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特表2022-511715グリコペプチド誘導体化合物およびそれらの使用
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  • 特表-グリコペプチド誘導体化合物およびそれらの使用 図1
  • 特表-グリコペプチド誘導体化合物およびそれらの使用 図2A
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  • 特表-グリコペプチド誘導体化合物およびそれらの使用 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-01
(54)【発明の名称】グリコペプチド誘導体化合物およびそれらの使用
(51)【国際特許分類】
   C07K 9/00 20060101AFI20220125BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20220125BHJP
   A61K 9/72 20060101ALI20220125BHJP
   A61K 47/24 20060101ALI20220125BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20220125BHJP
   A61K 38/14 20060101ALI20220125BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20220125BHJP
【FI】
C07K9/00
A61K9/14
A61K9/72
A61K47/24
A61K47/34
A61K38/14
A61P31/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021526218
(86)(22)【出願日】2019-11-20
(85)【翻訳文提出日】2021-06-21
(86)【国際出願番号】 US2019062317
(87)【国際公開番号】W WO2020106787
(87)【国際公開日】2020-05-28
(31)【優先権主張番号】62/770,489
(32)【優先日】2018-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519416945
【氏名又は名称】インスメッド インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】INSMED INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100173473
【弁理士】
【氏名又は名称】高井良 克己
(72)【発明者】
【氏名】ドンナ コニセック
(72)【発明者】
【氏名】アダム プラウント
(72)【発明者】
【氏名】ウラジミール マリニン
(72)【発明者】
【氏名】ウォルター パーキンス
(72)【発明者】
【氏名】ライアン ヘクラー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA31
4C076AA93
4C076BB13
4C076BB16
4C076BB27
4C076CC32
4C076DD63
4C076EE24
4C076FF32
4C084AA02
4C084BA17
4C084BA25
4C084BA34
4C084MA43
4C084MA56
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZB35
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA14
4H045BA53
4H045BA55
4H045CA11
4H045EA20
4H045EA29
4H045FA10
(57)【要約】
グラム陽性菌感染症の治療のための化合物、組成物および方法が本明細書で提供される。感染症は、いくつかの実施形態では、肺感染症である。細菌感染症を治療するための方法は、1つの実施形態では、式(I)もしくは(II)の化合物グリコペプチド誘導体、または式(I)もしくは(II)の薬学的に許容される塩を含む組成物の有効量のをその必要のある患者に投与することを含む。細菌感染症は細胞内細菌、浮遊細菌および/またはバイオフィルム中に存在する細菌を含み得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩:
【化1】
式中、
はC-C18直鎖アルキル、C-C18分枝アルキル、R-Y-R-(Z)、または
【化2】
であり;
は-OHまたは-NH-(CH-Rであり;
はHまたは
【化3】
であり;
はジエタノールアミン、単糖、二糖、アミノ酸、またはペプチドであり、ペプチドは2~5個のアミノ酸を有し;
nは1または2であり;
qは1、2、3、4、または5であり;
tは1、2、3、4または5であり;
XはO、S、NHまたはHであり;
各Zは、独立して、水素、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロアリール、または複素環(heterocycl)であり;
およびRはアルキレン、アルケニレンおよびアルキニレンからなる群より独立して選択され、前記アルキレン、アルケニレンおよびアルキニレン基は任意でアルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリールおよび-SO-ヘテロアリールからなる群より選択される1~3個の置換基で置換され;
は-N(CH;-N(CH;または
【化4】
であり;
Yは酸素、硫黄、-S-S-、-NR-、-S(O)-、-SO-、-NRC(O)-、-OSO-、-OC(O)-、-NRSO-、-C(O)NR-、-C(O)O-、-SONR-、-SOO-、-P(O)(OR)O-、-P(O)(OR)NR-、-OP(O)(OR)O-、-OP(O)(OR)NR-、-OC(O)O-、-NRC(O)O-、-NRC(O)NR-、-OC(O)NR-または-NRSONR-であり;ならびに
各Rは水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環からなる群より独立して選択される。
【請求項2】
はOHである、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
は-NH-(CH-Rである、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
は-NH-(CH-Rである、請求項3に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
は-NH-(CH-Rである、請求項3に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
は-N(CHである、請求項3-5のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
は-N(CHである、請求項3-5のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項8】

【化5】
である、請求項3-5のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
はHである、請求項1-8のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項10】

【化6】
である、請求項1-8のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項11】
式(II)の化合物、またはその薬学的に許容される塩:
【化7】

式中、
はC-C18直鎖アルキル、C-C18分枝アルキル、R-Y-R-(Z)、または
【化8】
であり;
はジエタノールアミン、単糖、二糖、アミノ酸、またはペプチドであり、ペプチドは2~5個のアミノ酸を有し;
nは1または2であり;
tは1、2、3、4、または5であり;
XはO、S、NHまたはHであり;
各Zは、独立して、水素、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロアリールまたは複素環(heterocycl)であり;
およびRはアルキレン、アルケニレンおよびアルキニレンからなる群より独立して選択され、前記アルキレン、アルケニレンおよびアルキニレン基は任意でアルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリールおよび-SO-ヘテロアリールからなる群より選択される1~3個の置換基で置換され;
Yは酸素、硫黄、-S-S-、-NR-、-S(O)-、-SO-、-OSO-、-NRSO-、-SONR-、-SOO-、-P(O)(OR)O-、-P(O)(OR)NR-、-OP(O)(OR)O-、-OP(O)(OR)NR-、-NRC(O)NR-、および-NRSONR-からなる群より独立して選択され;ならびに
各Rは水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環からなる群より独立して選択される。
【請求項12】
XはOである、請求項1-11のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項13】
XはHである、請求項1-11のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項14】
XはSである、請求項1-11のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項15】
XはNHである、請求項1-11のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項16】
はR-Y-R-(Z)である、請求項1-15のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項17】
Yは酸素、硫黄、-S-S-、-NH-、-S(O)-、-SO-、-OSO-、-NHSO-、-SONH-、-SOO-、-P(O)(OH)O-、-P(O)(OH)NH-、-OP(O)(OH)O-、-OP(O)(OH)NH-、-NHC(O)NH-、または-NHSONH-である、請求項16に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項18】
YはS、-S-S-、-NH-、NHSO-;-S(O)-または-SO-である、請求項17に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項19】
Yは-NH-である、請求項18に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項20】
は非分枝C-C16アルキレンであり、ZはHでありかつnは1である、請求項16に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項21】
は非分枝C-C12アルキレンである、請求項20に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項22】
は非分枝C-C10アルキレンである、請求項20に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項23】
はデシレンである、請求項20に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項24】
は(CH-NH-(CH-CHである、請求項16に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項25】
は(CH-NH-(CH-CHである、請求項16に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項26】
は(CH-NH-(CH-CHである、請求項16に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項27】
は(CH-NH-(CH10-CHである、請求項16に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項28】
は(CH-NH-(CH11-CHである、請求項16に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項29】
は(CH-NH-(CH12-CHである、請求項16に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項30】
は(CH)-Y-R-(Z)である、請求項16に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項31】
は(CH-Y-R-(Z)である、請求項16に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項32】
は(CH-Y-R-(Z)である、請求項16に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項33】
はR-Y-(CH8-10-(Z)である、請求項16に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項34】
はR-Y-(CH-(Z)である、請求項16に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項35】
はR-Y-(CH-(Z)である、請求項16に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項36】
はR-Y-(CH10-(Z)である、請求項16に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項37】
(Z)はHである、請求項30-36のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項38】
YはOでありかつ(Z)はHである、請求項30-36のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項39】
Yは-S-S-でありかつ(Z)はHである、請求項30-36のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項40】
Yは-S(O)-でありかつ(Z)はHである、請求項30-36のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項41】
は(CH)-Y-(CH-CHである、請求項1-15のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項42】
は(CH-Y-(CH-CHである、請求項1-15のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項43】
は(CH-Y-(CH-CHである、請求項1-15のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項44】
YはOである、請求項41-43のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項45】
YはSである、請求項41-43のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項46】
Yは-NH-である、請求項41-43のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項47】
Yは-NHSOである、請求項41-43のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項48】
はn-デシルである、請求項1-15のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項49】
はn-ウンデシルである、請求項1-15のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項50】
はn-ドデシルである、請求項1-15のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項51】
はn-トリデシル、n-ブタデシル、n-ヘプタデシルまたはn-ヘキサデシルである、請求項1-15のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項52】

【化9】
である、請求項1-15のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項53】
tは1である、請求項52に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項54】
tは2である、請求項52に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項55】
前記ハロゲンはClである、請求項52-54のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項56】
はジエタノールアミンである、請求項1-55のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項57】
はアミノ酸である、請求項1-55のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項58】
はジペプチドである、請求項1-55のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項59】
は単糖である、請求項1-55のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項60】
は二糖である、請求項1-55のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項61】
前記アミノ酸はD-アラニンである、請求項57に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項62】
前記アミノ酸はβ-アラニンである、請求項57に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項63】
前記アミノ酸はアスパラギン酸である、請求項57に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項64】
前記アミノ酸はグルタミン酸である、請求項57に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項65】
前記アミノ酸はイミノ二酢酸である、請求項57に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項66】
前記アミノ酸はグリシンである、請求項57に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項67】
は単糖である、請求項1-55のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項68】
は二糖である、請求項1-55のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項69】
前記単糖は
【化10】
(D-アロース)、
【化11】
(D-グロース)、
【化12】
(D-アルトロース)、
【化13】
(D-イドース)、
【化14】
(D-ガラクトース)、
【化15】
(D-マンノース)、
【化16】
(D-グルコース)または
【化17】
(D-タロース)
である、請求項67に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項70】
前記単糖は
【化18】
(D-マンノース)
である、請求項69に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項71】
請求項1-70のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩のナノ粒子を含む組成物。
【請求項72】
前記ナノ粒子は生分解性ポリマをさらに含む、請求項71に記載の組成物。
【請求項73】
前記生分解性ポリマはポリ(D,L-ラクチド)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(D,L-グリコリド)(PLG)、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)(PLGA)、ポリ-(シアノアクリレート)(PCA)、またはそれらの組み合わせである、請求項72に記載の組成物。
【請求項74】
前記生分解性ポリマはポリ乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)である、請求項73に記載の組成物。
【請求項75】
前記ナノ粒子の平均直径は約50nm~約900nmである、請求項71-74のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項76】
前記ナノ粒子の平均直径は約100nm~約500nmである、請求項75に記載の組成物。
【請求項77】
前記組成物はリン脂質および多価カチオンをさらに含む、請求項1-70のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項78】
前記リン脂質は飽和ホスファチジルコリンである、請求項77に記載の組成物。
【請求項79】
前記多価カチオンは吸湿性塩の形態である、請求項77または78に記載の組成物。
【請求項80】
その必要のある患者において細菌感染症を治療するための方法であって、請求項1-70のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、または請求項71-79のいずれか一項に記載の組成物の有効量を前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項81】
前記細菌感染症は肺細菌感染症である、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記投与することは前記患者の肺に投与することを含む、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記投与することはネブライザーを介して実施される、請求項81または82に記載の方法。
【請求項84】
前記投与することは定量噴霧式吸入器を介して実施される、請求項81または82に記載の方法。
【請求項85】
前記投与することはドライパウダー吸入器を介して実施される、請求項81または82に記載の方法。
【請求項86】
前記投与することは静脈内投与を含む、請求項80に記載の方法。
【請求項87】
前記投与することは皮下投与を含む、請求項80に記載の方法。
【請求項88】
前記投与することは1日1回実施される、請求項80-87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
前記投与することは1日2回実施される、請求項80-87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
前記投与することは1日3回以上実施される、請求項80-87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
前記細菌感染症はグラム陽性菌感染症である、請求項80-89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項92】
前記グラム陽性菌感染症はグラム陽性球菌感染症である、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
前記グラム陽性球菌感染症はストレプトコッカス、エンテロコッカスまたはスタフィロコッカス感染症である、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
前記グラム陽性球菌感染症はスタフィロコッカス感染症である、請求項92に記載の方法。
【請求項95】
前記グラム陽性球菌感染症はエンテロコッカス感染症である、請求項92に記載の方法。
【請求項96】
前記グラム陽性球菌感染症はストレプトコッカス感染症である、請求項92に記載の方法。
【請求項97】
前記スタフィロコッカス感染症はスタフィロコッカス・アウレウス(黄色ブドウ球菌)感染症である、請求項94に記載の方法。
【請求項98】
前記黄色ブドウ球菌感染症はメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症である、請求項97に記載の方法。
【請求項99】
前記黄色ブドウ球菌感染症はメチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)感染症である、請求項97に記載の方法。
【請求項100】
前記黄色ブドウ球菌感染症はバンコマイシン低感受性黄色ブドウ球菌(VISA)感染症である、請求項97に記載の方法。
【請求項101】
前記黄色ブドウ球菌感染症はバンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)感染症である、請求項97に記載の方法。
【請求項102】
前記スタフィロコッカス感染症はスタフィロコッカスヘモリチカス(S.ヘモリチカス)感染症である、請求項94に記載の方法。
【請求項103】
前記スタフィロコッカス感染症はスタフィロコッカス・エピデルミデス(Staphylococcus epidermis)(S.エピデルミデス)感染症である、請求項94に記載の方法。
【請求項104】
前記スタフィロコッカス感染症はペニシリン耐性である、請求項94および97-103のいずれか一項に記載の方法。
【請求項105】
前記スタフィロコッカス感染症はメチシリン耐性である、請求項94および97-104のいずれか一項に記載の方法。
【請求項106】
前記スタフィロコッカス感染症はバンコマイシン耐性である、請求項94および97-105のいずれか一項に記載の方法。
【請求項107】
エンテロコッカス感染症はバンコマイシン耐性感染症(VRE)である、請求項95に記載の方法。
【請求項108】
エンテロコッカス感染症はバンコマイシン感受性感染症(VSE)である、請求項95に記載の方法。
【請求項109】
前記エンテロコッカス感染症はエンテロコッカス・フェカリス(フェカリス菌)感染症である、請求項95に記載の方法。
【請求項110】
前記エンテロコッカス感染症はエンテロコッカス・フェシウム(フェシウム菌)感染症である、請求項95に記載の方法。
【請求項111】
前記フェカリス菌感染症はバンコマイシン-感受性フェカリス菌感染症である、請求項109に記載の方法。
【請求項112】
前記フェカリス菌感染症はバンコマイシン-耐性フェカリス菌感染症である、請求項109に記載の方法。
【請求項113】
前記フェカリス菌感染症はアンピシリン-耐性フェシウム菌感染症である、請求項109に記載の方法。
【請求項114】
前記フェシウム菌感染症はバンコマイシン-耐性フェシウム菌感染症である、請求項110に記載の方法。
【請求項115】
前記フェシウム菌感染症はバンコマイシン-感受性フェシウム菌感染症である、請求項110に記載の方法。
【請求項116】
前記フェシウム菌感染症はアンピシリン-耐性フェシウム菌感染症である、請求項110に記載の方法。
【請求項117】
前記ストレプトコッカス感染症は化膿性連鎖球菌、S.アガラクチア、S.ジスガラクチア(dysgalactiae)、S.ボビス、S.アンギノサス、S.サングイニス、S.スイス、S.ミティス、肺炎球菌、またはS.ミュータンス感染症である、請求項96に記載の方法。
【請求項118】
前記ストレプトコッカス感染症はS.ミュータンス感染症である、請求項117に記載の方法。
【請求項119】
前記ストレプトコッカス感染症は肺炎球菌感染症である、請求項117に記載の方法。
【請求項120】
前記ストレプトコッカス感染症はS.ジスガラクチア(dysgalactiae)感染症である、請求項96に記載の方法。
【請求項121】
前記ストレプトコッカス感染症は化膿性連鎖球菌感染症である、請求項117に記載の方法。
【請求項122】
前記細菌感染症はバチルス・アントラシス(炭疽菌)感染症である、請求項80または81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項123】
前記細菌感染症はフランシセラ・ツラレンシス(F.tularensis)感染症である、請求項80または81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項124】
前記細菌感染症はバークホルデリア感染症である、請求項80または81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項125】
前記バークホルデリア感染症はバークホルデリア・シュードマレイ(類鼻疽菌)、B.ドローサ(dolosa)、B.フンゴラム(fungorum)、B.グラディオリ、B.(マルチボランス)、B.ベトナミエンシス(vietnamiensis)、B.アンビファリア(ambifaria)、B.アンドロポゴニス(andropogonis)、B.アンチナ(anthina)、B.ブラジレンシス(brasilensis)、B.カルクドニカ(calcdonica)、B.カリベンシス(caribensis)またはB.カリョフィリ(caryophylli)感染症である、請求項124に記載の方法。
【請求項126】
前記細菌感染症はエルシニア・ペスティス(ペスト菌)感染症である、請求項80または81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項127】
前記細菌感染症はクロストリジウム・ディフィシル(C.ディフィシル)感染症である、請求項80または81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項128】
前記患者は嚢胞性線維症患者である、請求項80-127のいずれか一項に記載の方法。
【請求項129】
前記細菌感染症は医療現場で獲得される、請求項80-128のいずれか一項に記載の方法。
【請求項130】
前記細菌感染症は地域関連である、請求項80-129のいずれか一項に記載の方法。
【請求項131】
前記細菌感染症は浮遊細菌を含む、請求項80-130のいずれか一項に記載の方法。
【請求項132】
前記細菌感染症は細菌バイオフィルムを含む、請求項80-130のいずれか一項に記載の方法。
【請求項133】
前記細菌感染症は細胞内細菌感染症である、請求項80-130のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
病院および地域社会の両方において、高頻度の多剤耐性細菌、特に、グラム陽性菌は感染症の管理にとって重大な課題を示す(Krause et al. (2008). Antimicrobial Agents and Chemotherapy 52(7), pp. 2647-2652、全ての目的のために全体として参照により本明細書に組み込まれる)。
【0002】
侵襲性スタフィロコッカス・アウレウス(黄色ブドウ球菌)感染症の治療は著しくバンコマイシンに頼ってきた。しかしながら、そのような感染症の治療および管理は治療上の課題である。なぜなら、特定の黄色ブドウ球菌分離菌、特に、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌分離菌は、バンコマイシンに対して耐性であることが示されているからである(Shaw et al. (2005). Antimicrobial Agents and Chemotherapy 49(1), pp. 195-201; Mendes et al. (2015). Antimicrobial Agents and Chemotherapy 59(3), pp. 1811-1814、その各々は全ての目的のために全体として参照により本明細書に組み込まれる)。
【0003】
抗生物質に対し多くのグラム陽性生物により示される耐性、および既存の抗生物質に対する感受性の全体的な欠如のため、これらの細菌による感染症と闘うための新規治療戦略が必要である。本発明はこのおよび他の要求に対処する。
【発明の概要】
【0004】
発明の1つの態様では、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩が提供され:
【化1】
式中、
はC-C18直鎖アルキル、C-C18分枝アルキル、R-Y-R-(Z)、または
【化2】
であり;
は-OHまたは-NH-(CH-Rであり;
はHまたは
【化3】
であり;
はジエタノールアミン、単糖、二糖、アミノ酸、またはペプチドであり、ペプチドは2~5個のアミノ酸を有し;
nは1または2であり;
qは1、2、3、4、または5であり;
tは1、2、3、4、または5であり;
XはO、S、NHまたはHであり;
各Zは、独立して、水素、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロアリールまたは複素環(heterocycl)であり;
およびRはアルキレン、アルケニレンおよびアルキニレンからなる群より独立して選択され、アルキレン、アルケニレンおよびアルキニレン基は任意で、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリールおよび-SO-ヘテロアリールからなる群より選択される1~3個の置換基で置換され;
は-N(CH;-N(CH;または
【化4】
であり;
Yは酸素、硫黄、-S-S-、-NR-、-S(O)-、-SO-、-NRC(O)-、-OSO-、-OC(O)-、-NRSO-、-C(O)NR-、-C(O)O-、-SONR-、-SOO-、-P(O)(OR)O-、-P(O)(OR)NR-、-OP(O)(OR)O-、-OP(O)(OR)NR-、-OC(O)O-、-NRC(O)O-、-NRC(O)NR-、-OC(O)NR-または-NRSONR-であり;ならびに
各Rは、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環からなる群より独立して選択される。
【0005】
別の態様では、式(II)の化合物、またはその薬学的に許容される塩が提供され:
【化5】
式中、
はC-C18直鎖アルキル、C-C18分枝アルキル、R-Y-R-(Z)、または
【化6】
であり;
はジエタノールアミン、単糖、二糖、アミノ酸、またはペプチドであり、ペプチドは2~5個のアミノ酸を有し;
nは1または2であり;
tは1、2、3、4または5であり;
XはO、S、NHまたはHであり;
各Zは、独立して、水素、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロアリールまたは複素環(heterocycl)であり;
およびRはアルキレン、アルケニレンおよびアルキニレンからなる群より独立して選択され、アルキレン、アルケニレンおよびアルキニレン基は任意で、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリールおよび-SO-ヘテロアリールからなる群より選択される1~3個の置換基で置換され;
Yは酸素、硫黄、-S-S-、-NR-、-S(O)-、-SO-、-OSO-、-NRSO-、-SONR-、-SOO-、-P(O)(OR)O-、-P(O)(OR)NR-、-OP(O)(OR)O-、-OP(O)(OR)NR-、-NRC(O)NR-、または-NRSONR-であり;ならびに
各Rは、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環からなる群より独立して選択される。
【0006】
1つの実施形態では、式(I)、式(II)の化合物、または式(I)もしくは式(II)の薬学的に許容される塩が提供され、RはC~C16直鎖アルキルである。さらなる実施形態では、RはC、C10またはC16アルキルである。さらに別の実施形態では、RはC10アルキルである。さらなる実施形態では、細菌感染症は肺細菌感染症である。さらに別の実施形態では、投与することは吸入を介して投与することを含む。
【0007】
1つの実施形態では、式(I)、式(II)の化合物、または式(I)もしくは式(II)の薬学的に許容される塩が提供され、RはR-Y-R-(Z)であり、Rはアミノ酸またはジエタノールアミンである。さらなる実施形態では、Rは-(CH-であり、Rは-(CH10-であり、XはOであり;YはNHであり、Zは水素であり、nは1である。そのようなものとして、発明の1つの実施形態は式(I)、式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、Rは-(CH-NH-(CH-CHであり、Rはアミノ酸またはジエタノールアミンである。さらなる実施形態では、RはD-アラニン、β-アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシンおよびイミノ二酢酸から選択されるアミノ酸である。1つの実施形態では、患者は、細菌感染症について、上記化合物の1つを用いて治療される。1つの実施形態では、細菌感染症は肺細菌感染症である。さらに別の実施形態では、投与することは吸入を介して投与することを含む。
【0008】
1つの実施形態では、式(I)、式(II)の化合物、または式(I)の薬学的に許容される塩が提供され、Rは-(CH-NH-(CH-CHであり、RはHであり、Rはアミノ酸である。さらなる実施形態では、RはOHである。さらなる実施形態では、アミノ酸はD-アラニン、β-アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシンおよびイミノ二酢酸である。1つの実施形態では、患者は、細菌感染症について、上記化合物の1つを用いて治療される。さらに別の実施形態では、投与することは、静脈内経路を介して、または吸入を介して投与することを含む。さらなる実施形態では、XはOである。
【0009】
1つの実施形態では、式(I)の化合物、または式(I)の薬学的に許容される塩が提供され、Rは-(CH-NH-(CH-CHであり、Rは-NH-(CH-Rであり、RはHであり、Rはジエタノールアミンまたはアミノ酸である。1つの実施形態では、アミノ酸はD-アラニン、β-アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシンまたはイミノ二酢酸である。さらなる実施形態では、化合物は細菌感染症の治療を必要とする患者に投与される。さらなる実施形態では、化合物は静脈内もしくは肺経路を介して(例えば、吸入を介して)投与される。さらなる実施形態では、XはOである。
【0010】
1つの実施形態では、式(I)もしくは式(II)の化合物、または薬学的に許容される塩が提供され、R
【化7】
である。さらなる実施形態では、Rはジエタノールアミンまたはアミノ酸である。1つの実施形態では、アミノ酸はD-アラニン、β-アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシンまたはイミノ二酢酸である。さらに別の実施形態では、ハロゲンはClであり、tは1または2である。さらなる実施形態では、XはOであり、R
【化8】
である。
【0011】
1つの実施形態では、Rは単糖である。例えば、単糖は、マンニッヒ反応を介してグリコペプチドレゾルシノール環に結合されてよい。そのようなものとして、1つの実施形態では、Rは下記の1つから選択されてよい:
【化9】
(D-アロース)、
【化10】
(D-グロース)、
【化11】
(D-アルトロース)、
【化12】
(D-イドース)、
【化13】
(D-ガラクトース)、
【化14】
(D-マンノース)、
【化15】
(D-グルコース)、
【化16】
(D-タロース)。さらなる実施形態では、Rは-(CH-NH-(CH-CHである。
【0012】
1つの実施形態では、R
【化17】
(D-マンノース)
である。さらなる実施形態では、Rは-(CH-NH-(CH-CHである。
【0013】
式(I)の化合物の1つの実施形態では、R
【化18】
であり、RはOHであり、R
【化19】
であり、Rはアミノ酸またはジペプチドである。さらに別の実施形態では、ハロゲンはClであり、tは1または2である。さらなる実施形態では、投与は、静脈内経路を介して投与することを含む。さらなる実施形態では、XはOであり、R
【化20】
である。さらなる実施形態では、Rはアミノ酸であり、D-アラニン、β-アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシンまたはイミノ二酢酸である。
【0014】
式(I)、(II)の化合物、またはその薬学的に許容される塩の1つの実施形態では、Rはアミノ酸またはペプチドである。1つの実施形態では、アミノ酸はD-アラニン、β-アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシンまたはイミノ二酢酸である。
【0015】
1つの実施形態では、Rはジエタノールアミンである。さらなる実施形態では、XはOであり、Rは-(CH-NH-(CH-CHである。
【0016】
発明の別の態様では、細菌感染症を治療するための方法が提供される。方法は治療を必要とする患者に、有効量の式(I)もしくは(II)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む。細菌感染症は細胞内細菌、浮遊細菌および/またはバイオフィルム中に存在する細菌を含み得る。
【0017】
細菌感染症を治療するための方法の1つの実施形態では、細菌感染症はグラム陽性球菌感染症である。さらなる実施形態では、Rは-(CH-NH-(CH-CHである。さらなる実施形態では、感染症はグラム陽性感染症であり球菌感染症であり、さらなる実施形態では、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)、メチシリン耐性スタフィロコッカス・アウレウス(MRSA)、メチシリン耐性スタフィロコッカス・エピデルミデス(MRSE)、テイコプラニンにも耐性のバンコマイシン耐性エンテロコッカス・フェシウム(VRE Fm Van A)、テイコプラニン感受性バンコマイシン耐性エンテロコッカス・フェシウム(VRE Fm Van B)、テイコプラニンにも耐性のバンコマイシン耐性エンテロコッカス・フェカリス(VRE Fs Van A)、テイコプラニン感受性バンコマイシン耐性エンテロコッカス・フェカリス(VRE Fs Van B)、またはペニシリン耐性ストレプトコッカス・ニューモニエ(PRSP)である。さらなる実施形態では、Rはジエタノールアミンまたはアミノ酸である。1つの実施形態では、アミノ酸はD-アラニン、β-アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシンまたはイミノ二酢酸である。
【0018】
さらに別の実施形態では、有効量の式(I)もしくは(II)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を用いて細菌感染症を治療するための方法が提供される。さらなる実施形態では、細菌感染症はグラム陽性球菌感染症であり、Rは-(CH-NH-(CH-CHである。さらなる実施形態では、感染症はエリスロマイシン耐性(erm)、バンコマイシン低感受性黄色ブドウ球菌(VISA)ヘテロバンコマイシン低感受性黄色ブドウ球菌(hVISA)、表皮ブドウ球菌コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(CoNS)、ペニシリン低感受性肺炎球菌(PISP)、またはペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)である。
【0019】
本明細書で提供される方法のさらに別の実施形態では、Rは-(CH-NH-(CH-CHであり、細菌感染症はプロピオニバクテリウム・アクネス(皮膚ざ瘡)、エガセラ・レンタ(菌血症)またはペプトストレプトコッカス・アナエロビウス(婦人科感染症)である。さらなる実施形態では、Rはジエタノールアミンまたはアミノ酸である。1つの実施形態では、アミノ酸はD-アラニン、β-アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシンまたはイミノ二酢酸である。
【0020】
1つの実施形態では、細菌感染症はメチシリン耐性スタフィロコッカス・アウレウス(MRSA)感染症であり、それを必要とする患者に投与される組成物は、有効量の式(I)、式(II)の化合物、または式(I)もしくは式(II)の薬学的に許容される塩を含み、Rは-(CH-NH-(CH-CHであり、Rはアミノ酸またはペプチドである。さらなる実施形態では、投与はネブライザーまたはドライパウダー吸入器を介し、細菌感染症は肺感染症である。別の実施形態では、式(I)の化合物の投与は静脈内であり、Rは-(CH-NH-(CH-CHであり;RはOHであり、RおよびRはHである。さらなる実施形態では、XはOである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】上部はグリコペプチド誘導体に到達するバンコマイシンの還元的アミノ化を示す。反応はバンコマイシンの一級アミンで起こる。底部は、クロロエレモマイシン(chloroeremomycin)誘導体のための合成スキームを示す。
図2】グリコペプチド誘導体RV40およびその乳酸塩を製造するための合成スキームを示す。
図3】グリコペプチド誘導体RV79を製造するための合成スキームを示す。
図4】アルキルバンコマイシン誘導体を製造するための合成スキームである。
図5】デシル-バンコマイシン(化合物#5)を製造するための1つの合成スキームを示す。
図6】時間の関数としての、グリコペプチド質量IPDに対して正規化された、ラット肺におけるグリコペプチド質量のグラフである。IPD:投与後すぐ(0.5時間)。
【発明を実施するための形態】
【0022】
医療現場および地域社会の両方において、高頻度の多剤耐性細菌、特に、グラム陽性菌は、感染症の管理にとって重大な課題を示す(Krause et al. (2008). Antimicrobial Agents and Chemotherapy 52(7), pp. 2647-2652、全ての目的のために全体として参照により本明細書に組み込まれる)。その上、嚢胞性線維症(CF)患者におけるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症は懸念であり、そのような感染症を根絶するためのアプローチに関する臨床データが不足している(Goss and Muhlebach (2011). Journal of Cystic Fibrosis 10, pp. 298-306、全ての目的のために全体として参照により本明細書に組み込まれる)。
【0023】
本発明は、新規細菌感染症治療法、特に、式(I)、式(II)の化合物、または式(I)もしくは式(II)の薬学的に許容される塩をその必要のある患者に、例えば肺または静脈内経路を介して送達することにより細菌感染症治療法の必要性に対処する。
【0024】
1つの態様では、本発明は、細菌感染症、例えば、グラム陽性菌感染症、および、いくつかの実施形態では、グラム陽性菌肺感染症を治療するための方法に関する。1つの実施形態では、方法はその必要のある患者に、有効量の式(I)、式(II)の化合物、または式(I)もしくは式(II)の薬学的に許容される塩を含む組成物を投与することを含む。組成物は任意の経路により投与されてよい。肺感染症の場合、1つの実施形態では、組成物は、ネブライザー、ドライパウダー吸入器または定量噴霧式吸入器を介して投与される。別の実施形態では、組成物は静脈内投与される。
【0025】
細菌感染症治療法、および特定の治療法において使用するための化合物は下記で詳細に記載される。
【0026】
式(I)、式(II)の化合物、または式(I)もしくは式(II)の薬学的に許容される塩の「有効量」は、所望の治療反応を提供できる量である。有効量は、投与期間中の複数回投与の一部としての単一用量、または投与期間中に与えられるグリコペプチドの総投与量を指してよい。治療レジメンは、各グリコペプチド投与に対して実質的に同じ用量を含んでよく、または、少なくとも1つの、少なくとも2つのもしくは少なくとも3つの異なる投与量を含んでよい。
【0027】
「アルキル」という用語は、1~40個の炭素原子、例えば、1~10個の炭素原子、または1~6個の炭素原子を有するモノラジカル分枝または非分枝飽和炭化水素鎖を指す。この用語は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、n-ヘキシル、n-デシル、テトラデシル、などの基により例示される。直鎖および分枝アルキル基の両方が、「アルキル」という用語に包含される。
【0028】
「置換アルキル」という用語は、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリールおよび-SO-ヘテロアリールからなる群より選択される1~8個の置換基、例えば、1~5個の置換基または1~3個の置換基を有する、上で規定されるアルキル基を指す。
【0029】
「アルキレン」という用語は、例えば、1~40個の炭素原子、例えば、1~10個の炭素原子、または1~6個の炭素原子を有する、分枝または非分枝飽和炭化水素鎖のジラジカルを指す。この用語は、メチレン(-CH-)、エチレン(-CHCH-)、プロピレン異性体(例えば、-CHCHCH-および-CH(CH)CCH-)、ブチレン異性体(例えば、-CHCHCHCH-)などの基により例示される。
【0030】
「置換アルキレン」という用語は、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO-アルキル、-SO-置換アルキルからなる群より選択される1~5個の置換基、例えば、1~3個の置換基を有する、上で規定されるアルキレン基を指す。加えて、そのような置換アルキレン基は、アルキレン基上の2つの置換基が縮合されて、アルキレン基に縮合された1つ以上のシクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、複素環またはヘテロアリール基を形成するものを含む。そのような縮合基は1~3個の縮合環構造を含んでよい。加えて、置換アルキレンという用語は、アルキレン炭素原子の1~5個が酸素、硫黄またはNR-と置き換えられるアルキレン基を含み、Rは水素またはアルキルである。置換アルキレンの例はクロロメチレン(-CH(Cl)-)、アミノエチレン(-CH(NH)CH-)、2-カルボキシプロピレン異性体(-CHCH(COH)CH-)、エトキシエチル(-CHCH-O-CHCH-)などである。
【0031】
「アルカリル」という用語は、-アルキレン-アリールおよび置換アルキレン-アリール基を指し、アルキレン、置換アルキレンおよびアリールは本明細書で規定される。そのようなアルカリル基は、ベンジル、フェネチルなどにより例示される。
【0032】
「アルコキシ」という用語は、アルキル-O-、アルケニル-O-、シクロアルキル-O-シクロアルケニル-O-、およびアルキニル-O-基を指し、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、およびアルキニルは本明細書で規定される通りである。アルキル-O-アルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、tert-ブトキシ、sec-ブトキシ、n-ペントキシ、n-ヘキソキシ、1,2-ジメチルブトキシ、などが挙げられる。
【0033】
「置換アルコキシ」という用語は、置換アルキル-O-、置換アルケニル-O-、置換シクロアルキル-O-、置換シクロアルケニル-O-、および置換アルキニル-O-基を指し、置換アルキル、置換アルケニル、置換シクロアルキル、置換シクロアルケニルおよび置換アルキニルは本明細書で規定される通りである。
【0034】
「アルキルアルコキシ」という用語は、-アルキレン-O-アルキル、アルキレン-O-置換アルキル、置換アルキレン-O-アルキルおよび置換アルキレン-O-置換アルキル基を指し、アルキル、置換アルキル、アルキレンおよび置換アルキレンは本明細書で規定される通りである。アルキルアルコキシ基はまた、アルキレン-O-アルキルとして表され、例として、メチレンメトキシ(-CHOCH)、エチレンメトキシ(-CHCHOCH)、n-プロピレン-イソプロポキシ(-CHCHCHOCH(CH)、メチレン-t-ブトキシ(-CH-O-C(CH)などが挙げられる。
【0035】
「アルケニル」という用語は、2~40個の炭素原子、例えば、2~10個の炭素原子または2~6個の炭素原子を有し、かつ少なくとも1つ、いくつかの実施形態では、1-6個のビニル不飽和部位を有する分枝または非分枝不飽和炭化水素基のモノラジカルを指す。アルケニル基としては、エテニル(-CH=CH)、n-プロペニル(-CHCH=CH)、イソプロペニル(-C(CH)=CH)、などが挙げられる。
【0036】
「置換アルケニル」という用語は、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリールおよび-SO-ヘテロアリールからなる群より選択される、1~5個の置換基、例えば、1~3個の置換基を有する以上で規定されるアルケニル基を指す。
【0037】
「アルケニレン」という用語は、2~40個の炭素原子、例えば2~10個の炭素原子または2~6個の炭素原子を有し、かつ少なくとも1つ、例えば、1-6個のビニル不飽和部位を有する分枝または非分枝不飽和炭化水素基のジラジカルを指す。この用語は、エテニレン(-CH=CH-)、プロペニレン異性体(例えば、-CHCH=CH-および-C(CH3)=CH-)などの基により例示される。
【0038】
「置換アルケニレン」という用語は、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリールおよび-SO-ヘテロアリールからなる群より選択される1~5個の置換基、例えば、1~3個の置換基を有する、上で規定されるアルケニレン基を指す。加えて、そのような置換アルケニレン基は、アルケニレン基上の2つの置換基が縮合されて、アルケニレン基に縮合された1つ以上のシクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、複素環またはヘテロアリール基を形成するものを含む。
【0039】
「アルキニル」という用語は、2~40個の炭素原子、例えば、2~20個の炭素原子、または2~6個の炭素原子を有し、かつ少なくとも1つ、いくつかの実施形態では1~6個のアセチレン(三重結合)不飽和部位を有する不飽和炭化水素のモノラジカルを示す。代表的なアルキニル基としては、エチニル(-C≡CH)、プロパルギル(-CHC≡CH)などが挙げられる。
【0040】
「置換アルキニル」という用語は、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリールおよび-SO-ヘテロアリールからなる群より選択される1~5個の置換基、例えば、1~3個の置換基を有する、上で規定されるアルキニル基を指す。
【0041】
「アルキニレン」という用語は、2~40個の炭素原子、例えば2~10個の炭素原子または2~6個の炭素原子を有し、かつ少なくとも1つ、いくつかの実施形態では、1-6個のアセチレン(三重結合)不飽和部位を有する不飽和炭化水素のジラジカルを指す。代表的なアルキニレン基としてはエチニレン(-C≡C-)、プロパルギレン(-CHC≡C-)が挙げられる。
【0042】
「置換アルキニレン」という用語は、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリールおよび-SO-ヘテロアリールからなる群より選択される1~5個の置換基、例えば、1~3個の置換基を有する、上で規定されるアルキニレン基を指す。
【0043】
「アシル」という用語は、HC(O)-、アルキル-C(O)-、置換アルキル-C(O)-、シクロアルキル-C(O)-、置換シクロアルキル-C(O)-、シクロアルケニル-C(O)-、置換シクロアルケニル-C(O)-、アリール-C(O)-、ヘテロアリール-C(O)-および複素環-C(O)-基を指し、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環は本明細書で規定される通りである。
【0044】
「アシルアミノ」または「アミノカルボニル」という用語は、-C(O)NRR基を指し、各Rは独立して水素、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環であり、または、両方のR基が一緒になって複素環基(例えば、モルホリノ)を形成し、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環は本明細書で規定される通りである。
【0045】
「アミノアシル」という用語は、-NRC(O)R基を指し、各Rは独立して水素、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリール、または複素環であり、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環は本明細書で規定される通りである。
【0046】
「アミノアシルオキシ」または「アルコキシカルボニルアミノ」という用語は、-NRC(O)OR基を指し、各Rは独立して水素、アルキル、置換アルキルアリール、ヘテロアリール、または複素環である。
【0047】
「アシルオキシ」という用語は、アルキル-C(O)O-、置換アルキル-C(O)O-、シクロアルキル-C(O)O-、置換シクロアルキル-C(O)O-、アリール-C(O)O-、ヘテロアリール-C(O)O-、および複素環-C(O)O-基を指し、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、および複素環は本明細書で規定される通りである。
【0048】
「アリール」という用語は、単環(例えば、フェニル)または複数の縮合(融合)環(例えば、ナフチルまたはアントリル)を有する6~20個の炭素原子の不飽和芳香族炭素環基を指す。代表的なアリールとしてはフェニル、ナフチルなどが挙げられる。アリール置換基についての定義により別段制限されない限り、そのようなアリール基は、任意で、アシルオキシ、ヒドロキシ、チオール、アシル、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、置換アルキル、置換アルコキシ、置換アルケニル、置換アルキニル、置換シクロアルキル、置換シクロアルケニル、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アシルアミノ、アルカリル、アリール、アリールオキシ、アジド、カルボキシル、カルボキシルアルキル、シアノ、ハロ、ニトロ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環、ヘテロシクロオキシ、アミノアシルオキシ、オキシアシルアミノ、スルホンアミド、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリールおよびトリハロメチルからなる群より選択される1~5個の置換基、例えば、1~3個の置換基で置換されてよい。1つの実施形態では、アリール置換基は、アルキル、アルコキシ、ハロ、シアノ、ニトロ、トリハロメチル、チオアルコキシまたはそれらの組み合わせである。
【0049】
「アリールオキシ」という用語は、アリール-O-基を指し、アリール基は上で規定され、任意で置換されたアリール基を含み、これもまた上で規定される。
【0050】
「アリーレン」という用語は、上で規定されるアリール(置換アリールを含む)から誘導されるジラジカルを指し、1,2-フェニレン、1,3-フェニレン、1,4-フェニレン、1,2-ナフチレンなどにより例示される。
【0051】
「アミノ」という用語は、-NH基を指す。
【0052】
「置換アミノ」という用語は、-NRR基を指し、各Rは、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環からなる群より独立して選択され、ただし、両方のR基がHではないことを条件とする。
【0053】
「カルボキシアルキル」または「アルコキシカルボニル」という用語は、「-C(O)O-アルキル」、「-C(O)O-置換アルキル」、「-C(O)O-シクロアルキル」、「-C(O)O-置換シクロアルキル」、「-C(O)O-アルケニル」、「-C(O)O-置換アルケニル」、「-C(O)O-アルキニル」および「-C(O)O-置換アルキニル」基を指し、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニルおよび置換アルキニルは本明細書で規定される通りである。
【0054】
「シクロアルキル」という用語は、単一環または複数の縮合した環を有する3~20個の炭素原子の環状アルキル基を指す。そのようなシクロアルキル基としては、例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロオクチル、などの単環構造、またはアダマンタニル、などの多環構造が挙げられる。
【0055】
「置換シクロアルキル」という用語は、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリールおよび-SO-ヘテロアリールからなる群より選択される1~5個の置換基、例えば、1~3個の置換基を有するシクロアルキル基を指す。
【0056】
「シクロアルケニル」という用語は、単一環および少なくとも1つの内部不飽和点を有する4~20個の炭素原子の環状アルケニル基を指す。好適なシクロアルケニル基の例としては、例えば、シクロブト-2-エニル、シクロペント-3-エニル、シクロオクト-3-エニルが挙げられる。
【0057】
「置換シクロアルケニル」という用語は、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリールおよび-SO-ヘテロアリールからなる群より選択される1~5個の置換基、例えば、1~3個の置換基を有するシクロアルケニル基を指す。
【0058】
「ハロ」または「ハロゲン」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモおよび/またはヨードを指す。
【0059】
「ハロアルキル」は、本明細書で規定される1-4個のハロ基(同じであるか、または異なっていてよい)により置換された、本明細書で規定されるアルキルを指す。代表的なハロアルキル基としては、例として、トリフルオロメチル、3-フルオロドデシル、12,12,12-トリフルオロドデシル、2-ブロモオクチル、3-ブロモ-6-クロロヘプチル、などが挙げられる。
【0060】
「ヘテロアリール」という用語は、1~15個の炭素原子および少なくとも1つの環部分内の、酸素、窒素および硫黄から選択される1~4個のヘテロ原子の芳香族基を指す。
【0061】
ヘテロアリール置換基についての定義により別段制限されない限り、そのようなヘテロアリール基は任意で、アシルオキシ、ヒドロキシ、チオール、アシル、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、置換アルキル、置換アルコキシ、置換アルケニル、置換アルキニル、置換シクロアルキル、置換シクロアルケニル、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アシルアミノ、アルカリル、アリール、アリールオキシ、アジド、カルボキシル、カルボキシルアルキル、シアノ、ハロ、ニトロ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環、ヘテロシクロオキシ、アミノアシルオキシ、オキシアシルアミノ、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリールおよび-SO-ヘテロアリールおよびトリハロメチルからなる群より選択される1~5個の置換基、例えば1~3個の置換基で置換されてよい。代表的なアリール置換基としては、アルキル、アルコキシ、ハロ、シアノ、ニトロ、トリハロメチル、およびチオアルコキシが挙げられる。そのようなヘテロアリール基は、単環(例えば、ピリジルまたはフリル)または複数の縮合した環(例えば、インドリジニルまたはベンゾチエニル)を有してよい。1つの実施形態では、ヘテロアリールはピリジル、ピロリルまたはフリルである。「ヘテロアリールアルキル」は(ヘテロアリール)アルキル-を示し、ヘテロアリールおよびアルキルは本明細書で規定される通りである。代表例としては、2-ピリジルメチルなどが挙げられる。
【0062】
「ヘテロアリールオキシ」という用語は、ヘテロアリール-O-基を指す。
【0063】
「ヘテロアリーレン」という用語は、上で規定されるヘテロアリール(置換ヘテロアリールを含む)から誘導されるジラジカル基を指し、2,6-ピリジレン、2,4-ピリジレン(pyridiylene)、1,2-キノリニレン、1,8-キノリニレン、1,4-ベンゾフラニレン、2,5-ピリジニレン(pyridnylene)、2,5-インドレニルなど基により例示される。
【0064】
「複素環」または「複素環式」という用語は、単環または複数の縮合した環、1~40個の炭素原子および、環内の窒素、硫黄、リン、および/または酸素から選択される1~10個のヘテロ原子、例えば1~4個のヘテロ原子を有するモノラジカル飽和不飽和基を指す。
【0065】
複素環置換基についての定義により別段制限されない限り、そのような複素環基は任意で、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリールおよび-SO-ヘテロアリールからなる群より選択される1~5個、例えば、1~3個の置換基で置換されてよい。そのような複素環基は、単環または複数の縮合した環を有してよい。1つの実施形態では、複素環は、モルホリノまたはピペリジニルである。
【0066】
窒素複素環およびヘテロアリールの例としては、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチルピリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、フェナントロリン、イソチアゾール、フェナジン、イソキサゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、イミダゾリジン、イミダゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドリン、モルホリノ、ピペリジニル、テトラヒドロフラニル、など、ならびにN-アルコキシ-窒素含有複素環が挙げられるが、それらに限定されない。
【0067】
別のクラスの複素環は、「クラウン化合物」として知られており、それは、式[(CH-)A-]の1つ以上の繰り返し単位を有する特定のクラスの複素環化合物を指し、aは2以上であり、各別個の事象でのAはO、N、SまたはPであってよい。クラウン化合物の例としては、ほんの一例として、[-(CH-NH-]、[-((CH-O)-((CH-NH)]などが挙げられる。1つの実施形態では、クラウン化合物は4~10個のヘテロ原子および8~40個の炭素原子を有する。
【0068】
「ヘテロシクロオキシ」という用語は、複素環式-O-基を指す。
【0069】
「ヘテロシクレン」という用語は、本明細書で規定される複素環から形成されるジラジカル基を指し、2,6-モルホリノ、2,5-モルホリノ基などにより例示される。
【0070】
「オキシアシルアミノ」または「アミノカルボニルオキシ」という用語は、-OC(O)NRR基を指し、各Rは独立して水素、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリール、または複素環であり、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環は本明細書で規定される通りである。
【0071】
「スピロ結合シクロアルキル基」という用語は、両方の環に共通の1つの炭素原子を介して別の環に結合されるシクロアルキル基を指す。
【0072】
「スルホンアミド」という用語は、式-SONRRの基を指し、各Rは独立して水素、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリール、または複素環であり、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環は本明細書で規定される通りである。
【0073】
「チオール」という用語は、-SH基を指す。
【0074】
「チオヘテロアリールオキシ」という用語は、ヘテロアリール-S-基を指し、ヘテロアリール基は上で規定される通りであり、任意で置換アリール基を含み、これもまた、上で規定される。
【0075】
1つ以上の置換基を含む上記基のいずれに関しても、そのような基は、立体的に実際的でない、および/または合成的に実現不能である置換または置換パターンを含まないことが理解される。加えて、この発明の化合物は、これらの化合物の置換から生じる立体化学異性体を全て含む。
【0076】
「グリコペプチド」は、任意で、糖基で置換された多環ペプチドコアにより特徴付けられるヘプタペプチド抗生物質を指す。この定義に含まれるグリコペプチドの例は、Raymond C. Rao and Louise W. Crandallによる“Glycopeptides Classification, Occurrence, and Discovery”(“Drugs and the Pharmaceutical Sciences” Volume 63, Ramakrishnan Nagarajan編, Marcal Dekker, Inc.により発行)において見出すことができ、それはこれにより全体として参照により組み込まれる。代表的なグリコペプチドとしては、A477、A35512、A40926、A41030、A42867、A47934、A80407、A82846、A83850、A84575、AB-65、アクタプラニン、アクチノイジン(Actinoidin)、アルダシン(Ardacin)、アボパルシン、アズレオマイシン(Azureomycin)、バルヒマイシン(Balhimycin)、クロロオリエンチエイン(Chloroorientiein)、クロロポリスポリン(Chloropolysporin)、デカプラニン(Decaplanin)、N-デメチルバンコマイシン、エレモマイシン(Eremomycin)、ガラカルジン(Galacardin)、ヘルベカルジン(Helvecardin)、イズペプチン(Izupeptin)、キブデリン(Kibdelin)、LL-AM374、マノペプチン(Mannopeptin)、MM45289、MM47756、MM47761、MM49721、MM47766、MM55260、MM55266、MM55270、MM56597、MM56598、OA-7653、オレンチシン(Orenticin)、パロジシン(Parvodicin)、リストセチン、リストマイシン(Ristomycin)、シンモニシン(Synmonicin)、テイコプラニン、テラバンシン、UK-68597、UK-69542、UK-72051、バンコマイシン、などとして同定されたものが挙げられる。「グリコペプチド」という用語は、本明細書ではまた、糖部分が存在しない以上で開示される一般的クラスのペプチド、すなわち、グリコペプチドのアグリコンシリーズを含むことが意図される。例えば、穏やかな加水分解によるバンコマイシン上のフェノールに付加された二糖部分の除去により、バンコマイシンアグリコンが得られる。追加の糖残基、とりわけアミノグリコシドが、バンコサミンと同様の様式でさらに付加されているグリコペプチドもまた、発明の範囲内にある。本明細書で記載される実施形態では、1つ以上の上記グリコペプチド(glycopeoptide)は、式(I)、式(II)の化合物、または式(I)もしくは(II)の薬学的に許容される塩と組み合わせて使用できる。
【0077】
「薬学的に許容される塩」は酸付加塩および塩基付加塩の両方を含む。薬学的に許容される付加塩は、遊離塩基の生物学的効果および特性を保持し、生物学的に、または別様に不適切でなく、例えば、限定されないが、塩酸(HCl)、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸、および、例えば、限定されないが、酢酸、2,2-ジクロロ酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4-アセトアミド安息香酸、ショウノウ酸、カンファー-10-スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、炭酸、桂皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グルタル酸、2-オキソ-グルタル酸、グリセロリン酸、グリコール酸、馬尿酸、イソ酪酸、乳酸(例えば、乳酸塩として)、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムチン酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、ニコチン酸、オレイン酸、オロト酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、プロピオン酸、ピログルタミン酸、ピルビン酸、サリチル酸、4-アミノサリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、酢酸(例えば、酢酸塩として)、酒石酸、チオシアン酸、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸(TFA)、ウンデシレン酸、などの有機酸と共に形成されるそれらの塩を指す。1つの実施形態では、薬学的に許容される塩はHCl、TFA、乳酸塩または酢酸塩である。
【0078】
薬学的に許容される塩基付加塩は、生物学的に、または別様に不適切でない、遊離酸の生物学的効果および特性を保持する。これらの塩は、無機塩基または有機塩基の遊離酸への付加から調製される。無機塩基から誘導される塩としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウム塩などが挙げられるが、それらに限定されない。無機塩としては、アンモニウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、およびマグネシウム塩が挙げられる。有機塩基から誘導される塩としては、一級、二級および三級アミン、天然置換アミンを含む置換アミン、環状アミンおよび塩基性イオン交換樹脂、例えばアンモニア、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ジエタノールアミン、エタノールアミン、デアノール、2-ジメチルアミノエタノール、2-ジエチルアミノエタノール、ジシクロヘキシルアミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、ベネタミン、ベンザチン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、N-エチルピペリジン、ポリアミン樹脂などの塩が挙げられるが、それらに限定されない。薬学的に許容される塩を形成するために使用できる有機塩基としては、イソプロピルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、コリンおよびカフェインが挙げられる。
【0079】
「アミノ酸」は天然アミノ酸、合成アミノ酸、およびその誘導体のいずれかを指す。α-アミノ酸は、アミノ基、カルボキシ基、水素原子、および「側鎖」と呼ばれる特有の基が結合される炭素原子を含む。天然アミノ酸の側鎖は当技術分野でよく知られており、例えば、水素(例えば、グリシン)、アルキル(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン)、置換アルキル(例えば、スレオニン、セリン、メチオニン、システイン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、アルギニン、およびリジンにおいて見られるような)、アルカリル(例えば、フェニルアラニンおよびトリプトファン)、置換アリールアルキル(例えば、チロシン)、およびヘテロアリールアルキル(例えば、ヒスチジン)が挙げられる。
【0080】
アミノ酸について本明細書で使用される略語は、従来使用されるそれらの略語である:A=Ala=アラニン;R=Arg=アルギニン;N=Asn=アスパラギン;D=Asp=アスパラギン酸;C=Cys=システイン;Q=Gln=グルタミン;E=Glu=グルタミン酸(Gutamic acid);G=Gly=グリシン;H=His=ヒスチジン;I=Ile=イソロイシン;L=Leu=ロイシン;K=Lys=リジン;M=Met=メチオニン;F=Phe=フェニルアラニン;P=Pro=プロリン;S=Ser=セリン;T=Thr=スレオニン;W=Trp=トリプトファン;Y=Tyr=チロシン;V=Val=バリン。本明細書で提供される組成物中のアミノ酸は、L-またはD-アミノ酸である。1つの実施形態では、合成アミノ酸が、本明細書で提供される組成物中で使用される。1つの実施形態では、アミノ酸は、組成物中のグリコペプチド抗生物質の半減期、有効性および/またはバイオアベイラビリティを増加させる。さらなる実施形態では、グリコペプチド抗生物質はバンコマイシンである。
【0081】
アミノ酸誘導体は、本明細書で記載されるアミノ酸に包含され、NH、NHR、またはNRのいずれかとして、アミン官能基、およびカルボン酸官能基の両方を有する部分を指す。「アミノ酸」という用語は天然および非天然アミノ酸の両方を包含し、α-アミノ酸、β-アミノ酸、またはγアミノ酸を指してよい。特に指定がない限り、本明細書で言及されるアミノ酸構造は、任意の可能な立体異性体、例えば、DまたはL鏡像異性体であってよい。いくつかの実施形態では、アミノ酸誘導体は、ジペプチドおよびトリペプチドを含む、短ペプチドである。本発明に好適な例示的なアミノ酸およびアミノ酸誘導体としては、アラニン(ALA)、D-アラニン(D-ALA)、アラニン-アラニン(ALA-ALA)、β-アラニン(βALA)、アラニン-β-アラニン(ALA-βALA)、3-アミノブタン酸(3-ABA)、γ-アミノ酪酸(GABA)、グルタミン酸(GLUまたはGLUt)、D-グルタミン酸(D-GLU)、グリシン(GLY)、グリシルグリシン(GLY-GLY)、グリシン-アラニン(GLY-ALA)、アラニン-グリシン(ALA-GLY)、アスパラギン酸(ASP)、D-アスパラギン酸(D-ASP)、リジン-アラニン-アラニン(LYS-ALA-ALA)、L-リジン-D-アラニン-D-アラニン(L-LYS-D-ALA-D-ALA)、ビシン、トリシン、サルコシン、およびイミノ二酢酸(IDAA)が挙げられる。アミノ酸およびその誘導体は、公知の技術に従い合成でき、または、供給元、例えば、Sigma-Aldrich(Milwaukee、WI)から購入できる。
【0082】
1つの態様では、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩が提供される。1つの実施形態における化合物は、細菌感染症の治療を必要とする患者に投与される。
【化21】

式中、
はC-C18直鎖アルキル、C-C18分枝アルキル、R-Y-R-(Z)、または
【化22】
であり;
は-OHまたは-NH-(CH-Rであり;
はHまたは
【化23】

であり;
はジエタノールアミン、単糖、二糖、アミノ酸、またはペプチドであり、ペプチドは2~5個のアミノ酸を有し;
nは1または2であり;
qは1、2、3、4、または5であり;
tは1、2、3、4、または5であり;
XはO、S、NHまたはHであり;
各Zは、独立して、水素、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロアリールまたは複素環(heterocycl)であり;
およびRはアルキレン、アルケニレンおよびアルキニレンからなる群より独立して選択され、アルキレン、アルケニレンおよびアルキニレン基は任意で、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリールおよび-SO-ヘテロアリールからなる群より選択される1~3個の置換基で置換され
は-N(CH;-N(CH;または
【化24】
であり;
Yは酸素、硫黄、-S-S-、-NR-、-S(O)-、-SO-、-NRC(O)-、-OSO-、-OC(O)-、-NRSO-、-C(O)NR-、-C(O)O-、-SONR-、-SOO-、-P(O)(OR)O-、-P(O)(OR)NR-、-OP(O)(OR)O-、-OP(O)(OR)NR-、-OC(O)O-、-NRC(O)O-、-NRC(O)NR-、-OC(O)NR-または-NRSONR-であり;ならびに
各Rは、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環からなる群より独立して選択される。
【0083】
本発明の別の態様は、式(II)の化合物、またはその薬学的に許容される塩に関する:
【化25】

式中、
はC-C18直鎖アルキル、C-C18分枝アルキル、R-Y-R-(Z)、または
【化26】
であり;
はジエタノールアミン、単糖、二糖、アミノ酸、またはペプチドであり、ペプチドは2~5個のアミノ酸を有し;
nは1または2であり;ならびに
tは1、2、3、4、または5であり;
XはO、S、NHまたはHであり、
各Zは、独立して、水素、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロアリールまたは複素環であり;
およびRはアルキレン、アルケニレンおよびアルキニレンからなる群より独立して選択され、アルキレン、アルケニレンおよびアルキニレン基は任意で、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリールおよび-SO-ヘテロアリールからなる群より選択される1~3個の置換基で置換され;
Yは酸素、硫黄、-S-S-、-NR-、-S(O)-、-SO-、-OSO-、-NRSO-、-SONR-、-SOO-、-P(O)(OR)O-、-P(O)(OR)NR-、-OP(O)(OR)O-、-OP(O)(OR)NR-、-NRC(O)NR-、または-NRSONR-であり;ならびに
各Rは、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環からなる群より独立して選択される。
【0084】
式(I)および式(II)の化合物は、1つの実施形態では、米国特許第6,455,669号および/または米国特許第7,160,984号(その各々の開示内容が全体として参照により本明細書に組み込まれる)で提供される方法により合成される。さらなる合成方法が本明細書における実施例セクションで提供される。採用できる他の調製工程および方法が、米国特許第6,392,012号;米国特許出願公開第2017/0152291号;米国特許出願公開第2016/0272682号(その各々がこれにより、全ての目的のために全体として参照により組み込まれる)で開示される。国際公開第WO2018/08197号(その開示内容は全体として参照により組み込まれる)で記載される方法もまた、採用できる。合成スキームもまた、本明細書における実施例セクションで提供される。
【0085】
【化27】
は、グリコペプチドのレゾルシノール環に、例えば、Guan et al. (2018). J. Med. Chem. 61, pp. 286, 304;またはPavlov et al. (1997) The Journal of Antibiotics 50(6), pp. 509-513(その各々が全体として参照により本明細書に組み込まれる)で記載されるマンニッヒ反応を介して付加できる。
【0086】
上で提供されるように、バンコマイシンなどのグリコペプチドのレゾルシノール部分の
【化28】
基は、マンニッヒ反応を介して導入できる。そのような反応は、例えば、Guan et al. (2018). J. Med. Chem. 61, pp. 286, 304;またはPavlov et al. (1997) The Journal of Antibiotics 50(6), pp. 509-513および米国特許第6,635,618号(その各々が全体として参照により本明細書に組み込まれる)において記載される。この反応では、式NHRR’のアミン(例えば、アミノ酸、ジエタノールアミン(diethanoloamine)、またはRおよびR’の1つまたは両方が単糖または二糖を含む基である化合物)、およびホルムアルデヒドまたはホルマリン(ホルムアルデヒド源)が、塩基性条件下でグリコペプチドと反応して、
【化29】
基を有するグリコペプチド誘導体を与える。
【0087】
1つの実施形態では、式(I)および式(II)の化合物(例えば、R
【化30】

であり、RはOHである)が、米国特許出願公開第2017/0152291号(その開示内容は全体として参照により組み込まれる)で提供される方法により合成される。
【0088】
式(I)(Rは-NH-(CH-Rである)の実施形態では、アミドカップリングは、Yarlagadda et al. (2014). J. Med. Chem. 57, pp. 4558-4568(その開示内容は全ての目的のために全体として参照により本明細書に組み込まれる)で記載されるように実施できる。例えば、バンコマイシンまたは他のグリコペプチド誘導体(例えば、R
【化31】
(例えば、
【化32】
)であり、XはOである式(I)の化合物)の溶液は、25℃にて-NH-(CH-Rの溶液(例えば、-NH-(CH-N(CH、-NH-(CH-N(CH、または
【化33】
の溶液)、N-メチルモルホリンおよびHBTUと反応させてよい。反応混合物を25℃で5分間攪拌し、25℃でHO中の50%MeOHの添加により反応停止できる。混合物をセミ分取逆相HPLCにより精製して、化合物を白色フィルムとして得ることができる。
【0089】
式(I)、式(II)の化合物、または式(I)もしくは式(II)の薬学的に許容される塩の1つの実施形態では、Rは、生理的に切断可能な官能基を含まない。別の言い方をすれば、R基は、1つの実施形態では、インビボで加水分解または酵素切断に供されない。
【0090】
別の実施形態では、Rはアミドまたはエステル部分を含まない。
【0091】
1つの実施形態では、式(I)、式(II)の化合物、または式(I)もしくは式(II)の薬学的に許容される塩が提供され、RはR-Y-R-(Z)である。さらなる実施形態では、Rは-(CH-であり、Rは-(CH10-であり、XはOであり、YはNRであり、Zは水素であり、nは1である。さらなる実施形態では、Rは水素である。そのようなものとして、本明細書で提供される方法の1つの実施形態は、患者に有効量の式(I)、式(II)の化合物、または式(I)もしくは式(II)の薬学的に許容される塩を含む組成物を送達することを含み、Rは-(CH-NH-(CH-CHである。さらなる実施形態では、XはOであり、RはOHであり、RおよびRはHである(式(I)の化合物について)。さらに別の実施形態では、投与は静脈内もしくは肺経路を介する。さらなる実施形態では、Rはジエタノールアミンまたはアミノ酸である。1つの実施形態では、アミノ酸はD-アラニン、β-アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシンまたはイミノ二酢酸である。
【0092】
1つの実施形態では、Rは単糖である。例えば、単糖は、マンニッヒ反応を介してグリコペプチドレゾルシノール環に結合されてよい。そのようなものとして、Rは、1つの実施形態では、下記構造の1つから選択できる:
【化34】
(D-アロース)、
【化35】
(D-グロース)、
【化36】
(D-アルトロース)、
【化37】
(D-イドース)、
【化38】
(D-ガラクトース)、
【化39】
(D-マンノース)、
【化40】
(D-グルコース)、
【化41】
(D-タロース)。さらなる実施形態では、Rは-(CH-NH-(CH-CHである。さらに別の実施形態では、XはOである。
【0093】
式(I)、式(II)の化合物、または式(I)もしくは式(II)の薬学的に許容される塩の1つの実施形態では、Rは-CH-NH-(CH10-CHである。さらなる実施形態では、XはOであり、RはOHであり、RおよびRはHである。さらなる実施形態では、Rはジエタノールアミンまたはアミノ酸である。1つの実施形態では、アミノ酸はD-アラニン、β-アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシンまたはイミノ二酢酸である。
【0094】
式(I)、式(II)の化合物、またはその薬学的に許容される塩の1つの実施形態では、Rは-(CH-NH-(CH10-CHである。さらなる実施形態では、XはOである。さらなる実施形態では、Rはジエタノールアミンまたはアミノ酸である。1つの実施形態では、アミノ酸はD-アラニン、β-アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシンまたはイミノ二酢酸である。
【0095】
式(I)、式(II)の化合物、またはその薬学的に許容される塩の別の実施形態では、Rは-(CH-NH-(CH11-CHである。さらなる実施形態では、XはOであり、RはOHであり、RおよびRはHである。
【0096】
式(I)の化合物、または式(I)の薬学的に許容される塩の別の実施形態では、R
【化42】
であり;XはOまたはHであり;ならびにRは-NH-(CH-Rである。さらなる実施形態では、Rは-NH-(CH-Rである。さらなる実施形態では、R
【化43】
であり、Rは-N(CHまたは-N(CHである。さらなる実施形態では、Rはジエタノールアミンまたはアミノ酸である。1つの実施形態では、アミノ酸はD-アラニン、β-アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシンまたはイミノ二酢酸である。
【0097】
さらに別の実施形態では、RはC10-C16アルキルである。さらに別の実施形態では、RはC10アルキルである。
【0098】
式(I)、式(II)の化合物、または式(I)の薬学的に許容される塩のさらに別の実施形態では、RはOHであり、RおよびRはHであり、XはOである。さらなる実施形態では、R
【化44】
またはR-Y-R-(Z)である。さらに別の実施形態では、RはR-Y-R-(Z)であり、Rはメチレン、エチレンまたはプロピレンであり;Rは-(CH-、-(CH10-、-(CH11-、または-(CH12-であり、ZはHであり、nは1である。さらなる実施形態では、Rはジエタノールアミンまたはアミノ酸である。1つの実施形態では、アミノ酸はD-アラニン、β-アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシンまたはイミノ二酢酸である。
【0099】
式(I)、式(II)の化合物、またはその薬学的に許容される塩のさらに別の実施形態では、1つ以上の水素原子は重水素原子と置き換えられる。
【0100】
式(I)、式(II)の化合物、または式(I)もしくは式(II)の薬学的に許容される塩の1つの実施形態では、RはR-Y-R-(Z)である。さらなる実施形態では、Rは-(CH-であり、Rは-(CH10-であり、YはNRであり、Zは水素であり、nは1である。さらなる実施形態では、Rは水素である。さらなる実施形態では、Rはジエタノールアミンまたはアミノ酸である。1つの実施形態では、アミノ酸はD-アラニン、β-アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシンまたはイミノ二酢酸である。
【0101】
1つの実施形態では、Rは-(CH-NH-(CH-CHである。さらなる実施形態では、Rはジエタノールアミンまたはアミノ酸である。1つの実施形態では、アミノ酸はD-アラニン、β-アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシンまたはイミノ二酢酸である。
【0102】
式(I)、式(II)の化合物、またはその薬学的に許容される塩のさらに別の実施形態では、XはOであり、RはR-Y-R-(Z)であり、RはOHであり、RはHである。さらなる実施形態では、Rはジエタノールアミンまたはアミノ酸である。1つの実施形態では、アミノ酸はD-アラニン、β-アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシンまたはイミノ二酢酸である。
【0103】
さらなる実施形態では、Rは-(CH-であり、Rは-(CH10-であり、YはNRであり、Zは水素であり、nは1である。さらなる実施形態では、Rは水素であり、XはOである。さらに別の実施形態では、投与は静脈内または肺経路を介する。さらなる実施形態では、Rはジエタノールアミンまたはアミノ酸である。1つの実施形態では、アミノ酸はD-アラニン、β-アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシンまたはイミノ二酢酸である。
【0104】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の1つの実施形態では、Rは-(CH-NH-(CH-CHであり、XはOであり、Rは-NH-(CH-Rであり、RはHであり、Rはジエタノールアミンまたはアミノ酸である。1つの実施形態では、アミノ酸はD-アラニン、β-アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシンまたはイミノ二酢酸である。さらなる実施形態では、qは2または3であり、Rは-N(CHである。
【0105】
1つの実施形態では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩が提供され、Rは-(CH-NH-(CH-CHであり、XはOであり、RはOHであり、R
【化45】
であり、Rはアミノ酸またはジエタノールアミンである。1つの実施形態では、アミノ酸はD-アラニン、β-アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシンまたはイミノ二酢酸である。
【0106】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の1つの実施形態では、Rは-(CH-NH-(CH-CHであり、XはOであり、RはOHであり、RはHであり、Rはジエタノールアミンまたはアミノ酸である。1つの実施形態では、アミノ酸はD-アラニン、β-アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシンまたはイミノ二酢酸である。
【0107】
さらに別の実施形態では、式(I)または式(II)の化合物が提供され、1つ以上の水素原子は重水素原子と置き換えられる。さらなる実施形態では、R-Y-R-(Z)は-(CH-NH-(CH-CHである。
【0108】
式(I)、式(II)の化合物、または式(I)もしくは式(II)の薬学的に許容される塩の1つの実施形態では、Rは(CHn1-Y-(CHn2-CHであり、RはOHであり、RおよびRはHであり、n1は1~6から選択される整数であり、n2は1~15の整数である。さらなる実施形態では、XはOである。
【0109】
式(I)、式(II)の化合物、または式(I)もしくは式(II)の薬学的に許容される塩の1つの実施形態では、Rは(CH)-Y-(CHn2-CHである。さらなる実施形態では、Yは酸素、硫黄、-S-S-、-NH-、-S(O)-または-SO-であり、n2は5~10の整数である。さらなる実施形態では、Yは-NH-である。1つの実施形態では、Rは単糖、ジエタノールアミンまたはアミノ酸である。1つの実施形態では、アミノ酸はD-アラニン、β-アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシンまたはイミノ二酢酸である。
【0110】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の1つの実施形態では、Rは(CH-Y-(CHn2-CHであり、RはOHであり、RはHであり、XはOであり、n2は5~10の整数である。さらなる実施形態では、Yは酸素、硫黄、-S-S-、-NH-、-S(O)-または-SO-である。さらなる実施形態では、Yは-NH-である。さらなる実施形態では、Rは単糖、ジエタノールアミンまたはアミノ酸である。1つの実施形態では、アミノ酸はD-アラニン、β-アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシンまたはイミノ二酢酸である。
【0111】
式(I)、式(II)の化合物、またはその薬学的に許容される塩の1つの実施形態では、Rは(CH-Y-(CHn2-CHであり、XはOであり、n2は5~10の整数である。さらなる実施形態では、Yは酸素、硫黄、-S-S-、-NH-、-S(O)-または-SO-である。さらなる実施形態では、Yは-NH-である。さらなる実施形態では、Rは単糖、ジエタノールアミンまたはアミノ酸である。1つの実施形態では、アミノ酸はD-アラニン、β-アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシンまたはイミノ二酢酸である。
【0112】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の1つの実施形態では、Rは(CH1-3-Y-(CH-CHであり、RはOHであり、RはHであり、XはOである。さらなる実施形態では、Yは酸素、硫黄、-S-S-、-NH-、-S(O)-または-SO-である。さらなる実施形態では、Yは-NH-である。さらなる実施形態では、Rは単糖、ジエタノールアミンまたはアミノ酸である。1つの実施形態では、アミノ酸はD-アラニン、β-アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシンまたはイミノ二酢酸である。
【0113】
式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩の1つの実施形態では、Rは(CH1-3-Y-(CH-CHであり、RはOHであり、RはHであり、XはOである。さらなる実施形態では、Yは酸素、硫黄、-S-S-、-NH-、-S(O)-または-SO-である。さらなる実施形態では、Yは-NH-である。さらなる実施形態では、Rは単糖、ジエタノールアミンまたはアミノ酸である。1つの実施形態では、アミノ酸はD-アラニン、β-アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシンまたはイミノ二酢酸である。
【0114】
別の実施形態では、式(I)、式(II)の化合物、または式(I)もしくは式(II)の薬学的に許容される塩が提供され、Rは(CH-Y-(CH10-CHであり、RはOHであり、RおよびRはHであり、XはOである。さらなる実施形態では、Yは酸素、硫黄、-S-S-、-NH-、-S(O)-または-SO-である。さらなる実施形態では、Yは-NH-である。さらなる実施形態では、Rは単糖、ジエタノールアミンまたはアミノ酸である。1つの実施形態では、アミノ酸はD-アラニン、β-アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシンまたはイミノ二酢酸である。
【0115】
発明の別の態様では、有効量の式(I)もしくは(II)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を含む組成物が提供される。本明細書で提供される組成物は溶液、懸濁液または乾燥粉末の形態であってよい。組成物は、当技術分野で知られている技術、例えば、限定はされないが筋肉内、静脈内、気管内、鼻腔内、眼内、腹腔内、皮下、および経皮経路により投与できる。加えて、全体を通して論じられているように、組成物はまた、肺経路を介して、例えば、ネブライザーまたはドライパウダー吸入器を用いた吸入を介して投与できる。
【0116】
1つの実施形態では、本明細書で提供される組成物は、式(I)、式(II)の抗生物質、または式(I)もしくは式(II)の薬学的に許容される塩の、ポリマを伴う複数のナノ粒子を含む。複数のナノ粒子の平均直径は、1つの実施形態では、約50nm~約900nm、例えば約10nm~約800nm、約100nm~約700nm、約100nm~約600nmまたは約100nm~約500nmである。
【0117】
1つの実施形態では、複数のナノ粒子は、生分解性ポリマおよび式(I)、式(II)の抗生物質、または式(I)もしくは式(II)の薬学的に許容される塩を含む。さらなる実施形態では、生分解性ポリマはポリ(D,L-ラクチド)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(D,L-グリコリド)(PLG)、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)(PLGA)、ポリ-(シアノアクリレート)(PCA)、またはそれらの組み合わせである。
【0118】
さらに別の実施形態では、生分解性ポリマは、ポリ乳酸・グリコール酸共重合体(poly(lactic-co-glycolitic acid))(PLGA)である。
【0119】
ナノ粒子組成物は、当業者に公知の方法により調製できる。例えば、コアセルベーション、溶媒蒸発、乳化、その場重合、またはそれらの組み合わせが採用され得る(例えば、全ての目的のために全体として参照により本明細書に組み込まれる、Soppimath et al. (2001). Journal of Controlled Release 70, pp. 1-20を参照されたい)。
【0120】
組成物中のポリマの量は、例えば、組成物からの式の化合物の放出プロファイルを調整するために、調整されてよい。
【0121】
1つの実施形態では、米国特許第5,874,064号、5,855,913号および/または米国特許出願公開第2008/0160092号の1つで開示される乾燥粉末組成物は、式(I)、式(II)のグリコペプチドの1つ、または式(I)もしくは式(II)の薬学的に許容される塩を処方するために使用される。米国特許第5,874,064号、5,855,913号および米国特許出願公開第2008/0160092号の開示内容はそれぞれ、全ての目的のために全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【0122】
1つの実施形態では、本明細書で提供される方法により送達される組成物は、噴霧乾燥された、中空かつ多孔性の微粒子組成物である。例えば、WO1999/16419号(これにより全ての目的のために参照により全体として組み込まれる)において開示される中空かつ多孔性の微粒子組成物が採用され得る。そのような微粒子組成物は、大きな内部空隙を規定する相対的に薄い多孔性壁を有する粒子を含むが、他の空隙含有または穴あき構造もまた企図される。
【0123】
本明細書で提供される方法により送達される組成物は、1つの実施形態では、0.5g/cmまたは0.3g/cm未満、例えば、0.1g/cm3未満、または0.05g/cm未満の嵩密度を有する粉末を与える。非常に低い嵩密度を有する粒子を提供することにより、単位用量容器中に充填できる最小粉末質量が低減され、これにより担体粒子の必要性が排除される。その上、担体粒子の排除は、理論に縛られることは望まないが、咽頭沈着および「催吐」効果を最小に抑えることができる。なぜなら大きなラクトース粒子は、そのサイズのために咽頭および上気道に影響を与える可能性があるからである。
【0124】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法により送達される微粒子組成物は、空隙、細孔、欠陥、中空部、空間、間質腔、開口、穿孔部または穴を示す、規定する、または含む、構造マトリクスを含む。1つの実施形態における微粒子組成物は「乾燥」状態で提供される。すなわち、微粒子組成物は、粉末が周囲温度での貯蔵中に化学的かつ物理的に安定でありかつ易分散性のままであることを可能にする、含水量を有する。そのようなものとして、微小粒子の含水量は、典型的には6重量%未満、例えば、3重量%未満である。いくつかの実施形態では、含水量は1重量%と低い。含水量は、少なくとも部分的には、製剤により決定され、採用されるプロセス条件、例えば、入口温度、供給濃度、ポンプ速度、および発泡剤タイプ、濃度および後乾燥により制御される。
【0125】
結合水の低減はリン脂質系粉末の分散性および流動性の改善をもたらす可能性があり、リン脂質中に分散された活性剤を含む粉末肺サーファクタントまたは微粒子組成物の高効率送達の可能性につながる。
【0126】
本明細書で提供される方法により投与される組成物は、1つの実施形態では、式(I)または式(II)の化合物、リン脂質および多価カチオンを含む微粒子組成物である。特に、本発明の組成物は、エアロゾル化による局所または全身療法のための気道への肺投与のために、リン脂質含有、分散性微粒子組成物中で多価カチオンを使用できる。
【0127】
理論に縛られることは望まないが、塩化カルシウムなどの吸湿性塩の形態での多価カチオンの使用は、水分に誘導される安定化の傾向がある乾燥粉末を安定化すると考えられる。理論に縛られることは望まないが、そのようなカチオンは、リン脂質膜にインターカレートし、これにより双性イオンの頭部の負電荷を持つ部分と直接相互作用すると考えられる。この相互作用の結果は、頭部エリアの脱水の増加およびアシル鎖パッキングの縮合であり、それらは全てリン脂質の熱力学安定性の増加をもたらす。そのような乾燥粉末組成物の他の利点は、米国特許第7,442,388号で提供され、その開示内容は全ての目的のために全体として本明細書に組み込まれる。
【0128】
1つの実施形態では本発明で使用するための多価カチオンは、二価カチオンである。さらなる実施形態では、二価カチオンは、カルシウム、マグネシウム、亜鉛または鉄である。多価カチオンは、1つの実施形態では、微粒子組成物がその貯蔵温度Tsよりも少なくとも20℃大きなTmを示すように、リン脂質のTmを増加させるために存在する。多価カチオン対リン脂質のモル比は、1つの実施形態では、0.05、例えば、約0.05~約2.0、または約0.25~約1.0である。1つの実施形態では、多価カチオン対リン脂質のモル比は約0.50である。1つの実施形態では、多価カチオンはカルシウムであり、塩化カルシウムとして提供される。
【0129】
1つの実施形態によれば、リン脂質は飽和リン脂質である。さらなる実施形態では、飽和リン脂質は飽和ホスファチジルコリンである。採用できるアシル鎖長は、約C16~C22の範囲である。例えば、1つの実施形態では、16:0または18:0のアシル鎖長(すなわち、パルミトイルおよびステアロイル)が採用される。1つのリン脂質の実施形態では、天然または合成肺サーファクタントがリン脂質成分として提供される。この実施形態では、リン脂質は、肺サーファクタントの最大で90~99.9%w/wを占めることができる。発明のこの態様による好適なリン脂質としては、商標ExoSurf、InfaSurf(登録商標)(Ony, Inc.)、Survanta、CuroSurf、およびALECで市販されているものなどの天然または合成肺サーファクタントが挙げられる。
【0130】
リン脂質-グリコペプチド粒子のTmは、1つの実施形態では、組成物中の多価カチオンの量を変化させることにより操作される。
【0131】
天然および合成源の両方由来のリン脂質は、本明細書で提供される方法により投与される組成物と適合し、かつ様々な濃度で使用されて構造マトリクスを形成できる。一般に適合性リン脂質は、約40℃を超えるゲル~液晶相転移を有するものを含む。組み入れられるリン脂質は、1つの実施形態では、比較的長鎖(すなわち、C16-C22)飽和脂質であり、さらなる実施形態では、飽和リン脂質を含む。さらに別の実施形態では、飽和リン脂質は、飽和ホスファチジルコリンである。さらに別の実施形態では、飽和ホスファチジルコリンは、16:0または18:0(パルミトイルまたはステアロイル)のアシル鎖長を有する。開示された安定化調製物において有用な例示的なリン脂質は、ホスホグリセリド、例えばジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジステロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジアラキドイルホスファチジルコリン、ジベヘノイルホスファチジルコリン、ジホスファチジルグリセロール、短鎖ホスファチジルコリン、長鎖飽和ホスファチジルエタノールアミン、長鎖飽和ホスファチジルセリン、長鎖飽和ホスファチジルグリセロール、長鎖飽和ホスファチジルイノシトールを含む。
【0132】
リン脂質に加えて、補助界面活性剤または界面活性剤の組み合わせ(液相の1つ以上および微粒子組成物と関連する1つ以上の使用を含む)を、本明細書で提供される方法により送達される組成物において使用できる。「と関連する、またはを含む」により、微粒子組成物が、界面活性剤を組み入れる、吸着する、吸収する、これでコートされる、またはこれにより形成され得ることが意味される。界面活性剤としてはフッ素化および非フッ素化化合物が挙げられ、飽和および不飽和脂質、非イオン性洗浄剤、非イオン性ブロックコポリマ、イオン性界面活性剤およびそれらの組み合わせを含んでよい。安定化分散物を含む1つの実施形態では、非フッ素化界面活性剤は懸濁媒体中で比較的不溶性である。
【0133】
本明細書で提供される組成物において補助界面活性剤として好適な適合性非イオン性洗浄剤としては、ソルビタンエステル、例えばトリオレイン酸ソルビタン(Span(商標)85)、セスキオレイン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(20)(Brij(登録商標)S20)、ソルビタンモノラウレート、およびモノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、オレイルポリオキシエチレン(2)エーテル、ステアリルポリオキシエチレン(2)エーテル、ラウリルポリオキシエチレン(4)エーテル、グリセロールエステル、およびスクロースエステルが挙げられる。ブロックコポリマとしては、ポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレンのジブロックおよびトリブロックコポリマ、例えば、ポロクサマー188(プルロニック(登録商標)F-68)、ポロクサマー407(プルロニック(登録商標)F-127)、およびポロクサマー338が挙げられる。スルホコハク酸ナトリウムなどのイオン性界面活性剤、および脂肪酸せっけんもまた使用され得る。
【0134】
リン脂質-グリコペプチド微粒子組成物は、糖脂質、ガングリオシドGM1、スフィンゴミエリン、ホスファチジン酸、カルジオリピンなどの追加の脂質;ポリエチレングリコール、キチン、ヒアルロン酸、またはポリビニルピロリドンなどのポリマ鎖を有する脂質;スルホン化単糖、二糖、および多糖を有する脂質;パルミチン酸、ステアリン酸、および/またはオレイン酸などの脂肪酸;コレステロール、コレステロールエステル、およびコレステロールヘミスクシネートを含んでよい。
【0135】
リン脂質および多価カチオンに加えて、本明細書で提供される方法により送達される微粒子組成物はまた、生体適合性、いくつかの実施形態では、生分解性ポリマ、コポリマ、またはそれらのブレンドもしくは他の組み合わせを含んでよい。ポリマは1つの実施形態では、ポリラクチド、ポリラクチド-グリコリド、シクロデキストリン、ポリアクリレート、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリ無水物、ポリラクタム、ポリビニルピロリドン、多糖(例えば、デキストラン、デンプン、キチン、キトサン)、ヒアルロン酸、タンパク質(例えば、アルブミン、コラーゲン、ゼラチン、など)である。
【0136】
上記ポリマ材料および界面活性剤の他に、例えば、粒子剛性、生産収率、放出用量および沈着、有効期間および/または患者の承諾を改善するために、他の賦形剤を微粒子組成物に添加できる。そのような任意的な賦形剤としては、着色剤、味覚マスキング剤、緩衝剤、吸湿剤、抗酸化剤、および化学安定剤が挙げられるが、それらに限定されない。他の賦形剤としては、単糖、二糖および多糖を含む炭水化物が挙げられるが、それらに限定されない。例えば、単糖、例えばデキストロース(無水および一水和物)、ガラクトース、マンニトール、D-マンノース、ソルビトール、ソルボースなど;二糖、例えばラクトース、マルトース、スクロース、トレハロース、など;三糖、例えばラフィノースなど;ならびに他の炭水化物、例えばデンプン(ヒドロキシエチルデンプン)、シクロデキストリンおよびマルトデキストリン。炭水化物およびアミノ酸の混合物が、本発明の範囲内にあるとさらに考えられる。無機(例えば、塩化ナトリウム)、有機酸およびそれらの塩(例えば、カルボン酸およびそれらの塩、例えばクエン酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、グルコン酸マグネシウム、グルコン酸ナトリウム、トロメタミン塩酸塩、など)と緩衝剤の両方の包含もまた、企てることができる。塩および/または有機固体、例えば炭酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、塩化アンモニウムまたはカンファーもまた、採用できる。
【0137】
1つの実施形態によれば、微粒子組成物は乾燥粉末の形態で、または、非水相を含む安定化分散物の形態で使用され得る。本発明の分散物または粉末は、肺送達を提供するために、定量噴霧式吸入器(MDI)、ドライパウダー吸入器(DPI)、アトマイザ、またはネブライザーと共に使用できる。
【0138】
いくつかの手順は一般に、本明細書で記載されるいくらかの乾燥粉末組成物の製造と適合するが、噴霧乾燥が特に有用な方法である。よく知られているように、噴霧乾燥は、液体供給物を乾燥微粒子形態に変換する一段階プロセスである。医薬用途に関して、噴霧乾燥は吸入を含む様々な投与経路のための粉末材料を提供するために使用されてきたことが認識されるであろう。例えば、M. Sacchetti and M. M. Van Oort in: Inhalation Aerosols: Physical and Biological Basis for Therapy, A. J. Hickey, ed. Marcel Dekkar, New York, 1996を参照されたい。これは全ての目的のために全体として参照により本明細書に組み込まれる。一般に、噴霧乾燥は、高分散液体、および十分な体積の熱気を一緒にすること、蒸発を生成させること、および液滴を乾燥させることから構成される。噴霧乾燥される調製物または供給物(または供給原料)は、選択した噴霧乾燥装置を使用して微粒化され得る任意の溶液、懸濁液、スラリー、コロイド分散物、またはペーストであってよい。1つの実施形態では、供給原料は、エマルジョン、逆エマルジョン、マイクロエマルジョン、多重エマルジョン、微粒子分散物、またはスラリーなどのコロイド系を含む。典型的には、供給物は温かい濾過空気流中に噴霧され、それは、溶媒を蒸発させ、乾燥生成物をコレクタに運搬する。使用済み空気は次いで、溶媒と共に排出される。
【0139】
噴霧乾燥機、特定的にはそれらのアトマイザは、特定用途、例えば、二頭ノズル技術を使用する2つの溶液の同時噴霧のために修正またはカスタマイズされ得ることが、さらに認識されるであろう。より特定的には、油中水エマルジョンは1つのノズルから微粒化されてよく、マンニトールなどの付着防止剤を含む溶液は第2のノズルから共微粒化されてよい。1つの実施形態では、供給溶液を、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)ポンプを使用して特注設計ノズルに通過させることが望ましい可能性がある。本発明の乾燥粉末を製造するのに好適な噴霧乾燥方法およびシステムの例は、米国特許第6,077,543号、6,051,256号、6,001,336号、5,985,248号、および5,976,574号で開示され、それらの各々が全ての目的のために参照により全体として組み込まれる。
【0140】
得られた噴霧乾燥粉末粒子は典型的にはおよそ球形状であり、ほぼ均一なサイズであり、およびしばしば中空であるが、組み入れられる式(I)または式(II)のグリコペプチドおよび噴霧乾燥条件によりある程度の形状の不規則性が存在し得る。1つの実施形態では、膨張剤(または発泡剤)が、例えば、WO99/16419号(全ての目的のために全体として参照により本明細書に組み込まれる)で開示されるように、噴霧乾燥粉末生成において使用される。加えて、エマルジョンは、分散相または連続相として膨張剤を含んでよい。膨張剤は界面活性剤溶液により、例えば、市販のマイクロフルイダイザーを約5000~15,000PSIの圧力で用いて、分散されてよい。このプロセスは、エマルジョン、いくつかの実施形態では、組み入れられた界面活性剤により安定化されたエマルジョンを形成し、連続水相に分散された水非混和性発泡剤のサブミクロン滴を含んでよい。発泡剤は、1つの実施形態では、フッ素化化合物(例えば、パーフルオロヘキサン、パーフルオロオクチルブロミド、パーフルオロオクチルエタン、パーフルオロデカリン、パーフルオロブチルエタン)であり、これは噴霧乾燥プロセス中に蒸発し、一般に中空で、多孔性の空気力学的に軽いミクロスフェアを後に残す。他の好適な液体発泡剤としては、非フッ素化油、クロロホルム、フレオン、酢酸エチル、アルコールおよび炭化水素が挙げられる。窒素および二酸化炭素ガスもまた、好適な発泡剤として企図される。パーフルオロオクチルエタンは、1つの実施形態では発泡剤である。
【0141】
何の成分が選択されたとしても、微粒子生成の第1の工程は、1つの実施形態では、供給原料調製を含む。選択されたグリコペプチドは溶媒、例えば水、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル、エタノール、メタノール、またはそれらの組み合わせに溶解されて、濃縮溶液を生成する。多価カチオンが、以下で記載されるように、グリコペプチド溶液に添加されてもよく、またはリン脂質エマルジョンに添加されてもよい。グリコペプチドは、特に不水溶性剤の場合、エマルジョンに直接分散されてもよい。あるいは、グリコペプチドは固体微粒子分散物の形態で組み入れられる。使用されるグリコペプチドの濃度は、最終粉末中で要求されるグリコペプチドの量および採用される送達装置の性能(例えば、MDIまたはDPIのための微粒子用量)に依存する。必要に応じ、ポロクサマー188またはスパン80などの補助界面活性剤がこの付加溶液中に分散され得る。加えて、糖およびデンプンなどの賦形剤もまた添加され得る。
【0142】
1つの実施形態では、多価カチオン含有水中油エマルジョンが次いで、別個の容器中で形成される。1つの実施形態で採用される油は、フルオロカーボン(例えば、パーフルオロオクチルブロミド、パーフルオロオクチルエタン、パーフルオロデカリン)であり、それは、リン脂質で乳化される。例えば、多価カチオンおよびリン脂質は、熱蒸留水(例えば、60℃)中で好適な高せん断メカニカルミキサ(例えば、Ultra-TurraxモデルT-25ミキサ)を用いて8000rpmで2~5分間ホモジナイズされ得る。1つの実施形態では、5~25gのフルオロカーボンが、混合しながら分散界面活性剤溶液に1滴ずつ添加される。得られた水エマルジョン中の多価カチオン含有パーフルオロカーボンが次いで、高圧ホモジナイザを用いて処理されて、粒子サイズを低減する。1つの実施形態では、エマルジョンは、12,000~18,000PSI、5つの別個のパスで処理され、50~80℃で維持される。
【0143】
グリコペプチド溶液(または懸濁液)およびパーフルオロカーボンエマルジョンは次いで、合わせられ、噴霧乾燥機に送り込まれる。1つの実施形態では、2つの調製物は混和性である。グリコペプチドは、この議論の目的のために別々に可溶化されるが、他の実施形態では、グリコペプチドはエマルジョン中で直接可溶化(または分散)され得ることが認識されるであろう。そのような場合、グリコペプチドエマルジョンは、別々のグリコペプチド調製物を合わせずに、単純に噴霧乾燥される。
【0144】
入口および出口温度、送り速度、微粒化圧力、乾燥空気の流速、ならびにノズル構成などの動作条件は、得られる乾燥粒子の所望の粒子サイズ、および生産収率を生成させるために、製造者のガイドラインにしたがい調整できる。適切な装置および処理条件の選択は、十分、当業者の権限の範囲内である。1つの実施形態では、微粒子組成物は、中空で、多孔性の噴霧乾燥されたマイクロまたはナノ粒子を含む。
【0145】
噴霧乾燥に加えて、本発明において有用な微粒子組成物は、凍結乾燥により形成され得る。当業者であれば、凍結乾燥はフリーズドライプロセスであり、この場合、水が、それが凍結された後に組成物から昇華されることを認識するであろう。凍結乾燥された微粒子を提供するための方法は当業者に知られている。微細な泡状構造を含む凍結乾燥ケーキは、当技術分野で知られている技術を用いて微粒子化できる。
【0146】
上記技術の他に、本明細書で提供されるグリコペプチド微粒子組成物またはグリコペプチド粒子は、壁形成剤を含む供給溶液(エマルジョンまたは水性のいずれか)が減圧下で加熱油(例えば、ペルフルブロンまたは他の高沸点FC)のリザーバに迅速に添加される方法を使用して形成され得る。供給溶液の水および揮発性溶媒は急激に沸騰し、蒸発される。1つの実施形態では、壁形成剤は加熱油中で不溶である。得られた粒子は次いで、濾過技術を使用して加熱油から分離でき、次いで真空下で乾燥されてよい。
【0147】
別の実施形態では、本発明の微粒子組成物はまた、二重エマルジョン法を使用して形成されてよい。二重エマルジョン法では、薬剤が最初に、超音波処理または均質化により有機溶媒(例えば、塩化メチレン、酢酸エチル)中に溶解されたポリマ中に分散される。この一次エマルジョンは次いで、ポリビニルアルコールなどの乳化剤を含む連続水相中で多重エマルジョンを形成することにより安定化される。従来技術および装置を使用する蒸発または抽出により、次いで、有機溶媒が除去される。得られた粒子は洗浄され、濾過され、乾燥され、その後それらは、適切な懸濁媒体と合わせられる。
【0148】
分散性、分散安定性を最大化し、投与時の分配を最適化するために、1つの実施形態における微粒子組成物の平均幾何学的粒子サイズは、約0.5-50μm、例えば約0.5μm~約10μmまたは約0.5~約5μmである。1つの実施形態では、微粒子組成物の平均幾何学的粒子サイズ(または直径)は、20μm未満または10μm未満である。さらなる実施形態では、平均幾何学的直径は、?約7μmまたは?5μmである。さらに別の実施形態では、質量幾何学的直径は、?約2.5μmである。1つの実施形態では、微粒子組成物は、約0.1~約10μm、例えば、約0.5~約5μmの直径の、およそ0.1μm~約0.5μmのシェル厚を有する乾燥、中空、多孔性球状シェルの粉末を含む。
【0149】
式(I)、式(II)のグリコペプチドまたはその薬学的に許容される塩に加えて、1つ以上の追加の抗感染症薬が、同じ組成物中か、または異なる組成物中のいずれかで、その必要のある患者に投与される組成物中に含まれてよい。追加の抗感染症薬としては、追加のグリコペプチド、例えば、本明細書で記載されるグリコペプチドの1つが挙げられる。他の追加の抗感染症薬としては下記が挙げられるが、それらに限定されない:アミノグリコシド(例えば、ジベカシン、K-4619、シソマイシン、アミカシン、ダクチミシン(dactimicin)、イセパマイシン、ロドストレプトマイシン(rhodestreptomycin)、アプラマイシン、エチミシン(etimicin)、KA-5685、ソルビスチン(sorbistin)、アルベカシン、フラミセチン、カナマイシン、スペクチノマイシン、アストロマイシン、ゲンタマイシン、ネオマイシン、スポラリシン(sporaricin)、ベカナマイシン、H107、ネチルマイシン、ストレプトマイシン、ボホルマイシン(boholmycin)、ハイグロマイシン、パロモマイシン、トブラマイシン、ブルラマイシン(brulamycin)、ハイグロマイシンB、プラゾマイシン、ベルダマイシン(verdamicin)、カプレオマイシン、イノサマイシン(inosamycin)、リボスタマイシン、ベルチルマイシン(vertilmicin))、テトラサイクリン(例えば、クロルテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、メタサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン)、スルホンアミド(例えば、スルファニルアミド、スルファジアジン、スルファメタオキサゾール、スルフイソキサゾール、スルファセタミド)、パラアミノ安息香酸、ジアミノピリミジン(例えば、トリメトプリム)、キノロン(例えば、ナリジクス酸、シノキサシン、シプロフロキサシンおよびノルフロキサシン)、ペニシリン(例えば、ペニシリンG、ペニシリンV、アンピシリン、アモキシシリン、バカンピシリン、カルベニシリン、カルベニシリンインダニル、チカルシリン、アズロシリン、メズロシリン、ピペラシリン)、ペニシリナーゼ耐性ペニシリン(例えば、メチシリン、オキサシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、ナフシリン)、第一世代セファロスポリン(例えば、セファドロキシル、セファレキシン、セフラジン、セファロチン、セファピリン、セファゾリン)、第二世代セファロスポリン(例えば、セファクロル、セファマンドール、セフォニシド、セフォキシチン、セフォテタン、セフロキシム、セフロキシムアキセチル;セフメタゾール、セフプロジル、ロラカルベフ、セフォラニド)、第三世代セファロスポリン(例えば、セフェピム、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフタジジム、セフィキシム、セフポドキシム、セフチブテン)、他のβ-ラクタム(例えば、イミペネム、メロペネム、アズトレオナム、クラブラン酸、スルバクタム、タゾバクタム、など)、βラクタマーゼ阻害剤(例えば、クラブラン酸)、クロラムフェリイコール(chlorampheriicol)、マクロライド(例えば、エリスロマイシン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン)、リンコマイシン、クリンダマイシン、スペクチノマイシン、ポリミキシンB、ポリミキシン(例えば、ポリミキシンA、B、C、D、E1(コリスチンA)、またはE2、コリスチンBまたはC)コリスチン、バンコマイシン、テラバンシン、バシトラシン、イソニアジド、リファンピン、エタンブトール、エチオナミド、アミノサリチル酸、サイクロセリン、カプレオマイシン、スルホン(例えば、ダプソン、スルホキソンナトリウム、など)、クロファジミン、サリドマイド。
【0150】
1つの実施形態では、式(I)もしくは(II)の化合物、または式(I)もしくは(II)の薬学的に許容される塩は、アミノグリコシドと組み合わせて投与される。さらなる実施形態では、化合物は式(I)または式(I)の化合物であり、Rは-(CH-NH-(CH-CHである。アミノグリコシドは、さらなる実施形態では、ジベカシン、K-4619、シソマイシン、アミカシン、ダクチミシン(dactimicin)、イセパマイシン、ロドストレプトマイシン(rhodestreptomycin)、アプラマイシン、エチミシン(etimicin)、KA-5685、ソルビスチン(sorbistin)、アルベカシン、フラミセチン、カナマイシン、スペクチノマイシン、アストロマイシン、ゲンタマイシン、ネオマイシン、スポラリシン(sporaricin)、ベカナマイシン、H107、ネチルマイシン、ストレプトマイシン、ボホルマイシン(boholmycin)、ハイグロマイシン、パロモマイシン、トブラマイシン、ブルラマイシン(brulamycin)、ハイグロマイシンB、プラゾマイシン、ベルダマイシン(verdamicin)、カプレオマイシン、イノサマイシン(inosamycin)、リボスタマイシンまたはベルチルマイシン(vertilmicin)である。さらなる実施形態では、アミノグリコシドはアミカシンまたはゲンタマイシンである。さらなる実施形態では、アミノグリコシドはゲンタマイシンである。
【0151】
別の態様では、細菌感染症、例えば、グラム陽性微生物により引き起こされるものを治療するための方法が提供される。方法は、1つの実施形態では、式(I)もしくは(II)の化合物、または式(I)もしくは(II)の化合物の薬学的に許容される塩の有効量を、細菌感染症治療が必要な患者に投与することを含む。投与は、1つの実施形態では、静脈内または肺内である。
【0152】
細菌感染症は、細胞内細菌、浮遊細菌および/またはバイオフィルム中に存在する細菌を含んでよい。
【0153】
特定の理論に縛られることは望まないが、本明細書で提供されるグリコペプチドにコンジュゲートされたR基は、感染部位でのグリコペプチドの細胞取込、例えば、マクロファージ取込を促進すると考えられる。
【0154】
1つの実施形態では、感染症は、グラム陽性球菌感染症、例えば、スタフィロコッカス、エンテロコッカスまたはストレプトコッカス感染症である。ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptoccocus pnemoniae)が、1つの実施形態では、市中感染性肺炎または化膿性髄膜炎と診断された患者において処置される。エンテロコッカス感染症が、1つの実施形態では、尿路カテーテル関連感染症と診断された患者において治療される。スタフィロコッカス感染症、例えば、黄色ブドウ球菌が、1つの実施形態では、人工呼吸関連肺炎と診断された患者において処置される。
【0155】
過去数十年間にわたり、感染症の治療のための抗菌薬に対するグラム陽性球菌の感受性が減少してきている。例えば、Alvarez-Lerma et al. (2006) Drugs 66, pp. 751-768(全ての目的のために全体として参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。そのようなものとして、1つの態様では、本発明は、異なる抗菌薬に対して耐性のあるグラム陽性球菌感染症について、その必要のある患者を治療するための方法において、式(I)、式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を含む組成物を提供することにより、この要求に対処する。例えば、1つの実施形態では、グラム陽性球菌感染症は、ペニシリン耐性またはバンコマイシン耐性細菌感染症である。さらなる実施形態では、耐性細菌感染症は、メチシリン耐性スタフィロコッカス感染症、例えば、メチシリン耐性S.アエレウス(aereus)またはメチシリン耐性スタフィロコッカス・エピデルミデス感染症である。別の実施形態では、耐性細菌感染症は、オキサシリン耐性スタフィロコッカス(例えば、黄色ブドウ球菌)感染症、バンコマイシン耐性エンテロコッカス感染症またはペニシリン耐性ストレプトコッカス(例えば、肺炎球菌)感染症である。さらに別の実施形態では、グラム陽性球菌感染症は、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)、メチシリン耐性スタフィロコッカス・アウレウス(MRSA)、メチシリン耐性スタフィロコッカス・エピデルミデス(MRSE)、テイコプラニンにも耐性のバンコマイシン耐性エンテロコッカス・フェシウム(VRE Fm Van A)、テイコプラニン感受性バンコマイシン耐性エンテロコッカス・フェシウム(VRE Fm Van B)、テイコプラニンにも耐性のバンコマイシン耐性エンテロコッカス・フェカリス(VRE Fs Van A)、テイコプラニン感受性バンコマイシン耐性エンテロコッカス・フェカリス(VRE Fs Van B)、またはペニシリン耐性ストレプトコッカス・ニューモニエ(PSRP)である。
【0156】
1つの実施形態によれば、限定されないが、スタフィロコッカス、ストレプトコッカス、エンテロコッカス、バチルス、コリネバクテリウム(Corynebaclerium)、ノカルジア、クロストリジウム、およびリステリア属を含む、グラム陽性菌による感染症を治療するための方法が提供される。1つの実施形態では、感染症は、グラム陽性球菌細菌による。さらなる実施形態では、感染症は肺感染症である。別の実施形態では、感染症はクロストリジウム・ディフィシル感染症である。
【0157】
さらに別の実施形態では、細菌感染症は、プロピオニバクテリウム・アクネス(皮膚ざ瘡)、エガセラ・レンタ(菌血症)またはペプトストレプトコッカス・アナエロビウス(婦人科感染症)である。さらなる実施形態では、その必要のある患者に投与される組成物は式(I)または式(II)の化合物を含み、Rは-(CH-NH-(CH-CHであり、XはOである。
【0158】
スタフィロコッカスは、皮膚および粘膜にコロニー形成するグラム陽性非運動性細菌である。ブドウ球菌は球状であり、ぶどうに似た顕微鏡的クラスターで発生する。スタフィロコッカスの自然生息地は鼻であり;健常者の50%において単離され得る。20%の人々が皮膚保菌者であり、10%の人々がスタフィロコッカスを彼らの腸内に保有する。本明細書で提供される方法および組成物で治療可能なブドウ球菌感染症の例としては、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、S.アウリキュラリス(auricularis)、S.カルノサス(carnosus)、S.ヘモリチカス、S.ヒイカス(hyicus)、S.インターメディウス、S.ルグドゥネンシス、S.サプロフィティクス、S.シウリ、S.シミュランス、およびS.ワルネリが挙げられる。
【0159】
約20種のスタフィロコッカスが報告されているが、スタフィロコッカス・アウレウスおよびスタフィロコッカス・エピデルミデス(Staphylococcus epidermis)のみが、ヒトとのそれらの相互作用において重要であることが知られている。
【0160】
1つの実施形態では、スタフィロコッカス種は、メチシリンなどのペニシリンに耐性である。さらなる実施形態では、スタフィロコッカス種は、メチシリン耐性スタフィロコッカス・アウレウス(MRSA)またはメチシリン耐性スタフィロコッカス・エピデルミデス(MRSE)である。スタフィロコッカス感染症は、別の実施形態では、メチシリン感受性S.アエレウス(aereus)(MSSA)感染症、バンコマイシン低感受性S.アエレウス(aereus)(VISA)感染症、またはバンコマイシン耐性S.アエレウス(aereus)(VRSA)感染症である。
【0161】
黄色ブドウ球菌は、主に鼻腔にコロニー形成するが、皮膚、口腔、および胃腸管を含むほとんどの解剖学的場所に普通に見出され得る。1つの実施形態では、黄色ブドウ球菌感染症は、本明細書で提供される方法および/または組成物の1つで治療される。さらなる実施形態では、黄色ブドウ球菌感染症は、メチシリン耐性スタフィロコッカス・アウレウス(MRSA)感染症である。別の実施形態では、黄色ブドウ球菌感染症は、S.アエレウス(aereus)(VISA)感染症、またはバンコマイシン耐性S.アエレウス(aereus)(VRSA)感染症である。
【0162】
黄色ブドウ球菌感染症は、医療関連であり得、すなわち、病院または他の医療現場で獲得される可能性があり、または市中感染型であり得る。
【0163】
1つの実施形態では、本明細書で提供される方法および/または組成物の1つで治療されるブドウ球菌感染症は、心内膜炎または敗血症(セプシス)を引き起こす。そのようなものとして、本明細書で提供される方法および/または組成物の1つを用いた治療が必要な患者は、1つの実施形態では、心内膜炎患者である。別の実施形態では、患者は敗血症(セプシス)患者である。
【0164】
1つの実施形態では、細菌感染症は、エリスロマイシン耐性(erm)、バンコマイシン低感受性黄色ブドウ球菌(VISA)ヘテロバンコマイシン低感受性黄色ブドウ球菌(hVISA)、表皮ブドウ球菌コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(CoNS)、ペニシリン低感受性肺炎球菌(PISP)、またはペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)である。さらに別の実施形態では、投与は吸入を介する投与を含む。さらに別の実施形態では、式(I)または式(II)の化合物は、Rが-(CH-NH-(CH-CHまたは
【化46】
である化合物である。
【0165】
連鎖球菌は、一面で分裂し、細胞の鎖を生成するグラム陽性、非運動性球菌である。一次病原体としては、化膿性連鎖球菌(S.pyrogenes)および肺炎球菌が挙げられるが、他の種も日和見であり得る。化膿性連鎖球菌(S.pyrogenes)は、細菌性咽頭炎および扁桃炎の主因である。それはまた、副鼻腔炎、耳炎、関節炎、および骨感染症を引き起こす可能性がある。いくつかの菌株は皮膚を好み、表在(膿痂疹)または深部(蜂巣炎)感染症のいずれかを引き起こす。
【0166】
肺炎球菌は、成人における細菌性肺炎の主原因であり、1つの実施形態では、肺炎球菌による感染症は、本明細書で提供される方法および/または組成物の1つにより治療される。その病原性はその莢膜により決定される。連鎖球菌により生成される毒素としては、下記が挙げられる:ストレプトリジン(S&O)、NADase、ヒアルロニダーゼ、ストレプトキナーゼ、DNAse、発赤毒素(血管へのダメージを生成することにより猩紅熱発疹を引き起こし;細菌細胞が毒素をコードするファージにより溶原化されることを要求する)。本明細書で提供される組成物および方法で治療可能なストレプトコッカス感染症の例としては、下記が挙げられる:S.アガラクチア、S.アンギノサス、S.ボビス、S.カニス、S.コンステラータス、S.ジスガラクチア(dysgalactiae)、S.エキ、S.エクイヌス、S.マエ(S.Mae)、S.インターメディウス(intermedins)、S.ミティス、S.ミュータンス、S.オラリス、S.パラサングイニス、S.ペロリス、肺炎球菌、化膿性連鎖球菌、S.ラッティ、S.サリバリウス、S.サリバリウス亜種サーモフィリクス(thermophilics)、S.サングイニス、S.ソブリナス、S.スイス、S.ウテリス(uteris)、S.ベスチブラリス(vestibularis)、緑色連鎖球菌、およびS.ズーエピデミカス。
【0167】
腸球菌属は、卵形形状であり、かつ短鎖で、対で、または単細胞としてスメアで現れる通性嫌気性グラム陽性生物から構成される。腸球菌は抗菌薬に対し耐性を増すヒト病原体である。本明細書で提供される方法および組成物で治療可能な腸球菌の例は、E.アビウム、E.デュランス、フェカリス菌、フェシウム菌、E.ガリナラム、およびE.ソリタリウス(solitarius)である。
【0168】
本明細書で提供される方法の1つの実施形態では、その必要のある患者は、エンテロコッカス・フェカリス(フェカリス菌)感染症について治療される。さらなる実施形態では、感染症は肺感染症である。別の実施形態では、その必要のある患者は、エンテロコッカスフェシウム(フェシウム菌)感染症について治療される。さらなる実施形態では、感染症は肺感染症である。1つの実施形態では、その必要のある患者は、バンコマイシンに耐性または感受性である、または、ペニシリンに耐性または感受性であるエンテロコッカス感染症について治療される。さらなる実施形態では、感染症は、フェカリス菌またはフェシウム菌感染症である。
【0169】
バチルス属の細菌は、好気性、内生胞子形成、グラム陽性桿菌であり、そのような細菌による感染症は本明細書で提供される方法および組成物により治療可能である。バチルス種は、土、空気、および水中で見出すことができ、そこでは、それらは広範な化学変換に関与する。1つの実施形態では、本明細書では、バチルス・アントラシス(炭疽菌)感染症を、グリコペプチド組成物を用いて治療するための方法が提供される。バチルス・アントラシス、炭疽を引き起こす感染症は、感染草食動物との直接接触により、またはそれらの産物を介して間接的に獲得される。臨床型は、感染材料のハンドリングによる皮膚炭疽、感染肉を食することによる腸炭疽、および胞子を含むほこりを吸入することによる肺炭疽を含む。グリコペプチドの投与経路は、患者がどのように炭疽菌感染症を獲得したかによって変動するであろう。例えば、肺炭疽の場合、患者は、1つの実施形態では、ドライパウダー吸入器(DPI)、ネブライザーまたは定量噴霧式吸入器(MDI)を介して治療される。
【0170】
いくつかの他のバチルス種、特に、B.セレウス、枯草菌およびB.リケニフォルミスは、菌血症/敗血症、心内膜炎、髄膜炎、ならびに創傷、耳、目、気道、尿路、および胃腸管の感染症と周期的に関連し、よって、本明細書で提供される方法および組成物で治療可能である。その感染症が本明細書で提供される方法および組成物で治療可能な病原性バチルス種の例としては、炭疽菌、B.セレウスおよびB.コアグランスが挙げられるが、それらに限定されない。
【0171】
コリネバクテリウムは、小さな、一般に非運動性、グラム陽性、非芽胞性、多形性桿菌であり、これらの細菌による感染症は本明細書で提供される方法により治療可能である。コリネバクテリウム・ジフテリエ(Corybacterium diphtheria)は、ジフテリア、主に子供に影響する上気道疾患の病原因子であり、本明細書で提供される方法により治療可能である。本明細書で提供される方法および組成物で治療可能な他のコリネバクテリウム種の例としては、コリネバクテリウム・ジフテリエ(Corynebacterium diphtheria)、ヒツジ偽結核菌、コリネバクテリウム・テナース、コリネバクテリウム・ストリアツム、およびコリネバクテリウム・ミヌチシマムが挙げられる。
【0172】
ノカルジア属の細菌は、グラム陽性、部分抗酸桿菌であり、真菌菌糸に似ている鎖を分岐させて徐々に増殖する。3つの種がほとんど全てのヒト感染症を引き起こし:N.アステロイデス、N.ブラシリエンシス、およびN.カビアエ(caviae)、そのような感染症を有する患者は、本明細書で提供される組成物および方法で治療できる。感染は、環境(土または有機材料)由来の空中桿菌の吸入による。本明細書で提供される方法で治療可能な他のノカルジア種としては、N.アエロコロニゲネス(aerocolonigenes)、N.アフリカナ(africana)、N.アルゲンチネンシス(argentinensis)、N.アステロイデス、N.ブラックウェル(blackwellu)、N.ブラシリエンシス、N.ブレビカレナ(brevicalena)、N.コルネア(cornea)、N.カビアエ(caviae)、N.セラドエンシス(cerradoensis)、N.コラリナ(corallina)、N.シリアシゲオルジカ(cyriacigeorgica)、N.ダソンビレイ(dassonvillei)、N.エレガンス(elegans)、N.ファルシニカ、N.ニジイタンシス(nigiitansis)、N.ノバ(nova)、N.オパカ(opaca)、N.オチチジス-カバリウム(otitidis-cavarium)、N.パウシボランス(paucivorans)、N.シュードブラシリエンシス、N.ルブラ(rubra)、N.トランスバレンシス、N.ユニフォルミス(uniformis)、N.バシーニ(vaccinii)、およびN.ベテラナが挙げられる。
【0173】
クロストリジウムは、芽胞形成、グラム陽性嫌気性菌であり、そのような細菌による感染症は本明細書で提供される方法および組成物により治療可能である。1つの実施形態では、本明細書で提供される方法の1つを使用して、破傷風の病原因子である、クロストリジウム・テタニ(破傷風菌)感染症を治療する。別の実施形態では、本明細書で提供される方法の1つを使用して、ボツリヌス中毒の病原因子である、クロストリジウム・ボツリヌム(Clostridium botidinum)(C.ボツリヌム(botidinum))感染症を治療する。さらに別の実施形態では、本明細書で提供される方法の1つを使用して、ガス壊疽の病原因子の1つである、ウェルシュ菌感染症を治療する。本発明の方法を用いて治療可能な他のクロストリジウム種としては、C.ディフィシル、ウェルシュ菌、および/またはC.ソルデリが挙げられる。1つの実施形態では、治療される感染症はC.ディフィシル感染症である。
【0174】
リステリアは、個々に発生する、または短鎖を形成する、非芽胞形成、非分岐グラム陽性桿菌である。リステリア・モノサイトゲネス(L.モノサイトゲネス)は、リステリア症の原因物質であり、1つの実施形態では、L.モノサイトゲネスに感染した患者は、本明細書で提供される方法および組成物の1つで治療される。本明細書で提供される方法および組成物で治療可能なリステリア種の例としては、L.グレイイ(grayi)、L.イノキュア(innocua)、L.イバノビ(ivanovii)、L.モノサイトゲネス、L.シーリゲリ(seeligeri)、L.ムレイイ(murrayi)、およびL.ウェルシメリ(welshimeri)が挙げられる。
【0175】
細菌感染症は、1つの実施形態では、気道感染症である。さらなる実施形態では、感染症は、耐性細菌感染症、例えば、上で提供される感染症の1つである。本明細書で提供される方法により治療可能な患者は、1つの実施形態では、市中気道感染症、例えば、肺炎と診断されている。1つの実施形態では、肺炎患者において治療される細菌感染症は、肺炎球菌感染症である。別の実施形態では、肺炎患者において治療される細菌感染症は、マイコプラズマ肺炎またはレジオネラ種である。別の実施形態では、肺炎患者における細菌感染症は、ペニシリン耐性であり、例えば、ペニシリン耐性肺炎球菌である。
【0176】
細菌感染症は、1つの実施形態では、院内感染症(HAI)であり、または別の医療施設、例えば、ナーシングホーム、リハビリテーション施設、外来診療所、などで獲得される。そのような感染症は、病院内感染症とも呼ばれる。さらなる実施形態では、感染症は、気道感染症または皮膚感染症である。1つの実施形態では、HAIは肺炎である。さらなる実施形態では、肺炎は、黄色ブドウ球菌、例えば、MRSAによる。
【0177】
本明細書で提供される方法、例えば、細菌肺感染症を治療するための方法の実施形態で採用される吸入送達装置は、ネブライザー、ドライパウダー吸入器(DPI)、または定量噴霧式吸入器(MDI)、または当業者に知られている任意の他の好適な吸入送達装置であってよい。装置は、単一用量の組成物を含んでよく、これを送達するために使用でき、または、装置は多用量の本発明の組成物を含んでよく、かつこれを送達するために使用できる。
【0178】
1つの実施形態によれば、乾燥粉末微粒子組成物は、定量噴霧式吸入器(MDI)、ドライパウダー吸入器(DPI)、アトマイザ、ネブライザーまたはグリコペプチド送達を提供するための液体用量滴下(LDI)技術によりその必要のある患者に送達される。吸入療法に関しては、当業者であれば、中空かつ多孔性の微小粒子組成物が使用される場合、組成物は、DPIによる送達に特に適していることを認識するであろう。従来のDPIは、粉末製剤および装置を含み、あらかじめ決められた用量の薬剤が、単独で、またはラクトース担体粒子とのブレンドで、吸入のための乾燥粉末のエアロゾルとして送達される。
【0179】
薬剤は、0.5~20μmの、例えば0.5-5μmのMMDを有する別個の粒子中に容易に分散するように製剤化され、約10μm未満の空気動力学的中央粒子径(MMAD)、いくつかの実施形態では、5.0μm未満のエアロゾル粒子サイズ分布によりさらに特徴付けられる。粉末のMMADは特質上、約0.5-10μm、約0.5-5.0μm、または約0.5-4.0μmの範囲である。
【0180】
粉末は、吸気による、または加圧空気などのいくらかの外部送達力によるいずれかで駆動される。本発明の微粒子組成物の投与に好適なDPIの例は、米国特許第5,740,794号、5,785,049号、5,673,686号、および4,995,385号ならびにPCT出願第2000/72904号、2000/21594号、および2001/00263号で開示され、その各々の開示内容は、全ての目的のために全体として参照により組み込まれる。DPI製剤は典型的には、上記特許において開示されるものなどの単一用量単位でパッケージングされ、または、それらは用量の装置への手動移転により複数回投与を計量できるリザーバシステムを採用する。
【0181】
本明細書で開示される組成物はまた、定量噴霧式吸入器(MDI)によるなどの、エアロゾル化を介して患者の鼻または肺の通気道に投与され得る。呼吸活性化型MDIはまた、本明細書で提供される方法と適合する。
【0182】
上記実施形態に加えて、本明細書で開示される組成物は、患者の肺通気道に投与され得るエアロゾル化薬剤を提供するために、ネブライザー、例えば、PCTWO99/16420号(その開示内容はこれにより全体として参照により組み込まれる)で開示されるネブライザーによりその必要のある患者に送達され得る。ネブライザー型吸入送達装置は、本発明の組成物を溶液、通常水溶液、または懸濁液として含んでよい。例えば、プロスタサイクリン化合物または組成物を、生理食塩水に懸濁させ、吸入送達装置に投入できる。吸入のための組成物の噴霧スプレーの生成では、ネブライザー送達装置は、超音波により、圧縮空気により、または他のガスにより、電子的にまたは機械的に(例えば、振動メッシュまたは開口板)駆動され得る。振動メッシュ式ネブライザーは、微粒子、低速エアロゾルを発生させ、治療溶液および懸濁液を、従来のジェットまたは超音波ネブライザーより速い速度で、噴霧化する。したがって、処置期間は、振動メッシュ式ネブライザーを用いて、ジェットまたは超音波ネブライザーと比べて短くできる。本明細書で記載される方法と共に使用するのに適した振動メッシュ式ネブライザーとしては、Philips Respironics I-Neb(登録商標)、Omron MicroAir、Nektar Aeroneb(登録商標)、およびPari eFlow(登録商標)が挙げられる。
【0183】
ネブライザーは携帯用であり、設計がハンドヘルドであってよく、自己内蔵型電気ユニットが取り付けられ得る。ネブライザー装置は、規定された開口サイズの2つの一致した出口チャネル(これを通して液体製剤を加速できる)を有するノズルを含み得る。これは、2つのストリームの衝突および製剤の微粒化をもたらす。ネブライザーは、機械式アクチュエータを使用して、液体製剤を、規定された開口サイズ(複数可)のマルチオリフィスノズルを通し押し進めて、吸入のための製剤のエアロゾルを生成する。単一用量ネブライザーの設計では、単一用量の製剤を含むブリスター包装が採用され得る。
【0184】
本発明では、ネブライザーを使用して、粒子のサイジングが、例えば、肺膜内の粒子の配置に最適であることを確実にし得る。
【0185】
噴霧される際、噴霧組成物(「エアロゾル化組成物」とも呼ばれる)はエアロゾル化粒子の形態である。エアロゾル化組成物は、例えば、エアロゾル化組成物と関連する「空気動力学的中央粒子径」または「微粒子分率」を測定することにより、エアロゾルの粒子サイズにより特徴付けることができる。「空気動力学的中央粒子径」または「MMAD」は、アクアエアロゾル滴の空気力学的分離に関し正規化され、インパクター測定、例えば、Andersen Cascade Impactor(ACI)またはNext Generation Impactor(NGI)により決定される。ガス流速は、1つの実施形態では、ACIでは8リットル毎分、NGIでは15リットル毎分である。
【0186】
「幾何標準偏差」または「GSD」は、空気力学的粒子サイズ分布の広がりの測定値である。低GSDは、狭い滴サイズ分布(均一サイズ滴)を特徴付け、これはエアロゾルを呼吸器系にターゲティングさせるのに有利である。本明細書で提供される噴霧組成物の平均滴サイズは、1つの実施形態では5μm未満または約1μm~約5μmであり、1.0~2.2、または約1.0~約2.2、または1.5~2.2、または約1.5~約2.2の範囲のGSDを有する。
【0187】
「微粒子分率」または「FPF」は、本明細書では、カスケードインパクションにより測定すると、5μm未満の直径の粒子サイズを有するエアロゾルの分率を指す。FPFは、通常、パーセンテージとして表される。
【0188】
1つの実施形態では、噴霧組成物の空気動力学的中央粒子径(MMAD)は、Andersen Cascade Impactor(ACI)またはNext Generation Impactor(NGI)により測定すると、約1μm~約5μm、または約1μm~約4μm、または約1μm~約3μmまたは約1μm~約2μmである。別の実施形態では、噴霧組成物のMMADは、カスケードインパクションにより、例えば、ACIまたはNGIにより測定すると、約5μm以下、約4μm以下、約3μm以下、約2μm以下、または約1μm以下である。
【0189】
1つの実施形態では、医薬組成物のエアロゾルのMMADは、カスケードインパクションにより測定すると、約4.9μm未満、約4.5μm未満、約4.3μm未満、約4.2μm未満、約4.1μm未満、約4.0μm未満または約3.5μm未満である。
【0190】
1つの実施形態では、医薬組成物のエアロゾルのMMADは、カスケードインパクションにより測定すると(例えば、ACIまたはNGIによる)、約1.0μm~約5.0μm、約2.0μm~約4.5μm、約2.5μm~約4.0μm、約3.0μm~約4.0μmまたは約3.5μm~約4.5μmである。
【0191】
1つの実施形態では、エアロゾル化組成物のFPFは、ACIまたはNGIにより測定すると、約50%以上、ACIまたはNGIにより測定すると、約60%以上、またはACIまたはNGIにより測定すると、約70%以上である。別の実施形態では、エアロゾル化組成物のFPFは、NGIまたはACIにより測定すると、約50%~約80%、または約50%~約70%または約50%~約60%である。
【0192】
1つの実施形態では、定量噴霧式吸入器(MDI)が、本発明の組成物のための吸入送達装置として採用される。さらなる実施形態では、プロスタサイクリン化合物が、噴射剤(例えば、ヒドロフルオロカーボン)に懸濁され、その後MDI中に投入される。MDIの基本構造は、絞り弁、アクチュエータおよび容器を含む。噴射剤を使用して、装置から製剤を放出する。組成物は、加圧噴射剤(複数可)液中に懸濁された規定されたサイズの粒子から成ってよく、または組成物は、加圧液体噴射剤(複数可)の溶液または懸濁液であってよい。使用される噴射剤は主に、134aおよび227などの大気に優しいヒドロフルオロカーボン(HFC)である。吸入システムの装置は、単一用量を、例えば、ブリスター包装により送達でき、またはそれは多用量設計であってもよい。吸入システムの加圧定量噴霧式吸入器は、呼吸により駆動されて、正確な用量の脂質含有製剤を送達する。投薬の正確さを確保するために、製剤の送達は、吸入サイクルのある一点で起こるようにマイクロプロセッサによりプログラムされてよい。MDIは携帯用であっても、ハンドヘルドであってもよい。
【0193】
1つの実施形態では、ドライパウダー吸入器(DPI)が、本発明の組成物のための吸入送達装置として採用される。
【0194】
1つの実施形態では、DPIは、NGIまたはACIにより測定すると、約1μm~約10μm、または約1μm~約9μm、または約1μm~約8μm、または約1μm~約7μm、または約1μm~約6μm、または約1μm~約5μm、または約1μm~約4μm、または約1μm~約3μm、または約1μm~約2μmの直径のMMADを有する粒子を発生させる。別の実施形態では、DPIは、NGIまたはACIにより測定すると、約1μm~約10μm、または約2μm~約10μm、または約3μm~約10μm、または約4μm~約10μm、または約5μm~約10μm、または約6μm~約10μm、または約7μm~約10μm、または約8μm~約10μm、または約9μm~約10μmのMMADを有する粒子を発生させる。
【0195】
1つの実施形態では、DPIにより生成される粒子のMMADは、NGIまたはACIにより測定すると、約1μm以下、約9μm以下、約8μm以下、約7μm以下、6μm以下、5μm以下、約4μm以下、約3μm以下、約2μm以下、または約1μm以下である。
【0196】
1つの実施形態では、各投与は、DPIからの1~5用量(ひと吹き)、例えば1用量(1回のひと吹き)、2用量(2回のひと吹き)、3用量(3回のひと吹き)、4用量(4回のひと吹き)または5用量(5回のひと吹き)を含む。DPIは、1つの実施形態では、小さく、かつ患者により輸送可能である。
【0197】
1つの実施形態では、DPIにより生成される粒子のMMADは、NGIまたはACIにより測定すると、約9.9μm未満、約9.5μm未満、約9.3μm未満、約9.2μm未満、約9.1μm未満、約9.0μm未満、約8.5μm未満、約8.3μm未満、約8.2μm未満、約8.1μm未満、約8.0μm未満、約7.5μm未満、約7.3μm未満、約7.2μm未満、約7.1μm未満、約7.0μm未満、約6.5μm未満、約6.3μm未満、約6.2μm未満、約6.1μm未満、約6.0μm未満、約5.5μm未満、約5.3μm未満、約5.2μm未満、約5.1μm未満、約5.0μm未満、約4.5μm未満、約4.3μm未満、約4.2μm未満、約4.1μm未満、約4.0μm未満または約3.5μm未満である。
【0198】
1つの実施形態では、DPIにより生成される粒子のMMADは、約1.0μm~約10.0μm、約2.0μm~約9.5μm、約2.5μm~約9.0μm、約3.0μm~約9.0μm、約3.5μm~約8.5μmまたは約4.0μm~約8.0μmである。
【0199】
1つの実施形態では、DPIにより生成されるプロスタサイクリン微粒子組成物のFPFは、ACIまたはNGIにより測定すると、約40%以上、ACIまたはNGIにより測定すると、約50%以上、ACIまたはNGIにより測定すると、約60%以上、またはACIまたはNGIにより測定すると、約70%以上である。別の実施形態では、エアロゾル化組成物のFPFは、NGIまたはACIにより測定すると、約40%~約70%、または約50%~約70%または約40%~約60%である。
【0200】
実施例
本発明について、下記実施例を参照してさらに説明する。しかしながら、これらの実施例は、上記実施形態のように、例示であり、決して発明の範囲を制限するものと解釈されるべきではないことに注意すべきである。
【0201】
実施例1-還元的アミノ化によるグリコペプチド誘導体の合成
グリコペプチド誘導体を下記の通り調製した。合成スキームをまた、図1で提供する。
【0202】
温度制御およびかくはんが取り付けられた反応容器に、無水DMFおよびDIPEAを添加した。得られた溶液をかくはんしながら65℃に加熱し、バンコマイシンHClまたはテラバンシンHClを徐々に少しずつ添加した。加熱を、全てのバンコマイシンHClまたはテラバンシンHClが溶解するまで続けた(5-10分)。
【0203】
ベージュ色の溶液を冷却させ、その後DMFに溶解した所望のアルデヒドの溶液を5-10分にわたり添加した。得られた溶液を一晩攪拌させ、典型的には透明な赤/黄色の溶液を生成した。MeOHおよびTFAを導入し、攪拌を、少なくとも2時間さらに続けた。攪拌期間の終わりに、イミン形成反応混合物をHPLCにより分析し、それは特質上典型的であった。ボランtert-ブチルアミン錯体を少しずつ添加し、反応混合物を周囲温度でさらに2時間攪拌し、その後、反応混合物のインプロセスHPLC分析は、中間イミン基のほぼ定量的減少を示した。反応が終了した後、反応混合物を逆相C18カラムクロマトグラフィー(Phenomenex Luna 10μM PREP C18(2) 250×21.2mmカラム)を使用し、各々が0.1%(v/v)のTFAを含む水とアセトニトリルの勾配を用いて精製した。画分をHPLCを用いて評価し、次いで標的生成物を含む関連画分を、凍結乾燥による生成物の単離のために一緒にプールした。典型的な生成物を綿毛状の白色固体として単離した。手順を下記スキーム1で示し、バンコマイシンHCを代表的な開始化合物として用いる。
【0204】
実施例2-バンコマイシン誘導体RV40(化合物40)の合成
一般的合成:オーバーヘッドスターラーが取り付けられた温度制御反応容器に、好適な反応溶媒(DMFまたはDMA)および有機塩基(典型的にはDIPEA)を添加した。温度をおよそ60℃に増加させ、バンコマイシンHClを添加した。温かい反応混合物を高温でおよそ20分間かくはんし、その時点で全てのバンコマイシンHClは溶解し、反応混合物を室温に戻した。次いで反応混合物に、好適な反応溶媒(DMFまたはDMA)に溶解した9H-フルオレン-9-イルメチルN-デシル-N-(2-オキソエチル)カルバメート(N-Fmoc-N-デシルアミノアセトアルデヒド)を添加した。反応混合物を、オーバーヘッドスターラーを用いて一晩かくはんし、その時点で好適な還元剤、酸触媒(例えば、TFA)、およびプロトン性溶媒(例えば、MeOH)を添加した。反応混合物をオーバーヘッドスターラーにより室温でおよそ2時間かくはんし、その時点で溶媒体積を回転蒸発により半分だけ低減させた。次いで濃縮反応混合物に、有機塩基を添加してFMOC保護基を除去し、粗生成物(化合物40、「RV40」とも呼ばれる)を得た。次いで溶媒を回転蒸発により蒸発させ、粗材料を、C18シリカを用いてドライパックし、逆相C18フラッシュクロマトグラフィーにより精製して、生成物を>97%純度で単離した。溶媒を、回転蒸発、凍結乾燥、および噴霧乾燥を含む技術の組み合わせを用いて精製材料から除去して、生成物(化合物40またはRV40)を白色粉末として、典型的には40-75%全収率で得た。好適な溶媒としては、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドまたはそれらの組み合わせが挙げられる。好適な有機塩基としては、N,N-ジイソプロピルエチルアミンまたはトリメチルアミンが挙げられる。好適な還元剤としては、NaBH、NaBHCN、ボラン-ピリジン錯体、またはボラン-tertブチルアミン錯体が挙げられる。FMOC脱保護のための好適な有機塩基としては、ピペリジン、メチルアミン、およびtertブチルアミンが挙げられる。
【0205】
塩形態:アルキル-バンコマイシン誘導体についての塩形態および関連する対イオンの制御を、フラッシュクロマトグラフィー中に使用する酸種を変化させることにより管理した。乳酸、酢酸、HCl、およびTFA塩を調製した。アルキルバンコマイシン誘導体の遊離塩基誘導体を単離するために、精製材料のpHを7-8に調整して沈殿を誘導し;次いで精製遊離塩基材料を、濾過、回転蒸発、凍結乾燥、または噴霧乾燥により収集した。
【0206】
化合物40(RV40)に到達するための1つの合成スキームを、図2(上部)で提供する。ここで、ジャケット付き1L反応容器に、オーバーヘッドスターラーを取り付け、65℃に調整した再循環水浴に接続した。温かい反応槽に、N,N-ジメチルホルムアミド(75mL)およびDIPEA(640μL、3.7mmol、2.0当量)を添加した。溶媒を20分間攪拌させ、65℃に温め、その時点でバンコマイシンHCl(2.70g、1.8mmol、1.00当量)を反応混合物に添加した。全てのバンコマイシンHClが溶解するとすぐに、温度を25℃に低下させ、N,N-ジメチルホルムアミド(20mL)に溶解した9H-フルオレン-9-イルメチルN-デシル-N-(2-オキソエチル)カルバメート(890mg、2.1mmol、1.15当量)を添加した。反応混合物を25℃で18時間攪拌させた。次いで反応混合物に、NaBHCN(330mg、5.3mmol、2.89当量)、MeOH(75mL)、およびTFA(3.0mL、5.5mmol、3.00当量)を添加した。反応混合物を3時間RTで攪拌させ、その時点で溶媒体積を、回転蒸発により半分だけ低減させた。次いで濃縮反応混合物に、ピペリジン(360μL、3.7mmol、2.00当量)を撹拌しながら添加した。反応進行を、HPLCによりモニタした。HPLC分析が脱保護の完了を示すとすぐに、溶媒を減圧下で反応混合物から除去して、粗生成物(化合物40)をオフホワイト固体として得た。粗材料を、C18シリカを用いてドライパックし、逆相C18フラッシュクロマトグラフィーにより精製して、生成物を>97%純度で単離した。
【0207】
実施例3-バンコマイシン誘導体RV40(化合物40)の合成
一般的合成:オーバーヘッドスターラーが取り付けられた温度制御反応容器に、好適な反応溶媒(DMFまたはDMA)および有機塩基(典型的にはDIPEA)を添加した。温度をおよそ60℃に増加させ、バンコマイシンHClを添加した。温かい反応混合物を高温でおよそ20分間かくはんし、その時点で全てのバンコマイシンHClは溶解し、反応混合物を室温に戻した。次いで反応混合物に、好適な反応溶媒(DMFまたはDMA)に溶解した9H-フルオレン-9-イルメチルN-デシル-N-(2-オキソエチル)カルバメート(N-Fmoc-N-デシルアミノアセトアルデヒド)を添加した。反応混合物を、オーバーヘッドスターラーを用いて一晩かくはんした。反応混合物に、プロトン性溶媒(例えば、MeOH)および酸触媒(例えば、TFA)を添加し、反応混合物を15分間攪拌させ、その後好適な還元剤(例えば、ボランtertブチルアミン錯体)を添加した。
【0208】
反応混合物をオーバーヘッドスターラーにより室温でおよそ2時間かくはんし、その時点で有機塩基(例えば、tertブチルアミン)を添加して、FMOC保護基を除去した。温度を55℃に上昇させ、混合物を2時間攪拌させた。次いで溶媒を回転蒸発により蒸発させ、粗材料を、C18シリカを用いてドライパックし、逆相C18フラッシュクロマトグラフィーにより精製して、生成物を>97%純度で単離した。溶媒を、回転蒸発、凍結乾燥、および噴霧乾燥を含む技術の組み合わせを用いて精製材料から除去して、生成物(RV40)を白色粉末として、典型的には75%全収率で得た。好適な溶媒としては、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドまたはそれらの組み合わせが挙げられる。好適な有機塩基としては、N,N-ジイソプロピルエチルアミンまたはトリメチルアミンが挙げられる。好適な還元剤としては、NaBH、NaBHCN、ボラン-ピリジン錯体、またはボラン-tertブチルアミン錯体が挙げられる。FMOC脱保護のための好適な有機塩基としては、ピペリジン、メチルアミン、およびtertブチルアミンが挙げられる。
【0209】
塩形態:アルキル-バンコマイシン誘導体についての塩形態および関連する対イオンの制御を、フラッシュクロマトグラフィー中に使用する酸種を変化させることにより管理した。乳酸、酢酸、HCl、およびTFA塩を調製した。バンコマイシン誘導体の遊離塩基誘導体を単離するために、精製材料のpHを7-8で調整して沈殿を誘導し;次いで精製遊離塩基材料を、濾過、回転蒸発、凍結乾燥、または噴霧乾燥により収集した。
【0210】
化合物40(RV40)に到達するための1つの合成スキームを図2で提供し、以下でさらに詳細に記載する。オーバーヘッドスターラー、温度計、およびpH計が取り付けられた400mL反応容器に、DMF(50mL)およびDIPEA(1.17mL、6.73mmol、2.00当量)を添加した。反応混合物を55℃に加熱し、その時点でバンコマイシンHCl(5.0g、3.37mmol、1.0当量)を添加した。混合物を、55℃で約15分間、または全てのバンコマイシンが溶解するまで攪拌し、その時点で温度を25℃に低下させた。反応混合物に、DMF(16.32mL)に溶解したN-Fmoc-デシルアミノアセトアルデヒド(1.63g、3.87mmol、1.15当量)の溶液を添加した。反応混合物を25℃で18時間攪拌させた。反応混合物に、MeOH(14.0mL)およびTFA(1.03mL、13.46mmol、4.00当量)を添加し、混合物を25℃で15分間攪拌させ、その時点でボランtert-ブチルアミン錯体(294mg、3.37mmol、1.0当量)を添加した。反応混合物を25℃で2時間攪拌させ、その時点でtert-ブチルアミン(4.24mL、40.38mmol、12.0当量)を添加し、温度を55℃に上昇させた。反応混合物を55℃で2時間攪拌させた。次いでC18官能化シリカゲルを反応混合物に添加し、溶媒を減圧下で除去した。ドライパックした材料を、逆相C18フラッシュクロマトグラフィー(Biotage(登録商標)SNAP-KP-C18-HSカラム)を使用して精製した。
【0211】
実施例4-RV40の一乳酸塩の調製
3L三つ口フラスコに、メカニカルスターラー、窒素入口、凝縮器および添加漏斗を取り付けた。無水DMF(900mL)およびDIPEA(21.06mL、0.12mol)を入れた。得られた溶液を55-60℃に加熱し、バンコマイシン・HCl(90.0g、0.06mol)を少しずつ添加した。加熱を、全てのバンコマイシン・HClが溶解するまで続けた(15-30分)。ベージュ色の溶液を周囲温度に冷却させ、その後N-FMOC-N-デシルアミノアセトアルデヒド(29.34g、0.069mol)およびDMF(293.4mL)の溶液を、添加漏斗により5-10分にわたって添加した。得られた溶液を一晩攪拌させて、透明な赤-黄色の溶液を得た。攪拌期間の終わりでの反応混合物のインプロセスHPLC分析は、典型的であった。MeOH(252mL)およびTFA(18.54mL、0.24mol)を導入し、攪拌を、少なくとも2時間さらに続けた。攪拌期間の終わりに、イミン形成反応混合物をHPLCにより分析し、それは特質上典型的であった。ボランtert-ブチルアミン錯体(5.28g、0.61mol)を少しずつ添加し、反応混合物を周囲温度でさらに2時間攪拌し、その後反応混合物のインプロセスHPLC分析は、中間イミン基のほぼ定量的減少を示し、3%未満の未反応バンコマイシンが残った。Tert-ブチルアミン(76.32mL、0.73mol)を添加漏斗により添加し、得られた反応物を55℃に加熱した。攪拌を55℃で続け、FMOC基脱保護反応の進行をHPLCによりモニタした。
【0212】
反応が終了した後(約2時間)、加熱を除去し、C18シリカゲル(C-18(炭素17%)60A、40-63μm、270g)を添加し、混合物を、C-18シリカ吸着粗RV40の流動性固体が得られるまで(3-7時間)rotavap上52℃/15トールで濃縮した。C-18シリカ吸着粗RV40(化合物40)を3つの等しい部分に分け、各部分-ロットを、各々が0.1%(v/v)の85%L-(+)-乳酸水溶液を含む、水とアセトニトリルの勾配を用いてBiotageクロマトグラフィーによりBiotage SNAP ULTRA C18 1850gカートリッジ(Biotage HP-Sphere C18 25μm)上で精製し、240mL画分を収集した。各部分ロットは約50リットルの溶離剤を必要とした。各Biotage実行後に、C-18カラムを、60リットルのメタノールを通過させることにより次の実行のために調整した。画分を、HPLCを用いて評価し、次いでRV40を含む関連のある画分を、凍結乾燥により生成物の単離のために一緒にプールした。
【0213】
凍結乾燥により、RV40乳酸塩を白色固体として得た。この時点で凍結乾燥したRV40乳酸塩は典型的には、過剰の乳酸を含み、また、その自己縮合反応から生じる乳酸関連不純物をも含んだ。この実行からの単離RV40乳酸塩を2つの他のバッチの同様に単離した凍結乾燥RV40乳酸塩と合わせて、合計105g(ロット637-140A)のRV40乳酸塩の複合バッチを形成した。RV40乳酸塩の上記複合バッチ中に存在する過剰乳酸およびその関連不純物を、THFを用いるトリチュレーションにより除去し、次いで最終のトリチュレートした材料(RV40一乳酸塩)を再凍結乾燥に供して、捕捉された残留THFを除去した;どちらの工程も以下に記載される。
【0214】
5L三つ口フラスコに、メカニカルスターラー、窒素入口、および凝縮器を取り付けた。RV40乳酸塩(105g)および阻害剤を含まない無水THF(1L)を入れた。得られた混合物を、窒素下で攪拌した。一晩攪拌した後、得られた混合物を、中フリットブフナー濾過用漏斗を用いて濾過した。濾過ケーキをTHF(250mL)で洗浄した。濾過ケーキを、窒素下で真空に引くことにより濾過用漏斗上で乾燥させた。5時間乾燥させた後、ケーキを乳酸の残留レベルについて1H NMRにより分析し、それは3.5当量と測定された。THFを用いたトリチュレーションのプロセスをさらに2回繰り返し、その後単離された生成物は、推定1当量の乳酸/乳酸塩およびTHFを含むと決定された。単離した材料を再凍結乾燥させて、残留THFを下記の通り除去した:
【0215】
上記THFでトリチュレートした材料を最初に、8.1mL毎グラムの濃度でアセトニトリル水溶液(3:1水:アセトニトリル)に溶解し、次いで複数のフラスコを用いて数回に分けて凍結乾燥した。典型的には、約10-12グラム(最大)の材料を各2Lフラスコに入れ、続いてアセトニトリル水溶液(125mL)を入れて溶液を調製し、これを凍結乾燥した。凍結乾燥および乾燥の終わりに、生成物をTHFレベルについてNMRにより分析して、凍結乾燥を繰り返す必要があるかどうか決定した。今回の場合、NMRにより残ったTHFが検出できなくなった時に、各フラスコの内容物をもう一度凍結乾燥した(125mLのアセトニトリル水溶液に再溶解させた後)。この時点で最終凍結乾燥生成物は、NMRにより推定すると平均0.8wt%のアセトニトリルを含んだ。各フラスコの内容物を、スパチュラを使用してより小さな粒子に微粉砕し、次いで高真空ポンプ上に置いて、アセトニトリルを除去した。アセトニトリルレベルのさらなる低減は、真空ポンプ上での56-60時間後に観察されなかった。各フラスコの内容物を合わせて、白色固体として合計74.3g(180gのバンコマイシン・HClの総変換に基づき35.5%収率)のRV40一乳酸塩の複合バッチを得た。これは、HPLCにより>99面積%純粋であると見出され、1HNMR(DMSO-d6)分析により決定されるように1当量の乳酸塩を含んだ。生成物中の含水量は、K-F分析により決定されるように5.6wt%であると見出された。
【0216】
実施例5-バンコマイシン誘導体RV79の合成
グリコペプチド誘導体RV79に到達するための合成スキームを以下に記載し、また、図3で提供する。撹拌子が取り付けられた40mLバイアルに、無水DMF(20mL)およびDIPEA(0.20mL)を添加した。得られた溶液を、インキュベートされた振盪機上で65℃に加熱し、バンコマイシン・HCl(700mg、0.462mmol)を徐々に少しずつ添加した。加熱を、全てのバンコマイシン・HClが溶解するまで続けた(5-10分)。ベージュ色の溶液を、室温に冷却させ、その時点で4’-クロロ-ビフェニル-4-カルバルデヒド(0.1g、0.462mmol)を、反応混合物に添加した。反応混合物を一晩攪拌させた。MeOH(1.5mL)およびTFA(0.14mL、1.8mmol)を導入し、攪拌を、少なくとも2時間さらに続けた。ボランtert-ブチルアミン錯体(40mg、0.46mmol)を少しずつ添加し、反応混合物を周囲温度でさらに2時間攪拌した。反応が完了した後、反応混合物を、各々が0.1%(v/v)のTFAを含む、水とアセトニトリルの勾配を用いる、逆相C18カラムクロマトグラフィー(Phenomenex Luna 10μM PREP C18(2) 250×21.2mmカラム)を使用して精製する。画分を、HPLCを用いて評価し、次いでRV79を含む関連のある画分を、凍結乾燥により生成物の単離のために一緒にプールした。標的化合物、RV79(81.2mg、0.05mmol、10%全収率)を、白色固体として>97%純度(HPLCにより)で得た。反応スキームを図3で示す。
【0217】
実施例6-アルキル-バンコマイシン誘導体の合成
アルキルバンコマイシン誘導体を、わずかに改変した、Nagarajanら(Nagarajan et al. (1989). The Journal of Antibiotics 42(1), pp. 63-72、全ての目的のために全体として参照により本明細書に組み込まれる)で開示される手順に従い、調製した。
【0218】
アルキルバンコマイシン誘導体のための一般的合成を図4に示す。簡単に言うと、温度制御された反応容器に、バンコマイシンHCl、好適な反応溶媒、有機塩基、および適切なアルデヒドを添加した。反応混合物を、高温でオーバーヘッドスターラーを用いてかくはんし、反応進行を、バンコマイシンの消費およびイミン形成を見ながらHPLCによりモニタした。次いで反応容器に、好適な還元剤、酸触媒(TFA)、およびプロトン性溶媒(MeOH)を添加した。反応混合物を、およそ2時間オーバーヘッドスターラーによりかくはんした。次いで反応混合物を、水に注ぎ入れてアルキルバンコマイシン誘導体の沈殿を誘導するか、または溶媒を、減圧下で除去した。
【0219】
粗材料を、好適な移動相に溶解し、分取クロマトグラフィーにより精製した。溶媒を、回転蒸発、凍結乾燥、および噴霧乾燥を含む技術の組み合わせを用いて精製材料から除去して、白色粉末としてバンコマイシンアルキル誘導体を、典型的には40-60%全収率で得た。好適な溶媒としては、N,N-ジメチルホルムアミドまたはN,N-ジメチルアセトアミドのいずれかが挙げられる。好適な有機塩基としては、N,N-ジイソプロピルエチルアミンまたはトリメチルアミンが挙げられる。好適な還元剤としては、NaBH、NaBHCN、ボラン-ピリジン錯体、またはボラン-tertブチルアミン錯体が挙げられる。
【0220】
N-デシルバンコマイシン(化合物5)の合成:化合物5、デシルバンコマイシンへの合成経路を図5で提供する。ジャケット付き1L反応容器に、オーバーヘッドスターラーを取り付け、65℃に調整した再循環水浴に接続した。温かい反応槽に、N,N-ジメチルアセトアミド(160mL)およびDIPEA(6.8mL、39.0mmol、2.92当量)を添加し、溶媒をおよそ20分間攪拌させた。溶媒温度が65℃に到達するとすぐに、バンコマイシンHCl(19.8g、13.38mmol、1.00当量)を反応容器に添加した。反応容器に1-デカナール(2.54mL、13.50mmol、1.01当量)を添加し、反応混合物を2時間65℃で攪拌させた。次いで反応混合物に、NaBHCN(2.31g、36.77mmol、2.75当量)、MeOH(100mL)、およびTFA(3.1mL、40.48mmol、3.03当量)を添加した。反応混合物を、室温に冷却しながら2時間攪拌させた。次いで反応混合物を、アセトニトリル(1L)に注ぎ入れて、沈殿を誘導した。デカントを除去し、残りのオフホワイトスラリーを遠心分離し、デカントして過剰の溶媒を除去し、N-デシルバンコマイシンおよび未反応バンコマイシンを含むスラリーを生成させた。粗N-デシルバンコマイシンを、0.05%HOAcを有する、30:70アセトニトリル:HOに溶解し、逆相C18分取HPLCを使用して精製した。純粋画分を、回転蒸発に供して有機物を除去し、急速冷凍および凍結乾燥して、綿毛状の白色粉末として精製N-デシルバンコマイシンを単離した。
【0221】
実施例7-クロロエレモマイシン誘導体RV79の合成
撹拌子が取り付けられた20mLシンチレーションバイアルに、クロロエレモマイシンおよび酢酸銅(II)のMeOH溶液を添加した。反応混合物を、クロロエレモマイシンが溶解するまで、室温で攪拌した。次いで反応混合物に、適切なアルデヒドおよびTHF中の1M溶液としてシアノ水素化ホウ素ナトリウムを添加した。反応混合物を、45℃に設定されたインキュベートされた振盪機に移し、反応進行を、HPLCによりモニタした。場合によっては、追加のアリコートのアルデヒド試薬を添加することが必要であった。反応混合物を一晩45℃で振盪させた。反応混合物をRTに冷却し、水素化ホウ素ナトリウムを添加して、残留アルデヒド試薬を対応するアルコールに変換させた。pHを、酢酸または0.1M NaOHのいずれかを使用して7-8に調整し、揮発性溶媒を、穏やかに加熱しながらN(g)をブローイングすることにより除去した。反応混合物に、アセトニトリルを添加して、オフホワイト固体として粗生成物を沈殿させた。反応混合物を遠心分離し、液体をデカントした。固体を、0.1%リン酸を含む10%MeCN/HOに溶解して銅を脱錯化させ(decomplex)、その時点で溶液は、短時間紫になり、次いで黄色味を帯びた。分取HPLCを使用して、最終生成物を精製し、LCMSを使用して化合物アイデンティティおよび純度を確認した。
【0222】
反応の図式を図1、下部で提供する。
【0223】
実施例8-グリコペプチド誘導体のC末端修飾
撹拌子が取り付けられた丸底フラスコに、グリコペプチド誘導体、DMF:DMSOの1:1溶液、およびDIPEAを添加した。次いで反応混合物に、HBTUおよび適切なアミン(例えば、3-(ジメチルアミノ)-1-プロピルアミン)を添加した。反応進行をHPLCによりモニタした。完了するとすぐに、反応を、1:1HO:MeOHの添加で停止させた。次いで粗材料を、逆相C18分取HPLCを用いて精製した。精製画分を凍結乾燥させて、標的生成物を、典型的には白色綿毛状の粉末として適度な収率、かつ高純度で得た。
【0224】
実施例9-グリコペプチドレゾルシノール基のアミノメチル化
オーバーヘッド機械的撹拌および温度制御が取り付けられた反応容器に、アセトニトリル、水、およびDIPEAを添加する。攪拌を室温で開始し、約10分間続ける。次いで反応混合物温度を-10℃に減少させ、その時点で37%ホルムアルデヒドの水溶液および所望のアミン試薬を、反応混合物に添加する。反応混合物を-10℃でおよそ60分間攪拌し、その時点でレゾルシノール含有グリコペプチドを、固体として添加する。反応混合物を、温度を-10℃で一定に維持しながら500rpmで一晩攪拌する。溶媒を減圧下で除去して、粗材料を得る。粗材料を、0.1%TFAを含む30%アセトニトリルの水溶液に溶解し、分取HPLCにより精製する。分取HPLCから収集した画分をアッセイし;純粋画分を合わせ、凍結乾燥して乾固させて、標的生成物を白色粉末として高純度かつ適度な収率で得る。
【0225】
実施例10-吸入を介して投与される式(II)の化合物の薬物動態
薬物動態分析を受ける化合物を下記表1に示す。
【表1】
【0226】
噴霧され吸入される化合物の120時間単一用量インビボPK実験を、Aerogen Aeroneb Proメッシュ式ネブライザーが取り付けられた12-ポート鼻専用チャンバ(CH Technologies, Westwood, NJ, USA)を使用して、10mg/kg(RV40)または1.5mg/kg(TLV、RV104、RV106)の標的体重用量で、健康な雄スプラーグドーリーラットにおいて実施した。エアロゾルを6L/分の流速でチャンバに提供した。肺を収集し、薬物濃度をHPLC-MS/MSにより測定した。
【0227】
半合成グリコペプチドRV40は黄色ブドウ球菌メチシリン感受性および耐性分離菌を含むグラム陽性病原体に対して強力な抗菌活性を示すが、スプラーグドーリーラットにおいて単一用量で吸入により与えられると、それは肺組織で顕著に長い半減期を示した(t1/2=300時間)。R=xで追加の部分を含む化合物の化学修飾が達成されて、化合物の予測疎水性を低減するように改善した。実験的に、この戦略は、図6に示されるように、120時間の実験過程にわたる、修飾物対RV40の相対肺組織クリアランスの観点から、吸入された化合物のより有利な薬物動態プロファイルを示した。
【0228】
本出願を通して引用される文書、特許、特許出願、刊行物、製品説明、およびプロトコルは全て、全ての目的のために全体として、参照により本明細書に組み込まれる。
【0229】
この明細書で説明され、議論される実施形態は、発明を製造し、使用するための、発明者らに知られている最良の方法を当業者に教示することのみを意図する。発明の上記実施形態の改変および変更は、当業者により認識されるように、以上の教示を考慮すると、発明から逸脱せずに可能である。そのため、特許請求の範囲およびそれらの等価物の範囲内で、発明は特定的に記載されているものとは別様に実施できることが理解される。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】