(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-01
(54)【発明の名称】吐出圧力を調整可能なエスプレッソコーヒーマシン及びエスプレッソコーヒーマシンの吐出圧力の調整方法
(51)【国際特許分類】
A47J 31/34 20060101AFI20220125BHJP
【FI】
A47J31/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021523683
(86)(22)【出願日】2019-11-07
(85)【翻訳文提出日】2021-06-18
(86)【国際出願番号】 EP2019080559
(87)【国際公開番号】W WO2020094794
(87)【国際公開日】2020-05-14
(31)【優先権主張番号】102018000010150
(32)【優先日】2018-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512102391
【氏名又は名称】ラ マルゾッコ エス アール エル
【氏名又は名称原語表記】LA MARZOCCO S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100221899
【氏名又は名称】高倉 みゆき
(72)【発明者】
【氏名】ステファノ デッラ ピエトラ
(72)【発明者】
【氏名】リカルド ガッティ
【テーマコード(参考)】
4B104
【Fターム(参考)】
4B104AA16
4B104CA06
4B104CA10
4B104DA04
4B104DA47
4B104EA31
(57)【要約】
エスプレッソコーヒーのショットを吐出する少なくとも1つの吐出グループ(1003)と、吐出グループ(1003)に配置される圧力センサ(24,25)と、測定装置と、制御ユニット(30)と、を備えるエスプレッソコーヒーマシンが記載されている。圧力センサ(24,25)は、吐出グループ(1003)における吐出圧力(P1)の値を提供する。測定装置は、吐出グループ(1003)の入口又は出口における液体の量を示す値を提供する。圧力センサ(24,25)から受信する吐出圧力(P1)の値と、測定装置する受信した液体の量を示す値とを使用して、制御ユニット(30)は、液体の量の関数としての吐出圧力(P1)のプロファイルに従って各ショットの吐出圧力(P1)を制御する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エスプレッソコーヒーのショットを吐出するのに適した少なくとも1つの吐出グループ(1003)を備えるエスプレッソコーヒーマシン(1000)であって、前記少なくとも1つの吐出グループ(1003)は、ポータブルフィルタに取り外し可能に係合するように構成され、前記マシン(1000)は、
- 前記吐出グループ(1003)に配置され、前記吐出グループ(1003)における吐出圧力の値を供給するのに適した圧力センサ(24)と、
- 前記吐出グループ(1003)の入口又は出口における液体の量を示す値を提供するのに適した測定装置(16、29)と、
- 前記圧力センサから前記吐出圧力の前記値を受信し、前記測定装置(16、29)から前記液体の量を示す前記値を受信するように構成される制御ユニット(30)と、を備え、
前記制御ユニット(30)が、前記圧力センサ(24)から受信する前記吐出圧力の前記値と、前記測定装置(16、29)から受信する前記液体の量を示す前記値とを使用して、前記液体の量の関数としての吐出圧力のプロファイルに従って前記吐出圧力を制御するように構成される、マシン。
【請求項2】
前記吐出グループ(1003)の前記入口又は出口における液体の量を示す前記値が、前記吐出グループ(1003)の前記入口又は出口における液体の質量に関係するか、又は対応する値を含む、請求項1に記載のマシン。
【請求項3】
前記測定装置(16、29)が、前記吐出グループ(1003)の前記出口における液体の質量を測定するように構成される計量装置(29)を備え、
前記吐出グループ(1003)の前記入口又は出口における液体の量を示す前記値が、前記吐出グループ(1003)の前記出口における液体の質量の値を含む、請求項1又は2に記載のマシン。
【請求項4】
前記吐出グループ(1003)の前記入口又は出口における液体の量を示す前記値が、前記吐出グループ(1003)の前記入口又は出口における液体の体積に関係するか、又は対応する値を含む、請求項1に記載のマシン。
【請求項5】
前記測定装置(16、29)が、前記吐出グループ(1003)の前記入口における液体の体積を測定するように構成される流量計(16)を備え、
前記吐出グループ(1003)の前記入口又は出口における液体の量を示す前記値が、前記吐出グループ(1003)の前記入口における液体の体積の値を含む、請求項4に記載のマシン。
【請求項6】
前記制御ユニット(30)が、吐出サイクル中に前記吐出グループ(1003)の前記入口又は出口に供給される液体の総量(Mtot)が与えられると、
- 前記液体の総量(Mtot)をN個の部分(M1、M2、…MN)に細分し、及び
- 前記N個の部分(M1、M2、…MN)の各々の前記吐出中に、前記吐出圧力をそれぞれ実質的に一定の値(p1、p2、…PN)に保ち、前記それぞれ実質的に一定の値が前記液体の量の関数としての前記吐出圧力のプロファイルに基づいて決定される、ように構成される、請求項1~5のいずれか一項に記載のマシン。
【請求項7】
前記制御ユニット(30)が、前記吐出サイクル中に、
- 前記測定装置(16、29)から前記液体の量の指標値を定期的に取得し、及び
- 前記液体の量を示す定期的に得られる値に基づいて、前記N個の部分(M1、M2、…MN)のうちの1つの前記吐出が終了したと判断したとき、前記吐出圧力を前記それぞれ実質的に一定の値(p1、p2、…PN)から次の部分に関連する更に実質的に一定の値(p1、p2、…PN)に変更するように構成される、請求項6に記載のマシン。
【請求項8】
前記制御ユニット(30)が、
- 前記圧力センサ(24)から吐出圧力値を定期的に取得し、及び
- フィードバック機構により、前記吐出グループ(1003)に供給される水の流量を調整して、前記吐出圧力を前記実質的に一定の値に保つように構成される、請求項6又は7に記載のマシン。
【請求項9】
前記制御ユニット(30)には、前記液体の量の関数としての前記吐出圧力のプロファイルを記憶するのに適したメモリ(32)が設けられている、請求項1~8のいずれか一項に記載のマシン。
【請求項10】
前記液体の量の関数としての前記吐出圧力のプロファイルを前記メモリ(32)にロードするデータ入力手段を備える、請求項9に記載のマシン。
【請求項11】
前記メモリ(32)がN個のサンプル((m1;p1)、…、(mN;pN))の離散集合の形で前記プロファイルを格納し、
Nが2以上であり、
各サンプル((m1;p1)、…、(mN;pN))が、前記液体の量の関数としての前記吐出圧力のプロファイルに従って、液体量(m1、…、mN)のそれぞれのサンプル及びそれぞれのサンプルに関連するそれぞれの圧力値(p1、…、pN)を含む、請求項9又は10に記載のマシン。
【請求項12】
エスプレッソコーヒーのショットを吐出するのに適した少なくとも1つの吐出グループ(1003)を備える、エスプレッソコーヒーマシン(1000)の吐出圧力の調整方法であって、前記少なくとも1つの吐出グループ(1003)は、ポータブルフィルタに取り外し可能に係合するように構成され、前記方法は、
- 前記吐出グループ(1003)における吐出圧力の値を測定するステップと、
- 前記吐出グループ(1003)の入口又は出口における液体の量を示す値を測定するステップと、
- 前記吐出圧力の前記値及び前記液体の量を示す前記値を使用して、前記液体の量の関数としての吐出圧力のプロファイルに従って前記吐出圧力を制御するステップと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、飲料を調製するマシンの分野に関する。より詳細には、飲料の調製中に吐出圧力を調整するシステムが設けられるエスプレッソコーヒー(又は他の飲料)のためのマシンに関する。本発明はまた、エスプレッソコーヒーマシンの吐出圧力の調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
既知のように、コーヒーは、注入プロセス又は浸透プロセスによって得ることができる。浸透プロセスでは、液体は多孔質体を通過する。浸透は、液体が多孔質バッフルを通過する動的プロセスを利用し、一方、注入は静的プロセスに基づく。エスプレッソコーヒーは、水圧を上昇させた後に強制的に浸透させて抽出を行うシステムである。
【0003】
特許文献1は、コーヒー等を調製するマシンに関する。本マシンは、1つ以上の動作グループを備え、動作グループの各々は、少なくとも1つのボイラと、ポンプと、加熱ユニットと、アロマを抽出してエスプレッソコーヒーを関連するダクトで吐出するユニットと、を備える。各グループには、エスプレッソコーヒーの製造パラメータを制御及び調整するシステムが設けられている。一実施形態によれば、マシンは、エスプレッソコーヒーを注入する抽出圧力の調節手段を備える。一実施形態によれば、マシンは、エスプレッソコーヒーを注入する抽出温度の調整手段を備える。一実施形態によれば、マシンは、オペレータが呼び出すことができる様々な格納された圧力プロファイルを含む制御ユニットを備える。
【0004】
特許文献2は、エスプレッソコーヒーマシン用の計量装置及びこのような装置を組み込んだエスプレッソコーヒーマシンに関する。
【0005】
特許文献3は、コーヒーベースの飲料用マシンを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2490580号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第2701563号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第3064099号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載されているマシンでは、コーヒー粉末パックを所定の圧力で水に通すことができる。所定の圧力は経時的に一定であり得るが、典型的には所与のプロファイルに従って経時的に変化する。実際に、時間の関数としての吐出圧力のプロファイルは、(工場で又はマシン使用者によって)格納されている複数の圧力プロファイルから選択することができる。
【0008】
特許文献1による解決策は、例えば、使用されるコーヒー混合物、粉砕粒子サイズ、コーヒーパックの圧縮度又は他の要因に応じて異なる圧力を加えることを可能にするので、非常に有利である。既知のように、吐出圧力は官能特性に影響を与える。
【0009】
従って、特許文献1に開示された教示を適用することによって、マシンが加圧水をコーヒーパックに通過させる時間の経過に伴う圧力プロファイルを生成することが可能である。
【0010】
しかし、出願人は、圧力/時間プロファイルを使用するとき、パックを通過する流体の量の制御が無視されることに留意した。圧力の経時変化と同様に、(コーヒー粉末の量ではなく)水の量も、エスプレッソコーヒーの官能特性に影響を与える。
【0011】
従って本出願人は、圧力と注入物を形成する溶質/溶媒比との間に存在する比が考慮されていないため、現在の技術水準では注入物(エスプレッソコーヒー)の同じ官能特性を再現することはできないと考える。
【0012】
本出願人の目的は、使用者が設定したパラメータを使用してエスプレッソコーヒーを調製することができる、エスプレッソコーヒー(又は他の飲料)マシンを提供することである。新しいマシンの主な目的は、(典型的にはバーテンダーが)使用する流体の質量又は体積の変化に厳密に関係する圧力プロファイルを生成及び/又は再現できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、質量/体積を所与の圧力に連続的に相関させることができるエスプレッソコーヒーマシンが提供される。
【0014】
このようにして、使用者は、異なる圧力で抽出される質量/体積の量を明確な方法で変化させることができ、従って、使用者が選択するコーヒーパックの官能特性を正確かつ反復可能な方法で最適化することができる。
【0015】
第1の態様によれば、本発明は、エスプレッソコーヒーのショットを吐出するのに適した少なくとも1つの吐出グループを備えるエスプレッソコーヒーマシンを提供し、少なくとも1つの吐出グループは、ポータブルフィルタ(フィルタホルダ)に取り外し可能に係合するように構成され、前記マシンは、
- 吐出グループに配置され、吐出グループにおける吐出圧力の値を供給するのに適した圧力センサと、
- 前記吐出グループの入口又は出口における液体の量を示す値を提供するのに適した測定装置と、
- 前記圧力センサから前記吐出圧力の前記値を受信し、前記測定装置から前記液体の量を示す前記値を受信するように構成される制御ユニットと、を備え、
前記制御ユニットは、前記圧力センサから受信する前記吐出圧力の前記値と、前記測定装置から受信する前記液体の量を示す前記値とを使用して、前記液体の量の関数としての吐出圧力のプロファイルに従って前記吐出圧力を制御するように構成される。
【0016】
好ましくは、本発明によれば、飲料の圧力対量の連続制御が提供され、離散制御ではない。
【0017】
第1の実施形態によれば、吐出グループの入口又は出口における液体の量を示す値は、吐出グループの入口又は出口における液体の質量に関係するか、又は対応する値を含む。
【0018】
これらの実施形態の変形例によれば、測定装置は、吐出グループの出口における液体の質量を測定するように構成される計量装置を備え、吐出グループの入口又は出口における液体の量を示す値は、吐出グループの出口における液体の質量の値を含む。
【0019】
他の実施形態によれば、吐出グループの入口又は出口における液体の量を示す値は、吐出グループの入口又は出口における液体の体積に関係するか、又は対応する値を含む。
【0020】
これらの実施形態の変形例によれば、測定装置は、吐出グループの入口における液体の体積を測定するように構成される流量計を備え、吐出グループの入口又は出口における液体の量を示す値は、吐出グループの入口における液体の体積の値を含む。
【0021】
好ましくは、制御ユニットは、吐出サイクル中に吐出グループの入口又は出口に供給される液体の総量が与えられると、以下のように構成される。
- 液体の総量をN個の部分に細分し、及び
- N個の部分の各々の吐出中に、吐出圧力をそれぞれ実質的に一定の値に保ち、それぞれ実質的に一定の値が液体の量の関数としての吐出圧力のプロファイルに基づいて決定される。
【0022】
好ましくは、制御ユニットは、吐出サイクル中に以下のように構成される。
- 測定装置から液体の量の指標値を定期的に取得し、及び
- 液体の量を示す定期的に得られる値に基づいて、N個の部分のうちの1つの吐出が終了したと判断したとき、吐出圧力をそれぞれ実質的に一定の値から次の部分に関連する更に実質的に一定の値に調整する。
【0023】
好ましくは、制御ユニットは、以下のように構成される。
- 圧力センサから吐出圧力値を定期的に取得し、及び
- フィードバック機構により、吐出グループに供給される水の流量を調整して、吐出圧力を実質的に一定の値に保つ。
【0024】
好ましくは、制御ユニットには、液体の量の関数としての吐出圧力のプロファイルを記憶するのに適したメモリが設けられている。
【0025】
好ましくは、マシンは、液体の量の関数としての吐出圧力のプロファイルをメモリにロードするデータ入力手段を備える。
【0026】
変形例によれば、メモリはN個のサンプルの離散集合の形でプロファイルを格納し、Nは2以上であり、各サンプルは、液体の量の関数としての吐出圧力のプロファイルに従って、液体量のそれぞれのサンプル及びそれに関連するそれぞれの圧力値を含む。
【0027】
第2の態様によれば、本発明は、エスプレッソコーヒーのショットを吐出するのに適した少なくとも1つの吐出グループを備える、エスプレッソコーヒーマシンの吐出圧力の調整方法を提供し、少なくとも1つの吐出グループは、ポータブルフィルタ(フィルタホルダ)に取り外し可能に係合するように構成され、本方法は、
- 吐出グループにおける吐出圧力の値を測定するステップと、
- 吐出グループの入口又は出口における液体の量を示す値を測定するステップと、
- 吐出圧力の値及び液体の量を示す値を使用して、液体の量の関数としての吐出圧力のプロファイルに従って吐出圧力を制御するステップと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明を組み込むことができるエスプレッソコーヒーマシンの一例を示す斜視図である。
【
図2】本発明によるエスプレッソコーヒーマシンの水圧回路図の第1の実施形態である。
【
図3】本発明によるエスプレッソコーヒーマシンの水圧回路図の第2の実施形態である。
【
図4】コーヒーボイラ、吐出グループ及びポータブルフィルタの断面図である。
【
図5】本発明の実施形態によるエスプレッソコーヒーマシンのいくつかの構成要素間に存在する電気接続を示すブロック図である。
【
図6】
図6a~6dは、カップ内に吐出された液体の質量の関数としての圧力プロファイルの例を示す。
【
図7】第1の動作モードによるエスプレッソコーヒーマシンの動作のフローチャートである。
【
図8】
図8a~8dは、吐出された液体の体積の関数としての圧力プロファイルの例を示す。
【
図9】第2の動作モードによるエスプレッソコーヒーマシンの動作のフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は非限定的な例として提供される以下の詳細な説明から完全に明らかになり、添付の図面を参照して読むことができる。
【0030】
以下の説明では、便宜上、特にエスプレッソコーヒーマシンに言及するが、本発明はこのようなマシンに限定されず、他の飲料を吐出するマシンにも適用可能である。例えば、コーヒー粉末の代わりに大麦粉末又は他の穀物粉末を使用してもよい。従って、「エスプレッソコーヒーマシン」という表現は、この動作が(加圧水を使用する)強制浸透によって行われるならば、他の飲料を調製するマシンも含むものと理解されなければならない。同様に、「エスプレッソコーヒー」という表現は、飲料の調製に使用される製品(コーヒー、大麦又は他の穀物)に対応するより広い意味を持つと理解されなければならず、これも(加圧水を使用する)強制浸透によって行われる。
【0031】
本発明が関係するマシンは、レバー式又はピストン式のマシンであってもよい。更なる代替例として、本発明は、例えば欧州特許出願公開第2789276号に記載されているようなモジュール式のマシンにも適用することができる。
【0032】
図1は、単なる例として、全体が符号1000で表されているエスプレッソコーヒーマシンを示す。マシン1000は、マシンの主要構成要素を内部に収容する実質的に閉じたマシン本体1001を備え、そのいくつかは後述する。好ましくは、マシン1000は、カップを置くことができる表面1002を頂部に備える。表面1002上には、カップを加熱する電気抵抗システム(図示せず)又は他の加熱システムを設けることもできる。
【0033】
マシン1000は、エスプレッソコーヒーを吐出する少なくとも1つの吐出グループ1003を備える。好ましくは、マシン1000は、複数の吐出グループ1003、例えば
図1に例として示されるマシンのように3つのグループを備える。また、2つ、4つ又はそれ以上のグループもあり得る。ドリップトレイ1004は、好ましくはグリル1005によって頂部が部分的に閉じられており、吐出グループ1003の下に存在する。典型的には、コーヒーカップは、エスプレッソコーヒーの吐出中にグリル1005上に置かれる。
【0034】
コーヒー粉末パックに対してフィルタバスケットを支持するポータブルフィルタは、各吐出グループ1003に取り外し可能に接続することができる。
【0035】
マシン1000は、例えば、マシンのオン/オフを切り替える、及び/又は吐出を開始/終了する、1つ以上のディスプレイ1010及び押しボタンを備えることができる。
【0036】
図1に示すマシン1000はまた、各吐出グループ1003に対して、エスプレッソコーヒーの吐出を開始/終了する、及び/又はエスプレッソコーヒーの吐出中に吐出圧力を変更する、レバー1112を備える。
【0037】
図2及び
図3に示す水圧回路図を詳細に説明する前に、使用されている各種符号を、個々の構成要素の簡単な説明と共に以下に示す。
【0038】
1 コーヒーボイラ
10 ポンプ
11 膨張弁
12 逆止弁
13 予熱器混合弁
14 蒸気ボイラ
15 減圧弁
16 流量計(体積計)
18 ボールタップ
19 蒸気電磁弁
20 蒸気ワンド
21 温水混合弁
22 蒸気ボイラ充填電磁弁
23 温水ワンド
24 圧力センサ
25 蒸気ボイラ圧力計
26 排出水ウェル
27 歯車ポンプ
28 安全弁
29 計量装置
【0039】
好ましくは、流量計16は、ポンプ10を吐出グループ1003に接続する水圧回路に沿って配置され、吐出グループ1003に供給される水の体積の測定値を提供する。
【0040】
好ましくは、圧力センサ24は、吐出グループ1003に配置され、吐出グループ1003が飲料を吐出する圧力の測定値を提供する。
【0041】
好ましくは、計量装置29は、吐出グループ1003の下に配置され、吐出グループ1003によって吐出される液体の重量又は質量の測定値を提供する。この目的のために、計量装置29は、好ましくは、吐出グループ1003によって吐出される液体を収集することを意図したカップ又は容器を支持するのに適した計量台を備える。また計量装置29は、計量台と協働して、計量台によって支持されるカップ又は容器内に吐出される液体の重量を測定するように設計されたロードセルを備える。ロードセルは、(
図3に概略的に示すように)計量台の真下に位置していてもよく、又は1つ以上のアーム及び/又はブラケットを備える機械的接続によって計量台に直接接続されてもよい。
【0042】
計量装置29を吐出グループ1003の下に位置決めできるようにするために、グリル1005は、好ましくは、計量台の形状に対応する形状(典型的には長方形)の開口部を有する。計量台は、好ましくは吐出グループ1003の下に配置され、グリル1005と整列する。ロードセルが計量台の真下に位置する場合、このようにして、計量装置29全体が実質的にドリップトレイ1004内に配置される。代替的に、計量台とロードセルとの間の前述の機械的接続により、計量台単独をドリップトレイ1004内に位置決めしてもよく、一方ロードセルを異なる位置に、例えばマシン本体1001内に配置してもよい。
【0043】
図2及び
図3は、冷水流が「長ダッシュ・単一短ダッシュ・長ダッシュ」線で図式的に示され、温水流が実線で図式的に示され、蒸気流が破線で図式的に示され、そして排出水流が「長ダッシュ・短二重ダッシュ・長ダッシュ」線で図式的に示される記号システムを使用している。
【0044】
簡単に説明すると、
図2に示す例示的な図では、水道管本管(又は他の任意の供給源)からの冷水がポンプ10に供給される。ポンプ10は、水を好ましくは逆止弁12及び予熱器混合弁13を通過させて、蒸気ボイラ14に供給する。
【0045】
好ましくは、蒸気ワンド20は、蒸気ボイラ14に接続されることで蒸気を吐出し、例えばカプチーノを作るためのミルクが泡立てられる。
【0046】
好ましくは、蒸気ボイラ14は、煎じ物(例えば茶又はチザン茶)を調製する温水を供給するために、温水ワンド23と流体連通している。
【0047】
好ましくは、
図4に示すように、コーヒーボイラ1からの水は、注入電磁弁9及び注入水パイプを介して吐出グループ1003に搬送される。特に、パイプ6からの水は、好ましくはシャワースクリーン4に到達し、これによりフィルタホルダ8によって支持されるフィルタバスケット7内に収容されるコーヒー紛末パック上方で水が実質的に均一に分配される。コーヒー粉末パックは、ポータブルフィルタが吐出グループ1003の底部と係合する前にバーテンダーが押圧する挽いたコーヒーを含む。
【0048】
好ましくは、注入電磁弁9は三方弁である。注入電磁弁9は、コーヒーボイラ1から注入水を引き出す第1の経路と、パイプ6に接続されて注入水を吐出する第2の経路と、注入ゾーンを排出口に接続する第3の経路と、を備える。
【0049】
注入水吐出パイプ6は、好ましくは、ディフューザスクリュー3及びシャワースクリーン4と流体連通している。
【0050】
使用中、使用者がエスプレッソコーヒーを調製したいとき、使用者はボタンを押す(又は他の方法で抽出工程を開始する)。注入水が、コーヒーボイラ1の注入電磁弁9の取り出しパイプを介して引き込まれ、注入水を供給するパイプ6を介してコーヒーパックに向けて供給される。加圧水は、注入水供給パイプ6が完全に満たされるまで流入し始める。次いで、加圧温水がコーヒーパック上方の空き空間に流入する。
【0051】
「コーヒー粉末パック上方の空き空間」という表現(又は類似の表現)は、本明細書及び特許請求の範囲において、エスプレッソコーヒーの調製が開始される前に、水で満たされておらず、コーヒー粉末パックによって底部が境界付けられ、コーヒーボイラによって頂部が境界付けられる空間(又は体積)を意味すると理解される。典型的には、この空き空間は、事前注入チャンバと、注入電磁弁と、注入水を供給するパイプと、を含む。「事前注入チャンバ」という用語は、コーヒーパックの上面によって底部が境界付けられ、コーヒーパックを収容するフィルタバスケットの側壁の上部によって横方向が境界付けられ、吐出グループの底面によって頂部が境界付けられるチャンバを意味すると理解される。以下、この空き空間は文字「V」で表すものとする。
【0052】
本発明によるエスプレッソコーヒーマシンは、圧力でコーヒーを吐出することができ、圧力は、測定される液体の量の値の関数である。液体の量の値は、液体の体積又は液体の質量に関係する(又は対応する)値であり得る。例えば、当該値は、(体積計によって測定又は推定され得る)水の体積値であり得る。典型的には、水は、注入電磁弁9によって出力されるものであってもよく、カップ内又は他の任意の容器内に収集される飲料のものであってもよい。代替的に、当該値は、カップ内又は他の任意の容器内に収集される飲料の質量(又は重量)の値であってもよい。
【0053】
この目的のために、エスプレッソコーヒーマシン1000には、好ましくは制御ユニット(
図1及び
図2には図示せず)を設ける。
【0054】
図5に概略的に示すように、制御ユニット(符号30で示す)は、好ましくは、プロセッサ31と、メモリ32と、を備え、メモリ32は、プロセッサ31が実行するのに適した圧力制御ソフトウェアを内蔵している。
【0055】
制御ユニット30は、好ましくは、圧力センサ24と、流量計16及び計量装置29の少なくとも一方と、に電気的に接続されている。制御ユニット30はまた、好ましくは、電磁弁9a及び/又はポンプ10に電気的に接続されている。
【0056】
エスプレッソコーヒーマシン1000は、好ましくは、制御ユニット30にも接続される、例えば押しボタン又はタッチスクリーン付きのディスプレイ等のユーザインタフェース33も備える。
【0057】
制御ユニット30と、流量計16、圧力センサ24、計量装置29、電磁弁9、ポンプ10及びユーザインタフェース33との間の電気接続は、好ましくはケーブル接続である。代替的に、これらの接続のうちの1つ以上は無線タイプであってもよい。例えば、無線タイプ接続のうち1つ以上は、Bluetooth(登録商標)技術を用いて形成することができる。
【0058】
好ましくは、制御ユニット30は、各吐出サイクル中に吐出圧力を調整するようにプログラムされ、前記圧力は以下の通りである。
【0059】
(i)計量装置29によって測定される、カップ内に吐出される液体の質量に応じた所定の圧力プロファイル(第1の動作モード)。又は、
【0060】
(ii)流量計16によって測定される、ウォーターディスペンサに吐出される水の体積に応じた所定の圧力プロファイル(第2の動作モード)。
【0061】
第1の動作モードを参照すると、
図6a~6dは、カップ内に吐出された液体の質量の関数としての圧力のプロファイルの4つの例を示す。グラフでは、示された質量値は、吐出された総質量に対して標準化されている。
【0062】
図6aに示すプロファイルの第1の例によれば、圧力は、質量の増加とともに減少する。
図6bに示すプロファイルの第2の例によれば、圧力は、最初に質量の増加と共に増加し、最大値に達すると再び減少し始める。
図6cに示すプロファイルの第3の例によれば、圧力は、質量の変動に対して実質的に一定である。
図6dに示すプロファイルの第4の例によれば、圧力は、最初に質量の増加と共に増加し、最大値に達すると、ほぼ一定の値に落ち着くまでわずかに減少する。これらの異なる圧力プロファイルにより、異なる特性を持つ飲料が生まれる。バーテンダーは、自身の経験及び感性に応じて、具体的な状況でどの圧力プロファイルが最も適しているかを決定することができる。
【0063】
制御ユニット30が、任意の所望の圧力プロファイル(例えば、
図6a~6bに例として示されるプロファイルのうちの1つ)に従って、各吐出サイクル中に吐出圧力を自動的に調整できるようにするために、好ましくは、再現する圧力プロファイルがサンプリングされ、そこで、N個の質量サンプルm1、m2、…mN(ここでNは2以上)の離散集合が識別される。サンプリング周波数(従ってサンプル数N)は、再現するプロファイルをアンダーサンプリングしないように選択される。従って、プロファイルが複雑であればあるほど、サンプリング周波数とサンプル数Nは大きくなる。例えば、
図6cに示す一定のプロファイルの場合、N=2個のサンプルで十分であるが、
図6dに示すような複雑なプロファイルの場合、N=8個のサンプルが必要である。
図6a及び
図6bに示すプロファイルの場合、中程度の複雑さであり、Nは、圧力プロファイルを再現する精度に応じて、4又は5に等しくてもよい。
【0064】
所望のプロファイルでは、それぞれの圧力値p1、p2、…pNは、各サンプルm1、m2、…mNに対応する。
【0065】
(m1;p1)、(m2;p2)、…(mN;pN)のペアは、好ましくは処理ユニット30に、例えば処理ユニット30のメモリ32にロードされる。このロード動作は、例えばマシン1000に存在するデータ入出力インタフェース(例えばUSBポート)を介して行うことができる。従って、マシン1000の使用者が(m1;p1)、(m2;p2)、…(mN;pN)のペアが格納されたUSBキーをマシン1000のUSBポートに挿入することで、データロード動作を行うことができる。従って、(m1;p1)、(m2;p2)、…(mN;pN)のペアをUSBキーからメモリ32に転送する動作は、自動的に行われてもよいし、ユーザインタフェース33によって実装される圧力プロファイルを管理する特別な機能によって使用者が管理してもよい。
【0066】
代替的に、前述のロード動作は別の方法で行うことができる。例えば、以下の方法がある。
【0067】
- バーテンダーが手動で制御する所望の圧力プロファイルでサンプルショットを吐出すること。これらの動作モードによれば、バーテンダーがサンプルショットの吐出に使用した圧力プロファイルは、処理ユニット30によって格納され、後続の吐出動作中に自動的に再現することができる。
【0068】
- 圧力プロファイルをマシンに直接格納すること(例えば、ユーザインタフェースを介して実装される特別な機能により、(m1;p1)、(m2;p2)、…(mN;pN)のペアの所望の値を具体的に示すことによる)。又は、
【0069】
- スマートフォン及び/又はタブレットアプリによって、圧力プロファイルを格納すること(例えば、(m1;p1)、(m2;p2)、…(mN;pN)のペアの所望の値を具体的に示すことによる)。次いで、アプリはプロファイルを例えば無線でエスプレッソコーヒーマシンに送信することができる。
【0070】
バーテンダーは、(m1;p1)、(m2;p2)、…(mN;pN)のペアに対応する圧力プロファイルを使用して吐出サイクルを行い、吐出サイクル終了時に、カップ内に吐出される液体の特定の総質量Mtotを得たいと思うと想定する。プロファイルの選択は、例えばユーザインタフェース33を介して実装される、圧力プロファイルを選択する特別な機能によって行うことができる。総質量Mtotの選択は、ユーザインタフェース33を介して行うこともできる。
【0071】
バーテンダーによる総質量Mtot及び圧力プロファイルの選択を受信すると、制御ユニット30は、好ましくは所望の総質量Mtotに基づいて、選択されたプロファイルに対応するサンプルm1、m2、…mNの値を再スケーリングする。特に、制御ユニット30は、好ましくはサンプルm1、m2、…mNの全ての値をMtot/mNに等しい同倍率で乗算することにより、N個の質量値M1、M2…MNを得る。このようにして、最終質量値MNは、所望の総質量Mtotに等しくなる。
【0072】
ここで
図7のフローチャートを参照する。吐出サイクルが開始されると(ステップ71)、制御ユニット30は、好ましくは吐出を制御して、吐出圧力を第1の質量値M1に対応する圧力値p1に等しくする(ステップ72)。この目的のために、制御ユニット30は、好ましくは、計量装置29によって測定される、カップ内に吐出される液体質量の値を定期的に(例えば0.1秒毎に)受信する。
【0073】
同時に、制御ユニット30は、圧力センサ24によって測定される吐出圧力の値も定期的に受信する。特に制御ユニット30は、好ましくは圧力センサ24に対して、吐出圧力を検出し、特定量、例えば0.5gの吐出質量の増加がある度に、前記圧力値を供給するように要求する。次いで、フィードバック機構により、制御ユニット30は好ましくは吐出グループに供給される水の流量を調整して(例えば、電磁弁9を調節して又はポンプ10の流量を直接調節して)、吐出圧力を圧力値p1に保つ。
【0074】
制御ユニット30は、受信する質量値に基づいて、カップ内に吐出される液体の質量が第1の質量値M1未満であると判断する限り(ステップ73)、好ましくは吐出圧力を圧力値p1に保つ。
【0075】
代わりに、カップ内に吐出される液体の質量が第1の質量値M1に達したと判断したとき、制御ユニット30は、好ましくは吐出を制御して、吐出圧力を圧力値p1から第2の質量値M2に対応する圧力値p2に調整する(ステップ74)。この場合にも、制御ユニット30は、上述したものと同様のフィードバック機構を使用して、好ましくは吐出圧力がp1からp2に移行し、常にp2の値に等しいままであるように作用する。
【0076】
制御ユニット30は、計量装置29から受信する質量値に基づいて、カップ内に吐出される液体の質量が第2の質量値M2未満であると判断する限り(ステップ75)、好ましくは吐出圧力を圧力値p2に保つ。
【0077】
制御ユニット30が吐出圧力を最終質量値MNに対応する圧力値pNに調整するまで、制御ユニット30の動作は周期的に繰り返される(ステップ76)。制御ユニット30は、計量装置29から受信する質量値に基づいて、カップ内に吐出される液体の質量が、上述したように、所望の総質量Mtotに等しい最終質量値MNに達したと判断するまで、好ましくは吐出圧力を圧力値pNに維持する(ステップ77)。
【0078】
Mtotに達したとき、制御ユニット30はその後、吐出サイクルを自動的に終了する(ステップ78)。
【0079】
従って吐出サイクル終了時に、バーテンダーは、質量M1、M2、…MNの合計として、所望の液体質量Mtotを得る。質量M1、M2、…MNの各々は、所望の圧力プロファイルに基づいて決定されたそれぞれの吐出圧力p1、p2、…pNで吐出される。
【0080】
バーテンダーが総質量Mtotを変更したい場合、この変更により、異なる倍率に従ってサンプルm1、m2…mNの値を再スケーリングすることになる。これは有利には、
図7によるアルゴリズムを実行することによって、同じ圧力プロファイルが再現され、吐出サイクル終了時に、新たな所望の総質量Mtotが得られることを可能にするものである。このようにして、吐出パラメータの高い再現性が得られる。この再現性により、所望の圧力プロファイルを選択する可能性と相まって、バーテンダーが所望の官能特性を有する飲料を正確かつ反復可能な方法で得ることを可能にする。
【0081】
上述したように、第2の動作モードによれば、制御ユニット30は各吐出サイクル中に吐出圧力を調節するようにプログラムされており、前記圧力は、流量計16によって測定される、吐出グループに供給される水の体積に応じて、所定の圧力プロファイルに従う。
【0082】
この場合、例えば
図6a~6dに示すものに類似する体積に応じた圧力プロファイル、すなわち、減少プロファイル(
図8a)、最初に増加してから減少するプロファイル(
図8b)、一定プロファイル(
図8c)、又はより複雑に進行するプロファイル(
図8d)を使用することが可能である。この場合も、バーテンダーが自身の経験及び感性に応じて使い分ける。
【0083】
この場合も、制御ユニット30が、任意の所望の圧力プロファイル(例えば、
図8a~8bに例として示されるプロファイルの1つ)に従って各吐出サイクル中に吐出圧力を自動的に調整できるようにするために、好ましくは、再現する圧力プロファイルがサンプリングされ、そこで、それぞれの圧力値p1、p2、…pNが対応するN個の体積サンプル(m1、m2、…mN)の離散集合が認識される。この場合も、サンプル数Nは、再現するプロファイルをアンダーサンプリングしないように選択され、従って、プロファイルの複雑さ及び再現される精度に依存する。
【0084】
(v1;p1)、(v2;p2)、…(vN;pN)のペアを処理ユニット30にロードする動作は、第1の動作モードに関連して上述したように行うことができる。しかしながら、この第2の動作モードによれば、バーテンダーは総質量Mtotではなく吐出される総体積Vtotを選択する。また、総体積Vtotの選択は、ユーザインタフェース33を介して行うことができる。
【0085】
バーテンダーによる総体積Vtot及び圧力プロファイルの選択を受信すると、制御ユニット30は、好ましくは選択されたプロファイルに対応するサンプルv1、v2…vNの値を再スケーリングし、それら全てをVtot/vNに等しい同倍率で乗算することにより、VN=VtotであるN個の体積値V1、V2…VNを得る。
【0086】
第2の動作モードによる吐出サイクル中の制御ユニット30の動作が
図9に示されている。
【0087】
吐出サイクルが開始されるとき(ステップ91)、制御ユニット30は、好ましくは吐出を制御して、吐出圧力を第1の体積値V1に対応する圧力値p1に等しくする(ステップ92)。この目的のために、制御ユニット30は、好ましくは、流量計16によって測定される、吐出グループに供給される水の体積の値を定期的に(例えば0.1秒毎に)受信する。
【0088】
同時に、制御ユニット30は、圧力センサ24によって測定される吐出圧力の値も定期的に受信する。特に、制御ユニット30は、好ましくは圧力センサ24に対して、吐出圧力を検出し、所定量、例えば0.5mlの水の体積の増加がある度に、前記圧力を供給するように要求する。次いで、フィードバック機構により、制御ユニット30は好ましくは吐出グループに供給される水の流量を調整して(例えば、電磁弁9を調節して又はポンプ10の流量を直接調節して)、吐出圧力を圧力値p1に保つ。
【0089】
制御ユニット30は、受信する体積値に基づいて、吐出グループに供給される水の体積が第1の体積値V1未満であると判断する限り(ステップ93)、好ましくは吐出圧力を圧力値p1に保つ。
【0090】
代わりに、吐出ユニットに供給される水の体積が第1の体積値V1に達したと判断したとき、制御ユニット30は、好ましくは吐出を制御して、吐出圧力を圧力値p1から第2の体積値M2に対応する圧力値p2まで上昇させる(ステップ94)。この場合にも、制御ユニット30は、上述したものと同様のフィードバック機構を使用して、好ましくは吐出圧力がp1からp2に移行し、常にp2の値に等しいままであるように作用する。
【0091】
制御ユニット30は、流量計16から受信する体積値に基づいて、吐出グループに供給される水の体積が第2の体積値V2未満であると判断する限り(ステップ95)、好ましくは吐出圧力を圧力値p2に保つ。
【0092】
制御ユニット30が吐出圧力を最終体積値VNに対応する圧力値pNに調整するまで、制御ユニット30の動作は周期的に繰り返される(ステップ96)。制御ユニット30は、流量計16から受信する体積値に基づいて、吐出グループに供給される水の体積が、上述したように、所望の総体積Vtotに等しい最終体積値VNに達したと判断するまで、好ましくは吐出圧力を圧力値pNに保つ(ステップ97)。
【0093】
Vtotに達したとき、制御ユニット30はその後、吐出サイクルを自動的に終了する(ステップ98)。
【0094】
従って吐出サイクル終了時に、バーテンダーは、体積V1、V2、…VNの合計として、所望の吐出液体体積Vtotを得る。体積V1、V2、…VNの各々は、所望の圧力プロファイルに基づいて決定されたそれぞれの吐出圧力p1、p2、…pNで吐出される。
【0095】
バーテンダーが総体積Vtotを変更したい場合、この変更により、異なる倍率に従ってサンプルv1、v2…vNの値を再スケーリングすることになる。これは有利には、
図9によるアルゴリズムを実行することによって、同じ圧力プロファイルが再現され、吐出サイクル終了時に、新たな所望の総体積値Vtotが得られることを可能にするものである。
【0096】
従って、この第2の動作モードによれば、吐出パラメータの高い再現性も得られる。この再現性により、所望の圧力プロファイルを選択する可能性と相まって、バーテンダーが所望の官能特性を有する飲料を正確かつ反復可能な方法で得ることを可能にする。
【国際調査報告】