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特表2022-512018埋め込まれたクリートを備えたアイゼン
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-01
(54)【発明の名称】埋め込まれたクリートを備えたアイゼン
(51)【国際特許分類】
   A43C 15/06 20060101AFI20220125BHJP
【FI】
A43C15/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021546404
(86)(22)【出願日】2019-10-15
(85)【翻訳文提出日】2021-06-01
(86)【国際出願番号】 CA2019051461
(87)【国際公開番号】W WO2020077448
(87)【国際公開日】2020-04-23
(31)【優先権主張番号】62/747,315
(32)【優先日】2018-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521161680
【氏名又は名称】ヒルサウンド イクィップメント インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カン、チャン スン
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050MA62
(57)【要約】
アイゼンは、靴またはブーツなどの履物の下側に取り付けるためのアイゼン基部を含む。ハーネスは、アイゼン基部から延在し、リベットを使用してアイゼン基部に取り付けることができる。ハーネスおよびアイゼン基部は、履物を受け入れるための空間を画定する。アイゼン基部は、アイゼン基部内に埋め込まれたクリート基部を備えた少なくとも1つのクリートアセンブリを含む。1つまたは複数のスパイクが、クリート基部から延在する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
履物の下側に取り付けるためのアイゼン基部と、
前記アイゼン基部から延在し、前記アイゼン基部で前記履物を受け入れるための空間を画定するハーネスと
を備え、
前記アイゼン基部は、
前記アイゼン基部内に埋め込まれたクリート基部と、
前記クリート基部から延在する1つまたは複数のスパイクと
を有する少なくとも1つのクリートを備える、アイゼン。
【請求項2】
前記クリート基部は十字形である、請求項1に記載のアイゼン。
【請求項3】
前記1つまたは複数のスパイクは、一対のスパイクを含む、請求項1または2に記載のアイゼン。
【請求項4】
前記クリート基部は、中央部分と、中央部分から延在するアームとを含み、各々のスパイクは、前記アームのうちの1つの端部から延在する、請求項2または3に記載のアイゼン。
【請求項5】
前記クリート基部は、隣接するアームに対して直角に前記中央部分から延在する4つのアームを含み、各々のスパイクは、前記アームのうちの一対の対向するアームによって規定される線に対して角度が付けられている、請求項4に記載のアイゼン。
【請求項6】
前記1つまたは複数のスパイクは、前記アームのうちの一対の対向するアームの端部から延在する一対のスパイクを含む、請求項5に記載のアイゼン。
【請求項7】
各々のスパイクは、前記アームのうちの1つの端部から垂直に延在する、請求項4~6のいずれか一項に記載のアイゼン。
【請求項8】
前記アームのうちの少なくとも1つは、前記中央部分から延在する直線部分と、前記直線部分から延在する湾曲部分とを含む、請求項4~7のいずれか一項に記載のアイゼン。
【請求項9】
前記1つまたは複数のスパイクのうちの1つは、前記湾曲部分の端部から延在する、請求項8に記載のアイゼン。
【請求項10】
前記クリート基部は、内部に形成された1つまたは複数の開口部を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のアイゼン。
【請求項11】
前記ハーネスは、1つまたは複数の締結具を使用して前記アイゼン基部に取り付けられている、請求項1~10のいずれか一項に記載のアイゼン。
【請求項12】
前記1つまたは複数の締結具は、1つまたは複数のリベットを含む、請求項11に記載のアイゼン。
【請求項13】
前記アイゼン基部は、各々が前記ハーネスに取り付けられた1つまたは複数の基部ストラップをさらに含み、前記1つまたは複数の基部ストラップのうちの少なくとも1つの厚さは、前記少なくとも1つの基部ストラップの端部に向かって増加する、請求項11または12に記載のアイゼン。
【請求項14】
前記ハーネスの両側に取り付けられ、前記履物の周りで前記ハーネスを締めるように構成されたコネクタをさらに備える、請求項1~13のいずれか一項に記載のアイゼン。
【請求項15】
前記コネクタは、ベルクロ(登録商標)ストラップを含む、請求項14に記載のアイゼン。
【請求項16】
前記アイゼン基部は、前記履物の靴底に取り付けるための前部アイゼン基部部分と、前記履物の踵に取り付けるための後部アイゼン基部部分とを含む、請求項1~15のいずれか一項に記載のアイゼン。
【請求項17】
前記アイゼン基部は、前記前部アイゼン基部部分に部分的に埋め込まれた5つのクリートと、前記後部アイゼン基部部分に部分的に埋め込まれた4つのクリートとを含む、請求項16に記載のアイゼン。
【請求項18】
前記前部アイゼン基部部分および前記後部アイゼン基部部分は、前記アイゼン基部を前記ハーネスに取り付けるそれぞれの基部ストラップを含み、前記前部アイゼン基部部分の前記基部ストラップのうちの少なくとも1つは、前記後部アイゼン基部部分の前記基部ストラップのうちの少なくとも1つと重なる、請求項16または17に記載のアイゼン。
【請求項19】
前記アイゼン基部は、前記クリート基部の周りに成形されている、請求項1~18のいずれか一項に記載のアイゼン。
【請求項20】
前記アイゼン基部は、第1のエラストマーを含み、前記ハーネスは、前記第1のエラストマーとは異なる第2のエラストマーを含む、請求項1~19のいずれか一項に記載のアイゼン。
【請求項21】
前記第1のエラストマーは、前記第2のエラストマーよりも耐久性がある、および/または可撓性が低い、請求項20に記載のアイゼン。
【請求項22】
アイゼンを作製する方法であって、
1つまたは複数のクリートを1つまたは複数の所定の位置に配置するステップであって、各々のクリートは、クリート基部と、前記クリート基部から延在する1つまたは複数のスパイクとを含むステップと、
各々のクリート基部が前記アイゼン基部内に埋め込まれるように、前記1つまたは複数のクリートの周りにアイゼン基部を成形するステップと
を含む、方法。
【請求項23】
前記アイゼン基部を成形するステップは、
各々のクリート基部の上側に上部アイゼン基部部分を配置するステップと、
各々のクリート基部の底側に対して下部アイゼン基部部分を成形するステップと
を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記上部アイゼン基部部分は、前記下部アイゼン基部部分よりも硬い、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記アイゼン基部にハーネスを取り付けるステップをさらに含み、取り付けられると、前記アイゼン基部および前記ハーネスは、履物を受け入れるための空間を画定する、請求項22~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
履物の下側に取り付けるためのアイゼン基部であって、前記アイゼン基部は、
前記アイゼン基部内に埋め込まれたクリート基部と、
前記アイゼン基部から延在する1つまたは複数のスパイクとを有する少なくとも1つのクリートを含む、アイゼン基部。
【請求項27】
前記アイゼン基部は、前記履物の靴底に取り付けるための前部アイゼン基部部分と、前記履物の踵に取り付けるための後部アイゼン基部部分とを含む、請求項25に記載のアイゼン基部。
【請求項28】
部品のキットであって、
ハーネスと、
履物の下側に取り付けるためのアイゼン基部であって、
前記アイゼン基部内に埋め込まれたクリート基部と、
前記クリート基部から延在する1つまたは複数のスパイクとを有する少なくとも1つのクリートを含む、アイゼン基部と、
ハーネスをアイゼン基部に取り付けるための1つまたは複数の締結具と
を含み、互いに取り付けられると、前記ハーネスおよび前記アイゼン基部は、前記履物を受け入れるための空間を画定する、キット。
【請求項29】
アイゼン用のクリートであって、
中央部分および該中央部分から延在するアームを有するクリート基部と、
1つまたは複数のスパイクであって、各々のスパイクは、
前記アームのうちの1つの端部から延在し、
前記アームのうちの一対の対向するアームによって規定される線に対して角度が付けられている、スパイクと
を含む、クリート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アイゼンおよびアイゼンを作製する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アイゼンは、使用者の靴またはブーツに取り付け、特に氷または雪の地形上で改善された静止摩擦を提供するように構成された装置である。通常、アイゼンは、使用者の履物の下に取り付けるための基部と、基部を使用者の履物に取り付けるためのストラップなどの手段とを含む。基部の下側には、地面との静止摩擦および把持を向上させるためのクリートが提供される。
【0003】
アイゼンは、山をナビゲートするときに雪および氷の上を移動する厳しさに耐えるように設計された登山用アイゼンから、より都市環境での静止摩擦および可動性を改善するように設計されたより単純な装置まで、様々な形状およびサイズで提供される。着用者に改善された静止摩擦および把持を提供するのに効果的であると同時に、着用者にとって快適であるアイゼンに対する競合する欲求を考えると、これらの利点の間のバランスを満たす改良されたアイゼンに対する当技術分野の必要性が残っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、既存のアイゼンに改善を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の態様では、履物の下側に取り付けるためのアイゼン基部と、アイゼン基部から延在し、アイゼン基部で履物を受け入れるための空間を画定するハーネスとを含むアイゼンが提供される。アイゼン基部は、アイゼン基部内に埋め込まれたクリート基部と、クリート基部から延在する1つまたは複数のスパイクとを有する少なくとも1つのクリートを含む。
【0006】
クリート基部は、十字形であり得る。
【0007】
1つまたは複数のスパイクは、一対のスパイクを含み得る。
【0008】
クリート基部は、中央部分と、中央部分から延在するアームとを含むことができ、各々のスパイクは、アームのうちの1つの端部から延在することができる。クリート基部は、中央部分から隣接するアームに対して直角に延在する4つのアームを含むことができ、各々のスパイクは、アームのうちの一対の対向するものによって画定される線に対して角度が付けられ得る。1つまたは複数のスパイクは、アームの対向するものの端部から延在する一対のスパイクを含み得る。各々のスパイクは、アームのうちの1つの端部から垂直に延在することができる。アームのうちの少なくとも1つは、中央部分から延在する直線部分と、直線部分から延在する湾曲部分とを含み得る。1つまたは複数のスパイクのうちの1つは、湾曲部分の端部から延在することができる。
【0009】
クリート基部は、内部に形成された1つまたは複数の開口部を含み得る。
【0010】
ハーネスは、1つまたは複数の締結具を使用してアイゼン基部に取り付けることができる。1つまたは複数の締結具は、1つまたは複数のリベットを含み得る。アイゼン基部は、各々がハーネスに取り付けられた1つまたは複数の基部ストラップをさらに含むことができ、1つまたは複数の基部ストラップのうちの少なくとも1つの厚さは、少なくとも1つの基部ストラップの端部に向かって増加し得る。
【0011】
アイゼンは、ハーネスの両側に取り付けられ、履物の周りでハーネスを締めるように構成されたコネクタをさらに含み得る。コネクタはベルクロ(登録商標)ストラップを含み得る。
【0012】
アイゼン基部は、履物の靴底に取り付けるための前部アイゼン基部部分と、履物の踵に取り付けるための後部アイゼン基部部分とを含み得る。アイゼン基部は、前部アイゼン基部部分に部分的に埋め込まれた5つのクリートと、後部アイゼン基部部分に部分的に埋め込まれた4つのクリートとを含み得る。前部アイゼン基部部分および後部アイゼン基部部分は、アイゼン基部をハーネスに取り付けるそれぞれの基部ストラップを含むことができ、前部アイゼン基部部分の基部ストラップのうちの少なくとも1つは、後部アイゼン基部部分の基部ストラップのうちの少なくとも1つと重なることができる。
【0013】
アイゼン基部は、クリート基部の周りに成形され得る。
【0014】
アイゼン基部は、第1のエラストマーを含むことができ、ハーネスは、第1のエラストマーとは異なる第2のエラストマーを含み得る。第1のエラストマーは、第2のエラストマーよりも耐久性があり得る、および/または可撓性を低くすることができる。
【0015】
本開示のさらなる一態様では、アイゼンを作製する方法が提供される。この方法は、1つまたは複数のクリートを1つまたは複数の所定の位置に配置することであって、各々のクリートは、クリート基部と、クリート基部から延在する1つまたは複数のスパイクとを含むことと、各々のクリート基部がアイゼン基部内に埋め込まれるように、1つまたは複数のクリートの周りにアイゼン基部を成形することとを含む。
【0016】
アイゼン基部を成形することは、各々のクリート基部の上側に上部アイゼン基部部分を配置することと、各々のクリート基部の底側に下部アイゼン基部部分を成形することとを含み得る。上部アイゼン基部部分は、下部アイゼン基部部分よりも硬くすることができる。
【0017】
この方法は、アイゼン基部にハーネスを取り付けることをさらに含み得る。取り付けられると、アイゼン基部およびハーネスは、履物を受け入れるための空間を画定することができる。
【0018】
本開示のさらなる一態様では、履物の下側に取り付けるためのアイゼン基部が提供される。アイゼン基部は、アイゼン基部内に埋め込まれたクリート基部と、アイゼン基部から延在する1つまたは複数のスパイクとを有する少なくとも1つのクリートを含む。アイゼン基部は、履物の靴底に取り付けるための前部アイゼン基部部分と、履物の踵に取り付けるための後部アイゼン基部部分とのうちの1つまたは複数を含み得る。
【0019】
本開示のさらなる一態様では、部品のキットが提供される。部品のキットは、ハーネスと、履物の下側に取り付けるためのアイゼン基部であって、アイゼン基部内に埋め込まれたクリート基部と、クリート基部から延在する1つまたは複数のスパイクとを有する少なくとも1つのクリートを含む、アイゼン基部と、ハーネスをアイゼン基部に取り付けるための1つまたは複数の締結具とを含み、互いに取り付けられると、ハーネスおよびアイゼン基部は、履物を受け入れるための空間を画定する。
【0020】
本開示のさらなる一態様では、アイゼン用のクリートが提供される。クリートは、中央部分と、中央部分から延在するアームとを有するクリート基部と、1つまたは複数のスパイクであって、各々のスパイクは、アームのうちの1つの端部から延在し、アームのうちの一対の対向するものによって画定される線に対して角度が付けられている、スパイクとを含む。
【0021】
ここで、本開示の例示的な実施形態は、以下の添付の図面と併せて説明される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本開示の一実施形態に係るアイゼンを示す。
図2】本開示の一実施形態に係る、アイゼン基部の前部の上面図である。
図3】本開示の一実施形態に係る、アイゼン基部の後部の上面図である。
図4A】本開示の一実施形態に係るハーネスの上面図および底面図である。
図4B】本開示の一実施形態に係るハーネスの上面図および底面図である。
図5A】本開示の実施形態に係るクリートを示す。
図5B】本開示の実施形態に係るクリートを示す。
図6A】本開示の一実施形態に係る、図2の前部アイゼン基部部分の作製における段階を示す。
図6B】本開示の一実施形態に係る、図2の前部アイゼン基部部分の作製における段階を示す。
図6C】本開示の一実施形態に係る、図2の前部アイゼン基部部分の作製における段階を示す。
図6D】本開示の一実施形態に係る、図2の前部アイゼン基部部分の作製における段階を示す。
図7A】本開示の一実施形態に係る、図2および図3の前部および後部アイゼン基部部分の底面図である。
図7B】本開示の一実施形態に係る、図2および図3の前部および後部アイゼン基部部分の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本開示は、改良されたアイゼンおよびそのようなアイゼンを作製する方法を提供することを試みる。本開示の様々な実施形態を以下に説明するが、本開示はこれらの実施形態に限定されず、これらの実施形態の変形は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるべき本開示の範囲内に十分入ることができる。
【0024】
特許請求の範囲および/または明細書において「含む(comprising)」または「含む(including)」という用語と併せて使用される場合の「a」または「an」という単語は、「1つ」を意味し得るが、内容が明確に別段の指示をしない限り、「1つまたは複数」、「少なくとも1つ」、「1つ以上」の意味とも一致する。同様に、「別の(another)」という単語は、内容が明確に別段の指示をしない限り、第2またはそれ以上を意味し得る。
【0025】
本明細書で使用される場合の「結合された」、「結合する」、または「接続された」という用語は、これらの用語が使用される文脈に応じて、いくつかの異なる意味を有する可能性がある。例えば、結合された、結合する、または接続されたという用語は、機械的または電気的な意味合いをもつことができる。例えば、本明細書で使用される場合、結合された、結合する、または接続されたという用語は、特定の文脈に応じて、2つの要素または装置が互いに直接接続されているか、または電気要素、電気信号、または機械要素を介して1つまたは複数の中間要素または装置を介して互いに接続されていることを示すことができる。
【0026】
「前部」、「後部」、「上部」、「底部」、「左」、および「右」という用語は、使用者が着用する履物にアイゼンが取り付けられている状態で、アイゼンの使用者がそのような用語を解釈する場合に解釈されるべきである。
【0027】
本開示の一実施形態によれば、アイゼン100が図1に示されている。アイゼン100は、一般的に、ハーネス30と呼ばれ得る上部に接続された、アイゼン基部10と呼ばれ得る下部を含む。いくつかのクリート50(図1には完全には示されていない)が、以下で詳細に説明するようにアイゼン基部10内に部分的に埋め込まれ、アイゼン基部10から離れるように延在する。当技術分野で知られているように、クリート50は、アイゼン100の使用者に改善された静止摩擦を提供するため、使用者は雪または氷などの凹凸のある、または滑りやすい表面上をより容易に移動できる。
【0028】
集合的に、アイゼン基部10およびハーネス30は、使用者が靴またはブーツなどの履物を内部に挿入することができる空間または容積を画定する。次に、アイゼン100は、ハーネス30の左側72と右側74との間に延在する固定装置70によって履物の周りに固定または締め付けられ得る。本実施形態では、固定装置70は、ベルクロ(登録商標)ストラップであるが、他の実施形態では、任意の他の適切な固定装置を使用することができる。例えば、ベルクロ(登録商標)ストラップは、ハーネス30の左側72および右側74の各々でフックまたは同様の構成と置き換えることができる。フックは、アイゼン100内に導入された履物の周りにハーネス30を締めるために、ハーネス30の左側72および右側74を互いに近づけることによって互いに係合させることができる。
【0029】
図2および図3を参照すると、アイゼン基部10の可撓性のある前部アイゼン基部部分12および可撓性のある後部アイゼン基部部分14が示されている。前部アイゼン基部部分12は、中央部分16と、そこから延在するいくつかの前部基部ストラップ18とを含む。特に、前部アイゼン基部部分12は、中央部分16の前部から延在する2つの前部基部ストラップ18aと、中央部分16の左側および右側の各々から延在する前部基部ストラップ18bと、中央部分16の後部から延在する2つの前部基部ストラップ18cとを含む。同様に、後部アイゼン基部部分14は、中央部分20と、そこから延在するいくつかの後部基部ストラップ22とを含む。特に、後部アイゼン基部部分14は、中央部分20の前部の各々のコーナーから延在する後部基部ストラップ22a、ならびに中央部分20の後部の各々のコーナーから延在する後部基部ストラップ22bを含む。他の実施形態では、前部アイゼン基部部分12および後部アイゼン基部部分14は、任意の適切な数の前部基部ストラップ18および後部基部ストラップ22を含み得る。さらに他の実施形態では、前部アイゼン基部部分12および後部アイゼン基部部分14は、アイゼン基部10が1つの単一部品から作製されるように一体的に形成され得る。
【0030】
図2に見られるように、前部基部ストラップ18bは、傾斜台形状の厚みのある部分19を含む。厚みのある部分19は、前部基部ストラップ18bの厚さが中央部分16から前部基部ストラップ18bの端部に向かって増加する結果をもたらす。厚みのある部分19は、前部基部ストラップ18bの重量を軽減するとともに、前部基部ストラップ18bが屈曲する能力を向上させるために内部に形成された凹部13を含む。また、厚みのある部分19は、取り付け点を使用者の足から離間させることにより、使用者の足と、前部基部ストラップ18bがハーネス30に取り付けられる点との間の張力を緩和する。
【0031】
各々の前部基部ストラップ18および各々の後部基部ストラップ22の端部には、開口部またはアイレット24が配置されている。小さなスタッドなどの把持機構11は、中央部分16および中央部分20の各々から上方に延在する。把持機構11は、アイゼン基部10とアイゼン100内に受け入れられた履物との間の摩擦を増加させ、それにより、履物とアイゼン基部10との間の把持を改善する。また、前部基部ストラップ18aは、アイゼン100内に受け入れられた履物の前部またはつま先部分を受け入れるためにつま先ボックス開口部28が画定されるように、前部基部ストラップ18aと一体的に形成された接続ストラップ26によって相互接続される。
【0032】
図4Aおよび図4Bを参照すると、ハーネス30の上面図および底面図がより詳細に示されている。ハーネス30は、その周囲に沿って形成されたいくつかの開口部またはアイレット32を備えた略楕円形の構造を含む。ハーネス30内のアイレット32の数は、アイゼン基部10のアイレット24の数に対応する。ハーネス30の正面周縁部は、連続するアイレット32の間の凹んだ縁部を含む。ハーネス30の左側72および右側74では、ハーネス30は、固定装置70のベルクロ(登録商標)ストラップを受け入れるためのスロット34を含む。ハーネス30は、ハーネス30の全体重量を低減すると同時に、ハーネス30の可撓性を改善するためのいくつかの構成をさらに含む。特に、ハーネス30は、ハーネス30の上面にいくつかの凹部領域39を含む(図4A)。ハーネス30の下側において(図4B)、ハーネス30は、内部に形成された窪みのハニカム構造と、ハーネス30の後部内に形成された開口部37とを含み、これらもまたハーネス30の全体重量を低減すると同時に、ハーネス30の可撓性を改善する。ハーネス30の可撓性を高めることは、使用者がアイゼン100内に足を挿入するときにハーネス30を伸ばすのを助ける。
【0033】
図5Aを参照すると、本開示の一実施形態に係る、アイゼン100と共に使用するためのクリート50の上側および底側が示されている。クリート50は、中央ハブ53、第1の部材52a、および第1の部材52aに垂直に配置された第2の部材52bを含む、略十字形のクリート基部52を含む。従来の長方形のクリート基部とは対照的に、クリート基部52の十字形状は、使用者に改善された安定性を提供する。各々の部材52a、52bは、中央ハブ53から外向きに放射状に広がる直線部分54を含む。また、第2の部材52bは、直線部分54から延在する湾曲部分55を含む。各々の湾曲部分55の端部では、スパイク56が第2の部材52bから下向きに突出する。特に、各々の第2の部材52bの湾曲により、湾曲部分55のおかげで、各々のスパイク56は、第1の部材52aによって画定される線Lに対してある角度で下向きに突出する。各々のスパイク56は、下向きに突出する部分と、その先端にある尖った端部57とを含む。クリート基部52は、内部に形成されたいくつかの開口部58をさらに含む。
【0034】
図5Bは、アイゼン100と共に使用できる代替または追加のクリート60を示す。クリート50とは異なり、クリート60は、クリート基部62から延在する3つのプロングまたはスパイク61を有する。クリート基部52と同様に、クリート基部62は、中央ハブ63と、中央ハブ63から放射状に広がる3つのスポークまたは部材を含む。クリート基部62はまた、内部に形成されたいくつかの開口部64を含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、クリート50のスパイク56を分離する距離は約2cmである。また、クリート50には3つ以上のスパイクではなく2つのスパイク56しかないため、クリート50は(アイゼンで一般的な問題になる可能性のある)スノーボーリングのリスクが、換言するとクリート基部52に雪または氷が固着するリスクが、クリート60よりも低くなる。
【0036】
本開示の一実施形態によれば、図6A図6Dは、アイゼン基部10の前部アイゼン基部部分12を製造するための成形プロセスで取られたステップを示す。図6A図6Dの前部アイゼン基部部分12は、図2の前部アイゼン基部部分12と正確に同じ形状ではないが、図6A図6Dに示されるステップは、図2の前部アイゼン基部部分12に等しく適用され得る。図6Aでは、クリート50は、スパイク56が下向きである状態で、互いに対して所定の位置および所定の方向で型(図示せず)内に配置される。図6Bでは、エラストマーパッド65は、パッド65がクリート50の各々のクリート基部52の上部を覆うようにクリート50上に提供される。パッド65は、型に対してクリート50を安定化させるのを助け、前部アイゼン基部部分12の場合、2つの水平ストリップ67によって二分された垂直ストリップ66を含む。クリート50は、ストリップ66および67の端部の下側に配置されている。パッド65は、熱可塑性ポリウレタンを含むが、本開示は他の適切なタイプの材料に及ぶ。
【0037】
図6Cでは、エラストマー68が型に注入されて、前部基部ストラップ18を含む前部アイゼン基部部分12の残りの部分を形成する。型の形状により、各々のクリート50のクリート基部52は、前部アイゼン基部部分12内に埋め込まれる。具体的には、各々のクリート50のクリート基部52は、パッド65と注入されたエラストマー68との間に挟まれている。したがって、図6Dに見られるように、スパイク56のみが前部アイゼン基部部分12の下側から突出している。各々のクリート基部52内に形成された開口部58は、注入されたエラストマー68で満たされ、したがって、各々のクリート50は、クリート基部52が開口部58を含まない場合よりも、前部アイゼン基部部分12内によりしっかりと埋め込まれる。このプロセスは、後部アイゼン基部部分14に対して繰り返される。後部アイゼン基部部分14に使用される上部のエラストマーパッドの形状は、図3に見ることができる。エラストマー68もまた、熱可塑性ポリウレタンを含む。しかしながら、パッド65は、アイゼン100の使用中にクリート50を支持するので、パッド65は、エラストマー68よりも硬い熱可塑性ポリウレタンで形成される。
【0038】
図7Aおよび図7Bを参照すると、前部アイゼン基部部分12および後部アイゼン基部部分14の下側が示されている。スパイク56の尖った端部57が、前部アイゼン基部部分12および後部アイゼン基部部分14から突出しているのが見える。各々のクリート50の位置には、エラストマー68の型内に凹部69が見える。凹部69は、使用中に前部アイゼン基部部分12および後部アイゼン基部部分14が屈曲することを可能にするのを助ける。
【0039】
図1に戻ると、アイゼン100は、前部アイゼン基部部分12および後部アイゼン基部部分14を複数の取り付け点でハーネス30に接続することによって形成される。特に、各々の前部基部ストラップ18および各々の後部基部ストラップ22のアイレット24は、ハーネス30の対応するアイレット32と位置合わせされる。位置合わせされると、リベット75などの締結装置がアイレット24、32内に挿入され、それにより、ハーネス30をアイゼン基部10に固定する。他の形態の締結装置を使用することができるが、リベット75は、リベット75が従来のリンクよりも耐久性のある接続を提供し得るという点で有利であり得る。さらに、リベット75は、アイゼン100の使用中に使用者の足との摩擦を低減するために、比較的低いプロファイルを有するように構築することができる。
【0040】
図1にも見られるように、前部アイゼン基部部分12の前部基部ストラップ18cは、後部アイゼン基部部分14の後部基部ストラップ22aと重なる。この重なりは、前部アイゼン基部部分12を後方に引っ張り、前部アイゼン基部部分14を前方に引っ張ることによって、アイゼン100を使用者の足に引き寄せるのを助け、アイゼン100を所定の位置に固定するのを助長することができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、アイゼン基部10は、ハーネス30よりも剛性が高く、耐久性が高いが、ハーネス30はより可撓性があり、それによって使用者がアイゼン100内に足を配置するのを容易にする。いくつかの実施形態では、ハーネス30は熱可塑性エラストマーで作製されるが、アイゼン基部10は熱可塑性ポリウレタンでで作製される。
【0042】
本開示は特定の実施形態に関連して説明されてきたが、本開示はこれらの実施形態に限定されず、これらの実施形態の変更、修正、および変形が、本開示の範囲から逸脱することなく実行され得ることを理解すべきである。さらに、本明細書で論じられる任意の態様または実施形態の任意の部分を、本明細書で論じられる任意の他の態様または実施形態の任意の部分と共に実施または組み合わせ可能であることが考えられる。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
【手続補正書】
【提出日】2021-06-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
履物の下側に取り付けるためのアイゼン基部と、
前記アイゼン基部から延在し、前記アイゼン基部で前記履物を受け入れるための空間を画定するハーネスと
を備え、
前記アイゼン基部は、
前記アイゼン基部内に完全に埋め込まれたクリート基部と、
前記クリート基部から延在する1つまたは複数のスパイクと
を有する少なくとも1つのクリートを備える、アイゼン。
【請求項2】
前記クリート基部は十字形である、請求項1に記載のアイゼン。
【請求項3】
前記1つまたは複数のスパイクは、一対のスパイクを含む、請求項1または2に記載のアイゼン。
【請求項4】
前記クリート基部は、中央部分と、中央部分から延在するアームとを含み、各々のスパイクは、前記アームのうちの1つの端部から延在する、請求項2または3に記載のアイゼン。
【請求項5】
前記クリート基部は、隣接するアームに対して直角に前記中央部分から延在する4つのアームを含み、各々のスパイクは、前記アームのうちの一対の対向するアームによって規定される線に対して角度が付けられている、請求項4に記載のアイゼン。
【請求項6】
前記1つまたは複数のスパイクは、前記アームのうちの一対の対向するアームの端部から延在する一対のスパイクを含む、請求項5に記載のアイゼン。
【請求項7】
各々のスパイクは、前記アームのうちの1つの端部から垂直に延在する、請求項4~6のいずれか一項に記載のアイゼン。
【請求項8】
前記アームのうちの少なくとも1つは、前記中央部分から延在する直線部分と、前記直線部分から延在する湾曲部分とを含む、請求項4~7のいずれか一項に記載のアイゼン。
【請求項9】
前記1つまたは複数のスパイクのうちの1つは、前記湾曲部分の端部から延在する、請求項8に記載のアイゼン。
【請求項10】
前記クリート基部は、内部に形成された1つまたは複数の開口部を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のアイゼン。
【請求項11】
前記ハーネスは、1つまたは複数の締結具を使用して前記アイゼン基部に取り付けられている、請求項1~10のいずれか一項に記載のアイゼン。
【請求項12】
前記1つまたは複数の締結具は、1つまたは複数のリベットを含む、請求項11に記載のアイゼン。
【請求項13】
前記アイゼン基部は、各々が前記ハーネスに取り付けられた1つまたは複数の基部ストラップをさらに含み、前記1つまたは複数の基部ストラップのうちの少なくとも1つは傾斜台形状の厚みのある部分を有する、請求項11または12に記載のアイゼン。
【請求項14】
前記傾斜台形状の厚みのある部分は、前記1つまたは複数の基部ストラップが屈曲する能力を向上させるために内部に形成された凹部を含む、請求項13に記載のアイゼン。
【請求項15】
前記ハーネスの両側に取り付けられ、前記履物の周りで前記ハーネスを締めるように構成されたコネクタをさらに備える、請求項1~14のいずれか一項に記載のアイゼン。
【請求項16】
前記コネクタは、ベルクロ(登録商標)ストラップを含む、請求項15に記載のアイゼン。
【請求項17】
前記アイゼン基部は、前記履物の靴底に取り付けるための前部アイゼン基部部分と、前記履物の踵に取り付けるための後部アイゼン基部部分とを含む、請求項1~16のいずれか一項に記載のアイゼン。
【請求項18】
前記アイゼン基部は、前記前部アイゼン基部部分に埋め込まれた5つのクリートと、前記後部アイゼン基部部分に埋め込まれた4つのクリートとを含む、請求項17に記載のアイゼン。
【請求項19】
前記前部アイゼン基部部分および前記後部アイゼン基部部分は、前記アイゼン基部を前記ハーネスに取り付けるそれぞれの基部ストラップを含み、前記前部アイゼン基部部分の前記基部ストラップのうちの少なくとも1つは、前記後部アイゼン基部部分の前記基部ストラップのうちの少なくとも1つと重なる、請求項17または18に記載のアイゼン。
【請求項20】
前記アイゼン基部は、前記クリート基部の周りに成形されている、請求項1~19のいずれか一項に記載のアイゼン。
【請求項21】
前記アイゼン基部は、第1のエラストマーを含み、前記ハーネスは、前記第1のエラストマーとは異なる第2のエラストマーを含む、請求項1~20のいずれか一項に記載のアイゼン。
【請求項22】
前記第1のエラストマーは、前記第2のエラストマーよりも耐久性がある、および/または可撓性が低い、請求項21に記載のアイゼン。
【請求項23】
アイゼンを作製する方法であって、
1つまたは複数のクリートを1つまたは複数の所定の位置に配置するステップであって、各々のクリートは、クリート基部と、前記クリート基部から延在する1つまたは複数のスパイクとを含むステップと、
各々のクリート基部が前記アイゼン基部内に完全に埋め込まれるように、前記1つまたは複数のクリートの周りにアイゼン基部を成形するステップと
を含む、方法。
【請求項24】
前記アイゼン基部を成形するステップは、
各々のクリート基部の上側に上部アイゼン基部部分を配置するステップと、
各々のクリート基部の底側に対して下部アイゼン基部部分を成形するステップと
を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記上部アイゼン基部部分は、前記下部アイゼン基部部分よりも硬い、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記アイゼン基部にハーネスを取り付けるステップをさらに含み、取り付けられると、前記アイゼン基部および前記ハーネスは、履物を受け入れるための空間を画定する、請求項2325のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
履物の下側に取り付けるためのアイゼン基部であって、前記アイゼン基部は、
前記アイゼン基部内に完全に埋め込まれたクリート基部と、
前記アイゼン基部から延在する1つまたは複数のスパイクとを有する少なくとも1つのクリートを含む、アイゼン基部。
【請求項28】
前記アイゼン基部は、前記履物の靴底に取り付けるための前部アイゼン基部部分と、前記履物の踵に取り付けるための後部アイゼン基部部分とを含む、請求項27に記載のアイゼン基部。
【請求項29】
部品のキットであって、
ハーネスと、
履物の下側に取り付けるためのアイゼン基部であって、
前記アイゼン基部内に完全に埋め込まれたクリート基部と、
前記クリート基部から延在する1つまたは複数のスパイクとを有する少なくとも1つのクリートを含む、アイゼン基部と、
ハーネスをアイゼン基部に取り付けるための1つまたは複数の締結具と
を含み、互いに取り付けられると、前記ハーネスおよび前記アイゼン基部は、前記履物を受け入れるための空間を画定する、キット。
【国際調査報告】