(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-02
(54)【発明の名称】冷蔵肉定量肉切機
(51)【国際特許分類】
A22C 17/00 20060101AFI20220126BHJP
B26D 3/28 20060101ALI20220126BHJP
B26D 5/26 20060101ALI20220126BHJP
【FI】
A22C17/00
B26D3/28 610M
B26D5/26 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021529727
(86)(22)【出願日】2019-12-12
(85)【翻訳文提出日】2021-06-10
(86)【国際出願番号】 KR2019017542
(87)【国際公開番号】W WO2020122616
(87)【国際公開日】2020-06-18
(31)【優先権主張番号】10-2018-0160577
(32)【優先日】2018-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0021371
(32)【優先日】2019-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521226130
【氏名又は名称】イ グムヨン
(74)【代理人】
【識別番号】100149870
【氏名又は名称】芦北 智晴
(72)【発明者】
【氏名】イ グムヨン
【テーマコード(参考)】
4B011
【Fターム(参考)】
4B011EA02
(57)【要約】
本発明は、冷蔵肉定量肉切機に関するものであって、肉類が安着される安着溝が備えられた肉類安着部と、上記肉類安着部の上側に配置され、下降の際に肉類を縦方向に押し付ける肉類加圧部と、上記肉類安着部の一側に配置され、上記肉類を横方向に押し付ける水平駆動部と、上記肉類安着部の他側に配置され、上記水平駆動部の前進に従って上記肉類が外部へ露出される出口を形成するフランジと、上記フランジの出口を開放したり、閉鎖したりするようにヒンジ駆動され、上記出口を閉鎖した時に上記肉類の前進を塞ぐ制限カバーと、上記フランジの出口の外へと前進した上記肉類を切断するカッターと、上記肉類の切断情報を入力する入力部と、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
肉類が安着される安着溝が備えられた肉類安着部と、
前記肉類安着部の上側に配置され、下降の際に前記安着溝に置かれた肉類を縦方向に押し付ける肉類加圧部と、
前記肉類安着部の一側に配置され、前記肉類を横方向に押し付けて前記安着溝に置かれた肉類を一定の体積に圧縮させ、既設定された切断のサイズだけ前記肉類を前進させる水平駆動部と、
前記肉類安着部の他側に配置され、前記水平駆動部の前進に従って前記肉類が外部に露出される出口を形成するフランジと、
前記フランジの出口を開放したり、閉鎖したりするようにヒンジ駆動され、前記出口を閉鎖した時に前記安着溝に置かれた肉類が一定の体積に圧縮されるように前記肉類の前進を塞ぐ制限カバーと、
前記フランジの出口の外へと前進した前記肉類を既設定の長さだけ切断するカッターと、
前記肉類の切断情報を入力する入力部と、を含むことを特徴とする冷蔵肉定量肉切機。
【請求項2】
前記フランジに形成される出口は、
前記肉類加圧部の下降の際に前記安着溝の断面と合わされた断面積より小さく形成されることを特徴とする請求項1に記載の冷蔵肉定量肉切機。
【請求項3】
前記入力部は、前記肉類に対する切断数量及び切断重量値が入力されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の冷蔵肉定量肉切機。
【請求項4】
前記制限カバーは、前記肉類加圧部及び水平駆動部によって前記肉類が一定の体積に圧縮された後に開放されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の冷蔵肉定量肉切機。
【請求項5】
前記水平駆動部は、事前に設定された圧力またはトルクまで前記肉類を横方向に押し付けることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の冷蔵肉定量肉切機。
【請求項6】
前記水平駆動部は、前記圧縮された肉類が前記フランジの外へと突き出る長さを既設定の長さだけ前進させ、前記カッターは、前記既設定の長さだけ前進された肉類を切断する一連の過程を繰り返すことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の冷蔵肉定量肉切機。
【請求項7】
前記カッターが切断した肉類の数量より前記入力部に入力された切断数量が多い場合、前記肉類安着部にさらに肉類を投入することができるように前記肉類加圧部及び水平駆動部は、元の位置へと待機状態に戻ることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の冷蔵肉定量肉切機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵肉定量肉切機に関するもので、さらに詳しくは、冷蔵肉を定量に切断する肉切機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、屠畜と定型の過程を経た牛肉、豚肉などの肉類は、塊の形で肉類の加工業者や小売店などに供給されるが、調理の必要に応じて肉類の塊を一定のサイズや重さに均一に切断する作業を必要とすることもある。例えば、豚肉のカツレツ(通常、“とんカツ”や“豚カツ”と呼ばれる)を作るために、肉類の塊を一定の厚さと重さに切断する。このために、肉類の塊を一定のスピードで供給しながら回転カッターで一定の厚さに自動で切断する肉切機が使われている。
【0003】
このような肉切機に関する従来の技術としては、韓国登録実用新案第20-0319421号公報の肉切機の定量切断装置(特許文献1)がある。
【0004】
図1は、韓国登録実用新案第0319421号公報(以下、‘従来技術’という)において検針盤が設置された肉切機の側断面図である。
【0005】
図1から見られるように、従来技術の肉切機10は、肉類を積載するための積載箱14と、積載箱14自体を水平移動させるためのクランク機構を含む積載箱駆動部34と、駆動モータによって高速で回転して肉類の塊を切断する回転カッター12と、を含む。積載箱14の下部には積載箱14に積載される肉類の塊の総重量を検出するためのロードセル60が内蔵される検針盤50が設置されており、上記ロードセル60から出力される重量検出信号を変換する変換器62と、上記変換器62から出力される検出信号が入力されて総重量を認識し使用者の命令に従って肉類の塊を定量まで切断するように制御する制御部66と、が備えられている。使用者は、キー入力部64を介して制御部66に命令及び切断用の数値を入力することができる。
【0006】
ところが、従来技術による肉切機の定量切断装置は、冷凍肉を対象とするものであるが、冷凍肉が凍っていて形が保たれているため、切断が容易であるが、冷蔵肉の場合には形が保たれず原状回復力が強いため、切断が難しく、切断をするとしても切断の重量を一律的に調節することが難しいという問題があった。即ち、従来の肉切機は、冷凍肉を一定の重量に等しく切断するには好ましいが、切るときに形を保つことが難しく滑らかに切断し難いため、形とサイズの不均一が大きい冷蔵肉に使用するには満足にいかない部分が多い。
【0007】
このように、従来の方式では、冷蔵肉を標準化した一定の重さに分割することが非常に難しいため、機械よりは人手によって作業していたが、正確に分割して切断することは、事実上不可能であり、熟練の程度によって7~15%の余分を追加して作業することが現状である。
【0008】
一方、IT基盤の非接触3Dスキャニング技術を適用した自動肉切機がドイツで開発され普及されてはいるものの、自動肉切機の値段が数千万円にも至っており、その結果物もまた満足するほどの精密度ではないため、一般への普及には限界があるという現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】大韓民国登録実用新案案第20-0319421号公報(2003.06.28登録)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記のような問題を解決するために成されたものであって、低コストで冷蔵肉を繰り返して定量切断できる新たな冷蔵肉定量肉切機を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、冷蔵肉定量肉切機に関するものであって、肉類が安着される安着溝が備えられた肉類安着部と、上記肉類安着部の上側に配置され、下降の際に上記安着溝に置かれた肉類を縦方向に押し付ける肉類加圧部と、上記肉類安着部の一側に配置され、上記肉類を横方向に押し付けて上記安着溝に置かれた肉類を一定の体積に圧縮させ、既設定された切断のサイズだけ上記肉類を前進させる水平駆動部と、上記肉類安着部の他側に配置され、上記水平駆動部の前進に従って上記肉類が外部に露出される出口を形成するフランジと、上記フランジの出口を開放したり、閉鎖したりするようにヒンジ駆動され、上記出口を閉鎖した時に上記安着溝に置かれた肉類が一定の体積に圧縮されるように上記肉類の前進を塞ぐ制限カバーと、上記フランジの出口の外へと前進した上記肉類を既設定の長さだけ切断するカッターと、上記肉類の切断情報を入力する入力部と、を含む。
【0012】
また、上記フランジに形成される出口は、上記肉類加圧部の下降の際に上記安着溝の断面と合わされた断面積より小さく形成される排出部材を含む。
【0013】
ここで、上記入力部は、上記肉類に関する切断数量及び切断重量値が入力される。
【0014】
また、上記制限カバーは、上記肉類加圧部及び水平駆動部によって上記肉類が一定の体積に圧縮された後に開放される。
【0015】
そして、上記水平駆動部は、事前に設定された圧力またはトルクまで上記肉類を横方向に加圧することになる。
【0016】
また、上記水平駆動部は、上記圧縮された肉類が上記フランジの外へと突き出る長さを既設定の長さだけ前進させ、上記カッターは、上記既設定の長さだけ前進された肉類を切断する一連の過程を繰り返す。
【0017】
また、上記カッターが切断した肉類の数量より上記入力部に入力された切断数量が多い場合、上記肉類安着部にさらに肉類を投入することができるように上記肉類加圧部及び水平駆動部は、元の位置へと待機状態に戻ることになる。
【発明の効果】
【0018】
本発明による冷蔵肉定量肉切機に使用する基盤の技術は、冷蔵肉を一定の形の枠に入れて押し付ける技術を活用するが、これは一般的に広く知られている油圧技術を使うことができるため問題は無く、また精密な定量切断のためのサーボモータの位置制御技術もまた既に普及されているため、低コストで使用できる技術が既に揃っているため、冷蔵肉の定量の切断を低コストで具現できるという長所がある。
【0019】
また、本発明によると、冷蔵肉に圧力を加えて既設定の形状に圧縮した状態で、予め計量した肉類の重量と、圧縮した体積を基準として肉類の密度を計算し、この圧縮された肉類の密度を基準として入力部を介して設定された切断重量値に対応する切断長さだけ肉類の塊を切断することで、素早くバラツキ無く繰り返して定量切断することができ、従って、手作業より画期的な生産性の向上と精密な重量による標準化によって食品産業の全般に及ぼす効果は非常に大きいものと期待される。
【0020】
さらに、フランジの出口に上記肉類加圧部の下降の際に上記安着溝の断面と合わされた断面積より小さく形成される排出部材が備えられることによって、フランジの出口の部分において肉類が圧縮されて常に一定な密度で肉類を排出することになり、これによってより精密かつ正確なカットができるという長所がある。
【0021】
即ち、肉類安着部へ投入される肉類の形状が一定ではなかったり、肉類加圧部で押し付けた肉類に空き空間が形成されたりしても排出部材を介して圧縮排出され、常に一定な形状で排出されることができ、安着溝の内部の圧力が一定であるため、より精密な定量カットができるという長所がある。
【0022】
これに加え、出口の形状整え部材が徐々にその周りが狭くなる形態に形成されることにより、肉類に傷をつけず排出口を介して排出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図4】カッターが回転してフランジの外へと切断の厚さだけ前進した肉類の塊を切断する一連の過程を図示した図面。
【
図5】本発明による冷蔵肉定量肉切機のフランジの出口の他の実施例の状態の左側面図。
【
図6(a)】本発明による冷蔵肉定量肉切機の出口の左側面図。
【
図6(b)】本発明による冷蔵肉定量肉切機の肉類安着部と出口が接した状態の前面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施例を例示的な図面を通じて詳しく説明する。各図面の構成要素に参照符号を付けることにおいて、同様の構成要素に対しては異なる図面上に表示されるときにも同様の符号を与えるようにしていることに留意されたい。また、本発明の実施例を説明するにおいて、関連する公知の構成または機能に対する具体的な説明が本発明の実施例についての理解を妨げると判断される場合には、その詳しい説明を省力する。
【0025】
また、本発明の実施例の構成要素を説明するにおいて、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使用する場合がある。このような用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためのものであって、その用語によって該当構成要素の本質や手番または順番などが限られることはない。ある構成要素が他の構成要素に"連結"、"結合"または"接続"されると記載されている場合、その構成要素は、他の構成要素に直接的に連結または接続されることもできるが、各構成要素の間に他の構成要素が介在して間接的に"連結"、"結合"または"接続"されることもできることを理解されたい。
【0026】
本発明の冷蔵肉定量肉切機は、凍っていない組織を有している冷蔵肉の固有の弾力によって定量切断が難しいということを発想の転換を通じて問題を解決し成し遂げたものである。
【0027】
本発明における冷蔵肉の定量切断は、密度を知っている物体の重量は嵩に比例するという簡単な原理から始まっており、これに冷蔵肉が固有の弾力、すなわち、本来の嵩より小さく圧縮することができながら、その圧縮の状態が解けると、経時的に徐々に元の形態に近く復元する性質を利用することができることに着目した。
【0028】
比重が一定であるという前提から、形態が一定ではない冷蔵肉を一定の断面積を有する柱状に圧縮した後、一定の厚さに切断すると、所望の切断重量は切断厚さに比例することになり、従って冷蔵肉の定量切断を自動で行うことが可能となる。
【0029】
また、定量切断のために冷蔵肉を圧縮しても、切断された冷蔵肉は、それ自体の弾力によってある程度本来の形に戻ることになり、調理のために手入れをする過程で所望の形に成型するにも何ら問題無くなる。
【0030】
上記をまとめると、本発明の冷蔵肉定量肉切機は、次のような前提条件に基づいて成り立つことになった。
【0031】
1. 冷蔵肉の特徴
―部位によって一定の形、大きさ、比重などを有するという特徴がある。
―非常に軟らかい性質の固体であるため、外力による変形が頻繁であり、変形しやすい。
―圧力による嵩の変化はほぼ一定である。
―特定の範囲内での変形は元に戻ることが可能である。
【0032】
2. 品質の維持
―冷蔵肉が本来持っている形状と復元力の範囲内で一定の柱状に変形することだけによって冷蔵肉の本来の品質を保つことができる。
【0033】
3. 比重は一定である。
―部位別に組織の成分がほぼ類似であるため、同じ部位は比重が同じであると前提することができる。
【0034】
4. 重さは嵩に正比例する。
―重さ=比重×嵩(体積)
【0035】
5. 開発上の限界
―全種類の肉類を定量に切断できる機械は、肉の種類の範囲が余りにも広いため、これを満足する機械はないため、本発明の冷蔵肉定量肉切機は、冷蔵肉の部位別に範囲を狭めてコストは抑え、生産性と精密度は高めて普及することが適切であろう。
【0036】
以下において、上記のような原理に基づいて完成された本発明の冷蔵肉定量肉切機100の構成を添付の図面を参照して詳しく説明する。
【0037】
図2は、本発明による冷蔵肉定量肉切機100の前面図であり、
図3は、本発明による冷蔵肉定量肉切機100の左側面図である。
【0038】
本発明による実施例1の冷蔵肉定量肉切機100は、本体110に対して肉類安着部120、肉類加圧部130、水平駆動部140、フランジ150、制限カバー155、カッター160及び入力部170が設置されている。但し、以下の本発明の説明において制御部の構成は省略されているが、これは、肉類加圧部130、水平駆動部140、制限カバー155及びカッター160の駆動と、入力部170を介して入力された設定データの処理などがプログラムされているマイクロプロセッサによって自動で制御されることは周知・慣用技術の範囲に属するため、これを省略しても本発明の理解には何ら問題も無いためであり、本発明に制御部の構成が必要とされないという意味ではない。
【0039】
肉類安着部120は、定量切断の作業を行う冷蔵肉が安着される部分である。肉類安着部120には肉類が置かれる安着溝122が備えられているが、投入される肉類のサイズは、安着溝122の大きさに合わせて適切に手入れして用意される。安着溝122の断面の形は、肉類がむらなく圧縮できるように半円状や半円に近い多角状を成すことが望まれる。
【0040】
肉類加圧部130は、肉類安着部120の上側に配置され、下降の際に肉類安着部120の安着溝122に置かれた肉類を縦方向に押し付ける部分である。肉類加圧部130は、油圧機構(油圧シリンダ)によって上下方向に作動することができ、安着溝122の断面と合わされて楕円状や楕円に近い多角状の閉じた断面を成すことになる。即ち、肉類安着部120に対する肉類加圧部130の下降によって圧縮された肉類の塊は、楕円状や楕円に近い多角状の同様の断面状を成すことになる。
【0041】
肉類加圧部130によって圧縮された肉類の塊は、縦方向に圧縮されながら横方向に伸ばされるが、この際、均一でない冷蔵肉の形とこれによる空き空間によって横方向に沿っては肉類の密度が一定ではなくなる。
【0042】
水平駆動部140は、肉類安着部120の一側に配置され、縦方向に圧縮された肉類を横方向に押し付ける構成であり、水平駆動部140の横方向の加圧によって肉類安着部120と肉類加圧部130、また水平駆動部140で囲われた圧縮された肉類の塊の空き空間が除去されて密度は非常に均一になる。
【0043】
肉類安着部120と肉類加圧部130の加圧によって均一になった肉類の縦方向の断面積は、既に設定されており、さらに水平駆動部140が横方向にどれだけ前進したかはセンサ(ポテンショメータなど)によって把握することができるため、結局、肉類安着部120、肉類加圧部130、及び水平駆動部140で囲われた圧縮された肉類の塊の嵩を計算することができ、肉類の塊の重量も入力された値(または比重によって事前に設定された値)であるため、圧縮された肉類の塊の比重が分かることになる。このように、肉類の嵩による重さを把握することができるため、切断の厚さに比例する切断重量を非常に正確に任意で調節することができる。
【0044】
水平駆動部140は、一時的には肉類の塊を横方向に圧縮させる役割を果たし、肉類が圧縮された後には、既設定された切断のサイズだけ肉類をカッター160側に前進させる役割をする。
【0045】
ここで、水平駆動部140は、所望するだけ極めて精密に前進させることのできる装置を使用することが好ましく、一例として、直交ロボットのサーボモータが挙げられる。その反面、上記に説明したように、肉類加圧部130は、押し付ける力が大きくなければならないため、油圧シリンダを使用することが好ましい。
【0046】
一方、水平駆動部140の反対側、すなわち、肉類安着部120の他側には、水平駆動部140の前進に従って肉類が外部へ露出乃至突き出る出口152を形成するフランジ150が配置される。
【0047】
また、フランジ150の出口領域の外側には、安着溝122に置かれた肉類を一定の体積にするために横方向に圧縮する際に、圧縮過程にある肉類がフランジ150の出口152側へと前進して押し出されることを塞ぐ制限カバー155が備えられている。
【0048】
制限カバー155は、フランジ150の出口を開放したり、閉鎖したりするようにヒンジ駆動される。即ち、
図2に図示されたように、制限カバー155は、フランジ150の上方から本体110に対してヒンジで動作することができるように設けられ、このように設けられた制限カバー155に油圧シリンダ156のロッドが結合している。従って、油圧シリンダ156の伸縮動作によって、制限カバー155は、フランジ150の出口を開放したり、閉鎖したりするようにヒンジ駆動することになる。
【0049】
このように、油圧シリンダ156が伸ばされて制限カバー155がフランジ150の出口を閉鎖した状態で、水平駆動部140が横方向に前進して肉類MTを押し付けることになり、肉類MTの圧縮が完了した以降には、油圧シリンダ156が縮退してフランジ150の出口を開放することで水平駆動部140の横方向の前進に従って肉類MTがフランジ150の出口の外へと突き出される。
【0050】
また、水平駆動部140が肉類を横方向に圧縮する程度を適切な水準に制限することが好ましい。これは肉類、特に冷蔵肉を過度に圧縮すると、味の成分が多量に含まれている肉汁が抜け出してしまい肉類の品質に悪影響を与えることがあるため、水平駆動部140の加圧の程度を監視しながらその限界値を制限する必要がある。例えば、水平駆動部140を作動させる駆動モータに印加されるトルク(電流量に比例)を測定したり、または水平駆動部140が肉類を押し付ける圧力を直接測定して横方向の圧縮に対する適正な限界値を制限することができる。本発明を実際に使用する際には、組織の弾力がお互いに異なる肉類の部位別に最初に横方向の圧縮の程度を設定し、同じ肉類の部位に対しては同じ限界値を繰り返して適用することができる。
【0051】
図4に図示されたように、回転するカッター160は、フランジ150の出口152の外へと前進した上記肉類を既設定の長さだけ切断する。水平駆動部140は、圧縮された肉類がフランジ150の出口152の外へと突き出る長さを切断重量に対応する既設定の長さだけ前進させ、カッター160は、肉類が既設定の長さだけ前進すると、回転して定量を切断する一連の過程を繰り返すことになる。
【0052】
図4に図示された一連の切断過程に示されたように、カッター160が時計回りに回転するとした時に、カッター16は、フランジ150の出口152の上側で一時停止して待機状態にあることになる{
図4の(a)}。カッター160が待機する間に水平駆動部140が横方向に一定の距離だけ前進してフランジ150の出口152の外へと切断重量に比例する長さだけ肉類MTを突出させた後、停止することになり{
図4の(b)}、その後、カッター160が回転して肉類MTを切断しながら元の位置へ戻る{
図4の(c)}。
【0053】
図4に図示された一連の過程は、一度の定量切断過程を示したものであって、このような一連の過程を繰り返して肉類を大量に定量切断することになる。このように本発明の冷蔵肉定量肉切機100は、肉類の切断工程が自動的に具現され、特に形態が整っていない弾力を有した冷蔵肉を定量で切断する工程を正確に行うことを可能にする。
【0054】
また、入力部170、例えば、タッチスクリーンで構成された入力部170は、肉類の切断情報を入力する手段として使われる。例えば、肉類安着部120に投入される冷蔵肉の切断重量値を入力することができ、そして必要とされる場合、切断数量をさらに入力することができる。
【0055】
入力部170に肉類に関する切断数量も入力された場合には、カッター160が切断した肉類の数量より入力部170に入力された切断数量が多い場合、肉類安着部120に追加で肉類を投入することができるように肉類加圧部130及び水平駆動部140は、元の位置へと待機状態に戻ることになり、同様の肉類部位に対する作業を引き続いて行うため、水平駆動部140の横方向の圧縮の程度などに関する以前の作業情報をそのまま適用して効率良く追加作業を進めることもできる。
【0056】
図5ないし
図6を参照すると、本発明の冷蔵肉定量肉切機の第2実施例は、上記の第1実施例と全ての構成が同様である。
【0057】
但し、上記フランジ150に形成された出口152が、肉類が排出される時に満遍なく圧縮されて排出されることができるように肉類が置かれる安着溝122と肉類加圧部130が下降して形成される断面の面積より小さく形成されることができる。
【0058】
これを具体的に説明すると、上記出口152は、形状整え部材152-1と排出部材152-2を含むことができる。
【0059】
先ず、形状整え部材152-1は、一側が上記肉類加圧部130の下降の際に上記安着溝122の断面と合わされて形成される楕円状や楕円に近い多角状の断面積と同様に形成され、上記肉類安着部と接して、他側に行くほど徐々に周りが小さくなる形状を有するように構成される。
【0060】
また、排出部材152-2は、上記形状整え部材152-1の他側から一定間隔の幅を有するように延長して形成され、上記肉類加圧部130の下降の際に上記安着溝122の断面と合わされた断面積より小さく形成されるものであり、その端が肉類が切断されるときにカッター160と接する部分である。
【0061】
また、排出部材152-2は、肉類加圧部130が下方向に作動するとき、上記安着溝122の断面と合わされて形成される楕円状や楕円に近い多角状の閉じた断面積より小さい面積に形成されるが、上記排出部材152-2は、肉類加圧部130が下方向に作動するとき、上記安着溝122の断面と合わされて形成される閉じた断面積の55%~65%程度からなることが好ましいが、これに限られない。
【0062】
このように、最終的に肉類が排出される出口152の排出部材152-2の部分が、肉類加圧部130が下方向に作動するときに上記安着溝122の断面と合わされて形成される閉じた断面積より小さく形成されることにより、肉類安着部120へ投入される肉類の形状が一定ではなかったり、肉類加圧部130で加圧した肉類に空き空間が形成されたりしても排出部材152-2を介して圧縮排出されて常に一定な形状に排出されることができる。
【0063】
なお、安着溝122の内部の圧力が一定になり、より精密な定量カットが可能である。
【0064】
これに加えて、形状整え部材152-1が徐々に周りが狭くなる形に形成されることで、肉類に傷をつけることなく、排出部材152-2を介して排出させることができる。
【0065】
これによって、既設定の長さだけ前進しながら誤差範囲内での定量に切断することができる。
【0066】
このような本発明による実施例1ないし実施例2の冷蔵肉定量肉切機100の一連の作動過程をまとめると次の通りである。
【0067】
先ず、作業者は、冷蔵肉からなる肉類の塊を用意する。そして、作業者は、入力部170を介して切断重量値、また必要とされる場合、切断数量をさらに入力する。次に、作業者は、肉類安着部120の安着溝122へ肉類を投入し、以降の工程は手動または自動で進行される。
【0068】
制限カバー155は、フランジ150の出口152を閉鎖しており、このような状態で肉類加圧部130は、肉類安着部120に対して下降して安着溝122に置かれた肉類の塊を縦方向へ押し付ける。続いて、水平駆動部140が駆動して横方向に肉類の塊を適正の圧力まで押し付ける。四方へと加圧された肉類の塊は、全体として非常に均等な密度を成すことになる。
【0069】
圧縮された肉類の塊の密度が一定であるため、これに対応して切断重量値に符合する切断の厚さが計算される。肉類加圧部130と水平駆動部140によって圧縮された肉類の断面積は一定であるため、切断重量値は、切断の厚さに比例することになる。
【0070】
切断の厚さが計算されると、制限カバー155は、フランジ150の出口152を開放する状態に変わり、以降、水平駆動部140は、切断の厚さに相応する距離だけ前進して肉類の塊をフランジ150の出口152の外へと押し出す。
【0071】
肉類がフランジ150の出口152の外へと突出すると、待機していたカッター160が回転してフランジ150の外へと突き出された肉類の塊を切断することになる。前述したように、水平駆動部140の前進とカッター160の回転は、互いに交代に行われ、このような前進と回転動作の繰り返しによって肉類の塊の定量切断が連続して行われる。
【0072】
切断された肉類は、カッター160及びフランジ150の下部に位置したコンベヤー180によって送られることができ、水平駆動部140の前進とカッター160の切断工程は、所望の切断数量に至るまで繰り返すことができるが、入力部170を介して切断数量が入力された場合に、カッター160が切断した肉類の数量より入力部170に入力された切断数量が多いと、肉類安着部120にさらに肉類を投入することができるように肉類加圧部130及び水平駆動部140は元の位置へと待機状態に戻ることになる。
【0073】
そして、同様の肉類部位に対する作業を引き続いて行う場合には、水平駆動部140の横方向の圧縮の程度などに関する以前の作業の情報をそのまま適用して追加の作業を行うこともできる。
【0074】
このとき、実施例2は、肉類安着部120に位置した肉類が水平駆動部140によって既設定の長さだけ前進しながら徐々に周りが小さくなる形状整え部152-1と、肉類加圧部130が下方向に作動するとき、上記安着溝122の断面と合わされて形成された閉じた断面積より小さく形成された排出部材152-2とからなる出口152を通過して排出される。
【0075】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎず、本発明が属する技術分野において通常の知識を有している者であれば本発明の本質的な特性から外れない範囲で様々な修正及び変形が可能である。従って、本発明に開示された実施例は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく、説明するためのものであり、このような実施例によって本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。本発明の保護の範囲は、添付の請求範囲によって解釈されるべきであり、それと同等な範囲内にある全ての技術思想は、本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0076】
100:冷蔵肉定量肉切機 110:本体
120:肉類安着部 122:安着溝
130:肉類加圧部 140:水平駆動部
150:フランジ 152:出口
152-1:形状整え部材 152-2:排出部材
155:制限カバー 160:カッター
170:入力部 180:コンベヤー
190:安全カバー MT:肉類
【国際調査報告】