(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-01
(54)【発明の名称】コントローラの旋回制御部材の停止角度の調整を可能にする少なくとも1つの取り外し可能な調整要素を備えるゲームコントローラ
(51)【国際特許分類】
A63F 13/24 20140101AFI20220125BHJP
【FI】
A63F13/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021523235
(86)(22)【出願日】2019-10-24
(85)【翻訳文提出日】2021-04-26
(86)【国際出願番号】 EP2019079006
(87)【国際公開番号】W WO2020084041
(87)【国際公開日】2020-04-30
(32)【優先日】2018-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】320010217
【氏名又は名称】ナコン
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】ファルク, アラン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンデケルクホーブ, アントワーヌ
(72)【発明者】
【氏名】デルルー, ヴァランタン
(72)【発明者】
【氏名】アラルト, ヤニック
(57)【要約】
本発明は、組み立てられたシェル(2)と、少なくとも1つの制御部材(3)を備える制御手段とを備えるゲームコントローラ(1)であって、制御部材(3)は、組み立てられたシェル(2)を貫通し、制御部材(3)は、組み立てられたシェル(2)の外側に、制御部材を操作するためのヘッド(32)を備え、制御部材(3)は、旋回可能であり、静止位置から全方向に手動で傾けることができ、そして制御部材(3)は、弾性的に回転して静止位置に戻るゲームコントローラ(1)に関する。制御手段は、制御部材(3)の停止角度(α)を調整するための少なくとも1つの調整要素(5A;5B;5C)を更に備え、その調整要素(5A;5B;5C)は、制御部材(3)に着脱可能に取り付けられ、そして、ゲームコントローラ(1)のシェル(2)を分解することなく制御部材(3)から取り外されることができ、前記着脱可能な調整要素(5A;5B;5C)が設けられた制御部材(3)は、制御部材(3)が停止位置に達して、そこで調整要素(5A;5B;5C)が当接し、制御部材(3)が傾くことをブロックすることが可能になるまで、各傾斜方向に手動で傾けることができることを特徴とする。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組み立てられたシェル(2)と、少なくとも1つの制御部材(3)を備える制御手段とを備えるゲームコントローラ(1)であって、制御部材(3)は、組み立てられたシェル(2)を貫通し、制御部材(3)は、組み立てられたシェル(2)の外側に、制御部材を操作するためのヘッド(32)を備え、制御部材(3)は、旋回可能であり、静止位置から全方向に手動で傾けることができ、そして制御部材(3)は、弾性的に回転して静止位置に戻るゲームコントローラ(1)において、制御手段は、制御部材(3)の停止角度(α)を調整するための少なくとも1つの調整要素(5A;5B;5C)を更に備え、その調整要素(5A;5B;5C)は、制御部材(3)に着脱可能に取り付けられ、そして、ゲームコントローラ(1)のシェル(2)を分解することなく制御部材(3)から取り外されることができ、前記着脱可能な調整要素(5A;5B;5C)が設けられた制御部材(3)は、制御部材(3)が停止位置に達して、そこで調整要素(5A;5B;5C)が当接し、制御部材(3)が傾くことをブロックすることが可能になるまで、各傾斜方向に手動で傾けることができることを特徴とするゲームコントローラ。
【請求項2】
制御部材(3)のヘッド(32)は着脱可能であり、ヘッド(32)が取り外されている時に、前記調整要素(5A;5B;5C)を制御部材(3)に着脱可能に取り付けることができる、請求項1に記載のゲームコントローラ。
【請求項3】
前記調整要素(5A;5B;5C)はリングであり、ヘッド(32)が取り外されている時に、リングを制御部材(3)の一部分(311)に着脱可能な形態で滑り込ませることが可能である、請求項2に記載のゲームコントローラ。
【請求項4】
制御部材(3)は、その上部に、開口された空洞(311a)を有するアセンブリ末端部品(311)を備え;ヘッド(32)が取り外されている時に、着脱可能なヘッド(32)の一部分(3211)を前記空洞内(311a)に挿入することができ、前記調整要素(5A;5B;5C)を、着脱可能に取り付けることができ、好ましくは、アセンブリ末端部品(311)に着脱可能に滑り込ませることができる、請求項1~3のいずれかに記載のゲームコントローラ。
【請求項5】
前記調整要素(5A;5B;5C)は、制御部材(3)のヘッド(32)と制御部材(3)の別の一部分(310a)との間で軸方向にブロックされることにより、制御部材(3)に着脱可能に取り付けることができる、請求項2~4のいずれかに記載のゲームコントローラ。
【請求項6】
前記調整要素(5A;5B;5C)が設けられ停止位置に傾けられた制御部材(3)の、その静止位置を基準にした傾斜角度である停止角度(α)の値は、制御部材(3)の全ての傾斜方向に対して同一である、請求項1~5のいずれかに記載のゲームコントローラ。
【請求項7】
前記調整要素(5A;5B;5C)が設けられ停止位置に傾けられた制御部材(3)の、その静止位置を基準にした傾斜角度である停止角度(α)の値は、90°未満、好ましくは20°~70°である、請求項1~6のいずれかに記載のゲームコントローラ。
【請求項8】
停止角度(α)は、前記調整要素(5A;5B;5C)が設けられ停止位置に傾けられた旋回制御部材(3)の、その静止位置を基準にした傾斜角度であり、前記コントローラは、少なくとも2つの異なる調整要素(5A/5B;5A/5C;5B/5C)、好ましくは少なくとも3つの異なる調整要素(5A;5B;5C)を備え、これが、それぞれの同一の傾斜方向に対して、それぞれの異なる停止角度(α)の値を伴って、停止位置にある部材(3)の傾斜の前記ブロックを可能にする、請求項1~7のいずれかに記載のゲームコントローラ。
【請求項9】
ゲームコントローラは、内側縁部(40a)を備え、それが制御部材(3)を取り囲み、組み立てられたシェル(2)内の開口部(40b)の境界を定め、その開口部を通して制御部材(3)が配置され、前記内側縁部(40a)は、前記調整要素(5A;5B;5C)を備える制御部材(3)が停止位置に傾けられている時に、底部回転停止部として機能する、請求項1~8のいずれかに記載のゲームコントローラ。
【請求項10】
ゲームコントローラは、内側縁部(40a)を備え、それが制御部材(3)を取り囲み、組み立てられたシェル(2)内の開口部(40b)の境界を定め、その開口部を通して制御部材(3)が配置され、調整要素(5A;5B;5C)は、制御部材(3)に取り付けられる時に、前記開口部(40b)を通して配置され、調整要素(5A;5B;5C)の一部分はシェル(2)の内部に収容され、調整要素(5A;5B;5C)の別の一部分はシェル(2)の外側に配置される、請求項1~9のいずれかに記載のゲームコントローラ。
【請求項11】
各調整要素は、円筒形調整リング(5A;5B;5C)である、請求項1~10のいずれかに記載のゲームコントローラ。
【請求項12】
各円筒形調整リング(5A;5B;5C)の外面(50)は、調整リングの高さ(H)の少なくとも一部分にわたって円形断面を有する真っ直ぐな円筒形を形成する、請求項11に記載のゲームコントローラ。
【請求項13】
ゲームコントローラは、それぞれが調整リングで構成された、少なくとも2つの異なる調整要素(5A/5B;5A/5C;5B/5C)、好ましくは少なくとも3つの異なる調整要素(5A;5B;5C)を備え、その外面(50)は、調整リングの高さ(H)の少なくとも一部分にわたって円形断面を有する真っ直ぐな円筒形を形成し、円形断面を有する、複数の調整リングの複数の外面(50)の前記複数の円筒形部分の複数の外径(D
out)は相互に異なる、請求項1~12のいずれかに記載のゲームコントローラ。
【請求項14】
複数の調整リングは、同じ内側断面、特に同じ内径(D
in)を有し、好ましくは、複数の調整リングは同じ高さ(H)を有する、請求項13に記載のゲームコントローラ。
【請求項15】
旋回制御部材(3)の一部分(30)は、組み立てられたシェル(2)の内部に収容され、そこに締結され、ゲームコントローラは、組み立てられたシェル(2)の内部に配置されかつ旋回制御部材(3)の回転を測定するセンサを備える、請求項1~14のいずれかに記載のゲームコントローラ。
【請求項16】
請求項1~15のいずれかに記載のゲームコントローラの旋回制御部材(3)の停止角度(α)を調整するための調整要素(5A;5B;5C)であって、ゲームコントローラは組み立てられたシェル(2)を備え、シェル(2)を制御部材(3)が貫通し、この制御部材(3)は、それを操作するためのヘッド(32)をシェル(2)の外側に備え、静止位置から全方向に手動で傾けることができ、そしてこれは弾性的に回転して停止位置に戻り、旋回制御部材(3)の停止角度(α)を調整するための調整要素(5A;5B;5C)は、ゲームコントローラ(1)からシェル(2)を分解することなく、制御部材(3)に着脱可能に取り付けることが可能であり、制御部材(3)から取り外すことが可能である、調整要素。
【請求項17】
着脱可能なリング(5A;5B;5C)から構成される、請求項16に記載のゲームコントローラ用の調整要素。
【請求項18】
着脱可能なリング(5A;5B;5C)から構成され、その外面(50)は、調整リングの高さ(H)の少なくとも一部分にわたって円形断面を有する真っ直ぐな円筒形を形成する、請求項17に記載のゲームコントローラ用の調整要素。
【請求項19】
請求項16~18のいずれかに記載の、ゲームコントローラ用の少なくとも2つの調整要素(5A/5B;5A/5C;5B/5C)、好ましくは、請求項16~18のいずれかに記載の、ゲームコントローラ用の少なくとも3つの調整要素(5A;5B;5C)を備えるアセンブリであって、前記複数の調整要素は相互に異なり、制御部材(3)の同一の傾斜方向の各々に対して、異なる対応する停止角度(α)の値を有する停止位置にある制御部材の回転をブロックすることを可能にする、アセンブリ。
【請求項20】
調整要素は、それぞれ、調整リングによって構成され、その外面(50)は、調整リングの高さ(H)の少なくとも一部分にわたって円形断面を有する真っ直ぐな円筒形を形成しており、円形断面を有する、複数の調整リングの複数の外面(50)の前記複数の円筒形部分の複数の外径(D
out)は相互に異なる、請求項19に記載のアセンブリ。
【請求項21】
複数の調整リングは、同じ内側断面、特に同じ内径(D
in)を有し、好ましくは、複数の調整リングは同じ高さ(H)を有する、請求項20に記載のアセンブリ。
【請求項22】
請求項1~15のいずれかに記載のゲームコントローラ(1)の旋回制御部材(3)の停止角度(α)を調整する方法であって、前記方法は、ゲームコントローラ(1)のシェル(2)を分解することなく、着脱可能な調整要素(5A;5B;5C)を制御部材(3)に取り付けることを含み、それにより、この着脱可能な調整要素(5A;5B;5C)が設けられた制御部材(3)は、制御部材(3)が停止位置に達して、そこでこの調整要素(5A;5B;5C)が当接し、制御部材(3)が傾くことをブロックすることが可能になるまで、各傾斜方向に手動で傾けることができる、方法。
【請求項23】
制御部材(3)は着脱可能なヘッド(32)を備え、調整要素(5A;5B;5C)を組み立てるために、制御部材(3)の着脱可能なヘッド(32)は事前に取り外され、いったん調整要素(5A;5B;5C)が取り付けられると、制御部材(3)の着脱可能なヘッド(32)が置換される、請求項22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全方向に傾斜可能な、旋回する「スティック」タイプの、特に「ジョイスティック」または「サムスティック」タイプの、少なくとも1つの旋回制御部材を備えるゲームコントローラの分野に関する。この分野では、本発明は、ゲームコントローラのユーザが、コントローラによって制御されるゲームのタイプにコントローラをより良好に適合させるように、旋回制御部材の応答性を容易に変更することを可能にする改善に関する。
【背景技術】
【0002】
全方向に傾斜可能な、アナログの旋回する「スティック」タイプの、特に「ジョイスティック」または「サムスティック」タイプの、少なくとも1つの旋回制御部材を備えるゲームコントローラを使用してビデオゲームを制御することが今では一般的な方法である。
【0003】
通常、旋回制御部材は中央静止位置を備え、その位置において旋回制御部材は弾性的に回転され、この静止位置を基準にして、2つの直交軸の周りのこの部材の回転を測定する変位センサに結合されている。これら変位センサによって送達されるアナログ測定信号は、ゲームコントローラ内に埋め込まれたソフトウェアによって自動的に処理され、その結果、プレーヤがこの旋回制御部材を手動で作動させると、ビデオゲームと相互作用すること、例えばビデオゲームにおいてキャラクタまたは対象物を移動させること、が可能になる。
【0004】
より具体的には、ビデオゲームを制御するために、コントローラを保持しているプレーヤの右手および左手の親指をそれぞれ使用して互いに独立して作動させることができる、通常は「ジョイスティック」と称され、時には「サムスティック」とも称される、2つの旋回部材を備えるゲームコントローラを使用することが、現在慣例である。
【0005】
このタイプのゲームコントローラは、例えば、以下の文献、すなわち国際公開第2016/200548号、同2016/200615号、同2016/210586号、米国特許第9971420号、同9710072号、同9868058号に記載されている。
【0006】
実際には、そのようなゲームコントローラは、通常、任意の手段によって、例えば、ねじによって、および/または接着によって、および/または溶接によって、一緒に組み立てられた、少なくとも2つのハーフシェルの形で組み立てられたシェルを備える。このシェルは、プレーヤによるコントローラの把持を容易にするように、通常、人間工学的である。
【0007】
コントローラの電子制御手段は、前記組み立てられたシェルの内部に収容される。これら電子制御手段は、特に、
-上述した変位センサ、1つ以上の電子メモリ、
-組み込みソフトウェアを自動的に実行できるプロセッサであって、例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、FPGAタイプのプログラマブル電子回路、またはASICタイプの特定の電子回路によって実装できるプロセッサ、
-プロセッサがゲームコンソール等と通信することを可能にするコネクタ、を備える。
【0008】
ジョイスティックタイプの旋回制御部材ごとに、ゲームコントローラのシェルは、旋回制御部材が貫通する開口部を備える。
【0009】
より具体的には、各旋回部材は、シェル内の開口部を貫通する旋回ベース要素であって、その下側端部が、組み立てられたシェルの内部に収容され、変位センサに結合されている、旋回ベース要素と、旋回制御部材を操作するための人間工学的なヘッドであって、例えば、その上面が凹状または凸状の形状で半球状に形成されてもよい、または平坦であってもよいヘッドと、を備える。
【0010】
元々、ヘッドおよび旋回ベース要素は、1つの部品として、または恒久的に一緒に組み立てられたいくつかの部品として作製されたモノリシックユニットを形成するように設計されていた。
【0011】
より最近では、プレーヤが、プレーヤにとって最適な制御部材ヘッドを選ぶことを特に可能にするために、ゲームコントローラの製造業者は、いくつかの容易に交換可能な旋回制御部材ヘッドを有する、「ジョイスティック」タイプのゲームコントローラを提案している。この主題については、上述した文献、すなわち国際公開第2016/200548号、および同2016/200615号を参照することができ、これらは、ゲームコントローラ用の「ジョイスティック」タイプの旋回制御部材のための解決策について記載しており、そのヘッドは旋回ベース要素に着脱可能に取り付けることができ、ヘッドおよび旋回ベース要素を組み立てるための手段は、機械式タイプだけであるか、または少なくとも部分的に磁気タイプであり得る。
【0012】
これまで既知のゲームコントローラでは、「ジョイスティック」タイプの旋回制御部材は、手動で、その静止位置から全方向における極端な位置へと回転して傾けることができる。この極端な位置を本明細書では「停止位置」と称し、この位置では旋回制御部材は当接しており、その傾きがブロックされている。旋回制御部材の傾斜方向のそれぞれに対する停止位置は、旋回制御部材の静止位置を基準にした、旋回制御部材の停止角度を規定することを可能にする。ユーザが旋回制御部材を解放すると、戻しばねタイプの好適な機械式戻り手段によって、旋回制御部材は回転してその静止位置に弾性的に戻る。
【0013】
通常、旋回制御部材の静止位置は中央位置であり、旋回制御部材の停止角度の値は、制御部材の全ての傾斜方向の360°にわたって同じであり、38°程度である。それでもやはり、異なる傾斜方向に対して少なくとも2つの異なる角度値を有する、ゲームコントローラ用の旋回制御部材を提供することが考えられる。
【0014】
ゲームコントローラのタイプに応じて、旋回制御部材の停止位置は異なる方法で得ることができる。
【0015】
第1の既知のタイプのゲームコントローラでは、この停止位置は、下側の回転停止部として、旋回制御部材が貫通した開口部の周辺縁部を使用して、または、この開口部に締結され旋回制御部材を取り囲む取り付けられたリングの内側縁部を使用して得られる。
【0016】
特に国際公開第2016/200548号、および同2016/200615号に記載されている第2の既知のタイプのゲームコントローラでは、停止位置はドーム形の部分によって得られ、この部分は、ゲームコントローラのシェルの内部に収容されている間、旋回制御部材に締結され、上部停止機能により、コントローラのシェルの内部の部分と当接するように適合されている。この上部停止部は、例えば、旋回制御部材が貫通した開口部の近くのシェルの内側部分によって、または、この開口部で締結され旋回制御部材を囲んでいる取り付けられたリングの、シェル内部の部分によって、構成される。
【0017】
特定のビデオゲームについては、そして、例えば格闘ゲームについては、プレーヤができるだけ速く応答できることが望ましく、この目的のために、応答がより速いゲームコントローラを有して、停止位置にある旋回制御部材をできるだけ素早く傾斜方向に移動させることを可能にすることが望ましい。他のタイプのビデオゲームについては、旋回制御部材が停止位置に移動される速度の重要度はより低く、したがって、使用されるゲームコントローラは応答がより遅くてもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
したがって、本発明の主な目的は、プレーヤが、ゲームコントローラの応答性を容易にかつ迅速に変更すること、特に、その応答性を異なるタイプのビデオゲームに適合させること、を可能にする新規な技術的解決策を提案することである。
【0019】
したがって、本発明のより具体的な目的は、プレーヤが、ゲームコントローラの応答を容易にかつ迅速に速くすること、特に、その応答性を格闘ビデオゲームでの使用により適したものにすること、を可能にする新規な技術的解決策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
したがって、本発明の主題は、組み立てられたシェルと、少なくとも1つの制御部材を備える制御手段とを備えるゲームコントローラであり、制御部材は、組み立てられたシェルを貫通し、制御部材は、組み立てられたシェルの外側に、制御部材を操作するためのヘッドを備え、旋回可能であり、静止位置から全方向に手動で傾けることができ、そして制御部材は、弾性的に回転して静止位置に戻る。
【0021】
本発明によれば、特徴として、制御手段は、制御部材の停止角度を調整するための少なくとも1つの調整要素を更に備え、その調整要素は、制御部材に着脱可能に取り付けられ、そして、ゲームコントローラのシェルを分解することなく制御部材から取り外されることができ、前記着脱可能な調整要素が設けられた制御部材は、制御部材が停止位置に達して、そこで調整要素が当接し、制御部材が傾くことをブロックすることが可能になるまで、各傾斜方向に手動で傾けることができる。
【0022】
より具体的には、本発明によるゲームコントローラは、以下の追加のおよび任意選択の特徴を、単独で、または互いに組み合わせて備えてもよい:
-制御部材のヘッドは着脱可能であり、ヘッドが取り外されている時に、前記調整要素を制御部材に着脱可能に取り付けることができる。
-前記調整要素はリングであり、ヘッドが取り外されている時に、リングを制御部材の一部分に着脱可能な形態で滑り込ませることが可能である。
-制御部材は、その上部に、開口された空洞を有するアセンブリ末端部品を備え;ヘッドが取り外されている時に、着脱可能なヘッドの一部分を前記空洞内に挿入することができ、前記調整要素を、着脱可能に取り付けることができ、好ましくは、アセンブリ末端部品に着脱可能に滑り込ませることができる。
-前記調整要素は、制御部材のヘッドと制御部材の別の一部分との間で軸方向にブロックされることにより、制御部材に着脱可能に取り付けることができる。
-前記調整要素が設けられ停止位置に傾けられた制御部材の、その静止位置を基準にした傾斜角度である停止角度(α)の値は、制御部材の全ての傾斜方向に対して同一である。
-前記調整要素が設けられ停止位置に傾けられた制御部材の、その静止位置を基準にした傾斜角度である停止角度(α)の値は、90°未満、好ましくは20°~70°である。
-停止角度(α)は、前記調整要素が設けられ停止位置に傾けられた旋回制御部材の、その静止位置を基準にした傾斜角度であり、前記コントローラは、少なくとも2つの異なる調整要素、好ましくは少なくとも3つの異なる調整要素を備え、これが、それぞれの同一の傾斜方向に対して、それぞれの異なる停止角度(α)の値を伴って、停止位置にある部材の傾斜の前記ブロックを可能にする。
-ゲームコントローラは内側縁部を備え、それが制御部材を取り囲み、組み立てられたシェル内の開口部の境界を定め、その開口部を通して制御部材が配置され、前記内側縁部は、前記調整要素を備える制御部材が停止位置に傾けられている時に、底部回転停止部として機能する。
-ゲームコントローラは内側縁部を備え、それが制御部材を取り囲み、組み立てられたシェル内の開口部の境界を定め、その開口部を通して制御部材(3)が配置され、調整要素は、制御部材に取り付けられる時に、前記開口部を通して配置され、調整要素の一部分はシェルの内部に収容され、調整要素の別の一部分はシェルの外側に配置される。
-各調整要素は、円筒形調整リングである。
-各円筒形調整リングの外面は、調整リングの高さの少なくとも一部分にわたって円形断面を有する真っ直ぐな円筒形を形成する。
-ゲームコントローラは、それぞれが調整リングで構成された、少なくとも2つの異なる調整要素、好ましくは少なくとも3つの異なる調整要素を備え、その外面は、調整リングの高さの少なくとも一部分にわたって円形断面を有する真っ直ぐな円筒形を形成し、円形断面を有する、複数の調整リングの複数の外面の前記複数の円筒形部分の複数の外径は相互に異なる。
-複数の調整リングは、同じ内側断面、特に同じ内径を有し、好ましくは、複数の調整リングは同じ高さを有する。
-旋回制御部材の一部分は、組み立てられたシェルの内部に収容され、そこに締結され、ゲームコントローラは、組み立てられたシェルの内部に配置されかつ旋回制御部材の回転を測定するセンサを備える。
【0023】
本発明はまた、ゲームコントローラの旋回制御部材の停止角度を調整するための調整要素に関し、ゲームコントローラは組み立てられたシェルを備え、シェルを制御部材が貫通している。この制御部材は、それを操作するためのヘッドをシェルの外側に備え、静止位置から全方向に手動で傾けることができ、そしてこれは弾性的に回転して停止位置に戻る。旋回制御部材の停止角度を調整するための調整要素は、ゲームコントローラからシェルを分解することなく、制御部材に着脱可能に取り付けることが可能であり、制御部材から取り外すことが可能である。
【0024】
より具体的には、調整要素は、以下の追加のおよび任意選択の特徴を、単独で、または互いに組み合わせて備えてもよい:
-ゲームコントローラ用の調整要素は着脱可能なリングから構成される。
-ゲームコントローラ用の調整要素は着脱可能なリングから構成され、その外面は、調整リングの高さの少なくとも一部分にわたって円形断面を有する真っ直ぐな円筒形を形成する。
【0025】
本発明の別の主題はまた、ゲームコントローラ用の少なくとも2つの上述した調整要素、好ましくは、ゲームコントローラ用の少なくとも3つの上述した調整要素を備えるアセンブリであり、前記複数の調整要素は相互に異なり、制御部材の同一の傾斜方向の各々に対して、異なる対応する停止角度(α)の値を有する停止位置にある制御部材の回転をブロックすることを可能にする。
【0026】
より具体的には、前記アセンブリは、以下の追加のおよび任意選択の特徴を、単独で、または互いに組み合わせて備えてもよい:
-調整要素は、それぞれ、調整リングによって構成され、その外面は、調整リングの高さの少なくとも一部分にわたって円形断面を有する真っ直ぐな円筒形を形成し、円形断面を有する、複数の調整リングの複数の外面の前記複数の円筒形部分の複数の外径は相互に異なる。
-複数の調整リングは、同じ内側断面、特に同じ内径を有し、好ましくは、複数の調整リングは同じ高さを有する。
【0027】
本発明の別の主題は、上述したゲームコントローラの旋回制御部材の停止角度を調整する方法でもある。この調整方法は、ゲームコントローラのシェルを分解することなく、着脱可能な調整要素を制御部材に取り付けることを含み、それにより、この着脱可能な調整要素が設けられた制御部材は、制御部材が停止位置に達して、そこでこの調整要素が当接し、制御部材が傾くことをブロックすることが可能になるまで、各傾斜方向に手動で傾けることができる。
【0028】
より具体的には、制御部材は着脱可能なヘッドを備え、調整要素を組み立てるために、制御部材の着脱可能なヘッドは事前に取り外され、いったん調整要素が取り付けられると、制御部材の着脱可能なヘッドが置換される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本発明の特徴および効果は、本発明のいくつかの具体的な実施形態の下記の詳細な説明を読むと明らかになるであろう。この具体的な実施形態は、添付の図面を参照して、本発明の非限定的かつ非網羅的な実施例として説明されている。
【
図1】
図1は、本発明によるゲームコントローラの変形実施形態の等角斜視図である。
【
図2】
図2は、旋回制御部材の、およびこの旋回制御部材に着脱可能に適合され得る薄い調整リングの、実施形態の分解図である。
【
図3】
図3は、
図2の旋回制御部材が、ゲームコントローラのシェルを通して固定された円筒形インサートの開口部を通して組み立てられ取り付けられた場合の断面図であり、旋回制御部材には
図2の着脱可能な薄い調整リングが設けられ、ゲームコントローラのシェルは
図3では示されておらず、
図2の旋回制御部材の下部旋回ベース要素は
図3では示されておらず、旋回制御部材はその静止位置にある。
【
図4】
図4は、薄い調整リングが設けられ、停止位置に傾斜している、
図3の旋回制御部材を示す断面図である。
【
図5】
図5は、厚い調整リングが設けられ、停止位置に傾斜している、
図3の旋回制御部材を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、組み立てられたシェル2と、特に2つの旋回制御部材3、すなわちゲームコントローラ1の左の部分に位置する旋回部材3およびゲームコントローラ1の右の部分に位置する旋回部材3とを備える制御手段とを備えるゲームコントローラ1の特定の例を示す。
【0031】
組み立てられたシェル2は、それ自身既知である方法によって、上部ハーフシェル2aを備え、上部ハーフシェル2aは、任意の方法で、例えば、ねじなどによって機械的に、および/または接着によって、および/または溶接によって、下部ハーフシェル2bと組み立てられる。
【0032】
この特定の例では、より具体的には、組み立てられたシェル2は、プレーヤが両手でそれを把持することを容易にするように適合された人間工学的な形状を有する。
【0033】
各旋回部材3は、上部ハーフシェル2aの開口部20、より具体的には円形開口部20を貫通する。
【0034】
より具体的には、この特定の実施形態では、
図1および
図3を参照して、そして本発明に関して非限定的な形で、上部ハーフシェル2aの各円形開口部20において、ゲームコントローラ1は円筒形の管状インサート4を備え、これは、コントローラ2の上部ハーフシェル2aの開口部20に取り付けられ、上部ハーフシェル2aに締結される。このインサート4の上部にはリング40が設けられ、その内側縁部40aが、シェル2の開口部20の直径よりも小さい直径の円形開口部40b(
図3)の境界を定めている。この管状インサート4が、ゲームコントローラ1の上部ハーフシェル2aの円形開口部20に取り付けられ、締結される時、この管状インサート4の円形開口部40bは、この開口部20に対して中心に置かれる。
【0035】
別の変形実施形態では、ゲームコントローラは、このような管状インサート4を備えなくてもよく、および/またはリング40を備えなくてもよい。リング40がない場合、上述した内側縁部40aは、ゲームコントローラの上部ハーフシェル2aの開口部20の内側縁部によって置換される。別の変形実施形態では、リング40は上部ハーフシェル2aの一体部分であるか、または、管状インサート4に恒久的にもしくは着脱可能に、または上部ハーフシェル2aの開口部20に直接、固定され得るアドオン部品であり得る。
【0036】
図1の特定の実施形態では、各旋回部材3は、「ジョイスティック」タイプの部材であり、ゲームコントローラを保持しているプレーヤの左手の親指または右手の親指によって容易に操作できるように、シェル2の縁部の近くに配置されている。
【0037】
ゲームコントローラ1の各旋回制御部材3は、ここで
図2および
図3を参照して説明する、いくつかの要素30、31、32のモノリシック集合体によって形成され、更に、リング状円筒形の着脱可能な調整リング5Aが設けられている。
【0038】
旋回制御部材3
各旋回制御部材3の要素30(
図2)はベース要素であり、これは、ゲームコントローラのシェル2に取り付けられ、それに対して恒久的に固定されることが意図されている。各旋回制御部材3のこのベース要素30は既知であり、したがって、以下では簡潔に説明される。
【0039】
図2を参照すると、このベース要素30は、ケーシング301に対して旋回するように取り付けられた、中心軸線300aを有する円筒形のシャフト(「スティック」)300を備える。この旋回する円筒形のシャフト300は、ケーシング301に対して、
図1および
図2に示す中央静止位置から全方向に手動で傾けることができ、そしてこれは弾性的に回転して中央静止位置に戻る。このシャフト300の中央静止位置へと弾性的に回転するための手段は既知であり、したがって詳述しない。ばねタイプであるこれら弾性戻り手段は、ケーシング301の内部に収容される。
【0040】
この旋回シャフト300はまた、通常の方法で、アナログ変位センサ、例えば電位差計タイプのセンサ、に結合され、センサはケーシング301の内部に収容され、互いに垂直な2つの回転基準軸線の周りの、このシャフト300の回転角度を測定することを可能にし、この2つの回転基準軸線は、
図2のその静止位置にあるシャフト300の中心軸線300aに垂直な平面を画定する。既知のやり方で、これらのセンサはアナログ測定信号を送出する。この信号は、この軸線300aの静止位置を基準にして、シャフト300の中心軸線300aによって各基準回転軸線の周りに形成される角度の瞬時値を特徴付ける。
【0041】
ベース要素30は、ゲームコントローラ1のシェル2の内部に取り付けられ、それに締結され、その結果、一方では、そのケーシング301は、組み立てられたシェル2の内部に完全に収容され、組み立てられたシェル2に締結されており、他方では、その旋回シャフト300は、上述した管状インサート4の円形開口部40bに垂直に配置され、その円形開口部40bに対して中心に置かれている。
【0042】
各旋回制御部材3の要素31は保護部分であり、対称性を有し、剛性であり、
-下部にあるドーム形状のカップ310と、
-上部にある円筒形アセンブリ末端部品311とを備え、円筒形アセンブリ末端部品は、下部カップ310に対して中心に置かれ、カップ310の中心対称軸線は、この円筒形アセンブリ末端部品311の中心対称軸線と一致する。
【0043】
より具体的には、円筒形アセンブリ末端部品311は空洞311a(
図2および
図3)を備え、空洞311aは上部が開いており、好ましくは円筒形である底部壁311bおよび側壁311cによって境界が定められている。底部壁は、突出した中央突起311dを備える(
図3)。側壁311cは、好ましくは直径方向に対向するアセンブリスロット311eを備える。
【0044】
図3を参照すると、保護要素31は、その下部に中央円筒形ハウジング312を更に備える。この中央円筒形ハウジング312は、ベース要素30の旋回シャフト300が、このハウジング312内にぴったりと嵌まることを可能にするように寸法設定されている。この円筒形ハウジング312の断面および旋回シャフト300の断面は円形ではなく、旋回シャフト300が、このハウジング312内で、その中心軸線の周りに回転することがブロックされることが可能なように選ばれる。要素31は、単に、要素31をベース要素30の旋回シャフト300に軸方向に嵌めることによって取り付けられる。
【0045】
保護要素31のカップ310は、その最大外径が管状インサート4の開口部40bの直径よりも大きくなるように、寸法設定されている。要素31のカップは、ベース要素30のシャフト300の旋回を妨げることなく、管状インサート4の開口部40bを部分的に閉じることを可能にし、そのことが、特に、異物または要素が、組み立てられたシェル2の内部に偶発的に導入されることを回避することを可能にし、更にゲームコントローラ1の美的外観を改善することを可能にする。
【0046】
要素32は、旋回制御部材3のヘッドを構成し、いったん取り付けられると、組み立てられたシェルの外側に配置される(
図1)。このヘッド32は、プレーヤが、好ましくはプレーヤの2本の親指のうちの1本を使用して、旋回制御部材3を操作するのに適した形状および寸法を有する。
【0047】
より具体的には、このヘッド32は着脱可能なので、特にゲームコントローラ1からシェル2を分解する必要なく、ユーザが容易にかつ迅速に取り付けるまたは取り外すことができる。
【0048】
この特定の例では、このヘッド32は、サブ要素321、322から構成されている。
【0049】
サブ要素321は、中心対称軸線321aを有する対称形のモノブロック部品であり、例えば射出プラスチックの部品である。サブ要素は、実質的に円盤形の上部3210と、円筒形の下部3211とを備え、下部3211は、前記円盤形の上部3210に垂直に向いており、前記円盤形の上部3210に対して中心に置かれている。
【0050】
サブ要素322は、円盤形であり、プレーヤの親指と接触することが意図されている。サブ要素322は、通常はサブ要素321の円盤形上部3210に成形されるか、または、サブ要素321の円盤形上部3210に、任意の手段により恒久的または堅固な形で締結され得る。
【0051】
このサブ要素322は、ユーザの親指での把持を向上させるために、例えばゴムで作ることができる。
【0052】
例えばサブ要素322の上面322aは、例えば、
図3に示すように湾曲し凹形であり得る。別の変形例では、サブ要素322の上面322aは、例えば半球状で凸状であってもよく、または平面的であってもよい。
【0053】
ヘッド32のサブ要素321の円筒形下部3211は弾性的に変形可能であり、下部を保護要素31の円筒形アセンブリ末端部品311に弾性的に嵌め込むことが可能である。
【0054】
より具体的には、
図2および
図3の特定の変形実施形態は、ヘッド32の円筒形下部3211は、直径方向に対向する脚3211aを備え、脚にはそれぞれ、外部アセンブリ突起3211bが設けられている。各アセンブリ突起3211bは、機械的応力の作用下で圧入されることができ、機械的応力がない時に、
図2のその静止位置に弾性的に戻ることができ、静止位置では、アセンブリ突起は脚3211aの外側に向かって突出する。ヘッド32の円筒形下部3211はまた、保護部分31の突起311dの形状に適合された下部スリット3211cを備える。
【0055】
ヘッド32を保護要素31(
図3)と共に組み立てるために、円筒形空洞311aの底部で突出している突起311dがスリット3211cに入るまで、ヘッド32の円筒形下部3211を、保護要素31の円筒形アセンブリ末端部品311の円筒形空洞311a内に軸方向に手で挿入すれば十分であり、それは最終的に、保護要素31に対するヘッド32の回転をブロックすることを可能にする。この軸方向への挿入の間、各突起3211bが円筒形アセンブリ末端部品311のアセンブリスロット311eの反対側に配置され、このアセンブリスロット311e(
図3の構成)に入るまで、各突起3211bは脚3211aの内部に向かって僅かに凹み、それにより、保護要素31に対するヘッド32の軸方向ブロックが可能になる。
【0056】
アセンブリ突起3211bの弾性は、円筒形アセンブリ末端部品311に対して、ヘッド32の円筒形下部3211が半径方向にクランプされることを更に可能にする。この半径方向クランプは、保護要素31に対するヘッド32の偶発的なずれを防止するのに十分に強い。しかしながら、この軸方向への引張りの効果により、突起3211bがその対応するアセンブリスロット311eから去るのに十分なアセンブリ突起3211bの凹みを脚3211aの内部に向かって生じさせるように、ユーザがヘッド32に十分な力を加えて手で軸方向に引くことによって、意図的にヘッド32を保護要素31から除去することを可能にするには十分に、この半径方向クランプは弱い。
【0057】
したがって、ヘッド32はプレーヤによって手で容易にかつ迅速に着脱可能であり、それにより、必要であれば、ユーザが、ゲームコントローラ1のシェル2を分解する必要なく、着脱可能な調整リング5Aをゲームコントローラ1に容易にかつ迅速に置くこと、または、調整リング5Aをゲームコントローラ1から容易にかつ迅速に取り外すことが可能になる。
【0058】
着脱可能な調整リング5A
各旋回制御部材3には、剛性で着脱可能な、高さがHの円筒形調整リング5Aが設けられる。
【0059】
この調整リング5Aを構成する材料は、本発明にとっては重要でない。
【0060】
この特定の例では、この調整リング5Aは、リング5Aの高さHの全体にわたって、円形断面の真っ直ぐな円筒形を形成する外面50を備える。
【0061】
他の変形実施形態では、この調整リング5Aの外面50は、リングの高さHの一部分にわたってのみ、円形断面の真っ直ぐな円筒形を形成し得る。
【0062】
内側断面、および特にこのリング5Aの内径Din(
図6A)は、リング5Aが要素31のアセンブリ末端部品311上を導かれて軸方向にスライドすることを可能にするのにちょうど十分な最小のクリアランスを伴って、このリング5Aを、要素31のアセンブリ末端部品311に取り付けることを可能にするように選ばれる。したがって、調整リング5Aは、この保護要素31に固定されることなく着脱可能な形で、保護要素31のアセンブリ末端部品311上に滑り込ませることができる。
【0063】
後でより明確になるように、この円筒形調整リングの外径D
out(
図6A、
図6B、
図6C)を選ぶことにより、旋回部材3の停止角度の調整が可能になる。
【0064】
旋回部材および着脱可能調整リングの取り付けおよび組み立て
着脱可能な調整リングが設けられた旋回部材3の取り付けおよびアセンブリは、例えば以下の通りに進めることにより実施される。
【0065】
関連する保護要素31と共に組み立てられた各ベース要素30は、上部ハーフシェル2aまたは下部ハーフシェル2bのうちの1つにおいて所定位置にて締結され、シェル2の内部に収容されることが意図される、ゲームコントローラの電子制御回路に電気的に接続される。
【0066】
この電子制御回路は特に、旋回制御部材3の回転変位センサによって送達される測定信号の自動処理を可能にする。この電子制御回路は、1つ以上の電子メモリと、組み込みソフトウェアを自動的に実行することが可能であって、例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、FPGAタイプのプログラマブル電子回路、またはASICタイプの特定電子回路によって実装できるプロセッサと、プロセッサがゲームコンソール等と通信することを可能にする1つ以上のコネクタと、を備えることができる。
【0067】
次に、各開口部20に管状インサート4が設けられている上部ハーフシェル2aは、下部ハーフシェル2b上に配置され、その結果、その中央静止位置にあって保護要素31を支持している、各旋回制御部材30のシャフト300は、管状インサート4の円形開口部40bに対して垂直に向けられ、そしてこの円形開口部40bに対して中心に置かれる。最後に、2つのハーフシェル2a、2bは、例えばねじによって、一緒に組み立てられる。
【0068】
いったん2つのハーフシェル2a、2bが組み立てられて、
図3に示すようなゲームコントローラ1のシェル2が形成されたら、管状インサート4の円形開口部40bに対してやはり中心に置かれている、保護要素31の円筒形アセンブリ末端部品311は、好ましくは、インサートの開口部40bを貫通し、組み立てられたシェル2の外側に突出し、その結果、円筒形アセンブリ末端部品は、組み立てられたシェル2の外側に少なくとも部分的に位置し、容易にアクセス可能である。
【0069】
上述した組み立てステップは、工場において実施される。
【0070】
旋回制御部材3の停止角度を定める特定の外径Doutを有する調整リング、例えば薄い調整リング5A、を選ぶことにより、そして、この調整リングを、保護要素31の円筒形アセンブリ末端部品311上に着脱可能に滑り込ませることにより、ユーザは、上述した組み立てステップの最後に、ゲームコントローラ1を容易にかつ迅速に構成することができる。
【0071】
いったんこの調整リングが取り付けられると、ユーザは、上述したように、着脱可能なヘッド32を保護要素31の円筒形アセンブリ末端部品311の中に単に嵌めさえすればよい。いったんヘッド32が保護要素31に嵌められると(
図3)、調整リングは、保護要素31のカップ310の上面310aと着脱可能なヘッド32との間の所定位置で軸方向にブロックされる。
【0072】
旋回制御部材3の停止角度
管状インサート4の中心対称軸線が、
図3ではAで参照されている。すなわち、この特定の実施形態では、これは、このインサート4の上部リング40によって組み立てられたシェル2内で境界が定められる円形開口部40bの中心対称軸線である。
【0073】
この
図3では、その調整リング5Aが設けられている旋回制御部材3はその中央静止位置にあり、その対称軸線3aは、この中央静止位置において、円形開口部40bの中心対称軸線Aと一致する。
【0074】
上述したように、ゲームコントローラ1のユーザは、その調整リング5Aが設けられている制御部材3を、
図3の中央静止位置に対して傾けることにより、手動で全方向に回転させることができる。ゲームコントローラ1のユーザがこの制御部材3を解放すると、制御部材3は
図3のその中央静止位置に弾性的に戻る。
【0075】
その傾斜方向にかかわらず、その調整リング5Aが設けられている制御部材3は、例えば、
図4に示すような停止位置に到達するまで旋回できる(
図4、回転R)。この停止位置では調整リング5Aが当接しており、したがって、この停止位置では旋回制御部材3を傾けることがブロックされる。したがって、調整リング5Aにより、旋回制御部材3を傾ける最大行程を調整することが可能になる。
【0076】
図4の特定の場合では、リング40の内側縁部40aは、その外周全体にわたって制御部材3を取り囲んでいる。その調整リング5Aが設けられている制御部材3の停止位置では、制御部材3は前記調整リング5Aによってリング40の内側縁部40aに対して当接し、リング40の内側縁部40aは、弱い回転停止機能を果たす。
【0077】
その調整リング5Aが設けられている制御部材3の停止位置は、停止角度αによって特徴付けられ(
図4)、停止角度αは、制御部材3の特定の傾斜方向に対して、2本の中心対称軸線Aおよび3aによって形成される最大角度に対応する。
【0078】
添付図面の実施形態では、本発明に関して非限定的に、停止角度の値αは、好ましくは、その調整リングが設けられている制御部材3の傾斜方向の全てに対して同じである。
【0079】
他の変形実施形態では、停止角度の値αは、その調整リングが設けられている制御部材3の少なくとも2つの傾斜方向に対して異なっていてもよく、および/または開口部40bの形状は必ずしも円形ではなく、例えば多角形のタイプまたは楕円形のタイプであってもよく、および/または静止位置は必ずしも中央位置ではない。
【0080】
典型的には、ゲームコントローラの旋回制御部材3の停止角度の値は、90°未満であり、通常は20°~70°である。
【0081】
図5は、旋回制御部材3に円筒形調整リング5Cが設けられている変形実施形態を示し、円筒形調整リング5Cは、リング5Aと同じ高さHであり、薄いリング5Aより厚く、したがって、薄いリング5Aよりも大きい外径D
out(
図6C)を有する。この場合、停止角度αは、薄いリング5Aで得られる停止角度の値よりも小さい値に設定される。
【0082】
したがって、停止角度αの値は、使用される円筒形調整リングの外径Doutに依存する。この外径が大きいほど停止角度αの値は小さくなり、逆も同様である。
【0083】
好ましくは、コントローラのユーザは、各旋回制御部材3に対して、いくつかの着脱可能な調整リングを、例えば、
図6A、
図6B、
図6Cのそれぞれの円筒形調整リング5A、5B、5C、を随意に有する。
図6A、
図6B、
図6Cのこれら円筒形調整リング5A、5B、5Cは、同じ内側断面、特に同じ内径D
inを有するが、異なる厚さEを有し、したがって異なる外径D
outを有する。これら円筒形調整リング5A、5B、5Cは、好ましくは同じ高さHを有する。
【0084】
最も薄いリング5Aは、最大の停止角度αの値を得ることを可能にし、例えば46°の停止角度を可能にする。最も厚い調整リング5Cは、最小の停止角度の値αを得ることを可能にし、例えば30°の停止角度を可能にする。中間の厚さのリング5Bは、中間の停止角度の値αを得ることを可能にし、例えば38°の停止角度αを得ることを可能にする。
【0085】
停止角度αの値が小さいほど、ゲームコントローラの旋回制御部材3の応答は速く、逆もまた同様である。
【0086】
調整リング5A、5B、5Cのおかげで、コントローラのユーザは、ユーザのゲームコントローラ1の旋回制御部材3の応答性を非常に容易にかつ非常に迅速に都合よく調整して、特に、この応答性を、ユーザがプレーすることを望むゲームのタイプに、より適したものにすることができる。ユーザがしなければならないことは、着脱可能なヘッド32を旋回制御部材3から手で取り外し、必要に応じて、制御部材3に存在する調整リングを取り外し、旋回制御部材3に対してユーザが望む応答性に対応する新しい調整リング5A、5B、または5Cを保護要素31に挿入し、着脱可能なヘッド32を元に戻すことだけであり、これら操作は全てが、有利には、ゲームコントローラ1の組み立てられたシェル2を分解する必要なく、ユーザによって容易に実施される。
【0087】
したがって、ゲームコントローラのユーザが、例えば格闘ゲームをプレーするために、応答がより速いコントローラを持ちたいと望む場合、ユーザは、ユーザのゲームコントローラ1の各旋回制御部材3に、最小の停止角度αを得ることを可能にする調整リング5Cを装着することを選ぶことができる。ゲームコントローラのユーザが、応答がより遅いコントローラを持ちたいと望む場合、ユーザは、ユーザのゲームコントローラ1の各旋回制御部材3に、より大きい停止角度の値αを得ることを可能にする調整リング5Bまたは5Aを装着することを選ぶことができる。
【0088】
他の変形実施形態(非網羅的リスト)
本発明は、添付図面の特定の変形実施形態に限定されない。
【0089】
非網羅的な形で、特に本発明は、特定の構造に、およびヘッド32を形成し添付の図面に示されるサブ要素321および322の特定の寸法に限定されない。
【0090】
本発明は、2つの組み立てられた部品321および322でのヘッド32の実装形態に限定されず、別の変形例では、ヘッド32は3つ以上の組み立てられた部品を備えてもよく、または、1つの部品、例えば射出プラスチック部品で作られることができる。
【0091】
ヘッド32は、必ずしも、殊更に手の親指によって操作されるように適合されているわけではなく、本発明は、より一般的には、特に制御部材3のヘッド32の構造、形状、寸法、および構成材料にかかわらず、手動で操作され得るいかなる旋回制御部材3にも、より一般的に展開される。例えば、制御部材3は、片手の2本の指によって、または手全体によって握ることができる「ジョイスティック」タイプの旋回「スティック」であり得る。
【0092】
着脱可能なヘッド32を組み立てる手段は前述した手段とは異なっていてもよく、着脱可能なヘッドは、例えば、磁石等にねじ留めする、または磁石等によって組み立てることが可能である。
【0093】
別の変形例では、保護要素31の(または制御部材3の他の要素の)円筒形アセンブリ末端部品311は、着脱可能なヘッド32の管状下部3211の内部に嵌まるように適合されることができ、この場合、調整リングはヘッド32のこの管状下部3211上に滑り込むように設計されている。
【0094】
別の変形例では、ヘッド32は必ずしも着脱可能ではない。この場合、停止角度調整リングは、シェル2を分解することなく、かつ旋回制御部材からヘッド32を取り外すことなく、調整リングを旋回制御部材に取り付けることが可能なように、例えば、一緒に組み立てることができる2つの別個の部品から成っていてもよい。例えば、調整リングは、2つの半円筒で構成されてもよく、これは、磁気の磁化により制御部材に組み立てられて調整リングを構成することができる。2つの半円筒を磁化させることができ、または、旋回制御部材3を磁化させることができ、2つの半円筒を強磁性材料、例えば金属から作ることができる。2つの半円筒は、互いに分離できるような任意の他の手段により、例えば、ねじ留め、クリップ留め、または嵌め合いにより、一緒に組み立てることもできる。
【0095】
添付図面の変形例の保護要素31は任意選択であり、省略され得る。この場合、旋回制御部材のヘッド32は、中間部分31なしで、ベース要素30の旋回シャフト300に直接嵌まるように設計される。
【0096】
本発明では、着脱可能な調整要素5A、5B、5Cは、好ましくは、円形断面の真っ直ぐな円筒形を形成する外面50を有する。
【0097】
別の変形例では、この外面50の断面は円形でなくてもよく、例えば、多角形または楕円形であってもよい。
【0098】
本発明は、円形の内部断面を有する調整リング5A、5B、5Cの実装に限定されない。調整リング5A、5B、5Cの内側断面の形状は本発明にとって重要ではなく、この内側断面は、場合により例えば多角形(三角形、正方形、長方形、六角形など)である。
【0099】
別の変形実施形態では、調整要素は着脱可能な円筒形調整リングで構成されてもよく、この調整リングは、互いに同軸で滑り込むことができるように適合されており、その結果、その外径が同軸リングの数に依存するような着脱可能な調整要素が得られる。互いに対して同軸で旋回制御部材上に取り付けられる調整リングの数が多いほど、旋回制御部材の停止角度(α)の値は小さくなり、逆もまた同様である。
【国際調査報告】