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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-01
(54)【発明の名称】非酵素的発光アッセイ
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/543 20060101AFI20220125BHJP
   G01N 21/64 20060101ALI20220125BHJP
【FI】
G01N33/543 521
G01N33/543 575
G01N33/543 541A
G01N21/64 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021524023
(86)(22)【出願日】2019-11-06
(85)【翻訳文提出日】2021-06-14
(86)【国際出願番号】 US2019059953
(87)【国際公開番号】W WO2020097138
(87)【国際公開日】2020-05-14
(31)【優先権主張番号】62/756,801
(32)【優先日】2018-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】511248249
【氏名又は名称】ユニバーシティー オブ ヒューストン システム
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ブー ビン ブイ.
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン リチャード シー.
【テーマコード(参考)】
2G043
【Fターム(参考)】
2G043AA04
2G043BA16
2G043CA04
2G043DA02
2G043EA01
2G043EA02
2G043FA02
2G043HA05
2G043LA02
2G043LA03
(57)【要約】
本開示は、刺激部分により刺激される部分から光が放射される改善された光ベースのアッセイ、特にリガンド結合アッセイに関する。光シグナルを生成および検出する方法であって、(a)関心対象の分析物を含む流体サンプルを提供する工程;(b)該サンプルを、該分析物に結合する分子認識要素を含む第1の試薬と接触させる工程;(c)該サンプルを、(i)第1の試薬の存在下で該分析物に結合する、または(ii)第1の試薬に結合する、第2の試薬と接触させる工程であって、第2の試薬が光生成レポーターまたは化学励起エミッターを含む、該工程;(d)未結合の第1および第2の試薬を除去する工程;(e)一重項酸素または化学励起刺激物質の供給源を該サンプルに投入する工程;ならびに(f)レポーターからの光の生成を測定する工程を含む方法が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光シグナルを生成および検出する方法であって、
(a)関心対象の分析物を含む流体サンプルを提供する工程;
(b)該サンプルを、該分析物に結合する分子認識要素を含む第1の試薬と接触させる工程;
(c)該サンプルを、
(i)第1の試薬の存在下で該分析物に結合する、または
(ii)第1の試薬に結合する
第2の試薬と接触させる工程であって、第2の試薬が光生成レポーターまたは化学励起エミッターを含む、該工程;
未結合の第1および第2の試薬を除去する工程;
(e)一重項酸素または化学励起刺激物質の供給源を該サンプルに投入する工程;ならびに
(f)該レポーターからの光の生成を測定する工程
を含む、前記方法。
【請求項2】
光生成レポーターが、HananyaのSOCLプローブ、ならびにPerkin ElmerのAlphaLisa粒子およびAlphaScreen粒子であり、AlphaLisa粒子においてチオキセン、アントラセンおよびルブレン、AlphaScreen粒子においてチオキセンおよびユーロピウムキレートを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
一重項酸素用の特定の刺激部分が照射されたフタロシアニン、および青色光により照射されたときに一重項酸素を生成する、小さな(106残基)蛍光フラボタンパク質であるTsienの「miniSOG」などの、一重項酸素生成タンパク質により、一重項酸素が生成される、請求項1記載の方法。
【請求項4】
化学励起刺激物質が、冷光スティック化学、塩化オキサリルおよび過酸化水素、シュウ酸エステル、ビス(2,4,6-トリクロロフェニル)オキサレート(TCPO)および過酸化水素、他の化学発光化合物および他の主要なクラスの過酸化物である、請求項1記載の方法。
【請求項5】
過酸化物が、金属過酸化物、例えば、イオン結合または共有結合された過酸化(O2 2-)基を含む金属含有化合物、例えば、過酸化バリウム、過酸化ナトリウム、過酸化カルシウム、過酸化リチウム、過酸化リチウム、過酸化マグネシウム、過酸化ニッケル、過酸化ニッケル(II)水和物、過酸化亜鉛、もしくは過酸化ストロンチウム、または有機過酸化物、例えば、tert-ブチルヒドロペルオキシド、2,4-ペンタンジオンペルオキシド、2-ブタノンペルオキシド、過酸化ベンゾイル、過酸化ジクミル、ジ-tert-アミルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシド、もしくは過酸化ラウロイル、またはペルオキシ二硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸カリウム、過硫酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム四水和物、もしくは過硫酸ナトリウム、または過酸、例えば、ペルオキシ一硫酸および過酢酸である、請求項4記載の方法。
【請求項6】
化学励起エミッターが、ローダミン101、ローダミンB、アントラセン、2-メトキシ-2,4-ジフェニル-3(2H)-フラノン(MDPF)、臭化エチジウム、ヨウ化プロピジウム、ビス-インターカレート色素であるエチジウムホモ二量体-1、ベンゾオキサゾリウム-4-ピリジニウム二量体-1およびベンゾオキサゾリウム-4-キノリニウム二量体-1、Texas Red、ROX、SYPRO Ruby、2-メトキシ-2,4-ジフェニル-3(2H)-フラノン(MDPF)、Alexa Fluorファミリーの蛍光色素、ならびにローダミン、テリレン、ペリレン、およびフェニルエチルアントラセン由来の他の誘導体である、請求項1記載の方法。
【請求項7】
化学発光化合物が、ビス(2,4,6-トリクロロフェニル)オキサレート(TCPO)、ビス(2,4,5-トリクロロフェニル)オキサレート(2,4,5 TCPO)、ビス(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロピル)オキサレート、ビス[1-(1H)-2-ピリドニル]グリオキサール、ビス(2,4,5-トリクロロフェニル-6-カルボペントキシフェニル)オキサレート(CPPO)、ビス(2,4-ジニトロ-6-メチルフェニル)オキサレート(DNNPO)、ビス(2,14-ジニトロフェニル)オキサレート(DNPO)、ビス(3-トリフルオロメチル 4-ニトロフェニル)オキサレート(TFMNPO)、シュウ酸ジバニリル、ピリドニルグリオキサール試薬、例えば、ビス(1-[1H]-5-ニトロ-2-ピリドニル)グリオキサール(NPG)、無水シュウ酸試薬、例えば、トリフェニル酢酸シュウ酸無水物(TPAOA)、酢酸シュウ酸無水物(AOA)、または水溶性ペルオキシシュウ酸試薬、例えば、ペルオキシオキサミド、2,2'-オキサリル-ビス[(トリフルオロメタンスルホニル)イミノ]エチレン-ビス(N-メチルピリジニウム)トリフルオロメタンスルホネート、および2,2'-オキサリル-ビス[(トリフルオロメタンスルホニル)イミノ]エチレン-ビス(N-メチルピリジニウム)テトラフルオロボレートを含む、請求項4記載の方法。
【請求項8】
第2の試薬が、
(a)光生成レポーターまたは化学励起エミッターおよび
(b)認識要素
でコーティングまたは官能化された粒子の形態である、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記粒子が、1ミクロン未満または400ナノメートル未満の直径を有する、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記粒子が、バクテリオファージ、ポリマーナノ粒子、金属酸化物ナノ粒子、半金属酸化物ナノ粒子、炭水化物ナノ粒子、多孔性粒子、量子ドット、燐光体、蛍光物質、または光エミッター含有粒子である、請求項8記載の方法。
【請求項11】
一重項酸素または化学励起刺激物質の供給源が、光、電子、電場、光子、またはそれらの組み合わせによって活性化される、請求項1記載の方法。
【請求項12】
分子認識要素が、アプタマー、タンパク質、炭水化物または核酸、例えばタンパク質ビーコン、分析物感受性蛍光タンパク質、アロステリック分子ビーコン、ヘアピンペプチドビーコン、分子アプタマービーコン、量子ドットアプタマービーコン、分子ビーコンアプタマー、アロステリック蛍光タンパク質バイオセンサー、または分子スイッチセンサーを含む、請求項1記載の方法。
【請求項13】
第1および/または第2の試薬が、光生成レポーターまたは化学励起エミッターが連結されたポリマーを含む、請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記ポリマーが、ポリエチレングリコール、炭水化物および双性イオン、またはデンドリマーである、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記サンプルに触媒を投入する工程または前記サンプルを熱に供する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項16】
触媒が、サリチル酸ナトリウム、トリプロピルアミン、トリエチルアミン、酢酸ナトリウム、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、シュウ酸、トリクロロ酢酸またはピクリン酸である、請求項15記載の方法。
【請求項17】
化学発光エミッターが、少なくとも1つの化学発光粒子および少なくとも1つの磁性粒子または磁性物質層を含む、請求項1記載の方法。
【請求項18】
少なくとも1つの化学発光粒子および少なくとも1つの磁性粒子または磁性物質層をシェルが覆っている、請求項17記載の方法。
【請求項19】
磁場を適用することにより磁性化学発光エミッターを濃縮する工程をさらに含む、請求項17または18記載の方法。
【請求項20】
定量アッセイである、請求項1記載の方法。
【請求項21】
前記サンプルが、第1の試薬を含む支持体、例えば、ニトロセルロースを含む多孔性膜、ガラス繊維、綿繊維、マイクロ流体チップ、紙、膜、マイクロプレート、マイクロバブル、または透明表面に適用される、請求項1記載の方法。
【請求項22】
表面結合アッセイ、フロースルーアッセイ、浮力アッセイ、または磁性アッセイである、請求項1記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
本願は、2018年11月7日に出願された米国仮出願番号62/756,801の優先権の恩典を主張し、その内容全体を参照により本明細書に組み入れる。
【0002】
I. 分野
本開示は、診断、免疫アッセイおよび医薬の分野に関するものである。より詳細に、本開示は、刺激部分により刺激された部分から光が放射される改善された光ベースのアッセイ、特にリガンド結合アッセイに関する。
【背景技術】
【0003】
II. 関連技術
ラテラルフローおよび他のポイントオブケア診断は、訓練されていない人が、妊娠、過剰摂取、自己免疫疾患悪化および感染の迅速な診断を行える点で非常に高い価値がある。それらは設備を必要とせず、非常に安価であり;家庭用妊娠検査が、その最も知られている例である。現在の試験形式には2つの共通の弱点がある。それらの感度は10億あたり約5部に限定され、それらは定量性が高くない。
【0004】
多くのアッセイおよび生物医学診断では、分析物の存在または濃度を検出可能なシグナルに変換する。このシグナルは、電気化学、色形成、生成されるレポーター分子、分極、または他の読み取りであり得る。特に価値のある1つのシグナルは、光の放射である。光の放射は、化学発光、生物発光、電気化学発光、燐光または蛍光によるものであり得る。分析物の存在下での光の抑制または遮断もまた、その存在を報告する上で機能し得る。
【0005】
最も一般的なアッセイまたは診断形式は、分子認識要素、例えば抗体、アプタマー、DNAプローブまたはレクチンが分析物または競合体に結合し、この結合が光生成部分の位置、活性または維持を変化させるリガンド結合アッセイである。リガンド結合アッセイは、通常、マイクロタイタープレートにおいてまたはラテラルフローもしくはバーチカルフロー膜において行われるが、特にチューブ内、平面上またはフローインジェクション分析装置もしくはマイクロ流体力学デバイスにおいても行われ得る。
【0006】
顕著な例は、ラテラルフロー膜上の捕捉抗体が膜の長さ方向に沿う流れによりそれらに送達される標的分析物に結合するラテラルフローサンドイッチ免疫アッセイである。ついで、光放射部分が、それに物理的に結合された分子認識要素を通じて標的分析物に結合する。標的に結合する光エミッターは、共有結合的または非共有結合的相互作用により分子認識要素に結合される。この結合は、直接的な化学的カップリングによるものであり得る、または光エミッターおよび認識要素の両方がポリマーもしくは粒子に結合され得る。
【発明の概要】
【0007】
要旨
本開示は、刺激部分により刺激された部分から光が放射される光ベースのアッセイ、特にリガンド結合アッセイの新形式に関する。刺激部分は、酵素的に生成される一重項酸素を生成するか、または化学励起分子を提供する。特に関心対象となるのは、光放射部分または励起部分のいずれかが物理的に分子認識要素に結合されるラテラルフロー免疫アッセイ形式で実施されるアッセイである。
【0008】
したがって、光シグナルを生成および検出する方法であって、(a)関心対象の分析物を含む流体サンプルを提供する工程;(b)該サンプルを、該分析物に結合する分子認識要素を含む第1の試薬と接触させる工程;(c)該サンプルを、(i)第1の試薬の存在下で該分析物に結合する、または(ii)第1の試薬に結合する、第2の試薬と接触させる工程であって、第2の試薬が光生成レポーターまたは化学励起エミッターを含む、該工程;未結合の第1および第2の試薬を除去する工程;(e)一重項酸素または化学励起刺激物質の供給源を該サンプルに投入する工程;ならびに(f)該レポーターからの光の生成を測定する工程を含む方法が提供される。光生成レポーターは、HananyaのSOCLプローブ、ならびにPerkin ElmerのAlphaLisa粒子およびAlphaScreen粒子であり得、AlphaLisa粒子においてチオキセン、アントラセンおよびルブレン、AlphaScreen粒子においてチオキセンおよびユーロピウムキレートを含む。一重項酸素用の特定の刺激部分が照射されたフタロシアニン、および青色光により照射されたときに一重項酸素を生成する、小さな(106残基)蛍光フラボタンパク質であるTsienの「miniSOG」などの、一重項酸素生成タンパク質により、一重項酸素は生成され得る。
【0009】
化学励起刺激物質は、冷光スティック化学(chemistry of cold light sticks)、塩化オキサリルおよび過酸化水素、シュウ酸エステル、ビス(2,4,6-トリクロロフェニル)オキサレート(TCPO)および過酸化水素ならびに他の主要なクラスの過酸化物であり得る。過酸化物は、金属過酸化物、例えば、イオン結合または共有結合された過酸化(O2 2-)基を含む金属含有化合物、例えば、過酸化バリウム、過酸化ナトリウム、過酸化カルシウム、過酸化リチウム、過酸化リチウム、過酸化マグネシウム、過酸化ニッケル、過酸化ニッケル(II)水和物、過酸化亜鉛、もしくは過酸化ストロンチウム、または有機過酸化物、例えば、tert-ブチルヒドロペルオキシド、2,4-ペンタンジオンペルオキシド、2-ブタノンペルオキシド、過酸化ベンゾイル、過酸化ジクミル、ジ-tert-アミルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシド、もしくは過酸化ラウロイル、またはペルオキシ二硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸カリウム、過硫酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム四水和物、もしくは過硫酸ナトリウム、または過酸、例えば、ペルオキシ一硫酸および過酢酸であり得る。
【0010】
化学励起エミッターは、ローダミン101、ローダミンB、アントラセン、2-メトキシ-2,4-ジフェニル-3(2H)-フラノン(MDPF)、臭化エチジウム、ヨウ化プロピジウム、ビス-インターカレート色素であるエチジウムホモ二量体-1、ベンゾオキサゾリウム-4-ピリジニウム二量体-1およびベンゾオキサゾリウム-4-キノリニウム二量体-1、Texas Red、ROX、SYPRO Ruby、2-メトキシ-2,4-ジフェニル-3(2H)-フラノン(MDPF)、Alexa Fluorファミリーの蛍光色素、ならびにローダミン、テリレン、ペリレン、およびフェニルエチルアントラセン由来の他の誘導体であり得る。化学発光化合物は、ビス(2,4,6-トリクロロフェニル)オキサレート(TCPO)、ビス(2,4,5-トリクロロフェニル)オキサレート(2,4,5 TCPO)、ビス(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロピル)オキサレート、ビス[1-(1H)-2-ピリドニル]グリオキサール、ビス(2,4,5-トリクロロフェニル-6-カルボペントキシフェニル)オキサレート(CPPO)、ビス(2,4-ジニトロ-6-メチルフェニル)オキサレート(DNNPO)、ビス(2,14-ジニトロフェニル)オキサレート(DNPO)、ビス(3-トリフルオロメチル 4-ニトロフェニル)オキサレート(TFMNPO)、シュウ酸ジバニリル、ピリドニルグリオキサール試薬、例えば、ビス(1-[1H]-5-ニトロ-2-ピリドニル)グリオキサール(NPG)、無水シュウ酸試薬、例えば、トリフェニル酢酸シュウ酸無水物(TPAOA)、酢酸シュウ酸無水物(AOA)、または水溶性ペルオキシシュウ酸試薬、例えば、ペルオキシオキサミド、2,2'-オキサリル-ビス[(トリフルオロメタンスルホニル)イミノ]エチレン-ビス(N-メチルピリジニウム)トリフルオロメタンスルホネート、および2,2'-オキサリル-ビス[(トリフルオロメタンスルホニル)イミノ]エチレン-ビス(N-メチルピリジニウム)テトラフルオロボレートを含み得る。
【0011】
第2の試薬は、(a)光生成レポーターまたは化学励起エミッターおよび(b)認識要素、でコーティングまたは官能化された粒子の形態であり得る。粒子は、1ミクロン未満または400ナノメートル未満の直径を有し得る。粒子は、バクテリオファージ、ポリマーナノ粒子、金属酸化物ナノ粒子、半金属酸化物ナノ粒子、炭水化物ナノ粒子、多孔性粒子、量子ドット、燐光体、蛍光物質、または光エミッター含有粒子であり得る。一重項酸素または化学励起刺激物質の供給源は、光、電子、電場、光子、またはそれらの組み合わせによって活性化され得る。分子認識要素は、アプタマー、タンパク質、炭水化物または核酸、例えばタンパク質ビーコン、分析物感受性蛍光タンパク質、アロステリック分子ビーコン、ヘアピンペプチドビーコン、分子アプタマービーコン、量子ドットアプタマービーコン、分子ビーコンアプタマー、アロステリック蛍光タンパク質バイオセンサー、または分子スイッチセンサーを含み得る。第1および/または第2の試薬は、光生成レポーターまたは化学励起エミッターが連結されたポリマーを含み得る。ポリマーは、ポリエチレングリコール、炭水化物および双性イオン、またはデンドリマーであり得る。
【0012】
この方法はさらに、サンプルに触媒を投入する工程またはサンプルを熱に供する工程を含み得る。触媒は、サリチル酸ナトリウム、トリプロピルアミン、トリエチルアミン、酢酸ナトリウム、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、シュウ酸、トリクロロ酢酸またはピクリン酸であり得る。
【0013】
化学発光エミッターは、少なくとも1つの化学発光粒子および少なくとも1つの磁性粒子または磁性物質層を含み得る。少なくとも1つの化学発光粒子および少なくとも1つの磁性粒子または磁性物質層をシェルが覆い得る。この方法はさらに、磁場を適用することにより磁性化学発光エミッターを濃縮する工程を含み得る。
【0014】
このアッセイは、定量アッセイであり得る。サンプルは、第1の試薬を含む支持体、例えば、ニトロセルロースを含む多孔性膜、ガラス繊維、綿繊維、マイクロ流体力学チップ、紙、膜、マイクロプレート、マイクロバブル、または透明表面に適用され得る。この方法は、表面結合アッセイ、フロースルーアッセイ、浮力アッセイ、または磁性アッセイであり得る。標的分析物は、多数の他の例の中でも、病原体および病原体の一部、タンパク質、核酸、バイオマーカー、ホルモン、化学物質、生体異物、ならびに環境および食品汚染物質を含み得る。
【0015】
特定の関心対象のアッセイは、ラテラルフローアッセイ(LFA)である。アッセイLFAは、膜を通るまたは膜に沿う流れを用い得る。膜は、不浸透性の裏張りパッドに配置され得る。シグナルは、膜の1つまたは複数の特定の領域に生じ得る。膜は、カートリッジ、例えば使い捨てカートリッジ内に配置され得る。
【0016】
このアッセイは、スマートフォンおよび/または無線伝送による結果の読み取りを用い得る。膜の寸法は、比較的小さい、10 cm2未満~約10 mm2というものまたはそれよりさらに小さいものであり得る。このアッセイは、ブロットなしで行われ得、真空供給が用いられ得、短い完了時間(例えば、サンプルから結果まで30分未満)であり得る。
【0017】
特許請求の範囲および/または明細書において「含む」という用語に関連して使用される場合、「a」また「an」という語の使用は、「1つ」を意味し得るが、「1つまたは複数」、「少なくとも1つ」および「1つまたは2つ以上」の意味でも用いられる。「約」という語は、示されている数字のプラスマイナス5%を意味する。
【0018】
本明細書に記載される任意の方法または組成物は、本明細書に記載される任意の他の方法または組成物によって実現され得ることが想定されている。本開示の他の目的、特徴および利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかし、詳細な説明および個々の実施例は、本開示の具体的態様を示すものであるが、例示の目的で提供されるにすぎず、本開示の精神および範囲内での様々な変更および改変がこの詳細な説明から当業者に明らかになることを理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
以下の図面は、本明細書の一部を形成し、本開示の特定の局面をさらに示すために含まれている。本開示は、本明細書に示される具体的態様の詳細な説明と共にこれらの図面の1つまたは複数を参照することによってより理解され得る。
【0020】
図1】ペルオキシシュウ酸化学を用いて検出抗体および蛍光体を有する化学発光レポーター粒子を励起する化学励起方法。
図2】発光シグナル 対 蛍光粒子数。
図3】(図3A)分析物の存在下。(図3B)分析物の非存在下。
図4】(図4A)分析物が存在する場合のLFAストリップの画像。(図4B)分析物が存在しない場合のLFAストリップの画像。
【発明を実施するための形態】
【0021】
詳細な説明
1. アッセイの特徴
特定の態様にしたがい、本開示は、刺激部分により刺激された部分から光が放射される光ベースのアッセイ、特にリガンド結合アッセイの新形式に関する。刺激部分は、酵素的に生成される一重項酸素を生成するか、または化学励起分子によるものである。特に関心対象となるのは、光放射部分または励起部分のいずれかが分子認識要素と物理的に結合されるラテラルフロー免疫アッセイ形式で実施されるアッセイである。
【0022】
いくつかの態様において、この化学励起法は、過酸化物、ペルオキシシュウ酸エステル、触媒またはエンハンサー、および化学発光レポーターとしての認識要素機能に連結された蛍光体を含み、化学発光レポーターの光の存在は、化学発光レポーターに対する過酸化物およびペルオキシシュウ酸エステルの反応からもたらされるエネルギーにより生じる。化学発光の強度は、分析物を定量するために使用することができる化学発光レポーターの量に対応する。
【0023】
いくつかの態様において、化学発光レポーターは、蛍光体および認識要素の両方でコーティングまたは官能化された粒子の形態であり得る。本願において好ましい粒子は、1ミクロン未満または400ナノメートル未満の直径を有する粒子、ナノ粒子、バクテリオファージ、ポリマーナノ粒子、金属酸化物ナノ粒子、半金属酸化物ナノ粒子、炭水化物ナノ粒子、多孔性粒子、量子ドット、燐光体、蛍光物質、および光エミッター含有粒子を含む。標的分析物の結合すなわちその存在を報告する光の放射を生じるよう、放射部分に刺激部分が適用される。分子認識要素を放射部分ではなく刺激部分に結合させ、放射部分を別に適用することも可能である。本願において好ましいポリマーは、ポリエチレングリコール、炭水化物および双性イオン、デンドリマーを含む。
【0024】
一重項酸素用の特定の刺激部分が照射されたフタロシアニン、および青色光により照射されたときに一重項酸素を生成する、小さな(106残基)蛍光フラボタンパク質であるTsienの「miniSOG」(Shu et al., PLOS Biology, 9(4): e1001041, 2011; doi.org/10.1371/journal.pbio.1001041)。
【0025】
一重項酸素用の個別の放射部分は、HananyaのSOCLプローブ、ならびにPerkin ElmerのAlphaLisa粒子およびAlphaScreen粒子であり、AlphaLisa粒子においてチオキセン、アントラセンおよびルブレン、AlphaScreen粒子においてチオキセンおよびユーロピウムキレートを含む。
【0026】
化学励起用の具体的な刺激部分は、冷光スティック化学、塩化オキサリルおよび過酸化水素、シュウ酸エステル、ビス(2,4,6-トリクロロフェニル)オキサレート(TCPO)および過酸化水素である。過酸化水素に加えて、他の主要なクラスの過酸化物も使用され得、その一部は好都合に固体である。いくつかの態様において、過酸化物は、イオン結合または共有結合された過酸化(O2 2-)基を含む金属含有化合物である金属過酸化物、例えば、過酸化バリウム、過酸化ナトリウム、過酸化カルシウム、過酸化リチウム、過酸化リチウム、過酸化マグネシウム、過酸化ニッケル、過酸化ニッケル(II)水和物、過酸化亜鉛、または過酸化ストロンチウムである。いくつかの態様において、過酸化物は、有機過酸化物、例えば、tert-ブチルヒドロペルオキシド、2,4-ペンタンジオンペルオキシド、2-ブタノンペルオキシド、過酸化ベンゾイル、過酸化ジクミル、ジ-tert-アミルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシド、または過酸化ラウロイルである。いくつかの態様において、過酸化物は、主グループ過酸化物、例えば、ペルオキソ二硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸カリウム、過硫酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム四水和物、または過硫酸ナトリウムである。いくつかの態様において、過酸化物は、過酸、例えば、ペルオキシ一硫酸および過酢酸である。
【0027】
化学励起用の刺激部分は、注ぎもしくは滴下により、または透過性物質に沿ったもしくは透過性物質を通じたウィッキング(wicking)もしくは浸透、もしくは供給源からの滲出物の溶解により、または流れの混合により、放射部分と接触させられる。それらは、使用直前に混合、調製または配合され得る。それらまたはそれらの成分は、例えば、キットまたは組み立てアッセイユニットとして、アッセイ物質、例えばラテラルフロー膜と共にボトルもしくはドロッパーボトルまたはブリスター内で保管され得る。
【0028】
化学励起用の具体的な放射部分は、ローダミン101、ローダミンB、アントラセン、2-メトキシ-2,4-ジフェニル-3(2H)-フラノン(MDPF)、臭化エチジウム、ヨウ化プロピジウム、ビス-インターカレート色素であるエチジウムホモ二量体-1、ベンゾオキサゾリウム-4-ピリジニウム二量体-1およびベンゾオキサゾリウム-4-キノリニウム二量体-1、Texas Red、ROX、SYPRO Ruby、2-メトキシ-2,4-ジフェニル-3(2H)-フラノン(MDPF)、Alexa Fluorファミリーの蛍光色素、ならびにローダミン、テリレン、ペリレンおよびフェニルエチルアントラセン由来の他の誘導体、ならびに天然由来色素、例えば、クロロフィル、緑色蛍光タンパク質(GFP)、および他の蛍光タンパク質である。
【0029】
いくつかの態様において、化学励起用の放射部分は、二元化合物、セレン化カドミウム、セレン化鉛、硫化カドミウム、硫化鉛、リン化インジウム、テルル化カドミウムおよびヒ化インジウムから製造される量子ドットを含む。いくつかの態様において、量子ドットはまた、三元化合物、例えば、硫セレン化カドミウムから製造され得る。量子ドットはまた、重金属、例えばCuInS/ZnSおよびInP/ZnSを含まないで製造され得る。
【0030】
いくつかの態様において、化学励起用のペルオキシシュウ酸試薬は、ビス(2,4,6-トリクロロフェニル)オキサレート(TCPO)、ビス(2,4,5-トリクロロフェニル)オキサレート(2,4,5 TCPO)、ビス(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロピル)オキサレート、ビス[1-(1H)-2-ピリドニル]グリオキサール、ビス(2,4,5-トリクロロフェニル-6-カルボペントキシフェニル)オキサレート(CPPO)、ビス(2,4-ジニトロ-6-メチルフェニル)オキサレート(DNNPO)、ビス(2,14-ジニトロフェニル)オキサレート(DNPO)、ビス(3-トリフルオロメチル4-ニトロフェニル)オキサレート(TFMNPO)、シュウ酸ジバニリルである。
【0031】
いくつかの態様において、化学励起用のピリドニルグリオキサール試薬は、例えば、ビス(1-[1H]-5-ニトロ-2-ピリドニル)グリオキサール(NPG)が使用される。
【0032】
いくつかの態様において、化学励起用の無水シュウ酸試薬は、例えば、トリフェニル酢酸シュウ酸無水物(TPAOA)、酢酸シュウ酸無水物(AOA)が使用される。
【0033】
いくつかの態様において、化学励起用の水溶性ペルオキシシュウ酸試薬は、例えば、ペルオキシオキサミド:
2,2'-オキサリル-ビス[(トリフルオロメタンスルホニル)イミノ]エチレン-ビス(N-メチルピリジニウム)トリフルオロメタンスルホネート、および
2,2'-オキサリル-ビス[(トリフルオロメタンスルホニル)イミノ]エチレン-ビス(N-メチルピリジニウム)テトラフルオロボレート
が使用される。
【0034】
化学励起の改変は、以下を含む:
有機溶媒、例えば、フタル酸ジエチル、ジメトキシエタン、ジオキサン、DMSO、DMF、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、トリアセチン、ドデカン、シロキサン、オリーブ油、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール(MMB)、PEG-400、グリセロールおよび炭酸プロピレン中、または
界面活性剤、ミセルもしくは逆ミセルを含む溶媒中
に溶解された刺激部分。
【0035】
いくつかの態様において、反応は、触媒、例えば、サリチル酸ナトリウム、トリプロピルアミン、トリエチルアミン、酢酸ナトリウム、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、シュウ酸、トリクロロ酢酸、ピクリン酸により促進される。
【0036】
いくつかの態様において、混和性を促進するために共溶媒が使用される。いくつかの態様において、共溶媒は、メタノール、tert-ブタノールを含む。
【0037】
放射部分は、粒子に付着させてさらに分子認識物質に付着させるか、または分子認識物質に直接付着させた。
【0038】
インターカレート色素が刺激されて放射を行うようにする、二本鎖DNAインターカレーションからのインターカレート色素の遊離、例えば、抗体上の標識として使用されるヌクレアーゼのアッセイ。刺激部分により励起可能な色素から同法で励起可能でない他の色素(または燐光体)へのFRETは、光源または光学フィルターを用いない近接測定および均一系アッセイを可能にし得る。
【0039】
いくつかの態様において、光シグナルは、エミッターを活性化させることができる化学的に励起される種または放射線化学的な放射を含む電磁気照射以外のエネルギー源とエミッターを接触させることにより生成される。
【0040】
いくつかの態様において、本開示の化学発光レポーターは、レポーターが水中または水溶液中で容易に分散するよう、ポリ(エチレングリコール)または親水性ポリマー等の水溶性部分でコーティングまたは官能化され得る。いくつかの態様において、化学発光レポーターは、分析アッセイまたは試験において非特異的結合を減少させる部分でコーティングまたは官能化され得る。
【0041】
いくつかの態様において、本開示の化学発光レポーターは、分子認識要素、例えば、抗体またはアプタマーで修飾され得る。いくつかの態様において、分子認識要素は、化学発光レポーターに共有結合により付加され得る。
【0042】
いくつかの態様において、分子認識要素は、化学発光レポーターに非共有結合により、例えば、物理的吸着、受容体・リガンド結合により、付加され得る。
【0043】
いくつかの態様において、本開示は、サンプル内の少なくとも1つの分析物の検出方法に関する。そのような方法は、化学発光レポーターを提供する工程を含む。いくつかの態様において、この方法はさらに、化学発光レポーターをサンプルに接触させる工程を含む。いくつかの態様において、この方法は、化学発光レポーターの化学発光シグナルを検出する工程を含む。いくつかの態様において、この方法は、分析物の存在を決定する工程および検出された化学発光シグナルに基づき分析物を定量する工程を含む。
【0044】
いくつかの態様において、本開示は、サンプル中の少なくとも1つの分析物のインビトロ検出方法に関する。そのような方法は、化学発光レポーターを提供する工程を含む。いくつかの態様において、この方法はさらに、化学発光レポーターを多孔性物質に積載させる工程を含む。いくつかの態様において、この方法は、化学発光レポーターを積載した多孔性物質とサンプルを接触させる工程を含む。いくつかの態様において、この方法は、サンプルおよび化学発光レポーターを、多孔性膜を通して流す工程を含む。いくつかの態様において、この方法は、膜上で化学発光シグナルの領域または化学発光シグナルの非存在を検出し、少なくとも1つの分析物の存在または非存在を示す工程を含む。
【0045】
いくつかの態様において、本開示は、サンプル中の少なくとも1つの分析物のインビトロ検出方法に関する。そのような方法は、化学発光レポーターを提供する工程;および表面上に固定化された少なくとも1つの第1の分子認識要素を提供する工程を含み、固定化された分子認識要素は、少なくとも1つの分析物に結合することができる。いくつかの態様において、この方法はさらに、サンプルを表面と接触させて、少なくとも1つの分析物を分子認識要素に結合させ、それによって分析物を固定化する工程を含む。いくつかの態様において、この方法は、化学発光レポーターを表面と接触させて、少なくとも1つの固定化された分析物に化学発光レポーターを結合させる工程;および化学発光レポーターからの化学発光シグナルを測定して分析物の検出または定量を行う工程を含む。
【0046】
いくつかの態様において、表面は、マイクロ流体力学チップ、または紙製マイクロ流体力学装置、または膜、またはマイクロプレート、または浮上分離のためのマイクロバブル、または透明表面を含む。いくつかの態様において、化学発光レポーターは、少なくとも1つの無機化学発光粒子、少なくとも1つの化学発光粒子を覆うシェル、およびシェル上に配置された第2の分子認識部分を含む。いくつかの態様において、第2の分子認識部分は、少なくとも1つの固定化された分析物に結合して、化学発光シグナルを生成する。
【0047】
いくつかの態様において、本開示は、磁性化学発光レポーターに関連する。いくつかの態様において、磁性化学発光レポーターは、少なくとも1つの無機化学発光粒子を含む。いくつかの態様において、磁性化学発光レポーターは、少なくとも1つの無機化学発光粒子を覆うシェルおよびシェル上に配置された少なくとも1つの磁性部分を含む。いくつかの態様において、磁性化学発光レポーターは、シェル上に配置された少なくとも1つの分子認識部分を含む。いくつかの態様において、無機化学発光粒子は、化学発光レポーターのコアを形成する。
【0048】
いくつかの態様において、磁性化学発光レポーターは、少なくとも1つの化学発光粒子および少なくとも1つの磁性粒子または磁性物質層を含む。いくつかの態様において、少なくとも1つの化学発光粒子および少なくとも1つの磁性粒子または磁性物質層をシェルが覆う。いくつかの態様において、磁性化学発光レポーターは、シェル上に配置された少なくとも1つの分子認識部分を含む。いくつかの態様において、無機化学発光粒子および少なくとも1つの磁性粒子または磁性層は、化学発光レポーターのコアを形成する。
【0049】
いくつかの態様において、本開示は、サンプル中の少なくとも1つの分析物の検出方法に関する。そのような方法は、磁性化学発光レポーターを提供する工程を含む。いくつかの態様において、磁性化学発光レポーターは、少なくとも1つの無機化学発光粒子および少なくとも1つの磁性粒子または磁性物質層を含む。いくつかの態様において、磁性化学発光レポーターはさらに、少なくとも1つの無機化学発光粒子および少なくとも1つの磁性粒子または磁性物質層を覆うシェルを含む。いくつかの態様において、レポーターは、シェル上に配置された分析物に特異的な少なくとも1つの第1の分子認識部分を含む。
【0050】
いくつかの態様において、この方法はさらに、上記の磁性化学発光レポーターをサンプルに接触させる工程を含む。いくつかの態様において、この方法は、磁場の使用により磁性化学発光レポーターを濃縮する工程を含む。いくつかの態様において、この方法は、濃縮された磁性化学発光レポーターを表面と接触させる工程を含む。いくつかの態様において、表面は、分析物に特異的な少なくとも1つの第2の分子認識部分で官能化される。
【0051】
いくつかの態様において、この方法はさらに、磁性化学発光レポーターの化学発光シグナルを検出する工程;および検出された化学発光シグナルに基づき分析物の存在を決定するまたは分析物を定量する工程を含む。いくつかの態様において、第1の分子認識部分は、化学発光シグナルを生成するよう少なくとも1つの分析物に結合する。
【0052】
さらなる態様において、本開示は、様々な状況、例えば診断状況において化学発光レポーターを検出する方法に関する。いくつかの態様において、この方法は、化学発光レポーターからの化学発光シグナルの検出を伴う。いくつかの態様において、化学発光レポーターからの化学発光シグナルは、化学発光レポーターの励起によって検出され得る。様々な態様において、化学発光レポーターは、電子、電場、光子およびそれらの組み合わせによって励起され得る。いくつかの態様において、化学発光は、波長選択機構を用いて励起と同時に検出され得る。いくつかの態様において、化学発光シグナルは、熱の適用によって強化され得る。
【0053】
いくつかの態様において、化学発光シグナルは、アッセイにおいてシグナルを、フィルムベースまたはデジタルカメラ(例えば、CMOS、CCDもしくは他のタイプのセンサーを有するデジタルカメラ)を用いた画像化により定量的または定性的に得るために使用される。いくつかの態様において、化学発光シグナルは、ルミノメーター、蛍光光度計、分光光度計または光の強度を測定することができる他の同様の機器を用いて測定され得る。
【0054】
いくつかの態様において、携帯電話、スマートフォンまたはポータブル電子機器、例えば、非限定的に、タブレット、パーソナルデジタルアシスタントまたはラップトップが、定性的または定量的なアッセイ読み取りのために化学発光レポーターからの化学発光を検出するために使用され得る。いくつかの態様において、携帯電話またはポータブル電子機器は、サンプル中の分析物の存在または非存在について試験するための化学発光レポーターからの化学発光検出を可能にする付属装備に接続され得る。
【0055】
いくつかの態様において、本開示は、化学発光レポーターの検出を強化する方法に関する。いくつかの態様において、分析物の存在または非存在を検出するためのアッセイにおいて使用される化学発光レポーターからの化学発光シグナルのより高いシグナル対ノイズ比を達成するために、平均化技術が使用される。
【0056】
いくつかの態様において、本開示の化学発光レポーターは、様々なアッセイ状況において利用され得る。いくつかの態様において、アッセイ状況は、非限定的に、ラテラルフロー、表面結合アッセイ、フロースルーでのアッセイ、浮揚性物質に関連するアッセイ、または濃度もしくは力のストリンジェンシーのための磁性物質に関連するアッセイを含み得る。いくつかの態様において、本開示は、化学発光レポーターおよび多孔性膜、例えば、非限定的に、ニトロセルロース、ガラス繊維および綿繊維を含む組成物に関する。いくつかの態様において、化学発光レポーターおよび多孔性膜を含む組成物は、分析物の検出のためのアッセイにおいて使用される。
【0057】
いくつかの態様において、PCRは、光によってではなく、化学的に励起される蛍光の放射によってモニタリングされる。使用される蛍光体は、それらの化学励起を妨げるより多くの二本鎖産物をPCRが生成するにつれてより明るさを失うインターカレート色素であり得、またはそれらはTaqmanアッセイにおけるようにヌクレアーゼ作用により脱クエンチされ得る。増幅は、PCRによるものであり得るが、他の方法、例えば(例えば、加水分解プローブを用いる)RPA、NASBA、LAMPまたはHDAであり得る。
【0058】
1つの態様において、プロテアーゼ活性は、蛍光体およびクエンチ剤もしくはクエンチ物質または表面に結合したペプチドまたはタンパク質のタンパク質分解後に化学的に励起される蛍光体の放射により報告される。
【0059】
1つの態様において、分子認識要素に結合されたヌクレアーゼ、プロテアーゼ、カルボヒドラーゼまたはオキシドレダクターゼが、分子認識要素の標的を検出するために使用される。この酵素は、その化学的環境が酵素の作用により変化する蛍光体の放射の変化により標的の存在を報告する。
【0060】
1つの態様において、ヌクレアーゼ、例えば、ベンゾナーゼに連結された検出抗体を用いて酵素標識免疫アッセイが行われる。シグナルは、インターカレート蛍光色素が結合された核酸および化学励起試薬を含む溶液に検出抗体を接触させることにより得られる。
【0061】
1つの態様において、2つの抗体が標的を含むサンドイッチ対を形成することができる抗体にその各々を連結させることによる、化学的に励起される蛍光体から同じ環境で化学的に励起されないものへのエネルギーの伝達により、免疫アッセイが行われる。標的の存在下で、それらは、エネルギー伝達が起こるのに十分接近し、アクセプター蛍光が観察される。このアプローチは、ミックス・アンド・リード(mix and read)型均一系免疫アッセイの基礎として機能し得る。
【0062】
抗体に連結されたminiSOG等のタンパク質一重項酸素発生体は、AlphaLisaシステムにおいて酸素生成粒子と置き換わることができる。
【0063】
特に関心対象となる態様は、ニトロセルロース、シリカまたは他の可湿性および透過性物質から構成される膜またはフィルターと共に、一重項酸素または化学励起により励起可能な蛍光レポーター(例えば、シリカ、無機、ラテックス、ポリマー、アクリル、金または炭水化物粒子、QDot、抗体コンジュゲート、ファージ等)をレポーター粒子として用いるラテラルまたはバーチカルフローアッセイの実施である。
【0064】
複数の蛍光体の化学励起は、低減した設備の複雑さおよび/または様々なレポーターへのアクセス容易性を伴って、並行または多重の分析的または診断的試験を支え得る。
【0065】
1つの態様において、化学物質または一重項酸素励起による放射は、眼または化学的もしくは電気的検出装置に送達される光子の数を最大化することにより検出性を向上させる持続性発光物質により部分的に捕捉される。
【0066】
1つの態様において、容器の素材はまた、分析物の濃度の決定において有用な波長の光を選択的に伝達しつつ、分析物の濃度の決定においてほぼ有用でない波長の光を吸収する役割を果たす。
【0067】
放射は、肉眼により、スマートフォンのカメラにより、cMOS、APD、CCD、PMT、フィルムもしくはフォトダイオードにより、またはIRビューワ、マイクロチャネルデバイスもしくは画像増強装置による増強により、観察され得る。
【0068】
1つの態様において、分析物の存在は、例えば、放射された光を捕捉する色素の存在下、またはエネルギー移動もしくは化学励起もしくは発光を抑制する競合部分の存在下で、検出装置により近いまたは検出装置からより遠い、分析物の検出性が強化または低下される場所への、画像化部分の配置または移転を誘導する。
【0069】
II. 関心対象の分析物および供給源
本明細書に開示される方法および組成物は、様々な検体から関心対象の様々な分析物を検出するために利用され得る。例えば、いくつかの態様において、関心対象の分析物は、非限定的に、核酸、例えば、ゲノムDNA、メチル化DNA、特定のメチル化DNA配列、メッセンジャーRNA、断片化DNA、染色体DNA、ミトコンドリアDNA、胎児DNA、胎児RNA、rDNA、cDNA、断片化RNA、断片化mRNA、rRNA、ウイルスRNA、siRNA、マイクロRNA、SSU RNA、LSU-rRNA、5S rRNA、rRNA遺伝子クラスター由来のスペーサー領域DNA、5.8S rRNA、4.5S rRNA、10S RNA、RNAseP PNA、ガイドRNA、テロメラーゼRNA、snRNA、例えば、U1 RNA、scRNA、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)産物、cpDNA、人工RNA、プラスミドDNA、オリゴヌクレオチド、ポリA mRNA、RNA/DNAハイブリッド、病原体DNA、病原体RNA、複製タンパク質A(RPA)増幅産物、ループ介在等温増幅産物(LAMP)、制限フラグメント、YAC、BAC、コスミド、代謝産物、代謝中間体、ホルモン(例えば、インスリン、テストステロンおよびHCG)、オルガネラ、バイオマーカー、脂質、炭水化物、病原体炭水化物またはタンパク質、ヒトタンパク質、糖タンパク質、リポタンパク質、リンタンパク質、タンパク質の特定のリン酸化またはアセチル化変種、またはウイルスコートタンパク質、細胞表面受容体、ペプチド、薬物、胞子、酵素基質、酵素、および酵素反応産物、炭疽菌胞子、タイコ酸、プリオン、化学毒素(例えば、農薬、アトラジンおよびジゴキシン)、ならびに他の化学兵器または防衛用物質、生物兵器物質、または汚染物質、侵入植物または動物種、農薬および除草剤、設備または表面の清掃後に残る残留物、トコジラミタンパク質、トコジラミ、遺伝子操作植物または動物、毒素、病原体に特徴的なタンパク質を含む。
【0070】
検出または定量される分析物は、様々な供給源から単離され得る。例えば、いくつかの態様において、分析物は、細胞、組織または体液、例えば、生検体、血液、血清、血漿、便、唾液、汗、痰、嘔吐物、CSF、洗浄液、涙液、眼液、細胞通過液、尿道または膣分泌物、病巣または炎症領域からの滲出液、鼻洗浄液、鼻スワブ、喉スワブ、尿、毛髪、細胞溶解産物、循環腫瘍細胞、FNAB細胞、FACS画分、免疫磁気単離物、空気ろ過物、FFPE切片、新鮮冷凍検体、新鮮な組織、凍結組織、中性ホルマリン処理組織、ホルマリン固定パラフィン包埋組織ブロック、エタノール固定パラフィン包埋組織ブロック、手術部位、FACS選別集団、レーザーキャプチャーマイクロダイセクション画分、磁気分離部分集団、FFPE抽出物から単離され得る。いくつかの態様において、分析物は、土壌、大気または水、農産物(穀物、種子、植物、肉、家畜、野菜、胃内容物、ミルク等);汚染された液体;表面かき取りまたはスワブ物;バイオフィルム、細胞培養物、医薬品培養物、CHO細胞培養物、細菌培養物、ウイルス感染培養物、微生物コロニー、およびそれらの組み合わせ由来の環境サンプルから入手され得る。いくつかの態様において、サンプル供給源全体が分析され得る。いくつかの態様において、サンプル供給源の一部のみが分析され得る。
【0071】
いくつかの態様において、検出される分析物は、衣類、靴、衣服、個人用防護具および個人用設備、または他の装備、浴室、軍事関係、農業または食品製造施設近辺または付近の設備または物体の表面または構成要素から入手され得る。いくつかの態様において、検出される分析物は、違法物もしくは危険物の混入が疑われる物体の任意の表面もしくは構成要素から入手され得るまたは違法物もしくは危険物の製造に関連する分析物であり得る。
【0072】
III. サンプルの調製
様々な態様において、アッセイは、1つまたは複数のサンプル調製工程を含み得る。いくつかの態様において、サンプル調製工程は、様々なサンプル調製物質を利用し得る。いくつかの態様において、サンプル調製は、非限定的に、関心対象の分析物の濃縮(concentrating)、濃縮(enriching)および/または部分精製を含み得る。例えば、いくつかの態様において、サンプルは、遠心分離、沈降、分画、フィールドフロー分画、エルトリエーション、モノリシック分離、抽出、吸着、プロテアーゼ、ヌクレアーゼ、透析、浸透、緩衝液交換、分割、洗浄、脱ろう、滲出、溶解、オスモリシス(osmolysis)、増幅、変性/再生、結晶化、凍結、解凍、冷却/加熱、脱気、超音波処理、加圧、乾燥、磁気泳動、電気泳動、誘電泳動、音響泳動、沈殿、マイクロカプセル化、滅菌、オートクレーブ、発芽、培養、PCR、組織の分解、FFPEからの抽出、LAMP、NASBA、エマルジョンPCR、フェノール抽出、シリカ吸着、固定化金属親和性クロマトグラフィー(IMAC)、ろ過、親和性捕捉、大ボリュームの希釈液供給源からの捕捉、空気ろ過、外科生検、FNA、フローサイトメトリー、レーザーキャプチャーマイクロダイセクション、およびそれらの組み合わせにより前処理され得る。
【0073】
いくつかの態様において、サンプル調製は、非限定的に、フィルターを用いた液体または気体環境由来の様々な濃度の希釈種の使用、複合的な血液サンプルからの細胞のサブセットの単離、関心対象の分析物を遊離させる細胞の分解、固体サンプルからの分析物の抽出、または後の分析と干渉し得る液体および粒子の除去を含み得る。
【0074】
いくつかの態様において、サンプル調製は、検出される分析物の増幅を伴い得る。例えば、増幅は、核酸を増幅するポリメラーゼ連鎖反応もしくはプリオンタンパク質を増幅する核形成連鎖反応(nucleation chain reaction)の使用、または生物の生育を含み得る。分析物の検出性を増幅する別の方法は、生体分子の集合物、例えば、アクチンフィラメントまたは免疫複合体を成長させることである。別の方法は、分析物の要素として(例えば、泡、結晶または重合の)核形成物質を使用することである。利用可能な場合、これらの方法は、その後の分析を大きく促進し得る。
【0075】
本開示の分析物は、様々な様式で修飾され得る。いくつかの態様において、分析物は、標識、連結、メチル化、エステル化、脱リン酸化、リン酸化、アセチル化、脱アセチル化、メチル化、脱メチル化、変性、酸化、連結、ハロ酢酸修飾、孵化、成長、脱嚢、継代、培養、脱ブロッキング、タンパク質分解、ヌクレアーゼ消化、cDNA調製、増幅、DNAボール調製、PEG化、クローン増幅、多重化、荷電強化、ハイブリダイゼーション、抗体結合、吸着、アプタマー結合、光連結、還元、酸化、およびそれらの組み合わせにより修飾され得る。
【0076】
IV. アッセイ試薬
いくつかの態様において、本開示の分析物は、様々な蛍光体を用いるアッセイにより検出され得る。蛍光体はまた、ナノ粒子、金粒子、銀粒子、銀、銅、亜鉛、鉄、酸化鉄、または他の金属コーティングまたは堆積物、ポリマー、ドラッグタグ、磁性粒子、浮揚性粒子、マイクロバブル、金属粒子、荷電部分、不純物(例えば、石英、ガラス等)を含むおよび含まない、二酸化ケイ素、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリイミド、窒化ケイ素、金、銀、量子ドット、CdS、カーボンドット、燐光体、例えば銀活性化硫化亜鉛またはドープされたアルミン酸ストロンチウム、蛍光体、クエンチャー、ポリマー、PMMA、ポリスチレン、リトロリフレクター、バーコードまたは標識粒子、多孔性粒子、薄膜粒子、固形粒子、ナノシェル、ナノロッド、IR吸収体、マイクロ波吸収体、マイクロスフィア、リポソーム、マイクロスフィア、重合開始剤、光グラフト試薬、タンパク質、分子認識要素、リンカー、自己集合性単層、PEG、デンドリマー、電荷調整剤、PEG、シランカップリング剤、標識表面からのポリマーグラフトからの成長の開始剤、安定化コーティング、双性イオン、双性イオン性ペプチド、双性イオン性ポリマー、磁性物質、200℃以下のキュリー温度の磁性物質、酵素、微生物ナノワイヤ、アプタマー配列を含むDNA、伝導性に関して改変されたファージ、検出可能な要素と分子認識要素の融合体またはコンジュゲート、ストレプトアビジン、ニュートラアビジン、アビジン、またはビオチン結合タンパク質、ビオチン、ビオチニル化分子、ビオチニル化ポリマー、ビオチニル化タンパク質、抗抗体アプタマー、抗体結合タンパク質に対するアプタマー、アジドまたは末端アルキンまたは他のクリックケミストリー関連物質、なおよびそれらの組み合わせを含む、標識の一部であり得る、そのすべてであり得る、それに結合され得る、またはそれに付加され得る分子認識要素に付加され得る。いくつかの態様において、レポーターの表面は、分子認識要素の共有結合付加により修飾される。いくつかの態様において、レポーターの表面は、コロイド安定性または分子認識のための分子の吸着により修飾される。
【0077】
いくつかの態様において、アッセイ要素は、それらの表面上で様々な官能基により官能化され得る。いくつかの態様において、アッセイの構成要素は、分析アッセイまたは試験において非特異的結合を減少させる部分でコーティングまたは官能化され得る。例示的な官能基は、非限定的に、アミン基、カルボキシル基、アルデヒド、ケトン、ヒドロキシル、マレイミド基、スルフヒドリル基、チオール、ヒドラジド、アンヒドリド、アルケン、アルキン、アジド、およびそれらの組み合わせを含む。いくつかの態様において、アッセイ要素は、抗体のFc部分において多糖を過ヨウ素酸で酸化することにより生成される抗体上のアルデヒドに連結され得る。さらなる態様において、プロテインAまたは抗体のFc部分に特異的に結合する他のタンパク質がアッセイ要素に付加され得、ついで方向づけられた様式で抗体に結合するために使用され得る。
【0078】
いくつかの態様において、本開示のアッセイ要素は、様々なアッセイ構成で利用され得る。いくつかの態様において、アッセイ構成は、サーマルサイクラー、インキュベーター、電気化学セル、ラテラルフロー媒体、マイクロタイターウェル、表面結合アッセイ、フロースルーアッセイ、浮揚性物質に関連するアッセイ、リロケーションアッセイ、ナノポア、超光伝送のための直径120 nm未満の穴を有するプラズモン層、マイクロチャネル、マイクロドロップレット、ナノウェル、または濃度もしくは力のストリンジェンシーのために磁性物質を用いるアッセイを含み得る。いくつかの態様において、本開示は、アッセイ要素および多孔性膜、例えば、非限定的に、ニトロセルロース、ガラス繊維および綿繊維を含む組成物に関する。
【0079】
V. 分子認識要素(MRE)
本発明における関心対象のものを含む、多くの分析方法は、分子認識、および使用可能なシグナルへの分子認識イベントの変換を伴う。分子認識は、特定の化合物種が相互に対してまたは標的化合物種を提示する生物もしくはウイルスに対して結合する高親和的かつ特異的な傾向を表す。分子認識の周知の例は、非常に高い親和性でのよく知られた二本鎖ヘリックス構造への相補的DNA配列のハイブリダイゼーション、および哺乳類により産生される抗体による血流中での外来生物もしくは分子のまたは人為的に選択されたモノクローナル抗体による選択された分析物の認識を含む。分子認識要素の他の例は、レクチンによる炭水化物分子の認識、タンパク質および核酸アナログによる核酸の認識、抗体フラグメント、誘導体およびアナログによる分析物の結合、ならびに多くの他の例を含めて、多数存在する。
【0080】
いくつかの態様において、本開示の標識要素もまた、様々な分子認識要素に結合され得る。いくつかの態様において、分子認識要素は、標識の一部分であり得る、標識に結合され得る、または標識に付加され得る。いくつかの態様において、分子認識要素は、非限定的に、抗体、抗体フラグメント、抗体アナログ、アフィボディ、ラクダまたはサメ抗体アナログ、核酸、炭水化物、アプタマー、リガンド、キレーター、ペプチド核酸、ロックド核酸、骨格修飾核酸、DARPin、分子的にインプリントされたポリマー、レクチン、パドロックプローブ、基質、受容体、ウイルスタンパク質、混合物、cDNA、金属キレート、ボロン酸塩、ペプチド、酵素基質、酵素反応産物、脂質二重層、細胞、組織、微生物、酵母、細菌、寄生生物、原生生物、ウイルス、抗原、ハプテン、ビオチン、ホルモン、薬物、抗RNA/DNAハイブリッド抗体、mutS、抗DNA抗体、抗メチル化抗体、または抗リン酸化抗体を含み得る。
【0081】
VI. 共有結合修飾剤
いくつかの態様において、アッセイは、触媒性または反応性部分であり得る共有結合修飾剤を用いる。いくつかの態様において、共有結合修飾剤は、鋳型生成要素として機能する。鋳型生成要素は、タンパク質、例えば、核酸修飾酵素であり得る。これらの酵素は、非限定的に、リガーゼ、ヘリカーゼ、メチラーゼ、キナーゼ、デメチラーゼ、デホスホリラーゼ、ホスファターゼ、RNase H、ポリメラーゼ、エキソヌクレアーゼまたはエンドヌクレアーゼを含む。共有結合修飾剤は、ビオチンリガーゼ、SUMO化酵素、ソルターゼ、またはユビキチンリガーゼ、リポイルタンパク質リガーゼ、またはリポ酸リガーゼを含み得る。共有結合修飾剤は、粒子、表面、細胞、またはファージに結合され得る、それらにおいて発現され得る、それらに連結され得る、またはそれらに提示され得る。化学的共有結合修飾剤は、クリック試薬、アルデヒド、架橋剤、担持金属、例えば、金および白金、ならびに光反応性部分を含む。
【0082】
VII. 増幅またはシグナル強化方法
アッセイは、使用可能なシグナルにより検出される分子認識イベントを含む。特定の態様において、シグナルは、分析物、分子認識要素、それらのいずれか1つに結合された標識、またはそのような標識の構成要素に対して作用し得るシグナル強化方法により増幅または強化され得る。
【0083】
本明細書で議論される多くの出願は、分析物の検出が関心対象の特定の領域におけるまたは関心対象の特定の領域内での分析物へのレポーターの直接結合を伴い、関心対象の領域からのシグナルの増加が正のシグナルを示すアッセイに言及している。別の態様において、分析物を検出する読み取り方法は、分析物の非存在下で予想される位置とは異なる位置における標識の存在または非存在の決定による。特に関心対象となるのは、結合(または結合の抑制、または競合)がシグナルの存在または非存在のもととなるアッセイである。例えば、燐光標識は、分析物の存在により、事前に特定された領域から移動し得、その後、その領域からの発光の減少またはそれ以外の場所での発光の増加が正のシグナルを示し得る。いくつかの態様において、発光は、フィルムベースまたはデジタルカメラ(例えば、CMOS、CCDもしくは他のタイプのセンサーを有するデジタルカメラ)を用いる画像化によりアッセイにおいて定量的または定性的にシグナルを得るために使用される。いくつかの態様において、発光は、ルミノメーター、蛍光光度計、PMT、アバランシェフォトダイオード、分光光度計または光の強度を測定することができる他の同様の機器を用いて測定され得る。
【0084】
いくつかの態様において、シグナル増幅または強化法は、孵化、生育、PCR、固相PCR、RPA、LATE、EATL、RCA、LAMP、3SR、LCR、SDA、MDA、HDA、またはホットリスタート増幅、固相RCA、銀染色、金属堆積またはプレーティング、ニッケル、銅または亜鉛堆積、金粒子成長、重合、粒子結合、グラフティング、光グラフティング、クリック化学、アジドと末端アルキンの間の銅(I)触媒1,2,3-トリアゾール形成反応、ならびにそれらの組み合わせを含み得る。
【0085】
いくつかの態様において、分子認識要素は、タンパク質ビーコン、分析物感受性蛍光タンパク質、アロステリック分子ビーコン、ヘアピンペプチドビーコン、分子アプタマービーコン、量子ドットアプタマービーコン、分子ビーコンアプタマー、アロステリック蛍光タンパク質バイオセンサー、または分子スイッチセンサーを含む。
【0086】
いくつかの態様において、レポーター、例えば、化学発光活性酵素、蛍光体、または燐光体からの発光シグナルは、光学センサー、例えば、非限定的に、電荷結合デバイス(CCD)センサー、CCDイメージセンサー、相補性金属酸化膜半導体(CMOS)センサー、CMOSイメージセンサー、カメラ、携帯電話カメラ、フォトダイオード、アバランシェフォトダイオード、単一光子アバランシェダイオード、超伝導ナノワイヤ単一光子検出装置、フォトレジスタ、光電子増倍装置、光電子増倍管(PMT)、光電管、光電子放出セル、フォトスイッチ、フォトトランジスタ、フォトニック結晶、光ファイバーセンサー、電子光学センサー、ルミノメーター、または蛍光光度計により読み取りまたは検出され得る。いくつかの態様において、標識要素からの発光シグナルは、光化学反応、例えば写真フィルムにおいて起こるそれら、から読み取られ得、検出され得、または推測され得、光化学反応は、標識要素からの発光により刺激または開始される。いくつかの態様において、標識要素からの発光シグナルは、裸眼により視覚的に、または光増幅または増強装置の支援の下で読み取りまたは検出され得る。
【0087】
いくつかの態様において、携帯電話、スマートフォンまたはポータブル電子機器、例えば、非限定的に、タブレット、パーソナルデジタルアシスタントまたはラップトップが、定性的または定量的アッセイ読み取りのためにレポーターからのシグナルを検出するために使用され得る。いくつかの態様において、携帯電話またはポータブル電子機器は、サンプル中の分析物の存在または非存在を検出または試験するための付属装備に接続され得る。いくつかの態様において、分析物の存在または非存在を検出するためのアッセイにおいてより高いシグナル対ノイズ比の検出法を達成するために、平均化技術が使用される。
【0088】
VIII. 特異性の強化
いくつかの態様において、分析物の検出の特異性は、化学的または物理的手段による非特異的に結合した標識の除去を通じて強化され得る。いくつかの態様において、化学的な除去手段は、変性剤、温度、酸、塩基、オスモライト、界面活性剤、ポリマーおよび溶媒を含む。いくつかの態様において、物理的な除去手段は、力、振動、浮力、洗浄、遠心分離、沈殿、フィールドフロー、磁力、電気泳動力、誘電泳動力、超音波、および横圧(lateral force)を含む。いくつかの態様において、除去手段に対する感受性は、除去手段に対して特に反応する部分、例えば、電気泳動または沈殿ベースの除去の場合は、荷電または高密度部分、の組み込みによって強化され得る。
【0089】
IX. 分析の場所
様々な場所が、サンプルの分析に使用され得る。いくつかの態様において、単独でまたは組み合わせて使用され得る分析工程の場所は、マイクロタイタープレート、チューブ、粒子またはビーズの表面、ナノウェルアレイ、フローインジェクション分析装置、マイクロ流体力学チップ、導電性表面、温度管理環境、加圧チャンバー、オーブン、照射チャンバー、電気泳動、フィールドフローおよびクロマトグラフィー装置、顕微鏡台、ルミノメーター、コールター原理デバイス、カンチレバーおよびFETセンサー、減圧チャンバー、電子光学装置、単一分子検出装置、単一分子蛍光検出装置、ナノ孔、電極またはピラーを有する表面、エマルジョン、ラテラルフロー膜、フロースルー膜、ラテラルフローアッセイリーダー、フロースルーアッセイリーダー、ゲルドキュメンテーションシステム、ロボット装置、ならびにそれらの組み合わせを含む。回転流動デバイスまたは高速電子もしくは機械シャッターは、発光が時間と共に減少する前にそれを検出することにより感度を強化する。フローインジェクション分析、「Lab on a chip」および「Lab on a CD」アプローチが、いくつかの態様において望まれ得る。いくつかの態様において、追加の方法を行う前に1つの方法の結果を用いてもしくは1つの方法の結果に基づきサンプルを分類する、または複数の方法の結果をまとめて解釈することによりのいずれかで、2つ以上のタイプの分析を連続で行うことが有利であり得る。
【0090】
1つの態様において、アッセイは、特定の核酸配列を検出するために使用され得る。核酸は、その用途に依存して様々なサンプル型、例えば、癌診断の場合は腫瘍細胞溶解産物から検出され得る。分析物である核酸は、MREとして機能する別の核酸によって認識され得る。MRE核酸は、CMS、例えば、リガーゼまたはヘリカーゼに物理的に結合される。アッセイ構成要素は、リガーゼまたはヘリカーゼが、分析物である核酸に対するMRE核酸の分子認識に特異的に関連するテンプレートを生成するように、添加される。これらのテンプレートは、その後、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、等温PCR、ループ介在等温増幅(LAMP)、または複製タンパク質A(RPA)増幅による増幅工程に供され、この増幅シグナルが適切な手段によって検出される。アッセイ要素は、分析物に特異的なサンプル由来の相補鎖の一部にハイブリダイズする一本鎖DNAまたはRNAで官能化され得る。いくつかの態様において、標的相補的核酸鎖は、増幅の間にまたは他の手段によって導入される特定のタグを有し、タグ付加された鎖がそのタグを認識する表面によって捕捉される。例えば、増幅産物は、アビジンでコーティングされた表面に結合するようビオチニル化され得るまたはラテラルフローストリップ内の特定の場所で保持される。他の態様において、表面は、標的核酸鎖の異なる部分に対して相補的な配列を含むレポーターとのハイブリダイゼーションも実現するのに十分長い、標的核酸鎖の小セグメントと特異的にハイブリダイズする核酸鎖で官能化される。多重化ラテラルフローアッセイは、ストリップに複数の試験ラインを追加し、各試験ラインで特異的に結合する異なる分子認識要素で官能化されたレポーターを用いることによって容易に設計され得る。
【0091】
X. 検出デバイス
発光シグナルの出力は、光検出装置、例えば、非限定的に、電荷結合デバイス(CCD)、アバランシェダイオード、(マルチピクセル光子カウンター)MPPCまたはシリコン光電子増倍装置(SiPMT)、相補性金属酸化膜半導体(CMOS)センサー、科学CMOS(sCMOS)センサー、光電子増倍管(PMT)、フォトダイオード、カメラ、携帯電話カメラ、ウェブカメラ、スマートウォッチカメラ、または任意の光検出装置により検出される。光検出装置は、パーソナルコンピュータ、ラップトップ、タブレット、スマートフォン、スマートウォッチ、または演算および表示能力を有する任意の同様のデバイスに有線または無線接続を通じて接続され制御されるポイントオブケアデバイスとして機能し得る。無線接続は、Bluetooth、Wi-Fi、NFCを含むがこれらに限定されない。
【0092】
アッセイは、プレート形式で実施され得、シグナルは、光電子増倍管(PMT)、アバランシェダイオード(マルチピクセル光子カウンター)MPPC、またはシリコン光電子増倍装置(SiPMT)、電荷結合デバイス(CCD)センサー、相補性金属酸化膜半導体(CMOS)センサー、科学CMOS(sCMOS)センサーを備えるプレートリーダーによって読み取られる。
【0093】
XI. アッセイ形式
A. ELISA
免疫アッセイは、それらの最も簡潔かつ直接的な意味で、結合アッセイである。特定の好ましい免疫アッセイは、当技術分野で公知の様々なタイプの酵素連結免疫吸着アッセイ(ELISA)および放射免疫アッセイ(RIA)である。組織切片を用いる免疫組織化学検出もまた、特に有用である。しかし、検出はそのような技術に限定されず、ウェスタンブロット、ドットブロット、FACS分析等も使用され得ることが直ちに理解されるであろう。
【0094】
1つの例示的なELISAにおいて、本開示の抗体は、タンパク質親和性を示す選択された表面、例えば、ポリスチレンマイクロタイタープレートのウェルに固定化される。ついで、抗原を含むことが疑われる試験組成物がウェルに添加される。結合および非特異的に結合した免疫複合体を除去するための洗浄の後、結合した抗原が検出され得る。検出は、検出可能な標識に連結された別の抗体の添加により達成され得る。このタイプのELISAは、単純な「サンドイッチELISA」である。検出はまた、第2の抗体の添加、その後の、検出可能な標識に連結された、第2の抗体に対する結合親和性を有する第3の抗体の添加により達成され得る。
【0095】
別の例示的なELISAにおいては、抗原を含むことが疑われるサンプルが、ウェルの表面上に固定化され、ついで本開示の抗体と接触させられる。結合および非特異的に結合した免疫複合体を除去するための洗浄の後、結合した抗体が検出される。最初の抗体が検出可能な標識に連結されている場合、免疫複合体は、直接検出され得る。この場合も、免疫複合体は、検出可能な標識に連結された、第1の抗体に対する結合親和性を有する第2の抗体を用いて検出され得る。
【0096】
採用される形式に関わらず、ELISAは、特定の共通の特徴、例えば、コーティング、インキュベートおよび結合、非特異的に結合した種を除去するための洗浄、ならびに結合した免疫複合体の検出、を有する。これらについて以下で解説する。
【0097】
抗原または抗体のいずれかでプレートをコーティングする際、当業者は通常、プレートのウェルを、抗原または抗体の溶液と共に、一晩または一定時間のいずれかでインキュベートし得る。プレートのウェルは、ついで、不完全に吸着した物質を除去するために洗浄され得る。ウェルの任意の残りの利用可能な表面は、ついで、試験抗血清に対して抗原的に中性である非特異的タンパク質で「コーティング」される。これらは、ウシ血清アルブミン(BSA)、カゼインまたはミルク粉末の溶液を含む。コーティングは、固定化表面上の非特異的吸着部位のブロッキングを実現し、したがって表面への抗血清の非特異的結合に起因するバックグラウンドを減少させる。
【0098】
ELISAにおいては、おそらく、直接的手順ではなく二次的または三次的な検出手段を使用することが一般的である。したがって、ウェルへのタンパク質または抗体の結合、バックグラウンドを減少させるための非反応性物質によるコーティング、および未結合物質を除去するための洗浄の後、固定化表面は、免疫複合体(抗原/抗体)形成を実現するのに効果的な条件下で試験対象の生物学的サンプルと接触させられる。免疫複合体の検出は、その後、標識された二次結合リガンドまたは抗体、および二次結合リガンドまたは抗体と標識された三次抗体または第3の結合リガンドを必要とする。
【0099】
「免疫複合体(抗原/抗体)形成を実現するのに効果的な条件下」は、その条件が好ましくはBSA、ウシガンマグロブリン(BGG)またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)/Tween等の溶液による抗原および/または抗体の希釈を含むことを意味する。これらの追加薬剤はまた、非特異的バックグラウンドの減少を支援する傾向がある。
【0100】
「適した」条件はまた、インキュベートが効果的な結合を実現するのに十分な温度または時間行われることを意味する。インキュベート工程は、典型的に、好ましくは25℃から27℃のオーダーの温度で約1~2~4時間等である、または約4℃で一晩等であり得る。
【0101】
ELISAにおけるすべてのインキュベート工程の後、接触させた表面は、非複合体化物質を除去するよう洗浄される。好ましい洗浄手順は、PBS/Tweenまたはホウ酸緩衝液等の溶液による洗浄を含む。試験サンプルと当初から結合されている物質との間の特定の免疫複合体の形成およびそれに続く洗浄の後、微量であっても免疫複合体の生成が決定され得る。
【0102】
検出手段を提供するために、第2または第3の抗体は、検出を可能にする結合された標識を有し得る。好ましくは、これは、適切な発色基質と共にインキュベートすることにより発色を生じ得る酵素であり得る。したがって、例えば、当業者は、第1および第2の免疫複合体を、ウレアーゼ、グルコースオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、または水素ペルオキシダーゼ結合抗体と共に、一定期間かつさらなる免疫複合体形成の進行に好ましい条件下で接触またはインキュベート(例えば、PBS含有溶液、例えば、PBS-Tween中、室温で2時間のインキュベート)することを望み得る。
【0103】
標識抗体とのインキュベート、およびその後の未結合物質の除去のための洗浄後、標識の量が、例えば、発色基質、例えば、尿素、またはブロモクレゾールパープル、または2,2'-アジノ-ジ-(3-エチル-ベンゾチアゾリン-6-スルホン酸(ABTS)とのインキュベート、または酵素標識がペルオキシダーゼの場合はH2O2とのインキュベートにより、定量される。ついで、定量は、生じた色の程度を、例えば、可視スペクトル分光光度計を用いて測定することにより達成される。
【0104】
別の態様において、本開示は、競合形式の使用を想定している。これは特に、サンプル中の抗体の検出において有用である。競合ベースのアッセイにおいて、未知の量の分析物または抗体は、既知の量の標識抗体または分析物と置き換わるその能力により決定される。したがって、シグナルの定量可能な消失は、サンプル中の未知の抗体または分析物の量の指標となる。
【0105】
本願において、本発明者らは、サンプル中の標的抗体の量を決定するための標識モノクローナル抗体の使用を提案する。その基本的形式は、既知の量の(検出可能な標識に連結された)モノクローナル抗体を抗原と接触させることを含み得る。抗原は、好ましくは、支持体に付加される。支持体への標識モノクローナル抗体の結合後、サンプルが添加され、サンプル中の任意の非標識抗体が標識モノクローナル抗体と競合し、したがって置き換わることを可能にする条件下でインキュベートされる。消失した標識または残存する標識のいずれかを測定すること(および結合された標識の当初の量からそれを差し引くこと)により、当業者は、どのくらいの非標識抗体が支持体に結合したか、したがって、どのくらいの抗体がサンプル中に存在したかを決定することができる。
【0106】
B. ラテラルフローアッセイ
ラテラルフロー免疫クロマトグラフィーアッセイとしても知られているラテラルフローアッセイは、読み取り設備により支援される多くの研究室ベースの応用があるものの、専用の高価な設備を必要とせずに、サンプル中(マトリックス)中の標的分析物の存在(または非存在)を検出することを意図した簡素なデバイスである。典型的に、これらの試験は、家庭での試験、ポイントオブケア試験、または研究室での利用のいずれかのための少量リソース医学診断として使用される。広く普及し周知となっている用途は、家庭用妊娠試験である。
【0107】
この技術は、一連のキャピラリーベッド、例えば、多孔性の紙、ガラス繊維、微細構造化ベッド、または焼結ポリマーの片に基づく。これらの要素の各々は、流体(例えば、尿)を自発的に移動させる能力を有する。第1の要素(サンプルパッド)は、スポンジとして作用し、過剰なサンプル流体を保持する。ひとたび浸漬されると、流体は、第2の要素(コンジュゲートパッド)に移動し、ここには、製造者が、標的分子(例えば、抗原)と粒子表面上に固定化されたその化学的パートナー(例えば、抗体)の間の最適化された化学反応を保証するためのすべてを含む塩・糖マトリックス中に、乾燥形態の生物活性粒子(以下参照)である、いわゆるコンジュゲートを保管させている。サンプル流体がこの塩・糖マトリックスを溶解すると、それはまた粒子も溶解し、1つの合同輸送作用で、サンプルおよびコンジュゲートが、多孔性構造を通じて流動しつつ、混合される。このようにして、分析物は、さらに第3のキャピラリーベッドを通じて移動しつつ、粒子に結合する。この物質は、製造者により第3の分子が固定化された1つまたは複数の領域(しばしば、ストライプと呼ばれる)を有する。サンプル・コンジュゲート混合物がこれらのストリップに到達するまでに、分析物は粒子に結合し、第3の「捕捉」分子が複合体に結合する。一定時間後、さらに多くの流体がストライプを通過して、粒子が蓄積され、ストライプ領域は色を変化させる。典型的に、少なくとも2つのストライプが存在し、任意の粒子を捕捉し、それによって反応条件および技術が適切に働いていることを示す1つ(対照)および第2は特異的な捕捉分子を含み、分析物分子が固定化された粒子のみを捕捉する。これらの反応ゾーンを通過した後、流体は、単に廃棄物容器として作用する最後の多孔性物質であるウィック(wick)に入る。ラテラルフロー試験は、競合的またはサンドイッチアッセイのいずれかとして動作させることができる。ラテラルフローアッセイは、米国特許第6,485,982号に開示されている。
【実施例
【0108】
XIII. 実施例
以下の実施例は、好ましい態様を示すために含まれている。以下の実施例に開示される技術は、本発明者らによって発見された技術が態様の実施において十分機能することを表すものであること、したがってその実施における好ましい様式を構成するとみなすことができることが、当業者に理解されるべきである。しかし、当業者は、本開示に照らして、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、開示される具体的態様において多くの変更がなされ得ること、およびそれでもなお同様または類似の結果が得られることを理解している。
【0109】
実施例1: LFAレポーター粒子の一重項酸素励起
例示的な態様においては、デングウイルスの血清型2のNS1タンパク質を認識するモノクローナル抗体のラインを、ニトロセルロースラテラルフロー膜上に設ける。50マイクロリットルのヒトフィンガースティック血液を、Vivid血液フィルターを通して膜に適用する。この後、チオキセンおよびユーロピウムキレートを含むナノ粒子を含む100マイクロリットルの緩衝液を適用し、デングNS1タンパク質に対する第2のモノクローナル抗体で装飾し、ここで第1および第2の抗体は同じNS1タンパク質分子に同時に結合することができる。ついで、ラテラルフロー膜を、追加の50マイクロリットルの緩衝液で洗浄し、一重項酸素生成タンパク質を含む3滴の溶液を適用する。ついで、ラテラルフロー膜を1分間照射し、ついで密閉チャンバー内で10秒間光の放射を画像化し、捕捉抗体のラインの場所で明るく発光するラインの存在を、デングウイルスによる感染の証拠として採用する。
【0110】
実施例2: 高感度画像化検出のためのLFAレポーター粒子の化学励起
ラテラルフローサンドイッチ免疫アッセイを、HIVコア抗原p24を認識するサンドイッチ抗体対を含む多孔性膜、例えば、Fusion 5ストリップ上で行う。検出抗体を有するレポーター粒子は蛍光性である。ヒト血漿サンプルを、HIV p24のエピトープを認識するビオチニル化抗体およびp24の第2のエピトープを認識する異なる抗体を有する蛍光ナノ粒子と混合する。この混合物を、ニュートラアビジン試験ラインおよび抗種対照ラインを有するFusion 5 LFA膜に沿って流す。サンプルを泳動させた後、200マイクロリットルのシュウ酸エステルおよび過酸化水素の溶液をストリップに適用し、ついでこれを暗いボックス内で携帯電話カメラにより画像化する。試験ラインにおいて、粒子上の蛍光体の化学励起が明るい放射を生じ、これを数値的に積分し、対照ラインにおける放射で割り算して、元のサンプル中のp24の濃度を概算する。
【0111】
改良法として、化学発光反応の速度を上昇させるために、シュウ酸エステルおよび過酸化水素の溶液を用いるシグナル生成工程の間の温度を上昇させて周囲温度以上で維持する。ついで、増強された光シグナルを、暗いボックス内で携帯電話カメラにより検出する。
【0112】
実施例3: 化学発光共鳴エネルギー移動(CRET)
化学励起ドナーと非化学励起アクセプターの間のFRETによる均一系アッセイにおいて、490ナノメートル付近で最大の蛍光放射を示す200ナノメートルの蛍光粒子を、バークホルデリア・シュードマレイ(Burkholderia pseudomallei)の外殻多糖に対する抗体で修飾する。同じ標的を認識する他の抗体を、Alexa Fluor 488色素で修飾する。この粒子およびAlexa Fluor 488色素結合抗体を、光学キュベット内で凍結乾燥する。使用の際、500マイクロリットルのヒト尿サンプルをキュベットに添加し、その後にシュウ酸エステルのフタル酸ジエチル溶液および10マイクロリットルの過酸化水素溶液を添加する。混合後の、525ナノメートルで最大のAlexa Fluor 488色素の放射付近の光の放射は、蛍光粒子の化学励起された蛍光体と検出抗体上のAlexa Fluor 488色素の間のエネルギー移動によるものである。Alexa Fluor 488色素は、これらの条件下で化学励起されず、したがってその励起および放射は、標的分析物である多糖の橋渡しの存在下でのみ起こる。Alexa Fluor 488色素の放射は、したがって、バークホルデリア・シュードマレイによる尿ドナーの感染の証拠と解釈される。
【0113】
上記実施例の改良法において、FRETドナーおよびアクセプターは量子ドットである。ドナー量子ドットは化学発光基質により励起可能であり、アクセプター量子ドットは非化学励起性となるよう選択される。
【0114】
別の改良法において、FRETドナーは量子ドットであり、アクセプターは非化学励起性蛍光色素である。
【0115】
実施例4: ラテラルフロー形式での高感度検出のための量子ドット粒子の化学励起
1つの実施例において、抗体に連結された量子ドットが、ラテラルフローアッセイにおけるレポーターとして使用され得る。サンプルを、診断対象のタンパク質に対する抗体を有する量子ドット、例えばCdSeまたはZnO粒子と接触させ、これを乾燥状態のラテラルフローウィック材の上流端に適用する。好ましい態様において、膜は、ポリマーベースの裏打ち支持材上のニトロセルロースから構築する。膜に、ポリクローナルまたはモノクローナルのいずれかである、量子ドット粒子上の抗体と異なる標的タンパク質のエピトープに結合する抗体を含む、分析物検出のための試験ラインをスポットする。また、膜に、量子ドット粒子に特異的に結合するあるタイプの分子認識部分からなり得る対照ラインをスポットする。吸着パッドは、ストリップを通じて液体サンプルを効率的に吸い上げ、理想的には、感度を低下させ得る逆流を防止するよう選択する。タンパク質を認識する第2の抗体を、ラテラルフローウィックマトリックスの下方に配置する。展開後、新たに調製した過酸化水素とペルオキシシュウ酸塩の混合物を含む化学発光基質をラテラルフロー材に添加する。ラテラルフローストリップを直ちに、カメラまたは光検出装置を用いて試験および対照ラインの位置における光シグナルの存在について画像化または走査する。
【0116】
改良法において、同じサンプル中の複数の標的を別々に検出するよう、異なる抗体を、異なる放射色を有する量子ドットに連結する。各標的に対する捕捉抗体は、単一のラインまたは複数の別々のラインに含ませ得る。展開後、新たに調製した過酸化水素とペルオキシシュウ酸塩の混合物を含む化学発光基質をラテラルフロー材に添加する。ラテラルフローストリップを直ちに、各標的に関するシグナルを分離する適切なフィルターと共にカラーカメラまたは光検出装置を用いて試験および対照ラインにおける光シグナルの存在について画像化または走査する。
【0117】
実施例5: レポーターとしてインターカレート蛍光色素を含むアプタマー
VEGFタンパク質を認識するDNAアプタマーを、インターカレート蛍光色素と接触させる。この色素積載アプタマーを、シュウ酸ベースの化学励起溶液中に入れ、ヒト血液のサンプルを添加する。VEGFタンパク質へのアプタマーの結合は、蛍光色素を溶液中に遊離させる立体構造変化を引き起こす。放出された色素を化学的に励起し、生じる蛍光放射を使用して血液サンプル中のVEGFタンパク質の濃度を概算する。
【0118】
実施例6: レポーターとしてインターカレート蛍光色素を用いる二本鎖核酸の検出および定量
例示的な態様において、標的DNAを含むサンプルを、インターカレート蛍光体および標的DNAに特異的なプライマー対を含むポリメラーゼ連鎖反応(PCR)マスターミックスに添加する。任意で、PCRマスターミックスはまた、非インターカレート蛍光体、例えば、ROX参照色素を含む。標的DNAを増幅するため、反応ミックスを、25~45サイクルのアニーリングおよび変性の温度サイクルに供する。増幅後、増幅されたDNAを、新たに調製された過酸化水素およびペルオキシシュウ酸塩の混合物を含む化学発光基質を添加することによって定量する。サンプルを直ちに、カメラまたは光検出装置を用いて光シグナルの存在について画像化または走査する。インターカレート蛍光体のシグナルは、増幅されたDNAの量に逆の関係にある。非インターカレート参照色素を使用する場合、インターカレート色素 対 非インターカレートの比を用いて、増幅されたPCRの量を計算することができる。増幅されたDNAの融解温度は、化学発光シグナルの量をモニタリングしつつ、アニーリングから変性へとまたはその逆へと温度を徐々に変化させることによって得ることができる。化学発光シグナルの急激な変化は、増幅されたDNAの融解温度を示す。
【0119】
改良法として、DNA増幅反応は、等温反応、例えば、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)、ループ介在等温度増幅(LAMP)、または他の等温増幅技術である。
【0120】
実施例7: プレート形式での分析物の検出および定量
別の実施例において、標的分析物は、化学発光免疫吸着アッセイで検出および測定することができる。サンプルウェルを、標的分析物を認識する抗体でコーティングし、BSAでブロッキングする。標的分析物を含むサンプルをサンプルウェルに添加し、30分間インキュベートする。インキュベート後、これらのウェルを、0.1% TWEEN(登録商標)20を含むPBSで3回洗浄する。ついで、蛍光体で標識された検出抗体(100μL、10 ng/mL)を各ウェルに添加し、37℃で30分間インキュベートする。ついで、これらのウェルを、0.1% TWEEN(登録商標)20を含むPBSで3回洗浄する。未結合の検出抗体の洗浄後、TCPO、触媒および過酸化水素を含む化学発光基質を各ウェルに添加し、その光の強度を、プレートリーダーを発光モードで用いて測定する。光の強度を、存在する標的分析物の量を示すものと解釈する。
【0121】
改良法において、抗体および蛍光体の両方で標識された粒子を用いて標的分析物を検出する。
【0122】
実施例8: ラテラルフローアッセイを用いる病原体RNAの検出
1つの実施例において、本明細書で紹介される技術は、体液サンプル中の病原体RNAの検出に使用することができる。サンプルを逆転写酵素反応ミックスに添加し、10~30分間インキュベートしてcDNAを生成する。生成されたcDNAのアリコートを、非インターカレート蛍光体で標識された特異的なプライマーを含むPCRマスターミックスに添加し、25~45サイクルのアニーリングおよび変性の温度サイクルに供してcDNAを増幅する。変性溶液を増幅したサンプルに添加し、ついで泳動緩衝液と混合し、乾燥状態のラテラルフローウィック材の上流端に適用する。好ましい態様において、膜を、ポリマーベースの裏打ち支持材のニトロセルロースから構築する。この膜に、増幅された標的に相補的な配列特異的DNAオリゴマープローブを含む、分析物の検出のための試験ラインをスポットする。また、この膜に、標識されたプライマーに特異的に結合する分子認識部分からなる対照ラインをスポットする。吸着パッドは、このストリップを通じて液体サンプルを効率的に吸い上げ、理想的には、感度を低下させ得る逆流を防止するよう選択する。展開後、新たに調製した過酸化水素とペルオキシシュウ酸塩の混合物を含む化学発光基質を(任意で、LFA膜に結合されたブリスターまたは他の保管ボリュームから)ラテラルフロー材に添加する。このラテラルフローストリップを直ちに、カメラまたは光検出装置を用いて第2の捕捉抗体の位置における光シグナルの存在について画像化または走査する。
【0123】
改良法において、逆転写酵素反応およびDNA増幅を、1工程で行う。
【0124】
別の改良法において、DNA増幅反応は、等温反応、例えば、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)、ループ介在等温度増幅(LAMP)、または任意の等温増幅技術である。
【0125】
実施例9: 光ファイバーを用いる結合アッセイ
別の実施例において、標的分析物は、光ファイバーにより検出される化学発光シグナルを用いて検出および測定することができる。標的分析物を含むサンプルを、標的分析物に対する抗体を有する化学発光粒子を含む反応チューブに添加する。標的分析物を認識する抗体でコーティングされ、BSAでブロッキングされた光ファイバーを、反応チューブに投入する。インキュベート後、光ファイバーを、0.1% TWEEN(登録商標)20を含むPBSで洗浄する。洗浄後、光ファイバーを化学発光基質に投入する。光の強度を、ファイバーの他端から測定する。光の強度を、存在する標的分析物の量と解釈する。
【0126】
改良法において、複数の光ファイバーを使用する。いくつかの応用において、光ファイバーを束ねて1つの軸にする。他の応用において、光ファイバーをその端部でばらけさせる。
【0127】
別の改良法において、光ファイバーを異なる抗体で個別にコーティングし、複数の標的分析物を検出するために、蛍光体に連結された複数の異なる検出抗体を使用する。いくつかの応用において、複数の蛍光体を使用して異なる標的分析物を同定する。
【0128】
別の改良法において、従来的な光ファイバーに代えてフォトニック結晶ファイバー(PCF)を使用する。官能化および反応は、PCFの中空の道管内で行う。
【0129】
実施例10: ファイバーチップ上でのCRETアッセイ
別の実施例において、標的分析物は、光ファイバーを用いる化学発光共鳴エネルギー移動(CRET)シグナルにより検出および測定することができる。標的分析物を含むサンプルを、標的分析物に対する抗体を有する化学発光粒子を含む反応チューブに添加する。光ファイバーを、非化学励起蛍光色素に連結された標的分析物を認識する抗体でコーティングする。非特異的相互作用を防ぐために、この光ファイバーをBSAでブロッキングする。このファイバーを、化学発光基質と混合されたサンプルを含む反応チューブに投入する。非化学励起蛍光色素からのシグナルのみを通過させる光学フィルターを用いて、光の強度をファイバーの他端で測定する。光の強度を、存在する標的分析物の量を示すものと解釈する。
【0130】
別の改良法において、従来的な光ファイバーに代えてフォトニック結晶ファイバー(PCF)を使用する。官能化および反応は、PCFの中空の道管内で行う。
【0131】
実施例11: 浮上分離アッセイを用いるタンパク質の検出
1つの実施例において、標的分析物は、化学発光浮上分離アッセイにおいて検出および測定することができる。ガラスマイクロバブルを、シラン化学を用いて標的分析物を認識する抗体でコーティングし、BSAでブロッキングする。標的分析物を含むサンプルを、このマイクロバブルおよび化学発光レポーター粒子を含む反応チューブに添加する。反応チューブは、マイクロバブルを濃縮するために円錐形状を有する光学的に透明な上部を有するよう設計する。反応チューブを回転装置上で最大30分間インキュベートする。インキュベート後、非毒性有機溶媒、例えば、酢酸エチル中にTCPO、過酸化水素、および他の添加物を含む化学発光基質を、円錐形の上部が液体で満たされるよう反応チューブに添加する。標的分析物の非存在下で、化学発光レポーターは底部の水相にあり、化学発光基質と相互作用せず、したがって光シグナルを生じないまたは少量の光を生じる。標的分析物の存在下で、化学発光レポーターは、抗体・標的分析物・レポーターに連結された抗体のサンドイッチ複合体中のマイクロバブルにより上部に運ばれる。光の強度を、反応チューブの上部で読み取る。光の強度を、サンプル中に存在する標的分析物の量と解釈する。
【0132】
実施例12: 磁性ビーズを用いるタンパク質の検出
別の実施例において、標的分析物は、磁性ビーズを用いる化学発光アッセイにおいて検出および測定することができる。酸化鉄磁性ビーズを、シラン化学を用いて標的分析物を認識する抗体でコーティングし、BSAでブロッキングする。標的分析物を含むサンプルを、この磁性ビーズおよび化学発光レポーター粒子を含む反応チューブに添加する。反応チューブを回転装置上で最大30分間インキュベートする。インキュベート後、磁性ビーズを収集するために、チューブ側面に磁石を置く。側面に収集された磁性ビーズを乱さないよう、液体をピペット操作により除去する。磁性ビーズを、PBS、0.1% TWEEN(登録商標)20で3回洗浄する。洗浄後、再度磁石を用いてビーズを側面に収集する。ついで液体をピペット操作により除去し、磁性ビーズのみを残す。(これらの工程は、任意で、ロボットまたはマイクロ流体力学的液体操作装置により自動化することができる。)有機溶媒、例えば、酢酸エチルまたは界面活性剤含有水中にTCPO、過酸化水素、および他の添加物を含む化学発光基質を、反応チューブに混入する。標的分析物の存在下で、化学発光レポーターは、抗体・標的分析物・レポーターに連結された抗体のサンドイッチ複合体中の磁性ビーズにより保持される。光の強度を、ルミノメーターで測定する。光の強度を、サンプル中に存在する標的分析物の量と解釈する。
【0133】
実施例13: マイクロ流体力学装置を用いるタンパク質の検出
1つの実施例において、捕捉抗体で官能化されたアッセイチャンバー、抗体および蛍光体で官能化された粒子を含む検出試薬チャンバー、ならびに発色試薬チャンバーを含むマイクロ流体力学装置にサンプルを適用する。サンプルを、検出試薬チャンバーを通じて流して、粒子を再懸濁し、標的分子を粒子と反応させる。ついで、この混合物をアッセイチャンバーに送り出し、ここで粒子、標的、および捕捉抗体が反応し、サンドイッチ複合体を形成する。ついで、洗浄緩衝液を、アッセイチャンバーを通して流し、未結合粒子を洗い流す。洗浄後、発色チャンバーからの試薬を混合し、アッセイチャンバーに送り出す。光の強度を、ルミノメーターで測定する。光の強度を、サンプル中に存在する標的分析物の量を示すものと解釈する。
【0134】
実施例14: 流動下での連続検出
1つの実施例において、分子を認識し結合することができる蛍光標識された結合リガンド(例えば、フルオレセインで修飾された抗体)を、例えば20Lの容積の、大きな分取クロマトグラフィーカラムの流出液のより小さな分流に連続的に添加する。同じ標的を認識する捕捉リガンドを表面に固定化し、化学励起試薬を分流に添加する。捕捉リガンドによって認識される標的がカラムから出始めると、それは、蛍光体標識された検出体をサンドイッチ捕捉により捕捉リガンド上に蓄積する。生じる捕捉表面からの蛍光放射の増加を、任意でかつ好ましくは光検出装置と捕捉表面の間で波長フィルターを用いずに、光の強度を測定することにより検出する。
【0135】
実施例15: スピンサリスコープ検出
1つの実施例において、励起は、燐光体またはシンチレーターによる検出を用いる、低レベルの放射性崩壊による。使用する放射能物質の量は、厳格な規制上の制約を免除されるのに十分低いもの、例えば、0.1、0.001、または0.00001マイクロキュリーであり、検出は、デジタル電子画像化を用いるスピンサリスコープにおけるように、単一の放射性崩壊イベントから生じる放射の画像化による。重量で0.05%未満のウランまたはトリウムを有し、分析物を認識する検出抗体で装飾された200 nmより小さい粒子を、その分析物に対する捕捉抗体で装飾されたシンチレータースクリーンと共に使用することができる。
【0136】
実施例16: 化学励起粒子の免疫凝集体の計数によるノロウイルスの検出および定量
1つの実施例において、ノロウイルスの検出を、ノロウイルスにより誘導される化学励起蛍光粒子の免疫凝集を画像化および計数することにより多孔性膜上で行う。ノロウイルスを含むサンプル(5μL)を、ニトロセルロース多孔性膜の中心部に添加する。サンプル投入後、5μLの抗ノロウイルス抗体連結蛍光ポリスチレン粒子の溶液を、ノロウイルスを投入したニトロセルロース多孔性膜の中心部に投入する。ノロウイルスの存在下で、蛍光粒子は免疫凝集により凝集する。シグナルを生成するために、200マイクロリットルのシュウ酸エステルおよび過酸化水素の溶液をストリップに適用し、ついでこれを暗いボックス内でカメラに装着された顕微鏡で画像化する。凝集しウイルス粒子上の蛍光体の化学励起は、明るい放射スポットを生成する。画像処理アルゴリズムは、凝集した粒子を計数し、ノロウイルス粒子の存在および量を決定する。
【0137】
改良法において、ノロウイルスを含むサンプルを、膜への添加前に、抗ノロウイルス連結蛍光ポリスチレン粒子と混合する。
【0138】
実施例17: 高速HIV検出のためのショートLFA
1つの実施例において、HIVコア抗原p24を検出するために、サンプルパッドと吸着パッドの間の長さが<1 cmの短いニトロセルロースストリップ上で高速ラテラルフローサンドイッチ免疫アッセイを行う。検出抗体を有するレポーター粒子は蛍光性であり、これに、有機蛍光分子を、この蛍光体の自己クエンチが10%超で起こる高濃度まで積載する。ヒト血漿サンプルを、p24のエピトープを認識する抗体を有する蛍光ナノ粒子と混合する。この混合物を、HIV p24の別のエピトープを認識する抗体を含む試験ラインおよび抗種対照ラインを有する短いニトロセルロースLFA膜に沿って流す。サンプルを泳動した後、100マイクロリットルの安息香酸ブチル中のシュウ酸エステルおよび粘度を少なくとも3 cPoiseまで増加させる薬剤を含むt-ブタノール中の過酸化水素の混合物をストリップに適用する。蛍光分子を粒子から滲出させ、化学的に励起し、ついで暗いボックス内でレンズを装備した携帯電話カメラで画像化する。試験ラインにおいて、粒子上の蛍光体の化学励起が明るい放射を生じ、これを数値的に積分し、対照ラインにおける放射強度で割り算し、元のサンプル中のp24の濃度を概算する。レンズは、試験および対照ラインを解像する能力を有するよう設計する。
【0139】
実施例18: 高速リシン検出のためのマイクロ粒子の充填ベッドにおけるシリンジ操作による流動
1つの実施例において、リシンを検出するために、シリンジによりもたらされる流れ圧力を用いて、半透明のマイクロ粒子の充填ベッドカラムにおいて高速ラテラルフローサンドイッチ免疫アッセイを行う。検出抗体を有するレポーター粒子は、蛍光分子を含む。希釈されたサンプルをシリンジに吸い取り、予め充填しておいた、リシンの1つの鎖のエピトープを認識する抗体を有する蛍光ナノ粒子の懸濁液と混合する。また、このシリンジに、空気ギャップにより分離された洗浄緩衝液を予め充填しておく(任意で、検出体および洗浄試薬は、2つの非混和性の水性2相液中のいずれかに存在し得る)。シュウ酸エステル溶液および過酸化水素溶液もまた、シリンジ内の破壊可能な区画に別々に、または別のシリンジに保管される。サンプル・粒子混合物を、リシンの別のエピトープを認識する抗体で官能化されたマイクロ粒子の充填ベッドを通して送り出す。サンプルを送り出した後、プランジャーは、シュウ酸エステルおよび過酸化水素の溶液を含む区画を破り、それによって充填ベッドに送り出された際にこの2つの溶液を混合する。ついで、半透明の充填ベッドカラムを、レンズを装着し、黒色の布で包まれた携帯電話カメラで画像化する。試験ラインにおいて、粒子上の蛍光体の化学励起が明るい放射を生じ、これを携帯電話のスクリーン上に表示し、任意で数値的に積分して元のサンプル中のリシンの濃度を概算する。
【0140】
実施例19: LAFレポーター粒子としてのTCPOおよび蛍光体を埋め込んだポリスチレン粒子
1つの実施例において、化学励起試薬を1つの成分のみに簡略化し、それによって混合工程を省略するために、蛍光色素と共にTCPOをポリスチレン粒子に埋め込む。TCPOおよび蛍光色素を、有機溶媒に溶解する。この混合物を1%固形ポリスチレン粒子懸濁物に添加し、有機溶媒の最終濃度を30%未満にする。有機溶媒を添加すると、ポリスチレン粒子は膨潤し、TCPOおよび蛍光色素が粒子内に拡散できるようになる。この粒子懸濁物中に界面活性剤を添加することにより、粒子の凝集を減少させることができる。インキュベート後、組み込まれていないTCPOおよび色素を除去するために、この懸濁混合物を、遠心分離または透析によって数回、徹底的に洗浄する。TCPO蛍光粒子を、検出抗体で官能化し、LFA形式におけるレポーター粒子として使用する。ヒト血漿サンプルを、p24のエピトープを認識する抗体を有する蛍光ナノ粒子と混合する。この混合物を、HIV p24の別のエピトープを認識する抗体を含む試験ラインおよび抗種対照ラインを有するニトロセルロースLFA膜に沿って流す。サンプルを泳動した後、100マイクロリットルの過酸化水素を含む溶液をストリップに適用し、ついで暗いボックス内でレンズを装備した携帯電話カメラで画像化する。粒子上の蛍光体の化学励起は、試験ラインにおいて明るい発光を生じ、これを数値的に積分し、対照ラインにおける発光で割り算し、元のサンプル中のp24の濃度を概算する。
【0141】
改良法において、粒子からの連続的な光放射を誘導するため、過酸化水素を、LFA泳動緩衝液に添加する。
【0142】
実施例20: TCPOおよび過酸化水素試薬の保管、混合および送達のためのビルトイン試薬ポーチおよびチャネルを有するLFAカセット
1つの実施例において、LFAカセットは、熱可塑性フィルム(フッ素化エチレンプロピレン(FEP)またはペルフルオロアルコキシ(PFA))製の試薬ポーチおよびチャネルを有する。これらのフッ素化プラスチックは、大部分の有機化合物に対して高度に不活性かつ適合性である。試薬ポーチおよびチャネルは、大きさを変更可能な熱成形プロセスによって製造され得る。試薬送達システムは、チャネルによって接続された、<100マイクロリットルの容量の、2つのポーチからなる。別のチャネルは、試薬ポーチをLFAストリップに接続する。試薬は、分離レバーにより接続されているチャネルに適用される締め付け圧によりポーチ内に保持される。試薬ポーチ、チャネルおよび弁の全体が、幅1インチおよび長さ4インチ未満のLFAカセットに適合する。試薬の保管安全性に加えて、カセットを、4工程で試薬を混合および分配するよう設計する。使用者は、ウェルに50マイクロリットルのサンプルを添加し、LFAを<15分間泳動させる。シグナル生成は、次の4工程を要する:2つの試薬ポーチを接続するよう第1の弁レバーを切り換える工程、2つの試薬ポーチを混合のために5回を上回って交互に加圧する工程、第2の弁レバーを切り換える工程、および最後に両方のポーチを加圧しLFAラインに化学励起混合物を分配する工程。
【0143】
実施例21: 血中のタクロリムスを検出する競合アッセイ
1つの実施例において、競合アッセイ形式で単一のLFAストリップにおいて小さな薬物分子、例えば、タクロリムスを検出する。50マイクロリットルのヒトフィンガースティック血液を、タクロリムス・BSAコンジュゲートで装飾された蛍光ナノ粒子を含むコンジュゲート放出パッドに重ね合わされているVivid血液フィルターを通して膜に適用する。混合物は、抗タクロリムス試験ラインおよび抗BSA対照ラインを有するニトロセルロースLFA膜に沿って流れる。サンプルを泳動した後、100マイクロリットルのシュウ酸エステルおよび過酸化水素の溶液をストリップに添加し、各ストリップにおける輝度を、個別のフォトダイオードにより検出する。試験ラインにおける光放射を対照ラインにおける放射で割り算し、元のサンプル中のタクロリムスの濃度を概算する。改良法において、タクロリムス・BSAコンジュゲートは試験ライン上にあり、粒子を抗タクロリムス抗体で装飾する。
【0144】
実施例22: タクロリムスを検出するCRET競合アッセイ
1つの実施例において、化学発光共鳴エネルギー移動(CRET)シグナル読み取りを行う競合アッセイ形式でサンプルウェルにおいて小さな薬物分子、例えばタクロリムスを検出する。50マイクロリットルのヒト血漿を、Cu2+含有緩衝液と共に、抗タクロリムス抗体で装飾された小さな(直径<20 nm)9,10-ジフェニルアントラセン(DPA)蛍光ナノ粒子を含むサンプルウェルにおいて、サイクラム・タクロリムスコンジュゲートと混合する。インキュベート後、100マイクロリットルのシュウ酸エステルおよび過酸化水素の溶液をウェルに適用し、ついでこれを暗いボックス内で携帯電話カメラにより画像化する。タクロリムスの非存在下で、タクロリムス・サイクラム・Cu2+複合体は、DPA蛍光ナノ粒子上の抗タクロリムス抗体に結合し、光放射をクエンチする。遊離のタクロリムスが存在する場合、血漿サンプル由来の遊離タクロリムス分子はタクロリムス・サイクラム・Cu2+複合体と競合してクエンチ作用を取り除き、明るい放射をもたらす。光放射の強度を、元のサンプル中のタクロリムスの濃度を概算するために使用する。
【0145】
実施例23: DNA蛍光プローブ・クエンチャー
例示的な態様において、標的DNAを含むサンプルを、蛍光標識プローブおよび標的DNAに特異的なプライマー対を含むポリメラーゼ連鎖反応(PCR)マスターミックスに添加する。任意で、PCRマスターミックスはまた、非インターカレート蛍光体、例えば、ROX参照色素を含む。蛍光標識プローブは、その5’末端に蛍光レポーター色素を、およびその3’末端にクエンチ色素を含むよう構築する。このプローブは、クエンチャーの接近が蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)による蛍光の放射を大きく減少させるよう設計する。その3’末端は、微小溝バインダーを含み得る。PCRポリメラーゼは、5’ヌクレアーゼ活性を有するよう選択する。PCR反応後、50マイクロリットルのシュウ酸エステルおよび過酸化水素の溶液をストリップに添加し、ついでこれを暗いボックス内でレンズを装着した携帯電話カメラにより画像化する。標的DNAの存在は、切断されたプローブにより明るい放射を生じる。その強度は、生成された増幅産物の量に比例する。
【0146】
改良法において、PCRを、等温増幅、例えば、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)で置き換える。別の改良法において、PCR反応の前に、シュウ酸エステルおよび過酸化水素の溶液を添加し、反応中に光の強度の測定を行う。
【0147】
実施例24: プレート上でのLFA
1つの実施例において、タンパク質標的を、マイクロタイターウェル形式で小さなLFA膜上で検出する。典型的なLFAストリップと同じ構成要素および設計を用いて構築された短い膜ストリップを、ウェルプレートのウェル内に注意深く配置する。各ウェルを、各々がLFAストリップの一部(サンプルパッド、アッセイ膜および吸着パッド)を含む3つの区画に分ける。これらの区画を、液体が多孔性膜を通して流れることによってのみ区画間を移動できるよう封鎖する。これらのストリップに、標的分析物を認識する抗体をストライプまたはスポット配置する。サンプルを、サンプルパッドを含むウェルの区画に添加された分析物の別のエピトープを認識する抗体を有する蛍光ナノ粒子と混合する。既知の濃度の分析物を含むサンプルを、同じウェルプレート上で泳動させ標準として機能させることができる。この混合物を、短いニトロセルロースLFA膜に沿って流し、膜上で抗体と接触させる。サンプルを泳動した後、100マイクロリットルのシュウ酸エステルおよび過酸化水素の溶液を、ストリップのアッセイ部分を含む中央の区画に適用する。光の強度を、発光モードのプレートリーダーを用いて測定する。光の強度を、標準からの強度と比較し、存在する標的分析物の量を算出する。
【0148】
実施例25: 複数の分析物を検出するためのLFAにおける異なる色の粒子を用いる多重化
1つの実施例において、生物戦兵器(BWA)、例えば、ブドウ球菌エンテロトキシB、リシン、およびボツリヌス毒素を、単一の多重LFAストリップにおいて同時に検出する。疑われるサンプルを、異なる蛍光粒子の混合物と混合する。各蛍光色粒子は、毒素のエピトープを認識する異なる抗体を有する(すなわち、青色蛍光粒子は、抗ブドウ球菌エンテロトキシBで官能化され、緑色蛍光粒子は抗リシンで官能化され、赤色蛍光粒子は抗ボツリヌス毒素で官能化される)。混合物は、毒素の他のエピトープを認識する抗体の混合物を含む試験ライン、または異なる抗体を含む複数の試験ラインを含むニトロセルロースLFA膜に沿って流れる。対照ラインは、粒子上の抗体を認識する抗種抗体の混合物で官能化する。サンプルを泳動した後、200マイクロリットルのシュウ酸エステルおよび過酸化水素の溶液をストリップに添加し、ついでこれを暗いボックス内でレンズを装着した携帯電話カメラにより画像化する。試験ラインにおいて、粒子上の蛍光体の化学励起が明るい放射を生じ、これを表示しまた任意でRGB分割し、数値的に積分し、対照ラインにおける放射で割り算して元のサンプル中の毒素の濃度を概算する。カメラの3つのRGBカラーチャネルは、単一の励起液および異なる蛍光粒子による即時の3分析物多重化を提供し、分析物の数をさらに増加させるために2または3ラインを有するLFAを使用することができる。
【0149】
実施例26: 金属イオンを検出するCRETアッセイ
1つの実施例において、化学発光共鳴エネルギー移動(CRET)シグナル読み取りを用いてサンプルウェルにおいて金属イオン、例えば、Cu2+を検出する。50マイクロリットルのサンプルを、ドナーとしての9,10-ジフェニルアントラセン(DPA)およびアクセプターとしてのピロメテン567(PM567)で染色された小さな(直径<20 nm)ポリスチレン粒子と混合する。また、Cu2+を結合させるため、この粒子にサイクラムをグラフトする。インキュベート後、100マイクロリットルのシュウ酸エステルおよび過酸化水素の溶液をサンプルに添加し、ついでこれを暗いボックス内で携帯電話カメラにより画像化する。Cu2+の存在下で、サイクラム・Cu2+複合体は、光放射をクエンチする。光放射の強度を、元のサンプル中のCu2+の濃度を概算するために使用する。
【0150】
実施例27: DNA分子ビーコンを用いる核酸検出
例示的な態様において、標的DNAを含むサンプルを、一方の末端に蛍光レポーター色素、中心に標的DNAに特異的なプローブ配列、他方の末端にクエンチ色素を有するヘアピン形状の分子を含むサンプルウェルに添加する。末端の数個の塩基(約5~7ヌクレオチド残基)は、蛍光レポーター色素およびクエンチャーを接近させて保持するよう相互に相補的である。標的に対する分子ビーコンのハイブリダイゼーションの後、50マイクロリットルのシュウ酸エステルおよび過酸化水素の溶液をウェルに添加し、ついでこれをルミノメーターで読み取るまたは暗いボックス内でレンズを装着した携帯電話カメラにより画像化する。標的DNAの非存在下で、プローブはヘアピン構造内にあり、化学励起蛍光レポーターをクエンチする。標的核酸配列に結合すると、プローブの化学励起蛍光は大きくなる。強度は、存在する標的DNAの量に比例する。
【0151】
実施例28: 連続的な毒素および病原体検出のためのLFAリボンのリール
1つの実施例において、病原体を、LFAリボンのリールを用いて連続的にモニタリングする。リボンに、リボンの長さ方向に沿って病原体のエピトープを認識する抗体を含む試験ラインおよび抗種対照ラインをストライプ配置する。リボンの一方の末端を吸着パッドとして使用し、他の末端はコンジュゲート放出パッドと重なるサンプルパッドを含む。任意で、リボンは、均一な組成物、例えば、シリカ繊維のリボンであり、そこにコンジュゲート、試験および捕捉ラインを配置する。コンジュゲート放出パッドは、検出抗体を有する蛍光レポーター粒子を含む。このリボンを、防水性化合物、例えば、ワックスによるその幅方向の線で区切り、それによってリール内に複数の個別のLFAストリップを効果的に形成する。50マイクロリットルのサンプルを、1つのセグメントのサンプルパッド領域に注入する。サンプルは、LFA膜に沿って(リボンを通じて)流れる際、蛍光ナノ粒子と混合される。既定の時間またはリボン移動距離の後、50マイクロリットルのシュウ酸エステルおよび過酸化水素の溶液をそのセグメントに適用し、ついでこれを暗いボックス内に配置したカメラまたは光検出装置で読み取る。標的分析物の存在下で、試験ラインにおいて、粒子上の蛍光体の化学励起が明るい放射を生じ、これを数値的に積分し、対照ラインにおける放射で割り算し、元のサンプル中の分析物の濃度を概算する。リールからの新しいLFAストリップセグメントにアクセスするようリボンを連続的または時折引き出し、使用されたセグメントを別のリールに巻き取る。
【0152】
改良法において、毒素を、競合アッセイ形式でLFAリボンのリールを用いてモニタリングする。50マイクロリットルのサンプルを、良いタイミングで、1つのセグメントのサンプルパッドに注入する。サンプルを、コンジュゲート放出パッドを通して流し、毒素・BSAコンジュゲートで装飾された蛍光ナノ粒子と混合する。この混合物を、抗毒素試験ラインおよび抗BSA対照ラインを有するニトロセルロースLFA膜を通して流す。サンプルを泳動した後、50マイクロリットルのシュウ酸エステルおよび過酸化水素の溶液をそのセグメントに適用し、ついでこれを暗いボックス内に配置したカメラまたは光検出装置で読み取る。標的毒素の存在下で、試験ラインにおいて、粒子上の蛍光体の化学励起が明るい放射を生じ、これを数値的に積分し、対照ラインにおける放射で割り算し、元のサンプル中の毒素の濃度を概算する。
【0153】
改良法において、LFAリボンを、接着性裏打ち層なしで製造し、膜の透明なプラスチック裏打ち側で読み取る。別の改良法において、LFAリボンを、従来的な蛍光読み取りまたは有色粒子の画像化により検出する。
【0154】
実施例29: 連続的な毒素および病原体検出のためのLFA糸のスプール
1つの実施例において、病原体を、LFA糸のスプールを用いて繰り返しモニタリングする。糸に、一定長の間隔で、溶媒耐性、防水性の化合物を染み込ませ、噴霧しまたはブロットし、スプール内の糸に沿って多数の短い相互接触しないセグメントを形成する。糸の各セグメントは、病原体のエピトープを認識する抗体を含む試験スポットおよび抗種対照スポットを有する。各セグメントの一方の末端は、検出抗体を有する蛍光レポーター粒子を含む。この糸を部分的に引き出し、セグメントを使用のためにアクセス可能にする。10マイクロリットルのサンプルを、レポーター粒子を含むセグメントの一方の末端に注入する。このサンプルは、LFA糸に沿って蛍光ナノ粒子と混合される。既定時間または糸の移動距離の後、10マイクロリットルのシュウ酸エステルおよび過酸化水素の溶液をセグメントに適用し、ついでこれを暗いボックス内に配置されたカメラ、フォトダイオード、PMT、または光検出装置で読み取る。標的分析物の存在下で、粒子上の蛍光体の化学励起は、試験スポットにおいて明るい放射を生じ、これを数値的に積分し、対照スポットにおける放射により割り算して、元のサンプル中の分析物の濃度を概算する。スプールから糸を連続的に引き出して新たなLFAセグメントを引き出し、使用したセグメントを別のスプールに巻き取る。
【0155】
改良法において、毒素を、競合アッセイ形式でLFA糸のリールを用いてモニタリングする。10マイクロリットルのサンプルを、良いタイミングで、レポーター粒子を含むセグメントの一方の末端に注入する。サンプルは、コンジュゲート放出パッドを通じて流れ、毒素・BSAコンジュゲートで装飾された蛍光ナノ粒子と混合される。この混合物は、抗毒素試験ラインおよび抗BSA対照ラインを有するニトロセルロースLFA膜に沿って流れる。サンプルを泳動した後、50マイクロリットルのシュウ酸エステルおよび過酸化水素の溶液をセグメントに適用し、ついでこれを暗いボックス内に配置されたカメラまたは光検出装置で読み取る。標的毒素の存在下で、粒子上の蛍光体の化学励起は試験スポットにおいて明るい放射を生じ、これを報告し、任意で数値的に積分し、対照スポットにおける放射により割り算して、元のサンプル中の毒素の濃度を概算する。
【0156】
別の改良法において、LFA糸の結果を、従来的な蛍光読み取りまたは有色粒子の画像化により検出する。
【0157】
実施例30: 抗体・オキシダーゼコンジュゲートおよび蛍光粒子を含む溶液中でのサンドイッチ結合アッセイによるタンパク質標的の検出
別の実施例において、標的分析物を、化学発光免疫吸着アッセイにおいて検出および測定することができる。蛍光性のTCPOを埋めこんだナノ粒子を、標的分析物のエピトープを認識する抗体でコーティングし、BSAでブロッキングする。標的分析物の異なるエピトープを認識する別の抗体を、グルコースオキシダーゼと連結する。サンプルを、この蛍光粒子および抗体・グルコースオキシダーゼコンジュゲートを含むサンプルウェルプレートに添加する。インキュベート後、グルコースを含む発色溶液、およびカタラーゼを各ウェルに添加し、光の強度を、発光モードのプレートリーダーで測定する。分析物の非存在下で、グルコースオキシダーゼによって生成される過酸化水素は、カタラーゼにより分解され、したがって化学発光は弱く生じるのみである。分析物の存在下で、抗体・グルコースオキシダーゼコンジュゲートと蛍光粒子の間で免疫複合体が形成され、過酸化水素が、粒子への接近による分解の回避により粒子と反応できるようになる。光の強度を、存在する標的分析物の量を示すものと解釈する。
【0158】
実施例31: 好感度画像化検出のためのLFA蛍光標識抗体の化学励起
HIVコア抗原p24を認識するサンドイッチ抗体対を含むニトロセルロースストリップ上でラテラルフローサンドイッチ免疫アッセイを行う。レポーターとして機能するよう、検出抗体を蛍光色素で標識する。検出抗体は、HIV p24のエピトープを認識する。ヒト血漿サンプルを検出抗体と混合し、p24の第2のエピトープを認識する異なる抗体を有する試験ラインおよび抗種対照ラインを有するニトロセルロースLFA膜に沿って流す。サンプルを泳動した後、100マイクロリットルのシュウ酸エステルおよび過酸化水素の溶液をストリップに適用し、ついでこれを暗いボックス内で携帯電話カメラにより画像化する。試験ラインにおいて、粒子上の蛍光体の化学励起が明るい放射を生じ、これを数値的に積分し、対照ラインにおける放射で割り算して、元のサンプル中のp24の濃度を概算する。
【0159】
改良法において、泳動後、ストリップを、リニアアクチュエータ上に設置された光検出装置で走査する。
【0160】
実施例32: ナノ多孔性金ディスクプラズモンナノ粒子上での表面強化化学励起を用いる核酸検出
1つの例示的な態様において、標的DNAを含むサンプルを、一方の末端に蛍光レポーター色素、中間に標的DNAに特異的なプローブ配列、およびナノ多孔性金ディスクプラズモンナノ粒子を含むヘアピン形状の分子を含むサンプルウェルに添加する。末端の数塩基(約5~7ヌクレオチド残基)は、蛍光レポーター色素およびナノ多孔性金ディスクプラズモンナノ粒子を近接させて保持するよう相互に相補的である。標的に対する分子ビーコンのハイブリダイゼーション後に、50マイクロリットルのシュウ酸エステルおよび過酸化水素の溶液をウェルに添加し、ついでこれをルミノメーターで読み取るまたは暗いボックス内でレンズを装着した携帯電話カメラにより画像化する。標的DNAの非存在下で、プローブは、ヘアピン構造内にあり、化学励起蛍光レポーターをクエンチする。標的核酸配列に結合すると、プローブの化学励起蛍光が大きくなる。その強度は、存在する標的DNAの量に比例する。
【0161】
本願で開示され特許請求される組成物および方法はすべて、本開示に照らして、過度の実験を行うことなく製造および実施することができる。本開示の組成物および方法は好ましい態様の観点で記載されているが、本開示の概念、精神および範囲から逸脱することなく本明細書に記載される組成物および方法に対してならびに方法の工程または工程の順において変更が加えられ得ることが当業者に明らかであろう。より具体的に、化学的にかつ生理学的に関連する特定の薬剤が、同一または類似の結果を達成しつつ、本明細書に記載される薬剤と置き換えられ得ることが明らかであろう。当業者に明らかなすべてのそのような同様の置換および改変は、添付の特許請求の範囲により定義される本開示の精神、範囲および概念の範囲内であるとみなされる。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】