(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-01
(54)【発明の名称】ミトコンドリア標的化ペプチド
(51)【国際特許分類】
C07K 5/107 20060101AFI20220125BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20220125BHJP
A61K 38/07 20060101ALI20220125BHJP
【FI】
C07K5/107
A61P9/10
A61K38/07
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021533219
(86)(22)【出願日】2019-11-19
(85)【翻訳文提出日】2021-06-10
(86)【国際出願番号】 US2019062283
(87)【国際公開番号】W WO2020131282
(87)【国際公開日】2020-06-25
(32)【優先日】2019-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518322687
【氏名又は名称】ステルス バイオセラピューティクス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100139723
【氏名又は名称】樋口 洋
(72)【発明者】
【氏名】ヂォン,グオヂュー
(72)【発明者】
【氏名】バンバーガー,マーク ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】スムクステ,イネセ
【テーマコード(参考)】
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084AA03
4C084AA07
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA16
4C084BA23
4C084CA59
4C084DC50
4C084MA52
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZA361
4C084ZA362
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA13
4H045EA20
4H045FA40
4H045GA25
(57)【要約】
SBT-20のアナログを開示する。当該化合物は、虚血-再灌流傷害(例えば、心虚血-再灌流傷害)または心筋梗塞の処置及び防止に有用である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩であって:
【化1】
式中:
Aaa
1は、以下からなる群から選択されるアミノ酸残基であり:
【化2】
あるいは、Aaa
1は
【化3】
であり;ここで、Rが、任意選択的に置換されているアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、もしくはヘテロアラルキルであり;Ra及びRbが、H、メチル、エチル、プロピル、シクロプロピル、シクロブチルからそれぞれ独立して選択され;またはRa及びRbが、これらが結合する窒素原子と一緒になって、4-、5-もしくは6員の複素環式環を形成し;
Aaa
2は、以下からなる群から選択されるアミノ酸残基であり:
【化4】
Aaa
3は、以下からなる群から選択されるアミノ酸残基であり:
【化5】
Aaa
4は、以下からなる群から選択されるアミノ酸残基であり:
【化6】
R
1a及びR
4dは、それぞれ独立して、(C
1-C
6)アルキルであり;
R
2a、R
2b、R
2e、R
3a、R
3b、R
4a、R
4b、R
4cは、H及び(C
1-C
6)アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され;
R
a、R
b、R
2c、及びR
2dは、H、(C
1-C
6)アルキル、C(O)((C
1-C
6)アルキル)、C(O)((C
1-C
6)ハロアルキル)、C(O)O((C
1-C
6)アルキル)、及びC(O)O(アリール(C
1-C
6)アルキル)からなる群からそれぞれ独立して選択される;
ただし、前記式(I)の化合物が
【化7】
ではないこととする、前記化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項2】
Aaa
1が、以下からなる群から選択される:
【化8】
請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Aaa
1が
【化9】
である、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
Aaa
1が、以下からなる群から選択されるアミノ酸残基である:
【化10】
請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
Aaa
2が、以下からなる群から選択される:
【化11】
請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
Aaa
2が
【化12】
である、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
Aaa
3が、以下からなる群から選択される:
【化13】
請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
Aaa
3が、以下からなる群から選択される:
【化14】
請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
Aaa
3が、以下からなる群から選択される:
【化15】
請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
Aaa
4が、以下からなる群から選択される:
【化16】
請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
Aaa
4が、以下からなる群から選択される:
【化17】
請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
Aaa
4が、以下からなる群から選択される:
【化18】
請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
R
a及びR
bが、それぞれ独立して、Hまたはメチルである、請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
R
a及びR
bが、それぞれHである、請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
以下の表から選択される:
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載の化合物;及び薬学的に許容可能な担体を含む、医薬組成物。
【請求項17】
虚血-再灌流傷害の処置または防止を必要とする対象において、前記虚血-再灌流傷害を処置または防止するための方法であって、前記対象に、治療有効量の、請求項1~15のいずれか一項に記載の化合物を投与することを含む、前記方法。
【請求項18】
前記虚血-再灌流傷害が心虚血-再灌流傷害である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
心筋梗塞の処置または防止を必要とする対象において、前記心筋梗塞を処置または防止するための方法であって、前記対象に、治療有効量の、請求項1~15のいずれか一項に記載の化合物を投与することを含む、前記方法。
【請求項20】
前記化合物が、経口、局所、全身、静脈内、皮下、腹腔内、または筋肉内投与される、請求項17~19のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、2018年12月18日に出願された米国仮特許出願第62/781,153号;及び2019年8月28日に出願された米国仮特許出願第62/892,939号への優先権の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
SBT-20は、ミトコンドリア機能障害に関連する疾患を処置するための治療可能性を有するミトコンドリア標的化ペプチド化合物である。SBT-20を治療に応用できる可能性があるため、改良された治療プロファイルを有するかかる化合物のアナログを開発する必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の態様は、SBT-20のアナログである。
【0004】
より詳細には、本発明は、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を提供する:
【化1】
式中:
Aaa
1は、以下からなる群から選択されるアミノ酸残基であり:
【化2】
あるいは、Aaa
1は
【化3】
であり;ここで、Rが、任意選択的に置換されているアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、もしくはヘテロアラルキルであり;Ra及びRbが、H、メチル、エチル、プロピル、シクロプロピル、シクロブチルからそれぞれ独立して選択され;またはRa及びRbが、これらが結合する窒素原子と一緒になって、4-、5-もしくは6員の複素環式環を形成し;
Aaa
2は、以下からなる群から選択されるアミノ酸残基であり:
【化4】
Aaa
3は、以下からなる群から選択されるアミノ酸残基であり:
【化5】
Aaa
4は、以下からなる群から選択されるアミノ酸残基であり:
【化6】
R
1a及びR
4dは、それぞれ独立して、(C
1-C
6)アルキルであり;
R
2a、R
2b、R
2e、R
3a、R
3b、R
4a、R
4b、R
4cは、H及び(C
1-C
6)アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され;
R
a、R
b、R
2c、及びR
2dは、H、(C
1-C
6)アルキル、C(O)((C
1-C
6)アルキル)、C(O)((C
1-C
6)ハロアルキル)、C(O)O((C
1-C
6)アルキル)、及びC(O)O(アリール(C
1-C
6)アルキル)からなる群からそれぞれ独立して選択される;
ただし、式(I)の化合物が
【化7】
ではないこととする。
【0005】
本発明の別の態様は、本発明の化合物;及び薬学的に許容可能な担体を含む医薬組成物である。
【0006】
本発明はまた、虚血-再灌流傷害を処置または防止する方法であって、これを必要とする対象に、治療有効量の本発明の化合物を投与することを含む、上記方法も提供する。
【0007】
本発明はまた、心筋梗塞を処置または防止する方法であって、これを必要とする対象に、治療有効量の本発明の化合物を投与することを含む、上記方法も提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明において有用な種々のアミノ酸残基を示す。
【
図2】ラット透過性心臓線維A/Rを示す。実施例30を参照されたい。
【
図3】リスク領域%としての白色壊死組織領域(白色壊死組織の領域のみを分析において使用する)及び梗塞サイズ(%)を示す。平均±SD。実施例31を参照されたい。
【
図4】ラット心筋梗塞(MI)モデルにおける用量反応を示す。平均±SD。実施例32を参照されたい。
【
図5】血漿クレアチニンの保護%を示す。平均±SEM。実施例33を参照されたい。
【
図6】BUNの保護%を示す。平均±SEM。実施例33を参照されたい。
【発明を実施するための形態】
【0009】
SBT-20(Phe-D-Arg-Phe-Lys-NH2)は、虚血-再灌流傷害(例えば、心虚血-再灌流傷害)、及び心筋梗塞を処置するための治療可能性を有するミトコンドリア標的化化合物である。この化合物のアナログは、改良された代謝性、選択性、または効能を含めた改良された治療プロファイルを有し得る。
【0010】
したがって、ある特定の実施形態において、本発明は、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を提供する:
【化8】
式中:
Aaa
1は、以下からなる群から選択されるアミノ酸残基であり:
【化9】
あるいは、Aaa
1は
【化10】
であり;ここで、Rが、任意選択的に置換されているアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、もしくはヘテロアラルキルであり;Ra及びRbが、H、メチル、エチル、プロピル、シクロプロピル、シクロブチルからそれぞれ独立して選択され;またはRa及びRbが、これらが結合する窒素原子と一緒になって、4-、5-もしくは6員の複素環式環を形成し;
Aaa
2は、以下からなる群から選択されるアミノ酸残基であり:
【化11】
Aaa
3は、以下からなる群から選択されるアミノ酸残基であり:
【化12】
Aaa
4は、以下からなる群から選択されるアミノ酸残基であり:
【化13】
R
1a及びR
4dは、それぞれ独立して、(C
1-C
6)アルキルであり;
R
2a、R
2b、R
2e、R
3a、R
3b、R
4a、R
4b、R
4cは、H及び(C
1-C
6)アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され;
R
a、R
b、R
2c、及びR
2dは、H、(C
1-C
6)アルキル、C(O)((C
1-C
6)アルキル)、C(O)((C
1-C
6)ハロアルキル)、C(O)O((C
1-C
6)アルキル)、及びC(O)O(アリール(C
1-C
6)アルキル)からなる群からそれぞれ独立して選択される;
ただし、式(I)の化合物が
【化14】
ではないこととする。
【0011】
ある特定の実施形態において、Aaa
1は、以下からなる群から選択され:
【化15】
好ましくは、
【化16】
である。
【0012】
さらなる実施形態において、Aaa
1は、以下からなる群から選択されるアミノ酸残基である:
【化17】
【0013】
ある特定の実施形態において、Aaa
2は、以下からなる群から選択されるアミノ酸残基である:
【化18】
【0014】
いくつかの好ましい実施形態において、Aaa
2は
【化19】
である。
【0015】
ある特定の実施形態において、Aaa
3は、以下からなる群から選択される:
【化20】
【0016】
ある特定の実施形態において、Aaa
3は、以下からなる群から選択される:
【化21】
【0017】
ある特定の他の実施形態において、Aaa
3は、以下からなる群から選択される:
【化22】
【0018】
ある特定の実施形態において、Aaa
4は、以下からなる群から選択される:
【化23】
【0019】
なおさらなる実施形態において、Aaa
4は、以下からなる群から選択される:
【化24】
【0020】
ある特定の実施形態において、Aaa
4は、以下からなる群から選択される:
【化25】
【0021】
ある特定の実施形態において、Ra及びRbは、それぞれ独立して、Hまたはメチル、好ましくはHである。
【0022】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、以下の表から選択される:
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【0023】
ペプチド合成
本発明のペプチド化合物は、ペプチド合成方法、例えば、従来の液相ペプチド合成もしくは固相ペプチド合成を使用して、または自動ペプチドシンセサイザを用いるペプチド合成によって調製されてよい(Kelley et al.,Genetics Engineering Principles and Methods,Setlow,J.K.eds.,Plenum Press NY.(1990)Vol.12,pp.1 to 19;Stewart et al.,Solid-Phase Peptide Synthesis(1989)W.H.;Houghten,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1985)82:p.5132)。こうして生成されたペプチドは、常套の方法、例えば、クロマトグラフィ、例えば、ゲル濾過クロマトグラフィ、イオン交換カラムクロマトグラフィ、親和性クロマトグラフィ、逆相カラムクロマトグラフィ、及びHPLC、硫安分画、限外濾過、及び免疫吸着によって収集または精製され得る。
【0024】
固相ペプチド合成において、ペプチドは、アミノ酸鎖のカルボニル基側(C末端)からアミノ基側(N末端)に典型的には合成される。ある特定の実施形態において、アミノ保護アミノ酸は、典型的にはエステルまたはアミド結合を介して、また、任意選択的には連結基を介して、アミノ酸のカルボキシル基を通して固体支持体材料に共有結合的に結合されている。アミノ基は、脱保護されて、カップリング試薬を用いて第2アミノ保護アミノ酸のカルボニル基と反応して(すなわち、「カップリングされて」)、固体支持体に結合したジペプチドを生じ得る。これらのステップ(すなわち、脱保護、カップリング)が繰り返されて、所望のペプチド鎖を形成し得る。所望のペプチド鎖が完成したら、ペプチドが固体支持体から開裂され得る。
【0025】
ある特定の実施形態において、アミノ酸残基のアミノ基において使用される保護基には、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル基(Fmoc)及びt-ブチルオキシカルボニル(Boc)が含まれる。Fmoc基は塩基によってアミノ末端から除去されるが、一方で、Boc基は酸によって除去される。代替の実施形態において、アミノ保護基は、ホルミル、アクリリル(Acr)、ベンゾイル(Bz)、アセチル(Ac)、トリフルオロアセチル、アラルキルオキシカルボニル型の置換または非置換基、例えば、ベンジルオキシカルボニル(Z)、p-クロロベンジルオキシカルボニル、p-ブロモベンジルオキシカルボニル、p-ニトロベンジルオキシカルボニル、p-メトキシベンジルオキシカルボニル、ベンズヒドリルオキシカルボニル、2(p-ビフェニリル)イソプロピルオキシカルボニル、2-(3,5-ジメトキシフェニル)イソプロピルオキシカルボニル、p-フェニルアゾベンジルオキシカルボニル、トリフェニルホスホノエチルオキシカルボニルまたは9-フルオレニルメチルオキシカルボニル基(Fmoc)、アルキルオキシカルボニル型の置換または非置換基、例えば、tert-ブチルオキシカルボニル(BOC)、tert-アミルオキシカルボニル、ジイソプロピルメチルオキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、エチルオキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、2メチルスルホニルエチルオキシカルボニルまたは2,2,2-トリクロロエチルオキシカルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル型の基、例えば、シクロペンチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、アダマンチルオキシカルボニルまたはイソボルニルオキシカルボニル基、及びヘテロ原子を含有する基、例えば、ベンゼンスルホニル、p-トルエンスルホニル、メシチレンスルホニル、メトキシトリメチルフェニルスルホニル、2-ニトロベンゼンスルホニル、2-ニトロベンゼンスルフェニル、4-ニトロベンゼンスルホニルまたは4-ニトロベンゼンスルフェニル基であってよい。
【0026】
多くのアミノ酸が側鎖に反応性官能基を持つ。ある特定の実施形態において、かかる官能基は、当該官能基が次のアミノ酸と反応することを防止するために保護される。これらの官能基と共に使用される保護基は、ペプチド合成の条件に対して安定でなければならないが、固体支持体からのペプチドの開裂の前、後またはこれと同時に除去されてよい。
【0027】
ある特定の実施形態において、固相ペプチド合成方法において使用される固体支持体材料は、ゲル型の支持体、例えば、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、またはポリエチレングリコールである。代替的には、材料、例えば、多孔ガラス、セルロースファイバ、またはポリスチレンが、これらの表面において官能化されて、ペプチド合成用の固体支持体を付与し得る。
【0028】
本明細書に記載されている固相ペプチド合成において使用され得るカップリング試薬は、典型的にはカルボジイミド試薬である。カルボジイミド試薬の例として、限定されないが、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド(EDC)、N-シクロヘキシル-N’-イソプロピルカルボジイミド(CIC)、N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、N-tert-ブチル-N’-メチルカルボジイミド(BMC)、N-tert-ブチル-N’-エチルカルボジイミド(BEC)、ビス[[4-(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソリル)]-メチル]カルボジイミド(BDDC)、及びN,N-ジシクロペンチルカルボジイミドが挙げられる。DCCは、好ましいカップリング試薬である。
【0029】
ある特定の実施形態において、本発明の化合物、例えば、以下に示す化合物は、スキーム1に示す固相合成によって線形逐次的に合成される:
【化26】
【0030】
参照用に、以下のスキームにおいて、
は、
【化27】
を示し、ここで、
は、固体支持体及び任意選択的には連結基を表す。
【化28】
【0031】
代替的には、本発明の化合物は、例えば、スキーム2によって収束的に合成され得る:
【化29】
【0032】
本発明の化合物はまた、従来の液相ペプチド合成経路によって合成されてもよい。例えば、以下に示す化合物は、スキーム3に示されているように収束的液相合成において合成されてよい。
【化30】
【化31】
【0033】
別の例示的な実施形態において、本発明の化合物は、スキーム4に示されている線状逐次的液相合成を介して作製される。
【化32】
【0034】
定義
本明細書に記載されているペプチド化合物を定義するのに使用される命名法は、N末端におけるアミノ基が左側に見られかつC末端におけるカルボキシル基が右側に見られる、当該分野において典型的に使用されているものである。
【0035】
本明細書において使用されているとき、用語「アミノ酸」は、天然アミノ酸及び非天然アミノ酸の両方を含む。用語「アミノ酸」は、別途示されない限り、単離されたアミノ酸分子(すなわち、アミノ結合水素及びカルボニル炭素結合ヒドロキシルの両方を含む分子)及びアミノ酸残基(すなわち、アミノ結合水素またはカルボニル炭素結合ヒドロキシルのいずれか一方または両方が除去されている分子)の両方を含む。アミノ基は、アルファ-アミノ基、ベータ-アミノ基などであり得る。例えば、用語「アミノ酸アラニン」は、単離されたアラニンH-Ala-OH、または、アラニン残基H-Ala-、-Ala-OH、もしくは-Ala-のいずれか1つのうちのいずれかを称し得る。別途示されない限り、本明細書に記載されている化合物において見られる全てのアミノ酸が、DまたはL配置のいずれであってもよい。D配置におけるアミノ酸は、「D」がアミノ酸略号に先行するように書かれていてよい。例えば、「D-Arg」は、D配置におけるアルギニンを表す。用語「アミノ酸」は、薬学的に許容可能な塩を含めたこれらの塩を含む。いずれのアミノ酸も、保護されていても保護されていなくてもよい。保護基は、アミノ基(例えばアルファ-アミノ基)、骨格カルボキシル基、または側鎖の任意の官能基に結合していてよい。例として、アルファ-アミノ基におけるベンジルオキシカルボニル基(Z)によって保護されているフェニルアラニンは、Z-Phe-OHとして表される。
【0036】
本明細書において利用されているアミノ酸の多くが、市販されており、または、他の場合には、当該分野において公知である。
【0037】
N末端アミノ酸を除いて、本開示におけるアミノ酸の全ての略号(例えば、Phe)が、-NH-C(R)(R’)-CO-の構造を表しており、R及びR’は、それぞれ、独立して、水素、またはアミノ酸の側鎖である(例えば、Pheでは、R=ベンジル及びR’=H)。したがって、フェニルアラニンは、H-Phe-OHである。表記「OH」は、これらのアミノ酸について、または、ペプチドについて(例えば、Lys-Val-Leu-OH)、C末端が遊離酸であることを示す。表記「NH2」は、例えば、Phe-D-Arg-Phe-Lys-NH2において、保護されているペプチド断片のC末端がアミド化されていることを示す。さらに、ある特定のR及びR’は、別個に、または、環構造としての組み合わせにおいて、液相合成の際に保護を必要とする官能基を含み得る。
【0038】
アミノ酸が異性体形態を有する場合、D形態、例えば、D-Argとして別途明確に示されていない限り、アミノ酸のL形態が表されている。とりわけ、多くのアミノ酸残基がD及びL形態の両方において市販されている。例えば、D-Argは、市販のD-アミノ酸である。
【0039】
アミノ酸残基の略号と併せて使用されている、頭文字「D」は、アミノ酸残基のD形態を称する。
【0040】
本明細書において使用されているとき、用語「ペプチド」は、少なくとも1つのアミド結合(すなわち、1のアミノ酸のアミノ基とペプチド断片のアミノ酸から選択される別のアミノ酸のカルボキシル基との間の結合)によって共有結合的に連結されている2以上のアミノ酸を称する。用語「ペプチド」は、薬学的に許容可能な塩を含めたこれらの塩を含む。
【0041】
冠詞「a(1の)」及び「an(1の)」は、当該冠詞の文法上の対象の1または1を超えるものを称する(すなわち、少なくとも1を称する)ために本明細書において使用される。例として、「an element(1の要素)」は、1の要素または1を超える要素を意味する。
【0042】
用語「アルキル」は、本明細書において使用されているとき、専門用語であり、直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、シクロアルキル(脂環式)基、アルキル置換シクロアルキル基、及びシクロアルキル置換アルキル基を含めた飽和脂肪族基を称する。ある特定の実施形態において、直鎖または分岐鎖アルキルは、その骨格において約30以下の炭素原子(例えば、直鎖ではC1-C30、分岐鎖ではC3-C30)、代替的には、約20以下、10以下(すなわち、C1-C10)、または6以下(すなわち、C1-C6)を有する。アルキルの代表例として、限定されないが、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、及びn-ヘキシルが挙げられる。
【0043】
本明細書において使用されているとき、「アリール」(「Ar」として略される場合がある)は、芳香族環系(「C6-C14アリール」)において付与される、6~14の環炭素原子及びゼロのヘテロ原子を有する単環式または多環式(例えば、二環式または三環式)4n+2芳香族環系(例えば、環状アレイにおいて共有される6、10、または14のπ電子を有する)のラジカルを称する。いくつかの実施形態において、アリール基は、6の環炭素原子を有する(「C6アリール」;例えば、フェニル)。いくつかの実施形態において、アリール基は、10の環炭素原子を有する(「C10アリール」;例えば、ナフチル、例えば、1-ナフチル及び2-ナフチル)。いくつかの実施形態において、アリール基は、14の環炭素原子を有する(「C14アリール」;例えば、アントラシル)。アリール基は、例えば、C6-C10員のアリールとして記載されていてよく、用語「員の」は、部位内の非水素環原子を称する。アリール基には、フェニル、ナフチル、インデニル、及びテトラヒドロナフチルが含まれる。アリール基の各事象は、独立して任意選択的に置換されていてよく、すなわち、置換されていなくてよく(「非置換アリール」)または1以上の置換基;例えば、1~5の置換基、1~4の置換基、1~3の置換基、1~2の置換基またはほんの1の置換基など;によって置換されていてよい(「置換アリール」)。芳香族環は、1以上の置換基、例えば、ハロゲン、アジド、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホネート、ホスフィネート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、スルホンアミド、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族またはヘテロ芳香族部位、フルオロアルキル(例えば、トリフルオロメチル)、シアノなどによって1以上の環位置で置換されていてよい。例えば、ある特定の実施形態において、アリール基は、非置換C5-C12アリールであり得、ある特定の実施形態において、アリール基は、置換C5-C10アリールであり得る。
【0044】
本明細書において使用されているとき、用語「ヘテロアリール」は、窒素、硫黄及び酸素から互いに独立して選択される1、2、3または4のヘテロ原子を含む芳香族複素環のラジカルを称する。本明細書において使用されているとき、用語「ヘテロアリール」は、置換されていても置換されていなくてもよい基を称する。ヘテロアリールは、1または2の環、例えば、シクロアルキル、アリール、または第2のヘテロアリール環に縮合していてよい。分子へのヘテロアリールの結合点は、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルまたはアリール環上にあってよく、ヘテロアリール基は、炭素またはヘテロ原子を通して結合していてよい。ヘテロアリール基の例として、それぞれ任意選択的に置換されていてよい、イミダゾリル、フリル、ピロリル、チエニル、チアゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、ピリジニル、ピリミジル、ピラジニル、ピリダジニル、キノリル、イソキノリニル、インダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチアゾリル、インドリジニル、イミダゾピリジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、オキサゾリル、テトラゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、インドリル、テトラヒドロインドリル、アザインドリル、イミダゾピリジル、キナゾリニル、プリニル、ピロロ[2,3]ピリミジル、ピラゾロ[3,4]ピリミジルまたはベンゾ(b)チエニルが挙げられる。芳香族複素環は、1以上の置換基、例えば、ハロゲン、アジド、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホネート、ホスフィネート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、スルホンアミド、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族またはヘテロ芳香族部位、フルオロアルキル(例えば、トリフルオロメチル)、シアノなどによって1以上の環位置で置換されていてよい。
【0045】
用語「ヘテロシクリル」は、本明細書において使用されているとき、完全に飽和していてよい、または、1以上の不飽和単位を含有していてよく-誤解を避けるために、不飽和度は芳香族環系につながらない-少なくとも1つのヘテロ原子、例えば、窒素、酸素、または硫黄を含む3~12の原子を有する、限定されないが、単環式、二環式、及び三環式環を含めた非芳香族環系のラジカルを称する。例示目的で、この用語の範囲を限定すると解釈されるべきではなく、以下が挙げられる:ヘテロシクリル環:アジリジニル、アジリニル、オキシラニル、チイラニル、チイレニル、ジオキシラニル、ジアジリニル、アゼチル、オキセタニル、オキセチル、チエタニル、チエチル、ジアゼチジニル、ジオキセタニル、ジオキセテニル、ジチエタニル、ジチエチル、フリル、ジオキサラニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、トリアジニル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、チオフェニル、ピラゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、テトラジニル、キノリニル、イソキノリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、ピリドピラジニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、インドリル、ベンゾトリアゾリル、ナフチリジニル、アゼピン、アゼチジニル、モルホリニル、オキソピペリジニル、オキソピロリジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、キヌクリジニル、チオモルホリニル、テトラヒドロピラニル、及びテトラヒドロフラニル。より一般的には、用語「複素環式環」または「複素環」は、1つが炭素である少なくとも2の異なる元素の原子の環を称する。用語「複素環式環」が、有機化学の分野において確立された用語であるということの証拠として、さらに以下を参照されたい:Oxford Dictionary of Biochemistry and Molecular Biology,Oxford University Press,Oxford,1997。
【0046】
本明細書において使用されているとき、用語「アリールアルキル」または「アラルキル」は、アルキレンリンカーを介して(C1-C12)アルキル基に結合しているアリールまたはヘテロアリール基(「ヘテロアラルキル」)のラジカルを称する。本明細書において使用されているとき、用語「アリールアルキル」は、置換されていても置換されていなくてもよい基を称する。用語「アリールアルキル」はまた、アリールアルキル基のアルキル鎖における1以上のメチレン基がヘテロ原子、例えば、O、N、P、Si、及びSによって置き換えられていてよく、また、窒素、リン及び硫黄原子が任意選択的に酸化されていてよく、また、当該窒素ヘテロ原子が、付随するアルキル及び/またはアリール基によって任意選択的に4級化されていてよい、かかる化合物を称することも意図される。アリールアルキル基には、例えば、ベンジルが含まれる。
【0047】
本明細書において使用されているとき、「シクロアルキル」は、3~12の環炭素原子(「C3-C12シクロアルキル」)を有する非芳香族環式炭化水素基のラジカルを称する。いくつかの実施形態において、シクロアルキル基は、3~10の環炭素原子を有する(「C3-C10シクロアルキル」)。いくつかの実施形態において、シクロアルキル基は、3~8の環炭素原子を有する(「C3-C8シクロアルキル」)。いくつかの実施形態において、シクロアルキル基は、3~6の環炭素原子を有する(「C3-C6シクロアルキル」)。いくつかの実施形態において、シクロアルキル基は、5~7の環炭素原子を有する(「C5-C7シクロアルキル」)。シクロアルキル基は、例えば、C4-C7員のシクロアルキルとして記載されていてよく、ここで、用語「員の」は、部位内の非水素環原子を称する。例示的なC3-C6シクロアルキル基として、限定することなく、シクロプロピル(C3)、シクロプロペニル(C3)、シクロブチル(C4)、シクロブテニル(C4)、シクロペンチル(C5)、シクロペンテニル(C5)、シクロヘキシル(C6)、シクロヘキセニル(C6)、シクロヘキサジエニル(C6)などが挙げられる。例示的なC3-C7シクロアルキル基として、限定することなく、上記C3-C5シクロアルキル基、ならびに、シクロヘプチル(C6)、シクロヘプテニル(C7)、シクロヘプタジエニル(C7)、及びシクロヘプタトリエニル(C7)、ビシクロ[2.1.1]ヘキサニル(C6)、ビシクロ[3.1.1]ヘプタニル(C7)などが挙げられる。例示的なC3-C10シクロアルキル基として、限定することなく、上記C3-C7シクロアルキル基、ならびに、シクロノニル(C9)、シクロノネニル(C9)、シクロデシル(C10)、シクロデセニル(C10)、オクタヒドロ-1H-インデニル(C9)、デカヒドロナフタレニル(C10)、スピロ[4.5]デカニル(C10)などが挙げられる。上記の例が示すように、ある特定の実施形態において、シクロアルキル基は、単環式(「単環式シクロアルキル」)であるか、または、縮合、架橋もしくはスピロ環系、例えば、二環式系(「ビス環状シクロアルキル」)を含有するかのいずれかであり、飽和であっても部分不飽和であってもよい。ビス環状シクロアルキル基の非限定例として、1-エチルビシクロ[1.1.1]ペンタン、1-エチルビシクロ[2.2.2]オクタン及び(3r,5r,7r)-1-エチルアダマンタンが挙げられる。「シクロアルキル」はまた、シクロアルキル環が、上記で定義されているように、結合点がシクロアルキル環上にある1以上のアリール基によって縮合されている環系も含み、かかる場合において、炭素数は、続いて、シクロアルキル環系における炭素数を表記している。シクロアルキル基の各事象は、独立して任意選択的に置換されていてよく、すなわち、置換されていなくてよく(「非置換シクロアルキル」)または1以上の置換基によって置換されていてよい(「置換シクロアルキル」)。
【0048】
本発明はまた、本発明の化合物の塩も提供する。
【0049】
用語「薬学的に許容可能な塩」は、本明細書において使用されているとき、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、リン酸、ギ酸、酢酸、乳酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、酒石酸、グリコール酸、サリチル酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、マロン酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、ナフタレン-2-スルホン酸、及び他の酸を含めた無機または有機酸から誘導される塩を含む。薬学的に許容可能な塩形態は、塩を含む分子の比が1:1ではない形態を含み得る。例えば、塩は、塩基の分子あたり1を超える無機または有機酸分子、例えば、化合物の分子あたり2の塩酸分子を含んでいてよい。別の例として、塩は、塩基の分子あたり1未満の無機または有機酸分子、例えば、酒石酸の分子あたり2の化合物分子を含んでいてよい。
【0050】
用語「担体」及び「薬学的に許容可能な担体」は、本明細書において使用されているとき、化合物が共に投与されるまたは投与のために製剤化される、希釈剤、アジュバント、賦形剤、またはビヒクルを称する。かかる薬学的に許容可能な担体の非限定例として、液体、例えば、水、生理食塩水、及び油;ならびに固体、例えば、アカシアゴム、ゼラチン、デンプン糊、タルク、ケラチン、コロイド状シリカ、尿素などが挙げられる。加えて、補助剤、安定化剤、増粘剤、滑沢剤、香料、及び着色料が使用されてよい。好適な薬学的担体の他の例は、全体が参照により本明細書に組み込まれるRemington’s Pharmaceutical Sciences by E.W. Martinに記載されている。
【0051】
本明細書において使用されているとき、「阻害する」または「阻害すること」は、対照と比較して客観的に測定可能な量または程度での低減を意味する。一実施形態において、阻害するまたは阻害することは、対照と比較して少なくとも統計的に有意な量での低減を意味する。一実施形態において、阻害するまたは阻害することは、対照と比較して少なくとも5パーセントの低減を意味する。様々な個々の実施形態において、阻害するまたは阻害することは、対照と比較して少なくとも10、15、20、25、30、33、40、50、60、67、70、75、80、90、95、または99パーセントの低減を意味する。
【0052】
本明細書において使用されているとき、用語「処置すること」及び「処置する」は、結果として、(a)状態もしくは疾患を、当該状態もしくは疾患を発症するもしくはこれに罹患し易いリスクがあり得るが未だ罹患していると診断されていない対象において生じることを防止する;(b)状態もしくは疾患を阻害する、例えば、その発症もしくは進行を遅延させるもしくは阻止する;または(c)状態もしくは疾患を軽減もしくは改善する、例えば、状態もしくは疾患の退行を引き起こす介入を実施することを称する。一実施形態において、用語「処置すること」及び「処置する」は、結果として、(a)状態もしくは疾患を阻害する、例えば、その発症を遅延させるもしくは阻止する;または(b)状態もしくは疾患を軽減もしくは改善する、例えば、状態もしくは疾患の退行を引き起こす介入を実施することを称する。
【0053】
本明細書において使用されているとき、「対象」は、生きている動物を称する。様々な実施形態において、対象は、哺乳動物である。様々な実施形態において、対象は、限定することなく、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、イヌ、ブタ、ウマ、ウシ、または非ヒト霊長類を含めた非ヒト哺乳動物である。ある特定の実施形態において、対象は、ヒトである。
【0054】
本明細書において使用されているとき、「投与すること」は、その通常の意味を有し、限定することなく、静脈内、筋肉内、腹腔内、皮下、直接注入、粘膜、吸入、経口、及び局所を含めた任意の好適な投与経路によって投与することを包含する。
【0055】
本明細書において使用されているとき、句「有効量」は、所望の生物学的効果を達成するのに十分な任意の量を称する。「治療有効量」は、所望の治療効果を達成する、例えば、虚血-再灌流傷害を処置するのに十分である量である。
【0056】
本発明の化合物及びこれらの塩は、他の治療剤と組み合わされてよい。本発明の化合物及び他の治療剤は、同時にまたは逐次的に投与されてよい。他の治療剤が同時に投与されるとき、これらは、同じまたは別個の製剤において投与され得るが、実質的に同時に投与される。他の治療剤は、他の治療剤及び本発明の化合物の投与が時間的に分離されているとき、互いに、また、本発明の化合物と逐次的に投与される。これらの化合物の投与間の時間の分離は、数分であってよく、より長くてもよい。
【0057】
医薬組成物、投与経路及び投薬
ある特定の実施形態において、本発明は、本発明の化合物及び薬学的に許容可能な担体を含む医薬組成物を対象とする。ある特定の実施形態において、医薬組成物は、複数の本発明の化合物及び薬学的に許容可能な担体を含む。
【0058】
ある特定の実施形態において、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物以外の少なくとも1つのさらなる薬学的に活性な剤をさらに含む。少なくとも1つのさらなる薬学的に活性な剤は、虚血-再灌流傷害の処置において有用な剤であり得る。
【0059】
本発明の医薬組成物は、1以上の本発明の化合物を、薬学的に許容可能な担体、及び、任意選択的に、1以上のさらなる薬学的に活性な剤と組み合わせることによって調製され得る。
【0060】
上記で記述されているように、「有効量」は、所望の生物学的効果を達成するのに十分である任意の量を称する。本明細書に提供されている教示と組み合わせて、様々な活性化合物及び重み付け因子、例えば、効能、相対バイオアベイラビリティ、患者の体重、副作用の重篤度、及び投与形態の中から選択することにより、実質的に望ましくない毒性を引き起こさず、さらに、特定の対象を処置するのに有効である、有効な予防または治療処置レジメンが計画され得る。任意の特定の用途のための有効量は、処置される疾患もしくは状態、投与される本発明の具体的な化合物、対象の大きさ、または疾患もしくは状態の重篤度などの因子に応じて変動し得る。当業者は、過度の実験を必要とすることなく、本発明の具体的な化合物及び/または他の治療剤の有効量を実験的に決定し得る。何らかの医学判断にしたがって、最大用量、すなわち、最大安全用量が使用されてよい。1日あたり複数回投与は、化合物の適切な全身レベルを達成するように企図され得る。適切な全身レベルは、例えば、患者の、薬物のピークまたは持続される血漿レベルの測定によって決定され得る。「用量」及び「投薬量」は、本明細書において互換可能に使用される。
【0061】
ある特定の実施形態において、化合物の静脈内投与は、典型的には、0.1mg/kg/日~20mg/kg/日であってよい。一実施形態において、化合物の静脈内投与は、典型的には、0.1mg/kg/日~2mg/kg/日であってよい。一実施形態において、化合物の静脈内投与は、典型的には、0.5mg/kg/日~5mg/kg/日であってよい。一実施形態において、化合物の静脈内投与は、典型的には、1mg/kg/日~20mg/kg/日であってよい。一実施形態において、化合物の静脈内投与は、典型的には、1mg/kg/日~10mg/kg/日であってよい。
【0062】
一般に、化合物の1日経口用量は、ヒト対象では、約0.01ミリグラム/kg/日~1000ミリグラム/kg/日である。1日1回以上の投与で、0.5~50ミリグラム/kgの範囲の経口用量が、治療結果を生じさせると期待される。投薬量は、投与形態に応じて、局所または全身で、所望の薬物レベルを達成するように適宜調製されてよい。例えば、静脈内投与は、1日あたりの用量が1桁~数桁低いことが期待される。かかる用量において対象における応答が不十分である事象においては、さらにより高い用量(または、異なる、より局所化された送達経路によって、有効なより高い用量)が、患者の耐容量が許容する程度まで用いられてよい。1日あたり複数回投与は、化合物の適切な全身レベルを達成するように企図され得る。
【0063】
本明細書に記載されている任意の化合物について、治療有効量が、動物モデルから最初に決定され得る。治療的有効用量もまた、ヒトにおいて試験された化合物、及び同様の生理活性を示すことが知られている化合物、例えば、他の関連する活性剤では、ヒトデータから決定され得る。非経口投与では、より高い用量が必要とされ得る。適用される用量は、投与される化合物の相対バイオアベイラビリティ及び効能に基づいて調整され得る。上記の方法及び当該分野において周知である他の方法に基づいて最大の効能を達成するように用量を調整することは、当業者の能力の範囲内である。
【0064】
本発明の製剤は、薬学的に許容可能な濃度の塩、緩衝剤、保存剤、相溶性担体、アジュバント、及び任意選択的に他の治療成分を常套的に含有し得る、薬学的に許容可能な液剤において投与され得る。
【0065】
治療での使用では、有効量の化合物が、化合物を所望の表面に送達する任意の形態によって対象に投与され得る。医薬組成物を投与することは、熟練者に公知の任意の方法で成し遂げられてよい。投与経路として、限定されないが、静脈内、筋肉内、腹腔内、膀胱内(膀胱)、経口、皮下、直接注入(例えば、腫瘍または膿瘍内に)、粘膜(例えば、眼に局所的に)、吸入、及び局所が挙げられる。
【0066】
静脈内及び他の非経口投与経路では、本発明の化合物は、凍結乾燥調製物として、リポソーム-挿入もしくはカプセル化された活性化合物の凍結乾燥調製物として、水性懸濁液中の脂質複合体として、または塩錯体として製剤化され得る。凍結乾燥製剤は、概して、投与の直前に、好適な水溶液、例えば、滅菌水または生理食塩水において再構成される。
【0067】
経口投与では、化合物は、活性化合物(複数可)を、当該分野において周知の薬学的に許容可能な担体と組み合わせることによって容易に製剤化され得る。かかる担体は、本発明の化合物を、処置対象による経口摂取のために錠剤、丸薬、糖衣錠、カプセル、液体、ジェル、シロップ、スラリー、懸濁液などとして製剤化させ得る。経口用途での薬学的調製物は、任意選択的に、得られた混合物を粉砕し、所望により好適な助剤を添加した後に顆粒の混合物を処理して、錠剤または糖衣錠コアを得ることで、固体賦形剤として得られ得る。好適な賦形剤は、特に、充填剤、例えば、ラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトールを含めた糖;セルロース調製物、例えば、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル-セルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、及び/またはポリビニルピロリドン(PVP)などである。所望により、崩壊剤、例えば、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはその塩、例えば、アルギン酸ナトリウムが添加されてよい。任意選択的に、経口製剤はまた、生理食塩水または緩衝液中で製剤化されてもよく、例えば、内部の酸状態を中和するためのEDTAが、いずれの担体も用いることなく投与されてよい。
【0068】
上記成分(複数可)の経口剤形も具体的に企図される。成分(複数可)は、誘導体の経口送達が有効であるように化学的に修飾されてよい。概して、企図される化学的修飾は、成分分子自体への少なくとも1つの部位の結合であり、ここで、当該部位は、(a)酸加水分解の阻害;及び(b)胃または腸からの血流への取り込みを許容する。成分(複数可)の全体の安定性の増加及び体内での循環時間の増加も望ましい。かかる部位の例として:ポリエチレングリコール、エチレングリコール及びプロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンならびにポリプロリンが挙げられる。Abuchowski and Davis,「Soluble Polymer-Enzyme Adducts」,In:Enzymes as Drugs,Hocenberg and Roberts,eds.,Wiley-Interscience,New York,N.Y.,pp.367-383(1981);Newmark et al.,J Appl Biochem 4:185-9(1982).使用され得る他のポリマーは、ポリ-1,3-ジオキソラン及びポリ-1,3,6-トリオキソランである。薬学的使用では、上記に示されているように、ポリエチレングリコール部位が好適である。
【0069】
上記成分(または誘導体)について、放出の箇所は、胃、小腸(十二指腸、空腸、もしくは回腸)、または大腸であってよい。当業者は、胃において溶解せず、さらには、十二指腸または他の場所、腸において材料を放出する、利用可能な製剤を有する。好ましくは、当該放出は、本発明の化合物(または誘導体)の保護によって、または、生物学的に活性な材料を、胃環境を越えて、例えば、腸において放出することによってのいずれかで、胃環境の有害効果を回避させる。
【0070】
完全な胃耐性を確保するために、少なくともpH5.0まで不浸透性のコーティングが必須である。腸溶性コーティングとして使用される、より一般的な不活性成分の例は、トリメリット酸酢酸セルロース(CAT)、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCP)、HPMCP50、HPMCP55、フタル酸ポリ酢酸ビニル(PVAP)、Eudragit L30D、Aquateric、フタル酸酢酸セルロース(CAP)、Eudragit L、Eudragit S、及びshellacである。これらのコーティングは、混合フィルムとして使用されてよい。
【0071】
コーティングまたはコーティングの混合物は、胃に対する保護のために意図されていない錠剤においても使用され得る。これは、糖コーティング、または錠剤の飲み込みを容易にするコーティングを含み得る。カプセルは、乾燥治療薬(例えば、粉末)の送達のためのハードシェル(例えば、ゼラチン)からなっていてよく;液体形態では、軟質ゼラチンシェルが使用されてよい。カシェ剤のシェル材料は、厚いデンプンまたは他の食用紙であり得る。丸薬、ロゼンジ、成形錠剤または錠剤粉薬では、湿式マッシング技術が使用され得る。
【0072】
治療薬は、粒径が約1mmの顆粒またはペレットでの微細な多微粒子として製剤に含まれ得る。カプセル投与用の材料の製剤はまた、粉末として、軽く圧縮されたプラグ、または錠剤としてでさえあり得る。治療薬は、圧縮によって調製され得る。
【0073】
着色料または香料が全て含まれていてよい。例えば、本発明の化合物(または誘導体)は、(例えば、リポソームまたはマイクロスフェアカプセル化によって)製剤化され、次いで、食用製品、例えば、着色料または香料を含有する冷蔵された飲料にさらに含有されてよい。
【0074】
不活性材料によって治療薬の容量を希釈または増加してよい。これらの希釈剤は、炭水化物、特に、マンニトール、α-ラクトース、無水ラクトース、セルロース、スクロース、修飾されたデキストラン及びデンプンを含み得る。ある特定の無機塩はまた、三リン酸カルシウム、炭酸マグネシウム及び塩化ナトリウムを含む充填剤として使用されてもよい。いくつかの市販の希釈剤は、Fast-Flo、Emdex、STA-Rx 1500、Emcompress及びAvicellである。
【0075】
崩壊剤は、固体剤形への治療薬の製剤化において含まれ得る。崩壊剤として使用される材料として、限定されないが、デンプンに基づいた商用崩壊剤、Explotabを含めたデンプンが挙げられる。デンプングリコール酸ナトリウム、Amberlite、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ウルトラマイロペクチン、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、オレンジピール、酸性カルボキシメチルセルロース、天然スポンジ及びベントナイトが全て使用され得る。崩壊剤の別の形態は、不溶性のカチオン交換樹脂である。粉末化されたガムは、崩壊剤として、及び、結合剤として使用されてよく、これらは、粉末化されたガム、例えば、寒天、Karayaまたはトラガカントを含み得る。アルギン酸及びそのナトリウム塩も崩壊剤として有用である。
【0076】
結合剤が使用されることにより、共に治療剤を保持し、硬質錠剤を形成し、天然物、例えば、アカシア、トラガカント、デンプン及びゼラチンからの材料を含むことができる。他には、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)及びカルボキシメチルセルロース(CMC)が挙げられる。ポリビニルピロリドン(PVP)及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)は、いずれも、治療薬を顆粒化するためのアルコール溶液において使用され得る。
【0077】
製剤化プロセスの際の粘着を防止するために、治療薬の製剤化において抗摩擦剤が含まれていてよい。滑沢剤が、治療薬とダイの壁との間の層として使用されてよく、これらとして、限定されないが;そのマグネシウム及びカルシウム塩を含めたステアリン酸、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、流動パラフィン、植物油ならびにワックスを挙げることができる。可溶性の滑沢剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、様々な分子量のポリエチレングリコール、Carbowax4000及び6000もまた使用されてよい。
【0078】
製剤化の際に薬物の流動性を改良し得る、また、圧縮の際に再構成を補助するための、流動促進剤が添加されてよい。流動促進剤として、デンプン、タルク、焼成シリカ及び水和ケイアルミン酸塩を挙げることができる。
【0079】
水性環境への治療薬の溶解を補助するために、界面活性剤が湿潤剤として添加されてよい。界面活性剤は、アニオン性洗剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ナトリウムジオクチル及びスルホン酸ナトリウムジオクチルを含んでいてよい。カチオン性洗剤が使用されてよく、塩化ベンザルコニウム及び塩化ベンゼトニウムを含み得る。界面活性剤として製剤に含まれ得る可能性がある非イオン性洗剤として、ラウロマクロゴール400、ステアリン酸ポリオキシル40、ポリオキシエチレン水素化ヒマシ油10、50及び60、モノステアリン酸グリセロール、ポリソルベート40、60、65及び80、スクロース脂肪酸エステル、メチルセルロースならびにカルボキシメチルセルロースが挙げられる。これらの界面活性剤は、本発明の化合物または誘導体の製剤において単独でまたは異なる比での混合物としてのいずれかで存在し得る。
【0080】
使用され得る薬学的調製物として、ゼラチン製の押し込み型カプセル、ならびに、ゼラチン及び可塑剤、例えば、グリセロールまたはソルビトール製の軟質の密閉カプセルが挙げられる。押し込み型カプセルは、充填剤、例えば、ラクトース、結合剤、例えば、デンプン、及び/または滑沢剤、例えば、タルクもしくはステアリン酸マグネシウム、ならびに、任意選択的に、安定化剤と混合した活性成分を含有し得る。軟質カプセルにおいて、活性化合物は、好適な液体、例えば、脂肪油、流動パラフィン、または液体ポリエチレングリコールに溶解または懸濁されていてよい。加えて、安定化剤が添加されていてよい。経口投与用に製剤化されたマイクロスフェアが使用されてもよい。かかるマイクロスフェアは、当該分野において明確に定義されている。経口投与用の全ての製剤が、かかる投与に好適な投薬量であるべきである。
【0081】
口腔投与について、組成物は、従来のように製剤化された錠剤またはロゼンジの形態をとってよい。
【0082】
局所投与について、化合物は、当該分野において周知されている通り、液剤、ジェル、軟膏、クリーム、懸濁液などとして製剤化されていてよい。全身用の製剤として、注射、例えば、皮下、静脈内、筋肉内、髄腔内または腹腔内注射による投与用に設計されたもの、ならびに経皮、経粘膜的経口または肺投与用に設計されたものが挙げられる。
【0083】
吸入による投与について、本発明による使用のために化合物は、好適なプロペラント、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の好適なガスを使用して、圧縮パックまたはネブライザーからのエアロゾルスプレーの提示の形態で便利に送達され得る。圧縮エアロゾルの場合、投薬単位は、計量された量を送達するためにバルブを設けることによって決定されてよい。吸入具または吸入器での使用のための、例えばゼラチンのカプセルおよびカートリッジは、化合物の粉末混合物とラクトースまたはデンプンなどの好適な粉末基剤とを含有して製剤化されてよい。
【0084】
本明細書において開示されている化合物(またはこれらの塩)の肺送達もまた本明細書において企図される。化合物は、吸入しながら哺乳動物の肺に送達され、肺の上皮内層を横断して血流に入る。吸入分子の他の報告には、Adjei et al.,Pharm Res 7:565-569(1990);Adjei et al.,Int J Pharmaceutics 63:135-144(1990)(酢酸ロイプロリド);Braquet et al.,J Cardiovasc Pharmacol 13(suppl.5):143-146(1989)(エンドセリン-1);Hubbard et al.,Annal Int Med 3:206-212(1989)(α1-抗トリプシン);Smith et al.,1989,J Clin Invest 84:1145-1146(a-1-プロテイナーゼ);Oswein et al.,1990,「Aerosolization of Proteins」,Proceedings of Symposium on Respiratory Drug Delivery II,Keystone,Colorado,March、(組み換えヒト成長ホルモン);Debs et al.,1988,J Immunol 140:3482-3488(インターフェロン-ガンマ及び腫瘍壊死因子アルファ)ならびにPlatz et al.、米国特許第5,284,656号(顆粒球コロニー刺激因子;参照により組み込まれる)が含まれる。全身的な効果のための薬物の肺送達に関する方法及び組成物は、Wong et alらに、1995年9月19日に発行された米国特許第5,451,569号(参照により組み込まれる)に記載されている。
【0085】
限定されないが、ネブライザー、定量吸入具、及び粉末吸入具(これらの全てが、当業者によく知られている)を含めた治療薬品の肺送達用に設計された広範な機械的デバイスが本発明の実施における使用のために企図される。
【0086】
本発明の実施に好適な市販のデバイスのいくつかの具体例は、Mallinckrodt,Inc.,St.Louis,Mo.製のUltraventネブライザー;Marquest Medical Products,Englewood,Colo.製のAcorn IIネブライザー;Glaxo Inc.,Research Triangle Park,North Carolina製のVentolin定量吸入具;及びFisons Corp.,Bedford,Mass製のSpinhaler粉末吸入具である。
【0087】
全てのかかるデバイスは、本発明の化合物の分散に好適な製剤の使用を必要とする。典型的には、各製剤は、用いられるデバイスのタイプに特異的であり、治療に有用な通常の希釈剤、アジュバント及び/または担体に加えて、適切なプロペラント材料の使用を含み得る。また、リポソーム、マイクロカプセルもしくはマイクロスフェア、包接体、または他のタイプの担体の使用も企図される。化学的に修飾された本発明の化合物はまた、化学的修飾のタイプ及び用いられるデバイスのタイプに応じて異なる製剤で調製されてもよい。
【0088】
ネブライザーでの使用に好適な製剤は、ジェットまたは超音波のいずれでも、溶液のmLあたり約0.1~25mgの生物学的に活性な本発明の化合物の濃度で水に溶解された本発明の化合物(または誘導体)を典型的には含む。製剤はまた、(例えば、阻害剤の安定化及び浸透圧の調節のために)緩衝液及び単糖を含んでいてもよい。ネブライザー製剤はまた、エアロゾルを形成する際の溶液の噴霧化によって引き起こされる、本発明の化合物の表面誘起凝集を低減または防止するために、界面活性剤を含有していてもよい。
【0089】
定量吸入具デバイスでの使用のための製剤は、概して、界面活性剤の助けによりプロペラントに懸濁された本発明の化合物(または誘導体)を含有する微細に分割された粉末を含む。プロペラントは、この目的で用いられる任意の従来の材料、例えば、トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタノール、及び1,1,1,2-テトラフルオロエタン、またはこれらの組み合わせを含めた、クロロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、または炭化水素であってよい。好適な界面活性剤は、トリオレイン酸ソルビタン及び大豆レシチンを含む。オレイン酸はまた、界面活性剤としても有用であり得る。
【0090】
粉末吸入具デバイスからの分散のための製剤は、本発明の化合物(または誘導体)を含有する微細に分割された乾燥粉末を含み、また、例えば、50~90重量%の製剤中、デバイスからの粉末の分散を容易にする量で、増量剤、例えば、ラクトース、ソルビトール、スクロース、またはマンニトールを含んでいてもよい。本発明の化合物(または誘導体)は、遠位の肺への最も有効な送達のために、10マイクロメートル(μm)未満、最も好ましくは0.5~5μmの平均粒径を有する形態で有利に調製されるべきである。
【0091】
本発明の医薬組成物の経鼻送達もまた企図される。経鼻送達は、肺での治療薬の沈着を必要とすることなく、治療薬を鼻に投与した直後の本発明の医薬組成物の血流への通過を可能にする。経鼻送達用の製剤として、デキストランまたはシクロデキストランを用いたものが挙げられる。
【0092】
経鼻投与について、有用なデバイスは、定量噴霧器が取り付けられている小型の硬質ボトルである。一実施形態において、定量が、規定の容量のチャンバー内に本発明の医薬組成物溶液を取り出すことによって送達され、当該チャンバーは、エアロゾル化するために寸法付けされたアパーチャ、及び、チャンバー中の液体が圧縮されたときにスプレーを形成することによるエアロゾル製剤を有する。チャンバーは、本発明の医薬組成物を投与するために圧縮される。具体的な実施形態において、チャンバーは、ピストンアレンジメントである。かかるデバイスは、市販されている。
【0093】
代替的には、スクイーズされたときにスプレーを形成することによってエアロゾル製剤をエアロゾル化するように寸法付けられたアパーチャまたは開口部を有するプラスチックスクイーズボトルが使用される。開口部は、ボトルの頂部に通常見られ、当該頂部は、エアロゾル製剤の効率的な投与のために経鼻通路において部分的に適合するように概してテーパー状にされている。好ましくは、経鼻吸入具は、測定された用量の薬物の投与のために、計量した量のエアロゾル製剤を付与する。
【0094】
化合物は、全身に送達することが望ましいとき、注射によって、例えば、ボーラス注入または持続注入によって非経口投与用に製剤化されてよい。注射用製剤は、添加された保存剤を含む、単位剤形において、例えば、アンプルにおいて、または、複数回投与容器において提示されてよい。組成物は、油性または水性ビヒクル中の懸濁液、液剤または乳剤としてのかかる形態をとっていてよく、また、製剤化剤、例えば、懸濁剤、安定化剤及び/または分散剤を含有していてよい。
【0095】
非経口投与用の医薬製剤には、水溶性形態での活性化合物の水溶液が含まれる。また、活性化合物の懸濁液は、適切な油性注射懸濁液として調製されてよい。好適な親油性溶媒またはビヒクルとして、脂肪油、例えば、ゴマ油、または合成脂肪酸エステル、例えば、オレイン酸エチルもしくはトリグリセリド、またはリポソームが挙げられる。水性注射懸濁液は、懸濁液の粘度を増加させる物質、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトール、またはデキストランを含有していてよい。任意選択的に、懸濁液はまた、高度に濃縮された液剤の調製を可能にするために化合物の溶解度を増加させる好適な安定化剤(複数可)を含有していてもよい。
【0096】
代替的には、活性化合物は、使用前に、好適なビヒクル、例えば、滅菌ピロゲン不含水を有する構成のための粉末形態であってよい。
【0097】
化合物はまた、例えば、従来の座剤の基剤、例えば、ココアバターまたは他のグリセリドを含有する、直腸用または膣用組成物、例えば、座剤または停留かん腸において製剤化されてもよい。
【0098】
上記の製剤に加えて、化合物はまた、デポー調製物として製剤化されてもよい。かかる長時間作用型製剤は、好適なポリマーまたは疎水性材料(例えば、許容可能な塩中の乳剤として)もしくはイオン交換樹脂と共に、または、難溶性誘導体として、例えば、難溶性塩として製剤化されよい。
【0099】
医薬組成物はまた、好適な固体またはゲル相担体または賦形剤を含んでいてもよい。かかる担体または賦形剤の例として、限定されないが、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、及びポリマー、例えば、ポリエチレングリコールが挙げられる。
【0100】
好適な液体または固体の薬学的調製物形態は、例えば、吸入のための水溶液または生理食塩水溶液、マイクロカプセル化されたもの、渦巻状化されたもの、微視的な金粒子上にコーティングされたもの、リポソーム中に含有されたもの、霧状にされたもの、エアロゾル、皮膚への移植用のペレット、または皮膚中に傷をつけるための鋭利な物体上で乾燥されたものである。医薬組成物にはまた、活性化合物が長期的に放出される、顆粒、粉末、錠剤、コーティングされた錠剤、(ミクロ)カプセル、座剤、シロップ、乳剤、懸濁液、クリーム、ドロップまたは調製物も含まれ、これらの調製物の賦形剤ならびに添加剤及び/または補助剤、例えば、崩壊剤、結合剤、コーティング剤、膨張剤、滑沢剤、香料、甘味料もしくは可溶化剤は、上記のように慣例的に使用される。医薬組成物は、種々の薬物送達系における使用に好適である。薬物送達の方法についての簡単なレビューについては、Langer R,Science 249:1527-33(1990)を参照されたい。
【0101】
本発明の化合物及び任意選択的に他の治療薬は、それ自体で(正味)または薬学的に許容可能な塩の形態で投与されてよい。医学の分野で使用されるとき、塩は、薬学的に許容可能であるべきであるが、これらの薬学的に許容可能な塩を調製するために非薬学的に許容可能な塩が便利に使用され得る。かかる塩として、限定されないが、以下の酸:塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、マレイン酸、酢酸、サリチル酸、p-トルエンスルホン酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ギ酸、マロン酸、コハク酸、ナフタレン-2-スルホン酸、及びベンゼンスルホン酸から調製されるものが挙げられる。また、かかる塩は、カルボン酸基のアルカリ金属またはアルカリ土類塩、例えば、ナトリウム、カリウムまたはカルシウム塩として調製され得る。
【0102】
好適な緩衝剤として:酢酸及び塩(1~2%w/v);クエン酸及び塩(1~3%w/v);ホウ酸及び塩(0.5~2.5%w/v);ならびにリン酸及び塩(0.8~2%w/v)が挙げられる。好適な保存剤として、塩化ベンザルコニウム(0.003~0.03%w/v);クロロブタノール(0.3~0.9%w/v);パラベン(0.01~0.25%w/v)及びチメロサール0.004~0.02%w/v)が挙げられる。
【0103】
本発明の医薬組成物は、有効量の、本明細書に記載されている化合物、及び、任意選択的に、薬学的に許容可能な担体に含まれる治療剤を含有する。用語「薬学的に許容可能な担体」は、ヒトまたは他の脊椎動物への投与に好適である1以上の相溶性の固体または液体の充填剤、希釈剤またはカプセル化物質を意味する。用語「担体」は、適用を容易にするために活性成分が組み合わされる、天然または合成の、有機または無機の成分を表す。医薬組成物の成分はまた、所望の薬学的効率を実質的に付与する相互作用をしないような方法で、本発明の化合物と、また、互いに、入り混じることも可能である。
【0104】
特に限定されないが、本発明の化合物を含む治療剤(複数可)は、粒子において提供されてよい。粒子は、本明細書において使用されているとき、本発明の化合物または本明細書に記載されている他の治療剤(複数可)の全体または一部からなり得るナノ粒子またはミクロ粒子(またはいくつかの場合には、より大きい粒子)を意味する。粒子は、限定されないが、腸溶性コーティングを含めたコーティングによって包囲されているコアに、治療剤(複数可)を含有していてよい。治療剤(複数可)はまた、粒子全体にわたって分散されていてもよい。治療剤(複数可)はまた、粒子中に吸着されていてもよい。粒子は、0次放出、1次放出、2次放出、遅延放出、持続放出、即時放出、及びこれらの組み合わせなどを含めた、いずれの次元の放出反応速度論のものであってもよい。粒子は、治療剤(複数可)に加えて、限定されないが、浸食性、非浸食性、生分解性、もしくは非生分解性材料またはこれらの組み合わせを含めた、薬学及び医学の分野において常套的に使用されるかかる材料のいずれかを含んでいてよい。粒子は、本発明の化合物を溶液中または半固体状態に含有するマイクロカプセルであってよい。粒子は、事実上いずれの形状のものであってもよい。
【0105】
非生分解性及び生分解性の両方のポリマー材料が、治療剤(複数可)を送達するための粒子の製造において使用され得る。かかるポリマーは、天然または合成ポリマーであってよい。ポリマーは、放出が望まれる期間に基づいて選択される。特定の対象の生体接着ポリマーには、Sawhney H S et al.(1993)Macromolecules 26:581-7に記載されている生体浸食性ヒドロゲルが含まれ、その教示は、本明細書に組み込まれる。これらとして、ポリヒアルロン酸、カゼイン、ゼラチン、グルテン、ポリ無水物、ポリアクリル酸、アルギン酸塩、キトサン、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(メタクリル酸エチル)、ポリ(メタクリル酸ブチル)、ポリ(メタクリル酸イソブチル)、ポリ(メタクリル酸ヘキシル)、ポリ(メタクリル酸イソデシル)、ポリ(メタクリル酸ラウリル)、ポリ(メタクリル酸フェニル)、ポリ(アクリル酸メチル)、ポリ(アクリル酸イソプロピル)、ポリ(アクリル酸イソブチル)、及びポリ(アクリル酸オクタデシル)が挙げられる。
【0106】
治療剤(複数可)は、制御放出系に含有されていてよい。用語「制御放出」は、製剤からの薬物放出の方法及びプロファイルが制御される任意の薬物含有製剤を称することが意図される。これは、限定されないが持続放出及び遅延放出製剤を含めた非即時放出製剤と共に、即時ならびに非即時放出製剤を称する。用語「持続放出」(「徐放」とも称される)は、長期間にわたる薬物の漸次放出を付与する、好ましくは、必ずしもではないが、長期間にわたっての実質的に一定の血液レベルの薬物を結果として生じさせる薬物製剤を称するために従来の意味で使用される。用語「遅延放出」は、製剤の投与と、これからの薬物の放出との間に時間遅延がある薬物製剤を称するために従来の意味で使用される。「遅延放出」は、長期間にわたる薬物の漸次放出を含んでいても含んでいなくてもよく、そのため、「持続放出」であってもなくてもよい。
【0107】
慢性状態の処置には、長期持続放出インプラントの使用が特に好適であり得る。「長期」放出は、本明細書において使用されているとき、インプラントが、少なくとも7日間、好ましくは30~60日間、治療レベルの活性成分を送達するように構築及びアレンジされていることを意味する。長期持続放出インプラントは、当業者に周知であり、上記の放出系のいくらかを含む。
【0108】
本明細書に記載されている組成物及び方法に対する他の好適な変更及び改変が、当業者に公知の情報に鑑みて、本明細書に含まれる本発明の詳細な説明から容易に明らかであること、ならびに、本発明またはその任意の実施形態の範囲から逸脱することなくなされ得ることが当業者によって理解されよう。本発明をここで詳細に記載しているが、これは、説明目的のみでここで含まれかつ本発明の限定であることは意図されない以下の例を参照することによって、より明確に理解されよう。
【0109】
使用の方法
本発明は、虚血-再灌流傷害もしくは心筋梗塞、または心筋梗塞に関連する傷害を処置または防止するのに有用であるペプチド化合物を提供する。
【0110】
したがって、ある特定の実施形態において、本発明は、虚血-再灌流傷害を処置または防止する方法であって、これを必要とする対象に、治療有効量の、本明細書に記載されている式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を投与することを含む、上記方法を対象とする。ある特定にかかる実施形態において、虚血-再灌流傷害は、心虚血-再灌流傷害である。いくつかの実施形態において、化合物は、経口、局所、全身に、静脈内、皮下、腹腔内、または筋肉内投与される。
【0111】
他の実施形態において、本発明は、心筋梗塞を処置または防止する方法であって、これを必要とする対象に、治療有効量の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を投与することを含む、上記方法を提供する。かかる方法は、梗塞の開始または進行を防止することにより、再灌流の際の心臓への傷害を防止し得る。いくつかの実施形態において、化合物は、経口、局所、全身に、静脈内、皮下、腹腔内、または筋肉内投与される。
【0112】
虚血は、組織または器官への血液の低減または減少であり、多くの異なる原因を有する。虚血は、例えば、血栓もしくは塞栓によって引き起こされて、局所的、または、例えば、低灌流圧に起因して、より全体的であってよい。虚血事象は、低酸素症(酸素低減)及び/または無酸素症(酸素の非存在)に至る可能性がある。
【0113】
哺乳動物の組織または器官における虚血は、酸素欠乏(低酸素症)及び/またはグルコース(例えば、基質)欠乏によって引き起こされる多面的な病態である。組織または器官の細胞における酸素及び/またはグルコース欠乏は、エネルギー発生能力の低減または全損、細胞膜を横断する活性イオン輸送の機能の結果的損失に至る。酸素及び/またはグルコース欠乏はまた、ミトコンドリア膜における透過性遷移を含めた、他の細胞膜における病的変化にも至る。加えて、他の分子、例えば、ミトコンドリア内に区分化されているアポトーシス性タンパク質が細胞質中に漏出し、アポトーシス細胞死を引き起こし得る。重度の虚血は、壊死細胞死に至る可能性がある。
【0114】
特定の組織または器官における虚血または低酸素症は、組織または器官への血液の供給の損失または重篤な低減によって引き起こされ得る。血液の供給の損失または重篤な低減は、例えば、血栓塞栓性脳卒中、冠状動脈硬化症、または末梢血管疾患に起因し得る。虚血または低酸素症によって影響される組織は、典型的には筋肉、例えば、心筋、骨格筋、または平滑筋である。
【0115】
虚血または低酸素症によって影響される器官は、虚血または低酸素症を被るいずれの器官であってもよい。例として、何ら限定されないが、心筋虚血または低酸素症は、アテローム性動脈硬化または血栓症閉塞によって一般的に引き起こされ、心動脈及び毛細管血液の供給による心臓組織への酸素送達の低減または損失に至る。かかる心虚血または低酸素症は、影響される心筋の疼痛及び壊死を引き起こし、最終的に心不全に至る場合がある。
【0116】
再灌流は、血液の流れが減少または遮断される任意の器官または組織への血流の回復である。例えば、血流は、虚血に影響される任意の器官または組織にて回復され得る。血流の回復(再灌流)は、当業者に公知の任意の方法によって行われ得る。例えば、虚血心臓組織の再灌流は、血管形成、冠動脈バイパスグラフト、または血栓溶解薬から生じ得る。
【0117】
虚血-再灌流傷害は、血液の供給が虚血期間後に患部に戻るときに引き起こされる細胞または組織損傷である。虚血の際の酸素及び栄養素の欠失は、循環の回復が結果として組織に損傷を生じさせる状態を作り出す。例として、何ら限定されないが、再灌流誘発不整脈、心筋気絶、遅い冠状動脈血流において現れる微小血管閉塞、及び致死性心筋再灌流傷害(すなわち、指標虚血事象の終わりに生存可能であった心筋細胞の再灌流誘発死)を含めた、心筋再灌流傷害の形態が挙げられる。研究により、致死性心筋再灌流傷害が最終心筋梗塞サイズの約50%を占めることが示唆されている。
【0118】
ある特定の実施形態において、ペプチドは、経口、静脈内、または非経口投与される。
【0119】
ある特定の実施形態において、対象はヒトである。
【0120】
本発明のペプチド化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、例えば、酢酸塩、酒石酸塩、もしくはトリフルオロ酢酸塩は、虚血傷害の疑いがあるまたはこれに既に罹患している対象に、疾患の発症におけるその合併症及び中間の病理学的表現型を含めた疾患の症状を治癒するまたは少なくとも部分的に阻止するのに十分な量で投与され得る。虚血傷害に罹患している対象は、当該分野において公知の診断または予防アッセイのいずれかまたは組み合わせによって識別され得る。例として、限定されないが、いくつかの実施形態において、虚血傷害は、心虚血、脳の虚血、腎虚血、脳虚血、腸虚血、肝虚血、または心筋梗塞に関係する。
【0121】
例として、何ら限定されないが、心虚血の典型的な症状として、限定されないが、狭心症(例えば、胸痛及び胸部圧迫感)、息切れ、動悸、脱力、めまい、吐き気、発汗、頻拍、ならびに倦怠感が挙げられる。
【0122】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されている少なくとも1つのペプチドを用いた、心虚血と診断された対象の処置は、以下の心虚血症状:狭心症(例えば、胸痛及び胸部圧迫感)、息切れ、動悸、脱力、めまい、吐き気、発汗、頻拍、ならびに倦怠感;のうちの1以上を改善しまたは取り除く。
【0123】
例として、何ら限定されないが、腎虚血の典型的な症状として、限定されないが、尿毒症(すなわち、例えば尿素などのタンパク質副産物の高い血中濃度)、肺水腫によって引き起こされる呼吸困難の急性発症(苦しいまたは困難な呼吸)、高血圧、腎臓付近で感じられる疼痛、脱力、高血圧、吐き気、脚部疼痛歴、脚部への循環障害を反映するストライド、ならびに首(例えば、頸動脈の雑音)、腹部(腎動脈の狭窄を反映している場合がある)、及び鼠径部(大腿動脈の雑音)で検出され得る動脈内の乱れた血流によって引き起こされる雑音(聴診器によって聞かれる音または雑音)が挙げられる。
【0124】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されている少なくとも1つのペプチドを用いた、腎虚血と診断された対象の処置は、以下の腎虚血症状:尿毒症(すなわち、例えば尿素などのタンパク質副産物の高い血中濃度)、肺水腫によって引き起こされる呼吸困難の急性発症(苦しいまたは困難な呼吸)、高血圧、腎臓付近で感じられる疼痛、脱力、高血圧、吐き気、脚部疼痛歴、脚部への循環障害を反映するストライド、ならびに首(例えば、頸動脈の雑音)、腹部(腎動脈の狭窄を反映している場合がある)、及び鼠径部(大腿動脈の雑音)で検出され得る動脈内の乱れた血流によって引き起こされる雑音(聴診器によって聞かれる音または雑音);のうちの1以上を改善しまたは取り除く。
【0125】
例として、何ら限定されないが、脳(または脳の)虚血の典型的な症状として、限定されないが、片目の失明、片方の腕または脚の脱力、体の片側全体の脱力、めまい、回転性めまい、複視、体の両側の脱力、発話困難、不明瞭な発語、及び協調運動障害が挙げられる。
【0126】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されている少なくとも1つのペプチドを用いた、脳(または脳の)虚血と診断された対象の処置は、以下の脳(または脳の)虚血症状:片目の失明、片方の腕または脚の脱力、体の片側全体の脱力、めまい、回転性めまい、複視、体の両側の脱力、発話困難、不明瞭な発語、及び協調運動障害;のうちの1以上を改善しまたは取り除く。
【0127】
別の態様において、本発明は、虚血再灌流傷害、及び/または、虚血再灌流傷害に対する既存の治療薬に関連する副作用を処置する方法に関する。治療用途において、少なくとも1つの本発明の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、例えば、酢酸塩、酒石酸塩、もしくはトリフルオロ酢酸塩を含む組成物または薬剤は、虚血再灌流傷害の疑いがあるまたはこれに既に罹患している対象に、疾患の発症におけるその合併症及び中間の病理学的表現型を含めた疾患の症状を治癒するまたは少なくとも部分的に阻止するのに十分な量で投与される。虚血-再灌流傷害に罹患している対象は、当該分野において公知の診断または予防アッセイのいずれかまたは組み合わせによって識別され得る。いくつかの実施形態において、虚血-再灌流傷害は、心虚血、脳の虚血、腎虚血、脳虚血、腸虚血、及び肝虚血に関係する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されているペプチド化合物は、心虚血-再灌流傷害の処置に有用である。
【0128】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されているペプチド化合物は、再灌流の際の心臓への傷害を防止するために対象において心筋梗塞を処置するのに有用である。いくつかの実施形態において、本発明は、冠血行再建術の方法であって、哺乳動物対象に、治療有効量の、本発明のペプチド化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を投与すること、及び対象において冠動脈バイパスグラフト(CABG)手技を実施することを含む、上記方法に関する。
【0129】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されているペプチド化合物を用いた心筋梗塞の処置は、梗塞サイズを低減し、LVDPを増加させ、収縮及び弛緩の最大速度(±dP/dt)を増加させる。
【0130】
予防方法
いくつかの実施形態において、本発明は、虚血傷害を有するリスクがある対象における虚血傷害の発現または虚血傷害の症状を防止または遅延する方法を提供する。いくつかの実施形態において、本技術は、虚血傷害を有するリスクがある対象における虚血傷害の症状を防止または低減する方法を提供する。
【0131】
いくつかの実施形態において、本発明は、虚血-再灌流傷害を有するリスクがある対象における虚血-再灌流傷害の発現または虚血-再灌流傷害の症状を防止または遅延する方法を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、虚血-再灌流傷害を有するリスクがある対象における虚血再灌流傷害の症状を防止または低減する方法を提供する。
【0132】
いくつかの実施形態において、虚血傷害、虚血-再灌流傷害、または虚血性もしくは虚血-再灌流傷害の症状は、心虚血、脳の虚血、腎虚血、脳虚血、腸虚血、及び肝虚血に関係する。いくつかの実施形態において、虚血傷害は、心筋梗塞である。
【0133】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されているペプチド化合物は、心虚血-再灌流傷害の処置または防止において有用である。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されているペプチド化合物は、心虚血-再灌流傷害の防止において有用である。
【0134】
虚血傷害または虚血-再灌流傷害のリスクがある対象は、例えば、当該分野において公知の診断または予防アッセイのいずれかまたは組み合わせによって識別され得る。予防用途において、本発明の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、例えば、酢酸塩、酒石酸塩、もしくはトリフルオロ酢酸塩の医薬組成物あるいは薬剤は、虚血傷害または虚血再灌流傷害に罹り易いまたは他の場合にはそのリスクがある対象に、疾患の生化学的、組織学的及び/もしくは行動学的症状、疾患の発症の間に現れるその合併症及び中間の病理学的表現型を含めた疾患の発現を取り除く、そのリスクを低減する、もしくはその発現を遅延する、または、疾患の発症の間に現れる症状及び/もしくは合併症及び中間の病理学的表現型を低減するのに十分な量で投与される。予防的ペプチドの投与は、疾患または障害に特徴的な症状が現れる前に行われ得、その結果、疾患または障害が防止され、その進行が遅延され、または、疾患もしくは障害の症状もしくは副作用の重篤度が低減することとなる。
【0135】
例として、いくつかの実施形態において、対象は、冠動脈疾患(アテローム性動脈硬化)、血塊、または冠動脈攣縮を有していると、心虚血のリスクがあり得る。
【0136】
例として、何ら限定されないが、いくつかの実施形態において、対象は、腎臓傷害(例えば、急性腎臓傷害)及び/または腎臓から正常な血流が長期間奪われる手術(例えば、心臓バイパス手術)による傷害もしくは合併症を有すると、腎虚血のリスクがあり得る。
【0137】
例として、何ら限定されないが、いくつかの実施形態において、対象は、鎌状赤血球貧血、圧迫血管、心室頻拍、動脈内のプラークの蓄積、血塊、心臓発作の結果としての極度の低血圧、脳卒中、先天性心欠陥を有するとき、脳虚血のリスクがあり得る。
【0138】
治療及び/または予防用途について、本明細書に記載されている少なくとも1つのペプチド化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、例えば、酢酸塩、酒石酸塩、もしくはトリフルオロ酢酸塩を含む組成物が、これを必要とする対象に投与される。いくつかの実施形態において、ペプチド組成物は、1日あたり1、2、3、4、または5回投与される。いくつかの実施形態において、ペプチド組成物は、1日あたり5回より多く投与される。加えてまたは代替的には、いくつかの実施形態において、ペプチド組成物は、毎日、1日おき、3日ごと、4日ごと、5日ごと、または6日ごとに投与される。いくつかの実施形態において、ペプチド組成物は、毎週、隔週、3週間ごと、または月1回投与される。いくつかの実施形態において、ペプチド組成物は、1、2、3、4、または5週間の期間にわたって投与される。いくつかの実施形態において、ペプチドは、6週以上投与される。いくつかの実施形態において、ペプチドは、12週以上投与される。いくつかの実施形態において、ペプチドは、1年未満の期間投与される。いくつかの実施形態において、ペプチドは、1年を超える期間投与される。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されている少なくとも1つのペプチドによる処置は、以下の心虚血症状:狭心症(例えば、胸痛及び胸部圧迫感)、息切れ、動悸、脱力、めまい、吐き気、発汗、頻拍、ならびに倦怠感;のうちの1以上の発現を防止または遅延する。
【0139】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されている少なくとも1つのペプチドによる処置は、以下の腎虚血症状:尿毒症(すなわち、例えば尿素などのタンパク質副産物の高い血中濃度)、肺水腫によって引き起こされる呼吸困難の急性発症(苦しいまたは困難な呼吸)、高血圧、腎臓付近で感じられる疼痛、脱力、高血圧、吐き気、脚部疼痛歴、脚部への循環障害を反映するストライド、ならびに首(例えば、頸動脈の雑音)、腹部(腎動脈の狭窄を反映している場合がある)、及び鼠径部(大腿動脈の雑音)で検出され得る動脈内の乱れた血流によって引き起こされる雑音(聴診器によって聞かれる音または雑音);のうちの1以上の発現を防止または遅延する。
【0140】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されている少なくとも1つのペプチドによる処置は、以下の脳(または脳の)虚血症状:片目の失明、片方の腕または脚の脱力、体の片側全体の脱力、めまい、回転性めまい、複視、体の両側の脱力、発話困難、不明瞭な発語、及び協調運動障害;のうちの1以上の発現を防止または遅延する。
【0141】
代謝安定性の評価方法
ある特定の実施形態において、以下の方法を使用して、本発明の化合物の代謝安定性を評価することができる。
【0142】
ある特定のin vitro肝臓代謝研究は、以下の参照文献において先に記載されている:Obach,R S,Drug Metab Disp,1999,27:1350;Houston,J B et al.,Drug Metab Rev,1997,29:891;Houston,J B,Biochem Pharmacol,1994,47:1469;Iwatsubo,T et al.,Pharmacol Ther,1997,73:147;and Lave,T,et al.,Pharm Res,1997,14:152。
【0143】
マイクロソームアッセイ:ヒト肝臓マイクロソーム(20mg/mL)は、Xenotech,LLC(Lenexa,Kans.)から得られてよい。β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸、還元形態(NADPH)、塩化マグネシウム(MgCl2)、及びジメチルスルホキシド(DMSO)は、Sigma-Aldrichから購入されてよい。
【0144】
代謝安定性の決定:7.5mMの試験化合物原液をDMSO中で調製する。7.5mMの原液をアセトニトリル(ACN)中12.5~50μMに希釈する。20mg/mLヒト肝臓マイクロソームを、3mM MgCl2を含有する0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)において0.625mg/mLに希釈する。希釈したマイクロソームを96ウェルディープウェルポリプロピレンプレートに3連で添加する。12.5~50μM 試験化合物の10μLのアリコートをマイクロソームに添加し、混合物を10分間予め加温する。反応を、予め加温したNADPH溶液の添加によって開始する。最終反応体積は0.5mLであり、0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)中の0.5mg/mLヒト肝臓マイクロソーム、0.25~1.0μM試験化合物及び2mM NADPH、ならびに3mM MgCl2を含有する。反応混合物を37℃でインキュベートし、50μLのアリコートを0、5、10、20、及び30分で除去し、内部標準と共に50μLの氷冷ACNを含有する、シャローウェル96ウェルプレートに添加して、反応を停止させる。プレートを4℃で20分間保存し、その後、100μLの水をプレートのウェルに添加し、その後、ペレットに遠心分離をしてタンパク質を沈殿させる。上清を別の96ウェルプレートに移し、Applied Bio-systems API4000質量分析計を使用するLC-MS/MSによって残存する親の量について分析する。試験を3連で行う。
【0145】
データ解析:試験化合物についてin vitro半減期(t1/2s)を、残存する親の線形回帰の傾き(ln)対インキュベーション時間の関係から算出する:
in vitro t1/2=0.693/k、式中、k=-[残存する親の線形回帰の傾き(ln)対インキュベーション時間]
【実施例】
【0146】
ペプチドの合成の一般手順
【化33】
合成を、GL Biochem(Shanghai)Ltd.によって実施した。
【0147】
ステップa.樹脂調製物
10gのピンク色のAM樹脂(仕込み0.6mmol/g)を秤量し、樹脂を反応カラム内に投入し、DCMによって30分間膨潤させる。
【0148】
ステップb.脱保護
Fmocを20%ピペリジン/DMFによって脱保護し、これらを10分間混合し、次いで、これをDMFによって洗浄する。このステップを繰り返す。
【0149】
ステップc.カップリング
1)12mmolのFmoc-Lys(Boc)-OH、12mmolのHOBT、12mmolのHBTU及び12mmolのDIEAを、室温で40分間かけてカップリング用樹脂に添加する。
2)洗浄:カップリングが完了した後、樹脂をDMFによって1~2回洗浄する。
【0150】
ステップb~e(d~h).ペプチド鎖の長さの増加
アミノ酸が鎖に逐次的にカップリングされるまで、ステップ2~4を繰り返すことによる。
【0151】
ステップi.ペプチドの脱保護
最後のアミノ酸が鎖にカップリングした後、次いで、樹脂をMeOHによって3回洗浄する。樹脂を乾燥させる。
【0152】
ステップj.開裂
乾燥した樹脂を秤量し、これらをチューブ内に入れ、適切な量の開裂溶液(例えば95%のTFA)を添加し、これを40度で3.5時間インキュベートする。反応溶液を濾過し、次いで、これをエーテル中に添加することによって溶液を沈殿させる。
溶液を2分間2回遠心分離する(4000/s)。
【0153】
ステップk.乾燥
ペプチドサンプルを数分間空気乾燥し、次いで、ペプチドサンプルを凍結乾燥する。
【0154】
最終生成物のHPLC精製手順
機器:HPLC
波長:220nm
流量:30ml/分
カラム:3cm DAC(C18)
移動相A:ACN+TFA0.1%、B:超純水+TFA0.1%
勾配:時間(分) A B
0 18% 82%
25 28% 72%
40 40% 60%
【0155】
1)前分析
適切な量のサンプルを0.5mlチューブに取り、超純水を使用してこれを溶解する。0.45um膜を使用してサンプルを濾過し、次いで、迅速な濃度勾配HPLC(10~100%)を使用してサンプルを分析する。
【0156】
2)サンプル調製物
300mgのサンプルを20mLのビーカーに添加し、次いで15mlのH2O及び5mlのACNを添加する。サンプルが完全に溶解されるまでサンプルを超音波処理し、次いで、0.45um膜を使用して溶液を濾過する。
【0157】
3)HPLC精製
上記勾配を有するHPLCを使用してサンプルを精製し、0~40分において画分を収集する。
収集した画分を、分析HPLCを使用して分析し、純度を確認する。
【0158】
4)乾燥及び凍結乾燥
収集した画分を、ロータリーエバポレータを使用して乾燥し、次いで、これを2日間凍結乾燥する。
【0159】
5)保存
乾燥したサンプルを秤量して検査し、次いでこれをチューブ内で保存する。10℃未満で、光を避ける。
【0160】
実施例1:(S)-6-アミノ-2-((S)-2-((R)-2-((S)-2-アミノ-3-フェニルプロパンアミド)-5-グアニジノペンタンアミド)-3-シクロヘキシルプロパンアミド)ヘキサンアミド(Phe-D-Arg-Cha-Lys-NH
2、15a)の合成
【化34】
化合物15aを、第1アミノ酸、L-Fmoc-(N6-Boc)-Lys(3a)、第2アミノ酸、L-Fmoc-Cha(6a)、第3アミノ酸、D-Fmoc-Arg(9a)、及び第4アミノ酸、L-Fmoc-Phe(12a)を使用することによってスキーム1に従って作製して、所望の生成物15aを得た(HPLC、98.1%):
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6), δ = 8.66 (m, 1H), 8.40 (m, 1H), 8.26 (m, 3H), 7.94 (m, 1H), 7.86 (m, 4H), 7.40 (m, 1H), 7.34 (m, 5H), 7.08 (m, 1H), 4.38 (m, 2H), 4.14 (m, 2H), 3.02 (m, 4H), 2.75 (m, 2H), 1.00-1.70 (m, 21H), 1.07 (m, 2H). MS (M+1):602.44.
【0161】
実施例2:(S)-6-アミノ-2-((S)-2-((R)-2-((S)-2-アミノ-3-シクロペンチルプロパンアミド)-5-グアニジノペンタンアミド)-3-シクロペンチルプロパンアミド)ヘキサンアミド((β-シクロペンチル)-Ala-D-Arg-(β-シクロペンチル)-Ala-Lys-NH
2、15b)の合成
【化35】
化合物15bを、第1アミノ酸、L-Fmoc-(N6-Boc)-Lys(3a)、第2アミノ酸、L-Fmoc-(β-シクロペンチル)-Ala(6b)、第3アミノ酸、D-Fmoc-Arg(9a)、及び第4アミノ酸、L-Fmoc-(β-シクロペンチル)-Ala(6b)を使用することによってスキーム1に従って作製して、所望の生成物15bを得た(HPLC、98.1%):
1H NMR(400 MHz, DMSO-d
6), δ = 8.86(m、1H)、8.40(m、1H)、8.19(m、3H)、7.91(m、2H)、7.86(m、3H)、7.44(m、1H)、7.10(m、1H)、4.46(m、1H)、4.28(m、1H)、4.15(m、1H)、3.70(m、1H)、3.10(m、2H)、2.75(m、2H)、1.20-1.80(m、28H)、1.10(m、4H).MS(M+1):580.45.
【0162】
実施例3:(S)-6-アミノ-2-((S)-2-((R)-2-((S)-2-アミノ-3-シクロペンチルプロパンアミド)-5-グアニジノペンタンアミド)-3-フェニルプロパンアミド)ヘキサンアミド((β-シクロペンチル)-Ala-D-Arg-Phe-Lys-NH
2、15c)の合成
【化36】
化合物15cを、第1アミノ酸、L-Fmoc-(N6-Boc)-Lys(3a)、第2アミノ酸、L-Fmoc-Phe(12a)、第3アミノ酸、D-Fmoc-Arg(9a)、及び第4アミノ酸、L-Fmoc-(β-シクロペンチル)-Ala(6b)を使用することによってスキーム1に従って作製して、所望の生成物15bを得た(HPLC、99.6%):
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6), δ = 8.74(m, 1H), 8.48(m, 1H), 8.16(m, 4H), 7.86(m, 3H), 7.72(m, 1H), 7.43(m, 1H), 7.29(m, 5H), 7.24(m, 1H), 4.60(m, 1H), 4.38(m, 1H), 4.20(m, 1H), 3.80(m, 1H), 3.10(m, 1H), 2.90(m, 2H), 2.75(m, 3H), 1.70(m, 6H), 1.50(m, 7H), 1.30(m, 4H), 1.10(m, 4H). MS(M+1):588.45.
【0163】
実施例4:(S)-2-((S)-3-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-2-((R)-2-((S)-2-アミノ-3-フェニルプロパンアミド)-5-グアニジノペンタンアミド)プロパンアミド)-6-アミノヘキサンアミド(Phe-D-Arg-(4)-Bip-Lys-NH
2、15d)の合成
【化37】
化合物15dを、第1アミノ酸、L-Fmoc-(N6-Boc)-Lys(3a)、第2アミノ酸、L-Fmoc-(4)-Bip(6c)、第3アミノ酸、D-Fmoc-Arg(9a)、及び第4アミノ酸、L-Fmoc-Phe(12a)を使用することによってスキーム1に従って作製して、所望の生成物15dを得た(HPLC、99.5%):
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6), δ = 8.65 (m, 1H), 8.45 (m, 1H), 8.20 (m, 4H), 7.80 (m, 3H), 7.60 (m, 5H), 7.45 (m, 4H), 7.30 (m, 5H), 7.15 (m, 1H), 4.60 (m, 1H), 4.32 (m, 1H), 4.15 (m, 2H), 2.60-3.40 (m, 8H), 1.00-1.80 (m, 7H), 0.90 (m, 3H). MS (M+1):672.42.
【0164】
実施例5:(S)-6-アミノ-2-((S)-2-((R)-2-((S)-2-アミノ-3-フェニルプロパンアミド)-5-グアニジノペンタンアミド)-3-(チアゾール-4-イル)プロパンアミド)ヘキサンアミド(Phe-D-Arg-(β-チアゾール-4-イル)-Ala-Lys-NH
2、15e)の合成
【化38】
化合物15eを、第1アミノ酸、L-Fmoc-(N6-Boc)-Lys(3a)、第2アミノ酸、L-Fmoc-(β-チアゾール-4-イル)-Ala(6d)、第3アミノ酸、D-Fmoc-Arg(9a)、及び第4アミノ酸、L-Fmoc-Phe(12a)を使用することによってスキーム1に従って作製して、所望の生成物15eを得た(HPLC、99.5%):
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6), δ=8.99 (s, 1H), 8.63 (m, 1H), 8.43 (m, 1H), 8.20 (m, 3H), 8.10 (m, 1H), 7.78 (m, 3H), 7.60 (m, 1H), 7.50 (s, 1H), 7.30 (m, 6H), 7.10 (m, 1H), 4.70 (m, 1H), 4.32 (m, 1H), 4.12 (m, 2H), 3.22 (m, 1H), 3.00 (m, 5H), 2.75 (m, 2H), 1.70 (m, 1H), 1.50 (m, 3H), 1.20 (m, 4H), 0.90 (m, 2H). MS (M+1):603.52.
【0165】
実施例6:(S)-6-アミノ-2-((S)-2-((R)-2-((S)-2-アミノ-3-フェニルプロパンアミド)-5-グアニジノペンタンアミド)-3-シクロペンチルプロパンアミド)ヘキサンアミド(Phe-D-Arg-Cpa-Lys-NH
2、15f)の合成
【化39】
化合物15fを、第1アミノ酸、L-Fmoc-(N6-Boc)-Lys(3a)、第2アミノ酸、L-Fmoc-(β-シクロペンチル)-Ala(6b)、第3アミノ酸、D-Fmoc-Arg(9a)、及び第4アミノ酸、L-Fmoc-Phe(12a)を使用することによってスキーム1に従って作製して、所望の生成物15fを得た(HPLC、99.7%):
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6+D
2O), δ=8.40 (m, 1H), 7.93 (m, 1H), 7.35 (m, 5H), 4.10 (m, 4H), 3.00 (m, 2H), 2.90 (m, 2H), 2.75 (m, 2H), 1.20-1.70 (m, 17H), 1.00 (m, 4H). MS (M+1):588.56.
【0166】
実施例7:(S)-6-アミノ-2-((S)-2-((R)-2-((S)-2-アミノ-3-フェニルプロパンアミド)-5-グアニジノペンタンアミド)-2-フェニルアセトアミド)ヘキサンアミド(Phe-D-Arg-(α-フェニル)-Gly-Lys-NH
2、15g)の合成
【化40】
化合物15gを、第1アミノ酸、L-Fmoc-(N6-Boc)-Lys(3a)、第2アミノ酸、L-Fmoc-(α-フェニル)-Gly(6e)、第3アミノ酸、D-Fmoc-Arg(9a)、及び第4アミノ酸、L-Fmoc-Phe(12a)を使用することによってスキーム1に従って作製して、所望の生成物15gを得た(HPLC、98.6%):
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6), δ=8.82 (m, 1H), 8.65 (m, 1H), 8.42 (m, 1H), 8.20 (m, 3H), 7.25 (m, 3H), 7.12(m 1H), 7.45 (m, 3H), 7.30 (m, 10H), 5.55 (m, 1H), 4.50 (m, 1H), 4.15 (m, 3H), 3.00 (m, 4H), 2.70 (m, 2H),1.00-1.70 (m, 10H). MS (M+1):582.40.
【0167】
実施例8:(S)-6-アミノ-2-((S)-2-((R)-2-((S)-2-アミノ-2-フェニルアセトアミド)-5-グアニジノペンタンアミド)-3-フェニルプロパンアミド)ヘキサンアミド((α-フェニル)-Gly-D-Arg-Phe-Lys-NH
2、15h)の合成
【化41】
化合物15hを、第1アミノ酸、L-Fmoc-(N6-Boc)-Lys(3a)、第2アミノ酸、L-Fmoc-Phe(12a)、第3アミノ酸、D-Fmoc-Arg(9a)、及び第4アミノ酸、L-Fmoc-(α-フェニル)-Gly(6e)を使用することによってスキーム1に従って作製して、所望の生成物15hを得た(HPLC、98.5%):
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6), δ=8.70 (m, 4H), 8.50 (m, 1H), 8.25 (m, 1H), 7.80 (m, 3H), 7.40 (m, 7H), 7.20 (m, 7H), 5.00 (m, 1H), 4.60 (m, 1H), 4.35 (m, 1H), 4.15 (m, 1H), 3.20 (m, 2H), 2.70 (m, 4H), 1.60 (m, 4H), 1.25 (m, 3H), 1.08 (m, 2H), 0.75 (m, 1H). MS (M+1):582.45.
【0168】
実施例9:(S)-6-アミノ-2-((S)-2-((R)-2-((S)-2-アミノ-2-フェニルアセトアミド)-5-グアニジノペンタンアミド)-2-フェニルアセトアミド)ヘキサンアミド((α-フェニル)-Gly-D-Arg-(α-フェニル)-Gly-Lys-NH
2、15i)の合成
【化42】
化合物15iを、第1アミノ酸、L-Fmoc-(N6-Boc)-Lys(3a)、第2アミノ酸、L-Fmoc-(α-フェニル)-Gly(6e)、第3アミノ酸、D-Fmoc-Arg(9a)、及び第4アミノ酸、L-Fmoc-(α-フェニル)-Gly(6e)を使用することによってスキーム1に従って作製して、所望の生成物15iを得た(HPLC、98.1%):
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6), δ=8.85 (m, 2H), 8.22 (m, 3H), 8.45 (m, 1H), 7.85 (m, 3H), 7.65 (m, 1H), 7.55 (m, 3H), 7.45 (m, 5H), 7.30 (m, 5H), 5.58 (m, 1H), 5.06 (m, 1H), 4.58 (m, 1H), 4.18 (m, 1H), 2.90 (m, 2H), 2.75 (m, 2H), 1.60 (m, 5H), 1.30 (m, 5H), 1.10 (m, 2H). MS (M+1):568.45.
【0169】
実施例10:(S)-6-アミノ-2-((S)-2-((R)-2-((S)-2-アミノ-3-フェニルプロパンアミド)-5-グアニジノペンタンアミド)-3-(o-トリル)プロパンアミド)ヘキサンアミド(Phe-D-Arg-(2-メチル)-Phe-Lys-NH
2、15j)の合成
【化43】
化合物15jを、第1アミノ酸、L-Fmoc-(N6-Boc)-Lys(3a)、第2アミノ酸、L-Fmoc-(2-メチル)-Phe(6f)、第3アミノ酸、D-Fmoc-Arg(9a)、及び第4アミノ酸、L-Fmoc-Phe(12a)を使用することによってスキーム1に従って作製して、所望の生成物15jを得た(HPLC、99.0%):
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6), δ=8.59 (m, 1H), 8.52 (m, 1H), 8.22 (m, 2H), 8.03 (m, 1H), 7.84 (m, 3H), 7.60 (m, 1H), 7.38 (m, 3H), 7.25 (m, 3H), 7.20 (m, 2H), 7.08 (m, 5H), 4.62 (m, 1H), 4.32 (m, 1H), 4.15 (m, 2H), 3.10 (m, 1H), 2.98 (m, 2H), 2.80 (m, 5H), 2.32 (s, 3H), 1.68 (m, 1H), 1.55 (m, 3H), 1.38 (m, 3H), 1.10 (m, 1H), 0.88 (m, 2H). MS (M+1):610.45.
【0170】
実施例11:(S)-6-アミノ-2-((S)-2-((R)-2-((S)-2-アミノ-3-フェニルプロパンアミド)-5-グアニジノペンタンアミド)-3-(p-トリル)プロパンアミド)ヘキサンアミド(Phe-D-Arg-(4-メチル)-Phe-Lys-NH
2、15k)の合成
【化44】
化合物15kを、第1アミノ酸、L-Fmoc-(N6-Boc)-Lys(3a)、第2アミノ酸、L-Fmoc-(4-メチル)-Phe(6g)、第3アミノ酸、D-Fmoc-Arg(9a)、及び第4アミノ酸、L-Fmoc-Phe(12a)を使用することによってスキーム1に従って作製して、所望の生成物15kを得た(HPLC、98.7%):
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6), δ=8.55 (m, 1H), 8.42 (m, 1H), 8.21 (m, 3H), 8.14 (m, 1H), 7.83 (m, 3H), 7.58 (m, 1H), 7.25 (m, 6H), 7.15 (m, 5H), 4.56 (m, 1H), 4.20 (m, 1H), 4.16 (m, 2H), 3.00 (m, 3H), 2.78 (m, 4H), 2.24 (s, 3H), 1.65 (m, 1H), 1.55 (m, 3H), 1.20 (m, 4H), 0.85 (m, 2H). MS (M+1):610.45.
【0171】
実施例12:(S)-6-アミノ-2-((S)-2-((R)-2-((S)-2-アミノ-3-フェニルプロパンアミド)-5-グアニジノペンタンアミド)-3-(4-(tert-ブチル)フェニル)プロパンアミド)ヘキサンアミド(Phe-D-Arg-(4-tert-ブチル)-Phe-Lys-NH
2、15l)の合成
【化45】
化合物15lを、第1アミノ酸、L-Fmoc-(N6-Boc)-Lys(3a)、第2アミノ酸、L-Fmoc-(4-tert-ブチル)-Phe(6h)、第3アミノ酸、D-Fmoc-Arg(9a)、及び第4アミノ酸、L-Fmoc-Phe(12a)を使用することによってスキーム1に従って作製して、所望の生成物15lを得た(HPLC、98.9%):
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6+D
2O), δ=7.25 (m, 5H), 7.12 (m, 4H), 4.45 (m, 1H), 4.12 (m, 1H), 3.95 (m, 2H), 3.05 (m, 2H), 2.90 (m, 1H), 2.70 (m, 5H), 1.60 (m, 4H), 1.35 (m, 2H), 1.16 (s, 9H), 0.95 (m, 2H), 0.70 (m, 2H). MS (M+1):652.68.
【0172】
実施例13:(S)-2-((R)-2-((S)-2-アミノ-3-フェニルプロパンアミド)-5-グアニジノペンタンアミド)-N-((S)-1,6-ジアミノ-1-オキソヘキサン-2-イル)デカンアミド(Phe-D-Arg-(β-n-ヘプチル)-Ala-Lys-NH
2、15m)の合成
【化46】
化合物15mを、第1アミノ酸、L-Fmoc-(N6-Boc)-Lys(3a)、第2アミノ酸、L-Fmoc-(β-n-ヘプチル)-Phe(6i)、第3アミノ酸、D-Fmoc-Arg(9a)、及び第4アミノ酸、L-Fmoc-Phe(12a)を使用することによってスキーム1に従って作製して、所望の生成物15mを得た(HPLC、99.2%):
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6), δ=8.66 (m, 1H), 8.37 (m, 4H), 7.95 (m, 1H), 7.85 (m, 3H), 7.28 (m, 1H), 7.30 (m, 6H), 7.05 (m, 1H), 4.38 (m, 1H), 4.25 (m, 1H), 4.15 (m, 2H), 3.00 (m, 4H), 2.75 (m, 2H), 1.65 (m, 2H), 1.50 (m, 4H), 1.25 (m, 18H), 0.85 (m, 3H). MS (M+1):618.67.
【0173】
実施例14:(R)-N-((S)-1-(((S)-1-アミノ-3-(1H-インドール-3-イル)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-1-オキソ-3-フェニルプロパン-2-イル)-2-((S)-2-アミノ-3-フェニルプロパンアミド)-5-グアニジノペンタンアミド(Phe-D-Arg-Phe-Trp-NH
2、15n)の合成
【化47】
化合物15nを、第1アミノ酸、L-Fmoc-Trp(3b)、第2アミノ酸、L-Fmoc-Phe(12a)、第3アミノ酸、D-Fmoc-Arg(9a)、及び第4アミノ酸、L-Fmoc-Phe(12a)を使用することによってスキーム1に従って作製して、所望の生成物15nを得た(HPLC、98.7%):
1H NMR (400 MHz,CD
3OD), δ=8.66 (m, 1H), 7.70 (m, 1H), 7.22 (m, 14H), 4.78 (m, 1H), 4.56 (m, 1H), 4.15 (m, 1H), 4.08 (m, 1H), 3.73 (m, 1H), 3.20 (m, 5H), 2.92 (m, 2H), 2.60 (m, 1H), 1.40 (m, 2H), 1.08 (m, 1H), 0.88 (m, 1H). MS (M+1):654.61.
【0174】
実施例15:(R)-N-((S)-1-(((S)-1-アミノ-3-(1H-イミダゾール-4-イル)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-1-オキソ-3-フェニルプロパン-2-イル)-2-((S)-2-アミノ-3-フェニルプロパンアミド)-5-グアニジノペンタンアミド(Phe-D-Arg-Phe-His-NH
2、15o)の合成
【化48】
化合物15oを、第1アミノ酸、L-Fmoc-His(3c)、第2アミノ酸、L-Fmoc-Phe(12a)、第3アミノ酸、D-Fmoc-Arg(9a)、及び第4アミノ酸、L-Fmoc-Phe(12a)を使用することによってスキーム1に従って作製して、所望の生成物15oを得た(HPLC、98.6%):
1H NMR (400 MHz,CD
3OD), δ=8.88 (s, 1H), 7.50 (s, 1H), 7.30 (m, 10H), 4.76 (m, 1H), 4.59 (m, 1H), 4.22 (m, 1H), 4.16 (m, 1H), 3.35 (m, 1H), 3.20 (m, 4H), 3.00 (m, 2H), 2.90 (m, 1H), 1.40 (m, 2H), 1.06 (m, 2H). MS (M+1):605.47.
【0175】
実施例16:(S)-6-アミノ-2-((S)-2-((R)-2-((S)-2-アミノ-3-フェニルプロパンアミド)-5-グアニジノペンタンアミド)-3-(2,3-ジメチルフェニル)プロパンアミド)ヘキサンアミド(Phe-D-Arg-(2,3-ジメチル)-Phe-Lys-NH
2、15p)の合成
【化49】
化合物15pを、第1アミノ酸、L-Fmoc-Lys(3a)、第2アミノ酸、L-Fmoc-(2,3-ジメチル)-Phe(6j)、第3アミノ酸、D-Fmoc-Arg(9a)、及び第4アミノ酸、L-Fmoc-Phe(12a)を使用することによってスキーム1に従って作製して、所望の生成物15pを得た(HPLC、99.1%):
1H NMR (400 MHz,CD
3OD), δ=7.32 (m, 5H), 7.02 (m, 3H), 4.62 (m, 1H), 4.43 (m, 1H), 4.12 (m, 2H), 3.45 (m, 1H), 3.12 (m, 2H), 2.96 (m, 3H), 2.90 (m, 2H), 2.30 (s, 3H), 2.28 (s, 3H), 1.65-1.90 (m, 4H), 1.50 (m, 2H), 1.35 (m, 2H), 1.16 (m, 1H), 0.96 (m, 1H). MS (M+1):624.31.
【0176】
実施例17:(S)-6-アミノ-2-((S)-2-((R)-2-((S)-2-アミノ-3-フェニルプロパンアミド)-5-グアニジノペンタンアミド)-3-(2,4-ジメチルフェニル)プロパンアミド)ヘキサンアミド(Phe-D-Arg-(2,4-ジメチル)-Phe-Lys-NH
2、15q)の合成
【化50】
化合物15qを、第1アミノ酸、L-Fmoc-Lys(3a)、第2アミノ酸、L-Fmoc-(2,4-ジメチル)-Phe(6k)、第3アミノ酸、D-Fmoc-Arg(9a)、及び第4アミノ酸、L-Fmoc-Phe(12a)を使用することによってスキーム1に従って作製して、所望の生成物15qを得た(HPLC、99.4%):
1H NMR (400 MHz,CD
3OD), δ=7.32 (m, 5H), 7.06 (m, 1H), 6.98 (s, 1H), 6.92 (m, 1H), 4.61 (m, 1H), 4.41 (m, 1H), 4.13 (m, 2H), 3.32 (m, 1H), 3.14 (m, 2H), 2.98 (m, 3H), 2.88 (m, 2H), 2.34 (s, 3H), 2.27 (s, 3H), 1.60-1.90 (m, 4H), 1.55 (m, 2H), 1.35 (m, 2H), 1.10 (m, 2H). MS (M+1):624.45.
【0177】
実施例18:(S)-N-((S)-1-アミノ-3-(1H-イミダゾール-4-イル)-1-オキソプロパン-2-イル)-2-((R)-2-((S)-2-アミノ-3-フェニルプロパンアミド)-5-グアニジノペンタンアミド)-5-メチルヘキサンアミド(Phe-D-Arg-ホモLeu-His-NH
2、15r)の合成
【化51】
化合物15rを、第1アミノ酸、L-Fmoc-His(3c)、第2アミノ酸、L-Fmoc-homoLeu(6l)、第3アミノ酸、D-Fmoc-Arg(9a)、及び第4アミノ酸、L-Fmoc-Phe(12a)を使用することによってスキーム1に従って作製して、所望の生成物15rを得た(HPLC、98.6%):
1H NMR (400 MHz,CD
3OD), δ=8.86 (s, 1H), 7.33 (m, 6H), 4.65 (m, 1H), 4.20 (m, 3H), 3.30 (m, 1H), 3.15 (m, 5H), 1.80 (m, 1H), 1.70 (m, 1H), 1.60 (m, 3H), 1.35 (m, 2H), 1.20 (m, 2H), 0.90 (d, J=6.8 Hz, 6H). MS (M+1):585.45.
【0178】
実施例19:(S)-6-アミノ-2-((S)-2-((R)-2-((S)-2-アミノ-3-フェニルプロパンアミド)-5-グアニジノペンタンアミド)-3-メシチルプロパンアミド)ヘキサンアミド(Phe-D-Arg-(2,4,6-トリメチル)-Phe-Lys-NH
2、15s)の合成
【化52】
化合物15sを、第1アミノ酸、L-Fmoc-Lys(3a)、第2アミノ酸、L-Fmoc-(2,4,6-トリメチル)-Phe(6m)、第3アミノ酸、D-Fmoc-Arg(9a)、及び第4アミノ酸、L-Fmoc-Phe(12a)を使用することによってスキーム1に従って作製して、所望の生成物15sを得た(HPLC、98.6%):
1H NMR (400 MHz,CD
3OD), δ=7.32 (m, 5H), 6.82 (s, 2H), 4.66 (m, 1H), 4.32 (m, 1H), 4.18 (m, 2H), 3.28 (m, 1H), 3.15 (m, 2H), 3.00 (m, 5H), 2.24 (s, 6H), 2.22 (s, 3H), 1.88 (m, 1H), 1.72 (m, 2H), 1.50 (m, 5H), 1.12 (m, 2H). MS (M+1):638.61.
【0179】
実施例20:(S)-N-((S)-1-アミノ-3-(1H-イミダゾール-4-イル)-1-オキソプロパン-2-イル)-2-((R)-2-((S)-2-アミノ-3-フェニルプロパンアミド)-5-グアニジノペンタンアミド)-6-メチルヘプタンアミド(Phe-D-Arg-(2,4,6-トリメチル)-Phe-Lys-NH
2、15t)の合成
【化53】
化合物15tを、第1アミノ酸、L-Fmoc-His(3c)、第2アミノ酸、L-Fmoc-(β-(3-メチルブタン-1-イル))-Ala(6n)、第3アミノ酸、D-Fmoc-Arg(9a)、及び第4アミノ酸、L-Fmoc-Phe(12a)を使用することによってスキーム1に従って作製して、所望の生成物15tを得た(HPLC、99.5%):
1H NMR (400 MHz,CD
3OD), δ=8.85 (d, J=1.2 Hz, 1H), 7.33 (m, 6H), 4.73 (m, 1H), 4.23 (m, 3H), 3.28 (m, 1H), 3.12 (m, 5H), 1.75 (m, 2H), 1.65 (m, 4H), 1.35 (m, 3H), 1.20 (m, 2H), 0.89 (m, 6H). MS (M+1):599.90.
【0180】
実施例21:(S)-6-アミノ-2-((S)-2-((R)-2-((S)-2-アミノ-3-シクロヘキシルプロパンアミド)-5-グアニジノペンタンアミド)-3-シクロヘキシルプロパンアミド)ヘキサンアミド(Cha-D-Arg-Cha-Lys-NH
2、15u)の合成
【化54】
化合物15uを、第1アミノ酸、L-Fmoc-Lys(3a)、第2アミノ酸、L-Fmoc-Cha(6a)、第3アミノ酸、D-Fmoc-Arg(9a)、及び第4アミノ酸、L-Fmoc-Cha(6a)を使用することによってスキーム1に従って作製して、所望の生成物15uを得た(HPLC、98.1%):
1H NMR (400 MHz,CD
3OD), δ=4.38 (m, 3H), 4.04 (m, 1H), 3.27 (m, 2H), 2.96 (m, 2H), 1.10-1.90 (m, 32H), 1.00 (m, 4H). MS (M+1):608.60.
【0181】
実施例22:(2S)-2-((2S)-3-(アダマンタン-1-イル)-2-((R)-2-((S)-2-アミノ-3-フェニルプロパンアミド)-5-グアニジノペンタンアミド)プロパンアミド)-6-アミノヘキサンアミド(Phe-D-Arg-(β-アダマンタ-1-イル)-Ala-Lys-NH
2、15v)の合成
【化55】
【化56】
ステップa:2-(アダマンタン-1-イル)エタン-1-オール(17)の合成
撹拌器、温度計を備えた5L容の三ツ口フラスコに、1-アダマンチル酢酸(16、300g、1.53mol)、テトラヒドロフラン(3L)を投入し、これを撹拌器によって撹拌し、5℃に冷却した。ボラン/THF錯体(1M THF溶液、2.6L)を滴下漏斗に入れ、上記溶液に滴加した。滴加が完了した後、混合物を、10℃で維持しながら一晩撹拌した。反応混合物を3Lの氷水にゆっくりと注ぎ入れ、混合物を30分間撹拌した。その後、これを酢酸エチル(2L)で3回抽出し、酢酸エチル層を飽和水性NaHCO
3溶液(2L)及び塩水(2L)で洗浄した。酢酸エチル層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を真空中で蒸発させて粗生成物を得、これを2Lの水/メタノール(10/90、v/v)に再溶解させ、次いで濃縮して、化合物17(270g、97%)を白色固体として得た。
1H NMR (400 MHz,CDCl
3): δ 4.19-4.17 (t, J = 4.0 Hz, 1H), 3.47-3.42 (m, 2H), 1.91-1.88 (m, 3H), 1.68-1.61 (m, 6H), 1.48-1.47 (m, 6H), 1.26-1.22 (m, 2H) ppm.
【0182】
1)ステップb:2-(アダマンタン-1-イル)アセトアルデヒド(18)の合成
オーブン乾燥した三ツ口フラスコを取り、DCM(2L)及びDMSO(316g、4.04mol)で充填した。-78℃に冷却後、塩化オキサリル(270g、2.10mol)を滴加し、添加後、混合物を-78℃で15分間撹拌した。続いて、1-アダマンチルエタノール(17、270g、1.50mol)のDCM(2L)中の溶液を反応混合物に滴加した。-78℃で1時間撹拌した後、Et3N(818g、8.09mol)を滴加し、30分間さらに撹拌した後、反応混合物を室温まで加温した。冷NH4Cl溶液(2L)及び冷水(2L)を添加し、反応混合物を15分間撹拌した。有機層を塩水で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過及び濃縮して、所望の生成物18(265g、粗製)を薄黄色油として得た。生成物を、さらに精製することなく次のステップに直ちに使用した。1H NMR (400 MHz,CDCl3): δ 9.79-9.78 (t, J = 4.0 Hz, 1H), 2.11-2.10 (d, J=4.0 Hz, 2H), 1.95-1.92 (m, 3H), 1.70-1.59 (m, 12H) ppm.
【0183】
2)ステップc:(S)-N-((E)-2-(アダマンタン-1-イル)エチリデン)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド(20)の合成
チタンテトラエトキシド(700g、3.06mol)を、1-アダマンチルアセトアルデヒド(18、265g、1.49mol)及び(S)-tert-ブタンスルフィンアミド(19、223g、1.84mol)のTHF(4L)中の撹拌溶液に窒素雰囲気下室温で添加した。混合物を15℃で12時間撹拌した。TLC及びHPLCは、反応が完了したことを示した。次いで、酢酸エチル(4L)及び水(4L)を添加した。反応混合物を、セライトを通して濾過し、水層を酢酸エチル(2L)で抽出した。有機層を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィを通して精製して(PE/EtOAc=10/1)、生成物20(350g、83%)を白色固体として得た。1H NMR (400 MHz,CDCl3): δ 8.09-8.05 (t, J = 6.0 Hz, 1H), 2.23-2.21 (m, 2H), 1.94-1.88 (m, 3H), 1.66-1.54 (m, 12H), 1.14 (s, 9H) ppm.
【0184】
3)ステップd:(S)-N-((S)-2-(アダマンタン-1-イル)-1-シアノエチル)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド(21)の合成
化合物20(350g、1.24mol)及びCsF(246g、1.62mol)のTHF(4L)中の混合物に、TMSCN(148g、1.49mol)を添加した。反応混合物を25℃で12時間撹拌した。TLC及びHPLCは、反応が完了したことを示した。-5℃に冷却し、飽和水性NaHCO3溶液(2L)の添加によってクエンチした。水層を酢酸エチル(2L)で抽出した。有機相を水及び塩水で洗浄した。合わせた有機層をNa2SO4上で乾燥し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をDCM(200mL)に溶解し、PE(2L)を添加した。混合物を室温で1時間撹拌した。粉砕した沈殿物を濾過した。フィルタケーキをPE(500mL)で洗浄し、乾燥して、所望の生成物6(150g)を白色固体として得た。濾液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィによって精製して(PE/EtOAc=2/1)、黄色油(80g)を得、これをDCM(80mL)に溶解し、次いで、PE(800mL)を添加した。混合物を室温で1時間撹拌した。粉砕した沈殿物を濾過した。フィルタケーキをPE(300mL)で洗浄し、乾燥して、所望の生成物21(62g)を白色固体として得た。合計212g、収率:55%、%ee>99%.[a]21
D=34.61(c=1、CHCl3). 1H NMR (400 MHz,CDCl3): δ 4.25-4.19 (m, 1H), 3.61-3.59 (m, 1H), 2.06-1.98 (m, 3H), 1.75-1.61 (m, 14H), 1.27 (s, 9H) ppm.
【0185】
4)ステップe:(S)-3-(アダマンタン-1-イル)-2-アミノプロパン酸(22)の合成
化合物21(50g、0.163mol)を6N HCl(5L)に溶解し、加熱還流し、一晩撹拌した(3つのバッチを並行して稼働させた、合計150gの化合物21)。反応混合物を氷上で冷却し、結果として、生成物の沈殿を生じさせた。沈殿物を濾過によって収集し、氷冷6N HClで洗浄し、所望の生成物22(108g、収率:85%)を白色固体として得た。1H NMR (400 MHz,CD3OD): δ 4.02-3.99 (t, J = 6.0 Hz, 1H), 2.05-1.98 (m, 3H), 1.90-1.85 (m, 1H), 1.81-1.59 (m, 12H), 1.53-1.47 (m, 1H) ppm.
【0186】
5)ステップf:(S)-3-(アダマンタン-1-イル)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)プロパン酸(23)の合成
0℃において、アダマンチル-アラニン(22、108g、0.415mol)のH2O(500mL)中の溶液に、K2CO3(115g、0.831mol)を添加した。10分後、ジオキサン(1L)中のBoc2O(181g、0.831mol)を滴加した。5時間撹拌した後、LC-MS分析は、出発物質の完全な消費を示した。反応混合物をH2O(2L)によって希釈し、0.5N HClを使用してpH=4まで酸性化した。沈殿物を濾過によって収集して生成物を得た(80g、HPLC純度>98%、ee>98%)。濾液をEtOAc(2×1L)で抽出した。合わせた有機層を塩水(1L)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濃縮して粗製残渣を得(45g)、これをクロロホルム(125mL)に溶解し、PE(1.25L)を添加した。生成した沈殿物を濾過によって収集し、PEで洗浄し、乾燥して、23(22g、HPLC純度>98%、ee>98%)を白色固体として得た。合計102g、収率:76%。1H NMR (400 MHz,CDCl3): δ 5.37-5.35 (m, 0.17 H), 4.77-4.55 (m, 0.74 H), 4.36-4.33 (m, 0.78 H), 4.18-4.16 (m, 0.19 H), 1.91-1.88 (m, 3H), 1.71-1.55 (m, 13H), 1.44 (s, 9H), 1.34-1.28 (m, 1H) ppm.
【0187】
6)ステップg:(S)-3-(アダマンタン-1-イル)-2-アミノプロパン酸(25)の合成
23(0.260g、0.804mmol)及び24(0.231g、0.731mmol)の5mLの乾燥DCM中の混合物に、EDCI・HCl(0.210g、1.096mmol)を添加し、その後、HOBt・H2Oを添加した(0.123g、0.804mmol)。10~15分後、NMM(0.133g、1.316mmol)を添加し、混合物を周囲温度で一晩撹拌した。揮発性物質を減圧下で除去し、残渣を5%のクエン酸水溶液によって洗浄した。得られた白色固体をフラッシュ逆相クロマトグラフィによって精製して、25(0.320g)を白色固体として得た。1H NMR (400 MHz,メタノール-d4) δ 7.34 (d, J=4.3 Hz, 4H), 7.29 (td, J = 8.2、4.0 Hz, 1H), 5.06 (s, 2H), 4.33 (dd, J = 8.7、5.0 Hz, 1H), 4.13 (dd, J = 9.2、3.0 Hz, 1H), 3.11 (t, J = 6.9 Hz, 2H), 1.94 (s, 3H), 1.86 - 1.33 (m, 29H).
【0188】
7)ステップh:((5S)-5-((2S)-3-(アダマンタン-1-イル)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)プロパンアミド)-6-アミノ-6-オキソヘキシル)カルバミン酸ベンジル(26)の合成
25(0.300g、0.513mmol)のDCM(5mL)中の冷却溶液に、TFA(2mL)を添加した。次いで、氷/水浴を除去し、混合物を、周囲温度で2時間撹拌した。揮発性物質を減圧下で除去し、残渣をトルエンで濃縮した(2x)。フラッシュ逆相クロマトグラフィによる精製により、0.200gの26を白色固体として得た。1H NMR (400 MHz,メタノール-d4) δ 7.34 (d, J=4.5 Hz, 4H), 7.32-7.27 (m, 1H), 5.07 (s, 2H), 4.40 (dd, J = 8.0、6.0 Hz, 1H), 3.95 (dd, J = 7.6、5.4 Hz, 1H), 3.12 (t, J = 6.9 Hz, 2H), 1.97 (s, 3H), 1.84 (dd, J = 14.4、7.7 Hz, 2H), 1.72 (q, J = 12.0 Hz, 8H), 1.59 (d, J=2.7 Hz, 6H), 1.53 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 1.44 (dd, J = 14.4、5.4 Hz, 2H).
【0189】
8)ステップi:(tert-ブトキシカルボニル)-L-フェニルアラニル-D-アルギニン(29)の合成
Boc-Phe-ONp(27、20.5g、52.94mmol)のDMF(300mL)の中の溶液に、D-Arg-OH*HCl(28、9.30g、44.1mmol)を室温で添加した。反応混合物を一晩撹拌した。次いで、反応混合物を氷冷水中に注ぎ入れ、沈殿物(ニトロフェノール)を濾去した。溶媒を減圧下で除去した。黄色固体を、色が消失するまでDCMによって洗浄した。乾燥後、16.0g(収率-79%)の29を得た。HPLC純度-98%。1H NMR (400 MHz,メタノール-d4) δ 7.31 - 7.19 (m, 5H), 4.30 - 4.20 (m, 2H), 3.20-3.10 (m, 3H), 2.80 (dd, J = 9.0、5.1 Hz, 1H), 1.87 - 1.81 (m, 1H), 1.73 - 1.64 (m, 1H), 1.53 - 1.45 (m, 2H), 1.35 (s, 9H).
【0190】
9)ステップj:((9S,12S,15R,18S)-12-(アダマンタン-1-イルメチル)-9-カルバモイル-15-(3-グアニジノプロピル)-3,11,14,17-テトラオキソ-1,19-ジフェニル-2-オキサ-4,10,13,16-テトラアザノナデカン-18-イル)カルバミン酸tert-ブチル(30)の合成
26(0.200g、0.384mmol)及びBoc-Phe-D-Arg-OH(29、0.211g、0.461mmol)の5mLの乾燥DCM中の混合物に、EDCI・HCl(0.132g、0.691mmol)を添加し、続いてHOBt・H2O(0.071g、0.461mmol)を少しずつ添加した。10~15分後、NMM(0.070g、0.691mmol)を添加し、混合物を周囲温度で一晩撹拌した。その後、揮発性物質を減圧下で除去した。残渣をフラッシュ逆相クロマトグラフィによって精製して、30(0.320g)を白色粉末として得た。
【0191】
10)ステップk:((2S)-1-(((2R)-1-(((2S)-3-(アダマンタン-1-イル)-1-(((S)-1,6-ジアミノ-1-オキソヘキサン-2-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-5-グアニジノ-1-オキソペンタン-2-イル)アミノ)-1-オキソ-3-フェニルプロパン-2-イル)カルバミン酸tert-ブチル(31)の合成
30(0.245g、0.265mmol)のDCM(5mL)中の冷却溶液に、TFA(2mL)を添加した。次いで、氷/水浴を除去し、混合物を、周囲温度で2時間撹拌した。揮発性物質を減圧下で除去し、残渣をトルエンで濃縮した(2x)。フラッシュ逆相クロマトグラフィ及び分取HPLCによる精製により、0.125gの31を白色固体として得た。
【0192】
11)ステップl:(2S)-2-((2S)-3-(アダマンタン-1-イル)-2-((R)-2-((S)-2-アミノ-3-フェニルプロパンアミド)-5-グアニジノペンタンアミド)プロパンアミド)-6-アミノヘキサンアミド(15v)の合成
31(0.100g、0.098mmol)及びPd/C10%w/w(0.016g、0.015mmol)を含有するフラスコに、MeOH(10mL)を添加した。フラスコをH2でフラッシングし、混合物を室温で2時間撹拌した。その後、混合物を濾過し、揮発性物質を減圧下で除去した。残渣を分取HPLCによって精製した。15v(48mg)を白色粉末として得た。(HPLC純度は210nmで98.7%である)。1H NMR (400 MHz,メタノール-d4) δ 7.34-7.20 (m, 5H), 4.35 (d, J=14.5 Hz, 2H), 4.14 (dd, J = 8.3、6.2 Hz, 1H), 3.86 (t, J = 7.5 Hz, 1H), 3.10 (td, J = 7.1、2.1 Hz, 2H), 3.06-2.97 (m, 2H), 2.93 (td, J = 8.0、2.9 Hz, 2H), 1.94 (s, 3H), 1.91-1.79 (m, 2H), 1.78-1.56 (m, 13H), 1.55-1.47 (d, J=9.5 Hz, 5H), 1.45-1.29 (m, 4H). MS:EI-MS:m/z 654.5 [M+1].
【0193】
実施例23:(S)-6-アミノ-2-((S)-2-((R)-2-((S)-2-アミノ-3-フェニルプロパンアミド)-5-グアニジノペンタンアミド)-3-(パーフルオロフェニル)プロパンアミド)ヘキサンアミド(Phe-D-Arg-(2,3,4,5,6-ペンタフルオロ)-Phe-Lys-NH
2、15w)の合成
【化57】
【化58】
1)ステップa:((S)-6-アミノ-5-((S)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-3-(パーフルオロフェニル)プロパンアミド)-6-オキソヘキシル)カルバミン酸ベンジル(33)の合成
Phe(5F)-OH(32、400mg、1.12mmol)及びLys(Cbz)-NH
2(24、445mg、1.16mmol)のDMF(15mL)中の混合物に、HOBT
*H
2O(208mg、1.36mmol)、EDC
*HCl(260mg、1.36mmol)及びDIPEA(472μl、3.39mmol)を添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。次いで、DMFを除去し、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィによって精製して(DCM中0~5%のMeOH)、33を白色固体として得た(410mg、59%)。
【0194】
2)ステップb:((S)-6-アミノ-5-((S)-2-アミノ-3-(パーフルオロフェニル)プロパンアミド)-6-オキソヘキシル)カルバミン酸ベンジル(34)の合成
33(410mg、0.666mmol)のDCM(10mL)中の冷却(0℃)溶液に、TFA(2mL)を添加した。5分後、氷浴を除去し、混合物を、周囲温度で2時間撹拌した。揮発性物質を減圧下で除去し、残渣をトルエンによって2回濃縮した。34(460mg)を白色固体として得、これをさらに精製することなく使用した。
【0195】
3)ステップc:((6R,9S,12S)-12-カルバモイル-6-(3-グアニジノプロピル)-2,2-ジメチル-4,7,10-トリオキソ-9-((パーフルオロフェニル)メチル)-3-オキサ-5,8,11-トリアザヘキサデカン-16-イル)カルバミン酸ベンジル(36)の合成
34(200mg、0.318mmol)及びBoc-D-Arg-OH(35、83mg、0.325mmol)のDMF(15mL)中の混合物に、HOBT*H2O(58.4mg、0.382mmol)、EDC*HCl(121mg、0.336mmol)及びDIPEA(187μl、1.59mmol)を添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。次いで、DMFを除去し、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィによって精製して(DCM中0~10%のMeOH)、36を白色固体として得た(180mg、72%)。
【0196】
4)ステップd:((S)-6-アミノ-5-((S)-2-((R)-2-アミノ-5-グアニジノペンタンアミド)-3-(パーフルオロフェニル)プロパンアミド)-6-オキソヘキシル)カルバミン酸ベンジル(37)の合成
36(175mg、0.222mmol)のDCM(5mL)中の冷却(0℃)溶液に、TFA(1mL)を添加した。5分後、氷浴を除去し、混合物を、周囲温度で2時間撹拌した。揮発性物質を減圧下で除去し、減圧下で残渣をトルエンによって2回濃縮した。37(210mg)を白色固体として得、これをさらに精製することなく使用した。
【0197】
5)ステップe:((6S,9R,12S,15S)-6-ベンジル-15-カルバモイル-9-(3-グアニジノプロピル)-2,2-ジメチル-4,7,10,13-テトラオキソ-12-((パーフルオロフェニル)メチル)-3-オキサ-5,8,11,14-テトラアザノナデカン-19-イル)カルバミン酸ベンジル(39)の合成
37(210mg、0.229mmol)及びBoc-Phe-OH(38、62mg、0.230mmol)のDMF(15mL)中の混合物に、HOBT*H2O(42.0mg、0.382mmol)、EDC*HCl(88mg、0.458mmol)及びDIPEA(160μl、1.45mmol)を添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。次いで、DMFを除去し、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィによって精製して(DCM中0~15%のMeOH)、39を白色固体として得た(220mg)。
【0198】
6)ステップf:((S)-6-アミノ-5-((S)-2-((R)-2-((S)-2-アミノ-3-フェニルプロパンアミド)-5-グアニジノペンタンアミド)-3-(パーフルオロフェニル)プロパンアミド)-6-オキソヘキシル)カルバミン酸ベンジル(40)の合成
39(215mg、0.189mmol)のDCM(5mL)中の冷却(0℃)溶液に、TFA(1.0mL)を添加した。5分後、氷浴を除去し、混合物を、周囲温度で2時間撹拌した。揮発性物質を減圧下で除去し、残渣をトルエンによって2回濃縮した。40(220mg)を黄色がかった油として得、これをさらに精製することなく使用した。
【0199】
7)ステップg:(S)-6-アミノ-2-((S)-2-((R)-2-((S)-2-アミノ-3-フェニルプロパンアミド)-5-グアニジノペンタンアミド)-3-(パーフルオロフェニル)プロパンアミド)ヘキサンアミド(15w)の合成
40(210mg、0.200mmol)のMeOH(7mL)中の溶液に、Pd/C(10%w/w、15mg)を水素によって室温で3時間バブリングした。次いで、反応混合物を、セライトパッドを通して濾過し、MeOH(10mL)で洗浄した。溶媒を蒸発によって除去した。150mgの白色固体を得た。精製をHPLCによって実施した。15wを白色固体として単離した(49mg、不純物<5%)。1H NMR (400 MHz,メタノール-d4) δ 7.38-7.24 (m, 5H), 4.55 (dd, J = 8.9、6.4 Hz, 1H), 4.38 (dd, J = 8.6、5.5 Hz, 1H), 4.13 - 4.05 (m, 2H), 3.34 (dd, J = 14.0、6.1 Hz, 1H), 3.15 - 3.00 (m, 5H), 2.95 - 2.89 (m, 2H), 1.89 - 1.34 (m, 8H), 1.28 - 1.12 (m, 2H). MS:EI-MS:m/z 686.6 [M+1].
【0200】
実施例24:(2S)-2-((2S)-2-((2R)-2-((2S)-3-(アダマンタン-1-イル)-2-アミノプロパンアミド)-5-グアニジノペンタンアミド)-3-フェニルプロパンアミド)-6-アミノヘキサンアミド((β-アダマンタン-1-イル)-Ala-D-Arg-Phe-Lys-NH
2、15x)の合成
【化59】
【化60】
1)ステップa:((S)-6-アミノ-5-((S)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-3-フェニルプロパンアミド)-6-オキソヘキシル)カルバミン酸ベンジル(41)の合成
38(0.844g、3.483mmol)及び24(1.0g、3.166mmol)の25mLの乾燥DCM中の混合物に、EDCI・HCl(0.944g、4.749mmol)を添加し、続いて、HOBt・H
2O(0.533g、3.483mmol)を添加した。10~15分後、NMM(0.576g、5.699mmol)を添加し、混合物を周囲温度で一晩撹拌した。次いで、揮発性物質を減圧下で除去し、残渣を5%クエン酸水溶液によって洗浄した。得られた白色固体をフラッシュ逆相クロマトグラフィによって精製して、41(1.100g)を白色固体として得た。
1H NMR (400 MHz,メタノール-d
4) δ 7.33 - 7.19 (m, 10H), 5.05 (s, 2H), 4.30 (dd, J = 9.0、5.7 Hz, 2H), 3.10 (q, J = 5.8、4.6 Hz, 3H), 2.85 (dd, J = 13.7、9.1 Hz, 1H), 1.87-1.78 (m, 1H), 1.69-1.60 (m, 1H), 1.55-1.46 (m, 2H), 1.37 (s, 11H).
【0201】
2)ステップb:((S)-6-アミノ-5-((S)-2-アミノ-3-フェニルプロパンアミド)-6-オキソヘキシル)カルバミン酸ベンジル(42)の合成
41(0.325g、0.617mmol)をDCM(5mL)に溶解した。溶液を0~5℃に冷却し、Et2O(1.54mL)中の2M HClを添加した。次いで、冷却を除去し、混合物を室温で一晩撹拌した。揮発性物質を減圧下で除去し、残渣をEt2O(3x)から濃縮した。沈殿物を周囲圧力下、周囲温度で乾燥した。42を僅かに灰色の個体として得た(0.257g)。1H NMR (400 MHz,メタノール-d4) δ 7.39 - 7.27 (m, 9H), 5.06 (s, 2H), 4.36 (dd, J = 8.5、5.4 Hz, 1H), 4.14 (dd, J = 8.5、5.7 Hz, 1H), 3.29 (dd, J = 14.4、5.6 Hz 1H), 3.11 (t, J = 6.9 Hz, 2H), 3.03 (dd, J = 14.3、8.5 Hz, 1H), 1.87-1.78 (m, 1H), 1.74-1.65 (m, 1H), 1.52 (h, J = 7.7、7.3 Hz, 2H), 1.46-1.34 (m, 2H).
【0202】
3)ステップc:((6R,9S,12S)-9-ベンジル-12-カルバモイル-6-(3-グアニジノプロピル)-2,2-ジメチル-4,7,10-トリオキソ-3-オキサ-5,8,11-トリアザヘキサデカン-16-イル)カルバミン酸ベンジル(43)の合成
42(0.220g、0.475mmol)及びBoc-D-Arg(35、0.163g、0.523mmol)の10mLの乾燥DCM中の混合物に、EDCI・HCl(0.137g、0.713mmol)を添加し、続いて、HOBt・H2O(0.080g、0.523mmol)を添加した。10~15分後、NMM(0.106g、1.045mmol)を添加し、混合物を周囲温度で一晩撹拌した。次いで、揮発性物質を減圧下で除去した。残渣をフラッシュ逆相クロマトグラフィによって精製して、43(0.170g)を白色固体として得た。1H NMR (400 MHz,メタノール-d4) δ 7.34 - 7.20 (m, 10H), 5.06 (s, 2H), 4.63 (dd, J = 10.0、4.6 Hz, 1H), 4.29 (dd, J = 9.8、4.6 Hz, 1H), 3.92 (t, J = 7.0 Hz, 1H), 3.29 (dd, J = 10.8、4.5 Hz, 1H), 3.12 (t, J = 6.4 Hz, 2H), 3.03 - 2.99 (m, 2H), 2.90 (dd, J = 13.9、10.3 Hz, 1H), 1.94-1.85 (m, 1H), 1.81-1.70 (m, 1H), 1.60-1.47 (m, 7H), 1.41 (s, 9H) 1.23-1.14 (m, 1H).
【0203】
4)ステップd:((S)-6-アミノ-5-((S)-2-((R)-2-アミノ-5-グアニジノペンタンアミド)-3-フェニルプロパンアミド)-6-オキソヘキシル)カルバミン酸ベンジル(44)の合成
43(0.170g、0.236mmol)のDCM(5mL)中の冷却溶液に、TFA(2mL)を添加した。次いで、氷/水浴を除去し、混合物を、周囲温度で2時間撹拌した。揮発性物質を減圧下で除去し、残渣をトルエン(2x)から濃縮した。逆相フラッシュクロマトグラフィによる精製により、0.140gの44を白色固体として得た。1H NMR (400 MHz,メタノール-d4) δ 7.34-7.21 (m, 10H), 5.06 (s, 2H), 4.75 (dd, J = 10.8、4.9 Hz, 1H), 4.35 (dd, J = 9.3、5.0 Hz, 1H), 3.85 (t, J = 6.4 Hz, 1H), 3.30-3.25 (m, 1H), 3.16-3.10 (m, 2H), 2.97 (t, J = 7.0 Hz, 2H), 2.88 (dd, J = 13.9、11.0 Hz, 1H), 1.88-1.79 (m, 1H), 1.74-1.58 (m, 3H), 1.57 - 1.36 (m, 4H), 1.25-1.14 (m, 2H).
【0204】
5)ステップe:((6S,9R,12S,15S)-6-(アダマンタン-1-イルメチル)-12-ベンジル-15-カルバモイル-9-(3-グアニジノプロピル)-2,2-ジメチル-4,7,10,13-テトラオキソ-3-オキサ-5,8,11,14-テトラアザノナデカン-19-イル)カルバミン酸ベンジル(45)の合成
44(0.140g、0.213mmol)及び23(0.090g、0.277mmol)の5mLの乾燥DCM中の混合物に、EDCI・HCl(0.073g、0.383mmol)を添加し、続いて、HOBt・H2O(0.039g、0.256mmol)を添加した。10~15分後、NMM(0.039g、0.383mmol)を添加し、混合物を周囲温度で一晩撹拌した。次いで、揮発性物質を減圧下で除去し、残渣45を逆相フラッシュカラムで全体にフラッシングして、さらに精製することなく次のステップにおいて使用した。
【0205】
6)ステップf:((2S)-3-(アダマンタン-1-イル)-1-(((R)-1-(((S)-1-(((S)-1,6-ジアミノ-1-オキソヘキサン-2-イル)アミノ)-1-オキソ-3-フェニルプロパン-2-イル)アミノ)-5-グアニジノ-1-オキソペンタン-2-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)カルバミン酸tert-ブチル(46)の合成
45(0.105g、0.114mmol)のDCM(5mL)中の冷却溶液に、TFA(2mL)を添加した。次いで、氷/水浴を除去し、混合物を、周囲温度で2時間撹拌した。揮発性物質を減圧下で除去し、残渣をトルエン(2x)から濃縮した。逆相フラッシュクロマトグラフィ及び分取HPLCによる精製により、0.065gの46を白色固体として得た。1H NMR (400 MHz,メタノール-d4) δ 7.31 - 7.18 (m, 10H), 5.04 (s, 2H), 4.65 (dd, J = 11.2、4.0 Hz, 1H), 4.38 (dd, J = 8.9、5.5 Hz, 1H), 4.08 (t, J = 7.2 Hz, 1H), 3.96-3.89 (m, 1H), 3.39 (dd, J = 14.1、3.7 Hz, 1H), 3.18-3.08 (m, 2H), 3.01-2.93 (m, 2H), 2.78 (dd, J = 14.0、11.5 Hz, 1H), 1.92 (s, 3H), 1.86-1.78 (m, 3H), 1.73-1.62 (m, 6H), 1.56-1.34 (m, 12H), 1.34-1.20 (m, 2H), 1.03-0.91 (m, 1H).
【0206】
7)ステップg:(2S)-2-((2S)-2-((2R)-2-((2S)-3-(アダマンタン-1-イル)-2-アミノプロパンアミド)-5-グアニジノペンタンアミド)-3-フェニルプロパンアミド)-6-アミノヘキサンアミド(15x)の合成
46(0.064g、0.065mmol)及びPd/C 10%w/w(0.010g、0.010mmol)を含有するフラスコに、MeOH(5mL)を添加した。フラスコをH2でフラッシングし、混合物を室温で2時間撹拌した。次いで、混合物を濾過し、揮発性物質を減圧下で除去した。残渣を分取HPLCにおいて精製して、52mgの15xを白色固体として得た(HPLC純度は210nmで95.4%である)。1H NMR (400 MHz,メタノール-d4) δ 7.31-7.20 (m, 5H), 4.66 (dd, J = 11.3、4.3 Hz, 1H), 4.43 (dd, J = 8.9、5.5 Hz, 1H), 4.15 (t, J = 7.4 Hz, 1H), 3.95 (dd, J = 8.6、4.6 Hz, 1H), 3.39 (dd, J = 14.1、4.2 Hz, 1H), 3.05-2.95 (m, 4H), 2.86 (dd, J = 14.1、11.3 Hz, 1H), 1.95 (s, 3H), 1.90-1.80 (m, 3H), 1.76-1.64 (m, 8H), 1.59-1.43 (m, 10H), 1.37-1.29 (m, 2H), 1.13-1.02 (m, 1H). MS:EI-MS:m/z 654.8 [M+1].
【0207】
実施例25:(S)-6-アミノ-2-((S)-2-((R)-2-((S)-2-アミノ-3-フェニルプロパンアミド)-5-グアニジノペンタンアミド)-3-(ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)プロパンアミド)ヘキサンアミド(Phe-D-Arg-(β-ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)-Ala-Lys-NH
2、15y)の合成
【化61】
【化62】
1)ステップa:ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルボン酸(49)の合成
フラスコに、47(35g、165mmol)、48(50.0g、198mmol)、及びDCM(1.5L)を投入した。フラスコをホイルで隠し、周囲の光を低減した。得られた懸濁液を0℃に冷却し、トリブチルホスフィン(51mL、206mmol)液滴によって処理した。氷浴を除去し、撹拌を2時間継続した。反応を0℃に冷却し、2-メチルプロパン-2-チオール(165mL、1.46mol)で処理した。反応を300Wタングステンランプによって1.25時間照射した。350gの次亜塩素酸カルシウムの水(2.0L)中の懸濁液の添加によって反応をクエンチした。混合物をエーテルで希釈し、0℃で5分間、続いて室温で20分間撹拌した。セライトを添加して層の分離を補助し、得られた混合物を濾過した。溶出液を分離漏斗中に注ぎ入れ、層を分離した。有機物を塩水で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濃縮した。得られた残渣を、75gの水酸化カリウムの1.0Lメタノール/水(1:1)中の溶液で処理した。得られた混合物を室温で一晩撹拌した。反応を濃縮してメタノールの大部分を除去し、EtOAc(500mL×2)で抽出して、副生成物を除去した。水性のものを濃HClの添加によって酸性にしたところ、白色沈殿物が形成された。沈殿物を濾過によって収集して49を得た(21g、83%)。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d
6), δ=1.60 (m, 13H).
【0208】
2)ステップb:ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イルメタノール(50)の合成
0℃において、49(21g、136mmol)のTHF(300mL)の溶液に、LAH(7.7g、198mmol)を少しずつ添加した。添加が完了したら、反応混合物を3時間加熱還流し、室温に冷却し、0℃に再冷却し、5%のNaOH(5mL)及び10mLの水によってクエンチし、Na2SO4(50g)を添加し、セライトによって濾過し、濾液を真空中で濃縮して粗生成物を得、カラムクロマトグラフィによって精製して(SiO2、100-200、PE/EtOAc=30:1によって溶出)、所望の生成物を白色固体として得た(50、10.5g、54%)。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6), δ=4.27 (br, 1H), 2.97 (m, 2H), 1.49 (m, 7H), 1.17 (m, 6H).
【0209】
3)ステップc:ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルボアルデヒド(51)の合成
35mLの無水ジクロロメタン中の塩化オキサリル(1.8g、13mmol)を-70℃に冷却し;30mLのDCM中のDMSO(2.3g、30mmol)を添加した。混合物をこの温度で30分間撹拌し、その後、20mLのDCM及び1mLのDMSO中の50(1.8g、13mmol)を滴加した。3時間の間に、混合物を-30℃に加温した。Et3N(5.1g、52mol)を添加し;温度を1時間かけて0℃に上昇させた。反応を60mLの水によってクエンチした。有機層を分離し、水で洗浄し、活性炭で処理し、Na2SO4上で乾燥した。溶媒を減圧下で除去して、所望の生成物(51、10.0g、粗製)を無色油として得た。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6), δ=9.36 (s, 1H), 1.61 (s, 1H), 1.52 (m, 12H).
【0210】
4)ステップd:(Z)-3-(ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)アクリル酸メチル(53)の合成
51(10g、72.5mmol)及び52(32.3g、108mmol)のCH2Cl2(50mL)中の溶液に、1,1,3,3-テトラメチルグアニジン(12.4g、108mmol)を添加し、添加が完了したら、反応混合物を室温で24時間撹拌し、得られた混合物を50mLの水でクエンチし、DCM50mLによって希釈し、有機層を分離し、塩水で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、(SiO2、100~200m、ヘキサン/EtOAc、10:1による溶出)によって精製して、53(12g、55%)を白色固体として得た。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6), δ=8.16 (m, 1H), 6.19 (m, 1H), 3.61 (m, 3H), 1.20-1.60 (m, 22H).
【0211】
5)ステップe:3-(ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)プロパン酸メチル(54)の合成
53(12g、39mmol)及びPd(OAc)2(1.2g)のMeOH(100mL)中の溶液にH2ガスにより6atmで3回パージし、次いで室温で一晩撹拌した。セライトにより濾過し、濾液を真空中で濃縮して所望の生成物を白色固体として得た(54、9.7g、81%)。
【0212】
6)ステップf:2-アミノ-3-(ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)プロパン酸メチル(55)の合成
54(9.7g、31.2mmol)の4N HCl/ジオキサン(100mL)中の溶液を室温で2時間撹拌し、反応混合物を真空中で濃縮して、所望の生成物を白色固体として得た(55、7.7g、粗製)。
【0213】
7)ステップg:2-(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)-3-(ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)プロパン酸メチル(56)の合成
0℃において、化合物55(7.7g、31mmol)の水(100mL)及びEtOAc(100mL)中の溶液にK2CO3(8.5g、62mmol)をゆっくりと添加し、次いでCbzCl(4.9mL、34.1mmol)を、温度を0℃~5℃で制御しながら滴加し、添加が完了したら、反応混合物を0℃で1時間撹拌したところ、LCMSが出発物質の残存を示さず、有機層を分離し、塩水によって洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、シリカゲルカラムクロマトグラフィによって精製して(SiO2、100~200m、PE/EtOAc=3:1による溶出)、所望の生成物を白色固体として得た(56、6.5g、61%)。1H NMR (300 MHz,CDCl3), δ=7.35 (m, 5H), 5.15 (m, 2H), 4.90 (m, 1H), 4.45 (m, 1H), 1.20-1.70 (m, 15H). MS:(M+H)+:346.2.
【0214】
8)ステップh:(S)-2-(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)-3-(ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)プロパン酸(57)の合成
化合物56(6.5g、18.8mmol)のMeOH(25mL)及びTHF(25mL)中の溶液に2N NaOH(25mL)を添加し、次いで混合物を室温で2時間撹拌し、真空中で濃縮してMeOH及びTHFの大部分を除去し、0℃に冷却し、2N.HClによってpH=3~4まで中和し、EtOAc(50mL×2)によって抽出し、塩水によって洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、真空中で濃縮して溶媒を除去し、残渣に50mLのPE/Et2O(5:1)を撹拌しながら添加したところ、白色固体が形成され、これを濾過し、PE/Et2O(10mL、5:1)によって洗浄し、真空中で乾燥して、所望の生成物を白色固体として得(5.8g、94%)、キラルHPLC分離により、57a及び57bを得た。
57a:1H NMR (300 MHz, DMSO-d6), δ=7.55 (m, 1H), 7.40 (m, 5H), 5.15 (s, 2H), 4.04 (m, 1H), 1.20-1.50 (m, 15H).
57b:1H NMR (300 MHz, DMSO-d6), δ=7.52 (m, 1H), 7.35 (m, 5H), 5.04 (s, 2H), 4.00 (m, 1H), 1.20-1.50 (m, 15H).
【0215】
9)ステップi:(S)-2-アミノ-3-(ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)プロパン酸(58)の合成
スキーム4に記載されているものと同じ手順で58を得た。
【0216】
10)ステップj:(S)-3-(ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)プロパン酸(59)の合成
58(200mg、0.856mmol)のH2O(5mL)中の懸濁液に、Na2CO3(190mg、1.80mmol)を0℃で添加し、次いで、3mLのジオキサン中のBoc2O(373mg、1.71mmol)を添加した。次いで、さらなる水及びジオキサン(反応混合物の合計体積20mL)を添加し、pHをNa2CO3の水溶液によってpH=9まで増加させた。反応混合物を室温で一晩撹拌し、次いで10%のHClによってpH3まで酸性化し、EtOAc(3x)で抽出した。有機相を分離し、飽和NaCl及び水で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥し、濾過し、蒸発させた。粗生成物59を、トルエンを用いて蒸発させ、さらに精製することなく次のステップにおいて使用した。
【0217】
11)ステップk:((S)-1-(((S)-1-アミノ-6-(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)-1-オキソヘキサン-2-イル)アミノ)-3-(ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)-1-オキソプロパン-2-イル)カルバミン酸tert-ブチル(60)の合成
粗生成物(59、254mg、0.856mmol)、Nε-Cbz-L-リシン塩酸塩(24、270mg、0.856mmol)、HOBt一水和物(262mg、1.71mmol)、EDC塩酸塩(328mg、1.71mmol)のDMF(5mL)中の混合物に、NMM(0.47mL、4.28mmol)を0℃で添加した。5分後、氷浴を除去し、反応混合物を室温で一晩撹拌し、次いで、蒸発させ、フラッシュカラムクロマトグラフィによって精製した(溶出液H2O(0.1%のAcOH)/MeOH)。300mg(63%)の60を単離した。1H NMR (400 MHz,メタノール-d4) δ 7.35-7.29 (m, 5H), 5.06 (s, 2H), 4.33-4.30 (m, 1H), 4.09-4.05 (m, 1H), 3.12-3.08 (m, 2H), 1.83-1.31 (複数のピーク、26H).
【0218】
12)ステップl:((S)-6-アミノ-5-((S)-2-アミノ-3-(ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)プロパンアミド)-6-オキソヘキシル)カルバミン酸ベンジル(61)の合成
60(198mg、0.354mmol)のDCM(8mL)中の溶液にTFA(3mL)を0℃で添加した。5分後、氷浴を除去し、反応混合物を周囲温度で30分間撹拌した。揮発性物質を蒸発させ、次いで粗製61をトルエンによって蒸発させ、精製することなく次のステップにおいて使用した。
【0219】
13)ステップm:((6S,9S,12S,15S)-6-ベンジル-12-(ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イルメチル)-15-カルバモイル-9-(3-グアニジノプロピル)-2,2-ジメチル-4,7,10,13-テトラオキソ-3-オキサ-5,8,11,14-テトラアザノナデカン-19-イル)カルバミン酸ベンジル(62)の合成
61(203mg、0.354mmol)、29(149mg、0.354mmol)、HOBt一水和物(81mg、0.531mmol)、EDC塩酸塩(102mg、0.531mmol)のDMF(2mL)中の混合物に、NMM(0.12mL、1.06mmol)を0℃で添加した。5分後、氷浴を除去し、反応混合物を室温で1日撹拌し、次いで、蒸発させ、フラッシュカラムクロマトグラフィによって精製した(溶出液H2O(0.1%のAcOH)/MeOH)。130mgの粗生成物62を単離し、次のステップにおいて使用した。
【0220】
14)ステップn:((S)-6-アミノ-5-((S)-2-((S)-2-((S)-2-アミノ-3-フェニルプロパンアミド)-5-グアニジノペンタンアミド)-3-(ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)プロパンアミド)-6-オキソヘキシル)カルバミン酸ベンジル(63)の合成
粗生成物(62、130mg、0.151mmol)のDCM(3mL)中の溶液に、TFA(1.5mL)を0℃で添加した。5分後、氷浴を除去し、反応混合物を周囲温度で30分間撹拌した。揮発性物質を蒸発させ、次いで粗生成物を分取HPLCによって精製した。50mgの63を単離した。1H NMR (400 MHz,メタノール-d4) δ 7.39-7.27 (m, 10H), 5.07 (s, 2H), 4.33-4.30 (m, 1H), 4.39-4.32 (m, 2H), 4.19-4.12 (m, 2H), 3.22-3.07 (m, 6H), 1.84-1.29 (複数のピーク、25H).
【0221】
15)ステップo:(S)-6-アミノ-2-((S)-2-((S)-2-((S)-2-アミノ-3-フェニルプロパンアミド)-5-グアニジノペンタンアミド)-3-(ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)プロパンアミド)ヘキサンアミド(15y)の合成
63(50mg、0.066mmol)のMeOH(3mL)中の溶液に触媒量の10%のPd/Cを添加した。反応混合物を排気し、水素(×8、バルーン)で充填し直し、次いで室温で一晩撹拌した。粗生成物を、45μmフィルタを通して濾過し、蒸発させ、分取HPLCによって精製した。結果として、15mgの15yを白色固体として単離した。1H NMR (400 MHz,メタノール-d4) δ 8.73 (br d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.76 (br d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.42-7.30 (m, 5H), 4.45-4.33 (複数のピーク、2H), 4.24-4.16 (複数のピーク、2H), 3.19-3.13 (複数のピーク、4H), 2.99-2.94 (m, 2H), 1.93-1.19 (複数のピーク、21H).MS:EI-MS:m/z 628.7 [M+1].
【0222】
実施例26:(S)-6-アミノ-2-((S)-2-((R)-2-((S)-2-アミノ-3-(ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)プロパンアミド)-5-グアニジノペンタンアミド)-3-フェニルプロパンアミド)ヘキサンアミド((β-ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-Ala-D-Arg-Phe-Lys-NH
2、15z)の合成
【化63】
【化64】
1)ステップa:トリシクロ[1.1.1.0
1,3]ペンタン(65)の合成
64(258g、863.2mmol)のペンタン(250.0mL)中の溶液を-78℃に冷却した。メチルリチウム(ジエチルエーテル中1.6M、2270.0mol)を、温度を-60℃未満に維持しながら混合物にゆっくりと添加した。添加の完了の際、溶液を0℃に加温し、2時間撹拌させ、その間の時間に、白色沈殿物を生成させた。2時間後、生成物及び他の揮発性物質を氷水浴下0℃で、液体N
2によって-196℃に冷却した収容フラスコ内に蒸留した。ペンタン及びジエチルエーテルを含む粗生成物をさらに精製することなく次のステップにおいて使用した。
【0223】
2)ステップb:(S)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-3-(3-ヨードビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)プロパン酸メチル(67)の合成
66(107.5g、326.8mmol)を最終ステップからの65の溶液に溶解した。アルゴンによってフラッシングした。この溶液をHgランプ(500W)付近に置き、室温で10時間撹拌した。完了後、混合物をNaHSO3溶液で洗浄し、過酸化物について試験し、Na2SO4上で乾燥し、濾去し、真空中30℃で濃縮した。残渣をPEで洗浄し、濾過した。固体を収集し、残渣をクロマトグラフィカラムによって精製して、化合物67をオフホワイト固体として得た(2ステップで80g、20%)。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 7.29 (br, 1 H), 3.95 (m, 1 H), 3.60 (s, 3 H), 2.19 (m, 6 H), 1.87 (m, 2 H), 1.38 (s, 9 H).
【0224】
3)ステップc:(S)-3-(ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)プロパン酸メチル(68)の合成
化合物67(70g、177.0mmol)を水(150mL)に懸濁し、TTMSS(15g、359.0mmol)を添加した。不均一な混合物を10分間撹拌し、次いで、2-メルカプトエタノール(1.39g、17.8mmol)、続いてAIBN(725mg、4.37mmol)を添加した。混合物を10分間撹拌し、次いで80℃に加熱した。また、反応混合物が加熱の間に無色透明溶液となった。反応混合物をEA(150mL*3)で抽出し、合わせた有機層を塩水(150mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮し、カラムクロマトグラフィによって精製して(SiO2、200~300m、PE/EtOAc=100/1~10/1で溶出)、所望の生成物68を得た(32g、58%)。1H NMR (300 MHz,CDCl3) δ 4.94 (br, 1H), 4.31 (m, 1H), 3.74 (s, 3H), 2.46 (s, 1H), 1.97 (m, 1H), 1.80 (m, 1H), 1.74 (s, 6 H), 1.46 (s, 9H).
【0225】
4)ステップd:(S)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-3-(ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)プロパン酸メチル(69)の合成
化合物68(17.0g、63.4mmol)を4N HCl-ジオキサン(100mL)に溶解し、1時間撹拌し、次いで混合物を濃縮して乾燥させた。水(80mL)及びジオキサン(80mL)を添加し、続いて水性NaHCO3(5.3g、60.1.mmol)及びFmocCl(19.6g、75.8mmol)を添加した。混合物を室温で3時間撹拌した。完了後、溶媒を減圧下で除去し、残渣をカラムクロマトグラフィによって精製して(SiO2、200~300m、PE/EtOAc=10/1~1/1で溶出)、所望の生成物69を得た(15.0g、61%)。1H NMR (300 MHz,CDCl3) δ 7.78 (m, 2H), 7.61 (m, 2H), 7.42 (m, 2H), 7.31 (m, 2H), 5.21 (m, 1H), 4.40 (m, 3H), 4.27 (m, 1H), 3.76 (s, 3H), 2.47 (s, 1H), 2.04 (m, 1H), 1.85 (m, 1H), 1.73 (s, 6H).
【0226】
5)ステップe:(S)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-3-(ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)プロパン酸(70)の合成
化合物69(15.0g)を10N 水性HCl(100mL)及びジオキサン(100mL)に溶解し、次いで反応を50℃に加温し、24時間撹拌した。完了後、溶媒を除去し、残渣をカラムクロマトグラフィによって精製して(SiO2、200~300m、PE/EtOAc=10/1~DCM/MeOH=50/1、0.1%AcOHで溶出)粗生成物70を得(11.0g)、PE/EtOAc(150mL、v/v=50/1)で強くかき混ぜることによって更に精製して、純粋な生成物(70、9.5g、66%)をオフホワイト固体として得た。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 7.89 (m, 2H), 7.72 (m, 1H), 7.54 (m, 1H), 7.41 (m, 2H), 7.32 (m, 2H), 4.36 (m, 1H), 4.24 (m, 2H), 3.93 (m, 1H), 2.40 (s, 1H), 1.78 (m, 2H), 1.62 (m, 6H).
【0227】
6)ステップf:((9S,12S,15S,18S)-12-ベンジル-19-(ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-9-カルバモイル-15-(3-グアニジノプロピル)-3,11,14,17-テトラオキソ-1-フェニル-2-オキサ-4,10,13,16-テトラアザノナデカン-18-イル)カルバミン酸(9H-フルオレン-9-イル)メチル(71)の合成
70(226mg、0.6mmol)、44(330mg、0.5mmol)、HOBt一水和物(138mg、0.9mmol)、EDC塩酸塩(288mg、1.5mmol)のDMF(20mL)中の混合物に、NMM(222mL、2mmol)を室温で滴加した。反応混合物を一晩撹拌し、次いで溶媒を減圧下で除去し、粗生成物をフラッシュ逆相クロマトグラフィによって精製した(溶出液H2O(0.2%のAcOH)/10%~85%のメタノールからのMeOH)。結果として、190mgの71を酢酸塩として単離した。1H NMR (400 MHz,メタノール-d4) δ 7.78 (d, J=7.6 Hz, 2H), 7.63 (m, 2H), 7.38 (m, 2H), 7.31 - 7.17 (m, 2H) 7.65 - 7.61 (m, 2H), 7.39 - 7.36 (m, 2H), 7.30 - 7.18 (7H, m)、4.58 - 4.48 (m, 2H), 4.36 - 4.32 (m, 1H), 4.28 - 4.24 (m, 1H), 4.22 - 4.17 (m, 2H), 4.05 - 4.01 (m, 1H), 3.25 - 3.20 (m, 1H), 3.5 - 2.97 (m, 4H), 2.91 - 2.85 (m, 1H), 2.03 (s, 9H), 1.90 - 1.86 (m, 2H), 1.76 - 1.65 (m, 10H).
【0228】
7)ステップg:((S)-6-アミノ-5-((S)-2-((S)-2-((S)-2-アミノ-3-(ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)プロパンアミド)-5-グアニジノペンタンアミド)-3-フェニルプロパンアミド)-6-オキソヘキシル)カルバミン酸ベンジル(72)の合成
71(190mg)を20%ピペリジン/DMF(3mL)の混合物によって処理した。反応混合物を室温で1時間撹拌し、次いで、有機溶媒を蒸発させ、粗生成物をフラッシュ逆相クロマトグラフィによって精製した(溶出液H2O(0.2%のAcOH)/5%~70%のメタノールからのMeOH)。結果として、110mgの72を二酢酸塩として単離した。1H NMR (400 MHz,メタノール-d4) δ 7.32 - 7.20 (m, 5H), 4.66 - 4.62 (m, 1H), 4.36 - 4.32 (m, 1H), 4.13 - 4.10 (m, 1H), 3.49 - 3.45 (m, 1H), 3.40 - 3.32 (m, 1H), 3.07 - 2.97 (m, 4H), 2.88 - 2.81 (m, 1H), 1.93 (s, 9H), 1.89 - 1.77 (m, 2H), 1.72 - 1.68 (m, 1H), 1.61 - 1.50 (m, 3H), 1.35 - 1.26 (m, 1H), 1.13 - 1.04 (m, 1H).
【0229】
8)ステップh:(S)-6-アミノ-2-((S)-2-((S)-2-((S)-2-アミノ-3-(ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)プロパンアミド)-5-グアニジノペンタンアミド)-3-フェニルプロパンアミド)ヘキサンアミド(15z)の合成
72(110mg)のDCM(6mL)中の溶液にTFA(2mL)を0℃で添加した。5分後、氷浴を除去し、反応混合物を周囲温度で3時間撹拌した。揮発性物質を蒸発させ、粗生成物を分取HPLCによって精製して、純粋な15zを得た。1H NMR (400 MHz,メタノール-d4) δ 7.38 - 7.15 (m, 5H), 4.66 (dd, J = 11.3、4.2 Hz, 1H), 4.45 (dd, J = 8.7、5.7 Hz, 1H), 4.14 (t, J = 7.4 Hz, 1H), 3.85 (t, J = 6.7 Hz, 1H), 3.40 (dd, J = 14.1、4.2 Hz, 1H), 3.07 - 2.89 (m, 4H), 2.84 (dd, J = 14.2、11.4 Hz, 1H), 2.47 (s, 1H), 2.13 - 1.63 (m, 12H), 1.62 - 1.39 (m, 4H), 1.36 - 1.20 (m, 1H), 1.02 (m, 1H). MS:EI-MS:m/z 586.4 [M+1].
【0230】
実施例27:(S)-6-アミノ-2-((S)-2-((R)-2-((S)-2-アミノ-3-フェニルプロパンアミド)-5-グアニジノペンタンアミド)-3-(ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)プロパンアミド)ヘキサンアミド(Phe-D-Arg-(β-ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-Ala-Lys-NH
2、15aa)の合成
【化65】
【化66】
1)ステップa:((S)-1-(((S)-1-アミノ-6-(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)-1-オキソヘキサン-2-イル)アミノ)-3-(ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1-オキソプロパン-2-イル)カルバミン酸(9H-フルオレン-9-イル)メチル(73)の合成
70(0.377g、1mmol)、24塩酸塩(0.316g、1mmol)、EDC HCl(0.384g、2mmol)、HOBt(0.153g、1mmol)のDMF(5mL)中の混合物に、DIPEA(565μl、3.26mmol)を添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。次いで、EtOAc及び水を添加した。合わせた有機抽出物をNa
2SO
4上で乾燥し、濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィによって精製して、73を白色固体として得た(0.490g、76%)。
【0231】
2)ステップb:((S)-6-アミノ-5-((S)-2-アミノ-3-(ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)プロパンアミド)-6-オキソヘキシル)カルバミン酸ベンジル(74)の合成
0.49gの73をDMF及びピペリジン混合物(4:1、3mL)に溶解した。得られた混合物を周囲温度で1時間撹拌した。次いで、溶媒を減圧下で除去し、粗生成物をシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィ(ジクロロメタン/メタノール)によって精製して、0.21gの74を遊離塩基として得た。
【0232】
3)ステップc:((9S,12S,15R,18S)-12-(ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イルメチル)-9-カルバモイル-15-(3-グアニジノプロピル)-3,11,14,17-テトラオキソ-1,19-ジフェニル-2-オキサ-4,10,13,16-テトラアザノナデカン-18-イル)カルバミン酸tert-ブチル(75)の合成
74(0.2g、0.48mmol)、Boc-Phe-(D-)Arg-OH塩酸塩(29、0.229g、0.5mmol)、HOBt一水和物(77mg、0.5mmol)、EDC塩酸塩(0.192g、1mmol)のDMF(5mL)中の混合物に、NMM(0.12mL、1.06mmol)を0℃で添加した。5分後、氷浴を除去し、反応混合物を室温で1日撹拌し、次いで、蒸発させ、フラッシュカラムクロマトグラフィによって精製した(溶出液H2O(0.1%のAcOH)/MeOH)。0.11gの粗生成物75を単離し、次のステップにおいて使用した。
【0233】
4)ステップd:((S)-6-アミノ-5-((S)-2-((R)-2-((S)-2-アミノ-3-フェニルプロパンアミド)-5-グアニジノペンタンアミド)-3-(ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)プロパンアミド)-6-オキソヘキシル)カルバミン酸ベンジル(76)の合成
粗生成物(75、110mg)のDCM(3mL)中の溶液に、TFA(1.5mL)を0℃で添加した。5分後、氷浴を除去し、反応混合物を周囲温度で30分間撹拌した。揮発性物質を蒸発させ、次いで粗生成物を分取HPLCによって精製した。59mgの76を単離した。
【0234】
5)ステップe:(S)-6-アミノ-2-((S)-2-((R)-2-((S)-2-アミノ-3-フェニルプロパンアミド)-5-グアニジノペンタンアミド)-3-(ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)プロパンアミド)ヘキサンアミド(15aa)の合成
59mgの76のMeOH(20mL)中の溶液に、16mgのPd/C10%w/wを添加した。フラスコをH2でフラッシングし、混合物を室温で2時間撹拌した。次いで、沈殿物を濾去し、0.2mLのTFAを添加した。混合物を蒸発させ、メタノールで3回再蒸発させて、33mgの15aaを泡状物として得た。1H NMR (400 MHz,メタノール-d4) δ 8.62 (br d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.85 (br d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.43-7.31 (m, 5H), 4.43-4.40 (m, 1H), 4.29-4.17 (複数のピーク、2H), 3.20-3.13 (m, 4H), 2.95-2.75 (m, 2H), 2.48 (m, 1H), 2.09 (dd, J = 3.2、14.8 Hz, 1H), 1.94-1.18 (複数のピーク、18H). MS:EI-MS:m/z 586.5 [M+1].
【0235】
実施例28:(S)-6-アミノ-2-((S)-2-((R)-2-((S)-2-アミノ-3-フェニルプロパンアミド)-5-グアニジノペンタンアミド)-3-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)プロパンアミド)ヘキサンアミド(Phe-D-Arg-(β-テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-Ala-Lys-NH
2、15ab)の合成
【化67】
【化68】
1)ステップa:((S)-1-(((S)-1-アミノ-6-(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)-1-オキソヘキサン-2-イル)アミノ)-1-オキソ-3-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)プロパン-2-イル)カルバミン酸(9H-フルオレン-9-イル)メチル(79)の合成
アミノ-3-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)プロパン酸(78、205mg、0.716mmol)及び24(300mg、0.788mmol)のDMF(7mL)中の混合物に、DIPE(565μl、3.26mmol)を添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。次いで、EtOAc及び水を添加した。合わせた有機抽出物をNa
2SO
4上で乾燥し、濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィによって精製して(DCM中2%のEtOH)、79を白色固体として得た(380mg、98%)。
1H NMR (400 MHz,メタノール-d
4) δ 7.35 - 7.27 (m, 5H), 5.06 (s, 2H), 4.31 (dd, J = 9.0、4.8 Hz, 1H), 4.09 (dd, J = 9.0, 4.2 Hz, 1H), 3.89 (pent, J = 5.2 Hz, 2H), 3.36 (q, J = 12.1 Hz, 2H), 3.11 (t, J = 6.7 Hz, 2H), 1.87 - 1.74 (m, 1H), 1.72 - 1.45 (m, 8H), 1.44 (s, 9H), 1.43 - 1.18 (m, 4H).
【0236】
2)ステップb:((S)-6-アミノ-5-((S)-2-アミノ-3-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)プロパンアミド)-6-オキソヘキシル)カルバミン酸ベンジル(80)の合成
79(380mg、0.711mmol)のDCM(7mL)中の冷却(0℃)溶液に、TFA(2.0mL)を添加した。5分後、氷浴を除去し、混合物を、周囲温度で2時間撹拌した。揮発性物質を減圧下で除去した。395mg(収率-90%)の80を得た。黄色がかった固体をさらに精製することなく使用した。1H NMR (400 MHz,メタノール-d4) δ 7.36 - 7.28 (m, 5H), 5.06 (s, 2H), 4.39 (dd, J = 8.7、5.4 Hz, 1H), 3.96 - 3.90 (m, 3H), 3.47 - 3.40 (m, 2H), 3.12 (t, J = 6.8 Hz, 2H), 1.87 - 1.79 (m, 2H), 1.78 - 1.62 (m, 5H), 1.56 - 1.29 (m, 6H).
【0237】
3)ステップc:((9S,12S,15R,18S)-9-カルバモイル-15-(3-グアニジノプロピル)-3,11,14,17-テトラオキソ-1,19-ジフェニル-12-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-2-オキサ-4,10,13,16-テトラアザノナデカン-18-イル)カルバミン酸tert-ブチル(81)の合成
80(390mg、0.711mmol)及び30(340mg、0.743mmol)のDMF(15mL)中の混合物に、HOBT*H2O(130mg、0.853mmol)、EDC*HCl(409mg、2.13mmol)及びNMM(3900μl、3.55mmol)を添加した。反応混合物を室温で撹拌した。48時間後、DMFを除去した。粗生成物を逆相フラッシュクロマトグラフィによって精製して(H2O中20~65%のMeOH)、81を白色固体として得た(274mg、純度-85%)。さらなる精製をHPLCによって実施した。81を白色固体として単離した(178mg)。1H NMR (400 MHz,メタノール-d4) δ 7.40-7.26 (m, 10H), 5.06 (s, 2H), 4.54 (dd, J = 9.6、6.0 Hz, 1H), 4.40 - 4.26 (m, 3H), 3.95 - 3.84 (m, 3H), 3.45 - 3.32 (m, 2H), 3.21 - 3.00 (m, 3H), 3.11 (t, J = 6.8 Hz, 2H), 1.86 - 1.58 (m, 12H), 1.56 - 1.20 (m, 5H), 1.38 (s, 9H).
【0238】
4)ステップd:((S)-6-アミノ-5-((S)-2-((R)-2-((S)-2-アミノ-3-フェニルプロパンアミド)-5-グアニジノペンタンアミド)-3-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)プロパンアミド)-6-オキソヘキシル)カルバミン酸ベンジル(82)の合成
81(175mg)のDCM(5mL)中の冷却(0℃)溶液に、TFA(0.5mL)を添加した。揮発性物質を減圧下で除去した。200mgのLIOS-076-6を得た。黄色がかった油82をさらに精製することなく使用した。1H NMR (400 MHz,メタノール-d4) δ 7.40-7.26 (m, 10H), 5.06 (s, 2H), 4.54 (dd, J = 9.3、5.9 Hz, 1H), 4.38 (dd, J = 8.8、5.3 Hz, 1H), 4.31 (dd, J = 9.0、5.1 Hz, 1H), 4.23 - 4.12 (m, 1H), 3.95 - 3.86 (m, 3H), 3.34 - 3.32 (m, 2H), 3.23 - 3.06 (m, 3H), 3.11 (t, J = 6.9 Hz, 2H), 1.88 - 1.23 (m, 17H).
【0239】
5)ステップe:(S)-6-アミノ-2-((S)-2-((R)-2-((S)-2-アミノ-3-フェニルプロパンアミド)-5-グアニジノペンタンアミド)-3-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)プロパンアミド)ヘキサンアミド(15ab)の合成
82(200mg、0.235mmol)のMeOH(10mL)中の溶液に、Pd/C(10%w/w、15mg)を水素によって室温で3時間バブリングした。次いで、反応混合物を、セライトパッドを通して濾過し、MeOH(10mL)で洗浄した。溶媒を蒸発によって除去した。119mgの白色固体を得た。精製をHPLCによって実施した。15abを白色固体として単離した(9mg、不純物<5%)。1H NMR (400 MHz,メタノール-d4) δ 7.39-7.26 (m, 5H), 4.42 - 4.32 (m, 2H), 4.39 (t, J = 7.4 Hz, 1H), 4.14(t J = 7.8 Hz, 1H), 3.94 - 3.89 (m, 2H), 3.42 - 3.32 (m, 2H), 3.20 - 3.08 (m, 4H), 2.94 - 2.91 (m, 2H), 3.11 (t, J = 6.9 Hz, 2H), 1.87 - 1.25 (m, 17H). MS:EI-MS:m/z 604.5 [M+1].
【0240】
実施例29:(2S)-2-((2R)-3-(アダマンタン-1-イル)-2-((R)-2-((S)-2-アミノ-3-フェニルプロパンアミド)-5-グアニジノペンタンアミド)プロパンアミド)-6-アミノヘキサンアミド(Phe-D-Arg-D-(β-アダマンタ-1-イル)-Ala-Lys-NH
2、15ac)の合成
【化69】
化合物15ac(63mg)をスケジュール2にしたがって白色粉末として単離した。
1H NMR (400 MHz,メタノール-d
4) δ 7.42 - 7.26(m, 5H), 4.45 (ddd, J = 7.5, 5.1, 2.7 Hz, 2H), 4.36 (dd, J = 8.7, 5.2 Hz, 1H), 4.26 (dd, J = 8.8, 5.1 Hz, 1H), 3.37 - 3.33 (m, 1H), 3.25 (t, J = 6.9 Hz, 2H), 3.00 (dd, J = 14.3, 8.9 Hz, 1H), 2.94 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 2.02 - 1.39 (複数のピーク, 27H). MS: EI-MS: m/z 654.6 [M+1].
【0241】
実施例30:ラット透過性心臓線維A/R研究
ミトコンドリア機能性in vitro無酸素症-再酸素化(A/R)モデル
1)透過性心臓線維の調製
透過性心臓線維を、いくらかの変更を伴って、先に記載されているように(Kuka J,Vilskersts R,Cirule H,Makrecka M,Pugovics O,Kalvinsh I,Dambrova M,Liepinsh E.The cardioprotective effect of mildronate is diminished after co-treatment with L-carnitine.J Cardiovasc Pharmacol Ther.2012 Jun;17(2):215-22.doi:10.1177/1074248411419502)、正常酸素圧の心臓から調製する。1mLの緩衝液A(20mMイミダゾール、0.5mMジチオトレイトール、20mMタウリン、7.1mM MgCl2、50mM MES、5mM ATP、15mMホスホクレアチン、2.6mM CaK2EGTA、7.4mM K2EGTA、pH7.0、0℃)中50μg/mLのサポニン及び0.5mg/mLのコラゲナーゼを4℃で使用して、線維束を透過処理する。15分のインキュベーション後、上記線維を、化合物(例えば、100nm)またはビヒクルを補充した2mLの緩衝液B(20mMイミダゾール、0.5mMジチオトレイトール、20mMタウリン、1.6mM MgCl2、100mM MES、3mM KH2PO4、2.9mM CaK2EGTA、7mM K2EGTA、pH7.1、37℃)中で15分間洗浄する。
【0242】
2)同時H2O2フラックス検出による呼吸測定
呼吸測定用媒体:MiR05-110mM スクロース、60mM K-ラクトビオン酸塩、0.5mM EGTA、3mM MgCl2、20mM タウリン、10mM KH2PO4、20mM HEPES、30℃でpH7.1、及び、脂肪酸を本質的に含まない0.1% BSA。
【0243】
プロトコル
無酸素症を誘発するために、基質、コハク酸塩(10mM)をロテノン(0.5μM)およびADP(5mM)と共に添加することにより、サンプルの最大呼吸速度を刺激し、調製物を放置して全てのO2を呼吸チャンバーにおいて消費させ(10~20分以内)、これにより、無酸素状態にする(Makrecka M,Svalbe B,Volska K,Sevostjanovs E,Liepins J,Grinberga S,Pugovics O,Liepinsh E,Dambrova M.Mildronate,the inhibitor of L-carnitine transport、induces brain mitochondrial uncoupling and protects against anoxia-reoxygenation.Eur J Pharmacol.2014 Jan 15;723:55-61.doi:10.1016/j.ejphar.2013.12.006.)。30分の無酸素症の後、チャンバーを開くことによってO2をチャンバーに再導入して再酸素化を達成する。チャンバー内のO2濃度が初期濃度に達した後、チャンバーを閉鎖してO2フラックスを10分間モニタリングする。
【0244】
H2O2感受性プローブAmpliflu(商標)Red(AmR)を使用してO2k-フルオロメーターにおいて呼吸計測と同時にH2O2フラックス(ROSフラックス)を測定する(Makrecka-Kuka M,Krumschnabelg,Gnaiger E.High-Resolution Respirometry for Simultaneous Measurement of Oxygen and Hydrogen Peroxide Fluxes in Permeabilized Cells,Tissue Homogenate and Isolated Mitochondria.Biomolecules.2015 Jun 29;5(3):1319-38.doi:10.3390/biom5031319)。10μM AmR、1U/mLの西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)及び5U/mLのスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)をチャンバーに添加する。HRPによって触媒される、AmRとH2O2との間の反応生成物は、レソルフィンと同様に蛍光性である。H2O2を0.1μMずつ繰り返し添加して較正を行う。さらなるAmRを添加することにより、再酸素化後のH2O2フラックス測定を確実にすることができる。
【0245】
試験した化合物またはビヒクルをベースラインで(透過処理した線維を添加する前に)添加する。
【0246】
研究概要:
・透過性心臓線維CII OXPHOS状態+30分の無酸素症+H2O2感受性プローブAmpliflu(商標)Redの存在下での10分の再酸素化
・パラメータ:CII OXPHOS(正常酸素圧、再酸素化後)、H2O2(ROS)フラックス(正常酸素圧、再酸素化後)、H2O2/O2比(正常酸素圧、再酸素化後)
・CTRL(ビヒクル)+100nM濃度の3~4のSBT化合物(n=5~6)をセットごとに並行して試験する。並行して試験する化合物の数ならびに化合物濃度(複数可)を調整することができ、研究ファイル及び最終報告に記録する。
【0247】
プロトコルは、実験結果及びスポンサーとの議論に基づいて変更してよい。プロトコルへのいずれの変更も、研究ファイル及びプロトコル修正において文書化する。
図2を参照されたい。
【0248】
実施例31:ランゲンドルフ研究
虚血-再灌流傷害-ランゲンドルフ心臓の調製プロトコル(Latvian Institute of Organic Synthesize)
梗塞研究を、いくらかの変更を伴って、先に記載されているように(Kuka J,Vilskersts R,Cirule H,Makrecka M,Pugovics O,Kalvinsh I,et al. cardioprotective effect of mildronate is diminished after co-treatment with L-carnitine.J Cardiovasc Pharmacol Ther.2012;17:215-222)、ランゲンドルフにしたがって実施する。ラットをペントバルビタールナトリウム(60mg/kg)で麻酔し、ヘパリンを腹腔内投与する。梗塞研究では、10mMグルコースを補充した酸素化された(95%のO2~5%のCO2)Krebs-Henseleit(KH)緩衝溶液(118mmol/L NaCl、4.7mmol/L KCl、1.24mmol/L CaCl2、1.64mmol/L MgCl2、24.88mmol/L NaHCO3、1.18mmol/L KH2PO4、及び0.05mmol/L EDTA;pH7.3~7.5;36.8~37.0℃)を60mmHgの一定の灌流圧で心臓に灌流させる。生理的圧力トランスデューサ(ADInstruments)に接続された水-エタノール混合物(1:1)充填バルーンを左心室に挿入し、ベースライン拡張末期圧を5~10mmHgに設定する。ADInstrumentsからのPowerLab8/35システムを使用して、心拍数(HR)、フロー、左心室発生圧(LVDP)、収縮性(+dp/dt)を連続的に記録する。単離したラットの心臓を20分間適応させ、左前下行枝冠動脈(LAD)を続いて30分間閉塞した後、120分間再灌流させる。目的の化合物が添加されたまたは添加されていないKH灌流溶液(ビヒクルまたは1μM濃度)を、単離した心臓の灌流の全時間に使用する。閉塞は、冠状動脈流の約40%の低下によって確認する。梗塞サイズを先に記載されているように求める(Kuka J,Vilskersts R,Cirule H,Makrecka M,Pugovics O,Kalvinsh I,Dambrova M,Liepinsh E.The cardioprotective effect of mildronate is diminished after co-treatment with L-carnitine. J Cardiovasc Pharmacol Ther.2012 Jun;17(2):215-22.doi:10.1177/1074248411419502.;Liepinsh E,Kuka J,Dambrova M.Troubleshooting digital macro photography for image acquisition and the analysis of biological samples. J Pharmacol Toxicol Methods. 2013 Mar-Apr;67(2):98-106. doi:10.1016/j.vascn.2012.11.001.)。簡潔には、再灌流の終わりに、LADを再閉塞し、KH緩衝溶液に溶解した0.1%メチレンブルーで心臓を灌流させる。その後、心臓を、尖部から基部まで、2mm厚の6のスライス(より小さい心臓では5)に横に薄片化し、リン酸緩衝液(pH7.4、37℃)中の1%塩化トリフェニル-テトラゾリウムにおいて10分間インキュベートして、生存組織を赤く、壊死組織を白く染色する。Image-Pro Plus v6.3ソフトウェアを使用して断面画像の面積測定分析を実施して、リスク領域(AR)及び壊死領域(AN)を求め、それぞれ、スライスの断面積の百分率として表す。次いで、得られた値を使用して、式:
IS(%)=AN/AR×100%
にしたがって、梗塞サイズ(IS)をリスク領域の百分率として算出する。
【0249】
壊死領域を、白色壊死組織の領域及びピンク色の組織の領域を合わせることによって求める。
【0250】
研究概要
・20分間の適応+30分間の虚血(LAD結紮)+120分間の再灌流。ビヒクルまたは化合物1μM
・試験物質濃度(複数可)を調整してよい。いずれの変更も、研究ファイル及び最終報告において報告する。
・エンドポイント:HR、フロー、LVDP、±dP/dt、梗塞サイズ-壊死領域
・セットあたり、CTRL(ビヒクル)+最大4試験化合物(n=8/処置)
【0251】
プロトコル及び試験される化合物の数は、実験結果及びスポンサーとの議論に基づいて変更してよい。プロトコルへのいずれの変更も、研究ファイル及びプロトコル修正において文書化する。
図3を参照されたい。
【0252】
実施例32:ラット心筋梗塞モデル
ラット心筋梗塞モデル(MI)を、カナダのケベック州シャーブルックにあるIPST Therapeutique Incによって実施した。(可能な場合)各処置群の動物を各手術日にスケジュールすることを目的として、試験責任者により、体重に基づいて処置群間の均等分布に関して動物を無作為化した。
1)ビヒクル群:群のサイズ:n=8。投与経路:皮下注射;
2)試験物質群:群のサイズ:n=8。投与経路:皮下注射;処置:0.01、0.1、0.5及び2mg/kgの用量、虚血前30分。
【0253】
実験手順
研究設計
1)手術当日、酸素中の2~2.5%のイソフルランUSP(Abbot Laboratories,Montreal Canada)の混合物でラットを麻酔し、加熱パッドに置いて、体温を維持する。
2)動物に挿管し、65~70ストローク/分の頻度で約10mL/kg体重に設定された齧歯動物用陽圧レスピレーターによって直ちに換気する。
3)開胸を、左の第4肋間腔を通して実施して、心臓を露出させる。
4)5-0ソフシルク縫合糸を左前下行(LAD)動脈の周囲、左心房の2~3mm下に置く。
5)縫合糸を手短にスネアして、色変化に基づいて心筋虚血のサイズ及び位置を確認し、次いで、当該糸を結んで大きな前外側心筋梗塞(約45%)を生じさせる。
6)LAD閉塞の30分後、縫合糸を取り除いて、筋肉の再灌流を可能にする。
7)開胸を4-0縫合糸によって閉じ、術後疼痛管理のためにメロキシカム(1mg/kg)の皮下注射を行う。
8)再灌流後24時間で、動物を再び麻酔する(イソフルラン2%)。
9)心臓を切除し、ランゲンドルフ装置に取り付ける。35±2℃に加熱した酸素化タイロード溶液を、およそ70mmHgの圧力及び10mL/分のオーダーの流速で、逆行させて心臓を灌流させる。
10)次いで、心臓をエバンスブルー色素で灌流して、心筋梗塞のサイズを評価する。エバンスブルー染色に続いて、心臓をランゲンドルフ装置から取り除き、冷エタノール(-50℃)に浸漬させる。心臓を約2mmの横断面スライスでカットする。スライスをスキャンしてリスク領域(AAR)を評価した後、1%TTCを含有するリン酸緩衝液において35±2℃で30分間インキュベートし、次いで、4%ホルマリンに移して4±2℃で24時間置く。スライスを再スキャンして、梗塞領域を測定する。リスク領域>60%の動物を研究から除外する。
【0254】
算出
梗塞サイズ(%=(梗塞領域/リスク領域)*100
【0255】
コンピュータシステム
Microsoft Windows8、XP ProfessionalまたはMicrosoft Windows Vista Businessのいずれかを実行するネットワーク接続されたパーソナルコンピュータをデータ取得に使用する。分析ソフトウェアは、Microsoft Windows8、XP Professionalまたはvistaを実行するネットワーク接続されたパーソナルコンピュータにインストールされたMicrosoft Office Excel 2007である。
【0256】
報告
経過/状況報告
研究全体を通して、定期的な経過報告をスポンサーの交渉担当者に提出する。これらの報告の頻度は、スポンサーの交渉担当者との相談の後に決定する。
【0257】
研究報告
研究の実験段階の完了後1週間以内に、エクセルのスプレッドシートにおける非監査の生データ及び研究設計を含めた非監査草案、研究の定量的/定性的結果、ならに個々のデータグラフをスポンサーに提出する。最終報告をスポンサーコメントの受領後1週間以内に提供する。
図4を参照されたい。
【0258】
実施例33:腎虚血研究
ラット急性腎臓傷害(AKI)モデルを、カナダのケベック州シャーブルックにあるIPST Therapeutique Incによって実施した。各処置群の動物を各手術日にスケジュールすることを目的として、試験責任者により、体重に基づいて処置群間の均等分布に関して動物を無作為化した。ラットは食物及び水に自由にアクセスできる。
1)偽群:群のサイズ:n=2。投与経路:n/a;
2)ビヒクル群:群のサイズ:n=8。投与経路:皮下注射;
3)試験物質群:群のサイズ:n=8。投与経路:皮下注射;処置用量:2×2mg/kg、虚血前30分及び再灌流前5分。
【0259】
実験手順
虚血-再灌流の誘発
1.ラットを、酸素中2%のイソフルランUSP(Abbot Laboratories、カナダ、モントリオール)で麻酔し、加熱したパッドに置いて、体温を維持する。ECG及び酸素飽和度を、手術プロセス全体にわたってモニタリングする。体温は、腎臓に非常に近い腹部に導入されたプローブ温度計でモニタリングする。
2.頸静脈から1mLの採血を行う。血液をヘパリンリチウムチューブに収集し、3000rpmで10分間遠心分離して血漿を得る。血漿を200μLのアリコートに分け、バイオマーカーの投与まで-20℃で保存する。
3.腹部をポビドンヨードで消毒し、開腹術を実施する。
4.腎臓を露出させ、一時的な縫合糸を2つの腎臓の腎動脈の周りに設置する。腎虚血を、虚血の開始後数分以内に腎臓の色が赤から濃い紫色に徐々に変化することによって視覚的に確認する。虚血の間、ヒートランプおよび温かい(37℃)生理食塩水に浸した滅菌ガーゼを使用して、腎臓を湿った温かい状態に保つ。温度は、腎臓に非常に近い腹部に導入されたプローブ温度計でモニタリングする。
5.閉塞の30分後、縫合糸を除去する。
6.腹部の傷を4-0シルク縫合糸で閉じ、動物をそのケージに戻す。
7.再灌流の24時間後、ラットを再度麻酔する。虚血前に行われたように、2回目の採血を行う。
8.偽群は、腎臓が虚血状態にならないことを除いて、ビヒクルと同じ条件下で処置する。
【0260】
バイオマーカーの検出
血漿サンプルの200μLアリコートを、虚血前および虚血後24時間に採取し、これらを、クレアチニンの血漿レベル(p.Cr)及び血中尿素窒素(BUN)の検出のためにCHUS(Centre Hospitalier Universitaire de Sherbrooke,Quebec,Canada)の臨床検査室に送付する。
【0261】
コンピュータシステム
以下は、この研究の実施中に使用される検証済みのコンピュータシステムである。分析ソフトウェアは、Microsoft Windows 8、XP ProfessionalまたはVistaを実行するネットワーク接続されたパーソナルコンピュータにインストールされたMicrosoft Office Excel 2007である。
【0262】
データ解析
値を平均±SEM(平均の標準誤差)として提示する。反復の不対スチューデントt検定を全ての実験データについてMicrosoft Excel 2007において実施した。差を、p≦0.05であるときに有意であるとみなした。
【0263】
ビヒクル群を偽群と比較し、一方で、試験物質をビヒクル群と比較した。
【0264】
I/R後の血漿クレアチニン(ビヒクルに対する%平均)を、以下の式を使用して算出した:
((((虚血後24時間の血漿クレアチニン)-(虚血前の血漿クレアチニン))-偽群における平均Δ血漿クレアチニン)/ビヒクル群における平均Δ血漿クレアチニン)×100
式中:
偽群における平均Δ血漿クレアチニン=偽群における平均(虚血後24時間の血漿クレアチニン-虚血前の血漿クレアチニン)
ビヒクル群における平均Δ血漿クレアチニン=ビヒクル群における平均((虚血後24時間の血漿クレアチニン-虚血前の血漿クレアチニン)-偽群における平均Δ血漿クレアチニン)
【0265】
I/R後のBUN(ビヒクルに対する%平均)を、以下の式を使用して算出した:
((((虚血後24時間のBUN)-(虚血前のBUN))-偽群における平均ΔBUN)/ビヒクル群における平均ΔBUN)×100
式中:
偽群における平均ΔBUN=偽群における平均(虚血後24時間のBUN-虚血前のBUN)
ビヒクル群における平均ΔBUN=ビヒクル群における平均((虚血後24時間のBUN-虚血前のBUN)-偽群における平均ΔBUN)
【0266】
保護%を、以下の式を使用して算出した:
保護%(血漿クレアチニン)=100%-I/R後のΔ血漿クレアチニン(ビヒクルに対する%平均)
保護%(BUN)=100%-I/R後のΔBUN(ビヒクルに対する%平均)
図5及び6を参照されたい。
【0267】
等価物
本発明を、理解の明確さを目的として実例及び例によっていくらか詳細に説明したが、同じことが、本発明またはそのいずれの具体的な実施形態の範囲にも影響することなく、広範かつ等価な、条件、構築及び他のパラメータの範囲内で、本発明を修飾または変更することによって実施され得ること、ならびに、かかる修飾または変更が、添付の特許請求の範囲内に包含されることが意図されることが当業者に明らかであろう。
【0268】
参照による組み込み
上記の明細書において言及されている全ての米国特許ならびに米国及びPCT特許出願公開公報は、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【国際調査報告】