IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ザルトリウス・ステディム・ノース・アメリカの特許一覧

特表2022-512002バイオ医薬製品の容器のための急速冷凍、貯蔵、運搬および解凍システム
<>
  • 特表-バイオ医薬製品の容器のための急速冷凍、貯蔵、運搬および解凍システム 図1
  • 特表-バイオ医薬製品の容器のための急速冷凍、貯蔵、運搬および解凍システム 図2
  • 特表-バイオ医薬製品の容器のための急速冷凍、貯蔵、運搬および解凍システム 図3
  • 特表-バイオ医薬製品の容器のための急速冷凍、貯蔵、運搬および解凍システム 図4
  • 特表-バイオ医薬製品の容器のための急速冷凍、貯蔵、運搬および解凍システム 図5
  • 特表-バイオ医薬製品の容器のための急速冷凍、貯蔵、運搬および解凍システム 図6
  • 特表-バイオ医薬製品の容器のための急速冷凍、貯蔵、運搬および解凍システム 図7
  • 特表-バイオ医薬製品の容器のための急速冷凍、貯蔵、運搬および解凍システム 図8
  • 特表-バイオ医薬製品の容器のための急速冷凍、貯蔵、運搬および解凍システム 図9
  • 特表-バイオ医薬製品の容器のための急速冷凍、貯蔵、運搬および解凍システム 図10
  • 特表-バイオ医薬製品の容器のための急速冷凍、貯蔵、運搬および解凍システム 図11
  • 特表-バイオ医薬製品の容器のための急速冷凍、貯蔵、運搬および解凍システム 図11A
  • 特表-バイオ医薬製品の容器のための急速冷凍、貯蔵、運搬および解凍システム 図12
  • 特表-バイオ医薬製品の容器のための急速冷凍、貯蔵、運搬および解凍システム 図13
  • 特表-バイオ医薬製品の容器のための急速冷凍、貯蔵、運搬および解凍システム 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-01
(54)【発明の名称】バイオ医薬製品の容器のための急速冷凍、貯蔵、運搬および解凍システム
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20220125BHJP
   A61J 1/05 20060101ALI20220125BHJP
   B65D 25/20 20060101ALI20220125BHJP
【FI】
A61J3/00 301
A61J1/05 353
B65D25/20 M
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021543983
(86)(22)【出願日】2019-10-03
(85)【翻訳文提出日】2021-06-01
(86)【国際出願番号】 US2019054554
(87)【国際公開番号】W WO2020072810
(87)【国際公開日】2020-04-09
(31)【優先権主張番号】16/153,172
(32)【優先日】2018-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521140984
【氏名又は名称】ザルトリウス・ステディム・ノース・アメリカ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン・カッティング
(72)【発明者】
【氏名】マルク・サンチェス
【テーマコード(参考)】
3E062
4C047
【Fターム(参考)】
3E062AA20
3E062AB07
3E062AC10
3E062BA20
3E062BB06
3E062BB09
3E062BB10
3E062CA07
3E062CA12
3E062EB01
4C047AA31
4C047CC03
4C047CC04
4C047GG35
4C047GG37
(57)【要約】
バイオ医薬製品を冷凍、貯蔵、運搬および解凍するためのシステムは、固定機器と1つ以上の可動式パレット(2)とを備え、それぞれのパレットはバイオ医薬製品を含有する1つ以上の容器ユニットを担持するように構成され、固定機器は、吸気口から排気口に向けて冷ガスおよび/または温ガスを循環させるように構成されたガス循環ユニットを備え、そこにおいて、ガス循環ユニットの排気口に流体結合されるように構成された、1つ以上のガス搬送チャネルをその中に有する少なくとも第1の側面プレナム(31)が設けられ、第1の側面プレナムはパレットの内部容積の方に向けられた複数の出口ポート(33)を有し、ガスはパレットの内部容積の中を実質的に水平方向に循環する。容器ユニットはバッグアセンブリであってよく、それぞれは使い捨て軟質バッグ(5)と保護パッケージングとを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオ医薬製品を冷凍、貯蔵、運搬および解凍するためのシステムであって、固定機器(1)と1つ以上の可動式パレット(2)とを備え、それぞれのパレットが、バイオ医薬製品(BP)をそれぞれが含有している1つ以上の容器ユニット(4)を担持するように構成され、
前記固定機器が、吸気口(76)から排気口(77)に向けて冷ガスおよび/または温ガスを循環させるように構成されたガス循環ユニット(7)を備え、前記システムには、
前記ガス循環ユニットの前記排気口に流体結合されるように構成された、1つ以上のガス搬送チャネルをその中に有する少なくとも第1の側面プレナム(31、131)が設けられ、
前記第1の側面プレナム(31)が、前記パレットの内部容積(CV)の方に向けられた複数の出口ポート(33)を有し、前記ガスが、前記パレットの前記内部容積の中を実質的に水平方向(XY)に循環する、システム。
【請求項2】
複数の入口ポート(34)を有する第2の側面プレナム(32、132)がさらに設けられ、前記第1の側面プレナムの前記出口ポート(33)が前記ガスを吹き出すように構成される一方で、前記第2の側面プレナムの前記入口ポートが前記ガスを引き込んで前記ガスを前記ガス循環ユニット(7)に戻すように構成され、前記入口ポートが、前記水平方向(XY)において前記出口ポートに対向して配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記容器ユニットがバッグアセンブリであり、それぞれの前記バッグアセンブリが使い捨て軟質バッグ(5)と保護パッケージングのフレーム/ケーシング(6)とを備え、それぞれの使い捨て軟質バッグがバイオ医薬製品(BP)を含有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記使い捨て軟質バッグが実質的に前記水平方向(XY)に延在する、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
シェーカーデバイス(15)をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記容器の上面および底面に沿って乱流ガス流を促す、撹拌器(44)がさらに設けられる、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記側面プレナム(31、32)が前記パレットに配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記側面プレナム(131、132)が前記固定機器上に配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
2つ以上の前記容器ユニットが互いに積み重ねられる、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
それぞれの容器ユニットの上面および底面において、局所的ガス案内壁(45)が設けられる、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
バッグアセンブリ(4)を支持するための側面支持部(35、43)をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記ガスの案内をもたらすために、2つの隣接する容器ユニット(4)の間に配置された水平の分離板(22)をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記固定機器(1)が送風機(71)と熱交換器(72)とを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記固定機器(1)が電熱器(73)を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
バッグに隣接する空気流が、前記バッグの上面および下面において同じ方向に流れている、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
制御ユニット(9)と1つ以上のセンサ(82、84、86)とをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記パレットが実質的に80cm×120cmの占有面積を示す、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記パレットに対してパレット密度指数PDI=BPV/PLVが定義され、ここで、BPVは、前記容器ユニットの中に含有される前記バイオ医薬製品(BP)の全容積であり、PLVは、前記パレットの高さに前記パレットの占有面積を乗じた数(すなわち、総容積)であり、PDIは0.1から0.3の間に含まれる、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
保護パッケージング(6)が軟質バッグ(5)と接触している局所的ガス内部案内壁(46)を備え、それによって、前記循環ガスと前記軟質バッグ(5)の外面(56)との間のいかなる接触をも防止し、かつ、それらの間の熱流を可能にする、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
バイオ医薬製品を冷凍、貯蔵、運搬および解凍するためのシステム内で使用されるように構成されたパレット(2)であって、前記パレットが、バイオ医薬製品(BP)をそれぞれが含有している1つ以上の容器ユニット(4)を担持するように構成され、
前記パレットが、ガス循環ユニットの排気口に流体結合されるように構成された、1つ以上のガス搬送チャネルをその中に有する第1の側面プレナム(31)を備え、前記第1の側面プレナム(31)が、前記パレットの内部容積(CV)の方に向けられた複数の出口ポート(33)を有し、ガスが、前記パレットの前記内部容積の中で実質的に水平方向(XY)に循環する、パレット(2)。
【請求項21】
複数の入口ポート(34)を有する第2の側面プレナム(32)をさらに備え、前記第1の側面プレナムの前記出口ポート(33)がガスを吹き出す一方で、前記第2の側面プレナムの前記入口ポートがガスを引き込んで前記ガスを前記ガス循環ユニット(7)の方に戻し、前記入口ポートが前記水平方向(XY)において前記出口ポートに対向して配置される、請求項20に記載のパレット。
【請求項22】
前記側面プレナム(31、32)が、前記容器ユニット(4)を支持するための直立部をさらに形成する、請求項21に記載のパレット。
【請求項23】
バイオ医薬製品を冷凍、貯蔵、運搬および解凍するためのシステムであって、前記システムが固定機器(1)と複数の可動式パレット(2)とを備え、それぞれのパレットが1つ以上の保護パッケージング(6)を担持するように構成され、それぞれの保護パッケージングが使い捨て軟質バッグ(5)をその中に受容するように構成され、
前記固定機器が、吸気口(76)から少なくとも1つの排気口(77)に向けて冷ガスおよび/または温ガスを循環させるように構成されたガス循環ユニット(7)を備え、前記システムには、
前記ガス循環ユニットの前記排気口に流体結合されるように構成された、1つ以上のガス搬送チャネルをその中に有する少なくとも第1の側面プレナム(31;131)が設けられ、
前記第1の側面プレナム(31)が、前記パレットの内部容積(CV)の方に向けられた複数の出口ポート(33)を有し、前記ガスが、前記パレットの前記内部容積の中を実質的に水平方向(XY)に循環する、システム。
【請求項24】
複数の入口ポート(34)を有する第2の側面プレナム(32、132)をさらに備え、前記第1の側面プレナムの前記出口ポート(33)が前記ガスを吹き出す一方で、前記第2の側面プレナムの前記入口ポートが前記ガスを引き込んで前記ガスを前記ガス循環ユニット(7)の方に戻し、前記入口ポートが、前記水平方向(XY)において前記出口ポートに対向して配置される、請求項23に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バイオ医薬製品を含有する、処分可能な使い捨て容器のための冷凍、貯蔵、運搬および解凍のシステムに関する。より詳細には、本システムは、バイオ医薬製品を含有する、処分可能な使い捨て容器に適用され得る。
【背景技術】
【0002】
バイオ医薬製品を含有する容器(バッグまたは半硬質容器など)を1つの施設から別の施設に運搬する必要がある。製品を安全かつ滅菌状態に保ための1つの効率的な方法は、製品を冷凍状態で輸送することである。最初の施設において、バイオ医薬製品を含有する容器が冷凍され、次いで輸送が遂行され、第2の施設において、バイオ医薬製品を含有する容器が解凍される。容器は、高価なバイオ医薬製品を含有しているので、それらは機械的応力から保護されなければならず、それゆえそれらは、冷凍、貯蔵、運搬および解凍の全工程の間、ケーシングまたは同様のパッケージングの中に包み込まれる。しかしながら、ケーシングの存在で熱交換の速度が落ち、このため、バッグを冷凍および解凍するのに必要な時間が延びる。別の問題は、相転移の間にバッグの中で発生する場合がある分離である。温度変化の間にバイオ医薬製品の等質性を保つことも重要である。
【0003】
高容量のバイオ医薬製品が処理される必要があり、既知の解決策は、低い生産性評価を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2018/0125754号明細書
【特許文献2】米国特許第5,361,828号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような観点のもとで、冷凍および解凍時間を低減するために、新しい解決策を提案する必要がある。等質性の促進および分離の防止は、満足すべき別の目標である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、バイオ医薬製品を冷凍および解凍するためのシステムが開示され、システムは固定機器と1つ以上の可動式パレットとを備え、それぞれのパレットは1つ以上の容器ユニットを担持するように構成され、それぞれはバイオ医薬製品を含有し、
固定機器は、吸気口(pull inlet)から排気口(blow outlet)に向けて冷ガスおよび/または温ガスを循環させるように構成されたガス循環ユニットを備え、そこにおいて、ガス循環ユニットの排気口に流体結合されるように構成された、1つ以上のガス搬送チャネルをその中に有する少なくとも第1の側面プレナムが設けられ、
第1の側面プレナムは、パレットの内部容積(interior volume)の方に向けられた複数の出口ポートを有し、ガスは、パレットの内部容積の中を実質的に水平方向に循環する。
【0007】
このような配置の結果、冷凍または解凍される容器に関する流れおよび経路の観点から、ガス循環は正確に制御される。容器の中に含有されるバイオ医薬製品と容器の上面および下面に沿って進むガス流との間の熱交換を制御する(master)ことができ、プロセス効率が改善され得る。
【0008】
「ガス」は、単なる空気、または特定のガスの組合せのいずれかであることを理解されたい。
【0009】
「プレナム」という用語は、多岐管、すなわち流体(液体またはガス)の流れを複数の入口から単一の出口に案内する(収束流)、あるいは単一の入口から複数の出口に案内する(発散流)ことができる1つ以上の内部容積または凹部(recess)を有する部分に対する同義語として理解される。そのような「プレナム」は、単一の一体部品またはいくつかの組立部品で形成され得る。そのような「プレナム」は、機械的な支持機能を有してもよく、または機械的な支持機能を除かれてもよい。
【0010】
ここで、バイオ医薬製品は、一般的に、バイオ医薬品流体、たとえば培養基、細胞培養、緩衝液、人工的栄養液、血液分画、血液由来成分もしくは薬剤流体、またはより広範には、医療分野において使用されるように特別に設計された流体から導かれる流体である。本開示は、製造の間に移動されなければならない中間生成物の取り扱いにも関与する。
【0011】
ここで、容器ユニットは、厳密な意味で容器単体として、または容器と後で説明する付随する保護手段とで作られたアセンブリとして解釈され得る。一オプションによれば、複数の入口ポートを有する第2の側面プレナムがさらに設けられてよく、第1の側面プレナムの出口ポートがガスを吹き出すように構成される一方で、第2の側面プレナムの入口ポートがガスを引き込んでガスをガス循環ユニットに戻すように構成され、入口ポートはそれぞれ水平方向において出口ポートに対向して配置される。第2の側面プレナムは、ガス循環ユニットの吸気口に流体結合されるように構成される。有利なことに、閉ループ回路がガス循環のために設けられ、それは効率および制御可能性を改善する。これは、ガス流の水平状態も改善する。
【0012】
一オプションによれば、容器ユニットはバッグアセンブリとして形成されてよく、それぞれのバッグアセンブリは使い捨て軟質バッグと保護パッケージングとを備え、それぞれの使い捨て軟質バッグはバイオ医薬製品(BP)を含有する。保護パッケージングは、少なくともバッグの境界を実質的に取り囲む、任意のタイプのケーシング、シェルまたはフレームであり得る。それゆえ、軟質バッグを便利に安全に取り扱うことが可能である。
【0013】
「ポーチ」という用語が、同じく、「バッグ」の代わりに使用され得る。「ベッセル(vessel)」も、時々、「バッグ」または「ポーチ」の代わりに使用され得る。
【0014】
軟質バッグ(または、ポーチ)は、一般に使い捨てに設計され、バイオ医薬品流体の容積を含有するように構成され、その容積は、ここでは5リットルと100リットルとの間に構成され、いくつかの例示的な使用では、10リットルと30リットルとの間で構成される。有利なことに、この種類のバッグは、使用前の空のときに非常に小さい空間を占有し、それは、平らにするか、折り畳むか、またはさらには巻きつけることができる。同じく、大抵の場合、容器ユニットの重量は、運搬の援助なしに、有資格者による手作業が可能な程度である。
【0015】
有利な一態様によれば、それぞれ使い捨て軟質バッグである複数の容器ユニットが、実質的に水平方向に延在する。それによって、容器ユニット(それぞれ、バッグアセンブリ)は、パレット上に設けられた支持部の上、または(積み重なった)スタック構成の上の安定した位置に(すなわち、自立した位置に)設置され得る。これは水平のガス流と調和しており、これは熱伝達表面/面積を最大化する。
【0016】
一オプションによれば、システムは、シェーカーデバイスをさらに備え得る。そのようなシェーカーデバイスは、それぞれの容器ユニットの内容物を混合させるために、往復運動、軌道運動、または他の周期運動を含むことができる。たとえば、往復運動はパレット全体に伝えられ、そのことで、それぞれの容器ユニット(それぞれ、軟質バッグ)の中のバイオ医薬製品の等質性が改善される。往復運動は、分離防止の機能が必要な場合、分離を防止することもできる。シェーカーは、パレットの台座と係合することができる。
【0017】
一オプションによれば、容器の上面および底面に沿った乱流ガス流を促す(favor)撹拌器が、さらに設けられ得る。そのような撹拌器は、邪魔板を備えることができる。これは、(層流に対して)乱流を促進し、境界層を破る役割を果たし、これにより、熱交換係数が増加し、より良好な全体効率がもたらされる。
【0018】
可能な一選択によれば、側面プレナムがパレットに配置される。言い換えれば、1つまたは2つの側面プレナムが、パレットの台座と側面プレナムとの間に介挿された随意の制振層/緩衝層を介して、パレットの台座の上に搭載される。この構成のもとで、固定機器は、床を占有することなく、かなりコンパクトに作製され得る。それぞれのパレットは、ガス循環ユニットとの簡素で取り付け容易な接合面を有する、それ自体のプレナムを有する。
【0019】
可能な別の選択によれば、側面プレナムは、固定機器上に配置される。これは、パレットに対する低減された占有面積を与える。これはまた、パレットはより簡素であるので、設備投資を減少させる。
【0020】
一オプションによれば、容器ユニットは、積み重ねられ得る。それによって、棚支持システムの使用が、パレットの中で回避され得る。
【0021】
一オプションによれば、それぞれの容器ユニットの上面および底面において、局所的ガス案内壁が設けられ得る。そのような局所的ガス案内壁は、バッグ/容器に沿った空気流の正確な案内を提供する。そのような局所的ガス案内壁は、それぞれのバッグ(それぞれの容器)を実質的に取り巻くことができる。バッグおよび保護パッケージングの場合、適切な局所的ガス案内手段が、パッケージング自体の中に(たとえば、ケーシングの中に)設けられ得る。
【0022】
一オプションによれば、容器ユニットを支持するための側面支持部が設けられ得る。それにより、いくつかの容器ユニット(それぞれ、バッグアセンブリ)は、パレットの中に互いに独立して設置され得る。1つのパレットの中にいくつかの容器ユニットを有することで、取り扱いに関して独立して(上部ユニットを最初に取る/取り扱う必要はない)大容量の製品を同時に処理することが可能になる。
【0023】
一オプションによれば、ガスの案内をもたらすために、2つの隣接する容器ユニットの間に配置された水平の分離板が存在し得る。そのような分離板は、それら自体を容器ユニットから離して配置することが望ましく、それにより、ガスの通路が与えられる。これは、空気流の制御可能性を改善し、等質の/偏りのない熱流を促進する。
【0024】
一オプションによれば、固定機器(または、実際には、ガス循環ユニット)は、送風機および熱交換器を備え得る。送風機は、望ましくは制御された速度/流れのもとでガスを循環させ、熱交換器は、たとえば冷熱源を使用する任意の空気冷却機であり得る。一例は、空気を冷却するための液体窒素交換器であり得、それは、冷却空気を供給するための効率的な解決策であることが判明する。第2の例は、空気を冷却するために蒸発する冷媒の潜熱を利用する、従来の冷媒対空気熱交換器であり得る。
【0025】
一オプションによれば、固定機器(または、実際には、ガス循環ユニット)は、電熱器を備え得る。これは、暖かい解凍空気/ガスを供給して、良好な制御可能性を提供するための効率的な解決策である。
【0026】
一オプションによれば、バッグ/容器に隣接するガス(すなわち、空気)流は、バッグの上面および下面において同じ方向に流れている。これは、上部と下部との間に一様な境界条件をもたらす。バッグの厚さにわたる温度勾配は、それにより最小化される。
【0027】
一オプションによれば、1つまたは2つのプレナムをガス循環ユニットに結合するために、第1の側面プレナムにおける入口導管および第2の側面プレナムにおける出口導管が設けられる。パレットがガス循環ユニットにドッキングされるときに、容易な結合/分離が最終の接近運動によって得られることが望ましい。
【0028】
一オプションによれば、運搬中に異物が浸入することを回避するために、パレットを覆うために設置され得る閉止カバーが設けられ得る。カバーは、付加的に、熱障壁機能を有し得る。
【0029】
一オプションによれば、パレットは、フォークリフトアームの通路のための溝を有する台座を有し、そのようなフォークリフトを用いて容易に取り扱われる。
【0030】
一オプションによれば、システムは、閉ループ方式で冷凍/解凍プロセスを監視または制御するために、制御ユニットおよび1つ以上のセンサをさらに備え得る。
【0031】
一オプションによれば、パレットは、実質的に80cm×120cmの占有面積を示す場合がある。これは、「ユーロパレット」規格であり、それは、手ごろな台座であり、優れた利用可能性を示す。
【0032】
一オプションによれば、パレットに対してパレット密度指数PDI=BPV/PLVが定義され、ここで、BPVは、パレットの中に収容される容器ユニットの中に含有されるバイオ医薬製品(BP)の全容積であり、PLVは、パレットの高さにパレットの占有面積を乗じた数(すなわち、総容積)であり、PDIは、0.1と0.4との間、望ましくは[0.15~0.3]の範囲内で構成される。これは、容積の良好な使用対熱流効率、に対する最適な妥協であることが判明する。
【0033】
一オプションによれば、保護パッケージングは、軟質バッグと接触している局所的ガス内部案内壁46を備えることができ、それによって、循環ガスと軟質バッグの外面との間の接触を防止して、それらの間の熱流を可能にする。
【0034】
一オプションによれば、保護パッケージングは、循環ガスと軟質バッグの外面との間の良好な接触を促進するように設計され得る。
【0035】
本発明の第2の態様によれば、バイオ医薬製品を冷凍して解凍するためのシステム内で使用されるように構成されたパレットが設けられ、パレットは、それぞれがバイオ医薬製品を含有する1つ以上の容器ユニットを担持するように構成され、
パレットは、ガス循環ユニットの排気口に流体結合されるように構成された、1つ以上のガス搬送チャネルをその中に有する第1の側面プレナムを備え、第1の側面プレナムはパレットの内部容積の方に向けられた複数の出口ポートを有し、ガスはパレットの内部容積の中を実質的に水平方向(XY)に循環する。
【0036】
一オプションによれば、パレットは複数の入口ポートを有する第2の側面プレナムをさらに備えてもよく、第2の側面プレナムはガス循環ユニットの吸気口に流体結合されるように構成され、第1の側面プレナムの出口ポートはガスを吹き出すように構成される一方で、第2の側面プレナムの入口ポートはガスを引き込んでガスをガス循環ユニットの方に戻すように構成され、入口ポートは水平方向において出口ポートに対向して配置される。
【0037】
本発明の第3の態様によれば、バイオ医薬製品を冷凍および解凍するためのシステムが提供され、システムは固定機器と複数の可動式パレットとを備え、それぞれのパレットは1つ以上の保護パッケージングを担持するように構成され、それぞれの保護パッケージングは使い捨て軟質バッグをその中に受容するように構成され、
固定機器は吸気口から少なくとも1つの排気口に向けて冷ガスおよび/または温ガスを循環させるように構成されたガス循環ユニットを備え、
ガス循環ユニットの排気口に流体結合されるように構成された、1つ以上のガス搬送チャネルをその中に有する少なくとも第1の側面プレナムが設けられ、
第1の側面プレナムはパレットの内部容積(CV)の方に向けられた複数の出口ポートを有し、ガスはパレットの内部容積の中を実質的に水平方向(XY)に循環する。
【0038】
一オプションによれば、パレットは複数の入口ポートを有する第2の側面プレナムをさらに備えてもよく、第2の側面プレナムはガス循環ユニットの吸気口に流体結合されるように構成され、第1の側面プレナムの出口ポートはガスを吹き出すように構成される一方で、第2の側面プレナムの入口ポートはガスを引き込んでガスをガス循環ユニットの方に戻すように構成され、入口ポートは水平方向において出口ポートに対向して配置される。
【0039】
本発明の他の特徴および利点は、非限定的な方法で与えられる実施形態のうちの1つの以下の発明を実施するための形態を、添付の図面を参照しながら読めば明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】第1の実施形態によるパレットの斜視図である。
図2図1に示すパレットの中に受容される容器ユニットの例示的な分解組立図である。
図3図1に示すパレットの正面図である。
図4図1に示すパレットの中で使用されるプレナムの例示的な側面図である。
図5図1に示すパレットの上面図である。
図6】例示的な容器ユニットの断面図である。
図7図3と同様であり、第2の実施形態を示す図である。
図8】第2の実施形態によるシステム全体の図である。
図9】第2の実施形態によるシステム全体の図である。
図10】例示的なガス循環ユニットを示す図である。
図11】例示的な容器ユニットの別の断面図である。
図11A】撹拌器を示す拡大図である。
図12】制御システムの例示的なブロック図である。
図13図7と同様であり、変形実施形態を示す図である。
図14】ドッキング位置におけるパレットの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図において、同じ参照番号は、同一または同様の要素を示す。わかりやすくするために、いくつかの要素は、縮尺通りに表されていない場合がある。
【0042】
本開示の文脈では、冷凍された形態のもとで1つの施設から別の施設に輸送される必要があるバイオ医薬製品(BPで示す)を含有する容器(バッグまたは半硬質容器など)が提供される。
【0043】
ここで、バイオ医薬製品は、一般的に、バイオ医薬品流体、たとえば培養基、細胞培養、緩衝液、血液分画、または医療分野において使用されるように特別に設計された任意の流体のようなバイオ医薬品プロセスから導かれた流体である。懸案のバイオ医薬製品は、製造の間に移動されなければならない任意の中間生成物でもあり得る。
【0044】
それゆえ、1つの場所において、バイオ医薬製品を含有するそのような容器(または、容器ユニット)を冷凍する必要があり、運搬後、別の場所において、バイオ医薬製品が液体の形態で使用されてさらに処理されるように、バイオ医薬製品を含有するそのような容器を解凍する必要がある。
【0045】
冷凍、貯蔵、運搬および解凍は、容器がパレット2の中に配置されている間に実行される。図1に示すように、パレット2は、台座11、随意の緩衝層/制振層12、および随意の支持板13を備える。シェーカーデバイス15が付加的に設けられてよく、シェーカーデバイス15は後で説明される。パレット11は、フォークリフトアームの通路のための溝11Gを有する台座を有し、そのようなフォークリフトを用いて容易に取り扱われる。
【0046】
制振層12は、間隔を空けるゴムパッドとして形成され得る。支持板13は、たとえばステンレス鋼の薄い金属板として形成され得る。
【0047】
パレット2は、実質的に標準的な占有面積を示す。LYは80cmであり得、LXは120cmであり得る。高さHZは、1mと2mとの間、望ましくは1.2mと1.6mとの間で構成され得る。
【0048】
パレット2は、それぞれがバイオ医薬製品BPを含有する1つ以上の容器ユニット4を担持する。
【0049】
様々なタイプの容器ユニットが、本開示の範囲内で考察される。一例によれば、容器ユニットはバッグアセンブリ4として形成されてよく、それぞれのバッグアセンブリは使い捨て軟質バッグ5と保護パッケージング6とを備え、それぞれの使い捨て軟質バッグはバイオ医薬製品BPを含有する。保護パッケージングは、少なくともバッグの境界を実質的に取り囲む任意のタイプのケーシング、シェルまたはフレームであり得る。
【0050】
実際には、保護パッケージング6は、2等分の2つのシェル61、62、すなわち底部シェルおよび上部シェルとして形成され得る。保護パッケージングの一例は、本出願人から発行された文書である特許文献1の中で発見され得る。
【0051】
特許文献1の中で説明される板として形成される、第1のレベルのパッケージングを提供することができ、そのような板は、実質的にバッグ5を挟み込むように設計される。そのような板は、図2および図6において参照番号61および62によって示される。
【0052】
この第1のレベルのパッケージングは、フレーム47として形成される第2のレベルのパッケージングによって補完され得、それらは図6および図11に見られるように、板を挟み込む。そのようなフレームは周辺に延在し、全体的剛性を与える強度部材または骨組みを形成し、全プロセスにおいて容器ユニット4の容易な取り扱いを可能にする。板およびフレームは、PETまたはHPDEで作ることができる。板およびフレームについて、より詳しいことは、特許文献1の中で発見され得る。
【0053】
一実施形態では、バッグの充填および排出のためのホース構成が提供されてよく、そのようなホース構成は、板の境界の間に囲まれてている。
【0054】
バッグ5自体に関して、たとえば、出願人の会社Sartorius Stedim Biotech(登録商標)からのバッグ製品構成Flexboy(登録商標)のような、例示的な入手可能な製品が使用され得る。他の使い捨て軟質バッグも、本発明の文脈の中で使用され得る。
【0055】
別の例によれば、容器ユニットは、バイオ医薬製品BPを直接含有する半硬質容器として形成される。この構成では、容器ユニットは、付加的な保護手段を有しない、単一の容器単独で存在することができる。
【0056】
いずれの場合にも、内在する保護手段または付加的な保護手段が、良好なレベルの機械的保護を達成することを可能にする。それゆえ、軟質バッグを便利に安全に取り扱うことが可能である。
【0057】
保護手段は、同じく、容器ユニットが自立して安定状態になり得る水平位置に、容器ユニットを安全に設置することを可能にする。
【0058】
空間的基準が、水平方向XおよびYならびに垂直方向Zによって与えられる。Xはフォークリフトユーザの視点から(パレットがフォークリフトで取り扱われる場所から)左右方向を示し、一方で、YはXに直角の前後方向を示す。ドッキング運動は、実質的にY軸に沿っていることに留意されたい。
【0059】
第1の実施形態では、本開示によれば、少なくとも第1の側面プレナム31および第2の側面プレナム32が設けられる。
【0060】
第1の側面プレナム31は、概してYZ平面内に延在する。第2の側面プレナム32は、概してYZ平面内に延在するが、横軸Xに対して第1のプレナムに対向する位置にある。第1および第2の側面プレナム31、32は、概して平行六面体の形状を示す。図示の例では、それらは、概して真ん中のYZ平面に対して互いに対称である。
【0061】
それぞれの側面プレナムは、ステンレス鋼または不活性アルミニウム/錫合金から製造され得る。同じく、高性能生体適合性プラスチックが使用され得る。同じく、繊維充填樹脂またはポリマーが使用され得る。
【0062】
第1および第2の側面プレナム31、32のそれぞれは、それらの中に1つ以上のガス搬送チャネルを有する。一例によれば、第1および第2の側面プレナム31、32のそれぞれは、中空ボディとして構築され得る。一例では、この中空ボディの中に隔壁はなく、中空ボディの内部によって形成される凹部全体は、単一のガス搬送チャネルを構成する。
【0063】
他の実施形態では、それぞれが特定のチャネルを形成するパイプのように、より特殊な凹部が提供され得る。さらに、第1および第2の側面プレナム31、32のそれぞれは、特殊な多岐管として形成され得る。
【0064】
ここで、プレナムは、2つの主板を有する中空ボディを有し、プレナムの中空ボディは、パレットの内部容積CVの方に向けられた板のうちの1つの中の複数の入口/出口ポートと、パレットの外部の方に向けられた他の板の中に供給(それぞれ、排出)するための接続開口とを有する。
【0065】
第1の側面プレナム31のガス搬送チャネルは、入口ダクト16Aからパレットの内部容積CVの方に向けられた出口ポート33にガスを搬送する。
【0066】
第2の側面プレナム32のガス搬送チャネルは、複数の入口ポート34から出口ダクト16Bにガスを搬送する。
【0067】
図示の例では、それぞれの出口ポート33は、プレナムの中空ボディに向けて開かれたスロットとして形成され、スロットはY方向に延在し、実質的にYに沿ったプレナムの全長に沿って延在する。代わりに、ノズルのような複数の貫通孔が設けられてもよい。
【0068】
右側において、側面プレナム32のそれぞれの入口ポート34は、同様に、プレナムの中空ボディに向けて開かれたスロットとして形成され、スロットはY方向に延在し、実質的にYに沿ったプレナムの全長に沿って延在する。容器ユニットあたり2つのスロットがあることが望ましい。
【0069】
図から明らかなように、フォークリフトユーザの視点から、第1の側面プレナム31は左側のプレナムであり、第2の側面プレナム32は右側のプレナムである。さらに、上面、前面および背面上でパレットの内部容積CVを区切るカバー24が設けられてもよい。言い換えれば、内部容積CVは、プレナム31、32によって左の面および右の面で、パレットの台座11(または板13)によって底面で、および特定のカバー24によって残りの面(上、前、底)で区切られる。
【0070】
カバー24は、運搬段階のためにパレット上に着脱可能に設置される。カバー24は、容器ユニット4を充填、排出、または取り扱いのときに除去される。カバー24は、冷凍および解凍のプロセスに対して除去される。カバー24は、機械的保護を提供し、それは、運搬中にパレットの内部容積CVの中に異物が不用意に浸入するのを回避する。いくつかの実施形態では、カバーは、付加的に熱障壁機能を示す。
【0071】
図3図4および図5から理解されるように、ガスが、パレットの内部容積CVの中で実質的に水平方向XYに、すなわち第1の側面プレナム31の出口ポート33から第2の側面プレナム32の水平方向に対応する入口ポート34まで循環する。この水平流れは、矢印F5(図5)で示される。
【0072】
次に容器ユニット4がパレット内で機械的に支持される方法に関して、様々な解決策が考察される。図1図3図7に示すように、それぞれの容器ユニットは、直接上記のプレナムによってまたは特定の直立部(upright)41、42(図7参照)によって、その左の面および右の面において支持される。
【0073】
言い換えれば、上記のプレナムは、直立部の機能をその中に含むことができるか、またはそのような直立部の機能を除かれることができ、後者の場合は、パレット2は、上記の特定の直立部41、42を付加的に備える。
【0074】
それぞれの容器ユニット4は、Yに沿って延在する側面スライド上に支持され得るか、または単純な棚支持部43によって支持され得る。前記側面スライドまたは単純な棚支持部43は、プレナムの内側に直接配置され得るか、または特定の直立部41、42の上に配置され得ることがわかる。
【0075】
図3からわかるように、ガスの案内をもたらすために、2つの隣接する容器ユニットの間に配置された水平の分離板22が付加的に設けられ得る。水平の分離板22は、側面スライド37の上に配置され得るか、または場合によっては、単純な棚支持部の上に配置され得る。
【0076】
側面スライド(それぞれ、単純な棚支持部)がプレナムの内面に直接配置される場合、図4に示すように、プレナムの内面は、出口ポート33、容器ユニットのための支持部43および分離板22のための側面スライド37が交互に連なることを示す。
【0077】
それぞれの容器ユニット4に対して、左側のプレナム上に2つの出口ポート33が設けられてよく、すなわち、1つは容器ユニットの底に向けられ、1つは容器ユニットの上部に向けられる。
【0078】
同様に、第2のプレナムがあるとき、右側のプレナム32に2つの入口ポート34が設けられてよく、すなわち、1つは容器ユニットの底に面し、1つは容器ユニットの上部に面する。
【0079】
さらに、開示するシステムは、パレットがドッキングされて流体結合される固定機器1をさらに備える。
【0080】
固定機器1は、ガス循環ユニット7(図1に示されないが図7図10に示す)を備える。固定機器1が動作中のとき、ガス循環ユニットは、吸気口/吸い込み口76から排気口77に向けて(冷凍または解凍のそれぞれの必要性に従って)冷ガスまたは温ガスを循環させる。
【0081】
ガス循環ユニットは、送風機71と熱交換器72とを備える。
【0082】
ガス循環ユニットは、電熱器73を備える。
【0083】
ガス循環ユニットは、電気回路網(幹線)から電力を供給される。パレットは、ガス循環ユニット7の下に位置する場所から導入され、取り出される。
【0084】
以下の要素、すなわち送風機71、熱交換器72、電熱器73に関して、様々な構成が可能であり、吸気口76から排気口77に向けてのこれらの要素の順序は、図10に示される順序と異なることがあり得る。
【0085】
図示の例では、熱交換器72は、空気からカロリーを除去する。実際には、熱交換器72は、蒸発器の中にあり得る。任意の冷却流体が、流れの部分F2からF3まで空気を冷却するために、熱交換器72の中で使用され得る。液体窒素を使用することは、排除されない。冷却流体を熱交換器72の中に循環させるために、循環ポンプ75が設けられ得る。
【0086】
空気/ガスは、矢印F1、F2、F3、F4で示す流れに沿ってチャネルの中を循環する。
【0087】
図7図9に示すように、第2の実施形態によれば、プレナムはパレットによって担持されず、プレナムは固定されている。プレナムは、固定機器1の一部として配置される。ソケット上に立ち、漏斗状の手段を介してガス循環ユニット7の排気口77に接続される第1の側面プレナム131が設けられる。
【0088】
図7に示す例では、別のソケット上に立ち、漏斗状の手段78を介してガス循環ユニット7の吸気口/吸い込み口76に接続される第2の側面プレナム132が設けられる。
【0089】
しかしながら、側面プレナム132は厳密には不要であることを、当業者は図13から認識することができる。ガス循環ユニット7の内部容積CVからパレットまでの帰還経路は、単純な側壁133を通して対処することができる。
【0090】
同じことが、第2の側面プレナムが厳密には不要である第1の実施形態にも適用することができる。
【0091】
第1の側面プレナム131のガス搬送チャネルは、入口導管79からパレットの内部容積CVの方に向けられた出口ポート33にガスを搬送する。
【0092】
第2の側面プレナム132のガス搬送チャネルは、存在するとき、内部容積CVから入口ポート34を通して接続導管78の方にガスを搬送する。
【0093】
左の直立部41と左のプレナム31との間のすき間、および右の直立部42と右のプレナム32との間のすき間が設けられる。
【0094】
バッグに隣接する空気流は、バッグの上面および下面において同じ方向F5(図3および図5において左から右)に流れていることに留意されたい。
【0095】
図11に示すように、それぞれの容器ユニットの上面および底面に局所的ガス案内壁45が、さらに設けられ得る。そのような局所的ガス案内壁は、保護パッケージング6の中に形成され得る。言い換えれば、パッケージング6は、軟質バッグに沿って設けられたガスの通路を実質的に包み込むことができる。
【0096】
同じく、一実施形態では、保護パッケージング6の板61、62のそれぞれは、ガス流のための通路を区切る内壁46および外壁45を備えることができる。
【0097】
一オプションの特徴によれば、内部案内壁46は、循環ガスと軟質バッグ5の外面56との間の接触を防止するように設計され得る。内部案内壁46は、軟質バッグの外面56と接触しており、それにより、バイオ医薬製品BPを冷凍または解凍するために、伝導熱流がそれらの間を流れるのを可能にする。したがって、内部案内壁46は、低い熱抵抗と良好な熱伝導性とを示す。
【0098】
代替の特徴によれば、内部案内壁46は、循環ガスと軟質バッグ5の外面56との間の良好な接触を促進するように設計され得る。この場合、内部案内壁46は、複数の大きい貫通孔を有する格子として設計され得る。
【0099】
容器ユニットの上面および底面に沿った乱流F6を促進するように設計されたデバイスである撹拌器44がさらに設けられ得る。乱流は、層流より良好な熱交換係数を示す。図11Aに示すように、ガス流に対して横に配置された邪魔板または単なるロッド44の配列が設けられ得る。
【0100】
様々な解決策が、撹拌器に対して想到される。ロッド(または、ピンもしくはスタッド)44が、ガス流のための通路を区切る内壁46と外壁45との間に延在する。ロッドは、配列の中に配置され、蛇行経路の中で空気を強制的に流し、それにより、速度、乱流、および熱伝達係数を増加させる。
【0101】
別の解決策は、特許文献2の中で説明され、斜面の千鳥配列が、内壁46および外壁45の上に配置される。そのような斜面は、後流渦によって熱伝達を促進する。これは、一方向における流れ(ここではF5)に対して最適化される。
【0102】
一般的に言えば、空気の通路を横切って立っている、突き出た要素または飛び出た要素は、渦および乱流を促進する傾向があり、それは熱伝達効率を改善する。
【0103】
図11から明らかなように、容器ユニットは、互いに積み重ねられてよく、パレットの中で棚支持システムの使用を回避する。フレーム47は、概して平らな底面を有しかつ概して平らな上面を有し、それにより、1つの容器ユニットの底面は、別のフレームの上面の上で安定して支え得る。そのようなスタック構成は、第1の実施形態(パレット上のプレナム)においても第2の実施形態(固定プレナム)においても使用することができる。
【0104】
さらに、システムは、冷凍および解凍のプロセスを制御するための制御ユニット9を備える。さらに、システムは、1つ以上のセンサ82、84、86を備える。そのようなセンサは、進行中の冷凍プロセスまたは解凍プロセスを反映するデータを提供する。
【0105】
バッグの接点において感知された温度に反応する、82で示される熱電対またはNTC抵抗センサが設けられ得る。
【0106】
液体状または固体状のバイオ医薬製品に反応し、特にバイオ医薬製品の相転移に反応する容量センサ84が設けられ得る。
【0107】
液体状または固体状のバイオ医薬製品に反応し、特にバイオ医薬製品の相転移に反応する熱電対列センサ86が設けられ得る。
【0108】
上記のセンサのうちの1つ、2つまたは3つが、感知アセンブリ40の中に配置され得る。感知アセンブリ40は、1以上の配線48を介して制御ユニット9に結合され得る。
【0109】
感知アセンブリ40は、図11に示すように、へその位置に配置され得る。
【0110】
さらに、システムは、それぞれの容器ユニットを単一的に識別するための手段を備え得る。図12から明らかなように、それぞれの容器ユニットは、たとえば、RFIDチップまたはNFCチップのような識別子ID88を携行し得る。短距離読み取り器98が、設けられ得る。短距離読み取り器98は、たとえば、固定機器の中のパレットの中またはパレットの外に配置され得る。読み取りは、ワイヤレス通信89を介して行われる。
【0111】
制御システムに関与する構成要素において、構成要素のうちのいくつかは、滅菌のためにガンマ線照射を受ける場合がある。特に、1つ以上のセンサ82、84、86(場合によってはアセンブリ40)および識別子ID88は、バッグに取り付けられ、ガンマ線照射を受ける接続可能なモジュールを形成してよく、一方で、残りのシステムは、ガンマ線照射を受けない。94で示すコネクタは、ガンマ線を照射される部分を、制御システムに関与する残りの構成要素から分離する。
【0112】
シェーカーデバイス15は、XY平面内で軌道往復運動(orbital reciprocating movement)を生じさせることができる。シェーカーデバイス15は、垂直方向Zの中で前後運動(to-and-fro movement)を生じさせることができる。
【0113】
パレットの台座11において1つ以上のシェーカーデバイスが設けられ得る。
【0114】
たとえば、往復運動は、全パレット//それぞれのバッグアセンブリに伝えられる。
【0115】
図14は、Y方向に沿ってドッキング位置に最終的に移動したパレットとともに、漏斗を介する便利な結合を示す。
【0116】
「固定」という用語は、ローラーの上に搭載され、必要があれば移動することができる機器を排除しないことに留意されたい。しかし、パレットの取り扱いのために移動されることはない。
【0117】
パレット内の構成全体に関して、パレットに対してパレット密度指数PDI=BPV/PLVが定義され、ここで、BPVはパレットの中に収容される容器ユニットの中に含有されるバイオ医薬製品BPの全容積であり、PLVはパレットの高さにパレットの占有面積を乗じた数(すなわち、総容積)である。
【0118】
発明者は、0.1と0.4との間、望ましくは[0.15~0.3]の範囲内で構成されるPDIを有する密度評価を達成した。これは、容積の良好な使用対熱流効率、に対する最適な妥協であることが判明する。
【符号の説明】
【0119】
1 固定機器
2 パレット
4 容器ユニット
5 軟質バッグ
6 保護パッケージング
7 ガス循環ユニット
9 制御ユニット
11 台座
11G 溝
12 緩衝層/制振層
13 支持板
15 シェーカーデバイス
16A 入口ダクト
16B 出口ダクト
22 分離板
24 カバー
30 側壁のガス流路
31 第1の側面プレナム
32 第2の側面プレナム
33 出口ポート
34 入口ポート
35 側面支持部
37 側面スライド
40 感知アセンブリ
41 直立部
42 直立部
43 側面支持部
44 撹拌器
45 局所的ガス案内壁
46 内部案内壁
47 フレーム
48 配線
56 バッグの外面
61 板
62 板
71 送風機
72 熱交換器
73 電熱器
75 循環ポンプ
76 吸気口
77 排気口
78 漏斗状の手段
79 入口導管
82 熱電対またはNTC抵抗センサ
84 容量センサ
86 熱電対列センサ
88 識別子ID
89 ワイヤレス通信
94 コネクタ
98 短距離読み取り器
131 第1の側面プレナム
132 第2の側面プレナム
133 単純な側壁
780 ダクト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図11A
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2021-06-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオ医薬製品を冷凍、貯蔵、運搬および解凍するためのシステムであって、固定機器(1)と1つ以上の可動式パレット(2)とを備え、それぞれのパレットが、バイオ医薬製品(BP)をそれぞれが含有している1つ以上の容器ユニット(4)を担持するように構成され、
前記固定機器が、吸気口(76)から排気口(77)に向けて冷ガスおよび/または温ガスを循環させるように構成されたガス循環ユニット(7)を備え、前記システムには、
前記ガス循環ユニットの前記排気口に流体結合されるように構成された、1つ以上のガス搬送チャネルをその中に有する少なくとも第1の側面プレナム(31、131)が設けられ、
前記第1の側面プレナム(31、131)が1つ以上の内部容積または凸部と、単一の入口と、を有し、
前記第1の側面プレナム(31)が、前記パレットの内部容積(CV)の方に向けられた複数の出口ポート(33)を有し、前記ガスが、前記パレットの前記内部容積の中を実質的に水平方向(XY)に循環する、システム。
【請求項2】
複数の入口ポート(34)を有する第2の側面プレナム(32、132)がさらに設けられ、前記第1の側面プレナムの前記出口ポート(33)が前記ガスを吹き出すように構成される一方で、前記第2の側面プレナムの前記入口ポートが前記ガスを引き込んで前記ガスを前記ガス循環ユニット(7)に戻すように構成され、前記入口ポートが、前記水平方向(XY)において前記出口ポートに対向して配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記容器ユニットがバッグアセンブリであり、それぞれの前記バッグアセンブリが使い捨て軟質バッグ(5)と保護パッケージングのフレーム/ケーシング(6)とを備え、それぞれの使い捨て軟質バッグがバイオ医薬製品(BP)を含有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記使い捨て軟質バッグが実質的に前記水平方向(XY)に延在する、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
シェーカーデバイス(15)をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記容器の上面および底面に沿って乱流ガス流を促す、撹拌器(44)がさらに設けられる、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記側面プレナム(31、32)が前記パレットに配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記側面プレナム(131、132)が前記固定機器上に配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
2つ以上の前記容器ユニットが互いに積み重ねられる、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
それぞれの容器ユニットの上面および底面において、局所的ガス案内壁(45)が設けられる、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
バッグアセンブリ(4)を支持するための側面支持部(35、43)をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記ガスの案内をもたらすために、2つの隣接する容器ユニット(4)の間に配置された水平の分離板(22)をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記固定機器(1)が送風機(71)と熱交換器(72)とを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記固定機器(1)が電熱器(73)を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
バッグに隣接する空気流が、前記バッグの上面および下面において同じ方向に流れている、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
制御ユニット(9)と1つ以上のセンサ(82、84、86)とをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記パレットが実質的に80cm×120cmの占有面積を示す、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記パレットに対してパレット密度指数PDI=BPV/PLVが定義され、ここで、BPVは、前記容器ユニットの中に含有される前記バイオ医薬製品(BP)の全容積であり、PLVは、前記パレットの高さに前記パレットの占有面積を乗じた数(すなわち、総容積)であり、PDIは0.1から0.3の間に含まれる、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
保護パッケージング(6)が軟質バッグ(5)と接触している局所的ガス内部案内壁(46)を備え、それによって、前記循環ガスと前記軟質バッグ(5)の外面(56)との間のいかなる接触をも防止し、かつ、それらの間の熱流を可能にする、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
バイオ医薬製品を冷凍、貯蔵、運搬および解凍するためのシステム内で使用されるように構成されたパレット(2)であって、前記パレットが、バイオ医薬製品(BP)をそれぞれが含有している1つ以上の容器ユニット(4)を担持するように構成され、
前記パレットが、ガス循環ユニットの排気口に流体結合されるように構成された、1つ以上のガス搬送チャネルをその中に有する第1の側面プレナム(31)を備え、前記第1の側面プレナム(31)が、前記パレットの内部容積(CV)の方に向けられた複数の出口ポート(33)を有し、ガスが、前記パレットの前記内部容積の中で実質的に水平方向(XY)に循環する、パレット(2)。
【請求項21】
複数の入口ポート(34)を有する第2の側面プレナム(32)をさらに備え、前記第1の側面プレナムの前記出口ポート(33)がガスを吹き出す一方で、前記第2の側面プレナムの前記入口ポートがガスを引き込んで前記ガスを前記ガス循環ユニット(7)の方に戻し、前記入口ポートが前記水平方向(XY)において前記出口ポートに対向して配置される、請求項20に記載のパレット。
【請求項22】
前記側面プレナム(31、32)が、前記容器ユニット(4)を支持するための直立部をさらに形成する、請求項21に記載のパレット。
【請求項23】
バイオ医薬製品を冷凍、貯蔵、運搬および解凍するためのシステムであって、前記システムが固定機器(1)と複数の可動式パレット(2)とを備え、それぞれのパレットが1つ以上の保護パッケージング(6)を担持するように構成され、それぞれの保護パッケージングが使い捨て軟質バッグ(5)をその中に受容するように構成され、
前記固定機器が、吸気口(76)から少なくとも1つの排気口(77)に向けて冷ガスおよび/または温ガスを循環させるように構成されたガス循環ユニット(7)を備え、前記システムには、
前記ガス循環ユニットの前記排気口に流体結合されるように構成された、1つ以上のガス搬送チャネルをその中に有する少なくとも第1の側面プレナム(31;131)が設けられ、
前記第1の側面プレナム(31)が、前記パレットの内部容積(CV)の方に向けられた複数の出口ポート(33)を有し、前記ガスが、前記パレットの前記内部容積の中を実質的に水平方向(XY)に循環する、システム。
【請求項24】
複数の入口ポート(34)を有する第2の側面プレナム(32、132)をさらに備え、前記第1の側面プレナムの前記出口ポート(33)が前記ガスを吹き出す一方で、前記第2の側面プレナムの前記入口ポートが前記ガスを引き込んで前記ガスを前記ガス循環ユニット(7)の方に戻し、前記入口ポートが、前記水平方向(XY)において前記出口ポートに対向して配置される、請求項23に記載のシステム。
【国際調査報告】