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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-01
(54)【発明の名称】電界紡糸製縫合リング
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/24 20060101AFI20220125BHJP
   A61L 27/18 20060101ALI20220125BHJP
   A61L 27/58 20060101ALI20220125BHJP
   A61L 27/36 20060101ALI20220125BHJP
【FI】
A61F2/24
A61L27/18
A61L27/58
A61L27/36 100
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021531221
(86)(22)【出願日】2019-12-05
(85)【翻訳文提出日】2021-05-31
(86)【国際出願番号】 EP2019083782
(87)【国際公開番号】W WO2020115188
(87)【国際公開日】2020-06-11
(31)【優先権主張番号】62/775,671
(32)【優先日】2018-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520228337
【氏名又は名称】ゼルティス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファン デ ブルグト、ビビアン
(72)【発明者】
【氏名】ロペス、スザンナ アモリム
(72)【発明者】
【氏名】バエルス、ベティー
(72)【発明者】
【氏名】ラリュー、ローランド ランバルタス ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】コックス、マーティン アントニウス ヨハネス
【テーマコード(参考)】
4C081
4C097
【Fターム(参考)】
4C081AB12
4C081AB17
4C081BA16
4C081CA151
4C081CD34
4C081DA03
4C081EA03
4C097AA27
4C097BB01
4C097CC01
4C097DD01
4C097DD12
4C097FF05
4C097FF17
4C097MM02
4C097MM03
4C097MM04
4C097SB01
4C097SB09
(57)【要約】
本明細書は、中空コアを含む電界紡糸製多孔質縫合リングをなす医療用インプラントを提供する。この縫合リングは、円筒状ターゲットに対して電界紡糸することにより形成された、電界紡糸製材料を有する円形シートをまくり上げることによって形成される、連続的な環状体をなす。この縫合リングは、患者の体内に移植されると、生分解性を有する細孔内での細胞の増殖、及び、細孔内への栄養素の侵入に起因して、自然組織に吸収及び置換される。この縫合リングによれば、既存の縫合リング又はソーイングリングにおける諸問題の少なくとも一部が解決される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空コアを含み、かつ中空コア直径、壁厚、及びリング内径を有する電界紡糸製多孔質縫合リングを含む医療用インプラントであって、
前記電界紡糸製多孔質縫合リングは、電界紡糸製材料を有する円形シートを前記円形シートの長軸方向に沿ってまくり上げることによって形成される、連続的な環状体をなす医療用インプラント。
【請求項2】
請求項1に記載の医療用インプラントであって、
前記電界紡糸製多孔質縫合リングの細孔径が、5~50μmの範囲である医療用インプラント。
【請求項3】
請求項1に記載の医療用インプラントであって、
前記電界紡糸製多孔質縫合リングが、生分解性を有し、かつ、その細孔内での細胞の増殖、及び、その細孔内への栄養素の侵入に起因して、自然組織に吸収及び置換される医療用インプラント。
【請求項4】
請求項1に記載の医療用インプラントであって、
心臓弁リーフレットを更に含み、
前記電界紡糸製多孔質縫合リングが、前記心臓弁リーフレットに取付けられた医療用インプラント。
【請求項5】
請求項1に記載の医療用インプラントであって、
前記中空コア直径が、0.1~3mmの範囲である医療用インプラント。
【請求項6】
請求項1に記載の医療用インプラントであって、
前記壁厚が、100~1000μmである医療用インプラント。
【請求項7】
請求項1に記載の医療用インプラントであって、
前記リング内径が、10~22mmの範囲である医療用インプラント。
【請求項8】
請求項1に記載の医療用インプラントであって、
前記リング内径が、18~28mmの範囲である医療用インプラント。
【請求項9】
請求項1に記載の医療用インプラントであって、
前記リング内径が、25~40mmの範囲である医療用インプラント。
【請求項10】
医療用インプラントの製造方法であって、
(a)円筒状ターゲットに対してポリマーを電界紡糸してコーティングすることにより、長手方向に延びる電界紡糸製の円筒状シートを形成するステップと、
(b)前記円筒状シートを前記長手方向に沿ってまくり上げることにより、環状体を形成するステップと、
(c)前記円筒状ターゲットから前記環状体を取り除くことにより、中空コアを含み、かつ中空コア直径、壁厚、及びリング内径を有する電界紡糸製縫合リングを作製するステップとを含む製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載の製造方法であって、
電界紡糸製の円形犠牲用シートを形成するステップを更に含み、
前記中空コアが、前記円形犠牲用シートをまくり上げた後、前記円形犠牲用シートを取り除くことにより形成される製造方法。
【請求項12】
請求項11に記載の製造方法であって、
前記中空コアが、溶媒を使用して前記円形犠牲用シートを取り除くことにより形成される製造方法。
【請求項13】
医療用インプラントの製造方法であって、
(a)円筒状ターゲット上に第1のポリマーシートをまくり上げるステップと、
(b)前記円筒状ターゲット上にまくり上げられた前記第1のポリマーシート上に、第2のポリマーシートをまくり上げるステップと、
(c)前記第2のポリマーシートから前記第1のポリマーシートを溶解させることにより、中空コアを含み、かつ中空コア直径、壁厚、及びリング内径を有する電界紡糸製縫合リングを作製するステップとを含む製造方法。
【請求項14】
請求項13に記載の製造方法であって、
前記第1のポリマーシートの前記溶解が、水を使用することにより実施される製造方法。
【請求項15】
請求項13に記載の製造方法であって、
前記第1のポリマーシートが、電界紡糸製のポリマーシートである製造方法。
【請求項16】
請求項13に記載の製造方法であって、
前記第2のポリマーシートが、電界紡糸製のポリマーシートである製造方法。
【請求項17】
請求項13に記載の製造方法であって、
前記医療用インプラントが、縫合リングである製造方法。
【請求項18】
請求項13に記載の製造方法であって、
前記医療用インプラントが、心臓弁リーフレットを更に含む製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用の縫合リングに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、人工弁としては、生体弁(図1の100)が最も一般的に使用されている。生体弁は、通常、主に動物由来組織が用いられたリーフレット材料110を含む。動物由来組織の使用においては、いくつものデメリットが知られており、それは、組織の調達、異種材料、歩留まり、石灰化の懸念、グルタルアルデヒドを用いた組織の貯蔵、及びそれに伴う術前洗浄に関するものである。生体弁の耐用年数は、一般的にin vivoで10~15年に限られており、その後は再介入又は再手術が必要となる。
【0003】
ソーイングリング又は縫合リング120は、心臓弁を患者の心臓組織に縫い付けるために用いられる。縫合リングは、外科用バルブにおいて、患者の解剖学的部分と直接接触する唯一の部品である。縫合リングは、管形状を有するニット生地を環状にまくり上げることにより作製され、周方向に延びる溝部において心臓弁に固定される。或いは、縫合リングは、しばしば合成素材によって覆われたシリコンから作製されることもある(図1)。
【0004】
特許文献1には、自己組織から縫合リングを作製する方法が記載されている。また、特許文献2には、ポリウレタン等の抗血栓性/抗線維性/抗パンヌス性材料によって部分的に覆われた縫合リングが記載されている。
【0005】
既存の縫合リング又はソーイングリングは、以下の欠点を有する。
・縫合リングは合成素材から作製されるため、人工弁に血栓形成、線維化、及びパンヌス形成を惹き起こす虞がある。
・このような状況下では人工弁の機能が阻害され得るため、時間経過によって人工弁の交換が必要になることもある。
【0006】
移植後に患者が敗血症性感染症に罹患した場合には、この感染症に関連する細菌が縫合リングの合成素材に付着することが多い。一旦縫合リングが細菌に汚染されれば、感染症の根絶は極めて困難となる。感染症をコントロールできなければ、最終的には人工弁を外科的に交換する必要性が生じる虞がある。
【0007】
従って、当技術分野では、血栓形成、繊維化、パンヌス形成、及び細菌付着による影響を受け難い、より優れた縫合リングが必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2001/012105号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2003/0135270号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、医療用インプラントとしての縫合リングを提供するものであって、これによれば、少なくとも該技術分野における諸問題のいくつかを解決できるであろう。医療用インプラントは、中空コアを含む電界紡糸製多孔質縫合リングをなす。中空コアを含む電界紡糸製多孔質縫合リングは、電界紡糸製の円形シートをまくり上げる(roll-up)ことによって形成される、連続的な環状体をなす。
【0010】
縫合リングの多孔性は、縫合リングに生分解性を付与し、これにより、縫合リングが、自然組織に吸収及び置換されることを可能にするので重要である。本発明の多孔質縫合リングは、その細孔内での細胞の増殖、及び、その細孔内への栄養素の侵入に起因して、自然組織に吸収及び置換される。細孔径は、5~50nmの範囲である。
【0011】
中空コアを含む電界紡糸製多孔質縫合リングは、0.1~3mmの範囲の中空コア直径と、100~1000μmの範囲の壁厚と、用途によって10~22mmの範囲(例えば小児弁用)、18~28mmの範囲(例えば大動脈弁用)、又は25~40mmの範囲(例えば僧帽弁輪用)に分類されるリング内径とを有する。
【0012】
一実施形態では、本発明に係る医療用インプラントは、中空コアを含む電界紡糸製多孔質縫合リングを取付け可能な心臓弁リーフレットを更に含む。
【0013】
本発明はまた、医療用インプラントの製造方法であって、円筒状ターゲットに対してポリマーを電界紡糸してコーティングすることにより、長手方向に延びる電界紡糸製の円筒状シートを形成するステップと、円筒状シートを長手方向に沿ってまくり上げることにより、環状体を形成するステップと、円筒状ターゲットから環状体を取り除くことにより、中空コアを含み、かつ中空コア直径、壁厚、及びリング内径を有する電界紡糸製縫合リングを作製するステップとを含む製造方法を提供する。
【0014】
この製造方法は、電界紡糸製の円形犠牲用シートを形成することによって一層特徴的となる。中空コアは、電界紡糸製の円形犠牲用シートをまくり上げた後、電界紡糸製の円形犠牲用シートを取り除くことにより形成される。電界紡糸製の円形犠牲用シートを取り除くステップでは例えば溶媒が使用され、結果として中空コアが形成される。具体的には、例えば、PEOのシートをまくり上げた後、更にUPy材料のシートをまくり上げることによって、電界紡糸製の円形犠牲用シートが中空コアを有することとなる。その後、PEOを水に溶解させることで、縫合リングが中空コアを有することとなる。
【0015】
本発明の実施形態は、既存のアプローチと比較して、以下の点で優れている。
・本発明の中空コアを含む多孔質縫合リングは、始点も終点も有さないため、ウィークポイントが無い(現行の縫合リングは、接着部又は縫合部を有する)。
・本発明の中空コアを含む多孔質縫合リングは、柔軟でありながら強度があり、患者の解剖学的部分(例えば、非帆型/平面型の僧帽弁輪及び三尖弁や、帆型の大動脈弁輪及び肺動脈弁など)に合わせて調整できる。
・本発明の多孔質縫合リングは、中空構造を有するため、非常に弱い挿入力及び適当な初期抵抗をもって、外科用の環状縫合糸を適切な位置に配置できる。挿入時の力が強いと、ソーイングカフが損傷する可能性があるため望ましくない。このように、中空構造は、柔軟な縫合リングを作製するのに不可欠である。
・本発明の中空コアを含む多孔質縫合リングは、その全体が生体吸収性(生分解性)を有するので、体内に移植された後は、時間が経つとともに、生分解、並びに、刺激及び加速プロセスが行われるため、人工物が体内に残ることはない。中空コアを含む多孔質縫合リングは、移植中にのみ必要とされるので、このことは、現在使用されている縫合リングと比較すると大きな利点である。最新技術である、(合成繊維製の)ソーイングカフに封入されたシリコン製/金属製の縫合リングは、細菌を引き寄せ易く、これにより血栓形成、パンヌス形成、及び線維化を惹き起こす虞がある。
・生分解性ポリマーから作製される電界紡糸製縫合リングは、内因性組織回復(ETR:Endogenous Tissue Restoration)プロセスを可能にする。このプロセスは、リーフレットの基部から始まり、ここでは、細胞及び組織が取り込まれることにより、縫合リングが患者の解剖学的部分に一体化される。更に、被包化(血栓形成、パンヌス形成、及び線維化)も低減される。
・本発明の中空コアを含む多孔質縫合リングの製造方法によれば、組立ステップが削減され、組立手順(例えば、バルブフレームに対する縫合リングの接続)が簡略化される。この縫合リングの素材が被覆層の素材と同じであれば、上述した接続手順は更に簡略化される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の例示的な実施形態である100を示す図である。図1には、合成繊維で覆われたシリコン製リングをなす既存の縫合リング120が示されている。
図2図2は、本発明の例示的な実施形態による、電界紡糸法を用いて中空コアを含む多孔質縫合リングを作製するための方法を示す図である。図2中のDにおける矢印は、長軸方向を示す。この製造方法が完了した時、縫合リングは、電界紡糸製材料を有する円形シートをその長軸方向に沿って巻き上げることによって形成される、連続的な環状体をなす。
図3図3は、本発明の例示的な実施形態である300を示す図である。図3には、中空コアを含む多孔質縫合リング310が示されている。該リング(横方向に半分に切断されたリング)は、中空コア直径及び壁厚を有する。
図4図4は、本発明の例示的な実施形態である400を示す図である。図4には、リーフレット材料410と、中空コアを含む多孔質縫合リング420とを含む外科用バルブが示されている。
【発明を実施するための形態】
【0017】
純粋ポリマー製のバルブは、この技術分野における、動物由来組織の使用に関連する諸問題を解決することができる。この文脈における「純粋」とは、動物由来組織を含まないという意味である。純粋ポリマー製のバルブによれば、製造性が向上し、現在課題となっている動物由来組織の調達の問題を解決できるばかりでなく、グルタルアルデヒドによる処理及び洗浄も不必要になる。これにより、石灰化の虞が低減され、耐用年数が向上する。従って、本発明の一実施形態は、ポリマー材料、好ましくはETRを可能にする材料から作製されたリーフレットを有する心臓弁を提供する。更に、本発明は、生体吸収性を有する超分子ポリマー、好ましくはETRを可能にするポリマーから作製されたリーフレットを有する心臓弁を提供する。
【0018】
別の実施形態では、本発明は、心臓弁用の縫合リングを提供する。縫合リングは、後述するポリマー材料を用いて電界紡糸され、好ましくは生体吸収性を有する。この電界紡糸製縫合リングは、図2のステップA~ステップE、及びステップGに示す新規の製造方法に従って作製される。
A.円筒状ターゲット220に、可溶性ポリマーコーティング210を電界紡糸する。
B.この可溶性ポリマーコーティングを、リングを形成するまでまくり上げる(230)。
C.可溶性ポリマーリング240及び円筒状ターゲット220上に、ポリマー250を電界紡糸してコーティングする。
D.260に示すように、ポリマーの足場(scaffold)を、長手方向に沿って(直線矢印の向きに)可溶性ポリマーリング上にまくり上げることにより、外殻をなすポリマーの内側に可溶性ポリマーが配置されたリングを形成する。
E.リングを270に示すようにまくり上げることにより、このリングをターゲットから取り除く。
F.可溶性ポリマーを水に溶解させる前のリングの断面を示す図である。
G.280に示すように、内側に可溶性ポリマーが配置されたリングを、一晩水に溶解させる。
H.中空コアを含むポリマーリングの断面を示す図である(符号290は中空部を示す)。
【0019】
この方法によれば、ポリマー製の電界紡糸繊維を用いて、中空コアを有する閉環形状の縫合リングが作製される(図3)。この中空構造が本発明の核心であり、これにより縫合リングの柔軟性が高められている。外科医であれば、この電界紡糸製縫合リング内に縫合糸を容易に挿入できるであろう。図4は、外科用バルブの実用例を示しており、このバルブには中空コアを含む電界紡糸製ポリマー縫合リングが取付けられている。
【0020】
中空コアを含むポリマー縫合リングの技術仕様例
【0021】
1.壁厚は、100~1000μm(特に、200~500μmが好ましい)である(図3)。ただし、この範囲に限定されるものではない。
2.中空コア直径は、0.1~3mm(特に、1~3mmが好ましい)である(図3)。
3.縫合リングは、様々な大きさの径を有するターゲットに対して電界紡糸することによって作製されてもよい。縫合リングの代表径(typical size)は、その用途に依存し、10~22mmの範囲であってもよいし、18~23mmの範囲であってもよいし、又は25~40mmの範囲であってもよい(特に、23mm、24mm、25mm、及び26mmが好ましい)。この代表径は、縫合リング全体の内径を意味することに注意されたい。
4.多孔質縫合リングの細孔径は、5~50μmの範囲である。
【0022】
中空コアを含む多孔質縫合リングは、外科医が針及び縫合糸を容易に通すことができるように、硬すぎず、かつ十分な柔軟性を有することが好ましい。また、剛性は、先行技術の縫合リングと同程度か、或いはそれ以上であることが望ましい。流体力学試験における漏出量及び逆流分率は、市場に流通している競合の外科用バルブと同程度か、或いはそれ以上であるべきである。
【0023】
現場の外科医の触診テストに基づくと、350μmの壁厚及び2mmの中空コア直径を有する縫合リングにおいて、剛性及び柔軟性に対して良好な反応が得られた。従って、中空コアを含むポリマー縫合リングの壁厚は、厚すぎてはならないが、薄すぎてもいけない。おそらくは、壁厚が100~1000μmの範囲であれば適切な剛性が得られ、これにより、0.1~3mmの直径を有する中空コアが柔軟性を有することとなるであろう。
【0024】
本発明に係る実施形態におけるポリマーの定義
【0025】
本明細書で言及された超分子ポリマーは、ウレイド-ピリミジノン(UPy)四重水素結合素子(Science 278,1601-1604,(1997)において、Sijbesmaが先駆けとなった)と、ポリマーバックボーン(例えば、生分解性を有するポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリ(オルトエステル)、ポリホスホエステル、ポリアンハイドライド、ポリホスファゼン、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリビニルアルコール、及びポリプロピルネフマレート等からなる群のうちから選択されるポリマーバックボーン)とを含む。ポリエステルの例としては、ポリカプロラクトン、ポリ(L-ラクチド)、ポリ(DL-ラクチド)、ポリ(バレロラクトン)、ポリグリコリド、ポリジオキサノン、及びそれらのコポリエステル等が挙げられる。ポリカーボネートの例としては、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(ジメチルトリメチレンカーボネート)、及びポリ(ヘキサメチレンカーボネート)等が挙げられる。
【0026】
慎重に特性を選択し、かつ求められる特性が確実なものとなるように材料を加工すれば、非超分子ポリマーであっても同様の結果を得ることができる。これらの非超分子ポリマーには、生分解性又は非生分解性を有するポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリ(オルトエステル)、ポリホスホエステル、ポリアンハイドライド、ポリホスファゼン、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリビニルアルコール、及びポリプロピルネフマレートが含まれる。ポリエステルの例としては、ポリカプロラクトン、ポリ(L-ラクチド)、ポリ(DL-ラクチド)、ポリ(バレロラクトン)、ポリグリコリド、ポリジオキサノン、及びそれらのコポリエステル等が挙げられる。ポリカーボネートの例としては、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(ジメチルトリメチレンカーボネート)、及びポリ(ヘキサメチレンカーボネート)等が挙げられる。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】