(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-01
(54)【発明の名称】ワイドバンドマルチモードファイバの選択方法
(51)【国際特許分類】
G01M 11/02 20060101AFI20220125BHJP
G02B 6/00 20060101ALI20220125BHJP
【FI】
G01M11/02 K
G02B6/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021529769
(86)(22)【出願日】2019-11-14
(85)【翻訳文提出日】2021-07-26
(86)【国際出願番号】 US2019061425
(87)【国際公開番号】W WO2020112370
(87)【国際公開日】2020-06-04
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】アボット,ジョン スティール ザ サード
(72)【発明者】
【氏名】ビッカム,スコット ロバートソン
(57)【要約】
第2の波長とは異なる第1の波長で測定された異モード遅延データに基づいて、第2の波長での第2の最小帯域幅の要件を満たしているファイバを選択する方法が記述される。この方法は、第1の波長でマルチモードファイバに対する異モード遅延(DMD)データを測定するステップを含んでおり、DMDデータは、第1の波長を有する入力レーザーパルスの半径方向位置の関数としての出力レーザーパルスデータを含んでおり;第2の基準を含んでいる第2の基準セットに基づいて、第2の波長での第2の最小帯域幅の要件を満たしていることに基づいてマルチモードファイバを選択するステップを含んでおり、第2の基準は、式(I)の形式を有している、2つ以上の偶数次多項式を連結して構成された所定の基準関数の所定の許容範囲内にある、第1の波長で測定された異モード遅延データの半径方向依存性を含んでいる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第2の波長とは異なる第1の波長で測定された異モード遅延データに基づいて、前記第2の波長での第2の最小帯域幅の要件を満たしているファイバを選択する方法であって、前記方法は、
前記第1の波長でマルチモードファイバに対する異モード遅延(DMD)データを測定するステップを含んでおり、前記DMDデータは、前記第1の波長を有する入力レーザーパルスの半径方向位置の関数としての出力レーザーパルスデータを含んでおり、
第2の基準を含んでいる第2の基準セットに基づいて、前記第2の波長での前記第2の最小帯域幅の要件を満たしていることに基づいて前記マルチモードファイバを選択するステップを含んでおり、前記第2の基準は、形式
【数1】
を有している、2つ以上の偶数次多項式を連結して構成された所定の基準関数の所定の許容範囲内にある、前記第1の波長で測定された前記異モード遅延データの半径方向依存性を含んでおり、ここで
aは、正規化因子であり、
rは、少なくとも2つの異なる範囲r
1,k≦r<r
2,kにわたった前記ファイバ上の可変半径方向位置であり、
c
0,k,c
1,kおよびc
2,kは、rの各範囲内で一定の係数であり、
r
1,kおよびr
2,kは、rの各範囲の境界を示す前記ファイバ上の離散的な半径方向位置であり、
kは、値k={1…K}を伴う指数変数であり、Kは2または3である、方法。
【請求項2】
rの値ごとに測定された前記データの重心を用いて、前記第1の波長で測定された前記異モード遅延データの前記半径方向依存性を決定する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
rの値ごとに測定された前記データのピークを用いて、前記第1の波長で測定された前記異モード遅延データの前記半径方向依存性を決定する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記第1の波長で測定された前記異モード遅延データの前記半径方向依存性を、
モード群遅延データτ
gを決定するために、前記第1の波長で測定された前記DMDデータをデコンボリューションするステップ、
半径方向空間において、平滑化された異モード遅延データを決定するために、前記モード群遅延データτ
gを理論的なPxg行列で再コンボリューションするステップ、
rの値ごとに測定された前記データの重心を用いて、前記第1の波長で測定された前記異モード遅延データの前記半径方向依存性を決定するステップ
によって決定する、請求項1記載の方法。
【請求項5】
k=1の場合、
r
1,1=0μm、かつr
2,1=7+μmであり、
r
1,1およびr
2,1によって規定された半径方向範囲に対して、前記第1の波長で測定された前記異モード遅延データの前記半径方向依存性は、形式
【数2】
を有している関数への前記異モード遅延データの最小二乗適合時に、所定の基準関数の所定の許容範囲内にあり、ここで係数は
-0.02ns/km≦c
01≦0.2ns/kmであり、
-1.5ns/km≦c
11≦0.5ns/kmであり、かつ
-2.0ns/km≦c
21≦8.0ns/kmである、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
第1の波長での第1の最小帯域幅の要件および前記第1の波長より長い第2の波長での第2の最小帯域幅の要件を満たしているマルチモードファイバの第3のサブセットを、複数の前記マルチモードファイバから選択する方法であって、前記方法は、
前記第1の波長で、複数の前記マルチモードファイバに対する異モード遅延(DMD)データを測定するステップを含んでおり、前記DMDデータは、前記第1の波長を有する入力レーザーパルスの半径方向位置の関数としての出力レーザーパルスデータを含んでおり、
基準に基づいて、複数の前記マルチモードファイバの第1のサブセットを選択するステップを含んでおり、前記基準は、前記第1の波長で測定された前記DMDデータに直接に適用された第1のマスクを通過することを含んでおり、
基準に基づいて、複数の前記マルチモードファイバの第2のサブセットを選択するステップを含んでおり、前記基準は、形式
【数3】
を有している、2つ以上の偶数次多項式を連結して構成された所定の基準関数の所定の許容範囲内にある、前記第1の波長で測定された前記異モード遅延データの半径方向依存性を含んでおり、ここで、
aは、正規化因子であり
rは、少なくとも2つの異なる範囲r
1,k≦r<r
2,kにわたった前記ファイバ上の可変半径方向位置であり、
c
0,k,c
1,kおよびc
2,kは、rの各範囲内で一定の係数であり、
r
1,kおよびr
2,kは、rの各範囲の境界を示す前記ファイバ上の離散的な半径方向位置であり、
kは、値k={2…K}を伴う指数変数であり、Kは2または3であり、
別の選択基準を適用することによって、複数の前記マルチモードファイバの前記第3のサブセットを選択するステップを含んでおり、
前記第1のサブセットは、複数の前記マルチモードファイバのサブセットであり、
前記第2のサブセットは、前記第1のサブセットのサブセットであり、
前記第3のサブセットは、前記第2のサブセットのサブセットである、方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本願は、2018年11月30日に出願された米国仮特許出願第62/773552号の優先権の利益を主張し、その内容は本明細書の依拠するところであって、その内容全体を参照により本明細書に援用するものとする。
【技術分野】
【0002】
本明細書は、第2の波長とは異なる第1の波長で実行された測定に基づいて、第2の波長での所定の性能基準を満たす光ファイバを選択する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
短波長のVCSEL(垂直共振器型面発光レーザー)で使用されるマルチモード光ファイバが、短距離高速データネットワークの支配的な技術として浮上している。このようなネットワークの例は、オフィスビルおよびデータセンタを含んでいる。銅線ネットワークがこのようなネットワークの要件を満たすことはますます困難になっている。シングルモード光ファイバは、マルチモード光ファイバよりも大幅に高いデータレートおよび大幅に長い伝送長を実現することができる。しかし、VCSELと結合されたマルチモードファイバを使用するネットワークは、これらのタイプのレーザーに結合されたシングルモード光ファイバと、シングルモード光ファイバによって、さらにはシングルモードファイバの小さなコア径によって必要とされるスプライスおよびコネクタを使用するネットワークよりも安価である。短距離高速データネットワークの場合には、シングルモードファイバで実現可能な比較的高いデータレートおよび比較的長い伝送長は必要とされない。したがって、マルチモードファイバは、このようなネットワークに対して効果的かつ低コストの光接続ソリューションを提供する。
【0004】
現在、850nmで動作するマルチモードファイバが、短距離高速データネットワークで使用されている主要な光媒体である。このようなファイバは典型的に、850nmでの最小帯域幅要件を課す、「OM4」と称される工業規格の要件セットを満たしている。しかし、最近の傾向によって、マルチモードファイバはより長い波長へと向かっている。したがって、最近承認されたOM5工業規格の要件は、953nmでの最小帯域幅要件を課している。過去の850nm用システムとの互換性および波長分割多重性能が望まれているため、OM5ファイバはOM4要件も満たしていなければならない。したがって、OM5規格には、OM4規格のすべての要件に加えて、953nmでの付加的な最小帯域幅要件が含まれる。
【0005】
光ファイバの製造プロセスは、必然的にファイバ間のばらつきを招き、これはファイバの性能に影響を与える。たとえば、OM4ファイバを製造するように設計されたプロセスでは、実際にOM4要件を満たすファイバを高い収率で得ることができるが、このような要件を満たさないファイバが生じる場合がある。したがって、販売される前に典型的に、各ファイバの測定が行われ、出荷前にOM4仕様を満たしていることが検証される。たとえば、850nmでの帯域幅測定により、ファイバがOM4要件を満たしていないが、OM3要件は満たしていると判定することができる。測定された850nmの帯域幅によって、ファイバがOM4要件を満たしていることが検証される場合、このファイバがOM5要件も満たしているか否かを判定するために、953nmでの第2の帯域幅測定が実行され得る。OM1、OM2およびOM3等の他のタイプの工業規格の要件が存在している。さらに、顧客が、標準的ではない要件を満たしているファイバを求めていることがあり、このような要件はたとえば、工業規格において指定されていない波長での最小帯域幅要件または工業規格によって要求されているものよりも高い最小帯域幅要件である。
【0006】
表1は、2018年6月時点でのOM1ファイバ、OM2ファイバ、OM3ファイバ、OM4ファイバおよびOM5ファイバの工業規格の要件を示している。OM1およびOM2は現在、IEC11801の参考用附属書において、要件の適用が免除された仕様である。
【0007】
【0008】
マルチモードファイバは、850nmのレーザー光源の場合に、4700MHz・kmのOM4規格要件を満たすことが検証されており、この検証は、850nmのレーザーを使用してファイバ上で、異モード遅延測定または「DMD」測定と呼ばれる工業規格の測定を実行することによって行われる。工業規格は、この測定が2種類の方法で使用されることを可能にする。第1に、入力レーザーパルスの様々な半径方向位置に対するデータを提供するDMD測定の結果を、マスクと比較することができる。DMD測定がマスクの要件を満たしている場合、ファイバは4700MHz・km要件を満たしていると認定される。第2に、最小実効帯域幅(計算値)または「minEMBc」を計算するために、DMD測定の結果が使用されてよい。minEMBcが閾値を超える場合、このファイバが、850nmでの(4700MHz・km/1.13)=4160MHz・kmであるOM4要件を満たすことが検証される。ISO/IEC 11801およびANSI/TIA-568-C.3規格は、表1における帯域幅数との直接的な比較とは対照的に、minEMBcが、表1における最小モード帯域幅数を1.13で割った値以上である場合に、ファイバを、OM4ファイバまたはOM5ファイバの要件を満たしていると規定する。同様に、minEMBcに1.13を乗じた値が、OM4ファイバおよびOM5ファイバを検証する目的で、表1における値と比較されてよい。特に指定しない限り、この文献は同じ規則を使用している。850nmでのDMD測定は、異なる計算セットを使用して、全モード励振またはOFLに対する3500MHz・kmのOM4規格要件を満たすものとしてファイバを認定するために使用されてよい。OM5ファイバの場合には、波長953nmでのDMD測定およびminEMBcと同様に、850nmでの同じ仕様が要求される。
【0009】
一部のファイバ製造業者は、850nmでこのDMD測定を実行するように調整された機器の設置された基礎を有している。さらに、ファイバ製造業者は、OM4ファイバに対して、850nmで測定されたDMD測定のデータベースを保有していることがある。付加的なDMD測定は、OM5規格の953nm等の第2の波長で実行されても、または顧客によって指定された他の波長で実行されてもよい。しかし、この第2の基準を満たしているファイバが製造分布の小さいサブセットであることを考慮に入れると、1本のファイバごとに、この第2の測定を実行するのはコスト効率が良くない。したがって、953nmまたは850nmで実行されたDMD測定に基づく他の波長での帯域幅要件を満たす可能性があるマルチモードファイバを選択する方法が必要とされている。より一般的には、第2の波長とは異なる第1の波長で実行されたDMD測定に基づいて、第2の波長での帯域幅要件を満たす可能性があるファイバを選択する方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0010】
本開示の第1の態様は、第2の波長とは異なる第1の波長で測定された異モード遅延データに基づいて、第2の波長での第2の最小帯域幅の要件を満たしているファイバを選択する方法であって、この方法は、
第1の波長でマルチモードファイバに対する異モード遅延(DMD)データを測定するステップを含んでおり、このDMDデータは、第1の波長を有する入力レーザーパルスの半径方向位置の関数としての出力レーザーパルスデータを含んでおり、
第2の基準を含んでいる第2の基準セットに基づいて、第2の波長での第2の最小帯域幅の要件を満たしていることに基づいてマルチモードファイバを選択するステップを含んでおり、第2の基準は、形式
【0011】
【0012】
を有している、2つ以上の偶数次多項式を連結して構成された所定の基準関数の所定の許容範囲内にある、第1の波長で測定された異モード遅延データの半径方向依存性を含んでおり、ここで
aは、正規化因子であり、
rは、少なくとも2つの異なる範囲r1,k≦r<r2,kにわたったファイバ上の可変半径方向位置であり、
c0,k,c1,kおよびc2,kは、rの各範囲内で一定の係数であり、
r1,kおよびr2,kは、rの各範囲の境界を示すファイバ上の離散的な半径方向位置であり、
kは、値k={1…K}を伴う指数変数であり、Kは2または3である、方法に関する。
【0013】
本開示の第2の態様は、rの値ごとに測定されたデータの重心を用いて、第1の波長で測定された異モード遅延データの半径方向依存性を決定する、第1の態様記載の方法に関する。
【0014】
本開示の第3の態様は、rの値ごとに測定されたデータのピークを用いて、第1の波長で測定された異モード遅延データの半径方向依存性を決定する、第1の態様記載の方法に関する。
【0015】
本開示の第4の態様は、第1の波長で測定された異モード遅延データの半径方向依存性を、
モード群遅延データτgを決定するために、第1の波長で測定されたDMDデータをデコンボリューションするステップ、
半径方向空間において、平滑化された異モード遅延データを決定するために、モード群遅延データτgを理論的なPxg行列で再コンボリューションするステップ、
rの値ごとに測定されたデータの重心を用いて、第1の波長で測定された異モード遅延データの半径方向依存性を決定するステップ
によって決定する、第1の態様記載の方法に関する。
【0016】
本開示の第5の態様は、k=1の場合、
r1,1=0μm、かつr2,1=7+μmであり、
r1,1およびr2,1によって規定された半径方向範囲に対して、第1の波長で測定された異モード遅延データの半径方向依存性は、形式
【0017】
【0018】
を有している関数への異モード遅延データの最小二乗適合時に、所定の基準関数の所定の許容範囲内にあり、ここで係数は
-0.02ns/km≦c01≦0.2ns/kmであり、
-1.5ns/km≦c11≦0.5ns/kmであり、かつ
-2.0ns/km≦c21≦8.0ns/kmである、第1から第4の態様までのいずれか1つ記載の方法に関する。
【0019】
本開示の第6の態様は、
K=3であり、
k=2の場合およびk=3の場合には、所定の許容範囲χ2は、
【0020】
【0021】
であり、
τ(r)measは、位置rでの測定された遅延であり、
τ(r)ref,kは、間隔kにおける位置rでの基準遅延であり、
【0022】
【0023】
であり、
rは、単位μmでの半径方向位置であり、
wkは、k個の領域(k=2…K)の各々に対する重み付けであり、ここでw2=w3=1であり、
aは25μmであり、
r1,2=7μmであり、
r2,2=15μmであり、
r1,3=15μmであり、
r2,3=25+μmであり、
k=2の場合には、
c0,2=-0.02ns/km~0.02ns/kmであり、
c1,2=-0.2ns/km~0.01ns/kmであり、
c2,2=-0.6ns/km~0.01ns/kmであり、
k=3の場合には、
c0,3=0.01ns/km~0.1ns/kmであり、
c1,3=-0.35ns/km~-0.1ns/kmであり、
c2,3=0.05ns/km~0.25ns/kmである、第1から第5の態様までのいずれか1つ記載の方法に関する。
【0024】
本開示の第7の態様は、
k=2の場合には、
c0,2=0.0009ns/kmであり、
c1,2=0.0011ns/kmであり、
c2,2=-0.206ns/kmであり、
k=3の場合には、
c0,3=0.0391ns/kmであり、
c1,3=-0.233ns/kmであり、
c2,3=0.146ns/kmである、第6の態様記載の方法に関する。
【0025】
本開示の第8の態様は、
K=3であり、
k=2の場合およびk=3の場合には、所定の許容範囲χ2は、
【0026】
【0027】
であり、
τ(r)measは位置rでの測定された遅延であり、
τ(r)ref,kは、間隔kにおける位置rでの基準遅延であり、
【0028】
【0029】
であり、
rは、単位μmでの半径方向位置であり、
K=3であり、
wkは、k個の領域(k=2…K)の各々に対する重み付けであり、ここでw2=w3=1であり、
aは25μmであり、
r1,2=7μmであり、
r2,2=15μmであり、
r1,3=15μmであり、
r2,3=25+μmであり、
k=2の場合には、
c0,2=-0.02ns/km~0.02ns/kmであり、
c1,2=-0.2ns/km~0.01ns/kmであり、
c2,2=-0.6ns/km~0.01ns/kmであり、
k=3の場合には、
c0,3=0.01ns/km~0.1ns/kmであり、
c1,3=-0.35ns/km~-0.1ns/kmであり、
c2,3=0.05ns/km~0.25ns/kmである、第1から第5の態様までのいずれか1つ記載の方法に関する。
【0030】
本開示の第9の態様は、
k=2の場合には、
c0,2=0.0009ns/kmであり、
c1,2=0.0011ns/kmであり、
c2,2=-0.206ns/kmであり、
k=3の場合には、
c0,3=0.0391ns/kmであり、
c1,3=-0.233ns/kmであり、
c2,3=0.146ns/kmである、第8の態様記載の方法に関する。
【0031】
本開示の第10の態様は、第2の基準セットは、χ2<3(ns/km)2であることを要求する、第6から第9の態様までのいずれか1つ記載の方法に関する。
【0032】
本開示の第11の態様は、第2の基準セットは、χ2<2.5(ns/km)2であることを要求する、第10の態様記載の方法に関する。
【0033】
本開示の第12の態様は、第2の基準セットは、χ2<2(ns/km)2であることを要求する、第11の態様記載の方法に関する。
【0034】
本開示の第13の態様は、この方法が、
第1の基準セットに基づいて、第1の波長での第1の最小帯域幅の要件を満たしていることに基づいて、マルチモードファイバを選択するステップをさらに含んでおり、第1の基準セットは、
第1の波長で測定されたマルチモードファイバに対する、測定された異モード遅延(DMD)データを入力として使用する第1の基準を含んでいる、第1から第12の態様までのいずれか1つ記載の方法に関する。
【0035】
本開示の第14の態様は、この方法が、第1の波長で測定されたDMDデータから、第1の波長での最小実効帯域幅(minEMBc1)を計算するステップをさらに含んでおり、第1の基準は、minEMBc1が第1の閾値以上であることを要求する、第13の態様記載の方法に関する。
【0036】
本開示の第15の態様は、この方法が、第1の波長で測定されたDMDデータに第1のマスクを適用するステップをさらに含んでおり、第1の基準は、第1の波長で測定されたDMDデータが第1のマスクを通過することを要求する、第13から第14の態様までのいずれか1つ記載の方法に関する。
【0037】
本開示の第16の態様は、第1の波長は第2の波長よりも短い、第1から第15の態様までのいずれか1つ記載の方法に関する。
【0038】
本開示の第17の態様は、第1の波長は847nm~853nmの範囲にある、第1から第16の態様までのいずれか1つ記載の方法に関する。
【0039】
本開示の第18の態様は、第1の波長は847nm~853nmの範囲にあり、第1の閾値は4160MHz・kmである、第14の態様記載の方法に関する。
【0040】
本開示の第19の態様は、この方法が、第1の波長で測定されたDMDデータから、第1の波長での全モード励振帯域幅(OFLc1)を計算するステップをさらに含んでおり、第1の基準セットは、OFLc1が3500MHz・km以上であることを要求する基準をさらに含んでいる、第13から第18の態様までのいずれか1つ記載の方法に関する。
【0041】
本開示の第20の態様は、この方法が、さらに、
第2の波長で、マルチモードファイバに対する異モード遅延(DMD)データを測定するステップを含んでおり、DMDデータは、第2の波長を有する入力レーザーパルスの半径方向位置の関数としての出力レーザーパルスデータを含んでおり、
第2の基準セットに加えて第3の基準セットに基づいて、第2の波長での第2の最小帯域幅の要件を満たしていることに基づいてマルチモードファイバを選択するステップを含んでおり、第3の基準セットは、
第2の波長で測定されたマルチモードファイバに対する、測定された異モード遅延(DMD)データを入力として使用する第3の基準を含んでいる、第1から第19の態様までのいずれか1つ記載の方法に関する。
【0042】
本開示の第21の態様は、この方法が、第2の波長で測定されたDMDデータから、第2の波長での最小実効帯域幅(minEMBc2)を計算するステップをさらに含んでおり、第3の基準は、minEMBc2が第2の閾値以上であることを要求する、第20の態様記載の方法に関する。
【0043】
本開示の第22の態様は、この方法が、第2の波長で測定されたDMDデータに第3のマスクを適用するステップをさらに含んでおり、第3の基準は、第2の波長で測定されたDMDデータが第3のマスクのパラメータを通過することを要求する、第20から第21の態様までのいずれか1つ記載の方法に関する。
【0044】
本開示の第23の態様は、第2の波長は950nm~956nmの範囲にある、第1から第22の態様までのいずれか1つ記載の方法に関する。
【0045】
本開示の第24の態様は、第2の波長が950nm~956nmの範囲にあり、第2の閾値は2190MHz・kmである、第21の態様記載の方法に関する。
【0046】
本開示の第25の態様では、この方法が、第2の波長で測定されたDMDデータから、第2の波長での全モード励振帯域幅(OFLc2)を計算するステップをさらに含んでおり、第3の基準セットは、OFLc2が1850MHz・km以上であることを要求する基準をさらに含んでいる、第20から第24の態様までのいずれか1つ記載の方法に関する。
【0047】
本開示の第26の態様は、第2の波長でのマルチモードファイバに対する異モード遅延(DMD)データの測定の前に、第2の基準セットを満たす、第20から第25の態様までのいずれか1つ記載の方法に関する。
【0048】
本開示の第27の態様は、第1の波長での第1の最小帯域幅の要件および第1の波長より長い第2の波長での第2の最小帯域幅の要件を満たしているマルチモードファイバの第3のサブセットを、複数のマルチモードファイバから選択する方法であって、この方法は、
第1の波長で、複数のマルチモードファイバに対する異モード遅延(DMD)データを測定するステップを含んでおり、DMDデータは、第1の波長を有する入力レーザーパルスの半径方向位置の関数としての出力レーザーパルスデータを含んでおり、
基準に基づいて、複数のマルチモードファイバの第1のサブセットを選択するステップを含んでおり、この基準は、第1の波長で測定されたDMDデータに直接に適用された第1のマスクを通過することを含んでおり、
基準に基づいて、複数のマルチモードファイバの第2のサブセットを選択するステップを含んでおり、この基準は、形式
【0049】
【0050】
を有している、2つ以上の偶数次多項式を連結して構成された所定の基準関数の所定の許容範囲内にある、第1の波長で測定された異モード遅延データの半径方向依存性を含んでおり、ここで、
aは、正規化因子であり
rは、少なくとも2つの異なる範囲r1,k≦r<r2,kにわたったファイバ上の可変半径方向位置であり、
c0,k,c1,kおよびc2,kは、rの各範囲内で一定の係数であり、
r1,kおよびr2,kは、rの各範囲の境界を示すファイバ上の離散的な半径方向位置であり、
kは、値k={2…K}を伴う指数変数であり、Kは2または3であり、
別の選択基準を適用することによって、複数のマルチモードファイバの第3のサブセットを選択するステップを含んでおり、
第1のサブセットは、複数のマルチモードファイバのサブセットであり、
第2のサブセットは、第1のサブセットのサブセットであり、
第3のサブセットは、第2のサブセットのサブセットである、方法に関する。
【0051】
本開示の第28の態様は、第1の波長での第1の最小帯域幅の要件および第1の波長より長い第2の波長での第2の最小帯域幅の要件を満たしているマルチモードファイバを選択するシステムであって、このシステムは、
第1の波長で、マルチモードファイバに対する異モード遅延(DMD)データを測定するように構成されている測定デバイスを含んでおり、DMDデータは、第1の波長を有する入力レーザーパルスの半径方向位置の関数としての出力レーザーパルスデータを含んでおり、
第1の波長で、マルチモードファイバに対するDMDデータに適用された第1のマスクをこのマルチモードファイバが通過する場合に、このマルチモードファイバを選択するように構成されている第1の選択デバイスを含んでおり、かつ
このマルチモードファイバが選択基準を通過する場合に、このマルチモードファイバを選択するように構成されている第2の選択デバイスを含んでおり、この選択基準は、形式
【0052】
【0053】
を有している、2つ以上の偶数次多項式を連結して構成された所定の基準関数の所定の許容範囲内にある、第1の波長で測定された異モード遅延データの半径方向依存性を含んでおり、ここで、
aは、正規化因子であり
rは、少なくとも2つの異なる範囲r1,k≦r<r2,kにわたったファイバ上の可変半径方向位置であり、
c0,k,c1,kおよびc2,kは、rの各範囲内で一定の係数であり、
r1,kおよびr2,kは、rの各範囲の境界を示すファイバ上の離散的な半径方向位置であり、
kは、値k={2…K}を伴う指数変数であり、Kは2または3である、システムに関する。
【0054】
本開示の第29の態様は、第1の波長での第1の最小帯域幅の要件および第1の波長とは異なる第2の波長での第2の最小帯域幅の要件を満たしているマルチモードファイバを選択する方法であって、この方法は、
第1の基準セットに基づいて第1の波長での第1の最小帯域幅の要件を満たしていることに基づいてマルチモードファイバを選択するステップを含んでおり、第1の基準セットは、第1の波長で測定されたマルチモードファイバに対する異モード遅延(DMD)データを入力として使用する第1の基準を含んでおり、
第2の基準セットに基づいて第2の波長での第2の最小帯域幅の要件を満たしていることに基づいてマルチモードファイバを選択するステップを含んでおり、第2の基準セットは、形式
【0055】
【0056】
を有している、2つ以上の偶数次多項式を連結して構成された所定の基準関数の所定の許容範囲内にある、第1の波長で測定された異モード遅延データの半径方向依存性またはモード群数依存性を含んでおり、ここで、
aは、正規化因子であり
rは、少なくとも2つの異なる範囲r1,k≦r<r2,kにわたったファイバ上の可変半径方向位置であり、
c0,k,c1,kおよびc2,kは、rの各範囲内で一定の係数であり、
r1,kおよびr2,kは、rの各範囲の境界を示すファイバ上の離散的な半径方向位置であり、
kは、値k={2…K}を伴う指数変数であり、Kは2または3である、方法に関する。
【0057】
本開示の第30の態様は、第2の波長とは異なる第1の波長で測定された異モード遅延データに基づいて、第2の波長での第2の最小帯域幅の要件を満たしているファイバを選択する方法であって、この方法は、
第1の波長で、マルチモードファイバに対する異モード遅延(DMD)データを測定するステップを含んでおり、DMDデータは、第1の波長を有する入力レーザーパルスの半径方向位置の関数としての出力レーザーパルスデータを含んでおり、
第2の基準セットに基づいて、第2の波長での第2の最小帯域幅の要件を満たしていることに基づいてマルチモードファイバを選択するステップを含んでおり、第2の基準セットは第2の基準を含んでおり、第2の基準は、形式
【0058】
【0059】
を有している、所定の基準関数の所定の許容範囲内にある、第1の波長で測定された異モード遅延データの半径方向依存性を含んでおり、ここで、
aは、正規化因子であり
rは、少なくとも1つの範囲r1,k≦r<r2,kにわたったファイバ上の可変半径方向位置であり、
c0,k,c1,k,c2,kおよびc3,kは、rの各範囲内で一定の係数であり、
r1,kおよびr2,kは、rの各範囲の境界を示すファイバ上の離散的な半径方向位置であり、
kは、値k={1…K}を伴う指数変数であり、Kは1または2である、方法に関する。
【0060】
本開示の第31の態様は、
K=2であり、
k=1の場合には、
r1,1=0μmおよびr2,1=7+μmであり、
r1,1およびr2,1によって規定された半径方向範囲に対して、形式
【0061】
【0062】
を有している関数への異モード遅延データの最小二乗適合時に、第1の波長で測定された異モード遅延データの半径方向依存性は、所定の基準関数の所定の許容範囲内にあり、ここで係数は
-0.02ns/km≦c01≦0.2ns/kmであり、
-1.5ns/km≦c11≦0.5ns/kmであり、
-2.0ns/km≦c21≦8.0ns/kmであり、
ここでc3,kは、この適合のためにゼロに設定されている、第30の態様記載の方法に関する。
【0063】
本開示の第32の態様は、
K=2であり、
k=2の場合には、所定の許容範囲χ2は、
【0064】
【0065】
であり、
τ(r)measは、位置rでの測定された遅延であり、
τ(r)ref,kは、間隔kにおける位置rでの基準遅延であり、
rは、単位μmでの半径方向位置であり、
wkは、k個の領域(k=2…K)の各々に対する重み付けであり、ここでw2=1であり、
aは、25μmであり、
r1,2=7μmであり、
r2,2=25+μmであり、
k=2の場合には、
c0,2=-0.02ns/km~0.01ns/kmであり、
c1,2=-0.3ns/km~0.1ns/kmであり、
c2,2=-0.5ns/km~0.3ns/kmであり、かつ
c2,3=-0.1ns/km~0.4ns/kmである、第30から第31の態様までのいずれか1つ記載の方法に関する。
【0066】
本開示の第33の態様は、第2の波長は950nm~1070nmの範囲にある、第1から第22の態様までのいずれか1つ記載の方法に関する。
【0067】
第30から第32の態様の方法は、多項式の形態の相違を考慮して、第1から第29の態様および第33の態様と任意の妥当な入れ替えで組み合わせ可能である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【
図1】方法を実施するためのフローチャートを示している。
【
図2】12本のプレミアムワイドバンドファイバの平均の相対遅延対二乗正規化半径のプロット(黒丸を有する曲線)およびこの平均を計算するために使用されたファイバのうちの4本のファイバの相対遅延対二乗正規化半径のプロットを示している。
【
図3A】7μm<=r<=25μmの範囲にわたった、
図2の平均化されたプロット(黒丸)に対する3次多項式適合(実線)を示している。
【
図3B】7μm<=r<=15μmの範囲にわたった、
図2の平均化されたプロット(黒丸)に対する2次多項式適合(実線)のプロット310と、15μm<=r<=25μmの範囲にわたった、
図2の平均化されたプロット(黒丸)に対する2次多項式適合(点線)のプロット320とを示している。
【
図4】実施例Cのプレミアムワイドバンドファイバのモード群遅延のプロットを示している。
【
図5】第1のマルチモード光ファイバに対するDMD測定で得られた遅延対半径方向オフセットを示している。
【
図6】第1のマルチモード光ファイバに対する遅延対モード群を示している。
【
図7】2つの特定のファイバの、相対遅延対二乗正規化半径のプロットを示している。
【発明を実施するための形態】
【0069】
複数の波長での帯域幅性能に対するファイバ選択
最近採用されたOM5規格では、マルチモードファイバが、OM4規格によって要求される850nmでの帯域幅要件に加えて、953nmでの特定の帯域幅要件を満たすことが要求されている。言い換えれば、OM5ファイバはOM4規格も満たすだろう。新しい製造技術が開発されるまでは、OM4ファイバのごく一部のみが、OM5規格も満たすことがあり得る。これは、多くのOM4ファイバが、恐らく、OM5規格を満たすことに大きな考慮を払わずに、OM4ファイバの生産を目標とする方法および仕様を用いて製作されてきたという事実に起因する。
【0070】
OM4ファイバは、850nmで実行されたDMD測定を使用して、OM4規格を満たすことが検証される。したがって、OM4ファイバの製造業者は、850nmでのDMD測定を実行するための十分な設備を備えており、OM4ファイバのそのようなDMD測定のデータベースを保有しているだろう。
【0071】
現時点では、OM5ファイバは、953nmで実行されたDMD測定を使用して、OM5規格を満たしていることに基づいて認定されている。しかし、ファイバ製造業者はこれまで、953nmで多数のDMD測定を実行する必要がなかったので、生産されるすべてのファイバに対してそのような測定を行う十分な設備を備えていない可能性がある。最終的にOM5規格を満たしていると認定されないだろう多数のファイバでの測定を含んでいる、953nmでの広範囲な付加的な測定を実行することなく、OM4ファイバがOM5規格も満たしている場合を決定することは困難である。
【0072】
したがって、OM5規格を満たしている可能性がある(またはOM5規格を満たしてない可能性がある)OM4ファイバを選択するために、850nmで実行されたDMD測定を使用することが必要とされている。そのような選択プロセスによって、ファイバ製造業者は、OM5規格を満たしている可能性のあるOM4ファイバでのみ、953nmでのDMD測定を実行することが可能になるだろう。これは、OM4規格を満たしていることに基づいてファイバを認定するために使用される850nmで得られたDMDデータをさらに分析することに基づいて行われる。
【0073】
より一般的に、ファイバ製造業者は、1つ以上の特定の波長でのDMD測定のデータベースを有している可能性がある、かつ/または1つ以上の特定の波長で比較的容易にそのような測定を得る能力を有している可能性がある。しかし、市場または特定の顧客が、他の波長で特定の性能特性を有するファイバを要求することがある。したがって、第2の波長で実際にDMD測定を実行することなく、その前に、第1の波長とは異なる第2の波長で性能特性を満たす可能性のあるファイバを選択するために、第1の波長で実行されたDMD測定を使用することが必要とされている。いったん、第2の波長で性能特性を満たす可能性があるファイバが選択されると、このファイバが第2の波長での要求された性能特性を満たしていることを確認するために、第2の波長でDMD測定が実行されてよい。
【0074】
この選択プロセスによって、953nm等の第2の波長で必要とされるDMD測定の数が大幅に減少する。その結果、第2の波長での性能仕様を満たしているファイバ、たとえば953nmでのOM5帯域幅要件を満たしているファイバを識別する効率および速度が向上する。
【0075】
本明細書の例の多くは、ファイバが、953nmでの帯域幅要件を満たすか否かを予測するために、850nmで実行されたDMD測定を使用することに向けられているが、記載されている方法はより一般的に適用可能であり、ファイバが、DMD測定が実行された第1の波長とは異なる第2の波長で帯域幅要件を満たすかを予測するために使用されてよい。第2の波長は、第1の波長未満であっても、第1の波長を上回っていてもよい。第2の波長は、980nm~1064nmであり、980nmと1064nmとを含む範囲にあってよく、たとえば980nm、1000nm、1020nmまたは1064nmであってよい。
【0076】
第1の波長および第2の波長は、多くの場合、規格ベースの要件、特定の消費者要件またはこれらの波長の1つまたは両方における測定デバイスの可用性に起因して、特に興味が寄せられる波長である。
【0077】
帯域幅
光ファイバを下流へと移動する信号は、複数の光パルスを含んでいる。光はファイバの入力端に注入され、ファイバの出力端で検出される。信号の完全性は、パルスが互いに区別可能であること、およびファイバの出力端でのバックグラウンドノイズから区別可能であることを要求する。ファイバの「帯域幅」は、どれくらい多くの区別可能なパルスが、単位時間あたりにファイバ長を下って送信されるのかの尺度である。より高い「帯域幅」は、これらのパルスをより接近させることができ、単位時間あたりにより多くの情報を伝送することができることを意味する。減衰およびパルス拡散等の、帯域幅を制限する特定の現象は、多くの場合、パルスが移動する距離が増すにつれて、より顕著になる。したがって、所与のファイバは、より短い長さでより高い帯域幅を可能にする。その結果、ファイバの帯域幅は、多くの場合、周波数×長さ、特にMHz・kmの単位で提供される。たとえば、850nmのレーザーからの入力パルスの場合、OM4ファイバは、4700MHz・kmの最小実効モード帯域幅を有することが要求される。
【0078】
吸光等のいくつかの現象は、光パルスがファイバを下流へと移動する際に、光パルスの減衰を引き起こす。信号が、バックグラウンドノイズと確実に区別できない点まで減衰すると、信号の完全性が失われる。モード分散等のいくつかの現象によって、光ファイバを下流へと移動するにつれて、光パルスが広がってしまう。この広がりによって、信号内の隣接するパルスが区別できない点までパルスが重なり合うと、信号の完全性が失われる。この完全性の喪失は、いかなる原因によっても、ファイバの帯域幅を制限してしまう。OM4ファイバおよびOM5ファイバでは、多くの場合、モード分散はマルチモードファイバの性能を制限する現象である。
【0079】
本明細書で使用される帯域幅および関連用語は、以下のように規定される。
【0080】
帯域幅:光パルスがマルチモードファイバ内に発射されると、光パルスは徐々に広がる。入力パルスと出力パルスのフーリエ変換H(f)を取り、振幅の比|H_out(f)|/|H_in(f)|に着目することによって、マルチモードファイバのこのパルスの広がりが「帯域幅」によって定量化される。「帯域幅」とは、この比が最初に0.5に減少する周波数fと規定される。σns/kmの標準偏差を有するガウス分布である出力パルスの場合、この帯域幅は約0.19/σGHz.kmである。
【0081】
モード帯域幅:マルチモードファイバのモード帯域幅は、波長分散等の他の作用とは別に、モード分散(モード間の異なる遅延差)による広がりに起因する帯域幅である。この場合には、出力パルスは、各モード群内の相対出力と、群間の相対遅延とに関連する。「モード帯域幅」は、ファイバのモード遅延だけではなく、励振状態に関連する相対出力にも関連する。たとえば、等量の出力が各個別モードに発射される「全モード励振」の結果、特定のVCSELからの発射とは異なる、測定された、または計算されたモード帯域幅が生じることがある。
【0082】
実効モード帯域幅(EMB):ファイバのEMBは、ファイバの属性であるモード群遅延と、(たとえばVCSELレーザーに対する)特定の励振状態の属性であるモード群における出力とを結合する。
【0083】
用語「帯域幅」および「モード帯域幅」は一般的であり、異なる励振状態を使用する帯域幅を指すことができる。用語「実効モード帯域幅」は、励振状態を定義することに依存している。当業者は、多くの場合、文脈から、用語が何を意味しているのかを語ることができる。たとえば、規格の文脈における帯域幅についての議論は、この規格によって規定される帯域幅を指す。本明細書で使用される場合、特に指定のない限り、または文脈から明確でない限り、用語「帯域幅」、「モード帯域幅」および「実効モード帯域幅」は、ISO/IEC 11801およびANSI/TIA-568-C.3によって規格化されたminEMBcを指す。
【0084】
用語EMBc(EMB計算値)は、DMDパルスの重み付けされた和を使用して出力パルスを構築することを指す。ファイバ用の単一のDMDを使用して、異なる重み付け関数を使用して異なるレーザーの作用をシミュレートすることができる。用語minEMBcは、TIAおよびIECによって規格化された10個の異なる重み付け関数によって生成された10個のEMBcのセットのうちの最小EMBcを指す。OM3、OM4およびOM5ファイバの場合、DMD測定から計算されたminEMBcは、特定の仕様を満たす必要がある。
【0085】
モード群およびモード分散
光ファイバの分野では、「モード」は、光ファイバを下流へ伝搬する間の自己整合である電界分布である。特定のファイバがサポートするモードの数は、ファイバのコア径および開口数および光の波長に関連する。コア径が小さいほど、かつ開口数が小さいほど、サポートするモードが少なくなる。シングルモードファイバは、目的の伝送波長で使用される場合に、導波伝搬モードを1つしか有しておらず、したがって、モード分散の影響を受けない。マルチモードファイバは、有限数の導波伝搬モードを有している。「モード群」は、たとえこれらがファイバコアの異なる部分を通って移動する可能性があっても、同じ「実効指数」を有しているモードの群である。これらのモードは互いに強く結合し、ファイバ内ではほぼ同じ速度で移動する。たとえば、第1のモード群は、2つの偏光成分を有しており、本開示の目的のためのモード群としてみなされるLP01モードから構成される。第2のモード群は、2つの偏光成分をそれぞれ有する2つの空間縮退LP11モードから構成される。第3のモード群は、LP02モードと、2つの偏光成分をそれぞれ有する空間縮退LP21モードとから構成される。コア径が50μm、NAが0.2であるマルチモードファイバは、典型的に、850nmで18個のモード群をサポートする。
【0086】
光ファイバにおいては、異なるモード群が異なる速度で移動し得る。その結果、複数のモードを励起する入力光パルスからの信号が、信号がファイバに沿って移動するにつれて広がる。なぜなら、異なるモードは異なる速度で移動するからである。この広がりは「モード分散」と称される。単色信号、すなわち単一波長信号に対してもモード分散が生じる。典型的な光源とともに使用されるマルチモード光ファイバでは、多くの場合、モード分散は、ファイバの帯域幅を制限する主な要因である。
【0087】
モード分散は波長に関連する。したがって、同じファイバが、異なる波長で異なるモード分散挙動を有することがある。
【0088】
DMD測定
多くの入力信号が複数のモード群を励起するため、マルチモードファイバにおけるシングルモード群の伝搬速度を直接的に測定することは困難である。したがって、任意の所与の入力信号の結果は、様々なモード群に関する情報の混合を含むデータをもたらす。DMDまたは「異モード分散」測定は、多くの場合、この種のデータを取得するために実行される。DMD測定は、テストされる光ファイバのコア上の特定の位置にパルスレーザーを収束させることによって実行される。高速検出器およびサンプリングオシロスコープが、ファイバを出たレーザーパルスを受け取る。時間の関数としての出力パルス振幅が記録される。その後、レーザースポットがファイバコア半径を段階的に横切る。各位置で、同様の振幅データおよび時間データが記録される。次いで、このデータは、各ラジアルパルスに対する相対遅延を決定するために使用される。DMD測定の「相対遅延」は、基準遅延、たとえばレーザーの半径方向オフセットがファイバの中心線から7μmであるときに測定された遅延に対して相対的である。特に指定のない限り、相対遅延は、レーザーの半径方向オフセットがファイバの中心線から7μmであるときに測定された遅延に対して計算されたものである。
【0089】
図5を参照すると分かるように、DMDデータは、異なる時点で様々な振幅を有するパルスの形態を有している。本明細書に記載された計算の一部では、これは、そのようなパルスを、単一の時点にあるものとして特徴付けるために有用である。これを行う1つの方法は、測定されたデータのピーク振幅を、所与の値rに対する単一の「遅延」として使用することである。ピーク遅延の1つの利点は、計算が単純であることである。これを行う別の方法は、パルスの重心を、所与の値rに対する単一の「遅延」として使用することである。
図5の垂直線は、そのような重心を表している。各半径方向オフセットでピーク位置の半径方向に重み付けされた平均を実行することによって重心値を得ることができる。
【0090】
【0091】
ここで、<τ
r>は、オフセットrでの重心遅延(たとえば、
図5の垂直線)であり、τは、時間(たとえば、
図5のx軸)であり、I(τ)は、位置τでのパルス振幅(たとえば、
図5の曲線の振幅)である。特に指定のない限り、本明細書の実施例では、重心値が使用された。「重心」遅延の1つの利点は、これが多くの場合に、DMDオフセット位置の滑らかな関数であることである。
【0092】
遅延パルスを単一の点として特徴付ける別の方法は、
図6に示したような、モード群遅延データを決定するために、半径方向空間において、モード群データをデコンボリューションすることである。その後、このモード群遅延データを、再コンボリューションによって半径方向空間に戻すことが可能である。これらの変換を行うことの利点は、これらの変換が、半径方向空間において滑らかに変化する重心を生成するということである。その後、このような重心を、所与の値rの単一の遅延として使用することができる。変換を使用したこの技術は、波長分散の広がりおよび減衰差の作用を切り離し、場合によって、より明確に性能を示すことができる。所与の値rに対する単一の遅延を決定する各方法は、利点と欠点とを有している。他の方法も使用可能である。
【0093】
特に指定のない限り、本明細書に記載されたDMD測定は、IEC 60793-1-49に従って実行される。
【0094】
DMD測定は、入力光パルスの半径方向位置の関数としての、マルチモード光ファイバを通って伝搬する光の相対遅延に関する情報を提供する。
【0095】
半径方向空間およびモード群空間
この用途では、「空間」は、座標系に関連する数学的概念である。「半径方向空間」では、データが入力信号の半径方向位置の関数として提供され、入力レーザーパルスの各半径方向位置に対して、データ点、データセットまたは曲線が存在する。半径方向位置を、半径方向空間座標系の軸、X軸等と考えることができる。「モード群空間」では、データはモード群の関数として提供され、各モード群に対して、データ点、データセットまたは曲線が存在する。モード群を、モード群空間座標系の軸と考えることができる。
【0096】
ファイバの中心線に相対的なレーザーパルスの様々な位置に対してデータが測定されるため、DMDデータは、「半径方向空間」において記録される。DMDデータは、モード群遅延に関する情報を含んでいる。しかし、モード群遅延情報は様々な半径方向位置へと混合されているため、この情報を直接的に見ることは困難である。各入力半径方向位置において、入力レーザーパルスは複数のモードを励起する。さらに、各モードは、複数のレーザー位置によって励起される。コアの中心に近い位置に対しては、低次モードが優先的に励起される。コアの縁部に近い位置に対しては、高次モードが優先的に励起される。したがって、DMD測定における各レーザーパルスの相対遅延は、様々なモード群遅延の組み合わせによって引き起こされる。しかし、DMDデータは、各モード群の相対遅延に関する情報を直接的に提供しない。半径方向空間におけるDMDデータは、特定の波長、つまり、そのデータが測定された波長でのものである。
【0097】
図5は、半径方向空間におけるDMDデータの例を示している。Y軸上のオフセットまたは半径方向位置を使用することによって、このデータが半径方向空間にあることが示される。
【0098】
モード群空間への変換
たとえば、DMD測定を、半径方向空間において、行列Fxtによって表すことができ、ここでxはオフセットであり、Fxtは、オフセットxでの、測定されたDMDパルスデータの離散化された行列Fx(t)である。Fxtは、各半径方向オフセットに対する行と測定された個別の各時点に対する列とを有する行列である。同じデータを、行列hgtによって、モード群空間において表すことができ、ここでgはモード群であり、hgtは、モード群gに対するデータの離散化された行列hg(t)である。hgtは、各モード群に対する行と測定された個別の各時点に対する列とを有する行列である。
【0099】
「変換」は、ある空間から別の空間内にデータをマッピングする方法である。各モード群の相対遅延hgtを、半径方向空間からモード群空間への変換によって、Fxtから得ることができる。同様に、Fxtを、モード群空間から半径方向空間への変換によって、hgtから得ることができる。たとえば、hgt行列におけるデータを、「g」モード群遅延関数すなわちhg(t)をPxg行列によって得られる重み付けと組み合わせることによって、モード群空間から半径方向空間(Fxt行列におけるデータ)へと変換することができる:
【0100】
【0101】
たとえば、Pxg行列は、IEC-60793-1-49のセクションC2に記載されているPrg行列と同じであるが、表記が異なる。これは、DMDオフセット「x」に対する、モード群「g」における相対出力を規定する行列である。発射ファイバからの入力ビームとファイバモードとの間の重複積分を使用して、これを数値的に計算することができる。
【0102】
DMDデータを測定する場合、上述の式において、測定されたデータの行列Fxtと理論的な行列Pxgとが既知である。行列hgtを、半径方向空間からモード群空間への変換によって推定することができ、この変換は、先行する段落で説明したモード群空間から半径方向空間への変換の「逆変換」である。
【0103】
DMDデータを半径方向空間からモード群空間へと変換する際に直面する1つの問題は、「スポットサイズ」作用である。これは、レーザー励起スポットの有限のサイズに起因して、複数のモード群が所与のオフセットxで励起されることによる結果である。スポットサイズ作用を克服するために米国特許第6400450号明細書において提案された1つの方法は、離散モード群遅延を推定するために、反復非線形最小二乗法を使用することである。しかし、この方法体系はコンピュータに負荷をかけ、生産用途には実用的ではない。
【0104】
線形拘束最小二乗法を使用することによって、我々がQgxと称する、Pxgに対する逆行列を構築できることを見出した。Pxgを直接的に反転させることに基づいたQgxは、データを半径方向空間からモード群空間に変換するために使用される場合に、不所望なノイズを引き起こす可能性がある。Pxgを数学的に平滑化することによってこの問題は解決され、同時に、依然として、使用可能なモード群空間データが結果として生じる。この平滑化は、時間tの値ごとに以下の式を最小化することによって実行される:
【0105】
【0106】
式2における第1の項は式1を満たし、式2における第2の項は、hgtを、gの滑らかな関数にする。係数λ1は、この平滑性の要件が小さい制約であることを保証する。λ1は、個々の場合に応じて経験的に決定され、hgtに対する滑らかな解をもたらす最小のλ1が使用されるべきである。過度に大きいλ1の値を使用すると、平滑性が強調され過ぎて、情報が失われてしまう。過度に小さいλ1の値を使用すると、上述したように、不所望なノイズが生じてしまう。行に対するモード群と列に対する時間とを有する行列0g’tの各項は、値ゼロを有している。Dg’gは正方行列であり、これは列および行に対するモード群を有しており、対角(g=g’)上で-2の値を有しており、非対角(g=g’±1)上で1の値を有している。χ2は、フィッティングエラーの尺度であり、すなわち、上述の式にhgtがどの程度良好に適合しているかを示している。式2を、Numerical Recipes:The Art of Scientific Computer(Press等著,Cambridge University Press,1986年)に記述されているように、特異値分解を使用した標準的な最小二乗技術によって解くことができる。その結果、元来のPxg行列を使用して計算されたhgtに対して相対的に「滑らかな」hgtが得られる。
【0107】
式(2)は、特異値分解を用いた最小二乗法による解に適した線形拡大行列方程式に相当するように、その特定な形式で記述される:
【0108】
【0109】
拡大ベクトルおよび拡大行列の頂部の「行」は、式(2)における第1の項であり、底部の「行」は第2の項である。行列Qgxは、この拡大行列の擬逆(最小二乗逆)行列である。
【0110】
Qgxは、行に対するモード群gと列に対するオフセットxとを有する行列であり、Numerical Recipes:The Art of Scientific Computer(Press等著,Cambridge University Press,1986年)に記述されているように、標準的な行列分解技術を使用して得られる。得られたQgxを、複数のファイバに使用することができる。
【0111】
次に、単純な行列乗算で関数hgtを生成するために、逆行列Qgxを使用することができる:
【0112】
【0113】
MMF(マルチモードファイバ)のコアによってサポートされるモード群が(たとえば)18個ある場合、18個のhgt関数が存在し、g番目のモード群のモード群遅延τgは、hgtが最大となるtの値になるだろう。
【0114】
半径方向空間からモード群空間へのこの変換では、オフセットの関数としてのDMDにおける総出力は
【0115】
【0116】
【0117】
【0118】
と一致しない場合に、モード群の相対的な減衰が、
【0119】
【0120】
を解くために、第2の拘束最小二乗問題を用いて修正され、ここでAgは各モード群gに対する重み付け係数であり、Pxgは、Qgxを得るための反転前に、PxgAgによって置き換えられる。
【0121】
半径方向空間とモード群空間との両方におけるデータは波長に関連し、波長の変化に伴って変化する。特に指定のない限り、データセットの波長は、データがモード群空間に変換された場合でも、データが測定された波長である。したがって、モード群データは、第2の波長での帯域幅性能を予測するために使用されているにもかかわらず、第1の波長との自身の関連を依然として保持している。
【0122】
特に指定のない限り、モード群空間における相対遅延は、モード群2~15の平均遅延に対して計算された。
【0123】
図6は、モード群空間におけるDMDデータの例を示している。Y軸上でモード群(MG)を使用することによって、データがモード群空間にあることが示されている。
【0124】
第1の波長で実行されたDMD測定に基づいて、第2の波長でのファイバの性能を予測するための偶数次多項式の使用
MMFにおけるモード遅延は、正規化半径の偶数乗に関連する(式3):
【0125】
【0126】
ここでrは半径であり、aは半径に対する正規化因子であり、νは指数変数であり、τは位置rでのモード遅延である(K.Petermann著「Simple Relationship between Differential Mode Delay in Optical Fibers and the Deviation from Optimum Profile」(Elec.Lett.第14巻、793~794頁(1978年11月23日))を参照)。
【0127】
いくつかの態様では、式3の比較的低い累乗が優勢である。指数変数νを2または3で打ち切ることによって、失われる有用な情報はごく僅かである。
【0128】
2でのνの打ち切り
したがって、たとえば、νが2で打ち切られ、ν=0、1および2に対する項が書き出される場合、式3を式4
【0129】
【0130】
として書き直すことができる。
【0131】
νが2で打ち切られる場合、正規化半径の偶数乗へのτのこの依存性を、各半径方向範囲に対する異なる係数cνで、半径方向位置を3つの離散的な半径方向範囲に分割することによって、最良にモデル化できることが分かった。これらの範囲を、指数変数kによって表すことができ、ここでk=1…Kであり、かつK=2または3である。換言すれば、この指数付けを、式3(または式4)の形態を有するが、異なる半径方向範囲に対して異なる係数cνを有する2つまたは3つの多項式を連結するために使用することができる。このような指数付けによって、式4を、式5
【0132】
【0133】
として書き直すことができる。
【0134】
観察に基づいて、半径方向空間を3つの領域、r1,k≦r<r2,kに分割するために、指数変数kを使用することが望ましく、ここでr1,kは領域kの下限であり、r2,kは上限である。具体的には、以下の領域を使用することが望ましい。
k=1:r1,1=0μm;r2,1=7μm;
k=2:r1,2=7μm;r2,2=15μm;
k=3:r1,3=15μm;r2,3=25+μm
25+における+表記は、範囲のこの上限が、k=1およびk=2に対しては除外されているにもかかわらず、k=3に対しては、25μmでの点が半径方向範囲の一部であることを示している。
【0135】
3でのνの打ち切り
3でνを打ち切ることによって、式3の形式を有する多項式の基準データへのフィッティングにおいて、追加の柔軟性が提供される。観察に基づいて、この追加の柔軟性は、K=3ではなく、K=2の場合に良好な適合を可能にする。
【0136】
νが3で打ち切られ、ν=0、1、2および3に対する項が書き出される場合、式3を式6
【0137】
【0138】
として書き直すことができる。
【0139】
νが3で打ち切られる場合、正規化半径の偶数乗へのτのこの依存性を、各半径方向範囲に対する異なる係数cνで、半径方向位置を2つの離散的な半径方向範囲に分割することによって、最良にモデル化できることが分かった。これらの範囲を、指数変数kによって表すことができ、ここでk=1…Kであり、かつK=2である。換言すれば、この指数付けを、式3(または式6)の形態を有するが、異なる半径方向範囲に対して異なる係数cνを有する2つの多項式を連結するために使用することができる。このような指数付けによって、式6を、式7
【0140】
【0141】
として書き直すことができる。
【0142】
観察に基づいて、半径方向空間を3つの領域、r1,k≦r<r2,kに分割するために、指数変数kを使用することが望ましく、ここでr1,kは領域kの下限であり、r2,kは上限である。具体的には、以下の領域を使用することが望ましい。
k=1:r1,1=0μm;r2,1=7μm;
k=2:r1,2=7μm;r2,2=25+μm
25+における+表記は、範囲のこの上限が、k=1に対しては除外されているにもかかわらず、k=2に対しては、25μmでの点が半径方向範囲の一部であることを示している。
【0143】
半径の偶数次累乗への遅延の依存性は、測定された多くの「プレミアム」ワイドバンドファイバの挙動から明らかである。理論によって限定されるものではないが、異なる放物線応答は(1)の結果であると考えられ、LOM(低次モード)が負の相対遅延を有し、この負の相対遅延は、結果的に850nmでの帯域幅ピークをもたらす値に比べて、コアの屈折率プロファイルの僅かに低い(~0.02)アルファ値の結果として、単調に減少する。850nmでの高帯域幅に対するアルファ値は約2.12であり、これに対して、OM5に対する最適なアルファ値は約2.09~2.11であり、これが、帯域幅ピークを865~880nmの範囲にシフトさせることが観察された。
【0144】
理論によって限定されるものではないが、約15μmを超える半径に対する基準遅延曲線における第3の放物線領域の平坦化または少し上向きの凹部は、最適な屈折率プロファイルが、アルファエラーを部分的に補償するメカニズムを含んでいることを示している。そうでなければ、アルファエラーは、HOM(高次モード)の遅延を過度に負の値にするだろう。HOMを減速させるために利用可能なこのメカニズムは、曲げに対する非感受性を得るために必要なトレンチである。このトレンチをコアの方へ僅かに近づけることによって(たとえば、1.6μm~1.5μm)、またはこのトレンチを深くすることによって(たとえば、-0.45%Δ対-0.40%Δ)、高次モードの電界が圧縮され、これによって高次モードの電界の速度が低下し、傾斜が付けられた指数コアの低い方のアルファ値が部分的に補償される。
【0145】
本明細書の例におけるk=1に対応する、r=0μm~7μmの半径方向範囲は、LP01およびLP11モードが伝搬する領域を含んでいる。この半径方向範囲における相対遅延の変動は、多くの場合、光ファイバの中心線領域における不均一性に起因しており、アルファ値が、第1の波長での最大帯域幅を生じさせる値よりも低いまたは高い場合に、異モード遅延の曲率と相関しない。多数のOM5ファイバのDMDデータの分析は、r=0μm~7μmの半径方向範囲における相対遅延が、有利には、-0.02ns/km~0.2ns/kmであり、-0.02ns/kmと0.2ns/kmとを含む値に制約されていることを示す。
【0146】
k=1、2および3に対応する遅延領域の二分法は、遅延が半径方向空間からモード群空間へ変換される場合に、より明らかになる。
図4は、OM5ファイバ、特に実施例Cのファイバのモード群遅延データの例を示している。
図4は、可能性のあるワイドバンドファイバを選択するために使用され得るマスクアルゴリズムも示している。プロット210にプロットされた半径方向空間遅延に対応するモード群遅延が、
図4にプロットされている。低次モード群の遅延は、モード群数の増加に伴って徐々に減少し、モード群2~5の遅延はマスクにおいて良好にセンタリングされており、これは0ps/m~0.06ps/mの範囲にわたる。モード群9とモード群10との間には~-0.04ps/mのステップがあり、これは、0.4(r/a)
2の上の
図2の平均基準曲線の領域への移行に一致する。HOM遅延は、ワイドバンドファイバ候補の選択に使用され得る、第2の、0ps/m~-0.05ps/mのマスクにおいてセンタリングされている。LOMおよびHOMの両方の領域におけるモード群遅延の平坦性は、モードカップリングの結果である可能性があり、これは、負のアルファエラーに基づいて予想されるように、モード群遅延が単調に減少するのを防ぐ。コアを取り囲んでいるクラッドにトレンチを追加することによって、対称性が破壊され、HOMに摂動が生じ、その結果、それらは互いに結合され、LOMから分離される。
【0147】
式3の形式を有する式(たとえば、式3~式7)は、ファイバの挙動をモデル化するために使用され得る、他の同様のものに勝る基本的な利点を有しており、この利点は、式3が、ファイバの挙動の基礎となる物理的特性に基づいているということである。したがって式3は、基礎となる物理的特性に一致しない方式でファイバの挙動をモデリングすることによって生じるノイズのために、情報を失うことはない。
【0148】
多くのケースにおいて、望ましいファイバ(「基準ファイバ」)の例が、このようなファイバからのDMDデータと同様に利用可能である。式3の形式を有する式は、このようなDMDデータに適合して、基準曲線を生成することができる。理想的には、複数の望ましい基準ファイバからのDMDデータの平均が、基準曲線の生成のために使用される。その後、他のファイバからのDMDデータが、基準曲線と比較されてよい。基準曲線に近く一致するDMDデータを有するファイバは、望ましい基準ファイバと同様の特性を有することが予想される。たとえば、953nmでのOM5基準を満たしている基準ファイバからの850nmでのDMDデータを用いて基準曲線を構成した場合、この基準曲線に類似する850nmでのDMDデータを有する他のファイバは、OM5基準も満たす可能性が高いと予想される。
【0149】
他のファイバが953nmでのOM5基準を満たす、この高い可能性を、953nmで、これらの他のファイバに対してDMDデータを実際に測定することなく判定することができる。したがって、これらの他のファイバのうちのどれがOM5基準を満たしているかの判定を試みる際に、850nmで測定されたDMDデータを使用してファイバをスクリーニングするために、この基準曲線が使用されてよい。このスクリーニングを通過しないファイバは、OM5基準を満たす可能性がなく、それに応じてビニングされてよい。このスクリーニングを通過するファイバに、このファイバがOM5規格を満たしていることを確認するために、953nmでDMD測定が実行されてよく、そのような規格を満たす可能性は、スクリーニングが実行されなかった場合よりも格段に高くなる。
【0150】
ファイバが、基準曲線に「類似」した、測定されたDMDデータを有しているか否かを、任意の適切な方法を使用して判定することができる。そのような方法の1つは、式8においてχ2を計算することである:
【0151】
【0152】
ここでχ2は、測定されたデータが基準曲線にどれだけ近いかを示す尺度である。wkは、異なる半径方向範囲に対応する異なる連結多項式に異なる重みを割り当てるために使用できる重み付け係数である。τ(r)measは、評価されるファイバに対する測定されたDMDデータである。τ(r)ref,kは基準曲線である。χ2が所定の値を下回る場合、第1の波長で測定された異モード遅延データ(τ(r)meas)の半径方向依存性は、所定の基準関数(τ(r)ref,k)の所定の許容範囲内にある。
【0153】
DMDデータは、離散的な半径方向点で測定される。ファイバの中心からコア半径までを1μmの増分で測定することが有利である。しかし、時間を節約するために、測定が、中心から1μmで始まって、2μmの増分で行われてよい。より一般的に、測定が、任意の点セットまたは任意の間隔で行われてよい。式8は、1μmごとに行われる測定に対するものである。たとえば、式9
【0154】
【0155】
を使用して、測定点の間に2μm間隔を伴うDMDデータを評価することができる。表記「step2」は、シグマ記号のデフォルトであり、rが、1の歩幅の代わりに、2の歩幅で増加することを意味している。
【0156】
重み付け係数wkは、ファイバが基準ファイバに類似しているか否かを評価する際に、異なる半径方向範囲に異なる重みを割り当てるために使用されてよい。たとえば、本明細書のいくつかの例において、k=1に対応する、r=0μm~7μmの半径方向範囲は、LP01およびLP11モードが伝搬する領域を含んでいる。これらのモードの相対遅延は、高いモード帯域幅を有するファイバにおいて制約されているが、この領域におけるモード遅延の低い相関は、式9においてχ2を評価する際に、k=1領域に、低い、またはゼロの重みを与えることが望ましい可能性があることを意味する。たとえば、w1=0およびw2=w3=1を設定することによって、これを実現することができる。
【0157】
ファイバの選択
図1は、ファイバを選択する方法のためのフローチャート100を示している。ステップ110において、第1の波長でのDMDデータを得るためにファイバが測定される。ステップ120において、このファイバが、第1の波長で測定されたDMDデータに基づいて第1の波長での第1の基準セットを満たす場合、この方法はステップ130に進む。このファイバが、第1の波長で測定されたDMDデータに基づいて第1の波長での第1の基準セットを満たさない場合、このファイバは選択されない(ステップ190)。ステップ130において、DMDデータが、第1の波長で測定されたDMDデータに基づいて第2の基準セットを満たす場合、この方法はステップ140に進む。すなわち、DMDデータが、所定の関数の所定の許容範囲内にあるかどうかである。この所定の関数は、式3の形式、たとえば、式3から式7の形式を有する偶数次多項式である。DMDデータが、第1の波長で測定されたDMDデータに基づいて第2の基準セットを満たさない場合、このファイバは選択されない(ステップ190)。ステップ140において、第2の波長でDMDデータが測定される。ステップ150において、このファイバが、第2の波長で測定されたDMDデータに基づいて第2の基準セットを満たす場合、このファイバが選択される(ステップ160)。このファイバが、第2の波長で測定されたDMDデータに基づいて第2の基準セットを満たさない場合、このファイバは選択されない(ステップ190)。
【0158】
図1は、DMDデータが所定の関数の所定の許容範囲内にあるか否かを評価すること(ステップ130)がファイバ選択を支援するために使用可能な1つの態様を示している典型的なフローチャートにすぎない。そのような評価(ステップ130)が、異なる順序を有する
図1のステップとともに使用される他の態様が使用されてよい、かつ/または
図1のすべてのステップよりも少ないステップが使用される他の態様が使用されてよい、かつ/または
図1のステップ130が
図1に示されたもの以外のステップおよび測定と組み合わせられる他の態様が使用されてよい。他の態様が実行される場合、ステップ140およびステップ150の前に、またはステップ140およびステップ150の代わりに、
図1のステップ130を実行することが望ましい。なぜなら、ファイバが、第2の波長で測定されたDMDデータに基づいて第2の基準セットを満たす可能性があるか否かを予測するために、ステップ130が、第1の波長で測定されたDMDデータを使用するからである。したがって、単に、第3の基準セットを通過する可能性があるファイバに対してのみ、そのようなデータを測定して、間引くことによって第2の波長でのDMDデータの測定を低減するために、ステップ130を使用することができる。
【0159】
1つの典型的な態様は、
図1に示したものと類似するが、ステップ120とステップ130の順序が逆になる。
【0160】
1つの典型的な態様は、
図1に示されたものと類似するが、ステップ120が含まれない。この態様は、たとえば、次のような場合に有用であり得る。すなわち、DMDデータが、ファイバの性能にとって興味の対象ではない波長に対して利用可能であるが、DMDデータが、このファイバが他の波長で良好に性能を発揮するか否かを予測するのには依然として有用であるような場合である。
【0161】
第1の波長は、マルチモード光ファイバに対してDMDデータを得ることができる任意の波長であってよい。たとえば、第1の波長は850nm(または847nm~853nm)であってよく、これは、多くのファイバ製造業者が、OM4規格を満たしていることに基づいてファイバを認定するためにファイバのDMDデータを測定する波長である。しかし、他の任意の適切な波長を使用することができる。
【0162】
本明細書で使用される場合、単一「波長」との言及は、この単一波長の周囲の波長範囲を含んでおり、この波長範囲は、通常、この波長および関連するレーザー光源での規格ベースのDMD測定と関連する波長における許容可能な偏差を構成する。たとえば、850nmおよび953nmで実行されるDMD測定の場合、関連する規格によって、測定が実行される波長における3nmの偏差が許容される。したがって、850nm「での」測定が、847nm~853nmの範囲の波長を有するレーザーを使用して実行されてよい。同様に、953nmでの測定が、950nm~956nmの範囲の波長を有するレーザーを使用して実行されてよい。終点はこれらの範囲に含まれている。同様に、厳密な値850nmおよび953nmとの他の言及は、関連するOM4規格およびOM5規格によって許容されるように、+/-3nmの周囲範囲を含んでいる。
【0163】
第1の波長での最小帯域幅
ステップ120において、第1の波長で測定されたDMDデータに基づいて第1の選択基準を満たしていることに基づいて、マルチモードファイバが選択される。OM4ファイバの工業規格である2つの典型的な「第1の基準」が存在する。
【0164】
いくつかの実施形態において、第1の基準は、850nmで測定されたDMDデータへの1つ以上のマスクの適用である。DMDデータは、IEC 60793-1-49:Optical Fibers,第1部:Measurement Methods and Test Procedures,第49章:Differential Mode Delayにおいて指定されている1つ以上のマスクと比較される。いずれかのマスクの要件をデータが満たす場合、このファイバは、850nmでのレーザー入力に対する、OM4規格において指定された最小実効モード帯域幅要件を満たすだろう。これは、850nmでの4700MHz・kmである。
【0165】
いくつかの実施形態において、第1の基準は、DMDデータからのminEMBc1の計算である。この計算のために、IEC 60793-1-49は、10個の異なるレーザー入力状態に対応するDMDトレースの10個の異なる重み付けを指定する。これらの10個の重み付けは、850nmのVCSEL源を供給する異なるソース製造業者によって供給された広範囲の出力分布および強度分布に対応する、広範囲の実際の入力状態をカバーするように、この規格において選択されている。これらの重み付けに基づいて、10個の異なるレーザー入力状態それぞれに対してEMBc1が計算される。これら10個のEMBc1の最も低い値が、minEMBc1である。次いで、minEMBcの値をIEC規格において設定された値と比較する際に使用される1.13の係数を考慮した後に、minEMBc1が、IEC規格によって要求される最小EMBと比較される。これはOM4ファイバの場合には850nmでの4160MHz・kmである。
【0166】
ファイバが、全モード励振に対して、OM4要件を満たしているか否かを判定するために、DMDデータが使用されてもよい。全モード励振とは、歴史的に、OM4ファイバで使用されてきた特定のタイプのLEDに典型的な入力光状態を指し、ここでは、光源は典型的に、マルチモードファイバのすべてのモードに均一に光を発射する。光源としてのLEDのこのような使用は、現在、レーザー光源が好まれているため、減少している。しかし、伝統的なシステムはLED光源を使用することがあり、OM4規格は、全モード励振で使用するための最小帯域幅要件を含んでいる。たとえば、第1の波長、たとえばOM4ファイバの場合には850nmで測定されたDMDデータが、第1の波長での全モード励振帯域幅(OFLc1)を計算するために使用されてよい。OM4ファイバの場合、第1の基準セットは、OFLc1が3500MHz・km以上であることを要求する基準をさらに含んでいる。
【0167】
本明細書に開示された方法は、OM4ファイバの場合に850nmで測定されたDMDデータを、他の波長でのそのようなファイバの性能を予測するために使用することよりも、より一般的に使用され得る。より一般的に、この方法は、第1の波長でのDMDデータが、所定の関数の所定の許容範囲内にあるか否かについて評価される任意の選択方法に適用されてよい。この所定の関数は、式3、たとえば式3~7のような偶数次多項式であることが望ましい。
【0168】
第2の波長でのファイバの性能を予測するための偶数次多項式の使用
ステップ130において、マルチモードファイバは、第2の波長での第2の最小帯域幅の要件を満たしていることに基づいて選択される。しかし、ステップ140において、要件は、入力として、第1の波長で測定されたDMDデータを使用する。この要件は、第2の基準を含んでいる第2の基準セットに基づいている。第2の基準は、第1の波長で測定された異モード遅延データの半径方向依存性が、形式
【0169】
【0170】
を有している、2つ以上の偶数次多項式を連結して構成された所定の基準関数の所定の許容範囲内にあるか否かである。測定されたデータが、所定の基準関数の「所定の許容範囲内」にあるか否かを、多くの方法で判定することができる。そのような2つの方法は、実施例に記載されているように、望ましいことが判明している基準ファイバの測定から得られた係数c0,k、c1,kおよびc2,kに対する所定の値を必要とする。
【0171】
このような所定の係数を使用する第1の方法は、式8および式9または同様の式からχ2の値を求めることである。τ(r)ref,kを定量化するために、所定の係数が使用される。次いで、この式が、χ2を計算するために評価されたファイバに対する、測定されたDMDデータに適用されてよい。χ2が所定の閾値を下回る場合、ファイバは選択基準を満たす。この方法は、本明細書において、7μm~15μmの半径方向範囲および15μm~25μmの半径方向範囲(2次多項式を使用して、K=3である評価の場合)および7μm~25μmの半径方向範囲(3次多項式を使用して、K=2である評価の場合)に適用されるが、より広い適用性を有していてよい。
【0172】
そのような所定の係数を使用する第2の方法は、評価されるファイバからの測定されたDMDデータを、式3、たとえば式5または式7の形式を有する関数に適合させることである。最小二乗適合が有利である。このような適合から得られた係数は、次いで、望ましいことが判明しているファイバの測定から得られた係数c0,k、c1,kおよびc2,kに対する所定の範囲と比較されてよい。評価されたファイバからの測定されたDMDデータのこの適合から得られた係数が、所定の範囲内にある場合、ファイバは、選択基準を満たしている。この方法は、本明細書において1μm~7μmの半径方向範囲に適用されるが、より広い適用性を有していてよい。
【0173】
特定のファイバを評価する際に、先行する段落で説明した2つの評価方法を組み合わせることができる。たとえば、第1の方法は、7μm~15μmおよび15μm~25μmの半径方向範囲(2次多項式を使用して、K=3である評価の場合)または7μm~25μmの半径方向範囲(3次多項式を使用して、K=2である評価の場合)を評価するために使用されてよい。第2の方法は、1μm~7μmの半径方向範囲を評価するために使用されてよい。この例では、選択基準は、7μm~25+μmの半径方向範囲における第1の評価方法の基準と、1μm~7+μmの半径方向範囲における第2の評価方法の基準との双方を満たすことを必要とするだろう。
【0174】
第2の波長での最小帯域幅
ステップ140において、ファイバのDMDデータが第2の波長で測定される。ステップ150において、マルチモードファイバが、第2の基準セットに基づいて第2の波長での第2の最小帯域幅の要件を満たしていることに基づいて選択され、第2の基準セットは、第2の波長で測定されたDMDデータを入力として使用する第2の基準を含んでいる。
【0175】
第2の波長でのDMD測定
いくつかの実施形態において、第2の波長での帯域幅要件を満たす可能性があるとして選択されたファイバは、このファイバが実際にこれらの要件を満たしていることを確認するために、第2の波長でのレーザー入力を使用して実行されるDMD測定の対象である。この確認には、第3の基準セットが適用されてよい。第3の基準セットは、第2の波長で測定されたマルチモードファイバに対する測定された異モード遅延(DMD)データを入力として使用する第3の基準を含んでいる。
【0176】
第3の基準セットは、第2の波長での測定に基づいており、第2の波長でのファイバの性能を定量化するために使用される。第3の基準セットは第1の基準セットと類似しており、これは、特定の波長、すなわち第1の波長での測定を使用して、その波長での性能を定量化する。したがって、第3の基準セットは、第1の基準セットと実質的に類似していてよいが、異なる波長にあり、かつ異なる固有のパラメータを有している可能性がある。
【0177】
たとえば、第3の基準セットは、第2の波長で測定されたDMDデータから第2の波長での最小実効帯域幅(minEMBc2)を計算することに基づいて、基準を含んでいてよい。第3の基準は、minEMBc2が第2の閾値以上であるという要件を含んでいる。第1の基準セットと同様に、minEMBc2は規格に基づいていてよく、たとえばOM5ファイバの場合には、953nmでのminEMBc2に対するISO/IEC規格に基づいていてよい。
【0178】
また、たとえば、第3の基準セットは、第2の波長で測定されたDMDデータに第3のマスクを適用することに基づいて、基準を含んでいてよい。第3の基準は、第2の波長で測定されたDMDデータが第3のマスクのパラメータを通過するという要件を含んでいる。第1の基準セットと同様に、マスクは規格に基づいていてよく、たとえば953nmでのOM5ファイバの場合には、IEC60793-1-49によって規定される標準的なマスクであってよい。
【0179】
ファイバ帯域幅の性能に対するOM4規格ベースおよびOM5規格ベースの基準は、その波長での性能を定量化するために、特定の波長で測定されたデータに、計算および/またはマスクを適用することに基づいている。これらの規格は、データが測定された波長とは異なる波長での性能を定量化する方法を提供しない。
【0180】
第1の波長について説明したものと同様の様式で、第2の波長で測定されたDMDデータが、ファイバが第2の波長での全モード励振に対する要件、たとえば953nmでの全モード励振に対するOM5要件を満たしているか否かを判定するために使用されてもよい。たとえば、第2の波長、たとえばOM5ファイバの場合には953nmで測定されたDMDデータが、第2の波長での全モード励振帯域幅(OFLc2)を計算するために使用されてよい。OM5ファイバの場合には、基準は、OFLc2が953nmで1850MHz・km以上であることである。
【0181】
たとえば、
図1に示された方法を適用することによって、ファイバ製造業者は、953nmでの測定に先立って、OM5規格を満たす可能性のないOM4ファイバを考慮から除外することによって、OM5ファイバを認定するために953nmで実行される測定の回数を減らすことができる。そのような選択方法によって、ファイバ製造業者は、たとえば、850nmで測定された、格納されたDMDデータに基づいて、カスタマイズされた顧客要件を満たす可能性のあるファイバを選択し、そのファイバを顧客要件に照らして測定することもできるだろう。
【0182】
OM4ファイバおよびOM5ファイバ
非限定的な例では、OM4規格を満たすことに基づいてファイバを認定するために使用されるDMD測定に基づいて、OM5規格を満たす可能性の高いファイバを選択することが望まれる。この例では、第1の波長は850nmであり、第2の波長は953nmである。OM4規格を満たしているファイバは、850nmで実行されたDMD測定、工業規格のマスクおよび/またはminEMBc1の計算に基づいて、より広いファイバセットから選択されてよい。次いで、850nmで実行されたDMD測定が、第1の波長で測定された異モード遅延データの半径方向依存性が、式3、たとえば式3から式7の形式を有する、2つ以上の偶数次多項式を連結して構成された所定の基準関数の所定の許容範囲内にあるか否かを判定するために使用されてよい。
【0183】
OM5ファイバの選択における第3の基準は、たとえば、第2の波長で実行されるDMD測定に適用されるマスクの使用、または第2の波長で実行されるDMD測定からのminEMBc2の計算であってよい。第2の波長でのDMDデータの測定は、第2の基準を満たすファイバに対してのみ実行されてよく、これによって、OM5と認定される可能性がないファイバ、すなわち第2の基準を満たさなかったファイバを測定するために費やされるリソースが削減される。
【0184】
任意選択的な付加的な基準
いくつかの実施形態において、「サブセット」言語が、選択プロセスの結果を記述するために使用される。これらの実施形態では、第1のサブセットは、複数のマルチモードファイバのサブセットであり、これは、第1のサブセットが複数のファイバのすべてまたは一部のみを含んでいることを意味している。同様に、第2のサブセットは、第1のサブセットのサブセットであり、これは、第2のサブセットが、第1のサブセット内のファイバのすべてまたは一部のみを含んでいることを意味している。第3のサブセットは、第2のサブセットのサブセットである。これは、第3のサブセットが第2のサブセット内のファイバのすべてまたは一部のみを含んでいることを意味している。
【0185】
システム
いくつかの実施形態において、システムは、第1の波長での第1の最小帯域幅の要件と、第1の波長よりも長い第2の波長での第2の最小帯域幅の要件とを満たしているマルチモードファイバを選択するためのコンポーネントを含んでいる。このシステムは、
・第1の波長でマルチモードファイバの異モード遅延(DMD)データを測定するように構成されている測定装置を含んでおり、DMDデータは、第1の波長を有する入力レーザーパルスの半径方向位置の関数としての出力レーザーパルスデータを含んでおり、
・マルチモードファイバが、第1の波長で、マルチモードファイバのDMDデータに適用される第1のマスクを通過する場合に、このマルチモードファイバを選択するように構成されている第1の選択デバイスを含んでおり、
・第1の波長で測定された異モード遅延データの半径方向依存性またはモード群数依存性が、式3、たとえば式3~7の形式を有する、2つ以上の偶数次多項式を連結して構成された所定の基準関数の所定の許容範囲内にある場合に、このマルチモードファイバを選択するように構成されている第2の選択デバイスを含んでいる。
【0186】
プロセッサデバイス、第1の選択デバイスおよび第2の選択デバイスは同じデバイスであっても、異なる入れ替えの異なるデバイスであってもよい。たとえば、単一のコンピュータが、DMDデータを変換し、ファイバを選択するように特有に構成されていてよい。または、第1のコンピュータが第1の選択デバイスとして構成されていてよく、第2のコンピュータがプロセッサデバイスおよび第2の選択デバイスとして構成されていてよい。他の入れ替えが可能である。
【0187】
遅延をモード群空間に変換することの利点の1つは、この方法が、波長によるモード群の数の変化を明示的に組み込んでいることである。たとえば、名目上、850nmでは18個のモード群が存在するが、953nmでは僅か16個のモード群しか存在しない。850nmでの半径方向遅延のみに基づくアルゴリズムは、17番目および18番目のモード群の影響を、高次モード遅延から容易にデコンボリューションすることができず、デコンボリューションは本質的に、853nmでの実効モード帯域幅の正確な計算または推定を得ることである。本明細書で使用される場合、「デコンボリューション」は、測定されたDMDパルスデータ等のパルスデータから時間遅延を選択するためのアルゴリズムまたはプロセスを指す。第2の利点は、マスクが、LP01モードの挙動、低次モード群(2~5を含む)の挙動および高次モード群(12~15を含む)の挙動を明確に描写することである。低次モード群と高次モード群との間には多くの場合、遅延「ステップ」が存在し、低次モード群と高次モード群とに対しては、異なるマスクがこの遅延構造に適応することが観察された。
【実施例】
【0188】
実施例A
OM5規格を満たしている12本のプレミアムワイドバンドファイバが選択された。850nmおよび953nmの両方で、これらのファイバ上で、DMD測定が実行された。これらのファイバは、OM5規格を満たしていることが検証された。これらの12本のファイバは、OM5仕様を大幅に上回るminEMBc値を有しており、これらのファイバは、通常のOM5ファイバに比べて「プレミアム」である。
【0189】
DMD測定が、1μm~25μmの半径方向位置において、測定間に2μmの増分を伴って、12本のファイバのそれぞれについて実行された。
【0190】
各ファイバ上の各半径方向位置について、重心遅延が計算され、LP01モードおよびLP11モードにおける光出力の大部分が伝搬するコアの部分を含んでいる、7μmでの重心遅延が参照された。
【0191】
このようなns/kmの単位での重心遅延が、その平均とともに、表1に示されている。ファイバ例1、5、8および10の重心遅延が、平均重心遅延(黒丸でのプロット)とともに、
図2にプロットされている。1μm~7μmの半径方向範囲における相対的な重心遅延は、これらの12本のファイバの例では-0.02ns/km~0.2ns/kmの間で変化し、正または負の傾斜を有し得る。7μm~15μmの半径方向範囲における相対的な重心遅延は、全体として、約-0.06ns/km~0ns/kmの最小値まで滑らかに減少する。15μm~25μmの半径方向範囲における相対的な重心遅延は、約-0.08ns/km~-0.02ns/kmの最小値およびいずれかの平坦部まで滑らかに減少する、またはファイバコアの外側付近で僅かに増加する。これらの重心遅延データは、k=2項およびk=3項(約7μmを超える半径方向値の場合)からの、式5および式7におけるk=1項(約7μm未満の半径方向値の場合)の分離をサポートする。
【0192】
【0193】
【0194】
実施例B
12本の例示的なファイバの各々の重心データと、平均重心データとに、式7の形式を有する3次多項式が適合された。この適合は、次の半径方向範囲にわたって実行された:
k=1:r1,1=0μm;r2,1=7μm;
k=2:r1,2=7μm;r2,2=25μm
表2Aにおいて提供された、k=1場合の適合結果は、有利な実施形態において、c01が-0.02ns/km~0.2ns/kmであり、c11が-1.5ns/km~0.5ns/kmであり、c21が-2ns/km~8ns/kmであり、c31が0であることを示している。表2Bにおいて提供された適合結果は、有利な実施形態において、c02が-0.02ns/km~0.1ns/kmであり、c12が-0.3ns/km~0.1ns/kmであり、c22が-0.5ns/km~0.3ns/kmであり、c32が-0.1ns/km~0.4ns/kmであることを示している。
【0195】
【0196】
【0197】
図3Aは、平均曲線自体(黒丸)と比較した、7μm<=r<=25μmの範囲にわたった、平均曲線に対する表2Bの係数c
02、c
12、c
22およびc
32を用いた3次多項式適合(実線)のプロットを示している。
図3Aは、この3次多項式適合が良好な適合であることを確認している。したがって、この適合は、ファイバからのDMD測定が、所定の基準関数ファイバの所定の許容範囲内にあるか否かを判定するための所定の基準関数として使用されてよい。DMD測定がこの基準を満たすと、ファイバはOM5規格を満たしている可能性がある。
【0198】
この3次多項式を、0μm<=r<=7μmの範囲に対して、その範囲に基準曲線が必要な範囲で、実施例Cの2次多項式適合と組み合わせて使用することができる。この2次多項式が、総和表記を簡略化するために、必要に応じてc3,1=0ns/kmを伴う3次多項式として記述されてよい。
【0199】
実施例C
12本の例示的なファイバの各々の重心データと、平均重心データとに、式5の形式を有する2次多項式が適合された。この適合は、次の3つの半径方向範囲に対して実行された:
k=1:r1,1=0μm;r2,1=7μm;
k=2:r1,2=7μm;r2,2=15μm
k=3:r1,3=15μm;r2,3=25+μm
表2Aにおいて提供された、k=1の場合の適合結果は、有利な実施形態において、c01が-0.02ns/km~0.2ns/kmであり、c11が-1.5ns/km~0.5ns/kmであり、c21が-2ns/km~8ns/kmであり、c3,1が0ns/kmであることを示している。表3Aにおいて提供された、k=2の場合の適合結果は、有利な実施形態において、c02が-0.02ns/km~0.02ns/kmであり、c12が-0.2ns/km~0.01ns/kmであり、c22が-0.6ns/km~0.01ns/kmであることを示している。表3Bにおいて提供された、k=3の場合の適合結果は、有利な実施形態において、c03が0.01ns/km~0.1ns/kmであり、c13が-0.35ns/km~-0.1ns/kmであり、c23が0.05ns/km~0.25ns/kmであることを示している。
【0200】
【0201】
【0202】
図3Bは、平均曲線自体(黒丸)と比較した、7μm<=r<=15μmの範囲にわたった、平均曲線に対する表3Aからの係数c
02、c
12およびc
22を用いた2次多項式適合(実線)のプロット310を示している。
図3Bは、平均曲線自体(黒丸)と比較した、15μm<=r<=25μmの範囲にわたった、平均曲線に対する表3Bからの係数c
03、c
13およびc
23を用いた2次多項式適合(点線)のプロット320も示している。
図3Bは、2次多項式適合が良好な適合であることを確認している。したがって、この適合は、ファイバからのDMD測定が、所定の基準関数ファイバの所定の許容範囲内にあるか否かを判定するための所定の基準関数として使用されてよい。DMD測定がこの基準を満たすと、ファイバはOM5規格を満たしている可能性が高い。
【0203】
実施例D
121本のOM4ファイバのサンプルセットが検討された。このサンプルセットのうちの48本が、953nmのDMD測定から導出されたminEMBc値に基づくOM5 MMFとして識別された。残りの73本のファイバはOM5仕様を満たさなかった。実施例A~Cの12本のプレミアムファイバは、OM5仕様を満たす48本のファイバに含まれていた。
【0204】
χ2は、式7および式9を使用して各ファイバについて計算された。実施例Bからの半径方向範囲および係数が使用された(3次多項式適合)。重み付けは、7μm未満の半径方向範囲を除く、w1=0およびw2=w3=1に設定された。r=0μmからr=7μmまでの半径方向範囲における重心遅延は、実施例Bおよび実施例Cに記載されたk=1多項式によって制約される。
【0205】
以下の表4は結果を要約しており、χ2=3(ns/km)2の閾値が、結果的に、余計な測定の数における27.4%(100%-72.6%)の低減をもたらすことを示している。これは、minEMBc要件は満たしているであろうが、最小二乗適合に基づく閾値を超えているだろうサンプルの数における最小限の減少(4.2%)を伴う。
【0206】
【0207】
実施例E
DMD測定を、1μm~25μmの半径方向位置において、測定間に2μmの増分を伴い、850nmで、2つの異なるプリフォームから延伸された10本のファイバ上で実行した。ファイバ例13.1~ファイバ例13.7は1つのプリフォームから延伸されている。ファイバ例14.1からファイバ例14.3は別のプリフォームから延伸されている。
【0208】
850nmでのこれらの測定に基づいて、
図7は、2つの特定のファイバ、ファイバ例13.2およびファイバ例14.1に対する、相対遅延対二乗正規化半径のプロットを示している。
【0209】
各プリフォームから延伸された各ファイバの半径方向位置ごとに重心遅延が計算され、LP01モードおよびLP11モードにおいて光出力のほとんどが伝搬するコアの部分を含んでいる、7μmでの重心遅延が参照された。
【0210】
このようなns/km単位の重心遅延が、その平均とともに表5に示されている。1μm~7μmの半径方向範囲における相対的な重心遅延は、これらの10個の例に対して、0.02ns/km~0.1ns/kmの間で変化し、正の傾斜を有している。7μm~15μmの半径方向範囲における相対的な重心遅延は、全体として、約-0.2ns/km~-0.1ns/kmの最小値まで滑らかに減少する。15μm~25μmの半径方向範囲における相対的な重心遅延は、約-0.4ns/km~-0.1ns/kmの最小値およびいずれかの平坦部まで滑らかに減少する、またはファイバコアの外側付近で僅かに増加する。これらの重心遅延データは、k=2項およびk=3項(約7μmを超える半径方向値の場合)からの、式5および式7におけるk=1項(約7μm未満の半径方向値の場合)の分離をサポートする。
【0211】
【0212】
実施例F
ファイバ例13.2およびファイバ例14.1の重心データと、平均重心データとに、式7の形式を有する3次多項式が適合された。この適合は、次の半径方向範囲にわたって実行された:
k=1:r1,1=0μm;r2,1=7μm;
k=2:r1,2=7μm;r2,2=25μm
表6Aにおいて提供された、k=1の場合の適合結果は、有利な実施形態において、c01が0.02ns/km~0.1ns/kmであり、c11が-1.5ns/km~-0.5ns/kmであり、c21が2ns/km~6ns/kmであり、c31が0であることを示している。表6Bにおいて提供されたこの適合結果は、有利な実施形態において、c02が0.02ns/km~0.1ns/kmであり、c12が-1.0ns/km~-0.2ns/kmであり、c22が-0.2ns/km~1.0ns/kmであり、c23が-0.2ns/km~0.4ns/kmであることを示している。
【0213】
【0214】
【0215】
実施例G
ファイバ例13.2およびファイバ例14.1の重心データと、平均重心データとに、式5の形式を有する2次多項式が適合された。この適合は、次の3つの半径方向範囲に対して実行された:
k=1:r1,1=0μm;r2,1=7μm;
k=2:r1,2=7μm;r2,2=15μm
k=3:r1,3=15μm;r2,3=25+μm
表6Aにおいて提供された、k=1の場合の適合結果は、有利な実施形態において、c01が0.02ns/km~0.1ns/kmであり、c11が-1.5ns/km~-0.5ns/kmであり、c21が2ns/km~8ns/kmであり、c3,1が0ns/kmであることを示している。表7Aにおいて提供された、k=2の場合の結果は、有利な実施形態において、c02が0.02ns/km~0.06ns/kmであり、c12が-0.8ns/km~-0.2ns/kmであり、c22が0.0ns/km~0.3ns/kmであることを示している。表7Bにおいて提供された、k=3の場合の適合結果は、有利な実施形態において、c03が0.0ns/km~0.2ns/kmであり、c13が-1.0ns/km~-0.4ns/kmであり、c23が0.2ns/km~0.5ns/kmであることを示している。
【0216】
【0217】
【0218】
実施例H
ファイバ例13.2およびファイバ例14.1の重心データと、平均重心データとに、式7の形式を有する3次多項式が適合された。この適合は、次の半径方向範囲にわたって実行された:
k=2:r1,2=0μm;r2,2=25μm
表8において提供された、k=2の場合の適合結果は、有利な実施形態において、c02が0.3ns/km~0.7ns/kmであり、c12が-1.0ns/km~0.5ns/kmであり、c22が0.0ns/km~0.8ns/kmであり、c23が-0.2ns/km~0.2ns/kmであることを示している。
【0219】
【0220】
次いで、953nmおよび1000nmの両方でのDMD測定が、ファイバ例13.2およびファイバ例14.1で実行され、minEMB値が表9に示されている。測定されたファイバの各々は、953nmおよび1000nmの両方において、4000MHz・km超のminEMB値を有している。1000nmでの測定されたminEMB値はまた、953nmでの測定値よりも高く、これは、ピーク帯域幅が953nmを上回る波長に位置していることを示している。これらのファイバは、長い波長で動作するマルチモード光伝送システムでの使用に適している。たとえば、これらは、980nm~1070nmであり、980nmと1070nmとを含む範囲における1つ以上の波長、たとえば980nm(または977nm~983nm)、1000nm(または997nm~1003nm)、1020nm(または1017nm~1023nm)または1064nm(または1061~1067nm)、または別の例では、990nm(または987nm~993nm)、1015nm(または1012nm~1018nm)、1040nm(または1037nm~1043nm)および1065nm(または1062nm~1068nm)で使用可能である。980nm~1070nmの範囲における任意の整数波長から始まる部分範囲であり、かつ6nmの長さの範囲を有する任意の他の波長範囲で、このファイバが使用されてよい。
【0221】
【0222】
結論
当業者であれば、本明細書に記載された様々な実施形態に多くの変更を加えても、有益な結果を得られることを認識し、理解するであろう。また、本実施形態の所望の利益のいくつかは、他の特徴を利用することなく、特徴のいくつかを選択することによって得られることが理解されるだろう。したがって、当業者であれば、多くの改変および適応が可能であり、特定の状況では望ましい場合すらあり、本開示の一部であることを認識するであろう。したがって、本開示は、特に指定のない限り、開示された特定の組成物、物品、デバイスおよび方法に限定されないことを理解されたい。また、本明細書で使用される用語は、単に特定の実施形態を説明する目的のためのものであり、限定することを意図していないことを理解されたい。図面に示された特徴は、本明細書の選択された実施形態を説明するものであり、必ずしも適切な縮尺で描写されているわけではない。これらの図面上の特徴は例示的なものであり、限定することを意図していない。
【0223】
そうでないことが明示的に言明されていない限り、本明細書に記載されたいずれの方法も、特定の順序でのステップの実行を要求するものと解釈されることを全く意図していない。したがって、方法の請求項が、そのステップが従うべき順序を実際に列挙していない場合、またはステップが特定の順序に限定されることが特許請求の範囲または明細書に特に言明されていない限り、いかなる特定の順序も推論されることが意図されていない。
【0224】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0225】
実施形態1
第2の波長とは異なる第1の波長で測定された異モード遅延データに基づいて、前記第2の波長での第2の最小帯域幅の要件を満たしているファイバを選択する方法であって、前記方法は、
前記第1の波長でマルチモードファイバに対する異モード遅延(DMD)データを測定するステップを含んでおり、前記DMDデータは、前記第1の波長を有する入力レーザーパルスの半径方向位置の関数としての出力レーザーパルスデータを含んでおり、
第2の基準を含んでいる第2の基準セットに基づいて、前記第2の波長での前記第2の最小帯域幅の要件を満たしていることに基づいて前記マルチモードファイバを選択するステップを含んでおり、前記第2の基準は、形式
【0226】
【0227】
を有している、2つ以上の偶数次多項式を連結して構成された所定の基準関数の所定の許容範囲内にある、前記第1の波長で測定された前記異モード遅延データの半径方向依存性を含んでおり、ここで
aは、正規化因子であり、
rは、少なくとも2つの異なる範囲r1,k≦r<r2,kにわたった前記ファイバ上の可変半径方向位置であり、
c0,k,c1,kおよびc2,kは、rの各範囲内で一定の係数であり、
r1,kおよびr2,kは、rの各範囲の境界を示す前記ファイバ上の離散的な半径方向位置であり、
kは、値k={1…K}を伴う指数変数であり、Kは2または3である、方法。
【0228】
実施形態2
rの値ごとに測定された前記データの重心を用いて、前記第1の波長で測定された前記異モード遅延データの前記半径方向依存性を決定する、実施形態1記載の方法。
【0229】
実施形態3
rの値ごとに測定された前記データのピークを用いて、前記第1の波長で測定された前記異モード遅延データの前記半径方向依存性を決定する、実施形態1記載の方法。
【0230】
実施形態4
前記第1の波長で測定された前記異モード遅延データの前記半径方向依存性を、
モード群遅延データτgを決定するために、前記第1の波長で測定された前記DMDデータをデコンボリューションするステップ、
半径方向空間において、平滑化された異モード遅延データを決定するために、前記モード群遅延データτgを理論的なPxg行列で再コンボリューションするステップ、
rの値ごとに測定された前記データの重心を用いて、前記第1の波長で測定された前記異モード遅延データの前記半径方向依存性を決定するステップ
によって決定する、実施形態1記載の方法。
【0231】
実施形態5
k=1の場合、
r1,1=0μm、かつr2,1=7+μmであり、
r1,1およびr2,1によって規定された半径方向範囲に対して、前記第1の波長で測定された前記異モード遅延データの前記半径方向依存性は、形式
【0232】
【0233】
を有している関数への前記異モード遅延データの最小二乗適合時に、所定の基準関数の所定の許容範囲内にあり、ここで係数は
-0.02ns/km≦c01≦0.2ns/kmであり、
-1.5ns/km≦c11≦0.5ns/kmであり、かつ
-2.0ns/km≦c21≦8.0ns/kmである、実施形態1から4までのいずれか1つ記載の方法。
【0234】
実施形態6
K=3であり、
k=2の場合およびk=3の場合には、前記所定の許容範囲χ2は、
【0235】
【0236】
であり、
τ(r)measは、位置rでの測定された遅延であり、
τ(r)ref,kは、間隔kにおける位置rでの基準遅延であり、
【0237】
【0238】
であり、
rは、単位μmでの半径方向位置であり、
wkは、k個の領域(k=2…K)の各々に対する重み付けであり、ここでw2=w3=1であり、
aは25μmであり、
r1,2=7μmであり、
r2,2=15μmであり、
r1,3=15μmであり、
r2,3=25+μmであり、
k=2の場合には、
c0,2=-0.02ns/km~0.02ns/kmであり、
c1,2=-0.2ns/km~0.01ns/kmであり、
c2,2=-0.6ns/km~0.01ns/kmであり、
k=3の場合には、
c0,3=0.01ns/km~0.1ns/kmであり、
c1,3=-0.35ns/km~-0.1ns/kmであり、
c2,3=0.05ns/km~0.25ns/kmである、実施形態1から5までのいずれか1つ記載の方法。
【0239】
実施形態7
k=2の場合には、
c0,2=0.0009ns/kmであり、
c1,2=0.0011ns/kmであり、
c2,2=-0.206ns/kmであり、
k=3の場合には、
c0,3=0.0391ns/kmであり、
c1,3=-0.233ns/kmであり、
c2,3=0.146ns/kmである、実施形態6記載の方法。
【0240】
実施形態8
K=3であり、
k=2の場合およびk=3の場合には、前記所定の許容範囲χ2は、
【0241】
【0242】
であり、
τ(r)measは位置rでの測定された遅延であり、
τ(r)ref,kは、間隔kにおける位置rでの基準遅延であり、
【0243】
【0244】
であり、
rは、単位μmでの半径方向位置であり、
K=3であり、
wkは、k個の領域(k=2…K)の各々に対する重み付けであり、ここでw2=w3=1であり、
aは25μmであり、
r1,2=7μmであり、
r2,2=15μmであり、
r1,3=15μmであり、
r2,3=25+μmであり、
k=2の場合には、
c0,2=-0.02ns/km~0.02ns/kmであり、
c1,2=-0.2ns/km~0.01ns/kmであり、
c2,2=-0.6ns/km~0.01ns/kmであり、
k=3の場合には、
c0,3=0.01ns/km~0.1ns/kmであり、
c1,3=-0.35ns/km~-0.1ns/kmであり、
c2,3=0.05ns/km~0.25ns/kmである、実施形態1から5までのいずれか1つ記載の方法。
【0245】
実施形態9
k=2の場合には、
c0,2=0.0009ns/kmであり、
c1,2=0.0011ns/kmであり、
c2,2=-0.206ns/kmであり、
k=3の場合には、
c0,3=0.0391ns/kmであり、
c1,3=-0.233ns/kmであり、
c2,3=0.146ns/kmである、実施形態8記載の方法。
【0246】
実施形態10
前記第2の基準セットは、χ2<3(ns/km)2であることを要求する、実施形態6から9までのいずれか1つ記載の方法。
【0247】
実施形態11
前記第2の基準セットは、χ2<2.5(ns/km)2であることを要求する、実施形態10記載の方法。
【0248】
実施形態12
前記第2の基準セットは、χ2<2(ns/km)2であることを要求する、実施形態11記載の方法。
【0249】
実施形態13
前記方法が、第1の基準セットに基づいて、前記第1の波長での前記第1の最小帯域幅の要件を満たしていることに基づいて、前記マルチモードファイバを選択するステップをさらに含んでおり、前記第1の基準セットは、
前記第1の波長で測定された前記マルチモードファイバに対する、測定された前記異モード遅延(DMD)データを入力として使用する第1の基準を含んでいる、実施形態1から12までのいずれか1つ記載の方法。
【0250】
実施形態14
前記方法が、前記第1の波長で測定された前記DMDデータから、前記第1の波長での最小実効帯域幅(minEMBc1)を計算するステップをさらに含んでおり、前記第1の基準は、minEMBc1が第1の閾値以上であることを要求する、実施形態13記載の方法。
【0251】
実施形態15
前記方法が、前記第1の波長で測定された前記DMDデータに第1のマスクを適用するステップをさらに含んでおり、前記第1の基準は、前記第1の波長で測定された前記DMDデータが前記第1のマスクを通過することを要求する、実施形態13から14までのいずれか1つ記載の方法。
【0252】
実施形態16
前記第1の波長は前記第2の波長よりも短い、実施形態1から15までのいずれか1つ記載の方法。
【0253】
実施形態17
前記第1の波長は847nm~853nmの範囲にある、実施形態1から16までのいずれか1つ記載の方法。
【0254】
実施形態18
前記第1の波長は847nm~853nmの範囲にあり、前記第1の閾値は4160MHz・kmである、実施形態14記載の方法。
【0255】
実施形態19
前記方法が、前記第1の波長で測定された前記DMDデータから、前記第1の波長での全モード励振帯域幅(OFLc1)を計算するステップをさらに含んでおり、前記第1の基準セットはOFLc1が3500MHz・km以上であることを要求する基準をさらに含んでいる、実施形態13から18までのいずれか1つ記載の方法。
【0256】
実施形態20
前記方法が、さらに、
前記第2の波長で、前記マルチモードファイバに対する異モード遅延(DMD)データを測定するステップを含んでおり、前記DMDデータは、前記第2の波長を有する入力レーザーパルスの前記半径方向位置の関数としての出力レーザーパルスデータを含んでおり、
前記第2の基準セットに加えて第3の基準セットに基づいて、前記第2の波長での前記第2の最小帯域幅の要件を満たしていることに基づいて前記マルチモードファイバを選択するステップを含んでおり、前記第3の基準セットは、
前記第2の波長で測定された前記マルチモードファイバに対する、測定された前記異モード遅延(DMD)データを入力として使用する第3の基準を含んでいる、実施形態1から19までのいずれか1つ記載の方法。
【0257】
実施形態21
前記方法が、前記第2の波長で測定された前記DMDデータから、前記第2の波長での最小実効帯域幅(minEMBc2)を計算するステップをさらに含んでおり、前記第3の基準は、minEMBc2が第2の閾値以上であることを要求する、実施形態20記載の方法。
【0258】
実施形態22
前記方法が、前記第2の波長で測定された前記DMDデータに第3のマスクを適用するステップをさらに含んでおり、前記第3の基準は、前記第2の波長で測定された前記DMDデータが前記第3のマスクのパラメータを通過することを要求する、実施形態20から21までのいずれか1つ記載の方法。
【0259】
実施形態23
前記第2の波長は950nm~956nmの範囲にある、実施形態1から22までのいずれか1つ記載の方法。
【0260】
実施形態24
前記第2の波長が950nm~956nmの範囲にあり、前記第2の閾値が2190MHz・kmである、実施形態21記載の方法。
【0261】
実施形態25
前記方法が、前記第2の波長で測定された前記DMDデータから、前記第2の波長での全モード励振帯域幅(OFLc2)を計算するステップをさらに含んでおり、前記第3の基準セットは、OFLc2が1850MHz・km以上であることを要求する基準をさらに含んでいる、実施形態20から実施形態24までのいずれか1つの実施形態記載の方法。
【0262】
実施形態26
前記第2の波長での前記マルチモードファイバに対する異モード遅延(DMD)データの測定の前に、前記第2の基準セットを満たす、実施形態20から25までのいずれか1つ記載の方法。
【0263】
実施形態27
第1の波長での第1の最小帯域幅の要件および前記第1の波長より長い第2の波長での第2の最小帯域幅の要件を満たしているマルチモードファイバの第3のサブセットを、複数の前記マルチモードファイバから選択する方法であって、前記方法は、
前記第1の波長で、複数の前記マルチモードファイバに対する異モード遅延(DMD)データを測定するステップを含んでおり、前記DMDデータは、前記第1の波長を有する入力レーザーパルスの半径方向位置の関数としての出力レーザーパルスデータを含んでおり、
基準に基づいて、複数の前記マルチモードファイバの第1のサブセットを選択するステップを含んでおり、前記基準は、前記第1の波長で測定された前記DMDデータに直接に適用された第1のマスクを通過することを含んでおり、
基準に基づいて、複数の前記マルチモードファイバの第2のサブセットを選択するステップを含んでおり、前記基準は、形式
【0264】
【0265】
を有している、2つ以上の偶数次多項式を連結して構成された所定の基準関数の所定の許容範囲内にある、前記第1の波長で測定された前記異モード遅延データの半径方向依存性を含んでおり、ここで、
aは、正規化因子であり
rは、少なくとも2つの異なる範囲r1,k≦r<r2,kにわたった前記ファイバ上の可変半径方向位置であり、
c0,k,c1,kおよびc2,kは、rの各範囲内で一定の係数であり、
r1,kおよびr2,kは、rの各範囲の境界を示す前記ファイバ上の離散的な半径方向位置であり、
kは、値k={2…K}を伴う指数変数であり、Kは2または3であり、
別の選択基準を適用することによって、複数の前記マルチモードファイバの前記第3のサブセットを選択するステップを含んでおり、
前記第1のサブセットは、複数の前記マルチモードファイバのサブセットであり、
前記第2のサブセットは、前記第1のサブセットのサブセットであり、
前記第3のサブセットは、前記第2のサブセットのサブセットである、方法。
【0266】
実施形態28
第1の波長での第1の最小帯域幅の要件および前記第1の波長より長い第2の波長での第2の最小帯域幅の要件を満たしているマルチモードファイバを選択するシステムであって、前記システムは、
前記第1の波長で、前記マルチモードファイバに対する異モード遅延(DMD)データを測定するように構成されている測定デバイスを含んでおり、前記DMDデータは、前記第1の波長を有する入力レーザーパルスの半径方向位置の関数としての出力レーザーパルスデータを含んでおり、
前記第1の波長で、前記マルチモードファイバに対する前記DMDデータに適用された第1のマスクを前記マルチモードファイバが通過する場合に、前記マルチモードファイバを選択するように構成されている第1の選択デバイスを含んでおり、かつ
前記マルチモードファイバが選択基準を通過する場合に、前記マルチモードファイバを選択するように構成されている第2の選択デバイスを含んでおり、前記選択基準は、形式
【0267】
【0268】
を有している、2つ以上の偶数次多項式を連結して構成された所定の基準関数の所定の許容範囲内にある、前記第1の波長で測定された前記異モード遅延データの半径方向依存性を含んでおり、ここで、
aは、正規化因子であり
rは、少なくとも2つの異なる範囲r1,k≦r<r2,kにわたった前記ファイバ上の可変半径方向位置であり、
c0,k,c1,kおよびc2,kは、rの各範囲内で一定の係数であり、
r1,kおよびr2,kは、rの各範囲の境界を示す前記ファイバ上の離散的な半径方向位置であり、
kは、値k={2…K}を伴う指数変数であり、Kは2または3である、システム。
【0269】
実施形態29
第1の波長での第1の最小帯域幅の要件および前記第1の波長とは異なる第2の波長での第2の最小帯域幅の要件を満たしているマルチモードファイバを選択する方法であって、前記方法は、
第1の基準セットに基づいて前記第1の波長での前記第1の最小帯域幅の要件を満たしていることに基づいて前記マルチモードファイバを選択するステップを含んでおり、前記第1の基準セットは、前記第1の波長で測定された前記マルチモードファイバに対する異モード遅延(DMD)データを入力として使用する第1の基準を含んでおり、
第2の基準セットに基づいて前記第2の波長での前記第2の最小帯域幅の要件を満たしていることに基づいて前記マルチモードファイバを選択するステップを含んでおり、前記第2の基準セットは、形式
【0270】
【0271】
を有している、2つ以上の偶数次多項式を連結して構成された所定の基準関数の所定の許容範囲内にある、前記第1の波長で測定された前記異モード遅延データの半径方向依存性またはモード群数依存性を含んでおり、ここで、
aは、正規化因子であり
rは、少なくとも2つの異なる範囲r1,k≦r<r2,kにわたった前記ファイバ上の可変半径方向位置であり、
c0,k,c1,kおよびc2,kは、rの各範囲内で一定の係数であり、
r1,kおよびr2,kは、rの各範囲の境界を示す前記ファイバ上の離散的な半径方向位置であり、
kは、値k={2…K}を伴う指数変数であり、Kは2または3である、方法。
【0272】
実施形態30
第2の波長とは異なる第1の波長で測定された異モード遅延データに基づいて、前記第2の波長での第2の最小帯域幅の要件を満たしているファイバを選択する方法であって、前記方法は、
前記第1の波長で、前記マルチモードファイバに対する前記異モード遅延(DMD)データを測定するステップを含んでおり、前記DMDデータは、前記第1の波長を有する入力レーザーパルスの半径方向位置の関数としての出力レーザーパルスデータを含んでおり、
第2の基準セットに基づいて、前記第2の波長での前記第2の最小帯域幅の要件を満たしていることに基づいて前記マルチモードファイバを選択するステップを含んでおり、前記第2の基準セットは第2の基準を含んでおり、前記第2の基準は、形式
【0273】
【0274】
を有している、所定の基準関数の所定の許容範囲内にある、前記第1の波長で測定された前記異モード遅延データの半径方向依存性を含んでおり、ここで、
aは、正規化因子であり
rは、少なくとも1つの範囲r1,k≦r<r2,kにわたった前記ファイバ上の可変半径方向位置であり、
c0,k,c1,k,c2,kおよびc3,kは、rの各範囲内で一定の係数であり、
r1,kおよびr2,kは、rの各範囲の境界を示す前記ファイバ上の離散的な半径方向位置であり、
kは、値k={1…K}を伴う指数変数であり、Kは1または2である、方法。
【0275】
実施形態31
K=2であり、
k=1の場合には、
r1,1=0μmおよびr2,1=7+μmであり、
r1,1およびr2,1によって規定された半径方向範囲に対して、形式
【0276】
【0277】
を有している関数への前記異モード遅延データの最小二乗適合時に、前記第1の波長で測定された前記異モード遅延データの前記半径方向依存性は、所定の基準関数の所定の許容範囲内にあり、ここで係数は
-0.02ns/km≦c01≦0.2ns/kmであり、
-1.5ns/km≦c11≦0.5ns/kmであり、
-2.0ns/km≦c21≦8.0ns/kmであり、
ここでc3,kは、前記適合のためにゼロに設定されている、実施形態30記載の方法。
【0278】
実施形態32
K=2であり、
k=2の場合には、前記所定の許容範囲χ2は、
【0279】
【0280】
であり、
τ(r)measは、位置rでの測定された遅延であり、
τ(r)ref,kは、間隔kにおける位置rでの基準遅延であり、
rは、単位μmでの半径方向位置であり、
wkは、k個の領域(k=2…K)の各々に対する重み付けであり、ここでw2=1であり、
aは、25μmであり、
r1,2=7μmであり、
r2,2=25+μmであり、
k=2の場合には、
c0,2=-0.02ns/km~0.01ns/kmであり、
c1,2=-0.3ns/km~0.1ns/kmであり、
c2,2=-0.5ns/km~0.3ns/kmであり、かつ
c2,3=-0.1ns/km~0.4ns/kmである、実施形態30から31までのいずれか1つ記載の方法。
【0281】
実施形態33
前記第2の波長は950nm~1070nmの範囲にある、実施形態1から22までのいずれか1つ記載の方法。
【国際調査報告】