(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-01
(54)【発明の名称】機械制御システムを駆動する方法及び機械制御システム
(51)【国際特許分類】
B25J 19/06 20060101AFI20220125BHJP
G05B 19/42 20060101ALI20220125BHJP
【FI】
B25J19/06
G05B19/42 L
G05B19/42 J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021523461
(86)(22)【出願日】2019-10-28
(85)【翻訳文提出日】2021-06-28
(86)【国際出願番号】 AT2019060356
(87)【国際公開番号】W WO2020087098
(87)【国際公開日】2020-05-07
(32)【優先日】2018-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504320868
【氏名又は名称】ケバ アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ベルンハルト レーナー
【テーマコード(参考)】
3C269
3C707
【Fターム(参考)】
3C269AB01
3C269AB33
3C269BB11
3C269PP03
3C269QC02
3C269QD02
3C269SA04
3C269SA37
3C707BS09
3C707JU01
3C707JU14
3C707LV02
3C707MS14
(57)【要約】
本発明は、機械制御システム(1)を駆動する方法及びそれに応じた機械制御システム(1)に関する。機械制御装置(3、3')の少なくとも1つを機能的に調節するための、操作者によって持ち運びできる携帯性を有する手動操作器具(4)が設けられている。手動操作器具(4)は、潜在的に危険をもたらす機械操作を終了させるための、少なくとも1つの非常停止操作要素(8)を有している。少なくとも1つの機械制御装置(3、3')及び/又は手動操作器具(4)は、手動操作器具(4)のディスプレイ(14)上に機械制御システム(1)のイメージを表示させるように、構成されている。さらに少なくとも1つの機械制御装置(3、3')及び/又は手動操作器具(4)は、少なくとも1つの非常停止操作要素(8)の1つの作用領域又は複数の作用領域(W1、W2、W3、W4)を手動操作器具(4)のディスプレイ(14)を用いて表示するように、構成されれている。さらに、少なくとも1つの機械制御装置(3、3')及び/又は手動操作器具(4)は、少なくとも1つの非常停止操作要素(8)の1つの作用領域又は複数の作用領域(W1、W2、W3、W4)を同時に、手動操作器具(4)に設けられた少なくとも1つの発光手段(23)及び/又は手動操作器具(4)に設けられた少なくとも1つの非常停止操作要素(8)内に、又はそれに、少なくとも1つの個別発光手段(24)を選択的にフェールセーフ駆動することによって、表示するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械操作を実施するための少なくとも1つの機械制御装置(3、3')を有する機械制御システム(1)を駆動する方法であって、
機械制御装置(3、3')の少なくとも1つを機能的に調節するための、操作者によって持ち運びできる少なくとも1つの携帯性を有する手動操作器具(4)を有し
前記手動操作器具(4)が、手動で影響を与える機械操作のための少なくとも1つの操作要素(12)と、操作者により機械操作を監視又は制御するための、ディスプレイ(14)を備えた少なくとも1つのユーザーインターフェイスとを有しており、かつ
手動操作器具(4)が、潜在的に危険をもたらす機械操作を終了させるための、少なくとも1つの非常停止操作要素(8)を有し、
前記少なくとも1つの非常停止操作要素(8)の、操作者によって手動で作動化可能及び変更可能な、それぞれ存在する操作状態が、少なくとも1つの伝送インターフェイス(6、6')を介して、選択された、又は作動的に結合されている機械制御装置(3、3')の非常停止安全回路(9、9')又は安全バスシステム(22、22')内へ結合される、方法において、
前記機械制御システム(1)の、又は前記機械制御システム(1)の部分領域を、前記手動操作器具(4)のディスプレイ(14)上で概略的に示し、
前記手動操作器具(4)のディスプレイ(14)により、そして前記手動操作器具(4)上の少なくとも1つの発光手段(23)及び/又は前記手動操作器具(4)上の前記少なくとも1つの非常停止操作要素(8)における、又はその中の、少なくとも1つの個別発光手段(24)の選択的なシングルフェールセーフ制御により、
前記手動操作器具(4)上の前記少なくとも1つの非常停止操作要素(8)の1つの作用領域又は複数の作用領域(W1、W2、W3、W4)を概略的に示す、
ことを特徴とする機械制御システムを駆動する方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの非常停止操作要素(8)の1つの作用領域又は複数の作用領域(W1、W2、W3、W4)を信号で送信するために、1つ又は複数の発光手段(23)のフェールセーフの作動化が行われ、前記発光手段(23)は機械制御システム(1)の部分領域を識別し、1つ又は複数の部分領域のために、前記非常停止操作要素(8)が機能的に提供可能である、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの非常停止操作要素(8)の前記1つの作用領域又は複数の作用領域(W1、W2、W3、W4)を信号で送信するために、前記手動操作器具(4)の前記ディスプレイ(14)に、前記機械制御システム(1)の1つの部分領域がグラフィックマーキングされ、及び/又は色彩で強調され、又は前記機械制御システム(1)の複数の部分領域がグラフィックマーキングされ、及び/又は色彩で強調され、前記1つの部分領域又は前記複数の部分領域のために前記非常停止操作要素(8)が機能的に提供可能であり、
及び/又は前記手動操作器具(4)に設けられた前記少なくとも1つの非常停止操作要素(8)が機能的に提供可能である場合に、前記少なくとも1つの非常停止操作要素(8)に前記個別発光手段(24)が作動化されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記手動操作器具(4)の前記ディスプレイ(14)に、それぞれ有効なストップカテゴリーが、前記少なくとも1つの非常停止操作要素(8)によって、付加的に示され、すなわち、少なくとも1つの機械操作に関してエネルギ供給を即座に中断するためのカテゴリー0、又は少なくとも1つの機械操作に関して運動又は機能を停止させて、次にエネルギ供給を中断するためのカテゴリー1、が表示される、ことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
手動で操作可能及び/又は自動化されて作動するモードスイッチ手段(28)が設けられており、前記モードスイッチ手段によって、(i)前記手動操作器具(4)の定常駆動モードと、(ii)前記手動操作器具(4)の機械調節モードとの間で、及びその逆に、手動で導入される、又は自動化されて実施される交代が行われる、ことを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記手動操作器具(4)に設けられた前記少なくとも1つの非常停止操作要素(8)が、(i)前記手動操作器具(4)の前記定常駆動モードにおいて、少なくとも1つの機械操作に関してエネルギ供給を即座に中断するための非常ストップ機能要素として駆動され、又は設けられ、かつ
前記手動操作器具(4)に設けられた少なくとも1つの非常停止操作要素(8)が、(ii)前記手動操作器具(4)の機械調節モードにおいて、少なくとも1つの機械操作に関して運動又は機能を停止させて、次にエネルギ供給を中断するために駆動され、又は設けられる、ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つの非常停止操作要素(8)に、(i)前記手動操作器具(4)の前記定常駆動モードにおいて、少なくとも1つの発光手段(24)を作動化することによって、少なくとも部分的に赤で着色された事象イメージが対応づけられ、(ii)前記機械調節モードにおいては、前記少なくとも1つの発光手段(24)が非作動化されている、ことを特徴とする請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記モードスイッチ手段(28)は、前記手動操作器具(4)に設けられた少なくとも1つのスイッチ面に対して、操作者の側からの相互作用によって調節される、ことを特徴とする請求項5~7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記モードスイッチ手段(28)は、手動操作器具(4)を予め定められた場所に置くことにより、又は予め定められた相手要素に対して予め定められたように対応づけし、及び/又は相手要素に対して取り付けることにより、自動的に調節される、ことを特徴とする請求項5又は6に記載の方法。
【請求項10】
前記手動操作器具(4)の前記少なくとも1つの伝送インターフェイス(6)はワイヤレスであり、かつ
前記少なくとも1つのワイヤレスの伝送インターフェイス(6)は、前記手動操作器具(4)と前記機械制御装置(3、3')の少なくとも1つとの間で、制御技術的な作用接続をワイヤレスで構築し又は具現化するように構成されている、ことを特徴とする請求項1~9の何れか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの非常停止操作要素(8)の、操作者によって手動で作動化可能かつ変更可能な、それぞれ存在する駆動状態が、前記少なくとも1つのワイヤレスの伝送インターフェイス(6)を介して信号技術的に伝送され、かつ、選択され、又は作動的に結合された機械制御装置(3、3')の前記非常停止安全回路(9、9')内へ、又は前記安全バスシステム(22、22')内へ結合されるので、前記手動操作器具(4)の作動的な駆動状態において、前記少なくとも1つの非常停止操作要素(8)は、機能的な観点において、選択され、又は作動的に結合されている前記機械制御装置(3、3')の前記非常停止安全回路(9、9')内へ、又は前記安全バスシステム(22、22')内へ結合可能である、ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記手動操作器具(4)に設けられた少なくとも1つの発光手段(23)及び/又は前記手動操作器具(4)の前記少なくとも1つの非常停止操作要素(8)にある前記少なくとも1つの個別発光手段(24)が、前記手動操作器具(4)内に配置された電子的な安全モジュール(10)によって駆動される、ことを特徴とする請求項1~11の何れか一項に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも1つの発光手段(23;24)のプランに基づく機能が、前記安全モジュール(10)と、該安全モジュール(10)に配置された少なくとも1つのセンサ(27)によって検査され、可能性があるエラー状態が信号で送信される、ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも個別の、又は全ての発光手段(23)は、前記ディスプレイ(14)の周縁域又は端縁領域に、及び/又は前記非常停止操作要素(8)に、設けられた少なくとも1つの7セグメント・ディスプレイ(26)によって形成されている、ことを特徴とする請求項1~13の何れか一項に記載の方法。
【請求項15】
特に、請求項1~14の何れか一項又は複数項に記載の方法を実施するための、機械制御システム(1)であって、
機械操作を実施するための少なくとも1つの機械制御装置(3、3')を有し、
前記機械制御装置(3、3')の少なくとも1つを機能的に調節するための、操作者によって持ち運びできる少なくとも1つの携帯性を有する手動操作器具(4)を有し、
前記手動操作器具(4)が、機械操作を手動で調節するための少なくとも1つの操作要素(12)と、操作者によって機械操作を監視又は制御するためのディスプレイ(14)を備えた少なくとも1つのユーザーインターフェイスとを有し、かつ
前記手動操作器具(4)が、潜在的に危険をもたらす機械操作を終了させるための、少なくとも1つの非常停止操作要素(8)を有し、
操作者によって手動で作動化可能かつ変更可能な、前記少なくとも1つの非常停止操作要素(8)のそれぞれ存在する操作状態が、少なくとも1つの伝送インターフェイス(6、6')を介して、選択された、又は作動的に結合された機械制御装置(3、3')の非常停止安全回路(9、9')内へ、又は安全バスシステム(22、22')内へ結合可能である、機械制御システム(1)において、
前記少なくとも1つの機械制御装置(3、3')及び/又は前記手動操作器具(4)は、前記機械制御システム(1)の、又は前記機械制御システム(1)の部分領域を、前記手動操作器具(4)のディスプレイ(14)上で概略的に示すように構成され、
前記少なくとも1つの機械制御装置(3、3')及び/又は前記手動操作器具(4)は、少なくとも1つの非常停止操作要素(8)の1つの作用領域又は複数の作用領域(W1、W2、W3、W4)を前記手動操作器具(4)の前記ディスプレイ(14)によって、そして、付加的に、前記手動操作器具(4)における少なくとも1つの発光手段(23)、及び/又は前記手動操作器具(4)における少なくとも1つの非常停止操作要素(8)の少なくとも1つの個別発光手段(24)の選択的なシングルフェールセーフ制御によって、前記1つの作用領域又は複数の作用領域を概略的に示すように構成されている、ことを特徴とする機械制御システム。
【請求項16】
前記少なくとも1つの機械制御装置(3、3')、及び/又は前記手動操作器具(4)、及び/又は前記手動操作器具(4)の制御装置(5)は、請求項2~14の何れか一項に記載の方法を実行するように構成されている、ことを特徴とする請求項15に記載の機械制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械操作を実施するための少なくとも1つの機械制御装置を有する機械制御システムを駆動する方法に関する。機械制御システムは、機械制御装置の少なくとも1つを無線で調節するために、操作者によって持ち運べる少なくとも1つの携帯性を有する手動操作器具を有し、その手動操作器具は機械操作を手動で調節するための少なくとも1つの操作要素及び操作者によって機械操作を監視し、又は制御するための、ディスプレイを備えた少なくとも1つのユーザーインターフェイスを有しており、かつその手動操作器具は潜在的に危険をもたらす機械操作を終了させるための少なくとも1つの非常停止操作要素を有しており、少なくとも1つの非常停止操作要素の、それぞれ存在している、操作者によって手動で作動化及び変更可能な操作状態が、少なくとも1つの伝送インターフェイスを介して、選択された、又は作動的に結合されている機械制御装置の非常停止安全回路内へ、又は安全バスシステム内へ結合される。さらに、本発明はそれに応じた機械制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般の機械制御システムは、たとえば、本出願人により成された、特許文献1から知られている。手動操作器具のデータ技術的な認識を用いて、手動操作器具がそれぞれの機械制御装置と制御手段を介して結合できるか、又はどのような形式で結合できるか、が調べられる。少なくとも部分自動化されて実施される、この互換性チェックによって、得ることのできる利用快適性及び制御システムの安全性も、向上させることができる。しかし、ユーザー側の錯誤によって、又はユーザー側の誤った挙動によって、潜在的に危機的な状況は、完全に排除することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2018/039692(A1)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、従来技術の欠点を克服して、機械の制御又は機械制御装置の駆動をさらに確実に、そして同時にできる限り快適に構成することができる、方法と装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、請求項に記載の方法と装置によって解決される。
【0006】
機械制御システムを駆動する、本発明に係る方法は、以下のステップを有する。
機械制御システム又は機械制御システムの部分領域を、手動操作器具のディスプレイ上に概略的に示すステップと、
手動操作器具のディスプレイによって、さらに手動操作器具に設けられた少なくとも1つの発光手段、及び/又は手動操作器具に設けられた少なくとも1つの非常停止操作要素にある少なくとも1つの個別発光手段の選択的な、好ましくはシングルフェールセーフ制御によって、手動操作器具に設けられた少なくとも1つの非常停止操作要素の1つの実効的な作用領域又は複数の実効的な作用領域を概略的に示し、その少なくとも1つの発光手段は、たとえばディスプレイの周縁域内又は端縁領域内に位置決めする、ステップと、を有する。
【0007】
本発明に係る方法の利点は、錯誤による、又は操作者の不安定な記憶能力に基づく潜在的に安全を脅かす状態を防止できることにある。特に操作者には、本発明によって、携帯性を有する手動操作器具に設けられた非常停止操作要素の適用性が機械制御システムのどの1つの作用領域に、又はどの複数の作用領域に限定されているか、をはっきりと信号伝達することができる。これは特に、手動操作器具が大きな行動半径を有し、又は比較的長いケーブル接続を有する場合、又は手動操作器具が完全にワイヤレスで機械制御装置に結合可能であり、又は結合されている場合に、重要である。しかし、錯誤により、忘却により、又は担当の操作者の交代によって、手動操作器具に設けられた非常停止操作要素の有効性又は有効な非常停止作業領域の誤判断が生じる場合もあり、この問題状況は今や本発明に係る措置によって減少させ、又は防止することができる。手動操作器具に設けられた少なくとも1つの発光手段を選択的に駆動又は作動化することによって、さらに、1つ又は複数の非常停止作用領域の特に誤解のない信号伝達を得ることができる。少なくとも1つの発光手段は、たとえば複数のLEDの形式で、個別に形成することができる。しかしまた、少なくとも1つの発光手段は、たとえば7セグメント・ディスプレイの形式で、又は多数のグループ化された発光手段を有する点マトリクス表示の形式で、一体化された構成要素として形成することもできる。
【0008】
さらに、ディスプレイの表示情報と少なくとも1つの発光手段の表示情報との間に場合によっては生じる矛盾は、操作者によって直接認識することができ、かつ妥当でない状態又は機械制御システム内に場合によっては生じる障害について指摘することができる。ディスプレイによる1つ/複数の非常停止作用領域の表示及び少なくとも1つの発光手段による1つ/複数の作用領域の表示は、好ましくは同時又は共通に行われる。したがって、非常停止作用領域について二重に出力される情報(その情報内容は、ディスプレイと発光手段とによって通常同一に表示される)が、その一致について迅速かつ一義的に比較可能であるので、操作者は付加的な人的コントロールインスタンスとして機能することができる。
【0009】
さらに、手動操作器具における発光手段の選択的な駆動、特にそれぞれの発光手段のしかるべき作動化又は非作動化が、シングルフェールセーフで実施されることが、効果的である。特にそれによって、有効な非常停止作用領域が誤って表示される確率が原則的にゼロであり、又はそれに伴う安全リスクを除去することができ、又は最小限まで減少させることができることにより、高められた信頼性要請又は機能要請に応じることができる。
【0010】
さらに、少なくとも1つの非常停止操作要素の1つの作用領域又は複数の作用領域を信号伝達するために、機械制御システムの部分領域を識別する1つの発光手段又は複数の発光手段のシングルフェールセーフの作動化が行われ、その1つの部分領域のため、又はそれらの複数の部分領域のために、非常停止操作要素が機能的に提供可能であり、特に機能準備完了であると、効果的であり得る。それによって操作者に、必要な場合において非常停止操作要素がどの「オフ領域」又は作用ゾーンに対して有効になることができるかを、できる限り一義的に認識可能とすることができ、特にはっきりと強調し、又はマーキングすることができる。
【0011】
さらに、少なくとも1つの非常停止操作要素の1つの作用領域又は複数の作用領域を信号伝達するために、手動操作器具のディスプレイに、機械制御システムの1つの部分領域をグラフィックでマーキングし、及び/又は色で強調し、又は機械制御システムの複数の部分領域をグラフィックでマーキングし、及び/又は色で強調することができ、その部分領域のため、又はそれらの部分領域のために、非常停止操作要素が提供可能であり、すなわち機能準備完了しており、及び/又は手動操作器具に設けられた少なくとも1つの非常停止操作要素の機能適用性が存在する場合には、少なくとも1つの非常停止操作要素に、又はその中に、個別発光手段が作動化されている。したがって非常停止操作要素が提供可能であり、又は機能準備完了している場合に、その非常停止操作要素が照明され、又はバック照明されている。それに対して代替的に、又はそれと組み合わせて、手動操作器具に設けられた非常停止操作要素の機能的に提供可能な1つの作用領域又は機能的に提供可能な複数の作用領域を信号伝達する発光手段が、作動的になることができる。
【0012】
さらに、手動操作器具のディスプレイに、付加的に、少なくとも1つの非常停止操作要素のそれぞれ有効なストップカテゴリー、したがって少なくとも1つの機械操作に関してエネルギ供給を即座に中断するためのカテゴリー0と、少なくとも1つの機械操作に関して運動又は機能を停止させて、次にエネルギ供給を中断するためのカテゴリー1を、表示することができる。これは、訓練された操作者にとって、重要であり得る。特にそれによって、手動操作器具に設けられた非常停止操作器具のそれぞれの機能性は、たとえば機械プログラマーのような、訓練された操作者によって区別することができる。
【0013】
ある形態も効果的であって、それによれば手動で操作可能及び/又は自動化されて作動するモードスイッチ手段が設けられており、それを用いて(i)手動操作器具の定常駆動モードと(ii)手動操作器具の機械調節モード、特にいわゆるティーチモードとの間で、及びその逆に、手動で導入される、又は自動化されて実施される変更が行われる。
【0014】
展開によれば、手動操作器具に設けられた少なくとも1つの非常停止操作要素が、(i)手動操作器具の定常駆動モードにおいて、少なくとも1つの機械操作に関してエネルギ供給を即座に中断するための非常ストップ機能要素として駆動され、又は設けられ、かつ手動操作器具に設けられた少なくとも1つの非常停止操作要素が、(ii)手動操作器具の機械調節モードにおいて、少なくとも1つの機械操作に関して運動又は機能を停止させ、かつ次にエネルギ供給を中断するように駆動され、又は設けられることが、可能である。
【0015】
さらに、少なくとも1つの非常停止操作要素に、(i)手動操作器具の定常駆動モードにおいて、少なくとも1つの発光手段を作動化することによって、少なくとも部分的に赤で着色された事象イメージが対応づけられ、(ii)機械調節モードにおいては、少なくとも1つの発光手段が非作動化されていると、効果的であり得る。機械調節モードにおいて、非常停止操作要素は好ましくは赤く着色された部分領域をもたず、グレイ又はグレイと黄色の事象イメージ、特に乳灰色の半透明かつ黄色の事象イメージを有する。非常停止操作要素のこれらの制御された色変化によって、そのそれぞれ有効なストップカテゴリー、特に0又は1を一義的に認識できるようにすることができる。
【0016】
さらに、モードスイッチ手段は、手動操作器具に設けられた少なくとも1つのスイッチ面に対する操作者の側からの相互作用によって調節することができる。それによって、2つの駆動モードの間で、手動の、場合によっては承認検査手段によって安全確保された、スイッチ可能性が形成される。
【0017】
さらに、モードスイッチ手段は、予め定められた場所に手動操作器具を置くことによって、又は予め定められた相手要素、たとえば壁のホルダに対して予め定められたように対応づけし、及び/又は取り付けることによって、自動化して調節することができる。それによって2つの駆動モードの間の自動的な切り替え又は定常駆動モードの自動的な作動化を得ることができる。
【0018】
特別な形態によれば、手動操作器具の少なくとも1つの伝送インターフェイスがワイヤレスで形成されており、少なくとも1つのワイヤレスの伝送インターフェイスは、手動操作器具と機械制御装置の少なくとも1つとの間に制御技術的な作用接続をワイヤレスで構築し、又は具現化するように構成されている。場合によっては、機械制御装置の1つの定められた接続箇所又は接続ボックスに対しても、ワイヤレスの作用接続を構築することができる。
【0019】
好ましい展開によれば、少なくとも1つの非常停止操作要素の、操作者によって手動で作動化可能かつ変更可能な、それぞれ存在する操作状態を少なくとも1つのワイヤレスの伝送インターフェイスを介して信号技術的に伝送し、かつ選択され、又は作動的に結合されている機械制御装置の非常停止安全回路内又は安全バスシステム内へ結合することができるので、手動操作器具の作動的な駆動状態において、少なくとも1つの非常停止操作要素は機能的な視点において、選択された、又は作動的に結合された機械制御装置の非常停止安全回路内へ、又は安全バスシステム内へ結合可能である。
【0020】
特に、手動操作器具の少なくとも1つの発光手段及び/又は手動操作器具の少なくとも1つの非常停止操作要素内に、又はそれに、少なくとも1つの個別発光手段が、手動操作要素内に配置されている、たとえば安全制御の形式の、電子的な安全モジュールによって駆動されると、効果的であり得る。
【0021】
さらに、少なくとも1つの発光手段の計画に基づく機能、特に作動的状態及び/又は非作動的状態は、安全モジュール及びそれに結合されている少なくとも1つのセンサによって検査することができ、場合によって生じるエラー状態を信号伝達することができる。この種の信号伝達は、たとえば手動操作器具において行うことができ、かつそれによって操作者に直接認識させることができる。
【0022】
さらに、少なくとも個々の、又はすべての発光手段を、ディスプレイの周縁域又は端縁領域内の、及び/又は非常停止操作要素における、少なくとも1つの7セグメント・ディスプレイによって形成することができる。
【0023】
本発明の課題は、請求項に記載されているような、機械制御システムによっても解決される。それによって得られる技術的作用と好ましい効果は、上述した説明部分及び以下の説明からも、読み取ることができる。
【0024】
本発明をさらによく理解するために、以下の図を用いて詳細に説明する。
【0025】
図は、それぞれ著しく簡略化された概略的に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、選択的に手動で制御可能であり、かつ自動化して制御することもできる機械、たとえば産業ロボットを有する機械制御システムの例の図を示す。
【
図2】
図2は、
図1に示す機械制御システム内に挿入することができる、持ち運びできる手動操作器具を示す図である。
【
図3】
図3は、無線で使用できること及び使用できないことを知らせるための、自動化されて作動化及び非作動化可能な照明又はバック照明を有する非常停止操作要素を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
最初に記載するが、異なるように記載される実施形態において、同一の部分には同一の参照符号ないし同一の構成部分名称が設けられており、説明全体に含まれる開示は、同一の参照符号ないし同一の構成部分名称を有する同一の部分へ意味に従う。また、説明で選択される、たとえば上、下、側方などのような位置記載は、直接説明され、かつ示される図に関するものであって、これらの位置記載は位置が変化した場合には意味に従う。
【0028】
図1は、製造プロセス又は加工プロセスを手動、部分的自動及び全自動で実施するための、機械制御システム1の実施例を示している。そのような機械2、2’が産業ロボットのグループによって形成されている。しかし、制御手段を介して制御される機械は、他の加工機械によって、又は工作機械によって構成することもできる。
【0029】
このような機械2、2’は、それぞれ少なくとも1つの電子的な機械制御装置3、3'を有しており、それを介して、対応づけられた機械2、2’のそれぞれのアクチュエータ又はドライブを駆動制御し、又は作動化することができ、かつその機械制御装置3、3’は、それぞれの駆動状態又は機械状態を検出又は監視するための多数のセンサ又はエンコーダと接続されている。それ自体知られた機械制御装置3、3’は、好ましくはプログラム制御されて実施され、特にソフトウェア技術的に駆動可能である。
【0030】
機械制御システム内へ、少なくとも1つの携帯性を有する、特に操作者によって持ち運べる手動操作器具4が、制御手段を介して結合されており、又は結合可能である。手動操作器具4は、少なくとも1つの電子的な制御装置5を有しており、その制御装置が選択的にローカルの機械制御装置3、3’と相互作用することができ、又はそれに対して通信互換である。ローカルの機械制御装置3、3’の少なくとも1つとデータ技術又は制御技術手段を介して通信するために、少なくとも1つの、たとえば無線技術的に形成された伝送インターフェイス6が手動操作器具4に形成されており、又はその制御装置5と結合されている。手動操作器具4は、好ましくは完全にワイヤレスで形成されており、したがってケーブル接続なしで駆動可能である。手動操作器具4の電子技術的な構成要素に電気エネルギを供給するために、手動操作器具は少なくとも1つのバッテリ又は少なくとも1つの充電可能なアキュムレータ7を有している。
【0031】
その代わりに、手動操作器具4又はその少なくとも1つの伝送インターフェイス6’が導線接続又はケーブル接続で形成されることも、可能である。それ自体知られているように、手動操作器具4はケーブル接続20'(
図1に1点鎖線で示される)によって、機械制御装置3、3'の少なくとも1つと接続又は制御技術手段を介して接続されており、又は接続可能である。そのために、機械制御装置3、3'の側に、及び/又は手動操作器具4の側に、それ自体知られたプラグインターフェイスを形成することができる。
【0032】
同様に、手動操作器具4を機械制御装置3、3’に結合することが可能である。たとえば、安全上問題のないデータ又は信号が無線技術的な伝送インターフェイス6を用いて交換され、又は伝送される。それに対して、たとえば手動操作器具4における非常停止操作要素8に関連するような、安全上比較的問題のあるデータ又は信号は、ケーブル接続された伝送インターフェイス6’を用いて交換され、又は伝送される。
【0033】
手動操作器具4には、少なくとも1つの非常停止操作要素8が形成されており、それを用いて操作者には、自動化又は半自動化されて遂行される機械操作の過程において、潜在的に危険をもたらす状況を回避し、又は直接終了させることが可能である。特に非常停止操作要素8の操作又は作動化によって、安全な状態を導入することができ、又はそれによって潜在的に危険をもたらす機械操作を直接かつ全面的に終了させることができる。非常停止操作要素8は、それぞれ駆動され、又は結合されている機械2又は2’の非常停止安全回路9又は9’へ作用する。場合によっては、非常停止操作要素8は機械制御システム1全体に作用することもできる。その代わりに、又はそれと組み合わせて、それぞれの操作状態、特に手動操作器具4における少なくとも1つの非常停止操作要素8の手動でもたらされた作動的状態又は非作動的状態は、それぞれの機械制御装置3、3’又はそれぞれの機械2、2’又は機械群の安全バスシステム22、22’内にも結合し、又はデータ技術的に供給することができ、これについては後にさらに説明する。
【0034】
手動操作器具4の好ましい「ワイヤレス実施形態」によれば、非常停止操作要素8は手動操作器具4に設けられた少なくとも1つの無線技術的な伝送インターフェイス6を介してワイヤレスで機械制御システム1内へ結合され、又は無線技術的にそれぞれ選択され、作動的に結合された機械制御装置3、3’と作用接続され、特にそれぞれの非常停止安全回路9、9’又はそれぞれの安全バスシステム22、22’と機能的に結合されている。非常停止操作要素8とそれぞれの非常停止安全回路9、9’又は安全バスシステム22、22’との間の作用技術的結合は、高い適用性要請を維持し、かつ高い機能確実性を考慮しながら行われる。そのために手動操作器具4内に電子的な安全モジュール10を実装することができ、その安全モジュールはローカルの機械制御装置3、3’の側の電子的な安全評価モジュール11と協働して、ポータブルのワイヤレス結合された手動操作器具4に設けられた第1の非常停止操作要素8のそれぞれの駆動状態の特に機能的に信頼でき、かつ適用性の高い評価と伝送をもたらす。したがって可搬に形成されており、又は直接人に割り当てられている、非常停止操作要素8は、必要な場合において特に迅速に使用することができ、かつ遅延なしに作動化可能である。
【0035】
手動操作器具4のハウジングに非常停止操作要素8を取り付けることに関して、
図1に示す実施形態とは異なり、この非常停止操作要素8又は付加的な非常停止操作要素を別体の構成要素として形成して、ケーブル接続又は無線接続を介して手動操作器具4又はその制御装置5と信号技術的に結合することも可能である。同じことが、1つ又は複数の場合によっては形成されるイネーブルスイッチについても当てはまる。構造的に別体に形成されたこの種の構成要素は、そのハンディでコンパクトな形態に基づいて、日常語では「イネーブルボタン又は非常停止ボタン」とも称される。
【0036】
手動操作器具4は、少なくとも1つの操作要素12、たとえばジョイスティック、ロータリーアジャスタ-操作要素など、及び/又は操作者が機械操作を手動で調節するための少なくとも1つのスイッチ面13を有している。特に少なくとも1つの操作要素12によって、又は少なくとも1つのスイッチ面13によって、操作者は潜在的に危険をもたらす機械操作、たとえば移動制御指令、機械プロセスの作動化などを実施可能又は導入可能である。少なくとも1つのスイッチ面13は、電気的な接触スイッチ要素又はスイッチ要素として形成することができ、及び/又は手動操作器具4の接触感知ディスプレイ14に設けられた接触感知するセクションによって形成することができる。
【0037】
完全にワイヤレスで形成された、又は安全機能のために場合によっては部分的にケーブル接続で形成された手動操作器具4と機械制御装置3、3'の1つとの間の制御技術的作用接続又はデータ技術的相互作用を構築することができるようにするために、それぞれの機械制御装置3、3’に少なくとも1つの通信互換の無線技術的な相手要素15、15’が設けられている。たとえば無線技術的な相手要素15は、内蔵された制御エレクトロニクス17を有する構造的に自立した接続ボックス16として形成されており、その制御エレクトロニクス17が機械2又は機械制御装置3の第1の制御コア18と作用接続又は導線接続されている。構造的に自立した接続ボックス16の形成は、それによって生じる機械システムは後付けすることができ、又はワイヤレスの通信システムへの選択的拡張を提供する、という利点を提供する。
【0038】
接続ボックス16は、好ましくは少なくとも1つの他の非常停止操作要素19を有しており、それを用いて潜在的に危険をもたらす機械操作を同様に即座に停止させることができ、又はそれを用いて操作者にとって、及び機械制御システム1の周囲のその他の人にとっても、安全な状態を導入し、又は形成することができる。そのために、少なくとも1つの他の非常停止操作要素19は、機能的又は信号技術的に非常停止安全回路9内又は安全バスシステム22内へ結合され、好ましくは非常停止安全回路9と堅固にワイヤ接続されている。上述した、特に機能的により安全な技術で具現化される安全評価モジュール11は、接続ボックス16内に、特に内部の制御エレクトロニクス17の機能的な構成要素として、実装することができる。
【0039】
機械制御装置3'を用いて示されたように、無線技術的な相手要素15’を、制御コア18’の一体化された、又は直接対応づけられた構成要素として形成することも可能である。同様に、機械2'の周囲内の少なくとも1つの他の非常停止操作要素19’が機械制御装置3’の非常停止安全回路9’内へ直接結合され、特に直接非常停止安全回路9’と直接ワイヤ接続されることが可能である。代替的に、安全バスシステム22’内へ信号技術的又はデータ技術的に結合することも可能である。同様なことは、接続ボックス16における非常停止操作要素19及び機械制御装置3の非常停止安全回路9のために設けることができる。
【0040】
手動操作器具4に設けられた第1の非常停止操作要素8の、操作者によって手動で選択可能又はもたらすことができる、特に必要に応じて作動化可能な、それぞれ存在する操作状態が、少なくとも1つの無線技術的又はケーブル接続されたデータインターフェイス又は伝送インターフェイス6、6'を介して信号技術的に伝送され、かつ選択された、又は機能的に結合された機械制御装置3の非常停止安全回路9又は安全バスシステム22内へ状態等価で結合される。それによれば、手動操作器具4の駆動状態において、手動操作器具4に設けられた少なくとも1つの非常停止操作要素8が、機能的な観点で、選択された、又は機能的に結合されている機械制御装置3の非常停止安全回路9又は安全バスシステム22内へ結合される。同様な状態は、手動操作器具4が機械制御装置3’と作用接続され、又は機能的に結合されている場合についても当てはまる。特に手動操作器具4は、選択的に、機械制御装置3と、又は機械制御装置3’と信号技術的に結合することができる。これは、制御技術的要請又は操作者の意向に依存する。図示される
図1の実施例において、手動操作器具4は機械制御装置3と機能的に結合されており、それは、双方向矢印によって示される無線技術的な作用接続20によって例示されている。したがって操作者は、必要な場合においては機械制御装置3に関して、又はそれによって制御される機械操作に関して、非常停止を導入することができる。そのために操作者は、手動操作器具4に設けられた非常停止操作要素8、又は駆動される機械2の周囲又は近傍領域内の他の非常停止操作要素19を操作する。
【0041】
非常停止操作要素8の手動で導入される作動的状態又は操作状態は、選択された機械制御装置3又は3’の少なくとも1回路、好ましくは2回路で形成された非常停止安全回路9又は9’内の少なくとも1つの電気的に中断され、又は開放された常閉接点21、21’によって表される。それに対して非常停止操作要素8の非作動的状態又は駆動準備完了状態、特に非作動的スイッチ状態は、選択された機械制御装置3又は3’の少なくとも1回路、好ましくは2回路で形成された非常停止安全回路9又は9’内の少なくとも1つの常閉接点21、21’が電気的に閉成されていることによって、表すことができる。
【0042】
1チャネル又はマルチチャネルの配線又は導線ガイドを有する、上述した個別に構築された非常停止安全回路9、9'の代わりに、この説明に基づいて、少なくとも1つの安全バスシステム22、22’を設けることも可能であって、その安全バスシステム内へ非常停止操作要素8のそれぞれの操作状態がデータ技術的に結合可能であり、又は結合されている。
図1において並列に案内される実線と破線で示される安全バスシステム22、22’は、特殊な、又はきわめて信頼できる安全バスプロトコルとして具現化することができ、その安全バスプロトコルが機械制御システム1又は機械制御装置3、3’の機能的又は制御技術的に重要なデータネットワーク上で伝達され、又は実施される。たとえば、この安全バスプロトコルは、「FSoE」スタンダードに基づき、「PROFIsafe」に基づき、「SafetyBUS」に基づき、又は「SafetyNET」に基づいて具現化することができ、商標権があれば、それはそれぞれの商標所有者のもとにあるのはもちろんである。したがって典型的に、唯一の物理的制御ネットワークのみが存在し、その上で、たとえば少なくとも1つの非常停止操作要素8の操作状態のような、制御的に重要なデータも安全上重要なデータも伝送され、又は交換される。したがってそれぞれの安全バスシステム22、22’は、特にフェールセーフの、又は高適用性のバスプロトコルによって標準的又は制御技術的に重要なバスシステム又は制御ネットワーク内へ、特に機械制御装置3、3'のいわゆるフィールドバス内へ、統合することができる。それに対して代替的に、安全バスシステム22、22’は、物理的に自立したデータネットワーク又は制御ネットワークとして形成することもできる。安全バスシステム22、22’の信頼性又は機能適用性を高めるために、これは、リングトポロジーにおいて形成することもできる。
【0043】
特に、つながり合い、又は別々に配置されて、密接する機械2、2が構造的に複雑であることに基づき、又は部分的に見通せないことに基づいて、場合によっては操作者にとって、それぞれの機械2、2’に対する、又はそれぞれの機械制御装置3、3'に対する手動操作器具4の制御技術的な対応づけを迅速かつ一義的に、特にできる限り誤りなしに、認識し、又は記憶することは、困難である。このような状況は、特に突然に生じる危機状況に関連して、問題となり得る。この種の危機状況においては、操作者によってできる限り迅速に、可搬の、又は位置変化する手動操作器具4に設けられた非常停止操作要素8に接近できなければならず、かつそれによってそれぞれの危機状況を回避し、又は潜在的に危険をもたらす機械操作を直接又は早期に停止させることができなければならない。特に完全にワイヤレスで通信する、又は制御技術的にワイヤレスで結合されている手動操作器具4においては、機械制御装置3、3’に対するそれぞれの潜在的に作動的な対応づけは、しばしば瞬間的に認識できず、又は操作者の側からは場合によってはもはや思い出せない。しかしそれに伴って、それぞれの機械制御装置3、3'に関して、又はそれぞれの安全回路9、9'に関して、手動操作器具4に設けられた非常停止操作要素8の有効性も、与えられており、又は与えられていない。特に可搬の、又は携帯性を有する手動操作器具4を様々な機械制御装置3、3’に必要に応じて結合できることにより、又は少なくとも2つの互いに独立した2つの安全回路9、9’又は安全バスシステム22、22’を形成することによって、手動操作器具4における非常停止操作要素8の様々な作用領域W1-W4を生じさせることができる。しかし機械2、2‘の内部に、又はその機械制御装置3、3'の内部に、様々な、すなわち互いに分離された非常停止安全回路を設けることもでき、それらは機械2、2’のはっきりとした部分セクションを確実にオフにし、又は確実な状態をもたらすために、設けられている。
【0044】
非常停止操作要素8の不確かな、又は特に混乱した、又は誤りのある対応づけと組み合わされた、上述した問題状況は、回避されなければならず、又はできる限り防止されなければならない。これに関連して機械制御システム1、又は機械制御装置3、3’及び/又は手動操作器具4の制御エレクトロニクス17は、
図2に例示するように、機械制御システム1の、又は機械制御システム1の部分領域の少なくとも概略的なイメージを手動操作器具4のディスプレイ14に表示するように、構成されている。機械制御システム1の部分領域というのは、個々の機械2と2’、機械2と2’のグループ、又は個々の機械2と2’若しくは機械2と2’のグループの部分構成要素又はセクションである。手動操作器具4の好ましくはグラフィック表示可能なディスプレイ14上に機械制御システム1の、又は機械制御システム1の部分領域の該当するイメージは、写実的(フォトリアリスティック)なまでにきわめて概略的又は抽象的に形成することができる。
【0045】
さらに、機械制御システム1又は機械制御装置3、3’及び/又は手動操作器具4の制御エレクトロニクス17及び/又は制御装置5は、手動操作器具4に設けられた少なくとも1つの非常停止操作要素8の1つの実効的な作用領域又は複数の実効的な作用領域W1、W2、W3、W4の少なくとも1つの概略的なイメージを、手動操作器具4のディスプレイ14を用いて表示するように、構成されている。さらに、上述した構成要素の少なくとも1つは、手動操作器具に設けられた少なくとも1つの発光手段23(
図2)及び/又は手動操作器具4に設けられた少なくとも1つの非常停止操作要素8内に、又はそれに少なくとも1つの個別発光手段24(
図3)の選択的な、好ましくは技術的にフェールセーフに形成された駆動を実施するように構成されている。駆動というのは、1つ又は複数のそれぞれの発光手段23及び/又は24の作動化である。この種の作動化によって、それぞれの発光手段23又は24が発光し、かつそれによって操作者は視覚的にオンであると、又は作動化されていると、認識することができる。少なくとも1つの発光手段23;24の、好ましくは技術的にフェールセーフで具現化された駆動は、フェールセーフ技術においてそれぞれの値領域W1-W4の状態又は実際状況を求めること、及び/又は信号伝達及び/又は表示又は信号化を有することができる。好ましくはフェールセーフで形成されたこの駆動は、それ自体知られたソフトウェア及び/又はハードウェア技術の措置によって得ることができ、かつ最終的に個々のエラーが安全機能の損失をもたらさないようにし、又は潜在的に危険をもたらす誤り又は状態をもたらさないようにする。したがって1つ又はそれぞれの発光手段23及び/又は24の駆動、特に作動化と非作動化は、好ましくは安全な技術において実施され、したがって非常停止操作要素8の1つ又は複数の作用領域W1-W4についてのそれぞれの説明力に関して、特に信頼できるように、又はフェールセーフで具現化されている。
【0046】
図2に示す実施例によれば、それぞれ作用領域W1、W2、W3又はW4又は作用領域W1-W3;W2-W4又はW1-W4のゾーン又はグループなどに対応づけることができる、個々の、たとえば個別発光手段23は、ディスプレイ14の端縁領域内に配置することができる。代替的に、
図2に破線の例で示唆されるように、個別発光手段23は、ディスプレイ14にグラフィック表示可能又は表示された作用領域W1-W4に対して近い位置に配置し、又は場所的に明確に対応づけることも、可能である。
【0047】
それによれば、少なくとも1つの非常停止操作要素8の作用領域W1、W2、W3又はW4を信号で知らせるため、又は作用領域W1-Wnを信号で知らせるために、1つの発光手段23;24の、又は複数の発光手段23;24のシングルフェールセーフの作動化が行われ、その発光手段23;24は機械制御システム1の部分領域(この部分領域又はこれらの部分領域のために非常停止操作要素8が機能的に提供可能であり、特に機能的に準備ができている)に対応づけられている。特にそれによって、原則的に提供可能な「オフ領域」又はオフゾーンのどれ(1つ又は複数)のために、手動操作器具4に設けられた少なくとも1つの非常停止操作要素8が提供可能であるか、及び必要な場合において機能的に有効に作動化することができるかを、できる限り一義的に認識可能とすることができ、特に強調して、又は操作者のためにはっきりとマーキングすることができる。これは、複数の発光手段23がディスプレイ14の端縁又は周縁域に、かつそれにともなって設備又は機械制御システム1の部分領域に対する対応づけがはっきりしている場合に、比較的はっきりと、かつ誤解のないように具現化することができる。しかしまた、手動操作器具4に、又はそれぞれの発光手段23に対して近傍に形成されている、たとえばW1-Wnのような、対応づけ特徴によっても、一義的かつ操作者にとって誤解しようのない対応づけを形成することができる。
【0048】
さらに、少なくとも1つの非常停止操作要素8の1つの値領域W1、W2、W3又はW4又は複数の値領域W1-Wnを信号で知らせるため、手動操作器具4のディスプレイ14に機械制御システム1の1つ又は複数の部分領域をグラフィックでマーキングすることができ、及び/又はカラーで強調することができ、その1つ又は複数の部分領域のために非常停止操作要素8が機能的に提供可能であり、特に機能的に準備完了している。それに対して代替的に、又はそれと組み合わせて、手動操作器具4に設けられた少なくとも1つの非常停止操作要素8の機能提供可能性が存在している場合に、個別発光手段24は少なくとも1つの非常停止操作要素内で、又はそれにおいて、制御技術的に作動化することができ、又は作動化されている。それによれば、手動操作器具4に設けられた非常停止操作要素8が実際に提供可能であり、又は高い信頼性をもって機能準備ができている場合に、非常停止操作要素8は自動的に照明され、又はその発光手段24が自動的に作動化される。
【0049】
それぞれの発光手段23;24は、個別に形成されて、手動操作器具4のハウジング25に位置決めされているLEDによって定めることができる。代替的又はそれと組み合わせて、少なくとも個々の、又はすべての発光手段23を、ディスプレイ14の周縁域又は端縁領域内に数値表示のために、少なくとも1つの7セグメント・ディスプレイ26によって位置決めし、たとえば
図2内の破線の表示-及び/又は非常停止操作要素8に数値表示するために少なくとも1つの7セグメント・ディスプレイ26を形成することも、可能である。
【0050】
非常停止操作要素8のそれぞれの1つの作用領域又はそれぞれ複数の作用領域W1-Wnの、操作者にとって明確に認識可能な、好ましくはグラフィックのマーキングは、機械制御システム1のイメージにおける又はイメージ内のシンボル及び/又はカラーのマーキングによって得ることができる。たとえば、非常停止操作要素8が機能的に提供可能な作用領域の周りにカラーの、特に赤い縁取りを設けることができる。同様に手動操作器具4のディスプレイ14において、有効に対応づけられた作用領域W1-Wnと有効でない、すなわち対応づけられていない作用領域W1-Wnの間で色による区別を設けることができる。
【0051】
図2の例によれば、手動操作器具4の非常停止操作要素8は作用領域W1、W2及びW3に対応づけられており、又はこれらの作用領域のために実際に機能的に提供可能である。したがってゾーンW1-W3の周りにたとえば赤色の縁取りが設けられており、かつ特徴W1、W2及びW3を有する3つの個別に形成された発光手段23が発光する。それに対して実際に対応づけられていない作用領域W4のための発光手段23は、発光しない。文字W5を有する発光手段23は、他のグループの作用領域のために設けることができる。たとえば、文字W6を有する発光手段23は、非常停止操作要素8が、ディスプレイ14に示される機械制御システム1の内部のすべての作用領域W1-W4に機能的に対応づけられている場合に、作動化することができる。それに対して代替的に、この場合において文字W1、W2、W3及びW4を有する発光手段23も作動的にすることができる。手動操作器具4におけるそれぞれのグラフィック表示種類及びそれぞれの発光手段ベースの表示種類は、操作者にとって迅速に探知可能かつできる限り一義的な作用領域確認が可能であるように、選択されている。これは、手動操作器具4のハウジング25に設けられた発光手段23;24による適切な信号化と組み合わされた、ディスプレイj14上の多数の表示タイプによって達成することができる。
【0052】
好ましい措置によれば、手動操作器具4における少なくとも1つの発光手段23及び/又は手動操作器具4の少なくとも1つの非常停止操作要素8内に、又はそれに個別に形成された少なくとも1つの発光手段24は、手動操作器具4内に配置された、電子的な安全モジュール10によって駆動することができる。手動操作器具4内の安全モジュール10はそれ自体、又は又少なくとも1つの外部の安全評価モジュール11(
図1)と組み合わせて、高められた信頼要請又は安全要請を満たすための、いわゆる安全制御として形成することができる。
【0053】
高められた機能安全性又は機能信頼性と関連して、計画に基づく機能、特に少なくとも1つの発光手段23;24の発光状態及び/又は非作動的状態は、安全モジュール10及びそれと結合された少なくとも1つのセンサ27によって検査することができ、エラー状態又は評価技術的な矛盾があれば、それはたとえば手動操作器具4において信号で送信される。それによって少なくとも操作者に、妥当でない状態又は場合によって生じる技術的な障害場合について指摘することができる。少なくとも1つの発光手段23;24の機能適性又はその駆動状態の正しさ(オン/オフ)を評価することができる、少なくとも1つのセンサ27は、たとえば電流消費を測定するための少なくとも1つのセンサによって、及び/又は輝度測定するための少なくとも1つのセンサによって形成することができる。評価技術的なシングルフェールセーフは、
図3に示すように、安全モジュール10と手動操作器具4の機能的な制御装置5との間のいわゆる相互比較によって得ることができ、及び/又は2つのプロセッサ又は回路配置と2つの評価ルーチンを用いる評価によってもたらすことができる。
【0054】
可能な実施形態によれば、手動操作器具4のディスプレイ14に、少なくとも1つの非常停止操作要素8によるそれぞれ有効なストップカテゴリーを表示することもできる。たとえば、非常停止操作要素8は、少なくとも1つの機械操作に関するエネルギ供給を即座に中断するためにカテゴリー0に割り当てることができ、又は少なくとも1つの機械操作に関して運動又は機能を停止させ、次にエネルギ供給を中断するために、カテゴリー1に属することができる。それぞれのストップカテゴリー0又は1は、手動操作器具4の使用状態に従って、又はそれぞれの機械制御装置3、3’の駆動状態に従って、交代し、又は変化することができ、これについては以下で説明する。
【0055】
特に手動で操作可能及び/又は自動化されて作動するモードスイッチ手段28、たとえばキースイッチ又はユーザー承認手段を設けることができ、それを用いて手動操作器具4の(i)定常駆動モードと(ii)手動操作器具4の機械調節モード、特にいわゆるティーチモードとの間で、かつその逆に、手動で導入される、又は自動化で実施される交代を行うことができる。モードスイッチ手段28は、キースイッチの代わりに、ソフトウェア技術的に変換された承認手段、たとえばPIN入力との相互作用、又はいわゆる権限手段の読み込みを有することができる。特にモードスイッチ手段28は、手動操作器具4における少なくとも1つのスイッチ面に対する操作者の側からの相互作用によって調節することができる。
【0056】
実施形態によれば、手動操作器具4に設けられた少なくとも1つの非常停止操作要素8は、(i)手動操作器具4の定常駆動状態において、少なくとも1つの機械操作に関してエネルギ供給を即座に中断するための非常ストップ機能要素として駆動し、又は設けることができる。それに対して手動操作器具4に設けられた少なくとも1つの非常停止操作要素8は、(ii)手動操作器具4の機械調節モードにおいて、少なくとも1つの機械操作に関して移動又は機能を停止させ、次にエネルギ供給を中断するように駆動し、又は設けることができる。
【0057】
他の方法によれば、少なくとも1つの非常停止操作要素8に、(i)手動操作器具4の定常駆動モードにおいて、少なくとも1つの発光手段24(
図3)を作動化させることにより、少なくとも部分的に赤く着色された事象イメージを対応づけることができ、(ii)機械調節モード又はティーチモードにおいては、少なくとも1つの発光手段24を非作動化することができる。好ましくは訓練された操作者のみに委ねられる、機械調節モード又はティーチモードにおいて、非常停止操作要素8は好ましくは赤く着色された部分セクションを持たない。このモードにおいて、非常停止操作要素8は、主としてグレイの事象イメージ又はグレイと黄色を組み合わせた事象イメージを有することができる。特に非常停止操作要素8は、第2の駆動モードにおいて、乳灰色の半透明かつ黄色を特徴とする事象イメージを有することができる。
【0058】
少なくとも部分自動化された、又は全自動化された実施形態によれば、モードスイッチ手段は、予め定められた場所に手動操作器具4を置くことによって、又はたとえば壁のホルダのような予め定められた相手要素に対して予め定められたように対応づけし、及び/又は取り付けることによって、自動的に調節することができ、又は2つの駆動モード(i)と(ii)の間、及びその逆、を部分自動又は全自動で切り替えることができる。
【0059】
実施例は、可能な実施変形例を示しており、ここに記録しておくが、本発明は具体的に示された実施変形例に限定されるものではなく、むしろ個々の実施変形例を互いに様々に組み合わせることも可能であり、これらの変形可能性はこの発明による技術的に取り扱うための教示に基づいて、この技術分野で活動する当業者の裁量の範囲内にある。
【0060】
保護領域は、請求項によって定められる。しかし明細書と図面は、請求項を解釈するために利用されるべきである。図示され、かつ説明された様々な実施例からなる個別特徴及び特徴の組合せは、それ自体自立した進歩的解決を表すことができる。自立した進歩的解決の基礎となる課題は、明細書から読み取ることができる。
【0061】
最後に形式的に指摘しておくが、構造をよりよく理解するために要素は部分的に縮尺どおりではなく、及び/又は拡大及び/又は縮小して示されている。
【符号の説明】
【0062】
1 機械制御システム
2、2’ 機械、産業ロボット
3、3’ 機械制御装置
4 手動操作器具
5 手動操作器具の制御装置
6、6’ 伝送インターフェイス
7 アキュムレータ
8 非常停止操作要素
9、9’ 非常停止安全回路
10 安全モジュール
11 安全評価モジュール
12 操作要素
13 スイッチ面
14 ディスプレイ
15、15’ 無線技術的な相手要素
16 接続ボックス
17 制御エレクトロニクス
18、18’ 制御コア
19、19’ 他の非常停止操作要素
20 無線技術的作用接続
20’ ケーブル接続
21、21’ 常閉接点
22、22’ 安全バスシステム
23 発光手段
24 発光手段
25 ハウジング
26 7セグメント・ディスプレイ
27 センサ
28 モードスイッチ手段
W1-W4 非常停止作用領域
【手続補正書】
【提出日】2020-11-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0002】
一般の機械制御システムは、たとえば、本出願人により成された、特許文献1から知られている。手動操作器具のデータ技術的な認識を用いて、手動操作器具がそれぞれの機械制御装置と制御手段を介して結合できるか、又はどのような形式で結合できるか、が調べられる。少なくとも部分自動化されて実施される、この互換性チェックによって、得ることのできる利用快適性及び制御システムの安全性も、向上させることができる。しかし、ユーザー側の錯誤によって、又はユーザー側の誤った挙動によって、潜在的に危機的な状況は、完全に排除することはできない。
特許文献2は、機械制御システムを開示しており、それにおいてプロセス設備を制御するために設けられている操作要素の実際の駆動状態がフレキシブルに特徴づけられる。制御装置の少なくとも1つの操作要素のアクティブな駆動状態とパッシブな駆動状態が特徴づけられ、操作要素のアクティブな駆動状態において、プロセス設備の領域のプロセス機能が制御される。そのために制御装置がプロセス設備と接続され、操作要素がプロセス設備に機能的に対応づけられ、かつ操作要素の駆動状態が成功した機能的な対応づけに従って、アクティブであると特徴づけられる。それぞれの対応づけは、様々な色の標識によって行うことができる。直接それぞれの機械又はプロセス領域におけるカラー光源が、駆動要素と制御装置の機械との間のそれぞれの対応づけが認識できることを可能にする。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0003
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2018/039692(A1)号
【特許文献2】欧州特許出願公開第1890210(A1)号明細書
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械操作を実施するための少なくとも1つの機械制御装置(3、3')を有する機械制御システム(1)を駆動する方法であって、
少なくとも1つの機械(2、2')を有し、前記機械が前記少なくとも1つの機械制御装置(3、3')によって制御手段を介して制御され、
前記機械制御装置(3、3')の少なくとも1つを機能的に調節するための、操作者によって持ち運びできる少なくとも1つの携帯性を有する手動操作器具(4)を有し
前記手動操作器具(4)が、手動で影響を与える機械操作のための少なくとも1つの操作要素(12)と、操作者により機械操作を監視又は制御するための、ディスプレイ(14)を備えた少なくとも1つのユーザーインターフェイスとを有しており、かつ
手動操作器具(4)が、潜在的に危険をもたらす機械操作を終了させるための、少なくとも1つの非常停止操作要素(8)を有し、
前記少なくとも1つの非常停止操作要素(8)の、操作者によって手動で作動化可能及び変更可能な、それぞれ存在する操作状態が、少なくとも1つの伝送インターフェイス(6、6')を介して、選択された、又は作動的に結合されている機械制御装置(3、3')の非常停止安全回路(9、9')又は安全バスシステム(22、22')内へ結合される、方法において、
前記機械制御システム(1)の、又は前記機械制御システム(1)の部分領域を前記手動操作器具(4)のディスプレイ(14)上で
写実的なまでに概略的
又は抽象的に示し、
前記手動操作器具(4)のディスプレイ(14)により、そして前記手動操作器具(4)上の少なくとも1つの発光手段(23)及び/又は前記手動操作器具(4)上の前記少なくとも1つの非常停止操作要素(8)における、又はその中の、少なくとも1つの個別発光手段(24)の選択的なシングルフェールセーフ制御により、前記手動操作器具(4)上の前記少なくとも1つの非常停止操作要素(8)の1つの作用領域又は複数の作用領域(W1、W2、W3、W4)を概略的に示
し、
前記少なくとも1つの非常停止操作要素(8)の前記1つの作用領域又は複数の作用領域(W1、W2、W3、W4)を信号で送信するために、前記手動操作器具(4)の前記ディスプレイ(14)に、前記機械制御システム(1)の概略的に示された1つの部分領域がグラフィックマーキングされ、及び/又は色彩で強調され、又は前記機械制御システム(1)の概略的に示された複数の部分領域がグラフィックマーキングされ、及び/又は色彩で強調され、前記1つの部分領域又は前記複数の部分領域のために前記非常停止操作要素(8)が機能的に提供可能である、
ことを特徴とする機械制御システムを駆動する方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの非常停止操作要素(8)の1つの作用領域又は複数の作用領域(W1、W2、W3、W4)を信号で送信するために、1つ又は複数の発光手段(23)のフェールセーフの作動化が行われ、前記発光手段(23)は機械制御システム(1)の部分領域を識別し、1つ又は複数の部分領域のために、前記非常停止操作要素(8)が機能的に提供可能である、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記手動操作器具(4)に設けられた前記少なくとも1つの非常停止操作要素(8)が機能的に提供可能である場合に、前記少なくとも1つの非常停止操作要素(8)に前記個別発光手段(24)が作動化されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記手動操作器具(4)の前記ディスプレイ(14)に、それぞれ有効なストップカテゴリーが、前記少なくとも1つの非常停止操作要素(8)によって、付加的に示され、すなわち、少なくとも1つの機械操作に関してエネルギ供給を即座に中断するためのカテゴリー0、又は少なくとも1つの機械操作に関して運動又は機能を停止させて、次にエネルギ供給を中断するためのカテゴリー1、が表示される、ことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
手動で操作可能及び/又は自動化されて作動するモードスイッチ手段(28)が設けられており、前記モードスイッチ手段によって、(i)前記手動操作器具(4)の定常駆動モードと、(ii)前記手動操作器具(4)の機械調節モードとの間で、及びその逆に、手動で導入される、又は自動化されて実施される交代が行われる、ことを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記手動操作器具(4)に設けられた前記少なくとも1つの非常停止操作要素(8)が、(i)前記手動操作器具(4)の前記定常駆動モードにおいて、少なくとも1つの機械操作に関してエネルギ供給を即座に中断するための非常ストップ機能要素として駆動され、又は設けられ、かつ
前記手動操作器具(4)に設けられた少なくとも1つの非常停止操作要素(8)が、(ii)前記手動操作器具(4)の機械調節モードにおいて、少なくとも1つの機械操作に関して運動又は機能を停止させて、次にエネルギ供給を中断するために駆動され、又は設けられる、ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つの非常停止操作要素(8)に、(i)前記手動操作器具(4)の前記定常駆動モードにおいて、少なくとも1つの発光手段(24)を作動化することによって、少なくとも部分的に赤で着色された事象イメージが対応づけられ、(ii)前記機械調節モードにおいては、前記少なくとも1つの発光手段(24)が非作動化されている、ことを特徴とする請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記モードスイッチ手段(28)は、前記手動操作器具(4)に設けられた少なくとも1つのスイッチ面に対して、操作者の側からの相互作用によって調節される、ことを特徴とする請求項5~7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記モードスイッチ手段(28)は、手動操作器具(4)を予め定められた場所に置くことにより、又は予め定められた相手要素に対して予め定められたように対応づけし、及び/又は相手要素に対して取り付けることにより、自動的に調節される、ことを特徴とする請求項5又は6に記載の方法。
【請求項10】
前記手動操作器具(4)の前記少なくとも1つの伝送インターフェイス(6)はワイヤレスであり、かつ
前記少なくとも1つのワイヤレスの伝送インターフェイス(6)は、前記手動操作器具(4)と前記機械制御装置(3、3')の少なくとも1つとの間で、制御技術的な作用接続をワイヤレスで構築し又は具現化するように構成されている、ことを特徴とする請求項1~9の何れか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの非常停止操作要素(8)の、操作者によって手動で作動化可能かつ変更可能な、それぞれ存在する駆動状態が、前記少なくとも1つのワイヤレスの伝送インターフェイス(6)を介して信号技術的に伝送され、かつ、選択され、又は作動的に結合された機械制御装置(3、3')の前記非常停止安全回路(9、9')内へ、又は前記安全バスシステム(22、22')内へ結合されるので、前記手動操作器具(4)の作動的な駆動状態において、前記少なくとも1つの非常停止操作要素(8)は、機能的な観点において、選択され、又は作動的に結合されている前記機械制御装置(3、3')の前記非常停止安全回路(9、9')内へ、又は前記安全バスシステム(22、22')内へ結合可能である、ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記手動操作器具(4)に設けられた少なくとも1つの発光手段(23)及び/又は前記手動操作器具(4)の前記少なくとも1つの非常停止操作要素(8)にある前記少なくとも1つの個別発光手段(24)が、前記手動操作器具(4)内に配置された電子的な安全モジュール(10)によって駆動される、ことを特徴とする請求項1~11の何れか一項に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも1つの発光手段(23;24)のプランに基づく機能が、前記安全モジュール(10)と、該安全モジュール(10)に配置された少なくとも1つのセンサ(27)によって検査され、可能性があるエラー状態が信号で送信される、ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも個別の、又は全ての発光手段(23)は、前記ディスプレイ(14)の周縁域又は端縁領域に、及び/又は前記非常停止操作要素(8)に、設けられた少なくとも1つの7セグメント・ディスプレイ(26)によって形成されている、ことを特徴とする請求項1~13の何れか一項に記載の方法。
【請求項15】
特に、請求項1~14の何れか一項又は複数項に記載の方法を実施するための、機械制御システム(1)であって、
機械操作を実施するための少なくとも1つの機械制御装置(3、3')を有し、
少なくとも1つの機械(2、2')を有し、前記機械が前記少なくとも1つの機械制御装置(3、3')によって制御手段を介して制御され、かつ
前記機械制御装置(3、3')の少なくとも1つを機能的に調節するための、操作者によって持ち運びできる少なくとも1つの携帯性を有する手動操作器具(4)を有し、
前記手動操作器具(4)が、機械操作を手動で調節するための少なくとも1つの操作要素(12)と、操作者によって機械操作を監視又は制御するためのディスプレイ(14)を備えた少なくとも1つのユーザーインターフェイスとを有し、かつ
前記手動操作器具(4)が、潜在的に危険をもたらす機械操作を終了させるための、少なくとも1つの非常停止操作要素(8)を有し、
操作者によって手動で作動化可能かつ変更可能な、前記少なくとも1つの非常停止操作要素(8)のそれぞれ存在する操作状態が、少なくとも1つの伝送インターフェイス(6、6')を介して、選択された、又は作動的に結合された機械制御装置(3、3')の非常停止安全回路(9、9')内へ、又は安全バスシステム(22、22')内へ結合可能である、機械制御システム(1)において、
前記少なくとも1つの機械制御装置(3、3')及び/又は前記手動操作器具(4)は、前記機械制御システム(1)の、又は前記機械制御システム(1)の部分領域を、前記手動操作器具(4)のディスプレイ(14)上で
写実的なまでに概略的
又は抽象的に示すように構成され、
前記少なくとも1つの機械制御装置(3、3')及び/又は前記手動操作器具(4)は、少なくとも1つの非常停止操作要素(8)の1つの作用領域又は複数の作用領域(W1、W2、W3、W4)を前記手動操作器具(4)の前記ディスプレイ(14)によって、そして、付加的に、前記手動操作器具(4)における少なくとも1つの発光手段(23)、及び/又は前記手動操作器具(4)における少なくとも1つの非常停止操作要素(8)の少なくとも1つの個別発光手段(24)の選択的なシングルフェールセーフ制御によって、前記1つの作用領域又は複数の作用領域を概略的に示すように構成され
、
前記少なくとも1つの機械制御(3、3')及び/又は前記手動操作器具(4)は、前記少なくとも1つの非常停止操作要素(8)の1つの作用領域又は複数の作用領域(W1、W2、W3、W4)を信号で送信するために、前記手動操作器具(4)の前記ディスプレイ(14)に、前記機械制御システムの概略的に示された1つの部分領域がグラフィックマーキングされ、及び/又は色彩で強調され、又は前記機械制御システムの概略的に示された複数の部分領域がラフィックマーキングされ、及び/又は色彩で強調されるように構成され、前記1つの部分領域又は前記複数の部分領域のために前記非常停止操作要素(8)が機能的に提供可能である、
ことを特徴とする機械制御システム。
【請求項16】
前記少なくとも1つの機械制御装置(3、3')、及び/又は前記手動操作器具(4)、及び/又は前記手動操作器具(4)の制御装置(5)は、請求項2~14の何れか一項に記載の方法を実行するように構成されている、ことを特徴とする請求項15に記載の機械制御システム。
【国際調査報告】