IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イーオーエス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング イレクトロ オプティカル システムズの特許一覧

特表2022-512144処理ガス内で搬送される粒子の後処理のための方法及び装置、及びそのためのフィルタ
<>
  • 特表-処理ガス内で搬送される粒子の後処理のための方法及び装置、及びそのためのフィルタ 図1
  • 特表-処理ガス内で搬送される粒子の後処理のための方法及び装置、及びそのためのフィルタ 図2
  • 特表-処理ガス内で搬送される粒子の後処理のための方法及び装置、及びそのためのフィルタ 図3
  • 特表-処理ガス内で搬送される粒子の後処理のための方法及び装置、及びそのためのフィルタ 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-02
(54)【発明の名称】処理ガス内で搬送される粒子の後処理のための方法及び装置、及びそのためのフィルタ
(51)【国際特許分類】
   B22F 10/68 20210101AFI20220126BHJP
   B22F 10/28 20210101ALI20220126BHJP
   B33Y 40/00 20200101ALI20220126BHJP
   B29C 64/371 20170101ALI20220126BHJP
   B22F 12/70 20210101ALI20220126BHJP
【FI】
B22F10/68
B22F10/28
B33Y40/00
B29C64/371
B22F12/70
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021532377
(86)(22)【出願日】2019-12-11
(85)【翻訳文提出日】2021-06-08
(86)【国際出願番号】 EP2019084749
(87)【国際公開番号】W WO2020120623
(87)【国際公開日】2020-06-18
(31)【優先権主張番号】102018221575.8
(32)【優先日】2018-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503267906
【氏名又は名称】イーオーエス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング イレクトロ オプティカル システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】100077838
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 憲保
(74)【代理人】
【識別番号】100129023
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 敬
(72)【発明者】
【氏名】クラインハンス,ウルリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】シュトローベル,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】パヴリクツェック,スヴェン
(72)【発明者】
【氏名】ルンペル,ヨハネス
【テーマコード(参考)】
4F213
4K018
【Fターム(参考)】
4F213AC04
4F213AM26
4F213AM30
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL03
4F213WL13
4F213WL85
4K018AA03
4K018AA06
4K018AA07
4K018AA10
4K018AA13
4K018AA14
4K018AA19
4K018AA24
4K018BA02
4K018BA03
4K018BA04
4K018BA07
4K018BA08
4K018BA09
(57)【要約】
本発明は、3次元物体の生成製造のための装置(1)において処理ガス(50)で搬送される粒子(51)を後処理する方法であって、粒子(51)は、フィルタ室(40)に導かれる。酸化剤(60)が粒子(51)に添加され、酸化剤(60)との粒子(51)の酸化反応が開始される。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元物体の生成製造のための装置(1)における処理ガス(50)で搬送される粒子(51)の後処理方法であって、
前記粒子(51)は、フィルタ室(40)に導かれ、
酸化剤(60)が前記粒子(51)に添加され、前記酸化剤(60)と前記粒子(51)の酸化反応が開始されることを特徴とする後処理方法。
【請求項2】
添加された前記酸化剤(60)は、粒子環境に供給されるか、及び/又は粒子環境中に存在し、好ましくは、流動可能な形態、より好ましくは気体状の形態、特に不活性ガスの形態で与えられることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記酸化剤(60)は、適切な物質状態で与えられ、好ましくは、流動可能であり、より好ましくは気体状、特に、酸素の形態で与えられることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記粒子(51)に添加される前記酸化剤(60)、特に、酸素は、前記粒子環境に対して、体積分率で、少なくとも0.01体積%以上20体積%以下、好ましくは、1体積%以上、特に好ましくは4体積%以上、及び/又は、好ましくは10体積%以下、特に好ましくは6体積%以下であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記粒子(51)は、特に50℃以上650℃以下、好ましくは75℃以上、より好ましくは100℃以上、及び/又は、好ましくは200℃以下、より好ましくは150℃以下の温度に加熱されることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記粒子(51)を取り囲む前記酸化剤含有量、特に、酸素含有量、及び/又は、前記粒子環境及び/又は前記粒子(51)自体の温度が検出され、酸化剤供給部(62、621、622)及び/又は加熱装置(70、71、72)及び/又は排出口(53)の制御に用いられることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
三次元物体の生成製造のための装置における処理ガス(50)で搬送される粒子(51)の後処理のための後処理装置(100、200、300)であって、前記粒子(51)はフィルタ室(40)に導かれ、
前記後処理装置(100、200、300)は、酸化剤(60)を粒子(51)に添加するための酸化剤供給部(62、621、622)と、前記酸化剤(60)と前記粒子(51)との酸化反応を開始する装置とを備えることを特徴とする後処理装置。
【請求項8】
前記酸化剤供給部(62、621、622)は、前記処理ガスの供給部(52、521)に連係され、及び/又は、フィルタ室(40)に接続されていることを特徴とする請求項7に記載の後処理装置。
【請求項9】
前記酸化剤供給部は、本質的に、前記フィルタ室(40)内の少なくとも1つのフィルタ(41)に向けられていることを特徴とする請求項7~8のいずれかに記載の後処理装置。
【請求項10】
連続的、周期的、または、可変的に酸化剤を供給するように前記酸化剤供給部を制御する制御部(80)、特に、閉ループ制御部、を備えることを特徴とする請求項7~9のいずれか一項に記載の後処理装置。
【請求項11】
前記後処理装置は、少なくとも1つのエネルギー入力源(70、71、72)を含み、そのエネルギー入力が前記フィルタ室(40)の外側から、特に、放射線透過部(42)を介して、フィルタ室の内部に、及び/又は、前記フィルタ室(40)内から、特に、少なくとも1つのフィルタ(41)に一体化されたエネルギー入力要素を介して、行われることを特徴とする請求項7~10のいずれか一項に記載の後処理装置。
【請求項12】
少なくとも1つの前記エネルギー入力源(70、71、72)は、好ましくは加熱装置として構成され、好ましくは、前記制御部(80)、特に閉ループ制御部、によって制御及び/又は調節され得ることを特徴とする請求項7~11のいずれか一項に記載の後処理装置。
【請求項13】
酸化剤含有量、特に酸素含有量、粒子量、及び/又は温度を監視するプロセス監視部(90)が設けられていることを特徴とする請求項7~12のいずれか一項に記載の後処理装置。
【請求項14】
動作中、前記制御部(80)は、前記プロセス監視部(90)に基づいて、前記酸化剤供給部(62、621、622)及び/又は前記エネルギー入力源(70、71、72)及び/又は排出口(53)を制御することを特徴とする請求項13記載の後処理装置。
【請求項15】
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法、及び/又は請求項7~14のいずれか一項に記載の装置(100、200、300)において使用するためのフィルタ(41)であって、
前記フィルタ(41)は、抵抗ヒータ、特にワイヤメッシュ及び/又は加熱ワイヤとして構成された加熱装置(72)を備えることを特徴とするフィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元物体生成製造のための装置の処理ガス中で搬送される粒子を後処理する方法及び装置、並びにそのためのフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
三次元物体生成製造のための方法および装置は、例えば、ラピッドプロトタイピング、ラピッドツーリング、および付加製造のために使用される。このような方法の一例は、「選択的レーザ焼結またはレーザ溶融」として知られている。この場合、粉末状構築材料の薄層を繰り返し塗布し、構築されるべき物体の断面に対応する各層の位置をレーザ光で選択的に照射することにより、各層の構築材料を選択的に固化させている。
【0003】
このような三次元物体を製造する場合、処理室から取り出される処理ガスで粒子が搬送される。特に、金属の構築材料を用いたときには、部分的に高い反応性を有し高温で高放熱をともなって反応する金属凝縮物(metal condensates)が搬送される。このことは、フィルタにおける制御できない火災やダスト爆発を、特に、処理ガス中で搬送される粒子が堆積するフィルタ近傍において、引き起こす可能性がある。例えば、フィルタを交換するために対応するフィルタ室を開くと、それに伴って空気供給が増加することにより反応の可能性が増加し、上記リスクが増大する。
【0004】
特許文献1は、フィルタプレートに装填された添加剤粒子を用いて、爆発性ダスト-空気混合物からダスト成分を分離する不活性化方法を提案している。ここで、添加剤粒子の量は、これらの粒子と導入されたダストとの混合物が、少なくともダスト容器の上部充填レベルに達するまでは可燃性混合物を構成しないように選択される。炭酸カルシウムと二酸化ケイ素の粒子が、アルミニウムダストに関する添加剤粒子として記載されている。しかしながら、追加の粒子を使用することによって、それらを提供することに加えて、上部充填レベルにより速く接近することが可能となり、ダスト容器をより頻繁に空にしなければならなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1527807号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、三次元物体の生成製造のための装置の処理ガス中で搬送される粒子、特に、金属凝縮物、の後処理のための代替または改善された方法および代替または改善された装置、ならびにそのためのフィルタを提供し、制御できない粒子燃焼のリスクを最小化することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1に記載の方法と、請求項7に記載の後処理装置と、請求項15に記載のフィルタにより達成される。本発明のさらなる態様は、従属請求項の各々に特定されている。ここで、本方法はまた、以下に記載するまたは従属請求項における各装置の特徴によりさらに発展させてもよく、またはその逆であっても良いし、または各装置の特徴は、さらなる発展のために他の特徴とともに用いられてもよい。
【0008】
三次元物体の生成製造のための装置における処理ガス中で搬送される粒子の後処理に係る本発明の方法によれば、粒子がフィルタ室に導かれ、酸化剤が粒子に添加され、酸化剤と粒子との酸化反応が開始される。
【0009】
この文脈では、処理ガスは、処理室から排出されたガス、特に、抽出されたガス、として理解されるべきであり、製造プロセスに応じて、不活性ガスであってもよいし、または、不活性ガスを含んでいてもよい。処理ガスには、構築材料の未固化成分と、凝縮物、例えば金属凝縮物などのプロセス副生成物との両方が含まれていてもよい。処理ガス中で搬送されるこのような成分は、「粒子」という用語に要約される。ここで、本発明による後処理方法に構築材料の未固化成分を供給しないことが好ましく、あるいは、処理ガスが処理室から出るときに処理ガス中に含まれる量よりも少ない量だけそれらを供給することが好ましい。これは、例えば、サイクロン分離器を用いて達成することができ、サイクロン分離器は、プロセス副生成物から、構築材料の未固化成分を少なくとも大部分、効果的に分離する。
【0010】
基本的に、本発明の文脈における「酸化」は、一般的な広い化学的定義にしたがって、すなわち、電子供与体(electron donor)による電子の供与(donation)と、電子受容体(electron acceptor)による電子の受容(acceptance)とを伴う反応として理解される。酸化反応では、電子供与体としての凝縮物粒子が電子受容体としての酸化剤に電子を供与することが好ましい。特に、酸化反応は、酸素を受容体として、例えば、大気中酸素、または代替の酸素含有キャリアガス、または反応性ガスを酸化剤として行われる。酸素の形態は、分子状酸素、すなわちOに限定されるものではなく、他の形態、たとえば、オゾンすなわちO、または、酸素成分が酸化剤として使用され得る酸素原子を含む他の元素及び/又は分子化合物などの形態をも含む。他の酸化剤としては、特に、過酸化水素Hおよび過炭酸ナトリウムなどのその付加物、過マンガン酸塩MnO やクロム酸塩Cr 2-およびクロム(VI)酸化物(Jones酸化)など、高酸化状態にある遷移金属の酸素含有アニオン(オキシアニオン)、Ce4+などの金属イオン、銀イオンおよび銅イオンなどの貴金属イオン、臭素酸塩BrO および次亜塩素酸塩ClOなどのハロゲン酸素酸のアニオン、硫黄、ならびにフッ素、塩素、臭素、およびヨウ素などのハロゲン族が挙げられる。酸化反応により、粒子の火災または爆発の傾向が少なくとも十分に抑制されるか、または、標的化され従って制御された方法で粒子が「燃焼」され、すなわち、反応し尽くされる。
【0011】
標的化された酸化反応(targeted oxidation reaction)について、酸化反応は、好ましくは、粒子環境の変化及び/又は標的化エネルギー入力によって開始される、すなわち、意図的に開始される。この目的のために、例えば、後述するように、酸化剤及び/又は凝縮物粒子及び/又は未固化の構築材料、及び/又は粒子環境を所定の温度に加熱してもよい。粒子の標的化加熱は、例えば、粒子環境の加熱と比較して、過熱(overheating)を弱めるように後処理装置内の温度を低下させる。代替的にまたは追加的に、加熱、例えば、管ヒータ、熱交換器、対流熱伝達、または赤外線放射ヒータによる加熱に加えて、酸化反応を開始または支援するための、または、酸化剤及び/又は粒子に影響を与えるための他の形態のエネルギー入力も可能であり、例えば、フラッシュ光による光化学反応、プラズマ、電気アーク、静電放電または渦電流、酸化剤としての酸素を原子分解するための触媒などにより、または金属凝縮物表面を活性化するための活性化剤の添加により、または電気分解による。したがって、本発明の一般概念に係る本発明の方法は、基本的には、酸化剤を供給して酸化反応を開始するという一連の強制的な工程を必要としない。換言すれば、酸化剤の添加前に開始が起きてもよく、その逆でもよい。一連の処理ステップは、それぞれの実施形態から得られる。また、酸化剤の供給のみを用いても、上記エネルギー源の1つからのエネルギーの供給のみを用いても、酸化反応を開始することが可能である。換言すれば、プロセス副産物の制御された酸化という意味では、本発明の方法を実施することにより、上記の方法ステップのうちの1つのみで十分である。
【0012】
ここで、本発明に係る酸化反応の開始は、酸化反応が特定的に開始または支援されるという事実を言う。粒子を搬送する処理ガス中または混合物中の酸素成分などの酸化剤に、当該成分を含む環境を介した処理ガスの供給および酸化剤供給により、反応性粒子が囲まれている限りにおいて、自然酸化が原理的に想定され得る。これは、例えば、処理ガスのフィルタ室への供給部またはフィルタ室自体は、気密ではなく、あるいは、当該成分を含むガスで満たされているからである。しかしながら、これは、主として、粒子上に酸化物層を形成することによる不動態化に限定され、前述したフィルタ室の開放とその結果としての供給される酸素含有量の突然の増加など、少ない例におけるバーンオフ(burn-off)の意味での発熱酸化反応を導くのみである。しかし、このようなバーンオフは制御されない方法で進行する。しかし、本発明は、酸化反応の標的化された開始によって起動または支援される制御された酸化反応に関する。酸化反応の標的化された開始まで、または、酸化剤の供給まで、及び/又は前記エネルギー入力の開始まで、粒子の反応を制限または完全に阻止する実質的に不活性な雰囲気に粒子が取り囲まれている場合、本発明による方法は、特に制御された方法で進行する。これは、例えば、粒子を搬送する処理ガス自体が不活性ガスであること、および、処理ガスの供給部において及び/又はフィルタ室内において、その中に潜在的に含まれる酸化剤との混合が、特に添加される酸化剤を除いて、可能な限り回避されること、又は、処理ガスの供給部及び/又はフィルタ室自体が不活性ガスを含むこと、たとえば不活性ガスで満たされること、において達成される。処理ガス自体が不活性ガスではない場合には、標的化された酸化剤添加まで粒子とその粒子環境との反応が抑制または完全に阻止される程度まで、処理ガスは、供給部における及び/又はフィルタ室内の不活性ガスと混合されてもよい。
【0013】
酸化反応は、必ずしも全ての粒子に対してもたらされる必要はなく、粒子のサイズまたは表面積対体積比、粒子の反応特性、及び/又は粒子の割合により対応する燃焼または爆発のリスクを引き起こす粒子に限定され得る。酸化反応を開始するためのエネルギー入力に関連して、特に加熱に関して、焼結に至るまでの粒子の集塊(conglomeration)または凝集(agglomeration)が起こり、これにより、活性表面は危険のないレベルまで低下され得る。このような効果は、発熱酸化反応によっても生じ得る。好ましくは、上記のように、構築材料の未固化成分は、酸化反応の前に分離されてもよい。あるいは、好ましくは、例えば遠心分離機によって、凝縮物粒子が処理ガス中で搬送される粒子環境から分離され、リサイクルされて、酸化反応が粒子としての凝縮物に実質的に向けられるようにしてもよい。これらは、例えば、80~120nmの範囲の一次粒子径をもつ凝集粒子として、5~50nmの範囲の一次粒子として存在することが多い。
【0014】
このようにして、例えば、添加剤粒子の使用を省略してもよい。さらに、例えば、それほど高温ではないバーンオフの場合には、粒径の変化が好ましくは全くないかもしくはごくわずかであれば、一般的な火災及び爆発の危険性は低減され得る。この点において、フィルタおよび粒子又は残留粒子の廃棄や他のさらなる処理の際のフィルタ交換後にも存在し続ける火災および爆発の危険性は、処理ガス中に同伴された粒子の後処理を事前に行わない場合のフィルタ交換に比較して低減される。
【0015】
好ましくは、供給される酸化剤は、好ましくは流動可能な形態、より好ましくは気体状の形態、特に不活性ガスの形態で提供される粒子環境に与えられる。
流動性粒子環境は、粒子環境における酸化剤の均一な分布を支援する。気体状の粒子環境を提供することにより、処理ガスの直接使用が可能となり、また、装置の設計の観点において、気体の流動特性に関しても有利である。さらに、粒子環境として不活性ガスを用いることにより、標的化された酸化反応が起こるまで粒子の反応は防止又は少なくとも抑制される。
この点において、酸化剤の添加は、特に、意図された酸化反応の領域において、粒子環境を酸化剤で富化する。
【0016】
粒子環境は、粒子を搬送する処理ガス自体により、または処理ガスの供給部及び/又は酸化剤供給部及び/又はフィルタ室に含まれる媒体によって、またはそれらの混合によって形成されてもよい。粒子環境の流動性に起因して、特に気体状の形態では、酸化剤を粒子環境内で良好に分布させることができる。粒子環境の一部として不活性ガスが提供される場合、例えば、凝縮物粒子の反応リスク及び/又は未固化の構築材料の量は、酸化反応が標的化された方法で開始されるまで、及び/又は、酸化剤が標的化された方法で添加されるまで、不活性環境によって低減され得る。
好ましくは、酸化剤は、適切な物質状態で提供され、好ましくは流動可能であり、より好ましくは気体状であり、特に酸素の形態で提供される。しかしながら、酸化反応条件に応じて、固体もまた酸化剤として可能である。
【0017】
「適切な」という用語は、粒子または酸化反応に供給される粒子の酸化の目的に関連するものであり、この物質状態における実質的に完全な酸化反応がこれらの粒子について想定される。ここで、流動性は、例えば、粒子の周りの酸化剤の分布を容易にすることができる。気体状粒子環境の場合には、気体状酸化剤によって均一な分布が特に良好に達成される。
酸化剤としての酸素の使用は、特に大気中酸素の使用に関してのその利用可能性や、酸化反応の意味での、あるいはまた、明示的に意図されたバーンオフの意味での多くの粒子材料の酸素に対する高い親和性、など、多くの点で適切と思われる。
好ましくは、体積分率で、粒子環境に対して0.01体積%以上20体積%以下、好ましくは1体積%以上、特に好ましくは4体積%以上、及び/又は、好ましくは10体積%以下、特に好ましくは6体積%以下の酸化剤、特に酸素が、粒子に対して添加される。
このようにして、例えば、制御されない連鎖反応を防止することができ、ATEX規制(注:EUの防爆規格)の意味での爆発防御を図ることができる。
好ましくは、粒子は、特に、50℃以上650℃以下、好ましくは75℃以上、より好ましくは100℃以上、及び/又は、好ましくは200℃以下、より好ましくは150℃以下の温度に加熱される。
【0018】
粒子を加熱することにより、例えば、酸化反応を開始または支援することができる。加熱は、酸化剤の添加の前、後、または添加中に行われてもよい。酸化反応の場所として酸化剤の添加場所を意図している場合には、特に後者が該当し、加熱が効率的に行われる。設計に関する要件などの様々な理由のために、加熱はまた、酸化剤添加の上流または下流で行われてもよい。
既に述べたように、加熱は、粒子環境の気体にではなく粒子に向けられているという点において、特に長時間にわたって加熱する場合に、後述する後処理装置の過熱が回避される。例えば、輻射ヒータを使用する場合、熱は本質的に粒子によって吸収されるだけであり、この熱吸収は、気体中の熱量と比較して大きくはない。さらに、粒子環境の気体を再循環及び/又は能動的に冷却することも原理上は考えられる。この点において、粒子環境に関連する「気体」という用語は、処理ガスおよび気体状酸化剤ならびに粒子環境中に存在するその他のガスならびにこれらのガスの混合物をも含んでいることに留意されたい。このことは、粒子加熱に関しては関係がないが、酸化反応の点では考慮されるべきであるからである。
【0019】
材料に応じて、加熱温度は、AlSi10Mgの場合には200℃程度のように、比較的高い値を採用することができる。特に、加熱の結果、フィルタの加熱及び/又は点火温度が粒子の点火温度を超えていても良い。但し、反応がフィルタの接触なしに粒子環境において行われ、点火温度の上限がフィルタの接触の前に再び低下するのであることを条件とする。温度非感受性の選択肢としては、点火温度がより高い金属またはセラミックフィルタがある。
好ましくは、粒子を取り囲む酸化剤含有量、特に酸素含有量、及び/又は粒子環境及び/又は粒子自体の温度が検出され、酸化剤供給部及び/又は加熱装置及び/又は排気装置の制御に影響を及ぼす。
【0020】
「検出」なる用語は、対応する各値の測定に限定されるものではなく、パラメータ設定など、他の情報源からのそれらの派生物を含んでもよい。しかし、各値の測定は、例えば、設定に依存しない状態情報を反映してもよい。検出された値または目標値からの所定の偏差にしたがって、酸化剤供給部及び/又は加熱装置及び/又は排気装置の制御に影響を及ぼす介入は、これらの装置のうちの少なくとも1つを停止することである。しかしながら、有利なさらなる態様では、介入はプロセスを目標値の所定の範囲に戻すための閉ループ制御または再調整制御に対応する。しかし、最終的には、偏差の程度およびそれにともなうリスクに応じて、例えば、所定の偏差以下の偏差の場合には制御、および、この偏差を超える場合には停止、という両方の介入の可能性を提供してもよい。
【0021】
本発明の後処理装置は、三次元物体生成製造装置の処理ガス中で運ばれる粒子の後処理のための後処理装置であって、粒子がフィルタ室に供給され、粒子に酸化剤を添加するための酸化剤供給部と、酸化剤との粒子の酸化反応を開始するための装置とを備える。
酸化剤供給部は、酸化剤貯蔵部から酸化剤を粒子に供給することができる導管の形態であってもよいし、酸化剤通路のみの形態であってもよい。酸化反応を開始するための装置は、例えば、既に包括的に述べたように、エネルギー、特に、温度を上昇させるためのエネルギーを導入する装置、または、触媒、界面活性剤、及び/又は電解質を添加するための注入口やダクトを含むことができる。
本発明による方法に関して既に述べたように、後処理装置は、例えば、火災及び爆発のリスクを低減するために粒子の選択的酸化を達成することができる。
好ましくは、酸化剤供給部は、処理ガスの供給部に連係され、及び/又はフィルタ室に直接または間接的に接続される。
【0022】
処理ガスの供給部は、フィルタ室への処理ガスの供給部として理解される。酸化剤供給部が処理ガス供給部に連係される場合、例えば、複数のフィルタ室のための1つの酸化剤供給部および1つの処理ガス供給部を有する場合、酸化剤供給部を各フィルタ室に対して設ける必要がなく、これらの複数のフィルタ室は供給を受けることができる。逆に、例えば、1つのフィルタ室と複数の処理ガス供給部とを有する場合、フィルタ室に接続された酸化剤供給部が有利であり得る。フレキシビリティを高めるために、オプションの接続又は配置オプションも考えられる。フィルタ室への接続は、必ずしも直接である必要はなく、例えば、バルブ部などの機能的中間部を介して間接的に提供されてもよい。
さらに、酸化剤供給部を処理ガス供給部に接続することによって、粒子の標的化された酸化反応が、例えば、粒子がフィルタ室に到達する前に起こり得る。逆に、酸化剤供給部がフィルタ室に接続されている場合、標的化された酸化反応は、フィルタ室の領域に限定され得る。
好ましくは、酸化剤供給部は、フィルタ室内の少なくとも1つのフィルタに本質的に導かれる。
【0023】
このようにして、例えば、少なくとも1つのフィルタに到達する粒子が酸化反応に供されること、あるいは、酸化反応がフィルタの領域内で行われること、が達成され、その結果、フィルタ上に酸化された粒子が堆積することが好ましい。特に、エネルギー入力源を有するフィルタについての後述する実施形態に関して、フィルタ室内のフィルタに向かう酸化剤供給方向が有利であるとわかる。
好ましくは、酸化剤を連続的、周期的、または可変的に供給するように酸化剤供給部を制御する制御部、特に、閉ループ制御部が設けられる。
【0024】
酸化剤の連続的な添加は、最小酸化剤濃度を与えることができる。しかし、たとえば酸化反応の開始後初めのうちは酸化剤をさらに供給せず、その時点までに供給された量で酸化反応を進行させることもまた有利である。特に、火災及び爆発の危険性がある場合の消費値及びプロセス制御に関して、事象依存又は状態依存の添加の意味における可変添加は、制御の観点から多くの場合に有利である。周期的または可変的な添加の意味において、制御部は、例えば、供給部のための排気装置を停止することによって、または、対応する閉鎖要素によって、処理ガスの供給を制限または遮断することができる。このようにして、酸化反応を準密閉システム内で行うことができる。特に、処理室へのフィードバックを回避するための装置の場合、好ましくは閉鎖要素によって達成され得るが、処理室内に到達する望ましくない酸化反応を防止することができる。このような制限または遮断は、処理ガス中に搬送される追加量の粒子が酸化反応に導入されないという条件に関連させる必要はないが、例えば酸化後の場合には、酸化プロセスに影響を及ぼす処理ガスのさらなる添加を中断し、したがって、やはり粒子なしとすることができる。処理ガスとして不活性ガスが使用される場合、このことは、例えば、別の方法で酸化能力を再び低下させ得る。
好ましくは、後処理装置は、少なくとも1つのエネルギー入力源を含み、そのエネルギー入力は、フィルタ室の外部から、特に、フィルタ室の内部の放射線透過部分を介して、及び/又は、フィルタ室の内部から、特に、少なくとも1つのフィルタに一体化されたエネルギー入力要素を介して、行われる。
【0025】
エネルギー入力源によって、エネルギーが酸化剤及び/又は粒子及び/又は粒子環境に供給されて酸化反応を開始する。例えば、粒子自体によって活性化エネルギーが提供される可能性を高めるために、活性化エネルギー及び/又は温度を上昇させるためのエネルギーが粒子に供給される。
フィルタ室の外側に配置した場合、エネルギー入力は、放射線透過性部分を介して、例えば、本質的に無視できる吸収現象を除いてさらなる成分や媒体を加熱することなく、粒子に向けることができる。
代替的にまたは追加的に、フィルタ室内の配置、特に、少なくとも1つのフィルタに一体化されたエネルギー入力要素は、例えば、より局所的に標的化された方法でエネルギー入力を導入する利点を提供することができる。
しかしながら、処理ガスの供給部の外部から、特に、放射線透過部分を介して処理ガスの供給部の内部へ、及び/又は、処理ガスの供給部の内部からエネルギー入力を行うエネルギー入力源を備えることも考えられる。
【0026】
処理ガスの供給部に連係されたエネルギー入力源の場合には、エネルギー入力源は、例えば、内部または外部にエネルギー入力源を備えた及び/又は放射線透過性部分を備えた後付けキットなどの中間部品を処理ガスの供給部に挿入することによって、あるいは、このような要素を結合部品として追加することによって、後付けで簡単に追加することもできる。エネルギー入力源に加えて、対応する中間部品または結合部品はまた、酸化剤の添加のための注入口を備えてもよい。代替的にまたは追加的に、中間部品または接続部品は、プロセス監視のためのセンサを含む。
好ましくは、少なくとも1つのエネルギー入力源は、加熱装置として構成され、好ましくは、制御部、特に閉ループ制御部によって制御及び/又は調整され得る。
【0027】
「加熱装置」なる用語は、酸化剤、粒子、及び/又は粒子環境を加熱することを可能にする装置を意味するものと理解される。このような加熱装置は、活性化エネルギーを提供するという意味と温度依存性酸化プロセスの意味において、酸化反応を開始するための装置として使用することができる。さらに、例えば、粒子の集塊または凝集及び/又は焼結は、所定の温度レベルを与えることによって支援される。制御部への接続によって、各場合における異なる動作メカニズムを対象とした温度プロファイルが予め決定されてもよい。同様に、加熱装置は、制御設定から逸脱する値に対応することができるように、または、調節パラメータに従って動作することができるように、制御ループに統合されてもよい。
制御部は、エネルギー入力源を介して、又は、一般的に所定の時間間隔で周期的に酸化反応を開始するための装置を介して、又は、粒子の所定量に到達するなどのフィードバック制御の意味での事象依存で、又は、例えばフィルタ室を開く前に、操作者による要求により、酸化反応の開始を提供することができる。後者の例に関して、酸化反応が事前に開始され、その完了が行われたと推定されるか、または、プロセス監視が、このことを確認した場合にのみ、フィルタ室を開くことができるようにしてもよい。この確認は、任意選択的に、条件のトリガとしての酸化反応前の、または、その後の解除条件としての残留量の意味での、フィルタ室内の検出された粒子量に応じて行われる。
好ましくは、酸化剤含有量、特に酸素含有量、及び/又は温度を監視するプロセス監視が提供される。
【0028】
プロセス監視は、例えば、プロセス状態を記録するため、信号情報または警告メッセージの形態で臨界プロセス状態を出力するため、またはシャットダウンを起動するため、及び/又は、調整プロセスの一部として閉ループ制御部に実際の値を渡すために使用することができる。プロセス監視に使用される酸化剤含有量や温度を測定するセンサは、これらの値を検出することに限定されない。代替的に又は追加的に、処理ガス中に取り込まれる粒子の量を監視することもできる。
プロセス監視のための装置として、プロセス監視は、自身の独立したユニットを形成してもよいし、監視すべき変数の検出は、例えば、制御部においてプロセス監視ユニットを形成するように組み合わされた個々のセンサによって実行されてもよい。好ましくは、監視すべき値の検出は、関心領域内の値を決定するという意味で、または、少なくとも、検出された値を介して関心領域において監視すべき値について結論が導かれるように、空間分解能を備えなければならない。
好ましくは、制御部は、プロセス監視に基づいて、酸化剤供給部及び/又は加熱装置及び/又は排出口を制御する。
【0029】
プロセス監視によって検出された値に応答して、例えば低すぎる酸化剤含有量が検出された場合には、酸化剤添加量を増加させることができ、温度を上昇させることができ、及び/又は処理ガスの抽出そして添加を減少させることができる。処理ガスの添加の制御は、一方では、処理ガス中に搬送される粒子の量、及び/又は、他方では、粒子を搬送する処理ガスの量に向けられ、これは、その添加時に酸化剤の濃度に影響を及ぼす。このようにしてプロセス監視及び制御が制御ループを形成する。
【0030】
本発明の方法または装置に使用するための本発明によるフィルタは、抵抗ヒータ、特にワイヤメッシュ及び/又は加熱ワイヤとして構成される加熱装置を備える。
抵抗ヒータとして加熱装置を構成することにより、簡単な実装を行うことができる。特に、ワイヤメッシュが好適であり、これは、例えば、グリッド状、ネット状、または不規則な構造として構成することができる。不規則な構造は、例えば、局所構造密度に応じて異なる温度範囲を有することができる。ワイヤメッシュまたは加熱ワイヤは、フィルタファブリックに挿入されてもよい。
フィルタは加熱装置を備えているので、従来のフィルタ室を後処理装置に改造することや、後処理のための方法を適用することが、ここでも簡素化される。代替的にまたは追加的に、酸化反応を開始するために酸化剤または薬剤またはさらなる薬剤を提供するために、フィルタを設けてもよい。例えば、酸化剤を提供する観点では、フィルタは、電子受容体として作用する材料から形成されてもよいし、電子受容体として作用する材料を含んでもよい。加熱装置に加えて、フィルタはまた、酸化反応を開始するか、または活性化表面の形成を補助するための触媒として作用してもよい。
フィルタにおいてまたはフィルタの領域内での酸化反応を開始することは、最大の粒子蓄積がそこに期待されるという点においても好ましい。ここで、酸化反応は、周期的に、または、フィルタ室が開かれる前に臨界量に達したときに、特に、決定された境界条件に基づいてプロセス監視または閉ループ制御の一部として開始されてもよい。
【0031】
本発明のさらなる特徴および有用性は、添付の図面を参照した実施形態の説明から得られる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】三次元物体の生成製造装置を部分的に断面で示した概略図である。
図2図1に示す三次元物体の生成製造装置において処理ガス中で搬送される粒子を後処理するための、本発明の第1の実施形態に係る後処理装置を部分的に断面で示した概略図であり、実施例では、酸化剤の供給部および酸化反応を開始するための装置は、フィルタ室に連係されている。
図3図1に示す三次元物体の生成製造装置において処理ガス中で搬送される粒子を後処理するための、本発明の第2の実施形態に係る後処理装置を部分的に断面で示した概略図であり、実施例では、酸化剤の供給部および酸化反応を開始する装置は処理ガスの供給部に連係されている。
図4図1に示す三次元物体の生成製造装置において処理ガス中で搬送される粒子を後処理するための、本発明の第3の実施形態に係る後処理装置を部分的に断面で示した概略図であり、実施例では、酸化剤の供給部はフィルタに向けられ、且つ当該フィルタは酸化反応を開始する装置を含んでいる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、三次元物体生成製造装置を図1を参照して説明する。図1に示す装置は、レーザ焼結またはレーザ溶融装置1である。対象物2を構築するために、装置は、室壁4を有する処理室3を含んでいる。
【0034】
処理室3には、容器壁6を有し、頂部を開口した容器5が配置されている。作業面7は、容器5の上部開口により規定され、開口部内に位置し対象物2の構築に用いられる作業面7の領域は構築領域8として言及される。また、処理室3は、処理室3に連係された処理ガス供給部31と、処理ガスの排出口53とを備えている。
【0035】
容器5には、鉛直方向Vに移動可能な支持体10が配置されており、支持体10には、容器をその下面側で閉鎖しその底部を形成する基板11が配置されている。基板11は、支持体10とは別体に形成された板でも、支持体10に固定された板でもよいし、支持体10と一体に形成されてもよい。使用される粉体および使用される工程に応じて、物体2が構築される構築台12を構築ベースとして基板11に取り付けても良い。また、物体は基板11それ自体の上に構築されても良く、この場合、基板11が構築ベースとして機能する。図1において、容器5内の構築台12上に形成される対象物は作業面7の下に、未固化のままの構築材料13で囲まれた複数の固化層を有する中間状態で示されている。
【0036】
装置1は、更に、電磁放射により固化可能な粉末状構築材料15の収容容器14と、水平方向Hに移動可能であり、構築材料15の層を構築領域8内に塗布するリコータ16とをさらに含んでいる。リコータ16は、その移動方向を横切って、塗布される全域に亘って延在していることが好ましい。
【0037】
任意選択的に、塗布された構築材料15を加熱するための輻射ヒータ17が処理室3内に配設されてもよい。輻射ヒータ17として、例えば赤外線エミッタを設けてもよい。
【0038】
レーザ焼結装置1は、レーザ21を備えた照射装置20をさらに備え、レーザ21はレーザビーム22を発生し、レーザビーム22は偏向装置23によって偏向され、集束装置24によって、室壁4内の処理室3の頂部に配置された結合窓25を介して、作業面7上に集束される。
【0039】
さらに、レーザ焼結装置1は制御ユニット29を備え、制御ユニット29により、製造工程を実行するために、装置1の個々の構築部品は協調的に制御される。あるいは、制御ユニット29は、部分的または完全に装置1の外側に配置されてもよい。制御ユニット29は、コンピュータプログラム(ソフトウェア)によって動作が制御されるCPUを備えてもよい。コンピュータプログラムは、装置1とは別の記憶媒体に記憶され、この記憶媒体から、特に制御ユニット内にロードされてもよい。
【0040】
好ましくは、構築材料15として粉末材料が使用され、本発明は特に金属凝縮物を形成する構築材料に向けられている。酸化反応の意味において、これには、鉄及び/又はチタンを含む構築材料、またさらに、銅、マグネシウム、アルミニウム、タングステン、コバルト、クロム及び/又はニッケルを含む材料、ならびにこのような元素を含有する化合物が含まれる。
【0041】
運転中、支持体10は、粉末層を塗布するために、構築材料15の層の所望の厚さに対応する高さだけ降下される。第1に、リコータ16は、貯蔵容器14に移動し、そこから、層を塗布するのに十分な量の構築材料15を受け取る。そして、リコータ16は構築領域8上を移動し、その上で粉末状構築材料15を構築ベースまたは既に存在する粉末層上に塗布し、広げて粉末層とする。塗布は、製造されるべき対象物2の少なくとも断面全体にわたって、好ましくは、構築領域8の全体、すなわち、容器壁6によって画定される領域にわたって行われる。任意選択的に、粉末状の構築材料15は、輻射ヒータ17によって作業温度に加熱される。
【0042】
続いて、レーザ光22により製造される対象物2の断面を走査し、製造される対象物2の断面に対応する位置で粉末状構築材料15を固化する。ここで、粉末粒子は、輻射によって導入されたエネルギーによって、これらの位置で部分的または完全に溶融され、冷却後に、粉末粒子は固体として一緒に結合される。これらのステップは、対象物2が完成し処理室3から取り出されるまで繰り返される。
【0043】
図2は、図1に示す3次元物体生成製造装置1の処理ガス50に同伴される粒子51を後処理するため、本発明の第1の実施形態による後処理装置100の部分断面概略図である。粒子51と、粒子を搬送する処理ガス50は、それぞれ矢印で表されている。粒子51を搬送する処理ガス50は、例えば吸引により、処理室3から排出口53を介して処理ガス50の供給部52に入りフィルタ室40に流入する。処理ガス50およびそこに含まれる粒子51の供給部52のための流入口に加えて、フィルタ室40は、酸化剤供給部62を介して供給される酸化剤60の流入口を含み、酸化剤60はやはり矢印で示されている。酸化剤供給部62は、後述する酸化反応の開始領域において酸化剤60が粒子51の粒子環境に浸透できるように、供給部52から出ていく粒子51を搬送する処理ガス50に向けられている。酸化反応を開始する装置として、ここでは輻射ヒータとして構成されたエネルギー入力源70が設けられ、このエネルギー入力源70は、その熱放射をフィルタ室40に、その透明部分42を介して結合し、熱放射は処理ガス50に同伴された粒子51によって有意に吸収され、粒子51が選択的に加熱される。粒子51の粒子環境への酸化剤60の供給は、エネルギー入力源70によって発生した粒子温度と組み合わさって酸化反応をもたらし、この酸化反応において、粒子51がバーンオフし、及び/又は、少なくとも、燃焼し爆発する傾向が十分抑制される程度まで、制御された酸化反応において不動態化される。次に、粒子51を搬送する処理ガス50または粒子残渣をフィルタ41を通して取り出し、フィルタ41には、フィルタ特性に応じて粒子51または粒子残渣が残る。
後処理装置は、図示しないセパレータをさらに備えて、未固化の構築材料13から形成された粒子51が処理ガス50から分離され、後処理装置に供給されないようにしてもよい。
【0044】
図2の実施形態では、酸化剤供給部62、処理ガス50の供給部52、およびエネルギー入力源70は、粒子環境においてエネルギー入力源70によって酸化反応が開始され、酸化剤60が粒子51を搬送する処理ガス50に接触しそれによって粒子環境と混合するように配置される。あるいは、処理ガス50に同伴された粒子51は、まず、粒子51の酸化剤60との接触時に酸化反応の開始を導く温度に加熱されてもよい。同様に、酸化反応を開始するためのエネルギー入力は、粒子環境の酸化剤60との混合が既に行われた後に行われてもよく、但し、その時点で酸化剤含有量がまだ十分であることを条件とする。これは、空間的側面および時間的側面の両方に関連する。
【0045】
また、図2の後処理装置は、制御部80を備え、制御部80は、例えばバルブにより、酸化剤供給部62を制御してフィルタ室に供給される酸化剤60の量を制御し、排出口53を制御して処理ガス50とそれに同伴される粒子51の量を制御し、エネルギー入力源70を制御する。制御部80により制御できるが、これらの装置のうちの少なくとも1つを制御するために、プロセス監視部90が設けられ、プロセス監視部90は、少なくとも、酸化剤含有量と、フィルタ室40内の粒子の量又は温度を、特に空間分解的に、例えば図3について説明されるセンサ91、92などの1つ以上のセンサを介して監視する。ここで、これらのセンサはプロセス監視部90に含まれてもよい。閉ループ制御が制御部80によって実行されるが、制御部80とは別の部材によって構成されてもよい。制御部80は、レーザ焼結装置1の制御ユニット29に含まれてもよく、後処理装置100に割り当てられてもよい。
【0046】
図2に示す第1の実施形態と対比して、図3に示す第2の実施形態に係る後処理装置200において、酸化剤供給部621と輻射ヒータ71の形態のエネルギー入力源とは、処理ガス50とそれに同伴された粒子51の供給部521に連係されている。供給部521は、処理室3に面する供給区画5211と、フィルタ室40に面する供給区画5212と、中間区画5213とを備えている。酸化剤供給部621は、処理室3に面した供給区画5211内の粒子51を搬送する処理ガス50に酸化剤60を供給する。あるいは、供給部は中間区画5213に、特に、中間区画5213において動作する輻射ヒータ71の上流側に、もしくは、フィルタ室40に面する供給区画5212に設けてもよい。中間区画5213は、処理室3に面する供給区画5211と、フィルタ室40に面する供給区画5212との間に挿入できるように設計されている。したがって、中間区画5213は、処理ガス50に搬送される粒子の後処理のための後処理装置に従来の機器を容易に適合させることを可能とする後付けキットであってもよい。ここで、中間区画5213は、円周状の放射線透過部524を有し、これを介して中間区画5213の長手軸の周囲のやはり円周状のエネルギー入力源71からのエネルギーが中間区画5213に結合される。
【0047】
図3に係る後処理装置200において、まず、酸化剤60が、酸化剤供給部621を介して、処理室3に面する供給区画5211内において粒子51を搬送する処理ガス50に供給され、処理ガス50に搬送された粒子51の粒子環境に酸化剤60が浸透する。粒子51を搬送する処理ガス50と酸化剤60との混合物が中間区画5213を通過し、ここで、酸化反応がエネルギー入力源71を介して開始される。制御部80によるプロセス監視およびそれに基づく閉ループ制御のために、処理室3に面する供給区画5211内の処理ガス50に同伴された粒子51の量を検出するセンサ91が設けられ、中間区画5213における温度及び酸化剤含有量を測定するセンサユニット92が設けられている。
【0048】
図4に示す後処理装置300の第4の実施形態において、酸化剤供給部622がフィルタ室40に接続されている。すなわち、酸化剤供給部622が実質的にフィルタ41に向けられて酸化剤60がフィルタ41のまわりを流れるか、あるいは、酸化剤60がフィルタ41に浸透するように接続されている。これにより、酸化剤60を、フィルタ41において処理ガス50に同伴された粒子51に効率的に供給することが可能となる。特に、非連続的に提供される標的化された酸化反応の場合には、標的化された酸化反応にもたらされる大量の粒子51がフィルタに蓄積されることが想定される。さらなる態様において、フィルタ41は、酸化反応を開始するためのエネルギー入力源として機能する、フィルタファブリックに組み込まれるかまたはフィルタファブリックを取り囲む加熱ワイヤ72の形態の抵抗ヒータをさらに備えることができる。既に説明したように、加熱ワイヤによる温度入力が、他の手段によって開始される酸化反応を支援するために追加的に使用されてもよい。さらに、例えば、酸化剤含有量、温度、及び/又は処理ガス50に同伴された粒子51の量に関する情報を制御部80に提供することができるプロセス監視システム90が設けられる。
【0049】
一実施形態では、プロセス監視システム90は、フィルタ室40及び/又はフィルタ41に導かれる粒子51の量を検出し、所定量の粒子51に到達すると、加熱ワイヤ72により酸化剤60の添加を伴って酸化反応を開始する。好ましくは、酸化反応は、粒子51がフィルタ41でバーンオフするように行われる。あるいは、粒子51の量に加えて、酸化反応を開始するための基準として、所定の時間を用いることができる。さらに別の手段として、例えば、フィルタ室40を開いてフィルタ41を取り出す前にオペレータの指示によって、さらなるトリガイベントを提供してもよい。一方で、様々な代替物を他の実施形態に移行してもよく、他方で、様々な代替物を互いに組み合わせてもよい。酸化剤供給部622を介した酸化剤60の添加は、酸化反応が開始されるかまたは開始すべきときに、酸化剤60がフィルタ室40で利用可能にされるように制御され得る。あるいは、少なくとも最小レベルの酸化剤含有量が、原理的には、フィルタ室40に連続的に供給されるか、または、最小レベルがフィルタ室40内に維持されるように供給され得る。第1の変形例では、酸化反応の開始が企図されない限り、酸化剤60との酸化反応が回避される。第2の変形例では、例えば、酸化反応の開始に起因するバーンオフが、不動態化によって燃焼し爆発する傾向が十分に抑制されていなかった粒子51に向けられるように、粒子51の不動態化を支援してもよい。ここで、フィルタ室40内またはフィルタ41上の比較的低い一定の酸化剤含有量と、所定の時点における酸化剤含有量の増加という意味での変形例の組み合わせが提供されても良い。所定の時点とは、たとえば、所定量の粒子51に到達したとき、所定の時間経過後、またはオンデマンドである。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】