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特表2022-511881操作されたフラジェリン由来の組成物と用途
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-01
(54)【発明の名称】操作されたフラジェリン由来の組成物と用途
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/31 20060101AFI20220125BHJP
   C07K 14/195 20060101ALI20220125BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20220125BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220125BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220125BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20220125BHJP
   A61P 39/02 20060101ALI20220125BHJP
   A61P 39/06 20060101ALI20220125BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20220125BHJP
   A61K 38/02 20060101ALI20220125BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20220125BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20220125BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20220125BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20220125BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20220125BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20220125BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20220125BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20220125BHJP
【FI】
C12N15/31 ZNA
C07K14/195
C12N5/10
A61P43/00 111
A61P35/00
A61P35/02
A61P39/02
A61P43/00 121
A61P39/06
A61K45/00
A61K38/02
A61K48/00
A61P37/02
A61P25/28
A61P3/10
A61P27/02
A61P29/00
A61P19/02
A61P9/10 101
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021532369
(86)(22)【出願日】2019-12-06
(85)【翻訳文提出日】2021-08-03
(86)【国際出願番号】 US2019064954
(87)【国際公開番号】W WO2020118192
(87)【国際公開日】2020-06-11
(31)【優先権主張番号】62/776,507
(32)【優先日】2018-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】521245441
【氏名又は名称】ゲノム プロテクション,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】メット,ヴァディム
(72)【発明者】
【氏名】グドコフ,アンドレイ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AB01
4B065BA02
4B065CA44
4C084AA01
4C084AA02
4C084AA03
4C084AA07
4C084AA19
4C084BA02
4C084BA44
4C084MA02
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA161
4C084ZA162
4C084ZA331
4C084ZA332
4C084ZA451
4C084ZA452
4C084ZA961
4C084ZA962
4C084ZB072
4C084ZB111
4C084ZB112
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB271
4C084ZB272
4C084ZC021
4C084ZC022
4C084ZC351
4C084ZC352
4C084ZC372
4C084ZC521
4C084ZC522
4C084ZC751
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA11
4H045EA28
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、TLR5シグナル伝達を活性化する能力を保持する一方で、低下した免疫原性及び低下したインフラマソーム応答を示す、改良され、薬理学的に最適化され及び脱免疫化されたフラジェリン変異体及びその使用の方法を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1と少なくとも90%の配列同一性並びに(i)I18、F22、T23、S24、及びK27の1以上に対応する位置における置換変異、並びに(ii)I215、L216、Q217、T221、及びV223の1以上に対応する位置における置換変異を有するアミノ酸配列を含むフラジェリン変異体であって、
前記置換されるアミノ酸残基が、天然に存在する任意のアミノ酸であり、かつ
NF-κBシグナル伝達活性を保持する、
フラジェリン変異体。
【請求項2】
前記置換されるアミノ酸残基が、親水性又は疎水性アミノ酸残基である、請求項1に記載のフラジェリン変異体。
【請求項3】
前記親水性アミノ酸残基が、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、スレオニン(T)、プロリン(P)、及びシステイン(C)から選択される、極性の及び中性の電荷の親水性残基である、請求項1~2のいずれか一項に記載のフラジェリン変異体。
【請求項4】
前記親水性アミノ酸残基が、アスパラギン酸(D)及びグルタミン酸(E)から選択される、極性の及び負に帯電した親水性残基である、請求項1~3のいずれか一項に記載のフラジェリン変異体。
【請求項5】
前記疎水性アミノ酸残基が、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される、疎水性の、脂肪族アミノ酸残基、又はフェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、及びチロシン(Y)から選択される、疎水性の、芳香族アミノ酸残基である、請求項1~4のいずれか一項に記載のフラジェリン変異体。
【請求項6】
配列番号1と少なくとも90%の配列同一性並びに
(i)18に相当する位置におけるイソロイシン(I)以外の疎水性残基、
22に対応する位置におけるフェニルアラニン(F)以外の疎水性残基、
23に相当する位置におけるスレオニン(T)以外の親水性残基、
24に対応する位置におけるセリン(S)以外の親水性残基、及び
27に相当する位置におけるリジン(K)以外の親水性残基
から選択される置換変異;並びに
(ii)215に相当する位置におけるイソロイシン(I)以外の疎水性残基
216に対応する位置におけるロイシン(L)以外の疎水性残基
217に相当する位置におけるグルタミン(Q)以外の親水性残基
221に相当する位置におけるスレオニン(T)以外の親水性残基、及び
223に相当する位置におけるバリン(V)以外の親水性残基
から選択される置換変異を有するアミノ酸配列
を含み、
NF-κBシグナル伝達活性を保持する、フラジェリン変異体。
【請求項7】
前記親水性アミノ酸残基が、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、スレオニン(T)、プロリン(P)、及びシステイン(C)から選択される、極性の及び中性の電荷の親水性残基である、請求項1~6のいずれか一項に記載のフラジェリン変異体。
【請求項8】
前記親水性アミノ酸残基が、アスパラギン酸(D)及びグルタミン酸(E)から選択される、極性の及び負に帯電した親水性残基である、請求項1~7のいずれか一項に記載のフラジェリン変異体。
【請求項9】
前記疎水性アミノ酸残基が、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される、疎水性の、脂肪族アミノ酸残基、又はフェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、及びチロシン(Y)から選択される、疎水性の、芳香族アミノ酸残基である、請求項1~8のいずれか一項に記載のフラジェリン変異体。
【請求項10】
配列番号1と少なくとも90%の配列同一性並びに(i)I18及びF22の1以上に対応する位置における置換変異、並びに(ii)Q217及びV223の1以上に対応する位置における置換変異を有するアミノ酸配列を含むフラジェリン変異体であって、前記置換されるアミノ酸残基が、天然に存在する任意のアミノ酸であり、かつNF-κBシグナル伝達活性を保持する、フラジェリン変異体。
【請求項11】
前記置換アミノ酸残基が、親水性又は疎水性アミノ酸残基である、請求項1に記載のフラジェリン変異体。
【請求項12】
前記親水性アミノ酸残基が、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、スレオニン(T)、プロリン(P)、及びシステイン(C)から選択される、極性の及び中性の電荷の親水性残基である、請求項1~11のいずれか一項に記載のフラジェリン変異体。
【請求項13】
前記親水性アミノ酸残基が、アスパラギン酸(D)及びグルタミン酸(E)から選択される、極性の及び負に帯電した親水性残基である、請求項1~12のいずれか一項に記載のフラジェリン変異体。
【請求項14】
前記疎水性アミノ酸残基が、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される、疎水性の、脂肪族アミノ酸残基、又はフェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、及びチロシン(Y)から選択される、疎水性の、芳香族アミノ酸残基である、請求項1~13のいずれか一項に記載のフラジェリン変異体。
【請求項15】
配列番号1と少なくとも90%の配列同一性並びに
(i)I18に対応する位置におけるイソロイシン(I)以外の疎水性残基及び22に対応する位置におけるフェニルアラニン(F)以外の疎水性残基から選択される置換変異;並びに
(ii)217に対応する位置におけるグルタミン(Q)以外の親水性残基及び223に対応する位置におけるバリン(V)以外の親水性残基から選択される置換変異
を有するアミノ酸配列を含むフラジェリン変異体。
【請求項16】
配列番号1と少なくとも90%の配列同一性及び以下の置換変異:
18に対応する位置におけるイソロイシン(I)以外の疎水性残基;及び
22に対応する位置におけるフェニルアラニン(F)以外の疎水性残基;
217に対応する位置におけるグルタミン(Q)以外の親水性残基;及び
223に対応する位置におけるバリン(V)以外の親水性残基
を有するアミノ酸配列を含む、請求項15に記載のフラジェリン変異体。
【請求項17】
前記親水性アミノ酸残基が、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、スレオニン(T)、プロリン(P)、及びシステイン(C)から選択される、極性の及び中性の電荷の親水性残基である、請求項15~16のいずれか一項に記載のフラジェリン変異体。
【請求項18】
前記親水性アミノ酸残基が、アスパラギン酸(D)及びグルタミン酸(E)から選択される、極性の及び負に帯電した親水性残基である、請求項15~17のいずれか一項に記載のフラジェリン変異体。
【請求項19】
前記疎水性アミノ酸残基が、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される、疎水性の、脂肪族アミノ酸残基、又はフェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、及びチロシン(Y)から選択される、疎水性の、芳香族アミノ酸残基である、請求項15~18のいずれか一項に記載のフラジェリン変異体。
【請求項20】
18に対応する位置におけるイソロイシン(I)以外の疎水性残基が、アラニン(A)である、請求項15~19のいずれか一項に記載のフラジェリン変異体。
【請求項21】
22に対応する位置におけるフェニルアラニン(F)以外の疎水性残基が、アラニン(A)である、請求項15~20のいずれか一項に記載のフラジェリン変異体。
【請求項22】
217に対応する位置におけるグルタミン(Q)以外の親水性残基が、アスパラギン酸(D)である、請求項15~21のいずれか一項に記載のフラジェリン変異体。
【請求項23】
223に対応する位置におけるバリン(V)以外の親水性残基が、スレオニン(T)である、請求項15~22のいずれか一項に記載のフラジェリン変異体。
【請求項24】
I18A、F22A、Q217D、及びV223Tを含む、請求項15~23のいずれか一項に記載のフラジェリン変異体。
【請求項25】
配列番号6と少なくとも90%の配列同一性並びに(i)I18、F22、T23、S24、及びK27の1以上に対応する位置における置換変異、並びに(ii)I215、L216、Q217、T221、及びV223の1以上に対応する位置における置換変異を有するアミノ酸配列を含むフラジェリン変異体であって、
前記置換されるアミノ酸残基が、天然に存在する任意のアミノ酸であり、かつ
NF-κBシグナル伝達活性を保持する、
フラジェリン変異体。
【請求項26】
前記置換アミノ酸残基が、親水性又は疎水性アミノ酸残基である、請求項25に記載のフラジェリン変異体。
【請求項27】
前記親水性アミノ酸残基が、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、スレオニン(T)、プロリン(P)、及びシステイン(C)から選択される、極性の及び中性の電荷の親水性残基である、請求項1~26のいずれか一項に記載のフラジェリン変異体。
【請求項28】
前記親水性アミノ酸残基が、アスパラギン酸(D)及びグルタミン酸(E)から選択される、極性の及び負に帯電した親水性残基である、請求項1~27のいずれか一項に記載のフラジェリン変異体。
【請求項29】
前記疎水性アミノ酸残基が、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される、疎水性の、脂肪族アミノ酸残基、又はフェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、及びチロシン(Y)から選択される、疎水性の、芳香族アミノ酸残基である、請求項1~28のいずれか一項に記載のフラジェリン変異体。
【請求項30】
配列番号6と少なくとも90%の配列同一性並びに
(i)18に対応する位置におけるイソロイシン(I)以外の疎水性残基、
22に対応する位置におけるフェニルアラニン(F)以外の疎水性残基、
23に対応する位置におけるスレオニン(T)以外の親水性残基、
24に対応する位置におけるセリン(S)以外の親水性残基、及び
27に対応する位置におけるリジン(K)以外の親水性残基
から選択される置換変異;並びに
(ii)215に対応する位置におけるイソロイシン(I)以外の疎水性残基、
216に対応する位置におけるロイシン(L)以外の疎水性残基、
217に対応する位置におけるグルタミン(Q)以外の親水性残基、
221に対応する位置におけるスレオニン(T)以外の親水性残基、及び
223に対応する位置におけるバリン(V)以外の親水性残基
から選択される置換変異を有するアミノ酸配列
を含み、
NF-κBシグナル伝達活性を保持する、フラジェリン変異体。
【請求項31】
前記親水性アミノ酸残基が、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、スレオニン(T)、プロリン(P)、及びシステイン(C)から選択される、極性の及び中性の電荷の親水性残基である、請求項1~30のいずれか一項に記載のフラジェリン変異体。
【請求項32】
前記親水性アミノ酸残基が、アスパラギン酸(D)及びグルタミン酸(E)から選択される、極性の及び負に帯電した親水性残基である、請求項1~31のいずれか一項に記載のフラジェリン変異体。
【請求項33】
前記疎水性アミノ酸残基が、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される、疎水性の、脂肪族アミノ酸残基、又はフェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、及びチロシン(Y)から選択される、疎水性の、芳香族アミノ酸残基である、請求項1~32のいずれか一項に記載のフラジェリン変異体。
【請求項34】
配列番号6と少なくとも90%の配列同一性並びに(i)I18及びF22の1以上に対応する位置における置換変異、並びに(ii)Q217及びV223の1以上に対応する位置における置換変異を有するアミノ酸配列を含むフラジェリン変異体であって、前記置換されるアミノ酸残基が、天然に存在する任意のアミノ酸であり、かつNF-κBシグナル伝達活性を保持する、フラジェリン変異体。
【請求項35】
前記置換アミノ酸残基が、親水性又は疎水性アミノ酸残基である、請求項25に記載のフラジェリン変異体。
【請求項36】
前記親水性アミノ酸残基が、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、スレオニン(T)、プロリン(P)、及びシステイン(C)から選択される、極性の及び中性の電荷の親水性残基である、請求項1~35のいずれか一項に記載のフラジェリン変異体。
【請求項37】
前記親水性アミノ酸残基が、アスパラギン酸(D)及びグルタミン酸(E)から選択される、極性の及び負に帯電した親水性残基である、請求項1~36のいずれか一項に記載のフラジェリン変異体。
【請求項38】
前記疎水性アミノ酸残基が、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される、疎水性の、脂肪族アミノ酸残基、又はフェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、及びチロシン(Y)から選択される、疎水性の、芳香族アミノ酸残基である、請求項1~37のいずれか一項に記載のフラジェリン変異体。
【請求項39】
配列番号6と少なくとも90%の配列同一性並びに
(i)18に対応する位置におけるイソロイシン(I)以外の疎水性残基及び22に対応する位置におけるフェニルアラニン(F)以外の疎水性残基から選択される置換変異;並びに
(ii)217に対応する位置におけるグルタミン(Q)以外の親水性残基及び223に対応する位置におけるバリン(V)以外の親水性残基から選択される置換変異
を有するアミノ酸配列を含み、NF-κBシグナル伝達活性を保持する、フラジェリン変異体。
【請求項40】
配列番号6と少なくとも90%の配列同一性及び以下の置換変異:
18に対応する位置におけるイソロイシン(I)以外の疎水性残基;
22に対応する位置におけるフェニルアラニン(F)以外の疎水性残基;
217に対応する位置におけるグルタミン(Q)以外の親水性残基;及び
223に対応する位置におけるバリン(V)以外の親水性残基
を有するアミノ酸配列を含む、請求項39に記載のフラジェリン変異体。
【請求項41】
前記親水性アミノ酸残基が、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、スレオニン(T)、プロリン(P)、及びシステイン(C)から選択される、極性の及び中性の電荷の親水性残基である、請求項39~40のいずれか一項に記載のフラジェリン変異体。
【請求項42】
前記親水性アミノ酸残基が、アスパラギン酸(D)及びグルタミン酸(E)から選択される、極性の及び負に帯電した親水性残基である、請求項39~41のいずれか一項に記載のフラジェリン変異体。
【請求項43】
前記疎水性アミノ酸残基が、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される、疎水性の、脂肪族アミノ酸残基、又はフェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、及びチロシン(Y)から選択される、疎水性の、芳香族アミノ酸残基である、請求項39~42のいずれか一項に記載のフラジェリン変異体。
【請求項44】
18に対応する位置におけるイソロイシン(I)以外の疎水性残基が、アラニン(A)である、請求項39~43のいずれか一項に記載のフラジェリン変異体。
【請求項45】
22に対応する位置におけるフェニルアラニン(F)以外の疎水性残基が、アラニン(A)である、請求項39~44のいずれか一項に記載のフラジェリン変異体。
【請求項46】
217に対応する位置におけるグルタミン(Q)以外の親水性残基が、アスパラギン酸(D)である、請求項39~45のいずれか一項に記載のフラジェリン変異体。
【請求項47】
223に対応する位置におけるバリン(V)以外の親水性残基が、スレオニン(T)である、請求項39~46のいずれか一項に記載のフラジェリン変異体。
【請求項48】
I18A、F22A、Q217D、及びV223Tを含む、請求項39~47のいずれか一項に記載のフラジェリン変異体。
【請求項49】
請求項1~48のいずれか一項に記載のフラジェリン変異体をコードするポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド。
【請求項50】
請求項49に記載のポリヌクレオチドを含む宿主細胞。
【請求項51】
前記フラジェリン変異体が低いインフラマソーム活性を示すことを特徴とする、請求項1~50のいずれか一項に記載のフラジェリン変異体。
【請求項52】
配列番号1、配列番号3及び/又は配列番号6のアミノ酸配列を有するフラジェリン誘導体により示されるインフラマソーム活性と比較してより低いインフラマソーム活性を示す、請求項1~51のいずれか一項に記載のフラジェリン変異体。
【請求項53】
減少されたT細胞免疫原性を示すことを特徴とする、請求項1~52のいずれか一項に記載のフラジェリン変異体。
【請求項54】
配列番号1、配列番号3及び/又は配列番号6のアミノ酸配列を有するフラジェリン誘導体により示されるT細胞免疫原性と比較して低下されたT細胞免疫原性を示す、請求項1~53のいずれか一項に記載のフラジェリン変異体。
【請求項55】
NF-κBシグナル伝達活性を保持する、請求項1~54のいずれか一項に記載のフラジェリン変異体。
【請求項56】
配列番号1、配列番号3及び/又は配列番号6のアミノ酸配列を有するフラジェリン誘導体により示されるNF-κBシグナル伝達活性と比較して類似の又はより高いNF-κBシグナル伝達活性を示す、請求項1~55のいずれか一項に記載のフラジェリン変異体。
【請求項57】
放射線防護又は放射線軽減活性を保持する、請求項1~56のいずれか一項に記載のフラジェリン変異体。
【請求項58】
配列番号1、配列番号3及び/又は配列番号6のアミノ酸配列を有するフラジェリン誘導体により示される放射線防護又は放射線軽減活性と比較して類似の又はより良好な放射線防護又は放射線軽減活性を示す、請求項1~57のいずれか一項に記載のフラジェリン変異体。
【請求項59】
中和B細胞エピトープに対する改善された耐性を示す、請求項1~58のいずれか一項に記載のフラジェリン変異体。
【請求項60】
配列番号1、配列番号3及び/又は配列番号6のアミノ酸配列を有するフラジェリン誘導体の中和B細胞エピトープに対する耐性と比較して改善された中和B細胞エピトープに対する耐性を示す、請求項1~59のいずれか一項に記載のフラジェリン変異体。
【請求項61】
1種以上のサイトカインの発現を誘導する、請求項1~60のいずれか一項に記載のフラジェリン変異体。
【請求項62】
G-CSF、IL-6、IL-12、ケラチノサイト化学誘引物質(KC)、IL-10、MCP-1、TNF-α、MIG、及びMIP-2から選択される1種以上のサイトカインの発現を誘導する、請求項1~61のいずれか一項に記載のフラジェリン変異体。
【請求項63】
請求項1~62のいずれか一項に記載のフラジェリン変異体及び医薬として許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項64】
請求項1~63のいずれか一項に記載のフラジェリン変異体を投与することを含むTLR5シグナル伝達を刺激する方法。
【請求項65】
前記対象が、癌に罹患している、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記腫瘍が、TLR5を発現するか、又は前記腫瘍が、TLR5を発現しない、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記癌が、乳癌、肺癌、結腸癌、腎臓癌、肝臓癌、卵巣癌、前立腺癌、精巣癌、泌尿生殖管癌、リンパ系癌、直腸癌、膵臓癌、食道癌、胃癌、子宮頸癌、甲状腺癌、皮膚癌、白血病、急性リンパ性白血病、急性リンパ芽球性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、毛状細胞リンパ腫、組織球性リンパ腫、及びバーケットリンパ腫(Burkett’s lymphoma)、急性及び慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、骨髄性白血病、前骨髄球性白血病、星状細胞腫、神経芽細胞腫、神経膠腫、シュワン細胞腫、線維肉腫、横紋筋腫、骨肉腫、色素性乾皮症、角化棘細胞腫、セミノーマ、甲状腺濾胞癌、奇形腫、及び胃腸管癌又は腹骨盤腔の癌から選択される、請求項65に記載の方法。
【請求項68】
前記対象が、放射線による損傷を患っている、請求項64に記載の方法。
【請求項69】
前記対象が、致死線量の放射線に供された、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記対象が、放射線治療を受けている、請求項68に記載の方法。
【請求項71】
前記フラジェリン変異体が、放射線への曝露の前に投与される、請求項68に記載の方法。
【請求項72】
前記フラジェリン変異体が、放射線への曝露中に投与される、請求項68に記載の方法。
【請求項73】
前記フラジェリン変異体が、放射線への曝露の後に投与される、請求項68に記載の方法。
【請求項74】
前記フラジェリン変異体が、他の治療剤及び/又は治療と併せて投与される、請求項64~73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記フラジェリン変異体が、化学療法と併せて投与される、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記フラジェリン変異体が、放射線治療と共に投与される、請求項74に記載の方法。
【請求項77】
前記フラジェリン変異体が、抗酸化剤と併せて投与される、請求項74に記載の方法。
【請求項78】
前記フラジェリン変異体が、1以上のチェックポイント阻害剤と併せて投与される、請求項74に記載の方法。
【請求項79】
前記1以上のチェックポイント阻害剤が、プログラム細胞死タンパク質-1(PD-1)、プログラム死リガンド1(PD-L1)、プログラム死リガンド2(PD-L2)、誘導性T細胞共刺激因子(ICOS)、誘導性T細胞共刺激リガンド(ICOSL)、及び細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)の1以上を調節する薬剤から選択される、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記ラジェリン変異体が、他の治療薬の投与及び/又は治療の前に投与される、請求項74に記載の方法。
【請求項81】
前記フラジェリン変異体が、他の治療薬及び/又は治療と同時に投与される、請求項74に記載の方法。
【請求項82】
前記フラジェリン変異体が、他の治療薬の投与及び/又は治療の後に投与される、請求項74に記載の方法。
【請求項83】
それを必要とする対象に請求項1~82のいずれか一項に記載のフラジェリン変異体を投与することを含む癌を治療する方法。
【請求項84】
それを必要とする対象に請求項1~83のいずれか一項に記載のフラジェリン変異体を投与することを含む放射線に誘発された損傷を治療する方法。
【請求項85】
それを必要とする対象に請求項1~84のいずれか一項に記載のフラジェリン変異体を投与することを含む老化又は加齢性障害を治療する方法。
【請求項86】
前記加齢性障害が、アルツハイマー病、II型糖尿病、黄斑変性症、慢性の炎症に基づく病理(例えば、関節炎)、アテローム性動脈硬化症、老化に関連付けられることが知られている癌種(例えば、前立腺癌、黒色腫、肺癌、結腸癌)、ハッチンソン・ギルフォード症候群及びウェルナー症候群から選択される、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記フラジェリン変異体が、配列番号2と約95%、又は約97%、又は約98%、又は約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項64~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
前記フラジェリン変異体が、配列番号2のアミノ酸配列を含む、請求項64~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
配列番号2と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むフラジェリン変異体。
【請求項90】
配列番号2と少なくとも93%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むフラジェリン変異体。
【請求項91】
配列番号2と少なくとも94%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むフラジェリン変異体。
【請求項92】
配列番号2と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むフラジェリン変異体。
【請求項93】
配列番号2と少なくとも97%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むフラジェリン変異体。
【請求項94】
配列番号2と少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むフラジェリン変異体。
【請求項95】
配列番号2と少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むフラジェリン変異体。
【請求項96】
配列番号2のアミノ酸配列を有するフラジェリン変異体。
【請求項97】
配列番号2のアミノ酸配列が、配列番号5の末端ヒスチジンタグ配列を含まない、請求項87~94のいずれか一項に記載のフラジェリン変異体。
【請求項98】
それを必要とする対象にチェックポイント阻害剤と併せてフラジェリン変異体を投与することを含む癌を治療する方法。
【請求項99】
前記フラジェリン変異体が、エントラニモド(配列番号3)、33MX(配列番号1)、及びSE-2(配列番号2)から選択される、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
前記チェックポイント阻害剤が、プログラム細胞死タンパク質-1(PD-1)、プログラム死リガンド1(PD-L1)、プログラム死リガンド2(PD-L2)、誘導性T細胞共刺激因子(ICOS)、誘導性T細胞共刺激リガンド(ICOSL)、及び細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)の1以上を調節する薬剤から選択される、請求項98又は99に記載の方法。
【請求項101】
前記ラジェリン変異体が、チェックポイント阻害剤の投与の前に投与される、請求項98~100のいずれか一項に記載の方法。
【請求項102】
前記フラジェリン変異体が、チェックポイント阻害剤の投与と同時に投与される、請求項98~100のいずれか一項に記載の方法。
【請求項103】
前記フラジェリン変異体が、チェックポイント阻害剤の投与の後に投与される、請求項98~100のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
本願は、2018年12月7日出願の米国仮出願第62/776,507号に対する利益及び優先権を主張するものであり、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は、操作されたフラジェリン変異体、その組成物及び用途に関する。
【背景技術】
【0003】
電子的に提出されたテキストファイルの説明
明細書と共に電子的に提出されたテキストファイルの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる:配列表のコンピュータ可読形式のコピー(ファイル名:GPI-020PC_ST25.txt;記録日:2019年12月6日;ファイルサイズ:90,275バイト)。
【0004】
背景
炎症性シグナル伝達複合体の機能亢進は、「インフラマソーム」として知られ、様々な炎症性疾患に関連している。インフラマソームパラダイムは、トリガー(例えば、細胞質フラジェリン)、センサー(NAIP)、ニュークレーター(nucleator)(NLRC4)、アダプター(ASC)、及びエフェクター(CASP1)を含むNLRC4インフラマソームにより最も包括的に示される。例えば、細胞外フラジェリンは、フラジェリン-TLR5複合体の内部移行により細胞質NLRC4インフラマソームを活性化できる。一度組み立てられると、インフラマソームは、カスパーゼ-1活性化を伴う炎症促進カスケードを開始し、その後、IL-1β及びIL-18の不活性前駆体を生理活性のある炎症性サイトカインへと切断する。
【0005】
トール様受容体(TLR)は、自然免疫における重要な受容体であるI型膜糖タンパク質である。ヒトで知られている10種のTLRは、異なる微生物抗原を認識し、リガンド結合により活性化されると、サイトカイン及びケモカインの急速な生成を媒介する。宿主防御における役割に加えて、TLRは、癌の進行と発症及び細胞保護の役割を果たしている。そのような例の1つは、TLR5へのフラジェリンの結合であり、これは炎症性分子のカスケードを開始する。
【0006】
フラジェリン由来のTLR5アゴニストは、様々な疾患の治療薬として開発されている。しかし、これらの分子は、例えば、不十分な結合及びシグナル伝達、並びにインフラマソーム経路を介する炎症性サイトカインの活性化を含む、特定の制限に煩わされ得るため、治療効果を制限する。本質的に免疫原性のフラジェリン変異体は、不利益なインフラマソーム活性化、抗原性及び免疫原性を有し、したがって、改善を保証する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明は、免疫原性及びインフラマソーム活性化に関連するものなどの、この生物群の中で観察される制限を克服する、改良されたフラジェリン変異体及び使用方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、部分的に、フラジェリンの変異体が、TLR5シグナル伝達を活性化する能力を保持したまま、低下した免疫原性及び低下したインフラマソーム応答を示すことができるという発見に基づく。
【発明の効果】
【0009】
一態様では、本発明は、TLR5シグナル伝達を活性化する能力を保持するフラジェリン変異体を提供する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、NF-κBプロモーターを誘導する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、エントリモド又は他のフラジェリン誘導体により示されるNF-κBシグナル伝達活性と比較して、類似の又はより高いNF-κBシグナル伝達活性を示す。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、放射線保護及び/又は放射線軽減活性を保持する。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、エントリモド又は他のフラジェリン誘導体により示される放射線保護及び/又は放射線軽減活性と比較して、類似の又はより良好な放射線保護及び/又は放射線軽減活性を示す。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、エントリモドと比較して、構築物のインフラマソーム活性化を低下させる変異を含む。具体的には、いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、エントリモド又は他のフラジェリン誘導体により示されるインフラマソーム活性化と比較して、より低いインフラマソーム活性化を示す。別の実施形態では、フラジェリン変異体は、エントリモドと比較して、構築物のT細胞免疫原性を減少させる変異を含む。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、エントリモドと比較して、B細胞中和抗体に対する感受性の低下を示す。別の実施形態では、フラジェリン変異体は、エントリモドと比較して、B細胞抗体(例えば、実質的に中和抗体を含まない)に対する耐性の改善を示す。なおさらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、エントリモドと同じレベル又は類似したレベルでTLR5シグナル伝達を活性化する。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、エントリモドと比較して同じ又は類似の又は改善された薬物動態プロファイルを示す。なおさらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、エントリモドの保持と比較して宿主における増加した又は類似の保持を示す。実施形態では、対象への本発明のフラジェリン変異体の投与は、フラジェリン変異体の生物学的利用能の持続時間の実質的な増加をもたらす。
【0010】
いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、33MX(配列番号1)に由来する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、エントリモド/CBLB502(配列番号3)に由来する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、1以上のエピトープ中に少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、少なくとも2つの異なるエピトープ中に少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、1以上のエピトープ中に少なくとも1つの欠失を含む。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、エピトープ1、エピトープ2、及びエピトープ3の1以上にアミノ酸置換及び/又は欠失を含む。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、NF-κBシグナル伝達活性を保持する。
【0011】
いくつかの態様において、本発明は、配列番号1と少なくとも90%の配列同一性を有し、(i)I18、F22、T23、S24、及びK27の1以上に対応する位置における置換変異、並びに(ii)I215、L216、Q217、T221、及びV223の1以上に対応する位置における置換変異を有するアミノ酸配列を含むフラジェリン変異体を企図し、置換されるアミノ酸残基は、天然に存在する任意のアミノ酸であり、フラジェリン変異体は、NF-κBシグナル伝達活性を保持する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、I18、F22、T23、S24、K27、I215、L216、Q217、T221、及びV223に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、I18、F22、T23、S24、及びK27に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異、並びにI215、L216、Q217、T221、及びV223に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異を含む。いくつかの実施形態では、置換又は欠失アミノ酸残基は、天然に存在する任意のアミノ酸である。さらなる実施形態では、置換又は欠失アミノ酸残基は、親水性又は疎水性アミノ酸残基である。いくつかの実施形態では、親水性アミノ酸残基は、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、スレオニン(T)、プロリン(P)、及びシステイン(C)から選択される極性の及び中性電荷の親水性残基である。いくつかの実施形態では、親水性アミノ酸残基は、アスパラギン酸(D)及びグルタミン酸(E)から選択される極性の及び負に帯電した親水性残基である。さらなる実施形態では、疎水性アミノ酸残基は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される疎水性の脂肪族アミノ酸残基、又はフェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、及びチロシン(Y)から選択される疎水性の芳香族アミノ酸残基である。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、I18A、F22A、Q217D、及びV223Tを含む。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、NF-κBシグナル伝達活性を保持する。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、491TEMX(配列番号2、任意で末端ヒスチジンタグなし、例えば、配列番号5)である。
【0012】
いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、配列番号1と少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、491TEMX(配列番号2、任意で末端ヒスチジンタグなし、例えば、配列番号5)である。
【0013】
いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、タグを含む。なおさらなる実施形態では、タグは、フラジェリン変異体のN末端に結合される。さらに別の実施形態では、タグは、フラジェリン変異体のC末端に結合される。
【0014】
本発明は、NF-κBプロモーターを誘導できるフラジェリン変異体を提供する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、1以上のサイトカインの発現を誘導する。さらなる実施形態では、サイトカインは、G-CSF、IL-6、IL-12、ケラチノサイト化学誘引物質(KC)、IL-10、MCP-1、TNF-α、MIG、及びMIP-2から選択される。
【0015】
一態様では、本発明は、本発明のフラジェリン変異体をコードするポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを提供する。
【0016】
一態様では、本発明は、医薬として許容される担体と共に本発明のフラジェリン変異体を含む医薬組成物を提供する。
【0017】
一態様では、本発明は、TLR5シグナル伝達を刺激する方法であって、それを必要とする対象に本発明のフラジェリン変異体を投与することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、対象は、癌を有する。さらなる実施形態では、腫瘍は、TLR5を発現する。さらなる実施形態では、腫瘍は、TLR5を発現しない。いくつかの実施形態では、癌は、乳癌、肺癌、結腸癌、腎臓癌、肝臓癌、卵巣癌、前立腺癌、精巣癌、泌尿生殖管癌、リンパ系癌、直腸癌、膵臓癌、食道癌、胃癌、子宮頸癌、甲状腺癌、皮膚癌、白血病、急性リンパ性白血病、急性リンパ芽球性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、毛状細胞リンパ腫、組織球性リンパ腫、及びバーケットリンパ腫(Burkett’s lymphoma)、急性及び慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、骨髄性白血病、前骨髄球性白血病、星状細胞腫、神経芽細胞腫、神経膠腫、シュワン細胞腫、線維肉腫、横紋筋腫、骨肉腫、色素性乾皮症、角化棘細胞腫、セミノーマ、甲状腺濾胞癌、奇形腫、及び胃腸管癌又は腹骨盤腔の癌から選択される。
【0018】
いくつかの実施形態では、対象は、放射線誘発性損傷を患う。さらなる実施形態では、対象は、致死線量の放射線に供されている。いくつかの実施形態では、対象は、放射線治療を受けている。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、放射線への曝露前に投与される。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、放射線への曝露中に投与される。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、放射線への曝露後に投与される。
【0019】
様々な実施形態では、フラジェリン変異体は、他の治療薬及び/又は治療と併せて投与される。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、化学療法と併せて投与される。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は放射線治療と共に投与される。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、抗酸化剤と併せて投与される。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、アミホスチン及び/又はビタミンEと併せて投与される。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、1以上のチェックポイント阻害剤と併せて投与される。さらなる実施形態では、1以上のチェックポイント阻害剤は、プログラム細胞死タンパク質-1(PD-1)、プログラム死リガンド1(PD-L1)、プログラム死リガンド2(PD-L2)、誘導性T細胞共刺激因子(ICOS)、誘導性T細胞共刺激リガンド(ICOSL)、及び細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)のうちの1以上を調節する薬剤から選択される。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、他の治療薬の投与及び/又は治療の前に投与される。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、他の治療薬及び/又は治療と同時に投与される。なおさらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、他の治療薬の投与及び/又は治療の後に投与される。
【0020】
一態様では、本発明は、任意で末端ヒスチジンタグ(例えば、配列番号5)を含まない、配列番号2と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む操作されたフラジェリン変異体を提供する。別の態様では、本発明は、任意で末端ヒスチジンタグ(例えば、配列番号5)を含まない、配列番号2であるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む操作されたフラジェリン変異体を提供する。
【0021】
一態様では、本発明は、配列番号2と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む操作されたフラジェリン変異体を提供し、配列番号2のアミノ酸配列は、末端ヒスチジンタグを含まない。別の態様では、本発明は、配列番号2であるアミノ酸配列を含む操作されたフラジェリン変異体を提供し、配列番号2のアミノ酸配列は、末端ヒスチジンタグを含まない。さらなる実施形態では、末端ヒスチジンタグのアミノ酸配列は、配列番号5である。
【0022】
一態様では、本発明は、癌を治療する方法であって、それを必要とする対象に本発明のフラジェリン変異体を投与することを含む、方法を提供する。
【0023】
一態様では、本発明は、放射線誘導性損傷を治療する方法であって、それを必要とする対象に本発明のフラジェリン変異体を投与することを含む、方法を提供する。
【0024】
本発明の詳細は、以下に付随する説明に記載される。本明細書に記載されるものと類似の又は同等の方法及び材料は、本発明の実施又は試験に用いることができ、例示的な方法及び材料をこれから記載する。本発明の他の特徴、目的、及び利点は、明細書及び特許請求の範囲から明らかである。明細書及び添付の特許請求の範囲において、特に文脈が明確に指示しない限り、単数形は複数形も含む。特に定義しない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する当業者が一般に理解するものと同じ意味を有する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、配列番号2である、491TEMX(別名SE-2/GP532)のアミノ酸配列を示す。
図2図2は、ヨーロッパ/北米及び世界の集団と研究コホート(n=50)で発現したドナーのアロタイプの頻度の比較を示す。ヒストグラムの各セットに関して、左から右に、最初のバーは、CBL01ドナーを表し;2番目のバーは、ヨーロッパと北米のドナーを表し、かつ3番目と最後のバーは、世界集団ドナーを表す。
図3図3は、50人の健康ドナーからのPBMCに対し試験したペプチドを用いたCD4T細胞エピトープマップを示す。80個の試験ペプチド並びに対照のC3、C32及びKLHについての調整されていない及び調整された増殖アッセイデータ。バックグラウンド応答閾値(赤色点線で示される)を超える頻度で陽性T細胞増殖応答(SI≧2.00,p<0.05)を誘導するペプチドは、T細胞エピトープを含む。KLHは、調整していないデータセットと調整したデータセットの両方でドナーの92%に陽性応答(SI≧2.00、p<0.05)を誘導した。ヒストグラムの各セットに関して、左のバーは、調整していない増殖アッセイデータを表し、右のバーは、調整した増殖アッセイデータを表す。
図4図4A~Bは、試料及び参照抗体の還元SDS-PAGEを示す。試料と参照抗体を、(図4A)0.1μg及び(図4B)1μgでNuPage4~12%ビストリスゲル(ThermoFisher Scientific)にロードし、200Vで30分間泳動した。サイズマーカーは、PageRuler広範囲未染色タンパク質ラダー(ThermoFisher Scientific)である。ゲルを、Pierce銀染色キット(ThermoFisher Scientific)で染色した。
図5図5は、試料1の、エントリモド/CBLB502、及び試料2の491TEMX(別名SE-2及びGP532)に対する健康なドナーのT細胞増殖及びIL-2 ELISpot応答のまとめを示す。7日の培養後の増殖に対する陽性T細胞応答(SI≧1.90、p<0.05)(「P」)、及びIL-2(SI≧1.90、p<0.05)ELISpot(「E))を示す。増殖及びIL-2 ELISpotアッセイに対する陽性応答の頻度を、カラムの下部にパーセンテージで示す。相関を、IL-2 ELISpotアッセイにおいても陽性であった増殖応答の割合として表す。
図6図6A~Cは、図6A、試料1(エントリモド、別名CBLB502);図6B、試料2(491TEMX、別名SE-2及びGP532);並びに図6C、KLH(対照)に対する健康ドナーのT細胞増殖応答を示す。CD4T細胞を、試料をロードした自家成熟DCとインキュベートし、7日のインキュベーション後の増殖について評価した。独立2試料スチューデントt検定を用いて有意(p<0.05)であったSI≧1.90(赤色点線で示される)を有するT細胞応答を、陽性とみなした。
図7図7A~Cは、図7A、試料1(エントリモド、別名CBLB502);図7B、試料2(491TEMX、別名SE-2及びGP532);並びに図7C、KLH(対照)に対する健康ドナーのT細胞IL-2分泌応答を示す。CD4T細胞を、試料をロードした自家成熟DCとインキュベートし、7日のインキュベーション後にIL-2分泌について評価した。独立2試料スチューデントt検定を用いて有意(p<0.05)であったSI≧1.90(赤色点線で示される)を有するT細胞応答を、陽性とみなした。
図8図8は、変異型フラジェリン変異体、すなわち33MX、33TX2(別名SE-1)、及び491TEMX(別名SE-2及びGP532)により293-hTLR5-LacZレポーター細胞において誘導されるNF-κBシグナル伝達を示す。
図9図9は、変異型フラジェリン変異体によりTHP1-NLRC4細胞において誘導されるインフラマソーム活性(例えば、IL-1β生成)を示し、IL-1βは、インフラマソームマーカーを表す。示されるフラジェリン変異体は、CBLB502(別名エントリモド)、33MX、33TX2(別名SE-1)、及び491TEMX(別名SE-2及びGP532)である。
図10図10は、それぞれマウスに注入した後の、フラジェリン変異体SE-1(別名33TX2)、SE-2(別名491TEMX及びGP532)、及びエントリモド(別名CBLB502)の薬物動態プロファイルを示す。24時間にわたるng/mlでの結果の濃度測定を示し、SE-2が、エントリモドと比較して、より良好に又は等しく機能したことを実証する。
図11図11は、SE-1(別名33TX2)、SE-2(別名491TEMX及びGP532)、並びにエントリモド(別名CBLB502)の注射後24時間にわたる薬力学マーカーのサイトカインG-CSFの測定を示す。
図12図12は、SE-1(別名33TX2)、SE-2(別名491TEMX及びGP532)、並びにエントリモド(別名CBLB502)の注射後24時間にわたる薬力学マーカーのサイトカインIL-6の測定を示す。
図13図13は、SE-1(別名33TX2)、SE-2(別名491TEMX及びGP532)、並びにエントリモド(別名CBLB502)の注射後24時間にわたるインフラマソームマーカーIL-18の測定を示す。
図14図14は、SE-1(別名33TX2)、SE-2(別名491TEMX及びGP532)、並びにエントリモド(別名CBLB502)の注射後24時間にわたる一酸化窒素の測定値を示す。
図15図15は、エントリモド(別名CBLB502)及びSE-2(別名491TEMX及びGP532)それぞれの用量研究を示し、用量は、4μg/kg、6μg/kg、8μg/kg、16μg/kg、32μg/kg、及び64μg/kgであり、PBS-Tweenを、対照として使用した。放射線防護率を、27日間の研究にわたりマウスの生存率により測定した。
図16図16は、全身照射後60日間にわたりマウスの生存率により測定した放射線防護率を示す。全身照射の前に、マウスを、中和抗体又は正常血清を含む血清でヒト血清移転に供し、続いてエントリモド(別名CBLB502)、SE-2(別名491TEMX及びGP532)、又はPBSを注射した。60日のエンポイント(enpoint)で測定されるように、上から下へ、一番上の線は、エントリモド+正常血清を表し、第2の線は、SE-2+正常血清を表し、第3の線は、SE-2+中和血清を表し、第4の線は、エントリモド+中和血清を表し、一番下の線は、PBS対照を表す。
図17図17は、SE-2(別名491TEMX及びGP532)並びにチェックポイント阻害剤との併用腫瘍治療を測定するために行った研究の結果を示す。トリプルネガティブ乳癌のEMT6マウスモデルを使用し、治療を、チェックポイント阻害剤の投与で始め、続いてエントリモド又はSE-2の投与を行った。具体的には、マウスに、7日目にα-PD1の用量を与え、その後、9日目にα-CTLA4の用量を与えた。10日目及び11日目に、エントリモド及びSE-2の用量を投与した。結果は、チェックポイント阻害剤の投与に続くSE-2の投与の組み合わせが、チェックポイント阻害剤と一緒のエントリモド投与よりも速い腫瘍退縮を示したことを示す。21日目では、上から下へ、一番上の線は、アイソタイプ+ビヒクルを表し、第2の線は、アイソタイプ+エントリモドを表し、第3の線は、アイソタイプ+SE-2を表し、第4の線は、α-CTLA4+α-PD-1+エントリモドを表し、第5の線は、α-CTLA4+α-PD-1+ビヒクルを表し、第6(つまり、一番下)の線は、α-CTLA4+α-PD-1+SE-2を表す。
図18図18は、マウス肝臓の肝細胞の組織学的解析を示し、GP532(別名491TEMX)及びエントリモドによるNF-κB活性化を示す。
図19図19は、中和又は非中和(対照)ヒト血清の輸血後に、エントリモド又はGP532の皮下注射を行った際の、NF-κB-ルシフェラーゼレポーターマウスにおけるシグナル伝達活性のインビボイメージングを示す。
図20図20は、Balb/cマウスにビヒクル、エントリモド又はGP532を投与した後、致死的な全身照射に供した後、60日間にわたり生存率を評価することによる放射線軽減試験の結果を示す。20日の時点で測定したとおり、上から下へ、一番上の線は、エントリモドを表し、第2の線は、GP532を表し、第3の線は、PBSビヒクル対照を表す。
図21図21A~Gは、ビヒクル、エントリモド又はGP532を投与した後に全身照射に供したマウス領域-皮膚(図21A)、唇(図21B)、口(図21C)、リンパ節(図21D)、顎下(図21E)、スリングマック(図21F)、及び耳下腺(図21G)の組織診断スコアを示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
発明の詳細な説明
本発明は、部分的に、この生物製剤及び関連薬剤の薬理学的関連特性を改善する、フラジェリンのいくらかの変異の発見に基づく。このような変異は、非限定的な例として、変異を持たないものと比べて免疫原性が低下し、インフラマソーム活性が低下した、様々なフラジェリン変異体を生じる。フラジェリン変異体は、エントリモド及び他のフラジェリン変異体のものと同じ又は類似したレベルで、TLR5シグナル伝達能及び放射線防護能及び/又は放射線軽減能を保持する。
【0027】
フラジェリン変異体
本発明は、変異型フラジェリン変異体が、エントリモド又は他のフラジェリン変異体のものと同じ又は類似したレベルでTLR5シグナル伝達を活性化する能力をなお保持しながら、低下した免疫原性及び低下したインフラマソーム活性化を示すことができるという発見に、部分的に基づく。免疫原性の低下は、フラジェリン変異体が宿主により長く存続できるようにし、かつエントリモド又は他のフラジェリン変異体と比較して低下された中和抗体の誘導(例えば、実質的に中和抗体を含まない)により多用途タンパク質を提供し、かつ低下されたインフラマソーム活性化は、変異した本発明のフラジェリン変異体のより望ましい治療適用を可能にする。
【0028】
様々な実施形態では、本発明は、フラジェリン変異体を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、(1)例えば、多種多様な疾患状態及び患者タイプに使用できる、低下した抗原性、免疫原性、及びインフラマソーム活性化を含む改善された薬理学的特性、並びに/又は(2)例えば、改善された医学的効果を可能にする改善された機能的特性、を有するフラジェリン変異体を提供する。
【0029】
本発明のフラジェリン変異体は、フラジェリン関連ポリペプチドであり得る。フラジェリン変異体は、様々なグラム陽性及びグラム陰性細菌種を含む、様々な供給源に由来し得る。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、その内容が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許公開第2003/0044429号の図7に示される細菌種由来のフラジェリンのいずれかに由来する、アミノ酸配列を有し得る。フラジェリン変異体は、NCBI Genbankデータベースを含む供給元で一般に入手可能な米国特許公開第2003/0044429号の図7に列挙されるフラジェリンポリペプチドをコードするものに関連する、ヌクレオチド配列を有し得る。
【0030】
フラジェリン変異体は、細菌の鞭毛の主要成分であり得る。フラジェリン変異体は、様々なペプチド領域に対する陽性T細胞応答により特徴付けられる1、又は2、又は3、又は4、又は5個のT細胞エピトープで構成され得る。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、3つのT細胞エピトープで構成される。さらなる実施形態では、T細胞エピトープは、低頻度陽性T細胞増殖応答を含む。様々な実施形態では、T細胞エピトープ強度は、低いか、又は中程度であるか、又は強い。
【0031】
フラジェリン変異体は、細菌の鞭毛の主要成分であり得る。フラジェリン変異体は、1、若しくは2、若しくは3、若しくは4、若しくは5、若しくは6、若しくは7つのドメイン又はそれらの断片で構成され得る(例えば、その内容が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第8,324,163号の図10参照)。ドメインは、ND0、ND1、ND2、D3、CD2、CD1、及びCD0から選択され得る。ドメイン0(D0)、1(D1)、及び2(D2)は不連続であり、アミノ末端及びカルボキシ末端の残基が、ヘアピン構造の形成により並置される場合に形成され得る。D1及びD2ドメインを含むアミノ末端及びカルボキシ末端は、最も保存され得、一方で中央の超可変ドメイン(D3)は、非常に可変であり得る。非保存型D3ドメインは、鞭毛のフィラメントの表面上にあり、主要な抗原エピトープを含んでよい。フラジェリンの強力な炎症促進活性は、高度に保存されるND1、ND2、CD1、及びCD2領域に存在し得る。
【0032】
フラジェリン変異体は、サルモネラ菌の種に由来し得、その代表的な例は、S.ティフィムリウム及びS.ダブリン(GenBank登録番号M84972によってコードされる)である。フラジェリン変異体は、野生型フラジェリン(配列番号4)の断片、変異体、アナログ、ホモログ、若しくは誘導体、又はそれらの組み合わせであり得る。フラジェリンの断片、変異体、類似体、ホモログ、又は誘導体は、TLR5により認識されるフラジェリンのドメイン構造及び保存構造に基づく合理的根拠の設計により取得され得る。
【0033】
フラジェリン変異体は、その内容が本明細書に組み込まれる米国特許公開第2003/000044429号に開示されるフラジェリンポリペプチド、及び米国特許公開第2003/000044429号の図7(パネルA~F)に示されるBLAST結果に列挙される登録番号に対応するフラジェリンペプチド、又はそれらの変異体を含むが、これらに限定されない任意のグラム陽性又はグラム陰性細菌種からのフラジェリンポリペプチドに関連し得る。
【0034】
フラジェリン及び以前に説明された変異体は、理論に縛られることなく、それらが本質的に免疫原性の細菌タンパク質(例えば、フラジェリン又は「FliC」)であるので、大部分が高い抗原性及び免疫原性の問題を有する。既存のフラジェリン構築物の実際の制限は、多くの対象がこれらの構築物のTLR5刺激活性を中和できる既存の高力価の抗体を有することである。これらの個体は、フラジェリン由来の治療に対し、時には単回注射の場合でも、理論に縛られることなく、さらに再発治療時に脱感作される(又は完全に耐性である)。さらに、このような既存の抗体の力価は、最初はより低いレベルで存在しても、単一のフラジェリン由来の注射により急速に増強され、それにより医療用途用に計画される複数用量投与計画の目的のより大きな個体群を障害し得る。集団における抗FliC抗体(中和Abを含む)が広範にすでに存在していることはおそらく、人体にコロニー形成している(及び感染している)鞭毛のある腸内細菌(例えば、サルモネラ属、大腸菌)の多数の種への人類の生涯の暴露を反映している。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のフラジェリン変異体は、フラジェリン活性を中和する様々な抗体に対するエピトープの改変を含む。
【0035】
さらに、フラジェリン及び以前に説明された変異体は、インフラマソーム活性化の問題を有する。任意の1つの理論に縛られることなく、細胞外フラジェリンは、フラジェリンTLR5複合体の内部移行により細胞質NLRC4インフラマソームを活性化できると考えられている。NLRC4インフラマソームは、微生物体によりそのパターン認識受容体(PRR)成分の活性化後に組み立てられる、多数の細胞質多分子複合体の1つである。NLRC4の場合、細胞質性Nod様受容体(NLR)は、細胞膜上のトール様受容体5(TLR5)のアゴニストでもある細菌性フラジェリンにより活性化される。細胞外フラジェリンは、フラジェリンTLR5複合体の内部移行により、細胞質NLRC4インフラマソームを活性化できると想定される。一度組み立てられると、インフラマソームは、カスパーゼ-1活性化を伴う炎症促進カスケードを開始し、その後、プロIL-1βを、主要な炎症性サイトカインである成熟IL-1βへと処理する。このようなインフラマソーム活性化の結果として、対象は、治療用途をより困難にする望ましくない副作用を経験する可能性がある。
【0036】
いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、抗CBLB502抗体を中和することにより認識されるエピトープに変異を含む。フラジェリン変異体は、組成物を中和する抗体の能力を阻害又は抑制する抗CBLB502抗体を中和することにより認識されるエピトープに1以上の変異を含んでよい。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、中和抗体を実質的に含まない対象において応答を誘導する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、インフラマソーム活性化を阻害する変異を含む。なおさらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、1以上のエピトープに切り詰め及び変異を含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、本発明は、例えば、既に短縮されたエントリモド/「CBLB502」分子と比較して、残基を欠く、フラジェリンの最小機能コアの開発に関する。いくつかの実施形態では、本発明は、改善された活性を提供する欠失、付加及び置換を含む、エントリモド/CBLB502と比較してアミノ酸同一性を変更したフラジェリン変異体の開発に関する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、エントリモド/CBLB502(配列番号3)に由来する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、配列番号3と少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、又は少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、1以上のエピトープに少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、少なくとも2つの異なるエピトープに少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、1以上のエピトープに少なくとも1つの欠失を含む。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、エピトープ1、エピトープ2、及びエピトープ3のうちの1以上にアミノ酸置換及び/又は欠失を含む。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、NF-κBシグナル伝達活性を保持する。
【0038】
いくつかの実施形態では、本発明は、例えば、すでに短縮された「33MX」分子と比較して残基を欠く、フラジェリンの最小機能コアの開発に関する。いくつかの実施形態では、本発明は、改善された活性を提供する欠失、付加及び置換を含む33MXと比較してアミノ酸同一性を変更したフラジェリン変異体の開発に関する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は33MX(配列番号1、任意に配列番号5の末端ヒスチジンタグなし)に由来する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、任意に末端ヒスチジンタグ(例えば、配列番号5)のない配列番号1と少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、又は少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、1以上のエピトープに少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。なおさらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、少なくとも2つの異なるエピトープに少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、1以上のエピトープに少なくとも1つの欠失を含む。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、エピトープ1、エピトープ2、及びエピトープ3のうちの1以上にアミノ酸置換及び/又は欠失を含む。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、NF-κBシグナル伝達活性を保持する。
【0039】
いくつかの実施形態では、本発明は、エントリモド、又は改善された活性を提供する、欠失、付加及び置換を含む、33MXなどの、他のフラジェリン変異体と比較してアミノ酸同一性を変更したフラジェリン変異体の開発に関する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、33MX(配列番号1、任意に配列番号5の末端ヒスチジンタグなし)に由来する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、任意で端末ヒスチジンタグ(例えば、配列番号5)のない、配列番号1と少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、又は少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、I18、F22、T23、S24、K27、I215、L216、Q217、T221、V223、A227、N228、Q229、V230、P231、Q232、N233、V234、L235、S236、及びL237に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、I18、F22、T23、S24、及びK27に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異、並びにI215、L216、Q217、T221、及びV223に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異を含む。いくつかの実施形態では、置換又は欠失アミノ酸残基は、天然に存在する任意のアミノ酸である。さらなる実施形態では、置換又は欠失アミノ酸残基は、親水性又は疎水性アミノ酸残基である。いくつかの実施形態では、親水性アミノ酸残基は、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、スレオニン(T)、プロリン(P)、及びシステイン(C)から選択される極性の及び中性電荷の親水性残基である。いくつかの実施形態では、親水性アミノ酸残基は、アスパラギン酸(D)及びグルタミン酸(E)から選択される極性の及び負に帯電した親水性残基である。さらなる実施形態では、疎水性アミノ酸残基は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される疎水性の脂肪族アミノ酸残基、又はフェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、及びチロシン(Y)から選択される疎水性の芳香族アミノ酸残基である。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、I18A、F22A、Q217D、及びV223Tを含む。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、NF-κBシグナル伝達活性を保持する。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、491TEMX(配列番号2、任意で末端ヒスチジンタグなし)である。
【0040】
いくつかの実施形態では、本発明は、配列番号1と少なくとも90%の配列同一性を有し、(i)I18、F22、T23、S24、及びK27のうちの1以上に対応する位置における置換変異、及び(ii)I215、L216、Q217、T221、及びV223の1以上に対応する位置における置換変異を有するアミノ酸配列を含むフラジェリン変異体を企図し、置換アミノ酸残基は、天然に存在する任意のアミノ酸であり、フラジェリン変異体は,
NF-κBシグナル伝達活性を保持する。
【0041】
いくつかの実施形態では、本発明は、エントリモド、又は改善された活性を提供する、欠失、付加及び置換を含む、33MXなどの、他のフラジェリン変異体と比較してアミノ酸同一性を変更したフラジェリン変異体の開発に関する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、33MX(配列番号1、任意に配列番号5の末端ヒスチジンタグなし)に由来する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、任意で端末ヒスチジンタグ(例えば、配列番号5)のない、配列番号1と少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、又は少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、I18、F22、T23、S24、K27、I215、L216、Q217、T221、V223、A227、N228、Q229、V230、P231、Q232、N233、V234、L235、S236、及びL237に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、I18、F22、T23、S24、及びK27に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異を含む。いくつかの実施形態では、置換又は欠失アミノ酸残基は、天然に存在する任意のアミノ酸である。さらなる実施形態では、置換又は欠失アミノ酸残基は、親水性又は疎水性アミノ酸残基である。いくつかの実施形態では、親水性アミノ酸残基は、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、スレオニン(T)、プロリン(P)、及びシステイン(C)から選択される極性の及び中性電荷の親水性残基である。いくつかの実施形態では、親水性アミノ酸残基は、アスパラギン酸(D)及びグルタミン酸(E)から選択される極性の及び負に帯電した親水性残基である。さらなる実施形態では、疎水性アミノ酸残基は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される疎水性の脂肪族アミノ酸残基、又はフェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、及びチロシン(Y)から選択される疎水性の芳香族アミノ酸残基である。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、NF-κBシグナル伝達活性を保持する。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、F22A及びT23Dを含む。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、TEM1-AD(配列番号7、任意で末端ヒスチジンタグなし)である。
【0042】
いくつかの実施形態では、本発明は、エントリモド、又は改善された活性を提供する、欠失、付加及び置換を含む、33MXなどの、他のフラジェリン変異体と比較してアミノ酸同一性を変更したフラジェリン変異体の開発に関する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、33MX(配列番号1、任意で配列番号5の末端ヒスチジンタグなし)に由来する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、任意で端末ヒスチジンタグ(例えば、配列番号5)のない、配列番号1と少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、又は少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、I18、F22、T23、S24、K27、I215、L216、Q217、T221、V223、A227、N228、Q229、V230、P231、Q232、N233、V234、L235、S236、及びL237に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、I18、F22、T23、S24、及びK27に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異を含む。いくつかの実施形態では、置換又は欠失アミノ酸残基は、天然に存在する任意のアミノ酸である。さらなる実施形態では、置換又は欠失アミノ酸残基は、親水性又は疎水性アミノ酸残基である。いくつかの実施形態では、親水性アミノ酸残基は、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、スレオニン(T)、プロリン(P)、及びシステイン(C)から選択される極性の及び中性電荷の親水性残基である。いくつかの実施形態では、親水性アミノ酸残基は、アスパラギン酸(D)及びグルタミン酸(E)から選択される極性の及び負に帯電した親水性残基である。さらなる実施形態では、疎水性アミノ酸残基は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される疎水性の脂肪族アミノ酸残基、又はフェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、及びチロシン(Y)から選択される疎水性の芳香族アミノ酸残基である。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、NF-κBシグナル伝達活性を保持する。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、F22A及びT23Dを含む。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、TEM1-SD(配列番号8、任意で末端ヒスチジンタグなし)である。
【0043】
いくつかの実施形態では、本発明は、エントリモド、又は改善された活性を提供する、欠失、付加及び置換を含む、33MXなどの、他のフラジェリン変異体と比較してアミノ酸同一性を変更したフラジェリン変異体の開発に関する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、33MX(配列番号1、任意で配列番号5の末端ヒスチジンタグなし)に由来する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、任意で端末ヒスチジンタグ(例えば、配列番号5)のない、配列番号1と少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、又は少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、I18、F22、T23、S24、K27、I215、L216、Q217、T221、V223、A227、N228、Q229、V230、P231、Q232、N233、V234、L235、S236、及びL237に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、I18、F22、T23、S24、及びK27に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異を含む。いくつかの実施形態では、置換又は欠失アミノ酸残基は、天然に存在する任意のアミノ酸である。さらなる実施形態では、置換又は欠失アミノ酸残基は、親水性又は疎水性アミノ酸残基である。いくつかの実施形態では、親水性アミノ酸残基は、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、スレオニン(T)、プロリン(P)、及びシステイン(C)から選択される極性の及び中性電荷の親水性残基である。いくつかの実施形態では、親水性アミノ酸残基は、アスパラギン酸(D)及びグルタミン酸(E)から選択される極性の及び負に帯電した親水性残基である。さらなる実施形態では、疎水性アミノ酸残基は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される疎水性の脂肪族アミノ酸残基、又はフェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、及びチロシン(Y)から選択される疎水性の芳香族アミノ酸残基である。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、NF-κBシグナル伝達活性を保持する。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、F22A及びT23Dを含む。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、TEM1-TD(配列番号9、任意で末端ヒスチジンタグなし)である。
【0044】
いくつかの実施形態では、本発明は、エントリモド、又は改善された活性を提供する、欠失、付加及び置換を含む、33MXなどの、他のフラジェリン変異体と比較してアミノ酸同一性を変更したフラジェリン変異体の開発に関する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、33MX(配列番号1、任意で配列番号5の末端ヒスチジンタグなし)に由来する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、任意で端末ヒスチジンタグ(例えば、配列番号5)のない、配列番号1と少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、又は少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、I18、F22、T23、S24、K27、I215、L216、Q217、T221、V223、A227、N228、Q229、V230、P231、Q232、N233、V234、L235、S236、及びL237に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、I18、F22、T23、S24、及びK27に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異を含む。いくつかの実施形態では、置換又は欠失アミノ酸残基は、天然に存在する任意のアミノ酸である。さらなる実施形態では、置換又は欠失アミノ酸残基は、親水性又は疎水性アミノ酸残基である。いくつかの実施形態では、親水性アミノ酸残基は、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、スレオニン(T)、プロリン(P)、及びシステイン(C)から選択される極性の及び中性電荷の親水性残基である。いくつかの実施形態では、親水性アミノ酸残基は、アスパラギン酸(D)及びグルタミン酸(E)から選択される極性の及び負に帯電した親水性残基である。さらなる実施形態では、疎水性アミノ酸残基は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される疎水性の脂肪族アミノ酸残基、又はフェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、及びチロシン(Y)から選択される疎水性の芳香族アミノ酸残基である。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、NF-κBシグナル伝達活性を保持する。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、T23D及びS24Dを含む。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、TEM1-DD(配列番号10、任意で末端ヒスチジンタグなし)である。
【0045】
いくつかの実施形態では、本発明は、エントリモド、又は改善された活性を提供する、欠失、付加及び置換を含む、33MXなどの、他のフラジェリン変異体と比較してアミノ酸同一性を変更したフラジェリン変異体の開発に関する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、33MX(配列番号1、任意で配列番号5の末端ヒスチジンタグなし)に由来する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、任意で端末ヒスチジンタグ(例えば、配列番号5)のない、配列番号1と少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、又は少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、I18、F22、T23、S24、K27、I215、L216、Q217、T221、V223、A227、N228、Q229、V230、P231、Q232、N233、V234、L235、S236、及びL237に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、I18、F22、T23、S24、及びK27に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異を含む。いくつかの実施形態では、置換又は欠失アミノ酸残基は、天然に存在する任意のアミノ酸である。さらなる実施形態では、置換又は欠失アミノ酸残基は、親水性又は疎水性アミノ酸残基である。いくつかの実施形態では、親水性アミノ酸残基は、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、スレオニン(T)、プロリン(P)、及びシステイン(C)から選択される極性の及び中性電荷の親水性残基である。いくつかの実施形態では、親水性アミノ酸残基は、アスパラギン酸(D)及びグルタミン酸(E)から選択される極性の及び負に帯電した親水性残基である。さらなる実施形態では、疎水性アミノ酸残基は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される疎水性の脂肪族アミノ酸残基、又はフェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、及びチロシン(Y)から選択される疎水性の芳香族アミノ酸残基である。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、NF-κBシグナル伝達活性を保持する。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、I18Aを含む。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、TEM1-49A(配列番号11、任意で末端ヒスチジンタグなし)である。
【0046】
いくつかの実施形態では、本発明は、エントリモド、又は改善された活性を提供する、欠失、付加及び置換を含む、33MXなどの、他のフラジェリン変異体と比較してアミノ酸同一性を変更したフラジェリン変異体の開発に関する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、33MX(配列番号1、任意で配列番号5の末端ヒスチジンタグなし)に由来する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、任意で端末ヒスチジンタグ(例えば、配列番号5)のない、配列番号1と少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、又は少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、I18、F22、T23、S24、K27、I215、L216、Q217、T221、V223、A227、N228、Q229、V230、P231、Q232、N233、V234、L235、S236、及びL237に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、I18、F22、T23、S24、及びK27に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異を含む。いくつかの実施形態では、置換又は欠失アミノ酸残基は、天然に存在する任意のアミノ酸である。さらなる実施形態では、置換又は欠失アミノ酸残基は、親水性又は疎水性アミノ酸残基である。いくつかの実施形態では、親水性アミノ酸残基は、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、スレオニン(T)、プロリン(P)、及びシステイン(C)から選択される極性の及び中性電荷の親水性残基である。いくつかの実施形態では、親水性アミノ酸残基は、アスパラギン酸(D)及びグルタミン酸(E)から選択される極性の及び負に帯電した親水性残基である。さらなる実施形態では、疎水性アミノ酸残基は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される疎水性の脂肪族アミノ酸残基、又はフェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、及びチロシン(Y)から選択される疎水性の芳香族アミノ酸残基である。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、NF-κBシグナル伝達活性を保持する。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、F22Aを含む。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、TEM1-53A(配列番号12、任意で末端ヒスチジンタグなし)である。
【0047】
いくつかの実施形態では、本発明は、エントリモド、又は改善された活性を提供する、欠失、付加及び置換を含む、33MXなどの、他のフラジェリン変異体と比較してアミノ酸同一性を変更したフラジェリン変異体の開発に関する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、33MX(配列番号1、任意で配列番号5の末端ヒスチジンタグなし)に由来する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、任意で端末ヒスチジンタグ(例えば、配列番号5)のない、配列番号1と少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、又は少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、I18、F22、T23、S24、K27、I215、L216、Q217、T221、V223、A227、N228、Q229、V230、P231、Q232、N233、V234、L235、S236、及びL237に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、I18、F22、T23、S24、及びK27に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異を含む。いくつかの実施形態では、置換又は欠失アミノ酸残基は、天然に存在する任意のアミノ酸である。さらなる実施形態では、置換又は欠失アミノ酸残基は、親水性又は疎水性アミノ酸残基である。いくつかの実施形態では、親水性アミノ酸残基は、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、スレオニン(T)、プロリン(P)、及びシステイン(C)から選択される極性の及び中性電荷の親水性残基である。いくつかの実施形態では、親水性アミノ酸残基は、アスパラギン酸(D)及びグルタミン酸(E)から選択される極性の及び負に帯電した親水性残基である。さらなる実施形態では、疎水性アミノ酸残基は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される疎水性の脂肪族アミノ酸残基、又はフェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、及びチロシン(Y)から選択される疎水性の芳香族アミノ酸残基である。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、NF-κBシグナル伝達活性を保持する。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、T23Dを含む。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、TEM1-54D(配列番号13、任意で末端ヒスチジンタグなし)である。
【0048】
いくつかの実施形態では、本発明は、エントリモド、又は改善された活性を提供する、欠失、付加及び置換を含む、33MXなどの、他のフラジェリン変異体と比較してアミノ酸同一性を変更したフラジェリン変異体の開発に関する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、33MX(配列番号1、任意で配列番号5の末端ヒスチジンタグなし)に由来する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、任意で端末ヒスチジンタグ(例えば、配列番号5)のない、配列番号1と少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、又は少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、I18、F22、T23、S24、K27、I215、L216、Q217、T221、V223、A227、N228、Q229、V230、P231、Q232、N233、V234、L235、S236、及びL237に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、I18、F22、T23、S24、及びK27に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異を含む。いくつかの実施形態では、置換又は欠失アミノ酸残基は、天然に存在する任意のアミノ酸である。さらなる実施形態では、置換又は欠失アミノ酸残基は、親水性又は疎水性アミノ酸残基である。いくつかの実施形態では、親水性アミノ酸残基は、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、スレオニン(T)、プロリン(P)、及びシステイン(C)から選択される極性の及び中性電荷の親水性残基である。いくつかの実施形態では、親水性アミノ酸残基は、アスパラギン酸(D)及びグルタミン酸(E)から選択される極性の及び負に帯電した親水性残基である。さらなる実施形態では、疎水性アミノ酸残基は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される疎水性の脂肪族アミノ酸残基、又はフェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、及びチロシン(Y)から選択される疎水性の芳香族アミノ酸残基である。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、NF-κBシグナル伝達活性を保持する。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、I18Eを含む。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、TEM1-49E(配列番号14、任意で末端ヒスチジンタグなし)である。
【0049】
いくつかの実施形態では、本発明は、エントリモド、又は改善された活性を提供する、欠失、付加及び置換を含む、33MXなどの、他のフラジェリン変異体と比較してアミノ酸同一性を変更したフラジェリン変異体の開発に関する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、33MX(配列番号1、任意で配列番号5の末端ヒスチジンタグなし)に由来する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、任意で端末ヒスチジンタグ(例えば、配列番号5)のない、配列番号1と少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、又は少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、I18、F22、T23、S24、K27、I215、L216、Q217、T221、V223、A227、N228、Q229、V230、P231、Q232、N233、V234、L235、S236、及びL237に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、I18、F22、T23、S24、及びK27に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異を含む。いくつかの実施形態では、置換又は欠失アミノ酸残基は、天然に存在する任意のアミノ酸である。さらなる実施形態では、置換又は欠失アミノ酸残基は、親水性又は疎水性アミノ酸残基である。いくつかの実施形態では、親水性アミノ酸残基は、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、スレオニン(T)、プロリン(P)、及びシステイン(C)から選択される極性の及び中性電荷の親水性残基である。いくつかの実施形態では、親水性アミノ酸残基は、アスパラギン酸(D)及びグルタミン酸(E)から選択される極性の及び負に帯電した親水性残基である。さらなる実施形態では、疎水性アミノ酸残基は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される疎水性の脂肪族アミノ酸残基、又はフェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、及びチロシン(Y)から選択される疎水性の芳香族アミノ酸残基である。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、NF-κBシグナル伝達活性を保持する。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、I18Tを含む。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、TEM1-49T(配列番号15、任意で末端ヒスチジンタグなし)である。
【0050】
いくつかの実施形態では、本発明は、エントリモド、又は改善された活性を提供する、欠失、付加及び置換を含む、33MXなどの、他のフラジェリン変異体と比較してアミノ酸同一性を変更したフラジェリン変異体の開発に関する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、33MX(配列番号1、任意で配列番号5の末端ヒスチジンタグなし)に由来する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、任意で端末ヒスチジンタグ(例えば、配列番号5)のない、配列番号1と少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、又は少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、I18、F22、T23、S24、K27、I215、L216、Q217、T221、V223、A227、N228、Q229、V230、P231、Q232、N233、V234、L235、S236、及びL237に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、I18、F22、T23、S24、及びK27に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異を含む。いくつかの実施形態では、置換又は欠失アミノ酸残基は、天然に存在する任意のアミノ酸である。さらなる実施形態では、置換又は欠失アミノ酸残基は、親水性又は疎水性アミノ酸残基である。いくつかの実施形態では、親水性アミノ酸残基は、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、スレオニン(T)、プロリン(P)、及びシステイン(C)から選択される極性の及び中性電荷の親水性残基である。いくつかの実施形態では、親水性アミノ酸残基は、アスパラギン酸(D)及びグルタミン酸(E)から選択される極性の及び負に帯電した親水性残基である。さらなる実施形態では、疎水性アミノ酸残基は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される疎水性の脂肪族アミノ酸残基、又はフェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、及びチロシン(Y)から選択される疎水性の芳香族アミノ酸残基である。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、NF-κBシグナル伝達活性を保持する。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、K27Eを含む。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、TEM1-58E(配列番号16、任意で末端ヒスチジンタグなし)である。
【0051】
いくつかの実施形態では、本発明は、エントリモド、又は改善された活性を提供する、欠失、付加及び置換を含む、33MXなどの、他のフラジェリン変異体と比較してアミノ酸同一性を変更したフラジェリン変異体の開発に関する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、33MX(配列番号1、任意で配列番号5の末端ヒスチジンタグなし)に由来する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、任意で端末ヒスチジンタグ(例えば、配列番号5)のない、配列番号1と少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、又は少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、I18、F22、T23、S24、K27、I215、L216、Q217、T221、V223、A227、N228、Q229、V230、P231、Q232、N233、V234、L235、S236、及びL237に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、I215、L216、Q217、T221、V223、A227、N228、Q229、V230、P231、Q232、N233、V234、L235、S236、及びL237に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異を含む。いくつかの実施形態では、置換又は欠失アミノ酸残基は、天然に存在する任意のアミノ酸である。さらなる実施形態では、置換又は欠失アミノ酸残基は、親水性又は疎水性アミノ酸残基である。いくつかの実施形態では、親水性アミノ酸残基は、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、スレオニン(T)、プロリン(P)、及びシステイン(C)から選択される極性の及び中性電荷の親水性残基である。いくつかの実施形態では、親水性アミノ酸残基は、アスパラギン酸(D)及びグルタミン酸(E)から選択される極性の及び負に帯電した親水性残基である。さらなる実施形態では、疎水性アミノ酸残基は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される疎水性の脂肪族アミノ酸残基、又はフェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、及びチロシン(Y)から選択される疎水性の芳香族アミノ酸残基である。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、NF-κBシグナル伝達活性を保持する。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、I215Aを含む。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、TEM2-480A(配列番号23、任意で末端ヒスチジンタグなし)である。
【0052】
いくつかの実施形態では、本発明は、エントリモド、又は改善された活性を提供する、欠失、付加及び置換を含む、33MXなどの、他のフラジェリン変異体と比較してアミノ酸同一性を変更したフラジェリン変異体の開発に関する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、33MX(配列番号1、任意で配列番号5の末端ヒスチジンタグなし)に由来する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、任意に、端末ヒスチジンタグ(例えば、配列番号5)のない配列番号1と少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、又は少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、I18、F22、T23、S24、K27、I215、L216、Q217、T221、V223、A227、N228、Q229、V230、P231、Q232、N233、V234、L235、S236、及びL237に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、I215、L216、Q217、T221、V223、A227、N228、Q229、V230、P231、Q232、N233、V234、L235、S236、及びL237に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異を含む。いくつかの実施形態では、置換又は欠失アミノ酸残基は、天然に存在する任意のアミノ酸である。さらなる実施形態では、置換又は欠失アミノ酸残基は、親水性又は疎水性アミノ酸残基である。いくつかの実施形態では、親水性アミノ酸残基は、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、スレオニン(T)、プロリン(P)、及びシステイン(C)から選択される極性の及び中性電荷の親水性残基である。いくつかの実施形態では、親水性アミノ酸残基は、アスパラギン酸(D)及びグルタミン酸(E)から選択される極性の及び負に帯電した親水性残基である。さらなる実施形態では、疎水性アミノ酸残基は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される疎水性の脂肪族アミノ酸残基、又はフェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、及びチロシン(Y)から選択される疎水性の芳香族アミノ酸残基である。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、NF-κBシグナル伝達活性を保持する。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、L216Aを含む。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、TEM2-481A(配列番号24、任意で末端ヒスチジンタグなし)である。
【0053】
いくつかの実施形態では、本発明は、エントリモド、又は改善された活性を提供する、欠失、付加及び置換を含む、33MXなどの、他のフラジェリン変異体と比較してアミノ酸同一性を変更したフラジェリン変異体の開発に関する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、33MX(配列番号1、任意で配列番号5の末端ヒスチジンタグなし)に由来する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、任意で端末ヒスチジンタグ(例えば、配列番号5)のない、配列番号1と少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、又は少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、I18、F22、T23、S24、K27、I215、L216、Q217、T221、V223、A227、N228、Q229、V230、P231、Q232、N233、V234、L235、S236、及びL237に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、I215、L216、Q217、T221、V223、A227、N228、Q229、V230、P231、Q232、N233、V234、L235、S236、及びL237に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異を含む。いくつかの実施形態では、置換又は欠失アミノ酸残基は、天然に存在する任意のアミノ酸である。さらなる実施形態では、置換又は欠失アミノ酸残基は、親水性又は疎水性アミノ酸残基である。いくつかの実施形態では、親水性アミノ酸残基は、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、スレオニン(T)、プロリン(P)、及びシステイン(C)から選択される極性の及び中性電荷の親水性残基である。いくつかの実施形態では、親水性アミノ酸残基は、アスパラギン酸(D)及びグルタミン酸(E)から選択される極性の及び負に帯電した親水性残基である。さらなる実施形態では、疎水性アミノ酸残基は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される疎水性の脂肪族アミノ酸残基、又はフェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、及びチロシン(Y)から選択される疎水性の芳香族アミノ酸残基である。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、NF-κBシグナル伝達活性を保持する。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、V223Tを含む。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、TEM2-488T(配列番号25、任意で末端ヒスチジンタグなし)である。
【0054】
いくつかの実施形態では、本発明は、エントリモド、又は改善された活性を提供する、欠失、付加及び置換を含む、33MXなどの、他のフラジェリン変異体と比較してアミノ酸同一性を変更したフラジェリン変異体の開発に関する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、33MX(配列番号1、任意で配列番号5の末端ヒスチジンタグなし)に由来する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、任意で端末ヒスチジンタグ(例えば、配列番号5)のない、配列番号1と少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、又は少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、I18、F22、T23、S24、K27、I215、L216、Q217、T221、V223、A227、N228、Q229、V230、P231、Q232、N233、V234、L235、S236、及びL237に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、I215、L216、Q217、T221、V223、A227、N228、Q229、V230、P231、Q232、N233、V234、L235、S236、及びL237に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異を含む。いくつかの実施形態では、置換又は欠失アミノ酸残基は、天然に存在する任意のアミノ酸である。さらなる実施形態では、置換又は欠失アミノ酸残基は、親水性又は疎水性アミノ酸残基である。いくつかの実施形態では、親水性アミノ酸残基は、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、スレオニン(T)、プロリン(P)、及びシステイン(C)から選択される極性の及び中性電荷の親水性残基である。いくつかの実施形態では、親水性アミノ酸残基は、アスパラギン酸(D)及びグルタミン酸(E)から選択される極性の及び負に帯電した親水性残基である。さらなる実施形態では、疎水性アミノ酸残基は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される疎水性の脂肪族アミノ酸残基、又はフェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、及びチロシン(Y)から選択される疎水性の芳香族アミノ酸残基である。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、NF-κBシグナル伝達活性を保持する。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、Q217Dを含む。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、TEM2-482D(配列番号28、任意で末端ヒスチジンタグなし)である。
【0055】
いくつかの実施形態では、本発明は、エントリモド、又は改善された活性を提供する、欠失、付加及び置換を含む、33MXなどの、他のフラジェリン変異体と比較してアミノ酸同一性を変更したフラジェリン変異体の開発に関する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、33MX(配列番号1、任意で配列番号5の末端ヒスチジンタグなし)に由来する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、任意で端末ヒスチジンタグ(例えば、配列番号5)のない配列番号1と少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、又は少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、I18、F22、T23、S24、K27、I215、L216、Q217、T221、V223、A227、N228、Q229、V230、P231、Q232、N233、V234、L235、S236、及びL237に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、I215、L216、Q217、T221、V223、A227、N228、Q229、V230、P231、Q232、N233、V234、L235、S236、及びL237に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異を含む。いくつかの実施形態では、置換又は欠失アミノ酸残基は、天然に存在する任意のアミノ酸である。さらなる実施形態では、置換又は欠失アミノ酸残基は、親水性又は疎水性アミノ酸残基である。いくつかの実施形態では、親水性アミノ酸残基は、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、スレオニン(T)、プロリン(P)、及びシステイン(C)から選択される極性の及び中性電荷の親水性残基である。いくつかの実施形態では、親水性アミノ酸残基は、アスパラギン酸(D)及びグルタミン酸(E)から選択される極性の及び負に帯電した親水性残基である。さらなる実施形態では、疎水性アミノ酸残基は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される疎水性の脂肪族アミノ酸残基、又はフェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、及びチロシン(Y)から選択される疎水性の芳香族アミノ酸残基である。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、NF-κBシグナル伝達活性を保持する。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、T221Dを含む。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、TEM2-486D(配列番号29、任意で末端ヒスチジンタグなし)である。
【0056】
いくつかの実施形態では、本発明は、エントリモド、又は改善された活性を提供する、欠失、付加及び置換を含む、33MXなどの、他のフラジェリン変異体と比較してアミノ酸同一性を変更したフラジェリン変異体の開発に関する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、欠失をさらに含む33MX(配列番号6、任意で配列番号5の末端ヒスチジンタグなし)に由来する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、任意で端末ヒスチジンタグ(例えば、配列番号5)のない、配列番号6と少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、又は少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、I18、F22、T23、S24、K27、I215、L216、Q217、T221、V223、A227、N228、Q229、V230、P231、Q232、N233、V234、L235、S236、及びL237に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、I18、F22、T23、S24、及びK27に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異、並びにI215、L216、Q217、T221、及びV223に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異を含む。いくつかの実施形態では、置換又は欠失アミノ酸残基は、天然に存在する任意のアミノ酸である。さらなる実施形態では、置換又は欠失アミノ酸残基は、親水性又は疎水性アミノ酸残基である。いくつかの実施形態では、親水性アミノ酸残基は、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、スレオニン(T)、プロリン(P)、及びシステイン(C)から選択される極性の及び中性電荷の親水性残基である。いくつかの実施形態では、親水性アミノ酸残基は、アスパラギン酸(D)及びグルタミン酸(E)から選択される極性の及び負に帯電した親水性残基である。さらなる実施形態では、疎水性アミノ酸残基は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される疎水性の脂肪族アミノ酸残基、又はフェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、及びチロシン(Y)から選択される疎水性の芳香族アミノ酸残基である。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、I18A、F22A、Q217D、及びV223Tを含む。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、NF-κBシグナル伝達活性を保持する。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、491TEMX(配列番号2、任意で末端ヒスチジンタグなし)である。
【0057】
いくつかの実施形態では、本発明は、エントリモド、又は改善された活性を提供する、欠失、付加及び置換を含む、33MXなどの、他のフラジェリン変異体と比較してアミノ酸同一性を変更したフラジェリン変異体の開発に関する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、欠失をさらに含む33MX(配列番号6、任意で配列番号5の末端ヒスチジンタグなし)に由来する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、任意で端末ヒスチジンタグ(例えば、配列番号5)のない、配列番号6と少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、又は少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、I18、F22、T23、S24、K27、I215、L216、Q217、T221、V223、A227、N228、Q229、V230、P231、Q232、N233、V234、L235、S236、及びL237に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、I18、F22、T23、S24、及びK27に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異を含む。いくつかの実施形態では、置換又は欠失アミノ酸残基は、天然に存在する任意のアミノ酸である。さらなる実施形態では、置換又は欠失アミノ酸残基は、親水性又は疎水性アミノ酸残基である。いくつかの実施形態では、親水性アミノ酸残基は、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、スレオニン(T)、プロリン(P)、及びシステイン(C)から選択される極性の及び中性電荷の親水性残基である。いくつかの実施形態では、親水性アミノ酸残基は、アスパラギン酸(D)及びグルタミン酸(E)から選択される極性の及び負に帯電した親水性残基である。さらなる実施形態では、疎水性アミノ酸残基は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される疎水性の脂肪族アミノ酸残基、又はフェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、及びチロシン(Y)から選択される疎水性の芳香族アミノ酸残基である。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、NF-κBシグナル伝達活性を保持する。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、F22A及びT23Dを含む。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、TEM1-AD(配列番号7、任意で末端ヒスチジンタグなし)である。
【0058】
いくつかの実施形態では、本発明は、エントリモド、又は改善された活性を提供する、欠失、付加及び置換を含む、33MXなどの、他のフラジェリン変異体と比較してアミノ酸同一性を変更したフラジェリン変異体の開発に関する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、欠失をさらに含む33MX(配列番号6、任意で配列番号5の末端ヒスチジンタグなし)に由来する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、任意で端末ヒスチジンタグ(例えば、配列番号5)のない、配列番号6と少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、又は少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、I18、F22、T23、S24、K27、I215、L216、Q217、T221、V223、A227、N228、Q229、V230、P231、Q232、N233、V234、L235、S236、及びL237に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、I18、F22、T23、S24、及びK27に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異を含む。いくつかの実施形態では、置換又は欠失アミノ酸残基は、天然に存在する任意のアミノ酸である。さらなる実施形態では、置換又は欠失アミノ酸残基は、親水性又は疎水性アミノ酸残基である。いくつかの実施形態では、親水性アミノ酸残基は、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、スレオニン(T)、プロリン(P)、及びシステイン(C)から選択される極性の及び中性電荷の親水性残基である。いくつかの実施形態では、親水性アミノ酸残基は、アスパラギン酸(D)及びグルタミン酸(E)から選択される極性の及び負に帯電した親水性残基である。さらなる実施形態では、疎水性アミノ酸残基は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される疎水性の脂肪族アミノ酸残基、又はフェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、及びチロシン(Y)から選択される疎水性の芳香族アミノ酸残基である。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、NF-κBシグナル伝達活性を保持する。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、F22S及びT23Dを含む。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、TEM1-SD(配列番号8、任意で末端ヒスチジンタグなし)である。
【0059】
いくつかの実施形態では、本発明は、エントリモド、又は改善された活性を提供する、欠失、付加及び置換を含む、33MXなどの、他のフラジェリン変異体と比較してアミノ酸同一性を変更したフラジェリン変異体の開発に関する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、欠失をさらに含む33MX(配列番号6、任意で配列番号5の末端ヒスチジンタグなし)に由来する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、任意で端末ヒスチジンタグ(例えば、配列番号5)のない、配列番号6と少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、又は少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、I18、F22、T23、S24、K27、I215、L216、Q217、T221、V223、A227、N228、Q229、V230、P231、Q232、N233、V234、L235、S236、及びL237に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、I18、F22、T23、S24、及びK27に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異を含む。いくつかの実施形態では、置換又は欠失アミノ酸残基は、天然に存在する任意のアミノ酸である。さらなる実施形態では、置換又は欠失アミノ酸残基は、親水性又は疎水性アミノ酸残基である。いくつかの実施形態では、親水性アミノ酸残基は、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、スレオニン(T)、プロリン(P)、及びシステイン(C)から選択される極性の及び中性電荷の親水性残基である。いくつかの実施形態では、親水性アミノ酸残基は、アスパラギン酸(D)及びグルタミン酸(E)から選択される極性の及び負に帯電した親水性残基である。さらなる実施形態では、疎水性アミノ酸残基は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される疎水性の脂肪族アミノ酸残基、又はフェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、及びチロシン(Y)から選択される疎水性の芳香族アミノ酸残基である。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、NF-κBシグナル伝達活性を保持する。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、F22T及びT23Dを含む。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、TEM1-TD(配列番号9、任意で末端ヒスチジンタグなし)である。
【0060】
いくつかの実施形態では、本発明は、エントリモド、又は改善された活性を提供する、欠失、付加及び置換を含む、33MXなどの、他のフラジェリン変異体と比較してアミノ酸同一性を変更したフラジェリン変異体の開発に関する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、欠失をさらに含む33MX(配列番号6、任意で配列番号5の末端ヒスチジンタグなし)に由来する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、任意で端末ヒスチジンタグ(例えば、配列番号5)のない、配列番号6と少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、又は少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、I18、F22、T23、S24、K27、I215、L216、Q217、T221、V223、A227、N228、Q229、V230、P231、Q232、N233、V234、L235、S236、及びL237に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、I18、F22、T23、S24、及びK27に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異を含む。いくつかの実施形態では、置換又は欠失アミノ酸残基は、天然に存在する任意のアミノ酸である。さらなる実施形態では、置換又は欠失アミノ酸残基は、親水性又は疎水性アミノ酸残基である。いくつかの実施形態では、親水性アミノ酸残基は、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、スレオニン(T)、プロリン(P)、及びシステイン(C)から選択される極性の及び中性電荷の親水性残基である。いくつかの実施形態では、親水性アミノ酸残基は、アスパラギン酸(D)及びグルタミン酸(E)から選択される極性の及び負に帯電した親水性残基である。さらなる実施形態では、疎水性アミノ酸残基は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される疎水性の脂肪族アミノ酸残基、又はフェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、及びチロシン(Y)から選択される疎水性の芳香族アミノ酸残基である。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、NF-κBシグナル伝達活性を保持する。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、T23D及びS24Dを含む。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、TEM1-DD(配列番号10、任意で末端ヒスチジンタグなし)である。
【0061】
いくつかの実施形態では、本発明は、エントリモド、又は改善された活性を提供する、欠失、付加及び置換を含む、33MXなどの、他のフラジェリン変異体と比較してアミノ酸同一性を変更したフラジェリン変異体の開発に関する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、欠失をさらに含む33MX(配列番号6、任意で配列番号5の末端ヒスチジンタグなし)に由来する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、任意で端末ヒスチジンタグ(例えば、配列番号5)のない、配列番号6と少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、又は少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、I18、F22、T23、S24、K27、I215、L216、Q217、T221、V223、A227、N228、Q229、V230、P231、Q232、N233、V234、L235、S236、及びL237に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、I18、F22、T23、S24、及びK27に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異を含む。いくつかの実施形態では、置換又は欠失アミノ酸残基は、天然に存在する任意のアミノ酸である。さらなる実施形態では、置換又は欠失アミノ酸残基は、親水性又は疎水性アミノ酸残基である。いくつかの実施形態では、親水性アミノ酸残基は、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、スレオニン(T)、プロリン(P)、及びシステイン(C)から選択される極性の及び中性電荷の親水性残基である。いくつかの実施形態では、親水性アミノ酸残基は、アスパラギン酸(D)及びグルタミン酸(E)から選択される極性の及び負に帯電した親水性残基である。さらなる実施形態では、疎水性アミノ酸残基は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される疎水性の脂肪族アミノ酸残基、又はフェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、及びチロシン(Y)から選択される疎水性の芳香族アミノ酸残基である。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、NF-κBシグナル伝達活性を保持する。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、I18Aを含む。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、TEM1-49A(配列番号11、任意で末端ヒスチジンタグなし)である。
【0062】
いくつかの実施形態では、本発明は、エントリモド、又は改善された活性を提供する、欠失、付加及び置換を含む、33MXなどの、他のフラジェリン変異体と比較してアミノ酸同一性を変更したフラジェリン変異体の開発に関する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、欠失をさらに含む33MX(配列番号6、任意で配列番号5の末端ヒスチジンタグなし)に由来する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、任意で端末ヒスチジンタグ(例えば、配列番号5)のない、配列番号6と少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、又は少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、I18、F22、T23、S24、K27、I215、L216、Q217、T221、V223、A227、N228、Q229、V230、P231、Q232、N233、V234、L235、S236、及びL237に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、I18、F22、T23、S24、及びK27に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異を含む。いくつかの実施形態では、置換又は欠失アミノ酸残基は、天然に存在する任意のアミノ酸である。さらなる実施形態では、置換又は欠失アミノ酸残基は、親水性又は疎水性アミノ酸残基である。いくつかの実施形態では、親水性アミノ酸残基は、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、スレオニン(T)、プロリン(P)、及びシステイン(C)から選択される極性の及び中性電荷の親水性残基である。いくつかの実施形態では、親水性アミノ酸残基は、アスパラギン酸(D)及びグルタミン酸(E)から選択される極性の及び負に帯電した親水性残基である。さらなる実施形態では、疎水性アミノ酸残基は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される疎水性の脂肪族アミノ酸残基、又はフェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、及びチロシン(Y)から選択される疎水性の芳香族アミノ酸残基である。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、NF-κBシグナル伝達活性を保持する。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、F22Aを含む。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、TEM1-53A(配列番号12、任意で末端ヒスチジンタグなし)である。
【0063】
いくつかの実施形態では、本発明は、エントリモド、又は改善された活性を提供する、欠失、付加及び置換を含む、33MXなどの、他のフラジェリン変異体と比較してアミノ酸同一性を変更したフラジェリン変異体の開発に関する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、欠失をさらに含む33MX(配列番号6、任意で配列番号5の末端ヒスチジンタグなし)に由来する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、任意で端末ヒスチジンタグ(例えば、配列番号5)のない、配列番号6と少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、又は少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、I18、F22、T23、S24、K27、I215、L216、Q217、T221、V223、A227、N228、Q229、V230、P231、Q232、N233、V234、L235、S236、及びL237に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、I18、F22、T23、S24、及びK27に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異を含む。いくつかの実施形態では、置換又は欠失アミノ酸残基は、天然に存在する任意のアミノ酸である。さらなる実施形態では、置換又は欠失アミノ酸残基は、親水性又は疎水性アミノ酸残基である。いくつかの実施形態では、親水性アミノ酸残基は、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、スレオニン(T)、プロリン(P)、及びシステイン(C)から選択される極性の及び中性電荷の親水性残基である。いくつかの実施形態では、親水性アミノ酸残基は、アスパラギン酸(D)及びグルタミン酸(E)から選択される極性の及び負に帯電した親水性残基である。さらなる実施形態では、疎水性アミノ酸残基は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される疎水性の脂肪族アミノ酸残基、又はフェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、及びチロシン(Y)から選択される疎水性の芳香族アミノ酸残基である。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、NF-κBシグナル伝達活性を保持する。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体はT23Dを含む。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、TEM1-54D(配列番号13、任意で末端ヒスチジンタグなし)である。
【0064】
いくつかの実施形態では、本発明は、エントリモド、又は改善された活性を提供する、欠失、付加及び置換を含む、33MXなどの、他のフラジェリン変異体と比較してアミノ酸同一性を変更したフラジェリン変異体の開発に関する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、欠失をさらに含む33MX(配列番号6、任意で配列番号5の末端ヒスチジンタグなし)に由来する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、任意で端末ヒスチジンタグ(例えば、配列番号5)のない、配列番号6と少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、又は少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、I18、F22、T23、S24、K27、I215、L216、Q217、T221、V223、A227、N228、Q229、V230、P231、Q232、N233、V234、L235、S236、及びL237に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、I18、F22、T23、S24、及びK27に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異を含む。いくつかの実施形態では、置換又は欠失アミノ酸残基は、天然に存在する任意のアミノ酸である。さらなる実施形態では、置換又は欠失アミノ酸残基は、親水性又は疎水性アミノ酸残基である。いくつかの実施形態では、親水性アミノ酸残基は、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、スレオニン(T)、プロリン(P)、及びシステイン(C)から選択される極性の及び中性電荷の親水性残基である。いくつかの実施形態では、親水性アミノ酸残基は、アスパラギン酸(D)及びグルタミン酸(E)から選択される極性の及び負に帯電した親水性残基である。さらなる実施形態では、疎水性アミノ酸残基は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される疎水性の脂肪族アミノ酸残基、又はフェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、及びチロシン(Y)から選択される疎水性の芳香族アミノ酸残基である。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、NF-κBシグナル伝達活性を保持する。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、I18Eを含む。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、TEM1-49E(配列番号14、任意で末端ヒスチジンタグなし)である。
【0065】
いくつかの実施形態では、本発明は、エントリモド、又は改善された活性を提供する、欠失、付加及び置換を含む、33MXなどの、他のフラジェリン変異体と比較してアミノ酸同一性を変更したフラジェリン変異体の開発に関する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、欠失をさらに含む33MX(配列番号6、任意で配列番号5の末端ヒスチジンタグなし)に由来する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、任意で端末ヒスチジンタグ(例えば、配列番号5)のない、配列番号6と少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、又は少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、I18、F22、T23、S24、K27、I215、L216、Q217、T221、V223、A227、N228、Q229、V230、P231、Q232、N233、V234、L235、S236、及びL237に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、I18、F22、T23、S24、及びK27に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異を含む。いくつかの実施形態では、置換又は欠失アミノ酸残基は、天然に存在する任意のアミノ酸である。さらなる実施形態では、置換又は欠失アミノ酸残基は、親水性又は疎水性アミノ酸残基である。いくつかの実施形態では、親水性アミノ酸残基は、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、スレオニン(T)、プロリン(P)、及びシステイン(C)から選択される極性の及び中性電荷の親水性残基である。いくつかの実施形態では、親水性アミノ酸残基は、アスパラギン酸(D)及びグルタミン酸(E)から選択される極性の及び負に帯電した親水性残基である。さらなる実施形態では、疎水性アミノ酸残基は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される疎水性の脂肪族アミノ酸残基、又はフェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、及びチロシン(Y)から選択される疎水性の芳香族アミノ酸残基である。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、NF-κBシグナル伝達活性を保持する。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体はI18Tを含む。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、TEM1-49T(配列番号15、任意で末端ヒスチジンタグなし)である。
【0066】
いくつかの実施形態では、本発明は、エントリモド、又は改善された活性を提供する、欠失、付加及び置換を含む、33MXなどの、他のフラジェリン変異体と比較してアミノ酸同一性を変更したフラジェリン変異体の開発に関する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、欠失をさらに含む33MX(配列番号6、任意で配列番号5の末端ヒスチジンタグなし)に由来する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、任意で端末ヒスチジンタグ(例えば、配列番号5)のない、配列番号6と少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、又は少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、I18、F22、T23、S24、K27、I215、L216、Q217、T221、V223、A227、N228、Q229、V230、P231、Q232、N233、V234、L235、S236、及びL237に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、I18、F22、T23、S24、及びK27に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異を含む。いくつかの実施形態では、置換又は欠失アミノ酸残基は、天然に存在する任意のアミノ酸である。さらなる実施形態では、置換又は欠失アミノ酸残基は、親水性又は疎水性アミノ酸残基である。いくつかの実施形態では、親水性アミノ酸残基は、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、スレオニン(T)、プロリン(P)、及びシステイン(C)から選択される極性の及び中性電荷の親水性残基である。いくつかの実施形態では、親水性アミノ酸残基は、アスパラギン酸(D)及びグルタミン酸(E)から選択される極性の及び負に帯電した親水性残基である。さらなる実施形態では、疎水性アミノ酸残基は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される疎水性の脂肪族アミノ酸残基、又はフェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、及びチロシン(Y)から選択される疎水性の芳香族アミノ酸残基である。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、NF-κBシグナル伝達活性を保持する。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体はK27Eを含む。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、TEM1-58E(配列番号16、任意で末端ヒスチジンタグなし)である。
【0067】
いくつかの実施形態では、本発明は、エントリモド、又は改善された活性を提供する、欠失、付加及び置換を含む、33MXなどの、他のフラジェリン変異体と比較してアミノ酸同一性を変更したフラジェリン変異体の開発に関する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、欠失をさらに含む33MX(配列番号6、任意で配列番号5の末端ヒスチジンタグなし)に由来する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、任意で端末ヒスチジンタグ(例えば、配列番号5)のない、配列番号6と少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、又は少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、I18、F22、T23、S24、K27、I215、L216、Q217、T221、V223、A227、N228、Q229、V230、P231、Q232、N233、V234、L235、S236、及びL237に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、I215、L216、Q217、T221、V223、A227、N228、Q229、V230、P231、Q232、N233、V234、L235、S236、及びL237に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異を含む。いくつかの実施形態では、置換又は欠失アミノ酸残基は、天然に存在する任意のアミノ酸である。さらなる実施形態では、置換又は欠失アミノ酸残基は、親水性又は疎水性アミノ酸残基である。いくつかの実施形態では、親水性アミノ酸残基は、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、スレオニン(T)、プロリン(P)、及びシステイン(C)から選択される極性の及び中性電荷の親水性残基である。いくつかの実施形態では、親水性アミノ酸残基は、アスパラギン酸(D)及びグルタミン酸(E)から選択される極性の及び負に帯電した親水性残基である。さらなる実施形態では、疎水性アミノ酸残基は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される疎水性の脂肪族アミノ酸残基、又はフェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、及びチロシン(Y)から選択される疎水性の芳香族アミノ酸残基である。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、NF-κBシグナル伝達活性を保持する。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体はI215Aを含む。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、TEM2-480A(配列番号23、任意で末端ヒスチジンタグなし)である。
【0068】
いくつかの実施形態では、本発明は、エントリモド、又は改善された活性を提供する、欠失、付加及び置換を含む、33MXなどの、他のフラジェリン変異体と比較してアミノ酸同一性を変更したフラジェリン変異体の開発に関する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、欠失をさらに含む33MX(配列番号6、任意で配列番号5の末端ヒスチジンタグなし)に由来する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、任意で端末ヒスチジンタグ(例えば、配列番号5)のない、配列番号6と少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、又は少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、I18、F22、T23、S24、K27、I215、L216、Q217、T221、V223、A227、N228、Q229、V230、P231、Q232、N233、V234、L235、S236、及びL237に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、I215、L216、Q217、T221、V223、A227、N228、Q229、V230、P231、Q232、N233、V234、L235、S236、及びL237に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異を含む。いくつかの実施形態では、置換又は欠失アミノ酸残基は、天然に存在する任意のアミノ酸である。さらなる実施形態では、置換又は欠失アミノ酸残基は、親水性又は疎水性アミノ酸残基である。いくつかの実施形態では、親水性アミノ酸残基は、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、スレオニン(T)、プロリン(P)、及びシステイン(C)から選択される極性の及び中性電荷の親水性残基である。いくつかの実施形態では、親水性アミノ酸残基は、アスパラギン酸(D)及びグルタミン酸(E)から選択される極性の及び負に帯電した親水性残基である。さらなる実施形態では、疎水性アミノ酸残基は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される疎水性の脂肪族アミノ酸残基、又はフェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、及びチロシン(Y)から選択される疎水性の芳香族アミノ酸残基である。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、NF-κBシグナル伝達活性を保持する。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、L216Aを含む。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、TEM2-481A(配列番号24、任意で末端ヒスチジンタグなし)である。
【0069】
いくつかの実施形態では、本発明は、エントリモド、又は改善された活性を提供する、欠失、付加及び置換を含む、33MXなどの、他のフラジェリン変異体と比較してアミノ酸同一性を変更したフラジェリン変異体の開発に関する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、欠失をさらに含む33MX(配列番号6、任意で配列番号5の末端ヒスチジンタグなし)に由来する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、任意で端末ヒスチジンタグ(例えば、配列番号5)のない、配列番号6と少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、又は少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、I18、F22、T23、S24、K27、I215、L216、Q217、T221、V223、A227、N228、Q229、V230、P231、Q232、N233、V234、L235、S236、及びL237に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、I215、L216、Q217、T221、V223、A227、N228、Q229、V230、P231、Q232、N233、V234、L235、S236、及びL237に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異を含む。いくつかの実施形態では、置換又は欠失アミノ酸残基は、天然に存在する任意のアミノ酸である。さらなる実施形態では、置換又は欠失アミノ酸残基は、親水性又は疎水性アミノ酸残基である。いくつかの実施形態では、親水性アミノ酸残基は、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、スレオニン(T)、プロリン(P)、及びシステイン(C)から選択される極性の及び中性電荷の親水性残基である。いくつかの実施形態では、親水性アミノ酸残基は、アスパラギン酸(D)及びグルタミン酸(E)から選択される極性の及び負に帯電した親水性残基である。さらなる実施形態では、疎水性アミノ酸残基は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される疎水性の脂肪族アミノ酸残基、又はフェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、及びチロシン(Y)から選択される疎水性の芳香族アミノ酸残基である。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、NF-κBシグナル伝達活性を保持する。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体はV223Tを含む。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、TEM2-488T(配列番号25、任意で末端ヒスチジンタグなし)である。
【0070】
いくつかの実施形態では、本発明は、エントリモド、又は改善された活性を提供する、欠失、付加及び置換を含む、33MXなどの、他のフラジェリン変異体と比較してアミノ酸同一性を変更したフラジェリン変異体の開発に関する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、欠失をさらに含む33MX(配列番号6、任意で配列番号5の末端ヒスチジンタグなし)に由来する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、任意で端末ヒスチジンタグ(例えば、配列番号5)のない、配列番号6と少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、又は少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、I18、F22、T23、S24、K27、I215、L216、Q217、T221、V223、A227、N228、Q229、V230、P231、Q232、N233、V234、L235、S236、及びL237に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、I215、L216、Q217、T221、V223、A227、N228、Q229、V230、P231、Q232、N233、V234、L235、S236、及びL237に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異を含む。いくつかの実施形態では、置換又は欠失アミノ酸残基は、天然に存在する任意のアミノ酸である。さらなる実施形態では、置換又は欠失アミノ酸残基は、親水性又は疎水性アミノ酸残基である。いくつかの実施形態では、親水性アミノ酸残基は、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、スレオニン(T)、プロリン(P)、及びシステイン(C)から選択される極性の及び中性電荷の親水性残基である。いくつかの実施形態では、親水性アミノ酸残基は、アスパラギン酸(D)及びグルタミン酸(E)から選択される極性の及び負に帯電した親水性残基である。さらなる実施形態では、疎水性アミノ酸残基は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される疎水性の脂肪族アミノ酸残基、又はフェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、及びチロシン(Y)から選択される疎水性の芳香族アミノ酸残基である。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、NF-κBシグナル伝達活性を保持する。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、Q217Dを含む。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、TEM2-482D(配列番号28、任意で末端ヒスチジンタグなし)である。
【0071】
いくつかの実施形態では、本発明は、エントリモド、又は改善された活性を提供する、欠失、付加及び置換を含む、33MXなどの、他のフラジェリン変異体と比較してアミノ酸同一性を変更したフラジェリン変異体の開発に関する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、欠失をさらに含む33MX(配列番号6、任意で配列番号5の末端ヒスチジンタグなし)に由来する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、任意で端末ヒスチジンタグ(例えば、配列番号5)のない、配列番号6と少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、又は少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、I18、F22、T23、S24、K27、I215、L216、Q217、T221、V223、A227、N228、Q229、V230、P231、Q232、N233、V234、L235、S236、及びL237に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異を含む。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、I215、L216、Q217、T221、V223、A227、N228、Q229、V230、P231、Q232、N233、V234、L235、S236、及びL237に対応するアミノ酸残基位置(複数可)から選択される少なくとも1つの置換又は欠失変異を含む。いくつかの実施形態では、置換又は欠失アミノ酸残基は、天然に存在する任意のアミノ酸である。さらなる実施形態では、置換又は欠失アミノ酸残基は、親水性又は疎水性アミノ酸残基である。いくつかの実施形態では、親水性アミノ酸残基は、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、スレオニン(T)、プロリン(P)、及びシステイン(C)から選択される極性の及び中性電荷の親水性残基である。いくつかの実施形態では、親水性アミノ酸残基は、アスパラギン酸(D)及びグルタミン酸(E)から選択される極性の及び負に帯電した親水性残基である。さらなる実施形態では、疎水性アミノ酸残基は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される疎水性の脂肪族アミノ酸残基、又はフェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、及びチロシン(Y)から選択される疎水性の芳香族アミノ酸残基である。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、NF-κBシグナル伝達活性を保持する。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体はT221Dを含む。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、TEM2-486D(配列番号29、任意で末端ヒスチジンタグなし)である。
【0072】
いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、1以上のエピトープに切り詰めを含む。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、N末端ドメインに欠失を含む。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、C末端ドメインに欠失を含む。さらに別の実施形態では、フラジェリン変異体は、エピトープ1、エピトープ2、又はエピトープ3に欠失を含む。なおさらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、配列番号1と少なくとも90%同一性を有するアミノ酸配列を含み、さらに、アミノ酸227~237の欠失を含む。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、配列番号1と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、任意で配列番号1は、末端ヒスチジンタグ(例えば、配列番号5)を含まない。なおさらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、配列番号6と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、任意で配列番号6は、端末ヒスチジンタグ(例えば、配列番号5)を含まない。
【0073】
いくつかの実施形態では、本発明のフラジェリン変異体は、例えば、改善された医学効果を可能にする、改善された機能性及び薬理学的特性を有する。いくつかの実施形態では、本発明のフラジェリン変異体は、エントリモド/CBLB502又は他のフラジェリン変異体と比較して類似の若しくは改善された免疫原性の低下及び/又はインフラマソーム活性化の低下を有する。いくつかの実施形態では、本発明のフラジェリン変異体は、エントリモド/CBLB502又は他のフラジェリン変異体と比較して類似の若しくは改善されたNF-κB活性化及び放射線保護及び/又は放射線軽減を有する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、エントリモド/CBLB502又は他のフラジェリン変異体と比較して相対的により強い薬力学応答をもたらす(例えば、サイトカインアッセイにより検出されるように)類似の若しくは改善された薬物動態を有する。いくつかの実施形態では、本発明のフラジェリン変異体は、エントリモドと比較して同じ又は類似の若しくは改善された薬物動態プロファイルを実証する。なおさらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、エントリモドの保持と比較して宿主における増加した又は類似の保持を示す。実施形態では、対象への本発明のフラジェリン変異体の投与は、実質的に増加されたフラジェリン変異体の生物学的利用能の持続時間をもたらす。
【0074】
いくつかの実施形態では、本発明のフラジェリン変異体は、低下された抗原性、低下された免疫原性、及び低下されたインフラマソーム活性化を含む、改善された薬理学的特性を有し、これは、例えば、多種多様な疾患状態及び患者のタイプでの使用を可能にする。低下された抗原性、免疫原性、及びインフラマソーム活性化は、例えば、再発投与を必要とする医療用途を含む、本発明のフラジェリン変異体を使用できる医療用途を拡大する。いくつかの実施形態では、減少された抗原性は、既存のヒト抗体(例えば、抗フラジェリン)及びエントリモド/CBLB502注射に応答して誘導されるものの中和作用に対する向上された耐性につながる。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、生体内でより長い保持時間を有する。より長い保持時間は、組成物が、より少ない用量又はさらに間隔をあけた用量で有効であることを可能にし得る。
【0075】
いくつかの実施形態では、本発明のフラジェリン変異体及び方法は、急性副作用、長期副作用、又は累積副作用を含む、放射線療法及び/若しくは放射線曝露の副作用を低減又は排除する。様々な実施形態では、本方法は、放射線療法及び/若しくは放射線曝露の局所的又は全身的な副作用を低減又は排除する。様々な実施形態では、放射線療法及び/又は放射線曝露の副作用は、疲労、吐き気及び嘔吐、上皮表面への損傷(例えば、限定されないが、湿った剥離)、口、咽喉及び胃のヒリヒリ感、腸内不快感(例えば、限定されないが、苦痛、下痢、及び吐き気)、腫脹、不妊症、線維症、脱毛、乾燥(例えば、限定されないが、口渇(口内乾燥)及びドライアイ(眼球乾燥症)、並びに腋窩及び膣粘膜の乾燥)、リンパ浮腫、心臓病、認知機能低下、放射線腸疾患(例えば、限定されないが、回腸合併症によって一般的に見られる胆汁酸性下痢及びビタミンB12吸収障害と共に、吸収障害、下痢、脂肪便及び出血をもたらし得る萎縮症、線維症及び血管の変化)の1以上である。
【0076】
いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、タグを含む。なおさらなる実施形態では、タグは、フラジェリン変異体のN末端に結合される。さらに別の実施形態では、タグは、フラジェリン変異体のC末端に結合される。
【0077】
いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、表1に列挙したタンパク質フラジェリン変異体のいずれかの1つを含むか、又はそれからなる。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、配列番号2及び7~40のいずれか1つのアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。さらなる実施形態では、本発明は、配列番号2及び7~40のいずれか1つと少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又はそれからなるフラジェリン変異体を提供する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、配列番号2(別名491TEMX/SE-2/GP532)のポリペプチドを含むか、又はそれからなる。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は配列番号2及び7~40のいずれか1つと少なくとも30~99%同一であり得る。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、配列番号1、配列番号3、配列番号4、及び配列番号6のいずれか1つと約50%、又は約60%、又は約70%、又は約80%、又は約85%、又は約90%、又は約95%、又は約97%、又は約98%、又は約99%、又は約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。さらなる実施形態では、本発明のフラジェリン変異体は、配列番号2、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、23、24、25、28、及び29のいずれか1つと約50%、又は約60%、又は約70%、又は約80%、又は約85%、又は約90%、又は約95%、又は約97%、又は約98%、又は約99%、又は約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0078】
フラジェリン変異体の使用
いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、Toll様受容体活性(例えば、TLR5)を刺激する。TLRファミリーは、少なくとも10のメンバーで構成されており、病原体に対する自然免疫防御に不可欠である。自然免疫系は、保存された病原体関連分子パターン(PAMP)を認識する。TLRは、アミノ酸含量の変動がいくぶんか許容される残基の大きなグループで構成され得る細菌フラジェリンに特有の保存された構造を認識し得る。Smithら,Nat.Immunol.4:1247-53(2003)は、TLR5によって認識される保存された構造の一部である、フラジェリン中の13個の保存アミノ酸を同定した。
【0079】
いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、TLR5シグナル伝達を活性化する。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、エントリモド/CBLB502及び/又は他のフラジェリン変異体と同じレベル、又は類似のレベルでTLR5を活性化する。TLR5の活性化は、NF-κB依存性プロモーターを誘導し、これは順に、多数の炎症関連サイトカインを活性化する。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、炎症性サイトカインの発現を誘導する。さらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、抗炎症分子の発現を誘導する。別の実施形態では、フラジェリン変異体は、抗アポトーシス分子の発現を誘導する。なおさらなる実施形態では、フラジェリン変異体は、抗菌分子の発現を誘導する。NF-κBのターゲットは、IL-1β、TNF-α、IL-6、IL-8、IL-18、G-CSF、TNFSF13B、ケラチノサイト化学誘引物質(KC)、BLIMP1/PRDM1、CCL5、CCL15、CCL17、CCL19、CCL20、CCL22、CCL23、CXCL1、CCL28、CXCL11、CXCL10、CXCL3、CXCL1、GRO-ベータ、GRO-ガンマ、CXCL1、ICOS、IFNG、IL-1A、IL-1B、IL1RN、IL-2、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-12B、IL-12A、IL-13、IL-15、IL-17、IL-23A、IL-27、EBI3、IFNB1、CXCL5、KC、liGp1、CXCL5、CXCL6、LTA、LTB、CCL2、CXCL9、MCP-1/JE、CCL3、CCL4、CXCL3、CCL20、CXCL10、CXCL5、CCL5、CCL1、TNFベータ、TNFSF10、TFF3、TNFSF15、CD86、補体成分8a、CCL27、デフェンシン-β3、MIG、MIP-2、及び/又はNOD2/CARD15を含むが、これらに限定されない。
【0080】
いくつかの実施形態では、TLR5シグナル伝達の活性化は、調節性T細胞(Tregs)の生成を増加させることにより、LPS誘導性ERK1/2活性化を減少させることにより、かつ/又はナチュラルキラー(NK)T細胞を活性化することにより、CD4T細胞免疫機能を調節し得る。
【0081】
疾患及び治療/予防の方法
様々な実施形態では、本明細書に記載のフラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)並びに方法は、様々な疾患状態に適用可能である。一態様では、本発明は、TLR5シグナル伝達を刺激する方法であって、それを必要とする対象に本発明のフラジェリン変異体を投与することを含む、方法を提供する。TLR5シグナル伝達の活性化は、癌の治療、放射線誘導損傷又は再灌流誘導損傷からの保護、ワクチンのアジュバントとしての作用、又は細胞傷害性化合物からの細胞の保護を含むが、これらに限定されない、広範な治療用途を有し得る。
【0082】
いくつかの実施形態では、本発明のフラジェリン変異体、又はその断片は、ウイルスワクチンに対するアジュバントとして提供され得る。一実施形態では、フラジェリン変異体又はその断片は、インフルエンザワクチン又は抗原と併せて投与されて、インフルエンザ抗原に対するより大きな宿主免疫応答を誘発し得る。なおさらなる実施形態では、本発明のフラジェリン変異体、又はその断片は、寄生虫に対するワクチンのアジュバントとして提供され得る。一実施形態では、フラジェリン変異体又はその断片は、プラスモジウムワクチン又は抗原と併せて投与されて、プラスモジウム抗原と比較して、より大きな宿主免疫応答を誘発し得る。
【0083】
いくつかの実施形態では、本発明のフラジェリン変異体は、毒性条件から細胞を保護するために投与され得る。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、Fas媒介性損傷から肝細胞を予防し得る。本発明のフラジェリン変異体は、末梢血中の肝酵素の減少及びカスパーゼ活性化を引き起こし得る。
【0084】
フラジェリン及び以前に記載された変異体は、インフラマソーム活性化の問題を有する。任意の1つの理論に縛られることなく、細胞外フラジェリンは、フラジェリンTLR5複合体の内部移行により細胞質NLRC4インフラマソームを活性化できると考えられている。NLRC4インフラマソームは、微生物体によるそのパターン認識受容体(PRR)成分の活性化後に組み立てられるいくつかの細胞質多分子複合体の1つである。NLRC4の場合、細胞質性Nod様受容体(NLR)は、細胞膜上のToll様受容体5(TLR5)のアゴニストでもある細菌性フラジェリンにより活性化される。細胞外フラジェリンは、フラジェリンTLR5複合体の内部移行により細胞質NLRC4インフラマソームを活性化できると想定される。一度組み立てられると、インフラマソームは、カスパーゼ-1活性化を伴う炎症促進カスケードを開始し、その後、プロIL-1βを、主要な炎症性サイトカインである成熟したIL-1βへと処理する。このようなインフラマソーム活性化の結果として、対象は、治療用途をより困難にする望ましくない副作用を経験し得る。
【0085】

様々な実施形態では、本発明は、癌及び/又は腫瘍、例えば、癌及び/若しくは腫瘍の治療又は予防に関連する。本明細書で使用される「癌」又は「腫瘍」は、細胞の制御不能な増殖及び/又は異常に増加した細胞の生存並びに/又は身体器官及びシステムの正常な機能を妨げるアポトーシスの阻害を指す。良性及び悪性癌、ポリープ、過形成、並びに休眠腫瘍又は微小転移が含まれる。また、免疫系により妨げられない異常増殖を有する細胞(例えば、ウイルス感染細胞)も含まれる。癌又は腫瘍を有する対象は、対象の体内に存在する客観的に測定可能な癌細胞を有する対象である。元の場所から移行し、重要な器官に種をまく癌は最終的に、罹患した器官の機能的悪化を通じて対象の死をもたらす可能性がある。白血病などの造血癌は、対象の正常な造血コンパートメントを打ち負かすことができ、それにより造血不全(貧血、血小板減少症及び好中球減少症の形態で)をもたらし、最終的に死を引き起こす。
【0086】
癌は、原発癌又は転移性癌であり得る。原発癌は、臨床的に検出可能になる発生部位における癌細胞の領域であり、かつ原発腫瘍であり得る。対照的に、転移性癌は、ある器官又は部分から別の隣接しない器官又は部分への疾患の広がりであり得る。転移性癌は、局所領域中の周囲の正常組織に浸透及び浸潤する能力を獲得する癌細胞により引き起こされ、局所転移であり得る、ある新しい腫瘍を形成する。
【0087】
癌は、リンパ管及び/又は血管の壁に浸透する能力を獲得する癌細胞によっても引き起こされ、その後、癌細胞は、体内の他の部位及び組織へと血流を通って循環できる(それにより循環する腫瘍細胞になる)。癌は、リンパ系への伝播又は血行性伝播などのプロセスに起因し得る。癌はまた、別の部位で停止し、血管又は壁を通って再び浸透し、増殖し続け、別の臨床的に検出可能な腫瘍を最終的に形成する腫瘍細胞により引き起こされ得る。癌はこの新しい腫瘍であり得、それは転移性(又は続発性)腫瘍であり得る。
【0088】
癌は、転移した腫瘍細胞によって引き起こされ、それは続発性又は転移性腫瘍であり得る。腫瘍の細胞は、元の腫瘍での細胞のようであり得る。例として、乳癌又は大腸癌が肝臓に転移する場合、続発性腫瘍は、肝臓に存在する一方で、異常な肝細胞ではなく、異常な乳房又は結腸の細胞で構成される。肝臓中の腫瘍はこのように、転移性乳癌又は転移性結腸癌であり得、肝臓癌ではない。
【0089】
癌は、任意の組織から生じ得る。癌は、例えば、黒色腫、結腸、乳房、又は前立腺から生じ、そのため、それぞれ元の皮膚、結腸、乳房、又は前立腺であった細胞で構成され得る。癌はまた、血液悪性腫瘍であり得、それはリンパ腫であり得る。癌は、肝臓、肺、膀胱、又は腸などの組織に浸潤し得る。浸潤組織は、TLRを発現し得るが、癌は、TLRを発現しても、発現しなくてもよい。
【0090】
癌の再発を減らす方法であって、それを必要とする哺乳類に本発明のフラジェリン変異体を投与することを含む、方法も本明細書で提供される。癌は、TLR5などのTLRを発現するか又は発現しない組織に存在し得るか、又は存在していた可能性がある。本方法はまた、癌再発を防止し得る。癌は、腫瘍学的疾患であり得る。癌は休眠腫瘍であり得、それは癌の転移に起因し得る。休眠腫瘍はまた、腫瘍の外科的除去から残されたものである可能性がある。癌再発は、腫瘍再成長、肺転移、又は肝転移であり得る。
【0091】
本発明の代表的な癌及び/又は腫瘍は、TLR5を発現しても、又は発現しなくてもよく、基底細胞癌、胆管癌;膀胱癌;骨癌、脳癌及び中枢神経系癌;乳癌;腹膜の癌;頸部癌;絨毛癌;結腸癌及び直腸癌;結合組織癌;消化器系の癌;子宮内膜癌;食道癌;眼癌;頭頚部癌;胃癌(胃腸癌を含む);神経膠芽腫;肝癌;肝細胞腫;上皮内新生物;腎臓癌又は腎癌;喉頭癌;白血病;肝臓癌;肺癌(例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、及び肺の扁平上皮癌);黒色腫;骨髄腫;神経芽細胞腫;口腔癌(唇、舌、口、及び咽頭);卵巣癌;膵臓癌;前立腺癌;網膜芽細胞腫;横紋筋肉腫;直腸癌;呼吸器系の癌;唾液腺癌;肉腫;皮膚癌;扁平上皮癌;胃癌;精巣癌;甲状腺癌;子宮癌又は子宮内膜癌;泌尿器系の癌;外陰癌;ホジキンリンパ腫及び非ホジキンリンパ腫を含むリンパ腫、及びB細胞性リンパ腫(低グレード/濾胞非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球性(SL)NHL;中間グレード/濾胞NHL;中間グレードびまん性NHL;高グレード免疫芽細胞NHL;高グレードリンパ芽球性NHL;高グレード小型非切れ込み核細胞性NHL;巨大腫瘤病変NHL;マントル細胞リンパ腫;エイズ関連リンパ腫;及びワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症;慢性リンパ球性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);ヘアリー細胞白血病;慢性骨髄芽球性白血病;並びに他の癌腫及び肉腫;及び移植後のリンパ増殖性障害(PTLD)、並びにファコマトーゼ、浮腫(脳腫瘍に関連付けられるものなど)、及びメイグス症候群に関連付けられる異常な血管増殖を含み得るが、これらに限定されない。
【0092】
本明細書に記載のフラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)並びに方法は、癌及び/又は腫瘍を含む、適用可能な転移性疾患である。「転移」は、原発部位から体内の他の場所への癌の広がりを指す。癌細胞は、原発性腫瘍から剥離し、リンパ管及び血管に浸潤し、血流を循環し、体内の他の場所の正常組織中の遠い病巣で成長(転移)し得る。転移は、局所的又は遠位であり得る。転移は、原発腫瘍から離脱し、血流を通過し、遠位部位で停止する、腫瘍細胞上での偶発的な逐次的なプロセスである。新しい部位で、細胞は、血液供給を確立し、成長して、生命を脅かす塊を形成できる。腫瘍細胞内の刺激性分子経路と抑制性分子経路の両方が、この行動を調節し、遠位部位における腫瘍細胞と宿主細胞との相互作用もまた、重要である。
【0093】
転移は、特異的な症状の観察に加えて、磁気共鳴画像法(MRI)スキャン、コンピュータ断層撮影(CT)スキャン、血液及び血小板数、肝機能研究、胸部X線及び骨スキャンの単独又は併用使用を介して検出され得る。
【0094】
いくつかの実施形態では、本発明は、構成的に活性のあるNF-κB癌に罹患している哺乳類を治療する方法であって、本明細書に記載のフラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)を含むNF-κB活性を誘導する治療有効量の薬剤を含む組成物を哺乳類に投与することを含む、方法に関する。NF-κB活性を誘導する薬剤は、癌治療と組み合わせて投与され得る。
【0095】
いくつかの実施形態では、本発明は、癌治療からの副作用の治療のための方法であって、本明細書に記載のフラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)を投与することを含む、方法を含む。いくつかの実施形態では、癌治療からの副作用は、脱毛症、骨髄抑制、腎毒性、体重減少、疼痛、吐き気、嘔吐、下痢、便秘、貧血、栄養失調、脱毛、しびれ、味覚変化、食欲不振、薄い又は脆性の髪、口のヒリヒリ感、記憶喪失、出血、心毒性、肝毒性、聴毒性、及び化学療法後の認知障害を含む。
【0096】
いくつかの実施形態では、本発明は、構成的に活性のあるNF-κB癌を含むが、これに限定されない癌の治療に起因し得る正常組織への損傷を患う哺乳類を治療する方法であって、本明細書に記載の治療有効量のフラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)を含む組成物を該哺乳類に投与することを含む、方法に関する。
【0097】
老化とストレス
いくつかの実施形態では、本発明は、細胞老化の調節(例えば、哺乳類細胞老化の抑制及び/又は減速)のための方法であって、本明細書に記載のフラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)を投与することを含む、方法を含む。
【0098】
例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、アルツハイマー病、II型糖尿病、黄斑変性症、慢性の炎症に基づく病理(例えば、関節炎)などの加齢性疾患を予防若しくは治療するため、並びに/又は老化に関連付けられることが知られている癌の種類(例えば、前立腺癌、黒色腫、肺癌、結腸癌など)の発症を予防するため、並びに/又は老化組織(例えば、皮膚若しくは前立腺)の機能及び形態を回復させる目的、並びに/又は蓄積された老化細胞により損なわれる組織の形態を改善する目的(例えば、色素性皮膚病変の美容処置)、並びに/又は放射線若しくは化学療法による癌治療の結果を改善する目的、並びに/又は休眠癌細胞の排除により癌患者の再発及び転移性疾患を予防する目的である。この開示は、ヒト及び非ヒト動物疾患並びに老化及び加齢性障害の予防及び/又は治療法に適する。
【0099】
様々な例において、本開示は、アルツハイマー病、II型糖尿病、黄斑変性症を含むが、必ずしもこれらに限定されない加齢性疾患、又は関節炎を含むが、必ずしもにこれに限定されない慢性炎症を含む疾患を有するか、又は発症する危険性があると疑われる個体の治療方法に関する。
【0100】
いくつかの実施形態では、心血管疾患若しくは障害、炎症性疾患若しくは障害、肺疾患若しくは障害、神経疾患若しくは障害、代謝疾患若しくは障害、皮膚疾患若しくは障害、加齢性疾患若しくは障害、早期老化疾患若しくは障害、及び睡眠障害を有する又は有するリスクがあると特定された患者の治療のための方法が本明細書に記載される。早期老化疾患及び障害は、ハッチンソン・ギルフォードプロジェリア症候群又はウェルナー症候群を含むが、これらに限定されない。
【0101】
様々な実施形態では、本発明は、例えば、老化を低減、停止、又は遅延させることによる、老化の治療又は予防に関する。特定の理論に縛られることを意図しないが、細胞老化(老化)は、mTOR経路などのシグナル伝達経路の過剰刺激及び過剰活性化により引き起こされると考えられ、特に細胞周期が遮断されると、細胞の過剰活性化及び過機能につながる。次に、これは、続発的なシグナル耐性と代償的な機能不全を引き起こす。細胞の過機能とシグナル耐性の両方が、加齢性疾患(無症候性損傷)及び加齢性疾患(臨床的損傷)として現れる、器官損傷(遠位器官を含む)を引き起こし、最終的に生命体の死をもたらす。細胞老化マーカーの非限定的な例は、細胞肥大、増殖ポテンシャルの永久的な喪失、大きく平らな細胞形態及びベータ-Gal染色であると考えられる。様々な実施形態では、本発明は、細胞老化のマーカーのいずれかを調節することに関する。
【0102】
老化の過程は、全ての主要な生理機能の欠乏の段階的な蓄積、再生能力の低下、創傷治癒の障害、及び癌、2型糖尿病、関節炎、アルツハイマー病とパーキンソン病、アテローム性動脈硬化症などの加齢性疾患のリスクの増加を呈する。累積的に、これらの全ての事象は、虚弱の緩やかな増加として説明され、いわゆる「虚弱指数」により測定できる。加齢に伴う虚弱の増加は、化学療法及び放射線による癌治療を受けた人々又は動物において促進され、それは老化の加速と解釈できる。自然老化の進行、及び癌治療により加速される老化は、フラジェリンと名付けられたタンパク質で構築され、活発な移動のための小器官である鞭毛を有する細菌の感染に対する天然の自然免疫機構の活性化により劇的に減速させることができる。体内のこのような細菌の存在は、Toll様受容体5(TLR5)と名付けられた細胞表面受容体により認識される。本発明のフラジェリン変異体のTLR5への結合は、免疫系の全身動員につながる生理学的応答を誘発し、治療される生物の虚弱獲得の減速並びに健康及び生活の質の向上として現れる、生物に対する長期的な影響を及ぼす複数の生理活性因子(サイトカイン、ケモカインなど)の生成を伴う。TLR5の活性化が可能な本発明のフラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)による治療は、癌治療及び他の種類の中毒により引き起こされる自然老化及び早期加速老化を予防並びに治療するためのアプローチとして計画され得る。
【0103】
老化は、時間とともに進行する哺乳類生物の緩やかな全身病理学的形質転換である。これは、全ての器官及び組織の機能の複数の欠損の蓄積及び再生能力の低下と関連付けられ、アテローム性動脈硬化症、糖尿病、肺線維症、失明、認知症、腎臓機能不全、変形性関節症、及び低グレード慢性無菌性炎症、並びに本明細書で企図される他の加齢性疾患及び障害を含む加齢性慢性疾患の発症につながる。これらの状態はしばしば、虚弱、認知障害及び不動を含む老年症候群の段階的な発症と一致する。老化は、自然のやむを得ない過程である。老化の根本的な原因は、依然として論争の余地がある。しかし、老化の2つの特徴:DNA損傷の増加と全身性無菌性慢性炎症の発症が、一般に普遍的なものとして受け入れられており、いずれも加齢性病理の主要な要因と考えられている。
【0104】
若い人の遺伝毒性の医療処置又は環境への暴露は、上記の複数の加齢関連状態の早期発症のリスクの高さと関連し、老化の加速と考えられている。
【0105】
この種類の最も一般的な医療処置の1つは、癌治療である。癌治療は多くの場合、遺伝毒性ストレスへのヒト及び動物の暴露を伴い、損傷DNAを有する多数の正常な細胞を残し、老化細胞の蓄積と慢性全身性炎症の獲得を引き起こす。これらの状態は、異常な甲状腺機能、骨のミネラル密度の低下、骨粗鬆症の増加、不妊症、組織再生の不全、心毒性、肺線維症及び慢性無菌性炎症などの自然老化に一般的に関連付けられる複数の疾患のリスクを高める。癌の生存者における老化の加速は、小児期に癌の治療に成功した個人で特によく実証されている。実際に、小児癌の治療を受けた成人は、心血管、肺、肝臓、腎臓、及び性腺機能不全、及び続発性悪性腫瘍及び死亡率の増加などの慢性的な健康状態の早期発症リスクが高い。20代の生存者の慢性疾患の割合は、50代の兄弟の割合に似ている。認知機能障害、及び筋力低下などの、他の加齢関連状態の上昇率も、小児癌の生存者で報告され、予想よりも数十年早く現れる。この、及び他の研究は、小児癌のいくらかの生存者は、高齢者に見られるものと一致する生理学的虚弱表現型を有することを示唆する。造血細胞移植(HCT)生存者の生理学的虚弱もまた、老化の加速を示唆し、早期死亡率の予測因子である。虚弱率は、兄弟間よりもHCT生存者間で8倍高かった。移植の少なくとも10年後のHCTの生存者のうち、重度の/生命を脅かす/致命的な状態の15年間の累積発生率は、41%であった。
【0106】
用語「加齢性疾患」は、癌、代謝性疾患、心血管疾患、タバコ関連疾患、又は皮膚のシワなどの成人における疾患を含むが、これらに限定されない。癌は、前立腺癌、結腸癌、肺癌、頭頸部の扁平上皮癌、食道癌、肝細胞癌、胃癌、膵臓癌、卵巣癌、又は乳癌を含むが、これらに限定されない。加齢性疾患又はタバコ関連疾患は、心血管疾患、脳血管疾患、末梢血管疾患、アルツハイマー病、変形性関節症、心臓拡張機能障害、良性前立腺肥大、大動脈瘤、又は肺気腫を含む。
【0107】
ヒト及び動物における欠損並びに虚弱の加齢性蓄積の定量的評価のための、いくつかの包括的な手法がある。個々の生物は、健康状態及び老化率が不均一である。このような不均一性を考慮して、虚弱指数(FI)が、研究で考慮された欠陥の総数に対する個人に存在する欠陥の割合である、数値スコアとして導入されている。FIの変化は、個々の老化の割合を特徴付ける。同様の手法が、実験動物に適用されている。虚弱指数は、「生物学的年齢」及び生活の質の低下を示す一般的な健康低下の程度の、信頼でき広く受け入れられた尺度と考えられている。
【0108】
現在、老化の予防及び治療のために医療で従来用いられている薬物又は治療はない。健康的な生活と長寿の延長は、カロリー制限により実証されている。同様の効果は、ラパマイシンなどのmTOR阻害剤を使用して達成できる。どちらも長期的な適用を必要とする。いくつかの実施形態では、本発明は、細胞老化を調節する方法であって、様々なラパログ(例えば、ラパマイシン及びその類似体)を含むが、これらに限定されないmTOR阻害剤と併せて本明細書に記載のフラジェリン変異体を投与することを含む、方法を提供する。自然に発生する、および癌治療によって加速される両方の、加齢性虚弱の進行の過程を減速させることができる薬理学的薬剤が、切に必要とされている。開発された場合、それらは、人口の100%が受けられる病理の治療に適用される薬剤として無制限の市場を持つことになる。
【0109】
いくつかの実施形態では、本発明は、ストレスの治療のための方法であって、本明細書に記載のフラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)を投与することを含む、方法を含む。本発明はまた、ストレスが原因である正常組織への損傷を患っている対象を治療する方法であって、治療有効量のフラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)を含む組成物を哺乳類に投与することを含む、方法に関する。ストレスは、放射線、創傷、中毒、感染、及び温度ショックを含むが、これらに限定されないあらゆる源に起因し得る。
【0110】
いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)は、暴露の約48時間、約46時間、約44時間、約42時間、約40時間、約38時間、約36時間、約34時間、約32時間、約30時間、約28時間、約26時間、約24時間、約22時間、約20時間、約18時間、約16時間、約14時間、約12時間、約10時間、約8時間、約6時間、約4時間、約3時間、約2時間、又は約1時間前を含むが、これらに限定されないストレスへの暴露前の任意の時点で投与され得る。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、暴露の約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約6時間、約8時間、約10時間、約12時間、約14時間、約16時間、約18時間、約20時間、約22時間、約24時間、約26時間、約28時間、約30時間、約32時間、約34時間、約36時間、約38時間、約40時間、約42時間、約44時間、約46時間、又は約48時間後を含むが、これらに限定されないストレスへの曝露後の任意の時点で投与され得る。
【0111】
放射線損傷の軽減と予防
さらに他の実施形態では、本発明は、放射線関連疾患又は損傷の治療に関する。特定の実施形態では、本発明は、放射線関連疾患の軽減、又は予防及び/又は保護に関する。
【0112】
一実施形態では、本発明は、放射線への暴露の影響からの細胞の保護に関する。いくつかの実施形態では、本発明は、放射線から対象を保護する方法であって、本明細書に記載のフラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)を投与することを含む、方法に関する。いくつかの実施形態では、放射線は、電離放射線である。いくつかの実施形態では、電離放射線は、胃腸症候群又は造血症候群を引き起こすのに十分である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のフラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)は、放射線保護剤、例えば、抗酸化剤(例えば、アミホスチン及びビタミンE)、サイトカイン(例えば、幹細胞因子)などと組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のフラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)は、放射線の前に、放射線と一緒に、又は放射線の後に投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のフラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)は、成長因子(例えば、ケラチノサイト増殖因子)、ステロイド(例えば、5-アンドロステンジオール)、アンモニウムトリクロロ(ジオキソエチレン-O,O')テルレート、甲状腺保護剤(例えば、ヨウ化カリウム(KI)、抗嘔吐剤、抗下痢剤、鎮痛薬、抗不安薬、鎮静薬、サイトカイン療法、抗生物質、抗真菌剤、及び/又は抗ウイルス剤と組み合わせて投与される。
【0113】
いくつかの実施形態では、本発明は、対象におけるアポトーシス媒介組織損傷を治療及び/又は軽減する方法であって、それを必要とする対象に本明細書に記載のフラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)を含む組成物を投与することを含む、方法に関する。いくつかの実施形態では、アポトーシスは、細胞ストレスに起因する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のフラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)は、組織損傷の前に、組織損傷と一緒に、又は組織損傷の後に投与される。いくつかの実施形態では、細胞ストレスは、放射線である。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)は、放射線防護剤(例えば、抗酸化剤(例えば、アミホスチン及びビタミンE)、サイトカイン(例えば、幹細胞因子)などと組み合わせて投与される。
【0114】
電離放射線による正常細胞の損傷及び死は、暴露細胞への直接的な放射線誘発損傷と、自殺死又はアポトーシスをもたらす放射線誘発ストレスに対する活性のある遺伝的にプログラムされた細胞反応の組み合わせである。アポトーシスは、いくつかの放射線感受性器官(例えば、造血系及び免疫系、消化管の上皮など)で起こる大規模な細胞喪失において重要な役割を果たし、その不全は、生物の一般的な放射線感受性を決定する。いくつかの実施形態では、それを必要とする対象への本発明のフラジェリン変異体の投与は、細胞でのアポトーシスを抑制する。いくつかの実施形態では、本発明のフラジェリン変異体は、放射線治療の有害な影響から健康な細胞を保護するために癌放射線療法治療を受けている対象に投与される。
【0115】
電離放射線(IR)への曝露は、短期間でも長期間でもよく、かつ/又は単回用量若しくは複数回用量として適用され、かつ/又は全身に若しくは局所的に適用され得る。本発明は、いくつかの実施形態では、単回の高線量の全身照射への曝露を伴う場合がある(時には、放射性同位体による長期中毒が続く)、原発事故又は軍事攻撃に関する。同じことが、例えば、宿主の血液前駆体からそれらを「除去」することによりドナーの骨髄のために造血器官を調製することが必要である場合の骨髄移植用の患者の前処置(適用線量の厳格な制御を伴う)についても言える。癌治療は、全身照射として適用された場合、致死量を大幅に上回る、複数回線量の局所照射を伴う場合がある。放射性同位体による毒作用又は治療は、標的器官(例えば、125Iの吸入の場合には甲状腺)の照射への長期的な局所曝露をもたらす。さらに、生物学的影響の重症度が顕著に異なる、電離放射線の物理的形態も多く存在する。
【0116】
分子及び細胞レベルで、放射粒子は、DNA、タンパク質、細胞膜及び他の高分子構造において切断及び架橋を生じさせることができる。電離放射線はまた、フリーラジカル及び活性酸素種(ROS)を生じさせることにより細胞成分に二次的損傷を誘発する。DNAの完全性と忠実性を修復するいくつかのDNA修復経路、並びにフリーラジカルとROSを清掃し酸化タンパク質及び脂質を減らす抗酸化化学物質及び酵素などの、複数の修復システムが、この損傷を無効にする。細胞チェックポイントシステムは、DNA欠陥を検出し、損傷が修復されるか細胞に成長停止又はプログラム細胞死(アポトーシス)を実行させる決定に至るまで細胞周期の進行を遅らせる。
【0117】
放射線は、低線量の軽度の変異原性及び発癌性の影響から高線量によるほぼ即死に至る範囲で哺乳類生物に損傷を与え得る。生物の全放射線感受性は、造血系、生殖系及び細胞回転率が高い異なる上皮を含む、いくつかの感受性組織で発症した病理学的変化により決定される。
【0118】
死に至るガンマ線照射の急性の病理学的結果は、線量により異なり、特定の各線量に対する生物の感受性の閾値を規定するある器官の不全により決定され得る。そのため、低線量での致死性は、例えば、骨髄形成不全から生じ、中程度の線量は、例えば、胃腸(GI)症候群の誘導によりより速く死滅させる。非常に高い線量の照射は、神経変性を誘発してほぼ即死させ得る。
【0119】
照射による急性毒性の期間を生き残る生物は、照射後数ヶ月及び数年のうちに、被爆器官(例えば、腎臓、肝臓又は肺)で生じる放射線誘発性発癌及び線維症を含む、長期のずっと後の影響に苦しむ可能性がある。
【0120】
細胞DNAは、直接的及び間接的な(例えば、フリーラジカルベースの)機構により様々な種類のDNA損傷(遺伝毒性ストレス)を引き起こす、IRの主な標的である。全ての生物は、放射線損傷DNAの有効な回復が可能なDNA修復システムを維持する。DNA修復過程のエラーは、変異につながり得る。
【0121】
いくつかの実施形態では、対象が経験した放射線曝露は、癌放射線治療の結果である。腫瘍は、一般的にガンマ線に対しより感受性があり、正常組織に対する損傷が比較的低い低線量で複数回治療できる。しかし、場合によっては、正常組織の損傷は、癌治療のためのガンマ線の適用における制限要因である。従来の三次元の原体照射又はさらにより焦点を合わせたBeamCath送達による、癌療法中のガンマ線照射の使用は、照射の蓄積作用並びに骨髄及び胃腸(GI)管などの急速に新生する正常組織の幹細胞の損傷の誘導により引き起こされる用量制限毒性も有する。本発明のフラジェリン変異体の投与は、腫瘍細胞の放射線感受性に影響を与えることなく、患者の健康な細胞を放射線損傷から保護できる。
【0122】
いくつかの実施形態では、対象は、致死線量の放射線にさらされている。高線量では、放射線誘発致死は、いわゆる造血及び胃腸の放射線症候群と関連付けられる。造血症候群は、血液及びリンパ系の再生を不可能にさせる造血細胞及びそれらの前駆物質の喪失により特徴付けられる。死は通常、感染(免疫抑制の結果)、出血及び/又は貧血の結果として起こる。GI症候群は、主に小腸での、腸上皮の大量の細胞死により引き起こされ、腸壁の崩壊並びに菌血症及び敗血症による死亡が続く。造血症候群は通常、より低い線量の照射で発症し、GI症候群よりも遅れて死に至る。
【0123】
以前は、放射線防護剤は典型的には、合成と天然の両方の抗酸化剤であった。最近、サイトカイン及び成長因子が、放射線防護剤のリストに追加された。それらの放射線防護の機構は、感受性組織の再生効果の促進の結果であると考えられる。しかし、いくつかのサイトカインはマンガンスーパーオキシドジスムターゼ(MnSOD)及びメタロチオネインなどの細胞抗酸化タンパク質の発現を誘導するため、両方の放射線防護剤のグループ間に明確な機能的な区別はない。
【0124】
特定の薬剤に対する防護基準は、線量修飾係数(DMF又はDRF)により表され得る。DMFは、放射線防護薬治療対象及び未治療の対照対象に、ある範囲の放射線量を照射し、次いで、生存又はいくつかの他のエンドポイントを比較することにより決定される。DMFは一般的に、30日間の生存について計算(LD50/30薬物治療をLD50/30ビヒクル処置で除算)され、造血系の保護を定量する。胃腸系保護を推定するために、LD50及びDMFを、6日又は7日の生存期間について計算する。
【0125】
本明細書に記載のフラジェリン変異体は、細胞レベルで及び生物全体に対し強力な生存促進活性を有する。超致死線量の照射に応答して、本明細書に記載のフラジェリン変異体は、急性放射線曝露による主要な死因である、胃腸症候群と造血症候群の両方を阻害し得る。これらの特性の結果として、本明細書に記載のフラジェリン変異体は、天然照射事象及び原子力事故の影響を治療するために使用され得る。さらに、本明細書に記載のフラジェリン変異体は、他の放射線防護剤と組み合わせて使用され、それにより、電離放射線からの保護の規模を劇的に増大させることができる。
【0126】
従来の放射線防護剤(例えば、フリーラジカルのスカベンジャー)とは対照的に、抗アポトーシス剤は、一次放射線媒介損傷を低減しないが、一次損傷に対する活性細胞反応を伴う二次的事象に対し作用し、そのため既存の一連の防護を補完する。p53の薬理学的阻害剤(哺乳類細胞における放射線応答の主要なメディエーター)であるピフィスリンαは、この新しいクラスの放射線防護剤の一例である。しかし、p53阻害剤の活性は、造血系の防護に限定され、消化管(胃腸症候群)では保護効果がなく、したがってこれらの化合物の治療価値を低下させる。
【0127】
本明細書に記載のフラジェリン変異体を放射線防護剤として使用して、現在入手可能な手段(遮蔽及び既存の生物保護剤の適用)により達成可能なレベルを超えてヒトの放射線耐性を増加させることにより許容照射線量の範囲を拡大し、原子力事故又は大規模な太陽粒子事象の場合に乗組員の生存の可能性を大幅に増加させることができる。
【0128】
本明細書に記載のフラジェリン変異体は、例えば、中枢神経系及び生殖器官における、低線量照射により引き起こされる代替不可能な細胞の喪失の治療にも有用である。本明細書に記載のフラジェリン変異体は、脱毛症、骨髄抑制、腎毒性、体重減少、疼痛、吐き気、嘔吐、下痢、便秘、貧血、栄養失調、脱毛、しびれ、味覚の変化、食欲不振、薄い又は脆性の髪、口のヒリヒリ感、記憶喪失、出血、心毒性、肝毒性、聴毒性、及び化学療法後の認知障害を含む、化学療法に関連付けられる副作用を治療するために、癌化学療法中に使用されてもよい。
【0129】
一実施形態では、哺乳類が、放射線への曝露について治療され、治療有効量のフラジェリン変異体を含む組成物を哺乳類に投与することを含む。フラジェリン変異体は、1以上の放射線防護剤と組み合わせて投与され得る。1以上の放射線防護剤は、抗酸化物質、フリーラジカルスカベンジャー及びサイトカインを含むが、これらに限定されない放射線曝露の影響を治療する、任意の薬剤であり得る。
【0130】
本明細書に記載のフラジェリン変異体は、DNA及び他の細胞構造の損傷に応答した放射線誘発性プログラム細胞死を阻害し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のフラジェリン変異体は、細胞における損傷に対応せず、変異を防止しない。フリーラジカルと活性酸素種(ROS)は、変異及び他の細胞内損傷の主な原因である。抗酸化剤とフリーラジカルスカベンジャーは、フリーラジカルによる損傷を防ぐのに効果的である。フラジェリン変異体と抗酸化剤又はフリーラジカルスカベンジャーの組み合わせは、放射線にさらされた哺乳類の損傷の拡大を減少させ、生存率を高め、健康を改善できる。本発明の実施に用いることができる抗酸化剤及びフリーラジカルスカベンジャーは、システイン、システアミン、グルタチオン及びビリルビンなどのチオール類;アミホスチン(WR-2721);ビタミンA;ビタミンC;ビタミンE;及びインディアンホーリーバジル(オシマム・サンクタム(Ocimum sanctum))、オリエンチン(orientin)及びビセニン(vicenin)などのフラボノイドを含むが、これらに限定されない。
【0131】
本明細書に記載のフラジェリン変異体は、放射線感受性幹細胞集団を補充及び/又は保護することにより放射線防護を与えるいくつかのサイトカイン及び成長因子と組み合わせて投与することもできる。最小限の副作用での放射線防護は、幹細胞因子(SCF、c-kitリガンド)、Flt-3リガンド、及びインターロイキン1ベータの使用により達成され得る。保護は、幹細胞(記載の全サイトカイン)の増殖の誘導、及びそれらのアポトーシス(SCF)の防止により達成され得る。この治療は、照射前に白血球及びその前駆体の蓄積を可能にし、したがって照射後の免疫系のより迅速な再構成を可能にする。SCFは、1.3~1.35の範囲のDMFの致死線量を照射されたマウスを効率的に救出し、胃腸症候群にも有効である。Flt-3リガンドもまた、マウス及びウサギで強力な保護を提供する。
【0132】
いくつかの因子は、本来はサイトカインではないが、免疫細胞の増殖を刺激し、本明細書に記載のフラジェリン変異体と組み合わせて使用できる。例えば、5-AED(5-アンドロステンジオール)は、サイトカインの発現を刺激し、細菌感染及びウイルス感染に対する耐性を高めるステロイドである。トリクロロ(ジオキソエチレン-O,O’ -)テルル酸アンモニウム(AS-101)などの合成化合物もまた、多数のサイトカインの分泌を誘導するために、および本明細書に記載のフラジェリン変異体との組み合わせのために使用されてよい。
【0133】
成長因子及びサイトカインもまた、胃腸症候群に対する保護を提供するために使用され得る。ケラチノサイト増殖因子(KGF)は、腸粘膜での増殖と分化を促進し、腸陰窩で照射後の細胞生存率を増加させる。造血サイトカイン及び放射線防護性SCFもまた、腸幹細胞の生存及び関連する短期の生物生存を増加させ得る。
【0134】
本明細書に記載のフラジェリン変異体は、消化管(GI)症候群と造血症候群の両方に対する保護を提供し得る。このような組成物は、GI症候群のうちの1以上の阻害剤(SCF及びKGFなどのサイトカインを含むが、これらに限定されない)と組み合わせて使用できる。
【0135】
フラジェリン変異体は、曝露の約48時間、約46時間、約44時間、約42時間、約40時間、約38時間、約36時間、約34時間、約32時間、約30時間、約28時間、約26時間、約24時間、約22時間、約20時間、約18時間、約16時間、約14時間、約12時間、約10時間、約8時間、約6時間、約4時間、約3時間、約2時間、又は約1時間前を含む、これらに限定されない放射線への曝露前の任意の時点で投与できる。フラジェリン変異体は、放射線への曝露の約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約6時間、約8時間、約10時間、約12時間、約14時間、約16時間、約18時間、約20時間、約22時間、約24時間、約26時間、約28時間、約30時間、約32時間、約34時間、約36時間、約38時間、約40時間、約42時間、約44時間、約46時間、又は約48時間後を含むが、これらに限定されない放射線への曝露後の任意の時点で投与できる。
【0136】
様々な実施形態では、本発明の方法及び組成物は、ARSなどの放射線関連障害の治療又は予防を提供する。様々な実施形態では、本明細書に記載の治療は、ヒト患者の被爆集団の罹患率又は死亡率を低下させるか、又はARSの症状からの回復を加速する。ARSは多くの場合、個々の放射線感受性、放射線の種類、及び吸収された放射線量により変化し得る一連の段階的な症状として現れる。一般的に、理論に縛られることなく、症状の程度は高まり、各段階の持続時間は放射線量の増加に伴い短くなる。ARSは、3つの段階:前駆期(別名N-V-D段階)、潜伏期及び明らかな病気、に分けることができる。様々な実施形態では、本明細書に記載のフラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)は、これらの3つの段階のいずれか1つにおいてヒト患者に投与され得る(すなわち、フラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)は、前駆期にヒト患者に投与され得る、フラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)は、潜在期間にヒト患者に投与され得る、又はフラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)は、明らかな病気段階にヒト患者に投与され得る)。
【0137】
前駆期には、吐き気、嘔吐、及び倦怠感の比較的急速な発症がしばしばある。グラニセトロン(KYTRIL)、オンダンセトロン(ZOFRAN)、及び5-HT3ブロッカーなどの制吐薬(例えば、経口予防制吐薬)の使用は、デキサメタゾンの有無にかかわらず、高線量放射線曝露が発生したか、避けられなさそうか、又は避けられない状況に適応とされ得る。したがって、様々な実施形態では、フラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)は、制吐薬を受け取るヒト患者に投与され得るか、又はCBLB502は、制吐薬と組み合わせてヒト患者に投与され得る。例えば、フラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)は、以下の制吐薬の投薬計画にも追加され得る:オンダンセトロン:最初は0.15mg/kg IV;連続IV用量オプションは、8mgに続いて、さらに24時間の1mg/時からなる。経口用量は、必要に応じて8時間毎に8mg又はグラニセトロン(経口剤形)である:用量は、通常最初は1mg、その後、最初の投与後12時間繰り返される。あるいは、2mgを1回の用量として服用してもよい。IV用量は体重に基づく;典型的には、体重1kgあたり10μg(4.5μg/Ib)。
【0138】
潜伏期間において、ヒト患者は、比較的症状が無い場合がある。この時期の長さは、用量により異なる。潜伏期は、造血症候群の骨髄抑制の前が最も長く、約2~6週間で変化し得る。潜伏期間は、胃腸症候群の前がやや短く、数日から1週間続く。これは、神経血管症候群の全ての前段階で最短であり、ほんの数時間続く。これらの時間は可変であり、他の疾患又は損傷の存在により変更され得る。明らかな病気は、負傷した主要な器官系(骨髄、腸管、神経血管)に関連付けられる臨床症状を呈する。
【0139】
いくつかの実施形態では、本発明は、放射線への曝露の影響の軽減、又はそれからの細胞の保護に関する。いくつかの実施形態では、本発明は、放射線からヒト患者を軽減及び/又は保護する方法であって、フラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)を投与することを含む、方法に関する。いくつかの実施形態では、放射線は、電離放射線である。いくつかの実施形態では、電離放射線は、胃腸症候群又は造血症候群を引き起こすのに十分である。
【0140】
いくつかの実施形態では、ARSは、胃腸症候群;造血症候群;神経血管症候群;アポトーシス媒介組織損傷の1以上を含み、アポトーシスは任意に、細胞のストレスに起因し、電離放射線は、アポトーシス組織損傷を誘発した。
【0141】
造血症候群(別名骨髄症候群)は、血液及びリンパ系を再生することを不可能にさせる、造血細胞とその前駆細胞の喪失により特徴付けられる。この症候群は、しばしば、血液細胞の数の減少、すなわち再生不良性貧血により特徴付けられる。これは、低量の白血球による感染症(例えば、日和見感染)、血小板不足による出血、及び循環中の少ない赤血球による貧血をもたらし得る。これらの変化は、急な全身線量を受けた後の血液検査により検出できる。爆弾の爆発から生じる従来の外傷及び火傷は、造血症候群により引き起こされる創傷治癒不良を併発し、死亡率を増加させる。死は、感染(免疫抑制の結果)、出血及び/又は貧血の結果として起こり得る。造血症候群は通常、より低い線量の照射で発症し、GI症候群よりも遅れて死に至る。
【0142】
胃腸症候群は、主に小腸で、腸上皮の大量の細胞死により引き起こされ、腸壁の崩壊並びに菌血症及び敗血症による死亡が続く。この形態の放射線損傷の症状は、吐き気、嘔吐、食欲不振、吸収能力の喪失、剥皮領域での出血、及び腹痛を含む。胃腸症候群の例示的な全身の影響は、栄養失調、脱水、腎不全、貧血、敗血症などを含む。治療(例えば、骨髄移植を含む)を行わないと、死が一般的である(例えば、腸内細菌からの感染による)。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)は、骨髄移植と組み合わせて使用され得る。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)は、GI症候群及び/又は本明細書に記載の追加の薬剤のいずれかの1以上の阻害剤と組み合わせて使用され得る。
【0143】
神経血管症候群は、数分から数時間以内に生じるめまい、頭痛、又は意識レベルの低下などの神経症状を呈し、嘔吐はない。追加の症状は、極端な緊張と混乱;重度の吐き気、嘔吐、及び水っぽい下痢;意識の喪失;並びに皮膚の灼熱感を含む。神経血管症候群は一般的に、致命的である。
【0144】
いくつかの実施形態では、本発明は、照射への曝露後の死亡リスクを低減する方法であって、有効量のフラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)を投与することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、放射線は、潜在的に致死性であり、場合によっては、照射災害の結果として生じる。様々な実施形態では、フラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)は、照射曝露後約25時間以内に投与される。いくつかの実施形態では、本発明は、照射災害の結果として起こる潜在的に致死的な照射への曝露後の死亡リスクを低減する方法であって、放射線曝露後約25時間以内にフラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)を投与することを含む、方法を提供する。
【0145】
様々な実施形態では、フラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)は、高線量の照射、すなわち全身線量に曝された患者に投与される。様々な実施形態では、高線量の照射は、均一でないかもしれない。様々な実施形態では、ARSは、高線量の照射の結果である。様々な実施形態では、高線量の照射は、約2.0Gy、又は約2.5Gy、又は約3.0Gy、又は約3.5Gy、又は約4.0Gy、又は約4.5Gy、又は約5Gy、又は約10Gy、又は約15Gy、又は約20Gy、又は約25Gy、又は約30Gyである。様々な実施形態では、高線量の照射は、約5~約30Gy、又は約10~25Gy、又は約15~20Gyである。いくつかの実施形態では、高線量の照射は、物理的線量測定及び/又は生物学的線量測定(例えば、多パラメータ線量評価)、細胞発生(例えば、血液試料(非限定的な例として二動原体分析を含む)についての、例えば、染色体分析)の1以上により評価される。様々な実施形態では、全身照射線量は、亜致死性(<2Gy)、潜在的致死性(2~10Gy)、及び超致死性(>10Gy)に分けることができる。
【0146】
再灌流損傷
いくつかの実施形態では、本発明は、対象組織に対する再灌流の影響を治療する方法であって、本明細書に記載のフラジェリン関連組成物(及び/又は追加の薬剤)を投与することを含む、方法に関する。本明細書に記載のフラジェリン関連組成物(及び/又は追加の薬剤)は、例えば、アミホスチン及びビタミンEなどの抗酸化物質と組み合わせて投与され得る。
【0147】
再灌流は、虚血又は低酸素症であり得る、損傷により引き起こされ得る。虚血は、例えば、頻脈、梗塞、低血圧、塞栓症、血栓塞栓症(血栓)、鎌状赤血球病、体に対する四肢への局所的な圧力、及び腫瘍などの状態から生じ得る。低酸素症は、低酸素血症性低酸素症(一酸化炭素中毒、睡眠時無呼吸、慢性閉塞性肺疾患、呼吸停止;シャント)、貧血低酸素症(O含有量が低い)、低酸素血症性低酸素症、及び組織毒性低酸素症から選択され得る。局所的な圧力は、止血帯が原因であり得る。
【0148】
本明細書に記載のフラジェリン関連組成物(及び/又は追加の薬剤)は、酸素の流入の前に、一緒に、又は後に投与され得る。組織は、例えば、GI管、肺、腎臓、肝臓、心血管系、血管内皮、中枢神経系、末梢神経系、筋肉、骨、及び毛包であり得る。
【0149】
再灌流は、血液供給が損傷後に身体構成要素に戻ったときに身体構成要素を損傷する可能性がある。再灌流の影響は、損傷自体よりも身体構成要素により多くのダメージを与える可能性がある。例えば、酸素フリーラジカル、細胞内カルシウム過負荷、及び内皮機能不全を含む、再灌流のいくつかの機構及びメディエーターが存在する。過剰な量の活性酸素種は、以前に負傷した身体構成要素に再導入されると、逐次還元を受け、酸素フリーラジカルの形成をもたらす。スーパーオキシドアニオン、ヒドロキシルラジカル、及びペルオキシ亜硝酸塩などの強力なオキシダントラジカルは、身体構成要素への再灌流の最初の数分以内に生成され、再灌流損傷の発症に重要な役割を果たす可能性がある。酸素フリーラジカルはまた、分子酸素の還元以外の供給源から生成され得る。これらの供給源は、例えば、キサンチンオキシダーゼ、シトクロムオキシダーゼ、及びシクロオキシゲナーゼなどの酵素、及びカテコールアミンの酸化を含む。
【0150】
再灌流は、好中球の活性化及び蓄積に対する強力な刺激でもあり、次に、これは、活性酸素種生成のための強力な刺激として機能する。具体的には、好中球呼吸バーストの主な生成物は、過酸化水素、フリー酸素ラジカル及び次亜塩素酸塩を含む強力な酸化剤である。好中球は、最も豊富な種類の食細胞であり、通常は全循環白血球の50~60%を表し、通常は損傷した身体構成要素の部位に到着する最初の細胞である。酸素由来のフリーラジカルは、多価不飽和脂肪酸と反応することにより損傷を生じ、身体構成要素を損傷し膜結合酵素系の機能を損なう過酸化脂質及びヒドロペルオキシドの形成をもたらす。フリーラジカルは、好中球活性化因子、ケモカイン(C-X-Cモチーフ)リガンド1、及びケモカイン(C-X-Cモチーフ)リガンド1などの血小板活性化因子並びにケモカインの内皮放出を刺激し、より多くの好中球を引き付け、オキシダントラジカルの生成及び再灌流損傷の程度を高める。活性酸素種はまた、一酸化窒素の反応を停止させ、内皮損傷及び組織細胞機能不全を悪化させる。生成の増加に加えて、内因性酸化剤のスカベンジャー酵素にも相対的な欠乏があり、これはフリーラジカル媒介性心臓機能不全をさらに悪化させる。
【0151】
再灌流は、顕著な内皮細胞機能不全をさらにもたらし得る。内皮機能不全は、再灌流の重要なメディエーターである血小板及び好中球活性化によって特徴付けられる血栓形成促進性表現型の発現を促進する。好中球が機能不全の内皮と接触すると、それらは活性化され、一連の十分に定義された工程(ローリング、堅い接着、及び遊出)でそれらは、自然免疫応答の一部として内皮細胞接合部を介して組織損傷の領域に移動する。
【0152】
細胞内カルシウム恒常性の変化は、再灌流の発生に重要な役割を果たす。再灌流は、細胞内カルシウムの増加に関連付けられ得る。この影響は、L型カルシウムチャネルを介する筋細胞膜のカルシウム侵入の増加に関連し得るか、又は筋小胞体のカルシウム循環における変化に続発し得る。細胞内カルシウム過負荷に加えて、カルシウムに対する筋繊維感受性の変化が、再灌流に関与している。結果として筋原繊維タンパク質分解を伴うカルシウム依存性プロテアーゼ(カルパインI)の活性化は、トロポニンのタンパク質分解を有するとして、再灌流損傷を強調することが示唆されている。
【0153】
損傷を受けた組織細胞の再灌流は、細胞代謝を変化させ、ひいては機能回復の遅延に寄与し得る。例えば、損傷は、乳酸の正味生成と共に、細胞内に嫌気性代謝を誘発し得る。乳酸放出は、再灌流中持続し、正常な好気性代謝の回復の遅れを示唆している。同様に、ミトコンドリアピルビン酸脱水素酵素(PDH)の活性は、損傷後最大で40%阻害され、再灌流後最大30分間落ち込み続けたままであり得る。
【0154】
再灌流中のこれらのイベントの各々は、組織細胞へのストレス、プログラム細胞死(アポトーシス)及び組織細胞の壊死につながり得る。アポトーシスは通常、傷ついた細胞及び遺伝的に損傷した細胞から組織を「きれいにする」ために機能し、サイトカインは、病原体に対する生物の防御システムを動員するように機能する。しかし、重度の損傷の状態では、両方のストレス応答機構自体は、死因として作用し得る。
【0155】
様々な実施形態では、再灌流の影響は、身体への損傷により引き起こされ得る。損傷は、虚血、低酸素、梗塞、又は塞栓症が原因であり得る。損傷の治療は、再灌流及び身体構成要素へのさらなる損傷につながり得る。
【0156】
虚血は、身体構成要素への血液供給の絶対的又は相対的な不足であり得る。相対的な不足は、身体構成要素に供給される血液(酸素送達)と、十分な酸素化のために身体構成要素に必要な血液の、わずかではあるが、不一致であり得る。虚血はまた、それを供給する血管の収縮又は閉塞が原因である、身体の一部への血液の不十分な流れであり、体内のなんらかの身体構成要素に影響を与え得る。不十分な血液供給は、身体構成要素を低酸素にさせるか、又は酸素がまったく供給されない場合は、無酸素にさせる。これは、壊死を引き起こし得る。虚血のメカニズムは、大きく変化し得る。例えば、身体構成要素への虚血は、頻脈(心臓の異常に急速な鼓動)、アテローム性動脈硬化症(動脈の内腔を妨げる脂質を含むプラーク)、低血圧(敗血症性ショックにおける低血圧、心不全)、血栓塞栓症(血栓)、血管外圧迫(腫瘍)、塞栓症(循環中の異物、例えば、羊水塞栓症)、鎌状赤血球病(異常形ヘモグロビン)、梗塞、血液を身体の四肢に押し流す誘導重力、凍傷、氷、又は不適切な低温圧迫療法による局所的な極寒、及び止血帯などの四肢への血流を制限する任意の他の力が原因である可能性がある。四肢への血流を制限する力が、重度の裂傷、切開、ナイフなどの穿刺、鈍的外傷による破砕損傷、及び銃又は銃弾の破片による傷が原因の弾道外傷のために、必要となり得る。虚血は、心臓病、虚血性大腸炎、一過性虚血発作、脳血管障害、急性腎損傷、破裂した動静脈奇形、及び末梢動脈閉塞性疾患の特徴であり得る。
【0157】
低酸素は、酸素の十分な供給の剥奪であり得る。低酸素症は、身体全体(全身性低酸素症)又は身体の領域(組織低酸素)が十分な酸素供給を奪われる、病的状態であり得る。動脈酸素レベルの変動は、身体構成要素による酸素の供給と需要の不一致に起因し得る。酸素供給の完全な剥奪は、無酸素である。低酸素症は、低酸素血症性低酸素症、貧血低酸素症、低酸素血症性低酸素症、組織毒性低酸素症、組織毒性低酸素症、及び虚血性低酸素症であり得る。
【0158】
低酸素血症性低酸素症は、動脈血中の酸素の低分圧により引き起こされる、全体として身体への酸素の不十分な供給であり得る。低酸素血症性低酸素症は、高地などの大気酸素の低分圧、下水道などの調整雰囲気の呼吸混合における酸素の交換、亜酸化窒素のレクリエーション使用のように意図的に酸素を交換すること、睡眠時無呼吸による血液の酸素飽和の減少、又は低呼吸、慢性閉塞性肺疾患若しくは呼吸停止などの不十分な肺換気、肺循環における解剖学的若しくは機械的シャント、又は心臓及び肺の右から左のシャントが原因であり得る。シャントは、まだ浸透している崩壊した肺胞又は肺の領域への換気の遮断を引き起こし得る。シャントは、肺系に向けられる血液が換気されないよう提示し、左心室への空の血管及び気管支に酸素を供給する気管支循環のせいで、ガス交換を妨げる可能性がある。
【0159】
貧血低酸素症は、全酸素含有量が低下し得るが、動脈酸素圧は正常である。低酸素血症性低酸素症は、血液が標的身体構成要素に酸素を送達できない場合であり得る。低酸素血症性低酸素症は、ヘモグロビンがそれに結合した酸素を放出する能力を阻害する一酸化炭素中毒、又は異常なヘモグロビンが血液中に蓄積するメトヘモグロビン血症により引き起こされ得る。低酸素血症性低酸素症は、無効な酸化リン酸化酵素が原因で酸素を効果的に使用できないために起こり得る。
【0160】
梗塞は、虚血を引き起こし得る病的状態の一種である。梗塞は、閉塞による十分な血液供給の損失を引き起こした壊死組織の巨視的領域であり得る。梗塞は、血小板で構成される白色の梗塞であり、心臓、脾臓、及び腎臓などの器官組織に壊死を引き起こし得る。梗塞は、肺の器官組織における赤血球及びフィブリン鎖で構成される赤い梗塞であり得る。梗塞と関連付けられる疾患は、心筋梗塞、肺塞栓症、脳血管障害(脳卒中)、急性腎不全、末梢動脈閉塞性疾患(例として、壊疽)、抗リン脂質症候群、敗血症、巨細胞性関節炎、ヘルニア、及び腸軸捻転を含み得る。
【0161】
塞栓症は、虚血を引き起こし得る病的状態の一種である。塞栓症は、身体の一部から移動し、身体の別の部分で血管の閉塞又は封鎖を引き起こすものであり得る。塞栓症は、血栓塞栓症、脂肪塞栓症、空気塞栓症、敗血症性塞栓症、組織塞栓症、異物塞栓症、羊水塞栓症であり得る。血栓塞栓症は、血栓症の部位から完全に又は部分的に剥離された血栓であり得る。脂肪塞栓症は、血液循環に逃れる内因性脂肪組織であり得る。骨折は、破裂した血管及び動脈への脂肪組織の漏出の一例である。空気塞栓症は、肺胞の破裂及び血管に漏れる吸入空気であり得る。鎖骨下静脈の穿刺又は静脈内療法は、血管内への空気の漏出の例である。ガス塞栓症は、血液内の不溶性で小さな気泡の形成による窒素及びヘリウムなどのガスであり得る。
【0162】
医薬として許容される塩及び賦形剤
本明細書に記載のフラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)は、無機酸若しくは有機酸と反応できる、十分に塩基性の官能基、又は無機塩基若しくは有機塩基と反応できる、カルボキシル基を有して、医薬として許容される塩を形成できる。医薬として許容される酸付加塩は、当技術分野でよく知られているように、医薬として許容される酸から形成される。そのような塩は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、例えば、Journal of Pharmaceutical Science,66,2-19(1977)並びに医薬品塩のハンドブック:性質、選択、及び使用(The Handbook of Pharmaceutical Salts;Properties,Selection,and Use) P.H.Stahl及びC.G.Wermuth(編),Verlag,Zurich(Switzerland)2002に列挙されている医薬として許容される塩を含む。
【0163】
医薬として許容される塩は、非限定例として、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、酒石酸水素塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチジン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルカロン酸塩(glucaronate)、サッカラート、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩、パモ酸塩、フェニル酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、アクリル酸塩、クロロ安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、O-アセトキシ安息香酸塩、ナフタレン-2-安息香酸塩、イソ酪酸塩、フェニル酪酸塩、α-ヒドロキシブチル酸塩、ブチン-1,4-ジカルボン酸塩、ヘキシン-1,4-ジカルボン酸塩、カプリン酸塩、カプリル酸塩、桂皮酸塩、グリコール酸塩、ヘプタン酸塩、馬尿酸塩、リンゴ酸塩、ヒドロキシマレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、ニコチン酸塩、フタル酸塩、テラフタル酸塩、プロピオル酸、プロピオン酸塩、フェニルプロピオン酸塩、セバシン酸、スベリン酸、p-ブロモベンゼンスルホン酸塩、クロロベンゼンスルホン酸塩、エチルスルホン酸塩、2-ヒドロキシエチルスルホン酸塩、メチルスルホン酸塩、ナフタレン-1-スルホン酸塩、ナフタレン-2-スルホン酸塩、ナフタレン-1,5-スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、及び酒石酸塩を含む。
【0164】
用語「医薬として許容される塩」はまた、カルボン酸官能基などの酸性官能基、及び塩基を有する本発明の組成物の塩を指す。適切な塩基は、ナトリウム、カリウム、及びリチウムなどのアルカリ金属の水酸化物;カルシウム及びマグネシウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物;アルミニウム及び亜鉛などの他の金属の水酸化物;アンモニア、及び非置換若しくはヒドロキシ置換モノ、ジ又はトリアルキルアミン、ジシクロヘキシルアミンなどの有機アミン;トリブチルアミン;ピリジン;N-メチル、N-エチルアミン;ジエチルアミン;トリエチルアミン;モノ、ビス、若しくはトリス-(2-ヒドロキシエチル)アミンなどのモノ、ビス、若しくはトリス-(2-OH-低級アルキルアミン)、2-ヒドロキシtertブチルアミン、又はトリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、N,N-ジメチル-N-(2-ヒドロキシエチル)アミン又はトリ(2-ヒドロキシエチル)アミンなどのN,N-ジ-低級アルキル-N-(ヒドロキシル低級アルキル)-アミン;N-メチル-D-グルカミン;並びにアルギニン、リジンなどのアミノ酸などを含むが、これらに限定されない。
【0165】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、医薬として許容される塩の形態である。
【0166】
さらに、本明細書に記載の任意のフラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)は、医薬として許容される担体又はビヒクルを含む組成物の成分として対象に投与できる。そのような組成物は任意で、適切な投与のための形態を提供するように医薬として許容される賦形剤を適量含んでよい。
【0167】
医薬賦形剤は、水、及び石油、動物、野菜の油、又はピーナッツ油、大豆油、鉱物油、ゴマ油などの合成起源の油を含む、油類などの液体であり得る。医薬品賦形剤は、例えば、生理食塩水、アカシアゴム、ゼラチン、デンプンペースト、タルク、ケラチン、コロイド状シリカ、尿素などであり得る。加えて、補助剤、安定化剤、増粘剤、滑剤、及び着色剤も使用できる。一実施形態では、医薬として許容される賦形剤は、対象に投与される際に無菌である。水は、本明細書に記載の任意の薬剤が静脈内投与される場合に有用な賦形剤である。生理食塩水溶液及び水性デキストロース及びグリセロール溶液も、特に注射溶液用の液体賦形剤として用いることができる。適切な医薬賦形剤は、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアリン酸塩、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどを含む。本明細書に記載の任意の薬剤は、必要であれば、少量の湿潤剤又は乳化剤、又はpH緩衝剤も含んでよい。
【0168】
製剤、投与、投薬、及び治療計画
本発明は、様々な製剤中に記載のフラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)を含む。本明細書に記載の任意のフラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)は、溶液、懸濁液、エマルジョン、液滴、錠剤、丸剤、ペレット、カプセル、液体を含むカプセル、粉末、徐放性製剤、坐剤、エマルジョン、エアロゾル、スプレー、懸濁液、又は使用に適する任意の他の形態を取ってよい。一実施形態では、組成物は、カプセルの形態である(例えば、米国特許第5,698,155号参照)。適切な医薬品賦形剤の他の例は、参照により本明細書に組み込まれるレミントンの薬学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)1447-1676(Alfonso R.Gennaro編,第19版 1995)に記載されている。
【0169】
必要に応じて、フラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)は、可溶化剤も含んでよい。また、薬剤は、当技術分野で公知の適切なビヒクル又は送達装置を用いて送達できる。本明細書で概説する併用療法は、単一の送達ビヒクル又は送達装置で共送達できる。投与のための組成物は任意で、例えば、注射部位での疼痛を軽減するためのリグノカインなどの局所麻酔薬を含んでよい。
【0170】
本発明のフラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)を含む製剤は、単位剤形で提示され、薬学の当技術分野で公知の方法のいずれかにより調製され得る。そのような方法は一般に、1以上の補助成分を構成する担体と治療剤を結合させる工程を含む。典型的には、製剤は、液体担体、細かく分割された固体担体、又はその両方と治療剤を均一かつ密接に結合させ、必要に応じて、生成物を所望の製剤の剤形に成形する(例えば、湿式造粒又は乾燥造粒、粉末ブレンドなど、その後、当技術分野で公知の通常の方法を使用して打錠する)ことにより調製される。
【0171】
一実施形態では、本明細書に記載の任意のフラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)は、本明細書に記載の投与様式に適合する組成物として日常的な手順に従い製剤化される。
【0172】
投与経路は、例えば、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外、口腔内、舌下、鼻腔内、脳内、膣内、経皮、直腸、吸入による、又は局所的、特に耳、鼻、眼、若しくは皮膚を含む。いくつかの実施形態では、投与は経口的に、又は非経口注射により行われる。投与様式は、開業医の裁量に委ねることができ、病状の部位に部分的に依存する。ほとんどの場合、投与は、本明細書に記載される任意の薬剤の血流への放出をもたらす。
【0173】
本明細書に記載の任意のフラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)は、経口投与できる。そのようなフラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)は、他の任意の都合のよい経路により、例えば、静脈内注入又はボーラス注射により、上皮又は粘膜内層(例えば、口腔粘膜、直腸及び腸粘膜など)を介した吸収により投与でき、かつ別の生物学的に活性のある薬剤と共に投与できる。投与は、全身投与又は局所投与であり得る。様々な送達系、例えば、リポソーム、微粒子、マイクロカプセル、カプセルなどへのカプセル化が知られており、投与に使用できる。
【0174】
特定の実施形態では、治療を必要とする領域に局所的に投与することが望ましい場合がある。
【0175】
一実施形態では、本明細書に記載の任意のフラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)は、ヒトへの経口投与に適合する組成物として日常的な手順に従い製剤化される。経口送達のための組成物は、例えば、錠剤、トローチ、水性若しくは油性の懸濁液、顆粒、粉末、エマルジョン、カプセル、シロップ、又はエリキシルの形態であり得る。経口投与される組成物は、医薬として美味な調製物を提供するために、1以上の薬剤、例えば、フルクトース、アスパルテーム又はサッカリンなどの甘味剤;ペパーミント、ウィンターグリーンの油、又はチェリーなどの香料剤;着色剤;及び保存剤を含んでよい。さらに、錠剤又はピル形態の場合、組成物は、消化管内の崩壊及び吸収を遅らせるためにコートされ、長期間にわたり持続的な作用を提供できる。本明細書に記載の任意のフラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)を運ぶ浸透圧活性のある周囲の選択的透過膜も、経口投与組成物に適している。これらの後者のプラットフォームでは、カプセルを取り巻く環境からの流体は、促進化合物により浸透され、これが膨張して、開口部を通して薬剤又は薬剤組成物を置換する。これらの送達プラットフォームは、即時放出製剤のスパイクプロファイルとは対照的に、本質的にゼロオーダー送達プロファイルを提供できる。グリセロールモノステアリン酸又はグリセロールステアリン酸などの時間遅延材料も、有用であり得る。経口組成物は、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、及び炭酸マグネシウムなどの標準的な賦形剤を含んでよい。一実施形態では、賦形剤は、医薬グレードである。懸濁液は、活性化合物に加えて、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール及びソルビタンエステル、微結晶セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天、トラガカンスなどの懸濁剤、及びそれらの混合物を含んでよい。
【0176】
非経口投与に適する剤形(例えば、静脈内、筋肉内、腹腔内、皮下及び関節内への注射及び注入)は、例えば、溶液、懸濁液、分散液、エマルジョンなどを含む。それらはまた、無菌固体組成物(例えば、凍結乾燥組成物)の形態で製造され、使用直前に滅菌注入用媒体に溶解又は懸濁できる。それらは、例えば、当技術分野で公知の懸濁剤又は分散剤を含んでよい。
【0177】
本明細書に記載の任意のフラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)の投与量並びに投薬スケジュールは、治療される疾患、対象の一般的な健康、及び投与医師の裁量を含むがこれらに限定されない、様々なパラメータに依存し得る。本明細書に記載の任意の薬剤は、それを必要とする対象に、追加の治療剤の投与の前(例えば、約5分、約15分、約30分、約45分、約1時間、約2時間、約4時間、約6時間、約12時間、約24時間、約48時間、約72時間、約96時間、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約8週間、又は約12週間前)に、投与と同時に、又は投与の後(例えば、約5分、約15分、約30分、約45分、約1時間、約2時間、約4時間、約6時間、約12時間、約24時間、約48時間、約72時間、約96時間、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約8週間、又は約12週間後)に投与できる。様々な実施形態では、本明細書に記載の任意の薬剤は、約1分間間隔をあけて、約10分間隔をあけて、約30分間隔をあけて、約1時間未満間隔をあけて、約1時間間隔をあけて、約1時間~約2時間間隔をあけて、約2時間~約3時間間隔をあけて、約3時間~約4時間間隔をあけて、約4時間~約5時間間隔をあけて、約5時間~約6時間間隔をあけて、約6時間~約7時間間隔をあけて、約7時間~約8時間間隔をあけて、約8時間~約9時間間隔をあけて、約9時間~約10時間間隔をあけて、約10時間~約11時間間隔をあけて、約11時間~約12時間間隔をあけて、約24時間以下の間隔をあけて、又は48時間以下の間隔をあけて投与される。
【0178】
単回投与量を生成するために担体材料と混合される本明細書に記載の任意のフラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)の量は、治療対象及び特定の投与様式に応じて変えることができる。インビトロ又はインビボアッセイを用いて、最適な投与量範囲を同定するのを助けてよい。
【0179】
一般に、有用である用量は、当業者に公知である。例えば、用量は、その内容が参照によりその全体が組み込まれる参考文献の医師の卓上参考書、第66版、PDRネットワーク;2012年版(2011年12月27日)で決定できる。
【0180】
本明細書に記載の任意のフラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)の投与量は、病態の重症度、病態が治療されるべきか又は予防されるべきか、並びに治療対象の年齢、体重、及び健康状態を含むいくつかの要因に依存し得る。さらに、薬理ゲノミクス(治療の薬物動態、薬力学又は有効性プロファイルに対する遺伝子型の効果)の情報は、使用される投与量に影響を与え得る。さらに、正確な個々の投与量は、投与される薬剤の具体的な組み合わせ、投与時間、投与経路、製剤の性質、排泄速度、治療される特定の病気、障害の重症度、及び障害の解剖学的位置を含む様々な要因に応じていくらか調整できる。投与量のいくつかのバリエーションが、予想され得る。
【0181】
一般に、哺乳類に経口投与する場合、本明細書に記載の任意のフラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)の投与量は、約0.001mg/kg/日~約100mg/kg/日、約0.01mg/kg/日~約50mg/kg/日、又は約0.1mg/kg/日~約10mg/kg/日であり得る。ヒトに経口投与する場合、本明細書に記載の任意の薬剤の投与量は通常、1日あたり約0.001mg~約1000mg、1日あたり約1mg~約600mg、又は1日あたり約5mg~約30mgである。
【0182】
非経口注射による本明細書に記載の任意のフラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)の投与に関しては、投与量は、通常、1日あたり約0.1mg~約250mg、1日あたり約1mg~約20mg、又は1日あたり約3mg~約5mgである。注射は、毎日最大で4回与えられてよい。一般に、経口又は非経口投与の場合、本明細書に記載の任意の薬剤の投与量は、通常、1日あたり約0.1mg~約1500mg、又は1日あたり約0.5mg~約10mg、又は1日あたり約0.5mg~約5mgである。1日あたり最大で約3000mgの投与量を、投与できる。
【0183】
別の実施形態では、送達は、小胞中で、特にリポソーム中であり得る(Langer,1990,Science 249:1527-1533;Treatら、感染疾患及び癌の治療におけるリポソーム(Liposomes in the Therapy of Infectious Disease and Cancer) Lopez-Berestein及びFidler(編),Liss,New York,pp.353-365(1989)参照)。
【0184】
本明細書に記載の任意のフラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)は、制御放出若しくは持続放出手段又は当業者に周知の送達装置により投与できる。例は、その各々が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第3,845,770号、同第3,916,899号、同第3,536,809号、同第3,598,123号、同第4,008,719号、同第5,674,533号、同第5,059,595号、同第5,591,767号、同第5,120,548号、同第5,073,543号、同第5,639,476号、同第5,354,556号、及び同第5,733,556号に記載されているものを含むが、これらに限定されない。そのような剤形は、様々な割合で所望の放出プロファイルを提供するために、例えば、ヒドロプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、ゲル、透過膜、浸透圧システム、多層コーティング、微粒子、リポソーム、ミクロスフェア、又はこれらの組み合わせを用いて1以上の活性成分の制御放出又は持続放出を提供するために有用であり得る。本明細書に記載のものを含む、当業者に知られている適切な制御放出又は持続放出製剤は、本明細書に記載の薬剤の有効成分と共に使用するために容易に選択できる。本発明は、そのため、限定されないが、制御放出又は持続放出に適合される錠剤、カプセル剤、ゲルキャップ、及びカプレットなどの経口投与に適する単一単位剤形を提供する。
【0185】
活性成分の制御放出又は持続放出は、pHの変化、温度の変化、光の適切な波長による刺激、酵素の濃度若しくは利用可能性、水の濃度若しくは利用可能性、又は他の生理学的条件又は化合物を含むがこれらに限定されない様々な条件により刺激され得る。
【0186】
別の実施形態では、高分子材料を使用できる(制御放出の医療用途(Medical Applications of Controlled Release),Langer及びWise(編),CRC Pres.,Boca Raton,Florida(1974);薬物バイオアベイラビリティの制御、医薬品の設計と性能(Controlled Drug Bioavailability,Drug Product Design and Performance),Smolen及びBall(編),Wiley,New York(1984);Ranger及びPeppas,1983,J.Macromol.Sci.Rev.Macromol.Chem.23:61参照;Levyら,1985,Science 228:190;Duringら,1989,Ann.Neurol.25:351;Howardら,1989,J.Neurosurg.71:105も参照されたい)。
【0187】
別の実施形態では、制御放出システムは、治療される標的領域の近くに配置でき、そのため、全身用量のほんの一部しか必要としない(例えば、Goodson,制御放出の医療用途(Medical Applications of Controlled Release),上述の2巻,pp.115-138(1984))。Langer,1990,Science 249:1527-1533)によるレビューで議論される他の制御放出システムを使用してもよい。
【0188】
本明細書に記載の任意のフラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)の投与は、独立して、1日1~4回、又は1ヶ月あたり1~4回、又は1年あたり1~6回、又は2、3、4、若しくは5年ごとに1回である。投与は、約1日又は約1ヶ月、約2ヶ月、約3ヶ月、約6ヶ月、約1年、約2年、約3年の期間であり得、さらには対象の生涯の間であり得る。慢性長期投与が、多くの場合に指示される。投与量は、単回用量として投与されるか、又は複数回用量に分けられる。一般に、所望の投与量は、長期間、通常は少なくとも数週間又は数ヶ月にわたり設定した間隔で投与されるべきであるが、数ヶ月又は数年又はそれ以上の投与のより長い期間が必要な場合もある。
【0189】
本明細書に記載の任意のフラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)を利用する投薬計画は、対象の種類、種、年齢、体重、性別及び病状、治療される病状の重症度、投与経路;対象の腎機能又は肝機能;個人の薬理ゲノミクス構造;並びに用いられる本発明の具体的な化合物を含む様々な要因に従い選択できる。本明細書に記載の任意のフラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)は、1日用量で投与できるか、又は1日の総投与量は、1日2回、3回又は4回の分割用量で投与できる。さらに、本明細書に記載の任意のフラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)は、投与計画全体にわたり断続的ではなく連続的に投与できる。
【0190】
併用療法とコンジュゲーション
いくつかの実施形態では、本発明は、フラジェリン変異体、及び対象に追加の薬剤を投与することをさらに含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、共投与及び/又は共製剤化に関連する。本明細書に記載の組成物のいずれも、共製剤化及び/又は共投与され得る。
【0191】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の任意のフラジェリン変異体は、別の薬剤と共投与する場合に相乗的に作用し、そのような薬剤が単剤療法として使用される場合に、一般的に使用される用量よりも低い用量で投与される。様々な実施形態では、本明細書で参照される任意の薬剤は、本明細書に記載のフラジェリン変異体のいずれかと組み合わせて使用され得る。
【0192】
免疫チェックポイント阻害剤(CPI)免疫療法
本発明は、一部には、フラジェリン変異体療法と併せた医薬組成物、製剤、及び免疫チェックポイント阻害剤の免疫療法の使用を提供する。例えば、いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、本発明の変異型フラジェリン変異体(例えば、491TEMX/SE-2/GP532)である。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体は、エントリモドである。
【0193】
癌免疫療法は、癌と闘う免疫系を刺激又は増強するために自然由来の又は合成で作製された成分の利用を含む。免疫チェックポイント阻害剤免疫療法は、抗腫瘍効果を生み出すために免疫系のプライミング及び活性化のため癌との闘いに有効であり、しばしば高度に特異的な標的化を伴う。癌免疫療法の有望性と共に、外来抗原の同定及び根絶と、制御不能な免疫応答を抑制するのに必要な過程との間の免疫系の複雑なカウンターバランスを維持する必要がある。重要な臨床的利点にもかかわらず、チェックポイント阻害は、副作用の特有のスペクトル、又は皮膚科学的、GI、肝、内分泌、及び他のあまり一般的でない炎症事象を含むが、これらに限定されない、免疫関連の有害事象に関連付けられる。本発明の様々な実施形態では、CPI媒介GI副作用は、下痢及び/又は大腸炎である。一般に、これらの中等度又は重度の免疫チェックポイント阻害剤免疫療法媒介性副作用の治療は、チェックポイント阻害剤免疫療法の中断及びコルチコステロイド免疫抑制の使用を必要とし得る。
【0194】
いくつかの態様では、本発明は、フラジェリン変異療法と組み合わせた医薬組成物、製剤、及び免疫チェックポイント阻害剤免疫療法の使用を企図する。そのようなCPIは、プログラム細胞死タンパク質-1(PD-1)、プログラム死リガンド1(PD-L1)、プログラム死リガンド2(PD-L2)、誘導性T細胞共刺激剤(ICOS)、誘導性T細胞共刺激剤リガンド(ICOSL)、及び細胞毒性T-リンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)のうちの1以上を調節する1以上の薬剤を含み得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、患者は、プログラム細胞死タンパク質-1(PD-1)、プログラム死リガンド1(PD-L1)、プログラム死リガンド2(PD-L2)、誘導性T細胞共刺激剤(ICOS)、誘導性T細胞共刺激剤リガンド(ICOSL)、及び細胞毒性T-リンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)の1以上を調節する薬剤から選択される免疫チェックポイント阻害剤免疫療法による治療法を受けている。
【0195】
他の態様では、本発明は、PD1、PD-L1、PD-L2、ICOS、ICOSL、及びCTLA-4の1以上を調節する薬剤から選択されるIAPとCPIの組み合せを投与することにより、CPI媒介GI副作用を防止する方法を企図する。
【0196】
いくつかの実施形態では、PD-1、PD-L1、PD-L2、ICOS、ICOSL、及びCTLA-4の1以上を調節する薬剤は、PD-1、PD-L1、PD-L2、ICOS、ICOSL、及びCTLA-4の1以上に特異的な抗体又は抗体フォーマットである。様々な実施形態では、PD-1、PD-L1、PD-L2、ICOS、ICOSL、及びCTLA-4の1以上に特異的な抗体又は抗体フォーマットは、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、抗体断片、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、Fv、単鎖Fv、ジアボディ、一本鎖抗体、二重特異性抗体、多重特異抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、及び抗体の抗原結合部分を含む融合タンパク質の1以上から選択される。
【0197】
例えば、いくつかの実施形態では、本発明は、PD-1を調節する薬剤であるCPIを提供し、薬剤は、PD-1に特異的な抗体又は抗体フォーマットである。いくつかの実施形態では、PD-1に特異的な抗体又は抗体フォーマットは、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、及びピディリズマブから選択される。他の実施形態では、本発明は、PD-L1を調節する薬剤であるCPIを提供し、薬剤は、PD-L1に特異的な抗体又は抗体フォーマットである。いくつかの実施形態では、PD-L1に特異的な抗体又は抗体フォーマットは、BMS-936559、アテゾリズマブ、アベルマブ及びデュルバルマブから選択される。他の実施形態では、本発明は、PD-L2を調節する薬剤であるCPIを提供し、薬剤は、PD-L2に特異的な抗体又は抗体フォーマットである。他の実施形態では、本発明は、ICOSを調節する薬剤であるCPIを提供し、薬剤は、ICOSに特異的な抗体又は抗体フォーマットである。いくつかの実施形態では、ICOSに特異的な抗体又は抗体フォーマットは、JTX-2011を含む。他の実施形態では、本発明は、ICOSLを調節する薬剤であるCPIを提供し、薬剤は、ICOSLに特異的な抗体又は抗体フォーマットである。他の実施形態では、本発明は、CTLA-4を調節する薬剤であるCPIを提供し、薬剤はCTLA-4に特異的な抗体又は抗体フォーマットである。いくつかの実施形態では、CTLA-4に特異的な抗体又は抗体フォーマットは、トレメリムマブ又はイピリムマブから選択される。
【0198】
化学療法剤
いくつかの実施形態では、本発明は、追加の薬剤としての化学療法剤に関係する。
【0199】
化学療法剤の例は、チオテパ及びCYTOXANシクロスフォスファミド(cyclosphosphamide)などのアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファン及びピポスルファンなどのアルキルスルホン酸塩;ベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ、及びウレドーパなどのアジリジン;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド及びトリメチロールメラミンを含むエチレンイミン及びメチルアメラミン;アセトゲニン類(例えば、ブラタシン及びブラタシノン);カンプトテシン(合成類似体トポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC-1065(そのアドゼレシン、カルゼレシン及びビセレシン合成類似体を含む);クリプトフィシン(例えば、クリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成類似体、KW-2189及びCB 1-TM1を含む);エリューテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチン;スポンジスタチン;クロラムブシル、クロルナファジン、コロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベンビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロフォスファミド、ウラシルマスタード;カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、及びラニムスチン(ranimnustine)などのニトロソウレア(nitrosurea);エンジイン系抗生物質などの抗生物質(例えば、カリケアマイシン、特に、カリケアマイシンガンマII及びカリケアマイシンオメガII(例えば、Agnew,Chem.Intl.Ed.Engl.,33:183-186(1994)参照);ダイネマイシンAを含むダイネマイシン;クロドロネートなどのビスホスホネート;エスペラマイシン;ネオカルジノスタチンクロモフォア及び関連するクロモプロテインエンジイン抗生物質クロモフォア、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オートラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、アドリアマイシンドキソルビシン(モルフォリノ-ドキソルビシン、シアノモルフォリノドキソルビシン、2-ピロリノドキソルビシン及びデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシンCなどのマイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、ケラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;メトトレキサート及び5-フルオロウラシル(5-FU)などの抗代謝産物;デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサートなどの葉酸類似体;フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンなどのプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロックスウリジンなどのピリミジン類似体;カルステロン、ドロモスタノロンプロピオン酸塩、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトンなどのアンドロゲン;ミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンなどの抗副腎;フロリニン酸などの葉酸補充剤;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキセート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジコン;エルフォルミチン;酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダイニン;メイタンシン及びアンサミトシンなどのメイタンシノイド;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダンモール;ニトラエリン;ペントスタチン;フェナメト;ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK多糖複合体(JHS天然物、Eugene,Oreg.);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフラン(sizofuran);スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2',2”-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(例えば、T-2毒素、ベラクリンA、ロリジンA及びアングイジン);ウレタン;ビンデシン;ダカバルジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「アラ-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えば、タキソールパクリタキセル(Bristol-Myers Squibb Oncology,Princeton,N.J.)、ABRAXANEクレモフォールフリー、パクリタキセルのアルブミン工学処理ナノ粒子製剤(American Pharmaceutical Partners, Schaumberg,111.)、及びTAXOTEREドキセタキセル(Rhone-Poulenc Rorer,Antony,France);クロランブシル;GEMZARゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;シスプラチン、オキサリプラチン及びカルボプラチンなどの白金類似体;ビンブラスチン;プラチナ;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;NAVELBINEビノレルビン;ノバントロン;テニポシド;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;イリノテカン(カンプトサル、CPT-11)(5-FU及びロイコボリンを有するイリノテカンの治療計画を含む);トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸などのレチノイド;カペシタビン;コンブレタスタチン;ロイコボリン(LV);オキサリプラチン治療計画(FOLFOX)を含むオキサリプラチン;ラパチニブ(タイケルブ);PKC-α、Raf、H-Ras、EGFRの阻害剤(例えば、エルロチニブ(タルセバ))及び細胞増殖を低下させるVEGF-A及び上記のいずれかの医薬として許容される塩、酸又は誘導体を含むが、これらに限定されない。加えて、治療方法は、放射線の使用をさらに含んでよい。加えて、治療方法は、光力学療法の使用をさらに含んでよい。
【0200】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のフラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)は、修飾される、すなわち、共有結合が組成物の活性を妨げないような組成物への任意の種類の分子の共有結合により修飾される、誘導体を含む。例えば、限定されないが、誘導体は、とりわけ、グリコシル化、脂質化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、公知の保護基/ブロッキング基による誘導体化、タンパク質分解切断、細胞リガンド又は他のタンパク質への結合などにより修飾された組成物を含む。多数の化学修飾のいずれも、特定の化学切断、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシン(turicamycin)の代謝合成などを含むが、これらに限定されない、既知の技術により行うことができる。さらに、誘導体は、1以上の非古典的アミノ酸を含んでよい。
【0201】
さらに他の実施形態では、本明細書に記載のフラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)は、例示的な実施形態では、毒素、化学療法剤、放射性同位元素、及びアポトーシス又は細胞死を引き起こす薬剤を含む、細胞傷害性薬剤をさらに含む。そのような薬剤は、本明細書に記載の組成物にコンジュゲートされ得る。
【0202】
本明細書に記載のフラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)はそのため、化学リンカーなどのエフェクター部分、例えば、蛍光色素、酵素、基質、生物発光材料、放射性物質、及び化学発光部分などの検出可能な部分、又は例えば、ストレプトアビジン、アビジン、ビオチン、サイトトキシン、細胞傷害性薬剤、及び放射性物質などの機能部分を付加するために翻訳後に修飾され得る。
【0203】
例示的な細胞傷害性薬剤は、メトトレキサート、アミノプテリン、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、5-フルオロウラシルダカルバジン;メクロレタミン、チオエパ(thioepa)、クロランブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)、マイトマイシンC、ロムスチン(CCNU)、1-メチルニトロソウレア、シクロホスファミド(cyclothosphamide)、メクロレタミン、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、シスジクロロジアミンプラチナ(II)(DDP)シスプラチン及びカルボプラチン(パラプラチン)などのアルキル化剤;ダウノルビシン(旧ダウノマイシン)、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、デトルビシン、カルミノマイシン、イダルビシン、エピルビシン、ミトキサントロン及びビサントレンを含むアントラサイクリン;ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、ブレオマイシン、カリケアマイシン、ミトラマイシン、及びアントラマイシン(AMC)を含む抗生物質;並びにビンカアルカロイド、ビンクリスチン及びビンブラスチンなどの抗有糸分裂(antimytotic)剤を含む得るが、これらに限定されない。他の細胞傷害性薬剤は、パクリタキセル(タキソール)、リシン、シュードモナスエキソトキシン、ゲムシタビン、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、エトポシド、テノポシド、コルヒチン、ジヒドロキシアントラシンジオン、1-デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、ピューロマイシン、プロカルバジン、ヒドロキシウレア、アスパラギナーゼ、コルチコステロイド、ミトタン(O,P’-(DDD))、インターフェロン、及びこれらの細胞傷害性薬剤の混合物を含む。
【0204】
さらなる細胞傷害性薬剤は、カルボプラチン、シスプラチン、パクリタキセル、ゲムシタビン、カリケアマイシン、ドキソルビシン、5-フルオロウラシル、マイトマイシンC、アクチノマイシンD、シクロホスファミド、ビンクリスチン、ブレオマイシン、VEGFアンタゴニスト、EGFRアンタゴニスト、プラチン、タキソール、イリノテカン、5-フルオロウラシル、ゲムシタビン、ロイコボリン、ステロイド、シクロホスファミド、メルファラン、ビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビネデシン、及びビノレルビン)、ムスチン、チロシンキナーゼ阻害剤、放射線療法、性ホルモンアンタゴニスト、選択的アンドロゲン受容体モジュレーター、選択的エストロゲン受容体モジュレーター、PDGFアンタゴニスト、TNFアンタゴニスト、IL-β1アンタゴニスト、インターロイキン(例えば、IL-12又はIL-2)、IL-12Rアンタゴニスト、毒素コンジュゲートモノクローナル抗体、腫瘍抗原特異的モノクローナル抗体、エルビタックス、アバスチン、ペルツズマブ、抗CD20抗体、リツキサン、オクレリズマブ、オファツムマブ、DXL625、ハーセプチン(登録商標)、又はこれらの任意の組み合わせなどの化学療法剤を含むが、これらに限定されない。リシン、ジフテリア毒素及びシュードモナス毒素などの植物及び細菌からの毒素酵素は、治療剤(例えば、抗体)とコンジュゲートされて、細胞型特異的殺傷試薬を作製できる(Youleら,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 77:5483(1980);Gillilandら,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 77:4539(1980);Krolickら,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 77:5419(1980))。
【0205】
他の細胞傷害性薬剤は、Goldenbergによる米国特許第6,653,104号に記載される細胞傷害性リボヌクレアーゼを含む。本発明の実施形態はまた、アルファ又はベータ粒子を放出する放射性核種が、複合体形成剤の使用の有無にかかわらず、抗体又はその結合断片に安定的に結合される放射性イムノコンジュゲートに関する。そのような放射性核種は、リン32、スカンジウム47、銅67、ガリウム67、イットリウム88、イットリウム90、ヨウ素125、ヨウ素131、サマリウム153、ルテチウム177、レニウム186又はレニウム188などのβ放射体、及びアスタチン211、鉛212、ビスマス212、ビスマス213又はアクチニウム225などのα放射体を含む。
【0206】
例示的な検出可能な部分は、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、アルカリホスファターゼ、ベータ-ガラクトシダーゼ及びルシフェラーゼをさらに含むが、これらに限定されない。さらなら例示的な蛍光物質は、ローダミン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ウンベリフェロン、ジクロロトリアジニルアミン、フィコエリスリン及び塩化ダンシルを含むが、これらに限定されない。さらに例示的な化学発光部分は、ルミノールを含むが、これに限定されない。さらに例示的な生物発光材料は、ルシフェリン及びエクオリンを含むが、これに限定されない。さらに例示的な放射性物質は、ヨウ素125、炭素14、硫黄35、トリチウム及びリン32を含むが、これに限定されない。
【0207】
様々な実施形態では、本発明の追加の薬剤は、血液産物、コロニー刺激因子、サイトカイン及び/又は成長因子、抗生物質、希釈剤及び/又はブロッキング剤、動員剤又はキレート剤、幹細胞移植片、抗酸化剤又はフリーラジカル、及び放射線防護剤の1以上を含む。
【0208】
いくつかの実施形態では、血液産物は、フィルグラスチン(例えば、NEUPOGEN)、任意でペグ化され得る顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)(例えば、NEULASTA)などの造血成長因子、サルグラモスチム(LEUKINE);及び顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)及びKSFの1以上である。
【0209】
いくつかの実施形態では、追加の薬剤は、放射線感受性幹細胞集団を補充及び/又は保護することにより放射線防護を与え得る、1以上のサイトカイン及び/又は成長因子である。最小限の副作用による放射線防護は、幹細胞因子(SCF、c-kitリガンド)、Flt-3リガンド、及びインターロイキン-1ベータの使用により達成され得る。保護は、幹細胞の増殖の誘導(例えば、全ての言及されたサイトカインを介して)、及びそれらのアポトーシスの予防(例えば、SCFを介して)により達成され得る。この治療は、照射前に白血球とその前駆体の蓄積を可能にし、そのため照射後の免疫系のより迅速な再構成を可能にする。SCFは、1.3~1.35の範囲で用量修飾因子(DMF)を有する致死的に照射されたマウスを効率的に救出し、胃腸症候群に対しても有効である。Flt-3リガンドもまた、マウス及びウサギにおいて強力な保護を提供する。
【0210】
いくつかの要因は、本質的にサイトカインではないが、免疫細胞の増殖を刺激し、本明細書に記載の用量及び投与計画でフラジェリン変異体と組み合わせて使用され得る。例えば、5-AED(5-アンドロステンジオール)は、サイトカインの発現を刺激し、細菌及びウイルス感染に対する耐性を高めるステロイドである。トリクロロ(ジオキソエチレン-O,O’-)テルル酸アンモニウム(AS-101)などの合成化合物は、多数のサイトカインの分泌を誘導し、フラジェリン変異体との組み合わせにも使用され得る。成長因子及びサイトカインもまた、胃腸症候群に対する保護を提供するために使用され得る。ケラチノサイト増殖因子(KGF)は、腸粘膜の増殖と分化を促進し、腸陰窩における照射後の細胞生存率を増加させる。造血サイトカイン及び放射線防護剤SCFもまた、腸幹細胞の生存及び関連する短期生物の生存を増加させ得る。
【0211】
ある実施形態では、フラジェリン変異体は、サイトカインの投与計画(例えば、フィルグラスチム(G-CSF)2.5~5μg/kg/d QD s.c.(100~200μg/m/d);サルグラモスチム(GM-CSF)5~10μg/kg/d QD s.c.(200~400μg/m/d);及び/又はペグフィルグラスチム(pegG-CSF)6mg 1回、s.c.)に添加され得る。
【0212】
いくつかの実施形態では、抗生物質は、抗菌剤(抗グラム陽性及び抗グラム陰性薬)、及び/又は抗真菌剤、及び/又は抗ウイルス剤の1以上である。非限定的な例として、いくつかの実施形態では、抗生物質は、キノロン、例えば、シプロフロキサシン、レボフロキサシン、シュードモナス属を対象とした第3世代又は第4世代のセファロスポリン:例えば、セフェピム、セフタジジム、又はアミノグリコシド:例えば、ゲンタマイシン、アミカシン、ペニシリン又はアモキシシリン、アシクロビル、バノマイシン(vanomycin)であり得る。様々な実施形態では、抗生物質は、緑膿菌を標的とする。
【0213】
いくつかの実施形態では、追加の薬剤は、希釈剤及び/又はブロッキング剤である。例えば、安定なヨウ化物化合物(例えば、液体(ThyroShield)及び錠剤(Iosat)KI(NUKEPILLS)、ラドブロック(Rad Block)、I.A.A.A.M.、No-Rad、ライフエクステンション(Life Extension(LEF))、KI4U,NukeProtect,ProKI))を、使用してよい。1日130mg用量の経口ヨウ化カリウム(KI)を、フラジェリン変異体と併用してもよい。
【0214】
いくつかの実施形態では、追加の薬剤は、動員剤又はキレート剤である。例示的な動員剤は、プロピルチオウラシル及びメチマゾールを含み、甲状腺の放射性化合物の保持を低下させ得る。さらに、フラジェリン変異体は、排泄を促進するために、ヒト患者への経口液の増加と共に使用されてよい。例示的なキレート剤は、水溶性であり、尿中に排出される。例示的なキレート剤は、DTPA及びEDTAを含む。ジメルカプロールは、水銀、鉛、ヒ素、金、ビスマス、クロム、及びニッケルと安定なキレートを形成し、したがってこれらの元素の放射性同位体による内部汚染の治療について考慮され得る。ペニシラミンは、銅、鉄、水銀、鉛、金、及びおそらく他の重金属をキレートする。
【0215】
いくつかの実施形態では、追加の薬剤は、幹細胞移植片(例えば、骨髄移植片、PBSCT、MSCT)である。いくつかの実施形態では、幹細胞移植片は、CLT-008(Cellerant)のレメステムセル-L(Remestemcel-L(Osiris))である。
【0216】
いくつかの実施形態では、追加の薬剤は、抗酸化剤又はフリーラジカルである。本発明の実施に用いることができる抗酸化剤及びフリーラジカルスカベンジャーは、システイン、システアミン、グルタチオン及びビリルビンなどのチオール類;アミホスチン(WR-2721);ビタミンA;ビタミンC;ビタミンE;並びにインドのホーリーバジル(Ocimum sanctum)、オリエンチン及びビセニンなどのフラボノイドを含むが、これらに限定されない。
【0217】
いくつかの実施形態では、追加の薬剤は、例えば、抗酸化剤(例えば、アミホスチン及びビタミンE、ガンマトコトリエノール(ビタミンE部分)、及びゲニステイン(大豆副産物))、サイトカイン(例えば、幹細胞因子)、成長因子(例えば、ケラチノサイト増殖因子)、ステロイド(例えば、5-アンドロステンジオール)、トリクロロ(ジオキソエチレン-O,O’)テルル酸アンモニウム、甲状腺保護剤(例えば、ヨウ化カリウム(KI)又はヨウ素酸カリウム(KIO)(例えば、液体(ThyroShield)と錠剤(losat)KI(NUKEPILLS))、Rad Block,I.A.A.A.M.,No-Rad、ライフエクステンション(LEF)、KI4U、NukeProtect、ProKI))、抗吐き気剤、抗下痢剤、制吐薬((例えば、経口予防制吐薬)デキサメタゾンの有りまたは無しで、グラニセトロン(KYTRIL)、オンダンセトロン(ZOFRAN)、及び5-HT3ブロッカーなど)、鎮痛薬、抗不安薬、鎮静剤、サイトカイン療法、及び抗生物質であり得る。
【0218】
胃洗浄及び催吐薬は、追加の薬剤として使用でき、毒物を摂取した後に、胃を速やかにかつ完全に空にするために使用できる。また、追加の薬剤として使用できる下剤、緩下剤、及び浣腸は、結腸中の放射性物質の滞留時間を短縮できる。さらなる追加の薬剤は、摂取又は吸入用の放射性核種、フェロシアン化鉄(プルシアンブルー)及びアルギン酸塩の胃腸の取り込みを制限し得るイオン交換樹脂を含み、これは、セシウム137の便排泄を促進するためにヒトで使用されてきた。
【0219】
さらなる他の実施形態では、追加の薬剤は、例えば、5-AED(Humanetics)、Ex-RAD(Onconova)、ベクロメタゾンジプロピオン酸塩(Soligenix)、解毒された内毒素、EA-230(Exponential Biotherapies)、ON-01210.Na(Onconova)、可溶性トロンボモジュリン(PAION)、レメステムセルL(Osiris)、BIO-100、BIO-200、BIO-300、BIO-400、BIO-500(Humanetics)、CLT-008(Cellerant)、EDL-2000(RxBio)、ホムスペラ(Homspera(ImmuneRegen))、MnDTEIP(Aeolus Pharmaceuticals)、RLIP-76(Terapio)、並びにRX-100及びRX 101(RxBio)などの、放射線関連障害を治療するために使用される薬剤であり得る。
【0220】
さらに、いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)は、遮蔽;放射線曝露時間の短縮;及び身体曝露を減らすための薬剤の使用(例えば、手袋、フェイスマスク、フード、防護服(例えば、TYVEK ANTI-C SUITS又はMOPP-4などの耐汚染スーツ)の使用)と組み合わせて使用できる。
【0221】
治療剤をコードするウイルスベクター及びそれを発現する細胞
様々な実施形態では、本発明のフラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)は、ウイルスベクター及び形質転換細胞により発現される。例えば、本明細書に記載のウイルスベクター及び形質転換ヒト細胞は、本組成物を発現し得る。一実施形態では、治療剤を発現するウイルスベクター又はヒト細胞は、腫瘍の近くで薬剤を発現できる。細胞は、生体内で改変されるか、あるいはエクスビボで改変された細胞を、注射などの様々な方法により患者に投与できる。
【0222】
一実施形態では、細胞は、腫瘍細胞である。エクスビボ変換の場合、そのような腫瘍細胞は、当技術分野で知られているように、複製する細胞の能力を排除するために照射されてよく、一方で投与後の治療薬の一過性発現を維持する。インビボ変換の場合、組み込まれない発現ベクターが、好ましい場合がある。
【0223】
ある実施形態では、腫瘍細胞は、自家又は内因性である。前者の例では、治療剤をコードする構築物を、トランスフェクト又は形質導入した患者から腫瘍細胞を採取し、例えば、照射後に、患者に再導入する。後者の場合では、腫瘍細胞を、本明細書に記載の適切な構築物の局所投与によりインビボで形質転換する。
【0224】
代替実施形態では、改変腫瘍細胞は、同種である。同種腫瘍細胞はそのため、細胞株中で維持できる。この場合、腫瘍細胞を、細胞株から選択し、照射し、患者に導入できる。
【0225】
フラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)を生成できる改変ヒト細胞は、治療剤をコードする発現ベクターで細胞をトランスフェクト又は形質導入することにより作製できる。フラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)、又は治療剤の組み合わせの発現用の発現ベクターは、当技術分野で周知の方法により作製できる。
【0226】
様々な実施形態では、フラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)は、1以上の核酸構築物の形態で患者に投与できる。
【0227】
一実施形態では、構築物は、レトロウイルスベクターを含む。レトロウイルスベクターは、細胞ゲノムにフラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)をコードするDNAを永久に組み込むことができる。そのため、自家又は同種細胞のエクスビボ操作の場合、フラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)を構成的に生成する安定な細胞株を、調製できる。一実施形態では、細胞は、患者に投与される前に照射される。照射された細胞は、限られた期間中、フラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)を生成する。
【0228】
一実施形態では、発現構築物は、哺乳類細胞で高レベルの一過性発現を示すSFVベクターを含む。SFVベクターは、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるLundstrom,Expert Opin.Biol.Ther.3:771-777(2003)の中で説明される。そのため、患者における内因性細胞のインビボ操作の場合、高レベルのフラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)の一過性発現が、達成され得る。
【0229】
インビボで組換えタンパク質を発現できるシステムは、当技術分野で公知である。例として、このシステムは、その開示が参照によりその全体が本明細書に明示的に組み込まれるFangら,Nature Biotech.23(5):584-590(2005)及び米国特許公開第2005/0003506号に開示される2A媒介抗体発現系を使用できる。当技術分野で公知の他のシステムが企図され、本明細書に記載のようにインビボでフラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)を生成するように適合されてもよい。
【0230】
様々な実施形態では、本明細書に開示されるフラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)発現細胞、又は本明細書に開示される本発明の薬剤の投与は、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、インターロイキン3(IL-3)、インターロイキン12(IL-12)、インターフェロンなどの抗原提示細胞を刺激するサイトカイン、又はそのようなサイトカインを発現できる細胞ワクチンの投与と組み合わせることができる。いくつかの実施形態では、フラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)発現細胞はさらに、そのようなサイトカインを発現するように改変される。IL-1、IL-2、B7、抗CD3及び抗CD28などのT細胞の増殖及び分泌を増強することが知られている追加のタンパク質及び/又はサイトカインを、本発明のフラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)と同時に又は逐次的に用いて、免疫応答を増強し、かつ/又は共刺激経路を刺激し、かつ/又はエフェクターT細胞の活性化/増殖を誘導できる。
【0231】
ベクター及び形質転換の方法
フラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)をコードする発現ベクターは、ウイルスベクター又は非ウイルスベクターであり得る。ウイルスベクターは、インビボでの使用に好ましい。本発明の発現ベクターは、フラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)をコードする核酸、又は発現制御領域に作動可能に連結されたその補体、又は哺乳類細胞において機能的であるその補体を含む。発現制御領域は、発現ベクターで形質転換されたヒト細胞中でブロッキング剤及び/又は刺激剤が生成されるように作動可能に連結されたブロッキング剤及び/又は刺激剤をコードする核酸の発現を促進できる。
【0232】
発現制御領域は、作動可能に連結された核酸の発現に影響を及ぼすプロモーター及びエンハンサーなどの、調節ポリヌクレオチド(本明細書ではエレメントと呼ばれることもある)である。
【0233】
本発明の発現ベクターの発現制御領域は、作動可能に連結されたコード核酸をヒト細胞中で発現できる。一実施形態では、細胞は、腫瘍細胞である。別の実施形態では、細胞は、非腫瘍細胞である。
【0234】
一実施形態では、発現制御領域は、作動可能に連結された核酸に調節可能な発現を付与する。シグナル(刺激とも呼ばれる)は、そのような発現制御領域に作動可能に連結された核酸の発現を増加又は減少させることができる。シグナルに応答して発現を増加させるそのような発現制御領域はしばしば、誘導性と呼ばれる。シグナルに応答して発現を減少させるそのような発現制御領域はしばしば、抑制性と呼ばれる。典型的には、そのような要素により与えられる増加又は減少の量は、存在するシグナルの量に比例する。シグナル量が多いほど、発現の増加又は減少が大きい。
【0235】
一実施例において、本発明は、合図に応答して、一過性の高レベルの発現に影響を与えることができる誘導性プロモーターの使用を企図する。腫瘍細胞の近くにあるとき、そのような発現制御配列を含むフラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)用の発現ベクターで形質転換された細胞は、変換細胞を適切な合図にさらすことにより高レベルの薬剤を一過的に生成するように誘導される。例示的な誘導性発現制御領域は、低分子化学化合物などの合図で刺激される誘導性プロモーターを含むものを含む。特定の例は、例えば、その各々が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第5,989,910号、同第5,935,934号、同第6,015,709号、及び同第6,004,941号に見出され得る。
【0236】
発現制御領域は、ネイティブプロモーターとエンハンサーエレメントなどの、全長プロモーター配列、並びに全長若しくは非変異体機能の全部若しくは一部を保持する、サブ配列又はポリヌクレオチド変異体を含む。本明細書で使用される用語「機能的」及びその文法的変形は、核酸配列、サブ配列又は断片を参照して使用する場合、その配列が天然核酸配列の1以上の機能(例えば、非変異体又は非修飾配列)を有することを意味する。
【0237】
本明細書で使用する「作動可能な連結」は、それらの意図された様式でそれらが機能することを可能にすると説明される、構成要素の物理的な並置を指す。核酸との作動可能な連結における発現制御要素の例において、その関係は、対照要素が核酸の発現を調節するようなものである。典型的には、転写を調節する発現制御領域は、転写される核酸の5'末端付近(すなわち、「上流」)に並置される。発現制御領域は、転写配列の3'末端(すなわち、「下流」)又は転写物内(例えば、イントロン)に配置されてもよい。発現制御エレメントは、転写配列から離れた(例えば、核酸から100~500、500~1000、2000~5000、又はそれ以上のヌクレオチド)距離に配置できる。発現制御要素の具体例は、転写配列の5'に通常位置する、プロモーターである。発現制御エレメントの別の例は、転写配列の5'若しくは3'又は転写配列内に配置できる、エンハンサーである。
【0238】
ヒト細胞において機能する発現系は、当技術分野で周知であり、ウイルス系を含む。一般に、ヒト細胞内で機能的なプロモーターは、哺乳類RNAポリメラーゼを結合し、B7-H4リガンドコード配列のmRNAへの下流(3')の転写を開始できる任意のDNA配列である。プロモーターは、転写開始領域を有し、通常はコード配列の5'末端近くに配置され、典型的には転写開始部位の上流の25~30塩基対に位置するTATAボックスを有する。TATAボックスは、RNAポリメラーゼIIに正しい部位でRNA合成を開始するように指示すると考えられる。プロモーターはまた典型的には、TATAボックスの上流に100~200塩基対内に位置する上流プロモーターエレメント(エンハンサーエレメント)を含む。上流プロモーターエレメントは、転写が開始される速度を決定し、どちらの方向にも作用できる。ウイルス遺伝子は、しばしば高発現し、かつ広い宿主範囲を有するので、プロモーターとして特に使用されるのは、哺乳類ウイルス遺伝子由来のプロモーターである。例は、SV40初期プロモーター、マウス乳腺腫瘍ウイルスLTRプロモーター、アデノウイルス主要後期プロモーター、単純ヘルペスウイルスプロモーター、及びCMVプロモーターを含む。
【0239】
典型的には、哺乳類細胞により認識される転写終結配列及びポリアデニル化配列は、3'から翻訳停止コドンに位置する調節領域であり、そのため、プロモーターエレメントと共に、コード配列に隣接する。成熟mRNAの3'末端は、部位特異的な翻訳後切断及びポリアデニル化により形成される。転写終結因子及びポリアデニル化シグナルの例は、SV40に由来するものを含む。イントロンも、発現構築物に含まれてよい。
【0240】
生細胞に核酸を導入するために利用できる、様々な技術がある。インビトロでの哺乳類細胞への核酸の導入に適する技術は、リポソーム、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、細胞融合、ポリマー系システム、DEAE-デキストラン、ウイルス伝達、リン酸カルシウム沈殿法などの使用を含む。インビボ遺伝子導入のために、リポソームを含む、いくつかの技術及び試薬も、使用され得る。キトサン及びゼラチンなどの、天然ポリマー系送達ビヒクル;ウイルスベクターも、インビボ形質導入に好ましい。ある状況において、腫瘍細胞表面膜タンパク質に特異的な抗体又はリガンドなどの、標的剤を提供することが望ましい。リポソームが採用される場合、エンドサイトーシスに関連付けられる細胞表面膜タンパク質に結合するタンパク質は、例えば、特定の細胞型に対するカプシドタンパク質又はその断片、サイクリングで内在化を受けるタンパク質の抗体、細胞内局在化を標的とするタンパク質及び細胞内半減期を増強するタンパク質を標的化するため及び/又は取り込みを促進するために使用され得る。受容体媒介性エンドサイトーシスの技術は、例えば、Wuら,J.Biol.Chem.262,4429-4432(1987);及びWagnerら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87,3410-3414(1990)により記載される。
【0241】
適宜、例えば、組み込み配列などの遺伝子送達剤も使用できる。数多くの組み込み配列は、当技術分野で公知である(例えば、Nunes-Dubyら,Nucleic Acids Res.26:391-406,1998;Sadwoski,J.Bacteriol.,165:341-357,1986;Bestor,Cell,122(3):322-325,2005;Plasterkら,TIG 15:326-332,1999;Kootstraら,Ann.Rev.Pharm.Toxicol.,43:413-439,2003参照)。これらは、リコンビナーゼ及びトランスポサーゼを含む。例は、Cre(Sternberg及びHamilton,J.Mol.Biol.,150:467-486,1981)、ラムダ(Nash,Nature,247,543-545,1974),FIp(Broachら,Cell,29:227-234,1982)、R(Matsuzakiら,J.Bacteriology,172:610-618,1990)、cpC31(例えば、Grothら,J.Mol.Biol.335:667-678,2004参照)、スリーピングビューティー(sleeping beauty)、マリナーファミリーのトランスポサーゼ(Plasterkら,上述)、並びにレトロウイルス又はレンチウイルスのLTR配列及びAAVのITR配列などのウイルス組み込みを提供する成分を有するAAV、レトロウイルス、及びアンチウイルスなどのウイルスを組み込むための成分を含む(Kootstraら,Ann.Rev.Pharm.Toxicol.,43:413-439,2003)。
【0242】
ウイルスベクター
一態様では、本発明は、ウイルスベクターである、フラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)の発現用の発現ベクターを提供する。遺伝子治療に有用な多くのウイルスベクターが知られている(例えば、Lundstrom,Trends Biotechnol.,21:1 17,122,2003参照)。
【0243】
例示的なウイルスベクターは、アンチウイルス(LV)、レトロウイルス(RV)、アデノウイルス(AV)、アデノ関連ウイルス(AAV)、及びアルファウイルスから選択されるものを含むが、他のウイルスベクターも使用され得る。インビボ使用については、αウイルス及びアデノウイルスなどの、宿主ゲノムに統合されないウイルスのベクターが好ましく、αウイルスが特に好ましい。αウイルスの例示的な種類は、シンドビスウイルス、ベネズエラ馬脳炎(VEE)ウイルス、及びセムリキ森林ウイルス(SFV)を含み、SFVが特に好ましい。インビトロ使用については、レトロウイルス、AAV、及びアルファウイルスなどの、宿主ゲノムに組み込まれるウイルスベクターが好ましい。
【0244】
一実施形態では、ウイルスベクターは、形質導入ヒト細胞において一過性の高レベル発現を提供する。
【0245】
一実施形態では、ウイルスベクターは、形質導入ヒト細胞のゲノムへのフラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)をコードする核酸の組み込みを提供しない。
【0246】
別の実施形態では、ウイルスベクターは、形質導入ヒト細胞のゲノムへのフラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)をコードする核酸の組み込みを提供する。
【0247】
一実施形態では、本発明は、インビボでヒト細胞に形質導入する方法であって、本発明のウイルスベクターと固形腫瘍とをインビボで接触させることを含む、方法を提供する。
【0248】
別の実施形態では、本発明は、ヒト細胞にエクスビボで形質導入する方法であって、本発明のウイルスベクターとヒト細胞とをエクスビボで接触させることを含む、方法を提供する。一実施形態では、ヒト細胞は、腫瘍細胞である。一実施形態では、ヒト細胞は、同種である。一実施形態では、腫瘍細胞は、患者に由来する。一実施形態では、ヒト細胞は、例えば、抗原提示細胞(APC)などの非腫瘍細胞、又はT細胞である。
【0249】
ウイルス粒子コートは、当技術分野で周知のとおり、特異性を変えかつ細胞/組織の標的化を改善するように改変され得る。ウイルスベクターはまた、他のビヒクル、例えば、リポソームで送達され得る。リポソームもまた、細胞/組織の標的化を改善するために、それらの表面に標的化部分が取り付けられ得る。
【0250】
いくつかの実施形態では、本発明は、本発明の治療剤を発現するヒト細胞を提供する。様々な実施形態では、ヒト細胞は、例えば、患者の腫瘍細胞の近くで薬剤を発現する。
【0251】
診断及び予測法
いくつかの態様では、本発明は、TLR5アゴニストによる治療に応答し得る対象を特定するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、患者の腫瘍がTLR5を発現しているかどうかを決定する方法を提供する。
【0252】
TLR5発現は、患者の腫瘍若しくは異形成のグレード及び/又は進行を決定するための予測マーカーであり得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のフラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)は、特定の癌の腫瘍のグレード及び/又はステージを決定するのに有用である。
【0253】
腫瘍グレードは、顕微鏡下でそれらがどのように異常に見えるか及び腫瘍がどのように速く成長し広がるかの観点から、癌細胞を分類するために使用されるシステムである。細胞の構造及び成長パターンを含む多くの要因が、腫瘍のグレードを決定する際に考慮される。腫瘍のグレードを決定するために使用される具体的な要因は、癌の各種類により様々であり得、当技術分野で公知である。
【0254】
組織学的グレードは、分化度とも呼ばれ、腫瘍細胞が同じ組織の種類の正常細胞にどれだけ似ているかを指す。核グレードは、腫瘍細胞における核の大きさと形状、及び分裂している腫瘍細胞の割合を指す。
【0255】
癌細胞の顕微鏡的な外観に基づいて、病理学者は一般的に、4つの重症度:グレード1、2、3、及び4、で腫瘍グレードを説明する。グレード1の腫瘍の細胞は、正常細胞に似ており、ゆっくりと成長し増殖する傾向がある。グレード1の腫瘍は一般的に、性状において最も攻撃的でないと考えられている。逆に、グレード3又はグレード4の腫瘍の細胞は、同じ種類の正常な細胞のようには見えない。グレード3及び4の腫瘍は、急速に成長し、より低いグレードの腫瘍よりも速く広がる傾向がある。米国癌合同委員会は、腫瘍のグレード分けに関し次のガイドラインを推奨している:GX-評価できないグレード(未確定グレード);G1-十分に分化している(低グレード);G2-中程度の分化(中間グレード);G3-あまり分化していない(高グレード);及びG4-未分化(高グレード)。
【0256】
グレード分けシステムは、癌の種類ごとに異なる。例えば、病理学者は、前立腺癌細胞の分化の程度を説明するためにグリーソンシステムを使用する。グリーソンシステムは、グレード2~グレード10の範囲のスコアを使用する。より低いグリーソンスコアは、よく分化した、あまり侵襲性でない腫瘍を説明する。より高いスコアは、分化が不十分で、より侵襲性の腫瘍を説明する。他のグレード分けシステムは、例えば、乳癌のためのブルーム・リチャードソンシステム及び腎臓癌のためのフールマン・システムを含む。
【0257】
癌の生存率又は生存統計は、特定の種類の癌を特定の時間生き残る人々の割合を指してよい。癌統計は多くの場合、全5年生存率を使用する。例えば、膀胱癌の全5年生存率は、80%であり、すなわち、膀胱癌と診断された100人中80人が、診断後5年生存し、100人中20人が、膀胱癌診断の5年以内に死亡した。他の種類の生存率、例えば、無病生存率(寛解を達成する癌を有する人の数)及び無増悪生存率(まだ癌を有するが、その疾患が進行していない人の数)を、使用できる。
【0258】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のフラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)は、本明細書に開示されるフラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)の投与の前、投与中及び/又は投与後に、かつ/又は抗癌剤の投与若しくは抗癌療法の前、投与中及び/又は投与後に、生存率、無病生存率及び/又は無増悪生存率の診断を含む特定の癌の診断又は予後の目的で腫瘍グレードを確立するのに有用である。
【0259】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のフラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)は、腫瘍グレードのスコア化の方法の一部として使用されて、治療の選択を助け、かつ/又は治療の結果を予測する。例えば、本明細書に記載のフラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)は、ステージI(例えば、局所的に進行していない)として患者からの癌を診断又は特定するために使用され、それほど積極的でない治療の必要性を予測する。あるいは、本明細書に記載の治療剤は、ステージII又はIII(例えば、癌は局所的に進行し得る)として患者からの癌を診断又は特定するために使用され、より積極的な治療の必要性を予測する。同様に、本明細書に記載のフラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)は、ステージIV又は転移性であるとして患者からの癌を診断又は特定するために使用され、非常に積極的な治療の必要性を予測する。
【0260】
いくつかの実施形態では、癌は、切除不能である。切除不能の癌は、転移性病巣の数のため、又は外科的危険区域にあるため、外科的に除去できない悪性腫瘍である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の治療剤は、腫瘍の治療方法の一部として使用されて、例えば、化学療法及び/又は放射線治療の前に腫瘍体積を低下させる抗癌剤を投与すること、かつ/又は患者に投与される化学療法若しくは放射線の線量を増加若しくは減少させることを含む治療の性質及び/又は時期/投与を選択するのを助ける。
【0261】
いくつかの実施形態では、癌は、多剤耐性である。例えば、患者は、実質的な応答なしに、化学療法の1以上のサイクルを受けた可能性がある。あるいは又は加えて、腫瘍は、多剤耐性の1以上のマーカーを有する。そのため、本明細書において使用される用語の多剤耐性は、化学療法の組み合わせの少なくとも1サイクルに応答を示さない癌か、あるいはドセタキセル、パクリタキセル、ドキソルビシン、エピルビシン、カルボプラチン、シスプラチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、オキサリプラチン、カルムスチン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、シクロホスファミド、イホスファミド、トポテカン、エルロチニブ、エトポシド、及びマイトマイシン(に匹敵する薬剤を含む)の少なくとも2つに対し耐性として(診断的に)スコア化された癌を意味する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の治療剤は、腫瘍が1以上の化学療法薬、放射線療法及び/又は他の抗癌療法に応答するかどうかを確立するのに有用である。
【0262】
他の実施形態では、癌は、初期癌の従来の化学療法後の再発である。多くの場合、再発性癌は、薬物耐性を発症し、そのため特に治療が困難であり、しばしば生存についての予後が悪い。
【0263】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のフラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)は、全身状態に取ってかわる腫瘍評価の方法の一部として使用される。全身状態は、当技術分野で公知の患者の全身状態をスコア化する任意のシステム及び方法を用いて定量化できる。この措置は、患者が化学療法を受けることができるかどうかを決定するため、用量調整を決定するため、かつ/又は緩和ケアの強さを決定するためによく使用される。カルノフスキーのスコア及びズーブロードのスコアを含む、様々なスコア化システムがある。並列スコア化システムは、精神医学の診断統計マニュアル(DSM)の第5軸として組み込まれる機能の全体的評定尺度(GAF)スコアを含む。
【0264】
より高い全身状態(例えば、カルノフスキーのスコア化システムを用いて少なくとも約80%、又は少なくとも約70%)は、疾患状態の進行を予防するための、かつ化学療法及び/又は放射線治療を受け入れる患者の能力を高めるための治療を示す。例えば、本明細書に記載の治療剤がより高い全身状態を示す場合、患者は、歩行可能であり、セルフケアできる。他の実施形態では、本明細書に記載の治療剤が低い全身状態(例えば、カルノフスキーのスコア化システムを用いて約50%未満、約30%未満、又は約20%未満)を示す場合、患者は、主にベッド又は椅子に拘束され、セルフケアさえできない。
【0265】
カルノフスキースコアは、100~0であり、100は、「完璧」な健康であり、0は、死である。スコアは、10の間隔で採用され、ここで:約100%は、正常であり、病状はなく、病気の徴候もなく;約90%は、通常の活動が可能であり、疾患の症状又は兆候はほとんどなく;約80%は、いくつかの困難、いくつかの症状又は徴候を有する通常の活動であり;約70%は、自分の世話ができるが、通常の活動又は仕事ができず;約60%は、ある程度の助けを必要とし、ほとんどの個人的な要件の世話ができ;約50%は、多くの場合助けを必要とし、頻繁に医療を必要とし;約40%は、身体障害があり、特別なケアと助けを必要とし;約30%は、重度の身体障害があり、入院を勧められるが、死亡のリスクはなく;約20%は、非常に病気で、緊急入院を必要とし、支援的な措置又は治療が必要であり;及び約10%は、瀕死で、急速に進行する致命的な疾患過程である。
【0266】
全身状態についてのズーブロードのスコア化システムは、0、完全に活動的で、制限なく全ての疾患前の能力を継続できる;1、物理的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽度の又は座って行う性質の仕事、例えば、軽い家の仕事、オフィスワークを行うことができる;2、歩行可能で、全てのセルフケアができるが、起床時間の約50%超は起きて仕事の活動を行うことができない;3、ほんの限られたセルフケアができ、起床時間の約50%超はベッド又は椅子に拘束される;4、完全に身体障害で、完全にベッドや椅子に拘束され、どのセルフケアも継続できない;5、死亡、を含む。
【0267】
いくつかの実施形態では、腫瘍の組織学的試料は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるElston&Ellis,Histopathology,1991,19:403-10にしたがって、本明細書に記載の治療剤を用いてグレード分けされる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の治療剤は、特定の癌の診断又は予後の目的で腫瘍グレードを確立するのに有用である。
【0268】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のフラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)は、対象及び/又は対象(例えば、癌患者)からの検体を評価するのに有用である。いくつかの実施形態では、評価は、診断、予後、及び/又は治療に対する応答の1以上である。
【0269】
診断は、例えば、癌などの、疾患若しくは障害の可能性を決定又は特定しようとする過程を指す。予後は、例えば、癌などの、疾患若しくは障害の可能性のある転帰の予測を指す。完全な予後は、多くの場合、予想される期間、機能、及び進行の低下、断続的な危機、又は突然の予測不可能な危機などの疾患経過の説明を含む。治療への応答は、治療を受けたときの患者の医学的転帰の予測である。治療に対する応答は、非限定的な例として、病理学的完全応答、生存、及び再発の可能性であり得る。
【0270】
様々な実施形態では、本明細書に記載の診断及び予測方法は、タンパク質の存在、不在、又はレベルを評価することを含む。別の実施形態では、本明細書に記載の方法は、核酸の存在、不在、又は発現レベルを評価することを含む。本明細書に記載の組成物は、これらの測定に使用され得る。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、本明細書に記載の治療剤と、腫瘍の検体又は細胞からの培養細胞とを接触させることを含む。
【0271】
いくつかの実施形態では、本発明は、生検又は外科検体試料を含む、腫瘍検体の測定を含む。いくつかの実施形態では、生検は、ヒト生検である。様々な実施形態では、生検は、凍結腫瘍組織検体、培養細胞、循環腫瘍細胞、及びホルマリン固定パラフィン包埋腫瘍組織検体のいずれか1つである。いくつかの実施形態では、腫瘍検体は、凍結した腫瘍組織(凍結切片)検体などの、生検試料であり得る。当技術分野で知られているように、凍結切片は、冷凍庫の中のミクロトームを含む、クライオスタットを用いてよい。外科検体を金属組織皿の上に置き、それを次いで、チャックで固定し、約-20℃~約-30℃に急速に凍結する。検体を、例えば、ポリエチレングリコール及びポリビニルアルコールからなる培地のようなゲルに埋め込む。凍結した組織を、クライオスタットのミクロトーム部分で凍結させたまま切断し、切片を、任意にガラススライド上に移し、染色する。いくつかの実施形態では、腫瘍検体は、培養細胞などの、生検試料であり得る。これらの細胞は、当技術分野で公知の通常の細胞培養技術を用いて処理され得る。これらの細胞は、腫循環瘍細胞であり得る。いくつかの実施形態では、腫瘍検体は、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)腫瘍組織検体などの、生検試料であり得る。当技術分野で公知のように、生検検体を、ホルマリン(水とホルムアルデヒドの混合物)又はそれを保存するための他の液体を含む容器に入れてもよい。組織試料を、熱いパラフィンワックスを用いて型に入れてもよい。ワックスは、冷えて、組織を保護する固体ブロックを形成する。包埋組織を有するこのパラフィンワックスブロックを、ミクロトーム上に置き、それを、組織の非常に薄いスライスに切断する。ある実施形態では、腫瘍検体は、約100mg未満の組織を含むか、又はある実施形態では、約50mg以下の組織を含有する。腫瘍検体(又は生検)は、約35mgの組織などの約20mg~約50mgの組織を含んでよい。組織は、例えば、1以上(例えば、1、2、3、4、又は5つ)の針生検として(例えば、14ゲージの針又は他の適切なサイズを使用して)取得され得る。いくつかの実施形態では、生検は、穿刺吸引物であり、長くて細い針を疑わしい領域に挿入し、注射器を使用して分析のための体液及び細胞を引き出す。いくつかの実施形態では、生検は、コア針生検であり、切断先端を有する大きな針をコア針生検の間に使用して、疑わしい領域から組織のカラムを引き出す。いくつかの実施形態では、生検は、真空補助生検であり、吸引装置が、針を通して抽出される液体及び細胞の量を増加させる。いくつかの実施形態では、生検は、画像誘導生検であり、針生検が、例えば、X線、コンピュータ断層撮影(CT)、核磁気共鳴画像法(MRI)又は超音波などの画像処理と組み合わされる。他の実施形態では、試料は、乳房生検のためのレーザー誘導真空支援生検システムである、MAMMOTOME(登録商標)生検システムなどの装置を介して取得され得る。
【0272】
いくつかの実施形態では、診断及び予測の方法並びに/又は評価は、治療(本明細書に記載の治療剤による治療を含む)を指示し得る。一実施形態では、評価は、切除後のアジュバント療法の使用又は保留を指示し得る。アジュバント療法は、アジュバントケアとも呼ばれ、一次治療、主な治療又は初期治療に加えて与えられる治療である。非限定的な例として、アジュバント療法は、通常、全ての検出可能な疾患が除去される手術後に与えられる追加の治療であり得るが、潜在的な疾患による再発の統計的リスクが残っている。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の治療剤は、癌の治療におけるアジュバント療法として使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の治療剤は、癌の治療における唯一のアジュバント療法として使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の治療剤は、癌の治療におけるアジュバント療法として保留される。例えば、患者が本明細書に記載の治療剤に応答する可能性が低い場合、又は最小限の応答を有する場合に、治療は、生活の質のために、かつ効果のない化学療法からの不必要な毒性を避けるために行われなくてもよい。そのような場合には、緩和ケアが用いられ得る。
【0273】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の治療剤は、切除前にネオアジュバント療法として投与される。ある実施形態では、ネオアジュバント療法は、手術前に腫瘍を縮小及び/又はダウングレードする療法を指す。いくつかの実施形態では、ネオアジュバント療法は、手術前に癌患者に投与される化学療法を意味する。いくつかの実施形態では、ネオアジュバント療法は、本明細書に記載の治療剤が手術前に癌患者に投与されることを意味する。ネオアジュバント化学療法が一般的に考慮される癌の種類は、例えば、乳癌、大腸、卵巣、子宮頸部、膀胱、及び肺の癌を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の治療剤は、癌の治療におけるネオアジュバント療法として使用される。いくつかの実施形態では、使用は、切除の前である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の治療剤は、癌の治療におけるネオアジュバント療法として保留される。例えば、患者は、本明細書に記載の治療剤に応答する可能性が低い場合、又は最小限の応答を有する場合に、治療は、生活の質のため、かつ効果のない化学療法からの不必要な毒性を避けるために行われなくてよい。そのような場合には、緩和ケアが使用され得る。
【0274】
対象及び/又は動物
いくつかの実施形態では、対象及び/又は動物は、哺乳類、例えば、ヒト、マウス、ラット、モルモット、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ウサギ、ヒツジ、又はヒト以外の霊長類、例えば、サル、チンパンジー、又はヒヒである。他の実施形態では、対象及び/又は動物は、例えば、ゼブラフィッシュなどの非哺乳類である。いくつかの実施形態では、対象及び/又は動物は、蛍光タグ付き細胞(例えば、GFPを有する)を含んでよい。
【0275】
いくつかの実施形態では、対象及び/又は動物は、ヒトである。いくつかの実施形態では、ヒトは、小児である。他の実施形態では、ヒトは、成人である。他の実施形態では、ヒトは、老人である。他の実施形態では、ヒトは、患者と呼ばれ得る。
【0276】
ある実施形態では、ヒトは、約0ヶ月~約6ヶ月齢、約6~約12ヶ月齢、約6~約18ヶ月齢、約18~約36ヶ月齢、約1~約5歳、約5~約10歳、約10~約15歳、約15~約20歳、約20~約25歳、約25~約30歳、約30~約35歳、約35~約40歳、約40~約45歳、約45~約50歳、約50~約55歳、約55~約60歳、約60~約65歳、約65~約70歳、約70~約75歳、約75~約80歳、約80~約85歳、約85~約90歳、約90~約95歳又は約95~約100歳の範囲の年を有する。
【0277】
他の実施形態では、対象は、非ヒト動物であり、したがって、本発明は、獣医学的使用に関係する。特定の実施形態では、非ヒト動物は、家庭用ペットである。別の特定の実施形態では、非ヒト動物は、家畜動物である。
【0278】
キット
本発明は、本明細書に記載の任意の薬剤の投与を簡略化できるキットを提供する。本発明の例示的なキットは、単位剤形中に本明細書に記載の任意の組成物を含む。一実施形態では、単位剤形は、あらかじめ充填されたシリンジなどの容器であり、これは滅菌可能であり、本明細書に記載の任意の薬剤及び医薬として許容される担体、希釈剤、賦形剤、又はビヒクルを含む。キットは、本明細書に記載の任意の薬剤の使用を指示するラベル又は印刷された指示をさらに含んでよい。キットはまた、蓋鏡、局所麻酔薬、及び投与場所のための洗浄剤を含んでもよい。キットはまた、本明細書に記載の1以上の追加の薬剤をさらに含んでよい。一実施形態では、キットは、有効量の本発明の組成物及び本明細書に記載のものなどの、有効量の別の組成物を含む容器を含む。
【0279】
定義
本明細書に開示される発明に関連して以下の定義が用いられる。特に定義しない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般的に理解されているのと同じ意味を有する。
【0280】
本明細書で使用する用語「1つ(a)」、「1つ(an)」、又は「その」は、1又は2以上を意味してよい。
【0281】
さらに、参照される数値表示に関連して使用する場合の用語「約」は、参照数値表示プラス又はマイナス参照数値表示の10%までを意味する。例えば、言語「約50」は、45~55の範囲をカバーする。
【0282】
医療用途に関連して使用する場合の「有効量」は、測定可能な治療、予防、又は目的の疾患の発症率の低下を提供するのに有効である量である。
【0283】
本明細書で使用する場合、活性及び/又は効果の読み出し情報が、そのような調節がない場合と比較して、薬剤又は刺激の存在下で少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又はそれを超えて、少なくとも約100%を含み最大で約100%の著しい量で低下した場合に、何かが「減少」する。当業者が理解するように、いくつかの実施形態では、活性が減少し、いくつかの下流の読み出し情報は減少するが、他のものは増加し得る。
【0284】
逆に、活性及び/又は効果の読み出し情報が、そのような薬剤又は刺激がない場合と比較して、薬剤又は刺激の存在下で少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又はそれを超えて、少なくとも約100%を含み最大で約100%又はそれを超えて、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約50倍、少なくとも約100倍の著しい量で増加する場合に、活性が「増加」する。
【0285】
本明細書で言及するとおり、全ての組成物の割合は、特に指定しない限り、全組成物の重量による。本明細書で使用する単語「含む」及びその変形は、リスト内の項目の列挙が、この技術の組成物及び方法で有用でもあり得る他の同様の項目を排除しないように、制限されないことを意図している。同様に、用語「できる」及び「可能性がある」及びそれらの変形は、実施形態がある要素若しくは特徴を含むことができるか又は含む可能性があるという記述が、それらの要素又は特徴を含まない本技術の他の実施形態を排除しないように限定されないことを意図する。
【0286】
含む、含有する、又は有するなどの用語の同義語としてオープンエンド用語「含む」は、本発明を説明し請求するために本明細書で使用されるが、本発明又はその実施形態は、「からなる」又は「本質的にからなる」などの代替用語を使用して代替的に説明され得る。
【0287】
本明細書で使用する用語「好ましい」及び「好ましくは」は、特定の状況下で、特定の利点を与える技術の実施形態を指す。しかしながら、他の実施形態も、同じ又は他の状況下で好ましい場合がある。さらに、1以上の好ましい実施形態の列挙は、他の実施形態が有用ではないことを意味するものではなく、その技術の範囲から他の実施形態を除外することを意図するものでもない。
【0288】
治療効果を達成するのに必要な本明細書に記載の組成物の量は、特定の目的のための従来の手順に従い経験的に決定され得る。一般に、治療目的のために治療剤(例えば、フラジェリン変異体(及び/又は追加の薬剤)を投与するために、治療剤は、薬理学的に有効な用量で与えられる。「薬理学的有効量」、「薬理学的有効用量」、「治療有効量」、又は「有効量」は、特に障害又は疾患を治療するために、所望の生理学的効果をもたらすのに十分な量か、又は所望の結果を達成できる量を指す。本明細書で使用される有効量は、例えば、障害又は疾患の症状の発症を遅らせ、障害又は疾患の症状の経過を変え(例えば、疾患の症状の進行を遅らせ)、障害若しくは疾患の1以上の症状又は徴候を軽減又は排除し、かつ障害若しくは疾患の症状を逆転させるのに十分な量を含む。例えば、癌に罹患している患者への治療剤の投与は、基礎的な状態が根絶又は改善された場合だけでなく、患者が疾患に関連付けられる症状の重症度又は持続時間の減少、例えば、腫瘍負担の減少、循環腫瘍細胞の減少、無増悪生存期間の増加を報告する場合に、治療上の恩恵を提供する。治療上の利点はまた、改善が実現されるかどうかにかかわらず、基礎疾患若しくは障害の進行を停止又は遅らせることを含む。
【0289】
有効量、毒性、及び治療効果は、例えば、LD50(集団の約50%に致死的な用量)及びED50(集団の約50%で治療的に有効な用量)を決定するために、細胞培養又は実験動物における標準的な医薬手順により決定できる。投与量は、使用される投与形態及び利用される投与経路により異なり得る。毒性と治療効果の間の用量比は、治療指標であり、比LD50/ED50として表すことができる。いくつかの実施形態では、大きな治療指標を示す組成物及び方法が好ましい。治療的有効用量は、例えば、細胞培養アッセイを含む、インビトロアッセイから最初に推定できる。また、動物モデルにおける用量は、細胞培養、又は適切な動物モデルにおいて決定されるIC50を含む循環血漿濃度範囲を達成するように製剤化できる。記載の組成物の血漿中レベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィーにより測定できる。特定の投与量の効果は、適切なバイオアッセイにより監視できる。投与量は、医師によって決定され、必要に応じて、治療の観察される効果に合わせて調整できる。
【0290】
ある実施形態では、効果は、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約50%、少なくとも約70%、又は少なくとも約90%の定量化可能な変化をもたらす。いくつかの実施形態では、効果は、約10%、約20%、約30%、約50%、約70%、あるいは約90%又はそれ以上の定量可能な変化をもたらす。治療上の利点はまた、改善が実現されるかどうかにかかわらず、基礎疾患若しくは障害の進行を停止又は遅らせることを含む。
【0291】
ある実施形態では、癌を治療する薬理学的有効量は典型的には、症状を少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、又は少なくとも約50%調節する。例示的な実施形態では、そのような調節は、例えば、癌細胞の数における統計的に有意かつ定量可能な変化をもたらす。
【0292】
本発明は、以下の非限定的な実施例によりさらに例示される。
【0293】
実施例
実施例1:CBLB502及び33MXと比較して改善されたフラジェリン変異体の操作
a.CD4T細胞エピトープマッピング:
フラジェリン誘導体に由来し、それぞれ15アミノ酸長の80のペプチドを、EpiScreen(商標)T細胞エピトープマッピング技術を用いてCD4T細胞エピトープの存在について分析した。ペプチドを合成し、50人の健康なヒトドナーのコホートからの末梢血単核細胞(PBMC)に対し試験した。個々のペプチドに対するCD4T細胞応答を、増殖アッセイ([H]-チミジンの組み込み)を用いて測定した。陽性反応が、ヒト白血球抗原-DRアイソタイプ(HLA-DR)制限された主要組織適合性複合体(MHC)クラスII結合モチーフを含む5つのペプチドに観察された。
【0294】
特に、前臨床のエクスビボT細胞アッセイを用いて、タンパク質配列に存在する直鎖状T細胞エピトープを特定することによるT細胞免疫原性の予測を提供した。15アミノ酸長の合成の重複ペプチドを、MHCハプロタイプに基づき慎重に選択されたコミュニティ血液ドナー(50人の健康なドナー)のコホートに対し、6つずつの培養物で個別に試験して、タンパク質配列中に存在するT細胞エピトープの位置とそれらの相対的な効力の両方の定量分析を提供した。この分析は、インビボで免疫応答を誘導する可能性についてのタンパク質変異体の比較を提供する。
【0295】
ドナー選択を、市販業者の同意を得て得られた健康な地域ドナーのバフィーコートから(24時間以内に採られた血液から)PBMCを単離したときに行った。細胞を、リンフォプレップ(Lymphoprep(Axis-shield,Dundee,UK)密度遠心分離により分離し、CD8T細胞を、CD8RosetteSep(商標)(StemCell Technologies Inc,London,UK)を用いて枯渇させた。ドナーを、HISTO Spot SSO HLAタイピング法(MC Diagnostics,St.Asaph,UK)を用いて、HLA-DRハプロタイプを特定することにより特徴づけた。対照ネオ抗原タンパク質(キーホールリンペットヘモシアニン(KLH),Sigma,Poole,UK)並びにインフルエンザウイルス(IFV)(C32)及びエプスタインバーウイルス(EBV)(C3)に由来する対照ペプチドに対するT細胞応答も決定した。PBMCを次いで、凍結し、必要になるまで液体窒素中で貯蔵した。世界の集団内で発現するHLA-DR及びDQアロタイプの数と頻度を最もよく表す50人のドナーのコホートを、選択した。発現したアロタイプの分析は、このコホートが主要なHLA-DR及びDQアロタイプを全てカバーすることを明らかにした。図2は、選択したドナーコホートに対し、世界、ヨーロッパ及び北米の集団で発現されるMHCクラスIIハプロタイプの分布と頻度の比較を示す。
【0296】
増殖アッセイを次いで、行った。各ドナーからのPBMCを、解凍し、計数し、生存率を、評価した。細胞を、2.5~3.5×10PBMC/ml(増殖細胞ストック)に細胞密度を調整する前に、室温のAIM V(登録商標)培地(Invitrogen,Paisley,UK)中で復活させた。遊離N末端アミン及びC末端カルボン酸を有するペプチドを、1~3mgスケールで合成した。ペプチドを、10mMの濃度にジメチルスルホキシド(DMSO)中で溶解し、ペプチド培養ストックを、各ウェルに5μMの最終濃度にAIM V(登録商標)培地中で希釈することにより調製した。各ペプチド及び各ドナーについて、6つずつの培養物を、平底96ウェルプレートで確立した。陽性と陰性の両方の対照培養物も、6つずつで試験した。各ドナーについて、3つの対照(KLHタンパク質(最終アッセイ濃度0.3μM)及びIFV及びEBV由来のペプチド)も含めた。陽性対照については、PHA(Sigma,Poole,UK)を、2.5μg/mlの最終濃度で使用した。培養物を、合計6日間インキュベートし、その後0.75μCiの[H]-チミジン(Perkin Elmer(登録商標),Beaconsfield,UK)を各ウェルに添加した。培養物を、さらに18時間インキュベートし、その後TomTec Mach III細胞収集機を用いてフィルターマット上に収集した。各ウェルの1分あたりの数(CPM)を、パララックスの低バックグラウンドカウントモードでマイクロプレートベータカウンター(Perkin Elmer(登録商標)、Beaconsfield,UK)上でのMeltilex(商標)(Perkin Elmer(登録商標)、Beaconsfield,UK)シンチレーション計数により決定した。
【0297】
加えて、全てのペプチドを、LAL発色性内毒素定量キット(Pierce(Perbio),Cramlington,UK)を用いて、内毒素汚染についてスクリーニングした。作成した標準曲線を、各試料の内毒素濃度を決定するために用いた。全てのペプチドは、許容限界を下回る内毒素のレベル(<5EU/mg)を含むと判明した。
【0298】
増殖アッセイを次いで、統計的に分析し、ここで陽性T細胞応答を、PBMCが任意の所与のペプチドに対しSI≧2.00で有意な(p<0.05)応答をもたらしたドナーにより定義した。図3に示すように、T細胞エピトープを、研究における全ペプチドに対する陽性応答の平均頻度プラス1.5×SD(「バックグラウンド応答閾値」と呼ばれる)を計算することにより特定した。図3は、T細胞増殖アッセイにおける各ペプチドに対する陽性ドナー応答の頻度を示す。ペプチドは、それらが、調整していないデータセットと調整したデータセットの両方の3人以上のドナー(ドナーコホートの6%以上)において陽性T細胞増殖応答(SI≧2.00、p<0.05、境界応答を含みSI≧1.90、p<0.05)を誘導した場合、T細胞エピトープを含むとみなされた。
【0299】
この閾値を超える増殖応答を誘導した任意のペプチドを、T細胞エピトープを含有するとみなした。合計5個のペプチドが、調整していないデータセットと調整したデータセットの両方において、6%以上のカットオフで陽性応答を誘導した。ペプチドに対する応答の大きさと頻度は、1つの弱い、1つの中程度の、及び1つの強力なT細胞エピトープを示唆した。
【0300】
b.フラジェリン誘導体のエピトープ変異体の設計:
フラジェリン誘導体の一連のエピトープ変異体を、T細胞エピトープマッピングにより以前に特定された免疫原性領域が排除され、一方でフラジェリン誘導体の結合親和性及び他の構造特性を保持するように、設計した。
【0301】
オリゴヌクレオチドプライマー及び/若しくは合成DNAを用いる部位特異的変異誘発による脱免疫化、並びに/又は欠失を、二次及び三次タンパク質構造、並びにタンパク質のコア及び受容体TLR5とアミノ酸側鎖の潜在的な相互作用を考慮した参照フラジェリン構造の改変に対する制約などの生物物理学的及び生化学的データを含むが、これらに限定されないいくつかの複雑な考慮事項の下で、様々なエピトープ中の特異的アミノ酸を選択することにより決定した。エピトープ1、2、及び3の配列内の特異的アミノ酸変化及び/又は欠失を、どの変異が、関連するT細胞エピトープを除去するためにMHCクラスII結合を低下させる又は排除するかを決定するために、評価した。
【0302】
本発明者らは、T細胞エピトープに関連付けられる新規の免疫原性を低減又は排除することを目的とした変異誘発実験が、フラジェリン変異体の適切な活性とバランスを取らなければならないことを発見した。実際に、構造の考慮事項に基づく予測は、完全には適していないことが判明した。その結果、低下した免疫原性と活性のバランスを有する変異体を提供するために、試行錯誤実験を行った。変異とエピトープマッピングの実験の簡単なまとめを、以下の表1に提供する。
【0303】
表1:フラジェリン変異体(33MX)のエピトープマッピングと脱免疫化
【表1】
【0304】
エピトープ3の特異的な11個のアミノ酸のC末端欠失は、フラジェリン変異体の活性(例えば、NF-κBシグナル伝達)を著しく損なうことなくインフラマソーム活性化を効果的に排除したことがわかった。この発見は、IL-1β及びIL-18を誘導せず、そのためより少ない炎症毒性を有する、フラジェリン変異体の生成を可能にし、これはより良い治療活性(例えば、チェックポイント阻害剤との組み合わせ)をもたらす。
【0305】
実施例2:CBLB502及び33MXに対し改善された脱免疫化フラジェリン変異体のインビトロ特性評価
上記のように得られたエピトープマッピングデータ(実施例1参照)は、脱免疫化SE-1及びSE-2リード候補の最終設計のための基礎を提供した。これらの変異体33TX2(別名SE-1)及び491TEMX(別名SE-2及びGP532)を、エントリモド(別名CBLB502)と比較してインビトロで特徴付けた。
【0306】
免疫原性
樹状細胞(DC):T細胞アッセイ(EpiScreen(商標)DC:T細胞アッセイ)を用いて、CD4T細胞応答を測定することにより、CBLB502と比較して491TEMXの免疫原性ポテンシャルを評価した。各試料の免疫原性ポテンシャルを評価するために、EpiScreen(商標)DC:T細胞アッセイは、T細胞活性化を測定するための2つのマーカー(IL-2生成及び増殖)を使用した。試料(試料1/エントリモド及び試料2/SE-2)を、下記の表2に詳述するように、提供される指示に従い保存した。試料の純度を、4~12%の勾配ゲル上での変性SDS-PAGEと銀染色(Pierce Silver Stain Kit,ThermoFisher Scientific,Loughborough,UK)により評価した。この分析の結果は、図4A~Bに示され、両方の試料に1つのバンドが存在することを示す(比較のために参照抗体が示される)。内毒素レベルを、製造業者の指示に従い発色性の動力学LALアッセイキットを用いて測定し(Charles River,Margate,UK)、それはアッセイに許容される限度内(<5.0 EU/mg)であることが判明した(表2)。試料を、使用直前にAIM V(登録商標)培地(ThermoFisher Scientific)で500μg/mlに希釈した(最終アッセイ濃度50μg/ml)。KLHを、dH2O中10mg/mlで、-20℃で保存した。研究のために、KLHのアリコートを、すぐに解凍し、AIM-V(登録商標)で1mg/mlに希釈した(最終アッセイ濃度100μg/ml)。PHA(Sigma)を、ELISpotアッセイの陽性対照として使用し、1mg/mlのストックを、-20℃で保存し、その後AIM-V(登録商標)で10μg/mlの濃度に希釈した(最終アッセイ濃度2.5μg/ml)。
【0307】
表2.EpiScreen(商標)DC:T細胞免疫原性分析のためのフラジェリン試料の詳細
【表2】
【0308】
単球由来樹状細胞(MoDC)を、半成熟期に調製し、試料と共にインキュベートした後、完全DC成熟を、炎症促進サイトカインTNF-αによる刺激により誘導した。自己CD4+T細胞も、増殖アッセイのために調製した。具体的には、MoDCを、メーカーの指示に従い、Miltenyi PAN単球単離キット及びLSカラム(Miltenyi Biotech,Oxford,UK)を用いて、AIM-V(登録商標)培地中のドナーからPBMCを復活させ、CD14細胞(単球)を単離することにより調製した。単球を、DC培地(AIM-V(登録商標)1000IU/mlのIL-4及び1000IU/mlのGM-CSF(Peprotech,London,UK))に再懸濁し、低結合24ウェルプレート(2mlの最終培養量)に播種した。細胞に、半分量のDC培地交換により2日目に培地を供給した。3日目に、抗原(試料及びKLH)を、0.3μMの最終濃度にDC培地中の細胞に添加した。ネオ抗原KLHを、対照として含めた。加えて、同等量のDC培地を、未処理の対照ウェルに添加した。MoDCを、抗原と24時間インキュベートし、その後細胞を、3回洗浄し、細胞を成熟させるために50ng/mlのTNF-α(Peprotech)を含有するDC培地に再懸濁した。細胞に、50ng/mlのTNF-αを含むDC培地での半分量の培地交換により7日目に再び培地を供給し、その後細胞を8日目に収集した。収集したMoDCを、計数し、生存率を、トリパンブルー(Sigma)染料排除を用いて評価した。MoDCを次いで、増殖及びELISpotアッセイに使用する前にγ照射(40Gy)した。また8日目に、自家CD4T細胞を、メーカーの指示に従いCD4T細胞単離キット及びLSカラム(Miltenyi Biotech)を用いるPBMCからの陰性選択により単離した。
【0309】
増殖アッセイを次いで、行った。細胞の生存率を計数及び評価した後に、1×10のCD4T細胞を、96ウェル丸底プレート中で1×10個の照射MoDCと共培養した。全ての培養物を、6つずつウェルにセットした。7日間の共培養後に、細胞を、50μlのAIM-V(登録商標)培地中で、1.0μCiの[H]-チミジン(Perkin Elmer、Buckinghamshire,UK)でパルスし、さらに6時間インキュベートしてから、TomTec Mach III細胞収集機を用いてフィルターマット上で収集した。各ウェルのcpmを、パララックスの低バックグラウンドカウントでマイクロプレートベータカウンター上でのMeltilex(商標)(Perkin Elmer)シンチレーション計数により決定した。
【0310】
ELISpotアッセイも行った。ELISpotプレート(Millipore,Watford,UK)を、事前に湿潤させ、PBS中の100μl/ウェルのIL-2補足抗体(R&D Systems,Abingdon,UK)で一晩コートした。プレートを次いで、PBSで2回洗浄し、ブロッキングバッファー(PBS中の1%BSA)中で一晩インキュベートし、AIM-V(登録商標)培地で洗浄した。CD4T細胞及びDCを、増殖アッセイについて、各ウェルに添加した(比10:1)。各試料を、6つずつの培養で試験し、各ドナーについて、陰性対照(AIM-V(登録商標)培地のみ)、細胞対照なし、分裂促進因子陽性対照(2.5μg/mlのPHA-ELISpot機能及び細胞生存率の内部試験として使用した、Sigma)も、各プレートに含めた。7日間のインキュベーション期間後に、ELISpotプレートを、dH2O及びPBS(×3)で順次洗浄し、PBS/1%のBSA中の濾過済みビオチン化検出抗体(R&D Systems)を100μl添加することにより発色させた。37℃で1.5時間インキュベーションした後、プレートを、PBS(×3)でさらに洗浄し、PBS/1%のBSA中の濾過済みストレプトアビジン-AP(R&D Systems)100μlを、1.5時間加えた(室温でのインキュベーション)。ストレプトアビジン-APを、廃棄し、プレートを、PBS(×4)で洗浄した。100μlのBCIP/NBT基質(R&D Systems)を、各ウェルに加え、室温で30分間インキュベートした。スポット発色を、dH2Oでウェルとウェルの背中を3回洗浄することにより停止させた。乾燥プレートを、Immunoscan(登録商標)分析器上でスキャンし、ウェルあたりのスポット(spw)を、Immunoscan(登録商標)バージョン5ソフトウェアを用いて決定した。
【0311】
細胞生存率を、8日目のMoDC収集後に、トリパンブルー色素排除を用いて評価し、細胞の総数のうちトリパンブルーで染色されていない細胞の割合として表した。培地単独で処理したMoDCの平均生存率が試料又は対照抗原(KLH)で処理したMoDCの平均生存率と同様に94%~96%であったため、試料は、細胞生存率に影響を及ぼさなかったことが判明した。
【0312】
増殖及びIL-2 ELISpotアッセイの場合、1.90以上のSI(SI≧1.90)の経験的閾値を確立し、それにより、この閾値を超える応答を誘導する試料を陽性とみなした。増殖(n=6)とIL-2 ELISpot(n=6)の両方のデータセットについて、陽性応答を、統計的及び経験的な閾値により定義した:(1)2つの試料の独立スチューデントt検定を用いて、中程度の対照ウェル(cpm>150、spw>3)に対する試験ウェルのcpm又はspwを比較することによる応答の有意性(p<0.05);及び(2)SI≧1.90、SI=試験ウェルの平均(cpm又はspw)/ベースライン(cpm又はspw)。このように提示されるデータは、SI≧1.90、p<0.05として示される。加えて、アッセイ内変動を、複製培養物からの生データのCV及びSDと組み合わせて、Dixons Q検定を用いて評価した。P値を、プリズム5(GraphPad,La Jolla,USA)で2つの試料の独立スチューデントt検定を用いて計算した。
【0313】
図5は、試料に応答したCD4+T細胞増殖のまとめを示す。ネオ抗原KLHは、ドナーコホートの54%において陽性応答を誘導し、平均の大きさSIは4.07であった(表3参照)。試料1/エントリモドは、ドナーコホートの28%で陽性応答を誘導し(SI≧1.90(p<0.05))、一方で試料2/SE-2は、ドナーコホートの8%で陽性応答を誘導した。陽性T細胞増殖応答の平均の大きさは、両方の試料について低く(SI<3.00)、試料1/エントリモドと試料2/SE-2の平均SIはそれぞれ2.39及び2.67であった(表3)。
【0314】
表3.試料に対する陽性CD4T細胞増殖応答の平均の大きさ(±SD)のまとめ
【表3】
【0315】
図6A~Cは、(図6A)試料1/エントリモド、(図6B)試料2/SE-2及び(図6C)KLH(対照)、に対する健康ドナーのT細胞増殖応答を示す。2つの試料の独立スチューデントt検定を用いて有意であった(p<0.05)SI≧1.90(赤色点線で示される)を有するT細胞応答を、陽性とみなした。
【0316】
表4は、2つの試料とKLHをロードしたDCによる刺激後のCD4T細胞によるIL-2分泌を測定する、IL-2 ELISpotアッセイで得られた応答のまとめを示す。増殖アッセイと同様に、陽性応答を、SI≧1.90をもたらすドナーで記録し、試験spwとバックグラウンド(未処理の培地対照)との間で有意な(p<0.05)差が観察された。全ての陽性対照PHA処理ウェルは、スポットの存在に対し陽性であったが、7日後に大多数のウェルが数えるにはあまりにも多くのスポットを含んだので、SI値は、ELISpotデータ用に準備されない(データ示さず)。KLHは、平均の大きさSIが3.82であるドナーの60%に陽性応答を誘発した。試料についてIL-2 ELISpotアッセイで得られた結果は、増殖アッセイで得られたものと類似しており、試料1は、より高い応答率を誘導した。試料1/エントリモド及び2/SE-2はそれぞれ、20%及び10%のIL-2応答頻度を誘導し、これらは全て、2つの試料の独立スチューデントt検定を用いて有意(p<0.05)であった(表4参照)。試料1/エントリモドのIL-2 ELISpotアッセイにおける陽性T細胞応答の平均の大きさ(SI)は、2.92であり、試料2/SE-2については、3.12であった(表4)。
【0317】
表4.2つの試料とKLHに対する 陽性IL-2分泌応答の頻度と大きさ(±SD)のまとめ
【表4】
【0318】
図7A~Cは、(図7A)試料1、(図7B)試料2及び(図7C)KLH、に対する健康ドナーのT細胞IL-2分泌応答を示す。CD4T細胞を、試料をロードした自家成熟DCとインキュベートし、7日間のインキュベーション後にIL-2分泌について評価した。2つの試料の独立スチューデントt検定を用いて有意であった(p<0.05)SI≧1.90(赤色点線で示される)を有するT細胞応答を、陽性とみなした。
【0319】
結果は、両方の試料がドナーコホートの0~8%において組み合わせ陽性応答頻度を誘導することを示した。しかし、試験試料の陽性増殖とIL-2 ELISpot応答の間の相関は、低かった。個々のアッセイにおいて、試料1/エントリモドは、高頻度の陽性増殖(28%対8%)及びIL-2 ELISpot(20%対10%)応答により、試料2/SE-2よりも臨床免疫原性のリスクが高いと考えられる。加えて、試料1/エントリモドに対する増殖応答の平均の大きさは、試料2/SE-2に対するそれよりも有意に高く、試料1/エントリモド対試料2/SE-2の臨床免疫原性のリスクの増加の結論を支持するさらなる証拠を追加する。
【0320】
NF-κB活性
図8は、細胞を試験剤(例えば、フラジェリン変異体)の存在下でインキュベートした、293-hTLR5-LacZレポーター細胞におけるNF-κBシグナル伝達を誘導する能力について試験したフラジェリン変異体の解析を示す。33MX変異体により誘導される活性と比較して、フラジェリン変異体33TX2及び491TEMXにより誘導されるNF-κB活性に5倍未満の低下があったことが判明した。実際に、表5は、CBLB502と比較し、かつ変異体33MXと比較したフラジェリン変異体により示される活性の効力のまとめを示す。EC50は、指定した曝露時間後にベースラインと最大値の中間の応答を誘導する、薬剤の濃度として定義される。例えば、レポーター酵素活性用量応答曲線から計算されたEC50値(表5)は、491TEMXがそれぞれ33MX及びエントリモド/CBLB502と比較してNF-κB活性の5倍未満の低下を示したことを示す(0.043及び0.032ng/mlと比較してEC50=0.114ng/ml)。
【0321】
表5.効力の点でフラジェリン変異体により示された活性のまとめ
【表5】
【0322】
インフラマソーム活性化
NLRC4インフラマソームは、微生物体によるそのパターン認識受容体(PRR)成分の活性化後に組み立てられるいくつかの細胞質多分子複合体の1つである。NLRC4の場合、細胞質Nod様受容体(NLR)は、細胞膜上のToll様受容体5(TLR5)のアゴニストでもある細菌性フラジェリンにより活性化される。細胞外フラジェリンは、フラジェリンTLR5複合体の内部移行により、細胞質NLRC4インフラマソームを活性化できると仮定される。一度組み立てられると、インフラマソームは、カスパーゼ-1活性化を伴う炎症促進カスケードを開始し、その後、プロIL-1βを、主要な炎症性サイトカインである成熟IL-1βへと処理する。したがって、IL-1β生成の測定は、インフラマソーム活性の読み出し情報を提供する。
【0323】
フラジェリン変異体を、CBLB502及び他のフラジェリン変異体と比較して、インフラマソーム活性化(例えば、マーカーとしてのIL-1β及びIL-18生成)を決定するために、THP1-NLRC4細胞において試験した。フラジェリン変異体の構造-活性関係(SAR)を、2つのインビトロ細胞ベース読み出し:(i)インフラマソーム活性化、及び(ii)NF-κBシグナル伝達、を用いて評価した。THP1-NLRC4細胞を、試験剤(例えば、フラジェリン変異体)の存在下で培養した。レポーター細胞中で変異体33TX2及び491TEMXにより誘導されたNF-κBシグナル伝達は、前に図8で示され、変異体33TX2及び491TEMXにより誘導されたNF-κB活性は、保持され、かつ33MX変異体により誘導される活性に匹敵することが示される。図9は、THP1-NLRC4細胞におけるCBLB502及び変異体33MX及び33TX2により誘導されるインフラマソーム活性と比較して、THP1-NLRC4細胞における変異体491TEMXにより誘導される低い-ほとんど無い-インフラマソーム活性(例えば、IL-1β生成)を示す。結果は、変異体491TEMXが、漸増濃度でCBLB502、33MX、及び33TX2と比較して最小限のインフラマソーム活性化を誘導することを示す。
【0324】
さらに、図18は、マウス肝臓の肝細胞の組織学的解析を示し、GP532(別名491TEMX)及びエントリモドによるNF-κB活性化を示す。エントリモドとGP532の両方の治療は、注射後30分の時点で、p65の着実な核転位をもたらした。エントリモド治療マウスでは、核p65の量は、注射後2時間の時点で顕著に減少し、24時間の時点では完全に存在しなかった。GP532(しかしエントリモドではない)で治療したマウスでは、強い核染色が、注射後2時間の時点で続いた。染色は、いずれかの薬物の注射後の24時間の時点で観察されなかった。これらの結果は、GP532が、肝細胞におけるNF-κBシグナル伝達応答の改善された動態(例えば、より長い持続時間)を提供することを示す。
【0325】
実施例3.CBLB502及び33MXと比較して改善された脱免疫化フラジェリン変異体のインビボ特性評価
フラジェリン変異体のシグナル伝達活性のインビボ試験は、変異体491TEMX(すなわち、SE-2)がエントリモドと同じくらい又はエントリモドよりも良好に機能した点で、インビトロデータと一致しているように見えた。薬物動態プロファイルを、レポーターマウスへの1μgのフラジェリン変異体、SE-1及びSE-2、及びエントリモドの注入、および24時間にわたるng/mlでの得られた濃度の測定により、確立した(図10)。図10に示す結果は、SE-2がエントリモドより良好に又は等しく機能したと結論付ける。
【0326】
さらに、他の様々なマーカーを、1μgのフラジェリン変異体、SE-1及びSE-2、及びエントリモドを注射したマウスにおいて、24時間にわたり測定した。例えば、サイトカインG-CSF(図11)及びIL-6(図12)を含む薬力学マーカーを、24時間にわたり測定した。インフラマソームマーカーIL-18を測定し、図13に示すように、結果は、インビトロ結果の確認、すなわち、フラジェリン変異体SE-1(別名33TX2)及びSE-2(別名491TEMX)の提示が、エントリモド(別名CBLB502)と比較して実質的により低いインフラマソーム活性化を誘導したことを示す。一酸化窒素生成も測定し、図14の結果は、時間の経過とともに、変異体SE-1(別名33TX2)及びSE-2(別名491TEMX)によって誘導される一酸化窒素のレベルが、エントリモドによって誘導される一酸化窒素のレベルと類似していたことを示す。
【0327】
放射線保護活性のインビボ特性解析を、全身照射の20分前にマウスにエントリモド及びSE-2(別名491TEMX)を様々な用量で注入すること、続く27日間の監視、を含む実験により分析した。エントリモドとSE-2の用量は、それぞれ4μg/kg、6μg/kg、8μg/kg、16μg/kg、32μg/kg、及び64μg/kgであった。PBS-Tweenを、対照として使用した。図15に示す結果は、エントリモドまたはSE-2(別名491TEMX)のいずれも100%の放射線保護活性に到達しなかったが、SE-2(別名491TEMX)は、エントリモドより悪くは機能しなかったことを示す。実際に、図15の結果は、各エントリモドとSE-2について最も有効な用量が異なることを示す(エントリモドでは16μg/kg及びSE-2では32μg/kg)。
【0328】
放射線防護活性を、受動血清移動実験によりさらに評価した。ヒト血清(正常血清と中和抗体を含む血清の両方)をNIH-Swissマウスに移し、続いてエントリモド、SE-2又はPBSのいずれかを注射した。マウスを次いで、全身照射(8.5Gy TBI)に供し、生存を、その後60日間監視した。図16に示す結果は、中和B細胞エピトープがエントリモド治療の有効性に影響を与えるが、SE-2(別名491TEMX)治療の有効性には影響しないことを示す。図19は、中和又は非中和(対照)ヒト血清の注入後に、エントリモド又はGP532の皮下注射を行った際のNF-κB-ルシフェラーゼレポーターマウスにおけるシグナル伝達活性のインビボイメージングを示す。この結果は、GP532の投与が、中和抗体を注入したレポーターマウスにおいて中和抗体に対する耐性を提供することを示す。
【0329】
研究を、有益な特性を確立するために、SE-2(別名GP532及び491TEMX)とチェックポイント阻害剤との併用腫瘍治療の効果について実施した。トリプルネガティブ乳癌のEMT6マウスモデルを用い、治療はチェックポイント阻害剤の投与で始まり、エントリモド又はSE-2の投与が続いた。具体的には、マウスに7日目にα-PD1を投与し、その後9日目にα-CTLA4を投与した。10日目及び11日目に、エントリモド及びSE-2の用量を投与した。図17に示す結果は、チェックポイント阻害剤の投与に続くSE-2投与の組み合わせが、チェックポイント阻害剤と一緒のエントリモドの投与又はチェックポイント阻害剤単独での投与よりも速い腫瘍退縮を示したことを示す。
【0330】
放射線軽減活性を、ビヒクル(PBS)、エントリモド、又はGP532の注射を受けたBALB/cマウスで評価した。マウスを次いで、全身照射(8.5Gy TBI)に供し、生存期間を、その後60日間監視した。図20に示す結果は、GP532がエントリモドとほぼ同じレベルの放射線軽減活性を提供したことを示す。
【0331】
追加の研究で、頭頸部癌マウスモデルに、限局照射し、PBST又は0.3μgのGP532のいずれかを注射した。マウスの様々な領域(例えば、皮膚、唇(vermillion)、口、リンパ節、顎下、スリング粘膜(sling mucosa)、及び耳下腺)を、限局照射副作用の軽減を評価するために組織学的にスコア化した。結果を、皮膚(図21A)、唇(図21B)、口(図21C)、リンパ節(図21D)、下顎(図21E)、スリング粘膜(図21F)、及び耳下腺(図21G)について図21A~Gに示し、それは、口の各領域の組織学的スコアが、0.3μgのGP532を注射したマウスにおいて低下したことを示す。
【0332】
同等物
本発明は、その特定の実施形態に関連して記載されているが、さらなる変更が可能であり、本出願は、一般的に、本発明の原則に従い、本発明が関与する技術分野の既知の又は習慣的な実践の範囲内にあるように、かつ上記の及び添付の特許請求の範囲における以下の通りの本質的な特徴に適用可能であり得るように、本開示からのそのような逸脱を含む発明の任意の変形、用途、又は適応をカバーすることを意図することが理解される。
【0333】
当業者は、日常的な実験を上回る実験をせずに、本明細書に具体的に記載される特定の実施形態に対する多数の同等物を認識するか、又は確認することができる。かかる同等物は、以下の特許請求の範囲に包含されることを意図している。
【0334】
参照による組み込み
本明細書で参照される全ての特許及び出版物は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0335】
本明細書で説明する出版物は、本出願の出願日より前の開示のみについて提供される。本明細書において、本発明が、先行発明によりそのような出版に先立つ権利を有していないことを認めるものとして解釈されるものはない。
【0336】
本明細書で使用する全ての見出しは、単に組織化のためであり、決して本開示を制限することを意図するものではない。個々の節の内容は、全ての節に等しく適用可能であり得る。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
【手続補正書】
【提出日】2021-08-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
2022511881000001.app
【国際調査報告】