で結合され、流体をサンプルローディングシステムに引き込み、流体をサンプルローディングシステムからリザーバのいずれか一つにポンプで送り込むように構成されたポンプを含む。
【0021】
一実施形態において、サンプルローディングシステムは、マニホールドの入口と流体連通するマニホールド弁を含み、当該マニホールド弁は、
流体がマニホールドの入口を通ってマニホールドに流入することを可能にする開放構成と、
流体がマニホールドの入口を通ってマニホールドに流入することを防止する閉鎖構成と、を有する。
【0022】
一実施形態において、閉鎖構成のマニホールド弁は、マニホールドの入口を通ってマニホールドから流体が流出することを防止する。
【0023】
一実施形態において、サンプルローディングシステムは、マニホールドの入口と流体連通し、容器から流体を引き出すために容器に挿入されるように構成されるニードルを更に含む。
【0024】
一実施形態において、サンプルローディングシステムは、ニードルを容器に挿入して容器から流体を引き出し、ニードルを容器から引き抜くように構成されたアクチュエータを更に含む。
【0025】
一実施形態において、マニホールドは、マニホールドの出口から流出する流体を検出するように構成されたセンサを有する。
【0026】
一実施形態において、各リザーバは、加圧ガス源に流体連通で結合され、各リザーバを加圧するように構成される。
【0027】
一実施形態において、各リザーバは、 圧力調整器に結合され、各リザーバ内の圧力を調整するように構成される。
【0028】
一実施形態において、各分配口は、
各リザーバから流体を分配することを可能にする開放構成と、
流体が各リザーバから分配されるのを防ぐ閉鎖構成と、を有するノズルである。
【0029】
一実施形態において、プリントヘッドアセンブリは、各リザーバ、サンプルローディングシステム、及び分配システムが配置されているハウジングを更に含む。
【0030】
一実施形態において、サンプルローディングシステムは、ポンプと流体連通で結合され、当該ポンプは、流体をサンプルローディングシステムに引き込み、流体をサンプルローディングシステムからリザーバのいずれか一つにポンプで送り込むように構成される。
【0031】
一実施形態において、プリントヘッドアセンブリは、プリントヘッドアセンブリの動作を制御するように構成された電子機器アセンブリを更に含む。
【0032】
第2の態様では、細胞を印刷する3Dバイオプリンタであって、
第1の態様によるプリントヘッドアセンブリ、
3D細胞構造を制作できる基板を配置する印刷ステージ、及び
カートリッジレセプタクルを含む、バイオプリンタを提供する。
【0033】
細胞を印刷する3Dバイオプリンタが開示され、当該バイオプリンタは、
第1の態様によるプリントヘッドアセンブリ、
3D細胞構造を制作できる基板を配置する印刷ステージ、
カートリッジレセプタクル、及び
サンプルローディングシステムと流体連通し、流体をサンプルローディングシステムに引き込み、流体をサンプルローディングシステムからリザーバのいずれか一つにポンプで送り込むように構成されたポンプ、を含む。
【0034】
一実施形態において、バイオプリンタは、プリントヘッドアセンブリ、印刷ステージ、及びカートリッジレセプタクルが配置されるハウジングを更に含む。
【0035】
一実施形態において、ハウジングは、バイオプリンタの内部へのアクセスを可能にする開放位置と、バイオプリンタの内部へのアクセスを防止する閉鎖位置とを有するアクセスドアを含む。
【0036】
一実施形態において、バイオプリンタは、各リザーバ内の圧力を調整するために各リザーバに流体連通で結合され、各リザーバを加圧するための加圧ガス源に流体連通で結合されるように構成された圧力調整システムを更に含む。
【0037】
一実施形態において、圧力調整システムは、圧力調整システムを加圧ガス源に流体連通で結合するように構成されたコネクタを含む。
【0038】
一実施形態において、コネクタはハウジングから突出している。
【0039】
一実施形態において、圧力調整システムは、各リザーバと流体連通し、加圧ガス源に流体連通で結合されるように構成されたレギュレータマニホールドを含む。
【0040】
一実施形態において、各リザーバは、圧力調整器によってレギュレータマニホールドに流体連通で結合され、各圧力調整器は、それぞれのリザーバ内の圧力を調整するように構成される。
【0041】
一実施形態において、流体連通のポンプをサンプルローディングシステムに結合し、流体連通の各リザーバを圧力調整システム及びポンプに結合するセレクタ弁を更に含む。
【0042】
一実施形態において、バイオプリンタは、ハウジング内に配置され、ハウジング内に気流を引導するように構成された気流システムを更に含む。
【0043】
一実施形態において、気流システムは、印刷ステージ及びカートリッジレセプタクルの下に空気を引き込むように構成される。
【0044】
一実施形態において、気流システムは、ハウジング内に気流を引導するブロワを含む。
【0045】
一実施形態において、気流システムは、少なくとも一つの高効率粒子捕獲フィルタを含む。
【0046】
一実施形態において、バイオプリンタは、カートリッジレセプタクルと印刷ステージとが配置されているホルダを更に含む。
【0047】
一実施形態において、バイオプリンタは、軌道を有する第1位置決め部を更に含み、第1位置決め部は、ホルダに結合され、その軌道に沿ってホルダの位置決めを行うように構成される。
【0048】
一実施形態において、バイオプリンタは、軌道を有する第2位置決め部を更に含み、第2位置決め部は、プリントヘッドアセンブリに結合され、その軌道に沿ってプリントヘッドアセンブリの位置決めを行うように構成される。
【0049】
一実施形態において、第1位置決め部の軌道は、第2位置決め部の軌道に対して少なくとも略垂直に延在する。
【0050】
一実施形態において、バイオプリンタは、バイオプリンタの動作を制御する制御システムを更に含む。
【0051】
一実施形態において、制御システムはリーダを含み、当該制御システムはリーダを用いてカートリッジレセプタクルに挿入されたカートリッジの識別子を読み取り、カートリッジに関する情報を取得するように構成される。
【0052】
一実施形態において、カートリッジに関する情報は、カートリッジに含まれる流体、特定の流体が配置される容器、カートリッジの使用の有無、及び/又はカートリッジが未使用であるか否かに関する情報を含む。
【0053】
一実施形態において、リーダは、無線周波数識別(RFID)リーダであり、識別子は、RFIDタグ又はラベルである。
【0054】
一実施形態において、リーダは読み取り/書き込みRFIDリーダであり、識別子は書き換え可能なRFIDタグ又はラベルであり、制御システムは、読み取り/書き込みRFIDリーダを用いて書き換え可能なRFIDタグ又はラベル、及び書き込み/書き換え可能なRFIDタグ又はラベルの情報から情報を取得するように構成される。
【0055】
一実施形態において、制御システムは、ユーザが特定の印刷ジョブのために制御システムに情報及び制御命令を入力できるように構成されたユーザインターフェースを含む。
【0056】
第3の態様では、第1の態様によるプリントヘッドの分配システムから複数の流体液滴を分配することにより三次元(3D)細胞構造を印刷する方法を提供する。
【0057】
第4の態様では、第2の態様によるバイオプリンタの分配システムから複数の流体液滴を分配することにより三次元(3D)細胞構造を制作する方法を提供する。
【0058】
本技術の利点は、3D細胞構造の印刷や形成を行った後に細胞の生存率や活性を損なうことなく、細胞を印刷できることである。
定義
【0059】
本明細書において、文脈が明らかに異なる場合を除き、「含む(comprise)」、或いは「含んで」、「含み」などの派生表現は、記載された要素、整数又はステップ、或いは要素、整数又はステップの群を含むが、他の要素、整数又はステップ、或いは要素、整数又はステップの群を除外するものではない。
【0060】
本明細書において、「からなる(consisting of)」という表現は、当該要素のみで構成されることを意味する。
【0061】
本明細書に含まれている文書、行為、材料、装置、物品などに関する論議は、本技術の背景を供することのみを目的とする。これらの説明の一部又は全部が先行技術の一部を形成する、或いは、本明細書の各請求項の優先日より先だって存在していた本技術に関連する分野の一般常識であると認めるものではない。
【0062】
文脈上別途の定めがない限り、又は特に反対の記載がない限り、本明細書においてある技術の整数、ステップ又は要素が単数として記載されている場合は、整数、ステップ又は要素の単数形と複数形の両方を明確に包括するものと見なす。
【0063】
本明細書の文脈において、「a」と「an」は、冠詞の文法的目的語が一つ、又はそれ以上(つまり少なくとも一つ)であることを指すために用いられる。例えば、「an element」とは、要素が一つ又は複数であることを意味する。
【0064】
本明細書の文脈において、「約(about)」とは、数字又は値を言及するとき、絶対的な数字又は値として解釈されてはならず、本技術分野に対する当業者の理解に従って数字又は値の前後のものを網羅することを意味する。これには、一般的な許容誤差や機器の制限範囲が含まれる。言い換えれば、「約」とは、当業者が同じ機能や結果を達成できるという面で提示された値と同等であると見なす範囲又は近似値を指すものである。
【0065】
当業者は、本明細書に記載されている技術が、具体的に記載されていない限り、変更や修正を行い得ることを理解するはずである。本技術には、変更や修正も全て含まれることに留意されたい。誤解を避けるために、本技術は、本明細書にて参照や提示されるステップ、特長、化合物を、個別的に、或いは集合的に、全て網羅し、更には、上記のステップ、特長、化合物の2つ以上の組み合わせも全て含む。
【図面の簡単な説明】
【0066】
次に、本発明の好ましい実施形態を単なる例示として、添付の図面を参照して説明する。
【0067】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態によるプリントヘッドアセンブリ、カートリッジ、基板、当該プリントヘッドアセンブリと共に使用し得るバイオプリンタのホルダの等角図である。
【0068】
【
図2】
図2は、アクセスパネルが取り外された
図1のプリントヘッドアセンブリの等角図である。
【0069】
【
図3】
図3は、
図1のプリントヘッドアセンブリの等角図であり、プリントヘッドアセンブリのハウジングが省略されている。
【0070】
【
図4】
図4は、アクセスパネルが取り外された
図1のプリントヘッドアセンブリの正面図である。
【0071】
【
図5】
図5は、
図1のプリントヘッドアセンブリの底面図である。
【0072】
【
図6】
図6は、
図1のプリントヘッドアセンブリを含むバイオプリンタの正面等角図である。
【0073】
【0074】
【
図8】
図8は、
図6のバイオプリンタの正面等角図であり、バイオプリンタのハウジングとプリントヘッドアセンブリのハウジングは、輪郭のみで描かれている。
【0075】
【0076】
【0077】
【
図11】
図11は、
図1のプリントヘッドアセンブリと、
図6のバイオプリンタの位置決め部、圧力調整システム、セレクタ弁を示す正面等角図である。
【0078】
【
図12】
図12は、
図6のバイオプリンタの背面等角図であり、バイオプリンタのハウジングは、輪郭のみで描かれている。
【0079】
【
図13】
図13は、
図1のプリントヘッドアセンブリと、
図6のバイオプリンタの位置決め部、圧力調整システム、セレクタ弁を示す背面等角図である。
【0080】
【
図14】
図14は、ポンプ、セレクタ弁、プリントヘッド本体のないプリントヘッド、
図6のバイオプリンタのカートリッジの背面等角図である。
【0081】
【
図15】
図15は、ポンプ、セレクタ弁、プリントヘッド本体のないプリントヘッド、
図6のバイオプリンタのカートリッジの正面等角図である。
【0082】
【0083】
【0084】
【0085】
【0086】
【
図20】
図20は、
図6のバイオプリンタのグラフィカルユーザインターフェース(GUI)のスクリーンショットである。
【0087】
【0088】
【
図22】
図22は、
図6のバイオプリンタを用いて三次元細胞構造を制作するためのフローチャートである。
【0089】
【
図23】
図23は、本発明の第2の実施形態によるプリントヘッドアセンブリの正面図である。
【0090】
【0091】
【
図25】
図25は、
図23のプリントヘッドアセンブリの等角図であり、プリントヘッドアセンブリのハウジングが省略されている。
【0092】
【0093】
【0094】
【0095】
【0096】
【0097】
【
図31】
図31は、
図1及び
図23のプリントヘッドアセンブリの分配口に沈降する細胞を低減する一実施形態による分配ラインの別の例示を示す。
【発明を実施するための形態】
【0098】
プリントヘッドアセンブリの第1の例示的実施形態
【0099】
図1~
図5は、本発明の第1実施形態によるプリントヘッドアセンブリ100を示している。プリントヘッドアセンブリ100は、第1及び第2リザーバセット101、サンプルローディングシステム102、分配システム103を有し、これらは全て、プリントヘッドハウジング104内に配置される。プリントヘッドハウジング104のアクセスパネル105を取り外すと、第1及び第2リザーバセット101、サンプルローディングシステム102、分配システム103へのアクセスが可能になる。リザーバ101の第1及び第2セットは共に、四つのリザーバ106を有するが、各リザーバセット101は、四つを超えるリザーバ106を備えてもよく、それ未満であってもよい。
【0100】
図3を参照すると、各リザーバ106は、略垂直に延在する長手方向軸107、リザーバ106の上部に配置されるキャップ108、リザーバ106の下部領域に配置されるリザーバ出口109、リザーバ出口109の上方に所定の高さに配置されるリザーバ入口110を有する。各リザーバ106において、キャップ108、リザーバ出口109、リザーバ入口110は、リザーバ106の内部と流体連通している。
【0101】
図3~
図5を参照すると、サンプルローディングシステム102は、第1及び第2のサブシステム111を有する。各サブシステム111は、第1セット又は第2セットのリザーバ101と流体連通している。サンプルローディングシステム102の各サブシステム111は、ニードル112、マニホールド弁113、プライミングマニホールド114を含む。各プライミングマニホールド114は、マニホールド入口115及びマニホールド出口116を有する。各サブシステム111について、ニードル112は、流体ライン118によりマニホールド弁113と流体連通で結合され、マニホールド弁113は、流体ライン119によりプライミングマニホールド114のマニホールド入口115に流体連通で結合される。従って、各サブシステム111について、ニードル112、マニホールド弁113、プライミングマニホールド114は、全て互いに流体連通している。
【0102】
各サブシステム111のマニホールド弁113は、開放構成と閉鎖構成を有する。開放構成において、各サブシステム111のマニホールド弁113は、流体がニードル112からマニホールド入口115を通ってプライミングマニホールド114に流れることを可能にする。閉鎖構成では、各サブシステム111のマニホールド弁113は、流体がニードル112からマニホールド入口115に流入することを防止し、更には、流体がプライミングマニホールド114からマニホールド入口115を通ってニードル112に向かって流出することを防止する。マニホールド弁113は通常は閉鎖状態のソレノイド弁であってもよいが、当技術分野で周知のその他の弁/ノズルを使用してもよい。
【0103】
図2~
図4を参照すると、センサ117は、それぞれのプライミングマニホールド114のマニホールド出口116に配置される。各プライミングマニホールド114について、センサ117は、マニホールド出口116を通ってプライミングマニホールド114から流出される流体を検出するように構成される。或いは、各プライミングマニホールド114について、センサ117をマニホールド入口115に配置し、マニホールド入口115を通ってプライミングマニホールド114に流入する流体を検出するように構成してもよい。各プライミングマニホールド114について、マニホールド入口115に配置され、マニホールド入口115を通ってプライミングマニホールド114に流入する流体を検出するように構成されたセンサ117と、マニホールド出口116に配置され、マニホールド出口116を通ってプライミングマニホールド114から流出する流体を検出するように構成されたセンサ117とを想定することができる。センサ117は、光学センサであってもよいが、当該技術分野で周知のその他のセンサを使用してもよい。
【0104】
各リザーバ106のリザーバ入口110は、逆止弁121を有するプライミング流体ライン120によって、流体連通においてプライミングマニホールド114の一つに結合される。各プライミング流体ライン120について、逆止弁121は、開放位置及び閉鎖位置を有する。開放位置において、逆止弁121は、流体がそれぞれのプライミングマニホールド114からプライミング流体ライン120を通ってそれぞれのリザーバ106に流れることを可能にする。閉鎖位置において、逆止弁121は、流体がプライミング流体ライン120からそれぞれのプライミングマニホールド114に流出することを防止し、それぞれのプライミングマニホールド114からそれぞれのプライミング流体ライン120に流出することを防止する。逆止弁121と同じ、或いは同様の機能を実行できる、当技術分野で周知のその他の弁を使用することも想定できる。例えば、制御システムを介して開閉できるアクティブ弁を使用してもよい。
【0105】
サンプルローディングシステム102の各サブシステム111は、リザーバセット101の一つと流体連通し、ニードル112から各リザーバセット101におけるリザーバ106のいずれか一つに流体を誘導できることに留意されたい。
【0106】
図4及び
図5を参照すると、サンプルローディングシステム102は、二つのニードル112に結合されたアクチュエータ122を有する。アクチュエータ122は、ニードル112のポイント123がプリントヘッドハウジング104の開口部124から突出するようにニードル112を前進させるように構成される。アクチュエータ122はまた、ニードル112のポイント123がプリントヘッドハウジング104内に配置されるように、開口部124を通してニードル112をプリントヘッドハウジング104内に引き戻すように構成される。アクチュエータ122は、ニードル112を同時に前進及び後退させるものとして説明及び図示されているが、各ニードル112が独立して前進及び後退できるように、各ニードル112がアクチュエータ122を有し得ることも想定される。
【0107】
図3及び
図5を参照すると、分配システム103は、複数の分配流体ライン125を含み、各分配流体ラインは、リザーバ106の一つのリザーバ出口109と流体連通で結合されている。各分配流体ライン125に流体連通で結合されているのは、通常は閉鎖構成及び開放構成を有するノズルの形態の分配口126である。各分配流体ライン125について、分配口126が開放構成であると、流体は、分配口126から分配されるために、リザーバ出口109を通り、分配流体ライン125を通り、それぞれのリザーバ106から流出することができる。各分配流体ライン125について、分配口126が閉鎖構成であると、流体が分配口126から分配されるのが防止される。各分配口126は、マイクロソレノイド弁であってもよいが、当技術分野で周知のその他の弁を使用してもよい。
【0108】
図5を参照すると、分配口126は、各分配口126が穴127を通してプリントヘッドアセンブリ100から流体を分配するように構成されるように、プリントヘッドハウジング104の穴127と整列される。
【0109】
図3を参照すると、各リザーバ106について、分配流体ライン125の体積、及びリザーバ106内のリザーバ入口110とリザーバ出口109との間の体積が、所定の体積を定義する。所定の体積は、各リザーバ106について、リザーバ出口109とリザーバ入口110との間の高さの差をそれぞれ増加又は減少させることによって増加又は減少させることができる。所定の体積はまた、分配流体ライン125の体積を増加又は減少させることによって増加又は減少させることができる。所定の体積を増加させた場合、リザーバ106内を流れる流体が各プライミング流体ライン120に後退することを低減し、場合によっては防止することができる。
【0110】
プリントヘッドアセンブリ100は、各マニホールド弁113、各センサ117、各分配口126、及びアクチュエータ122に電気的に接続された電子機器アセンブリ129を更に備える。電子機器アセンブリ129は、各マニホールド弁113及び各分配口126をそれぞれの開放構成と閉鎖構成の間で移動させるように構成される。電子機器アセンブリ129はまた、アクチュエータ122を制御して、ニードル112のポイント123をプリントヘッドハウジング104から前進させ、またニードル112のポイント123をプリントヘッドハウジング104に後退させるように構成される。
【0111】
電子機器アセンブリ129は、電子機器アセンブリ129を制御システム272(以下で説明する)に電気的に接続するように構成された電気ポート130を有する。電子機器アセンブリ129はまた、プリントヘッドアセンブリ100の内部又は外部にある他の電気機器に電気的に接続することができる電気コネクタ131を有する。電子機器アセンブリ129は、電気コネクタ131を含んでも含まなくてもよい。
【0112】
図6~
図8は、プリントヘッドアセンブリ100を使用して三次元(3D)細胞構造を制作するためのバイオプリンタ200を示す。バイオプリンタ200は、3D細胞構造を印刷するためのプリントヘッドアセンブリ100、取り外し可能なカートリッジ232、及び3D細胞構造がその上/内に印刷される取り外し可能な基板233を有する。プリントヘッドアセンブリ100、カートリッジ232、基板233は、ハウジング234内に配置されている。
【0113】
図9及び
図10を参照すると、カートリッジ232は、トレイ235、ベース236、ベース236と取り外し可能に係合するように構成された蓋237を備える。
【0114】
トレイ235は、複数の密封容器238、複数の非密封容器239、洗浄容器240、廃棄物スロット241を有する。複数の密封容器238のそれぞれは、例えば、バイオインク、又は活性剤などの流体を含み得る(これらは、下記でより詳細に説明される)。複数の非密封容器239は、例えば、細胞懸濁液、細胞培養培地、細胞インク、細胞培養溶液、又は溶液中の薬物など、ユーザにより選択された流体を受け入れるように構成される。洗浄容器240は、例えば、水やエタノールなどの洗浄液を含む。
【0115】
複数の密封容器238及び洗浄容器240は、トレイ235に結合されたシール242によって密封されている。シール242は、トレイ235上にヒートシールされたフィルムであってもよいが、複数のシールされた容器238及び洗浄容器240を密封できる当該技術分野で周知のその他のシールも使用してもよい。
【0116】
ベース236は、内部空間243及びベース236の外面に結合された識別子244を有する。識別子244は、例えば、カートリッジ232に含まれる流体、複数の密封容器238のうち特定の流体を含む容器、カートリッジ232の今までの使用有無、及び/又は、カートリッジ232が未使用であるか否かなど、カートリッジ232に関する情報を含んでもよい。識別子244は、読み取り専用の無線周波数識別(RFID)又は近距離無線通信(NFC)タグ又はラベル、或いは書き換え可能なRFID又はNFCタグ又はラベルのいずれかであってもよい。
【0117】
トレイ235は、ベース236の内部空間243に受け入れられ、ベース236に取り外し可能に結合されるように構成される。トレイ235がベース236に取り外し可能に結合される時、トレイ235の下側及びベース236の内面は、トレイ235の廃棄物スロット241と流体連通するベース236の内部空間243に廃棄物空間(図示せず)を区画する。従って、廃棄物スロット241を通過する流体は、ベース236の廃棄物空間に収集される。ベース236の寸法は、廃棄物空間が、密封容器238、非密封容器239、及び洗浄容器240の合計量よりも大きくなるように設定する。従って、廃棄物空間は、密封容器238、非密封容器239、洗浄容器240の全ての流体内容物を受け入れられる大きさとなる。
【0118】
トレイ235がベース236の内部空間243に受け入れられ、蓋237がベース236に取り外し可能に結合される時、トレイ235は、ベース236及び蓋237によって区画されるチャンバ内に封入される。
【0119】
図1及び
図10を参照すると、プリントヘッドアセンブリ100は、3D細胞構造を、96個のウェルを有するウェルプレートである基板233上に印刷するように構成される。但し、ウェルを有するマルチウェルプレートであれば、ウェルの数に関わらず使用することができる。プリントヘッドアセンブリ100は、3D細胞構造をペトリ皿又は他の適切な媒体に印刷するように構成されることも想定される。
【0120】
図8及び
図10を参照すると、ハウジング234は、レセプタクル246及び印刷ステージ247を有するホルダ245を有する。カートリッジ232は、レセプタクル246に取り外し可能に受け入れられ、基板233は、印刷ステージ247上で取り外し可能に支持される。ホルダ245は、制御システム272(下記で説明する)に電気的に接続されたリーダ(図示せず)を有する。カートリッジ232がレセプタクル246で受け入れられると、リーダは、カートリッジ232の識別子244を読み取ってカートリッジ232に関する情報を取得し、この情報を制御システム272に渡すように構成される。
【0121】
リーダは、それぞれのRFID、或いはNFCタグ又はラベル上の情報の読み取り・書き換えができる読み取り/書き込みRFID又はNFCリーダであってもよい。識別子244がNFCタグ又はラベルの読み取り専用RFIDである場合、NFCリーダの読み取り/書き込みRFIDは、それぞれのRFID、或いはNFCタグ又はラベルからのみ情報を取得できる。識別子244がNFCタグ又はラベルの書き換え可能なRFIDである場合、NFCリーダの読み取り/書き込みRFIDは、NFCタグ又はラベルのそれぞれの書き換え可能なRFIDから情報を取得し、情報を書き換えることができる。
【0122】
図9及び
図10を参照すると、カートリッジ232のベース236は面取り248を有し、レセプタクル246の隅249は、面取り248を補完する形状を有する。面取り248及び隅249により、カートリッジ232は特定の方向でのみレセプタクル246に挿入できるので、密封容器238、非密封容器239、洗浄容器240、廃棄物スロット241が、レセプタクル246内で誤った方向を向けることがなくなる。
【0123】
図8及び
図11を参照すると、ハウジング234は、ホルダ245に結合された第1位置決め部250を有する。第1位置決め部250は、軌道251を有し、軌道251の長さに沿った任意の場所にホルダ245を移動/位置決めするように構成される。従って、第1位置決め部250は、軌道251の長さに沿った任意の場所にカートリッジ232及び基板233を移動/位置決めすることができる。
【0124】
ハウジング234は更に、プリントヘッドハウジング104に結合された第2位置決め部252を有する。第2位置決め部252は、軌道253を有し、軌道253の長さに沿った任意の場所にプリントヘッドアセンブリ100を移動/位置決めするように構成される。第2位置決め部252の軌道253は、第1位置決め部250の軌道251に対して略垂直に延在する。第1位置決め部250及び第2位置決め部252は一緒になって、プリントヘッドアセンブリ100をカートリッジ232及び/又は基板233上に配置/移動することを可能にする。
【0125】
図11~
図13を参照すると、圧力調整システム254がハウジング234内に配置されている。圧力調整システム254は、複数の圧力調整器256を有するレギュレータマニホールド255を有する。圧力調整システム254は更に、ハウジング234から突出するコネクタ257を有する。コネクタ257は、レギュレータマニホールド255と流体連通しており、加圧ガス源に流体連通で結合されるように構成されている。加圧ガス源は、例えば、空気圧縮機又はポンプであってもよい。
【0126】
セレクタ弁258は、ハウジング234内に配置され、セレクタ弁258により選択され得る、複数の入力接続部259、複数の出力接続部260、複数のチャネル261を有する。
【0127】
各圧力調整器256は、セレクタ弁258の入力接続部259の一つに流体連通で結合される。各リザーバ106のキャップ108は、セレクタ弁258の出力接続部260の一つに流体連通で結合される。従って、セレクタ弁258は、流体連通において各リザーバ106の内部を、圧力調整システム254の圧力調整器256の一つに結合する。従って、各リザーバ106の内部は、コネクタ257に結合された加圧ガス源によって加圧することができる。各圧力調整器256は、それぞれのリザーバ106内の圧力を調整し、それぞれのリザーバ106内の圧力を増減することができる。
【0128】
各プライミングマニホールド114のマニホールド出口116は、各マニホールド出口116が圧力調整器256の一つと流体連通するように、セレクタ弁258の出力接続部260の一つに流体連通で結合される。従って、サンプルローディングシステム102の各サブシステム111は、圧力調整システム254と流体連通している。従って、サンプルローディングシステム102の各サブシステム111は、コネクタ257に結合された加圧ガス源から加圧ガスを受け入れることができる。
【0129】
図14及び
図15を参照すると、ハウジング234内には、セレクタ弁258のチャネル261の一つに流体連通で結合されたプリンタポンプ262が配置されている。セレクタ弁258は、二つのプライミングマニホールド114のいずれかのマニホールド出口116と流体連通するようにプリンタポンプ262に結合されたチャネル261を選択的に結合することができる。このとき、プリンタポンプ262は、それぞれのマニホールド出口116を介してサンプルローディングシステム102と流体連通している。プリンタポンプ262に結合されているプライミングマニホールドチャネル261が選択されない場合、プリンタポンプ262は、プライミングマニホールド114のいずれかのマニホールド出口116とも流体連通しておらず、マニホールド出口116は、圧力調整システム254と流体連通している。
【0130】
セレクタ弁258はまた、プリンタポンプ262と流体連通している各リザーバ106のキャップ108を選択的に結合することができる。プリンタポンプ262がリザーバ106のキャップ108と流体連通しているとき、プリンタポンプ262は、リザーバ106の内部に負圧又は正圧を加えるように構成される。
【0131】
図6を参照すると、ハウジング234は、開放位置及び閉鎖位置を有するアクセスドア263を有する。開放位置では、アクセスドア263は、ハウジング234内の印刷領域276へのアクセスを可能にする。閉鎖構成では、アクセスドアは、ハウジング234内の印刷領域276へのアクセスを制限/防止する。
【0132】
図16~
図18を参照すると、層流システム264がハウジング234内に配置されている。層流システム264は、ホルダ245の下方に延在する第1流路265、印刷領域276から分離されその後方に延在する第2流路266、ハウジング234内に気流を引導するためのブロワ267、ホルダ245(
図6を参照)の下方に配置される格子268、ハウジング234の内部と流体連通するリサイクル高効率粒子捕獲(HEPA)フィルタ269、周囲環境と流体連通する排気HEPAフィルタ270を有する。
【0133】
図18を参照すると、ブロワ267は、第1流路265及び第2流路266と流体連通している。ブロワ267は、潜在的に汚染された空気を格子268を通って第1流路265に引き込むことにより、ホルダ245の下方に気流を引導するように構成される。ブロワ267は、汚染された空気を第2流路266に送り込むことにより、第2流路266を通る気流を強制するように構成される。第1流路265及び第2流路266を通って流れる気流の流量は、ブロワ267の毎分回転数(rpm)をそれぞれ増加又は減少させることによって増加及び減少させることができる。
【0134】
図18から分かるように、ハウジング234に引き込まれた外気は、第1流路265に引き込まれ、ホルダ245の下方を流れる。これにより、外気の量が減少し、基板233及び基板233に印刷された任意の3D細胞構造を潜在的に汚染する可能性のある、基板233上を流れる気流中の汚染物質が減少する。
【0135】
第2流路266を通って流れる気流は、循環HEPAフィルタ269を通ってハウジング234の印刷領域276に戻るか、又は排気HEPAフィルタ270を通ってハウジング234から出るかのいずれかである。循環HEPAフィルタ269及び排気HEPAフィルタ270は、それらを通って流れる気流からかなりの量の粒子を取り除く。従って、循環HEPAフィルタ269を通ってハウジング234の印刷領域276に逆流する気流は無菌であり、粒子の濃度が非常に低い。循環HEPAフィルタ269からハウジング234の印刷領域276に流れる気流は、ハウジング234の印刷領域276を通る一方向の下向きの気流である。この気流は、ハウジング234の印刷領域276を通る層流を提供し、これは、基板233及び基板233に印刷された任意の3D細胞構造が汚染されるリスクを低減し得る。ハウジング234の印刷領域276を通る一方向の気流の速度は、約0.45m/秒と想定される。
【0136】
図19を参照すると、バイオプリンタ200は、ハウジング234内に配置された二つの温度制御部271を有する。温度制御部271の一つは、プリントヘッドアセンブリ100の近くに配置され、他の温度制御部271は、ホルダ245の近くに配置される。
【0137】
温度制御部271は、バイオプリンタ200により印刷される細胞の持続的な生存能力に必要な条件及び/又は最適な成長条件に基づき、加熱又は冷却を行い、バイオプリンタ200のハウジング234内の温度を調節することができる。例えば、温度制御部271は、ハウジング234内の温度を約36℃から38℃の範囲に維持し、印刷される細胞の細胞増殖を支援することができる。
【0138】
プリントヘッド100の近くに配置された温度制御部271はまた、リザーバ106に含まれる流体の温度を所定の範囲に維持することができる。例えば、リザーバ106に含まれる流体を所定の温度より高い温度に保ち、印刷される細胞における細胞増殖を促進して、リザーバ106に含まれる流体の粘度を印刷に適した範囲に維持することができる。
【0139】
ホルダ245の近くに配置された温度制御部271は、ホルダ245の印刷ステージ247に配置された基板233の温度を所定の範囲に維持して、例えば、印刷済み細胞における細胞増殖を促進することができる。
【0140】
温度制御部271は、バイオプリンタ200のハウジング234内の温度を特定の温度範囲内に維持するために協働してもよく、プリントヘッド100及び基板233をそれぞれの所定の温度範囲内に維持するために独立して動作してもよい。
【0141】
また
図19を参照すると、バイオプリンタ200は、3D細胞構造を印刷するために開発されたカスタムソフトウェアを有する制御システム272によって制御される。制御システム272は、バイオプリンタ200を操作するためのプログラム及びアルゴリズムが格納されている持続性コンピュータ可読媒体を含む。持続性コンピュータ可読媒体は、バイオプリンタ200とは別に配置され、バイオプリンタ200に電気的に接続されていることが想定されるが、持続性コンピュータ可読媒体がバイオプリンタ200と共に提供されてもよい。
【0142】
図20及び
図21を参照すると、制御システム272は、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)273を含む。GUI273を介して、ユーザは様々な印刷ルーチンを選択し、特定の3D細胞構造を印刷するためのパラメータを変更できる。例えば、ユーザは、GUI273を使用して、プリントヘッドアセンブリ100から分配される流体液滴の間隔及び体積を変更することができる。ユーザはまた、プリントヘッドアセンブリ100から分配される流体液滴の空間位置を手動で制御し、GUI273を介してプリントヘッドアセンブリ100から分配される流体液滴のカスタムパターンを作成することができる。制御システム272はまた、第1及び第2リザーバセット101、サンプルローディングシステム102、分配システム103の洗浄、プライミング、パージを行うための操作命令を含む。
【0143】
GUI273は、ユーザが命令及び情報を制御システム272に入力することを可能にする。例えば、ユーザは、密封容器238のそれぞれにどのような流体が入っているか、及びそれらの流体がどの特定の密封容器238に配置されているかを入力することができる。ユーザはまた、ユーザが非密封容器239のそれぞれに追加した流体、及びそれらの流体が配置されている特定の非密封容器239を入力することができる。これにより、制御システム272は、各流体がカートリッジ232内のどこに配置されるかを知ることができ、制御システム272は、プリントヘッドアセンブリ100から正しい流体を分配して、必要な3D細胞構造を制作することができる。
【0144】
バイオプリンタは、3D細胞構造を層ごとに印刷する。3D細胞構造の階層化は、生物学者が顕微鏡でzスタック階層化を活用する方法を模倣するためのものである。GUI273は、印刷される3D細胞構造の各層を設計する方法をユーザに提供する。例えば、GUI273は、印刷される3D細胞構造の各層のパターンを描画するためのグリッドをユーザに提供する。
【0145】
上記のように、基板233は、複数のウェルを有するマルチウェルプレートである。
図20を参照すると、例えば、GUI273は、基板233のウェルと、基板233の各ウェルに印刷することができる所定の3D細胞構造の視覚化を表示する。GUI273を用いて、ユーザは、ウェル、ウェルアレイ、及びウェル、又はウェルアレイに印刷される3D細胞構造を選択する。
【0146】
GUI273は、ユーザが、3D細胞構造を制作したい基板233内/上の場所を選択することを可能にする。GUI273は、3D細胞構造のセルが印刷される場所と、3D細胞構造の印刷模様とを視覚化して表示する印刷プレビューボタン274を有する。ユーザがGUI273上での3D細胞構造に満足すると、GUI273を介して3D細胞構造を印刷したい意思を確認することができる。次に、バイオプリンタ200は、3D細胞構造を基板233上に印刷する。バイオプリンタは、3D細胞構造を制作するときに20~25層を印刷するが、ユーザはGUI273を介して印刷される層の数を増減できる。
【0147】
制御システム272は、プリントヘッドアセンブリ100の電子機器アセンブリ129の各センサ117と電気ポート130に電気的に接続されている。制御システム272は、二つのマニホールド弁113、アクチュエータ122、各分配口126、第1位置決め部250、第2位置決め部252、各圧力調整器256、セレクタ弁258、プリンタポンプ262、ブロワ267、ホルダ245のリーダに電気的に接続され、それらを制御するように構成される。
【0148】
電子機器アセンブリ129の電気コネクタ131は、バイオプリンタ200のハウジング234内に配置された電子機器アセンブリ(図示せず)又は制御システム272に関連する電子機器アセンブリ(図示せず)に電気的に接続されてもよい。
【0149】
バイオプリンタ200は、バイオプリンタ200に取り外し可能に結合された電源によって電力を供給される。電源は、電子機器アセンブリ129に電力を提供し、電子機器アセンブリ129は、電力をマニホールド弁113、センサ117、アクチュエータ122、各分配口128に分配する。電源はまた、第1位置決め部250、第2位置決め部252、圧力調整システム254、各圧力調整器256、セレクタ弁258、プリンタポンプ262、ブロワ267、温度制御部271に電力を供給する。電源は、例えば、主電源であってもよい。
【0150】
次に、バイオプリンタ200の使用と操作について説明する。
【0151】
特定の3D細胞構造を印刷するために、ユーザは、カートリッジ232の密封容器238に含まれる特定の3D細胞構造を印刷するために必要なバイオインク、活性剤、他の流体を有する特定のカートリッジ232を選択する。適切なカートリッジ232を選択した後、ユーザは、カートリッジ232のベース236から蓋237を取り外し、カートリッジ232の非密封容器239のいずれかに溶液中のセルインク、細胞懸濁液、細胞培養培地、及び/又は薬物を加えることができる。ユーザは、特定の3D細胞構造でモデル化したいものに応じて、非密封容器239のそれぞれに追加する流体を選択する。選択した流体を非密封容器239に追加した後、ユーザは、蓋237をカートリッジ232のベース236に結合して、非密封容器239に含まれる流体の汚染を防止する。
【0152】
ハウジング234のアクセスドア263を開くことにより、ユーザは、カートリッジ232をホルダ245のレセプタクル246に配置することができる。アクセスドア263が開放位置にあるとき、ユーザはまた、必要な基板233をホルダ245の印刷ステージ247上に配置できる。カートリッジ232をレセプタクル246に配置し、基板233を印刷ステージ247に配置した後、ユーザは、カートリッジ232の蓋237を取り外し、ハウジング234のアクセスドア263を閉じる。
【0153】
アクセスドア263が開放位置にあるとき、制御システム272は、ブロワ267の回転数を増加させるように構成される。これにより、ハウジング234を通る空気の流量が増加する。ブロワ267の回転数を増加させると、開いたアクセスドア263を通ってハウジング234に流入する空気が、格子248を通ってホルダ245の下方に引き込まれ、第1流路265に引き込まれる。これにより、開いたアクセスドア263を通ってハウジング234に入り、基板233、非密封容器239に含まれる流体、基板233に印刷された任意の3D細胞構造の上を流れて汚染させる、潜在的に汚染された空気の量を減らす。
【0154】
アクセスドア263が閉鎖位置にあるとき、制御システム272は、アクセスドア263が開放位置にあるときに比べて、より少ない回転数でブロワ267を作動させるように構成される。ブロワ267の回転数を下げると、ハウジング234を通る空気の流量が低減する。ハウジング234の印刷領域276を通る空気の流量が低くなると、基板233、カートリッジ232に含まれる流体、基板233に印刷された任意の印刷された3D細胞構造に対する脱水の影響が低減される。
【0155】
カートリッジ232がレセプタクル246で受け入れられると、制御システム272は、ホルダ245のリーダを使用してカートリッジ232の識別子244を読み取り、カートリッジ232に関する情報を取得するように構成される。カートリッジ232の識別子244を読み取ることから、制御システム272は、個々の密封容器238に含まれる流体を決定できる。ユーザは、GUI273を使用して、制御システム272に、非密封容器239のそれぞれに追加された流体を入力し、制御システム272が流体のそれぞれの配置位置を把握できるようにする。
【0156】
この段階で、ユーザは、GUI273を使用して印刷される特定の3D細胞構造を設計することができる。ユーザが設計した3D細胞構造に満足すると、ユーザはGUI273を使用して、バイオプリンタ200に3D細胞構造の印刷を開始させたい意思を確認する。
【0157】
カートリッジ232の識別子244は、カートリッジ232が新しいものであるか、使用されたことがあるか、或いは使用済みであるかを制御システム272に通知するように構成されてもよい。カートリッジ232が新しいものである場合、制御システム272は、ユーザに必要な3D細胞構造の印刷を許容する。カートリッジ232が使用されている場合、制御システム272は、必要なジョブを完了できるほどの流体がカートリッジ232内にあるか否かをユーザに通知するプロンプトをGUI273に表示するように構成されてもよい。十分な流体がある場合、制御システム272は、ユーザに必要な3D細胞構造の印刷を許容する。十分な流体がない場合、制御システム272は、カートリッジ232を交換するようにユーザに通知するように構成されてもよい。カートリッジ232が使用済みである場合、制御システム272は、この情報をGUI273に表示し、カートリッジ232を交換するようにユーザに通知する。
【0158】
3D細胞構造の印刷が確認されると、制御システム272は、圧力調整システム254のそれぞれの圧力調整器256を使用して、キャップ108を介して各リザーバ106を加圧する。各リザーバ106を加圧すると、それぞれのプライミング流体ライン120も加圧される。これにより、各プライミング流体ライン120の逆止弁121が強制的に閉鎖位置に行き、プライミングマニホールド114からそれぞれのプライミング流体ライン120に流体が流れることを防止する。
【0159】
以下の説明は、サンプルローディングシステム102の各サブシステム111に関する。リザーバ106を特定の流体でプライミングするために、制御システム272は、サブシステム111の開口部124及びニードル112がリザーバ106によって保持される流体を含むカートリッジ232内の特定の容器の上方に位置決めされるように、第1位置決め部250及び/又は第2位置決め部252を用いて、ホルダ245及び/又はプリントヘッドアセンブリ100をそれぞれ動かす。次に、制御システム272は、アクチュエータ122を操作して、ニードル112のポイント123を、開口部124を通してプリントヘッドハウジング104から前進させる。その結果、ニードル112のポイント123は、カートリッジ232の特定の容器に含まれる流体に挿入され、沈められる。必要な流体が密封容器238又は廃棄物容器240のいずれかに含まれる場合、ニードルのポイント123がそれぞれの密封容器238又は廃棄物容器240に挿入されているときに、ニードル112のポイント123がシール242に穴を開けることになる。
【0160】
この段階で、制御システム272は、マニホールド弁113を開き、セレクタ弁258を制御して、プリンタポンプ262に結合されたチャネル261を選択し、プリンタポンプ262をサブシステム111のプライミングマニホールド114のマニホールド出口116と流体連通するように配置する。次に、制御システム272は、プリンタポンプ262を作動させて、プライミングマニホールド114のマニホールド出口116に負圧を加え、流体スラグを、ニードル112とマニホールド弁113を通し、マニホールド入口115を介してプライミングマニホールド114に引き込む。制御システム272は、流体スラグがマニホールド出口116から流出し始めたことをセンサ117が検出するまで、プライミングマニホールド114のマニホールド出口116に負圧を加え続ける。その時点で、制御システム272はプリンタポンプ262の動作を停止し、マニホールド弁113を閉じる。
【0161】
センサ117は、流体スラグがマニホールド出口116から流出し始めたときを検出するために、マニホールド出口116に配置することができる。或いは、センサ117は、流体スラグがマニホールド入口115を通ってマニホールド114に流れ始めるときを検出するために、マニホールド入口115に配置されてもよい。センサ117がマニホールド入口115に配置されている場合、制御システム272は、センサ117を使用してマニホールド114に流入した流体スラグの体積を計算するように構成されてもよい。次に、制御システム272は、マニホールド114の体積と流体スラグの体積に基づいて、流体スラグがマニホールド出口116から流出し始めた時点を推定するように構成さてもよい。マニホールド入口115に配置されたセンサ117とマニホールド出口116に配置されたセンサ117との組み合わせを活用することも想定されている。
【0162】
制御システム272は、続いて、それぞれの圧力調整器256を制御して、流体スラグでプライミングされるべきリザーバ106を減圧し、プリンタポンプ262を操作して、プライミングマニホールド114のマニホールド出口116に正圧を加える。リザーバ106が減圧された後、プリンタポンプ262によりプライミングマニホールド114のマニホールド出口116に加えられた正圧は、それぞれのプライミング流体ライン120の逆止弁121を開放位置に動かし、それによって流体スラグはプライミングマニホールド114からそれぞれのプライミング流体ライン120を通って減圧されたリザーバ106に流れ込む。プリンタポンプ262によってプライミングマニホールド114のマニホールド出口116に加えられる正圧は、マニホールド出口116から流出した流体を、プライミングマニホールド114及び減圧されたリザーバ106に逆流させる。減圧されたリザーバ106内の流体スラグは、分配流体ライン125の通常は閉じられた分配口126によって停止されるまで、それぞれの分配流体ライン125に流れ込み、当該ラインを通って流れる。この段階で、減圧されたリザーバ106は流体スラグでプライミングを済ませ、制御システム272は、プリンタポンプ262の動作を停止している。
【0163】
減圧リザーバ106がプライミングされた後、制御システム272は、それぞれの圧力調整器256を制御して、減圧リザーバ106内の圧力を増加させる。これにより、それぞれの逆止弁121を閉鎖位置に動かして、プライミングマニホールド114からの流体の流れがリザーバ106に入ることを防止する。
【0164】
上記のように、各リザーバ106の所定の体積は、それぞれのリザーバ106にポンプで送り込まれる流体スラグがそれぞれのプライミング流体ライン120を逆流することを低減するか、又は場合によっては防止するようなサイズにすることができる。
【0165】
リザーバ106がプライミングされた後、制御システム272は、マニホールド弁113を開き、プリンタポンプ262又は各圧力調整器256を操作して、マニホールド出口116を介してプライミングマニホールド114及びニードル112に正圧を加え、サブシステム111に残っている流体をニードル112を通してパージする。サブシステム111に残っている流体は、流体がカートリッジ232の廃棄物空間から、或いは廃棄物空間へ最初に流体が引き出された容器と同じ容器にパージして戻すことができる。流体が廃棄物空間にパージされる場合、制御システム272は、第1位置決め部250及び/又は第2位置決め部252を用いて、サブシステム111の開口部124及びニードル112を、サブシステム111をパージする前にカートリッジ232の廃棄物スロット241の上方に配置する。制御システム272は、サブシステム111をパージする前に、アクチュエータ122を操作して、ニードル112のポイント123を廃棄物スロット241に挿入し、基板233を汚染させるパージ済みの流体、又は非密封容器239に含まれる流体のいずれかを防止/制限するように構成されてもよい。サブシステム111から廃棄物空間に流体をパージした後、制御システム272は、アクチュエータ122を操作して、ニードル112のポイント123をプリントヘッドアセンブリ100のプリントヘッドハウジング104に引き戻す。
【0166】
サブシステム111から流体がパージされた後、制御システム272は、別のリザーバ106をプライミングする前にサブシステム111を洗浄してもよい。サブシステム111を洗浄するために、制御システム272は、ニードル112が洗浄容器240の上方に配置されるようにプリントヘッドアセンブリ100を位置決めし、アクチュエータ122を操作して、シール242に穴を開け、洗浄容器240に含まれる洗浄液に沈むまでニードル112のポイント123を前進させる。制御システム272は、上記と同様の方法で、ニードル112を通してプライミングマニホールド114に洗浄液を引き込む。続いて、制御システム272は、上記と同様の方法で、洗浄液をカートリッジ232の廃棄物空間にパージする。上記の洗浄ステップは、別のリザーバ106をプライミングする前に1回以上繰り返すことができる。
【0167】
更なるリザーバ106をプライミングするために、制御システム272は、上記のステップを繰り返す。印刷すべき3D細胞構造に応じて、制御システム272は、各リザーバ106、又はリザーバ106の一部のみをプライミングすることができる。制御システム272を、各リザーバ106の内容物を記録するように構成し、制御システム272が、どのリザーバ106がどの流体を含むかを把握できるようにしてもよい。
【0168】
各サブシステム111は、リザーバセット101の一つに結合されるので、サンプルローディングシステム102は、第1リザーバセット101からのリザーバ106と、第2リザーバセット101からのリザーバ106を同時にプライミングできる。二つのサブシステム111を使用することにより、互いに反応して固化する流体を別々のサブシステム111によって処理することが可能になる。例えば、バイオインクと活性剤は、一緒に反応して固化し、ヒドロゲルを形成し得る。バイオインクと活性剤が同じサブシステム111によって処理される場合、活性剤がサブシステム111を通して引き出される前にサブシステム111がバイオインクから完全にパージされない可能性があるため、ヒドロゲルがサブシステム111内に形成され得る。サブシステム111でのヒドロゲルの形成は、サブシステム111での閉塞をもたらす可能性がある。従って、2つ以上のサブシステム111を有することにより、その可能性を減らすことができる。
【0169】
反応性流体が同じサブシステム111によって取り扱われないように、反応性流体は、カートリッジ232内の隣接する容器に含まれ、アクチュエータ122がニードル112を前進させるように操作されると、ニードル112の一方が一つの反応性流体を含む容器に挿入され、ニードル112の他方は、他の反応性流体を含む隣接容器に挿入される。
【0170】
必要なリザーバ106が、選択された3D細胞構造を制作するために必要な流体でプライミングされると、制御システム272は、3D細胞構造を基板233上/内に印刷し始めることができる。制御システム272は、印刷ジョブにより特定の時間及び場所で分配システム103から特定の流体を分配し、3D細胞構造の各層を印刷する。例えば、3D細胞構造は、異なるリザーバ106に保持された複数の流体を混合/反応させることによって制作される特定の材料を必要とし得る。これは、第1のリザーバ106から第1の流体液滴を分配し、第2のリザーバ106から第1の流体液滴上に第2の流体液滴を分配することによって達成することができる。例えば、ヒドロゲルは、バイオインクの流体液滴を活性剤の流体液滴と混合することによって形成することができる。
【0171】
特定の位置でプリントヘッドアセンブリ100から特定の流体を分配するために、制御システム272は、第1位置決め部250及び/又は第2位置決め部252を用いてプリントヘッドアセンブリ100を位置決めし、特定の流体を保持するリザーバ106の分配口126が基板233の特定の位置の上に配置されるようにする。次に、制御システム272は、それぞれの分配口126を開放構成に動かし、リザーバ106内の圧力で、リザーバ106内の流体を分配口126から強制的に分配する。必要な量の特定の流体がそれぞれの分配口126から分配されると、制御システム272は、分配口126を閉鎖構成に戻し、更なる流体が分配口126から分配されることを防止する。
【0172】
リザーバ106からの流体の分配は、リザーバ106内の圧力を低下させる。従って、流体がリザーバ106から分配され、それぞれの分配口126が閉鎖構成に動かされた後、制御システム272は、それぞれの圧力調整器256を制御して、リザーバ106を所定の圧力に再加圧する。
【0173】
リザーバ106内の圧力を増減させると、対応する分配口126を通る流体の流量がそれぞれ増減する。分配口126が開放構成にある期間を増加及び減少させると、分配口126から分配される流体の量がそれぞれ増加及び減少する。従って、分配口126から分配される流体液滴は、それぞれのリザーバ106内の圧力を変化させ、分配口126が開放構成にある期間を変化させることによって変化させることができる。制御システム272は、リザーバ106に含まれる流体及び印刷される3D細胞構造に応じて、特定のリザーバ106から分配される流体液滴の量を制御するように構成されてもよい。或いは、ユーザは、3D細胞構造を設計するときに、GUI273を介して手動でプリントヘッドアセンブリ100から分配される流体液滴の量を制御することができる。
【0174】
上記の分配ステップは、選択された3D細胞構造を制作するために必要な全ての流体液滴が分配されるまで繰り返される。3D細胞構造が制作された後、制御システム272は、カートリッジ232が使用されたこと、及びカートリッジが更なる3D細胞構造の印刷に使用され得るか否かを示すために、カートリッジ232の識別子244に関する情報を更新するように構成されてもよい。更新された情報は、ユーザがカートリッジ232を再び使用して更なる3D細胞構造を印刷しようとすると、GUI273に提示される。この段階で、ユーザは、ハウジング234のアクセスドア263を通して、カートリッジ232、基板233、基板233上に制作された任意の3D細胞を取り外すことができる。
【0175】
3D細胞構造が印刷された後、制御システム272は、リザーバ106に残っている流体をパージするように構成される。リザーバ106をパージするために、制御システム272は、各分配口126がカートリッジ232の廃棄物スロット241の上に配置されるように、第1位置決め部250及び/又は第2位置決め部252を使用してプリントヘッドアセンブリ100を位置決めする。制御システム272は、上記と同様の方法で流体を分配することによって、リザーバ106に残っている全ての流体をカートリッジ232の廃棄物空間にパージする。このプロセスは、全てのリザーバ106がパージされるまで繰り返される。
【0176】
次に、制御システム272は、記載されたものと同様の方法を使用して、洗浄容器240に含まれる洗浄液で各リザーバ106をプライミングする。次に、制御システム272は、上記と同様の方法で、サブシステム111に残っている洗浄液をニードル112を通してパージする。リザーバ106が洗浄液でプライミングされた後、制御システム272は、上記と同様の方法で、各リザーバ106からそれぞれの分配口126を介してカートリッジ232の廃棄物空間に全ての洗浄液を分配する。制御システム272は、上記の洗浄プロセスを1回以上繰り返すことができる。
【0177】
制御システム272は、リザーバ106に含まれる流体を攪拌/曝気するための攪拌/再懸濁プロセスを実施することができる。リザーバ106に含まれる流体が懸濁液である場合、懸濁液中の懸濁粒子は沈降する可能性があり、これは、その後に印刷される3D細胞構造に関する問題やバイオプリンタ200内の閉塞を引き起こす可能性がある。攪拌/再懸濁プロセスにより、沈降した浮遊粒子が再懸濁される。
【0178】
リザーバ106に含まれる流体を攪拌/再懸濁するために、制御システム272は、それぞれの圧力調整器256を制御して、リザーバ106内の圧力を低下させる。制御システム272はまた、圧力調整システム254の弁275を閉じて、コネクタ257に接続された加圧ガス源からマニホールド出口116を隔離する。次に、制御システム272は、セレクタ弁258を制御して、プリンタポンプ262を、それぞれのリザーバ106のキャップ108と流体連通するように配置する。制御システム272は、プリンタポンプ262を操作して、リザーバ106に負圧を加え、各分配口126を開く。リザーバ106に加えられた負圧は、それぞれの分配流体ライン125内の流体をリザーバ106に逆流させる。リザーバ106に負圧を継続的に加えると、空気は、それぞれの分配流体ライン125を通してリザーバ106に引き込まれる。コネクタ257に接続された加圧ガス源からマニホールド出口116を隔離すると、攪拌/再懸濁プロセス中にそれぞれのプライミング流体ライン120を通してリザーバ106に引き込まれる気流を制限/防止することができる。さもなければこのプロセスの有効性が低下する。
【0179】
リザーバ106に引き込まれた空気は、プリンタポンプ262によってそれぞれのキャップ108を通ってリザーバ106から引き出される前に、リザーバ106に含まれる流体を通って泡立ち、攪拌される。制御システム272は、流体を攪拌/再懸濁するのに十分な所定の時間、リザーバ106に負圧を加え続ける。流体が十分に攪拌/再懸濁された後、制御システム272は、それぞれの分配口126を閉鎖構成に動かし、プリンタポンプ262の動作を停止する。次に、制御システム272は、弁275を開き、セレクタ弁258を制御して、リザーバ106のキャップ108を、それぞれの圧力調整器256と流体連通するように戻す。続いて、制御システム272は、この圧力調整器256を制御して、リザーバ106を所定の圧力に再加圧する。
【0180】
リザーバ106は、デガッシングチャンバとして機能する。例えば、リザーバ106を流体スラグでプライミングする場合、リザーバ106の構成は、それぞれのプライミング流体ライン120を介してリザーバ106に導入された空気を流体スラグから分離する。これは、より密度の高い流体スラグがリザーバ106内の最も低い点に流れ、リザーバ106に導入された空気を置換するためである。
【0181】
サンプルローディングシステム102と第1及び第2リザーバセット101との構成により、各リザーバ106は、リザーバ106にすでに含まれている流体に影響を与えず、流体で再充填できる。
【0182】
層流システム262は、基板233及びカートリッジ232上を流れる外部汚染空気を制限/防止するので、バイオプリンタ200は、バイオセーフティキャビネット又はクリーンルーム施設で操作される必要がない。従って、バイオプリンタ200は標準室で操作することができるので、バイオプリンタ200の操作に関連するコストを削減することができる。層流システム262はまた、プリントヘッドアセンブリ100及びその構成要素に強制対流冷却を提供することができる。これにより、プリントヘッドアセンブリ100内の構成要素の過熱や故障を低減し、場合によっては防止することができる。
プリントヘッドアセンブリの第2の例示的実施形態
【0183】
図23~
図25は、本発明の第2の実施形態によるプリントヘッドアセンブリ300を示している。プリントヘッドアセンブリ300は、プリントヘッドアセンブリ300がプリントヘッドアセンブリ100のマニホールド弁113の代わりにプリントヘッドポンプ377を有し、プライミングマニホールド314のマニホールド出口316がプリントヘッドアセンブリ300に密封されていることを除いて、プリントヘッドアセンブリ100と同様である。
【0184】
プリントヘッドアセンブリ100の特徴と同一又は同等であるプリントヘッドアセンブリ300の特徴には、プリントヘッドアセンブリ100の特徴の参照番号に200を加えた番号が与えられている。プリントヘッドアセンブリ100とプリントヘッドアセンブリ300との間で同一である特徴について、プリントヘッドアセンブリ100に関連するこれらの特徴の上記の説明は、プリントヘッドアセンブリ300に見られる対応する同一/同等の特徴にも適用できる。従って、プリントヘッドアセンブリ100とプリントヘッドアセンブリ300との同一の特徴は、プリントヘッドアセンブリ300のこれらの特徴がプリントヘッドアセンブリ100に関して既に説明されているので、プリントヘッドアセンブリ300に関しては省略する。
【0185】
プリントヘッドアセンブリ300の各サブシステム311について、ニードル312は、プリントヘッドポンプ377に流体連通で結合され、プリントヘッドポンプ377は、プライミングマニホールド314のマニホールド入口315に流体連通で結合される。プリントヘッドポンプ377は、例えば、蠕動ポンプ又はダイアフラムポンプなどの容積式ポンプであってもよいが、当技術分野で周知のその他のポンプを使用してもよい。
【0186】
プリントヘッドアセンブリ300は、バイオプリンタ200と共に使用することができる。しかしながら、プリントヘッドアセンブリ300を使用するバイオプリンタ200は、プリントヘッドアセンブリ100を使用するバイオプリンタ200に比べて、構造上の差を有する。それについては、以下で説明する。理解しやすいように、プリントヘッドアセンブリ100を使用するバイオプリンタ200は、「バイオプリンタ200」と、プリントヘッドアセンブリ300を使用するバイオプリンタ200は、「バイオプリンタ200a」と称するものとする。
【0187】
バイオプリンタ200aの場合、各リザーバ306のキャップ308は、セレクタ弁258を介して、圧力調整システム254の圧力調整器256の一つと流体連通で結合される。プリンタポンプ262はまた、セレクタ弁258と流体連通で結合されている。バイオプリンタ200aの通常の動作中、キャップ308のそれぞれは、それらのそれぞれの圧力調整器256と流体連通している。しかしながら、制御システム272は、セレクタ弁258を制御して、キャップ308の一つをプリンタポンプ262と流体連通するように配置することができる。キャップ308の一つがプリンタポンプ262と流体連通している場合、そのキャップ308は各圧力調整器と流体連通しておらず、逆もまた同様である。
【0188】
二つのプライミングマニホールド314のマニホールド出口316は密封されており、バイオプリンタ200aはセレクタ弁258を必要としないので、プライミングマニホールド314のマニホールド出口316は、圧力調整システム254に流体連通で結合されない。更に、二つのマニホールド314のマニホールド出口316が密封されると、センサ317は、二つのマニホールド314のマニホールド入口315に配置され、それぞれのマニホールド入口315を通ってプライミングマニホールド314に流入する流体を検出する。
【0189】
バイオプリンタ200aの動作及び機能は、リザーバ306がプライミングされる方法、サブシステム311がパージされる方法、及び攪拌/再懸濁プロセスを除いて、バイオプリンタ200のものと同様である。リザーバ306がプライミングされる方法、及びサブシステム311がパージされる方法は、以下に説明される。下記の説明は、サンプルローディングシステム302の各サブシステム311に関連している。
【0190】
リザーバ306を特定の流体でプライミングするために、制御システム272は、サブシステム311の開口部324及びニードル312がリザーバ306によって保持される流体を含むカートリッジ232内の特定の容器の上方に位置決めされるように、第1位置決め部250及び/又は第2位置決め部252を用いて、ホルダ245及び/又はプリントヘッドアセンブリ300をそれぞれ動かす。次に、制御システム272は、アクチュエータ322を操作して、ニードル312のポイント323を、開口部324を通してプリントヘッドハウジング304から前進させる。その結果、ニードル312のポイント323は、カートリッジ232の特定の容器に含まれる流体に挿入され、沈められる。必要な流体が密封容器238に含まれる場合、ニードルのポイント323がそれぞれの密封容器238に挿入されているときに、ニードル312のポイント323がシール242に穴を開けることになる。
【0191】
この段階で、制御システム272は、それぞれの圧力調整器256を制御して、所望の流体でプライミングされるべきリザーバ306を減圧する。続いて、制御システム272は、プリントヘッドポンプ377を制御して、ニードル312及びプリントヘッドポンプ377を通して流体スラグを引き込み、マニホールド入口315を通してプライミングマニホールド314に流体スラグをポンプで送り込む。プライミングされるリザーバ306が減圧されると、プリントヘッドポンプ377によってマニホールド314に加えられる正圧により、各プライミング流体ライン320の逆止弁321が開放位置に移動し、それによって流体スラグがプライミングマニホールド314からそれぞれのプライミング流体ライン320を通って減圧されたリザーバ306に流れ込む。減圧されたリザーバ306内の流体スラグは、分配流体ライン325の通常は閉じられた分配口326によって停止されるまで、それぞれの分配流体ライン325に流れ込み、当該ラインを通って流れる。この段階で、減圧されたリザーバ306は流体スラグでプライミングを済ませ、制御システム272はプリントヘッドポンプ377の動作を停止している。
【0192】
制御システム272は、センサ317を利用して、流体がいつマニホールド入口315を通ってプライミングマニホールド314に流入し始めるかを決定し、マニホールド314に流入した流体の量を計算するように構成されてもよい。制御システム272はまた、センサ317を利用して、減圧されたリザーバ306に流入した流体の量を計算するように構成されてもよい。
【0193】
減圧リザーバ306がプライミングされた後、制御システム272は、それぞれの圧力調整器256を制御して、減圧リザーバ306内の圧力を増加させ、これは、それぞれの逆止弁321を閉鎖位置に動かして、プライミングマニホールド314からの流体の流れがリザーバ306に入ることを防止する。
【0194】
リザーバ306がプライミングされた後、制御システム272は、別のリザーバ306をプライミングする前に、サブシステム311及びそれぞれのマニホールド314を洗浄するように構成されてもよい。サブシステム311及びそれぞれのマニホールド314を洗浄するために、制御システム272は、上記と同様の方法で、空のリザーバ306を洗浄液で効果的にプライミングする。次に、制御システム272は、プリントヘッドアセンブリ100につき、上記と同様の方法で、それぞれのリザーバ306から洗浄液を分配する。この洗浄ステップは、選択された3D細胞構造を制作するために必要な流体で別のリザーバ306をプライミングする前に、1回以上繰り返されてもよい。
【0195】
更なるリザーバ306をプライミングするために、制御システム272は、上記の方法ステップを繰り返す。プリントヘッドポンプ377がプリントヘッドアセンブリ300内に配置されているため、プリントヘッドアセンブリ300内のリザーバ306のプライミングは、プリントヘッドアセンブリ100内のリザーバ106のプライミングに比べると、より速く済ませることができる。
【0196】
バイオプリンタ200と同様に、バイオプリンタ200aもまた、攪拌/再懸濁プロセスを実行するように構成される。リザーバ306の一つに含まれる流体を攪拌/再懸濁するために、制御システム272は、セレクタ弁258を制御して、プリンタポンプ262をそれぞれのリザーバ306のキャップ308と流体連通するように配置する。制御システム272は、プリンタポンプ262を操作して、リザーバ306に負圧を加え、各分配口326を開く。リザーバ306に加えられた負圧は、各分配流体ライン325内の流体をリザーバ306に逆流させ、リザーバ306に負圧を継続的に加えることにより、空気は、各分配流体ライン325を通してリザーバ306に引き込まれる。
【0197】
リザーバ306に引き込まれた空気は、プリンタポンプ262によってそれぞれのキャップ308を通ってリザーバ306から引き出される前に、リザーバ306に含まれる流体を通って泡立ち、攪拌される。制御システム272は、流体をリザーバ306において攪拌/再懸濁するのに十分な所定の時間、リザーバ306に負圧を加え続ける。流体が十分に攪拌/再懸濁された後、制御システム272は、それぞれの分配口326を閉鎖構成に動かし、プリンタポンプ262の動作を停止する。次に、制御システム272は、セレクタ弁258を制御して、リザーバ306のキャップ308を、それぞれの圧力調整器256と流体連通するように戻す。続いて、制御システム272は、この圧力調整器256を制御して、リザーバ306を所定の圧力に再加圧する。
【0198】
プリントヘッドアセンブリ100、300を使用するバイオプリンタ200、200aに関する上記の説明は、プリントヘッドアセンブリ100、300の実施及び操作の方法の一例を示すものである。プリントヘッドアセンブリ100、300は、バイオプリンタ200、200aでの使用に限定されず、他のバイオプリンタや例示で使用できる。
【0199】
プリントヘッドアセンブリ100、300は、二つのサブシステム111、311と、各サブシステム111、311に結合されたリザーバセット101、301とを有するものとして説明及び図示されているが、プリントヘッドアセンブリ100、300は、単一のサブシステム111、311が単一のリザーバセット101、301に結合されている、或いは2つ以上のサブシステム111、311がそれぞれのリザーバセット101、301に結合されているサンプルローディングシステム102、302を有してもよい。
【0200】
最も単純な形態において、プリントヘッドアセンブリ100、300は、単一のサブシステム111、311を有するサンプルローディングシステム102、302と流体連通する少なくとも一つのリザーバ106、306を有する。
プリントヘッドアセンブリの第3の例示的な実施形態
【0201】
図26は、本発明の第3の実施形態によるプリントヘッドアセンブリ400の概略図を示す。プリントヘッドアセンブリ400は、プリントヘッドアセンブリ400が3/2弁480を更に備えることを除いて、プリントヘッドアセンブリ300と同様である。
【0202】
プリントヘッドアセンブリ300の特徴と同一又は同等であるプリントヘッドアセンブリ400の特徴には、プリントヘッドアセンブリ300の特徴の参照番号に100を加えた番号が与えられている。プリントヘッドアセンブリ400とプリントヘッドアセンブリ400との間で同一である特徴について、プリントヘッドアセンブリ300に関連するこれらの特徴の上記の説明は、プリントヘッドアセンブリ400に見られる対応する同一/同等の特徴にも適用できる。従って、プリントヘッドアセンブリ300とプリントヘッドアセンブリ400との同一の特徴は、プリントヘッドアセンブリ400のこれらの特徴がプリントヘッドアセンブリ300に関して既に説明されているので、プリントヘッドアセンブリ400に関しては省略するものとする。
【0203】
サンプルローディングシステム402の各サブシステム411は、3/2弁480を有する。各サブシステム411の3/2弁480は、流体ライン418によってニードル412に結合された第1ポート481、流体ライン419によってそれぞれのプライミングマニホールド414のマニホールド入口415に結合された第2ポート482、流体ライン484によってプリントヘッドポンプ477に結合された第3ポート483を有する。
【0204】
プリントヘッドアセンブリ400は、上記と同じ方法でバイオプリンタ200aに使用することができる。理解しやすいように、プリントヘッドアセンブリ400を使用するバイオプリンタ200aは、下記にて「バイオプリンタ200b」と称するものとする。
【0205】
バイオプリンタ200bの動作は、リザーバ406がプライミングされる方法及びサブシステム411がパージされる方法を除いて、バイオプリンタ200aの動作と同様である。以下の説明は、これらの差を解説し、更には、サンプルローディングシステム402の各サブシステム411に関するものである。
【0206】
リザーバ406をプライミングするために、バイオプリンタ200bの制御システム272は、バイオプリンタ200aに関して上記と同じ方法を使用して、プライミングされるべきリザーバ406を減圧する。次に、制御システム272は、3/2弁480を制御して、ニードル412をプリントヘッドポンプ477と流体連通するように配置する。次に、制御システム272は、プリントヘッドポンプ477を制御し、流体スラグをニードル412と、流体ライン418とを通して、流体ライン484に引き込む。続いて、制御システム272は、3/2弁480を制御して、プリントヘッドポンプ477を、各プライミングマニホールド414のマニホールド入口415と流体連通するように配置する。次に、制御システム272は、プリントヘッドポンプ477を制御して、流体スラグを流体ライン484から流体ライン419とマニホールド入口415とを通し、各プライミングマニホールド414にポンプで送り込む。プライミングされるべきリザーバ406が減圧されると、プリントヘッドポンプ477によってマニホールド414に加えられる正圧により、それぞれのプライミング流体ライン420の逆止弁421が開放位置に移動し、それによって流体スラグは、プライミングマニホールド414からそれぞれのプライミング流体ライン420を通って減圧されたリザーバ406に流れ込む。減圧されたリザーバ406内の流体スラグは、分配流体ライン425の通常は閉じられた分配口426によって停止されるまで、それぞれの分配流体ライン425に流入し、当該ラインを通って流れる。この段階で、減圧されたリザーバ406は流体スラグでプライミングを済ませ、制御システム272は、プリントヘッドポンプ477の動作を停止している。
【0207】
減圧リザーバ406がプライミングされた後、制御システム272は、それぞれの圧力調整器256を制御して、減圧リザーバ406内の圧力を増加させ、これは、それぞれの逆止弁421を閉鎖位置に動かして、プライミングマニホールド414からの流体の流れがリザーバ406に入ることを防止する。
【0208】
リザーバ406がプライミングされた後、制御システム272は、別のリザーバ406をプライミングする前に、サブシステム411及びそれぞれのマニホールド414を洗浄するように構成されてもよい。サブシステム411及びそれぞれのマニホールド414を洗浄するために、制御システム272は、上記と同様の方法で、空のリザーバ406を洗浄液で効果的にプライミングする。次に、制御システム272は、プリントヘッドアセンブリ100と同様の方法で、それぞれのリザーバ406から洗浄液を分配する。この洗浄ステップは、選択された3D細胞構造を制作するために必要な流体で別のリザーバ406をプライミングする前に、1回以上繰り返されてもよい。
【0209】
更なるリザーバ306をプライミングするために、制御システム272は、上記の方法ステップを繰り返す。
プリントヘッドアセンブリの第4の例示的実施形態
【0210】
図27は、本発明の第4の実施形態によるプリントヘッドアセンブリ500の概略図を示す。プリントヘッドアセンブリ500は、プリントヘッドアセンブリ300のプリントヘッドポンプ377の代わりに3/2弁580を有することを除いて、プリントヘッドアセンブリ300と同様である。
【0211】
プリントヘッドアセンブリ300の特徴と同一又は同等であるプリントヘッドアセンブリ500の特徴には、プリントヘッドアセンブリ300の特徴の参照番号に200を加えた番号が与えられている。プリントヘッドアセンブリ500とプリントヘッドアセンブリ500との間で同一である特徴について、プリントヘッドアセンブリ300に関連するこれらの特徴の上記の説明は、プリントヘッドアセンブリ500に見られる対応する同一/同等の特徴にも適用できる。従って、プリントヘッドアセンブリ300とプリントヘッドアセンブリ500との同一の特徴は、プリントヘッドアセンブリ500のこれらの特徴がプリントヘッドアセンブリ300に関して既に説明されているので、プリントヘッドアセンブリ500に関しては省略するものとする。
【0212】
プリントヘッドアセンブリ500の場合、サンプルローディングシステム502の各サブシステム511は、3/2弁580を有する。各サブシステム511において、3/2弁580は、流体ライン518によってニードル512に結合された第1ポート581、流体ライン519によってそれぞれのプライミングマニホールド514のマニホールド入口515に結合された第2ポート582、第3ポート583を有する。
【0213】
プリントヘッドアセンブリ500は、以下に説明する構造上の差の一つを除いて、上記と同じ方法でバイオプリンタ200aに使用することができる。理解しやすいように、プリントヘッドアセンブリ500を使用するバイオプリンタ200aは、下記にて「バイオプリンタ200c」と称するものとする。
【0214】
バイオプリンタ200cの各サブシステム511について、3/2弁580の第3ポート583は、流体ライン584によってセレクタ弁258に結合されている。各サブシステム511について、バイオプリンタ200cの制御システム272は、セレクタ弁258を制御して、3/2弁580の第3ポート583をバイオプリンタ200cのプリンタポンプ262と流体連通すべく、選択的に配置するように構成される。
【0215】
バイオプリンタ200cの動作は、リザーバ506がプライミングされる方法及びサブシステム511がパージされる方法を除いて、バイオプリンタ200aの動作と同様である。以下の説明は、これらの差を解説し、更には、サンプルローディングシステム502の各サブシステム511に関するものである。
【0216】
リザーバ506をプライミングするために、バイオプリンタ200cの制御システム272は、バイオプリンタ200aに関して上記と同じ方法を使用して、プライミングされるべきリザーバ506を減圧する。次に、制御システム272は、セレクタ弁258を制御して、ポンプ262を3/2弁580の第3ポート583と流体連通するように配置する。制御システム272は、3/2弁580も制御し、第3ポート583がニードル512と流体連通するように配置する。次に、制御システム272は、プリンタポンプ262を制御し、流体スラグをニードル512と、流体ライン518とを通して、流体ライン584に引き込む。続いて、制御システム272は、3/2弁580を制御して、第3ポート583を、各プライミングマニホールド514のマニホールド入口515と流体連通するように配置する。次に、制御システム272は、プリンタポンプ262を制御して、流体スラグを流体ライン584から流体ライン519とマニホールド入口515とを通し、各プライミングマニホールド514にポンプで送り込む。プライミングされるべきリザーバ506が減圧されると、プリンタポンプ262によってマニホールド514に加えられる正圧により、それぞれのプライミング流体ライン520の逆止弁521が開放位置に移動し、それによって流体スラグは、プライミングマニホールド514からそれぞれのプライミング流体ライン520を通って減圧されたリザーバ506に流れ込む。減圧されたリザーバ506内の流体スラグは、分配流体ライン525の通常は閉じられた分配口4526によって停止されるまで、それぞれの分配流体ライン525に流入し、当該ラインを通って流れる。この段階で、減圧されたリザーバ506は流体スラグでプライミングを済ませ、制御システム272は、プリンタポンプ262の動作を停止している。
【0217】
減圧リザーバ506がプライミングされた後、制御システム272は、それぞれの圧力調整器256を制御して、減圧リザーバ506内の圧力を増加させ、これは、それぞれの逆止弁521を閉鎖位置に動かして、プライミングマニホールド514からの流体の流れがリザーバ506に入ることを防止する。
【0218】
リザーバ506がプライミングされた後、制御システム272は、別のリザーバ506をプライミングする前に、サブシステム511及びそれぞれのマニホールド514を洗浄するように構成されてもよい。サブシステム511及びそれぞれのマニホールド514を洗浄するために、制御システム272は、上記と同様の方法で、空のリザーバ506を洗浄液で効果的にプライミングする。次に、制御システム272は、プリントヘッドアセンブリ100と同様の方法で、それぞれのリザーバ506から洗浄液を分配する。この洗浄ステップは、選択された3D細胞構造を制作するために必要な流体で別のリザーバ506をプライミングする前に、1回以上繰り返されてもよい。
【0219】
更なるリザーバ506をプライミングするために、制御システム272は、上記の方法ステップを繰り返す。
細胞の動き及び攪拌/再懸濁プロセス
【0220】
図26Aは、プリントヘッドアセンブリ100の単一のプライミングされていない(つまり、空の)リザーバ106、プライミング流体ライン120、及び分配流体ライン125を示している。ノズルの形態である分配口126は、いくつかのセル印刷状況下で不感帯178を有する可能性があることが見出された。不感帯178は、流体の流れがほとんど又は全く起こらない、分配口126内の領域である。
【0221】
図26Bは、細胞12を有する細胞懸濁液10でプライミングされた単一のリザーバ106、プライミング流体ライン120、及び分配流体ライン125を示す。図示されているように、細胞懸濁液10は均質である。
図26Cを参照すると、一定期間後、細胞懸濁液10内の細胞12は沈降し始め、流体ライン126が実質的に真っ直ぐであるため、細胞12は、分配口126の不感帯178に沈降する。
【0222】
図26Dは、リザーバ106及び分配流体ライン125に適用される上記の攪拌/再懸濁プロセスを示す。図示されているように、空気14は、分配流体ライン125及びリザーバ106を通って泡立つ。しかしながら、不感帯178には流体の流れがほとんど、或いは全くないので、
図26Eに図示されているように、不感帯178に沈降した細胞12のうち、細胞懸濁液10に再懸濁される細胞は、あるとしても極僅かに過ぎない。不感帯178に沈降した細胞12を再懸濁する能力がほぼないので、プリントヘッドアセンブリ100を使用して印刷された任意の3D細胞構造は、予想よりも低い濃度の細胞12を含むことになる、これは、3D細胞構造から得られる結果に悪影響を及ぼし得る。
【0223】
図27Aは、単一のプライミングされていない(つまり、空の)リザーバ106、プリントヘッドアセンブリ100のプライミング流体ライン120を示している。
図27では、分配流体ライン125は、分配流体ライン625に置き換えられている。分配流体ライン625は、分配流体ライン125と同様であり、分配流体ライン625が粒子トラップ679を有すると予想される。一実施形態において、粒子トラップ679は、一連の屈曲部を含む。
【0224】
分配流体ライン125の特徴と同一又は同等である分配流体ライン625の特徴には、分配流体ライン125の特徴の参照番号に500を加えた番号が与えられている。分配流体ライン125と分配流体ライン625との間で同一である特徴について、分配流体ライン125に関連するこれらの特徴の上記の説明は、分配流体ライン625で見られる対応する同一/同等の特徴にも適用できる。従って、分配流体ライン125と分配流体ライン625との同一の特徴は、分配流体ライン625のこれらの特徴が分配流体ライン125に関して既に説明されているので、分配流体ライン625に関しては省略するものとする。
【0225】
図27Bは、細胞12を有する細胞懸濁液10でプライミングされた単一のリザーバ106、プライミング流体ライン120、及び分配流体ライン625を示す。見られるように、細胞懸濁液10は均質である。
図27Cを参照すると、一定期間後、細胞懸濁液10内の細胞12は、粒子トラップ679内に沈降し始める。従って、粒子トラップ679は、セル12が分配口626の不感帯678に沈降するのを制限/防止する。
【0226】
図27Dは、リザーバ106及び分配流体ライン625に適用される上記の攪拌/再懸濁プロセスを示す。図示されているように、空気14は、分配流体ライン625及びリザーバ106を通って泡立つ。細胞12の大部分が粒子トラップ679にトラップされると、分配流体ライン625を通って泡立った空気14は、細胞12を再懸濁し、リザーバ106に戻る。
【0227】
図26Eを参照すると、攪拌/再懸濁プロセスが完了した後、リザーバ106内の細胞懸濁液10は均質である。リザーバ106内の均質な細胞懸濁液10は、所望の濃度の細胞12を有する3D細胞構造を印刷することを許容でき、それにより、印刷された3D細胞構造からより正確な結果が得られる。
【0228】
図28A~
図28Cは、別の実施形態による、粒子トラップ679を有する分配流体ライン625A~625Cを示す。これらの図に図示されているように、粒子トラップ679は、分配流体ライン625内に一つ以上の略垂直なループを作成することによって形成される。
【0229】
図29は、別の実施形態による、粒子トラップ679を有する分配流体ライン625Dを示す。この図に図示されているように、粒子トラップ679は、分配流体ライン625に複数の水平ループを作成することによって形成される。単一の水平ループで十分であることも想定される。
【0230】
分配流体ライン625は、プリントヘッドアセンブリ100を参照して説明及び図示されてきたが、分配流体ライン625は、上記のプリントヘッドアセンブリ300、400、500と共に使用することもできる。粒子トラップ679は、細胞の捕捉に用いられると記載されているが、流体懸濁液に懸濁された他の粒子を捕捉するために用いられてもよい。
バイオインク
【0231】
本明細書において、バイオインクは、細胞が懸濁又は収容され得る1種以上の高分子の水溶液として定義される。活性化又は架橋すると、バイオインクの化学的及び物理的組成によって定義される物理的及び化学的特性を有するヒドロゲル構造を生成する。高分子は、合成及び天然の両方のポリマー、タンパク質、及びペプチドの配列として定義される。高分子は、天然状態であってもよく、アミン又はチオール反応性官能基で化学的に修飾されていてもよい。
【0232】
合成高分子は、以下を含んでもよい。
・フルクトース、スクロース、又はグルコース官能基を含むポリマーなどの多糖類。
・ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート(PHEMA)、ポリ(ε-カプロラクトン)(PCL)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)、ポリ(NIPAAM)、ポリ(プロピレンフマレート)(PPF)などの非イオン性ポリマー、並びに誘導体。
・高分子電解質:正又は負の電荷を帯びたポリマー、両性及び双性イオン性ポリマー。
・ポリペプチド:多くのアミノ酸(最低2アミノ酸)の単一の直鎖で、アミド結合によって結合されている。
・合成ポリマーを含む核酸塩基:核酸塩基(アデニン、チミン、グアニン、又はシトシン)の繰り返し単位を持つポリマー。
【0233】
天然高分子は、以下を含んでもよい。
・アルギン酸塩、キトサン、ジェランガム、ヒアルロン酸、アガロース、グリコサミノグリカンなどの多糖類。
・ゼラチン、フィブリン、コラーゲンなどのタンパク質。
・一本鎖DNA(ssDNA)、二本鎖DNA(dsDNA)DNAzyme及びアプタマーなどのDNA及びオリゴヌクレオチド。
・基底膜抽出物。
【0234】
アミン反応性官能基には、アルデヒド、エポキシ、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)及び2-ビニル-4,4-ジメチルアズラクトン(VDM)が含まれてもよい。
【0235】
チオール反応性官能基には、アルケン、アルキン、アジド、ハロゲン及びシアネートが含まれてもよい。
【0236】
使用され、適切であることが見出されたバイオインクは、10v/v%FCS、L-グルタミン及びピルビン酸ナトリウムが補充されたカルシウムを含まないDMEMに溶解されたアルギン酸塩(2w/v%)であった。
【0237】
分散したSK-N-BE(2)神経芽細胞腫細胞を有するバイオインクは、バイオインク含有細胞と呼ばれる。
活性剤
【0238】
本明細書において、活性剤は、バイオインクと相互作用してヒドロゲル構造を形成する小分子又は高分子のいずれかを含む水溶液である。得られるヒドロゲルの物理的特性を制御するために、活性剤の組成を変更することができる。使用される活性剤の種類は、使用される高分子及び意図される架橋プロセスに大きく依存する。
【0239】
活性剤は、以下から選択することができる。
・炭酸カルシウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、硫酸マグネシウム、水酸化ナトリウム、塩化バリウムなどの無機塩。
・2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(DMPA)やイルガキュアなどの光開始剤。
・高分子電解質:バイオインクの高分子とは反対の電荷を帯びるポリマー。陽イオン性、陰イオン性、両性及び双性イオン性であってもよい。
・ポリペプチド:多くのアミノ酸(最低2アミノ酸)の単一の直鎖で、アミド結合によって結合されている。
・DNAリンカー:バイオインクの高分子に存在するものを補完するヌクレオチド又はDNA配列を運ぶ高分子。
・天然又は化学修飾により、アミン又はチオール基を持つ天然又は合成高分子。
【0240】
アルギン酸塩バイオインクに使用された活性剤は、MilliQ水に溶解された4w/v%の塩化カルシウムであった。
架橋又はゲル化
【0241】
これは、個々の高分子鎖が活性剤によって一緒に連結されてヒドロゲルを形成するプロセスである。架橋プロセスは、化学的又は物理的架橋のいずれかに分類できる。物理的架橋又は非共有架橋には、次のものが含まれる。
・イオン架橋:高分子と活性剤に存在する反対の電荷の相互作用を介した架橋。活性剤は、荷電オリゴマー、イオン性塩及びイオン性分子を含んでもよい。
・水素結合:極性分子の静電引力による架橋。この場合、高分子と活性剤は極性機能を持っている。
・温度架橋:温度変化(加熱又は冷却)への応答としての高分子鎖の再配列による架橋。
・疎水性相互作用又はファンデルワールス力。
【0242】
化学的又は共有結合的架橋は、高分子と活性剤との間の化学反応を伴う。反応の種類としては次のものが挙げられる。
・UV又は光照射によって架橋反応が促進される光架橋。
・水性媒体中でのチオールとビニル運搬高分子間のマイケル型付加反応。
・アミノ基とアルデヒド基の間のシッフ塩基反応。
・ディールスアルダー反応。
・クリックケミストリー。
・活性エステル基へのアミノリシス反応。
・酵素の架橋。
【0243】
他のバイオインク及び活性剤の組み合わせの例は、以下の表に示されている。
【表1】
細胞インク
【0244】
本明細書では、細胞インクは、1種以上の分子又は高分子の水溶液である。当該水溶液中で、細胞は、3Dバイオプリンティングプロセス全体にわたって均一に懸濁されたままである。細胞インクの濃度は、細胞が沈降するのを防ぐように最適化されているが、それでも高い細胞生存率を維持する。
【0245】
セルリンクは、以下から選択することができる。
・グリセロールなどの小分子
・Ficoll(商標)、デキストラン、アルギン酸塩、ジェランガム、メチルセルロースなどの高分子、及びポリ(ビニルピロリドン)(PVP)
【0246】
Ficoll(商標)は、水溶液に容易に溶解する、中性、高度分岐化、高質量、親水性の多糖類である。Ficoll(商標)の半径は2~7nmの範囲で、多糖類とエピクロロヒドリンの反応によって調製される。Ficoll(商標)は、GEヘルスケア企業が所有する登録商標である。
【0247】
PBSに溶解したFicoll(商標)400(10w/v%)を細胞インクとして使用した。
【0248】
分散したSK-N-BE(2)神経芽細胞腫細胞を有する細胞インクは、細胞インク含有細胞と呼ばれる。
【0249】
ジェランガムは、細菌スフィンゴモナス・エロデア(以前のシュードモナス・エロデア)によって産生される水溶性陰イオン性多糖である。
細胞培養溶液
【0250】
本明細書において、細胞培養溶液は、培養細胞と接触する液体であり、様々な細胞関連の作業に適している。準備プロセスには、塩とpHのバランスの注意深い分析、生体適合性分子のみの取り込み、滅菌が含まれる。
【0251】
細胞培養溶液としては、次のようなものが挙げられる。
・ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、イーグル最小必須培地(MEM)、イスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)、Media199、HamF10、HamF12、McCoy5A、ロズウェルパーク記念研究所(RPMI)培地などの細胞培養培地。
・胎児子牛血清(FCS)、上皮成長因子(EGF)、塩基性線維芽細胞成長因子(bFBF)、線維芽細胞成長因子(FBF)、内皮細胞成長因子(ECGF)、インスリン様成長因子1(IGF-1)、血小板由来成長因子(PDGF)などの成長サプリメント。
・PBS、HEPES、CHESなどの生物学的バッファー。
・キレート化及び安定化液。
・滅菌されたMilliQ水。
細胞培養条件
【0252】
細胞及び3D組織培養モデルは、標準的な細胞培養技術を使用して、インキュベート、培養、及び維持することができる。ヒドロゲル型にカプセル化された細胞を含む3D組織培養モデルは、細胞増殖又はスフェロイド形成を可能にする、又は維持する条件下でインキュベートすることができる。インキュベーションは通常、ほとんどの動物及びヒトの細胞株で、約37℃、5%のCO2レベルで少なくとも24時間実施される。インキュベーションは、ヒドロゲル型内の細胞の種類の成長、維持、又はスフェロイド形成を可能にする任意の適切な条件、温度、持続時間で実施できる。
ユーティリティ液
【0253】
ユーティリティ液は、細胞と接触しないが、細胞に曝露されたバイオプリンタ200の全ての表面を洗浄及び滅菌するために使用される溶液として定義される。言い換えれば、ユーティリティ液は、カートリッジ232の洗浄容器240に含まれ得る洗浄液である。これらの溶液には次のものが含まれてもよい。
・正しい濃度のエタノール
・滅菌MilliQ水
・細胞培養培地
・洗剤
・過酸化水素溶液(最大濃度2w/v%)
バイオインクの調製
【0254】
最初に、バイオインクは、適切な種類及び量の高分子を適切な細胞培養溶液中で混合することによって調製される。均一性を達成した後、ブランクのバイオインクは、UV照射と濾過(0.22μmフィルタ)の両方で滅菌される。その後、バイオインクは更に使用するまで4℃に保たれる。
細胞の調製
【0255】
PBSで洗浄することにより細胞を回収する。PBSを吸引する。トリプシンを加え、37℃でインキュベートして細胞をフラスコ表面から分離する。組織培養溶液を加えて、解離した細胞をチューブに集める。細胞を遠心分離し、上清を吸引し、ペレットを新鮮な培地に再懸濁する。等量の細胞懸濁液とトリパンブルー染色を混合して細胞数を数える。計算を行い、細胞濃度を決定する。次に、必要な数の細胞をバイオインク、細胞インクに追加したり、細胞培養溶液に追加したりできる。
活性剤の調製
【0256】
相応する種類及び量の分子を適切な細胞培養溶液に溶解した。得られた溶液は、使用前にUV照射及び濾過により滅菌された。
細胞インクの準備
【0257】
相応する種類及び量の分子を適切な細胞培養溶液に溶解した。均一性を達成した後、得られた溶液は、使用前にUV照射及び濾過により滅菌された。次に、細胞インクを更に使用するまで室温に保った。
細胞採取
【0258】
特定のコンフルエンシーでの目的の培養細胞は、すでに確立されたプロトコルに従うことによって採取される。バイオインク又は細胞インクを含む細胞を構成するために、採取した細胞を正しい細胞濃度で再懸濁し、200μlのバイオインク又は細胞インクを、1ml当たり細胞2億5200万個の濃度にする。得られた細胞ペレットは、適切な量のバイオインク又は細胞インクに再分散される。これで、バイオインク又は細胞インクを含む細胞を3Dバイオプリンタで使用できるようになる。
ヒドロゲル型の印刷
【0259】
ヒドロゲル型は、ドロップオンドロッププロセスを使用して印刷することができ、それにより、バイオインクの液滴及び活性剤の液滴が互いの上に堆積されて、ヒドロゲルが生成される。このプロセスを繰り返して、ヒドロゲルの層を構築することにより、3Dヒドロゲル構造を形成することができる。
細胞型
【0260】
スフェロイドなどの3D組織培養モデルは、哺乳動物肝細胞、胃腸細胞、膵臓細胞、腎臓細胞、肺細胞、気管細胞、血管細胞、骨格筋細胞、心臓細胞、皮膚細胞、平滑筋細胞、結合組織細胞、角膜細胞、泌尿生殖器細胞、乳房細胞、生殖細胞、内皮細胞、上皮細胞、線維芽細胞、神経細胞、シュワン細胞、脂肪細胞、骨細胞、骨髄細胞、軟骨細胞、周皮細胞、中皮細胞、内分泌組織に由来する細胞、間質細胞、幹細胞、前駆細胞、リンパ細胞、血液細胞、内胚葉由来細胞、外胚葉由来細胞、中胚葉由来細胞、又はそれらの組み合わせなどの付着細胞を含む任意の適切な細胞型から制作することができる。
【0261】
その他の細胞型には、他の真核細胞(例えば、チャイニーズハムスター卵巣)、細菌(例えば、ヘリコバクターピロリ)、真菌(例えば、ペニシリウムクリソゲナム)及び酵母(例えば、サッカロミセスセレビシエ)が含まれてもよい。
【0262】
細胞株SK-N-BE(2)(神経芽細胞腫細胞)は、様々な条件下で3D組織培養モデルを作製するプロセスにおいて成功裏に用いられてきた。開発されたプロセスによって生成された3D組織モデルにおいて必要とされるように、他の細胞株が機能することが期待される。使用され得る他の細胞株には、DAOY(ヒト髄芽腫癌細胞)、H460(ヒト非小細胞肺癌)及びp53R127H(ヒト膵臓癌細胞)が含まれる。適切になり得る他の細胞株は088と089にリストされている。
【0263】
3Dバイオ印刷技術は、ドロップオンデマンド技術を介してヒドロゲル型にカプセル化された高密度3D組織培養モデルを生成するために開発された。具体的には、3D印刷技術を使用して、様々な3D構造を制作するために層ごとに構築されたバイオインクと活性剤を使用して生体適合性ヒドロゲル型を印刷した。ヒドロゲル型の制作中に、高細胞密度の液滴をヒドロゲル型に含ませることができる。
【0264】
当業者は、広く記載されている本発明の精神又は範囲から逸脱することなく、特定の実施形態に示されるように、本発明に対して多数の変形及び/又は修正を行うことができることを理解されたい。従って、本実施形態は、全ての点において例示的であり、限定的ではないと見なされるべきである。
【0265】
本発明は、好ましい実施形態を参照して説明されてきたが、本発明が他の多くの形態で具体化されてもよいことを当業者は理解するはずである。当業者は、広く説明されている技術の精神又は範囲から逸脱することなく、特定の実施形態に示されているように、技術に対して多数の変形及び/又は修正を行うことができることを理解されたい。従って、本実施形態は、全ての点において例示的であり、限定的ではないと見なされるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2020-12-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3Dバイオプリンタ用プリントヘッドアセンブリであって、
複数のリザーバ、
マニホールドと、複数のプライミング流体ラインとを有し、各プライミング流体ラインは、流体連通する一つのリザーバを前記マニホールドに結合し、前記マニホールドは流体を前記複数のリザーバのいずれか一つに誘導するように構成されているサンプルローディングシステムであって、流体で前記複数のリザーバのいずれか一つをプライミングするように構成されるサンプルローディングシステム、及び
複数の分配口を有し、各分配口は、前記複数のリザーバの一つと流体連通し、前記各リザーバから流体を分配するように構成されている分配システム、を含む、プリントヘッドアセンブリ。
【請求項2】
前記サンプルローディングシステムは、容器から流体を引き出し、前記流体で前記複数のリザーバのいずれか一つをプライミングするように構成される、請求項1に記載のプリントヘッドアセンブリ。
【請求項3】
各リザーバは、リザーバ出口とリザーバ入口とを有し、
各分配口は、前記複数のリザーバの一つにおける前記リザーバ出口と流体連通し、
各プライミング流体ラインは、前記マニホールド、及び前記複数のリザーバの一つにおける前記リザーバ入口と流体連通している、
請求項1又は2に記載のプリントヘッドアセンブリ。
【請求項4】
前記各分配口は、分配流体ラインにより前記複数のリザーバの一つにおける前記リザーバ出口に流体連通で結合される、請求項3に記載のプリントヘッドアセンブリ。
【請求項5】
前記各分配流体ラインは、粒子が前記各分配口に沈降することを低減するように構成された粒子トラップを含む、請求項4に記載のプリントヘッドアセンブリ。
【請求項6】
前記粒子トラップは、前記分配流体ラインにおける一つ以上のループである、請求項5に記載のプリントヘッドアセンブリ。
【請求項7】
前記各プライミング流体ラインは、流体が前記マニホールドから前記各リザーバに流れることを可能にする開放構成と、流体が前記マニホールドから前記各リザーバに流れるのを防ぐ閉鎖構成と、を有する弁を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のプリントヘッドアセンブリ。
【請求項8】
前記サンプルローディングシステムは、前記マニホールドの入口と流体連通で結合され、流体を前記サンプルローディングシステムに引き込み、流体を前記サンプルローディングシステムから前記リザーバのいずれか一つにポンプで送り込むように構成されたポンプを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載のプリントヘッドアセンブリ。
【請求項9】
前記サンプルローディングシステムは、前記マニホールドの前記入口と流体連通し、容器から流体を引き出すために前記容器に挿入されるように構成されるニードルを更に含む、請求項8に記載のプリントヘッドアセンブリ。
【請求項10】
前記サンプルローディングシステムは、前記ニードルを前記容器に挿入して前記容器から流体を引き出し、前記ニードルを前記容器から引き抜くように構成されたアクチュエータを更に含む、請求項9に記載のプリントヘッドアセンブリ。
【請求項11】
前記各リザーバは、加圧ガス源に流体連通で結合されて、前記各リザーバを加圧するように構成される、請求項1~10のいずれか1項に記載のプリントヘッドアセンブリ。
【請求項12】
前記各リザーバは、圧力調整器に結合され、各リザーバ内の圧力を調整するように構成される、請求項11に記載のプリントヘッドアセンブリ。
【請求項13】
前記各分配口は、各リザーバから流体を分配することを可能にする開放構成と、流体が各リザーバから分配されるのを防ぐ閉鎖構成と、を有するノズルである、請求項1~12のいずれか1項に記載のプリントヘッドアセンブリ。
【請求項14】
細胞を印刷する3Dバイオプリンタであって、
請求項1~13のいずれか1項に記載のプリントヘッドアセンブリ、
3D細胞構造を制作できる基板を配置する印刷ステージ、及び
カートリッジレセプタクル、を含む、バイオプリンタ。
【請求項15】
前記プリントヘッドアセンブリ、前記印刷ステージ、及び前記カートリッジレセプタクルが配置されるハウジングを更に含む、請求項14に記載のバイオプリンタ。
【請求項16】
前記ハウジングは、前記バイオプリンタの内部へのアクセスを可能にする開放位置と、前記バイオプリンタの内部へのアクセスを防止する閉鎖位置とを有するアクセスドアを含む、請求項15に記載のバイオプリンタ。
【請求項17】
各リザーバ内の圧力を調整するために各リザーバに流体連通で結合され、各リザーバを加圧するための加圧ガス源に流体連通で結合されるように構成された圧力調整システムを更に含む、請求項14~16のいずれか1項に記載のバイオプリンタ。
【請求項18】
前記ハウジング内に配置され、前記ハウジング内に気流を引導するように構成された気流システムを更に含む、請求項15~17のいずれか1項に記載のバイオプリンタ。
【請求項19】
前記カートリッジレセプタクルと前記印刷ステージとが配置されるホルダを更に含む、請求項14~18のいずれか1項に記載のバイオプリンタ。
【請求項20】
軌道を有する第1位置決め部を更に含み、前記第1位置決め部は、前記ホルダに結合され、その軌道に沿って前記ホルダの位置決めを行うように構成される、請求項19に記載のバイオプリンタ。
【請求項21】
軌道を有する第2位置決め部を更に含み、前記第2位置決め部は、前記プリントヘッドアセンブリに結合され、その軌道に沿って前記プリントヘッドアセンブリの位置決めを行うように構成される、請求項14~20のいずれか1項に記載のバイオプリンタ。
【請求項22】
請求項1~14のいずれか1項に記載のプリントヘッドの分配システムから複数の流体液滴を分配することにより三次元(3D)細胞構造を印刷する方法。
【請求項23】
請求項14~21のいずれか1項に記載のバイオプリンタの分配システムから複数の流体液滴を基板上に分配することにより三次元(3D)細胞構造を制作する方法。
【国際調査報告】