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特表2022-511794手術室コーティングアプリケータ及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-01
(54)【発明の名称】手術室コーティングアプリケータ及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61L 31/16 20060101AFI20220125BHJP
   A61L 31/14 20060101ALI20220125BHJP
   A61L 31/08 20060101ALI20220125BHJP
   A61L 31/02 20060101ALI20220125BHJP
   A61L 31/06 20060101ALI20220125BHJP
【FI】
A61L31/16
A61L31/14
A61L31/08
A61L31/02
A61L31/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021530900
(86)(22)【出願日】2019-11-27
(85)【翻訳文提出日】2021-06-10
(86)【国際出願番号】 IB2019060231
(87)【国際公開番号】W WO2020110030
(87)【国際公開日】2020-06-04
(31)【優先権主張番号】62/773,102
(32)【優先日】2018-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512080321
【氏名又は名称】エシコン・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Ethicon, Inc.
【住所又は居所原語表記】P.O. Box 151, U.S. Route 22, Somerville, NJ 08876, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】チチョッキ・フランク
(72)【発明者】
【氏名】オウ・デュアン
【テーマコード(参考)】
4C081
【Fターム(参考)】
4C081AC03
4C081BB07
4C081CA161
4C081CE02
4C081CG08
4C081DA01
(57)【要約】
本開示は、開放可能かつ密閉可能な器具コンパートメントと、器具コンパートメントと連通して位置付けられた治療薬と、治療薬を霧化するように動作可能な噴霧器と、器具コンパートメントと連通した真空源と、を備える、対象物に治療薬のコーティングを適用するように動作可能なコーティングアプリケータを提供する。コーティングアプリケータは、乾燥器を更に備えてもよく、乾燥器は、適用された治療薬の乾燥を促進するのに十分な時間にわたって真空源を動作させる構成を備えてもよい。霧化された治療薬の堆積が、対象物が冷却状態にある間に霧化された治療薬を接触させることと、霧化された治療薬が加熱状態にある間に対象物を霧化された治療薬と接触させることとによって促進され得る。関連する方法も開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療薬のコーティングをコーティングされる対象物に適用するように動作可能なコーティングアプリケータであって、
開放可能かつ密閉可能な器具コンパートメントと、
前記器具コンパートメントと連通して位置付けられた治療薬と、
前記治療薬を霧化するように動作可能な噴霧器と、
前記器具コンパートメントと連通する真空源と、を備える、コーティングアプリケータ。
【請求項2】
乾燥器を更に備え、前記乾燥器が、前記治療薬の乾燥を促進するのに十分な時間にわたって前記真空源を動作させる構成を備える、請求項1に記載のコーティングアプリケータ。
【請求項3】
前記器具コンパートメントが、真空蓋で開放可能かつ密閉可能である、請求項2に記載のコーティングアプリケータ。
【請求項4】
前記乾燥器が、前記器具コンパートメントの領域に熱を加える構成を更に備える、請求項2に記載のコーティングアプリケータ。
【請求項5】
前記乾燥器が、化学反応から放出された熱を伝達する構成を更に備える、請求項2に記載のコーティングアプリケータ。
【請求項6】
前記対象物が、外科用インプラント及び/又は医療器具である、請求項1に記載のコーティングアプリケータ。
【請求項7】
前記治療薬がリザーバに収容され、前記リザーバが分注器具から充填可能である、請求項1に記載のコーティングアプリケータ。
【請求項8】
前記噴霧器がネブライザを含む、請求項1に記載のコーティングアプリケータ。
【請求項9】
前記噴霧器が、超音波ネブライザ及び/又はジェットネブライザ及び/又は振動メッシュネブライザ及び/又は加圧スプレーノズルネブライザ及び/又は振動フリットネブライザ及び/又は熱駆動ウィック式エアロゾル発生器及び/又は加熱毛細管エアロゾル発生器及び/又は気化器を含む、請求項1に記載のコーティングアプリケータ。
【請求項10】
前記治療薬が液体を含む、請求項1に記載のコーティングアプリケータ。
【請求項11】
前記治療薬が、懸濁液及び/又はエマルション及び/又は溶液を含む、請求項10に記載のコーティングアプリケータ。
【請求項12】
前記器具コンパートメントが剛性壁を備える、請求項2に記載のコーティングアプリケータ。
【請求項13】
前記器具コンパートメントが、
真空蓋と、
前記真空蓋の縁部を受容するように構成された基部と、
前記基部と前記真空蓋の前記縁部との間で動作するシールと、を備え、
前記基部が、前記真空源、前記噴霧器、及び前記コーティングされる対象物に支持を提供する、請求項12に記載のコーティングアプリケータ。
【請求項14】
前記真空源を前記器具コンパートメントと連通させるように動作可能な第1の接続部と、前記噴霧器を動作させるために電力源を前記器具コンパートメントと連通させるように動作可能な第2の接続部と、を備える、基部と、
前記基部に着脱可能かつ密閉可能に接続可能な真空蓋であって、それにより、前記器具コンパートメントの周りに密閉空間が確立される、真空蓋と、を更に備える、請求項12に記載のコーティングアプリケータ。
【請求項15】
前記器具コンパートメントが、前記密閉空間内に置かれるように構成された開放可能ボックスを備え、前記開放可能ボックスが、
前記コーティングされる対象物のための支持体と、
前記基部の前記第1の接続部を受容する第1のレシーバと、
前記基部の前記第2の接続部を受容する第2のレシーバと、を備える、請求項14に記載のコーティングアプリケータ。
【請求項16】
前記噴霧器が、完全に前記開放可能ボックス内に配置される、請求項15に記載のコーティングアプリケータ。
【請求項17】
前記器具コンパートメントが可撓性壁を備える、請求項1に記載のコーティングアプリケータ。
【請求項18】
前記器具コンパートメントが、第1の端部に沿って開放可能かつ再密閉可能である、請求項17に記載のコーティングアプリケータ。
【請求項19】
前記真空源が、前記第1の端部から離間した場所で前記器具コンパートメントと流体連通している、請求項18に記載のコーティングアプリケータ。
【請求項20】
前記真空源が、前記第1の端部に隣接する場所で前記器具コンパートメントと流体連通している、請求項18に記載のコーティングアプリケータ。
【請求項21】
前記真空源を前記器具コンパートメントと連通させるように動作可能なアクセサリユニットを更に備え、前記アクセサリユニットが、電力源を前記噴霧器に接続するように更に動作可能である、請求項18に記載のコーティングアプリケータ。
【請求項22】
前記噴霧器が、完全に前記器具コンパートメント内に配置される、請求項21に記載のコーティングアプリケータ。
【請求項23】
前記アクセサリユニットを前記器具コンパートメントと遠隔接続するように動作可能なテザーを更に備え、それにより、前記アクセサリユニットが手術室内の別の場所で動作されている間、前記器具コンパートメントは前記手術室の滅菌野に留まることができる、請求項21に記載のコーティングアプリケータ。
【請求項24】
前記アクセサリユニットが、単一の器具チャンバと一体化されている、請求項21に記載のコーティングアプリケータ。
【請求項25】
複数の個別の器具コンパートメントを更に備え、前記アクセサリユニットは、前記複数の個別の器具コンパートメントの異なる部材に繰り返し取り付け可能である、請求項21に記載のコーティングアプリケータ。
【請求項26】
前記アクセサリユニットを外部真空源と遠隔接続し、かつ/又は前記アクセサリユニットを外部電力源と接続するように動作可能なテザーを更に備え、それにより、前記器具コンパートメント及び前記アクセサリユニットが、それらの動作中に手術室の滅菌野に留まることができる、請求項21に記載のコーティングアプリケータ。
【請求項27】
前記可撓性壁が、
可撓性外壁と、
面状加熱要素と、
前記可撓性外壁と面状ヒータとの間に配置された面状の第1のスペーサと、
前記面状ヒータと前記器具コンパートメントの内部との間に配置された面状の第2のスペーサと、を備える、請求項17に記載のコーティングアプリケータ。
【請求項28】
前記第1の面状スペーサ及び前記第2の面状スペーサがメッシュを含む、請求項27に記載のコーティングアプリケータ。
【請求項29】
前記ヒータが蛇行ヒータを含む、請求項27に記載のコーティングアプリケータ。
【請求項30】
対象物を治療薬でコーティングする方法であって、
コーティングされる対象物を器具コンパートメント内に置くことと、
前記器具コンパートメントを密閉することと、
前記治療薬を霧化することによって治療薬を密閉された前記器具コンパートメント内に分散させ、それにより、前記治療薬のコーティングが確立されることと、
前記コーティングを乾燥させることと、
コーティングされた前記対象物を前記器具コンパートメントから取り出すことと、を含む、方法。
【請求項31】
前記乾燥させることが、真空源を前記器具コンパートメントと連通させることを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記霧化することが、ネブライザを動作させることを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記器具コンパートメントが剛性壁を備える、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記ネブライザ、前記真空源、及び前記コーティングされる対象物を基部で支持することと、
真空蓋を前記基部と密閉係合させることによって前記器具コンパートメントを確立することと、を更に含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
基部の第1の接続部を介して真空源を前記器具コンパートメントと連通させることと、
前記基部の第2の接続部を介して、前記ネブライザを動作させるために電力源を前記器具コンパートメントに連通させることと、
真空蓋を前記基部に着脱可能かつ密閉可能に係合させ、それにより、器具コンパートメントの周りに密閉空間が確立されることと、を更に含む、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記密閉空間内に置かれるように構成された開放可能ボックスを有する前記器具コンパートメントを確立することと、
前記コーティングされる対象物を前記開放可能ボックス内に支持することと、
前記基部の前記第1の接続部を前記開放可能ボックスの第1のレシーバで受容することと、
前記基部の前記第2の接続部を前記開放可能ボックスの第2のレシーバで受容することと、を更に含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記治療薬が、治療薬の水溶液及び/又は水性懸濁液である、請求項32に記載の方法。
【請求項38】
前記器具コンパートメントが可撓性壁を備える、請求項32に記載の方法。
【請求項39】
前記器具コンパートメントが、第1の端部に沿って開放かつ再密閉される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記真空源が、前記第1の端部から離間した場所で前記器具コンパートメントと流体連通している、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記真空源が、前記第1の端部に隣接する場所で前記器具コンパートメントと流体連通している、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記真空源を前記器具コンパートメントと連通させ、電力源を前記ネブライザと連通させるようにアクセサリユニットを動作させることを更に含む、請求項38に記載の方法。
【請求項43】
前記ネブライザが、完全に前記器具コンパートメント内に配置される、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
テザーを使用して前記アクセサリユニットを前記器具コンパートメントと遠隔接続することを更に含み、それにより、前記アクセサリユニットが手術室内の別の場所から動作され得る間、前記器具コンパートメントが前記手術室の滅菌野に留まることができる、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記アクセサリユニットが単一の器具コンパートメントと一体化されている、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記アクセサリユニットが、複数の個別の器具コンパートメントの異なる部材に繰り返し取り付けられる、請求項43に記載の方法。
【請求項47】
霧化された前記治療薬の前記対象物上への堆積を、
冷却状態にある前記対象物を確立することと、
前記対象物が前記冷却状態にある間に、前記対象物を前記霧化された治療薬と接触させることと、によって促進することを更に含む、請求項30に記載の方法。
【請求項48】
前記確立することが、前記対象物を周囲温度未満まで冷却することを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記周囲が、約20℃~25℃の範囲内である、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記確立することが、前記対象物を約-50℃~約15℃の範囲の温度に冷却することを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項51】
前記接触させることが、約1~約15分の範囲の期間にわたって継続される、請求項47に記載の方法。
【請求項52】
接触させる前記期間中、前記冷却状態の前記対象物の前記温度が、15℃未満上昇する、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記霧化された治療薬を加熱状態に加熱することと、
前記霧化された治療薬が前記加熱状態にある間に、前記対象物を前記霧化された治療薬と接触させることと、を更に含む、請求項47に記載の方法。
【請求項54】
治療薬を堆積させる方法であって、
外科用対象物を約-50℃~約15℃の範囲内の温度に冷却することと、
治療薬を霧状化することと、
前記外科用対象物の前記温度が前記周囲未満のままである間に、冷却された前記外科用対象物を霧状化された前記治療薬と、前記霧状化された治療薬が前記外科用対象物の表面上に堆積するのに十分な期間にわたって接触させることと、を含む、方法。
【請求項55】
器具コンパートメントを開放し、前記外科用対象物を前記器具コンパートメント内に置き、前記器具コンパートメントを閉鎖することと、
前記霧状化された治療薬を閉鎖された前記器具コンパートメントと連通させることと、
前記閉鎖された器具コンパートメントを排気することと、
前記器具コンパートメントを開放し、前記外科用対象物を取り出すことと、を更に含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
真空源を閉鎖された対象物コンパートメントと連通させることによって、堆積した前記治療薬を乾燥させることを更に含む、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
前記霧化された治療薬を加熱状態に加熱することと、
前記霧状化された治療薬が前記加熱状態にある間に、前記外科用対象物を前記霧状化された治療薬と接触させることと、を更に含む、請求項54に記載の方法。
【請求項58】
前記接触中、前記冷却された外科用対象物の前記温度が、15℃未満上昇する、請求項57に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2018年11月29日出願の米国特許仮出願第62/773,102号に基づく利益を主張し、参照によりその内容があらゆる目的で本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、米国非特許仮出願第________号(代理人整理番号ETH6020WOPCT1)、及び米国非特許仮出願第________号(代理人整理番号ETH6020WOPCT3)に関連し、本願と同時に出願され、共通の譲受人を有する。
【0003】
(発明の分野)
本開示は、一般に、治療薬で対象物をコーティングする装置及び方法に関し、より詳細には、手術を行う過程で最小限の中断及び遅延で外科用器械又は外科用インプラントを治療薬でコーティングするための手術室での使用に適した装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0004】
(環境)
毎年、米国では約2700万件の外科手術が行われている。術後又は手術部位感染(surgical site infection,「SSI」)は、全事例のうちの約2~3%に生じている。この割合は、毎年675,000を超えるSSIの発生に相当する。
【0005】
SSIの発生は多くの場合、手術において使用される埋込み型医療器具にコロニーを形成し得る細菌に関連するものである。外科手術の間、周囲大気の細菌が手術部位に侵入し、医療器具に付着することがある。特に、細菌は、埋込まれた医療器具を周囲組織への経路として使用することによって拡散し得る。医療器具へのこのような細菌のコロニー化は、患者の感染及び障害につながることがある。したがって、SSIは、患者のリスク及び治療費を著しく増大させることがある。
【0006】
内部に塗布又は含浸された抗菌剤を含む埋込み型医療器具が、技術分野において開示及び/又は例示されてきた。そのような器具の例が、欧州特許出願第EP 0 761 243号に開示されている。この出願にて例示されている実際の器具には、フレンチパーキュフレックスカテーテルが含まれている。これらのカテーテルは、2,4,4’-トリクロロ-2-ヒドロキシジフェニルエーテル(チバガイギー社のイルガサン(DP300))及び他の添加剤を含有する塗装浴中でディップコーティングされたものである。これらのカテーテルは次いで、エチレンオキシドで滅菌され、30日間にわたって保管された。そのような溶液でコーティングされたカテーテルは抗菌特性を呈した。すなわち、これらのカテーテルは、コーティングされた後の30日間にわたり、増殖培地に置かれ微生物の攻撃を受けたときに阻止帯を生じた。
【0007】
ほとんどの埋込み型医療器具は、製造され、滅菌され、外科手術で使用するために開けられるまでパッケージに収容される。手術の間、医療器具を収容した開かれたパッケージ、中に収容されたパッケージ構成要素、及び医療器具は手術室の大気にさらされ、ここで空気中の細菌が取り込まれ得る。パッケージ及び/又はその中に収容されるパッケージ構成要素に抗菌特性を与えることにより、パッケージが開かれた後の、パッケージ及び構成要素への細菌のコロニー化が実質的に防止される。抗菌パッケージ及び/又はパッケージ構成要素は、医療器具自体に抗菌特性を与えることと相まって、抗菌された医療器具の周りにおける抗菌環境を実質的に確かなものにする。
【0008】
Scalzoらの米国特許出願公開第2004/0220614号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)は、抗菌剤が配置された1つ又は2つ以上の表面を含む収容コンパートメントであって、当該抗菌剤は、当該収容コンパートメントでの細菌のコロニー形成を実質的に阻害するのに十分な量のハロゲン化ヒドロキシルエーテル、アシルオキシジフェニルエーテル、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、収容コンパートメントと、収容コンパートメント内に位置付けられた縫合糸であって、この縫合糸は、その上に配置された抗菌剤を有する1つ又は2つ以上の表面を含み、当該抗菌剤は、ハロゲン化ヒドロキシルエーテル、アシルオキシジフェニルエーテル、及びそれらの組み合わせ、並びに殺生物剤、消毒剤、防腐剤、抗生物質、抗菌ペプチド、溶菌性バクテリオファージ、界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1つの活性剤からなる群から選択される、縫合糸と、接着阻害剤と、オリゴヌクレオチド、流出ポンプ阻害剤と、感光性色素、免疫調節剤、並びにキレート剤と、を含む抗菌縫合糸アセンブリについて記載している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様は、開放可能かつ密閉可能な器具コンパートメントと、器具コンパートメントと連通して位置付けられた治療薬と、治療薬を霧化するように動作可能な噴霧器と、器具コンパートメントと連通する真空源と、を備える、コーティングされる対象物に治療薬のコーティングを適用するように動作可能なコーティングアプリケータを提供する。
【0010】
コーティングされる対象物は、外科用インプラント及び/又は医療器具であってもよい。
【0011】
いくつかの実施形態では、コーティングアプリケータは、乾燥器を更に備えてもよく、乾燥器が、治療薬の真空乾燥を促進するのに十分な時間にわたって真空源を動作させる構成を備えてもよく、及び/又は器具コンパートメントの領域に熱を加える構成を更に備えてもよく、及び/又は化学反応から放出された熱を伝達する構成を更に備えてもよい。いくつかの実施形態では、器具コンパートメントは、真空蓋で開放可能かつ密閉可能である。
【0012】
様々な実施形態では、治療薬はリザーバに収容されてもよく、リザーバは分注器具から充填可能であってもよい。
【0013】
いくつかの実施形態では、噴霧器は、ネブライザ及び/又は超音波ネブライザ及び/又はジェットネブライザ及び/又は振動メッシュネブライザ及び/又は加圧スプレーノズルネブライザ及び/又は振動フリットネブライザ及び/又は熱駆動ウィック式エアロゾル発生器及び/又は加熱毛細管エアロゾル発生器及び/又は気化器を含んでもよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、治療薬は、液体及び/又は水性懸濁液及び/又はエマルション及び/又は水溶液を含んでもよい。
【0015】
更に他の実施形態では、器具コンパートメントは剛性壁を備えてもよく、器具コンパートメントは、真空蓋と、真空蓋の縁部を受容するように構成され得る基部と、基部と真空蓋の縁部との間で動作し得るシールと、を備えてもよく、基部は、真空源及び/又は噴霧器及び/又はコーティングされる対象物に支持を提供してもよい。
【0016】
更に別の実施形態では、コーティングアプリケータは、真空源を器具コンパートメントと連通させるように動作可能であり得る第1の接続部と、噴霧器を動作させるために電力源を器具コンパートメントと連通させるように動作可能であり得る第2の接続部と、を備える、基部と、基部に着脱可能かつ密閉可能に接続可能であり得る真空蓋であって、それにより、器具コンパートメントの周りに密閉空間が確立される、真空蓋と、を更に備えてもよい。
【0017】
様々な実施形態では、器具コンパートメントは、密閉空間内に置かれるように構成され得る開放可能ボックスを備えてもよく、開放可能ボックスは、コーティングされる対象物のための支持体、及び/又は基部の第1の接続部を受容する第1のレシーバ、及び/又は基部の第2の接続部を受容する第2のレシーバ、を備えてもよい。噴霧器は、完全に開放可能ボックス内に配置されてもよい。
【0018】
いくつかの更なる実施形態では、器具コンパートメントは可撓性壁を備えてもよく、並びに/又は器具コンパートメントは第1の端部に沿って開放可能及び/若しくは再密閉可能であってもよい。真空源は、第1の端部から離間した又は隣接する場所で器具コンパートメントと流体連通してもよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、コーティングアプリケータは、真空源を器具コンパートメントと連通させるように動作可能なアクセサリユニットを更に備えてもよく、アクセサリユニットは、電力源を噴霧器に接続するように更に動作可能である。いくつかの実施形態では、噴霧器は、完全に器具コンパートメント内に配置されてもよく、及び/又はコーティングアプリケータは、アクセサリユニットを器具コンパートメントと遠隔接続するように動作可能なテザーを更に備えてもよく、それにより、アクセサリユニットが手術室内の別の場所で動作され得る間、器具コンパートメントが手術室の滅菌野に留まることができる。
【0020】
更に他の実施形態では、アクセサリユニットは、単一の器具チャンバと一体化されてもよく、他の実施形態では、コーティングアプリケータは、複数の個別の器具コンパートメントを更に備えてもよく、アクセサリユニットは、複数の個別の器具コンパートメントの異なる部材に繰り返し取り付け可能である。いくつかの実施形態では、コーティングアプリケータは、アクセサリユニットを外部真空源と遠隔接続し、及び/又はアクセサリユニットを外部電力源と接続するように動作可能であり得るテザーを更に備えてもよく、それにより、器具コンパートメント及びアクセサリユニットが、それらの動作中に手術室の滅菌野に留まることができる。
【0021】
いくつかの実施形態では、可撓性壁は、可撓性外壁と、面状加熱要素と、可撓性外壁と面状ヒータとの間に配置され得る面状の第1のスペーサと、面状ヒータと器具コンパートメントの内部との間に配置され得る面状の第2のスペーサと、を備えてもよい。第1の面状スペーサ及び/若しくは第2の面状スペーサはメッシュを含んでもよく、並びに/又はヒータは蛇行ヒータを含んでもよい。
【0022】
本開示の別の態様は、対象物を治療薬でコーティングする方法であって、コーティングされる対象物を器具コンパートメント内に置くことと、器具コンパートメントを密閉することと、治療薬を霧化することによって治療薬を密閉された器具コンパートメント内に分散させ、それにより、治療薬のコーティングが確立されることと、コーティングを乾燥させることと、コーティングされた対象物を器具コンパートメントから取り出すことと、を含む、方法を提供する。
【0023】
いくつかの実施形態では、乾燥させることは、真空源を器具コンパートメントと連通させることを含んでもよく、及び/又は霧化することは、ネブライザを動作させることを含んでもよい。
【0024】
いくつかの実施形態では、本方法は、霧化された治療薬の対象物上への堆積を、冷却状態にある対象物を確立すること、及び/又は対象物が冷却状態にある間に、対象物を霧化された治療薬と接触させること、によって促進することを更に含んでもよい。確立することは、対象物を周囲温度未満まで冷却することを含んでもよく、周囲は、約20℃~25℃の範囲内であってもよい。いくつかの実施形態では、確立することは、対象物を約-50℃~約15℃の範囲の温度に冷却することを含んでもよい。接触させることは、約1~約15分以上の範囲の期間にわたって継続されてもよい。接触させる期間中、冷却状態の対象物の温度は、15℃未満上昇してもよい。
【0025】
本開示の更なる態様は、治療薬を堆積させる方法であって、外科用対象物を約-50℃~約15℃の範囲の温度に冷却することと、治療薬を霧状化することと、外科用対象物の温度が周囲未満のままである間に、冷却された外科用対象物を霧状化された治療薬と、霧状化された治療薬が外科用対象物の表面上に堆積するのに十分な期間にわたって接触させることと、を含む、方法を提供する。
【0026】
いくつかの実施形態では、本方法は、器具コンパートメントを開放し、外科用対象物を器具コンパートメント内に置き、器具コンパートメントを閉鎖することと、霧状化された治療薬を閉鎖された器具コンパートメントと連通させることと、閉鎖された器具コンパートメントを排気することと、器具コンパートメントを開放し、外科用対象物を取り出すことと、を更に含んでもよい。
【0027】
様々な実施形態では、本方法は、真空源を閉鎖された対象物コンパートメントと連通させることによって、堆積した治療薬を乾燥させること、及び/又は霧化された治療薬を加熱状態に加熱すること、及び/又は霧状化された治療薬が加熱状態にある間に、外科用対象物を霧状化された治療薬と接触させること、を更に含んでもよい。接触中、冷却された外科用対象物の温度は、接触の期間を制限することなどによって15℃未満上昇してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
添付の図面の図に示され、その後本明細書に記載される実施形態は、限定ではなく例として提示されている。図面中、同様の参照番号は同じ又は類似の要素を指す。
図1】本開示の一実施形態によって構成された手術室コーティングアプリケータの斜視図である。
図2】本開示の一実施形態による、底部カバープレートが取り外された、図1に示す手術室コーティングアプリケータの基部部分の底面図である。
図3A】本開示の別の実施形態によって構成された手術室コーティングアプリケータの斜視図である。
図3B図3Aに示す手術室コーティングアプリケータの斜視図であるが、真空蓋が取り外されている。
図3C】真空蓋及び器具コンパートメントボックスの両方が基部ユニットから取り外されている、図3Aに示す手術室コーティングアプリケータの基部ユニットの斜視図である。
図4A】アクセサリ基部ユニットと協働する器具コンパートメントバッグを備えることができる、本開示の別の実施形態によって構成された手術室コーティングアプリケータの斜視図である。
図4B図4Aに示す器具チャンババッグから連結解除された、図4Aに示すアクセサリ基部ユニットの斜視図である。
図4C図4Aに示すアクセサリ基部ユニットから連結解除された、図4Aに示す器具コンパートメントバッグのアクセサリ側の平面側面図である。
図4D】本開示の例示的な実施形態による、図4Dにおける、図4Cの2つの矢印IVD-IVDの方向から見た、図4Cに示す器具コンパートメントバッグの断面側面図である。
図4E】本開示の例示的な実施形態による、その器具コンパートメント内にスペーサメッシュを含む実施形態である、図4Dに示す器具コンパートメントバッグの別の実施形態の断面側面図である。
図4F】本開示の例示的な実施形態による、その器具コンパートメント内に第1のスペーサメッシュ及び第2のスペーサメッシュと、それらの間に配置された蛇行ヒータ要素と、を含む実施形態である、図4Dに示す器具コンパートメントバッグの更に別の実施形態の断面側面図である。
図4G】本開示の一実施形態による、バッグが開かれた状態の、図4Fに示す器具コンパートメントバッグの図4Fの矢印IVGの方向の上面図である。
図4H】本開示の一実施形態による、図4Fに示す器具コンパートメントバッグとアクセサリ基部ユニットとを備える手術室コーティングアプリケータの斜視図である。
図5A】本開示の一実施形態による、図4D図4Fに示すバッグアダプタ要素の詳細な斜視図である。
図5B】本開示の一実施形態による、図5Aに示すバッグアダプタ要素の分解斜視図である。
図5C】本開示の一実施形態による、図5Bの矢印VCの方向から見た、図5Bに示すバッグアダプタ要素の内側端部片を平面端面図である。
図5D】本開示の一実施形態による、図5Bの矢印VDの方向から見た、図5Bに示すバッグアダプタ要素の中間片を平面端面図である。
図5E】本開示の一実施形態による、図5Bの矢印VEの方向から見た、図5Bに示す中間片の平面端面図であり、中間片内に含まれ得る繊維吸収剤の任意の本体の表現を含む。
図5F】本開示の一実施形態による、図5Bの矢印VFの方向から見た、図5Bに示す中間片の平面端面図であり、中間片内に含まれ得る繊維吸収剤の任意の本体の表現を含む。
図5G】本開示の一実施形態による、図5Bの矢印VGの方向から見た、図5Bに示すバッグアダプタ要素の外側端部片を平面端面図である。
図6A】本開示の一実施形態による、折り畳まれて器具コンパートメントバッグに挿入される前の電気抵抗ヒータ要素の可能なパターンの平面側面図である。
図6B】本開示の一実施形態による、図5Aに示すように折り畳まれてアダプタ要素に取り付けられた後の、図6Aに示す電気抵抗ヒータ要素の側面詳細図である。
図7A図4H及び図4Gに示される手術室コーティングアプリケータを使用して対象物をコーティングする方法の例示的な実施形態の斜視図である。手術室の滅菌ゾーンの外側にあり得る場所でアクセサリユニット及び器具コンパートメントバッグを含む密閉パケットを取り出す例を示す。
図7B図4H及び図4Gに示される手術室コーティングアプリケータを使用して対象物をコーティングする方法の例示的な実施形態の斜視図である。手術室の滅菌野に器具コンパートメントバッグを移し、パケットを開封する例を示す。
図7C図4H及び図4Gに示される手術室コーティングアプリケータを使用して対象物をコーティングする方法の例示的な実施形態の斜視図である。滅菌野内であり得る場所で開放された器具コンパートメントバッグ内に外科用インプラントを挿入する例を示す。
図7D図4H及び図4Gに示される手術室コーティングアプリケータを使用して対象物をコーティングする方法の例示的な実施形態の斜視図である。滅菌野内の場所にある間に器具コンパートメントバッグを再密閉する例を示す。
図7E図4H及び図4Gに示される手術室コーティングアプリケータを使用して対象物をコーティングする方法の例示的な実施形態の斜視図である。再密閉された器具コンパートメントバッグを手術室の滅菌野から外に移す例を示す。
図7F図4H及び図4Gに示される手術室コーティングアプリケータを使用して対象物をコーティングする方法の例示的な実施形態の斜視図である。滅菌野の外側にあり得る場所で再密閉された器具コンパートメントバッグをアクセサリユニットに接続する例を示す。
図7G図4H及び図4Gに示される手術室コーティングアプリケータを使用して対象物をコーティングする方法の例示的な実施形態の斜視図である。滅菌野の外側にあり得る場所にある間に、再密閉された器具コンパートメントバッグの外側に配置されたネブライザのリザーバに治療薬の量を分注し、アクセサリユニットを始動させてコーティング適用サイクルを実行する例を示す。
図7H図4H及び図4Gに示される手術室コーティングアプリケータを使用して対象物をコーティングする方法の例示的な実施形態の斜視図である。コーティング適用サイクルの完了後及び再密閉された器具コンパートメントバッグを滅菌野内の場所に戻した後に、コーティングされたインプラントを手術室の滅菌野に戻す例を示す。
図8A】本開示の更に別の実施形態による、器具コンパートメントバッグの複数の密閉パケットを分配するように構成され、その上にアクセサリユニットを固定的に支持するように構成されたディスペンサの一例の斜視図である。
図8B図8Aに示す実施形態の密閉パケットの一例の平面側面図であり、密閉パケットは、収容された器具コンパートメントバッグと、収容された器具コンパートメントバッグの無菌性を保証するように構成された外側一次パッケージと、を含む。
図9A】本開示の更に別の実施形態による、密閉パケットで充填された別のディスペンサの一例の斜視図であり、各パケットは外側一次パッケージ内に収容されたコーティングアプリケータを含む。
図9B】外側一次パッケージが取り外されている、図9Aに示す密閉パケットの例示的なコーティングアプリケータの平面側面図である。
図10】本明細書に開示される手術室コーティングアプリケータの様々な実施形態によって実行可能な、霧状化されたゲンタマイシンミストをインプラントに適用するためのコーティングサイクルのグラフ表示である。
図11】実施例に記載のゲンタマイシンの阻止帯試験の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本明細書で言及される医療用及び外科用器具は、外科用器械及び埋込み型医療器具を含むことができ、後者は、外傷又は関節再建のための整形外科用インプラント、乳房インプラント、胸骨閉鎖デバイス、ペースメーカー、単繊維及び多繊維縫合糸、ヘルニア修復用メッシュなどの外科用メッシュ、ヘルニアプラグ、ブラキーシードスペーサ、縫合クリップ、縫合糸アンカー、接着防止メッシュ及びフィルム、並びに縫合糸結び目クリップを含むことができるが、これらに限定されない。埋込み型医療器具は、吸収性又は非吸収性であり得る。
【0030】
吸収性ポリマーは、生理学的条件にさらされると、一定の期間にわたって分解し、体に吸収される。吸収性医療器具は通常、グリコリド、ラクチド、グリコリドのコポリマー、又は、ポリジオキサノン、ポリカプロラクトン、及びそれらの等価物などのポリマーの混合物を含めて、周知の通常の吸収性ポリマーから形成されるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、これらのポリマーとしては、約70%超の重合化グリコリド、約70%超の重合化ラクチド、重合化1,4-ジオキサン-2-オン、約70%超のポリペプチド、グリコリドとラクチドとのコポリマー、約70%超のセルロース及びセルロース誘導体からなる群から選択されるポリマー材料が挙げられる。吸収性医療器具の例には、単繊維及び多繊維縫合糸が含まれてもよい。多繊維縫合糸には、複数の繊維が編み上げ構造に形成され得る縫合糸が含まれてもよい。
【0031】
非吸収性医療器具の例には、外傷又は関節再建のための整形外科用インプラント、乳房インプラント、胸骨閉鎖デバイス、ペースメーカー、単繊維及び多繊維縫合糸、ヘルニア修復用メッシュなどの外科用メッシュ、ヘルニアプラグ及びブラキーシードスペーサが挙げられ得るが、これらはポリマーであっても非ポリマーであってもよい。非吸収性ポリマーには、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、及びポリカーボネートなどが含まれる。
【0032】
1つの特に好ましい抗菌剤はゲンタマイシンである。ゲンタマイシンは、様々な製品に使用されている広域性抗菌剤であり、一般にSSIに関連した多数の生物に対して効果的である。そのような微生物には、ブドウ球菌属、表皮ブドウ球菌、黄色ブドウ球菌、メチシリン耐性表皮ブドウ球菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0033】
製造プロセス中、医療器具は、抗菌剤を含む組成物でコーティングされてもよい。このコーティングは、例えば、浸漬コーティング、スプレーコーティング、サスペンドドロップコーティング、又は他の任意のコーティング手段で器具に施されてもよい。しかしながら、それらの製造中又は製造後にパッケージされた外科用器具(インプラント及び/又は器械)上にコーティングを確立するためのそのような技術は、問題を呈する場合がある。例えば、化学的性質及び他の要因に応じて、いくつかのコーティングは、コーティングされた器具からそのパッケージに経時的に移動する傾向を有し得、それによって、器具自体のコーティングの量を減少させることができる。また、その化学的性質及び他の要因に応じて、いくつかのコーティングは経時的に劣化する場合があり、したがって、貯蔵寿命が制限される。ガンマ線照射、電子ビーム照射、熱又は蒸気などの抗菌剤の完全性を損なう可能性がある堅牢な滅菌プロセスは、一次滅菌プロセスで使用されることが多い。最後に、コーティングされたパッケージされた器具は取り扱いを受けると、意図せずに一部のコーティングを機械的に劣化させる場合がある。更に、これらの技術は、かなり長いサイクル時間を有することがあり、コーティングを適用するためにかなり大きな機械をしばしば必要とすることがあり、これは、時間及び空間が限られている手術室の限られた空間での作業には役立たない。
【0034】
表皮ブドウ球菌属の微生物が、器具関連の手術部位感染に関連した全ての細菌のうちで、最も多く見られるものである。黄色ブドウ球菌及び表皮ブドウ球菌は、患者の皮膚に広く存在し、したがって容易に創傷部に導入される。特定の微生物に対する特定の抗菌剤の有効性は、その最小阻止濃度(minimum inhibitory concentration,MIC)によって測定され、これは、増殖培地をその微生物にとって不適切なものにするために、さもなくば、その微生物にとって好適となる増殖培地に存在しなければならない抗菌剤の最小濃度、すなわち、微生物の増殖を阻止するための最小濃度として定義される。本明細書で用いる「細菌定着を実質的に阻止するのに十分な量」という語句は、黄色ブドウ球菌の最小阻止濃度かそれ以上として定義される。
【0035】
このMICの実証例が、感受性のディスク拡散法に見出される。特定の抗菌剤を含浸させた濾紙ディスク又は他の物体が、試験微生物を接種した寒天培地に当てられる。抗菌剤が媒体を通じて拡散する場合、また抗菌剤の濃度がMICを上回る限りにおいて、感受性微生物は、ある距離にわたってディスクの上又は周りで増殖しない。この距離を阻止帯という。抗菌剤が培地中である拡散速度を有すると仮定すると、抗菌剤を含浸させたディスクの周りに阻止帯が存在することから、さもなければ良好となる増殖培地に抗菌剤が存在することによって生物が阻止されると示唆される。阻止帯の直径はMICに反比例する。
【0036】
ここで図1を参照すると、例示的な実施形態によれば、本開示は、真空蓋14が基部ユニット(「基部」)16と重ね合わせ関係で係合されるときに囲まれた空間によって少なくとも部分的に画定され得る器具コンパートメント12を備える手術室コーティングアプリケータ10を提供する。この実施形態及び様々な他の実施形態では、ネブライザ又は噴霧器28は、リザーバ18を含むことができ、リザーバ18の底部で基部16から支持されてもよく、これにより、ネブライザ28の出力が器具コンパートメント12に伝達される。ネブライザ28の動作時に、リザーバ18内に装填される選択された治療薬を霧化して、器具コンパートメント12の範囲内に治療薬のエアロゾル、ミスト、蒸気、霧、又は雲を生成することができる。
【0037】
基部16は、手術室で利用可能であり得る限られた空間を収容するようなサイズにすることができる。手術室の滅菌野内の空間は、更に限定され得る。本例示的実施形態では、基部16は、6インチ正方形以下の設置面積を有することができる。
【0038】
基部16は、コーティングされる対象物22を受容するための器具コンパートメント12の領域内に、格子又はスクリーンなどの器具支持プラットフォーム20を収納することができる。様々な実施形態では、対象物22は、口腔外科手術を行うのに有用な1つ又は2つ以上の外科用インプラント及び/又は外科用器械及び/又は他の物品を含むことができる。この実施形態では、器具支持プラットフォーム20は、プラットフォーム20の上下及び中を通る流体の循環を容易にし、器具コンパートメント12内で生成され得る前述の治療薬のエアロゾル、ミスト、蒸気、霧、又は雲へのコーティングされる対象物22の表面のより完全な暴露を促進する、格子グリッド状ワークの形態である。真空蓋14は、器具支持プラットフォーム20上へのコーティングされる対象物22の配置を容易にするために、基部16に対して容易に上下され得る。真空蓋14と基部ユニット16との間を密閉するために、真空蓋14の縁部17と基部の対向部分との間に弾性Oリング24を設けることができる。蓋14と基部16との間の密閉を達成するための他の適切な構成が、Oリング密閉24の代わりに、又はそれと共に使用され得ることが想定される。
【0039】
この実施形態では、基部ユニット16は、真空源を収納して支持することができ、真空ポート25(この図ではプラットフォーム20の下に配置されているため、図1に破線で示されている)を介して器具コンパートメント12と連通させることができる。真空ポート25を介して器具コンパートメント12に真空が伝達されると、器具コンパートメント12は、滞留する治療薬のエアロゾル、ミスト、蒸気、又は雲が排気され得る。この実施形態及び他の実施形態では、器具コンパートメント12に伝達される吸引動作は、前述の治療薬のエアロゾル、ミスト、蒸気、霧、又は雲との接触から生じる対象物22上に堆積(コーティング)された任意の治療薬の乾燥を促進するのに十分な時間継続することができる。様々な実施形態では、真空は、乾燥した治療薬の層において約10%~0%の範囲の所望の低水分レベルを達成するのに十分な時間適用され得る。
【0040】
適用サイクルが完了すると、コーティングされた外科用対象物22は、手術室などの滅菌野内で行われている外科手術での即時使用に許容される状態で器具コンパートメント12の範囲から取り出される。様々な実施形態では、外科用対象物22上への治療薬のコーティングは、微視的に均一であってもなくてもよい。コーティングは、インプラントの表面にわたって分散された別個の微細な島の形態であってもよく、又は約0.1~5マイクロメートルの範囲の厚さを有してもよい。様々な実施形態では、ゲンタマイシンコーティングは、コーティングの約0重量%の範囲の水分含有量まで真空乾燥され得る。
【0041】
この実施形態及び他の実施形態では、ネブライザ28は、用途のために企図され得る治療薬の量を受容するように構成されたリザーバ18を含む及び/又はそれと協働することができる。この実施形態及び様々な他の実施形態では、治療薬は、治療薬の水溶液及び/又は水性懸濁液の形態であり得る。様々な実施形態では、リザーバ18は、開口端であってもよく、及び/又はバイアルの形態であってもよく、したがって、シリンジ又は点眼器又は他の適切なディスペンサなどのディスペンサで充填可能であってもよい。リザーバ18は、予め充填され、破断可能なカバーが設けられてもよく、それにより、治療薬は、使用するまでリザーバ18内に保持され得ることも想定される。
【0042】
リザーバ18の底部のネブライザ28は、微細孔の領域を含むものを含む、AMAZONなどの世界中の供給業者から広く市販されている振動圧電ディスクなどの一般的な超音波ネブライザの形態であってもよい。非限定的な例として、とりわけ、ジェットネブライザ及び/又は振動メッシュネブライザ及び/又は加圧スプレーノズルネブライザ及び/又は加熱フリットネブライザ及び/又は加熱ウィックエアロゾル発生器及び/又は加熱毛細管など、多数の異なる形態の噴霧器を使用することができることが想定される。本開示による噴霧器としての使用が考慮されている器具間で共有され得る1つの共通の態様は、本明細書の教示に従って対象物22をコーティングするのに十分な時間にわたって空気中に懸濁されたままであり得る治療薬の小さな液体粒子(小滴)を含むミスト、雲の蒸気、又はエアロゾルに、治療薬の溶液又は懸濁液を変換する候補噴霧器の能力である。
【0043】
様々な実施形態では、基部16には、ある動作プログラムから別の動作プログラム(異なる乾燥サイクル又は浸漬時間などを提供するプログラムの間など)に切り替えるため、並びに/又はある動作モードから別の動作モードに切り替えるため、並びに/又は単に手術室コーティングアプリケータ10をオン及びオフにするための切替スイッチ30が設けられてもよい。
【0044】
ここで図2も参照すると、この実施形態及び他の様々な実施形態では、基部ユニット16は、コーティングサイクルのタイミング、器具コンパートメント12との真空の連通、ネブライザ28の動作、及びいくつかの他の実施形態では、器具コンパートメント12内の熱の適用を制御するためのマイクロプロセッサ又は他の適切な電子構成の形態であり得るコントローラ32を内部に収納し、支持することができる。本実施形態及び様々な他の実施形態では、コントローラ32は、本明細書で図10を参照して説明した例示的なコーティングサイクルなどのコーティングサイクルを実行するように構成されてもよい。コーティングサイクルを開始する信号を受信すると、コントローラ32は、所定の期間、又は検出された治療薬のレベルが霧化されるまで、及び/又はリザーバ18内の液体(霧化されていない)治療薬のレベルが検出されるまで、電源をオンにしてネブライザに電力を供給することができる。ネブライザ28の動作期間を管理する目的で、他の検出可能な要因がコントローラ32に通信されてもよいことが想定される。コントローラ32はまた、それぞれが共通のサイクル時間及び/又は異なるサイクル時間を有する、所定の期間にわたって、及び/又は器具コンパートメント12内の特定の所定の条件の達成時に、及び/又は真空の繰り返し適用のプログラムに従って、器具コンパートメント12から真空を引き出すように構成されてもよい。
【0045】
基部ユニット16は、真空源を器具コンパートメント12と連通させるための真空システム34の支持を更に提供することができ、真空ポンプ36と、真空ポンプ36の吸引動作を器具コンパートメント12と連通させるための導管38と、を備えることができる。真空システム34は、コントローラ32の指示の下で導管38を開閉するための1つ又は2つ以上のソレノイドバルブ40又は他の適切なバルブを更に備えることができる。器具コンパートメント12の排気中、器具コンパートメント12から引き出された空気及び他の構成要素(懸濁し、霧化した治療薬(複数可)及び場合により他の懸濁液)は、蒸気トラップ42を通って導かれてもよく、それにより、懸濁液滴が収集されてもよい。真空を解放するために、ソレノイドバルブ40を作動させて、空気が器具コンパートメント12に再び入ることを可能にしてもよい。真空システム34の様々な構成要素の動作は、所定の動作サイクルを繰り返し実行するようにコントローラ32によって制御することができる。例えば、コントローラ32は、真空ポンプ36を動作させ、真空ポンプ36の吸引動作を所定の時間にわたって器具コンパートメント12に伝達して、コーティングされる対象物22上に確立された任意のコーティングに乾燥作用をもたらすように構成されてもよい。そのような動作中、真空ポンプ36の吸引動作は、サイクルの実行後に器具コンパートメント12を開放すると、残留治療薬が器具コンパートメント12から周囲環境にほとんど又は全く逃げることができないように、器具コンパートメント12を排気することができることを理解されたい。
【0046】
この実施形態及び他の実施形態では、基部ユニット16はまた、その超音波信号ドライバ44を含むネブライザ28を支持することができる。様々な実施形態では、コントローラ32は、220秒サイクルの最初の30秒間など、適用サイクルの所定の時間又は部分にわたってネブライザ28を動作させるように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、コントローラ32は、ネブライザ28の動作の終了時に真空ポンプ36をオンにするように構成されてもよい。他の実施形態では、真空ポンプ36の動作は、ネブライザ28の動作が停止した後に遅延させて、適用サイクル内に浸漬期間を設けることができる。もちろん、適用サイクルのレイアウト及び順序は、他の要因の中でも、コーティングされる対象物22の性質、適用される治療薬、真空ポンプ36の効率、及び/又はネブライザ28の効率に応じて変化し得ることが理解されるべきである。
【0047】
ここで図3A及び図3Bを参照すると、別の実施形態の一例では、手術室コーティングアプリケータ10は、着脱可能な外側真空蓋14’及び基部ユニット16’によって囲まれた空間46内に嵌合して位置するように構成され得る開放可能ボックス状の器具コンパートメント15’を備えてもよい。この実施形態では、ボックス状の器具コンパートメント15’は、ボックス本体上部50にヒンジ結合された下部ボックス本体48を備えることができる。様々な他の実施形態では、ボックス本体上部50は、ボックス本体48から完全に着脱可能であってもよく、及び/又はボックス本体48と螺合可能に接続されてもよい。したがって、器具コンパートメント15’は、基部16’が手術室の滅菌ゾーンの外側に位置することができ、器具コンパートメント15’が滅菌ゾーン内で別々に利用されることができるように、基部16’とは独立して周りを移動することができる。
【0048】
器具コンパートメント15’には、器具コンパートメント15’内、及び真空蓋14’と基部16’との間に画定された空間46内の圧力の均等化を可能にするために、通気口26’が設けられてもよい。いくつかの実施形態では、器具コンパートメント15’が排気されると、空間46も通気口26’を介して排気される。通気口26’は、Tyvek(登録商標)材料で構築されてもよく、器具コンパートメント15’内の圧力が器具コンパートメント15’の外側かつ真空蓋14’の下の空間46と等しくなることを可能にするように機能する。Tyvek(登録商標)材料又は同等の機能性の他の適切な材料を使用することにより、霧化された治療薬は、完全にではないにしても、器具コンパートメント15’の外側の空間46に入ることを実質的に防止することができ、代わりに、真空システム34の動作によって排気されるまで器具コンパートメント15’内に留まることができる。
【0049】
この実施形態では、Oリング24’は、真空蓋14’と基部16’との間に真空緊密密閉を提供することに留意されたい。
【0050】
本実施形態では、ボックス本体48の壁部49、51及びボックス本体50の蓋は、取り扱いに耐えるのに十分な剛性を有することができる。しかしながら、壁49、51の両側の圧力を等しくする通気口26’の能力のために、壁49、51は、そうでなければ真空システム34の動作によって誘発される力に耐える必要はない。したがって、壁49、51は、廃棄時の材料廃棄を最小限に抑えるために、薄いプラスチック又は他の適切な材料から構成されてもよい。
【0051】
この実施形態及び様々な他の実施形態では、ネブライザ28’の動作部分は、完全に器具コンパートメント15’内に配置されてもよい。
【0052】
ここで図3Cも参照すると、基部ユニット16’は、ネブライザ28’の動作部分が基部16’の代わりにボックス状の器具コンパートメント15’内に位置され得ることを除いて、図1及び図2に示す基部16を参照して上記の教示に従って構成されてもよく、その場合、基部16’には、ネブライザ28’及びボックス状の器具コンパートメント15’内に配置された任意の他の電気器具(複数可)に電力を伝達するための第1の(電気)接続部52が設けられてもよい。同様に、器具コンパートメント15’には、基部16’の第1の電気接続部52の電気接点と電気的に接続する相補的な第1のレシーバ54(図3B)が設けられてもよい。いくつかの実施形態では、第1の電気接続部52及び/又はレシーバ54は、ピン(ばね式であってもよい)又は他の適切な解放可能な電気コネクタを含んでもよい。
【0053】
基部ユニット16’には、第2の(真空)接続部56を設けることもでき、これは、器具コンパートメント15’の下側部分60に位置する対応する真空ポート58と密閉係合するように構成された真空ポート57を備えることができる。真空ポート57には、真空接続部56に真空密閉を確立するためのOリング又は他の適切な密閉を設けることができ、それにより、基部16’の真空ポンプ36を器具コンパートメント15’の内部と連通させることができる。しかしながら、真空蓋14と基部ユニット16との間にOリング24によって確立された真空密閉のために、Oリングは省略されてもよい。
【0054】
いくつかの実施形態では、器具コンパートメント15’は使い捨てであってもよい。器具コンパートメント15’と基部16’との両方には、器具コンパートメント15’と基部16’とが一緒にされたときに電気接点52及び54の適切な位置合わせ及び容易な接続を保証するために相互に配置された磁性片が設けられてもよい。
【0055】
上述の実施形態及びその変形例のいずれかは、ネブライザと共に使用するのに適し得る治療薬で対象物22をコーティングするために利用されてもよい。このタイプの治療薬で対象物をコーティングする工程は、
器具コンパートメント15を開放することと、
コーティングされる対象物22を器具支持プラットフォーム20上に置くことと、
ゲンタマイシンの5%水溶液などの少量の治療薬をネブライザ28のリザーバ27に入れることと、
器具コンパートメント15のそれぞれの蓋(14、50)を閉じることと、
真空蓋14を基部16に密閉することと、
治療薬を約30秒間霧状化して、器具コンパートメント15内に治療薬の「霧」を形成することと、
器具コンパートメント15の内部を排気し、治療薬のコーティングを乾燥させるために、器具コンパートメント15の内部を約2~3分間真空にすることと、
真空を解放することと、
真空蓋を基部16から取り外すことと、
器具コンパートメント15を開放することと、
コーティングされた対象物を取り出すことと、を含む。
【0056】
ここで図4A図4Dを参照すると、本開示の別の実施形態に従って構成された手術室コーティングアプリケータ10の一例は、器具コンパートメントバッグ112と、アクセサリ基部ユニット(「アクセサリ」)116と、を備え、後者は、コントローラ32’を含む、先に開示した実施形態を参照して説明した基部ユニット16、16’の機能の多くを有する。先の実施形態の器具コンパートメント15、15’の剛性(又は半剛性壁)とは対照的に、器具コンパートメントバッグ112の壁117は可撓性であってもよく、リブ付きクロージャ119に沿って開放して、器具コンパートメントバッグ112の範囲(内部)118内へのコーティングされる対象物22の配置に適応してもよい。器具コンパートメントバッグ112の内部118は、器具コンパートメントとして機能する。器具コンパートメントバッグ112の内部118はまた、図4Dに示すようなアダプタ150の中間片302及び/又は図4Fに示すような関連するリザーバ18を含むネブライザ28などのアプリケータ10の特定の構成要素を収容することができる。器具コンパートメントバッグ112はまた、アクセサリ116に設けられ得る第2の対応するアダプタ(「コネクタ」)152と解放可能に接続するように構成されたアダプタ(「コネクタ」)150を備えることができる。アダプタ150とアダプタ152との係合は、それらの間の摺動嵌合、又は爪若しくは戻り止め係合、又は磁気アタッチメント、又は他の適切な解放可能な構成によって達成することができる。様々な実施形態では、アダプタ150の磁気ボルト354のヘッド360は、アクセサリ116のアダプタ152の凹状要素153に位置合わせされ、磁気的に結合する。
【0057】
アダプタ150、152には、アクセサリ116の真空源136と器具コンパートメントバッグ112の内部118との間の連通を確立するための対応するポート154a、154bが設けられてもよい。様々な実施形態では、アクセサリ116のアダプタ152の凹状外周の周りのOリング157は、器具コンパートメントバッグ112のアダプタ150の外周159に対して密閉を確立する。
【0058】
アダプタ150、152はまた、ばね付勢された金属ピン又は他の適切な解放可能な電気接続器具を備えることができる対応する対の電気コネクタ156a、156bを備えることができる。他の器具をアクセサリ116の電源133と接続するために、アダプタ150、152上のそれぞれの場所158a、158bで追加の電気接続を確立することができる。様々な実施形態では、電源133は、アクセサリ116内に配置されたバッテリ若しくはバッテリのパック133を含んでもよく、又は代わりに若しくは加えて、外部電気壁ソケット若しくは外部バッテリなどと接続するための電気コード133’を含んでもよい。
【0059】
あるいは、アクセサリ116のアダプタ152は、その場所158aに、温度測定及び/又は圧力測定及び/又は超音波信号をネブライザ28に送信するためのプローブとして機能することができるばね式ピンを含むことができる。これらのピンは、器具コンパートメントバッグ112のアダプタ150の対応する場所158bに確立されたポートを介して延伸可能であり得る。
【0060】
Xxxが移動する。図4Hでは、器具コンパートメントバッグ112のアダプタ150は視界から隠されており、したがって破線で表されていることを理解されたい。この実施形態では、リブ付きシール119は、器具コンパートメントバッグ112の底部121に位置する。
【0061】
ここで特に図4Dを参照すると、器具コンパートメントバッグ112のアダプタ150は、器具コンパートメントバッグ112の下側密閉端部123から離間した場所で器具コンパートメントバッグ112に固定されてもよいが、アダプタ150の場所は、具体的に示され説明された場所以外であってもよい。アダプタ150は、所望の量の治療薬をリザーバ18内に分配することができるように、器具コンパートメントバッグ112の外側に配置された第1の端部片300でネブライザ28及びそのリザーバ18を支持することができる。アクセサリユニット116の電力源133から、アクセサリユニット116のアダプタ152及び150のコネクタ156a及び156bと器具コンパートメントバッグ112との間のインターフェースにそれぞれ確立された電気的接続を介して、ネブライザ28に電力が伝達される。
【0062】
アダプタ152、150は、抵抗ヒータ200(図6B)及び/又はサーミスタ及び/又は他の器具などの追加の器具のための電気接続を提供するために、それぞれ電気コネクタ158a、158bなどの追加の電気コネクタを備えることができる。必要に応じて、アダプタ150、152を用いてコネクタの追加のセットを確立することができる。
【0063】
再び図4A及び図4Cを参照すると、器具コンパートメントバッグ112は、可撓性壁117を折り畳み、折り畳まれた壁117の三辺に沿って外周210を密閉することによって形成することができる。再密閉可能リブ付きシール119は、器具コンパートメントバッグ112の残りの端部にわたって確立することができる。いくつかの実施形態では、器具コンパートメントバッグ112のアダプタ150は、図4Fに示すようにリブ付きシール119に隣接して位置し、他の実施形態では、アダプタ150は、図4A及び図4Cに示すように再密閉可能リブ付きシール119に対して離間した関係で位置してもよく、リブ付きシール119は、器具コンパートメントバッグ112の底部121に確立されてもよい。
【0064】
ここで図5A及び図5Bを参照すると、一実施形態では、コンパートメントバッグ112のアダプタ150は、ネブライザ28及びそのリザーバ18に剛性支持を提供することができる第1の端部片300と、(アクセサリ116の)真空源136からの真空引き及びネブライザ28の器具コンパートメントバッグ112の内部118への出力の両方を伝達するためのポート390、392、394を提供することができる中央片302と、真空ポート154bを提供し、電気コネクタ156b及び158bを支持し、並びに/又は本実施形態では磁気ボルトヘッド360を備えることができるアクセサリユニット116のアダプタ152との解放可能な接続を提供するように構成され得る第2の端部片304と、を備えてもよい。
【0065】
図5C及び図5Eを参照すると、様々な実施形態では、ネブライザ28は、その出力が中間片302のオフセットされた開放空間399に直接伝達され得るように、第1の端部片300の側面350から支持されてもよい。ネブライザ128は、中央の締め付けボルト354の端部を受容するために、第1の端部片300の中央に位置する平滑又はねじ穴352からオフセットされてもよい。中央ボルト354は、第2の端部片304の中央部分から、中間片302の中央の管状のビア356を通って、第1の端部片300の孔352内に延びてもよい。様々な実施形態では、中央ボルト354は、それを第1の端部片300の中央孔352にねじ込むこと、及び/又はそれをナット353にねじ込むことによって締め付けられ、それにより、3つの片300、302、304が互いに密閉され、互いに固定される。密閉を更に確実にするために、Oリング358が第1の端部片300と中間片302との間に配置されてもよく、第2のOリング359が中間片302と第2の端部片304との間に配置されてもよい。様々な実施形態では、アダプタ150の所望の場所でバッグ116の両側の可撓性壁117に小さいサイズの切り欠きを確立することができ、第1の端部片300、中間片302、及び第2の端部片304の間に密閉可能にクランプされ得る十分な材料を残す。
【0066】
Oリングシール358、359の代わりに、又はそれに加えて、超音波及び/又はRF溶接技術を使用して、片300、302、304を嵌合させ、バッグ112の部分をそれに密閉することができる。
【0067】
様々な実施形態では、中央ボルト354は、いったん置かれアクセサリユニット116と接続されると、器具コンパートメントバッグ116を保持するのを助けるために磁化されてもよい。更に、ボルト360のヘッドは、手術室コーティングアプリケータ10の使用中に、アクセサリユニット116のアダプタ152に設けられた対応する中央凹部153に挿入されて位置合わせされ得るように、第2の端部片304の外面161を越えて突出してもよい(図4B)。
【0068】
図5B図5E、及び図5Fを参照すると、器具コンパートメントバッグ112のアダプタ150は、第2の端部片304の面161から、中央片302に設けられた管状ガイド(ビア)368及び370を通って、第1の端部片300の電気レシーバ374、376内に延びることができる追加のピン364、366を含むことができる。様々な実施形態では、ピン364、366には、端部片300のレシーバ374、376にねじ込まれ得るねじ付き端部が設けられてもよい。端部片300は、レシーバ374、376からネブライザ28のトランスデューサ382に通じる印刷及び/又は配線された電気リード線378、380を更に含むことができる。レシーバ374、376は、導電性ナットを備えてもよい。印刷及び/又は配線された電気リード線378、380は、端部片300の側面350に沿って(又は中間片302に面する反対側に)配置されてもよい。実際には、ピン364、366のヘッドは、アダプタ150の前述のコネクタ156bとして機能することができる。そのような構成により、ピン364、366を介してネブライザ28への電気的接続を確立することができる。
【0069】
中間片300の管状ガイド(ビア)368及び370は、第2の端部片304に隣接して位置する片300の完全に閉鎖された面375と、第1の端部片300に隣接して位置する中間片302の反対側の端部の部分的に三日月形状の面377と、から延びている。具体的に図5Eを参照すると、部分的に三日月形状の面377は、ネブライザ28の出力を中央片302に流入させるための開口部399を提示する。
【0070】
いくつかの実施形態では、第2のセットのピン164(図5Bに示す)は、第2の端部片304を通って、中間片302の管状ガイド(ビア)369、371を通って、第1の端部片300まで延びてもよく、その後、第1の端部片300のレシーバ386、388に接続されてもよい。そのような構成は、必要に応じて、ヒータ、センサ、又はサーミスタ、又は他の器具などの追加の電気器具を第1の端部片300に配置するための追加の電気接続を確立するために使用されてもよい。
【0071】
図5Bを参照すると、様々な実施形態では、第2のセットのピン164は、代わりに、中間片302の面375上の接触パッド又は電気コネクタ158b’と協働することができ、図6Bに示すようなヒータ200を電気的に接続するときに利用することができる。
【0072】
ここで図5B及び図5Eを参照すると、様々な実施形態では、中間片302には、第2の端部片304に設けられたポート154bを介して器具コンパートメントバッグ112の内部118に出入りする流体の流れを導くための複数のアパーチャ(ポート)390、392、394が設けられてもよい。いくつかの実施形態では、中間片302には、中間片302のアパーチャ390、392、394を介して第2の端部片304のポート154bを通して真空が引き込まれるときに、残留する霧化された治療薬を吸収するか、又はそうでなければ捕捉するための繊維材料400の本体を設けることができる。
【0073】
特に図5Gを参照すると、いくつかの実施形態では、正の空気流がポート154bを通って中間片302内に導かれたとき(真空が引き込まれる代わりに)、細菌、粒子、及び他の汚染物質を除去するために、三日月形状のフィルタ402をポート154bと重ねて第2の端部片304内に収容することができる。フィルタ材料は、市販の2ミクロン細菌フィルタ材料を含んでもよい。
【0074】
様々な実施形態では、アクセサリ116は、真空を引き込む能力、並びに第2の端部片304のポート154b及び中間片302のアパーチャ390、392、394を介して正の空気流を器具コンパートメントバッグ112に導入する能力の両方を有することができる。いくつかの実施形態では、アクセサリ116の真空ポンプ136は、真空を引き込む能力、及びアクセサリ116のコントローラ32’の命令下で正の空気流を生成する能力を有するように可逆的であり得る。他の実施形態では、単一のポンプは、2つ又は3つ以上のバルブと協働して、命令に応じて反対の流れ方向を確立する能力を確立することができる。多くの実施形態では、正の流れは、中間片302内の繊維吸収剤本体400から霧化された治療薬を洗い流し、中間片302の空間399内から器具コンパートメントバッグ112の内部118に積極的に霧化された治療薬を吹き込むことができる。ほとんどの場合、正の流れは、バッグ112を膨張させ、バッグ112内のコーティングされる対象物22の周りに霧化された治療薬を循環させるのを助ける。
【0075】
アダプタ150は、図5A図5Gを参照して具体的に示され説明されているものとは異なるように構成されてもよいことが理解されるべきである。例えば、ネブライザ28は、必要な電気コネクタと共に、第1の端部片300の代わりに修正された中間片302内に位置してもよく、それにより、開示されているような3ピース設計の代わりに2ピースアダプタ設計をレンダリングする。他の変形及び適合は、本明細書の教示から知覚可能であり、これらは全て、バッグ112との接続を提供すること、ネブライザ28の支持を提供すること、及び配線などが器具コンパートメントバッグ112の内部118に存在し得ず、露出され得ないように、ネブライザ28及びアダプタの範囲内の他の器具のための必要な電気接続を封入することなど、開示されたアダプタ150の所望の機能を提供するアダプタを提供し得る。
【0076】
図4Fを参照すると、一実施形態では、ネブライザ28のリザーバ18は、アダプタ150によって器具コンパートメントバッグ112の内側で支持されてもよい。様々な実施形態では、リザーバ18は、約2ccの治療溶液を保持する能力を有してもよい。
【0077】
前述のように、アダプタ152、150は、図6Bに示す抵抗ヒータ200などの追加の器具のための電気接続を提供するために、それぞれ電気コネクタ158a、158bなどの追加の電気コネクタを備えることができる。いくつかの実施形態では、抵抗ヒータ200は、堆積した治療薬のコートの乾燥を促進するか、若しくはそうでなければ加速するために、又は治療薬若しくは他の薬剤を基材から揮発させるための熱駆動装置として機能するために、コントローラ32’の指示下で動作することができる。抵抗ヒータ200はまた、コーティングされる対象物22上への治療薬の堆積を促進するために、器具コンパートメントバッグ112内の霧化された治療薬の温度を上昇させるように動作されてもよい。
【0078】
ここで具体的に図6A及び図6Bを参照すると、いくつかの実施形態では、抵抗ヒータ200は、蛇行電気抵抗箔202から構成されてもよく、これは、この例では、器具コンパートメントバッグ112の可撓性(外側)壁117上に支持されたアルミニウム/PETラミネートからなる可撓性電気加熱要素であってもよい。様々な実施形態では、蛇行抵抗箔202には、電気コネクタ158bのピン164の端部が接触又は取り付けられ得るタブの形態であり得る電気端子204a、204bが設けられてもよい。図5A図5Gを参照して図示及び説明した実施形態の文脈では、抵抗ヒータ200の縁部は、中間片302と第2の端部片304との間に介在してクランプされてもよく、コネクタ158bのピン164の端部は、抵抗ヒータ200の端子204a、204bに当接する。あるいは、抵抗ヒータ200の縁部は、第1の端部片300と中間片302との間に介在されてクランプされてもよく、コネクタ158bのピン164は、図5Cのレシーバ386、388の場所で又はその付近で端子204a、204bまで延び、端子204a、204bを圧迫してもよい。
【0079】
抵抗ヒータ200を構成する際に、蛇行箔202は、自立するのに十分に堅牢であってもよく、又は最初にPET若しくはポリイミド基板209上に確立され、次いで中央横方向折曲げ線208に沿って折り畳まれてもよい。蛇行箔202は、適切なアルミニウム合金及び/又は適切な銅合金から構成することができる。
【0080】
ここで図4Fを参照すると、様々な実施形態では、可撓性壁117は、PET又はポリイミドなどの可撓性耐熱材料から構成されてもよく、上述の蛇行アレイ又は他のパターンの形態の導電性材料の印刷層を含んでもよい。様々な他の実施形態では、スペーサ層212は、蛇行したヒータアレイ200と器具コンパートメントバッグ112の壁117との間に介在することができ、ヒータアレイ200と可撓性壁117の隣接部分との間に熱的及び電気的絶縁を提供することができる。スペーサ層212は、ポリプロピレンメッシュなどの技術分野で周知の材料から構成されたポリマーメッシュを含むことができる。
【0081】
器具コンパートメントバッグ112は、ポリプロピレンメッシュ又は他のポリマーメッシュの層から構成することができる第2の内部スペーサ層212を更に備えることができる。様々な実施形態では、内部スペーサ層212は、外壁117がコーティングされる対象物22に対して直接崩壊するのを防止するのを助けることができ、ネブライザ28又は他の霧化器具の動作によって確立されるように、密閉コンパートメントバッグ112内の対象物22の外面が霧化された治療薬に確実にさらされるのを助けることができる。いくつかの実施形態では、スペーサ212は、約0.5~2mmの間隔を提供することができる。一般に、スペーサ層212は、器具チャンバ15内のネブライザ28によって生成された霧化された治療薬のエアロゾル、ミスト、蒸気、霧、又は雲の輸送のためのある程度のコンフォーマルな開放空間を提供することができる。様々な実施形態では、スペーサ層212は、プラスチックのリブなどの他の離間手段で補足又は置換されてもよい。
【0082】
ここで図4Eを参照すると、様々な実施形態では、単一のスペーサ層212が器具コンパートメントバッグ112内に配置されてもよく、アダプタ150の片300、302、304のうちの2つの間の位置にクランプされてもよい。
【0083】
アクセサリ116の電力源133は、電気壁ソケット133’と接続するための1つ又は2つ以上のバッテリ133及び/又はプラグインコネクタを含むことができる。
【0084】
図7A図7Hに示す外科手術中に治療薬を適用する方法に関する以下の説明では、それらの図で使用される実施形態は、図4Dに示す実施形態に対応し、ネブライザ28は、アダプタ150の第1の端部片300の露出側350から外向きに延びる。この実施形態では、リブ付きシール119は、アダプタ150から離れて下方に位置する。抵抗ヒータ200を含むことができ、器具コンパートメントバッグ112の反対側(上側)端部に位置するそのリブ付きシール119を有することができる図4F及び他の図に示す実施形態もまた、以下の教示に従って、図7A図7Hに示す方法を実行するために容易に利用することができることを理解されたい。
【0085】
ここで、器具コンパートメントバッグ112及びアクセサリユニット116を含むそれらの実施形態について図7A図7Hを参照すると、外科用インプラント又は外科用器械などの外科用対象物22に治療薬を適用する方法は、一例として、以下を行うことによって実施することができる。
ディスペンサ312からパケット310及びアクセサリ116を取り出し、そのパケット310から器具コンパートメントバッグ112を取り外すことであって、後者は手術室の滅菌野内で行われ得る、除去することと(図7A図7B参照)、
標準的な無菌移送技術を使用して手術室の滅菌野に器具コンパートメントバッグ112を送達し、コーティングされる物品22(外科用器械又は外科用インプラントなど)を器具コンパートメントバッグ112に挿入することと(図7C参照)、
器具コンパートメントバッグ112を閉じて再密閉する(滅菌野で行われ得る)ことと(図7D参照)、
密閉された器具コンパートメントバッグ112を滅菌野から、滅菌野の外側にあり得るアクセサリユニット116の場所に移すことと(図7E参照)、
密閉された器具コンパートメントバッグ112のアダプタ150をアクセサリユニット116のアダプタ152に仮装着することと(図7F参照)、
所定量の治療薬(例えば、抗生物質又は抗菌剤などの水溶液/懸濁液など)をシリンジ又はスポイトなどでネブライザ28のリザーバ18内に装填し(滅菌野外で行われ得る)、アクセサリユニット116を作動させて、以下を含み得るコーティングサイクルを実行することと(図7G参照)、
治療薬を(約30秒間)霧状化して、器具コンパートメントバッグ112内に「霧」を形成することと、
密閉された器具コンパートメントバッグ112内で約2~3分間真空引きしてコーティングを乾燥させ、器具コンパートメントバッグ112内の滞留する治療薬を除去することと、
真空を解放することと、
密閉されたバッグ112内のコーティングされた対象物22を手術室の滅菌野に移すことと、
器具コンパートメントバッグ112を開放し、滅菌野内のバッグ112からコーティングされた対象物22を取り出すこと(図7H参照)。
【0086】
様々な実施形態では、適用サイクルは、ポート154bを通して真空を引くことから開始し、続いてミスト生成(ネブライザ28の動作)及び吹き込み(ポート154bを通って中間片302のポート90、92、94を通ってバッグ112内に正の空気流を導く)が行われてもよい。このようなミスト生成及び吹き込みは、所望の回数繰り返され、各ミスト生成及び各吹き込みは、それぞれ2秒以上の時間幅を有してもよく、時間幅が変化してもよい。ミスト生成及び吹き込みの繰り返しは、約30秒~1.5分以上の時間幅内で終了し得る。次いで、前述のように、真空乾燥工程が続き得る。
【0087】
ここで図8A及び図8Bを参照すると、器具コンパートメントバッグ112は、滅菌性を維持するために、開放可能な密閉パケット(「一次パッケージ」)310の範囲内で滅菌状態で個別にパッケージすることができる。複数のパケット310は、個別のパケット310を引き出すことができるカートンの形態であってもよいディスペンサ312内に積み重ねられてもよい。アクセサリ基部ユニット116は、ディスペンサ312に取り付けられてもよく、パケット310がディスペンサ312から取り外され、パケット310が開かれると、器具コンパートメントバッグ112のいずれか1つに着脱可能に取り付け可能であってもよい。この実施形態では、器具コンパートメントバッグ112は、単回使用用に構成されてもよい。
【0088】
アクセサリユニット116は、個々のパケット310が収容されるのと同じカートンディスペンサ312によって支持されてもよい。アクセサリユニット116のアダプタ152は、アダプタ152及び150を一緒に押圧したときに、器具コンパートメントバッグ112のアクセサリユニット116への一時的な取り付けを容易にするように配置されてもよい。必要な電力及び真空を、電気壁ソケット及び外部真空源などの外部電源へ、接続部又はテザー314を介してアクセサリ116ユニットに伝達することができる。様々な他の実施形態では、アクセサリユニット116は、アクセサリユニット116内の真空ポンプ36などの器具を駆動するためにそれ自体のバッテリ316を含むことができる。コントローラ32はまた、アクセサリ116内に位置してもよく、又は代わりにテザー314を介して遠隔通信されてもよい。ネブライザ28は、器具コンパートメントバッグ112の範囲内に、又は任意選択的にアクセサリユニット116内に位置してもよい。
【0089】
ここで別の実施形態における図9A及び図9Bを参照すると、アクセサリユニット116’は、単回使用後に使い捨て可能であり得る一体型の完全なコーティングアプリケータユニット10を形成するように、器具コンパートメントバッグ112と一体化することができる。アクセサリ部分116’は、バッテリのみで電源供給されてもよく、又はテザー314を介して電気壁ソケットなどの外部電源への接続によってのみ電源供給されてもよく、又はその両方であってもよい。様々な実施形態では、一体型器具コンパートメントバッグ112’及びアクセサリ116’は、テザー314と共に、全て個別のパケット(一次パッケージ)310’内にパッケージされてもよい。この実施形態及び様々な他の実施形態では、真空源(ポンプ)36は、テザー314を介してアクセサリ116’及び/又は器具コンパートメントバッグ112と連通する外部真空源36であってもよい。
【0090】
ここで図10を参照すると、基部16及びアクセサリ116のコントローラ32は、ネブライザ28がオンにされて治療薬を霧化し、所定の期間の終わりに、又は測定/監視された状態に応答してオフにされる期間を含む適用サイクルを実行するように構成されてもよく、その際、コントローラは、真空ポンプ36の動作を所定の時間又は別の所定の状態が検出されるまで開始する。一実施形態では、ネブライザ28を約30秒間オンにすることができ、その際、器具コンパートメント12、112を排気し、対象物22上の治療薬のコーティングを乾燥させる目的で、真空ポンプを約2~3分間動作させることができる。外科用インプラント22の場合、コーティングの取り扱い及び強固な接着を可能にする水分レベルまでインプラント22を乾燥させることが好ましい場合がある。このサイクルは、手術用ねじ及びプレートなどの外科用インサート上にゲンタマイシンの4%溶液をコーティングするのに有用であり得る。図10に示されるように、熱支援乾燥が必要とされない場合、器具コンパートメント12、112内の温度は、コーティングサイクルの実質的に全ての間、安定しており周囲に近いままであり得る。
【0091】
コールドフィンガー効果
前述の実施形態のいずれかによるコーティング作業の実施に関連して、コーティング効率、一貫性及び他の強化は、対象物22を器具コンパートメント12(又は器具コンパートメントバッグ112)内で霧化された治療薬と接触させる前又は接触させながら、コーティングされる対象物22を周囲未満の温度に冷却することによって達成可能であり得る。いくつかの実施形態では、コーティングされる対象物22は、対象物22を器具コンパートメント12又はバッグ112内で霧化された治療薬と接触させる前に、約-50℃~約15℃の範囲の温度に冷却されてもよい。霧化された治療薬は、ほとんどの場合、周囲温度で又は周囲温度付近の温度であり得、冷却された対象物22と霧化された治療薬との間の温度差は、冷却された対象物22の表面上への霧化された治療薬の堆積及び/又は凝縮を促進及び/又は加速するのに役立ち得ると考えられる。コーティングプロセスは、図6Bを参照して図示及び説明した正弦波抵抗ヒータ要素200などのヒータを用いて霧化された治療薬の温度を上昇させることによって、又は器具チャンバ15内のネブライザ28によって生成された霧化された治療薬のエアロゾル、ミスト、蒸気、霧、又は雲と連通することができる別の形態の抵抗ヒータ要素を含むことによって更に強化することができる。霧化された治療薬の加熱は、対象物22の冷却の代わりに、又はそれに加えて利用されてもよい。
【0092】
コーティングされる対象物22は、器具22を様々な実施形態の器具コンパートメント12、112に挿入する前に、冷蔵庫又は冷凍庫内でその滅菌パッケージ内にある間に冷却され得ることが想定される。代わりに、又はそれに加えて、真空システム34は、器具コンパートメント12(器具コンパートメントバッグ112)に対象物22が装填され、器具コンパートメント12(器具コンパートメントバッグ112)内の圧力及び温度を低下させて対象物22を所望の低下した温度まで冷却するのに十分な時間、密閉されている間に、真空システム34を動作させることによって、コーティングサイクルの実行前に対象物22を真空冷却するように動作することができ、その結果、所望のコーティングサイクルが開始される。
【0093】
様々な実施形態では、冷却された対象物22が霧化された治療薬と接触する時間中に、冷却された対象物22の温度の上昇を15℃以下に制限することが望ましい場合がある。様々な実施形態では、接触を約1分~15分の範囲の期間に限定することが望ましい場合がある。
【0094】
対象物22を冷却すること、及び/又は霧化された治療薬の温度を上昇させることにかかわらず、対象物22と霧化された治療薬との間の温度差が約50~100℃の範囲内である場合、対象物22上への霧化された治療薬の堆積を強化することができる。いくつかの治療薬では、対象物22を冷却することなく霧化された治療薬のみを加熱することが好ましい場合がある。
【実施例
【0095】
水中4%ゲンタマイシン溶液を、図10に記載されているサイクルにより、図3A及び図3Bに記載の器具を使用して0.5インチ研磨316ステンレス鋼試験片に適用した。次いで、ステンレス鋼試験片を、溶液1立方センチメートル当たり10個の細菌の最初の黄色ブドウ球菌接種材料を含む寒天プレート中で、38℃で24時間インキュベートした。図11に示す画像は、クーポンの周囲に約8mmの保護阻止帯が形成されたことを示している。
【0096】
産業上の利用可能性
本明細書に開示されるシステム及び方法は、医療装置産業に適用可能である。
【0097】
上記の開示は、独立した有用性を有する複数の別個の発明を包含すると考えられる。これらの発明のそれぞれは、その好ましい形態で開示されているが、本明細書に開示及び例示されるこれらの特定の実施形態は、多くの変形形態が可能であるため、限定的な意味で考慮されるべきではない。本発明の主題は、本明細書に開示される様々な要素、特徴、機能、及び/又は特性の全ての新規かつ非自明のコンビネーション及びサブコンビネーションを含む。同様に、「特許請求の範囲」が「a」又は「第1の」要素又はその等価物を列挙する場合、このような「特許請求の範囲」は、1つ又は2つ以上のそのような要素の組み込みを含むものであり、2つ又は3つ以上のそのような要素を必須とすることも除外することもないことを理解すべきである。
【0098】
以下の「特許請求の範囲」は、開示される発明の1つを対象とする特定のコンビネーション及びサブコンビネーションを具体的に指摘し、新規かつ非自明であると考えられる。特徴、機能、要素、及び/又は特性の他のコンビネーション及びサブコンビネーションで具現化された発明は、本特許請求の範囲の修正、又は本願若しくは関連出願における新規の特許請求の範囲の提示によって主張され得る。また、そのような修正又は新規の特許請求の範囲は、それらが異なる発明を対象とするか、又は同一の発明を対象としているかに関わらず、元の特許請求の範囲と異なるか、より広いか、より狭いか、又は同一の範囲であるかに関わらず、本開示の発明の主題に含まれるものと見なされる。
【0099】
本発明を、特定の実施形態を参照しながら以下に説明及び例示されているが、当業者であれば、本発明には必ずしも本明細書に例示されない改変を容易に行い得ることは認識されるところであろう。そのため、本発明の真の範囲を決定する目的では添付の特許請求の範囲のみに拠るべきである。
【0100】
〔実施の態様〕
(1) 治療薬のコーティングをコーティングされる対象物に適用するように動作可能なコーティングアプリケータであって、
開放可能かつ密閉可能な器具コンパートメントと、
前記器具コンパートメントと連通して位置付けられた治療薬と、
前記治療薬を霧化するように動作可能な噴霧器と、
前記器具コンパートメントと連通する真空源と、を備える、コーティングアプリケータ。
(2) 乾燥器を更に備え、前記乾燥器が、前記治療薬の乾燥を促進するのに十分な時間にわたって前記真空源を動作させる構成を備える、実施態様1に記載のコーティングアプリケータ。
(3) 前記器具コンパートメントが、真空蓋で開放可能かつ密閉可能である、実施態様2に記載のコーティングアプリケータ。
(4) 前記乾燥器が、前記器具コンパートメントの領域に熱を加える構成を更に備える、実施態様2に記載のコーティングアプリケータ。
(5) 前記乾燥器が、化学反応から放出された熱を伝達する構成を更に備える、実施態様2に記載のコーティングアプリケータ。
【0101】
(6) 前記対象物が、外科用インプラント及び/又は医療器具である、実施態様1に記載のコーティングアプリケータ。
(7) 前記治療薬がリザーバに収容され、前記リザーバが分注器具から充填可能である、実施態様1に記載のコーティングアプリケータ。
(8) 前記噴霧器がネブライザを含む、実施態様1に記載のコーティングアプリケータ。
(9) 前記噴霧器が、超音波ネブライザ及び/又はジェットネブライザ及び/又は振動メッシュネブライザ及び/又は加圧スプレーノズルネブライザ及び/又は振動フリットネブライザ(vibrated frit nebulizer)及び/又は熱駆動ウィック式エアロゾル発生器(thermally driven, wick-based aerosol generator)及び/又は加熱毛細管エアロゾル発生器(heated capillary aerosol generator)及び/又は気化器を含む、実施態様1に記載のコーティングアプリケータ。
(10) 前記治療薬が液体を含む、実施態様1に記載のコーティングアプリケータ。
【0102】
(11) 前記治療薬が、懸濁液及び/又はエマルション及び/又は溶液を含む、実施態様10に記載のコーティングアプリケータ。
(12) 前記器具コンパートメントが剛性壁を備える、実施態様2に記載のコーティングアプリケータ。
(13) 前記器具コンパートメントが、
真空蓋と、
前記真空蓋の縁部を受容するように構成された基部と、
前記基部と前記真空蓋の前記縁部との間で動作するシールと、を備え、
前記基部が、前記真空源、前記噴霧器、及び前記コーティングされる対象物に支持を提供する、実施態様12に記載のコーティングアプリケータ。
(14) 前記真空源を前記器具コンパートメントと連通させるように動作可能な第1の接続部と、前記噴霧器を動作させるために電力源を前記器具コンパートメントと連通させるように動作可能な第2の接続部と、を備える、基部と、
前記基部に着脱可能かつ密閉可能に接続可能な真空蓋であって、それにより、前記器具コンパートメントの周りに密閉空間が確立される、真空蓋と、を更に備える、実施態様12に記載のコーティングアプリケータ。
(15) 前記器具コンパートメントが、前記密閉空間内に置かれるように構成された開放可能ボックスを備え、前記開放可能ボックスが、
前記コーティングされる対象物のための支持体と、
前記基部の前記第1の接続部を受容する第1のレシーバと、
前記基部の前記第2の接続部を受容する第2のレシーバと、を備える、実施態様14に記載のコーティングアプリケータ。
【0103】
(16) 前記噴霧器が、完全に前記開放可能ボックス内に配置される、実施態様15に記載のコーティングアプリケータ。
(17) 前記器具コンパートメントが可撓性壁を備える、実施態様1に記載のコーティングアプリケータ。
(18) 前記器具コンパートメントが、第1の端部に沿って開放可能かつ再密閉可能である、実施態様17に記載のコーティングアプリケータ。
(19) 前記真空源が、前記第1の端部から離間した場所で前記器具コンパートメントと流体連通している、実施態様18に記載のコーティングアプリケータ。
(20) 前記真空源が、前記第1の端部に隣接する場所で前記器具コンパートメントと流体連通している、実施態様18に記載のコーティングアプリケータ。
【0104】
(21) 前記真空源を前記器具コンパートメントと連通させるように動作可能なアクセサリユニットを更に備え、前記アクセサリユニットが、電力源を前記噴霧器に接続するように更に動作可能である、実施態様18に記載のコーティングアプリケータ。
(22) 前記噴霧器が、完全に前記器具コンパートメント内に配置される、実施態様21に記載のコーティングアプリケータ。
(23) 前記アクセサリユニットを前記器具コンパートメントと遠隔接続するように動作可能なテザーを更に備え、それにより、前記アクセサリユニットが手術室内の別の場所で動作されている間、前記器具コンパートメントは前記手術室の滅菌野に留まることができる、実施態様21に記載のコーティングアプリケータ。
(24) 前記アクセサリユニットが、単一の器具チャンバと一体化されている、実施態様21に記載のコーティングアプリケータ。
(25) 複数の個別の器具コンパートメントを更に備え、前記アクセサリユニットは、前記複数の個別の器具コンパートメントの異なる部材に繰り返し取り付け可能である、実施態様21に記載のコーティングアプリケータ。
【0105】
(26) 前記アクセサリユニットを外部真空源と遠隔接続し、かつ/又は前記アクセサリユニットを外部電力源と接続するように動作可能なテザーを更に備え、それにより、前記器具コンパートメント及び前記アクセサリユニットが、それらの動作中に手術室の滅菌野に留まることができる、実施態様21に記載のコーティングアプリケータ。
(27) 前記可撓性壁が、
可撓性外壁と、
面状加熱要素と、
前記可撓性外壁と面状ヒータとの間に配置された面状の第1のスペーサと、
前記面状ヒータと前記器具コンパートメントの内部との間に配置された面状の第2のスペーサと、を備える、実施態様17に記載のコーティングアプリケータ。
(28) 前記第1の面状スペーサ及び前記第2の面状スペーサがメッシュを含む、実施態様27に記載のコーティングアプリケータ。
(29) 前記ヒータが蛇行ヒータを含む、実施態様27に記載のコーティングアプリケータ。
(30) 対象物を治療薬でコーティングする方法であって、
コーティングされる対象物を器具コンパートメント内に置くことと、
前記器具コンパートメントを密閉することと、
前記治療薬を霧化することによって治療薬を密閉された前記器具コンパートメント内に分散させ、それにより、前記治療薬のコーティングが確立されることと、
前記コーティングを乾燥させることと、
コーティングされた前記対象物を前記器具コンパートメントから取り出すことと、を含む、方法。
【0106】
(31) 前記乾燥させることが、真空源を前記器具コンパートメントと連通させることを含む、実施態様30に記載の方法。
(32) 前記霧化することが、ネブライザを動作させることを含む、実施態様31に記載の方法。
(33) 前記器具コンパートメントが剛性壁を備える、実施態様32に記載の方法。
(34) 前記ネブライザ、前記真空源、及び前記コーティングされる対象物を基部で支持することと、
真空蓋を前記基部と密閉係合させることによって前記器具コンパートメントを確立することと、を更に含む、実施態様33に記載の方法。
(35) 基部の第1の接続部を介して真空源を前記器具コンパートメントと連通させることと、
前記基部の第2の接続部を介して、前記ネブライザを動作させるために電力源を前記器具コンパートメントに連通させることと、
真空蓋を前記基部に着脱可能かつ密閉可能に係合させ、それにより、器具コンパートメントの周りに密閉空間が確立されることと、を更に含む、実施態様33に記載の方法。
【0107】
(36) 前記密閉空間内に置かれるように構成された開放可能ボックスを有する前記器具コンパートメントを確立することと、
前記コーティングされる対象物を前記開放可能ボックス内に支持することと、
前記基部の前記第1の接続部を前記開放可能ボックスの第1のレシーバで受容することと、
前記基部の前記第2の接続部を前記開放可能ボックスの第2のレシーバで受容することと、を更に含む、実施態様35に記載の方法。
(37) 前記治療薬が、治療薬の水溶液及び/又は水性懸濁液である、実施態様32に記載の方法。
(38) 前記器具コンパートメントが可撓性壁を備える、実施態様32に記載の方法。
(39) 前記器具コンパートメントが、第1の端部に沿って開放かつ再密閉される、実施態様38に記載の方法。
(40) 前記真空源が、前記第1の端部から離間した場所で前記器具コンパートメントと流体連通している、実施態様39に記載の方法。
【0108】
(41) 前記真空源が、前記第1の端部に隣接する場所で前記器具コンパートメントと流体連通している、実施態様39に記載の方法。
(42) 前記真空源を前記器具コンパートメントと連通させ、電力源を前記ネブライザと連通させるようにアクセサリユニットを動作させることを更に含む、実施態様38に記載の方法。
(43) 前記ネブライザが、完全に前記器具コンパートメント内に配置される、実施態様42に記載の方法。
(44) テザーを使用して前記アクセサリユニットを前記器具コンパートメントと遠隔接続することを更に含み、それにより、前記アクセサリユニットが手術室内の別の場所から動作され得る間、前記器具コンパートメントが前記手術室の滅菌野に留まることができる、実施態様43に記載の方法。
(45) 前記アクセサリユニットが単一の器具コンパートメントと一体化されている、実施態様43に記載の方法。
【0109】
(46) 前記アクセサリユニットが、複数の個別の器具コンパートメントの異なる部材に繰り返し取り付けられる、実施態様43に記載の方法。
(47) 霧化された前記治療薬の前記対象物上への堆積を、
冷却状態にある前記対象物を確立することと、
前記対象物が前記冷却状態にある間に、前記対象物を前記霧化された治療薬と接触させることと、によって促進することを更に含む、実施態様30に記載の方法。
(48) 前記確立することが、前記対象物を周囲温度未満まで冷却することを含む、実施態様47に記載の方法。
(49) 前記周囲が、約20℃~25℃の範囲内である、実施態様48に記載の方法。
(50) 前記確立することが、前記対象物を約-50℃~約15℃の範囲の温度に冷却することを含む、実施態様47に記載の方法。
【0110】
(51) 前記接触させることが、約1~約15分の範囲の期間にわたって継続される、実施態様47に記載の方法。
(52) 接触させる前記期間中、前記冷却状態の前記対象物の前記温度が、15℃未満上昇する、実施態様51に記載の方法。
(53) 前記霧化された治療薬を加熱状態に加熱することと、
前記霧化された治療薬が前記加熱状態にある間に、前記対象物を前記霧化された治療薬と接触させることと、を更に含む、実施態様47に記載の方法。
(54) 治療薬を堆積させる方法であって、
外科用対象物を約-50℃~約15℃の範囲内の温度に冷却することと、
治療薬を霧状化することと、
前記外科用対象物の前記温度が前記周囲未満のままである間に、冷却された前記外科用対象物を霧状化された前記治療薬と、前記霧状化された治療薬が前記外科用対象物の表面上に堆積するのに十分な期間にわたって接触させることと、を含む、方法。
(55) 器具コンパートメントを開放し、前記外科用対象物を前記器具コンパートメント内に置き、前記器具コンパートメントを閉鎖することと、
前記霧状化された治療薬を閉鎖された前記器具コンパートメントと連通させることと、
前記閉鎖された器具コンパートメントを排気することと、
前記器具コンパートメントを開放し、前記外科用対象物を取り出すことと、を更に含む、実施態様54に記載の方法。
【0111】
(56) 真空源を閉鎖された対象物コンパートメントと連通させることによって、堆積した前記治療薬を乾燥させることを更に含む、実施態様54に記載の方法。
(57) 前記霧化された治療薬を加熱状態に加熱することと、
前記霧状化された治療薬が前記加熱状態にある間に、前記外科用対象物を前記霧状化された治療薬と接触させることと、を更に含む、実施態様54に記載の方法。
(58) 前記接触中、前記冷却された外科用対象物の前記温度が、15℃未満上昇する、実施態様57に記載の方法。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図7G
図7H
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11
【国際調査報告】