(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-01
(54)【発明の名称】マルチモード導波路イメージング
(51)【国際特許分類】
G01N 21/27 20060101AFI20220125BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20220125BHJP
A61B 1/07 20060101ALI20220125BHJP
【FI】
G01N21/27 A
A61B1/00 500
A61B1/07 731
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021547031
(86)(22)【出願日】2019-10-18
(85)【翻訳文提出日】2021-06-18
(86)【国際出願番号】 NL2019050686
(87)【国際公開番号】W WO2020080944
(87)【国際公開日】2020-04-23
(32)【優先日】2018-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521167730
【氏名又は名称】シュティッヒティング・フェーウー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】リューボフ・ウラジーミロフナ・アミトノファ
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス・フィッツジェラルド・デ・ブール
【テーマコード(参考)】
2G059
4C161
【Fターム(参考)】
2G059AA05
2G059BB08
2G059BB12
2G059EE02
2G059EE07
2G059EE11
2G059FF01
2G059FF03
2G059JJ07
2G059JJ17
2G059KK04
2G059MM14
4C161FF46
4C161FF47
4C161RR04
4C161RR06
(57)【要約】
イメージングシステム(100)は、その近位側(13p)で光源(20)からの入力光(Li)を受信し、画像化されるべきサンプル(S)を照明するために、その遠位側(13d)から入力光(Li)に基づく対応するスペックルパターン(Pn)を出力するように構成されたマルチモード導波路(Wm)を備える。光源(20)からの入力光(Li)をマルチモード導波路(Wm)に結合するために、シングルモード導波路(Ws)がマルチモード導波路(Wm)に接続される。マルチモード導波路(Wm)は、マルチモード導波路(Wm)への入力光(Li)の入力特性(λ、A)とスペックルパターン(Pn)の空間分布(Ixy)との間の一意の関係を維持するために、比較的短い長さ(Zm)と比較的高い曲げ剛性(R)とを有する。シングルモード導波路(Ws)は、短い剛性マルチモード導波路(Wm)の移動を可能にするために、比較的長く、柔軟(F)であり得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イメージングシステム(100)であって、
その近位側(13p)で光源(20)からの入力光(Li)を受信し、画像化されるべきサンプル(S)を照明するために、その遠位側(13d)から前記入力光(Li)に基づく対応するスペックルパターン(Pn)を出力するように構成されたマルチモード導波路(Wm)と、
前記光源(20)からの前記入力光(Li)を前記マルチモード導波路(Wm)に結合するために前記マルチモード導波路(Wm)に接続されたシングルモード導波路(Ws)と
を備え、
前記マルチモード導波路(Wm)が、前記マルチモード導波路(Wm)への前記入力光(Li)の入力特性(λ、A)と前記スペックルパターン(Pn)の空間分布(Ixy)との間の一意の関係を維持するために、比較的短い長さ(Zm)と比較的高い曲げ剛性(R)とを有し、
前記シングルモード導波路(Ws)が、前記マルチモード導波路(Wm)への前記入力光(Li)の前記入力特性(λn、An)に影響を与えることなく、前記光源(20)に対する前記短い剛性マルチモード導波路(Wm)の移動を可能にするために、前記マルチモード導波路(Wm)と比較して、比較的長い長さ(Zs)を有し、比較的柔軟(F)である、
イメージングシステム(100)。
【請求項2】
前記マルチモード導波路(Wm)への前記入力光(Li)のそれぞれの入力特性(λn、An)の所定のセットを、前記マルチモード導波路(Wm)からのスペックルパターン(Pn)のそれぞれの空間分布(Ixy)の対応するセットに関連付ける較正データ(Cn)にアクセスし、
前記所定の空間分布(Ixy)のセットに従って、異なるスペックルパターン(Pn)によって照明された前記サンプル(S)からの光信号(Ls)の空間的に分解されていない強度測定値(Mn)のセットを受信し、
前記強度測定値(Mn)と前記較正データ(Cn)とに基づいて、前記サンプル(S)の空間的に分解された画像(Sxy)を計算する
ように構成されたコントローラ(40)を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記入力特性(λn、An)の所定のセットが、前記入力光(Li)の異なる波長(λ)のセットを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記システムが、異なる波長(λ)の範囲にわたって前記入力光(Li)を生成するように構成された広帯域光源(20)を備える、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
波長(λ)の関数として前記光信号(Ls)の強度を測定するためのスペクトル分解要素(32)を有する光検出器(30)と、前記光信号(Ls)のスペクトル強度を同時に測定するための複数のセンサ要素を有する光センサ(34)とを備える、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記コントローラ(40)が、前記広帯域光源(20)の1つまたは複数のショットと、前記光信号(Ls)の前記スペクトル強度の対応する測定値とに基づいて、前記空間的に分解された画像(Sxy)を計算するように構成される、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
少なくともファイバコア(1)によって形成され、前記ファイバコア(1)の周りの第1のファイバクラッド(2)と、前記第1のファイバクラッド(2)を取り囲む第2のファイバクラッド(3)とを有するマルチクラッドファイバ(DCF)を備え、前記ファイバコア(1)が、前記入力光(Li)のための前記シングルモード導波路(Ws)を形成し、前記第1のファイバクラッド(2)が、測定された前記光信号(Ls)のための戻り経路を形成し、前記ファイバコア(1)と前記第1のファイバクラッド(2)の両方が、前記マルチモード光ファイバ(13)への前記入力光(Li)と前記マルチモード光ファイバ(13)からの前記信号光(Ls)とを結合するように接続される、請求項1から6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記マルチモード導波路(Wm)が、前記シングルモード導波路(Ws)の曲げ剛性よりも少なくとも10倍高い曲げ剛性を有し、前記マルチモード導波路(Wm)が、10センチメートル未満の比較的短い長さ(Zm)を有し、前記シングルモード導波路(Ws)が、前記マルチモード導波路(Wm)よりも少なくとも10倍長い比較的長い長さ(Zs)を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記マルチモード導波路(Wm)が、剛性マントル(13m)によって固定されて保持されたマルチモード光ファイバ(13)によって形成される、請求項1から8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記マルチモード導波路(Wm)が、中空硬膜外針内に配置される、請求項1から9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記シングルモード導波路(Ws)を形成するシングルモードファイバ(11)の出力が、マルチモード光ファイバ(13)によって形成される前記マルチモード導波路(Wm)の近位側(13p)に融合される、請求項1から10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記シングルモード導波路(Ws)の端部の位置が、異なる入力特性(An)のセットを提供するために、前記マルチモード導波路(Wm)の前記近位側(13p)に対して変化する、請求項1から11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
マルチモード導波路(Wm)への入力光(Li)の波長(λ)の所定のセットを、前記マルチモード導波路(Wm)からのスペックルパターン(Pn)のそれぞれの空間分布(Ixy)の対応するセットに関連付ける較正データ(Cn)を受信するステップと、
前記所定の空間分布(Ixy)のセットに従って、異なるスペックルパターン(Pn)によって照明されたサンプル(S)からの光信号(Ls)のスペクトル的に分解された強度測定値(Mn)のセットを受信するステップと、
前記強度測定値(Mn)と前記較正データ(Cn)とに基づいて、前記サンプル(S)の空間的に分解された画像(Sxy)を計算するステップと
を含む、方法。
【請求項14】
プログラム命令を記憶した非一時的なコンピュータ可読媒体であって、前記プログラム命令は、コンピュータによって実行されると、前記コンピュータに、請求項13に記載の方法を実行させる、非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項15】
前記空間的に分解された画像(Sxy)を計算するための前記プログラム命令が、圧縮センシング(CS)アルゴリズムを含む、請求項14に記載の媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、マルチモード導波路を介して生成されたスペックルパターンによりサンプルを照明するためのイメージングシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光学顕微鏡検査は、何世紀もの間、生物学的および医学的研究のための重要なツールであった。しかしながら、従来の光学イメージングは、通常、組織表面から数ミリメートル下までしか可能ではない。なぜならば、それよりも深い深さでは、複数の光散乱が画像を劣化させる可能性があるからである。この制約を解消するために、内視鏡検査技法が開発されてきた。内視鏡検査においては、生体組織内に挿入された小さいプローブを介して、生体内で高解像度の画像を提供することが望まれる。光学内視鏡検査は、弾性散乱、蛍光、ラマン散乱などの様々な光学的コントラストメカニズムにより、機能的または構造的なイメージングをサポートし得る。内視鏡検査は、例えば、ファイバ束、屈折率分布型(GRIN)レンズ、およびマルチモードファイバなどの小型光学プローブに基づき得る。
【0003】
ファイバ束の使用は、コア間の可能な最小距離によって規定される比較的低いイメージング解像度(約3μm)に悩まされる可能性がある。小型GRINプローブは、典型的には、よりよい空間分解能を提供するが、収差および視野制限に悩まされる可能性があり、例えば、直径1mmの典型的なGRINプローブは、約250μmのみの視野(FOV)を有する。これは、内視鏡プローブ直径を視野よりも大幅に大きくする可能性がある。マルチモードファイバベースの内視鏡は、全視野において高い分解能を提供することができるが、イメージングを再構成するために複雑な空間光変調システムの使用とマルチモードファイバの伝達マトリックスの知識とに依存する場合がある。最後に、内視鏡検査の大部分の最先端技法は、ラスタスキャンに基づき、これは、多数のピクセルに対して遅くなる。
【0004】
Rodriguez-Coboら[Proc. of SPIE Vol. 8413 84131R-1; doi: 10.1117/12.978217]は、センシング用途用のマルチモードファイバにおけるスペックル特性について説明している。説明したように、シングルモードファイバにおいて、コア直径は、比較的小さく(例えば、10μm)、光信号は、ほぼ一定の位相速度を有する。マルチモードファイバにおいて、直径は、はるかにより大きく(例えば、≧50μm)、ガイドモードは、異なる位相速度を有する。第1の場合、ファイバの出力におけるビームの投影は、典型的には、均一な光のスポットを形成するが、第2の場合、光の粒状パターンが観察される場合がある。後者は、一般に、「スペックルパターン」と呼ばれ、マルチモードファイバ内を伝播するモード間の干渉現象として理解され得る。マルチモードファイバにおいて得られたスペックル現象の特定の入力特性は、センシング技術において使用され得ることが示唆されている。
【0005】
WO2013/144898A2は、可撓性マルチモード導波路によるモードスクランブリングおよび光分散を補償するように作用する波面整形システムに依存するマルチモード導波路照明器およびイメージャについて説明している。第1のステップは、マルチモード導波路を較正することからなり、第2のステップは、導波路の遠位側において所望の光パターンを生成するために導波路の近位側において特定のパターンを投影することからなる。照明パターンは、空間光変調器によって、導波路の近位側において投影された位相パターンを変化させることによってのみ動的にスキャンまたは変更され得る。第3の最後のステップは、画像を形成するために、同じ導波路を介して、サンプルによって生成された光情報を収集することからなる。従来技術によれば、可撓性マルチモード導波路がサンプル内に挿入され、較正を適応させながら移動され得る。
【0006】
残念ながら、知られているシステムは、導波路の出力を入力において投影された位相パターンに調整するために、頻繁な再較正を必要とする場合がある。また、空間光変調器は、扱いにくい場合があり、所望の範囲の照明パターンを提供するために十分に異なる位相パターンを投影することが困難である場合がある。そのため、知られているシステムおよび方法における欠点を、それらの利点のうちの少なくともいくつかを維持しながら、軽減する必要が残っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Rodriguez-Coboら[Proc. of SPIE Vol. 8413 84131R-1; doi: 10.1117/12.978217]
【非特許文献2】E.J.Candes、J.Romberg、およびT.Tao[IEEE Trans. Inf. Theory 52, 489 (2006)]
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示のいくつかの態様は、例えば、内視鏡検査に使用される、イメージングシステムに関する。好ましくは、システムは、その近位側で光源からの入力光を受信し、画像化されるべきサンプルを照明するために、その遠位側から入力光に基づく対応するスペックルパターンを出力するように構成されたマルチモード導波路を備える。マルチモード導波路を比較的剛性に保つことによって、マルチモード導波路への入力光の入力特性とスペックルパターンの空間分布との間に一意の関係が維持され得る。マルチモード導波路を比較的短く保つことによって、扱いがより容易になり得る。例えば、光源からの入力光をマルチモード導波路に結合するために、シングルモード導波路がマルチモード導波路に接続され得る。マルチモード導波路と比較して、比較的長い長さを有し、柔軟であるシングルモード導波路を使用することによって、これは、マルチモード導波路への入力光の入力特性に影響を与えることなく、光源に対するマルチモード導波路の移動を可能にし得る。
【0010】
いくつかの態様は、マルチモードファイバにおいて生成されたスペックルパターンに基づく画像再構成に関し得る。例えば、画像再構成は、マルチモード導波路への入力光の可変波長などのそれぞれの入力特性の所定のセットを、マルチモード導波路からのスペックルパターンのそれぞれの空間分布の対応するセットと関連付ける較正データにアクセスすることを含み得る。例えば、(スペクトル)強度測定値のセットが、所定の空間分布のセットに従って、異なるスペックルパターンによって照明されたサンプルから受け取られ得る。したがって、サンプルの空間的に分解された画像は、強度測定値と較正データとに基づいて計算され得る。
【0011】
これらおよび他の態様は、内視鏡検査などの分野において様々な利点を提供し得る。例えば、本方法および本システムは、画像を再構成するために、空間光変調器などの複雑な要素、またはマルチモードファイバの伝達マトリックスの知識を必要としない、プローブの全視野における高速の回折限界イメージングを可能にし得る。いくつかの態様は、スペックルパターンのランダムな基礎を生成し、このランダムだが知られているスペックルパターンのセットでサンプルを照明するための、圧縮センシングとマルチモードファイバプローブとの組合せに関し得る。次いで、蛍光、弾性散乱、またはラマン散乱応答が収集され、この応答から画像が再構成され得る。オプションで、異なる作業距離においてシステムを較正することによって、光学的セクショニングが提供される。圧縮アルゴリズムの利点は、数千のピクセルから構成される画像を取得するために、ポイントごとのラスタスキャンと比較して、測定数を1桁減らす可能性を含み得る。その結果、内視鏡検査の従来のラスタスキャン手法のいずれよりも2桁以上速くなり得る。さらに、マルチモードファイバの伝達マトリックスの詳細な情報は、画像を再構成するために必要ない。
【0012】
圧縮イメージング内視鏡は、標準的なマルチモードファイバに基づき得、空間光変調器、高NA対物レンズ、および/または大規模なスキャン要素の使用を必要としない。したがって、安価で、単純で、かつ生物医学的用途用に容易に小型化され得る。この新しい内視鏡の空間分解能は、ファイバプローブの開口数によって決定され得、非常に高くなり得る(NA>0.8のマルチモードファイバがすでに実証されている)。視野は、ファイバプローブの直径によってのみ制限される。その単純さとコンパクトさのために、新しい内視鏡は、例えば、硬膜外麻酔中に、針の芯を通して、医療処置中のイメージングに使用され得る。
【0013】
本開示の装置、システム、および方法のこれらのおよび他の特徴、態様、および利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲、および添付の図面から、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1B】イメージングシステムのイメージングプローブヘッドを概略的に示す図である。
【
図2A】可変光入力に対応するスペックルパターンを示す図である。
【
図2B】可変光入力に対応するスペックルパターンを示す図である。
【
図3A】スペックルパターンを制御するための実施形態を示す図である。
【
図3B】スペックルパターンを制御するための実施形態を示す図である。
【
図4A】広帯域光源とマルチスペクトル光検出器とを有するイメージングシステムを示す図である。
【
図4B】入力光からの信号光を搬送および分離するマルチクラッドファイバを有するイメージングシステムを示す図である。
【
図5A】異なる波長での較正および測定を示す図である。
【
図5B】異なる波長での較正および測定を示す図である。
【
図6A】光源/信号ファイバとマルチモードファイバとの間で光を結合するための実施形態を示す図である。
【
図6B】光源/信号ファイバとマルチモードファイバとの間で光を結合するための実施形態を示す図である。
【
図6C】光源/信号ファイバとマルチモードファイバとの間で光を結合するための実施形態を示す図である。
【
図7A】マルチモード導波路が中空針に挿入され、および中空針から除去され得る実施形態を示す図である。
【
図7B】マルチモード導波路が中空針に挿入され、および中空針から除去され得る実施形態を示す図である。
【
図8A】異なるマルチモードファイバ長に対する相対波長の関数としてスペックルパターンの相互相関係数を示す図である。
【
図8B】異なるマルチモードファイバ長に対する相対波長の関数としてスペックルパターンの相互相関係数を示す図である。
【
図9】様々な測定値に基づく画像およびグラフを示す図である。
【
図10】様々な測定値に基づく画像およびグラフを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
特定の実施形態を説明するために使用される用語は、本発明を限定することを意図していない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明確に他のことを示さない限り、複数形も含むことを意図している。「および/または」という用語は、関連するリストされた項目のうちの1つまたは複数のあらゆる組合せを含む。「備える」および/または「備えている」という用語は、述べられた特徴の存在を指定するが、1つまたは複数の他の特徴の存在または追加を排除しないことが理解されよう。方法の特定のステップが別のステップの後続と呼ばれる場合、別段の指定がない限り、それは、前記他のステップに直接続くことができ、または1つもしくは複数の中間ステップが特定のステップを実行する前に実行され得ることがさらに理解されよう。同様に、構造または構成要素間の接続について説明されている場合、この接続は、別段の指定がない限り、直接または中間の構造もしくは構成要素を介して確立され得ることが理解されよう。
【0016】
本発明について、本発明の実施形態が示されている添付図面を参照して以下により完全に説明する。図面において、システム、構成要素、層、および領域の絶対サイズおよび相対サイズは、明確にするために誇張されている場合がある。実施形態について、本発明のおそらく理想化された実施形態および中間構造の概略図および/または断面図を参照して説明する場合がある。説明および図面において、同様の番号は、全体を通して同様の要素を指す。相対的な用語およびその派生語は、その時点で説明されている向き、または議論の対象となっている図面に示されている向きを指すように解釈されるべきである。これらの相対的な用語は、説明の便宜のためのものであり、特に明記されていない限り、システムが特定の方向において構築または動作されることを必要としない。
【0017】
図1Aは、イメージングシステム100を示す。
図1Bは、イメージングシステム100のイメージングプローブヘッド10aを概略的に示す。
【0018】
いくつかの実施形態において、例えば図示のように、システムは、マルチモード導波路「Wm」を備える。マルチモード導波路は、その近位側13pで例えば光源20からの入力光「Li」を受信し、その遠位側13dから入力光「Li」に基づく対応するスペックルパターン「Pn」を出力するように構成され得る。スペックルパターンは、画像化されるべきサンプル「S」を照明するために使用され得る。理論に縛られることなく、スペックルパターンは、一般に、波面のセットの相互干渉によって生成される強度パターンとして理解される。例えば、マルチモード導波路を通過する光は、異なるモード間の干渉(モード干渉)を経験する可能性がある。
【0019】
典型的には、その名の通り、シングルモードのみが存在するので、すなわち、シングルモード導波路は、好ましくは1つのモードのみを伝送するように構成されるので、典型的には、マルチモード干渉は、シングルモードファイバでは発生しない。原理的には、入力光のシングルモードをサポートするように構成された任意の導波路が、シングルモード導波路とみなされ得る。シングルモードまたはローモードの導波路は、原理的には、例えば大きく異なる波長における追加のモードを許可し得るが、システムまたは光源は、光がマルチモード導波路に入る前に、制御されていないモード干渉を防ぐために、好ましくは、測定では好ましいシングルモードのみを使用するように構成される。
【0020】
好ましくは、マルチモード導波路「Wm」は、マルチモード導波路「Wm」への入力光「Li」の入力特性とスペックルパターン「Pn」の空間分布「Ixy」との間の一意の関係を維持するために、比較的短い長さ「Zm」および/または比較的高い曲げ剛性「R」とを有する。例えば、入力特性は、光の波長「λn」および/またはマルチモード導波路に入る入力光の空間分布「An」を含み得る。
【0021】
いくつかの実施形態において、例えば、図示のように、システムは、光源20からの入力光「Li」をマルチモード導波路「Wm」に結合するためにマルチモード導波路「Wm」に接続されたシングルモード導波路「Ws」を備える。好ましくは、シングルモード導波路「Ws」は、(マルチモード導波路「Wm」と比較して)比較的長い長さ「Zs」を有し、および/または比較的柔軟Fである。これは、マルチモード導波路「Wm」への入力光「Li」の入力特性に影響を与えることなく、光源20に対する短い剛性のマルチモード導波路「Wm」の移動を可能にし得る。
【0022】
いくつかの実施形態において、マルチモード導波路「Wm」は、例えば、少なくとも2倍、3倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍、またはそれよりも大きい倍率で、シングルモード導波路「Ws」の曲げ剛性よりもはるかに高い曲げ剛性を有する。マルチモード導波路「Wm」の剛性が高いほど、入力光「Li」と対応するスペックルパターン「Pn」との間の相関性が良好に維持される。シングルモード導波路「Ws」の可撓性が高いほど、マルチモード導波路「Wm」によって形成された剛性の端部の周りを自由に移動することが容易になる。
【0023】
好ましい実施形態において、例えば、図示のように、マルチモード導波路「Wm」は、マルチモード光ファイバ13によって形成される。いくつかの実施形態において、マルチモード光ファイバは、剛性マントル13mによって固定されて保持され得る。マントル13mは、そうでなければ入力光「Li」の入力特性と対応するスペックルパターン「Pn」との間の相関性を破壊する可能性があるマルチモード導波路「Wm」の任意の曲げを実質的に防止するための高い曲げ剛性「R」を提供し得る。別のまたはさらなる好ましい実施形態において、シングルモード導波路「Ws」は、シングルモード光ファイバ11を備える。典型的には、シングルモード光ファイバ11は、図示のように、剛性マントル13mから実質的に含まなくてもよい。
【0024】
いくつかの実施形態において、剛性マルチモード導波路「Wm」は、シングルモード導波路「Ws」によって提供される可撓性接続を介して、システムの残りの部分、例えば、光源20および/または検出器30に接続されるか、または接続可能なイメージングプローブヘッド10aを形成する。好ましくは、サンプル「S」から戻ってくる信号光「Ls」は、(可撓性)マルチモード導波路を介して検出器30に導かれる。これは、
図1Aに示すように、サンプル位置の近くの別個のファイバ12であり得る。より好ましくは、光を後ろに導く可撓性マルチモード導波路は、例えば、1つもしくは複数の隣接する接続されたファイバ(束)として、またはより好ましくは(例えば、
図4Bおよび
図6Cに示す)ダブル(またはマルチ)クラッドファイバを形成するためにシングルモードファイバを囲むマントルとして、可撓性マルチモード導波路と統合される。
【0025】
一実施形態において、マルチモード導波路「Wm」は、20センチメートル未満、好ましくは1センチメートルと15センチメートルとの間、より好ましくは2センチメートルと10センチメートルとの間、最も好ましくは3センチメートルと7センチメートルとの間の比較的短い長さ「Zm」を有する。いくつかの実施形態において、マルチモード導波路「Wm」の遠位側13dは、典型的な滑らかなファイバファセットの代わりに、粗面化された散乱面によって形成される。ファイバ出力ファセットを粗面化することは、相関性のないスペックルパターンの生成をさらに改善し得る。例えば、これは、比較的短いマルチモード導波路を使用しても、入力における波長の最小限の変動が異なるスペックルパターンを生成することを可能にし得る。代替的に、または加えて、入力における波長の大きい変動は、例えば、5センチメートル未満、1センチメートル未満、または1ミリメートル未満ですらある、非常に短いマルチモード導波路を可能にし得る。好ましくは、剛性マルチモード導波路「Wm」は、狭い空間内での取り扱いをより容易にするために可能な限り短いが、異なる入力特性の範囲に対して十分に異なるスペックルパターンを依然として提供する。シングルモード導波路「Ws」の長さ「Zs」は、マルチモード導波路「Wm」の長さ「Zm」よりもはるかに長くすることができ、例えば、少なくとも2倍、3倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍、またはそれ以上長くすることができる。例えば、シングルモード導波路「Ws」は、1メートルまたは数メートルの長さであり得る。
【0026】
一実施形態において、例えば、図示のように、システムは、入力光「Li」を生成するために光源20を備える。図示のように、シングルモード導波路「Ws」は、光源20とマルチモード導波路「Wm」との間の光路において、光源20の固定出力に接続され得る。別のまたはさらなる実施形態において、例えば、図示のように、システムは、スペックルパターン「Pn」による照明から生じるサンプル「S」からの光信号「Ls」の強度測定値「Mn」を決定するように構成された光検出器30を備える。強度測定値「Mn」は、空間的に分解される必要がないので、光信号「Ls」は、同じまたは別個の導波路を介して容易に伝送され得ることが理解されよう。いくつかの好ましい実施形態において、システムは、入力光「Li」を光源20からサンプル「S」に伝送するため、および/または信号光「Ls」をサンプル「S」から光検出器30に伝送するために、それぞれの導波路を形成する光ファイバ11、12、13を備える。
【0027】
一実施形態において、シングルモード導波路「Ws」は、シングルモード導波路直径「Ds」を有するシングルモード光ファイバ11によって形成され、マルチモード導波路「Wm」は、マルチモード導波路直径「Dm」を有するマルチモード光ファイバ13によって形成される。典型的には、マルチモード導波路直径「Dm」は、シングルモード導波路直径「Ds」よりも大きく、例えば、少なくとも2倍、少なくとも3倍、4倍、5倍、例えば、最大で10倍以上大きい。
【0028】
一実施形態において、例えば、図示のように、システムは、コントローラ40を備える。いくつかの実施形態において、コントローラは、較正データ「Cn」にアクセスするように構成および/またはプログラムされ得る。例えば、較正データは、コントローラ40の一部であるか、または他の方法でコントローラ40にアクセス可能であり得るコンピュータ可読媒体上に記憶され得る。いくつかの実施形態において、較正データは、マルチモード導波路「Wm」への入力光「Li」のそれぞれの入力特性λn、Anの所定のセットと、マルチモード導波路「Wm」からのスペックルパターン「Pn」のそれぞれの空間分布Ixyの対応するセットとの間の関係を提供し得る。他のまたはさらなる実施形態において、同じまたは他のコントローラは、所定の空間分布Ixyのセットに従って、異なるスペックルパターン「Pn」によって照明されたサンプル「S」からの光信号「Ls」の空間的に分解されていない強度測定値「Mn」のセットを受信し得る。他のまたはさらなる実施形態において、同じまたは他のコントローラは、強度測定値「Mn」と較正データ「Cn」とに基づいて、サンプル「S」の空間的に分解された画像「Sxy」を計算し得る。例えば、本明細書で説明するように、圧縮センシングアルゴリズムおよび/またはニューラルネットワークが使用され得る。
【0029】
本開示のいくつかの態様は、方法として具体化され得る。いくつかの実施形態において、方法は、マルチモード導波路「Wm」への入力光「Li」の波長「λ」または空間分布「A」のセットを、マルチモード導波路「Wm」からのスペックルパターン「Pn」のそれぞれの空間分布Ixyの対応するセットに関連付ける較正データ「Cn」を受信するステップを含む。他のまたはさらなる実施形態において、方法は、所定の空間分布Ixyのセットに従って異なるスペックルパターン「Pn」によって照明されたサンプル「S」からの光信号「Ls」のスペクトル的に分解された強度測定値「Mn」のセットを受信するステップを含む。
【0030】
いくつかの実施形態において、方法は、強度測定値「Mn」と較正データ「Cn」とに基づいて、サンプル「S」の空間的に分解された画像「Sxy」を計算するステップを含む。方法は、例えば、剛性マルチモード導波路「Wm」と組み合わせて実行され得る。代替的には、方法は、較正がまだ有効である限り、例えば、マルチモード導波路「Wm」が、較正と測定値との間で実質的に曲げられない限り、および/または同じ構成を有するように曲げ戻される(例えば、同じ剛性マントル13mに挿入され戻される)限り、可撓性マルチモード導波路「Wm」と組み合わせて使用され得る。
【0031】
好ましい実施形態において、空間的に分解された画像「Sxy」の計算は、再構成されるべき画像のスパース性特性を使用する圧縮センシング(CS)アルゴリズムの適用を含み、例えば、再構成された画像は、あるベースにおいて(典型的にはウェーブレットベースにおいて)スパースであるべきである。これは、イメージングならびに事前較正の速度を大幅に(10倍以上)向上させ、これは、任意のライフサイエンスおよび医療用途において重要である。アルゴリズムおよび/または較正などのいくつかの態様は、非一時的なコンピュータ可読媒体としても具体化され得る。例えば、媒体は、コンピュータによって実行および/またはアクセスされると、コンピュータに、本明細書で説明した方法を実行させ、および/または説明したイメージングシステムの少なくとも一部(例えば、コントローラ40)を形成させるプログラム命令またはデータを記憶し得る。
【0032】
また、画像を再構成するためにニューラルネットワークなどの他の関数またはアルゴリズムが使用され得る。例えば、ニューラルネットワークを訓練するために、知られている光入力およびスペックルパターン出力のセットが使用され得る。ある意味では、訓練されたニューラルネットワークの係数、例えば、重みが、画像が係数に基づいて計算される較正データとして機能し得る。原理的には、ネットワークはまた、例えば再構成されるべき画像においてなんらかの制約があると仮定して、検出器における知られている光入力および測定信号のみを使用して訓練(または再訓練)され得る。例えば、検出器における知られている光入力および対応する信号測定値は、(深層学習)ニューラルネットワークに入力され得、そこで、制約からの逸脱が訓練におけるエラーまたはペナルティとして使用される。例えば、再構成されるべき画像が完全にランダムではないと仮定される場合、画像制約は、再構成された画像の圧縮率またはエントロピーを含み得る。いくつかの実施形態において、訓練は、連続的であり得、例えば、実際の測定を実行している間、ネットワークは、最新の測定値のセットを使用して訓練される。
【0033】
図2Aおよび
図2Bは、マルチモード導波路の近位側において受けられた可能な可変光入力Li、およびマルチモード導波路の遠位側における異なるスペックルパターン「Pn」を形成する対応する光出力のいくつかを示す。
【0034】
いくつかの実施形態において、例えば、
図2Aに示すように、入力特性の所定のセットは、入力光「Li」の異なる波長「λ」のセットを含む。いくつかの実施形態において、コントローラは、制御された入力特性「λ」および/または「A」を遠位側13dからの対応するスペックルパターン「Pn」の空間分布「Ixy」に一意に関連付けるために、マルチモード導波路「Wm」の近位側への入力光「Li」の入力特性「λ」および/または「A」を再現可能に制御するように構成される。例えば、コントローラは、マルチモード導波路「Wm」の近位側13pにおける入力光「Li」の異なる波長「λN」のセットを順次生成するように光源20を制御するように構成される。光源の制御は、比較的容易であり得、例えば、マイクロミラーなどのいかなる機械的要素も必要としないことが理解されよう。いくつかの実施形態において、較正データは、異なる波長に対する測定信号の正規化を含み得る。例えば、蛍光測定値において、サンプルからの蛍光の量は、入力光の波長に依存し得る。他のタイプの測定値、例えば、弾性散乱において、反射量に対する異なる波長の影響は、無視でき得る。
【0035】
他のまたはさらなる実施形態において、例えば、
図2Bに示すように、入力特性の所定のセットは、マルチモード導波路「Wm」の近位側13pへの入力光「Li」の異なる空間分布Anのセットを含む。例えば、コントローラは、マルチモード導波路「Wm」の近位側13pにおける入力光「Li」の異なる空間分布Anのセットを順次生成するように構成される。異なる波長および空間分布の組合せが可能である。入力光「Li」の入力特性の他の変形、例えば、異なる偏光、位相、角度などが想定され得る。
【0036】
図3Aおよび
図3Bは、マルチモード導波路「Ws」において生成されたスペックルパターン「Pn」を制御するための実施形態を示す。
【0037】
一実施形態において、
図3Aに示すように、シングルモード導波路「Ws」を形成するシングルモードファイバ11の出力は、マルチモード光ファイバ13によって形成されるマルチモード導波路「Wm」の近位側13pに融合される。これは、入力光「Li」がマルチモード導波路「Wm」に入る位置および/または角度を固定し得る。この実施形態は、例えば、入力光「Li」の可変波長「λ」と組み合わされ得る。好ましくは、マルチモード導波路「Wm」を形成する材料の屈折率は、シングルモード導波路「Ws」の屈折率と同じかまたは類似しており、例えば、10パーセント以内、好ましくは5または1パーセント以内、最も好ましくは同じ材料である。屈折率が類似しているほど、シングルモード導波路「Ws」とマルチモード導波路「Wm」との間の界面においてより少ない反射が発生する可能性がある。
【0038】
別のまたはさらなる実施形態において、シングルモード導波路「Ws」、例えば光ファイバの端部の位置は、異なる入力特性「An」のセットを提供するために、マルチモード導波路「Wm」の近位側13pに対して変化する。例えば、ファイバ端部は、例えば、マイクロモータによって、回転、往復運動、および/または振動される。代替的に、または加えて、シングルモード導波路「Ws」からの光は、(例えば、
図6Cに示す)入力特性「An」を同様に制御し得る光学素子、例えば、マイクロミラーを介して通過し得る。光源ファイバ11からマルチモード光ファイバ13に発せられる光スポットの異なる位置間の好ましいステップは、光源の波長「λ」および/またはマルチモード導波路「Wm」の開口数に依存し得る。十分に異なる(無相関の)スペックルパターンを作成するために、好ましくは、ステップは、少なくともλ/2NAである。
【0039】
図4Aは、広帯域光源20とマルチスペクトル光検出器30とを使用する実施形態を示す。
【0040】
いくつかの実施形態において、例えば、図示のように、システムは、異なる波長「λ」の範囲にわたって入力光「Li」を生成するように構成された広帯域光源20を備える。他のまたはさらなる実施形態において、システムは、波長「λ」の関数として光信号「Ls」の強度を測定するためのスペクトル分解要素32を有する光検出器30を備える。他のまたはさらなる実施形態において、光検出器30は、光信号「Ls」のスペクトル強度を同時に測定するための複数のセンサ要素を有する光センサ34を備える。
【0041】
好ましい実施形態において、コントローラは、広帯域光源20の1つまたは複数のショットと、光信号「Ls」のスペクトル強度の対応する測定値とに基づいて、空間的に分解された画像を計算するように構成される。これは、非常に高速な画像取得を可能にし、本質的に、測定されたスペクトル強度のセットが、スペクトル成分を対応するスペックルパターンのそれぞれの空間分布にリンクする較正データを使用して、空間画像に変換されることが理解されよう。場合によっては、入力光「Li」の強度は、異なる波長に対して変化する場合があり、その波長における対応する光信号「Ls」は、それに応じて正規化され得る。例えば、入力光「Li」(の一部)のスペクトルは、オプションで同じ光検出器30を使用して、正規化のために同時にまたは順次に測定される。広帯域の光のショットを使用する代わりに、光源20は、入力光「Li」の波長をスキャンするように制御され得る。これは、光検出器30を単純化し得、例えば、スペクトル分解要素32を不要にし、単一の光強度センサのみを必要とする。
【0042】
いくつかの実施形態において、例えば、
図4Aに示すように、入力光「Li」は、半透明ミラー「STM」を使用して戻り光信号「Ls」から分離される。例えば、半透明ミラーTMは、光の50%を通過させ得る。光信号「Ls」が入力光「Li」と実質的に異なる波長を有するいくつかの用途について、光をより効率的に分離するために、ダイクロイックミラーが使用され得る。例えば、これは、蛍光測定に適用可能である場合がある。
【0043】
図4Bは、入力光「Li」からの戻り信号光「Ls」を搬送および分離するためにマルチクラッドファイバを用いる実施形態を示す。好ましい実施形態において、例えば、図示のように、シングルモード導波路「Ws」は、マルチクラッドファイバ、例えば、ダブルクラッドファイバ「DCF」の一部である。最も好ましくは、マルチクラッドファイバは、
図4Aに示すような広帯域光源と組み合わせて適用され、例えば、入力光「Li」および結果として生じる光信号「Ls」の容易な分離を、特に、これらが同じまたは類似した波長を有し得る場合、可能にする。
【0044】
いくつかの実施形態において、システムは、少なくとも、ファイバコア1によって形成され、ファイバコア1の周りの第1のファイバクラッド2と、第1のファイバクラッド2を取り囲む第2のファイバクラッド3とを有するマルチクラッドファイバを備える。有利には、ファイバコア1は、入力光「Li」のためのシングルモード導波路「Ws」を形成し得、第1のファイバクラッド2は、測定された光信号「Ls」のための戻り経路を形成し得る。一実施形態において、例えば、図示のように、ファイバコア1と第1のファイバクラッド2の両方は、マルチモード光ファイバ13への入力光「Li」とマルチモード光ファイバ13からの信号光「Ls」とを結合するように接続される。例えば、第1のファイバクラッド2は、ダブルクラッドファイバDCFの外側クラッドを形成する第2のファイバクラッド3によって囲まれたダブルクラッドファイバの内側クラッドを形成する。
【0045】
好ましい実施形態において、システムは、ファイバカプラ15を備えているので、光信号「Ls」から入力光「Li」を分離する。一実施形態において、例えば、図示のように、ファイバカプラ15は、非対称マルチクラッドファイバカプラである。例えば、ファイバコア1は、光源(ここでは図示せず)に接続された光源ファイバ11と、イメージングプローブヘッド10aにおけるマルチモード光ファイバ13との間のカプラ15を通って延在する。例えば、第1のファイバクラッド2は、光検出器(ここでは図示せず)に接続された信号ファイバ12と融合される。例えば、第1のファイバクラッド2は、照明されたサンプル領域Sからマルチモード光ファイバ13を介して信号光「Ls」を収集し、収集された信号光「Ls」の少なくとも一部をファイバカプラ15を介して信号ファイバ12に伝送するように構成される。
【0046】
図5Aおよび
図5Bは、それぞれ、入力光「Li」の異なる波長がスキャンされる、または広帯域ショットとして適用される較正および測定を示す。両方の実施形態について、較正データ「Cn」は、例えば、光源の波長「λ」をスキャンし、例えば、カメラまたはピクセルアレイを使用して対応するスペックルパターン「Pn」を測定することによって取得され得る。次いで、測定が行われ得る。
図5Aの実施形態について、測定は、波長スキャンを繰り返し、対応する光信号「Ls」の一連の強度を測定することを単に含み得る。空間的に分解された「Sxy」は、次いで、例えば、最適化問題、例えば、圧縮センシングアルゴリズムを解くことから再構成され得る。
図5Bの実施形態は、同様の計算を使用し得るが、すべてのスペクトル強度が同時に測定される。同様の較正および再構成は、他のタイプの入力特性に対しても実行され得る。
【0047】
好ましい実施形態において、画像再構成は、圧縮センシング(圧縮サンプリングまたはスパースサンプリングとしても知られる)を使用する。これは、劣決定線形システムへの解を見つけることによって、信号を効率的に取得および再構成するための信号処理技法とみなされ得る。最適化により、信号のスパース性は、シャノン-ナイキストサンプリング定理によって必要とされるよりもはるかに少ないサンプルから信号を復元するために利用され得る。復元のための1つの条件は、「スパース性」と呼ばれる場合がある。例えば、これは、信号がある領域においてスパースである場合、達成され得る。別の条件は、スパース信号に対して十分な等長性によって適用される「非干渉性」と呼ばれる場合がある。
【0048】
図6A~
図6Cは、光源/信号ファイバ11、12とマルチモードファイバ13との間で光を結合するための様々な実施形態を示す。
【0049】
好ましい実施形態において、光信号「Ls」を返すための信号ファイバ12も、スペックルパターン「Pn」を生成するマルチモード光ファイバ13と比較して同じまたは異なる、例えば、より小さい直径を有するマルチモードファイバである。いくつかの実施形態において、シングルモード光源ファイバ11および戻り信号ファイバ12は、単一の束を形成する。これは、単一の束のみが取り付けられた状態でイメージングプローブヘッド10aを移動させることを可能にし得る。いくつかの実施形態において、光源ファイバ11および信号ファイバ12は、両方とも、マルチモード光ファイバ13を収容する剛性マントル13mによって形成されたプローブヘッド10aに接続される。いくつかの実施形態において、信号ファイバ12は、サンプルと直接接触する。
【0050】
いくつかの実施形態において、剛性マントル13mは、さらなる光学構成要素、例えば、ミラー(
図6Bおよび
図6Cに示す)および/またはレンズ(図示せず)を収容し得る。例えば、小型の微細加工された微小電気機械システム(MEMS)が使用され得る。いくつかの実施形態において、例えば、
図6Aに示すように、光源ファイバ11のファイバ端部は、剛性マントル13m内に収容され得るマイクロモータ(図示せず)によって移動され得る。いくつかの実施形態において、例えば、
図6Bに示すように、イメージングプローブヘッド10aは、光信号「Ls」を有する光路から入力光「Li」を有する光路を分離するために、半透明ミラーおよび/またはダイクロイックミラーを備え得る。偏光子などの他の要素も使用され得る。いくつかの実施形態において、往復ミラーが入力光「Li」の入力特性Aを制御している間、光源ファイバおよび信号ファイバ11、12の端部は、静止状態に保たれ得る。もちろん、要素の異なる組合せを使用して、本明細書で説明した実施形態の多くの変形例が想定され得る。
【0051】
図7Aおよび
図7Bは、マルチモード導波路「Wm」が中空針内に挿入され得る実施形態を示す。例えば、導波路「Wm」は、針と一体化されるか、または針から分離され得る。一実施形態において、針がサンプル「S」に挿入されている間、針の先端において光の画像を提供するためにイメージングシステムが使用される。これは、例えば、皮下注射針の配置を助け得る。いくつかの実施形態において、マルチモード導波路「Wm」は、中空針から除去され得るので、針は、サンプル内への流体、例えば、薬および/または麻酔薬の投与のために接続され得る。
【0052】
一実施形態において、中空針は、マルチモード導波路「Wm」にその剛性を貸す剛性マントル13mを実質的に形成し得る。別のまたはさらなる実施形態において、マルチモード導波路「Wm」は、針がなくてもそれ自体比較的剛性であり得るので、ファイバが針から除去されても、較正は、影響を受けない。好ましくは、針および/または導波路は、角度αで、例えば、30度と70度との間で、好ましくは45度で配置されたファセットを備える。他の実施形態において、角度はより小さくてもよく、または角度がない(αは、ゼロ度に等しい)。
【0053】
図8Aおよび
図8Bは、異なるマルチモードファイバ長Zmに対する相対波長「λ」の関数としてスペックルパターンの相互相関係数を示す。好ましくは、スペックルパターンのセットは、例えば、0.5未満、0.2未満、または0.1未満の係数「r」を有する、(可能な限り)互いに無相関である擬似ランダム変数空間分布Ixyを備える。この場合、スペックルパターンの適切な無相関性は、MMファイバ長「Zm」=11cmに対して0.2nmシフトにおいて発生し、MMファイバ長「Zm」=6cmに対して0.4nmシフトにおいて発生し得る。したがって、異なるスペックルパターンを達成するための波長「λ」におけるシフトは、比較的小さい可能性がある。スペックルパターンがより無相関であるほど、画像を再構成するためにより少ないパターンが必要とされる可能性がある。
【0054】
本開示は、圧縮マルチモードファイバイメージングなどのフィールド内視鏡検査において様々な利点を提供し得ることが理解されよう。本明細書で説明したように、マルチモードファイバにおいて生成されたスペックルパターンは、圧縮センシングのための優れた基礎を表し得る。したがって、ファイバプローブを介した高分解能の圧縮イメージングが、内視鏡検査への標準的なラスタスキャン手法に必要とされるよりもはるかに少ない測定総数で可能になり得る。さらに、マルチモードファイバの固有の光学的セクショニングは、圧縮センシングの問題を解消するのに役立つことができ、バルク構造のイメージングに使用され得ることが理解されよう。圧縮マルチモードファイバイメージングは、本明細書で説明したように、複雑な波面整形に依存せず、事前較正およびイメージング速度を大幅に向上させることができ、内視鏡検査に利点をもたらす。
【0055】
内視鏡検査は、生きている動物内の深部組織への低侵襲光学的アクセスのための重要な技術である。高度に散乱する材料における光制御の方法である複雑な波面整形の出現によって、内視鏡検査における新たな道が開かれる可能性がある。波面整形は、標準的なマルチモードファイバプローブのイメージングデバイスとしての使用を可能にする。そのため、マルチモードファイバは、例えば、生体内の内視鏡検査のための有望なツールとみなされ得る。マルチモードファイバイメージングの空間分解能は、ファイバプローブの開口数によって決定され得、従来のファイバ束内視鏡の分解能よりもはるかに優れている可能性がある。さらに、ステップインデックスマルチモードファイバは、同じ直径を有するファイバ束、GRINレンズ、またはマルチコアファイバよりもはるかに多くのモード数をサポートし得る。そのため、マルチモードファイバは、より高密度で情報を伝送することができる。
【0056】
マルチモードファイバベースのイメージングシステムは、従来の走査型蛍光顕微鏡のアイデアを活用し得る。したがって、ファイバ出力ファセット上のオブジェクトは、波面整形による事前較正手順中に作成された焦点を用いて各画像ピクセルを順次スキャンすることによって再構成される。各ピクセルに関する全蛍光信号が収集され、同じファイバを介してレジストレーションシステムに戻される。
【0057】
しかしながら、最先端のマルチモードファイバ内視鏡検査は、依然として制限を有する場合がある。第1に、典型的には、ガルボミラーシステムが、はるかにより低速の空間光変調器(SLM)によって置き換えられるので、イメージングプロセスは、標準的な走査型顕微鏡におけるよりも時間がかかる場合がある。サンプリングレートは、所望の空間分解能によって決定される場合があり、ナイキスト基準に従わなければならない。結果として、フレームごとにN≒2Nmodesの測定値が必要とされ、ここで、Nは、オブジェクト画像内のピクセルの総数であり、Nmodesは、ファイバガイドモードの総数である。第2に、事前較正ステップは、取得されるべき多数のカメラフレームを必要とする場合がある。単一の偏光入力状態での収差のないイメージングのために、SLM上のセグメント数は、好ましくはNmodes/2以上である。結果として、波面整形のためにセグメントごとに少なくとも3つの位相ステップが必要になるので、事前較正測定の数は、典型的には、N1≧1.5Nmodesとなる。最後に、典型的なマルチモードファイバ内視鏡検査は、従来の顕微鏡検査では一般的ではない複雑で高価なデバイスであるSLMの使用に依存する場合がある。
【0058】
本開示の態様は、マルチモードファイバ内視鏡検査の新しい概念、すなわち圧縮マルチモードファイバイメージングを提供する。この手法は、はるかにより高速な高分解能イメージングを提供し得、複雑な波面整形セットアップと高価なSLMとを必要としない。いくつかの実施形態において、圧縮センシング手法は、マルチモードファイバ内視鏡と組み合わされ得、マルチモードファイバ内視鏡は、スペックルパターンのランダムな基礎を生成し、蛍光応答を収集し、バルクサンプルの場合にはバックグラウンドを除去することによって光学的セクショニングを提供する。
【0059】
圧縮センシングは、データ取得における一般的な考え方に反する新しいイメージングパラダイムである。これは、ほとんどの画像が「スパース性」と呼ばれる数学的特性を有するという事実に依存している。このアイデアは、JPEG-2000などの最新の不可逆コーデックの根底にある。圧縮イメージングは、信号取得段階においてすでにそのような圧縮を実施し得る。圧縮において破棄される画像データは、決して測定されることもなく、イメージングプロセスの大幅な高速化をもたらす。
【0060】
図9は、蛍光球のマルチモードファイバベースのイメージングの例示的な実験を示す。(a)参照明視野カメラ画像。(b)波面整形を介するマルチモードファイバを介するラスタスキャン蛍光イメージング。(c~d)圧縮マルチモードファイバイメージング。(c)バックグラウンド減算後の3つの測定値にわたって平均化された生データ、および(d)l
1最小化問題の解としてよく知られた手順を使用して取得された画像。スケールバーは、5μmである。
【0061】
測定の第1のセットにおいて、ファイバ出力上に強く集束されたスポットを作成するために、複雑な波面整形アルゴリズムが使用された。最適化手順に必要な時間は、様々なポイントの同時の最適化のために必要なカメラのフレームレートによって制限された。本発明者らの実験において、本発明者らは、高速度カメラを使用し、全体の最適化には、2700フレームおよび7.8秒かかった。作成された焦点の半値全幅(FWHM)は、1.14±0.07μmであり、ファイバプローブ(1.2μm)の回折限界と完全に一致した。出力ファイバファセット上の異なる位置における焦点に対応する位相マスクが計算され、記憶された。
【0062】
波面整形手順の後、サンプルは、マルチモードファイバの出力ファセットに対して配置された。カメラは、参照用に
図9(a)内に提示されたサンプルの明視野画像を記録するために使用された。その後、事前較正部分は、使用されなかった。サンプル画像は、記録された位相マスクを順次適用し、全蛍光信号を検出することによって、内視鏡検査構成において取得された。結果として、サンプルのピクセルごとの画像が再構成された。結果を
図10(b)に提示する。図示のように、
図9(a)内の明視野参照サンプル画像と、
図9(b)内のMMファイバを介して記録された画像との間には、優れた一致がある。
【0063】
実験の第2のセットにおいて、本発明者らは、MMファイバイメージングへの圧縮センシング手法を実施した。ここで説明する実施形態において、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)が、振幅変調のためだけに提供された。もちろん、入力を変化させる他の方法も、本明細書で説明したように使用され得る。一実施形態において、異なる入力パターン(例えば、ファイバ入力ファセット上の異なる焦点位置および/または異なる入力波長)に対するマルチモードファイバの出力ファセット上のスペックルパターンの記録を含む事前較正手順が使用された。事前較正中、各スペックルパターンに対応するバックグラウンド信号も記録され得る。圧縮内視鏡検査のための事前較正手順は、追加の計算を必要とせず、したがって、ラスタスキャンマルチモードファイバ内視鏡検査に必要とされるよりも簡単であり得ることが理解されよう。
【0064】
事前較正後、サンプルは、マルチモードファイバの出力ファセットに対して配置され、セットアップの較正部分は、除去され得る。サンプル画像は、較正手順中と同じ位相マスクを順次適用し、全蛍光信号を検出することによって、内視鏡検査構成において取得された。バックグラウンド減算後の3つの測定値にわたって平均化された生データの例を
図9(c)に提示する。エラーバーは、標準偏差を表す。信号対雑音比は、≒6と推定された。ノイズは、画像領域全体にわたるポンプ強度の再分布のため、ラスタスキャン内視鏡検査と比較してバックグラウンドに近づく蛍光信号の低いレベルによって主に説明される。はるかにより小さいダイナミックレンジも役割を果たす。低い信号レベルおよび少数の測定値にもかかわらず、画像は、非常によく復元され得る。
【0065】
いくつかの実施形態において、本明細書で使用するように、画像を取得するために、E.J.Candes、J.Romberg、およびT.Tao[IEEE Trans. Inf. Theory 52, 489 (2006)]によって説明されているような手順が使用され得る。例えば、画像取得は、l
1最小化問題に対する解を計算することを含み得る。例えば、Stanford.eduからのオープンソフトウェアアルゴリズム「l
1magic」が使用され得る。いくつかの実施形態において、計算の速度を向上させるために、参照スペックルパターンの分解能は、人為的に低減され得る。実験において、平均計算時間は、50×50ピクセル画像について20秒であり、100×100ピクセル画像について8分であった。計算は、カスタムアルゴリズムを使用して標準的なオフィスPC上で行われた。取得された画像を
図9(d)に示す。標準的なマルチモードファイバイメージングおよび新規の圧縮内視鏡検査は、回折限界の分解能でマイクロメートルサイズの球の画像を提供することが理解されよう。断面のFWHMは、標準的な内視鏡検査について1.3±0.2μmであり、圧縮内視鏡検査について1.4±0.2μmである。
【0066】
圧縮内視鏡検査のイメージング速度は、いくつかの理由によりはるかにより高速である。第1に、選択されたファイバプローブを介して高解像度画像を再構成するために、より少ない測定値が必要とされ、例えば、実験では150である。そのため、イメージング速度を向上させ(ここでは23倍)、事前較正の速度を向上させ得る(ここでは18倍)。第2に、イメージング速度は、空間光変調器の速度によって制限されない。圧縮内視鏡検査において、例えば、高速ガルボミラーシステムおよび/またはシングルモードファイバの共鳴スキャンおよび/または波長変動が使用され得る。これは、イメージング速度を1フレームあたり数ミリ秒までさらに向上させることを可能にする。これは、高速電位感受性色素を用いたニューロン活動のイメージングなどの多くの用途に使用され得る。
【0067】
理論に縛られることなく、擬似ランダムパターンは、典型的には、自然画像がスパースな表現を有する一般的な数学的基盤とは強く無相関であるので、圧縮センシングにおいて、擬似ランダムパターン使用され得ることが理解されよう。擬似ランダム照明パターンを作成するために、例えば、空間光変調器またはランダムな散乱サンプルが利用され得る。好ましい実施形態において、本明細書で説明したように、スペックルパターンがマルチモードファイバによって生成される。他のまたはさらなる実施形態において、他のタイプの散乱媒体も使用され得る。
【0068】
マルチモードファイバのスペックルパターンの特性を分析するために、記録されたパターンの総数に対する2つのランダム照明パターン間の相関係数rは、例えば、以下の式
【0069】
【0070】
を使用して計算され得、ここで、aおよびbは、マルチモードファイバの出力ファセット上のスペックルの画像であり、
【0071】
【0072】
および
【0073】
【0074】
は、それらの平均であった。
【0075】
図10(a)は、合計255パターンについてMMファイバにおいて生成された異なるスペックルパターン「Np」の相互相関係数を示す。
【0076】
合計255のスペックルパターンは、入力ファイバファセット上の正方格子(15×15)において編成された255ポイントにわたって集束入力ビームをスキャンすることによって作成された。スペックルパターンのすべてのペアについて相関係数が計算され、結果を
図10(a)に示す。マルチモードファイバにおいて生成された2つの独立したランダムスペックルパターン間の相関は、ゼロに近く、それらのランダム性が確認されることが理解されよう。
【0077】
図10(b)は、測定数「Nm」の関数としての再構成成功「RS」の分析を示す。再構成成功は、「Nm」の関数として、225の測定値を用いて再構成された画像と「Nm」の測定値を用いて再構成された画像との間の相互相関係数として推定される。下側の点は、実験結果を表し、上側の点は、MMファイバの実験的に測定されたスペックルパターンに基づく数値シミュレーションを表す。灰色のゾーンは、再構成の品質が実質的に維持されている領域を表す。
【0078】
測定値は、マルチモードファイバ圧縮イメージングのために所望される測定数の下限を示している場合がある。本発明者らは、5の増分で40から255まで範囲の数の参照スペックルパターンについて、上述した圧縮内視鏡検査実験を繰り返した。MMファイバ圧縮イメージングのノイズのない限界を分析するために、本発明者らは、数値実験も行った。本発明者らは、ファイバ出力ファセット上のスペックルパターンの実験的に測定されたセットを使用し、基底セットと対象のオブジェクトとの間の内積を計算することによって、ノイズのない信号をシミュレートした。次いで、本発明者らは、実験データならびに数値測定の不完全なセットから画像を取得するために、l1最小化の同じ手順を使用した。
【0079】
図10(c)および
図10(d)は、5μmのステップサイズで(c)y方向および(d)z方向におけるサンプルのスキャン中の圧縮マルチモードファイバイメージングを示す。スケールバーは、5μmである。測定において、本発明者らは、サンプルを画像化するためにMMファイバ圧縮内視鏡検査を使用し、ここで、サンプル位置は、合計20μmを超える5μmのステップサイズで横方向および軸方向においてファイバ出力ファセットに対して変更された。
【0080】
再構成された画像の品質は、横方向のスキャン中の蛍光サンプルの位置に依存しないことがわかる。対照的に、サンプルをファイバファセットから遠ざけると、信号のレベルが劇的に低下することがわかる。主な理由は、収集された信号がファイバ出力ファセットからの距離に強く依存することである。画像品質および信号レベルは、最初の10μm以内でのみ維持される。15μmを超えると、
図9(d)に見られるように、信号の寄与は、非常に小さい。軸方向における分解能は、比較的高いNAを有するファイバを使用することによってさらに改善され得る。バルクサンプルを画像化するために、ファイバの特性によって提供されるこの固有の光学的セクショニングを使用することができる。結果として、マルチモードファイバ手法は、圧縮センシングのための新しい方法を提供する。
【0081】
要約すると、本発明者らは、マルチモードファイバにおいて自然に発生されたスペックルが圧縮センシングのための優れた基盤を表すことを示した。本発明者らは、マルチモードファイバのモード数よりもはるかに少ない、例えば、10倍またはさらに20倍少ない数の測定値で、圧縮内視鏡検査を実験的に実証した。さらに、本発明者らは、マルチモードファイバの固有の光学的セクショニングが、軸方向における分解能と、バルク構造の断面イメージングとを提供するために使用され得ることを示している。圧縮マルチモードファイバイメージングは、大幅な高速化を実現し、回折限界の分解能を維持し、複雑な波面整形を必要とせず、内視鏡用の独自のツールを提供する。
【0082】
添付の特許請求の範囲を解釈する際に、「備える」という単語は、所与の請求項においてリストされたもの以外の要素または行為の存在を排除せず、要素の前にある「a」または「an」という単語は、複数のそのような要素の存在を排除せず、請求項における任意の参照符号は、それらの範囲を限定せず、いくつかの「手段」は、同じもしくは異なるアイテムまたは実施された構造もしくは機能によって表される場合があり、開示されたデバイスまたはその一部のいずれかは、特に他に明記されていない限り、一緒に組み合わされ得、またはさらなる部分に分離され得ることが理解されるべきである。ある請求項が別の請求項を参照している場合、これは、それらのそれぞれの特徴の組合せによって達成される相乗的な利点を示している場合がある。しかし、特定の手段が相互に異なる請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組合せも有利に使用することができないことを示していない。したがって、本実施形態は、請求項のすべての機能する組合せを含み得、各請求項は、文脈によって明確に除外されない限り、任意の先行する請求項を原則として参照することができる。
【符号の説明】
【0083】
10a イメージングプローブヘッド、プローブヘッド
11 シングルモード光ファイバ、光ファイバ、シングルモードファイバ、光源ファイバ、シングルモード光源ファイバ
12 ファイバ、光ファイバ、信号ファイバ、戻り信号ファイバ
13 マルチモード光ファイバ、光ファイバ
13d 遠位側
13m 剛性マントル、マントル
13p 近位側
20 光源、広帯域光源
30 検出器、光検出器、マルチスペクトル光検出器
32 スペクトル分解要素
34 光センサ
40 コントローラ
100 イメージングシステム
【手続補正書】
【提出日】2021-06-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イメージングシステム(100)であって、
光源(20)と、
前記光源(20)から入力光(Li)を受け取り、前記入力光(Li)に基づいてそれぞれの擬似ランダム照明パターン(Pn)を生成するように構成された空間光変調器、マルチモード導波路、または他のタイプの散乱媒体と、
コントローラ(40)であって、
前記入力光(Li)の入力特性(λn、An)の所定のセットを、前記それぞれの擬似ランダム照明パターン(Pn)の空間分布(Ixy)の対応するセットに関連付ける較正データ(Cn)を受信し、
前記所定の空間分布(Ixy)のセットに従って、異なる擬似ランダム照明パターン(Pn)によって照明されたサンプル(S)からの光信号(Ls)の強度測定値(Mn)のセットを受信し、
圧縮センシング(CS)アルゴリズムを使用して、前記強度測定値(Mn)と前記較正データ(Cn)とに基づいて、前記サンプルの空間的に分解された画像(Sxy)を計算する
ように構成されたコントローラ(40)と
を備える、イメージングシステム(100)。
【請求項2】
その近位側(13p)で
前記光源(20)からの
前記入力光(Li)を受信し、画像化されるべき
前記サンプル(S)を照明するために、その遠位側(13d)から前記入力光(Li)に基づく対応するスペックルパターン
を前記それぞれの擬似ランダム照明パターン(Pn)
として出力するように構成されたマルチモード導波路(Wm)と、
前記光源(20)からの前記入力光(Li)を前記マルチモード導波路(Wm)に結合するために前記マルチモード導波路(Wm)に接続されたシングルモード導波路(Ws)と
を備え、
前記マルチモード導波路(Wm)が、
前記シングルモード導波路(Ws)の曲げ剛性よりも少なくとも10倍高い曲げ剛性を有し、前記マルチモード導波路(Wm)
が、10センチメートル未満の比較的短い長さ(Zm)
を有し、前記シングルモード導波路(Ws)が、前記マルチモード導波路(Wm)
よりも少なくとも10倍長い比較的長い長さ(Zs)を有
する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記入力特性(λn、An)の所定のセットが、前記入力光(Li)の異なる波長(λ)のセットを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記
光源(20)が、異なる波長(λ)の範囲にわたって前記入力光(Li)を生成するように構成された広帯域光源
である、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
波長(λ)の関数として前記光信号(Ls)の強度を測定するためのスペクトル分解要素(32)を有する光検出器(30)と、前記光信号(Ls)のスペクトル強度を同時に測定するための複数のセンサ要素を有する光センサ(34)とを備える、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記コントローラ(40)が、前記広帯域光源(20)の1つまたは複数のショットと、前記光信号(Ls)の前記スペクトル強度の対応する測定値とに基づいて、前記空間的に分解された画像(Sxy)を計算するように構成される、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
少なくともファイバコア(1)によって形成され、前記ファイバコア(1)の周りの第1のファイバクラッド(2)と、前記第1のファイバクラッド(2)を取り囲む第2のファイバクラッド(3)とを有するマルチクラッドファイバ(DCF)を備え、前記ファイバコア(1)が、前記入力光(Li)のための前記シングルモード導波路(Ws)を形成し、前記第1のファイバクラッド(2)が、測定された前記光信号(Ls)のための戻り経路を形成し、前記ファイバコア(1)と前記第1のファイバクラッド(2)の両方が、前記マルチモード光ファイバ(13)への前記入力光(Li)と前記マルチモード光ファイバ(13)からの前記信号光(Ls)とを結合するように接続される、請求項1から6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記マルチモード導波路(Wm)が、剛性マントル(13m)によって固定されて保持されたマルチモード光ファイバ(13)によって形成される、請求項1から
7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記マルチモード導波路(Wm)が、中空硬膜外針内に配置される、請求項1から
8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記シングルモード導波路(Ws)を形成するシングルモードファイバ(11)の出力が、マルチモード光ファイバ(13)によって形成される前記マルチモード導波路(Wm)の近位側(13p)に融合される、請求項1から
9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記シングルモード導波路(Ws)の端部の位置が、異なる入力特性(An)のセットを提供するために、前記マルチモード導波路(Wm)の前記近位側(13p)に対して変化する、請求項1から
10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
入力光(Li)の入力特性(λn、An)の所定のセットを、前記入力特性(λn、An)に基づいて空間光変調器、マルチモード導波路(Wm)、または他のタイプの散乱媒体によって生成されたそれぞれの擬似ランダム照明パターン(Pn)の空間分布(Ixy)の対応するセットに関連付ける較正データ(Cn)を受信するステップと、
前記所定の空間分布(Ixy)のセットに従って、異なる
擬似ランダム照明パターン(Pn)によって照明されたサンプル(S)からの光信号(Ls)
の強度測定値(Mn)のセットを受信するステップと、
圧縮センシング(CS)アルゴリズムを使用して、前記強度測定値(Mn)と前記較正データ(Cn)とに基づいて、前記サンプル(S)の空間的に分解された画像(Sxy)を計算するステップと
を含む、方法。
【請求項13】
前記較正データ(Cn)が、ニューラルネットワークの係数のセットを含み、前記ニューラルネットワークが、前記入力光(Li)の前記入力特性(λn、An)の所定のセットと、前記所定の空間分布(Ixy)のセットに従ったそれぞれの擬似ランダム照明パターン(Pn)とを使用して訓練され、前記空間的に分解された画像(Sxy)が、前記係数に基づいて計算される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記入力特性(λn、An)が、前記入力光(Li)の異なる波長(λ)のセットを含み、前記サンプルからの前記光信号(Ls)が、前記強度測定値(Mn)のセットを決定するためにスペクトル的に分解される、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
プログラム命令を記憶した非一時的なコンピュータ可読媒体であって、前記プログラム命令は、コンピュータによって実行されると、前記コンピュータに、請求項
12から14のいずれか一項に記載の方法を実行させる、非一時的なコンピュータ可読媒体。
【国際調査報告】