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特表2022-511800痛風または高尿酸血症を処置または予防するための化合物の結晶形態
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  • 特表-痛風または高尿酸血症を処置または予防するための化合物の結晶形態 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-01
(54)【発明の名称】痛風または高尿酸血症を処置または予防するための化合物の結晶形態
(51)【国際特許分類】
   C07D 307/80 20060101AFI20220125BHJP
   A61K 31/343 20060101ALI20220125BHJP
   A61P 19/06 20060101ALI20220125BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20220125BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20220125BHJP
   A61K 31/426 20060101ALI20220125BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20220125BHJP
   A61K 31/047 20060101ALI20220125BHJP
   A61K 31/381 20060101ALI20220125BHJP
   A61K 31/351 20060101ALI20220125BHJP
   A61K 31/522 20060101ALI20220125BHJP
   A61K 31/155 20060101ALI20220125BHJP
【FI】
C07D307/80 CSP
A61K31/343
A61P19/06
A61K45/00
A61K31/519
A61K31/426
A61K31/4439
A61K31/047
A61K31/381
A61K31/351
A61K31/522
A61K31/155
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021531047
(86)(22)【出願日】2019-12-05
(85)【翻訳文提出日】2021-07-28
(86)【国際出願番号】 US2019064784
(87)【国際公開番号】W WO2020118113
(87)【国際公開日】2020-06-11
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2018/119567
(32)【優先日】2018-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】519015519
【氏名又は名称】アースローシ セラピューティクス,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】イェン,シュンチー
(72)【発明者】
【氏名】イェー,リテイン
(72)【発明者】
【氏名】リー,ジョン ジェーン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ルイピン
【テーマコード(参考)】
4C037
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C037PA08
4C084AA19
4C084NA05
4C084ZC022
4C084ZC202
4C084ZC311
4C084ZC312
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BA06
4C086BA07
4C086BB02
4C086BC60
4C086BC82
4C086CB06
4C086CB07
4C086GA02
4C086GA04
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA15
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA52
4C086MA66
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZC31
4C206AA01
4C206AA02
4C206CA13
4C206HA31
4C206KA01
4C206MA02
4C206MA04
4C206NA05
4C206ZC20
4C206ZC31
(57)【要約】
【解決手段】(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d4)メタノンの結晶形態およびその溶媒和物が本明細書に記載されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノンの結晶形態またはその溶媒和物。
【請求項2】
(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノンの結晶形態は、以下の特性:
(a)図1に示されるものと実質的に同じX線粉末回析(XRPD)パターン、
(b)6.8° 2-シータ、13.6° 2-シータ、14.6° 2-シータ、21.2° 2-シータ、24.2° 2-シータ、24.7° 2-シータ、26.7° 2-シータ、および27.5° 2-シータでの特徴的なピークを有する、X線粉末回折(XRPD)パターン、
(c)図2に示されるものに実質的に類似する熱重量分析(TGA)、
(d)図3に示されるものに実質的に類似するDSCサーモグラム、
(e)約147℃での開始点を有する吸熱を伴うDSCサーモグラム、
(f)非吸湿性、または、
(g)これらの組み合わせ、
の少なくとも1つを有する形態3である、
請求項1に記載の結晶形態。
【請求項3】
結晶形態は、図1に示されるものと実質的に同じX線粉末回析(XRPD)パターンを有する、請求項1または2に記載の結晶形態。
【請求項4】
結晶形態は、6.8° 2-シータ、13.6° 2-シータ、14.6° 2-シータ、21.2° 2-シータ、24.2° 2-シータ、24.7° 2-シータ、26.7° 2-シータ、および27.5° 2-シータでの特徴的なピークを有する、X線粉末回折(XRPD)パターンを有する、請求項1または2に記載の結晶形態。
【請求項5】
結晶形態は、図2に示されるものに実質的に類似する熱重量分析(TGA)を有する、請求項1または2に記載の結晶形態。
【請求項6】
結晶形態は、図3に示されるものに実質的に類似するDSCサーモグラムを有する、請求項1または2に記載の結晶形態。
【請求項7】
結晶形態は、約147℃での開始点を有する吸熱を伴うDSCサーモグラムを有する、請求項1または2に記載の結晶形態。
【請求項8】
結晶形態は非吸湿性である、請求項1または2に記載の結晶形態。
【請求項9】
結晶形態は、特性(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、および(f)を有すると特徴付けられる、請求項2に記載の結晶形態。
【請求項10】
結晶形態は、トルエン、トルエン/ヘプタン、または酢酸エチル/ヘプタンから得られる、請求項1-9のいずれか1つに記載の結晶形態。
【請求項11】
(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノンの結晶形態は、以下の特性:
(a)図4に示されるものと実質的に同じX線粉末回析(XRPD)パターン、
(b)8.3° 2-シータ、10.7° 2-シータ、16.6° 2-シータ、19.7° 2-シータ、23.7° 2-シータ、25.0° 2-シータ、25.6° 2-シータ、および27.1° 2-シータでの特徴的なピークを有する、X線粉末回折(XRPD)パターン、
(c)図5に示されるものに実質的に類似する熱重量分析(TGA)、
(d)図6に示されるものに実質的に類似するDSCサーモグラム、
(e)約139℃での開始点を有する吸熱を伴うDSCサーモグラム、
(f)非吸湿性、または、
(g)これらの組み合わせ、
の少なくとも1つを有する形態2である、請求項1に記載の結晶形態。
【請求項12】
結晶形態は、図4に示されるものと実質的に同じX線粉末回析(XRPD)パターンを有する、請求項1または11に記載の結晶形態。
【請求項13】
結晶形態は、8.3° 2-シータ、10.7° 2-シータ、16.6° 2-シータ、19.7° 2-シータ、23.7° 2-シータ、25.0° 2-シータ、25.6° 2-シータ、および27.1° 2-シータでの特徴的なピークを有する、X線粉末回折(XRPD)パターンを有する、請求項1または11に記載の結晶形態。
【請求項14】
結晶形態は、図5に示されるものに実質的に類似する熱重量分析(TGA)を有する、請求項1または11に記載の結晶形態。
【請求項15】
結晶形態は、図6に示されるものに実質的に類似するDSCサーモグラムを有する、請求項1または11に記載の結晶形態。
【請求項16】
結晶形態は、約139℃での開始点を有する吸熱を伴うDSCサーモグラムを有する、請求項1または11に記載の結晶形態。
【請求項17】
結晶形態は非吸湿性である、請求項1または11に記載の結晶形態。
【請求項18】
結晶形態は、特性(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、および(f)を有すると特徴付けられる、請求項11に記載の結晶形態。
【請求項19】
結晶形態は、ヘプタンまたは酢酸エチル/ヘプタンから得られる、請求項11-18のいずれか1つに記載の結晶形態。
【請求項20】
結晶形態は溶媒和されない、請求項1-19のいずれか1つに記載の結晶形態。
【請求項21】
結晶形態は無水である、請求項1-20のいずれか1つに記載の結晶形態。
【請求項22】
(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノンの結晶形態は、以下の特性:
(a)図7に示されるものと実質的に同じX線粉末回析(XRPD)パターン、
(b)5.6° 2-シータ、11.5° 2-シータ、13.8° 2-シータ、14.3° 2-シータ、17.0° 2-シータ、18.9° 2-シータ、27.9° 2-シータ、および31.4° 2-シータでの特徴的なピークを有する、X線粉末回折(XRPD)パターン、
(c)図8に示されるものに実質的に類似する熱重量分析(TGA)、
(d)図9に示されるものに実質的に類似するDSCサーモグラム、
(e)約80℃での開始点を有する吸熱を伴うDSCサーモグラム、または、
(f)これらの組み合わせ、
の少なくとも1つを有する形態1である、請求項1に記載の結晶形態。
【請求項23】
結晶形態は、図7に示されるものと実質的に同じX線粉末回析(XRPD)パターンを有する、請求項1または22に記載の結晶形態。
【請求項24】
結晶形態は、5.6° 2-シータ、11.5° 2-シータ、13.8° 2-シータ、14.3° 2-シータ、17.0° 2-シータ、18.9° 2-シータ、27.9° 2-シータ、および31.4° 2-シータでの特徴的なピークを有する、X線粉末回折(XRPD)パターンを有する、請求項1または22に記載の結晶形態。
【請求項25】
結晶形態は、図8に示されるものに実質的に類似する熱重量分析(TGA)を有する、請求項1または22に記載の結晶形態。
【請求項26】
結晶形態は、図9に示されるものに実質的に類似するDSCサーモグラムを有する、請求項1または22に記載の結晶形態。
【請求項27】
結晶形態は、約80℃での開始点を有する吸熱を伴うDSCサーモグラムを有する、請求項1または22に記載の結晶形態。
【請求項28】
結晶形態は、特性(a)、(b)、(c)、(d)、および(e)を有すると特徴付けられる、請求項22に記載の結晶形態。
【請求項29】
結晶形態は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、トルエン、水、アセトニトリル、ヘプタン、アセトン、tert-ブチルメチルエーテル、2-ブタノン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、テトラヒドロフラン、またはそれらの組み合わせから得られる、請求項22-28のいずれか1つに記載の結晶形態。
【請求項30】
医薬に使用するための、請求項1-29のいずれか1つの結晶形態。
【請求項31】
請求項1-29のいずれか1つの結晶形態と、薬学的に許容可能な担体、希釈剤、および賦形剤から選択される少なくとも1つの不活性成分とを含む医薬組成物。
【請求項32】
経口、静脈内、筋肉内、または皮下の投与のために製剤化された、請求項31に記載の医薬組成物。
【請求項33】
個体における高尿酸血症または痛風を処置するための方法であって、前記方法は、治療上有効な量の、請求項1-29のいずれか1つの結晶形態を、個体に投与する工程を含む、方法。
【請求項34】
結晶形態は経口投与される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
治療上有効な量は食物と一緒に摂取される、請求項33または34に記載の方法。
【請求項36】
治療上有効な量は食物なしで摂取される、請求項33または34に記載の方法。
【請求項37】
治療上有効な量は一日1回個体に投与される、請求項33-36のいずれか1つに記載の方法。
【請求項38】
治療上有効な量は一日2回個体に投与される、請求項33-36のいずれか1つに記載の方法。
【請求項39】
少なくとも1つの追加の治療薬を投与する工程をさらに含む、請求項33-38のいずれか1つに記載の方法。
【請求項40】
キサンチンオキシダーゼ阻害剤を投与する工程をさらに含む、請求項33-39のいずれか1つに記載の方法。
【請求項41】
キサンチンオキシダーゼ阻害剤は、アロプリノール、オキシプリノール、フェブキソスタット、トピロキソスタット、またはイノシトールである、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
SGLT2阻害剤を投与する工程をさらに含む、請求項33-41のいずれか1つに記載の方法。
【請求項43】
SGLT2阻害剤は、カナグリフロジン、ダパグリフロジン、エンパグリフロジン、エンパグリフロジン/リナグリプチン、エンパグリフロジン/メトホルミン、およびダパグリフロジン/メトホルミンである、請求項42に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2018年12月6日に出願されたPCT/CN2018/119567の利益を主張し、その全体は引用によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
高尿酸血症は、尿酸の過剰生成または過剰分泌によって引き起こされ、生活の質を著しく損なう複数の疾患の原因因子と考えられている。例えば、炎症性関節炎の代表格である痛風は、高尿酸血症が原因と考えられており、尿酸塩結晶の蓄積による関節の激しい痛みや圧迫感を特徴としている。血清尿酸(sUA)を低下させる効果があり、かつ毒性が低い痛風/高尿酸血症の治療薬の特定は、患者に有益な影響を与えることになる未だ解決されていないニーズを表している。
【発明の概要】
【0003】
一態様では、(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノンの結晶形態またはその溶媒和物が本明細書に記載されている。
【0004】
1つの実施形態では、(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノンの結晶形態またはその溶媒和物があり、ここで、(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノンの結晶形態は、以下の特性:
(a)図1に示されるものと実質的に同じX線粉末回析(XRPD)パターン、
(b)6.8° 2-シータ、13.6° 2-シータ、14.6° 2-シータ、21.2° 2-シータ、24.2° 2-シータ、24.7° 2-シータ、26.7° 2-シータ、および27.5° 2-シータでの特徴的なピークを有する、X線粉末回折(XRPD)パターン、
(c)図2に示されるものに実質的に類似する熱重量分析(TGA)、
(d)図3に示されるものに実質的に類似するDSCサーモグラム、
(e)約147℃での開始点を有する吸熱を伴うDSCサーモグラム、
(f)非吸湿性、または、
(g)これらの組み合わせ、
の少なくとも1つを有する形態3である。
【0005】
いくつかの実施形態では、(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノンの結晶形態またはその溶媒和物があり、ここで、結晶形態は、図1に示されるものと実質的に同じX線粉末回析(XRPD)パターンを有する。
【0006】
いくつかの実施形態では、(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノンの結晶形態またはその溶媒和物があり、ここで、結晶形態は、6.8° 2-シータ、13.6° 2-シータ、14.6° 2-シータ、21.2° 2-シータ、24.2° 2-シータ、24.7° 2-シータ、26.7° 2-シータ、および27.5° 2-シータでの特徴的なピークを有する、X線粉末回折(XRPD)パターンを有する。
【0007】
いくつかの実施形態では、(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノンの結晶形態またはその溶媒和物があり、ここで、結晶形態は、図2に示されるものに実質的に類似する熱重量分析(TGA)を有する。
【0008】
いくつかの実施形態では、(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノンの結晶形態またはその溶媒和物があり、ここで、結晶形態は、図3に示されるものに実質的に類似するDSCサーモグラムを有する。
【0009】
いくつかの実施形態では、(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノンの結晶形態またはその溶媒和物があり、ここで、結晶形態は、約147℃での開始点を有する吸熱を伴うDSCサーモグラムを有する。
【0010】
いくつかの実施形態では、(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノンの結晶形態またはその溶媒和物があり、ここで、結晶形態は非吸湿性である。
【0011】
いくつかの実施形態では、(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノンの結晶形態またはその溶媒和物があり、ここで、結晶形態は以下の特性:(a)図1に示されるものと実質的に同じX線粉末回析(XRPD)パターン、(b)6.8° 2-シータ、13.6° 2-シータ、14.6° 2-シータ、21.2° 2-シータ、24.2° 2-シータ、24.7° 2-シータ、26.7° 2-シータ、および27.5° 2-シータでの特徴的なピークを有する、X線粉末回折(XRPD)パターン、(c)図2に示されるものに実質的に類似する熱重量分析(TGA)、(d)図3に示されるものに実質的に類似するDSCサーモグラム、(e)約147℃での開始点を有する吸熱を伴うDSCサーモグラム、および、(f)非吸湿性を有することを特徴とする。
【0012】
いくつかの実施形態では、(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノンの結晶形態またはその溶媒和物があり、ここで、結晶形態は、トルエン、トルエン/ヘプタン、または酢酸エチル/ヘプタンから得られる。
【0013】
別の実施形態では、(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノンの結晶形態またはその溶媒和物があり、ここで、(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノンの結晶形態は、以下の特性:
(a)図4に示されるものと実質的に同じX線粉末回析(XRPD)パターン、
(b)8.3° 2-シータ、10.7° 2-シータ、16.6° 2-シータ、19.7° 2-シータ、23.7° 2-シータ、25.0° 2-シータ、25.6° 2-シータ、および27.1° 2-シータでの特徴的なピークを有する、X線粉末回折(XRPD)パターン、
(c)図5に示されるものに実質的に類似する熱重量分析(TGA)、
(d)図6に示されるものに実質的に類似するDSCサーモグラム、
(e)約139℃での開始点を有する吸熱を伴うDSCサーモグラム、
(f)非吸湿性、または、
(g)これらの組み合わせ、
の少なくとも1つを有する形態2である。
【0014】
いくつかの実施形態では、(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノンの結晶形態またはその溶媒和物があり、ここで、結晶形態は、図4に示されるものと実質的に同じX線粉末回析(XRPD)パターンを有する。
【0015】
いくつかの実施形態では、(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノンの結晶形態またはその溶媒和物があり、ここで、結晶形態は、8.3° 2-シータ、10.7° 2-シータ、16.6° 2-シータ、19.7° 2-シータ、23.7° 2-シータ、25.0° 2-シータ、25.6° 2-シータ、および27.1° 2-シータでの特徴的なピークを有する、X線粉末回折(XRPD)パターンを有する。
【0016】
いくつかの実施形態では、(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノンの結晶形態またはその溶媒和物があり、ここで、結晶形態は、図5に示されるものに実質的に類似する熱重量分析(TGA)を有する。
【0017】
いくつかの実施形態では、(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノンの結晶形態またはその溶媒和物があり、ここで、結晶形態は、図6に示されるものに実質的に類似するDSCサーモグラムを有する。
【0018】
いくつかの実施形態では、(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノンの結晶形態またはその溶媒和物があり、ここで、結晶形態は、約139℃での開始点を有する吸熱を伴うDSCサーモグラムを有する。
【0019】
いくつかの実施形態では、(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノンの結晶形態またはその溶媒和物があり、ここで、結晶形態は非吸湿性である。
【0020】
いくつかの実施形態では、(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノンの結晶形態またはその溶媒和物があり、ここで、結晶形態は以下の特性:(a)図4に示されるものと実質的に同じX線粉末回析(XRPD)パターン、(b)8.3° 2-シータ、10.7° 2-シータ、16.6° 2-シータ、19.7° 2-シータ、23.7° 2-シータ、25.0° 2-シータ、25.6° 2-シータ、および27.1° 2-シータでの特徴的なピークを有する、X線粉末回折(XRPD)パターン、(c)図5に示されるものに実質的に類似する熱重量分析(TGA)、(d)図6に示されるものに実質的に類似するDSCサーモグラム、(e)約139℃での開始点を有する吸熱を伴うDSCサーモグラム、および、(f)非吸湿性、を有することを特徴とする。
【0021】
いくつかの実施形態では、(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノンの結晶形態またはその溶媒和物があり、ここで、結晶形態は、ヘプタンまたは酢酸エチル/ヘプタンから得られる。
【0022】
いくつかの実施形態では、(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノンの結晶形態があり、ここで、結晶形態は溶媒和されない。
【0023】
いくつかの実施形態では、(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノンの結晶形態があり、ここで、結晶形態は無水である。
【0024】
別の実施形態では、(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノンの結晶形態またはその溶媒和物があり、ここで、(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノンの結晶形態は、以下の特性:
(a)図7に示されるものと実質的に同じX線粉末回析(XRPD)パターン、
(b)5.6° 2-シータ、11.5° 2-シータ、13.8° 2-シータ、14.3° 2-シータ、17.0° 2-シータ、18.9° 2-シータ、27.9° 2-シータ、および31.4° 2-シータでの特徴的なピークを有する、X線粉末回折(XRPD)パターン、
(c)図8に示されるものに実質的に類似する熱重量分析(TGA)、
(d)図9に示されるものに実質的に類似するDSCサーモグラム、
(e)約80℃での開始点を有する吸熱を伴うDSCサーモグラム、または、
(f)これらの組み合わせ、
の少なくとも1つを有する形態1である。
【0025】
いくつかの実施形態では、(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノンの結晶形態またはその溶媒和物があり、ここで、結晶形態は、図7に示されるものと実質的に同じX線粉末回析(XRPD)パターンを有する。
【0026】
いくつかの実施形態では、(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノンの結晶形態またはその溶媒和物があり、ここで、結晶形態は、5.6° 2-シータ、11.5° 2-シータ、13.8° 2-シータ、14.3° 2-シータ、17.0° 2-シータ、18.9° 2-シータ、27.9° 2-シータ、および31.4° 2-シータでの特徴的なピークを有する、X線粉末回折(XRPD)パターンを有する。
【0027】
いくつかの実施形態では、(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノンの結晶形態またはその溶媒和物があり、ここで、結晶形態は、図8に示されるものに実質的に類似する熱重量分析(TGA)を有する。
【0028】
いくつかの実施形態では、(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノンの結晶形態またはその溶媒和物があり、ここで、結晶形態は、図9に示されるものに実質的に類似するDSCサーモグラムを有する。
【0029】
いくつかの実施形態では、(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノンの結晶形態またはその溶媒和物があり、ここで、結晶形態は、約80℃での開始点を有する吸熱を伴うDSCサーモグラムを有する。
【0030】
いくつかの実施形態では、(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノンの結晶形態またはその溶媒和物があり、ここで、結晶形態は以下の特性:(a)図7に示されるものと実質的に同じX線粉末回析(XRPD)パターン、(b)5.6° 2-シータ、11.5° 2-シータ、13.8° 2-シータ、14.3° 2-シータ、17.0° 2-シータ、18.9° 2-シータ、27.9° 2-シータ、および31.4° 2-シータでの特徴的なピークを有する、X線粉末回折(XRPD)パターン、(c)図8に示されるものに実質的に類似する熱重量分析(TGA)、(d)図9に示されるものに実質的に類似するDSCサーモグラム、および、(e)約80℃での開始点を有する吸熱を伴うDSCサーモグラム、を有することを特徴とする。
【0031】
いくつかの実施形態では、(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノンの結晶形態またはその溶媒和物があり、ここで、結晶形態は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、トルエン、水、アセトニトリル、ヘプタン、アセトン、tert-ブチルメチルエーテル、2-ブタノン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、テトラヒドロフラン、またはそれらの組み合わせから得られる。
【0032】
いくつかの実施形態では、医薬に使用するための(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノンの結晶形態またはその溶媒和物がある。
【0033】
いくつかの実施形態では、(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノンの結晶形態があり、ここで、(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノンは非晶質である。
【0034】
別の態様では、(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノンの結晶形態またはその溶媒和物と、薬学的に許容可能な担体、希釈剤、および賦形剤から選択された少なくとも1つの不活性成分とを含む医薬組成物が本明細書に記載される。
【0035】
別の態様では、経口投与、静脈内投与、筋肉内投与、または皮下投与のために製剤化された、(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノンの結晶形態またはその溶媒和物が本明細書に記載される。
【0036】
別の態様では、個体における高尿酸血症または痛風を処置するための方法が本明細書に記載され、上記方法は、本明細書に記載される、治療上有効な量の(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノンの結晶形態またはその溶媒和物を個体に投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、個体における高尿酸血症または痛風を処置するための方法が本明細書にされ、上記方法は、本明細書に記載される、治療上有効な量の(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノンの結晶形態またはその溶媒和物を個体に投与する工程を含み、ここで、(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノンは経口投与される。いくつかの実施形態では、個体における高尿酸血症または痛風を処置するための方法が本明細書にされ、上記方法は、本明細書に記載される、治療上有効な量の(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノンの結晶形態またはその溶媒和物を個体に投与する工程を含み、ここで、治療上有効な量は食物と一緒に摂取される。いくつかの実施形態では、個体における高尿酸血症または痛風を処置するための方法が本明細書にされ、上記方法は、本明細書に記載される、治療上有効な量の(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノンの結晶形態またはその溶媒和物を個体に投与する工程を含み、ここで、治療上有効な量は食物なしで摂取される。いくつかの実施形態では、個体における高尿酸血症または痛風を処置するための方法が本明細書にされ、上記方法は、本明細書に記載される、治療上有効な量の(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノンの結晶形態またはその溶媒和物を個体に投与する工程を含み、ここで、(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノンは、一日1回個体に投与される。いくつかの実施形態では、個体における高尿酸血症または痛風を処置するための方法が本明細書にされ、上記方法は、本明細書に記載される、治療上有効な量の(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノンの結晶形態またはその溶媒和物を個体に投与する工程を含み、ここで、(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノンは、一日2回個体に投与される。
【0037】
いくつかの実施形態では、個体における高尿酸血症または痛風を処置するための方法が本明細書に記載され、上記方法は、本明細書に記載される、治療上有効な量の(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノンの結晶形態またはその溶媒和物を個体に投与する工程を含み、さらに、少なくとも1つの追加の治療薬を投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、個体における高尿酸血症または痛風を処置するための方法が本明細書に記載され、上記方法は、本明細書に記載される、治療上有効な量の(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノンの結晶形態またはその溶媒和物を個体に投与する工程を含み、さらに、キサンチンオキシダーゼ阻害剤を投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、個体における高尿酸血症または痛風を処置するための方法が本明細書に記載され、上記方法は、本明細書に記載される、治療上有効な量の(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノンの結晶形態またはその溶媒和物を個体に投与する工程を含み、さらに、キサンチンオキシダーゼ阻害剤を投与する工程を含み、ここで、キサンチンオキシダーゼ阻害剤は、アロプリノール、オキシプリノール、フェブキソスタット、トピロキソスタット、またはイノシトールである。いくつかの実施形態では、個体における高尿酸血症または痛風を処置するための方法が本明細書に記載され、上記方法は、本明細書に記載される、治療上有効な量の(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノンの結晶形態またはその溶媒和物を個体に投与する工程を含み、さらに、ナトリウムグルコース共輸送体2(SGLT2)阻害剤を投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、個体における高尿酸血症または痛風を処置するための方法が本明細書に記載され、上記方法は、本明細書に記載される、治療上有効な量の(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノンの結晶形態またはその溶媒和物を個体に投与する工程を含み、さらに、SGLT2阻害剤を投与する工程を含み、ここで、SGLT2阻害剤は、カナグリフロジン、ダパグリフロジン、エンパグリフロジン、エンパグリフロジン/リナグリプチン、エンパグリフロジン/メトホルミン、およびダパグリフロジン/メトホルミンから選択される。いくつかの実施形態では、個体における高尿酸血症または痛風を処置するための方法が本明細書に記載され、上記方法は、本明細書に記載される、治療上有効な量の(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノンの結晶形態またはその溶媒和物を個体に投与する工程を含み、さらに、キサンチンオキシダーゼ阻害剤とSGLT2阻害剤を投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、個体における高尿酸血症または痛風を処置するための方法が本明細書に記載され、上記方法は、本明細書に記載される、治療上有効な量の(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノンの結晶形態またはその溶媒和物を個体に投与する工程を含み、さらに、キサンチンオキシダーゼ阻害剤とSGLT2阻害剤を投与する工程を含み、ここで、キサンチンオキシダーゼ阻害剤は、アロプリノール、オキシプリノール、フェブキソスタット、トピロキソスタット、またはイノシトールであり、ならびに、SGLT2阻害剤は、カナグリフロジン、ダパグリフロジン、エンパグリフロジン、エンパグリフロジン/リナグリプチン、エンパグリフロジン/メトホルミン、およびダパグリフロジン/メトホルミンから選択される。
【0038】
引用による組み込み
本明細書で言及されるすべての公開物、特許、および特許出願は、適用可能かつ関連する範囲で、ならびに、あたかも個々の公開物、特許、または特許出願がそれぞれ参照により本明細書に具体的かつ個別に組み込まれるのと同じ程度にまで、参照により本明細書に組み込まれている。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】結晶性の(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノン(化合物1)、形態3のX線粉末回折(XRPD)パターンを例証する。
図2】結晶性の(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノン(化合物1)、形態3の熱重量分析(TGA)サーモグラムを例証する。
図3】結晶性の(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノン(化合物1)、形態3の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを例証する。
図4】結晶性の(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノン(化合物1)、形態2のX線粉末回折(XRPD)パターンを例証する。
図5】結晶性の(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノン(化合物1)、形態2の熱重量分析(TGA)サーモグラムを例証する。
図6】結晶性の(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノン(化合物1)、形態2の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを例証する。
図7】結晶性の(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノン(化合物1)、形態1のX線粉末回折(XRPD)パターンを例証する。
図8】結晶性の(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノン(化合物1)、形態1の熱重量分析(TGA)サーモグラムを例証する。
図9】結晶性の(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノン(化合物1)、形態1の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを例証する。
図10】結晶性の(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノン(化合物1)、形態3の重量蒸気吸着(GVS)分析を例証する。
図11】結晶性の(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノン(化合物1)、形態2の重量蒸気吸着(GVS)分析を例証する。
図12】結晶性の(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノン(化合物1)、形態1の重量蒸気吸着(GVS)分析を例証する。
【発明を実施するための形態】
【0040】
ベンズブロマロンは、血清尿酸値sUAを低下させ、痛風を処置するのに有効な尿酸排泄薬である。ベンズブロマロンを使用する治療では、単回の投与でもsUAが低下し、複数回の投与でも低下し続けること、および、慢性的に治療することでsUAを目標値である6mg/dL未満にすることができることがわかっている。しかしながら、特定の患者では、ベンズブロマロンは肝毒性に関連付けられている。これらの患者の大部分は急性肝不全を発症し、死亡または緊急肝移植に至っている。その結果、ベンズブロマロンは米国での使用が承認されなかった。加えて、欧州では、ベンズブロマロンの肝毒性のため、2003年に販売中止となった。ベンズブロマロンは、CYP2C9により反応性代謝物に変換される。ベンズブロマロンは、CYP2C9により6-OHベンズブロマロンを介して、5,6-ジヒドロキシベンズブロマロンに代謝され、その後、5,6-ジヒドロキシベンズブロマロンが酸化されて反応性のオルトキノン中間体が得られる。ベンズブロマロンの肝毒性のメカニズムは、CYP2C9による肝代謝と、ミトコンドリア機能に対する6-OHベンズブロマロンおよびそのさらなる代謝物の影響の可能性の結果であると考えられている(Iwamura et al.,Drug Metabolism and Disposition, 2011, 39, 838-846; Uchida et al., Drug Metab. Pharmacokinet.,2010, 25, 605-610)。
【0041】
【化1】
【0042】
(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノン(化合物1)の結晶形態、ベンズブロマロンの4,5,6,7-テトラ重水素(tertradeutero)アナログが本明細書に記載される。化合物1はベンズブロマロンよりも優れたインビトロURAT1効力を示した。化合物1はさらにベンズブロマロンと比較して、改善された代謝プロファイルを実証した。化合物1は、ヒトミクロソーム中のベンズブロマロンよりも安定している。化合物のCYP2C9代謝経路は著しく減少し、6-OHベンズブロマロン5、6-ジ-OHベンズブロマロン代謝物は形成されない。したがって、化合物1は、改善された肝毒性プロファイルを有する、高尿酸血症および痛風の処置のための有望な治療薬を表す。
【0043】
化合物1
1つの実施形態では、(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノンがある。「化合物1」または「(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノン」は、以下の構造を有する化合物を指す:
【0044】
【化2】
【0045】
いくつかの実施形態では、化合物1は溶媒付加形態(溶媒和物)を含む。溶媒和物は、化学量論または非化学量論のいずれかの量の溶媒和物を含み、薬学的に許容可能な溶媒、例えば、水、エタノール、メタノール、tert-ブチルメチルエーテル(MTBE)、ジイソプロピルエーテル(DIPE)、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、イソプロピルアルコール、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルエチルケトン(MEK)、アセトン、ニトロメタン、テトラヒドロフラン(THF)、ジクロロメタン(DCM)、ジオキサン、ヘプタン、トルエン、アニソール、アセトニトリルなどを用いる、生成物の形成または単離のプロセス中に形成される。いくつかの実施形態では、溶媒和物は、限定されないが、クラス3の溶媒和物を用いて形成される。いくつかの実施形態では、溶媒和物は、限定されないが、クラス2の溶媒和物を用いて形成される。溶媒のカテゴリーは、例えば、International Conference on Harmonization of Technical Requirements for Registration of Pharmaceuticals for Human Use (ICH),”Impurities: Guidelines for Residual Solvents,Q3C(R3),(R6)”(October 2016)で定義されている。水和物は溶媒が水である場合に形成され、アルコラートは溶媒がアルコールの際に形成される。
【0046】
他の実施形態では、化合物1は、限定されないが、非晶相、結晶形態、粉砕された形態、およびナノ微粒子形態を含む様々な形態で調製される。
【0047】
任意の特定の理論に縛られることなく、特定の固体形態は、医薬品剤形および治療用剤形に適切な物理的特性、例えば、安定性、溶解性、および溶解速度を特徴とする。さらに、任意の特定の理論に縛られることなく、特定の固体形態は、特定の固体形態を固形剤形の製造に適したものとする特定のプロセス(例えば、収率、濾過、洗浄、乾燥、粉砕、混合、錠剤化、流動性、溶解、製剤、および凍結乾燥)に影響を与える物理的特性(例えば、密度、圧縮性、硬度、形態、切断、粘着性、溶解性、水の取り込み、電気的特性、熱的挙動、固体状態反応性、物理的安定性、および化学的安定性)を特徴とする。こうした特性は、本明細書に記載されるように、固体状態の分析技術(例えば、X線回折、顕微鏡検査法、分光法、および熱分析)を含む特定の分析的な化学的技術を使用して決定することができる。
【0048】
結晶形態
医薬化合物の固体形態の同定および選択は、固体形態の変化が様々な物理的および化学的特性に影響を与える可能性があり、他の重要な医薬特徴の中でも、処理、製剤化、安定性、バイオアベイラビリティ、貯蔵、および取り扱い(例えば、出荷)において利点または欠点を提供する可能性があることを考えると、複雑である。有用な医薬用固形物としては、製品とその投与方法に応じて、結晶性固形物と非晶質固形物が挙げられる。非晶質固形物は長期にわたる構造秩序がないことを特徴としており、結晶性固形物は構造的な周期性を特徴としている。医薬用固形物の所望のクラスは、特定の用途に依存する。非晶質固形物はしばしば、溶解プロファイルの向上などを理由に選択され、結晶性固形物は、物理的または化学的安定性などの特性を理由に選択されることがある。
【0049】
結晶性であれ非晶性であれ、医薬化合物の固体形態は、単一成分固形物と複数成分固形物とを含む。単一成分固形物は実質的に、医薬化合物、または、他の化合物がない場合には、有効成分からなる。単一成分の結晶材料の多様性は多形現象から潜在的に生じる可能性があり、特定の医薬化合物には複数の三次元配置が存在する。
【0050】
特に、ある化合物の結晶体が存在するかどうかを事前に予測することはできず、ましてやどのようにしてその結晶体をうまく調製するかについては言うまでもない(例えば、Braga and Grepioni, 2005, “Making crystals from crystals: a green route to crystal engineering and polymorphism,” Chem. Commun.:3635-3645 を参照(結晶工学に関しては、指示が正確でなかったり、および/または、他の外的要因がプロセスに影響を及ぼしたりすると、結果が予測できないことがある);Jones et al., 2006, Pharmaceutical Cocrystals: An Emerging Approach to Physical Property Enhancement,” MRS Bulletin 31:875-879 (現時点では、最も単純な分子でさえ、観測可能な多形の数を計算で予測することは一般的には不可能である);Price, 2004, “The computational prediction of pharmaceutical crystal structures and polymorphism,” Advanced Drug Delivery Reviews 56:301-319 (“Price”);および、Bernstein, 2004, “Crystal Structure Prediction and Polymorphism,” ACA Transactions 39:14-23 (結晶構造を予測する能力、ましてや多形を予測する能力を、自信を持って言えるようになるには、まだまだ多くのことを学び、実行する必要がある))
【0051】
可能な固体形態の多様性は、所定の医薬化合物の物理的および化学的特性の潜在的な多様性を生み出す。固体形態の発見と選択は、効果的で安定した市場性のある医薬品の開発において非常に重要である。
【0052】
結晶性化合物1、形態3
いくつかの実施形態では、化合物1は結晶である。いくつかの実施形態では、化合物1は結晶かつ無水物である。いくつかの実施形態では、結晶性化合物1は、以下の特性:
(a)図1に示されるものと実質的に同じX線粉末回析(XRPD)パターン、
(b)6.8° 2-シータ、13.6° 2-シータ、14.6° 2-シータ、21.2° 2-シータ、24.2° 2-シータ、24.7° 2-シータ、26.7° 2-シータ、および27.5° 2-シータでの特徴的なピークを有する、X線粉末回折(XRPD)パターン、
(c)図2に示されるものに実質的に類似する熱重量分析(TGA)、
(d)図3に示されるものに実質的に類似するDSCサーモグラム、
(e)約147℃での開始点を有する吸熱を伴うDSCサーモグラム、
(f)非吸湿性、または、
(g)これらの組み合わせ、
の少なくとも1つを有することを特徴とする。
【0053】
いくつかの実施形態において、結晶性化合物1、形態3は、(a)-(f)から選択された特性の少なくとも2つを有することを特徴とする。いくつかの実施形態において、結晶性化合物1、形態3は、(a)-(f)から選択された特性の少なくとも3つを有することを特徴とする。いくつかの実施形態において、結晶性化合物1、形態3は、(a)-(f)から選択された特性の少なくとも4つを有することを特徴とする。いくつかの実施形態において、結晶性化合物1、形態3は、(a)-(f)から選択された特性の少なくとも5つを有することを特徴とする。いくつかの実施形態において、結晶性化合物1、形態3は、(a)-(f)の特性を有することを特徴とする。
【0054】
いくつかの実施形態では、結晶性化合物1、形態3は、図1に示されるものと実質的に同じX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。いくつかの実施形態では、結晶性化合物1、形態3は、6.8° 2-シータ、13.6° 2-シータ、14.6° 2-シータ、21.2° 2-シータ、24.2° 2-シータ、24.7° 2-シータ、26.7° 2-シータ、および27.5° 2-シータでの特徴的なピークを有する、X線粉末回折(XRPD)パターンを有する。いくつかの実施形態では、結晶性化合物1、形態3は、図2に示されるものと実質的に同じ熱重量分析(TGA)サーモグラムを有する。いくつかの実施形態では、結晶性化合物1、形態3は、図3に示されるものと実質的に同じDSCサーモグラムを有する。いくつかの実施形態では、結晶性化合物1、形態3は、約147℃での開始点を有する吸熱を伴うDSCサーモグラムを有する。いくつかの実施形態では、結晶性化合物1、形態3は非吸湿性である。いくつかの実施形態では、結晶性化合物1、形態3は、トルエン、トルエン/ヘプタン、または酢酸エチル/ヘプタンから得られる。いくつかの実施形態では、結晶性化合物1、形態3はトルエンから得られる。いくつかの実施形態では、結晶性化合物1、形態3はトルエン/ヘプタンから得られる。いくつかの実施形態では、結晶性化合物1、形態3は酢酸エチル/ヘプタンから得られる。いくつかの実施形態では、結晶性化合物1、形態3は溶媒和される。いくつかの実施形態では、結晶性化合物1、形態3は溶媒和されない。
【0055】
結晶性化合物1、形態2
いくつかの実施形態では、結晶性化合物1は、以下の特性:
(a)図4に示されるものと実質的に同じX線粉末回析(XRPD)パターン、
(b)8.3° 2-シータ、10.7° 2-シータ、16.6° 2-シータ、19.7° 2-シータ、23.7° 2-シータ、25.0° 2-シータ、25.6° 2-シータ、および27.1° 2-シータでの特徴的なピークを有する、X線粉末回折(XRPD)パターン、
(c)図5に示されるものに実質的に類似する熱重量分析(TGA)、
(d)図6に示されるものに実質的に類似するDSCサーモグラム、
(e)約139℃での開始点を有する吸熱を伴うDSCサーモグラム、
(f)非吸湿性、または、
(g)これらの組み合わせ、
の少なくとも1つを有することを特徴とする。
【0056】
いくつかの実施形態において、結晶性化合物1、形態2は、(a)-(f)から選択された特性の少なくとも2つを有することを特徴とする。いくつかの実施形態において、結晶性化合物1、形態2は、(a)-(f)から選択された特性の少なくとも3つを有することを特徴とする。いくつかの実施形態において、結晶性化合物1、形態2は、(a)-(f)から選択された特性の少なくとも4つを有することを特徴とする。いくつかの実施形態において、結晶性化合物1、形態2は、(a)-(f)から選択された特性の少なくとも5つを有することを特徴とする。いくつかの実施形態において、結晶性化合物1、形態2は、(a)-(f)の特性を有することを特徴とする。
【0057】
いくつかの実施形態では、結晶性化合物1、形態2は、図4に示されるものと実質的に同じX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。いくつかの実施形態では、結晶性化合物1、形態2は、8.3° 2-シータ、10.7° 2-シータ、16.6° 2-シータ、19.7° 2-シータ、23.7° 2-シータ、25.0° 2-シータ、25.6° 2-シータ、および27.1° 2-シータでの特徴的なピークを有する、X線粉末回折(XRPD)パターンを有する。いくつかの実施形態では、結晶性化合物1、形態2は、図5に示されるものと実質的に同じ熱重量分析(TGA)サーモグラムを有する。いくつかの実施形態では、結晶性化合物1、形態2は、図6に示されるものと実質的に同じDSCサーモグラムを有する。いくつかの実施形態では、結晶性化合物1、形態2は、約139℃での開始点を有する吸熱を伴うDSCサーモグラムを有する。いくつかの実施形態では、結晶性化合物1、形態2は非吸湿性である。いくつかの実施形態では、結晶性化合物1、形態2は、トルエン、トルエン/ヘプタン、または酢酸エチル/ヘプタンから得られる。いくつかの実施形態では、結晶性化合物1、形態2はトルエンから得られる。いくつかの実施形態では、結晶性化合物1、形態2はトルエン/ヘプタンから得られる。いくつかの実施形態では、結晶性化合物1、形態2は酢酸エチル/ヘプタンから得られる。いくつかの実施形態では、結晶性化合物1、形態2は溶媒和される。いくつかの実施形態では、結晶性化合物1、形態2は溶媒和されない。
【0058】
結晶性化合物1、形態1
いくつかの実施形態では、結晶性化合物1は、以下の特性:
(a)図7に示されるものと実質的に同じX線粉末回析(XRPD)パターン、
(b)5.6° 2-シータ、11.5° 2-シータ、13.8° 2-シータ、14.3° 2-シータ、17.0° 2-シータ、18.9° 2-シータ、27.9° 2-シータ、および31.4° 2-シータでの特徴的なピークを有する、X線粉末回折(XRPD)パターン、
(c)図8に示されるものに実質的に類似する熱重量分析(TGA)、
(d)図9に示されるものに実質的に類似するDSCサーモグラム、
(e)約80℃での開始点を有する吸熱を伴うDSCサーモグラム、または、
(f)これらの組み合わせ、
の少なくとも1つを有することを特徴とする。
【0059】
いくつかの実施形態において、結晶性化合物1、形態1は、(a)-(e)から選択された特性の少なくとも2つを有することを特徴とする。いくつかの実施形態において、結晶性化合物1、形態1は、(a)-(e)から選択された特性の少なくとも3つを有することを特徴とする。いくつかの実施形態において、結晶性化合物1、形態1は、(a)-(e)から選択された特性の少なくとも4つを有することを特徴とする。いくつかの実施形態において、結晶性化合物1、形態1は、(a)-(e)の特性を有することを特徴とする。
【0060】
いくつかの実施形態では、結晶性化合物1、形態1は、図7に示されるものと実質的に同じX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。いくつかの実施形態では、結晶性化合物1、形態1は、5.6° 2-シータ、11.5° 2-シータ、13.8° 2-シータ、14.3° 2-シータ、17.0° 2-シータ、18.9° 2-シータ、27.9° 2-シータ、および31.4° 2-シータでの特徴的なピークを有する、X線粉末回折(XRPD)パターンを有する。いくつかの実施形態では、結晶性化合物1、形態1は、図8に示されるものと実質的に同じ熱重量分析(TGA)サーモグラムを有する。いくつかの実施形態では、結晶性化合物1、形態1は、図9に示されるものと実質的に同じDSCサーモグラムを有する。いくつかの実施形態では、結晶性化合物1、形態1は、約80℃での開始点を有する吸熱を伴うDSCサーモグラムを有する。いくつかの実施形態では、結晶性化合物1、形態1は非吸湿性である。いくつかの実施形態では、結晶性化合物1、形態1は、トルエン、トルエン/ヘプタン、または酢酸エチル/ヘプタンから得られる。いくつかの実施形態では、結晶性化合物1、形態1はトルエンから得られる。いくつかの実施形態では、結晶性化合物1、形態1はトルエン/ヘプタンから得られる。いくつかの実施形態では、結晶性化合物1、形態1は酢酸エチル/ヘプタンから得られる。いくつかの実施形態では、結晶性化合物1、形態1は溶媒和される。いくつかの実施形態では、結晶性化合物1、形態1は溶媒和されない。
【0061】
結晶性化合物1の調製
いくつかの実施形態では、実施例に概説されるように、化合物1の結晶形態が調製される。本明細書で提示される溶媒、温度、および他の反応条件は変動してもよいことに留意する。
【0062】
ある実施形態では、化合物1の固体形態を作るための方法が本明細書で提供され、上記方法は、1)第1の温度(例えば、約50℃)で溶媒において化合物1の飽和溶液を得る工程と;2)第1の温度で上記飽和溶液に貧溶媒を加える工程;3)第2の温度(例えば、約-5℃~室温)に冷ます工程と;4)沈殿がある場合には固体を集め、および沈澱がない場合には、固体を集めるために上記溶媒を蒸発させる工程と;5)随意に乾燥させる工程とを含む。特定の実施形態では、本明細書には、化合物1の固体形態を作るための方法が提供され、上記方法は、1)約50℃で溶媒において化合物1の飽和溶液を得る工程と;2)約50℃で上記飽和溶液に貧溶媒を加える工程と;3)ほぼ室温に冷ます工程と;4)沈殿がある場合には固体を集め、および沈澱がない場合には、固体を集めるために上記溶媒を蒸発させる工程と;5)随意に風乾させる工程とを含む。特定の実施形態において、溶媒および貧溶媒の容積比は約1:9である。特定の実施形態において、溶媒および貧溶媒の容積比は約1:4である。特定の実施形態において、溶媒および貧溶媒の容積比は約1:2である。特定の実施形態において、溶媒および貧溶媒の容積比は約1:1である。特定の実施形態において、化合物1の固体形態を作るための方法は、貧溶媒添加晶析実験(anti-solvent recrystallization experiments)である。
【0063】
別の実施形態において、結晶性化合物1、形態3は実質的に純粋ではない。特定の実施形態において、実質的に純粋な結晶性化合物1、形態3は、他の固体形態、例えば、非晶質固体を実質的に含まない。特定の実施形態において、実質的に純粋な結晶性化合物1、形態3の純度は、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約98.5%以上、約99%以上、約99.5%以上、または約99.8%以上である。
【0064】
別の実施形態において、結晶性化合物1、形態2は実質的に純粋ではない。特定の実施形態において、実質的に純粋な結晶性化合物1、形態2は、他の固体形態、例えば、非晶質固体を実質的に含まない。特定の実施形態において、実質的に純粋な結晶性化合物1、形態2の純度は、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約98.5%以上、約99%以上、約99.5%以上、または約99.8%以上である。
【0065】
別の実施形態において、結晶性化合物1、形態1は実質的に純粋ではない。特定の実施形態において、実質的に純粋な結晶性化合物1、形態1は、他の固体形態、例えば、非晶質固体を実質的に含まない。特定の実施形態において、実質的に純粋な結晶性化合物1、形態1の純度は、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約98.5%以上、約99%以上、約99.5%以上、または約99.8%以上である。
【0066】
適切な溶媒
ヒトなどの哺乳動物に投与可能な治療薬は、規制ガイドラインに従って調製されなければならない。こうした政府により規制されたガイドラインは、製造管理および品質管理規則(GMP)と呼ばれる。GMPガイドラインは、例えば、最終生成物中の残留溶媒の量などの、活性治療薬の許容可能な汚染レベルを概説したものである。いくつかの実施形態では、本明細書で開示される溶媒は、GMP設備での使用に適しており、かつ産業上の安全性に係る懸念に矛盾しないものである。溶媒のカテゴリーは、例えば、日米EU医薬品規制調和国際会議(the International Conference on Harmonization of Technical Requirements for Registration of Pharmaceuticals for Human Use)(ICH)“Impurities: Guidelines for Residual Solvents Q3C(R6),”(October 2016)において定義される。
【0067】
溶媒は3つのクラスに分類される。クラス1の溶媒は毒性であり、避けるべきものとされている。クラス2の溶媒は、治療薬の製造中の使用に制限された溶媒である。クラス3の溶媒は、毒性の可能性が低く、ヒトの健康に対するリスクが低い溶媒である。クラス3の溶媒のデータは、それが急性または短期の研究において毒性が低く、遺伝毒性試験で陰性であることを示す。
【0068】
回避されるべきクラス1の溶媒は、ベンゼン;四塩化炭素;1,2-ジクロロエタン;1,1-ジクロロエテン;および、1,1,1-トリクロロエタンを含む。
【0069】
クラス2の溶媒の例は:アセトニトリル、クロロベンゼン、クロロホルム、クメン、シクロヘキサン、1,2-ジクロロエテン、ジクロロメタン、1,2-ジメトキシエタン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、1,4-ジオキサン、2-エトキシエタノール、エチレングリコール、ホルムアミド、ヘキサン、メタノール、2-メトキシエタノール、メチルブチルケトン、メチルシクロヘキサン、メチルイソブチルケトン、N-メチルピロリドン、ニトロメタン、ピリジン、スルホラン、テトラヒドロフラン、テトラリン、トルエン、1,1,2-トリクロロエテン、およびキシレンである。
【0070】
毒性の低いクラス3の溶媒は:酢酸、アセトン、アニソール、1-ブタノール、2-ブタノール、酢酸ブチル、tert-ブチルメチルエーテル(MTBE)、ジメチルスルホキシド、エタノール、酢酸エチル、エチルエーテル、ギ酸エチル、ギ酸、ヘプタン、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸メチル、3-メチル-1-ブタノール、メチルエチルケトン、2-メチル-1-プロパノール、ペンタン、1-ペンタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、酢酸プロピル、およびトリエチルアミンを含む。
【0071】
医薬品有効成分(API)中の残留溶媒はAPIの製造から生じる。場合によっては、溶媒は、実際の製造技術では完全に取り除かれない。APIの合成のための溶媒を適切に選択すると、収率を増強したり、結晶形、純度、および溶解度などの特性を決定したりすることができる。それゆえ、合成プロセスにおいて溶媒は重大なパラメータである。
【0072】
いくつかの実施形態では、化合物1を含む組成物は有機溶媒を含む。いくつかの実施形態では、化合物1を含む組成物は、残存量の有機溶媒を含む。いくつかの実施形態では、化合物1を含む組成物は、残存量のクラス3の溶媒を含む。いくつかの実施形態では、有機溶媒はクラス3の溶媒である。いくつかの実施形態では、クラス3の溶媒は、酢酸、アセトン、アニソール、1-ブタノール、2-ブタノール、酢酸ブチル、tert-ブチルメチルエーテル(MTBE)、ジメチルスルホキシド、エタノール、酢酸エチル、エチルエーテル、ギ酸エチル、ギ酸、ヘプタン、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸メチル、3-メチル-1-ブタノール、メチルエチルケトン、2-メチル-1-プロパノール、ペンタン、1-ペンタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、酢酸プロピル、およびトリエチルアミンからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、クラス3の溶媒は、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、tert-ブチルメチルエーテル、ヘプタン、イソプロパノール、およびエタノールからなる群から選択される。
【0073】
いくつかの実施形態では、化合物1を含む組成物は、残存量のクラス2の溶媒を含む。いくつかの実施形態では、有機溶媒はクラス2の溶媒である。いくつかの実施形態では、クラス2の溶媒は、アセトニトリル、クロロベンゼン、クロロホルム、クメン、シクロヘキサン、1,2-ジクロロエテン、ジクロロメタン、1,2-ジメトキシエタン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、1,4-ジオキサン、2-エトキシエタノール、エチレングリコール、ホルムアミド、ヘキサン、メタノール、2-メトキシエタノール、メチルブチルケトン、メチルシクロヘキサン、メチルイソブチルケトン、N-メチルピロリジン、ニトロメタン、ピリジン、スルホラン、テトラヒドロフラン、テトラリン、トルエン、1,1,2-トリクロロエテン、およびキシレンからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、クラス2の溶媒は、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、およびトルエンからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、クラス2の溶媒はアセトニトリルである。
【0074】
いくつかの実施形態では、化合物1を含む組成物は、適切な毒物学的データが認められなかった残存量の溶媒を含む。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、適切な毒物学的データが認められなかった溶媒である。いくつかの実施形態では、溶媒は、2-ブタノンおよび2-メチルテトラヒドロフランからなる群から選択される。
【0075】
特定の用語
別段の定めのない限り、本明細書で使用される技術用語および科学用語はすべて、主張される主題が属する当該技術分野の当業者により一般に理解されるのと同じ意味を有する。前述の一般的な記載および以下の詳細な記載が典型的かつ説明的なものに過ぎず、いかなる本願の主題を限定するものではないことが理解されよう。本出願では、単数形の使用は、特に明記されない限り複数形を含む。明細書および添付の請求項内で用いられる通り、単数形「a」、「an」、および「その(the)」は、その文脈が明確に他のことを定めていない限り、複数の指示対象を含む。本出願において、「または」の使用は、特に明記しない限り、「および/または」を意味する。さらに、用語「含んでいる(including)」の使用は、「含む(include)」、「含む(includes)」、および「含まれる(included)」といった他の形態と同じく、限定的なものではない。用語「含んでいる(comprising)」(および、「含む(comprise)」または「含む(comprises)」、または「有している(having)」または「含んでいる(including)」などの関連語)は、他の実施形態において、例えば、本明細書に記載される任意の合成物、組成物、方法、またはプロセスなどの実施形態が、記載された特徴「~からなる」または「~から本質的になる」場合があることを除外することを意図したものではない。数または数の範囲について言及するときの用語「約」は、言及される数または数の範囲が、実験的な可変性の範囲内の(または統計的実験誤差内の)概算であることを意味し、ゆえに、数または数の範囲は明示された数または数の範囲の1%~15%の間で変動することがある。
【0076】
本明細書に使用される段落の見出しは、組織化するためのものに過ぎず、記載される主題を限定するものと解釈されてはならない。限定されないが、特許、特許出願、記事、書籍、説明書、および論文を含む、出願で引用されるすべての文献または文献の一部は、のためにそのまま引用されることによって明確に組み込まれる。
【0077】
本明細書に使用されるように、製剤、組成物、または成分に関して、「許容可能な」または「薬学的に許容可能な」との用語は、処置される被験体の全般的な健康に対して持続的で有害な効果を及ぼさないこと、または、化合物の生物活性または特性を抑止せず、比較的無毒である、ということを意味する。
【0078】
本明細書で使用されるように、特定の化合物または医薬組成物を投与することによる、特定の疾患、障害、または疾病の症状の「寛解」は、永久的であるか一時的であるか、持続性であるか一過性であるかにかかわらず、化合物または組成物の投与に起因または関連し得る、重篤度を減らし、発症を遅らせ、進行を遅らせ、または期間を短くすることを指す。
【0079】
「バイオアベイラビリティ」とは、研究される動物またはヒトの全身循環に送達される、投与される化合物1のパーセンテージを指す。静脈内投与されたときの薬物の総曝露(AUC(0-∞))は一般に、100%生物学的利用能(F%)であるとして定義される。「経口バイオアベイラビリティ」とは、静脈注射と比較して、医薬組成物が経口で摂取されるときに化合物1が全身循環に吸収される程度を指す。
【0080】
「血漿濃度」とは、被験体の血液の血漿成分中の化合物1の濃度を指す。化合物1の血漿濃度は、代謝に関連する可変性および/または他の治療薬との可能性のある相互作用により、被験体によって著しく変わる場合があることを理解されたい。本明細書で開示される1つの実施形態に合わせて、化合物1の血漿濃度は被験体ごとに変わる場合がある。同様に、最大血漿中濃度(Cmax)あるいは最大血漿中濃度に達するまでの時間(Tmax)、または血漿中濃度時間曲線下の総面積(AUC(0-∞))などの値は、被験体ごとに変わる場合がある。この可変性により、化合物1の「治療上有効な量」を構成するのに必要な量は、被験体ごとに変わる場合がある。
【0081】
「同時投与」などの用語は、本明細書で使用されるように、選択された治療薬の1人の患者への投与を包含するように意図され、同じまたは異なる投与経路あるいは同じまたは異なる時間で治療薬が投与される処置レジメンを含むように意図されている。
【0082】
「有効な量」または「治療上有効な量」とは、本明細書で使用されるように、処置されている疾患または疾病の症状の1つ以上をある程度緩和する、投与されている薬剤または化合物の十分な量を指す。その結果、疾患の兆候、症状、もしくは原因を減少および/または軽減するか、あるいは生物系に他の望ましい変化をもたらすことができる。例えば、治療用途での「有効な量」とは、過度の有害な副作用を生じさせずに疾患症状を臨床的に有意に減少させるために必要とされる、本明細書で開示される化合物を含む組成物の量である。任意の個々の症例での適切な「有効な量」は、用量漸増研究などの技術を使用して決定することができる。「治療上有効な量」との用語は、例えば、予防上有効な量を含む。本明細書で開示される化合物の「有効な量」とは、過度の有害な副作用を生じさせることなく、所望の薬理学的効果または治療の向上を達成するのに有効な量である。「有効な量」または「治療上有効な量」は、化合物1の代謝の変動、被験体の年齢、体重、全身状態、処置されている疾病、処置されている疾病の重症度、および処方医師の判断により、被験体ごとに異なる場合があることに留意されたい。ほんの一例として、治療上有効な量は、用量漸増臨床試験によって決定され得る。
【0083】
「増強する(enhannce)」または「増強すること(enhancing)」との用語は、効力または持続時間のいずれかにおいて、所望の効果を増大または延長することを意味する。例として、治療薬の効果を「増強すること」は、疾患、障害、あるいは疾病の処置中に、効力または持続期間のいずれかにおいて治療薬の効果を増大または延長する能力を指す。「増強に有効な量」とは、本明細書で使用されるように、疾患、障害、または疾病の処置において治療薬の効果を増強するのに適切な量を指す。患者に使用する場合、この用途に有効な量は、疾患、障害、または疾病の重篤度および経過、以前の治療、患者の健康状態、ならびに薬物に対する反応、ならびに処置を行う医師の判断に依存する。
【0084】
「予防上有効な量」との用語は、本明細書で使用されるように、処置される疾患、疾病、または障害の症状の1つ以上をある程度緩和する、患者に適用される組成物の量を指す。そのような予防的用途では、そのような量は、患者の健康状態、体重などに依存し得る。一例として、用量漸増臨床試験によって、そのような予防上有効な量を決定することができる。
【0085】
本明細書で使用されるように、「被験体」との用語は、治療、観察、または実験の対象である動物を指す。ほんの一例として、被験体は、限定されないが、ヒトを含む哺乳動物であってもよいが、これに限定されない。
【0086】
本明細書で使用されるように、「標的活性」との用語は、選択的モジュレーターによって調節することができる生物活性を指す。ある典型的な標的活性としては、限定されないが、結合親和性、シグナル伝達、酵素活性、腫瘍増殖、炎症または炎症に関連するプロセス、および、疾患あるいは疾病に関連する1つ以上の症状の改善が挙げられる。
【0087】
「処置する(treat)」、「処置すること(treating)」、および「処置(treatment)」との用語は、本明細書で使用されるように、疾患または疾病の症状を軽減するか、減少するか、または寛解すること、さらなる症状を予防すること、症状の根底にある代謝の原因を寛解または予防すること、疾患または疾病を阻害すること、例えば、疾患または疾病の進行を阻止すること、疾患または疾病を緩和すること、疾患または疾病を退行させること、疾患または疾病により生じる状態を緩和すること、もしくは疾患または疾病の症状を止めることを含む。「処置する」、「処置すること」、あるいは「処置」との用語は、限定されないが、予防的および/または治療的な処置を含む。
【0088】
本明細書で使用されるように、IC50とは、特定の試験化合物によって誘導されるか、引き起こされるか、または、強められる特定の反応の最大発現の50%で用量依存性の反応を誘発する、特定の試験化合物の1回分の用量、濃度、または量を指す。
【0089】
医薬組成物/製剤
医薬組成物は、薬学的に使用され得る製剤への活性化合物の処理を促進する賦形剤および助剤を含む、1つ以上の生理学的に許容可能な担体を使用する従来の方法で製剤化され得る。適切な製剤は、選択される投与経路に依存する。本明細書に記載される医薬組成物の要約は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,Nineteenth Ed(Easton,Pa.:Mack Publishing Company,1995)、Hoover,John E.,Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,Pennsylvania 1975、Liberman,H.A.and Lachman,L.,Eds.,Pharmaceutical Dosage Forms,Marcel Decker,New York,N.Y.,1980、およびPharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Seventh Ed.(Lippincott Williams & Wilkins1999)で見られるものを含み、これらの文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0090】
医薬組成物とは、明細書で使用されるように、(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノン(化合物1)と、担体、安定化剤、希釈剤、分散剤、懸濁化剤、増粘剤、および/または賦形剤などの他の化学成分との混合物を指す。医薬組成物は、哺乳動物への化合物の投与を促進する。本明細書で提供される処置方法または使用方法を行う際に、治療上有効な量の化合物1は、処置される疾患、障害、または疾病を抱える哺乳動物に医薬組成物として投与される。好ましくは、哺乳動物はヒトである。治療上有効な量は、疾患の重症度、被験体の年齢および相対的な健康状態、使用される化合物の効力、ならびに他の要因に応じて、大きく異なる場合がある。本明細書に記載される化合物は、単独で、または、混合物の成分として1以上の治療薬と組み合わせて使用される。
【0091】
いくつかの実施形態では、(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノン(化合物1)と、薬学的に許容可能な担体、希釈剤、および賦形剤から選択される少なくとも1つの不活性成分とを含む医薬組成物がある。いくつかの実施形態では、化合物1の結晶形態と、薬学的に許容可能な担体、希釈剤、および賦形剤から選択される少なくとも1つの不活性成分とを含む医薬組成物がある。いくつかの実施形態では、化合物1の結晶形態である形態3と、薬学的に許容可能な担体、希釈剤、および賦形剤から選択される少なくとも1つの不活性成分とを含む、医薬組成物がある。いくつかの実施形態では、化合物1の結晶形態である形態2と、薬学的に許容可能な担体、希釈剤、および賦形剤から選択される少なくとも1つの不活性成分とを含む、医薬組成物がある。いくつかの実施形態では、化合物1の結晶形態である形態1と、薬学的に許容可能な担体、希釈剤、および賦形剤から選択される少なくとも1つの不活性成分とを含む、医薬組成物がある。
【0092】
本明細書で使用されるように、「薬学的な組み合わせ(pharmaceutical combination)」との用語は、1つを超える有効成分の混合または組み合わせから生じる生成物を意味し、有効成分の固定されたおよび固定されていない組み合わせの両方を含む。「固定された組み合わせ」との用語は、有効成分、例えば、化合物1と、助剤(co-agent)の両方が単一の実体または投与量の形態で患者に同時に投与されることを意味する。「固定されていない組み合わせ」との用語は、有効成分、例えば、化合物1と、助剤が別個の実体として、特定の介在時間の制限を設けずに、同時に、同時的に、または順次に患者に投与されることを意味し、そのような投与は、患者の体内で有効なレベルの2つの化合物を提供する。後者はさらにカクテル療法、例えば、3つ以上の有効成分の投与にも適用される。
【0093】
本明細書に記載される化合物を含む医薬組成物は、ほんの一例として、従来の混合、溶解、粒状化、糖衣剤製造(dragee-making)、ゲル状化、乳化、カプセル化、封入化、または圧縮のプロセスといった従来の手法で製造されることがある。
【0094】
剤形
本明細書に記載される医薬組成物は、限定されないが、経口、非経口(例えば、静脈内、皮下、または筋肉内)、頬側、鼻腔内、直腸、または経皮の投与経路を含む、任意の従来の手段を介する哺乳動物への投与のために製剤化され得る。本明細書で使用されるように、「被験体」または「個体」との用語は、動物、好ましくは、ヒトまたは非ヒトを含む哺乳動物を意味するために使用される。個体、患者、および被験体との用語は、互換的に使用され得る。
【0095】
さらに、化合物1を含む本明細書に記載される医薬組成物は、適切な剤形、限定されないが、固形経口剤形、制御放出製剤、即時溶解製剤、発泡性製剤、錠剤、粉末、丸剤、カプセル剤、遅延放出製剤、持続放出製剤、パルス放出製剤、多粒子製剤(multiparticulate formulations)、および即時放出と制御放出の混合製剤を含む剤形へと製剤化され得る。
【0096】
経口使用のための医薬製剤は、1つ以上の固体の賦形剤を本明細書に記載される化合物の1つ以上と混合し、随意に結果として生じる混合物を粉砕し、および、必要に応じて適切な助剤を加えた後に、顆粒剤の混合物を処理することで、錠剤または糖衣剤コアを得ることによって得ることができる。適切な賦形剤としては、例えば、ラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトールを含む糖などの充填材;例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、微結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース調製物;または、ポリビニルピロリドン(PVPあるいはポビドン)もしくはリン酸カルシウムなどその他のものが挙げられる。必要に応じて、架橋したクロスカルメロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、寒天、または、アルギン酸あるいはその塩、例えば、アルギン酸ナトリウムといった崩壊剤が加えられてもよい。
【0097】
経口で使用され得る医薬調製物は、ゼラチンで作られた押し込み型カプセル剤、ならびに、グリセロールまたはソルビトールなどの、ゼラチンおよび可塑剤で作られた柔らかい、密閉されたカプセル剤も含む。押し込み型カプセルは、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤、および/またはタルクあるいはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、ならびに場合によっては安定化剤と混合した状態で有効成分を含むことができる。ソフトカプセルでは、活性化合物は、脂肪油、流動パラフィン、または液体ポリエチレングリコールなどの適切な液体中に溶解または懸濁されてもよい。さらに、安定剤が添加されてもよい。経口投与用の製剤はすべて、このような投与に適した用量でなければならない。
【0098】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示される固体剤形は、錠剤(懸濁液錠剤、速溶性錠剤、咬傷崩壊錠剤、急崩壊錠剤、発泡錠、またはカプレットを含む)、丸剤、粉剤(無菌のパッケージ化された粉剤、分注可能な粉剤、または発泡性の粉剤を含む)、カプセル剤(ソフトカプセルまたはハードカプセルの両方、例えば、動物由来のゼラチンまたは植物由来のHPMCから作られたカプセル剤、あるいは、「スプリンクルカプセル(sprinkle capsules)」、固形の分散剤、固溶体、生体内分解性剤形、制御放出製剤、パルス状放出剤形、多粒子剤形、ペレット剤、顆粒剤、またはエアロゾルの形態であってもよい。他の実施形態では、医薬製剤は粉末剤の形態である。さらに他の実施形態では、医薬製剤は、限定されないが、速溶錠剤を含む錠剤の形態である。加えて、本明細書に記載される医薬製剤は、単一のカプセル剤として、または複数のカプセル剤の剤形として投与されてもよい。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、2、3、あるいは4つのカプセル剤または錠剤で投与される。
【0099】
いくつかの実施形態では、固体剤形、例えば、錠剤、発泡錠剤、およびカプセル剤は、化合物1の粒子を1つ以上の医薬賦形剤と混合して、バルク混合組成物を形成することによって調製される。均質なものとしてこれらのバルク混合組成物について言及する場合、組成物が錠剤、丸剤、およびカプセル剤などの等しく有効な単位剤形へと容易に細分され得るように、化合物1の粒子が、組成物の全体にわたって均一に分散されることが意図される。個々の単位投与量は、経口摂取後あるいは希釈剤との接触後に崩壊する、フィルムコーティングをさらに含み得る。こうした製剤は、従来の薬理学的技術によって製造され得る。
【0100】
従来の薬理学的技術は、例えば、以下の方法の1つまたは組み合わせを含む:(1)乾燥混合、(2)直接圧縮、(3)ミリング、(4)乾燥あるいは非水性の造粒、(5)湿式造粒法、または(6)融合。例えば、Lachman et al.,The Theory and Practice of Industrial Pharmacy(1986)を参照。他の方法としては、例えば、噴霧乾燥、パンコーティング、溶解造粒(melt granulation)、造粒、流動床噴霧乾燥あるいはコーティング(例えば、ウースターコーティング)、接点コーティング(tangential coating)、頂部噴霧(top spraying)、錠剤化、押し出しなどが挙げられる。
【0101】
本明細書に記載される薬学的に固形の剤形は、化合物1、および1つ以上の薬学的に許容可能な添加剤、例えば、互換性をもつ担体、結合剤、充填剤、懸濁化剤、香味剤、甘味剤、崩壊剤、分散剤、界面活性剤、潤滑剤、着色剤、希釈剤、溶解剤、加湿剤、可塑剤、安定剤、経皮吸収促進剤、湿潤剤、抗起泡剤、酸化防止剤、防腐剤、またはそれらの1つ以上の組み合わせなどを含み得る。さらに別の態様では、Remington’s Pharmaceutical Sciences,20th Edition(2000)に記載される手順などの標準コーティング手順を使用して、化合物1の製剤のまわりにフィルムコーティングが施される。一実施形態では、化合物1の粒子の一部またはすべてがコーティングされる。別の実施形態では、化合物1の粒子の一部またはすべてがマイクロカプセル化される。さらに別の実施形態では、化合物1の粒子はマイクロカプセル化もコーティングもされない。
【0102】
本明細書に記載される固体剤形に使用される適切な担体としては、限定されないが、アラビアゴム、ゼラチン、コロイド状二酸化ケイ素、グリセロリン酸カルシウム、乳酸カルシウム、マルトデキストリン、グリセリン、ケイ酸マグネシウム、カゼイン酸ナトリウム、大豆レシチン、塩化ナトリウム、リン酸三カルシウム、リン酸二カリウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、カラギーナン、モノグリセリド、ジグリセリド、α化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートステアレート(hydroxypropylmethylcellulose acetate stearate)、スクロース、微結晶性セルロース、ラクトース、マンニトールなどが挙げられる。
【0103】
本明細書に記載される固体剤形に使用される適切な充填剤としては、限定されないが、ラクトース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、硫酸カルシウム、微結晶性セルロース、セルロース粉末、デキストロース、デキストレート、デキストラン、デンプン、α化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートステアレート(HPMCAS)、スクロース、キシリトール、ラクチトール、マンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウム、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。
【0104】
固体剤形マトリックスからできるだけ効率的に化合物1を放出するために、特に剤形が結合剤で圧縮される場合には、崩壊剤がしばしば製剤に使用される。崩壊剤は、水分が剤形に吸収される際に、膨張または毛細管作用によって剤形マトリクスを破裂させるのを助ける。本明細書に記載される固体剤形に使用される適切な崩壊剤としては、トウモロコシデンプンまたはジャガイモデンプンなどの天然デンプン、National1551またはAmijel(登録商標)などのα化デンプン、あるいはPromogel(登録商標)またはExplotab(登録商標)などのデンプングリコール酸ナトリウム、木材生成物などのセルロース、メチル結晶性セルロース、例えば、Avicel(登録商標)、Avicel(登録商標)PH101、Avicel(登録商標)PH102、Avicel(登録商標)PH105、Elcema(登録商標)P100、Emcocel(登録商標)、Vivacel(登録商標)、Ming Tia(登録商標)、および、Solka-Floc(登録商標)、メチルセルロース、クロスカルメロース、または架橋セルロース、例えば、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(Ac-Di-Sol(登録商標)、架橋カルボキシメチルセルロース、または架橋クロスカルメロース、架橋デンプン、例えば、デンプングリコール酸ナトリウム、架橋ポリマー、例えば、クロスポビドン、架橋ポリビニルピロリドン、アルギン酸塩、例えば、アルギン酸またはアルギン酸の塩、例えば、アルギン酸ナトリウム、粘土、例えば、Veegum(登録商標)HV(ケイ酸アルミニウムマグネシウム)、ゴム、例えば、寒天、グアー、ローカストビーン、カラヤ、ペクチン、あるいはトラガント、デンプングリコール酸ナトリウム、ベントナイト、天然スポンジ、界面活性剤、樹脂、例えば、陽イオン交換樹脂、柑橘類の果肉、ラウリル硫酸ナトリウム、デンプンと組み合わせたラウリル硫酸ナトリウムなどが挙げられる。本明細書で提供されるいくつかの実施形態では、崩壊剤は、天然のデンプン、α化デンプン、ナトリウムデンプン、メチル結晶(methylcrystalline)セルロース、メチルセルロース、クロスカルメロース、クロスカルメロースナトリウム、架橋したナトリウムカルボキシメチルセルロース、架橋したカルボキシメチルセルロース、架橋したクロスカルメロース、架橋したデンプン、例えば、ナトリウムデンプングリコレート、架橋したポリマー、例えば、クロスポビドン、架橋したポリビニルピロリドン、アルギン酸ナトリウム、粘土、またはゴムからなる群から選択される。本明細書で提供されるいくつかの実施形態では、崩壊剤はクロスカルメロースナトリウムである。
【0105】
結合剤は、固体経口剤形の製剤に接着性を与える:粉末を充填したカプセル製剤の場合、結合剤は、ソフトシェルまたはハードシェルのカプセルに充填可能な栓の形成を補助するものであり、錠剤製剤の場合、結合剤は、圧縮後に錠剤が確実に無傷で残るようにし、圧縮または充填の工程前の混合均一性を保証するのを助ける。本明細書に記載される固体剤形の結合剤としての使用に適した材料としては、限定されないが、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース(例えば、Methocel(登録商標))、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、Hypromellose USP Pharmacoat-603)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートステアレート(Aqoate HS-LFおよびHS)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(例えば、Klucel(登録商標))、エチルセルロース(例えば、Ethocel(登録商標))、および微結晶性セルロース(例えば、Avicel(登録商標))、微結晶性デキストロース、アミロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、多糖酸(polysaccharide acids)、ベントナイト、ゼラチン、ポリビニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマー、クロスポビドン、ポビドン、デンプン、α化デンプン、トラガント、デキストリン、糖、例えば、スクロース(例えば、Dipac(登録商標))、グルコース、デキストロース、糖蜜、マンニトール、ソルビトール、キシリトール(例えば、Xylitab(登録商標))、ラクトース、天然ゴムまたは合成ゴム、例えば、アラビアゴム、トラガント、ガティガム(ghatti gum)、イサポール皮(isapol husks)の粘液、デンプン、ポリビニルピロリドン(例えば、Povidone(登録商標)CL、Kollidon(登録商標)CL、Polyplasdone(登録商標)XL-10、およびPovidone(登録商標)K-12)、カラマツアラボカラクタン(arabogalactan)、Veegum(登録商標)、ポリエチレングリコール、ワックス、アルギン酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0106】
一般に、粉末が充填されたゼラチンカプセル製剤では、20~70%の結合剤レベルが使用される。錠剤製剤における結合剤の使用レベルは、直接圧縮、湿式造粒法、ローラー圧縮であるか、または、それ自体が中程度の結合剤として作用し得る充填剤などの他の賦形剤を使用するかどうかで変動する。当該技術分野における処方者は、製剤の結合剤レベルを決定することができるが、錠剤製剤では70%までの結合剤の使用レベルが一般的である。
【0107】
本明細書に記載される固体剤形に使用される適切な滑沢剤または流動促進剤としては、限定されないが、ステアリン酸、水酸化カルシウム、タルク、トウモロコシデンプン、フマル酸ステアリルナトリウム、アルカリ金属およびアルカリ土類金属塩、例えば、カルシウム、マグネシウム、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ワックス、Stearowet(登録商標)、ホウ酸、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ロイシン、ポリエチレングリコール、あるいはメトキシポリエチレングリコール、例えば、Carbowax(商標)、PEG4000、PEG5000、PEG6000、プロピレングリコール、オレイン酸ナトリウム、ベヘン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリン(glyceryl palmitostearate)、安息香酸グリセリル、マグネシウム、またはラウリル硫酸ナトリウムなどが挙げられる。本明細書で提供されるいくつかの実施形態では、滑沢剤は、ステアリン酸、水酸化カルシウム、タルク、トウモロコシデンプン、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、およびワックスからなる群から選択される。本明細書で提供されるいくつかの実施形態では、滑沢剤はステアリン酸マグネシウムである。
【0108】
本明細書に記載される固体剤形に使用される適切な希釈剤としては、限定されないが、糖(ラクトース、スクロース、およびデキストロースを含む)、ポリサッカリド(デキストレートおよびマルトデキストリンを含む)、ポリオール(マンニトール、キシリトール、およびソルビトールを含む)、シクロデキストリンなどを含む。本明細書で提供されるいくつかの実施形態では、希釈剤は、ラクトース、スクロース、デキストロース、デキストラート、マルトデキストリン、マンニトール、キシリトール、ソルビトール、シクロデキストリン、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、デンプン、加工デンプン、微結晶性セルロース、微細セルロース、およびタルクからなる群から選択される。本明細書で提供されるいくつかの実施形態では、希釈剤は微結晶性セルロースである。
【0109】
「非水溶性希釈剤」との用語は、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、デンプン、加工デンプン、微結晶性セルロース、微細セルロース(例えば、約0.45g/cmの密度を有する、例えば、Avicel、粉末セルロース)、およびタルクなどの、医薬品の製剤に典型的に使用される化合物を表す。
【0110】
本明細書に記載される固体剤形に使用される適切な湿潤剤としては、例えば、オレイン酸、モノステアリン酸グリセリン、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミンオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、四級アンモニウム化合物(例えば、Polyquat 10(登録商標))、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ドキュセートナトリウム(sodium docusate)、トリアセチン、ビタミンE TPGSなどが挙げられる。
【0111】
本明細書に記載される固体剤形に使用される適切な界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリソルベート、ポロクサマー(polaxomers)、胆汁酸塩、モノステアリン酸グリセリン、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのコポリマー、例えば、Pluronic(登録商標)(BASF)などが挙げられる。本明細書で提供されるいくつかの実施形態では、界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリソルベート、ポロクサマー、胆汁酸塩、モノステアリン酸グリセリン、エチレンオキシドと酸化プロピレンのコポリマーからなる群から選択される。本明細書で提供されるいくつかの実施形態では、界面活性剤はラウリル硫酸ナトリウムである。
【0112】
本明細書に記載される固体剤形に使用される適切な懸濁剤としては、限定されないが、ポリビニルピロリドン、例えば、ポリビニルピロリドンK12、ポリビニルピロリドンK17、ポリビニルピロリドンK25、またはポリビニルピロリドンK30、ポリエチレングリコール(例えば、ポリエチレングリコールは、約300~約6000、あるいは約3350~約4000、あるいは約7000~約5400の分子量を有し得る)、ビニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマー(S630)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシ-プロピルメチルセルロース、ポリソルベート-80、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ゴム、例えば、トラガカントゴムおよびアカシアゴム、グアーゴム、キサンタンゴムを含むキサンタンなど、糖、セルロース由来のもの、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなど、ポリソルベート-80、アルギン酸ナトリウム、ポリエトキシル化ソルビタンモノラウレート(polyethoxylated sorbitan monolaurate)、ポリエトキシル化ソルビタンモノラウレート、ポビドンなどが挙げられる。
【0113】
本明細書に記載される固体剤形に使用される適切な抗酸化剤としては、例えば、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、アスコルビン酸ナトリウム、およびトコフェロールが挙げられる。
【0114】
本明細書に記載される固体剤形に使用される添加剤の間に相当な重複があることが認識されるべきである。ゆえに、上に列挙された添加剤は、単に例示的なものとして、および、限定されないが、本明細書に記載される固体剤形に含まれ得る添加剤のタイプのものとして考えられなければならない。そのような添加剤の量は、所望される特定の特性に従って、当業者によって容易に決定することができる。
【0115】
他の実施形態では、医薬製剤の1つ以上の層が可塑化される。例示的に、可塑剤は一般に、高沸点の固体または液体である。適切な可塑剤は、コーティング組成物の約0.01重量%から約50重量%(w/w)まで添加することができる。可塑剤としては、限定されないが、フタル酸ジエチル、クエン酸エステル、ポリエチレングリコール、グリセロール、アセチル化グリセリド、トリアセチン、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチル、セバシン酸ジブチル、ステアリン酸、ステアロール、ステアレート、およびヒマシ油が挙げられる。
【0116】
圧縮錠剤は、上記製剤のバルク混合物を圧縮することによって調製される固体剤形である。様々な実施形態では、口の中で溶解するように設計される圧縮錠剤は、1以上の香味剤を含む。他の実施形態では、圧縮錠剤は、圧縮錠剤完成品を囲むフィルムを含む。いくつかの実施形態では、フィルムコーティングは、製剤からの化合物1の遅延放出を提供することができる。他の実施形態では、フィルムコーティングは、患者のコンプライアンスを支援する(例えば、Opadry(登録商標)コーティングまたは糖衣)。Opadry(登録商標)を含むフィルムコーティングは典型的に、錠剤の約1重量%~約3重量%におよぶ。他の実施形態では、圧縮錠剤は1以上の賦形剤を含む。
【0117】
カプセルは、例えば、化合物1の製剤のバルク混合物をカプセル内に入れることにより調製され得る。いくつかの実施形態では、製剤(非水性の懸濁液および溶液)は、ソフトゼラチンカプセルに入れられる。いくつかの実施形態では、製剤(非水性の懸濁液および溶液)は、ハードシェルゼラチンカプセルに入れられる。他の実施形態では、製剤は、HPMCを含むカプセルなどの、標準のゼラチンカプセルまたは非ゼラチンカプセルに入れられる。他の実施形態では、製剤はスプリンクルカプセルに入れられ、ここで、カプセル全体が飲み込まれてもよいし、カプセルを開けてその内容物が食事前に食物に振りかけられてもよい。いくつかの実施形態では、治療用量は、複数の(例えば、2、3、または4つの)カプセルに分けられる。いくつかの実施形態では、製剤の全用量がカプセル形態で送達される。
【0118】
様々な実施形態では、化合物1および1つ以上の賦形剤の粒子は、乾燥混合されて錠剤などの塊に圧縮され、この塊は、経口投与後、約30分未満、約35分未満、約40分未満、約45分未満、約50分未満、約55分未満、または約60分未満以内で実質的に崩壊し、それにより製剤を胃腸液に放出する医薬組成物を提供するのに十分な硬さを有している。
【0119】
別の態様では、剤形は、マイクロカプセル化された製剤を含み得る。いくつかの実施形態では、他の1つ以上の適合性材料がマイクロカプセル化材料に存在する。典型的な材料としては、限定されないが、pH調整剤、侵食促進剤、消泡剤、抗酸化剤、香味剤、ならびに担体材料、例えば、結合剤、懸濁化剤、崩壊剤、充填剤、界面活性剤、可溶化剤、安定剤、潤滑剤、湿潤剤、および希釈剤などが挙げられる。
【0120】
本明細書に記載されるマイクロカプセル化に有用な材料は、他の非適合性賦形剤から化合物1を十分に分離する、化合物1と適合性のある材料を含む。化合物1と適合性のある材料は、インビボでの化合物1の化合物の放出を遅らせるものである。
【0121】
本明細書に記載される化合物を含む製剤の放出を遅らせるのに有用な典型的なマイクロカプセル化材料としては、限定されないが、ヒドロキシプロピルセルロースエーテル(HPC)、例えば、Klucel(登録商標)またはNisso HPC、低置換ヒドロキシプロピルセルロースエーテル(L-HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースエーテル(HPMC)、例えば、SeppifilmLC、Pharmacoat(登録商標)、Metolose SR、Methocel(登録商標)-E、Opadry YS、PrimaFlo、Benecel MP824、およびBenecel MP843、メチルセルロースポリマー、例えば、Methocel(登録商標)-A、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートステアレート(HF-LS、HF-LG、HF-MS)およびMetolose(登録商標)、エチルセルロース(EC)およびその混合物、例えば、E461、Ethocel(登録商標)、Aqualon(登録商標)-EC、Surelease(登録商標)、ポリビニルアルコール(PVA)、例えば、Opadry AMB、ヒドロキシエチルセルロース、例えば、Natrosol(登録商標)、カルボキシメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロース(CMC)の塩、例えば、Aqualon(登録商標)-CMC、ポリビニルアルコール、およびポリエチレングリコールコポリマー、例えば、Kollicoat IR(登録商標)、モノグリセリド(Myverol)、トリグリセリド(KLX)、ポリエチレングリコール、修飾された食物デンプン、アクリルポリマー、およびセルロースエーテルとアクリルポリマーの混合物、例えば、Eudragit(登録商標)EPO、Eudragit(登録商標)L30D-55、Eudragit(登録商標)FS 30D Eudragit(登録商標)L100-55、Eudragit(登録商標)L100、Eudragit(登録商標)S100、Eudragit(登録商標)RD100、Eudragit(登録商標)E100、Eudragit(登録商標)L12.5、Eudragit(登録商標)S12.5、Eudragit(登録商標)NE30D、およびEudragit(登録商標)NE 40D、酢酸フタル酸セルロース、セプフィルム(sepifilms)、例えば、HPMCとステアリン酸の混合物、シクロデキストリン、およびこれらの材料の混合物が挙げられる。
【0122】
さらに他の実施形態では、ポリエチレングリコール、例えば、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1450、PEG3350、ならびにPEG800、ステアリン酸、プロピレングリコール、オレイン酸、およびトリアセチンなどの可塑剤は、マイクロカプセル化材料に組み込まれる。他の実施形態では、医薬組成物の放出を遅らせるのに有用なマイクロカプセル化材料は、USPまたは国民医薬品集(NF)由来のものである。さらに他の実施形態では、マイクロカプセル化材料はKlucelである。さらに他の実施形態では、マイクロカプセル化材料はmethocelである。
【0123】
マイクロカプセル化された化合物1は様々な方法によって製剤化することができ、その方法の例示的な例としては、例えば、噴霧乾燥プロセス、回転ディスク溶媒プロセス、熱融解プロセス、噴霧低温化方法、流動床、静電沈着、遠心押出(centrifugal extrusion)、回転懸濁液分離、液体-ガスまたは固体-ガスの界面での重合、圧力押出、または噴霧溶媒抽出浴(spraying solvent extraction bath)が挙げられる。これらに加え、様々な化学技術、例えば、複合コアセルベーション、溶解蒸発、ポリマー-ポリマー不適合性(polymer-polymer incompatibility)、液体媒体中の界面重合、インサイチュ重合、液中乾燥、および液体媒体中の脱溶媒和も使用することができる。さらに、ローラー圧縮、押出/球形化、コアセルベーション、またはナノ粒子コーティングなどの他の方法も使用してもよい。
【0124】
一実施形態では、化合物1の粒子は、上記形態の1つへと製剤化される前にマイクロカプセル化される。さらに別の実施形態では、粒子の一部または大半は、さらに製剤される前に、標準のコーティング手順(Remington’s Pharmaceutical Sciences,20th Edition(2000)に記載されるものなど)を使用してコーティングされる。
【0125】
他の実施形態では、化合物1の固体投薬製剤は、1つ以上の層で可塑化される(コーティングされる)。例示的に、可塑剤は一般に、高沸点の固体または液体である。適切な可塑剤は、コーティング組成物の約0.01重量%から約50重量%(w/w)まで添加することができる。可塑剤としては、限定されないが、フタル酸ジエチル、クエン酸エステル、ポリエチレングリコール、グリセロール、アセチル化グリセリド、トリアセチン、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチル、セバシン酸ジブチル、ステアリン酸、ステアロール、ステアレート、およびヒマシ油が挙げられる。
【0126】
他の実施形態では、化合物1を有する製剤を含む粉末剤は、1つ以上の医薬賦形剤および香料を含むように製剤化され得る。そのような粉末剤は、例えば、製剤と随意の医薬賦形剤を混合してバルク混合組成物を形成することによって調製され得る。追加の実施形態は、懸濁化剤および/または湿潤剤も含む。このバルク混合物は、単位用量パッケージまたは複数回用量パッケージの単位(multi-dosage packaging units)へと均一に細分化される。
【0127】
さらに他の実施形態では、発泡粉末も、本開示に従って調製される。発泡塩は、経口投与のために水中で薬を分散させるために使用されている。発泡塩は、一般に、重炭酸ナトリウム、クエン酸、および/または酒石酸で構成される、乾燥混合物中に薬剤を含む顆粒剤または粗粉である。本明細書に記載される組成物の塩が水に加えられると、酸と塩基が反応して炭酸ガスを遊離させ、それにより「発泡」を引き起こす。発泡塩の例としては、例えば、以下の成分:重炭酸ナトリウム、または重炭酸ナトリウムと炭酸ナトリウムの混合物、クエン酸、および/または酒石酸が挙げられる。成分が医薬的用途に適しており、かつ結果として約6.0以上のpHをもたらす限り、二酸化炭素の遊離をもたらす任意の酸-塩基の組み合わせを、重炭酸ナトリウムとクエン酸と酒石酸との組み合わせの代わりに使用することができる。
【0128】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される固体剤形は、腸溶コーティングされた遅延放出性経口剤形として、すなわち、胃腸管の小腸での放出に影響を与えるために腸溶コーティングを利用した、本明細書に記載される医薬組成物の経口剤形として製剤化することができる。腸溶コーティングを施した剤形は、それ自体がコーティングを施されるかあるいは施されない有効成分および/あるいは他の組成成分の顆粒、粉末、ペレット、ビーズ、または微粒子を含有する、圧縮した、成型した、または押し出し加工した錠剤/モールド(コーティングを施したかあるいは施していない)であってもよい。腸溶コーティングを施した経口剤形はまた、それ自体がコーティングを施されるかあるいは施されない固体担体もしくは組成物のペレット、ビーズ、または顆粒を含有するカプセル(コーティングを施したかあるいは施していない)であってもよい。
【0129】
本明細書で使用されるように、「遅延放出」との用語は、遅延放出の変更がなかった場合に達成されていたであろう位置よりも遠位にある、腸管における一般に予測可能な位置での放出を達成することができるような送達を指す。いくつかの実施形態では、放出を遅らせるための方法は、コーティングである。コーティングは、コーティング全体が約5より下のpHでは胃腸液に溶けないが、5より上のpHでは溶けるように十分な厚みで適用されねばならない。下部胃腸管への送達を達成するための本明細書に記載される方法および組成物において、pH依存性の可溶性特性を示す任意のアニオン性ポリマーが腸溶コーティングとして使用され得ることが予測される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるポリマーは、アニオン性カルボン酸ポリマーである。他の実施形態では、ポリマーおよびその互換性がある混合物、ならびにそれらの特性のいくつかとしては、限定されないが、以下のものが挙げられる:
【0130】
精製ラック(purified lac)とも呼ばれる、昆虫の樹脂分泌から得られた精製品であるシェラック。このコーティングはpH>7の媒体に溶解する;
【0131】
アクリルポリマー。アクリルポリマーの性能(主に、生体液への可溶性)は、置換の程度および種類によって異なり得る。適切なアクリルポリマーの例としては、メタクリル酸コポリマーおよびメタクリル酸アンモニウムコポリマーを含む。EudragitシリーズE、L、S、RL、RS、およびNE(Rohm Pharma)は、有機溶媒、水分散液、または乾燥粉末に可溶化されたものとして利用可能である。EudragitシリーズRL、NE、およびRSは、胃腸管では不溶性であるが、透過性であり、主に結腸の標的化に使用される。EudragitシリーズEは胃で溶解する。EudragitシリーズL、L-30D、およびSは、胃では不溶性であり、腸で溶解する。
【0132】
セルロース誘導体。適切なセルロース誘導体の例は、エチルセルロース;および、セルロースの部分的な酢酸塩エステルと無水フタル酸との反応混合物である。その性能は、置換の程度および種類によって異なり得る。酢酸フタル酸セルロース(CAP)はpH>6で溶解する。Aquateric(FMC)は水性ベースの系であり、粒子が<1μmの噴霧乾燥されたCAP プスエドラテックス(psuedolatex)である。Aquateric中の他の成分には、プルロニック(登録商標)、Tween、およびアセチル化モノグリセリドが含まれ得る。他の適切なセルロース誘導体としては、酢酸トリメリト酸セルロース(Eastman);メチルセルロース(Pharmacoat、Methocel);ヒドロキシプロピルメチルセルロースフラタート(HPMCP);ヒドロキシプロピルメチルセルローススクシナート(HPMCS);および、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(例えば、AQOAT(Shin Etsu))が挙げられる。その性能は、置換の程度および種類によって異なり得る。例えば、HP-50、HP-55、HP-55S、またはHP-55FのグレードなどのHPMCPが適切である。その性能は、置換の程度および種類によって異なり得る。例えば、適切なグレードのヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートとしては、限定されないが、pH5で溶解するAS-LG(LF)、pH5.5で溶解するAS-MG(MF)、およびより高いpHで溶解するAS-HG(HF)が挙げられる。これらのポリマーは、水性の分散液のために顆粒、または細粉として提示される;ポリビニルアセテートフタレート(PVAP)。PVAPはpH>5で溶解し、水蒸気および胃液に対して透過性がそれほどない。
【0133】
いくつかの実施形態では、コーティングは、可塑剤、ならびに場合によっては、他のコーティング賦形剤、例えば、着色剤、タルク、および/またはステアリン酸マグネシウムなどを含むことができ、通常はそれらを含んでいる。適切な可塑剤としては、クエン酸トリエチル(Citroflex 2)、トリアセチン(グリセリルトリアセテート)、クエン酸アセチルトリエチル(Citroflec A2)、カーボワックス400(ポリエチレングリコール400)、フタル酸ジエチル、クエン酸トリブチル、アセチル化モノグリセリド、グリセロール、脂肪酸エステル、プロピレングリコール、およびフタル酸ジブチルが挙げられる。特に、アニオン性カルボン酸アクリルポリマーは通常、可塑剤、特にフタル酸ジブチル、ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチル、およびトリアセチンの10~25重量%を包含する。スプレーコーティングまたはパンコーティングなどの従来のコーティング技法が、コーティングを施すために使用される。コーティングの厚みは、腸管における局所送達の所望部位に到達するまで、経口剤形が元の状態のままであるように十分な厚みでなければならない。
【0134】
コーティング材を可溶化するかまたは分散させるために、およびコーティング性能およびコーティングされた製品を改善するために、可塑剤以外に、着色剤、粘着防止剤(detackifiers)、界面活性剤、消泡剤、滑沢剤(例えば、カルナウバロウまたはPEG)がコーティングに加えられてもよい。
【0135】
他の実施形態では、化合物1を含む本明細書に記載される製剤は、パルス剤形を使用して送達される。パルス剤形は、制御された遅延時間後の所定の時点で、または特定の部位において、1つ以上の即時放出パルスを提供することができる。他のタイプの制御放出系が使用されてもよい。こうした送達システムの例としては、例えば、ポリ乳酸とポリグリコール酸、ポリ酸無水物、およびポリカプロラクトンなどのポリマーベースの系;多孔性マトリクス、ステロール、例えば、コレステロール、コレステロールエステル、および脂肪酸、または中性脂肪、例えば、モノグリセリド、ジグリセリド、およびトリグリセリドなどの脂質である非ポリマーベースの系;ハイドロゲル放出系;サイラスティック系(silastic systems);ペプチドベースの系;ワックスコーティング、生体内分解性剤形、従来の結合剤を使用する圧縮錠剤などが挙げられる。例えば、Liberman et al., Pharmaceutical Dosage Forms,2 Ed.,Vol.1,pp.209-214(1990);Singh et al.,Encyclopedia of Pharmaceutical Technology,2nd Ed.,pp.751-753(2002);米国特許第4,327,725号、第4,624,848号、第4,968,509号、第5,461,140号、第5,456,923号、第5,516,527号、第5,622,721号、第5,686,105号、第5,700,410号、第5,977,175号、第6,465,014号、および第6,932,983号を参照(これらの文献の各々は参照により具体的に組み込まれる)。
【0136】
いくつかの実施形態では、被験体への経口投与のための、化合物1および少なくとも1つの分散剤または懸濁化剤を含む医薬製剤が提供される。この製剤は懸濁用の粉末および/または顆粒であってもよく、水と混合すると、実質的に均一な懸濁液が得られる。
【0137】
所与の添加剤が、しばしば本分野の様々な医師によって異なるように分類されるか、または一般にいくつかの異なる作用のいずれかのために使用されるため、本明細書に記載される水性の分散液または懸濁液で使用される上に列挙される添加剤の間に重複があることが認識されるべきである。ゆえに、上に列挙される添加剤は、本明細書に記載の製剤に含まれ得る添加剤の種類の単なる例示にすぎず、限定的なものではないと解釈する必要がある。そのような添加剤の量は、所望される特定の特性に従って、当業者によって容易に決定することができる。
【0138】
方法
いくつかの実施形態では、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物1の結晶形態を個体に投与する工程を含む、高尿酸血症または痛風を処置するための方法である。いくつかの実施形態では、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物1の結晶形態を個体に投与する工程を含む、高尿酸血症を処置するための方法がある。いくつかの実施形態では、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物1の結晶形態を個体に投与する工程を含む、痛風を処置するための方法がある。いくつかの実施形態では、治療上有効な量の本明細書に記載される結晶性化合物1、形態3を個体に投与する工程を含む、高尿酸血症または痛風を処置するための方法である。いくつかの実施形態では、治療上有効な量の本明細書に記載される結晶性化合物1、形態3を個体に投与する工程を含む、高尿酸血症を処置するための方法である。いくつかの実施形態では、治療上有効な量の本明細書に記載される結晶性化合物1、形態3を個体に投与する工程を含む、痛風を処置するための方法である。いくつかの実施形態では、治療上有効な量の本明細書に記載される結晶性化合物1、形態2を個体に投与する工程を含む、高尿酸血症または痛風を処置するための方法である。いくつかの実施形態では、治療上有効な量の本明細書に記載される結晶性化合物1、形態2を個体に投与する工程を含む、高尿酸血症を処置するための方法である。いくつかの実施形態では、治療上有効な量の本明細書に記載される結晶性化合物1、形態2を個体に投与する工程を含む、痛風を処置するための方法である、必要がある。いくつかの実施形態では、治療上有効な量の本明細書に記載される結晶性化合物1、形態1を個体に投与する工程を含む、高尿酸血症または痛風を処置するための方法である。いくつかの実施形態では、治療上有効な量の本明細書に記載される結晶性化合物1、形態1を個体に投与する工程を含む、高尿酸血症を処置するための方法である。いくつかの実施形態では、治療上有効な量の本明細書に記載される結晶性化合物1、形態1を個体に投与する工程を含む、痛風を処置するための方法である。
【0139】
投薬方法と処置レジメン
いくつかの実施形態では、結晶性化合物1は、血清尿酸(sUA)の低下により利益を得る疾患または疾病の処置を目的とする薬剤の調製に使用される。加えて、本明細書に記載の疾患または疾病のいずれかを処置する方法は、このような処置を必要とする被験体を対象に、結晶性化合物1、またはその薬学的に許容可能な溶媒和物を含有する医薬組成物を治療上有効な量で個体に投与する工程を含む。
【0140】
いくつかの実施形態では、結晶性化合物1を含有する組成物は、予防的処置、治療的処置、または維持処置のために投与される。いくつかの実施形態では、化合物1を含有する組成物は、治療用途のために投与される。いくつかの実施形態では、化合物1を含有する組成物は、予防用途のために投与される。
【0141】
治療用途では、前記組成物は、疾患または疾病の症状を治癒するかまたは少なくとも部分的に阻止するのに十分な量で、前記疾患または疾病を既に患う患者に投与される。この使用に有効な量は、前記疾患または疾病の重症度と経過、以前の治療、患者の健康状態、体重、薬物に対する反応、および主治医の判断に左右されることになる。
【0142】
予防用途では、本明細書に記載の化合物を含有する組成物は、特定の疾患、障害、あるいは疾病の影響を受け易いか、またはその危険にある患者に投与される。このような量は、「予防に有効な量または投与量」であると定義される。この用途では、正確な量も患者の健康状態や体重などに左右される。患者に使用されると、この用途に有効な量は、疾患、障害、または疾病の重症度と経過、以前の治療、患者の健康状態、薬物への反応、および処置を行う医師の判断に左右されることになる。
【0143】
いくつかの実施形態では、結晶性化合物1は毎日投与される。いくつかの実施形態では、結晶性化合物1は一日おきに投与される。
【0144】
いくつかの実施形態では、結晶性化合物1は1日1回投与される。いくつかの実施形態では、結晶性化合物1は1日2回投与される。いくつかの実施形態では、結晶性化合物1は1日3回投与される。いくつかの実施形態では、結晶性化合物1は1日4回投与される。
【0145】
患者の疾病が改善しない場合、医師の決定に従い化合物は慢性的に、すなわち長期間投与されてもよい。この長期間は、前記患者の疾患または疾病の症状を改善、またはその他の方法で制御あるいは制限するために、患者の生存期間全体を含む。
【0146】
いったん患者の状態が改善すると、必要に応じて維持量が投与される。その後、用量、投与頻度、またはその両方は症状に応じて、疾患、障害、または疾病の改善が保持されるレベルに低下させることができる。しかし、患者は症状の再発に際して長期間にわたり、断続的な処置を必要とする場合もある。
【0147】
このような量に相当する所与の薬剤の量は、特定の化合物、疾患あるいは疾病とその重症度、処置を必要とする被験体あるいは宿主の同一性(例えば体重)などの因子に応じて変動するが、それにもかかわらず、例えば投与される特定の薬剤、投与経路、処置される疾病、および処置される被験体または宿主を含む、症例を取り巻く特定の環境に従い当該技術分野で認識される形で決定することができる。しかし通常、成人の処置に用いられる投与量は、通常、約0.002~約5000mg/日であり、いくつかの実施形態では約1~1500mg/日である。所望の投与量は、単回投与で都合よく提供されるか、または分割投与量として同時に(または短期間にわたり)あるいは適切な間隔、例えば1日2、3、4回以上の下位投与量として、投与してもよい。
【0148】
本明細書に記載の医薬組成物は、正確な用量の単回投与に適した単位剤形でもよい。単位剤形では、前記製剤は、適量の1つ以上の化合物を含有する単位用量に分割される。この単位用量は、離散量の製剤を含有する包装の形態にあってもよい。非限定的な例は、包装された錠剤またはカプセル、およびバイアルまたはアンプル中にある粉末剤である。水性懸濁液組成物は、単回投与用の再密閉不能な容器に包装することができる。代替的に、複数回投与用の再密閉可能な容器を使用することができ、この場合、前記組成物に防腐剤を含めることが一般的である。ほんの一例として、非経口注入用の製剤は追加の防腐剤とともに単位剤形に入れて提供されてもよく、この剤形としてアンプル、または複数回投与用容器が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0149】
本明細書に記載の化合物に適切な一日用量は、約0.01mg/kg~約20mg/kgである。一実施形態では、前記一日用量は約0.1mg/kg~約10mg/kgである。ヒトを含むがこれに限定されない大型哺乳動物で指定された一日用量は、約0.5mg~約1000mgの範囲であり、単回投与で、1日最大4回を含むがこれに限定されない分割投与量で、または持続放出形態で都合よく投与される。経口投与に適切な単位剤形は約1~約500mgの有効成分を含む。一実施形態では、前記単位用量は、約1mg、約5mg、約10mg、約20mg、約50mg、約100mg、約200mg、約250mg、約400mg、または約500mgである。個々の処置レジメンに関する変数の数が大きいと、前述の範囲は単に示唆的なものに過ぎず、これらの推奨値から相当な逸脱が生じるのは珍しいことではない。このような用量は、使用される化合物の活性、処置される疾患あるいは疾病、投与形態、個々の被験体要件、処置される疾患あるいは疾病の重症度、および医師の判断を含むがこれらに限定されない多くの変数に応じて変更されてもよい。
【0150】
こうした治療レジメンの毒性と治療の有効性は、LD50(母集団の50%に対し致死的な投与量)とED50(母集団の50%に対し治療上有効な投与量)の判定を含むがこれに限定されない、細胞培養物または実験動物に対する標準の製薬手順により求めることができる。毒性効果と治療効果との用量比が治療指数であり、LD50とED50との比として表すことができる。細胞培養アッセイと動物試験から得たデータは、ヒトに使用される一連の用量を製剤化するのに使用可能である。このような化合物の用量は、毒性が最小限のED50を含む血中濃度の範囲内にあるのが好ましい。この用量は、利用される剤形と投与経路に応じて前記範囲内で変動してもよい。
【0151】
併用処置
本明細書に記載の化合物1、およびその組成物はさらに、処置される疾病の治療値に対して選択される他の治療薬と併用して使用されてもよい。一般に、本明細書に記載される組成物、および、併用療法が用いられる実施形態では他の薬剤は、同じ医薬組成物に含めた状態で投与する必要はなく、様々な物理的特性と化学的特性に起因して様々な経路により投与する必要がある。投与の形態と投与の妥当性の判定は、可能な場合は同じ医薬組成物において、臨床医が考え得る範囲で十分に行われる。最初の投与は、当該技術分野で認識される確立プロトコルに従い行うことができ、次いで、観察された効果、用量、投与形態、および投与回数に基づき臨床医が修正可能である。
【0152】
ある例では、本明細書に記載の結晶性化合物1を別の治療薬と併用して投与することが適切な場合がある。ほんの一例ではあるが、結晶性化合物1など本明細書に記載の化合物のうち1つを投与される際に患者が受ける副作用の1つが悪心である場合、最初の治療薬と併用して制吐剤を投与することが適切な場合がある。または、ほんの一例として本明細書に記載の化合物のうち1つの治療効果は、アジュバントの投与により増強される場合がある(アジュバント単独での治療利益は最小であるが、別の治療薬と併用すると患者への全体的な治療利益が増強する)。または、ほんの一例として患者が受ける利益は、本明細書に記載の化合物のうち1つを、治療利益を持つ別の治療薬(治療レジメンも含む)と共に投与することにより増大する場合もある。どの場合にも、処置される疾患、障害、または疾病に関わらず、患者が受ける全体的な利益は2つの治療薬の相加によりもたらされる、または患者は相乗的な利益を受ける場合がある。
【0153】
いくつかの実施形態では、結晶性化合物1はキサンチンオキシダーゼ阻害剤と併用して投与される。いくつかの実施形態では、結晶性化合物1はキサンチンオキシダーゼ阻害剤と併用して投与され、該キサンチンオキシダーゼ阻害剤はアロプリノール、オキシプリノール、フェブキソスタット、トピロキソスタット、またはイノシトールである。いくつかの実施形態では、結晶性化合物1はキサンチンオキシダーゼ阻害剤と併用して投与され、該キサンチンオキシダーゼ阻害剤はアロプリノールである。いくつかの実施形態では、結晶性化合物1はキサンチンオキシダーゼ阻害剤と併用して投与され、該キサンチンオキシダーゼ阻害剤はオキシプリノールである。いくつかの実施形態では、結晶性化合物1はキサンチンオキシダーゼ阻害剤と併用して投与され、該キサンチンオキシダーゼ阻害剤はフェブキソスタットである。いくつかの実施形態では、結晶性化合物1はキサンチンオキシダーゼ阻害剤と併用して投与され、該キサンチンオキシダーゼ阻害剤はトピロキソスタットである。いくつかの実施形態では、結晶性化合物1はキサンチンオキシダーゼ阻害剤と併用して投与され、該キサンチンオキシダーゼ阻害剤はイノシトール(ositol)である。
【0154】
いくつかの実施形態では、結晶性化合物1とキサンチンオキシダーゼ阻害剤は、単一剤形で併用して投与される。いくつかの実施形態では、結晶性化合物1とキサンチンオキシダーゼ阻害剤は、別個の剤形で併用して投与される。
【0155】
いくつかの実施形態では、結晶性化合物1はSGLT2阻害剤と併用して投与される。いくつかの実施形態では、結晶性化合物1はSGLT2阻害剤と併用して投与され、該SGLT2阻害剤は、カナグリフロジン、ダパグリフロジン、エンパグリフロジン、エンパグリフロジン/リナグリプチン、エンパグリフロジン/メトホルミン、またはダパグリフロジン/メトホルミンである。いくつかの実施形態では、結晶性化合物1はSGLT2阻害剤と併用して投与され、該SGLT2阻害剤はカナグリフロジンである。いくつかの実施形態では、結晶性化合物1はSGLT2阻害剤と併用して投与され、該SGLT2阻害剤はダパグリフロジンである。いくつかの実施形態では、結晶性化合物1はSGLT2阻害剤と併用して投与され、該SGLT2阻害剤はエンパグリフロジンである。いくつかの実施形態では、結晶性化合物1はSGLT2阻害剤と併用して投与され、該SGLT2阻害剤はエンパグリフロジン/リナグリプチンである。いくつかの実施形態では、結晶性化合物1はSGLT2阻害剤と併用して投与され、該SGLT2阻害剤はエンパグリフロジン/メトホルミンである。いくつかの実施形態では、結晶性化合物1はSGLT2阻害剤と併用して投与され、該SGLT2阻害剤はダパグリフロジン/メトホルミンである。
【0156】
いくつかの実施形態では、結晶性化合物1とSGLT2阻害剤は、単一剤形で併用して投与される。いくつかの実施形態では、結晶性化合物1とSGLT2阻害剤は、別個の剤形で併用して投与される。
【0157】
いくつかの実施形態では、結晶性化合物1は、キサンチンオキシダーゼ阻害剤およびSGLT2阻害剤と併用して投与される。いくつかの実施形態では、結晶性化合物1は、キサンチンオキシダーゼ阻害剤およびSGLT2阻害剤と併用して投与され、前記キサンチンオキシダーゼ阻害剤はアロプリノール、オキシプリノール、フェブキソスタット、トピロキソスタット、またはイノシトールであり、SGLT2阻害剤はカナグリフロジン、ダパグリフロジン、エンパグリフロジン、エンパグリフロジン/リナグリプチン、エンパグリフロジン/メトホルミン、またはダパグリフロジン/メトホルミンである。
【0158】
いくつかの実施形態では、結晶性化合物1、キサンチンオキシダーゼ阻害剤、およびSGLT2阻害剤は、単一剤形で併用して投与される。いくつかの実施形態では、結晶性化合物1、キサンチンオキシダーゼ阻害剤、およびSGLT2阻害剤は、別個の剤形で併用して投与される。
【0159】
使用される化合物の特定の選択は、主治医の診断、および患者の状態と適切な処置プロトコルの判断に依存する。前記化合物は、疾患、障害、あるいは疾病の性質、患者の状態、および使用される化合物の実際の選択に応じて一斉に(例えば同時に、ほぼ同時に、または同じ処置プロトコル内で)、または連続して投与されてもよい。処置プロトコル中の投与の順序、および各治療薬投与の反復回数の判定は、処置される疾患と患者の状態を評価した後、医師が十分に考え得る範囲内にある。
【0160】
治療上有効な量は、薬物が併用処置に使用されるときに変動してもよい。併用処置レジメンに使用するための薬物および他の薬剤の治療上有効な用量を実験により判定する方法は、文献に記載されている。例えば、メトロノミック投与の使用、すなわち毒性副作用を最小化するために頻度を多くするとともに投与量を少なくして投与することが、文献に広く記載されている。併用処置はさらに、患者の臨床管理を補助するために様々な時点で開始かつ中止される周期的処置を含む。
【0161】
本明細書に記載される併用療法では、同時投与された化合物の用量はもちろん、使用される共薬物の種類、使用される特定の薬物、処置される疾患または疾病などに応じて変動することになる。加えて、1つ以上の生物学的有効成分と共投与されると、本明細書に提供される化合物は、この生理的有効成分と同時に、または連続して投与されてもよい。連続投与される場合、主治医は生物学的有効成分と併用してタンパク質を投与する適切なシーケンスを決定する。
【0162】
あらゆる場合に、複数の治療薬(うち1つは本明細書に記載の結晶性化合物1である)は、任意の順序でまたは同時に投与してもよい。同時の場合、複数の治療薬は単回用の均一な形態で、または複数回用の形態(ほんの一例として、単一丸剤または別個の2つ錠剤として)で投与してもよい。治療薬のうち1つは複数投与で投与され、または、複数回投与として投与してもよい。同時でない場合、複数回投与間のタイミングは0週超~4週未満で変動してもよい。さらに、併用方法、組成物、および製剤は、2つの薬剤のみの使用に限定されない。複数の治療的な組み合わせの使用も想定される。
【0163】
緩和が求められる疾病を処置、予防、または改善するための投与レジメンは、様々な因子に従い修正することができる。これらの因子として、被験体の障害または疾病のほか、被験体の年齢、体重、性別、食事、および病状が挙げられる。ゆえに、実際に利用される投与レジメンは大きく変動する場合があり、そのため本明細書で述べられる投与レジメンから逸脱する場合もある。
【0164】
本明細書に開示される併用療法を構築する医薬品は、剤形の組み合わせ、または、ほぼ同時の投与を目的とした別個の剤形でもよい。併用療法を構築する医薬品はさらに連続投与されてもよく、いずれかの治療化合物は二段階投与を必要とするレジメンにより投与される。この二段階投与レジメンは、有効成分の連続投与、または別個の有効成分の間隔を空けての投与を必要とする場合がある。複数投与段階間の期間は、医薬品の効力、可溶性、バイオアベイラビリティ、血漿半減期、動態プロファイルなど、各医薬品の特性に応じて数分~数時間であってもよい。標的分子濃度の概日変動も、最適な投与間隔を判定する場合がある。
【0165】
加えて、本明細書に記載の化合物はまた、患者に相加的または相乗的な効果をもたらすかもしれない処置と併用されてもよい。ほんの一例ではあるが、患者は、本明細書に記載の方法において治療利益および/または予防利益を得ると予測される。この場合、本明細書に開示される化合物の医薬組成物、および/または他の治療薬との併用物は、個体が特定の疾患または疾病と相関する突然変異遺伝子の保因者であるかどうかを判定する遺伝子検査と併用される。
【0166】
本明細書に記載の化合物と併用療法薬は、疾患あるいは疾病の発症前、その最中、またはその後に投与可能であり、化合物を含有する組成物の投与のタイミングは変動する場合がある。ゆえに、例えば前記化合物は予防薬として使用可能であるとともに、疾患または疾病の発症を防ぐために疾病または疾患を進行させる傾向のある被験体に連続投与可能である。最初の投与は、例えば静脈注射、ボーラス注射、約5分~約5時間にわたる注入、丸剤、カプセル剤、経皮パッチ、頬側送達、またはこれらの組み合わせなどの実用的な経路を介して行うことができる。化合物は、疾患または疾病の発症が検出または疑われた後で可能な限り速やかに、かつ疾患または疾病の処置に必要な期間にわたり投与するのが好ましい。処置期間は各被験体ごとに異なってもよく、その長さは特定の基準を使用して決定可能である。
【0167】
キット/製品
本明細書に記載の治療方法で使用するためのキットと製品も本明細書に記載される。このようなキットは、バイアルやチューブなど1つ以上の容器を収容するために仕切られた運搬装置、パッケージ、または容器を含んでおり、この容器の各々は、本明細書に記載の方法に使用される別個の要素のうち1つを含んでいる。適切な容器として、例えばボトル、バイアル、シリンジ、試験管が挙げられる。他の実施形態では、前記容器は、ガラスまたはプラスチックなどの様々な材料で形成される。
【0168】
本明細書で提供される製品は包装材料を包含する。医薬品の包装に使用するための包装材料として、例えば米国特許第5,323,907号が挙げられる。医薬品用の包装材料の例として、ブリスターパック、ボトル、チューブ、バッグ、容器、ボトル、ならびに、選択された製剤および意図した投与と処置の形態に適切な任意の包装材料が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0169】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物または組成物は、有効成分を含有する1つ以上の単位剤形を含有する場合があるパッケージまたはディスペンサーデバイスの中で投与される。本明細書に記載される化合物または組成物は、単独で包装されるか、または別の化合物、別の成分、あるいは添加剤とともに包装される。いくつかの実施形態では、前記パッケージは、医薬組成物の成分のうち1つ以上を充填した1つ以上の容器を包含する。いくつかの実施形態では、前記パッケージは、ブリスターパックなどの金属箔またはプラスチック箔を含む。いくつかの実施形態では、前記パッケージまたはディスペンサーデバイスには、腫瘍疾患を処置するための化合物または組成物の投与に関する指示書など、投与に関する指示書が付随する。いくつかの実施形態では、前記パッケージまたはディスペンサーデバイスには、医薬品の製造、使用、または販売を規制する政府機関が規定する形式で容器に関連する通知が付随し、この通知は、ヒトまたは動物を対象とする薬物の形態についての政府機関の承認を反映している。いくつかの実施形態では、このような通知は、例えば、処方薬または承認された製品の挿入物に関する、米国食品医薬品局承認のラベルである。いくつかの実施形態では、組成物は、適合可能な医薬担体中に製剤化される本明細書に記載の化合物を含み、適切な容器に入れられ、かつ適応疾病の処置に関するラベルを付けられる。
【0170】
例えば容器は、場合により組成物中に、または本明細書に開示されるような別の薬剤と併用して結晶性化合物1を含む。このようなキットは随意に、識別用の記載文あるいはラベル、または本明細書に記載の方法での使用に関する指示書を含む。
【0171】
キットは通常、内容物を列記するラベルおよび/または使用説明書、ならびに使用説明書を備えた添付文書を含んでいる。通常は一組の指示書も含まれる。
【0172】
一実施形態では、ラベルは容器の上にあるか、または容器に付随している。一実施形態では、ラベルを形成する文字、数字、または他の字が容器自体に貼り付け、成形、または刻まれる場合、ラベルは容器の上に取り付けられる。容器も保持するレセプタクルまたは運搬体内に存在するとき、ラベルは例えば添付文書として容器に付随する。一実施形態では、ラベルは、内容物が特定の治療用途での使用を対象とすることを示すために用いられる。ラベルはさらに、例えば本明細書に記載の方法などにおける内容物の使用に関する指示を示す。
【0173】
ある実施形態では、前記医薬組成物は、本明細書に提供される化合物を含有する1つ以上の単位剤形を包含しているパックまたはディスペンサーデバイスの中で提供される。このパックは例えば、ブリスターパックなどの金属箔またはプラスチック箔を含有する。一実施形態では、前記パックまたはディスペンサーデバイスには、投与の指示書が付随する。別の実施形態では、前記パックまたはディスペンサーには、医薬品の製造、使用、または販売を統制する政府機関が規定する形式で容器に付属される通知も付随され、この通知は、ヒトまたは動物を対象とする薬物の形態についての政府機関の承認を反映するものである。このような通知は例えば、処方薬または承認済み製品の挿入物に関する、米国食品医薬品局承認のラベルである。一実施形態では、適合可能な医薬担体中で製剤化される本明細書提供の化合物を含有する組成物も調製され、適切な容器に入れられ、かつ適応疾病の処置に関するラベルを付けられる。
【実施例
【0174】
略語のリスト
本発明の記述全体では、以下の略語は、他に明記されない限り以下の意味を持つものと理解される。
ACNまたはMeCN アセトニトリル
Bn ベンジル
BOCまたはBoc tert-ブチルカルバメート
t-Bu tert-ブチル
Cy シクロヘキシル
DCE ジクロロエタン(ClCHCHCl)
DCM ジクロロメタン(CHCl
DIPEAまたはDIEA ジイソプロピルエチルアミン
DMAP 4-(N,N-ジメチルアミノ)ピリジン
DMF ジメチルホルムアミド
DMA N,N-ジメチルアセトアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
eqまたはequiv 当量
Et エチル
EtO ジエチルエーテル
EtOH エタノール
EtOAc 酢酸エチル
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
Me メチル
MeOH メタノール
MS 質量分析
GC ガスクロマトグラフィー
h 時間
KF カールフィッシャー
min 分
MsOH メタンスルホン酸
NMR 核磁気共鳴
RP-HPLC 逆相高速液体クロマトグラフィー
r.t. 室温
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
TLC 薄層クロマトグラフィー
V 容積
【0175】
I.化学合成
別段の定めがない限り、販売供給業者から入手されるような試薬と溶媒を使用した。無水溶媒と炉乾燥したガラス製品を、湿気および/または酸素に敏感な合成変換に使用した。収率は最適化しなかった。反応時間はおおよそのものであり、最適化したものではない。別段の定めがない限り、カラムクロマトグラフイーと薄層クロマトグラフィー(TLC)をシリカゲル上で実施した。
【実施例1】
【0176】
(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノン(化合物1)の調製
【0177】
【化3】
【0178】
工程1:2-ヒドロキシベンズアルデヒド-3,4,5,6-d(Int-1)
【0179】
【化4】
【0180】
フェナ(phen)-d-オール(1.0eq)、塩化マグネシウム(1.5eq)、およびトリエチルアミン(3.7eq)をACN(10V)に溶かした溶液を、20℃で0.5時間撹拌した。ホルムアルデヒド(8.0eq)を添加し、反応混合物を3時間加熱還流した。反応混合物を室温に冷まし、10%HCl溶液(10V)を添加した。混合物をEtOAc(3×6V)で抽出した。組み合わせた有機質層をブライン(6V)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮することで、2-ヒドロキシベンズアルデヒド-3,4,5,6-d(Int-1)を黄色の油として得た。
【0181】
工程2:1-(ベンゾフラン-2-イル-4,5,6,7-d)エタン-1-オン(Int-2)
【0182】
【化5】
【0183】
2-ヒドロキシベンズアルデヒド-3,4,5,6-d(Int-1)(1.0eq)、ブロモプロパノン(1.0eq)、および炭酸カリウム(3.0eq)をアセトン(14V)に溶かした溶液を、6時間加熱還流した。反応混合物を室温に冷まして濾過した。濾液を濃縮し、粗製生成物を再結晶化することで(石油エーテル/EtOAc 10:1)、1-(ベンゾフラン-2-イル-4,5,6,7-d)エタン-1-オン(Int-2)を黄色固形物として得た。
【0184】
工程3:2-エチルベンゾフラン-4,5,6,7-d(Int-3)
【0185】
【化6】
【0186】
1-(ベンゾフラン-2-イル-4,5,6,7-d)エタン-1-オン(Int-2)(1.0eq)をジエチレングリコール(16V)に溶かした溶液を120℃で加熱した。N.HO(2.0eq)と水(1V)を添加した。反応混合物を180℃で10分間加熱し、次いで120℃に冷ました。KOH(2.0eq)を添加し、反応混合物を120℃で6時間加熱した。反応混合物を冷却し、水へと注ぎ、EtOAc(20V×3)で抽出した。組み合わせた有機質層をブライン(20V)で洗浄して濃縮することで、無色の油として2-エチルベンゾフラン-4,5,6,7-d(Int-3)を得た。
【0187】
工程4:(2-エチルベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)(4-メトキシフェニル)メタノン(Int-4)
【0188】
【化7】
【0189】
2-エチルベンゾフラン-4,5,6,7-d(Int-3)(1.0eq)と4-メトキシベンゾイルクロリド(1.15eq)をDCM(30V)に溶かした溶液を0℃に冷却し、AlCl(1.1eq)を充填した。反応混合物を0℃で2時間撹拌した。DO(2V)を混合物に液滴により5℃で添加し、この混合物を0.5時間撹拌した。水(8V)を添加した。有機質層を分離し、ブライン(10V)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、真空下において40℃で濃縮することで、(2-エチルベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)(4-メトキシフェニル)メタノン(Int-4)を黄色固形物として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ7.81-7.77(dd,2H),7.12-7.08(dd,2H),3.88(s,3H),2.86-2.78(q,2H),1.28-1.23(t,3H);LCMS:285[M+H]
【0190】
工程5:(2-エチルベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)(4-ヒドロキシフェニル)メタノン(Int-5)
【0191】
【化8】
【0192】
(2-エチルベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)(4-メトキシフェニル)メタノン(Int-4)(1.0eq)を0℃でDCM(10V)に溶かした溶液に、BBr(2.2eq)を液滴により0~5℃で添加した。反応混合物を室温に暖め、14時間撹拌した。氷水(10V)を添加し、混合物を0.5時間撹拌した。有機質層を分離し、ブライン(10V)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、真空下において40℃で濃縮することで、(2-エチルベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)(4-ヒドロキシフェニル)メタノン(Int-5)を茶色固形物として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ10.47(s,1H),7.71-7.68(dd,2H),6.92-6.88(dd,2H),2.84-2.78(q,2H),1.28-1.24(t,3H);LCMS:271[M+H]
【0193】
工程6:(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-エチルベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノン(Int-6)
【0194】
【化9】
【0195】
(2-エチルベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)(4-ヒドロキシフェニル)メタノン(Int-5)(1.0eq)を10℃でDCM(10V)に溶かした溶液に、NBS(1.7eq)を液滴により0~5℃で添加した。反応混合物を18℃に暖め、16時間撹拌した。反応混合物に10℃で追加のNBS(0.14eq)を充填し、18℃で16時間撹拌した。反応混合物に10℃で追加のNBS(0.05eq)を充填し、18℃で3時間撹拌した。水(15V)を添加し、混合物を0.5時間撹拌した。有機質層を分離し、ブライン(15V)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、真空下において40℃で濃縮することで、黄色固形物を得た。黄色固形物を60℃で2時間、EtOAc/n-ヘプタン(1V/10V)の中でスラリー状にした。混合物を10℃に冷却して濾過することで、(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-エチルベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノン(Int-6)を黄色固形物として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ11.05(s,1H),7.92(s,2H),2.84-2.75(q,2H),1.27-1.20(t,3H);LCMS:429[M+H]
【0196】
工程7:2,6-ジブロモ-4-(2-エチルベンゾフラン-3-カルボニル-4,5,6,7-d)フェニルアセテート(Int-7)
【0197】
【化10】
【0198】
(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-エチルベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノン(Int-6)(1.0eq)とトリエチルアミン(2.5eq)をDCM(10V)に溶かした溶液に、塩化アセチル(2.0eq)を液滴により0~5℃で添加した。反応混合物を15℃に暖め、2時間撹拌した。水(10V)を添加した。有機質層を分離し、ブライン(10V)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、真空下において40℃で濃縮することで、粗製固形物を得た。粗製固形物を50℃で1時間、EtOAc(10V)の中で活性炭(0.5w/w)により脱色した。混合物を30℃に冷まし、珪藻土補助物質(kieselguhr aid)により濾過することで活性炭を取り除いた。濾液を真空下において40℃で濃縮した。残留物をi-PrOH(2V)の中で溶解し、60℃で1時間加熱した。溶液を45℃に冷まし、種結晶(0.5%w/w)を充填し、1時間撹拌した。混合物を25℃に冷まし、16時間撹拌した。混合物を濾過し、固形物を乾燥させることで、2,6-ジブロモ-4-(2-エチルベンゾフラン-3-カルボニル-4,5,6,7-d)フェニルアセテート(Int-7)を黄色固形物として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ8.08(s,2H),2.81-2.74(q,2H),2.44(s,3H),1.27-1.22(t,3H);LCMS:471[M+H]
【0199】
工程8:2,6-ジブロモ-4-(2-(1-ブロモエチル)ベンゾフラン-3-カルボニル-4,5,6,8-d)フェニルアセテート(Int-7)
【0200】
【化11】
【0201】
2,6-ジブロモ-4―(2-エチルベンゾフラン-3-カルボニル-4,5,6,7-d)フェニルアセテート(Int-7)(1.0eq)、NBS(1.1eq)、およびAIBN(0.1eq)をクロロベンゼン(10V)に溶かした混合物を、55℃で6時間撹拌しながら加熱した。反応混合物を25℃に冷却し、水(10V)を添加し、混合物を1時間撹拌した。有機質層を分離し、NaSOで乾燥させ、真空下で1.5~2Vに濃縮した。この溶液にヘプタン(5V)を充填し、真空下で1.5~2Vに濃縮した。これを3回繰り返した。溶液にヘプタン(3V)を充填し、5℃に冷却し、4時間撹拌した。混合物を濾過し、固形物をヘプタン(1V×2)で洗浄し、乾燥することで、2,6-ジブロモ-4-(2-(1-ブロモエチル)ベンゾフラン-3-カルボニル-4,5,6,7-d)フェニルアセテート(Int-8)を黄色固形物として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ8.11(s,2H),5.47-5,40(q,1H),2.46(s,3H),2.05-2.03(d,3H);LCMS:469[M+H-HBr]
【0202】
工程9:1-(3-(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシベンゾイル)ベンゾフラン-2-イル-4,5,6,7-d)エチルアセテート(Int-9)
【0203】
【化12】
【0204】
2,6-ジブロモ-4-(2-(1-ブロモエチル)ベンゾフラン-3-カルボニル-4,5,6,7-d)フェニルアセテート(Int-8)(1.0eq)とCsOAc(5.0eq)をN-メチルピロリジン(8V)に溶かした混合物を、25℃で12時間撹拌した。反応混合物を濾過した。この濾液に水(15V)とEtOAc(10V)を添加した。結果として生じる混合物のpHを12N HClにより2~3に調整した。混合物を1時間撹拌し、次いで0.5時間静置させた。有機溶液を集め、水溶液をEtOAc(10V)で抽出した。組み合わせた有機溶液を水(10V×3)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、真空下で濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製することで、1-(3-(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシベンゾイル)ベンゾフラン-2-イル-4,5,6,7-d)エチルアセテート(Int-9)をオフホワイト固形物として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ7.93(s,2H),5.88-5.87(q,1H),1.99(s,3H),1.63-1.61(d,3H);LCMS:427[M+H-CHCOH]
【0205】
工程10:(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノン(化合物1)
【0206】
【化13】
【0207】
1-(3-(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシベンゾイル)ベンゾフラン-2-イル-4,5,6,7-d)エチルアセテート(Int-9)(1.0eq)をメタノール(10V)に溶かした混合物に、CsCO(3.0eq)を添加した。反応混合物を28℃で12時間撹拌した。水(20V)を添加し、結果として生じる混合物のpHを12N HClにより2~3に調整した。混合物を1時間撹拌した。混合物を濾過し、濾過ケークを水(2V×2)で洗浄した。濾過ケーク、EtOAc(15V)、および1N HCl(5V)の溶液を、25℃で1時間撹拌した。有機溶液を集め、NaSOで乾燥させ、真空下で2~3Vに濃縮した。溶液を50℃で1時間加熱し、種結晶(1%w/w)を充填し、50℃で2時間加熱した。n-ヘプタン(10V)を液滴により添加し、混合物を50℃で2時間加熱した。混合物を25℃に冷まし、12時間撹拌した。固形物を濾過により集めて乾燥することで、(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)(2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゾフラン-3-イル-4,5,6,7-d)メタノン(化合物1)をオフホワイト固形物として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ11.11(bs,1H),7.95(s,1H),5.60(bs,1H),4.88-4.83(q,1H),1.49-1.48(d,3H);LCMS:427[M+H-HO]
【0208】
II.多形体の特徴化
【実施例2】
【0209】
X線粉末回折(XRPD)
X線粉末回折試験は、次の器機パラメータを持つBruker D8 Advanceを使用して行った。
スキャン:3°(2θ)~40°(2θ)
増分:0.02°(2θ)
スキャン速度:0.3秒/工程
電圧:40kV
電流:40mA
回転:オン
サンプル保持:ゼロバックグラウンドサンプルホルダー
【0210】
化合物1の形態3に対するXRPD解析(図1)では、形態3は、6.8°2-シータ、13.6°2-シータ、14.6°2-シータ、21.2°2-シータ、24.2°2-シータ、24.7°2-シータ、26.7°2-シータ、および27.5°2-シータにて特徴ピークを持つ結晶性であることを認めた。
【0211】
化合物1の形態2に対するXRPD解析(図4)では、形態2は、8.3°2-シータ、10.7°2-シータ、16.6°2-シータ、19.7°2-シータ、23.7°2-シータ、25.0°2-シータ、25.6°2-シータ、および27.1°2-シータにて特徴ピークを持つ結晶性であることを認めた。
【0212】
化合物1の形態1に対するXRPD解析(図7)では、形態1は、5.6°2-シータ、11.5°2-シータ、13.8°2-シータ、14.3°2-シータ、17.0°2-シータ、18.9°2-シータ、27.9°2-シータ、および31.4°2-シータにて特徴ピークを持つ結晶性であることを認めた。
【実施例3】
【0213】
偏光顕微鏡法(PLM)
光学顕微鏡検査は、Nikon Eclipse LV100N POLを使用して行った。固形物をスライドガラスに置き、シーダー油により分散させた後、適切な倍率で観察した。
【0214】
化合物1の形態3に対するPLM解析では、大きさ最大50μmの不規則な結晶を認めた。
【0215】
化合物1の形態2に対するPLM解析では、大きさ最大100μmの不規則な粒子を認めた。
【0216】
化合物1の形態1に対するPLM解析では、大きさ最大50μmの針状の結晶を認めた。
【実施例4】
【0217】
熱重量分析
固形物の熱重量分析は、TA Discovery TGA 55またはそれと同等のものを使用して行った。開いたアルミニウムパンに試料を入れ、自動計量を行った。最終温度になるまで、試料を10℃/分の加熱速度で加熱した。
【0218】
化合物1の形態3に対するTGA(図2)では、分解が約147℃で始まるまで重量損失は認められなかった。
【0219】
化合物1の形態2に対するTGA(図5)では、分解が約139℃で始まるまで重量損失は認められなかった。
【0220】
化合物1の形態1に対するTGA(図8)では、100℃で一水和物と一致するまでに約4%の重量損失を認めた。
【実施例5】
【0221】
示差走査熱量測定法(DSC)
DSC試験はTA Discovery DSC 250を使用して行った。試料をピンホール・アルミニウムパンに入れて計量し、正確な量を記録した。25℃から最終温度までの50mL/分の窒素パージにより、試料を10℃/分の加熱速度で加熱した。
【0222】
化合物1の形態3に対するDSC解析(図3)では、147℃(81J/g)で開始する溶解吸熱を認めた。
【0223】
化合物1の形態2に対するDSC解析(図6)では、139℃(77J/g)で開始する溶解吸熱を認めた。
【0224】
化合物1の形態1に対するDSC解析(図9)では、80℃(74J/g)で開始する広範な吸熱を認めた。
【実施例6】
【0225】
動的蒸気吸着(DV)
DVS試験は、DVS Intrinsic(SMS、UK)またはIGASORP(Hiden、UK)を使用して行った。10~50mgの化合物をDVSに移行させ、以下のパラメータを用いて25℃での可変大気湿度に対する重量変化を記録した。
dm/dt<±0.002%/分まで40℃で乾燥
最小時間:30分、最大時間:120分(IGASORPに対して)
平衡:60分
サイクル:0、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、80、70、60、50、40、30、20、10、5、0
XRPDによるDVS実験後に試料を特徴づける
【0226】
化合物1の形態3に対するDVS解析(図10)では、0~90%のRHで0.04%の吸湿を認めた。XRPDによるポストGVS解析では変化を認めなかった。この材料は非吸湿性であった。
【0227】
化合物1の形態2に対するDVS解析(図11)では、0~90%のRHで0.08%の吸湿を認めた。XRPDによるポストGVS解析では変化を認めなかった。この材料は非吸湿性であった。
【0228】
化合物1の形態1に対するDVS解析(図12)では、脱水形態は20%超のRHで水和形態に変換されることを認めた。
【0229】
III.多形体スクリーン
化合物1の形態1を使用して、多形体スクリーンの実施例7、8、および9を行った。
【実施例7】
【0230】
二成分系溶媒試験
二成分系溶媒試験は、低速蒸発を利用する13の溶媒(アセトン、アセトニトリル、2-ブタノン、エタノール、酢酸エチル、ヘプタン、イソプロパノール、酢酸イソプロピル、メタノール、メチルt-ブチルエーテル(MTBE)、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、および水)の組み合わせを使用して行った。それぞれ化合物1の形態1(40~80mg)を含有する91のバイアルに溶媒3mLを充填した。化合物1の溶液/懸濁液2mLを濾過して遠心分離管に入れた(残りの化合物1の懸濁液1mLを実施例8に使用した)。各濾液100μLを96ウェルプレートに分配した。ピンホールを備えたフィルムで封をすることでプレートを覆い、大気雰囲気下でフュームフードの中でゆっくり蒸発させた。21の固体試料をXRPDにより試験した。結果を表1に示す。
【0231】
【表1】
【実施例8】
【0232】
スラリー試験
実施例7から得た残りの化合物1懸濁液を4日間撹拌した。濾過により固形物を集め、XRPDにより解析した。加えて、溶媒1.5mLにおける化合物1の形態1(50mg)のスラリーを、特定時間にわたり50℃で加熱した。濾過により固形物を集め、XRPDにより解析した。結果を表2に示す。
【0233】
【表2】
【実施例9】
【0234】
貧溶媒沈降反応試験
化合物1の形態1(約50mg)を計量して試料バイアルに入れ、様々な溶媒を添加して固形物を溶解させた。ヘプタンを徐々に添加して懸濁液を作製し、これを特定時間にわたり室温または50℃で撹拌した。固形物を濾過により集め、XRPDにより解析した。結果を表3に示す。
【0235】
【表3】
【実施例10】
【0236】
相互変換試験
同量の化合物1の形態2と化合物1の形態3をEtOAc/ヘプタン混合物に添加し、特定時間にわたり室温(r.t.)または50℃で撹拌した。濾過により固形物を集め、XRPDにより解析した。相互変換の結果、形態3は高温と室温でより安定していたことを認めた。結果を表4に示す。
【0237】
【表4】
【実施例11】
【0238】
化合物1およびベンズブロマロンとヒトURAT1取り込み輸送体とのインビトロ相互作用試験
取り込み実験は、安定してヒトURAT1取り込み輸送体を発現するMDCKII細胞を使用して行った。95:5の空気:COの大気中、37±1℃で細胞を培養し、表5に記載される細胞数で標準の96ウェル組織培養プレートに蒔いた。
【0239】
【表5】
【0240】
実験前に培地を取り除き、Clを含まない100μLのHBSSで細胞を2回洗浄した。Clを含まず、pH7.4であり、プローブ基質(尿酸20μM)と被験物質(TA)または溶媒を含有する、50μLのHBSSの中、37±1℃で、取り込み実験を行った。有機溶媒濃度は全ウェルにおいて等しく、1%(v/v)を超えなかった。
【0241】
処置群を表6に提示する。
【0242】
【表6】
【0243】
実験後、Clを含まない100μLの氷冷HBSSで細胞を2回洗浄し、50μLの0.1M NaOHで溶解した。各ウェルからアリコート(35μL)を測定して液体シンチレーション計数を行うことで、放射標識プローブ基質輸送を判定した。
【0244】
結果:両被験物質(化合物1とベンズブロマロン)は、すべての試験濃度でHBSS緩衝液に溶けた。最高試験濃度は10μMである。化合物1は、10μMの濃度でURAT1媒介性尿酸蓄積を100%阻害し、IC50=0.067μMであった。ベンズブロマロンは、10μMの濃度でURAT1媒介性尿酸蓄積を98%阻害し、IC50=0.196μMであった。
図1
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【国際調査報告】