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特表2022-511849金属膜形成用前駆体組成物、これを用いた金属膜形成方法、及び前記金属膜を含む半導体素子
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  • 特表-金属膜形成用前駆体組成物、これを用いた金属膜形成方法、及び前記金属膜を含む半導体素子 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-01
(54)【発明の名称】金属膜形成用前駆体組成物、これを用いた金属膜形成方法、及び前記金属膜を含む半導体素子
(51)【国際特許分類】
   C07F 7/00 20060101AFI20220125BHJP
   C23C 16/40 20060101ALI20220125BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20220125BHJP
   H01L 21/316 20060101ALI20220125BHJP
【FI】
C07F7/00 A CSP
C23C16/40
C07F7/00 Z
H01L21/31 C
H01L21/316 X
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021531889
(86)(22)【出願日】2019-12-06
(85)【翻訳文提出日】2021-06-03
(86)【国際出願番号】 KR2019017151
(87)【国際公開番号】W WO2020122506
(87)【国際公開日】2020-06-18
(31)【優先権主張番号】10-2018-0159668
(32)【優先日】2018-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0160118
(32)【優先日】2019-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520166741
【氏名又は名称】エスケー トリケム カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SK TRICHEM CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】ホン チャンソン
(72)【発明者】
【氏名】バク ヨンジュ
(72)【発明者】
【氏名】オ テフン
(72)【発明者】
【氏名】ファン インチョン
(72)【発明者】
【氏名】イ サンギョン
(72)【発明者】
【氏名】ギム ドンヒョン
【テーマコード(参考)】
4H049
4K030
5F045
5F058
【Fターム(参考)】
4H049VN06
4H049VN07
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4K030JA10
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5F058BF37
(57)【要約】
本発明は、金属膜形成用前駆体組成物に関するもので、化学式1乃至化学式3のうちのいずれか一つで表示されるジルコニウム化合物、及び化学式4乃至6のうちのいずれか一つで表示されるハフニウム化合物を含むことを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1乃至下記化学式3のうちのいずれか一つで表示されるジルコニウム化合物、及び下記化学式4乃至化学式6のうちのいずれか一つで表示されるハフニウム化合物を含むことを特徴とする金属膜形成用前駆体組成物。
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
(前記化学式1乃至6中、R乃至Rは、それぞれ独立して水素原子又はC~Cのアルキル基であり、Lは、Si又はC~Cの連結基であり、X乃至Xは、C~Cのアルキル基又は-NR又は-ORであるか、又は置換基を含む又は含まないシクロペンタジエニル基であり、このとき、R乃至Rは、それぞれ独立してC~Cのアルキル基である。)
【請求項2】
溶媒をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の金属膜形成用前駆体組成物。
【請求項3】
前記溶媒はC~C16の飽和又は不飽和炭化水素、ケトン、エーテル、グライム、エステル、テトラヒドロフラン、及び第3級アミンのいずれか一つ又はそれ以上であることを特徴とする、請求項2に記載の金属膜形成用前駆体組成物。
【請求項4】
前記溶媒は前記金属膜形成用前駆体組成物の全重量に対して0.1重量%~99重量%含むことを特徴とする、請求項2に記載の金属膜形成用前駆体組成物。
【請求項5】
前記ジルコニウム化合物及び前記ハフニウム化合物は0.1:99.9~99.9:0.1の重量比で混合されていることを特徴とする、請求項1に記載の金属膜形成用前駆体組成物。
【請求項6】
請求項1に記載の金属膜形成用前駆体組成物を用いて基板上に金属膜を蒸着するステップを含むことを特徴とする金属膜形成方法。
【請求項7】
前記金属膜形成用前駆体組成物は溶媒をさらに含むことを特徴とする、請求項6に記載の金属膜形成方法。
【請求項8】
前記溶媒は前記金属膜形成用前駆体組成物の全重量に対して0.1重量%~99重量%含むことを特徴とする、請求項7に記載の金属膜形成方法。
【請求項9】
前記金属膜を原子層蒸着法(Atomic Layer Deposition)、化学気相蒸着法(Chemical Vapor Deposition)、及び蒸発法(Evaporation)のうちのいずれか一つの方法によって蒸着することを特徴とする、請求項6又は7に記載の金属膜形成方法。
【請求項10】
前記金属膜形成用前駆体組成物を前記基板に供給する前駆体組成物伝達ステップをさらに含み、
前記前駆体組成物伝達ステップは、蒸気圧を利用して揮発移送方法、直接液体注入方法(Direct Liquid Injection)、及び液体移送方法(Liquid Delivery System)のうちのいずれか一つで行われていることを特徴とする、請求項6又は7に記載の金属膜形成方法。
【請求項11】
前記蒸着は、
チャンバ内に基板を位置するステップと、
前記金属膜形成用前駆体組成物を前記チャンバ内に供給するステップと、
前記チャンバ内に反応性ガス又は反応性ガスのプラズマを供給するステップと、
前記チャンバ内で熱処理、プラズマ処理及び光照射のうちのいずれか一つ又はそれ以上の手段によって処理するステップと、を含むことを特徴とする、請求項6又は7に記載の金属膜形成方法。
【請求項12】
前記反応性ガスは、水蒸気(HO)、酸素(O)、オゾン(O)、過酸化水素(H)、水素(H)、アンモニア(NH)、一酸化窒素(NO)、亜酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO)、ヒドラジン(N)、及びシラン(SiH)のうちのいずれか一つ又はそれ以上であり、前記反応性ガスのプラズマは、RFプラズマ、DCプラズマ、及びリモート(Remote)プラズマのうちのいずれか一つであることを特徴とする、請求項11に記載の金属膜形成方法。
【請求項13】
前記チャンバ内の蒸着温度は250℃~400℃であることを特徴とする、請求項11に記載の金属膜形成方法。
【請求項14】
前記ジルコニウム化合物と前記ハフニウム化合物は0.1:99.9~99.9:0.1の重量比で混合されていることを特徴とする、請求項6又は7に記載の金属膜形成方法。
【請求項15】
請求項6又は7に記載の金属膜形成方法によって製造された金属膜を含むことを特徴とする半導体素子。
【請求項16】
請求項6又は7に記載の金属膜形成方法によって製造された金属膜を含むトランジスタであって、
前記金属膜は前記トランジスタのゲート絶縁層を構成することを特徴とするトランジスタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属膜形成用前駆体組成物、これを用いた金属膜形成方法、及び前記金属膜を含む半導体素子に係り、さらに詳細には、原子層蒸着(ALD)又は化学気相蒸着(CVD)工程で使用されるジルコニウム及びハフニウムを含有する金属膜形成用前駆体組成物、これを用いた金属膜形成方法、及び前記金属膜を含む半導体素子に関する。
【背景技術】
【0002】
原子層蒸着(ALD)又は化学気相蒸着(CVD)工程のための前駆体として、様々な形態の有機金属化合物が開発されて使用されている。このような蒸着工程を適用してDRAM、キャパシタなどの半導体素子を製造する際に主に使用された材料は酸化シリコンであったが、最近、high-kの電気的特性が要求されることにより、従来の酸化シリコンの代わりにハフニウム又はジルコニウム酸化物を用いた薄膜が製造されている。
【0003】
このような薄膜を製造するためには、工程に適した前駆体を選定して最適化する必要がある。例えば、韓国公開特許第10-2012-0093165号公報では、化学式ML(NRのハフニウム又はジルコニウム化合物を前駆体として適用しているが、前記前駆体は、シクロペンタジエニルリガンドを含む化合物であって、薄膜形成工程に適した物質であることが確認されている。
【0004】
上記の先行技術では、ジルコニウム化合物及びハフニウム化合物をそれぞれ適用してジルコニウム含有薄膜とハフニウム含有薄膜を製造しているが、前記ジルコニウム化合物とハフニウム化合物を併用してジルコニウム-ハフニウム含有薄膜を製造することについては開示されていない。
【0005】
また、米国特許第8,962,078号明細書では、ハフニウム前駆体としてハフニウムシクロペンタジエニル化合物が開示されており、ジルコニウム前駆体としてジルコニウムシクロペンタジエニルが開示されているが、この先行技術でも、ジルコニウム化合物とハフニウム化合物を併用してジルコニウム-ハフニウム含有薄膜を製造することについては開示されていない。
【0006】
また、韓国公開特許第10-2017-0016748号明細書では、互いに異なる第1ソース物質及び第2ソース物質を用いて物質膜を形成する方法であって、前記ソース物質としてCpZr(NMe、Hf(Ot-Bu)、Hf(NEt、Hf(NEtMe)、Hf(NMe、TDMAHなどが記載されてジルコニウム化合物とハフニウム化合物とを併用することについての暗示はあるものの、具体的にジルコニウム-ハフニウム含有薄膜を製造することについては開示されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、かかる従来技術に鑑みてなされたもので、high-k特性を示すジルコニウム-ハフニウム含有薄膜を製造するためのジルコニウム化合物及びハフニウム化合物を含有する前駆体組成物を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、前記化合物のうちの1種又はそれ以上を希釈又は溶解させることができる溶媒を含むことにより、気化によってチャンバ内へ移送することができるジルコニウム-ハフニウム含有薄膜を製造するための前駆体組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の金属膜形成用前駆体組成物は、下記化学式1乃至化学式3のいずれか一つで表示されるジルコニウム化合物、及び下記化学式4乃至化学式6のいずれか一つで表示されるハフニウム化合物を含むことを特徴とする。
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
(前記化学式1乃至6中、R乃至Rは、それぞれ独立して水素原子又はC~Cのアルキル基であり、Lは、Si又はC~Cの連結基であり、X乃至Xは、C~Cのアルキル基又は-NR又は-ORであるか、又は置換基を含む又は含まないシクロペンタジエニル基であり、このとき、R乃至Rは、それぞれ独立してC~Cのアルキル基である。)
【0010】
この時、前記金属膜形成用前駆体組成物は、溶媒をさらに含むことができるが、前記溶媒としては、C~C16の飽和又は不飽和炭化水素、ケトン、エーテル、グライム、エステル、テトラヒドロフラン、第3級アミンのいずれか一つ又はそれ以上を使用することができる。
【0011】
また、前記溶媒は、前記金属膜形成用前駆体組成物の全重量に対して0.1~99重量%で含まれ得る。
【0012】
また、前記ジルコニウム化合物及びハフニウム化合物は、0.1:99.9乃至99.9:0.1の重量比で混合できる。
【0013】
本発明による金属膜形成方法は、前記金属膜形成用前駆体組成物を用いて基板上に金属膜を蒸着するステップを含むことを特徴とする。
【0014】
この時、前記金属膜形成用前駆体組成物は、溶媒をさらに含むことができ、前記溶媒は、前記金属膜形成用前駆体組成物の全重量に対して0.1~99重量%で含まれ得る。
【0015】
また、前記金属膜は、原子層蒸着法(Atomic Layer Deposition)、化学気相蒸着法(Chemical Vapor Deposition)、及び蒸発法(Evaporation)のうちのいずれか一つの方法によって蒸着できる。
【0016】
また、前記金属膜形成用前駆体組成物を前記基板に供給する前駆体組成物伝達ステップをさらに含むことができるが、この時、前記前駆体組成物伝達ステップは、蒸気圧を利用して、揮発移送方法、直接液体注入方法(Direct Liquid Injection)及び液体移送方法(Liquid Delivery System)のうちのいずれか一つで行われることができる。
【0017】
また、前記蒸着は、チャンバ内に基板を位置させるステップと、前記金属膜形成用前駆体組成物を前記チャンバ内に供給するステップと、前記チャンバ内に反応性ガス又は反応性ガスのプラズマを供給するステップと、前記チャンバ内で熱処理、プラズマ処理及び光照射のうちのいずれか一つ又はそれ以上の手段によって処理するステップとを含むことができる。
【0018】
この時、前記反応性ガスは、水蒸気(HO)、酸素(O)、オゾン(O)、過酸化水素(H)、水素(H)、アンモニア(NH)、一酸化窒素(NO)、亜酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO)、ヒドラジン(N)、及びシラン(SiH)のうちのいずれか一つ又はそれ以上であり、前記反応性ガスのプラズマは、RFプラズマ、DCプラズマ、及びリモート(Remote)プラズマのうちのいずれか一つであることができる。
【0019】
また、前記チャンバ内の蒸着温度は250乃至400℃であることができる。
【0020】
また、前記ジルコニウム化合物とハフニウム化合物は、0.1:99.9~99.9:0.1の重量比で混合できる。
【0021】
本発明による半導体素子は、前記金属膜形成方法によって製造された金属膜を含むことを特徴とし、トランジスタは、前記金属膜形成方法によって製造された金属膜を含むトランジスタであって、前記金属膜は、前記トランジスタのゲート絶縁層を構成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明による前駆体組成物は、ジルコニウム化合物及びハフニウム化合物を含有するため、high-k特性を示すジルコニウム-ハフニウム含有薄膜を製造するのに適した特性を示す。
【0023】
また、前記化合物のうちの1種又はそれ以上を希釈又は溶解させることができる溶媒を含むことにより、高い粘度の液状組成物又は固体状態の化合物でも気化によってチャンバ内に移送することができるという効果を示す。
【0024】
また、前記前駆体組成物を適用することにより、high-k特性を示す様々な半導体素子用薄膜を製造することができるという効果を示す。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の金属薄膜蒸着用前駆体組成物を誘電体薄膜に適用したキャパシタの断面を示す概念図である。
図2】化合物1、化合物4、及び化合物1と化合物4からなる組成物のNMR分析結果である。
図3】化合物2、化合物4、及び化合物2と化合物4からなる組成物のNMR分析結果である。
図4】化合物3、化合物4、及び化合物3と化合物4からなる組成物のNMR分析結果である。
図5】化合物1、化合物5、及び化合物1と化合物5からなる組成物のNMR分析結果である。
図6】化合物2、化合物5、及び化合物2と化合物5からなる組成物のNMR分析結果である。
図7】化合物3、化合物5、及び化合物3と化合物5からなる組成物のNMR分析結果である。
図8】比較例及び実施例によるジルコニウム前駆体、ハフニウム前駆体、及びジルコニウム/ハフニウム前駆体組成物の熱重量分析の結果である。
図9】比較例及び実施例によるジルコニウム前駆体、ハフニウム前駆体、及びジルコニウム/ハフニウム前駆体組成物で蒸着した薄膜のX線反射測定の結果である。
図10】比較例及び実施例によるジルコニウム前駆体、ハフニウム前駆体、及びジルコニウム/ハフニウム前駆体組成物で蒸着した薄膜のX線光電子分光測定の結果である。
図11】比較例及び実施例によるジルコニウム前駆体、ハフニウム前駆体、及びジルコニウム/ハフニウム前駆体組成物で蒸着した薄膜の電気化学-サイクリックボルタンメトリー(CV)分析結果である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明をより詳細に説明する。本明細書及び請求の範囲に使用された用語や単語は、通常的かつ事典的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は自分の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に即して、本発明の技術的思想に符合する意味と概念で解釈されるべきである。
【0027】
本発明による金属膜形成用前駆体組成物は、下記化学式1乃至化学式3のうちのいずれか一つで表示されるジルコニウム化合物、及び下記化学式4乃至化学式6のうちのいずれか一つで表示されるハフニウム化合物を含むことを特徴とする。
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
(前記化学式1乃至6中、R乃至Rは、それぞれ独立して水素原子又はC~Cのアルキル基であり、Lは、Si又はC~Cの連結基であり、X乃至Xは、C~Cのアルキル基又は-NR又は-ORであるか、又は置換基を含む又は含まないシクロペンタジエニル基であり、このとき、R乃至Rは、それぞれ独立してC~Cのアルキル基である。)
【0028】
前記化学式1で表示されるジルコニウム化合物は、シクロペンタジエニル基を一つ含有する化合物であって、代表的に次の物質を例示することができるが、これに限定されない。
【0029】
CpZr(NMe、[MeCp]Zr(NMe、[(Me)Cp]Zr(NMe、[(Me)Cp]Zr(NMe、[(Me)Cp]Zr(NMe、[(Me)Cp]Zr(NMe、[EtCp]Zr(NMe、[(Et)Cp]Zr(NMe、[(Et)Cp]Zr(NMe、[(Et)Cp]Zr(NMe、[(Et)Cp]Zr(NMe、[PrCp]Zr(NMe、[(Pr)Cp]Zr(NMe、[(Pr)Cp]Zr(NMe、[(Pr)Cp]Zr(NMe、[(Pr)Cp]Zr(NMe、[PrCp]Zr(NMe、[(Pr)Cp]Zr(NMe、[(Pr)Cp]Zr(NMe、[(Pr)Cp]Zr(NMe、[(Pr)Cp]Zr(NMe、[BuCp]Zr(NMe、[(Bu)Cp]Zr(NMe、[(Bu)Cp]Zr(NMe、[(Bu)Cp]Zr(NMe、[(Bu)Cp]Zr(NMe、[BuCp]Zr(NMe、[(Bu)Cp]Zr(NMe、[(Bu)Cp]Zr(NMe、[(Bu)Cp]Zr(NMe、[(Bu)Cp]Zr(NMe、[(Me)(Et)Cp]Zr(NMe、[(Me)(Et)Cp]Zr(NMe、[(Me)(Et)Cp]Zr(NMe、[(Me)(Et)Cp]Zr(NMe、[(Me)(Et)Cp]Zr(NMe、[(Me)(Et)Cp]Zr(NMe、[(Me)(Et)Cp]Zr(NMe、[(Me)(Et)Cp]Zr(NMe、[(Me)(Pr)Cp]Zr(NMe、[(Me)(Pr)Cp]Zr(NMe、[(Me)(Pr)Cp]Zr(NMe、[(Me)(Pr)Cp]Zr(NMe、[(Me)Pr)Cp]Zr(NMe、[(Me)Pr)Cp]Zr(NMe、[(Me)Pr)Cp]Zr(NMe、[(Me)Pr)Cp]Zr(NMe、[(Me)(Pr)Cp]Zr(NMe、[(Me)(Pr)Cp]Zr(NMe、[(Me)(Pr)Cp]Zr(NMe、[(Me)(Pr)Cp]Zr(NMe、[(Me)Pr)Cp]Zr(NMe、[(Me)Pr)Cp]Zr(NMe、[(Me)Pr)Cp]Zr(NMe、[(Me)Pr)Cp]Zr(NMe、[(Me)(Bu)Cp]Zr(NMe、[(Me)(Bu)Cp]Zr(NMe、[(Me)(Bu)Cp]Zr(NMe、[(Me)(Bu)Cp]Zr(NMe、[(Me)Bu)Cp]Zr(NMe、[(Me)Bu)Cp]Zr(NMe、[(Me)Bu)Cp]Zr(NMe、及び[(Me)Bu)Cp]Zr(NMeのうちのいずれか一つ又はそれ以上の化合物を挙げることができる。
【0030】
また、前記化学式2で表示されるジルコニウム化合物は、シクロペンタジエニル基を2つ含有する化合物であって、代表的に次の物質を例示することができるが、これに限定されない。
【0031】
[Cp]Zr(NMe、[MeCp]Zr(NMe、[(Me)Cp]Zr(NMe、[(Me)Cp]Zr(NMe、[(Me)Cp]Zr(NMe、[(Me)Cp]Zr(NMe、[EtCp]Zr(NMe、[(Et)Cp]Zr(NMe、[(Et)Cp]Zr(NMe、[(Et)Cp]Zr(NMe、[(Et)Cp]Zr(NMe、[PrCp]Zr(NMe、[(Pr)Cp]Zr(NMe、[(Pr)Cp]Zr(NMe、[(Pr)Cp]Zr(NMe、[(Pr)Cp]Zr(NMe、[PrCp]Zr(NMe、[(Pr)Cp]Zr(NMe、[(Pr)Cp]Zr(NMe、[(Pr)Cp]Zr(NMe、[(Pr)Cp]Zr(NMe、[BuCp]Zr(NMe、[(Bu)Cp]Zr(NMe、[(Bu)Cp]Zr(NMe、[(Bu)Cp]Zr(NMe、[(Bu)Cp]Zr(NMe、[BuCp]Zr(NMe、[(Bu)Cp]Zr(NMe、[(Bu)Cp]Zr(NMe、[(Bu)Cp]Zr(NMe、[(Bu)Cp]Zr(NMe、[(Me)(Et)Cp]Zr(NMe、[(Me)(Et)Cp]Zr(NMe、[(Me)(Et)Cp]Zr(NMe、[(Me)(Et)Cp]Zr(NMe、[(Me)(Et)Cp]Zr(NMe、[(Me)(Et)Cp]Zr(NMe、[(Me)(Et)Cp]Zr(NMe、[(Me)(Et)Cp]Zr(NMe、[(Me)(Pr)Cp]Zr(NMe、[(Me)(Pr)Cp]Zr(NMe、[(Me)(Pr)Cp]Zr(NMe、[(Me)(Pr)Cp]Zr(NMe、[(Me)Pr)Cp]Zr(NMe、[(Me)Pr)Cp]Zr(NMe、[(Me)Pr)Cp]Zr(NMe、[(Me)Pr)Cp]Zr(NMe、[(Me)(Pr)Cp]Zr(NMe、[(Me)(Pr)Cp]Zr(NMe、[(Me)(Pr)Cp]Zr(NMe、[(Me)(Pr)Cp]Zr(NMe、[(Me)Pr)Cp]Zr(NMe、[(Me)Pr)Cp]Zr(NMe、[(Me)Pr)Cp]Zr(NMe、[(Me)Pr)Cp]Zr(NMe、[(Me)(Bu)Cp]Zr(NMe、[(Me)(Bu)Cp]Zr(NMe、[(Me)(Bu)Cp]Zr(NMe、[(Me)(Bu)Cp]Zr(NMe、[(Me)Bu)Cp]Zr(NMe、[(Me)Bu)Cp]Zr(NMe、[(Me)Bu)Cp]Zr(NMe、及び[(Me)Bu)Cp]Zr(NMeのうちのいずれか一つ又はそれ以上の化合物を挙げることができる。
【0032】
また、前記化学式3で表示されるジルコニウム化合物は、シクロペンタジエニル基と金属原子との間に連結基によって架橋(bridge)を形成した構造の化合物であって、代表的に次の物質を例示することができるが、これに限定されない。
【0033】
Zr[CpCHNMe](NMe、Zr[Cp(CHNMe](NMe、Zr[Cp(CHNMe](NMe、Zr[Cp(CHNMe](NMe、Zr[Cp(CHNMe](NMe、Zr[CpCHNMe](Cp)(NMe)、Zr[Cp(CHNMe](Cp)(NMe)、Zr[Cp(CHNMe](Cp)(NMe)、Zr[Cp(CHNMe](Cp)(NMe)、Zr[Cp(CHNMe](Cp)(NMe)、Zr[(CpMe)CHNMe](NMe、Zr[(CpMe)(CHNMe](NMe、Zr[(CpMe)(CHNMe](NMe、Zr[(CpMe)(CHNMe](NMe、Zr[(CpMe)(CHNMe](NMe、Zr[(CpMe)CHNMe](Cp)(NMe)、Zr[(CpMe)(CHNMe](Cp)(NMe)、Zr[(CpMe)(CHNMe](Cp)(NMe)、Zr[(CpMe)(CHNMe](Cp)(NMe)、Zr[(CpMe)(CHNMe](Cp)(NMe)、Zr[CpCHNMe](CpMe)(NMe)、Zr[Cp(CHNMe](CpMe)(NMe)、Zr[Cp(CHNMe](CpMe)(NMe)、Zr[Cp(CHNMe](CpMe)(NMe)、Zr[Cp(CHNMe](CpMe)(NMe)、Zr[(CpMe)CHNMe](NMe、Zr[(CpMe)(CHNMe](NMe、Zr[(CpMe)(CHNMe](NMe、Zr[(CpMe)(CHNMe](NMe、Zr[(CpMe)(CHNMe](NMe、Zr[(CpMe)CHNMe](Cp)(NMe)、Zr[(CpMe)(CHNMe](Cp)(NMe)、Zr[(CpMe)(CHNMe](Cp)(NMe)、Zr[(CpMe)(CHNMe](Cp)(NMe)、Zr[(CpMe)(CHNMe](Cp)(NMe)、Zr[CpCHNMe](CpMe)(NMe)、Zr[Cp(CHNMe](CpMe)(NMe)、Zr[Cp(CHNMe](CpMe)(NMe)、Zr[Cp(CHNMe](CpMe)(NMe)、Zr[Cp(CHNMe](CpMe)(NMe)、Zr[(CpMe)CHNMe](NMe、Zr[(CpMe)(CHNMe](NMe、Zr[(CpMe)(CHNMe](NMe、Zr[(CpMe)(CHNMe](NMe、Zr[(CpMe)(CHNMe](NMe、Zr[(CpMe)CHNMe](Cp)(NMe)、Zr[(CpMe)(CHNMe](Cp)(NMe)、Zr[(CpMe)(CHNMe](Cp)(NMe)、Zr[(CpMe)(CHNMe](Cp)(NMe)、Zr[(CpMe)(CHNMe](Cp)(NMe)、Zr[CpCHNMe](CpMe)(NMe)、Zr[Cp(CHNMe](CpMe)(NMe)、Zr[Cp(CHNMe](CpMe)(NMe)、Zr[Cp(CHNMe](CpMe)(NMe)、Zr[Cp(CHNMe](CpMe)(NMe)、Zr[CpCHNMe](CpMe)(NMe)、Zr[Cp(CHNMe](CpMe)(NMe)、Zr[Cp(CHNMe](CpMe)(NMe)、Zr[Cp(CHNMe](CpMe)(NMe)、Zr[Cp(CHNMe](CpMe)(NMe)Zr[(CpEt)CHNMe](NMe、Zr[(CpEt)(CHNMe](NMe、Zr[(CpEt)(CHNMe](NMe、Zr[(CpEt)(CHNMe](NMe、Zr[(CpEt)(CHNMe](NMe、Zr[CpCHNMe](CpEt)(NMe)、Zr[Cp(CHNMe](CpEt)(NMe)、Zr[Cp(CHNMe](CpEt)(NMe)、Zr[Cp(CHNMe](CpEt)(NMe)、Zr[Cp(CHNMe](CpEt)(NMe)、Zr[(CpMeEt)CHNMe](NMe、Zr[(CpMeEt)(CHNMe](NMe、Zr[(CpMeEt)(CHNMe](NMe、Zr[(CpMeEt)(CHNMe](NMe、Zr[(CpMeEt)(CHNMe](NMe、Zr[CpCHNMe](CpMeEt)(NMe)、Zr[Cp(CHNMe](CpMeEt)(NMe)、Zr[Cp(CHNMe](CpMeEt)(NMe)、Zr[Cp(CHNMe](CpMeEt)(NMe)、Zr[Cp(CHNMe](CpMeEt)(NMe)、Zr[(CpMePr)CHNMe](NMe、Zr[(CpMePr)(CHNMe](NMe、Zr[(CpMePr)(CHNMe](NMe、Zr[(CpMePr)(CHNMe](NMe、Zr[(CpMePr)(CHNMe](NMe、Zr[(CpPr)CHNMe](NMe、Zr[(Cpi-PrEt)(CHNMe](NMe、Zr[(CpPrEt)(CHNMe](NMe、Zr[(CpPrEt)(CHNMe](NMe、及びZr[(CpPrEt)(CHNMe](NMeのうちのいずれか一つ又はそれ以上の化合物を使用することができる。
【0034】
また、前記化学式4で表示されるハフニウム化合物は、シクロペンタジエニル基を1つ含有する化合物であって、代表的に次の物質を例示することができるが、これに限定されない。
【0035】
CpHf(NMe、[MeCp]Hf(NMe、[(Me)Cp]Hf(NMe、[(Me)Cp]Hf(NMe、[(Me)Cp]Hf(NMe、[(Me)Cp]Hf(NMe、[EtCp]Hf(NMe、[(Et)Cp]Hf(NMe、[(Et)Cp]Hf(NMe、[(Et)Cp]Hf(NMe、[(Et)Cp]Hf(NMe、[PrCp]Hf(NMe、[(Pr)Cp]Hf(NMe、[(Pr)Cp]Hf(NMe、[(Pr)Cp]Hf(NMe、[(Pr)Cp]Hf(NMe、[PrCp]Hf(NMe、[(Pr)Cp]Hf(NMe、[(Pr)Cp]Hf(NMe、[(Pr)Cp]Hf(NMe、[(Pr)Cp]Hf(NMe、[BuCp]Hf(NMe、[(Bu)Cp]Hf(NMe、[(Bu)Cp]Hf(NMe、[(Bu)Cp]Hf(NMe、[(Bu)Cp]Hf(NMe、[BuCp]Hf(NMe、[(Bu)Cp]Hf(NMe、[(Bu)Cp]Hf(NMe、[(Bu)Cp]Hf(NMe、[(Bu)Cp]Hf(NMe、[(Me)(Et)Cp]Hf(NMe、[(Me)(Et)Cp]Hf(NMe、[(Me)(Et)Cp]Hf(NMe、[(Me)(Et)Cp]Hf(NMe、[(Me)(Et)Cp]Hf(NMe、[(Me)(Et)Cp]Hf(NMe、[(Me)(Et)Cp]Hf(NMe、[(Me)(Et)Cp]Hf(NMe、[(Me)(Pr)Cp]Hf(NMe、[(Me)(Pr)Cp]Hf(NMe、[(Me)(Pr)Cp]Hf(NMe、[(Me)(Pr)Cp]Hf(NMe、[(Me)Pr)Cp]Hf(NMe、[(Me)Pr)Cp]Hf(NMe、[(Me)Pr)Cp]Hf(NMe、[(Me)Pr)Cp]Hf(NMe、[(Me)(Pr)Cp]Hf(NMe、[(Me)(Pr)Cp]Hf(NMe、[(Me)(Pr)Cp]Hf(NMe、[(Me)(Pr)Cp]Hf(NMe、[(Me)Pr)Cp]Hf(NMe、[(Me)Pr)Cp]Hf(NMe、[(Me)Pr)Cp]Hf(NMe、[(Me)Pr)Cp]Hf(NMe、[(Me)(Bu)Cp]Hf(NMe、[(Me)(Bu)Cp]Hf(NMe、[(Me)(Bu)Cp]Hf(NMe、[(Me)(Bu)Cp]Hf(NMe、[(Me)Bu)Cp]Hf(NMe、[(Me)Bu)Cp]Hf(NMe、[(Me)Bu)Cp]Hf(NMe、及び[(Me)Bu)Cp]Hf(NMeのうちのいずれか一つ又はそれ以上の化合物を挙げることができる。
【0036】
また、前記化学式5で表示されるハフニウム化合物は、シクロペンタジエニル基を2つ含有する化合物であって、代表的に次の物質を例示することができるが、これに限定されない。
【0037】
[Cp]Hf(NMe、[MeCp]Hf(NMe、[(Me)Cp]Hf(NMe、[(Me)Cp]Hf(NMe、[(Me)Cp]Hf(NMe、[(Me)Cp]Hf(NMe、[EtCp]Hf(NMe、[(Et)Cp]Hf(NMe、[(Et)Cp]Hf(NMe、[(Et)Cp]Hf(NMe、[(Et)Cp]Hf(NMe、[PrCp]Hf(NMe、[(Pr)Cp]Hf(NMe、[(Pr)Cp]Hf(NMe、[(Pr)Cp]Hf(NMe、[(Pr)Cp]Hf(NMe、[PrCp]Hf(NMe、[(Pr)Cp]Hf(NMe、[(Pr)Cp]Hf(NMe、[(Pr)Cp]Hf(NMe、[(Pr)Cp]Hf(NMe、[BuCp]Hf(NMe、[(Bu)Cp]Hf(NMe、[(Bu)Cp]Hf(NMe、[(Bu)Cp]Hf(NMe、[(Bu)Cp]Hf(NMe、[BuCp]Hf(NMe、[(Bu)Cp]Hf(NMe、[(Bu)Cp]Hf(NMe、[(Bu)Cp]Hf(NMe、[(Bu)Cp]Hf(NMe、[(Me)(Et)Cp]Hf(NMe、[(Me)(Et)Cp]Hf(NMe、[(Me)(Et)Cp]Hf(NMe、[(Me)(Et)Cp]Hf(NMe、[(Me)(Et)Cp]Hf(NMe、[(Me)(Et)Cp]Hf(NMe、[(Me)(Et)Cp]Hf(NMe、[(Me)(Et)Cp]Hf(NMe、[(Me)(Pr)Cp]Hf(NMe、[(Me)(Pr)Cp]Hf(NMe、[(Me)(Pr)Cp]Hf(NMe、[(Me)(Pr)Cp]Hf(NMe、[(Me)Pr)Cp]Hf(NMe、[(Me)Pr)Cp]Hf(NMe、[(Me)Pr)Cp]Hf(NMe、[(Me)Pr)Cp]Hf(NMe、[(Me)(Pr)Cp]Hf(NMe、[(Me)(Pr)Cp]Hf(NMe、[(Me)(Pr)Cp]Hf(NMe、[(Me)(Pr)Cp]Hf(NMe、[(Me)Pr)Cp]Hf(NMe、[(Me)Pr)Cp]Hf(NMe、[(Me)Pr)Cp]Hf(NMe、[(Me)Pr)Cp]Hf(NMe、[(Me)(Bu)Cp]Hf(NMe、[(Me)(Bu)Cp]Hf(NMe、[(Me)(Bu)Cp]Hf(NMe、[(Me)(Bu)Cp]Hf(NMe、[(Me)Bu)Cp]Hf(NMe、[(Me)Bu)Cp]Hf(NMe、[(Me)Bu)Cp]Hf(NMe、及び[(Me)Bu)Cp]Hf(NMeのうちのいずれか一つ又はそれ以上の化合物を挙げることができる。
【0038】
また、前記化学式6で表示されるハフニウム化合物は、シクロペンタジエニル基と金属原子との間に連結基によって架橋(bridge)を形成した構造の化合物であって、代表的に次の物質を例示することができるが、これに限定されない。
【0039】
Hf[CpCHNMe](NMe、Hf[Cp(CHNMe](NMe、Hf[Cp(CHNMe](NMe、Hf[Cp(CHNMe](NMe、Hf[Cp(CHNMe](NMe、Hf[CpCHNMe](Cp)(NMe)、Hf[Cp(CHNMe](Cp)(NMe)、Hf[Cp(CHNMe](Cp)(NMe)、Hf[Cp(CHNMe](Cp)(NMe)、Hf[Cp(CHNMe](Cp)(NMe)、Hf[(CpMe)CHNMe](NMe、Hf[(CpMe)(CHNMe](NMe、Hf[(CpMe)(CHNMe](NMe、Hf[(CpMe)(CHNMe](NMe、Hf[(CpMe)(CHNMe](NMe、Hf[(CpMe)CHNMe](Cp)(NMe)、Hf[(CpMe)(CHNMe](Cp)(NMe)、Hf[(CpMe)(CHNMe](Cp)(NMe)、Hf[(CpMe)(CHNMe](Cp)(NMe)、Hf[(CpMe)(CHNMe](Cp)(NMe)、Hf[CpCHNMe](CpMe)(NMe)、Hf[Cp(CHNMe](CpMe)(NMe)、Hf[Cp(CHNMe](CpMe)(NMe)、Hf[Cp(CHNMe](CpMe)(NMe)、Hf[Cp(CHNMe](CpMe)(NMe)、Hf[(CpMe)CHNMe](NMe、Hf[(CpMe)(CHNMe](NMe、Hf[(CpMe)(CHNMe](NMe、Hf[(CpMe)(CHNMe](NMe、Hf[(CpMe)(CHNMe](NMe、Hf[(CpMe)CHNMe](Cp)(NMe)、Hf[(CpMe)(CHNMe](Cp)(NMe)、Hf[(CpMe)(CHNMe](Cp)(NMe)、Hf[(CpMe)(CHNMe](Cp)(NMe)、Hf[(CpMe)(CHNMe](Cp)(NMe)、Hf[CpCHNMe](CpMe)(NMe)、Hf[Cp(CHNMe](CpMe)(NMe)、Hf[Cp(CHNMe](CpMe)(NMe)、Hf[Cp(CHNMe](CpMe)(NMe)、Hf[Cp(CHNMe](CpMe)(NMe)、Hf[(CpMe)CHNMe](NMe、Hf[(CpMe)(CHNMe](NMe、Hf[(CpMe)(CHNMe](NMe、Hf[(CpMe)(CHNMe](NMe、Hf[(CpMe)(CHNMe](NMe、Hf[(CpMe)CHNMe](Cp)(NMe)、Hf[(CpMe)(CHNMe](Cp)(NMe)、Hf[(CpMe)(CHNMe](Cp)(NMe)、Hf[(CpMe)(CHNMe](Cp)(NMe)、Hf[(CpMe)(CHNMe](Cp)(NMe)、Hf[CpCHNMe](CpMe)(NMe)、Hf[Cp(CHNMe](CpMe)(NMe)、Hf[Cp(CHNMe](CpMe)(NMe)、Hf[Cp(CHNMe](CpMe)(NMe)、Hf[Cp(CHNMe](CpMe)(NMe)、Hf[CpCHNMe](CpMe)(NMe)、Hf[Cp(CHNMe](CpMe)(NMe)、Hf[Cp(CHNMe](CpMe)(NMe)、Hf[Cp(CHNMe](CpMe)(NMe)、Hf[Cp(CHNMe](CpMe)(NMe)Hf[(CpEt)CHNMe](NMe、Hf[(CpEt)(CHNMe](NMe、Hf[(CpEt)(CHNMe](NMe、Hf[(CpEt)(CHNMe](NMe、Hf[(CpEt)(CHNMe](NMe、Hf[CpCHNMe](CpEt)(NMe)、Hf[Cp(CHNMe](CpEt)(NMe)、Hf[Cp(CHNMe](CpEt)(NMe)、Hf[Cp(CHNMe](CpEt)(NMe)、Hf[Cp(CHNMe](CpEt)(NMe)、Hf[(CpMeEt)CHNMe](NMe、Hf[(CpMeEt)(CHNMe](NMe、Hf[(CpMeEt)(CHNMe](NMe、Hf[(CpMeEt)(CHNMe](NMe、Hf[(CpMeEt)(CHNMe](NMe、Hf[CpCHNMe](CpMeEt)(NMe)、Hf[Cp(CHNMe](CpMeEt)(NMe)、Hf[Cp(CHNMe](CpMeEt)(NMe)、Hf[Cp(CHNMe](CpMeEt)(NMe)、Hf[Cp(CHNMe](CpMeEt)(NMe)、Hf[(CpMePr)CHNMe](NMe、Hf[(CpMePr)(CHNMe](NMe、Hf[(CpMePr)(CHNMe](NMe、Hf[(CpMePr)(CHNMe](NMe、Hf[(CpMePr)(CHNMe](NMe、Hf[(CpPr)CHNMe](NMe、Hf[(Cpi-PrEt)(CHNMe](NMe、Hf[(CpPrEt)(CHNMe](NMe、Hf[(CpPrEt)(CHNMe](NMe、及びHf[(CpPrEt)(CHNMe](NMeのうちのいずれか一つ又はそれ以上の化合物を使用することができる。
【0040】
但し、上記の化合物において、Cpはシクロペンタジエニル基であり、Meはメチル基、Etはエチル基、Prはプロピル基、Prはn-プロピル基、Prはイソプロピル基、Buはn-ブチル基、Buはt-ブチル基をそれぞれ示す。
【0041】
前記前駆体組成物は溶媒を含むことができるが、これは、前記化合物が室温で粘度の高い液体状態又は固体状態のままである場合、これを希釈して粘度を下げるか又は溶解するために添加されるものである。また、前記溶媒は、前記金属膜形成用前駆体組成物の全重量に対して0.1~99重量%、好ましくは0.1~50重量%、さらに好ましくは1~20重量%の範囲で含まれることができる。
【0042】
一般的に、シクロペンタジエニル基を含む前記ジルコニウム化合物及びハフニウム化合物は、粘度範囲が8.7~10cps程度であって、これを混合する場合、粘度値が9~10cpsであって、薄膜製造工程で要求される10cps以下、好ましくは5~9cpsの粘度値を概ね満たすが、構造に応じて粘度値10cps以上の化合物が存在し、これらを適用した組成物では、粘度値が過度に高い場合がある。したがって、このような組成物の粘度値を考慮して、前記溶媒は、上記の含有量の範囲内で適切な量を混合して使用する。
【0043】
本発明の金属膜形成方法は、前記金属膜形成用前駆体組成物を用いて基板上に金属膜を蒸着するステップを含むことを特徴とする。
【0044】
この時、前記金属膜形成用前駆体組成物は、溶媒をさらに含むことができ、前述したように、前記金属膜形成用前駆体組成物の全重量に対して0.1~99重量%で含まれることができる。
【0045】
これは、前記ジルコニウム化合物及びハフニウム化合物のうちのいずれか一つ又はこれらの組み合わせが、室温で粘度の高い液体状態又は固体状態である場合があり、この場合、含有される粘度の高い液体状態の化合物の量又は固体状態の化合物の量に応じて前記溶媒の含有量が変わるからである。また、前記ジルコニウム化合物とハフニウム化合物は、0.1:99.9~99.9:0.1、好ましくは1:80~80:1、さらに好ましくは30:70~70:30の重量比で含まれることができるが、該比率は、目的する金属膜の電気的特性及び用途に応じて調節される。
【0046】
これを具体的に説明すると、前記前駆体組成物を用いた金属膜の製造方法は、金属化合物として前記前駆体組成物を用いる以外は、通常の蒸着による金属膜の製造方法によって実施でき、具体的には、化学蒸着法(chemical vapor deposition、CVD)、原子層蒸着法(atomic layer deposition、ALD)又は蒸発法(evaporation)などの方法で実施できる。例えば、イットリウム酸化物又はイットリウム窒化物薄膜を蒸着する場合、ALD法では、250~400℃の蒸着温度で前駆体と反応ガスをチャンバに注入することができ、CVD法又は蒸発法では、上記の温度で前駆体と反応ガスを同時に注入することができる。
【0047】
すなわち、反応器(チャンバ)内に位置する金属膜形成用基板上に前記前駆体組成物を供給するステップ、及び前記反応器内に反応性ガスを供給し、熱処理、プラズマ処理及び光照射よりなる群から選択される1種の処理工程を行うステップを含む製造方法によって製造できる。前記プラズマ処理は、RFプラズマ、DCプラズマ、リモート(remote)プラズマなどを使用することができる。
【0048】
まず、本発明による前駆体組成物を金属膜形成用基板上に供給する。この時、前記金属膜形成用基板としては、技術的作用により金属膜でコーティングされる必要のある、半導体製造に使用されるものであれば、特別な制限なしに使用可能である。具体的には、ケイ素基板(Si)、シリカ基板(SiO)、窒化ケイ素基板(SiN)、オキシ窒化ケイ素基板(SiON)、窒化チタン基板(TiN)、窒化タンタル基板(TaN)、タングステン基板(W)、又は貴金属基板(例えば白金基板(Pt)、パラジウム基板(Pd)、ロジウム基板(Rh)又は金基板(Au)など)が使用できる。
【0049】
前記金属膜形成用前駆体組成物を前記基板に供給する前駆体組成物伝達ステップにおける前記伝達方法は、蒸気圧を利用して前駆体組成物又は薄膜の特性を改善するための有機溶媒の揮発したガスをチャンバ内に移送させる揮発移送方法、液相の前駆体組成物を直接注入する直接液体注入方法(Direct Liquid Injection)、又は前駆体組成物を有機溶媒に溶解させて移送する液体移送方法(LDS:Liquid Delivery System)を適用することができる。前記前駆体組成物の液体移送方法は、液体輸送システム(LDS:Liquid Delivery System)を用いて液相の前駆体組成物を気化器を介して気相に変化させた後、金属薄膜形成用基板上に移送させることにより実施できる。
【0050】
前記前駆体組成物を有機溶媒に溶解させて移送する液体移送方法の場合は、溶媒をさらに含むことができるが、前記前駆体組成物として適用される化合物のうちの一部又は全部が高い粘度により液体移送方式の気化器で十分に気化され難い場合に活用できる。
【0051】
例えば、沸点が130℃以下、又は30~130℃であり、常温25℃での密度が0.6g/cmであり、蒸気圧が70mmHgである第3級アミンやアルカンを挙げることができるが、沸点、密度及び蒸気圧の条件を同時に満たすときに膜形成組成物の粘度減少効果及び揮発性改善効果が向上するため、均一性及びステップカバレージ特性が改善された薄膜の形成が可能であることが明らかになった。
【0052】
しかし、上述したような溶媒の他にも、ジルコニウム及びハフニウム化合物を溶解させ、液体移送方法に適した程度の粘度及び溶解度を持つことができれば、C~C16の飽和又は不飽和炭化水素、ケトン、エーテル、グライム、エステル、テトラヒドロフラン、及び第3級アミンのうちのいずれか一つ又はそれ以上の混合溶媒を使用することにより、前記前駆体組成物を用いた工程に適用することができる。
【0053】
一実施例では、ジメチルエチルアミンを前駆体組成物の全重量に対して1~99重量%で含む場合、このような液体移送方法が適用できるが、第3級アミンの含有量が1重量%未満である場合には、薄膜の物性的特性改善効果が微々たるものであり、第3級アミンの含有量が99重量%を超える場合には、前駆体の濃度が低くて蒸着速度が低減するため、生産性が低下するおそれがあるので、上記の範囲内で使用することが好ましい。より具体的には、前記前駆体組成物は、前記前駆体組成物と溶媒を90:10~10:90の重量比で含むことが好ましい。前駆体組成物に対する第3級アミンの含有量が上記の重量比の範囲から外れて極めて低い又は高い場合、薄膜の均一性及びステップカバレージ改善効果が低下するおそれがある。
【0054】
このように、溶媒中に低粘度及び高揮発性を示す溶媒を含むことにより、前駆体組成物は、改善された粘度及び揮発性を示すことができ、基板形成の際に前駆体の基板吸着効率及び安定性を増加させ、工程時間を短縮させることができる。また、前駆体物質が溶媒に希釈された状態で気化することにより、より均一な状態で蒸着チャンバ内に移送されるため、基板に均一に吸着でき、その結果として、蒸着された薄膜の均一性(uniformity)及びステップカバレージ(step coverage)特性を向上させることができる。また、第3級アミンでの余剰非共有電子対は、前駆体物質の基板吸着過程での安定性を増加させてALD工程での化学気相蒸着(CVD)を最小限に抑えることができる。また、上述したような第3級アミンの他に、C~C16の飽和又は不飽和炭化水素、ケトン、エーテル、グライム、エステル、テトラヒドロフランなどの溶媒及びこれらの組み合わせを適用すると、液体移送のための適切な粘度調整の他にも、分散性の向上及びこれによる電気的特性の向上を達成することができる。
【0055】
本発明による前駆体組成物は、ジルコニウム化合物及びハフニウム化合物が含有されるものであり、これにより製造された金属膜は、通常の酸化ジルコニウム薄膜に比べてhigh-k特性を大幅に向上させることができる。また、液体移送によって薄膜を形成するので、ジルコニウムとハフニウムの分散性が非常に高いため、蒸着された薄膜は、全体的に均一で優れた電気的特性を示し、漏れ電流値(leakage current)も下げる効果を達成することができる。
【0056】
また、前記前駆体組成物の供給時に、最終的に形成される金属膜での電気的特性、すなわち、静電容量又は漏れ電流値をさらに改善するために、必要に応じて、第2金属前駆体としてケイ素(Si)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、ストロンチウム(Sr)、ニオブ(Nb)、バリウム(Ba)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)及びランタン族原子から選ばれた1種以上の金属(M”)を含む金属前駆体を選択的にさらに供給することもできる。前記第2金属前駆体は、前記金属を含むアルキルアミド系化合物又はアルコキシ系化合物であることができる。例えば、前記金属がSiである場合、第2金属前駆体としてSiH(N(CH、Si(N(C、Si(N(C)(CH))、Si(N(CH、Si(OC、Si(OC、Si(OCH、Si(OC(CHなどが使用できる。
【0057】
前記第2金属前駆体の供給は、前記前駆体組成物の供給方法と同じ方法で実施でき、前記第2金属前駆体は、前記前駆体組成物と一緒に薄膜形成用基板上に供給されてもよく、前駆体組成物の供給完了後に順次供給されてもよい。
【0058】
上述したような前駆体組成物及び選択的に第2金属前駆体は、前記金属膜形成用基板と接触させるために、反応チャンバ内に供給される前まで50~250℃の温度を維持することが好ましく、より好ましくは100~200℃の温度を維持することが良い。
【0059】
また、前駆体組成物の供給ステップ後、反応性ガスの供給に先立ち、前記前駆体組成物及び選択的に第2金属前駆体の基板上への移動を助けるか、又は反応器内が蒸着に適切な圧力を持つようにし、また、チャンバ内に存在する不純物などを外部に放出させるために、反応器内にアルゴン(Ar)、窒素(N)又はヘリウム(He)などの不活性ガスをパージする工程が行われ得る。この時、不活性ガスのパージは、反応器内の圧力が1~5Torrとなるように行われることが好ましい。
【0060】
前述した金属前駆体の供給完了後に反応性ガスを反応器内に供給し、反応性ガスの存在下で熱処理、プラズマ処理、及び光照射よりなる群から選択される1種の処理工程を行う。
【0061】
前記反応性ガスとしては、水蒸気(HO)、酸素(O)、オゾン(O)、過酸化水素(H)、水素(H)、アンモニア(NH)、一酸化窒素(NO)、亜酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO)、ヒドラジン(N)、及びシラン(SiH)のうちのいずれか一つ又はこれらの混合物を使用することができる。前記水蒸気、酸素、オゾンなどの酸化性ガスの存在下で行われる場合、金属酸化物薄膜が形成でき、水素、アンモニア、ヒドラジン、シランなどの還元性ガスの存在下で行われる場合、金属単体又は金属窒化物の薄膜が形成できる。
【0062】
また、前記熱処理、プラズマ処理又は光照射の処理工程は、金属前駆体の蒸着のための熱エネルギーを提供するためのものであり、通常の方法によって行われ得る。好ましくは、十分な成長速度で、目的とする物理的な状態と組成を有する金属薄膜を製造するためには、反応器内の基板の温度が100~1,000℃、好ましくは250~400℃となるように前記処理工程を行うことが好ましい。
【0063】
また、前記処理工程の際にも、前述したように反応性ガスの基板上への移動を助けるか、又は反応器内が蒸着に適切な圧力を持つようにし、また、反応器内に存在する不純物又は副産物などを外部に放出させるために、反応器内にアルゴン(Ar)、窒素(N)、又はヘリウム(He)などの不活性ガスをパージする工程が行われ得る。
【0064】
上述したような、金属前駆体の投入、反応性ガスの投入、及び不活性ガスの投入処理工程を1サイクルにして、1サイクル以上繰り返し行うことにより、金属含有薄膜が形成できる。
【0065】
具体的には、反応性ガスとして酸化性ガスを使用する場合、製造される金属含有薄膜は、下記化学式7の金属酸化物を含むことができる:
[化学式7]
(M1-aM”)O
【0066】
前記化学式7中、aは0≦a<1であり、bは0<b≦2であり、MはZr、Hf及びTiよりなる群から選択され、M”は第2金属前駆体から誘導されるものであって、ケイ素(Si)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、ストロンチウム(Sr)、ニオブ(Nb)、バリウム(Ba)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)及びランタン族原子から選ばれたものである。
【0067】
このような金属膜の製造方法は、熱安定性に優れた金属前駆体を用いることにより、蒸着工程の際に従来に比べて高い温度で蒸着工程の実施が可能であり、前駆体の熱分解に起因したパーティクル汚染や炭素などの不純物汚染なしに高純度の金属、金属酸化物又は金属窒化物薄膜を形成することができる。これにより、本発明の製造方法によって形成された金属含有薄膜は、半導体素子における高誘電物質膜、特に半導体メモリ素子におけるDRAM、CMOSなどに有用である。
【0068】
また、別の実施形態として、前記金属膜の形成方法によって形成された金属膜、及び前記薄膜を含む半導体素子を提供する。具体的に、前記半導体素子は、ランダムアクセスメモリ(RAM)用金属絶縁体金属(MIM)を含む半導体素子であることができる。
【0069】
また、前記半導体素子は、素子内DRAMなど、高誘電特性が要求される物質膜に本発明による金属含有薄膜を含む以外は、通常の半導体素子の構成と同様である。
【0070】
つまり、下部電極、誘電体薄膜、及び上部電極が順次積層されて構成されるキャパシタにおいて、前記下部電極と上部電極は、金属物質を含むことができ、前記下部電極の形状は、平板、シリンダー、ピラー形状などの様々な形状を持つことができるが、この時、前記誘電体薄膜として、本発明の前駆体組成物によって形成された薄膜を適用することができる。
【0071】
例えば、前記誘電体薄膜は、ジルコニウム酸化物及びハフニウム酸化物を含むことができる。また、ジルコニウム酸化物及びハフニウム酸化物の中から選ばれた少なくとも2種の酸化物を含む薄膜を積層又は混合して形成することもできる。
【0072】
シリンダー形状又はピラー形状である下部電極上に、前述した方法によって誘電体薄膜を蒸着することにより、前記誘電体薄膜の結晶性、誘電特性、及び漏れ電流特性を改善することもできる。
【0073】
例えば、図1(a)、(b)に示すようにAl薄膜又はY薄膜などを中心に両面にZrHf薄膜が積層されるか、又は図1(b)乃至(e)に示すようにAl、ZrO、HfOの積層薄膜上に前記ZrHf薄膜を積層する形態の様々な誘電体薄膜を形成することができる。
【0074】
また、本発明の薄膜を適用してトランジスタを製造することもできる。前記トランジスタは、基板に形成され、ゲート絶縁層、ゲート電極、ソース領域及びドレイン領域を含む。ゲート電極は、金属物質を含むことができ、ゲート絶縁層は、薄膜形成用組成物によって蒸着された金属酸化物又は金属窒化物薄膜を含むことができる。例えば、ゲート絶縁層は、ジルコニウム酸化物、ハフニウム酸化物を含むことができる。また、前記ゲート絶縁層は、ジルコニウム酸化物、ハフニウム酸化物の中から選ばれた少なくとも2種の酸化物薄膜を積層又は混合して形成することができる。より具体的には、Hf又はZrHf薄膜を前記ゲート絶縁層として適用することができる。
【0075】
以下、実施例によって本発明の効果を説明する。
【0076】
組成物の製造のための化合物は、表1のとおりである。
【0077】
【表1】
【0078】
<前駆体及びそれぞれの混合物に対する反応性の確認及び物性の確認>
それぞれの化合物間の反応性を確認するために化合物を直接混合し、肉眼上の変化、核磁気共鳴(NMR)測定上の変化及び反応性等を確認した。必要に応じて熱重量分析、粘度及び熱安定性の物性を確認した。
【0079】
化合物1、化合物4及びこれらの組成物に対する評価結果は、表2のとおりである。表2における組成比は、化合物1と化合物4の重量比である。
【0080】
【表2】
【0081】
表2の結果を参照すると、化合物1と化合物4からなる組成物は、肉眼上の変色がなく、沈殿物が発生しないことが分かった。また、NMR測定の結果からも、化学構造上の変化はないことが分かった(図2)。したがって、化合物1及び化合物4の組成物は、安定な状態で使用することができることが把握された。
【0082】
また、化合物2及び4、化合物3及び4、化合物1及び5、化合物2及び5に対するNMR測定の結果からも、組成物の製造による化学構造上の変化はないことを確認することができた(図3乃至図6)。
【0083】
次に、化合物3、化合物5及びこれらの組成物に対して評価を行った。その結果は、表3のとおりである。表3における組成比は、化合物3と化合物5の重量比である。
【0084】
【表3】
【0085】
表3の結果を参照すると、化合物3及び化合物5からなる組成物は、肉眼上の変色がなく、沈殿物も生成されなかった。また、NMR分析の結果、化学構造の変化はないことが分かった。よって、前記化合物3及び化合物5からなる組成物は、安定な状態で使用することができることが把握された(図7)。また、TGA分析の結果から、組成物として使用しても揮発特性に影響を及ぼさないため、各化合物の揮発温度範囲内での揮発特性を維持することを確認した(図8)。
【0086】
次に、溶媒の含有量による物性を評価するために、化合物1と化合物4を60:40の重量比で混合した組成物に対して、溶媒としてオクタン(Octane)、DMEA(dimethylethylamine)を使用した。その結果は、表4のとおりである。
【0087】
【表4】
【0088】
表4の結果を参照すると、前記組成物に溶媒を加えて希釈しても、NMR分析の結果、化学的な変化が発生しないことが分かった。したがって、必要に応じて適切な溶媒を混合して使用することができ、溶媒の含有量を調節することにより、組成物を蒸着工程に適用するのに適した粘度に調節することができることを確認した。また、TGA分析の結果から、組成物に溶媒を加えても、有意な揮発特性の変化は現れないことを確認した。
【0089】
前記組成物及び化合物1、化合物4に対してTGA及び粘度を分析した結果は、表5のとおりである。
【0090】
【表5】
【0091】
表5の結果を参照すると、化合物1及び化合物4からなる組成物は、組成比によるTGA分析の結果、安定的特性を示すことを確認することができた。つまり、組成物の形で使用しても、揮発特性には影響がなく、各化合物の揮発温度範囲内での揮発特性を示すことが分かった。また、粘度測定の結果、組成比の調節によって粘度を調節することができることが分かった。また、混合による副作用により粘度が増加する現象は現れなかった。
【0092】
また、化合物1、化合物4及びその組成物に対する熱安定性を分析し、各試料の初期純度に対する純度減少率を計算した。その結果は、表6のとおりである。
【0093】
【表6】
【0094】
表6の結果を参照すると、化合物1は、化合物4に比べて熱安定性が悪いことが分かった。しかし、化合物1と化合物4からなる組成物では、組成比によって純度減少率の差はあるが、全体的に純度減少率が減少することが分かった。このような結果から、組成物の形で適用するときに熱安定性が改善される効果を確認することができた。つまり、熱安定性が相対的に低い化合物1の熱エネルギーに対する影響を、熱安定性が相対的に高い化合物4が一定部分補償するため、このような効果が現れることが把握された。
【0095】
また、溶媒及び組成別熱安定性を確認するために、化合物1と化合物4を60:40の重量比で含有する組成物についての評価を行った。その結果は、表7のとおりである。
【0096】
【表7】
【0097】
表7の結果を参照すると、140℃及び160℃の条件で溶媒を投入する前と比較すると、溶媒の種類と割合による組成物の純度減少率を確認することができた。オクタンの場合、溶媒の含有量に応じて純度減少率の改善効果は明らかに現れていないが、安定性が劣化せず、粘度調節及びその他の目的のための溶媒の使用が可能であることが分かった。
【0098】
また、DEMAの場合は、溶媒の含有量に応じて純度減少率が改善されることが分かった。これは、アミン溶媒の場合、アミンの非共有電子対による前駆体の中心金属の安定化に伴うものと考えられる。このような試験結果から、組成物と、該組成物の蒸着工程に対する最適化のために様々な溶媒を付加することにより、組成物の物性を調節することができることが分かった。
【0099】
また、化合物1~化合物5に対する組成別反応性を評価した結果は、表8のとおりである。
【0100】
【表8】
【0101】
表8の結果を参照すると、各組成物に対して、肉眼上の変色がなく、沈殿物が生成されないことが分かった。また、NMR分析の結果、化学構造上の変化がないことが分かった。したがって、化合物1~化合物5を組み合わせた組成物を安定な状態で使用することができることを確認することができた。また、TGA分析の結果、組成物の形で使用しても、揮発特性に影響を及ぼさないことが分かった。各化合物の揮発温度範囲内で揮発特性を維持することが分かった。
【0102】
<ジルコニウム酸化物薄膜、ハフニウム酸化物薄膜、及びジルコニウム/ハフニウム酸化物薄膜の製造と薄膜特性の分析>
原子層蒸着(Atomic Layer Deposition、ALD)装置を用いて、化合物1及び化合物4からなる組成物を適用した酸化物薄膜蒸着工程を行った。実験に使用した基板は、ベアSiウェハである。化合物1を前駆体として使用した工程(比較例1)によってZr酸化物薄膜を製造し、化合物2を前駆体として使用した工程(比較例2)によってHf酸化物薄膜を製造した。
【0103】
また、化合物1と化合物4の組成比を重量比で60:40にした組成物(実施例1)、50:50にした組成物(実施例2)、40:60にした組成物(実施例3)、及び50:50の重量比で混合された化合物1と化合物4の組成物に5重量%のオクタンを溶媒として混合した組成物(実施例4)に対して、蒸着工程を行った。
【0104】
Zr及びHf単一酸化物の薄膜形成のためのALD工程で、ソースはバブラー型で投入し、蒸着温度は300℃にした。
【0105】
また、Zr/Hf複合酸化物薄膜を蒸着する実験では、LDS方式でALD工程を行い、蒸着温度は300℃にした。
【0106】
上述したようにALD工程で製造されたZr酸化物薄膜、Hf酸化物薄膜、Zr/Hf複合酸化物薄膜に対する単位成長速度(GPC)及び均一度(Uniformity)を確認した。その結果は、表9のとおりである。
【0107】
【表9】
【0108】
表9の結果を参照すると、組成物の場合、単一膜蒸着よりはGPCがより高い傾向を示した。これは、蒸着工程で組成物を構成する2成分の相互補完的な効果により、シード(seed)形成が促進されるとともに蒸着ステップでの表面反応面積が促進されるためと考えられる。また、製造されたZr酸化物薄膜、Hf酸化物薄膜、Zr/Hf酸化物薄膜に対するX線反射測定(X-Ray Reflectivity、XRR)を確認した結果、膜密度は表10及び図9のとおりである。
【0109】
【表10】
【0110】
表10の結果を参照すると、化合物1を使用した蒸着工程では、化合物4を使用した蒸着工程に比べて膜密度が著しく低いことが分かった。また、組成物を使用した蒸着工程では、組成物の組成比に対する平均値よりも膜密度が高いことが分かった。このような結果から、組成物を使用した蒸着工程で得られる薄膜が半導体素子を製造するのに十分な膜密度を示すことを確認した。
【0111】
また、薄膜形成工程によって製造されたZr酸化物薄膜、Hf酸化物薄膜、Zr/Hf酸化物薄膜に対するX線光電子分光法(X-ray Photoelectron Spectroscopy、XPS)を測定した結果は、表11及び図10のとおりである。
【0112】
【表11】
【0113】
表11の結果を参照すると、Zr/Hf前駆体組成物を使用した蒸着工程において、組成物のZr及びHfの割合と製造された薄膜のZr及びHfの組成が一致することが分かる。したがって、組成物のZr/Hf比率を調節すると、薄膜内のZr/Hf濃度を容易に調節することができることが分かった。また、薄膜内のC、Clなど、その他の不純物の含有量がすべて1at%以下のレベルであって、ALD工程で不純物のない純粋な薄膜を製造することができることを確認した。
【0114】
また、製造されたZr酸化物薄膜、Hf酸化物薄膜、Zr/Hf酸化物薄膜に対する電気化学-サイクリックボルタンメトリー(Cyclic Voltammetry、CV)による測定の結果は、表12及び図11のとおりである。
【0115】
【表12】
【0116】
表12を参照すると、Zr酸化物薄膜は26程度の誘電率値を示し、Hf酸化物薄膜は25程度の誘電率値を示した。これに対し、組成物を用いて得られた薄膜の場合、組成比によって差があるものの、全般的に30以上の高い誘電率を示した。特に、組成比が40:60である場合(実施例3)、誘電率が35以上であることが分かった。したがって、組成物を用いて薄膜内のZr及びHfの組成比を調節すると、薄膜の全体的な誘電率を効果的に改善することができることが分かった。
【0117】
本発明は、上述したように好適な実施形態によって説明したが、これらの実施形態に限定されず、本発明の精神から逸脱することなく、当該発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって様々な変形と変更が可能である。それらの変形例及び変更例は、本発明と添付された特許請求の範囲の範疇内に属するものと理解すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】