(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-01
(54)【発明の名称】一時的に居住可能な囲いの中又は囲いのないエリアで使用するための拠点装置
(51)【国際特許分類】
E04B 1/348 20060101AFI20220125BHJP
E04H 1/12 20060101ALI20220125BHJP
A47K 4/00 20060101ALI20220125BHJP
【FI】
E04B1/348 Z
E04H1/12 Z
A47K4/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021527822
(86)(22)【出願日】2019-11-19
(85)【翻訳文提出日】2021-07-01
(86)【国際出願番号】 US2019062227
(87)【国際公開番号】W WO2020106727
(87)【国際公開日】2020-05-28
(32)【優先日】2018-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521213277
【氏名又は名称】メタ-ベース ホールディングス エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Meta-Base Holdings LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】ピット,ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ラーマン,ゼット,エイ
【テーマコード(参考)】
2D132
【Fターム(参考)】
2D132GA00
2D132GA09
2D132GA11
(57)【要約】
一時的に居住可能な囲いの中又は囲いの無いエリアで使用するための拠点装置は、間取り図の高効率の使用を提供する中央集中型モジュール式MEPシステムを内包することで、様々なユーティリティ及び機能を居住者に提供する。拠点装置のハウジングは、MEPシステムの種々の構成要素、器具及び備品を収容する複数の小部屋を形成するハウジングを含む。ハウジングは、小部屋へのアクセスを可能にしつつ、内外の美しさ及び環境保護のための種々の選択肢を提供する構造フレーム及び外装材料を含む場合がある。統合ネットワークは、MEPシステムを、周囲環境調整装置、配管及び照明装置、及び調理装置のような備品及び器具と相互接続する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一時的に居住可能な囲いの中で使用され、その居住者にユーティリティを提供するように構成された拠点装置であって、
複数の小部屋を形成するハウジングであって、各小部屋が、MEP(機械、電気、配管)システム、器具又は備品の少なくとも一部を収容し、前記ハウジングが、前記小部屋を取り囲み、前記小部屋へのアクセスを提供する、ハウジングと、
前記MEPシステムの一部を前記備品又は前記器具の少なくとも一方と相互接続する統合ネットワークと
を含む、拠点装置。
【請求項2】
前記MEPシステムは、少なくとも1つの周囲環境調整装置を含み、
前記備品は、少なくとも1つの配管装置及び1つの照明装置を含み、
前記器具は、少なくとも1つの調理装置を含む、請求項1に記載の拠点装置。
【請求項3】
前記ハウジングは、実質的に直線状の外形を有する構造フレームを含む、請求項1に記載の拠点装置。
【請求項4】
前記ハウジングは、少なくとも1つの取り外し可能なパネルからなる外装材料を含む、請求項1に記載の拠点装置。
【請求項5】
前記外装材料は、少なくとも1つの開閉式パネルを含む、請求項4に記載の拠点装置。
【請求項6】
前記外装材料は、前記一時的に居住可能な囲いの内部居住空間への露出に適した仕上げ面、又は前記居住可能な囲いの外部の周囲環境への露出に適した耐候性表面、又はそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、請求項4に記載の拠点装置。
【請求項7】
前記統合ネットワークの構成要素は、電力ケーブル、データ/通信ケーブル、環境調整ダクト、流体供給配管、流体排出配管、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の拠点装置。
【請求項8】
前記MEPシステムの状態を監視するためのコントローラをさらに含む、請求項1に記載の拠点装置。
【請求項9】
前記コントローラへのユーザアクセスを提供するユーザーインターフェースをさらに含む、請求項8に記載の拠点装置。
【請求項10】
前記一時的に居住可能な囲いの中での前記拠点装置の輸送、設置、又は取り外しを容易にするための接続点、吊り上げ点、フォークリフトキャビティ、又は車輪のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項1に記載の拠点装置。
【請求項11】
前記MEPシステムは、電気エネルギー収集システム、電気エネルギー分配システム、電気エネルギー貯蔵システム、電気エネルギー調整/変換システム、飲用水システム、家庭雑排水システム、水洗便所排水システム、HVACシステム、データ/通信システム、配電盤/インターフェース、火災検知警報システム、消火システム、セキュリティシステム、音声及びデータシステム、変電設備、及び非常用発電機接続からなる群から選択される、請求項1に記載の拠点装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つの配管装置は、ビデ、シャワー、流し台、トイレ、及び小便器からなる群から選択される、請求項2に記載の拠点装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つの調理装置は、オーブン、電子レンジ、グリル、冷蔵庫、オールインワン調理器、及びコンロからなる群から選択される、請求項2に記載の拠点装置。
【請求項14】
前記少なくとも1つの照明装置は、回転式ランプ、常夜灯、及びスポットライトからなる群から選択される、請求項2に記載の拠点装置。
【請求項15】
前記少なくとも1つの周囲環境調整装置は、エアコン、ボイラー、除湿機、暖房炉、ヒーター、ファン、HVACシステム、空気清浄機、加熱された毛布、電源ソケット/コネクタ、及びそれらの構成要素からなる群から選択される、請求項2に記載の拠点装置。
【請求項16】
一時的に居住可能な囲いの中で使用され、その居住者にユーティリティを提供するように構成された拠点装置を製造する方法であって、
複数の小部屋を形成するハウジングであって、前記ハウジングが、前記小部屋を取り囲み、及び/又は前記小部屋へのアクセスを提供する、ハウジングを製造するステップと、
各小部屋に、MEPシステム、器具、又は備品の一部の少なくとも1つを設置するステップと、
前記MEPシステム、前記備品、及び前記器具を相互接続する統合ネットワークを前記ハウジングに設置するステップと
を含む、方法。
【請求項17】
一時的に居住可能な囲いの中で拠点装置を使用して、その居住者にユーティリティを提供する方法であって、前記拠点装置が、複数の小部屋を形成するハウジングであって、各小部屋が、MEPシステム、器具、又は備品の少なくとも一部を収容し、前記ハウジングが、前記小部屋を取り囲み、及び/又は、前記小部屋へのアクセスを提供する、ハウジングと、前記MEPシステム、前記備品、及び前記器具を相互接続する統合ネットワークとを含むものにおいて、
前記拠点装置を前記一時的に居住可能な囲いの内部に配置するステップと、
少なくとも1つのMEPシステム、備品又は器具を使用するステップと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
この出願は、2018年11月19日に出願された米国仮特許出願第62/769,138号に基づく優先権と利益を主張するものであり、この米国仮特許出願の開示全体は、参照により本明細書に完全に組み込まれる。
【0002】
[技術分野]
様々な実施形態において、本発明は、概して、一時的に居住可能な囲い、及び一時的建造物やその他の建造物によって必ずしも囲われていない屋外エリアのためのユーティリティシステムに関し、より具体的には、MEP(機械、電気、配管)システムを携帯式モジュラーアクセス構造の形に一体化して提供する拠点装置(基地装置)であって、一時的に居住可能な囲いの中や囲いのない屋外エリアの居住者が使用するためのポイントオブユース(POU)の器具及び備品を備えた拠点装置に関する。あるいは、ポイントオブユースの器具及び備品の代わりに、作り付けの元からあるMEP器具及び備品が使用されてもよい。
【背景技術】
【0003】
気象関連の事件(例えば、洪水、竜巻、ハリケーンなど)、自然災害(例えば、山火事、地震、津波、火山活動)、及び人為的惨事(例えば、戦争、暴動、市民の不安など)に起因して恒久的に居住可能な住居から一時的に避難した人々に対し、政府機関、非政府機関(NGO)、及びその他の慈善救援機関は、仮設住宅を提供し、基本的な生活ニーズを満たす。そのような状況から逃れる避難民や家族、難民、及び他の人々は、一時的住居や難を逃れるためのシェルターだけでなく、食料、衛生サービス、医療サービス、セキュリティサービス、及び保安サービスなどを必要とする。テントやシェルターのような囲い、及び他のモジュール式の囲いは、種々の要因からのシェルターと睡眠場所を提供するために迅速に展開可能であるが、多くの必需品は、集中型のキッチン設備、入浴設備、及び衛生設備によってしか提供されないことがある。こうした一時的野営地での滞在が数ヶ月以上続くと、生活状況は悪化する。結果として生じる住民の健康、体力、幸福、及び尊厳への犠牲は、身体的及び精神的健康に重大な影響を与える可能性がある。
【0004】
したがって、一時的に居住可能な囲いの中や囲いのないエリアに住む人々の基本的ニーズと尊厳をサポートするための改善されたアプローチの必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態は、一時的に居住可能な囲いと組み合わせた拠点装置の使用に関して説明されるが、当業者は、説明された拠点装置が、囲いのないエリアで又はその中で使用されてもよいこと、すなわち、場合によっては、閉ざされたテントやシェルターなどの代わりに、囲いのないエリアが使用される場合があることを理解できるであろう。
【0006】
様々な実施形態において、拠点装置は、集中化された空間効率の良い方法で収容された携帯型パーソナルMEPユーティリティシステムであって、テント、シェルター、又は他の囲いの中に一時的に一緒に収容された家族その他の小グループの人々の様々な必要なニーズに対応するために、迅速に展開可能な携帯型パーソナルMEPユーティリティシステムを提供する。一部の実施形態において、拠点装置は、如何なるサービスにも接続されていないスタンドアロンの構造である場合がある。任意選択で、拠点装置の特定の実施形態は、供給システム(例えば、上下水道など)と連結するための共通であるが柔軟なインターフェースシステム、ならびに、固定グリッド又は地域グリッド又は一時的グリッドのような複数の一時的に居住可能な囲いにサービスを提供する集中型の分配回収システムを含む場合がある。さらに他の実施形態では、拠点装置は、既存のグリッド(例えば、固定グリッド、一時グリッド、マイクログリッドなど)のうちの1つ以上のサービスに接続される場合がある。限定ではなく説明の目的で記載すれば、拠点装置は、救援機関、人道援助機関、営利事業体といった無数の組織又は事業要素によって迅速に展開可能であり、集中型のキッチン設備、入浴設備、及び衛生設備を補い、それらに対する人々の依存度を大幅に低減するとともに、集中型のMEPシステム、設備、又はインフラストラクチャに対する依存度を低減することができる。これは特に、乳幼児、高齢者、及び/又は運動障害のある人々を支援するために重要になる場合がある。また、拠点装置は、周囲の気象状況とは無関係に、テント、シェルター、又は囲いの中の住民が24時間使用することができる。囲いを離れるときは、夜間等に安全上の問題が発生する可能性がある。本明細書に記載された拠点装置の種々の実施形態は、既存の一時的野営地に存在する上記問題の多くに対処し、避難民のニーズやグリッドなしの生活に対応するアプローチを提供するだけでなく、それらの既存のアプローチに対する実質的かつ具体的改善でもある。
【0007】
一般に、一態様において、本発明の実施形態は、一時的に居住可能な囲いの中で使用され、その居住者にユーティリティを提供するように構成された拠点装置を特徴とする。拠点装置は、複数の小部屋を形成するハウジング又は構造フレームを含むことができ、各小部屋は、MEPシステム、器具、又は備品の少なくとも一部を収容するように構成されている。ハウジングは、アクセスパネル、ドア、引き出し、換気システム、内部熱回収システムなどを有する場合がある。構造フレームを使用する実施形態では、構造フレームに外装材料を結合することにより、様々な小部屋を取り囲み、それらの小部屋へのアクセスを提供することができる。あるいは、大量生産の応用実施形態では、構造的要素と建築/仕上げ要素を組み合わせた新しい材料であって、過酷な環境や水に対する耐性を有するリサイクル要素からなる新しい材料で作られた金型を製造する場合がある。金型は、特定の機構に適合する小部屋を有する場合がある。
【0008】
拠点装置は、MEPシステムを備品及び器具と相互接続する統合ネットワークをさらに含む。一部の実施形態において、MEPシステムは、少なくとも1つの周囲環境調整装置を含む場合がある。備品は、少なくとも1つの配管装置及び1つの照明装置を含み、器具は、少なくとも1つの調理装置を含む。
【0009】
拠点装置のハウジング又は構造フレームは、実質的に直線状の外形を有する場合があり、外装材料を有する場合、外装材料は、少なくとも1つの取り外し可能なパネル、及び/又は、ヒンジ付きドアや引き出しのような少なくとも1つの開閉式パネルを含む場合がある。あるいは、元からある作り付け備品又は器具を収容するプラグイン小部屋を含む場合がある。器具及び装置とのMEP接続、及び使用時及び保守作業時のアクセスを確保するために、適当な機構が設けられる場合がある。ハウジングや外装材料は、一時的に居住可能な囲いの内部居住空間への露出に適した仕上げ面、居住可能な囲いの外部の周囲環境への露出に適した耐候性表面、及びそれらの組み合わせを有する場合がある。
【0010】
統合ネットワークの様々な構成要素及び拠点装置のシステムは、電力ケーブル、データ/通信ケーブル、環境調整ダクト、流体供給配管、流体排出配管、及びそれらの組み合わせを含む場合がある。MEPシステムの状態を監視するために、コントローラが設けられる場合があり、任意選択で、コントローラへのユーザアクセスを提供するユーザーインターフェースが設けられてもよい。インターフェースは、物理的キーボード、タッチスクリーンディスプレイ、ローカルソフトウェアアプリケーション、又は、スマートフォン若しくは他のスマートデバイスを介して入手可能なダウンロード可能なソフトウェアアプリケーションなどであってもよい。
【0011】
様々な実施形態において、拠点装置は、一時的に居住可能な囲いの中での拠点装置の輸送、設置、及び/又は取り外しを容易にするための吊り上げ点、フォークリフトキャビティ、及び/又は車輪をさらに含む場合がある。これらは特に、荒くでこぼこした地面状況で移動させるときに重要である。拠点装置は、様々な車輪構成を有する場合があり、例えば、隠し車輪(例えば、拠点装置のフレームの占有面積の外縁の内側に隠される)を有する場合がある。隠し車輪は、地面と係合するように垂直に伸ばすことができ、それによって拠点装置の車輪による移動/位置決めが可能になる。拠点装置が所望の場所に配置され又は位置決めされた後、隠し車輪を引っ込めることで、拠点装置を直接、又は高さ調節パッドを介して地面に置くことができる。任意の適当な機構(例えば、機械式カム、油圧ポンプラムなど)を使用して、車輪を個別に、二つ一組で、又はまとめて、展開及び収納することができる。一実施形態において、車輪の展開収納機構は、拠点装置の移動が必要な場合にのみ作動される場合がある。あるいは、接続点(例えば、拠点装置を別の拠点装置(複数可)、グリッド(複数可)、供給又は排出システム/ネットワークなどに接続するためのもの)が含まれる場合がある。
【0012】
拠点装置のMEPシステムは、電気エネルギー収集システム、電気エネルギー分配システム、電気エネルギー貯蔵システム、電気エネルギー調整/変換システム、水濾過システム、雨水収集システム、飲用水システム、家庭雑排水システム、水洗便所排水システム、HVACシステム、及び/又は、データ/通信システムを含む場合がある。応用形態によっては、分電盤/インターフェース、火災検知警報システム、消火システム、セキュリティシステム、音声及びデータシステム、変電設備、及び非常用発電機接続のうちの1つ以上が含まれる場合もある。
【0013】
様々な実施形態において、配管装置(複数可)は、ビデ、シャワー、流し台、トイレ、及び/又は小便器を含む場合がある。調理装置(複数可)は、オーブン、電子レンジ、グリル、冷蔵庫、オールインワン調理器、及び/又はコンロを含む場合がある。照明装置(複数可)は、回転式ランプ、常夜灯、及び/又はスポットライトを含む場合がある。周囲環境調整装置(複数可)は、エアコン、ボイラー、除湿機、暖房炉、ヒーター、ファン、空気清浄機、加熱された毛布、及び/又はHVACシステム、電源ソケット/コネクタ、及び/又はそれらの構成要素を含む場合がある。
【0014】
別の態様によれば、本発明の実施形態は、一時的に居住可能な囲いの中で使用され、その居住者にユーティリティを提供するように構成された拠点装置を製造する方法を特徴とする。一実施形態において、この方法は、複数の小部屋を形成するハウジングであって、小部屋を取り囲み、小部屋へのアクセスを提供するハウジングを製造するステップと、各小部屋に、MEPシステム、器具、又は備品の少なくとも一部を設置するステップと、MEPシステムを任意の備品及び器具と相互接続する統合ネットワークをハウジングに設置するステップとを含む。備品、器具、装置、及び構成要素のうちの1つ以上は、作り付けの元からある器具又は備品であってもよいし、特注の器具又は備品であってもよく、あるいは市販のものであってもよく、必要に応じて、拠点装置の任意の応用形態の特定のニーズを満たすように変更が加えられ、又はカスタム設計される場合がある。
【0015】
さらに別の態様によれば、本発明の実施形態は、一時的に居住可能な囲いの中で拠点装置を使用して、その居住者にユーティリティを提供する方法を特徴とする。拠点装置は、複数の小部屋を形成するハウジングであって、各小部屋が、MEPシステム、器具、又は備品の少なくとも一部を収容し、前記ハウジングが、小部屋を取り囲み、小部屋へのアクセスを提供する、ハウジングと、MEPシステムを備品及び器具と相互接続する統合ネットワークとを含む。器具又は備品は、ポイントオブユース(POU)の器具及び備品であってもよいし、作り付けの元からある特注の器具及び備品であってもよい。この方法によれば、ステップは、拠点装置を一時的に居住可能な囲いの内部に配置するステップと、拠点装置の少なくとも1つのMEPシステム、備品、又は器具を展開し、使用するステップとを含む。
【0016】
そのような使用は、備品又は器具の有無にかかわらず使用可能な拠点装置を含む場合がある。例えば、MEPシステムは、ソーラーパネルシステム(例えば、バッテリーを充電するため)、バッテリー充電器、発電機、及び/又は電源グリッドなどのうちの1つ以上に接続される場合がある。ウォータータンクは、手動で充填されてもよいし、給水タンクや給水グリッドに接続されてもよい。使用済みの水は、手動で排出されてもよいし、排水タンクや排水グリッドに接続されてもよい。家庭雑排水は、拠点装置内で一回だけ(すなわち、トイレの洗浄に)再利用されてもよいし、拠点装置の水収集タンクに集められ、手動で排出されてもよい。あるいは、家庭雑排水は、家庭雑排水排出外部タンクやグリッドシステムに接続されてもよい。水洗便所排水は、拠点装置内で一回だけ(例えば、バイオガス発電など)に再利用されてもよい。あるいは、水洗便所排水は、バイオエレメントとして(例えば、農業用に)手動で排出されてもよいし、及び/又は拠点装置の水洗便所排水収集タンクに収集され、手動で排出されてもよい。あるいは、拠点装置は、水洗便所排水排出外部タンク及び/又はグリッドシステムに接続されてもよい。
【0017】
これらの特徴及び他の特徴は、本明細書に開示される本発明の種々の実施形態の利点とともに、以下の説明、添付の図面、及び特許請求の範囲を参照することにより、より明らかになるであろう。なお、拠点装置及びその一体化された部品の寸法及び容量を含む、本明細書に記載された様々な実施形態の特徴は、相互排他的ではなく、様々な組み合わせ及び順列で存在していてよいものと理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図面では一般に、同様の参照文字や注釈が、異なる図の全体を通して同じ部材を指しているが、分かり易くするために、あらゆる図面のあらゆる構成要素にラベルを付しているわけではない。また、図面は必ずしも一定の縮尺である必要はなく、むしろ、一般に、本発明の特定の原理を例示することに重点が置かれている。寸法が示されている場合、特に明記されていない限り、数値の単位は、ミリメートル(mm)である。以下の説明では、以下の図面を参照して、本発明の様々な実施形態について説明する。
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態による、6つの車輪上の居住可能な囲い用拠点装置の略正面斜視図である。
【
図2】本発明の一部の実施形態による、様々な備品及び器具が開いた状態の
図1の拠点装置の略正面斜視図である。
【
図3】様々な備品及び器具の配置及び連携を示す、拠点装置の一実施形態の略正面図、及び右側面図を含む図である。
【
図4】本発明の一実施形態による拠点装置の略背面斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態による拠点装置の略背面斜視図である。
【
図6】本発明の一実施形態による拠点装置の略背面斜視図である。
【
図7】様々な備品及び器具の配置及び連携を示す、拠点装置の一実施形態の略背面図、及び左側面図を含む図である。
【
図8】収納位置にあるトイレ(WC)を示す、拠点装置の比較的低い高さにおける平面断面図である。展開時の旋回経路は、破線で示されている。
【
図9】シャワー構成要素の展開の順序を略背面斜視図で示す図である。
【
図10】シャワー構成要素の展開の順序を略背面斜視図で示す図である。
【
図11】シャワー構成要素の展開の順序を略背面斜視図で示す図である。
【
図12】シャワー構成要素の展開の順序を略背面斜視図で示す図である。
【
図13】
図8に示したものよりも高い、拠点装置の次の高さの平面断面図である。
【
図14】拠点装置の正面で使用するために回転された流し台を示す図である。
【
図15】拠点装置の背面で使用するために回転された流し台を示す図である。
【
図16】大きなウォータータンクの取り外し及び取り付けを容易にするための傾斜路を形成する拠点装置の左側にあるアクセスドアを示す図である。
【
図17】
図13に示したものよりも高い、拠点装置の次の高さの平面断面図である。
【
図18】拠点装置の側面からの電気小部屋へのアクセスを示す図である。
【
図19】中央MEPシャフトへのアクセスを示す図である。
【
図20】拠点装置の正面にあるヒンジ付きドアを介した取り外し/交換のための家庭雑排水タンクへのアクセスを示す図である。
【
図21】拠点装置の左側にあるヒンジ付きドアを介した取り外し/交換のための真水タンク及びフィルタへのアクセスを示す図である。
【
図22】
図17に示したものよりも高い、拠点装置の次の高さの平面断面図である。
【
図23】家庭雑排水タンクのアクセスドアの上にある、拠点装置の正面にあるフィルタとポンプへのアクセスドアを示す図である。
【
図24】
図22に示したものよりも高い、拠点装置の次の高さの平面断面図である。
【
図25】拠点装置に関連付けられた柔軟な太陽エネルギー収集マットを示す図である。
【
図26】
図24に示したものよりも高い、拠点装置の次の高さの平面断面図である。
【
図27】後部ランプが部分的に展開された状態の拠点装置を示す背面図である。
【
図28】最も高い位置における拠点装置の上部を示す図である。
【
図29】
図8の線1-A104に沿って切断してみたときの背面断面図である。
【
図30】
図8の線2-A104に沿って切断してみたときの中央側面断面図である。
【
図31】特定の構成要素が展開された状態の拠点装置の背面の注釈付き上側斜視図である。
【
図32】特定の構成要素が展開された状態の拠点装置の正面の注釈付き上側斜視図である。
【
図33】拠点装置の特定の電気システム構成要素に着目した、拠点装置の背面からの注釈付き上側斜視図である。
【
図34】拠点装置の特定の電気システム構成要素に着目した、拠点装置の背面透視図である。
【
図35】拠点装置の特定の配管システム構成要素に着目した、拠点装置の背面からの注釈付き上側斜視図である。
【
図36】拠点装置の特定の配管システム構成要素に着目した、拠点装置の背面透視図である。
【
図37】特定の関連する水区画構成要素パネル及びMEPアクセスパネルが開いた状態の拠点装置の正面斜視図である。
【
図38】特定の関連する水区画構成要素パネル及びMEPアクセスパネルが開いた状態の拠点装置の正面斜視図である。
【
図39】太陽エネルギーシステム構成要素に焦点を当てた、拠点装置の背面からの注釈付き上側斜視図である。
【
図40】太陽エネルギーシステム構成要素に焦点を当てた、拠点装置の背面透視図である。
【
図41】電気アクセスパネルドアが開いた状態の拠点装置の側面図である。
【
図42】拠点装置の特定のHVAC構成要素に着目した、拠点装置の背面からの注釈付き上側斜視図である。
【
図43】拠点装置の特定のHVAC構成要素に着目した、拠点装置の背面透視図である。
【
図44】拠点装置の家庭雑排水システムに着目した、拠点装置の背面からの注釈付き上側斜視図である。
【
図45】拠点装置の家庭雑排水システムに着目した、拠点装置の背面透視図である。
【
図46】拠点装置の特定の給水システム構成要素に着目した、拠点装置の背面からの注釈付き上側斜視図である。
【
図47】拠点装置の特定の給水システム構成要素に着目した、拠点装置の背面透視図である。
【
図48】本発明の別の実施形態による、小型拠点装置の比較的低い高さにおける平面断面図である。
【
図49】
図48に示したものよりも高い、小型拠点装置の次の高さの平面断面図である。
【
図50】
図49に示したものよりも高い、小型拠点装置の次の高さの平面断面図である。
【
図51】
図50したものよりも高い、小型拠点装置の次の高さの平面断面図である。
【
図52】最も高い位置における小型拠点装置の上部を示す図である。
【
図53】様々なアクセスドア及び小部屋の配置及び連携を示す、小型拠点装置の一実施形態の略背面図である。
【
図54】様々なアクセスドア及び小部屋の配置及び連携を示す、小型拠点装置の一実施形態の右側面図である。
【
図55】様々なアクセスドア及び小部屋の配置及び連携を示す、小型拠点装置の一実施形態の略正面図である。
【
図56】様々なアクセスドア及び小部屋の配置及び連携を示す、小型拠点装置の一実施形態の左側面図である。
【
図57】
図48の線1-A104に沿って切断してみたときの正面断面図である。
【
図58】
図48の線2-A104に沿って切断してみたときの中心から外れた位置における側面断面図である。
【
図59】
図48の線3-A104に沿って切断してみたときの背面断面図である。
【
図60】
図48の線4-A104に沿って切断してみたときのもう一つの中心から外れた位置における側面断面図である。
【
図61】特定の構成要素が展開された状態の小型拠点装置の正面の注釈付き上側斜視図である。
【
図62】特定の構成要素が代わりに展開された状態の小型拠点装置の背面の注釈付き上側斜視図である。
【
図63】特定の構成要素が代わりに展開された状態の小型拠点装置の背面の注釈付き上側斜視図である。
【
図64】シャワートレイが展開された状態の小型拠点装置の上平面図である。
【
図65】
図64の線2-A106に沿って切断してみたときの中心から外れた位置における側面断面図である。
【
図66】
図65の細部3-A106にあるシャワー排水管を示す拡大図である。
【
図67】シャワートレイの脚の位置を示す、小型拠点装置の背面図である。
【
図68】収納位置にある調節可能なシャワー脚の注釈付き拡大側面断面図である。
【
図69】展開位置にある調節可能なシャワー脚の注釈付き拡大側面断面図である。
【
図70】収納位置にある引き出し式蛇口を備えた流し台の注釈付き拡大斜視図である。
【
図71】展開位置にある引き出し式蛇口を備えた流し台の注釈付き拡大斜視図である。
【
図72】車輪が収納位置すなわち閉位置にある状態の、伸長可能な車輪車軸を有する小型拠点装置の注釈付き端面図である。
【
図73】車輪が伸長位置すなわち開位置にある状態の、伸長可能な車輪車軸を有する小型拠点装置の注釈付き端面図である。
【
図74】車輪が収納位置すなわち閉位置にある状態の、伸長可能な車輪車軸を有する小型拠点装置の注釈付き背面斜視図である。
【
図75】車輪が伸長位置すなわち開位置にある状態の、伸長可能な車輪車軸を有する小型拠点装置の注釈付き背面斜視図である。
【
図76】小型拠点装置を持ち上げるためのリフティングジャッキを有する小型拠点装置の略正面図である。
【
図77】小型拠点装置の特定の電気システム構成要素に着目した、小型拠点装置の正面からの注釈付き上側斜視図である。
【
図78】小型拠点装置の特定の電気システム構成要素に着目した、小型拠点装置の拡大上面図である。
【
図79】小型拠点装置の特定の電気システム構成要素に着目した、小型拠点装置の正面透視図である。
【
図80】小型拠点装置の特定のHVAC構成要素に着目した、小型拠点装置の正面からの注釈付き上側斜視図である。
【
図81】小型拠点装置の特定のHVAC構成要素に着目した、小型拠点装置の正面透視図である。
【
図82】小型拠点装置100’の特定の配管システム構成要素に着目した、小型拠点装置100’の正面からの注釈付き上側斜視図である。
【
図83】小型拠点装置100’の特定の配管システム構成要素に着目した、小型拠点装置100’の正面透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[詳細な説明]
大まかに言えば、本発明の実施形態は、一時的な囲いの中、又は囲いのないエリアに住む一時的に避難した人々、又はグリッドなしで生活している人々に重要な基本サービスを提供するための新しいアプローチを特徴とする。テント、シェルター、その他の一時的囲いの中、又は囲いのないエリアに同居している家族や小グループの人々が使用するのに適した携帯型MEPシステムを提供することにより、健康と管理のある程度の余裕を与えることができ、場合によっては数か月に及ぶことがあり不運にも延びることがある疑いようもなくストレスの多い期間中に、人々の健康と幸福を大きく支えることができる。一実施形態によれば、拠点装置は、一時的に居住可能な囲いの中で使用され、照明、暖房、冷房、電力、水、調理、シャワー、洗浄、及びトイレ等の設備を、非常にコンパクトで機能的で持ち運び可能な構造で提供することにより、快適さを提供し、人々の基本的ニーズを満たすことを助けるように構成される。拠点装置の構成のモジュール性及び柔軟性から、拠点装置は、様々なサイズの一時的に居住可能な囲い、及びMEPシステム要件に特に良好に適合するように構成される。また、このアプローチによれば、必要性又は要望に応じて、拠点装置を一時的に居住可能な囲い及びその住民の変化するニーズに適合するように、時間とともに変化させることが可能になる。
【0021】
本発明の実施形態は、一時的に居住可能な囲いと組み合わせた拠点装置の使用に関して説明されるが、当業者は、説明された拠点装置が、囲いのないエリアと共に、又は、囲いのないエリアで使用されてもよいこと、すなわち、場合によっては、閉鎖されたテントやシェルターなどの代わりに、囲いのないエリアが使用される場合があることを理解できるであろう。
【0022】
備品、器具、装置、及び構成要素のうちの1つ以上は、元からある作り付けの器具又は備品であってもよいし、特注の器具又は備品であってもよく、あるいは市販のものであってもよく、必要に応じて、拠点装置の任意の応用形態の特定のニーズを満たすように変更が加えられ、又はカスタム設計される場合がある。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態による、6つの車輪10上の居住可能な囲い用拠点装置100の略正面斜視図である。ただし、必要に応じて、もっと少数又はもっと多数(例えば、2つ、3つ、4つなど)の車輪10が設けられてもよい。拠点装置100は、外部ハウジング20と、任意選択で、複数の小部屋を形成する内部構造フレームとを含み、各小部屋は、MEPシステム、器具、又は備品の少なくとも一部を収容するように構成されている。ハウジング20の外装、すなわち、取り外し可能なパネルやヒンジ付きドアのような形をした任意選択の外装材料は、拠点装置100の内部、ならびに器具及び備品へのアクセスを提供する。ハウジング20は、換気システム、内部熱回収システムなどをさらに含む場合がある。
図2は、単なる例として、生鮮食品を貯蔵するための小型冷蔵庫30、小型のオーブン及び/又は電子レンジ(個別に及び集合的に40で示す)、食品加工領域60(例えば、作業トレイ)を備えた2バーナーコンロトップ又はホットプレート50、及び洗浄及び/又は食品加工用の流し台70を、概ねスタック構成で示している。作業灯80は、拠点装置100の上部90から外まで旋回し、この作業ゾーンを照明するとともに、他の目的のための一般的照明を提供する。以下で説明するように、拠点装置100は、内部へのアクセスを提供するための旋回式ドアを含み、及び/又は使用時に装置を展開するための摺動式又は旋回式マウントを含む。一方、不使用時には、装置を収納することができ、備品及び器具の不使用時に、拠点装置100の清潔さと小さい全体的占有面積を維持することができる。
【0024】
一部の実施形態では、例えば、大量生産の応用実施形態では、構造的要素と構築/仕上げ要素を組み合わせた新しい材料であって、過酷な環境や水に対する耐性を有するリサイクル要素で作られた新しい材料で作られた金型を製造する場合がある。金型は、特定の機構に適合する小部屋を有する場合がある。
【0025】
図3は、拠点装置100の一実施形態の略正面図、及び右側面図を含む図であり、様々な備品及び器具の配置及び連携を示している。正面外装100aは、拠点装置100の上部にある回転式ランプアーム80とともに、HVACシステム用のベントグリル110、ならびに左側に沿ってウォーターフィルタ120及び家庭雑排水タンク130用のヒンジ付きアクセスドアを含む。また、左側の適当な高さには、飲用に適した新鮮な水、又は飲用及び調理用の真水(例えば、雨水)を引き出すための蛇口140が設けられている。
【0026】
一般に中央に配置されているのは、拠点装置100の中央オープンシャフト160へのヒンジ付きアクセスドア150である。これを通して、配管、ダクト、及びケーブル配線といった、MEPシステムを相互接続する統合ネットワークの多くの構成要素が通過する。シャフトアクセスドア150の右側には、一群の食品加工のための備品及び器具がある。この実施形態では、食品加工のための備品及び器具は、冷蔵庫30、オーブン40、コンロ50、流し台70、及び、食料品を切断し、刻み、保持するための作業トレイ60を含む。拠点装置100の右側は、蓄電池175用の小部屋170や様々なウォータータンク用の小部屋180、190のような太陽光発電システム200の特定の構成要素のためのアクセスドアを含む。
【0027】
図4~
図6は、本発明の一実施形態による拠点装置100の略背面斜視図である。
図5は、単なる例として、拠点装置100の上部220から外まで旋回し、この作業ゾーンを照明するとともに、他の目的のための一般的な照明を提供するもう一つの作業灯(すなわち、アームを備えた回転式ランプ)210を示している。さらに、トイレ、すなわちWC230が、拠点装置100の左下部分に沿って外まで旋回する。
図6を参照すると、シャワーパン240は、拠点装置100の右側部分に沿って、折りたたむことができ、折り畳み式シャワーカーテン250は、パン240と、拠点装置100の上部から延びている平行移動するシャワーカーテンホルダー260及びシャワーヘッド270との間に延在することができる。拠点装置100の背面100bは、同様に、内部へのアクセスを提供するための旋回式ドアを含み、及び/又は、使用時に装置を展開するための摺動式又は旋回式マウントを含む。一方、不使用時には、装置を収納することができ、備品及び器具の不使用時に、拠点装置100の清潔さと小さい全体的占有面積を維持することができる。
【0028】
図7は、様々な備品及び器具の配置及び連携を示す、拠点装置100の一実施形態の略背面図、及び左側面図を含む図である。背面外装100bは、拠点装置100の上部220にある第2の回転式ランプアーム210とともに、HVACシステム用のもう一つのベントグリル280を含む。
【0029】
一般に中央に配置されているのは、拠点装置100の中央オープンシャフト160への別のヒンジ付きアクセスドア290である。これを通して、配管、ダクト、及びケーブル配線といった、MEPシステムを相互接続する統合ネットワークの多くの構成要素が通過する。シャフトアクセスドア290の左側には、流し台70がある。流し台70は、拠点装置100の正面100a及び背面100bから外まで旋回させることにより、アクセスできる。流し台70は、WC230の真上の位置にある。上記のように、拠点装置100の右側は、折り畳み式シャワートレイ240、ならびに伸長可能なシャワーカーテンホルダー260及びシャワーヘッド270を含む。シャワーカーテン250を用いて、専用の一人用シャワー室300が作成される。拠点装置100の左側は、HVACユニット310の特定の構成要素のためのアクセスドア、及び、拠点装置100のコントローラ320を含む様々な電気構成要素を含む。
【0030】
拠点装置100は、HVACシステム、エアコン、ボイラー、除湿機、暖房炉、ヒーター、ファン、空気清浄機、加熱された毛布、電源ソケット/コネクタ、及びそれらの構成要素のような1つ以上の周囲環境調整装置を含む場合がある。
【0031】
図8は、収納位置にあるWC230を示す、拠点装置100の比較的低い高さの平面断面図である。展開時の旋回経路330は、破線で示されている。
図7も参照すると、大きなウォータータンク340は、シャワートレイ240が展開されたときに、シャワーの囲い300の一部を形成する壁350の後ろのこの低い部分に格納されている。
【0032】
シャワー構成要素の展開の順序は、
図9~
図12の略背面斜視図に示されている。より具体的には、シャワートレイ240が、後壁から下向きに折り曲げる形で展開され(
図9)、シャワーカーテンホルダー260とシャワーヘッド270が、拠点装置100の上部から伸長される(
図10~
図11)。次に、折り畳み式シャワーカーテン250が、シャワー室300を実質的に囲むようにトレイ240とホルダー260との間に引き延ばされる。プライバシーを維持するとともに、シャワーの水がトレイ240に収まる状態を維持するためである(
図12及び
図6)。
図3も参照すると、シャワーの水は、飲用には適さない再利用のために、家庭雑排水タンク130にポンプで送られる。
【0033】
図13は、
図8に示したものよりも高い、拠点装置100の次の高さの平面断面図である。
図8は、収納位置にある流し台70を示している。とりわけ、流し台70は、拠点装置100の正面100aと背面100bの両方からアクセスできるように、双方向に旋回することができる。展開時の旋回経路360a、360bは、破線で示されている。したがって、食品加工と個人衛生のために、流し台70を代わりに使用することができる。
図14~
図15を参照されたい。シャワーの囲い300の一部を形成する壁350の後ろの低い部分に格納された大きなウォータータンク340は、この高さまで延在している。拠点装置100の左側にあるアクセスドア370は、
図16から最も分かるように、この大きなウォータータンク340の取り外し及び取り付けを容易にするための傾斜路を形成している。
【0034】
図17は、
図13に示したものよりも高い、拠点装置100の次の高さの平面断面図である。この高さでは、拠点装置100の側面から、拠点装置100のコントローラ380、及び電気基板若しくは分電盤(DB)390(例えば、パネルボード、ブレーカーパネル、又は電気パネル)を収容している電気小部屋320へのアクセスが提供される。これらの構成要素は、太陽電池175(
図25)(又は任意選択の外部電源)からの電力供給を補助回路に分割し、同時に、この共通の囲い320の中にある各回路に保護ヒューズ又は回路ブレーカーを提供する。側面アクセスについては、
図18を参照されたい。中央MEPシャフトアクセス160については、
図19を参照されたい。
【0035】
また、この高さには、オーブン40、家庭雑排水タンク130、及び、真水タンクとフィルタ400もある。家庭雑排水タンク130は、取り外し/交換のために、拠点装置100の正面100aにあるヒンジ付きドア410(
図20から最もよく見てとれる)を介してアクセスすることができる。真水タンクとフィルタ400は、取り外し/交換のために、拠点装置100の左側にあるヒンジ付きドア420(
図21から最もよく見てとれる)を介してアクセスすることができる。
【0036】
一部の応用形態では、拠点装置100は、火災検知警報システム、消火システム、セキュリティシステム、音声及びデータシステム、変電設備、及び/又は非常用発電機接続を含む場合がある。
【0037】
図22は、
図17に示したものより高い、拠点装置100の次の高さの平面断面図である。この高さでは、拠点装置100の側面から、拠点装置100のコントローラ380、及び電気DB390を収容している電気小部屋320へのアクセスが引き続き提供される。冷蔵庫30は、ウォーターシステムフィルタ430やポンプ440と同様に、この高さに配置されている。家庭雑排水タンク130のアクセスドア410よりも上にある拠点装置100の正面100aの、フィルタ430及びポンプ440へのアクセスドア450a、450bについては、
図23を参照されたい。真水タンク400も、同様に、この高さまで延在している。
【0038】
図24は、
図22に示したものよりも高い、拠点装置100の次の高さの平面断面図である。この高さでは、拠点装置100の側面からスライドして伸長する太陽電池トレイ455上に配置された複数の電池175へのアクセス(例えば、太陽電池小部屋170へのアクセス)が提供される。
図25に示されるように、拠点装置100は、太陽光発電システム200を含み、太陽光発電システム200は、太陽光で発電された電力を貯蔵し、貯蔵した電力を提供するための複数の電池175の他に、可撓性の太陽エネルギー収集マット460を含む。太陽エネルギー収集マット460は、テントやシェルターの外部の地面に置くこともでき、好ましくは、テントやシェルターの側面から吊り下げられ、又は、テントやシェルターの屋根の上にかけられる。太陽エネルギー収集マット460からの長いコード470(
図28)は、拠点装置100の上部のコネクタ475に差し込まれる。一部の実施形態では、太陽エネルギー収集マット460が生成する電流は、必要に応じて、蓄電池(バッテリー)175(後の使用のために)に蓄えられてもよいし、又はすぐに使用されてもよい。一部の変形例では、長いコード470は、
図28に示されるように、拠点装置100の上部に配置されたコネクタ475に差し込まれる。
【0039】
図26は、
図24に示したものよりも高く、
図28に示したものよりも低い高さにおける、拠点装置100の平面断面図である。この高さには、2つの回転式ランプ80、210がある。拠点装置100の正面100a及び背面100bからの90度の展開時の旋回経路480a、480bが、破線で示されている。背面ランプ210のみが部分的に展開された状態を示す
図27を参照されたい。平面断面図には、HVACユニット315も示されている。
【0040】
次に、
図29~
図30に移ると、拠点装置の構造内の様々な構成要素、備品、及び器具の緻密な入れ子構造を理解できる。
図29は、例えば、
図8の線1-A104に沿って切断してみたときの背面断面図である。
図30は、例えば、
図8の線2-A104に沿って切断してみたときの中央側面断面図である。空間を無駄にすることなく、すべてのシステムが注意深く慎重に配置され、若者、高齢者、健康な方、体の不自由な方などの様々な人々が、拠点装置100を便利かつ効率的に使用できるようになっている。そして、当業者には容易に理解されるように、この配置は多くの利点を提供するが、追加又は代替のシステム、備品、器具、及び機能を含めることが企図されている。
【0041】
図31~
図32は、それぞれ、特定の構成要素が展開された状態の拠点装置100の背面100b及び正面100aの注釈付き上側斜視図である。
図31では、シャワーの一部(例えば、シャワーパン240、シャワーカーテンホルダー260、及びシャワーヘッド270)が展開されているのに対し、
図32では、ランプ80、210、及び流し台70のみが展開されている。他のすべての備品及び器具は、収納されたままである。
【0042】
図33~
図34は、それぞれ、特定の電気システム構成要素に着目した、背面100bからの拠点装置100の注釈付き上側斜視図、及び背面透視図である。拠点装置のMEPシステムは、電気エネルギー収集システム、電気エネルギー分配システム、電気エネルギー貯蔵システム、電気エネルギー調整/変換システム、水濾過システム、雨水収集システム、飲用水システム、家庭雑排水システム、水洗便所排水システム、HVACシステム、及び/又は、データ/通信システムを含む場合がある。他の応用形態では、拠点装置のMEPシステムは、分電盤/インターフェース、火災検知警報システム、消火システム、セキュリティシステム、音声及びデータシステム、変電設備、及び非常用発電機接続のうちの1つ以上をさらに含む場合がある。例えば、
図33~
図34は、とりわけ、太陽電池(例えば、蓄電池175)と、冷蔵庫30、オーブン40、コンロ50、及びウォーターポンプ440などの電動要素への関連ケーブル配線とを示している。
図33~
図34は、電気DBコントローラ390、ソーラーシステム充電器コントローラ480、及び、直流(DC)バッテリー電力を交流(AC)に変換するための電力変換器490の配置を示している。太陽エネルギーに特有の構成要素及び関連ケーブル配線については、
図39~
図40も参照されたい。これらは、それぞれ、ソーラーシステム構成要素200に着目した、背面100bからの拠点装置100の注釈付き上側斜視図、及び背面透視図を示している。電気アクセスパネルドア385が開いた状態の側面図については、
図41も参照されたい。
【0043】
図35~
図36は、それぞれ、特定の配管システム構成要素500に着目した、背面100bからの拠点装置100の注釈付き上側斜視図、及び背面透視図である。例えば、これらの図は、とりわけ、大型の下部ウォータータンク340、家庭雑排水タンク130、真水タンク400、ウォーターフィルタ430、及びポンプ440を、これらの構成要素を流し台70などの水使用器具に接続するための関連する供排水配管510の一部、ならびに配管システム構成要素500を外部水源に接続するための水管接続520と一緒に示している。特定の関連する水小部屋構成要素パネル410、450a、450b及びMEPアクセスパネル290が開いた状態の拠点装置100の正面斜視図については、
図37~
図38も参照されたい。
【0044】
図42~
図43は、それぞれ、拠点装置100の上部に配置されたHVACユニット315及びその電気DBコントローラ390との相互接続530を含む特定のHVAC構成要素600に着目した、背面100bからの拠点装置100注釈付き上側斜視図、及び背面透視図である。
【0045】
図44~
図45は、それぞれ、家庭雑排水システム700に着目した、背面100bからの拠点装置100の注釈付き上側斜視図、及び背面透視図である。例えば、これらの図は、とりわけ、家庭雑排水が、流し台排水管550及びシャワートレイ排水管540から収集されることを示している。より具体的には、収集された家庭雑排水は、例えばフィルタ430とポンプ440を使用して、濾過され、シャワートレイ排水管540及び/又は流し台排水管550から家庭雑排水タンク130へとポンプ輸送されてもよく、家庭雑排水タンク130から例えば家庭雑排水導管560を介して例えば流し台70で、リサイクル水を使用することができる。
【0046】
図46~
図47は、それぞれ、特定の給水システム構成要素800に着目した、背面100bからの拠点装置100の注釈付き上側斜視図、及び背面透視図である。例えば、これらの図は、とりわけ、拠点装置100の下部に格納された大型のウォータータンク340を示している。水は、例えばフィルタ430とポンプ440を使用して、大型タンク340からポンプで汲みだされ、濾過され、その後、貯蔵され、真水タンク400から分配されるときに二次濾過される。濾過された水もシャワーに利用できる。シャワーヘッド270は、シャワーカーテン支持体260に沿って配置された可撓性ホース570によって加圧源に接続されている。WC230は、完全に独立したシステムであり、拠点装置の他の構成要素やシステムとの間の相互汚染を防止するために、給水システム800から分離され、取り外し可能な水洗便所排水の小部屋を備えている。
【0047】
本発明のこの実施形態を完全に説明したところで、本明細書に開示された概念を組み込んだ他の実施形態が、本発明の思想及び範囲から逸脱することなく使用されてもよいことは、当業者には明らかであろう。例えば、約2mx2mx0.5mの全体的収納サイズを有するこの比較的大きな拠点装置100は、多くの野営地での使用に適する可能性があるが、もっと小さく、もっと小型バージョンの拠点装置100‘であって、より小さなテントやシェルターに適し、及び/又はより遠隔地での展開に適していて、それでもなお多くの同じ機能を提供する拠点装置100‘が必要とされている。
【0048】
そのため、本発明の別の実施形態は、約2mx1.3mx0.5mの収納サイズを有する、より適度なサイズの拠点装置100’であってもよい。この縮小サイズの拠点装置、すなわち小型拠点装置100’は、高さ約1.5m以下のアクセス開口部を備えた小さなテント又はシェルターでの使用に特に適している。テントやシェルターが建てられた後、アクセスドアの開口部を通して小型拠点装置100’を所定の位置に車輪で運び込むことにより、小型拠点装置100’の配送及び設置が容易になる。小型拠点装置100’は、例えば、小型拠点装置100’がテントやシェルターで不要になった場合や、小型拠点装置100’が保守や改修等を必要とする場合に、必要に応じて、テント又はシェルターから簡単に車輪で運び出すこともできる。
【0049】
図48は、本発明の一実施形態による、そのような小型拠点装置100’の比較的低い高さの平面断面図である。寸法を示す図は、シャワートレイ240’の背面100b’からの展開によって時折拡大されることがある、小型拠点装置100’の比較的小さい設置面積を示している。小型拠点装置100’のこの一番低い高さには、引き出し式エンドトレイ620上の携帯型リチウム電池パック610;例えば電気毛布及び/又は携帯型セラミックミニヒーターを格納するのに適した保管小部屋若しくはオープンシェルフ630;ウォーターフィルタ640、ウォーターポンプ650、WC660などの配管構成要素;及び、ここに描かれている家庭雑排水タンク670や真水タンク680のような1以上のウォータータンクのような、この高さから適当にサービスを受ける比較的重い構成要素のための小部屋がある。
【0050】
図49は、
図48に示したものよりも高い、小型拠点装置100’の次の高さの平面断面図である。この高さには、食品加工器具690を保管するための小さなカウンタートップ890(
図61)が設けられている。ウォーターフィルタ640、ならびに関連する配管、WC660、及びウォータータンク670、680は、この高さを通って上に延びている。
【0051】
図50は、
図49に示したものよりも高い、小型拠点装置100’の次の高さの平面断面図である。この高さには、加熱及び調理活動を容易にするために、トースターオーブン、対流式オーブン、電子レンジ、ホットプレート及びそれらの組み合わせ等のような食品加工器具690が含まれる場合がある。一般に、この高さで小型拠点装置100’の中央に配置されるのは、小型拠点装置100’の両側100a’、100b’からアクセス可能な温水供給部及び冷水供給部を備えた流し台720と、給湯器730及び小型冷蔵庫740である。
【0052】
図51は、
図50に示したものより高く、小型拠点装置100‘のトップカバーよりも低い、小型拠点装置100’の上から二番目の高さの平面断面図である。この高さには、小型拠点装置100’の付近に空気循環を引き起こすための、電気小部屋750及び冷却ファン760への一端側におけるアクセス(出入口)が含まれる。一部の変形例では、冷却ファン760は、冷却ファン小部屋710に配置される場合がある。中央に配置されたランプ小部屋770は、調理、シャワー、及び一般的使用のための回転式ライト775を提供する。給湯器730及び冷蔵庫740は、この高さまで延在している。
【0053】
最後に、小型拠点装置100’の上部780は、
図52の最も高い位置の図に描かれている。上部780は、冷却ファン小部屋710及びランプ小部屋770へのアクセスを提供する。
【0054】
図53~
図54は、様々なアクセスドア及び小部屋の配置及び連携を示す、小型拠点装置100’の一実施形態の略背面図及び右側面図である。背面図は、個人衛生及び衛生用途に適応するようにサイズ設定され、構成され、配置された種々の小部屋の例示的配置を示している。例えば、背面100b’は底部に、小型拠点装置100’の最下部にヒンジで結合されたシャワートレイ240’を含む。シャワートップパネル790は、上部にヒンジで結合され、垂直に伸ばすことができ、女性を含むシャワーを使用するあらゆる人々のプライバシーを確保する高さに、シャワーカーテン250を支持している。折りたたみ式シャワートレイ240’の後ろには、WC660があり、これについては以下で詳しく説明する。携帯型リチウム電池パックスライディングトレイ620は、小型拠点装置100’の側面から部分的に延びているものとして幻影のように描かれている。
【0055】
図55~
図56は、様々なアクセスドア及び小部屋の配置及び連携を示す、小型拠点装置100’の一実施形態の略正面図及び左側面図である。正面図は、食品加工と快適さに適応するようにサイズ設定され、構成され、配置された種々の小部屋の例示的配置を示している。正面100aには、コンロ若しくはオーブン810、流し台820、食品加工作業台830、及び冷蔵庫840のためのアクセスドア若しくは引き出しトレイ若しくはスライドを備えている。同様に、ヒーター、電気毛布等630、ならびに、小型拠点装置100’の配管システムに関連するウォーターフィルタ及びポンプ850へのアクセスも備えている。端部側からのアクセスが、電気制御パネル750及びリチウム電池パック870に提供されている。
【0056】
図57は、
図48の線1-A104に沿って切断してみたときの正面断面図である。容易に理解できるように、様々な器具、備品、及びMEP構成要素は、緻密な入れ子構造になっており、それによって、使用時や日常の保守作業及び補充作業時の容易なアクセスを可能にしながら、膨大な機能を小さな体積に詰め込んでいる。小型拠点装置100’は、リチウム電池パック610を動力源とする種々の電気部品(例えば、電気制御小部屋750、冷却ファン760、携帯型ヒーター880、電気毛布その他の電気小物等の備蓄630)、ならびに、食品加工装置及び食品貯蔵装置(例えば、カウンタートップ調理/加熱器具690、冷蔵庫740など)、及び配管構成要素(例えば、車輪付き給水貯蔵タンク670、680、流し台720、給湯器730、ウォーターフィルタ640、ウォーターポンプ650(
図59)、及びWC660)を含む。
【0057】
図58は、
図48の線2-A104に沿って切断してみたときの中心から外れた位置における側面断面図であり、約1.44m、すなわち5フィート弱の全高を有する展開されたシャワー構成要素を示している。この構成によれば、女性を含むシャワーを使用するあらゆる人々のプライバシーを確保する高さに、シャワーカーテン250を支持することができる。
【0058】
図59は、
図48の線3-A104に沿って切断してみたときの背面断面図である。
図57の場合と同様に、小型拠点装置100’のこの実施形態の様々な器具、備品、及びMEP構成要素は、緻密な入れ子構造になっており、それによって、使用時や日常の保守作業及び補充作業時の容易なアクセスを可能にしながら、膨大な機能を小さな体積に詰め込んでいる。
【0059】
図60は、
図48の線4-A104に沿って切断してみたときのもう一つの中心から外れた位置における側面断面図であり、展開されたシャワー構成要素の全高を示している。小型拠点装置100‘を支持する車輪10 ’の高さにより、シャワートレイ240’は、地面から約0.16m、すなわち6インチ弱の高さにある。以下でより詳細に説明するように、一体型の調節式支持体をシャワーパン240’に設けることにより、小型拠点装置100’に向かうわずかな勾配を有するようにシャワートレイ240’を維持しながら、シャワーを浴びる人の体重を支えることができる。これによって、シャワーの水の回収と家庭雑排水システム670における再利用(例えば、WC660での使用)が容易になる。
【0060】
図61は、特定の構成要素が展開された状態の小型拠点装置100’の正面100a’の注釈付き上側斜視図である。特に、小型拠点装置100’のこの実施形態は、小型拠点装置100’の上部から延びる汎用照明器具又は回転式ランプ775であって、一般的環境を照明するとともに、この例では食品加工のための、作業照明も提供する汎用照明器具又は回転式ランプ775を含む。図示されているコンロなどの調理器具690は、小型拠点装置100’から摺動支持体又はカウンター890の上に引き出される。コンロ690のすぐ隣りには、流し台720がある。流し台720は、小型拠点装置100’の正面側100a’から便利にスライドして引き出され、また、小型拠点装置100’の後ろ側100b’からも便利にスライドして引き出され、シャワーエリアにサービスを提供する。
図63を参照されたい。
【0061】
より具体的には、
図62~
図63は、特定の構成要素が代わりに展開された状態の小型拠点装置100’の注釈付き上側背面斜視図である。
図62では、シャワーの境界(区域)は、折り畳み式のシャワートレイ240’、及び上部から延びるシャワーカーテンレール260’によって示されている。この図には、シャワーカーテンが含まれていない。これは、小型拠点装置100’の他の構成要素を分かり易く図示するためである。例えば、WC660は、フリップダウンドア920によってアクセスされる給湯器小部屋よりも下にある収納位置に図示されている。
図63は、給湯器のドア920が閉じられ、WC660が使用に備えてスライドして引き出された状態を示している。小型拠点装置100’の背面100b’へのアクセス及び使用の際に、小型拠点装置100’によって提供される(設備面の)衛生機能や(身体面の)衛生機能の一部として、流し台720も同様にスライドして引き出される。流し台720のすぐ上には、石鹸、シャンプー、及び他のトイレタリー、ならびに流し台720、シャワー、及びWC660と共に使用するためのパーソナルケア製品を保持するための窪みを備えた棚930がある。磨かれた金属ミラーがさらに設けられていてもよい。
【0062】
有利なことに、流し台の蛇口725は、
図70~
図71に示されるように引き出し式注ぎ口728を含む。これはシャワーに使用され、任意選択で、シャワーカーテンレール260’に一時的に取り付けられてもよい。収納位置及び展開位置にある引き出し式注ぎ口725を備えた流し台720のこれらの注釈付き拡大斜視図はそれぞれ、食品加工、手や皿の洗浄、調理、ポットやティーポットの充填、ならびにシャワー及びその他の個人衛生活動のための望ましい柔軟性を与える。展開可能な注ぎ口726を加圧された真水供給源680に接続する可撓性パイプ727は、所望の調理作業体積及びシャワー作業体積内に注ぎ口728を延ばすのに適した任意の長さであってよい。
【0063】
図64~
図66は、それぞれ、シャワートレイ240’が展開された状態の小型拠点装置100’の上平面図、
図64の線2-A106に沿って切断してみたときの中心から外れた位置における側面断面図、及び、
図65の細部3-A106にあるシャワー排水管940を示す拡大図である。トレイ240’が小型拠点装置100’に取り付けられる場所であるシャワートレイ240’の後部は、シャワーの水を収集するための窪んだトラフ、すなわち排水溝950を含む。
図66の拡大詳細図から最もよく分かるように、シャワートレイ240’は、トラフ950に向かってわずかな勾配(例えば、2%の傾斜)を有するようにその支持体上で調節される。収集されたシャワーの水は、シャワートレイ240’が展開されると自動的に延びる可撓性パイプ接続960を介して、小型拠点装置ポンプ890によって吸引される。水は、トラフ950から可撓性パイプ960及び関連コネクタ970を通って家庭雑排水貯蔵タンク670にポンプで送られ、WC660の洗浄に使用される。
【0064】
シャワートレイ240’の所望のわずかな傾斜を達成し、家庭雑排水を使用するためのシャワー水の確実な収集を確保するために、シャワートレイ240’は、一体型の支持体又は脚980を有している。
図67は、シャワートレイの脚980の位置を示す、小型拠点装置100’の背面図である。
図68~
図69は、それぞれ、収納位置980a及び展開位置980bにある調節可能なシャワー脚の注釈付き拡大側面断面図である。図示の実施形態では、各脚980は、伸縮式である。入れ子になっているねじ山を有する円筒形部材910a、910b、910cにより、収納された長手方向の脚位置980aと完全に展開された長手方向の脚位置990bとの間の範囲内で、無限に可変の高さ調整が可能となる。この構成の脚980によれば、コンパクトで構造的に非常に安定した設計で、所望の正確な調節機能が得られる。
【0065】
小型拠点装置100’に全体的安定性を付与し、転倒を防ぐために、小型拠点装置100’を支持する2つ、3つ、4つ、又はそれ以上の車輪は、伸縮式の車輪車軸990を有する場合がある。例えば、
図72~
図73は、それぞれ、車輪10‘が収納位置すなわち閉位置990aにある状態、及び車輪10‘が伸長位置すなわち開位置990bにある状態の、伸長可能な車輪車軸990を有する小型拠点装置100’の注釈付き端面図である。
図74~
図75は、それぞれ、車輪10‘が収納位置すなわち閉位置990aにある状態、及び車輪10’が伸長位置すなわち開位置990bにある状態の、伸長可能な車輪車軸990を有する小型拠点装置100’の注釈付き背面斜視図である。小型拠点装置100’の保管中及び輸送中の不注意な展開を防ぐために、スプリングワイヤーに締結されたコッターピン又は他の手動で把持又は解放可能な構成要素を各車軸に設けてもよい。それらは、車輪の展開前に取り外され、伸長位置で車輪を保持するように再取り付けされる。あるいは、小型拠点装置100’と普通サイズの拠点装置100の両方において、拠点装置は、隠し車輪(例えば、拠点装置のフレームのフットプリントの周囲の内部)を有することができる。隠し車輪は、地面と係合するように垂直に伸ばすことができ、それによって拠点装置の車輪による移動/位置決めが可能になる。拠点装置が所望の場所に配置され又は位置決めされた後、隠し車輪を引っ込めることで、拠点装置を直接、又は高さ調節パッドを介して地面に置くことができる。任意の適当な機構(例えば、機械式カム、油圧ポンプラムなど)を使用して、車輪を個別に、二つ一組、又はまとめて、展開及び収納することができる。一実施形態では、車輪の展開収納機構は、拠点装置の移動が必要な場合にのみ作動される場合がある。
【0066】
さらに、展開を容易にするために、車輪への垂直荷重は、機械的リフト1000によって一時的に軽減される場合がある。
図76は、小型拠点装置100’を持ち上げるためのリフティングジャッキ1000を有する小型拠点装置100’の略正面図である。シャワー脚990と同様に、これらのリフト1000は、ねじ山を有するインサートであってもよく、これは、車輪10’を展開するときにねじを緩めることで、地面と接触し、小型拠点装置100’の角又は端部をジャッキアップする、すなわち持ち上げることができる。スパナやレンチをホルダーに入れ、あるいはそれらを小型拠点装置100’につなぎ留めることで、ジャッキを回すためのツールを確実に使用できるようにすることができる。あるいは、各ジャッキのねじ山を有するシャフトは、ベンチバイスで使用されるハンドル構成と同様に、ジャッキのねじを容易に回転させるための所望の機械的梃子作用を得るために、穴を有する場合があり、その中を、捕捉された摺動ロッドが通過することができる。
【0067】
図77~
図79は、小型拠点装置100’の特定の電気システム構成要素に着目した、小型拠点装置100’の正面からの注釈付き上側斜視図、拡大上面図、及び正面透視図である。特に、この実施形態では、重い携帯型リチウム電池パック610が小型拠点装置100’の下部に設けられ、携帯型加熱装置880とともに取り外し、再充電し、交換などすることが容易になっている。電気制御パネル750と、伸長可能な冷却ファン710、及び360度回転式ランプ770のための小部屋は、給湯器880の場合と同様に、小型拠点装置100’の上部に配置されている。
【0068】
図80~
図81は、小型拠点装置100’の特定のHVAC構成要素、すなわち、小型拠点装置100’の上部にある冷却ファン小部屋710内に配置可能な冷却ファン760、及び、下部小部屋630に収納された携帯型ミニヒーター880に着目した、小型拠点装置100’の正面からの注釈付き上側斜視図、及び正面透視図である。
【0069】
小型拠点装置100’の特定の配管システム構成要素は、
図82~
図83に示される小型拠点装置100’の正面100a’からの注釈付き上側斜視図、及び正面透視図から最もよく分かる。小型拠点装置100’の下部の中央に位置するWC660の両側には、片側にウォーターフィルタシステム640と流し台720があり、反対側に真水タンク680と家庭雑排水タンク670がある。すべての水回りの器具及び備品を相互接続する関連する供排水配管1020は、横向きに延びる概ね逆さU字形の経路で配管される。真水タンク680及び家庭雑排水タンク670は、小型拠点装置100’の側面からアクセス可能な小部屋に配置され、タンクの取り外し、清掃、補充などを容易にするために、一体成形されたハンドルと車輪を有する場合がある。
【0070】
様々な実施形態において、拠点装置100、100’の向きが縦向きである必要はなく、比較的横向きであってもよく、構成要素、備品、及び器具は、横向き及び/又は縦向きにアクセス可能であり又は延びていてもよい。図示説明した種々の実施形態は、概して直線状の外形を有しているが、拠点装置100、100’は、仮設住宅への応用及び所望の機能に適した任意のサイズ又は向きであってよい。また、拠点装置100、100’が、箱型若しくは角柱形の構造を形成する直線状の縁や平坦な外面を有する必要もない。むしろ、代替的又は追加的に輪郭のある外面又はその一部(例えば、凸面、凹面、起伏のある輪郭など)を有することで、所望の美的外観を達成することができ、及び/又は、シャワーのための準アーチ形の囲いを形成するといった有用な機能を提供することができる。
【0071】
拠点装置100、100’の露出した上部及び他の外側部分は、任意の適当な耐候性屋根材又は他の材料で覆われ、又は囲まれる場合がある。同様に、拠点装置100、100’の正面、背面、及び側面の露出した垂直面は、任意の適当な材料(例えば、木材、金属、セラミック、ポリマー、複合材など)のハウジング表面又は外装材料を含む場合がある。両方とも、環境保護と望ましい美的外観のためである。
【0072】
拠点装置100、100’は、ハウジング(例えば、ガラス繊維などの成形繊維強化樹脂)を用いて形成されてもよいし、あるいは、その中に形成された複数の内部小部屋に配置されるMEPシステム、器具、及び固定具の種々の部分を支持するための被覆された構造フレームから形成されてもよい。拠点装置100、100’は、フレームと構造的に一体であるか又はフレームに接続された吊り上げ点を含んでいてもよく、それによってクレーン及び/又はフォークリフトキャビティを用いた拠点装置100、100’の輸送、設置、及び/又は取り外しが容易になる場合がある。代替的又は追加的に、拠点装置100、100’は、所定の位置に車輪で移動されてもよい。あるいは、接続点(例えば、拠点装置を別の拠点装置、グリッド、供給排出システム/ネットワークなどに接続するためのもの)を含む場合がある。
【0073】
所定の位置に配置された後、フレームは、自立したままであってもよいし、動きや転倒を防ぐために、地面に固定されてもよい。ハウジングやフレームは、例えば構造的スチール部材若しくは構造的アルミニウム部材、又はガラス繊維強化ポリマー等のような任意の適当な構造物から構成されていてよい。構築技術によっては、拠点装置100、100’は、モジュール式構造物構成要素を利用してもよく、それによって、拠点装置100、100’への変更や修正が容易になる。例えば、拠点装置100、100’は、製造後及び展開前に、避難した人々のニーズや地域の環境状況に応じて、そのサイズを拡大、変更、又は縮小することができる。状況によっては、拠点装置100、100’に、その場で変更を加えてもよい。代替的又は追加的に、拠点装置100、100’の内部レイアウトを事前に又はその場で変更して、1つ以上の小部屋を追加し、削除し、サイズ変更し、及び/又は再構成することで、一時的な囲いやその居住者に必要なMEPシステム、器具、又は器具の変化に適応させることができる。こうした変更は、野営地への追加や変更、野営地にサービスを提供する集中型MEPシステムとの連結の可能性、及び/又は、器具や備品の技術の進歩から生じる可能性がある。そのため、拠点装置100、100’とそれに関連する機能は、住民のニーズの増大や技術の進歩にしたがって変形され、進歩する可能性がある。
【0074】
一般に、拠点装置100、100’は、自立型の構造的に独立した要素であり、他のユーティリティ提供源、電源、又は排水設備との一時的接続や永久的接続を必要としない。そのようなユーティリティ提供源が存在し、テントやシェルターからそれらを利用できる限り、テント又はシェルターの近くにある配電システムと収集システムの間に接続することも許容されるが、必須ではない。フレームは、輸送中ならびに日常的な使用中及びピーク時の使用中に発生が予想される静的及び動的な負荷に対応できるように構成され、及び補強され、安全な動作と信頼性の高い性能を確保するのに十分なマージンを有している。
【0075】
拠点装置100、100’のハウジングの外側及び/又は外装材料は、開閉式パネルとして構成されてもよく、例えば、内部小部屋にアクセスするためのヒンジ付きパネル若しくはドアとして、あるいは、作り付けの元からある備品又は器具を収容するプラグイン小部屋として構成されてもよい。他の実施形態において、ハウジング又は外装材料の種々の部分は、取り外し可能であってもよく、例えば小ネジ、クリップなどで取り付けられてもよく、及び/又は、それらの部分は、アクセスを必要としない領域に、リベット、接着剤などで恒久的に取り付けられてもよい。一般に、種々の小部屋に配置されるMEPシステム構成要素の設置、保守、及び交換のために、ならびに、拠点装置100、100’の一般的サービス提供のために、アクセス(出入口)が設けられる。ハウジング及び/又は外装材料は、ある材料から作られ、テントやシェルターの内部居住空間への露出に適した仕上げ面、並びに、テントやシェルターの外部の周囲環境への露出に適した耐候性表面を有する場合がある。
【0076】
拠点装置100、100’は、任意選択で、診断用のタッチスクリーンディスプレイのようなユーザーインターフェースを有するコントローラ又は制御パネルをさらに備えてもよい。ユーザーインターフェースは、拠点装置100、100’に関するステータス情報、ならびにそこの中に取り囲まれた種々のMEPシステム構成要素、備品、及び器具に関するステータス情報を提供することができる。ユーザーインターフェースは、物理的キーボード、タッチスクリーンディスプレイ、ローカルソフトウェアアプリケーション、あるいは、スマートフォン又は他のスマートデバイスを介して取得できるダウンロード可能なソフトウェアアプリケーション等であってもよい。
【0077】
拠点装置100、100’の各小部屋は、統合ネットワークの種々の構成要素をサポートするために必要なサービスポートを含む場合があり、統合ネットワークは、小部屋に配置された備品や器具にサービスを提供するための、例えば、電力ケーブル、データ/通信ケーブル、温度制御ダクト、流体供給配管、流体戻り配管などを含む。
【0078】
上記のように、本明細書に記載された拠点装置は、一時的に居住可能な囲いの中で使用され、その居住者にユーティリティを提供するものであり、この拠点装置は、複数の小部屋を形成するハウジングであって、各小部屋が、MEPシステム、器具、又は備品の少なくとも一部を収容する、ハウジングを含む。ハウジングは、小部屋を取り囲み、小部屋へのアクセスを提供することができる。統合ネットワークは、MEPシステムを備品及び器具と相互接続することができる。器具や備品は、ポイントオブユースの器具及び備品であってもよいし、元からある特注の器具及び器具であってもよい。拠点装置は、一時的に居住可能な囲いの内部に配置することができ、拠点装置の少なくとも1つのMEPシステム、備品、又は器具を配備して使用することができる。そのような使用には、備品又は器具の有無にかかわらず使用可能な拠点装置が含まれる場合がある。例えば、MEPシステムは、ソーラーパネルシステム(例えば、バッテリーを充電するためのもの)、バッテリー充電器、発電機、及び/又は電源グリッドなどのうちの1つ以上に接続されてもよい。ウォータータンクは、手動で充填されてもよいし、給水タンクや給水グリッドに接続されてもよい。使用済みの水は、手動で排出されてもよいし、排水タンクや排水グリッドに接続されてもよい。家庭雑排水は、拠点装置内で一回だけ(つまり、WCの洗浄)に再利用されてもよいし、拠点装置内の水収集タンクに収集され、手動で排出されてもよい。あるいは、家庭雑排水は、家庭雑排水排出外部タンク又はグリッドシステムに接続されてもよい。水洗便所排水は、拠点装置内で一回だけ(例えば、バイオガス発電など)に再利用されてもよい。あるいは、水洗便所排水は、バイオエレメントとして(例えば、農業用に)手動で排出されてもよいし、及び/又は拠点装置の水洗便所排水収集タンクに収集され、手動で排出されてもよい。あるいは、拠点装置は、水洗便所排水排出外部タンク及び/又はグリッドシステムに接されてもよい。
【0079】
本明細書に記載されているパラメータ、材料、寸法、値などは、単なる例であり、いかなる点においても限定的であるとは見なされないものとする。これらのパラメータ及び値は、様々な応用形態で人々のニーズを満たすために、様々な拠点装置によって達成可能な幅広い仕様を伝えることを目的としている。なお、本明細書に詳細に記載された様々な実施形態の焦点は、主に仮設住宅の野営地に関連しているが、本発明の他の実施形態は、半永久的な囲いやより永久的な囲いの中での使用を含む、より広い適用可能性を有する。
【0080】
本発明の特定の実施形態を説明したが、本明細書に開示された概念を組み込んだ他の実施形態が、本発明の思想及び範囲から逸脱することなく使用されてもよいことは、当業者には明らかであろう。したがって、記載された実施形態は、すべての点において、単なる例示であり、限定的ではないと見なされるべきである。
【国際調査報告】