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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-01
(54)【発明の名称】祖先特異的な遺伝リスクスコア
(51)【国際特許分類】
   G16B 20/40 20190101AFI20220125BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20220125BHJP
   C12Q 1/6874 20180101ALN20220125BHJP
【FI】
G16B20/40
C12N15/09 200
C12Q1/6874 Z ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021529690
(86)(22)【出願日】2019-10-31
(85)【翻訳文提出日】2021-07-23
(86)【国際出願番号】 IB2019001179
(87)【国際公開番号】W WO2020109858
(87)【国際公開日】2020-06-04
(31)【優先権主張番号】62/772,565
(32)【優先日】2018-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/216,940
(32)【優先日】2018-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVASCRIPT
2.SMALLTALK
3.VISUAL BASIC
(71)【出願人】
【識別番号】521225258
【氏名又は名称】アジア ゲノミクス ピーティーイー.エルティーディー.
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】ウォン,ムン,ユー
(72)【発明者】
【氏名】ハー,ジア,イ
(72)【発明者】
【氏名】ウン,ポーリーン,シー.
(72)【発明者】
【氏名】オン,チュン,メン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァレンズエラ,ロバート,キームス
(72)【発明者】
【氏名】シュリダール,ヴィシュウェシュワラン
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA08
4B063QA20
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QX10
(57)【要約】
【解決手段】本明細書には、個体が自身の祖先を元に特異的な特徴を発達させる可能性を表す遺伝リスクスコア(GRS)を算出するための方法とシステムが開示される。また、前記特徴に関する個体のGRSに基づき、特異的な特徴に関連する行動を改善するための推奨を前記個体に提供する方法とシステムも提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータにより実施される方法であって、該方法は、
a)個体の遺伝子型を解析する距離ベースまたはモデルベースのコンピュータプログラムを用いて前記個体の祖先を割り当てる工程であって、前記遺伝子型は個体特異的な1つ以上の遺伝的変異を含む、工程と、
b)前記個体の遺伝子型から、特異的な表現型特徴に関連する祖先特異的な変異を検出する工程であって、前記祖先特異的な変異は、
i)個体の遺伝子型から検出可能な個体特異的な遺伝的変異、または
ii)前記個体と同じ祖先を持つ個体の対照群を用いて求められる、フェージングされた祖先特異的ハプロタイプから失われた前記個体特異的な遺伝的変異を補完することで求められるような、前記個体特異的な遺伝的変異を伴う連鎖不平衡(LD)における遺伝的変異
に相当する、工程と、
c)前記(b)で検出した祖先特異的変異に基づき前記個体の遺伝リスクスコア(GRS)を算出する工程であって、該GRSは、前記個体が前記特異的な表現型特徴を持つかまたはこれを発達させる可能性を示すものである、工程と
を含む、方法。
【請求項2】
前記祖先特異的な遺伝的変異と前記個体特異的な遺伝的変異が、一塩基変異(SNV)、コピー数変異(CNV)、およびインデルからなる群から選択される、請求項1に記載のコンピュータにより実施される方法。
【請求項3】
前記(ii)における補完が、
a)フェージングされた祖先特異的ハプロタイプを前記個体の祖先に基づき生成するために、前記個体からフェージングされていない遺伝子型データをフェージングすること、および
b)前記個体特異的な遺伝的変異を伴うLD中の遺伝的変異を選択するために、前記個体と同じ祖先を持つ前記対照群のフェージングされたハプロタイプデータを用いて、前記フェージングされた祖先特異的ハプロタイプに存在しない個体特異的遺伝子型を補完すること
を含む、請求項1に記載のコンピュータにより実施される方法。
【請求項4】
前記LDは、少なくとも約0.80を含むD’値、または少なくとも0.80を含むr2値により定められる、請求項1に記載のコンピュータにより実施される方法。
【請求項5】
前記特異的な特徴が、栄養特徴、臨床的特徴、亜臨床的特徴、運動特徴、皮膚特徴、アレルギー特徴、あるいは精神特徴、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のコンピュータにより実施される方法。
【請求項6】
前記個体の遺伝子型は、前記個体から得た遺伝子材料を遺伝子型決定アッセイにかけること、またはかけられたことにより得られる、請求項1に記載のコンピュータにより実施される方法。
【請求項7】
前記遺伝子型決定アッセイは、デオキシリボ核酸(DNA)アレイ、リボ核酸(RNA)アレイ、シーケンシングアッセイ、またはそれらの組み合わせを含む、請求項6に記載のコンピュータにより実施される方法。
【請求項8】
前記距離ベースのコンピュータプログラムは主成分分析であり、前記モデルベースのコンピュータプログラムは最尤推定法またはベイズ法である、請求項1に記載のコンピュータにより実施される方法。
【請求項9】
前記祖先特異的変異に基づく前記個体のGRSは、祖先特異的でない変異に基づく前記個体の対応するGRSよりも正確である、請求項1に記載のコンピュータにより実施される方法。
【請求項10】
前記個体の特異的な表現型特徴に関するGRSを含む通知を提供する工程をさらに含む、請求項1に記載のコンピュータにより実施される方法。
【請求項11】
前記通知はさらに、前記特異的な表現型特徴に関するGRSに基づく前記個体に対する行動推奨を含む、請求項10に記載のコンピュータにより実施される方法。
【請求項12】
前記特異的な表現型特徴に関連する行動改善は、運動のパフォーマンス、薬物、ビタミン、あるいはサプリメントの摂取、製品への暴露、製品の使用、食事改善、睡眠改善、アルコール消費、またはカフェイン消費を含む、活動の増加、減少、または回避を含む、請求項11に記載のコンピュータにより実施される方法。
【請求項13】
システムであって、該システムは、少なくとも1つのプロセッサと、メモリと、ソフトウェアプログラムとを含むコンピューティングデバイスを備えており、前記ソフトウェアプログラムは、個体が特異的な表現型特徴を有するかまたはこれを発達させる可能性を評価するべく少なくとも1つのプロセッサにより実行可能な命令を含んでおり、前記命令は、
a)個体の遺伝子型を解析する距離ベースまたはモデルベースのコンピュータプログラムを用いて前記個体の祖先を割り当てる工程であって、前記遺伝子型は個体に特異的な1つ以上の遺伝的変異を含む、工程と、
b)前記個体の遺伝子型から、特異的な表現型特徴に関連する祖先特異的な変異を検出する工程であって、前記祖先特異的な変異は、
i)個体の遺伝子型から検出可能な個体特異的な遺伝的変異、または
ii)前記個体と同じ祖先を持つ個体の対照群を用いて求められる、フェージングされた祖先特異的ハプロタイプから失われた前記個体特異的な遺伝的変異を補完することで求められるような、前記個体特異的な遺伝的変異を伴う連鎖不平衡(LD)における遺伝的変異
に相当する、工程と、
c)前記(b)で検出した祖先特異的変異に基づき前記個体の遺伝リスクスコア(GRS)を算出する工程であって、該GRSは、前記個体が前記特異的な表現型特徴を持つかまたはこれを発達させる可能性を示すものである、工程と
を含む、システム。
【請求項14】
前記祖先特異的な遺伝的変異と前記個体特異的な遺伝的変異が、一塩基変異(SNV)、コピー数変異(CNV)、およびインデルからなる群から選択される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記(2)における補完が、
a)フェージングされた祖先特異的ハプロタイプを前記個体の祖先に基づき生成するために、前記個体からフェージングされていない遺伝子型データをフェージングすること、および
b)前記個体特異的な遺伝的変異を伴うLD中の遺伝的変異を選択するために、前記個体と同じ祖先を持つ前記対照群のフェージングされたハプロタイプデータを用いて、前記フェージングされた祖先特異的ハプロタイプに存在しない個体特異的遺伝子型を補完すること
を含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記LDは、少なくとも約0.80を含むD’値、または少なくとも0.80を含むr2値により定められる、請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
前記特異的な特徴が、栄養特徴、臨床的特徴、亜臨床的特徴、運動特徴、皮膚特徴、アレルギー特徴、または精神特徴を含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項18】
遺伝子型決定アッセイをさらに含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項19】
前記遺伝子型決定アッセイは、デオキシリボ核酸(DNA)アレイ、リボ核酸(RNA)アレイ、シーケンシングアッセイ、またはそれらの組み合わせを含む、請求項18にシステム。
【請求項20】
前記距離ベースのコンピュータプログラムは主成分分析であり、前記モデルベースのコンピュータプログラムは最尤推定法またはベイズ法である、請求項13に記載のシステム。
【請求項21】
前記祖先特異的変異に基づく前記個体のGRSは、祖先特異的でない変異に基づく前記個体の対応するGRSよりも正確である、請求項13に記載のシステム。
【請求項22】
前記特異的な表現型特徴に関する前記個体のGRSを含むレポートを作成するように構成された報告モジュールをさらに備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項23】
前記個体へのレポートを表示するように構成される出力モジュールをさらに備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項24】
前記レポートは、前記個体が特異的な特徴を有するかまたはこれを発達させるリスクを含む、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記レポートはさらに、前記特異的な表現型特徴に関するGRSに基づく前記個体に対する行動の推奨を含む、請求項23に記載のシステム。
【請求項26】
前記特異的な表現型特徴に関連する行動改善は、運動のパフォーマンス、薬物、ビタミン、あるいはサプリメントの摂取、製品への暴露、製品の使用、食事改善、睡眠改善、アルコール消費、またはカフェイン消費を含む、活動の増加、減少、または回避を含む、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記(c)で算出されたGRSに基づき、行動改善または製品を前記個体に推奨するための、請求項13に記載のシステムの使用。
【請求項28】
少なくとも1つのプロセッサに請求項1に記載の工程を実行させるように構成される、コンピュータにより実行可能なコードを備えている、非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項29】
個体の祖先に基づき、前記個体が特異的な表現型特徴を有するかまたはこれを発達させる可能性を判定する、コンピュータにより実施される方法であって、該方法は、
a)前記個体の遺伝子型を解析する距離ベースまたはモデルベースのコンピュータプログラムを用いて前記個体の祖先を割り当てる工程であって、前記遺伝子型は個体に特異的な1つ以上の遺伝的変異を含む、工程と、
b)前記個体の祖先に少なくとも部分的に基づいて、前記個体と同じ祖先を持つ被験者(被験者群)から得た祖先特異的な遺伝的変異を含む特徴関連変異のデータベースから、1つ以上の祖先特異的な遺伝的変異を選択する工程と
を含み、前記1つ以上の祖先特異的な遺伝的変異の各々は、
i)1つ以上の個体特異的な遺伝的変異のうち1つの個体特異的な遺伝的変異、または
ii)前記個体と同じ祖先を持つ被験者集団における1つ以上の個体特異的な遺伝的変異のうち1つの個体特異的な遺伝的変異を伴う連鎖不平衡(LD)における所定の遺伝的変異
に相当し、前記所定の遺伝的変異は、
1)フェージングされた個体特異的ハプロタイプを前記個体の祖先に基づき生成するために、前記個体からフェージングされていない遺伝子型データをフェージングすること、
2)前記個体と同じ祖先を持つ対照群からのフェージングされたハプロタイプデータを使用して、前記フェージングされた個体特異的ハプロタイプに存在しない個体特異的遺伝子型を補完すること、
3)前記個体が特異的な表現型特徴を有するかまたはこれを発達させる可能性に関連するとともに前記1つ以上の祖先特異的変異に対応する個体特異的な遺伝的変異に一致する、補完された個体特異的な遺伝子型からの遺伝的変異を選択することであって、前記1つ以上の祖先特異的な遺伝的変異の各々と、前記1つ以上の個体特異的な遺伝的変異の各々は、1つ以上のリスク単位を含む、選択すること、および
4)選択された1つ以上の祖先特異的な遺伝的変異に基づき前記個体に関する遺伝リスクスコアを算出することであって、前記遺伝リスクスコアは、前記個体が前記特異的な表現型特徴を有するかまたはこれを発達させる可能性を示すものである、算出すること
により、予め決定される、方法。
【請求項30】
前記1つ以上の祖先特異的な遺伝的変異、前記1つ以上の個体特異的な遺伝的変異、および前記1つ以上の個体特異的な遺伝的変異を伴うLDにおける遺伝的変異は、一塩基変異(SNV)、インデル、および/またはコピー数変異(CNV)を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記SNVの1つ以上のリスク単位がリスクアレルを含み、前記インデルの1つ以上のリスク単位が前記ヌクレオチドの存在(I)または欠如(D)を含み、前記CNVの1つ以上のリスク単位が核酸配列の挿入または欠失を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記個体が前記特異的な表現型特徴を有するかまたはこれを発達させるリスクを含む通知を前記個体に提供する工程をさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記特異的な表現型特徴が、栄養特徴、臨床的特徴、亜臨床的特徴、運動特徴、皮膚特徴、毛髪特徴、アレルギー特徴、または精神特徴を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
前記通知はさらに、前記特異的な表現型特徴に関連する行動改善に関する推奨を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記特異的な表現型特徴に関連する行動改善は、運動のパフォーマンス、薬物、ビタミン、あるいはサプリメントの摂取、製品への暴露、製品の使用、食事改善、睡眠改善、アルコール消費、またはカフェイン消費を含む、活動の増加、減少、または回避を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記距離ベースのコンピュータプログラムは主成分分析であり、前記モデルベースのコンピュータプログラムは最尤推定法またはベイズ法である、請求項29に記載の方法。
【請求項37】
健康報告システムであって、該健康報告システムは、
a)少なくとも1つのプロセッサと、メモリと、ソフトウェアプログラムとを含むコンピューティングデバイス
を備えており、前記ソフトウェアプログラムは、個体が特異的な表現型特徴を有するかまたはこれを発達させる可能性を評価するべく少なくとも1つのプロセッサにより実行可能な命令を含んでおり、前記命令は、
i)前記個体の遺伝子型を解析する距離ベースまたはモデルベースのコンピュータプログラムを用いて前記個体の祖先を割り当てる工程であって、前記遺伝子型は個体に特異的な1つ以上の遺伝的変異を含む、工程と、
ii)前記個体の祖先に少なくとも部分的に基づいて、前記個体と同じ祖先を持つ被験者(被験者群)から得た祖先特異的な遺伝的変異を含む特徴関連変異のデータベースから、1つ以上の祖先特異的な遺伝的変異を選択する工程と
を含み、前記1つ以上の祖先特異的な遺伝的変異の各々は、
1)1つ以上の個体特異的な遺伝的変異のうち1つの個体特異的な遺伝的変異、または
2)前記個体と同じ祖先を持つ被験者集団における1つ以上の個体特異的な遺伝的変異のうち1つの個体特異的な遺伝的変異を伴う連鎖不平衡(LD)における所定の遺伝的変異
に相当し、前記所定の遺伝的変異は、
a)フェージングされた個体特異的ハプロタイプを前記個体の祖先に基づき生成するために、前記個体からフェージングされていない遺伝子型データをフェージングすること、
b)前記個体と同じ祖先を持つ対照群からのフェージングされたハプロタイプデータを使用して、前記フェージングされた個体特異的ハプロタイプに存在しない個体特異的遺伝子型を補完すること、
c)前記個体が特異的な表現型特徴を有するかまたはこれを発達させる可能性に関連するとともに前記1つ以上の祖先特異的変異に対応する個体特異的な遺伝的変異に一致する、補完された個体特異的な遺伝子型からの遺伝的変異を選択することであって、前記1つ以上の祖先特異的な遺伝的変異の各々と、前記1つ以上の個体特異的な遺伝的変異の各々は、1つ以上のリスク単位を含む、選択すること、および
d)選択された1つ以上の祖先特異的な遺伝的変異に基づき前記個体に関する遺伝リスクスコアを算出することであって、前記遺伝リスクスコアは、前記個体が前記特異的な表現型特徴を有するかまたはこれを発達させる可能性を示すものである、算出すること
により、予め決定され、
前記健康報告システムはさらに、
b)前記特異的な表現型特徴に関する個体の遺伝リスクスコアを含むレポートを作成するように構成された報告モジュールと、
c)前記レポートを前記個体に表示するように構成された出力モジュールと
を備えている、健康報告システム。
【請求項38】
前記1つ以上の祖先特異的な遺伝的変異、前記1つ以上の個体特異的な遺伝的変異、および前記1つ以上の個体特異的な遺伝的変異を伴うLDにおける遺伝的変異は、一塩基変異(SNV)、インデル、および/またはコピー数変異(CNV)を含む、請求項37に記載の健康報告システム。
【請求項39】
前記SNVの1つ以上のリスク単位がリスクアレルを含み、前記インデルの1つ以上のリスク単位が前記ヌクレオチドの挿入(I)または欠失(D)を含み、前記CNVの1つ以上のリスク単位が核酸配列の挿入または欠失を含む、請求項38に記載の健康報告システム。
【請求項40】
前記レポートはさらに、前記特異的な表現型特徴に関連する行動改善に関する推奨を含む、請求項37に記載の健康報告システム。
【請求項41】
前記特異的な表現型特徴が、栄養特徴、臨床的特徴、亜臨床的特徴、運動特徴、皮膚特徴、毛髪特徴、アレルギー特徴、または精神特徴を含む、請求項37に記載の健康報告システム。
【請求項42】
前記レポートにアクセスするためにコンピュータネットワークを介して前記出力モジュールと通信するように構成されるアプリケーションを備えた、個人用電子デバイスをさらに備えている、請求項37に記載の健康報告システム。
【請求項43】
前記距離ベースのコンピュータプログラムは主成分分析であり、前記モデルベースのコンピュータプログラムは最尤推定法またはベイズ法である、請求項37に記載の健康報告システム。
【請求項44】
少なくとも1つのプロセッサに工程を実行させるように構成されるコンピュータにより実行可能なコードを備えている、非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、前記工程は、
a)前記個体の遺伝子型を解析する距離ベースまたはモデルベースのコンピュータプログラムを用いて前記個体の祖先を割り当てる工程であって、前記遺伝子型は個体に特異的な1つ以上の遺伝的変異を含む、工程と、
b)前記個体の祖先に少なくとも部分的に基づいて、前記個体と同じ祖先を持つ被験者(被験者群)から得た祖先特異的な遺伝的変異を含む特徴関連変異のデータベースから、1つ以上の祖先特異的な遺伝的変異を選択する工程と
を含み、前記1つ以上の祖先特異的な遺伝的変異の各々は、
i)1つ以上の個体特異的な遺伝的変異のうち1つの個体特異的な遺伝的変異、または
ii)前記個体と同じ祖先を持つ被験者集団における1つ以上の個体特異的な遺伝的変異のうち1つの個体特異的な遺伝的変異を伴う連鎖不平衡(LD)における所定の遺伝的変異
に相当し、前記所定の遺伝的変異は、
1)フェージングされていない遺伝子型データを前記個体から提供すること、
2)フェージングされた特異的ハプロタイプを前記個体の祖先に基づき生成するために、前記フェージングされていない遺伝子型データをフェージングすること、
3)前記個体と同じ祖先を持つ対照群からのフェージングされたハプロタイプデータを使用して、前記フェージングされた個体特異的ハプロタイプに存在しない個体特異的遺伝子型を補完すること、および
4)前記個体が特異的な表現型特徴を有するかまたはこれを発達させる可能性に関連する個体特異的な遺伝的変異に一致する、補完された個体特異的遺伝子型からの遺伝的変異を選択すること
により予め決定され、
前記工程はさらに、
c)選択された1つ以上の祖先特異的な遺伝的変異に基づき前記個体に関する遺伝リスクスコアを算出する工程であって、前記遺伝リスクスコアは、前記個体が前記特異的な表現型特徴を有するかまたはこれを発達させる可能性を示すものである、工程
を含む、非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項45】
前記1つ以上の祖先特異的な遺伝的変異、前記1つ以上の個体特異的な遺伝的変異、および前記1つ以上の個体特異的な遺伝的変異を伴うLDにおける遺伝的変異は、一塩基変異(SNV)、インデル、および/または、コピー数変異(CNV)を含む、請求項44に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項46】
前記1つ以上の祖先特異的な遺伝的変異の各々と、前記個体特異的な遺伝的変異の各々は、1つ以上のリスク単位を含み、ここで、前記SNVの1つ以上のリスク単位がリスクアレルを含み、前記インデルの1つ以上のリスク単位がヌクレオチドの挿入(I)または欠失(D)を含み、前記CNVの1つ以上のリスク単位が核酸配列の挿入または欠失を含む、請求項45に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項47】
前記工程は、前記個体が前記特異的な表現型特徴を有するかまたはこれを発達させる可能性を含む通知を前記個体に提供する工程をさらに含む、請求項46に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項48】
前記特異的な表現型特徴が、栄養特徴、臨床的特徴、亜臨床的特徴、運動特徴、皮膚特徴、毛髪特徴、アレルギー特徴、または精神特徴を含む、請求項47に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2018年11月28日出願の米国仮特許出願第62/772,565号、および2018年12月11日出願の米国特許出願第16/216,940号に基づく利益を主張するものであり、これら出願は全体を参照することで本明細書に引用される。
【0002】
配列表
本出願は、全体を参照することで本明細書に引用される配列表を包含している。2019年10月28日作成のASCIIコピーは、55075-701_601_SL.txtと命名され、47.9KBのサイズである。
【発明の概要】
【0003】
ゲノムワイド関連研究(GWAS)により科学者らは、広範囲の表現型特徴に関連付けられる遺伝的変異を特定できるようになった。個体から得た試料に検出されるある遺伝的変異の存在に基づき前記個体がある特徴を発達させるかどうかを予測するために、遺伝リスクスコア(GRS)が使用されている。しかしデータでは、個々の祖先集団の基礎となる遺伝的変異とパターンは相違することが認められる。このため、検出した遺伝的変異により個体が前記特徴を発達させるリスクが生じるかどうかは、大部分がその個体の祖先に左右される。現行の遺伝リスク予測法は、個体の祖先を全く考慮するものでもなく、消費者調査を使用して祖先を考慮するものでもないため、遺伝リスク予測が曖昧で、多くの場合は不正確なものとなる。
【0004】
本明細書のある実施形態では、個体の表現型を解析して該個体の祖先を決定すること、および前記個体と同じ祖先を持つ被験者を対照としたGWASから導き出される祖先特異的な遺伝リスク変異に基づきGRSを算出することにより、GRSを算出する方法、媒体、およびシステムが開示される。いくつかの実施形態では、GRSにおいて考慮される遺伝的変異は、一塩基変異(SNV)、ヌクレオチド塩基(インデル)の挿入あるいは欠失、またはコピー数変異(CNV)を含む場合がある。いくつかの実施形態では、前記個体から得た試料に検出される遺伝的変異が、祖先特異的な被験者群のGWASで報告された遺伝的変異(未知の遺伝的変異)に相当しない場合、連鎖不平衡(LD)として知られる、特定の祖先集団内の未知の遺伝的変異との非ランダム関連性に基づき、代わりとなる遺伝的変異が選択される。この関連性はリスク予測の根拠として役立つ。試験により、ヒトゲノム中のLDのパターンは様々な祖先集団にわたり相違することが認められる。
【0005】
本明細書のいくつかの実施形態では、コンピュータにより実施される方法が開示され、該方法は、(a)個体の遺伝子型を解析する距離ベースまたはモデルベースのコンピュータプログラムを用いて前記個体の祖先を割り当てる工程であって、前記遺伝子型は個体に特異的な1つ以上の遺伝的変異を含む、工程と、(b)前記個体の遺伝子型から、特異的な表現型特徴に関連する祖先特異的な変異を検出する工程であって、前記祖先特異的な変異は、(i)前記個体の遺伝子型から検出可能な個体特異的な遺伝的変異、または(ii)前記個体と同じ祖先を持つ個体の対照群を用いて求められる、フェージングされた祖先特異的ハプロタイプから失われた前記個体特異的な遺伝的変異を補完することで求められるような、前記個体特異的な遺伝的変異を伴う連鎖不平衡(LD)における遺伝的変異に相当する、工程と、(c)前記(b)で検出した祖先特異的変異に基づき前記個体の遺伝リスクスコア(GRS)を算出する工程であって、該GRSは、前記個体が前記特異的な表現型特徴を持つかまたはこれを発達させる可能性を示すものである、工程とを含む。いくつかの実施形態では、前記祖先特異的な遺伝的変異と前記個体特異的な遺伝的変異は、一塩基変異(SNV)、コピー数変異(CNV)、およびインデルからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、前記(ii)における補完は、(1)フェージングされた祖先特異的ハプロタイプを前記個体の祖先に基づき生成するために、前記個体からフェージングされていない遺伝子型データをフェージングすること、および(2)前記個体特異的な遺伝的変異を伴うLD中の遺伝的変異を選択するために、前記個体と同じ祖先を持つ前記対照群のフェージングされたハプロタイプデータを用いて、前記フェージングされた祖先特異的ハプロタイプに存在しない個体特異的遺伝子型を補完することを含む。いくつかの実施形態では、前記LDは、少なくとも約0.80を含むD’値、または少なくとも0.80を含むr2値により定められる。いくつかの実施形態では、前記特異的な特徴は、栄養特徴、臨床的特徴、亜臨床的特徴、運動特徴、皮膚特徴、アレルギー特徴、あるいは精神特徴、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、前記個体の遺伝子型は、前記個体から得た遺伝子材料を遺伝子型決定アッセイにかけること、またはかけられたことにより得られる。いくつかの実施形態では、前記遺伝子型決定アッセイは、デオキシリボ核酸(DNA)アレイ、リボ核酸(RNA)アレイ、シーケンシングアッセイ、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、前記距離ベースのコンピュータプログラムは主成分分析であり、前記モデルベースのコンピュータプログラムは最尤推定またはベイズ法である。いくつかの実施形態では、前記祖先特異的変異に基づく前記個体のGRSは、祖先特異的でない変異に基づく前記個体の対応するGRSよりも正確である。いくつかの実施形態では、前記コンピュータにより実施される方法は、前記個体の特異的表現型特徴に関するGRSを含む通知を提供する工程を含む。いくつかの実施形態では、前記通知はさらに、特異的表現型特徴に関するGRSに基づく前記個体に対する行動の推奨を含む。いくつかの実施形態では、前記特異的な表現型特徴に関連する行動改善は、運動のパフォーマンス、薬物、ビタミン、あるいはサプリメントの摂取、製品への暴露、製品の使用、食事改善、睡眠改善、アルコール消費、またはカフェイン消費を含む、活動の増加、減少、または回避を含む。いくつかの実施形態では、前記亜臨床的特徴は、疾患または疾病の表現型を含む。いくつかの実施形態では、前記運動特徴は、運動嫌悪、有酸素運動パフォーマンス、減量困難、持久力、力、フィットネス利益、運動に対する心拍反応低下、除脂肪体重、筋痛、筋損傷リスク、筋修復障害(muscle repair impairment)、疲労骨折、全身損傷リスク、肥満症の可能性、または安静代謝率障害(resting metabolic rate impairment)を含む。いくつかの実施形態では、前記皮膚特徴は、コラーゲン破壊、乾燥、抗酸化物質欠乏(antioxidant deficiency)、解毒障害、皮膚糖化反応、色素斑、若々しさ、光線加齢、皮膚感受性、または日光感度を含む。いくつかの実施形態では、毛髪特徴は、毛髪の太さ、薄毛、抜け毛、禿頭症、油性、乾燥、ふけ、または毛髪のボリュームを含む。いくつかの実施形態では、前記栄養特徴は、ビタミン欠乏、ミネラル欠乏、抗酸化物質欠乏、脂肪酸欠乏、代謝平衡異常、代謝機能障害、代謝感応性、アレルギー、満腹感、または保健食の有効性を含む。いくつかの実施形態では、前記ビタミン欠乏は、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB5、ビタミンB6、ビタミンB7、ビタミンB8、ビタミンB9、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、およびビタミンKを含む、ビタミンの欠乏を含む。いくつかの実施形態では、前記ミネラル欠乏は、カルシウム、鉄分、マグネシウム、亜鉛、またはセレンを含む、ミネラルの欠乏を含む。いくつかの実施形態では、前記抗酸化物質欠乏は、グルタチオンまたはコエンザイムQ10(CoQ10)を含む、抗酸化物質の欠乏を含む。いくつかの実施形態では、前記脂肪酸欠乏は、多価不飽和脂肪酸または一価不飽和脂肪酸の欠乏を含む。いくつかの実施形態では、前記代謝平衡異常はグルコース平衡異常を含む。いくつかの実施形態では、前記代謝機能障害は、カフェインまたは薬物治療による代謝機能不全を含む。いくつかの実施形態では、前記代謝感応性は、グルテン感応性、多糖類感応性、またはラクトース感応性を含む。いくつかの実施形態では、前記アレルギーは、食物(食物アレルギー)または環境要因(環境アレルギー)に対するアレルギーを含む。いくつかの実施形態では、前記方法はさらに、前記遺伝リスクスコアが、前記個体が特異的な特徴を有するか、またはこれを発達させる高い可能性を示す場合に、前記個体の特異的な特徴を改善または予防するのに有効な処置を前記個体に施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、前記処置はサプリメントまたは薬物治療を含む。いくつかの実施形態では、前記サプリメントは、ビタミン、ミネラル、プロバイオティクス、抗酸化物質、抗炎症剤、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、前記特異的な特徴に関連する行動改善は、運動のパフォーマンス、薬物、ビタミン、あるいはサプリメントの摂取、製品への暴露、製品の使用、食事改善、睡眠改善、アルコール消費、またはカフェイン消費を含む、活動の増加、減少、または回避を含む。
【0006】
本明細書のいつかの実施形態ではシステムが開示され、該システムは、少なくとも1つのプロセッサと、メモリと、ソフトウェアプログラムとを含むコンピューティングデバイスを備えており、前記ソフトウェアプログラムは、個体が特異的な表現型特徴を有するかまたはこれを発達させる可能性を評価するべく少なくとも1つのプロセッサにより実行可能な命令を含んでおり、前記命令は、(a)個体の遺伝子型を解析する距離ベースまたはモデルベースのコンピュータプログラムを用いて前記個体の祖先を割り当てる工程であって、前記遺伝子型は個体に特異的な1つ以上の遺伝的変異を含む、工程と、(b)前記個体の遺伝子型から、特異的な表現型特徴に関連する祖先特異的な変異を検出する工程であって、前記祖先特異的な変異は、(i)前記個体の遺伝子型から検出可能な個体特異的な遺伝的変異、または(ii)前記個体と同じ祖先を持つ個体の対照群を用いて求められる、フェージングされた祖先特異的ハプロタイプから失われた前記個体特異的な遺伝的変異を補完することで求められるような、前記個体特異的な遺伝的変異を伴う連鎖不平衡(LD)における遺伝的変異に相当する、工程と、(c)前記(b)で検出した祖先特異的変異に基づき前記個体の遺伝リスクスコア(GRS)を算出する工程であって、該GRSは、前記個体が前記特異的な表現型特徴を持つかまたはこれを発達させる可能性を示すものである、工程とを含む。いくつかの実施形態では、前記祖先特異的な遺伝的変異と前記個体特異的な遺伝的変異は、一塩基変異(SNV)、コピー数変異(CNV)、およびインデルからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、前記(2)における補完は、(1)フェージングされた祖先特異的ハプロタイプを前記個体の祖先に基づき生成するために、前記個体からフェージングされていない遺伝子型データをフェージングすること、および(2)前記個体特異的な遺伝的変異を伴うLD中の遺伝的変異を選択するために、前記個体と同じ祖先を持つ前記対照群のフェージングされたハプロタイプデータを用いて、前記フェージングされた祖先特異的ハプロタイプに存在しない個体特異的遺伝子型を補完することを含む。いくつかの実施形態では、前記LDは、少なくとも約0.80を含むD’値、または少なくとも0.80を含むr2値により定められる。いくつかの実施形態では、前記特異的な特徴は、栄養特徴、臨床的特徴、亜臨床的特徴、運動特徴、皮膚特徴、アレルギー特徴、または精神特徴を含む。いくつかの実施形態では、前記システムはさらに遺伝子型決定アッセイを備えている。いくつかの実施形態では、前記遺伝子型決定アッセイは、デオキシリボ核酸(DNA)アレイ、リボ核酸(RNA)アレイ、シーケンシングアッセイ、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、前記距離ベースのコンピュータプログラムは主成分分析であり、前記モデルベースのコンピュータプログラムは最尤推定またはベイズ法である。いくつかの実施形態では、前記祖先特異的変異に基づく前記個体のGRSは、祖先特異的でない変異に基づく前記個体の対応するGRSよりも正確である。いくつかの実施形態では、前記システムはさらに、前記特異的な表現型特徴に関する前記個体のGRSを含むレポートを作成するように構成された報告モジュールを備えている。いくつかの実施形態では、前記システムはさらに、前記個体へのレポートを表示するように構成される出力モジュールを備えている。いくつかの実施形態では、前記レポートは、前記個体が特異的な特徴を有するかまたはこれを発達させるリスクを含む。いくつかの実施形態では、前記レポートはさらに、前記特異的な表現型特徴に関するGRSに基づく前記個体に対する行動の推奨を含む。いくつかの実施形態では、前記特異的な表現型特徴に関連する行動改善は、運動のパフォーマンス、薬物、ビタミン、あるいはサプリメントの摂取、製品への暴露、製品の使用、食事改善、睡眠改善、アルコール消費、またはカフェイン消費を含む、活動の増加、減少、または回避を含む。いくつかの実施形態では、前記亜臨床的特徴は、疾患または疾病の表現型を含む。いくつかの実施形態では、前記運動特徴は、運動嫌悪、有酸素運動パフォーマンス、減量困難、持久力、力、フィットネス利益、運動に対する心拍反応低下、除脂肪体重、筋痛、筋損傷リスク、筋修復障害、疲労骨折、全身損傷リスク、肥満症の可能性、または安静代謝率障害を含む。いくつかの実施形態では、前記皮膚特徴は、コラーゲン破壊、乾燥、抗酸化物質欠乏、解毒障害、皮膚糖化反応、色素斑、若々しさ、光線加齢、皮膚感受性、または日光感度を含む。いくつかの実施形態では、毛髪特徴は、毛髪の太さ、薄毛、抜け毛、禿頭症、油性、乾燥、ふけ、または毛髪のボリュームを含む。いくつかの実施形態では、前記栄養特徴は、ビタミン欠乏、ミネラル欠乏、抗酸化物質欠乏、脂肪酸欠乏、代謝平衡異常、代謝機能障害、代謝感応性、アレルギー、満腹感、または保健食の有効性を含む。いくつかの実施形態では、前記ビタミン欠乏は、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB5、ビタミンB6、ビタミンB7、ビタミンB8、ビタミンB9、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、およびビタミンKを含む、ビタミンの欠乏を含む。いくつかの実施形態では、前記ミネラル欠乏は、カルシウム、鉄分、マグネシウム、亜鉛、またはセレンを含む、ミネラルの欠乏を含む。いくつかの実施形態では、前記抗酸化物質欠乏は、グルタチオンまたはコエンザイムQ10(CoQ10)を含む、抗酸化物質の欠乏を含む。いくつかの実施形態では、前記脂肪酸欠乏は、多価不飽和脂肪酸または一価不飽和脂肪酸の欠乏を含む。いくつかの実施形態では、前記代謝平衡異常はグルコース平衡異常を含む。いくつかの実施形態では、前記代謝機能障害は、カフェインまたは薬物治療による代謝機能不全を含む。いくつかの実施形態では、前記代謝感応性は、グルテン感応性、多糖類感応性、またはラクトース感応性を含む。いくつかの実施形態では、前記アレルギーは、食物(食物アレルギー)または環境要因(環境アレルギー)に対するアレルギーを含む。いくつかの実施形態では、前記システムはさらに、前記遺伝リスクスコアが、前記個体が特異的な特徴を有するか、またはこれを発達させる高い可能性を示す場合に、前記個体の特異的な特徴を改善または予防するのに有効な処置を前記個体に施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、前記処置はサプリメントまたは薬物治療を含む。いくつかの実施形態では、前記サプリメントは、ビタミン、ミネラル、プロバイオティクス、抗酸化物質、抗炎症剤、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、前記特異的な特徴に関連する行動改善は、運動のパフォーマンス、薬物、ビタミン、あるいはサプリメントの摂取、製品への暴露、製品の使用、食事改善、睡眠改善、アルコール消費、またはカフェイン消費を含む、活動の増加、減少、または回避を含む。
【0007】
本明細書のいくつかの実施形態では、前記(c)で算出されたGRSに基づき、行動改善または製品を前記個体に推奨するための、本発明のシステムの使用が開示される。
【0008】
また本明細書のいくつかの実施形態では、非一時的コンピュータ可読記憶媒体が開示され、該非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、少なくとも1つのプロセッサに本明細書に開示される方法の工程を実行させるように構成される、コンピュータにより実行可能なコードを含む。
【0009】
本明細書のある実施形態では、個体の祖先と遺伝子型に基づき、前記個体に行動改善を推奨するための、コンピュータにより実施される方法が開示され、該方法は、a)前記個体の遺伝子型を提供する工程であって、該遺伝子型は1つ以上の個体特異的な遺伝的変異を含む、工程と、b)前記個体の遺伝子型に少なくとも部分的に基づき前記個体に祖先を割り当てる工程と、c)前記個体の祖先に少なくとも部分的に基づき1つ以上の祖先特異的な遺伝的変異を選択するために、前記個体と同じ祖先を持つ被験者(被験者群)から得た祖先特異的な遺伝的変異を含む特徴関連変異のデータベースを使用する工程とを含み、前記1つ以上の祖先特異的な遺伝的変異の各々は、(i)1つ以上の個体特異的な遺伝的変異のうち1つの個体特異的な遺伝的変異、または(ii)前記個体と同じ祖先を持つ被験者集団における1つ以上の個体特異的な遺伝的変異のうち1つの個体特異的な遺伝的変異を伴う連鎖不平衡(LD)における所定の遺伝的変異に相当し、前記1つ以上の祖先特異的な遺伝的変異の各々と、前記個体特異的な遺伝的変異の各々は、1つ以上のリスク単位を含み、前記方法はさらに、(d)選択された1つ以上の祖先特異的な遺伝的変異に基づき前記個体に関する遺伝リスクスコアを算出する工程であって、前記遺伝リスクスコアは、前記個体が前記特異的な表現型特徴を有するかまたはこれを発達させる可能性を示すものである、工程と、(e)前記遺伝リスクスコアに基づき特異的な特徴に関連する行動改善を含む推奨を前記個体に提供する工程とを含む。いくつかの実施形態では、前記方法はさらに、前記特異的な特徴に関連する1つ以上の質問を含む調査を前記個体に提供する工程を含む。いくつかの実施形態では、前記方法はさらに、前記個体に提供される調査における前記特異的な特徴に関連する1つ以上の質問に対する1つ以上の回答を前記個体から受け取る工程を含む。いくつかの実施形態では、前記方法はさらに、a)前記特異的な特徴に関連する1つ以上の質問を含む調査を前記個体に提供する工程と、b)前記1つ以上の質問に対する回答を前記個体から受け取る工程とを含み、ここで、前記特異的な特徴に関連する行動改善を含む、前記個体に対する推奨はさらに、前記個体により提供される1つ以上の回答に基づくものである。いくつかの実施形態では、前記方法はさらに、前記被験者群に由来する特異的な特徴に関連付けられる祖先特異的な遺伝的変異を、特徴関連変異データベースに保管する工程を含む。いくつかの実施形態では、前記遺伝リスクスコアはパーセンタイルまたはzスコアを含む。いくつかの実施形態では、前記LDは、(i)少なくとも約0.20のD’値、または(ii)少なくとも約0.70のr値により定められる。いくつかの実施形態では、前記LDは、約0.20~0.25、0.25~0.30、0.30~0.35、0.35~0.40、0.40~0.45、0.45~0.50、0.50~0.55、0.55~0.60、0.60~0.65、0.65~0.70、0.70~0.75、0.75~0.80、0.80~0.85、0.85~0.90、0.90~0.95、または0.95~1.0の範囲を含むD’値により定められる。いくつかの実施形態では、前記LDは、少なくとも約0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.85、0.85、0.90、0.95、および1.0の値を含むD’値により定められる。いくつかの実施形態では、前記LDは、少なくとも約0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、または1.0の値を含むr値により定められる。いくつかの実施形態では、前記LDは、約0.70~0.75、0.75~0.80、0.80~0.85、0.85~0.90、0.90~0.95、または0.95~1.0の範囲を含むr値により定められる。いくつかの実施形態では、前記個体の遺伝子型は、前記個体から得た遺伝子材料を遺伝子型決定アッセイにかけること、またはかけられたことにより得られる。いくつかの実施形態では、前記個体の遺伝子型は、前記個体から得た遺伝子材料を、デオキシリボ核酸(DNA)アレイ、リボ核酸(RNA)アレイ、シーケンシングアッセイ、またはそれらの組み合わせにかけることにより得られる。いくつかの実施形態では、前記シーケンシングアッセイは次世代シーケンシング(NGS)を含む。いくつかの実施形態では、前記方法はさらに、割り当てられた祖先、特異的な特徴、および前記個体の遺伝子型により、特徴関連変異データベースを更新する工程を含む。いくつかの実施形態では、祖先は、主成分分析(PCA)、最尤推定(MLE)、またはそれらの組み合わせを用いて、前記(b)で個体に割り当てられる。いくつかの実施形態では、前記1つ以上の祖先特異的な遺伝的変異、前記1つ以上の個体特異的な遺伝的変異、および前記1つ以上の個体特異的な遺伝的変異を伴うLDにおける遺伝的変異は、一塩基変異(SNV)を含む。いくつかの実施形態では、前記1つ以上のリスク単位はリスクアレルを含む。いくつかの実施形態では、前記1つ以上の祖先特異的な遺伝的変異、前記1つ以上の個体特異的な遺伝的変異、および前記1つ以上の個体特異的な遺伝的変異を伴うLDにおける遺伝的変異は、1つ以上のヌクレオチドの挿入または欠失を特徴とするインデルを含む。いくつかの実施形態では、前記1つ以上のリスク単位は、ヌクレオチド塩基の挿入(I)または欠失(D)を含む。いくつかの実施形態では、前記1つ以上の祖先特異的な遺伝的変異、または前記1つ以上の個体特異的な遺伝的変異は、コピー数変異(CNV)を含む。いくつかの実施形態では、前記1つ以上のリスク単位は、核酸配列の重複または欠失を含む。いくつかの実施形態では、前記核酸配列は、約2、3、4、5、6、7、8、9、または10のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、前記核酸配列は3より多くのヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、前記核酸配列は遺伝子全体を含む。いくつかの実施形態では、前記方法はさらに、前記個体が前記特異的な特徴を有するかまたはこれを発達させるリスクの通知を前記個体に提供する工程を含む。いくつかの実施形態では、前記特異的な特徴は、栄養特徴、臨床的特徴、亜臨床的特徴、運動特徴、皮膚特徴、毛髪特徴、アレルギー特徴、または精神特徴を含む。いくつかの実施形態では、前記亜臨床的特徴は、疾患または疾病を含む。いくつかの実施形態では、前記亜臨床的特徴は、疾患または疾病の表現型を含む。いくつかの実施形態では、前記運動特徴は、運動嫌悪、有酸素運動パフォーマンス、減量困難、持久力、力、フィットネス利益、運動に対する心拍反応低下、除脂肪体重、筋痛、筋損傷リスク、筋修復障害、疲労骨折、全身損傷リスク、肥満症の可能性、または安静代謝率障害を含む。いくつかの実施形態では、前記皮膚特徴は、コラーゲン破壊、乾燥、抗酸化物質欠乏、解毒障害、皮膚糖化反応、色素斑、若々しさ、光線加齢、皮膚感受性、または日光感度を含む。いくつかの実施形態では、毛髪特徴は、毛髪の太さ、薄毛、抜け毛、禿頭症、油性、乾燥、ふけ、または毛髪のボリュームを含む。いくつかの実施形態では、前記栄養特徴は、ビタミン欠乏、ミネラル欠乏、抗酸化物質欠乏、脂肪酸欠乏、代謝平衡異常、代謝機能障害、代謝感応性、アレルギー、満腹感、または保健食の有効性を含む。いくつかの実施形態では、前記ビタミン欠乏は、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB5、ビタミンB6、ビタミンB7、ビタミンB8、ビタミンB9、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、およびビタミンKを含む、ビタミンの欠乏を含む。いくつかの実施形態では、前記ミネラル欠乏は、カルシウム、鉄分、マグネシウム、亜鉛、またはセレンを含む、ミネラルの欠乏を含む。いくつかの実施形態では、前記抗酸化物質欠乏は、グルタチオンまたはコエンザイムQ10(CoQ10)を含む、抗酸化物質の欠乏を含む。いくつかの実施形態では、前記脂肪酸欠乏は、多価不飽和脂肪酸または一価不飽和脂肪酸の欠乏を含む。いくつかの実施形態では、前記代謝平衡異常はグルコース平衡異常を含む。いくつかの実施形態では、前記代謝機能障害は、カフェインまたは薬物治療による代謝機能不全を含む。いくつかの実施形態では、前記代謝感応性は、グルテン感応性、多糖類感応性、またはラクトース感応性を含む。いくつかの実施形態では、前記アレルギーは、食物(食物アレルギー)または環境要因(環境アレルギー)に対するアレルギーを含む。いくつかの実施形態では、前記方法はさらに、前記遺伝リスクスコアが、前記個体が特異的な特徴を有するか、またはこれを発達させる高い可能性を示す場合に、前記個体の特異的な特徴を改善または予防するのに有効な処置を前記個体に施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、前記処置はサプリメントまたは薬物治療を含む。いくつかの実施形態では、前記サプリメントは、ビタミン、ミネラル、プロバイオティクス、抗酸化物質、抗炎症剤、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、前記特異的な特徴に関連する行動改善は、運動のパフォーマンス、薬物、ビタミン、あるいはサプリメントの摂取、製品への暴露、製品の使用、食事改善、睡眠改善、アルコール消費、またはカフェイン消費を含む、活動の増加、減少、または回避を含む。いくつかの実施形態では、前記推奨はレポートに表示される。いくつかの実施形態では、前記レポートは、電子デバイスのユーザーインターフェースを介して前記個体に表示される。いくつかの実施形態では、前記レポートはさらに、前記特異的な特徴に関する前記個体の遺伝リスクスコアを含む。いくつかの実施形態では、前記遺伝リスクスコアは、a)前記被験者群の各被験者の各祖先特異的な遺伝的変異に関する1つ以上のリスク単位の総数を含む素点を算出し、それにより素点の祖先特異的な観察範囲を生成すること、b)前記1つ以上の個体特異的な遺伝的変異の各々に関する1つ以上のリスク単位の総数を算出し、それにより個々の素点を生成すること、およびc)遺伝リスクスコアを生成するために、個々の素点と祖先特異的な観察範囲とを比較することにより、算出される。いくつかの実施形態では、前記遺伝リスクスコアは、a)祖先特異的な遺伝リスク変異の各々に関するオッズ比を決定すること、およびb)2つ以上の祖先特異的な遺伝的変異が選択される場合に、2つ以上の祖先特異的な遺伝的変異の各々に関するオッズ比を乗算することにより、算出される。いくつかの実施形態では、前記遺伝リスクスコアは、a)祖先特異的な遺伝リスク変異の各々に関する相対リスクを決定すること、およびb)2つ以上の祖先特異的な遺伝的変異が選択される場合に、2つ以上の祖先特異的な遺伝的変異の各々に関する相対リスクを乗算することにより、算出される。いくつかの実施形態では、所定の遺伝的変異は、a)個体のフェージングされていない遺伝子型データを提供すること、b)フェージングされた個体特異的ハプロタイプを前記個体の祖先に基づき生成するために、前記フェージングされていない遺伝子型データをフェージングすること、c)前記個体と同じ祖先を持つ対照群からのフェージングされたハプロタイプデータを使用して、前記フェージングされた個体特異的ハプロタイプに存在しない個体特異的遺伝子型を補完すること、およびd)前記個体が特異的な表現型特徴を有するかまたはこれを発達させる可能性に関連する個体特異的な遺伝的変異を伴う連鎖不平衡(LD)にある、補完された個体特異的遺伝子型からの遺伝的変異を選択することにより、決定される。
【0010】
本明細書のある実施形態では、個体の祖先に基づき、前記個体が特異的な表現型特徴を有するかまたはこれを発達させる可能性を判定する、コンピュータにより実施される方法が開示され、該方法は、a)前記個体の遺伝子型を提供する工程であって、該遺伝子型は1つ以上の個体特異的な遺伝的変異を含む、工程と、b)前記個体の遺伝子型に少なくとも部分的に基づき前記個体に祖先を割り当てる工程と、c)前記個体の祖先に少なくとも部分的に基づき1つ以上の祖先特異的な遺伝的変異を選択するために、前記個体と同じ祖先を持つ被験者(被験者群)から得た祖先特異的な遺伝的変異を含む特徴関連変異のデータベースを使用する工程とを含み、前記1つ以上の祖先特異的な遺伝的変異の各々は、(i)1つ以上の個体特異的な遺伝的変異のうち1つの個体特異的な遺伝的変異、または(ii)前記個体と同じ祖先を持つ被験者集団における1つ以上の個体特異的な遺伝的変異のうち1つの個体特異的な遺伝的変異を伴う連鎖不平衡(LD)における所定の遺伝的変異に相当し、前記1つ以上の祖先特異的な遺伝的変異の各々と、前記個体特異的な遺伝的変異の各々は、1つ以上のリスク単位を含み、前記方法はさらに、(d)選択された1つ以上の祖先特異的な遺伝的変異に基づき前記個体に関する遺伝リスクスコアを算出する工程であって、前記遺伝リスクスコアは、前記個体が前記特異的な表現型特徴を有するかまたはこれを発達させる可能性を示すものである、工程を含む。いくつかの実施形態では、前記方法はさらに、前記個体が前記特異的な特徴を有するかまたはこれを発達させるリスクの通知を前記個体に提供する工程を含む。いくつかの実施形態では、前記通知は、前記特異的な特徴に関連する行動改善に関する推奨を含む。いくつかの実施形態では、前記特異的な特徴に関連する行動改善は、運動のパフォーマンス、薬物、ビタミン、あるいはサプリメントの摂取、製品への暴露、製品の使用、食事改善、睡眠改善、アルコール消費、またはカフェイン消費を含む、活動の増加、減少、または回避を含む。いくつかの実施形態では、前記通知はレポートに表示される。いくつかの実施形態では、前記レポートは、電子デバイスのユーザーインターフェースを介して前記個体に表示される。いくつかの実施形態では、前記方法はさらに、前記特異的な特徴に関連する1つ以上の質問を含む調査を前記個体に提供する工程を含む。いくつかの実施形態では、前記方法はさらに、前記個体に提供される調査における前記特異的な特徴に関連する1つ以上の質問に対する1つ以上の回答を前記個体から受け取る工程を含む。いくつかの実施形態では、前記方法はさらに、a)前記特異的な特徴に関連する1つ以上の質問を含む調査を前記個体に提供する工程と、b)前記1つ以上の質問に対する回答を前記個体から受け取る工程とを含み、ここで、前記特異的な特徴に関連する行動改善を含む、前記個体に対する推奨はさらに、前記個体により提供される1つ以上の回答に基づくものである。いくつかの実施形態では、前記方法はさらに、前記被験者群に由来する特異的な特徴に関連付けられる祖先特異的な遺伝的変異を、特徴関連変異データベースに保管する工程を含む。いくつかの実施形態では、前記遺伝リスクスコアはパーセンタイルまたはzスコアを含む。いくつかの実施形態では、前記LDは、(i)少なくとも約0.20のD’値、または(ii)少なくとも約0.70のr値により定められる。いくつかの実施形態では、前記LDは、約0.20~0.25、0.25~0.30、0.30~0.35、0.35~0.40、0.40~0.45、0.45~0.50、0.50~0.55、0.55~0.60、0.60~0.65、0.65~0.70、0.70~0.75、0.75~0.80、0.80~0.85、0.85~0.90、0.90~0.95、または0.95~1.0の範囲を含むD’値により定められる。いくつかの実施形態では、前記LDは、約0.70~0.75、0.75~0.80、0.80~0.85、0.85~0.90、0.90~0.95、または0.95~1.0の範囲を含むr値により定められる。いくつかの実施形態では、前記LDは、少なくとも約0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.85、0.85、0.90、0.95、および1.0の値を含むD’値により定められる。いくつかの実施形態では、前記LDは、少なくとも約0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、または1.0の値を含むr値により定められる。いくつかの実施形態では、前記個体の遺伝子型は、前記個体から得た遺伝子材料を遺伝子型決定アッセイにかけること、またはかけられたことにより得られる。いくつかの実施形態では、前記個体の遺伝子型は、前記個体から得た遺伝子材料を、デオキシリボ核酸(DNA)アレイ、リボ核酸(RNA)アレイ、シーケンシングアッセイ、またはそれらの組み合わせにかけることにより得られる。いくつかの実施形態では、前記シーケンシングアッセイは次世代シーケンシング(NGS)を含む。いくつかの実施形態では、前記方法はさらに、割り当てられた祖先、特異的な特徴、および前記個体の遺伝子型により、特徴関連変異データベースを更新する工程を含む。いくつかの実施形態では、祖先は、主成分分析(PCA)、最尤推定(MLE)、またはそれらの組み合わせを用いて、前記(b)で個体に割り当てられる。いくつかの実施形態では、前記1つ以上の祖先特異的な遺伝的変異、前記1つ以上の個体特異的な遺伝的変異、および前記1つ以上の個体特異的な遺伝的変異を伴うLDにおける遺伝的変異は、一塩基変異(SNV)を含む。いくつかの実施形態では、前記1つ以上のリスク単位はリスクアレルを含む。いくつかの実施形態では、前記1つ以上の祖先特異的な遺伝的変異、前記1つ以上の個体特異的な遺伝的変異、および前記1つ以上の個体特異的な遺伝的変異を伴うLDにおける遺伝的変異は、1つ以上のヌクレオチドの挿入または欠失を特徴とするインデルを含む。いくつかの実施形態では、前記1つ以上のリスク単位は、1つ以上のヌクレオチドの挿入(I)または欠失(D)を含む。いくつかの実施形態では、前記1つ以上の祖先特異的な遺伝的変異、または前記1つ以上の個体特異的な遺伝的変異は、コピー数変異(CNV)を含む。いくつかの実施形態では、前記1つ以上のリスク単位は、核酸配列の挿入または欠失を含む。いくつかの実施形態では、前記核酸配列は、約2、3、4、5、6、7、8、9、または10のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、前記核酸配列は3より多くのヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、前記核酸配列は遺伝子全体を含む。いくつかの実施形態では、前記方法はさらに、前記個体が前記特異的な特徴を有するかまたはこれを発達させるリスクの通知を前記個体に提供する工程を含む。いくつかの実施形態では、前記特異的な特徴は、栄養特徴、臨床的特徴、亜臨床的特徴、運動特徴、皮膚特徴、毛髪特徴、アレルギー特徴、または精神特徴を含む。いくつかの実施形態では、前記亜臨床的特徴は、疾患または疾病を含む。いくつかの実施形態では、前記亜臨床的特徴は、疾患または疾病の表現型を含む。いくつかの実施形態では、前記運動特徴は、運動嫌悪、有酸素運動パフォーマンス、減量困難、持久力、力、フィットネス利益、運動に対する心拍反応低下、除脂肪体重、筋痛、筋損傷リスク、筋修復障害、疲労骨折、全身損傷リスク、肥満症の可能性、または安静代謝率障害を含む。いくつかの実施形態では、前記皮膚特徴は、コラーゲン破壊、乾燥、抗酸化物質欠乏、解毒障害、皮膚糖化反応、色素斑、若々しさ、光線加齢、皮膚感受性、または日光感度を含む。いくつかの実施形態では、前記栄養特徴は、ビタミン欠乏、ミネラル欠乏、抗酸化物質欠乏、脂肪酸欠乏、代謝平衡異常、代謝機能障害、代謝感応性、アレルギー、満腹感、または保健食の有効性を含む。いくつかの実施形態では、毛髪特徴は、毛髪の太さ、薄毛、抜け毛、禿頭症、油性、乾燥、ふけ、または毛髪のボリュームを含む。いくつかの実施形態では、前記ビタミン欠乏は、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB5、ビタミンB6、ビタミンB7、ビタミンB8、ビタミンB9、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、およびビタミンKを含む、ビタミンの欠乏を含む。いくつかの実施形態では、前記ミネラル欠乏は、カルシウム、鉄分、マグネシウム、亜鉛、またはセレンを含む、ミネラルの欠乏を含む。いくつかの実施形態では、前記抗酸化物質欠乏は、グルタチオンまたはコエンザイムQ10(CoQ10)を含む、抗酸化物質の欠乏を含む。いくつかの実施形態では、前記脂肪酸欠乏は、多価不飽和脂肪酸または一価不飽和脂肪酸の欠乏を含む。いくつかの実施形態では、前記代謝平衡異常はグルコース平衡異常を含む。いくつかの実施形態では、前記代謝機能障害は、カフェインまたは薬物治療による代謝機能不全を含む。いくつかの実施形態では、前記代謝感応性は、グルテン感応性、多糖類感応性、またはラクトース感応性を含む。いくつかの実施形態では、前記アレルギーは、食物(食物アレルギー)または環境要因(環境アレルギー)に対するアレルギーを含む。いくつかの実施形態では、前記方法はさらに、前記遺伝リスクスコアが、前記個体が特異的な特徴を有するか、またはこれを発達させる高い可能性を示す場合に、前記個体の特異的な特徴を改善または予防するのに有効な処置を前記個体に施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、前記処置はサプリメントまたは薬物治療を含む。いくつかの実施形態では、前記サプリメントは、ビタミン、ミネラル、プロバイオティクス、抗酸化物質、抗炎症剤、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、前記遺伝リスクスコアは、a)前記被験者群の各被験者の各祖先特異的な遺伝的変異に関する1つ以上のリスク単位の総数を含む素点を算出し、それにより素点の祖先特異的な観察範囲を生成すること、b)前記1つ以上の個体特異的な遺伝的変異の各々に関する1つ以上のリスク単位の総数を算出し、それにより個々の素点を生成すること、およびc)遺伝リスクスコアを生成するために、個々の素点と祖先特異的な観察範囲とを比較することにより、算出される。いくつかの実施形態では、前記遺伝リスクスコアは、a)祖先特異的な遺伝リスク変異の各々に関するオッズ比を決定すること、およびb)2つ以上の祖先特異的な遺伝的変異が選択される場合に、2つ以上の祖先特異的な遺伝的変異の各々に関するオッズ比を乗算することにより、算出される。いくつかの実施形態では、前記遺伝リスクスコアは、a)祖先特異的な遺伝リスク変異の各々に関する相対リスクを決定すること、およびb)2つ以上の祖先特異的な遺伝的変異が選択される場合に、2つ以上の祖先特異的な遺伝的変異の各々に関する相対リスクを乗算することにより、算出される。いくつかの実施形態では、所定の遺伝的変異は、a)個体のフェージングされていない遺伝子型データを提供すること、b)フェージングされた個体特異的ハプロタイプを前記個体の祖先に基づき生成するために、前記フェージングされていない遺伝子型データをフェージングすること、c)前記個体と同じ祖先を持つ対照群からのフェージングされたハプロタイプデータを使用して、前記フェージングされた個体特異的ハプロタイプに存在しない個体特異的遺伝子型を補完すること、およびd)前記個体が特異的な表現型特徴を有するかまたはこれを発達させる可能性に関連する個体特異的な遺伝的変異を伴う連鎖不平衡(LD)にある、補完された個体特異的遺伝子型からの遺伝的変異を選択することにより、決定される。
【0011】
本明細書のある実施形態では、健康報告システムが開示され、該システムは、a)少なくとも1つのプロセッサと、メモリと、ソフトウェアプログラムとを含むコンピューティングデバイスを備えており、前記ソフトウェアプログラムは、個体が特異的な表現型特徴を有するかまたはこれを発達させる可能性を評価するべく少なくとも1つのプロセッサにより実行可能な命令を含んでおり、前記命令は、(i)前記個体の遺伝子型を提供する工程であって、該遺伝子型は1つ以上の個体特異的な遺伝的変異を含む、工程と、(ii)前記個体の遺伝子型に少なくとも部分的に基づき前記個体に祖先を割り当てる工程と、(iii)前記個体の祖先に少なくとも部分的に基づき1つ以上の祖先特異的な遺伝的変異を選択するために、前記個体と同じ祖先を持つ被験者(被験者群)から得た祖先特異的な遺伝的変異を含む特徴関連変異のデータベースを使用する工程とを含み、前記1つ以上の祖先特異的な遺伝的変異の各々は、(1)1つ以上の個体特異的な遺伝的変異のうち1つの個体特異的な遺伝的変異、または(2)前記個体と同じ祖先を持つ被験者集団における1つ以上の個体特異的な遺伝的変異のうち1つの個体特異的な遺伝的変異を伴う連鎖不平衡(LD)における所定の遺伝的変異に相当し、前記1つ以上の祖先特異的な遺伝的変異の各々と、前記個体特異的な遺伝的変異の各々は、1つ以上のリスク単位を含み、前記命令はさらに、(iv)選択された1つ以上の祖先特異的な遺伝的変異に基づき前記個体に関する遺伝リスクスコアを算出する工程であって、前記遺伝リスクスコアは、前記個体が前記特異的な表現型特徴を有するかまたはこれを発達させる可能性を示すものである、工程を含み、前記システムはさらに、b)前記特異的な特徴に関する個体の遺伝リスクスコアを含むレポートを作成するように構成された報告モジュールと、c)前記レポートを前記個体に表示するように構成された出力モジュールとを備えている。いくつかの実施形態では、前記遺伝リスクスコアはパーセンタイルまたはzスコアを含む。いくつかの実施形態では、前記LDは、(i)少なくとも約0.20のD’値、または(ii)少なくとも約0.70のr値により定められる。いくつかの実施形態では、前記LDは、約0.20~0.25、0.25~0.30、0.30~0.35、0.35~0.40、0.40~0.45、0.45~0.50、0.50~0.55、0.55~0.60、0.60~0.65、0.65~0.70、0.70~0.75、0.75~0.80、0.80~0.85、0.85~0.90、0.90~0.95、または0.95~1.0の範囲を含むD’値により定められる。いくつかの実施形態では、前記LDは、約0.70~0.75、0.75~0.80、0.80~0.85、0.85~0.90、0.90~0.95、または0.95~1.0の範囲を含むr値により定められる。いくつかの実施形態では、前記LDは、少なくとも約0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.85、0.85、0.90、0.95、および1.0の値を含むD’値により定められる。いくつかの実施形態では、前記LDは、少なくとも約0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、または1.0の値を含むr値により定められる。いくつかの実施形態では、前記個体の遺伝子型は、前記個体から得た遺伝子材料を遺伝子型決定アッセイにかけること、またはかけられたことにより得られる。いくつかの実施形態では、前記個体の遺伝子型は、前記個体から得た遺伝子材料を、デオキシリボ核酸(DNA)アレイ、リボ核酸(RNA)アレイ、シーケンシングアッセイ、またはそれらの組み合わせにかけることにより得られる。いくつかの実施形態では、前記シーケンシングアッセイは次世代シーケンシング(NGS)を含む。いくつかの実施形態では、前記方法はさらに、割り当てられた祖先、特異的な特徴、および前記個体の遺伝子型により、特徴関連変異データベースを更新する工程を含む。いくつかの実施形態では、祖先は、主成分分析(PCA)、最尤推定(MLE)、またはそれらの組み合わせを用いて、前記(b)で個体に割り当てられる。いくつかの実施形態では、前記1つ以上の祖先特異的な遺伝的変異、前記1つ以上の個体特異的な遺伝的変異、および前記1つ以上の個体特異的な遺伝的変異を伴うLDにおける遺伝的変異は、一塩基変異(SNV)を含む。いくつかの実施形態では、前記1つ以上のリスク単位はリスクアレルを含む。いくつかの実施形態では、前記1つ以上の祖先特異的な遺伝的変異、前記1つ以上の個体特異的な遺伝的変異、および前記1つ以上の個体特異的な遺伝的変異を伴うLDにおける遺伝的変異は、1つ以上のヌクレオチドの挿入または欠失を特徴とするインデルを含む。いくつかの実施形態では、前記1つ以上のリスク単位は、1つ以上のヌクレオチドの挿入(I)または欠失(D)を含む。いくつかの実施形態では、前記1つ以上の祖先特異的な遺伝的変異、または前記1つ以上の個体特異的な遺伝的変異は、コピー数変異(CNV)を含む。いくつかの実施形態では、前記1つ以上のリスク単位は、核酸配列の挿入または欠失を含む。いくつかの実施形態では、前記核酸配列は、約2、3、4、5、6、7、8、9、または10のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、前記核酸配列は3より多くのヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、前記核酸配列は遺伝子全体を含む。いくつかの実施形態では、前記方法はさらに、前記個体が前記特異的な特徴を有するかまたはこれを発達させるリスクの通知を前記個体に提供する工程を含む。いくつかの実施形態では、前記特異的な特徴は、栄養特徴、臨床的特徴、亜臨床的特徴、運動特徴、皮膚特徴、毛髪特徴、アレルギー特徴、または精神特徴を含む。いくつかの実施形態では、前記亜臨床的特徴は、疾患または疾病を含む。いくつかの実施形態では、前記亜臨床的特徴は、疾患または疾病の表現型を含む。いくつかの実施形態では、前記運動特徴は、運動嫌悪、有酸素運動パフォーマンス、減量困難、持久力、力、フィットネス利益、運動に対する心拍反応低下、除脂肪体重、筋痛、筋損傷リスク、筋修復障害、疲労骨折、全身損傷リスク、肥満症の可能性、または安静代謝率障害を含む。いくつかの実施形態では、前記皮膚特徴は、コラーゲン破壊、乾燥、抗酸化物質欠乏、解毒障害、皮膚糖化反応、色素斑、若々しさ、光線加齢、皮膚感受性、または日光感度を含む。いくつかの実施形態では、毛髪特徴は、毛髪の太さ、薄毛、抜け毛、禿頭症、油性、乾燥、ふけ、または毛髪のボリュームを含む。いくつかの実施形態では、前記栄養特徴は、ビタミン欠乏、ミネラル欠乏、抗酸化物質欠乏、脂肪酸欠乏、代謝平衡異常、代謝機能障害、代謝感応性、アレルギー、満腹感、または保健食の有効性を含む。いくつかの実施形態では、前記ビタミン欠乏は、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB5、ビタミンB6、ビタミンB7、ビタミンB8、ビタミンB9、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、およびビタミンKを含む、ビタミンの欠乏を含む。いくつかの実施形態では、前記ミネラル欠乏は、カルシウム、鉄分、マグネシウム、亜鉛、またはセレンを含む、ミネラルの欠乏を含む。いくつかの実施形態では、前記抗酸化物質欠乏は、グルタチオンまたはコエンザイムQ10(CoQ10)を含む、抗酸化物質の欠乏を含む。いくつかの実施形態では、前記脂肪酸欠乏は、多価不飽和脂肪酸または一価不飽和脂肪酸の欠乏を含む。いくつかの実施形態では、前記代謝平衡異常はグルコース平衡異常を含む。いくつかの実施形態では、前記代謝機能障害は、カフェインまたは薬物治療による代謝機能不全を含む。いくつかの実施形態では、前記代謝感応性は、グルテン感応性、多糖類感応性、またはラクトース感応性を含む。いくつかの実施形態では、前記アレルギーは、食物(食物アレルギー)または環境要因(環境アレルギー)に対するアレルギーを含む。いくつかの実施形態では、前記方法はさらに、前記遺伝リスクスコアが、前記個体が特異的な特徴を有するか、またはこれを発達させる高い可能性を示す場合に、前記個体の特異的な特徴を改善または予防するのに有効な処置を前記個体に施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、前記処置はサプリメントまたは薬物治療を含む。いくつかの実施形態では、前記サプリメントは、ビタミン、ミネラル、プロバイオティクス、抗酸化物質、抗炎症剤、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、前記命令はさらに、前記特異的な特徴に関連する1つ以上の質問を含む、前記個体に対する調査を含む。いくつかの実施形態では、前記命令はさらに、前記個体に提供される調査における前記特異的な特徴に関連する1つ以上の質問に対する1つ以上の回答を前記個体から受け取る工程を含む。いくつかの実施形態では、前記命令はさらに、(i)前記特異的な特徴に関連する1つ以上の質問を含む調査を前記個体に提供する工程と、(ii)前記1つ以上の質問に対する1つ以上の回答を前記個体から受け取る工程とを含む。いくつかの実施形態では、前記命令はさらに、前記被験者群に由来する特異的な特徴に関連付けられる祖先特異的な遺伝的変異を、特徴関連変異データベースに保管する工程を含む。いくつかの実施形態では、前記出力モジュールは、個人用の電子デバイスのユーザーインターフェースにレポートを表示するように構成される。いくつかの実施形態では、前記健康報告システムはさらに、前記レポートにアクセスするためにコンピュータネットワークを介して、前記出力モジュールと通信するように構成されるアプリケーションを備えた個人用電子デバイスを備えている。いくつかの実施形態では、前記遺伝リスクスコアは、(1)前記被験者群の各被験者の各祖先特異的な遺伝的変異に関する1つ以上のリスク単位の総数を含む素点を算出し、それにより素点の祖先特異的な観察範囲を生成すること、(2)前記1つ以上の個体特異的な遺伝的変異の各々に関する1つ以上のリスク単位の総数を算出し、それにより個々の素点を生成すること、およびc)遺伝リスクスコアを生成するために、個々の素点と祖先特異的な観察範囲とを比較することにより、算出される。いくつかの実施形態では、前記遺伝リスクスコアは、(1)祖先特異的な遺伝リスク変異の各々に関するオッズ比を決定すること、および(2)2つ以上の祖先特異的な遺伝的変異が選択される場合に、2つ以上の祖先特異的な遺伝的変異の各々に関するオッズ比を乗算することにより、算出される。いくつかの実施形態では、前記システムはさらに、a)フェージングされていない遺伝子型データを前記個体から提供すること、b)フェージングされた個体特異的ハプロタイプを前記個体の祖先に基づき生成するために、前記フェージングされていない遺伝子型データをフェージングすること、c)前記個体と同じ祖先を持つ対照群からのフェージングされたハプロタイプデータを使用して、前記フェージングされた個体特異的ハプロタイプに存在しない個体特異的遺伝子型を補完すること、およびd)前記個体が特異的な表現型特徴を有するかまたはこれを発達させる可能性に関連する個体特異的な遺伝的変異を伴う連鎖不平衡(LD)にある、補完された個体特異的遺伝子型からの遺伝的変異を選択することにより、所定の遺伝的変異を決定する工程を含む。
【0012】
本明細書のある実施形態では、非一時的コンピュータ可読記憶媒体が開示され、該非一時的コンピュータ可読記憶媒体はコンピュータにより実行可能なコードを備えており、該コードは、少なくとも1つのプロセッサに、a)前記個体の遺伝子型を提供する工程であって、該遺伝子型は1つ以上の個体特異的な遺伝的変異を含む、工程と、b)前記個体の遺伝子型に少なくとも部分的に基づき前記個体に祖先を割り当てる工程と、c)前記個体の祖先に少なくとも部分的に基づき1つ以上の祖先特異的な遺伝的変異を選択するために、前記個体と同じ祖先を持つ被験者(被験者群)から得た祖先特異的な遺伝的変異を含む特徴関連変異のデータベースを使用する工程とを実行させるように構成されており、前記1つ以上の祖先特異的な遺伝的変異の各々は、(i)1つ以上の個体特異的な遺伝的変異のうち1つの個体特異的な遺伝的変異、または(ii)前記個体と同じ祖先を持つ被験者集団における1つ以上の個体特異的な遺伝的変異のうち1つの個体特異的な遺伝的変異を伴う連鎖不平衡(LD)における所定の遺伝的変異に相当し、前記1つ以上の祖先特異的な遺伝的変異の各々と、前記個体特異的な遺伝的変異の各々は、1つ以上のリスク単位を含み、前記コードはさらに、d)選択された1つ以上の祖先特異的な遺伝的変異に基づき前記個体に関する遺伝リスクスコアを算出する工程であって、前記遺伝リスクスコアは、前記個体が前記特異的な表現型特徴を有するかまたはこれを発達させる可能性を示すものである、工程を実行させるように構成される。いくつかの実施形態では、前記媒体はさらに、前記特異的な特徴に関連する1つ以上の質問を含む調査を前記個体に提供する工程を含む。いくつかの実施形態では、前記媒体はさらに、前記個体に提供される調査における前記特異的な特徴に関連する1つ以上の質問に対する1つ以上の回答を前記個体から受け取る工程を含む。いくつかの実施形態では、前記媒体はさらに、a)前記特異的な特徴に関連する1つ以上の質問を含む調査を前記個体に提供する工程と、c)前記1つ以上の質問に対する1つ以上の回答を前記個体から受け取る工程とを含む。いくつかの実施形態では、前記媒体はさらに、前記被験者群に由来する特異的な特徴に関連付けられる祖先特異的な遺伝的変異を、特徴関連変異データベースに保管する工程を含む。いくつかの実施形態では、前記遺伝リスクスコアはパーセンタイルまたはzスコアを含む。いくつかの実施形態では、前記LDは、(i)少なくとも約0.20のD’値、または(ii)少なくとも約0.70のr値により定められる。いくつかの実施形態では、前記LDは、約0.20~0.25、0.25~0.30、0.30~0.35、0.35~0.40、0.40~0.45、0.45~0.50、0.50~0.55、0.55~0.60、0.60~0.65、0.65~0.70、0.70~0.75、0.75~0.80、0.80~0.85、0.85~0.90、0.90~0.95、または0.95~1.0の範囲を含むD’値により定められる。いくつかの実施形態では、前記LDは、約0.70~0.75、0.75~0.80、0.80~0.85、0.85~0.90、0.90~0.95、または0.95~1.0の範囲を含むr値により定められる。いくつかの実施形態では、前記LDは、少なくとも約0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.85、0.85、0.90、0.95、および1.0の値を含むD’値により定められる。いくつかの実施形態では、前記LDは、少なくとも約0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、または1.0の値を含むr値により定められる。いくつかの実施形態では、前記個体の遺伝子型は、前記個体から得た遺伝子材料を遺伝子型決定アッセイにかけること、またはかけられたことにより得られる。いくつかの実施形態では、前記個体の遺伝子型は、前記個体から得た遺伝子材料を、デオキシリボ核酸(DNA)アレイ、リボ核酸(RNA)アレイ、シーケンシングアッセイ、またはそれらの組み合わせにかけることにより得られる。いくつかの実施形態では、前記シーケンシングアッセイは次世代シーケンシング(NGS)を含む。いくつかの実施形態では、前記方法はさらに、割り当てられた祖先、特異的な特徴、および前記個体の遺伝子型により、特徴関連変異データベースを更新する工程を含む。いくつかの実施形態では、祖先は、主成分分析(PCA)、最尤推定(MLE)、またはそれらの組み合わせを用いて、前記(b)で個体に割り当てられる。いくつかの実施形態では、前記1つ以上の祖先特異的な遺伝的変異、前記1つ以上の個体特異的な遺伝的変異、および前記1つ以上の個体特異的な遺伝的変異を伴うLDにおける遺伝的変異は、一塩基変異(SNV)を含む。いくつかの実施形態では、前記1つ以上のリスク単位はリスクアレルを含む。いくつかの実施形態では、前記1つ以上の祖先特異的な遺伝的変異、前記1つ以上の個体特異的な遺伝的変異、および前記1つ以上の個体特異的な遺伝的変異を伴うLDにおける遺伝的変異は、1つ以上のヌクレオチドの挿入または欠失を特徴とするインデルを含む。いくつかの実施形態では、前記1つ以上のリスク単位は、1つ以上のヌクレオチドの挿入(I)または欠失(D)を含む。いくつかの実施形態では、前記1つ以上の祖先特異的な遺伝的変異、または前記1つ以上の個体特異的な遺伝的変異は、コピー数変異(CNV)を含む。いくつかの実施形態では、前記1つ以上のリスク単位は、核酸配列の挿入または欠失を含む。いくつかの実施形態では、前記核酸配列は、約2、3、4、5、6、7、8、9、または10のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、前記核酸配列は3より多くのヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、前記核酸配列は遺伝子全体を含む。いくつかの実施形態では、前記方法はさらに、前記個体が前記特異的な特徴を有するかまたはこれを発達させるリスクの通知を前記個体に提供する工程を含む。いくつかの実施形態では、前記特異的な特徴は、栄養特徴、臨床的特徴、亜臨床的特徴、運動特徴、皮膚特徴、毛髪特徴、アレルギー特徴、または精神特徴を含む。いくつかの実施形態では、前記亜臨床的特徴は、疾患または疾病を含む。いくつかの実施形態では、前記亜臨床的特徴は、疾患または疾病の表現型を含む。いくつかの実施形態では、前記運動特徴は、運動嫌悪、有酸素運動パフォーマンス、減量困難、持久力、力、フィットネス利益、運動に対する心拍反応低下、除脂肪体重、筋痛、筋損傷リスク、筋修復障害、疲労骨折、全身損傷リスク、肥満症の可能性、または安静代謝率障害を含む。いくつかの実施形態では、前記皮膚特徴は、コラーゲン破壊、乾燥、抗酸化物質欠乏、解毒障害、皮膚糖化反応、色素斑、若々しさ、光線加齢、皮膚感受性、または日光感度を含む。いくつかの実施形態では、毛髪特徴は、毛髪の太さ、薄毛、抜け毛、禿頭症、油性、乾燥、ふけ、または毛髪のボリュームを含む。いくつかの実施形態では、前記栄養特徴は、ビタミン欠乏、ミネラル欠乏、抗酸化物質欠乏、脂肪酸欠乏、代謝平衡異常、代謝機能障害、代謝感応性、アレルギー、満腹感、または保健食の有効性を含む。いくつかの実施形態では、前記ビタミン欠乏は、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB5、ビタミンB6、ビタミンB7、ビタミンB8、ビタミンB9、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、およびビタミンKを含む、ビタミンの欠乏を含む。いくつかの実施形態では、前記ミネラル欠乏は、カルシウム、鉄分、マグネシウム、亜鉛、またはセレンを含む、ミネラルの欠乏を含む。いくつかの実施形態では、前記抗酸化物質欠乏は、グルタチオンまたはコエンザイムQ10(CoQ10)を含む、抗酸化物質の欠乏を含む。いくつかの実施形態では、前記脂肪酸欠乏は、多価不飽和脂肪酸または一価不飽和脂肪酸の欠乏を含む。いくつかの実施形態では、前記代謝平衡異常はグルコース平衡異常を含む。いくつかの実施形態では、前記代謝機能障害は、カフェインまたは薬物治療による代謝機能不全を含む。いくつかの実施形態では、前記代謝感応性は、グルテン感応性、多糖類感応性、またはラクトース感応性を含む。いくつかの実施形態では、前記アレルギーは、食物(食物アレルギー)または環境要因(環境アレルギー)に対するアレルギーを含む。いくつかの実施形態では、前記方法はさらに、前記遺伝リスクスコアが、前記個体が特異的な特徴を有するか、またはこれを発達させる高い可能性を示す場合に、前記個体の特異的な特徴を改善または予防するのに有効な処置を前記個体に施す工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、前記処置はサプリメントまたは薬物治療を含む。いくつかの実施形態では、前記サプリメントは、ビタミン、ミネラル、プロバイオティクス、抗酸化物質、抗炎症剤、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、前記遺伝リスクスコアは、(1)前記被験者群の各被験者の各祖先特異的な遺伝的変異に関する1つ以上のリスク単位の総数を含む素点を算出し、それにより素点の祖先特異的な観察範囲を生成すること、(2)前記1つ以上の個体特異的な遺伝的変異の各々に関する1つ以上のリスク単位の総数を算出し、それにより個々の素点を生成すること、およびc)遺伝リスクスコアを生成するために、個々の素点と祖先特異的な観察範囲とを比較することにより、算出される。いくつかの実施形態では、前記遺伝リスクスコアは、(1)祖先特異的な遺伝リスク変異の各々に関するオッズ比を決定すること、および(2)2つ以上の祖先特異的な遺伝的変異が選択される場合に、2つ以上の祖先特異的な遺伝的変異の各々に関するオッズ比を乗算することにより、算出される。いくつかの実施形態では、前記コンピュータにより実行可能なコードはさらに、a)フェージングされていない遺伝子型データを前記個体から提供すること、b)フェージングされた個体特異的ハプロタイプを前記個体の祖先に基づき生成するために、前記フェージングされていない遺伝子型データをフェージングすること、c)前記個体と同じ祖先を持つ対照群からのフェージングされたハプロタイプデータを使用して、前記フェージングされた個体特異的ハプロタイプに存在しない個体特異的遺伝子型を補完すること、およびd)前記個体が特異的な表現型特徴を有するかまたはこれを発達させる可能性に関連する個体特異的な遺伝的変異を伴う連鎖不平衡(LD)にある、補完された個体特異的遺伝子型からの遺伝的変異を選択することにより、所定の遺伝的変異を決定する工程を、少なくとも1つのプロセッサに実行させるように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】個体の祖先特異的な遺伝リスクスコアを決定するための例示的なシステムを図示するブロック図である。
図2】個体の遺伝リスクスコアを決定するための例示的なプロセスを図示するフローチャートである。
図3】1つ以上の対照遺伝的変異を用いて個体の祖先特異的な遺伝リスクスコアを決定するための例示的なプロセスを図示するフローチャートである。
図4】特徴関連データベースから1つ以上の祖先特異的な遺伝的変異を用いて個体の祖先特異的な遺伝リスクスコアを決定するための例示的なプロセスを図示するフローチャートである。
図5】特徴関連データベースから1つ以上の祖先特異的な遺伝的変異を用いて個体の祖先特異的な遺伝リスクスコアを決定するための例示的なプロセスを図示するフローチャートである。
図6A】本実施形態に係るレポートを例示するものであり、複数の特異的な表現型特徴に関するGRSが被験者に表示されている。図6Aは、フィットネス表現型特徴の概要を含むレポートを例示する。
図6B】本実施形態に係るレポートを例示するものであり、複数の特異的な表現型特徴に関するGRSが被験者に表示されている。図6Bは、フィットネス表現型特徴、すなわち肥満症の可能性に関連する行動推奨を例示する。
図6C】本実施形態に係るレポートを例示するものであり、複数の特異的な表現型特徴に関するGRSが被験者に表示されている。図6Cは、皮膚表現型特徴の概要を含むレポートを例示する。
図6D】本実施形態に係るレポートを例示するものであり、複数の特異的な表現型特徴に関するGRSが被験者に表示されている。図6Dは、皮膚表現型特徴、すなわち抗酸化物質欠乏に関連する行動推奨を例示する。
図6E】本実施形態に係るレポートを例示するものであり、複数の特異的な表現型特徴に関するGRSが被験者に表示されている。図6Eは、栄養表現型特徴の概要を含むレポートを例示する。
図6F】本実施形態に係るレポートを例示するものであり、複数の特異的な表現型特徴に関するGRSが被験者に表示されている。図6Fは、栄養表現型特徴、すなわち満腹障害に関連する行動推奨を例示する。
図7A】本実施形態に係る栄養素と健康に焦点を当てた栄養レポートを例示するものであり、複数の特異的な表現型特徴に関するGRSが被験者に表示されている。図7Aは、食物感受性の概要を含むレポートを例示する。
図7B】本実施形態に係る栄養素と健康に焦点を当てた栄養レポートを例示するものであり、複数の特異的な表現型特徴に関するGRSが被験者に表示されている。図7Bは、ミネラル欠乏と栄養素欠乏の概要を有するレポートを例示する。
図7C】本実施形態に係る栄養素と健康に焦点を当てた栄養レポートを例示するものであり、複数の特異的な表現型特徴に関するGRSが被験者に表示されている。図7Cは、食事管理表現形の概要を含むレポートを例示する。
図7D】本実施形態に係る栄養素と健康に焦点を当てた栄養レポートを例示するものであり、複数の特異的な表現型特徴に関するGRSが被験者に表示されている。図7Dは、ビタミン欠乏の概要を含むレポートを例示する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ハプロタイプ異質性の差異のほか、組換え率も、様々な祖先集団間の連鎖不平衡(LD)に見られる変動に大きく寄与すると考えられている。現行の遺伝リスク予測法では、代わりとなる遺伝的変異体の選択時に被験者群の祖先を考慮することができず、結果として所与の集団におけるリスクの乏しい指標を選択することになる。本明細書に開示される方法、媒体、およびシステムは、個体が属する特定の祖先集団内のLDに基づき、代わりとなる遺伝的変異体を選択することでこの課題に対する解決策を提供する。さらに、本明細書に開示される方法、媒体、およびシステムは、所定のLDパターンを使用するように構成されるソフトウェアプログラムを利用するものであり、このソフトウェアプログラムは、個体特異的な遺伝的変異が以前に開示されていなかった遺伝リスクスコア(GRS)の算出時に導入される場合がある。このため、本明細書に開示される本解決策は、既存の方法と比較して遺伝リスク予測の精度と効率を向上させる。
【0015】
現行のリスク予測法は祖先特異的LD情報を利用しない。しかし、遺伝的変異が他の遺伝的変異を伴うLDにあるかどうかは、どのようにして祖先集団が研究されるのかに大きく左右される。非限定的な例では、優勢的に白人集団のLDに存在する2つの遺伝的変異は、必ずしも例えば中国人集団のLDに存在しない場合がある。その逆もあり得る。個体のGRSの算出時に祖先特異的LDパターンを考慮することは、(i)誤差の回避(例えば2つの遺伝的変異がその集団内のLDに全く存在しない)、および(ii)2回より多くの遺伝的変異の計数の回避を含むがこれらに限定されない多くの理由により、先行技術よりも都合が良い。祖先特異的なLDパターンを考慮すれば、LDの遺伝リスク変異体が特定されるのを確実にすること、かつ1より多くの単一遺伝的変異の計数により引き起こされるGRSの膨張を妨げることにより、正確なGRS予測が可能となる。
【0016】
本明細書のいくつかの実施形態では、個体が自身の祖先を元に特異的な表現型特徴を発達させる可能性を表す遺伝リスクスコア(GRS)を算出するための遺伝リスク予測方法、媒体、およびシステムが開示される。いくつかの実施形態では、GRSは、個体から得たサンプルに検出された前記個体の遺伝子型を構成する遺伝的変異の数と種類に基づき、前記個体と同じ祖先の被験者集団と比較して算出される。いくつかの実施形態では、前記個体の祖先は、前記個体の遺伝子型の解析により決定される。また本明細書には、表現型特徴に対して算出されたGRSに基づき、個体の特異的な表現型特徴に関連する行動改善を推奨するための方法、媒体、およびシステムが開示される。
【0017】
遺伝子型と遺伝的変異
ゲノムワイド関連解析(GWAS)は、一塩基変異(SNV)、挿入/欠失(インデル)、およびコピー数変異(CNV)を含む数十万もの遺伝的変異を考慮して、集団および複雑な臨床条件内の遺伝的変異と表現型特徴との関連性を特定する。個体から得た試料中の特異的な表現型特徴に関連付けられる遺伝的変異の検出は、個体がその特異的な表現型特徴を有するかまたはこれを発達させることを示すと考慮される。いくつかの実施形態では、個体は自身の試料を採取して、この試料を処理および解析するために研究施設に提供する。いくつかの実施形態では、遺伝子材料は被験者から得た試料から抽出される。いくつかの実施形態では、遺伝的変異は、遺伝子型決定アッセイ(例えば遺伝子型決定アレイ、定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)、および/または蛍光性qPCR)を使用して、個体から得た試料の遺伝子材料中で検出される。いくつかの実施形態では、遺伝子情報は、個体の祖先を決定するために解析される。
【0018】
遺伝的変異(例えばSNV、SNP、インデル、CNV)は、遺伝子のコード領域、遺伝子の非コード領域、または遺伝子間領域にある場合がある。遺伝子のコード領域内の遺伝的変異は、遺伝子コード内の冗長性に起因して異なるタンパク質アイソフォームをもたらすこともあれば、そうでない場合もある。遺伝子の非コード領域または遺伝子間領域内での遺伝的変異は、遺伝子から発現された遺伝子発現および/あるいは活性、または遺伝子発現産物に影響を及ぼす場合がある。
【0019】
本明細書のいくつかの実施形態では、個体の遺伝子型を決定する方法とシステムが開示される。いくつかの実施形態では、前記個体は、疾患あるいは疾病、または前記疾患あるいは疾病に関連する症状を患っている。いくつかの実施形態では、前記疾患または疾病は、欠乏性疾患、遺伝病、または心理的疾患を含む。いくつかの実施形態では、前記疾患または疾病は、免疫疾患および/または代謝疾患を含む。いくつかの実施形態では、前記免疫疾患は、自己免疫疾患または障害を含む。自己免疫疾患または障害の非限定的な例として、グレーヴス病、橋本甲状腺炎、全身性エリテマトーデス(狼瘡)、多発性硬化症、関節リウマチ、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、および癌が挙げられる。代謝疾患または疾病の非限定的な例として、1型糖尿病、2型糖尿病、多量栄養素(例えばアミノ酸、炭水化物、または脂質)の吸収に影響を及ぼす疾患、微量栄養素(例えばビタミンまたはミネラル)の吸収に影響を及ぼす疾患、ミトコンドリアの機能に影響を及ぼす疾患、肝機能に影響を及ぼす疾患(例えば非アルコール性脂肪肝疾患)、および腎臓機能に影響を及ぼす疾患が挙げられる。
【0020】
本明細書のいくつかの実施形態では、本明細書に開示される遺伝子型および/または遺伝的変異を用いて、個体が特異的な表現型特徴を有するかまたはこれを発達させる可能性を表す遺伝リスクスコア(GRS)を算出するための方法とシステムが開示される。いくつかの実施形態では、1つの遺伝的変異が使用される。いくつかの実施形態では、2つの遺伝的変異が使用される。いくつかの実施形態では、3つの遺伝的変異が使用される。いくつかの実施形態では、4つの遺伝的変異が使用される。いくつかの実施形態では、5つの遺伝的変異が使用される。いくつかの実施形態では、6つの遺伝的変異が使用される。いくつかの実施形態では、7つの遺伝的変異が使用される。いくつかの実施形態では、8つの遺伝的変異が使用される。いくつかの実施形態では、9つの遺伝的変異が使用される。いくつかの実施形態では、10の遺伝的変異が使用される。いくつかの実施形態では、少なくとも約2つの遺伝的変異が使用される。いくつかの実施形態では、少なくとも約3つの遺伝的変異が使用される。いくつかの実施形態では、少なくとも約4つの遺伝的変異が使用される。いくつかの実施形態では、少なくとも約5つの遺伝的変異が使用される。いくつかの実施形態では、少なくとも約6つの遺伝的変異が使用される。いくつかの実施形態では、少なくとも約7つの遺伝的変異が使用される。いくつかの実施形態では、少なくとも約8つの遺伝的変異が使用される。いくつかの実施形態では、少なくとも約9つの遺伝的変異が使用される。いくつかの実施形態では、少なくとも約10の遺伝的変異が使用される。いくつかの実施形態では、2つの遺伝的変異が使用される。
【0021】
本明細書のいくつかの実施形態では、配列番号1~218の1つ以上に提供される、1つ以上の遺伝的変異(例えばインデル、SNV、SNP)を含む遺伝子型が提供され、該遺伝子型は、本明細書に記載の方法、システム、およびキットに使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子型は単一遺伝的変異を含む。いくつかの実施形態では、前記遺伝子型は2つの遺伝的変異を含む。いくつかの実施形態では、前記遺伝子型は3つの遺伝的変異を含む。いくつかの実施形態では、前記遺伝子型は4つの遺伝的変異を含む。いくつかの実施形態では、前記遺伝子型は5つの遺伝的変異を含む。いくつかの実施形態では、前記遺伝子型は6つの遺伝的変異を含む。いくつかの実施形態では、前記遺伝子型は7つの遺伝的変異を含む。いくつかの実施形態では、前記遺伝子型は8つの遺伝的変異を含む。いくつかの実施形態では、前記遺伝子型は9つの遺伝的変異を含む。いくつかの実施形態では、前記遺伝子型は10の遺伝的変異を含む。いくつかの実施形態では、前記遺伝子型は10を超える遺伝的変異を含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、前記遺伝子型は少なくとも約2つの遺伝的変異を含む。いくつかの実施形態では、前記遺伝子型は少なくとも約3つの遺伝的変異を含む。いくつかの実施形態では、前記遺伝子型は少なくとも約4つの遺伝的変異を含む。いくつかの実施形態では、前記遺伝子型は少なくとも約5つの遺伝的変異を含む。いくつかの実施形態では、前記遺伝子型は少なくとも約6つの遺伝的変異を含む。いくつかの実施形態では、前記遺伝子型は少なくとも約7つの遺伝的変異を含む。いくつかの実施形態では、前記遺伝子型は少なくとも約8つの遺伝的変異を含む。いくつかの実施形態では、前記遺伝子型は少なくとも約9つの遺伝的変異を含む。いくつかの実施形態では、前記遺伝子型は少なくとも約10の遺伝的変異を含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、表1~表44のいずれか1つに列記した少なくとも1つの遺伝的変異が使用される。いくつかの実施形態では、前記遺伝的変異は本明細書に開示される検出方法を用いて使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法とシステムは、表1に提供される1つ以上の遺伝的変異を使用(例えば検出、解析)する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法とシステムは、表2に提供される1つ以上の遺伝的変異を使用する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法とシステムは、表3に提供される1つ以上の遺伝的変異を使用する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法とシステムは、表4に提供される1つ以上の遺伝的変異を使用する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法とシステムは、表5に提供される1つ以上の遺伝的変異を使用する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法とシステムは、表6に提供される1つ以上の遺伝的変異を使用する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法とシステムは、表7に提供される1つ以上の遺伝的変異を使用する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法とシステムは、表8に提供される1つ以上の遺伝的変異を使用する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法とシステムは、表9に提供される1つ以上の遺伝的変異を使用する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法とシステムは、表10に提供される1つ以上の遺伝的変異を使用する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法とシステムは、表11に提供される1つ以上の遺伝的変異を使用する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法とシステムは、表12に提供される1つ以上の遺伝的変異を使用する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法とシステムは、表13に提供される1つ以上の遺伝的変異を使用する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法とシステムは、表14に提供される1つ以上の遺伝的変異を使用する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法とシステムは、表15に提供される1つ以上の遺伝的変異を使用する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法とシステムは、表16に提供される1つ以上の遺伝的変異を使用する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法とシステムは、表17に提供される1つ以上の遺伝的変異を使用する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法とシステムは、表18に提供される1つ以上の遺伝的変異を使用する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法とシステムは、表19に提供される1つ以上の遺伝的変異を使用する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法とシステムは、表20に提供される1つ以上の遺伝的変異を使用する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法とシステムは、表21に提供される1つ以上の遺伝的変異を使用する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法とシステムは、表22に提供される1つ以上の遺伝的変異を使用する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法とシステムは、表23に提供される1つ以上の遺伝的変異を使用する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法とシステムは、表24に提供される1つ以上の遺伝的変異を使用する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法とシステムは、表25に提供される1つ以上の遺伝的変異を使用する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法とシステムは、表26に提供される1つ以上の遺伝的変異を使用する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法とシステムは、表27に提供される1つ以上の遺伝的変異を使用する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法とシステムは、表28に提供される1つ以上の遺伝的変異を使用する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法とシステムは、表29に提供される1つ以上の遺伝的変異を使用する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法とシステムは、表30に提供される1つ以上の遺伝的変異を使用する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法とシステムは、表31に提供される1つ以上の遺伝的変異を使用する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法とシステムは、表32に提供される1つ以上の遺伝的変異を使用する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法とシステムは、表33に提供される1つ以上の遺伝的変異を使用する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法とシステムは、表34に提供される1つ以上の遺伝的変異を使用する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法とシステムは、表35に提供される1つ以上の遺伝的変異を使用する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法とシステムは、表36に提供される1つ以上の遺伝的変異を使用する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法とシステムは、表37に提供される1つ以上の遺伝的変異を使用する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法とシステムは、表38に提供される1つ以上の遺伝的変異を使用する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法とシステムは、表39に提供される1つ以上の遺伝的変異を使用する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法とシステムは、表40に提供される1つ以上の遺伝的変異を使用する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法とシステムは、表41に提供される1つ以上の遺伝的変異を使用する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法とシステムは、表42に提供される1つ以上の遺伝的変異を使用する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法とシステムは、表43に提供される1つ以上の遺伝的変異を使用する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法とシステムは、表44に提供される1つ以上の遺伝的変異を使用する。
【0024】
いくつかの実施形態では、前記方法、システム、およびキットは、1つ以上の遺伝的変異にメジャーアレルまたはマイナーアレルを利用する。いくつかの実施形態では、前記マイナーアレルが使用される。いくつかの実施形態では、前記メジャーアレルが使用される。いくつかの実施形態では、前記方法、システム、およびキットは、非核酸文字またはコードで表されるヌクレオチドを利用する。場合により、非核酸文字またはコードは、国際純正・応用化学連合(IUPAC)のヌクレオチドコードであり、配列番号1~218のいずれか1つに提供される。表1~44のいずれか1つに提供される遺伝的変異には対応する配列番号があり、この番号は、特異的な表現型特徴を有するかまたはこれを発達させるリスクに関連付けられるヌクレオチドまたはポリヌクレオチドを含む核酸配列を提供するものである。
【0025】
本明細書に開示される方法とシステムは概して、個体から得た試料の解析に適している。同様に、本明細書に開示される方法は、試料の処理および/または解析を含む。いくつかの例では、前記試料は、個体から直接、または間接的に得られる。いくつかの例では、前記試料は、流体吸引、綿棒、または流体採取により得られる。いくつかの例では、前記試料は、全血、末梢血、血漿、血清、唾液、口腔粘膜検体、尿などの体液または組織を含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、個体の遺伝子型は、個体から得た試料を核酸ベースの検出アッセイにかけることで決定される。いくつかの例では、前記核酸ベースの検出アッセイは、定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)、ゲル電気泳動法(たとえば、ノーザンブロット、またはサウザンブロットを含む)、免疫化学、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)などのin situハイブリダイゼーション、細胞化学反応、またはシーケンシングを含む。いくつかの実施形態において、前記シーケンシングの技法は、次世代シーケンシングを含む。いくつかの実施形態では、前記方法は、特異的なプライマー対との核酸増幅反応に関与する蛍光性qPCR(例えばTaqMan(商標)またはSYBRグリーン)などのハイブリダイゼーションアッセイ、および、標的核酸配列に特異的である検出可能な部分または分子を含む増幅核酸プローブのハイブリダイゼーションに関与している。さらなる例示的な核酸ベースの検出アッセイは、ビーズ、マルチウェルプレート、アレイ、または他の基板上で共益、またはその他の方法で固定される核酸プローブの使用が挙げられる。前記核酸プローブは標的核酸配列でハイブリダイズするように構成される。いくつかの例では、前記核酸プローブは、使用される遺伝的変異(例えばSNP、SNV、CNV、またはインデル)に特異的である。いくつかの例では、SNPまたはSNVに特異的な核酸プローブは、対象のリスクアレルまたは保護アレルに対し十分に相補的な核酸プローブ配列を含んでおり、そのため、ハイブリダイゼーションはリスクアレルまたは保護アレルに特異的である。いくつかの例では、インデルに特異的な核酸プローブは、挿入に隣接するポリヌクレオチド配列内での核酸塩基の挿入に対し十分に相補的な核酸プローブ配列を含んでおり、そのためハイブリダイゼーションはインデルに特異的である。いくつかの例では、インデルに特異的な核酸プローブは、ポリヌクレオチド配列内の核酸塩基の欠失に隣接するポリヌクレオチド配列に対し十分に相補的なプローブ配列を含んでおり、そのためハイブリダイゼーションはインデルに特異的である。いくつかの例では、複数の核酸プローブはCNVの検出に必要なものであり、CNVを含むポリヌクレオチド配列内の様々な領域に特異的である。非限定的な例では、遺伝子内の1つのエクソンCNVに特異的な複数の核酸プローブは、高密度の2~3、3~4、4~5、5~6、および6~7つの核酸プローブを含む場合があり、遺伝子のエクソンの領域に対し十分に相補的な核酸プローブがそれぞれ使用されてもよい。他の非限定的な例では、前記個体のゲノム全体にわたり分散した複数の核酸プローブを利用して、長いCNVが検出されてもよい。
【0027】
本明細書に記載の遺伝子型の検出に有用である例示的な核酸プローブは、リスクアレルに特異的であるとともに、配列番号1~218のいずれか1つに提供されるオリゴヌクレオチド配列を含む。場合により、前記核酸プローブは、少なくとも10~50以下の隣接ヌクレオチド長である。場合により、前記核酸プローブは、約15と約55の間のヌクレオチド長である。場合により、前記核酸プローブは、約10と約100の間のヌクレオチド長である。場合により、前記核酸プローブは、約10と約90の間のヌクレオチド長である。場合により、前記核酸プローブは、約10と約80の間のヌクレオチド長である。場合により、前記核酸プローブは、約10と約70の間のヌクレオチド長である。場合により、前記核酸プローブは、約10と約60の間のヌクレオチド長である。場合により、前記核酸プローブは、約10と約50の間のヌクレオチド長である。場合により、前記核酸プローブは、約10と約40の間のヌクレオチド長である。場合により、前記核酸プローブは、約10と約30の間のヌクレオチド長である。場合により、前記核酸プローブは、約20と約60の間のヌクレオチド長である。場合により、前記核酸プローブは、約25と約65の間のヌクレオチド長である。場合により、前記核酸プローブは、約30と約70の間のヌクレオチド長である。場合により、前記核酸プローブは、約35と約75の間のヌクレオチド長である。場合により、前記核酸プローブは、約40と約70の間のヌクレオチド長である。
【0028】
いくつかの実施形態では、個体の遺伝子型を検出する方法は、個体から得た試料を核酸増幅アッセイにかける工程を含む。いくつかの例では、前記増幅アッセイは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、qPCR、自家持続配列複製、転写増幅系、Q-βレプリカーゼ、ローリングサークル複製、または他の適切な核酸増幅技法を含む。適切な核酸増幅技法は、リスク変異(例えばSNP、SNV、CNV、またはインデル)を含む核酸配列の領域を増幅させるように構成される。いくつかの例では、この増幅アッセイはプライマーを必要とする。遺伝子型内の遺伝子、または遺伝的変異に対して知られる核酸配列は、当業者が遺伝子または遺伝的変異のあらゆる部分を増幅させるためにプライマーを選択することを可能とするほど十分なものである。プライマーとして適切なDNA試料は、例えばゲノムDNA、ゲノムDNAのフラグメント、アダプター配列にライゲートされたゲノムDNAのフラグメント、またはクローン化配列を対象とするPCR増幅により得られてもよい。所望の特異性と最適な増幅特性を持つプライマーを設計するために、Oligo version7.0(National Biosciences)などのあらゆる適切なコンピュータプログラムを使用することができる。本明細書に記載の遺伝子型の増幅に有用である例示的なプライマーは、少なくとも10~30以下のヌクレオチド長であるとともに、配列番号1~218の1つ以上に提供されるインデル、SNV、SNP、またはCNVに隣接する核酸配列を含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、遺伝子型の有無の検出は、被験者から得た試料の遺伝子材料のシーケンシングを含む。シーケンシングは、単一分子リアルタイム(SMRT)シーケンシング、ポロニーシーケンシング、ライゲーションシーケンシング、可逆的ターミネーターシーケンシング、プロトン検出シーケンシング、イオン半導体シーケンシング、ナノポアシーケンシング、電子シーケンシング、パイロシーケンシング、マクサム-ギルバートシーケンシング、連鎖停止(例えばサンガー)シーケンシング、+Sシーケンシング、または合成によるシーケンシングを含むがこれらに限定されない任意の適切なシーケンシング技法で実行することができる。シーケンシング方法としてさらに、次世代シーケンシング、例えばイルミナシーケンシング(例えばSolexa)、Roche454シーケンシング、イオントレント(Ion torrent)シーケンシング、およびSOLiDシーケンシングなどの現代のシーケンシング技法も挙げられる。場合により、次世代シーケンシングは高スループットシーケンシング方法を必要とする。当業者に利用可能なさらなるシーケンシング方法を利用してもよい。
【0030】
いくつかの例では、配列決定されたヌクレオチドの数は、少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、100、150、200、300、400、500、2000、4000、6000、8000、10000、20000、50000、100000、または100000を超えるヌクレオチドである。いくつかの例では、配列決定されたヌクレオチドの数は、約1~約100000のヌクレオチド、約1~約10000のヌクレオチド、約1~約1000のヌクレオチド、約1~約500のヌクレオチド、約1~約300のヌクレオチド、約1~約200のヌクレオチド、約1~約100のヌクレオチド、約5~約100000のヌクレオチド、約5~約10000のヌクレオチド、約5~約1000のヌクレオチド、約5~約500のヌクレオチド、約5~約300のヌクレオチド、約5~約200のヌクレオチド、約5~約100のヌクレオチド、約10~約100000のヌクレオチド、約10~約10000のヌクレオチド、約10~約1000のヌクレオチド、約10~約500のヌクレオチド、約10~約300のヌクレオチド、約10~約200のヌクレオチド、約10~約100のヌクレオチド、約20~約100000のヌクレオチド、約20~約10000のヌクレオチド、約20~約1000のヌクレオチド、約20~約500のヌクレオチド、約20~約300のヌクレオチド、約20~約200のヌクレオチド、約20~約100のヌクレオチド、約30~約100000のヌクレオチド、約30~約10000のヌクレオチド、約30~約1000のヌクレオチド、約30~約500のヌクレオチド、約30~約300のヌクレオチド、約30~約200のヌクレオチド、約30~約100のヌクレオチド、約50~約100000のヌクレオチド、約50~約10000のヌクレオチド、約50~約1000のヌクレオチド、約50~約500のヌクレオチド、約50~約300のヌクレオチド、約50~約200のヌクレオチド、または約50~約100のヌクレオチドの範囲内にある。
【0031】
いくつかの例では、前記遺伝子型の核酸配列は、変性DNA分子またはそのフラグメントを含む。いくつかの例では、前記核酸配列は、ゲノムDNA、ウイルスDNA、ミトコンドリアDNA、プラスミドDNA、増幅DNA、環状DNA、循環DNA、無細胞DNA、またはエキソソームDNAから選択されるDNAを含む。いくつかの例では、前記DNAは、一本鎖DNA(ssDNA)、二本鎖DNA、変性二本鎖DNA、合成DNA、およびそれらの組み合わせである。前記環状DNAは切断されるか、または断片化されてもよい。いくつかの例では、前記核酸配列はRNAを含む。いくつかの例では、前記核酸配列は断片化RNAを含む。いくつかの例では、前記核酸配列は部分的に分解されたRNAを含む。いくつかの例では、前記核酸配列はマイクロRNAまたはその一部を含む。いくつかの例では、前記核酸配列は、マイクロRNA(miRNA)、pre-miRNA、pri-miRNA、mRNA、pre-mRNA、ウイルスRNA、ウイロイドRNA、ウイルソイドRNA、環状RNA(circRNA)、リボソームRNA(rRNA)、転移RNA(tRNA)、pre-tRNA、長鎖ノンコーディングRNA(lncRNA)、核内低分子RNA(snRNA)、循環RNA、無細胞RNA、エキソソームRNA、ベクター発現RNA、RNA転写物、合成RNA、およびそれらの組み合わせから選択される、RNA分子または断片化RNA分子(RNAフラグメント)を含む。
【0032】
個体が特異的な表現型特徴を有するかまたはこれを発達させる可能性の判定
本明細書に開示される態様では、個体が特異的な表現型特徴を有するかまたはこれを発達させる可能性を表す遺伝リスクスコア(GRS)を算出する方法、媒体、およびシステムが提供される。いくつかの実施形態では、前記特異的な表現型特徴は、臨床的特徴、亜臨床的特徴、運動特徴、または精神特徴を含むがこれらに限定されない、本明細書で議論される表現型特徴を含む。
【0033】
図2は、個体が特異的な特徴を有するかまたはこれを発達させる可能性を、遺伝リスクスコア(GRS)を算出することで決定する例示的なワークフローを記載する。個体の遺伝子型が提供される(202)。この遺伝子型は1つ以上の個体特異的な遺伝的変異を含む。次に、前記個体の遺伝子型に少なくとも部分的に基づき、前記個体の祖先が割り当てられる(204)。続いて、1つ以上の基準遺伝的変異が選択される(206)。ここで、1つ以上の基準遺伝的変異の各々は、1つ以上の個体特異的な遺伝的変異の1つの個体特異的な遺伝的変異、または、被験者集団における1つ以上の個体特異的な遺伝的変異の1つの個体特異的な遺伝的変異を伴う連鎖不平衡(LD)における所定の遺伝的変異に相当する。最後に、被験者集団内の選択された1つ以上の基準遺伝的変異に基づき前記個体に関する遺伝リスクスコアを算出する(208)。ここで前記遺伝リスクスコアは、前記個体が前記特異的な表現型特徴を有するかまたはこれを発達させる可能性を示すものである。いくつかの例では、GRSは、本明細書に開示される方法のいずれか1つを使用して算出される。
【0034】
図3は、祖先特異的でない被験者集団と比べてGRSを算出することにより、個体が特異的な特徴を有するかまたはこれを発達させる可能性を決定するための例示的なワークフローを記載する。個体の遺伝子型が提供される(302)。この遺伝子型は1つ以上の個体特異的な遺伝的変異を含む。次に、前記個体の遺伝子型に少なくとも部分的に基づき、前記個体の祖先が割り当てられる(304)。続いて、1つ以上の基準遺伝的変異が選択される(306)。ここで、1つ以上の基準遺伝的変異の各々は、1つ以上の個体特異的な遺伝的変異の1つの個体特異的な遺伝的変異、または、被験者集団における1つ以上の個体特異的な遺伝的変異の1つの個体特異的な遺伝的変異を伴う連鎖不平衡(LD)における所定の遺伝的変異に相当する。その後、個体特異的な素点が算出される(308)。数値は個体特異的な遺伝的変異内のリスク単位に割り当てられ、各個体特異的な遺伝的変異のすべての数値が、個体特異的な素点を生成するべく一体的に足される。被験者群内の各個体の素点を生成するべく同じ計算が実行され、これにより素点の観察範囲(観察範囲)が生成される(310)。次に、被験者集団に関するリスク率を算出するために、個体特異的な素点は観察範囲と比較される(312)。最後に遺伝リスクスコア(GRS)は個体に割り当てられる(314)。いくつかの例では、GRSはパーセンタイルの形態にある。いくつかの例では、前記パーセンタイルはzスコアの形態にある。
【0035】
図4は、個体の祖先に基づき、個体が特異的な特徴を有するかまたはこれを発達させる可能性を決定する例示的なワークフローを記載する。個体の遺伝子型が提供される(402)。この遺伝子型は1つ以上の個体特異的な遺伝的変異を含む。次に、前記個体の遺伝子型に少なくとも部分的に基づき、前記個体に祖先が割り当てられる(404)。続いて、前記個体と同じ祖先を持つ被験者(祖先特異的な被験者群)に由来する祖先特異的な遺伝的変異は、特徴関連変異体データベースから、前記個体の祖先に少なくとも部分的に基づき選択され(406)、前記1つ以上の祖先特異的な遺伝的変異の各々は、(i)1つ以上の個体特異的な遺伝的変異のうち1つの個体特異的な遺伝的変異、または(ii)前記個体と同じ祖先を持つ被験者集団における1つ以上の個体特異的な遺伝的変異のうち1つの個体特異的な遺伝的変異を伴う連鎖不平衡(LD)における所定の遺伝的変異に相当し、前記1つ以上の祖先特異的な遺伝的変異の各々と、前記個体特異的な遺伝的変異の各々は、1つ以上のリスク単位を含む。その後、個体特異的な素点が算出される(408)。数値は個体特異的な遺伝的変異内のリスク単位に割り当てられ、各個体特異的な遺伝的変異のすべての数値が、個体特異的な素点を生成するべく一体的に足される。祖先特異的な被験者群内の各個体の素点を生成するべく同じ計算が実行され、これにより素点の観察範囲(観察範囲)が生成される(410)。次に、祖先特異的な被験者集団に関するリスク率を算出するために、個体特異的な素点は祖先特異的な観察範囲と比較される(412)。最後に遺伝リスクスコア(GRS)は個体に割り当てられる(414)。いくつかの例では、GRSはパーセンタイルの形態にある。いくつかの例では、前記パーセンタイルはzスコアの形態にある。
【0036】
図5は、個体の祖先に基づき、個体が特異的な特徴を有するかまたはこれを発達させる可能性を決定する例示的なワークフローを記載する。個体の遺伝子型が提供される(502)。この遺伝子型は1つ以上の個体特異的な遺伝的変異を含む。次に、前記個体の遺伝子型に少なくとも部分的に基づき、前記個体に祖先が割り当てられる(504)。続いて、前記個体と同じ祖先を持つ被験者(祖先特異的な被験者群)に由来する祖先特異的な遺伝的変異は、特徴関連変異体データベースから、前記個体の祖先に少なくとも部分的に基づき選択され(506)、前記1つ以上の祖先特異的な遺伝的変異の各々は、(i)1つ以上の個体特異的な遺伝的変異のうち1つの個体特異的な遺伝的変異、または(ii)前記個体と同じ祖先を持つ被験者集団における1つ以上の個体特異的な遺伝的変異のうち1つの個体特異的な遺伝的変異を伴う連鎖不平衡(LD)における所定の遺伝的変異に相当し、前記1つ以上の祖先特異的な遺伝的変異の各々と、前記個体特異的な遺伝的変異の各々は、1つ以上のリスク単位を含む。最後に、選択された1つ以上の祖先特異的な遺伝的変異に基づき、前記個体に関する遺伝リスクスコア(GRS)が算出される(508)。ここで前記遺伝リスクスコアは、前記個体が前記特異的な表現型特徴を有するかまたはこれを発達させる可能性を示すものである。いくつかの例では、GRSは、本明細書に開示される方法のいずれか1つを使用して算出される。
【0037】
個体の祖先の割り当て
いくつかの例では、祖先は、個体の遺伝子型解析により前記個体に割り当てられる。いくつかの例では、前記個体の遺伝子型は、最尤推定法または主成分分析(PCA)を含む方法を使用して解析される。いくつかの例では、SNPRelate、ADMIXTURE、PLINK、またはSTRUCTUREを含むコンピュータプログラムが使用される。例えば、PCAがSNPRelateにより実行された後、既知の祖先集団からの最初の2つの主成分(PC1とPC2)はそれぞれ、単一のデータポイントまたは重心へと組み合わされる。個体の祖先は、既知の祖先の最近重心に近いものと分類される。この方法は最近重心分類モデルに左右される。
【0038】
特徴関連データベース
いくつかの実施形態では、特徴関連データベースが使用される。いくつかの例では、特徴関連データベースは、被験者群の遺伝子型、表現型、および/または祖先データを含む。いくつかの例では、被験者群は、公開されているゲノムワイド関連分析(GWAS)に由来する。いくつかの例では、公開されているGWASは、論文審査のある専門誌に記録されている。いくつかの例では、特徴関連データベースは、前記個体と同じ祖先を持つ被験者群に存在する遺伝的変異の選択を可能とする。いくつかの例では、特徴関連データベースは、前記個体の遺伝子型、表現型、および/または祖先データとともに更新される。多くのデータベースが、遺伝子型、表現型データ、および祖先データの保管と検索に適している。適切なデータベースとして、限定されないが、リレーショナルデータベース、非リレーショナルデータベース、特徴指向データベース(feature oriented database)、特徴データベース、実体関連モデルデータベース、連想データベース、およびXMLデータベースが挙げられる。いくつかの実施形態では、デー夕ベースはインターネットベースである。いくつかの実施形態では、デー夕ベースはウェブベースである。いくつかの実施形態では、デー夕ベースはクラウドコンピューティングベースである。いくつかの実施形態では、データベースは分散型台帳に接続される。いくつかの実施形態では、分散型台帳はブロックチェーンを含む。データベースは、1つ以上のローカルコンピュータ記憶デバイスに基づく場合がある。
【0039】
1つ以上の基準遺伝的変異または祖先特異的な遺伝的変異の選択
いくつかの実施形態では、個体のGRSを算出するために基準遺伝的変異または祖先特異的な遺伝的変異が使用される。いくつかの例では、1つ以上の遺伝的変異は、任意の祖先を持つ被験者群からの基準遺伝的変異を含む。いくつかの実施形態では、前記被験者群は、日本人、ドイツ人、アイルランド人、アフリカ人、南アフリカ人、イギリス人、メキシコ人、イタリア人、ポーランド人、フランス人、ネイティブアメリカン、スコットランド人、オランダ人、ノルウェー人、スコットランド系アイルランド人、スウェーデン人、プエルトリコ人、ロシア人、ヒスパニック、フランス系カナダ人、フィリピン人、韓国人、朝鮮人、インドネシア人、中国人、台湾人、マレーシア人、アフロカリビアン、白人、アメリカインディアン/アラスカ先住民(種族加入を伴う中南米起源の人々を含む)、南太平洋の島の住民(ハワイ、グアム、サモアなど)、南アジア人(アフガニスタン、インド、パキスタン、バングラデシュ、スリランカ、およびネパールの人々を含む)、日本人、タイ人、オーストラリア先住民(アボリジニ、トレス海峡諸島の住民)を含む、1つ以上の祖先を持つ個体を含む。いくつかの例では、1つ以上の基準遺伝的変異は、前記個体と同じ祖先を持つ個体を含む被験者群に由来する祖先特異的な遺伝的変異(祖先特異的な遺伝的変異)を含む。
【0040】
いくつかの例では、基準遺伝的変異は、少なくとも部分的に、前記個体と同じ祖先を持つ被験者群に由来する(祖先特異的な遺伝的変異)ため、選択される。いくつかの例では、前記個体の祖先は、本明細書に開示される方法を用いて前記個体の遺伝子型を解析することにより決定される。いくつかの例では、前記祖先特異的な遺伝的変異は、本明細書に開示される特徴関連変異体データベースから選択される。
【0041】
いくつかの例では、前記祖先特異的な遺伝的変異は、前記個体の遺伝子型内の個体特異的な遺伝的変異に相当する。いくつかの例では、対応する個体特異的な遺伝的変異は知られておらず、その場合には、他の遺伝的変異が選択され、未知の個体特異的な遺伝的変異に代わるものとして機能する。
【0042】
代わりの遺伝的変異の選択
いくつかの実施形態では、個体特異的な遺伝的変異が知られていないときにGRSを算出するために、代わりの遺伝的変異が使用される。いくつかの例では、所定の遺伝的変異が選択され、代わりのものとして機能する。本明細書のいくつかの実施形態では、未知の個体特異的な遺伝的変異に対応する代わりの遺伝的変異を予め決定する方法が開示され、該方法は、(i)フェージングされていない遺伝子型データを前記個体から提供する工程と、(ii)フェージングされた個体特異的ハプロタイプを前記個体の祖先に基づき生成するために、前記フェージングされていない遺伝子型データをフェージングする工程と、(iii)前記個体と同じ祖先を持つ対照群からのフェージングされたハプロタイプデータを使用して、前記フェージングされた個体特異的ハプロタイプに存在しない個体特異的遺伝子型を補完する工程と、(iv)前記個体が特異的な表現型特徴を有するかまたはこれを発達させる可能性に関連する個体特異的な遺伝的変異を伴う連鎖不平衡(LD)にある、補完された個体特異的遺伝子型からの遺伝的変異を選択する工程とを含む。
【0043】
いくつかの例では、前記方法は、未知の個体特異的なインデルの代わりとしてインデル(挿入/欠失)を選択する工程を含む。いくつかの例では、前記方法は、未知の個体特異的なCNVの代わりとしてコピー数変異(CNV)を選択する工程を含む。
【0044】
本明細書では、「連鎖不平衡」または「LD」は、所与の集団中の遺伝リスク変異を伴うリスク単位の非無作為的な関連性を指す。LDは、集団中の観察かつ予測されたリスク単位の頻度間の差異に相当するD’値により定められてもよい(D=Pab-PaPb)。LDは、Dの理論極大値によりスケーリングされる。LDは、集団中の観察されたリスク単位頻度と予測されたリスク単位頻度との差異に相当するr値により定められてもよい(D=Pab-PaPb)。LDは、異なる遺伝子座の個々の頻度によりスケーリングされる。いくつかの実施形態では、D’は少なくとも0.20を含む。いくつかの実施形態では、rは少なくとも0.70を含む。いくつかの実施形態では、LDは、少なくとも約0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.85、0.85、0.90、0.95、または1の値を含むD’値により定められる。いくつかの実施形態では、LDは、少なくとも約0.70、0.75、0.75、0.80、0.85、0.90、または1.0の値を含むr値により定められる。LDは、様々な祖先に属する被験者集団内で相違する。非限定的な例では、中国人個体の被験者集団における代わりのSNVを伴うLDのSNVは、必ずしも白人個体の被験者集団におけるLDに存在しない場合がある。このため、フェージングされた祖先特異的なハプロタイプデータに基づき代わりの遺伝的変異を予め決定することで、この代わりの遺伝的変異に少なくとも部分的に基づき遺伝リスク予測の精度が向上する。
【0045】
遺伝リスクスコアの算出
いくつかの実施形態では、前記個体の祖先に基づき前記個体の遺伝リスクスコア(GRS)を算出する方法が提供される。本明細書に開示される遺伝的変異は、SNV、インデル、および/またはCNVを含む。各遺伝的変異は、GRSを算出するために使用されるリスク単位を含む。いくつかの例では、SNV内のリスク単位はリスクアレルを含む。いくつかの例では、インデル内のリスク単位は挿入または欠失を含む。いくつかの例では、CNV内のリスク単位は、野生型コピー数と比較して数が多いまたは少ない、遺伝子のコピーまたは遺伝子のセグメントを含む。当業者は、本方法とシステムに従い前記個体のGRSを算出するために、多くのGRS算出方法が使用されてもよいことを理解する。
【0046】
本明細書のいくつかの実施形態では、個体のGRSを算出する方法が開示される。いくつかの例では、SNV内のリスク単位(例えばリスクアレル)、インデル内のリスク単位(例えば挿入または欠失)、および/またはCNV内のリスク単位(例えばコピー数)には、任意の数値を割り当ててもよい。SNVに関与するGRSを算出する非限定的な例では、SNV(RR)内のリスクアレルに対するホモ接合遺伝子型は、数値2を割り当てられ、SN(R)内のリスクアレルに対するヘテロ接合遺伝子型は、数値1を割り当てられ、非リスク(N)である遺伝子型は数値0を割り当てられる。次に、祖先特異的なSNVに対応する個々のSNVすべてに対する各数値は、まとめて足され、モデルに使用される遺伝的変異の総数で割ることで、個体の素点(個々の素点)が生成される。前記被験者群に属する各個体に対して同じ計算を行い、それにより一定範囲の素点(観察範囲)が生成される。いくつかの例では、前記被験者群は、前記個体と同じ祖先を持つ個体を含む。次に、前記被験者集団に関するリスク率を算出するために、個々の素点は観察範囲と比較される。
【0047】
SNVに関与するGRSを算出する別の非限定的な例では、個体特異的SNVに対応する選択された祖先特異的SNVそれぞれの対立遺伝子オッズ比(OR)が提供され、乗算される。いくつかの例では、前記ORは、複製され、公開され、および/または論文審査されたGWASから得られる。いくつかの例では、個体特異的SNVに対応する選択された祖先特異的SNVそれぞれのORが提供される。次に、祖先特異的なSNVそれぞれの遺伝子型ORがまとめて足され、前記個体の遺伝子型ORが乗算される。前記個体および被験者群の遺伝子型のORが比較され、パーセンタイルGRSが算出される。
【0048】
インデルに関与するGRSを算出する別の非限定的な例では、インデル(II)内の挿入に対するホモ接合遺伝子型は、数値2を割り当てられ、インデル(I)内の挿入に対するヘテロ接合遺伝子型は、数値1を割り当てられ、非リスク(N)である遺伝子型は数値0を割り当てられる。次に、祖先特異的なインデルに対応する個々のインデルすべてに対する各数値は、まとめて足され、モデルに使用される遺伝的変異の総数で割ることで、個体の素点(個々の素点)が生成される。前記被験者群に属する各個体に対して同じ計算を行い、それにより一定範囲の素点(観察範囲)が生成される。いくつかの例では、前記被験者群は、前記個体と同じ祖先を持つ個体を含む。次に、前記被験者集団に関するリスクパーセンタイルを算出するために、個々の素点は観察範囲と比較される。
【0049】
インデルに関与するGRSを算出する別の非限定的な例では、個体特異的インデルに対応する選択された祖先特異的インデルそれぞれの対立遺伝子オッズ比(OR)が提供され、乗算される。いくつかの例では、前記ORは、複製され、公開され、および/または論文審査されたGWASから得られる。いくつかの例では、個体特異的なインデルに対応する選択された祖先特異的なインデルそれぞれのORが提供され、各リスクインデルのアレルに関するORは、被験者群の各被験者に関する遺伝子型ORを生成するために乗算される。次に、前記個体の遺伝子型ORを生成するために、個体に対して同じ計算を実行する。前記個体および被験者群の遺伝子型のORが比較され、パーセンタイルGRSが算出される。
【0050】
CNVに関与するGRSを算出する非限定的な例では、非リスクである遺伝子型(例えば、コピー数が野生型または正常な対照と同じである)は、数値0を割り当てられ、1つのCNVから構成される遺伝子型は、数値1を割り当てられ、2つのCNVから構成される遺伝子型は、数値2を割り当てられる。次に、祖先特異的なCNVに対応する個々のCNVすべてに対する各数値は、まとめて足され、モデルに使用される遺伝的変異の総数で割ることで、個体の素点(個々の素点)が生成される。前記被験者群に属する各個体に対して同じ計算を行い、それにより一定範囲の素点(観察範囲)が生成される。いくつかの例では、前記被験者群は、前記個体と同じ祖先を持つ個体を含む。次に、前記被験者集団に関するリスクパーセンタイルを算出するために、個々の素点は観察範囲と比較される。
【0051】
CNVに関与するGRSを算出する別の非限定的な例では、個体特異的CNVに対応する選択された祖先特異的CNVそれぞれの対立遺伝子オッズ比(OR)が提供され、乗算される。いくつかの例では、前記ORは、複製され、公開され、および/または論文審査されたGWASから得られる。いくつかの例では、個体特異的なCNVに対応する選択された祖先特異的なCNVそれぞれのORが提供され、各CNVに関するORは、被験者群の各被験者に関する遺伝子型ORを生成するために乗算される。次に、前記個体の遺伝子型ORを生成するために、個体に対して同じ計算を実行する。前記個体および被験者群の遺伝子型のORが比較され、パーセンタイルGRSが算出される。
【0052】
本明細書のいくつかの実施形態では、1つ以上のSNVと1つ以上のCNV、1つ以上のSNVと1つ以上のインデル、1つ以上のCNVと1つ以上のインデル、または1つ以上のSNVと1つ以上のCNVと1つ以上のインデルに関与する上記開示の方法を用いて、遺伝リスクスコア(GRS)を算出するための方法、媒体、およびシステムが開示される。
【0053】
表現型特徴
大部分の表現型特徴と複合病は、遺伝的要因と環境要因を組み合わせた結果生じたものであり、その各々は、表現型特徴の発達に対する感受性を増加または低下させる。個体が表現型を有するかまたはこれを発達させるかどうかを予測できることは、個体の処置レジメンの選択、個体への食物処方、製品(例えば、スキンケア、ヘアケア、化粧品、サプリメント、ビタミン、運動など)の推奨を含むがこれらに限定されない様々な目的に有用である。
【0054】
用語「表現型特徴」と「特異的な表現型特徴」は、本明細書で互換的に使用されるものであり、少なくとも前記個体の表現型から生じる個体の観察可能な特徴を指す。本明細書に開示される遺伝リスク予測の方法、媒体、およびシステムは、基準集団と比較して、遺伝的変異の数と種類を解析することにより個体の遺伝子型における遺伝的変異の負荷を定量する。個体から得た試料に存在する遺伝的変異の数と種類により、前記個体において特定の表現型特徴が発達する可能性(またはリスク)が多いか少ないかを伝えることができる。場合により、特異的な表現型特徴は、個体の健康または幸福度に悪影響を及ぼす。本明細書のいくつかの実施形態では、個体の特異的な表現型特徴の有害作用を予防、緩和、または改善するための行動変化を推奨するための方法、システム、および媒体が開示される。
【0055】
本明細書に開示される態様では、個体が特異的な表現型特徴を有するかまたはこれを発達させる可能性を表す遺伝リスクスコア(GRS)を算出する方法とシステムが提供される。GRSは、個体のゲノム、または遺伝子型に存在する、基礎となる1つ以上の遺伝的変異である。いくつかの実施形態では、前記1つ以上の遺伝的変異は、本明細書に開示される方法を用いて前記個体から得た試料に検出される。いくつかの実施形態では、前記1つ以上の遺伝的変異は、SNV、インデル、および/またはCNVを含む。いくつかの実施形態では、前記個体の遺伝子型に存在する1つ以上の遺伝的変異は、前記個体が特異的な表現型特徴を有するかまたはこれを発達させる可能性の増加に関連付けられる。いくつかの実施形態では、前記個体の遺伝子型に存在する1つ以上の遺伝的変異は、前記個体が特異的な表現型特徴を有するかまたはこれを発達させる可能性の低下に関連付けられる。いくつかの実施形態では、前記表現型特徴は、臨床的特徴、亜臨床的特徴、運動特徴、皮膚特徴、毛髪特徴、アレルギー特徴、栄養特徴、または精神特徴を含む。
【0056】
臨床的特徴と亜臨床的特徴
いくつかの実施形態では、臨床的特徴は、疾患あるいは疾病、または前記疾患あるいは疾病の亜臨床的特徴を含む。いくつかの実施形態では、前記臨床的特徴は、診断可能な疾患または疾病を含む。いくつかの実施形態では、前記亜臨床的特徴は、副次的診断可能な(sub-diagnosable)疾患、疾病、または疾患あるいは疾病に関連付けられる他の表現型を含む。いくつかの実施形態では、前記疾患または疾病は、欠乏性疾患、遺伝病、または心理的疾患を含む。いくつかの実施形態では、前記疾患または疾病は、免疫疾患および/または代謝疾患の白内障リスク、緑内障リスク、関節炎リスク、腎臓結石リスク、全身炎症リスク、骨盤底機能障害、炎症性バイオマーカーCRP、ESR、IL18、年齢に関連した認知力低下、年齢に関連した聴覚消失、白斑、ホモシステインリスク上昇を含む。非限定的な例として、不眠症リスク、腎臓結石リスク、および歯根膜炎が挙げられる。いくつかの実施形態では、前記免疫疾患は、自己免疫疾患または障害を含む。自己免疫疾患または障害の非限定的な例として、グレーヴス病、橋本甲状腺炎、全身性エリテマトーデス(狼瘡)、多発性硬化症、関節リウマチ、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、および癌が挙げられる。代謝疾患または疾病の非限定的な例として、1型糖尿病、2型糖尿病、多量栄養素(例えばアミノ酸、炭水化物、または脂質)の吸収に影響を及ぼす疾患、微量栄養素(例えばビタミンまたはミネラル)の吸収に影響を及ぼす疾患、ミトコンドリアの機能に影響を及ぼす疾患、肝機能に影響を及ぼす疾患(例えば非アルコール性脂肪肝疾患)、および腎臓機能に影響を及ぼす疾患が挙げられる。亜臨床的特徴として、本明細書に開示される疾患または疾病に関連付けられる副次的診断可能な疾病または障害を挙げることができる。
【0057】
皮膚特徴
いくつかの実施形態では、前記表現型特徴は、前記個体の皮膚に関連する特徴(皮膚特徴)を含む。いくつかの実施形態では、前記皮膚特徴は、コラーゲン破壊の速度を含む。コラーゲン破壊の速度は、MMP、MMP-3、MMP-1のコラーゲン破壊酵素をコードする遺伝子内の遺伝的変異により影響を受ける場合がある。コラーゲン破壊酵素をコードする遺伝子内の遺伝的変異の非限定的な例として、表1に開示される一塩基変異(SNV)が挙げられる。
【0058】
【表1】
【0059】
いくつかの実施形態では、前記皮膚特徴は、乾燥度合いを含む。皮膚の水和、したがって乾燥度合いは、アクアポリン3をコードする遺伝子内の遺伝的変異により影響を受ける場合がある。アクアポリン3をコードする遺伝子内の遺伝的変異の非限定的な例として、表2に開示されるSNVが挙げられる。
【0060】
【表2】
【0061】
いくつかの実施形態では、前記皮膚特徴は、皮膚の抗酸化物質欠乏を含む。皮膚の抗酸化物質欠乏は、NQO1、SOD2、NFE2L2、GPX1、および/またはCATをコードする遺伝子内の遺伝的変異により影響を受ける場合がある。NQO1、SOD2、NFE2L2、GPX1、およびCATをコードする遺伝子内の遺伝的変異の非限定的な例として、表3に開示されるSNVが挙げられる。
【0062】
【表3】
【0063】
いくつかの実施形態では、前記皮膚特徴は、皮膚を解毒する機能の障害を含む。皮膚の解毒能は、LOC157273、SGOL1、TBC1D22B、FST、MIR4432、RNASEH2C、および/またはTGFB2をコードする遺伝子内の遺伝的変異により影響を受ける場合がある。LOC157273、SGOL1、TBC1D22B、FST、MIR4432、RNASEH2C、およびTGFB2をコードする遺伝子内の遺伝的変異の非限定的な例として、表4に開示されるSNVが挙げられる。
【0064】
【表4】
【0065】
いくつかの実施形態では、前記皮膚特徴は皮膚の糖化反応を含む。糖化反応は、SLC24A5、SLC45A2、BCN2、MC1R、C16orf55、SPATA33、ASIP、RALY、および/またはNAT2をコードする遺伝子内の遺伝的変異により影響を受ける場合がある。SLC24A5、SLC45A2、BCN2、MC1R、C16orf55、SPATA33、ASIP、RALY、およびNAT2をコードする遺伝子内の遺伝的変異の非限定的な例として、表5に開示されるSNVが挙げられる。
【0066】
【表5】
【0067】
いくつかの実施形態では、前記皮膚特徴は色素斑を含む。皮膚の色素斑は、SEC5L1、IRF4、MC1R、SLC45A2、TYR、NTM、ASIP、RALYをコードする遺伝子内の遺伝的変異により影響を受ける場合がある。SEC5L1、IRF4、MC1R、SLC45A2、TYR、NTM、ASIP、RALYをコードする遺伝子内の遺伝的変異の非限定的な例として、表6に開示されるSNVが挙げられる。
【0068】
【表6】
【0069】
いくつかの実施形態では、前記皮膚特徴は若々しさを含む。本明細書では、「若々しさ」は、加齢速度の低下を含む皮膚の質を指すか、または見た目よりも新鮮または若々しく見えることをいう。若々しさは、EDEM1をコードする遺伝子内の遺伝的変異により影響を受ける場合がある。EDEM1をコードする遺伝子内の遺伝的変異の非限定的な例として、表7に開示されるSNVが挙げられる。いくつかの実施形態では、若々しさは、表7に開示されるSNVを発現しない個体における加齢速度と比較して、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、12か月、1年、2年、3年、4年、または5年遅い加齢速度を含む、皮膚の質を指す。
【0070】
【表7】
【0071】
いくつかの実施形態では、前記皮膚特徴は光線加齢を含む。本明細書では、「光線加齢」は、紫外線に起因した皮膚の損傷を指し、早期老化の主な原因である。光線加齢は、MC1R、NTM、TYR、FBXO40、STXBP5L、ASIP、RALY、FANCA、ID4-RPL29P17をコードする遺伝子内の遺伝的変異により影響を受ける場合がある。MC1R、NTM、TYR、FBXO40、STXBP5L、ASIP、RALY、FANCA、ID4-RPL29P17をコードする遺伝子内の遺伝的変異の非限定的な例として、表8に開示されるSNVが挙げられる。
【0072】
【表8】
【0073】
いくつかの実施形態では、前記皮膚特徴は皮膚感受性を含む。本明細書では、「皮膚感受性」は、皮膚障壁を破壊して敏感肌や刺激を促進させるおそれのある遺伝的変異を指す。皮膚感受性は、RNASEH2C、DDB2、C11orf49、SELL、TGFB2、SGOL1、ERI1、LOC157273、MFHAS1、MIR597、MIR4660、PPP1R3B、U6、TNKS、BC017578、TBC1D22B、AL833181、BCL11A、JB153659、PAPOLG、MIR4432、Mir_562をコードする遺伝子内の遺伝的変異により影響を受ける場合がある。RNASEH2C、DDB2、C11orf49、SELL、TGFB2、SGOL1、ERI1、LOC157273、MFHAS1、MIR597、MIR4660、PPP1R3B、U6、TNKS、BC017578、TBC1D22B、AL833181、BCL11A、JB153659、PAPOLG、MIR4432、Mir_562をコードする遺伝子内の遺伝的変異の非限定的な例として、表9に開示されるSNVが挙げられる。
【0074】
【表9】
【0075】
いくつかの実施形態では、前記皮膚特徴は、太陽に対する感受性を含む。太陽に対する感受性は、中等度の日光曝露の結果として生じる皮膚損傷の一部の素因を指す。太陽に対する感受性は、NTM、TYR、MC1Rをコードする遺伝内の遺伝的変異により影響を受ける場合がある。NTM、TYR、MC1Rをコードする遺伝内の遺伝的変異の非限定的な例として、表10に開示されるSNVが挙げられる。
【0076】
【表10】
【0077】
運動特徴
本明細書のいくつかの実施形態では、個体のフィットネスに関連する特徴(フィットネス特徴)を含む運動特徴が開示される。いくつかの実施形態では、前記フィットネス特徴は運動嫌悪を含む。「運動嫌悪」は、運動を回避および/または嫌うことを指す。運動嫌悪は、PAPSS2、C18orf2、DNAPTP6、TMEM18、LEP、MC4Rをコードする遺伝子内の遺伝的変異により影響を受ける場合がある。PAPSS2、C18orf2、DNAPTP6、TMEM18、LEP、MC4Rをコードする遺伝子内の遺伝的変異の非限定的な例として、表11に開示される一塩基変異(SNV)が挙げられる。
【0078】
【表11】
【0079】
いくつかの実施形態では、前記フィットネス特徴は有酸素運動パフォーマンスを含む。有酸素運動パフォーマンスは、TSHR、ACSL1、PRDM1、DBX1、GRIN3A、ESRRB、ZIC4、CDH13をコードする遺伝子内の遺伝的変異により影響を受ける場合がある。TSHR、ACSL1、PRDM1、DBX1、GRIN3A、ESRRB、ZIC4、CDH13をコードする遺伝子内の遺伝的変異の非限定的な例として、表12に開示されるSNVが挙げられる。
【0080】
【表12】
【0081】
いくつかの実施形態では、前記フィットネス特徴は減量困難を含む。減量困難は、FTO、TMEM18、MC4R、KCTD15、CHST8、PPARG、NEGR1、IRS1、SFRS10、ETV5、DGKG、ATP2A1、SH2B1、BDNF、SEC16B、RASAL2、NOS1AP、AIF1、NCR3、MSRA、TNKS、SPRY2、SH3PXD2B、NEURL1B、BCDIN3D、FAIM2、CHRNA9、RBM47、RGMA、MCTP2、MIR4275、PCDH7、TENM2、PRR16、FTMT、SLC24A5、SDCCAG8、COL25A1、NEURL1B、SH3PXD2B、ERBB4、MIR4776-2、STXBP6、NOVA1、DEFB112、TFAP2D、EEF1A1P11-LOC105378866、MTIF3-RNU6-63P、NRXN3、CEP120、および/またはLOC105378866-RN7SL831Pをコードする遺伝子内の遺伝的変異により影響を受ける場合がある。FTO、TMEM18、MC4R、KCTD15、CHST8、PPARG、NEGR1、IRS1、SFRS10、ETV5、DGKG、ATP2A1、SH2B1、BDNF、SEC16B、RASAL2、NOS1AP、AIF1、NCR3、MSRA、TNKS、SPRY2、SH3PXD2B、NEURL1B、BCDIN3D、FAIM2、CHRNA9、RBM47、RGMA、MCTP2、MIR4275、PCDH7、TENM2、PRR16、FTMT、SLC24A5、SDCCAG8、COL25A1、NEURL1B、SH3PXD2B、ERBB4、MIR4776-2、STXBP6、NOVA1、DEFB112、TFAP2D、EEF1A1P11-LOC105378866、MTIF3-RNU6-63P、NRXN3、CEP120、および/またはLOC105378866-RN7SL831Pをコードする遺伝子内の遺伝的変異の非限定的な例として、表13に開示されるSNVが挙げられる。
【0082】
【表13】
【0083】
いくつかの実施形態では、前記フィットネス特徴は持久力を含む。持久力は、PPARGC1A、PPAR-a、TSHR、ESRRB、および/またはCDH13をコードする遺伝子内の遺伝的変異により影響を受ける場合がある。PPARGC1A、PPAR-a、TSHR、ESRRB、およびCDH13をコードする遺伝子内の遺伝的変異の非限定的な例として、表14に開示されるSNVが挙げられる。
【0084】
【表14】
【0085】
いくつかの実施形態では、前記フィットネス特徴は力を含む。力は、TSHR、ESRRB、および/またはCDH13をコードする遺伝子内の遺伝的変異により影響を受ける場合がある。TSHR、ESRRB、およびCDH13をコードする遺伝内の遺伝的変異の非限定的な例として、表15に開示されるSNVが挙げられる。
【0086】
【表15】
【0087】
いくつかの実施形態では、前記フィットネス特徴はフィットネス利益を含む。「フィットネス利益」は、運動から迅速かつ強力な効果がもたらされる特定の遺伝的変異を持つ個体を指すが、他の遺伝的変異は時間が長くかかる場合があり、結果もあまり明白ではない。フィットネス利益は、KLKB1、F12、CETP、APOE、APOC1、EDN1、SORT1、PLA2G7、LPL、LIPC、GALNT2、SCARB1、LIPG、MS4A4E、ABCA1、TMEM49、LOC101928635、MVK、MMAB、FLJ41733、FADS1、RREB1、COL8A1、および/またはGCKRをコードする遺伝子内の遺伝的変異により影響を受ける場合がある。KLKB1、F12、CETP、APOE、APOC1、EDN1、SORT1、PLA2G7、LPL、LIPC、GALNT2、SCARB1、LIPG、MS4A4E、ABCA1、TMEM49、LOC101928635、MVK、MMAB、FLJ41733、FADS1、RREB1、COL8A1、およびGCKRをコードする遺伝子内の遺伝的変異の非限定的な例として、表16に開示されるSNVが挙げられる。
【0088】
【表16】
【0089】
いくつかの実施形態では、前記フィットネス特徴は、運動に対する心拍反応(例えば回復速度)低下を含む。運動に対する心拍反応低下は、RBPMS、PIWIL1、OR6N2、ERBB4、CREB1、MAP2、および/またはIKZF2をコードする遺伝子内の遺伝的変異により影響を受ける場合がある。RBPMS、PIWIL1、OR6N2、ERBB4、CREB1、MAP2、およびIKZF2をコードする遺伝子内の遺伝的変異の非限定的な例として、表17に開示されるSNVが挙げられる。
【0090】
【表17】
【0091】
いくつかの実施形態では、前記フィットネス特徴は除脂肪体重を含む。除脂肪体重は、TRHR、DARC、GLYAT、FADS1、および/またはFADS2をコードする遺伝子内の遺伝的変異により影響を受ける場合がある。TRHR、DARC、GLYAT、FADS1、およびFADS2をコードする遺伝子内の遺伝的変異の非限定的な例として、表18に開示されるSNVが挙げられる。
【0092】
【表18】
【0093】
いくつかの実施形態では、前記フィットネス特徴は筋痛を含む。筋痛は、CD163L1、DARC、CD163、ABO、CRP、CD163、CADM3、CR1、NRNR、NINJ1、CFH、DARC、CPN1、CSF1、HBB、CCL2、および/またはIGF2をコードする遺伝子内の遺伝的変異により影響を受ける場合がある。CD163L1、DARC、CD163、ABO、CRP、CD163、CADM3、CR1、NRNR、NINJ1、CFH、DARC、CPN1、CSF1、HBB、CCL2、およびIGF2をコードする遺伝子内の遺伝的変異の非限定的な例は、表19に開示されるSNVが挙げられる。
【0094】
【表19】
【0095】
いくつかの実施形態では、前記フィットネス特徴は筋損傷リスクを含む。「筋損傷」は、筋損傷リスクを増加させる素因を持つことを指す。筋損傷リスクは、IGF-II、MLCK、ACTN3、IL-6、および/またはCOL5A1をコードする遺伝子内の遺伝的変異により影響を受ける場合がある。IGF-II、MLCK、ACTN3、IL-6、およびCOL5A1をコードする遺伝子内の遺伝的変異の非限定的な例として、表20に開示されるSNVが挙げられる。
【0096】
【表20】
【0097】
いくつかの実施形態では、前記フィットネス特徴は筋修復障害を含む。筋修復障害は、HCP5、HCG26、MICB、ATP6V1G2、および/またはDDX39Bをコードする遺伝子内の遺伝的変異により影響を受ける場合がある。HCP5、HCG26、MICB、ATP6V1G2、およびDDX39Bをコードする遺伝子内の遺伝的変異の非限定的な例として、表21に開示されるSNVが挙げられる。
【0098】
【表21】
【0099】
いくつかの実施形態では、前記フィットネス特徴は疲労骨折リスクを含む。疲労骨折リスクは、LOC101060363-LOC105376856、ZBTB40、EN1、FLJ42280、COLEC10、WNT16、ESR1、ATP6V1G1、CLDN14、ESR1FABP3P2、ADAMTS18、SOST、CLDN14、MEF2C、KCNH1、C6orf97、CKAP5、C17orf53、SOST、TNFRSF11A、LOC105373519-LOC728815、PTCH1、SMOC1、LOC646794-LOC101928765、および/またはLOC105377045-MRPS31P1をコードする遺伝子内の遺伝的変異により影響を受ける場合がある。LOC101060363-LOC105376856、ZBTB40、EN1、FLJ42280、COLEC10、WNT16、ESR1、ATP6V1G1、CLDN14、ESR1FABP3P2、ADAMTS18、SOST、CLDN14、MEF2C、KCNH1、C6orf97、CKAP5、C17orf53、SOST、TNFRSF11A、LOC105373519-LOC728815、PTCH1、SMOC1、LOC646794-LOC101928765、およびLOC105377045-MRPS31P1をコードする遺伝子内の遺伝的変異の非限定的な例は、表22に開示されるSNVが挙げられる。
【0100】
【表22】
【0101】
いくつかの実施形態では、前記フィットネス特徴は全身損傷リスクを含む。全身損傷リスクは、HAO1、RSPO2、EMC2、EIF3E、CCDC91、PTHLH、LOC100506393、LINC00536、EIF3H、CDC5L、SUPT3H、および/またはMIR4642をコードする遺伝子内の遺伝的変異により影響を受ける場合がある。HAO1、RSPO2、EMC2、EIF3E、CCDC91、PTHLH、LOC100506393、LINC00536、EIF3H、CDC5L、SUPT3H、およびMIR4642をコードする遺伝子内の遺伝的変異の非限定的な例は、表23に開示されるSNVが挙げられる。
【0102】
【表23】
【0103】
いくつかの実施形態では、前記フィットネス特徴は安静代謝性心拍数障害を含む。安静代謝性心拍数障害は、FTOをコードする遺伝子内の遺伝的変異により影響を受ける場合がある。FTOをコードする遺伝子内の遺伝的変異の非限定的な例として、表24に開示されるSNVが挙げられる。
【0104】
【表24】
【0105】
栄養特徴
本明細書のいくつかの実施形態では、ビタミン欠乏、ミネラル欠乏、抗酸化物質欠乏、代謝平衡異常、代謝機能障害、代謝感応性、アレルギー、満腹感、および/または保健食の有効性を含む、栄養特徴が開示される。
【0106】
いくつかの実施形態では、前記栄養特徴はビタミン欠乏を含む。いくつかの例では、前記ビタミン欠乏は、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB5、ビタミンB6、ビタミンB7、ビタミンB8、ビタミンB9、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、またはビタミンKの欠乏を含む。ビタミン欠乏は、GC、FUT2、HAAO、BCMO1、ALPL、CYP2R1、MS4A3、FFAR4、TTR、CUBN、FUT6、ZNF259、LOC100128347、APOA5、SIK3、BUD13、ZNF259、APOA5、BUD13、KYNU、NBPF3、TCN1、CYP4F2、PDE3B、CYP2R1、CALCA、CALCP、OR7E41P、APOA5、CLYBL、NADSYN1、DHCR7、SCARB1、RNU7-49P,COPB1、RRAS2、PSMA1、PRELID2、CYP2R1、PDE3B、CALCA、CALCP、OR7E41P、MUT、ZNF259、CTNAA2、CDO1、SLC23A1、KCNK9、CYP4F2、LOC729645、ZNF259、BUD13、ST6GALNAC3、NKAIN3、VDAC1P12、RASIP1、MYT1L、PAX3、NPY、ADCYAP1R1、HSF5、RNF43、MTMR4、TMEM215-ASS1P12、FAM155A、CD44、BRAF、CD4、LEPREL2、GNB3、MKLN1、SLC6A1、PRICKLE2、SVCT1、および/またはSVCT2をコードする遺伝子内の遺伝的変異により影響を受ける場合がある。GC、FUT2、HAAO、BCMO1、ALPL、CYP2R1、MS4A3、FFAR4、TTR、CUBN、FUT6、ZNF259、LOC100128347、APOA5、SIK3、BUD13、ZNF259、APOA5、BUD13、KYNU、NBPF3、TCN1、CYP4F2、PDE3B、CYP2R1、CALCA、CALCP、OR7E41P、APOA5、CLYBL、NADSYN1、DHCR7、SCARB1、RNU7-49P,COPB1、RRAS2、PSMA1、PRELID2、CYP2R1、PDE3B、CALCA、CALCP、OR7E41P、MUT、ZNF259、CTNAA2、CDO1、SLC23A1、KCNK9、CYP4F2、LOC729645、ZNF259、BUD13、ST6GALNAC3、NKAIN3、VDAC1P12、RASIP1、MYT1L、PAX3、NPY、ADCYAP1R1、HSF5、RNF43、MTMR4、TMEM215-ASS1P12、FAM155A、CD44、BRAF、CD4、LEPREL2、GNB3、MKLN1、SLC6A1、PRICKLE2、SVCT1、およびSVCT2をコードする遺伝子内の遺伝的変異の非限定的な例として、表25に列記されるSNVが挙げられる。
【0107】
【表25】
【0108】
いくつかの実施形態では、前記栄養特徴はミネラル欠乏を含む。いくつかの例では、前記ミネラル欠乏は、カルシウム、鉄分、マグネシウム、亜鉛、および/またはセレンの欠乏を含む。いくつかの例では、ミネラル欠乏は、CASR、TF、TFR2、SCAMP5、PPCDC、ARSB、BHMT2、DMGDH、ATP2B1、DCDC5、TRPM6、SHROOM3、CYP24A1、BHMT、BHMT2、JMY、TMPRSS6、GCKR、KIAA0564、DGKH、HFE、GATA3、VKORC1L1、MDS1、MUC1、CSTA、JMY、HOMER1、MAX、FNTB、SLC36A4、CCDC67、MIR379、FGFR2、LUZP2、PAPSS2、HOXD9、LOC102724653-IGLV4-60、HOOK3、FNTA、MEOX2、LOC101928964、PRPF8、MGC14376、SMYD4、SERPINF2、SERPINF1、WDR81、MIR4778、MEIS1-AS3、PRDM9、CALCOCO1、HOXC13、GPR39、SLC22A16、CDK19、TMOD1、TXNRD1、NFYB、MYOM2、CSMD1、KBTBD11、ARHGEF10、DYNC2H1、DCUN1D5、PDGFD、PRMT7、SERPINF2、WDR81、CRMP1、FLJ46481、KHDRBS2-LOC100132056、CD109、LOC100616530、SLC16A7、FLRT2、KYNU、ARHGAP15、RARB、C3orf58、PLOD2、RPRM、GALNT13、EPHA6、RGS14、SLC34A1、SLC22A18、PHLDA2、CDKN1C、NAP1L4、LOC101929578、ZNF14、ZNF101、ATP13A1、PYGB、CHD5、SDCCAG8、XDH、SRD5A2、CMYA5、RP11-314C16.1、TFAP2A、PTPRN2、CA1、KNOP1P1、RNU7-14P-LOC107987283、FNDC4、IFT172、GCKR、C2orf16、CBLB、LINC00882、LOC107983965、MIR4790、AC069277.1、IRX2、C5orf38、ZNF521、SS18、ATG4C、LPHN2、TTLL7、SAG、DGKD、RN7SKP61-MRPS17P3、GPBP1、STXBP6、NOVA1、TMEM211、および/またはMT2Aをコードする遺伝子内の遺伝的変異により影響を受ける場合がある。CASR、TF、TFR2、SCAMP5、PPCDC、ARSB、BHMT2、DMGDH、ATP2B1、DCDC5、TRPM6、SHROOM3、CYP24A1、BHMT、BHMT2、JMY、TMPRSS6、GCKR、KIAA0564、DGKH、HFE、GATA3、VKORC1L1、MDS1、MUC1、CSTA、JMY、HOMER1、MAX、FNTB、SLC36A4、CCDC67、MIR379、FGFR2、LUZP2、PAPSS2、HOXD9、LOC102724653-IGLV4-60、HOOK3、FNTA、MEOX2、LOC101928964、PRPF8、MGC14376、SMYD4、SERPINF2、SERPINF1、WDR81、MIR4778、MEIS1-AS3、PRDM9、CALCOCO1、HOXC13、GPR39、SLC22A16、CDK19、TMOD1、TXNRD1、NFYB、MYOM2、CSMD1、KBTBD11、ARHGEF10、DYNC2H1、DCUN1D5、PDGFD、PRMT7、SERPINF2、WDR81、CRMP1、FLJ46481、KHDRBS2-LOC100132056、CD109、LOC100616530、SLC16A7、FLRT2、KYNU、ARHGAP15、RARB、C3orf58、PLOD2、RPRM、GALNT13、EPHA6、RGS14、SLC34A1、SLC22A18、PHLDA2、CDKN1C、NAP1L4、LOC101929578、ZNF14、ZNF101、ATP13A1、PYGB、CHD5、SDCCAG8、XDH、SRD5A2、CMYA5、RP11-314C16.1、TFAP2A、PTPRN2、CA1、KNOP1P1、RNU7-14P-LOC107987283、FNDC4、IFT172、GCKR、C2orf16、CBLB、LINC00882、LOC107983965、MIR4790、AC069277.1、IRX2、C5orf38、ZNF521、SS18、ATG4C、LPHN2、TTLL7、SAG、DGKD、RN7SKP61-MRPS17P3、GPBP1、STXBP6、NOVA1、TMEM211、およびMT2Aをコードする遺伝子内の遺伝的変異の非限定的な例として、表26に列記されるSNVが挙げられる。
【0109】
【表26】
【0110】
いくつかの実施形態では、前記栄養特徴は抗酸化物質欠乏を含む。いくつかの例では、抗酸化物質欠乏は、グルタチオンおよび/またはコエンザイムQ10(CoQ10)の欠乏を含む。抗酸化物質欠乏は、GGT1、GGTLC2、MYL2、C12orf27、HNF1A、OAS1、C14orf73、ZNF827、RORA、EPHA2、RSG1、MICAL3、DPM3、EFNA1、PKLR、GCKR、C2orf16、NEDD4L、MYO1B、STAT4、CCBL2、PKN2、SLC2A2、ITGA1、DLG5、FUT2、ATP8B1、EFHD1、CDH6、CD276、FLJ37644、SOX9、DDT、DDTL、GSTT1、GSTT2B、MIF、MLIP、MLXIPL、DYNLRB2、CEPT1、DENND2D、COLEC12、LOC101927479-ARHGEF19、LOC105377979、MMP26、DNM1、LUZP1、ADH5P2-LOC553139、FST、MIR4708-LOC105370537、LOC105373450-KCNS3、LOC107984041-GRIK2、LINC01520、および/またはNQO1をコードする遺伝子内の遺伝的変異により影響を受ける場合がある。GGT1、GGTLC2、MYL2、C12orf27、HNF1A、OAS1、C14orf73、ZNF827、RORA、EPHA2、RSG1、MICAL3、DPM3、EFNA1、PKLR、GCKR、C2orf16、NEDD4L、MYO1B、STAT4、CCBL2、PKN2、SLC2A2、ITGA1、DLG5、FUT2、ATP8B1、EFHD1、CDH6、CD276、FLJ37644、SOX9、DDT、DDTL、GSTT1、GSTT2B、MIF、MLIP、MLXIPL、DYNLRB2、CEPT1、DENND2D、COLEC12、LOC101927479-ARHGEF19、LOC105377979、MMP26、DNM1、LUZP1、ADH5P2-LOC553139、FST、MIR4708-LOC105370537、LOC105373450-KCNS3、LOC107984041-GRIK2、LINC01520、およびNQO1をコードする遺伝子内の遺伝的変異の非限定的な例として、表27に列記されるSNVが挙げられる。
【0111】
【表27】
【0112】
いくつかの実施形態では、前記栄養特徴は代謝平衡異常を含む。いくつかの例では、前記代謝平衡異常はグルコース平衡異常を含む。代謝の平衡異常は、G6PC2、MTNR1B、GCK、ADCY5、MADD、ADRA2A、GCKR、MRPL33、ABCB11、FADS1、PCSK1,CRY2、ARAP1、SIX2、SIX3、PPP1R3B、SLC2A2、GLIS3、DPYSL5、SLC30A8、PROX1、CDKN2A、CDKN2B、FOXA2、TMEM195、DGKB、PDK1、RAPGEF4、PDX1、CDKAL1、KANK1、IGF1R、C2CD4B、LEPR、GRB10、LMO1、RREB1、FBXL10、および/またはFOXN3をコードする遺伝子内の遺伝的変異により影響を受ける場合がある。G6PC2、MTNR1B、GCK、ADCY5、MADD、ADRA2A、GCKR、MRPL33、ABCB11、FADS1、PCSK1,CRY2、ARAP1、SIX2、SIX3、PPP1R3B、SLC2A2、GLIS3、DPYSL5、SLC30A8、PROX1、CDKN2A、CDKN2B、FOXA2、TMEM195、DGKB、PDK1、RAPGEF4、PDX1、CDKAL1、KANK1、IGF1R、C2CD4B、LEPR、GRB10、LMO1、RREB1、FBXL10、およびFOXN3をコードする遺伝子内の遺伝的変異の非限定的な例として、表28に列記されるSNVが挙げられる。
【0113】
【表28】
【0114】
いくつかの実施形態では、前記栄養特徴は代謝機能障害を含む。いくつかの例では、前記代謝機能障害は、カフェインおよび/または薬物による代謝機能不全を含む。代謝機能障害は、MTNR1B、CACNA2D3、NEDD4L、AC105008.1、P2RY2、RP11-479A21.1、MTUS2、PRIMA1、および/またはRP11-430J3.1をコードする遺伝子内の遺伝的変異により影響を受ける場合がある。MTNR1B、CACNA2D3、NEDD4L、AC105008.1、P2RY2、RP11-479A21.1、MTUS2、PRIMA1、およびRP11-430J3.1をコードする遺伝子内の遺伝的変異の非限定的な例は、表29に列記されるSNVが挙げられる。
【0115】
【表29】
【0116】
いくつかの実施形態では、前記栄養特徴は代謝感応性を含む。いくつかの例では、前記代謝感応性は、グルテン感応性、塩に対する感応性、多糖類感応性、および/またはラクトース感応性を含む。代謝感応性は、PIBF1、IRAK1BP1、PRMT6、CDCA7、NOTCH4、HLA-DRA、BTNL2、ARSJ、CSMD1、ALX4、NSUN3、RAB9BP1、GPR65、C15orf32、TSN、CREB1、および/またはARMC9をコードする遺伝子内の遺伝的変異により影響を受ける場合がある。PIBF1、IRAK1BP1、PRMT6、CDCA7、NOTCH4、HLA-DRA、BTNL2、ARSJ、CSMD1、ALX4、NSUN3、RAB9BP1、GPR65、C15orf32、TSN、CREB1、およびARMC9をコードする遺伝子内の遺伝的変異の非限定的な例として、表30に列記されるSNVが挙げられる。
【0117】
【表30】
【0118】
いくつかの実施形態では、前記栄養特徴は食物アレルギーを含む。いくつかの実施形態では、食物アレルギーはピーナッツアレルギーを含む。ピーナッツアレルギーは、HLA-DRB1、HLA-DQA1、HLA-DQB1、HLA-DQA2、HCG27、HLA-C、ADGB、RPS15P9、MUM1、RYR1、LINC00992、LOC100129526、FAM118A、SMC1B、MIATNB、ATP2C2、PLAGL1、MRPL42、および/またはSTAT6をコードする遺伝子内の遺伝的変異により影響を受ける場合がある。HLA-DRB1、HLA-DQA1、HLA-DQB1、HLA-DQA2、HCG27、HLA-C、ADGB、RPS15P9、MUM1、RYR1、LINC00992、LOC100129526、FAM118A、SMC1B、MIATNB、ATP2C2、PLAGL1、MRPL42、およびSTAT6をコードする遺伝子内の遺伝的変異の非限定的な例として、表31に列記されるSNVが挙げられる。
【0119】
【表31】
【0120】
いくつかの実施形態では、前記栄養特徴は満腹感を含む。満腹感は、LEPRをコードする遺伝子内の遺伝的変異により影響を受ける場合がある。LEPRをコードする遺伝子内の遺伝的変異の非限定的なとして、表32に列記されるSNVが挙げられる。
【0121】
【表32】
【0122】
保健食の有効性は、FGF21、ZPR1、TANK、FNBP1、RNU6-229P-LOC105375346、ARGFX、BEND3、SUMO2P6-LOC105377740、LOC101929216-GDF10、LOC105377451-LOC105377622、CPA3、KCNQ3、THBS4、TENM2、HSPA9P2-LOC105372045、LINC00113-LINC00314、SH3BGRL2、NKAIN2、OPRM1、LOC105377795、NCALD、LOC728503、LOC105370491、LOC107985318-MIA3、BECN1P2-LYPLA1P3、LOC105376778-LINC01082、SOX5、LHX5-AS1-LOC105369990、NBAS、ABCG2、PPARγ2、CLOCK、RARB、FTO、IRS1、TCF7L2、HNMT、および/またはPFKLをコードする遺伝子内の遺伝的変異により影響を受ける場合がある。FGF21、ZPR1、TANK、FNBP1、RNU6-229P-LOC105375346、ARGFX、BEND3、SUMO2P6-LOC105377740、LOC101929216-GDF10、LOC105377451-LOC105377622、CPA3、KCNQ3、THBS4、TENM2、HSPA9P2-LOC105372045、LINC00113-LINC00314、SH3BGRL2、NKAIN2、OPRM1、LOC105377795、NCALD、LOC728503、LOC105370491、LOC107985318-MIA3、BECN1P2-LYPLA1P3、LOC105376778-LINC01082、SOX5、LHX5-AS1-LOC105369990、NBAS、ABCG2、PPARγ2、CLOCK、RARB、FTO、IRS1、TCF7L2、HNMT、およびPFKLをコードする遺伝子内の遺伝的変異の非限定的な例として、表33に列記されるSNVが挙げられる。
【0123】
【表33】
【0124】
アレルギー特徴
本明細書のいつかの実施形態では、アレルギー特徴が開示される。いくつかの実施形態では、アレルギー特徴は、皮膚アレルギー、粉塵アレルギー、虫刺アレルギー、ペットアレルギー、眼アレルギー、薬物アレルギー、ラテックスアレルギー、カビアレルギー、および/またはペストアレルギーを含む。いくつかの実施形態では、前記アレルギー特徴はアレルギー性炎症を含む。本明細書では、「アレルギー性炎症」は、アレルギー反応により引き起こされる、またはアレルギー反応に関連付けられる炎症を指す。
【0125】
いくつかの実施形態では、前記栄養特徴はアレルギー性炎症を含む。いくつかの例では、アレルギー性炎症は、FCER1A、LRRC32、C11orf30、IL13,OR10J3、HLA-A、STAT6、TSLP、SLC25A46、WDR36、CAMK4、HLA-DQB1、HLA-DQA1、STAT6、NAB2、DARC、IL18R1、IL1RL1、IL18RAP、FAM114A1、MIR574、TLR10、TLR1、TLR6、LPP、BCL6、MYC、PVT1、IL2、ADAD1、KIAA1109、IL21、HLA領域、TMEM232、SLCA25A46、HLA-DQA2、HLA-G、MICA、HLA-C、HLA-B、MICB、HLA-DRB1、IL4R、ID2、LOC730217、OPRK1、WWP2、EPS15、ANAPC1、LPP、LOC101927026、IL4R、IL21R、SUCLG2、TMEM108、DNAH5、OR6X1、DOCK10、ABL2、COL21A1、および/またはCDH13をコードする遺伝子内の遺伝的変異により影響を受ける場合がある。FCER1A、LRRC32、C11orf30、IL13,OR10J3、HLA-A、STAT6、TSLP、SLC25A46、WDR36、CAMK4、HLA-DQB1、HLA-DQA1、STAT6、NAB2、DARC、IL18R1、IL1RL1、IL18RAP、FAM114A1、MIR574、TLR10、TLR1、TLR6、LPP、BCL6、MYC、PVT1、IL2、ADAD1、KIAA1109、IL21、HLA領域、TMEM232、SLCA25A46、HLA-DQA2、HLA-G、MICA、HLA-C、HLA-B、MICB、HLA-DRB1、IL4R、ID2、LOC730217、OPRK1、WWP2、EPS15、ANAPC1、LPP、LOC101927026、IL4R、IL21R、SUCLG2、TMEM108、DNAH5、OR6X1、DOCK10、ABL2、COL21A1、およびCDH13をコードする遺伝子内の遺伝的変異の非限定的な例として、表34に列記されるSNVが挙げられる。
【0126】
【表34】
【0127】
いくつかの実施形態では、前記アレルギー特徴はペストアレルギーを含む。いくつかの実施形態では、ペストアレルギーはダニアレルギーを含む。ダニアレルギーは、LOC730217、OPRK1、OR6X1、DOCK10、CDH13、Cap S、IL4、ADAM33、IRS2、ABHD13、LINC00299、IL18、CYP2R1、および/またはVDRをコードする遺伝子内の遺伝的変異により影響を受ける場合がある。LOC730217、OPRK1、OR6X1、DOCK10、CDH13、Cap S、IL4、ADAM33、IRS2、ABHD13、LINC00299、IL18、CYP2R1、およびVDRをコードする遺伝子内の遺伝的変異の非限定的な例は、表35に列記されるSNVが挙げられる。
【0128】
【表35】
【0129】
精神特徴
本明細書のいくつかの実施形態では、個体の精神的健康あるいは知力、精神病、精神状態に関連する特徴を含む、精神特徴が開示される。精神健康または知力の非限定的な例として、ストレスレベル、短期記憶保持、長期記憶保持、創造的あるいは芸術的(例えば「右脳型」)、分析的かつ規則的(例えば「左脳型」)が挙げられる。精神病の非限定的な例として、統合失調症、双極性障害、躁うつ病障害、自閉症障害、およびダウン症候群が挙げられる。精神状態の非限定的な例として、うつ病リスク、社会的不安、内向型の可能性、外向型の可能性が挙げられる。精神の特徴の非限定的な例として、朝型人間、感情移入、苦労性の個性(worrier personality)、数学能力、依存性の個性(addictive personality)、記憶パフォーマンス、OCD素因、探索行動、読み取り能力、経験的な学習困難、一般的創造性、一般知能、衝動、不注意症状(inattentive symptom)、数学能力、精神反応時間、音楽創造性、爪を噛むこと、読み書きの困難、言葉と数による推論、およびミソフォニアが挙げられる。
【0130】
いくつかの実施形態では、前記精神特徴は記憶パフォーマンスを含む。記憶パフォーマンスは、APOC1、APOE、FASTKD2、MIR3130-1、MIR3130-2、SPOCK3、ANXA10、ISL1、PARP8、BAIAP2、HS3ST4、C16orf82、AJAP1、C1orf174、ODZ4、NARS2、PRR16、FTMT、PCDH20、TDRD3、LBXCOR1、MAP2K5、PTGER3、ZRANB2、AXUD1、TTC21A、GFRA2、DOK2、SLC39A14、PPP3CC、VPS26B、NCAPD3、ZNF236、MBP、RIN2、NAT5、SEMA5A、MTRR、DGKB、ETV1、BHLHB5、CYP7B1、TMEPAI、ZBP1、TBC1D1、KLHL1、DACH1、LRRTM4、C2orf3、B3GAT1、LOC89944、ATP8B4、SLC27A2、CHD6、EMILIN3、RWDD3、TMEM56、SCN1A、KIBRA、および/またはNCANをコードする遺伝子内の遺伝的変異により影響を受ける場合がある。APOC1、APOE、FASTKD2、MIR3130-1、MIR3130-2、SPOCK3、ANXA10、ISL1、PARP8、BAIAP2、HS3ST4、C16orf82、AJAP1、C1orf174、ODZ4、NARS2、PRR16、FTMT、PCDH20、TDRD3、LBXCOR1、MAP2K5、PTGER3、ZRANB2、AXUD1、TTC21A、GFRA2、DOK2、SLC39A14、PPP3CC、VPS26B、NCAPD3、ZNF236、MBP、RIN2、NAT5、SEMA5A、MTRR、DGKB、ETV1、BHLHB5、CYP7B1、TMEPAI、ZBP1、TBC1D1、KLHL1、DACH1、LRRTM4、C2orf3、B3GAT1、LOC89944、ATP8B4、SLC27A2、CHD6、EMILIN3、RWDD3、TMEM56、SCN1A、KIBRA、およびNCANをコードする遺伝子内の遺伝的変異の非限定的な例として、表36に列記されるSNVが挙げられる。
【0131】
【表36】
【0132】
いくつかの実施形態では、前記精神状態は、強迫障害(OCD)素因を含む。OCD素因は、PTPRD、LOC646114、LOC100049717、FAIM2、AQP2、TXNL1、WDR7、CDH10、MSNL1、GRIK2、HACE1、DACH1、MZT1、DLGAP1、EFNA5、および/またはGRIN2Bをコードする遺伝子内の遺伝的変異により影響を受ける場合がある。PTPRD、LOC646114、LOC100049717、FAIM2、AQP2、TXNL1、WDR7、CDH10、MSNL1、GRIK2、HACE1、DACH1、MZT1、DLGAP1、EFNA5、およびGRIN2Bをコードする遺伝子内の遺伝的変異の非限定的な例として、表37に列記されるSNVが挙げられる。
【0133】
【表37】
【0134】
毛髪特徴
本明細書のいつかの実施形態では、毛髪特徴が開示される。いくつかの実施形態では、毛髪特徴は、毛髪の太さ、薄毛、抜け毛、禿頭症、油性、乾燥、ふけ、偽鬚髯毛嚢炎(かみそり負け)、連珠毛、櫛でとかせない毛髪(pili trianguli)、捻転毛、および/または毛髪のボリュームを含む。いくつかの実施形態では、用語「禿頭症」は、本明細書では男性ホルモン性脱毛症(AGA)を指す。いくつかの実施形態では、櫛でとかせない毛髪は、PADI3、TGM3、および/またはTCHHをコードする遺伝子内の遺伝的変異により影響を受ける場合がある。いくつかの実施形態では、偽鬚髯毛嚢炎は、K6HFをコードする遺伝子内の遺伝的変異により影響を受ける場合がある。いくつかの実施形態では、連珠毛は、KRT81、KRT83、KRT86、および/またはDSG4をコードする遺伝子内の遺伝的変異により影響を受ける場合がある。いくつかの実施形態では、捻転毛は、BCS1Lをコードする遺伝子内の遺伝的変異により影響を受ける場合がある。いくつかの実施形態では、禿頭症は、PAX1、TARDBP、HDAC4、HDAC9、AUTS2、MAPT-AS1、SPPL2C、SETBP1、GRID1、WNT10A、EBF1、SUCNR1、MBNL1、SSPN、ITPR2、AR、EDA2R、EDA2R、ICOS、CTLA4、IL2、IL21、ULBP3、ULBP6、STX17、IL2RA、PRDX5、IKZF4、および/またはHLA-DQA2をコードする遺伝子内の遺伝的変異により影響を受ける場合がある。禿頭症に影響を及ぼす遺伝子の非限定的な例として、表38に列記されるSNVが挙げられる。
【0135】
【表38】
【0136】
行動改善
本明細書に開示される態様は、表現型特徴に関する遺伝リスクスコア(GRS)に少なくとも部分的に基づき、特異的な表現型特徴に関連する行動改善を個体に推奨するための、方法とシステムを提供する。いくつかの例では、複数の行動改善が個体に推奨される。いくつかの例では、対象の特異的な表現型の特徴に関連する質問を含む、個体に関する調査が個体により提供される。いくつかの例では、前記行動改善は、表現型特徴に関するGRS、および前記個体から受けとった質問に対する答えに基づく。いくつかの例では、前記行動改善は、活動を増加、減少、または回避することを含む。活動の非限定的な例として、運動、物質(例えば栄養補助食品または薬物)の摂取、製品(例えば香水、毒素、刺激物など)への曝露、製品(例えばスキンケア製品、ヘアケア製品、ネイルケア製品など)の使用、食事、生活様式、睡眠、および消費(例えばアルコール、薬物、カフェイン、アレルゲン、食品、または食品カテゴリの消費)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。いくつかの例では、前記行動改善は、(例えば、特異的な表現型特徴の発生の原因または相関関係にあるものとして機能する活動に従事するか、または従事しないことを目的に)特異的な表現型特徴を改善または予防するための活動を含む。
【0137】
本開示は、非限定的な例として、本明細書に記載の特異的な表現型特徴に関連する行動改善に関する様々な推奨を提供する。いくつかの実施形態では、被験者集団と比較して、GRSにより乾燥皮膚の可能性が高いことが認められる個体は、乾燥皮膚を改善および/または予防するための活動に従事するよう推奨される(例えば、毎日の保湿剤の使用)。いくつかの実施形態では、被験者集団と比較して、GRSによりコラーゲン破壊の可能性が高いことが認められる個体は、コラーゲン破壊を改善および/または予防するための活動に従事するよう推奨される(例えば、コラーゲンサプリメントの消費、特定製品またはデバイスの使用、特定製品またはデバイスの回避)。いくつかの実施形態では、被験者集団と比較して、GRSにより運動嫌悪の可能性が高いことが認められる個体は、型にはまらない身体活動に従事するよう推奨される(例えばロッククライミング、ハイキングし、バックパッキングなどの趣味)。いくつかの実施形態では、被験者集団と比較して、GRSにより筋損傷リスクの可能性が高い個体は、筋損傷を改善および/または予防するための活動に従事するよう推奨される(例えばボディビルディング、極度の持久力イベントなど)。いくつかの実施形態では、被験者集団と比較して、GRSにより疲労骨折の可能性が高い個体は、疲労骨折を改善および/または予防するための活動に従事するよう推奨される(例えばランニングなどの反復活動および/または負担の大きい活動)。いくつかの実施形態では、被験者集団と比較して、GRSによりアルコール代謝が不十分の可能性が高い個体は、アルコール摂取を回避、またはアルコール摂取を減らすよう推奨される。いくつかの実施形態では、前記被験者集団は、個体に対し祖先特異的である。
【0138】
レポート
【0139】
本明細書のいくつかの実施形態では、健康報告などのレポートが開示される。本実施形態におけるレポートの非限定的な例を、図6A~6F、および図7A~7Dに提供する。前記レポートは、本明細書に記載の1つ以上の特異的な表現型特徴に関する個体の遺伝子型に対する祖先特異的な遺伝リスクスコア(GRS)解析の結果を個体に提供するために、本明細書に記載の方法とシステムを用いて作成される。場合により前記レポートは、前記個体のGRSに基づく行動改善または製品推奨など、前記個体への推奨を含む。
【0140】
いくつかの実施形態では、前記レポートは、対象となる特異的な表現型特徴を発達させるかまたは有するリスクの範囲(正常~高)で表されるGRS解析結果を含み、前記範囲は基準集団に関連する。場合により、基準集団は、前記個体と同じ祖先を持つ個体で構成される。場合により、前記基準集団は、前記個体に対し祖先特異的ではない。一般に、「正常な」結果は、前記個体が表現型特徴を発達させる、またはこれを有する傾向がないことを示す。対照的に、「高い」結果は、前記個体における前記表現型特徴を発達させるか有する可能性が、基準集団よりも高いことを示す。「低い」リスクは、前記個体が前記特異的な表現型特徴を有するかまたはこれを発達させない傾向があることを示す。「わずかに高い」または「わずかに低い」結果は、それぞれ正常スコアと高いまたは低いスコアとの間にあるスコアを示す。
【0141】
本明細書に記載のレポートは、場合により、特異的な表現型特徴に関する個体のGRSに基づき製品推奨を提供する。非限定的な例では、コラーゲン破壊を通常より早く進行させる素因のある個体(例えば50パーセンタイル以上のスコア)は、コラーゲン破壊を修復、停止、または予防するために、コラーゲンサプリメントなどの製品を推奨される。様々な実施形態では、前記レポートはさらに、推奨される製品に関するハイパーリンクを含む。このハイパーリンクは、製品を購入するオンライン・コマース・プラットフォームなど、製品に関連するオンラインリソース、または特異的な表現型に関連する研究論文あるいは文学レビュー論文を個体に提供する(direct)。
【0142】
本明細書に開示されるレポートは、いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるレポートなど、複数の特異的な表現型特徴に関するGRS結果を個体に提供する。例えば、場合により1回のレポートは、図6A~6F、図7A~7D、および本明細書に記載されるものなど、皮膚、フィットネス、栄養などの1つ以上に関連する1つ以上の特異的な表現型特徴に関する結果を含む。
【0143】
前記レポートは、電子送達または郵送を含む適切な方法を用いる個体への送達のためにフォーマット化される。いくつかの実施形態では、前記レポートは電子レポートである。電子レポートは場合により、コンピュータネットワークを介して、個体の個人用電子デバイス(例えばタブレット、ラップトップ、スマートフォン、フィットネス追跡装置)へと送信するようにフォーマット化される。場合により、前記電子レポートは、個人用電子デバイス上のモバイルアプリケーションへと統合される。場合により、前記アプリケーションは対話型であり、個体に対して、ユーザーをオンラインリソースへと自動的にリダイレクトさせる、電子レポートに埋め込まれたハイパーリンクへのクリックを許可する。場合により、前記電子レポートは個体のプライバシーを保護するために暗号化、またはその他の方法により保証される。場合により前記電子レポートは印刷されて前記個体に郵送される。
【0144】
システム
【0145】
本明細書に開示される態様は、本開示に記載される方法を実施するように構成されるシステムを提供するものであり、個体が特異的な表現型特徴を有するかまたはこれを発達させる可能性の決定が含まれるが、これに限定されるものではない。
【0146】
図1には、コンピューティングデバイスを備えた例示的な健康報告システムが記載され、前記コンピューティングデバイスは、少なくとも1つのプロセッサ(104)(110)と、メモリと、ソフトウェアプログラム(118)とを備えており、該ソフトウェアプログラム(118)は、個体が特異的な表現型特徴を有するかまたはこれを発達させる可能性を評価するために少なくとも1つのプロセッサにより実行可能な命令を含む。いくつかの例では、前記システムは、前記個体にGRSを報告するように構成される報告モジュールを備える。いくつかの例では、前記レポートは、前記特異的な表現型特徴に関連する行動改善の推奨を含む。いくつかの例では、前記システムは、前記個体へのレポートを表示するように構成される出力モジュールを備える。いくつかの例では、前記システムは、中央処理装置(CPU)、メモリ(例えばランダムアクセスメモリ、フラッシュメモリ)、電子記憶装置、ソフトウェアプログラム、1つ以上の他のシステムと通信する通信インターフェース、およびそれらの任意の組み合わせを備える。いくつかの例では、前記システムは、コンピュータネットワーク、例えばインターネット、イントラネット、および/またはインターネット、電気通信、あるいはデータネットワークと通信状態にあるエクストラネットに繋がれる。いくつかの例では、前記システムは分散型台帳に接続される。いくつかの例では、前記分散型台帳はブロックチェーンを含む。いくつかの実施形態では、前記システムは、本開示に記載される方法の任意の態様に関するデータおよび情報を記憶するための記憶装置を備える。前記システムの様々な態様は、製品、論文、または製造である。
【0147】
図1の例示的な健康報告システムは、少なくとも1つのプロセッサにより実行可能であるとともに特定のタスクを実行するために書かれた一連の命令を含む、ソフトウェアプログラムの1つの特徴を備える。いくつかの実施形態では、コンピュータ可読命令は、特定のタスクを実行または特定種類のデータを実装する、機能、特徴、アプリケーション・プログラム・インターフェース(API)、データ構造などのプログラムモジュールとして実装される。本明細書に提供される開示に照らして、当業者は、ソフトウェアプログラムが様々な言語の様々なバージョンで書かれてもよいことを認識する。いくつかの実施形態では、ソフトウェアプログラム(118)は、本明細書に記載される少なくとも1つのプロセッサにより実行可能な命令を含む。いくつかの実施形態では、前記命令は、(i)前記個体の遺伝子型を提供する工程であって、該遺伝子型は1つ以上の個体特異的な遺伝的変異を含む、工程と、(ii)前記個体の遺伝子型に少なくとも部分的に基づき前記個体に祖先を割り当てる工程(106)と、(iii)前記個体の祖先に少なくとも部分的に基づき1つ以上の祖先特異的な遺伝的変異を選択するために、前記個体と同じ祖先を持つ被験者(被験者群)から得た祖先特異的な遺伝的変異を含む特徴関連変異のデータベース(108)を使用する工程とを含み、前記1つ以上の祖先特異的な遺伝的変異の各々は、(1)1つ以上の個体特異的な遺伝的変異のうち1つの個体特異的な遺伝的変異、または(2)前記個体と同じ祖先を持つ被験者集団における1つ以上の個体特異的な遺伝的変異のうち1つの個体特異的な遺伝的変異を伴う連鎖不平衡(LD)における所定の遺伝的変異に相当し、前記1つ以上の祖先特異的な遺伝的変異の各々と、前記個体特異的な遺伝的変異の各々は、1つ以上のリスク単位を含み、前記命令はさらに、(iv)選択された1つ以上の祖先特異的な遺伝的変異に基づき前記個体に関する遺伝リスクスコアを算出する工程(112)を含み、前記遺伝リスクスコアは、前記個体が前記特異的な表現型特徴を有するかまたはこれを発達させる可能性を示すものである。いくつかの実施形態では、ソフトウェアプログラム(118)はさらに、本明細書に記載の少なくとも1つのプロセッサにより実行可能な命令を含んでおり、該命令は、個体特異的な遺伝的変異を伴うLDにおける遺伝的変異を予め決定する工程を含む。いくつかの例では、前記ソフトウェアプログラムは、予め決定した遺伝的変異を決定するために少なくとも1つのプロセッサにより実行可能な命令を含み、該命令は、(i)フェージングされていない遺伝子型データを前記個体から提供する工程と、(ii)フェージングされた個体特異的ハプロタイプを前記個体の祖先に基づき生成するために、前記フェージングされていない遺伝子型データをフェージングする工程と、(iii)前記個体と同じ祖先を持つ対照群からのフェージングされたハプロタイプデータを使用して、前記フェージングされた個体特異的ハプロタイプに存在しない個体特異的遺伝子型を補完する工程と、(iv)前記個体が特異的な表現型特徴を有するかまたはこれを発達させる可能性に関連する個体特異的な遺伝的変異を伴う連鎖不平衡(LD)にある、補完された個体特異的遺伝子型からの遺伝的変異を選択する工程とを含む。いくつかの実施形態では、前記LDは、少なくとも約0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.85、0.85、0.90、0.95、または1.0のD’値により定められる。いくつかの実施形態では、前記LDは、少なくとも約0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、または1.0のr値により定められる。
【0148】
前記コンピュータ可読命令の機能性は、様々な環境で望ましいものとして組み合わせられるか、または分布される。いくつかの例では、ソフトウェアプログラムは、1つの命令シーケンスまたは複数の命令シーケンスを備えている。ソフトウェアプログラムは1つの場所から提供されてもよい。ソフトウェアプログラムは複数の場所から提供されてもよい。いくつかの実施形態では、ソフトウェアプログラムは1つ以上のソフトウェアモジュールを備える。いくつかの実施形態では、コンピュータプログラムは、部分的または全体的に、1つ以上のウェブアプリケーション、1つ以上のモバイルアプリケーション、1つ以上の独立型アプリケーション、1つ以上のウェブ・ブラウザ・プラグイン、エクステンション、アドイン、あるいはアドオン、またはそれらの組み合わせを含む。
【0149】
図1は、報告モジュール(114)を備えた例示的な健康報告システムを記載する。本明細書に記載の報告モジュール(114)は、個体が対象となる特異的な表現型特徴を有するかまたはこれを発達させる可能性を示す、個体の算出GRSを含むレポートを作成するタスクを実行するように構成される、少なくとも1つのプロセッサを備えている。いくつかの例では、前記少なくとも1つのプロセッサは、上記と同じプロセッサ(118)であり、付加的にレポートを作成する工程を実行するように構成される。いくつかの例では、前記少なくとも1つのプロセッサは、デュアルCPUなどに別個のプロセッサを備える。いくつかの例では、報告モジュール(114)は、前記個体によりシステムに提供される調査における特異的な特徴に関連する1つ以上の質問に対する1つ以上の回答を検索するタスクを実行するように構成される。いくつかの例では、前記レポートはさらに、GRSに少なくとも部分的に基づいた特徴に関連する行動改善の推奨を含む。いくつかの例では、報告モジュール(114)により作成されたレポートは、対象となる特異的な表現型特徴に基づき、かつ前記特徴に関連する1つ以上の質問に対する1つ以上の回答を検索した、前記特徴に関連する行動改善の推奨を含む。
【0150】
いくつかの実施形態では、図1の例示的な健康報告システムは、出力モジュール(116)を備える。本明細書に記載される出力モジュール(116)は、個体にレポートを表示するように構成されるハードウェア、すなわちプロセッサ上で実行可能なソフトウェアプログラムを含む。いくつかの実施形態では、出力モジュール(116)は、スクリーンを含むユーザーインターフェース、または他の出力ディスプレイ(例えばプロジェクター)を備える。いくつかの実施形態では、出力モジュール(116)は、電子バージョンのレポートを、所有する個体へと電子メールで送信可能な電子メールサービスを含む。いくつかの実施形態では、出力モジュール(116)は、コンピュータ、スマートフォン、またはタブレットなどのパーソナル・コンピューティング・デバイス上にユーザーインターフェースを含む。いくつかの実施形態では、前記パーソナル・コンピューティング・デバイスは、コンピュータネットワークを介して、本明細書に記載されるシステムに間接的に接続される。いくつかの例では、前記パーソナル・コンピューティング・デバイスは前記個体が所有している。いくつかの実施形態では、前記パーソナル・コンピューティング・デバイスは、前記レポートにアクセスするためにコンピュータネットワークを介して、前記報告モジュールと通信するように構成されるアプリケーションを実行するように構成される。
【0151】
ウェブアプリケーション
いくつかの実施形態では、前記ソフトウェアプログラムはウェブアプリケーションを備える。本明細書に提供される開示に照らして、当業者は、ウェブアプリケーションが様々な実施形態では、1つ以上のソフトウェアフレームワークおよび1以上のデータベースシステムを利用してもよいことを認識する。ウェブアプリケーションは例えば、Microsoft(登録商標).NETまたはRuby on Rails(RoR)などのソフトウェアフレームワーク上で作製される。いくつかの実施形態では、ウェブアプリケーションは、リレーショナル、非リレーショナル、特徴指向、連想型、およびXMLのデータベースシステムを含むがこれらに限定されない、1つ以上のデータベースシステムを利用する。適切なリレーショナルデータベースシステムとして、Microsoft(登録商標)SQL Server、mySQL(商標)、およびOracle(登録商標)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。当業者はさらに、ウェブアプリケーションは様々な実施形態において1つ以上の言語の1つ以上のバージョンで書かれることを認識する。いくつかの実施形態では、ウェブアプリケーションは、1つ以上のマークアップ言語、プレゼンテーション定義言語、クライアント側スクリプト言語、サーバー側コーディング言語、データベース問い合わせ言語、またはそれらの組み合わせで書かれる。いくつかの実施形態では、ウェブアプリケーションは、Hypertext Markup Language(HTML)、Extensible Hypertext Markup Language(XHTML)、またはeXtensible Markup Language(XML)などのマークアップ言語で、ある程度書かれる。いくつかの実施形態では、ウェブアプリケーションは、Cascading Style Sheets(CSS)などのプレゼンテーション定義言語である程度書かれる。いくつかの実施形態では、ウェブアプリケーションは、Asynchronous Javascript and XML(AJAX)、Flash(登録商標)Actionscript、Javascript、またはSilverlight(登録商標)などのクライアント側スクリプトである程度書かれる。いくつかの実施形態では、ウェブアプリケーションは、Active Server Pages(ASP)、ColdFusion(登録商標)、Perl、Java(商標)、JavaServer Pages(JSP)、Hypertext Preprocessor(PHP)、Python(商標)、Ruby、Tcl、Smalltalk、WebDNA(登録商標)、またはGroovyなどのサーバー側コード化言語で、ある程度書かれる。いくつかの実施形態では、ウェブアプリケーションは、Structured Query Language(SQL)などのデータベース照会言語である程度書かれる。ウェブアプリケーションは、IBM(登録商標)Lotus Domino(登録商標)などの企業サーバー製品を統合してもよい。ウェブアプリケーションはメディアプレイヤー要素を備えてもよい。メディアプレイヤー要素は、Adobe(登録商標)Flash(登録商標)、HTML 5、Apple(登録商標)QuickTime(登録商標)、Microsoft(登録商標)Silverlight(登録商標)、Java(登録商標)、およびUnity(登録商標)を含むがこれらに限定されない、多くの適切なマルチメディア技術製品のうち1つ以上を利用してもよい。
【0152】
モバイルアプリケーション
いくつかの例では、本明細書に記載のソフトウェアプログラムは、モバイルデジタル処理デバイスに設けられるモバイルアプリケーションを備える。このモバイルアプリケーションは、製造時にモバイルデジタル処理デバイスに設けてもよい。前記モバイルアプリケーションは、本明細書に記載されるコンピュータネットワークを介してモバイルデジタル処理デバイスに設けてもよい。
【0153】
モバイルアプリケーションは、当該技術分野で既知のハードウェア、言語、および開発環境を使用する、当業者に既知の技法により作製される。当業者は、モバイルアプリケーションが様々な言語で書かれてもよいことを認識する。適切なプログラミング言語として、C、C++、C#、Featureive-C、Java(商標)、Javascript、Pascal、Feature Pascal、Python(商標)、Ruby、VB.NET、WML、および、CSSの有無にかかわらずXHTML/HTML、またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0154】
適切なモバイルアプリケーション開発環境は様々な供給源から入手可能である。市販で入手可能な開発環境として、AirplaySDK、alcheMo、Appcelerator(登録商標)、Celsius、Bedrock、Flash Lite、.NET Compact Framework、Rhomobile、およびWorkLight Mobile Platformが挙げられるが、これらに限定されるものではない。他の開発環境はコスト無しで利用可能であってもよく、Lazarus、MobiFlex、MoSync、およびPhonegapが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、モバイルデバイスのメーカーは、iPhone(登録商標)およびiPad(登録商標)(iOS)SDK、Android(商標)SDK、BlackBerry(登録商標)SDK、BREW SDK、Palm(登録商標)OS SDK、Symbian SDK、webOS SDK、およびWindows(登録商標)Mobile SDKを含むがこれらに限定されない、ソフトウェア開発キットを流通させている。
【0155】
当業者は、様々な商用のフォーラムが、Apple(登録商標)App Store、Android(商標)Market、BlackBerry(登録商標)App World、Palm devicesのApp Store、webOSのApp Catalog、MobileのWindows(登録商標)Marketplace、Nokia(登録商標)デバイスのOvi Store、Samsung(登録商標)Apps、およびNintendo(登録商標)DSi Shopを含むがこれらに限定されない、モバイルアプリケーションの流通に利用可能であることを認識する。
【0156】
独立型アプリケーション
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のソフトウェアアプログラムは独立型アプリケーションを備え、該独立型アプリケーションは、既存のプロセスへのアドオン、例えばプラグインではなく、独立したコンピュータプロセスとして実行されるプログラムである。当業者は、独立型アプリケーションが時にコンパイルされることを認識する。いくつかの例では、コンパイラーは、プログラミング言語で書かれたソースコードを、アセンブリ言語または機械コードなどのバイナリ特徴コード(binary feature code)へと変換させるコンピュータプログラムである。適切なコンパイルされたプログラミング言語として、C、C++、Featureive-CC、COBOL、Delphi、Eiffel、Java(商標)、Lisp、Perl、R、Python(商標)、Visual Basic、およびVB.NET、またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。コンパイルは、実行可能なプログラムを作製するために少なくとも部分的にしばしば実行されてもよい。いくつかの実施形態では、コンピュータプログラムは、1つ以上の実行可能なコンパイル済アプリケーションを備える。
【0157】
ウェブ・ブラウザ・プラグイン
本明細書のいくつかの実施形態では、ソフトウェアプログラムが開示され、該ソフトウェアプログラムは、いくつかの態様では、ウェブ・ブラウザ・プラグインを備えている。計算の際、プラグインは、いくつかの例では、より大きなソフトウェアアプリケーションに特異的な機能性を付与する1つ以上のソフトウェアコンポーネントである。ソフトウェアアプリケーションのメーカーは、第三者である開発者が、アプリケーションを拡張させる性能を作製し、新たな機能の容易な付加を支援し、かつアプリケーションのサイズを小さくすることを可能にするように、プラグインを支持してもよい。プラグインは支持されると、ソフトウェアアプリケーションの機能性のカスタマイズを可能にする。例えばプラグインは、ビデオを再生し、対話性を生成し、ウイルスをスキャンし、かつ特定のファイルタイプを表示するために、ウェブブラウザによく使用される。当業者は、Adobe(登録商標)Flash(登録商標)Player、Microsoft(登録商標)Silverlight(登録商標)、およびApple(登録商標)QuickTime(登録商標)を含む、様々なウェブブラウザのプラグインに精通している。ツールバーは、1つ以上のウェブブラウザの拡張、アドイン、またはアドオンを含んでもよい。前記ツールバーは、1つ以上のエクスプローラーバー、ツールバンド、またはデスクバンドを含んでもよい。当業者は、C++、Delphi、Java(商標)、PHP、Python(商標)、およびVB.NET、またはそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない、様々なプログラミング言語でのプラグインの開発を可能にする、様々なプラグインフレームワークが利用可能であることを認識する。
【0158】
いくつかの実施形態では、ウェブブラウザ(インターネットブラウザとも呼ばれる)は、ワールド・ワイド・ウェブ上で情報資源を検索、提示、およびトラバースする(traversing)ために、ネットワーク接続のデジタル処理デバイスとの使用のために設計される、ソフトウェアアプリケーションである。適切なウェブブラウザとして、Microsoft(登録商標)Internet Explorer(登録商標)、Mozilla(登録商標)Firefox(登録商標)、Google(登録商標)Chrome、Apple(登録商標)Safari(登録商標)、Opera Software(登録商標)Opera(登録商標)、およびKDE Konquerorが挙げられるが、これらに限定されるものではない。いくつかの例では、ウェブブラウザはモバイルウェブブラウザである。モバイルウェブブラウザ(マイクロブラウザ、ミニブラウザ、および無線ブラウザとも呼ばれる)は、ハンドヘルドコンピュータ、タブレットコンピュータ、ネットブックコンピュータ、サブノートブックコンピュータ、スマートフォン、音楽プレーヤー、携帯情報端末(PDA)、およびハンドヘルドビデオゲームシステムを含むがこれらに限定されない、モバイルデジタル処理デバイス上での使用のために設計される。適切なモバイルウェブブラウザとして、Google(登録商標)Android(登録商標)ブラウザ、RIM BlackBerry(登録商標)ブラウザ、Apple(登録商標)Safari(登録商標)、Palm(登録商標)Blazer、Palm(登録商標)WebOS(登録商標)ブラウザ、携帯用Mozilla(登録商標)Firefox(登録商標)、Microsoft(登録商標)Internet Explorer(登録商標)Mobile、Amazon(登録商標)Kindle(登録商標)Basic Web、Nokia(登録商標)ブラウザ、Opera Software(登録商標)Opera(登録商標)Mobile、およびSony(登録商標)PSP(商標)ブラウザが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0159】
ソフトウェアモジュール
本明細書に開示される媒体、方法、およびシステムは、1つ以上のソフトウェア、サーバー、およびデータベースモジュール、またはそれらの使用を含む。本明細書に提供される開示を考慮して、ソフトウェアモジュールは、当該技術分野で既知のマシン、ソフトウェア、および言語を用いる、当業者に既知の技法により作製されてもよい。本明細書に開示されるソフトウェアモジュールは、多数の方法で実装されてもよい。いくつかの実施形態では、ソフトウェアモジュールは、ファイル、コードのセクション、プログラミング特徴、プログラミング構造、またはそれらの組み合わせを含む。ソフトウェアモジュールは、複数のファイル、複数のコードのセクション、複数のプログラムミング特徴、複数のプログラムミング構造、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。非限定的な例として、前記1つ以上のソフトウェアモジュールは、ウェブアプリケーション、モバイルアプリケーション、および/または独立型アプリケーションを含む。ソフトウェアモジュールは、1つのコンピュータプログラムまたはアプリケーション中にあってもよい。ソフトウェアモジュールは、1より多くのコンピュータプログラムまたはアプリケーション中にあってもよい。ソフトウェアモジュールは1つのマシン上にホストされてもよい。ソフトウェアモジュールは1より多くのマシン上にホストされてもよい。ソフトウェアモジュールは、クラウド・コンピューティング・プラットフォーム上にホストされてもよい。ソフトウェアモジュールは、1つの場所にある1つ以上のマシン上にホストされてもよい。ソフトウェアモジュールは、1より多くの場所にある1つ以上のマシン上にホストされてもよい。
【0160】
データベース
本明細書に開示される媒体、方法、およびシステムは、本明細書に記載の特徴関連データベースなど1つ以上のデータベース、またはその使用を含む。当業者は、多くのデータベースが、地理的特徴、オペレータの活動、対象部門(division of interest)、および/またはロイヤルティ所有者の連絡先情報の保管と検索に適していることを認識する。適切なデータベースとして、リレーショナルデータベース、非リレーショナルデータベース、特徴指向データベース、特徴データベース、実体関連モデルデータベース、連想データベース、およびXMLデータベースが挙げられるが、これらに限定されるものではない。いくつかの実施形態では、デー夕ベースはインターネットベースである。いくつかの実施形態では、デー夕ベースはウェブベースである。いくつかの実施形態では、デー夕ベースはクラウドコンピューティングベースである。データベースは、1つ以上のローカルコンピュータ記憶デバイスに基づいていてもよい。
【0161】
データ伝送
本明細書に記載の方法、システム、および媒体は、1つ以上の場所にある1つ以上の施設で実行されるように構成される。施設の場所は国に制限されず、あらゆる国や領域も含む。いくつかの例では、本明細書中の方法の1つ以上の工程は、該方法の他の工程が行われる国とは別の国で実行される。いくつかの例では、試料を得るための1つ以上の工程は、試料の遺伝子型を解析するための1つ以上の工程が行われる国とは別の国で実行される。いくつかの実施形態では、コンピュータシステムを必要とする1つ以上の方法の工程は、本明細書に提供される方法の他の工程が行われる国とは別の国で実行される。いくつかの実施形態では、データの処理と解析は、本明細書に記載される方法の1つ以上の工程が行われる国とは別の国または場所で実行される。いくつかの実施形態では、1つ以上の論文、製品、またはデータは、複数の施設のうち1つ以上から、解析または詳細な解析が行われる1つ以上の異なる施設へと伝送される。論文として、被験者の飼料から得た1つ以上の成分、論文または製品として本明細書に開示される任意の論文または製品が挙げられるが、これらに限定されるものではない。データとして、本明細書に開示される方法により得られる遺伝子型および任意のデータに関する情報が挙げられるが、これに限定されるものではない。本明細書に記載される方法とシステムのいくつかの実施形態では、前記解析が実行され、その後のデータ伝送工程により解析結果が運ばれ、または伝送される。
【0162】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される任意の方法のあらゆる工程が、コンピュータ上のソフトウェアプログラムまたはモジュールにより実行される。付加的またはさらなる実施形態では、特定の場所にある1つの施設で実行される解析を含む、本明細書に記載される任意の方法のあらゆる工程から得たデータは、同じまたは異なる国にある施設へと、および該施設から送信されて、別の場所に、または同じまたは異なる国にいる個体に直接運ばれる。付加的またはさらなる実施形態では、本明細書に記載の任意の方法のあらゆる工程から得たデータは、同じまたは異なる国にある施設に伝送され、および/または該施設から受信される。前記データは、特定の場所の一施設にて実施される細胞物質などのデータ入力の解析、および、同じまたは異なる国における、診断、予測、治療反応などに関連するデータなど、別の場所、または個体に直接伝送される対応データを含む。
【0163】
非一時的コンピュータ可読記憶媒体
本明細書に開示される態様は、オペレーティングシステムにより実行可能な命令を含むソフトウェアプログラムでコードされる1つ以上の非一時的コンピュータ可読記憶媒体を提供する。いくつかの実施形態では、コードされるソフトウェアは、本明細書に記載される1つ以上のソフトウェアプログラムを含む。さらなる実施形態では、コンピュータ可読記憶媒体は、コンピューティングデバイスの有形要素である。またさらなる実施形態では、コンピュータ可読記憶媒体は、場合によりコンピューティングデバイスから取り外し可能である。いくつかの実施形態では、コンピュータ可読記憶媒体として、CD-ROM、DVD、フラッシュメモリデバイス、ソリッドステートメモリ、磁気ディスクドライブ、磁気テープドライブ、光ディスクドライブ、クラウド・コンピューティング・システム、およびサービスなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。場合により、前記プログラムと命令は、永続的に、ほぼ永続的に、半永続的に、または非一時的に媒体上でコードされる。
【0164】
キットと製品
本明細書のいくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法に従い被験者から得た試料中の遺伝子型またはバイオマーカーの検出に有用な組成物である。本明細書に開示される態様は、配列番号1~218の1つ以上の少なくとも10~50未満の隣接ポリヌクレオチド配列、またはその逆補体を含む組成物を提供し、前記隣接ポリヌクレオチド配列は、検出可能な分子を含む。いくつかの実施形態では、戦記ポリヌクレオチド配列は、配列番号1~218の1つ以上にある位置26または31に核酸塩基を含む。様々な実施形態では、前記検出可能な分子はフルオロフォアを含む。他の実施形態では、前記ポリヌクレオチド配列はさらにクエンチャーを含む。
【0165】
また本明細書のいくつかの実施形態では、本明細書に記載される遺伝子型を検出するのに有用なキットが開示される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるキットは、個体が特異的な表現型特徴を有するかまたはこれを発達させるかを予測するために使用してもよい。いくつかの例では、前記キットは、個体の疾患または疾病を診断または予知するのに有用である。いくつかの例では、前記キットは、処置の対象となる患者を選択するのに有用である。場合により、前記キットには、サプリメントなどの推奨製品、または市販薬が付随している。場合により、前記キットには、医師または医療専門家に意見を求める推奨が付随している。
【0166】
いくつかの実施形態では、前記キットは本明細書に記載された組成物を含み、該組成物は、本明細書に記載される遺伝子型を検出する方法を実行するために使用可能である。キットは、前記組成物の少なくとも1つを含む材料または成分の集まりである。他の実施形態では、前記キットは、すべての制御、アッセイを実行する指示、および分析と結果の提示に必要なソフトウェアを含む、遺伝子型に対してアッセイを実行するのに必要および/または十分な構成要素をすべて包含している。本明細書に開示されるキットは、場合により、PCRやqPCRなどのアッセイに適している。場合により、前記キットは、必要とされる時点に使用可能な遺伝子型決定チップを備えている。前記キットに構成される成分の正確な性質は、その意図された目的に左右される。
【0167】
前記キットには使用説明書が含まれてもよい。随意に、前記キットはさらに、希釈剤、緩衝液、薬学的に許容可能な担体、シリンジ、カテーテル、塗布具、ピペッティングツールあるいは測定ツール、包帯材料、または他の有用な道具一式など他の有用な構成要素を包含している。キット中で組み立てられる材料または構成要素は、医療従事者に提供され、それらの操作性と有用性を保つ任意の都合の良い適切な方法で保管されてもよい。例えば前記構成要素は、溶解され、脱水され、または凍結乾燥された形態であってもよく、室温、冷却温度、または冷凍温度で提供することができる。前記構成要素は通常、適切な包装材料に包含されている。本明細書で利用されるように、句「包装材料」は、組成物などキットの内容物を収容するために使用される1つ以上の物理的構造を指す。この包装材料は、好ましくは汚染物質のない滅菌環境を提供するために、周知の方法により構築される。前記キットに利用される包装材料は、遺伝子発現アッセイ、および治療薬(treatment)の投与に慣例的に利用されるものである。本明細書では、用語「包装」は、キットの構成要素を個々に保持することが可能な、ガラス、プラスチック、紙、ホイルなどの適切な固形マトリックスまたは材料を指す。このため、例えば包装は、適切な量の医薬組成物を含有させるために使用されるガラスバイアル、または事前充填済のシリンジであってもよい。前記包装材料には、キットおよびその構成要素の内容物ならびに/または目的を示す外部ラベルがある。
【0168】
特定の用語
以下の記述では、ある特定の詳細が、様々な実施形態に対する徹底的な理解を提供するために記述される。しかし当業者は、提供される実施形態がこれらの詳細を必要とすることなく実施されてもよいことを理解する。文脈上他の意味に解すべき場合を除き、本明細書と以下の請求項全体にわたり、語「含む(comprise)」、ならびにその変形、「含む(comprises)」および「含むこと(comprising)」などは、開放的で包括的な意味、つまり、「~を含むが、これらに限定されない(including,but not limited)」として解釈されることになる。本明細書と添付の請求項では、単数形「a」、「an」、および「the」は、別段の定めのない限り、複数の指示対象を含む。用語「または」は全体的に、別段の明確な指示がない限り、「および/または」を含む意味で利用されることにも留意されたい。さらに、本明細書に提供される見出しは利便性のためだけに付けたものであり、請求される実施形態の範囲または意味を解釈するものではない。
【0169】
本明細書では、用語「約」は、明記された値に約10%、5%、または1%近い量を指す。
【0170】
本明細書では、「~から実質的になる」は、組成物および方法の定義に使用されるとき、明記し目的のための組み合わせに対するあらゆる必須の重要性における他の要素以外のものを意味する。ゆえに、本明細書に定義されるような要素から実質的になる組成物は、ざ瘡、湿疹、乾癬、および酒さのような皮膚障害を処置するための組成物など、請求された開示の基本的で新規な特徴に実質的に影響を及ぼさない他の材料または工程を除外するものではない。
【0171】
本明細書では、用語「増加した」または「増加する」は、概して統計的に相当な量の増加を意味するように使用される。いくつかの実施形態では、用語「増加した」または「増加する」は、基準レベルと比較して少なくとも10%の増加、例えば基準レベル、標準、または対照と比較して少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、あるいは最大約100%の増加、または10~100%の増加を意味する。「増加する」の他の例は、基準レベルと比較して少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも1000倍、またはそれ以上の増加を含む。
【0172】
本明細書では、用語「減少した」または「減少する」は、概して統計的に相当な量の減少を意味するように使用される。いくつかの実施形態では、用語「減少した」または「減少する」は、基準レベルと比較して少なくとも10%の減少、例えば、基準レベルと比較して少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、あるいは最大100%の減少(例えば、基準レベルと比較して非存在レベルまたは検出不能なレベル)、または10~100%の減少を意味する。マーカーまたは症状の文脈では、これらの用語は、そのようなレベルにおける統計的に有意な減少を意味する。この減少は、例えば少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、またはそれ以上であってもよく、好ましくは所与の疾患がない個体に対して正常な範囲内で容認されるレベルに低下する。
【0173】
本明細書に開示される「祖先」は、個体の遺伝学的血統を指す。
【0174】
本明細書に開示される用語「遺伝子型」は、個体のゲノム内のポリヌクレオチド配列の化学組成を指す。
【0175】
本明細書では、「処置」および「処置すること」は、治療上の処置と予防手段または防止手段の両方を指すものであり、その目的は、標的とされた疾病を予防あるいは遅延(緩慢化)すること、前記疾病を予防すること、良好な全体結果を追求あるいは獲得すること、または、処置が最終的に成功しなかった場合でも前記個体が前記疾病を進行させる可能性を低下させることである。本明細書に提供されるいくつかの態様では、処置を必要とする被験者は、すでに疾患または疾病のある被験者のほか、前記疾患または疾病を進行させる疑いのある被験者や、前記疾患または疾病が予防されるべき被験者を対象とする。いくつかの例では、前記処置はサプリメントを含む。サプリメントの非限定的な例として、ビタミン、ミネラル、抗酸化物質、プロバイオティクス、および抗炎症薬が挙げられる。いくつかの実施形態では、前記処置は薬物治療を含む。いくつかの例では、前記薬物治療は、本明細書に開示される抗生物質、遺伝子を標的とする抗体あるいは小分子化合物、またはそれらの遺伝子発現産物を含む。
【0176】
本明細書に開示される「遺伝子型(“Genotype” or “genotypes”)」は、個体のゲノム内のポリヌクレオチド配列の化学組成を指す。いくつかの実施形態では、前記遺伝子型は、SNV、一塩基多型(SNP)、インデル、および/またはCNVを含む。本明細書に開示される用語「単一ヌクレオチド変形」またはSNVは、ポリヌクレオチド配列内の単一ヌクレオチドの変形を指す。SNVの変形は複数の異なる形態を呈してもよい。SNVの単一形態は「アレル」と呼ばれる。例として、基準ポリヌクレオチド配列の読み出し5’~3’はTTACGである。(5’-TTACG-3’の)アレル位置3にあるSNVは、基準アレル「A」から非基準アレル「C」への置換を含む。前記SNVの「C」アレルが表現型特徴の発達の可能性上昇に関連する場合、アレルは「リスク」アレルと考慮される。しかし、同SNVはさらに、「A」アレルから「T」アレルへの置換を含んでもよい。前記SNVのTアレルが表現型特徴の発達の可能性低下に関連する場合、アレルは「保護」アレルと考慮される。前記SNVは一塩基多型(SNP)を含む場合があり、かつ、場合により、所与の集団の少なくとも1%に認められるSNVである。いくつかの実施形態では、前記SNVは、「rs」数で表され、この数は、dbSNPバイオインフォマティクスデータベースにある提出された1つ以上のSNVの基準クラスタの受入を指し、提出された変形を含む5’から3’までの核酸塩基の合計数を含む配列を特徴とするものである。いくつかの実施形態では、SNVは、提供された配列内のSNV(核酸塩基)の位置によりさらに規定されてもよく、その位置は常に、配列の5’長さに1を加えた場所にある。いくつかの実施形態では、SNVは、基準ゲノム中のゲノム位置、およびアレル変化(例えば、基準ヒトゲノムビルド37にあるGアレルからAアレルまでの位置234、123、567にある染色体7)として規定される。いくつかの実施形態では、前記SNVは、本明細書に開示される配列中の非核酸文字またはコード(例えばIUPACヌクレオチドコード)で特定されるゲノム位置として規定される。
【0177】
本明細書に開示される「インデル」は、ポリヌクレオチド配列内の核酸塩基の挿入または欠失を指す。いくつかの実施形態では、前記インデルは「rs」数により表され、この数は、前記dbSNPバイオインフォマティクスデータベースに提出された1つ以上のインデルの基準クラスタの受入を指し、提出された変形を含む5’から3’までの核酸塩基の合計数を含む配列を特徴とするものである。いくつかの実施形態では、インデルはさらに、提供された配列内の挿入/欠失の位置により規定されてもよく、その位置は常に、配列の5’長さに1を加えた場所にある。いくつかの実施形態では、インデルは、基準ゲノム中のゲノム位置、およびアレル変化として定められる。いくつかの実施形態では、前記インデルは、本明細書に開示される配列中の非核酸文字またはコード(例えばIUPACヌクレオチドコード)で特定されるゲノム位置として規定される。
【0178】
本明細書に開示される「コピー数変異」、「コピー数変形」、または「CNV」は、ポリヌクレオチド配列の複数部分が反復または欠失している現象を指し、ゲノム間での反復の数は所与の集団の個体間で変動する。いくつかの実施形態では、約2つのヌクレオチド(両ヌクレオチドCNV)または3つのヌクレオチド(トリヌクレオチドCNV)を含むポリヌクレオチド配列の部分は「短い」。いくつかの実施形態では、4つのヌクレオチドと遺伝子の全長との間に多くのヌクレオチドを含む前記ポリヌクレオチド配列の部分は、「長い」。
【0179】
「試料」の非限定的な例として、核酸および/またはタンパク質を得ることが可能な任意の材料が挙げられる。試料の非限定的な例として、全血、末梢血、血漿、血清、唾液、粘液、尿、精液、リンパ液、糞抽出物、頬採取物(cheek swab)、細胞、または、外科的生検あるいは外科的切除を介して得られた組織を含むがこれに限定されない体液もしくは組織が挙げられる様々な実施形態では、前記試料は、大腸および/または小腸の組織を含む。様々な実施形態では、前記大腸試料は盲腸、結腸(上行結腸、横行結腸、下行結腸、およびS状結腸)、直腸、および/または肛門管を含む。いくつかの実施形態では、小腸試料は十二指腸、空腸、および/または回腸を含む。代替的に試料は、主要な患者由来の細胞株、保存試料の形態で収録された患者試料、または新鮮な凍結試料を介して得ることができる。
【実施例
【0180】
実施例1.個体が良好な有酸素運動パフォーマンスを持つ可能性を表す、個体の祖先特異的な遺伝リスクスコアの算出
まず、個体の遺伝子型を提供する。前記個体の遺伝子型は、Illumina遺伝子型決定アレイの形式にあってもよい。前記遺伝子型は、個体に特異的な遺伝リスク変異(個体特異的な遺伝リスク変異)を含む。この遺伝リスク変異は、一塩基変異(SNV)、一塩基多型(SNP)、インデル、および/またはコピー数変異(CNV)を含む場合がある。Illumina遺伝子型決定アレイは、様々なSNV、インデル、SNP、および/またはCNVに特異的な核酸プローブを含む。主成分分析(PCA)を用いて前記遺伝子型を解析して、前記個体の祖先を決定し、前記個体をアフリカ系であると決定する。
【0181】
次に、PCAにより決定されるように、個体(例えばアフリカ人)と同じ祖先を持つ被験者(祖先特異的な被験者群)に関するゲノムワイド関連解析(GWAS)から、基準遺伝的変異を選択する。祖先特異的変異は、TSHR、ACSL1、PRDM1、DBX1、GRIN3A、ESRRB、ZIC4、および/またはCDH13を含む、有酸素運動パフォーマンスについて報告された感応性遺伝子座に位置し、これを祖先特異的な遺伝的変異と有酸素運動パフォーマンス特徴との強い関連性(P=1.0x10-4以下)に基づき選択する。これら変異を表39に提供する。
【0182】
【表39】
【0183】
個体特異的な遺伝的変異が不明の場合、すなわち該個体特異的な遺伝的変異に対応する遺伝子型決定アレイの識別番号は上記GWASに未公表である場合、代わりとなる遺伝的変異を選択して、遺伝リスク算出の根拠として機能させる。代わりとなる遺伝的変異はさらに、「補完」としても知られ、未知の個体特異的な遺伝リスク変異体を伴う連鎖不平衡(LD)(r値少なくとも0.70またはD’値少なくとも約0.20)にある場合に選択される。
【0184】
次に、個体特異的な素点を算出する。数値を個体特異的な遺伝的変異内のリスク単位(例えばリスクアレル)に割り当て、各個体特異的な遺伝的変異に関するすべての数値をまとめて足し、前記個体特異的な遺伝的変異および/または代わりとなる遺伝的変異の総数で割ることで、個体特異的な素点を生成する。
【0185】
続いて、祖先特異的な被験者群内の各個体の素点を生成するべく同じ計算を実行し、これにより素点の観察範囲(観察範囲)を生成する。次に、個体特異的な素点を祖先特異的な観察範囲と比較して、祖先特異的な被験者集団に関するリスク率を算出する。最後に遺伝リスクスコア(GRS)を個体に割り当てる。
【0186】
例えば、7つの遺伝的変異で構成される有酸素運動パフォーマンスに関する個体のGRSを算出するために、この例でSNP(リスクアレルCを持つrs7144481、リスクアレルGを持つrs6552828、リスクアレルAを持つrs1049904、リスクアレルAを持つrs10500872、リスクアレルGを持つrs1535628、リスクアレルTを持つrs1289359、およびリスクアレルAを持つrs1171582)には、各遺伝子型を実際の遺伝子型決定または補完により決定すること、および全リスクアレル合計の平均を算出することが必要になる。したがって、遺伝子型rs7144481(CC)、rs6552828(AA)、rs1049904(GG)、rs10500872(AG)、rs1535628(AA)、rs1289359(CT)、rs1171582(AA)を持つ個体にはそれぞれ、2、0、0、1、0、1、および2のリスクアレルがあり、結果と合計が6となり、平均遺伝リスクスコアは0.86(=6/7。リスクアレルはモデルを含む変異の合計数で割られる)。表40には、提供される実施例に従う例示的な計算を提供する。
【0187】
【表40】
【0188】
祖先特異的な集団に関するGRSスコアを同様に算出する。個体のGRSスコアを同じ祖先特異的な集団から得たGRSスコアの分布と比較すると、個体のGRSスコアは50パーセンタイルにある。この個体の有酸素運動パフォーマンスは平均と予測される。
【0189】
実施例2.個体がコラーゲン破壊を受ける可能性を表す、個体の祖先特異的な遺伝リスクスコアの算出
まず、個体の遺伝子型を提供する。前記個体の遺伝子型は、Illumina遺伝子型決定アレイの形式にあってもよい。前記遺伝子型は、個体に特異的な遺伝リスク変異(個体特異的な遺伝リスク変異)を含む。この遺伝リスク変異は、一塩基変異(SNV)、一塩基多型(SNP)、インデル、および/またはコピー数変異(CNV)を含む場合がある。Illumina遺伝子型決定アレイは、様々なSNV、SNP、および/またはCNVに特異的な核酸プローブを含む。主成分分析(PCA)を用いて前記遺伝子型を解析して、前記個体の祖先を決定し、前記個体を中国人であると決定する。
【0190】
次に、基準遺伝的変異をGWASから選択する。この変異体は、コラーゲン破壊に関して報告された感応性遺伝子座MMP1、MMP3、およびMMP9にあり、これを遺伝的変異と身体フィットネス特徴との強い関連性(P=1.0x10-4以下)に基づき選択する。この変異を表41に提供する。
【0191】
【表41】
【0192】
個体特異的な遺伝的変異が不明の場合、すなわち該個体特異的な遺伝的変異に対応するアレイ識別番号が上記GWASに未公表である場合、代わりとなる遺伝的変異を選択して、遺伝リスク算出の根拠として機能させる。代わりとなる遺伝的変異は、未知の個体特異的な遺伝リスク変異体を伴う連鎖不平衡(LD)(前記個体と同じ祖先を持つ被験者に基づき、r値少なくとも0.70またはD’値少なくとも約0.20)にある場合に選択される。
【0193】
次に、個体特異的な素点を算出する。数値を個体特異的な遺伝的変異内のリスク単位(例えばリスクアレル)に割り当て、各個体特異的な遺伝的変異に関するすべての数値をまとめて足し、個体特異的な遺伝的変異または代わりとなる遺伝的変異の総数で割ることで、個体特異的な素点を生成する。
【0194】
続いて、祖先特異的な被験者群内の各個体の素点を生成するべく同じ計算を実行し、これにより素点の観察範囲(観察範囲)を生成する。次に、個体特異的な素点を祖先特異的な観察範囲と比較して、祖先特異的な被験者集団に関するリスク率を算出する。最後に遺伝リスクスコア(GRS)を個体に割り当てる。
【0195】
例えば、2つの遺伝的変異で構成されるコラーゲン破壊特徴に関する個体のGRSを算出するために、SNP(リスクアレルGを持つrs495366およびリスクアレルGを持つrs11226373)には、各遺伝子型を実際の遺伝子型決定または補完により決定すること、および全リスクアレル合計の平均を算出することが必要になる。したがって、遺伝子型rs495366(GG)、rs11226373(GA)を持つ個体には、それぞれ2および1のリスクアレルがあり、結果として合計は3となり、平均遺伝リスクスコアは1.5(=3/2;リスクアレルはモデルを含む変異の合計数で割られる)。表42には、提供される実施例に従う例示的な計算を提供する。
【0196】
【表42】
【0197】
祖先特異的な集団に関するGRSスコアを同様に算出する。個体のGRSスコアを同じ祖先特異的な集団から得たGRSスコアの分布と比較すると、個体のGRSスコアは90パーセンタイルにある。個体のコラーゲン破壊のリスクは高いと予測され、個体は皮膚を水和してコラーゲンクリームを塗るよう助言される。
【0198】
実施例3.個体がビタミンA欠乏を受ける可能性を表す、個体の祖先特異的な遺伝リスクスコアの算出
まず、個体の遺伝子型を提供する。前記個体の遺伝子型は、Illumina遺伝子型決定アレイの形式にあってもよい。前記遺伝子型は、個体に特異的な遺伝リスク変異(個体特異的な遺伝リスク変異)を含む。この遺伝リスク変異は、一塩基変異(SNV)、一塩基多型(SNP)、インデル、および/またはコピー数変異(CNV)を含む場合がある。Illumina遺伝子型チップは、様々なSNV、SNP、インデル、および/またはCNVに特異的な核酸プローブを含む。主成分分析(PCA)を用いて前記遺伝子型を解析して、前記個体の祖先を決定し、前記個体を中国人であると決定する。
【0199】
次に、ハイ・インパクトジャーナルに公開された基準遺伝的変異をGWASから選択する。この変異は、ビタミンA欠乏に関して報告された感応性遺伝子座BCMO1、FFAR4、およびTTRにあり、これを遺伝的変異と栄養特徴との強い関連性(P=1.0x10-4以下)に基づき選択する。祖先特異的な変異を表43に提供する。
【0200】
【表43】
【0201】
個体特異的な遺伝的変異が不明の場合、すなわち該個体特異的な遺伝的変異に対応するアレイ識別番号が上記GWASに未公表である場合、代わりとなる遺伝的変異を選択して、遺伝リスク算出の根拠として機能させる。代わりとなる遺伝的変異は、未知の個体特異的な遺伝リスク変異体を伴う連鎖不平衡(LD)(前記個体と同じ祖先を持つ被験者に基づき、r値少なくとも0.70またはD’値少なくとも約0.20)にある場合に選択される。
【0202】
次に、個体特異的な素点を算出する。数値を個体特異的な遺伝的変異内のリスク単位(例えばリスクアレル)に割り当て、各個体特異的な遺伝的変異に関するすべての数値をまとめて足し、個体特異的な遺伝的変異または代わりとなる遺伝的変異の総数で割ることで、個体特異的な素点を生成する。
【0203】
続いて、祖先特異的な被験者群内の各個体の素点を生成するべく同じ計算を実行し、これにより素点の観察範囲(観察範囲)を生成する。次に、個体特異的な素点を祖先特異的な観察範囲と比較して、祖先特異的な被験者集団に関するリスク率を算出する。最後に遺伝リスクスコア(GRS)を個体に割り当てる。
【0204】
例えば、3つの遺伝的変異で構成されるビタミンA欠乏特徴に関する個体のGRSを算出するために、SNP(リスクアレルTを持つrs6564851、リスクアレルCを持つrs1082272、およびリスクアレルAを持つrs1667255)には、各遺伝子型を実際の遺伝子型決定または補完により決定すること、および全リスクアレル合計の平均を算出することが必要になる。したがって、遺伝子型rs6564851(TG)、rs1082272(TT)、およびrs1667255(AC)を持つ個体には、それぞれ1、0、および1のリスクアレルがあり、結果として合計は2となり、平均遺伝リスクスコアは1.67(=2/3;リスクアレルはモデルを含む変異の合計数で割られる)。表44には、本実施例に従う例示的な計算を提供する。
【0205】
【表44】
【0206】
祖先特異的な集団におけるGRSスコアを同様に算出する。個体のGRSスコアを同じ祖先特異的な集団から得たGRSスコアの分布と比較すると、個体のGRSスコア1の標準偏差は平均より上である。個体にはビタミンA欠乏のリスクがあると予測され、個体はビタミンAサプリメントを服用するように助言される。
【0207】
実施例4.アルコール潮紅反応に関する祖先特異的な遺伝リスクスコア
アルコール潮紅反応は、アルコール飲料摂取後に人の顔面、首、肩、場合により全身に潮紅または痣が進行する状態である。東アジア系人種の約3分の1が飲酒により潮紅を経験する。アルコール脱水素酵素1B(ADH1B)をコードする遺伝子中の一塩基多型(SNP)rs671アレルAが、潮紅反応に関連付けられている。このSNPは、本明細書に開示される特徴関連変異データベースにある。非限定的な例として、表45~46では、優勢的な欧州系基準集団を用いて遺伝リスクスコア(GRS)を算出し、前記被験者と同じ祖先を持つ個体で構成される基準集団を用いてGRSを算出した場合と比較することで、個体にアルコール潮紅反応があるかまたはこれを進行させる可能性が認められる。rs671が支配的に負に作用するため、スコアが1以上の個体のアルコール潮紅反応は中程度と予測される。
【0208】
コホート。個体1,669名から得た遺伝子型を含むデータセットを解析した。個体1,669名のデータセット中、193名が欧州祖先(EUR)、1,476名が東アジア祖先(EAS)であった。祖先特異的な変異(rs671)は、アルコール脱水素酵素ADH1Bに関して報告された感応性遺伝子座にあり、これを基準集団のアルコール潮紅反応特徴との強い関連性に基づき選択した。
【0209】
遺伝子型決定。唾液試料を各被験者から得た。この試料の遺伝子型決定をIlluminaCore-24 BeadChipプラットフォーム(Illumina,Inc.,San Diego,Calif.92121)上で行った。IlluminaCore-24プラットフォームに関する製造指示に従う品質管理基準を使用した。遺伝子型決定率が93%未満、SNPの欠損が10%超、マイナーアレル頻度が0.01未満の場合にSNPを解析から除外した。
【0210】
被験者への祖先割り当て。遺伝子型の主成分分析(PCA)を使用して、集団グループを解析した。各被験者に対し、距離ベースの方法(K-手段)を使用して、試料に最も近い集団を算出して、祖先を割り当てた。
【0211】
rs671の補完。アルコール反応特徴を採点するために、rs671遺伝子型を補完した。比較のため、祖先特異的または非祖先特異的な1000ゲノムからの基準集団を使用して補完を行った。
【0212】
祖先特異的な基準集団。割り当てられた祖先に基づき、被験者の遺伝子型を補完した。「A global reference for human genetic variations,Nature 526,68-74(October 1,2015)」に記載される1000ゲノムプロジェクトから、祖先特異的な基準集団を選択した。被験者が先の工程で東のアジア祖先に割り当てられた場合、基準集団として1000ゲノムからの東アジア人集団を使用して遺伝子型を補完した。被験者が先の工程で欧州祖先に割り当てられた場合、基準集団として1000ゲノムから欧州集団を使用して被験者の遺伝子型を補完した。
【0213】
非祖先特異的な基準集団。祖先特異的でない基準集団を使用してGRS精度の比較を行うために、基準遺伝的変異も選択し、基準集団として1000ゲノムから欧州集団を使用して被験者の遺伝子型を補完した。
【0214】
GRSの計算。比較のために祖先特異的な基準示集団と非祖先特異的な基準集団の両方を用いて、rs671を補完した遺伝子型に基づくアルコール潮紅スコアのある被験者の解析を行った。非基準アレルの数に基づき被験者のアルコール潮紅反応スコアを算出した。
【0215】
結果。表45は、祖先が考慮されない単一基準集団を用いたパイプラインを図示するものであり、表46は、個体の祖先に特異的である祖先特異的パイプラインを図示する。東アジア人の36~45%が飲酒に応じて顔面に潮紅が生じることが知られている。このことは表46で正確に反映されており、そこでは祖先特異的パイプラインは、東アジア祖先を持つ個体の42%にアルコール潮紅反応があるかまたはこれを進行させると予測された。対照的に表45は、アジア祖先を考慮しなかったときに、東アジア人個体には、既知のものに一致しないアルコール潮紅反応があると予測されなかった。「EUR」は欧州人を指し、「EAS」は東アジア人を指す。
【0216】
【表45】
【0217】
【表46】
【0218】
実施例5.ラクトース耐性に関する祖先特異的な遺伝リスクスコア
ラクトース耐性のある個体は、腹部膨満、疼痛、痙攣、下痢、ガス、または悪心などのラクトース不耐症状のリスクがない畜乳および畜乳製品を消費可能な成人である。ラクトース耐性の遺伝的特徴は、-13910T(rs4988235)、-13915G(rs41380347)、および-14010C(rs145946881)を含むラクターゼ遺伝子(LCT)の約14kb上流の調節領域にある、機能的な一塩基変異(SNV)に関連付けられる。これらの3つのSNVは、本明細書に開示される特徴関連変異データベースにある。非限定的な例として、表47~48では、優勢的な欧州基準集団を用いて遺伝リスクスコア(GRS)を算出し、前記被験者と同じ祖先を持つ個体で構成される基準集団を用いてGRSを算出した場合と比較して、個体がラクトース耐性またはラクトース不耐性であるかどうかが認められる。スコアが0に等しい個体はラクトース不耐性であると予測され、スコアが0より上の個体はラクトース耐性があると予測される。理由としては、1つのアレルがラクトース代謝に十分であるためである。
【0219】
コホート。個体1,669名を含むデータセットを解析した。個体1,669名のデータセット内で、193名が欧州祖先(EUR)であり、1,476名が東アジア祖先(EAS)であった。LCT遺伝子の上流にある、報告された感応性遺伝子座に位置する祖先特異的な変異13910T(rs4988235)、-13915G(rs41380347)、および-14010C(rs145946881)は、基準集団のアルコール潮紅反応特徴の強い関連性に基づき選択した。
【0220】
遺伝子型決定。被験者から唾液試料を得た。この試料の遺伝子型決定をIlluminaCore BeadChipプラットフォーム(Illumina,Inc.,San Diego,Calif.92121)上で行った。IlluminaCore-24プラットフォームに関する製造指示に従う品質管理基準を使用した。遺伝子型決定率が93%未満、SNPの欠損が10%超、マイナーアレル頻度が0.01未満の場合、SNVを解析から除外した。
【0221】
被験者への祖先割り当て。遺伝子型の主成分分析(PCA)を使用して、集団グループを解析した。各被験者に対し、距離ベースの方法(K-手段)を使用して、試料に最も近い集団を算出して、祖先を割り当てた。
【0222】
rs4988235、rs41380347、およびrs145946881の補完。ラクトース耐性を採点するために、rs4988235、rs41380347、およびrs145946881の各遺伝子型を補完した。比較のため、祖先特異的または非祖先特異的な1000ゲノムからの基準集団を使用して補完を行った。
【0223】
祖先特異的な基準集団。割り当てられた祖先に基づき、被験者の遺伝子型を補完した。被験者が先の工程で東のアジア祖先に割り当てられた場合、基準集団として1000ゲノムからの東アジア人集団を使用して遺伝子型を補完した。被験者が先の工程で欧州祖先に割り当てられた場合、基準集団として1000ゲノムから欧州集団を使用して被験者の遺伝子型を補完した。
【0224】
非祖先特異的な基準集団。祖先特異的でない基準集団を使用してGRS精度の比較を行うために、基準集団として1000ゲノムから欧州集団を使用して被験者の遺伝子型を補完した。
【0225】
GRSの計算。比較のために、祖先特異的な基準集団と非祖先特異的な基準集団の両方を用いて、rs4988235、rs41380347、およびrs145946881におけるラクトース耐性の事例を比較する解析を行った。非基準アレルの分画に基づき被験者のラクトース耐性スコアを算出した。
【0226】
結果。表47は、祖先が考慮されない単一の基準集団を用いるパイプラインを図示し、表48は、前記個体の祖先に特異的な祖先特異的パイプラインを図示する。赤道付近にあるアジアの国々にいる集団の98%が、ラクトースを消化できず、かつラクトース不耐性であることが知られている。このことは表48で正確に反映されており、そこでは祖先特異的パイプラインは、東アジア祖先を持つシンガポール在住の個体の100%がラクトース不耐性であると予測された。対照的に表47は、アジア祖先を考慮しなかったときに、東アジア人個体の57%に、既知のものに一致しないラクトース耐性があると予測された。「EUR」は欧州人を指し、「EAS」は東アジア人を指す。
【0227】
【表47】
【0228】
【表48】
【0229】
実施例7.遺伝子記号と遺伝子名称
本明細書には、対象となるヒト遺伝子を表す様々な遺伝子記号が開示される。表49は、遺伝子および対応する遺伝子名称のリストを提供する。
【0230】
【表49-1】
【0231】
【表49-2】
【0232】
【表49-3】
【0233】
【表49-4】
【0234】
【表49-5】
【0235】
【表49-6】
【0236】
本明細書に開示される方法、媒体、およびシステムの好ましい実施形態が本明細書中に示され、かつ記述されているが、そのような実施形態はほんの一例として提供される。多数の変形、変更、および置換は、本明細書に開示される方法、媒体、およびシステムから逸脱することなく行われてもよい。本明細書に開示される方法、媒体、およびシステムの実施形態に対する様々な代案が、本明細書に開示される発明の概念を実施する際に利用されてもよいことを理解されたい。以下の特許請求の範囲は、前記方法、媒体、およびシステムの範囲を定義するものであり、これら特許請求の範囲とその同等物の範囲内にある方法と構造は、それにより包含されることが、意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図7A
図7B
図7C
図7D
【配列表】
2022511765000001.app
【国際調査報告】