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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-01
(54)【発明の名称】資材
(51)【国際特許分類】
   B27N 3/04 20060101AFI20220125BHJP
【FI】
B27N3/04 B
B27N3/04 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021543575
(86)(22)【出願日】2019-10-07
(85)【翻訳文提出日】2021-04-02
(86)【国際出願番号】 EP2019077072
(87)【国際公開番号】W WO2020074437
(87)【国際公開日】2020-04-16
(31)【優先権主張番号】102018124706.0
(32)【優先日】2018-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521141534
【氏名又は名称】トリアス パーム リサイクリング エージー
【氏名又は名称原語表記】TRIAS PALM RECYCLING AG
【住所又は居所原語表記】Bahnhofstrasse 11 6300 Zug (CH)
(74)【代理人】
【識別番号】100180781
【弁理士】
【氏名又は名称】安達 友和
(74)【代理人】
【識別番号】100182903
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 武慶
(72)【発明者】
【氏名】デシャンツレイター,エドガー
【テーマコード(参考)】
2B260
【Fターム(参考)】
2B260AA12
2B260BA17
2B260BA25
2B260CD02
2B260CD22
2B260DA03
2B260DA04
2B260EA02
2B260EA05
2B260EA11
2B260EB02
2B260EB06
2B260EB11
2B260EB12
2B260EB19
2B260EB21
(57)【要約】
本発明は、資材、つまり特にヤシの繊維にほぐした細長いラメラを含む繊維複合材料、および結合剤に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヤシから採った長さが少なくとも20cmある繊維にほぐされた長細いラメラ(58)および結合剤(60)を使用した資材(56)、つまり特に繊維複合材料。
【請求項2】
請求項1に記載の資材(56)において、繊維にほぐしたラメラ(58)の長さが少なくとも25cmまたは30cmであることを特徴とする資材。
【請求項3】
請求項1または2に記載の資材(56)において、繊維にほぐしたラメラ(58)からヤシのフィラー(64)、つまり特に柔組織が分離され、特に吸い取られることを特徴とする資材。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の資材(56)において、繊維にほぐしたラメラ(58)の割合が40から95重量パーセントの間、その中でもとりわけ50から60重量パーセントの間であることを特徴とする資材。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の資材(56)において、結合剤(60)として、アミノプラスト(特にフェノール樹脂、PF樹脂、メラミンおよび(または)尿素樹脂)、接着剤(特に植物系・合成系またはエポキシ樹脂)、分散剤(特にPVAC、PMDI、ポリウレタン、熱可塑性エラストマー)、ローム、そして粘土および(または)セメントを使用していることを特徴とする資材。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の資材(56)において、資材(56)に別の植物原材料(18)、つまり特に葉が使用されることを特徴とする資材。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の資材(56)において、資材(56)がプレスされた資材(56)として設計されていること、そして(または)資材(56)がボード材、角材、または成形部品として設計されていることを特徴とする資材。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の資材(56)において、
資材のかさ密度が251乃至500kg/mであるか、
資材のかさ密度が510乃至850kg/mであるか、
資材のかさ密度が850kg/m以上であることを特徴とする資材。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の資材(56)において、
かさ密度の異なる複数の層(少なくとも2、3、4、5、6、または6層以上)から成る積層材として設計できるされることを特徴とする資材。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の資材(56)の防火材料としての使用。
【請求項11】
長細い植物原材料(10)(好ましくはヤシ)を処理するための処理装置で、原材料(10)を長細いラメラ(58)に分割するための分割装置(14)、ラメラを繊維にほぐすための離解装置(20)、そして繊維にほぐしたラメラ(58)(使用する繊維にほぐしたラメラ(58)の長さは少なくとも20cm)をさらに処理して資材(56)に形成するための追加処理装置(24)を有する処理装置。
【請求項12】
請求項11に記載の処理装置において、その分割装置(14)に、平行および(または)格子状に配置された複数枚のブレードを有する刃のセット(44)を備えていることを特徴とする処理装置。
【請求項13】
請求項11または12に記載の処理装置において、別の植物原材料(18)、すなわち特に葉を混ぜ込むための混合装置(16)が、分割装置(14)と離解装置(20)の間に備えられていることを特徴とする処理装置。
【請求項14】
請求項11乃至請求項13のいずれかに記載の処理装置において、その離解装置(20)に摩擦装置が含まれることを特徴とする処理装置。
【請求項15】
請求項11乃至請求項14のいずれかに記載の処理装置において、吸引装置(22)が離解装置(20)の範囲内に、そして(または)離解装置(20)と追加処理装置(24)の間に備えられていることを特徴とする処理装置。
【請求項16】
特に請求項11乃至請求項15のいずれかに記載の処理装置を用いて、長細い植物性原材料(10)(好ましくはヤシ)を処理する方法であって、原材料(10)を長細いラメラ(58)に分割し、ラメラ(58)を繊維にほぐし、繊維にほぐしたラメラ(58)(使用するラメラ(58)の長さは少なくとも20cm)を資材(56)にするためにさらに加工する方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法において、ヤシのフィラー、つまり特に柔組織が、ラメラ(58)の離解時に分け離され、特に吸引されることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項16または17に記載の方法において、繊維にほぐしたラメラ(58)に結合剤(60)を使用してプレスすることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヤシの一部を使用して作る資材、そして、植物原材料(とりわけヤシ)を処理する処理装置、ならびに、資材の製造方法に関する。
【0002】
例えば植物性廃棄物のような原材料から、資材を製造することができる。
【0003】
ヤシ(例えば、ナツメヤシ、ココヤシ、そして(または)アブラヤシなど)の手入れや栽培においては、腐敗した植物性廃棄物が大量に発生する。
【0004】
持続的かつ定期的な植物の手入れは、ヤシの美しさを保つためだけでなく、ヤシの健康や害虫からの保護にも不可欠なものである。
【0005】
通常は1年間隔で、ヤシの枝葉最下列の枯れた物を、幹から取り除く。数年が経過したら、その手入れで幹に残った部分、いわゆる葉のさやの部分も取り除かれる。
【0006】
天然のこの素材は、アラブ首長国連邦だけで見ても、毎年約475,000トン発生しているものだ。
【0007】
この素材は、これまでその殆どが、活用されることなく保管、あるいは、焼却されてきた。しかし、焼却は環境に有害であるという理由から、今では法律で一部禁止されている。
【0008】
ヤシから出る廃棄物処理については、既に使用されている処理装置がある。そのような装置において使用されるのは主に幹で、幹はチップ状に切り刻まれ、他の材料と共にプレスされてボードとなる。ただし、その安定性は決して高くない。
【0009】
また、ヤシの茎や葉も使用されない。
【0010】
したがって本発明の目的は、安定性のある資材を作ること、そして、大量の植物原材料、特にヤシの茎や葉を、簡単かつ安価な方法で新たな資材に加工することができるように、上記のような従来の処理装置を改良することである。
【0011】
この課題は、独立請求項における対象物あるいは方法により解決する。
【0012】
本発明では、本資材には、繊維にほぐした長細いヤシのラメラおよび結合剤が含まれる。
【0013】
また、本資材は、特に繊維複合材料となることができる。
【0014】
出発原料、すなわち材料のヤシは、特にナツメヤシ、ココヤシ、そして(または)アブラヤシである。例えば、円錐花序と呼ばれる長細い茎などを加工することができる。
【0015】
ヤシの円錐花序には、特にセルロースとヘミセルロースから成る繊維が含まれており、これは、引張・曲げに対する補強材となるものである。柔組織のマトリクス、つまり主にリグニンやその他の物質が繊維間にあり、これは例えば圧縮強度を保つ役割を担っている。
【0016】
これらの原材料は、植物の手入れ時に廃棄物として大量に発生するものである。また、この原材料の供給は、植物の収穫、樹木の伐採、プランテーションの開墾は行わず、100%植物の世話や手入れで発生したものを使用することが好ましい。
【0017】
ここで使用する繊維にほぐしたラメラ、または、ラメラから得た繊維は、長さがあり、あえて切り刻まないのが好ましい。長さのある構造は、資材の安定性を高めるからである。
【0018】
本発明における発展は、従属請求項、説明、付属の図面にも記載されている。
【0019】
一実施例によれば、ラメラの長さは最低7cmである。つまり、長さの短いラメラとは対照的に、これを使用した資材の安定性ははるか高いと言える。
【0020】
繊維にほぐしたラメラ、すなわち繊維の長さは、少なくとも8cm、9cm、10cm、15cm、20cm、25cm、30cm、40cm、50cm、60cm、70cm、80cm、90cm、または100cmあることが好ましい。
【0021】
資材のラメラあるいは繊維は、そのうち少なくとも2本(好ましくは全て)が、特に互いに平行になるよう配置することが可能である。
【0022】
他の選択肢としては、資材のラメラあるいは繊維のうち少なくとも2本(好ましくは全体の半分ずつ)が、互いに直角になるよう配置することが可能である。つまり、ラメラあるいは繊維は、交差する形で配置することが可能である。
【0023】
また、ラメラあるいは繊維は、ランダムに並べることも可能である。ラメラあるいは繊維の配列は、資材の要件に応じて選択することができる。
【0024】
別の実施例によれば、ヤシのフィラー、とりわけ柔組織は、ラメラあるいは繊維から分け離され、吸い出される。フィラーは、特に離解時にはがれる。
【0025】
フィラーは、完全にあるいは少なくとも部分的に、分け離すつまり除去することができる。例えば、フィラーの少なくとも50%、70%、80%、90%、または95%を除去できるということである。本資材には、特に例えば圧縮したフィラーが少なくとも基本的には含まれない。
【0026】
フィラーが全くない、または、フィラーの大部分がない状態で、ラメラあるいは繊維に結合剤を使用し、均質な資材を作る。
【0027】
以下、模範試験の結果である:
【0028】
繊維複合材料(つまり、ヤシの円錐花序ならびにヤシの葉で作られた板)で、フィラーが除去されておらず、また、繊維がプレス(つまり圧縮)されている場合、厚さの膨潤率は約74%である。試験片のかさ密度が940kg/mで初期厚みが12.0mmの場合、24時間水に浸した後の厚みは20.9mmに増加した。
【0029】
繊維複合材料(つまり、ヤシの円錐花序ならびにヤシの葉で作られた板)で、フィラーが約50%除去され、残りのフィラーが圧縮されていない場合、厚さの膨潤率は約8%である。試験片のかさ密度が920kg/mで初期厚みが12.0mmの場合、24時間水に浸した後の厚みは12.9mmに増加した。
【0030】
繊維複合材料(つまり、ヤシの円錐花序ならびにヤシの葉で作られた板)で、フィラーが約80%除去され、残りのフィラーが圧縮されていない場合、厚さの膨潤率は約1%である。試験片のかさ密度が960kg/mで初期厚みが12.0mmの場合、24時間水に浸した後の厚みは12.1mmに増加した。
【0031】
繊維複合材料(つまり、ヤシの円錐花序ならびにヤシの葉で作られた板)で、フィラーが約95%除去され、残りのフィラーが圧縮されていない場合、厚さの膨潤率は約0%である。試験片のかさ密度が980kg/mで初期厚みが12.0mmの場合、24時間水に浸した後の厚みは12.0mmのままであった。
【0032】
比較として、高湿環境用の低膨潤性のパーティクルボードの厚みの膨潤率は17.5%である。試験片のかさ密度が680kg/mで初期厚みが12.0mmの場合、24時間水に浸した後の厚みは17.5mmに増加した。
【0033】
これらの試験により、フィラーの除去率50%を超えた段階から既に、ラメラあるいは繊維の接着が大幅に改善されることが示された。除去するフィラーが多いほど、そして(あるいは)、圧縮が少ないほど、資材の膨潤挙動が改善する。
【0034】
とりわけ、デンプン、リグニンおよび(あるいは)タンニンなどの成分を含むフィラーの場合、特に繊維に付着するフィラーが圧縮されていないものは、スポンジのように結合剤を吸収できるため、資材に悪影響を及ぼさない。
【0035】
特にセルロースとヘミセルロースからなる繊維は、大部分が柔組織(あるいはリグニン)から分離する。したがって、繊維はマトリクスからはがれる。そのため、得られる繊維はセルロースであり、セルロース繊維のみが使用されるため、もはやリグノセルロースではない。
【0036】
他の実施例によれば、ラメラ(あるいはラメラから成る繊維)の割合は、40乃至95重量パーセントである。したがって、ラメラ(あるいはラメラから成る繊維)は、資材の総重量の大部分を占める。
【0037】
特に、ラメラ(あるいはラメラから成る繊維)の割合は、50乃至60重量パーセント、つまり例えば50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、あるいは、60重量パーセントである。
【0038】
他の実施例によれば、結合剤は、アミノプラスト(特にフェノール樹脂、PF樹脂、メラミンおよび(または)尿素樹脂)として、接着剤(特に植物系・合成系またはエポキシ樹脂)として、分散剤(特にPVAC、PMDI、ポリウレタン、熱可塑性エラストマー)として、ロームとして、そして粘土および(または)セメントとして設計されている。
【0039】
接着剤とは、特にポリ酢酸ビニル系の接着剤を使用することができる。
【0040】
自然由来の結合剤の使用が好ましい。
【0041】
結合剤は、例えば、アミノ樹脂およびPMDI(イソシアネート等)とのハイブリッド結合剤として設計することができる。特にイソシアネートは、繊維に蝋含有部分がある場合、それが確実に接着するという特性を持っている。
【0042】
樹脂の場合は、特に混合樹脂(例えば、MUFとPVAcや、MUPFとPVAcなど)を使用することができる。
【0043】
混合樹脂は、例えば、尿素ホルムアルデヒド(UD)でできたもの、または、それらを含んだものを使用することができる。
【0044】
また、混合樹脂は、メラミンホルムアルデヒド(MF)でできたもの、または、それらを含んだものも使用することができる。
【0045】
さらに、混合樹脂は、硬化剤およびホルムアルデヒド捕捉剤を使用したポリ酢酸ビニル(PVAc)でできたもの、または、それらを含んだものも使用することができる。ホルムアルデヒド捕捉剤を使用すると、硬化後に遊離ホルムアルデヒドを殆どまたは全く放散しないようにできる。
【0046】
結合剤は、例えば、UFを100kg、MFを25kg、PVAcを30kg、ホルムアルデヒド捕捉剤を30kg、硬化剤を4kg、そして、水を65kg含むことができる。
【0047】
そして結合剤には、少なくとも添加剤を1種類、例えば、ホウ酸、ホウ酸塩、水酸化アルミニウムおよび(または)リン酸アンモニウム等を添加することが好ましい。これにより、防火値を高めることができる。
【0048】
結合剤の割合は、特に、10重量パーセント未満とすることができる。つまりこの割合は、例えば、1乃至10重量パーセントにすることができる。
【0049】
他の実施例によれば、本資材には、その他の植物原材料(特に葉)が使用されることも示されている。
【0050】
ここでいう葉は、主にヤシの葉が好ましい。そして葉もまた同様に、繊維にほぐす。
【0051】
葉には、いわゆる浸透促進剤が使用されることが好ましい。
【0052】
例えば、この別の植物原材料の割合は、5乃至60重量パーセント(例えば25乃至40重量パーセント)にすることができる。割合は、特に25乃至30重量パーセントおよび(または)30乃至40重量パーセントとすることができる。
【0053】
資材における繊維材料(例えば、円錐花序(あるいはラメラ)および葉から採れた繊維)の割合の合計は、とりわけ90重量パーセントを超えることができる。つまり、ここでの繊維材料は、ラメラ(すなわち特に茎)が約60%、そして、葉が約40%で構成することができる。
【0054】
他の実施例によれば、本資材は、プレスした資材として設計される。
【0055】
他の実施例によれば、本資材は、ボード材、角材、または成形部品として設計される。したがって、本資材は様々な用途に適しているということである。
【0056】
例えば、資材のかさ密度を、251乃至500kg/mとすることができる。このような軽量の繊維複合材料は特に、軽量資材の要件、絶縁材料として必要な熱特性、そして(または)、市場において増大し続けている生態学的あるいは持続可能性的要求を満たしている。
【0057】
別の選択肢としては、資材のかさ密度を、510乃至850kg/mとすることもできる。このような中程度の密度の繊維複合材料は特に、一般的な材料要件を満たしているが、その中でもとりわけ、市場において増大し続けている生態学的あるいは持続可能性的要求を満たしている。
【0058】
あるいは、資材のかさ密度を、850kg/m以上とすることもできる。このような高密度の繊維複合材料は特に、静的、音響的、そして(または)防火的に見て、最高の要件を満たしている。そして、大事な点、つまり生態学的あるいは持続可能性的要求をも満たしている。
【0059】
例えば、原材料である円錐花序(ならびに場合によっては葉)から作られた板および(または)ボードは、かさ密度を約1000kg/m(例えば1007kg/m)とすることができる。火災に対する反応は、ユーロクラスB-s1-d0を満たすことがでる。熱伝導率は、例えば、0.25W/mkとすることができる。拡散抵抗は、例えば、μ=300とすることができる。24時間水に浸した後の膨張は1%未満とすることができる。
【0060】
引張強度は0.24N/mmとすることができ、曲げ強度、つまりヤング率は87.5N/mmとすることができる。
【0061】
円錐花序(ならびに場合によっては葉)でできたこの板および(または)ボードは、トウヒでできたグルーラム集成材(BSH)、マツでできた配向性ストランドボード(OSB)、ブナでできた単板積層材(LVL)と比較して、以下のように全ての値において優れたパフォーマンスを発揮している。かさ密度はBSHが380kg/m、OSBが550kg/m、LVLが730kg/m、火災に対する反応はそれぞれユーロクラスD-s2-d0、熱伝導率はBSHとOSBで0.13W/mk、LVLで0.17W/mk、拡散抵抗はBSHがμ=40、OSBがμ=200~300、LVLがμ=75~200となることができる。24時間水に浸した後の膨張は、BSHで18%、OSBで25%、LVLで23%となることができる。引張強度はBSHで0.25N/mm、OSBで0.18N/mm、LVLで0.15N/mmで、曲げ強度はBSHで26.5N/mm、OSBで20N/mm、LVLで45N/mmとなることができる。
【0062】
試験では、ヤシでできた高さ300mm、幅133mmの角材は、M=139.7kNmという特徴的な曲げモーメントとなることができることが示されている。それに対し、高さ300mm、フランジ幅150mmの鋼製梁は、Mel,k=130,9kNmという特徴的な弾性曲げモーメントとなることができる。高さ300mm、幅150mmの鉄筋コンクリートは、M=30.9kNmという特徴的な曲げ負荷能力となることができる。断面が300mmx133mmのParallam(登録商標)は、47.88kNmという特徴的な曲げモーメントとなることができる。
【0063】
特に、本資材は、かさ密度の異なる複数の層(少なくとも2、3、4、5、6、または6層以上)から成る積層材として設計することができる。つまり、例えば、軽、中、そして(または)高密度の繊維複合材料の層を組み合わせることができる。
【0064】
本発明はまた、本発明の資材の防火材料としての使用に関する。
【0065】
本資材は難燃性であり、防火という観点からみて木材よりも好ましい材料である。本資材は、特に、防火扉の材料として使用することができる。さらに、本資材には、とりわけ防水性がある。
【0066】
本資材は、多くの用途で(例えば、家具や床材など内装の構造設計に、車両の製造に、機械テーブルなど機械の製造に)使用することができる。また、本資材は、加工業の原料としても使用できる。これに関し、特に混合樹脂は結合剤として、多くの用途に適している。
【0067】
本資材には、結合剤として、例えば、ローム、粘土、そして(または)セメントを使用することができる。本資材は、例えば、天然素材を使用した建設に使用することができる。補強のため、例えば粘土等にこの繊維を加える。この繊維は特に、藁とは対照的に、腐敗しない、あるいは、腐敗が非常にゆっくりであるという利点がある。
【0068】
本資材は、特に、繊維を混ぜた粘土ボードとして設計することができる。
【0069】
本発明はまた、長細い植物原材料(好ましくはヤシ)を処理するための処理装置に関する。
【0070】
この原材料は、特にナツメヤシ、ココヤシ、そして(または)アブラヤシから採れるものである。例えば、その長細い茎(円錐花序とも呼ばれる)を処理することができる。これらの原材料は、手入れ時に廃棄物として大量に発生するものである。また、この原材料の供給は、植物の収穫、樹木の伐採、プランテーションの開墾は行わず、100%植物の世話や手入れで発生したものを使用することが好ましい。
【0071】
この処理装置には、この原材料を長細いラメラに裂くための分割装置が含まれる。この原材料および(または)ラメラの長さは、例えば、少なくとも5cm、6cm、7cm、8cm、9cm、10cm、15cm、20cm、25cm、30cm、あるいはそれ以上とすることができる。
【0072】
それ故にこの原材料は、縦に分割する。細かく刻んで木材チップや細かいくず状にする必要はない。
【0073】
さらに、この処理装置には、ラメラを繊維状にほぐすための離解装置がある。離解中は、デンプンそして(または)リグニンやタンニンを成分として含むフィラーの柔組織が本資材に悪影響を与えるのを避けるため、ラメラにかかる圧力はごくわずかに抑える。
【0074】
離解装置では、ラメラは搬送方向に対して、好ましくは直角に、あるいは、縦方向や任意の向きで置く。
【0075】
最後に、この処理装置には、繊維にほぐしたラメラを資材にまで処理するための追加処理装置が含まれる。
【0076】
本資材は特に、頑丈なそして(または)安定性のある資材、つまり例えば繊維複合材料となることができる。本資材は、例えばボード(特に、例えばフェノール樹脂を使用した高強度の繊維複合ボード)として、角材として、幅木として、そして(または)成形部品として設計することができる。本資材は特に、例えば木材と同様に、構造部や内装等の建築材料に、車両の製造に、そして(または)産業においても使用することができる。
【0077】
本資材は難燃性であり、防火という観点からみて木材よりも好ましい材料である。本資材は、特に、防火扉の材料として使用することができる。さらに、本資材には、とりわけ防水性がある。
【0078】
原材料の繊維の安定性が処理中に失われることがなく、そのため本資材は非常に安定している。
【0079】
コンベヤー装置(例えばコンベヤーベルト)は、分割装置、離解装置、および追加処理装置の間に設置されるのが好ましい。
【0080】
この処理装置は特に、全体でひとつのユニットを成すものである。つまり、最終的に本資材を得るために、原材料は次々に各装置に供給されていく。
【0081】
この処理装置により、大量の植物原材料(特にヤシの茎および(または)葉)を、簡単かつ安価な方法で、安定した材料に加工することができる。
【0082】
一実施例によれば、分割装置には、ブレード1枚または複数枚が平行にそして(または)格子状に配置された刃のセットが含まれる。
【0083】
原材料は、搬送方向に平行に置くことが望ましく、刃のセットで押しつけられる。ブレードもまた、互いに平行に、そして(または)搬送方向に平行に配置されることが好ましい。ブレードの枚数は、例えば少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20枚、またはそれ以上備えることができる。
【0084】
原材料は、刃のセットを通り抜ける際に裂かれ、長細いラメラとなる。この原材料は、繊維間にしっかりとした結合がなく、そのため特に裂きやすい。
【0085】
ブレードの間隔は、1mm乃至10mm、特に2mm乃至5mm、その中でもとりわけ3mm乃至4mmが好ましい。処理されたラメラの厚みは、その間隔に応じて異なる。
【0086】
原材料は特に、まず、供給装置(例えば、垂直に配置された結束ローラー)によって束ねることができる。結束ローラーの回転軸は、搬送方向または搬送面に対して直角に配置することが好ましい。例えば、結束ローラーを2台、コンベヤーの反対側に並べて配置することができる。
【0087】
例えば、上下に水平に配置されたローラー2台を介し、刃のセットで原材料を押しつけることができる。水平ローラーの回転軸は、搬送方向に対して直角、あるいは搬送面に対して平行に、そして(または)結束ローラーの回転軸に対して直角に配置することが好ましい。
【0088】
他の実施例によれば、別の植物原材料(特に葉)を混ぜる込むための混合装置が、分割装置と離解装置の間に装備される。
【0089】
ACREAPHOENIX(ナツメヤシ)等、特定の植物種属では、円錐花序と葉の量の割合が同じであり、そのため例えば、離解前に円錐花序から葉を離すそして(または)分離する必要はなく、円錐花序と葉はそのまま一緒に離解装置に供給することができる。
【0090】
この原材料はまた、ヤシ(例えば、アブラヤシ、ココヤシ、および(または)ナツメヤシ)からのものが好ましい。その結果として、ヤシの植物性廃棄物全て、望ましくは茎や葉を含むヤシの枝葉全てを使用することができる。
【0091】
この別の植物原材料(例えば葉)は、裂いたラメラに分量を量って加えることが好ましい。分量を量って加えることで、均一に混ぜ込むことができる。
【0092】
この別の植物原材料は、裂いたラメラと一緒に離解装置に供給し、同様に繊維状に裂かれる。
【0093】
他の実施例によれば、離解装置には、摩擦装置が含まれる。繊維を摩擦によって分解する場合、材料であるラメラおよび(または)葉には殆どまたは全く圧力がかからない。これにより、ヤシの円錐花序のフィラー(例えば柔組織)が圧迫されることなく、繊維が自然の構造から離されることになる。材料に圧力がかかと、円錐花序の繊維の間にある未分化のフィラーが繊維に押し当てられ、繊維に付着したままとなってしまう。
【0094】
圧縮されたフィラーおよび(または)繊維に押し当てられたフィラーは、資材に悪影響を及ぼす。例えば、接着品質が低下する。また、資材が不都合な膨潤挙動を示す可能性がある。
【0095】
反対に、圧縮されたフィラーや繊維に押し当てられたフィラーがない場合、結合剤がスポンジのように吸収され、プレスされたときに出発原料のような自然な状態のようにフィラーが繊維の間にくるため、均質な資材ができあがる。
【0096】
フィラーは離解中に繊維から分離することが好ましく、そして例えばそれを吸い出すことができる。
【0097】
他の実施例によれば、この摩擦装置には、上下に配置された摩擦器が少なくとも2台含まれる。
【0098】
ラメラおよび(または)葉は、搬送方向の摩擦器間で搬送方向に輸送される。ラメラおよび(または)葉は、好ましくは直角に、あるいは、縦方向や任意の向きで置く。
【0099】
摩擦器は、ラメラおよび(または)葉を上ならびに下から掴むのが好ましい。
【0100】
摩擦器は、波形および(または)プロファイルされていることが好ましい。摩擦装置の構造により、離解プロセスが大幅に改善される。
【0101】
摩擦器は全て、同じ波形や同じプロファイルとすることができる。あるいは、異なる波形や異なるプロファイルとすることもできる。
【0102】
摩擦器は全て、特に回転方向を同じ方向または異なる方向にすることができる。このようにして、ラメラおよび(または)葉は、例えば上下同じ方向に動いていく。
【0103】
摩擦器には、例えばコンベヤーベルト、ローラー、および(または)ディスクをつけるか、またはそれらで構成することができる。コンベヤーベルトには特に、チェーンプレートを含むことができる。摩擦器がローラーとして設計されている場合、搬送方向に複数のローラーを前後に並べて配置することもできる。
【0104】
他の実施例によれば、摩擦器の間隔は、搬送方向に進むごとに小さくなる。ラメラおよび(または)葉が入るスペースがどんどん狭くなっていき、そうすることで最終的に繊維状にほぐれていく。
【0105】
摩擦器と摩擦器の間の空間は、円錐状に狭くなっていくのが好ましい。
【0106】
他の実施例によれば、摩擦器それぞれの速度は異なる。
【0107】
上部の摩擦器の速度は、下部の摩擦器の速度に比べて、例えば少なくとも1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2倍、2.5倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍または10倍速くすることが好ましい。
【0108】
原則として、その逆の場合、つまり下部の摩擦器の速度が上部の摩擦器の速度よりも速い、ということも考えられる。
【0109】
他の実施例によれば、繊維にほぐしたラメラを分析するために、例えば繊維分類器のようなセンサー装置が装備される。その際、センサーが算出したデータを基に、制御装置を用いて摩擦器のうち少なくとも1台の速度の制御が可能となる。
【0110】
例えば、繊維の強度あるいは繊維の質、そして(または)離解の程度の測定ができる。その結果が不十分である場合、摩擦器のうち少なくとも1台の速度を、それに応じて制御装置で調整または制御することができる。その際、速度の増減が可能である。
【0111】
制御装置による速度調整は、上部の摩擦器のみされることが好ましい。下部の摩擦器の速度は、特に搬送の通常速度と同等とし、そして(または)変更せずにおくことができる。
【0112】
別の選択肢としては、下部の摩擦器の速度のみを調整し、上部の摩擦器の速度を変更せずにおくことができる。
【0113】
結局のところ、摩擦器の速度は上部・下部双方とも調整することが可能である。
【0114】
他の実施例によれば、吸引装置は、離解装置の範囲内、そして(または)離解装置と追加処理装置の間に装備することができる。
【0115】
吸引装置は、特に離解プロセス中に抜け落ちるフィラーを吸い出すよう設計することができる。
【0116】
特に、離解あるいは繊維への分解中に発生した粉末状の物質を、分けるあるいは吸い出すことができる。この物質は、デンプン、グルコース、タンニン、および(または)リグニンなどの成分であるため、例えばバイオプラスチックや発泡させて不燃性絶縁材料にする等、基礎材料として材料に使用すること、あるいはエネルギー生成に使用することができる。特に、バイオガスおよび(または)メタノールからは、電気およびプロセス熱が発生し得る。この物質はまた、例えば飼料としても使用することができる。
【0117】
他の実施例によれば、追加処理装置には、結合装置(特に接着装置)が含まれる。
【0118】
ここでの結合剤としては、特に、アミノプラスト(フェノール樹脂、PF樹脂、メラミンおよび(または)尿素樹脂など)、接着剤、分散剤(PVAC、PMDI、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ローム、粘土および(または)セメントなど)を使用することができる。
【0119】
他の実施例によれば、この追加処理装置には、プレス装置が少なくとも1台含まれる。繊維にほぐしたラメラおよび(または)葉に結合剤を含ませたものは、プレスして資材(例えばボードまたは角材など)にすることができる。
【0120】
本発明はまた、特に本発明による処理装置を用いて、長細い植物原材料(好ましくはヤシ)を処理するための方法に関する。
【0121】
植物の手入れの際に発生する原材料は、例えば収集所などに送られる。そこで素材の第一加工が行われる。
【0122】
例えば、いわゆる葉のさやは、例えばクロスソーなどを使用して切り分けることができる。その際に生じた粉塵は、吸い取ることなどができる。
【0123】
葉のさやは、その質量に対する繊維材料の量が比較的少なく、したがって本発明による方法には限られた範囲でしか適さないが、原理的にはその使用も可能ではある。
【0124】
しかしながら、葉のさやは、チョッパーで木材チップに砕いて例えば保管し、その後他の製造分野で使用することが好ましい。
【0125】
ヤシの枝葉は、特にこの流れにおいてブラッシングすることで、砂などの粗い汚れを取り除くことができる。その後必要に応じて、カビ発生回避のために予防的に防カビ剤を噴霧することが好ましい。
【0126】
一実施例によれば、浸透促進剤が使用される。とりわけ、ヤシ、特に円錐花序および(または)葉に、浸透促進剤を噴霧するための噴霧装置を装備することができる。
【0127】
そうすることで、使用する結合剤の要件や本資材に対する要件に応じて、材料(特に茎と葉の両方)の表面にある天然の蝋層、すなわちクチクラ層を溶解する化学溶液を噴霧することも選択肢として可能となる。これにより、結合剤の浸透性、つまり接着の質が大幅に向上する。
【0128】
円錐花序および(または)特に葉の表面には、蝋の層がある。蝋は、多くの結合剤において不粘着化剤のように機能する。つまり、蝋を含む繊維部分においては、確実な結束・結合が行われないということである。
【0129】
このような蝋を含む繊維部分により引き起こされる層の剥離を回避するため、化学的浸透促進剤(例えばアルキルカルボン酸アミド)を事前に使用しておくか、結合剤に添加することができる。そのような促進剤は、植物保護剤による処理で知られている。この浸透促進剤により、主に葉の表面と円錐花序の覆いにあるクチクラの植物性天然蝋層を溶解し、したがって結合剤の浸透が可能となる。一方では、これにより、結合がより強くそして(または)強度がより大きくなる。他方では、資材における誤接着を回避することができる。
【0130】
次の製造工程では、円錐花序とは対照的にその殆どが安定した繊維のみでできているヤシの葉を、例えばナイフローターなどを使用して円錐花序から機械的に分離あるいは切り離すことができる。その際に生じた粉塵は、吸い取ることなどができる。
【0131】
次に、例えばベーラーなどを使用し、葉を圧縮してコンパクトなベールにすることができる。そうすることで、保管体積が減り、保管や輸送が容易となる。
【0132】
円錐花序は、分離した後、予め定義した長さに切断し特に切り分ける。長さは、特に離解装置のサイズによって異なる可能性がある。切り分けた円錐花序は、束ねることができる。
予め定義した長さに切断した円錐花序は、長細い植物原材料となる。
【0133】
実際の工程では、原材料は長細いラメラに分割する。
【0134】
集成材の製造とは異なり、この原材料は木片や細片に切り刻まず、例えばヤシの枝葉において甚大な安定性を与えているこの天然の繊維は、その有利な特性を本資材において活用するために、繊維に長さを持たせたままで使用する。
【0135】
繊維を分解する前に、例えば刃のセットなどを使用して茎を縦方向に押しつけ、それによってまとまっていた茎が長細いラメラに分割される。このようにして、繊維があらわになる。
【0136】
別の選択肢として、別の植物原材料(例えば先に分離した葉)を混ぜることもできる。混ぜ込む場合には、特に分量を量って加えることで均一に混ぜることができる。
【0137】
その後、ラメラおよび(または)葉は、繊維にほぐされる。つまり、繊維はその自然構造から離され、円錐花序に含まれる最終製品に悪影響を与える成分が除かれた、純粋な繊維のみとなる。
【0138】
繊維への分解は、可能な限り材料に圧力がかからないよう、少なくとも基本的には摩擦によって行う。
【0139】
特に繊維分類器を使用して、ここで得られた繊維を例えば再び選別し、その後の工程に供給することができる。
【0140】
次に、繊維にほぐしたラメラおよび(または)葉は、資材に加工される。
【0141】
一実施例によれば、繊維にほぐしたラメラに結合剤を使用しプレスする。
【0142】
離解後の繊維は、例えば空気流により先へ搬送され、例えば接着剤などの結合剤が使用あるいは噴霧され、そして(または)液体の結合剤を使用する場合は、必要に応じて例えば赤外線乾燥装置で乾燥させることができる。
【0143】
本資材に対する要件に応じて、様々な結合剤を使用することができる。結合剤はその使用時に、異なる物理的および(または)化学的プロセスで硬化することができる。
【0144】
これらの繊維は、特に繊維ケーキとも呼ばれる繊維の塊に成形することができ、その厚さおよび(または)本資材のかさ密度は特に予め定義される。
【0145】
例えばこの繊維ケーキから、好ましくはホットプレス装置にて、高圧および(または)高熱を使用して、例えばボードなどの繊維複合材料を製造することができる。特に、圧力および(または)熱により、例えば接着剤などの結合剤の反応がもたらされ、そして(または)硬化する。
【0146】
結合剤を含んだ繊維は、特に圧力および(または)熱の影響を使用してプレスし、例えば板材、角材および(または)成形部品を作ることができる。
【0147】
例えば接着後、成形工程において繊維のマットに成形することができ、そこで本資材のかさ密度を定義することができる。この繊維のマットは、プリプレス、そして、メインプレスとして設計された後続の硬化ユニットにて、圧縮および(または)キャリブレーションすることができる。
【0148】
様々なボードの厚さ、角材の断面寸法、および(または)成形部品を作ることが可能である。
【0149】
硬化後、本資材は特にサイズ加工処理をすることで、さらに例えばパネルおよび(または)角材に加工することができる。
【0150】
最後に、本発明はまた、本発明による方法によって得られる資材に関する。
【0151】
本明細書に記載の実施例および装置の構成要素は全て、本明細書に記載の方法(例えば制御装置を使用など)に従って行うように特に設計されている。さらに、ここに記載の装置の実施例全ておよびここに記載の方法の実施例は全て、それぞれ互いに組み合わせることができ、そして特に、特定の構成に関連してそれらが言及されている場合でも、その構成から切り離すこともできる。
【0152】
以下は、図面と関連した例示的な本発明の説明である。
【図面の簡単な説明】
【0153】
図1】本発明による処理装置の一実施例の概略上面図
図2】本発明による処理装置における分割装置の一実施例の上面図
図3図2のA~Aの線で切断した場合の分割装置の断面図
図4】本発明による処理装置における離解装置の一実施例の側面図
図5図4の離解装置の上面図
図6】本発明による資材の一実施例の透視図
図7】絶縁材料の一実施例の透視図
図8】ヤシの円錐花序の断面図
図9】ラメラに分割されたヤシの円錐花序の断面図
図10】ラメラ単体の断面図
図11】本発明による処理装置における離解装置の一実施例の断面側面図
図12】繊維にほぐしたラメラの正面図
【発明を実施するための形態】
【0154】
まず第一に、ここに示されている実施例は本質的に純粋に例示的なものであることに留意されたい。個々の特徴は、ここに示される組み合わせに限らず、単独でも、あるいは技術的に有意義なその他の組み合わせでも実現化することができる。例えば、一実施例の特徴は、任意に別の実施例の特徴と組み合わせることができる。また、円錐花序や葉の代わりに、別の植物原材料を使用することもできる。
【0155】
各図に直接対応する説明文にて言及されていない符号が図に含まれている場合、その前または後の実施例における説明を参照すること。図において同じまたは同等のコンポーネントがある場合には同じ符号が使用され、これらについて再度説明はされない。
【0156】
図1で示されるのは処理装置で、長細い植物原材料(10)、つまり例えばヤシの円錐花序が、コンベヤー装置であるコンベヤーベルト(12)を介して、分割装置(14)の搬送方向(矢印を参照)に供給されていく。
【0157】
ラメラに分割された原材料(10)はその後、別のコンベヤー装置(12)によって方向転換され、搬送方向に対して横向きになる。
【0158】
別の植物原材料(18)、つまり例えば葉などは、任意設置の混合装置(16)により混ぜ合わされる。ACREAPHOENIX(ナツメヤシ)など特定の植物種属では、円錐花序と葉の量の割合が同じであり、そのため例えば、離解前に円錐花序から葉を離すそして(または)分離する必要はなく、円錐花序と葉はそのまま一緒に離解装置に供給することができる。この場合、混合装置(16)は必要ない。
【0159】
分割した円錐花序(10)および葉(18)は、離解装置(20)で繊維にほぐされる。
【0160】
任意設置の吸引装置(22)により、発生した粉末状の物質を分け離すことができる。
【0161】
その次に、繊維にほぐした円錐花序(10)および葉(18)をさらに処理するための追加処理装置(24)が続く。
【0162】
追加処理装置(24)には、結合装置である接着装置(26)が含まれる。
【0163】
追加処理装置(24)における断続プリプレス(28)において、接着された円錐花序(10)および葉(18)がプレスされて、繊維のマットに形成される。
【0164】
任意設置の斜め挽き鋸(30)で、繊維のマットをカットすることができる。
繊維のマットは、例えばバッファゾーン(32)にて一時的に保管することができる。
【0165】
繊維のマットは、マット接着装置(34)で接着することができる。そしてこの次に、計量装置(36)(計量器を含むことができる)が続く。
【0166】
接着された繊維のマットは、メインプレス(38)でプレスされる。特に、本資材のかさ密度および(または)厚さの定義は、高圧および(または)高熱を使用するメインプレス(38)によって行われる。
【0167】
その次に、最後の搬送ベルトおよび(または)星形放熱器(40)が続く。そして、積み重ね装置(42)で本資材を積み重ねることができる。
【0168】
積み重ね装置(42)は、特に、本資材用の保管場所を有することができる。
【0169】
本資材は、例えば、積み重ねたものをばらしたり、やすったり、のこぎりで切ったり、そして(または)引きはがすことができる。
【0170】
のこぎりでの切断は、特にマルチブレードのこぎりを使用して行うことができる。その過程で発生した粉塵は吸い取ることができる。
【0171】
図2に示されるのは、刃のセット(44)を備えた分割装置(14)の詳細図である。刃のセット(44)には、互いに平行および(または)搬送方向に平行に配置されたブレードが複数枚備えられている。
【0172】
原材料(10)は、刃のセット(44)で縦方向に押しつけられるが、その前にまずは垂直方向に配置された結束ローラー(46)2台で束ねることができる。各結束ローラー(46)の間隔および(または)結束の程度は、例えば油圧および(または)空気圧で調整することができる。
【0173】
上下に水平に配置されたローラー(48)2台、そしてその次に最終的に刃のセット(44)が原材料(10)を押しつける。A-Aの線に沿って切断された図である図3において、下部のローラー(48)を見ることができる。
【0174】
図4および図5で示されているのは、摩擦器(50)2台を備えた離解装置(20)の詳細図である。
【0175】
任意設置で、供給される材料を平行に配置するための位置合わせ装置(52)を装備することができる。
【0176】
摩擦器(50)は、例えば波形コンベヤーベルトの形をしている。摩擦器(50)の隙間の間隔は、搬送方向に進むごとに小さくなる。それゆえ、搬送方向に向かって横向きに搬送される円錐花序(10)および(または)葉(18)は、摩擦によって繊維にほぐれていく。
【0177】
上部の摩擦器(50)は特に反時計回りに、下部の摩擦器(50)は時計回りに回転することができる。上部の摩擦器(50)の回転速度は、下部の摩擦器(50)よりも大幅に速いことが好ましい。
【0178】
センサー装置である繊維分類器(54)で、繊維の質を確認することができる。例えば、得られた繊維は再度選別することができる。摩擦器(50)のうち少なくとも1台、好ましくは上部の摩擦器(50)の速度も、算出されたデータを用いて調整することができる。
【0179】
図6で示しているのは、ヤシから採った繊維にほぐした長細いラメラ(58)(すなわち繊維)と結合剤(60)を使った、角材(56)の形をしている資材である。
【0180】
原則として、資材(56)の形状は任意である。例えば、角材(56)ではなく、ボードなどの形をとることもできる。
【0181】
結合剤(60)は、特に、例えば尿素ホルムアルデヒドなどの混合樹脂を使用することができる。
【0182】
別の選択肢として、本資材には、繊維にほぐしたラメラ(58)に加えて、結合剤(60)として例えばメラミンホルムアルデヒドを使用することもできる。
【0183】
また本資材(56)には、繊維にほぐしたラメラ(58)に加えて、例えば硬化剤およびホルムアルデヒド捕捉剤を使用したポリ酢酸ビニルを結合剤(60)として使用することができる。
【0184】
本資材(56)には、繊維にほぐしたラメラ(58)に加えて、別の植物原材料として葉(18)を任意選択で使用することもできる。葉(18)もまた、繊維にほぐすことが好ましい。
【0185】
本資材(56)は、特に繊維複合材料となる。そして例えばこれは、本発明による処理装置で製造することができる。
【0186】
図7で示しているのは、フィラー(64)を発泡させることで作ることができる絶縁材料(62)である。
【0187】
フィラー(64)は、例えば本資材(56)の製造中に吸い出すことができる。
【0188】
フィラー(64)は特に、例えば摩擦ディスクミルで粉砕することができ、そして(または)例えば水などの液体を加えることができる。粉砕したフィラー(64)は、液体と混ぜて懸濁液となり、例えばデンプンおよび(または)リグニンを放出する。混ぜ合わせる際は、特にエッジミルおよび(または)攪拌機を使用することができる。
【0189】
特に、窒素および(または)炭酸水素ナトリウムなどの物理発泡剤を添加することができる。その結果、混合物は発砲する。
【0190】
加熱すると、液体は蒸発し、絶縁材料(62)が残る。
【0191】
原則として、絶縁材料(62)の形状は任意である。例えばボードの形状に成形することができる。
【0192】
特に、例えば包装および(または)車両製造用の成形部品も製造することができる。
【0193】
絶縁材料のかさ密度は、例えば72乃至250kg/mとすることができる。
【0194】
図8で示しているのは、繊維(58)、フィラー(64)(特に柔組織)、そして蝋層(68)(特にクチクラ)を有するヤシの円錐花序(10)の断面図である。
【0195】
図9では、ヤシの円錐花序(10)がラメラ(70)に分割されている。繊維(58)は、自然の形ではフィラー(64)と結合している。分割により、繊維(58)は、特に少なくとも部分的に露出した状態となる。これで、ラメラ(70)を分離することができる。
【0196】
図10で示しているのは、分割されたラメラ(70)単体である。
【0197】
図11に見られるように、ラメラ(70)は、離解装置(20)において脱繊維され、天然の複合体は摩擦によって破壊され、それにより、粉末状材料の形態で長細い繊維(58)およびフィラー(64)に分離される。
【0198】
これは、従来の竹製資材の製造との明らかな違いを表しており、竹の場合は得たラメラを繊維にほぐさないため、直接あるいは圧搾し後に結合剤を使用し、プレスして資材にする。
【0199】
竹の場合、接着できるようにするために、蝋状のクチクラは通常、機械的に剥がすなどして除去される。炭化などの熱処理もしばしば行われる。
【0200】
反対にヤシの場合、繊維にほぐす前にクチクラを取り除く必要はなく、熱処理も必要ない。
【0201】
図12で示しているのは、繊維にほぐしたラメラ(58)の正面図である。これらの繊維(58)は、ヤシの円錐花序(10)から、特に摩擦作用による繊維の分解によって作ることができる。そうすることで、自然の結合が溶解し、その結果、安定した長細い可能な限り純粋な繊維(58)を得ることができる。
【0202】
(符号の説明)
10 原材料、円錐花序
12 コンベヤーベルト、コンベヤー装置
14 分割装置
16 混合装置
18 別の原材料、葉
20 離解装置
22 吸引装置
24 追加処理装置
26 接着装置、結合装置
28 プリプレス
30 斜め挽き鋸
32 バッファゾーン
34 マット接着装置
36 計量装置
38 メインプレス
40 星形放熱器
42 積み重ね装置
44 刃のセット
46 結束ローラー
48 ローラー
50 摩擦器
52 位置合わせ装置
54 繊維分類器、センサー装置
56 角材、資材
58 繊維にほぐしたラメラ、繊維
60 混合樹脂、結合剤
62 絶縁材料
64 フィラー、柔組織
68 蝋層、クチクラ
70 ラメラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2021-04-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヤシから採った長さが少なくとも20cmある繊維にほぐされた長細いラメラ(58)および結合剤(60)を使用した資材(56)で、他の植物原材料としてヤシの葉を使用する資材(56)。
【請求項2】
請求項1に記載の資材(56)において、繊維にほぐしたラメラ(58)からヤシのフィラー(64)である柔組織が分け離されることを特徴とする資材。
【請求項3】
請求項1または2に記載の資材(56)において、繊維にほぐしたラメラ(58)の割合が40から95重量パーセントの間であることを特徴とする資材。
【請求項4】
求項3に記載の資材(56)において、繊維にほぐしたラメラ(58)の割合が50から60重量パーセントの間であることを特徴とする資材。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の資材(56)において、結合剤(60)、アミノプラスト、PF樹脂、メラミンおよび(または)尿素樹脂として、接着剤として、分散剤として、熱可塑性エラストマーとして、ロームとして、粘として、そして(または)セメントとして、設計されていることを特徴とする資材。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の資材(56)において、資材がプレスされた資材(56)として設計されていることを特徴とする資材。
【請求項7】
請求項1乃至請求項のいずれかに記載の資材(56)において、
資材のかさ密度が251乃至500kg/mであるか、
資材のかさ密度が510乃至850kg/mであるか、
資材のかさ密度が850kg/m以上であることを特徴とする資材。
【請求項8】
請求項1乃至請求項のいずれかに記載の資材(56)において、かさ密度の異なる複数の層(少なくとも2、3、4、5、6、または6層以上)から成る積層材として設計されることを特徴とする資材。
【請求項9】
ヤシから採れた長細い植物原材料(10)を処理するための処理装置で、原材料(10)を長細いラメラ(58)に分割するための分割装置(14)、ラメラならびにヤシの葉(18)を繊維にほぐすための離解装置(20)、そして繊維にほぐしたラメラ(58)ならびにヤシの葉(18)(使用する繊維にほぐしたラメラ(58)の長さは少なくとも20cm)をさらに処理して資材(56)に形成するための追加処理装置(24)を有する処理装置で、フィラー(64)であるヤシの柔組織を吸引するための吸引装置(22)が離解装置(20)の範囲内に、そして(または)離解装置(20)と追加処理装置(24)の間に備えられていることを特徴とする処理装置。
【請求項10】
請求項に記載の処理装置において、その分割装置(14)に、平行および(または)格子状に配置された複数枚のブレードを有する刃のセット(44)を備えていることを特徴とする処理装置。
【請求項11】
請求項または10に記載の処理装置において、ヤシの葉(18)を混ぜ込むための混合装置(16)が、分割装置(14)と離解装置(20)の間に備えられていることを特徴とする処理装置。
【請求項12】
請求項乃至請求項11のいずれかに記載の処理装置において、その離解装置(20)に摩擦装置が含まれることを特徴とする処理装置。
【請求項13】
請求項乃至請求項12のいずれかに記載の処理装置を用いて、ヤシから採れた長細い植物性原材料(10)を処理する方法であって、原材料(10)を長細いラメラ(58)に分割し、ラメラ(58)とヤシの葉(18)を繊維にほぐし、繊維にほぐしたラメラ(58)とヤシの葉(18)(使用するラメラ(58)の長さは少なくとも20cm)を資材(56)にするためにさらに加工する方法フィラーであるヤシの柔組織が、ラメラ(58)の離解時に吸引されることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、繊維にほぐしたラメラ(58)に結合剤(60)を使用してプレスすることを特徴とする方法。
【国際調査報告】