(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-02
(54)【発明の名称】免疫調節を使用したがんの治療のための新規アプローチ
(51)【国際特許分類】
A61K 31/69 20060101AFI20220126BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220126BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220126BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20220126BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20220126BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20220126BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20220126BHJP
A61P 13/08 20060101ALI20220126BHJP
【FI】
A61K31/69
A61P35/00
A61P43/00 121
A61K39/395 U
A61K9/20
A61K9/08
A61P37/04
A61P13/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021532805
(86)(22)【出願日】2019-12-10
(85)【翻訳文提出日】2021-06-08
(86)【国際出願番号】 US2019065465
(87)【国際公開番号】W WO2020123496
(87)【国際公開日】2020-06-18
(32)【優先日】2018-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518014933
【氏名又は名称】バイオエクセル セラピューティクス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】オニール,ヴィンセント ジェイ.
【テーマコード(参考)】
4C076
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076AA36
4C076BB01
4C076BB13
4C076CC07
4C076CC17
4C076CC27
4C085AA14
4C085BB31
4C085CC23
4C085EE03
4C085GG02
4C085GG08
4C086AA01
4C086AA02
4C086DA43
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA52
4C086MA66
4C086NA05
4C086ZB09
4C086ZB26
4C086ZC75
(57)【要約】
本開示は、タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩、及びペムブロリズマブを投与することによる、前立腺癌に罹患している対象を治療するためのレジメンを提供する。本開示は、特定の治療レジメンにおける、タラボスタットメシラートまたはその薬学的に許容される塩、及びペムブロリズマブの組合せが、前立腺癌に罹患した患者を治療するのに非常に効果的であるという発見に基づく。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前立腺癌の治療を必要とする対象における、前記前立腺癌の治療のための治療レジメンであって、前記レジメンが、前記対象に、個別の製剤処方として、有効量のタラボスタットまたはその薬学的に許容される塩、及び有効量のペムブロリズマブを投与することを含み、タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩、及びペムブロリズマブが、1または2以上の治療サイクルで投与され、各治療サイクルが約21日の期間である、前記レジメン。
【請求項2】
前立腺癌の治療を必要とする対象における、前記前立腺癌の治療方法であって、前記方法が、前記対象に、個別の製剤処方として、有効量のタラボスタットまたはその薬学的に許容される塩、及び有効量のペムブロリズマブを投与することを含み、タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩、及びペムブロリズマブが、前記対象に1、2、または3回の治療サイクルで投与され、各治療サイクルが約21日の期間である、前記方法。
【請求項3】
前立腺癌を罹患する対象における、免疫機能の向上方法であって、前記方法が、前記対象に、個別の製剤処方として、有効量のタラボスタットまたはその薬学的に許容される塩、及びペムブロリズマブを投与することを含む、前記方法。
【請求項4】
前立腺癌を罹患する対象を、治療を制限する副作用を誘発することなく、治療に有効な量のタラボスタットで治療する方法であって、前記方法が、前記対象に、個別の製剤処方として、有効量のタラボスタットまたはその薬学的に許容される塩、及びペムブロリズマブを投与することを含む、前記方法。
【請求項5】
前記前立腺癌が小細胞神経内分泌性前立腺癌(SCNC)である、請求項1に記載の治療レジメン、または請求項2~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
治療の終了後、前記対象が、前記前立腺癌の進行に対して持続した応答を維持する、請求項1に記載の治療レジメン、または請求項2~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
各治療サイクルに関して、タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩が、1~14日目のそれぞれにおいて投与され、ペムブロリズマブが1日目に投与される、請求項1に記載の治療レジメン。
【請求項8】
各治療サイクルに関して、タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩が、1~14日目のそれぞれにおいて投与され、ペムブロリズマブが1日目に投与される、請求項2~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩が、1または2以上の錠剤で経口投与される、請求項1に記載の治療レジメン、または請求項2~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ペムブロリズマブが静脈内注射により投与される、請求項1に記載の治療レジメン、または請求項2~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩が、約0.001mg/kg~約0.1mg/kgの合計の日用量で投与される、請求項1に記載の治療レジメン、または請求項2~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
ペムブロリズマブが、1日当たり約1mg/kg~約10mg/kgの合計の用量で投与される、請求項1に記載の治療レジメン、または請求項2~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩が、約0.4mg/kg~約0.6mg/kgの合計の日用量で投与される、請求項1に記載の治療レジメン、または請求項2~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
ペムブロリズマブが、1日当たり約100mg~約500mgの合計の用量で投与される、請求項1に記載の治療レジメン、または請求項2~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
ペムブロリズマブが、1日当たり約200mgの合計の用量で投与される、請求項1に記載の治療レジメン、または請求項2~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
サイクル1における、タラボスタットの合計の日用量が、1または2回以上の後続サイクルにおける、タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩の合計の日用量よりも少ない、請求項1に記載の治療レジメン、または請求項2~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩、及びペムブロリズマブが前記対象に、1または2回以上の治療サイクルで投与され、各治療サイクルが、約21日の期間であり、各治療サイクルに関して、タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩が、1~14日目のそれぞれにおいて投与され、ペムブロリズマブが1日目に投与される、請求項1に記載の治療レジメン、または請求項2~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩が、約0.4mg~約0.6mgの合計の日用量で投与される、請求項17に記載の治療レジメンまたは方法。
【請求項19】
サイクル1における、タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩の合計の日用量が、1または2回以上の後続サイクルにおける、タラボスタットの合計の日用量よりも少ない、請求項18に記載の治療レジメンまたは方法。
【請求項20】
タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩がタラボスタットメシラートである、請求項1に記載の治療レジメン、または請求項2~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前立腺癌の治療を必要とする対象における、前記前立腺癌の治療のための治療レジメンであって、前記レジメンが、前記対象に、1または2回以上の治療サイクルでタラボスタットメシラート及びペムブロリズマブを投与することを含み、各治療サイクルが、約21日の期間であり、各治療サイクルに関して、タラボスタットは1~14日目のそれぞれにおいて投与され、ペムブロリズマブが1日目に投与され、タラボスタットメシラートが1または2以上の錠剤として投与され、約0.4mg~約0.6mgの、タラボスタットの合計の日用量をもたらし、ペムブロリズマブが単回の静脈内注射として投与され、1日当たり約100mg~約500mgの用量をもたらす、前記レジメン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は免疫腫瘍学の分野におけるものであり、より具体的には、前立腺癌を治療するための、タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩、及びペムブロリズマブを含む治療レジメンに関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年12月10日に出願された米国仮出願番号62/777,352号、及び2019年10月22日に出願された同第62/924,429号に対する優先権を主張し、それらの内容はそれぞれ、あらゆる目的のためにそれら全体が援用されている。
【背景技術】
【0003】
がんは、わずかな前腫瘍性変化により開始する複数工程のプロセスであり、腫瘍形成に進展し得、この腫瘍性損傷は、浸潤、増殖、転移、及び不均質性の能力増加を進行させ得る。がん治療のための現在の治療法には手術、ホルモン療法、放射線治療、化学療法、及び免疫療法が伴う。がん治療のための免疫療法は、免疫系の理解が進むと共に進化してきた。具体的には、抗腫瘍免疫応答を弱体化させるがん細胞の能力を理解することにより、免疫系による、腫瘍細胞の逃亡の検出及び破壊を担う免疫チェックポイントを標的にする、新規の免疫療法の開発を行うための理論的根拠がもたらされてきた。
【0004】
かかる免疫逃亡メカニズムは、腫瘍細胞により、または腫瘍微小環境により直接、媒介されている。腫瘍細胞は、膜タンパク質、分泌生成物、酵素、抗炎症性サイトカイン、及びケモカインを発現し、免疫回避及び免疫阻害を補助するゲノム内での変化を生み出すことが知られている。同時に、腫瘍微小環境により重要な役割が示される。
【0005】
PD-1、PD-L1、CTLA-4などの免疫チェックポイント分子は、腫瘍微小環境内でのT細胞応答を調節する重要な役割を果たす、細胞表面シグナル伝達受容体である。腫瘍細胞は、発現及び活性を上方調整することにより、これらのチェックポイントをそのベネフィットのために利用することが示されている。それ故、免疫系のがん破壊特性を解放可能な免疫チェックポイント阻害剤が開発されてきた。最近の発見では、免疫系の「ブレーキ」として作用する、免疫回避を担うタンパク質としての、PD-1、PD-L1、PD-L2、CTLA4、TIM3、LAG3、CCR4、OX40、OX40L、IDO、及びA2ARといった免疫チェックポイントまたは標的が同定されている。CTLA-4、PD-1受容体、及びそのリガンドPD-L1を含む、特異的免疫チェックポイント阻害剤は、クリニックでの印象的な結果を生み出し、複数の腫瘍適応症、及びさらに多くの進行中臨床試験にて、Yervoy(登録商標)(イピリムマブ;CTLA-4アンタゴニスト)、Opdivo(登録商標)(ニボルマブ;PD-1アンタゴニスト)、及びKeytruda(登録商標)(ペムブロリズマブ;PD-1アンタゴニスト)に対するFDAの認可がもたらされた。
【0006】
残念ながら、チェックポイント阻害剤はいくつかの制限を受けている。チェックポイント阻害剤で治療した患者のごくわずかのみがロバストな抗腫瘍応答を示し、大部分の応答は、部分的かつ一時的なものである。多くの場合、患者はまず応答するが、その後、耐性毛色の発現により再発し、これは主に、非免疫許容性微小環境の腫瘍細胞による生成により生じる。
【0007】
2つのチェックポイント阻害剤であるイピリムマブ及びニボルマブを組み合わせることにより、それぞれの単剤療法で見られた、11%及び32%から、組合せによる60%への、黒色腫患者における奏効率の増加が示されている。残念ながら、この組合せは、過剰な免疫応答に関連する高い毒性という著しい欠点を有し、肺炎、肝炎、大腸炎、及び他の免疫関連障害をもたらす。
【0008】
PT-100(Val-boroPro;L-バリニル-L-ボロプロリン)としても知られているタラボスタットは元々、2000年から2007年の間に、Point Therapeuticsにより開発された。これは、FAP及びDPP8及びDPP9などの、ジペプチジルペプチダーゼの、経口利用可能な合成選択的阻害剤である。タラボスタット分子の立体異性体は米国特許第6,825,169号に開示さている一方で、その錠剤、カプセル、ロゼンジなどの経口製剤は、米国特許第7,265,118号に開示されている。
【0009】
タラボスタットは免疫回避において重要な役割を果たし、先天性及び/または後天性免疫の療法を調節する。しかし、タラボスタットは、治療に有効な量で多数の副作用を示すことが報告されており、最も一般的な有害事象は、浮腫/末梢性腫脹、低血圧、血液量減少、及びめまいである。特定のがん臨床試験において報告されているこれらの有害事象、ならびに、不十分な一次及び二次アウトカムが、抗がん剤としてのタラボスタットの使用の制限に繋がっている。
【0010】
我々の米国特許公開公報第2017/0266280A1号(その全体が本明細書に参照として援用されている)において、タラボスタットなどの選択的ジペプチジルペプチダーゼ(DPP)阻害剤を、免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせることが、がん治療において効果的であるという新規の発見が開示されている。驚くべきことに、組合せは、併用療法を制限する副作用を伴わずに効果的である。本開示は、両方を特定の治療レジメンで投与したときに、タラボスタットが、PD-1アンタゴニストであるペムブロリズマブと組み合わせて前立腺癌を治療するのに特に効果的であり得るという新規の発見に基づいている。
【0011】
したがって、本開示の主たる目的は、タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩、及びペムブロリズマブを含む新規の治療レジメンを用いて前立腺癌を治療するための、改善された治療法を提供することである。上記治療レジメンは、ペムブロリズマブが効果的な抗がん効果を有する、または有すると予想される、進行性充実性腫瘍などの、1または2以上の他の充実性腫瘍を治療するのにもまた効果的であり得る。
【発明の概要】
【0012】
本開示は、特定の治療レジメンでの、タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩、及びペムブロリズマブの組合せが、前立腺癌に罹患した対象を治療するための非常に効果的な治療法であるという発見に基づいている。具体的には、使用する各活性物質の投与量、及び選択される投与スケジュールは、前立腺癌(例えば、低分子神経内分泌性前立腺癌;SCNC)の非常に効果的な治療をもたらす。
【0013】
したがって、主たる態様において、本開示は、前立腺癌の治療を必要とする対象における、前立腺癌を治療するためのレジメンであって、上記対象に、個別の製剤処方として、有効量のタラボスタットまたはその薬学的に許容される塩、及び有効量のペムブロリズマブを投与することを含む、上記レジメンを提供する。
【0014】
別の態様は、前立腺癌の治療方法であって、前立腺癌の治療を必要とする対象に、個別の製剤処方として、有効量のタラボスタットまたはその薬学的に許容される塩、及び有効量のペムブロリズマブを投与することを含む、上記方法を提供する。
【0015】
特定の態様において、タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩、及びペムブロリズマブの、個別の製剤処方は対象に、約21日の1または2以上の治療サイクル中に、相当の時間にて、かつ好適な量で投与され、併用免疫治療効果を最大化する。
【0016】
さらなる態様は、前立腺癌を患う対象における免疫応答の向上方法であって、当該方法が、上記対象に、個別の製剤処方として、有効量のタラボスタットまたはその薬学的に許容される塩、及び有効量のペムブロリズマブを含むレジメンを投与することを含む、上記方法を提供する。
【0017】
いくつかの態様では、本開示は、前立腺癌を治療するために、個別のペムブロリズマブの第2の製剤処方と組み合わせて使用するための、タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩を含む第1の製剤処方を提供し、上記第1の製剤処方は、1または2以上の薬学的に許容される担体またはアジュバントと共に、タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩を含み、上記第2の製剤処方は、1または2以上の薬学的に許容される担体またはアジュバントと共に、ペムブロリズマブを含む。
【0018】
別の態様では、本開示は、前立腺癌を罹患する対象における先天性免疫応答の向上方法であって、当該方法が、上記対象に、個別の製剤処方として、有効量のタラボスタットまたはその薬学的に許容される塩、及び有効量のペムブロリズマブを投与することを含み、当該向上した先天性免疫応答が、増加した腫瘍破壊性ナチュラルキラー細胞及びマクロファージ、ならびに、NK細胞及びCD8+T細胞の活性と関連している、上記方法を提供する。
【0019】
さらなる態様では、本開示は、前立腺癌を罹患する対象における先天性免疫応答の向上方法であって、当該方法が、上記対象に、個別の製剤処方として、有効量のタラボスタットまたはその薬学的に許容される塩、及び有効量のペムブロリズマブを投与することを含み、当該向上した先天性免疫応答がT制御性細胞の抑制と関連している、上記方法を提供する。
【0020】
いくつかの態様では、本開示は、前立腺癌の治療に使用するためのキットであって、当該キットが、
(i)タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩を含む第1の製剤処方と、
(ii)ペムブロリズマブを含む第2の製剤処方と、
(iii)本明細書に記載する方法及びレジメンに従い、上記第1及び第2の製剤処方を使用するための取扱説明書と、を含む、上記キットを提供する。
【0021】
本開示の他の特徴、目的、及び利点は、説明及び図面から、ならびに特許請求の範囲から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】治療のリードインステージ及び有効性ステージにおける、SCNCを有する対象にタラボスタットメシラート及びペムブロリズマブを投与するためのスキームを示す。
【
図2】4または5回目の治療サイクル中での、コホート1における3名の対象での前立腺特異的抗原(PSA)レベルを示す。
【
図3】治療のリードインステージ及び有効性ステージにおける、進行性固形癌を有する対象にタラボスタットメシラート及びペムブロリズマブを投与するためのスキームを示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下の節において、本開示の異なる態様をさらに詳細に定義する。かのように定義された各態様は、別途明確に示されない限り、任意の他の1または複数の態様と組み合わせてよい。具体的には、好ましいとして、または有利なものとして示された任意の形質を、好ましいとして、または有利なものとして示された任意の他の1または複数の形質と組み合わせてよい。
【0024】
略記:
本明細書で使用する場合、以下の略記は以下の意味を有する:
A2AR:A2Aアデノシン受容体
ADT:アンドロゲン遮断療法
ALK:未分化リンパ腫キナーゼ
ALT:アラニンアミノトランスフェラーゼ
ANC:絶対好中球数
AR:アンドロゲン受容体
AST:アスパルテートアミノトランスフェラーゼ
AUC:血漿濃度-時間曲線下面積
AUC0-last:測定可能な最終濃度に対する、血漿濃度時間曲線下面積
BS:骨シンチグラフィ
BUN:血中尿素窒素
CAF:がん関連線維芽細胞
CLL:慢性リンパ性白血病
CR:完全寛解
CRPC:去勢抵抗性前立腺癌
CT:コンピューター断層撮影
CTC:血中循環腫瘍細胞
ctDNA:血中循環腫瘍DNA
CTLA4:細胞毒性Tリンパ球関連タンパク質4
CPS:組合せ陽性スコア
DPP:ジペプチジルペプチダーゼ
DKA:糖尿病性ケトアシドーシス
DLT:用量制限毒性
DOR:奏効期間
DSRC:データ安全性確認委員会
EGFR:上皮成長因子受容体
ECOG:米国東海岸がん臨床試験グループ
eCRF:症例報告電子フォーム
EOT:治療の終了FAP:線維芽細胞活性化タンパク質
GM-CSF:顆粒球マクロファージコロニー刺激因子
G-CSF:顆粒球コロニー刺激因子
GCP:良好な臨床実施
HER2:ヒト上皮成長因子受容体2
HCC:肝細胞癌
ICI:免疫チェックポイント阻害剤IC50:最大半数阻害濃度
ICH:医薬品規制調和国際会議
IEC:独立倫理委員会
IL:インターロイキン
IDO:インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ
IMT:炎症性筋線維芽細胞腫瘍
IrCR:免疫関連完全疾患
irPR:免疫関連部分応答
irSD:免疫関連安定疾患
IND:治験中の新規薬剤(適用)
IRB:施設内治験審査委員会
iRECIST:充実性腫瘍における免疫応答評価基準
ITT:治療意図
LAG3:リンパ球活性化遺伝子3タンパク質
LDH:乳酸デヒドロゲナーゼ
LHRH:黄体形成ホルモン放出ホルモン
MSI-H:マイクロサテライト不安定性-高
MDSC:骨髄由来サプレッサー細胞
MedDRA:医薬規制用語集
MRI:核磁気共鳴画像法
mRNA:メッセンジャーリボ核酸
NK:ナチュラルキラー
NCI CTCAE:有害事象に対する米国国立がん研究所の一般的な用語基準
NEPC:神経内分泌性前立腺癌
NHL:非ホジキンリンパ腫
NSCLC:非小細胞肺癌OS:全体生残
PCWG3:前立腺癌作業群3
PD:進行性疾患
PD-1:プログラム細胞死1
PD L1:プログラム細胞死リガンド1
PD L2:プログラム細胞死リガンド2
PFS:無増悪生存期間
PR:部分応答
PD-1:プログラム細胞死1 Q.D:毎日
QTcB:バゼットの公式を使用した、心拍数に対して補正したQT間隔
RECIST:充実性腫瘍の奏効評価基準
rPFS:X線写真での無増悪生存期間
SD:安定疾患
SAE:重篤な有害事象
SAP:統計解析計画書
SJS:スティーヴンス・ジョンソン症候群
SCNC:小細胞神経内分泌性前立腺癌
sHASEGP:可溶性中性活性ヒアルロニダーゼ糖タンパク質
TIM3:T細胞免疫グロブリン及びムチン-ドメイン含有3
Treg:制御性T細胞またはT制御性細胞
TPS:腫瘍比率スコア
TRAE:治療関連有害事象
TEN:中毒性表皮壊死症
T1DM:1型糖尿病
Tmax:観察された最大濃度の時間
ULN:基準値上限
【0025】
本開示で使用するための、意図する治療薬であるタラボスタット及びペムブロリズマブを以下で説明する:
【0026】
1.治療薬
a)タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩:
タラボスタットはPT-100、タラボスタット(USAN)、及び[(2R)-I-I [(2S)-2-アミノ-3-メチル-1-オキソブチル]-2-ピロリジニル]ボロン酸として交換可能に呼ばれる。タラボスタットのCAS登録番号は149682-77-9である。Val-boro-pro(L-バリニル-L-ボロプロリン)としても知られているタラボスタットは、PCT出願公開番号第1989/003223号に開示されている。タラボスタットのIUPAC名は、[(2R)-1-[(2S)-2-アミノ-3-メチルブタノイル]ピロリジン-2-イル]ボロン酸である。タラボスタット(PubChem ID:6918572)またはその薬学的に許容される塩、例えばタラボスタットメシラート(PubChem CID:1152248)。いくつかの態様では、遊離塩基を使用してよい。他の態様では、タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩は溶媒和物であってよい。大部分の臨床製剤において、タラボスタットは塩形態、例えばタラボスタットメシラートとして提供される。タラボスタットはR、S配置での、2つのキラル中心を有する。タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩は、直鎖及び環状形態の両方として存在することができる(RJ Snow et al.,J. Am. Chem. Soc.,1994,116(24),pp 10860-10869)。
【0027】
タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩は、複数の細胞内及び細胞外ジペプチジルペプチダーゼを調節することにより、がん治療に効果的である。より具体的には、細胞内の及び細胞外ジペプチジルペプチダーゼは、線維芽細胞活性化タンパク質であるDPP8/9、CD26/DPP4、及びDPP2を含む。タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩は、FAP阻害による間質標的活性、及び、DPP8/9阻害による標的免疫活性化活性を含む、二重の作用機序を有する。タラボスタットはFAP酵素活性を阻害することにより、腫瘍増殖を抑制する。タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩は、DPP8/9もまた阻害することにより、腫瘍及びリンパ節の間質内でのIL1β応答(カスパーゼ-1を介する)を誘発する。タラボスタットの二重の作用機序は、単一剤中で腫瘍標的活性と免疫刺激活性の両方を組み合わせるため、がん治療に対する新規のアプローチを導入する。
【0028】
b)ペムブロリズマブ:
ペムブロリズマブ(MK-3475、ランブロリツマブ、Keytruda(登録商標)、及びSCH-900475としても知られている)はヒト化抗体であり、これは、リンパ球のPD-1受容体を標的にすることで、PD-1の阻害性シグナル伝達を遮断する。ペムブロリズマブは市場から速やかに入手可能である。
【0029】
2.使用方法:
本開示は部分的には、有効量のタラボスタットまたはその薬学的に許容される塩、及びペムブロリズマブを用いて前立腺癌(例えばSCNC)を治療するための、改善されたレジメンに基づく。本明細書で開示するタラボスタットまたはその薬学的に許容される塩、及びペムブロリズマブの組合せは、改善されたT細胞のプライミング、増加したT細胞の刺激、腫瘍微小環境における好中球及びマクロファージの湿潤の増加、腫瘍体積の減少、ナチュラルキラー細胞の活性化の増加、樹状細胞の活性化の向上、プロ炎症性サイトカイン(IL1、IL2、IL18、IFNγ、IL6、IL12p40、IL15、IL7、G-CSF、及びGM-CSF)における相乗的な増加、抗腫瘍メモリー応答の向上、転移の減少、ならびに毒性の低下を生み出し得る。
【0030】
一実施形態では、本開示は、各サイクルが約21日の期間である、1または2以上の治療サイクルにおける、前立腺癌(例えばSCNC)を罹患する対象に投与される、有効量のタラボスタットまたはその薬学的に許容される塩、及び有効量のペムブロリズマブを含む組合せを提供する。
【0031】
本開示のタラボスタットまたはその薬学的に許容される塩、及びペムブロリズマブの特定のレジメンを使用する利点は、対象における、前立腺癌(例えばSCNC)の進行の縮小、腫瘍量の減少、転移の減少、及び/または腫瘍後退の誘発にある。
【0032】
したがって、一態様では、本開示は、効果的な抗腫瘍応答を促進するための、特定の治療レジメンにおいて前立腺癌(例えばSCNC)を罹患する対象に投与された、タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩、及びペムブロリズマブの組合せに関する。
【0033】
一実施形態では、前立腺癌(例えばSCNC)を罹患する対象における、腫瘍再発、腫瘍増殖、または腫瘍拡大の進行の遅延方法、またはこれらの予防もしくは遅延方法であって、当該方法が、上記対象に、個別の製剤処方として、有効量のタラボスタットまたはその薬学的に許容される塩、及びペムブロリズマブを、各サイクルが約21日の期間の1または2以上の治療サイクルにわたって投与することを含む、上記方法を本明細書において提供する。
【0034】
別の実施形態では、前立腺癌(例えばSCNC)を罹患する対象における、免疫機能の向上方法であって、当該方法が、上記対象に、個別の製剤処方として、有効量のタラボスタットまたはその薬学的に許容される塩、及びペムブロリズマブを、各サイクルが約21日の期間の1または2以上の治療サイクルにわたって投与することを含む、上記方法を、本明細書において提供する。
【0035】
さらなる実施形態では、前立腺癌(例えばSCNC)を罹患する対象における、抗腫瘍免疫応答の開始、維持、または向上方法であって、当該方法が、上記対象に、個別の製剤処方として、有効量のタラボスタットまたはその薬学的に許容される塩、及びペムブロリズマブを、各サイクルが約21日の期間の1または2以上の治療サイクルにわたって投与することを含む、方法を本明細書において提供する。
【0036】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載する治療レジメンは、治療の休止後の対象における持続性応答をもたらす。
【0037】
いくつかの実施形態では、対象は、早期または後期であり得る前立腺癌を有する。特定の実施形態では、がんは進行性の悪性充実性新生物である。別の特定の実施形態では、がんは再発性の悪性充実性新生物である。
【0038】
いくつかの実施形態では、前立腺癌は転移性である。
【0039】
いくつかの実施形態では、対象はヒトである。
【0040】
別の実施形態では、本開示は、少ない有効量のタラボスタットにより、タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩の毒性を低下させる方法であって、当該方法が、前立腺癌(例えばSCNC)を罹患する対象に、個別の製剤処方として、本明細書に記載する治療レジメンにおいて、タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩、及びペムブロリズマブを投与することを含む、上記方法を提供する。
【0041】
さらなる実施形態では、本開示の治療レジメンは、個別の製剤処方として、有効量のタラボスタットまたはその薬学的に許容される塩、及びペムブロリズマブを使用して、対象にタラボスタットのみが投与されたときの先天性免疫応答と比較して、増加した先天性免疫応答を生み出すことを含む。先天性免疫応答は、先天性免疫細胞の湿潤、特に、血液中へのマクロファージ、及び腫瘍内へのNK細胞により増加され得る。さらに、有効量のタラボスタットまたはその薬学的に許容される塩、及びペムブロリズマブを含む本治療レジメンは、タラボスタットのみを用いて得られるものよりも大きい、Treg機能の抑制を生み出すことができる。
【0042】
有効量のタラボスタットまたはその薬学的に許容される塩、及びペムブロリズマブを含む本治療レジメンはまた、タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩、及びペムブロリズマブを用いる単独療法と比較して、NK細胞及びマクロファージなどの、免疫部分母集団の腫瘍湿潤を著しく増加することができる。
【0043】
3.治療レジメン:
いくつかの実施形態では、約21日の各治療サイクルの間、タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩は、1~14日目のそれぞれにおいて有効量で投与してよく、ペムブロリズマブは、1日目に有効量で投与してよい。上記レジメンは、前立腺癌(例えばSCNC)に罹患した対象を治療するのに有効である。前立腺癌(例えばSCNC)を治療するために開示された本明細書のレジメンもまた、より一般的に使用して、充実性腫瘍、例えば進行性充実性腫瘍を有する対象を治療することができる。
【0044】
タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩は、本開示のレジメンにて1日に単回用量として、または、より具体的には、複数剤形として投与し、効果的な合計の日用量を達成して、前立腺癌(例えばSCNC)に罹患する対象を治療することができる。代替の実施形態では、タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩は、本開示の投薬レジメンにて1日2回投与して、効果的な合計の日用量を達成し、前立腺癌(例えばSCNC)を罹患する対象を治療することができる。
【0045】
ペムブロリズマブは、本開示のレジメンにて単回投与として投与して便利に投与して、前立腺癌(例えばSCNC)に罹患した対象を効果的に治療することができる。
【0046】
特定の実施形態では、ペムブロリズマブは、便利には注射(例えば静脈内)により、最も好ましくは連続点滴として30分間、1日当たり、約1mg/kg~約10mg/kgの全用量で投与してよい。本開示の治療レジメンにて静脈内投与されるペムブロリズマブの好適な用量は、便利には、1日当たり約100mg~約500mg、例えば、1日当たり約200mgであってよい。
【0047】
いくつかの実施形態では、ペムブロリズマブ(MK-3475)は、10mMのヒスチジン緩衝液(pH5.5)中に、25mg/mLのMK-3475、7%(w/v)スクロース、0.02%(w/v)ポリソルベート80を含む、液体薬剤として投与され、選択された薬剤の用量は、約30分の期間にわたり、IV注入により投与される。
【0048】
特定の実施形態では、タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩は、便利には経口経路(例えば錠剤)により、約0.001mg/kg~約0.1mg/kg(例えば、約0.001mg/kg~約0.035mg/kg、または約0.001mg/kg~約0.014mg/kg)の全用量で投与されてよい。本開示の治療レジメンにおいて、1または2以上(例えば、2または3)の錠剤により経口投与される、タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩の好適な日用量は、便利には約0.1mg~約1mg(例えば、約0.05mg、約0.1mg、約0.2mg、約0.3mg、約0.4mg、約0.5mg、約0.6mg、約0.7mg、約0.8mg、約0.9mg、約1mg、好ましくは約0.1mg~約0.6mg、より好ましくは約0.4mg~約0.6mg)であってよい。特定の実施形態では、タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩は、分割用量で1日2回、約0.3mgの用量で経口投与されてよい。特定の一実施形態では、タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩は、分割用量で1日3回、約0.2mgの用量で経口投与されてよい。別の特定の実施形態では、タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩は、1日で、朝に約0.4mgの用量、及び夕方に約0.2mgの用量というように、1日2回経口投与してよい。
【0049】
前立腺癌(例えばSCNC)を罹患するヒト患者を治療するのに好適な治療レジメンとしては例えば、個別の製剤処方として、有効量の、タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩、及びペムブロリズマブのそれぞれを投与することが挙げられ、レジメンは、少なくとも1回の投与サイクル(例えば1、2、3、4、5、6、またはそれ以上のサイクル)を含み、各サイクルは、約21日の期間であり、各サイクルの間、タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩は、1~14日目のそれぞれにおいて(例えば錠剤により)経口投与され、ペムブロリズマブは1日目に静脈内投与される。
【0050】
特定の実施形態では、約21日の1または2以上の治療サイクルの間、タラボスタットは、約0.4mg~約0.6mgの合計の日用量で1~14日目に投与され、ペムブロリズマブは、1日当たり約100mg~約500mg、例えば1日当たり約200mgの全用量で、1日目に投与される。
【0051】
別の実施形態では、タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩の日用量は、時間の経過とともに変化してよい。例えば、第1サイクル(リードインステージを含む)の間に、タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩を、後のサイクル(例えば有効性ステージ)の間よりも少ない日用量で投与してよい。例えば、タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩は便利に、リードインステージの間に、約0.4mgの日用量で投与されてよく、副作用またはさらなる治療を防ぐ他の基準が存在しない場合、対象を有効性ステージに入れ、有効性ステージの間に、約0.6mgの日用量を投与する。別の実施形態では、タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩は、リードインステージの間に約0.6mgの日用量で、及び、有効性ステージの間に約0.4mgの日用量で投与されてよい。別の実施形態では、患者は、約0.4mgまたは約0.6mgの日用量を用いて、有効性ステージの間に直接治療される。
【0052】
他の実施形態では、タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩、及びペムブロリズマブは、臨床効果が観察される限り、または、完全寛解、確認された進行性疾患、もしくは管理不可能な毒性が存在するまで、任意の所望の回数の治療サイクルで、前立腺癌(例えばSCNC)を罹患する対象に投与される。
【0053】
さらなる実施形態では、本開示の治療レジメンに従い使用するタラボスタットまたはその薬学的に許容される塩、及びペムブロリズマブの日用量は、前立腺癌(例えばSCNC)を罹患する対象を治療するための単剤として投与される、タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩、及びペムブロリズマブの1または両方の日用量よりも少なくてよい。
【0054】
いくつかの実施形態では、併用療法は、好ましくは少なくとも12週間(3回の4週サイクル、または4回の3週サイクル)、より好ましくは、少なくとも24週間、及びさらにより好ましくは、患者が完全寛解を達成した後の少なくとも2~4週間の間、投与される。
【0055】
いくつかの実施形態では、単回投与サイクルは21日を含む(21日サイクル)。特定の実施形態では、タラボスタットメシラートは、21日サイクルの1~14日目に1日1回(QD)投与され、これに加えて、ペムブロリズマブ200mgが、各21日の1日目に静脈内(IV)投与される。
【0056】
いくつかの実施形態では、単回投与サイクルは21日を含む(21日サイクル)。特定の実施形態では、タラボスタットメシラートは、21日サイクルの1~14日目に0.3mgの用量で1日2回投与され、これに加えて、ペムブロリズマブ200mgが、各21日の1日目に静脈内(IV)投与される。別の実施形態では、タラボスタットメシラートは、21日サイクルの1~14日目に約0.2mgの用量で1日3回投与され、これに加えて、ペムブロリズマブ200mgが、各21日の1日目に静脈内(IV)投与される。別の実施形態では、タラボスタットメシラートは、21日サイクルの1~14日目の朝に約0.4mg、及び夕方に約0.2mgの用量で投与され、これに加えて、ペムブロリズマブ200mgが、各21日の1日目に静脈内(IV)投与される。別の実施形態では、タラボスタットメシラートは、21日サイクルの1~14日目の朝に約0.2mg、及び夕方に約0.4mgの用量で投与され、これに加えて、ペムブロリズマブ200mgが、各21日の1日目に静脈内(IV)投与される。
【0057】
いくつかの実施形態では、本開示の併用療法が、以前に生物学的治療剤または化学療法剤で治療されていない、即ち未治療患者に投与される。他の実施形態では、併用療法は、生物学的治療剤または化学療法剤による以前の治療後で、持続性応答を達成できなかった、即ち、治療を経験した患者に投与される。
【0058】
本明細書に記載する方法またはレジメンのいずれかのいくつかの実施形態では、期間の前に、被検者は単剤療法としてタラボスタットメシラートで治療されており、任意に、単剤療法としての、タラボスタットメシラートによる以前の治療は、成功しなかった。本明細書に記載する方法またはレジメンのいずれかのいくつかの実施形態では、期間の前に、患者は単剤療法としてペムブロリズマブ、またはその生物学的に類似の物質で治療されており、任意に、ペムブロリズマブ、またはその生物学的に類似の物質での治療は、成功しなかった。
【0059】
好適な期間は、当業者(例えば医師)により決定することができる。当該技術分野において理解可能であるように、好適な期間は、患者の疾患の段階、患者の体重及び性別、臨床治験ガイドライン(例えば、fda.govウェブサイトにおけるもの)、ならびに、認可された薬剤ラベルでの情報のうちの1または2以上に基づいて、当業者により決定することができる。例えば、好適な期間は例えば、包括的に、1週間から2年、1週間~22ヶ月、1週間~20ヶ月、1週間~18ヶ月、1週間~16ヶ月、1週間~14ヶ月、1週間~12ヶ月、1週間~10ヶ月、1週間~8ヶ月、1週間~6ヶ月、1週間~4ヶ月、1週間~2ヶ月、1週間~1ヶ月、2週間~2年、2週間~22ヶ月、2週間~20ヶ月、2週間~18ヶ月、2週間~16ヶ月、2週間~14ヶ月、2週間~12ヶ月、2週間~10ヶ月、2週間~8ヶ月、2週間~6ヶ月、2週間~4ヶ月、2週間~2ヶ月、2週間~1ヶ月、1ヶ月~2年、1ヶ月~22ヶ月、1ヶ月~20ヶ月、1ヶ月~18ヶ月、1ヶ月~16ヶ月、1ヶ月~14ヶ月、1ヶ月~12ヶ月、1ヶ月~10ヶ月、1ヶ月~8ヶ月、1ヶ月~6ヶ月、1ヶ月~4ヶ月、1ヶ月~2ヶ月、2ヶ月~2年、2ヶ月~22ヶ月、2ヶ月~20ヶ月、2ヶ月~18ヶ月、2ヶ月~16ヶ月、2ヶ月~14ヶ月、2ヶ月~12ヶ月、2ヶ月~10ヶ月、2ヶ月~8ヶ月、2ヶ月~6ヶ月、2ヶ月~4ヶ月、3ヶ月~2年、3ヶ月~22ヶ月、3ヶ月~20ヶ月、3ヶ月~18ヶ月、3ヶ月~16ヶ月、3ヶ月~14ヶ月、3ヶ月~12ヶ月、3ヶ月~10ヶ月、3ヶ月~8ヶ月、3ヶ月~6ヶ月、4ヶ月~2年、4ヶ月~22ヶ月、4ヶ月~20ヶ月、4ヶ月~18ヶ月、4ヶ月~16ヶ月、4ヶ月~14ヶ月、4ヶ月~12ヶ月、4ヶ月~10ヶ月、4ヶ月~8ヶ月、4ヶ月~6ヶ月、6ヶ月~2年、6ヶ月~22ヶ月、6ヶ月~20ヶ月、6ヶ月~18ヶ月、6ヶ月~16ヶ月、6ヶ月~14ヶ月、6ヶ月~12ヶ月、6ヶ月~10ヶ月、6ヶ月~8ヶ月、8ヶ月~2年、8ヶ月~22ヶ月、8ヶ月~20ヶ月、8ヶ月~18ヶ月、8ヶ月~16ヶ月、8ヶ月~14ヶ月、8ヶ月~12ヶ月、8ヶ月~10ヶ月、10ヶ月~2年、10ヶ月~22ヶ月、10ヶ月~20ヶ月、10ヶ月~18ヶ月、10ヶ月~16ヶ月、10ヶ月~14ヶ月、10ヶ月~12ヶ月、12ヶ月~2年、12ヶ月~22ヶ月、12ヶ月~20ヶ月、12ヶ月~18ヶ月、12ヶ月~16ヶ月、または12ヶ月~14ヶ月であることができる。
【0060】
4.製剤処方
一実施形態では、本開示は、本明細書の治療レジメンで使用するための、1または2以上の薬学的に許容される担体またはアジュバントと共に、有効量のタラボスタットまたはその薬学的に許容される塩、及び有効量のペムブロリズマブを含む製剤処方を提供する。本明細書に記載のまたは当該技術分野で既知の薬学的に許容される担体またはアジュバントのうちのいずれかが使用され得る。本明細書で使用する場合、用語「製剤処方」とは、タラボスタットもしくはその薬学的に許容される塩を含む製剤、またはペムブロリズマブを含む製剤を意味し、各製剤は、1または2以上の薬学的に許容される担体またはアジュバントもまた含む。薬学的に許容される担体またはアジュバントは当業者に周知であり、通常、選択される投与経路に応じて変化する。
【0061】
いくつかの実施形態では、タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩、及び、1または2以上の薬学的に許容される担体またはアジュバントを含む第1の製剤、ならびに、ペムブロリズマブ、及び1または2以上の薬学的に許容される担体またはアジュバントを含む第2の製剤は、本明細書で開示する治療レジメンに従い投与され、前立腺癌(例えばSCNC)を罹患する対象の治療において相乗効果を生み出す。
【0062】
製剤処方は、例えば、液体、半固体、及び固体剤形形態、例えば溶液(例えば注射可能な、及び注入可能な溶液)、分散液または懸濁液、錠剤、丸薬、粉末、リポソーム、ならびに座薬を含む、様々な方法で製剤化され得る。いくつかの実施形態では、組成物は注射可能な、または注入可能な溶液として製剤化され得る。製剤は経口、静脈内、動脈内、筋肉内、皮下、非経口、経粘膜、経皮、または局所投与に好適な形態にて存在する。製剤は即座、制御性、徐放性、または遅延放出性組成物として製剤化され得る。
【0063】
いくつかの実施形態では、タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩を含む製剤は経口投与され得る。いくつかの実施形態では、ペムブロリズマブを含む製剤は非経口投与され得る。本明細書で使用する場合、用語「非経口」とは、皮下、静脈内、動脈内、腹腔内、心腔内、髄腔内、及び筋肉注射、ならびに注入注射を含む。
【0064】
非経口投与のための液体製剤処方は、注射または連続注入による投与のために製剤化され得る。いくつかの実施形態では、非経口製剤は、予充填シリンジ、バイアル、再構成用の注入用粉末、送達前に希釈される(希釈準備ができている)注入用濃縮物、溶液(使用準備ができている)を含むことができる。
【0065】
注射可能な製剤処方は水性等張性溶液または懸濁液であることができ、座薬は脂肪性エマルションまたは懸濁液から調製することができる。
【0066】
非経口投与(例えば、静脈内注射による。)のために製剤化される製剤処方は便利には、液体担体を含み得るか、または、非経口投与のために液体溶液もしくは懸濁液中に再構成され得る。
【0067】
一般的に、かかる製剤は典型的に、薬学的に許容される担体またはアジュバントを含む。本明細書で使用する場合、用語「薬学的に許容される」とは、政府の規制機関により認可されたこと、または、動物、特にヒトにおいての使用のために、米国薬局方もしくは別の一般的に認識されている局方に列挙されたことを意味する。
【0068】
静脈内投与のためのペムブロリズマブの製剤処方は、市場から購入可能であるか、または、従来の製剤技術を用いて調製可能である。製薬上許容できる担体は一般に、使用する用量及び濃度においてレシピエントに無毒であり、これらに限定されるわけではないが、リン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸塩の緩衝液;アスコルビン酸及びメチオニンを含む酸化防止剤;誘導体類(塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム;塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、フェノール、ブチルもしくはベンジルアルコール、クロロブタノール、チメロサール、メチルもしくはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3-ペンタノール、及びm-クレゾールなど);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの疎水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリジンなどのアミノ酸;EDTAなどのキレート剤;単糖類、二糖類、及び、スクロース、マンニトール、トレハロースもしくはソルビトール、グルコース、マンノース、またはデキストリンなどの糖類を含む他の炭水化物;ナトリウムなどの塩生成対イオン;金属錯体(例えば亜鉛-タンパク質錯体);ならびに/またはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン界面活性剤が挙げられる。本明細書における例示的な薬学的に許容される担体は、可溶性の中性活性ヒアルロニダーゼ糖タンパク質(sHASEGP)、例えば、rHuPH20(HYLENEX(登録商標)、Baxter International,Inc.)などのヒト可溶性PH-20ヒアルロニダーゼ糖タンパク質などの介在性薬物分散剤をさらに含む。担体は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコールなど)、ならびにこれらの好適な混合物を含有する溶媒または再構成媒体または分散媒とすることができる。より具体的には、注射での使用に好適な医薬組成物としては、無菌の水溶液(水溶性の場合。)または分散液、及び無菌の注射剤または分散液を即時調製するための無菌の粉末が含まれる。かかる場合において、組成物は滅菌されている必要があり、容易に注射できる程度の流動性を有する必要がある。組成物は、製造及び保管条件下において安定してなければならず、細菌及び真菌などの微生物の汚染作用から保護されるのが好ましい。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、及びそれらの好適な混合物を含有する、溶媒または分散媒であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用によって、分散の場合には必要とされる粒径の維持によって、及び界面活性剤の使用によって、維持することができる。本明細書で開示する治療法で使用するための好適な製剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,16th ed.(1980)に記載されている。
【0069】
いくつかの実施形態では、製剤は等張剤、例えば糖類、ポリアルコール、例えばマンニトール、ソルビトール、または塩化ナトリウムを含む。静脈内投与に関して、好適な担体としては、生理食塩水、静菌水、クレモフォアEL(BASF, Parsippany, N.J.)、またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)が挙げられる。組成物中に吸収を遅らせる作用物質、例えばモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを含めることにより、注射可能な組成物の吸収を遅らせることができる。
【0070】
無菌注射可能な溶液は、分子を、それ自体により、または他の活性剤と組み合わせて、単独で、または本明細書で列挙する成分と組み合わせて、好適な溶媒中で必要な量で組み込むことにより、そして必要に応じて、その後滅菌濾過することにより、調製することができる。通常、塩基性分散媒と、上に列挙した必要な他の成分とを含有する滅菌ビヒクルに活性化合物を組み込むことにより分散液を調製する。無菌注射可能な溶液を調製するための滅菌粉末の場合、調製の一方法は真空乾燥及びフリーズドライであり、これにより、事前に滅菌濾過したその溶液から、活性成分の粉末に加えて、任意の追加の所望される成分が得られる。注射用調製物は加工され、アンプル、バッグ、ボトル、シリンジ、またはバイアルなどの容器に充填され、当該技術分野において既知の方法に従って、無菌条件下で封止される。かかる製品は、関連組成物が、自己免疫性または腫瘍性疾患に苦しむ、またはこれに罹患し易い対象の治療に有用であるということを示す、ラベルまたは添付文書を有するのが好ましい。製剤処方は滅菌されていることができる、かつ/または、保存剤、安定化剤もしくは乳化剤、溶液プロモーター、浸透圧及び/または緩衝液を調節するための塩などのアジュバントを含有することができる。加えて、これらは他の治療上価値ある物質もまた含有してよい。
【0071】
皮下適用に使用する溶液または懸濁製剤は典型的には、以下の成分の1または2以上:注射用水、食塩水溶液、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、または他の合成溶媒などの滅菌担体;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなどの抗菌剤;アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムなどの酸化防止剤;エチレンジアミン四酢酸などのキレート剤;酢酸塩緩衝液、クエン酸塩緩衝液またはリン酸塩緩衝液等の緩衝液;及び、塩化ナトリウムまたはデキストロースなどの張度調節剤を含む。pHは、塩酸または水酸化ナトリウムなどの酸または塩基により調節可能である。かかる調製物は、ガラスまたはプラスチック製のアンプル、使い捨てシリンジ、または複数用量バイアルに封入されてよい。
【0072】
本明細書における経口使用のためのタラボスタットまたはその薬学的に許容される塩の製剤処方は、例えば錠剤、カプセル、粉末、分散性顆粒、サッシェなどの形態で、または、水溶液もしくは懸濁液として、好ましくは錠剤として、投与されてよい。経口組成物としては一般に、不活性担体(例えば希釈剤)または食用担体が挙げられる。製剤はゼラチンカプセルに封入されてよいか、または錠剤に圧縮されてよい。薬学的に適合性のある結合剤、及び/またはアジュバントを、製剤の一部として含めることができる。錠剤、丸薬、カプセル、顆粒、サッシェ、トローチなどは、以下の成分、または類似の性質を持つ化合物のいずれか:微結晶セルロース、トラガカントゴムもしくはゼラチンなどの結合剤;デンプンもしくはラクトースなどの賦形剤、アルギン酸、プリモゲル(primogel)、もしくはコーンスターチなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムもしくはステアレートなどの潤沢剤;コロイド状二酸化ケイ素などの滑剤;スクロースもしくはサッカリンなどの甘味剤;または、ペパーミント、サリチル酸メチル、もしくはオレンジフレーバリングなどの香味剤を含有することができる。
【0073】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載するタラボスタットまたは薬学的に許容されるその塩を含む経口製剤処方は、充填剤、緩衝剤、界面活性剤、及びpH調整剤を含む群から選択される、1または2以上の薬学的に許容される担体またはアジュバントを含んでよい。製剤処方を調節して、適切なpHにしてよい。
【0074】
特定の実施形態では、タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩は、本開示の治療レジメンに従って、経口投与用錠剤として製剤化される。医薬錠剤は、即時放出または修正放出錠剤であってよい。錠剤はマトリックスの形態、またはコーティング形態であってよい。
【0075】
特定の実施形態では、上述の製剤または組成物の、様々な作製プロセスが含まれ、かかる製剤は、当該技術分野において既知のプロセスのいずれかにより製造可能である。
【0076】
例示的な即時放出錠剤は、有効量のタラボスタットまたはその薬学的に許容される塩、ならびに、希釈剤、結合剤、崩壊剤、滑剤、潤滑剤、pH改変剤、及びこれらの組み合わせから選択される1または2以上の薬学的に許容される担体を含む。
【0077】
希釈剤:1または2以上の希釈剤としては、二塩基性リン酸カルシウム、プルラン、マルトデキストリン、イソマルト、糖ペレット、マンニトール、スプレー乾燥マンニトール、微結晶セルロース、二塩基性リン酸カルシウム二水和物、ラクトース、糖類、ソルビトール、微結晶セルロースとグアーガムの混合物(Avicel CE-15)、マンニトールとポリプラスドンとシロイドの混合物(Pharmaburst)、マンニトールとクロスポビドンとポリ酢酸ビニルの混合物(Ludiflash)、イソマルト、Panexcea、F-Melt、スクロース、カルシウム塩及び類似の無機塩、重炭酸マグネシウムなど、及び、これらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。希釈剤はラクトースまたは微結晶セルロースであるのが好ましい。
【0078】
結合剤:1または2以上の結合剤としては、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、キサンタンガム、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、ゼラチン、糖類、グルコース、天然ゴム、ゴム、合成セルロース、ポリメタクリレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、及び他のセルロース誘導体類など、ならびにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。結合剤は、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルセルロースまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースであるのが好ましい。
【0079】
崩壊剤:1または2以上の結合剤は、グリコール酸ナトリウムデンプン、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、アルギン酸ナトリウム、ゴム、デンプン、及びケイ酸マグネシウムアルミニウムのうちの少なくとも1つ、またはこれらの混合物を含むが、これらに限定されない。崩壊剤はグリコール酸ナトリウムデンプンであるのが好ましい。
【0080】
潤沢剤:1または2以上の潤沢剤は、フマル酸ステアリルナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、金属ステアレート、硬化ヒマシ油など、及びこれらの混合物を含むが、これらに限定されない。潤沢剤はステアリン酸マグネシウムであるのが好ましい。
【0081】
滑剤:1または2以上の滑剤は、ステアリン酸、コロイド状二酸化ケイ素、タルク、ケイ酸アルミニウムなど、及びこれらの混合物を含むが、これらに限定されない。滑剤はタルクであるのが好ましい。
【0082】
pH改変剤:1または2以上のpH改変剤は、有機酸、またはリン酸、クエン酸などのその塩を含むが、これらに限定されない。
【0083】
一実施形態では、タラボスタットの錠剤製剤中での成分の相対割合を、表1において以下に示す:
【表1】
【0084】
例示的なタラボスタットメシラートの即時放出錠剤を、表2において以下に示す:
【表2】
【0085】
いくつかの実施形態では、タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩は、改変放出マトリックス錠剤として製剤化され得る。例示的な徐放性錠剤は、有効量のタラボスタットまたはその薬学的に許容される塩を含み、薬学的に許容される担体またはアジュバントは、希釈剤、結合剤、改変放出材料、滑剤、潤滑剤、着色剤、及びこれらの組合せから選択される。あるいは、改変放出錠剤は即時放出コア及びコーティングを含み、上記コーティングは、改変放出材料及び他の医薬賦形剤を含む。
【0086】
改変放出材料は、ポリビニルピロリドン(K90)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(K4M、K10)、ヒドロキシプロピルセルロース(高粘性グレード)、カルナウバワックス、グリセリルベヘネート、ひましワックス、ポリ酢酸ビニル、カルボキシメチルエチルセルロース、エチルセルロース、セルロースフタレートまたはセルロースサクシネート、特に、セルロースアセテートフタレート及びヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースサクシネート、またはヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート;ポリエチレンオキシド及びポリプロピレンオキシドなどの高分子ポリアルキレンオキシド、及びエチレンオキシドとプロピレンオキシドなどとのコポリマーを含むが、これらに限定されない。具体的な改変放出材料としては、ポリビニルピロリドン(K90)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(K4M、K10)、ヒドロキシプロピルセルロース(高粘性グレード-HF)、ポリエチレンオキシドなどが挙げられる。改変放出材料は便利には、錠剤の10~50体重%の範囲で存在し得る。
【0087】
タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩の例示的な改変放出錠剤を、表3において以下に示す:
【表3】
【0088】
いくつかの好ましい実施形態では、単位用量でのタラボスタットの量は、約50マイクログラム、錠剤1つ当たり約100マイクログラム、錠剤1つ当たり約200マイクログラム、錠剤1つ当たり約300マイクログラム、錠剤1つ当たり約400マイクログラム、錠剤1つ当たり約500マイクログラム、錠剤1つ当たり約600マイクログラム、錠剤1つ当たり約700マイクログラム、錠剤1つ当たり約800マイクログラムである。
【0089】
様々な方法を、本開示の治療レジメンにおいて使用するためのタラボスタットまたはその薬学的に許容される塩の錠剤の製造に使用することができる。一プロセスは、好適な溶媒に(結合剤により、またはなしで)タラボスタットを溶解させることを含み、この溶液は、充填剤粒子(他の材料を含有してよい。)上に均一に分配され、凝集粒子/顆粒を形成する。湿潤造粒、コーティング、またはスプレープロセスもまた使用可能である。顆粒は、好適な寸法にすることができる、または、乾燥造粒/スラッグ形成/ローラー圧縮法、それに続くミル粉砕工程によりさらに処理し、特定の粒子サイズ分布の好適な顆粒を達成することができる。寸法が整った顆粒を他の成分とさらにブレンドしてよい、かつ/または、及びその後、好適なブレンダー内で潤滑化して、適切な工具を用いて特定の寸法の錠剤に圧縮してよい。適切な場合、錠剤のコーティングは、従来の方法及び標準的な装備を用いて実施することができる。
【0090】
5.キット
いくつかの実施形態では、キットは、それらの使用のための取扱説明書と共に、またはこれなしで、タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩を含む製剤、及び、ペムブロリズマブを含む製剤を含む。併用治療薬は、同一または異なるメーカーにより製造及び/または製剤化されることができる。それ故、併用治療薬は全体として、互いに独立しても販売される、個別の薬学的投与形態または医薬組成物であることができる。複数の実施形態では、併用使用のための取扱説明書は、(i)医師へのリリース前に(例えば、第1の治療薬及び他の治療薬を含む「パーツのキット」の場合)、(ii)医師自身により(または、医師のガイダンスの下で)投与前に短く、(iii)医師または医学スタッフにより、患者自身に提供される。
【0091】
一実施例では、単回ボーラス用量を投与してよい。別の実施例では、複数回に分けた用量を経時的に投与してよい。さらに別の実施例では、用量は、治療状況の緊急性により示されるように比例して、減少または増加することができる。本明細書で使用する場合、投薬単位形態とは、哺乳類対象を治療するための一体型用量として適した、物理的に個別の単位を意味する。各単位は、所望の治療効果を生み出すように計算された、所定量の活性化合物を含有してよい。いくつかの実施形態では、本開示の投薬単位形態は、活性化合物の固有の特性、及び、達成されるべき具体的な治療効果または予防効果により決定され、これに直接依存する。
【0092】
いくつかの実施形態では、キットは、タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩、及びペムブロリズマブを使用して、対象におけるがんを治療するかもしくは進行を遅延させる、または、がんを有する対象の免疫機能を向上させるための取扱説明書を含む、添付文書を含む。いくつかの実施形態では、キットは、タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩、及びペムブロリズマブ、ならびに、対象におけるがんを治療するかもしくは進行を遅延させる、または、がんを有する対象の免疫機能を向上させるための、これらの使用のための取扱説明書を含む添付文書を含む。いくつかの実施形態では、キットは、タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩、及びペムブロリズマブ、ならびに、対象におけるがんを治療するかもしくは進行を遅延させる、または、がんを有する対象の免疫機能を向上させるための、これらの使用のための取扱説明書を含む添付文書を含む。
【0093】
いくつかの実施形態では、キットは、ボトル、バイアル(例えば二重チャンババイアル)、シリンジ(単一または二重チャンバシリンジ)、及び試験管を含むが、これらに限定されない容器を含む。容器は、ガラスまたはプラスチックなどの様々な材料から形成され得る。いくつかの実施形態では、本キットは、ラベル(例えば、容器上にあるか、または容器に関連する)、または添付文書を含んでも良い。キットに含有される化合物が、対象におけるがんの治療もしくは進行の遅延、または、がんを有する対象の免疫機能を向上させるのに有益であり得る、またはこれらを意図し得ることを、ラベルまたは添付文書は示し得る。本キットは、他の緩衝液、希釈剤、フィルタ、針、及びシリンジを含む、商業的観点及び使用者の観点から望ましい他の材料をさらに含んでも良い。
【0094】
6.結果
本明細書に開示する治療レジメンに従ってタラボスタットまたはその薬学的に許容される塩、及びペムブロリズマブを投与した、前立腺癌(例えばSCNC)を罹患する患者は、少なくとも1つのがんの徴候の改善を経験するのが好ましい。一実施形態では、改善は、測定可能な腫瘍損傷の量及び/または寸法の減少により測定することができる。別の実施形態では、損傷はx線またはCTまたはMRIスキャンを使用して測定することができる。別の実施形態では、細胞学または組織学を使用して、治療法に対する応答性を評価することができる。別の実施形態では、無進行生存及び/または全体生残の拡大が、前立腺癌(例えばSCNC)に罹患する患者にもたらされ得る。別の実施形態では、無進行生存及び/または全体生残の拡大が、進行性充実性癌に罹患する患者にもたらされ得る。
【0095】
特定の態様において、抗腫瘍応答は、腫瘍特異的応答、臨床応答、腫瘍サイズ/体積の減少、腫瘍特異的バイオマーカーの減少、抗腫瘍サイトカインの増加、またはこれらの組合せである。
【0096】
特定の態様において、臨床応答は、腫瘍増殖の減少、及び/または腫瘍サイズの減少である。特定の態様において、抗腫瘍免疫応答の開始、維持、または、向上は、がんの治療のためのものである。
【0097】
さらなる態様では、抗腫瘍応答は、腫瘍増殖の阻害;腫瘍細胞死の誘導;腫瘍の後退;腫瘍再発;腫瘍増殖、腫瘍拡大の防止もしくは遅延;または腫瘍の除去である。
【0098】
さらなる態様では、抗腫瘍応答は転移の減少、転移の遅延、または転移の予防である。好ましい実施形態では、抗腫瘍応答は転移の予防である。
【0099】
特定の実施形態では、腫瘍応答は、腫瘍細胞の数の減少である。特定の実施形態では、腫瘍応答は腫瘍増殖速度の低下である。特定の実施形態では、腫瘍応答は、ジペプチジルペプチダーゼ酵素活性の遮断である。腫瘍応答は、炎症性サイトカイン応答及び細胞傷害性T細胞応答の誘発である。
【0100】
本明細書に記載する治療レジメンは、約10%より大きい、約20%より大きい、約21%より大きい、約22%より大きい、約23%より大きい、約24%より大きい、約25%より大きい、約26%より大きい、約27%より大きい、約28%より大きい、約29%より大きい、約30%より大きい、約31%より大きい、約32%より大きい、約33%より大きい、約34%より大きい、約35%より大きい、約36%より大きい、約37%より大きい、約37%より大きい、約38%より大きい、約39%より大きい、約40%より大きい、約41%より大きい、約42%より大きい、約43%より大きい、約44%より大きい、約45%より大きい、約46%より大きい、約47%より大きい、約48%より大きい、約49%より大きい、約50%より大きい、約51%より大きい、約52%より大きい、約53%より大きい、約54%より大きい、約55%より大きい、約56%より大きい、約57%より大きい、約58%より大きい、約59%より大きい、約60%より大きい、約61%より大きい、約62%より大きい、約63%より大きい、約64%より大きい、約65%より大きい、66%より大きい、67%より大きい、68%より大きい、69%より大きい、約70%より大きい、約71%より大きい、約72%より大きい、約73%より大きい、約74%より大きい、約75%より大きい、約76%より大きい、約77%より大きい、約78%より大きい、約79%より大きい、約80%より大きい、約81%より大きい、約82%より大きい、約83%より大きい、約84%より大きい、約85%より大きい、約90%より大きい、91%より大きい、92%より大きい、93%より大きい、94%より大きい、約95%より大きい、96%より大きい、97%より大きい、98%より大きい、99%より大きい、最大100%の腫瘍サイズの阻害をもたらし得る。
【0101】
いくつかの実施形態では、本明細書において提供するレジメン及び方法は、1日~2年(例えば、1日~22ヶ月、1日~20ヶ月、1日~18ヶ月、1日~16ヶ月、1日~14ヶ月、1日~12ヶ月、1日~10ヶ月、1日~9ヶ月、1日~8ヶ月、1日~7ヶ月、1日~6ヶ月、1日~5ヶ月、1日~4ヶ月、1日~3ヶ月、1日~2ヶ月、1日~1ヶ月、1週間~2年、1週間~22ヶ月、1週間~20ヶ月、1週間~18ヶ月、1週間~16ヶ月、1週間~14ヶ月、1週間~12ヶ月、1週間~10ヶ月、1週間~9ヶ月、1週間~8ヶ月、1週間~7ヶ月、1週間~6ヶ月、1週間~5ヶ月、1週間~4ヶ月、1週間~3ヶ月、1週間~2ヶ月、1週間~1ヶ月、2週間~2年、2週間~22ヶ月、2週間~20ヶ月、2週間~18ヶ月、2週間~16ヶ月、2週間~14ヶ月、2週間~12ヶ月、2週間~10ヶ月、2週間~9ヶ月、2週間~8ヶ月、2週間~7ヶ月、2週間~6ヶ月、2週間~5ヶ月、2週間~4ヶ月、2週間~3ヶ月、2週間~2ヶ月、2週間~1ヶ月、1ヶ月~2年、1ヶ月~22ヶ月、1ヶ月~20ヶ月、1ヶ月~18ヶ月、1ヶ月~16ヶ月、1ヶ月~14ヶ月、1ヶ月~12ヶ月、1ヶ月~10ヶ月、1ヶ月~9ヶ月、1ヶ月~8ヶ月、1ヶ月~7ヶ月、1ヶ月~6ヶ月、1ヶ月~6ヶ月、1ヶ月~5ヶ月、1ヶ月~4ヶ月、1ヶ月~3ヶ月、1ヶ月~2ヶ月、2ヶ月~2年、2ヶ月~22ヶ月、2ヶ月~20ヶ月、2ヶ月~18ヶ月、2ヶ月~16ヶ月、2ヶ月~14ヶ月、2ヶ月~12ヶ月、2ヶ月~10ヶ月、2ヶ月~9ヶ月、2ヶ月~8ヶ月、2ヶ月~7ヶ月、2ヶ月~6ヶ月、または2ヶ月~5ヶ月、2ヶ月~4ヶ月、3ヶ月~2年、3ヶ月~22ヶ月、3ヶ月~20ヶ月、3ヶ月~18ヶ月、3ヶ月~16ヶ月、3ヶ月~14ヶ月、3ヶ月~12ヶ月、3ヶ月~10ヶ月、3ヶ月~8ヶ月、3ヶ月~6ヶ月、4ヶ月~2年、4ヶ月~22ヶ月、4ヶ月~22ヶ月、4ヶ月~20ヶ月、4ヶ月~16ヶ月、4ヶ月~14ヶ月、4ヶ月~12ヶ月、4ヶ月~10ヶ月、4ヶ月~8ヶ月、4ヶ月~6ヶ月、6ヶ月~2年、6ヶ月~22ヶ月、6ヶ月~20ヶ月、6ヶ月~18ヶ月、6ヶ月~16ヶ月、6ヶ月~14ヶ月、6ヶ月~12ヶ月、6ヶ月~10ヶ月、または6ヶ月~8ヶ月)の期間の併用療法による治療後に、(例えば、治療前の患者における1または2以上の充実性腫瘍のサイズと比較して)1%~99%(例えば、1%~98%、1%~95%、1%~90%、1%~85%、1%~80%、1%~75%、1%~70%、1%~65%、1%~60%、1%~55%、1%~50%、1%~45%、1%~40%、1%~35%、1%~30%、1%~25%、1%~20%、1%~15%、1%~10%、1%~5%、2%~99%、2%~90%、2%~85%、2%~80%、2%~75%、2%~70%、2%~65%、2%~60%、2%~55%、2%~50%、2%~45%、2%~40%、2%~35%、2%~30%、2%~25%、2%~20%、2%~15%、2%~10%、2%~5%、4%~99%、4%~95%、4%~90%、4%~85%、4%~80%、4%~75%、4%~70%、4%~65%、4%~60%、4%~55%、4%~50%、4%~45%、4%~40%、4%~35%、4%~30%、4%~25%、4%~20%、4%~15%、4%~10%、6%~99%、6%~95%、6%~90%、6%~85%、6%~80%、6%~75%、6%~70%、6%~65%、6%~60%、6%~55%、6%~50%、6%~45%、6%~40%、6%~35%、6%~30%、6%~25%、6%~20%、6%~15%、6%~10%、8%~99%、8%~95%、8%~90%、8%~85%、8%~80%、8%~75%、8%~70%、8%~65%、8%~60%、8%~55%、8%~50%、8%~45%、8%~40%、8%~35%、8%~30%、8%~25%、8%~20%、8%~15%、10%~99%、10%~95%、10%~90%、10%~85%、10%~80%、10%~75%、10%~70%、10%~65%、10%~60%、10%~55%、10%~50%、10%~45%、10%~40%、10%~35%、10%~30%、10%~25%、10%~20%、10%~15%、15%~99%、15%~95%、15%~90%、15%~85%、15%~80%、15%~75%、15%~70%、15%~65%、15%~60%、15%~55%、15%~50%、15%~55%、15%~50%、15%~45%、15%~40%、15%~35%、15%~30%、15%~25%、15%~20%、20%~99%、20%~95%、20%~90%、20%~85%、20%~80%、20%~75%、20%~70%、20%~65%、20%~60%、20%~55%、20%~50%、20%~45%、20%~40%、20%~35%、20%~30%、20%~25%、25%~99%、25%~95%、25%~90%、25%~85%、25%~80%、25%~75%、25%~70%、25%~65%、25%~60%、25%~55%、25%~50%、25%~45%、25%~40%、25%~35%、25%~30%、30%~99%、30%~95%、30%~90%、30%~85%、30%~80%、30%~75%、30%~70%、30%~65%、30%~60%、30%~55%、30%~50%、30%~45%、30%~40%、30%~35%、35%~99%、35%~95%、35%~90%、35%~85%、35%~80%、35%~75%、35%~70%、35%~65%、35%~60%、35%~55%、35%~50%、35%~45%、35%~40%、40%~99%、40%~95%、40%~90%、40%~85%、40%~80%、40%~75%、40%~70%、40%~65%、40%~60%、40%~55%、40%~60%、40%~55%、40%~50%、40%~45%、45%~99%、45%~95%、45%~95%、45%~90%、45%~85%、45%~80%、45%~75%、45%~70%、45%~65%、45%~60%、45%~55%、45%~50%、50%~99%、50%~95%、50%~90%、50%~85%、50%~80%、50%~75%、50%~70%、50%~65%、50%~60%、50%~55%、50%~99%、55%~95%、55%~90%、55%~85%、55%~80%、55%~75%、55%~70%、55%~65%、55%~60%、60%~99%、60%~95%、60%~90%、60%~85%、60%~80%、60%~75%、60%~70%、60%~65%、65%~99%、60%~95%、60%~90%、60%~85%、60%~80%、60%~75%、60%~70%、60%~65%、70%~99%、70%~95%、70%~90%、70%~85%、70%~80%、70%~75%、75%~99%、75%~95%、75%~90%、75%~85%、75%~80%、80%~99%、80%~95%、80%~90%、80%~85%、85%~99%、85%~95%、85%~90%、90%~99%、90%~95%、または95%~100%)の、患者における1または2以上の充実性腫瘍の体積の減少をもたらすことができる。
【0102】
いくつかの実施形態では、本明細書において提供するレジメンまたは方法は、1%~99%(例えば、1%~98%、1%~95%、1%~90%、1%~85%、1%~80%、1%~75%、1%~70%、1%~65%、1%~60%、1%~55%、1%~50%、1%~45%、1%~40%、1%~35%、1%~30%、1%~25%、1%~20%、1%~15%、1%~10%、1%~5%、2%~99%、2%~90%、2%~85%、2%~80%、2%~75%、2%~70%、2%~65%、2%~60%、2%~55%、2%~50%、2%~45%、2%~40%、2%~35%、2%~30%、2%~25%、2%~20%、2%~15%、2%~10%、2%~5%、4%~99%、4%~95%、4%~90%、4%~85%、4%~80%、4%~75%、4%~70%、4%~65%、4%~60%、4%~55%、4%~50%、4%~45%、4%~40%、4%~35%、4%~30%、4%~25%、4%~20%、4%~15%、4%~10%、6%~99%、6%~95%、6%~90%、6%~85%、6%~80%、6%~75%、6%~70%、6%~65%、6%~60%、6%~55%、6%~50%、6%~45%、6%~40%、6%~35%、6%~30%、6%~25%、6%~20%、6%~15%、6%~10%、8%~99%、8%~95%、8%~90%、8%~85%、8%~80%、8%~75%、8%~70%、8%~65%、8%~60%、8%~55%、8%~50%、8%~45%、8%~40%、8%~35%、8%~30%、8%~25%、8%~20%、8%~15%、10%~99%、10%~95%、10%~90%、10%~85%、10%~80%、10%~75%、10%~70%、10%~65%、10%~60%、10%~55%、10%~50%、10%~45%、10%~40%、10%~35%、10%~30%、10%~25%、10%~20%、10%~15%、15%~99%、15%~95%、15%~90%、15%~85%、15%~80%、15%~75%、15%~70%、15%~65%、15%~60%、15%~55%、15%~50%、15%~55%、15%~50%、15%~45%、15%~40%、15%~35%、15%~30%、15%~25%、15%~20%、20%~99%、20%~95%、20%~90%、20%~85%、20%~80%、20%~75%、20%~70%、20%~65%、20%~60%、20%~55%、20%~50%、20%~45%、20%~40%、20%~35%、20%~30%、20%~25%、25%~99%、25%~95%、25%~90%、25%~85%、25%~80%、25%~75%、25%~70%、25%~65%、25%~60%、25%~55%、25%~50%、25%~45%、25%~40%、25%~35%、25%~30%、30%~99%、30%~95%、30%~90%、30%~85%、30%~80%、30%~75%、30%~70%、30%~65%、30%~60%、30%~55%、30%~50%、30%~45%、30%~40%、30%~35%、35%~99%、35%~95%、35%~90%、35%~85%、35%~80%、35%~75%、35%~70%、35%~65%、35%~60%、35%~55%、35%~50%、35%~45%、35%~40%、40%~99%、40%~95%、40%~90%、40%~85%、40%~80%、40%~75%、40%~70%、40%~65%、40%~60%、40%~55%、40%~60%、40%~55%、40%~50%、40%~45%、45%~99%、45%~95%、45%~95%、45%~90%、45%~85%、45%~80%、45%~75%、45%~70%、45%~65%、45%~60%、45%~55%、45%~50%、50%~99%、50%~95%、50%~90%、50%~85%、50%~80%、50%~75%、50%~70%、50%~65%、50%~60%、50%~55%、50%~99%、55%~95%、55%~90%、55%~85%、55%~80%、55%~75%、55%~70%、55%~65%、55%~60%、60%~99%、60%~95%、60%~90%、60%~85%、60%~80%、60%~75%、60%~70%、60%~65%、65%~99%、60%~95%、60%~90%、60%~85%、60%~80%、60%~75%、60%~70%、60%~65%、70%~99%、70%~95%、70%~90%、70%~85%、70%~80%、70%~75%、75%~99%、75%~95%、75%~90%、75%~85%、75%~80%、80%~99%、80%~95%、80%~90%、80%~85%、85%~99%、85%~95%、85%~90%、90%~99%、90%~95%、または95%~100%)の、前立腺癌を有する患者における、転移の進行リスク、さらなる転移の進行リスクの低下を提供する。
【0103】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載する治療レジメンまたは方法は、(例えば、同様のがんを有し、異なる治療が投与される、または治療を受けない患者と比較して)患者の生残時間の増加(例えば、1%~400%、1%~380%、1%~360%、1%~340%、1%~320%、1%~300%、1%~280%、1%~260%、1%~240%、1%~220%、1%~200%、1%~180%、1%~160%、1%~140%、1%~120%、1%~100%、1%~95%、1%~90%、1%~85%、1%~80%、1%~75%、1%~70%、1%~65%、1%~60%、1%~55%、1%~50%、1%~45%、1%~40%、1%~35%、1%~30%、1%~25%、1%~20%、1%~15%、1%~10%、1%~5%、5%~400%、5%~380%、5%~360%、5%~340%、5%~320%、5%~300%、5%~280%、5%~260%、5%~240%、5%~220%、5%~200%、5%~180%、5%~160%、5%~140%、5%~120%、5%~100%、5%~90%、5%~80%、5%~70%、5%~60%、5%~50%、5%~40%、5%~30%、5%~20%、5%~10%、10%~400%、10%~380%、10%~360%、10%~340%、10%~320%、10%~300%、10%~280%、10%~260%、10%~240%、10%~220%、10%~200%、10%~180%、10%~160%、10%~140%、10%~120%、10%~100%、10%~90%、10%~80%、10%~70%、10%~60%、10%~50%、10%~40%、10%~30%、10%~20%、20%~400%、20%~380%、20%~360%、20%~340%、20%~320%、20%~300%、20%~280%、20%~260%、20%~240%、20%~220%、20%~200%、20%~180%、20%~160%、20%~140%、20%~120%、20%~100%、20%~90%、20%~80%、20%~70%、20%~60%、20%~50%、20%~40%、20%~30%、30%~400%、30%~380%、30%~360%、30%~340%、30%~320%、30%~300%、30%~280%、30%~260%、30%~240%、30%~220%、30%~200%、30%~180%、30%~160%、30%~140%、30%~120%、30%~100%、30%~90%、30%~80%、30%~70%、30%~60%、30%~50%、30%~40%、40%~400%、40%~380%、40%~360%、40%~340%、40%~320%、40%~300%、40%~280%、40%~260%、40%~240%、40%~220%、40%~200%、40%~180%、40%~160%、40%~140%、40%~120%、40%~100%、40%~90%、40%~80%、40%~70%、40%~60%、40%~50%、50%~400%、50%~380%、50%~360%、50%~340%、50%~320%、50%~300%、50%~280%、50%~260%、50%~240%、50%~220%、50%~200%、50%~180%、50%~160%、50%~140%、50%~140%、50%~120%、50%~100%、50%~90%、50%~80%、50%~70%、50%~60%、60%~400%、60%~380%、60%~360%、60%~340%、60%~320%、60%~300%、60%~280%、60%~260%、60%~240%、60%~220%、60%~200%、60%~180%、60%~160%、60%~140%、60%~120%、60%~100%、60%~90%、60%~80%、60%~70%、70%~400%、70%~380%、70%~360%、70%~340%、70%~320%、70%~300%、70%~280%、70%~260%、70%~240%、70%~220%、70%~200%、70%~180%、70%~160%、70%~140%、70%~120%,~100%、70%~90%、70%~80%、80%~400%、80%~380%、80%~360%、80%~340%、80%~320%、80%~300%、80%~280%、80%~260%、80%~240%、80%~220%、80%~200%、80%~180%、80%~160%、80%~140%、80%~120%、80%~100%、80%~90%、90%~400%、90%~380%、90%~360%、90%~340%、90%~320%、90%~300%、90%~280%、90%~260%、90%~240%、90%~220%、90%~200%、90%~180%、90%~160%、90%~140%、90%~120%、90%~100%、100%~400%、100%~380%、100%~360%、100%~340%、100%~320%、100%~300%、100%~280%、100%~260%、100%~240%、100%~220%、100%~200%、100%~180%、100%~160%、100%~140%、100%~120%、120%~400%、120%~380%、120%~360%、120%~340%、120%~320%、120%~300%、120%~280%、120%~260%、120%~240%、120%~220%、120%~200%、120%~180%、120%~160%、120%~140%、140%~400%、140%~380%、140%~360%、140%~340%、140%~320%、140%~300%、140%~280%、140%~260%、140%~240%、140%~220%、140%~200%、140%~180%、140%~160%、160%~400%、160%~380%、160%~360%、160%~340%、160%~320%、160%~300%、160%~280%、160%~260%、160%~240%、160%~220%、160%~200%、160%~180%、180%~400%、180%~380%、180%~360%、180%~340%、180%~320%、180%~300%、180%~280%、180%~260%、180%~240%、180%~220%、180%~200%、200%~400%、200%~380%、200%~360%、200%~340%、200%~320%、200%~300%、200%~280%、200%~260%、200%~240%、200%~220%、220%~400%、220%~380%、220%~360%、220%~340%、220%~320%、220%~300%、220%~280%、220%~260%、220%~240%、240%~400%、240%~380%、240%~360%、240%~340%、240%~320%、240%~300%、240%~280%、240%~260%、260%~400%、260%~380%、260%~360%、260%~340%、260%~320%、260%~300%、260%~280%、280%~400%、280%~380%、280%~360%、280%~340%、280%~320%、280%~300%、300%~400%、300%~380%、300%~360%、300%~340%、または300%~320%)をもたらし得る。
【0104】
一実施形態では、本明細書に開示する治療レジメンに従ってタラボスタットまたはその薬学的に許容される塩、及びペムブロリズマブを投与した、前立腺癌(例えばSCNC)を罹患する患者は、完全寛解(CR)、部分寛解(PR)、安定疾患(SD)、免疫関連完全疾患(irCR)、免疫関連部分寛解(irPR)、または免疫関連安定疾患(irSD)を示し得る。別の実施形態では、本明細書に開示する治療レジメンに従ってタラボスタットまたはその薬学的に許容される塩、及びペムブロリズマブを投与した、進行性充実性癌を罹患する患者は、完全寛解(CR)、部分寛解(PR)、安定疾患(SD)、免疫関連完全疾患(irCR)、免疫関連部分寛解(irPR)、または免疫関連安定疾患(irSD)を示し得る。
【0105】
別の実施形態では、本明細書に開示する治療レジメンに従ってタラボスタットまたはその薬学的に許容される塩、及びペムブロリズマブを投与した、前立腺癌(例えばSCNC)を罹患する患者は、腫瘍の収縮、及び/または、増殖速度の低下、即ち腫瘍増殖の抑制を経験し得る。別の実施形態では、望ましくない細胞増殖が低下または阻害され得る。
【0106】
更に他の実施形態では、以下のうちの1または2以上が、本明細書に開示する治療レジメンに従ってタラボスタットまたはその薬学的に許容される塩、及びペムブロリズマブを投与した、前立腺癌(例えばSCNC)を罹患する患者で生じ得る:がん細胞の数が減少し得る;腫瘍サイズが低下し得る;がん細胞の末梢器官への湿潤が阻害、遅延、低速化、または停止され得る;腫瘍転移が低速化または阻害され得る;腫瘍増殖が阻害され得る;腫瘍の再発が予防または遅延され得る;がんに関連する1または2以上の症状が緩和され得る。
【0107】
他の実施形態では、本明細書に開示する治療レジメンに従ってタラボスタットまたはその薬学的に許容される塩、及びペムブロリズマブを投与した、前立腺癌(例えばSCNC)を罹患する患者は、腫瘍サイズの減少、経時的に現れる転移性損傷の数の低下、完全寛解、部分寛解、または安定した疾患からなる群から選択される少なくとも1つの治療効果を示し得る。
【0108】
更に他の実施形態では、本明細書の治療レジメンは、タラボスタットもしくはその薬学的に許容される塩、またはペムブロリズマブのみによって達成されるものよりも良好な、相当する臨床効果割合(CBR=CR+PR+SD≧6ヶ月)を生み出し得る。
【0109】
他の実施形態では、本開示の治療レジメンを用いて達成される臨床効果割合の改善は、タラボスタットまたはペムブロリズマブのみを用いる治療と比較して、約20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%またはそれ以上であり得る。
【0110】
いくつかの実施形態では、本開示の治療レジメンは、タラボスタットもしくはその薬学的に許容される塩、またはペムブロリズマブのみの投与と比較して、プライミング、活性化、増殖、及び/または細胞溶解活性が向上した対象における、CD8+T細胞をもたらし得る。
【0111】
いくつかの実施形態では、組合せ投与前と比較して、CD4+、及び/またはCD8+T細胞の数は増加する。
【0112】
いくつかの実施形態では、活性化されたCD4+、及び/またはCD8+T細胞は、y-IFN+産生CD4+、及び/もしくはCD8+T細胞、ならびに/または、組合せの投与前と比較して、増強された細胞溶解活性を特徴とする。
【0113】
いくつかの実施形態では、CD4+、及び/またはCD8+T細胞は、G-CSF、MCP-1、エオタキシン、IFN-γ、KC、TNF-α、及びインターロイキン(IL-5、IL-6、IL-1β、IL-12p70、IL 18)からなる群から選択されるサイトカインの放出の増加を示す。
【0114】
いくつかの実施形態では、CD4+、及び/またはCD8+T細胞は、エフェクターメモリーT細胞である。いくつかの実施形態では、CD4+、及び/またはCD8+エフェクターメモリーT細胞は、γ-IFN+産生CD4+、及び/もしくはCD8+T細胞、ならびに/または細胞溶解活性の向上を特徴とする。
【0115】
いくつかの実施形態では、対象における、サイトカインIL-18及び/またはケモカインGM-CSF、G-CSFの血清濃度は、単剤投与と比較して、タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩、及びペムブロリズマブの組合せの存在下において増加する。
【0116】
いくつかの実施形態では、タラボスタットまたはペムブロリズマブのみの投与と比較したとき、タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩、及びペムブロリズマブの組合せが、本明細書に記載する治療レジメンに従い使用されるときに、がんは、T細胞湿潤量が増加している。
【0117】
いくつかの実施形態では、タラボスタットもしくはその薬学的に許容される塩、またはペムブロリズマブのみの投与と比較して、がんは、本明細書に記載する治療レジメンに従い使用されるときに、タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩、及びペムブロリズマブの組合せの存在下において、T制御性細胞の濃度が抑制/低下される。いくつかの実施形態では、タラボスタットもしくはその薬学的に許容される塩、またはペムブロリズマブのみの投与と比較して、がんは、本明細書に記載する治療レジメンに従い使用されるときに、タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩、及びペムブロリズマブの組合せの存在下において、NK細胞及びマクロファージの濃度が増加する。
【0118】
標的損傷に関して、本明細書に記載する治療レジメンに対する応答としては、完全寛解(CR)、部分寛解(PR)、進行性疾患(PD)、安定疾患(SD)、免疫関連完全寛解(irCR)、免疫関連部分寛解(irPR)、免疫関連進行性疾患(irPD)、及び、免疫関連安定疾患(irSD)が挙げられ得る。
【0119】
非標的損傷に関しては、本明細書に記載する治療レジメンに対する応答としては、完全寛解(CR)、進行性疾患(PD)、免疫関連完全寛解(irCR)、及び免疫関連進行性疾患(irPD)が挙げられ得る。
【0120】
一実施形態では、治療された患者は、完全寛解(CR)、部分寛解(PR)、安定疾患(SD)、免疫関連完全疾患(irCR)、免疫関連部分寛解(irPR)、または免疫関連安定疾患(irSD)を示す。別の実施形態では、治療された患者は、腫瘍の収縮、及び/または、増殖速度の低下、即ち腫瘍増殖の抑制を経験する。別の実施形態では、望ましくない細胞増殖が低下または阻害される。更に他の実施形態では、以下のうちの1または2以上が生じ得る:がん細胞の数が減少し得る;腫瘍サイズが低下し得る;がん細胞の末梢器官への湿潤が阻害、遅延、低速化、または停止され得る;腫瘍転移が低速化または阻害され得る;腫瘍増殖が阻害され得る;腫瘍の再発が予防または遅延され得る;がんに関連する1または2以上の症状がある程度軽減され得る。
【0121】
7.本開示の特定の実施形態
実施形態1:前立腺癌の治療を必要とする対象における、前立腺癌を治療するためのレジメンであって、上記対象に、個別の製剤処方として、有効量のタラボスタットまたはその薬学的に許容される塩、及び有効量のペムブロリズマブを投与することを含む、上記レジメン。
【0122】
実施形態2:前立腺癌の治療を必要とする対象における、前立腺癌の治療方法であって、当該方法が、上記対象に、個別の製剤処方として、有効量のタラボスタットまたはその薬学的に許容される塩、及び有効量のペムブロリズマブを投与することを含む、上記方法。
【0123】
実施形態3:前立腺癌を患う対象における免疫応答の向上方法であって、当該方法が、上記対象に、個別の製剤処方として、有効量のタラボスタットまたはその薬学的に許容される塩、及び有効量のペムブロリズマブを含むレジメンを投与することを含む、上記方法。
【0124】
実施形態4:前立腺癌を罹患する対象における先天性免疫応答の向上方法であって、当該方法が、上記対象に、個別の製剤処方として、有効量のタラボスタットまたはその薬学的に許容される塩、及び有効量のペムブロリズマブを投与することを含み、当該向上した先天性免疫応答が、増加した腫瘍破壊性ナチュラルキラー細胞及びマクロファージ、ならびに、NK細胞及びCD8+T細胞の活性と関連している、上記方法。
【0125】
実施形態5:前立腺癌を有する対象における先天性免疫応答の向上方法であって、当該方法が、上記対象に、個別の製剤処方として、有効量のタラボスタットまたはその薬学的に許容される塩、及び有効量のペムブロリズマブを投与することを含み、当該向上した先天性免疫応答がT制御性細胞の抑制と関連している、上記方法。
【0126】
実施形態6:前立腺癌(例えばSCNC)を罹患する対象における、腫瘍再発、腫瘍増殖、または腫瘍拡大の治療方法、またはこれらの進行の遅延方法、またはこれらの予防もしくは遅延方法であって、当該方法が、上記対象に、個別の製剤処方として、有効量のタラボスタットまたはその薬学的に許容される塩、及びペムブロリズマブを投与することを含む、上記方法。
【0127】
実施形態7:前立腺癌(例えばSCNC)を罹患する対象における、免疫機能の向上方法であって、当該方法が、上記対象に、個別の製剤処方として、有効量のタラボスタットまたはその薬学的に許容される塩、及びペムブロリズマブを投与することを含む、上記方法。
【0128】
実施形態8:前立腺癌(例えばSCNC)を罹患する対象における、抗腫瘍免疫応答の開始、維持、または向上方法であって、当該方法が、上記対象に、個別の製剤処方として、有効量のタラボスタットまたはその薬学的に許容される塩、及びペムブロリズマブを投与することを含む、方法。
【0129】
実施形態9:少ない有効量のタラボスタットにより、タラボスタットの毒性を低下させる方法であって、当該方法が、前立腺癌(例えばSCNC)を罹患する対象に、個別の製剤処方として、有効量のタラボスタットまたはその薬学的に許容される塩、及びペムブロリズマブを投与することを含む、上記方法。
【0130】
実施形態10:タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩、及びペムブロリズマブが対象に、1または2回以上(例えば1、2、3、4、5、6回またはそれ以上)の治療サイクルで投与され、各治療サイクルが約21日の期間である、実施形態1~9のいずれか1つに記載の治療レジメンまたは治療方法。
【0131】
実施形態11:治療の終了後、対象が、前立腺癌の進行に対して持続した応答を維持する、実施形態1~10のいずれか1つに記載の治療レジメンまたは治療方法。
【0132】
実施形態12:各治療サイクルに関して、タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩が、1~14日目のそれぞれにおいて投与され、ペムブロリズマブが1日目に投与される、実施形態10または11に記載の治療レジメンまたは治療方法。
【0133】
実施形態13:タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩が(例えば、錠剤製剤として)経口投与される、実施形態1~12のいずれか1つに記載の治療レジメンまたは治療方法。
【0134】
実施形態14:ペムブロリズマブが(例えば静脈内)注射により投与される、実施形態1~12のいずれか1つに記載の治療レジメンまたは治療方法。
【0135】
実施形態15:タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩が、約0.001mg/kg~約0.1mg/kg(例えば、約0.001mg/kg~約0.035mg/kg、または約0.001mg/kg~約0.014mg/kg)の合計の日用量で投与される、実施形態1~14のいずれか1つに記載の治療レジメンまたは治療方法。
【0136】
実施形態16:ペムブロリズマブが、1日当たり約1mg/kg~約10mg/kgの用量で投与される、実施形態1~15のいずれか1つに記載の治療レジメンまたは治療方法。
【0137】
実施形態17:タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩が、約0.4mg~約0.6mgの合計の日用量で投与(例えば、朝に約0.4mgの用量、及び夕方に約0.2mgの用量というように、1日2回経口投与)される、実施形態1~16のいずれか1つに記載の治療レジメンまたは治療方法。
【0138】
実施形態18:ペムブロリズマブが、1日当たり約100mg~約500mg(例えば、1日当たり約200mg)の合計の用量で投与される、実施形態1~17のいずれか1つに記載の治療レジメンまたは治療方法。
【0139】
実施形態19:サイクル1における、タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩の合計の日用量が、1または2回以上の後続サイクルにおける、タラボスタットまたはその薬学的に許容される塩の合計の日用量よりも少ない、実施形態1~18のいずれか1つに記載の治療レジメンまたは治療方法。
【0140】
実施形態20:タラボスタットメシラートを投与することを含む、実施形態1~19のいずれか1つに記載の治療レジメンまたは治療方法。
【0141】
実施形態21:前立腺癌の治療を必要とする対象における、前立腺癌の治療のための治療レジメンであって、当該レジメンが、上記対象に、1または2回以上の治療サイクルでタラボスタットメシラート及びペムブロリズマブを投与することを含み、各治療サイクルが、約21日の期間であり、各治療サイクルに関して、タラボスタットは1~14日目のそれぞれにおいて投与され、ペムブロリズマブが1日目に投与され、タラボスタットメシラートは1または2以上の錠剤として投与され、約0.4mg~約0.6mgの、タラボスタットの合計の日用量をもたらし、ペムブロリズマブが単回の静脈内注射として投与され、1日当たり約100mg~約500mgの用量をもたらす、上記レジメン。
【実施例】
【0142】
実施例1:
フェーズ1b/2研究のための治療レジメン
このフェーズ1b/2研究は、SCNCを有する患者における、ペムブロリズマブ(より具体的にはKeytruda(登録商標))の製剤処方と組み合わせた、毎日経口投与される、タラボスタットメシラートの製剤処方の複合奏効率を測定するためのものである。研究は、rPFS、PSA、PFS、OS、及びDORなどの、他の有効性パラメータ、ならびに、併用治療の安全性もまた評価する。本研究は、2つの段階からなる:
リードインステージ- ここでは、21日サイクルの1~14日目に1日1回(QD)投与される、タラボスタットメシラートと、各21日の中の1日目に静脈内(IV)投与されるペムブロリズマブ200mgの組合せの、安全性及び忍容性を評価した。リードインステージの間、ペムブロリズマブの用量は固定し(200mg IV q21日目)、タラボスタットメシラートの用量は、3×3デザインを用いて増加し(21日サイクルの1~14日目において、経口QD1回当たり、0.4mg~0.6mg)、SCNCを有する患者で確認された。サイクル1において、投与したタラボスタットメシラートの初回用量は0.4mgであった。治療後に安全性の懸念がなかったため、用量を0.6mgに上昇させた。最後の(14回目の)タラボスタットメシラートの投与、及び後続のサイクルの1日目の後に、7日間の休憩期間があった。鍵となるエンドポイントは、組合せのための推奨フェーズ2用量(RP2D)の安全性及びであった。複合奏効(RECIST、PSA、CTC)もまた評価した。0.6mgにて安全性の懸念が存在しないのであれば、次いで、これを、有効性ステージで使用するRP2Dとする。安全性の懸念が存在する場合、0.6mgのコホートを拡大して、さらなる患者を登録する。投与スケジュールもまた調整してよい。
【0143】
リードインステージの間、患者は、サイクル1の間に、用量制限毒性(DLT)が観察された。3名の患者を、まず、0.4mgのタラボスタットメシラート、加えてペムブロリズマブ(200mg(IV))で治療した。
- サイクル1ではDLTが観察されなかったため、タラボスタットメシラートの用量を、次の3名の患者のコホートにおいては0.6mgまで上昇させた。
- サイクル1において、3名の元の患者のうち1名以上がDLTを有する場合、スポンサーと研究員との議論の後で、3名の患者(1名の患者がDLTを経験する場合)、または6~9名の患者(2または3名の患者がDLTを経験する場合)のいずれかを、0.4mgのタラボスタットメシラートの用量レベルで加えた。この、拡大した0.4mgコホートに関して、
○ 患者の3分の1未満がDLTを経験する場合、0.6mgのタラボスタットメシラート、加えてペムブロリズマブへの用量増加に対して考慮をする
○ 患者の3分の1がDLTを経験する場合、有効性ステージを開始することができる
○ 患者の3分の1超がDLTを経験する場合、進行の仕方について、研究員とスポンサーとの間で議論を行う。
【0144】
3名の患者における、0.6mgのタラボスタットメシラート、加えてペムブロリズマブへの用量増加の後、
- この用量レベルで、DLTが存在しない、または1/3の患者がDLTを有する場合、有効性ステージを開始することができる。
- サイクル1において、1/3以上の患者がDLTを有する場合、スポンサーと研究員との議論の後で、6~9名の患者を、0.4mgのタラボスタットメシラート用量レベルで加えた。
- 1/3以下の患者がDLTを有する場合、0.6mgのタラボスタットメシラート用量、加えてペムブロリズマブにおいて、有効性ステージを開始することができる。
- 1/3を超える患者がDLTを経験する場合、有効性ステージにおいて、0.4mgのタラボスタットメシラート、加えてペムブロリズマブの使用を考慮する。
【0145】
【0146】
リードインステージにおいて、中止の基準を満たさない患者は、元々割り当てられた用量での治療の継続が許可される。
【0147】
各コホートに登録された全ての患者からの、全安全性データを確認して、経験されたあらゆるDLTを確認し、次のコホートへの登録、及び、有効性ステージで使用されるタラボスタットメシラート用量を決定する。AEによって用量が維持されない限り、患者は、DLT評価に適格である、サイクル1の1日目に投与される、サイクル1におけるタラボスタットメシラート用量の70%超(即ち、計画される14回投与のうちの10回以上)、加えてペムブロリズマブを受けなければならない。
【0148】
毒性は、有害事象共通用語規準(NCI CTCAE)(バージョン5)を用いて、研究員により評価される。AEと併用療法との関係(即ち、タラボスタットメシラート及び/またはペムブロリズマブへの寄与)は、手順における基準を用いて、研究員により評価されなければならない。
【0149】
AEが無関係な原因(例えば、疾患の進行)に明らかに、そして議論の余地なく寄与している可能性がない限り、研究員の、研究治療への寄与に関係なく、DLTは、サイクル1の間に生じる、以下のAEのいずれかとして定義される:
- 期間に関係なく、あらゆるグレード4の、実験室での異常性
- あらゆる、グレード3の非血液学的AE(ただし、最適な医療管理により、72時間以内にグレード2以下に回復する、グレード3の悪心、嘔吐、下痢、便秘、発熱、疲労、皮膚の発疹、または非臨床的な著しい実験室での異常性を除く。)
- グレード1より大きい、採血または血小板輸液の必要条件を伴う、グレード3の血小板減少症。
- グレード3の熱性好中球減少症。
- グレード3の発熱。
- グレード3の皮膚発疹。
- Hy’s lawの基準(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ[AST]またはアラニンアミノトランスフェラーゼ[ALT]>3×付随する全ビリルビンの通常の上限[ULN]>2×ULN)を満たす、実験室の異常性。
- グレード3のトランスアミナーゼ(AST/ALT)の上昇。
- サイクル1の間の、タラボスタットメシラートの、30%以上の保持/スキップ用量をもたらす、あらゆる毒性。
- 毒性による、14日以上のサイクル2の遅延。
- 用量制限的であると、研究員及びスポンサーの医学代理人によりみなされる、任意の他の著しい毒性。
【0150】
有効性ステージ:
安全性の評価、及び、後のステージで使用する、タラボスタットメシラート/ペムブロリズマブ用量スケジュール(即ち、0.6mgまたは0.4mgのいずれかの合計の日用量の、タラボスタットメシラート)の確認の後、有効性ステージを開始する。適合したSCNC患者は、21日サイクルの1~14日目に、タラボスタットメシラート(QD)、加えて、各21日の1日目に、IV投与されるペムブロリズマブ200mgを受ける。
【0151】
研究デザインの特徴(両方のステージ):
リードインステージにおいて、書面にしたインフォームドコンセントを提供した後、最初の研究での薬剤投与の前28日以内に、研究のために患者をスクリーニングした。スクリーニング評価に基づき、適合であると測定された患者は、サイクル1の1日目(ベースライン、タラボスタットメシラートの最初の投与前)に、研究に登録された。同様に、有効性ステージにおいて、患者は上記プロセスのとおりにスクリーニングする。
【0152】
研究訪問は全て、外来患者基準で実施されるが、研究員の判断により、入院患者基準で実施することができる。研究訪問は全て、外来患者基準で実施されるが、研究員の判断により、入院患者基準で実施することができる。
【0153】
患者は全員、前治療(研究治療投与の前)イメージング(胸部/腹部/骨盤のコンピューター断層撮影[CT]スキャン、またはベースラインの腫瘍測定のための核磁気共鳴画像法[MRI]、及び骨シンチグラフィ[BS])を受けなければならない。皮膚、皮下、またはリンパ節転移を有する患者は、身体検査により、腫瘍評価(定規による測定を含む。)もまた有することができる。中枢神経系(CNS)の悪性浸潤またはCNS症状の病歴を有する患者は、脳のCTまたはMRIイメージングのいずれかを実施して、活性のCNS悪性腫瘍を評価しなければならない。
【0154】
腫瘍測定及び疾患応答評価(CTまたはMRI;BS) もまた、サイクル3の終了時(およそ、最初の研究治療投与の9週間後)に、次いで、その約9週後毎に、進行性疾患(PD)が進行するまで、実施しなければならない。27週目にて疾患制御(安定した疾患またはそれ以上)の証拠がある患者については、腫瘍評価及び疾患応答評価は、その後頻度を落として(およそ、12週に1回)実施することができる。腫瘍測定、及び疾患応答評価もまた、治療終了(EOT)訪問にて実施することができる。
【0155】
さらに、血清PSAの測定を、各治療サイクルの1日目に実施する。
図2を参照のこと。
【0156】
VeridexアッセイによるCTCの計算を、サイクル1の1日目、サイクル2の1日目、サイクル4の1日目、及び、その後、EOT訪問まで3サイクル毎に実施する。
【0157】
タラボスタットメシラートの集団薬学動態を、散性薬物動態サンプリングを使用して評価する。
【0158】
RECIST 1.1によるX線写真の進行の進展/前立腺癌作業グループ3(PCWG3)基準、明確な臨床進行、許容されない毒性、別の中止基準が満たされるまで、または、研究の終了時まで、患者は、治療を受け続けることができ、治療の最大期間は設定されていない。X線写真または臨床進行の不存在下において、PSA進行を有する患者は、プロトコル治療法を受け続けなければならない。
【0159】
研究対象集団
プロトコルの適格性基準を満たした、SCNCを有する約6~12名の患者は、リードインステージの間に登録された。プロトコルの適格性基準を満たす約15~28名の患者は、有効性ステージの間に登録される。
【0160】
適格性基準
患者は全員、治験への登録に適格である、以下の試験対象患者基準及び除外基準を満たさなければならない。アーカイブ組織分析における、SCNCの組織学的証拠を伴う患者に関しては、新鮮な生検の病状確認を行うことなく、登録を進めることができる。
【0161】
試験対象患者基準
1.患者は、PCWG3基準により定義される、進行性・転移性の去勢耐性疾患の証拠を有する。
a.新規に小さな細胞前立腺癌を有する患者は、アンドロゲン欠乏治療法(ADT)を受ける必要はない。
2.少なくとも1回の、以前の一連の局所進行性、または転移性前立腺癌に対する全身療法の間、またはその完了後の進行。
3.有効性ステージのみ:
a.患者は、アーカイブ組織分析の中心病状確認において、SCNCの組織学的証拠を有する。評価可能なアーカイブ転移性腫瘍組織を有しない患者は、スクリーニングの間に新鮮な腫瘍生検を受け得る。
b.スクリーニングの間に転移性腫瘍生検を受ける意志がなければならない。安全に接近できる損傷を有しない患者において、または、評価可能なアーカイブ転移性腫瘍組織を有する患者に対して、必要条件は撤回され得る。
c.患者は、少なくとも1回前の一連の細胞毒性化学療法を、以前に受けている。化学療法を拒絶したか、または、化学療法が適していないのと考えられるかのいずれかの患者は、スポンサーと議論をした後に適格となる場合がある。
4.新規の小さな細胞前立腺癌を有する患者に対するものを除き、スクリーニングの間に、患者は<50ng/dLの血清テストステロンを有する。
a.両側の睾丸摘除術の履歴を有しない、治療により発現したSCNCを有する患者は、新規の小さな細胞前立腺癌を有する患者にたいするものを除いて、プロトコル治療法の過程の間に、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)類似体で保持される必要がある。
5.患者が、0~2の、米国東海岸がん臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータスを有する。
6.患者の年齢は18歳以上である。
7.以前の抗がん治療法での、患者の急性毒性作用は、グレード2~3の末梢神経炎、またはあらゆるグレードの脱毛症を除いて、グレード1以下まで回復した。
8.患者が、以下に示すとおりに、十分なベースラインの器官機能を有する:
a.≦1.5倍の制度上ULNの血清クレアチニン、>50mL/分の計算クレアチニンクリアランス;
b.≧2.5g/dLの血清アルブミン;
c.≦1.5×ULNの全ビリルビン;
d.≦2.5×制度上ULNのAST及びALT(肝臓転移を有する患者は、≦5×ULNのAST/ALTを有しなければならない);
9.患者が、以下に示すとおりに、十分なベースラインの血液学的機能を有する:
a.≧1.5×109/Lの、絶対好中球数(ANC)。
b.以前の14日間における、≧8g/dLのヘモグロビン、及びゼロの赤血球輸液。
c.以前の14日間における、≧100×109/Lの血小板計数、及びゼロの血小板輸液。
10.患者は、研究の期間中、許容される避妊法を用いること、及び最後の治療投与後6ヶ月間、許容される避妊法を使用し続けることに同意する。
11.患者が、あらゆる研究に特有の手順または治療を開始する前に、インフォームドコンセントに署名した。
12.患者が、OS用の追跡を含む、研究訪問スケジュール、及び他のプロトコルの必要条件に固執することができる。
【0162】
除外基準
1.患者が、CRPCのために、2回を超える細胞毒性化学療法レジメンで治療を受けた。ホルモン感受性設定での化学療法は、最後の用量が、研究に入る6ヶ月より前の場合は、本調査で考慮しない。
2.研究治療の前に、患者が、14日以内、または5回の半減期以内のどちらか短いほうにおいて、外部ビーム照射、または別の全身性抗がん治療法を受けた。
3.研究での薬物投与の前14日以内に、患者が、治験中の全身性抗がん剤での治療を受けた。
4.治療前に、患者が、抗PD-1、抗PD-L1、抗プログラム細胞死リガンド2(PD-L2)剤、または、別の同時阻害性T細胞受容体に向けられる剤(例えば、細胞毒性T-リンパ球関連抗原4[CTLA-4]、OX-40、CD137、シプリューセル-T)を受けた。
5.患者が、研究のエンドポイントの評価を混同させ得る、さらなる活性悪性腫瘍を有する。患者が、潜在的な再発の可能性を有する過去のがん病歴(研究に入る前2年以内での活性悪性腫瘍)を有する場合、その事項は、研究に入る前にスポンサーと議論されなければならない。以下の付随性腫瘍診断:非黒色腫皮膚癌、ならびにin situのがん腫(in situの移行上皮癌、肛門癌、及び黒色腫を含む)を有する患者が適合する。
6.患者が、臨床的に重篤な心臓血管疾患(例えば、非制御性またはNYHA(New York Heart Association)クラス3または4のうっ血性心不全、非制御性狭心症、心筋梗塞の病歴、研究に入る前6ヶ月以内の不安定狭心症または脳卒中、投薬により制御されない非制御性高血圧または臨床的に深刻な不整脈)を有する。
7.スクリーニングにおける、バゼットの式(QTcB)>440 msecを用いる、心拍数に対して補正したQT間隔
8.患者が、研究員の意見では、当該患者が研究中に有意なリスクで肺合併症に至る、非制御性の、臨床的に深刻な肺疾患(例えば、慢性閉塞性肺疾患、肺高血圧症)を有する。
9.患者が、イメージングにおいて、症候性及び進行性である脳または軟髄膜転移を有する。CNS転移の病歴を有する患者は、適切な治療を受けていなければならない。CNSの併発の病歴、またはCNSの併発の臨床的疑いがない限り、CNSイメージングは、研究に入る前に必要とはされない。CNS転移の病歴が以前にある患者のイメージングを、以前のイメージングと比較して、疾患の進行を識別しなければならない。
10.患者が、過去2年間で(即ち、疾患改変剤、コルチコステロイド、または免疫抑制剤を使用する)全身治療を必要とした、活性自己免疫疾患、またはグレード3以上の肺炎を有する。(例えば、グレーヴス病における)甲状腺の機能亢進により、甲状腺ホルモンの生成を低下させるように機能する補充療法(例えば、副腎もしくは下垂体の機能不全に対する、チロキシン、インスリン、もしくは生理的副腎皮質ホルモン補充療法)、または薬剤(例えば、ネオメルカゾール、カルビマゾールなど)による治療は、自己免疫疾患の全身治療の一形態とは考えられない。
11.患者が、免疫不全の診断を有するか、または、少なくとも1週間、10mg/日を超えるプレドニゾン等量用量にて、もしくは、C1D1の前7日以内に、他の形態の免疫抑制療法にて、全身性ステロイド療法を受けている。
12.患者が、非制御性感染症、播種性血管内凝固、または、研究の必要条件によりコンプライアンスを制限する、精神疾患/社会的状況を含むがこれらに限定されない、非制御性の併発性疾患を有する。
13.患者が、ヒト免疫不全ウイルス活性、または慢性肝炎B、またはC型肝炎に対して、既知の陽性状態を有する。スクリーニングは必要とされない。
14.患者が、研究員の意見では、当該患者を毒性の許容されない高リスクに曝すあらゆる医学的状態を有する。
【0163】
研究の方法論
SCNCを有する約6~12名の患者を、研究のリードインステージにて登録した。
【0164】
SCNCを有する約15~28名の患者を、研究の有効性ステージにて登録した。最初のステージにおいて、15名の患者が増加する。これら15名の患者において、2名以下の合併応答が存在する場合、研究群への増加を中止する。そうでなければ、さらに13名の患者が増加して、合計28名の患者になる。合併応答は、以下のうちの1または2以上として定義される:
- RECIST1.1基準による客観的応答
- 12週間のプロトコル療法の完了による、Veridexアッセイ当たりでの、>5/7.5mL~<5/7.5mLのCTC転換
- 12週間のプロトコル療法の完了による、ベースラインからの、50%を超えるPSAの減少
【0165】
評価の、表での研究スケジュールは付記Aに見いだされる。訪問による詳細の研究手順の記載は、付記Bに見いだされる。
【0166】
スクリーニング期間の間、同意書に署名した患者は、彼らが試験対象患者基準及び除外基準を隔日に満たすことを評価される。患者の人口統計、パフォーマンス状態、及び疾患の病期分類を収集する。生命徴候(座位及び立位での血圧の両方、心拍数、体温、ならびに呼吸速度)、身体検査、心電図(ECG)、ならびに、臨床実験評価(完全な血球数と特異的な血清化学、肝機能試験、及び分析)を、スクリーニング及びベースラインで実施し、治療期間を通して監視する。研究に入る基準を満たす患者は、4週間のスクリーニング訪問の中で、研究治療を開始する。研究員の自由裁量で、スクリーニングにおける、範囲外の臨床実験評価値を有する患者は、研究員が、再試験値が範囲内となるであろうと考えるのであれば、スクリーニング期間の中で再試験され、研究に含められる。
【0167】
患者は、胸部/腹部/骨盤の断面イメージング(可能なときの、IV対比によるMRIまたはCTスキャニング)、加えて、全身の骨スキャンを含まなければならない腫瘍評価を受ける。臨床的に示されるとおり、含まれるべき他の体部(例えば首)。スクリーニング、C4D1(±7日)、C7D1(±7日)、C10D1(±7日)、及び、その後の各3回目のサイクル1日目(±7日)において、腫瘍評価が行われる。
【0168】
ベースラインでの指標損傷サイズを測定するために使用する、同一のイメージング法を使用して、研究を通して損傷サイズをフォローしなければならない。付記A及び付記Bに示すように、治療フェーズを通して評価を実施する。
【0169】
AE、臨床実験室、PSA、及び付随する投薬を、全研究期間を通して監視し、記録する。
【0170】
X線写真の進行もしくは臨床進行、許容されない毒性、別の中止基準がみたされるまで、または、スポンサーによる研究の終結まで、患者は、研究治療を受け続けることができ、治療の最大期間は設定されていない。
【0171】
研究治療の中止後、患者は、研究薬剤の最終投与後、21日以内に、EOT訪問を完了する。薬剤に関連するAEがその時点で解決しない場合、安全性追跡は、研究薬剤の最終投与後30日間(±7日)、及び、さらなる後続の時間実施される予定である。患者はまた、研究療法の中止が、PD以外の理由であった(プロトコルに明記した腫瘍測定が、EOT訪問後に必要とされない)設定において、また、生残状態の評価のために、疾患進行の臨床的証拠のために、およそ90日毎に、電話によって連絡が取られる。この、疾患状態、及び、研究治療の中止後の生残に対する追跡の延長は、研究治療の開始後、最大12ヶ月間連続する。
【0172】
併用薬
許可される投薬/治療法:
研究開始の3ヶ月以内に服用され、研究を通して使用される投薬全ては、患者の電子的症例報告フォーム(eCRF)の適切なセクションに記録されなければならない。
【0173】
以前に両側睾丸摘除術を受けていない患者は、LHRHに類似の治療を継続して、(新規に小さな細胞前立腺癌を有する患者を除いて)研究治療の過程において、去勢レベルのテストステロンを維持しなければならない。
【0174】
骨改変座位(例えば、ゾレドロン酸、デノスマブ)の使用は、臨床的に示されるとおりに許可される。
【0175】
増殖因子(例えば、顆粒球コロニー刺激因子[G-CSF])の使用は、グレード3以上の血球減少の治療に対して臨床的に示されるとおりに許可される。
【0176】
プロトコルに概略を示すもの以外の、任意の他の全身性抗がん療法の使用は、研究治療の過程においては禁止されている。
【0177】
潜在的に免疫性の病因を有するAEの管理のために示唆される、支持のためのケア手段を、以下に概略で示す。適切な場合、これらのガイドラインは、コルチコステロイドの投与により症状が改善しない場合、コルチコステロイドによる経口またはIV治療、及び、さらなる抗炎症剤の使用を含む。ステロイドのテーパリングのいくつかの過程は、ステロイド用量が減少するときに症状が悪化し得る場合に、必要となり得ることに留意されたい。各AEに対して、転移性疾患または細菌性もしくはウイルス性感染症などの他の症例を除外するための試みがなされなければならず、さらなる支持のためのケアが必要となり得る。事象がペムブロリズマブに関連しているはずである、と研究員が判定するときに、治療ガイドラインを適用することが意図される。
【0178】
事象の評価の一部として、気管支鏡検査、内視鏡検査、または皮膚写真検査などの条件的手順を実施するのが必要となり得る。
【0179】
- 肺臓炎:
○ グレード2の事象に対しては、全身性コルチコステロイドで治療する(例えば、経口プレドニゾン1mg/kgまたは等量)。症状がグレード1以下まで改善するとき、ステロイドテーパーを開始し、4週間以上継続しなければならない。
○ グレード3~4の事象に対しては、IVステロイドで直ちに治療する(例えば、6~8時間毎にソルメドゥロール1~2mg/kg)。必要に応じて、さらなる抗炎症手段を投与する。症状がグレード1以下まで改善するとき、ステロイドテーパーを開始し、4週間以上継続しなければならない。
○ ステロイド投与を延長する場合、日和見感染症のための予防性抗生物質を添加する。
- 下痢/大腸炎:
患者は、全腸炎(例えば、発熱を伴う、または伴わない下痢、腹部疼痛、大便中の血液または粘液)の、及び、腸穿孔(例えば腹膜徴候及び腸閉塞)の徴候及び症状を注意深く監視しなければならない。
○ 下痢/大腸炎を経験する患者は全員、自由な量の透明流体を摂取することを勧められなければならない。十分な経口流体摂取が実現できない場合、流体及び電解質を、IV注入により投与しなければならない。グレード2以上の下痢に関しては、消化器病の診断及び内視鏡検査を考慮して、大腸炎を確認する、または除外する。
○ グレード2の下痢/大腸炎に関しては、経口コルチコステロイドを投与する(例えば、経口プレドニゾン1mg/kgまたは等量)。症状がグレード1以下まで改善するとき、ステロイドテーパーを開始し、4週間以上継続しなければならない。
○ グレード3または4の下痢/大腸炎に関しては、IVステロイド(例えば、6~8時間毎にソルメドゥロール1~2mg/kg)、続いて高用量の経口ステロイドで治療する。症状がグレード1以下まで改善するとき、ステロイドテーパーを開始し、4週間以上継続しなければならない。
- 1型糖尿病(T1DM)(糖尿病性ケトアシドーシス[DKA]を含む新規の開始、または、ケトーシス(ケトン尿)もしくは代謝性アシドーシス(DKA)と関連する場合、グレード3以上の高血糖)
○ T1DMまたはグレード3~4の高血糖に関して
■T1DMに対して、及び、代謝性アシドーシスまたはケトン尿と関連するグレード3~4の高血糖に対しては、インスリン補充療法が推奨される。
■血清グルコース及び代謝パネル、尿ケトン、グリコシル化ヘモグロビン、ならびにCペプチドを有する患者を評価する。
- 下垂体炎:
○ グレード2の事象に関しては、コルチコステロイドで治療する(例えば、経口プレドニゾン1mg/kg/日)。症状がグレード1以下まで改善するとき、ステロイドテーパーを開始し、4週間以上継続しなければならない。ステロイド用量が少なくなるにつれ、適切なホルモンの置換が必要となり得る。
○ グレード3~4の事象に対しては、24~48時間、初回用量のIVコルチコステロイド(例えば、6~8時間毎にソルメドゥロール1~2mg/kg)、続いて高用量の経口コルチコステロイドで治療する。症状がグレード1以下まで改善するとき、ステロイドテーパーを開始し、4週間以上継続しなければならない。ステロイド用量が少なくなるにつれ、適切なホルモンの置換が必要となり得る。
・甲状腺機能亢進症または甲状腺機能低下症:
甲状腺機能異常は、治療中いつでも生じる可能性がある。(治療開始時、治療中周期的に、及び、臨床評価に基づき示されるとおりに)甲状腺機能の変化について、ならびに、甲状腺機能異常の臨床的徴候及び症状について、患者を監視する。
○ グレード2の甲状腺機能亢進症事象、及びグレード2~4の甲状腺機能低下症:
・甲状腺機能亢進症において、非選択性ベータブロッカー(例えばプロプラノロール)が、初期療法として提案される。
・甲状腺機能低下症において、レボチロキシンまたはリオサイロニンによる甲状腺ホルモン補充療法が、標準的ケアによって示される。
○ グレード3~4の甲状腺機能亢進症
・ 初回用量のIVコルチコステロイド、続いて経口コルチコステロイドによる治療。症状がグレード1以下まで改善するとき、ステロイドテーパーを開始し、4週間以上継続しなければならない。ステロイド用量が少なくなるにつれ、適切なホルモンの置換が必要となり得る。
- 肝:
○ グレード2の事象に関して、ベースライン値に戻るまで、肝機能試験をより頻繁に監視する(毎週考慮する)。
・ IVまたは経口コルチコステロイドによる治療(例えば、プレドニゾン1mg/kg/日または等量)。
○ グレード3~4の事象に対しては、24~48時間(例えば、6~8時間毎にソルメドゥロール1~2mg/kg)、IVコルチコステロイドにより治療し、その後、経口の高用量ステロイド(例えば、プレドニゾン1mg/kg/日または等量)に移る。
○ 症状がグレード1以下まで改善するとき、ステロイドテーパーを開始し、4週間以上継続しなければならない。
- 腎不全または腎炎:
○ グレード2の事象に関しては、経口コルチコステロイドで治療する(例えば、プレドニゾン1mg/kg/日)。
○ グレード3~4の事象に対しては、24~48時間IVコルチコステロイド(例えば、6~8時間毎にソルメドゥロール1~2mg/kg)により治療し、その後、経口の高用量ステロイド(例えば、プレドニゾン1mg/kg/日または等量)に移る。
○ 症状がグレード1以下まで改善するとき、ステロイドテーパーを開始し、4週間以上継続しなければならない。
- 注入反応の管理:徴候及び症状は通常、薬剤注入の間、または直後に進行し、一般に、注入完了の24時間以内に完全に回復する。
【0180】
表4は、ペムブロリズマブの投与に関連する注入反応を経験する患者に対する、治療ガイドラインを示す。
【表4-1】
【表4-2】
【0181】
禁止される投薬/治療法
登録される患者は、細胞毒性化学療法剤、抗がんチロシンキナーゼ阻害剤、または治療用モノクローナル抗体を含む、治験中の、または認可された抗がん剤を受けることができない。
【0182】
姑息照射は、既存の非進行性転移/症状に対して実施され、かつ、狭い照射部(例えば孤立性の骨損傷)に関係する場合を除き、研究登録中には許可されない。
【0183】
前臨床試験は、タラボスタットメシラートに対して、以下の主なヒト肝臓CYPアイソエンザイム、同位酵素:CYP1A2、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、及びCYP3A4を阻害する可能性が低いことが示された。さらに、関連するタラボスタットメシラートの濃度には、CYP3A4またはCYP1A2が含まれなかった。したがって、CYPアイソエンザイムに基づく、禁止された投薬は存在しない。
【0184】
有効性評価
一次有効性パラメータ
- 一次有効性パラメータは、以下のうちの1または2以上を達成するものと定義される、複合奏効率である:
○ RECIST1.1基準による客観的応答
○ 12週間のプロトコル療法の完了による、Veridexアッセイ当たりでの、>5/7.5mL~<5/7.5mLの循環腫瘍細胞(CTC)転換
○ 12週間のプロトコル療法の完了による、ベースラインからの、50%を超える前立腺特異的抗原(PSA)の減少
二次有効性パラメータ:
- 組合せで治療したときの、X線写真無増悪生存期間(rPFS)の中央値
- 組合せで治療したときの、無増悪生存期間(PFS)の中央値
- 組合せで治療したときの、全体生残(OS)の中央値
- 組合せで治療したときの、奏効期間(DOR)の中央値
- 組合せの安全性プロファイルを特性決定する
- 薬物動態サンプリングを用いて、タラボスタットメシラートの集団薬学動態を評価する。
- ヒトにおいて、タラボスタットにより制御されたことが以前に示されている、サイトカインにおける関連効果を測定することにより、組合せの薬力学プロファイルを評価する。
【0185】
説明のための有効性分析:
- ペムブロリズマブと組み合わせたタラボスタットメシラートにより、iRECIST基準による奏効率を測定するため。
- 関連する免疫エフェクターサイトカイン、ならびに、血液中、及び、実行可能なあらゆる場合における、腫瘍組織における、好中球、MDSC、樹状細胞、CAF及びT細胞を含む様々な免疫エフェクター細胞における、ペムブロリズマブと組み合わせたタラボスタットメシラートの定量的及び定性的効果を評価するため。
- 転移性腫瘍組織、及び、後の臨床的アウトカムを伴うCTCにおける、ベースラインのPD-L1腫瘍発現の予測値を発見するため。
- ベースラインと治療時の循環腫瘍ネオ抗原、及び、T細胞レパートリーと(中央実験室にて評価される)臨床的アウトカムとの関係を発見するため。
-ベースラインの腫瘍mRNA免疫プロファイリングパネルと臨床的アウトカムとの関係を発見するため。
【0186】
安全性評価
重篤でない有害事象
研究員は、各訪問時にAEを評価しなければならない。観察された、もしくは自発的な問題、不満、または症状を含むあらゆるAEは、eCRFにて記録されなければならない。各AEは、期間、強度、及び、研究治療または他の因子との原因関係について評価されなければならない。
【0187】
治療期間中に生じる、かつ/または、タラボスタットメシラートの最後の投与から30日以内に生じるあらゆるAEは、研究の終了まで、または回復するまで追跡される。AEは、改訂されたNCI CTCAE、第5.0版に従い格付けされる(http://ctep.cancer.gov/reporting/ctc.htmlを参照のこと)。タラボスタットメシラートの最終投与の後30日間で生じるAEは、研究員が、タラボスタットメシラートに関連する事象であるとみなさない限り、報告される必要はない。
【0188】
研究員は、スポンサー、またはスポンサーの代理人に、臨床治験の積極的治療中、及び、タラボスタットメシラートの最終投与後30日間に経験される、あらゆるAEを報告する必要がある。重篤であるか重篤でないかにかかわらず、研究投薬の永続的中止をもたらすあらゆるAEは、スポンサーに報告されなければならない。
【0189】
臨床実験データは本研究にて収集されなければならず、毒性の傾向は、客観的毒性基準を利用して分析される。
【0190】
関連する、及び、関連する可能性のある原因基準は、制御性報告必要条件のために、研究薬剤(複数可)に「関連している」とみなされる。
【0191】
重篤な有害事象の報告
治療期間の間、及び/または、研究投薬の最終投与後30日以内に生じるあらゆるSAEまたは死は、発生を最初に気づいたときから24時間以内に、スポンサー、またはスポンサーの代理人に報告しなければならない。何らかのSAEが発生した場合、医師研究員の自由裁量にて、研究治療を中断または中止しすべきである。
【0192】
有害事象の追跡
治療期間を通して、及び、タラボスタットメシラートの最終投与後最低30日以内は、患者は、AEについて監視される予定である。
【0193】
薬物動態評価
タラボスタットメシラートの濃度を分析するために、付記Aに記載する時点において、散性薬物動態サンプリングを実施する。サイクル1、2、及び3の14日目の最終投与の直前に、ならびに、(C4D1投与の直前に採取される最終サンプルと共に)C3D14投与の最大168時間後にも、サンプルは採取される。母集団の薬物動態アプローチを用いて、薬物動態データを分析する。
【0194】
薬力学評価
関連する免疫エフェクターサイトカイン、ならびに、好中球、MDSC、樹状細胞、CAF、及びT細胞を含む様々な免疫エフェクター細胞を分析するために、付記に記載する時点において、全血サンプルを収集する。
【0195】
疾患進行
前立腺癌の徴候及び症状の悪化は、疾患評価がなされているものとして、研究員によりみなされなければならない。PDは、本研究において有効性アウトカムとして評価されており、AEとして報告されるべきではない。しかし、タラボスタットメシラートの最終投与の30日以内に生じるPDによってのみ考えられる死は、「進行性疾患」として報告されるAE期間と共に、AEアウトカムと報告されなければならない。
【0196】
研究からの患者の排除
患者は、以下の理由のいずれかにより、本研究の中断を受ける場合がある:
- 研究員が、中止を推奨し、理由(複数可)を文書に示す
- プロトコルで許可されていない何らかの治療が必要である
- 何らかの理由による、患者の同意の撤回、または中止の決定
- 研究投薬に関連していると考えられる、許容されないAEが存在する
- スポンサーの要請
治療期間中に中断する患者は全員、戻って安全性及び疾患評価を完了する必要がある(付記A及び付記Bを参照のこと)。
【0197】
研究の完了
患者全員が、疾患の進行に従い;追跡を終了し、死亡し、または毒性により排除され;患者の要求に従い;研究員の自由裁量に従い;研究後治療手順を全て終了したときに、本研究は完了するとみなされる。
【0198】
研究投薬
研究投薬は、21日サイクルで投与した。
【0199】
タラボスタットメシラートの投与量及び投与
タラボスタットメシラート錠剤は、メタンスルホネート塩として製剤化された、バリン-プロリンボロン酸を含有する。現在の投与量強度は、経口投与のための0.05mg、及び0.2mg錠剤を含む。
【0200】
タラボスタットメシラートの開始用量レジメン(即ち、コホート1における用量レジメン)は、各21日間の1~14日目における、0.4mg(QD)であった。任意の患者に対する、タラボスタットメシラート用量レジメンは、患者がリードインステージに登録されたコホートに左右される。さらなる投与スケジュール(例えば、0.6mg QD)もまた、リードインステージの間に評価した。
【0201】
タラボスタットメシラートは、0.2mg錠剤として経口投与した。患者は毎日、2または3個の錠剤を摂取し、各サイクルの1~14日目に、0.4または0.6mgの合計の日用量で、1日1回(2もしくは3個の錠剤、1日2回(午前と午後に摂取される、1+1もしくは1+2個の錠剤)、または1日3回(1日の間の異なる時点において与えられる、1+1+1個の錠剤)投与される。タラボスタットメシラートは、疾患が進行するまで、または許容されない毒性が生じるまで継続される。
【0202】
薬力学研究が実施されている日においては、タラボスタットメシラートは研究の中心にて投与されなければならず、サイクル中の各治療日において、1日の中の(およそ)同じ時間に投与されなければならない。薬力学が評価されないサイクルにおいては、タラボスタットメシラートはまた、サイクル中の各治療日において、1日の中の(およそ)同じ時間に、好ましくは8時に投与されなければならない。
【0203】
毒性に対して続発性であるタラボスタットメシラートの用量調節
治療サイクル中でのタラボスタットメシラートの用量変更は、DLTの不存在下においては、サイクル1において許可されない。サイクル2以降においては、治療サイクル中の用量変更は、研究員の自由裁量にて行われる。AEが原因で維持される用量は、サイクル中の後の日、またはサイクル後に補われてはならない。AE以外の理由で忘れられた用量(即ち、患者が用量の摂取を失念した)は、スケジュールが立てられた用量の後の日に投与されてよい。かかる任意の調節は、メディカルモニターまたは被指名人と共に議論されなければならない。いかなる状況においても、患者が既に、計画された用量を摂取している日に、忘れられた用量を補ってはならない(即ち、忘れられた用量を考慮するための「倍増」をしてはならない)。
【0204】
治療期間の間に、タラボスタットメシラートに関連すると考えられるSAEが生じた場合、SAEが回復するまで、タラボスタットメシラートの投与は、当該患者において中断されなければならない。研究員が、タラボスタットメシラートを患者に継続することを望む場合、スポンサーには、同じ用量、または減少した用量において、タラボスタットメシラートを継続すること議論するように連絡しなければならない。
【0205】
タラボスタットメシラートに特徴的であると思われる、最も頻繁に観察されるAEは、浮腫/末梢性腫脹、低血圧、めまい、及び血液量減少である。浮腫を含むこれらの事象は、管理可能かつ可逆的である傾向にあり、通常は、薬剤を維持した後に回復する。タラボスタットメシラートは、これらのAEが回復するまで、グレード2以上のかかる事象の発症のために維持されなければならない。タラボスタットメシラートは、浮腫を含むこれらのAEの回復後、完全用量で再開することができる。タラボスタットメシラートに関連するとみなされる、他のグレード2以上のAEに対して、または、薬剤維持に応答していない浮腫に対して、タラボスタットメシラートの用量は、研究員の自由裁量において、0.2mgの減少率で低下させることができる。
【0206】
タラボスタットメシラートの中止は、命を脅かすあらゆるAEに対して、または、0.2mgまでの用量低下に応答しない、グレード2以上の治療関連AEに対して生じなければならない。タラボスタットメシラートがAEによって中止される場合、治療手順及び評価の全ての停止を行わなければならない。
【0207】
タラボスタットメシラートの研究投与による、患者の服薬指導の監視
タラボスタットメシラートの投与容器は全て、各訪問時にクリニックに戻されなければならない。患者は、投与レジメンの遵守について質問されなければならず、投薬容器は各訪問時に確認され、タラボスタットメシラートの投与が失念されていないか否か、そして、失念された投与が記録されているか否かを判定しなければならない。患者は、プロトコル当たりでの有効性分析に含められるために、サイクル1及び2において、タラボスタットメシラートの摂取を少なくとも75%遵守しなければならない。
【0208】
タラボスタットメシラートの記載及び保管
タラボスタットメシラートは、乾燥剤及びチャイルドレジスタンスキャップを備えた高密度ポリエチレンボトルに、0.05mg及び0.2mg錠剤として供給された。30個の錠剤を各ボトルに入れた。タラボスタットメシラートの供給は、臨床治験物質に対して適切に標識した。タラボスタットメシラートは、2℃~8℃(33°F~46°F)の冷蔵条件下で保管されなければならない。
【0209】
ペムブロリズマブの用量変更
ペムブロリズマブの用量変更は、本明細書において議論されているように、ペムブロリズマブに関連しているとみなされるAEに対する、現在の添付文書に従わなければならない。
【0210】
ペムブロリズマブは、以下のいずれかにおいては控えられなければならない:
- グレード2の肺炎(米国添付文書-警告及び警戒セクション5.1を参照のこと)
- グレード2または3の大腸炎(警告及び警戒[5.2]を参照のこと)
- グレード3または4の内分泌病(警告及び警戒[5.4]を参照のこと)
- グレード2の腎炎(警告及び警戒[5.5]を参照のこと)
- グレード3の重篤な皮膚反応、または疑いのあるスティーヴンス・ジョンソン症候群(SJS)もしくは中毒性表皮壊死症(TN)(警告及び警戒[5.6]を参照のこと)
- ASTまたはALT>3~5×ULNまたは全ビリルビン>1.5~3×ULN
- 重症度及び反応の種類に基づく、任意の他のグレード2または3の治療関連有害反応(警告及び警戒[5.7]を参照のこと)。
【0211】
有害反応がグレード0または1まで回復する患者において、臨床研究員は、ペムブロリズマブを再開するように勧告する。
【0212】
因果関係が明確でないAEに対しては、医学的監視を伴う用量変更の議論が推奨される。
【0213】
ペムブロリズマブの中止
ペムブロリズマブの、中止を含む用量変更は、現在の添付文書に従わなければならない。
【0214】
以下のいずれかに対しては、ペムブロリズマブを永続的に中止する:
- 命を脅かすあらゆる有害反応(ホルモン補充療法により制御される内分泌病を除く。)
- グレード3もしくは4の肺炎、または、グレード2の重症度を有する再発性肺炎(警告及び警戒[5.1]を参照のこと)
- グレード3または4の腎炎(警告及び警戒[5.5]を参照のこと)
- グレード4の重篤な皮膚反応、または確認されたSJSもしくはTEN(警告及び警戒[5.6]を参照のこと)
- ASTまたはALT>5×ULNまたは全ビリルビン>3×ULN
- ASTまたはALTが、ベースラインに対して50%以上増加し、少なくとも1週間続く場合、グレード2のASTまたはALTの治療を開始する、肝臓転移を有する患者に対して
- グレード3または4の心筋炎、脳炎、またはギラン・バレー症候群(警告及び警戒[5.7]を参照のこと)
- グレード3または4の注入関連反応(警告及び警戒[5.8]を参照のこと)
- 12週間以内に、1日当たり、10mg以下のプレドニゾンまたは等量まで、副腎皮質ホルモンの投与量を低下できない
- ペムブロリズマブの最終投与後、12週間以内にグレード0または1まで回復しない、持続性のグレード2または3の有害反応(ホルモン補充療法で制御される分泌病を除く。)
【0215】
データ分析及び統計的考察
臨床データベースに記録されるデータ、ならびに、Novella Clinicalに移された実験室データ、薬力学データ、及び他のデータの分析に対応するために、統計分析計画(SAP)が記載される。研究の有効性ステージで使用するためのタラボスタットメシラート用量を決定するための、安全性リードインデータの分析では最初に、データ管理のリスティングを用いる。これらのリードインデータは、研究の有効性ステージでのデータと組み合わされ、臨床研究報告に提示される。
【0216】
ベースラインの特徴を含む連続変数は、観測結果の数、平均値、標準偏差、中央値、最小及び最大値を報告することで要約される。
【0217】
カテゴリー内の患者の数及び割合を示す度数分布表を使用して、カテゴリー/個別変数を要約する。時間-事象データを、カプランマイヤー法を用いて要約する。
【0218】
別段の定めがない限り、要約統計は、観察されたデータのみに対して報告される。欠落データは帰属されない。ベースライン値が欠落している場合、ベースラインからの変化は計算されない。ベースラインは、C1D1における研究薬剤の最初の投与前の、利用可能な最後の観察として定義される。
【0219】
エンドポイントの報告に用いるための方法に加えて、SAPにおいて、欠落データの取扱いが明記される。
【0220】
SAS(バージョン9.4以上)を用いるNovella Clinicalにより、統計分析を実施する。SAPからのあらゆる偏差は、臨床研究報告において報告される。
【0221】
分析集団
治療企図(ITT)分析集団は、適格性基準を満たす患者からなる。
【0222】
応答評価が可能な患者集団は、タラボスタットメシラートとペムブロリズマブを組み合わせた、少なくとも2サイクルの治療を完了した患者からなり、少なくとも1回のベースライン後応答評価が、研究員(複数可)によりなされる。
【0223】
安全性解析対象集団は、研究のリードインまたは有効性ステージの間のいずれかにおいて、任意用量のタラボスタットメシラート/ペムブロリズマブを受けた患者全員からなる。
【0224】
薬力学分析集団は、任意用量のタラボスタットメシラート/ペムブロリズマブを受けた患者全員からなり、少なくとも1回測定した、DPP活性またはサイトカイン濃度を有する。
【0225】
個体群統計及びベースライン特徴の分析
ITT分析集団に対して、個体群統計及びベースライン疾患特徴を要約し、一覧にする。ITT分析集団における患者数が、応答を測定可能な集団、または安全性分析集団における患者数と実質的に異なる場合、これらの分析集団に対する個体群統計及びベースライン特徴が提示される。
【0226】
有効性データの分析
一次及び二次有効性パラメータを、本明細書において定義する。客観的な奏効率は、測定可能な患者全員における、CRまたはPRを有する患者の数として定義される。RECIST 1.1基準により、応答は測定される。奏効期間は、客観的奏効の基準が満たされる最初の日と、客観的進行が文書で示される最初の日との間の日に測定される時間間隔として定義される。治療及び追跡期間中に疾患進行を経験せず、治療期間中に死亡しない患者には、研究最終日に、客観的腫瘍評価により疾患進行の欠如の立証を検査されるイベント時間がある。研究1日目などの、治療の初日における指示を考慮して、各計算には1日が加えられる。PRを達成し、その後CRを達成する患者は、PRの日付を用いて計算される時間を有する。X線写真PFSは、RECIST 1.1/PCWG3基準、または何らかの原因による死の、いずれか最初に発生するものにより、プロトコル治療法の開始日から、PDに対する測定基準が最初に満たされる日までの時間として定義される。腫瘍応答の評価を欠く患者は、1日目にイベント時間を検査される。治療の間、及び延長した疾患評価期間の間に疾患進行を経験せず、治療期間の間に死亡しない患者には、最終日に、客観的腫瘍評価により疾患進行の欠如の立証を検査されるイベント時間がある。患者のデータは、当該患者が、文書により示される疾患進行の不存在下において、新規のがん治療を受ける時点において検査される。研究1日目などの、治療の初日における指示を考慮して、各計算には1日が加えられる。無進行生存(PFS)は、PCWG3基準により、プロトコル治療法の開始日から、PSA進行に対する測定基準が最初に満たされる日までの時間として定義される。進行の最終基準を満たさない患者は、評価の最も遅い日に検査される。全体生残:生残時間は、死亡日と、研究治療の最初の日(+1日)との日数の差である。死亡しない患者は、当該患者が生存していると文書で示された、既知の接触最終日に、その生残時間が検査される。治療開始時を超えてデータを欠いている治療済み患者は、生残時間を1日目に検査される。
【0227】
一次有効性パラメータの分析
ステージ1の分析
15名の患者が、およそ6サイクルの治療を完了し、2回のベースライン後腫瘍評価、及びPSAまたはCTC測定を有するとき、以下のうちの1または2以上:1)RECIST 1.1基準による客観的応答、2)12週間の治療による、血清PSAにおけるベースラインからの50%以上の減少、または、3)12週間のプロトコル療法の完了による、Veridexアッセイ当たりでの、>5/7.5mL~<5/7.5mLのCTC転換を達成する複合奏効基準を満たす患者の数を評価する。
【0228】
15名のステージ1患者のうち、2名以下が、複合奏効基準の少なくとも1つを満たす場合、ミニマックス2段階サイモンデザインを用いて、登録を停止する。今日までのデータは、複合奏効率が15%以下であるという帰無仮説に一致することを、このことは示し、それ故、複合奏効率が35%であるという対立仮説は放棄される。15名の患者のうち、3名以上が、複合奏効基準の少なくとも1つを満たす場合、さらに13名の患者を登録し、治療してステージ2に進め、両方のステージに合計で28名の患者が存在する。
【0229】
ステージ2の分析
登録され治療された、ステージ2のさらなる13名の患者が、およそ6サイクルの治療、2回の腫瘍に関するベースライン後評価、ならびにPSA及びCTC測定を完了したとき、複合エンドポイントに対する、3つの基準のうちの少なくとも1つを満たす患者の数を評価する。両方のステージにおいて、28名の患者のうち、複合エンドポイントを満たす患者の総数が7名以下である場合、データは、公称の0.05の片側有意水準を有する、15%以下の複合エンドポイント率の帰無仮説に一致する。複合エンドポイントを満たす患者の数が8名以上である場合、データは、少なくとも35%の複合エンドポイント率に一致する。2つのステージにまたがる複合エンドポイント率、及びその厳密な95%信頼区間(CI)は、データが単一のステージにおいて収集されるかのように計算される。連続した統計試験を無視する本アプローチは、複合エンドポイント率の偏向点推定をもたらし得、CIは、述べられた包含確率をもたらし得ないが、一般的に、事象率が比較的小さいときに許容される。
【0230】
感度分析
複合エンドポイント率は、ITT分析集団に対しても計算される。複合エンドポイントが欠落しているITT集団内の患者は、非応答者(即ち、複合エンドポイントに対する3つの基準のうち1つが満たされていない)とみなされる。
【0231】
二次パラメータ(複数可)の分析:時間-事象応答
rPFS、PSA、PFS、DOR、及びOSを含む、時間-事象応答の分布を、カプランマイヤー方法論により推定する。入手可能な場合、これらの時間-事象有効性応答の中央値、及び、その両側95%CIを報告する。さらに、選択した時点において事象を有する患者の割合を、その両側95%CIと共に提示する。計算は、固定サンプル・単一ステージ設計に基づいて実施される。
【0232】
一次分析を、ITT分析集団を用いて実施する。補助として、時間-事象分析を、応答を評価可能な分析集団を用いて実施する。
【0233】
全体的な客観的奏効期間の分析を、確認されたPRまたはCRを達成するITT分析集団全てに対して実施する。それ故、カプランマイヤー法の使用を制限して、信頼のおける情報をもたらす。この場合、記述統計またはリスティングがもたらされる。
【0234】
研究投薬の中止後、患者はさらなる治療法で治療されてよい。患者がさらなる治療法で治療された後に収集されるデータは、客観的奏効の期間を評価するためには使用されない。
【0235】
二次エンドポイントの分析:DPP活性及びサイトカイン濃度
DPP活性及びサイトカイン濃度を含む、二次有効性エンドポイントの分析が、PD分析集団に対して報告される。DPP活性を示す患者の割合を報告し、ヒトにおいて、タラボスタットメシラートにより制御されることが以前に示されている、サイトカインの濃度に対する記述統計を報告する。
【0236】
診査エンドポイントの分析
診査エンドポイントを、応答を評価可能な分析集団を使用して分析する。
【0237】
iRECIST基準を満たす患者の割合が提示される。
【0238】
最小限度において、臨床効果(PR、CR)及びOSを経験する対象の割合が報告される。
【0239】
実行可能な場合はいつでも、関連する免疫エフェクターサイトカイン、ならびに、血液中、及び、腫瘍組織における、好中球、MDSC、樹状細胞、CAF及びT細胞を含む様々な免疫エフェクター細胞の存在/不存在による臨床的アウトカムのクロス集計が提示される。
【0240】
転移性腫瘍組織及びCTC中での、ベースラインとなるPD-L1腫瘍の発現は、後の臨床的アウトカムと共にクロス集計される。同様に、ベースライン、ならびに治療中の循環腫瘍ネオ抗原及びT細胞レパートリー、ならびに、ベースライン腫瘍mRNA免疫プロファイリングパネルは、応答及び安全性に関する臨床的アウトカムと共にクロス集計される。
【0241】
治療曝露の分析
サイクルの総数、用量、平均投与量、及び治療期間に対して、記述一覧統計が提供される。
【0242】
患者研究素因の分析
ITT分析集団に登録される患者数、安全な患者数、評価可能な奏効、及び薬力学集団が報告される。
【0243】
時間の経過と共に研究を中止する患者の数を、ITT集団に対して一覧にまとめる。
【0244】
検定力及びサンプルサイズの考慮
サンプルサイズは、有効性ステージに対してサイモンの2段階設計を反映するように計算される。サイモンの2段階設計において、初期数の患者が登録され、無益のために中止に関して評価される。すなわち、片側検定を使用する帰無仮説により、データの無矛盾性を試験する。データが帰無仮説と一致するということを分析が示す場合、研究は無益であるために中止する。別様において、研究は第2段階に進み、ここでは、データが、帰無仮説または対立仮説のいずれかを支持する場合、さらなる数の患者が登録される。サイモンの2段階設計は、ステージ1における無益性による中止のみを考慮に入れ、以前に明記した力及び1型のエラーを満たす、許容されるサンプルサイズは、両研究段階に対して考慮される。
【0245】
ステージ1の患者15名、及びステージ2の患者13名の、合計28名のサンプルサイズを、80%の力で、35%の複合エンドポイント、及び、15%の割合の帰無仮説を満たす患者の対立仮説割合を検出するために、タラボスタットメシラートとペムブロリズマブを組み合わせて治療し、0.05の有意水準(実際の値は0.0461)で、片側検定において、ステージ1において無益性のために初期中止をした。ステージ1で複合エンドポイントを満たす2名以下の患者は、初期中止を引き起こす。両ステージにおいて、28名の患者のうち、7名以下の患者が、複合エンドポイント率が少なくとも35%であるという対立仮説の放棄をもたらす。
【0246】
安全性分析
安全性解析対象集団の患者全員が、2つの用量コホート(0.4及び0.6mg)に分類されるリードイン患者とは別に、安全性データの最終一覧及びリスティングに含められる。AEの一覧及び他の安全性パラメータが適切にもたらされる。AEの分析における強調は、タラボスタットメシラート/ペムブロリズマブの最終投与後30日間で治療により発現するものになされる。
【0247】
少なくとも1つのAEを経験する患者の頻度は、体のシステム、及び、医薬規制用語集(MedDRA)の用語に従った好ましい用語により示される。各AEに対して収集される詳細情報としては、事象の説明、期間、AEが深刻であるか否か、事象の性質(単一の発症と複数の発症)、強度(即ち、NCI CTCAEグレード)、研究薬剤との関係、取られる行動、臨床的アウトカム、及び、AEが手術または代替手順をもたらすか否かが挙げられる。AEの強度(重症度)は、NCI CTCAEに従い等級付けされる。最新版のMedDRA及びNCI CTCAEを使用する。
【0248】
一覧表を準備して、AEを報告する患者の数、患者の報告の頻度、及び、対応する割合を示す。割合は、安全性解析対象集団の患者数を分母として使用して計算する。各表内で、AEは、MedDRAの体のシステム、及び好ましい用語によりカテゴライズされる。さらなるサブカテゴリーは、研究薬剤に対する事象の強度及び関係に基づく。AEデータは、全てのサイクルにまたがり、そして各サイクルに対して提示される。各サイクルについての分母は、当該サイクルに対して、ある用量のタラボスタットメシラートを受けたサイクルの開始時に利用可能な患者である。
【0249】
可能な程度まで、タラボスタットメシラートまたはペムブロリズマブのいずれかに対するAEの関係を同定する。
【0250】
個別の患者のリスティングを、全てのAEデータに対して準備する。
【0251】
ECG、生命徴候、及びECOGパフォーマンス状態は、これらのさらなる安全性データの連続またはカテゴリー測定に適用可能な記述統計を用いて、訪問/サイクルによりまとめられる。リードイン及び有効性ステージに対する一覧を提示する。
【0252】
患者の交代
患者番号を割り当てられ、少なくとも2サイクルのタラボスタットメシラートを受けない患者が交代される。
【0253】
結果:
ステージ1-リードインステージ-暫定データ
3名の患者を、少なくとも4サイクルで初回用量濃度にて治療した。患者は全員、積極的治療に残っている。DLTもSAEも、報告されなかった。グレード3の治療に関連する有害事象(TRAE)は、1名の患者における、輸血を必要とする血小板減少症に限定された。2名以上の患者で報告された唯一のTRAEは、低カルシウム血症(2名の患者)であった。タラボスタットメシラート+ペムブロリズマブの安全性評価は、最終用量増加コホートにて進行中である。
【0254】
結論:
タラボスタットメシラート(21日サイクルの1~14日目における、0.4mg(QD))とペムブロリズマブ(各21日の1日目における、200mg(IV))の組合せは、CRPCを有する患者において安全である。
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【0255】
本明細書におけるタラボスタットメシラート製剤は、現在の研究における2名の患者からの初期血漿濃度データに基づく、点治療(健常な自発性研究CA168-002)から以前に報告された結果に一致する。
【表9】
【0256】
概要:
CRPCを有する対象における、本研究のフェーズ1b安全性リードイン部分において:
・タラボスタットメシラート+ペムブロリズマブの安全性は、SAEまたはDLTなしの初期コホート、及び、低い割合の治療関連のグレード3以上の事象で示されている。
・タラボスタットメシラート+ペムブロリズマブの併用安全性評価は、最終用量増加コホートにおいて進行中である
・タラボスタットメシラートの予備薬物動態は、以前のデータに基づく予想の範囲内である
・対象は全員治療を継続している
【0257】
本研究のフェーズ2部分は、前立腺癌の侵襲的形態であるSCNCを有する対象に限定され、チェックポイント阻害剤による単剤療法が、限定的な臨床効果を示した設定における、タラボスタットメシラート+ペムブロリズマブの組合せの抗腫瘍活性を評価する。
【0258】
評価の研究スケジュール
【表10-1】
【表10-2】
【0259】
研究の追跡
a.研究薬剤の中止後、患者は、最後の研究薬剤の投与後21日以内に、EOT訪問を完了する。
b.薬剤関連AEがその時に回復していない場合、安全性追跡訪問を、研究薬剤の最終投与後30日間(±7日)、及びその後実施することができる。その後、文書で示された疾患進行(PD)を有しない患者は、PDの文書化まで、疾患評価を90日毎に追跡する。PDの文書化の後、患者は、90日毎に生残状態を追跡する。かかる追跡は電話により実施する可能性が高い。
c.サイクル2の1日目、及び、その後のサイクル全ては、以前の研究薬剤の投与がなされた後、21日(±3日)となる。
d.腫瘍評価は、胸部/腹部/骨盤の断面イメージング(可能なときの、静脈内対比によるMRIまたはCTスキャニング)、加えて、全身の骨スキャンを含まなければならない。臨床的に示されるとおり、含まれるべき他の体部(例えば首)。スクリーニング、C4D1(±7日)、C7D1(±7日)、C10D1(±7日)、及び、その後の各3回目のサイクル1日目(±7日)において行われる腫瘍評価。
e.腫瘍生検はリードインステージでは任意であり、有効性ステージでは必須である。安全にアクセス可能な損傷OR患者が、入手可能なアーカイブ転移性腫瘍組織を有しない場合、必要条件は撤回され得る。
f.ECGは、血液サンプルの収集前に3通りで実施しなければならない。スクリーニングのみにおいて、バゼットの式(QTcB)を用いて心拍数に対して補正したQT間隔を測定する。
g.血清化学としては、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、塩素(Cl)、重炭酸塩、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、リン酸塩、血中尿素窒素(BUN)/クレアチニン(Cr)、及び乳酸脱水素酵素(LDH)が挙げられる。
h.肝機能試験は、アスパラギン酸アミノ基転移酵素、アラニンアミノ基転移酵素、アルカリホスファターゼ、全ビリルビン、アルブミンを含む。
i.免疫パラメータのための全血は、投与前、ならびに、C1D1、C1D14、C2D1、及びC2D14の投与後6及び24時間にて収集される。1日目の24時間サンプルは、2日目の投与前に収集される。
j.CTCの計数は、C1D1、C2D1、及びC4D1、次いでその後、毎回の3番目のサイクルのD1、ならびにEOT訪問時に実施される。
k.最終投与の直前に収集したサンプルは、14日目に投与される(患者の日記は、当該患者がサイクル中に摂取した投与回数を記録するために保持されなければならない)。
l.サイクル3のみ;最終投与の直前に収集したサンプルは14日目、ならびに、最終投与の2、6、12、24、72、120、及び168時間にて投与され、168時間のサンプルは、C4D1投与の直前に収集される(患者の日記は、当該患者がサイクル中に摂取した投与回数を記録するために保持されなければならない)。
【0260】
訪問スクリーニング期間による、詳細の研究手順(-28日目~-1日目)
インフォームドコンセントは、あらゆる手順が完了する前に入手される。
【0261】
臨床実験室は全て、組織化された実験室、または他の地方実験室により分析される。
【0262】
最初に計画したタラボスタットメシラートの用量の前28日以内に、患者には以下の評価が実施されなければならない:
- インフォームドコンセント
- 患者が研究への参加に適格か否かを判定するための、試験対象患者基準及び除外基準の確認
- 人口統計データの収集
- AEのための評価
- あらゆる付随投薬の文書化
- 前立腺癌治療歴
- アーカイブの腫瘍収集
- 原発性または転移性前立腺癌組織の中心的病理学の確認
- 胸部/腹部/骨盤の断面イメージング(可能なときの、IV対比によるMRIまたはCTスキャニング)、加えて、全身の骨スキャンを含まなければならない腫瘍評価。臨床的に示されるとおり、含まれるべき他の体部(例えば首)。
- 転移性腫瘍生検(リードインステージでは任意)。患者が入手可能なアーカイブ転移性腫瘍組織を有しない場合、安全にアクセス可能な損傷ORが存在しない場合において、これは撤回される場合がある。
- 身体検査(生命徴候[座位及び立位血圧、心拍数、呼吸速度及び体温]ならびに物理的測定値[身長、体重、及び系の確認]を含む)
- 全医療歴
- ECOGパフォーマンス状態
- 12個のリードECGを得る(QTcBの評価を含む)
- 臨床実験室評価:
- 血液学(完全血球数[CBC]+白血球分画)
- 血清化学(ナトリウム[Na]、カリウム[K]、塩素[Cl]、重炭酸塩、カルシウム[Ca]、マグネシウム[Mg]、リン酸塩、血中尿素窒素[BUN]/クレアチニン[Cr]、及び乳酸脱水素酵素[LDH])
- 肝機能試験(AST、ALT、アルカリホスファターゼ、全ビリルビン、アルブミン)
- 血清PSA
- 尿検査
- 患者が研究に適格であるとみなされると、連続した患者番号を各部位にて割り当てる
【0263】
治療期間中の評価
サイクル1、1日目
以下の試験及び手順を実施する:
- 試験対象患者基準及び除外基準を確認して、患者が依然として、研究を継続するのに適格であることを確認する
- AEのための評価
- 付随投薬についての質問
- サイクル1の1~14日目に、投与のためにタラボスタットメシラートを分配する
- ペムブロリズマブを投与する
- 身体検査(生命徴候[座位及び立位血圧、心拍数、呼吸速度及び体温]、ならびに体重を含む)
- ECOGパフォーマンス状態
- 12個のリードECGを得る
- 臨床実験室評価:
- 血液学(CBC+白血球分画)
- 血清化学(Na、K、Cl、重炭酸塩、Ca、Mg、リン酸塩、BUN/Cr、及びLDH)。
- 肝機能試験(AST、ALT、アルカリホスファターゼ、全ビリルビン、アルブミン)
- 血清PSA
- 尿検査
- 免疫パラメータのための全血(投与前、ならびに投与後6及び24時間、投与後24時間のサンプルは、2日目の投与前に収集される)
- CTC計数のための、CellSave保存チューブ内での血液サンプルの収集
【0264】
サイクル1、8日目
以下の試験及び手順を実施する:
- AEのための評価
- 付随投薬についての質問
- 身体検査(生命徴候[血圧、心拍数、呼吸速度、及び体温]を含む)
- ECOGパフォーマンス状態
- 臨床実験室評価:
- 血液学(CBC+白血球分画)
- 血清化学(Na、K、Cl、重炭酸塩、Ca、Mg、リン酸塩、BUN/Cr、及びLDH)。
- 肝機能試験(AST、ALT、アルカリホスファターゼ、全ビリルビン、アルブミン)
【0265】
サイクル1、14日目
以下の試験及び手順を実施する:
- 免疫パラメータのための全血(投与前、ならびに投与後6及び24時間、投与後24時間のサンプルは、15日目の投与前に収集される)
- 最終投与直前の薬物動態分析のための、血液サンプルの収集
【0266】
サイクル1、15日目
以下の試験及び手順を実施する:
- AEのための評価
- 付随投薬についての質問
- 身体検査(生命徴候[血圧、心拍数、呼吸速度、及び体温]を含む)
- ECOGパフォーマンス状態
- 臨床実験室評価:
- 血液学(CBC+白血球分画)
- 血清化学(Na、K、Cl、重炭酸塩、Ca、Mg、リン酸塩、BUN/Cr、及びLDH)。
- 肝機能試験(AST、ALT、アルカリホスファターゼ、全ビリルビン、アルブミン)
【0267】
サイクル2、1日目
以下の試験及び手順を実施する:
- AEのための評価
- 付随投薬についての質問
- サイクル2の1~14日目に、投与のためにタラボスタットメシラートを分配する
- ペムブロリズマブを投与する
- 身体検査(生命徴候[血圧、心拍数、呼吸速度、及び体温]ならびに体重を含む)
- ECOGパフォーマンス状態
- 12個のリードECGを得る
- 臨床実験室評価:
- 血液学(CBC+白血球分画)
- 血清化学(Na、K、Cl、重炭酸塩、Ca、Mg、リン酸塩、BUN/Cr、及びLDH)。
- 肝機能試験(AST、ALT、アルカリホスファターゼ、全ビリルビン、アルブミン)
- 血清PSA
- 尿検査
- 免疫パラメータのための全血(投与前、ならびに投与後6及び24時間、投与後24時間のサンプルは、2日目の投与前に収集される)
- CTC計数のための、CellSave保存チューブ内での血液サンプルの収集
【0268】
サイクル2、8日目
以下の試験及び手順を実施する:
- AEのための評価
- 付随投薬についての質問
- 身体検査
- ECOGパフォーマンス状態
- 臨床実験室評価:
- 血液学(CBC+白血球分画)
- 血清化学(Na、K、Cl、重炭酸塩、Ca、Mg、リン酸塩、BUN/Cr、及びLDH)。
- 肝機能試験(AST、ALT、アルカリホスファターゼ、全ビリルビン、アルブミン)
【0269】
サイクル2、14日目
以下の試験及び手順を実施する:
- 免疫パラメータのための全血(投与前、ならびに投与後6及び24時間、投与後24時間のサンプルは、15日目の投与前に収集される)
- 最終投与直前の薬物動態分析のための、血液サンプルの収集
【0270】
サイクル2、15日目
以下の試験及び手順を実施する:
- AEのための評価
- 付随投薬についての質問
- 身体検査(生命徴候[血圧、心拍数、呼吸速度、及び体温]を含む)
- ECOGパフォーマンス状態
- 臨床実験室評価:
- 血液学(CBC+白血球分画)
- 血清化学(Na、K、Cl、重炭酸塩、Ca、Mg、リン酸塩、BUN/Cr、及びLDH)。
- 肝機能試験(AST、ALT、アルカリホスファターゼ、全ビリルビン、アルブミン)
【0271】
サイクル3、及びその後のサイクル、1日目
以下の試験及び手順を実施する:
- AEのための評価
- 付随投薬についての質問
- 当該サイクルの1~14日目に、投与のためにタラボスタットメシラートを分配する
- ペムブロリズマブを投与する
- 身体検査(生命徴候[血圧、心拍数、呼吸速度、及び体温]ならびに体重を含む)
- ECOGパフォーマンス状態
- 12個のリードECGを得る
- 臨床実験室評価:
- 血液学(CBC+白血球分画)
- 血清化学(Na、K、Cl、重炭酸塩、Ca、Mg、リン酸塩、BUN/Cr、及びLDH)。
- 肝機能試験(AST、ALT、アルカリホスファターゼ、全ビリルビン、アルブミン)
- 血清PSA
- 尿検査
- 胸部/腹部/骨盤の断面イメージング(可能なときの、静脈内対比によるMRIまたはCTスキャニング)、加えて、全身の骨スキャンを含まなければならない腫瘍評価。臨床的に示されるとおり、含まれるべき他の体部(例えば首)。C4D1(±7日)、C7D1(±7日)、C10D1(±7日)、及び、その後の各3回目のサイクル1日目(±7日)において行われる腫瘍評価。
- C4D1、及び、その後の毎回の3回目のサイクルの最初の日に実施される、CTC計数のための、CellSave保存チューブ内での血液サンプルの収集
【0272】
サイクル3、ならびに、その後のサイクル、8日目及び15日目
以下の試験及び手順を実施する:
- AEのための評価
- 付随投薬についての質問
- 臨床実験室評価:
- 血液学(CBC+白血球分画)
- 血清化学(Na、K、Cl、重炭酸塩、Ca、Mg、リン酸塩、BUN/Cr、及びLDH)。
- 肝機能試験(AST、ALT、アルカリホスファターゼ、全ビリルビン、アルブミン)
【0273】
サイクル3のみ、14~21日目
以下の試験及び手順を実施する:
- 14日目の最終投与直前、ならびに、14日目の投与後、2、6、12、24(15日目)、72(17日目)、120(19日目)、及び168(21日目)時間における、薬物動態分析のための、血液サンプルの収集
【0274】
治療訪問の終了(最終の研究薬剤投与後21日以内)
以下の試験及び手順を実施する:
- AEのための評価
- 付随投薬についての質問
- 体重を含む身体検査
- ECOGパフォーマンス状態
- 12個のリードECGを得る
- 臨床実験室評価:
- 血液学(CBC+白血球分画)
- 血清化学(Na、K、Cl、重炭酸塩、Ca、Mg、リン酸塩、BUN/Cr、及びLDH)。
- 肝機能試験(AST、ALT、アルカリホスファターゼ、全ビリルビン、アルブミン)
- 尿検査
- 胸部/腹部/骨盤の断面イメージング(可能なときの、静脈内対比によるMRIまたはCTスキャニング)、加えて、全身の骨スキャンを含まなければならない腫瘍評価。臨床的に示されるとおり、含まれるべき他の体部(例えば首)。
- CTC計数のための、CellSave保存チューブ内での血液サンプルの収集
- 再診(薬剤関連AEがその時に回復していない場合、安全性追跡訪問を、研究薬剤の最終投与後30日間[±7日]、及びその後実施することができる)
【0275】
以下の試験及び手順を実施する:
- AEのための評価
- 付随投薬についての質問
【0276】
実施例2:
これは、進行性充実性癌を有する患者における、ペムブロリズマブと組み合わせて投与される、低分子阻害剤のジペプチジルペプチダーゼ(DPP)である、タラボスタットメシラートのフェーズ2バスケット研究である。
【0277】
研究目的(複数可)
主要目的
研究の主要目的は、以下のとおりである:
・コホートAで治療される患者、及び、コホートBで治療される患者において、充実性腫瘍(RECIST)及び免疫iRECISTでの奏効評価基準に従って、奏効率を評価するため。
・研究に登録された最初の6名の患者における、用量制限毒性(DLT)を評価するため。
【0278】
副次的目的
コホートA及びコホートBに対する研究の副次的目的としては、以下が挙げられる:
・無増悪生存期間(PFS)を評価するため
・奏効期間(DOR)を評価するため
・全体生残(OS)を評価するため
・全安全性及び忍容性を評価するため
【0279】
診査目的
・血液中での関連する免疫エフェクターサイトカインにおける、ペムブロリズマブと組み合わせたタラボスタットメシラートの定量的及び定性的効果を評価するため
・投与前主要生検、及び、実行可能な場合、投与後腫瘍組織における、好中球、骨髄由来免疫抑制細胞(MDSC)、樹状細胞、がん関連線維芽細胞(CAF)、T細胞、及びマクロファージ密度を含む、様々な免疫エフェクター細胞における、ペムブロリズマブと組み合わせたタラボスタットメシラートの定量的及び定性的効果を評価するため
・ベースラインのPD-L1腫瘍発現、及び臨床的アウトカムを伴う腫瘍遺伝子変異量(TMB)の予測値を発見するため
・腫瘍応答及びクローン進化を評価するために、連続して収集した血液環状腫瘍DNA(ctDNA)の変化を評価するため
・治療効果の予測ツールとして、治療前及び治療後PD-L1 PET/CTを評価するため。
【0280】
研究設計
これは、進行性充実性癌を有する患者における、ペムブロリズマブと組み合わせた、毎日経口投与されるタラボスタットメシラートの奏効率を測定するための、非盲検の単一施設フェーズ2研究である。研究は、PFS、OS、及びDORなどの、他の有効性パラメータ、ならびに、併用治療の安全性もまた評価する。ベイズ式最適フェーズ2(BOP2)設計が、有効性を監視するために適合される。本研究は2段階からなる:
1) リードインステージ(最初の6名の患者が登録)- ここでは、21日サイクルの1~14日目に毎日経口投与される、タラボスタットメシラートと、各21日の中の1日目に静脈内(IV)投与されるペムブロリズマブ200mgの組合せの、安全性及び忍容性を、進行性充実性癌を有する患者にて評価し、確認する。タラボスタットメシラートの用量は0.6mgである。
2) 有効性ステージ(BOP2ステージ)- ここでは、進行性充実性癌を有する患者が、ペムブロリズマブと組み合わせたタラボスタットメシラートで治療される。リードインステージに登録された患者は、有効性ステージでも評価される。
【0281】
リードインステージの間、患者はサイクル1の間に、用量制限毒性(DLT)について観察される。6名の患者に、まず0.6mgのタラボスタットメシラートを毎日(1~14日目)、及びペムブロリズマブ200mgが投与される:
・6名の元の患者のうち2名以上がサイクル1においてDLTを有する場合、用量は最大耐量(MTD)を上回ると考えられ、さらなる6名の患者が、1~14日目の用量濃度で毎日、0.4mgのタラボスタットメシラートで治療される。
○ 患者の1名以下がDLTを経験する場合、有効性ステージを開始することができる
○ 患者の2名以上がDLTを経験する場合、進行の仕方について、研究員とスポンサーとの間で議論を行う
【0282】
【0283】
少なくとも1用量の研究薬剤を受けた患者全員の全ての安全性データを、安全性分析に含める。DLTによって用量が維持されない限り、患者は、DLT評価に適格である、サイクル1の1日目に投与される、サイクル1におけるタラボスタットメシラートの70%超(即ち、計画される42回投与のうちの30回以上)、加えてペムブロリズマブを受けなければならない。
【0284】
毒性は、有害事象共通用語規準(NCI CTCAE)(バージョン5)を用いて、研究員により評価される。AEと併用療法との関係(即ち、タラボスタットメシラート及び/またはペムブロリズマブへの寄与)は、手順における基準を用いて、研究員により評価されなければならない。
【0285】
主任研究員による、AEが無関係な原因(例えば、疾患の進行)に明らかに、そして議論の余地なく寄与している可能性がない限り、研究員の、研究治療への寄与に関係なく、DLTは、サイクル1の間に生じる、以下のAEのいずれかとして定義される:
- 期間に関係なく、あらゆるグレード4の、実験室での異常性
- あらゆる、グレード3の非血液学的AE(ただし、最適な医療管理により、72時間以内にグレード2以下に回復する、グレード3の悪心、嘔吐、下痢、便秘、発熱、疲労、皮膚の発疹、または非臨床的な著しい実験室での異常性を除く。)
- グレード1より大きい、採血または血小板輸液の必要条件を伴う、グレード3の血小板減少症。
- グレード3の熱性好中球減少症。
- グレード3の発熱。
- グレード3の皮膚発疹。
- Hy’s lawの基準(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ[AST]またはアラニンアミノトランスフェラーゼ[ALT]>3×付随する全ビリルビンの通常の上限[ULN]>2×ULN)を満たす、実験室の異常性。
- グレード3のトランスアミナーゼ(AST/ALT)の上昇。
- サイクル1の間の、タラボスタットメシラートの、30%以上の保持/スキップ用量をもたらす、あらゆる毒性。
- 毒性による、14日以上のサイクル2の遅延。
- 用量制限的であると、研究員及び支援者の医学代理人によりみなされる、任意の他の著しい毒性。
【0286】
有効性ステージ:
後のステージで使用するタラボスタットメシラート/ペムブロリズマブ用量スケジュールの安全性評価及び確認後、有効性ステージを開始する。適合した患者は、21日サイクルの1~14日目に、経口でタラボスタットメシラートを毎日、加えて、各21日の1日目に、IV投与されるペムブロリズマブ200mgを受ける。
【0287】
研究デザインの特徴(両方のステージ):
リードイン及び有効性ステージの両方において、書面にしたインフォームドコンセントを提供した後、最初の研究での薬剤投与の前28日以内に、研究のために患者をスクリーニングする。スクリーニング評価に基づき、適合であると測定された患者は、サイクル(C)1の1日目(D)(ベースライン、タラボスタットメシラートの最初の投与前)に、研究に登録される。
【0288】
治療の間、患者は研究センター訪問に参加し、評価スケジュールに詳述するとおりに、研究評価を実施される(付記A)。研究訪問は全て、外来患者基準で実施されるが、研究員の判断により、入院患者基準で実施することができる。
【0289】
患者は全員、前治療(研究治療投与の前)イメージング(胸部/腹部/骨盤のコンピューター断層撮影[CT]スキャン、またはベースラインの腫瘍測定のための核磁気共鳴画像法[MRI]、及び骨シンチグラフィ[BS])を受けなければならない。皮膚、皮下、またはリンパ節転移を有する患者は、身体検査により、腫瘍評価(定規による測定を含む。)もまた有することができる。中枢神経系(CNS)の悪性浸潤またはCNS症状の病歴を有する患者は、脳のCTまたはMRIイメージングのいずれかを実施して、活性のCNS悪性腫瘍を評価しなければならない。
【0290】
腫瘍測定及び疾患応答評価(CTまたはMRI;BS) もまた、サイクル3の終了時(およそ、最初の研究治療投与の9週間後)に、次いで、その約9週後毎に、進行性疾患(PD)が進行するまで、実施しなければならない。27週目にて疾患制御(安定した疾患またはそれ以上)の証拠がある患者については、腫瘍評価及び疾患応答評価は、その後頻度を落として(およそ、12週に1回)実施することができる。腫瘍測定、及び疾患応答評価もまた、治療終了(EOT)訪問にて実施することができる。
【0291】
研究手順を付記Aに列挙する。
【0292】
研究対象集団
プロトコルの適格性基準を満たす、およそ6~12、及び24~48名の患者がそれぞれ、プロトコルのリードインステージ、及び有効性ステージの間に登録される。リードインステージに登録される患者は評価され、有効性ステージで使用される。
【0293】
適格性基準
患者は全員、治験への登録に適格である、以下の試験対象患者基準及び除外基準を満たさなければならない。
【0294】
試験対象患者基準
1.標準的な治療法がPD1またはPD-L1抗体を含まないかぎり、生残効果を付与することが知られている標準的治療法に失敗した、またはこれに対して耐性のない、組織学的または細胞学的に証明された充実性進行がんを有する患者。
a.リードインステージ:PD1/PDL1抗体による以前の治療を有する、または有しない、上記基準を満たす進行がんを有する患者。PD1/PDL1抗体による以前の治療を受けた患者は再発するはずである。
b.有効性ステージコホートA:PD1/PDL1抗体で以前に治療されていない、進行がんを有する患者。
c.有効性ステージコホートB:PD1/PDL1抗体により再発または進行した進行がんを有する患者
2.研究員の意見において、3ヶ月を超える平均余命を有する患者。
3.患者が、0~2の、米国東海岸がん臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータスを有する。
4.患者は12歳以上の年齢を有する。年齢が18歳未満の患者は、40kg以上の体重を有しなければならない。
5.患者は、RECIST 1.1及びiRECISTにより測定可能な疾患を有する。生検の影響を受けやすい疾患は必須ではない。
6.以前の抗がん治療法での、患者の急性毒性作用は、グレード2の末梢神経炎、またはあらゆるグレードの脱毛症を除いて、グレード1以下まで回復した。
7.患者が、以下に示すとおりに、十分なベースラインの器官機能を有する:
a.≦1.5倍の制度上の正常値上限(ULN)の血清クレアチニン、または>40mL/分の計算クレアチニンクリアランス;
b.≧2.5g/dLの血清アルブミン;
c.全ビリルビン≦1.5×ULN(既知のギルバート症候群を有する患者に対しては、<3×ULN);
d.アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)及びアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)≦3×制度上のULN(肝臓転移を有する患者は、AST/ALT≦5×ULN)を有しなければならない)。
8.患者が、以下に示すとおりに、十分なベースラインの血液学的機能を有する:
a.≧1.0×109/Lの、絶対好中球数(ANC)。
b.以前の7日間における、≧8g/dLのヘモグロビン、及びゼロの赤血球輸液。
c.血小板計数≧75×109/L。
9.妊娠の可能性がある女性は、治療開始の14日以内に、陰性血清もしくは尿妊娠試験(最低感度が25IU/L、もしくは等ユニットのヒト絨毛膜性腺刺激ホルモン[HCG])を有しなければならず、かつ/または、閉経女性は、妊娠の可能性がないと考えられる少なくとも12ヶ月間は、無月経でなければならない。妊娠の可能性がある女性は、研究薬剤の最終投与後少なくとも4ヶ月は、研究期間を通して、2つの非常に効果的な産児制限法を用いることに同意して、これにコミットしなければならない。許容される方法は、外科滅菌、子宮内装置、または、バリア法と組み合わせたホルモン避妊などの、一貫して、かつ正しく使用したときに、単独でまたは組み合わせて、低い失敗率(即ち、1年当たりで1%未満)をもたらすものとして定義される。タラボスタットメシラートまたはペムブロリズマブが、全身に作用するホルモン避妊薬の有効性を低下させ得るか否かは、現在未知である。それ故、全身に作用するホルモン避妊薬を使用する女性は、バリア法を加えなければならない。特定の国においては(法律により許可される場合)、WOCBPは、本研究の参加期間中、異性との性的禁欲を遵守することを同意し得る。
10.男性患者、及び、妊娠の可能性があるその女性パートナーは、女性パートナーが、子宮内装置またはホルモン避妊薬のいずれかを用い、研究薬剤の最終投与後少なくとも4ヶ月まではこれを継続することに加えて、研究薬剤の最終投与後少なくとも60日までは、研究期間を通してバリア避妊薬(例えば、殺精子性の泡/ゲル/フィルム/クリーム/座薬が付いたコンドーム)を使用することに同意し、これにコミットしなければならない。この基準は、ICFに署名する6ヶ月より前に精管切除をした男性患者においては、撤回することができる。
11.患者が、あらゆる研究に特有の手順または治療を開始する前に、インフォームドコンセントに署名した。
12.患者が、研究訪問スケジュール、及び他のプロトコルの必要条件に固執することができる。
【0295】
除外基準
1.患者が、経口薬剤を飲み込むことができない。
2.患者が、以前の手術または放射線治療により制御されなかった、活性の中枢神経系(CNS)転移を有する(患者には、ステロイドが利かないはずである)。脳転移が示唆される徴候または症状を有する患者は、脳転移が脳MRI/CTにより除外されない限り、適格性を有しない。
3.研究治療の前に、患者が、14日以内、または5回の半減期以内のどちらか短いほうにおいて、外部ビーム照射、または別の全身性抗がん治療法を受けた。
4.研究での薬物投与の前14日以内に、患者が、治験中の全身性抗がん剤での治療を受けた。
5.患者が、研究のエンドポイントの評価を混同させ得る、さらなる活性悪性腫瘍を有する。以下の付随性腫瘍診:非黒色腫皮膚癌ならびにin situがん腫(in situ移行上皮癌、肛門癌、及び黒色腫を含む)を有する患者が適格である。活性ではなく、治療を必要としない同時性がんを有する患者は、PI及び支持者との議論次第では、適格となり得る。
6.患者が、臨床的に重篤な心臓血管疾患(例えば、非制御性またはNYHA(New York Heart Association)クラス3または4のうっ血性心不全、非制御性狭心症、心筋梗塞の病歴、研究に入る前6ヶ月以内の不安定狭心症または脳卒中、投薬により制御されない非制御性高血圧または臨床的に深刻な不整脈)を有する。
7.患者が、免疫不全の診断を有するか、または、少なくとも1週間、10mg/日を超えるプレドニゾン等量用量にて、もしくは、サイクル1の1日目(C1D1)の前7日以内に、他の形態の免疫抑制療法にて、全身性ステロイド療法を受けている。
8.患者が、非制御性感染症、播種性血管内凝固、または、研究の必要条件によりコンプライアンスを制限する、精神疾患/社会的状況を含むがこれらに限定されない、非制御性の併発性疾患を有する。
9.患者が、ヒト免疫不全ウイルス活性、または慢性肝炎B、またはC型肝炎に対して、既知の陽性状態を有する。B型またはC型肝炎の病歴、及び、検出不可能なウイルス量を有する患者が適格である。スクリーニングは必要とされない。
10.研究投薬の吸収に影響を及ぼし得る、臨床的に深刻な上部胃腸障害、異常な生理学的機能、または吸収不良症候群を有する。
11.患者が、研究員の意見では、当該患者を毒性の許容されない高リスクに曝すあらゆる医学的状態を有する。
12.患者が妊娠しているか、または母乳哺育をしている
【0296】
研究の方法論
併用薬
許可された投薬/治療法
増殖因子(例えば、顆粒球コロニー刺激因子[G-CSF])の使用は、グレード3以上の血球減少の治療に対して臨床的に示されるとおりに許可される。
【0297】
潜在的に免疫性の病因を有するAEの管理のために示唆される、支持のためのケア手段を、以下に概略で示す。適切な場合、これらのガイドラインは、コルチコステロイドの投与により症状が改善しない場合、コルチコステロイドによる経口またはIV治療、及び、さらなる抗炎症剤の使用を含む。ステロイドのテーパリングのいくつかの過程は、ステロイド用量が減少するときに症状が悪化し得る場合に、必要となり得ることに留意されたい。各AEに対して、転移性疾患または細菌性もしくはウイルス性感染症などの他の症例を除外するための試みがなされなければならず、さらなる支持のためのケアが必要となり得る。
【0298】
禁止される投薬/治療法
登録される患者は、細胞毒性化学療法剤、抗がんチロシンキナーゼ阻害剤、または治療用モノクローナル抗体を含む、治験中の、または認可された抗がん剤を受けることができない。
【0299】
姑息照射は、既存の非進行性転移/症状に対して実施され、かつ、狭い照射部(例えば孤立性の骨損傷)に関係する場合を除き、研究登録中には許可されない。
【0300】
前臨床試験は、タラボスタットメシラートに対して、以下の主なヒト肝臓CYPアイソエンザイム、同位酵素:CYP1A2、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、及びCYP3A4を阻害する可能性が低いことが示された。さらに、関連するタラボスタットメシラートの濃度には、CYP3A4またはCYP1A2が含まれなかった。したがって、CYPアイソエンザイムに基づく、禁止された投薬は存在しない。
【0301】
有効性評価
RECIST 1.1及びiRECISTを9週毎(3サイクル毎)に用いて、治療中に有効性を評価する。RECIST及びiRECISTの詳細は、付記B及びCに記載されている。
【0302】
安全性評価
重篤でない有害事象
研究員は、各訪問時にAEを評価しなければならない。観察された、もしくは自発的な問題、不満、または症状を含むあらゆるAEは、eCRFにて記録されなければならない。各AEは、期間、強度、及び、研究治療または他の因子との原因関係について評価されなければならない。MOCLIAは、本研究においてeCRFのために使用される。研究部門(治験中のがん治療薬)データベースチームが、プロトコルの必要条件に基づきCRFを作成し、準備ができると、INDモニターがこれを確認して認可する。
【0303】
研究員は、研究に入った患者の安全性の監視を担う。治療期間中に生じる、かつ/または、タラボスタットメシラート及び/またはペムブロリズマブ(治験中の製品、IP)の最後の投与から30日以内に生じるあらゆるAEは、研究の終了まで、または回復するまで追跡される。AEは、改訂されたNCI CTCAE、第5.0版に従い格付けされる(http://ctep.cancer.gov/reporting/ctc.htmlを参照のこと)。IPの最終投与の後30日間で生じるAEは、研究員が、IPに関連する事象であるとみなさない限り、報告される必要はない。
【0304】
【0305】
重篤な有害事象の報告
研究員の観点から、以下のアウトカムのいずれかをもたらす場合、有害事象または疑いのある拒絶反応は「重篤」であるとみなされる。
・死亡
・命を脅かす有害薬剤経験-初期レポーターの観点から、生じた有害経験から中程度の死のリスクを有して患者にて生じる、任意の有害経験。より重篤な形態で生じた場合、死をもたらし得る有害経験は含まれない。
・入院患者の入院、または既存の入院の延長
・持続性、または重篤な、通常の生命機能を行う能力の不能性または実質的な不全。
・先天性奇形/先天性異常。
【0306】
死をもたらし得ない、命を脅かし得る、または入院を必要とし得る、重要な医学的事象は、適切な医学的判断に基づくと、それらの事象が患者または対象を危険にさらし得るとき、重篤な有害薬剤経験とみなされ得、本定義に列挙したアウトカムのうちの1つを防止するために、医学的または外科的介入が必要となり得る。
【0307】
上記のとおりの重要な医学的事象はまた、重篤な有害事象とみなされ得る。主任研究員またはINDサポーター、INDオフィスにより適切とみなされる場合、あらゆる重要な医学的事象は、SAEとして報告されることができ、かつそうされなければならない。
【0308】
プロトコルの実施中に発生し、SAEの定義を満たすあらゆる事象は、“The University of Texas M. D. Anderson Cancer Center Institutional Review Board Policy for Investigators on Reporting Serious Unanticipated Adverse Events for Drugs and Devices”に概説される時間枠及び手順に従い、IRBに報告されなければならない。プロトコルにおいて別様に記述がない限り、予想される、または予想されない全てのSAEは、帰属に関係なく(当該事象に気づいたときから5営業日以内に)INDオフィスに報告されなければならない。
【0309】
予想されず、かつ研究薬剤に関連する、命を脅かす、または致命的な事象は、当該事象にきづいたときから24時間(翌営業日)以内に、INDオフィスの安全性プロジェクトマネージャーに、報告書として提出されなければならない。
【0310】
特に断りのない限り、INDオフィス及びMDACC IRBに安全に報告するために、電子SAEアプリケーション(eSAE)が使用される。
【0311】
重篤な有害事象は、最初のプロトコル特異的介入の時点から、薬剤の最終投与後90日まで、または、参加者が同意を放棄するか、もしくは新規の抗がん治療法を開始する場合はそれ以前まで、捕捉される。重篤な有害事象は、臨床回復が完了し、実験室試験がベースラインに戻るまで、事象の進行が安定するまで、または、当該事象の許容される回復があるまで、追跡されなければならない。
【0312】
さらに、研究治療に関連する90日の期間後に生じる、あらゆる重篤な有害事象が、INDオフィスに報告されなければならない。これには、二次悪性腫瘍の成長が含まれ得る。
【0313】
有害事象の追跡
治療期間を通して、及び、タラボスタットメシラートの最終投与後最低30日以内は、患者は、AEについて監視される予定である。
【0314】
その後のあらゆる化学療法の開始後、または、研究投薬の最終投与後30日を超えた後には、研究投薬が、新規のAEに寄与したとみなされない限り、新規のAEのさらなる報告は必要とされない。
【0315】
薬物動態評価/薬力学評価
全血サンプル及び最適な腫瘍生検は、付記A(セクション「エラー! 参照ソースが見当たりません。」)に記載の時点で収集される。分析例としては、関連する免疫エフェクターサイトカイン、標的エンゲージメント、循環腫瘍DNA(ctDNA)の試験が挙げられる。
【0316】
疾患進行
研究からの患者の排除
安全性と患者の選択の範囲内において、各患者が研究の治療期間を終わらせるためのあらゆる努力がなされなければならない。PDにより治療が中止された患者は、研究員により適切とみなされる、任意のさらなる治療法で治療されることができる。
【0317】
患者は、以下の理由のいずれかにより、本研究の中断を受ける場合がある:
・研究員が、中止を推奨し、理由(複数可)を文書に示す
・プロトコルで許可されていない何らかの治療が必要である
・何らかの理由による、患者の同意の放棄、または中止の決定
・研究投薬に関連していると考えられる、許容されないAEが存在する
【0318】
治療期間中に中断する患者は全員、戻って安全性及び疾患評価を完了する必要がある(付記Aを参照のこと)。
【0319】
研究の完了
患者全員が、疾患の進行に従い;追跡を終了し、死亡し、または毒性により排除され;患者の要求に従い;研究員の自由裁量に従い;研究後治療手順を全て終了したときに、本研究は完了するとみなされる。
【0320】
研究投薬
研究投薬は、21日サイクルで投与される。タラボスタットメシラートまたはペムブロリズマブのいずれかがまず投与され得る。しかし、サイクル1の1日目には、ペムブロリズマブがまず投与され、タラボスタットメシラートを投与するまでに1時間以上空けることが推奨される。これにより、任意のAEの、研究薬剤との関係を測定するのが容易になる。
【0321】
タラボスタットメシラートの投与量及び投与
タラボスタットメシラート錠剤は、メタンスルホネート塩として製剤化された、バリン-プロリンボロン酸を含有する。現在の投与量強度は、経口投与のための0.05mg、及び0.2mg錠剤を含む。
【0322】
タラボスタットメシラートは、0.2mg錠剤として経口投与される。は各サイクルの1~14日目に、0.6mgの合計の日用量で、患者は1日3つの錠剤を摂取する。タラボスタットメシラートは、疾患が進行するまで、または許容されない毒性が生じるまで継続される。
【0323】
薬力学研究が実施されている日においては、タラボスタットメシラートは研究センターにて投与されなければならず、サイクル中の各治療日において、1日の中の(およそ)同じ時間に投与されなければならない。薬力学が評価されないサイクルにおいては、タラボスタットメシラートはまた、サイクル中の各治療日において、1日の中の(およそ)同じ時間に、好ましくは8時に投与されなければならない。患者が研究投薬の摂取を忘れた場合、その投与はスキップされる。
【0324】
毒性に対して続発性であるタラボスタットメシラートの用量調節
治療サイクル中でのタラボスタットメシラートの用量変更は、AE及び/またはDLTによって必要とされない限り、サイクル1では行われない。サイクル2以降においては、治療サイクル中の用量変更は、研究員の自由裁量にて行われる。AEが原因で維持される用量は、サイクル中の後の日、またはサイクル後に補われてはならない。AE以外の理由で忘れられた用量(即ち、患者が用量の摂取を失念した)は、スケジュールが立てられた用量の後の日に投与されてよい。かかる任意の調節は、研究員と共に議論されなければならない。いかなる状況においても、患者が既に、計画された用量を摂取している日に、忘れられた用量を補ってはならない(即ち、忘れられた用量を考慮するための「倍増」をしてはならない)。
【0325】
タラボスタットメシラートの用量変更が推奨されるのは、以下のとおりである:
・グレード2以上の、浮腫/末梢性腫脹、低血圧、めまい、及び血液量減少のAE:
○ これらのAEがグレード1以下またはベースラインに回復するまで、タラボスタットメシラートを維持する:
○ これらのAEを、グレード2の浮腫を含むグレード1以下またはベースラインに回復した後、タラボスタットメシラートを全用量で再開する。
○ 浮腫がグレード1以下またはベースラインに回復した後、0.2mg減少した用量(1用量レベルの減少)で、タラボスタットメシラートを再開する。グレード2以上の浮腫が、次の投与期間(2週間のオン/1週間のオフ)の間に再発しない場合、タラボスタットメシラートの用量を、研究員の自由裁量にて再度増加させることができる。
・タラボスタットメシラートに関連するとみなされる、他のグレード2以上のAEに対しては、
○ これらのAEがグレード1以下またはベースラインに回復するまで、タラボスタットメシラートを維持する:
○ 研究員の自由裁量により、全用量、または0.2mg減少した用量(1用量レベルの減少)にて、タラボスタットメシラートを再開する。
・参加者当たり、最大で2用量の減少が、タラボスタットメシラート-関連AEに関しては認められる。その後、研究薬剤が永続的に中止される。
・開始から6週間以内に、グレード1以下またはベースラインに回復しない、タラボスタットメシラートに関連するとみなされる有害事象は、タラボスタットメシラートの永続的な中止が必要である。
【0326】
治療期間の間に、タラボスタットメシラートに関連すると考えられるSAEが生じた場合、SAEが回復するまで、タラボスタットメシラートの投与は、当該患者において中断されなければならない。研究員が、タラボスタットメシラートを患者に継続することを望む場合、支持者には、同じ用量、または減少した用量において、タラボスタットメシラートを継続すること議論するように連絡しなければならない。
【0327】
タラボスタットメシラートがAEによって中止される場合、治療手順及び評価の全ての停止を行わなければならない。
【0328】
タラボスタットメシラートの研究投与による、患者の服薬指導の監視
タラボスタットメシラートの投与容器は全て、各訪問時にクリニックに戻されなければならない。患者は、投与レジメンの遵守について質問されなければならず、投薬容器は各訪問時に確認され、タラボスタットメシラートの投与が失念されていないか否か、そして、失念された投与が記録されているか否かを判定しなければならない。患者は、プロトコル当たりでの有効性分析に含められるために、サイクル1及び2において、タラボスタットメシラートの摂取を少なくとも70%遵守しなければならない。
【0329】
タラボスタットメシラートの記載及び保管
タラボスタットメシラートは、乾燥剤及びチャイルドレジスタンスキャップを備えた高密度ポリエチレンボトルに、0.05mg及び0.2mg錠剤として供給される。30個の錠剤を各ボトルに入れる。タラボスタットメシラートの供給は、臨床治験物質に対して適切に標識する。タラボスタットメシラートは、2℃~8℃(36°F~46°F)の冷蔵条件下で保管されなければならない。
【0330】
ペムブロリズマブ投与、用量変更及び中止
ペムブロリズマブは、現在の完全な処方情報に従い調製、保管、及び投与される。ペムブロリズマブは商業サプライから入手され、0.2~5マイクロメートルの滅菌、非発熱性の低タンパク結合オンラインまたはアドオンフィルタを通して30分間、200mgで静脈内投与される。他の薬剤は注入ラインを通して注入されない。注入は、グレード1または2の注入関連反応に対しては中断及び低速化され、グレード3または4の注入関連反応に対しては永続的に中止される。ペムブロリズマブは、病気が進行するまで、許容されない毒性があるまで、または同意が放棄されるまで、投与される。
【0331】
ペムブロリズマブ曝露と関連するAEが、免疫媒介性であり得る。免疫関連AEは、ペムブロリズマブ投与の後任意の時間に生じ得、複数の体の系に影響を与え得る。初期認識及び治療が、合併症を低下させるために重要である。大部分の免疫関連AEは可逆性であり、ペムブロリズマブの中止及びステロイドの開始で管理することができる。ペムブロリズマブに関連すると考えられる、(免疫媒介性反応及び注入関連反応を含む)毒性の管理に対する、推奨用量の変更に関しては、現在の局所的性ペムブロリズマブ完全処方情報を参照のこと。42日以上、ペムブロリズマブの用量維持が必要な患者は、研究が中止される。
【0332】
ペムブロリズマブは、ペムブロリズマブに関連すると考えられる免疫反応を制御するために投与される、コルチコステロイド以外の他の免疫抑制剤と共に使用されてはならない。さらなる詳細については、現在の局所的性ペムブロリズマブ完全処方情報を参照のこと。
【0333】
データ分析及び統計的考察
これは、進行性及び不応性悪性腫瘍を有する対象における、21日のうちの1日目における静脈内PD1/PDL1抗体と組み合わせた、1~14日目の毎日における、経口タラボスタットメシラートの、フェーズ2の単一施設バスケット研究である。リードインコホートには6名の患者が登録される。安全性リードインの間に選択用量で治療された6名の患者のみが、適切にコホートAまたはBに割り当てられる。すなわち、安全性リードインの間に用量減少が存在する場合、より高用量で治療される当該6名の患者は、フェーズIIコホートには割り当てられない。コホートA及びBには9~17名の患者が登録される。CT及び/またはMRIによる奏効評価は、RECIST及びiRECIST基準に従い、9週(3サイクル)毎に行われる。
研究は、以下の操作特性を有するBOP2設計に従う。
力:0.80
I型エラー:0.05
P0:0.05
P1:0.25
【0334】
各コホートには9名の患者が登録される。最初の9名の患者において、完全寛解(CR)または部分寛解(PR)がない場合、当該コホートへの登録は停止される。最初の9名の患者において、1名以上のPRまたはCRがある場合、登録は続けられ、合計で17名の患者が登録される。17名の患者において、3名以上のCRまたはPRが観察された場合、治療はさらなる診査に対して有望であると考えられる。予想されるサンプルサイズは、9名(安全性リードインの後に終了した場合)から34名の患者の範囲である。有効性が評価されていない約20%の患者を考慮すると、治験に動員される予定の患者の実数は、11~42の範囲である。
【表B】
【0335】
研究員は、毒性/有効性要約レポートの完了、ならびに、これらを確認のためにINDオフィスメディカルアフェアーズ及び安全性グループに提出することを担う。これらは以下のとおりに提出されなければならない:
・ リードインステージ
最初の6名の測定可能な患者の後、サイクル1の研究治療を完了する。INDオフィスの認可は、有効性ステージに進む前に得られなければならない。
・ 有効性ステージ:
コホート当たり、最初の9名の測定可能な患者の後、9週の研究治療を完了させ、コホート当たり合計で17名の患者の後、9週の研究治療を完了する。コホート要約のコピーを、「スポンサーとのやりとり」の下で、研究員の制御バインダーに配置しなければならない。
毒性モニタリングもまた、この段階で実施する。経験上のDLT率が35%を超える場合、安全性のために増加を中断し、次工程のための議論を行う。
【0336】
安全性分析
安全性解析対象集団の患者は全員、リードイン患者用の安全性データの最終一覧及びリスティングに含められる。
【0337】
少なくとも1つのAEを経験する患者の頻度は、体のシステム、及び、医薬規制用語集(MedDRA)の用語に従った好ましい用語により示される。各AEに対して収集される詳細情報としては、事象の説明、期間、AEが深刻であるか否か、事象の性質(単一の発症と複数の発症)、強度(即ち、NCI CTCAEバージョン5グレード)、研究薬剤との関係、取られる行動、臨床的アウトカム、及び、AEが手術または代替手順をもたらすか否かが挙げられる。AEの強度(重症度)は、NCI CTCAEに従い等級付けされる。最新版のMedDRA及びNCI CTCAEを使用する。
【0338】
一覧表を準備して、AEを報告する患者の数、患者の報告の頻度、及び、対応する割合を示す。割合は、安全性解析対象集団の患者数を分母として使用して計算する。各表内で、AEは、MedDRAの体のシステム、及び好ましい用語によりカテゴライズされる。さらなるサブカテゴリーは、研究薬剤に対する事象の強度及び関係に基づく。AEデータは、全てのサイクルにまたがり、そして各サイクルに対して提示される。各サイクルについての分母は、当該サイクルに対して、ある用量のタラボスタットメシラートを受けたサイクルの開始時に利用可能な患者である。
【0339】
可能な程度まで、またはペムブロリズマブのいずれかに対するAEの関係を同定する。
【0340】
個別の患者のリスティングを、全てのAEデータに対して準備する。タラボスタットメシラートの生命徴候、及びECOGパフォーマンス状態は、これらのさらなる安全性データの連続またはカテゴリー測定に適用可能な記述統計を用いて、訪問/サイクルによりまとめられる。リードイン及び有効性ステージに対する一覧を提示する。
【0341】
臨床実験室分析
臨床実験室の値は全て、患者毎をベースにして安全性の懸念材料を同定する方法で、個別に列挙して票にされる。列挙表は、各実験室の指標に対して準備され、治療を進めるにつれ、患者データの確認が可能になるように構成される。表は、治療サイクル、リードインデータに対するタラボスタットメシラートの用量、及び関連するNCI CTCAEグレードを列挙する。記述一覧統計が、実験室のパラメータごとに生成される。
【0342】
サイクルごとの、これらの毒性の分布を調査するために、一覧表が準備される。
【0343】
グラフィックディスプレイ及びシフト表を準備して、研究における経時的な結果を示すことができる。累積毒性の評価を行うことができる。
【0344】
研究員の要件
プロトコルの順守
各研究員は、本明細書に詳述したプロトコルを遵守し、プロトコルからのあらゆる意図された逸脱は、IRBによる認可を求める前に、主任研究員またはその被指名人により認可されなければならないことに同意しなければならない。各研究員は、プロトコル適格性基準を満たす患者のみの登録を担う。
【0345】
研究モニタリングの要件
場所訪問は、現在の米国食品医薬品局(FDA)、医薬品の臨床試験の実施の基準(GCP)、医薬品規制調和国際会議(ICH)のガイドライン、ならびに、それぞれの地方及び国政府の規定及びガイドラインに従い、スポンサー、またはポンサーの代表により実施され、研究データ、患者の診療記録、及び他の文書を検査する。研究員は、スポンサー、及び/またはスポンサーの当局代理人、FDA、ならびに、それぞれの国または地方の保健当局に、場所の設備、及び本研究に関連する記録を検査させる。
【0346】
薬剤のアカウンタビリティ
全てのタラボスタットメシラートの在庫管理は、研究の期間を通して維持されなければならない。薬剤の分配記録と薬剤の在庫との間で気づかれたあらゆる矛盾は、報告されなければならない。投薬分配記録は、調査場所に提供される。研究中に使用した研究投薬は全て、適切な形態で構成されなければならない。未使用の研究薬剤は全て、その薬剤アカウンタビリティの記録を完了するための場所に、患者により戻されなければならない。未使用の研究薬剤は全て、場所の職員により施設のポリシーに従い、バイオハザード容器に入れて廃棄される。
【0347】
記録の保持
スクリーニングのログ、ソース文書、同意書、実験室での試験結果、投薬在庫記録、及び他の文書を含む、本研究の実施に関係する記録及び文書は、地方の標準的な操作手順、ならびに施設及び/またはIRBのポリシーに従い、保持されなければならない。
【0348】
研究の中止
1 倫理的考察
本研究は、現在のFDA規制、GCP、ICHガイドライン、ヘルシンキ宣言に起源がある倫理規律、ならびに、地方の倫理的及び法的要件に従い実施される。
【国際調査報告】