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特表2022-512094差動加熱を使用する湾曲電子デバイスの製造および湾曲電子デバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-02
(54)【発明の名称】差動加熱を使用する湾曲電子デバイスの製造および湾曲電子デバイス
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20220126BHJP
   B29C 65/44 20060101ALI20220126BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20220126BHJP
   H05K 3/28 20060101ALI20220126BHJP
【FI】
H05K3/46 Q
B29C65/44
H05K1/02 B
H05K3/46 G
H05K3/28 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021531605
(86)(22)【出願日】2019-12-02
(85)【翻訳文提出日】2021-06-02
(86)【国際出願番号】 NL2019050796
(87)【国際公開番号】W WO2020117049
(87)【国際公開日】2020-06-11
(31)【優先権主張番号】18209756.8
(32)【優先日】2018-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511095850
【氏名又は名称】ネーデルランドセ・オルガニサティ・フォール・トゥーヘパスト-ナトゥールウェテンスハッペライク・オンデルズーク・テーエヌオー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マルハレータ・マリア・デ・コーク
(72)【発明者】
【氏名】ルール・ヘンリー・ルイ・クステルス
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・ピーテル・ハイン・ファン・デルフト
(72)【発明者】
【氏名】イェルーン・フランシスクス・マリヌス・シュラム
(72)【発明者】
【氏名】アドリ・ファン・デル・ヴァール
(72)【発明者】
【氏名】ヤン-エリック・ジャック・マルテイン・ルビング
(72)【発明者】
【氏名】イェルーン・ファン・デン・ブラント
【テーマコード(参考)】
4F211
5E314
5E316
5E338
【Fターム(参考)】
4F211AH33
4F211TA13
4F211TC20
4F211TN27
4F211TQ01
5E314AA24
5E314BB05
5E314FF05
5E314FF12
5E314GG26
5E316AA02
5E316AA17
5E316AA25
5E316AA43
5E316BB02
5E316CC08
5E316DD34
5E316FF45
5E316GG19
5E316GG28
5E316HH07
5E338AA03
5E338AA12
5E338AA16
5E338BB63
5E338BB75
5E338EE27
(57)【要約】
湾曲電子デバイス(10c)は、熱可塑性材料(Ms)を備える湾曲基板(13)と、基板(13)上に配置された電子回路(15)に接続された少なくとも1つの電子構成要素(14)とを有するスタックによって形成され得る。電子構成要素(14)の周りの基板表面(11、12)の構成要素領域(11)は、光(L)に対する比較的低い吸収度(Al)を提供する第1の材料(M1)を備え、構成要素領域(11)外の基板(13)の周辺領域(12)は、光(L)の比較的高い吸収度(A2)を提供する第2の材料(M2)を備える。例えば、差動加熱および熱成形の結果として、構成要素領域(11)における基板(13)の第1の厚さ(T1)は、周辺領域(12)における基板(13)の第2の厚さ(T2)と比較して比較的厚くなり得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
湾曲電子デバイス(10c)を製造する方法であって、前記方法が、
熱可塑性材料(Ms)を備える基板(13)と、前記基板(13)上に配置された電子回路(15)に接続された少なくとも1つの電子構成要素(14)とを有するスタック(10)を設けるステップと、
前記熱可塑性材料(M)の少なくとも一部をそのガラス転移温度(Tg)よりも上に加熱するために、前記基板(13)の表面(11、12)を光(L)で照明するステップと、
前記スタック(10)を前記湾曲電気インターフェース(10c)に変形させるために、少なくとも部分的に加熱された前記基板(13)に変形プロセス(D)を適用するステップと
を含み、
前記電子構成要素(14)の周りに局在化された前記基板表面(11、12)の構成要素領域(11)が、前記光(L)の比較的低い吸収度(A1)を提供する第1の材料(M1)を備え、前記構成要素領域(11)外の前記基板(13)の周辺領域(12)が、前記光(L)の比較的高い吸収度(A2)を提供する第2の材料(M2)を備え、前記第1の材料(M1)が、下にある前記基板(13)の前記熱可塑性材料(Ms)よりも前記光(L)に対する高い反射係数(R1)を有する反射コーティングを備え、および/または前記第2の材料(M2)が、下にある前記基板(13)の前記熱可塑性材料(Ms)よりも前記光(L)に対する高い吸収係数(A2)を有する吸収性コーティングを備え、前記照明の時間(t1~t5)の間、吸収度の差(A2-A1)が、前記基板(13)の表面座標(X)に沿って前記熱可塑性材料(Ms)において差温度プロファイル(T1~T5)の蓄積を引き起こし、前記電子構成要素(14)の周りの前記構成要素領域(11)が、前記周辺領域(12)よりも低い温度を維持し、前記変形プロセス(D)の時間(t6)において、前記周辺領域(12)における前記熱可塑性材料(Ms)が、前記変形プロセス(D)に対する比較的低い耐性を提供するように、前記ガラス転移温度(Tg)よりも高い、比較的高い温度(Th)を有し、一方、前記電子構成要素(14)の周りの前記構成要素領域(11)における前記熱可塑性材料(Ms)が、前記電子構成要素(14)および/または前記電子回路(15)へのその接続部に対する過度のストレスを防止するために、変形プロセス(D)に対する比較的高い耐性を提供するように、前記ガラス転移温度(Tg)よりも低い、比較的低い温度(Tl)を有する、
方法。
【請求項2】
前記電子構成要素(14)が、前記変形プロセス(D)の間、前記基板(13)と比較して比較的剛性のままである電動または送信構成要素を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
境界(B)が、前記第1の材料(M1)を備える前記基板(13)と前記第2の材料(M2)を備える前記周辺領域(12)との間に画定され、前記電子構成要素(14)が、最大構成要素サイズ(Xc)を有する前記構成要素領域(11)内に配置され、前記境界(B)が、前記電子構成要素(14)の最も近いエッジ(E)から、前記最大構成要素サイズ(Xc)の少なくとも50パーセントであるエッジマージン(Xe)だけ離れている、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記電子構成要素(14)の周りの前記構成要素領域(11)における前記比較的低い温度(Tl)が、熱成形されるべき前記熱可塑性材料(Ms)の前記ガラス転移温度(Tg)よりも少なくとも摂氏5度低く、前記電子構成要素(14)から離れた前記周辺領域(12)における前記比較的高い温度(Th)が、前記熱可塑性材料(Ms)の前記ガラス転移温度(Tg)よりも少なくとも摂氏5度高い、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記照明の終了(t5)と前記変形プロセス(D)の開始との間の時間(t6-t5)が、5秒未満である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記変形プロセス(D)中の差温度の結果として、前記電子構成要素(14)の周りの前記構成要素領域(11)における伸張の量(S1)が、前記周辺領域(12)における伸張の量(S2)よりも少なく、少なくとも前記電子構成要素(14)の真下の前記構成要素領域(11)の表面が、元の表面寸法の1.1倍未満伸張され、一方、電子構成要素(14)のない領域のうちの少なくともいくつかにおける前記周辺領域(12)における相対的な伸張の量(S2)が、前記元の表面寸法の1.2倍を超える、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記基板(13)が、最初は平坦であり、前記光(L)によって均一に照明される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記電子構成要素(14)が、前記基板(13)の上側に配置され、前記基板(13)が、前記電子構成要素(14)の反対側の底側から照明される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記基板(13)が、両側から照明され、前記基板(13)の両側におけるそれぞれの表面が、前記周辺領域(12)と比較して、前記電子構成要素(14)の周りの前記構成要素領域(11)においてより低い吸収度を提供するように適合された、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記照明するステップが、異なる波長を有する少なくとも2つの異なる光源からの光の適用を含み、前記基板(13)によって比較的均一に吸収される第1の波長が、長期間適用され、前記材料(M1、M2)によって選択的に吸収される第2の波長が、フラッシュランプからの光パルスを使用して比較的短期間適用される、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記基板(13)が、前記構成要素領域(11)の周りの堀として配置された断熱材を備え、前記断熱材が、前記基板(13)の他の前記熱可塑性材料(Ms)よりも少なくとも2倍低い熱伝導率を有する、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記照明された基板表面(11)が、前記構成要素領域(11)および/または周辺領域(12)における誘電体コーティングの選択的な塗布によって異なる吸収度を提供するように適合される、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記反射性および/または吸収性コーティングの厚さ(Tr、Ta)が、下にある前記基板(13)の前記熱可塑性材料(Ms)の厚さ(T0)よりも少なくとも10倍薄い、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の方法に従って製造された湾曲電子デバイス(10c)であって、前記湾曲電子デバイス(10c)が、熱可塑性材料(Ms)を備える湾曲基板(13)と、前記基板(13)上に配置された電子回路(15)に接続された少なくとも1つの電子構成要素(14)とを有するスタックによって形成され、前記電子構成要素(14)の周りの前記基板表面(11、12)の構成要素領域(11)が、光(L)に対する比較的低い吸収度(A1)を提供する第1の材料(M1)を備え、前記構成要素領域(11)外の前記基板(13)の周辺領域(12)が、前記光(L)の比較的高い吸収度(A2)を提供する第2の材料(M2)を備え、前記第1の材料(M1)が、下にある前記基板(13)の前記熱可塑性材料(Ms)よりも前記光(L)に対する高い反射係数(R1)を有する反射性コーティングを備え、および/または前記第2の材料(M2)が、下にある前記基板(13)の前記熱可塑性材料(Ms)よりも前記光(L)に対する高い吸収係数(A2)を有する吸収性コーティングを備える、湾曲電子デバイス(10c)。
【請求項15】
前記構成要素領域(11)における前記基板(13)の前記熱可塑性材料(Ms)の第1の厚さ(T1)が、前記周辺領域(12)における前記基板(13)の前記熱可塑性材料(Ms)の第2の厚さ(T2)と比較して比較的厚く、前記第1の厚さ(T1)が、前記第2の厚さ(T2)よりも1.1倍を超えて厚く、前記反射性および/または吸収性コーティングの厚さ(Tr、Ta)が、下にある前記基板(13)の前記熱可塑性材料(Ms)の厚さよりも少なくとも10倍薄い、請求項14に記載の湾曲電子デバイス(10c)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、湾曲電子デバイスを製造する方法と、得られる製品とに関する。
【背景技術】
【0002】
湾曲基板は、例えば、熱成形などのプロセスを使用して製造され得る。熱成形は、典型的には、高温での材料(スタック)の変形を伴う。(印刷された)電子機器がこの構成に含まれる場合、変形は、通常、電子機器を含むすべての材料の伸縮性を必要とする。特に、熱可塑性の高い材料と熱可塑性の低い材料との間の移行部では、歪みが電子経路の破損につながる可能性がある。スタックにおいて使用される材料は、例えば、キャリア(基板)と電子材料とを含む場合があり、これらは、典型的には、それらの熱的挙動、塑性挙動、および伸張挙動の点で異なる。そのため、摩擦およびせん断が発生し、電子システムの完全性にリスクを生じる可能性がある。
【0003】
この問題を緩和するために、様々な対策が講じられ得る。例えば、相互接続は、例えば、構成要素またはグロブトッピング構成要素の下のアンダーフィル材料のような堆積された追加の材料によって強化され得る。例えば、材料は、より柔軟な接着剤の適用によって、熱可塑性特性において最適化され得る。トラックは、最も脆弱な材料の代わりに歪みを吸収するために、熱可塑性の低い支持材料によって強化され得る。蛇行形状の使用により、必要な伸縮性は、材料自体の固有の変形と組み合わされた蛇行の外的な変形によって達成され得る。このように、伸縮性は、材料の変形によって達成されるだけでなく、したがって、リスクが低減される。電子機器の設計は、脆弱な接続部分を変形の少ない領域に配置するために、3D形状の設計と一致され得る。これらの対策は、設計自由度を制限する可能性があり、常に適用可能なわけではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電気的構成要素が熱成形時に取り付けられ、そのままである間に熱成形プロセスを使用する湾曲電子デバイスの改善された製造の必要性が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の態様は、湾曲電子デバイス、例えば、ユーザインターフェースを製造する方法に関する。スタックには、熱可塑性材料を備える基板が設けられ得る。1つの電子構成要素は、基板上に配置されるか、または基板内に組み込まれ得る。例えば、構成要素は、基板上または基板内に配置された電子回路に接続され得る。基板の表面は、熱可塑性材料の少なくとも一部をそのガラス転移温度よりも上に加熱するために、光(例えば、IRまたは他の波長)を照明され得る。湾曲電気インターフェースを形成するために、例えば、電子回路および構成要素を含むスタックを任意の所望の3次元形状に変形させるために、(少なくとも部分的に)加熱された基板に変形プロセスが適用され得る。好ましくは、電子構成要素の周りに局在化された基板表面の構成要素領域は、比較的低い光の吸収度を提供する第1の材料を備える。好ましくは、構成要素領域外の基板の周辺領域は、比較的高い光の吸収度を提供する第2の材料を備える。したがって、照明の時間中、吸収度の差は、基板の表面座標に沿って熱可塑性材料において差温度プロファイルの蓄積を引き起こす。そのため、電子構成要素の周りの構成要素領域は、周辺領域よりも低い温度を維持することができる。変形プロセスの時点で、周辺領域における熱可塑性材料は、変形プロセスに対する比較的低い耐性を提供するように、例えば、ガラス転移温度よりも高い、比較的高い温度を有し得、一方、電子構成要素の周りの構成要素領域における熱可塑性材料は、変形プロセスに対する比較的高い耐性を提供するように、例えば、ガラス転移温度よりも低い、比較的低い温度を有し得る。このより高い耐性は、電子構成要素および/または電子回路へのその接続部に対する過度のストレスを防ぐ可能性がある。
【0006】
本開示の装置、システム、および方法のこれらおよび他の特徴、態様、および利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲、および添付の図面からよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】基板の断面図、および対応する温度プロファイルの概略グラフである。
図2A】異なる材料を有するスタックの上面図である。
図2B】照明されているスタックの断面図である。
図2C】差動加熱されたスタックの変形プロセスを示す図である。
図3A】シミュレートされた幾何学的形状の斜視図である。
図3B】結果として得られる温度分布を示す図である。
図4A】基板に沿った水平プロットラインを示す図である。
図4B】異なる断面を通る垂直プロットラインを示す図である。
図5A】より薄い基板についての同様のプロットを示す図である。
図5B】より薄い基板についての同様のプロットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
特定の実施形態を説明するために使用される用語は、本発明を限定することを意図していない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明確に他のことを示さない限り、同様に複数形を含むことを意図している。「および/または」という用語は、関連するリストされた項目のうちの1つまたは複数のあらゆる組合せを含む。「備える」および/または「備えている」という用語は、述べられた特徴の存在を指定するが、1つまたは複数の他の特徴の存在または追加を排除しないことが理解されよう。方法の特定のステップが別のステップの後続と呼ばれる場合、別段の指定がない限り、それは、前記他のステップに直接続くことができ、または1つもしくは複数の中間ステップが特定のステップを実行する前に実行され得ることがさらに理解されよう。同様に、構造または構成要素間の接続について説明されている場合、この接続は、別段の指定がない限り、直接または中間の構造もしくは構成要素を介して確立され得ることが理解されよう。
【0009】
本発明について、本発明の実施形態が示されている添付図面を参照して以下により完全に説明する。図面において、システム、構成要素、層、および領域の絶対サイズおよび相対サイズは、明確にするために誇張されている場合がある。実施形態について、本発明のおそらく理想化された実施形態および中間構造の概略図および/または断面図を参照して説明する場合がある。説明および図面において、同様の番号は、全体を通して同様の要素を指す。相対的な用語およびその派生語は、その時点で説明されている向き、または議論の対象となっている図面に示されている向きを指すように解釈されるべきである。これらの相対的な用語は、説明の便宜のためのものであり、特に明記されていない限り、システムが特定の方向において構築または動作されることを必要としない。
【0010】
図1の上部は、異なる量の光吸収度A1、A2を提供する異なる材料M1、M2を有する基板13の断面図を示す。図の下の部分は、照明(t1~t5)およびその後の冷却(t6、t7)の期間中の基板位置Xの関数としての対応する温度プロファイルT1~T7の概略グラフを示す。
【0011】
一実施形態において、湾曲電子デバイス10cを製造する方法は、スタック10を設けるステップを含む。好ましくは、スタックは、熱可塑性材料Msを有する基板13を備える。典型的には、スタックは、1つまたは複数の電子構成要素14を備え得る。構成要素は、例えば、基板13上に配置された電子回路15に接続され得る。構成要素は、例えば、シリコンベースであり得る。加えて、または代替的に、構成要素は、印刷された構造を備え得る。構成要素の熱成形性は、典型的には、基板、ならびに回路のための追加のグラフィックおよび導電性ペーストと比較して低い。別のまたはさらなる実施形態において、基板13の表面11、12は、熱可塑性材料Mの少なくとも一部をそのガラス転移温度Tgよりも上に加熱するために、光Lで照明される。別のまたはさらなる実施形態において、スタック10を湾曲電気インターフェース10cに変形させるために、少なくとも部分的に加熱された基板13に変形プロセスが適用され得る。例えば、湾曲デバイスは、平板から逸脱し得、例えば、ボタンなどの凹凸の特徴によって形成された局所的な湾曲を含むか、またはデバイス全体が湾曲され得る。
【0012】
好ましい実施形態において、電子構成要素14の周りに局在化された基板表面11、12の構成要素領域11は、比較的低い光Lの吸収度A1を提供する第1の材料M1を備える。別のまたはさらなる好ましい実施形態において、構成要素領域11外の基板13の周辺領域12は、比較的高い光Lの吸収度A2を提供する第2の材料M2を備える。いくつかの実施形態において、照明の時間t1~t5中、吸収度の差A2-A1は、基板13の表面座標Xに沿って熱可塑性材料Msにおいて差温度プロファイルT1-T5の蓄積を引き起こし得る。
【0013】
好ましい実施形態において、電子構成要素14の周りの構成要素領域11は、周辺領域12よりも低い温度を維持する。いくつかの実施形態において、変形プロセスDの時間t6において、周辺領域12における熱可塑性材料Msは、変形プロセスDに対する比較的低い耐性を提供するように、ガラス転移温度Tgよりも高い比較的高い温度Thを有する。他のまたはさらなる実施形態において、電子構成要素14の周りの構成要素領域11における熱可塑性材料Msは、変形プロセスDに対する比較的高い耐性を提供するように、ガラス転移温度Tgよりも低い比較的低い温度Tlを有する。例えば、これは、電子構成要素14および/または電子回路15へのその接続部に対する過度のストレスを防ぐことに寄与し得る。
【0014】
本明細書で説明したように、基板は、好ましくは、照明、例えば、赤外線または他の放射線によって加熱される。いくつかの実施形態において、基板は、より吸収度の高い材料M2(構成要素なし)を有するセクション12が少なくとも変形プロセスDの時点で最適な(熱)成形温度に達するまで照明される。例えば、最適な熱成形温度は、熱可塑性材料Msのガラス転移温度Tgよりも高い温度、好ましくは、Tgよりも数度(摂氏またはケルビン)上、例えば、Tgよりも1度から30度上の範囲内、好ましくは、Tgよりも5度から20度上の範囲内、最も好ましくは、Tgよりも5から10度上、例えば、材料が柔らかく柔軟になる温度付近であり得る。
【0015】
いくつかの実施形態において、材料M1と材料M2との間の吸収量(例えば、基板の単位面積あたりの吸収率)の差(A1-A2)は、例えば、上記のように、周辺領域12が最適な熱成形温度に達したときに、電子構成要素14の周りに局在化された構成要素領域11がガラス転移温度Tg未満に留まるようなものである。いくつかの実施形態において、構成要素領域11における比較的低い温度Tlは、熱成形されるべき熱可塑性材料Msのガラス転移温度Tgよりも低く、好ましくは、Tgよりも少なくとも5度低く、またはさらには10度よりも低い。温度がTg未満に保たれるほど、例えば、セクション間に多少の温度変化または平衡化がある場合でも、電子構成要素14における基板が変形に十分に抵抗することを確実にすることができる。
【0016】
他のまたはさらなる実施形態において、電子構成要素14の周りの構成要素領域11における比較的低い温度Tlは、周辺領域12における比較的高い温度Thよりも少なくとも5度(摂氏)低くすることができ、好ましくは、差は、さらにより大きく、例えば、10度よりも大きく、15度よりも大きく、または20度よりも大きい。温度差が大きいほど、異なるセクションが変形プロセスDに対する異なる耐性を提供することがより確実になり得る。
【0017】
基板13を形成するために、様々なタイプの熱可塑性材料Msが使用され得る。例えば、現在の図は、約150℃(423K)のガラス転移温度Tgを有するポリカーボネート(PC)を示しているので、この付近で徐々に軟化し、約155℃(428K)よりも上で変形可能となる。例えば、(周辺領域12における)ポリカーボネートの最適な熱成形温度は、典型的には、約155℃と160℃との間である。例えば、構成要素領域11における温度は、140℃未満に保たれ得る。もちろん、これらの温度の例は、他の材料では異なり得る。
【0018】
変形プロセスDを適用する時間t6は、照明の終了t5よりもいくらか遅くなる場合があるので、照明の終了時のセクションM2における温度は、最適な熱成形温度よりもいくらか高くなる可能性がある。例えば、基板は、例えば、放射散逸によって、いくらかの冷却を経験する場合がある。いくつかの実施形態において、温度を調整するために、可変放射散逸も使用され得る。同時に、差動加熱されたセクションM1、M2間の、例えば、伝導によるいくらかの温度平衡もあり得るので、温度差は、十分に大きくなければならない。好ましくは、照明の終了(t5)と熱成形プロセスの開始(t6)との間の時間(t6-t5)は、可能な限り短く保たれ、例えば、10秒未満、好ましくは5秒未満、2秒未満、またはそれ未満、例えば、約1.5秒以下に保たれる。代替的には、熱成形は、照明または加熱プロセスの終了の直後に続くか、またはさらに(部分的に)一致し得る。
【0019】
一実施形態において、加熱された基板表面11は、構成要素領域11および/または周辺領域12におけるコーティングの選択的塗布によって、異なる吸収度を提供するように適合される。例えば、電気的機能に干渉しないように、コーティングは、誘電体であり得る。コーティングの塗布は、製造プロセスに統合され得、例えば、電子構成要素の配置の前に統合され得、コーティングは、指定された場所またはその周辺に塗布されることが理解されよう。誘電体または非導電性のコーティングを使用することによって、回路の電気的機能への干渉が防止され得る。代替的に、または加えて、コーティングが導電性である場合でも、干渉がないように、コーティングは、電子構成要素と反対側の底側に塗布され得る。代替的に、または加えて、熱可塑性材料Ms自体は、異なる領域において異なる吸収および/または反射を提供するように適合され得る。例えば、吸収性および/もしくは反射性の粒子もしくは他の物質が、熱可塑性材料Ms内に混合され得、または異なる熱可塑性材料が使用され得る。例えば、吸収または反射に最適化された金属粒子、非電気的充填材、およびマトリックス材料が、コーティングとして、または基板材料において使用され得る。一実施形態において、熱可塑性材料Msの領域は、例えば、マスクまたは走査型レーザを使用して、選択的に照射され、例えば、UVまたは他の波長によるパターン化された照射は、基板材料またはコーティングの局所的な変化を引き起こし、本明細書で説明したように、その後の(均一な)光Lによる照明に対する吸収性を高くまたは低くする。例えば、UVパターンは、その後のIR加熱のために色素における局所的な変化を引き起こし得る。
【0020】
いくつかの実施形態において、基板13は、均一に照明される。例えば、基板の照明された表面にわたる光強度は、20パーセント未満、10パーセント未満、または5パーセント未満だけ変動する。基板を均一に照明することによって、異なる理由のための加熱がより予測可能になり得、一方、差動加熱は、異なる基板領域の吸収度における特別に構成された差を使用して正確に制御され得る。代替的には、基板は、周辺領域12を優先的に加熱し、電子構成要素14を回避するために、例えば、マスクを使用して、選択的に照明され得る。これは、異なる材料の使用の現在の教示と組み合わされ得る。
【0021】
いくつかの実施形態において、電子構成要素14は、基板13の上面に配置され、基板13は、電子構成要素14と反対側の底側から照明される(図示せず)。基板を底から排他的に照明することによって、電子構成要素14の過熱が軽減され得る。他のまたはさらなる実施形態において、基板13は、両側から照明される。好ましくは、その場合、基板13の両側におけるそれぞれの表面は、周辺領域12と比較して電子構成要素14の周りの構成要素領域11においてより低い吸収度を提供するように適合される。両側からの照明は、熱の取り込みを増加させ、特に、例えば、1ミリメートルを超える厚さの、比較的厚い基板について、基板の厚さに沿ってより均一な加熱を提供し得る。光を選択的に吸収するように両側を適合させることは、異なる材料を有する領域間の温度の分割を改善し得る。
【0022】
いくつかの実施形態において、照明は、例えば、基板の厚さに応じて1秒から1分以上までの、時間期間t1~t5の間、光、例えば、赤外線の長時間の適用を含む。例えば、250μm厚のポリカーボネート基板について、約5秒の照明期間で十分であり、2mm厚のポリカーボネート基板は、約50秒照明され得る。他のまたはさらなる実施形態において、照明は、例えば、1秒未満の、短い光パルスの適用を含む。例えば、フラッシュランプが使用され得る。
【0023】
他のまたはさらなる実施形態において、照明は、異なる波長を有する少なくとも2つの異なる光源からの光の適用を含む。例えば、1つの波長は、比較的均一に吸収され得、他の波長は、選択的に吸収され、主な温度差を生じる。例えば、光源は、赤外線であり、第2の光源は、可視光またはUVである。
【0024】
一実施形態において、均一に吸収される第1の波長、例えば、赤外線が、長期間、例えば、5秒より長い間適用され、材料M1、M2によって選択的に吸収される第2の波長、例えば、UVまたは可視光が、比較的短い期間、例えば、2秒未満の間適用される。例えば、基板は、IR光によって均一に加熱された後、温度差を引き起こすためにUV光の短いフラッシュによって加熱され得る。
【0025】
図2Aは、異なる材料M1、M2を有するスタック10の上面図を示す。図2Bは、照明されているスタックの断面図を示す。図2Cは、基板13を含む差動加熱されたスタック10の変形プロセスDを示す。
【0026】
いくつかの実施形態において、周辺領域12の比較的高い温度Thと比較して、電子構成要素14の周りの構成要素領域11の比較的低い温度Tlは、基板13の構成要素領域11を、周辺領域12よりも変形プロセスDに対して高い耐性にする。例えば、周辺領域12と比較して構成要素領域11における変形プロセスDに対する向上した耐性は、変形プロセスDの結果として、構成要素領域11を周辺領域12よりも少なく変形させ得る。例えば、変形は、基板セクションの曲げ、伸張、または圧縮を含み得る。好ましくは、周辺領域12と比較して構成要素領域11における減少した曲げ、伸張、および/または圧縮が、電子構成要素14への損傷を防止するように、および/または変形プロセスDの間、もしくはその後の電子構成要素14と回路15との間の断線を防止するように構成される。
【0027】
いくつかの実施形態において、例えば、変形プロセスD中の差温度の結果として、電子構成要素14の周りの構成要素領域11における伸張の(最大)量S1は、周辺領域12における伸張の量S2よりも少ない。例えば、(第1の材料M1を備える)構成要素領域11の表面は、1.1(10パーセント)倍未満、1.05(5パーセント)倍未満、または1.01(1パーセント)倍未満(元の表面と比較して)伸張される。電子構成要素14における伸張の量S1が少ないほど、構成要素(の接続部)に対するストレスが少なくなる。一方、(第2の材料M2を備え、電子構成要素14がない)周辺領域12における伸張の相対的な量S2は、はるかにより多くなる可能性があり、(元の表面と比較して)例えば、1.1倍を超え、1.2倍を超え、1.5倍を超え、または2倍さえ超える。周辺領域12における伸張の量S2が多いほど、電子構成要素14に対するストレスを軽減しながら、基板が所望の全体的な湾曲によりよく適合し得る。
【0028】
いくつかの実施形態において、例えば、変形プロセスD中の差温度の結果として、基板13は、好ましくは、主に電子構成要素から離れた領域において伸張を受ける。典型的には、基板13が局所的に伸張されるほど、得られる基板は、薄くなる。したがって、伸張の量はまた、例えば、互いに比較するか、または元の(均一な)厚さT0と比較して、領域11、12における相対的な厚さT1、T2によって後で決定され得る。
【0029】
いくつかの態様において、本開示は、例えば、本明細書で説明した方法に従って製造された湾曲電子デバイス10cに関連する場合がある。一実施形態において、デバイスは、熱可塑性材料Msを備える湾曲基板13と、基板13上に配置された電子回路15に接続された少なくとも1つの電子構成要素14とを有するスタックを備えるか、そのスタックによって形成される。別のまたはさらなる実施形態において、電子構成要素14の周りの基板表面11、12の構成要素領域11は、(例えば、赤外)光Lに対して比較的低い吸収度A1を提供する第1の材料M1を備え、構成要素領域11外の基板13の周辺領域12は、前記光Lの比較的高い吸収度A2を提供する第2の材料M2を備える。
【0030】
いくつかの実施形態において、湾曲電子デバイス10cにおける基板13の厚さT1は、周辺領域12の厚さT2と比較して構成要素領域11において比較的厚い。例えば、(例えば、第1の材料M1を備えるセクションにおける)厚さT1は、(例えば、第2の材料M2を備えるセクションにおける)厚さT2よりも、1.1倍(10パーセント)、1.2倍(20パーセント)、1.5倍(50パーセント)、または2倍(100パーセントを超えて、または2倍の厚さ)さえ超えて厚い。典型的には、厚さの差が大きいほど、変形プロセスDの間、周辺領域12と比較して電子構成要素14の周りの構成要素領域11において、基板は、少なく伸張された。
【0031】
いくつかの実施形態において、例えば、変形プロセスD中の差温度の結果として、電子構成要素14の周りの構成要素領域11における(最小)曲率半径R1は、周辺領域12における曲率半径R2よりも大きい。例えば、(電子構成要素14を有する、第1の材料M1を備える)構成要素領域11の表面は、(電子構成要素14がない、第2の材料M2を備える)周辺領域12における(最大)曲率半径R2の少なくとも2倍の最小曲率半径R1を有する。例えば、構成要素領域11の表面は、5センチメートルを超える、10センチメートルを超える、20センチメートルを超える、50センチメートルを超える、または1メートルを超える最小曲率半径を有する。電子構成要素14における局所曲率半径が大きいほど、表面が平坦になり、構成要素に対するストレスが少なくなる。
【0032】
本明細書で説明したように、スタック10または基板13は、好ましくは、1つまたは複数の電子構成要素14および/または回路15を備えるので、湾曲電子デバイス10cは、変形プロセスDの結果としてスタック10から形成され得る。例えば、電子構成要素は、集積回路(IC)チップ、発光デバイス(ディスプレイまたはLED)、オーディオ構成要素、および/または触覚構成要素などの電動構成要素を含み得る。タッチボタン/領域などの対話型電気的構成要素も、基板の様々な領域に配置され得る。他のタイプの電気式トランスデューサも想定され得る。電子構成要素14および/または回路は、基板13の上部に配置されるか、または基板内に統合され得る。構成要素はまた、製造中または製造後に第2の基板によって覆われ得る。典型的には、電子構成要素14は、基板13と比較して、変形プロセスDの間、比較的剛性のままである。例えば、電子構成要素14は、このプロセス中に変形しない。一実施形態において、基板13は、基板13上の異なる場所にわたって分散された複数の電子構成要素14を備える。各1つまたは複数の電子構成要素14は、第1の材料M1を有するそれ自体のまたは共有された構成要素領域11を有し得、一方、電子構成要素間の周辺領域12は、第2の材料M2を備える。例えば、湾曲電子デバイス10cは、例えば、車両で使用するためのダッシュボードを形成する。
【0033】
理解されるように、特定の場所における大きい歪みを回避するために、電子フォイル、フィルム、または他の基板を熱成形する際に、選択的加熱が適用され得る。例えば、電子構成要素14が基板に接着接合された場所では、剛性構成要素が基板における歪みに追従することができないので、この歪みは、付着破壊につながる可能性がある。そのような場所における歪みレベルが制限され得る場合、これは、故障のリスクを大幅に低減することができる。基板のガラス転移温度未満では剛性がはるかに高くなるので、これは、局所的な基板温度が基板のガラス転移温度Tg未満に保たれ得る場合に特に当てはまる。
【0034】
ガラス転移は、一般に、アモルファス材料、または半結晶性材料内のアモルファス領域における、温度が上昇するにつれての、硬くて比較的脆い「ガラス状」の状態から粘性またはゴム状の状態への段階的かつ可逆的な転移として理解される。典型的には、材料のガラス転移温度Tgは、このガラス転移が発生する温度の(例えば、グレースケール勾配としてグラフ内に示される)小さい範囲を特徴付け得る。材料に応じて、Tgよりも上およびTgよりも下での剛性の差は、数桁になる場合がある。Tgの様々な定義は、摂氏(ケルビン)数度だけ変動する場合があるが、ガラス転移が発生する範囲内の臨界しきい値を超えると、材料が実質的に展性になることは、定性的に明らかである。本明細書で使用される相対温度の曖昧さを解決するために、ガラス転移温度は、粘度に関連して定義され得、1013ポアズまたは1012Pa・sの値においてTgを固定する。
【0035】
好ましくは、変形プロセスDは、熱成形を含む。例えば、変形プロセスDは、スタックに熱成形するために、事前定義された巨視的形状をスタックに適用することを含む。熱成形は、一般に、熱可塑性熱軟化性プラスチック材料の基板が柔軟な成形温度に加熱される製造プロセスとして理解される。典型的には、そのガラス転移温度Tgを超え、その融点未満では、熱可塑性材料の物理的特性は、関連する相変化なしに大幅に変化する。加熱された基板は、例えば、型を使用して、特定の形状に形成され、使用可能な製品を作成するためにトリミングされ得る。典型的には、基板、例えば、シートまたはフィルムは、型内または型上に伸張されるのを可能にする十分に高い温度に加熱され、完成された形状に冷却される。熱成形の特定の好ましいバージョンは、真空成形としても知られている。例えば、プラスチックシートの小さい切断部分を加熱し、真空を使用して型上に伸張させるために、機械が使用され得る。この方法は、典型的には、サンプル部品およびプロトタイプ部品のために使用される。他のまたはさらなる用途において、連続高速プロセスにおいて、基板を加熱および形成し、オプションで、基板、例えば、シートから形成された部品をトリミングするために、製造機械が利用され得る。代替的に、または熱成形に加えて、射出成形、吹込み成形、回転成形、または高温でプラスチックを処理する他の形態などの、他の変形プロセスも本教示の用途に使用され得る。したがって、熱成形プロセスまたは温度について本明細書で言及されている場合、これは、他の同様のプロセスにも適用可能である場合がある。
【0036】
いくつかの実施形態において、第1の材料M1は、下にある基板13の熱可塑性材料Msよりも高い、および/または第2の材料M2よりも高い、光Lに対する反射係数R1を有する反射性コーティングを備える。例えば、反射性コーティングは、光Lの50パーセントを超えて、70パーセントを超えて、90パーセントを超えて、またはさらには95パーセントを超えて反射するように構成される。構成要素領域11において反射される光が多いほど、そこで吸収される光が少なくなり、電子構成要素14の周りの熱可塑性材料Msの温度が低くなる。
【0037】
他のまたはさらなる実施形態において、第2の材料M2は、下にある基板13の熱可塑性材料Msよりも高い、および/または第1の材料M1よりも高い、光Lに対する吸収係数A2を有する吸収性コーティングを備える。例えば、吸収性コーティングは、光Lの80パーセントを超えて、90パーセントを超えて、95パーセントを超えて、97パーセントを超えて、またはさらには99パーセントを超えて吸収するように構成される。周辺領域12において吸収される光Lが多いほど、そこでの熱可塑性材料Msの温度が高くなる。例えば、黒色コーティングがより多く吸収し、白色コーティングがより少なく吸収するグラフィック材料が使用され得る。いくつかの実施形態において、基板13は、各々が異なる熱吸収率を有する異なる材料を有する少なくとも3つの異なる領域を備える。また、例えば、異なる材料および/または色のグラデーションを使用して、吸収の段階的な変化がもたらされ得る。
【0038】
好ましくは、反射性および/または吸収性コーティングは、比較的薄い。例えば、反射性コーティングの厚さTrおよび/または吸収性コーティングの厚さTaは、下にある熱可塑性基板の厚さ(例えば、熱成形後の厚さT1および/もしくはT2、または熱成形前の厚さT0)よりも、少なくとも10倍、20倍、30倍、50倍、100倍、またはそれよりも薄い。コーティングの厚さが薄いほど、組み合わされた基板の全体的な厚さが均一になり、および/またはコーティングの存在による基板の特性、例えば、可撓性への影響が少なくなる。
【0039】
図3Aは、プロセスへのさらなる洞察を得るため、シミュレートされた幾何学的形状(有限要素モデル)の斜視画像を示す。
【0040】
対称性の理由のために、構造の4分の1のみを分析すれば十分であり得る。左上の図において、対称面は、「S」によって示されている。典型的なシミュレーションは、(印刷された)導電性トラック15と、接着接合された電子構成要素14と、上面上の2つの異なるグラフィックコーティング材料M1、M2とを与えられた基板13の加熱について説明する。このシミュレーションにおいて、エネルギー熱の供給は、箔の上面および下面において発生する。表面が熱成形のための所望の温度に達すると、加熱が停止し、箔は、1.5秒間冷却され、これは、ほぼ加熱と成形との間の時間間隔である。
【0041】
シミュレートされた幾何学的形状は、以下の特性を有する例示的な構造に従ってモデル化される。
40×40mmの基板(ポリカーボネート)が2mm(図3B図4A図4B)または250μm(図5Aおよび図5B)の厚さ(T0)を有する。
印刷された銀トラック(幅400μm、厚さ20μm)が基板を横切る。
基板の中心において、電子構成要素(1×0.5×0.3mm)が導電性トラックに接着接合される。印刷されたボンドパッドは、0.6×0.35mmであり、等方性導電性接着剤(ICA)は、0.5×0.25mmであり、ICAの厚さは、20μmである。
接合された構成要素の下および周囲の開放容積は、1.6×1.1mmの寸法と40μmの厚さとを有するアンダーフィルで満たされる。
接合された構成要素の周囲の基板上の領域は、10mmの半径を有するグラフィックプリント(M1)によって覆われる。適用された材料の吸収係数は、0.53である。
基板表面の残りの部分は、別のグラフィックプリント(M2)によって覆われる。この材料の吸収係数は、0.95である。
両方のグラフィックコーティング(M1およびM2)は、10μmの厚さを有し、この場合には、基板の上面にのみ塗布される。
モデルに関して、以下の仮定が行われる。
加熱段階中、基板の上面および下面が同じ加熱力を受ける。
加熱中および加熱後、基板表面は、放射によって(熱)エネルギーを失う。放射率係数は、吸収係数と同じである。
【0042】
図3Bは、ここでは2mmの基板の厚さを有する、シミュレートされた幾何学的形状のうちの1つに従って得られる温度分布を示す。グレースケールは、温度を示し、より暗い色が電子構成要素の周りのより冷たい領域を示し、より明るい色が周辺領域のより熱い部分を示す。
【0043】
加熱中、以下の熱プロセスが考慮され得る。
照明(L)による加熱段階における上面および下面の温度上昇。
伝導による表面から材料のバルクへの熱輸送(Hb)。
伝導による高い温度を有するセクション、例えば、M2セクションから、より低い温度を有するセクション、例えば、M1セクションへの熱輸送(Hc)。
周囲空気への放射による熱エネルギーの損失(Hr)。
【0044】
加熱段階の後、基板における温度差は、典型的には、長期的には横ばいになる。しかしながら、現在の目的に最も関連する状況は、照明直後の温度差である。現在の画像は、照明後1秒半(1.5秒)の温度を示し、これは、加熱段階の終了と加熱された基板の形成との間の所望のタイムスケールを表し得る。
【0045】
さらなる洞察を得るために、基板における温度プロファイルは、様々なプロットラインに沿って計算されている。
【0046】
図4Aは、異なる時間t5、t6における2mm基板の中心を通る水平プロットラインを示す。プロットラインは、図3Bにおいて、M2およびM1セクション、ならびに接合された構成要素の下のセクションを横切るものとして示されている。第1の時間t5は、照明の終了に対応し、第2の時間t6は、熱成形時間に対応し、これは、少し(ここで、1.5秒)遅れる可能性がある。基板の中心における温度は、外面領域との(伝導性)平衡化のために、照明後も依然として上昇していることに留意されたい。
【0047】
図4Bは、下面から上面へのM1セクションを通る垂直プロットラインと、下面から上面へのM2セクションを通る垂直プロットラインとを示す。基板の中心領域と基板の外面領域との間の温度平衡化は、セクションM2における比較的高い温度Thの最低点とセクションM1における比較的低い温度Tlの最高点との間の温度差ΔTlhを実際に改善することが理解されよう。好ましくは、この差ΔTlhは、ここでは灰色の勾配によって概略的に示されているガラス転移範囲よりも大きいので、2つの領域M1、M2の展性の間に最大の差が存在する。
【0048】
図5Aおよび図5Bは、図4Aおよび図4Bと同様のプロットを示すが、ここでは、250μmの比較的薄い基板について示す。図5Bに示すように、比較的薄い基板は、異なる材料M1、M2が片側のみにおいてコーティングされていたとしても、両側および中央においてほぼ同じ温度を有する。また、照明後、基板を横切る方向における温度平衡化は、極めて少ない。図5Aに示すように、領域M1とM2との間の基板表面に沿っていくらかの平衡化が存在するが、比較的短い時間スケール(ここでは、1.5秒)以内に、特に、好ましくはセクションM1とM2との間の境界内に一定のマージンを持って配置される電子構成要素14の位置において、ガラス転移温度Tgを横切る十分な温度差ΔTlhが残っている。
【0049】
図1に戻って参照すると、第1の材料M1を備える基板13の構成要素領域11と第2の材料M2を備える周辺領域12との間に、境界Bが画定され得る。例えば、電子構成要素14は、(基板13の表面を横切る)最大構成要素サイズXcを有する構成要素領域11内に配置され得る。
【0050】
一実施形態において、境界Bは、電子構成要素14の最も近いエッジから、最大構成要素サイズXcの少なくとも20パーセントまたは少なくとも50パーセントであるエッジマージンXeだけ離れている。好ましくは、はるかにより大きいマージン、例えば、Xeは、Xcよりも少なくとも2倍、3倍、5倍、10倍、またはそれよりも大きい。構成要素サイズXmと比較してエッジマージンXeが大きいほど、構成要素が局所的な変形からよりよく保護され得る。一方、マージンが大きすぎる場合、基板は、十分な全体的な変形を可能にしない場合がある。したがって、いくつかの実施形態において、係数を100よりも小さく、好ましくは50よりも小さく、より好ましくは20よりも小さく保つことが好ましい場合がある。例えば、Xc<Xe<20*Xeである。例えば、2mm×1mmの寸法のフットプリントを有する構成要素は、10mmの半径(Xc/2+Xe)を有する第1の材料M1のセクションによって囲まれ得る。もちろん、様々な状況に応じて、他のサイズおよびマージンも使用され得る。
【0051】
いくつかの実施形態において、基板13は、例えば、境界Bにおいて、構成要素領域11の周りの堀として配置された断熱材(図示せず)を備え、断熱材は、基板13の他の熱可塑性材料Msよりも、少なくとも2倍、3倍、4倍、10倍、またはそれよりも低い熱伝導率を有する。領域11、12の間に断熱材を使用することは、伝導性平衡化を防止することによって温度差を改善し得る。いくつかの実施形態において、基板13は、変形プロセスDの前にすでに異なる厚さを有し、異なる厚さは、照明中の差温度の蓄積に寄与する。
【0052】
添付の特許請求の範囲を解釈する際に、「備える」という単語は、所与の請求項においてリストされたもの以外の要素または行為の存在を排除せず、要素の前にある「a」または「an」という単語は、複数のそのような要素の存在を排除せず、請求項における任意の参照符号は、それらの範囲を限定せず、いくつかの手段は、同じもしくは異なるアイテムまたは実装された構造もしくは機能によって表される場合があり、開示されたデバイスまたはその一部のいずれかは、特に明記されていない限り、一緒に組み合わされ得、またはさらなる部分に分離され得ることが理解されるべきである。ある請求項が別の請求項を参照している場合、これは、それらのそれぞれの特徴の組合せによって達成される相乗的な利点を示している場合がある。しかし、特定の手段が相互に異なる請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組合せも有利に使用することができないことを示していない。したがって、本実施形態は、請求項のすべての機能する組合せを含み得、各請求項は、文脈によって明確に除外されない限り、任意の先行する請求項を原則として参照することができる。
【符号の説明】
【0053】
10 スタック
10c 湾曲電子デバイス、湾曲電子インターフェース
11 表面、基板表面、構成要素領域、領域
12 表面、基板表面、周辺領域、領域
13 基板
14 電子構成要素
15 電子回路、回路、導電性トラック
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
【国際調査報告】