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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-01
(54)【発明の名称】医療用排水管
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/00 20060101AFI20220125BHJP
   A61M 39/02 20060101ALI20220125BHJP
【FI】
A61M25/00 650
A61M39/02 110
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021521977
(86)(22)【出願日】2019-10-18
(85)【翻訳文提出日】2021-06-14
(86)【国際出願番号】 GB2019052983
(87)【国際公開番号】W WO2020084282
(87)【国際公開日】2020-04-30
(31)【優先権主張番号】1817375.7
(32)【優先日】2018-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510174727
【氏名又は名称】ソルツ ヘルスケア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ダーウッド、 リチャード
【テーマコード(参考)】
4C066
4C267
【Fターム(参考)】
4C066BB05
4C066CC01
4C066GG08
4C066LL11
4C066QQ76
4C267AA03
4C267BB63
4C267CC26
4C267EE15
4C267HH11
(57)【要約】
液体源から液体貯蔵装置へ液体を輸送するための医療用排水管は、内腔を画定する内面と、液体源に結合し、液体源から内腔に液体を受け入れるための入口と、液体貯蔵装置に結合し、受け入れた液体を内腔から液体貯蔵装置に輸送するための出口と、医療用排水管の使用時に、少なくとも24時間液体に暴露された後に溶解するように構成され、それによって医療用排水管の交換が必要であることをユーザに通知するトリガを提供する指示剤を含むインジケータとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体源から液体貯蔵装置へ液体を輸送するための医療用排水管であって、
内腔を画定する内面と、
液体源に結合し、前記液体源から前記内腔に液体を受け入れるための入口と、
液体貯蔵装置に結合し、受け入れた液体を前記内腔から前記液体貯蔵装置に輸送するための出口と、
前記医療用排水管の使用時に、少なくとも24時間ぜ液体に暴露された後に溶解するように構成され、それによって前記医療用排水管の交換が必要であることをユーザに通知するトリガを提供する指示剤を含むインジケータと
を含む、医療用排水管。
【請求項2】
前記インジケータは、前記液体に暴露された後に溶解するように構成されたさらなる指示剤を含む、請求項1に記載の医療用排水管。
【請求項3】
前記さらなる指示剤は、前記指示剤とは異なる前記液体の溶解速度を有する、請求項2に記載の医療用排水管。
【請求項4】
前記指示剤又は各指示剤が内部に配置される空洞をさらに備える、請求項1~3のいずれか1項に記載の医療用排水管。
【請求項5】
前記空洞は、第1の液体流路を介して前記内腔と液体連通している、請求項4に記載の医療用排水管。
【請求項6】
前記空洞は、第2の液体流路を介して前記内腔と液体連通している、請求項5に記載の医療用排水管。
【請求項7】
前記指示剤又は各指示剤は、前記空洞の内面に固定されるか又は固定可能である、請求項4~6のいずれか1項に記載の医療用排水管。
【請求項8】
前記指示剤又は各指示剤は、前記内腔の中に配置される、請求項1~3のいずれか1項に記載の医療用排水管。
【請求項9】
前記指示剤又は各指示剤は、その前記内面に固定されるか又は固定可能である、請求項8に記載の医療用排水管。
【請求項10】
前記指示剤又は各指示剤は、ペレット、錠剤、カプセル、球体又はトローチのいずれかの形態である、請求項1~9のいずれか1項に記載の医療用排水管。
【請求項11】
前記指示剤又は各指示剤は、長さLを有する材料片の形態である、請求項1~9のいずれか1項に記載の医療用排水管。
【請求項12】
前記指示剤又は各指示剤は、第1の部分と、前記第1の部分から前記長さLに沿って離間された第2の部分とを有し、前記第1の部分の幅及び/又は厚さは、前記第2の部分の幅及び/又は厚さよりも小さい、請求項11に記載の医療用排水管。
【請求項13】
前記指示剤又は各指示剤に関連付けられる測定装置をさらに備える、請求項11又は12に記載の医療用排水管。
【請求項14】
前記測定装置は、一連の目盛りを含む、請求項13に記載の医療用排水管。
【請求項15】
前記指示剤又は各指示剤は、水溶性ポリマーを含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の医療用排水管。
【請求項16】
液体貯蔵装置、及び
液体源から前記液体貯蔵装置へ液体を輸送するための請求項1~15のいずれか1項に記載の医療用排水管
を含む、キット。
【請求項17】
前記液体貯蔵装置及び前記医療用排水管は、別個の構成要素である、請求項16に記載のキット。
【請求項18】
前記液体貯蔵装置及び前記医療用排水管は、一体的に形成される、請求項16に記載のキット。
【請求項19】
液体源をさらに含む、請求項16~18のいずれか1項に記載のキット。
【請求項20】
前記液体源は、人工膀胱袋を含む、請求項19に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、医療用排水管に関し、特に、これに限定されるものではないが、医療装置で使用するための医療用排水管に関する。例えば、本発明の実施形態は、人工膀胱夜間排水システムのような夜間排水システムで使用するための医療用排水管に関してもよい。また、本発明の実施形態は、従来のカテーテルシステムで使用するための医療用排水管に関する。
【発明の概要】
【0002】
本発明の目的は、清浄度が改善された医療装置(特に、尿等の体液を輸送するために使用されるもの)を提供することである。
【0003】
本発明の第1の態様によれば、液体源から液体貯蔵装置へ液体(尿等)を輸送するための医療用排水管が提供され、この医療用排水管は、内腔を画定する内面と、液体源に結合し、液体源から内腔に液体を受け入れるための入口と、液体貯蔵装置に結合し、受け入れた液体を内腔から液体貯蔵装置に輸送するための出口と、医療用排水管の使用時に、少なくとも24時間液体に暴露された後に溶解するように構成され、それによって医療用排水管の交換が必要であることをユーザに通知するトリガを提供する指示剤を含むインジケータとを含む。
【0004】
液体は体液であってもよい。液体は尿であってもよい。
【0005】
使用時には、指示剤と接触する時点での液体の温度は、通常の体温(すなわち37.5°C)であるか又はそれを僅かに下回る。これは、身体から出た直後に液体が指示剤に接触するためである。したがって、指示剤と接触する時点における液体の温度は、約35°C~約37.5°Cであり得る。
【0006】
指示剤は、少なくとも48時間又は少なくとも72時間又は少なくとも96時間又は少なくとも120時間又は少なくとも144時間又は少なくとも168時間、液体に曝露された後に溶解するように構成し得る。
【0007】
指示剤は、最大で336時間まで液体に暴露された後に溶解するように構成し得る。336時間が経過した後、推奨される衛生基準を維持するために医療用排水管の交換がほぼ確実に必要になる。
【0008】
したがって、指示剤が溶解すると、トリガは、医療用排水管の交換が必要であることをユーザに警告する。医療用排水管が交換されると、医療装置の全体的な清浄度が改善される。
【0009】
インジケータは、液体に暴露された後に溶解するように構成されたさらなる指示剤を含み得る。さらなる指示剤は、同じ液体中での指示剤の溶解速度と比較した場合、その液体中での異なる溶解速度を有し得る。例えば、さらなる指示剤は、指示剤よりもゆっくりと溶解し得る。
【0010】
医療用排水管は、その内部に、該指示剤又は各指示剤が配置される空洞をさらに含み得る。空洞は内腔から分離していてもよい。
【0011】
空洞は、第1の液体流路を介して内腔と液体連通していてもよい。
【0012】
さらに、空洞は、第2の液体流路を介して内腔と液体連通していてもよい。
【0013】
該指示剤又は各指示剤は、空洞の内面に固定されるか、又は固定可能であってもよい。
【0014】
該指示剤又は各指示剤は、内腔の中に配置されてもよい。
【0015】
該指示剤又は各指示剤は、医療用排水管の内面に固定されるか、又は固定可能であってもよい。
【0016】
該指示剤又は各指示剤は、ペレット、錠剤、カプセル、球体又はトローチのいずれかの形態であってもよい。
【0017】
該指示剤又は各指示剤は、長さLを有する材料片の形態であってもよい。
【0018】
該指示剤又は各指示剤は、第1の部分と、第1の部分から長さLに沿って離間された第2の部分とを有し、第1の部分の幅及び/又は厚さは、第2の部分の幅及び/又は厚さよりも小さい。
【0019】
さらに、医療用排水管は、該指示剤又は各指示剤に関連付けられる測定装置を含み得る。
【0020】
測定装置は、例えば、定規の形態で、一連の目盛りを含み得る。
【0021】
測定装置は、医療用排水管の表面に設けられ得る。例えば、測定装置は、医療用排水管の内面若しくは外面、又は空洞の内面若しくは外面に設けることができる。あるいは、測定装置は、指示剤及び/又は任意のさらなる指示剤に形成されてもよい。
【0022】
該指示剤又は各指示剤は、ポリビニルアルコール(PVOH)等の水溶性ポリマーを含んでいてもよい。
【0023】
本発明の第2の態様によれば、液体源から液体貯蔵装置へ液体(尿等)を輸送するための医療用排水管が提供され、この医療用排水管は、内腔を画定する内面と、液体源に結合し、液体源から内腔に液体を受け入れるための入口と、液体貯蔵装置に結合し、受け入れた液体を内腔から液体貯蔵装置に輸送するための出口と、所定量の液体が入口と出口との間を通過するとトリガを提供するように構成されたインジケータとを含み、使用時に、トリガは、医療用排水管が交換を必要とすることをユーザに通知する。
【0024】
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様の任意の特徴を含み得る。
【0025】
本発明の第3の態様によれば、液体貯蔵装置、及び液体源から液体貯蔵装置へ液体を輸送するための、本発明の上記のいずれかの態様による医療用排水管を含むキットが提供される。
【0026】
キットは液体源を含み得る。
【0027】
液体貯蔵装置及び医療用排水管は、別個の構成要素であってもよい。また、液体貯蔵装置と医療用排水管とを一体に形成してもよい。
【0028】
液体源は、人工膀胱袋を含み得る。
【0029】
キットは、夜間排水システムの構成要素を含み得る。
【0030】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】従来技術の夜間排水システムの概略図である。
図2】本発明の第1の実施形態による排水管の概略図である。
図3】本発明の第2の実施形態による排水管の概略図である。
図4】本発明の第3の実施形態による排水管の概略図である。
図5】本発明の第4の実施形態による排水管の概略図である。
図6】本発明の第5の実施形態による排水管の概略図である。
図7】本発明の第6の実施形態による排水管の概略図である。
図8】本発明の第7の実施形態による排水管の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
最初に図1を参照すると、全体的に符号1で示す従来技術の夜間排水システムが示されている。夜間排水システム1は、液体源10と、医療用排水管11と、液体貯蔵装置12とを備える。液体源10は、人工膀胱袋の形態であってもよい。夜間排水システム1は、ユーザが夜間に人工膀胱袋を液体貯蔵装置12に結合することを可能にするという点で有利である。液体貯蔵装置12は、人工膀胱袋よりも多量の尿を保持し得る。したがって、これによって、人工膀胱袋から尿を空にするために夜間に定期的に起きる必要がないので、ユーザが中断されない睡眠を得るのを支援し得る。その代わりに、尿は、(人工膀胱袋及び排水管11を介して)液体貯蔵装置12内に一晩中集められ、ユーザが起きたときに廃棄され得る。
【0033】
人工膀胱袋は、ユーザのストーマから尿を受け入れることができる開口部100を画定する。人工膀胱袋は、典型的には、底部に出口102を有しており、ユーザが日中に袋を排水することを可能にする。夜間には、医療用排水管11を出口102に結合して、医療用排水管11を介して人工膀胱袋から液体貯蔵装置12に尿を輸送し得るようにしてもよい。液体貯蔵装置12は、ボトル等の容器の形態であってもよい。
【0034】
図2から図8を参照すると、本発明の様々な実施形態が示されている。
【0035】
図2は、液体源10から液体貯蔵装置12へ液体を輸送するための医療用排水管3を示す。医療用排水管3は、内腔31を画定する内面30を含む。また、医療用排水管3は、液体源10に結合するための入口32と、液体貯蔵装置12に結合するための出口33とを含む。医療用排水管3は、全体的に符号34で示されるインジケータをさらに含む。インジケータ34は、医療用排水管3の交換時期をユーザに通知するトリガを提供するように構成されている。したがって、ユーザは、医療装置、すなわち、夜間排水システムを確実に衛生的に保つように、医療用排水管3を交換することができる。
【0036】
インジケータ34は、少なくとも24時間液体に曝露された後に溶解し、それによってトリガを提供するように構成された指示剤340を含む。トリガは、指示剤340がユーザに見えなくなると提供される。
【0037】
いくつかの実施形態において、指示剤340は、水溶性ポリマーを含み得る。適切な水溶性ポリマーの非限定的な例には、ポリビニルアルコール(PVOH)、ポリアクリル酸(PAA)及びそれらのコポリマー、ポリアクリルアミド(PAM)及びポリエチレングリコール(PEG)が含まれる。このような水溶性ポリマーの溶解速度をどのように変更するかは、当該技術分野において公知である。種々の溶解速度を有する水溶性ポリマーが市販されている。したがって、所定時間、約35°C~約37.5°Cの温度を有する液体と接触した後に溶解するポリマーを調達しかつ構成することは容易である。懸念を避けるために、所定時間は、少なくとも24時間とする。
【0038】
医療用排水管3は、指示剤340が内部に配置される空洞35を含んでもよく、空洞35は、内腔31から分離している。いくつかの実施形態では、空洞35は、第1の液体流路36を介して内腔31と液体連通していてもよい。したがって、使用時に、入口32と出口33との間を通過する液体は、第1の液体流路36を介して空洞35に流入し得る。指示剤340が少なくとも24時間液体に暴露されると、それは溶解してユーザにはもはや見えなくなり、それによって医療用排水管3を交換する必要があるというトリガを提供する。
【0039】
いくつかの実施形態において、指示剤340は、空洞35の内面に固定されてもよい。例えば、指示剤340を空洞35の内面に接着剤で接着してもよい。指示剤340が空洞35の内面に固定されていない実施形態(例えば、指示剤340が空洞35内で自由に移動可能である実施形態)では、第1の液体流路36は、例えば、透水性フィルタ(図示せず)によって少なくとも部分的に閉塞されて、指示剤340が空洞35と内腔31との間を移動するのを防止し得る。
【0040】
図2の指示剤340はペレットの形態である。しかしながら、いくつかの実施形態において、指示剤340は、錠剤、カプセル、球体、又はトローチのいずれかの形態であってもよい。
【0041】
図3は、液体源10から液体貯蔵装置12へ液体を輸送するための医療用排水管4を示す。医療用排水管4は、内腔41を画定する内面40を含む。また、医療用排水管4は、液体源10に結合するための入口42と、液体貯蔵装置12に結合するための出口43とを含む。医療用排水管4は、医療用排水管4の交換時期をユーザに通知するトリガを提供するように構成された、全体的に符号44で示されるインジケータをさらに含む。したがって、ユーザは、医療装置を確実に衛生的に保つように、医療用排水管4を交換することができる。
【0042】
インジケータ44は、図2の指示剤340と同様に、最低でも24時間液体に暴露された後に溶解するように構成された指示剤440を含み得る。指示剤340,440の違いは、指示剤440が長さLの材料片の形態に設けられている点である。
【0043】
医療用排水管4は、指示剤440が内部に配置される空洞45を含んでもよく、空洞45は、内腔41から分離している。空洞45は、第1の液体流路46及び第2の液体流路47を介して内腔41と液体連通していてもよい。したがって、使用時に、入口42と出口43との間を通過する液体は、第1の液体流路46を介して空洞45内に流入し、第2の液体流路47を介して空洞45から流出し得る。
【0044】
指示剤440は、空洞45の内面に固定し得る。例えば、指示剤440を空洞45の内面に接着剤で接着してもよい。指示剤440が空洞45の内面に固定されていない実施形態(例えば、指示剤440が空洞45内で自由に移動可能である実施形態)では、第1の液体流路46及び/又は第2の液体流路47は、例えば、透水性フィルタ(図示せず)によって少なくとも部分的に閉塞されて、指示剤440が空洞45と内腔41との間を移動するのを防止し得る。
【0045】
指示剤440は、第1の液体流路46と第2の液体流路47との間に配置されてもよい。したがって、液体は、空洞45を通過するときに、指示剤440を横切って流れるように促される。
【0046】
指示剤440は、その長さLが内腔41の長手軸と実質的に整列するように、内腔41に対して配置されてもよい。
【0047】
指示剤440は、第1の部分4401と、第1の部分4401から長さLに沿って離間された第2の部分4402とを有してもよく、第1の部分4401の厚さは、第2の部分4402の厚さよりも小さい。代替的又は追加的に、第1の部分4401の幅は、第2の部分4402の幅よりも小さくてもよい。例えば、第1の部分4401における指示剤440の厚さ及び/又は幅は、約0.1mmであり得る。第2の部分4402における指示剤440の厚さ及び/又は幅は、約2mmであり得る。そのような実施形態では、第1の部分4401における指示剤440は、第2の部分4402における指示剤440よりも速く溶解し得る。これは、指示剤440が一端(すなわち、第1の部分4401)から他端(すなわち、第2の部分4402)に向かって溶解することを意味する。有利には、指示剤440は、医療用排水管4が交換を必要とするまでの残りの期間に関してユーザに事前の警告を提供するために、(以下により詳細に説明する)測定装置と関連付けられてもよい。
【0048】
図4は、液体源10から液体貯蔵装置12へ液体を輸送するための医療用排水管5を示す。医療用排水管5は、内腔51を画定する内面50を含む。また、医療用排水管5は、液体源10に結合するための入口52と、液体貯蔵装置12に結合するための出口53とを含む。医療用排水管5は、医療用排水管5の交換時期をユーザに通知するトリガを提供するように構成された、全体的に符号54で示されるインジケータをさらに含む。したがって、ユーザは、医療装置を確実に衛生的に保つように、医療用排水管5を交換することができる。
【0049】
インジケータ54は、前述の指示剤340,440と同様に、最低でも24時間液体に曝露された後に溶解するように構成された指示剤540を含み得る。指示剤540は、長さLを有する材料片の形態で提供されてもよい。
【0050】
指示剤540は、内腔51の中に配置されてもよい。このような実施形態では、指示剤540は、医療用排水管5の内面50に固定し得る。例えば、指示剤540を医療用排水管5の内面50に接着剤で接着してもよい。
【0051】
指示剤540は、その長さLが内腔51の長手軸と実質的に整列するように、内腔51に対して配置されてもよい。
【0052】
指示剤540は、第1の部分5401と、第1の部分5401から長さLに沿って離間された第2の部分5402とを有してもよく、第1の部分5401の厚さは、第2の部分5402の厚さよりも薄い。代替的又は追加的に、第1の部分5401の幅は、第2の部分5402の幅よりも小さくてもよい。例えば、第1の部分5401における指示剤540の厚さ及び/又は幅は、約0.1mmであり得る。第2の部分5402における指示剤540の厚さ及び/又は幅は、約2mmであり得る。そのような実施形態では、第1の部分5401における指示剤540は、第2の部分5402における指示剤540よりも速く溶解し得る。このような構成の利点については、既に説明されている。
【0053】
図5は、液体源10から液体貯蔵装置12へ液体を輸送するための医療用排水管6を示す。医療用排水管6は、内腔61を画定する内面60を含む。また、医療用排水管6は、液体源10に結合するための入口62と、液体貯蔵装置12に結合するための出口63とを含む。医療用排水管6は、医療用排水管6の交換時期をユーザに通知するトリガを提供するように構成された、全体的に符号64で示されるインジケータをさらに含む。
【0054】
指示剤640は、図4の指示剤540と同様に内腔61の中に位置している。しかしながら、図示のように、指示剤640は、その長さLが内腔61の内壁の少なくとも一部の周囲に延びるように、内腔61に対して配置されてもよい。したがって、指示剤640の長さLは、内腔61の長手軸に実質的に直交していてもよい。いくつかの実施形態では、指示剤640は、内腔61の内壁全体の周囲に延在して、指示剤640がリングの形態であるようにしてもよい。指示剤640は、先の実施形態と同様に、小さい部分と広い部分とを有し得る。
【0055】
図6は、内腔71を画定する内面70を含む医療用排水管7を示す。また、医療用排水管7は、入口72と、出口73と、全体的に符号74で示されるインジケータとを含む。図6の構成は、インジケータが第1の指示剤741、第2の指示剤742、第3の指示剤743及び第4の指示剤744を含むことを除いて、図4に示した構成と同様である。
【0056】
図7は、内腔81を画定する内面80を含む医療用排水管8を示す。また、医療用排水管8は、入口82と、出口83と、全体的に符号84で示されるインジケータとを含む。図7の構成は、インジケータが第1の指示剤841、第2の指示剤842、第3の指示剤843及び第4の指示剤844を含むことを除いて、図4に示した構成と同様である。
【0057】
指示剤741,742,743,744;841,842,843,844は、互いに異なる溶解速度を有するように構成し得る。例えば、第1の指示剤741;841は、24時間液体に曝露された後に溶解してもよく、第2の指示剤742;842は、48時間液体に曝露された後に溶解してもよく、第3の指示剤743;843は、72時間液体に曝露された後に溶解してもよく、第4の指示剤744;844は、96時間液体に暴露された後に溶解してもよい。
【0058】
したがって、図6及び図7の実施形態は、医療用排水管7、8がどれくらいの期間使用されているかをユーザに通知し得る情報を提供する。有利には、この情報は、医療用排水管がいつ交換を必要とするかについての事前警告をユーザに提供し得る。
【0059】
4つの指示剤が図6及び7に示されているが、いくつかの実施形態では、4つよりも少ない又は多い指示剤(例えば、2つ、6つ等)が存在してもよいことを理解されたい。
【0060】
いくつかの実施形態において、複数の指示剤が、医療用排水管の内腔の中ではなく、空洞の中に設けられてもよい。例えば、図2及び図3にそれぞれ示す空洞35、45内に複数の指示剤を設けることができる。指示剤は異なる溶解速度を有し得る。例えば、第1の指示剤は24時間液体に曝露された後に溶解してもよく、第2の指示剤は48時間液体に曝露された後に溶解してもよく、第3の指示剤は72時間液体に曝露された後に溶解し得る等である。これにより、この配置は、医療用排水管が最初に使用されてからどれくらいの時間が経過したか、及び/又は医療用排水管が交換を必要とするまでどれくらいの時間が残っているかをユーザに知らせるカウントダウンを提供する。
【0061】
図8は、内腔91を画定する内面90を含む医療用排水管9を示す。また、医療用排水管9は、入口92と、出口93と、全体的に符号94で示されるインジケータとを含む。インジケータ94は、長さLを有する片の形態であり得る指示剤940を含む。指示剤940は、一端から他端に向かって溶解するように構成し得る。これは、溶解可能な種(例えば、水溶性ポリマー)の量を指示剤940の長さLに沿って変化させることによって達成し得る。
【0062】
全体的に符号950で示される測定装置は、指示剤940と関連付けられてもよい。測定装置950は、一連の目盛り960を含み得る。目盛り960間のギャップは、所定の期間、例えば、24時間を表してもよい。したがって、ユーザは、測定装置950から、排水管94の交換が必要となるまでの残り時間を決定し得る。
【0063】
測定装置950は、指示剤940から分離されていてもよい。例えば、測定装置950を医療用排水管94に設けることができる。また、測定装置950を指示剤940に形成してもよい。例えば、指示剤940は、その長さLに沿って(目盛り960を表す)隆起及び/又は窪みを含み得る。
【0064】
一実施形態の特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく、別の実施形態の特徴と組み合わせることができる。例えば、測定装置950は、本明細書に記載される医療排水管のいずれか一つに含まれてもよい。
【0065】
(指示剤)
該指示剤又は各指示剤は、ポリビニルアルコール(PVOH)、ポリアクリル酸(PAA)及びそれらのコポリマー、ポリアクリルアミド(PAM)及びポリエチレングリコール(PEG)等の水溶性ポリマーを含んでもよい。
【0066】
水溶性ポリマーの溶解速度に影響する多くの要員があることはよく知られている。これらの要因には、限定されないが、以下のものが含まれる。
- 水溶性ポリマーの組成、
- 溶媒の組成、
- 溶媒の温度、
- 水溶性ポリマーのサイズ及び/又は形状、
- 例えば、溶媒による、水溶性ポリマーの洗浄(すなわち攪拌)の有無、
- 水溶性ポリマーの分子量(すなわち重合度)、及び
- 水溶性ポリマーの加水分解の程度。
【0067】
液体の温度は、それが該指示剤又は各指示剤と接触するとき、約35°C~約37.5°Cである。したがって、キットが使用されるとき、液体の温度は、名目上、一定である。このことを念頭に置いて、当業者には、水溶性ポリマーが少なくとも24時間液体に暴露された後にそれが液体に溶解するように、水溶性ポリマーを選択して構成することが容易である。
【0068】
水溶性ポリマーの適当な非限定的な例には、クラレ社から入手できる商品名KURARAY POVALを有する部分的に加水分解されたポリビニルアルコールが含まれ得る。
【0069】
当業者には理解されるように、「厚さ」という用語は、それが取り付けられている表面からの指示剤の高さを指すことを意図し、「幅」という用語は、長さLに対して概ね垂直な方向のそれが取り付けられている表面を横切る指示剤の縁部間の距離を指すことを意図している。
【0070】
本明細書及び特許請求の範囲において使用される場合、用語「を含む」及び「を備える」及びそれらの変形は、指定された特徴、ステップ又は整数が含まれることを意味する。用語は、他の特徴、ステップ又は構成要素の存在を除外するように解釈されるべきではない。
【0071】
上述の説明、又は以下の特許請求の範囲、又は添付の図面に開示され、それらの特定の形態で、又は開示された機能を実行するための手段として、又は開示された結果を達成するための方法若しくはプロセスとして表された特徴は、適宜、別々に、又はそのような特徴の任意の組み合わせで、その多様な形態で本発明を実現するために利用し得る。
【0072】
本発明の特定の例示的な実施形態を説明したが、添付の特許請求の範囲はこれらの実施形態のみに限定されることを意図していない。請求項は、文字通り、意図的に、及び/又は均等物を包含するように解釈されるべきである。
図1
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【国際調査報告】