(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-02
(54)【発明の名称】加圧下または真空下でガスネットワーク中の漏れを検出するためのガスネットワークおよび方法
(51)【国際特許分類】
G01M 3/28 20060101AFI20220126BHJP
【FI】
G01M3/28 A
G01M3/28 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021531772
(86)(22)【出願日】2019-11-26
(85)【翻訳文提出日】2021-06-03
(86)【国際出願番号】 IB2019060166
(87)【国際公開番号】W WO2020115610
(87)【国際公開日】2020-06-11
(32)【優先日】2018-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521234870
【氏名又は名称】アトラス・コプコ・エアパワー・ナームロゼ・ベンノートシャープ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・グエンス
(72)【発明者】
【氏名】エブラヒム・ルアールーディ
【テーマコード(参考)】
2G067
【Fターム(参考)】
2G067AA14
2G067BB04
2G067BB22
2G067BB34
2G067CC04
2G067DD02
2G067DD04
2G067EE08
2G067EE09
2G067EE10
2G067EE12
(57)【要約】
加圧下または真空下のガスネットワーク(1)中の漏れ(13)を検出および定量化するための方法であって、ガスネットワーク(1)が、圧縮したガスまたは真空の1つまたは複数の供給源(6)と、圧縮したガスまたは真空利用の1つまたは複数の消費者(7)または消費者区域と、ガスまたは真空を供給源(6)から消費者(7)、消費者区域または利用に移送するためのパイプラインまたはパイプラインのネットワーク(5)と、ガスネットワーク(1)中の異なる時間および場所でガスの1つまたは複数の物理パラメータを決定する複数のセンサ(9a、9b)とを備え、ガスネットワーク(1)が、いくつかの制御可能または調節可能な安全弁(10)をさらに備え、方法が、以下のステップ、すなわち、第1のグループのセンサ(9a、9b)および第2のグループのセンサ(9a、9b)の測定値の間で、これらのセンサ(9a、9b)の異なる測定値に基づいて、数学的モデルが確立されるトレーニングフェーズ(16)であって、調節可能な安全弁(10)が、予め規定された順序で、よく設計されたシナリオにしたがって漏れ(13)を発生させるために制御される、フェーズと、第1のグループのセンサ(9a、9b)および第2のグループのセンサ(9a、9b)の測定値の間で確立された数学的モデルが使用されて、ガスネットワーク(1)中の漏れ(13)を検出、位置特定、および定量化する動作フェーズ(17)とを含み、動作フェーズ(17)が以下のステップ、すなわち、予め規定された順序で、よく設計されたシナリオにしたがって安全弁を制御するステップと、第1のグループのセンサ(9a、9b)を読み出すステップと、これらの読み出した測定値に基づいて、数学的モデルを用いて、第2のグループのセンサ(9a、9b)の値を計算または決定するステップと、第2のグループのセンサ(9a、9b)の計算した値または決定した値を第2のグループのセンサ(9a、9b)の読み出した値と比較し、それらの間の差異を決定するステップと、上述した差異およびその派生物のいずれかに基づいてガスネットワーク(1)中の漏れ(13)が存在するかを決定するステップと、漏れ(13)が検出される場合に警告を生成するステップ、ならびに/または漏れ(13)が検出される場合に漏出率を生成するステップおよび/もしくは対応する漏出費用とともに何らかの場所を生成するステップとを含むことを特徴とする、方法。
![](/Kouhou/img?c=P_P1&n=2022512112&FileName=2022512112000001.tif&ImageFormatCategory=tif)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧下または真空下のガスネットワーク(1)中の漏れ(13)を検出および定量化するための方法であって、前記ガスネットワーク(1)が、
圧縮したガスまたは真空の1つまたは複数の供給源(6)と、
圧縮したガスまたは真空利用の1つまたは複数の消費者(7)または消費者区域と、
前記ガスまたは真空を前記供給源(6)から前記消費者(7)、消費者区域または利用に移送するためのパイプラインまたはパイプラインのネットワーク(5)と、
前記ガスネットワーク(1)中の異なる時間および場所で前記ガスの1つまたは複数の物理パラメータを決定する複数のセンサ(9a、9b)と
を備え、
前記ガスネットワーク(1)が、いくつかの制御可能または調節可能な安全弁(10)をさらに備え、前記方法が、以下のステップ、すなわち、
第1のグループのセンサ(9a、9b)および第2のグループのセンサ(9a、9b)の測定値の間で、これらのセンサ(9a、9b)の異なる測定値に基づいて、数学的モデルが確立されるトレーニングフェーズ(16)であって、前記調節可能な安全弁(10)が、予め規定された順序で、よく設計されたシナリオにしたがって漏れ(13)を発生させるために制御される、フェーズと、
前記第1のグループのセンサ(9a、9b)および前記第2のグループのセンサ(9a、9b)の前記測定値の間で確立された前記数学的モデルが使用されて、前記ガスネットワーク(1)中の漏れ(13)を検出、位置特定、および定量化する動作フェーズ(17)と
を含み、
前記動作フェーズ(17)が以下のステップ、すなわち、
予め規定された順序で、よく設計されたシナリオにしたがって前記安全弁を制御するステップと、
前記第1のグループのセンサ(9a、9b)を読み出すステップと、
これらの読み出した測定値に基づいて、前記数学的モデルを用いて、前記第2のグループのセンサ(9a、9b)の値を計算または決定するステップと、
前記第2のグループのセンサ(9a、9b)の前記計算した値または決定した値を前記第2のグループのセンサ(9a、9b)の前記読み出した値と比較し、それらの間の差異を決定するステップと、
上述した差異およびその派生物のいずれかに基づいて前記ガスネットワーク(1)中の漏れ(13)が存在するかを決定するステップと、
漏れ(13)が検出される場合に警告を生成するステップ、ならびに/または漏れ(13)が検出される場合に漏出率を生成するステップおよび/もしくは対応する漏出費用とともに何らかの場所を生成するステップと
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記第1のグループのセンサ(9a、9b)が複数の流量センサ(9a)およびいくつかの圧力センサ(9b)を前記ガスネットワーク(1)の中の異なる場所に含むことができ、前記第2のグループのセンサ(9a、9b)が複数の流量センサ(9a)を前記ガスネットワーク(1)の中の異なる場所に含むことができることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記流量センサ(9a)の少なくとも一部が前記安全弁(10)の近傍に配置され、その結果、前記安全弁(10)の流量を測定することができることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記トレーニングフェーズ(16)についての方法が、上述のセンサ(9a、9b)が使用の前に較正される開始フェーズ(15)を含みことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記センサ(9a、9b)が、現場の自己較正によって較正されることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
上述のセンサ(9a、9b)が以下の前記ガスの物理パラメータ、すなわち、圧力、差圧、温度、流量、ガス速度、および湿度のうちの1つまたは複数を測定できることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記動作フェーズ(17)がある時点で一時的に中断されまたは止められ、その後、異なるセンサ(9a、9b)の測定値間の前記数学的モデルを再定義するために前記トレーニングフェーズ(16)が再開され、その後前記動作フェーズ(17)が再始動されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記動作フェーズ(17)のステップが所与の時間間隔で順次繰り返されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記安全弁(10)が排流弁によって形成されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記センサ(9a、9b)の少なくとも部分とともに安全弁(10)が1つのモジュールに一体化されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記ガスネットワーク(1)の中の各安全弁(10)の近傍にセンサ(9a、9b)が設けられ、および/または逆も同様であることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
それがガス、空気、酸素、もしくは窒素、または他の毒性のないおよび/もしくは有害なガス、またはガスの混合物であることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記数学的モデルがブラックボックスモデルであることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
上述の数学的モデルが、パラメータまたは定数を有する行列および/または非線形ベクトル関数の形をとり、前記数学的モデルの出力または「ターゲット」の変化が前記動作フェーズ(17)の期間追跡されることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記ガスネットワーク(1)が、1つもしくは複数の安全弁(10)の状態を登録できる1つもしくは複数のセンサ(9c)をさらに備えること、および/または、前記ガスネットワーク(1)が、1つもしくは複数の異なる圧力センサ(9d)をさらに備えることを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
加圧下または真空下のガスネットワーク(1)であって、
圧縮したガスまたは真空の1つまたは複数の供給源(6)と、
圧縮したガスまたは真空利用の1つまたは複数の消費者(7)または消費者区域と、
前記ガスまたは真空を前記供給源(6)から前記消費者(7)または消費者区域に移送するためのパイプラインまたはパイプラインのネットワーク(5)と、
前記ガスネットワーク(1)中の異なる時間および場所で前記圧縮ガスの1つまたは複数の物理パラメータを提供する複数のセンサ(9a、9b)と
を少なくとも備え、
いくつかの制御可能または調節可能な安全弁(10)と、
場合によって、1つまたは複数の安全弁(10)の状態または状況を登録できる1つまたは複数のセンサ(9c)と、
前記センサ(9a、9b、9c)からのデータの収集のため、および上述の安全弁を制御または調節するためのデータ取得制御ユニット(11)と、
請求項1から15のいずれか一項に記載の方法を実行するための計算ユニット(12)と
をさらに備えることを特徴とする、ガスネットワーク。
【請求項17】
前記センサ(9a、9b、9c)の少なくともいくつかとともに安全弁(10)が1つのモジュールに一体化されることを特徴とする、請求項16に記載のガスネットワーク。
【請求項18】
前記ガスネットワーク(1)の中の各安全弁(10)の近傍にセンサ(9a、9b、9c)が設けられ、および/または逆も同様であることを特徴とする、請求項16または17に記載のガスネットワーク。
【請求項19】
前記安全弁(10)が排流弁によって形成されることを特徴とする、請求項16から18のいずれか一項に記載のガスネットワーク。
【請求項20】
前記センサ(9a、9b、9c)の少なくとも部分とともに安全弁(10)が1つのモジュールに一体化されることを特徴とする、請求項16から19のいずれか一項に記載のガスネットワーク。
【請求項21】
漏れ、漏出率、漏出費用、および場合によって場所(13)を表示または信号伝達するためのモニタ(14)を前記ガスネットワーク(1)がさらに備えることを特徴とする、請求項16から20のいずれか一項に記載のガスネットワーク。
【請求項22】
前記ガスネットワーク(1)が、1つもしくは複数の安全弁(10)の状態もしくは状況を登録できる1つもしくは複数のセンサ(9c)をさらに備えること、および/または、前記ガスネットワーク(1)が、1つもしくは複数の異なる圧力センサ(9d)をさらに備えることを特徴とする、請求項16から21のいずれか一項に記載のガスネットワーク。
【請求項23】
消費者(7)の状態または状況を登録できる前記センサ(9c)が前記消費者(7)自体の部分であることを特徴とする、請求項16から22のいずれか一項に記載のガスネットワーク。
【請求項24】
前記計算ユニット(12)が、ワイヤレスでまたはワイヤレスでなく、前記ガスネットワーク(1)に接続されるクラウドベースの計算ユニット(12)であることを特徴とする、請求項16から23のいずれか一項に記載のガスネットワーク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加圧下または真空下でガスネットワーク中の漏れを検出するための方法に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、ガスネットワーク中で生じる漏れを検出および定量化することが可能となることが意図される。
【背景技術】
【0003】
本明細書では、「ガス」とは、たとえば空気を意味するが、必ずしも空気とは限らない。
【0004】
加圧下でガスネットワークを監視するまたは制御する方法が既に知られている一方で、これらの方法は、長くて真っ直ぐなパイプラインのために設定され、ここでは、対象のガスの圧縮率に起因して、入る流れは、出る流れと必ずしも等しくない。
【0005】
これらの方法は、1つまたは複数の圧縮工場が加圧下で消費者の複雑なネットワークにガスを供給する、加圧下の複雑なガスネットワークでは好適でない、非常に長いパイプライン、真っ直ぐなパイプラインなどといった、いくつかの仮定に基づく。
【0006】
また、方法は、最終消費者自身の空気構成要素または空気工具中の漏れを検出するため、米国特許第7,031,850(B2)号および米国特許第6,711,507(B2)号中に記載されるように、既に所定の場所にある。最終消費者は、個別の最終消費者であってよく、またはいわゆる消費者区域または個別の最終消費者のグループを含んでよい。
【0007】
供給源側の総漏出率を推定するための方法は、たとえば、DE20.2008.013.127U1およびDE20.2010.015.450U1からやはり知られている。
【0008】
そのような知られている方法の欠点は、供給源と消費者または消費者区域との間のパイプラインの複雑なネットワーク中の漏れを検出することを可能にしないという点である。加えて、ガスの分配ネットワークまたは真空ネットワークは、過小推定するべきでない漏れの発生源である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第7,031,850(B2)号
【特許文献2】米国特許第6,711,507(B2)号
【特許文献3】DE20.2008.013.127U1
【特許文献4】DE20.2010.015.450U1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、この問題に対する解決策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、加圧したまたは真空のガスネットワーク中の漏れを検出および定量化するための方法に関し、ガスネットワークは、
- 圧縮したガスまたは真空の1つまたは複数の供給源と、
- 圧縮したガスまたは真空利用の1つまたは複数の消費者(7)または消費者区域と、
- ガスまたは真空を供給源から消費者、消費者区域または利用に移送するためのパイプラインまたはパイプラインのネットワークと、
- ガスネットワーク中の異なる時間および場所でガスの1つまたは複数の物理パラメータを決定する複数のセンサと
を備え、
ガスネットワークが、いくつかの制御可能または調節可能な安全弁をさらに備え、方法が以下のステップ、すなわち、
- 第1のグループのセンサおよび第2のグループのセンサの測定値の間で、これらのセンサの異なる測定値に基づいて、数学的モデルが確立されるトレーニングフェーズまたは推定フェーズであって、1つまたは複数の調節可能な安全弁が、予め規定された順序で、よく設計されたシナリオにしたがって漏れを発生させるために制御される、フェーズと、
- 第1のグループのセンサおよび第2のグループのセンサの測定値の間で確立された数学的モデルが使用されて、ガスネットワーク中の障害を予測および定量化する動作フェーズと
を含み、
ここで、動作フェーズが以下のステップ、すなわち
- 予め規定された順序で、よく設計されたシナリオにしたがって安全弁を制御するステップと、
- 第1のグループのセンサを読み出すステップと、
- これらの読み出した測定値に基づいて、数学的モデルを使用して、第2のグループのセンサの値を計算または決定するステップと、
- 第2のグループのセンサの計算した値またはある値を第2のグループのセンサの読み出した値と比較し、それらの間の差異を決定するステップと、
- 上述した差異およびその派生物のいずれかに基づいてガスネットワーク中の漏れが存在するかを決定するステップと、
- 漏れが検出される場合に警告を生成するステップ、ならびに/または漏れが検出される場合に漏出率を生成するステップおよび/もしくは対応する漏出費用を生成するステップと
を含むことを特徴とする、方法。
【0012】
調節可能な安全弁が制御される「予め規定された順序」とは、2つ以上がある場合に調節可能な安全弁が開閉される順序を意味する。
【0013】
「シナリオ」とは、たとえば、4つの安全弁の場合に、[0 0 0 0]、[1 0 0 0]、[0 1 1 0]、…といった、異なる安全弁の異なるオンおよびオフの状態のことを呼ぶ。単なるオン(1)およびオフ(0)以外のさらなる状態があることが可能であり、ここでは、漏れの検出および定量化のために、中間状態(たとえば、1/2)が等しく重要である。
【0014】
「差異の派生物」とは、たとえば、和、累計、算術平均、最小2乗和などといった、差異から引き出すことができる任意の数学的量を意味する。
【0015】
「消費者区域」とは、個別の(最終)消費者のグループのことを呼ぶ。ガスネットワークは、いくつかの消費者グループまたは消費者区域を含む場合がある。
【0016】
長所は、ガスネットワーク自体の漏れを知り、検出し、さらに定量化することをそのような方法が可能にするという点である。
【0017】
言い換えれば、本方法によって検出および定量化された漏れは、圧縮ガスの供給源または消費者での、すなわち、圧縮工場および空気工具または構成要素での漏れに限定されず、ガスネットワーク自体の分配パイプラインでの漏れにも関することができる。
【0018】
加圧下のガスネットワークの場合に、漏れは外側へと生じることになり、ガスが周囲の区域に流出することに留意されたい。真空のガスネットワークでは、漏れは「内向きに」発生する、すなわち、環境空気がガスネットワークに入ることになる。
【0019】
トレーニングフェーズの期間に、様々なセンサの測定値を使用して、このグループのセンサ間に関係式が確立される。
【0020】
安全弁の異なる設定で、異なる測定が行われる。言い換えれば、異なる試験シナリオ下の特別に設計されたシーケンスで、異なる漏れがガスネットワーク中で発生され、次いで、センサの測定値が読み出される。
【0021】
すべてのデータに基づいて、第1のグループのセンサすなわち数学的モデルの入力と、第2のグループのセンサすなわち数学的モデルの出力との間に、数学的モデルが確立される。入力または数学的操作は数学的モデルの「特徴」とも呼ばれ、出力は「ターゲット」とも呼ばれる。
【0022】
この方法では、センサによって測定された異なるパラメータ間の関係式を示す数学的モデルが作成されることになる。
【0023】
このモデルは、次いで、モデルの結果とセンサの測定値を比較することによって、センサの将来の測定値における不規則性を迅速に検出するために使用されることになる。
【0024】
この方法では、とても迅速かつ正確に漏れが検出、位置特定、および定量化され、漏れが検出される場合、アクションを行うことができ、漏れを修復することができる。
【0025】
本発明にしたがった方法のさらなる長所は、ガスネットワークの正確なトポロジーが知られている必要がないことである。漏れの検出、定量化、および位置特定をするのを可能にするために、安全弁の場所を知ることで、基本的には十分である。
【0026】
別の長所は、本発明にしたがった方法が、ガスネットワーク全体を考慮に入れ、したがって、ガスネットワーク全体での漏れを検出、定量化、および位置特定できることである。これは、ネットワークを、本方法を適用することを可能にするために、本方法が適用される「サブネットワーク」へと分割するべきでないことを意味する。
【0027】
別の長所は、「真の」漏れがガスネットワーク中で生じる場合のセンサからのデータを使用しなければならない代わりに、トレーニングフェーズ中のセンサからの測定値またはデータセットを使用して、漏れがシミュレーションされる数学的モデルを作成することを本方法が可能にすることである。したがって、センサからの必要なデータの生成は、過去に生じた可能性がある任意の漏れに依存することなく数学的モデルを導き出すことを可能にするために必要である。
【0028】
好ましくは、動作フェーズがある時点で一時的に中断されるまたは止められるべきであり、その後、異なるセンサの測定値間の数学的モデルまたは関係式を再定義するためにトレーニングフェーズが再開されるべきであり、その後動作フェーズが再開される。
【0029】
プロセス、すなわち供給源、パイプライン、および消費者を有するガスネットワークは停止されず、方法だけとなることに留意されたい。言い換えれば、動作フェーズが一時的に中断されるまたは止められる場合、供給源は依然として消費者にガス、または真空を供給することになる。
【0030】
動作フェーズを中断してトレーニングフェーズを再開することには、数学的モデルまたは関係式が更新されるという長所がある。
【0031】
このことによって、たとえば、修復されている検出済みの漏れ、または、時間とともに行われているガスネットワークへの調節もしくは拡張を考慮に入れることが可能になる。
【0032】
本発明は、加圧下または真空下のガスネットワークにも関する。ガスネットワークは、少なくとも以下、すなわち
- 圧縮したガスまたは真空の1つまたは複数の供給源と、
- 圧縮したガスまたは真空利用の1つまたは複数の消費者、消費者区域と、
- ガスまたは真空を供給源から消費者、消費者区域または利用に移送するためのパイプラインまたはパイプラインのネットワークと、
- ガスネットワーク中の異なる場所で圧縮したガスの1つまたは複数の物理パラメータを決定する複数のセンサと
を備え、
ガスネットワークが以下、すなわち
- いくつかの制御可能または調節可能な安全弁と、
- 場合によって、1つまたは複数の安全弁の状態または状況を登録できる1つまたは複数のセンサと、
- センサからのデータの収集のため、および上述の安全弁を制御または調節するためのデータ取得制御ユニットと、
- 本発明にしたがった方法を実行するための計算ユニットと
をさらに備えるという特徴を有する。
【0033】
そのような配置構成を使用して、本発明にしたがった方法を適用することができる。
【0034】
本発明の特性をより良好に説明するために、本発明にしたがった方法およびガスネットワークのいくつかの好ましい変形形態が、何ら限定的な性質のない例として、添付図面を参照して下で記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明にしたがったガスネットワークを概略的に示す図である。
【
図2】本発明にしたがった方法の概略フローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1のガスネットワーク1は、供給源側2、消費者側3、およびその2つの間のパイプライン5のネットワーク4を主に備える。
【0037】
この場合のガスネットワーク1は、加圧下のガスネットワーク1である。ガスは、空気、酸素、もしくは窒素、または任意の他の毒性のないおよび/もしくは有害なガス、またはガスの混合物であってよい。
【0038】
供給源側2は、圧縮空気を生成する、いくつかの、この場合は3つのコンプレッサ6を備える。消費者側3は、圧縮空気の、いくつかの、この場合はやはり3箇所の消費者7を含む。
【0039】
コンプレッサ6が圧縮空気ドライヤを含むことも可能である。
【0040】
ガスネットワーク1の下流にコンプレッサ6がやはり存在できることは除外されない。これは、「ブーストコンプレッサ」と呼ばれる。
【0041】
圧縮空気は、コンプレッサ6から消費者7にパイプライン5のネットワーク4を通して経路指定される。このネットワーク4は、ほとんどの場合に、パイプライン5の非常に複雑なネットワークである。
【0042】
図1は、非常に概略的で簡略化した方法における本ネットワーク4を示す。最も現実的な状況では、パイプライン5のネットワーク4が多数のパイプライン5、および消費者7を直列および並列にコンプレッサ6と接続する継手を備える。ネットワーク4の部分がリング構成を採用することまたは含むことは除外されない。
【0043】
これは、ガスネットワーク1が、追加の消費者7またはコンプレッサ6で時間とともに拡張されることが多く、それによって既存のパイプライン5間の新しいパイプライン5を敷設しなければならず、このことによって、絡み合うパイプライン5がもたらされるためである。
【0044】
ガスネットワーク1は、圧力容器8を備えることもでき、この圧力容器8の前にすべてのコンプレッサ6がある。
【0045】
ガスネットワーク1の下流に1つまたは複数の圧力容器8が存在する場合があることは除外されない。
【0046】
加えて、フィルタ、分離器、噴霧器、および/または調整器などといった構成要素18をガスネットワーク1の中に設けることもできる。これらの構成要素18は、様々な組合せで見いだすことができ、バッファタンク8の近くと個別の消費者7の近くの両方に見いだすことができる。
【0047】
ネットワーク4は、ネットワーク4中の異なる場所に配置されるいくつかのセンサ9a、9b、9cも含む。
【0048】
この場合では、2つの流量センサ9aが設置されており、そのうちの1つは、上述の圧力容器8の直後にあり、これが、すべてのコンプレッサ6によってもたらされる全流量qを測定することになる。
【0049】
コンプレッサ6の流量がコンプレッサ6自体によって計算または測定されることは除外されない。
【0050】
加えて、図では4つの圧力センサ9bを示しており、これが、ネットワーク4中の異なる場所の圧力を測定する。
【0051】
この場合では、圧力容器中の圧力9bは、好ましくは、大きい濃縮した容積についての、「流入質量-流出質量(mass in - mass out)」原理を補正するようにやはり測定される。
【0052】
4つより多いまたはより少ない圧力センサ9bを設けることもできるのは、明らかである。加えて、流量センサ9aの数は、本発明にとって限定するものではない。
【0053】
流量センサ9aまたは圧力センサ9bに加えて、追加または代替として、センサ9a、9bは、以下のガスの物理パラメータ、すなわち、差圧、温度、湿度、ガス速度などのうちの1つまたは複数を決定するために使用することができる。
【0054】
本発明によれば、ガスネットワーク1は、様々な場所でパイプライン5の中に設置されるいくつかの安全弁10も設けられる。安全弁10は調節可能または制御可能であって、これは、安全弁10が放出するガスの量を調節または調整できることを意味する。
【0055】
ガスの物理パラメータを測定できる、上述のセンサ9aおよび9bに加えて、安全弁10に配置されるいくつかのセンサ9c、すなわち「状態センサ9c」もある。好ましくは、センサ9cは、安全弁10の部分である。
【0056】
図1に明示的には示されないが、ガスネットワーク1中で、コンプレッサ6および消費者7の近傍に、これらの構成要素のオン/オフ状態を決定する追加の状態センサ9cがあることは、除外することができない。好ましくは、これらの状態センサは、消費者7自体の部分である。
【0057】
追加の状態センサ9c(たとえば、コンプレッサ6のオン/オフ)は、ここで、下で説明されるように、トレーニングフェーズ16および動作フェーズ17の期間に、モデルの交差感度を著しく低下させる意図がある。
【0058】
安全弁10でガスの圧力または流量を測定するセンサ9a、9bを使用することも可能である。安全弁10でガスの温度を測定するセンサを使用することも可能である。
【0059】
安全弁10は、ガスネットワーク1で標準として設けられることが多い排流弁によって形成することができる。そのような排流弁は、安全弁10として制御することができる。
【0060】
流量センサ、圧力センサ、代替センサ、および/または状態センサ9a、9b、9cのうちの少なくともいくつかは、好ましくは、安全弁10の近傍に配置されるべきである。この場合、各流量センサ9aおよび各状態センサ9cは、安全弁10の近傍に置かれる。
【0061】
この場合では、流量センサ9aは、それぞれの安全弁10の流量を測定するために使用され、このことによって、漏れ流量の定量化および安全弁10の状態すなわち開閉を状態センサ9cを使用して決定できることが可能になる。
【0062】
好ましくは、センサ9a、9b、9cは、ガスネットワーク1の中の各安全弁10の近傍に設けるべきであり、および/または逆も同様である。すなわち、安全弁10は、各センサ9a、9bの近くに設けるべきである。
【0063】
センサ9a、9b、9cの少なくとも部分を、安全弁10とともに1つのモジュールに一体化することも可能である。
【0064】
このことは、センサ9a、9b、9cと安全弁10の設置または一体化を簡略化およびスピードアップすることにもなる。加えて、安全弁10のための正しい好適なセンサ9a、9b、9cが1つのモジュール中に一緒に配置されることを確実にすることができる。
【0065】
上述の差圧センサ9dは、好ましくは、フィルタ、分離器、噴霧器、および/または調整器構成要素18にわたって配置される。現在の例では、4つの差圧センサ9dがガスネットワーク1の中に組み込まれている。
【0066】
上述の湿度および温度センサは、好ましくは、圧縮工場6および消費者7の入口/出口に搭載するべきである。示される例では、これらの追加センサは、ガスネットワーク1の中にすべてが含まれるわけではないが、これも可能であるのは当然である。特に、質量流量の代わりに体積流量だけが測定されるネットワーク中と同様に、より広範囲で複雑なガスネットワーク1では、そのようなセンサ9a、9bを使用することができる。
【0067】
本発明によれば、ガスネットワーク1は、上述のセンサ9a、9b、9c、9dからのデータを集めて、安全弁10を制御もするための、データ取得制御ユニット11をさらに備える。
【0068】
言い換えれば、センサ9a、9b、9c、9dは、ガスおよび安全弁10の物理パラメータを決定または測定し、このデータをデータ取得制御ユニット11に送信し、データ取得制御ユニット11は、どれだけ安全弁10が開いてガスを放出するかを制御または確認することになる。
【0069】
本発明によれば、ガスネットワーク1は、センサ9a、9b、9c、9dからのデータを処理するための計算ユニット12をさらに備える。ここで、計算ユニット12は、下で説明されるように、本発明にしたがったガスネットワーク1中の漏れ13を検出および定量化するための方法を実行することが可能となる。
【0070】
上述の計算ユニット12は、ガスネットワーク1の物理的な部分である、物理モジュールであってよい。計算ユニット12が物理モジュールでなく、ガスネットワーク1にワイヤレスで接続されてもされなくてもよい、いわゆるクラウドベースの計算ユニット12であることを除外することはできない。これは、計算ユニット12または計算ユニット12のソフトウェアが「クラウド」の中にあることを意味する。
【0071】
この場合では、ガスネットワーク1は、本方法を使用して検出された漏れ13を表示または信号伝達するためのモニタ14をさらに備える。
【0072】
本発明にしたがった、ガスネットワーク1の動作および方法は、非常に簡単で、以下となる。
【0073】
図2は、
図1のガスネットワーク1中の漏れ13を検出するための方法を概略的に図示する。
【0074】
第1のフェーズ15、開始フェーズ15では、必要な場合に、使用する前にセンサ9a、9b、9c、9dが較正される。他のセンサがある場合、それらも使用前に較正できるのは当然である。
【0075】
これは、ガスネットワーク1中にセンサ9a、9b、9c、9dが配置されるときに一度行われる。もちろん、センサ9a、9b、9c、9dを経時的に再較正できることも可能である。
【0076】
好ましくは、少なくともセンサ9aのグループは、動作期間に、または現場の自己較正によって較正されるべきである。これは、ガスネットワーク1の中のこれらのセンサ9aが、すなわち、センサ9aが設置された後に較正されることを意味する。「動作中」または「現場で」とは、ガスネットワーク1からセンサ9aを取り外すことのない較正を意味する。
【0077】
すべてのセンサ9a、9b、9c、9d、したがってやはり第1のグループのセンサ9a、9b、9c、または9dを動作中に、または自己較正によって現場で較正することがもちろん可能である。
【0078】
この方法では、センサ9a、9b、9c、9dの配置および/またはあり得る汚染は、それらの測定値に影響を及ぼさないことを確信することができる。というのは、センサ9a、9b、9c、9dの配置後にだけ較正を実施する、またはある時間期間で較正を繰り返すためである。
【0079】
次いで、第2のフェーズ16、すなわちトレーニングフェーズ16が開始する。
【0080】
このフェーズでは、第1のグループのセンサ9a、9b、9c、9d、すなわち「特徴」の測定値と第2のグループのセンサ9a、9b、9c、9d、すなわち「ターゲット」の測定値との間で、数学的モデルが作られる。
【0081】
好ましくは、第1のグループのセンサ9a、9b、9c、9dは、ガスネットワーク中の異なる場所にいくつかの圧力センサ9b、いくつかの流量センサ9a、および場合によって1つまたは複数の状態センサ9cを含み、第2のグループのセンサ9a、9b、9c、9dは、ガスネットワーク中の異なる場所にいくつかの流量センサ9aを含む。
【0082】
この場合では、流量センサ9a、圧力センサ9b、および状態センサ9cの部分が第1のグループのセンサを形成し、残りの流量センサ9aが第2のグループのセンサを形成する。
【0083】
完全にするために、ここで、本発明がこれに限定されないことが明記される。第1のグループのセンサおよび第2のグループのセンサについて、センサ(9a、9b、9c、9d)から任意の選択を行うことができるが、第1のグループのセンサは第2のグループのセンサに入るべきでなく、逆も同様であるという制限だけがある。
【0084】
上述の数学的モデルは、センサ9a、9b、9c、9dの様々な測定値に基づいており、ここで、調節可能な安全弁10は、漏れを発生するように制御される。
【0085】
言い換えれば、データ取得制御ユニット11が、センサ9a、9b、9c、9dからデータまたは測定値を収集する。ここで、データ取得制御ユニット11は、ガスネットワーク1の中に漏れが生じるように安全弁10を開くのを可能にするために安全弁10を制御し、その結果、ガスネットワーク1の中に1つまたは複数の漏れ13がある場合に、センサ9a、9b、9c、9dからデータを収集することができる。
【0086】
この方法では、安全弁10からの情報、すなわち、導入された漏れの場所およびサイズとともに、データまたは測定値の全セットを収集することができる。計算ユニット12は、すべてのこの情報に基づいて数学的モデルを作ることになる。この数学的モデルは、好ましくは、ブラックボックスモデルまたはデータ駆動モデルである。モデルは、典型的には、推定される「重み」とも呼ばれるいくつかのパラメータまたは係数を含む。
【0087】
このブラックボックスモデルは、たとえば、行列または非線形数学的ベクトル関数などの形をとる。
【0088】
数学的モデルは、いくつかの仮定に基づく。この場合では、ガスネットワーク1のパイプライン5の抵抗値が変化せず、ガスネットワーク1のトポロジーが固定されると仮定される。
【0089】
トレーニングフェーズ16は、好ましくは、ガスネットワーク1の動作期間、またはガスネットワーク1が動作可能であるときに実行されるべきである。
【0090】
数学的モデルは、動作フェーズ17中で使用されて、ガスネットワーク1中の漏れ13を検出および定量化する。一般的でないが、動作フェーズ期間に、漏れ13の位置特定をするために、予め規定された順序およびシナリオで安全弁10が制御されることは、除外することができない。シナリオ[0 0 0 … ]にしたがった制御も可能であることに留意されたい。
【0091】
やはりこのフェーズの期間に、データ取得制御ユニット11がセンサ9a、9b、9c、9dから異なるデータを収集し、計算ユニット12が、以前のフェーズ16で設定された数学的モデルを使用して必要な計算を実施する。
【0092】
動作フェーズ17は、第1のグループのセンサ9a、9b、9c、9dの読出しで開始する。
【0093】
これらの読み出された測定値を用い、第2のグループのセンサ9aの値が、数学的モデルを使用して計算ユニット12によって決定または計算され、「予測されるターゲット」とも呼ばれる。
【0094】
第2のグループのセンサ9aの決定または計算された値が、第2のグループのセンサ9aの読み出された値と比較され、それらの間の差異が決定される。
【0095】
上述の差異に基づいて、計算ユニット12は、漏れ13があるかを決定し、必要な場合には、ガスネットワーク1の中で漏れを位置特定する。
【0096】
この目的で、差異がある閾値を超えるかが検査され、これが次いでガスネットワーク1中の漏れ13を示すことになる。
【0097】
この閾値は、事前に設定すること、または経験的に選択することができる。
【0098】
漏れ13が検出されると、場合によっては対応する漏出率および/または漏出費用と一緒に、警告が生成されることになる。この場合、これは、警告を表示するモニタ14を使用して行われる。
【0099】
ガスネットワーク1のユーザがこの警告に気づき、適切なステップをとることが可能になる。
【0100】
動作フェーズ17のステップは、好ましくは、ある時間間隔で順次、循環的に繰り返される。
【0101】
結果として、ガスネットワーク1の全動作周期の期間に漏れ13を検出することができ、期間中にただ1回ではなく、ガスネットワーク1の開始直後だけでもない。
【0102】
上述の時間間隔は、ガスネットワーク1に依存して選択および設定することができる。時間間隔が経時的に変わることができることは除外することができない。
【0103】
本発明の好ましい変形形態では、ある瞬間に、動作フェーズ17が一時的に中断されまたは止められ、その後に、異なるセンサ9a、9b、9c、9dの測定値間の数学的関係式を再確立するために、トレーニングフェーズ16が再開され、その後、動作フェーズ17が再開される。
【0104】
「ある瞬間に」とは、本明細書では、たとえば、週に1回、月に1回、もしくは年に1回プリセットされる瞬間として、またはユーザが選択できる瞬間として解釈するべきである。
【0105】
これは、起こりうるシステムの時間変化挙動を考慮に入れるために数学的モデルを更新する。これらの時間変化挙動とは、数学的モデルが異なるシナリオ下でトレーニングされたときのトレーニングフェーズ16期間に、数学的モデルによって取得されなかった挙動である。
【0106】
これは、たとえば、ガスネットワーク1のトポロジーの変化、またはガスネットワーク1への新しい構成要素の追加を含むことができる。
【0107】
好ましくは、センサ9a、9b、9c、9dは、現場の自己較正によって較正される。これは、ガスネットワーク1の中のセンサ9a、9b、9c、9dが、すなわち、それらが設置された後に較正されることを意味する。
【0108】
この方法では、センサ9a、9b、9c、9dの配置は、それらの測定値に影響を及ぼさないことを確信することができる。というのは、較正は、センサ9a、9b、9c、9dの配置後にだけ行われるためである。
【0109】
図1の例では、方法は、加圧下のガスネットワーク1に関係するが、真空下のガスネットワーク1であってもよい。
【0110】
ここで、供給源側2が、いくつかの真空の供給源、すなわち、真空ポンプまたは同様のものを備える。
【0111】
この場合では、消費者7は、真空を必要とする利用によって置き換えられている。
【0112】
さらに、方法は同じであり、今は、漏れが環境空気をガスネットワーク1の中へ導く過程を考慮に入れる。好ましくは、より小さい閾値が警告を発するために設定されることになる。
【0113】
また、この場合では、安全弁10は、真の空気を噴き出すのではなく、むしろ、環境空気をガスネットワーク1の中に導くことになる。したがって、安全弁10は、吸気弁10である可能性が高い。しかし、原理は同じままである。
【0114】
本発明は、例として図に示された実施形態に決して限定されず、本発明で特許請求されるような方法およびガスネットワークは、本発明の範囲を超えることなく異なる変形形態で実行することができる。
【符号の説明】
【0115】
1 ガスネットワーク
2 供給源側
3 消費者側
4 ネットワーク
5 パイプライン
6 コンプレッサ、圧縮工場
7 消費者
8 圧力容器、バッファタンク
9a 流量センサ
9b 圧力センサ
9c 状態センサ
9d 差圧センサ
10 安全弁、吸気弁
11 データ取得制御ユニット
12 計算ユニット
13 漏れ
14 モニタ
15 第1のフェーズ、開始フェーズ
16 第2のフェーズ、トレーニングフェーズ
17 動作フェーズ
18 構成要素
【手続補正書】
【提出日】2021-06-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧下または真空下のガスネットワーク(1)中の漏れ(13)を検出および定量化するための方法であって、前記ガスネットワーク(1)が、
圧縮したガスまたは真空の1つまたは複数の供給源(6)と、
圧縮したガスまたは真空利用の1つまたは複数の消費者(7)または消費者区域と、
前記ガスまたは真空を前記供給源(6)から前記消費者(7)、消費者区域または利用に移送するためのパイプラインまたはパイプラインのネットワーク(5)と、
前記ガスネットワーク(1)中の異なる時間および場所で前記ガスの1つまたは複数の物理パラメータを決定する複数のセンサ(9a、9b)と
を備え、
前記ガスネットワーク(1)が、いくつかの制御可能または調節可能な安全弁(10)をさらに備え、前記方法が、以下のステップ、すなわち、
前記ガスネットワーク(1)の中の異なる場所に、複数の圧力センサ(9b)、場合よっていくつかの流量センサ(9a)、および場合によっていくつかの状態センサ(9c)を備える第1のグループのセンサ(9a、9b)および第2のグループのセンサ(9a、9b)の測定値の間で、これらのセンサ(9a、9b)の異なる測定値に基づいて、数学的モデルが確立されるトレーニングフェーズ(16)であって、前記第2のグループのセンサが前記ガスネットワーク(1)の中の異なる場所に複数の状態センサ(9c)を備え、前記第1のグループからのセンサが前記第2のグループの中になく、逆も同様であり、前記調節可能な安全弁(10)が、予め規定された順序で、よく設計されたシナリオにしたがって漏れ(13)を発生するために制御される、フェーズと、
前記第1のグループのセンサ(9a、9b)および前記第2のグループのセンサ(9a、9b)の前記測定値の間で確立された前記数学的モデルが使用されて、前記ガスネットワーク(1)中の漏れ(13)を検出、位置特定、および定量化する動作フェーズ(17)と
を含み、
前記動作フェーズ(17)が以下のステップ、すなわち、
予め規定された順序で、よく設計されたシナリオにしたがって前記安全弁を制御するステップと、
前記第1のグループのセンサ(9a、9b)を読み出すステップと、
これらの読み出した測定値に基づいて、前記数学的モデルを用いて、前記第2のグループのセンサ(9a、9b)の値を計算または決定するステップと、
前記第2のグループのセンサ(9a、9b)の前記計算した値または決定した値を前記第2のグループのセンサ(9a、9b)の前記読み出した値と比較し、それらの間の差異を決定するステップと、
上述した差異
および前記差異から抽出可能な数学的量を含むその派生物のいずれかに基づいて前記ガスネットワーク(1)中の漏れ(13)が存在するかを決定するステップと、
漏れ(13)が検出される場合に警告を生成するステップ、ならびに/または漏れ(13)が検出される場合に漏出率を生成するステップおよび/もしくは対応する漏出費用とともに何らかの場所を生成するステップであって、
前記場所が予め規定された順序で前記調節可能な安全弁10を制御することによって決定される、ステップと
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記流量センサ(9a)の少なくとも一部が前記安全弁(10)の近傍に配置され、その結果、前記安全弁(10)の流量を測定することができることを特徴とする、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記トレーニングフェーズ(16)についての方法が、上述のセンサ(9a、9b)が使用の前に較正される開始フェーズ(15)を含みことを特徴とする、請求項1
または2に記載の方法。
【請求項4】
前記センサ(9a、9b)が、現場の自己較正によって較正されることを特徴とする、請求項
3に記載の方法。
【請求項5】
上述のセンサ(9a、9b)が以下の前記ガスの物理パラメータ、すなわち、圧力、差圧、温度、流量、ガス速度、および湿度のうちの1つまたは複数を測定できることを特徴とする、請求項1から
4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記動作フェーズ(17)がある時点で一時的に中断されまたは止められ、その後、異なるセンサ(9a、9b)の測定値間の前記数学的モデルを再定義するために前記トレーニングフェーズ(16)が再開され、その後前記動作フェーズ(17)が再始動されることを特徴とする、請求項1から
5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記動作フェーズ(17)のステップが所与の時間間隔で順次繰り返されることを特徴とする、請求項1から
6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記安全弁(10)が排流弁によって形成されることを特徴とする、請求項1から
7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記センサ(9a、9b)の少なくとも部分とともに安全弁(10)が1つのモジュールに一体化されることを特徴とする、請求項1から
8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ガスネットワーク(1)の中の各安全弁(10)の近傍にセンサ(9a、9b)が設けられ、および/または逆も同様であることを特徴とする、請求項1から
9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
それがガス、空気、酸素、もしくは窒素、または他の毒性のないおよび/もしくは有害なガス、またはガスの混合物であることを特徴とする、請求項1から
10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記数学的モデルがブラックボックスモデルであることを特徴とする、請求項1から
11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
上述の数学的モデルが、パラメータまたは定数を有する行列および/または非線形ベクトル関数の形をとり、前記数学的モデルの出力または「ターゲット」の変化が前記動作フェーズ(17)の期間追跡されることを特徴とする、請求項1から
12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記ガスネットワーク(1)が、1つもしくは複数の安全弁(10)の状態を登録できる1つもしくは複数のセンサ(9c)をさらに備えること、および/または、前記ガスネットワーク(1)が、1つもしくは複数の異なる圧力センサ(9d)をさらに備えることを特徴とする、請求項1から
13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
加圧下または真空下のガスネットワーク(1)であって、
圧縮したガスまたは真空の1つまたは複数の供給源(6)と、
圧縮したガスまたは真空利用の1つまたは複数の消費者(7)または消費者区域と、
前記ガスまたは真空を前記供給源(6)から前記消費者(7)または消費者区域に移送するためのパイプラインまたはパイプラインのネットワーク(5)と、
前記ガスネットワーク(1)中の異なる時間および場所で前記圧縮ガスの1つまたは複数の物理パラメータを提供する複数のセンサ(9a、9b)と
を少なくとも備え、
いくつかの制御可能または調節可能な安全弁(10)と、
場合によって、1つまたは複数の安全弁(10)の状態または状況を登録できる1つまたは複数のセンサ(9c)と、
前記センサ(9a、9b、9c)からのデータの収集のため、および上述の安全弁を制御または調節するためのデータ取得制御ユニット(11)と、
請求項1から
14のいずれか一項に記載の方法を実行するための計算ユニット(12)と
をさらに備えることを特徴とする、ガスネットワーク。
【請求項16】
前記センサ(9a、9b、9c)の少なくともいくつかとともに安全弁(10)が1つのモジュールに一体化されることを特徴とする、請求項
15に記載のガスネットワーク。
【請求項17】
前記ガスネットワーク(1)の中の各安全弁(10)の近傍にセンサ(9a、9b、9c)が設けられ、および/または逆も同様であることを特徴とする、請求項
15または
16に記載のガスネットワーク。
【請求項18】
前記安全弁(10)が排流弁によって形成されることを特徴とする、請求項
15から
17のいずれか一項に記載のガスネットワーク。
【請求項19】
前記センサ(9a、9b、9c)の少なくとも部分とともに安全弁(10)が1つのモジュールに一体化されることを特徴とする、請求項
15から
18のいずれか一項に記載のガスネットワーク。
【請求項20】
漏れ、漏出率、漏出費用、および場合によって場所(13)を表示または信号伝達するためのモニタ(14)を前記ガスネットワーク(1)がさらに備えることを特徴とする、請求項
15から
19のいずれか一項に記載のガスネットワーク。
【請求項21】
前記ガスネットワーク(1)が、1つもしくは複数の安全弁(10)の状態もしくは状況を登録できる1つもしくは複数のセンサ(9c)をさらに備えること、および/または、前記ガスネットワーク(1)が、1つもしくは複数の異なる圧力センサ(9d)をさらに備えることを特徴とする、請求項
15から
20のいずれか一項に記載のガスネットワーク。
【請求項22】
前記計算ユニット(12)が、ワイヤレスでまたはワイヤレスでなく、前記ガスネットワーク(1)に接続されるクラウドベースの計算ユニット(12)であることを特徴とする、請求項
15から
21のいずれか一項に記載のガスネットワーク。
【国際調査報告】