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特表2022-511915高光学活性四置換アレンカルボン酸系化合物を直接構築する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-01
(54)【発明の名称】高光学活性四置換アレンカルボン酸系化合物を直接構築する方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 51/14 20060101AFI20220125BHJP
   C07C 57/42 20060101ALI20220125BHJP
   C07C 61/10 20060101ALI20220125BHJP
   C07C 67/343 20060101ALI20220125BHJP
   C07C 253/30 20060101ALI20220125BHJP
   C07C 255/41 20060101ALI20220125BHJP
   B01J 31/24 20060101ALI20220125BHJP
   C07D 333/24 20060101ALI20220125BHJP
   C07D 307/58 20060101ALI20220125BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20220125BHJP
【FI】
C07C51/14 CSP
C07C57/42
C07C61/10
C07C67/343
C07C253/30
C07C255/41
B01J31/24 Z
C07D333/24
C07D307/58
C07B61/00 300
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021532859
(86)(22)【出願日】2019-12-04
(85)【翻訳文提出日】2021-06-09
(86)【国際出願番号】 CN2019123005
(87)【国際公開番号】W WO2020119549
(87)【国際公開日】2020-06-18
(31)【優先権主張番号】201811517414.6
(32)【優先日】2018-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518384803
【氏名又は名称】フーダン ユニバーシティー
【氏名又は名称原語表記】FUDAN UNIVERSITY
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】麻 生明
(72)【発明者】
【氏名】鄭 偉鋒
(72)【発明者】
【氏名】銭 輝
【テーマコード(参考)】
4C037
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4C037JA04
4G169AA06
4G169BA27A
4G169BA27B
4G169BC72A
4G169BC72B
4G169BD01A
4G169BD01B
4G169BD02A
4G169BD02B
4G169BD04A
4G169BD04B
4G169BD07A
4G169BD07B
4G169BE26A
4G169BE27A
4G169BE27B
4G169CB25
4G169CB57
4G169CB63
4G169CB74
4G169DA02
4H006AA01
4H006AA02
4H006AA03
4H006AB84
4H006AC46
4H006BA25
4H006BA48
4H006BB11
4H006BB31
4H006BE40
4H006BE60
4H006BJ20
4H006BJ50
4H006BM20
4H006BM30
4H006BM72
4H006BM73
4H006BP30
4H006BS10
4H006KA31
4H006KC14
4H039CA65
4H039CL00
(57)【要約】
本発明は、高光学活性四置換アレンカルボン酸系化合物を直接構築する方法、すなわち、第三級プロパルギルアルコールを一酸化炭素および水と、パラジウム触媒、不斉ジホスフィン配位子、モノホスフィン配位子および有機リン酸の作用下で、有機溶媒において反応させ、ワンステップで軸不斉を有する高光学活性アレンカルボン酸系化合物を直接構築する方法を公開する。本発明の方法は、操作が簡単で、原料と試薬が簡単に入手可能で、反応条件が穏やかで、基質の普遍性が広く、官能基の兼用性が良く、反応が高エナンチオ選択性を有する(90% ee~>90% ee)。本発明で得られる高光学活性アレンカルボン酸系化合物は重要な中間体として、四置換第四級炭素中心を含有するγ-ブチロラクトン系化合物、四置換アレノールなどの化合物の構築に使用することができる。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸不斉を有する高光学活性アレンカルボン酸系化合物を直接構築する方法であって、パラジウム触媒、不斉ジホスフィン配位子、モノホスフィン配位子および有機リン酸の作用下で、異なる置換基を持つ第三級プロパルギルアルコールを一酸化炭素および水と、有機溶媒において遷移金属の触媒によって非対称アレン化反応させ、ワンステップで軸不斉を有する高光学活性アレンカルボン酸系化合物を生成することを含み、反応過程は以下の反応式(I)で表されることを特徴とする方法
【化53】

(ただし、R1は炭化水素基、官能基を持つ炭化水素基、フェニル基、アリール基または複素環基で、R2は炭化水素基、官能基を持つ炭化水素基、フェニル基、アリール基または複素環基で、R3は炭化水素基、官能基を持つ炭化水素基、フェニル基、アリール基または複素環基で、前記アリール基はo、m、p位に電子供与性または電子求引性置換基を有するフェニル基で、前記複素環基はチエニル基、フリル基、ナフチル基またはピリジル基、あるいは電子供与性または電子求引性置換基を有するチオフェン、フラン、ナフタレンまたはピリジンである)。
【請求項2】
R1はC1-C20炭化水素基、末端に官能基を持つC1-C20炭化水素基、フェニル基、アリール基または複素環基で、R2はC1-C10炭化水素基、末端に官能基を持つC1-C10炭化水素基、フェニル基、アリール基または複素環基で、R3はC1-C10炭化水素基、末端に官能基を持つC1-C10炭化水素基、フェニル基、アリール基または複素環基で、ここで、前記の末端に官能基を持つC1-C20炭化水素基または末端に官能基を持つC1-C10炭化水素基では、前記官能基は炭素-炭素二重結合、炭素-炭素三重結合、エステル基、ヒドロキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、ハロゲン、カルボキシ基、シアノ基から選ばれ、前記アリール基はo、m、p位に電子供与性または電子求引性置換基を有するフェニル基で、前記複素環基はチエニル基、フリル基、ナフチル基またはピリジル基、あるいは電子供与性または電子求引性置換基を有するチオフェン、フラン、ナフタレンまたはピリジンで、前記電子求引性置換基はハロゲン、ニトロ基、エステル基、カルボキシ基、アシル基、アミド基、シアノ基を含み、前記電子供与性置換基はアルキル基、アルケニル基、フェニル基、炭化水素オキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基を含むことを特徴とする請求項1に記載の軸不斉を有する高光学活性アレンカルボン酸系化合物を直接構築する方法。
【請求項3】
請求項1に記載の軸不斉を有する高光学活性アレンカルボン酸系化合物を直接構築する方法であって、
1)乾燥した反応管に順にパラジウム触媒、不斉ジホスフィン配位子、モノホスフィン配位子および有機リン酸を投入し、反応管をゴム栓で封じた後、真空ポンプに繋げ、アルゴンガスの雰囲気においてアルゴンガスで置換し、官能化第三級プロパルギルアルコール、水を入れ、所定体積の有機溶媒を入れ、反応管を液体窒素浴において凍結し、一酸化炭素バルーンを連結した後、一酸化炭素の雰囲気において一酸化炭素で置換して反応系に導入し、冷凍吸引終了後、反応系が室温に戻って溶解した後、反応管を事前に-20~60 ℃にセットした低温浴または油浴に置き、4~36時間撹拌するが、ここで、前記所定体積の有機溶媒とは式(I)で表される官能化第三級プロパルギルアルコールの使用量を基準とし、前記有機溶媒の使用量は1.0~10.0 mL/mmolである工程と、
2)工程1)の反応が完全にできた後、反応管を低温浴から引き上げ、室温に戻った後、反応管に所定体積で酢酸エチルを入れ、得られた混合液をシリカゲル短カラムでろ過し、そして所定量の酢酸エチルで洗浄した後、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィーによって軸不斉を有する高光学活性アレンカルボン酸系化合物を得るが、ここで、前記所定体積の酢酸エチルとは式(I)で表される官能化第三級プロパルギルアルコールの使用量を基準とし、前記酢酸エチルの使用量は1.0~100 mL/mmolである工程と
を含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
前記のパラジウム触媒はアリルパラジウム(II)クロリド二量体、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、シンナミルパラジウム(II)クロリド二量体、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド、ビス(アセトニトリル)ジクロロパラジウムなどのうちの任意の1つまたは複数であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の軸不斉を有する高光学活性アレンカルボン酸系化合物を直接構築する方法。
【請求項5】
前記の不斉ジホスフィン配位子は以下の構造の(R)-L1~(R)-L4およびそのエナンチオマーである(S)-L1~(S)-L4から選ばれる1つまたは複数で、ここで、Arはフェニル基、アリール基または複素環基で、前記アリール基はo、m、p位に炭化水素基または炭化水素オキシ基で置換されたフェニル基で、前記複素環基はチオフェン、フランまたはピリジンおよび炭化水素基もしくは炭化水素オキシ基で置換されたチオフェン、炭化水素基もしくは炭化水素オキシ基で置換されたフランまたは炭化水素基もしくは炭化水素オキシ基で置換されたピリジンであることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の軸不斉を有する高光学活性アレンカルボン酸系化合物を直接構築する方法
【化54】
【請求項6】
前記の不斉ジホスフィン配位子は(R)-L4およびそのエナンチオマーである(S)-L4から選ばれ、前記(R)-L4の構造は以下の通りで、ここで、Arは3,5-ジアルキル-4-アルコキシフェニル基、3,5-ジアルキルフェニル基またはフェニル基であることを特徴とする請求項5に記載の軸不斉を有する高光学活性アレンカルボン酸系化合物を直接構築する方法
【化55】
【請求項7】
前記のモノホスフィン配位子はトリブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ(o-メチルフェニル)ホスフィン、トリ(m-メチルフェニル)ホスフィン、トリ(p-メチルフェニル)ホスフィン、トリ(p-メトキシフェニル)ホスフィン、トリ(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ホスフィン、トリフリルホスフィンから選ばれる任意の1つまたは複数で、ならびに/あるいは、前記の有機溶媒はN-メチルピロリジン、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、メチル-t-ブチルエーテル、クロロベンゼン、トルエン、トリフルオロトルエン、ジクロロメタン、1,1-ジクロロエタン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム、酢酸から選ばれる任意の1つまたは複数であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の軸不斉を有する高光学活性アレンカルボン酸系化合物を直接構築する方法。
【請求項8】
前記の有機リン酸は有機リン酸1、有機リン酸2、有機リン酸3から選ばれる任意の1つまたは複数で、その構造は以下の通りで、ここで、R1は水素、C1~C6炭化水素基、フェニル基またはアリール基で、前記アリール基はo、m、p位にC1~C6炭化水素基で置換されたフェニル基で、R2はC1~C6炭化水素基、フェニル基またはアリール基で、前記アリール基はo、m、p位にC1~C6炭化水素基で置換されたフェニル基であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の軸不斉を有する高光学活性アレンカルボン酸系化合物を直接構築する方法
【化56】
【請求項9】
前記式(I)の異なる置換基を持つ第三級プロパルギルアルコール(±1)、水、パラジウム触媒、不斉ジホスフィン配位子、モノホスフィン配位子および有機リン酸のモル比は1.0:(1.0-30.0):(0.005-0.1):(0.005-0.1):(0.01-0.3):(0.01-0.3)で、好ましくは-20:60:0.02:0.048:1.0:1で、ならびに/あるいは、前記の反応温度は-20~60 ℃で、ならびに/あるいは、前記の有機溶媒の使用量は1.0~10.0 mL/mmolで、式(I)で表される官能化第三級プロパルギルアルコール(±1)の使用量を基準とすることを特徴とする請求項1に記載の軸不斉を有する高光学活性アレンカルボン酸系化合物を直接構築する方法。
【請求項10】
軸不斉を有する高光学活性アレンカルボン酸系化合物であって、構造が以下の(R)-2、(S)-2で表されることを特徴とする化合物
【化57】

(ただし、R1は炭化水素基、官能基を持つ炭化水素基、フェニル基、アリール基または複素環基で、R2は炭化水素基、官能基を持つ炭化水素基、フェニル基、アリール基または複素環基で、R3は炭化水素基、官能基を持つ炭化水素基、フェニル基、アリール基または複素環基で、前記アリール基はo、m、p位に電子供与性または電子求引性置換基を有するフェニル基で、前記複素環基はチエニル基、フリル基、ナフチル基またはピリジル基、あるいは電子供与性または電子求引性置換基を有するチオフェン、フラン、ナフタレンまたはピリジンである)。
【請求項11】
R1はC1-C20炭化水素基、末端に官能基を持つC1-C20炭化水素基、フェニル基、アリール基または複素環基で、R2はC1-C10炭化水素基、末端に官能基を持つC1-C10炭化水素基、フェニル基、アリール基または複素環基で、R3はC1-C10炭化水素基、末端に官能基を持つC1-C10炭化水素基、フェニル基、アリール基または複素環基で、ここで、前記の末端に官能基を持つC1-C20炭化水素基または末端に官能基を持つC1-C10炭化水素基では、前記官能基は炭素-炭素二重結合、炭素-炭素三重結合、エステル基、ヒドロキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、ハロゲン、カルボキシ基、シアノ基から選ばれ、前記アリール基はo、m、p位に電子供与性または電子求引性置換基を有するフェニル基で、前記複素環基はチエニル基、フリル基、ナフチル基またはピリジル基、あるいは電子供与性または電子求引性置換基を有するチオフェン、フラン、ナフタレンまたはピリジンで、前記電子求引性置換基はハロゲン、ニトロ基、エステル基、カルボキシ基、アシル基、アミド基、シアノ基を含み、前記電子供与性置換基はアルキル基、アルケニル基、フェニル基、炭化水素オキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基を含むことを特徴とする請求項10に記載の軸不斉を有する高光学活性アレンカルボン酸系化合物。
【請求項12】
四置換第四級炭素中心を含有するγ-ブチロラクトン系化合物、四置換アレノール化合物の製造における請求項10または11に記載の軸不斉を有する高光学活性アレンカルボン酸系化合物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学合成の技術分野に属し、具体的に、高光学活性四置換アレンカルボン酸系化合物を直接構築する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
軸不斉を含むアレン化合物は幅広く天然産物および薬物分子に存在し、非常に重要な化合物である(Ref: (a) Hoffmann-Roder, A.; Krause, N. Angew. Chem., Int. Ed. 2004, 43, 1196. (b) Rivera-Fuentes, P.; Diederich, F. Angew. Chem., Int. Ed. 2012, 51, 2818.)。どのように四置換の不斉第四級炭素中心を構築するかというのは、この十数年間で幅広く研究され、そして多くの成果が得られたが、四置換の不斉第四級炭素中心を含有する化合物の構築に対し、四置換の軸不斉アレン化合物の合成は依然として大きな挑戦で、報告された方法は限られ、要因はアレン分子に一つの空間上で互いに垂直な集積炭素-炭素二重結合が含まれ、アレニル基の1,3-位の置換基が離れた互いに垂直な空間に位置し、中心不斉の形成と比べ、その軸不斉の生成には、より大きい不斉遮断環境で誘導する必要がある(Ref: (a) Hayashi, T.; Tokunaga, N.; Inoue, K. Org. Lett. 2004, 6, 305. (b) Qian, D.; Wu, L.; Lin, Z.; Sun, J. Nat. Commun. 2017, 8, 567. (c) Hashimoto, T.; Sakata, K.; Tamakuni, F.; Dutton, M. J.; Maruoka, K. Nat. Chem. 2013, 5, 240. (d) Mbofana, C. T.; Miller, S. J. J. Am. Chem. Soc. 2014, 136, 3285. (e) Wang, G.; Liu, X.; Chen, Y.; Yang, J.; Li, J.; Lin, L.; Feng, X. ACS Catal. 2016, 6, 2482. (f) Tang, Y.; Xu, J.; Yang, J.; Lin, L.; Feng, X.; Liu, X. Chem. 2018, 4, 1658. (g) Tap, A.; Blond, A.; Wakchaure, V. N.; List, B. Angew. Chem., Int. Ed. 2016, 55, 8962)。
【0003】
不斉アレンカルボン酸系化合物は主にラセミ体のアレンカルボン酸化合物またはアレノニトリル化合物の分割手段(Ref: (a) Ma, S.; Wu, S. Chem. Commun. 2001, 0, 441. (b) Ao, Y.-F.; Wang, D.-X.; Zhao, L.; Wang, M.-X. J. Org. Chem. 2014, 79, 3103.)および不斉アレンカルボン酸エステルの加水分解手段によって製造され(Ref: (a) Marshall, J. A.; Bartley, G. S.; Wallace, E. M. J. Org. Chem. 1996, 61, 5729. (b) Yu, J.; Chen, W.-J.; Gong, L.-Z. Org. Lett. 2010, 12, 4050)、そして上記方法は四置換アレンカルボン酸系化合物の製造例が非常に限られている。通常、これらの方法は、たとえば、反応収率が低い、基質の範囲が狭い、官能基の許容性が劣る、原子経済性が良くないなど、多くの制限がある。そのため、簡単に入手できる原料から、効率的に、高エナンチオ選択性で四置換軸不斉アレンカルボン酸系化合物を合成する方法の開発は既存の合成方法に対する重要な突破口になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、軸不斉を有する高光学活性四置換アレンカルボン酸系化合物を直接構築する方法、すなわち、第三級プロパルギルアルコールを一酸化炭素および水と、パラジウム触媒、不斉ジホスフィン配位子、モノホスフィン配位子および有機リン酸の作用下で、有機溶媒において反応させ、ワンステップで軸不斉を有する高光学活性四置換アレンカルボン酸系化合物を直接構築する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の具体的な技術方案によって実現する。
【0006】
本発明によって提供される、軸不斉を有する高光学活性四置換アレンカルボン酸系化合物を直接構築する方法は、パラジウム触媒、不斉ジホスフィン配位子、モノホスフィン配位子および有機リン酸の作用下で、異なる置換基を持つ第三級プロパルギルアルコールを一酸化炭素および水と、有機溶媒において遷移金属の触媒によって非対称アレン化反応させ、ワンステップで軸不斉を有する高光学活性四置換アレンカルボン酸系化合物を生成することを含み、反応過程は以下の反応式(I)で表される。
【化1】

ただし、R1は炭化水素基、官能基を持つ炭化水素基、フェニル基、アリール基または複素環基で、R2は炭化水素基、官能基を持つ炭化水素基、フェニル基、アリール基または複素環基で、R3は炭化水素基、官能基を持つ炭化水素基、フェニル基、アリール基または複素環基で、前記アリール基はo、m、p位に電子供与性または電子求引性置換基を有するフェニル基で、前記複素環基はチエニル基、フリル基、ナフチル基またはピリジル基、あるいは電子供与性または電子求引性置換基を有するチオフェン、フラン、ナフタレンまたはピリジンである。
【0007】
好ましくは、反応式(I)において、R1はC1-C20炭化水素基、末端に官能基を持つC1-C20炭化水素基、フェニル基、アリール基または複素環基で、R2はC1-C10炭化水素基、末端に官能基を持つC1-C10炭化水素基、フェニル基、アリール基または複素環基で、R3はC1-C10炭化水素基、末端に官能基を持つC1-C10炭化水素基、フェニル基、アリール基または複素環基で、ここで、前記の末端に官能基を持つC1-C20炭化水素基または末端に官能基を持つC1-C10炭化水素基では、前記官能基は炭素-炭素二重結合、炭素-炭素三重結合、エステル基、ヒドロキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、ハロゲン、カルボキシ基、シアノ基から選ばれ、前記アリール基はo、m、p位に電子供与性または電子求引性置換基を有するフェニル基で、前記複素環基はチエニル基、フリル基、ナフチル基またはピリジル基、あるいは電子供与性または電子求引性置換基を有するチオフェン、フラン、ナフタレンまたはピリジンで、前記電子求引性置換基はハロゲン、ニトロ基、エステル基、カルボキシ基、アシル基、アミド基、シアノ基を含み、前記電子供与性置換基はアルキル基、アルケニル基、フェニル基、炭化水素オキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基を含む。
【0008】
さらに好ましくは、反応式(I)において、R1はC1-C10炭化水素基、末端に官能基を持つC1-C10炭化水素基、フェニル基、アリール基または複素環基で、R2はC1-C10炭化水素基、末端に官能基を持つC1-C10炭化水素基、フェニル基、アリール基または複素環基で、R3はC1-C5炭化水素基、末端に官能基を持つC1-C5炭化水素基、フェニル基、アリール基または複素環基である。ここで、前記のC1-C10炭化水素基はアルキル基、アルケニル基、フェニル基、アリール基または複素環基で、前記のC1-C5炭化水素基はメチル基、エチル基、n-プロピル基(およびその異性体)、n-ブチル基(およびその異性体)およびn-ペンチル基(およびその異性体)で、前記の末端に官能基を持つC1-C10炭化水素基または末端に官能基を持つC1-C5炭化水素基では、前記官能基は炭素-炭素二重結合、炭素-炭素三重結合、エステル基、ヒドロキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、ハロゲン、カルボキシ基、シアノ基から選ばれ、前記アリール基はo、m、p位に電子供与性または電子求引性置換基を有するフェニル基で、前記複素環基はチエニル基、フリル基、ナフチル基またはピリジル基、あるいは電子供与性または電子求引性置換基を有するチオフェン、フラン、ナフタレンまたはピリジンで、前記電子求引性置換基はハロゲン、ニトロ基、エステル基、カルボキシ基、アシル基、アミド基、シアノ基を含み、前記電子供与性置換基はアルキル基、アルケニル基、フェニル基、炭化水素オキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基を含む。
【0009】
さらに好ましくは、反応式(I)において、R1はC1-C10直鎖アルキル基、C1-C10シクロアルキル基、末端に官能基を持つC1-C10アルキル基、フェニル基、アリール基または複素環基から、R2はC1-C10直鎖アルキル基、C1-C10シクロアルキル基、末端に官能基を持つC1-C10アルキル基、フェニル基、アリール基または複素環基から、R3はC1-C5直鎖アルキル基、C1-C5シクロアルキル基、末端に官能基を持つC1-C5アルキル基、フェニル基、アリール基または複素環基から選ばれ、ここで、前記の末端に官能基を持つC1-C10アルキル基または末端に官能基を持つC1-C5アルキル基では、前記官能基は炭素-炭素二重結合、炭素-炭素三重結合、エステル基、ヒドロキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、ハロゲン、カルボキシ基、シアノ基から選ばれ、前記複素環基はチエニル基、フリル基、ナフチル基またはピリジル基、あるいは電子供与性または電子求引性置換基を有するチオフェン、フラン、ナフタレンまたはピリジンで、前記電子求引性置換基はハロゲン、ニトロ基、エステル基、カルボキシ基、アシル基、アミド基、シアノ基を含み、前記電子供与性置換基はアルキル基、アルケニル基、フェニル基、炭化水素オキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基を含む。
【0010】
さらに好ましくは、反応式(I)において、R1はメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、フェネチル基、4-クロロブチル基、3-メチルブチル基、3-シアノプロピル基、アリル基から、R2はn-プロピル基、t-ブチル基、フェニル基、o-メチルフェニル基、m-メチルフェニル基、p-メチルフェニル基、m-メトキシフェニル基、p-クロロフェニル基、p-ブロモフェニル基、p-エステル基フェニル基、2-ナフチル基、3-チエニル基から、R3はメチル基、エチル基から選ばれる。
【0011】
さらなる改良として、本発明の具体的な操作工程は以下の通りである。
【0012】
(1)乾燥した反応管に順にパラジウム触媒、不斉ジホスフィン配位子、モノホスフィン配位子および有機リン酸を投入し、反応管をゴム栓で封じた後、真空ポンプに繋げ、アルゴンガスの雰囲気においてアルゴンガスで置換し、官能化第三級プロパルギルアルコール、水を入れ、所定体積の有機溶媒を入れ、反応管を液体窒素浴において凍結し、一酸化炭素バルーンを連結した後、一酸化炭素の雰囲気において一酸化炭素で置換して反応系に導入し、冷凍吸引終了後、反応系が室温に戻って溶解した後、反応管を事前にセットした低温浴または油浴に置き、撹拌する。
【0013】
ここで、前記有機溶媒の使用量は1.0~10.0 mL/mmol、好ましくは5.0 mL/mmolである。式(I)で表される官能化第三級プロパルギルアルコール(±1)の使用量を基準とする。
【0014】
(2)工程(1)の反応が完全にできた後、反応管を低温浴から引き上げ、室温に戻った後、反応管に所定体積で酢酸エチルを入れ、得られた混合液をシリカゲル短カラムでろ過し、そして所定量の酢酸エチルで洗浄した後、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィーによって軸不斉を有する高光学活性アレンカルボン酸系化合物を得る。
【0015】
ここで、前記所定体積の酢酸エチルとは式(I)で表される官能化第三級プロパルギルアルコール(±1)の使用量を基準とし、前記酢酸エチルの使用量は1.0~100 mL/mmol、好ましくは5.0 mL/mmolである。
【0016】
さらなる改良として、本発明に係るパラジウム触媒はアリルパラジウム(II)クロリド二量体、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、シンナミルパラジウム(II)クロリド二量体、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド、ビス(アセトニトリル)ジクロロパラジウムなどのうちの任意の1つまたは複数で、好ましくは塩化パラジウムである。
【0017】
さらなる改良として、本発明に係る不斉ジホスフィン配位子は以下の構造の(R)-L1~(R)-L4およびそのエナンチオマーである(S)-L1~(S)-L4から選ばれる1つまたは複数で、好ましくは、前記の不斉ジホスフィン配位子は(R)-L4および/またはそのエナンチオマーである(S)-L4である。
【0018】
ここで、Arはフェニル基、アリール基または複素環基で、前記アリール基はo、m、p位に炭化水素基または炭化水素オキシ基で置換されたフェニル基で、ここで、前記炭化水素基はメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基を含み、前記炭化水素オキシ基はエトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、t-ブトキシ基を含み、前記複素環基はチエニル基、フリル基またはピリジル基で、好ましくは、Arはフェニル基、3,5-ジ-t-ブチル-4-メトキシフェニル基である。
【化2】

さらなる改良として、本発明に係る不斉ジホスフィン配位子は(R)-L4a、(R)-L4b、(R)-L4cおよびそのエナンチオマーである(S)-L4a、(S)-L4b、(S)-L4cから選ばれる1つまたは複数で、ここで、前記(R)-L4a、(R)-L4b、(R)-L4cの構造は以下の通りである。
【化3】

さらなる改良として、本発明に係るモノホスフィン配位子はトリブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ(o-メチルフェニル)ホスフィン、トリ(m-メチルフェニル)ホスフィン、トリ(p-メチルフェニル)ホスフィン、トリ(p-メトキシフェニル)ホスフィン、トリ(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ホスフィン、トリフリルホスフィンなどから選ばれる任意の1つまたは複数で、好ましくはトリフェニルホスフィンである。
【0019】
さらなる改良として、本発明に係る有機リン酸は有機リン酸1、有機リン酸2、有機リン酸3などから選ばれる任意の1つまたは複数で、ここで、R1は水素、C1~C6炭化水素基、フェニル基またはアリール基で、前記アリール基はo、m、p位にC1~C6炭化水素基で置換されたフェニル基で、R2はC1~C6炭化水素基、フェニル基またはアリール基で、前記アリール基はo、m、p位にC1~C6炭化水素基で置換されたフェニル基で、好ましくは、R1、R2はフェニル基である。
【化4】

さらなる改良として、本発明に係る有機溶媒はN-メチルピロリジン、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、メチル-t-ブチルエーテル、クロロベンゼン、トルエン、トリフルオロトルエン、ジクロロメタン、1,1-ジクロロエタン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム、酢酸などから選ばれる任意の1つまたは複数で、好ましくはトルエンである。
【0020】
さらなる改良として、本発明に係る反応温度は-20~60℃、好ましくは-20~0℃、より好ましくは-5~0℃である。
【0021】
さらなる改良として、本発明に係る反応時間は4~36時間、好ましくは18時間である。
【0022】
さらなる改良として、本発明に係る式(I)の異なる置換基を持つ第三級プロパルギルアルコール(±1)、水、パラジウム触媒、不斉ジホスフィン配位子、モノホスフィン配位子および有機リン酸のモル比は1.0:(1.0-30.0):(0.005-0.1):(0.005-0.1):(0.01-0.3):(0.01-0.3)で、好ましくは1.0:20.0:0.02:0.048:0.2:0.2である。
【0023】
また、本発明は軸不斉を有する高光学活性アレンカルボン酸系化合物であって、構造が(R)-2、(S)-2で表される化合物を提供する。
【化5】

ただし、R1は炭化水素基、官能基を持つ炭化水素基、フェニル基、アリール基または複素環基で、R2は炭化水素基、官能基を持つ炭化水素基、フェニル基、アリール基または複素環基で、R3は炭化水素基、官能基を持つ炭化水素基、フェニル基、アリール基または複素環基で、前記アリール基はo、m、p位に電子供与性または電子求引性置換基を有するフェニル基で、前記複素環基はチエニル基、フリル基、ナフチル基またはピリジル基、あるいは電子供与性または電子求引性置換基を有するチオフェン、フラン、ナフタレンまたはピリジンである。
【0024】
好ましくは、反応式(I)において、R1はC1-C20炭化水素基、末端に官能基を持つC1-C20炭化水素基、フェニル基、アリール基または複素環基で、R2はC1-C10炭化水素基、末端に官能基を持つC1-C10炭化水素基、フェニル基、アリール基または複素環基で、R3はC1-C10炭化水素基、末端に官能基を持つC1-C10炭化水素基、フェニル基、アリール基または複素環基で、ここで、前記の末端に官能基を持つC1-C20炭化水素基または末端に官能基を持つC1-C10炭化水素基では、前記官能基は炭素-炭素二重結合、炭素-炭素三重結合、エステル基、ヒドロキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、ハロゲン、カルボキシ基、シアノ基から選ばれ、前記アリール基はo、m、p位に電子供与性または電子求引性置換基を有するフェニル基で、前記複素環基はチエニル基、フリル基、ナフチル基またはピリジル基、あるいは電子供与性または電子求引性置換基を有するチオフェン、フラン、ナフタレンまたはピリジンで、前記電子求引性置換基はハロゲン、ニトロ基、エステル基、カルボキシ基、アシル基、アミド基、シアノ基を含み、前記電子供与性置換基はアルキル基、アルケニル基、フェニル基、炭化水素オキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基を含む。
【0025】
さらに好ましくは、反応式(I)において、R1はC1-C10炭化水素基、末端に官能基を持つC1-C10炭化水素基、フェニル基、アリール基または複素環基で、R2はC1-C10炭化水素基、末端に官能基を持つC1-C10炭化水素基、フェニル基、アリール基または複素環基で、R3はC1-C5炭化水素基、末端に官能基を持つC1-C5炭化水素基、フェニル基、アリール基または複素環基である。ここで、前記のC1-C10炭化水素基はアルキル基、アルケニル基、フェニル基、アリール基または複素環基で、前記のC1-C5炭化水素基はメチル基、エチル基、n-プロピル基(およびその異性体)、n-ブチル基(およびその異性体)およびn-ペンチル基(およびその異性体)で、前記の末端に官能基を持つC1-C10炭化水素基または末端に官能基を持つC1-C5炭化水素基では、前記官能基は炭素-炭素二重結合、炭素-炭素三重結合、エステル基、ヒドロキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、ハロゲン、カルボキシ基、シアノ基から選ばれ、前記アリール基はo、m、p位に電子供与性または電子求引性置換基を有するフェニル基で、前記複素環基はチエニル基、フリル基、ナフチル基またはピリジル基、あるいは電子供与性または電子求引性置換基を有するチオフェン、フラン、ナフタレンまたはピリジンで、前記電子求引性置換基はハロゲン、ニトロ基、エステル基、カルボキシ基、アシル基、アミド基、シアノ基を含み、前記電子供与性置換基はアルキル基、アルケニル基、フェニル基、炭化水素オキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基を含む。
【0026】
さらに好ましくは、反応式(I)において、R1はC1-C10直鎖アルキル基、C1-C10シクロアルキル基、末端に官能基を持つC1-C10アルキル基、フェニル基、アリール基または複素環基から、R2はC1-C10直鎖アルキル基、C1-C10シクロアルキル基、末端に官能基を持つC1-C10アルキル基、フェニル基、アリール基または複素環基から、R3はC1-C5直鎖アルキル基、C1-C5シクロアルキル基、末端に官能基を持つC1-C5アルキル基、フェニル基、アリール基または複素環基から選ばれ、ここで、前記の末端に官能基を持つC1-C10アルキル基または末端に官能基を持つC1-C5アルキル基では、前記官能基は炭素-炭素二重結合、炭素-炭素三重結合、エステル基、ヒドロキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、ハロゲン、カルボキシ基、シアノ基から選ばれ、前記複素環基はチエニル基、フリル基、ナフチル基またはピリジル基、あるいは電子供与性または電子求引性置換基を有するチオフェン、フラン、ナフタレンまたはピリジンで、前記電子求引性置換基はハロゲン、ニトロ基、エステル基、カルボキシ基、アシル基、アミド基、シアノ基を含み、前記電子供与性置換基はアルキル基、アルケニル基、フェニル基、炭化水素オキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基を含む。
【0027】
さらに好ましくは、反応式(I)において、R1はメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、フェネチル基、4-クロロブチル基、3-メチルブチル基、3-シアノプロピル基、アリル基から、R2はn-プロピル基、t-ブチル基、フェニル基、o-メチルフェニル基、m-メチルフェニル基、p-メチルフェニル基、m-メトキシフェニル基、p-クロロフェニル基、p-ブロモフェニル基、p-エステル基フェニル基、2-ナフチル基、3-チエニル基から、R3はメチル基、エチル基から選ばれる。
【0028】
また、本発明は四置換第四級炭素中心を含有するγ-ブチロラクトン系化合物、四置換アレノールなどの化合物の製造における式(R)-2で表される軸不斉を有する高光学活性アレンカルボン酸系化合物の使用を提供する。
【0029】
本発明では反応について以下の可能なメカニズムが挙げられた。有機リン酸(HB)によって第三級プロパルギルアルコールが活性化して中間体Iになり、さらにパラジウム種(PdL*)によって酸化付加して水が脱離してアレニルパラジウム中間体IIが生成する。その後、中間体IIが一酸化炭素および水と反応し、中間体IIIまたは中間体IVが生成し、そして還元脱離して光学活性四置換アレンカルボン酸が得られ、同時にパラジウム種(PdL*)が再生し、具体的なメカニズムは以下の式で示される。
【化6】
【0030】
本発明の創造的なポイントは、本発明は簡単に入手できる官能化第三級プロパルギルアルコールを出発原料とし、パラジウム触媒、不斉ジホスフィン配位子、モノホスフィン配位子および有機リン酸の作用下で、初めて、ワンステップで軸不斉を有する高光学活性四置換アレンカルボン酸系化合物を合成することができるようになったことにある。本発明で得られる不斉アレンカルボン酸系化合物は重要な合成中間体として、四置換第四級炭素中心を含有するγ-ブチロラクトン系化合物の構築に使用することができる。
【0031】
本発明の有益な効果は、原料と試薬が簡単に入手可能で、製造が便利であること、反応条件が穏やかで、操作が簡単であること、基質の普遍性が広いこと、官能基の兼用性が良いこと、ワンステップで軸不斉を有する光学的に単一の四置換アレンカルボン酸系化合物が構築できること、産物が高エナンチオ選択性を有する(90% ee~>90% ee)こと、産物が分離・精製しやすいことなども含む。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下の具体的な実施例により本発明をさらに詳しく説明する。本発明を実施する過程、条件、実験方法などは、以下の特に記載された内容以外、いずれも本発明の一般的な知識と公知の常識で、本発明に特に制限される内容がない。すべての実施例に係る不斉ジホスフィン配位子の具体的な構造式および相応する番号は以下の通りである。
【化7】
【実施例1】
【0033】
【化8】

ここで、molはモルを、tolueneはトルエンを、CO balloonは一酸化炭素バルーンを、eeはエナンチオマー過剰率を表す。
【0034】
一つの乾燥したシュレンク反応管に順にPdCl2(0.0036 g, 0.02 mmol)、不斉ジホスフィン配位子(R)-L4c(0.057 g, 0.048 mmol)、モノホスフィン配位子PPh3(0.0527 g, 0.2 mmol)、および(PhO)2PO2H(0.0501 g, 0.2 mmol)を入れた。反応管をゴム栓で封じた後、真空ポンプに繋げ、アルゴンガスの雰囲気においてアルゴンガスで3回置換し、アルゴンガス保護雰囲気において、第三級プロパルギルアルコール(±)-1a (0.2016 g, 1 mmol)、トルエン(3 mL)、水 (360 μL, d = 1.0 g/mL, 0.36 g, 20 mmol)、トルエン(2mL)を入れた。アルゴンガスを停止した後、反応管を液体窒素浴に置いて3分間凍結させ、一酸化炭素バルーン(約1リットル)を連結し、一酸化炭素雰囲気において一酸化炭素で3回置換した後、液体窒素浴を撤去し、反応系が室温に戻って液体に溶解した後、反応管を事前にセットした-5℃低温浴に置き、18時間撹拌した。反応管を低温浴から引き上げ、室温に戻った後、H2O2(40 μL, d = 1.13 g/mL, 30 wt.%水溶液, 0.0135 g, 0.4 mmol)を入れ、室温で30分間撹拌した後、酢酸エチル(5 mL)を入れて反応液を希釈し、得られた混合液をシリカゲル短カラム(3cm)でろ過し、そして酢酸エチル(20 mL)で洗浄した後、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:石油エーテル(60~90 ℃)/エチルエーテル/ジクロロメタン = 30/1/1,石油エーテル(60~90 ℃)/酢酸エチル = 8/1)によって不斉アレンカルボン酸産物(S)-2a(0.1033 g, 45%)を得たが、固体で、93% eeであった(HPLC条件: AS-Hカラム, ヘキサン/i-PrOH = 98/2, 1.0 mL/min, λ = 214 nm, tR (major) = 7.9 min, tR (minor) = 10.0 min); [α]D 26 = +21.2 (c = 1.10, CHCl3)。融点:88.4~90.1 ℃(溶媒が揮発した後そのまま測定した)。1H NMR (400 MHz, d6-DMSO): δ = 12.41 (s, 1 H, COOH), 7.44-7.32 (m, 4 H, Ar-H), 7.32-7.22 (m, 1 H, Ar-H), 2.24 (t, J = 7.4 Hz, 2 H, CH2), 2.12 (s, 3 H, CH3), 1.46-1.22 (m, 4 H, 2 x CH2), 0.84 (t, J = 7.0 Hz, 3 H, CH3); 13C NMR (100 MHz, d6-DMSO): δ = 210.4, 167.9, 135.2, 128.7, 127.5, 125.8, 103.6, 101.9, 29.9, 28.2, 21.8, 16.3, 13.8; IR (neat):ν = 3210-2410 (br), 1935, 1678, 1416, 1279, 1061 cm-1; MS (70 eV, EI) m/z (%): 230 (M+, 3.01), 143 (100); Anal. Calcd. for C15H18O2: C 78.23, H 7.88; found: C 78.03, H 7.94.
【実施例2】
【0035】
【化9】

操作は実施例1と同様である。PdCl2(0.0036 g, 0.02 mmol)、(R)-L4c(0.0564 g, 0.048 mmol)、PPh3(0.0523 g, 0.2 mmol)、(PhO)2PO2H(0.05 g, 0.2 mmol)、(±)-1b(0.2157 g, 1 mmol)、水(360 μL, d = 1.0 g/mL, 0.36 g, 20 mmol)、トルエン(5mL)を、0 ℃で、18時間反応させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:石油エーテル(60~90 ℃)/エチルエーテル/ジクロロメタン = 30/1/1,石油エーテル(60~90 ℃)/酢酸エチル = 8/1)によって不斉アレンカルボン酸産物(S)-2b(0.1029 g, 42%)を得たが、油状物で、96% eeであった(HPLC条件: AS-Hカラム, ヘキサン/i-PrOH = 98/2, 1.0 mL/min, λ = 214 nm,tR (major) = 6.5 min, tR (minor) = 9.3 min); [α]D 26 = +106.7 (c = 1.50, CHCl3); 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 7.29-7.22 (m, 1 H, Ar-H), 7.22-7.12 (m, 3 H, Ar-H), 2.40 (s, 3 H, CH3), 2.35-2.05 (m, 5 H, CH2 and CH3), 1.55-1.40 (m, 2 H, CH2), 1.40-1.27 (m, 2 H, CH2), 0.90 (t, J = 7.2 Hz, 3 H, CH3); 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ = 210.2, 173.8, 136.2, 136.0, 130.6, 127.9, 127.6, 125.9, 104.5, 98.9, 30.1, 28.1, 22.2, 20.4, 19.9, 13.8; IR (neat): v= 3200-2410 (br), 1947, 1674, 1415, 1274, 1041 cm-1; MS (70 eV, EI) m/z(%): 245 (M++1, 2.27), 244 (M+, 11.75), 143 (100); HRMS calcd for C16H20O2 [M+]: 244.1463, found: 244.1467.
【実施例3】
【0036】
【化10】

操作は実施例1と同様である。PdCl2(0.0036 g, 0.02 mmol)、(R)-L4c(0.0571 g, 0.048 mmol)、PPh3(0.0526 g, 0.2 mmol)、(PhO)2PO2H(0.0499 g, 0.2 mmol)、(±)-1c(0.2165 g, 1 mmol)、水(360 μL, d = 1.0 g/mL, 0.36 g, 20 mmol)、トルエン(5mL)を、-5 ℃で、18時間反応させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:石油エーテル(60~90 ℃)/エチルエーテル/ジクロロメタン = 30/1/1,石油エーテル(60~90 ℃)/酢酸エチル = 8/1)によって不斉アレンカルボン酸産物(S)-2c(0.0687 g, 28%)を得たが、固体で、94% eeであった(HPLC条件: AS-Hカラム, ヘキサン/i-PrOH = 98/2, 1.0 mL/min, λ = 214 nm, tR (major) = 6.5 min, tR (minor) = 7.8 min); [α]D 26 = +16.5 (c = 1.00, CHCl3)。融点:96.8~98.5 ℃(溶媒が揮発した後そのまま測定した)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 7.27-7.20 (m, 1 H, Ar-H), 7.20-7.15 (m, 2 H, Ar-H),7.07 (d, J = 7.2 Hz, 1 H, Ar-H), 2.40-2.28 (m, 5 H, CH2 and CH3), 2.18 (s, 3 H, CH3), 1.51-1.41 (m, 2 H, CH2), 1.41-1.28 (m, 2 H, CH2), 0.88 (t, J= 7.4 Hz, 3 H, CH3); 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ = 212.6, 172.8, 138.1, 134.9, 128.42, 128.37, 126.7, 123.2, 105.2, 101.6, 30.2, 28.3, 22.3, 21.5, 16.4, 13.8; IR (neat): v = 3250-2400 (br), 1932, 1674, 1418, 1276, 1063cm-1; MS (70 eV, EI) m/z (%): 245 (M++1, 3.90), 244 (M+, 9.06), 157 (100); Anal. Calcd. for C16H20O2: C 78.65, H 8.25; found C 78.57, H 8.21.
【実施例4】
【0037】
【化11】

操作は実施例1と同様である。PdCl2(0.0037 g, 0.02 mmol)、(R)-L4c(0.0569 g, 0.048 mmol)、PPh3(0.0525 g, 0.2 mmol)、(PhO)2PO2H(0.05 g, 0.2 mmol)、(±)-1d(0. 2175 g, 1 mmol)、水(360 μL, d = 1.0 g/mL, 0.36 g, 20 mmol)、トルエン(5mL)を、-5 ℃で、18時間反応させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:石油エーテル(60~90 ℃)/エチルエーテル/ジクロロメタン = 30/1/1,石油エーテル(60~90 ℃)/酢酸エチル = 8/1)によって不斉アレンカルボン酸産物(S)-2d(0.0909 g, 37%)を得たが、固体で、90% eeであった(HPLC条件: AS-Hカラム, ヘキサン/i-PrOH = 98/2, 1.0 mL/min, λ = 214 nm, tR (major) = 7.9 min, tR (minor) = 8.5 min); [α]D 26 = +15.8 (c = 1.00, CHCl3)。融点:109.3~111.1 ℃(溶媒が揮発した後そのまま測定した)。1HNMR (400 MHz, CDCl3): δ = 7.26 (d, J= 8.0 Hz, 2 H, Ar-H), 7.14 (d, J = 7.6 Hz, 2 H, Ar-H), 2.40-2.25 (m, 5 H, CH2 and CH3), 2.17 (s, 3 H, CH3),1.54-1.40 (m, 2 H, CH2), 1.40-1.27 (m, 2 H, CH2), 0.87 (t, J = 7.2 Hz, 3 H, CH3); 13CNMR (100 MHz, CDCl3): δ = 212.5, 173.1, 137.4, 132.0, 129.2, 126.0, 105.0, 101.7, 30.2, 28.3, 22.2, 21.1, 16.3, 13.8; IR (neat): v = 3210-2400 (br), 1936, 1673, 1417, 1278, 1066 cm-1; MS (70 eV, EI) m/z (%): 245 (M++1, 10.17), 244 (M+, 6.23), 157 (100); Anal. Calcd. for C16H20O2: C 78.65, H 8.25; found C 78.65, H 8.22.
【実施例5】
【0038】
【化12】

操作は実施例1と同様である。PdCl2(0.0036g, 0.02 mmol)、(R)-L4c(0.0566 g, 0.048 mmol)、PPh3(0.0524 g, 0.2 mmol)、(PhO)2PO2H(0.0504 g, 0.2 mmol)、(±)-1e(0.2324 g, 1 mmol)、水(360 μL, d = 1.0 g/mL, 0.36 g, 20 mmol)、トルエン(5mL)を、-5 ℃で、18時間反応させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:石油エーテル(60~90 ℃)/エチルエーテル/ジクロロメタン = 20/1/1)によって不斉アレンカルボン酸産物(S)-2e(0.0963 g, 37%)を得たが、固体で、91% eeであった(HPLC条件: AS-Hカラム, ヘキサン/i-PrOH = 95/5, 1.3 mL/min, λ = 214 nm, tR (major) = 4.7 min, tR (minor) = 5.8 min); [α]D 27= +16.8 (c = 1.11, CHCl3)。融点:58.5~60.0 ℃(石油エーテル/ジクロロメタンで再結晶した)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 7.26 (t, J= 8.0 Hz, 1 H, Ar-H), 7.03-6.88 (m, 2 H, Ar-H), 6.80 (dd, J1 = 8.0 Hz, J2= 2.0 Hz, 1 H, Ar-H), 3.80 (s, 3 H, OCH3), 2.32 (t, J = 7.4 Hz, 2 H, CH2), 2.18 (s, 3 H, CH3), 1.55-1.27 (m, 4 H, 2 x CH2), 0.88 (t, J = 7.4 Hz, 3 H, CH3); 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ = 212.6, 172.8, 159.7, 136.5, 129.5, 118.6, 112.8, 112.0, 105.1, 101.8, 55.2, 30.2, 28.3, 22.2, 16.3, 13.2; IR (neat): v = 3200-2410 (br), 1936, 1679, 1465, 1417, 1374, 1320, 1283, 1204, 1175, 1122, 1084, 1047, 1032, 1010 cm-1; MS (70 eV, EI) m/z (%): 261 (M++1, 2.06), 260 (M+, 11.47), 173 (100); HRMS: Calcd for C16H20O3(M+): 260.1407; Found: 260.1402.
【実施例6】
【0039】
【化13】

操作は実施例1と同様である。PdCl2(0.0036 g, 0.02 mmol)、(R)-L4c(0.0564 g, 0.048 mmol)、PPh3(0.053 g, 0.2 mmol)、(PhO)2PO2H(0.0505 g, 0.2 mmol)、(±)-1f(0.2356 g, 1 mmol)、水(360 μL, d = 1.0 g/mL, 0.36 g, 20 mmol)、トルエン(5mL)を、-5 ℃で、18時間反応させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:石油エーテル(60~90 ℃)/エチルエーテル/ジクロロメタン = 30/1/1,石油エーテル(60~90 ℃)/酢酸エチル = 8/1)によって不斉アレンカルボン酸産物(S)-2f(0.1086 g, 41%)を得たが、固体で、94% eeであった(HPLC条件: AS-Hカラム, ヘキサン/i-PrOH = 98/2, 1.0 mL/min, λ = 214 nm, tR (major) = 8.4 min, tR (minor) = 10.4 min); [α]D 26 = +37.8 (c = 1.20, CHCl3)。融点:110.4~111.7 ℃(溶媒が揮発した後そのまま測定した)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 7.30 (s, 4 H, Ar-H), 2.32 (t, J = 7.4 Hz, 2 H, CH2), 2.16 (s, 3 H, CH3), 1.50-1.40 (m, 2 H, CH2), 1.40-1.28 (m, 2 H, CH2), 0.88 (t, J = 7.4 Hz, 3 H, CH3); 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ = 212.5, 172.9, 133.6, 133.4, 128.7, 127.3, 104.4, 102.2, 30.2, 28.2, 22.2, 16.3, 13.8; IR (neat): v = 3200-2410 (br), 1936, 1672, 1416, 1281, 1089 cm-1; MS (70 eV, EI) m/z (%): 266 (M+(37Cl), 2.09), 264 (M+(35Cl), 4.20), 177 (100); Anal. Calcd. for C15H17ClO2: C 68.05, H 6.47; found C 67.95, H 6.43.
【実施例7】
【0040】
【化14】

操作は実施例1と同様である。PdCl2(0.0036 g, 0.02 mmol)、(R)-L4c(0.0578 g, 0.048 mmol)、PPh3(0.0525 g, 0.2 mmol)、(PhO)2PO2H(0.05 g, 0.2 mmol)、(±)-1g(0.2813 g, 1 mmol)、水(360 μL, d = 1.0 g/mL, 0.36 g, 20 mmol)、トルエン(5mL)を、-5 ℃で、18時間反応させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:石油エーテル(60~90 ℃)/エチルエーテル/ジクロロメタン = 30/1/1,石油エーテル(60~90 ℃)/酢酸エチル = 5/1)によって不斉アレンカルボン酸産物(S)-2g(0.0928 g, 30%)を得たが、固体で、92% eeであった(HPLC条件: AS-Hカラム, ヘキサン/i-PrOH = 95/5, 0.9 mL/min, λ = 214 nm, tR (major) = 6.2 min, tR (minor) = 7.7 min); [α]D 26 = +25.0 (c = 1.01, CHCl3)。融点:125.1~126.0 ℃(石油エーテル/ジクロロメタンで再結晶した)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 7.46 (d, J = 8.4 Hz, 2 H, Ar-H), 7.23 (d, J = 8.4 Hz, 2 H, Ar-H), 2.32 (d, J = 7.4 Hz, 2 H, CH2), 2.17 (s, 3 H, CH3), 1.52-1.29 (m, 4 H, 2 x CH2), 0.88 (t, J = 7.2 Hz, 3 H, CH3); 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ = 212.4, 172.2, 134.1, 131.7, 127.6, 121.6, 104.5, 102.2, 30.2, 28.3, 22.2, 16.2, 13.8; IR (neat): v = 3200-2400 (br), 1940, 1685, 1416, 1280, 1075 cm-1; MS (70 eV, EI)m/z (%): 310 (M+(81Br), 1.97), 308 (M+(79Br), 1.84), 142 (100); HRMS calcd for C15H17O2 81Br [M+]: 310.0387, found: 310.0370.
【実施例8】
【0041】
【化15】

操作は実施例1と同様である。PdCl2(0.0037g, 0.02 mmol)、(R)-L4c(0.0571 g, 0.048 mmol)、PPh3(0.0527 g, 0.2 mmol)、(PhO)2PO2H(0.05 g, 0.2 mmol)、(±)-1h(0.2607 g, 1 mmol)、水(360 μL, d = 1.0 g/mL, 0.36 g, 20 mmol)、トルエン(5mL)を、0 ℃で、18時間反応させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:石油エーテル(60~90 ℃)/エチルエーテル/ジクロロメタン = 20/1/1,石油エーテル(60~90 ℃)/酢酸エチル = 7/1)によって不斉アレンカルボン酸産物(S)-2h(0.1013 g, 35%)を得たが、固体で、97% eeであった(HPLC条件: AS-Hカラム, ヘキサン/i-PrOH = 90/10, 1.0 mL/min, λ = 214 nm, tR (minor) = 6.2 min, tR (major) = 7.7 min); [α]D 26 = +22.1 (c = 1.00, CHCl3)。融点:125.3~127.5 ℃(溶媒が揮発した後そのまま測定した)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 8.00 (d, J = 8.4 Hz, 2 H, Ar-H), 7.44 (d, J = 8.4 Hz, 2 H, Ar-H), 3.92 (s, 3 H, OCH3), 2.34 (t, J = 7.4 Hz, 2 H, CH2), 2.21 (s, 3 H, CH3), 1.52-1.40 (m, 2 H, CH2), 1.40-1.28 (m, 2 H, CH2), 0.88 (t, J = 7.4 Hz, 3 H, CH3); 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ = 213.1, 172.4, 166.8, 139.9, 129.8, 129.0, 125.9, 104.7, 102.3, 52.1, 30.1, 28.2, 22.2, 16.2, 13.8; IR (neat): v= 3250-2400 (br), 1938, 1680, 1423, 1270, 1107 cm-1; MS (70 eV, EI) m/z (%): 289 (M++1, 2.11), 288 (M+, 10.34), 143 (100); Anal. Calcd. for C17H20O4: C 70.81, H 6.99; found C 70.67, H 7.13.
【実施例9】
【0042】
【化16】

操作は実施例1と同様である。PdCl2(0.0035 g, 0.02 mmol)、(R)-L4c(0.0578 g, 0.048 mmol)、PPh3(0.0524 g, 0.2 mmol)、(PhO)2PO2H(0.05 g, 0.2 mmol)、(±)-1i(0.2523 g, 1 mmol)、水(360 μL, d = 1.0 g/mL, 0.36 g, 20 mmol)、トルエン(5mL)を、0 ℃で、18時間反応させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:石油エーテル(60~90 ℃)/エチルエーテル/ジクロロメタン = 30/1/1から10/1/1)によって不斉アレンカルボン酸産物(S)-2i(0.1037 g, 37%)を得たが、固体で、92% eeであった(HPLC条件: AS-Hカラム, ヘキサン/i-PrOH = 95/5, 1.3 mL/min, λ = 214 nm, tR (major) = 4.5 min, tR (minor) = 5.6 min); [α]D 27= -9.2 (c = 1.02, CHCl3)。融点:137.5~138.4 ℃(石油エーテル/酢酸エチル)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 7.94-7.61 (m,4 H, Ar-H),7.62-7.30 (m, 3 H, Ar-H), 2.60-2.08 (m, 5 H, CH3 and CH3), 1.64-1.29 (m, 4 H, 2 x CH2), 0.88 (t, J = 7.0 Hz, 3 H, CH3); 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ = 213.2, 172.6, 133.5, 132.8, 132.4, 128.10, 128.06, 127.6, 126.3, 126.1, 124.8, 124.2, 105.5, 102.1, 30.2, 28.4, 22.3, 16.3, 13.8; IR (neat): v = 3200-2410 (br), 1936,1680, 1412, 1277, 1247cm-1; MS (70 eV, EI)m/z(%): 281 (M++1, 4.05), 280 (M+, 15.75), 193 (100); Anal. Calcd. for C19H20O2: C 81.40, H 7.19; found C 81.45, H 7.20.
【実施例10】
【0043】
【化17】

操作は実施例1と同様である。PdCl2(0.0036 g, 0.02 mmol)、(R)-L4c(0.0571 g, 0.048 mmol)、PPh3(0.0524 g, 0.2 mmol)、(PhO)2PO2H(0.05 g, 0.2 mmol)、(±)-1j(0.2086 g, 1 mmol)、水(360 μL, d = 1.0 g/mL, 0.36 g, 20 mmol)、トルエン(5mL)を、-5 ℃で、18時間反応させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:石油エーテル(60~90 ℃)/エチルエーテル/ジクロロメタン = 30/1/1,石油エーテル(60~90 ℃)/酢酸エチル = 8/1)によって不斉アレンカルボン酸産物(S)-2j(0.1037 g, 37%)を得たが、固体で、92% eeであった(HPLC条件: AS-Hカラム, ヘキサン/i-PrOH = 98/2, 1.0 mL/min, λ = 214 nm, tR (major) = 10.5 min, tR (minor) = 13.2 min); [α]D 27 = +11.5 (c = 1.00, CHCl3)。融点:82.6~83.8 ℃(溶媒が揮発した後そのまま測定した)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 7.28 (d, J= 4.8 Hz, 1 H, チエニル由来のプロトン),7.16 (d, J= 2.8 Hz, 1 H, チエニル由来のプロトン), 7.04 (d, J= 4.8 Hz, 1 H, チエニル由来のプロトン), 2.31 (t, J= 7.6 Hz, 2 H, CH2), 2.17 (s, 3 H, CH3), 1.52-1.41 (m, 2 H, CH2), 1.40-1.29 (m, 2 H, CH2), 0.88 (t, J = 7.2 Hz, 3 H, CH3); 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ = 212.8, 172.3, 136.5, 126.3, 125.9, 120.6,101.4, 101.3, 30.2, 28.4, 22.3, 16.7, 13.8; IR (neat): v = 3200-2410 (br), 1936, 1673, 1417, 1279, 1079 cm-1; MS (70 eV, EI) m/z(%): 237 (M++1, 1.29), 236 (M+, 7.96), 149 (100); Anal. Calcd. for C13H16O2S: C 66.07, H 6.82; found C 65.93, H 6.70.
【実施例11】
【0044】
【化18】

操作は実施例1と同様である。PdCl2(0.0036 g, 0.02 mmol)、(R)-L4c(0.057 g, 0.048 mmol)、PPh3(0.0524 g, 0.2 mmol)、(PhO)2PO2H(0.0501 g, 0.2 mmol)、(±)-1k(0.1831 g, 1 mmol)、水(360 μL, d = 1.0 g/mL, 0.36 g, 20 mmol)、トルエン(5mL)を、0 ℃で、18時間反応させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:石油エーテル(60~90 ℃)/エチルエーテル/ジクロロメタン = 30/1/1,石油エーテル(60~90 ℃)/酢酸エチル = 8/1)によって不斉アレンカルボン酸産物(S)-2k(0.076 g, 36%)を得たが、油状物で、99% eeであった(HPLC条件: AD-Hカラム, ヘキサン/i-PrOH = 98/2, 1.0 mL/min, λ = 214 nm,tR (minor) = 6.9 min, tR (major) = 7.4 min); [α]D 27 = +38.5 (c = 1.36, CHCl3); 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 2.25-2.13 (m, 2 H, CH2), 1.77 (s, 3 H, CH3), 1.45-1.29 (m, 4 H, 2 x CH2), 1.10 (s, 9 H, 3 x CH3), 0.90 (t, J = 7.2 Hz, 3 H, CH3); 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ = 208.0, 173.9, 113.0, 99.4, 34.2, 30.3, 28.8, 28.0, 22.3, 14.0, 13.9; IR (neat): v = 3210-2400 (br), 1946, 1669, 1412, 1274, 1240, 1114 cm-1; MS (ESI)m/z: 211 (M+H+); HRMS calcd for C13H23O2 [M+H+]: 211.1693, found: 211.1692.
【実施例12】
【0045】
【化19】

操作は実施例1と同様である。PdCl2(0.0036 g, 0.02 mmol)、(R)-L4c(0.0569 g, 0.048 mmol)、PPh3(0.0526 g, 0.2 mmol)、(PhO)2PO2H(0.0495 g, 0.2 mmol)、(±)-1l(0.2175 g, 1 mmol)、水(360 μL, d = 1.0 g/mL, 0.36 g, 20 mmol)、トルエン(5mL)を、0 ℃で、18時間反応させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:石油エーテル(60~90 ℃)/エチルエーテル/ジクロロメタン = 30/1/1,石油エーテル(60~90 ℃)/酢酸エチル = 8/1)によって不斉アレンカルボン酸産物(S)-2l(0.0984g, 40%)を得たが、固体で、93% eeであった(HPLC条件: AS-Hカラム, ヘキサン/i-PrOH = 98/2, 1.0 mL/min, λ = 214 nm, tR (major) = 7.4 min, tR (minor) = 11.5 min); [α]D 27 = +11.2 (c = 1.00, CHCl3)。融点:93.2~93.6 ℃(溶媒が揮発した後そのまま測定した)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 7.45-7.29 (m, 4 H, Ar-H),7.29-7.20 (m, 1 H, Ar-H), 2.32 (t, J = 7.6 Hz, 2 H, CH2), 2.19 (s, 3 H, CH3), 1.58-1.38 (m, 2 H, CH2), 1.36-1.16 (m, 4 H, 2 x CH2), 0.84 (t, J = 6.6 Hz, 3 H, CH3); 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ = 212.6, 173.1, 135.0, 128.5, 127.5, 126.0, 105.1, 101.8, 31.3, 28.5, 27.7, 22.4, 16.3, 14.0; IR (neat): v = 3200-2410 (br), 1937, 1675, 1413, 1275, 1064, 1023 cm-1; MS (70 eV, EI) m/z (%): 244 (M+, 3.21), 143 (100); Anal. Calcd. for C16H20O2: C 78.65, H 8.25; found C 78.68, H 8.38.
【実施例13】
【0046】
【化20】

操作は実施例1と同様である。PdCl2(0.0037 g, 0.02 mmol)、(R)-L4c(0.057 g, 0.048 mmol)、PPh3(0.0524 g, 0.2 mmol)、(PhO)2PO2H(0.0501 g, 0.2 mmol)、(±)-1m(0.2298 g, 1 mmol)、水(360 μL, d = 1.0 g/mL, 0.36 g, 20 mmol)、トルエン(5mL)を、0 ℃で、18時間反応させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:石油エーテル(60~90 ℃)/エチルエーテル/ジクロロメタン = 30/1/1,石油エーテル(60~90 ℃)/酢酸エチル = 8/1)によって不斉アレンカルボン酸産物(S)-2m(0.1081 g, 42%)を得たが、固体で、90% eeであった(HPLC条件: AS-Hカラム, ヘキサン/i-PrOH = 98/2, 1.0 mL/min, λ = 214 nm, tR (major) = 6.6 min, tR (minor) = 9.4 min); [α]D 26 = +7.4 (c = 1.20, CHCl3)。融点:76.9~78.1 ℃(溶媒が揮発した後そのまま測定した)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 7.46-7.30 (m, 4 H, Ar-H),7.30-7.21 (m, 1 H, Ar-H), 2.32 (t, J = 7.4 Hz, 2 H, CH2), 2.19 (s, 3 H, CH3), 1.53-1.41 (m, 2 H, CH2), 1.38-1.11 (m, 6 H, 3 x CH2), 0.84 (t, J = 6.4 Hz, 3 H, CH3); 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ = 212.6, 173.0, 135.0, 128.5, 127.5, 126.1, 105.2, 101.8, 31.6, 28.8, 28.6, 28.0, 22.6, 16.3, 14.0; IR (neat): v= 3250-2410 (br), 1936, 1679, 1417, 1272, 1026 cm-1; MS (70 eV, EI) m/z (%): 258 (M+, 3.96), 143 (100); Anal. Calcd. for C17H22O2: C 79.03, H 8.58; found C 78.86, H 8.62.
【実施例14】
【0047】
【化21】

操作は実施例1と同様である。PdCl2(0.0037 g, 0.02 mmol)、(R)-L4c(0.0567 g, 0.048 mmol)、PPh3(0.0526 g, 0.2 mmol)、(PhO)2PO2H(0.0501 g, 0.2 mmol)、(±)-1n(0.2578 g, 1 mmol)、水(360 μL, d = 1.0 g/mL, 0.36 g, 20 mmol)、トルエン(5mL)を、0 ℃で、18時間反応させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:石油エーテル(60~90 ℃)/エチルエーテル/ジクロロメタン = 30/1/1,石油エーテル(60~90 ℃)/酢酸エチル = 8/1)によって不斉アレンカルボン酸産物(S)-2n(0.1144 g, 40%)を得たが、油状物で、98% eeであった(HPLC条件: AS-Hカラム, ヘキサン/i-PrOH = 98/2, 1.0 mL/min, λ = 214 nm,tR (major) = 6.0 min, tR (minor) = 9.0 min); [α]D 27 = +69.4 (c = 1.34, CHCl3); 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 7.29-7.22 (m, 1 H, Ar-H), 7.20-7.12 (m, 3 H, Ar-H), 2.40 (s, 3 H, CH3), 2.35-2.15 (m, 2 H, CH2), 2.13 (s, 3 H, CH3), 1.54-1.41 (m, 2 H, CH2), 1.35-1.15 (m, 8 H, 4 x CH2), 0.87 (t, J = 6.8 Hz, 3 H, CH3); 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ = 210.2, 173.8, 136.2, 136.0, 130.6, 127.9, 127.5, 125.9, 104.5, 98.9, 31.8, 29.11, 29.05, 28.3, 28.0, 22.6, 20.4, 19.9, 14.1; IR (neat): v = 3220-2410 (br), 1948, 1675, 1414, 1274, 1043 cm-1; MS (70 eV, EI) m/z (%): 287 (M++1, 2.48), 286 (M+, 11.23), 143 (100); HRMS calcd for C19H26O2[M +]: 286.1933, found: 286.1930.
【実施例15】
【0048】
【化22】

操作は実施例1と同様である。PdCl2(0.0037 g, 0.02 mmol)、(R)-L4c(0.0569 g, 0.048 mmol)、PPh3(0.0525 g, 0.2 mmol)、(PhO)2PO2H(0.05 g, 0.2 mmol)、(±)-1o(0.2922 g, 1 mmol)、水(360 μL, d = 1.0 g/mL, 0.36 g, 20 mmol)、トルエン(5mL)を、0 ℃で、18時間反応させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:石油エーテル(60~90 ℃)/エチルエーテル/ジクロロメタン = 30/1/1,石油エーテル(60~90 ℃)/酢酸エチル = 8/1)によって不斉アレンカルボン酸産物(S)-2o(0.1315 g, 41%)を得たが、固体で、94% eeであった(HPLC条件: AS-Hカラム, ヘキサン/i-PrOH = 98/2, 1.0 mL/min, λ = 214 nm, tR (major) = 6.0 min, tR (minor) = 7.8 min); [α]D 27 = +30.1 (c = 1.27, CHCl3)。融点:89.2~90.6 ℃(溶媒が揮発した後そのまま測定した)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 7.30 (s,4 H, Ar-H), 2.31 (t, J = 7.6 Hz, 2 H, CH2), 2.17 (s, 3 H, CH3), 1.49-1.40 (m, 2 H, CH2), 1.34-1.15 (m, 10 H, 5 x CH2), 0.86 (t, J = 7.0 Hz, 3 H, CH3); 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ = 212.5, 173.0, 133.6, 133.4, 128.6, 127.3, 104.4, 102.2, 31.8, 29.3, 29.2, 29.1, 28.5, 28.0, 22.6, 16.2, 14.0; IR (neat): v = 3200-2410 (br), 1938, 1675, 1415, 1274, 1091 cm-1; MS (70 eV, EI) m/z (%): 322 (M+(37Cl), 1.34), 320 (M+(35Cl), 3.62), 177 (100); Anal. Calcd. for C19H25ClO2: C 71.12, H 7.85; found C 71.18, H 7.87.
【実施例16】
【0049】
【化23】

操作は実施例1と同様である。PdCl2(0.0037 g, 0.02 mmol)、(R)-L4c(0.0566 g, 0.048 mmol)、PPh3(0.0527 g, 0.2 mmol)、(PhO)2PO2H(0.0501 g, 0.2 mmol)、(±)-1p(0.2504 g, 1 mmol)、水(360 μL, d = 1.0 g/mL, 0.36 g, 20 mmol)、トルエン(5mL)を、0 ℃で、18時間反応させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:石油エーテル(60~90 ℃)/エチルエーテル/ジクロロメタン = 30/1/1,石油エーテル(60~90 ℃)/酢酸エチル = 10/1)によって不斉アレンカルボン酸産物(S)-2p(0.0834 g, 30%)を得たが、固体で、94% eeであった(HPLC条件: AS-Hカラム, ヘキサン/i-PrOH = 98/2, 1.0 mL/min, λ = 214 nm, tR (major) = 13.7 min, tR (minor) = 24.1 min); [α]D 25 = -23.3 (c = 1.00, CHCl3)。融点:87.4~89.1 ℃(溶媒が揮発した後そのまま測定した)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 7.33-7.20 (m,7 H, Ar-H),7.19-7.12 (m, 3 H, Ar-H), 2.83 (t, J = 7.6 Hz, 2 H, CH3), 2.76-2.57 (m, 2 H, CH2), 2.02 (s, 3 H, CH3); 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ = 212.9, 172.6,141.1, 134.7, 128.5, 128.3, 127.6, 126.1,125.9, 105.5, 100.7, 34.1, 30.3,16.1; IR (neat): v = 3200-2410 (br), 1934, 1676, 1417, 1279, 1253, 1065 cm-1; MS (70 eV, EI)m/z (%): 279 (M++1, 1.97), 278 (M+, 9.71), 91 (100); Anal. Calcd. for C19H18O2: C 81.99, H 6.52; found C 82.12, H 6.39.
【実施例17】
【0050】
【化24】

操作は実施例1と同様である。PdCl2(0.0037 g, 0.02 mmol)、(R)-L4c(0.0571 g, 0.048 mmol)、PPh3(0.0525 g, 0.2 mmol)、(PhO)2PO2H(0.0375 g, 0.15 mmol)、(±)-1q(0.2356 g, 1 mmol)、水(360 μL, d = 1.0 g/mL, 0.36 g, 20 mmol)、トルエン(5mL)を、0 ℃で、18時間反応させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:石油エーテル(60~90 ℃)/エチルエーテル/ジクロロメタン = 30/1/1,石油エーテル(60~90 ℃)/酢酸エチル = 10/1)によって不斉アレンカルボン酸産物(S)-2q(0.0871 g, 33%)を得たが、固体で、91% eeであった(HPLC条件: AS-Hカラム, ヘキサン/i-PrOH = 95/5, 1.3 mL/min, λ = 214 nm, tR (major) = 5.8 min, tR (minor) = 7.4 min); [α]D 27 = -4.1 (c = 1.00, CHCl3)。融点:70.7~72.7 ℃(溶媒が揮発した後そのまま測定した)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 7.45-7.30 (m, 4 H, Ar-H),7.30-7.22 (m, 1 H, Ar-H), 3.50 (t,J = 6.6 Hz, 2 H, CH2), 2.36 (t, J = 7.6 Hz, 2 H, CH2), 2.20 (s, 3H, CH3), 1.87-1.73 (m, 2H, CH2), 1.72-1.55 (m, 2 H, CH2); 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ = 212.6, 172.8, 134.7, 128.6, 127.7, 126.1, 105.7, 101.1, 44.6, 32.0, 27.8, 25.3, 16.3;IR (neat): v = 3300-2300 (br), 1933, 1672, 1418, 1272, 1101, 1059, 1015 cm-1; MS (70 eV, EI) m/z (%): 266 (M+(37Cl), 2.35), 264 (M+(35Cl), 7.78), 143 (100); Anal. Calcd. for C15H17ClO2: C 68.05, H 6.47; found C 67.77, H 6.59.
【実施例18】
【0051】
【化25】

操作は実施例1と同様である。PdCl2(0.0037 g, 0.02 mmol)、(R)-L4c(0.057 g, 0.048 mmol)、PPh3(0.0526 g, 0.2 mmol)、(PhO)2PO2H(0.0501 g, 0.2 mmol)、(±)-1r(0.2166 g, 1 mmol)、水(360 μL, d = 1.0 g/mL, 0.36 g, 20 mmol)、トルエン(5mL)を、-5 ℃で、18時間反応させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:石油エーテル(60~90 ℃)/エチルエーテル/ジクロロメタン = 30/1/1,石油エーテル(60~90 ℃)/酢酸エチル = 10/1)によって不斉アレンカルボン酸産物(S)-2r(0.0808 g, 33%)を得たが、固体で、93% eeであった(HPLC条件: AS-Hカラム, ヘキサン/i-PrOH = 98/2, 1.0 mL/min, λ = 214 nm, tR (major) = 7.1 min, tR (minor) = 9.0 min); [α]D 27 = +5.5 (c = 1.10, CHCl3)。融点:75.2~76.7 ℃(溶媒が揮発した後そのまま測定した)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 7.47-7.28 (m, 4 H, Ar-H),7.28-7.18 (m, 1 H, Ar-H), 2.33 (t, J = 7.8 Hz, 2 H, CH3), 2.18 (s, 3 H, CH3), 1.65-1.51 (m, 1 H, CH),1.43-1.29 (m, 2 H, CH2), 0.87 (t, J = 6.2 Hz, 6 H, 2 x CH3); 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ = 212.5, 173.1,135.0, 128.5, 127.6, 126.0, 105.2, 102.0, 37.1, 27.6, 26.6, 22.44, 22.40, 16.3; IR (neat): v = 3250-2410 (br), 1936, 1674, 1467, 1418, 1279, 1256, 1066 cm-1; MS (70 eV, EI) m/z (%): 244 (M+, 2.72), 143 (100); Anal. Calcd. for C16H20O2: C 78.65, H 8.25; found C 78.54, H 8.32.
【実施例19】
【0052】
【化26】

操作は実施例1と同様である。PdCl2(0.0036 g, 0.02 mmol)、(R)-L4c(0.0569 g, 0.048 mmol)、PPh3(0.0525 g, 0.2 mmol)、(PhO)2PO2H(0.075 g, 0.3 mmol)、(±)-1s(0.2133 g, 1 mmol)、水(360 μL, d = 1.0 g/mL, 0.36 g, 20 mmol)、トルエン(5mL)を、0 ℃で、18時間反応させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:石油エーテル(60~90 ℃)/酢酸エチル = 10/1から5/1)によって不斉アレンカルボン酸産物(S)-2s(0.0702 g, 29%)を得たが、固体で、93% eeであった(HPLC条件: AS-Hカラム, ヘキサン/i-PrOH = 90/10, 1.3 mL/min, λ = 214 nm, tR (major) = 9.9 min, tR (minor) = 12.3 min); [α]D 25 = +23.7 (c = 1.10, CHCl3)。融点:64.4~65.6 ℃(石油エーテル/エチルエーテルで再結晶した)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 7.39-7.33 (m, 4 H, Ar-H), 7.33-7.27 (m, 1 H, Ar-H), 2.52-2.44 (m, 2 H, CH), 2.35 (t, J= 7.2 Hz, 2 H, CH2), 2.22 (s, 3 H, CH3), 1.89 (quint, J = 7.4 Hz, 2 H, CH2); 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ = 212.4, 171.9, 134.3, 128.7, 128.0, 126.1, 119.2, 106.3, 99.7, 27.7, 23.9, 16.5, 16.3; IR (neat): v = 3400-2650 (br), 2262, 1939, 1697, 1450, 1394, 1216, 1030 cm-1; MS (70 eV, EI)m/z (%): 242 (M++1, 3.44), 241 (M+, 19.06), 143 (100); Anal. Calcd. for C15H15NO2: C 74.67, H 6.27; found C 74.43, H 6.33.
【実施例20】
【0053】
【化27】

操作は実施例1と同様である。PdCl2(0.0036 g, 0.02 mmol)、(R)-L4c(0.0571 g, 0.048 mmol)、PPh3(0.0526 g, 0.2 mmol)、(PhO)2PO2H(0.0502 g, 0.2 mmol)、(±)-1t(0.1867 g, 1 mmol)、水(360 μL, d = 1.0 g/mL, 0.36 g, 20 mmol)、トルエン(5mL)を、0 ℃で、18時間反応させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:石油エーテル(60~90 ℃)/エチルエーテル/ジクロロメタン = 30/1/1,石油エーテル(60~90 ℃)/酢酸エチル = 8/1)によって不斉アレンカルボン酸産物(S)-2t(0.0668 g, 31%)を得たが、固体で、90% eeであった(HPLC条件: AS-Hカラム, ヘキサン/i-PrOH = 98/2, 1.0 mL/min, λ = 214 nm, tR (major) = 10.4 min, tR (minor) = 12.6 min); [α]D 26 = -2.2 (c = 1.00, CHCl3)。融点:94.6~96.1 ℃(溶媒が揮発した後そのまま測定した)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 7.41-7.30 (m, 4 H, Ar-H), 7.29-7.22 (m, 1 H, Ar-H), 5.97-5.74 (m, 1 H, =CH), 5.13 (d, J = 16.8 Hz, 1 H, one proton of =CH2), 5.03 (d, J = 10.0 Hz, 1 H, one proton of =CH2), 3.08 (d, J = 6.8 Hz, 2 H, CH2), 2.19 (s, 3 H, CH3); 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ = 212.9, 172.1, 134.8, 134.7, 128.6, 127.7, 126.1, 116.5, 105.8, 100.2, 33.1, 16.3; IR (neat): v = 3200-2410 (br), 1933, 1677, 1414, 1263, 1065 cm-1; MS (70 eV, EI) m/z(%): 215 (M++1, 5.09), 214 (M+, 16.32), 171 (100); HRMS calcd for C14H14O2 [M+]: 214.0994, found: 214.0995.
【実施例21】
【0054】
【化28】

操作は実施例1と同様である。PdCl2(0.0036 g, 0.02 mmol)、(R)-L4c(0.057 g, 0.048 mmol)、PPh3(0.0524 g, 0.2 mmol)、(PhO)2PO2H(0.0501 g, 0.2 mmol)、(±)-1u(0.2672 g, 1 mmol)、水(360 μL, d = 1.0 g/mL, 0.36 g, 20 mmol)、トルエン(5mL)を、0 ℃で、18時間反応させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:石油エーテル(60~90 ℃)/エチルエーテル/ジクロロメタン = 30/1/1,石油エーテル(60~90 ℃)/酢酸エチル = 8/1)によって不斉アレンカルボン酸産物(S)-2u(0.0947 g, 32%)を得たが、固体で、>99% eeであった(HPLC条件: AS-Hカラム, ヘキサン/i-PrOH = 98/2, 0.8 mL/min, λ = 214 nm, tR (major) = 13.6 min); [α]D26 = +84.6 (c = 1.32, CHCl3)。融点:119.2~120.9 ℃(石油エーテル/ジクロロメタン)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 7.46 (d, J = 8.8 Hz, 2 H, Ar-H), 7.25 (d, J = 8.4 Hz, 2 H, Ar-H), 2.80 (heptet, J = 6.8 Hz, 1 H, CH), 2.18 (s, 3 H, CH3), 1.09 (d, J = 6.8 Hz, 6 H, 2 x CH3); 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ = 211.3, 172.4, 134.0, 131.7, 127.4, 121.5, 109.0, 105.8, 28.2, 22.1, 22.1, 16.2; IR (neat): v = 3200-2410 (br), 1938, 1673, 1484, 1412, 1271, 1074 cm-1; MS (70 eV, EI)m/z (%): 296 (M+(81Br), 63.64), 294 (M+(79Br), 63.57), 155 (100); HRMS calcd for C14H15 79BrO2[M +]: 294.0255, found: 294.0256.
【実施例22】
【0055】
【化29】

操作は実施例1と同様である。PdCl2(0.0036 g, 0.02 mmol)、(R)-L4c(0.057 g, 0.048 mmol)、PPh3(0.0526 g, 0.2 mmol)、(PhO)2PO2H(0.05 g, 0.2 mmol)、(±)-1v(0.2165 g, 1 mmol)、水(360 μL, d = 1.0 g/mL, 0.36 g, 20 mmol)、トルエン(5mL)を、0 ℃で、18時間反応させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:石油エーテル(60~90 ℃)/エチルエーテル/ジクロロメタン = 30/1/1,石油エーテル(60~90 ℃)/酢酸エチル = 8/1)によって不斉アレンカルボン酸産物(S)-2v(0.1004 g, 41%)を得たが、油状物で、94% eeであった(HPLC条件: AS-Hカラム, ヘキサン/i-PrOH = 98/2, 1.0 mL/min, λ = 214 nm,tR (major) = 6.3 min, tR (minor) = 8.8 min); [α]D 28 = +103.4 (c = 1.10, CHCl3); 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 7.29-7.08 (m, 4 H, Ar-H), 2.50-2.32 (m, 5 H, CH2 and CH3), 2.32-2.12 (m, 2 H, CH2), 1.60-1.42 (m, 2 H, CH2), 1.11 (t, J = 7.4 Hz, 3 H, CH3), 0.93 (t, J = 7.4 Hz, 3 H, CH3); 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ = 209.2, 174.1, 136.02, 135.97, 130.4, 128.4, 127.5, 125.8, 111.2, 100.6, 30.5, 27.1, 21.4, 20.0, 13.8, 12.2; IR (neat): v = 3200-2410 (br), 1948, 1674, 1414, 1270, 1130 cm-1; MS (70 eV, EI) m/z (%): 245 (M++1, 12.45), 244 (M+, 69.97), 229 (100); HRMS calcd for C16H20O2[M+]: 244.1458, found: 244.1455.
【実施例23】
【0056】
【化30】

操作は実施例1と同様である。PdCl2(0.0037 g, 0.02 mmol)、(R)-L4c(0.0571 g, 0.048 mmol)、PPh3(0.0525 g, 0.2 mmol)、(PhO)2PO2H(0.05 g, 0.2 mmol)、(±)-1w(0.229 g, 1 mmol)、水(360 μL, d = 1.0 g/mL, 0.36 g, 20 mmol)、トルエン(5mL)を、0 ℃で、18時間反応させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:石油エーテル(60~90 ℃)/エチルエーテル/ジクロロメタン = 30/1/1,石油エーテル(60~90 ℃)/酢酸エチル = 8/1)によって不斉アレンカルボン酸産物(S)-2w(0.0723 g, 28%)を得たが、油状物で、92% eeであった(HPLC条件: AS-Hカラム, ヘキサン/i-PrOH = 98/2, 1.0 mL/min, λ = 214 nm,tR (major) = 5.6 min, tR (minor) = 7.7 min); [α]D 27 = +86.2 (c = 1.10, CHCl3); 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 7.26-7.20 (m, 1 H, Ar-H), 7.20-7.11 (m, 3 H, Ar-H), 2.50-2.15 (m, 7 H, 2 x CH2and CH3), 1.54-1.40 (m, 2 H, CH2), 1.40-1.28 (m, 2 H, CH2), 1.12 (t, J = 7.4 Hz, 3 H, CH3), 0.90 (t, J = 7.2 Hz, 3 H, CH3); 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ = 209.1, 174.1, 136.01, 135.96, 130.4, 128.4, 127.5, 125.8, 111.2, 100.7, 30.3, 28.0, 27.1, 22.3, 20.0, 13.8, 12.2; IR (neat): v = 3200-2400 (br), 1949, 1675, 1414, 1275, 1086 cm-1; MS (70 eV, EI) m/z (%): 259 (M++1, 6.05), 258 (M+, 32.38), 129 (100); HRMS calcd for C17H22O2[M+]: 258.1620, found: 258.1623.
【実施例24】
【0057】
【化31】

操作は実施例1と同様である。PdCl2(0.0036 g, 0.02 mmol)、(R)-L4c(0.057 g, 0.048 mmol)、PPh3(0.0527 g, 0.2 mmol)、(PhO)2PO2H(0.0501 g, 0.2 mmol)、(±)-1x(0.2287 g, 1 mmol)、水(360 μL, d = 1.0 g/mL, 0.36 g, 20 mmol)、トルエン(5mL)を、-5 ℃で、18時間反応させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:石油エーテル(60~90 ℃)/エチルエーテル/ジクロロメタン = 30/1/1,石油エーテル(60~90 ℃)/酢酸エチル = 8/1)によって不斉アレンカルボン酸産物(S)-2x(0.0928 g, 36%)を得たが、固体で、90% eeであった(HPLC条件: AS-Hカラム, ヘキサン/i-PrOH = 98/2, 1.0 mL/min, λ = 214 nm, tR (major) = 9.2 min, tR(minor) = 11.2 min)。融点:107.7~108.6 ℃(溶媒が揮発した後そのまま測定した)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 7.39-7.29 (m, 1 H, Ar-H), 7.17-7.05 (m, 3 H, Ar-H), 2.82 (t, J = 6.2 Hz, 2 H, CH2), 2.72-2.56 (m, 2 H, CH2), 2.33 (t, J = 7.4 Hz, 2 H, CH2), 2.20-1.83 (m, 2 H, CH2), 1.52-1.41 (m, 2 H, CH2), 1.41-1.28 (m, 2 H, CH2), 0.88 (t, J = 7.4 Hz, 3 H, CH3); 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ = 210.5, 173.0, 136.8, 129.4, 129.3, 127.5, 127.3, 126.2, 106.2, 102.8, 30.2, 29.8, 28.4,28.0, 22.7, 22.3, 13.8; IR (neat): v = 3200-2400, 1931, 1670, 1418, 1279 cm-1; MS (70 eV, EI) m/z (%): 257 (M++1, 1.91), 256 (M+, 8.77), 169 (100); Anal. Calcd. for C17H20O2: C 79.65, H 7.86; found C 79.16, H 7.83.
【実施例25】
【0058】
【化32】

一つの乾燥したシュレンク反応瓶に順にPdCl2(0.0356 g, 0.2 mmol)、不斉ジホスフィン配位子(R)-L4c(0.5776 g, 0.48 mmol)、モノホスフィン配位子PPh3(0.5242 g, 2 mmol)、および(PhO)2PO2H(0.5006 g, 2 mmol)を入れた。反応管をゴム栓で封じた後、真空ポンプに繋げ、アルゴンガスの雰囲気においてアルゴンガスで30回置換し、アルゴンガス保護雰囲気において、第三級プロパルギルアルコール(±)-1a (2.0240 g, 10 mmol)、トルエン(30 mL)、水 3.6041 g, 200 mmol)、トルエン(20 mL)を入れた。アルゴンガスを停止した後、反応管を液体窒素浴に置いて15分間凍結させ、一酸化炭素バルーン(約2リットル)を連結し、一酸化炭素雰囲気において一酸化炭素で3回置換した後、液体窒素浴を撤去し、反応系が室温に戻って液体に溶解した後、反応管を事前にセットした0℃低温浴に置き、18時間撹拌した。反応管を低温浴から引き上げ、室温に戻った後、H2O2(400 μL, d = 1.13 g/mL, 30 wt.%水溶液, 0.135 g, 4 mmol)を入れ、室温で30分間撹拌した後、酢酸エチル(50 mL)を入れて反応液を希釈し、得られた混合液をシリカゲル短カラム(3cm)でろ過し、そして酢酸エチル(100 mL)で洗浄した後、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:石油エーテル(60~90 ℃)/エチルエーテル/ジクロロメタン = 30/1/1,石油エーテル(60~90 ℃)/酢酸エチル = 8/1)によって不斉アレンカルボン酸産物(S)-2a(0.8259 g, 37%)および(S)-1a(1.0516 g, 52%)を得た。
(S)-2a: 93% ee (HPLC条件: AS-Hカラム, ヘキサン/i-PrOH = 98/2, 1.0 mL/min, λ = 214 nm, tR(major) = 8.5 min, tR(minor) = 10.7 min). 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 7.45-7.29 (m, 4 H, Ar-H), 7.29-7.17 (m, 1 H, Ar-H), 2.32 (t, J = 7.4 Hz, 2 H, CH2), 2.19 (s, 3 H, CH3), 1.54-1.40 (m, 2 H, CH2), 1.40-1.27 (m, 2 H, CH2), 0.88 (t, J = 7.4 Hz, 3 H, CH3); 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ = 212.5, 172.8, 135.0, 128.5, 127.5, 126.1, 105.2, 101.8, 30.2, 28.3, 22.3, 16.3, 13.8.
(S)-1a: 63% ee (HPLC条件: AS-Hカラム, ヘキサン/i-PrOH = 98/2, 1.0 mL/min, λ = 214 nm, tR(minor) = 7.2 min, tR(major) = 11.9 min). 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 7.64 (d, J = 7.2 Hz, 2 H, Ar-H), 7.32 (t, J = 7.6 Hz, 2 H, Ar-H), 7.28-7.20 (m, 1 H, Ar-H), 2.64 (s, 1 H, OH), 2.25 (t, J= 7.0 Hz, 2 H, CH2), 1.72 (s, 3 H, CH3), 1.58-1.48 (m, 2 H, CH2), 1.48-1.34 (m, 2 H, CH2), 0.91 (t,J = 7.2 Hz, 3 H, CH3).
【0059】
操作は実施例25と同様である。PdCl2(0.0177g, 0.1 mmol)、(S)-L4c(0.2896 g, 0.24 mmol)、PPh3(0.2624 g, 1 mmol)、(PhO)2PO2H(0.2501 g, 1 mmol)、(S)-1a(1.0109 g, 5 mmol)、水(1.8052 g, 100 mmol)、トルエン(25 mL)を、0 ℃で、18時間反応させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:石油エーテル(60~90 ℃)/エチルエーテル/ジクロロメタン = 30/1/1,石油エーテル(60~90 ℃)/酢酸エチル = 8/1)によって不斉アレンカルボン酸産物(R)-2a(0.8172 g, 71%)を得たが、固体で、98% eeであった(HPLC条件: AS-Hカラム, ヘキサン/i-PrOH = 98/2, 1.0 mL/min, λ = 214 nm, tR (minor) = 8.1 min, tR (major) = 9.8 min); [α]D 28= -26.2 (c = 0.90, CHCl3)。融点:92.2~93.3 ℃(溶媒が揮発した後そのまま測定した)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 7.44-7.29 (m, 4 H, Ar-H), 7.29-7.20 (m, 1 H, Ar-H), 2.32 (t, J = 7.6 Hz, 2 H, CH2), 2.19 (s, 3 H, CH3), 1.54-1.41 (m, 2 H, CH2), 1.41-1.26 (m, 2 H, CH2), 0.88 (t, J = 7.4 Hz, 3 H, CH3); 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ = 212.5, 172.8, 135.0, 128.5, 127.6, 126.1, 105.2, 101.8, 30.2, 28.3, 22.3, 16.3, 13.8; IR (neat): v = 3200-2410 (br), 1936, 1678, 1446, 1280, 1066 cm-1; MS (70 eV, EI) m/z (%): 230 (M+, 2.74), 143 (100); HRMS calcd for C15H18O2 [M+]: 230.1301, found: 230.1295.
【実施例26】
【0060】
【化33】

操作は実施例25と同様である。PdCl2(0.0358 g, 0.2 mmol)、(R)-L4c(0.5779 g, 0.48 mmol)、PPh3(0.5253 g, 2 mmol)、(PhO)2PO2H(0.5005 g, 2 mmol)、(±)-1f(2.3685 g, 10 mmol)、水(3.6031 g, 200 mmol)、トルエン(50 mL)を、0 ℃で、24時間反応させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:石油エーテル(60~90 ℃)/エチルエーテル/ジクロロメタン = 30/1/1,石油エーテル(60~90 ℃)/酢酸エチル = 5/1)によって不斉アレンカルボン酸産物(S)-2f(1.0946 g, 41%)および(S)-1f(1.2385 g, 52%)を得た。
(S)-2f: 95% ee (HPLC条件: AS-Hカラム, ヘキサン/i-PrOH = 98/2, 1.0 mL/min, λ = 214 nm, tR(major) = 8.6 min, tR(minor) = 9.6 min). 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 7.29 (s, 4 H, Ar-H), 2.32 (t, J = 7.6 Hz, 2 H, CH2), 2.16 (s, 3 H, CH3), 1.50-1.40 (m, 2 H, CH2), 1.40-1.28 (m, 2 H, CH2), 0.87 (t, J= 7.2 Hz, 3 H, CH3); 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ = 212.5, 172.9, 133.6, 133.4, 128.7, 127.3, 104.4, 102.2, 30.2, 28.2, 22.2, 16.3, 13.8.
(S)-1f: 75% ee (HPLC条件: AS-Hカラム, ヘキサン/i-PrOH = 98/2, 1.0 mL/min, λ = 214 nm, tR(minor) = 7.3 min, tR(major) = 10.1 min). 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 7.58 (d, J = 8.4 Hz, 2 H, Ar-H), 7.31 (d, J = 8.4 Hz, 2 H, Ar-H), 2.33-2.20 (m, 3 H, CH2 and OH), 1.71 (s, 3 H, CH3), 1.57-1.48 (m, 2 H, CH2), 1.48-1.36 (m, 2 H, CH2), 0.93 (t, J = 7.4 Hz, 3 H, CH3).
【0061】
操作は実施例25と同様である。PdCl2(0.0185 g, 0.1046 mmol)、(S)-L4c(0.3025 g, 0.251 mmol)、PPh3(0.2748 g, 1.046 mmol)、(PhO)2PO2H(0.2621 g, 1.046 mmol)、(S)-1f(1.2385 g, 5.23 mmol)、水(1.8883 g, 104.6 mmol)、トルエン(25 mL)を、0 ℃で、24時間反応させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:石油エーテル(60~90 ℃)/エチルエーテル/ジクロロメタン = 30/1/1,石油エーテル(60~90 ℃)/酢酸エチル = 5/1)によって不斉アレンカルボン酸産物(R)-2f(0.9115 g, 66%)を得たが、固体で、98% eeであった(HPLC条件: AS-Hカラム, ヘキサン/i-PrOH = 98/2, 1.0 mL/min, λ = 214 nm, tR (minor) = 8.9 min, tR (major) = 9.8 min); [α]D 26 = -39.7 (c = 1.00, CHCl3)。融点:108.6~110.0 ℃(溶媒が揮発した後そのまま測定した)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 7.31 (s, 4 H, Ar-H),2.33 (t, J = 7.6 Hz, 2 H, CH2), 2.17 (s, 3 H, CH3), 1.50-1.40 (m, 2 H, CH2), 1.40-1.29 (m, 2 H, CH2), 0.88 (t, J = 7.2 Hz, 3 H, CH3); 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ = 212.5, 172.9, 133.6, 133.4, 128.7, 127.3, 104.4, 102.2, 30.1, 28.2, 22.2, 16.2, 13.8; IR (neat): v = 3200-2410 (br), 1940, 1680, 1416, 1280,1090 cm-1; MS (70 eV, EI) m/z (%): 266 (M+(37Cl), 1.42), 264 (M+(35Cl), 3.93), 177 (100); HRMS calcd for C15H17 35ClO2[M+]: 264.0912, found: 264.0913.
【実施例27】
【0062】
【化34】

操作は実施例25と同様である。PdCl2(0.0357 g, 0.2 mmol)、(R)-L4c(0.5774 g, 0.48 mmol)、PPh3(0.524 g, 2 mmol)、(PhO)2PO2H(0.7505 g, 3 mmol)、(±)-1k(1.8235 g, 10 mmol)、水(3.6009 g, 200 mmol)、トルエン(50 mL)を、0 ℃で、18時間反応させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:石油エーテル(60~90 ℃)/エチルエーテル/ジクロロメタン = 30/1/1,石油エーテル(60~90 ℃)/酢酸エチル = 8/1)によって不斉アレンカルボン酸産物(S)-2k(0.9668 g, 46%)および(S)-1k(0.7841 g, 43%)を得た。
(S)-2k: 融点: 42.0-44.3 ℃(石油エーテル/ジクロロメタンで再結晶した); >99% ee (HPLC条件: AD-Hカラム, ヘキサン/i-PrOH = 98/2, 1.0 mL/min, λ = 214 nm, tR (major) = 7.4 min). 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 2.27-2.10 (m, 2 H, CH2), 1.77 (s, 3 H, CH3),1.47-1.28 (m, 4 H, 2 x CH2), 1.10 (s, 9 H, 3 x CH3), 0.90 (t, J= 7.0 Hz, 3 H, CH3); 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ = 208.2, 174.5, 112.8, 99.4,34.2, 30.3, 28.8, 28.0, 22.3, 14.0, 13.9.
(S)-1k: >99% ee (HPLC条件: ICカラム, ヘキサン/i-PrOH = 98/2, 1.0 mL/min, λ = 214 nm, tR(major) = 4.7 min). 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 2.20 (t, J = 6.8 Hz, 2 H, CH2), 1.78 (s, 1 H, OH), 1.55-1.34 (m, 7 H, 2 x CH2 and CH3), 1.03 (s, 9 H, 3 x CH3), 0.91 (t,J= 7.2 Hz, 3 H, CH3).
操作は実施例25と同様である。PdCl2(0.0152 g, 0.086 mmol)、(S)-L4c(0.2489 g, 0.2064 mmol)、PPh3(0.2253 g, 0.86 mmol)、(PhO)2PO2H(0.3226 g, 1.29 mmol)、(S)-1k(0.7841 g, 4.3 mmol)、水(1.5471 g, 86 mmol)、トルエン(21 mL)を、0 ℃で、24時間反応させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:石油エーテル(60~90 ℃)/エチルエーテル/ジクロロメタン = 30/1/1,石油エーテル(60~90 ℃)/酢酸エチル = 8/1)によって不斉アレンカルボン酸産物(R)-2k(0.7248 g, 80%)を得たが、固体で、>99% eeであった(HPLC条件: AD-Hカラム, ヘキサン/i-PrOH = 98/2, 1.0 mL/min, λ = 214 nm, tR (major) = 6.7 min); [α]D27 = -37.4 (c = 1.00, CHCl3)。融点:42.5~44.2 ℃(石油エーテル/ジクロロメタンで再結晶した)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 2.26-2.10 (m, 2 H, CH2), 1.77 (s, 3 H, CH3), 1.48-1.28 (m, 4 H, 2 x CH2), 1.10 (s, 9 H, 3 x CH3), 0.91 (t, J = 7.0 Hz, 3 H, CH3); 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ = 208.1, 174.5, 112.8, 99.4,34.2, 30.3, 28.8, 28.0, 22.3, 14.0, 13.9; IR (neat): v = 3210-2410 (br), 1947, 1669, 1413, 1276, 1241, 1113 cm-1; MS (ESI) m/z: 211 (M+H+); HRMS calcd for C13H23O2[M+H+]: 211.1693, found: 211.1697.
【実施例28】
【0063】
【化35】

操作は実施例25と同様である。PdCl2(0.03576 g, 0.2 mmol)、(R)-L4c(0.5779 g, 0.48 mmol)、PPh3(0.5247 g, 2 mmol)、(PhO)2PO2H(0.5006 g, 2 mmol)、(±)-1v(2.1625 g, 10 mmol)、水(3.6017 g, 200 mmol)、トルエン(50 mL)を、0 ℃で、18時間反応させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:石油エーテル(60~90 ℃)/エチルエーテル/ジクロロメタン = 30/1/1,石油エーテル(60~90 ℃)/酢酸エチル = 8/1)によって不斉アレンカルボン酸産物(S)-2v(0.9553 g, 39%)および(S)-1v(1.1165 g, 52%)を得た。
(S)-2v: 93% ee (HPLC条件: AS-Hカラム, ヘキサン/i-PrOH = 98/2, 1.0 mL/min, λ = 214 nm, tR(major) = 6.6 min, tR(minor) = 9.2 min). 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 7.27-7.20 (m, 1 H, Ar-H), 7.20-7.11 (m, 3 H, Ar-H), 2.47-2.32 (m, 5 H, CH2 and CH3), 2.32-2.12 (m, 2 H, CH2), 1.58-1.44 (m, 2 H, CH2), 1.11 (t, J = 7.4 Hz, 3 H, CH3), 0.93 (t, J = 7.4 Hz, 3 H, CH3); 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ = 209.2, 174.1, 136.02, 135.97, 130.4, 128.4, 127.5, 125.8, 111.2, 100.6, 30.5, 27.1, 21.4, 20.0, 13.8, 12.2.
(S)-1v (1.1165 g, 52%): 63% ee (HPLC条件: AS-Hカラム, ヘキサン/i-PrOH = 98/2, 1.0 mL/min, λ = 214 nm, tR(minor) = 5.6 min, tR(major) = 7.1 min). 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 7.77-7.68 (m, 1 H, Ar-H), 7.23-7.10 (m, 3 H, Ar-H), 2.58 (s, 3 H, CH3), 2.25 (t, J = 7.0 Hz, 2 H, CH2), 2.21 (s, 1 H, OH), 2.09-1.90 (m, 2 H, CH2), 1.60-1.51 (m, 2 H, CH2), 1.08-0.91 (m, 6 H, 2 x CH3).
【0064】
操作は実施例25と同様である。PdCl2(0.0181 g, 0.1032 mmol)、(S)-L4c(0.2981 g, 0.248 mmol)、PPh3(0.2704 g, 1.032 mmol)、(PhO)2PO2H(0.2581 g, 1.032 mmol)、(S)-1v(1.1165 g, 5.16 mmol)、水(1.8582 g, 103.2 mmol)、トルエン(25.8 mL)を、0 ℃で、18時間反応させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:石油エーテル(60~90 ℃)/エチルエーテル/ジクロロメタン = 30/1/1,石油エーテル(60~90 ℃)/酢酸エチル = 8/1)によって不斉アレンカルボン酸産物(R)-2v(0.8785 g, 70%)を得たが、油状物で、99% eeであった(HPLC条件: AS-Hカラム, ヘキサン/i-PrOH = 98/2, 1.0 mL/min, λ = 214 nm,tR (minor) = 5.6 min, tR (major) = 6.7 min); [α]D 28 = -107.5 (c = 1.00, CHCl3); 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 7.30-7.08 (m, 4 H, Ar-H), 2.48-2.32 (m, 5 H, CH2 and CH3), 2.32-2.10 (m, 2 H, CH2), 1.61-1.49 (m, 2 H, CH2), 1.11 (t, J = 7.2 Hz, 3 H, CH3), 0.93 (t, J = 7.4 Hz, 3 H, CH3); 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ = 209.1, 174.1, 136.01, 135.97, 130.4, 128.4, 127.5, 125.8, 111.2, 100.6,30.5, 27.1, 21.4, 20.0, 13.8, 12.2; IR (neat): v = 3200-2410 (br), 1949, 1675, 1414, 1268, 1121 cm-1; MS (70 eV, EI) m/z (%):245 (M++1, 9.12), 244 (M+, 45.59), 129 (100); HRMS calcd for C16H20O2[M+]: 244.1458, found: 244.1454.
【実施例29】
【0065】
【化36】

操作は実施例25と同様である。PdCl2(0.1779 g, 1.0 mmol)、(R)-L4c(2.8891 g, 2.4 mmol)、PPh3(2.6243 g, 10 mmol)、(PhO)2PO2H(2.5036 g, 10 mmol)、(±)-1a(10.1061 g, 50 mmol)、水(18.0050 g, 1000 mmol)、トルエン(250 mL)を、0 ℃で、24時間反応させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:石油エーテル(60~90 ℃)/エチルエーテル/ジクロロメタン = 30/1/1,石油エーテル(60~90 ℃)/酢酸エチル = 5/1)によって不斉アレンカルボン酸産物(S)-2a(5.1316 g, 45%)および(S)-1a(5.1163 g, 51%)を得た。
(S)-2a: 93% ee (HPLC条件: AS-Hカラム, ヘキサン/i-PrOH = 98/2, 1.0 mL/min, λ = 214 nm, tR(major) = 7.9 min, tR(minor) = 9.7 min). 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 7.45-7.28 (m, 4 H, Ar-H), 7.27-7.18 (m, 1 H, Ar-H), 2.33 (t, J = 7.4 Hz, 2 H, CH2), 2.18 (s, 3 H, CH3), 1.55-1.40 (m, 2 H, CH2), 1.40-1.27 (m, 2 H, CH2), 0.87 (t, J = 7.2 Hz, 3 H, CH3); 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ = 212.6, 173.1, 135.0, 128.5, 127.5, 126.1, 105.2, 101.8, 30.2, 28.3, 22.2, 16.3, 13.8.
(S)-1a: 69% ee (HPLC条件: AS-Hカラム, ヘキサン/i-PrOH = 98/2, 1.0 mL/min, λ = 214 nm, tR (minor) = 7.1 min, tR (major) = 11.2 min). 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 7.65 (d, J = 7.2 Hz, 2 H, Ar-H), 7.35 (t, J = 7.4 Hz, 2 H, Ar-H), 7.31-7.23 (m, 1 H, Ar-H), 2.36 (s, 1 H, OH), 2.28 (t, J = 7.0 Hz, 2 H, CH2), 1.74 (s, 3 H, CH3), 1.58-1.49 (m, 2 H, CH2), 1.49-1.35 (m, 2 H, CH2), 0.93 (t, J = 7.2 Hz, 3 H, CH3).
【0066】
操作は実施例25と同様である。PdCl2(0.09 g, 0.5063 mmol)、(S)-L4c(1.4634 g, 1.2151 mmol)、PPh3(1.3287 g, 5.0631 mmol)、(PhO)2PO2H(1.268 g, 5.0631 mmol)、(S)-1a(5.1163 g, 25.31 mmol)、水(9.1162 g, 506.31 mmol)、トルエン(127 mL)を、0 ℃で、20時間反応させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:石油エーテル(60~90 ℃)/エチルエーテル/ジクロロメタン = 30/1/1,石油エーテル(60~90 ℃)/酢酸エチル = 8/1)によって不斉アレンカルボン酸産物(R)-2a(4.3055 g, 74%)を得たが、固体で、96% eeであった(HPLC条件: AS-Hカラム, ヘキサン/i-PrOH = 98/2, 1.0 mL/min, λ = 214 nm,tR (minor) = 8.4 min, tR (major) = 10.4 min); 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 7.43-7.29 (m, 4 H, Ar-H), 7.29-7.21 (m, 1 H, Ar-H), 2.33 (t, J= 7.6 Hz, 2 H, CH2), 2.19 (s, 3 H, CH3), 1.54-1.41 (m, 2 H, CH2), 1.41-1.28 (m, 2 H, CH2), 0.88 (t, J = 7.2 Hz, 3 H, CH3); 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ = 212.6, 173.1, 135.0, 128.5, 127.5, 126.0, 105.2, 101.8, 30.2, 28.3, 22.2, 16.3, 13.8.
【実施例30】
【0067】
【化37】

一つの乾燥したシュレンク反応管に(R)-2a(0.1153 g, 0.5 mmol, 98% ee)を入れた後、反応管をグローブボックスに持っていってCuCl(0.0023 g, 0.02 mmol)を量って入れ、グローブボックスから出してアルゴンガスの保護下でメタノール(5 mL)を入れ、そして反応管を事前に60 ℃に加熱した油浴に置き、撹拌し、10時間後、薄層クロマトグラフィー(TLC)によるモニタリングで完全に反応した。メタノールを回転で除去した後、酢酸エチル(5 mL)を入れて産物を溶解させ、シリカゲル短カラム(3cm)で快速ろ過し、酢酸エチル(15 mL)で溶離し、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:石油エーテル(60~90 ℃)/エチルエーテル/ジクロロメタン = 50/1/1)によって不斉環状産物(S)-3(0.1097 g, 95%)を得たが、油状物で、98% eeであった(HPLC条件: AD-Hカラム, ヘキサン/i-PrOH = 100/1, 0.9 mL/min, λ = 214 nm, tR(minor) = 26.8 min, tR(major) = 29.9 min); [α]D 27 = -167.8 (c = 1.15, CHCl3); 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 7.44-7.26 (m, 5 H, Ar-H), 7.23 (s, 1 H, =CH), 2.35-2.19 (m, 2 H, CH2), 1.78 (s, 3 H, CH3), 1.60-1.47 (m, 2 H, CH2), 1.43-1.27 (m, 2 H, CH2), 0.92 (t, J = 7.4 Hz, 3 H, CH3); 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ = 173.1, 152.2, 140.1, 132.2, 128.6, 127.9, 124.6, 86.5, 29.3, 26.7, 24.6, 22. 1, 13.6; IR (neat): v = 2957, 2929, 2865, 1751, 1448, 1258, 1039 cm-1; MS (70 eV, EI) m/z (%): 231 (M++1, 1.77), 230 (M+, 11.21), 187 (100); HRMS calcd for C15H18O2[M+]: 230.1307, found: 230.1304.
【実施例31】
【0068】
【化38】

一つの乾燥したシュレンク反応管に順に(R)-2a(0.1151 g, 0.5 mmol, 98% ee)、NBS(0.1075 g, 0.6 mmol)、クロロホルム(5 mL)を入れ、そして反応管を室温に置き、撹拌し、2時間後、薄層クロマトグラフィー(TLC)によるモニタリングで完全に反応した。クロロホルムを回転で除去した後、フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:石油エーテル(60~90 ℃)/エチルエーテル/ジクロロメタン = 50/1/1)によって不斉環状産物(R)-4(0.1484 g, 96%)を得たが、固体で、98% eeであった(HPLC条件: AD-Hカラム, ヘキサン/i-PrOH = 100/1, 0.7 mL/min, λ = 214 nm, tR (minor) = 11.6 min, tR (major) = 12.9 min); [α]D 27 = -149.4 (c = 1.30, CHCl3)。融点:49.4~49.9 ℃(石油エーテル/ジクロロメタン)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 7.44-7.29 (m, 5 H, Ar-H), 2.36 (t, J = 7.6 Hz, 2 H, CH2), 1.91 (s, 3 H, CH3), 1.65-1.50 (m, 2 H, CH2), 1.44-1.26 (m, 2 H, CH2), 0.93 (t,J = 7.4 Hz, 3 H, CH3); 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ = 170.4, 150.4, 137.2, 131.2, 128.8, 128.6, 125.5, 88.1, 29.0, 24.8, 23.8, 22.3, 13.7; IR (neat): v = 2957, 2930, 2862, 1757, 1650, 1448, 1247, 1042 cm-1; MS (ESI)m/z (%): 311 (M(81Br)+H+), 309 (M(79Br)+H+); Anal. Calcd. for C15H17BrO2: C 58.27, H 5.54; found: C 58.18, H 5.56.
【実施例32】
【0069】
【化39】

一つの乾燥したシュレンク反応管に順に(R)-2a(0.1152 g, 0.5 mmol, 98% ee)、PdCl2(0.0044 g, 0.025 mmol)、臭化アリル(260 μL, d = 1.398 g/mL, 0.3635 g, 3.0 mmol)を入れ、アルゴンガスの保護下でDMA(N,N-ジメチルアセトアミド)(5 mL)を入れ、そして反応管を事前に50 ℃に加熱した油浴に置き、撹拌し、20時間後、薄層クロマトグラフィー(TLC)によるモニタリングで完全に反応した。水(5 mL)を入れて反応をクエンチングし、水相をエチルエーテルで抽出し(5 mL × 3)、有機相を合併し、取り出した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過し、濃縮し、フラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤:石油エーテル(60~90 ℃)/エチルエーテル/ジクロロメタン = 50/1/1)によって不斉環状産物(R)-5(0.1127 g, 83%)を得たが、油状物で、97% eeであった(HPLC条件: IFカラム, ヘキサン/i-PrOH = 95/5, 1.0 mL/min, λ = 214 nm, tR(major) = 14.0 min, tR(minor) = 15.7 min); [α]D 27 = -193.6 (c = 1.27, CHCl3); 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 7.45-7.23 (m, 5 H, Ar-H), 5.58-5.38 (m, 1 H, =CH), 5.02 (d, J = 4.4 Hz, 1 H, one proton of =CH2), 4.98 (s, 1 H, one proton of =CH2), 2.99 (dd, J1 = 15.6 Hz, J2 = 6.0 Hz, 1 H, one proton of CH2), 2.86 (dd, J1= 15.6 Hz, J2 = 7.2 Hz, 1 H, one proton of CH2), 2.30 (t, J= 7.8 Hz, 2 H, CH2), 1.84 (s, 3 H, CH3), 1.60-1.48 (m, 2 H, CH2), 1.43-1.28 (m, 2 H, CH2), 0.93 (t, J = 7.2 Hz, 3 H, CH3); 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ = 173.8, 164.2, 138.3, 132.3, 128.5, 128.3, 127.5, 125.4, 117.5, 87.8, 30.6, 30.0, 23.4, 23.2, 22.6, 13.7; IR (neat): v = 2954, 2930, 2865, 1748, 1448, 1257, 1207, 1038 cm-1; MS (70 eV, EI) m/z (%): 271 (M++1, 3.32), 270 (M+, 16.82), 229 (100); HRMS calcd for C18H22O2[M+]: 270.1620, found: 270.1622.
【実施例33】
【0070】
【化40】

一つの乾燥したシュレンク反応管に順に(R)-2a(0.1152 g, 0.5 mmol, 98% ee)およびPdCl2(0.0045 g, 0.025 mmol)を入れ、アルゴンガスで3回置換した後、アレノール(0.0875 g, 1.25 mmol)、TFA(トリフルオロ酢酸)(30 μL, d = 1.535 g/mL, 0.0456 g, 0.4 mmol)およびDMA(N,N-ジメチルアセトアミド)(5 mL)を入れ、そして反応管を事前に30 ℃に加熱した油浴に置き、撹拌し、8時間後、薄層クロマトグラフィー(TLC)によるモニタリングで完全に反応した。水(5 mL)を入れて反応をクエンチングし、水相をエチルエーテルで抽出し(5 mL × 3)、有機相を合併し、飽和食塩水で1回洗浄し(5 mL)、取り出した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過し、濃縮し、フラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤:石油エーテル(60~90 ℃)/酢酸エチル = 50/1)によって不斉環状産物(R)-6(0.1113 g, 79%)を得たが、油状物で、97% eeであった(HPLC条件: AD-Hカラム, ヘキサン/i-PrOH = 95/5, 1.0 mL/min, λ = 214 nm, tR(minor) = 6.8 min, tR(major) = 7.4 min); [α]D 28 = -176.7(c = 1.0, CHCl3); 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 7.40-7.17 (m, 5 H, Ar-H), 6.28 (dd, J1= 17.4 Hz, J2 = 10.6 Hz, 1 H, =CH), 5.27 (s, 1 H, one proton of =CH2), 5.00 (d, J = 10.4 Hz, 1 H, =CH2), 4.74 (d, J = 17.6 Hz, 1 H, =CH2), 4.47 (s, 1 H, one proton of =CH2), 2.26-2.07 (m, 2 H, CH2), 1.84 (s, 3 H, CH3), 1.58-1.42 (m, 2 H, CH2), 1.35-1.21 (m, 2 H, CH2), 0.87 (t, J= 7.2 Hz, 3 H, CH3); 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ = 173.3, 163.3, 138.7, 138.3, 135.8, 128.6, 128.3, 128.1, 125.4, 120.1, 117.2, 88.0, 29.7, 24.3, 24.0, 22.5, 13.7; IR (neat): v = 2955, 2865, 1753, 1450, 1221, 1040 cm-1; MS (70 eV, EI) m/z(%): 283 (M++1, 1.95), 282 (M+, 9.60), 91 (100); HRMS calcd for C19H22O2 [M+]: 282.1614, found: 282.1614.
【実施例34】
【0071】
【化41】

一つの乾燥したシュレンク反応管に順に(R)-2a(0.1151 g, 0.5 mmol, 98% ee)、K2CO3(0.1034 g, 0.75 mmol)、DMF(N,N-ジメチルアセトアミド) (2.5 mL)を入れ、反応管を-5 ℃の冷浴に置いてCH3I(ヨードメタン)(47 μL, d = 2.28 g/mL, 0.1061 g, 0.75 mmol)を入れ、反応系を-5 ℃の冷浴において撹拌し、1.5時間後、薄層クロマトグラフィー(TLC)によるモニタリングで完全に反応した。水(10 mL)を入れて反応をクエンチングし、水相をエチルエーテルで抽出し(10 mL × 3)、有機相を合併し、飽和塩化アンモニウム水溶液で1回洗浄し(10 mL)、飽和食塩水で1回洗浄し(10 mL)、取り出した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過し、濃縮し、フラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤:石油エーテル(60~90 ℃)/酢酸エチル = 20/1)によって油状不斉アレンカルボン酸エステルS1を得たが、S1をそのまま次の反応に使用した。一つの乾燥したシュレンク反応管に上記工程で得られたすべてのS1およびトルエン(5 mL)を入れ、反応管を-78 ℃の冷浴に置いてCH3I(ヨードメタン)DIBAL-H(水素化ジイソブチルアルミニウム)(1.05 mL, 1.0 Mヘキサン溶液, 1.05 mmol)を1滴ずつ滴下し、反応系を-78 ℃の冷浴において撹拌し、4時間後、薄層クロマトグラフィー(TLC)によるモニタリングで完全に反応した。-78 ℃でメタノール(5 mL)を入れて反応をクエンチングし、反応管を冷浴から引き上げ、室温に戻った後、水(10 mL)および1 mol/L塩酸水溶液(10 mL)を入れ、水相をエチルエーテルで抽出し(10 mL × 3)、有機相を合併し、飽和食塩水で1回洗浄し(10 mL)、取り出した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過し、濃縮し、フラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤:石油エーテル(60~90 ℃)/酢酸エチル = 20/1)によって不斉環状産物(R)-7(0.0834 g, 77%)を得たが、油状物で、97% eeであった(HPLC条件: AS-Hカラム, ヘキサン/i-PrOH = 98/2, 1.0 mL/min, λ = 214 nm, tR(minor) = 8.5 min, tR(major) = 11.2 min); [α]D 23 = + 62.0 (c = 1.01, CHCl3);1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 7.40 (d, J = 7.6 Hz, 2 H, Ar-H), 7.31 (t, J = 7.6 Hz, 2 H, Ar-H), 7.20 (t, J = 7.2 Hz, 1 H, Ar-H), 4.27-3.99 (m, 2 H), 2.22-2.02 (m, 5 H, CH2 and CH3), 1.59 (s, 1 H, OH), 1.53-1.42 (m, 2 H, CH2), 1.42-1.28 (m, 2 H, CH2), 0.89 (t, J = 7.2 Hz, 3 H, CH3); 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ = 199.0, 137.5, 128.3, 126.7, 125.6, 108.0, 104.8, 63.2, 29.9, 29.4, 22.5, 17.4, 13.9; IR (neat): v = 3315, 2954, 2925, 2858, 1948, 1597, 1462, 1067, 1024 cm-1; MS (70 eV, EI) m/z (%): 216 (M+, 1.40), 143 (100); HRMS calcd for C15H20O [M+]: 216.1509, found: 216.1512.
【実施例35】
【0072】
【化42】

操作は実施例1と同様である。[PdCl(π-allyl)]2(0.0015 g, 0.004 mmol)、(R)-L4c(0.0148 g, 0.012 mmol)、PPh3(0.0105 g, 0.04 mmol)、(PhO)2PO2H (0.001 g, 0.004 mmol)、(±)-1a (0.0432 g, 1 mmol)、水(72μL, d = 1.0 g/mL, 0.072 g, 4 mmol)、トルエン(1 mL)を、25 ℃で、18時間反応させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:石油エーテル(60~90 ℃)/エチルエーテル/ジクロロメタン = 30/1/1,石油エーテル(60~90 ℃)/酢酸エチル = 8/1)によって不斉アレンカルボン酸産物(S)-2a(0.0167 g, 44%)を得たが、油状物で、85% eeであった(HPLC条件: AS-Hカラム, ヘキサン/i-PrOH = 98/2, 1.0 mL/min, λ = 214 nm, tR (major) = 6.4 min, tR(minor) = 9.4 min)。
【実施例36】
【0073】
【化43】

操作は実施例1と同様である。Pd(PPh3)4(0.0045 g, 0.004 mmol)、(R)-L4c(0.0143 g, 0.012 mmol)、(PhO)2PO2H(0.0011 g, 0.004 mmol)、(±)-1a(0.0406 g, 0.2 mmol)、水(72μL, d = 1.0 g/mL, 0.072 g, 4 mmol)、トルエン(1 mL)を、25 ℃で、18時間反応させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:石油エーテル(60~90 ℃)/エチルエーテル/ジクロロメタン = 30/1/1,石油エーテル(60~90 ℃)/酢酸エチル = 8/1)によって不斉アレンカルボン酸産物(S)-2a(0.0203 g, 44%)を得たが、油状物で、63% eeであった(HPLC条件: AS-Hカラム, ヘキサン/i-PrOH = 98/2, 1.0 mL/min, λ = 214 nm, tR (major) = 6.4 min, tR(minor) = 9.3 min)。
【実施例37】
【0074】
【化44】

操作は実施例1と同様である。Pd2(dba)3・CHCl3(0.0045 g, 0.004 mmol)、(R)-L4c(0.0143g, 0.012 mmol)、PPh3(0.0108g, 0.04 mmol)、(PhO)2PO2H(0.0012 g, 0.004 mmol)、(±)-1a(0.0412 g, 0.2 mmol)、水(72μL, d = 1.0 g/mL, 0.072 g, 4 mmol)、トルエン(1 mL)を、25 ℃で、18時間反応させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:石油エーテル(60~90 ℃)/エチルエーテル/ジクロロメタン = 30/1/1,石油エーテル(60~90 ℃)/酢酸エチル = 8/1)によって不斉アレンカルボン酸産物(S)-2a(0.0188 g, 40%)を得たが、油状物で、86% eeであった(HPLC条件: AS-Hカラム, ヘキサン/i-PrOH = 98/2, 1.0 mL/min, λ = 214 nm, tR (major) = 6.6 min, tR(minor) = 9.4 min)。
【実施例38】
【0075】
【化45】

操作は実施例1と同様である。PdCl2(0.0015 g, 0.004 mmol)、(R)-L4c(0.0146 g, 0.012 mmol)、P(2-フリル)3(0.0096 g, 0.04 mmol)、(PhO)2PO2H(0.001 g, 0.004 mmol)、(±)-1a(0.0409 g, 1 mmol)、水(72μL, d = 1.0 g/mL, 0.072 g, 4 mmol)、トルエン(1 mL)を、25 ℃で、18時間反応させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:石油エーテル(60~90 ℃)/エチルエーテル/ジクロロメタン = 30/1/1,石油エーテル(60~90 ℃)/酢酸エチル = 8/1)によって不斉アレンカルボン酸産物(S)-2a(0.0256 g, 55%)を得たが、油状物で、65% eeであった(HPLC条件: AS-Hカラム, ヘキサン/i-PrOH = 98/2, 1.0 mL/min, λ = 214 nm, tR (major) = 6.5 min, tR(minor) = 9.7 min)。
【実施例39】
【0076】
【化46】

操作は実施例1と同様である。PdCl2(0.0016 g, 0.004 mmol)、(R)-L4c(0.0143 g, 0.012 mmol)、P(2-MeC6H4)3(0.0122 g, 0.04 mmol)、(PhO)2PO2H(0.0011 g, 0.004 mmol)、(±)-1a(0.0411 g, 1 mmol)、水(72μL, d = 1.0 g/mL, 0.072 g, 4 mmol)、トルエン(1 mL)を、25 ℃で、18時間反応させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:石油エーテル(60~90 ℃)/エチルエーテル/ジクロロメタン = 30/1/1,石油エーテル(60~90 ℃)/酢酸エチル = 8/1)によって不斉アレンカルボン酸産物(S)-2a(0.0286 g, 61%)を得たが、油状物で、40% eeであった(HPLC条件: AS-Hカラム, ヘキサン/i-PrOH = 98/2, 1.0 mL/min, λ = 214 nm, tR (major) = 6.5 min, tR(minor) = 9.7 min)。
【実施例40】
【0077】
【化47】

操作は実施例1と同様である。PdCl2(0.0015 g, 0.004 mmol)、(R)-L4c(0.0148 g, 0.012 mmol)、P(3-MeC6H4)3(0.0129 g, 0.04 mmol)、(PhO)2PO2H(0.0011 g, 0.004 mmol)、(±)-1a(0.0422 g, 1 mmol)、水(72μL, d = 1.0 g/mL, 0.072 g, 4 mmol)、トルエン(1 mL)を、25 ℃で、18時間反応させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:石油エーテル(60~90 ℃)/エチルエーテル/ジクロロメタン = 30/1/1,石油エーテル(60~90 ℃)/酢酸エチル = 8/1)によって不斉アレンカルボン酸産物(S)-2a(0.0226 g, 47%)を得たが、油状物で、66% eeであった(HPLC条件: AS-Hカラム, ヘキサン/i-PrOH = 98/2, 1.0 mL/min, λ = 214 nm, tR (major) = 6.4 min, tR(minor) = 9.5 min)。
【実施例41】
【0078】
【化48】

操作は実施例1と同様である。PdCl2(0.0015 g, 0.004 mmol)、(R)-L4c(0.0145 g, 0.012 mmol)、P(4-MeC6H4)3(0.0129 g, 0.04 mmol)、(PhO)2PO2H(0.0011 g, 0.004 mmol)、(±)-1a(0.0425 g, 1 mmol)、水(72μL, d = 1.0 g/mL, 0.072 g, 4 mmol)、トルエン(1 mL)を、25 ℃で、18時間反応させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:石油エーテル(60~90 ℃)/エチルエーテル/ジクロロメタン = 30/1/1,石油エーテル(60~90 ℃)/酢酸エチル = 8/1)によって不斉アレンカルボン酸産物(S)-2a(0.0218 g, 45%)を得たが、油状物で、80% eeであった(HPLC条件: AS-Hカラム, ヘキサン/i-PrOH = 98/2, 1.0 mL/min, λ = 214 nm, tR (major) = 6.5 min, tR(minor) = 9.5 min)。
【実施例42】
【0079】
【化49】

操作は実施例1と同様である。PdCl2(0.0016 g, 0.004 mmol)、(R)-L4c(0.0144 g, 0.012 mmol)、P(4-MeOC6H4)3(0.0149 g, 0.04 mmol)、(PhO)2PO2H(0.0011 g, 0.004 mmol)、(±)-1a(0.0416 g, 1 mmol)、水(72μL, d = 1.0 g/mL, 0.072 g, 4 mmol)、トルエン(1 mL)を、25 ℃で、18時間反応させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:石油エーテル(60~90 ℃)/エチルエーテル/ジクロロメタン = 30/1/1,石油エーテル(60~90 ℃)/酢酸エチル = 8/1)によって不斉アレンカルボン酸産物(S)-2a(0.0128 g, 27%)を得たが、油状で、68% eeであった(HPLC条件: AS-Hカラム, ヘキサン/i-PrOH = 98/2, 1.0 mL/min, λ = 214 nm, tR (major) = 6.6 min, tR(minor) = 9.4 min)。
【実施例43】
【0080】
【化50】

操作は実施例1と同様である。PdCl2(0.0016 g, 0.004 mmol)、(R)-L4c(0.0145 g, 0.012 mmol)、P(3,5-CF3C6H3)3(0.0271g, 0.04 mmol)、(PhO)2PO2H(0.0012 g, 0.004 mmol)、(±)-1a(0.0413 g, 1 mmol)、水(72μL, d = 1.0 g/mL, 0.072 g, 4 mmol)、トルエン(1 mL)を、25 ℃で、18時間反応させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:石油エーテル(60~90 ℃)/エチルエーテル/ジクロロメタン = 30/1/1,石油エーテル(60~90 ℃)/酢酸エチル = 8/1)によって不斉アレンカルボン酸産物(S)-2a(0.0071 g, 15%)を得たが、油状で、92% eeであった(HPLC条件: AS-Hカラム, ヘキサン/i-PrOH = 98/2, 1.0 mL/min, λ = 214 nm, tR (major) = 6.7 min, tR(minor) = 9.6 min)。
【実施例44】
【0081】
【化51】

操作は実施例1と同様である。PdCl2(0.0016 g, 0.004 mmol)、(R)-L4c(0.0145 g, 0.012 mmol)、PPh3(0.0105g, 0.04 mmol)、有機リン酸(S)-1A(0.0017 g, 0.004 mmol)、(±)-1a(0.0397 g, 1 mmol)、水(72 μL, d = 1.0 g/mL, 0.072 g, 4 mmol)、トルエン(1 mL)を、25 ℃で、18時間反応させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:石油エーテル(60~90 ℃)/エチルエーテル/ジクロロメタン = 30/1/1,石油エーテル(60~90 ℃)/酢酸エチル = 8/1)によって不斉アレンカルボン酸産物(S)-2a(0.0226g, 50%)を得たが、油状物で、70% eeであった(HPLC条件: AS-Hカラム, ヘキサン/i-PrOH = 98/2, 1.0 mL/min, λ = 214 nm, tR (major) = 6.6 min, tR(minor) = 9.6 min)。
【実施例45】
【0082】
【化52】

操作は実施例1と同様である。PdCl2(0.0015 g, 0.004 mmol)、(R)-L4c(0.0143g, 0.012 mmol)、PPh3(0.0106 g, 0.04 mmol)、有機リン酸(R)-1A(0.0014 g, 0.004 mmol)、(±)-1a(0.041 g, 1 mmol)、水(72 μL, d = 1.0 g/mL, 0.072 g, 4 mmol)、トルエン(1 mL)を、25 ℃で、18時間反応させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:石油エーテル(60~90 ℃)/エチルエーテル/ジクロロメタン = 30/1/1,石油エーテル(60~90 ℃)/酢酸エチル = 8/1)によって不斉アレンカルボン酸産物(S)-2a(0.0229g, 49%)を得たが、油状物で、61% eeであった(HPLC条件: AS-Hカラム, ヘキサン/i-PrOH = 98/2, 1.0 mL/min, λ = 214 nm, tR (major) = 6.5 min, tR(minor) = 9.4 min)。
【0083】
当業者には、本発明の保護範囲内で、上記実施例に対して変更、添加および置換を行うことができ、いずれも本発明の保護範囲に含まれることがわかる。
【国際調査報告】