(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-01
(54)【発明の名称】高スループット光トモグラフィイメージング方法及びイメージングシステム
(51)【国際特許分類】
G01N 21/17 20060101AFI20220125BHJP
G02B 21/36 20060101ALI20220125BHJP
H04N 5/232 20060101ALI20220125BHJP
【FI】
G01N21/17 630
G02B21/36
H04N5/232 290
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021523977
(86)(22)【出願日】2019-07-30
(85)【翻訳文提出日】2021-06-11
(86)【国際出願番号】 CN2019098364
(87)【国際公開番号】W WO2020088013
(87)【国際公開日】2020-05-07
(31)【優先権主張番号】201811297110.3
(32)【優先日】2018-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521182700
【氏名又は名称】華中科技大学蘇州脳空間信息研究院
【氏名又は名称原語表記】HUST-SUZHOU INSTITUTE FOR BRAINSMATICS
【住所又は居所原語表記】Building C, No. 388 Ruoshui Road, Suzhou Industrial Park Suzhou, Jiangsu 215125, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】駱 清銘
(72)【発明者】
【氏名】袁 菁
(72)【発明者】
【氏名】鍾 秋園
(72)【発明者】
【氏名】金 鋭
(72)【発明者】
【氏名】▲ぐん▼ 輝
【テーマコード(参考)】
2G059
2H052
5C122
【Fターム(参考)】
2G059AA05
2G059DD12
2G059EE02
2G059EE07
2G059FF02
2G059GG01
2G059GG06
2G059JJ07
2G059JJ11
2G059KK04
2G059MM01
2G059PP10
2H052AA07
2H052AA09
2H052AB01
2H052AC04
2H052AC16
2H052AC34
2H052AD18
2H052AD34
2H052AF14
2H052AF25
5C122EA68
5C122FA09
5C122FH18
5C122HA88
5C122HB01
5C122HB02
5C122HB10
(57)【要約】
本開示は、高スループット光トモグラフィイメージング方法及びイメージングシステムを開示する。方法は、ビームを、対物レンズの焦点面に焦点を合わせ、対物レンズの焦点ぼけ面で発散することができる変調ビームに変調するステップであって、前記変調ビームは、対物レンズの焦点面で完全に同じではない変調強度を有するステップと、変調ビーム照明でのサンプルを異なる画素でイメージングして、異なる画素でのサンプル画像を取得するステップと、異なる画素でのサンプル画像を復調アルゴリズムにより復調して、サンプル画像の焦点面画像を取得するステップとを含む。システムは、ビーム変調モジュール、イメージングモジュール及び復調モジュールを含む。本開示は、完全に同じではない変調強度を有するビームを使用して照明を行い、同一のサンプルを異なる画素でイメージングした後、より簡単な復調アルゴリズムを使用して焦面画像を取得する。それにより、構造化光再構成アルゴリズムが簡素化され、再構成効率が向上し、大きいサイズのサンプルのイメージング速度が向上する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高スループット光トモグラフィイメージング方法であって、ステップS1~S3を含み、
S1では、ビームを、対物レンズの焦点面に焦点を合わせ、対物レンズの焦点ぼけ面で発散することができる変調ビームに変調し、前記変調ビームは、対物レンズの焦点面で完全に同じではない変調強度を有し、
S2では、カメラを使用して、変調ビーム照明での同一サンプルを異なる画素でイメージングし、形成されたサンプル画像の計算式は次のとおりであり、
I(i)=I
inf(i)+I
out
I(i)は、i画素で形成されたサンプル画像であり、f(i)は、サンプル画像I(i)に対応する変調強度であり、I
inは、サンプル画像の焦点面画像であり、I
outは、サンプル画像の焦点ぼけ面画像であり、
S3では、異なる画素でのサンプル画像を復調アルゴリズムにより復調して、サンプル画像の焦点面画像を取得し、この焦点面画像は光トモグラフィ画像であり、前記復調アルゴリズムの復調式はI
in=c×|βI
1-αI
2|であり、
α、βは正の整数であり、cは0より大きい定数であり、I
1はα個の画素で取得されたサンプル画像の累積合計であり、I
2はβ個の画素で取得されたサンプル画像の累積合計であり、α個の画素でのサンプル画像に対応する変調強度の累積値は、β個の画素でのサンプル画像に対応する変調強度の累積値とは異なる、ことを特徴とする高スループット光トモグラフィイメージング方法。
【請求項2】
前記カメラのイメージング領域は、N行の画素であり、N≧2であり、前記サンプルのイメージング平面に平行な平面上に互いに垂直なX方向とY方向である2つの方向を形成し、前記変調ビームは、X方向とY方向にそれぞれ次の特性を持ち、前記変調ビームは、前記N行の画素でX方向に沿って完全に同じではない変調強度を有し、前記変調ビームは、前記N行の画素の各行の画素でY方向に沿って同じ変調強度を有し、前記画素は行画素であり、前記サンプル画像はストライプ画像である、ことを特徴とする請求項1に記載の高スループット光トモグラフィイメージング方法。
【請求項3】
前記ステップS2は、S21~S24を含み、
S21では、前記変調ビームとサンプルを駆動して、前記X方向に連続的に等速で相対的に移動させ、
S22では、前記カメラは、前記サンプルをその相対的な移動方向に沿って順次連続的にイメージングし、
S23では、時系列で得られた各フレームの画像における第i行の画素のストライプ画像ブロックを取得し、ストライプ画像ブロックの計算式は次のとおりであり、
【請求項4】
前記カメラの単一フレームの露光時間は、1行の画素を相対的に移動する時間と同じである、ことを特徴とする請求項3に記載の高スループット光トモグラフィイメージング方法。
【請求項5】
前記N行の画素の分布方向及び幅は、それぞれ、変調ビームの分布方向及び幅と同じであり、互いに物体画像共役関係にある、ことを特徴とする請求項4に記載の高スループット光トモグラフィイメージング方法。
【請求項6】
【請求項7】
前記変調ビームは線状を呈する、ことを特徴とする請求項1に記載の高スループット光トモグラフィイメージング方法。
【請求項8】
高スループット光トモグラフィイメージングシステムであって、ビーム変調モジュールと、イメージングモジュールと、切除モジュールと、復調モジュールとを含み、
前記ビーム変調モジュールは、ビームを、対物レンズの焦点面に焦点を合わせ、対物レンズの焦点ぼけ面で発散することができる変調ビームに変調するために使用され、前記変調ビームは、対物レンズの焦点面で完全に同じではない変調強度を有し、
前記イメージングモジュールは、カメラを使用して、変調ビーム照明下での同一のサンプルを異なる画素でイメージングするために使用され、形成されたサンプル画像の計算式はI(i)=I
inf(i)+I
outであり、I(i)は、i画素で形成されたサンプル画像であり、f(i)は、サンプル画像I(i)に対応する変調強度であり、I
inは、サンプル画像の焦点面画像であり、I
outは、サンプル画像の焦点ぼけ面画像であり、
前記復調モジュールは、異なる画素でのサンプル画像を復調アルゴリズムにより復調して、サンプル画像の焦点面画像を取得し、この焦点面画像は光トモグラフィ画像であり、前記復調アルゴリズムの復調式はI
in=c×|βI
1-αI
2|であり、α、βは正の整数であり、cは0より大きい定数であり、I
1は、α個の画素で取得されたサンプル画像の累積合計であり、I
2は、β個の画素で取得されたサンプル画像の累積合計であり、α個の画素でのサンプル画像に対応する変調強度の累積値は、β個の画素でのサンプル画像に対応する変調強度の累積値とは異なる、ことを特徴とする高スループット光トモグラフィイメージングシステム。
【請求項9】
前記カメラのイメージング領域は、N行の画素であり、N≧2であり、前記サンプルのイメージング平面に平行な平面上に互いに垂直なX方向とY方向である2つの方向を形成し、前記変調ビームは、X方向とY方向にそれぞれ次の特性を持ち、前記変調ビームは、前記N行の画素でX方向に沿って完全に同じではない変調強度を有し、前記変調ビームは、前記N行の画素の各行の画素でY方向に沿って同じ変調強度を有し、前記画素は行画素であり、前記サンプル画像はストライプ画像であり、前記N行の画素の分布方向及び幅は、それぞれ、変調ビームの分布方向及び幅と同じであり、互いに物体画像共役関係にある、ことを特徴とする請求項8に記載の高スループット光トモグラフィイメージングシステム。
【請求項10】
前記イメージングモジュールは、駆動ユニットと、イメージングユニットと、画像ブロック取得ユニットと、スプライスユニットとを含み、
前記駆動ユニットは、前記変調ビームとサンプルを駆動して、X方向に連続的に等速で相対的に移動させるために使用され、前記カメラの単一フレームの露光時間は、1行の画素を相対的に移動する時間と同じであり、
前記イメージングユニットは、カメラを使用して、前記サンプルをその相対的な移動方向に沿って順次イメージングするために使用され、
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光学イメージング技術に関し、特に、高スループット光トモグラフィイメージング方法及びイメージングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
光学イメージング技術の分野において、従来の広域顕微鏡の焦点ぼけのバックグラウンド干渉により、焦点面の鮮明な画像を取得することができない。一般に、組織を薄いスライスに切断することで、バックグラウンド干渉が回避される。光学スライスとも呼ばれる光トモグラフィは、光学イメージング方法により、組織切片と類似のイメージング効果を実現する。共焦点顕微鏡イメージング技術は、カメラの前にピンホール(pinhole)を配置して、焦点ぼけのバックグラウンド干渉をブロックし、焦点面からの有効な信号のみを通過させることによって、光トモグラフィの効果を実現する。多光子励起顕微鏡イメージング技術は、非線形効果を利用して、理想的な光トモグラフィの効果を実現するために、サンプルの蛍光信号を励起するのに十分なエネルギーが焦点にある。しかしながら、これらの2つの光トモグラフィ技術はいずれもポイントバイポイント走査のイメージング方式を採用し、広域イメージング方式と比較して、イメージングスループットに明らかな欠点がある。
【0003】
構造化照明顕微鏡イメージング技術は、広域照明に高周波周期性パターン変調を重ね合わせて、焦点面信号の変調を実現する。一方、このような高周波変調の急速な減衰により焦点ぼけ信号が抑制され、光トモグラフィが実現される。このプロセスの実現には、少なくとも3つの異なる変調位相の元の画像が必要となる。構造化照明顕微鏡イメージングの再構成アルゴリズムによって、焦点面信号が復調され、光トモグラフィ画像が得られる。同様に光トモグラフィ機能を有する共焦点と多光子励起顕微鏡イメージング技術とを比較して、構造化照明顕微鏡イメージングは、広域イメージング方式を使用するため、高いイメージングスループットと高速の利点を有する。大きなサイズのサンプルをイメージングする必要があるとき、構造化照明顕微鏡イメージング技術では、通常、イメージングの視野を拡大するためにモザイクスプライス方式を使用する。これにより、大きなサイズのサンプルのイメージングにかかる時間のほとんどは、モザイクとモザイクとの間のサンプルの移動に費やされ、全体的なイメージング速度が制限される。過度のモザイクスプライスを回避するために、中国特許出願第201310131718.X号は、ラインスキャンストライプイメージングを使用してイメージング速度を向上させ、構造化照明を使用してバックグラウンド干渉を抑制し、大きなサイズのサンプルの光トモグラフィ画像を迅速に取得する構造化光高速走査イメージング方法を開示した。しかしながら、この方法では、構造化照明顕微鏡イメージングのアルゴリズム再構成に必要な元のデータを取得するために、サンプルのイメージング領域を三回往復スキャンする必要がある。それにより、イメージング速度が犠牲になるとともに、このイメージング方法は、照明光フィールドの変調を達成するためにストライプイメージングシステムでビーム変調部品を使用する必要があるため、システムの複雑さを増やす。同時に、従来の構造化照明顕微鏡イメージング方法を使用するため、イメージングの品質は、変調パターンのコントラストに大きく依存する。従って、簡単で効率的な高スループット光トモグラフィイメージング方法及びシステムの開発が必要となる。
【発明の概要】
【0004】
本開示の目的は、上記の技術的欠点を克服するために、構造化照明顕微鏡イメージング技術により大きなサイズのサンプルをイメージングする速度が遅く、追加の変調デバイスを使用する必要があり、変調パターンのコントラストに対する依存性が高く、光トモグラフィ画像を再構成するときの復調アルゴリズムが複雑であるという従来技術における技術的問題を解決する高スループット光トモグラフィイメージング方法及びイメージングシステムを提供することである。
【0005】
上記の技術的目的を達成するために、本開示の技術的解決策は、高スループット光トモグラフィイメージング方法を提供することである。この方法は、次のステップS1~S3を含む。
S1では、ビームを、対物レンズの焦点面に焦点を合わせ、対物レンズの焦点ぼけ面で発散することができる変調ビームに変調し、前記変調ビームは、対物レンズの焦点面で完全に同じではない変調強度を有し、
S2では、カメラを使用して、変調ビーム照明での同一サンプルを異なる画素でイメージングし、形成されたサンプル画像の計算式は次のとおりであり、
I(i)=Iinf(i)+Iout
I(i)は、i画素で形成されたサンプル画像であり、f(i)は、サンプル画像I(i)に対応する変調強度であり、Iinは、サンプル画像の焦点面画像であり、Ioutは、サンプル画像の焦点ぼけ面画像であり、
S3では、異なる画素でのサンプル画像を復調アルゴリズムにより復調して、サンプル画像の焦点面画像を取得し、この焦点面画像は光トモグラフィ画像であり、前記復調アルゴリズムの復調式は次のとおりである。
Iin=c×|βI1-αI2|
α、βは正の整数であり、cは0より大きい定数であり、I1はα個の画素で取得されたサンプル画像の累積合計であり、I2はβ個の画素で取得されたサンプル画像の累積合計であり、α個の画素でのサンプル画像に対応する変調強度の累積値は、β個の画素でのサンプル画像に対応する変調強度の累積値とは異なる。
【0006】
同時に、本開示は、高スループット光トモグラフィイメージングシステムをさらに提供する。このシステムは、ビーム変調モジュールと、イメージングモジュールと、復調モジュールとを含む。
前記ビーム変調モジュールは、ビームを、対物レンズの焦点面に焦点を合わせ、対物レンズの焦点ぼけ面で発散することができる変調ビームに変調するために使用され、前記変調ビームは、対物レンズの焦点面で完全に同じではない変調強度を有する。
前記イメージングモジュールは、カメラを使用して、変調ビーム照明下での同一のサンプルを異なる画素でイメージングするために使用され、形成されたサンプル画像の計算式はI(i)=Iinf(i)+Ioutであり、I(i)は、i画素で形成されたサンプル画像であり、f(i)は、サンプル画像I(i)に対応する変調強度であり、Iinは、サンプル画像の焦点面画像であり、Ioutは、サンプル画像の焦点ぼけ面画像であり、
前記復調モジュールは、異なる画素でのサンプル画像を復調アルゴリズムにより復調して、サンプル画像の焦点面画像を取得し、この焦点面画像は光トモグラフィ画像であり、前記復調アルゴリズムの復調式はIin=c×|βI1-αI2|であり、α、βは正の整数であり、cは0より大きい定数であり、I1は、α個の画素で取得されたサンプル画像の累積合計であり、I2は、β個の画素で取得されたサンプル画像の累積合計であり、α個の画素でのサンプル画像に対応する変調強度の累積値は、β個の画素でのサンプル画像に対応する変調強度の累積値とは異なる。
【0007】
従来技術と比較して、本開示は、完全に同じではない変調強度を有するビームを使用して照明を行い、同一のサンプルを異なる画素でイメージングした後、より簡単な復調アルゴリズムを使用して焦面画像を取得する。それにより、構造化光再構成アルゴリズムが簡素化され、再構成効率が向上し、大きいサイズのサンプルのイメージング速度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の高スループット光トモグラフィイメージング方法のフローチャートである。
【
図2】本開示の高スループット光トモグラフィイメージング方法の1つのサブフローチャートである。
【
図3】本開示の高スループット光トモグラフィイメージング方法の別のサブフローチャートである。
【
図4】本開示の実施例1の光トモグラフィ画像の再構成原理図である。
【
図5】本開示の実施例2の光トモグラフィ画像の再構成原理図である。
【
図6】本開示の高スループット光トモグラフィイメージングシステムの光学構造の模式図である。
【
図7】本開示の高スループット光トモグラフィイメージングシステムの接続ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の目的、技術的手段及び利点をさらに明らかにするために、以下は図面及び実施例を参照しながら、本開示をさらに詳細に説明する。ここで述べた具体的な実施例は本開示の解釈のために用いられ、本開示を限定するためのものではないことを理解するべきである。
【0010】
図1~3に示すように、本開示は、高スループット光トモグラフィイメージング方法を提供する。この方法は、次のステップS1~S3を含む。
S1では、ビームを、対物レンズの焦点面に焦点を合わせ、対物レンズの焦点ぼけ面で発散することができる変調ビームに変調し、前記変調ビームは、対物レンズの焦点面で完全に同じではない変調強度を有する。
具体的な変調では、まず、照明光線は、線状を呈する線状ビームに整形され、次に、線状ビームは、線状照明変調ビームに変調される。本実施例は、対物レンズの焦点面に焦点を合わせることができるとともに、対物レンズの焦点ぼけ面で発散することができる変調ビームによって、サンプルを線状に照明する。これは、サンプルが蛍光を励起するのを容易にするので、後続のイメージングを容易にする。
【0011】
具体的には、上記の変調ビームは、対物レンズの焦点面で、完全に同じではない変調強度によって、例えば、ガウス変調、正弦変調、三角変調などの完全に同じではない変調強度を有する波形によって変調される。本実施例の照明ビームはガウスビームを採用するので、本実施例で形成される照明変調ビームはガウス変調である。本実施例はまた、必要に応じて、完全に同じではない変調強度を有する他の波形を採用して変調を行うこともできる。
【0012】
S2では、変調ビーム照明でのサンプルを異なる行画素でイメージングし、形成されたサンプル画像の計算式は次のとおりであり、
I(i)=Iinf(i)+Iout
I(i)は、i画素で形成されたサンプル画像であり、f(i)は、サンプル画像I(i)に対応する変調強度であり、Iinは、サンプル画像の焦点面画像であり、Ioutは、サンプル画像の焦点ぼけ面画像である。
具体的なイメージングでは、次のステップS21~S22を含む。
S21では、前記変調ビームとサンプルを駆動して、前記X方向に連続的に等速で相対的に移動させ、
S22では、前記カメラは、前記サンプルをその相対的な移動方向に沿って順次連続的にイメージングする。
本実施例の変調ビームは、サンプルの移動方向に垂直であり得、サンプルイメージングを連続イメージングする方向は、複数の行の画素の配置方向と同じである。即ち、サンプルが変調ビームに対して移動するプロセス中に、サンプルの連続的に証明される部分は、連続的にイメージングされる。本実施例では、変調ビームとサンプルが連続的に等速で相対的に移動できる限り、サンプルを駆動して、線状照明変調ビームに垂直な方向に沿って連続的に等速で移動させることができ、また、変調ビームを駆動して、サンプルに平行な方向に沿って連続的に等速で移動させることもできる。
【0013】
図4aに示すように、本実施例のイメージング領域はN行の画素であり、N≧2である。前記サンプルのイメージング平面に平行な平面上に互いに垂直なX方向とY方向である2つの方向を形成し、前記変調ビームは、X方向とY方向にそれぞれ次の特性を持つ。前記変調ビームは、前記N行の画素でX方向に沿って完全に同じではない変調強度を有し、前記変調ビームは、前記N行の画素の各行の画素でY方向に沿って同じ変調強度を有する。また、N行の画素の分布方向及び幅は、それぞれ、線状照明変調ビームの分布方向及び幅と同じであり、互いに物体画像共役関係にある。それにより、イメージング領域は、線状照明変調ビームに対応することが容易になる。
【0014】
それに対応して、サンプルが変調ビームに対して移動する方向は、X方向に沿ったものであってもよい。それにより、サンプルが変調ビームに対して移動する方向は、N行の画素の配置方向と同じであることが確保される。操作を容易にするために、本実施例は、好ましくは、サンプルの移動を駆動することを採用する。変調ビームは、静的に設定することができる。即ち、サンプルの移動方向は、N行の画素の配置方向と同じに設定することができる。イメージングの単一フレームの露光時間は、サンプルが1行の画素を移動する時間と同じである。1フレームの画像における任意の1行の画素に対応する画像が1つのストライプ画像ブロックとして設定される場合、複数フレームの画像における任意の1行の画素に対応する複数のストライプ画像ブロックは、このサンプルの各部分の順次連続的なイメージングである。この連続的なイメージングをスプライスしてストライプ画像を形成することができる。N行の画素は、N個のストライプ画像を形成することができる。
【0015】
本実施例は、イメージングを判断することができる。連続イメージングが完了した後、後続のステップを実行することができる。連続イメージングが完了していない場合、サンプルの移動を駆動し続ける。本実施例は、サンプルが連続的に等速で移動することによって、サンプルの連続イメージングを実現するので、サンプルを連続的に走査イメージングすることに相当する。イメージング後に、サンプル全体が連続的に走査イメージングされたか否かを判断する必要がある。これは、イメージングの完全性及び連続性を確保するのに役立つ。
【0016】
S23では、時系列で得られた各フレームの画像における第i行の画素のストライプ画像ブロックI
t(i)を取得し、前記ストライプ画像ブロックの計算式は次のとおりであり、
【0017】
図4(a)に示すように、イメージングの場合、サンプルは、イメージング画素の配置方向に沿って移動する。イメージングの単一フレームの露光時間は、サンプルが1行の画素を移動する時間と同じであるため、各行の画素がサンプルの長さ方向に沿って複数のストライプ画像ブロックを順次形成する。前記複数のストライプ画像ブロックは、サンプルに対する連続的なイメージングである。
【0018】
S24では、各フレームの画像における第i行の画素のストライプ画像ブロックを順次スプライスして、第i行の画素のストライプ画像を取得する。前記ストライプ画像の計算式は次のとおりであり、
Mは、完全なストライプ画像に対応するストライプ画像ブロックの数である。具体的には、前記ストライプ画像は、M個のストライプ画像ブロックをスプライスして形成される。は、前記ストライプ画像における第m個のストライプ画像ブロックに対応する焦点面画像であり、m≦Mである。
【0019】
なお、上記のストライプ画像は、1行の画素に対応する複数のストライプ画像ブロックをシフトしスプライスして形成される。即ち、N行の画素をそれぞれスプライスして、N個のサンプル画像を形成することができる。
【0020】
S3では、異なる画素での複数のストライプ画像を復調アルゴリズムにより復調して、前記ストライプ画像の焦点面画像を取得する。この焦点面画像は光トモグラフィ画像である。前記復調アルゴリズムの復調式は次のとおりである。
Iin=c×|βI1-αI2|
α、βは正の整数であり、cは0より大きい定数であり、I1はα個の画素で取得されたストライプ画像の累積合計であり、I2はβ個の画素で取得されたサンプル画像の累積合計である。α個の画素でのサンプル画像に対応する変調強度の累積値は、β個の画素でのサンプル画像に対応する変調強度の累積値とは異なる。
【0021】
具体的なステップは次のとおりである。
S31では、少なくとも1行の画素のストライプ画像を累積して第1ストライプ画像を形成し、少なくとも1行の画素のストライプ画像を累積して第2ストライプ画像を形成する。
上記のN個のストライプ画像を取得する場合、そのうちの1つ、2つ又は複数のストライプ画像を任意に選択して累積し、第1ストライプ画像を形成し、次に同じ方式で累積して第2ストライプ画像を取得することができる。上記の復調アルゴリズムにより取得されて光トモグラフィ画像がゼロになるのを防止するために、本実施例では、α個の画素でのストライプ画像に対応する変調強度の累積値が、β個の画素でのストライプ画像に対応する変調強度の累積値とは異なるように設定することができる。
【0022】
【0023】
本実施例のストライプ画像の取得プロセスの説明を容易にするために、説明は、次に実施例に従って行われる。
【0024】
<実施例1>
図4(a)に示すように、サンプルがN行の画素の配置方向に沿って移動すると、時間t
1~時間t
N+M-1の間にN+M-1フレームの画像(Mは、完全なストライプ画像に対応するストライプ画像ブロックの数であり、この実施例では、Nは8であり、Mは9である)を取得することができる。N+M-1フレームの画像における各行の画素は、1つのストライプ画像ブロックに対応する。例えば、第1フレームの画像の第1行の画素のストライプ画像ブロックI
1(1)、第2フレームの画像の第1行の画素のストライプ画像ブロックI
2(1)、第Nフレームの画像の第1行の画素のストライプ画像ブロックI
N(1)、及び第N+M-1フレームの画像の第1行の画素のストライプ画像ブロックI
(N+M-1)(1)を取得することができる。上記のストライプ画像ブロックI
1(1)、ストライプ画像ブロックI
2(1)からストライプ画像ブロックI
(N+M-1)(1)を順次スプライスして、ストライプ画像を形成することができる。対応する第2行の画素~第N行の画素をスプライスして、対応するストライプ画像を形成することができる。
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
本実施例の説明を容易にするために、
図6及び
図7に示すように、本実施例は、ビーム変調モジュール11、イメージングモジュール12及び復調モジュール13を含む高スループット光トモグラフィイメージングシステム10をさらに含む。
【0029】
ビーム変調モジュール11は、ビームを、対物レンズの焦点面に焦点を合わせ、対物レンズの焦点ぼけ面で発散することができる変調ビームに変調するために使用される。前記変調ビームは、対物レンズの焦点面で完全に同じではない変調強度を有する。
【0030】
本実施例のビーム変調モジュール11は、線状を呈する線状ビームに照明光線を整形するための整形光路と、線状ビームを線状照明変調ビームに変調するための変調光路とを含む。前記整形光路は、照明光線の伝送方向に沿って順次配置されたレーザ光源111と、第1レンズ112と、第2レンズ113と、柱レンズ114とを含み、前記変調光路は、線状ビームの発散光線を平行光線に変調するための第3レンズ115と、線状ビームの入射方向を変調するダイクロイックミラー116と、入射方向を変調した線状ビームと同軸に配置された対物レンズ117とを含む。
【0031】
光線を変調するとき、レーザ光源111から照明光線が放出され、第1レンズ112及び第2レンズ113によって順次処理された後、ビーム拡張にされる。ビーム拡張後のビームは、柱レンズ114で整形されて、線状を呈する線状ビーム11aを形成する。この線状ビーム11aは、発散光線であるため、第3レンズ115を通して平行光線の線状ビーム11aを形成し、ダイクロイックミラー116によってその入射方向が変更された後に、対物レンズ117に進入して、対物レンズ117の焦点面に焦点を合わせ、且つ対物レンズ117の焦点ぼけ面で発散する線状変調ビーム11bを形成する。後続のイメージングを容易にするために、線状変調ビーム11bの光軸は、照明光線及び反射されていない線状ビーム11aの光軸に垂直に配置される。即ち、第1レンズ112、第2レンズ113、柱レンズ114、第3レンズ115は同軸に配置され、第1レンズ112、第2レンズ113、柱レンズ114、第3レンズ115の中軸線は、対物レンズ117の中軸線に垂直に配置される。また、ダイクロイックミラー116と線状照明変調ビーム11bの光軸との間の角は45°である。これは、ダイクロイックミラー116によって反射された線状ビーム11aの幅が変化しないことを保証することができる。
【0032】
イメージングモジュール12は、カメラを使用して、変調ビームの照明での同一のサンプルを異なる画素でイメージングするために使用され、駆動ユニット121、イメージングユニット122、画像ブロック取得ユニット123及びスプライスユニット124を含む。イメージングモジュール12によってイメージングして形成されたサンプル画像の計算式はI(i)=Iinf(i)+Ioutである。I(i)は、i画素で形成されたサンプル画像であり、f(i)は、サンプル画像I(i)に対応する変調強度であり、Iinは、サンプル画像の焦点面画像であり、Ioutは、サンプル画像の焦点ぼけ面画像である。
【0033】
駆動ユニット121は、前記変調ビーム11bとサンプル20を駆動して、X方向に連続的に等速で相対的に移動させるために使用される。カメラの単一フレームの露光時間は、1行の画素を相対的に移動する時間と同じである。駆動を容易にするために、本実施例の駆動ユニット121は、平行移動ステージを採用することができる。平行移動ステージは、サンプル20を駆動して、変調ビーム11bに垂直な方向に連続的に等速で移動させることができる。平行移動ステージ12は、電動平行移動ステージ12を採用することができ、対物レンズ117の真下に配置される。サンプル20は、平行移動ステージ12上に配置され、平行移動ステージ12とともに移動することができる。イメージングの精度を制御するために、平行移動ステージ12の上面は、線状変調ビーム11bの光軸に垂直である。サンプル20は、平行移動ステージ12に配置され、移動中に線状変調ビーム11bの変調領域を通過する。線状変調ビーム11bの作用下で、サンプル20は、蛍光を発するように励起される。本実施例の平行移動ステージ12は水平状態にあり、線状変調ビーム11bは、前記平行移動ステージに平行であり、サンプル20の移動方向に垂直である。
【0034】
イメージングユニット122は、サンプル20の相対的な移動方向に沿って順次イメージングするために使用される。具体的には、それは、サンプル20の連続的な移動とともに順次連続的なイメージングを行う。これは、イメージング光路によって実現することができる。このイメージング光路は、対物レンズ117の真上に位置する発射フィルター122a、シリンダレンズ122b及びカメラ122cによって構成される。励起されたサンプル20によって放出された蛍光は、対物レンズ117、ダイクロイックミラー116、発射フィルター122a及びシリンダレンズ122bを順次通過し、カメラ122cによって検出されイメージングされる。本実施例のカメラ122cは、サブアレイ(Sub-array)又はROI(Region of interest、関心領域)機能を有するエリアアレイCCD(Charge-coupled device、電荷結合素子)又はエリアアレイCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor、相補型金属酸化膜半導体)カメラであるが、面モード機能を有するリニアアレイCCD又はリニアアレイCMOSカメラを採用してもよい。後続の光トモグラフィ画像の再構成を容易にするために、本実施例のカメラ122cのイメージング領域は、N行の画素であり、N≧2であり、カメラ122cのイメージング方向及びイメージング領域の幅は、それぞれ、線状照明変調ビーム11bの方向及び幅と同じである。前記カメラ122cの単一フレームの露光時間は、サンプル20が1行の画素を移動するように前記平行移動ステージが駆動する時間と同じである。これは、上記で説明したので、再び説明しない。
【0035】
【0036】
【0037】
復調モジュール13は、複数のサンプル画像を復調アルゴリズムにより復調して、複数のサンプル画像の焦点面画像を取得するために使用され、画像累積ユニット131及び復調ユニット132を含む。本実施例のサンプル画像はストライプ画像である。画像累積ユニット131は、少なくとも1行の画素のストライプ画像を累積して第1ストライプ画像を形成し、少なくとも1行の画素のストライプ画像を累積して第2ストライプ画像を形成するために使用される。復調ユニット132は、第1ストライプ画像と第2ストライプ画像を、前記復調式に従って前記ストライプ画像の光トモグラフィ画像に復調するために使用される。なお、本実施例で説明される焦点面画像は光トモグラフィ画像である。前記復調アルゴリズムの復調式はIin=c×|βI1-αI2|であり、α、βは正の整数であり、cは0より大きい定数であり、I1は、α個の画素で取得されたサンプル画像の累積合計であり、I2は、β個の画素で取得されたサンプル画像の累積合計であり、α個の画素でのサンプル画像に対応する変調強度の累積値は、β個の画素でのサンプル画像に対応する変調強度の累積値とは異なる。
【0038】
上記の画像ブロック取得ユニット123、スプライスユニット124、画像累積ユニット131、及び復調ユニット132の具体的な作用プロセスについては、上記で詳しく説明した。
【0039】
上述した本開示の具体的な実施形態は、本開示の保護範囲に対する制限を構成するものではない。本開示の技術的概念に従って行われた他の対応する変更及び修正は、本開示の特許請求の範囲の保護範囲に含まれるべきである。
【国際調査報告】