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特表2022-5119471-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]-3-[(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾール-4-カルボキサミドの結晶形態
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-01
(54)【発明の名称】1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]-3-[(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾール-4-カルボキサミドの結晶形態
(51)【国際特許分類】
   C07D 405/14 20060101AFI20220125BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20220125BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220125BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20220125BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20220125BHJP
【FI】
C07D405/14 CSP
A61K31/4439
A61P43/00 111
A61P37/08
A61P17/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021533235
(86)(22)【出願日】2019-12-12
(85)【翻訳文提出日】2021-08-05
(86)【国際出願番号】 EP2019084898
(87)【国際公開番号】W WO2020120679
(87)【国際公開日】2020-06-18
(31)【優先権主張番号】18212191.3
(32)【優先日】2018-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510000976
【氏名又は名称】インターベット インターナショナル ベー. フェー.
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】チャセイン,クリストフ・ピエール・アラン
(72)【発明者】
【氏名】ジン,シャオリン
(72)【発明者】
【氏名】ペトロヴァ,ロシツァ・イオダノヴァ
(72)【発明者】
【氏名】バルソロナ,リチャード・ジェー
(72)【発明者】
【氏名】コーダン,ロレンソ
(72)【発明者】
【氏名】クリエーター,エドワード
(72)【発明者】
【氏名】グッドイヤー,エイドリアン
(72)【発明者】
【氏名】シモンズ,ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】シュヴァイゼル,タニア
【テーマコード(参考)】
4C063
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA03
4C063BB02
4C063CC78
4C063DD22
4C063EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC36
4C086GA02
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA15
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA03
4C086ZA89
4C086ZB13
4C086ZC20
(57)【要約】
本願は、1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]-3-[(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾール-4-カルボキサミドの結晶形態及びそれの製造方法に関するものである。その化合物は、アトピー性皮膚炎などのJAK介在疾患若しくは症状の治療に有用である。
【化1】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の特徴:
6.9、13.9、17.8、19.6、20.4、20.9、24.7、25.0、26.6及び29.1からなる群から選択される゜2θ(±0.2)での少なくとも一つのピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターン、
30.61、32.60、53.40、59.59、67.21、71.93、88.50、96.35、104.47、120.39、121.95、131.45、153.31、161.41、163.36及び166.70ppmからなる群から選択される少なくとも一つのピークを有する炭素-13交差分極マジック角回転(CPMAS)核磁気共鳴(NMR)スペクトラム、
又は
約257℃の吸熱ピークを含む示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム
のうちの少なくとも一つを有する、1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]-3-[(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾール-4-カルボキサミドの結晶形態(形態1)。
【請求項2】
実質的に図1に示したX線粉末回折(XRPD)パターンを有する、請求項1に記載の結晶形態。
【請求項3】
実質的に図2に示した炭素-13交差分極マジック角回転(CPMAS)核磁気共鳴(NMR)スペクトラムを有する、請求項1に記載の結晶形態。
【請求項4】
実質的に図3に示した示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを有する、請求項1に記載の結晶形態。
【請求項5】
次の特徴:
7.3、12.6、12.9、13.1、16.2、17.4、21.8、27.8及び28.4からなる群から選択される°2θ(±0.2)での少なくとも一つのピークを有するX線粉末回折(XRPD)スペクトラム;
29.80、30.52、54.35、60.67、65.45、70.62、89.08、92.52、102.17、121.96、123.48、131.05、152.21、163.46、164.53及び168.40ppmからなる群から選択される少なくとも一つのピークを有する炭素-13交差分極マジック角回転(CPMAS)核磁気共鳴(NMR)スペクトラム;又は
開始温度約27℃を有する第1の吸熱ピーク及び約254℃での第2の吸熱ピークを含む示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム
のうちの少なくとも一つを有する、1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]-3-[(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾール-4-カルボキサミドの結晶水和物形態。
【請求項6】
実質的に図7に示したX線粉末回折(XRPD)スペクトラムを有する、請求項5に記載の結晶水和物形態。
【請求項7】
実質的に図8に示した炭素-13交差分極マジック角回転(CPMAS)核磁気共鳴(NMR)スペクトラムを有する、請求項5に記載の結晶水和物形態。
【請求項8】
実質的に図9に示した示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを有する、請求項5に記載の結晶水和物形態。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の結晶形態及び医薬賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項10】
前記結晶形態が実質的に精製されている、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
哺乳動物におけるJAKが介在する疾患若しくは症状の治療若しくは予防方法であって、請求項9~10のいずれか1項に記載の組成物を投与することを含む方法。
【請求項12】
前記JAKが介在する疾患若しくは症状がアトピー性皮膚炎である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]-3-[(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾール-4-カルボキサミド及び溶媒の溶液から当該結晶形態を析出させることを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の結晶形態の製造方法であって;
ここで、前記溶液は、還流温度で加熱され、次に冷却される方法。
【請求項14】
前記溶媒が、メタノール、DMAc、トルエン、キシレン、酢酸エチル又はこれらの混合物からなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記還流温度が約60℃~約70℃であり、そして、前記溶液は、約25℃より低い温度まで冷却される、請求項13~14のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
WO2018/108969には、選択的ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤であり、従ってアトピー性皮膚炎、関節炎及びがんのようなJAK介在疾患の治療に有用な式Iの化合物が開示されている。具体的には、1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]-3-[(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾール-4-カルボキサミド(I)が開示されている。
【化1】
【0002】
この参考文献は、上記化合物が黄色固体として製造されたことも開示している。
【0003】
WO2013/041042には、関節リウマチ、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)及びがんの治療において有用なヤヌスキナーゼ阻害剤としてピラゾールカルボキサミドが開示されている。この開示の化合物は、下記式のものである。
【化2】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2018/108969
【特許文献2】WO2013/041042
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
次の特徴の少なくとも一つを有する1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]-3-[(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾール-4-カルボキサミドの結晶形態(形態1):
6.9、13.9、17.8、19.6、20.4、20.9、24.7、25.0、26.6及び29.1゜2θ(±0.2)からなる群から選択される少なくとも一つのピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターン、
30.61、32.60、53.40、59.59、67.21、71.93、88.50、96.35、104.47、120.39、121.95、131.45、153.31、161.41、163.36及び166.70ppmのシグナルからなる群から選択される少なくとも一つのピークを有する炭素-13交差分極マジック角回転(CPMAS)核磁気共鳴(NMR)スペクトラム、又は
約257(±1)℃の吸熱ピークを含む示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】結晶形態1の特徴的なX線粉末回折パターンである。
図2】結晶形態1の炭素-13交差分極マジック角回転(CPMAS)核磁気共鳴(NMR)スペクトラムである。星印で標識したピークは、回転サイドバンドに相当する。
図3】結晶形態1の典型的なDSCサーモグラムである。
図4】結晶形態2の特徴的なX線粉末回折パターンである。
図5】結晶形態2の炭素-13交差分極マジック角回転(CPMAS)核磁気共鳴(NMR)スペクトラムである。星印で標識したピークは、回転サイドバンドに相当する。
図6】結晶形態2の典型的なDSCサーモグラムである。
図7】結晶水和物形態の特徴的なX線粉末回折パターンである。
図8】結晶水和物形態の炭素-13交差分極マジック角回転(CPMAS)核磁気共鳴(NMR)スペクトラムである。星印で標識したピークは、回転サイドバンドに相当する。
図9】結晶水和物形態の典型的なDSCサーモグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]-3-[(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾール-4-カルボキサミドは、3種類の結晶形態である形態1及び形態2並びに水和物で存在することが見いだされている。
【0008】
1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]-3-[(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾール-4-カルボキサミドの多形形態1及び形態2は、モノトロピー的に関連している。形態1は、全ての温度で熱力学的に最も安定な形態である。
【0009】
形態1多形結晶には、形態2多形結晶に勝るいくつかの利点がある。最初に、それは熱力学的に最も安定な形態である。さらに、形態1は、高湿度条件下で水和物に変換されるリスクが低い。
【0010】
本発明の1実施形態は、次の特徴:
6.9、13.9、17.8、19.6、20.4、20.9、24.7、25.0、26.6及び29.1からなる群から選択される゜2θ(±0.2)での少なくとも一つのピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターン;
30.61、32.60、53.40、59.59、67.21、71.93、88.50、96.35、104.47、120.39、121.95、131.45、153.31、161.41、163.36、及び166.70ppmのシグナルからなる群から選択される少なくとも一つのピークを有する炭素-13交差分極マジック角回転(CPMAS)核磁気共鳴(NMR)スペクトラム;又は
約257(±1)℃の吸熱ピークを含む示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム
のうちの少なくとも一つを有する、1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]-3-[(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾール-4-カルボキサミド(I)の結晶形態(形態1)である。
【0011】
1実施形態において、結晶形態1は、6.7、13.9及び19.9゜2θ(±0.2)でのピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。
【0012】
1実施形態において、結晶形態1は、5.0の゜2θ(±0.2)でのピーク、20.4及び20.9の二重項ピーク、及び22.2及び22.6の二重項ピークをさらに含むX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。
【0013】
1実施形態において、結晶形態1は、24.7、26.6及び29.1゜2θ(±0.2)でのピークセットをさらに含むX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。
【0014】
1実施形態において、結晶形態1は、実質的に図1に示したX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。
【0015】
1実施形態において、結晶形態1は、実質的に図2に示した炭素-13交差分極マジック角回転(CPMAS)核磁気共鳴(NMR)スペクトラムを有する。
【0016】
1実施形態において、結晶形態1は、実質的に図3に示した示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを有する。
【0017】
本発明の別の実施形態は、次の特徴:
6.3、7.9、12.7、14.9、15.1、16.9及び17.1からなる群から選択される゜2θ(±0.2)での少なくとも一つのピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターン;
29.39、30.67、32.06、52.40、54.80、59.92、65.57、67.64、71.01、72.30、88.52、92.33、93.02、103.96、121.32、122.79、130.85、152.10、162.16、163.05、164.45及び168.12ppmのシグナルからなる群から選択される少なくとも一つのピークを有する炭素-13交差分極マジック角回転(CPMAS)核磁気共鳴(NMR)スペクトラム;又は
約252(±2)℃の吸熱ピークを含む示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム
のうちの少なくとも一つを有する、1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]-3-[(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾール-4-カルボキサミド(I)の結晶形態(形態2)である。
【0018】
1実施形態において、結晶形態2は、6.3、7.9及び12.7の゜2θ(±0.2)でのピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。
【0019】
1実施形態において、結晶形態2は、14.9及び15.1の゜2θ(±0.2)二重項ピーク及び16.9及び17.1の二重項ピークでのピークをさらに含むX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。
【0020】
1実施形態において、結晶形態2は、実質的に図4に示したX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。
【0021】
1実施形態において、結晶形態2は、実質的に図5に示した炭素-13交差分極マジック角回転(CPMAS)核磁気共鳴(NMR)スペクトラムを有する。
【0022】
1実施形態において、結晶形態2は、実質的に図6に示した示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを有する。
【0023】
本発明の別の実施形態は、次の特徴:
7.3、12.6、12.9、13.1、16.2、17.4、21.8、27.8及び28.4の゜2θ(±0.2)でのピークからなる群から選択される少なくとも一つのピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターン;
29.80、30.52、54.35、60.67、65.45、70.62、89.08、92.52、102.17、121.96、123.48、131.05、152.21、163.46、164.53及び168.40ppmのシグナルからなる群から選択される少なくとも一つのピークを有する炭素-13交差分極マジック角回転(CPMAS)核磁気共鳴(NMR)スペクトラム;又は
約27℃の開始温度を有する第1の吸熱ピーク及び約254(±2)℃の第2の吸熱ピークを含む示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム
のうちの少なくとも一つを有する、1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]-3-[(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾール-4-カルボキサミド(I)の結晶水和物形態である。
【0024】
1実施形態において、前記結晶水和物形態は、7.3の゜2θ(±0.2)でのピーク、12.6、12.9及び13.1の三重項及び17.4のピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。
【0025】
1実施形態において、前記結晶水和物形態は、16.2、21.8、27.8及び28.4の゜2θ(±0.2)でのピークをさらに含むX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。
【0026】
1実施形態において、前記結晶水和物形態は、実質的に図7に示したX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。
【0027】
1実施形態において、前記結晶水和物形態は、実質的に図8に示した炭素-13交差分極マジック角回転(CPMAS)核磁気共鳴(NMR)スペクトラムを有する。
【0028】
1実施形態において、前記結晶水和物形態は、実質的に図9に示した示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを有する。
【0029】
別の実施形態は、上記結晶形態のいずれか一つ及び医薬賦形剤を含む医薬組成物である。
【0030】
医薬組成物の実施形態は、前記結晶形態が実質的に精製されている。
【0031】
別の実施形態は、哺乳動物におけるJAKが介在する疾患若しくは症状の治療若しくは予防方法であって、上記組成物のいずれか一つを投与することを含む方法である。
【0032】
1実施形態において、前記JAKが介在する疾患若しくは症状は、アトピー性皮膚炎である。
【0033】
別の実施形態は、請求項1~12のいずれか1項の結晶形態の製造方法であって、前記結晶形態を溶液から沈殿させること、又は1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]-3-[(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾール-4-カルボキサミド(I)のスラリーを加熱することのいずれか、及び、任意に、得られた混合物に所望の形態のシードをシード添加することでその所望の形態の形成を誘発することを含む方法である。
【0034】
1実施形態において、溶媒又は溶媒混合物は、メタノール、DMAc、トルエン、キシレン及び酢酸エチル又はそれらの混合物からなる群から選択される。
【0035】
上記方法の1実施形態において、ある量の結晶形態シードを溶液又はスラリーに加える。別の実施形態において、シードの量は、1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]-3-[(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾール-4-カルボキサミド(I)の重量の約0.1%~約10.0%、好ましくは約1.0~約5.0%である。
【0036】
上記方法の1実施形態において、溶液又はスラリーは、加熱還流される。別の実施形態において、溶媒は、少量ずつ加えられる。
【0037】
上記方法の1実施形態において、還流温度は約60℃~約70℃であり、そして、溶液は、約25℃より低い温度に冷却される。
【0038】
ジメチルアセトアミド(DMAc又はDMA)は、溶媒として一般に使用される式CHC(O)N(CHの有機化合物である。
【0039】
結晶水和物は、非水和結晶形態より含水製剤中で安定であるという利点を有することが予想される。
【0040】
本明細書で使用される「実質的に~に示した」という用語は、本明細書において描かれたものと同一ではないが、当業者が考えた場合に実験誤差の範囲内であり得る、X線粉末回折(XRPD)スペクトラム、炭素-13交差分極マジック角回転(CPMAS)核磁気共鳴(NMR)スペクトラム、又は示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを指す。当業者であれば、X線粉末回折スペクトラムが、図1のスペクトラムに含まれるピークの±0.2゜2θに入るピークを含み得ること、図3に描かれた示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムが描かれているものの±3℃での吸熱を含み得ることは理解するであろう。
【0041】
本明細書で使用される場合、「実質的に精製された」という用語は、少なくとも純度90%の化合物の結晶形態を指す。別の実施形態において、「実質的に精製された」は、少なくとも純度95%、99%又は99.9%である化合物の結晶形態を指す。
【実施例
【0042】
形態1及び2及び水和物形態のサンプルを、下記の方法に従って調製した。
【0043】
実施例1-形態1
1A
160リットルのガラスライニング容器に1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]-3-[(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾール-4-カルボキサミド(3.72kg、10.32mol)及びメタノール(80.8リットル)を入れた。内容物を加熱還流し(65℃)、真正の1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]-3-[(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾール-4-カルボキサミド形態1シード(109g、302.5mmol)をメタノール(1.9リットル)中スラリーとして入れた。形態1シードは、還流メタノール(30体積)中のスラリー対スラリー移動を介して得た。その混合物を275rpmで攪拌し、14.5時間熟成させた。スラリーを12時間かけて65℃から20℃まで冷却し、次に20℃で6時間熟成させた。
【0044】
バッチを濾過し、湿ケーキをメタノール(5.4リットル)で洗浄した。固体を窒素を流しながら真空乾燥機中、40℃で23時間乾燥させた。次に、取得物をコミル(Co-Mill)に通して塊を破砕し、1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]-3-[(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾール-4-カルボキサミド形態1(2.21kg、6.14mol)を白色粉末として得た。
【0045】
1B
粗API(150g)を精製し、水和物として得た。次に、その水和物を、5%形態1シードとともに14時間にわたり還流メタノール中で攪拌した。スラリーを還流下にXRPD用にサンプリングしたところ、少量の形態2(<5%)が存在することが示された。そのスラリーを冷却して20℃とし、IKA Ultra Turrax湿式ミルを用いて5200rpmで30分間湿式粉砕した。次に、それを還流に戻してさらに16時間経過させた。
【0046】
還流下でのサンプリング後、XRPDによって、かなりレベルは低下しているが、形態2がまだ存在していることが示された。そこで、スラリーを冷却して20℃とし、5200rpmで30分間にわたり再度湿式粉砕した。次に、それを還流に戻してさらに16時間経過させた。
【0047】
この時のXRPDにより、取得物が100%形態1であることが示された。スラリーを12時間かけて冷却して20℃とし、20℃で6時間熟成させた。その取得物が形態1であることを再度確認してから、濾過及び乾燥を行った。形態1 API合計109gを、オフホワイト粉末として得た(アッセイに関して補正して回収率82%)。
【0048】
1C
1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]-3-[(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾール-4-カルボキサミド(52g)をN,N-ジメチルアセトアミド(170mL)及びメタノール(52mL)で希釈した。得られたスラリーを、400rpmで5~10分間にわたり20~25℃の温度で攪拌した。混合物を加熱して60℃とした。温度が52℃に達した時点で、混合物は透明になり、溶液となった。追加のメタノール(61mL)を溶液に加え、それをさらに60℃で5~10分間攪拌した。1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]-3-[(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾール-4-カルボキサミドの形態1のシード(260mg又は0.5%の合計api)を加えたところ、直ちにスラリーが生成した。攪拌を500rpmまで高め、メタノール(661mL)を10時間かけて加えた。得られたスラリーを60℃で熟成させ、次に5時間かけて冷却して0℃とした。スラリーを60分間粉砕し、0℃で2時間熟成させ、濾過した。単離された生成物をメタノールで洗浄し(160mLで2回)、次いで、室温で2時間にわたり真空乾燥し、次に50℃の真空乾燥機で16時間乾燥させた。形態1結晶46.6gを得た。
【0049】
実施例2-形態2
WO2018/108969に記載の方法に従って、形態2を得た。
【0050】
実施例3-水和物
3A
形態2(0.2g)を、室温で14日間にわたり水(10mL)中でスラリー化した。次に、その懸濁液を濾過し、環境条件で真空乾燥した(0.18gを単離)。PXRDにより、水和物生成が確認された。
【0051】
3B
形態2(0.1g)を、室温で1日間にわたり、70/30(体積比)MeOH/HO(2mL)中でスラリー化した。次に、懸濁液を濾過し、環境条件で真空乾燥した(Xgを単離)。PXRDにより、水和物生成が確認された。
【0052】
形態1及び2及び水和物のこれらのサンプルのそれぞれについて、下記の方法に従って特性決定を行った。
【0053】
X線粉末回折(XRPD)
X線粉末回折試験は、分子構造、結晶性及び多形性の特性決定を行うのに広く使用されている。形態1及び形態2及び水和物のX線粉末回折パターンを、反射モードのLYNXEYE XE-T検出器を搭載したBruker AXS D8 Advanceで得た。
【0054】
固体NMR
上記のX線粉末回折パターンに加えて、形態1、2及び水和物サンプルを、それらの炭素-13固体核磁気共鳴(NMR)スペクトラムに基づいてさらに特性決定した。炭素-13スペクトラムは、Bruker 4mm H/F/X BB三重共鳴CPMASプローブを用い、キャリア周波数400.14MHzで動作するBruker AV400 NMRスペクトル計で記録した。接触時間3msで80kHzでプロトン/炭素-13変動振幅交差分極(VACP)を用いて、スペクトラムを収集した。データ獲得に用いた他の実験パラメータは、100kHzのプロトン90度パルス、100kHzでのSPINAL64デカップリング、パルス遅延30.0秒、及び2900スキャンについてのシグナル加算平均であった。マジック角回転(MAS)速度は13kHzに設定した。30Hzのローレンツ(Lorentzian)線広がりをスペクトラムに適用してから、フーリエ変換を行った。化学シフトは、二次基準としてグリシンのカルボニル炭素(176.70ppm)を用い、TMSスケールで報告される。
【0055】
示差走査熱量測定(DSC)
DSCデータは、TA Instruments DSC Q2000又は等価な機器を用いて得た。1~6mgの重量を有するサンプルをオープンパンに量り入れる。このパンを、熱量計セルのサンプル位置に置く。空のパンを基準位置に置く。熱量計セルを閉じ、窒素流をセルに通す。加熱プログラムを、10℃/分の加熱速度でサンプルを加熱して約275℃の温度とするように設定する。実施を完了したら、システムソフトウェア中のDSC分析プログラムを用いてデータを解析する。観察される吸熱及び発熱を、その吸熱若しくは発熱が観察される温度範囲の上及び下である基底線温度点間で積分する。報告されるデータは、開始温度、ピーク温度及びエンタルピーである。
【0056】
1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]-3-[(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾール-4-カルボキサミド結晶形態1の物理特性決定
図1は、形態1のX線粉末回折パターンを示している。形態1は、12.7、6.4、及び4.5Åのd-間隔に相当する特徴的な回折ピークを示した。形態1はさらに、5.0のd-間隔、4.4及び4.2Åの二重項ピーク及び4.0及び3.9Åの別の二重項ピークを特徴とした。形態1はさらに、3.6、3.4及び3.1Åのピークセットのd-間隔を特徴とした。
【0057】
表1.結晶形態1についての特徴的ピーク位置及び相当するd-間隔
【表1】
【0058】
【0059】
形態1は、それの固体炭素-13核磁気共鳴(NMR)スペクトラム(図2参照)に基づいて特性決定した。炭素-13スペクトラムは、Bruker 4mm H/F/X BB三重共鳴CPMASプローブを用い、キャリア周波数400.14MHzで動作するBruker AV400 NMRスペクトル計で記録した。接触時間3msで80kHzでプロトン/炭素-13変動振幅交差分極(VACP)を用いて、スペクトラムを収集した。データ獲得に用いた他の実験パラメータは、100kHzのプロトン90度パルス、100kHzでのSPINAL64デカップリング、パルス遅延30.0秒、及び2900スキャンについてのシグナル加算平均であった。マジック角回転(MAS)速度は13kHzに設定した。30Hzのローレンツ(Lorentzian)線広がりをスペクトラムに適用してから、フーリエ変換を行った。化学シフトは、二次基準としてグリシンのカルボニル炭素(176.70ppm)を用い、TMSスケールで報告される。
【0060】
形態1についての特徴的な炭素-13等方性化学シフトは、30.61、32.60、53.4022、59.59、67.21、71.93、88.50、96.35、104.47、120.39、121.95、131.45、153.31、161.41、163.36及び166.70ppmで観察される。
【0061】
図3は、結晶形態1の典型的なDSCサーモグラムである。そのDSCサーモグラムは、外挿開始温度256.9℃での融解吸熱、ピーク温度257.2℃及びエンタルピー127.1 J/gを特徴とする。
【0062】
1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]-3-[(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾール-4-カルボキサミド結晶形態2の物理特性決定
図4は、1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]-3-[(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾール-4-カルボキサミド結晶形態2のX線粉末回折パターンが13.9、11.2及び7.0Åのd-間隔に相当する特徴的な回折ピークを示したことを示している。形態2はさらに、6.0及び5.9Åの二重項ピーク及び5.3及び5.2Åの別の二重項ピークのd-間隔を特徴とした。
【0063】
表2.結晶形態2についての特徴的ピーク位置及び相当するd-間隔
【表2】
【0064】
【0065】
形態2は、それの固体炭素-13核磁気共鳴(NMR)スペクトラム(図5参照)に基づいて特性決定した。炭素-13スペクトラムは、Bruker 4mm H/F/X BB三重共鳴CPMASプローブを用い、キャリア周波数400.14MHzで動作するBruker AV400 NMRスペクトル計で記録した。接触時間3msで80kHzでプロトン/炭素-13変動振幅交差分極(VACP)を用いて、スペクトラムを収集した。データ獲得に用いた他の実験パラメータは、100kHzのプロトン90度パルス、100kHzでのSPINAL64デカップリング、パルス遅延17.0秒、及び5916スキャンについてのシグナル加算平均であった。マジック角回転(MAS)速度は13kHzに設定した。30Hzのローレンツ(Lorentzian)線広がりをスペクトラムに適用してから、フーリエ変換を行った。化学シフトは、二次基準としてグリシンのカルボニル炭素(176.70ppm)を用い、TMSスケールで報告される。
【0066】
形態2についての特徴的な炭素-13等方性化学シフトは、29.39、30.67、32.06、52.40、54.80、59.92、65.57、67.64、71.01、72.3088.52、92.33、93.02、103.96、121.32、122.79、130.85、152.10、162.16、163.05、164.45及び168.12ppmで観察される。
【0067】
図6は、結晶形態2の典型的なDSCサーモグラムである。そのDSCサーモグラムは、外挿開始温度251.8℃での融解吸熱、ピーク温度252.9℃及びエンタルピー124.6 J/gを特徴とする。
【0068】
1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]-3-[(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾール-4-カルボキサミド結晶水和物形態の物理特性決定
図7は、1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]-3-[(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾール-4-カルボキサミド結晶水和物形態のX線粉末回折パターンが12.1のd-間隔、7.0、6.9及び6.7Åの三重項ピーク、及び5.1Åのピークに相当する特徴的な回折ピークを示したことを示している。その水和物形態はさらに、5.5、4.1、3.2及び3.1Åのd-間隔を特徴とした。
【0069】
表3.結晶水和物についての特徴的ピーク位置及び相当するd-間隔
【表3】
【0070】
【0071】
前記水和物は、それの固体炭素-13核磁気共鳴(NMR)スペクトラムに基づいて特性決定した。炭素-13スペクトラムは、Bruker 4mm H/F/X BB三重共鳴CPMASプローブを用い、キャリア周波数400.14MHzで動作するBruker AV400 NMRスペクトル計で記録した。接触時間3msで80kHzでプロトン/炭素-13変動振幅交差分極(VACP)を用いて、スペクトラムを収集した。データ獲得に用いた他の実験パラメータは、100kHzのプロトン90度パルス、100kHzでのSPINAL64デカップリング、パルス遅延1.6秒、及び8000スキャンについてのシグナル加算平均であった。マジック角回転(MAS)速度は13kHzに設定した。30Hzのローレンツ(Lorentzian)線広がりをスペクトラムに適用してから、フーリエ変換を行った。化学シフトは、二次基準としてグリシンのカルボニル炭素(176.70ppm)を用い、TMSスケールで報告される。
【0072】
当該水和物についての特徴的な炭素-13等方性化学シフトは、29.80、30.52、54.35、60.67、65.45、70.62、89.08、92.52、102.17、121.96、123.48、131.05、152.21、163.46、164.53及び168.40ppmで観察される。
【0073】
図9は、結晶水和物形態の典型的なDSC曲線である。そのDSC曲線は、二つの吸熱及び一つの発熱を特徴とする。外挿開始温度27.4℃、ピーク温度52.1℃、及びエンタルピー46.6 J/gでの最初の吸熱は脱水によるものである。外挿開始温度164.1℃での発熱は、形態2への固体相転移によるものである。外挿開始温度253.9℃、ピーク温度255.1℃及びエンタルピー124.6J/gでの吸熱は、形態2の融解によるものである。
【0074】
形態1、形態2及び水和物の相対的熱力学的安定性
形態1及び形態2はモノトロピー的に関連している。形態1の方が形態2より安定である。水和物が、水溶液中で最も安定な形態である。
【0075】
形態1及び形態2についての加工性評価
形態1及び形態2の両方が、40℃/75%相対湿度(RH)及び55℃で12ヶ月間保存した後、物理的及び化学的に安定である。水和物のシードが存在する場合、典型的な湿式造粒温度での形態2の水和物への変換のリスクがある。小規模結晶化プロセス研究によって、形態1が一貫して送達され得ることが明らかになった。
【0076】
形態1は、MeOH中、室温(RT)で3週間にわたりスラリー化した後に形態1のままであった。形態1及び形態2のそれぞれ約10mgを50℃でMeOH 1mL中でスラリー化した場合、4日後に、形態1への完全変換が認められた。
【0077】
形態2を、50℃で2-Me-THF、酢酸エチル、MeOH又はMeOH/トルエン(体積比70:30)中でスラリー化し、14日目で形態1によるシード添加を行い、さらに14日間(合計28日間)平衡化した場合、形態1への完全な(or)変換が認められた。25℃で酢酸エチル及び酢酸イソプロピル中にて、28日後には部分変換が認められた。これは、形態1の方が形態2より熱力学的に安定であることの証拠である。
【0078】
形態2より形態1の方が溶解度が低いことも、形態1がより安定な形態であることを示した。
【表4】
【0079】
水和物への変換リスク
5%SLSを含む水中でのスラリー実験を用いて、湿式造粒時の形態変換リスクを評価した。典型的な湿式造粒条件には、60~70℃での1.5~2時間の乾燥を含む。
【0080】
5%ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)水溶液中に20mg/mLの形態1若しくは形態2を含むスラリーに、5%水和物シードをシード添加し、室温及び80℃で24時間にわたり、PXDによって形態変化をモニタリングした。形態1サンプルについては水和物ピークの増大は認められず、それは、形態1が室温及び80℃で水和物の存在下に24時間にわたって安定であることを示していた。形態2サンプルに関しては80℃で水和物ピークの増大は全く認められなかったが、室温での形態2サンプルについては水和物ピークの増大が認められた。これは、形態2が室温で水和物シード存在下で安定ではないことを示している。これらの結果は、水和物シードが存在する場合に、水和物への形態変換のリスクが、形態2より形態1において低いことを示していた。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】