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特表2022-511746高リスクの、および非常に高リスクのMDSのための併用療法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-01
(54)【発明の名称】高リスクの、および非常に高リスクのMDSのための併用療法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/706 20060101AFI20220125BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20220125BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220125BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20220125BHJP
   A61K 31/4184 20060101ALI20220125BHJP
   A61K 31/7084 20060101ALI20220125BHJP
   A61K 31/7064 20060101ALI20220125BHJP
   A61K 31/245 20060101ALI20220125BHJP
【FI】
A61K31/706
A61P7/00
A61P43/00 105
A61K45/00
A61P43/00 121
A61K31/4184
A61K31/7084
A61K31/7064
A61K31/245
A61P43/00 111
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021528453
(86)(22)【出願日】2019-11-26
(85)【翻訳文提出日】2021-07-20
(86)【国際出願番号】 US2019063360
(87)【国際公開番号】W WO2020112848
(87)【国際公開日】2020-06-04
(31)【優先権主張番号】62/773,490
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518374697
【氏名又は名称】エムイーアイ ファーマ,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】ガーリー,リチャード
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084MA02
4C084MA52
4C084MA66
4C084NA05
4C084ZA51
4C084ZB21
4C084ZC01
4C084ZC41
4C084ZC75
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC39
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086MA66
4C086NA05
4C086ZA51
4C086ZB21
4C086ZC01
4C086ZC41
4C086ZC75
4C206FA38
(57)【要約】
プラシノスタットとDNAメチル化抑制剤を投与することを含む、高リスクの、および非常に高リスクのMDSを処置する方法が本明細書において提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者における、高リスクの、または非常に高リスクの骨髄異形成症候群(MDS)を処置する方法であって;該方法は、
(i)DNAメチル化抑制剤と、
(ii)約45mgの式(I)の化合物、または薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、またはプロドラッグであって、
【化1】
式中、Rは、-(CR2021)m―(CR2223)n)―(CR2425)o―NR2627であり;
は、アルキル、フルオロアルキル、シアノ、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、または随意に=Oで置換されたヘテロアルキルであり;
20、R21、R22、R23、R24、およびR25は各々、独立してHまたはメチルであり;
26およびR27は各々、独立してH、ヒドロキシアルキル、またはアルキルであり;および、
m、n、およびoは、独立して0、1、2、3、または4の整数である、化合物、
または、その薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグとを患者に投与する工程を含む、方法。
【請求項2】
式(I)の化合物は、以下の構造を有することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【化2】
【請求項3】
26およびR27が独立してHまたはアルキルであることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
26およびR27が独立してH、メチル、エチル、イソプロピル、プロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、またはヘプチルであることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
が以下の構造を有することを特徴とする、請求項1から4のいずれか1つに記載の方法。
【化3】
【請求項6】
が、エチル、1-メチル-エチル、2,2,2-トリフルオロエチル、プロピル、2-メチル-プロピル、2,2-ジメチル-プロピル、3,3,3-トリフルオロ-プロピル、ブチル、3,3-ジメチル-ブチル、ペンチル、2,4,4-トリメチル-ペンチル、ヘキシル、またはオクチルであることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
がブチルである、請求項1から6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
式(I)の化合物は、プラシノスタット:

【化4】
あるいは、その薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグであることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
DNAメチル化抑制剤は、5-アザシチジン(アザシチジン)、5-アザデオキシシチジン(デシタビン)、SGI-110、ゼブラリン、またはプロカインであることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
DNAメチル化抑制剤は、5-アザシチジン(アザシチジン)であることを特徴とする、請求項1から9のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
DNAメチル化抑制剤は、5-アザデオキシシチジン(デシタビン)であることを特徴とする、請求項1から9のいずれか1つに記載の方法。
【請求項12】
方法は、高リスクの骨髄異形成症候群(MDS)を処置するための方法であることを特徴とする、請求項1から11のいずれか1つに記載の方法。
【請求項13】
方法は、非常に高リスクの骨髄異形成症候群(MDS)を処置するための方法であることを特徴とする、請求項1から11のいずれか1つに記載の方法。
【請求項14】
患者は、以前にDNAメチル化抑制剤で処置されたことがないことを特徴とする、請求項1から13のいずれか1つに記載の方法。
【請求項15】
患者は、以前に、輸液剤、造血成長因子、または免疫抑制療法で処置されたことがあることを特徴とする、請求項1から14のいずれか1つに記載の方法。
【請求項16】
MDSは、化学療法および/またはハプロタイプ一致の幹細胞移植に、抵抗性がある、無反応性である、または耐性があることを特徴とする、請求項1から13のいずれか1つに記載の方法。
【請求項17】
DNAメチル化抑制剤は、約5mg/mから約125mg/mまでの量で投与されることを特徴とする、請求項1から16のいずれか1つに記載の方法。
【請求項18】
DNAメチル化抑制剤は、約75mg/mの量で投与されることを特徴とする、請求項1から17のいずれか1つに記載の方法。
【請求項19】
式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグは、経口投与され、および、メチル化抑制剤は静脈内または皮下投与されることを特徴とする、請求項1から18のいずれか1つに記載の方法。
【請求項20】
式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、またはプロドラッグ、および、DNAメチル化抑制剤は、28日のサイクルにおいて投与されることを特徴とする、請求項1から19のいずれか1つに記載の方法。
【請求項21】
式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグ、および、DNAメチル化抑制剤は、少なくとも3サイクルの間投与されることを特徴とする、請求項1から20のいずれか1つに記載の方法。
【請求項22】
式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、またはそのプロドラッグ、および、DNAメチル化抑制剤は、少なくとも4サイクルの間投与されることを特徴とする、請求項1から20のいずれか1つに記載の方法。
【請求項23】
式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグ、および、DNAメチル化抑制剤は、少なくとも5サイクルの間投与されることを特徴とする、請求項1から20のいずれか1つに記載の方法。
【請求項24】
式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグ、および、DNAメチル化抑制剤は、少なくとも6サイクルの間投与されることを特徴とする、請求項1から20のいずれか1つに記載の方法。
【請求項25】
式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグ、および、DNAメチル化抑制剤は、少なくとも7サイクルの間投与されることを特徴とする、請求項1から20のいずれか1つに記載の方法。
【請求項26】
式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグ、および、DNAメチル化抑制剤は、少なくとも8サイクルの間投与されることを特徴とする、請求項1から20のいずれか1つに記載の方法。
【請求項27】
式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグ、および、DNAメチル化抑制剤は、少なくとも9サイクルの間投与されることを特徴とする、請求項1から20のいずれか1つに記載の方法。
【請求項28】
式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグ、および、DNAメチル化抑制剤は、少なくとも10サイクルの間投与されることを特徴とする、請求項1から20のいずれか1つに記載の方法。
【請求項29】
式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグ、および、DNAメチル化抑制剤は、完全寛解が観察されるまで投与されることを特徴とする、請求項1から20のいずれか1つに記載の方法。
【請求項30】
式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグは、各28日サイクルの中で3週間連続して毎週3日間投与され、その後1週間の休止されることを特徴とする、請求項1から29のいずれか1つに記載の方法。
【請求項31】
式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグを、各28日サイクルの中で2週間連続して毎週3日間投与し、その後、2週間休止する、工程をさらに含む、請求項1から30のいずれか1つに記載の方法。
【請求項32】
DNAメチル化抑制剤は、各28日サイクルのうち7日間投与されることを特徴とする、請求項1から31のいずれか1つに記載の方法。
【請求項33】
DNAメチル化抑制剤は、5-2-2スケジュールで投与され、各28日サイクルの間、のDNAメチル化抑制剤が連続5日間投与され、2日間休止され、その後、連続2日間、DNAメチル化抑制剤が投与されることを特徴とする、請求項1から31のいずれか1つに記載の方法。
【請求項34】
有害事象による中断率は25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、8%未満、5%未満であることを特徴とする、請求項1から33のいずれか1つに記載の方法。
【請求項35】
有害事象による中断率は約4%であることを特徴とする、請求項1から33のいずれか1つに記載の方法。
【請求項36】
有害事象は、便秘、吐き気、疲労、食欲減少、下痢、末梢性浮腫、低アルブミン血症、呼吸困難、低カリウム血症、嘔吐、めまい、発熱性好中球減少症、貧血症、好中球減少症、および血小板減少症から選択されることを特徴とする、請求項34または35のいずれか1つに記載の方法。
【請求項37】
患者における、高リスクの、または非常に高リスクの骨髄異形成症候群(MDS)の処置の方法であって、該方法は、患者に:
(i)DNAメチル化抑制剤と、
(ii)約45mgのプラシノスタット、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグとを投与する工程を含み、ここで、プラシノスタットは、28日の中で3週間連続しての各週につき3日間、患者に経口投与され、その後、1週間休止される、方法。
【請求項38】
DNAメチル化抑制剤とプラシノスタット、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグは、少なくとも3サイクルの間投与されることを特徴とする、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
DNAメチル化抑制剤とプラシノスタット、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグは、少なくとも4サイクルの間投与されることを特徴とする、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
DNAメチル化抑制剤とプラシノスタット、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグは、少なくとも5サイクルの間投与されることを特徴とする、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
DNAメチル化抑制剤とプラシノスタット、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグは、少なくとも6サイクルの間投与されることを特徴とする、請求項37に記載の方法。
【請求項42】
DNAメチル化抑制剤とプラシノスタット、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグは、少なくとも3サイクルの間投与され、その後、少なくとも1サイクルにわたり、各28日サイクルの中で2週間連続して毎週3日間、プラシノスタット、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグをさらに投与し、その後、2週間の休止を設けることを特徴とする、請求項38に記載の方法。
【請求項43】
患者における、高リスクの、または非常に高リスクの骨髄異形成症候群(MDS)を処置する方法であって、該方法は、患者に:
(i)各28日サイクルにつき7日間、静脈内または皮下投与される、約75mg/mの5-アザシチジン(アザシチジン)と;
(ii)約45mgのプラシノスタット、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグとを投与する工程を含み、ここで、プラシノスタットは、28日サイクルの中で3週間連続して毎週3日間、経口投与され、その後1週間休止が設けられる、方法。
【請求項44】
5-アザシチジン(アザシチジン)とプラシノスタット、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグは、少なくとも3サイクルの間投与されることを特徴とする、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
5-アザシチジン(アザシチジン)とプラシノスタット、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグは、少なくとも4サイクルの間投与されることを特徴とする、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
5-アザシチジン(アザシチジン)とプラシノスタット、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグは、少なくとも5サイクルの間投与されることを特徴とする、請求項43に記載の方法。
【請求項47】
5-アザシチジン(アザシチジン)とプラシノスタット、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグは、少なくとも6サイクルの間投与されることを特徴とする、請求項43に記載の方法。
【請求項48】
5-アザシチジン(アザシチジン)とプラシノスタット、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグは、少なくとも3サイクルの間投与され、その後、少なくとも1サイクルにわり、各28日サイクルの中で2週間連続して毎週3日間、プラシノスタット、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグをさらに投与し、その後、2週間の休止を設けることを特徴とする、請求項44に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
特許出願は、2018年11月30日に出願の、米国仮特許出願第62/773,490号の利益を主張し、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
局所クロマチン構造は、遺伝子発現の調節における重要な因子として一般的に認められる。タンパク質DNA複合体であるクロマチンの構造は、タンパク成分であるヒストンの翻訳後修飾により強く影響を受ける。ヒストンの可逆的なアセチル化は、DNAの転写因子のアクセシビリティを変えることによる遺伝子発現の調節における重要な構成要素である。一般的に、ヒストンアセチル化レベルの増加は、増加した転写活性に関連付けられるが、アセチル化レベルの減少は、遺伝子発現の抑制に関連付けられる。正常細胞において、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)とヒストンアセチルトランスフェラーゼは、一緒にヒストンのアセチル化のレベルを制御し、バランスを維持させる。HDACの阻害は、結果として、アセチル化されたヒストンの蓄積をもたらし、このことは、アポトーシス、壊死、分化、細胞生存、増殖の阻害、および細胞分裂停止などの様々な細胞型依存性細胞応答に帰着する。
【0003】
HDACの阻害剤は、癌細胞に対するそれらの治療効果について研究されてきた。例えば、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)は、マウスエリスロレクレミア(murine erythroleukemia)、膀胱、および骨髄細胞株における分化および/またはアポトーシスの有力な誘導物質である。SAHAは、インビトロおよびインビボで前立腺癌細胞の増殖を抑制することが示されてきた。抗癌の活性について広く研究された、他のHDAC阻害剤は、トリコスタチンA(TSA)と、トラポキシンBである。トリコスタチンAは、哺乳類のHDACの可逆的阻害剤である。トラポキシンBは、環状テトラペプチドであり、それは哺乳類のHDACの不可逆阻害剤である。しかしながら、これらの化合物は、インビボの不安定性のために、抗癌剤としてそれほど望ましくない。最近開示された阻害剤のインビボ活性は、生体サンプルにおいてアセチル化ヒストンの量を増加させるそれらの能力により直接モニタリングすることができる。HDAC阻害剤は、神経変性過程を妨げることが報告されており、例えば、HDAC阻害剤は、ポリグルタミン依存性神経変性を停止させる。加えて、HDAC阻害剤は、炎症性疾患および/または免疫系障害に関係していることが知られているTNF、IFN、ILー1などのサイトカインの産生を阻害することも知られている。
【0004】
それにもかかわらず、癌、神経変性疾患などの疾患、血管新生に関与する障害、および炎症性のおよび/または免疫系障害の処置における有用で改善された薬学的特性を持つと期待されるさらなるHDAC阻害剤の併用剤を提供する必要性が依然としてある。
【発明の概要】
【0005】
本明細書に開示されるのは、患者における高リスクまたは非常に高リスクの骨髄異形成症候群(MDS)の処置の方法であり;該方法は、患者に:
(i)DNAメチル化抑制剤と、
(ii)式(I):の約45mgの化合物であって:
【0006】
【化1】
式中、Rは、-(CR2021)m-(CR2223)n)-(CR24R25)o-NR2627であり;
は、アルキル、フルオロアルキル、シアノ、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、または随意に=Oで置換されたヘテロアルキルであり;
20、R21、R22、R23、R24、およびR25は各々、独立してHまたはメチルであり;
26およびR27は各々、独立してH、ヒドロキシアルキル、またはアルキルであり;および、
m、n、およびoは、独立して0、1、2、3、または4の整数である、化合物、
または、その薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグとを患者に投与する工程を含む。
【0007】
高リスクの、または非常に高リスクの骨髄異形成症候群(MDS)を処置する方法のいくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、以下の構造を有する:
【0008】
【化2】
【0009】
高リスクの、または非常に高リスクの骨髄異形成症候群(MDS)を処置する方法のいくつかの実施形態では、R26およびR27は独立してHまたはアルキルである。
【0010】
高リスクの、または非常に高リスクの骨髄異形成症候群(MDS)を処置する方法のいくつかの実施形態では、R26およびR27は、独立してH、メチル、エチル、イソプロピル、プロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、またはヘプチルである。
【0011】
高リスクの、または非常に高リスクの骨髄異形成症候群(MDS)を処置する方法のいくつかの実施形態では、Rは、以下の構造を有する。
【0012】
【化3】
【0013】
高リスクの、または非常に高リスクの骨髄異形成症候群(MDS)を処置する方法のいくつかの実施形態では、Rは、エチル、1-メチル-エチル、2,2,2-トリフルオロエチル、プロピル、2-メチル-プロピル、2,2-ジメチル-プロピル、3,3,3-トリフルオロ-プロピル、ブチル、3,3-ジメチル-ブチル、ペンチル、2,4,4-トリメチル-ペンチル、ヘキシル、またはオクチルである。
【0014】
高リスクの、または非常に高リスクの骨髄異形成症候群(MDS)を処置する方法のいくつかの実施形態では、Rはブチルである。
【0015】
高リスクの、または非常に高リスクの骨髄異形成症候群(MDS)を処置する方法のいくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、プラシノスタット:
【0016】
【化4】
または、その薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグである。
【0017】
高リスクの、または非常に高リスクの骨髄異形成症候群(MDS)を処置する方法のいくつかの実施形態では、DNAメチル化抑制剤は、5-アザシチジン(アザシチジン)、5-アザデオキシシチジン(デシタビン)、SGI-110、ゼブラリン、またはプロカインである。
【0018】
高リスクの、または非常に高リスクの骨髄異形成症候群(MDS)を処置する方法のいくつかの実施形態では、DNA低メチル化剤は、5-アザシチジン(アザシチジン)である。
【0019】
高リスクの、または非常に高リスクの骨髄異形成症候群(MDS)を処置する方法のいくつかの実施形態では、DNAメチル化抑制剤は、5-アザデオキシシチジン(デシタビン)である。
【0020】
高リスクの、または非常に高リスクの骨髄異形成症候群(MDS)を処置する方法のいくつかの実施形態では、方法は、高リスクの骨髄異形成症候群(MDS)を処置するための方法である。
【0021】
高リスクの、または非常に高リスクの骨髄異形成症候群(MDS)を処置する方法のいくつかの実施形態では、方法は、非常に高リスクの骨髄異形成症候群(MDS)を処置するための方法である。
【0022】
高リスクの、または非常に高リスクの骨髄異形成症候群(MDS)を処置する方法のいくつかの実施形態では、患者は、以前にDNAメチル化抑制剤で処置されたことがない。
【0023】
高リスクの、または非常に高リスクの骨髄異形成症候群(MDS)を処置する方法のいくつかの実施形態では、患者は、以前に、輸液剤、造血成長因子、または免疫抑制療法で処置されたことがある。
【0024】
高リスクの、または非常に高リスクの骨髄異形成症候群(MDS)を処置する方法のいくつかの実施形態では、MDSは、化学療法および/またはハプロタイプ一致の幹細胞移植に、抵抗性がある、無反応性である、または耐性がある。
【0025】
高リスクの、または非常に高リスクの骨髄異形成症候群(MDS)を処置する方法のいくつかの実施形態では、DNAメチル化抑制剤は、約5mg/mから約125mg/mまでの量で投与されることを特徴とする。
【0026】
高リスクの、または非常に高リスクの骨髄異形成症候群(MDS)を処置する方法のいくつかの実施形態では、DNAメチル化抑制剤は、約75mg/mの量で投与される。
【0027】
高リスクの、または非常に高リスクの骨髄異形成症候群(MDS)を処置する方法のいくつかの実施形態では、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグは、経口投与され、および、メチル化抑制剤は静脈内または皮下投与される。
【0028】
高リスクの、または非常に高リスクの骨髄異形成症候群(MDS)を処置する方法のいくつかの実施形態では、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、またはプロドラッグ、および、DNAメチル化抑制剤は、28日のサイクルにおいて投与される。
【0029】
高リスクの、または非常に高リスクの骨髄異形成症候群(MDS)を処置する方法のいくつかの実施形態では、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグ、および、DNAメチル化抑制剤は、少なくとも3サイクルの間投与される。
【0030】
高リスクの、または非常に高リスクの骨髄異形成症候群(MDS)を処置する方法のいくつかの実施形態では、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、またはそのプロドラッグ、および、DNAメチル化抑制剤は、少なくとも4サイクルの間投与される。
【0031】
高リスクの、または非常に高リスクの骨髄異形成症候群(MDS)を処置する方法のいくつかの実施形態では、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグ、および、DNAメチル化抑制剤は、少なくとも5サイクルの間投与される。
【0032】
高リスクの、または非常に高リスクの骨髄異形成症候群(MDS)を処置する方法のいくつかの実施形態では、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグ、および、DNAメチル化抑制剤は、少なくとも6サイクルの間投与される。
【0033】
高リスクの、または非常に高リスクの骨髄異形成症候群(MDS)を処置する方法のいくつかの実施形態では、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグ、および、DNAメチル化抑制剤は、少なくとも7サイクルの間投与される。
【0034】
高リスクの、または非常に高リスクの骨髄異形成症候群(MDS)を処置する方法のいくつかの実施形態では、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグ、および、DNAメチル化抑制剤は、少なくとも8サイクルの間投与される。
【0035】
高リスクの、または非常に高リスクの骨髄異形成症候群(MDS)を処置する方法のいくつかの実施形態では、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグ、および、DNAメチル化抑制剤は、少なくとも9サイクルの間投与される。
【0036】
高リスクの、または非常に高リスクの骨髄異形成症候群(MDS)を処置する方法のいくつかの実施形態では、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグ、および、DNAメチル化抑制剤は、少なくとも10サイクルの間投与される。
【0037】
高リスクの、または非常に高リスクの骨髄異形成症候群(MDS)を処置する方法のいくつかの実施形態では、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグ、および、DNAメチル化抑制剤は、完全寛解が観察されるまで投与される。
【0038】
高リスクの、または非常に高リスクの骨髄異形成症候群(MDS)を処置する方法のいくつかの実施形態では、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグは、各28日サイクルの中で3週間連続して毎週3日間投与され、その後1週間の休止が設けられる。
【0039】
高リスクの、または非常に高リスクの骨髄異形成症候群(MDS)を処置する方法のいくつかの実施形態では、方法は、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグを、各28日サイクルの中で2週間連続して毎週3日間投与し、その後、2週間休止する、工程をさらに含む。
【0040】
高リスクの、または非常に高リスクの骨髄異形成症候群(MDS)を処置する方法のいくつかの実施形態では、DNAメチル化抑制剤は、各28日サイクルのうち7日間投与される。
【0041】
高リスクの、または非常に高リスクの骨髄異形成症候群(MDS)を処置する方法のいくつかの実施形態では、DNAメチル化抑制剤は、5-2-2スケジュールで投与され、各28日サイクルの間、のDNAメチル化抑制剤が連続5日間投与され、2日間休止され、その後、連続2日間、DNAメチル化抑制剤が投与される。
【0042】
高リスクの、または非常に高リスクの骨髄異形成症候群(MDS)を処置する方法のいくつかの実施形態では、有害事象による中断率は25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、8%未満、5%未満である。
【0043】
高リスクの、または非常に高リスクの骨髄異形成症候群(MDS)を処置する方法のいくつかの実施形態では、有害事象による中断率は約4%である。
【0044】
高リスクの、または非常に高リスクの骨髄異形成症候群(MDS)を処置する方法のいくつかの実施形態では、有害事象は、便秘、吐き気、疲労、食欲減少、下痢、末梢性浮腫、低アルブミン血症、呼吸困難、低カリウム血症、嘔吐、めまい、発熱性好中球減少症、貧血症、好中球減少症、および血小板減少症から選択される。
【0045】
本明細書には、また、患者における、高リスクの、または非常に高リスクの骨髄異形成症候群(MDS)を処置する方法であって、該方法は、患者に:
(i)DNAメチル化抑制剤と、
(ii)約45mgのプラシノスタット、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグとを投与する工程を含み、ここで、プラシノスタットは、28日の中で3週間連続しての各週につき3日間、患者に経口投与され、その後、1週間休止される、方法が記載される。
【0046】
高リスクの、または非常に高リスクの骨髄異形成症候群(MDS)を処置する方法のいくつかの実施形態では、DNAメチル化抑制剤とプラシノスタット、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグは、少なくとも3サイクルの間投与される。
【0047】
高リスクの、または非常に高リスクの骨髄異形成症候群(MDS)を処置する方法のいくつかの実施形態では、DNAメチル化抑制剤とプラシノスタット、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグは、少なくとも4サイクルの間投与される。
【0048】
高リスクの、または非常に高リスクの骨髄異形成症候群(MDS)を処置する方法のいくつかの実施形態では、DNAメチル化抑制剤とプラシノスタット、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグは、少なくとも5サイクルの間投与される。
【0049】
高リスクの、または非常に高リスクの骨髄異形成症候群(MDS)を処置する方法のいくつかの実施形態では、DNAメチル化抑制剤とプラシノスタット、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグは、少なくとも6サイクルの間投与される。
【0050】
高リスクの、または非常に高リスクの骨髄異形成症候群(MDS)を処置する方法のいくつかの実施形態では、DNAメチル化抑制剤とプラシノスタット、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグは、少なくとも3サイクルの間投与され、その後、少なくとも1サイクルにわり、各28日サイクルの中で2週間連続して毎週3日間、プラシノスタット、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグをさらに投与し、その後、2週間の休止を設ける。
【0051】
本明細書では、患者における、高リスクの、または非常に高リスクの骨髄異形成症候群(MDS)を処置する方法であって、該方法は、患者に:
(i)各28日サイクルにつき7日間、静脈内または皮下投与される、約75mg/mのアザシチジン(アザシチジン)と;
(ii)約45mgのプラシノスタット、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグとを投与する工程を含み、ここで、プラシノスタットは、28日サイクルの中で3週間連続して毎週3日間、経口投与され、その後1週間休止が設けられる、方法が、さらに記載される。
【0052】
高リスクの、または非常に高リスクの骨髄異形成症候群(MDS)を処置する方法のいくつかの実施形態では、5-アザシチジン(アザシチジン)とプラシノスタット、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグは、少なくとも3サイクルの間投与される。
【0053】
高リスクの、または非常に高リスクの骨髄異形成症候群(MDS)を処置する方法のいくつかの実施形態では、5-アザシチジン(アザシチジン) とプラシノスタット、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグは、少なくとも4サイクルの間投与される。
【0054】
高リスクの、または非常に高リスクの骨髄異形成症候群(MDS)を処置する方法のいくつかの実施形態では、5-アザシチジン(アザシチジン) とプラシノスタット、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグは、少なくとも5サイクルの間投与される。
【0055】
高リスクの、または非常に高リスクの骨髄異形成症候群(MDS)を処置する方法のいくつかの実施形態では、5-アザシチジン(アザシチジン)とプラシノスタット、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグは、少なくとも6サイクルの間投与される。
【0056】
高リスクの、または非常に高リスクの骨髄異形成症候群(MDS)を処置する方法のいくつかの実施形態では、5-アザシチジン(アザシチジン) とプラシノスタット、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグは、少なくとも3サイクルの間投与され、その後、少なくとも1サイクルにわり、各28日サイクルの中で2週間連続して毎週3日間、プラシノスタット、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグをさらに投与し、その後、2週間の休止を設ける。
【0057】
参照による組み込み
本明細書で言及される全ての刊行物、特許、および特許出願は、あたかも個々の刊行物、特許、または特許出願が参照により組み込まれるように具体的かつ個々に指示される程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
図1】プラシノスタットとアザシチジンを用いた処置後の累積的な残存確率を示す。
図2】アザシチジン(AZA)単独療法と、レナリドミド(LEN)またはボリノスタット(VOR)と併用されたAZAとの間における全生存期間の比較を示す。
図3】アザシチジンまたは従来の医療:最善支持療法、低線量シタラビン、または強化化学療法を用いた処置後の全生存率を示す。
図4】パノビノスタットとアザシチジンを用いたMDSとAMLの処置後の全生存率を示す。
図5】骨髄異形成症候群および慢性骨髄単球性白血病がある患者の、エンチノスタットを伴って、またはエンチノスタットを伴わずに、アザシチジンを用いた処置の後の全生存期間を示す。
【発明を実施するための形態】
【0059】
本発明の好ましい実施形態が本明細書中で示され且つ記載されてきたが、このような実施形態はほんの一例として提供されるものであることは、当業者に明らかであろう。多数の変形、変更、および置き換えは、本発明から逸脱することなく、当業者によって現在想到されるものである。本明細書に記載される本発明の実施形態の様々な代案が、本発明の実施に利用可能であることを理解されたい。以下の特許請求の範囲は本発明の範囲を定義するものであり、この特許請求の範囲およびその同等物の範囲内の方法と構造は、それにより包含されることが、意図されている。
【0060】
ヒストンデアセチラーゼの調節異常に関連した疾患と病気(例えば、癌)の処置のための有効な治療を開発し提供することへの継続的なニーズがある。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、癌を処置するための併用療法である。
【0061】
特定の定義
本明細書および添付の請求項で使用されるように、単数形「ある(a)」、「ある(an)」、および「その(the)」は、内容が他に明示しない限り、複数の指示対象を含む。ゆえに、例えば「薬剤」への言及は、複数のこのような薬剤を含み、「細胞」への言及は、1以上の細胞(または複数の細胞)、および当業者に既知の同等物などへの言及を含む。分子量などの物理的特性、または化学式などの化学的特性に関する範囲が本明細書で使用されると、範囲とその中の特定の実施形態との組み合わせ、および下位の組み合わせが、すべて包含されるように意図されている。用語「約(about)」は、数またはその範囲を指すとき、言及される数またはその範囲が、実験のばらつきの範囲内(または統計学的な実験誤差内)の近似値であり、ゆえに、数またはその範囲は、いくつかの例において記載される数またはその範囲の1%~15%で変動することを意味する。用語「含むこと」(および、「含む(comprise)または(comprises)」、または「有すること(having)」または「含むこと(including)」などの関連用語)は、他のある実施形態において、例えば、本明細書に記載される任意の物質の組成、組成物、方法、またはプロセスなどの実施形態が、記載される特徴「から成る(consist of)」または「から本質的に成る(consist essentially of)」ことを排除するようには意図されていない。
【0062】
本明細書および添付の請求項で使用されるように、逆に、特段に明記されない限り、次の用語は、以下に示される意味を有する。
【0063】
特に断りのない限り、本明細書に使用される専門用語は当業者により理解されるとおりの通常の意味を与えられるべきである。
【0064】
本明細書において使用されるように、用語「非置換」は、置換基がない、または、唯一の置換基は水素であることを意味する。
【0065】
本明細書全体にわたって使用されるように、用語「随意に置換される」は、基が1つ、または複数の置換基でさらに置換または(縮合多環系を形成するために)縮合されていても、またはされていなくてもよいことを意味する。好ましくは、置換基は、ハロゲン、=O、=S、CN、-NO、-CF、-OCF、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリールアルキル、シクロアルキルアルケニル、ヘテロシクロアルキルアルケニル、アリールアルケニル、アリールアルケニル、シクロアルキルヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキルヘテロアルキル、アリールヘテロアルキル、ヘテロアリールヘテロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシシクロアルキル、アルコキシヘテロシクロアルキル、アルコキシアリール、アルコキシヘテロアリール、アルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、シクロアルキルオキシ、シクロアルケニルオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、ヘテロシクロアルケニルオキシ、アリールオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、ヘテロアリールオキシ、アリールアルキルオキシ、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリールアルキルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アシルアミノ、アミノアルキル、アリールアミノ、スルホニルアミノ、スルフィニルアミノ、スルホニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アミノスルホニル、スルフィニル、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、アミノスルフィニルアミノアルキル、-COOH、-COR、C(O)OR、CONHR、NHCOR、NHCOOR、NHCONHR、C(=NOH)R5、-SH、-SR5、-OR、および、アシルから成る群から独立して選択される1つ以上の基である。
【0066】
基としての、または基の一部としての「アルキル」は、特に断りのない限り、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、好ましくはC-C14アルキル、より好ましくは、C-C10アルキル、好ましくはC-C、またはC-Cを指す。適切な直鎖状および分岐鎖状のC-Cアルキル置換基の実施例は、メチル、エチル、n-プロピル、2-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、t-ブチル、ヘキシルなどを含む。その基は、末端基または架橋基であり得る。
【0067】
もし明示されなければ、「アルキルアミノ」はモノアルキルアミノとジアルキルアミノの両方を含む。「モノアルキルアミノ」は、-NHアルキル基を意味し、ここでアルキルは上記に定義されたとおりである。「ジアルキルアミノ」は-N(アルキル)基を意味し、ここでアルキルは各々、同じでも異なっていてもよく、および、各々、本明細書に定義されるとおりである。アルキル基は、好ましくはC-Cアルキル基である。その基は、末端基または架橋基であり得る。
【0068】
もし明示されなければ、「アリールアミノ」は、モノ-アリールアミノとジ-アリールアミノの両方を含む。モノ-アリールアミノは、式アリールNH-の基を意味し、ここでアリールは本明細書に定義されるとおりである。ジ-アリールアミノは、式(アリール)N-の基を意味し、ここでアリールは各々、同じでも異なっていてもよく、およびアリールについて本明細書に定義されるとおりである。その基は、末端基または架橋基であり得る。
【0069】
「アシル」は、アルキル-CO-基を意味し、ここでアルキル基は本明細書において記載されるとおりである。アシルの例として、アセチルおよびベンゾイルが挙げられる。アルキル基は、好ましくはC-Cアルキル基である。その基は、末端基または架橋基であり得る。
【0070】
基としての、または基の部分としての「アルケニル」は、少なくとも炭素-炭素二重結合を含む脂肪族炭化水素基を意味し、および、それは好ましくは2~14個の炭素原子を、より好ましくは2~12個の炭素原子を、最も好ましくは2~6個の炭素原子を直鎖に有する直鎖状または分岐鎖状であり得る。その基は、直鎖中に複数の二重結合を有していてもよく、およに、各々に関する立体配置は独立してEまたはZである。典型的なアルケニル基として、限定されないが、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、およびノネニルが挙げられる。その基は、末端基または架橋基であり得る。
【0071】
「アルコキシ」は、-O-アルキル基を指し、ここでアルキルは本明細書に定義されている。好ましくは、アルコキシはC-Cアルコキシである。例として、メトキシおよびグリセロールが挙げられるが、これらに限定されない。その基は、末端基または架橋基であり得る。
【0072】
「アルケニルオキシ」は、-O-アルケニルを指し、ここでアルケニルは、本明細書で定義される通りである。好ましいアルケニルオキシ基は、C-Cアルケニルオキシ基である。その基は、末端基または架橋基であり得る。
【0073】
「アルキニルオキシ」は、アルキニルが本明細書に定義された通りである-Oアルキニル基を指す。好ましいアルキニルオキシ基は、C-Cアルキニルオキシ基である。その基は、末端基または架橋基であり得る。
【0074】
「アルコキシカルボニル」は、-C(O)-O-アルキル基を指し、ここでアルキルは本明細書に定義されたとおりである。アルキル基は、好ましくはC-Cアルキル基である。例として、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニルが挙げられるが、これらに限定されない。その基は、末端基または架橋基であり得る。
【0075】
「アルキルスルフィニル」は、-アルキル基を意味し、ここでアルキルは上記に定義されたとおりである。アルキル基は、好ましくはC-Cアルキル基である。適切なアルキルスルフィニル基は、限定されないが、メチルスルフィニルとエチルスルフィニルを含む。その基は、末端基または架橋基であり得る。
【0076】
「アルキルスルホニル」は、-S(O)-基を表し、ここでアルキルは本明細書に定義されている。アルキル基は、好ましくはC-Cアルキル基である。例として、メチルスルホニルおよびエチルスルホニルが挙げられるが、これらに限定されない。その基は、末端基または架橋基であり得る。
【0077】
基としての、または基の部分としての「アルキニル」は、炭素-炭素三重結合を含む脂肪族炭化水素基を意味し、および、それは好ましくは2~14個の炭素原子を、より好ましくは2~12個の炭素原子を、最も好ましくは2~6個の炭素原子を直鎖中に有する直鎖状または分岐鎖状であり得る。例として、エチニルおよびプロピニルが挙げられるが、これらに限定されない。その基は、末端基または架橋基であり得る。
【0078】
「アルキルアミノカルボニル」は、アルキルアミノ-カルボニル基を指し、ここでアルキルアミノは上記に定義されたとおりである。その基は、末端基または架橋基であり得る。
【0079】
「シクロアルキル」は、別段の定めがない限り、1つの環につき好ましくは3~9個の炭素原子を含有している、飽和または部分飽和の、単環式または縮合またはスピロ多環式の、炭素環を指し、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルなどが挙げられる。それは、シクロプロピルおよびシクロヘキシルなどの単環系、デカリンなどの二環系、およびアダマンタンなどの多環系を含む。その基は、末端基または架橋基であり得る。
【0080】
「シクロアルケニル」は、少なくとも1つの炭素炭素二重結合を含み、好ましくは1つの環につき5~10個の炭素原子を有する、非芳香族単環系または多環系を意味する。典型的な単環式のシクロアルケニル環は、シクロヘプテニル、シクロヘキセニル、またはシクロヘプテニルを含む。シクロアルケニル基は1つ以上の置換基で置換される場合がある。その基は、末端基または架橋基であり得る。
【0081】
アルキルおよびシクロアルキル置換基の上記考察は、限定することなく、アルコキシ、アルキルアミン類、アルキルケトン、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、アルキルスルホニル、およびアルキルエステル置換基など、他の置換基のアルキル部分にも当てはまる。
【0082】
「シクロアルキルアルキル」は、シクロアルキル-アルキル-基を意味し、ここで、シクロアルキルおよびアルキル部分は先に記載されたとおりである。典型的なモノシクロアルキルアルキル基は、シクロプロピルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、およびシクロヘプチルメチルを含む。その基は、末端基または架橋基であり得る。
【0083】
「ハロゲン」は塩素、フッ素、臭素、またはヨウ素を表わす。
【0084】
「ヘテロシクロアルキル」は、少なくとも1つの環において窒素、硫黄、酸素から選択された少なくとも1つのヘテロ原子、好ましくは1から3個のヘテロ原子を含んだ飽和または部分飽和の単環式、二環式、または多環式の環を指す。各環は、好ましくは3~4員、より好ましくは4~7員である。適切なヘテロシクロアルキル置換基の例として、ピロリジル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロチオフラニル、ピペリジル、ピペラジル、テトラヒドロピラニル、モルフィリノ、1,3-ジアザパン、1,4-ジアザパン、1,4-オキサゼパン、および、1,4-オキサチアパンが挙げられる。その基は、末端基または架橋基であり得る。
【0085】
「ヘテロシクロアルケニル」は、少なくとも1つの二重結合を含んでいる上記のヘテロシクロアルキルを指す。その基は、末端基または架橋基であり得る。
【0086】
「ヘテロシクロアルキルアルキル」はヘテロシクロアルキル-アルキル基を指し、ここでヘテロシクロアルキルおよびアルキル基の部分は先に記載されたとおりである。典型的なヘテロシクロアルキルアルキル基は、(2-テトラヒドロフリル)メチル、(2-テトラヒドロチオフラニル)メチルを含む。その基は、末端基または架橋基であり得る。
【0087】
「ヘテロアルキル」は、好ましくは、2~14個の原子、より好ましくは2~10個の原子を鎖中に有し、そのうち一つ以上は、S、O、およびNから選択されるヘテロ原子である、直鎖または分岐鎖のアルキル基を示す。典型的なヘテロアルキルには、アルキルエーテル類、二級および三級のアルキルアミン類、アルキルスルフィド類などが挙げられる。その基は、末端基または架橋基であり得る。
【0088】
基としての、または基の一部としての「アリール」は、(i)好ましくは、1つの環につき5~12個の原子を有し、随意に置換された単環、または縮合多環、芳香族炭素環(全て炭素である環原子を有する環構造);(ii)随意に置換された一部飽和二環式芳香族炭素環部分を意味し、ここで、フェニルおよびC5-7シクロアルキルまたはC5-7シクロアルケニル基は、例えば、テトラヒドロナフチル、インデニル、またはインダニルなどのように、一緒に縮合して環状構造を形成している。アリール基の例として、フェニル、ナフチルなどが挙げられる。その基は、末端基または架橋基であり得る。
【0089】
「アリールアルケニル」は、アリール-アルケニル-基を意味し、ここでアリールおよびアルケニルは先に記載されたとおりである。典型的なアリールアルケニル基は、フェニルアリルを含む。その基は、末端基または架橋基であり得る。
【0090】
「アリールアリキル」は、アリール-アルキル-基を意味し、ここでアリールおよびアルキルは先に記載されたとおりである。好ましいアリールアリキル基はC1-5のアルキル部分を含有している。典型的なアリールアリキル基は、ベンジル、フェネチル、およびナフテレンメチルを含む。その基は、末端基または架橋基であり得る。
【0091】
「アリールアシル」は、アリール-アシル-基を意味し、ここでアリールおよびアシル部分は先に記載されたとおりである。一般的に、アリール部分(aryl moiety)は、アシル部分(acyl moiety)のアルキル部分(alkyl portion)に、典型的にはアシル部分のアルキル部分の端末の炭素に結びついている。好ましいアリールアシル基は、アシル部分においてC-Cアルキル部分を含んでいる。典型的なアリールアシル基は、2-フェニル-アセチルを含む。その基は、末端基または架橋基であり得る。
【0092】
「ヘテロアリール」は、単独または基の一部のどちらでも、他の環原子が炭素原子である芳香環において環原子として1つ以上のヘテロ原子を有する芳香環(好ましくは5または6員の芳香環)を含んでいる基を指す。適切なヘテロ原子は、窒素、酸素、および硫黄を含む。ヘテロアリールの例として、チオフェン、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンズイソチアゾール、ナフト[2,3-b]チオフェン、フラン、イソインドリジン(isoindolizine)、キサントレン(xantholene)、フェノキサチン(phenoxatine)、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドール、イソインドール、1H-インダゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、シンノリン、カルバゾール、フェナントリジン、アクリジン、フェナジン、チアゾール、イソチアゾール、フェノチアジン、オキサゾール、イソオキサゾール、フラザン(furazane)、フェノキサジン、2-、3-、または4-ピリジル、2-、3-、4―、5-、または8-キノリル、1-、3-、4-、または5-イソキノリニル、1-、2-、または3-インドリル、および2-、または3-チエニルが挙げられる。その基は、末端基または架橋基であり得る。
【0093】
「ヘテロアリールアルキル」は、ヘテロアリール-アルキル基を意味し、ここで、ヘテロアリールおよびアルキル部分は先に記載されたとおりである。好ましいヘテロアリールアルキル基は低級アルキル部分を含有している。典型的なヘテロアリールアルキル基は、ピリジルメチルを含む。その基は、末端基または架橋基であり得る。
【0094】
基としての「低級アルキル」は、別段の定めがない限り、メチル、エチル、プロピル(n-プロピルまたはイソプロピル)、またはブチル(n-ブチル、イソブチル、またはターシャリ-ブチル)などの、鎖中に1から6個の炭素原子、より好ましくは1から4個の炭素原子を有する直鎖状または分岐鎖状であり得る脂肪族炭化水素基を意味する。その基は、末端基または架橋基であり得る。
【0095】
式(I)において、また式(I)内で化合物のサブセットを定義する式(Ia)~式(If)も同様に、ベンゾイミダゾール環系が示されている。この環系内では、4-、5-、6-、および7-環位に置換可能な環位がある。式(I)、式(Ia)、および式(Ib)の各々において、これらの環位の1つに、酸性部分の結合を必要とする。この酸性部分は、限定されないが、加水分解された際に酸性部分を提供するヒドロキサム酸またはそのような酸の塩誘導体を含む基によって提供され得る。いくつかの実施形態では、前記酸性部分は、-CH-または-CHCH-などのアルキレン基、あるいは-CH=CH-のようなアルケニル基を介して前記環位に結合されていてもよい。酸性部分の結合の好ましい位置は、5-および6-環位である。
【0096】
式Iの化合物ファミリーには、ジアステレオ異性体、エナンチオマー、互変異性体、および「E」または「Z」立体配置異性体の幾何異性体またはEおよびZ異性体の混合物を含む異性体が含まれることが理解される。ジアステレオマー、エナンチオマー、および幾何異性体などのいくつかの異性体は、物理的および/または化学的方法により、および当業者により、分離され得ることも理解される。
【0097】
本開示の実施形態の化合物のうちのいくつかは、単一の立体異性体、ラセミ体、および/またはエナンチオマーとジアステレオマーの混合物として存在する場合がある。そのような単一の立体異性体、ラセミ体、およびその混合物はすべて、記載および請求された発明特定事項の範囲内であるように意図される。
【0098】
加えて、式(I)は、適用可能な場合に、化合物の溶媒和形態、また非溶媒和形態も同様に含むことを意図する。従って、式は各々、水和形態、また非水和形態も同様に含む、示された構造を有する化合物を含む。
【0099】
式(I)の化合物に加えて、多様な実施形態のHDAC阻害剤は、そのような化合物の薬学的に許容される塩、プロドラッグ、および活性代謝物、およびそのような代謝物の薬学的に許容される塩を含む。
【0100】
用語「薬学的に許容される塩」は、上記に特定された化合物の所望の生物活性を保持する塩を示し、薬学的に許容される酸付加塩および塩基付加塩を含む。式(I)の化合物の適切な医薬的に許容される酸付加塩は、無機酸または有機酸から調製されうる。そのような無機酸の例は、塩化水素、硫黄、およびリン酸である。適切な有機酸は、有機酸の、脂肪族の、環状脂肪族の、芳香族の、複素環式カルボン酸の、およびスルホン酸のクラスから選択されてもよく、それらの例は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸であり得る。適切な、式(I)の化合物の薬学的に許容される塩基付加塩は、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、および亜鉛から作られる金属塩、そして、コリン、ジエタノールアミン、モルホリンなどの有機塩基から作られる有機塩を含む。有機塩の他の例は:アンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩などの四級塩;グリシンおよびアルギニンとの塩などのアミノ酸付加塩である。薬学的に許容可能な塩に関する付加的情報は、『Remington’s Pharmaceutical Sciences, 19th Edition, Mack Publishing Co., Easton, PA 1995』において見られる。固体である薬剤の場合、本発明の化合物、薬剤、および塩は異なる結晶質の、または多形性の形態で存在しうることが当業者に理解され、それらの全ては本発明および特定された式の範囲内であることを意図している。
【0101】
「プロドラッグ」は、代謝的手段(例えば、加水分解、還元、または酸化)により、式(I)の化合物へとインビボで変換可能な化合物を意味する。例えば、ヒドロキシル基を含む式(I)の化合物のエステルプロドラッグは、インビボの加水分解によって親分子に変換可能であり得る。ヒドロキシル基を含んでいる式(I)の化合物の適切なエステル類は、例えば、アセテート、シトレート、ラクテート、タートレート、マロネート、オキサレート、サリチレート、プロピオネート、スクシネート、フマレート、マレート、メチレン-ビス-β-ヒドロシキナフトエート、gestisate、イセチオネート、ジ-p-トルオイルタートレート、メタンスルホネート、エタンスルホネート、ベンゼンスルホネート、p-トルエンスルホネート、シクロヘキシルスルファメート、およびキネートである。他の例として、カルボキシ基を含む式(I)の化合物のエステルプロドラッグは、インビボの加水分解によって親分子に変換可能であり得る(エステルプロドラッグの例は、『F. J. Leinweber, Drug Metab. Res., 18:379, 1987』によって記載されたものである)。
【0102】
用語「治療有効量」または「有効な量」は、有益な、または所望の結果を達成するのに十分な量である。有効な量は、1回以上の投与で投与され得る。有効な量は通常、疾患状態を軽減し、改善し、安定化させ、回復に向かわせ、その進行を遅くするか、または遅らせるのに十分な量である。治療有効量は、従来の手法を使用することによって、およびアナログの状況下で結果を観察することによって、そこにいる診断医によって容易に決定することができる。治療有効量の決定において、動物種、その体長、年齢、総体的健康状態、関連した具体的な症状、症状の重症度、治療に対する患者の反応、投与した特定の化合物、投与法、投与した調剤の生物学的利用能、選択された用法、他の薬物療法の使用および他の関連性のある状況などの多くの因子を考慮しなければならないが、これらに限定されない。
【0103】
「中断率」は、研究を終える前に治験薬を中断する患者または被験体の数を処置される患者または被験体の数で割ったものとして定義される。
【0104】
以下の基準が満たされるとき(奏効は、少なくとも28日続かなければならない)、「完全寛解」または「CR」は達成される:
・ 骨髄:全ての細胞株のうち5%以下の正常成熟がある骨髄芽球
・ 持続な異形成は記録される
・ 末梢血(ヘモグロビン11g/dL以上、血小板100×10/L以上、好中球1.0×10/L以上、および芽球0%)。
【0105】
以下の基準が満たされる時(奏効は、少なくとも28日続かなければならない)、「部分寛解」または「PR」は達成される:骨髄芽球以外の前処置の異常が処置前に対して50%以上減少しているが、依然として5%より多い場合、全てのCR基準。
【0106】
「安定疾患」は、少なくともPRの達成には不全だが、8週間より長く進行の証拠がない時、達成される。
【0107】
以下の基準が満たされるとき(奏効は、少なくとも28日続かなければならない)、「骨髄完全寛解」または「骨髄CR」は達成される:
・ 骨髄:5%以下の骨髄芽球および処置前より50%以上の減少
・ 末梢血:HI(血液学的改善)奏効がある場合。
【0108】
「疾患進行」は以下のように評価される:
・ 5%未満の芽球を有する患者については:5%より多い芽球に対して50%以上の芽球の増加
・ 5%~10%の芽球がある患者については:10%より多い芽球に対して50%以上の増加
・ 10%~20%の芽球がある患者については:20%より多い芽球に対して50%以上の増加
・ 20%~30%の芽球がある患者については:30%より多い芽球に対して50%以上の増加
・ 顆粒球または血小板の最大寛解/奏効からの少なくとも50%の減少
・ 2g/dL以上のヘモグロビンの減少
・ 輸血への依存。
【0109】
以下のように、「血液学的改善」は定義される:
【0110】
【表1】
【0111】
HDAC阻害剤
ある態様において、本発明は、式(I)の化合物を提供し:
【0112】
【化5】
式中、Rは式:―(CR2021)m―n(CR2223)―o(CR2425)―NR2627を有する基であり;
は、アルキル、フルオロアルキル、シアノ、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、または随意に=Oで置換されたヘテロアルキルであり;
20、R21、R22、R23、R24、およびR25は各々、独立してHまたはメチルであり;
26およびR27は各々、独立してH、ヒドロキシアルキル、またはアルキルであり;および、
m、n、およびoは、独立して0、1、2、3、または4の整数であり;または、その薬学的に許容可能な塩あるいはプロドラッグである。
【0113】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は式(Ia)または(Ib)の構造を有し:
【0114】
【化6】
式中、Rは、アルキル、フルオロアルキル、シアノ、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、または随意に=Oで置換されたヘテロアルキルであり;
20、R21、R22、R23、R24、およびR25は各々、独立してHまたはメチルであり;および、
26とR27は各々、独立してH、ヒドロキシアルキル、またはアルキルであり;
または、その薬学的に許容可能な塩あるいはプロドラッグである。
【0115】
本発明の上記の実施形態の各々では、R20およびR21は多くの異なる変化するものを表わし得る。一実施形態では、R20およびR21は、独立して、H、アルキル、アルケニル、およびアルキニルから成る群から選択される。別の実施形態では、R20およびR21は、独立して、Hとアルキルから成る群から選択される。さらに別の実施形態では、R20およびR21は、独立して、H、メチル、エチル、イソプロピル、プロピル、2-エチル-プロピル、3,3-ジメチル-プロピル、ブチル、イソブチル、3,3-ジメチル-ブチル、2-エチル-ブチル、ペンチル、2-メチル、ペンチル、ペント-4-エニル、ヘキシル、ヘプチル、およびオクチルから成る群から選択される。特定の実施形態において、R20およびR21は両方ともHである。
【0116】
本発明の上記の実施形態の各々では、R22およびR23は多くの異なる変化するものを表わし得る。一実施形態では、R22とR23は、独立して、H、アルキル、アルケニル、およびアルキニルから成る群から選択される。別の実施形態では、R22とR23は、独立して、Hとアルキルから成る群から選択される。さらに別の実施形態では、R22とR23は、独立して、H、メチル、エチル、イソプロピル、プロピル、2-エチル-プロピル、3,3-ジメチル-プロピル、ブチル、イソブチル、3,3-ジメチル-ブチル、2-エチル-ブチル、ペンチル、2-メチル、ペンチル、ペント-4-エニル、ヘキシル、ヘプチル、およびオクチルから成る群から選択される。さらなる実施形態では、R22とR23は、独立して、アルキルから成る群から選択される。もっとも具体的な実施形態では、R22とR23は両方ともメチルである。
【0117】
本発明の上記の実施形態の各々では、R24とR25は多くの異なる変化するものを表わし得る。一実施形態では、R24とR25は、好ましくは、独立して、H、アルキル、アルケニル、およびアルキニルから成る群から選択される。別の実施形態では、R24とR25は、独立して、Hとアルキルから成る群から選択される。さらに別の実施形態では、R24とR25は、独立して、H、メチル、エチル、イソプロピル、プロピル、2-エチル-プロピル、3,3-ジメチル-プロピル、ブチル、イソブチル、3,3-ジメチル-ブチル、2-エチル-ブチル、ペンチル、2-メチル、ペンチル、ペント-4-エニル、ヘキシル、ヘプチル、およびオクチルから成る群から選択される。特定の実施形態において、R24およびR25は両方ともHである。
【0118】
上記の実施形態の各々では、R26とR27について多くの値がある。一実施形態では、R26とR27は、独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシアルキル、およびアシルから成る群から選択される。別の実施形態では、R26とR27は、独立して、H、アルキル、およびアシルから成る群から選択される。さらなる実施形態では、R26とR27は、独立して、H、メチル、エチル、イソプロピル、プロピル、2-エチル-プロピル、3,3-ジメチル-プロピル、ブチル、イソブチル、3,3-ジメチル-ブチル、2-エチル-ブチル、ペンチル、2-メチル、ペンチル、ペント-4-エニル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、アセチル、および2-メトキシ-エチルから成る群から選択される。
【0119】
1つの具体的な実施形態では、Rは以下の式の基である:
【0120】
【化7】
【0121】
別の具体的な実施形態では、Rは以下の式の基である:
【0122】
【化8】
【0123】
別の具体的な実施形態では、Rは以下の式の基である:
【0124】
【化9】
【0125】
さらに別の具体的な実施形態では、Rは以下の式の基である:
【0126】
【化10】
【0127】
別の具体的な実施形態では、Rは以下の式の基である:
【0128】
【化11】
【0129】
別の具体的な実施形態では、Rは以下の式の基である:
【0130】
【化12】
【0131】
別の具体的な実施形態では、Rは以下の式の基である:
【0132】
【化13】
【0133】
別の具体的な実施形態では、Rは以下の式の基である:
【0134】
【化14】
【0135】
別の具体的な実施形態では、Rは以下の式の基である:
【0136】
【化15】
【0137】
この実施形態の1つの形態では、Rはアルキルである。一実施形態では、アルキルはC-C10アルキルである。この実施形態の別の形態では、アルキルはC-Cアルキル基である。この実施形態の別の形態では、Rは:メチル;エチル;プロピル;2-メチル-プロピル、2-2-ジメチル-プロピル;イソプロピル;3,3,3-triflouro-プロピル;ブチル;イソブチル;3,3-ジメチル-ブチル;ペンチル;2,4,4-トリメチル-ペンチル;ヘキシル;ヘプチル、オクチル、ノニル、および2-メトキシ-ノニルから成る群から選択される。
【0138】
この実施形態の1つの形態において、Rはアルケニルである。この実施形態の1つの形態では、アルケニルはC-C10アルケニルである。この実施形態の別の形態では、アルケニルはC-Cアルケニル基である。この実施形態の別の形態では、Rは:エテニル、プロプ-1-エニル、プロプ-2-エニル、 ブト-1-エニル、 ブト-2-エニル、 ブト-3-エニル、ペント-1-エニル、ペント-2-エニル、ペント-3-エニル、ペント-4-エニル、ヘキサ-1-エニル、ヘキサ-2-エニル、ヘキサ-3-エニル、ヘキサ-4-エニル、およびヘキサ-5-エニルから成る群から選択される。
【0139】
さらなる実施形態において、随意の置換基は、ハロゲン、=O、=S、-CN、-NO2、アルキル、アルケニル、ヘテロアルキル、ハロアルキル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルキルアミノ、アミノアルキル、アシルアミノ、フェノキシ、アルコキシアルキル、ベンジルオキシ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アミノスルホニル、-C(O)OR、COOH、SH、およびアシルから成る群から選択される。
【0140】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、プラシノスタットは:
【0141】
【化16】
であるか、または、その薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグである。プラシノスタットは、『POLYMORPHIC FORMS OF 3-[2-BUTYL-l-(2-DIETHYLAMINO-EHTYL)-IH-BENZOIMIDAZOL-5-YL]-N-HYDROXY-ACRYLAMIDE AND USES THEREOF』と題されてWO2017/192451として公表され、参照によりその全体が本明細書に組込まれる国際出願番号PCT/US2017/030414中に記載の形態3またはそれらのうちの任意のものなどの結晶性多形性の形態であり得る。
【0142】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は:
【0143】
【化17】
であるか、または、その薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグである。
【0144】
式(I)の化合物に加えて、開示された実施形態は、そのような化合物の薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能なプロドラッグ、および同位体変異体にも向けられる。そのような化合物、塩、プロドラッグ、および同位体変異体は、本明細書では時に集団的に「HDACを阻害する薬剤」または「HDAC阻害剤」と呼ばれる。
【0145】
本明細書に記載された式(I)の化合物は、『HETEROCYCLIC COMPOUNDS』と題されて2006年8月1日に出願され、全体が参照によって本明細書に組み込まれる国際出願番号:PCT/SG2006/000217において見られる開示を含む。式(I)の化合物、および本明細書に開示された実施形態はヒストンデアセチラーゼを阻害する。ある実施形態では、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤は、同じクラスのヒストンデアセチラーゼまたは異なるクラスのヒストンデアセチラーゼのからのものであり得る、細胞中の1を超える既知のヒストンデアセチラーゼと相互作用する及び/又はその活性を低減する。いくつかの他の実施形態では、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤は、主として、クラスIのHDAC酵素に属する1つのヒストンデアセチラーゼ、例えばHDAC-1、HDAC-2、HDAC-3、またはHDAC-8と相互作用し、およびその活性を低減する。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、有意な増殖抑制効果を有し、および分化を促進し、G1またはG2期における細胞周期停止を促進し、およびアポトーシスを誘発する。
【0146】
DNAメチル化抑制剤
あらゆる適切なメチル化抑制剤が、式(I)の化合物と組み合わせて使用され得る。本明細書に提供される方法に使用されるDNAメチル化抑制剤は、限定されないが、5-アザシチジン(アザシチジン)、5-アザデオキシシチジン(デシタビン)、SGI-110、ゼブラリンおよびプロカインを含む。特定の具体的な実施形態では、DNAメチル化抑制剤は、5-アザシチジン(アザシチジン)である。
【0147】
方法
ヒストンデアセチラーゼの調節異常に関連した疾患または病気を処置する方法が本明細書において提供され、該方法は、患者または被験体に(i)有効量のDNAメチル化抑制剤、および(ii)約45mgの式(I)化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグを投与することを含む。いくつかの実施形態では、DNAメチル化抑制剤は、式(I)の化合物に付加的に作用する。いくつかの実施形態では、DNAメチル化抑制剤は、式(I)の化合物と相乗的に作用する。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、プラシノスタットである。
【0148】
本明細書に提供されるいくつかの実施形態において、細胞増殖および/または血管形成の破壊によって引き起こされるか、それに関連するか、あるいはそれに伴う障害の処置の方法であって、治療有効量のDNAメチル化抑制剤と45mgの式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグを投与する工程を含む、方法が記載される。
【0149】
本明細書にはまた、いくつかの実施形態において、細胞増殖および/または血管新生の破壊によって引き起こされるか、それに関連するか、あるいはそれに伴う障害の処置のための薬剤が提供される。いくつかの実施形態では、薬剤はDNAメチル化抑制剤であり、および、式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグである。
【0150】
本明細書に記載されるいくつかの実施形態は、細胞増殖および/または血管新生の破壊によって引き起こされるか、それに関連するか、あるいはそれに伴う障害の処置のための医薬の調製におけるDNAメチル化抑制剤と式(I)の化合物の使用に関する。一実施形態では、障害は増殖性障害である。ある具体的な実施形態では、障害は癌である。いくつかの実施形態では、DNAメチル化抑制剤の併用療法および式(I)の化合物は、低毒性を示す。いくつかの実施形態では、DNAメチル化抑制剤の併用療法および式(I)の化合物は、強力な抗増殖活性を示す。
【0151】
本明細書に記載された他の実施形態は、DNAメチル化抑制剤の治療有効量と式(I)の化合物を投与することを含むヒストンデアセチラーゼの抑制によって処置することができる障害、疾患、または症状を処置する方法を提供する。
【0152】
本明細書にはまた、ヒストンデアセチラーゼの阻害によって処置することができる障害、疾患、または症状を処置するための薬剤が記載される。一実施形態では、薬剤は抗癌剤である。いくつかの実施形態では、薬剤は、DNAメチル化抑制剤および式(I)の化合物である。本明細書に記載されるいくつかの実施形態は、有効量のDNAメチル化抑制剤と式(I)による化合物の投与を含む細胞増殖を阻害する方法を提供する。
【0153】
本明細書には、ある実施形態において、化学療法抵抗性癌を処置する方法を提供し、該方法は、有効量のDNAメチル化抑制剤および式(I)の化合物を患者または被験体に投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、癌は、化学療法に対して難治性、非反応性、または耐性がある。いくつかの実施形態では、癌は、ハプロタイプ一致の幹細胞移植に対して難治性、非反応性、または耐性がある。いくつかの実施形態では、癌は、アザシチジン、デシタビン、SGI-110、レナリドミド、TXA-127、またはそれらの組み合わせに耐性がある。いくつかの実施形態では、癌は、アザシチジン、デシタビン、レナリドミド、TXA-127、またはそれらの組み合わせに耐性がある。
【0154】
いくつかの実施形態では、癌は、IPSS-Rによると、高リスクの、または非常に高リスクの骨髄異形成症候群(MDS)である。いくつかの具体的な実施形態では、癌は、IPSS-Rによると、高リスクの骨髄異形成症候群(MDS)である。いくつかの具体的な実施形態では、癌は、IPSS-Rによると、非常に高リスクの骨髄異形成症候群(MDS)である。いくつかの実施形態では、MDSは、化学療法および/またはハプロタイプ一致の幹細胞移植に、抵抗性がある、無反応性である、または耐性がある。
【0155】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載された方法は、限定はされないが、ユーイング肉腫、骨肉腫、軟骨肉腫などを含む骨癌;聴神経腫、神経芽球腫、神経膠腫、および他の脳腫瘍を含む脳腫瘍およびCNS腫瘍;脊髄腫瘍;導管腺癌、転移性乳管癌を含む乳癌、結腸癌、進行性結腸直腸腺癌、大腸癌;副腎皮質腺腫、膵臓癌、下垂体の癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、胸腺癌、多発性内分泌腺腫瘍を含む内分泌系の癌;胃癌、食道癌、小腸癌を含む消化管癌;肝臓癌、肝外胆管癌、胃腸の類癌腫、胆嚢癌;精巣癌、陰茎癌、前立腺癌、を含む尿生殖器の癌;子宮頸癌、卵巣癌、膣癌、子宮/子宮内膜癌、外陰癌、妊娠性絨毛癌、卵管癌、子宮肉腫を含む婦人科癌;口腔癌、口唇癌、唾液腺癌、喉頭癌、下咽頭癌、上咽頭癌、鼻腔癌、副鼻腔癌、鼻咽頭癌を含む頭頸部癌;小児白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄白血病、ヘアリー細胞白血病、急性前骨髄球性白血病、形質細胞性白血病、赤白血病、骨髄腫を含む白血病;骨髄異形成症候群、骨髄増殖症候群、再生不良性貧血、ファンコニ貧血、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症を含む血液疾患;小細胞肺癌、非小細胞肺癌、中皮腫を含む肺癌;ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、末梢T細胞リンパ腫、AIDS関連のリンパ腫、B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫を含む、リンパ腫;網膜芽腫、眼球内黒色腫を含む眼癌;黒色腫、非黒色腫皮膚癌、扁平上皮細胞癌、メルケル細胞癌、小児軟部組織肉腫、成人軟部組織肉腫、カポジ肉腫などの軟部組織肉腫を含む皮膚癌;腎癌、ウィルムス腫瘍、膀胱癌、尿道癌を含む泌尿系癌、および移行細胞癌などを含む様々な癌の処置に有用である。
【0156】
いくつかの実施形態では、ヒストンデアセチラーゼの調節異常に関連する疾患または障害は、癌である。いくつかの実施形態では、癌は血液悪性腫瘍である。いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は、急性骨髄白血病(AML)、慢性骨髄白血病(CML)、慢性骨髄単球性白血病、血栓溶解性白血病(thrombolytic leukemia)、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性疾患、不応性貧血、前白血病症候群、リンパ性白血病、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、または未分化白血病である。いくつかの具体的な実施形態では、癌は、骨髄異形成症候群(MDS)または急性骨髄白血病(AML)である。非ホジキンリンパ腫の限定しない例としては、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、および慢性リンパ球白血病(CLL)が挙げられる。
【0157】
本明細書に記載された方法によって処置され得る他の典型的な癌は、限定されないが、赤白血病、急性前骨髄球性白血病、急性骨髄白血病、急性リンパ性白血病、急性T細胞白血病などの白血病、およびB細胞リンパ腫(例えばバーキットリンパ腫)、悪性皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)、および末梢T細胞性リンパ腫などの、リンパ腫を含む。
【0158】
本明細書に記載された方法によって処置され得る特定の典型的な癌は、固形腫瘍および血液悪性腫瘍を含む。別の実施形態では、本発明の化合物で処置され得る好ましい癌は、結腸癌、前立腺癌、肝細胞腫および卵巣癌である。
【0159】
いくつかの実施形態では、患者は、以前にDNAメチル化抑制剤で処置されたことがない。いくつかの実施形態では、患者は、以前に5-アザシチジンで処置されたことがない。いくつかの実施形態では、患者は、以前に5-アザデオキシシチジンで処置されたことがない。いくつかの実施形態では、患者は、以前に、輸液剤、造血成長因子、または免疫抑制療法で処置されたことがある。
【0160】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載された方法は、放射線学の検査および/または理学的検査からの腫瘍評価により決定されるような全奏効率(ORR)を提供する。いくつかの例において、治療の2および6サイクルが実行された後、そして6か月ごとにまたは循環した後、または臨床的に指示されるとおり、奏効判定が行なわれる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は完全寛解をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、処置の12か月以内に始まり6か月間以上持続する完全寛解をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、処置の12か月以内に始まり6か月以上持続する完全奏効(CR)および/または無病生存状態(NED)をもたらす。いくつかの実施形態では、治療の6サイクルの後に評価された全奏効率は20%以上である。いくつかの実施形態では、治療の6サイクルの後に評価された全奏効率は25%以上である。いくつかの実施形態では、治療の6サイクルの後に評価された全奏効率は30%以上である。いくつかの実施形態では、治療の6サイクルの後に評価された全奏効率は35%以上である。いくつかの実施形態では、治療の6サイクルの後に評価された全奏効率は40%以上である。
【0161】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載された治療法と服薬スケジュールは、本明細書に記載された処置を受ける患者において有害事象(AE)の頻度、重篤度、および発症までの時間を改善する。いくつかの実施形態では、有害事象は、便秘、吐き気、疲労、食欲減少、下痢、末梢性浮腫、低アルブミン血症、呼吸困難、低カリウム血症、嘔吐、めまい、発熱性好中球減少症、貧血症、好中球減少症、および血小板減少症から選択される。
【0162】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載された治療の方法と投薬スケジュールは、便秘、吐き気、疲労、食欲減退、下痢、末梢の浮腫、低アルブミン血症、呼吸困難、低カリウム血症、嘔吐、めまい、発熱性好中球減少症、貧血、好中球減少症、および血小板減少症などの、HDAC阻害剤の使用に関連する不利な、あるいは望ましくない副作用を回避するか、または低減する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載された治療の方法法および投薬スケジュールは、本明細書に記載された処置を受ける患者における、血球減少、吐き気、嘔吐、疲労、またはそれらの組み合わせを回避するか軽減する。ある実施形態では、本明細書に記載の方法は、血球減少症の発生を回避するか、減らすか、または最小限にする。ある実施形態では、本明細書に記載の方法は、吐き気の発生を回避するか、減らすか、または最小限にする。ある実施形態では、本明細書に記載の方法は、嘔吐の発生を回避するか、減らすか、または最小限にする。ある実施形態では、本明細書に記載の方法は、疲労の発生を回避するか、減らすか、または最小限にする。
【0163】
いくつかの実施形態では、有害事象による中断率は25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、8%未満、5%未満である。いくつかの実施形態では、有害事象による中断率は25%未満である。いくつかの実施形態では、有害事象による中断率は20%未満である。いくつかの実施形態では、有害事象による中断率は15%未満である。いくつかの実施形態では、有害事象による中断率は10%未満である。いくつかの実施形態では、有害事象による中断率は8%未満である。いくつかの実施形態では、有害事象による中断率は約4%である。
【0164】
いくつかの実施形態では、有害事象による中断率は、患者が約60mgの式(I)の化合物およびDNAメチル化抑制剤を投与されるときに観察された中断率より少ない。
【0165】
いくつかの実施形態では、有害事象による中断率は、患者がDNAメチル化抑制剤を単独で投与されるときに観察された中断率より少ない。
【0166】
投与量
それらを必要とする患者に投与される式(I)の化合物の量は、患者または処置される被験体によって変わるであろう。いくつかの実施形態では、投与される式(I)の化合物の量は約60mg未満である。いくつかの実施形態では、投与される式(I)の化合物の量は約10mg~約55mgである。いくつかの実施形態では、投与される式(I)の化合物の量は約20mg~約55mgである。いくつかの実施形態では、投与される式(I)の化合物の量は約30mg~約55mgである。いくつかの実施形態では、投与される式(I)の化合物の量は約40mg~約55mgである。いくつかの実施形態において、投与される式(I)の化合物の量は、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、または約55mgである。いくつかの実施形態では、投与される式(I)の化合物の量は約45mgである。ある実施形態において、約45mgのプラシノスタットが投与される。
【0167】
DNAメチル化抑制剤の量は、患者または処置されるに被験体によって変わるであろう。患者または被験体がヒトであるようないくつかの場合において、投与量は、通常、処方医によって決定され、その投与量は、一般的に、個々の患者の年齢、性別、食事、体重、健康状態および反応性、患者の症状の重症度、処置される正確な兆候または症状、処置される兆候または症状の深刻さ、投与のタイミング投与、投与の経路、組成物の性質、排出の速度、および、処方医の裁量によって変わる。いくつかの実施形態では、一日の総用量は、所望であれば、1日の間において分割して数回で投与される。いくつかの実施形態では、本明細書において説明される併用療法が単独療法でないような組み合わせ的応用は、DNAメチル化抑制剤および式(I)の化合物のより少ない量の投与を可能にする。
【0168】
特定の実施形態では、DNAメチル化抑制剤の有効量は、約5mg/m~約1000mg/m、約5mg/m~約125mg/m、約10mg/m~約1000mg/m、約10mg/mから約800mg/m、約10mg/m~約700mg/m、約10mg/m~約600mg/m、約10mg/m~約500mg/m、約10mg/m~約400mg/m、約10mg/m~約350mg/m、約10mg/m~約300mg/m、約10mg/m~約200mg/m、約10mg/m~約175mg/m、約10mg/m~約150mg/m、約10mg/m~約125mg/m、約10mg/m~約115mg/m、約10mg/m~約100mg/m、約10mg/m~約80mg/m、約10mg/m~約60mg/m、約10mg/m~約20mg/m、約5mg/m~約20mg/m、約50mg/m~約500mg/m、約50mg/m~約400mg/m、約10mg/m~約350mg/m、約50mg/m~約300mg/m、約50mg/m~約250mg/m、約50mg/m~約225mg/m、約50mg/m~約200mg/m、約50mg/m~約175mg/m、約50mg/m~約150mg/m、約50mg/m~約125mg/m、約50mg/m~約100mg/m、約50mg/m~約90mg/m、約50mg/m~約80mg/m、約60mg/m~約80mg/m、約75mg/m~約250mg/m、約75mg/m~約200mg/m、約75mg/m~約150mg/m、約75mg/m~約125mg/m、約1000mg/m未満、約900mg/m未満、約800mg/m未満、700mg/m未満、600mg/m未満、500mg/m未満、400mg/m未満、350mg/m未満、300mg/m未満、275mg/m未満、250mg/m未満、225mg/m未満、200mg/m未満、175mg/m未満、150mg/m未満、125mg/m未満、115mg/m未満、100mg/m未満、90mg/m未満、80mg/m未満、70mg/m未満、60mg/m未満、50mg/m未満、40mg/m未満、30mg/m未満、20mg/m未満、10mg/m未満、約1000mg/m、約900mg/m、約800mg/m、約700mg/m、約600mg/m、約500mg/m、約400mg/m、約350mg/m、約300mg/m、約250mg/m、約225mg/m、約200mg/m、約175mg/m、約150mg/m、約140mg/m、約130mg/m、約125mg/m、約115mg/m、約100mg/m、約90mg/m、約95mg/m、約90mg/m、約85mg/m、約80mg/m、約75mg/m、約70mg/m、約65mg/m、約60mg/m、約50mg/m、約55mg/m、約45mg/m、約40mg/m、約35mg/m、約30mg/m、約25mg/m、約20mg/m、約15mg/m、約11mg/m、約10mg/m、約5mg/m、または約2mg/mである。ある実施形態では、本明細書において説明される方法のいずれかに従って投与されるDNAメチル化抑制剤の有効量は、約75mg/mである。ある実施形態では、約75mg/mの5-アザシチジンが投与される。
【0169】
投与
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物およびDNAメチル化抑制剤は、経口もしくは経直腸などの経腸投与のために任意の許容される方式によって、あるいは、皮下、筋肉内、静脈内、皮内経路などの非経口投与によって、患者または被験体(例えばヒト)に投与される。いくつかの実施形態では、注射は、ボーラス投与であるか、または持続注入もしくは間欠的注入によるものである。様々な実施形態において、式(I)の化合物およびDNAメチル化抑制剤の組み合わせは、急速に増殖する細胞、例えば癌性腫瘍など、に対して、正常な細胞に対してよりも、選択的に毒性もしくはより毒性である。
【0170】
本発明の化合物は、単独で、あるいは薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤と組み合わせた医薬組成物の形態において、投与することができる。本発明の化合物は、それ自身が有効である一方で、典型的には、それらの薬学的に許容される塩の形態において処方および投与されるが、これは、典型的には、これらの形態が、より安定で、より容易に結晶化され、ならびに増大した溶解性を有するためである。
【0171】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物およびDNAメチル化抑制剤は、投与の所望の方式に応じて製剤化された医薬組成物の形態において使用される。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、式(I)の化合物と、薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤とを含む。他の実施形態において、医薬組成物は、DNAメチル化抑制剤と、薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤とを含む。ある特定の実施形態において、医薬組成物は、式(I)の化合物と、DNAメチル化抑制剤と、少なくとも1種の薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤とを含む。ある特定の実施形態において、式(I)の化合物は、プラシノスタットである。ある特定の実施形態において、DNAメチル化抑制剤は、5-アザシチジンである。ある特定の実施形態において、DNAメチル化抑制剤は、5-アザデオキシシチジンである。
【0172】
本明細書において提供されるいくつかの実施形態は、薬学的に許容される滅菌水性溶液あるいは非水性溶液、分散剤、懸濁剤、またはエマルジョン、ならびに使用直前に滅菌注射液あるいは分散液へと再構築するための滅菌粉末、を含む、非経口注入のための医薬組成物について説明する。好適な水性担体および非水性担体、希釈剤、溶媒、またはビヒクルの非限定的な例としては、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、およびそれらの好適な混合物、植物油(例えば、オリーブ油)、ならびにオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルが挙げられる。いくつかの実施形態において、適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング材の使用によって、分散液の場合に必要とされる粒子径を維持することによって、ならびに界面活性剤の使用によって維持される。
【0173】
本明細書では、いくつかの実施形態において、保存料、湿潤剤、乳化剤、および分散剤などの補助剤を含有する組成物が提供される。いくつかの実施形態において、様々な抗細菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などが、微生物の作用を防ぐために含まれる。いくつかの実施形態において、当該医薬組成物は、糖、塩化ナトリウムなどの等張剤を含む。いくつかの実施形態において、注射可能な医薬形態の持続的吸収は、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどの吸収を遅らせる薬剤の含有によってもたらされる。
【0174】
いくつかの実施形態において、より効果的な分配のために、当該活性薬剤は、高分子マトリックス、リポソーム、およびミクロスフィアなどの徐放システムもしくは標的化送達システム中に組み入れられる。
【0175】
ある実施形態において、注入可能な製剤は、例えば、細菌保持フィルターを通したろ過によって、または使用直前に滅菌水または他の滅菌注射用媒体に溶解もしくは分散される滅菌固体組成物の形態において滅菌剤を組み込むことによって、滅菌される。
【0176】
経口投与用の固体剤形としては、カプセル剤、錠剤、丸剤、粉剤、および顆粒剤が挙げられる。そのような固体剤形において、活性化合物は、クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウムなどの少なくとも1種の不活性で薬学的に許容される賦形剤もしくは担体、および/またはa)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、およびケイ酸などの充填剤もしくは増量剤、b)カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、アカシアなどの結合剤、c)グリセロールなどの保湿剤、d)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモデンプンやタピオカデンプン、アルギン酸、ある種のシリケート、および炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、e)パラフィンなどの溶液遅延剤、f)四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、g)例えばセチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールなどの湿潤剤、h)カオリンやベントナイト粘土などの吸収剤、ならびにi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体のポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムなどの潤滑剤、およびこれらの混合物と混合される。カプセル剤、錠剤、および丸剤の場合、剤形には緩衝剤も含まれてもよい。
【0177】
いくつかの実施形態において、固体組成物は、ラクトースまたは乳糖などの賦形剤と高分子量ポリエチレングリコールなどとを使用した軟質および硬質充填ゼラチンカプセル中に充填剤を含む。
【0178】
いくつかの例において、錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸剤、および顆粒剤の固体投薬形態は、例えば、製薬分野において周知の腸溶性コーティングおよび他のコーティングなどのコーティング剤およびシェル剤を用いて調製される。いくつかの実施形態では、固形剤形は随意に乳白剤を含みのみ、又は様式において、腸管の特定の部分でのみ、または優先的に、随意に徐放式に、有効成分を放出する。使用することができる埋め込み用組成物の例は高分子物質とワックスを含んでいる。
【0179】
いくつかの実施形態では、化合物は、低速の放出または高分子マトリックス、リポソーム、およびミクロスフェアなどの標的送達システムへと組み込まれる。
【0180】
いくつかの例では、適切な場合、活性化合物は上述の賦形剤の1つ以上によってマイクロカプセル化された形態にある。
【0181】
経口投与用の液体剤形は、薬学的に許容可能なエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ剤、およびエリキシル剤を含む。いくつかの例では、前記液体剤形は、例えば水などの溶媒、可溶化剤および乳化剤、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、およびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにこれらの混合物など、当該技術分野で一般に使用される不活性希釈剤を含む。
【0182】
不活性希釈剤に加えて、前記経口組成物はさらに、湿潤剤、乳化および懸濁化剤、甘味料、香味料、および香料などのアジュバントを含んでもよい。
【0183】
いくつかの実施形態では、式(I)のいかなる化合物も、静脈内、皮下、または経口投与される。ある実施形態では、式(I)の化合物は経口投与される。ある具体的な実施形態では、プラシノスタットは経口投与される。ある具体的な実施形態では、プラシノスタットは静脈内投与される。
【0184】
いくつかの実施形態では、DNAメチル化抑制剤は、静脈内、皮下、または経口投与される。ある実施形態では、DNAメチル化抑制剤は静脈内投与される。他の実施形態では、DNAメチル化抑制剤は皮下投与される。ある実施形態では、5-アザシチジンは経口で投与される。他の特異的な実施形態では、5-アザシチジンは皮下投与される。ある具体的な実施形態では、5-アザデオキシシチジンは経口で投与される。他の具体的な実施形態では、5-アザデオキシシチジンは皮下投与される。
【0185】
本明細書に提供されるいくつかの実施形態は、式(I)の化合物およびDNAメチル化抑制剤を含む併用療法を記載し、ここで式(I)の化合物およびDNAメチル化抑制剤は、互いに組み合わせて投与される。いくつかの例では、式(I)の化合物およびDNAメチル化抑制剤は、同時に投与される。他の例では、式(I)の化合物およびDNAメチル化抑制剤は、順番に投与される。他の例では、式(I)の化合物およびDNAメチル化抑制剤は、同じ週内に投与される。
【0186】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、毎日、1日おき、1日おきで週3回、3日毎、4日毎、5日毎、6日毎、毎週、隔週、週3回、週4回、週5回、週6回、月1回、月2回、月3回、2か月毎に1回、3か月毎に1回、4か月毎に1回、5か月毎に1回、または6か月毎に1回、投与される。いくつかの実施形態では、DNAメチル化抑制剤は、毎日、1日おき、1日おきで週3回、3日毎、4日毎、5日毎、6日毎、毎週、隔週、週3回、週4回、週5回、週6回、月1回、月2回、月3回、2か月毎に1回、3か月毎に1回、4か月毎に1回、5か月毎に1回、または6か月毎に1回、投与される。
【0187】
いくつかの例では、式(I)の化合物またはDNAメチル化抑制剤は随意に継続的に与えられ;あるいは、投与される薬物の投与量は、一定期間にわたり一時的に減らされるか、または一時的に中止される(すなわち、休薬期間)。休薬日の長さは、ほんの一例として、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、12日、15日、20日、28日、35日、50日、70日、100日、120日、150日、180日、200日、250日、280日、300日、320日、350日、または365日を含む、2日と1年の間で随意に変動する。休薬期間中の投与量減少は10%~100%であり、例えばほんの一例として、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%である。
【0188】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物およびDNAメチル化抑制剤は、複数の化学療法サイクルにおいて投与される。いくつかの実施形態では、式(I)化合物およびDNAメチル化抑制剤は28日サイクルで投与される。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物およびDNAメチル化抑制剤は、少なくとも3サイクルの間投与される。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物およびDNAメチル化抑制剤は、少なくとも4サイクルの間投与される。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物およびDNAメチル化抑制剤は、少なくとも5サイクルの間投与される。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物およびDNAメチル化抑制剤は、少なくとも6サイクルの間投与される。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物およびDNAメチル化抑制剤は、少なくとも7サイクルの間投与される。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物およびDNAメチル化抑制剤は、少なくとも8サイクルの間投与される。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物およびDNAメチル化抑制剤は、少なくとも9サイクルの間投与される。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物およびDNAメチル化抑制剤は、少なくとも10サイクルの間投与される。
【0189】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物およびDNAメチル化抑制剤は、完全寛解(CR)が観察されるまで投与される。
【0190】
いくつかの例では、式(I)の化合物は、3週間の間、毎週3日、1日につき一度、経口投与され、その後1数週間の休止を設ける。毒性のために遅延されない限り、処置のサイクルは28日ごとに繰り返される。
【0191】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物の連続する2回の投与の投与間隔は、約48時間である。
【0192】
いくつかの実施形態では、後のサイクルにおいて(例えば、4サイクルの後)、式(I)の化合物45mgは患者に、各28日間サイクルの2週間の間、毎週3日、患者に経口投与される。いくつかの実施形態では、投与中断は、疲労、GI毒性、または骨髄抑制などの毒性を管理するために許可される。
【0193】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載された方法は、DNAメチル化抑制剤を75mg/mで、各28日サイクルの7日間、患者に投与することを含む。いくつかの実施形態では、以下の2つのスケジュールのうちの1つにおいて、SC注射剤が許容されない場合、SC注射またはIV注入による投与を行なう:
スケジュール1 - 1日目から7日目まで、毎日の治療;または、
スケジュール2 - DNAメチル化抑制剤は、各28日サイクルの、連続する5日間(第1日目から5日目)患者に投与され、6日目と7日目に休止し、および、DNAメチル化抑制剤の投与を次週の最初の2日(8日目と9日目)に再開する、5-2-2スケジュール。
【0194】
ある実施形態では、患者における高リスクの、または非常に高リスクの骨髄異形成症候群(MDS)を処置する方法は、患者に(i)約75mg/mの5-アザシチジン(アザシチジン)と、(ii)約45mgのプラシノスタット、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグとを投与する工程を含み、ここで、5-アザシチジン(アザシチジン)は、各28日間サイクルの7日間、静脈内または皮下投与され、プラシノスタットは、28日サイクルにわたって3週間連続して毎週3日間、経口投与され、その後1週間休止が設けられる。さらなる、または付加的な実施形態では、併用療法(5-アザシチジン(アザシチジン)とプラシノスタット、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグ)は、少なくとも3サイクルの間、施される。さらなる、または付加的な実施形態では、併用療法(5-アザシチジン(アザシチジン)とプラシノスタット、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグ)は、少なくとも4サイクルの間、施される。さらなる、または付加的な実施形態では、併用療法(5-アザシチジン(アザシチジン)とプラシノスタット、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグ)は、少なくとも5サイクルの間、施される。さらなる、または付加的な実施形態では、併用療法(5-アザシチジン(アザシチジン)とプラシノスタット、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグ)は、少なくとも6サイクルの間、施される。さらなる、または付加的な実施形態では、併用療法(5-アザシチジン(アザシチジン)とプラシノスタット、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグ)は、少なくとも3サイクルの間、施され、その後、少なくとも1つの28日サイクルにわり、2週間連続して毎週3日間、プラシノスタット、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグをさらに投与し、その後、2週間の休止を設ける。
【0195】
ある実施形態では、患者における非常に高リスクの骨髄異形成症候群(MDS)を処置する方法は、患者に(i)約75mg/mの5-アザシチジン(アザシチジン)と、(ii)約45mgのプラシノスタット、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグとを投与する工程を含み、ここで、5-アザシチジン(アザシチジン)は、各28日間サイクルの7日間、静脈内または皮下投与され、プラシノスタットは、28日サイクルにわたって3週間連続して毎週3日間、経口投与され、その後1週間休止が設けられる。さらなる、または付加的な実施形態では、併用療法(5-アザシチジン(アザシチジン)とプラシノスタット、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグ)は、少なくとも3サイクルの間、施される。さらなる、または付加的な実施形態では、併用療法(5-アザシチジン(アザシチジン)とプラシノスタット、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグ)は、少なくとも4サイクルの間、施される。さらなる、または付加的な実施形態では、併用療法(5-アザシチジン(アザシチジン)とプラシノスタット、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグ)は、少なくとも5サイクルの間、実施される。さらなる、または付加的な実施形態では、併用療法(5-アザシチジン(アザシチジン)とプラシノスタット、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグ)は、少なくとも6サイクルの間、施される。さらなる、または付加的な実施形態では、併用療法(5-アザシチジン(アザシチジン)とプラシノスタット、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグ)は、少なくとも3サイクルの間、施され、その後、少なくとも1つの28日サイクルにわり、2週間連続して毎週3日間、プラシノスタット、またはその薬学的に許容可能な塩、同位体変異体、あるいはプロドラッグをさらに投与し、その後、2週間の休止を設ける。
【0196】
本明細書に提供されるいくつかの実施形態は、化学療法薬である1以上の付加的薬品(複数可)またはHDAC阻害剤または上記障害/疾患の処置のための手順(例えば、手術、放射線療法)と組み合わせて使用または投与される併用療法を記載する。いくつかの実施形態では、付加的な薬品は同じ調合物、または別々の調合物において投与される。いくつかの実施形態では、別々の調合物において投与される場合、併用療法は付加的な薬品と順番に、または同時に(複合成分製剤として)投与される。
【0197】
キット
本明細書に提供されるいくつかの実施形態は、式(I)の化合物で満たされた1つ以上の容器、およびDNAメチル化抑制剤で満たされた1つ以上の容器を含む製薬のパックまたはキットを記載する。いくつかの実施形態では、キットは、式(I)の化合物およびDNAメチル化抑制剤で満たされた1つの容器を含む。いくつかの実施形態では、キットは、薬剤の単位投与量を有する容器を含む。ある実施形態では、キットは、式(I)の化合物およびDNAメチル化抑制剤を含む1つ以上の組成物(凍結乾燥された組成物を含む)を含み、それは、使用に先立ってさらに薄めることができるか、または使用の濃度で提供される場合があり、ここでバイアルは1回以上の投与量を含んでもよい。好都合に、キットにおいて、医師がバイアルを直接利用できるように、滅菌したバイアル中に単一の投与量が提供されてもよく、ここで、バイアルは所望の量および濃度の薬剤を有する。使用のための指示、または医薬品または生物学的製品の製造、使用、あるいは販売を統制する政府機関によって決められた書式の、ヒトへの投与についてのその政府機関による製造、使用、または販売の承認を表わす通知などの、様々な書面資材がそのような容器に添えられてもよい。
【0198】
いくつかの実施形態では、キットは、3-[2-ブチル-1-(2-ジエチルアミノ-エチル)-1H-ベンゾイミダゾール-5-イル]-N-ヒドロキシ-アクリルアミドおよび5-アザシチジンで満たされた容器を含む。他の実施形態において、キットは、3-[2-ブチル-1-(2-ジエチルアミノ-エチル)-1H-ベンゾイミダゾール-5-イル]-N-ヒドロキシ-アクリルアミドおよび5-アザデオキシシチジンで満たされた容器を含む。いくつかの実施形態では、キットは、3-[2-ブチル-1-(2-ジエチルアミノ-エチル)-1H-ベンゾイミダゾール-5-イル]-N-ヒドロキシ-アクリルアミドで満たされた1つ以上の容器、および5-アザシチジンで満たされた1つ以上の容器を含む。他の実施形態において、キットは、3-[2-ブチル-1-(2-ジエチルアミノ-エチル)-1H-ベンゾイミダゾール-5-イル]-N-ヒドロキシ-アクリルアミドで満たされた1つ以上の容器、および5-アザデオキシシチジンで満たされた1つ以上の容器を含む。
【実施例
【0199】
実施例1:以前にメチル化抑制剤によって処置されていないIPSS-Rが高リスクおよび非常に高リスクの骨髄異形成症候群がある患者における、プラシノスタットおよびアザシチジンのヒト臨床試験
研究設計
これは、複数医療機関による、非盲検の、2ステージ設計の、24のサイトで行なわれる第2相の研究である。
【0200】
40人にのぼる被験体がステージ1に登録する計画であり、および、登録された者は、3週間連続して毎週3日、45mgのプラシノスタットで処置され、その後、1週間の休止が設けられ、それと一緒に、各28日サイクル中の7日間、AZAが75mg/mで投与された。
【0201】
治験薬は、奏効の不足による早期中断(6か月未満)を回避しながら、疾患の進行、許容不能な毒性、または同種幹細胞移植(SCT)のための紹介まで投与された。鍵となる包含基準
・ 年齢65歳であり、WHOの分類に従って組織学的に又は細胞学的にMDSと証明されている
・ IPSS-Rに従って高リスクまたは非常に高リスクのMDSとして分類されている。
・ CMML-1およびCMML-2亜型は包含される
・ 1日目に先立つ28日内の骨髄生検および/または骨髄穿刺
・ Eastern Cooperative Oncology Group (ECOG)のパフォーマンススコアが0~2
・ 以前にHMAにより処置されたことがない(輸液剤、造血生長因子、または免疫抑制療法を用いた先行治療は許可される)、およびAZAによる処置についての臨床的指示がある
鍵となる除外基準
・ 骨髄芽球が20%以上で、急性骨髄性白血病(AML)の診断を示している
・ 登録前の14日または5半減期以内に何らかの治験薬;研究の処置の1日目に先立つ48時間内にヒドロキシ尿素;または、研究登録前の少なくとも7日に造血成長因子:エリスロポエチン、果粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、顆粒球マクロファージ・コロニー刺激因子(GM-CSF)、またはトロンボポイエチン受容体アゴニスト(Aranesp(登録商標)については14日)を摂取
・ 最初の研究処置に先立つ28日以内に大手術
・ 処置を必要とする現在の不安定な不整脈、徴候性うっ血性心不全(New York Heart Association[NYHA]でクラスIIIまたはIV)の病歴、登録の6か月以内の心筋梗塞の病歴、または現在不安定な狭心症
・ MDSに対するHDAC阻害剤またはHDAC阻害剤としての有意な作用がある治験薬での先行処置
【0202】
結果
拡張のための中間解析は2018年5月に実行された;40人の患者が登録され、および1用量以上の治験薬を摂取し、そのうち20人の患者が評価可能であるとみなされ、3サイクル以上の治療を受け、または、サイクル4の開始に先立って有害事象のために治験薬を中止した。
【0203】
2/20(10%)は、最初の3サイクルにおいて有害事象のために中断したが、そのうち1人は、好中球減少の熱のため、1サイクルの後に、および、別の1人は、細菌性の食道炎と好中球減少の熱のため、2サイクルの後に、であった。
【0204】
18の被験体において、2サイクル以上の終わりに奏効評価のために評価可能であり、ORRは28%だったの被験体において、(1人は完全奏効、4人は部分奏効)。
【0205】
この10%の早期中断率は、拡張について事前計画された中間解析の閾値に合致し、IDMCは、ステージ2までの拡張を認可した。
【0206】
ベースライン特性
2017年6月から2018年10月の間に、合計55の患者が17の米国の医療機関にて登録され、1用量以上の研究処置を受けた。患者の多数(64%)は男性であり、年齢の中央値は68歳だった。診断からの時間の中央値は1ヶ月であり、また、患者は全般的に高リスク-MDSと非常に高リスク-MDSとの間で分割された。
【0207】
患者素因
2018年10月25日の時点で、23人の患者(42%)が治験薬を中断した(表1)。
【0208】
5人の患者(9%)が、有害事象のため中断し、そのうち2人(4%)は、早期中断(最初の3か月/サイクル以内)と見なされた。
【0209】
32人の継続中の患者(58%)については、治療の持続期間の中央値は4.7か月だった(0.5~13ヶ月の範囲におよんだ)。14の患者(25%)は、6サイクルより多く治療を受けた。
【0210】
【表2】
【0211】
安全性
最も頻繁な非血液学的AEは、便秘(49%)、吐き気(47%)、疲労(35%)、および食欲不振(35%)であり;最も頻繁な血液学的AEは、発熱性好中球減少症(40%)、および貧血(35%)(表2)だった。
【0212】
【表3】
【0213】
先行研究において早期中断を引き起こした重大有害事象の頻度は、現在の研究において、ほとんどのAEに関してより低かった(表3)。
【0214】
【表4】
【0215】
死亡
9人の患者(16%)は死亡し、5人はPD(進行性の疾患)のため、および4人はAE(有害事象)のためであり;このうち、5人(9%)は研究中に、または治験薬を中断して28日以内に死亡した(2人はPDにより、3人はAEによる)。
【0216】
2人の患者は研究の最初の2ヶ月中に死亡し、60日間の全ての原因の死亡率は3.6%だった。
【0217】
有効性
2018年10月25日の時点で、45人の患者が奏効について評価可能と見なされ、ORR(全奏効率)は29%(表4)だった。
【0218】
【表5】
【0219】
高リスク/非常に高リスクのMDSに患者におけるプラシノスタット+ AZAの有効性および安全性を評価するこの研究は、プラシノスタットの45mgのより低い投与量は、先行研究において評価された60mgの投与量よりよく許容されることを示した。
【0220】
先行研究において早期中断を引き起こした有害事象の頻度は、現在の研究において、非血液学的な事象についてはより低く、および、血液学的な事象については少なくとも同等であり;この研究における患者が先行研究より高リスクのMDSだったことは注目すべきである。
【0221】
4%の最初の3か月における有害事象による中断率は、の率が先行研究において報告された中断率26%より(Garcia-Manero G, et al. Cancer 2017)、および、AZAだけを用いた先行研究において報告されたものに対して、かなり低い。
【0222】
完全寛解率は29%だった。
【0223】
中間解析は2019年7月1日に行なわれた。64人の患者が登録され、治験薬の受け入れられる1用量以上の投与を受けた。
【0224】
疾患の特徴
【0225】
【表6】
【0226】
患者素因
2019年7月1日の時点で、39の患者(61%)が治験薬(表5)を中止した。
【0227】
【表7】
【0228】
有効性
International Working Group(IWG)の基準により分類された最良奏効は表6に示され、および、細胞系統ごとの血液学的改善は表7に示される。
【0229】
【表8】
【0230】
【表9】
【0231】
実施例2:他のAZA研究との比較
プラシノスタット+アザシチジンを用いた処置後の全生存率(図1)は、研究#1(および図2)、研究#2(および図3)、研究#3(および図4)、および、研究#4(および図5)において見られるように、他の処置と比較された。
【0232】
研究#1:アザシチジン単独の、またはレナリドマイドあるいはボリノスタットと組み合わせた、より高リスクの骨髄異形成症候群および慢性骨髄単球性白血病におけるランダム化第2相研究:North American Intergroup Study SWOG S1117(Sekeres et al, JCO 2017)
【0233】
【表10】
【0234】
研究#2:MDSに関するAZA対従来医療の第3相研究(Fenaux et al,Lancet Haematol 2009)
【0235】
【表11】
【0236】
研究#3:AMLおよび高リスクのMDSにおける、パノビノスタットおよびアザシチジンによる2重エピジェネティックターゲティング(Tan et al, Blood Cancer J 2014)
【0237】
【表12】
【0238】
研究#4:MDSおよび脊髄形成異常関連の変化があるAMLのための、エンチノスタット(Entinostat)を伴う、または伴わないアザシチジンの長期投与:Results of the US Leukemia Intergroup Trial E1905 (Prebet, JCO 2014)
【0239】
本発明の好ましい実施形態が本明細書中で示され且つ記載されてきたが、このような実施形態はほんの一例として提供されるものであることは、当業者に明らかであろう。多数の変形、変更、および置き換えは、本発明から逸脱することなく、当業者によって現在想到されるものである。本明細書に記載される本発明の実施形態の様々な代案が、本発明の実施に利用可能であることを理解されたい。以下の特許請求の範囲は本発明の範囲を定義するものであり、この特許請求の範囲およびその同等物の範囲内の方法と構造は、それにより包含されることが、意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】