(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-01
(54)【発明の名称】緑膿菌O11血清型O抗原オリゴ糖の化学合成方法
(51)【国際特許分類】
C07H 5/06 20060101AFI20220125BHJP
A61K 31/702 20060101ALI20220125BHJP
A61K 31/7012 20060101ALI20220125BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20220125BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20220125BHJP
【FI】
C07H5/06
A61K31/702
A61K31/7012
A61P31/04
A61P37/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021512705
(86)(22)【出願日】2019-11-20
(85)【翻訳文提出日】2021-05-06
(86)【国際出願番号】 CN2019119584
(87)【国際公開番号】W WO2020125307
(87)【国際公開日】2020-06-25
(31)【優先権主張番号】201811551666.0
(32)【優先日】2018-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514262886
【氏名又は名称】江南大学
【氏名又は名称原語表記】JIANGNAN UNIVERSITY
【住所又は居所原語表記】No. 1800 Lihu Avenue, Bin Hu District, Wuxi, Jiangsu, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】尹健
(72)【発明者】
【氏名】胡静
(72)【発明者】
【氏名】劉中華
(72)【発明者】
【氏名】秦春君
【テーマコード(参考)】
4C057
4C086
【Fターム(参考)】
4C057BB04
4C057CC04
4C086AA01
4C086AA04
4C086EA01
4C086EA02
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB09
4C086ZB35
(57)【要約】
D-グルコースビルディングブロック、L-フコサミンビルディングブロック、及びD-フコサミンビルディングブロックを使用して緑膿菌O11血清型O抗原オリゴ糖を構築する方法であって、D-グルコースビルディングブロックまたはL-フコサミンビルディングブロックは、1,2-α-シス-グリコシド結合を介してD-フコサミンビルディングブロックと接続し、D-グルコースビルディングブロックは、1,2-β-トランス-グリコシド結合を介してL-フコサミンビルディングブロックと接続し、1,2-α-シス-グリコシド結合の構築は、混合溶媒で行われ、混合溶媒は、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、及びチオフェンのうちの2つ以上を含む、方法が提供される。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
D-グルコースビルディングブロック、L-フコサミンビルディングブロック、及びD-フコサミンビルディングブロックを使用してO抗原三糖を構築することを含む、緑膿菌O11血清型O抗原三糖を合成する方法であって、D-グルコースビルディングブロックまたはL-フコサミンビルディングブロックは、1,2-α-シス-グリコシド結合を介してD-フコサミンビルディングブロックと接続し、D-グルコースビルディングブロックは、1,2-β-トランス-グリコシド結合を介してL-フコサミンビルディングブロックと接続し、前記1,2-α-シス-グリコシド結合の構築は、混合溶媒で行われ、前記混合溶媒は、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、及びチオフェンのうちの2つ以上を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
D-グルコースビルディングブロックの化学構造は式IIに示され、L-フコサミンビルディングブロックの化学構造は式IIIに示され、D-フコサミンビルディングブロックの化学構造は式IVに示され、
式中、リンカーは、-(CH
2)
n-N-Y
1Y
2、またはO-(CH
2)
n-SY
1(Y
2)、またはO-(CH
2)
n-N
3を含み、n=1~10であり、Y
1は水素(H)またはベンジル(Bn)であり、Y
2は水素(H)またはベンジルオキシカルボニル(Cbz)である;
R
1は、水素(H)、エステル、アセチル(Ac)、ベンゾイル(Bz)、ピバロイル(Piv)、クロルアセチル(ClAc)、レブリニル(Lev)、及びアリルオキシカルボニル(Alloc)を含むが、これらに限られていない;
R
2、R
3、及びR
4は、水素(H)またはエステル、エーテルであり、アセチル(Ac)、ベンゾイル(Bz)、ピバロイル(Piv)、クロルアセチル(ClAc)、レブリニル(Lev)、アリルオキシカルボニル(Alloc)およびベンジル(Bn)、p-メトキシベンジル(pMBn)、アリル(All)、トリチル(Tr)、モノメトキシトリチル(Mmt)、及びシリルエーテル基を含むが、これらに限られていない;
R
5およびR
6は、水素(H)、エーテル基、ベンジル(Bn)、p-メトキシベンジル(pMBn)、アリル(All)、トリチル(Tr)、モノメトキシトリチル(Mmt)、及びシリルエーテル基を含むが、これらに限られていない;
R
7、R
8、R
9、およびR
10は、水素(H)、窒素(N)またはアセチル(Ac)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
D-グルコースビルディングブロックおよびL-フコサミンビルディングブロックを使用して、式Vに示される化学構造を有する二糖フラグメントを合成することを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
二糖フラグメントおよびD-フコサミンビルディングブロックを使用して、式Iに示される化学構造を有する三糖フラグメントを合成することを含むことを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
式VI
[式中、Rは-(CH
2)
n-NH
2、またはO-(CH
2)
n-SHであり、n=1~10である]
に示される化学構造を有するO抗原三糖前駆体を予め合成し、還元によりO抗原三糖を得ることを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
D-フコサミンは、グルコースを使用して合成され、前記方法は、3,4,6-トリ-O-アセチル-マンノセンを原料として、アジドおよびセレン試薬を介して1-セレノフェニル-2-アジドグルコースを取得し、アセチル基を除去し、6-Cをメチル化し、最後にD-フコサミン化合物を取得することを含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法によって調製された、アミノ連結アームが組み立てられた緑膿菌O11血清型O抗原三糖化合物であって、前記化合物の構造は、
に示され、式中、Rは-(CH
2)
n-NH
2であり、n=1~10である、化合物。
【請求項8】
緑膿菌O11血清型O抗原三糖を含む、糖-タンパク質複合体の調製方法であって、前記緑膿菌O11血清型O抗原三糖の調製方法は、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法であることを特徴とする、糖-タンパク質複合体の調製方法。
【請求項9】
緑膿菌ワクチンまたは緑膿菌感染によって引き起こされる疾患のための薬品の開発または調製における、請求項1~6のいずれか一項に記載の合成方法の使用。
【請求項10】
緑膿菌ワクチンまたは緑膿菌感染によって引き起こされる疾患のための薬品の開発または調製における、請求項7に記載の化合物または請求項8に記載の糖-タンパク質複合体の調製方法の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)O11血清型O抗原オリゴ糖の化学合成方法に関し、化学分野に属す。
【背景技術】
【0002】
緑膿菌は好気性の棒状のグラム陰性菌の一種であり、一般的に土壌や水環境に生息する。特に、緑膿菌は、病院環境に広く存在する日和見性の病原体の一種でもあり、細菌血症、尿路感染症、肺炎などの疾患を引き起こす。緑膿菌の感受性の高い集団には、火傷患者、ICUの患者、術後患者、および癌、糖尿病、先天性嚢胞性線維症などの免疫系欠陥のある患者が含まれる。中国大陸の人工呼吸器関連肺炎(VAP)および院内肺炎(HAP)における緑膿菌の有病率に関する研究により、VAPでは緑膿菌がすべての分離株の19.4%を占め((95%信頼区間(CI)の17.6~21.2%))、HAPでの割合は比較的類似しており、17.8%(95%CIの14.6~21.6%)であることが分かった。さらに、この研究では、VAPから分離された緑膿菌がゲンタマイシン(51.1%、95%CIの37.7~64.4%)およびアミカシン(22.5%、95%CIの14.3~33.6%)に対して高い耐性を持っており、HAPから分離された緑膿菌は、アミカシン(22.2%、(95%CIの13.8~33.6%))およびセフォペラゾン(50.0%(95%CIの30.2~69.8%))に対して高い耐性を持っていることが分かった。
【0003】
世界的に、緑膿菌は、ポリミキシン、フルオロキノロン系、カルバペネム系などの抗生物質に対して一定の耐性を有することが臨床的に見出された。2016年、世界保健機関は、緑膿菌を、新規抗生物質またはワクチンの研究開発が最も緊急で必要である病原菌の1つとして挙げた。現在まで、市場にはこの病原菌に対するワクチンはない。緑膿菌のワクチン研究は1980年代に始まり、研究分野は、この病原菌のリポ多糖、糖-タンパク質複合体、べん毛、不活化または弱毒化された全細菌、およびこの病原菌のDNA配列に焦点を当てている。緑膿菌のリポ多糖は、人体においてあまり見られないいくつかの単糖とグリコシド結合との連結で構成されており、重要な病原性因子である。単糖の種類及びグリコシド結合の連結方法によって、緑膿菌には、合計20の異なる血清型抗原がある。その中で、具体的な構造が[-3)-α-L-N-アセチルフコサミン-(1-3)-α-D-N-アセチルフコサミン-(1-2)-β-D-グルコース-(1-]nであるO11血清型抗原は、三糖リピートフラグメントをエンドバイエンドで連結することによって形成される長鎖抗原であり、リピートユニットの特定の数nは、この病原菌の遺伝子によって調節される。
【0004】
現在、そのような構造の化合物はすべてリポ多糖構造を含む野生の病原菌またはその構造をコードする遺伝子を含む遺伝子工学細菌から抽出され、LPS高発現株の構築と培養、プロテアーゼKの分解、フェノール熱抽出、トリシン-SDS-ポリアクリルアミドゲルエレクトロノフォレシス(Tricine-SDS-polyacrylamide gel electrophoresis、PAGE)分析、およびウエスタンイムノブロット検出を含む一連のステップを含む。また、生物学的抽出法によって得られたリポ多糖は、化学構造が不均一であるという問題もあり、さらに、細菌から直接抽出されたリポ多糖は、他の細菌の病原性因子が混入される可能性があるため、安全性の問題もある。それは人体に免疫保護を提供できないだけではなく、人体が細菌の病原性因子によって直接感染され、病気を引き起こし、深刻な副作用を引き起こす。このような問題を回避するために、化学合成法を用いてリポ多糖を直接合成することを決定した。これにより、不均一な化学構造や他の未知の病原性因子の混入の問題が回避され、合成されたリポ多糖は明確な化学構造を持ち、他の物質が混入されずに、この種の莢膜多糖類のみがワクチンの組成に関与することが保証できる。
【0005】
しかしながら、複雑なオリゴ糖の合成過程において、グリコシド結合の構築は、オリゴ糖の合成において最も基本的であるが、最も困難で重要な問題でもある。糖類化合物の構造の多様性および立体化学の複雑さのため、他の構造を有する有機化合物と違って、オリゴ糖合成の方法論はまだ未成熟で不完全であり、有機化学の分野で多くの方法(数十の方法)があるが、全員に公認される普遍的な方法がない唯一の分野であると考えられている。糖類モジュールの構造が複雑であり、シス-グリコシド結合の選択性が低いため、その構造を合成して構築することは困難であり、現在、化学合成法を使用してその化合物を構築することに関する報告はなく、その構造の化合物の化学合成法の研究を制限している。
【発明の概要】
【0006】
上記の問題を解決するために、本発明は、主にグルコースビルディングブロック、L-フコサミンビルディングブロック、D-フコサミンビルディングブロック、及び1,2-α-シス-グリコシド結合、1,2-β-トランスグリコシド結合を含む、3つの糖ビルディングブロック化学法によって、緑膿菌O11血清型O抗原三糖フラグメントを合成する。その中で、D-フコサミンの合成と1,2-α-シス-グリコシドの構築は、標的三糖の重要なステップである。本発明は、D-グルコースからD-フコサミンを合成するための方法を開発し、溶媒効果、温度効果および添加剤効果の相乗効果を通じて、1,2-α-シス-グリコシド結合を構築する立体選択性の問題を首尾よく解決する。合成された3つのグリコシルビルディングブロックを使用して、保護された標的三糖を合成し、最終的に脱保護によって得られた標的三糖は、式1に示されるとおりである。また、三糖の還元末端は、次のステップの複合タンパク質の準備のために、アミノ基を持つ連結アームが組み立てられる。
【0007】
本発明の第一の目的は、D-グルコースビルディングブロック、L-フコサミンビルディングブロック、及びD-フコサミンビルディングブロックを使用してO抗原三糖を構築することを含む、緑膿菌O11血清型O抗原三糖を合成する方法であって、D-グルコースビルディングブロックまたはL-フコサミンビルディングブロックは、1,2-α-シス-グリコシド結合を介してD-フコサミンビルディングブロックと接続し、D-グルコースビルディングブロックは、1,2-β-トランス-グリコシド結合を介してL-フコサミンビルディングブロックと接続し、前記1,2-α-シス-グリコシド結合の構築は、混合溶媒で行われ、前記混合溶媒は、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、及びチオフェンのうちの2つ以上を含む、方法を提供することである。
【0008】
本発明の一実施形態では、前記D-グルコースビルディングブロックの化学構造は式IIに示され、L-フコサミンビルディングブロックの化学構造は式IIIに示され、D-フコサミンビルディングブロックの化学構造は式IVに示され、
式中、リンカーは、-(CH
2)
n-N-Y
1Y
2、またはO-(CH
2)
n-SY
1(Y
2)、またはO-(CH
2)
n-N
3を含み、n=1~10であり、Y
1は水素(H)またはベンジル(Bn)であり、Y
2は水素(H)またはベンジルオキシカルボニル(ベンジルメトキシカルボニル)(Cbz)である;R
1は、水素(H)、エステル、アセチル(Ac)、ベンゾイル(Bz)、ピバロイル(Piv)、クロルアセチル(ClAc)、レブリニル(Lev、Levulinyl)、及びアリルオキシカルボニル(Alloc)を含むが、これらに限られていない;R
2、R
3、及びR
4は、水素(H)またはエステル、エーテルであり、アセチル(Ac)、ベンゾイル(Bz)、ピバロイル(Piv)、クロルアセチル(ClAc)、レブリニル(Lev)、アリルオキシカルボニル(Alloc)およびベンジル(Bn)、p-メトキシベンジル(pMBn)、アリル(All)、トリチル(Tr)、モノメトキシトリチル(Mmt)、及びシリルエーテル基を含むが、これらに限られていない;R
5およびR
6は、水素(H)、エーテル基、ベンジル(Bn)、p-メトキシベンジル(pMBn)、アリル(All)、トリチル(Tr)、モノメトキシトリチル(Mmt)、及びシリルエーテル基を含むが、これらに限られていない;R
7、R
8、R
9、およびR
10は、水素(H)、窒素(N)またはアセチル(Ac)を含む。
【0009】
本発明の一実施形態では、その方法は、D-グルコースビルディングブロックおよびL-フコサミンビルディングブロックを使用して、式Vに示される化学構造を有する二糖フラグメントを合成することを含む。
【0010】
本発明の一実施形態では、前記D-グルコースビルディングブロックとL-フコサミンビルディングブロックとの間の1,2-β-トランス-グリコシド結合による連結は、TMSOTfの促進作用下で、溶媒としてのジクロロメタン中で行われる。
【0011】
本発明の一実施形態では、その方法は、二糖フラグメントおよびD-フコサミンビルディングブロックを使用して、式Iに示される化学構造を有する三糖フラグメントを合成することを含む。
式中、Rは-(CH
2)
n-NH
2、またはO-(CH
2)
n-SHであり、n=1~10である。
【0012】
本発明の一実施形態では、その方法は、下記一般式
(式中、Rは-(CH
2)
n-NH
2、またはO-(CH
2)
n-SHであり、n=1~10である)
に示される化学構造を有するO抗原三糖前駆体を予め合成し、還元によりO抗原三糖を得ることを含む。
【0013】
本発明の一実施形態では、前記O抗原三糖化合物は構造は下記通りである:
【0014】
本発明の一実施形態では、前記D-グルコースビルディングブロック(式II)の末端基は脱離基であるトリクロロアセトイミデートであり、残りの置換基Rnは式IIに示される。
【0015】
本発明の一実施形態では、前記D-グルコースビルディングブロックの合成方法は、1,2,3,4,6-ペンタ-O-アセチルグルコースを出発原料として、乾燥したN、N-ジメチルホルムアミドおよび酢酸ヒドラジンを使用して、1位のアセチルを除去して-OHを露出させ、露出した-OHをトリクロロアセトニトリル(Cl3CN)と反応させて化合物D-グルコースビルディングブロックを得ることを含む。
【0016】
本発明の一実施形態では、前記L-フコサミンビルディングブロック(式III)の末端基はアリル(OAll)で保護されており、残りの位置の置換基Rnは式IIIに示される。
【0017】
本発明の一実施形態では、前記L-フコサミンビルディングブロックは、アリル2-デオキシ-2アジド-L-フコシドを出発原料とし、ジブチルスズオキシド(Bu2SnO)と2-ブロモメチルナフタレンの作用下で4位のヒドロキシルを選択的に保護することにより4-Napフコースを取得し、次に、残りの3位のヒドロキシルをベンジルで保護し、ジクロロジシアノベンゾキノンの作用下で4位のNap基を除去して、最終的な糖ビルディングブロックBを取得する。
【0018】
本発明の一実施形態では、前記D-フコサミンビルディングブロックの末端基はリンカーであり、式IVに示される。
【0019】
本発明の一実施形態では、前記D-フコサミンの合成方法は、グルコースを使用してD-フコサミンを構築して取得し、その方法は、3,4,6-トリ-O-アセチル-マンノセン(3,4,6-O-Triacetyl Mannosene、3,4,6-O-トリアセチル マンノセン)を原料として、アジドおよびセレン試薬を介して1-セレノフェニル-2アジドグルコースを取得し、アセチル基を除去し、6-Cをメチル化し、最後にD-フコサミン類化合物を取得することを含む。
【0020】
本発明の一実施形態では、その方法は具体的には、3,4,6-トリ-O-アセチル-マンノセンを原料として、ヨードベンゼンジアセテート(PhI(OAc)2)の作用下で、アジドトリメチルシラン(TMS-N3)とジフェニルジセネニド(Ph2Se2)と一緒に1-セレノフェニル-2アジドグルコースを生成し、次にアルカリ性条件下でアセチルを除去し、4-トルエンスルホニルクロリドを添加して6-Cのメチル化を達成し、D-フコサミン化合物を得ることを含む。
【0021】
本発明の一実施形態では、その方法はさらに、D-フコサミン化合物の3、4-Cを保護し、次に4-CのNap基を除去し、アセチルで保護し、D-フコースの1位のセレノフェニルを臭化テトラブチルアンモニウム(NBS)で加水分解し、Cl3CNとDBUでフコースをグリコシルトリクロロアセトイミデートにし、ルイス酸の促進下でアミノ連結アームを組み立て、最後にD-フコースの3位のアセチルを除去してD-フコサミンビルディングブロックを得ることを含む。
【0022】
本発明の一実施形態では、前記3-Cの保護試薬は、メトキシベンジルクロリド(PMBCl)とジブチルスズオキシド(Bu2SnO)を含む。
【0023】
本発明の一実施形態では、前記4-Cの保護試薬は、ベンジルを含む。
【0024】
本発明の一実施形態では、前記4-CのNap基の除去は、DDQによって実現される。
【0025】
本発明の一実施形態では、前記ルイス酸は、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリルを含む。
【0026】
本発明の第二の目的は、アミノ連結アームが組み立てられた、緑膿菌のO11血清型O抗原三糖を提供することであり、この抗原三糖は、上記の方法によって調製される;
アミノ連結アームが組み立てられた、緑膿菌のO11血清型O抗原三糖の構造は下記通りである:
式中、Rは-(CH
2)
n-NH
2であり、n=1~10である。
【0027】
本発明の第三の目的は、上記の、アミノ連結アームが組み立てられた、緑膿菌のO11血清型O抗原三糖を使用した、糖-タンパク質複合体の調製方法を提供することである。
【0028】
本発明の第四の目的は、緑膿菌O11血清型O抗原三糖を含む、糖-タンパク質複合体の調製方法であって、緑膿菌O11血清型O抗原三糖の調製方法は、上記の方法である、糖-タンパク質複合体の調製方法を提供することである。
【0029】
本発明の第五の目的は、緑膿菌ワクチンまたは緑膿菌感染によって引き起こされる疾患のための薬品の開発または調製に、上記のアミノ連結アームが組み立てられた緑膿菌のO11血清型O抗原三糖を使用することである。
【発明の効果】
【0030】
1、本発明は、化学的方法により、緑膿菌O11血清型のO抗原三糖フラグメントを合成する。本発明において、D-マンノースをD-フコースに変換するための方法が開発され、この方法は、単純で便利で、効率的であり、6-Cのメチル化が約50%であることを除いて、残りが80%を超えることができる。そして、得られたグリコシルビルディングブロックを使用して、緑膿菌O11血清型のO抗原三糖フラグメントを合成する。
【0031】
2、一般的に使用されるグリコシド結合の構築は、糖の環のC-2位のアシルによる隣接基関与効果を使用し、高効率で1,2-トランスグリコシド結合を構築する。2位のアセチルは、本発明におけるトランスグリコシド結合の構築などの糖化学保護戦略において最も簡単に入手でき、最も効果的な保護剤である。ただし、1,2-シス反応の場合、反応方法が普遍的ではないため、各反応条件が反応に大きな影響を与え、糖ビルディングブロックを設計する際に、C-6に大きな空間立体障害の保護基で選択的に保護し、特にガラクトースに対して、長距離隣接基補助効果に類似したメカニズムを形成するためにC-4位にアシル基を導入することが報告されている。本発明の方法は、シスグリコシド結合の均一な構築を実現するために適切な混合溶媒を採用し、立体選択性100%に達することができる。
【0032】
3、本発明は、保護基の選択および最適化ならびにグリコシド化反応の戦略を通じて、O11三糖リピートユニットの調製を首尾よく完了する。本発明の方法によって合成される緑膿菌O11血清型のO-抗原三糖フラグメントには、アミノ連結アームが組み立てられ、抗原タンパク質と連結して複合糖質を調製することができ、これは、緑膿菌の治療および予防のためのワクチンの開発に対して重要な役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】単糖ビルディングブロック3(D-グルコースビルディングブロック)の合成ルートを示す図である。
【
図2】単糖ビルディングブロック7(L-フコサミンビルディングブロック)の合成ルートを示す図である。
【
図3】単糖ビルディングブロック17(D-フコサミンビルディングブロック)の合成ルートを示す図である。
【
図4】単糖ビルディングブロック17の構築方法一の合成ルートを示す図である。
【
図5】単糖ビルディングブロック17の構築方法二の合成ルートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の実施形態は、実施例と併せて以下で詳細に説明されるが、当業者は、以下の実施例が本発明を説明するためだけのものであり、本発明の範囲を限定するものと見なされるべきではないことを理解するであろう。実施例に特定の条件が指定されていない場合は、従来の条件またはメーカーが推奨する条件に従って実施し、使用する試薬または機器にはメーカーが指定されていない場合は、すべて市販されている従来の製品である。
【0035】
本発明の収率の計算方法は、「生成物(モル)/反応基質(モル)* 100%」である。本発明における化合物の構造を同定するための方法は、核磁気共鳴分光法(400M)による測定、高分解能質量分析法、および旋光度測定法であり、その結果は、各化合物の具体的な合成例に記載されている。
【0036】
実施例1
糖ビルディングブロック3(D-グルコースビルディングブロック)の合成(
図1参照)
図1に示されるように、ペルアセチル化グルコース1を出発原料として使用し、乾燥したN,N-ジメチルホルムアミド中で酢酸ヒドラジン(NH
2-NH
2-AcOH)によって選択的に加水分解したことにより1位のアセチルを除去した。得られた1-OHグルコース2を使用して、トリクロロアセトニトリル(Cl
3CN)と1,8-ジアザビシクロウンデク-7-エン(DBU)を使用して、無水ジクロロメタン中でグルコシルトリクロロアセトイミデート3を生成した。
具体的な試験操作とステップ:
化合物2:ペルアセチル化グルコース1(5.0g、12.8mmоl)を無水DMF(65ml)に溶解し、酢酸ヒドラジン(1.45g、15.6mmоl)を加えた。反応物を40℃で6時間撹拌し、反応物の消失をTLCによってモニタリングした。反応液を室温まで冷却し、飽和NaCl溶液で洗浄し、有機相を分離し、無水Na
2SO
4で乾燥し、濃縮後、シリカゲルカラム(石油エーテル/酢酸エチル、2:1)で精製して、化合物2(3.9g、11.2mmоl)を得た。この化合物の同定データは、関連文献で報告されている。
化合物3:化合物2(1.1g、3.16mmоl)を無水DCM(30ml)に溶解し、0℃に冷却した。Cl
3CN(3.2ml、31.6mmоl)およびDBU(0.45ml、0.3mmоl)を反応液に順次加え、反応物を氷浴中で4時間撹拌し、反応原料の消失をTLCでモニタリングした。反応液を室温に戻し、飽和NaHCO
3で抽出し、有機相を分離し、無水Na
2SO
4で乾燥し、濃縮後、シリカゲルカラム(石油エーテル/酢酸エチル、4:1)で精製して、化合物3(1.3g、2.8mmоl)を得た。この化合物の同定データは、関連文献で報告されている。
【0037】
実施例2
糖ビルディングブロック7(L-フコースビルディングブロック)の合成ルート(
図2参照)
図2に示されるように、アリル-2-デオキシ-2-アジド-L-フコシド4を出発原料として使用し、3位と4位のアセチルをメトキシドナトリウムを含むアルカリ性環境下で除去し、得られたジヒドロキシ化合物を、ジブチルスズオキシドとブロモメチルナフタレンの作用下で4位でNap基で選択的に保護することにより化合物5を取得し、3-Nap化合物5のヒドロキシルをベンジルで保護して化合物6を生成した。最後に、化合物6のNap基をDDQで除去して3-OH化合物7を得た。
具体的な試験操作とステップ:
化合物5:アリル-2-デオキシ-2-アジド-L-フコシド4(500mg、2.2mmоl)を無水トルエン(22ml)に溶解し、次にジブチルスズオキシド(814mg、3.3mmol)を加えた。反応液を110℃に加熱し、1時間撹拌した後、反応液を40℃に冷却し、ブロモメチルナフタレン(814mg、3.3mmol)および臭化テトラブチルアンモニウム(1.05mg、3.3mmol)を加えて反応を20時間継続した。反応が完了した後、酢酸エチル(30ml)を加えて希釈し、飽和食塩水で洗浄した。有機相を分離し、濃縮後、シリカゲルカラム(石油エーテル/酢酸エチル、5:1)で精製して化合物5(527mg、1.7mmоl、79%)を得た。[α]
D
20= 34.0°( c = 1.00, CHCl3); 1H NMR (400 MHz, Chloroform-d ) δ 7.85 (dt, J = 10.5, 7.7 Hz, 4H, Ar-H), 7.59 - 7.45 (m, 3H, Ar-H), 5.94 (ddt, J = 16.8, 10.9, 5.6 Hz, 1H, Ally-H), 5.33 (dd, J = 17.2, 1.7 Hz, 1H, Ally-CH
2a), 5.21 (dd, J = 10.5, 1.5 Hz, 1H, Ally-CH
2b), 4.88 (s, 2H, 2Nap-H), 4.12 (dd, J = 12.9, 6.2 Hz, 1H, Ally-H), 4.23 (d, J = 8.1 Hz, 1H, 1-H), 4.12 (dd, J= 12.9, 6.2 Hz, 1H, Ally-OCH
2b), 3.74 (d, J = 3.3 Hz, 1H, 4-H), 3.66 (dd, J= 10.0, 8.0 Hz, 1H, 2-H), 3.47 (q, J = 6.5 Hz, 1H, 5-H), 3.35 (dd, J = 10.0, 3.3 Hz, 1H, 3-H), 2.32 (s, 1H, 4-OH), 1.34 (d, J = 6.4 Hz, 6-CH
3).
13C NMR (101 MHz, CDCl
3) δ 134.65, 133.65, 133.20, 128.55, 127.93, 127.77, 126.98, 126.33, 126.22, 125.75, 117.61, 100.75, 79.41, 77.33, 77.22, 77.01, 76.70, 72.19, 70.19, 69.97, 68.34, 62.57, 16.33. HRMS(ESI)m/z calcd for C
20H
23N
3O
4Na[M+Na]
+ 391.1581, found 391.1564。
化合物6:化合物5(527mg、1.7mmоl)を無水DMF(17ml)に溶解し、0℃に冷却し、30分間氷浴した。NaH(140mg、3.4mmоl)を反応フラスコに加え、0℃で30分間撹拌し続け、臭化ベンジル(0.5ml、3.4mmоl)を加えた。反応液を室温に戻し、3時間撹拌を続け、反応原料がすべて消失した後、DCM(20ml)を加えて希釈し、氷水で反応をクエンチした。飽和NaHCO
3で3回洗浄し、有機相を合わせ、濃縮後、シリカゲルカラム(石油エーテル/酢酸エチル、25:1)で精製し、化合物6(531mg、1.2mmоl、68%)を得た。[α]
D
20 = 50.3°( c = 1.00, CHCl
3)。
1H NMR (400 MHz, Chloroform-d) δ 7.90 - 7.77 (m, 4H, Ar-H), 7.57 - 7.45 (m, 3H, Ar-H), 7.38 - 7.21 (m, 6H, Ar-H), 5.94 (dddd, J = 16.9, 10.8, 6.1, 5.0 Hz, 1H, Ally-H), 5.32 (dt, J= 17.2, 1.7 Hz, 1H, Ally-H), 5.19 (dq, J= 10.5, 1.5 Hz, 1H, Ally-H), 4.97 (d, J= 11.7 Hz, 1H, PhCH), 4.87 (s, 2H, 2Nap-H) 4.71 (d, J = 11.7 Hz, 1H, PhCH-H), 4.39 (ddt, J = 12.9, 5.0, 1.6 Hz, 1H, Ally-H), 4.22 (d, J = 8.0 Hz, 1H, 1-H), 4.10 (ddt, J = 12.9, 6.1, 1.4 Hz, 1H, Ally-H), 3.87 (dd, J = 10.4, 8.0 Hz, 1H, 2-H ), 3.55 (d, J = 2.8 Hz, 1H, 4-H), 3.42 - 3.38 (m, 1H, 5-H ), 3.36 (dd, J = 10.4, 2.8 Hz, 1H, 3-H), 1.20 (d, J = 6.4 Hz, 3H, 6-CH
3)
13C NMR (101 MHz, Chloroform-d) δ 138.38 , 135.34 , 133.93 , 133.38 , 133.23 , 128.55 , 128.48 , 128.36 , 128.07 , 127.89 , 127.83 , 126.79 , 126.38 , 126.21 , 125.90 , 117.58 , 101.11 , 81.07(C-1) , 75.17 , 74.85 , 72.87 , 70.74 , 70.07 , 63.31 , 17.02 . HRMS(ESI)m/z calcd for C
27H
29N
3O
4Na[M+Na]
+ 482.2050, found 482.2041。
化合物7:化合物6(531mg、1.16mmоl)をジクロロメタン(50ml)と水(5ml)の混合溶媒に溶解し、反応液を0℃に冷却し、DDQ(540mg、2.32mmоl)を加えた。反応液を室温で2時間撹拌し、すべての原料が完全に反応したことをTLCでモニタリングした後、反応液を10%Na
2S
2O
3で洗浄し、有機相を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させて濃縮し、シリカゲルカラム(石油エーテル/酢酸エチル、3:1)で精製して化合物7(325mg、0.96mmоl、85%)を得た。[α]
D
20 = -3.6°( c = 1.00, CHCl
3)。
1H NMR (400 MHz, Chloroform-d) δ 7.42 - 7.28 (m, 5H, Ar-H), 5.94 (dddd, J= 16.7, 10.4, 6.1, 5.1 Hz, 1H, Ally-H), 5.33 (dq, J = 17.2, 1.6 Hz, 1H, Ally-H), 5.21 (dq, J = 10.5, 1.4 Hz, 1H, Ally-H), 4.81 (d, J = 11.6 Hz, 1H, Bn-H), 4.72 (d, J = 11.6 Hz, 1H, Bn-H), 4.41 (ddt, J = 12.9, 5.1, 1.6 Hz, 1H, Ally-H), 4.26 (d, J = 7.7 Hz, 1H, 1-H), 4.11 (ddt, J = 12.9, 6.1, 1.4 Hz, 1H, Ally-H), 3.58 - 3.49 (m, 3H, 2-H,4-H, 5-H), 3.45 (dd, J = 10.4, 3.3 Hz, 1H, 3-H), 2.14 (s, 1H, -OH), 1.31 (d, J = 6.5 Hz, 3H, 6-Me)。
13C NMR (101 MHz, Chloroform-d) δ 138.02 , 133.75 , 128.68 , 128.30 , 128.18 , 117.63 , 101.11 , 78.60 , 76.04 , 73.12 , 70.95 , 70.17 , 64.73 , 17.01 。HRMS(ESI)m/z calcd for C
16H
21N
3O
4Na[M+Na]
+ 342.1424, found 342.1430。
【0038】
実施例3
糖ビルディングブロック17の合成ルート(
図3参照)
図3に示されるように、3,4,6-トリ-O-アセチル-マンノセン8を出発原料として、ヨードベンゼンジアセテート(PhI(OAc)
2)、アジドトリメチルシラン(TMS-N
3)、およびジフェニルジセレニド(Ph
2Se
2)と付加反応して、1-セレノフェニル-2-アジド化合物9を取得した。化合物9の3つのアセチルをメタノールとメトキシドナトリウムで除去し、6位のヒドロキシルを4-トルエンスルホニルクロリド(TsCl)で選択的に保護し化合物10を得た。次に、6-Tsグルコース10のTs基をヨウ化ナトリウムによってヨウ素化し、そして6位をシアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaCNBH
3)でメチルに還元してD-フコース化合物11を得た。D-フコース化合物の3位をp-メトキシベンジルクロリド(PMBCI)とジブチルスズオキシド(Bu
2SnO)で選択的に保護して化合物12を得てから、4位のヒドロキシルをベンジルで保護して化合物13を得た。化合物13の4位NapをDDQで除去し、アセチルで保護して化合物14を得た。化合物14の1位のセレノフェニルを臭化テトラブチルアンモニウム(NBS)によって加水分解し、そして1-OHフコースをCl
3CNとDBUによってグリコシルトリクロロアセトイミデートドナー15にした。次に、化合物15を、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリルの促進下で3炭素連結アームと反応させて、結合アームが組み立てられたフコース化合物16を得た。最後に、化合物16のアセチルをメタノールおよびナトリウムメトキシドのアルカリ性環境で除去して、糖ビルディングブロック17を得た。
具体的な試験操作とステップ:
化合物9:ガラクタール化合物8(2.0g、7.35mmоl)を無水ジクロロメタン(35ml)に溶解し、次に-30℃に冷却した。アルゴンガスの保護下で、ヨードベンゼンジアセテート(2.4g、7.35mmоl)とアジドトリメチルシラン(1.8ml、14.7mmоl)を加え、-30℃で0.5時間撹拌し続け、その後ゆっくりと室温に戻し、3時間撹拌を続けた後、原料が完全に反応したことをTLCでモニタリングした。反応液を飽和NaHCO
3(20ml)で3回洗浄し、有機相を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させてろ過し、濾液をスピン乾燥した後、シリカゲルカラム(石油エーテル/酢酸エチル、6:1)で精製して化合物9(2.4g、5.15mmоl、70%)を得た。[α]
D
20= 931.7°( c = 1.00, CHCl3)。
1H NMR (400 MHz, Chloroform-d) δ 7.78 - 7.11 (m, 5H, Ar-H), 6.01 (d, J = 5.4 Hz, 1H, H-1), 5.47 (dd, J = 3.4, 1.4 Hz, 1H, 4-H), 5.12 (dd, J = 10.9, 3.3 Hz, 1H, 3-H), 4.67 (ddd, J = 7.1, 5.8, 1.3 Hz, 1H, 5-H), 4.26 (dd, J = 10.9, 5.4 Hz, 1H, 2-H), 4.08 (dd, J = 11.5, 5.9 Hz, 1H, 6a-H), 4.02 (dd, J = 11.4, 7.1 Hz, 1H, 6b-H), 2.15 (s, 3H, COCH
3), 2.07 (s, 3H, COCH
3), 1.98 (s, 3H, COCH
3).
13C NMR (101 MHz, Chloroform-d): δ 169.93 , 137.08 , 135.12 , 129.91 , 129.19 , 128.56 , 128.23 , 128.04 , 127.97 , 84.44 , 77.22 , 75.34 , 73.68 , 73.44 , 70.09 , 67.05 , 58.99 , 21.67 , 20.83。HRMS(ESI)m/z calcd for C
18H
21N
3NaO
7Se[M+Na]
+494.0442。
化合物10:化合物9(0.5g、1.1mmоl)をメタノール(2.2ml)に溶解し、ナトリウムメトキシド(29mg、0.5mmоl)を加えた。反応液を室温で2時間撹拌し、TLC検出により、原料が完全に反応したことが示された。反応液を水素型Amberlite IR120樹脂で約7に中和した。樹脂をろ過し、溶剤をスピン乾燥した。
前のステップの粗生成物を無水ピリジン(8ml)に溶解し、アルゴンガスの保護下でTsCl(253mg、1.3mmоl)を加えた。反応液を室温で12時間撹拌し、原料の完全な反応をTLCにより検出した。反応液をDCMで希釈し、1M塩酸で洗浄した後、飽和重炭酸ナトリウムで抽出した。有機相を合わせ、無水ナトリウムで乾燥して濃縮した後、シリカゲルカラム(ジクロロメタン/メタノール、200:1)で精製して化合物10(384mg、077mmоl、70%)を得た。[α]
D
20 = 133.6°( c = 1.00, CHCl
3)。
1H NMR (400 MHz, Chloroform-d) δ 7.72 (d, J = 8.3 Hz, 2H, Ar-H), 7.58 (dt, J = 6.7, 1.6 Hz, 2H, Ar-H), 7.36 - 7.23 (m, 6H, Ar-H), 5.86 (d, J = 5.3 Hz, 1H, H-1), 4.57 - 4.50 (m, 1H, 5-H), 4.29 (dd, J= 10.6, 6.0 Hz, 1H, 6
a ), 4.10 - 3.93 (m, 3H, H-2, H-4, 6
b-H), 3.78 (ddd, J = 9.8, 6.0, 3.3 Hz, 1H, H-3), 2.68 (dd, J = 6.5, 4.8 Hz, 2H, 3-OH, 4-OH), 2.44 (s, 3H, PhCH
3)。
13C NMR (101 MHz, CDCl
3) δ 145.20, 135.04, 132.36, 132.11, 132.01, 129.94, 129.24, 128.78, 128.66, 128.24, 128.00, 127.67, 84.62, 77.34, 77.22, 77.02, 76.70, 70.62, 69.97, 67.87, 67.55, 61.57, 21.68。HRMS(ESI)m/z calcd for C
19H
21N
3NaO
5SSe[M+Na]
+506.0265。
化合物11:アルゴンガスの保護下で、化合物10(380mg、0.76mmоl)を2-ブタノン(9.6ml)に溶解し、ヨウ化ナトリウム(568mg、3.8mmоl)を加えた。反応液を80℃で12時間撹拌し、原料が完全に反応したことをTLCで検出した。反応液を室温に戻し、酢酸エチル(10ml)を加えて希釈し、10%チオ硫酸ナトリウムで2回洗浄し、水で2回洗浄し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。濃縮後、シリカゲルカラム(石油エーテル/酢酸エチル、4:1)で精製して新しい化合物(259mg、0.57mmоl、75%)を得た。[α]
D
20 = 317.6°( c = 1.00, CHCl
3)。
1H NMR (400 MHz, Chloroform-d) δ 7.61 - 7.43 (m, 4H, Ar-H), 7.39 - 7.12 (m, 6H, Ar-H), 5.96 (d, J = 5.3 Hz, 1H, 1-H), 4.44 - 4.33 (m, 1H, 5-H), 4.22 (d, J = 3.7 Hz, 1H, 4-H), 4.09 (dd, J = 10.2, 5.3 Hz, 1H, 2-H), 3.79 (ddd, J = 9.9, 6.1, 3.3 Hz, 1H, 3-H), 3.17 (dd, J= 12.7, 8.2 Hz, 1H, 6-H
a), 3.06 (dd, J = 12.7, 6.0 Hz, 1H, 6-H
b), 2.75 (d, J = 6.2 Hz, 1H, 3-OH), 2.45 (d, J = 3.9 Hz, 1H, 4-OH)。
13C NMR (101 MHz, CDCl
3) δ 134.58, 132.92, 132.87, 132.81, 129.49, 129.32, 129.28, 129.18, 128.19, 127.97, 127.46, 85.04, 84.62, 77.36, 77.25, 77.04, 76.73, 72.32, 71.32, 68.93, 61.71, 26.94。HRMS(ESI)m/z calcd for C
12H
14IN
3NaO
3Se [M+Na]
+ 477.9143。
アルゴンガスの保護下で、新しい化合物をDMF(2ml)に溶解し、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(48mg、0.75mmоl)を加えた。反応液を95℃で12時間撹拌し、原料が完全に反応したことをTLCで検出した。反応液を室温に戻し、反応液を水と酢酸エチルで洗浄し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。濃縮後、シリカゲルカラム(石油エーテル/酢酸エチル、2:1)で精製して化合物11(35mg、0.1mmоl、70%)を得た。[α]
D
20 =259.4°( c = 1.00, CHCl
3)。
1HNMR (400 MHz, Chloroform-d) δ 7.73 - 7.45 (m, 2H, Ar-H), 7.40 - 6.93 (m, 3H, Ar-H), 5.92 (d, J = 5.3 Hz, 1H, H-1), 4.39 (dt, J = 7.4, 6.0 Hz, 1H, 5-H), 4.05 (dd, J = 10.0, 5.3 Hz, 1H, 2-H), 3.91 - 3.74 (m, 2H, H-3. 4-H), 2.60 (d, J = 6.3 Hz, 1H, 3-OH), 2.26 (d, J = 4.0 Hz, 1H, 4-OH), 1.27 (d, J = 6.6 Hz, 3H, 6-CH
3).
13C NMR (101 MHz, Chloroform-d) δ 134.48 , 129.15 , 127.90 , 85.00 , 77.22 , 71.46 , 71.29 , 68.69 , 61.88 , 15.98。HRMS(ESI)m/z calcd for C
12H
15N
3NaO
3Se [M+Na]
+346.0230, found 346.0226。
化合物12:化合物11(3.0g、9.1mmоl)を無水トルエン(54ml)に溶解し、アルゴンガスの保護下で、Bu
2SnO(3.5g、13.7mmоl)を加えた。反応液を118℃に加熱し、撹拌しながら1.5時間還流した。そして、反応液を60℃に冷却し、PMBCl(1.9ml、13.7mmоl)とTBAI(5.1g、13.7mmоl)を加え、2時間撹拌し続けた。反応液を室温に冷却して、酢酸エチル(80ml)を加えて希釈し、水(100ml)で2回洗浄し、有機相を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。濾液を濃縮した後、シリカゲルカラム(石油エーテル/酢酸エチル、6:1)で精製して化合物12(2.7g、6mmоl、66%)を得た。[α]
D
20= 137.9°( c = 1.00, CHCl3)。1H NMR (400 MHz, Chloroform-d) δ 7.26 (s, 11H,Ar-H), 5.88 (d, J = 5.4 Hz, 1H,H-1), 4.70 (d, J = 11.0 Hz, 1H, Bn-H),4.63 (d, J = 11.0 Hz, 1H, Bn-H), 4.36 - 4.24 (m, 1H, 5-H), 4.15 (dd, J = 10.2, 5.3Hz, 1H, 2-H), 3.86 (dt, J = 3.2, 1.5 Hz, 1H, 4-H), 3.82 (s, 3H, Me-H), 3.69 (dd, J = 10.2, 3.2 Hz, 1H, 3-H), 2.35 (t, J = 1.6 Hz, 1H, 4-OH), 1.26 (d, J = 6.6 Hz, 3H, 6-Me).
13C NMR (101 MHz, Chloroform-d) δ 159.74 , 134.40 , 129.75 , 129.10 , 129.08 , 127.75 , 114.14 , 85.28 , 78.85 , 71.84 , 68.61 , 68.55 , 60.18 , 55.31 , 16.05 。HRMS(ESI)m/z calcd for C
20H
23N
3O
4SeNa[M+Na]
+472.0751, found 472.0725。
化合物13:化合物12(2.2g、4.9mmоl)をDMF(30ml)に溶解し、0℃で30分間撹拌し、水素化ナトリウム(396mg、9.8mmоl)をアルゴンガスの保護下でゆっくりと加えた。氷浴中で30分間撹拌を続け、臭化ベンジル(1.2ml、9.8mmоl)を反応液に滴加した。2時間撹拌して反応させ、すべての原料が完全に反応したことをTLCで検出した後、氷水を加えることによって反応をクエンチし、反応液をDCMで希釈し、抽出後に無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。濃縮液をシリカゲルカラム(石油エーテル/酢酸エチル、30:1)で精製して化合物13(1.9g、3.6mmоl、74%)を得た。[α]
D
20 = 71.5°( c = 1.00, CHCl
3)。
1HNMR (400 MHz, Chloroform-d) δ 7.57 - 7.55 (m , 2H, Ar-H), 7.36 - 7.25 (m , 10H, Ar-H), 6.94 - 6.91 (m , 2H, Ar-H), 5.92 (d, J = 5.3 Hz, 1H, H-1), 4.94 (d, J = 11.4 Hz, 1H , PhCH), 4.77 - 4.66 (m, 2H, PhCH2), 4.60 (d, J = 11.5 Hz, 1H, PhCH ), 4.33 (dd, J = 10.2, 5.3 Hz, 1H, H-2), 4.21 (q, J = 6.5 Hz, 1H, H-5), 3.83 (s, 3H, OCH
3), 3.71 (dd, J = 10.3, 2.7 Hz, 1H, H-3), 3.68 (dd, J = 2.8, 1.1 Hz, 1H, H-4), 1.12 (d, J = 6.4 Hz, 3H, 6-CH3)。
13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 159.63, 138.33, 134.48, 129.72, 129.16, 128.90, 128.44, 128.32, 127.90, 127.77, 114.14, 85.79, 80.47, 77.16, 76.01, 75.13, 72.40, 69.56, 61.03, 55.46, 16.69。HRMS(ESI)m/z calcd for C
27H
29N
3NaO
4Se [M+Na]
+562.1221, found 562.1209。
化合物14:化合物13(900mg、1.67mmоl)をDCM(84ml)に溶解し、2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノン(564mg、2.5mmоl)および水(4.2ml)をアルゴンガスの保護下で加えた。室温で7時間撹拌して反応させ、完全に反応したことをTLCで検出した。DCM(50ml)を加えて希釈し、反応液を10%チオ硫酸ナトリウム(100ml)で2回洗浄した。有機相を分離し、無水硫酸ナトリウムで濃縮した後、シリカゲルカラム(石油エーテル/酢酸エチル、10:1)で精製して新しい生成物(573mg、1.4mmоl、82%)を得た。新しい生成物を乾燥したピリジン(3.2ml)に溶解し、0℃に冷却し、30分間後に無水酢酸(0.5ml、5.12mmоl)をゆっくりと加え、反応液を室温に戻して5時間撹拌し続け、原料が完全に反応したことをTLCで検出した。反応液を1M塩酸で洗浄した後、飽和重炭酸ナトリウムと飽和食塩水で抽出した。有機相を分離して濃縮した後、シリカゲルカラム(石油エーテル/酢酸エチル、20:1)で精製して化合物14(598mg、1.3mmоl、quant)を得た。
1H NMR (400 MHz, Chloroform-d) δ 7.68 - 7.21 (m, 9H, Ar - H), 5.91 (d, J = 5.3 Hz, 1H,H-1), 5.46 (dd, J = 3.3, 1.2 Hz, 1H, H-4), 4.75 (d, J = 10.7 Hz, 1H,PhCH
2), 4.53 (d, J = 10.7 Hz, 1H, PhCH), 4.48 - 4.37 (m, 1H, H-5), 4.12 (dd, J = 10.3, 5.4 Hz, 1H, H-2), 3.78 (dd, J = 10.4, 3.3 Hz, 1H, H-3), 2.15 (s, 3H,COCH
3), 1.12 (d, J = 6.5 Hz, 3H,6-CH
3)。
13C NMR (101 MHz, Chloroform-d) δ 170.52 , 136.90 , 134.53 , 129.12 , 128.50 , 128.34 , 128.07 , 127.88 , 85.08 , 71.68 , 68.89 , 67.77 , 60.36 , 20.76 , 16.07 。HRMS(ESI)m/z calcd for C
21H
23N
3NaO
4Se [M+Na]
+ 484.0751, found 484.0749。
化合物15:化合物14(580mg/1.3mmоl)をテトラヒドロフラン(6ml)と水(6ml)の混合溶液に溶解し、0℃に冷却した。臭化テトラブチルアンモニウム(3mmоl)を加え、反応液を室温に戻し、5時間撹拌を続け、原料が完全に反応したことをTLCで検出した。反応液を10%チオ硫酸ナトリウムで洗浄し、DCMと水で抽出し、有機相を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して濃縮した後、シリカゲルカラム(石油エーテル/酢酸エチル、4:1)で精製して新しい化合物(417mg、1.3mmоl、quant)を得た。[α]
D
20 = 54.9°( c = 1.00, CHCl
3)。
1H NMR (400 MHz, Chloroform-d) δ 7.43 - 7.30 (m, 8H, Ar-H), 5.47 (dd, J = 3.3, 1.3 Hz, 1H, 1a-H), 5.34 (dd, J = 3.4, 1.1 Hz, 0.8H, 4b-H), 5.32 (d, J = 3.6 Hz, 1H, 4a-H), 4.77 (d, J = 10.8 Hz, 1H, PhCH), 4.75 (d, J = 11.1 Hz, 0.8H, PhCH), 4.54 (d, J = 7.9 Hz, 1H, 1b-H), 4.53 (d, J = 10.8 Hz, 1H, PhCH), 4.53 (d, J = 11.1 Hz, 0.8H, PhCH), 4.32 (qd, J = 6.6, 1.3 Hz, 1H, 5-H ), 4.03 (dd, J = 10.5, 3.2 Hz, 1H, 2a-H), 3.74 (dd, J = 10.5, 3.5 Hz, 1H, 3a-H), 3.69 (td, J = 6.4, 1.1 Hz, 0.8H, 5b-H), 3.58 (dd, J = 10.2, 7.9 Hz, 0.8H, 2b-H), 3.45 (dd, J = 10.3, 3.4 Hz, 0.8H, 3b-H), 2.19 (s, 2.4H, COCH
3), 2.18 (s, 3H, COCH
3), 1.25 (d, J = 6.5 Hz, 2.4H, 6b-CH
3), 1.19 (d, J = 6.5 Hz, 3H, 6a-CH
3).。
13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 170.90, 170.88, 137.15, 137.04, 128.63, 128.52, 128.40, 128.22, 128.17, 96.20, 92.46, 77.91, 77.48, 77.36, 77.16, 77.16, 76.84, 74.36, 71.91, 71.67, 69.69, 69.46, 68.39, 65.21, 64.03, 59.82, 20.95, 20.93, 16.55, 16.42。HRMS(ESI)m/z calcd for C
15H
19N
3O
5Na[M+Na]
+344.1217, found 344.1208。
新しい化合物(417mmоl、1.3mmоl)を無水ジクロロメタン(14ml)に溶解し、0℃に冷却した。トリクロロアセトニトリル(0.4ml、3.78mmоl)およびDBU(23μL、0.13mmоl)を順次に加え、反応液を5時間撹拌し続け、原料が完全に反応したことをTLCで検出した。反応液を室温で直接濃縮し、シリカゲルカラム(石油エーテル/酢酸エチル、10:1)で精製して化合物15(518mg、1.1mmоl、88%)を得た。
化合物16:グリコシルトリクロロアセトイミデート15(518mg、1.1mmоl)および窒素-ベンジル-窒素-ベンジルホルメート-プロパノール(500mg、1.7mmоl)を無水DCMに溶解し、4Åモレキュラーシーブを加え、室温で30分間撹拌した。そして、反応液を-40℃に冷却し、アルゴンガスの保護下で、TMSOTf(0.3ml、1.3mmоl)をゆっくりと加えた。反応液を-40℃で4時間撹拌し続け、原料が完全に反応したことをTLCで検出し、トリエチルアミン(1ml)で反応をクエンチした。反応液を飽和NaHCO
3で抽出し、有機相を分離し、無水Na
2SO
4で乾燥した後、シリカゲルカラムで精製して化合物16(396mg、0.44mmоl、60%)を得た。[α]
D
20 = -10.8°( c = 1.00, CHCl
3)。
1H NMR (400 MHz, Chloroform-d) δ 7.45 - 7.16 (m, 15H, Ar-H), 5.23 - 5.12 (m, 2H, PhCH), 4.74 - 4.59 (m, 3H, 3-H, 2PhCH), 4.61 - 4.38 (m, 2H, 2NPhCH), 4.21 (dd, J = 33.3, 8.0 Hz, 1H, 1-H), 4.02 - 3.87 (m, 1H, linker-OCH), 3.79 (t, J = 9.5 Hz, 1H 2-H), 3.67 (d, J = 3.0 Hz, 1H, 4-H), 3.63 - 3.27 (m, 4H, 5-H linker-OCH, linker-NCH
2), 2.07 (s,3H, COCH
3), 2.01 - 1.76 (m, 2H, linker-CH
2), 1.24 (d, J = 6.4 Hz, 3H, 6-CH3).
13C NMR (101 MHz, CDCl
3) δ 170.38, 137.95, 137.70, 128.52, 128.46, 128.40, 128.32, 127.97, 127.92, 127.87, 127.27, 101.99, 77.37, 77.25, 77.05, 76.74, 76.19, 75.59, 74.23, 70.48, 67.40, 67.19, 61.11, 50.90, 44.67, 43.62, 28.48, 28.03, 20.89, 16.57. HRMS(ESI)m/z calcd for C
33H
38N
4O
7Na[M+Na]
+625.2633, found 625.2650。
化合物17:化合物16(262mg、0.42mmоl)をメタノール(4ml)に溶解し、ナトリウムメトキシド(40mg)を加えた。反応液を室温で2時間撹拌し、すべての原料が完全に反応した後、反応液をメタノールで希釈し、水素型Amberlite IR120樹脂で反応液を約pH7に中和した。樹脂をろ過し、濾液を濃縮した後、シリカゲルカラム(石油エーテル/酢酸エチル、3:1)で精製して化合物17(244mg、0.42mmоl、quant)を得た。[α]
D
20 = -24.1°( c = 1.00, CHCl
3)。
1H NMR (400 MHz, Chloroform-d) δ 7.76 - 6.87 (m, 15H, Ar-H), 5.22 (d, J= 9.4 Hz, 2H, PhCH), 4.83 (d, J = 11.6 Hz, 1H, PhCH), 4.78 (d, J = 11.6 Hz, 1H, PhCH), 4.58 (d, J = 14.0 Hz, 2H, PhCH), 4.25 - 4.08 (m, 1H, 1-H), 4.05 - 3.86 (m, 1H, linker-OCH), 3.62 - 3.34 (m, 7H, 2-H, 3-H, 4-H, 5-H, linker-OCH, linker-NCH2), 2.46 (s, 1H, -OH), 2.02 - 1.80 (m, 2H, linker-CH
2), 1.31 (d, J = 6.4 Hz, 3H, 6-CH
3).
13C NMR (101 MHz, Chloroform-d) δ 138.00 , 128.58 , 128.56 , 128.50 , 128.26 , 128.08 , 127.95 , 127.89 , 102.12 (1-C) , 78.48 , 77.36 , 75.94 , 72.96 , 70.84 , 67.24 , 64.70 , 50.94 , 43.74 , 28.58 , 16.91。HRMS(ESI)m/z calcd for C
31H
36N
4NaO
6[M+Na]
+ 583.2527, found 583.2531。
【0039】
実施例4:D-フコースビルディングブロックの合成方法についての考察
方法一:
従来の文献に報告されている類似した化合物の合成方法から、D-フコースビルディングブロックを合成する方法1をまとめたものを、
図4に示す。ガラクタールS1を出発原料として使用し、ジフェニルジセレニド、トリメチルシリルアジドおよびジアセチルヨードベンゼンの共同作用下で、セレノフェニルおよびアジドをそれぞれ1位および2位に導入し、重要な中間体S2を得た。メタノール、ナトリウムメトキシドの作用下で、3、4、6位のアセチルを除去して化合物S3を得、次にベンジリデン基を4位と6位に導入して化合物S4を得、そして3位をアセチルで一時的に保護して化合物S5を得、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホン酸とボランの共同作用下で、ベンジリデン基を選択的に開き、ベンジルを4位に導入して化合物S6を得た。次に、p-トルエンスルホニルクロリドとピリジンの作用下でp-トルエンスルホニルを、露出した6位に導入して化合物S7を得たが、6位のp-トルエンスルホニルをヨウ素原子で置換すると、反応がスムーズに進まなかった。
発明者は、アセトニトリルおよびTBAIをそれぞれ100℃および80℃で反応し、及び、ブタノンおよびヨウ化ナトリウムを80℃で反応することを含む、異なる条件を試したが、対応する生成物S8を得るために6位にヨウ素を導入することができなかったため、さらに目標のD-フコースビルディングブロックをルートに沿って合成することができなかった。
方法二:
方法一を改善し、改善した合成ルートを
図5に示す。ペルアセチルグルカールS9を出発原料とし、フリーラジカル付加反応を用い、セレノフェニルとアジドをそれぞれ1位と2位に導入して化合物S10を得てから、アセチルを除去して化合物S11を得、次に4、6位をベンジリデン基で同時に保護して化合物S12を得、そして3位をアセチルで一時的に保護して化合物S13を得、ベンジリデン基を80%酢酸溶液で開いて化合物S14を得、p-トルエンスルホン酸とピリジンの条件下でp-トルエンスルホニルを6位に導入して化合物S15を得た。そして、2-ブタノンの還流溶液中で、ヨウ化ナトリウムと反応し、ヨウ素を6位に導入して化合物S16を得た。化合物S16の6位のヒドロキシルをシアノボロヒドリドナトリウムによる還元法によりメチルに還元して化合物S17を得、次にトリフルオロメチルスルホニルをまず4位に導入して化合物S18を得、次に亜硝酸カリウムによって還元して4位に垂直なヒドロキシルを有する化合物S19を得、すなわち、4位に水平なヒドロキシルを垂直に結合したヒドロキシルに首尾よく変換し、これによって、D-フコース構造に変換し、そして酸化銀の中性条件下で、ベンジルを4位のヒドロキシルに導入して化合物S20を得た。
この方法では、必要な化合物S20を得ることができるが、実用性は高くない。これは主にルートステップが長すぎて、合計11の反応モジュールがあり、特に4-OH転位、およびAg
2Oを使用してOBn基を作る最後のステップの二つのステップの反応収率の両方とも50%未満であるため、このルートの合計収率は2%未満である。
【0040】
実施例5
二糖20の合成ルート(
図6参照)
図6に示されるように、二糖18の合成は、
図1に示されるルートによって前に合成されたグルコース化合物3および
図2に示されるルートによって合成されたL-フコース化合物7を使用してルイス酸TMSOTfの触媒作用下で完成された。次に、二糖18還元末端のアリルをメタノール溶液中で塩化パラジウムによって加水分解して除去したことにより1-OH二糖化合物19を得た。最後に、化合物19を、2,2,2-トリフルオロ-N-フェニルアセトイミドイルクロリドを使用してN-フェニル-トリフルオロアセトイミデートを含む二糖供与体20にした。
具体的な試験操作とステップ:
化合物18:単糖供与体3(500mg、1.0mmоl)およびグリコシル受容体7(165mg、0.52mmоl)を窒素ガスの保護下で無水DCM(10ml)に溶解し、4Åモレキュラーシーブを加えた。反応液を室温で30分間撹拌した後、0℃に冷却し、TMSOTf(36μL、0.2mmоl)を加えた。反応液をゆっくりと室温に戻し、5時間撹拌を続け、原料が完全に反応したことをTLCで検出した。反応液をトリエチルアミンでクエンチし、飽和重炭酸ナトリウムで抽出し、濃縮液をシリカゲルカラム(石油エーテル/酢酸エチル、2:1)で精製して化合物18(300mg、0.46mmоl、88%)を得た。[α]
D
20= 2.3°( c = 1.00, CHCl
3)。
1H NMR (400 MHz, Chloroform-d) δ 7.52 - 6.73 (m, 6H,Ar-H), 5.84 (ddt, J = 16.4, 10.8, 5.6 Hz, 1H,Ally-H), 5.23 (d, J = 17.3 Hz, 1H, Ally-H), 5.17 - 5.05 (m, 3H, Ally-H, 3’-H, 4’-H), 5.03 (t, J = 8.2 Hz, 1H, 2’-H), 4.80 (d, J = 11.3 Hz, 1H, Bn-H), 4.77 (d, J = 7.7 Hz, 1H, 1’-H), 4.46 (d, J = 11.4 Hz, 1H, Bn-H), 4.29 (dd, J = 13.0, 5.0 Hz, 1H, Ally-H), 4.20 (dd, J = 12.3, 4.4 Hz, 1H, 6’-Ha), 4.17 - 4.08 (m, 2H, 6’-Hb, 1-H), 4.00 (dd, J = 13.0, 6.2 Hz, 1H, Ally-H), 3.66 (qd, J = 10.3, 4.9 Hz, 3H, 5’-H, 2-H, 3-H), 3.43 (d, J = 2.5 Hz, 1H, 4-H), 3.35 (d, J = 6.4 Hz, 1H, 5-H), 1.99 (s, 3H, CH
3CO), 1.95 (s, 3H, CH
3CO), 1.92 (s, 3H, CH3CO), 1.79 (s, 3H, CH
3CO), 1.10 (d, J = 6.3 Hz, 3H, 6-CH
3)。
13C NMR (101 MHz, Chloroform-d) δ 170.38 , 170.08 , 169.04 , 168.88 , 137.76 , 133.47 , 128.04 , 127.91 , 127.52 , 117.24 , 100.54 , 98.46 , 79.37 , 77.03 , 75.44 , 74.68 , 72.99 , 71.87 , 71.34 , 70.06 , 69.76 , 68.00 , 61.87 , 61.62 , 20.46 , 20.32 , 16.50。HRMS(ESI)m/z calcd for C
30H
39N
3NaO
13 [M+Na]
+672.2375, found 672.2377。
化合物19:化合物18(300mg、0.46mmоl)を無水メタノール(23ml)に溶解し、次に反応液を40℃に加熱した。塩化パラジウム(16mg)を加え、1時間撹拌し続け、原料が完全に反応したことをTLCで検出した。反応液をDCMで希釈して飽和重炭酸ナトリウムで抽出し、有機相を分離して濃縮した後、シリカゲルカラム(石油エーテル/酢酸エチル、1:1)で精製して化合物19(256mg、0.40mmоl、88%)を得た。[α]
D
20= -7.1°( c = 1.00, CHCl
3)。
1H NMR (400 MHz, Chloroform-d)。 -anomer δ 7.35 - 7.22 (m, 5H, Ar-H), 5.23 (d, J = 3.5 Hz, 1H, 1-H), 5.22 - 5.00 (m, 3H, 2’-H, 3’-H, 4’-H), 4.86 - 4.72 (m, 2H, 1’-H, Bn-H), 4.43 (d, J = 11.0 Hz, 1H, Bn-H), 4.38 (d, J = 7.8 Hz, 1H, 1’-H), 4.28 (dd, J = 10.6, 2.7 Hz, 1H, 3-H), 4.25 - 4.11 (m, 2H, 6’-Hab), 4.11 - 4.02 (m, 1H, 5-H), 3.75 - 3.65 (m, 2H, 2-H, 5’-H), 3.61 (d, J = 2.8 Hz, 1H, 4-H), 2.01 (s, 3H, OAc-Me), 1.97 (s, 3H, OAc-Me), 1.93 (s, 3H, OAc-Me), 1.72 (s, 3H, OAc-Me), 1.10 (d, J = 6.4 Hz, 3H, 6-Me)。 -anomer δ 7.35 - 7.22 (m, 5H, Ar-H), 5.22 - 5.00 (m, 3H, 2’-H, 3’-H, 4’-H), 4.80 ( d, J= 11.5 Hz, 1H, Bn-H), 4.47 (d, J = 11.3 Hz, 1H, Bn-H), 4.38 (d, J= 7.8 Hz, 1H, 1’-H), 4.22 - 4.03 (m, 4H, 6ab -H, 1’-H, 3-H), 3.74 - 3.58 (m, 3H, 2-H, 4-H, 5’-H), 3.51 - 3.41 (m, 1H, 5-H), 2.01 (s, 3H, OAc-Me), 1.97 ( s, 3H, OAc-Me), 1.94 (s, 3H, OAc-Me), 1.72 (s, 3H, OAc-Me), 1.10 (d, J = 6.4 Hz, 3H, 6-Me)。
13C NMR (101 MHz, CDCl
3) δ 170.79, 170.69, 170.43, 170.38, 169.33, 169.29, 169.15, 169.05, 137.87, 128.44, 128.39, 128.36, 128.32, 128.24, 128.14, 128.12, 128.00, 127.93, 102.18, 101.52, 98.74, 98.67, 98.65, 96.22, 92.72, 79.54, 79.42, 79.37, 77.37, 77.25, 77.14, 77.05, 76.87, 76.73, 76.48, 75.73, 75.52, 75.17, 75.03, 75.00, 74.96, 74.06, 73.33, 73.23, 73.20, 72.13, 72.10, 71.97, 71.82, 71.56, 70.69, 70.62, 70.40, 68.25, 68.20, 66.62, 63.71, 63.53, 62.05, 61.99, 61.78, 58.93, 43.75, 29.68, 20.71, 20.69, 20.66, 20.58, 20.56, 20.54, 16.78, 16.67, 16.61, 16.57。HRMS(ESI)m/z calcd for C
27H
35N
3NaO
13 [M+Na]
+632.2062, found 632.2039。
化合物20:化合物19(86mg、0.14mmоl)を無水DCMに溶解して0℃に冷却した。アルゴンガスの保護下で2,2,2-トリフルオロ-N-フェニルアセトイミドイルクロリド(0.1ml)およびDBU(30μL)を加えた。反応液を室温に戻して20時間撹拌し続けた。室温で濃縮した後、シリカゲルカラム(石油エーテル/酢酸エチル、2.5:1)で精製して化合物20(67mg)を得た。
【0041】
実施例6
三糖24の合成ルート(
図7参照)
図7に示されるように、二糖供与体20と単糖受容体17を、ジクロロメタン、ジエチルエーテルおよびチオフェンなどの溶媒の共同作用下で、ルイス酸TMSOTfによって触媒して1,2-シス結合三糖21を得た。三糖21のアジドを、チオ酢酸およびピリジンによって0℃でアセチルアミノ化合物22に還元した。化合物22のグルコース基の4つのアセチルをアルカリ性条件下で除去して化合物23を得た。最後に、すべての芳香族基をパラジウム炭素および水素によって除去して、アミノ連結アームが組み立てられた緑膿菌O11血清型O抗原三糖を得た。
具体的な試験操作とステップ:
化合物21:二糖供与体20(35mg)および単糖受容体17(45mg)を、アルゴンガスの保護下で無水DCM(0.9ml)、ジエチルエーテル(0.9ml)、及びチオフェン(0.9ml)の混合溶媒に溶解し、4Åモレキュラーシーブを加え、室温で30分間撹拌してから0℃に冷却した。TMSOTfを加えて8時間撹拌し続け、グリコシル供与体が完全に反応したことをTLCで検出した。反応をトリエチルアミンでクエンチし、飽和重炭酸ナトリウムで抽出し、有機相を濃縮した後、シリカゲルカラム(石油エーテル/酢酸エチル、3:1)およびSephadex LH-20ゲルカラム(DCM/MeOH、1:1)で精製して化合物21(37mg)を得た。[α]
D
20= -44.5°( c = 1.00, CHCl
3)。
1H NMR (400 MHz, Chloroform-d) δ 7.41 - 7.19 (m, 20H, Ar-H), 5.30 - 5.04 (m, 6H, 2PhCH, 1’-H, 2”-H, 3”-H, 4”-H ), 4.83 (d, J = 11.1 Hz, 1H, PhCH), 4.77- 4.75 (m, 3H, 2PhCH, 1”-H), 4.55 - 4.50 (m, 2H, NPhCH), 4.42 (d, J = 11.0 Hz, 1H, PhCH), 4.33 - 4.21 (m, 1H, 6”-H), 4.18 (d, J= 7.0 Hz, 1H, 1-H), 4.07 (m, 2H, 3’-H, 6”-H), 4.00 - 3.88 (m, 1H, linker-OCH), 3.81 (t, J = 9.0 Hz, 1H, 2-H), 3.79 - 3.67 (m, 2H, 5’-H, 5”-H), 3.62 (dd, J= 10.7, 3.7 Hz, 1H, 2’-H), 3.53 - 3.26 (m ,6H, linker-OCH, linker-NCH
2, 3-H, 4H, 4’-H), 2.04 (s, 1H, COCH
3), 2.00 (s, 1H, COCH
3), 1.96 - 1.81 (m, 2H, linker-CH
2), 1.80 (s, 1H, COCH
3), 1.30 (d, J = 6.7, 3H, 6-CH
3), 1.10 (d, J = 6.4 Hz, 3H, 6’-CH
3)。
13C NMR (101 MHz, CDCl
3) δ 170.70, 170.41, 169.22, 168.95, 138.47, 137.94, 137.78, 128.50, 128.44, 128.38, 127.99, 127.96, 127.89, 127.86, 127.77, 127.62, 127.25, 102.44, 100.52, 99.60, 79.20, 79.11, 77.34, 77.22, 77.02, 76.70, 75.31, 75.26, 73.29, 72.29, 71.96, 70.71, 68.03, 67.50, 67.18, 63.61, 61.76, 58.26, 50.90, 49.78, 44.76, 43.68, 29.69, 28.52, 28.09, 23.42, 20.66, 20.59, 16.95, 16.54。HRMS(ESI)m/z calcd for C
58H
69N
7NaO
18[M+Na]
+1174.4591, found 1174.4626。
化合物22:化合物21(30mg)を乾燥ピリジン(0.5ml)およびチオ酢酸(0.5ml)に溶解し、0℃で12時間撹拌し、原料が完全に反応したことをTLCで検出した後、トルエンを使用して反応液と3回共沸し、シリカゲルカラム(ジクロロメタン/メタノール、50:1)で精製して化合物21(30mg)を得た。[α]
D
20= 49.5°( c = 1.00, CHCl
3).
1H NMR (400 MHz, Chloroform-d) δ 7.80 - 6.90 (m, 20H, Ar-H), 6.83 (d, J = 8.1 Hz, 1H, NHAc-H), 6.18 (d, J = 9.2 Hz, 1H, NHAc-H), 5.27 - 5.13 (m, 3H, 3’’-H, 2Cbz-H), 5.10 - 4.99 (m, 2H, 1’-H, 4’’-H ), 4.96 (t, J = 8.7 Hz, 1H, 2’’-H), 4.88 (d, J = 11.1 Hz, 1H, Bn-H), 4.84 - 4.79 (m, 1H, Bn-H), 4.74 (d, J = 15.5 Hz, 2H, Bn-H), 4.63 (d, J = 8.0 Hz, 3H, 1’’-H, 3-H, 2’-H), 4.41 (d, J = 10.9 Hz, 1H, Bn-H), 4.34 - 4.25 (m, 2H, 6’’-H, 1-H), 4.25 - 4.13 (m, 1H,2-H), 4.09 (t, J = 9.0 Hz, 1H, 6’’-H), 3.86 (dtt, J = 34.7, 10.8, 6.0 Hz, 3H, 5’-H, 4-H, 3’-H), 3.66 (dd, J = 9.7, 6.0 Hz, 1H, 5’’-H), 3.60 - 3.52 (m, 1H, 3-H), 3.44 (d, J = 7.3 Hz, 2H, 5-H, 4’-H), 3.34 - 3.08 (m, 1H, linker-OCH
2-H), 2.87 (dt, J = 14.3, 5.0 Hz, 1H, linker-NH
2-H), 2.14 (s, 3H, OAc-Me), 2.09 (s, 3H, NHAc-Me), 2.06 (s, 3H, OAc-Me), 2.00 (s, 3H, OAc-Me), 1.89 (s, 3H, NHAc-Me), 1.80 (s, 3H, OAc-Me), 1.68 (d, J = 9.6 Hz, 1H), 1.32 (d, J = 6.3 Hz, 3H, 6’-Me), 1.17 (d, J = 6.5 Hz, 3H, 6-Me).
13C NMR (101 MHz, Chloroform-d) δ 171.62, 171.05, 170.77, 170.42, 169.28, 168.83, 156.56, 138.81, 138.17, 137.98, 137.35, 136.86, 128.66, 128.55, 128.51, 128.47, 128.36, 128.17, 128.09, 127.96, 127.91, 127.80, 127.76, 127.71, 127.65, 127.50, 127.28, 127.19, 126.35, 101.24, 100.77, 99.67, 80.00, 79.66, 78.94, 77.83, 77.23, 75.05 (d, J = 13.2 Hz), 73.18, 72.20, 72.07, 70.73, 68.21, 67.52, 67.33, 65.76, 61.95, 52.22, 49.70, 47.60, 42.47, 31.92, 29.69, 26.87, 23.33, 20.84, 20.58, 20.56, 17.24, 16.73。
化合物23:化合物22(22mg)をメタノール(5ml)に溶解し、ナトリウムメトキシド(10mg)を加えた。反応液を室温で2時間撹拌し、原料が完全に反応したことをTLCで検出した後、水素型Amberlite IR120樹脂で反応液を約7に中和した。樹脂をろ過し、反応液を濃縮した後、シリカゲルカラム(ジクロロメタン/メタノール、10:1)で精製して化合物23(18mg)を得た。[α]
D
20 = -16.3°。
1H NMR (400 MHz, Chloroform-d) δ 7.60 - 7.13 (m, 20H), 7.12 (d, J = 7.3 Hz, 1H, NHAc-H), 6.69 (d, J = 9.8 Hz, 1H, NHAc-H), 5.23 (d, J = 12.6 Hz, 1H, Cbz-H), 5.15 (d, J = 12.4 Hz, 1H, Bn-H), 5.05 (d, J = 12.3 Hz, 1H, Cbz-H), 4.96 - 4.83 (m, 2H, 1’-H, Bn-H), 4.79 (d, J = 15.7 Hz, 1H, Bn-H), 4.72 (d, J = 12.2 Hz, 1H, Bn-H), 4.66 - 4.49 (m, 2H, Bn-H, 2’-H), 4.36 (s, 1H,OH-H),4.28 (d, J = 9.5 Hz, 1H, 2A-H), 4.22 (d, J = 16.0 Hz, 1H, Bn-H), 4.03 (d, J = 7.3 Hz, 2H,1’’-H, NCH
2-H), 4.00 - 3.84 (m, 4H, 3’-H, 1-H, 6’’-H, OCH
2-H), 3.72 (dd, J = 12.5, 6.1 Hz, 1H, 6’’-H), 3.64 (q, J = 6.7 Hz, 1H, 5-H), 3.42 (ddd, J = 26.0, 12.9, 5.7 Hz, 4H, 5-H, 2’’-H,3’’-H,4’’-C), 3.33 (d, J = 4.6 Hz, 1H, 3-H), 3.31 - 3.19 (m, 2H, 4’-H, 5’’-C), 3.15 (td, J = 9.7, 4.0 Hz, 1H, OCH
2-H), 2.88 - 2.74 (m, 2H, NH
2-H), 2.09 (s, 3 H, NHAc-Me), 1.96 (s, 3H, NHAc-Me), 1.72 - 1.57 (m, 2H, linker-CH
2),1.32 (s, J = 6.4, 3H, 6-Me), 1.03 (s, J = 6.3, 3H, 6-Me)。
13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 172.97, 172.65, 156.77, 138.85, 138.64, 137.11, 136.82, 128.75, 128.60, 128.38, 128.14, 128.05, 127.64, 127.50, 127.34, 127.26, 127.07, 101.41, 99.87, 82.13, 79.54, 77.36, 77.04, 76.72, 76.31, 75.31, 74.62, 74.34, 74.14, 72.82, 71.70, 70.92, 67.67, 67.56, 65.55, 62.61, 52.00, 49.50, 48.11, 42.01, 29.72, 26.65, 23.53, 17.50, 16.75。HRMS(ESI)m/z calcd for C
62H
77N
3NaO
20 [M+Na]
+1038.4570, found 1038.4538。
化合物24:化合物23(12mg)をメタノール(3ml)、ジクロロメタン(1ml)および水(1ml)の混合溶媒に溶解し、氷酢酸を2滴加えてから、パラジウム炭素(10mg)を加えた。反応は、水素圧0.4MPa、反応時間12時間で、BLT-2000中圧水素化装置で行われた。反応後、反応液を珪藻土でろ過し、濃縮後、CHROMAFIX C
18 ecで精製して化合物24(7mg)を得た。
1H NMR (400 MHz, Deuterium Oxide) δ 5.03 (s, 1H, 1’-H), 4.51 (d, J = 7.9 Hz, 1H, 1’’-H), 4.37 (d, J = 8.4 Hz, 1H, 1-H), 4.17 (s, 1H, 2’-H), 4.07 (q, J = 6.6 Hz, 1H, 5’-H ), 4.02 (s, 1H, 3’-H), 3.99 - 3.86 (m, 4H, 2-H,4’-H, 6”-H, OCH2-H), 3.80 - 3.75 (m, 1H, 5-H), 3.67 (ddt, J = 16.6, 10.9, 6.0 Hz, 3H, 3-H, 6”-H, OCH2-H), 3.46 (m, 2H, 3”-H, 5”-H), 3.34 (t, J = 9.3 Hz, 1H, 4”-H), 3.26 (t, J = 8.6 Hz, 1H, 2”-H), 3.05 (t, J = 6.9 Hz, 2H, NCH
2-H), 2.00 (s, 3H, NHAc-Me), 1.98 (s, 3H, NHAc-Me), 1.91 (t, J = 6.4 Hz, 2H, CH
2-H), 1.23 (d, J =6.9 Hz, 3H, 6-Me), 1.21 (d, J =6.8 Hz, 3H, 6’-Me)。
13C NMR (101 MHz, Deuterium Oxide) δ 174.35 , 101.49 , 100.22 , 98.89 , 76.54 , 76.00 , 75.46 , 74.78 , 72.81 , 71.31 , 70.63 , 70.33 , 69.63 , 69.60 , 68.39 , 67.88 , 66.88 , 60.84 , 51.31 , 47.88 , 37.60 , 26.64 , , 22.20 , 22.17 , 15.39 , 15.29 。HRMS(ESI)m/z calcd for C
25H
45N
3NaO
14[M+Na]
+ 634.2794, found 634.2789。
【0042】
実施例7:三糖24中のシスグリコシド結合の構築に対する溶媒の影響についての考察
糖環のC-2位のアシルの補助下での隣接基関与効果を利用して1,2-トランスグリコシド結合を効率よく構築することは、糖化学において比較的に成熟した方法となっている。2位のアセチルは、糖化学保護戦略において最も簡単に入手でき、最も効果的な保護剤として、例えば、本特許の化合物18の合成など、一般的に優先的に考慮される。しかしながら、1,2-シス反応については、成熟した方法はまだない。実施例6を参照すると、他の条件を変えずに溶媒成分を変え、生成物の構造の結果を表1に示す。
表1から分かるように、1,2-シスグリコシド結合の構築は溶媒の影響を大きく受け、中でも、無水ジクロロメタン/ジエチルエーテル/チオフェンの混合溶媒が最も効果的であり、均一なα型生成物を実現でき、反応の立体選択性は100%に達することができる。
【0043】
実施例8:糖鎖合成に対するアセチル基の組立のタイミングの影響
アセチルアミノを単糖段階でそれぞれ組み立て、アセチルアミノ二糖供与体S21とアセチルアミノ受容体S22を得た。これに基づいて、グリコシル化反応では成功しなかった目標の三糖S23の合成を行い、その理由を分析した結果、供与体二糖の還元末端の2位のアセチルアミノが活性化されて安定なオキサゾリン環中間体を形成したため、グリコシル化反応を制限した。上記の結果は、アセチルアミノの前駆体として非関与アジドを使用すると、目標のオリゴ糖合成の反応性および立体選択性を改善するのに役立つことを示している。
【0044】
以上、本発明を好ましい実施形態により開示したが、これらは本発明を限定するものではなく、この技術に精通した者であれば、本発明の趣旨およびその範囲から逸脱することなく、さまざまな変更と修飾をすることが可能であるため、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲によって画定されたものに準ずる。
【国際調査報告】